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1958/03/25 第31回国会 参議院 参議院会議録情報 第031回国会 農林水産委員会 第21号
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1958/03/25 第31回国会 参議院

参議院会議録情報 第031回国会 農林水産委員会 第21号

#1
第031回国会 農林水産委員会 第21号
昭和三十四年三月二十五日(水曜日)
   午後二時五分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
三月二十四日委員棚橋小虎君辞任につ
き、その補欠として江田三郎君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     秋山俊一郎君
   理事
           雨森 常夫君
           堀本 宜実君
           東   隆君
           清澤 俊英君
           北 勝太郎君
   委員
           青山 正一君
           重政 庸徳君
           関根 久藏君
           仲原 善一君
           堀  末治君
           大河原一次君
          小笠原二三男君
           河合 義一君
           千田  正君
           北條 雋八君
  衆議院議員
           田口長治郎君
  国務大臣
   農 林 大 臣 三浦 一雄君
  政府委員
   大蔵政務次官  佐野  廣君
   農林政務次官  高橋  衛君
   農林省畜産局長 安田善一郎君
   水産庁長官   奧原日出男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   水産庁生産部漁
   船課長     稲村 桂吾君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○漁港法の一部を改正する法律案(衆
 議院提出)
○漁船法の一部を改正する法律案(衆
 議院送付、予備審査)
○酪農振興法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(秋山俊一郎君) ただいまから本日の委員会を開会いたします。
 まず、漁港法の一部を改正する法律案(衆第五四号)(衆議院提出)を議題といたします。
 ただいま衆議院議員田口長治郎君、農林大臣三浦一雄君、水産庁長官奧原日出男君、大蔵政務次官がお見えになっております。御質疑の向きはどうぞ御発言願います。
#3
○小笠原二三男君 前回の委員会で私から二、三質問したのですが、やはり基本的な政府の考え方を尋ねてこの法案の処理をしたいという考えから、大臣の御出席を願ったわけですが、と申しますのは、昨年衆議院、参議院、それぞれ水産関係についての二、三の点をあげた決議案を、それぞれの院に上程し、満場一致をもって国会の意思が確定しております。その中で、三十四年度実行する運びに至ったものもあるわけでありますが、ただ、その決議のうち、第三種漁港について全国的な視野に立って漁港整備をしなければならないものについて特段な措置をせられることを、政府に強く要請している部分が、予算措置の上で、また立法関係において、三十四年度その実現を見るに至らないという状況になっております。従って、これは衆参両院の院議を行政府として無視したものではないかという疑いをわれわれは持っているわけであります。もしも政府が院の意思を尊重するのであるならば、政府みずからが予算措置も講じ、また法律改正を伴う必要があるなら、その法律改正案も政府みずからが提案すべき筋合いであろうと思うのであります。ところが、その一切がない。この間の事情はどういうことであったのか、また、院議無視ということに関しては、政府はどういう所見を持っておられるのか、この点を大臣から承わりたいと思う。
#4
○国務大臣(三浦一雄君) ただいまお尋ねの問願につきましては、衆参両院におきまして、漁港の整備促進に関する決議案の御決議があったわけであります。そこで、三十四年度の予算編成に当りまして、この両院の決議を十分に実現いたしたいと努力いたしたいのでございましたが、例年漁港関係の予算は若干ずつの出入りがございましたけれども、まだ思う通りにはいかぬということでございますが、漁港の促進のために、来年度の予算等も相当に伸びたわけでございます。前年度に比べるならば、九億数千万円の増額になったわけでございます。
 それからまた、漁港の行政機構の整備につきましても、多年問題になっておりました水産庁に漁港部を設置するという点につきましては、幸いに来年度の予算等に実現することにいたしたのでございますが、そのうちもう一つ重要な、いわゆる第三種漁港の問題のうち、規模が大きくて、かっ重要なものについては、特定重要港湾の例に徹して、これが整備促進のために特段の方途を講ずる、こういうことの御決議の次第もあったわけでございます。特定港湾につきましては、石炭、石油等を特に取り扱います港湾につきましては、企業者自体にも負担をさせて、そして特別会計を作って、それによって促進するという道を講じられたのでございます。これらと同じような構想の御意見のあったことも承知いたしておるのでございますが、さきには、余剰農産物の受け入れによりまして、そして融資の道を開いたのでございますけれども、その道もその後途絶えてしまっておりますので、その方法もとれないというようなことにもなり、同時にまた、財政の支出によってこの御決議の趣旨を貫徹するということは、不幸にして実現をし得なかったのでございます。しかしながら、この御決議のうち、重要な事項につきましては、誠心誠意ここまで持ってきたのでございますから、決して院議を無視したわけではなくて、院議を尊重しまして、まず手近なと申しますか、さしあたりそれに応じた、こういうことでございます。何とぞ誠意のあります、誠意の片りんを一つお認めを願いたいと思うのでございます。
 それから、第三種の漁港の問題につきましては、われわれはこれを整備を促進して参りたいし、特段の措置も講じたいと思うのでございますが、政府としましてこれの改正等を出しませんでした事由は、やはり予算を伴いましてそうしてはっきりしたもので出したい、もしくは特定の港湾等につきましてやりましたような方式をとり得るならば、その道も講じたいというのであったのでございますけれども、それまでに至りませんものですから、それで法律の提案は見合せましたわけでございます。
 かような事情でございまして、決して両院の院議を軽視したわけではございませんし、それを尊重して、とにかく実現し得るものから手始めにやったということでございますので、この点、一つ御了承賜わりたいと存ずる次第であります。
#5
○小笠原二三君 そうしますと、農林当局としては、大臣としては実現したいことはやまやまであったが、予算がそれだけとれない、従って改正法律案も出し得ないという立場になったのだ、こういうことのように聞き取れるわけです。そうであれば、予算がとれるなら、どういう構想で、この院議を実現しょうというお考えを大臣としてはお持ちになっておられるのか、お伺いしたい。院議は無視しておらぬというのですから、大臣も熱意を持って構想は検討せられてもそれはあることであって、ないのは予算だけである。従って、将来においては予算的な措置が講ぜられて、法律改正もやれるというふうにしたいということでしょうが、どういう構想でいこうとお考えになったのか、伺いたい。
#6
○国務大臣(三浦一雄君) 実は、特定第三種の漁港につきましては、国の助成の率といいますか、国の負担率を高めて、そうして急速にこれを整備したいというのが、われわれの基本的な考えでございました。御承知の通り、凡百の予算の折衝ということでございまして、漁港だけでも、総額の決定におきましても、同時にまた、漁港部の設置等にいたしましても、相当至難な歩みをした次第でございまして、この特定漁港につきましては、われわれといたしましても貫徹し得なかったのは遺憾でございますけれども、経過を申し上げるならば、ただいま申し上げた通りでございます。
#7
○小笠原二三男君 それでは、国の負担率を引き上げて、急速にこの種の漁港整備に当りたいという考え方だとしまして、それが法律上、また今の建前上、実現できるという根拠がどこにあったのか、お聞かせ願たい。
#8
○国務大臣(三浦一雄君) これは、予算の策定におきまして決定しまするならば、これは実現のめどがつくわけでございます。同時にまた、予算のないものを法律にいたしましても、直ちに実行はできませんものでございますから、われわれとしましては、予算も策定し、これに伴う法律的措置を講じたいというのが考え方でございます。
#9
○小笠原二三男君 私が尋ねているのは、そのことではなくて、負担率を高めてそうしてこれを進めていきたいということは、他のこの種のものとの見合いの関係で、建前上できるという、可能なことを農林当局は信じておったのかどうかということを聞いているのです、金のあるなしにかかわらず。
#10
○国務大臣(三浦一雄君) われわれとしましては、水産業の施設上ぜひともやりたいと、こういう信念のもとに立ってやっておるわけでございます。
#11
○小笠原二三男君 それでは話を進めまして、現在当委員会には衆議院の委員会が発議した漁港法の一部改正法案が出てきておるのは、御承知の通りです。これに対して政府の御見解は、どういう見解を持っておられますか。
#12
○国務大臣(三浦一雄君) 私は、これは竜描いて点せず、いわゆる画竜点睛ということをいいますが、点睛は欠いておるが竜は描いておる、こういう法案だと考えております。
#13
○小笠原二三男君 非常にけっこうなお考えですが、この法案に政府として賛成ですか。
#14
○国務大臣(三浦一雄君) これは予算の裏づけがございませんから、その点においては私は十全だとは考えておりません。しかし、立法府におきましてそれだけの意思がはっきりいたしておりますから、われわれはこれの裏づけのための行政府としての努力は今後しなければならぬ。こういう考え方でございます。
#15
○小笠原二三男君 ただいまの答弁は、岸内閣の国務大臣として政府を代表しての答弁とお聞きしておいてようございますか、行政長官でなく。
#16
○国務大臣(三浦一雄君) 農林大臣としてお答えしているわけでございます。
#17
○小笠原二三男君 この種の法律案に対しての政府の見解は、私は農林大臣の立場でお聞きしているのじゃない。農林大臣の立場でお伺いしているのじゃない。これは、しつこいようですけれども、私は、委員会において法律案を仕上げていく過程においてこの種の質問をするのは、岸内閣は賛成しているのかどうかということを聞いているのです。それを聞きたい。
 まあ非常に持って回ったような質問です。農林大臣が賛成ならば、閣僚の一員が賛成なんだから、内閣は賛成しているものと政治通念上は見られるのであって、そのことを皆さんの方でいろいろと何か御相談するようであれば、これは農林大臣の賛成だということも、大臣でなくて個人発言みたいなことになるわけなんで……。
#18
○国務大臣(三浦一雄君) 実は、予算を伴いますものにつきましては、これに対する閣議の決定をもちまして議会の方面にも御連絡いたしますが、本件は直ちに予算の実行には異同がございませんので、議院の決定におまかせして差しつかえないものと考えております。従いまして、私としましては、本案に対しまして別に反対すべき理由がない、こう考えております。
#19
○小笠原二三男君 その私、私というのはだれですか。
#20
○国務大臣(三浦一雄君) 申すまでもなく私で、私が農林大臣の資格で参っております。
#21
○小笠原二三男君 だから、政府はいいのですね。
#22
○国務大臣(三浦一雄君) そうです。
#23
○小笠原二三男君 そうすると、三十四年度予算要求の際には、この種の漁港整備には大体どのくらい程度の予算を必要として概算要求せられておったのか、念のために、将来の問題ですけれども、承わっておきたい。これは長官でいいです。
#24
○国務大臣(三浦一雄君) 予算の折衝はいろいろございますけれども、全部申し上げられない事情もございますから、その点はあらかじめ御了承おきを願いたいと思います。
#25
○政府委員(奧原日出男君) お尋ねの点は、予算折衝の過程におけるお尋ねかと存ずるのでございますけれども、これは内部の折衝の問題でございまするが、成立いたした三十四年度予算の中でどの程度のものを考えてるか、こういう意味においてお答えを申し上げることをお許しいただきたいのでございますが、昭和三十三年の予算におきましては、今予定されておりまする特定第三種漁港に対しまして、事業量としまして三億二千万円、国の助政費としまして一億九千万円、端数を省略させていただきますが、その程度の額を計上いたした次第でございます。三十四年度といたしましては、大体特定第三種について四億ないし四億五千万円見当の事業費、従って、臨特が廃止されました関係から、その二分の一が国の助成費、こういうことに相なる次第でございますが、この程度の特定第三種漁港の仕事の拡充をするということは、これは漁港の三十四年度の拡充されました部分につきましての特定第三種及び沿岸漁業振興のための零細な漁港との問のバランスをとりましたものとして、決してその他の部分を圧迫するという御懸念のない数字ではないか、かように考えておる次第でございます。
#26
○小笠原二三男君 前回の委員会でお尋ねした際は、この法律に見合うものとしての予算措置はないので、三十五年度以降、しかも、三十五年度以降でも、農林大臣の修築計画が決定せられ、全般の漁港整備の基準その他が決定せられて初めて確定するような予算が出てくる、金をつけていくという形になっていくように、相当時間的に間があるように私はお聞きしたのです。しかし、今の話の内容である一億数千万もの国の負担分というその金は、一般的な第三種漁港としての整備計画が完成していないといわれた二港に対する金であって、特に上積みされて、一応第三種として完成されたものに、なおこの法律案に見合う金として予算つけした金だというふうには私は思わぬのですが、その間のところをもう少し、私も誤解があるかもしれませんから、説明して下さい。
#27
○政府委員(奧原日出男君) ただいま申し上げました心組んでおります金額は、既定の漁港整備計画の実行の範囲内におきます金額でございます。従いまして、今後、三十四年度以降両三年を費しまして漁港整備計画を検討いたしまする際に、その結果出てきます改訂いたしました新しいものに基いての数字というものではございませんことを、御了承願います。
#28
○小笠原二三男君 そうすると、われわれが考えておるこの漁港法の一部改正案が通って、そして特定第三種漁港となって急速に他の第三種漁港より整備していく、そういうための財源要求というものは、三十四年度予算策定の段階においてはしたのですか、しないのですか。
#29
○政府委員(奧原日出男君) 予算要求の際におきましては、特定第三種に関しまする事業量の拡充及び国庫負担率の引き上げ等の内容を含めました予算の要求をいたして、いろいろ折衝した次第でございます。
#30
○委員長(秋山俊一郎君) 小笠原君にあれしますが、今大蔵政務次官に対しまして、決算委員会から裁定のことで回してくれということを申し入れが、来ておりますが、よろしゅうございますか。
#31
○小笠原二三男君 それでは、一言だけ……。今、農林大臣は、この法律案について賛成である、院議を尊重してこの法律案が通過の暁は政府として考えなくちゃならぬと、当然の御答弁があったわけですが、大蔵当局としましても、すみやかにこれが裏づけとなる財源を付与するということについては御協力願えますか。
#32
○政府委員(佐野廣君) 仰せの通り、昨年衆参両院におきまして水産振興の御決議のありましたことは、よく了承いたしております。従いまして所管省であります農林当局の方々と御相談いたしまして、すみやかにこういう予算措置等も講じ、その他いろいろ融資の点もございましょう、起債の点もございましょう、十分御趣旨に沿うように、誠意をもって努力をいたしたいと、かように考えます。
#33
○小笠原二三男君 そのことが三十四年度予算で実現できなかったということは、どういうところに原因があるのですか、一般的な財政不如意ということでなく。
#34
○政府委員(佐野廣君) 今、大臣その他から、農林当局から御説明がございましたように、これが実現しなかったということにつきましては、だれがどうということをここで申し上げるわけにも参りかねますが、この両省の間においての折衝の結果がそういうふうになりまして、しかし、これも先ほど農林大臣も御説明のありましたように、昨年の院議尊重、この点につきましては私どもももちろん異議のあるわけでは、ございません。しかし、当時、ここにいらっしゃいますが、青山先生がこれの決議趣旨説明をなさったことも思い出すのでありますが、この漁港部の設置等、機構の問題から始めまして、漸次御趣旨に沿うように二項三項ございます。こういう点につきまして一つ、漸進的ではございますが、御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。ことに、私専門でないので、そういうところが特に目につくというのが間違いかもしれませんけれども、漁港修築の計画につきましても、農林大臣がこれを定められる、すなわち国が定めるというふうなことにも相なっておりますことはきわめて重要な問題じゃないかというふうに、私事門外でございますが、拝見もいたしております。従いまして、予算というと大蔵省ということになりまして、おしかりを受けるようなことにも相なりますけれども、しかし、私ども――私どもというのは、私個人じゃもちろんございませんが、大蔵省といたしましても、この御趣旨に沿うように、予算措置、それから先ほど申し上げましたもろもろの点につきまして、御趣旨に沿うように、昭和三十四年度におきましては不幸にいたしまして御趣旨に沿いかねたのでございますが、予算の面におきまして十分考慮をいたすつもりでございまして、所管の省と今後協力いたしまして努力いたしますので、御了承願いたいと存じます。
#35
○東隆君 私は、お二人がおいでになるときが大へんいいと思うのです。実は、同様のケースが、水産関係で衆議院に二つ法案が出ておるのです。先ほど農林大臣は、竜を描いたけれども点睛を失った。これは予算の関係だろうと思います。それは、水産業改良助長法案、それから漁業協同組合整備特別措置法案、この二つが今衆議院の段階でもって提案をされておるわけです。この法案は私は、農林大臣も賛成されると思うのです。しかも、これに対しては、三十四年度においては予算を必要としなくてもこれはやり得るものだと思うわけです。しかも、私がこれを同じようなケースだと、こう申し上げるのは、実は沿岸漁業の振興という点について、今の政府の施策は非常に手薄だろうと思うのです。で、三十四年度の既定の、今審議中にある予算について考えてみても、これだけのものを整備することは差しつかえない、こういう考え方で、実は同じようなケースでありますから、政府が特に衆議院の段階において反対をしない、しかし陰に陽にこれの成立に賛成をされる、こういう態度をとられるならば、私は、自由民主党の諸君は衆議院の段階においても十分にこれに賛成をされるんだろうと思います。農林水産委員会において。そういうような法案の中身だろうと思うんです。
 そこで、私は、ちょうどいい機会でありますから、この水産業改良助長法案、これは、農業の方面においてはもう十分にこの制度でりっぱな仕事ができているわけであります。水産業関係が非常におくれておりますから、それと同様な形のものをここに持ち出してきている。これをお考え願いたいと思います。それから、漁業協同組合整備特別措置法案というのは、これは農業協同組合に関係する分は、もうすでに法律としてでき上ってきているわけです。その当時参議院の方では、漁業協同組合と林業関係の協同組合に対しても、これと同様な措置をすみやかに講ずるようにせい、こういう付帯決議をつけた中身であります。しかも、この関係のものは、多少の事務費を計上すれば、三十四年度においては計画を立案されればいいのでありますから、従ってこれも可能なんであります。そういう中身でありますから、一つ農林大臣は、これは私は関係ないという形でなくて、かえって積極的に一つお進めになったらいいのじゃないか、こういうふうに考えている中身でありますから、一つこの点について考えをお漏らしを願いたいと思います。
#36
○国務大臣(三浦一雄君) ただいま東さんは、予算の何の裏づけ等もなくてやれるという御見解でございますが、当局としましては、両法案ともその施行につきましては、予算の計上なくしてはとうてい実施できない、こういう意見を持っておりまして、従いまして、その成立に対しましてはにわかに賛成ができない、こういう態度でございます。
#37
○東隆君 どういう点で不可能だと、こうおっしゃるのですか。改良助長法案の中身のものはですね、現にたとえば改良普及員に対しても十分な予算をとっているわけです。人も置いているわけです。その他の点について何も問題ないと思いますし、それから漁業協同組合整備特別措置法案は、これは事務費を計上されればいい、これは十分にあるわけですから。しかも、この仕事はやっている、この仕事はやっているからと、こういって、水産当局は、これにかわったことを十分にやっているから、こういって法律を出すのを延ばしておっただけの話でありまして、十分にやり得るところの予算を持っているわけです。そうして計画は、これはことし立てておいて、そうして三十五年度ぐらいから進めますれば、いい。そういう中身ですから、今、農林大臣が否定的なことを言われたけれども、私は決して否定的な発言をされる必要はないと思う。この点は、長官がよく御承知でしょうから、長官から一つ伺いたい。
#38
○政府委員(奧原日出男君) 私は、ただいまお話のございました二つの法案に関しまして、その内容自体をどうこう申し上げるものではございませんが、ただ、三十四年度の予定されております予算によってのみこれが実行できるか、こういうことにつきましては、若干の問題があると、かように思っております。まず、水産業改良助長法でございまするが、この内容は、県におきまする試験研究員及び試験研究に対しまする助成、さらに、ただいまお話のございました改良普及員、専門技術普及員及び地区改良普及員に対する助成、これを内容といたすのでございます。そこで、ただいまお話のございました、後者の改良普及員に関しましては、御承知のごとく、各水産関係県に人員を配置し得る予算は、不十分ながら計上いたしておる次第でございまするが、県の試験研究に関する部分につきましては、試験研究員の助成というものは、これは全然頭を出しておらない次第であります。また、試験研究に対しまする助成につきましても、きわめて少額。法律で定める以上は、ほとんど大部分の水産県に行くほどの規模のものでなければならないはずでございまするが、ごく一部の県にしか渡し得ない程度の金額しか計上いたしておらないのであります。
 また、漁業協同組合整備特別措置法案に関しましては、その内容に関しまして三つの柱があるのでございまして、すなわち、整備組合に対する利子補給及び合併組合に対する奨励金の交付、さらに不振組合に対する駐在あるいは巡回指導、この三つの柱がある次第でございます。明年度予算において解決いたしておりまするものは、この三の柱に関するもののみでございまして、利子補給及び合併奨励金に関しましては、これは特に新たに予算を計上するか、あるいは債務負担契約をするかいたさなければ、この法律を発動することは困難に相なるのではないか、かように考えておる次第でございます。
#39
○東隆君 私は、完全な予算ができ上っておるなんていうことは、一つも考えておらないのです。そんなことを初めから望んでおるのは、これはおかしな話でありまして、決して完全な予算を初めから考えておるわけじゃない。しかし、水産業改良助長法案の中身の予算はあるから、従って、この法律によってやり得るものをやっていって、そうして三十五年度からは本格的に予算を獲得したらいいじゃないか、こういうことなんです。漁業協同組合整備特別措置法案だって、漁業協同組合に対する指導監督の関係の費用を持っておると思う。十分に持っておるはずです。そういうような関係の予算を持っておって、そうしてこの仕事ができないという理由はない。だから、私はこの法律によって、非常に今までのおくれた形のものが、これによって整備をされて、そうして指導を進めるに大へん部合がいいと、こういう考え方であるならば、今きめられようとする予算の範囲内において、三十四年度は仕事をすればいいわけですね。三十五年度から本格的にとればいいのであって、これは先ほどの特定第三種漁港の改正と何も違っておりませんだから、私は、同じケースだから、これについて反対をされる理由は一つもないじゃないかと言ったところが、農林大臣は、予算がないから、それでこれはだめなんだ、こういうふうに言われるけれども、私は、そうじゃなくて、今の漁港法と同じようなケースだから、私はこの際これを通されるように積極的に衆議院の段階で自民党の側の方へ一つ促進をしていただきたい、こういうことを言ったのです。否定されるのは、これはおかしい話である。先ほど、これは竜を描いてそうして点睛をされてないのだと言って、そうして、これは賛成なんだと言われておって、そうして、今、これに対しては反対だと言うのはこれはおかしい。そうじゃないですか。もう一度お答えを願いたい。
#40
○国務大臣(三浦一雄君) これは衆議院の立法に関しますことですから、われわれの方からとかくの批判をしたりなんかすることは避けなければなりませんが、施行上、予算を全然必要としないという見込みをわれわれは立てかねておるわけでございますので、従いまして、この法律によって制限された場合、それを施行する場合に予算が要る、こういう水産庁長官等の御意見でもございますので、そうしますと、予算なしではこの法律の実行はできない、こういうことでございますから、にわかに賛成はできない、こういう趣旨でございます。
#41
○小笠原二三男君 話が横っちょへ行きましたけれども、これも大事ですから尋ねますが、農林大臣、幾らか言葉が足りないのじゃないですか。この趣旨、内容には、反対なんですか、賛成なんですか。何もかもいけないというのですか。予算がないからにわかに動じがたい、予算の裏づけがあればけっこうな法律案ですと、こういうことなんですか。水産庁長官は反対だとは言えない。いいことなんでしょう、これは。
#42
○国務大臣(三浦一雄君) 予算の裏づけがありますると、前進すべき案だと考えております。
#43
○小笠原二三男君 そう言えば、やわらかいことになりますね。
 本題に戻りまして、この漁港法一部改正案は、農林当局としてよし、大蔵当局としてよし、今後積極的に善処する、こういう言明をいただいたものと私は考えます。
 そこで、問題は将来の予算の問題ですが、その後、柱としては、国の負担率を引き上げるという形をまず推して、それによる予算を獲得する、これが骨格である。先ほどの御答弁の通り、そう政府は将来推進するであろうと私は了解したわけです。まあそれでけっこうだろうと思っております。いや、さにあらずというのなら、今のうちに言い直しておいてもらいたい。
#44
○国務大臣(三浦一雄君) われわれの念願としましては、やはり第三種特定港と指定されました以上は、これは負担率を高めたい、これが骨格でございます。同時に、事業分量も拡大して参りたい、とこう考えておるわけです。
#45
○小笠原二三男君 そこで、そういうことが、予算上は一種だ、二種だ、特定だというふうには分れませんから、従って、包括的に漁港整備予算というものをとるわけですが、その特定第三種漁港のために、負担率を高めて重点的に仕事を進めるということのために、従来計画にあり、そうして今後推進しなければならない零細漁港の整備、これらの方に財源が十分さかれない、しわが寄る、こういうことであってはならぬというのが、前回の委員会における討議の中心問題であったわけです。それで、それらのわれわれの心配を取り除く、そういう意味での配慮を講ずるのだから、心配ないのだという点があったらお聞かせ願いたいし、ないならばないでも、そういうことのないような前提のもとにこの種の仕事を進めるなら進めるという言明をいただきたい。
#46
○国務大臣(三浦一雄君) 特定第三種漁港につきましても、今のような前進した態度をとりたいと思いますが、このために他の漁港の整備にしわ寄せしないというふうにいたしたいと、こう考えております。
#47
○委員長(秋山俊一郎君) 本件は大体質疑も尽きたようでありますが、終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○委員長(秋山俊一郎君) 御異議はないと認めます。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#49
○委員長(秋山俊一郎君) 速記をつけて下さい。
 質疑は終局したものと認めます。
 では、これから討論に入ります。
 御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#50
○千田正君 この法案は賛成はいたしますけれども、昨日来当委員会においていろいろ質疑応答がありました通り、ただいまも小笠原委員から農林大臣、大蔵当局にだめ押しをしたようでありますが、せっかく骨格ができたのであるから、この骨格がゆがめられないような方法を予算の獲得の際に考えていただかなければならぬと思う。そういう自信はもちろんおありのことと思いますけれども、そうでなかったなら、先ほど農林大臣がおっしゃったような画竜点睛を欠くと。絵だけ描いたけれども、目が一つもないのでは、何らの意味をなさい、こう思いますので、特にこの点は念を押して、次の予画の公表と酪農振興基金に通知する場合の手続でございまして、申し上げたかったのは以下のようでございます。第一項によりまして、このどれだけを市場からたな上げするかという保管計画は農林大臣である、国自身が立てるのでございまして、その保管計画内の、保管計画を定めるべき、省令で定める事項の中で、保管者である製造業者が大部分と思いますが、製造業者が、大部分の乳業者が勝手に保管物資を処分しないようにさせることでございます。
 その次の御質問でございますが、酪農経営の改善は各方面にわたって集中的に効果を総合して発揮できるようにいたしますことが必要だと思いますが、おおむねその考えは、本法案に盛りました酪農経営の改善計画の計画事項になると思いますが、そのうちでも乳価の半分ばかりに相当する濃厚飼料を使っておるのを、購入して酪農を営んでおるのが、北海道を別としまして本州側の一般的な状況でございます。そこで、自給飼料を強化することが最も根本的に重要なことでございますが、第一には草地改良造成事業を行うべきと思っております。これは昨年度までに都道府県に対しまして二百七十台の草地改良用のトラクターその他の付属農機具の補助を行なっておりますが、この能力を発揮すれば、なお今後相当の改良面積は可能でございます。
 そこで、昨年度までは高度集約牧野を約三万五千町歩、改良牧野の改良を三万七千町歩実施しておるのが実積でございますが、将来は牧野を高度集約牧野に造成したいと思っておりますのは、今後四年間で小くとも十万町歩くらいしたいと思っております。
 また、既耕地におきます飼料作物の栽培も年々ふえておりまするけれども、三十二年末には約二十八万町歩ございました。農林統計の示すところでございます。これも長期計画の中に立てております畜産、特に乳牛の飼育の長期計画に応じまして、さらに少くとも十万町歩くらいの飼料畑は、利用度も増しまして作りたいと思っておるわけでございますが、それを目途にいたしまして、三十四年度はただいま先生御指摘のように、補助金としましては高度集約牧野について約七千町歩、その他の優良放牧地の造成で三百二十町歩を対象にいたしまして、一億五千八百万円を計上しております。なお、この草地改良事業は利用をすべき農家の方々がどういうふうに計画を持ち上げて、また実行していくか。でき上りました草地、牧野、これをいかに維持管理していくかということについて基本の制度をさらに研究する要があると思っておりますが、目下研究中でありますので、成案を得ますれば農地制度のような草地制度、あるいは土地改良法に書いておりますような意味の草地改良事業法、こういうようなものを参考にいたしましてりっぱな制度をだんだん仕上げていきたいと思っております。あわせまして三十四年度の予算に計上してありますが、法律案の細目説明でも申し上げましたように、都道府県等が酪振計画に基いて実行いたします草地改良事業はもう少し大規模なものをやってみたらいいじゃないか、そういう意味におきまして、その場合は国が調査と設計を、工事をいたしまする場合の土地改良事業の設計のようなもの、干拓事業の設計のようなものでありますが、その基本調査と工事計画の設計は国が直轄でやったらいいじゃないか、そういう考えを持ちまして、来年度はとりあえず四カ所くらいをねらいまして、大規模草地改良基本調査設計費と書れてありますが、五百万円を計上いたしておるのであります。また北海道を中心にいたしておりますが、湿地牧野の改良事業がだんだん進んでおりますが、なお相当の面積これはございますので、補助金において三百万円、また放牧利用模範施設費補助金で約一千万円を計上いたしておりますが、飼料畑におきまする肥料あるいは種子等につきましては、技術導入で無利子の農業改良資金を一つ活用したい、また事業は、草地造成改良の事業をいたします場合にも、その事業費に対して農業改良資金を利用したい、こういう意味におきまして、農業改良資金には八千八百万円を計上いたしますと同時に、農林漁業公庫の資金を使うことが適当と思われるものもございますので、これに対しましては一億九千三百万円の資金措置を講じておるのが来年度の事業でございます、なお、そのほかに既耕地で飼料作物を作る、あるいは牧草を作るということが、先ほど申しましたように、非常に進んでおりますが、これは新農村建設事業の中において約一千町歩、北海道に長年牧草地の更新事業といたしまして千八百町歩、また飼料作物の作付をする、従来の作物を転換する意味におきまして約八千二百町歩、寒冷地畜産振興に伴いまする自給飼料の増産としまして千四百町歩等を予定し、その他を含め、農業改良資金、農林漁業公庫資金、五億六千万円、来年度の財政投融資としまして計上をいたしておるのでございますが、なお牧草または飼料作物の種に対しまする採種圃あるいはそのもとの原種圃あるいは配付奨励をいたしまする措置等、おのおの予算及び資金を通じまして確保しておるのでございますが、これを逐年続けていきまして、おおむね三十七年度までには牧野において十万町歩、その利用度も増す、プラスであります。従来以上に十万町歩、畑の飼料作物について十万町歩、その利用度も増す、こういうふうに考えておる次第であります。
#51
○清澤俊英君 この無利子の改良費というのは何です、これは。そういううまいものを……。
#52
○政府委員(安田善一郎君) これは農業改良資金の技術導入資金といいいまして、飼料畑を作る際の種子と肥料代につきましては、農業改良資金全体で最後の帳じりが締めくくってありますから込みになっておりますけれども、内部は分れております。飼料畑の造成改良でございます。
#53
○清澤俊英君 これは、個人の桑園改良という建前のものがあまり見てありませんようですが、それについてはどうお考えになっておりますか。
#54
○政府委員(安田善一郎君) ただいま申し上げました無利子の農業改良資金によりまする自給飼料増産というのは、ちょうどその個人に参るわけであります。新しく開墾して優良な牧草、飼料作物を植える方は、小規模な機械開墾事業のようなものでございますので、これは公共事業的な用にだんだん扱いたい。補助率もこれは従来三割でありましたのを、三分の一に引き上げましたが、国営直轄で大規模にやります場合等はやはり補助率をもっと増すべきものと、こういうことで大蔵省とだんだん意見を一致させておる次第でございます。
#55
○東隆君 いろいろ草地の問題であるとかその他飼料方面その他、私はやはり市乳業者を対象にしておるのじゃなくて原料乳を生産する農家を対象にして、お考えになっておるので、私は大へんいい考えだと思うわけですが、しかし全般を通して、私は酪農振興法を見たときに、まだその市乳の方面そっちの方面に非常に重点を置かれておるんじゃないか、こういう考え方がしてならないのです。酪農というのは、私は必ずしも乳だけを対象にしておるのではなくて、やはりそれに関連して、たとえば牛乳を生産するのには牛の子が生まれなければならぬのですが、その牛の子は牡牝半々に生まれてくるのです。そうすると牡犢の問題だが、こんなようなものの処理から始まって、ある範囲は肉畜を対象にしたものも考えなければならぬ。場合によっては小家畜なども考えなければならぬ。こういうものが入ることによって、原料乳としての、たとえば集乳所でもってスキム・ミルク、脱脂ミルクを持ってきて、そういうようなものを飼料に充てる、そういうような形になって初めて酪農というものの合理化が行われるのですが、だからそういうような面をやはり考えていかなければならぬので、市乳を中心に考えるといいますと、今実のところを言うと、非常にうまくいっておるんじゃないかと思う、形は。昔は夏の乳と冬の乳では、夏の乳が実は値段が安かった。戦前は確かに安かった。ところが、今はどういうような状況になっておるかというと、冬の乳よりも夏の乳が非常に値段が上って、そういう形になっておると思う。それは消費の方面が、生乳としての消費が進んでいるということと、それからアイスクリームやその他の簡単な操作によって使う面がふえてきておる。従って、普通の乳がどんどん消費されていく、そんなような形でもって夏の乳の値段が高くなっておる。しかし、そんならば乳製品の側に対する原料乳として供出しておる酪農家というものは、これは逆な形になって、冬は飼料がかえってかさんでおるときに安い値段で売らなければならぬ、こんなような形ができてくる。これは私は実のところを言うと、はなはだ酪振法がねらいをどちらの方に中心を置いてやっておるか、こういう点になってくると、私はやはり乳製品の原料を生産する農家、こういうことを中心にして酪農家の経営安定ということにもう少し力を注がなければならぬのじゃないか、今、飼料の問題が一つ解決されておりますけれども、それ以外に、私は牡壇續の処理であるとか廃牛になったものの処理であるとか、その他いろいろな問題がたくさんあるが、そちらの方の問題は、ほとんどここから抜けてしまっている。そういうふうなことを考えてみますと、やはり一番条件の悪い状態に原料生産の酪農家が置かれておるのじゃないか、こういうような気がして仕方がないのです。この酪農法のねらっているところは、私は、市乳じゃなくて、ほんとうの酪農家を、乳製品の原料乳を出す農家を対象にしておるのじゃないかと思うのです。そうじゃないのですか。
#56
○政府委員(安田善一郎君) この酪振法は、今回改正案を出しましたこともありまして、すなわち現行法の文体のこともございまして、言葉がどうもわかりにくい点で誤解のある点もあるかと思いますが、東先生のおっしゃる御心配はないというのが、基本精神であります。と申しますのは、生乳などと書いてありますのは、農家が牛を買い入れまして、搾乳したままの牛乳を生乳といいまして、その他脱脂乳とクリームとをいっております。それから、市乳という言葉は、この法文には出て参りませんが、原料の生乳が処理されまして、殺菌をして、食品衛生法の適用を受けて、農家をすでに一応原則として離れまして、共同施設として処理場を持っておれば別ですが、処理販売業の手に渡ってから生産されて売られるものを一応市乳といっておる。乳製品は、なま牛乳を原料にしましてバターとか、チーズとか、粉乳、練乳その他を作りまして、相当貯蔵に耐えるものを乳製品、そういうふうにいっておりまして、かつ、酪農は、乳業関係のことも考えた場合の酪農農業経営を総称してこの法律はいっておるのであります。その意味の使い方は、今回改正をいたしませんでした。従前の通りでございます。従いまして、いわゆる市乳という、飲用牛乳として消費されるものでも、乳製品の製造の原料になりますものでも、その両者を通じての原料となるなまの牛乳は、酪農農業を経営する中から出てくるわけでございまして、その健全な発達と公正な取引と、そうしてなまの牛乳の生産と、製品である飲用牛乳及び乳製品の消費、保管ということ、生産と消費とをバランスさせるようなことを考えておるので、目標は申し上げるまでもなく、酪農の経営改善をはかって、一そうその健全な発達をはかりまして、もって農業経営の改善、安定に資することが目標でございます。
#57
○東隆君 簡単に、今のお話でもう一つお伺いをしておきたいのは、私は、やはり原料乳を生産する酪農家を中心にしておると、こう考えた方がいいと思うのです、実際のことをいえば。それはたとえば、無土地農業というような形で、土地を持たないで牛を飼ってやる、こういうことも都市の郊外であれば成り立つと思う。そういう農家を私は対象にされておるのじゃないかと思う。そういうふうに考えて参りますと、私は、乳製品を作る、工場のコストを下げるという点をやはり十分に考えなくちゃならぬと思うので、この点で、集約酪農地帯などを設定されて、そこに基幹工場を作る、こういう問題が当然起きてきておるわけですが、この場合における建設費その他は、できるだけ……、今回はいろいろ調査やなんかもできますし、権力によって調べることもできるようにこれは規定をされるということになっておりますから、おのずから会社の乳製品をこしらえる工場の計算内容などもわかると思うのですが、そういうようなことを考えたときに、やはり農林漁業金融公庫から相当な建設資金などを出すべきでないか、こういう考え方を持つべきじゃないか、これは以前の国会でもって、私はたびたび主張をいたしたのでありますが、これによって工場における固定したところの資本の費用をできるだけ安くすることによって原料乳をできるだけ高く買う形もできるのじゃないか、こういうことも考えますので、この点はどういうふうに今なっておりますか。端的にいいますと、北海道の雪印と、それから例のクロバーが一緒になりましたが、クロバーの方には、公庫の資金が出ておりまして、そうして雪印の方には出ておらない。それが統一をして今度どういう形になるか、ここに一つ問題があるわけです。それから、歴史的な経過から考えて、協同乳業なんかも私は相当、普通の産業資本によるところの場合と違うと思うのです。そういうような意味で、農民の資本を中心にして作り上げたところの会社、こういうようなものに対しては、農林漁業金融公庫の資金を融通する条件が備わっておるのではないか、こういう考え方を持つわけです。これは農林漁業金融公庫法の改正というようなことをやらなくてもできるものでありますから、結晶ブドウ糖の場合に法律をいじくって、そうしてやったような先例もありますが、そういうことをやらなくてもなし得るものでないか、こういうふうに考えるわけです。その点、私は、どういうふうになっておるか、お伺いをいたしたい。
#58
○政府委員(安田善一郎君) 乳業会社の設備資金のことでございまするが、北海道のクロバーと雪印は、農業資本が九割入っておりますので、その意味をもちまして、従来、農林中金が資金供給をしまして、たしか四十億円ほどに上っておると思います。年々設備の拡充が必要なほど酪農の発達してきたのに照応しておると思います。協同乳業も、創立当時は違いますが、その六割は農業資本をもって肩がわりをしたりした関係もありまして、農林中金が融資をしております。そのほかにクロバーに対しましては、御指摘のように北海道、東北開発公庫が、農産物の軽度の加工業という融資ワクがありますので、このワク内で融資したことがあると存じております。しかし、農林漁業公庫につきましては、来年度の農林漁業公庫資金の運営、その原資の調達、業務規程に反映さるべきワクの作り方について考えたいと思いまして、相当努力いたしましたが、法案によりまして乳業者をどのくらい押えていくものか、従来の指定集約酪農地域内の乳業施設等の制度がございましたが、二十九年以降、そういう措置を必ずしもとってありませんのしたので、その他の大メーカーは、中小メーカーを加えて、市中銀行の融資に負うておった。経営の合理化をはかるときには、乳業者に対しましては金利負担を軽減することなど、最もいい方法でございますので、今回は開発銀行による資金、北海道東北開発公庫による資金を考えまして、開発銀行はちょっとワクがはっきりいたしておりませんけれども、目下あっせん中でございますが、業界の要望を七億と押えまして、北海道東北開発公庫に関する要望は五億七千万円と押えまして、このうちの相当額をあっせんしようと思っておるのであります。将来は、将来はと申しますのは、この改正案が通りますれば、集約酪農地域におきますことばかりでなしに、牛乳の流通消費のことも考えたり、乳業者や消費の合理化や拡大のことも法的に出て参りますので、これに伴いまする資金ワクを、次年度から、お話のように精製ブドウ糖のようなワクを作って公庫資金を供給するのがいいのじゃないかということで進んでおるわけであります。しかし、来年度におきまして公庫資金の用意をしてないわけではありません。これは農業協同組合とか、要するに農家の団体があるいは冷蔵施設を持つ、乳製品の工場を設置したい、牛乳の処理場を持ちたい、クーラーステーション等を作りたいということなどを含めまして、畜舎、サイロなど畜産共同施設といわれておるものを含めますが、合計で八億五千三百万円用意をいたしておるわけでございます。これはもっぱら農業団体の方の共同施設と一応考えておるわけであります。
#59
○東隆君 北海道東北開発公庫から出るというのは、これはもう完全に産業資本ということを前提に置いてのことになるわけですが、と同時に、問題は北海道と東北の中に設備をする、こういう場合に限定をされるだろうと思うのですが、それで資金の面において多少不便があると思います。やはり農林漁業金融公庫から出る方がいい、こういう考え方を持っております。それから今、原料乳の販売統制ということを、これは協同組合が全面的に進めておるわけです。国内は今、全販を中心にして進めていきつつあるのですから、従って、原料乳のための資金、これは生産物金融でもってやる時代が当然くるのじゃないか。協同組合によるところの生産物金融でもってやるような態勢を整えることによって初めて農村金融の合理化が行われるし、従って、金利その他の面も外に流れないで農村の中に落ちついてくるという形になってこようと思う。そういうような意味で私はできるだけ協同組合との関連において処理をしていくのが、これがほんとうの行き方じゃないかと、こう考えるわけです。そういうような意味で産業資本の方面の金融を、これは少しでも安い資金を流すという意味においてはいいと思いますけれども、しかし、そういうような資金を使うことによって協同組合との関係、そういうようなものが切れてくるおそれがあるわけであります。また、そういう意味でやはり農林漁業金融公庫を使えるものは使うように、そういう形でもって一つお考えを進めていただきたいと、こう思うわけです。同時に、原料乳の共同販売態勢を確立していけば、これは協同組合が中心になることが当然でありますから、従って、その場合には協同組合に対して生産物金融という形でもって農林中金その他の資金を十分に使ってやる態勢もできるわけです。私はそういう形を整えていかなければ、将来そういう紛議が――契約上その他の場合におけるいろいろの問題が起きた場合においてもやはり農民の地位というものは非常に弱いものですから、そんなような関係でやはりこの態勢をくずしたくないのでありますから、そういう意味で酪農振興の法律に非常に忠実なやり方は今私が言ったようなことでないかと、こう考えるので、そういう意味で金融の面もお考えを願いたいと、こう思うわけです。
#60
○堀本宜実君 私は、この酪振法の改正案を見まして、もともと目も鼻もないもとの法律といいますか、何かきめどころのない法律であったように思うのですが、一歩前進したようなふうに見ております。非常に努力をされた跡は敬意を表するのでありますが、そこで、一、二簡単に伺いたいと思うのですが、あの法律を読んでみますと、生乳取引調停審議会という審議会がございます。それから酪農審議会ですか、という審議会が二つついておるのですね。ところが、牛乳の取引審議会は中央審議会という名前がつけられて中央にできる。地方においても作ることができるというふうに書いてあります。従って、地方に必要はあるけれども、必ずしも作る必要はない、作ろうと思えば作れるというような考え方のようですが、それはどういう考え方でそういうふうにお作りになったのか。
#61
○政府委員(安田善一郎君) 牛乳取引調停審議会は生乳等の取引審議会、まあ農家で生産される牛乳の販売取引の紛争に関する調停をする場合の諮問機関として中央、地方に置く予定でございますが、法文でも、地方でも書き中央でも書いてありますが、地方は調停を行うべきものが知事でございまして、その諮問機関が地方の生乳取引調停審議会であります。この場合には酪農の発達いまだしで、四十六都道府県、実はみんな必要がございません。そこで、重要な県には必ず置かせるのでありますが、置くことができる。かたがたもちまして、中央は一個でありますから、当然置く、同時に、農林大臣先頭に立って責任をもってやるわけですが、他に例もございますように、三人の調停委員を審議会の委員の中から選んで、まず調停をやってもらうことがいいのじゃないかと考えまして、そのことによる分担の変更、差異だけでございます。
#62
○堀本宜実君 よくわかるのですが、その内容は、私も書いてあるのでよくわかるのですが、全国の各都道府県に必要のないところがあるから、都道府県には「置くことができる。」というふうに書いたのだという御説明だが、それでは法文上ちょっとおかしいのじゃなかろうかと私は思う。必要があって必ず置かせるという思想があるならば、必ず都道府県にも置けということで行政指導をされるのでしょうから、当然置くということが必要だと私は考える。しかし、それは考え方が違う。そこで、審議会という二つのものがついてくるのですが、酪農審議会というものの中で、その取引等に関しての調停、あっせんをすることができるというふうにされて、一本でいけないものかと私は思う。非常に複雑なような気がします。もう一つ、もし当事者間に紛争が起った場合には、その当事者は知事に対して調停なり、あるいはあっせんの申請をしてくる。そうすると知事はみずからが調停案を作る、作るのだが、中央の取引審議会に意見を聞いて、そして助言をしてもらう、あるいは中央の委員がそれぞれの調停の原案を作るというふうな援助をする立場をとっておるようであります。そういうことを考えてみますと、実態としましては、都道府県に必ず作っておらなければいけないはずだと私は思う。そうせぬと、行政庁の長である知事が直ちにその意見を聞てさばくということよりも、中央から間接にものを頼んで勧告を受けるよりも、その発生する紛争の現地は府県でありますから、その府県において審議会が、取引調停審議会というものがあって、それが東西をつけるというか、調停をするということが一番都合よくいく方法でなかろうかと思います。今の局長のお話によりますと、必要のある県には行政上必ず置かせるように指導する、こういうことでありますから、それでもいいのかもしれませんが、私は酪農審議会と、調停審議会と一つのものの中で行わしめるようなことがいいのではなかろうかという考え方を持つのでありますが、その点どうですか。
#63
○政府委員(安田善一郎君) お答えを申し忘れまして恐縮でございますが、酪農審議会は、従来からも現行法に基いて設置されておりまして、農林省に置かれておったのであります。その機能は、農林大臣の諮問に答えることと農林大臣に建議することでございまして、関係事項は、酪農振興に関する重要事項でございます。今回法案が改正されることに伴いまして、法文を追加変更されたこともございますから、範囲がおのずから広くなりますが、まず基本的には、わが国で酪農を長期的、短期的にどう振興していくか、どう経営を改善、安定していくか、乳業関係はいかに合理化、発達をはからしめるか、販売、消費についてはどうかという基本政策を――緊急事態にも応じますが、基本的事項の長期的勧点に立ったものについても審議していただく機関と考えておるわけであります。すなわち、政策的な事項についての諮問機関あるいは建議機関、こう考えておりまして、おのずから委員の構成もそれに応じたように案を立てておるわけであります。これに反しまして、生乳取引の調停審議会は、労働関係の中労委等も第参考にして下さいますとわかりますように、行政ではございますが、司法的といいますか、司法的な行政のことでございますので、両者を兼ね備えないで、紛争調停は、専門に、政策的意見をそう入れないであっせんする方がまとまりやすいのじゃないか。性質もそういうふうにあるものじゃないか。同時に、いろいろな各法律の例を見ましても、その両者を分けておる方が普通でございましたので、通例の原則に従いまして今回分けました。堀本先生のような御意見につきましては、事務的には一応そう考えて、機構の簡略化をはかろうと考えたこともございますが、やはり事項の性質上、分けた方がいいと思った次第であります。都道府県におきまする審議会は、大臣が知事に対しましてその訓令は発し得るのでございます。予算も計上してございますから、必要にして置かない所は、その大臣の権限と予算措置をも以まして、必ず置かせるようにしたいと思う次第であります。
#64
○堀本宜実君 もう一つお尋いたしますが、要綱、理由の説明書の中に、計画書を作成するときには、経営農民の意見を聞き、農業協同組合等の意見も聞くと、こう書き分けてございます。ところが、法律の方を見ますると、経営農民の意見を聞き、生産者の意見を聞いてというふうに書いてあって、協同組合ということは入れてありません。これは将来の指導は協同組合等の意見を聞き、ということの御指導を去れる御意思でそういうふうにお書きになったのですか。
#65
○政府委員(安田善一郎君) 実は、両方書いてございますが、場所を変えて書いてあるわけでございまして、正確に申し上げますと、市町村が酪農経営改善計画を立てます場合は、農業者の意見は必ず聞くことを法文の規定の必須条件といたしておりますが、計画事項に農業協同組合がやるべき、たとえば生産についても共同行為、草地改良事業、いわんや生乳の共同販売処理事業ということにつきましては、協同組合または同連合会が行うべき事業を計画に立てるときには、意見を聞くよりさらに進めまして、当該農協及び同連合会に協議をしなければならない、こう実は法文に別の場所に書いてあるわけでございます。提案理由にありましたのは、その趣旨を端折って書いたのでございます。別途農業委員会の方は農業委員会にそれ自身の法律がございまして、農業振興計画に関する事務を行いますことは、当然でございますし、それは市町村の農業に関する執行機関でございますから、これは市町村が事実上同法に基いて協議するから、あえてここに書かなかった、こういう意味でございます。
#66
○堀本宜実君 御趣旨はわかったのでありますが、説明のところでああいうふうに書き分けるものならば、農業委員会というもは、法によって、農村振興施策の策定をするということが大体の任務でございます。そしてまた土地に関するところの管理その他についても当然な重要な責任を市町村では持っている。ことに土地の草地の所でいろいろそれの権利の移転であるとか、あるいは廃合であるとか、その他の計画を立てる条項が特別に書いてあるので、従いまして、土地に関しますることは農業委員会の意見を聞かなければならない、これは市町村長が主宰をするものではないのでありまして、農業委員会の会長というものがその農業参員会を主宰することに法できめられているのであります。従いまして、振興計画を立てること、あるいはその重要な柱である草地を創設するという二つの任務を持ちまするためには、協同組合はもとより、その経済行為を行うとろの団体でありますから、意見を間くことは当然であろうと思いまするが、農業委員会というものをしてそれの計画に当らしめ、なおまた、草地改良あるいは草地の創設等について別に明記はしていないということは、若干物足りないような感じがするのですが、それは法律上きまっておるから書かなくてもいいのだということはちょっと受け取りがたいと思うのですが、どうなんでしょうかね。
#67
○政府委員(安田善一郎君) そこは、私の説明があるいは適切でなかったから誤解を受けたのかもしれませんが、酪農経営を行います農業者の意見は必ず聞けということが法文で規定してございまして、立てるべき経営改善計画に、経済行為あるいは経済行為を伴う生産共同事業とでもいう事業を、農協または農協連合会が行うべき事業を計画にかけるときには、別に農協法とか地方自治法には、両者協議してやれと書いてありませんから、市町村が計画を立てるという立て方をいたしておりますから、省令で定める事項により、当該農業協同組合とその連合会に協議をしなくちゃいかぬ。農協または農協連合会がやる事業を計画で定めるのであるから、市町村が定めるのであるから、当該協同組合に協議をしなければならぬ。ほかの法律では何ら規定がないことを特に規定しようと思ったから本法に書いた。しかるに、農業委員会は当然に単独のそれ自身の法律をもって、土地の利用、調整に関しましても、また農業振興計画に関しましても、それを本務としておる機関であり、また市町村の執行機関でございますので、単独法が別個にあることをもって十分である、そういう意味でございます。
#68
○堀本宜実君 ちょっとこれは受け取りがたいこじつけのような気がします。しかし、これは時間があれば修正等もすべきところでありましょうが、そこまでは要求いたしませんが、とにかく今後、現実に行政指導をされる場合には、農業委員会等の意見を聞くということを必ずお忘れにならないように指導の中核としておやりになることの方がスムーズにでき、また地方でトラブルが起きないで最も円滑にそれらの問題がいくものだと信じますので、そういうふうに要望をいたしておきます。
#69
○政府委員(安田善一郎君) 御要望でございますが、特に私は農業委員会法改正案を大さわぎして出しましたときの事務当局者でございます。お説が万全に実行されますように、遺憾のない措置をとろうと思います。
#70
○委員長(秋山俊一郎君) ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#71
○委員長(秋山俊一郎君) 速記をつけて。
 それでは本日は、これをもって散会いたします。
   午後五時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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