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1958/12/16 第31回国会 参議院 参議院会議録情報 第031回国会 法務委員会 第2号
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1958/12/16 第31回国会 参議院

参議院会議録情報 第031回国会 法務委員会 第2号

#1
第031回国会 法務委員会 第2号
昭和三十三年十二月十六日(火曜日)
   午前十時四十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十二月十二日委員棚橋小虎君、山口重
彦君及び藤原道子君辞任につき、その
補欠として高田なほ子君、江田三郎君
及び北村暢君を議長において指名し
た。
十二月十五日委員小林英三君及び北村
暢君辞任につき、その補欠として横山
フク君及び松本治一郎君を議長におい
て指名した。
本日委員松本治一郎君辞任につき、そ
の補欠として北村暢君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     野本 品吉君
   理事
           大川 光三君
           一松 定吉君
           高田なほ子君
   委員
           青山 正一君
           大谷 瑩潤君
           鈴木 万平君
           安井  謙君
           北村  暢君
  政府委員
   法務政務次官  木島 虎藏君
   公安調査庁次長 関   之君
        ―――――
   最高裁判所長官
   代理者
   (総務局総務課
   長)      海部 安昌君
   最高裁判所長官
   代理者
   (経理局長)  栗本 一夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  説明員
   法務大臣官房経
   理部長     大沢 一郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 の件
 (昭和三十四年度法務省関係予算に
 関する件)
 (昭和三十四年度裁判所関係予算に
 関する件)
○司法試験法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(野本品吉君) それでは、これから本日の委員会を開会いたします。
 最初に、理事の補欠4選につきましてお諮りいたします。
 棚橋小虎君が十二月十二日委員を辞任されまして、そのため理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠互選を行いたいと存じます。つきましては、補欠互選は便宜上委員長の指名によることに御一任されたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(野本品吉君) 御異議ないと認めます。それでは、委員長から高田なほ子君を理事に指名選任いたします。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(野本品吉君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査の一環といたしまして、昭和三十四年度の法務省関係予算、同じく裁判所関係予算について調査を行います。
 まず、裁判所の関係予算につきまして、その概算要求の概要についての御説明を求めます。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君)
 本年度の裁判所の予算について説明させていただきます。
 お手元に配付いたしました活版刷りの「裁判所所管昭和三十四年度概算要求事項調」というのがございますが、これに基きまして御説明をさせていただきます。
 まず金額は、一ページの最初に書いてございますように、本年度は百十一億二千九百幾らでございますが、昭和三十四年度の要求額は、ここに書いてございます通り、二百十五億二千幾らになっております。
 さて、内容でございますが、一二ページの第三の要求事項説明というところに基きまして御説明申し上げます。
 最初に、「一、訴訟の迅速化」、その次の四ページに、「二、裁判の充実」というのがございますが、これが一つ大きなテーマでございまして、結局裁判の迅速及び充実、充実と申しますのは、結局内容の適正をより一そう充実いたしたいという趣旨でございますが、この具体的の内容については、三ページの「一、訴訟の迅速化」の方は、ここに書いてございますように、大都会の裁判所の訴訟が迅速でないという点がございますので、主として裁判の遅延というのは、われわれの方から言いますと、大体におきまして大都会の事件がやはり遅延しておるのではなかろうか、一般的な地方へ参りますと、必ずしもそう遅延していないようにも考えられますので、従いまして、大都会の裁判所の訴訟を迅速にいたしたいと考えまして、ここに、八大都市の訴訟を迅速にいたしたい、これが結局ここに書いてございますように、現在大体の平均が、民事の方は十一カ月、刑事の方は六カ月というのが第一審、これは第一審だけでございますが、第一審の裁判の終る時間的な関係でございます。もちろん、民事が十一カ月、刑事が六カ月と申しますと、特定の大きな事件につきましては、とうていかような時間的関係では終らないのでございますか、平均いたしますと、かような数字になって参ります。これを半減に持っていきたい。従いまして、民事を平均六カ月、刑事を平均三カ月ぐらいに半減いたしていきたい、かように考えまして、そうなりますと、やはり人員の要求等がここへ出て参りまして、人員の要求ばかりではなく、四ページの最初に書いてございますように、裁判事務手続の能率合理化をはかりますために、別の表現で申しますと、裁判の機械化と申しますか、種々の事務的な手続の迅速化をはかるために、ここに訴訟記録の合理化とか、訴訟記録及び裁判資料複写の機械化とか、裁判の機械化の方も考えまして、なお充実の方も、もちろん、ここに書いてございますように、主として人員の増加の要求になって参りますが、そのほか、ここに書いてございますように、人員がふえますれば、当然法廷の増築もいたさなければなりませんし、また、検証等に使います自動車等も整備いたさなければなりませんので、ここに内訳が書いてございますが、結局裁判の充実強化のために、人員の増加、裁判の機械化等の予算を特に本年度は要求してございます。なお、裁判の迅速強化のために人員の増加につきまして一言申し上げておきますが、人をふやすばかりが必ずしも能ではないということは、われわれ十分反省いたしておるつもりでございますが、何しろ世界各国の数字から見ましても、絶対数から見て参りますと、やはり日本の裁判官の数はドイツ、フランス等に比べまして少いのでございまして、ふやすばかりが能ではございませんが、真に必要な数字にまでやはりなっていないのではないかと考えられますので、あえて人員の増加要求をいたしました次第でございます。
 その次が裁判官の待遇改善等でございますが、これが五ページの三というところに出て参りますが、この三のうちの(一)が裁判官の管理職手当と書いてございますが、これは管理職手当等でございますが、これは結局二つに分れまして、在野法曹との活発な人事交流を行いますために、弁護士から裁判官に来られました方々に対しまして恩給年限を短縮して差し上げたい、具体的な内訳がここに書いてございますように、最高裁判事に対しては在職七年、その他の高裁長官及び下級裁判所判事は在職十年でそれぞれ普通恩給が受けられるようにいたしたい。これは、下級裁判所判事等は在職十年と申しますと、いかにも短いようにお考えかもわかりませんが、結局通常の普通恩給は在職十七年でございますが、下級裁判所判事の任命資格は、御承知の通り、弁護士もしくは判事補あるいは検察官を十年やりませんことには判事になり得る資格がございませんので、判事補、簡裁判事補は別といたしまして、判事の任命資格は御承知の通り十年という経歴を要しますので、結局弁護士を十年やられました方が来られたことを考えますと、なおそれ以上に十年間判事をやらなければならぬということになりますので、必ずしも一般の十七年という期間に対して不公平にはならない、かように考えますので、最高裁判事に対しましては在職七年、下級裁判所の判事に対しましては在職十年で恩給を受けられるようにいたしたい、かような予算を請求いたしております。これは、もちろん恩給法の改正を要しますことでございますが、そのほか、次に裁判官の管理職手当の点でございますが、これも本年度におきまして増額の要求をしてございますが、これは御承知の通り、終戦前におきましては、裁判官の報酬が一時相当程度引き上げられたことはございましたが、最近は行政官の方に管理職手当というものがつきまして、その間裁判官の報酬はちつとも上って参りませんでしたので、結局現在におきますと、上の方の判事は行政官に比しまして管理職手当分だけ低くなっておるというふうな形になって参りますので、これはやはり、われわれ裁判所に奉職いたすものといたしましては、三権分立の精神から申しましても――行政官と裁判官の待遇で、裁判官の方が低いということはいささかさびしい気がいたします。また、人材を求めるゆえんでもございませんので、この管理職手当を判事に対してはつけていただきたい。判事全員でございますが、要求は結局千百八十三名という数字になって参りますが、もちろん、これは判事でございますので、判事補及び簡易裁判所判事補は除きます。判事全員に対して管理職手当をつけてもらいたい。しかも、その管理職手当も、御承知の通り三クラスに分れておりまして、二五%、一八%及び一二%となっておりますが、現在受けております管理職手当は、ここに書いてございませんが、二百五十名程度のものに現在一二%の管理職手当が本年度は入っておりますが、これでは足りませんので、率も一二%から上げていただきたい。しかも、人員も二百五十名程度のものではなくて、判事全員につけていただきたい。かようなのが裁判所側の念願でございます。
 それから、ここに書いてございますものが主たる要求でございますが、特に取り上げて御説明いたしますと、六ページの四に調停制度の整備強化というのがございますが、この内訳は、調停委員の日当の増額、これは、現在日当が一日四百四十円でございますが、これを五百九十円に上げていただきたい。五百九十円と申します数字は、これは、現在司法委員という制度がございますが、いわゆる簡易裁判所におきまして、調停に関与いたしまして調停を助ける職務でございますが、その司法委員というものに対しまして五百九十円の日当になっておりますので、せめて調停委員をこの司法委員並みの五百九十円に引き上げていただきたい。これは裁判所からの希望ではございませんで、調停協会におきましても熱心にこの点を主張しておられますので、裁判所といたしましても、さようにしてあげたいという念願からこの予算を要求いたしました次第でございます。
 それから、次の調停協会の補助金でございますが、裁判所の受けております補助金と申しますのは、この調停協会の補助金だけでございまして、現在年間五百万円入っておりますが、これを一千万円に増額していただきたい。これも調停協会からの熱心な御希望がございまして、裁判所としてもきわめてもっともなことだと思いますので、一千万円に増額方をお願いした次第でございますが、なお調停のことは、もう御専門の方ばかりでございますので、御承知のことと思いますが、調停の現在におきます機能は相当なものを示しておりまして、調停制度というものが果していいか悪いか、その他別個の考え方もございましょうが、とにかく現在におきましては、民事訴訟におきまして裁判所が片づけます、つまり訴訟によって片づけます数が一審だけで年間約十五万件くらいでございます。調停も約十二万件くらい大体片づけておりまして、結局普通の訴訟事件とほぼ同じくらい調停によって現在民事の紛争が解決されておりますので、この数字を決して無視することはできませんと思いまして、やはり調停の育成強化と申しますか、さような観点からこのような予算をお願いした次第でございます。
 それからその次に、「七、少年事件処理の充実強化」というのがございますが、これもやはり、最近の少年事件の対策の一環といたしまして、ここに内訳を書いてございますが、かようなものを要求いたしております。
 最後に、これは八の「営繕」ということでございますが、これにつきまして一言御説明いたしますと、簡単に申しますが、営繕の内訳は、お手元に配付してございますガリ版刷りの「昭和三十四年度、裁判所の営繕に必要な経費概算要求額一覧表」というのがございますが、これに基きまして説明させていただきますと、結局数字はここに書いてあります通りでございまして、本年度は合計四十億何がしかの要求をいたしております。ところが、昭和三十三年度におきましては、ここに書いてございます通り、八億何がしというのが本年度の予算金額でございますが、まあ約五倍ほど請求してございますが、結局本年度の特殊事情というのを申し上げまして御参考に供したいと思います。
 本年度は、東京地方裁判所の刑事部の庁舎を新営いたすべき段階になって参りました。この東京地裁の刑事部の庁舎は、昭和三十二年度から少しずつ予算が入ってきておりまして、形の上では継続事業のような形になっておりますが、結局昭和三十二年度、三十三年度におきまして約一億円ほどの金が入っておりますが、庁舎の移転の跡始末とか、いろいろなことから、まだ着工はいたしておりませんが、まあ早急に着工しなければならぬ段階に来ております。この東京地裁の刑事部の庁舎は、大蔵省の査定によりまして、大体十四億程度で建てようというふうな妥結に至りました。十四億という金を、三年間で建てるといたしますと、大体年間五億ぐらいの金が必要なんでございます。このガリ版刷りの資料にございますように、裁判所の営繕費が大体八億、それが、本年度並みで申しますと、八億しか入らないということになりますと、東京地裁のために五億取られますので、三億しか残らないという計算になっておりまして、三億でもって、現在やりかけております継続工事、全国の継続工事も継続していかなければならない。また新しく、新規的に建てるところも考えていかなければならぬということになりますと、とうてい不可能でございますので、結局われわれの念願といたしましては、この八億というような数字はそのまま据え置いていただいて、それ以外に、東京地裁の刑事部の庁舎の新営のために五億程度の金を別ワクで、来年度の予算に入れていただきたいというのがわれわれの念願でございまして、これがうまくいきませんと、裁判所の営繕というのは非常な破綻を来たしますので、この点十分お考えをお願いいたしたいというのが裁判所の念願でございます。
 以上、きわめて簡単でございますが、一応説明を終らせていただきまして、御質問がありましたならば、お答えをいたすことにさせていただきたいと思います。
#5
○委員長(野本品吉君) それでは、ただいま裁判所関係につきまして概算要求の御説明を聴取したわけですが、御質問がございましたならば、順次御発言を願います。
#6
○大川光三君 ただいまの裁判所の営繕関係についての御説明を伺いまして、大体東京地裁の刑事部の庁舎に五億程度が充てられる。そうすると、残りが三億程度ですね。そのうちで、特に重点的にやらなければならない大口の営繕費というのにはどういうものがございますか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君)
 お答えいたします。大口と申しますと、結局現在継続いたしております工事を続けなければならないというのが大口かと思われますが、継続工事は、裁判所ではどういうことが行われておりますかというと、お手元に配付いたしましたガリ版刷りの資料の二枚目に書いてございますが、ここに継続分と書いてございますが、結局合計二十庁になりますが、これだけのものにとにかく現在とりかかっておりますので、これを途中で捨てるというわけにはとうてい参りませんので、これだけのものは最小限度どうしても来年度続けなければならない。この継続分は、われわれの方の計算でいたしますと、この二十庁を完全に仕上げますまでに約十億の金がかかるのでございまして、これを二年で割りましても、年間五億くらいかかって参りますので、先ほどの東京地裁の庁舎に五億かかりますと、来年度新規を何も始めませんでも、最小限度年間十億はかかるというような計算になって参ります。
#7
○高田なほ子君 裁判官の管理職手当の問題で伺いたいのですが、待遇がよくなることは、これは大いにけつこうなんですが、この一二%ないし二五%という数ですね、御説明では、最低一二%のものが今二百五十名いるが、これでは、不足なので、千百八士三名の全判事に対して管理職手当を支給してもらいたいというわけですが、そうしますと、一二%と二五%との間、この三段階に分れているわけですが、その段階というのは、これからまた新しく千百八十三名の判事に対しても区分けをしていくということになるわけですが、どういうことになりますか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君)
 お答えいたします。われわれの要求いたします千百八十三名のものに管理職手当をいただくといたしますと、やはり上の方のものが二五%、きわめて世俗的な言葉でございますが、大体中くらいの方が一八%、下の方の判事が一二%、大体さようにわれわれは考えております。具体的に申しますと、たとえば高裁長官は別といたしまして、所長あるいは高等裁判所の裁判長クラスの方は二五%、それから地方裁判所の普通の判事は下の方の一二%、大体さような内訳で考えております。
#8
○高田なほ子君 その次ですね。司法修習生の増員、これはわかりますが、司法修習生の給与というものについても、こちらに管理職手当が考えられるならば、当然この司法修習生の給与というものについても、これは考慮されなければならない段階にはや来ているのじゃないかという考えがするのですが、部内では、こういう問題についてどういうふうにお考えになっておりますか。何か腹案でもありませんか、待遇の問題について。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君)
 お答えいたしますが、司法修習生の待遇が決して満足すべき状況ではないということは、われわれ十分考えておりますが、これはやはり一般的な問題とからむ問題でございまして、特別に本年度要求いたしませんでしたが、やはり一般的問題の一環としてこれは考えなくちやならないのじゃないか、かように考えております。ことに判事補につきましては、管理職手当を要求してございませんので、やはりそのもう一つ下におきます司法修習生につきましても管理職手当はございませんが、その他の待遇の増額ということは、特別に本年度は要求いたしませんでした。
#9
○高田なほ子君 判事補の問題ですが、これは、たしかこの法務委員会でも問題になつたことがあると思うのですが、十年間の期間という問題については、これはかなり研究しなければならない問題じゃないかと思うのですが、それについても考えられない、司法修習生の待遇の問題についてもまた考えられないということになると、非常にまずいんじゃないかと思うのですが、この十年間の期間というものについて何か部内では、これは縮めるとか何とか、そういうもっと近代的なセンスで待遇改善するというような線は打ち出せなかったものでしょうか。財政上の問題ですか、それとも一般的な問題ということで、今度はそれを問題にしなかったということになりますか。どちらなのですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君)
 判事補の十年という期間がどうあるべきかというような点、われわれの方としても十分考えなきゃならぬ問題でございますが、待遇改善だけについて申し上げますと、さしあたりとにかく上の方の判事が行政官に比べて低い、それだけを少くとも是正したい、あるいは、さような考え方は少し狭過ぎるというおしかりを受けるかもわかりませんが、とにかく本年度の予算要求におきましては、最小限度行政官と一致させたい、それにつきましては、上の方が低いものでございますから、それをまあ要求いたしたという次第でございまして、決して司法修習生及び判事補全般に対しまして待遇をこれで十分だと思っているわけではございませんので、御指摘の通り、十分今後考慮いたしていきたいと思っております。
#10
○高田なほ子君 一応この管理職手当はこれでいいのですが、待遇がよくなる分なら、われわれ大いに賛成するわけですが、従来裁判と検察の待遇のアンバランスという問題は、かなり研究しなければならない問題になっておると思うのですが、ここで裁判の方の管理職手当ということで一応ちょっと上るわけですが、検察とのバランスというものはどうなっておりますか。もし御用意がなければけつこうです。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君)
 お答えいたしますが、この判事の管理職手当の要求につきまして、法務省と決して必ずしも打ち合したわけではありませんので、法務省の方で検察官についてはどうお考えになっておりますか。おそらくこれは、大蔵省の方で大体割合等を考えておりますので、判事が上りますれば、検察官の方もそれに比例いたしまして、どういう数字になりますか、比例して上ってくるのじゃないかと現実の状況としては考えております。ただ、一般問題として、裁判官の俸給と検察官の俸給はどうあるべきかということは、これは大きな問題になると思います。
#11
○高田なほ子君 政務次官お見えになっておりますが、今の問題は、法務省部内で何かお考えでもありますか。
 それからもう一つ、この判事補の問題ですが、これは十年も見習いみたいにしておくという、この非近代性ですね。これについては、少し法務省部内でお考えおき下さるべき問題だと思うのですが、どうなんですか。これでこのまますつとおやりになっていっていいと思っていらつしやるのでしょうか。
#12
○政府委員(木島虎藏君) 法曹一元化を円滑にやるという建前から申しますと、今の判事並びに検察官の給与、待遇を相当よくしないと理想が実現されぬ、その意味においては上げていくべきだろうと思います。私どもの今度提出しておる予算では、検事の方の俸給を上げようということは提案しておりません。それは、いろいろ検討いたしたのでございますが、ほかに緊急なものがございましたもので、実は遠慮したようなわけで、決してそれをないがしろにしたわけではなくて、この間も裁判所の方からお話がございましたときに、私どもは、大賛成だ、まず先に行ってもらつて、あとからついていこうというようなお話をしたわけでございます。
 それから第二点の判事補の問題は、これは、私の方の関係でございませんので、私よく存じ上げませんが、その辺で……。
#13
○高田なほ子君 けつこうです。
  ―――――――――――――
#14
○委員長(野本品吉君) それじや次に、司法試験法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明いただきたいと思います。
#15
○政府委員(木島虎藏君) 司法試験法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
 御承知の通り、司法試験は、裁判官、検察官または弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力の有無を判定する国家試験でありまして、将来性のある優秀な人材を法曹として迎えることができるかどうかは、一にかかってこの制度の適否にあるのであります。しかるに、昭和二十四年以来実施されております現行の司法試験制度においては、大学の制度がいわゆる新制大学に切りかえられて以来大学在学生の司法試験に合格する者の数が逐年減少する傾向を示し、大学の優秀な新卒業生を他の職業分野に逸することが憂慮せられるとともに、他方において、社会生活の複雑化に伴い、将来の法曹たるための適格として、単に法律についての学力を有するのみでは足らず、法律以外の素養を備える必要があるにもかかわらず、試験の科目が法律のみに偏しているとの批判を聞くに至りました。そこで、法務省におきましては、昭和二十九年の末ごろから司法試験制度について調査に着手いたし、昭和三十年十一月法務大臣から法制審議会に対し司法試験に関する制度の改善につき諮問を発し、昭和三十二年四月同審議会からの答申を得てさらに検討を加え、この法律案を立案した次第であります。
 次に、法律案の内容の主要点について御説明いたします。
 第一点は、司法試験第二次試験の筆記試験を短答式(択一式を含む。)による試験と論文式による試験に分けまして、論文式による試験は、当該筆記試験の短答式による試験に合格した者に限り受験することができるものとしたことであります。これは、司法試験の受験者の数の増加に伴い、論文式による試験のみでは、これら多数の受験者の答案を限られた期間に精査することがきわめて困難となりましたので、まず、最も基礎的な憲法、民法及び刑法の三科目について、短答式による試験を行い、これに合格した者についてのみ論文式による試験を行い、答案の審査を精密にしようとするものであります。
 第二点は、論文式による試験の試験科目について、科目の数は現行の通り七科目といたしましたが、いわゆる必須科目を五科目に、いわゆる選択科目を二科目に改め、受験者の試験科目選択の範囲を広くして、特に大学在学生の受験を容易にするとともに、選択科目のうちに法律科目以外の科目を含ましめ、視野の広い人材を選び得るようにしたことであります。すなわち、必須科目を憲法、民法、商法、刑法並びに民事訴訟法及び刑事訴訟法のうち受験者のあらかじめ選択する一科目の五科目とし、そのほかに選択科目を二科目とし、そのうち一科目は、右の必須科目として選択しなかった民事訴訟法または刑事訴訟法、行政法、破産法、労働法、国際公法、国際私法及び刑事政策のうちから選択し得ることとし、他の一科目は、政治学、経済原論、財政学、会計学、心理学、経済政策及び社会政策のうちから選択し得ることとしたものであります。
 なお、これに伴い、口述試験も、受験者が論文式による試験において受験した七科目について行うこととしたものであります。
 第三点は、司法試験管理委員会は、司法試験管理委員会規則で、試験科目中の相当と認めるものについて、その範囲を限定できることとしたことであります。これは、司法試験管理委員会が相当と認める試験科目については、合理的にその範囲を限定し、大学在学生たる受験者の負担をなるべく軽減することができるようにしようとするものであります。
 第四点は、司法試験考査委員の数の制限を撤廃することとしたことであります。現行法が司法試験考査委員の数を一科目につき四人以下に限定しております点は、特に短答式による試験を実施するについて適当でないので、これを改めようとするものであります。
 なお、改正法律の施行期日は、受験者に十分な準備期間を与えるため昭和三十六年一月一日といたしました。
 以上が司法試験法の一部を改正する法律案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
#16
○委員長(野本品吉君) ただいま御説明いただきました司法試験法の一部を改正する法律案に対する質問は後日に譲ります。
  ―――――――――――――
#17
○委員長(野本品吉君) この際、法務省関係の予算につきまして、概算要求の概要を御説明願いたいと思います。
#18
○説明員(大沢一郎君) 御指名によりまして、法務省所管の昭和三十四年度概算要求の概要を御説明いたします。
 法務省の昭和三十四年度概算要求の総額は三百九十七億九千九百八十八万二千円であります。このほかに、在外公館駐在官四名分の要求が外務省所管に計上される予定でございます。これを前年度、三十三年度の予算と比較いたしますと、昭和三十三年度予算額は二百四十四億五千二百五十五万五千円でございまして、これに比較いたしますと、要求額におきまして百五十三億四千七百三十二万円余りの増額要求となっておるのでございます。なお、右の要求額中の百六十二億九千五百九十二万七千円は標準予算でございます。新規要求額は二百三十五億三百九十五万五千円に相なる次第でございます。
 法務省予算の以上の内訳のおもな経費を申し上げます前に、一応法務省所管予算の特色と問題点ということについて、時間を少し拝借しまして申し上げてみたいと思うのでございます。お手元にも概略を個条書きにして提出してございますが、要するに、法務省の予算のうち人件費の占める割合が全体の約六〇%以上となっておるのでございます。国の歳出総予算額中の人件費の占めます割合はおおむね二%でございます。また、地方の歳出予算中の人件費の占めます割合はおおむね三六%なんでございます。これに比較いたしまして、法務省の人件費が全体の約六〇%を占めておる。特に検察官署の予算では、人件費が八〇%以上を占めておるのでございまして、法務省予算のほとんど全部が人件費であるということが一つ大きな特色となっておるのでございます。
 また、旅費とか庁費、いわゆる事務経費でございますが、この占めます割合が全体の二七ないし二八%ということになっております。これを合せますれば、法務省予算の約九〇%がいわゆる標準予算系統に入るべき事務費ということに相なるわけでございまして、いわゆる他省に見られますような事業費というものはほとんどないのでございます。このことは、法務省の所管事務がすべて人によって行われておるという特殊の性格に基くものでございまして、これは、法務省という省の性格上当然の帰結であろうかと存ずるのでございます。しかしながら、さような人件費でありますとか、いわゆる事務費でありますとかいうものは、予算要求上非常に困難な事項でございまして、毎年皆様、先生方の御協力を得ながらも、法務省予算が窮屈で不十分であるというそしりを免れないのでございまして、特に昭和三十三年度、本年度におきましては、旅費及び庁費というものに対しまして、一律に五%あるいはまた三%という節約を課せられまして、執行上非常な困窮状態に立ち至っておるのでございます。そこで、われわれといたしましては、法務省予算のただいま申しましたような性格、予算の特色というものにかんがみまして、数年来法務省所管の各組織の所管事務を逐一分析検討いたしまして、機械化の可能なものは極力機械化をはかつて、能率の増進と簡素化、そうして人員の節約ということに努力してきたのでございますが、先ほども申し上げましたように、法務省の所管事務は、検察でございますとか、あるいはまた保護、矯正、さような所管事務のすべてのものが、それぞれ一人の人がこつこつ当っていかなければ処理できないという事務でございますので、機械化というものがやはり限度がございまして、大半は人にたよらざるを得ないというような実情なんでございます。従いまして、本年度におきましても、予算の要求の概要をごらん下さいますと、人件費の要求というものは依然として相当額を占めておるのであります。これは、以上のような法務省所管事務の特殊性また予算の特色ということに起因するのでございます。この点十分なあたたかい御理解をお願いいたしたいと存ずるのでございます。
 なおまた、検察庁等の事務が年々ふえてきておりますので、ここに事例をあげて記載しておきましたのですが、検察庁、法務局関係の人員では、事務が非常にふえております。検察庁の関係で、検察官は昭和二十六年以降増員をしておらないのでございますが、受理人員は、年々三十万人ずつ増加しておるのでございます。昭和二十六年の二百万人に対しまして、昭和三十二年におきましては三百四十万人というふうに、一五〇%近く増加しておるのであります。従いまして、検察官一人当りの事務の負担量も、昭和二十六年度の年間一千二百人に対しまして、三十二年度は実に二千百七十人というような負担増と相なっておる次第でございます。何とかしかし検察庁もやつておるじゃないかというような見方もあるんでございますが、検察庁は、終戦後新しい憲法のもとの新刑事訴訟法のもとにおきまして、戦前から比べまして、公判活動というような、いわゆる立証責任が検察官に付加されまして、非常に手間がかかっておるのであります。さような関係から、公判に非常に手を取られます結果、いわゆる検察官の事件の処理という点にやはり不十分なものがあるんじゃないかと疑われるのでございまして、戦前におきましては、ほとんど無罪というものはなかったんですが、最近非常に無罪がふえておるということは、やはりその点で、検察官が捜査の際に十二分に捜査を遂げられなかった結果ではないかとも考えられるのでございまして、これは、ほかにも原因があるかとも存じますが、これも一つの原因になっておるんじゃないか、かように考えるのでございます。そこで、本年度も最小限度の要求をいたしておるわけでございます。また、法務局の職員の問題でございますが、これは先生方が、実際において登記、登録等のために、登記所の実情をよく御承知下さつておることと存じ上げる次第でございますが、登記事務でございますとか、台帳事務も逐年激増の一途をたどっておりまして、戦前の昭和十五年当時の事務量に比較いたしますと、六・五倍という事務量になっておるのでございます。登記受理件数だけを取り上げましても、昭和二十五年の九百四十一万件に対しまして、三十二年では三・七倍、三千四百三十七万件の増加をいたしておるというような状況でございまして、事務量が非常に増加しておるのでございますが、それに配置いたします人員というものがこれに伴つておらない。そのために、法務局の職員一人当りの事務の負担量は年々増加されまして、その過重の度合いは、もはや極限に達しておると言っても過言ではないと思うのでございます。さような結果、登記等は部外者、司法書士の方々のお手伝いを願つておるというような状況でございますので、この点の事務の適正をはかりますため、また職員の過重な負担の軽減をはかつて、それがまた健康管理上にも決していい結果を及ぼしておりませんので、かような意味から、これを是正するために人員の要求をいたしておるような状況でございます。
 次に、法務省予算の特色といたしまして、全体におきましていわゆる営繕関係について相当の要求をいたしておるわけであります。これは、法務省所管の各機関の所管の数は実に三千四百三十九庁、日本におきましても一、二を争う所管の官署を持っておるわけであります。その延坪数は八十七万五千余坪に及んでおるのでございます。この中には、各市町村ごとにございますいわゆる法務局の出張所、登記所のほかに、刑務所というような大きなものは大小様々でございますし、また、その庁の中には、人権擁護関係あるいは入国管理関係、また公安調査庁というような、戦後独立して新しく新設された役所もございますし、また検察庁、法務局のように古い歴史を持っておりましても、終戦後裁判所から離れて新設されるというような庁もございます。いまだ固有の施設を持っていない庁が相当数あるのでございます。かような特殊な状況でございますので、年々今のところ約十億の予算が入っておるのでございます。とうていこれでは、二十年、三十年待ちましても整備できないという状況でございますので、この点につきましても、特に法務省予算の重点として取り上げて、後刻御説明申し上げたいと思うような次第でございます。なおまた、この営繕費につきましては、最近刑務所が、その立地条件と申しますか、各市町村の都市計画等のために、かつては郊外にありましたのが、その付近が非常に開けまして、計画道路の障害になりましたり、あるいはまた、その付近の発展を阻害するというような状況になりまして、各地で郊外地に移転してもらいたいというような要請が強く出てきております。社会問題あるいは政治問題として発展するような傾向にございます。この点についても、われわれとしては順次、住民の便宜のため、情勢の許す範囲におきましてこれを実現していきたいというような考えを持っております。この点につきましても、十分御理解を賜わりたいと思うのでございます。
 そこで、もとの三十四年度概算要求の概要に戻りまして、おもな要求事項を申し上げたいと思います。
 まず第一点は、総合的刑事政策の樹立並びに基本法典その他法令の整備に要する経費、事務官、技官等五十五名の増員を含んでいる経費でございます。総額は九千六百四十九万五千円、そのうち前年度予算に入っておりますものが千六百六十万円、これは、最近におきまする犯罪現象の複雑巧妙化、たとえば強盗にいたしましても、いわゆる自動車強盗、人の自動車を盗んで、自動車で乗りつけて強盗を働いてそのまま逃げるというような、いわゆる暴力事犯も非常に知能犯化して参りました。また青少年犯罪の激増、またその凶悪化というような傾向がますます強くなりました。かような犯罪傾向というものが国民生活に大きな脅威となっておることは、われわれ申し上げるまでもないことと存じます。かような現状に対しまして、従来われわれといたしましても、裁判、検察、矯正、保護それぞれの立場からいろいろな施策を講じてきておつたのでございますが、占領時代に、占領軍の指導によりまして、検察とかあるいは行刑保護というものがそれぞれ別個の指導者によって指導せられましたために、総合性を欠くうらみが現われてきておるのでございます。それぞれにおいてその場当りの対策、いわゆる犯罪対策を立てて、それに対処してきておるというような状況で、処罰してもまたまた再犯がある。また、いかに処罰しても依然として犯罪が減らないというような悪循環を繰り返しておるのであります。そこで、少しおそいうらみがあるのでございますが、われわれといたしましては、かように検察あるいは矯正保護等を通じました科学的な刑事政策をこの際強力に打ち立てまして、これを施策に総合的に具現しまして、そうしてほんとうの意味の刑事政策を実施に移して、犯罪の防止、犯罪の防遇ということに努力したいというような考えから、総合刑事政策研究所を本年度において設置いたしたい、かように考えておるわけでございます。あわせまして、数年来検討を続けております刑法、刑事訴訟法その他基本法典の立案及び諸法令の整備を前年度同様引き続いてこれを行いたいという経費でございます。その内訳は、総合刑事政策研究所の経費といたしまして三千五百万円、基本法令改正等法令の立案事務処理経費といたしまして三千五百万円、国際会議出席等海外渡航旅費二千六百二十四万ということに相なるわけでございます。
 第二点は、青少年犯罪の防止に必要な経費でございまして、これは、教官、技官等八百六十六名の予算要求を含めまして、十二億五千二百万の要求をいたしてございます。少年犯罪の増加並びに悪質化ということは、ただいま申し上げた通りでございますが、少年犯罪というものは、必ずしも処罰だけ、検挙だけではその完全な防遏、あるいはまた少年の更生ということははかれないのでございまして、あくまでも少年は保護、補導ということを中心といたしまして、更生保護の分野の活動を活発ならしめる必要があるのでございます。また、少年院におきます教化というものの現状は、必ずしも皆様方の御期待に沿い得るような状態ではないのでございまして、少年院の教官が今のところ数が非常に少いのでございますので、少年院の教官が現在三日に一ぺんの宿直勤務をいたしまして、そうしてその宿直勤務をいたしました翌日そのまま夕方まで勤務をせざるを得ないような状況にあるのでございます。普通の刑務官と違いまして、夕方、日が暮れて食事を済まして就寝させればそれでいいというものではございませんで、夕方食事が済んで、六時、七時ごろから晩の九時あるいは十時ごろ寝るまでその房内に入りまして、少年と起居をともにする、いわゆる家庭的雰囲気のもとに少年を補導する必要がございますので、その点、普通の公務員としてのいわゆる八時間勤務ではとうてい間に合わない状況なんでございます。このような点で、今までのところ、少年院の内部におきます補導が少年院の職員の手不足のために十分行われておりません。こういう意味で、少年院における補導能力を強化させること、そうして更生保護会あるいは保護司の活動を援助いたしまして、少年の補導の全きを期したいというのがわれわれの考えでございます。このための経費といたしまして、内訳は、青少年の収容者に対する教化の充実で、少年院の教化活動及び職業補導充実費、教官の三百六十八名の増員を含めまして二億七千三百六十六万円、少年鑑別所におきまする鑑別機能の充実、技官二十四名の増員を含めまして四百六十二万円、少年院及び少年鑑別所収容者の処遇の適正化、精神医医療技官等百二十七名の増員を含めまして、七億六千二百五十二万の予算要求をしておるわけでございます。
 また、更生保護関係におきましては、青少年の更生保護会の整備、充実をいたしたい。補助金で二千三百七十二万の要求。保護観察所におきまする保護観察並びに補導強化、これが観察官二百二十二名の増員を含めまして、要求九千三百八十三万円、青少年更生保護対象者の職業補導充実三千三百六十万。それから、各保護観察所にございます青少年補導相談所の担当をしていただきます保護司の方に対する実費弁償金の増額も含めまして五千二百九十五万四千円の増額要求をいたしております。
 それと、各地方検察庁に青少年風紀調査室、刑事局に少年課を設置して、少年犯罪対策を確立いたしますため、事務官百二十五名の増員を含めまして、六千四万円の要求をいたしておるわけでございます。
 次に、暴力事犯等の一掃に必要な経費でございます。これに検事七十七名、事務官等六百四十四名の増員を要求いたしております。その総額が十三億八千六百八十万円。最近におきまする暴力事犯のしようけつ、これによりまする法秩序の破壊ということを考えまして、これには裁判所とも統一歩調をとりまして、公判審理が迅速にかつ適確に行われなければ、結局は法秩序は守られないということはもう申すまでもないことでございます。かような意味合いにおきまして、われわれも裁判所と歩調を合せまして、公判審理の迅速充実をはかりたいというので、検事五十八名の増員を要求いたしております。これは昨年度も要求いたしたのであります。裁判所では一部手当が得られたのでございますが、検察庁におきまして手当がおくれまして、今年度五十八名の検事の増員を要求しておるわけでございます。それにあわせまして、検察事務の科学化、効率化、これは事務の科学化をはかりまして、簡素化、充実化をはかりたいというので、事務官百二十名とその他の経費とで、九千七百三十二万円の要求をいたしておる次第でございます。
 次に、治安対策の強化、すなわち法秩序を維持するということが法治国における最大な目的でございますので、最近の国内外の公安情勢、あるいはまた、国内の犯罪情勢等にかんがみまして、法務省関係の治安関係機関の機能並びに活動力を整備充実して、能率的な運用をはかりたいという経費でございます。これは公安検察の強化、検事十九名、事務官百五名の増員を含めまして一億一千五百五十七万円。破壊活動調査の充実及び調査の科学化、これは、公安調査庁におきまする公安調査官の増員及び破壊活動調査費等要求十億四千七百四十七万円。それから、刑務所におきまする保安対策の強化、最近におきまして、刑務所の囚人の暴力ということがむしろ強くなりまして、看守等が非常に危険にさらされるというような状態でございますので、刑務所におきまする保安対策強化賞として、八千七百九十七万円の要求をいたしておるわけでございます。
 第四が外国人の処遇の適正化に必要な経費でございまして、これは、入国審査官あるいは事務官等百六十五名の増員を含めまして、八億九千百十七万円の増額をいたしておるのでございます。最近わが国と諸外国との交通が非常に頻繁になりまして、あるいは観光、あるいは経済交流の活発化というようなことから、外国人が正常な業務で日本に入国する、あるいは日本を通過して出ていくというような、平和的な活動か非常に多くなりまして、そのために、われわれの港におきまする入国審査ということが非常に件数もふえました。またこの最初に観光あるいは経済取引等で外国から来る正常な入国者に対する港におきまするあるいは空港におきまする審査官の第一印象ということか非常に大きな影響を及ぼすことも考えまして、われわれといたしましては、この入国審査業務を円滑に行いたいというので、この点の入国管理事務の強化をはかりたいと考えておる次第でございます。あわせまして、在留外国人に関する記録を整備し、外国人の実態を把握して、出入国管理業務の適正なる執行を期したいということを考えておるのでございます。なおまた、その半面、依然として不法出入国者が跡を絶たないのであります。また不法な残留者も相当潜在しておりますので、これらの取締りも徹底して行いたいという考えでございます。これに要する経費といたしまして、出入国審査等事務の強化充実、審査官百六名、事務官二十二名、要求額一億三千九百七十三万円。
 それから、外国人登録事務の充実、事務官等三十七名の増員、これは、来年度が外国人の登録証明書の一斉切りかえに当りますので、これに対しまして相当一時に多額の経費を要します。これの要求が五億七千七百八十五万六千円で、これは、本年度限りの経費を相当含んでおるわけでございます。第三が不法入国者の違反調査の強化及び収容業務の適正化、要求願が前年度とほぼ同額でございまして、一億六千九百五十万円を要求しております。次が在日韓国人の更生補導、要求額四百九万三千円。これにつきまして一言申し上げたいのでございますが、日韓交渉の進展等によりましてこれは常に問題になることでございますが、かつてから日本に在留しておりました韓国人が日本で刑を受けまして、刑を受け終つた者が強制送還に相なるわけでございます。それを一時大村収容所に収容しておるわけでございます。ところが、昨年来日本の漁夫等を国内に帰してもらうことの引きかえに、大村収容所にいるいわゆる前科のある韓国人を国内釈放するということでございまして、これらの者をこのまま国内に放免いたしますときは、日本の国内における治安を乱すことにも相なります。これらにつきましては、入国監理局がその収容者を所管いたしておりまする関係上、引き続きましてそれらの者が再び犯罪を犯さないように、ある程度の生活的な指導保護を行いたいという経費でございます。
 第五が、国民の権利擁護伸張に必要な経費、これは非常に大きなように書いてございますが、要するに、これは国民の権利義務に一番大きな関係のございまする登記登録事務の改善をはかつていきたいという経費でございます。それと同時に、いわゆる国を相手とする訴訟事件が非常にふえて参りまして、これに対処するために、訟務局関係の検事十三名を要求いたしたいという経費でございまして、総額が十二億六千六百八十三万七千円ということになっております。その内訳は、登記、供託、戸籍事務処理の充実、事務官七百九十名の増員を含めまして四億四千二百七十三万一千円を要求しております。登記登録の事務が非常にふえておりますことは、先ほど申し上げました通りでございます。それから第二が登記事務の能率化、いわゆる登記簿冊の改善、モデル登記所の設置でございます。これも、登記事務が旧式な古い形でやつておりますために、ますます事務がおくれて参ります。登記の謄本をもらうのに、朝申し込んで晩にしかもらえないという状況では、決して登記所としましてその職務を果しておるとは申し得ないのであります。最近では、いわゆるコピーの整備、そういうようないわゆる機械化ということに力を入れておりますので、これらの経費を要求いたさなければならぬというのがこの経費でございまして、二億四千九百六十四万一千円を要求しております。次は、不動産登記制度改正及び計量法施行の問題でございます。これは、現在登記所で扱つておりますいわゆる土地、家屋の台帳と登記簿の二本立になっておりますものを一本化いたしまして、あわせて、昭和四十一年から実施せられますメートル法に登記簿を書き直すというための経費でございます。元来土地台帳、実屋台帳は税務署にあったものでございます。これを法務省が引き継ぎまして、それと権利、義務の経過を表わした登記簿というものが今は二つになっておる。従いまして、商取引をなします場合に、一、応家屋台帳を調べ、それによってまた登記簿を調べる。二重に閲覧をして、また、両方に登記登録手続をしなければならないというような煩瑣な手続になっております。これを一つにいたしまして、土地、家屋の表示をして、そのものの権利の移動ということを一目一つの帳簿でわかるように書いていきた、というのがこの登記台帳一一元化という問題であります。幸い、さような事務をやつていきます場合に、ちようど計量法がメートル法に変るいい機会でございますので、同時にこれをやつていきたいというので、三十四年度におきまして四億十四万円の要求をしておるわけでございます。大体五カ年計画三十億の予定で事務を完了いたしたい。その第一年度としてこれを要求しておるわけでございます。それから、次は訟務事務処理の充実。検事十三名、事務官四十三名の増員を含めまして、総額一億百七十五万円の要求をいたしておるわけでございます。
 その次は、人権擁護活動の強化であります。基本的人権を擁護しなければならないということは、憲法上の至上命令で、われわれ法務局といたしまして、人権侵犯事件の調査をますます充実徹底いたしまして、一人として人権侵犯を受ける者のないように、十分な人権擁護活動をやつていきたいというための経費でございまして、人権侵犯事件調査処理の充実のための要求三千九百六十四万円、人権擁護委員制度運営の充実のため三千二百九十二万円を要求しておるわけでございます。
 次は、第六が官庁営繕費でございます。本年度は七十八億円を要求いたしております。その詳細は、お手元に配付いたしました「法務省営繕費概算要求資料」に細かく出ております。要するに、さきほども申し上げましたように、非常に数が多く、また要求も激しいので、事務処理並びに事務環境改善という面から強力に推し進めていきたい、かように考える次第でございます。
 その他は、検察庁、刑務所その他所管各機関におきまする経常的な、たとえば、刑務所にいたしますれば、作業費、収容費というような経常的な標準予算的な経費でございます。
 以上、概略でございますが、昭和三十四年度の法務省予算概算要求の内容でございます。
#19
○委員長(野本品吉君) 御質問がございましたら、順次御発言を願います。
#20
○大川光三君 ただいまの法務省関係の予算について、いろいろ尋ねたいことがあるのでありますが、時間の関係で、質問は次回にいたしたいと思います。さよう取り計らい願います。
#21
○委員長(野本品吉君) ちょっと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#22
○委員長(野本品吉君) 速記をつけて。
 本日の調査はこの程度にとどめたいと存じます。次回は、十二月十八日木曜日午前十時から開会いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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