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1958/03/19 第31回国会 参議院 参議院会議録情報 第031回国会 商工委員会 第21号
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1958/03/19 第31回国会 参議院

参議院会議録情報 第031回国会 商工委員会 第21号

#1
第031回国会 商工委員会 第21号
昭和三十四年三月十九日(木曜日)
   午前十一時五十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員植竹春彦君及び鈴木万平君辞
任につき、その補欠として森田豊壽君
及び大谷瑩潤君を議長において指名し
た。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     田畑 金光君
   理事
           上原 正吉君
           島   清君
           大竹平八郎君
   委員
           大谷 瑩潤君
           小沢久太郎君
           木島 虎藏君
           高橋進太郎君
           高橋  衛君
           堀本 宜実君
           阿部 竹松君
           栗山 良夫君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       中川 俊思君
   通商産業省重工
   業局長     小出 榮一君
   通商産業省軽工
   業局長     森  誓夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○航空機工業振興法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨
 時措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。
 本日の委員長理事の打合会の結果について御報告いたします。
 本日は航空機工業振興法の一部を改正する法律案について採決を行い、ついで硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案の内容説明を聞き、質疑を行なつ先後、討論採決を行うことに決定いたしました。
 次に来週は二十五日、二十六日の両日委員会を開き、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案、輸出品デザイン法案、軽機械の輸出の振興に関する法律案、繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案等を審査する予定
であります。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(田畑金光君) これより航空機工業振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に対する質疑は昨日終了いたしました。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もなければ、これより採決を行います。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#4
○委員長(田畑金光君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては委員長に一任願います。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(田畑金光君) 次に、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより本案の内容説明を願います。
#6
○政府委員(森誓夫君) ただいまから、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部改正について御審議を願うわけでありますが、この改正の内容は、先日提案理由で御説明申し上げましたごとく、その施行期間を五年間延長するというだけでございます。現行法は、昭和二十九年から施行いたされまして、本年の七月末日をもって失効いたすのでございますが、それを、さらにその後五年間延長をいたしたいというのでございます。このようになりましたいきさつについては、実は、現在の法律の失効後、どういう肥料政策を実施するかということにつきまして、昨年の九月、肥料懇談会というものを設けまして、そこで二十人の有識の方々に御審議を願ったわけでございまして、その結論が昨年の十一月に出ました。それを基礎にいたしまして、政府部内で今後の肥料対策をまとめ上げたのでございますが、結局、これは合理化を強力に推進するとか、あるいは輸出振興を強力に進めるというようなことでございまして、法規の条文を修正するということは、ほとんど必要がなかったのでございまして、結果として、五年間期間を延長するということになったのであります。
 それで、そういう五年間施行期間を延長することがなぜ必要であるかということにつきまして、その根底をなしまする硫安工業の概況につきまして、ただいまから御説明を申し上げさしていただきたいと存じます。
 硫安工業の現状と問題点につきまして御説明申し上げます。
 第一は、需給規模の問題でございます。御承知のように、硫安を中心とするアンモニア系窒素肥料の生産能力は、昭和二十五年ごろに、おおむね戦前の水準に復興いたしまして、需給がほぼ均衡し、統制の廃止を見たわけであります。その後も生産は逐年増加をいたしまして、内需を充足した余剰分を輸出するに至ったのでございますが、輸出と内需との調整問題に端を発しまして、昭和二十九年、肥料二法が制定された次第でございます。肥料二法の制定後の需給の変遷を振り返ってみますると、生産能力は、昭和二十八年の二百九十万トンから、昭和三十三年は四百六十万トンというふうに、約六割の増加を示しております。また、実生産におきましては、昭和二十八肥料年度の二百四十万トンから、三十三肥料年度の四百四十万トンというふうに、約八割の増加を見せておりまして、まことに顕著な伸び力でございます。これに対して、需要の伸びは、内需が、二十八年の百九十万トンから三十三年の二百六十万トンと、約七十万トン、年率にいたしまして、平均十五万トン程度の伸びを示しておりまして、残りはすべて輸出の増加に振り向けられたのでございます。その結果、輸出は、昭和二十八肥料印度には五十万トン弱で、当時の生産量の約二割に過ぎなかったのでございますが、年々大幅に伸びて参りまして、三十三肥料年度におきましては、約百六十万トン、生産量の約四割に達する見込みでございます。つまり、硫安工業は、今日においては食糧生産の基礎産業でありますとともに、輸出産業としても重要な地位を占めるに至っておる次第でございます。
 今後の問題としましては、内需の伸びがほぼ頭打ちの傾向を見せておりまするし、輸出も従来のような大幅な伸長は期待しがたい情勢でありますから、これまでのような、多々ますます弁ずる式の増産傾向をこのまま放置いたしますと、遠からず需給に著しい混乱を牛ずるおそれがございます。従いまして、政府としては、肥料懇談会の意見を考慮いたしまして、今後の硫安工業のあるべき規模を検討した次第でございます。その結論として、今から五年後の昭和三十八年度の需要を、内需が約三百万トン、輸出が約二百二十万トン、合計五百二十万トンと見通しを立てた次第でございまして、今後の生産能力の増加は、おおむねこの需要規模に適合するように業界を指導して参ることといたしております。
 第二の点は、価格の問題でございますが、肥料二法の制定前の昭和二十八年当時におきましては、硫安の国内価格はトン当り約六十五ドル、かます当り約八百八十円であったのでございますが、二法の施行後は、合理化を促進して生産費の引き下げをはかるとともに、厳格な価格統制を実施いたしまして、毎年国内価格の引き下げを行い、五年間にトン当り約十ドル、かます当りにして約百三十円の引き下げを行なった次第であります。その結果、今肥料年度の公定価格は五十五・〇五ドルでございまして、かます当りにいたしますと、七百四十三円十九銭ということになっておりまして、今日におきましては、わが国の硫安の価格は、欧米初め諸外国の国内価格に比べまして、かなり割安となっておるのでございます。
 第三は、合理化の問題でございます。現行法のもとに実施いたしました硫安工業合理化計画は、おおむね五年間に硫安の生産費をトン当り六十五ドルから五十ドルに引き下げることを目標とするものでありまして、その方法といたしましては、アンモニア・ガス源の転換、肥料形態の変更等の質的合理化とともに、増産による合理化が行われました。五年間に投下した設備資金は、当初の計画を相当上回りまして、硫安工業自体としては、ほぼ所期の成果をあげたのでございますが、他方、原材料価格の値上り等の影響によりまして、その効果がかなり減殺されましたために、遺憾ながら、今日までのところ、公定価格について見ますと、合理化計画の目標たる引き下げ額十五ドルに対しまして、達成率は約三分の二、つまり約十ドルでございます。ところが、一方において、輸出競争は最近ますます激化いたしておりまして、輸出価格は生産費を大幅に割っておる実情でございます。二法施行後初めの三年間は、輸出価格は国内公定価格とほぼ同等でありまして、輸出硫安の一手買取機関であります日本硫安輸出株式会社の赤字も、三年間の累計は三億円程度の少額にとどまりまして、その間、三十肥料年度のごときは、若干黒字さえ出したのでございますが、しかしながら、一昨年、すなわち昭和三十二年の暮に、輸出価格が四十七・八ドルに低落いたしまして、昨肥料年度末決算では、輸出会社赤字は二十五億円程度に膨張いたし、さらに昨年暮以来、輸出価格が低落をいたしておりまするので、このままで参りますると、輸出会社の赤字は今後も相当累増するものと予想されます。従いまして、硫安工業の輸出産業としての基礎を確立し、かつ、肥料問題を根本的に解決するためには、今後さらに合理化を強行いたしまして、国際競争力を十分につけるように、生産費の引き下げをはからなければなりません。このため、政府は肥料懇談会の意見を考慮いたしまして、第二次合理化五カ年計画を策定した次第でありまして、この計画の実施につきましては、業界の努力に期待することはもちろんでありますが、政府としても財政資金の低利融資、アンモニア原料たる原油の輸入税免除等、特段の助成措置を講じて、計画の達成を促進いたしたいと考えております。
 第二次合理化計画の概要につきましては、お手元に資料をお配りいたしておりまするので、ごらんいただきたいと思います。また、必要がございましたら御説明申し上げます。
 第四は、輸出の問題でございます。硫安工業が今日では重要な輸出産業であることは先に触れましたが、最近の実績で見ますると、硫安を中心とするアンモニア系窒素肥料の輸出額は、年約六千万ドルでございまして、化学工業製品輸出の大宗をなし、わが国の輸出商品の中でも第九番目の地位を占めております。御承知のように硫安工業は装置工業でございますから、減産いたしまするとコストが著しく上昇することを免れません。コストが上昇いたしますると、国内価格の騰貴を招き、国内価格安定という農政上の要求に反することになります。たとえば輸出を全然やめまして、現在生産量の四割輸出しておりますが、その四割を減産いたすといたしますると、コストが二割程度上昇するという計算になっておりますこのようにいたしまして硫安の輸出は、外貨獲得の手段として重要なばかりでなく、農家経済安定上からもきわめて重要でございます。また市場の面から見ましても、硫安、尿素等の主たる輸出先はアジアでございまして、アジア諸国のアンモニア系窒素肥料の輸入需要は現在年間約三百五十万トン、五年後には四百五十万トンに達する見込みでございます。わが国としては最も地の利を得ているわけでございますから、少くともアジアの需要の半分程度は、今後確保していくべきであると考えております。このため、政府としては、合理化を促進して、輸出競争力を養うとともに、市場の維持開拓につきましても必要な助成措置を講じて、これを推進いたしたいと考えております。また少くとも第二次合理化が完成するまでの五年間は、現在の日本硫安輸出株式会社を存続させまして、硫安輸出の過当競争を防止し、かつ合理化完成までの間に生ずる輸出赤字が国内価格に転嫁されないよう、輸出損失はこの会社にプールして、内需を経理と明確に区分させておくことが必要と考えられます。
 お手元に配付いたしてございまする資料の中に統計を集めた分厚いものがございます。この中にはただいま御説明申し上げました事柄が統計的に示されております。御必要によりまして、またあとから説明を申し上げます。
 以上簡単でございますが、硫安工業の概要について御説明申し上げた次第でございます。何とぞ御審議をお願いいたします。
#7
○委員長(田畑金光君) これより本案の質疑に入ります。順次御発言を願います。
#8
○島清君 本格的質問に入ります前に、予備的な資料についてちょっとお尋ねしたいと思いますが、あの輸出振興対策として何か特殊会社ですか、そういうことが想定されているようですが、これから特殊会社を設立されようというわけですか。今までにもあるわけなんですか。
#9
○政府委員(森誓夫君) 硫安の輸出を一元的に取り扱いまする硫安輸出株式会社は、現在の法律ですでに規定されておりまして、これは硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の中に相当な条文をもって示されております。
#10
○島清君 今の臨時肥料需給安定法の第六条に「保管団体」というのがありますね。「保管団体」と、この会社との関係はどうなっているのですか。
#11
○政府委員(森誓夫君) 「保管団体」はここでは抽象的に書いてございますが、具体的には全購連のごとき消費者の団体でございます。これも現に全購連がこういう規定に基きまして保管をいたすようなことを最近までやっておりましたし、従いまして硫安輸出会社とは全然別のものでございます。
#12
○島清君 そうしますと、臨時肥料需給安定法に基いて、会社はすでに設立をみているわけなんですね。
#13
○政府委員(森誓夫君) さようでございます、これは臨時肥料需給安定法ではございませんで、本日御審議願っております硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法に基いて設立されております。第五条以下に、その事業の範囲とか監督の方法等について、詳細に規定されております。
#14
○島清君 そうしますと、ここに資料として出していただいております肥料懇談会、この六ページのところに「輸出会社の組織、運営等については、輸出振興に資するよう政府出資等政府の特段の措置を講ずるものとする。」というのは、既設の会社に対して出資をしてほしいと、こういうことなんですか。
#15
○政府委員(森誓夫君) さようでございます。
#16
○島清君 わかりました。この会社については、いろいろと見る人によっては功罪、批判があると思うのですが、この新しく輸出振興対策といたしまして、農林省と通産省から出しておられます輸出振興対策の第二項目に「日本製化学肥料の普及宣伝及び市場の開拓を図るため、海外肥料事情の調査及び海外需要地におけるサービス機関の増設強化を促進するものとする。」、これはこの会社の方でおやりになる予定なんでございますか。それともまた新しい機関を設置して、やらせようとおっしゃるのでございますか。それともまあ既設のたとえば日本貿易振興会、こういうジェトロを使って新しくこういう任務を負わして、この目的を達成されようとするのですか。どっちなんですか。
#17
○政府委員(森誓夫君) この輸出振興のための海外におきまするサービス機関の設置の母体たる団体は、窒素系肥料のみならず、石灰窒素とかあるいは過燐酸というふうに、あらゆる種類の肥料についての海外でのサービスを行います関係上、これまででございまするそういう種類のそれぞれの肥料についての団体がメンバーになって、特別の化学肥料に輸出振興協会というものを作っております。それが母体となって、このサービス機関を設置をいたしております。なお、この機関は一昨年設置いたされまして、政府もある程度の助成をいたしております。
#18
○島清君 この改正案の要旨は、価格の引き下げをやって国際競争力をつけるためには、合理化がもっと進展をしなければならぬと、こういう趣旨のようでございますが、当初この法律が制定をされましたときに、五カ年間の時限立法でございまして、それでその当時でも、綿密な計画のもとにこの法律が五年間で目的を達成できるということで、時限立法として制定されたと思うのですが、また当時制定された五年間と同じような長期にわたる五カ年間の改正の御要望なわけでありますが、五年間の時限立法で当初制定されたものでありまするならば、いかに誤算があったにいたしましても、二年か三年でその所期の目的を達成することが可能なはずでございますが、それを当初と同様に五カ年間延長するということについては、何か立法当時に非常な誤算があったような気がするんですが、まあいろいろと価格を引き下げることが困難であったというようないろいろの事情はあったと思います。たとえば日本の生産コストの引き下げられない事情、それから除々にではございますけれども、貨幣価値の下落、半面から言いますとインフレ的要素、こういうこと、要素が交互に入りまして困難であったというようなことは、私たちは想像にかたくないわけでありますけれども、それにいたしましても、当初あらゆる調査機関をもって、そして策定をされた、この法律を五年間で目的達成ができる、こういう時限立法にした趣旨からいたしますならば、せいぜい誤算があっても、二年か三年くらいの誤算で目的が達成されるような気がしますが、なぜこういう長期にわたる体制が必要であるのか、その点についてくわしく御説明をいただきたいと思います。
#19
○政府委員(森誓夫君) 昭和二十八年に決定いたしまして、それから実施に移しました第一次の肥料の合理化計画の概要について、まず申し上げますると、この合理化による製造方法の改善と申しますか、そういうものは、まだ当時の技術としては現在から見ますると、非常におくれておったということ参が言えるのでありまして、大体石炭やコークスを原料にして、それの製造方法を合理化しようということが重点でございました。そのほかにも、いろいろ関連した諸設備の改善ということがございましたが、そういうふうな合理化の方法の重点が今申しておりまするガス源を流体化していく。従来石炭やコークスに依存しておったものを、天然ガスとか原油とかあるいはコークスのガスに変えていく。そういう現在われわれが当然原則的に考えなければいけないというような事柄が、当時としてはまだ技術が未発達のためにわかっておりませんで、大体石炭とか、コークスのような固体原料からガス源を求めるという方法によりながら、しかもできるだけ合理化された方法をとろうというようなことが、技術としては中心であったのでございますが、そういう方法を中心にして、加うるに生産量の増加をやっていく、増産によるコスト引き下げ、この二つの方法によりまして、コストの引き下げを考えまして、当時のトン当り六十五ドルだったものを五十ドルに下げようということで努力をいたしたのでございますが、大体その後、物価、これは原材料、特に石炭なんかですが、そういう原材料の値上りあるいは労賃の値上り、あるいは運賃の値上りというふうな、あるいはまた設備投資を非常にたくさんやりましたために、償却の負担の増大というようなことが当時予想しておりました以上に多くなりまして、そのために十五ドルという目標が十ドルという値下にとどまったのでございますが、そういうマイナス的に働きました要素がもしなかったといたしますると、これは少くとも十五ドルのコスト引き下げはできたわけでございまして、そういうマイナス的要素は、われわれの計算によりますと、六、七ドルあると認められるのでありますが、かようにして第一次の合理化計画はコストの引き下げが所期の目標の三分の二にとどまったのでございます。そうして現在トン五十五ドルという程度になっておるのでございますが、これも国際競争に耐えるところまで下げるにはどうしても四十七ドルまで下げなければならない。すなわちトン当り七ドルさらに下げなければならないというのでございますが、今後は、生産力が非常にふえておりますので、増産によるコスト引き下げは期待いたしませんで、もっぱら質的な合理化に重点を置いてやるということにいたしております。ところが、この質的な合理化の中心は、その後の技術的な発達の結果といたしまして、原料であるガス源を固体原料からむしろ流体原料に切りかえるというところに重点を置かれておりまして、昨年の四月現在の設備力のうちで、流体原料にガス源を求めておりまするのは大むね二八%程度でございますが、これを昭和三十八、九両年度には八二%まで流体化を進めていく、ほとんどがもうアンモニアの生産設備のほとんどが流体原料に変るようにしようという非常な大規模な改善を、切り替えをやることにいたしております。それによって主として七ドルのコストの低下を実現しようといたしておるのでございます。まあ、最初の計画は大体いろいろなコストが横ばいであるという前提で十五ドル値下げが可能であるということを考えたのでございます。今後は大体諸物価等値上りはないだろうということで第二次合理化計画で七ドルの目標は実現が可能であるというふうに考えておるのでございます。
#20
○島清君 今までのところあれなんですか、機械設備等によりまする近代化にする目標の何。パーセントぐらいなされておりますか。
#21
○政府委員(森誓夫君) あるいは正確なお答えにならないかとも思いますが、第一の合理化計画におきましては、こういう合理化計画をするための設備投資額を三百十億円と予定いたしておったのでございます。それが実績について見ますると、大むね四百八十億円程度の資本投下をいたしたことになっております。まあ、これだけの設備資金を投下いたしましたので、設備の合理化は当初の目標よりもはるかに大きく実現したということが言えると思うのでございます。
#22
○島清君 機械の設備の面におきましては計画をはるかに上回っておる、それでなおかつ合理化目的を達成できなかったということは原料の面にあったのだ、こういうことでございますが、今この法を五年間延長して合理化をもっと進めていごうとされるのに所要資金というのがここに出ておるようですが、これで足りるわけですか。
#23
○政府委員(森誓夫君) お手元にお配りいたしました資料では今後五年間に計三百六十億円の設備資金を必要とする。そのほかに維持、補修工事等に要する資金として百十億円が見込まれる、これだけの資金でやっていける、こういうふうに考えております。
#24
○島清君 これはあれですか、肥料合理化というものを徹底的に進めていくといたしまする場合の最高の可能な目標というわけなんでございますか。
#25
○政府委員(森誓夫君) 最高の可能な目標と思いますが、まあ、流体化をさらにもう少し進めるという、八割の流体化を実現するというのを、さらにもう一段と引き上げるということが言えるかと思いますが、これは工場政策、工場によってそれぞれの特殊な事情がございまして、一律に官庁が強制するということもできませんが、一応われわれ各社の計画を相当行政指導しながら、今までまとめ上げたものでございまして、現在のところでは、実現可能な最高の合理化計画である、こういうふうに考えております。
#26
○島清君 私がそれをお尋いたしておりまする考え方の根底をなしておりますのは、その合理化目標で価格の引き下げが四十七ドルでございますか、四十七ドルを目標にされて、こういう合理化を進めていかれるとしても、先般日本がインドにおいて落札をしたのが四十三ドルですか、四十三ドルで落札をしたことがあるのですね。そうしてまたこの前ドイツとイタリアですか、やっぱり同じくインドの肥料が落札したことがあるのですね。そういうことを見ますと、今目標とされておりまする四十七ドルでも国際競争には勝てないわけですね。さらにこれが五年先ということになりますと、なお勝てないということになって、五年先に肥料の国際競争価格というものは、おそらく四十ドル台を割って、三十ドル台になることは想像にかたくないのですね。そういうことの想像できます場合に、四十七ドルを目標にされると、さらに先ほど説明がありましたように、内需の伸びが非常に狭くて、さらに輸出の伸びを大きく期待しなければならぬという場合に、何かここに計画に弱さといいますか、そういうものを非常に感じまして、五年延ばしてみたところで、また五年先ではまたそれを延ばさなければならないような事態になるのではないか、こういう一まつの不安がありますので、それで、私はそれをお聞きしているわけなんですが、この際、百尺竿頭一歩を進めて、五年先には三十ドル台に国際競争の価格が下がろうとも、それに太刀打ちできるのだという、やっぱり抜本的に雄大な構想のもとに合理化を進めるべきでないか、私はそう思うのですが、どうなんでございますか。
#27
○政府委員(森誓夫君) ご尤もではございまするが、国際競争に打ち勝つためのコストがどの程度でいいか、ということはわれわれもできるだけ引き下げるように努力をいたし、研究を進めたのでございます。現在国際的に非常に安い価格で落札が行われておりまするこの現況は、二つの要素に分けて考える必要があるかと思うのであります。それは実質的に海外競争国のコストが幾らかという問題、それに加うるに海外の輸出振興方策、国家的な輸出助成策が加わって、それ以上安く売らせておる要素がどれだけあるかということでございます。第一点の競争国のコストにつきましては、これはなかなか詳細な調査はできませんが、われわれはいろいろな雑誌書籍、あるいは現地調査をした方々の報告等を総合してみますと、やはりトン四十五ドル程度でございます。で、日本の場合に四十七ドルで、コストが四十七ドルにいたしますと、これは実は国内消費者の、もより駅に持っていくまでのコストでありまして、国内運賃が相当入っております。国内の消費地までの輸送距離は、工場から港に持っていく場合に比べると――輸出する場合の話でありますが――非常に長いわけで、輸出する場合にはその輸送距離が短縮されまして、大体FOB四十五ドルで出して、出血にはならぬというふうに見ております。従いまして外国もほんとうにコストだけで競争してくるならば、日本も四十七ドルでやって競争は大体できるだろうというふうに思います。特に東南アジアを中心にして考えますと、欧米の競争国からくる場合には、輸送距離が非常に長いのでありまして、その運賃差が四ドルないし七ドルというふうに開いております。日本がそれだけ有利なわけであります。従いまして日本がFOB四十五ドルで出せる態勢になれば、まずコストの点だけで競争する場合には十分やっていけるのではないかというふうに考えております。ただ最近の競争国の入札価格には、四十一ドルとか四十四ドルとか、まあその辺のところが多いのでございますが、なぜこのような安売りができるかと申し上げますると、ドイツでも、イタリアもそうですが、それぞれの政府が、消費者である農民に、二割の肥料の購入補助金を与えております。従ってメーカーの手を離れるときの肥料価格は相当高いのでございます。たとえば、西独について言いますと、ごく最近の、一九五八年二月から六月までの建値は、トン六十三ドルでございます。またイタリアは一九五八年の三月から六月までの建値が大体六十六ドルというふうに、わが国はこれが五十五ドルでございますから、わが国よりも非常に高いのでございます。しかし、これが農民の手に渡るときには、この二割は、国が補助をされるということで、農民は安い肥料が買えるわけです。結局農民に与える肥料購入二割の補助金というものは、実はメーカーが補助を受けるということになって、これを財源にして出血輸出をいたし、それに耐えることができるという状態でございます。西独ではこのための補助金年額、円に直しまして約二百八十億円でございます。日本もそれに対抗する輸出振興補助金を、もし出すといたしまするならば、ア系窒素肥料だけで年間百億のものが必要でございます。で、こういう補助金につきましても、私ども研究をいたしたのでございますが、現在のわが国の財政状態からいいまして、また、他の諸産業に対する助成のバランスからいいまして、この案を採用するということは、当分見合わさなければならぬという結論に達したのでございます。まあこのようにいたしまして、コストだけの競争でいきまするならば、今後の五カ年計画によって、トン当り四十七ドルで十分やっていける。運賃の有利性を加えまして、十分やっていけると思うのでございます。ただ、そういう諸外国のやっております輸出助成方策につきましては、わが国一気にそこまでいけませんために、当分わが国の肥料工業は、相当苦しい立場に立たなければならないという状態でございます。
#28
○島清君 国際競争といいましても、それはヨーロッパまで行って国際競争で勝てるはずはありませんが、おそらくインド洋を渡るようなことはないと思うのですが、インド洋を渡らずに、東南アジアのこっちでございますと、今おっしゃったように、勝てると思うのですが、インド洋を渡ったら、何かそれから先の中近東あたりからの肥料の発注なんか、今までに受けたことがあるのですか。
#29
○政府委員(森誓夫君) 中近東地帯は、まあわれわれとしては、今後の大量輸出のマーケットとしては計算に入れておりません。大体日本の肥料輸出が、運賃で有利性を持ち得ますのは、やはりインドまでが限界でございます。それより西はちょっと無理でございます。ただ、これまでの受注の状況からいいますと、中近東から、きわめて少量の受注は受けております。しかし、大量の取引の実現は困難であると考えております。
#30
○島清君 そうしますと、東南アジアを、おもにこちらの方のマーケットにするということになりますと、これから競争者として現われて参りますのは、中共あたりも、日本の競争国として出てくると思うのですが、雑貨品あたりでは、非常に中共品が日本の強力な競争者になっているわけですが、中共などが今、日本がマーケットとされるような国々に、中共の肥料が進出してくるであろうという可能性を計算の中に入れておられると思うのですが、入れておられるその量と、さらに入ってくるであろうと思われる年はいつごろからと推定をされておりますか。
#31
○政府委員(森誓夫君) 中共の肥料の需要は東南アジアでは一番大きいものと考えております。昭和三十八年度におきましても一番大きいものであると考えております。で、中共におきまする肥料の自給力はこれもわれわれ計算に入れておりますが、中共では現在八十万トンくらいの肥料の生産がございます。しかしながらこの需要は非常に大きいのでございまして、むしろ中共は今後五年間にわたりましてわが国の最も有力な市場であるというふうに考えておるのでございます。まあ御承知のごとく昭和三十二肥料年度では中共に三十三万トンの輸出がありましたが、昭和三十八肥料年度では少くとも五十万トンくらい日本から持っていけるというふうに考えておるのでございます。東南アジアにおきまするこういう肥料の不足量につきましては、海外のOEECの調査資料、あるいはイギリスの専門の調査の会社でありますエイクマンという会社がありますが、そういう会社の資料等に基きまして推定をいたしておりまするが、まあ私の方で一応推定をいたしておりまするのは、昭和三十八肥料年度では中共は少くとも百五、六十万トンくらいのア系窒素肥料の不足があるであろうというふうに考えております。従いましてわが国から約五十万トン程度の輸出をするということはきわめて実現性の強い見通しだというふうに思うのでございます。
#32
○島清君 その見通しというのは何か非常にがんこのように思えるのですが、ああいったような国柄でございますから、必要だというふうに思ったら、その計画をすれば実現性というものは非常に早いわけですね、速度が。日本みたいな資本主義経済機構の場合には、右左を見たりして、いろいろとのろのろとして歩いているわけですが、ああいう国柄ですから、まあ鉄鋼などの問題にいたしましても、ああいったような原始的な形で生産しておりながら、非常に生産量が高まっておる。驚異的な生産量をあげているのですね。ですからああいったような広い人口の多い国では、何としてもやはり工業化と伴いまするところの農村の増産計画というものは、相伴わなきゃいけないことだと思うのですね。ですから、そういう問題もすでに私は解決への緒についておると思うのですね。ですから中共あたりの肥料が停止的な考え方でいつまでもこちら側のマーケットであるというような考え方は計画を立てる場合に非常に危険性があるような気がするのです。しかしまあそれはそのように御説明があるならば、そのままに受け取って拝聴しておいてもよろしいわけなんですが、ただ中共などが東南アジアにおいて強力な競争相手にならないまでも、私は今のような日本と中国との貿易の関係からいきますと、かりに社会党が政権を担当するようになれば、中共貿易の再開ということは、これは望めるのでしょうけれども、政治と経済とは切り離したものは考えないというようなことが明確にされております。この日中関係の現段階において、中共市場というものを強く当て込むということは、私は計画の中にどんなものだろうか。中共という国柄を少し知らな過ぎるような気がするのですがね。こういうことについては、どのようにお考ええでございますか。
#33
○政府委員(森誓夫君) 確かに今おっしゃるように、今から五年先に中共で肥料の生産の自給力がわれわれが推定いたしておりますよりも非常に高くなりはしないかということにつきましては、われわれも常にそういうふうなことを念頭に置いて事態の推移を見守っていかなければならないと思います。ただ現在まあわれわれの集め得る資料を基礎にすれば、ただいま申し上げましたような数字が出るわけでございまして、現在まあわれわれが現実にア系窒素肥料の需給計画に基いて、いろいろな生産能力の増加等の指導をいたす場合には、そのことは常に注意して考えていかなければなりませんし、また中国における自給力が非常にふえた場合には、それに応じた措置を国内にやらなきゃいけないというふうに考えるのでございます。現在こういうような計画で、昭和三十八肥料年度のア系窒素の生産能力を六百万トンというふうに押えておりますが、これは現在から比べますと、百四十万トン程度ふえるということになっております。しかしただいま御指摘のように、中共貿易が再開しない間は中共への輸出は予想できないのでございまするので、この能力の増加につきましては、中共貿易の再開したときに、そういうめどがついたときに、中共に向けて輸出を予想しておるような数字に見合う生産力の増加は、そのときまでに一応正しく押えておく。そして推移を見ていくという心がまえで、われわれは進んでいきたいと考えております。
#34
○島清君 あるいはこれは森さんにお聞きするのは少しどうかと思いますが、第四次貿易協定の中には、肥料はどれくらい入っておりましたですかね。もしおわかりでしたら……。まああなたの所管じゃないので、おわかりじゃなければいいんですが。
#35
○政府委員(森誓夫君) ちょっとそれじゃ申し上げます。確実に第四次貿易協定に幾ら肥料が入っておりましたかわかりませんが、過去の輸出実績についてちょっと御参考までに申し上げたいと思います。中共に対しましては、昭和三十一肥料年度は約千六百万ドルでございます。それから三十二肥料年度は千七百万ドルということになっております。これはア系窒素以外の肥料も少し入っております。大部分はアンモニア系窒素肥料であるというふうに考えてよろしいわけであります。従いまして大体まあ千五百万ドルないし二千万ドルくらいの肥料が中共に対して当然輸出が予想せられる金額というふうに思われます。
#36
○島清君 トンに直すとどれくらい、何トンくらいになりますか。
#37
○政府委員(森誓夫君) 大体これは三十万トンないし四十万トンくらいの量になると思います。
#38
○島清君 まああの第四次貿易協定の中にも、かなり入っておったと思うのですが、これが停止になりまして、いつ再開されるとも見通しがつかないというような状態ですが、輸出が非常に伸び悩んでいる。そうして出血輸出をしてようやく滞貨をさばいているというような格好なんですが、今あれですか、肥料の需給からいきますと、今は時節はずれのように思うのですが、例年度からいって、滞貨量はどれくらいふえておるのですか。
#39
○政府委員(森誓夫君) 肥料は非常に季節的に需要の波の大きい商品でございます。一番需要の多いのは春肥でございまして、これが四月から六月ごろにその需要が起るわけです。それから秋肥というのが九月、十月ころに起りますが、その需要のまた波が上るわけですが、しかし、春肥に比べますと、その波は相当低いわけであります。不需要期として一番滞貨のふえますものは、十二月か、一月ごろでございます。最近の滞貨につきましては、正確な数字を申し上げる用意ができておりませんが、お手元に配付いたしてあります統計を集めてありまする中に、その三ページに大体滞貨の波が出ておるわけでございます。グラフでずっと出ておりますが、昭和三十二年八月から三十三年八月までの間におきまして、この点線で書いてありますのが在庫でございますが、その在庫が非常にふえてきております。これは大体三十二年の十二月ごろに七十万トン近い在庫があったということでございます。それからそれが三十三肥料年度になりますとそれをさらに、三十三年十二月ごろには九十万トンをこえるという工合になっております。これは最近輸出が特に需要の中で大きい割合を占めるに至りまして、これで輸出はまとめて需要期の前にその契約が行われるということで、そのために滞貨の増加傾向が非常に顕著になってきておるのでございます。内需だけについていいますと、割合ならして出荷されるものでありますから、これほど滞貨が急激な波を示すことはないのでございますが、輸出が需要の中で大きいウエートを占めるに至りました最近におきましては、こういうふうに不需要期には著しい滞貨の一時的な増加があるという傾向を示すに至っております。それで最近の情勢ではやはり不需要期には八十万トンないし九十万トンくらいの在庫があるということが普通の姿になっておるのでございまして、今後もこのくらいの毎年滞貨が発生することが予想いたされます。これは年間の生産量が現在約四百四、五十万トンぐらいでございまするので、二ヵ月分くらいの滞貨になるわけでございます。輸出に重点を置いてやっていかなければならぬ肥料工業としては、こういう年末を中心にしまして二ヵ月分くらいの滞貨ができるということは、当然覚悟しなければいけないわけでございます。そこでわれわれとしては、この対策として、輸出用の滞貨が発生し始めまする九月ごろから特別な融資をまとめていたしまして、そしてメーカーがその滞貨のために運転資金に困らないように措置をとるようにいたしております。これは昨年からそういうことをやっておるわけでございます。
#40
○島清君 どうですか、その滞貨は需要期にきますと相当売れる見込みでございますか。また東南アジアの肥料の需要期といいますと、大体四月ごろから始まると思うのですがね。もう四月ごろから始まると、すでに年内に契約がされて、すでにもう港を出なければ間に合わないわけですね。こういったような契約量に基いて、そして在庫というものが輸出とマッチしてさばけるかどうか、この辺の見通しはどうですか。またどれくらい東南アジアとの肥料の契約が成立しておるのですか。
#41
○政府委員(森誓夫君) 東南アジアはわが国の肥料の主要な市場でございまするが、これは残念なことには、日本と大体緯度が同じで、肥料の需要期がほとんど日本と一致しておるのでございます。需要期には内外ともに需要が起り、不需要期には内外ともに需要がないということで、不需要期でありまする年末には、国内と海外との両方の滞貨がまとめてたまる、一緒になってたまるということで、非常な大きい滞貨を作っておるわけでございますけれども、これが理想的にいいますと、国内と海外市場と需要期がズレておりますと非常にいいんですが、遺憾ながらそういうことになっておりません。それで、大体輸出量は、本肥料年度は一応百九十万トンくらい出せば一番理想的な姿でございますが、しかし、現実の問題としては、今日までの成約は約百四、五十万トン程度で、まあ百六十万トン程度本肥料年度内に輸出ができれば一応いいんじゃないか、いいところであるというふうに考えております。
#42
○島清君 阿部君も質問しようと待っていらっしゃいますので、私はあまりたくさんのことは聞かないでおきますけれども、肥料会社と輸出会社ですね、これとメーカーとの関係、それから輸出会社のその配当関係、それから輸出会社に対して政府はどのように指導しておられるか、それから輸出会社の人件費の占める割合、こういうものを一つ説明していただけませんか。
 もう一つ。私はかなりやはり輸出の興廃とこの肥料産業というものが密接に結びついております今日からみると、この会社みたいなものを作って、これに輸出をまかせるというよりも、もう少しやはり国家性を持った機関というようなものが必要な気がするのですが、そういうことについてお考えがありましたらこの際、一つお述べをいただきたいと思うのです。
#43
○政府委員(森誓夫君) 硫安輸出会社とメーカーとの関係について申し上げますと、硫安輸出会社の株主はすべて肥料のメーカーでございます。言いかえますと、硫安輸出会社は肥料のメーカーによって出資され作られておる会社でございます。そうしてこれが硫安の輸出につきましては、一応ここを通すということになっておりますが、通し方に二種類ございまして、大口の契約、たとえば韓国とかあるいは台湾等と二十万トン、三十万トンという大口の契約をするような場合には、硫安輸出会社が直接それぞれの買付の相手方と交渉いたします。それからそのほかの一口千トンとか五百トンとかいう小さい取引につきましては、一応メーカーから硫安輸出会社はその輸出用の硫安を買いますが、しかしそれを現実に輸出契約をとってきました輸出商にさらに売り渡しまして、輸出商から現実にその海外の需要家に輸出をする、こういう形をとっております。
 それでこの会社は今日までずっと赤字を続けてきておりまするので、配当ということはないわけでございます。こういう一つの輸出を独占的に扱う会社でございますが、これは各輸出商あるいはメーカーがそれぞれ輸出をやりまして、過当競争の結果日本の輸出硫安の価格がさらに低下するということを防止するための機関としては非常に有効なものであると考えておるわけでございますが、しかし反面ここでこういう独占的に輸出をいたしますので、国が十分な監督をいたさなければならないわけでございます。そこで硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法におきましては、相当たくさんの条文を費しましてその監督を規定いたしておるわけでございます。たとえば「会社の定款の変更、合併及び解散の決議は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」とかあるいは「通商産業大臣は、公共の福祉を確保するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」と、非常に広範な監督命令権を通産大臣が持っておることでございます。そのほかいろんな報告を出す義務とかあるいは当然現場の検査を政府が行うことができるというふうな規定がございまして、そうして現実に一番政府がひんぱんに会社の業務の監督に触れておりまするのは、毎月の硫安輸出会社の肥料の購入計画――メーカーから輸出用の硫安を購入することの計画、そういうものについては一々役所がこれの承認をするという格好で、この会社の業務のやり方は大体全部役所へその書類が出て参るということになっているのでございます。
 それから会社の経費のうちで占めておりまする人件費の割合は、最近の統計によりますると全体の四%程度占めておるわけでございます。
 それから今後この会社につきまして政府はさらにもっと出資をするとかあるいは監督を強化するというふうに、さらに国家機関的な性格を強化させるかどうかという点につきましては、肥料懇談会等ではそういうふうな御意見もあったわけでございまして、われわれもそういう方向について極力研究をいたしてみたのでございますが、政府がこの会社に出資をするということはいろいろ問題が起る可能性がある。つまり国際的にも問題が起る可能性がある。こういう輸出会社に政府が出資をするということになると、輸出に対して国が補助金を与えるようなことにもとられるおそれがあるわけでございます。そんなことも考えまして、そこまで踏み切ることをいたさなかったのでございますが、大体現状でもそう弊害がございませんので、さしあたりは現在の体制でやっていって、さらに必要であれば事実上の行政指導なり監督を強化していくというふうに考えているわけでございます。
#44
○阿部竹松君 時間が一時になりましたので、委員長にも答弁される政府委員にもまことに私お気の毒だと思うのですが、きょうで質問を打ち切るということに委員長、理事打合会でなっておるそうですから、若干お許しをいただいて一つ質問さしていただきます。自後、できることであれば、議事進行ですが、大体だれが何分くらい質問があるであろうかと、明確にはわからぬでも、それをおきめになって始めていただかないと、知らないわれわれはきわめて迷惑をするわけで、こういうことになってくるとあまり質問を続けることもどうかと思いますが、簡単にお尋ねいたします。
 第一に、昭和二十九年にできました法律第百七十三号ですか、この本文は私は知りませんが、本文の中に昭和三十四年の七月三十一日に、そのときの状態を見て延期するとか、そのとき論議するという付則が条文の中にございますか。
#45
○政府委員(森誓夫君) そういうふうな条文はございません。一応当時としては五年間で合理化を完成できるということでやったんだと思います。しかしこれが五年でできない場合には、次にそのときの情勢に立ってさらに対策を検討するということは、当時の関係者の考え方としては暗黙のうちに、頭の中にはあったであろうかと思います。
#46
○阿部竹松君 そうしますと、これは臨時立法でなくして、時限立法になるだろうと私は思う。これは当局の方ではその道を専門家にお尋ねになって万事ソツのないように作ったことと思いますが、かつて時の法務大臣の牧野さんに、こういう法案でいろいろ論争をやったときに、それは時限立法で二回目はそういうことにならぬ、こういうふうな話でございました。従って私はこういう法律は法制局を通じてやるのでしょうが、これは特に中川政務次官に申し上げておきたいのですが、これは通産省ばかりでございませんで、各省から参議院の法制局に課長クラスがどんどん入ってくる、そうすると、その人たちはきわめて法律に明くない。従ってそういう人たちがこの法律はこれでよろしいということでやったら、大問題です。もちはもち屋でやはり法律専門家でなければならぬのに、各省から参議院の法制局に出先機関のようにして入っているから、こういう問題が起る。従って今後はそういう場合には通産省としても十分気をつけていただかなければならない。こういうことを申し上げると同時に、今森さんのお話あるいはまた島理事の質問を聞いておっても、果して五年間で十分であるかどうかということに私は疑問を持つわけです。五年間やってもう五年、また五年というふうにならないだろうか、というのは五年間やってこの法律の目的が達した、使命が終ったということでなくならんで、かえってまた報告をつけなければならぬような法律を作らなければならぬ気がする。そうすると、きわめて見通しは暗く、不手ぎわであるということになってくるが、今から五年先のことを絶対大丈夫かと聞くのもどうかと思いますが、どうですか。五年間で大丈夫ですか。
#47
○政府委員(森誓夫君) 五年先のことについて保証するということは、私良心的に考えまして、今一〇〇%の自信を持ってはできないことでございますが、一応現在われわれが勉強しておりますところでは、五年間で大体所期の目的を達するだろうというふうに考えます。この点で一番問題になりますのは、外国が今後さらにどんどん合理化をやってコストを下げていきやしないかという点でございます。その点につきまして、まあ私たち考えておりますのは、外国でも現在コストが安いのは、ガス源を流体原料に求めているところにあるのでありまして、それが日本よりも進んでおりますから、コストが安いのでございまして、日本はまあ少しおくればせながらそれを追及していごうというのでございますが、今後アンモニアのコストを下げる方法としてガスの原料を流体に求める以外の何か革命的な方法があれば、生れてくれば別でございますが、しかしそういう方法はもうアンモニア工業というものは相当歴史が古くて、相当技術的に新しい方法があるならば、もう出ていいころであろうと思いますが、それは出てきておりません。化学工業の技術の進歩は非常に烈しいものでございますが、これは石油化学製品のような新しい製品を生む場合には非常に脅威的な技術の躍進を示しておりますが、こういうアンモニアにつきましては、その飛躍的な技術の発達は、現在のところ予想されませんので、まあわれわれは流体化、原料の流体化を進めていくということによって諸外国に追いつくことができるであろうというふうに考えまするので、一応われわれは五年間の合理化によりまして所期の目的が達成できるであろというふうに考えております。
#48
○阿部竹松君 まあ五年後には森さんも、政務次官になるか、あるいは事務次官になるかわからぬけれども、五年後に、通産省におったときに、あなたはこう言ったではないかと言って一つやりましょう。(笑声)
 それで、あなたのお話をさいぜん承わっておると、大体この法案が発足した当時より十ドルくらい下っているというお話でしたが、私が調べたのでは、八ドルくらいしか下っておらない。当時トン当り六十五ドルくらいしておって、そうして十五ドルくらい下げると言ったのですが、あなたの計算でいっても、まだまだ五ドルというこれは差があるわけですね。これはどうなんですかね。
#49
○政府委員(森誓夫君) 当時の六十五ドルを五十ドルに下げるという計算の中には、たとえば労賃が今後上昇するという要素、あるいは原材料の価格が特に石炭についてでありますが、これが予想通り合理化によって下がるであろうというふうな、まあそういうふうないろいろな条件がついておったわけでございまして、たとえば労務費は予想と違いまして、その後五年間に十何パーセントくらい上昇いたしておりまするし、石炭の方は当時一割五分か二割くらいコストが、石炭の価格が下がると思っておったのが、それが下らなかったというような見込み違いがでございました。あるいは先ほど計数で申し上げましたが、設備資金の投下量が、当初よりもこれも非常にふえたために償却費が非常にふえてきたというふうなことがございまして、そういう、当時予想しなかったようなコスト上昇の要素が働きましたために、予定の目的を達成することができなかったのでございます。もしそういう要素が働かなかったとしたならば、十五ドルをこえるコスト引き下げが可能であった。こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
#50
○阿部竹松君 石炭の価格に理由を持っていかれますが、とにかく六十五ドルの中に占める石炭の使用量は僕は何パーセント占めておるかわかりませんよ。しかし、少くともこの法律が発足した当時と、現在まで四カ年半を通算して、石炭の価格は、もう当時のカロリー九十五銭から換算してみて、現在二割以上下がっておりますよ、平均ですね。ですから、石炭の価格が下らなかったなどということは僕は理由にならぬと思う。なお、何パーセント石炭が使用されておる率であるかということはおわかりでしょうね。私はそう思います。そこで一番心配になりますことは、今度は、鉄鋼の大メーカー、ソーダ会社からガラス会社まで硫安を作るというわけでしょう。膨大な設備投資が要るわけですね。簡単な設備ではできないのです。そこで今度生産制限などが始まれば、これはきわめて膨大なコスト高になる。こういう点の御心配はないのですか。それとも、御心配があっても、それは行政指導でやるということになりましようけれども、どういうような方法でやられるのか、その点を一つ伺いたい。
#51
○政府委員(森誓夫君) 今後合理化を非常に進めていくために原料を固体原料から流体原料に切りかえていくという、設備の切りかえをいたさなければなりませんが、これは、おっしゃるように、今後流体原料を使う設備をどんどん新増設させて参ったのでは、大へんな設備過剰になり、その結果操短をやらざるを得なくなる。そうして最後にはコストが、むしろ上るということになって参りますので、そういう設備の新増設は需給状態を見ながらよく指導していきたいというふうに考えております。さらにいいますと、需給の混乱を来たさない範囲で、そういうものを生かすようにしていきたいという考え方でございますが、今後の合理化計画で一番重点を置いておりまMするのは、既存の固体原料を使う設備をいわゆるスクラップ・アンド・ビルドの方法によりまして流体原料を使うように、なお切りかえていくということでございます。能力の増加を伴わないようにして、しかも合理化を進めていこうという考え方でございます。それが中心でございまして、そのほかに、実は従来までにいろいろ技術導入を許可したような設備がありますが、こういうものが今後若干の増ということが考えられるのでございますが、先ほどお話のような製鉄あるいはソーダ等の工場が工場を作るという場合には、われわれとしては、そういう製鉄関係についていいますと、そこの製鉄工場の安いコークスガスを、むしろ既存の肥料業者に供給するというような形をとらしめることによって、つまり両社提携して能力の増加にはならない姿で合理化を進めていくというふうに指導していきたいと思っております。ソーダの場合でも、これは既存のアンモニア工場と提携することによって、能力の増加は来たさない範囲で、しかもソーダ工業の合理化を実現する、こういうような方向で当面は指導していきたいというふうに希望いたしております。もっともこれは、今後の需要が伸びるというようなことになれば、またそういうふうな考え方をもう少し緩和していきたいというふうに考えております。
#52
○阿部竹松君 その点について、肥料懇談会というところは消費者とか中立とかございますね、委員が。この委員会において存続と廃止という二つの意見が出て大いに論争がたたかわされたということを聞いておるんですがね、一本化された最終的結論はどう出ておりますか。
#53
○政府委員(森誓夫君) お手元に肥料懇談会の意見の報告書がお配りいたしてあると思いますが、ただいまの点は、この「需給」の第四ページの最初の行に「2設備制限」という項目がございます。ここに結論が出ておるのでございますが、「設備の新増設については規制を加えるものとし、政府は設備規制を行う場合には事前に肥料審議会の意見を聞くものとする。」、こういう結論になっておりまして、政府は設備の新増設について規制を加え、そうして需要に見合った生産規模を維持していくということについては、全員一致の御意見であったわけでございます。
#54
○阿部竹松君 そうすると、結局今度の法案には全然、今、局長のおっしゃったことがあまり盛られておらぬような気がするのですがね。
#55
○政府委員(森誓夫君) これは実はそういう規定をこの法律に盛り込もうという研究もいたしたわけでございますが、いろいろ現在の法律的な一つの見解からいいましても、それを明らさまにここに書くということは避けた方がいいという結論になったのでございますが、現実の問題としまして、こういう肥料の合理化の中心になりまする流体原料への切りかえのための設備の改造というものは、外国技術の導入によって、実現される場合が非常に多いのでございます。そういう場合は外資法の許可を受けなければなりませんので、外資法の運用によって規制ができます。従って、外資法の運用や、その他の行政指導によりまして、所期の目的を達成いたしたいというふうに考えまして、この法規には書かないことにいたしたのでございます。
#56
○阿部竹松君 そうしますと、このままでいって指導方針とか何か別途に設けるということであれば、それを承わりたいわけですが、さいぜんの島理事の発言の中にもございましたが、インドで国際入札があって、日本は、西ドイツか、あるいはイタリアか、こういう国々に負けたわけでしょう。しかし将来こういう状態でいって、今の法律のただ延長として、依然として同じことを繰り返すだけにすぎない。そうすると、何年たっても同じことである。たまたま新潟の天然ガスがどんどん今度出るようになったから、あれを利用すれば安くつくというかもしれませんが、あれはやはり総体的に見て微々たるものなんです。ですから、そこで何らかの対策がなければ、ただ法律の延長だけではいかないのじゃないかと思いますが、法文を変えないとすれば、何らかの新しい省としての御方針があるものかどうか。ただ、今まで通り法律が同じものであるから同じでいくのかという点をお尋ねいたします。
#57
○政府委員(森誓夫君) 政府といたしましては、肥料懇談会の御意見の結果に基きまして、お手元にお配りいたしてありまするような、アンモニア窒素肥料に関する対策要綱というものを決定いたしております。これは従来の肥料対策よりもいろいろ違った対策をとっておるのでございまして、先ほど問題になりましたような設備の新増設についての指導の問題、あるいはまた合理化を強力に助長するためにいろいろな低利の財政資金を確保したり、また税制上の特別措置を強化するというふうな、従来とは一歩踏み出した助成策を講ずることになっております。それからまた輸出振興対策といたしましても、国際市場におきまする輸出競争力を強化するために、輸出金融とか、あるいは取引条件とか、決済条件について特別な措置を講じていくというふうなことがきめられておりますが、こういう事柄は、従来の肥料対策を一歩出たものであって、政府とし填は合理化を推進し、さらに強く推進し、また輸出をさらに振興するための特別な手を今後は強く打っていごうという決意をいたしておるわけでございます。
#58
○阿部竹松君 今森さんのおっしゃったほかに、たとえば賠償物資のワクに入れるとか、あるいはこれは佐藤大蔵大臣が反対するかもしれませんが、輸出代金の延べ払い、それから中共貿易、こういうことについてはどうお考えですか。これは大臣が御出席であれば、大臣に聞くのが、政府の政策に関係することですから、当然かと思いますが、大臣が見えておらぬので、中共貿易とかを局長に聞くのはどうかと思うわけですが、もしできれば賠償物資に該当するような方法、それから輸出代金の延べ払い、こういう点についてお尋ねいたします。
#59
○政府委員(森誓夫君) 先ほど抽象的に申し上げましたが、取引条件及び決済条件について特段の措置を講ずるという中には、賠償物資として出すとか、あるいは延べ払いで出すようにするとかということを含んでいるわけでございますが、現に賠償物資として出しておりまするのは、ビルマ、フィリピン等にすでに実績がございます。また最近インドネシアとの間にもその話し合いが進行いたしております。そういうわけで、これは賠償物資として出すことにつきましては、もうすでに実績があるわけでございます。それから延べ払いとして出すことにつきましては、いまだ実例がございませんが、政府全体として今後そういう方向に予算が出るようにという通産省としては努力いたして参りたいというふうに考えております。なお、中共貿易につきましては、私からお答え申し上げるのははなはだ越権かと思うのでありますが、しかし肥料は、もし中共貿易がわれわれの想像いたしておりまするように進展するならば、東南アジアに出される肥料の中のまず二割五分から三割程度のものが中共に持っていけるわけでございますので、肥料の市場としては中共にわれわれは非常に期待いたしておりますので、中共貿易が再開されることを私たちとしては非常に熱望いたしておるわけでございます。
#60
○阿部竹松君 どうも私質問しておるのは、採決すべき定員数が集まるまで質問を続けているようで、きわめて不愉快なんです。質問を打ち切りにしなければならぬ感じもするので、全く遺憾に思うのですが、最後に一、二点お尋ねいたしますが、香港というのがありますね、輸出した硫安のトン数の中に香港、これは三十二肥料年度でありますが、香港は、これは香港で使うのですか。それとも香港経由で中共本土に行くのですか。それから韓国ですね。韓国と、李さんのところと日韓会談があまりうまくいっておらぬようです。これはどういうことになりますか、今年の肥料年度とは。
#61
○政府委員(森誓夫君) 香港向けに出ております肥料は、その地で使いますものはきわめて一部でございまして、大体中継貿易としてさらにそこから近隣の第三国に出るということでございます。それから韓国との関係は、三十二肥料年度におきましては、おっしゃるようにほとんど輸出がなかったのでございますが、三十三肥料年度におきましては約三十万トンくらいすでに契約ができております。そういうわけで、まあこれもいろいろ国の指導者の政治的な判断から一時輸出はとまりましたが、今後は大体三十万程度のものが期待できるだろうと考えておる次第でございます。
#62
○阿部竹松君 韓国行きがきわめて難航しておるというような話があったわけですが、それは一時的で今はそれがすっかり解消したかどうか。もう一つお尋ねするのは、まあ外国に輸出するのはきわめてけっこうなことで、どんどんやらねばならぬのですが、今申しましたように、インドに行って国際入札をしても、イタリアや西ドイツにはかなわない。こういうことになると、コストを下げて国際入札に参加するということになると、今度価格の調整をはかるために、国内の需給を、今度は高いものを使ってもらうということで三十億の、僕は三十億だというふうに聞いておるんですが、局長の御答弁では二十五億の赤字がある。五億も私とあなたとは食い違っておるのですが、そういうことで輸出にばかり力を入れて、そのしわ寄せば国民の使う肥料がコスト高になるという結果にならないかどうかということと、今までそういう実態があったように承わっておるのですが、そういうことについて承わりたい。
#63
○政府委員(森誓夫君) 韓国向けの肥料の輸出が停滞していた事実がなかったかということでございますが、二、三カ月前の話としては韓国人を送り返すという問題と関連してやや韓国側が態度を硬化したのでありまするけれども、幸いに肥料についてはそういう心配は全然ございませんでした。順調に出荷ができたのでございます。それから第二点の、輸出によって赤字を生じた場合、それを国内に転嫁していく、国内の消費者が高い肥料を買う結果になりはしないかという問題ですが、そういう事実は五、六年前には現にあったわけでございます。そうしてそれを防止するために、この現行の肥料二法が制定されまして、国内の販売につきましては厳密な生産費の計算をやりまして、マル公というもの、それを基礎にいたしましてきめる。国内の価格はそれ以外の要素では左右されないというふうな形になったわけでございます。従いましてこの二法が存在いたしまする限りは、輸出の出血が国内の価格に転嫁されるというおそれは毛頭ございません。
#64
○阿部竹松君 最後に、今でなく前に、この二法を作るときに、これは姉妹法で、二つとも関係があるわけですが、作るときに、どうも情勢の見通しがあまかったような気がするのですが、しかしこのままの状態で、海外、国内の需給のバランスをとって、今申し上げました鉄鋼会社、ガラス会社、ソーダ会社までもいわゆる強権をもって規制しなくても大丈夫であるかどうか、国内の需給と海外の輸出の見通しはこのままで大丈夫であるかどうかということを、くどいようでありますが、お尋ねいたしまして質問を終ります。
#65
○政府委員(森誓夫君) 現在の窒素肥料についてのいろいろな企業計画がございまするが、これはわれわれとしましては、外資法その他の行政指導によりまして、十分に需給に見合った程度にこれを指導していくことが可能であると考えております。
#66
○委員長(田畑金光君) 関連してちょっと質問いたしますが、阿部委員の質問の中にありました日本硫安輸出株式会社の輸出による赤字が昨年二十五億、おそらく本年の七月ごろには七十四、五億に上るといわれておるわけですが、この赤字については結局どのように処理されることになるのか、メーカーが株主出資者とすれば、メーカーの負担で将来ともこれは処理されていくのか。あるいは政府がその赤字について赤字の融資等の措置を講じていくのか、将来の赤字がどのように処理されていくかという問題。もう一つは、この法律ができたので、輸出による赤字は国内農業者に対する販売に転嫁するのでないとしても、現実の国内の農民に対する販売価格と、それから輸出価格というものはどういう関係で、実際の価格の面においてどのような数字になっておるのか、この二点をお答え願いたいと思います。
#67
○政府委員(森誓夫君) 輸出赤字の対策でございますが、これはあくまで日本の肥料のコストを少くとも国際的な水準にまで引き下げるということをやることによって、まずその赤字を減少させるというふうに持っていくべきであるというふうに考えております。従ってあくまでこれは合理化を推進するということをこの対策の中心にいたすべきものであると考えてるおわけであります。あわせて諸種の、これまで申し上げましたような輸出振興方策を講じまして、輸出価格が維持改善されるように努力するという、こういう二つの方法によって当面赤字に対する対策を進めていきたいと考えております。先ほど申しましたように、諸外国が間接には輸出の補助金になるような国家的な補助をいたしているということに対して、わが国も何かそれに相応するような手も打たなければいけないのでございますが、これはしかしわが国の財政事情あるいは諸産業に対する助成策とのバランス等を考えまして、今直ちに踏み切ることは尚早であると思いまして、合理化の助成策として今回政府としては新しいものをきめたのでございますから、そういうふうな程度で国の助成はとどめることにしまして、合理化と輸出振興、この二つの方法によって当面の赤字に対処いたしたいと考えるのでありますが、ただ別の機会でも要望されたのでございまするが、それ一点張りでいくかということにつきましては、少くとも現在はそういう方向でいきまして、しかし今後赤字がどういうふうな額になるか、それからまた非常な大きい赤字が出、これでは肥料工業が危殆に瀕するというような事態になれば、そのときにまた何か国としての進んだ助成策も検討していいのではないかというふうに考えておりますが、ただいまのところではまだそれまでのことを考えていないわけでございます。それから国内の価格は、昭和三十三年肥料年度でにマル公として五十五ドル○五というのがございまして、ところで輸出価格は、一昨年の幕までは大体平均五十ドル前後でございまして、最近の一年は大体四十五ドル、ならしてみますと四十五ドルということで、最近の一年の国内のマル公と比べてみますと十ドルばかり安いということになっております。ただ国内価格と輸出価格とを比べる場合には、普通の場合は当然輸送費が非常に安い。工場から港までの輸送費が安くて、コストの中に占められる運賃が二ドル程度、安いのでございますから、国内価格と比べる場合には、輸出の四十五ドルというのは四十七ドルと見ていいかと思いますが、そのようにいたしますと、大体八ドルぐらい開きがあるというわけでございます。
#68
○政府委員(中川俊思君) 先ほど来いろいろ御心配、御注意をいただきました点でございまするが、幸いにしてこの法案が国会を通過しました暁には、御注意の点十分政府としては留意いたしまして、五カ年後にまた五カ年延ばして下さいというようなことのないように注意していきたいと思いますから一つ御了承願います。
  ―――――――――――――
#69
○委員長(田畑金光君) この際委員の変更について御報告いたします。
 本日、植竹春彦君、鈴木万平君が辞任され、森田豊壽君、大谷瑩潤君が選任されました。
  ―――――――――――――
#70
○委員長(田畑金光君) 他に御質疑ございませんか。――ないようでございますから、これをもって質疑を終局し、討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。御発言もなければ、直ちに採決を行います。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#71
○委員長(田畑金光君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては委員長に御一任願います。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後一時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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