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1959/10/13 第32回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第032回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号
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1959/10/13 第32回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第032回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号

#1
第032回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号
昭和三十四年十月十三日(火曜日)
    午前十一時十九分開議
 出席委員
   委員長 村瀬 宣親君
   理事 小坂善太郎君 理事 西村 英一君
   理事 平野 三郎君 理事 岡  良一君
   理事 原   茂君
      木倉和一郎君    小金 義照君
      小平 久雄君    八木 徹雄君
      石野 久男君    内海  清君
      神近 市子君    松前 正義君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
 委員外の出席者
        科学技術政務次
        官       横山 フク君
        科学審議官   奧田  等君
        総理府技官
        (科学調査官) 井上 赳夫君
        総理府事務官
        (科学技術庁振
        興局長)    鈴江 康平君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   佐々木義武君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  法貴 四郎君
        総理府技官
        (科学技術庁資
        源局長)    黒澤 俊一君
        参  考  人
        (日本原子力発
        電株式会社社
        長)      安川第五郎君
    ―――――――――――――
十月十三日
 委員堂森芳夫君辞任につき、その補欠として神
 近市子君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員神近市子君辞任につき、その補欠として堂
 森芳夫君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 コールダーホール改良型原子力発電施設の導入
 等に関する問題
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○村瀬委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。すなわち、コールダーホール改良型原子力発電施設の導入等に関する問題について、本日、原子力発電株式会社社長安川第五郎君を参考人と決定し、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○村瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 この際、安川参考人に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多用中のところ本委員会の調査のため、わざわざ御出席を賜わりまして、まことにありがたく御礼申し上げます。本日はコールダーホール改良型原子力発電施設の導入等に関する問題について御意見を伺うことといたしたいと存じます。まず、簡単に最近の経過等について御説明願うことといたします。安川第五郎君。
#4
○安川参考人 ただいま御指名にあずかりました安川であります。今、委員長からお尋ねの件につきまして簡単にお答えを申し上げます。
 御承知のように、昨年七月にイギリスの三つの製造グループから提出されました十五万キロ電気出力の原子力発電設備について、八月からほとんど年内一ぱいかかりまして、各グループの相当の権威者を招いて、こちらの担当者と密接な接触をして技術的な検討を加えました。最後に、本年に入りまして価額の点について比較研究いたしました結果、すべてを総合いたしました結果において、GECグループ、この製造会社を最も適当であると選定をいたしまして、その後、こまかいことにつきましてGECと単独折衝を重ねました。四月の三日でありましたか、いわゆる仮契約と申しますか、英語でレター・オブ・インテントと称するものを先方に差し出したわけであります。そのレター・オブ・インデントは、要するに、今後すべての点において政府の認可を必要とする、この認可が下った場合にお前のところと本契約を結ぶ、その間に本契約に関するあらゆる条項について重ねてお前の方と検討するが、もし、これがうまくいかなかった場合には第二候補、第三候補に移る場合もあり得るというような意味のレター・オブ・インデントを渡したわけであります。それから、GECの提出いたしました仕様書に基くあらゆる資料をまとめて、三月十六日付で公益事業局に対して発電所設置の認可申請、それから内閣総理大臣に対しては原子炉設置認可申請を出しまして、われわれの方としては、この認可が正式に下るのを待って、いよいよ本契約に移り、工事に着手するという段取りになったわけであります。目下当局においてそれぞれこれに必要な特別委員を選定されまして、その専門家によって組織された委員会において、もっぱら安全性等について検討を加えられておるまだ最中でありまして、これが済みましてから、なおいろんな点に検討を加えられた上で認可が下ると考えております。原子炉の安全性についての検討が終って、原子炉設置の認可が下りました後に、公益事業局の方で発電所設置に対する公聴会が開かれるものと私は了解しております。おそらく十一月中旬ごろ、この発電所設置の公聴会が開かれるのではないかと私は予想しておるような次第であります。目下そういう段階で、当社としては、政府の正式認可をただいま待機しておるような状況であります。
 はなはだ簡単でありますが、それぞれ、またこまかいことにつきましては、今日副社長も同道しておりますので、おそらく御満足のいくような御返答ができると考えております。以上であります。
#5
○村瀬委員長 質疑の通告がありますので、この際これを許します。神近市子君。
#6
○神近委員 今、安川社長から、ごくあらましの御報告をいただきましたが、私は、日本で初めての原子力発電炉であり、そして、これが決定されまして以後、最近の情勢は世界的に非常に違ってきていると思うのです。特に導入されようとしているコールダーホールの問題については、マイナス面の報告、あるいは安全性に対する不安、そういうものが非常に強くなってきているというような時勢なので、一つこの点について原発ではどういうお考えを持っていられるか、こういうようなことについて主としてお尋ねしてみたいと思います。
 今御報告がありました許可の問題ですけれども、今おっしゃったのが、ちょっとお声が小さかったのではっきりしなかったのですけれども、大体安全審査委員会の結論が出まして、なお公聴会を開く予定だということをおっしゃった。この間も原子方委員会の公聴会はあったのですけれども、この十一月、今おっしゃったかと思うその公聴会はどこの主催の公聴会になるわけですか、それをちょっと伺いたい。
#7
○安川参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。まずコールダーホール改良型の安全性の問題でありますが、これは、もう私どもが、昨年の正月、最初の渡英団として参りまして、専門の権威者にいろいろ質問をし、検討を加え、また目下建設中のイギリスにおける三カ所の原子力発電所を見学、視察等をいたしまして、十分安全性の点については疑問の点を究明もし、なお、日本の国情に照らしまして、イギリスで満足しておるような安全設備では、なお一般大衆に対してわれわれが確証を与える材料に乏しいというので、われわれの案として、いろいろ安全設備について要求をいたしました。これらの要求に基いて七月末に三つのグループから詳細な仕様書を提出して参りました。なお、この提出された仕様書について疑問の点を究明し、なお不足のところは追加を要求し、ことに安全性については、われわれのできにるだけの知恵と努力を払って、もうこれより以上は要求する余地のない点まで達したとわれわれは信じておるような次第です。いろいろ世間でこれについて議論も出ますし、あるいは意見も拝聴しておりますが、われわれとしては十分これらの御意見におこたえするだけの準備をいたしたつもりであります。イギリスにおいても、すでに目下建設中のが三、四カ所ありましようか、なお相当大きな発電所についての追加注文が出されておると拝聴しております。決してうわさに上るように、イギリスにおいてすら、今のコールダーポール・タイプはもうオブソリードである、時代おくれであるというような意見が、ときどき日本の言論界などに出ておることも私は承知しておりますが、これは私の見るところでは、決してただいまの段階ではそうでない。やはり、ただいま実績を上げておる。原子力発電所としては、やはりイギリスのこのタイプが一番安全性も備わっておるし、進んでおる。アメリカのタイプも相当燃料問題その他で進歩は確かに見られておりますが、まだアメリカでは今後の実績によって、初めてそのほんとうの成績が現われるのであって、われわれがこのコールダーポールに第一に手をつけたということには全然誤まりはないということを確信しておるような次第であります。ときによりますと、ヒントン卿が原子力委員会を離れて発電公社の方に移られたとか、コッククロフトが大学の学長になられたというようなことをもって、何だかコールダーポール・タイプの失敗を証明するかのような意見がときどき散見されるのでありますが、ヒントン卿が発電公社に移られたというのは、決してこの責任を負ってやむを得ず出られたんじゃなくて、この発電所の増設、原子力の増設についてヒントン卿を必要とするんで転任を命ぜられたのであって、決してこれはコールダーポールの行き詰まりとかなんとかいうことを証明するものではないことは明瞭であります。こういう点からして、われわれの今着手した順序というものには、何ら私は誤まりはないということを確信しておりますことを申し上げて、一応御質問に答えたことにいたしたいと思います。
#8
○佐々木説明員 二番目の御質問でございますが、先ほど安川社長からお話がありました公聴会の件でございます。これは原子力発電に関しましては二つの規制がございまして、一つは原子炉等の規制法に基きまして、原子力委員会がその安全性、経済性等を審査の上結論を出しまして、その設置、設計あるいは運転等に対する許可を総理大臣に報告するわけでございます。そこで総理大臣は、それのみをもって許可をするかと申しますと、そうじゃないのでありまして、規制法にうたってありますように、そのときには必ず電気事業会に基きまして、通産省の所管である電気事業者としての認可が一方必要でございますので、通産大臣の同意を得るということが必要でございます。そこで通産大臣にそれが同意を求めた際に、通産省といたしましては、それに基きまして電気事業会に基いた聴聞会を許可の以前にいたしまして、その上で総理に対して国意、不同意の結論を出す、その両者相待って、片方は電気事業者としての認可、片一方は原子炉設置運転に関する認可、許可というふうな手続に相なるかと思います。
#9
○神近委員 安川社長の信念の強さに、私どもはちょっとあきれたというような感じをいたします。というのは、たとえばヒントン卿の問題とか、コールダーポールが絶対に安全だというような自信の強さ、それから、今までの知識と努力の全力をあげてやってきたというふうなことをおっしゃるのですけれども、全体において世界的に開発途中にあるので、われわれが非常に技術的にまだ知識上非常におくれておるということがわれわれの今の焦りでありましょう。それを、どんなに社長が十分な研さんがあったかしらないけれども、世界の趨勢を無視するだけのあなたがこの御研究が達成されているということは私たち信ぜられないのです。ですから、今論議をお願いしたいのは、コールダーホールというものは、どのコールダーホール型といたうものがどの程度ほんとうに安全なのか、私どもは会社側でもないし、それから、その御事業をいろいろ批判しようとは考えておりません。原子力の平和利用ということは、進んで国策としてやられるということが妥当だと考えて、それは推進しなければならないということは十分承知しておりますけれども、ただ、国民の側として非常に大きな不要を持たれている。私は、背の隣組の人が地元におりまして、先日、この夏でございましたが上京して参りまして、第二の福福丸事件になるおそれがあるということを非常に地元でおそれているということを伺いまして、初めてそういうことがあるのかといって、この問題を多少勉強さしていただいたのでございます。それで、私がきょうぜひいろいろ伺わなければならないということは安全性の問題で、御存じだろうと思うのですが、アメリカの原子力委員会から出ているパンフレットがございます。これによりますと、非常に大きな予想が行われている。シオレティカル・。ポシビリティズ・アンド・カンシクエンス・オブ・メージュア・アクシデンツ・イン・ラージ・ニュークリアー・パワー・プランツ、これは御存じだろうと思うのです。これに予測し得べき危険というものがいろいろ出ております。それを東海村の場合に割り当ててみますと、小事故のときでも相当の被害を出します。小事故のときには、低温で、夜で雨があるという場合に罹災する人がどのくらいあるかというと、大体被爆者が二千四百、障害を受ける者が三万四千人、立ちのきを要求される者が四十六万人、これが小事故であります。大事故がもし起って、それが昼間であって高温であって、そうして雨があるという場合は、東海村で、気流の関係で、大体面積としては日本全土に及ぶというようなことを考えると、これは万々一の場合ではございますけれど、しかし、この災害はセロではないのです。ですから、私は、そう怪々しく社長が、世界の趨勢はどうであれ、自分の主観の中ではこれに限るというようなことをお考えになっては困ると思うのです。特にこの十日に、中曽根原子力委員長が水戸で発言しておられる。これはどういう動機なのか。たとえば、第一号灯は、長期計画においてはコールダーホールを順次入れて、これを開発していくつもりでいたけれど、今度の第二号炉はAGRだということをはっきり声明していられる。今のあなたの長期計画によるお考えと、確固とした御自信と、それから中曽根長官の最近の声明とは食い違うではございませんか。それはどういうふうにお考えになりますか。その声明をごらんになったときの御感想、これ一つ中曽根君を論破しなくちゃならないとお考えになったのか、いや、これは自分の今までの考えを再検討しなくちゃならぬとお考えになったのか、どちらなんですか。ちょっとそれを伺わせていただきたい。
#10
○安川参考人 私の申し述べようが、少し言葉が足りませんで、いかにもコールダーポールの、原子炉が絶対安全で、もう何ら心配はないというふうにおとりになったようでありますが、これは何しろ人間のやる仕事でありますので、私ごときものが絶対に何らの故障も起りません、全部自分の責任にまかせてもらえば大丈夫だというような、そんな大それた考えを持っているわけじゃありません。その点は訂正を許させていただきたいと思います。ただ、ただいま障害のお話がありました。どういう御計算に基かれておりますか詳細はわかりませんが、われわれの会社でもその方の専門家がいろいろ計算をいたしまして、常時においてはこのくらいの放射能は出るが、それは許容の限度の何分の一であるというようなことで、私はここに数字を持っておりませんが、十分安全性を保ち得るという計算になっております。気象の調査も、特に気象庁にお願いして、何ら会社の拘束なしに、公平なところで、果して東海村が気象上において不適であるかどうかということを、長い間かかって検討していただいたのでありますが、これも気象庁の御報告によれば、最も不適な点の少い土地であるということで、われわれも安心しておるような次第であります。ただ、問題は、炉に故障が起らぬとは限らない。これは先ほども申し上げましたように、われわれのやる仕事でありますから、いつどんな故障が起らぬとも限らない。その故障に対しての安全性は一体どうして保障ができるかという御質問に対しましては、特にイギリスでも行なっておらぬ方法によって、もし故障で、これをこのまま置いておいちゃどういう事態になるかわからぬというような予報があれば、炉がほとんど将来使用にたえない、めちゃくちゃになるということは犠牲にしてでも安全性を保つような装置を要求したわけであります。その結果どういうことになるかというと、もし不幸にしそそういう事態があるとすれば、炉は廃物になってしまう。しかし、一般民衆に対しての障害はこれによって防御することができる。会社はどうなるかといえば、おそらく破産のやむなきに至るのではないか。そういう不幸な事態になるとは思いませんが、最悪の場合も想像して、会社はつぶれる。会社の資産はゼロになっても安全性を保ち得るという装置まで加えておることを私は申し上げたいのであります。要するに、私らの力の及ぶ限りにおいて最弄最大の注意と努力を払ったということを申し上げたのでありまして、もうお前らのやることに対しては信用ができないと言われれば何をかいわんや。われわれの力の及ぶ限りの細心の注意と努力を払って、この安全性については最もわれわれの努力を集中したということを申し上げるつもりで先ほど申し上げたのでありますが、その気持が、少し言葉の足らぬのと、強く出過ぎたために、何だか私が人間わざ以上の保障を申し上げたような印象を与えたことを深くおわびを申し上げる次第であります。
#11
○神近委員 私も、あんまり確信を強くおっしゃったので言っただけで、何も他意があったわけではございません。どうも、たとえばコールターポールが絶対最上等のようなことを言われるが、私どもが日本の新聞だけでなく、外国のものも多少のぞいて、みると、国際会議とかその他学者方の会合で、大体の風潮として伝えられているところを考えると、あなたの御自信とまるでさか立ちしているようなことですから、それでよいのですかと申し上げたので、私も何か言葉が強かったらお許しを願いたい。今、たとえば故障が起ったならばこの会社の破産までというようなことをおっしゃた。それは大へんりっぱで、事業家としての何はそうあるべきだろうと思うのですけれど、企業体の会社として、これは国家の出資もございますよ。軽々に破産してもというようなことは、やっぱりおっしゃるべきではない。これは初めのスタートが、経済的に採算がとれるということで皆さん御賛成なすって御発足になったでしょう。それは最終的にはそうである。だけれど、会社の破産とか、あるいはそれに出資している会社のすべてをなげうっても足りないという場合、国家が補償するということまで今考えられ、あるいは論議されて、中曽根長官などは、その構想で今立法なさろうとするところなんです。一つの会社、二つの会社の全財産までほうり出しても足りないほどの災害は起らないかもしれないけれども、起るかもしれないということで私たちは心配しているではありませんか。そのことですべては決済できないと私は考えるわけです。
 それで私は、次に御質問申し上げようと思うのは、きょう、これは福田安全審査委員会の委員長がおいでになればいろいろお尋ねするつもりでございましたけれど、安川社長は、技術面でも大へんに明るいお方だということをどなたか御説明がありまたからお尋ねしようと思うのですけれども、さっきそのことにはお触れにならなかった。非常に長い門このグラファイドの安全性について御研さんになた。委託をした耐震性あるいは気象、そういうことは、また別の機会に私は御批評したいと思うのですけれども、一応そのことにおいて結論を得た、こういうふうにおっしゃた。私どもが一番気に入らない、と言っては語弊がありますけれども、納得のできないのは、みんな原発の顧問になっていらしゃる、その人たちが御調査になった、私はこれは非常にまずいと思うのです。学者方は、業界とは何の関係もなく、公衆の側に立つべき人たちなので、これに原発がすぐにひもをつけるということは、私はとてもまずいと思うのです。これからのお考え方に、やはりその点は細心の御注意がなければならない。利用しようと思うものにみんなひもをつける。いろいろあなたの方でパンフレットを出していらっしゃるのを私どもいただいて持ていますけれども、こういうものだって、やはりこの土地にずいぶんお流しになる、あるいは土地のボスたちをいろいろ操作なさる、そういうふうなことを逐一、私の隣組にいた人で、今地元に行ている人たちが上京したときに話してくれる。そういうことはぜひおやめになって、ほんとうに業界として、だれにはばかるところなく、国民の賛成を得てお進めになっていただきたい。今会社をつぶすとか、つぶさぬとかいうことは、私は論理上問題にならないというふうに考えます。
 次にお尋ねしたいことは、黒鉛をどういうふうに構造なさるか。これは技術面でございますから、ほんとうは別の方の方がいいと思うのですけれども、さっき、ざっとした御報告をなさったときに、そのことにはお触れにならなかったのです。グラファイトが膨張するという前提で、長い聞二千八百万のお金をかけて御審査なさった。そしてこのワクをはめれば安全だということに落ちついたときになて、レター・オブ・インデントもお出しになって、そのあとになてGECからそのことが報告された。こういうことですね。二百四十度以上の熱によて操作するとこれが収縮する。そうすると、この検査テストとまるで前提が逆になったわけです。それに対して、一体安全性の上からどういうような対策を今お立てになっているか。これはひょっとしたら技術の方でなければわからないと思うのですけれども、社長は、その点にも非常にお詳しい、あるいは技術者以上にお詳しいということをおしゃった方もありますから、一つ御説明をいただきたいと思います。
#12
○安川参考人 たびたびおわびを申し上げるようでございますが、会社がつぶれても安全性を確保する構造をとった、これも、私の気持でありますけれども、むろん、これだけの大きな資本をおろした会社を、そうわけもなくつぶそうなどということは私は考えておりません。しかし、世間では、最初の原子炉でやる発電所である以上は安全第一主義である、少々経済性は失っても安全を第一にしなければならぬということを唱えられるし、私もこれに対しては同感でありますので、むしろある程度まで経済性は失っても、安全性の方に重点を置く方針で、これまで安全性について深く考慮を払ったということの表現として私の気持を申し上げたので、私も、この会社をつぶそうなどということは、毛頭想像もしておりません。ただ、会社がつぶれても民衆に対する被害は絶対に及ぼさないようなプリンシプルでこの安全性を検討したということを申し上げたいためにそういうようなことを申し上げたのは、これも少し言葉上軽率のそしりを受けても弁明の余地はないかとは思いまするが、そういう気持であるということを御了承を願いたいと思います。
 それから、ただいま御質問のグラファイドの性能についてでありますが、これは温度だけならば膨張することは昔からわかっておったことであります。強い放射能に長い門遭遇すると、高い温度のためにむしろ取締をするという、この現象については、もちろん前から知られておる事実でありますが、ただ、その収縮の程度がどのくらいかということの数字上のことが明らかになっておらなかったことは承わっております。それが最近になって、イギリスのAEAから、こういう計算が出たという数字の詳しい実験結果が人手いたしましたので、これだけの数字がわかった以上は、さらに耐震構造について検討を加える必要があるということで、従来の設計に対して、この与えられたデータを参照して、さらに耐震構造について検討を加えていただいたのでありますが、その結果として、従来の原則には大した変更はありませんが、詳細な設計上の、グラファイイトの組み立ての形であるとか、グラファイトの格好、たとえば今まで非常な複雑した構造を必要としていたものを、最近は、六角形のグラフファイトにすれば、非常に簡単で、膨張、収縮に対応することができるというようなことが、だんだん検討の結果判明して参りましたので、それらのデータを持ち、またGECの方でも相当この耐震性について研究を遂げておりますので、日本側とGEC側と十分設計について打ち合せをして、もう少し詳細についての設計に移りたいということで、先月の終りでありましたか、地震、耐震構造の専門の方二、三の権威者にイギリスに渡っていただきまして、向うの実験も視察をされ、これらの研究の結果も持ち出され研究された結果、非常にいい耐震構造の成案を得たということで、今日、おそらく二時ごろ羽田に帰朝せられる予定でありまして、今日夕方、新聞記者会見で具体的に発表される予定になっております。おそらく明日の新聞などで御意見が出るかと思いますので、ちょっとついでに御報告を申し上げておきます。
 それから、さっき、えらいどうも権威者を抱き込んで、こっちの都合のいいようにしているのではないかというような意味のことを御質問になったように私は拝聴したのでありますが、もちろん、こういう大事な仕事でありますので、耐震構造については地震の権威者、構造学の権威者、できるだけ最高の、日本におけるこの人はというようないい顧問をお願いして、ぜひ十分な検討を遂げていただいて設計に遺憾のないことを期したい、それで、これらの方々に当然お願いしなければならぬということで、何も口どめをするとか、あるいは会社に都合のいいように顧問をお願いしたというような気持は、私どもは全然今までないつもりでありますが、もしそういうようなことでもありましたら、具体的に、こういう人を一体顧問にするということはけしからぬじゃないかということをあげていただけば、また私ども気づかぬところを十分是正いたしたいと思います。
 それから、地元にいろいろパンフレットを出すのはいかぬ、こう言われるのでありますが、実は、地元の相当の人から、お前のところの会社はどうもPR運動が足らぬようだ、だから地元の人はどうも認識がない、認識がないから、むやみにその安全性についての不安がある、もう少しお前の方はしろうとにもわかるように、この安全性についての知識を与えろという要求が非常に痛烈にあります。これも無理からぬところで、ただ無知識でわれわれのやることに信頼しろということは無理な注文でありますのっで、多少おわかりになるように、平易に、もっぱら安全性について、こういう装置をしておるから御心配の必要はありませんという意味のことを、最近、実は皆さんの御注意に従って少しPR運動に向けたような次第で、別に悪い意味で、ごまかそうというような意味でパンフレットを出した覚えはさらにないと考えておりますので、これも、またわれわれの考え違いの点で不都合な点がありましたら、具体的に指摘していただけば十分考慮して是正いたしたいと思います。
 それから、先ほどの御質問にちょっと私はうっかりしてお答えすることを抜かしました。中曽根大臣の新聞で発表されたのと私らの考えと食い違いがあるというようなお話がありましたが、これも、今、大臣おいでになったので、あとで御発表があるかと思いますが、私は全然そういうことはないと考えております。さっき御質問のAGRがいいというようなことを言われたというお話でありましたが、これはAGRが非常に進歩して、これができれば、従来のコールダーホールのアドヴァンスド・タイプよりもさらに優秀な性能を持って、目下ベース・ロード以外には使えないという原子力発電所が、今度はピーク・ロードにも使うことができるということは、これはAGRでなければならぬということで、イギリスは将来AGRになるということははっきりいたしております。しかし、イギリス、でもAGRが実用化するのはまだこれからで、私ははっきりした年数は聞いておりませんが、四、五年かかるのではないか。今私の伺ったところでは、コールダーホールの隣の、例のやかましいウィンズケールの炉がああいうふうに故障があった、あれを廃止して、今AGR式の試験炉を置いて、これで十分な研究を遂げて、果してこれが実用化されるということが判明したら、だんだん実用化の方に技術的に進めていくという順序だということを拝聴しておりますので、なかなかAGRはいいには違いありませんが、これが実用化するのは相当まだ先のことじゃないか。その間待った方がいいといとことであれば、これはまた問題が別になるのでありますが、日本の原子力委員会の長期計画として、まず、すみやかにコールダーホールのアドヴァンスド・タイプを日本に導入して、これによって十分な国民的な知識、ことに技術家の養成に資さなければいかぬというような大方針に従ってわれわれはその実行に移っておるのであります。この点については、別に大臣にも御異存はないと私は信じております。
 以上、つけ加えておきます。
#13
○神近委員 今私の言ったことについて、大へん会社側として、たとえば学者たちについて何か証拠があるなら出せ、そこまでいっては、もう身もふたもないと私は思うので、そういう場合のことは、委託をなさるにしても、もっとすなおに、簡単に、ほんとうに公衆の、あるいは国民の安寧と幸福を願う立場から御交渉になった方がいいという意味のことを申し上げたので、それ以上あなた方がこれこれのことをしていらっしゃるということを申し上げたつもつりはございません。
 それから、土地の人たちに対するPRについては、土地の要請だというふうなことをおっしゃったのですけれども、それも相手によると思うのです。ほんとうにただの民衆であるのか、あるいは会社にお世辞を言って、何かそこから利益なり利便を得ようとするような人を相手にして話し合いをなすっていられるのか。私は、自分の地元で、やはり電気事業に関することで地元と東電との間に立ってよくわかるのですけれども、会社側に何か持ち込んでいって話をするという人は、利益をあさるボスに限られるのです。そして民衆が置き去りにされている。私どもは、その点であなた方がこういうパンフレットをお流しになるという意図や動機をはっきりしていただきたいと申し上げたつもりでございます。
 それから、グラファイトについて今御説明になりましたけれども、タマネギ型あるいは歯車型、あるいは六角型、今六角型ということでやっていらっしゃるとおっしゃいましたが、それは前の耐震性を調査したときには、相当の金と時間とをかけてテストをなさった。今度も同じようなことが行われていて、六角型がいいという結論になったのですか。
#14
○安川参考人 さようです。
#15
○神近委員 それは、時間的には、いつからいつごろまでに検査を行われたのですか。
#16
○安川参考人 研究は絶えずやっております。また、これからもやるつもりです。中のコアの積み方の詳細な設計をするのは、本契約を結んで、それからGECがどういう順序でやるか知りませんが、いよいよその具体的な設計ができるまでは、日本においてもせっかく数十万円かけて研究設備をこしらえたのでありますから、これを十分利用して、最後の最後まで、できる限り研究を続けていって、改良のできる限りは設計のまぎわまでその改良を加えたい、こういう考えでおります。しかし、大体の設計の方針は、そうぐるぐる変えるわけにいきませんから、まあ、この辺で、ただあとは構造上の利点について今後の研究に基いた幾分の改良変更を加えられることはあり得る、こういうふうに考えております。
#17
○村瀬委員長 ちょっと神近委員に申し上げますが、安川参考人は、本日正午から余儀ない会議を予定されておるとのことでありますので、その点お含みの上、質疑をお願いいたしたいと存じます。また、安川参考人も一つ簡単にお答え願いたいと存じます。
#18
○神近委員 大体において設計はきまっているので、これに大きな変革は行い得ないというのが今の御返事でしたね。そうすると、緊急減速装置ですか、事故が起ったときに、これをぶっつぶすという手前の装置としては、一体どういうふうなことを考えておられるのですか。安全を守るというので、これは非常に大きな役割を果すものであろうと思うのです。構造は大体において変革はできないと今おっしゃったのですね。そうすれば、これに加える改良というものもたかが知れているというふうに私どもにはとれるのですが、ほんの申しわけ的な改善なのか、それとも根本的に――これもぶっつぶすということは簡単ですよ。だけれども、その場合にはどういうふうな措置をとろうとお考えになっているのか。その点、私は、技術家でないから社長にお聞きでするのは無理だと考えたんですけれども、ともかく、福田さんが出ておいでにならない、こういうことなんですから、御迷惑でも、御存じならちょっとその点伺いたい。どこへどういうふうにつけようとなさるのか、そして、それは可能性があるのかどうか。
#19
○安川参考人 しさいのことに御返事しなければなりませんが、私も実は原子炉の専門家じゃありません。私は技術屋上りではありますが、元来は電気の専門で、しかも、このよわいになって電気もたいがいの知識は返上したものでありますので、あまり専門家顔をするのは口幅つたいと考えておるのでありますが、大切なことでありますので、私の了解しておる点だけを申し上げますと、たとえば、原子炉に何か故障がある。例を上げれば、大地震でもあって、グラファイトが多少動揺する。そのために燃料にきずがついて、それから放射能が出るおそれがある。これはやはり核分裂を瞬間的にとめなければならぬ。そのためにコントローリング・ロッドというものがたくさんつけ加えられて、これが自動的に調節をすることにはなっておりますが、もし、これが故障で、まさかの場合にきかないというような場合があれば、非常用としての遮断装置、その具体案としては、ベリリウムの、どのくらいの大きささのボールか知りませんが、小さなボールをたくさん備えて、それが自動的に炉の穴の中に全部落ち込んでしまう。そうすれば、これはもう核分裂はいやでもっとまってしまう。しかし、それが果して故障がなおったときに再び炉が使えるかどうか。これは、GECでは磁力によって真空をこしらえて、一たん入れたボールを引き出すことができでるということは言っておるのでありますが、まだそれに対しての詳細な、具体的な設計はありもしませんし、私も見ておりません。しかし、まかり間違って、その投げ込んだボールが引き出せないということになれば、もう炉はとにかく廃物になる。私が、先ほど大げさなことで、炉はぶちこわしても安全性を保つとは申しましたが、あの三メートルもあるようなコンクリートで囲んだ炉が、いかにどんな地震があってもぶちこわされることはありませんが、炉が使用できない、もう一ぺん棲み改めなければ再び炉は実用にならぬということは、最後の遮断装置によってあるいは起るかもしれぬと私は考えております。
#20
○神近委員 お急ぎだというので、急ぎます。このごろハーウェルの原子炉が爆発したということを聞かせて下さった外国人があったのですが、それを御存じですか。たとえば、試験炉が爆発したのか、発電炉が爆発したのか、二つあそこにあったのですが……。
#21
○安川参考人 それは大事なことですから、時間がありますれば、きょうは図面を持って参っておりますれば御納得のいくように説明ができると思いますが、遺憾ながら何も材料を持ってきておりません。これは試験炉じゃありませんが、ウィンズケールはプルトニウムをこしらえる目的の炉であります。これは全然発電はやらぬのです。ただグラファイトを減速材とした天然ウランを然料とするという点においては、コールダーホールのアドヴァンスド・タイプと同様でありますけれども、冷却の精度が全然違うのでありまして、今度のコールダーホールのタイプは、炭酸ガスを循環させて冷やしては、その冷やした炭酸ガスが熟せられた熱を熱交換器で蒸気に取りかえる、それを循環するのであって、その炭酸ガスは全然外とは関係がない。ただ、幾らかジョイントのところにすき門があって、ガスですから漏れはあるでしょうが、炭酸ガスは内部を循環して、外には全然出ない装置になっておる。ところが、ウィンズケールのプルトニウムの製造の炉は熱は捨てるのでありますから、外から空気を入れて、空気で炉を冷却して、その冷却した空気は煙突から外に逃がしておったのです。ですから、然料にちょっとでもきずがついて、それから放射能が外へ出ると、直ちに冷却用の空気に放射能が入って煙突から外へ出るという装置になっておりまして、今度のコールダーホールとは全然冷却粘度が違っておりますので、ウィンズケールの故障と同じ故障は今度のコールダーホールのタイプにはあり得ないと私は考えております。
#22
○神近委員 そのウインスケールと、ハーウェルとは、ハーウェルの方が旧型だとおっしゃったですね。それでコールダーホール型には、その事故はあまり参考にはならないというふうな意味ですね。
#23
○安川参考人 ハーウェルは研究用でありまして、動力炉はありません。これの故障は、私どもまだ聞いたことはありません。ウィンズケールは軍需工場であって、戦争開始のときから爆弾用のプルトニウムを製造するためにこしらえたものであって、それは発電用としては全然用をなさない。さっき申し上げましたように、全然炉の冷却方法が違っておるのであります。コールダーホールは、この熱を、今のように空気で冷やして逃がしてしまうのはもったいないじゃないか、何かこれを動力用に使えるじゃないかということで、今度は炭酸ガスで冷却するようにして、外へ出ないようにして、そして発生した熱を電力に利用したというのがコールダーホールであります。コールダーホールも、目的はやはりイプルトニウムを製造するのが目的で、ただ、副産物として電力をこしらえておるのであります。われわれの今導入しようというタイプは、発電といたうことにおもな目的を置いて、プルトニウムはむしろ副産物です。しかし、コールダーホールのタイプと、それから今度導入しようというアドヴァンスド・タイプとは大体同じシステムで、ただ温度が高いとか、それから、エラディエーションの例とか、それらが従来のコールダーホール・タイプよりもずっと高いという違いはありますが、大体構造もプリンシプルも同様であります。しかし、ウィンズケールのプルトニウム製造用の炉とコールダーホールとは全然違ったものであります。ハーウェルは、たくさん炉はありますけれども、これはみな東海村に置いたものより、もう少し大きい容量のある研究炉で、さあ幾つありますか、私もよく存じませんが、十近くもあるのではないかと思います。これの故障は、私は今まであまり聞いたことはありません。
#24
○神近委員 ハーウェルのことは、最近の話です。これは外国の旅行者が一両日前に聞かせて下さったので、多分日本から技師や何かがたくさん行っていらっしゃるから、そちらからまた暗号電報ででも入っていたかと私は思っておったのですが、イギリスは非常にこれを隠したがっているということは事実のようです。この前の黒鉛の収縮の問題と同じであります。これはぜひ御調査になって、内容がわかりましたら、どの炉がどういう状態で爆発したかということを伺わせていただきたいと思います。
 それから、もうお帰りになるというのをお引きとめして悪いのですが、社長もひどく訥弁でいらっしゃって時間がかかるので、だいぶ時間が過ぎたわけです。私は、ずいぶん早口で言っているつもりなんです。
 会社がつぶれてもということは、私は非常な御決心だと思うのですが、そのくらいの御決心があれは、なぜコンテイナーをつけることを、もうちょっと考えられないか。たとえば、日本の場合は、その様子を伺うと、大体コンテイナーをつけないということに御決定になっているらしいですね。たとえば、アメリカのように地下に半分入れて、そしてコンテイナーを上にかけるということにすれば、非常にこれは安くも上る。まるまる地下一階かそこらにしておいて、これにコンテイナーをかけると膨大なものだろうと思うのですけれども、その点の考え方、一体コンテイナーをかけるということにすれば、どの程度お金がかかるか、最低に見積ってどのくらいかかり、また最高に見積ればどのくらいで、そうして会社として、三百何十億かのうちでその部分が捻出できないかということを伺いたい。もう私どもから考えれば、国民の安全性という点から、会社自身をリスクするよりも、コンテイナーをつけておけばいいじゃないかというように考えられる。それがつけられないというところに、私は今日の業態というものの弱みがあると思うのです。国民を対象にして考えれば、これはつけた方がずっと安全性が強いと私は思うのですけれども、その点、業者側からの言い分というか、あるいはお考えを一つ聞かせていただきたい。
#25
○安川参考人 コンテイナーについてはいろいも議論された末に、われわれの方でも、よしあしは別問題として、これだけやかましい問題ならば、コンテイナーをつけると仮定して、一体どのくらい金がかかるか、また、つけ得るかどうか、技術的に一応レイアウトだけはしたらどうか、何にもなしにコンテイナーは必要がないとか、かえってじゃまだということばかり言っておったのでは、なかなか世間を納得させるわけにいかぬからということで、今レイアウトはさせておるつもりですが、私の手元には、まだできたものは参っておりません。しかし、大体われわれの方で研究した結果は、コンテイナーは不要であるということだけでなくて、ある場合には、これはむしろじゃまものになる。金はまあ別問題として、極端な言葉を申し上げて、またおしかりを受けるかもしれませんが、百害あって一利もないような金のかかるコンテイナーを置いて、将来、こんなよけいなものを貴重な金をかけて置いて、一体当時の技術者は何をぼやぼやしておったのだろうというような嘲笑を受けはしないかというようなくらいにわれわれは考えておるわけです。このごろは、アメリカでは盛んにコンテイナーをほとんど例外なくやっておるのに、このタイプにコンテイナーが必要でないのみならず、よけいな長物だということはどういう点にあるかということについては、これこそPR運動の一翼としてわれわれの方でこしらえたパンフレットがあるのでありますが、私もしろうとで、よけいなことを申し上げて、間違ったことを御説明するのははなはだ困るのでございまして、もし御希望ならば、後ほどその書いたものをお送り申し上げたいと思います。
#26
○神近委員 それは拝見いたしましょう。それで、今おもしろいことをおっしゃったのですが、このコンテイナーをつけて、これが不要になったときに見本になる、それをイブニング・ポストで言っておるということですね。それから次々に廃物になって、人間が原子力利用の開発をするための記念品になるだろう。そういうことになったら、コンテイナーをつけておいた方がりっぱに見えるかもしれません。それにかわるべき万全の策があったならばけっこうですが、そうでなしに、ぜひコールダーホールでやりたいというお考えならば、やはり今日万全と考えられておる方法をおとりになるべきではないか。これが業者として国民に対する義務ではないかというふうに考えるので、御考慮を願いたい。
 大へんお引きとめして申しわけございませんでした。
#27
○村瀬委員長 石野久男君。
#28
○石野委員 あとから参りまして、えらく時間をとらせますが、安川さんに一つお聞きしたいのです。
 今コンテイナーの問題で、皆さんの方ではコンテイナーをつけると百害あっても一利もないというような結論が出ておるそうでありますが、「こまかい技術的なことは私はわからないから、あとで文書を見ろ」、こういうふうなお話であります。けれども、ここで言う議事録に残ることというのは、なかなか重要でございまして、それだけ一方的に言われたままで、こちらが「ああ、そうですが」というわけにちょっといかない。技術的なことのこまかいことはとにかくとして、コンテイナーをつけると百害あって一利ないということの意味は、おそらく何か事故があったときに、そのコンテイナーがかえってじゃまになるということの意味なんだろうと思うけれども、どういうことでそういうふうな結論が出ておるのですか、ちょっと簡単にお聞かせ願いたい。
#29
○安川参考人 どうもそういうことになると、なかなか私にもはっきり御説明――間違ったことを申し上げるかもしれぬと思いますが、パンフレットを一応私は見ました。見ましたが、このごろはどうも年をとって、記憶力が非常に悪くなって、今聞いてわかったつもりが二、三時間すると頭から抜け去る。はなはだどうもふがいないと考えておるくらいでありまして、ただ、むしろ私の聞いておるところでは、コンテイナーみたいなものを置くよりも、同じそういう防御装置を加えるなら、もっと有効的な方法があるんじゃないか、それは具体的にどういう方法かということは、ちょっとここで私が、またしろうとのくせによけいなことを申し上げて、あとで会社の方の専門の方からしかられても困りますが、ちょいちょい聞いております。もし、どうしてもこのままでは安全が保てない、保証ができないということであれば、最後の手段としては、こういう手もあるということは今いろいろ研究さしております。最後にコンテイナーの問題をディスカスしたい。その前に、もう少し有効適切な緊急安全装置と申しますか、そういうことを目下研究中であるということは申し上げていいと思います。このくらいのところでごめんこうむらぬと、私があまりよけいなことを言って、聞違ったことを申し上げると、あとでしかられますから……。
#30
○石野委員 委員会に来ていただく参考人には、やはり責任を持って答弁をしていただかなくちゃ、いけないと思うのです。国会で論議されることに自分の説明ができないというような形で言いっぱなしにされますつると、私たちも非常に迷惑するわけです。私どもも、なるべくやはり安上りで、しかも安全性のあるものができることは非常にけっこうなことだと思います。しかし、ただいまも安川さんからお話があったように、どうしてもだめなら、最後にコンテイナーをつけることも考える、こういうお話がありました。そのことの意味は、結局最後にはコンテイナーだということの意味になる。私たちが今安全性の問題について考えていることは、事故はどういう形で出るかということは予測できないわけです。予測できないから、われわれの予測し得られる最大の被害に対するこの炉の安全をどう維持するかということが、今日の一番大きな問題になっていると思います。そういうような意味で、最後にはコンテイナーでもということの話があるとするならば、むしろ、この際、コンテイナーの問題を真剣に考えていただくべきではないか。冷却装置をしっかりすることによって、コンテイナーなど要らないであろうというようなことも聞いております。私も技術屋ではないから、そういう点について、どちらがいいか悪いかわかりませんけれども、私たち素朴な大衆が、炉の被害を受けることを最小限にしようとする場合には、これはやはり保険などで賠償を通してもらうとかなんとかいうことの前に、被害の実態が出てこないことをわれわれは要望しておるわけであって、保険などで金が取れるから、それでもうかるだろうというような、さもしい考え方でこの安全性の問題を論議しているのじゃないということを、会社当局もよく考えてもらいたいと思います。私は、先般皆さん方の御招待をいただきまして、いろいろ皆さん方のお話も聞きました。そのことを通じて感ぜられますることは、会社当局は、なるべく日本の国のいわゆる原子炉に対する技術を早く修得したいからだということを言われておるわけです。これは中曽根長官も、そういうことはしばしば言われておりまするが、私どもも、なるほど技術を早く修得するために炉を入れるということについては、それは、やはり原則的には別に問題はないとは思うのです。しかし、その炉が非常にわれわれの納得し得られないような疑義をたくさん残しておるとするならば、それは、そういう考え方をするのには時期が早いのではないかという問題を提起しておるわけでございまするし、ことに、技術屋でない者がこの問題を論議する場合に当っては、どうしてもその技術専門の方々の大多数の意見の一致するところへ持っていってもらいたい。特に学者間の意見の一致が必要だと思って、また、それが絶対に安全性の問題については大事だというふうにわれわれは考えておる。ところが、会社側の言い分では、むしろそういう安全性の問題に対する学者門の意見というものは、何か事を起すために、事をかまえて反対しているかのような言い分が聞かれるわけでございます。これは非常に私は残念なことだと思うのです。今学者の間で、いろいろな意見があって、たとえば耐震性の問題について、炉の構造がどうだこうだということについての意見があって、それは地震工学などについて全く知識のない者の、いわゆるイデオロギーにとらわれた人々の意見だというようなことを言われるに至っては、学者としては、寝てもいられないだろうと思う。寝ざめも悪いだろうと思う。私たち自身が、今日安全性の問題で学者間の意見が一致することを要望する意味は、決してイデオロギーがどうだこうだという意味で言うのじゃない。ところが、あなた方の中には、そういうような考え方を持っている方が多いということを知った。これは非常に残念なことです。そういう考え方で、そういう安全性についての疑義を持つ者は、あれは赤だとか、あれはどこそこの回し者だ、こういうような考え方で処理されようとしたら、国民は納得しないだろうと思う。私は、あなた方にそういうような考え方があるとするなら、非常に残念だと思うわけで、先ほどのコンテイナーの問題についてもそうでありますが、安全性全体の問題については、皆さんのお考え方は、学者間に意見の相違が現実にあるという問題について、会社当局はそれをどう見ておられるかということを、この際、これは安川さんのお考え方、見方をはっきり聞かしていただきたいと思うのです。
#31
○安川参考人 学者間にいろいろこの安全性に対して不安の考えを持っておられる、また、従って今イギリス型の炉を輸入するのは尚早であるというような御意見のあることはしばしば拝聴しております。しかし、ただいま御指摘のありましたような、これがイデオロギーから出発して、反対せんがために反対する意見であるとは、私は今まで考えたことはありません。どういうところでそういう考え方がお耳に入ったか知りませんが、あるいは会社外にはそういう解釈をしておる方があるかもつしれません。それは私も感ぜぬではありませんが、会社内では、少くとも私らは、ここへ正副社長列席しておりますが、そういうことは考えたこともなし、また、もちろん口外したこともありません。十分各方面の専門の方の御意見は尊重し、参照して、これを加えて今日まで慎重に討議して参りましたので、決して私はじゃま者とも考えないし、むしろ、こういうような御注意はありがたいと思って、決して無視したり排除したりした覚えはありません。ただしかし、これだけのことは申し上げなければならぬのですが、かつて、私がイギリスに参りますときに、ある学者グループの若い方が書いたものを持ってこられて、耐震構造に対しての何か御意見を承わったのであります。しかし、われわれとしては、耐震構造については、ただいま顧問に仰いで御委嘱を申し上げている方々が日本における最大の権威者である、これ以上の方は日本にはおらない、地震に関する限りは、日本の第一人者は世界の第一人者と申しても差しつかえない、そういう方におたよりをするよりほかに道はないのであって、これを専門外の方々からかれこれ言われても、われわれとしては、何といってもその方の専門の方の御意見に従うよりほかないので、遺憾ながら、せっかくの御意見だが、あなた方の御注意には十分考えはいたしますが、われわれとしては耐震構造に限っては、この方の御委嘱申し上げた顧問の方に万事をおまかせするつもりだからということを申し上げたことがあります。これは耐震構造に限ったことではありますが、そういうふうで、私らは、決して各方面の方の御意見を軽んじたり、あるいは妙に曲解したりした覚えはないと思いますが、そういう何かありますか。私にはありませんが、もし、そういうことがありとすれば、これは御注意のありました通りに大へん間違った考え方で、こういう大切なものは各方面の御意見を聞かなければならない。ただ、それかといって、全部が全部同じ意見ではなく、なかなか立場で意見が違います。また、経済界の方は一にも二にも経済性を失ってはいかぬということを言われるし、ある方面からは、経済はそっちのけで、安全に対しては何をおいても、経済を失ってもやれと言わぬばかりの御注意があるのです。これの調節に、実は会社もなかなか頭を悩ましておる点はお察しを願いたいと思います。
#32
○石野委員 今のお話で、学者の間に意見の相違があるということについて、別にイデオロギーでどうだこうだという非難をした覚えもない、また、将来もそういうことは考えないということはけっこうなことだと思う。これをまじめに取り上げて、そういう見方をしてもらうようにして、真摯な論議を展開させるように、会社自身の方でも、そういうことは悪い材料に使わないようにしてもらいたいと思う。
 もう一つは、先ほどお話がありました神近先生に対する御答弁の中で、コンテイナーの問題については百害あっても一利がないというようなことになっているのだということと、最後には、どうしてもだめならコンテイナーというものを考えなければならぬというお話との間に矛盾があるわけです。私は、やはり、むしろこの際は、もちろん会社は経済性の問題を考えなければなりませんので、経済性の問題を考えることは当然だと思いますけれども、われわれにとって、安全性の問題が経済性以上の問題として重要な問題になっていると思います。経済性の問題は、まだ時期的には考えるのに十分な余裕があると私どもは思っておるのです。ですから、そういう意味で私の聞きたいことは、コンテイナーの問題について、それが百害あっても一利がないということの意味、それはパンフレットで見てくれというようなことでは困る。だから、こういう理由でということだけは、簡単に一つここで言っておいてもらいたいと思います。それについては、私は賛成するとかなんとかという問題じゃない。これはやはり国会での、あなたの参考人としての意見を聞く上において、どうしても聞いておきたいことですから、そのことだけをお答え願いたいと思います。
#33
○安川参考人 なかなかきつい御質問で、ちょっと弱るのでありますが、私は、先ほどからくれぐれも申し上げるように、パンフレットは十分精読したつもりでありますが、今ここでそれを御説明申し上げるだけの記憶がありませんので、ただお答え申し上げるのは、ただいまの段階ではコンテイナーは置かぬことに会社はしておるということだけで、これは結論のつみ申し上げてはなはだ相済みませんが、それより以上の説明は、ちょっと今日はそれだけの準備をしてきておりませんので、はなはだ遺憾ながらお答えしかねるわけで、御了承願いたいと思います。
#34
○神近委員 今、結局安全性と経済性というものが対立するおそれがあるということがはっきりしたのです。この問題は、国家の出資があるわけですから、私ども、もう一度決算委員会でこの問題を聞かせていただきたいと思いますので、そのときには、今パンフレットを読んだけれども忘れたとおっしゃったこともよく思い出してきて、ぜひ御出席を願いたい、こういうふうに考えます。お願いいたします。
#35
○村瀬委員長 以上で安川参考人から意見の聴取は終りました。
 安川参考人には、長時間種々の御意見を賜わりましてありがとうございました。本委員会を代表して私から厚く御礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
#36
○村瀬委員長 この際、先般北海道地方の科学技術の実情につきまして、岡本隆一君及び私が参りましてその調査をいたしたのでありますが、その調査報告につきましては、参考のためこれを会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。――御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#37
○石野委員 今の参考人のことで委員長に要望があります。
 委員長は、参考人としておいでになっておる方については、ここでの発言は、やはり委員に納得のできるような説明をなるべくさせるような配慮をしてもらわなければ困ると思うのです。ことに、今安川参考人からお話のあったコンテイナーの問題については、百害あっても一利がないということを言いっぱなしで行かれると、これは片方の言い分だけを聞いただけで、われわれは聞きただすということも何もできないことになって、巧みに向うに宣伝されることになってしまう。そういうことを国会がほうりぱなしにすることはいかぬと思う。今後委員長は、参考人については厳にそういうことのないようにしていただきたい。お願いしておきます。
 それから、大臣に一つお尋ねいたしたいのですが、大臣は、先般茨城の方へ参りましたときに、安全審査の問題については大体来月の初めごろにその結論が出るんだというようなお話でございましたが、委員会での安全性の問題に対する審議は今どういうふうになっておるのでしょうか。
#38
○中曽根国務大臣 コールダーホール・タイプの、今問題になっております安全審査及びその後の手続の一応の見当をつけておく必要があると思いまして、事務当局に大体の日時の見当を聞いてみましたら、今月の中、下句ごろまでに安全審査部会としての一応の結論が出るであろう、そして、それは原子力委員会の専用部会でありますから、原子力委員会にそのことを報告されるであろう、そして、それを原子力委員会は受け取りまして、どうするかを判断する、そして、それによりまして、また通産省側ではこれを発電所として許可するかどうかという問題も将来出てくるわけであります。それは通産省側の法規によりまして聴聞会が必要である、聴聞会は、もしその手続でいけば十一月の初句ごろ行われる見当になる、そして聴聞会や、そのほか原子力委員会の検討等が終ったあと、十一月の下句ごろに、その手続でいくならば政府としての一応の結論が出る、大体そういう段取りであろうということを申し上げたわけであります。
#39
○石野委員 十一月の下旬ごろに大体結論が出る予定だというお話でございますが、今安川参考人からのお話を聞きまして、特に安全性の問題について、会社側の方は別としましても、この炉に対して疑義を持っておる者は、やはり安全性を可能な限りの限度において守ろうとする場合に、コンテイナーの問題が非常に大事だということをしはしば主張しておる者が多うございます。われわれもまたそういう考え方を持っておるわけですけれども、安川参考人の話によると、コンテイナーは百害あって一利がないときめつけておるわけです。こういうような会社側の態度なり、考え方というものが、案外に政府の中にもあるのじゃなかろうかというふうに私は思いますが、長官は、そういう問題についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
#40
○中曽根国務大臣 われわれはしろうとでありますから、専門家の専門的な考え方や結論をよく見まして、しかも、原子力委員会はそれよりさらに高次の立場でありますから、大局的見地に立って額断いたしたいと思います。
#41
○石野委員 善良な判断を一つ政府にやってもらわなければならぬ時期だと思っております。今この炉を入れることについて、特に今は東海というものを既定の事実のような形で炉を入れるということが進んでいるように見受けられます。しかし、あそこが適地であるかどうかという問題、また、その付近におけるいろいろな原子力研究所との関係や何かを考えて、あそこにそういうものを入れることがいいかどうかということについて疑義がたくさんあるわけです。そういう問題について、この原子力によるところの電気を起そうとする会社側の考え方、行き方というものは、先ほどから安川さんのお話を聞いてみてもつわかるように、ほとんど会社の採算性の問題が中心になって考えられるように見受けられるのです。こういうことでこのコールダーホール型の原子炉が入れられるということは、疑義を持っている多くの国民大衆にとっては納得のいかないものが残ります。私は、やはりこの問題は、一事業会社の採算性の問題とかなんとかいうことじゃなくて、むしろ国の将来の国民の環境衛生や、その他いろいろな、これからくるところの災害の問題に対する万全の措置として十二分な対策が立ち得るような形の中から、この炉を入れるなり入れないという問題の論議が最終の結論として出てこなければいけないだろうと思うのです。そういう配慮はぜひやってもらいたい。それをやってもつらう前に、私たちの考えとしては、もっともっとやはりあっちやこっちの意見を聞く必要があるのじゃないか。私は、そういう意味では、むしろやはりこの問題についての学者間の意見の不一致の問題などについて、もっとすつきりした線が出てくるような場を何べんでも重ねていく処置をされることが一番大事なんだろう、こういうふうに思うわけです、十一月の下句ごろに結論を出そうという政府の考え方の中には、そういうことはすでにやったことだし、原子力委員会で一つの結論が出れば、それでいいのだというような考え方であるのか、それとも、やはり、まだまだ納得しない線があっちにもこっちにもあるようだから、そういう問題についても、もっと意見を聞くという必要があるのじゃないかというような考え方が、政府の中に幾らかでもおありなのかどうか、この点を長官からお聞かせ願いたいと思います。
#42
○中曽根国務大臣 原子力委員会は大所高所に立って判断をいたしたいと思います。単なる安全審査部会というような部会的な考え方にとらわれないで、政治的にも、経済的にも、科学的にも、あらゆる面を考えて大局的判断をいたしたいと思います。それから、専門部会の結論がどう出るか、その内容によりまして原子力委員会がいろいろ考えたり、あるいは人の話を聞いたり、あるいは時間がもっとかかるようになるかもしれません。それはどういう内容の安全審査部会の答申が出るかということにもかかっているわけです。われわれといたしましては、重ねて申し上げておりますように、安全ということを一番の中心に置きまして、慎重にやって参りたいと思います。
#43
○神近委員 私も長官にお尋ねしたいことがございます。
 長官は、この間水戸においでになって、そして、あそこで記者会見だろうと思うのですけれど、談話を発表しておられました。それには、今まではコールダーホール型の改良型の炉を導入して、それを次々に国化産していって、これによって日本の原子力平和利用開発をやるという長期計画があった、ところが、今それを考え直す必要がある、新聞ですから、簡単でよくわかりませんでしたけれども、第二号炉は濃縮ウラン型AGRにするつもりだというようなことを発表なさったのですが、それは間違いないですか。
#44
○中曽根国務大臣 今のお話は、必ずしも正確に私の話を伝えてはおらないように思われます。私が申し上げましたのは、日本の計画としては、燃料の問題あるいは国内資源の問題、そういういろいろな面を考えてみる、もう一つは、運転実績があるということ、これは非常に重大な要素でありまして、いかにブループリントがりっぱであっても、少くともこの地球上で実際運転して一年とか二年とか実際経験を経たものでないと、われわれは導入することはちゅうちょしなくてはいかぬ、そういういろいろな要素を考えまして、イギリスのコールダーホール・タイプがまず適当であろうというので、今その問題が対象になっているわけであります。しかし、その後のいろんな状況の変化等を、われわれとしては海外のアタッシェその他を通じて常に探索しているわけです。そういういろんな点を考えてみますと、燃料の問題につきましては、われわれの初めの考え方は、できたら国産で全部いきたい、それで人形峠その他日本全国から出てくるウランを国内で精錬までやって、そうして外国の燃料のおかげを受けないで、できたら自給自足の態勢でいきたいという希望を持ったわけなんです。これはだれでも当然のことだろうと思います。ところが、果して日本にそれだけ十分な燃料資源があるかどうかということを、まだ必ずしも確定しておるわけではございません。それから、海外における燃料の値段が最近非常に下りぎみである。そういういろんな点も考えてみて、そういう要素も一つの条件として考えなければいけないだろう。それから、単に天然ウラン純粋一本でいかないで、希濃縮といいますか、薄い濃縮ウランという考え方もイギリス内部にもあるのであります。アメリカ内部にもあるのであります。それからアメリカ等の動きを見ていますと、濃縮ウランの発電炉の原価が、少くとも机上計算におきましては非常に下ってきている。これはまだ単なる紙の上の計算でありますから、実際幾らぐらいになるかわかりませんが、われわれが海外で調査を命じたところによりますと、たとえば十ミルであるとか、八ミルであるとか、そういうのも出てきておるわけであります。そういういろいろな面を考えてみると、必ずしも国産ウランばかりを中心にして、天然ウラン炉一本でいくという考え方に固執することはどうかと思う。そこで私の個人的な感じを申し上げると、第二号炉以降は、今の趨勢から見れば、薄い濃縮ウランタイプに移行するというのが世界の趨勢かもしれぬ。それは日本が今やっておる長期原子力開発計画、具体的には原下炉の開発計画でありますが、それを再検討すべき必要があるだろうと思っております。そういうことで、これはもう一回白紙の立場でいろいろ検討してみたい、そういうことを申し上げたわけです。それで、必ずしも濃縮ウランを第二号炉として入れるということを断定して申し上げたのではありません。
#45
○神近委員 今その点で安川原発社長にいろいろ伺ったのですけれど、安川さんは、まるでわれわれの考えと反対のことをおっしゃった。長官にも聞いていただきたいと思って実はお待ちしていたんですけれど、こういうことに対する今の世界の調査、あるいは発表なんかをいろいろ見てみますと、どうも今体としては原子力利用を再検討しなければならぬ、まだ十分に原子力に対する調査研究が足りないこと、経験が浅いこと、最初飛びついたときよりもこれはむずかしい問題ではないか、採算性も希薄であるというようなことで、今再検討の段階だというのが、私どものいろいろ読んだり、あるいは調査したりした結果なんです。安川さんはそれをまるで逆におっしゃって、もうりコールダーホール型に限るというような意見で、それを国執していらっしゃったような印象を受けたのです。中曽根長官の考え方とこれは食い違っているんじゃないかということで御質問したわけですけれど、長期計画再検討ということでは大へんけっこうだと思います。コールダーホールを入れるという御決定のときに、あれを逐次入れて、そして、これをわれわれの知識の手ならしとか熟練というような、そういう半分試験炉的な、あるいは技術練習的なものというのが、最初のお考えでなかったかと思うのです。ところが第一号炉のその使命が消えてしまって、そして、これから違った型のものになるというときに、今日イギリス自身が見捨ててしまったところのコールダーホール型を――それは既存のものは仕方がないでしょう。だけれども、これから新しくイギリスの占鉄砲を買うと言合われるくらいに酷評されているコールダーホールというこの第一号炉をどうして入れなくちゃならないか。私どもは単純ですから、それがすぐに頭にくる。せっかくなら再検討して、そしてもっと長期計画を立て直して、第一歩からやり直したらいいんじゃないか、もっと能率的な方法を考えたらいいじゃないか、こういうふうに考えるのです。第一号炉を、今イブニング・ポストですか、次々に原子炉の遺物が人類の原子力開発の記念品に残っていくだろうと何かに書いたというのですけれども、そういうようなものに第一号炉がなる。私、三百何千億というようなものを、そういう記念品を作るために使うということは、これはとても困ることじゃないかと思うのです。お作りになるならば、あるいはお金を使うならば、もっと利用価値の永久、恒久的な、そして次の段階の足場になるようなものを、今幸いにまだ入っていないのですから、お考えになった方がいいんじゃないかというのが私どもの考えですけれども、長官はどういうふうにお考えになりますか。
#46
○中曽根国務大臣 ロンドンの新聞に出ました記事につきましては、岡さんから前に質問がありましたので、ロンドンのアタッシェに命じましてすぐ状況を調べさせましたが、イギリス政府は必ずしもあの通りやっているというのではなくて、やはりコールダーホール・タイプ、その改良型といううものを中心にやっていくという情報をわれわれのところに送って参りました。一つくらい何か若干計画を変更したようでありますが、イギリスの今やっているのは、やはり依然としてコールダーホール・タイプを中心としているように、一時動揺したそうですけれども、また戻ったという情報を得ました。現在、しからばどういう炉が一番導入に適当かということを考えれば、やはりコールダーホール・タイプの改良型が、私は日本としては適当であると思います。なぜかと申しますと、アメリカで、ドレスデンでどうとかなんとかというのがありますけれども、運転実績というのが一番大事なんであって、机上計算やブルー・プリントでいかに優秀なものであっても、実際地球上で運転して相当時間がたったものでなければ、国民の目の前に安全であるといって持ってくるわけに参らぬと思うのです。そういう点におきまして、イギリスのものはやはり何といっても一番長時間の実績がございますから、国民前前には今のところ安全であるというふうに持ってこられるだろうと思います。しかし、将来の開発や改良の可能性は、濃縮ウランの方に出てきていると思います。しかし、それは将来のことであります。それでわが国といたしましては、燃料事情等からしまして、できるだけ国産でいきたい、自給自足でいきたいという基本方針でありまして、自給自足でいくとすれば、濃縮ウランを作るには電力代が非常に要りまして、日本では今のところできない情勢にあります。そこで、人形峠その他を開発いたしまして、国産ウランを獲得して、そして天然ウランを中心とするタイプ、実際は、それはコールダーホール・タイプになるわけです。外国の制肘を受けないようにしたいというのがわれわれの考えであります。濃縮ウラン型を入れますと、やはり契約やらインスペクションやら、そういうものが出て参りますから、できるだけ国産でいきたいという念願で進んできたわけなんであります。そういう方針で進んできたことは、私は間違っていないと思います。しかし、原子力というものは日進月歩でありますから、必ずしも今までの観念を正しいとして、がんこに推し進めていくことはどうかと思います。そこで、常に次の出てくるものをながめながら、試行錯誤的に計画を修正するなり、長期計画を練り直していくという弾力性のある態度が私は好ましいと思います。ただ、基本は、今申し上げましたように、日本の自主性というものを中心にして進むことを第一義にとりながら、安全性、経済性、そういうものを一つの大事な条件としてとらえつつ、日本のタイプを決定していったらいいと思います。そういう観点からいたしましても、現在持っておりますいわゆる長期計画というものはここで再検討の時代に入ったと思いまして、いずれ原子力委員会としてもこれを再検討する方向に持って参りたいと思っております。
#47
○神近委員 私どもは、長官が原子力利用に関する、あるいは原外力の知識に関するわれわれの立ちおくれをここで追いつこうという努力を、きわめて強力に進めていらっしゃるということに、非常に同感と共鳴とを覚えるのです。それで、今私どもが一番コールダーホール型について問題としているのは、これは安全であるかどうか。これは、日本は原爆を受けた国で、最初の原爆を被爆した国民であって、福龍丸事件に至る三回の被爆ということで神経過敏になっているかもしれませんが、今一番問題になって、きょうも安川社長にいろいろ伺ったのは、安全性がどう確保されるかということです。そのことでいろいろと御考慮を願いたい。それで、国策上、天然ウランなら日本にも出るのじゃないか、それで人形峠ですか、どこかほかにも開発された、それでやっていこう、これは基本的には私は正しいと思います。ですけれども、安全性という問題で、万一事故が起った場合に、非常に大きな災害を受けなければならない。今アメリカの、一昨年でしたか昨年でしたか、原子力委員会から発表された災害の基準を東海村に当てはめて計算してみると、大きな事故が起った場合に、われわれがこうむる範囲というものは非常に広いのです。数百万というようなものが一時立ちのく。これはシベリアのスヴェルドロフスクで昨年の十二月でしたか起った問題ですけれども、そういうような、数百万の人が一時立ちのく、われわれ東京でも一部立ちのかなくちゃならない、万一こういう事態が起ったならば、今伊勢湾台風で、あの部分だけの災害でさえこれだけわれわれが努力しなければこれを回復できないというふうなときに、万一そういう場合が起ったときにはどうなるか、これは私たちは不安を持っているわけなんです。それで安全性のことから考えて、コールダーホールというものがどういうものか、どういう研究によって安全性が確保されるか、これが私ども今の一番の関心事であります。それで安川社長にいろいろ伺ったのですけれども、そのコンテイナーの問題、今石野さんがおっしゃったように、百害あって一利なしというようなことが出たのですけれども、そのコンティナーをつける、つけぬという基準を、どこらに置けばいいとお考えになっているか、これが一つ。
 それから、私どもは前の会議録を拝見いたしましても、あなたが、われわれはしろうとだから、学者方の御意見に従うのだ、安全審査委員会の御決定、これをすべての答弁に出していらっしゃる。そして私ども受ける印象は、答弁に困って、岡先生だの石野先生の質問に、そういうふうに一時的にそこに退避なさったという感じがするほど、この安全審査委員会の名前がたくさん出てくるのです。きょうは、そのことについて福田委員長に御出席願ったのですけれども、きょう来ていただけなかった。それで、結局とばっちりが長官にいくということで大へん恐縮ですけれども、安全審査委員全割というものにどの程度の信頼性を長官は持っておられるか、百パーセントあるいは百何十パーセントの信頼を持っていらっしゃるのか、それを伺わしていただきたい。
#48
○中曽根国務大臣 コンテイナーの基準というお話でございますが、私はしろうとでありますから、科学的には実際わからないのです。しかし、私が伝え聞いたところによりますと、緊急冷却装置という装置を重要視することによって、コンテイナーとかなんとかという問題を克服することができる、コンテイナーをつけることはいいことか悪いことか、地震が起った場合に、コンテイナーというものがかえって害になりはしないか、いろいろ議論があったそうでありますが、緊急措置を重規することによって、一つそういう点は打開できるというようなことも聞いております。しかし、それは最終的に正確な報告書を見てみませんと、正確なお答えはまだできない段階であります。安全審査委員会に逃避するというお話でございましたが、実際は逃避でも何でもないのでありまして、私の知識の欠除から、安全審査委員会のリポートをある程度重要な資料にするということが一番安全であるように実は思うのであります。しかし、安全審査委員会の結論は、専門の科学者が集まって出した結論でありまして、いろいろなほかの要素も考えなければならぬところがあると思います。安全審査委員会のスタッフは、日本で最高の実は科学的知識を持っていらっしゃる方々でありまして、私は、その結論というものは尊重していいと思います。少くとも、科学的な思考力というものに対しては信頼していいと思います。ただ、原子力委員会となりますと、単にそういう問題のみならず、政治的な、経済的な、あるいは社会心理的な、総合的な判定をしなければなりませんから、それを一つの重要な資料にいたしまして、われわれは最後に判断をいたしたいと思うのであります。
#49
○神近委員 長官は、しろうとだ、しろうとだとおっしゃいますけれども、私は長官より以上にしろうとでございますから、大きなことは言えないと思うんですけれども、その安全審査委員会についてのことなんです。なるほど、科学的な思考方において尊敬に値する方ばかりでございます。それは私も認めます。しかし、学者といえども人間ですから、いろいろ俗念に支配される場合がないということは私は言えない、こういうふうに考えるのです。なぜそのことが私に問題になったかといえば、七月の九日に中間報告というものが出て、結局三ヵ条の保留事項をつけて中間報告をされている。それなんかは非常に私はおかしいと思うのです。たとえば、一番問題になっている炉心の形態、今六角形が非常にうまくいっておると安川先生が言われましたけれども、あのときは六角形の話はまだ出ていなかった。タマネギ型でやるという構想だけを持っていて、そして大体の見通しを立て得たというような報告、それからまだあります。たとえば、第三には、建ててみて、そして都合の悪いところは直せばいい、私はこんな無責任な答弁はないと思うのです。学者方が偉過ぎて頭の回転が悪かったつかしらないけれども、この建物が小さいおもちやのようなものなら、いつでもひっくり返してやりかえることができる。しかし、大型炉の十六万六千キロワットですか、そんな大型炉をちょっと建ててみて、都合が悪かったら手直しをする、こういうことは私は不可能だと思うんです。それをしゃあしゃあと、あそこの答弁の中に入れておる。これが安全審査委員会の中間報告、しかも、そのあとで、これは言わされたのだということを福田さんが発言しておられる。岸さんがイギリスに行くから、その前に言わされたのだ、これは私がデマをしておるのではなくて、たくさんの人が聞いていますよ。人数のあるところでお話になった。そういうことがあるのです。私が今ここで問題にしたいのは、そういう要請によって中間報告をやり得るような安全審査委員会というものが、ほんとうに国民の側に立って国民の安全を守るという任務を果すことができるかどうか、この点に非常に大きな疑惑を持って、長官が全面的な信頼をお持ちになるということの危険、その点、原子力委員会としての御考慮がぜひ加えられなければならないのではないかということを考えるので、特にしつこく伺いたいのでございます。どういうふうにそのことを御批判なさるか、あの中間報告は万全な、りっぱなものであったというように認識していらっしゃるか、そういう点を伺いたいと思います。
#50
○中曽根国務大臣 七月九日の中間報告に関係しまして、政治的に発言させたとかなんとかいう事実はございません。何らかの誤解ではないかと思います。
 それから、安全審査委員会の結論の信頼度でありますが、あの顔ぶれを見ますと、やはり日本で今考えられる最高の科学者がお集まりになっておるのでありまして、そのほかに、こういう問題に対する権威者があるかというと、そう見当らないように私は思うのです。従いまして、技術的な専門的な問題につきましては、そういう万々の意見を尊重するという以外に、今のところ合理的な方法はないように思います。われわれしろうとが科学的な知識もなくしていろいろ言葉を安全審査委員会の途中に差しはさむと、かえって混乱したり何かすることがあると思いまして、私らとしましては、安全審査委員会に対してとやかく途中で言うことは全部控えておりまして、冷静に客観的に結論が出てくるのを待っておる状態であります。結論が出ましたならば、しさいに内容を検討いたしまして、われわれ独自の判断で――原子力委員会の中にも科学者がいますし、経済学者もいますし、そういう専門家もおりますから、よく慎重に検討いたしまして、われわれとしての独自の判定をいたしたいと思っておるのであります。
#51
○神近委員 その委員会の結論が出たときに厳正にこれを検討する、それは非常に私頼もしいと思うのです。そのときに御考慮になる材料として今日少しいやみに聞えるような事実を申し上げておるのであって、その材料としていただきたいと私は考えるのです。
 それから、どうもこれはいささか長官にも当てはまると思うのですけれども、日本は技術的あるいは知識的な立ちおくれを非常に焦慮する向きがある。そうして、あわてて、ろくな寝巻も持たないものがイブニングを作るというような傾向があるということが批評されておるのです。それはどういうことかといえば、私は、やはり寝巻から着物を作っていく、ふだん着からイブニングを作っていくという配慮が必要だと思う。たとえば原子力の場合なら、教育の面でたくさん将来の技術労働者を作っていく、あるいはPRでもけっこうです。原爆々々というようなこと、死の灰、死の灰というようなことにとらわれないで、われわれの友だちになることができるエネルギー源だということをよく認識することは、第二次世界戦争後の原爆の問題で私ははっきりすると思うのです。アメリカが原爆を作って日本をやっつけた。そのときにダレスの前の国務長官、ちょっと今名前を忘れましたが、これが原爆の正原理をソビエトに公開して――そのときは、ちょうどソビエトとハネムーン時代で、公開して、ともに技術を開発していこう、その方が融和的でいいというのが考え方だった。それで、一部の科学者はそれを非常に推進したわけなんです。たとえばノルマンディ作戦なんかでソビエトの戦車や飛行機をよく見ているから、原爆に到達するのは長くない、四年か五年だという見込みでそれを進言した。ところが、政治家の方があほうであって、なに、ソビエトが原爆を作るには四十年かかるというようなことを言って、そして自分たちだけが原爆を持っておる時代が長く続くというので、こういうふうにいろいろ政治情勢を変えていって対立が深まった。ところが、ソビエトは四年でこれを作ってしまった。科学者が見ていたことが正しかったというような結論が出ているのです。ですから、年限にはよらない。結局、日本の科学指導が当を得るか得ないかということで勝負はきまると私どもは考えるのです。だから、あまりあわてる必要はない。ただ、いかに日本の科学技術教育が行われるかということで最後の勝負がきまるのです。コールダーホールの導入の問題については、長官は、そのことを、目的を達する一つの手段としてお考えになっていると思うけれども、あわてることはいらない。国際的な情勢もいろいろ変ってきている。イギリスは総合的に太陽熱や、あるいは石炭のガス化まで考えて、既存干エネルギーというものを利用しようとしている。そういう考え方が国際的に広まっていることをよく御認識下さって、非常に若い長官として、世間が希望を持って、よい指導をして下さるであろうと考えているのですから、遺憾のない指導をしていただきたいと私は感ずるものでございます。
#52
○中曽根国務大臣 御意見はありがたく拝承いたしました。できるだけ努力をいたします。
#53
○村瀬委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
    午後一時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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