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1958/02/18 第31回国会 参議院 参議院会議録情報 第031回国会 商工委員会 第10号
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1958/02/18 第31回国会 参議院

参議院会議録情報 第031回国会 商工委員会 第10号

#1
第031回国会 商工委員会 第10号
昭和三十四年二月十八日(水曜日)
   午後三時三十三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     田畑 金光君
   理事
           上原 正吉君
           小幡 治和君
           島   清君
           大竹平八郎君
   委員
           鈴木 万平君
           高橋進太郎君
           高橋  衛君
           堀本 宜実君
           栗山 良夫君
           豊田 雅孝君
  政府委員
   特許庁長官   井上 尚一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○特許法案(内閣提出)
○特許法施行法案(内閣提出)
○実用新案法案(内閣提出)
○実用新案法施行法案(内閣提出)
○意匠法案(内閣提出)
○意匠法施行法案(内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田畑金光君) ただいまより商工委員会を開会いたします。
 特許法案ほか工業所有権関係法案か一括して議題といたします。
 昨日に引き続き質疑を行います。
#3
○栗山良夫君 ちょっと速記をとめていただけませんか。
#4
○委員長(田畑金光君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#5
○委員長(田畑金光君) それでは速記を起して。
#6
○栗山良夫君 過日私は質問をいたしましたときに、工業所有権制度改正審議会の構成あるいはその運営等について、資料要求をいたしておきましたが、大体出ておるようでありますが、それを簡単でけっこうでございますからちょっと説明を願いたい。
 それからその答申の中で付帯意見がついておりましたがこれは特許行政に関する委員会の改善要望のようなものでありますが、それについて特許庁と旧して具体的なこれにこたえる案がなければいけないのではないか、ということを尋ねましたところが、これは大体あるというお話でありまして、その要綱なんかがここに出ておりますから、これについても一つ簡単でけっこうでございますから、御説明願いたいと思います。
#7
○政府委員(井上尚一君) 栗山委員から御質問の点に関連しまして資料をお配りしましたので、これについて簡単に御説明をいたします。
 昭和二十五年十一月に設置いたしました工業所有権制度改正審議会の構成でございますが、お手元に工業所有権制度改正審議会委員名簿というものがございますので、この名簿によってごらんいただきたいと存じますが、委員の顔ぶれはこの名簿でごらんいただきます通り、学識経験者及び産業界の各代表者及び弁護士、弁理士会の代表者並びに関係官庁の代表者が、これに加わっているわけでございまして、委員の数は会長以下三十五名でございます。このほか臨時委員というのがございますが、臨時委員はこれはもっぱら関係官庁の係官でございますが、臨時委員が十一名、そのほかに専門委員としまして三十三名、合計八十名近くなるわけでございます。
 なおこのほかに商品類別改正専門委員会というのがございましてこれが二十三名、意匠法改正特別委員会これが九名、これを全部通算いたしますと百名をこえる審議会の関係者ということに相なります。ついでながら申しますが、この名簿の下にしるしがついておりますのは、後ほど申します工業所有権制度改正審議会に三つの部会を設けまして、その部会への所属の関係を名前の下にしるしたわけでございます。
 それから次に「工業所有権制度改正審議会の構成等」といいます一枚刷りの印刷物がございますが、これは先日も栗山委員の御質問にお答えしました機会に申し上げたつもりでございますが、審議会は三つの部会を設けまして、特許部会、商標部会、一般部会、そして特許部会は、実体法としましての特許法、実用新案法、意匠法に関する問題、商標部会は商標法に関する問題、一般部会はこの四法に共通な問題を審議することを目的としたわけでございまして、部会長は、ここにも書いてございます通り、大貝晴彦、村瀬直養、金子一尺の王氏にそれぞれお願いをいたしまして、部会の開催回数は特許部会が百四十七回、商標部会が百回、一般部会が三十回というわけで、二十五年十一月から三十一年十二月まで、かなりひんぱんに、この部会の開催によって、制度改正の審議をわずらわしたわけでございます。
 それから次に「工業所有権制度改正審議会答申と法案との相違点について」、これも栗山委員からの御質問に基きましての資料でございますが、こ期待しながら、今回の法律改正の問題としましてはこれを取り上げなかったわけでございます。
 第二は特許権の上に成立する担保物件という問題でございますが、これは答申では抵当権ということに相なっておったわけでございます。が、これは抵当権というふうにしました場合には、今日の競売法の規定が非常に不備でございますので、運用上種々の不便が生じて参ります。そういう関係で、最高裁判所の意見等も尊重しまして、これを質権ということにいたしたわけでございますが、法案の第九十五条で実質的には答申の趣旨というものは採用してあるつもりでございます。
 それから第三点は実用新案法の関係でございますが、考案相互の利用関係についての記載を、答申では法文化することを求めていたわけでございますが、これも先ほど申し上げました特許に関しまして、発明相互の利用関係についての記載をこの際見合わせましたことと同様な理由で、将来の問題としまして、今回の法律改正の機会にこれを法文化することは、審査の実情等にかんがみまして児合わせた次第でございます。
 第四点は実用新案権の存続期間を六年にするという問題でございます。これは今回の実用新案法案では十年といたしております。言いかえればおおむね現行法通りでございます。これは実は当初の法案としましては六年ということで、この答申の通りに立案したわけでございますが、法文作成の途中におきましていろいろ民間の産業界方面からの意見が出て参りましたので、私どもとしましては慎重を期しまして、中小企業関係の民間四団体すなわち日本中小企業団体連盟、それから中小企業政治連盟、全国中小企業等協同組合中央会及び日本商工会議所この四団体に正式に文書で照会しました結果、これはやはり現行法通り十年がよいという意見が出て参りましたので、民間の意見を尊重しまして十年といたしたわけでございます。
 それから第五の項目としまして意匠の関係でございますが、これにも考案相互の利用関係についての記載を答申は要求していたわけでございますが、先ほど申しました特許における発明相互の利用関係についての記載を省略しましたと同様の理由でもって、今回は採用しなかったわけでございます。
 第六は、同じく意匠法の問題としまして、意匠権の効力の発生時期を出願時にするということが答申の内容にあったわけでございます。で、この点につきましても当初の立案しました場合には、出願のときから効力が発生するということにしまして、案を一応作ってみたのでございますが、いろいろ研究を続けていきます途中において、これは少し行き過ぎであるということになりました。すなわち意匠の場合には特許、実用新案と違いまして公告ということがございませず、出願がございました場合にそれを審査をして、公告という段階はなしに意匠登録、すなわち意匠権の設定ということになるわけでございますが、この出願と同町に仮保護の効力を認めるということは、海のものとも山のものともわからない、権利になるかならないか全く未知数のそういう意匠について、出願と同時に仮保護の効力を認めるということはかえって弊害がある。具体的に申しますと、ある人間が出願しまして、そしてこれとたまたま同じ意匠を製造し販売している他人に、自分が意匠登録を出願した旨を警告するわけでございますが、その場合にその警告をまともに聞いてその業者が意匠の採用をやめたというような場合に、もし後日になってこの意匠登録出願が拒絶になった、権利にならなかったというときには、その警告に応じて生産ないしは販売を中止した業者に対しも損害賠償をどうすべきであるか、というようなむずかしい問題も生じてくるわけでございまして、結局出願と同時に仮保護の効力を認めるということは、答申の内容としてはございますが、やはり行き過ぎではないか、かように考えて採用しなかったわけであります。
 それから第七点は、これは差止請求権について、侵害者からの申し立てがあった場合における裁判所の権限、これは採用しておりませんが、実はこういうような規定がなくても実質的には運用によって行うことができる、また規定があることによってむしろ疑問が生ずるというのが法務省の意見でございまして、法務省側の意見をわれわれとしては尊重しまして、これを法文化を見合わせたわけでございます。実質的には答申のような内容のことは行い得るわけでございます。
 第八が利得の返還請求についての問題でございますが、これは利得の返還につきましての答申の規定というものは、利得が権利者の損失額をこえる場合においても、その利得のすべてについて返還を請求することができる、というようなふうに法律を作るべきであるというのが答申であったわけでございますが、この点につきましては法務省等関係の向きといろいろ協議を続けて参りましたが、結局利得の返還請求につきましては、答申の線を出すことはやはり行き過ぎであると、やはり民法第七百三条または第七百四条の原則によることがむしろよいと、もっとも他方侵害者の受けた利得を特許権者のこうむった損害と推定する、という規定を別途設けることになったわけでございますが、利得返還の問題につきましては民法の不当利得の原則に返ったと、こういうわけでございます。
 第九点は、善意無過失の侵害については利得返還しなくてもよい、というのが答申の内容でございまして、が、しかしながらこの点につきましても法務省等といろいろな突っ込んで検討いたしました結果、特許権侵害の場合に限ってこのような規定を設ける必要はないのではないかというふうに考えたわけでございます。すなわち民法の規定では、善意無過失の場合におきましても利得の返還を請求することができるということになっておるのでありまして、工業所有権の場合に関してのみ善意無過失の場合にはその侵害者に対して利得返還をしなくてもよい、というふうに法律を作ることはむしろ適当でないという結論に達したわけでございます。従って今回の法律案にはこれを採用しておりません。
 それから第十は確認審判という問題でございます。これはまた別の機会に詳しく御説明申した力がよいかと存じますが、権利範囲の確認審判という制度が現行法ではございます。今度の審議会を通しましてこの確認審判をどうするかということは、非常に議論が多かった問題でございます。この点につきましては確認審判の審決の効力について、従来は法律的に非常にその効力に疑問がございます。当事者はいうまでもなく第三者をも拘束するという説もございまするし、あるいは単に当事者のみを拘束するにすぎないという説もございます。あるいはまた逆にこれは単に鑑定的なものであって、何ら第三者に対する法律的な拘束力はないのであるというような考え方もございまして、こういうふうに意見、解釈というものが区々まちまちでございますので、審議会におきましてはいずれかにこれをきめるべきである。すなわち対世的効力と申しますか第三者をも拘束するように、はっきり確認審判の審決の効力を認めるべきであるか、あるいはむしろ逆に、もっと行政賞庁の純然たる意見と申しますか、そういう単なる意見として何ら第三者に対する拘束力はない、法律的効力はないというふうにするか、どちらかにこれをきめるべきであるというのが学者筋の考え方でございましたが、いろいろ審議を続けました結果、結局妥協的に、従来長年のこの確認審判の制度の運用の妙によりまして、事実上相当な役割を果してきたわけでもあるからして、法律的には非常にあいまいな点が残るけれども、現行法通りこれを認めることもやむを得ないだろうというのが審議会の答申でございました。が、今度いよいよ法文化することになりますと、また同じ議論が法制局方面からも出て参りまして、われわれとしましては法律的にこれをはっきりと認めるかどうかということをきめざるを得ない立場に立ったわけでございますが、第三者を拘束するそういう法律的効力を認めるという点につきましては、これは裁判所における民事訴訟の先決問題としましての権利範囲に関する審決が、結局裁判所を拘束するということになるかどうかという問題でございますので、裁判所側は、これにつきまして、あくまで反対を続けましたので、われわれとしては、やむなく今回はこれは単なる行政官庁の意見であるというふうに法文上規定を設けた次第でございます。
 以上が工業所有権制度審議会としての答申と、今回国会に提出に相なりましたこの法案の内容との相違点であります。
 それから、栗山委員から、この審議会の答申の付記と関連しまして、特許行政のあり方について、計画的なプログラムと申しますか、プランというようなものをこれまで立てているかというような点について御質問があったと記憶しますが、この点に関連いたしまして、「特許行政促進措置要綱」というものをお手元にお配りいたしておりますが、これは昭和三十一年の八月に通産省で決定いたしまして、特許行政の促進、特に審査、審判を通じましての迅速化をはかり、処理能力の増強をはかるという意味から、こういう要綱を決定しまして、これを着々具体化して参った次第でございます。
#8
○栗山良夫君 大体経過を説明願いましたから、いずれ質問いたします。この中で、ただいまは審議会の答申と、それからその答申に基いて採否をせられた主要点について伺ったのでありますが、法案の中には、この前も御説明がありましたように、審議会の答申には全然なかった部分で、新しく挿入されているのが相当ありますが、そういう主要点については、何かまとめたものがございますか。審議会の答申にはなかったんだが、改正法案を成案するときに新たに加わった主要点です。
#9
○政府委員(井上尚一君) 重要な問題としましては、ほとんどないかと存じますが、多くは法律技術的な問題ではないかと存じますけれども、御要求によっては、これの比較表といいますか、そういうものをまとめてみたいと思います。
#10
○栗山良夫君 それをちょっと補足資料としてお願いしたいと思いますね。たとえば実用新案について、「登録」という名称を改めて、「許可」ということにされたわけですね。原案はそうなっております。それは答申にはなかったのだろうと思います。そういう点を一つお願いしたいと思います。
 それから、今の答申が、先ほどの委員会のメンバーなり、あるいは臨時委員、あるいは専門委員ですか、このメンバーを見ますと、ほとんど関係各省並びに民間関係団体が網羅されておりますが、この答申に基いて、通産省として成案せられるときにも、あらためて各省の意見を聴取されたような口吻のようでありますが、実際には通産省が自主的に採否を決定されたんじゃないんですか。
#11
○政府委員(井上尚一君) 今度の法律案作成の過程を通じまして、法制局、それから法務省、大蔵省、関係官庁とは常に緊密な連絡を続けまして、そうしてそういう官庁の意見というものの調整をできるだけはかって参ったつもりでございます。
#12
○栗山良夫君 大体法制局と相談せられることについては、これはまあ当然ことのですが、あと法務省、大蔵省方面の意見が、通産省が成案とせられるときに、相当ウェートを占めてきたというふうに理解してよろしいわけですね。
#13
○政府委員(井上尚一君) さようでございます。
#14
○栗山良夫君 それから、この法律を改正する場合に、内容に入る前に、まだ幾らか問題がありますが、商標関係の法案、これは付託になりましたか。まだですか。
#15
○委員長(田畑金光君) まだ、ならぬそうです。
#16
○栗山良夫君 閣議決定をされたんですから、もう二、三日中に付託になるわけですね。そうすると、長官にちょっとお尋ねしますが、今度工業所有権法の全面的な改正になるわけですが、その中で私大へん一つ不思議に思っているのは、弁理士法の改正というものが出ていないんですがね。これは改正をする必要はないんですか。
#17
○政府委員(井上尚一君) 弁理士法は、やはり大正十年の制定にかかる法律でございますが、最近数年の間に、弁護士法、あるいは公認会計士法、あるいは税理士法、そういうようなものが次々に改正になりまして、そういうほかの類似の法律は、その内容も整備され、また法律の形態においても、近代的なりっぱなものになったわけでございます。で、今日としましては、弁理士法だけがやや取り残されたような形でございまして、法文の形式も非常に古く、またその内容につきましても、最近の工業所有権制度に関する実情にそぐわないということに相なっております。で、実は結論から申しますれば、今回の特許法案等、一連の十法案が、幸いにこの国会の御審議によって御可決願いました場合には、すぐ追っかけて弁理士法の改正に着手したいと考えております。しかしながら弁理士法は一般大衆に対しまして工業所有権設定のための重要な手続の代理をなすこれは職業でございますので、この弁理士を規制する法律をいかに改正を考えるかという点につきましては、単に特許庁ばかりでなくて、民間の学識経験者あるいはなかんずく弁理士会あるいは場合によっては弁護士会の方面、そういうような民間の関係方面の意向をも十分聞くことは必要であろうかと考えております。そういうわけで、今回の国会には、弁理士法の改正は準備がまだ不十分でございまして、提出するに至らなかったわけでございます。しかしながら特許法案等一連の大きな改正によりまして、必然的に現行弁理士法中いろいろ引用しておりまする条文の数その他が変って参りますので、そういう今回の法律改正に伴う必要最小限度と申しますか、そういう範囲内においては弁理士法中の改正というものを、特許法等の施行に伴う関係法令の整理に関する法律という法律によって、今回規定を設けた次第でございます。
#18
○栗山良夫君 私が伺っているのは工業所有権法が変ってしまうでしょう。そうすると条文にしても用語にしても、まあ事務的なことだけれども、そういうものとこれと食い違いが出たときに、法は直すといわれるけれども、施行に入ってしまったときに、法律的には運用することができなくなりますよ。その点はどうするかということです。
#19
○政府委員(井上尚一君) 実はきのうの閣議決定によりまして、近日中に国会上程になる見込みの法律案が四つございます。この四つといいますのは、商標法案と商標法施行法案と、それから特許法等の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、もう一つが特許法等の一部を改正する法律案、この四つでございまして、今三つ目に申しました特許法等の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、この中で弁理士法中の改正を関係条文全部引用いたしまして、この第二条において規定を設けておるわけでございますが、近日中に国会上程になる見込みでございますので、いずれ詳しくこの法律案についても御説明申し上げたいと、かように考えております。
#20
○栗山良夫君 わかりました。ではそれを一応拝見してからまたお尋ねをいたします。
 そこでこの特許関係の四法案を近代的に改める場合に、一番心しなければならぬことは、まあ日本国の法律ではありますが、特許という非常にインタナショナルな性格を持っておりますから、主要諸外国の法体系と一応これはそろえておかないと、いろいろな点で不便ではないかと私は考えるわけです。この間もちょっと特許庁を見せていただいたときに、私が一番最初ぴんときたのは、あそこにあるたくさんの資料などを分類されていますね。また審査官の方でも幾つかの部門に分れている。ところがああいう分類の仕方というものが、諸外国の分類と大体合っているかどうかということに私は疑問を持ったわけです。ちょっと特許庁の分類の仕方には特色があります。産業界では、ああいう分類はちょっとしていないと思うのですがね。具体的に指摘することもないと思いますが、そういう点について気づいておられるかどうかということが一つ、特許庁の産業分類というものは、ちょっと変った格好をしている。ですから資料を見るにしても、産業界からきて、特許庁のいろいろな資料を見る場合に自分たちの常識でやっている分類とちょっと違いはしないか、そこに不便がありはしないか。それと聞くことは、外国の特許関係法あるいはそれの施行の関係ですね、そういうものとの間にも少し不ぞろいがあって、インタナショナルに見る場合にも不便ではないかということを考えるのですが、そういう点についてのおもんばかりはどの程度にできておりますか。
#21
○政府委員(井上尚一君) 御意見の通りに、特許制度は国際性の非常に強い制度でございますので、われわれとしましては、今四の法律改正の研究の場合に、関係各国の法令をできるだけ調査しましたわけでございます。特に戦後改正になりました米国の特許法は一九五三年の改正でございます。英国の特許法は一九四九年の改正でございます。ドイツ、フランスは、これはもう少し前の……、ドイツは一九三六年くらいになろうかと思います。大体英米独仏、この少くとも四カ国の法制というものを常に参考としながら、われわれとしては研究を進めて参りました。それでただいま御指摘の分類の点でございますが、特許、実用新案の場合の分類と、それから商標の商品分類の問題と、分類の問題としましては非常に両方きわめて重要な事柄でございますが、商品分類につきましては、先ほど工業所有権制度改正審議会の構成を申しましたように、商品類別改正専門委員会というのを特に設けまして、これはいろいろ慎重に検討しました結果、成案を得ましたようで、今度の商標法案は、この新分類の基礎のしに今度の商標法案を実施することに相なるわけでござい。特許、実用新案の分類につきましては、御指摘の通り一般産業界における分類と特許庁における分類が確かに食い違っている点がございますので、特許庁の分類に関しまして索引を新たに作りまして、それからまた分類定義書、その分類の意義を明確にする必要があるというわけで、分類定義書というものも、先年これを作成したわけでございます。そういうふうにしまして索引の利用によって普通の他の分類になじんでおられる関係者にとっても特許庁の特許または実用新案に関する分類がすぐ利用ができるような道は開いてあるわけでございます。
#22
○栗山良夫君 その点はやはり仕事のスピード化の問題もあるわけで、やはり特許庁としては法律の文字だけを改善しても、なかなか実効が上るものじゃないので、そういう実務的なこともやはり相当思い切って改善をされる必要が十分あるのじゃないかと思いますが、特に外国資料なんかがどんどん入ってくるでしょうが、そういうものの分類にしても、やはりこちらの分類と合ってなきゃ係官はずいぶん苦労をして、しかもなおかつそれで十分利用価値がないというようなことになってしまうでしょうから、その点のおもんばかりを十分にして処置せられることが必要だと私は思います。そこでどういう状態になっているかよくわからないのですが、これはしいて資料を出していただこうとは思わないのだけれども、ただいまの米、英、ドイツ、フランスあたりの特許、商標、意匠ぐらいの重立った骨組みと、今度改正せられる法律案が、大体どんな体裁になっているか、僕ら門外漢だからそういうものの、そう複雑なものじゃなくてもいいのですが、比較表のようなものがあれば、一ぺん見せてもらいたいと思うのです。
 それから一番大事な分類ですね、分類というものは一体諸外国と日本とどのくらい違うのか、そういうのがもしわかっていれば、ぜひ見せてもらいたいと思います。
 それともう一つは、それと並行して二点ちょっとお答え願いたいと思いますが、見せてもらえるか、もらえないか、それから特許庁の専門的な仕事をしている公務員が、この主要国の特許事務というものを専用に視察に行かれたというようなことはありますか、終戦後。その点をあわせて一つ御答弁を願いたいと思います。
#23
○政府委員(井上尚一君) 第一の主要各国の工業所有権に関する法制の構造と、日本の工業所有権に関する法制の構造との比較した説明書ということでございますが、これにつきましては各国によりましてもちろん制度として共通した部面がたくさんございます。と同時に、非常にまたそれぞれニュアンスの違った面もかなりあるわけでございますが、いずれにしましても、重要な点につきましてのそういう比較した調査は大体できているわけでございますので、次の機会にでも配付を申し上げたいと思います。
 それから分類の点につきましては、先ほど申しました商品類別の点につきましては、これは国際的統一の機運が非常に強く進んでおりまして、今度われわれが商標法の土台といたしまして作ったこの新商品分類も、できるだけ国際的な統一案というものに近づけるように努力して作ったわけでございますので、新分類案につきましても、また別の機会に配付、御説明を申したいと存じます。
 それから特許庁の担当官が外国の特許制度の視察、外国の特許庁の実情調査に出張したことがあるかどうかということでございますが、この点につきましては、最近三年間内に相当数のものが参りました。吉藤という部長が米国へ参りまして、それから続きまして池永審判部長が、これは生産性本部の特許管理調査団の一人としてではございますが、米国へ参りまして、そうして米国の特許制度、米国の特許庁の実情をつぶさに調べて参りました。それからまた去年には奥宮部長、これが商標の、同じく生産性本部の商標管理調査団というのの一人として、同様に米国へ参りました。米国におきます商標制度及び商標行政の実情を調査して参りました。これ以外に実は原子力局の協力によりまして、特に原子力関係の留学生を最近までに六、七名特許庁から米国、英国へ派遣をいたしまして、これらのものが留学のかたわら、米国または英国あるいはその他ヨーロッパ各国の特許庁または特許局へ参りまして、先方の行政の実情、特許局の審査、審判の具体的なやり方、そういった問題について研究して参っているわけでございます。なお、私みずから、去年十月にポルトガルのリスボンで、条約改正会議がございました節、私の方の総務課長、審議室長を帯同いたしまして、ヨーロッパへ参りました機会に、われわれ分担いたしまして、英国、ドイツ等の特許庁をいろいろ視察して参ったようなわけでございます。
#24
○栗山良夫君 きょうは私の質問はこれで終ります。
#25
○委員長(田畑金光君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#26
○委員長(田畑金光君) 速記を始めて。
 本日の委員会はこれで散会いたします。
   午後四時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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