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1958/03/05 第31回国会 参議院 参議院会議録情報 第031回国会 農林水産委員会 第13号
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1958/03/05 第31回国会 参議院

参議院会議録情報 第031回国会 農林水産委員会 第13号

#1
第031回国会 農林水産委員会 第13号
昭和三十四年三月五日(木曜日)
   午前十時五十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     秋山俊一郎君
   理事
           雨森 常夫君
           堀本 宜実君
           東   隆君
           清澤 俊英君
           北 勝太郎君
   委員
           重政 庸徳君
           柴野和喜夫君
           関根 久藏君
           田中 茂穂君
           仲原 善一君
           藤野 繁雄君
           堀  末治君
           安部キミ子君
           大河原一次君
          小笠原二三男君
           河合 義一君
           棚橋 小虎君
           千田  正君
           北條 雋八君
  国務大臣
   農 林 大 臣 三浦 一雄君
  政府委員
   農林政務次官  高橋  衛君
   農林大臣官房長 齋藤  誠君
   農林省農林経済
   局長      須賀 賢二君
   食糧庁長官   渡部 伍良君
   水産庁長官   奧原日出男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   大蔵省主税局税
   制第二課長   吉国 二郎君
   大蔵省主税局税
   関部長     木村 秀弘君
   農林省農地局建
   設部長     清野  保君
   食糧庁業務第二
   部長      昌谷  孝君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農業災害補償法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査の件
 (農地に関する件)
 (甘味資源の総合対策に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(秋山俊一郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
 農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題にいたします。
 ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#3
○委員長(秋山俊一郎君) 速記をつけて下さい。
 他に御発言もないようですから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。
 御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#5
○堀本宜実君 私は、自由民主党を代表いたしまして、この法律案に賛成をするものでございますが、この機会に、農業災害補償制度の一部を改正される、法律案が出ました機会に、根本的な問題並びに今後、家畜共済拡充に伴いまする政府の善処を促すために、各会派を代表いたしまして次の付帯決議を提案いたします。付帯決議といたしておりますものは、大体案でございますが、申し上げます。
    農業災害補償法の一部を改正する法律案附帯決議(案)
  政府は、農業災害補償法に関し次の措置を講ずべきである。
 一、農業災害補償法の上実施の結果に照らし、この制度がわが国農業の実態に即して所期される成果を収めることができるようこれが改善に努めること。
 二、防災に関して万全の措置を講じ、家畜については特にこれが保健及び診療施設の整備を図ること。
 三、家畜共済事業の共済掛金について、出来るだけ速かに、死廃部分ばかりでなく病傷部分についてもその二分の一を国庫負担とするよう努力すること。
 以上でございます。
#6
○東隆君 私は、社会党を代表して、ただいま提案されております農業災害補償法の一部を改正する法律案に対して賛成をいたします。
 それから、ただいま堀本委員が説明されました付帯決議案についても賛成をいたすものであります。
 今回の改正は、いまだ農業災害補償法の目的としておるところを完全にわれわれが意図しておるようには実現をしておりませんが、その段階であると、こういうように認めて賛成をするのであります。元来私は、家畜の共済というような場合においては、死廃に対して考えるよりも、その予防的な意味において、病傷に対して重点を置いていくことが、これが農家にとっても、また国全体から考えても、私はそこに重点を置いていくことがいい方法だ、こういうふうに考えるわけであります。ところが、今回の改正は死廃の部分に対しては二分の一の国庫負担がございますが、病傷の方に関してはその考えが及んでおりません。従って、病傷に対するところの自己の共済に対する加入その他が非常に困難なことを予想されて、そうして加入を奨励するために政府が多少国庫から出している。こういうふうな形で、政府も十分に病傷に対して力を注がなければならぬということは意図されておるわけであります。そういう点は十分にわかるわけでありますから、従って、この機会に私が申し上げたいことは、審議の過程でこの四年後にこれを改める、こういうようなお話も聞かされたのでありまするが、私はそういうようなことでなくて、もう少し、一日早ければ一日早いだけ効果を上げるのでありますから、従って、そういうような結果を見てと、こういうようなことでなくて、次年度においては、当然政府が意図されておるところを実現されるようにお考えを願いたい、こういうことを私は強く要請をいたしまして、そして先ほど申しましたように、原案それから付帯決議案に対して賛成をいたします。
#7
○委員長(秋山俊一郎君) ほかに御意見ありませんか。――ほかに御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 農業災害補償法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#9
○委員長(秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。次に、討論中に述べられた堀本君提出の付帯決議案を議題といたします。堀本君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#10
○委員長(秋山俊一郎君) 全会一致と認めます。よって堀本君の提出の付帯決議案は、全会一致をもちまして本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたします。
 ただいまの付帯決議について政府の御所見を伺います。
#12
○政府委員(高橋衛君) ただいま農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会において全会一致をもって付帯決議がされたのでございますが、その御決議になりました三項目それぞれにつきまして、質疑の際においてお答え申し上げました通り、現在の制度が必ずしも万全であるというふうにも私どもは考えておりませんし、また改善を要する点もあるものと考えておる次第でございますが、ただ、昨年この法律を改正をいたしました実績をなお十分検討いたしまして、また第二、第三の点につきましては、あるいは畜産局の関係の保健施設または共済に属するところの診療施設との相互の一体的運営をはかり、同時に、これらの機能を十分に発揮するようにいたしまして、また第三の点につきましては、先ほども御要望がありました通り、必ずしもこの料率改訂期間であるところの四年ということに拘泥することなく、基礎的な資料が整備され、また方向がはっきりいたしました際に十分にこれが改善について善処いたしたい、かように考える次第でございます。
#13
○委員長(秋山俊一郎君) ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#14
○委員長(秋山俊一郎君) 速記を始めて。
  ―――――――――――――
#15
○委員長(秋山俊一郎君) 甘味資源の総合対策に関する件を議題とし、甘味資源総合対策について農林当局から、砂糖の関税及び消費税の改正について大蔵当局から説明を聞くことにいたします。
 食糧庁業務第二部長から説明を伺います。
#16
○堀末治君 資料はどれについて説明があるのですか。資料を言うて下さい。
#17
○説明員(昌谷孝君) 資料はさきに二月十六日の御要求で「甘味資源の自給力強化綜合対策について」というのを御提出いたしておりますが、なお、引き続きまして「てん菜の振興措置について」というのをさらにお配りしてあるかと存じます。それから数字的な資料といたしましては「砂糖に関する資料」という横とじの資料が御提出してございます。なお、先般提案理由を御説明いたしましたテンサイ関係三法案について資料が差し上げてあるかと思います。なお、甘味資源の総合対策あるいはテンサイの振興措置に関連いたしまして「糖価関係資料」という関税、消費税の振替額を数字で御説明いたしました二枚ほどの資料も差し上げてあるかと存じます。表題は「甘味資源の自給力強化綜合対策糖価関係資料」というふうに書いてあるかと存じます。
 そこでまず「てん菜の振興措置について」と書いてございます横書きの資料がございますが、これで御説明をまずさしていただきたいと存じます。テンサイの振興措置についてのこの資料は、さきに関係法律案三件の基礎になります考え方でございますので、法律案の提案の御説明のときにも概要を政務次官からも御説明申し上げた次第でありますが、それをこの資料につきまして、若干詳細に御説明申し上げたいと思います。
 近年テンサイの増産と申しますことが北海道寒地の畑作農業の一つの安定作物として非常に重要視され、また生産意欲も上っておりますことは御承知の通りでございます。なお寒冷地ばかりでなく、その他の地域につきましても、水稲早植えの跡作としてのテンサイというものに相当の注目が行われておることも御承知の通りであります。そういったテンサイの今後の増産なり、今後のテンサイの取扱い方を、この際こういった経営の立場並びに砂糖の自給力の強化という立場から考えをまとめまして、今後の振興方策をまとめてみたのがこの資料でございます。まず、もとになります栽培の計画でございますが、これにつきましては、テンサイに適する土壌、気候等各種の条件もございますし、また連作をきらう作物であるという特殊の事情もございますので、生産計画あるいは経営との結びつきということについては、過去の経験からいたしましても相当慎重に注意をいたしませんと長続きがしないというふうに感じておりますので、市町村別に栽培計画をかなり先を見越して立てていこうというのが第一番でございます。それに伴いまして生産増強のための必要な諸施策を、土地改良であるとか、その他機械の導入であるとか、そういった一連の処置策を基本的な考え方を基礎にして打ち立てまして、それによってテンサイそれ自身の生産の振興並びに今後必要とするテンサイ処理工場の導入について秩序と安定との基礎を立てたいというのが第一番でございます。これにつき、しては、ただいま関係都道府県と農林省の方とでその具体的な進め方について作業を進めております。相なるべくんば、長期のものがよろしいわけでありますが、市町村別ということになりますと、なかなか前提要件がむずかしいものでありますので、とりあえず、三十七年度まで、それから三十七年度以降というふうに期間を分けて、こういった積み上げた生産計画の作成に着手をいたして、おるわけでございます。
 第二番目に、そういった栽培計画の樹立と相待ちまして必要なことは、テンサイの価格の問題でありますが、「最近におけるてん菜栽培の発展がてん菜価格の安定に基くところが大であることに鑑み、今後も原料価格及びてん菜糖製造業者の生産農家に対する助成措置等はこれを維持することとし、原料価格維持のために必要な告示及びてん菜糖の買入を行う。」、てん菜生産振興臨時措置法が制定されまして以来、農家のテンサイの売渡価格の最低価格の農林大臣が告示をいたし、また、その最低価格によって買い入れましたテンサイの製品でありますテンサイ糖を所要の経費を加算いたしまして政府が買う、そういう措置によりまして価格の安定――最低の価格の安定が期せられると思います。そのことがその後の北海道におけるテンサイの増産に非常によい影響を与えておりますことも事実であります。今後もその基本的な施策を引き続き実施をいたすというのがここに書きました要件でございます。「なお原料価格を維持し、またてん菜糖製造業者間の買上条件等を可能な限り、均一化するため関係者による協議会の運用を指導する。」、この点につきましては、従来も、先ほど申しました農林大臣の最低価格の告示がございまして、また製品の買上価格算定に用いました各種の諸条件が出ておりますので、それが一つの骨子となりまして各関係者間の取引の基礎をなし、それによって道庁の指導によって各工場間あるいは各会社間のそういった取引条件の調整ということが行われておった次第でありますので、その関係を今後も引き続き行うということで特にこういうふうに書いてありますゆえんのものは、あとの方に出ております五番目の「関税、消費税の適正化」というところで御説明をいたします。今回関税、消費税の振替を行うことによりましテンサイ糖製品の市場における価格関係が従来と変って参りますので、その関係を考慮してこういった各工場間の取引条件の可能な限りの均一化あるいは生産者の手取り価格の、最低生産者価格の維持ということについて、特に第二番目で改めてそういったことについての不安をなくすための諸措置を強力にするということを申しておる次第でございます。
 次に、三番目の「集荷地域の調整」でありますが、「てん菜糖工場の経営の健全化と、てん菜栽培の安定的な発展のためには適正量の原料、てん菜の集荷が円滑に行われることが必要であるので、農林省、北海道庁、生産者、てん菜糖製造業者その他の協力により、てん菜の集荷地域を策定する。なお、2及び前項の目的を達成するため農林大臣は必要と認める場合には、てん菜の買入その他生産者との一取引についての条件及び買入方法等に関し、てん菜糖製造業者に対してん菜生産振興臨時措置法第八条の規定による指示を行うものとする。」ということになっておりますが、2で申しましたような最低価格の告示あるいは取引条件についての一つのめどが出ますけれども、これを実際に適用し、また年々生産されますテンサイをどの工場にどういうふうに結びつけて販路の安定あるいは生産の安定をはかるかということにつきましては、放置をいたしますと、いろいろ諸条件の違いその他によりまして混乱を来たして、そのことがテンサイの秩序ある増産に悪影響があるというふうに考えられますので、ここに書きましたように、関係者による協議によりまして秩序のある計画を立てて参りたいということでございます。本件につきましては、具体的には、ただいま通達によりまして指導をいたしておりますが、てん菜生産振興臨時措置法の第三条に、北海道知事は、テンサイの振興に関する必要な計画を樹立をいたしまして、それを農林大臣に提出いたして、農林大臣の承認を受けなければならないという規定がございます。そこで従来は、その第三条によります計画は年々の生産計画、1で申上しげました長期的なものではございませんが、その当該年度の生産計画、純粋の生産計画にとどまっておりましたわけでございます。今後は、今読み上げましたような趣旨によりまして、この第三条の計画に、生産されましたテンサイの出荷と申しますが、販売と申しますか、に関する計画を合せて道庁作成をお願いをいたしまして、それを第三条の趣旨に従いまして農林大臣に承認を求めていただく、そのことによってこの文書で書きました点を制度的に確保いたしたい、かように考えております。道庁でその計画を作ります場合には、この趣旨にありますように、各方面の御意見を十分聴取をいたしましてその御意見の出たところによりまして所要の調整を加えていく、そういうことでこの地域調整と申しますか、出荷計画と申しますか、これを適正に、かつ、無秩序にならないように指導して参りたい。農林大臣はその計画を承認いたすわけでありますが、承認をいたしますと同時に、各製糖業者に対しましては、同じく、てん菜生産振興臨時措置法第八条に買入れに必要な指示を行うことができるという規定がございますので、この道庁が農林大臣から承認を受けた計画に従って、生産者から買い入れを行うべき旨を第八条によって農林大臣が各製糖業者に指示をいたすというふうに考えております。この前段、後段を振興措置法の第三条と第八条を活用いたしますことによって制度的に確保いたし、確実に運用して参りたい、かように考えます。
 次に、第四番目の「新設工場設置の調整」問題でありますが、「新工場の濫設はてん菜糖工業の健全な発展と、てん菜栽培の振興とを阻害する恐れがあるとともに他面新工場の設置によっててん菜栽培が促進されることも考えられるので、1によるてん菜長期栽培計画に基き時期と立地とを勘案して計画的に新設工場の適正な導入を図る。」、これは昨年来、現在は御承知かと存じますが、日本甜菜糖工場の三つの工場、それから芝浦精糖の北見工場、北海道経済連の斜里工場、この五つが三十三年産については稼働いたしております。明年は、これに目下建設中の台東の伊達工場、それから日甜の美幌工場が新しく操業を開始いたしまして、合計七工場で三十四年産のテンサイの処理をいたすことになっておりますが、昨年来、他の幾つかの製糖業者から、新たに北海道においてテンサイの製造を行いたいという旨の申し出が出ております。新設のほか増設等を含めまして、八つの工場が今後数年のうちに稼働いたしたいというふうに意思表示が私どもの手元にも出ております。で、大へんけっこうなことなんでありますが、1にの述べました長期栽培計画、特にこういった原料の集荷面に非常な微妙な問題がございますので、町村別の生産計画に見合って、その増産のテンポと、それから地域的にもその増産の可能性あるいは集荷の可能性というものについて、既稼働工場との調整を十分考慮して、その新しい工場の導入をはかりませんと、いたずらな混乱を生じ、また農家にもかえって動揺あるいは不安を与える結果にもなりますので、ここに書きましたように、市町村別栽培計画をまず固め、その栽培計画から、おのずからどの時期にどの地域に工場がどのくらい可能である、あるいは必要であるということを十分実証的に割り出しまして、その結果に基いて導入をいたして参るというのがこの四番目の項目でございます。
 次に五番目でありますが、関税、消費税の適正化の問題です。国内甘味資源の対外競争力を強化し、てん菜糖工業の自立を促進するため税制を改正することとし、輸入粗糖の関税を現行キログラム当り十四円(精糖換算六百グラム当り八円八十四銭)、これは六百グラムと申しますのは一斤に相当いたしますが、それをキログラム当り四十一円五十銭(精糖換算六百グラム当り二十六円二十一銭)に引き上げるとともに、精製糖の消費税を現行キログラム当り四十六円六十七銭(斤当り二十八円)から二十一円(斤当り十二円六十銭)に引き下げる。この措置を講ずることといたしたわけであります。で、このことにつきましては、すでに別途大蔵省所管で、所要の改正法案が出ておりますが、この関係を簡単に御説明いたしますために、別にお配りいたしました二枚とじの「甘味資源の自給力強化綜合対策糖価関係資料」というのがお手元に差し上げてあると思いますが、それによって見ていただきますとわかると思います。
 まず関税、消費税の……
  ―――――――――――――
#18
○委員長(秋山俊一郎君) ただいま大臣が見えましたので、この甘味資源に関する質疑はちょっと中断いたしまして、先ほど議題に付することになっております農地の件を議題にいたしたいと思いますが御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○委員長(秋山俊一郎君) では、さように計らいます。
 この件につきましては、河合委員から緊急に質問の御要求がありますので、この際に御発言を願うことにいたします。
 なお、この件について政府から三浦農林大臣がお見えになっております。
#20
○河合義一君 私は、兵庫県における、兵庫県ではダムが東條ダムと引原ダムの二カ所できております。この東條ダムはもうすでにこれはでき上っているのでありますが、この補助ダムといたしまして、県下の加東郡東條町松澤部落の、今より百年ほど前に建設いたしました部落有の安政池を拡大いたしまして、ここに補助ダムを作るということになっているのでありますが、この補助ダムの建設におきまして、村民を初め、私たちもまことに不都合なやり方であると思っている点があります。それは元来こういう工事を営みますときに、私はあらかじめ予算がちゃんと立てられていると思うのでありますが、この安政ダムの建設に際しまして、やはり予算がどれほど立てられているのでありましょうか、まず第一にその点を伺いたいと思います。
#21
○説明員(清野保君) 国営の東條川の事業につきましては、現在舟木池の工事を終りまして、その機械をもって今お話の安政池の工事にかかっているわけです。東條川の国営事業は、全体で約十八億二千七百万円かかる予定でありまして、三十三年度までに約十一億七千九百万、あと残り六億四千七百万円を残しておりまして、本年度約一億の経費をもって安政池の工事の今後の進行と、なお舟木池その他五号幹線の補助の工事を進めまして、この事業は開墾と灌漑排水、その両方の目的をもっておりますので、それの灌漑池並びに開拓地の開田を進めて参る所存でございます。
#22
○河合義一君 ただいま聞きました安政ダムの予算のうちで、松澤という部落が今より百年ほど前に作りました安政池の土堰堤であります、この土堰堤を、新規に作りますところの安政ダムに、そのままそれにかさ上げをしまして、元の土堰堤が利用されるのでありますが、この部落右の安政池の土堰堤に対しては、これを無償で取り上げるというようなことは計画されていないと思うのでありますが、果してそうといたしますならば、どれほどの予算が置いてあるのでありますか、それを承わりたいのであります。
#23
○説明員(清野保君) 安政池の補償につきましては、昨年の一月二十日に京都の農地事務局長、安政池の灌漑地域である松澤部落の区長である吉田寅男氏との間に一応協定が済みまして、その協定によりますと、安政池築造に伴う買収並びに損失補償といたしまして八百十七万一千円を支払う。なお、これの付帯条件といたしまして、薪炭採取道路あるいは橋梁の架設、必要な保全施設等をさらに加味すると同時に、安政池築造に関する前項の補償はこれをもって完了し、乙は今後他の補償要求をしない、こういうふうな協定ができております。農林省といたしましては、安政池の今後の工事の進捗に応じまして、三十四年並びに三十五年の二カ年間でもって、安政池の土堰堤の工事が完了する、こういう趣旨の予算を現在考えまして、実施に移すつもりでありまして、補償等につきましては、地元から土堰堤の土代としての補償要求がありますので、それらにつきましては、今後調査を待った上で善処いたしたいと思っております。
#24
○河合義一君 ただいまの承わりました協定の事項のうちで、もとの安政池の土堰堤に対する補償はどれほどになっておりますか。私の聞いたところによりますと、その土地の平面的な面積に対してはそれは補償がございます。しかしながら、土堰堤というものは、築造された、立体的になっておるものでありまして、それに対しては一厘も補償の予算がないように私は見受けるのでありますが、果してそうでありましょうか。
#25
○説明員(清野保君) 先ほども申し上げました通り、土堰堤の土代に対する補償の御要求に対しましては、目下農林省事務局並びに県当局、なお地元の関係者と協議を引き続き行なっておりますので、それらの内容の決定いかんによりまして、現在土堰堤の工事に盛っております予算の中から、それが必要と認められた場合には、その一部をさきましてこれに充てると、こういうふうな考えでありまして、現在土堰堤の土代の補償に対して幾ら含んであるかという御質問でありますが、それらに対しては今申し上げたような次第でございます。
#26
○河合義一君 ただいまのお話ではやや了解ができますけれども、その補償については、将来の問題と今おっしゃっていますね、そうでありますか。
#27
○説明員(清野保君) その土代の補償を支払いすることが適当であると認めた場合の将来でございます。
#28
○河合義一君 松澤部落におきましては、この問題につきまして、もうすでに五回も農林省へ出て参りまして、陳情をいたしまして、その補償をいただきたいということを申し出ておるのであります。しかしながら、それは将来よく調査をした上で補償代を下付すべきものなれば出すというようなお答えは受けておりません。それならば、私たちはあえてこの委員会の問題にいたしまして、三浦大臣まで来ていただいて、こういう問題を持ち出さないのです。まことに不親切なやり方です。そういうことをはっきりなぜ言ってくれなかったんですか、現にこの席へも農林省へ陳情に参りました部落の二人の代表者が入っております。私は、今までに農林省のお役人がなされたことと、今言われたこととは、まことに大きな違いがあります。私もこんなことを大臣の前であなたに申すことは別にやりたくはないんです。もう少し政治というものは、ことに農民などというものに対しては丁寧に、たとえ間違ったことで、よろしい、補償はもらわなくてもよろしいということを申しましても、それはみな諸君は税金で国へ金を出しておるのだから、その税金でこういう工事をやるんだから、もらうべきものはりっぱにもらったらいいのだから請求せいということを教えてやらんならぬ、それがよい政治なんです。それを下の人になるとおどしつけるんです。そんなことでは日本の農民は立ち行きません。どうですか、大臣はそれについてどうお考えでございますか。
#29
○国務大臣(三浦一雄君) ただいま安政池の補償の問題でございますが、私は具体的にはただいま実は事情をはっきり存じておりませんが、はなはだうかつでございますが、今初めてその事態に接したような次第でございます。これは地面は買ったということで一応補償は済んだかのごとく思われるのでございますが、かくのごとき土堰堤等を買います場合に、普通の地面の買い方でございますと、地上地下、当然にこれは売買の対象になるわけでございますが、かくのごとき場合に果して土堰堤の地積だけが問題になっておるか、かさ上げされておる土そのものが補償の対象になったかどうかは、これは従来の慣行もありましょうし、法律問題としては相当困難な問題じゃないかと思うのであります。しかしながら、それらに関連してさらに聞きますところ、今も御説明申し上げました通り、他の関連することで村との話し合いもだんだん進めて参った、すなわち他の便益を与えるということでだんだん話し合いを取りきめてきた、こういう経緯もあることでございます。さようなことでございますから、これはただ単に法律論だけでも解決しかねる問題でもありましょう。しかし、われわれとしては、国の行政を担当する者としては、法律違背のことはこれはすることじゃございません。同時にまた、それが許されるものとしても、次に村との話し合いによって各種の便益を提供する、それらの総合的な話し合いの結果、一応補償問題等も協定が成り立ち、かつまた、そのことについてはもはや持ち出さない、こういうふうなことの取りきめがあるわけでございます。これらの経緯から考えまして、そう私は簡単なものじゃないと思います。しかし、扱いの問題としては、今河合さんの御指摘になりました通り、十分にその条理を貫いて、そうして適正な措置を講ずべきだと思いますから、先ほど建設部長も申し上げまし通り、十分にこの事態を究明し、そうしていやしくもこれは補償すべきものでございまするならば直ちにその手続をとる、こういうようなことをいたして、地元民の意思を尊重して参りたいと思います。
#30
○小笠原二三男君 関連。だんだん質疑の過程で話を聞いて、なかなかこれはおもしろいケースだと思ってちょっとお尋ねします。この安政池は水利事業の補助ダムとして建設されるようですが、これが竣工の暁はどの程度の水の利用になるか、それからこの補助ダムに対する受益面積は幾らぐらいになるか。
#31
○説明員(清野保君) 安政池は、高さが二十九メートル五十であります。貯水量は六十四万二千五百トンありまして、東條川の国営事業四千町歩の中の一部を補助的に灌漑をする役割を持っております。安政池の灌漑面積等につきましては、詳細な資料を持ち合わせございませんので、的確にお答えできませんが、おおむね三百町歩ないし五百町歩程度の灌漑ができるものと考えております。
#32
○小笠原二三男君 それからもう一つお尋ねしますが、旧部落有の土堰堤そのものを骨にしてかさ上げするわけですか。これは撤去して、別地点に新造するわけですか。
#33
○説明員(清野保君) 旧安政池を中にかかえ込みまして、新しい堰堤、いわば堰堤のかさ上げをすることになります。
#34
○小笠原二三男君 そうすると、既設のダムは、新工事になる土堰堤の一部をなすという結果になるのですか。
#35
○説明員(清野保君) その通りでございます。
#36
○小笠原二三男君 それが、今後県、部落、農林省等と協議しなければ補償の対象になるとかならぬとかきめかねるという問題点はどこにあるのですか。
#37
○説明員(清野保君) 先ほども大臣からお答えいたしました通り、その旧安政池の敷地を国が買いまして、なお一応の地元との協定では、補償はこれをもって完了したい、こういうような内容になっております。そういう点が第一点。もしこの堰堤を補償するとすれば、どういうような方法で許可するか、こういうような問題が、ただいま申し上げました法律的な問題、技術的ないろいろな困難な問題が交錯して参りまして、従来こういうような堰堤の補償をいたしました事例の調査並びに補償をするとすればどういうような方式によるか、あるいはこれを補償した場合に、今後の仕事の上での取扱い上の問題、そういうようないろいろ複雑な問題が起って参りますので、それらをいろいろと勘案した上でこの補償問題に対する検討をいたしたい、こう考えまして、事務局あるいはこのダムに関係のあります土地改良区等と協議をするわけであります。
#38
○小笠原二三男君 それが部落の方々、いわゆる部落有であるがゆえに土堰堤そのものについて補償をしてもらいたいと言うてきておる理由は、常識的に、私の想像ですけれども、今聞いたところですから想像ですが、これが、新しい補助ダムができることによって、その部落の耕地面積がふえるとか、農家個々が受益するとかというような問題があれば、一般的にはこれはこうういうことを言わぬで承服するでないかというふうに想像される。従って、この地域は、そういうものでなくて、図面で見ると、下流における他町村が受益するのであって、部落としては、既設の安政池そのものの水の量でそれぞれの灌漑の用には足りておる、こういうところに一つ問題があろうと想像される。もう一つは、常識として、われわれは先祖代々このダム、土堰堤を作り、土堰堤を部落自身が労力なり、金なりを出し合って修理をし、そうして今日まで修復して使ってきたんだ、それが今度の工事設計で見れば、土堰堤そのものの基礎の一部をなす、そうなれば、その分の工費の節減になるじゃないか、土量そのものばかりでなくて、それだけの基礎を作っていく工賃そのものも節減になるじゃないか、それならば、他地域に同様のものを新設するものとしての工費が幾ばくかかるというなら、その土台、できておるものの部分は差し引いた工費、これで完成されるのじゃないか、従って、従前のものについては、その分買い取ってもらいたい、補償してもらいたい、こういうところが常識になって、この話が起ってきているのでないかというふうに、さっきの河合先生のお話から私聞き取ったのですが、そういうことはどういう補償になるのか、技術的にもむずかしいし、先例がないというようなことで、物のきめよういかんによっては、補償の対象にはならぬのだという結論も出し得るくらいに考えておるのですか。建前としては、工事費が節減されるということにはならぬのだということなのですか。工事費が、やはり基礎があるから節減されるんだということはお認めになるのですか。どうなんです、その辺のところは。
#39
○説明員(清野保君) 若干説明が不十分のために、補償の内容につきまして先生の誤解を招きましたことをおわび申し上げます。実は、このダムの土地を買収いたしますと同時に、このダムが完成いたしました暁における、いわば反対給付というものを考えておるわけであります。もちろん、これはその当時の交渉の記録等から推定いたしたのでございますが、土堰堤の土を買収する、あるいはしない、そういうような問題も当時あったようであります。しかし、農地事務局並びに現場の事務所としては、土堰堤が完成した暁には、その土堰堤の樋門の操作あるいは拡大しました貯水池の漁業権、水面使用権、その他観光による利益、それから既設の道路の幅員の拡張、それからこの地域における水田の開田事業、そういうようなことも一応考慮いたしております。なお、現在の旧安政池の堤防というものは、百年以前に作られまして、その後地元の管理によって現在までも維持保存され、利用されておりますが、今度新しく堤防が作られることになりまして、旧安政池よりもはるかに近代的であり、堅固な堤防ができまして、絶対に堤防の危険ということがなくなる、また維持管理費、従来使ってきました維持管理費が軽減される、こういうような点もあるわけでございます。なお、御質問になりました補償をしない建前かというようなお話でございましたが、それはあくまでも、先ほどから申し上げておる通り、いろいろと補償に対する十分な調査検討を加えまして、その上で考えるというわけでございまして、しないとかするとかということをここで申し上げるわけには現在の段階では参らぬのでございます。といいますのは、先ほどから御説明しております補償の対象になりますところの土堰堤の問題が、たとえば、いわゆる現在行なっておりますところの電源開発等の補償基準によりましても、妥当投資額あるいはその耐久年数というような点から考えますというと、そういうものは出て参らぬのでございます。従って、新しい角度からこの問題を検討しなきゃならないというような点でもって、いろいろと検討しておることもわれわれとしては事実ごでざいます。
 なお、この工事によってどのくらい工費がもうかるかというような御質問でございましたが、この土堰堤は、先ほどもお話ししましたように、百年前にできております。この土堰堤を新土堰堤にかかえ込むにつきましては、やはりこの土堰堤をそのままかかえ込むというわけに参らぬのであります。現在ありますところの草だとか、あるいは古い樋管だとか、余水吐とか、そういうような新しい土堰堤として不必要なものがございますので、そういうものを撤去いたしますというと、その経費は相当な量になって参りまして、その利害得失もいろいろと計算上では出て参るのであります。従いまして、それらの点もいろいろと考慮をいたしまして、今後研究いたしたいと、こう考えております。
#40
○小笠原二三男君 既定契約があるんで、そのときに実は問題は解決しているはずだと、農林省も親心をもって付帯施設について金を出すことも考えておるんだ、満足されておるはずだ、それがあとから土を買うということは、ちょっと困ったことが起ってきたもんだ、法律上はもう契約ができたもんだから受けつける必要がないんだという、その腹がまえが農林当局にあるとすれば、この問題はなかなか片づかぬことだと思うのです。しかし、今聞いた限りの範囲では、道路の幅員を広げるとかなんとかいうようなことは、結局、普通のダム建設に伴う湛水面積が広がることから起ってくる障害を除去するということで、当然それは施工者側においてやる筋合いのものを契約しておるように思う。それからまた耕地なり林野なり、この池の部分が広がってくる部分については正当に買い上げる、そういうようなことなど、それは当然それはそれ自身として起ることだと思うのです。しかし、そのことと、この土堰堤そのものがここにあって、それを基礎にして新土堰堤ができるということとは別問題なんです。それは草を払う、上土を払う、そしてまた固めた上に新しい土を盛る、いろいろそれは金がかかる、それはそうでしょう。しかし、そのことが補償についてめんどうだというような理由にはならぬようにわれわれは思うのですね。それで補償するものか、見舞金を出すものか、それは私にもよくわからぬが、ほうってはおけない問題だということだけは意見が一致しているのか、四の五の言うなら、既定契約にあるんだから、そして乙は甲に対していささかも異存はない、何ら法律的には争いをしないという一札が入っておるんだからかまわない、こういうことでいくのか、その点だけはまだ答弁の限りじゃありませんなんていうことではないと思う。それははっきりした方がいいと思う。私は、われわれに突っ込まれるからとか、まあ適当に政治的な答弁をしておきましょうなんていうようなそんな御遠慮は要りませんよ。はっきり言ってもらいたい。言われたことによって、どうもそれはおかしいじゃないかということになったら、おかしくないようにまた私たちは質問する点は質問するし、争う必要があるとなれば争う、そういう点は明快にした方がいいと思うのです。今の御答弁ではどういうことかさっぱりわからぬ。この既定契約の方を固執しますか。それともこの新事実――なるほど、これは見そこなった点がある、何とかしなくちゃいかぬだろうという考え方に立ちますか。その方向いかんによっては問題の取り上げ方が違ってくるわけなんです。まあ大臣が御答弁なさるならなおけっこうですが……。
#41
○国務大臣(三浦一雄君) 実はこの補償問題は、八百万円の補償金のほかに、地元の便益を供するということで付帯的な条件がついておるわけです。それをあわせて今の協定が成り立っておる。
#42
○小笠原二三男君 それは一般の電源開発でも多目的ダムでも普通のことなんですよ、そんなことは。
#43
○国務大臣(三浦一雄君) ちょっとお待ち下さい。それは通例あり得るのですけれども、その協定ができた、しかし、その協定をいざ実行するに際して、当事者の行為が、土まで買ったのか売ったのかということが要点だろうと思うのです。従いまして、これを深刻に争うならこれはもう裁判によるほかはなかろうかと思う。しかし、その当時県が中に入ったり、土地改良局が入ったり、そしていろいろ入っておりますから、その過程におきまして、その点がはっきりわかるようなことでございましたならば、それによっておのずから結論が出る、こういうわけでございます。一応は農林省として協定はできておるのだ、その協定に盛り込まれたものの真相を見きわめましてそして善処して参りたいというのが建設部長の説明の要点でありまして、農林省としましては、何も裁判ずくめでやる、権力ずくめでやる、こういうことはない。検討させてその事態に即して善処していきたい、こういうことでございますから、これはどうもここで具体的に補償するものの可否、その限度、それからまた従来、八百万円のほかに提供せんとしておるいろいろな諸条件の評価などというのも、ここで具体的に取りきめするというのは不適当でしょうから、今の私の申し上げたことを御了承下さいまして、今後の農林省の善処を一つ御信頼をいただきたいと、こう思います。
#44
○小笠原二三男君 もう一点だけ。善処を信頼せいという大臣のお話ですから信頼しましょう。それで今まで相当時間がかかったというふうな話でしたが、建設部長にお尋ねしますが、いつごろをめどとして結論を出しますか、それだけは承わっておきましょう。
#45
○説明員(清野保君) 今、大臣からのお話がありました通り、われわれが陳情がありまして、この問題を取り上げた、決して不まじめにこの問題を取り上げておるつもりはありません。あくまでもわれわれとしましては、内容をまじめに検討いたしておると、こういう事実をお察しいただければ、われわれの大体の立場を御了解いただけると思うのであります。
 なお、いつまでというようなお話でございましたが、これはできるだけ早急にというよりほかありません。その点につきまして農林省を御信用願いまして、今後とも検討を続けることをお認めいただきたいと思います。
#46
○小笠原二三男君 これは一般的ですが、農林省関係の公共専業は予算はきまった、現地の事情がきまらぬ、それ、どうだこうだということや、設計変更だということがあって、既定方針通り一回だってやったことがない、といっては過言かもわからぬから、まあそこまで言わぬが、私の知っている範囲では、予算はあってもなかなか着工の運びに至らぬ、また、着工になってもそれが進捗するのに手間がかかり過ぎる、そういう点からいってもこの種の問題は今に始まったことではない、そうして継続事業でやっておられるようですね。そうだとするなら、速急に解決したいというようなことなんだが、めどは示してもらいたい、今に始まったのではないのだから、どうこうするという方針だけでもきまるめど。そのめどのときになってもきまらぬということはあるでしょうが、めどを示してもらいたい。そうでないと建設部長にははなはだ失敬な言い分ですが、ちょっと信頼が置けないよ。速記をつけておるところなんだからなお聞くのです。
#47
○国務大臣(三浦一雄君) これは先ほど申し上げました通り、事態を早急に検討しまして、そうして三十四年度の建設に支障を来たさないように早期に解決したいと考えますから、いましばらく時日を貸していただきたい、こう考えます。
#48
○河合義一君 村の代表者が安政池の普請収入費並びに人足貸出入りの完了の控え帳、これは維新前にできたものでありますが、この費用は合せて銀三十何貫、それからまた四十年後に補修をいたしまして、今より二十年前であります。その補修工事に従事した農民も一人上京しております。この室に入っております。私はこういう古い文を保存しておることはまことに心がけがよかったと思って喜んでおるのですが、これを一つ農林大臣ごらんに入れますから、どうぞ見ていただきたいと思います。次官もよく見ておいて下さい。
 それで、ただいま委員会の席上でお話を承わりますと、建設部長も相当丁寧にまことしやかなことを言われますが、村の代表者が農林省に行ったときに、こんな扱いをしてくれない、一体、農民というものは日本の国の食糧生産のために一生懸命やっておるじゃありませんか。それをこういうようか取り扱いをしてはいけません。農林大臣の職におられる三浦さんはどうぞ農民のことを思ってやって下さい。その点、どうですか、農林大臣の意見を承わります。
#49
○国務大臣(三浦一雄君) 地元からの陳情等につきまして、何か非常に不行き届きがあっということはまことに遺憾でございまして、われわれとしまして、農林省は一貫して農村のことを十分に配慮するということは、これはもう当然の使命だと考えておるのでございますが、本件に関しましては、非常に御指摘のようなことかあったことは遺憾に思います。今後とも十分注意いたしまして、これらの案件等の処理につきましては十分慎重を期して参りたいと思います。
#50
○河合義一君 以前に農地局長にあの農林省の分室で代表者帯同で私はお目にかかったことがあるのであります。そのときに農林省及び地元の役所と交渉したそのてんまつを詳しく書き出せということを言われましてこれを出しております。これを見ていただいてもはっきりするのであります。時間が足りませんから、これは農地局長に出しておきますから、もう一度よく建設部長も読んでいただきたい。どうかこの農民の代表が村にはっきりした、明確なみやげを持って帰ることができるようにやっていただきたい。それをいただくまでは農林省に座り込みをやります。私も年をとっておりますが命がけでやります。大臣室で座り込みをやりますから、どうぞそう思っていて下さい。元来、この地図は東条川の建設事務所で作ったものと思いますが、ここにも新たな土堰堤と在来ある土堰堤とがはっきりしておる。これを利用するのには、土手の木を切ったり、草をどけたりしなくちゃならぬからその費用が要ると言われますけれども、この土堰堤には木は一本もはえておりませんぞ。建設部長はごらんになったことがありますか、ないでしょうが。私もお供しますから、一ぺんに見に行って下さい。それで在来あります土堰堤を、現在これを築造しようとしますと二万五千立米の土が要るのです。そうしてそれを遠くから持ち運ばなくちゃいかぬ。そうして現在の貨幣で申しますと二千五百万円の金がかかるのです。それだけ金が少くて済むのです。二千五百万円するものを一文も補償をせぬと、村の持っておるものを無償で取り上げるということは私はこれは間違いだと思います。どうですか、やはり無償でいいんですか。土手に樹木があるということを言われましたが、ありますか、そんなものはありませんよ。
#51
○国務大臣(三浦一雄君) ただいま年来、百年間におけるいろいろな手入れとかなんとかいうようなこと、さらにまた今の土堰堤の土がどうだということをここでだんだん御論議になりますと、これはだんだん法律的な問題になったりします。それをどうも一々ここでどうだと言われますると、やはりこちらも法律的な論議をせざるを得ないので、これは不適当だろうと思うのです。われわれの方としましては八百万円を出しましたのにも、それだけ長い年所の間それを築造し、管理維持してきた現状と敷地全体を包括して買ったのでございますから、これらが当時のお話し合いの上にどういう配慮をすべきであったかということが書面上で現われておりませんでも、いやしくも当時の話し合いがありましたならば、それらの事態を究明し、同時にまた、付帯して地元の便益を提供するということもあったのでございますから、それらの関連において、総合的にこれを見て、そうして最終的な解決をいたしたいという念願でございます。まあ御論議は御自由でございますけれども、もしも河合さんの仰せになるようなものが法律的な根拠になり、さらにそれを御主張なさるということであれば、なかなかその検討にも手間をとるし、それと同時にまた、当事者間の意見が合わないと、こうなりますとむずかしいものでございますから、願わくは先ほどお答え申しました通り事態を、その当時の契約、当時の事情なり、あるいは、その間に折衝しました者との事情を究明しまして、同時にまた、幾多の旧来の堰堤、堰を買収して加算しておるというような事例も多々あるわけでございますので、これらの事情を十分くんで、そうして後の処断を一つ御信頼下さるようにお願い申し上げ、それからまた同時に、関係の人人に対します心やりをもってやるということにつきましては、今後とも十分に注意をいたしたいと思いますから、さよう御了承願いたい。
#52
○河合義一君 よく今まで交渉の際に言われることでありますが、そんなことは全国的に見て例がないと言われるんです。そんなことを根拠として取り上げるということは間違っておるのです。この際、よき前例を作ったらいいのです。前例がない、前例がない――それは言いたいことはたくさん、そのときどきに間違ったことを言われておりまして、それを今日一つ反駁をしたいと思って用意はしてきておりますけれども、それはもう時間もたちましたからやめますけれども、誠意をもってよき前例を作っていただきたいと思う。例がないからそんなことはできない、今ある土堰堤を利用するのには、木も切らなければいかぬ、草も刈らなくちゃいかぬ、そんなことは何でもないことです。それは村の人が、それをやれいというなら村でやります、そのくらいのことは。もう少し誠意をもって親切に取り扱って下さい。私はあちらへ行っていると、農林省の命令に従って動いているということではねつけられてしまう、こっちへ持ってくれば地元がどうだとか、あっちへ行けば農林省がどうだ、そんなことで、農民がもてあそばれておっては百姓もできませんから、安心して百姓ができるように、建設部長も一つしっかり腹に入れてもらいたい。あなたの決心をもう一度伺いたいと思います。
#53
○説明員(清野保君) 河合さんから今いろいろとおさとしがございましたが、そういうような気持、誠意をもちまして、農林省並びに農地事務局並びに建設事務局がこの問題に当るように私からはっきり申し上げておきます。
#54
○清澤俊英君 ちょっと付帯としてお伺いしますが、先ほどちょっとお伺いしておりますと、安政池を直すことによって、受益面積四百町歩といわれておる。松沢部落が旧来から持っておりましたその受益面積に対して、非常に有利な利益をするという変更の何かがありますか。そういうことは計算になっておりますか。聞きますと、元来、自分の持っている安政池それ自身ですべてがまかなわれておるので問題ない、結局すれば、広範な農林省の計画によりまする他の地区の開墾並びにその灌排水に対する受益の利用のために作られる一つの犠牲的な形ができ上っている、こういうのですが、村の人の言うのには。こういうケースは私はあまり数ないのじゃないかと思うのです、こういう場合に補償問題が取り扱われる場合は、私は当然その在来のため池等を利用して、自己の、その部落もしくはそのため池の給水面積等によりよい効果をもたらす、こういうものであれば非常に考え方が違うと思うのです。自分のところではないので差しつかえないのだ、それでやっていけるのだ、問題ない。ところが、他のものをやるために、そこをなお拡大して、他の広い範囲のものにするための利用に買い上げられる、こういう形になっているのです。これは私は区別すべきものと思うが、その点どうお考えになっておりますか。おそらくはそういうケースは数ないだろうと思うのです。
#55
○説明員(清野保君) 安政池の松沢部落約二十七町歩の灌漑に対しては、もとの安政池は一応支障なく灌漑されておるというふうに聞いております。
#56
○清澤俊英君 でき上ったならば、それがなお利用できるなにかがそこに残っておるのですか。聞きますと、そういうものはないのだ、こういうことを言うておる。それから、聞きますならば、申し合せ事項かなにかをいろいろ作られている。その中には非常に重要な問題としては、かえ地に関する了解事項として、二十町歩の未墾地の解放とこれの開墾というようなことがありますそうですけれども、こういうことは書いただけであって、実際はもうそういう開墾は要らない。そういうものは要らないのだ。要らないものまで書いてある。それから漁業権を云々すると言われるが、これは既存利権であって、前の池自身自分の村の自分の池でありますから、従いまして、それに対する水面利用や漁業権、そういうものはもう前からある。あらためてここで了解事項などにしてもらう必要はさらにないだろうと思う。そういうものが了解事項として残されておったり、あるいは導水路に関する隧道を作ってやるからと言われるけれども、その隧道二百メートルなんというのも、実際上は要らない。こういう要らないものをぎょうぎょうしく書いて、一つの了解事項となって出ているのであります。それが今の計画部長のお話では、こういうものも一つの条件になるのだからということで、大体定められました八百十七万三百七円という補償契約の内容を見ますと、ため池の二町八反というのは、平面積において約二十六万円で買ってある。そこで問題になったのは、今の立体的な築土、それを今現に工事に利用しているんだ、その自分のものを、非常に安いもので提供して、そうして負担金やいろいろのもので、それだけ工事が少くなりますれば利益を受けるものは他のものなんです。しかし、自分は何らなにしないで、一つの利益も受けない。むしろこれを見ますと、非常に犠牲が払われているのじゃないかと思います。水田が一町五畝で百八十七万円、一反歩にしますと幾らになるか、私はまだ出しておりませんけれども、おそらく異例の低価の提供をしておる。山林十六町歩二反、百四十六万円、これは立木等がどういう様子になっているか詳細にわかりませんからこれの説明はちょっと申し上げかねますが、非常に安い。立木が別になって二百六十六万円と出ております。山林と並木の関係がどういうふうになっているかはっきりわかりませんですが、マツタケ山が七町歩で百七十二万円、ちょっと計算をやってみますと、三万にならないと思うのです。非常に、マツタケなんというものは高価な山村の副業植物であって、販売のできるものが三万円くらいで出ている。こういうものを一つずつ見ましても、非常ながまんした安い補償条件がついておる。われわれが、今まで他の地区において行われましたこういうため池を作る際に、全然自分のところに利益はないが、従って、そのため池のできるごとによって下の方がよくなる、そういうことで耕地の買収がありましたり、山林の買収があったり、それらを見ますと、非常に強い契約で買収等が行われて、その上に立って私は開墾等が行われて、ため池等が設置せられる、こういう例はたくさん見ているのでありまするが、こんな安い補償で、自己の持ちますいろいろのものを提供しているというのは、まずわれわれの知る範囲では珍しいケースだと思うのです。こういうケースが出ている限りにおいては、たまたま納得できないという立論に対して、何とか補償してくれ、こう言うのなら何とか考えるという御返事をいただくのがほんとうだ。めんどうなことを言わないで、これはできるだけのことを一つ考えてやろうと言われることがほんとうじゃないか。こんなすなおな補償条項でまとまっているところは、おそらく他に私はないと思うのです。農林省でも建設省でも、電源開発で手をあげた只見川のあの開発のときには、山林を一体一反幾らで買ったんです。われわれもそういう地区にたくさん関係しております。これほど良心的に補償をしたのは例がありませんでしょう、こんな安いもので。そうしてみましたら、これは建設部長、一つ頼みますよ、争いなぞ起させぬで。大臣もそうです、次官もそうです。農民にこの上いろいろの不便を講じて、これに対する付帯工事等でもって、いろいろな自分の所有している山林その他道路その他でもっていろいろ直してはもらえるでしょうけどれも、無形の損害もまだたくさん残っているだろう。農林大臣は、一つこれだけは、この席上において、何とか考えてやる、補償することについて考えてやる、これぐらいの御答弁を私はお願いしたいと思うのです。どうです、いただけませんか。
#57
○国務大臣(三浦一雄君) 先ほど申し上げました通り、事態を究明いたしまして、そうして善処いたしたいと、こら考えております。
#58
○河合義一君 松澤部落の農民がそう強欲なことを言うておるのでないということを、一つの実例をあげて申しますが、この松澤池の上手に奥ノ池というのがあるのであります。これにも堰堤がございます。しかし、新たに大きな松澤堰堤の土堰堤ができましたら、その奥ノ池の堰堤はもう水の中に入ってしまうのですが、それでありますから、この部落有の奥ノ池の堰堤を補償してくれというようなことは一言も申しておりません。しかし、現在あるところの堰堤が二万五千立米であって、今の金にすれば二千五百万円もかかる、草を取ったり、松の木を切ったりするのは――松の木などはありませんが――草を取ったりするのに相当の経費が要ると言われましたが、そんなものは工事をしましても相当助かるのです。新たに作るならば二千五百万円は現在かかるのです。その二千五百万円のかかりを、古い堰堤を出すのにこれは無償であるというのは、あまり虫がよ過ぎますよ。どうかよく善処をしていただきたい。これをお願いして私の発言は終ります。
#59
○委員長(秋山俊一郎君) 本件は、この程度にいたします。
 それでは暫時休憩いたしまして、一時半から続行いたします。
   午後零時二十三分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時九分開会
#60
○委員長(秋山俊一郎君) 午前に引き続いて委員会を開会いたします。
 まず、甘味資源の件につきまして説明が中断されておりましたから継続願います。
#61
○説明員(昌谷孝君) 午前中、御説明が中断いたしましたが、テンサイの振興措置についての第五番目の関税、消費税の適正化というところで文章の御説明を申し上げまして、別にお配りいたしました数字の資料を御説明することにいたします。この糖価関係資料と申します別の「甘味資源の自給力強化綜合対策糖価関係資料」というところで見ていただきましたが、これの一番初めのところを見ていただきますと、関税、消費税の現行と改訂というのを比較して書いてございますが、現行は斤当りで申し上げますと、関税が八円八十四銭、消費税が二十八円、合計一十六円八十四銭ということになっております。これを今回、先ほど来の趣旨から二十六円二十一銭の関税と十二円六十銭の消費税ということで合計三十八円八十一銭ということになるわけでございます。合計額で一円九十七銭、約二円ほど上っておりますのは、振替措置に伴いまして国内産テンサイあるいはその他国内産の砂糖の消費税がごらんのように十五円四十銭減りますので、合計額を従前通りにいたしますと、その分だけ砂糖の税収が減少いたします。その分を、国内産の砂糖にかかっておりました消費税が今後軽減されます分を関税で補いをつけるということで輸入量の数量に振りかえますと、一円九十七銭だけ関税が従前より上るということに結果においてなるわけであります。従いまして税収総額としては量が変りませんでしたら同一ということが主眼となっております。そこで、なぜこういうことになるかと申しますと、次に同じ資料の2のところを見ていただきますと、現行と申しまして標準糖価現行七十一円、これは現在の標準的な国際糖価、船運賃というようなものから積算をいたしますと、在来の税制のもとでは卸売価格の標準が七十一円程度に相なる計算になります。今後、先ほどの約二円の関税の上昇がありますので、それを見込みますと、今後の輸入糖の適正標準価格は七十三円程度と見込まれるわけであります。それから、従来は七十一円の価格という場合には二十八円の消費税が課されておる。従いまして消費税抜きの価格、言いかえますと、国内産の砂糖が輸入糖と競争し得る価格が四十三円ということに在来の税制ではなっておったわけです。今回、その消費税を十二円六十銭ということに引き下げま四十銭ということになったわけであります。つまり、輸入糖に対して国内糖が六十円四十銭で売れれば競争関係が成り立つということであります。そこで、ついでに申し上げますと、その六十円四十銭であれば大体よかろうかと判断いたしましたのは、引き続きましてそこの次の(2)の所でございますが、標準的なテンサイ糖工場の工場コストは五十三円十四銭ということに見込まれます。これに所要の販売諸掛りを加えまして合計六十円二十四銭というのは、私どもが見込みました標準的なテンサイ糖の工場適正価格、あるいは販売経費を加えて六十円二十四銭、従いまして先ほど申し上げましたように、輸入糖から消費税を引きましたものが大体六十円四十銭という程度に見込まれますので、この程度にしておけば国内産糖が輸入糖との関係で対等の競争関係が成立する。それをめどにして消費税と関税と今申しましたような振替措置を講じたような次第であります。
 次に、「てん菜の振興措置について」の本文の方へ戻りまして、第六番目下ありますが、今申しましたような関知消費税を振りかえましたことによって、在来の価格関係、輸入糖と国産糖の価格関係を是正をいたしましたことと関連をいたしまして、てん菜生産振興臨時措置法によりますテンサイ糖の今後の政府の買い上げ措置にも所要の変更が生まれるわけでありますが、それの問題であります買い入れ制度そのものは、午前中申し上げましたように、この措置の第二番目でもうたっておりますように、生産者のテンサイの価格の安定と維持ということをはかりますために、本来の買い入れ制度そのものは引き続き存続の必要がありますが、ただ、その具体的な買い入れの方針につきまして若干の変更があるわけでございます。「関税、消費税の改訂措置により、今後てん菜糖工場は自立できることとなると考えられるが、なお今後においててん菜の価格を維持し、てん菜生産及びてん菜糖工業の健全な発展を確保するため、てん菜生産振興臨時措置法は、存置することとし、次により政府の買上げを行うものとする。」ということで、まずその(イ)といたしまして、現に三十三度に建設がすでに終っているもの、あるいは現に建設中の工場、午前中申し上げましたように、三十三年度に建設を終えたものとしては北連の斜里工場がございます。それから現に建設中の工場と申しますのは、具体的には台糖の伊達工場でございますが、この二つにつきましては、建設当初は、従前の買い入れ措置を前提として発足をいたしております関係もありますので、そういった関係を考慮いたしまして、操業後二年間は従前通り、工場別の価格で買い上げる、工場ごとに必要な経費を見込みまして、工場ごとの原価計算に基く買い入れ価格を定めて買うという趣旨であります。それから(ロ)で今後、今から建設に着手する工場であります、これは一連のこういった税制関係、あるいは一連の考え方を織り込んで新たに工場を作られるわけでありますので、それらについては価格関係から申しますと、先ほど申しましたようなことでありますけれども、やはり操業初年度におきましては、いろいろと手違いもございますし、いわゆる販売等にあまり勢力をそそぐゆとりもないというような事情を考慮いたしまして、初年度は工場の進出を奨励する意味から、やはり工場別の原価計算で買い入れを続けるというわけであります。そこで(ハ)に参りまして、それらの工場を除きました一般の工場につきましての措置が(ハ)に書いてあるわけでありますが、関税、消費税の振替措置に伴って、先ほど御説明いたしましたように、六十円二十四銭という、私どもが見ております普通の標準工場のコストは十分税制措置によって輸入糖との競争に立ち得ると見ておりますけれども、「当面糖価水準その他砂糖の関税、消費税の振替措置に伴う新しい事態の推移は予測しがたい」と申しておりますのは、私どもが七十三円とおいておりますその前提が、七十三円が実現することについての絶対の見通し、あるいは販売経費その他が、私どもが七円十銭というふうに見ておりますのが果してそれで販売競争に伍していけるかどうか、かような事態についての判断が、断定的にここでその通りというふうにも決定いたしかねる要素もございますので、そういうことを考慮いたしまして、(イ)及び(ロ)で御説明いたしました以外の工場については、標準コストで希望があれば政府が買い入れを行う。で、個別原価計算による買い入れば、操業後二年あるいは一年で打ち切りますが、その後は標準原価によっては、買い上げの措置を残すことによって原料テンサイの生産者の価格の維持あるいは安定を確保して参りたい、そういうように買い上げ制度に移行して参るというわけであります。ただし、生産費が著しく低い等の事情によって買い入れを必要としないものを除くということで、具体的に申しますと、日本甜菜糖の経営しております工場ということになっておりますが、これにつきまして、もう一回、先ほどの資料に返って見ていただきますと、先ほどの資料の三ページ目の所にございますが、在来の工場別原価による政府の買上価格が、三ページ目の中ほどから下の所に4として書いてございますが、三十二年度は、日甜は斤当り四十六円二十五銭という価格で買い入れを行なったわけであります。芝浦精糖は初年度でありますので、六十円十銭というような価格で買ったわけであります。そこで、一ページ目で御説明いたしましたように、標準コストが五十三円十四銭で、大体今度の税制によって自立が可能になるということを私どもは予想をして、一連の措置を講じたわけでありますが、日甜につきましては、四十六円二十五銭というような「標準コストに比較して、著しく工場原価が低いわけであります。これは施設の償却が著しく進んでおりますこと、あるいは借入金利子の負担が著しく少いこと等によりますが、こういうような原価構成になっております。従前は、関税、消費税の振りかえ以前でございますが、一ページ目でごらんいただきますように、2の(1)の所の現行というところを見ていただくとわかりますが、消費税抜きの価格は四十三円、先ほど申しましたように、輸入糖と太刀打ちをいたしますためには、原価四十三円でなければ太刀打ちができない。それに対しまして、日甜のコストは、三十二年度において四十六円二十五銭でありますから、これに販売経費を加えたものは五十三円何がしになりまして、とうてい輸入糖との競争関係は成立しなかったわけであります。そのことがてん菜生産振興臨時措置法によって原料価格の最低を保証し、必要があれば買い入れを行うというふうな法律上の規定になっておりましたけれども、この価格関係が、逆ざやと申しますか、国内テンサイ糖に著しく不利な消費税になっておりました関係上、日甜の生産いたしました砂糖も全量政府に売らざるを得ない。政府以外に売れば、必ず大きな赤字が出るという価格関係になっておりましたわけでありますが、今度の措置で、そういうことが解消いたしましたばかりでなく、日甜について申し上げれば、この(2)の標準コスト五十三円十四銭と書いてあるところが約四十五円程度になるわけでありますから、競争関係が成立するだけでなく、相当程度ゆとりが出るわけでございます。そこで、その生産費が著しく低い工場につきましては、てん菜生産振興臨時措置法による買い上げ、最低生産者価格を維持するに必要な買い上げを行う必要がない、こういうふうに見ておるわけであります。そこで、(ハ)のような今後の買い上げ方針を決定いたした次第であります。
 それから次に7でありますが、以上申し上げましたところでお気づきのように、これらの考え方の基礎になっておりますのは、今後の輸入糖の国内価格が、消費税込みで七十三円で、大体推移するであろうということを一つの前提においております。そこでその点と、それからそうしたことによってテンサイ糖の自立の促進もできますし、また甘味資源としての結晶ブドウ糖あるいは水あめ等も需要の喚起が期待できるというふうに、一連の甘味対策を考えておりますので、この七十三円程度の糖価水準というものを維持するために、いろいろの行政措置を講ずるというのがこの7でありますが、三行目の終りに書きましたように、輸入数量の調整等によって糖価の適正なる水準、おおむね一斤当り七十三円程度に安定させることに努める。そこでまず、輸入量の測定について過大ならないように留意をいたしますこと、またその輸入の時期あるいは毎月の要糖量等についても、慎重なる配慮を加えることによって、七十三円の糖価を維持して参りたいということであります。
 それから、なお書き以下に書きました事柄は、先ほど来申し上げましたように、日甜の工場コストは、私どもが想定いたしました標準コストよりもかなり下回っておりますということと、それからテンサイ糖というものが季節的な生産物でありますので、十月あるいは二月の間に集中して生産がされるわけであります。そこで、一般の糖価を維持する意味合いからいいまして、かなりゆとりのあるコストで自立のできます日甜が、生産物の、製品のできました時期に一挙に集中的に市場に製品を放出するというようなことになりますと、他の砂糖にも影響を与え、またひいては七十三円という私どもの考えております糖価水準を時期的に大きくくずすというおそれもございますので、そういう場合に対処いたしますための措置といたしましては、てん菜生産振興臨時措置法第八条、テンサイ糖製造業者に対して製造または貯蔵についても必要な指示を行うことができるというような規定がございますので、この規定を活用いたしまして、そういった糖価水準をかくらんさせるような趣旨の乱売等を防止する、計画的な販売をやっていただくというふうなことを確保いたしたい。もちろんこういう措置に伴って金融その他の措置も必要かと存じますが、そういったことで、第八条を活用する場合も考慮しているというわけであります。
 次に、八番目の日本てん菜振興会の設置でありますが、これは先般提案理由の御説明をお聞きいただきましたが、以上のような一連テンサイについての考え方を進めて参りますに際しまして、在来のテンサイに関する試験研究あるいはテンサイの製造過程にまで及んでの、試験研究、それに似たようなものを、今までのような規模でなくて、飛躍的に強力かつ重点的にやって参りたい、そういうふうな試験研究を、相当超重点的と申してもいいかと思いますが、そういうようにやって参りますためには、特殊法人による試験研究というようなことが、実情に即しているのではないかというふうに考えまして、新たにこういった特殊法人を設置して、それに主として試験研究と並行的に生産奨励なり消費の促進というようなことも合せて行いますが、主としてテンサイに関する試験研究、原原種原種の生産、配布というような仕事をやるというための、特殊の機関を作ることが適当ではないかということであります。これに対しては、政府が出資または補助をするということで、御承知のように三十四年度は初年度でありますので、一千万円の政府出資を予算に計上してございますが、今後五年間程度相当に、約十六億の出資または補助を行なって参る予定にいたしております。
 出資財源とも関連いたしますが、九番目といたしましては、特別の利益の生ずるテンサイ糖業者よりの納付金の徴収を行うことでありますが、これも先般法律の提案理由をかなり詳細に御説明お聞きいただきましたので、おわかりかと存じます。先ほど来申しましたように、日甜のコストと今後実現する糖価水準の間には相当の幅がございますので、これをそのまま放置いたしますことはテンサイの秩序ある振興にかえって弊害がある。同時に、日甜といたしては関税、消費税を切りかえるに際しまして、標準工場のコストを一つのめどにして、日甜以外と申してもいいかもしれませんが、新しく建設に着手いたしました工場の標準的なコストで、なおかつ輸入糖との競争が成り立つ比率の可能なというところを一つのねらいとして、消費税の改訂を行いました関係上、それよりも著しく条件の違う日甜については、反射的な利益が発生いたしておる、これは先ほど来申しましたような措置で調整をいたすだけでは十分でございませんので、納付金という形ではっきり法律で定めまして歳入にいたしていただくということで、別途法律案の御審議をお願いいたしておるわけであります。
 それから十番目は、今まで申し上げましたことは、主として北海道あるいは寒地におけるテンサイの措置でございますが、北海道以外の内地におけるテンサイ生産及びテンサイ糖業の育成のことでございますが、これにつきましては試験研究が十分に進んでおりませんと、うかつな奨励もできませんので、まず試験研究を推進すること、それから品種的にも内地あるいは暖地に適合した品種を選定すること、また栽培の適地を選定いたし合理的な栽培計画の樹立、それから製糖方式につきましても、北海道のように原料基盤が集中的に期待できない内地のことでありますから、果して耕地白糖といったような製糖方式がよろしいのかどうか、これら研究しなければならぬ幾多の要素がまだ未解決のまま残っておる。それを今後強力に推進をいたし、その研究の成果と相待ちまして、実態に即したテンサイ生産及びテンサイ糖業の育成措置を講じていくということを考えておるわけであります。
 大体、以上で先般来御審議いただいております法律案の前提となりました、テンサイの今後の振興措置についての私どもの考え方を御説明いたしたわけでありますが、そういうことで御了承をいただきたいと思います。
#62
○委員長(秋山俊一郎君) 本件に関して御質疑の向きは御質議を願います。
#63
○東隆君 もう少し農林省の方で、甘味資源の自給強化総合対策等がおありになるのですか、その面の御説明を願いたいと思います。
#64
○説明員(昌谷孝君) それでは、多少重複すると思いますので省略をいたしたいのでありますが、別にお配りいたしました甘味資源の自給強化総合対策について、食糧庁という立場について御説明申し上げます。事の順序といたしましては、私ども今これから御説明いたしますこの総合対策というものをまず考えたわけでありますが、そのうち特に立法措置を伴いますテンサイ糖について、引き抜いて先ほど来御説明申し上げたわけであります。で、その意味で、基礎になったと申しますか、根底になった考え方でありますので、そういう意味でお聞きを願いたと思います。
 まず、基本方針でありますが、これは御承知のように、三十三年度の実績で申し上げれば輸入糖は三十三年度粗糖で百十五万トンの輸入をいたしております。それに対しまして国内産のテンサイ糖は約十二万トン弱でございます。そういった状況でありまして、九〇%を海外よりの輸入に依存しておるわが国の現状にかんがみまして、すみやかにこういったテンサイ糖あるい肝カンショ糖、結晶ブドウ糖等、国内の砂糖あるいは砂糖にかわり得る甘味資源の増産をはかりたいということでありますが、昨年結晶ブドウ糖の育成につきまして、澱粉調査会その他の御意見等も伺いまして、今後のカンショ澱粉の新規用途の拡大という趣旨から結晶ブドウ糖というものが非常に期待の持てる新規用途であるというふうな結論を得まして、融資あるいは税制上の措置等、一連の育成措置をとっておることはすでに御説明いたしたわけであります。そういうことをやつて参り、かつテンサイの増産の機運あるいは増産の可能性といったようなことに当面をいたしまして、ここに書きましたような国内自給度の向上をはかるために、全体のあり方を総合的に考えてみたいというわけで、こういった考え方を練ってみたわけであります。まず、その考え方を進めて参ります前提といたしまして、2の所で砂糖類需給の長期目標というような形で今後の姿を予測してみたわけであります。で、「砂糖類の十年後」昭和四十三年度における「自給力強化の目標を次のように想定する。」十年――厳密な意味の十年というふうにも考えておりませんが、ある程度の将来の姿といたしまして、一応四十三年度、十年後を想定をいたしたわけでありますが、砂糖の需要量は大方百五十二万トンになるというふうに見込まれます。このことは現在の砂糖の消費量が大体国民一人当り、三十三年度当初計画を立てましたとき、十三・七キログラムであります。諸外国と比べますと非常に低い数字でありますが、日本の実態は十三・七キログラムであります。これは当然に所得の増、可処分所得の増加等で一人当りの消費量の増加は見込まれますが、これを十年後を想定いたしてみますと、十五・五キログラムというふうな数字を得たわけであります。これは可処分所得が、現在の約八万円が十万円強になるというようなことを前提とし、所得弾性値をはじきますと、十五一五キログラムというふうに想定をされます。それから人口は、人口問題研究所等の資料を拝借をいたしまして十年後を推定いたしますと九千八百二十万人というようなことになります。そこで、その資料で計算をいたしますと、十年後の消費量が百五十二万トンというふうな数字を得たわけであります。これに対しまして供給の関係でございますが、国内でどれくらい可能であろうかということをきわめて達観的に考えてみたのであります。十分な積み上げ作業の結果ではございませんが、達観をいたしますと、テンサイは今後十年間に、現在が十一万トン強、十二万トン弱でありますが、四十万トン程度期待し得るのではなかろうかというふうに考えるわけであります。北海道でそのうち約三十万、それから北海道以外の内地は、これは先ほど御説明いたしましたように、今後の試験研究の結果によりましては非常に振れがあると存じますが、かなりの希望が持てますので、一応達観的めどとしてこれを十万トンとおいてみたわけであります。それからカンショ糖でありますが、これは今回の消費税の振替措置等で相当刺激を受けますので、かなり伸びるであろうということで、現在は内地――主として奄美大島でありますが――におきまして約三万トン、沖縄におきまして約四万トン、合せまして七万トンの供給が現在あります。これを十年後に内地におきまして六万トン、沖縄におきまして約十四万トン、それで計二十万トン、これは鹿児島県なり、沖縄の政府なり現在持っておられます増産計画を参考としまして、それほど無理のない数字というふうに見ております。
 それから結晶ブドウ糖でありますが、これは昨年来奨励に乗り出しましたが、まだ現状では、おそらく明年度はたまたま一万五千トン程度の供給が期待できる程度であろうかと思います。まあ、十年後の目標といたしまして、全砂糖消費量の一割程度をこの結晶ブドウ糖でまかないたいという希望的な観点から、十五万トンという数字を出しております。このことは原料関係なり、供給関係からいっては十分可能なことであります。問題は、消費者の嗜好と申しますか、結晶ブトウ糖が砂糖に置きかわるために必要な諸条件が達成できるかどうか、特に価格の関係が非常に大きく左右すると思います。私どもは砂糖と結晶ブドウ糖との適当な価格差の関係が実現し得れば、このくらいの生産あるいは消費を見込むことは、それほどむちゃではないというふうに考えております。こういたしますと、国内産の甘味資源では、約七十五万トンの供給が期待できるわけでありますので、百五十二万トンの差額約七十七万トンが十年後における砂糖輸入量というような形に考えられるわけであります。もちろん国内産の七十五万トンにつきましては、今後の施策の進行度合い、あるいは試験研究の進行度合い等によりまして、かなり変動はあろうかと思いますが、要するにほとんど全量といってもいいくらい、九〇%程度を輸入に仰いでおります現状から見ますれば、輸入を極力減らす、まあせめて半分くらいは国内で自給をいたしたいということからは、やりようによっては達成のできることだというふうに考えました。これが前提であります。
 そこで、その前提から一連の施策を導き出したわけでありますが、三番目に書きました「関税、消費税の適正化」これは先ほどテンサイに関連して御説明いたしましたので省略いたします。
 4の「てん菜糖増産対策」これも多少表現が違いますが、同じようなことをいっておりますので省略をいたします。
 それからそこの四ページの所に(III)と書いてある「小かん練粉乳に対する措置」というのがございます。それも先般提案理由でお聞き取りいただきましたが、先ほど申し上げましたように、消費税が斤二十八円から十二円六十銭、斤当り十五円四十銭低減されることは先ほど申しました。小かん練粉乳につきましては、従前消費税の免除という恩典があったわけでございます。今後も消費税の免除は引き続き行われるわけでありますが、従前は二十八円という金額がその恩典を受けておった、それが今度の措置によりまして消費税の免除だけで、従来に比較して十五円四十銭だけ割高な砂糖を使わざるを得ないということになります。それは発展途上にある酪農のこと、あるいは小かん練粉乳の消費の対象の特殊の形態等を考えまして、上るままにしておくことは適切でありませんので、この税の振りかえによる負担の増分を緩和する措置を講じたわけであります。その方法として政府が持っておりますテンサイ糖の、こういった用途に対しまして時価よりも十五円四十銭だけ安い価格で供給をいたすという考え方で、特例の法律をお願いいたしておるわけであります。その他は、先ほど御説明いたしましたことと重複いたしますので、省略いたしますが、五ページの方の第五の「甘蔗糖対策」でありますが「奄美群島、沖縄、種ケ島等西南諸島の主要農産物である黒糖については、経済事情の変化に伴い漸次需要が減退したので、黒糖の消費税の優遇措置を講じ品質の改善、製造方法の合理化を図るとともに砂糖の税制の改訂に伴い分密糖製造への切換を促進しうるよう工場建設等に所要の便宜を図る」ということで、黒糖につきましては、在来消費税が斤当り四円かかっておりますほか、黒糖であることの要件、そういった消費税の取扱いを受けることの必要要件といたしまして、たる入れ冷却というような、容器についての特別な制限が加えられておったわけであります。それからなお糖度につきましても八十六度以下のものというふうな、品質上の制約が加えられておりました。その辺を直しまして、品質なり製造方法の合理化と申しますのは、今のたる入れ冷却というような、特定の要件をはずしてしまいます。それから糖度につきましても八十六度でありますのを、九十度、で引き上げるよう今回いたしております。それから、砂糖の税額そのものも、在来の四円を三円に引き下げた。こういった一連の措置によりまして、西南諸島の黒糖が、在来よりも品質のよい物が、しかも容器の制限等がなしにやれるようになる。それによって黒糖の生産者、あるいは生産の振興が期待できますということをいっております。なお黒糖自身のことも、黒糖しかできない場所についてはそういった措置を講じたわけでありますが、今後の私どもの気持といたしましては、黒糖の優遇のみでなく、それら地帯で近代的な分みつ糖の工業が、今度の税制の振替措置によりまして、積極的に企業的に行われていく機運がすでに見えております。今後もそういったことが相当積極的に出て参ると思います。それらの際に、金融措置等については、なるべく積極的な推進をはかるように講じて参りたいと思っているわけであります。試験研究につきましても、まだ十分でございませんので、試験研究等について充実すべき点は相当あろうかと思います。
 それから次の第六番目に書きました「原糖輸入の方針及び精製糖工場対策」でございますが、先ほどテンサイ糖振興措置と、糖価の安定という所でかなりこの内容と同じことを御説明申し上げましたが、そういった糖価維持の観点からの問題と、ほかにここで問題にいたしておりますのは、先ほどの長期目標で申し上げたように、私どもの腹づもりが具体化して参りますと、現在百万ないし百十五万トンの輸入糖を処理するための施設が現にあるわけでありまして、それが相当現在でもフル稼働はしておらぬ実態でございます。これが、輸入がかりに七十七万トンというふうに、私どもの腹づもりのようにうまく参りますというと、かなり既存の輸入糖に依存しておりました精製糖工場につきましては、操業度の低下、その他のことによって影響をこうむるわけであります。でそのことにつきましては、今後とも新増設を認めないほか、「遊休工場は他に転用しうるごとき措置を考慮する」というふうに、ここの(III)の所でいっているわけであります。今後の研究課題でありますが、暖地ビートを考えに入れますと、先ほども申しましたように、北海道のように千二百トン能力の工場をそう簡単に内地に設けていくことは容易ならざることであろうかと思います。そこで今後の研究課題として、そういった原料が分散的に供給される地帯においてのテンサイ糖の、今後の課題といたしましては、まあ半製品と申しますか、粗糖と申しますか、その段階までやりまして、あと最終的な精製過程は、この遊休して参るような在来の精製糖工場の施設を活用できないものであろうかということを、今後の研究問題として研究を進めて参る必要があります。また、それによって、暖地ビートも集中的に原料が確保できない所に、テンサイを入れていく一つのきっかけができるのではないかというふうな考え方をしているわけであります。
 それから、結晶ブドウ糖及び水あめ対策は、昨年来実行いたしました結晶ブドウ糖、あるいは澱粉の価格の安定対策をここにあらためて書いてございますので、重々になりますから省略いたします。
 なお最後に、人工甘味料でありますが、現在サッカリン、ズルチン等のほか、新しい製品としてここに書きましたチクロ、ヘキシルズルハミン酸ソーダ、いわゆるシュガロンが、かなり新製品として今後期待されております。サッカリン、ズルチンのような害のない人工甘味料ということで注目を浴びておるわけであります。これにつきましては、従前、新製品でありました関係上、物品税が課されておりません。でこの際、ズルチン、サッカリンの物品税の適正化とあわせまして、シュガロンにも物品税を課するということで、サッカリン、ズルチンがキロ当り百円になるのに対応しまして、シュガロンは甘味が約三分の一というわけでありますので、キロ三十円の物品税を課するということで、一連の砂糖対策の調和をとって参りたいというふうに考えております。
 以上が、テンサイ振興措置の前提になりました甘味総合対策なるものの大体の考え方でございます。
#65
○東隆君 今、テンサイの振興措置について、それから甘味資源の自給力強化総合対策について、二つお聞きをいたしたのでありますが、私は、この二つからテンサイ糖業の振興をはかるために考えなければならない問題は、農林省の方もお考えになっている通り、粗糖の輸入を十分考えなければならぬと思います。これが私は中心課題になると思います。ところが、この計画を見ますと、結局カンショ糖に重点がまだ実は相当置かれておる。そういう数字が出てきておるわけです。それは、国内で生産されるところの黒糖に相当重点を置いておりますから、輸入をするものは七十九万トン程度にする。そういうようなことになっておる。黒糖は、百五十二万トンのうち、ざっとケイン・シュガーに依存するものが九十万トンくらいになります。これからいくと、ビート糖に重点を置いておるのではなく、依然としてカンショ糖の方に重点を置いておる。こういう姿が十年後の計画の中に出てくるのです。私は、総体の計画として、テンサイ糖の奨励その他に振り向けるべきところの財源は、テンサイ糖自身から出たところの財源でなくて、輸入するところの粗糖そのものを中心にして出てきたところの財源を活用することによってテンサイ糖の奨励をやる、そういうような考え方が甘味対策の中心でなけばれならぬ。そういう点からかりに考えて参りますと、農林省でお考えになっておるところの考え方は依然として、輸入の粗糖には非常にお手やわらかに考えて、そうして財源に苦しんでおる、これから増産していこうという方面のものから無理やりに引きずり出しているのではないか、こういうような気がするわけです。それは、たとえば団体をこしらえて、その財源を、資本だの何だの国が出すという、そのものをやはりテンサイの方から出されておる。そういうようなものの考え方は、私は全体の甘味対策を立てる場合に、とるべき方法でない。輸入の粗糖を減ずるとか、その輸入の粗糖そのものから出てくるところの財源を十分に使って、そしてビート糖を奨励する、それを増産していく、そういうことでなければ、依然として輸入するものは非常に優遇をされる。そういうような形で、いかにやっていっても、これは非常に不合理なものができてくる。だから、たとえば振興会ですか、こういうようなものをこしらえるにしても、そこの財源は、これは当然テンサイ糖の工場の方から吸い上げて、そしてやるという考え方でなく、やはり輸入糖の方から吸い上げたものでそれをまかなう、こういうことになって初めて日本の甘味対策全体に対する方法が立つのであります。それがどうもはなはだつじつまの合わないようなことになっておるじゃないかと、私はそういうふうに考える。これは、吸い上げをされるときに、法律によって吸い上げることになるのですが、北海道の歴史をずっと見てきたときに、テンサイ糖の栽培だの何だのということは、そんな簡単な形で開けておるものではない。そして今工場を作ろうとしているものは、現行の臨時措置法で安定したということで、まるで競争の形でやってくる。そして多年の間苦しんで開拓をした一番いい所へ入り込んでいこうとしておるわけです。開拓をやった方面のものは、償却も済んでいるから、そこで経費が非常に安い、こういうようなことで、そっちの方から取り上げていく、こういうようなことでは、私は大きくビート糖業を発達させるということは絶対にできないと思う。だから、国策として振興するというならば、まず第一番にそういうようなところから財源吸収を考えないで、やはり粗糖そのものの輸入を、これは制限を加えるのが一番簡単にいく方法ですが、輸入を制限することが簡単にいく方法ですけれども、ある程度のものを吸い上げそこから上ってきたところのものは、これを全体の甘味対策として使う、それから振興会の資本であるとか、その他のものは、これは当然そちらの方から吸い上げたものをもって、かなう筋のものだ、こういうように考えます。その点はどういうふうに考えますか。
#66
○政府委員(渡部伍良君) まず問題は、一つは、もう少しケイン・シュガーでなしに、ビート・シュガーに重点を置け、そのためには、ケイン・シュガーの輸入による利益、その利益の中には、お話をそんたくするに、砂糖の税金と、それからまた輸入量を圧縮することによって糖価を上げる、そういう二つの利益を意味されておるように受け取ったのであります。そういう利益で直接的にビート・シュガーを育成することが必要である、こういうふうに承わったのであります。まず、なるほど輸入量を押えますと糖価は上ります。糖価の問題は、これと競争する農作物の関係、すなわちビートなり、あるいは澱粉なり、あるいはブドウ糖の点からいえば、糖価が高ければ高いほどいいと、こういうことになりますが、消費者大衆の必需品でございますから、やはり家計費に見合った糖価というものが必要になってくるのであります。そこで、糖価をどの程度に落ちつけるかということを、私どもはまず一方からいいますと、最近の糖価水準というものとあまりかけ離れた糖価では工合が悪い。最近三カ年の平均糖価を見ますと、斤当り七十五円だと、この一年間の糖価を見ますと七十一円程度、最近は七十円を割っております。そういうふうな関係がございますから、大体先ほど御説明申し上げましたように、斤当り七十三円程度を目安にして糖価水準を維持いたしますれば、大体これは生産の側からいいましても、消費者の側からいいましても、がまんをしていただけるんじゃないか、こういうふうに考えておるのであります。しからば第二段として、ビートを生産するために、もっと直接的な財政的な補助をやったらいいじゃないか、こういうお話でございます。その財源としては、糖価で今の程度、それならば税金で入った分をもっと端的に増したらいいじゃないか、こういうお話であろうと思います。お説の通り砂糖の税金は糖価七十三円にいたしましても、新しい税制のもとにおいては三十七円余の税金であります。従来の税金は三十六円何がしであります。従って消費者価格の中の半分が税金と、こういう格好になっているのであります。そこで、私どももこの税金の分をビートに直接回す手はないかということも考えましたが、その前に現在の関税、消費税のもとにおきましては、先ほど来説明申し上げましたように、消費税を二十八円ということにいたしますれば、そういう税制のもとにおきましては、幾らビート糖の製造業者が努力いたしましても、自由販売ができないという条件でございます。政府が買い上げることによりまして、政府の財政負担は三十二年までに約四十億、三十三年度の予算におきましても約二十億の財政負担を計上しておるのであります。まずもってこの財政負担をなくすることが第一段の手段であると、こういうふうに考えまして、消費税を少くして関税を多くいたしたのであります。で、第一段はそういうことによりまして、ビート糖が通常の状態ならば、政府が買い上げしなくても事実できるような条件を作りまして、いろんな関係で心配がある向きには買い入れ制度を存続すると、こういうふうに切りかえたのであります。御質問は、さらにそれより進んで、税金をもっとビートの生産奨励に回すべきだ、こういうふうに承わったのであります。これは砂糖の関税及び消費税の税収総額を三十四年度は従来と変らない、こういう前提で組むことにいたしました。まず第一段として、そのほかにやったビートの買い上げによる財政負担を除去していく、こういうことをいたしておるのであります。それと同時に、関税、消費税の切りかえによって特別の利益ができる会社ができますので、そういうものから出てくる利益を特別納付金として政府が吸収いたしまして、それを見合いにいたしまして、てん菜振興会を作って、テンサイの普及力強化について急速の試験研究をやっていきたい、こういうことであります。お話はさらにさらに進んだ対策を講じろ、こういうお話でございます。私どもは、まず第一段の手段としては、今まで御説明いたしました程度でしばらくやっていきまして、その模様を見まして、さらに進んだ対策を講じた方がいいのじゃないか、こういうふうに考えます。
 それからもう一点は、ビート生産それ自身の飛躍的増産の問題でございます。これは先ほど申し上げましたように、北海道三十万トン、内地十万トン、こういう数字を掲げております。北海道三十万トンを十年間に作りますのには、土地改良であるとか、あるいは土壌改良でありますとか、品種の改良でありますとか、非常にこれからやるべき仕事が多いのであります。北海道庁それ自身は十年間に三十万トンはとうてい不可能であるとさえ言っておるのであります。これはしかし、北海道の耕作面積、それからまた北海道という特殊地帯におけるビートの寒冷作物としての重要性から見て、努力のしよう――すなわち土地改良に相当財政資金を投入するなり、試験研究で品種の改良なり、栽培方法の指導の徹底、こういうことをやれば、面積的にいえば三十万トンより以上作る目標を立ててもよいのじゃないか、こういうことで道庁と農林省の間にいろいろ討議を重ねまして、現在の調査の段階では十年間三十万トン程度を一応の目標としてやりたい、こういうことであります。従いまして、これを要するに、御趣旨の点は非常にもっともな点、われわれ同感の点が多々あるのでありますが、一挙に百八十度転回した施策というものも行政的にはなかなかむずかしいのでありますから、ステップ・バイ・ステップに進めていきたい、そのワン・ステップである、こういうふうに御了承願えればありがたいと思います。
#67
○東隆君 今のお話で、私はステップ・バイ・ステップはいいですけどれも、せっかく甘味資源の対策をお立てになったのですから、従って私はこういうような機会にやらなければできないと思うのです。その点、精製糖の方の会社は、これは株の配当なんかもこれは非常に率もいい、それからビート工場関係の方は、これは一番いいものでも今これは二割になっておらぬ、日甜なんかでも二割というのは…、これは一割五分かそこらじゃないですか、そういうふうに考えて参りますと、はなはだしく差ができておるのです。しかも、将来を見越して粗糖の輸入が減るということを前提に置いて、おそらく日本の国策がビート工場の方に向いておる、こういうような糖業に向いておるというような前提のもとかどうか知りませんが、非常にたくさん北海道にささり込んでおる。しかも、そのささり込んでおる所が、みんなどちらかというと、開拓した方にビートを集中的に栽培をしておる。こういうような所に入り込んでおるのです。これはもう実のところをいうと、経費のかからないような所をねらって入ってきておる、依然として栽培がまだ密集していないような所はそのまま投げられている。そんなような片輪な形が出ておるのは、これはどこに原因があるかといえば、やはり今言ったような、おとりになっておるような考え方から、経費がかからないような所でやる。こういう態度でもって進んでおる。北海道にビートの工場をこしらえるときには、これはもう一番困難な所で、そうして相当広い範囲からビートを集めて、そうしてビート耕作を中心として土地改良とか何とかをやる、あるいは酪農を進めていこう、こういうふうな基本的な考え方で進めてきておる。従ってビート糖業というのは、これはもうほとんど犠牲のぶっ続けという形になっておる。今、ようやくその償却だの何だのして、そうしてコストが少し下った、そういうところから吸い上げていってそうしてやるというやり方は、これははなはだ甘味の全体の対策を考える上からいって、これはむちゃな考え方である、十分に利益を上げておるところをというなら、これは輸入粗糖を精製しておる工場の方が問題にならないほど利益がある。そちらの方から吸い上げる、ことにビートの奨励をやる、ビート糖の奨励をやる、そういう態勢をとらなければ、この甘味対策はこれは一つも意味をなさないのじゃかいか。私はそういう根幹のやり方が、基本的こ、はれから進めていこうというところを犠牲にして、そのうちちょっといいものの足を引っぱって、そうしてやるような、そんなやり方というものはないと思う。だから、これは少し考え直さなければいかんのじゃないですか。その甘味対策という大きな旗を掲げておやりになって、そうしてズルチンとかサッカリンのところまで税金をかけてやるなんという、そんなところまでかけていろいろのことをやるということをお考えになっておるなら、もっとその考え方を、利益の上る方面からもう少し取って、そうしてやるべきではないでしょうか。このビート工業の少しいいなと思うところからまるで吸い上げる、そうしてそれでもって振興をやる、これは神代の昔の考え方ならそういったやり方をするかもしれないが、今の場合の農林省が、特に食糧庁が砂糖を完全に掌握しておって、そうして甘味対策を立てるという、そんな片寄った考え方はとるべきじゃない。この点どうですか。
#68
○政府委員(渡部伍良君) これはもうちょっと資料をよく見ていただきたいと思うのです。まず第一に、精糖会社がもうけたというのは、この数年糖価が九十円に近く上ったことがあります。その当時はもうけておるのでありますが、最近は先ほど申し上げますように、この一年間に大体七十円前後でございます。これは前の時代に、ニューヨーク相場が三セント四十五程度を中心としてみても大体七十一円見当であるのが、八十円とか、八十五円とか、九十円という相場が出ておったからもうかったのであります。現在ではそういうもうけはないのであります。従って今の糖価を七十三円程度に維持することが適当である、またそれが実現可能であるということになりますと、精糖業者から利益を吸収するということはナンセンスでありまして、今かけております税金のその一部分をテンサイ糖の施策に回せという議論はあるのでありますが、精糖業者が数年前に五割あるいは三割の配当をしておる会社は事実ございます。日本甜菜糖も大体二割程度やっております。最近はどうしましたか一割八分ぐらいになっております。これはあくまでも糖価の何といいますか、変動による利益でありまして、制度による利益ではないのであります。この点が第一点御理解を願いたいと思います。従いまして将来精製糖や輸入糖を政府が管理して、現在の糖価を維持するということになれば、先ほど申し上げましたように、三十数円の利益を税金という格好で国は巻き上げているのでありますから、それを取るということが一つの考えであります。
 それから第二点の、せっかく伸びた日本甜菜糖なら甜菜糖から利益を吸収するとこ、ういうお話でありますが、これは先ほど申し上げましたように、糖価が七十三円の場合には消費税十二円六十銭とすれば、六十円四十銭の関税込みの価格ということが出てくるわけです。それに見合うためには、日本甜菜糖の三十二年の買い上げ価格は四十六円でありますから、これに七円十銭の販売経費を見込みましても五十三円余りでありますから、もし税制を変えまして、消費税十二円六十銭の場合、関税を二十六円にした場合には、この税制の切りかえによって、今までは二十八円の消費税を見ておる場合には関税込みの国内糖価が四十三円だから、それでも日本甜菜糖が四十六円で売れなかったのが、今度は逆に消費税と関税の切りかえで、売れるどころか、非常に特別な利益が出るということになったのであります。これは何も日本甜菜糖の努力でなくして、関税、消費税を逆にしたからそういう利益が出たのであります。この逆にする場合に二つの考え方があるわけでありまして、関税、消費税を、日本甜菜糖のコストをベースにして、関税、消費税を切りかえる方法もあったわけであります。しかし、日本甜菜糖は一社でありまして、これから芝糖なり台糖なり希望する会社がございますから、いわゆる標準糖価が七十三円、ノーマルの運転にすれば五十三円でコストが出る。五十三円十四銭の標準コストが出てきますから、大多数の会社がペイできるというところで関税、消費税を切りかえた方がいいのじゃないか、こういうことで切りかえたわけでございます。その反射的な結果として、日甜にはほかの会社に比べて特別な利益が出ております。日甜は、終戦後進駐軍が入って来まして、テンサイ糖についての品種の改良、土壊、肥料の改良等、いろいろな指導をいただきまして、ずっと二十八、九年ごろから、旧来の栽培方法なり品種をすっかり変えてやってきて、それと同時に、てん菜振興法で政府が買い上げて、日甜の負担分だけでも、昭和三十二年までに百二十七億の財政負担をしておりまして、そういう関係もございますから、一つはこの利益の発生が制度の切りかえによって出る一つの原因は、長年政府が財政支出をいたしまして、育成していっておるのであるから、ほかの会社と大体対等の商売ができる程度までは、そういう制度の切りかえによる特別利益は政府に納付してもらった方がいい、こういうことでございますから、せっかく努力した功績をつむ、こういう関係ではないのでございますから、その点は一つ御理解を願いたいと思います。
#69
○清澤俊英君 ちょっと二、三点、ごく簡単なものですが、お伺いしておきますが、大体これを見ますと、何か勘違いをしておるかもしれませんが、二円ほど消費価格は上るように考えられるが、その点はどうなんですか。
#70
○政府委員(渡部伍良君) 現在の砂糖の価格は七十円内外で、ここでは一応七十一円と書いてございます。これはニューヨークの相場を三セント四十五とおきまして、それに運賃、諸掛りをかけまして、旧来の関税、消費税をかけまして計算すると、こういうものが適正相場ということになるわけであります。しかるところ、今度は関税を上げまして消費税を下げるということになりますと、関税は輸入品だけで、消費税は輸入品と国内生産のものにかけますから、従前は多い数量に高い消費税で税収が、総量が出ておった。逆に今度は多い数量に安い消費税がかかりますから、税収を従来と変りないという建前をとりますと、ここに書いておりますように、従来の三十六円八十四銭を、関税、消費税を合せまして三十八円八十一銭にすると総税収がとんとんになる、こういうところでございます。そこで二円足らずのものが、砂糖標準価格が上る、こういうことになります。この砂糖標準価格を七十三円ときめるのは、実は農林省の方、あるいは自由党の農林部会等では国内のカンシヨ澱粉、あるいはバレイショ澱粉を結晶ブドウ糖なり水あめとして消化するため、あるいはテンサイを育成するため、あるいは沖縄、大島等のカンショ糖を育成するためには、もっと糖価を上げたらいいじゃないか。八十円くらいに糖価をしろ、こういう意見があったのであります。私どもの方は、それは、しかし、畑作改善、あるいは農家経済の保護から、高ければ高いほどいいかもしれませんけれども、消費者の立場も見なければいけない。たとえば、過去三カ年の砂糖の相場を見ますと、平均七十五円になります。せいぜい七十五円くらいでなければ消費者の立場を無視することになるから、それ以上はできない。こういうふうな検討をいたしまして、しかし、七十五円にいたしますと、現在は、これはニューヨーク相場三セント四十五でありますが、運賃は国際的な最低運賃でございますから、もっと上るけれども、七十五円まで上げるのには、やはり関税、消費税をもっと上げなければいかぬ。そうすると税収が従来よりも多くなる、何も税収を多くする必要ないじゃないか。こういう意見もありまして、結局七十三円程度ならば、結晶ブドウ糖におきましても、政府の手持ち澱粉を買入価格千五百五十円で払い下げる。これならば、もう少し結晶ブドウ糖の生産がぎりぎりのところくらいまでペイできる。こういう見当もつきますから、一応七十三円、そういうことできめたのであります。一つは税収一本、一つは国内の結晶ブドウ糖なり、国内農産物の価格維持の見地から、その両側の検討から七十三円程度、結果的には、現在の相場から見ると、二円程度高い。しかし、最近三カ年の平均から見ればまだ多少安い。この程度ならばいける、ただいまの相場から比べますと、二、三円高いのでありますけれども、消費者もがまんしていただけるのじゃないか。こういうことできめたのであります。
#71
○清澤俊英君 私の聞いていますのは、こういういろいろめんどうなことよりは大体二円程度相場が上る。こう考えていいのか、この表で見ますと。
#72
○政府委員(渡部伍良君) この表では二円です。
#73
○清澤俊英君 糖分の糖度ですが、このテンサイ糖の糖度と、輸入糖の糖度、同じ一斤の糖度の比率は同格なのですか。糖分に差異があるのか。あるならどれくらいの甘さですか。
#74
○政府委員(渡部伍良君) これは精製糖になりますと同じなんです。ただ一般的には、カンショ糖の精製工合が悪いから、消費者の感覚はテンサイ糖の方が甘くないと、こういう感じを持っております。糖度は同じです。
#75
○清澤俊英君 ちょっと疑問があります。比率は同じ、感じは違う――砂糖を使ってものを煮る、感じが出てこなければ余分に使う、そこでかりに倍使わなければならないということになると、極端な例ですが、非常に高いものに消費の面から見るとなりゃあしないか。こういう感じがしますが、これは国民消費経済の上から見てどういうことになるのか。非常に大きな問題であると同時に、それについては、糖価の安定等非常に御苦心なさっているようですが、そういうことが考えられるが、その点はどう取り扱っていかれるのですか。
#76
○説明員(昌谷孝君) テンサイ糖のいわゆる糖度は九九・八だったと記憶しています、政府で買い上げている規格は。これはケイン・シュガー、カンショから作ります砂糖のいわゆるグラニュー糖と称するもの、ハード系の砂糖といっておりますが、グラニュー系の砂糖と糖度はほぼ同じでございます。それから、同じ輸入粗糖から作ります砂糖にも、上白とかいろいろございますが、そういったものは、むしろそれよりも純糖度は低くなっております。九九以上ではございましょうと思うのですが、低くなっております。
 そこで、糖度の問題と、それから、何と申しますか、甘味度と申しますか、口に入れ、あるいは物に入れた場合に味覚に感ずる甘さの感覚というものとは実は違っておりまして、糖度で申しますと、そういうふうに、今申しましたようなことになります。それから甘味度の点で申しますと、必ずしも糖度が高いものが甘味度を強く感ずるというわけのものではなくて、逆の場合も、先ほど長官の申しましたようにございます。そういう関係になっております。
#77
○清澤俊英君 ちょっとそろばんに非常にうとい方ですから、思いつきではなはだ恐縮ですが、ただいまの場合は、五六年、五七年でテンサイ糖六万一千四百四十三トン、輸入糖が百十六万一千七百八十九トン、これが十年後になりますと、百五十二トンで、総体の使用のうち、輸入と国内産糖が半々になる。こうした場合、この率でいきますと、今のところは、関税の引き上げ率が約九〇%ぐらいのものに引き上げた分が計算せられます。これが十年後にいきますと、五〇%に減りまして、それでそのとき、今の考え方でありますところの砂糖による税収の変更というものが当然出てくるのじゃないか、こういうようなことがちょっと考えられますが、そういう基礎数字が変った場合でも税収が変らぬだろうか。
#78
○政府委員(渡部伍良君) これはもう当然変ると思います。当然変るわけであります。
#79
○清澤俊英君 変りますというと、これは非常に重要な問題になってくる。長いことこれはやれないと思うのですがね。いつか知らぬうちに消費税をちくちく上げて、輸入の減った分を問題にしていかなければ問題にならぬ。原則とした輸入税収を変えないという原則を守るにはそうなるの、だが、これはあなたの方には問題はないと思うが、食糧庁は問題はないが、いずれ大蔵省が出てこられて説明されるときの参考として、その点をどう一体考えておられるのか。これは非常に重要な問題でありますので、もしお打ち合せがありましたならば、一応お聞かせしておいていただいて、あとは大蔵省でよろしく説明にまかせたい。
#80
○政府委員(渡部伍良君) これは先ほど御指摘がありましたように、まあ私の方では、国内の畑作改善の見地から、糖価をできるだけ高く維持したい。まあ消費者の許す限度でですね。ところが、大蔵省の方としましては、そうしますと、どうしても税金を上げなければいけない。税金を上げることによって糖価が上ったと、こういう非難はとうてい忍び得ない。現在の程度の措置をとり、その範囲内で上る。農林省の主張に沿うのはそれが最大の限度だと、現在の状態ですね。それが実際は輸入糖と国産糖の比率が変ってきますれば、将来は税収トータルが、消費税の量が多くて関税の対象量が減るのでありますから、これは当然減ると思います。そういう前提でいろいろ協議をしておるのであります。
#81
○清澤俊英君 これは農林大臣に一つよく……。畑作振興ということは、今非常に重要な問題になっております、換金作物として。もう水田一本ではやっていけない、こういう建前がとられておることは、それの振興策を講ずる上に、間接税やなどでやっていこうという考え方自身が私は非常な間違いであると同時に、養蚕対策のときもそうでありますが、どうも大蔵省というものがそういう点に対しては非常に考え方がうといと思うのだ。むしろ畑作等を振興することによって、最近茶業振興法を作ってくれというような問題もありますし、あるいは酪農振興をやる、畜産の振興をやって、世界に類のない食肉を作って外国へ出すくらいの考えをせぬけりゃならぬとき、まあ間接税をだんだん高めていくような話で、それで日本農業を維持しようなんというのは、はなはだけちな考え方だと思う。これは一つ研究しておいて、この次までにはっきりした御答弁をもらいたいと思うのです。
#82
○政府委員(高橋衛君) 御説の通り、畑作振興は、今日まあ非常に重要な問題でございます。従って、畑作振興に対しましては、政府といたしましても、予算その他の措置を通じまして、鋭意施策をやって参っておる次第でございますが、税の関係において畑作に寄与することも、また一つの畑作振興についてのいい方法であろうかと、かように考えておりますが、税金の措置を改正すべきだというふうには私ども考えておりませんので、さよう御了承いただきたいと思います。
#83
○東隆君 今の問題に関連をするのですが、私はこの際、関税一本にして消費税を廃するというような形の方が、ビート・シュガーを進めるには……非常に国が力を入れておると思うのです。北海道でビートを始めるときから、ビートの奨励をやるのに、財源を、実は砂糖の消費税を振り当てにしておった。これは、北海道の場合は、そういうような関係で、砂糖消費税を見返りにこれを進めていく、こういうような体系が立っておったのです。そういうような時代に、これはいたし方がないですけれども、今国が、取り上げてそうしてやるという場合に、砂糖の消費税を取るというのは、私は間違いだろうと思う。塩もついでに取った方がいいかもしれません、消費税をですね。で、砂糖だの塩だの、こういうようなものから消費税を、取るというような考え方でなくて、関税を増徴することによって私は十分に目的を達すると思う。それは、輸入業者の関税で支払うのも、それから消費税で支払うのも、これは同じことなんです。だから、そっちの方でもってまとめて取って、そうして消費税の方を省いてしまえば、これは国内における砂糖の値段をある程度安くする。消費税の部分ですよ。ビート・シュガーに対する分は、これは下げることができると思います。だから、バランスをとる面から考えてもいいし、それから輸入をある程度阻止するというような考え方からも、私は関税増徴をして、そうしてやる方がいい、今度の関係を見ますと、消費税と関税は逆にしたような形だけれども、消費税の減らし方が実は少いのです。ここの案を見てもすぐわかるように、たとえば関税が八円八十四銭、消費税が二十八円、これは今度逆になって関税の方が二十六円二十一銭、それから消費税が十二円六十銭、こういうようになっているので、これをかりに十二円六十銭を八円八十銭としても、何も粗糖の輸入業者の方には関係はない、同じことなのです、これは。だから、いっそのことこの際、関税に重点を置いて関税で取り上げる、そうして国内で生産されるところのものに対しては消費税をかけないという形が出てくれば、これはもう甘味対策としては非常にこれはいいやり方で、おそらく外国のやり方もそういうようなやり方をやっているのじゃないですか。消費税として取り上げるのは非常に楽です。しかし、消費税を当て込んで、そうして農林省の方でいろいろなその仕事をやる場合に、予算の獲得などの場合に都合がいいというなら、これはいろいろな点があるのですけれども、今考えるのは、北海道のように昔やっておった時分、そういうような時分にはあれよりほかに方法がなかった。しかし、国内を一本にしてやる場合、何も昔の考え方を踏襲する必要はない、だから関税でもってほとんど大部分を取り上げて、消費税はこれはゼロにする、そういう考え方に立てば国民も納得するし、非常にいいと思う。この点どうですか。大蔵省の方からの御意見も、両方から一つ……。
#84
○政府委員(渡部伍良君) これはお話きわめてもっともだと思います。そういう点の論議されましたまず第一点は、関税のみでやった場合どうなるかということですが、現在の二十六円でも従価に直しますと一二〇%以上になるんじゃないかと思います。それを、十二円六十銭を関税分に足すとすれば一五〇%、あるいはもっとになるでしょう。そういうので、幾ら関税でも外国とのおつき合いがございますから、そうむちゃくちゃに関税だけにたよるわけにはいかない。それならば、次にお話がありましたように、関税の最高限度に国内糖価を押えたらいいじゃないか、こういうお話がございました。そうしますと、なるほどビートは十二円六十銭の消費税がかかるから、ビートに関する限りは輸入糖にも消費税をかけなければ、それで輸入糖との競争ができることになるわけです。ですから、それだけ糖価を安くすればそれでもいいんじゃないかと思います。
 それからさらに、しかし、それでは農林省が満足しなかったのは、今一番大きな問題になっておりますのは、やっぱり澱粉の消化で、現在は水あめと、それからこれからやろうとする結晶ブドウ糖でありますから、この点を考えますと、先ほど申し上げましたように、糖価七十五円でもそうもうかる仕事にはならない、糖価七十三円でぎりぎりのところである。もっと高ければ高い方がいい、こういう点がございました。まあ、そのほかにこれから大蔵省のお話もあるかもしれませんが、税収の減の問題もございますし、いろいろな点を考慮しまして、第一歩としては現在の状況を急激に変えるということをしないで行っていいじゃないかということでこういう結論に到達したのでございます。お話だと、たとえば十二円六十銭の消費税をはずして、二十六円の関税だけにして、それで結晶ブドウ糖なり水あめが引き合わないならば、政府が補助金なら補助金を出すとか、あるいは政府がそれを買い上げて財政負担したらいいじゃないかという理屈が出てくるのであります。しかし、これは技術的に現在のビートの買い上げだけでもいろいろな問題がございますから、なるべく政府がタッチしないで、自由流通ができるような条件を整えるのには、関税、消費税をどうしたらいいかということで、この程度にしているのでございます。
#85
○説明員(木村秀弘君) ただいま御質問のございました、消費税を全部やめて関税一本にしたらいかがかというお話でございますが、ただいま食糧庁の方からお話のありましたように、今度の振りかえによりまして相当関税率が高くなります。過去三カ年の平均粗糖の輸入額に対して、今度の振りかえを行った後の関税収入を割ってみますと、従価にいたしまして大体一〇三%ぐらいに相なったと思います。最近糖価の輸入価格が下っておりますので、最近の数字にいたしますと、ただいまお話のありましたような相当高率なものになっております。もちろん外国におきましても、国内でビートを生産いたしております国につきましては、相当高関税を持っておるのでございまして、その例といたしましては、イタリアが一〇五%、従価に換算いたしまして一〇五%、それからフランスが国定税率で三三〇%、それを実効税率で三分の一に切り下げまして、現在実行いたしておるのは一一〇%でございます。日本が大体これらに近いようなものに今後なるかと思います。そういう法律の関税率でございまして、関税率の体系から見ましても、現在たばこの三五五%を除きましては最高が五〇%でございまして、今度振りかえが行われると砂糖が唯一の例外になるというような格好に相なるわけであります。
 次に、消費税を全部関税に振りかえました場合を想定いたしますというと、今回の限度でも約二円の値上り、斤当り二円の値上りになりますけれども、国内の砂糖の消費税分が全部輸入糖にかぶって参りますと、さらに大幅の値上りになる。要するに、それだけ消費者価格が高くなる結果になりますので、この点は消費者大衆の立場から考えてみますというと、相当問題があろうかと考えます。
#86
○東隆君 今、消費者価格が上るというのはそれはおかしいですよ。消費税の方をゼロにするのですから、だから消費者価格は何ぼ上ったって問題でない。消費税の分はゼロとして考えるんですから、何もそんなに心配することはないんじゃないですか。精製をする業者は、関税が何ぼ上ったって、同じものを払っているだけの話じゃないですか。消費税の取り分を、消費税で上る分を関税の方に振り向けるんですから、その部分を取り上げれば、何も同じことじゃないですか。
#87
○説明員(木村秀弘君) これはもちろん総体の砂糖の税収が現在の程度を維持しておる、税収全体が減ってもかまわないという前提でございますと仰せの通りになりますけれども、税収全体としては現状通りだけれども、ただ国内産糖に対する消費税分だけを輸入糖にぶっかけるということになりますというと、現在百十五万トンの輸入に対して、国内産糖が約二十万トンぐらいになるかと思いますが、結局二割足らずの比率しか国内産糖は占めておりませんので、何といっても輸入糖の価格によって国内の砂糖の価格が支配されるといわなければなりません。そうしますと、今私が申し上げましたように、輸入糖にそれだけの負担分がまるまるかかって参りますので、税収を同一に保つことを前提とすれば、国内の糖価が上るということになります。
#88
○東隆君 私の言っていることは、総体百二十万トンを消費すると、その百二十万トンに対して消費税をぶっかけるよりも、輸入のものに関税のそれだけの分をかければいいじゃないか。そうすると、どういうことになるかというと、国内のビート糖なんかの奨励には非常にそれは役立つんじゃないか。国内生産を助長することになる。だから、同じことならば輸入糖にかけて、そっちの方でまかなえばいいじゃないか。税は減りませんよ。輸入するものにその分だけかければいいんですから、消費税の分をかければいいのですから、それは何も差額ができてくることはないじゃないか。
#89
○説明員(吉国二郎君) ただいま仰せの点は、要するに消費税は、かりに百二十万トンなら百二十万トンにかかっている。輸入は、かりに百万トンといたしましょう。百万トンに関税がかかり、百二十万に消費税がさらにかかっている。その百二十万トンの分は、全部関税で取ろうということになりますと、単位当りは百分の百二十という税率にしなければならない。そうしますと、その関税に振りかえられた消費税は、単位当りでは高くなりますから、そうしますと、輸入糖の価格は必然上らざるを得ない。その点は約二割五分上るわけですね。百分の百二十の税率にしなくちゃならぬわけですから、ですから関税で取ろうと思えば、百万トンの数量で百二十万トンの消費税を取ろうとすれば、当然単位当りの税額は上らざるを得ない。その単位当りの税額が加わりますと、その輸入糖の糖価はその分だけ上る。だから、国民のなめる砂糖は上るということを関税部長は言っているわけです。
#90
○東隆君 私が言っているのは、砂糖消費税でもって上げる分は、消費税がプラスになっているんですから、消費税はゼロにするわけですから、何も問題にならぬと思うんです。ただバランスをとる場合、国内で生産をするものと、それから輸入のものでバランスをとる場合は違います。だから精製糖業者は、非常にたくさんはむずかしくなるかもしれません。しかし、国の考え方は、輸入をだんだん減らしていって、そうして国内生産をふやしていくんだ、こういう考え方に立っているとするならば、それくらいの措置をとつてもいいんじゃないか、こういう考え方なんです。そうして全体が、もう国内生産の方はふえていったら、そのときにはゼロからプラス幾らというふうにとっていけばいいんじゃないか。それくらいの考え方でいっても、そんなに問題にならぬと思うんですがね。この点は貿易だの何だのの問題でどうだのこうだの、必要量は輸入するんですから、だからこの点は何か少し精製業者の方の糖価は上るかもしれない。だけれども、全体としては消費税が減るんですから、その分から差し引きした形になるんですから、そんなに響きはこない。
#91
○政府委員(高橋衛君) これは、あるいは大蔵省から御答弁申し上げる筋合いかとも存じますが、御承知のように、輸入関税の場合には、産業政策的な考慮が相当払われる次第でございますけれども、消費税については、主として国民負担の立場から考えておる次第でございます。先ほど砂糖について、塩についても税金を取っていないんだから、砂糖はいいじゃないかというお話もございました。しかし、生活必需品から嗜好品の間には、だんだんとニュアンスに違いがございまして、たとえば酒についても、これは必需品だというような向きもある次第でございますが、酒については非常に高いところの消費税を取っておる。砂糖は大体その中間的な存在ということで今まで消費税を取って参った次第でございます。また政府といたしましては、今回の予算を通じて、七百億円の減税ということを打ち出しておる次第でございますが、砂糖については減税ということを考えませんで、従来の税収入をそのまま確保しながらこの甘味資源の対策を立てていきたい、こういうふうに考えておりますので、そういうふうな前提に立って砂糖消費税から関税に振りかえということを今回計画いたしましたので、従って先ほど来大蔵省側から、また食糧庁長官から御説明申し上げましたような筋合いに相なっておる次第でございます。
#92
○千田正君 今の政務次官のお話は、国税庁長官としてのお話で、農林次官の御答弁とはどうも受け取れないのであります。あなたが前段において、これは産業上必要だとおっしゃるが、そうだとすれば、農林省としてこの問題をわれわれに提示したのは、日本の畑地農業に対する新しい振興政策の一つとしての考え方である。それならば国内におけるところのこうした産業育成のために考えなくちゃならないのであって、どうも今の御答弁は、ちょっとわれわれはわかりかねるわけです。
#93
○政府委員(高橋衛君) 言葉が足りませんで、はなはだ恐縮いたしましたが、先ほど食糧庁長官から御答弁申し上げました通り、今回消費税を減税いたしまして、そうして輸入関税を増額するという措置をとりましたゆえんのものは、もっぱら国内におけるところのテンサイ生産に関するところのテンサイの栽培並びにテンサイ糖製造業でございますか、その方も育成をはかりたいという趣旨に出ておるものでございます。ところが、その程度にはどの程度が妥当であるかという点が問題になるわけでございますが、この点に関しましては、先ほど来御説明申し上げております通り、標準生産費であるところの五十三円十四銭でございますか、これをもって、この程度確保できれば、大体テンサイ栽培の方面も、またテンサイ糖製造業の方面も、十分に振興の措置は講じ得るという見通しのもとにこういうふうな施策を打ち立てた次第でございまして、これは先ほど来御議論のありました通り、各方面にいろいろと関係がございまして、たとえば同時に結晶ブドウ糖の増産を企図いたしております。結晶ブドウ糖の市場におけるところの砂糖との比価の問題、または国民負担の点、その他各般の点から総合考慮いたしまして、こういうふうな結論に相なったと思います。
#94
○清澤俊英君 大蔵省の方は見えておらぬと思いましたので……、一点だけお伺いして、時間がだいぶ過ぎましたから、私はやめるつもりですが、原則として税収が変らぬ、こういうことで出発しておる。そこで、農林省は十カ年計画でもって輸出入のバランスを五〇%に、輸入と国内産のカンショ糖で五〇%の比率に持っていくのだとおっしゃる。先ほどその点について、こういう状態が出て参りますれば、関税と消費税との関係において当然バランスが破れるものが出てくるだろう。これは食糧庁の長官もそこに、当然関税率を上げなければならないということを承認せられておるのでありますが、そうしますと、年々歳々ある量がバランスのとれない関税率を追っていくわけだ。原則に立って見ますると、それを追っていくわけです。そうしますと、今年とられた処置は来年またいささか変えなければならぬ、こういうことが出て参りますが、そういう点について、将来の点についてお考えがあったのか、ないのか。あったとしまするならば、どういう形において現実の税率そのままを消費の面において変動なく考えているか、考えられたのか、こういう点をお伺いしたい。
 いま一つは、国民の消費経済の中におきまして、糖類においては大体変りがないとしましても、甘味度、はなはだめんどうなものでありますが、この甘味度において、国民消費が国内糖として、これからできるテンサイ糖、ブドウ糖、結晶ブドウ糖その他のものとの場合において非常に高く使わなければならぬ。こういうようなことを考慮せられて、今度の税制の改革において国民生活の上に大した驚異ない、こう考えておられるのだろうと思いますが、この甘味度に対してのお考え方でいきますと、大体どれくらいなのか、今の二円の値上り、それ自身がもっと率高く実際に使用量を中心にして上っていくというようなことまでお考えになっていたのかどうか、これを大蔵省の、こういう方法を講ずる農林省と、消費税を下げ、輸入関税を上げることにおいて、大体税率は、税収には変りないという考え方の中に、国民消費経済の中に追い込まれる負担率としてのものの値上り、こういうものをどういうふうにお考えになっているか、この二点を私はお伺いして、きょうの質問を終りたいと思います。
#95
○政府委員(高橋衛君) 先ほど、大体税収に差がない程度になるという御答弁を政府委員から申し上げましたが、その趣旨は、来年度においての問題でございまして、将来漸次国内糖が増産されまして、従ってその関係において全体の税収入として、言いかえますと、輸入糖が少くなり、国内糖が多くなることによって、輸入税、輸入関税及び砂糖消費税のトータルが減少するということは当然あり得る。と申しまするよりも農林省の十カ年計画に従えば、当然そういうふうなことになるはずでございますが、それだからといって、そのためにその不足分を輸入関税の増額によって充てるということは政府は考えておりません。
#96
○説明員(吉国二郎君) ただいま政務次官から仰せの通りでございまして、実は打ち明けて申し上げますと、この消費税と関税とんとんという目標をどこに置くかということは相当問題あったわけであります。極端なことを申しますと、少くともテンサイ振興の第一次計画が終り、三十七年で見るという考え方もあったわけでございますが、そういたしますと、これは相当な、今の段階から申しますと高い税率だ、そういう点からいろいろと検討いたしました結果、少くとも来年度予算においては、一応現行法によって認められる収入を確保する。しかも、この振りかえの考え方は、いわばテンサイ糖が普通の採算ベースに乗っていくところまで振りかえようという考え方でございますから、むしろこの振りかえによって、恒常的に一つの新しいシステムを作ろうということであって、このシステムでいく限り、来年度は少くともとんとんになって、その後はそれによってテンサイ糖が伸びていけば、その目的は達成されるわけでございますから、そこで若干の税収減が生じてもやむを得ないのじゃなかろうか。もちろんその間に国民所得が増加するとか、国民の消費水準がいろいろ変ってくるということで、現在のような砂糖消費税負担がまた別の角度になってくれば別でございますが、少くとも毎年輸入糖が減って、国内糖がふえていく割合ずつ直していくという考えは全くないわけでございます。
 それから甘味度の点でございますが、甘味度と申しますのは、どうも人間の主観が相当入っておりまして、テンサイ糖だと甘味がどうも少いという感じを受けるわけでございますが、加工用に使う場合等におきましてはほぼ同じでございますし、現に欧州諸国ではビートですべてやっておるわけでございますが、価格的に申しましても、上白の値段とテンサイ糖の価格はほとんど同じでございます。と申しますのは、結局主観的に若干違うような感じがするけれども、実際の用途として考える場合には、それほど多くテンサイ糖を使わなければいかぬというものでもない。やはりテンサイ糖を使うと、上白を使った場合より、よけい使わなければいけないというものではないのでありまして、このテンサイ糖が漸次国内でふえていくと、むだに大量の消費が行われるということは考えておりません。そういう意味でテンサイ糖がふえていっても、国民経済的に砂糖をよけいに消費して参るということには考えていないわけでございます。
#97
○堀本宜実君 テンサイ糖の価格、それから製造業者における安定ということが生産者のつまり安定になるわけなんですよね。そこで、今度のこの方式を見ますと、安心して増産をするということに少し欠けはしないかと思うように心配をするのですが、それは従来のてん菜生産振興臨時措置法によって政府が買い上げをする。がしかし、その一部というものですね、著しく低いというのですか、何かの条件によってその必要を認めないとか、あるいは日甜ですかの、すでに政府が助成をして相当コストが安くついておるという工場にはこれを除外する。たとえば一部ないしは全部を廃止するということになっていると思うのですが、これは専売法になるとか何とかいういろいろな問題もありましょうけれども、やはり生産者が安心して生産するという建前からいきますと、現行法の臨時措置法による政府の買い上げというものを、いずれの工場においても同様に行うべきものではないかという基本的な考え方を持ちますが、その点は先ほども伺ったのですが、もう一度一つ簡単に御説明を願いたいと思います。
#98
○政府委員(渡部伍良君) これは、テンサイ糖の製造業者の立場と、それからテンサイの生産者の立場と、それからテンサイ製糖業者と対立する輸入糖の精製業者の立場と、この三つの関係から出てくるわけでございます。テンサイ糖製造業者の立場からいいますれば、買い上げをやりますと、まあ新しい工場では、工場別のコストであるとか……この案では、標準糖価で買う、こういうことになっております。ところが、日甜のように非常にこれは、先ほど申し上げましたように政府のいろいろな施策によって償却が進みまして、その上に製造の切りかえによって標準糖価と日甜のコストが違いますと、非常な競争力を持ってくるわけです。安く売る可能性があるわけですから、安く売ってももうかるわけですから、ですから日甜だけの立場からいえば、これは買い上げてもらわない方がいい、こういうことであります。そうすると、買い上げなかったらどうなるかというと、今度は一つは、輸入糖の精製業者にどういう影響を持つか、安く売られると、これは国内の相場を全体を下げる心配があるから、全体の業者が苦しくなる、従って安く流れないようにしてくれと、こういう意見が出てくるわけでございます。その点は、私の方では、一方におきましては、先ほど申し上げましたように、納付金で相当額を吸い上げる、それを吸い上げますと、大体この輸入糖の精製業者におきましても相当のコストの幅がございますから、これは精製糖業者におきましても新しい工場と古い工場、あるいは企業能率の違うのがありますから、相当の幅がございますから、それと同じくらいの競争力の幅になることになると思います。従ってその方からもこれを買い上げだという主張はできなくなる。そうすると、第三点のビートの生産者に対してどういう影響を持つか、こういうのでございます。これはそういうふうに、非常に有利なコストの会社が出てくると、テンサイの栽培者に対していい条件で有利な工場に集めてしまう、こういうそれがある、こういうことが一つあるわけです。そうしますと、あとのその後に出てきた会社のビートの生産者に対する待遇を、一番いい工場の買い上げ条件に合せなければならぬから、それだけ経営が苦しくなる、こういう問題が出てくるわけでございます。その点、先ほど御説明申し上げましたように、テンサイの買上価格は、現在千斤三千百五十円で告示して、これはカンショ、バレイショの政府買い上げの場合に、原料のイモの買い上げ、澱粉の価格との関係でなまイモの価格を指示します。それと同時に、これは工場を中心として、一定の集荷地域というものが、経済的な集荷地域というものがございますから、そこの調整を、不当の競争が起らないように協議会を作りまして、北海道と農林省、生産者、テンサイ糖の製造業者、そういうもので関係の協議会を作りまして、その調整をはかっていくということによりまして、何ら心配なく行われるように措置いたしたいと思うのであります。従いまして今申し上げましたように、非常に極端に生産費の低い会社のものは買わなくてもよろしい、もしどうしてもそれを買えということならば、今のてん菜生産振興臨時措置法では強制力がございませんから、その法律を直す必要がある。しかし、そこまでいかないまでも、先ほど来申し上げましたような条件が整うならばいいじゃないか、こういうことでございまして、先ほど説明したような措置をとりたいと思っております。
#99
○堀本宜実君 私は、こういうふうに考えるのですが、常時輸入する砂糖の市価というものを七十三円でございますか、ということで一応くくって、そしてそれによるコスト、あるいは輸送、いろいろな条件がございますが、それを勘案して、そのテンサイ糖の原価計算というものをし、それから今まで政府が援助をしておったというようなことにおいて、全般的な買い上げというものを、一部の工場なりに停止しよう、こういうことで、非常に変動の多い輸入砂糖の市価というものを、これはいろいろと変ってくると思いますが、そういうものを前提としてこういうような規定をいたしますことは、今、現在の段階では、私は納得し得ると思うのでありますが、しかし、将来はこの変動の多い輸入砂糖の市価というものを一定の、何といいますか、水準で均一に適正にきめたということだけで、将来もこのテンサイ糖の糖業の確保、あるいは拡充というものは行われない、こういうふうに思うのであります。これは将来の問題でありますから、推移を見ながら適正な変更をするだろうと思いますが、少くとも十年後における甘味資源の総合対策の観点から考えましても、今にわかに三万五千町歩ですかというものが、かりに九万町歩というものにふえていくかどうかということを考えましたときに、非常に今の段階で心配をいたします。ですから、私はこの問題について、あえてただいまの、現在これ以上申し上げませんが、少くとも政府は買い入れをするんだ、そうして生産者の価格というものを均一に安定をしてやるんだという親心がなければ、大へんこのテンサイ糖の生産拡充に対しまする政府の考え方、あるいは関税と消費税の振りかえ等の処置は、農家といたしましては非常に歓迎はいたしております。喜んでおりますが、生産の将来については非常な不安を持っておるということを御了承おきを願いたい。かりに、一定の輸入するところの砂糖の市価というものは変動があると思いますが、そういうような、七十三円と規定されておりますけれども、将来その変更に際しましては、どういうお考えを持っておいでになりますか。
#100
○政府委員(渡部伍良君) これはまず、糖価七十三円でございますが、それは従来の関税、消費税からいえば七十一円、二円分は切りかえによるものであります。それはニューヨーク相場を三セント四十五、それを標準にしまして、現在の運賃で評価して七十三円というものを出しておるのであります。従ってこれ以上下るファクターは、ニューヨーク相場が下るかどうか、それから船運賃が下るかどうか、こういうのでございます。それからもう一つは、過剰輸入による需給のアンバランスができる、こういうので、あります。最後の需給のアンバランスは、これは私どもの輸入計画で引き締めかげんにやればできると思います。あとの二点は、これは私どもで操作できないわけでありますが、今ニューヨーク相場が三セント十で、国際砂糖協定の最低の線になっております。従って数日前の国内相場も七十円を割っております。しかし、これ以上ニュヨーク相場が下ることは、何と申しますか、国際政情不安とか何かがございますればこれは別です。現在の相場もキューバの革命の影響で、キューバの砂糖資本家が放逐されましてそしてそこで持てないで、どんどん出しておるためでありますが、これが長く続けば、国際砂糖協定で輸出数量の制限をやりますから、砂糖協定の限度内でおさまると思います。それから、国際運賃も今が底であると思いますから、これ以上に下るということは実は予想していないわけでございます。従ってそれで輸入数量を、そういう最低の相場でありまして押えれば、これは需給の関係で糖価を持ち直すことが一つできるわけであります。しかし、それを持ち直し過ぎて上ってくると、今度は精製糖業者に不当な利益をもたらすことになりますから、そこのかね合いが非常にむずかしい問題になりますが、これ以上砂糖の国内相場が下ることは、私どもは予想しておりません。それと同時に、今度は納付金の場合には、糖価七十三円ときめておりますが、これは法律のときに、またあらためて御説明申し上げますが、国内の砂糖相場は、一年間の砂糖取引所の相場、それから日銀の卸売物価指数で平均を出しまして、それが七十三円より下であれば、たとえば七十一円ならその二円だけは納付金を延納する措置を講じまして、納付金の方法でバランスをとっていく。それからほかの会社は、これはただいま申し上げますように、全部一、二年のものは特別価格、そのほかのものは標準価格で買い上げるわけでございますから、ただいま御心配になったような点は、一応全部、最初のはちょっと違っていたのですが、いろいろ御意見がございましたが、そういうふうに仕分けしまして、心配のないようにしておるわけでございます。しかし、これでもこれからの経済の変動やいろいろなことがございますから、その変動がございますれば、これはまた別の対策をそのときに当って当然考えなければならない、こういうふうに考えておりますが、現在予想されるいろいろな条件のもとにおいては、それ相当の手を打っておる、こういうふうに考えております。
#101
○堀本宜実君 私はこういうふうに思いますが、先年蚕糸の相場がおよそこのくらいだろうということで買い入れを行いました。ところが、その予想がはずれて急激に暴落を続けた。これは食糧庁長官といえども国際変動というものを、今の客観情勢で下らないであろうとか、上らないとかいうことをここでおっしゃってもむだなことだと思うのです。一応このようなめどを立てておきめになったということについて、私はどうこう言うわけではありませんが、国際情勢の複雑多岐な今日、ことに輸入品を対象とする、しかもそれが価格を左右するものであります限り、そういう問題が起ってくるということを私は想定すべきだと思う。そういう変動が固定すべきものではない。つまり、標準糖価というものをここでかりにきめておいても将来大へん移動するものであり、変動が起るものであるということを想定すべきものだと思う。これが当然だとそういう場合に、糖価を、七十三円で、二円上げたと言いますけれども、現実の砂糖というものは若干下りぎみです。先ほどお話しになりましたようないろいろな客観情勢によりまして下りぎみだ。そういうことで、ただいまの現状だけでものを割り切るというわけには参りません。そういう場合に、この数量というものを抑制して、そして日本甜菜糖の、つまり国内甘味資源の価格安定にそのことでアジャストしよう、調整しようということは若干私は広い国際経済という視野に立っては何か不合理のような気がいたします。そこで、これらを審議する公正妥当な審議機関といいますか、そういうものがあってしかるべきものであって、行政上の立場だけでこれを決定し、推移を判断するということに若干の不公正が伴うような気もいたしますが、将来調整しなければならぬ段階が起ってくる。かりに話をしぼりまして、調整しなければならぬ段階が起ってきた、そういう場合に、調整というものはどこでおきめになり、どういう方法でおきめになりますか。
#102
○政府委員(渡部伍良君) 蚕糸の例をおとりになりましたが、蚕糸とは全く違うのでございまして、蚕糸は海外市場を目当てにしてこちらから勝手にきめております。砂糖の方は国際砂糖協定がございまして、最高、最低の幅で、最高になれば輸出数量を増し、最低になれば輸出数量を制限することによって、その幅の中におさめる。これに加入すれば三年間効果はございます。従って三年間はこの幅の中で動き得るのではないか。先ほど私は、国際砂糖協定の中で三セント四十五から三セント十になったと申しましたのは、その範囲内で下っておりますので、これ以下に下るということは予想しておらない、これは特別の国際的の突発的な事故がない限り、そう思います。それから、三年後国際砂糖協定がなくなれば、これまたそのときにはやはりこちらから制度をそれに合せて切りかえなければいけない。これは将来の問題としてやはり問題のあることは私ども承知しているのでございます。従いまして今の段階におきましては、やはり向うで相場を立てて、それをもととして、それを標準として七十三円と計算されているのであります。それが維持できることが、やはり需給のバランスがとれていることであると、こういう推定を下しているわけでございます。しかし、いろいろなファクターがございますから、その変動に応じて不当にテンサイの生産者に圧迫がこないように、先ほど来申し上げている手段を個々別々に講じているのでございます。それでもまかなわれない事態が発生すれば、制度を切りかえなければからぬ、こういうふうに思います。
#103
○堀本宜実君 話を変えますが、今五つあり、それで新しい工場を立てつつあり、また新しく増産を見越して申請が出てきている。こういうことなのですが、この新設、増設される工場の基準というものが、集荷の範囲あるいは生産区域による、何といいますか、そういう基準というものを、何か目標を立って、これだけの生産あるいはこれだけの集荷区域、そういうようなものがちゃんときまつている、また明示するというとおかしいかもしれませんが、とにかく基準というものを設定すべきだと思いますが、それはどうですか。
#104
○政府委員(渡部伍良君) きょう資料をお配りになったと思いますが、それは基本問題でございます。現在精製糖を作る工場の経済単位は反当四千百斤、六千町歩、百二十日操業、これが一つの基準であります。それが経済単位になっております。従って私の方のこれらの問題は、北海道の例をとりますれば、北海道における畑作面積をもとにしまして、これから開拓される場合もございます、それに今後の品種改良あるいは肥培管理、あるいは土壌改良による反収の増がどれだけできるか、それから輪作の期間を、今六年とか七年とか、ある地方では三年までやっている地方がございますが、その輪作の期間をどれだけ縮め得るか、さらにまた、今はテンサイの栽培に適していない火山灰地であるとか、湿田であるとかという地域を、土地改良なり、土壌改良にどの程度の金をかければどの程度ふえるかということによって町村別の作付可能計画というものを今作りつつあります。大体、三十七年まではもう一カ月くらいしたらできますが、十年後のやつはこれから多少ひまがかかります。もう少し綿密な調査をいたさなければなりません。それに合せまして、先ほど申しました一工場当りの集荷区域、集荷面積というものがございますから、これはたとえば根釧であるとか、あるいは北海道の北の方。あるいは南部の方では、まだ土壌等の関係で反収が低いものですから、そこのところでは面積が広くなる。今の反当四千百斤、六千町歩、百二十日操業に合うような条件が整った所に新工場の設置を認める。そういう計画でやるわけであります。今までのところでは、多少そういう基礎調査を整えないで、非常に急ピッチに入ったところがございます。それは従来、日本甜菜糖なり、その前の明治製糖なり、北海道精糖がいろいろ研究している地盤があるわけであります。その中に入れたのですが、これからはそれ以上にもっと新しい地域を開拓していかなければならない。開拓といいますか、今まで入れなかったのは入れなかった理由がありますから、それを一つ解決していかなければならない。そのめどがつくに従って、新しい工場を導入するように調整していこう。従いまして現在、三十四年、ことしの秋動く工場が七つあります。今申請がきているのが、北海道で八つあります。しかもそのうちの六つは十勝に集中している。それは、とうていそこに、そんなたくさんの数は十勝が幾ら発展しても入り得ないわけであります。これは各社が、それぞれ自分自身の思いつきでそこに作ったらいいだろう、こう言っている。それを私の方では、それぞれの会社の申請の町村別の集荷計画というものを一表にしまして、みんなに見せまして、そこで幾ら争ってもしかたがないから、新しい地域に開拓して、それぞれ分担しまして、私の方ではそういう年度計画によってやるのだから、それに合うような計画に変更してもらわなければならない。こういうことで今協議しております。
#105
○堀本宜実君 もう一つ、最後に簡単に伺いたいと思いますが、結晶ブドウ糖ですね。結晶ブドウ糖の指導ですが、この問題については、例の資金の融通計画の樹立、それから原料の政府のつまり買い入れ等がありますがね。その他に新しくこの甘味総合計画の中で、結晶ブドウ糖に対して何か施策を講じられますか。
#106
○政府委員(渡部伍良君) 現在のところは、今度糖価水準を七十三円に上げまして、従来より若干上るのでありますが、それ以上に新しい施策というものはまだ考えておりません。これは東海精糖が昨年の十月から、それからあと申請が出ている三社はもう数日中に資金の公庫からの融資が決定いたします。ですから、工場が動き出すのはおそらく早くてことしの秋くらいじゃないかと思います。今はそういう状態でございまして、資金の融通あるいは税制上の観点、原料の原価払い下げ、こういうものでしばらくいきたい、こういううふに思っております。
#107
○東隆君 私はまだたくさんございますが、小かん練乳関係のときお伺いしようと思うのですが、一点だけこの際承わっておきたいのは、例の堀本氏が先ほど質問された全量買い上げの問題です。ブドウ糖等のこれは、私はどうしても政府がおやりになった方がいいのじゃないか、こういう考え方を持つわけです。先ほど、輸入量等については、農林省が十分に考えるのだから、それの調節はつくのだと、こういうお話でけすれども、しかし、砂糖の問題は、今までの歴史を見ますと、相当むずかしい問題になっておるのです。ことに、北海道に進出しようとしておる会社、これには自由民主党の実力者がみんなうしろにくっついておるのでありまして、たとえば名古屋精糖、芝浦精糖、大日本製糖、こういうふうにあげても、これはみんな実力者がついておる。従って政府がある程度の手持ちを常に持っておって、そうして輸入量について、ある程度それを調節をするだけのやはり政府が買い上げ手持ちを持っていなければ、価格の安定その他を期することはできぬと思います。それはなぜかというと、今の実力者がやはり農林省に圧力を加えますから、そこで輸入量はこれはなかなか容易に減るもんじゃないのです。名前をあげてみると、そうそうたる人ですから私は申しませんけれども、そこで、食糧庁長官が何ぼそれをここで調節をするのだと、こう言われても、なかなか私は心配でたまらないのです。そこで、やはり食糧庁はある程度のものを買い上げて――全量を買い上げるのだ、そうしてそれを手持ちをしておるのだという、そのことによって価格の調節をする。この程度の考え方をするのがそれが当然の話であります。それをやらないでやると、いろいろ問題が起きてくると思います。ことに両天びんをかけておるところの会社は、これは販路その他においていろいろな便宜、あるいは販売の系統、そういうようなものも持っているかもしれません。しかし、北海道でいえば、北連のようなこのは、これは販売の系統を持っておらないのです。だから、こういうような問題も出て参りますし、ビート糖に関する限りは、せっかく政府が甘味対策として大きく振り上げておるのですから、その手前からもやはり全量買い上げをする、こういう考え方に立って、そうして価格の安定、こういう点で私は一役も二役も政府が買う。そのためには政府が相当なものをしょい込んでおるのだということによって、その圧力で輸入の量に調整を加える、こういう考え方に立たないと、先ほども言ったように、実力者に農林省が相当左右をされるおそれが多分にある。これはもう過去の精製施設の、今三倍くらいの施設があるでしょう、おそらく。そういうようなものができたときのことを考えてみても、あれほどたくさん、三倍も余剰設備ができたことを考えてみても、これはもうみんないろいろな人が背景になっておるから、ああいうような状態になってきたのです。そういう事実を私どもよく知っておるのですから、それでこの際、何も政府が買い上げすることによって以前のように大きなしょい込みを、食管会計で引き受けるというようなことにはならぬと思う。安定すればするほど政府はそんなに問題にならぬと思う、しょい込むことによって何もそんな大きな大穴をあけるようなそういうことじゃないと思う。大穴をあけないような状態になっておるのですから、以前のような食管会計に赤字を及ぼすようなことにはならぬと思う。ですから、全量買い上げをこの際やって、そうして腹を据えてかかってやる必要があると、こういうふうに私は考えるのですが、この点いかがですか。
#108
○政府委員(渡部伍良君) ちょっと認識の相違があるのですが、これは今御指摘のように、北通以外は全部二またかけておるのでございます。従って輸入糖を増加するということは、精製糖の立場からいうと、自分で自分の首を絞めることになる。過去の歴史は、昭和何年だったか割当基準をきめました、その割当基準を告示するまでは過当な増設競争がございまして、増設競争の間は、一方では外貨が窮屈であったにもかかわらず相当砂糖の輸入量の増加の圧力と称せられるものもあったのです。これは農林省で砂糖の輸入割当について非常に過去に苦心したことがあります。ところが、それは過去のことであって、二十九年以降は新設、増設を認めておりますから、それをもとにして現在の精製糖業界は一つのレジームができているわけです、それをもとにしまして現在はむしろ糖価維持あるいは自分の操業の採算ベースの数量をきめていくわけでございます。従って一方では新しくビート工場を作りたいというし、また一方では既存の工場をこれ以上拡充するということもございませんし、むしろ操業は安定したと、こういうのが現状であります。事情は全く一変しておるのでございます。従って北連を除きましては輸入糖を増加する運動、あるいは圧力、こういうものは私どもは予想しておりません。むしろそれよりも、私どもの方に非常にやかましいのは、たとえば最近の澱粉の価格が千五百五十円を割っております、そのために、もっと砂糖の輸入を締めろ、少々砂糖の値が上ってもいいじゃないか、こういううよな声が強くなってきております、そう御心配になるような条件はないのじゃないか、こう思っております。しかし、これはあくまで何というか、考え方の相違でございまして、意見の相違が出ないような制度をお作りになった方がいいわけでありますから、私の方ではわざわざこういう目標を立ててそれに合わせていきたいと思っております。それから、政府が手持ちするという考え方はちょっと理解ができないのですが、輸入糖を全部政府が買い上げて、そうして操作するというのだったらちょっと案になるのですが、一部を持っておるということは……、テンサイ糖だけ買い上げておればそれだけ供給量が減るのであるから、もしお説の圧力ありとすれば輸入糖がふえることになり、そうなればテンサイ糖はどこまでも政府が持っておるということで矛盾した考え方があるのじゃないかと思います。
#109
○東隆君 いや、私の見方は今のと完全に反対なんです。意見の相違になるかもしれませんが、たとえば澱粉の価格を、これは輸入量を減らすことが澱粉の価格を維持する。それからビート糖全を量買い上げることによって政府が価格調節をしなければならぬ面にぶつかるわけです。それは価格が安くなれば、結局、政府は手持ちを放出するわけにいかないのですから、そこでやはり価格がある程度上らなければならぬわけです。それには輸入の量を減らすという問題が起きてくるのですから、政府がそういう圧力というようなものを持つためにも、やはり買い上げをされた方がいいだろう、こういう考え方なんです。それが価格の調節をやる力になるのであって、今のお考えは、輸入量というのは、もう施設は余剰施設をこれ以上認めないのだ、こういうのですが、もうすでに三百万トンくらいの精製能力があるのですよ、日本には。そこに百十万トンなんですから、問題は、一工場、一精糖会社にすれば、割当をたくさんもらった方があらゆる面において利益が上るということになる。だから、精糖会社は輸入量を少しでもたくさん割り当ててもらいたい、こういう問題が、これは常に起きてくると思うのです。そうすると、この勢いというのは実に強い。それで一説では、十万トン割り当てると、すぐ割り当てられた中でもって三億利益が上るのじゃないか、こんなようなことがいわれておるのです。これは考えようによって、輸入量は決して減っていないのですから、二十八年くらいからずっと見てくれば、今ふえていっている傾向です。ことしは少し減っております。だんだんふえてきているのですからね、輸入量は。だから、そういうような点を考えてくると、決して輸入に対するところの精製糖業をやっておる人たちのアピタイトというような、食欲というものは一つも減退していない。それを押えるのにはどうすればいいのかという問題を考えなければ、結局ビート・シュガーをふやしていくというようなことにはならぬと思うのです。
 一番の根本になっておるのが、粗糖の輸入をどうしてチェックするか、これが一番でっかい要素になると私は思うのです。その前に、お考えになっているところからいくと、どうも反対のような考え方でそっちの方は一つやっておこう、だから、なぜそういうことになるかというと、利益がまだ非常にあるからです。甘いからです。ですから、アリがたくさん集まるように、そこに集まってくる、そのところをやはりチェックするものを食糧庁自体が持たんければならない、それには全量買い上げをやって、そうしてその圧力である程度押えていく、このくらいのやはり覚悟がないと、私はうまくいかないと思うのですがね。
#110
○政府委員(渡部伍良君) これは、お話は圧力を是認して、食糧庁がテンサイ糖を買い上げろ、こういうお考えですが、テンサイ糖を全部買い上げれば、圧力を援助するという反面も出てくるのじゃないかと思います。持たせておけばいいのですから、政府にいつまでも持たせておけば、われわれは輸入糖を精製する。政府はいつまでも持っていればいい、圧力を是認すれば……。しかし、先ほど申し上げましたように、その圧力は自分たちの持分を多くしよう、こういう一つの時期がございました。それから、先ほど来申し上げましたように、三十二年は大体八十円で、三十三年になってから七十円台に落ちたわけです。それから、三十年にもやはり八十円台であった。こういうのが出ておるわけですから、そういう時代にはうんともうかったわけです。これは一つは、外貨事情が窮屈だったから相当締めておりました。こういうのも一つ。それからスエズ問題もありましたから、そのときの圧力は、これは外貨が不足だから、もっとふやせばもうかる、こういう一つの希望がある。外貨事情がよくなりましてワクを広げると、全体の相場は下ってくるわけですし、かてて加えて先ほど来話がありますように、キューバ問題等があって、最近の相場は七十円台になった。こういう状態でございますから、今はむしろそういう圧力は、正直にいって逆なんです。三十三年度外貨予算百十五万トン組みました。これは勝手な言い分でございますが、多過ぎるのじゃないか。そういう意見も出ておるのでございます。それでございますから、圧力という面で、その理由というか、その原因が昔と違ってなくなっておるのが現在の状況でございます。一点は、今のビートを自分たちが作りたいということ、今は相場が下り過ぎて、むしろ締めてくれ、量を押えてくれ、こういうのでございますから、そこへもってきて国内テンサイ糖を政府がたな上げすればもっと輸入量がふえる、こういう状況を現出する余地を与えるということになるだろうと思います。
#111
○東隆君 私は、澱粉の買い上げの場合、持てば持つほど圧力になると思うのです、値段を下げる……ある面においてはその原因になるかもしれない。だけれども、砂糖の場合、持っているということは価格の調節をする場合に輸入量を減らすという圧力を持っていると、私は言うのです。輸入量を減らすことによって価格を上げて、そして持っているものを放出するという、そういう働きができるのじゃないか、こう言っておるのです。
#112
○政府委員(渡部伍良君) これは全く逆で、市場に百要るところ、国内のビートを二十なら二十のければ、あと二十をどこかで補給してくれ、こういう御意見、全く逆でございまして、最初私が申し上げましたように、かりに先生が言われるように、ほんとうに圧力があるとして、その防止をするのは輸入糖を政府が全量管理するということ以外に私はないと思います。今はその必要はない、何も圧力はない、これは圧力があったのは二、三年前には御承知の通りでございました。これはむしろ締めているからですね、締めているのを、締めているがゆえに相場が出ているということを忘れてそのワクを広げる、こういうあれはございました。だけれども、今は事情が全然違っているのでございます。
#113
○委員長(秋山俊一郎君) では、本日は、この程度にいたしまして散会いたします。
   午後四時五十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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