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1958/03/25 第31回国会 参議院 参議院会議録情報 第031回国会 商工委員会 第22号
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1958/03/25 第31回国会 参議院

参議院会議録情報 第031回国会 商工委員会 第22号

#1
第031回国会 商工委員会 第22号
昭和三十四年三月二十五日(水曜日)
   午後三時五十九分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
三月十九日委員高橋進太郎君辞任につ
き、その補欠として野田俊作君を議長
において指名した。
三月二十三日委員大谷瑩潤君及び野田
俊作君辞任につき、その補欠として鈴
木万平君及び高橋進太郎君を議長にお
いて指名した。
三月二十四日委員木島虎藏君、高橋進
太郎君及び山下義信君辞任につき、そ
の補欠として青柳秀夫君、重宗雄三君
及び阿具根登君を議長において指名し
た。
本日委員青柳秀夫君及び重宗雄三君辞
任につき、その補欠として高橋進太郎
君及び木島虎藏君を議長において指名
した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     田畑 金光君
   理事
           上原 正吉君
           島   清君
   委員
           木島 虎藏君
           佐野  廣君
           鈴木 万平君
           高橋進太郎君
           高橋  衛君
           堀本 宜実君
           阿具根 登君
           阿部 竹松君
  国務大臣
   通商産業大臣  高碕達之助君
  政府委員
   科学技術庁長官
   官房長     原田  久君
   科学技術庁原子
   力局長     佐々木義武君
   通商産業政務次
   官       中川 俊思君
   通商産業省通商
   局長      松尾泰一郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉
 の規制に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○輸出品デザイン法案(内閣提出、衆
 議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。
 まず、核原料物質、核燃料特質又び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより本案の内容説明を求めます。
#3
○政府委員(佐々木義武君) お手元に、核原料物質、核燃料物質又び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案要綱がございますので、この要綱につきまして重点的に内容を御説明申し上げます。
 今度の改正はおもな点が二つございます。その中でも最も重要なのは第一点でございますが、第一点は原子炉の事故に基いて第三者に損害を与えた場合に損害賠償措置をどうするかという問題でございます。これに関しましては今回の改正におきましては、一応暫定措置といたしまして、従来の保険法を変えない範囲におきまして自発的な民間の保険プールを結成させまして、そして炉の設置の希望者はその保険に加入するというのを骨子としたものでございます。ただし将来大きい発電炉等の炉を導入した場合には必ずしもこの一部改正をもっては満足しかねますので、ただいま原子力委員会のもとに我妻栄氏を委員長にいたしまして、根本的な改正法案と申しますか、原子力保険法とも名づけべき法体系を作りたいということで、目下研究中でございます。従いまして、ただいま出しましたのは、それまでの一つの暫定措置として御承認をいただきたいという意味で提出したものでございます。なぜこういうふうにそういう根本の法律ができる前に、こういう改正法を出さなければいけないかというこの点に関しましては、皆さんも御承知のように、いろいろ大学等で小さい実験炉を設置して早急に子弟の養成あるいは原子炉そのものの研究等をやりたいという希望者が最近非常にふえて参りましたので、そういう方たちの要望にこたえて、これを許可する際には、どうして万が一の場合を予想して、その損害賠償措置というものをあらかじめ講じておかないと安心いたしかねますので、第三者保護並びに設置者保護の両面を兼ねましてこの一部改正をいたした次第でございます。
 ただいま申し上げましたのは、お手元に差し上げました要綱の第一点でございまして、その内訳を申し上げますと、規制法の二十三条に原子炉を設置しようとするものは、一定の要件を備えまして、政府に許可申請を出すわけでございますが、その許可申請の中には、第三者に損害を与えた場合の賠償措置を明らかにする、申請書にそれを書き込むというのを一つの強制要素にしたわけでございます。
 第二は、今度は政府側でございまして、第二十四条で政府が一定の許可基準を設けまして、その許可基準に該当した場合にのみ、その炉の設置を許可すべしというその審査許可基準の中に、この損害賠償措置が十分であることをうたいまして、その賠償措置の具体的な内容につきましては政令でもってこれを定めるというふうに、政府側をしばっておきましたのが第二点でございます。同様もし申請したあと、あるいは許可になったあとにおきまして、損害賠償措置の変更があったときには、その変更の届け出をしなければならないということを許可事項にいたしますという点が、このおもな内容でございます。
 それから第二点は、核燃料物質の使用、これはやはり許可事項になっておりますけれども、従来は原子炉に使う燃料を主として規制しておったのでございますが、最近になりまして臨界実験装置という非常に特殊な手軽なと申しますか、装置ができまして、これを原子炉と同様、臨界の状況と申しますのは、核分裂を起し得る状況にして、そしてこれを使っていろいろな実験をする。たとえば温度係数の問題とか、あるいは中性子束の分布の状況とかいうような、いろいろな物理的な実験をいたす非常に簡便な装置ができてございます。これは大学等の研究には非常に手軽なものでございますが、さて手軽ではありますけれども、これもやはり核分裂を起します関係上、その使用した燃料等に関しましては、危険な放射性を帯びた燃料が出ることでありますので、いろいろの実験がいかようにもできるものでありますけれども、ただ原子炉と違いますのは、決して第三者そのものに損害を及ぼす、万が一でも及ぼすというような、そういうことは絶対にない簡便な装置でございますけれども、御説明申し上げましたように、使用済みの燃料そのものについては、やはり放射性を帯びて参りますので、この点は前に規制法を作ります際には実は落してと申しますか、まだこういうものができておらぬときでございましたので、その規制の範囲外にしておったわけですけれども、この臨界実験装置を設置する場合には、少くともその使用済み燃料の取扱い方法、これを事前に申請し、許可をとって、そうして事故の処分等に関しても政府の許可を要すべしというのが、この核燃料物質の使用許可関係と書きました二番目の大きい項目の主たる内容でございます。その二番目の方が先ほども申し上げましたように、むしろ本来であれば当然あるべきはずのものでございましたのですけれども、まあ新しいものができて参りましたので、念のために許可をするという意味でございまして、主たる内容は第三者に損害を与えました場合の原子炉の許可に基く条項でございます。
#4
○委員長(田畑金光君) これより本案の質疑に入ります。順次御発言を願います。
#5
○阿部竹松君 法案の中身をお尋ねする前に、これは総理にお尋ねするのが順当だと思いますが、通産大臣は科学技術庁長官と原子力委員長をお兼ねになっておるのですね、ところが二、三年前に通商産業省とか大蔵省、こういうところが非常にお仕事がたくさんあるといって政務次官をおふやしになったわけですが、それくらい通商産業省はお忙しいのですから、僕は大臣がいかに熱心におやりになっても、この科学技術庁と原子力委員長を兼ねてやられるということはきわめて仕事の上で問題だと思うのです。やはり人間のお仕事には限度がありますから、そうすると、端的に申せば、岸さんはやはり科学技術の振興とか原子力、こういうものには御熱心でないような気がするのです。ほんとうにつけたりにやっているのじゃないかという気がするわけですよ、私は世界中の原子力とかその他のことが、どうなっているということは全然知りませんけれども、簡単に文献を読んでも、日本ぐらい熱心でないところはないのです。そういうことについてきわめて不満を持っているのですが、大臣は二つを兼ねて十分やれるかどうか。従っておそらく大臣にお尋ねしても、大きなところがわかっても、内容は全然わからぬということだと思うのですね。(笑声)これはいかがですかね、行政についてです。
#6
○国務大臣(高碕達之助君) お説は私はごもっともだと思っております。(笑声)いろいろ内閣の人振りの問題上――私は元来は科学技術というものについては自分自身も興味を持っておりますから、自分の能力の許す範囲において十分尽していきたいと、こういう所存でございますが、やはり専門のもっと若い元気な方がやっていただくことを私は希望するわけであります。しかし今日私はこの席におります以上は、自分の老骨にむち打って、十分働いていきたいと、そう思っております。
#7
○阿部竹松君 大臣に御質問すると、何でも御説ごもっともで、同感ですと言う。これは衆議院に行っても、とにかくあなたの答弁を読んでも、どこへ行っても、とにかくあなたは御説ごもっともだと言われるのです。ですからあなたにはあまり質問できない、またごもっともだと言われるのなら。しかしそういう意味じゃなしに、御説ごもっともなら、あなたが兼任されてから相当長いのですよ、少くとも。岸内閣の悪口をあなたに言ってもしょうがないが、とにかくほんとうに原子力に出される国費も相当に多い。それで平和事業を作って、イギリス、アメリカに負けない状態を作ると、そういうことを言っているのに、しかし通商産業大臣が片手間に、いかに優秀な次官がおり、優秀な局長がおるかもわからぬけれども、僕は全然岸さんのこの種の問題についての熱意を疑うのですよ。従って、今ここでそれはさておき、僕は将来この原子力で電気が幾ら起き、それから石炭がどうなって、それから重油がどうなるという総合的な基幹産業の中の燃料対策を一つ承わりましょう。これが局長の今のお話でいくと、だんだん発展して、これは保険金でしょう、保険会社を作るということになるのですから。そうすると、将来どうなるのか、あなた方の五カ年計画なんてぱあぱあになって、こんなものは夢物語になってしまう。去年の古い文献を読んでもらっては困るから、科学技術庁の明確な費用とか、僕は経済企画庁との連携のもとに作った大方針があろと思うんです。それを一つ承わります。
#8
○国務大臣(高碕達之助君) ただいまのところ、昭和五十年を期しまして、原子力の力におきましては、石炭換算にいたしまして、二案あるのでございますが、石炭換算二千七十二万トンに相当する額、B案としまして、石炭換算千百二十九万トンと、こういう予定で進みたいと思います。昭和五十年を目安といたしまして。で、詳細のことは原子力局長から御説明いたしたいと思います。
#9
○政府委員(佐々木義武君) それじゃあ私から御説明申し上げますが、昭和五十年を基準にいたしまして、ただいま大臣から御説明ありましたエネルギーの需給計画を政府としては立案してございますが、その際の総合計を申し上げますと、石炭換算にいたしまして二億七千六百万トンという内訳になっております。その各要素を申し上げますと、水力を、やはりこれも石炭に換算いたしまして五千八百万、石炭が九千三百万、石油が一億九百万トンという計算になっております。その中で、しからば原子力発電はどういうふうなウエイトを占めていくだろうかという問題でございますが、その際の考慮すべき点といたしましては、この昭和五十年をただいまのように想定した場合に、日本の所要エネルギーの約半数は輸入エネルギーに仰がざるを得ないということに相なるわけでございます。そこでその半分の輸入エネルギーを石油でまかなうべきか、あるいは石炭でまかなうべきか、あるいは原子力に頼るべきかというこの比較対照の問題が非常に重要な問題になってくるわけでございます。そこで私どもといたしましては、原子力の担当の立場から、主として原子力の発電のコストが将来どういうふうな歩みを続けるであろうか。昭和五十年ごろにはどのくらいのコストになることであろうか。大体外貨の問題が非常に重要な問題になって参りますので、外貨の支払い金額が一体三者を比較した場合に、どれが一番安く、外貨を使わずにすむかというこの二点で検討をすすめて参ったのでございます。その結果、原子力発電のコストは、ただいまのところはまあ四円七十銭から、五円近くということになっておりまするので、新鋭火力等に比べますと若干値段は高いのでございますけれども、将来を考えますと、たとえば燃料費が安くなるとか、あるいは熱効率等も、ただいまの段階は始めたばかりでございますので、幾らでも改善ができる、あるいは建設費がさらに改善されまして安くなる要素を非常に多分に含んでいるといったようなところから、恐らく四円そこそこ、あるいは四円を切るというくらいの大体の目安がついてございます。これはわが国の計算のみならず、英国等で責任をもってスエーデンの大会等で説明している資料でございまして、私ども検討いたしましても、大体そのくらいの歩みにはなるんじゃないだろうかというふうな感じがするわけでございます。それに比較いたしまして、石炭、石油等の従来の発電の、将来の安くなる傾向については、必ずしもこれに比較して急激なコスト・ダウンというものは期待できないんじゃなかろうかという感じから、将来はでき得る限り原子力に頼るべきじゃなかろうかという一つの目安をつけたわけでございます。第二点は外貨の問題でありまして、外貨の問題にいたしましても、いろいろ計算いたしますと、これは御承知のようにほとんど輸送は要りません。ただいま日本で五千万トンの石炭を大体年間堀っておりますけれども、従いましてこれの輸送量というものは莫大なものでございます。これは阿部先生一番御承知だと思いますが、ところがこの五千万トンに相当するウランの二三五を、全部、百パーセント濃縮したものと仮定した場合には、それに相当するエネルギーは恐らく一メートル立方には達しません。それよりももっと小さいものでございます。従いまして、非常に輸送面にわずかの輸送でこと足りる。かりに先ほど申しました石炭を輸入する場合の船舶料と、原子力の燃料を運ぶ場合を比較したこともございますが、原子力の場合には飛行機で運べばそれでこと足りるというふうな非常にまあ輸送面に関しましては、何と申しますか、ただいまの想像のつかないような画期的なものになりますので、そういう点をいろいろ考慮いたしまして、勘案していきますと、外貨の支払い額も非常に少くて済むという計算も出て参りましたので、その両面を合せまして、原子力発電の諸計画というものを作って参ったのでありますが、と申しましても、なかなか原子力発電の技術というものは、御承知のように総合的であり、かつ非常に精密度を要する技術でございますので、ただいまの日本の段階ではすぐそれはどんどんやれるかと申しますと、必ずしもそうはいきません。ただいま輸入しようといたしますところのコールダーホールの改善炉にいたしましても、実際に発電されますのは、今日ただいま契約いたしましたと仮定しても、五年後くらいにやつとまあ発電するというふうな状況でございまして、それをさらに研究し、事後の発電炉を、さらに米国炉等も加味して輸入し、あるいは自国で建設して参るということになりますと、幾らこれが有望なものであっても、技術的に必ずしも早急に一切のものにかわるというわけには参りませんので、あるいは、原子力発電の特徴といたしまして、御承知のように、べース・ロードを作るのが主でありまして、ピークのものは必ずしもこれに耐えるわけには参りません。そういう特殊な事情もございまして、大体昭和五十年度には七百万キロくらいの発電をいたしたいという計画にしてございます。その場合の、それでは昭和五十年現在の全設備との関係はどうかということになりますが、大体、先ほど申しました経済企画庁でやりました経済計画というものを基準にして考えますと、全発電設備の一九・五%が原子力発電で占め、火力発電のみを比較した場合には、約四四・三%、半分近くが原子力発電にかわってくるであろうというふうな大体考え方をしてございます。ちなみに、ただいま一番この問題に真剣に現実の問題として取っ組んでおります英国の例を申し上げますと、英国では、大体十カ年で六百万キロの発電をしたいというので、現実に四百万キロぐらいのものをただいまほとんど建設してございます。ですから、日本の現在所有しておる全火力に相当する程度の原子力発電は、現実に建設に着手しておるという状況でございます。
#10
○阿部竹松君 その二億七千万トンに対応するだけのカロリーが五十伸度に必要だということは、一体何を基準にして割り出したんですか。ここ二、三年のことすらわからぬ人が昭和五十年に二億七千万トン必要である、そういうことが僕はわからぬと同時に、日本は世界で有名な地震国ですよ。地震というのは、御承知の通り、原子炉の炉の設計に一番難問題があるんでしょう。そうすると、土地すらきまっておらぬのに、今度五十年になったら七百万キロ起すと、こうおっしゃるんだけれども、それはあなたの単なる机上プランですか。
#11
○政府委員(佐々木義武君) 私、経済企画庁の計画部長時代の記憶しかありませんので、その後の第二回のエネルギーの算出の仕方、需要供給の出し方等に関しましては、必ずしもあるいは正確でないかとも思いますけれども、大体従来の方法は、二つのものを基準に考えておりまして、一つは、国民経済全体から見まして、いわば積み上げ作業と申しますか、各産業の伸びる率は、あるいは経済全体の成長率、あるいは輸出入の趨勢といったようなものをにらみまして、そして、そういう面から、家庭用、あるいは工業用等にどれほどのエネルギーを国として必要とするかというふうな算出の仕方が一つございます。それから第二点は、現実の業務に携っておる、日本で申しますと、九電力でありますが、九電力会社が主体になりまして、そして、各地方別にこの需要を算定いたしまして、そして、ある地方では特に、何と申しますか、家庭用が伸びる、ある地方では工業用が伸びるとかいったような点をいろいろ算定いたしまして、集計して出して参ります。実際それを見ますと、むしろ現実に事業に携った方の需要の算定方法の方がはるかに多うございまして、国で作ります計画はいつでも下回っておったのが従来の例でございましたが、そういう点をいろいろ調整、按分いたしまして、そして、将来の大体エネルギーの需要というものはこうと、ただ現実の面は、それはおかしいんじゃないか、石炭がこれほど余っているのに、この計画で、たしか石炭は七千万トンくらいになったんじゃなかろうかと記憶しておりますけれども、非常に現実にそぐわぬ点があるんじゃないかというあるいは御質問かと思いますけれども、この点は、ただいま申し上げましたような、何と申しますか、国の経済の成長率という長い間の、ロングランの見通しでございますので、必ずしも現実の経済案態というものと、あるいはそごする点もあろうかと思いますけれども、長い目で見ますと、大体こういう傾向であろうというような前提条件が出まして、そうしてその前提条件に基いて、私どもは原子力部門のみを担当しておりますから、原子力発電の面から見ますと、大体このくらいのところはまかなっていくべきじゃなかろうかというように考えておるのであります。
#12
○阿部竹松君 今石炭が余っておる話ではなくて、現在の置かれておる立場と、あと十五年先の昭和五十年を、何を基準にして、石油と石炭と、それから原子力、この三つを、これこれはどのくらいということを、何を基礎にして計算されたかということを僕はお尋ねしておるんですよ。あなたのお話を聞くと、確かに輸送力は石炭より安いんです。とにかくウランの二三五を持ってくると、石炭の三百三十万倍ですから、一トン持ってくると、石炭三百三十万トン持ってくることになる。日本の石炭七千万トン分のカロリーを持ってくるとしたら、二十四トン持ってくればいいんだから、そういうものを飛行機で持ってくる。ただ、あなたの提案説明を承わったり、あるいは御答弁を承わっておると、幼稚千万ですよ。
 それから今、土地の買収をお尋ねしたけれども、土地を買うだけでも、三年も五年もかかるでしょう。ここへ原子炉を据えつけて、百万キロなら百万キロ起しますよ。今、全然計画も何もなくて、昭和五十年になったら、ぽんと七百万キロ起りますよという机上フランならけっこうですよ。しかし、この種の保険をこれから設定しやるということになれば、これはそれがために、事の善悪は別として明確な基準を承わっておかなければならぬ。夢物語のような話じゃ、どうにもならぬですよ。
#13
○政府委員(佐々木義武君) 私、むしろ、それでは現在どういうふうに現実の問題として考えるかという御質問の方が至当かと思いますので、ここ四、五年に限って御説明申し上げたいと思います。
 ただいまのところでは、大体五年先になりまして、いわゆる実用発電炉というものは、ただいまのところ、一つだけ建造してございます。従いまして、五年後になりましても、全日本の発電力から見ますと、原子力発電というものはゼロにひとしいものでございます。それ以外はどうかと申しますと、むしろ将来のための基礎研究、あるいは、それが将来につながる応用研究への橋渡しというのが、国全体の原子力に対する根本的な考え方でありまして、将来をどうすべきかという夢物語では困るわけですけれども、ある程度、基礎を持った考え方がありゃなしやという御質問のようでございましたので、先ほど御質問にお答えしたのでございますが、石炭あるいは石油に対して、どういうふうなことでこういう率を考えたかという点は、もちろん、国内の石炭資源の賦存状況なり、あるいは国内の石油の賦存状況なり、あるいは将来の輸入を考慮した点、いろいろ総合いたしまして、実は、経済企画庁の方では原子力の問題は、確定という考え方でなくて、一応石炭あるいは石油を輸入するという計画を立てまして、その中に、要すれば、原子力発電もこのくらい伸ばせるのじゃなかろうかというような一応の見通しということになっております。従いまして、私どもも、国で現実に計画しております実験炉等に関しましては、国自体の資金で現実に計画が進んで参るわけですから、これは明らかに計画ということで、実験炉等は御承知のように原子力研究所を中心に建設しておりますけれども、エネルギーを中心にしました発電の問題の、しかも、長い間の考え方というものは、いわゆる責任を持った計画というよりは、一応の見通しというふうに御理解いただいた方がいいのじゃなかろうかというふうに考えております。
#14
○阿部竹松君 いや、ですからその三年や五年でできないということは僕も十分理解していますよ。しかし十五年計画であなたの方は七百万キロをとにかく発電なさるとおっしゃる、御計画ですね、そうでしょう。ですからそうすると、今から準備しておかなければ、これはならぬわけでしょう。それだったら、たとえば炉を一つ作るにしても、最前申し上げました通り、どこへ作るかということなんですよ。東京都のどまん中に作ってばっとやったら保険会社なんて何ぼあってもたまらぬと思う。地震でいったやつは補償しないという内容のようですが、しかしそういうのを全然無計画で、一体どこへ作るかということを具体的に一つお示し願いたいわけです。これから探し出すわけですか。
#15
○政府委員(佐々木義武君) 原子炉の建設に当りまして一番危惧されると申しますか、注意せにゃならぬ点は、御指摘のように安全をいかに確保するかという問題と、立地の問題をどう考慮するかという点が非常に重要な問題でございます。で、安全の面に関しましては、これは政府といたしましても、あらゆる知能を集中いたしまして、許可等に際しましては、少くとも日本の最高の水準で討議し、その上いろいろな改善を加えて許可するものであれば許可をするというふうにいたす所存でございますので、その点に関しましては私、少くとも原子力委員会のある限り、責任をもって問題を処理し得るのじゃないかという感じがいたしております。二番目の立地の問題に関しましては、これは御指摘のように非常にむずかしい問題でございまして、日本の国民感情と申しますか、こういう面からいたしまして、なかなか簡単に土地を得られるというふうには考えておりません。しかしこれも時がたつに従って、だんだん理解も深まり、あるいは場所等もまだ日本にはこの原子力発電の立地として非常に好ましいという地点が相当ございます。これは具体的にはもちろんまだこの個所、この個所というように示しておりませんけれども、ただいまのようなコールダー・ホールなどは御承知のように東海村を主として候補地に考えておりますが、その後のものはどうするかという点に関しまして、まだ具体的にはもちろん定めておりません。しかし一般抽象論としてもし許されるならば、これは主として一番必要なのは水の問題でございます。それから使った廃棄物等をどういうふうに処理するか、従ってまあできますれば、英国のようなのが非常に日本には手本としてはいい国でございますけれども、主として海岸地帯にずっと作ってございます。それからもちろん風の方向とか、あるい地震とか、そういったような問題は非常に大きい要素になって参りますけれども、こういう点も逐次資料を固めまして、そうして将来一体この目標、計画だけあっても、土地がないじゃないかという問題には十分答え得るように研究をいたしたいというふうに考えております。
#16
○阿部竹松君 十分に研究したいぐらいでは、これは局長だめですよ。それはとにかく火災保険でも同じ東京でも三十万のとにかく火災保険をかけた場合には、五千円でよろしいという場所と、千円でよろしいという場所と、一万円いただきたいというところといろいろあるわけですよ。この法律も現在のような、そちこちの大学校とか、私立大学、電気会社が試験程度で作る炉は問題にならぬけれども、将来、いよいよタービンが動き出して発電するというときは、ますますりっぱなものにしなければならぬわけでしょう。やはり土地が明確でなかったら、つまり家がどこにあってどういう危険があるかということがわからなかったら、火災保険の基準なんか作られぬでしょう。東京火災初め、二十社ぐらいがグループだとか、ブロックを作って、これを今やっているそうだが、あとで私もお尋ねいたしますが、どこにどう建てるかわからぬのに、保険金をかけるなんといってもとても話にならぬですよ。あなたのように水の要るところとか、海岸ぶちだといっても、日本国中全部どこでも海岸でしょう。そんな抽象的なことでなく、そのものずばりで一つお尋ねするわけですがね。
#17
○政府委員(佐々木義武君) 実験炉に関しましては、あるいは教育炉等小さいものに関しましては、ただいま御指摘のありましたように、割合手近に求められると思います。しかしこれにいたしましても、できますれば、一応のある程度の安全性を持った、人口の密集地帯は極力避けまして、あるいは水の、水源地帯とかいったようなものを避けまして、そうして許される範囲で安全な地帯を選びたいのは当然のことでございます。しかし阿部先生のおっしゃるように、問題はその問題じゃなくて、将来の発電という膨大な計画をやるのに対しては、どういう用意ありやいなやという点でございますが、ただいま具体的になっておりますのはコールダー・ホールの改善炉でございまして、これはまだ政府としても東海村を正式に許可したわけじゃございませんけれども、一応予定地といたしまして、地震の点、あるいは逆転層の機構の点、あるいは海流の流れ方の点、その他原子炉の設置に必要な、何と申しますか立地の諸条件に関しましては、ただいまの段階では十分検査、調査をいたしまして、今までのところではまずまず大丈夫じゃなかろうかという見通しを持っております。従いまして、この問題は、一般論で大きく見る場合と、実際にその現実に設置する場合に、その設置場所がそういう立地条件に具体的に細部にわたって満足すべき条件にありやいなやという検討と、二つにやはり分けて考える要があるのじゃなかろうか。そこで具体的に細部にわたって非常に精密なものでございます。ただいましるしを見ただけでも、非常に膨大な資料が出てきておりますけれども、各個所ともそういうものかと申しますと、もちろん現実に設置いたします際には、必ずそういう資料は必要であり、また事前の調査準備等も根本的にやる必要があるわけでございますが、そういうのは実際の設置が具体的になった場合のやはり措置でございまして、先ほど申しましたような、長い目でオーバーホールして、達観していって、一体どのくらいだろうかというふうな議論の際には、それほど精密な立地条件というものは生れ得ないのじゃなかろうかというふうにも感じております。
#18
○阿部竹松君 今局長の御答弁の中にありましたイギリス式にしたって、去年の八月か九月か僕ははっきり記憶しておりませんが、スイスのこの種の専門委員会で、必ずしも百パーセント安全でないという話が出ておるわけですよ。それからまあ将来のことはまず別として――将来は僕も心配なんだが、それは別として、現在の試験炉だけでも、あちこちの大学がやるといった場合、これは困りますといって住民が騒わいでおるところも御承知の通りあるわけですよ。ですからこの種の保険ができたから、これは全部補償してやるから、家がぶっこわれても、人がなくなてっもいいじゃないかというようなことじゃなしに、保険をかけても、なお、立地条件を選ばなければならないということになってくるでしょう。しかしその立地条件については何も話がないし、あなたのお説を承わっておると、単に原子力委員会で慎重審議してりっぱな結論を出していただけるだろうと、こういうことだけでは、やはりこの法案の審議にならぬというように考えるのですがね。
#19
○政府委員(佐々木義武君) 原子炉等の規制で許可をいたします際には、非常に厳重な許可の基準がございます。安全性の問題に関しましては、大体三つの範疇で問題を取り上げて考えるべきでありまして、一つは原子炉そのものが装置として安全なりやいなや、これは非常に大きい問題になって参ります。第二点は、従業員が安全であるような措置がとられているかどうかという点が第二点に考えるべき問題であります。第三点は、第三者、いわゆる周辺の住民等に対する安全をどのくらい確保しているか。これは立地の問題でございますけれども、この三つの面から検査をいたしまして、そして査定の仕方も、単にその三つのファクターを静止状態として考慮するのではなしに、運転する際の管理する管理者、そういう者が一体どれほど能力があるかという点に関しましては、別の法律で国家試験を受けた者のみ、それは扱える、取扱い主任者と申しておりますが、あるいはヘルス等に関する、健康管理の問題等に関しましては、放射線の障害防止法というのがございまして、これがやはり国家試験を受けました有資格者のみが取り扱えるというふうなことにいたしまして、静止状態の場合の考慮のみならず、実際運転する際の運転の能力といったような点も、これを考え、実際にまた許可をした建設をする際には、さらに綿密な実地検査をしまして、その上で許可を与えるというふうに、二重にも三重にも考慮を加えまして、実は許可をするなら許可をするというふうな状況にしておるわけでございます。従いまして、一番その中で問題になります、たとえば炉そのものが安全かどうかという点に関しましては、ただいま阿部先生から御指摘になりましたように、コールダー・ホールの炉に関しましては、初め地震の面に関して非常に危惧の念を持ったのでありますけれども、これは英国側の設計、これは随時打ち合せをして参ったわけでありますが、設計に関しましても十分満足すべきような設計になっております。
 それから実際の試験に関しましても、わざわざ三千万円の金を投じまして、建築試験所でございますか、ここで日本ではいまだかつてなかった振動試験の装置を作りまして、そうしてあらゆる角度から実地にそういう模型を乗せまして、それがどういうふうな影響を受けるかという点を検査しておりますが、今まで出しました理論的なデータと、実際に実験いたしましたデータとは、完全に一致しておるようでございます。二番目に問題になりましたいわゆる正の温度系数、これが先ほどお話のございましたジュネーブ会議で非常に問題になった点でございまして、これはいわゆる普通の原子炉と申しますか、濃縮ウラン系統の原子炉でありますと、温度が上昇して参りますと、核分裂の率が減少する、従って、そのものとして温度をあまり高めないような安全性を持っておるわけですが、英国の炉は、負の温度系数になる、温度が上りますと連鎖反応が低まらずに高まるというふうな現象も起る可能性があるという点で、非常に議論が沸騰いたしまして、いろいろ詰めました結果、原因は、平時運転の際には毛頭そういうことはございませんが、何かの機会、たとえば燃料の取りかえといったような場合に、そういうことが起きた場合に、どうするかという点で、いろいろ研究しました結果、ただいまでは、もしそういうことが起きましても、大体温度が正にダブって起きていくというふうなときにかかるのには、時間的にみまして大体数分、四、五分というふうな状況のようでございます。それを制御するのにいろいろな安全を見まして、何段階にも制御の方法を考えているわけでございますけれども、大体数秒で完全に制御できるというふうになっておりますので、その点もこの際において完全に管理として、これは征服できるという見通しをもって進めております。従いまして、炉自体の安全性の問題に関しまして、まだいろいろありますけれども、非常に入念に検討いたしまして、この点はただいまの段階ではまずまず御心配ないのじゃなかろうか。
 第二の従業者に対する安全の問題でありますけれども、これに関しましては、御承知のようにあらゆる設備あるいは健康診断等加えまして、決して従業員には、いわゆる放射線に基く災害というものは起り得ないような措置を講じ、一方起きた場合にはどうするかというふうな手段も保安規程等で十分考えてございます。
 立地の問題に関しましては、これは一番重要な問題かと思いますけれども、先ほど御説明いたしましたような風の問題、人口密度の問題、あるいは海流等の問題、あるいは地震の問題等考慮いたしてやっておりますので、この点に関しましても、ただいまの段階では非常にこれがまずいというようなものはないような状況でございます。
#20
○阿部竹松君 スイスのシュネーヴでやった専門委員会の結論、この前の、去年の委員会で、あなたから、あとでお帰りになったら一つお聞かせ願いたいということで、あなたに頼んでおきましたが、その後あなたとお会いする機会がなくてお聞きしないのですが、必ずしも私の聞いた範囲では、あなたを通して聞けば、同じ結論になったのでしょうけれども、残念ながらあなたのおっしゃる通りにならない。確かにそういう血もあったけれども、やはり危険というものが明確に論議されているわけです。あなたのお話を承わっていると、百パーセントとはいわぬけれども、百パーセント大丈夫であるというような結論になっているわけです。しかしそれをどこで、審議するかというと、安全審査部会というところでやるわけでしょう。この審査部会、一から十までこうだといわないけれども、この審査部会で、この前東海大学の問題が起きたときに一つの結論出しましたね、ああいうことできわめて安全審査会もさっぱり真剣にものを論議してくれないのじゃないかというような気がするわけです。ですから簡単な爆発とか炉が割れたぐらいなら問題にならぬけれども一ぺんどんといっても、元も子もなくなるというような状態も想定されるわけです。従って、そういうようなこともやはり想定しなければならぬ、それに対するとにかく補償をどうするかという保険会社の、これは保険会社という名称ではないけれども、作るというのですから、大体どの辺にやって、くどいようですが、大体どちらあたりにやるのですかということを明確にお聞きしておきたいわけです。そこらあたりがないと、この法律を作ったって、法律があるからといって、東京のどまん中にやるとは思いませんよ。あるいは大体千葉県の方にやるとか、あるいは七百万キロ起すという計画がおありになるのですから、そこのあたりを、もう少し詳しく御答弁願いたいと思います。
#21
○政府委員(佐々木義武君) ただいま御審議いただいております一部改正法では、先ほども御説明申し上げましたように、現存の保険法に基きまして、その保険法の範囲内で一応自主的な保険プール、損保協会が中心になって結成しているわけでございますから、それほど画期的なものは現われません。しかし、これを金額的に申しますと、大体資本金及び積立金等の数パーセントを保険金にあげたいということで計算して参りますと、日本の国内のをもってしては財産保険と第三者の損害保険と合せまして十五億程度かと思います。そこでこれを海外に再保険に出す予定にしてございまして、ただいま話を進めているわけでございますが、大体数倍は海外で引き受けるであろうという話し合いにだんだん固まって参っておりますので、おそらく五十億から六十億程度の保険はかけ得るのじゃないかというふうに考えております。そこでもし将来、今のこの改正法に基く程度と申しますか、小さい実験炉のごときはこの法律でよろしいが、動力炉等の大きいのがきたのでは、とてもそういうことでは困るじゃないかという御質問かと思いますけれども、それに対しましては、先ほども御説明申し上げましたように、やはり第三者の保護の問題と、それから設置者、あるいは保険業界の保護という二つの面がございまして、あまり膨大な負担を設置者等にかけますと、設置者自体の保護にもならない、といってこれをあまり安くすると、第三者の保護の目的にはならないという関係から、おのずから範囲がきまってくるわけでございますけれども、それ以上超過したものに関しましては、ただいまの段階では国自体は一応責任を感じまして、そしてその具体的な処置の仕方等は、いろいろ各国の事例等を考えまして、ただいま研究中でございますので、これはこの次の国会等であらためて特別法を作って皆様の御審議をいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#22
○阿部竹松君 その次ですが、去年の六月と十月ですか、九月だったですかね、イギリスそれからアメリカと、その核燃料のあれについて条約を結びましたね。そして結局その濃縮ウランなり天然ウランが入ってくるわけです。あのときに臨時国会がああいう状態になったので、まあ参議院にかからぬで、衆議院でやって、三十日たって自然成立してしまって、これをお尋ねする機会がなかったのですが、あの英国と米国と条約を結んで、いよいよあれが日本に入ってくる、向うさんで責任負いません、こういうことになっておったやに僕は承わったのです。しかしああいうものを持ち込んできて、結局日本が何にも関知せぬということで、アメリカさんイギリスさんからきたのが、ここで一方的に問題を起した場合、これはだれの責任になるのですか。
#23
○政府委員(佐々木義武君) 英米とも大体同じような考え方に立っておりますので、便宜上、英国の今問題になりました免責条項を御説明申し上げますが、これは英国の政府あるいは公社から燃料を日本が受けます際に、その燃料の生産加工に起因したものであっても、その引き渡した後であれば、英国政府としてはあるいは公社としては責任を負わないという建前にしてございます。これがいわゆる免責条項でございます。その中にただし書きをつけまして、ただしその免責は、もし民間と申しますか、政府で許可した事業で使った場合にはどうなるかといいますと、かりに第三者に損害が起きて、それが明瞭に英国の製造に起因しておったということが明確になって、日本の第三者が英国の公社等を相手どって英国の裁判に訴えた場合には、もし英国が敗訴した場合には、その金額はもちろん英国の公社なりが日本の第三者に払うわけでございますけれども、何と申しますか、請求権に対しましては、まず第一次的には日本の設置者がそれを弁償し、そして足らざるものは日本政府がそれを持つというふうな規定になっておるわけでございます。
#24
○阿部竹松君 そのあたりですね、僕はよく理解できないのですが、アメリカからあるいはイギリスから持ってきて、問題を起したというときは、当然これは責任を負ってもらわなければならぬわけですよ。免責条項などというものは何で生れたか、そのあたりが不思議なんです。免責条項ね、イギリスの裁判所へ行って勝った場合どうするというより、初めから当然それだけ膨大な、あるいはとにかく効率はあるけれども、危険なものを持ち込んできてやったときに、とにかく責任負いませんぞという免責条項、何のために生れたか、結局そのあたりちょっと不思議でたまらぬのですね。
#25
○政府委員(佐々木義武君) これは非常にむずかしい問題でございますけれども、おそらくこの事故が発生した、大事故が発生したという場合に、その事故の原因が管理者の管理の面から起きたのか、あるいはこの原子炉そのものの材料等から起きたのか、あるいはただいま問題になっている、これは燃料だけに関する問題でございますが、燃料が主として原因になって起きたのか、そういう判定は非常に実はむずかしいのであります。そこでこういう事例というものは、法律上の念のためという規定であって、現実の問題としてはおそらく起り得ない状況かと思いますが、この点に関しましては、わが方でもその中に、必ず明き取るというときには検査を厳重にして、普通のクレームと申しますか、商行為のように、このくらい念を押して引き取れば、当然相手方は免責してしかるべきだという状況まで詰めまして、その上で引き取るということに実はしておるわけでございます。従いましてこういう事例はおよそ起り得ないものかと思っておりますけれども、しかし現実においては、何も英国、米国のみならず、国連におきましても、同じやはり各国とも……今度カナダの今交渉しておる協定でも、事原子力に関しましては、この免責規定というものを設けまして、そしていわゆる国際通念として、何と申しますか、共通した条文のようになっておりますので、あるいは日本のようなところではやむを得ないのではなかろうかというような感じはしておるわけでございます。
#26
○阿部竹松君 その日本のようなところがやむを得ないということは、日本がアメリカさんに戦争に負けたということですか、端的に言うと。それからイギリスの方は燃料公社とやるわけですね、アメリカの方は行政委員会とやるわけでしょう。あなたのおっしゃった事故が起きたとき、第三者がイギリスの裁判所でやりなさいとおっしゃるのですが、そういうことは第三者、被害者がやるわけですか、日本政府がやるわけなんですか。
#27
○政府委員(佐々木義武君) もちろんこういう規定があります以上、もしそういう事故が起きた場合には、おそらくまず第一次的には日本の設置者、たとえば原子力発電会社が設置者でありますれば、発電会社に対して第三者は求償すると思います。それが満たない場合にどうなるかと申しますと、先ほど来御説明申し上げましたように、特別な補償法のようなものを考えまして、そしてこれに対して払う、その具体的な立案はただいまやっておる最中でございますが、それでもどうにもと申しますか、少くとも日本政府は頼むに足らない、日本府政では困るというので、英国にまで問題を持ち込むという事例は万々実は考えられないのでありますけれども、こういう条約でございますので、先ほども申しました国際通念に従って、一応英国側といたしましては、こういうような条文を設けまして、そして万が一に備えているのだろうというふうに考えます。
#28
○阿部竹松君 しかし佐々木局長、地震が起きた場合に、これは責任を負わないのでしょう。そうすると、この原子炉にとって、立地条件を最もやはり大切に考えなければならないが、やはり日本は地震国だと、最前申し上げたような内容を含んでおると思うのです。それでやられると、品物によっては耐え得るものが耐え得ないで、起きた場合は、一体第三者の泣き寝入りということになるわけですか。
#29
○政府委員(佐々木義武君) 実は地震の問題はちょっと阿部先生誤解があるようでございますので、御説明申し上げたいのですが、ただいま出しております一部規制法に基いて、従来の保険法に基きました保険約款の中では、原案には御承知のように地震は抜いてあります。しかし決してそれで最終的にきまったわけではございませんで、ただいまの段階では、もし地震を免責の中からはずして、それも保険の範囲内に入れるという場合には、保険料率が相当高くなるであろう、あるいは再保険の際に非常に条件が不利になるのではないかといったような考慮があるわけでありまして、この点も何と申しますか、設置者の方でそれでもかまわないということでありますれば、特別約款で十分つけ得るわけでございますが、私どもの方の考え方といたしましては、ただいまの段階では、一応地震の免責をする範囲というものを、一々全部微震、中震及び強震までひっくるめてというのではなくして、もう少しそこら辺が考える余地があるのではなかろうかというので、保険会社の方とも交渉しているところでございます。ただ非常に誤解のありますのは、これはあくまでも小さい炉の一時的な過度的なことでございまして、この次に出します予定であります原子力保険法と申しますか、補償法と申しますか、そういうものの中には、こういう帆走は明確に取り上げまして、発電炉等、御指摘のような大きい炉を建設するまでには、そういう危惧のないように処置いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#30
○阿部竹松君 そこでお尋ねしたいのは、最前、あなたは原子炉で発電すると、キロ当り五円とか、五円七十銭くらいになるというお話でした。まあこれは物価が騰貴して、昭和四十五年になるか、あるいは四十八年のお話でしょうから。しかし、私は現在承知しておるのは、大体二円八十二、三銭で、そうしてアメリカでは大体電気がキロ当り一円四十銭くらいだから、アメリカで盛んに研究をやっても、実験するところがない。従って日本に猛烈に売り込み運動をやったわけです。イギリスもしかり。そうしたら免責条項を作るような条約を何であわてて二つも一ぺんにやらなければならなかったか、こういうことですよ。従って、私はこれをどうも政治色がふんぷんとしておるような気がするわけです。あなたのお話と、私の承知しておるのとは、価格の点等においても相当違う。僕の承知しておるのは、大体去年から今年にかけて二円八十三銭から三円くらいです。それがだんだん安くならなければならないはずなのが、あなたのお話ですと、とにかく五円だから七割くらい高くなる、どうも不思議でたまらない。
#31
○政府委員(佐々木義武君) コストの比較でございますが、これもたとえば従来の火力と申しましても、石炭のカロリーを千カロリーを一円にするか、あるいは一円十銭にするか、二十銭にするかということで、非常に幅が出て参ります。これは御承知の通りだと思いますが、そこで先ほど申しましたように、ただいま入れようとしておる発電炉の計算は、私どもは初めての計算では、四円七十五銭から四円八十銭くらいかと思っておったのですが、もうちょっと、あるいは少し上回るかとも思います。五円以下になることは御承知のようでございますが、そこで従来の新鋭火力と申されるものとはどういう関係になっておるかと申しますと、千カロリー、一円二十銭で計算した場合には、石炭の専焼のは大体四円三十五銭、重油専焼のは四円、あるいはこのごろもう少し下っておると思いますが、おととしの暮れに作りました資料では、大体そのくらいの基準になっておるのであります。そこで将来それでは原子力の方はどれほど下るかと申しますと、四円七十五銭あるいは九十銭のものが、私どもの計算では、二円九十九銭まあ三円前後というくらいまで下り得るんじゃなかろうかという見通しでございますので、もしさらに濃縮ウラン、これは天然ウランの様式の計算でございますので、濃縮ウラン系統でさらに優秀なものがどんどんできて参ります際には、あるいはもっと画期的な事実が出てくるかも実はわかりません。そういう点を考慮いたしますと、どうしても先ほど申しましたように、日本のエネルギーの需給の将来の状況等を考慮して、この際、早く発電の原子炉、原子力の発電の技術というものを身につけ、できますれば将来に備えて国産等も急ぎたいという関係から、現実の何と申しますか、電力需給状況からいたしますと、必ずしも今すぐ原子力発電につぎ込まなければならぬという緊迫性は、あるいは現段階といたしましては、理論立てることはむずかしいという面もあろうかと思いますけれども、長き将来を考えて、そうしてこの技術を身につけるのはなかなか時間もかかる。特に人の養成という問題が大へんなものであります。ただいま日本で原子力に従事しておる技術者は約六千名ございますが、これがもう四年くらいたちますと、さらに六千名くらいほしいというアンケートの結果になっておりますけれども、それではその六千名というものを養えるかと申しますと、これをもし大学の卒業生等で急にまかなうといたしましても、非常に他の業界に負担がかかっていくという状況でございまして、人の養成だけ、でも大へん時間がかかる。そういたしますと、どうしても今からある一定の、先ほど申しました目標をもって早く人材の養成なり、技術の育成というものをすべきじゃなかろうかという考慮から、実は条約もできるだけすみやかに結んで、情報の交換もでき、同時にまた技術の通報なり、実際の労働もできるというふうに処置したわけであります。
#32
○委員長(田畑金光君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#33
○委員長(田畑金光君) 速記を始めて。
#34
○阿部竹松君 そういう技術者のことについてのお尋ねでなくて、私はアメリカとイギリスと一ぺんに調印したのがどうもおかしいと言っているのですよ。局長のおっしゃるように、技術者が現在六千人で、もう六千人ふやしていかなければならぬというような、なお技術者が足りなければ順次にやればよかったものを、アメリカとイギリスと一ぺんにイエスマンで免責条項の入った条約をなぜ結ばなければならなかったかと、こういうことですね。これは大臣にお伺いするのがほんとうだと思いますが、それはもう局長の権限外でしょうからね。
#35
○政府委員(佐々木義武君) あれは別に意識的に政府といたしましては同時に調印したというのじゃなくて、必要性から申し上げますと、ちょうどアメリカの研究協定ではまかない切れない問題が実は起きておりまして、それは何かと申しますと、発電用の試験炉を、濃縮ウラン系統の試験炉を米国から輸入いたしたいということで、これはまあ英国のものとは全然系統の別なものでございますが、これを輸入いたしますためには、どうしてもいわゆる動力協定と申しますか、一般協定を結ばないと燃料の補給等は仰げない。一方、英国の方も何回も御承知のように調査団を出しまして、そして大体先ほど申しました理由で、この際、政府としてはこの条約を結んで、その上でさらに詳細なデータ等ももらって、そこで検討の上、これでよろしいというものであれば、輸入すべきじゃなかろうかという関係から、たまたま期間は同時になったわけですけれども、交渉の時期等は必ずしも一緒でなくて、むしろアメリカの方は非常に早く交渉したのでありますけれども、時間的には延びたというふうな関係になっておるわけでございます。
#36
○阿部竹松君 そこで、最前、コストの問題をお尋ねしたわけですが、あなたのコストの説と私の記憶しておるのとは違うわけです。あなたの説は、カロリーをとにかく一円二十銭などとおっしゃるのですから、まあしかし、これは初耳なんで、どこの資料であなた計画立てられたかわからないのですけれども、東京電力のように、四千五百カロリーくらいの石炭は、これは五千五百だとか六千カロリーとかで受け入れればそういうことになるでしょう。しかし、そうでなければ、そういうのは初耳ですよ。どこの資料でそういう計画をお立てになったか、それはずさんきわまることもはなはだしいと思う。
#37
○政府委員(佐々木義武君) これは先ほど申しましたように、千カロリー一円の場合、あるいは一円十銭の場合、あるいは一円二十銭の場合には、どうなるかというふうな想定で出したものでありまして、必ずしも現実の値段がそういうふうだというふうに言ったわけではございません。現状は先ほど申しましたように、おととしの資料でございますので、あるいは石炭の方はもう少し安くなっているかと思いますが、その点は詳細に存じ上げません。
#38
○阿部竹松君 千カロリーというのは何をおっしゃるのかわからぬけれども、カロリー当りのコストのことだと思うのですけれども、アメリカから高い石炭を買っても……。
#39
○政府委員(佐々木義武君) 千キロカロリーです。
#40
○阿部竹松君 ですから、大体十三ドルから十四ドルですよ。中共炭を買うと七ドルくらいでくるのですよ。日本の石炭のコストは高いと言われているけれども、そんなことにはならぬわけです。特に電力会社の使っている石炭は安いのだから、そういうのを基準にして、これは火力発電がいいとか、水力がいいとか、原子力で起す方がいいというようなことをやったって、僕はつまらないと思うのですね。もう少し正確な、いい悪いは別問題ですよ、わが社会党という立場から、とにかくこんなことは兵器に使ってもらっては困るから、反対だが、しかし平和産業に使うのは当然であるということなんですから、しかし、内容がまことにでたらめで、どなたがお作りになったかわからぬけれども、少し正確な数字に基いて、これがいい、これが悪いという御答弁を願わんと、そういうことでは、実に何を根拠にしてお尋ねしていいかわからぬということになるのですがね。
#41
○政府委員(佐々木義武君) これはおととしの資料でございますので、あるいは現実の面から見ますと、石炭の値段、重油の値段等は若干動いているかと思います。しかしながら反面から見ますと、原子力の燃料の値段もまた相当変ってきておりますので、この資料では古いということでは、あるいは計算し直す要もあろうかと思いますが、一応の当時の資料を出力なり、消費率なり、あるいは総生産なり、あるいは原単位といったものからいろいろ勘案して参りますと、大体このくらい、同じ基準にして計算すると、いわゆる比較表と申しますか、というふうなものというふうに御理解をいただきたいと思います。
#42
○阿部竹松君 その点はよろしゅうございますが、しかし、それは全然僕は違っておると思いますよ。しかしそれがこの法案に重大な影響を持つとも思わぬので、まあよろしいわけですが、しかしこの原子炉を設置するには、内閣総理大臣の許可を必要とするわけですね。そうですが。
#43
○政府委員(佐々木義武君) そうです。
#44
○阿部竹松君 そうしますと、今度第三者が事故を受けた場合に、とにかく損害を今度できる法律によって支払ってもらう、こういうことになるのですが、七百九条の民法ですね、一般不法行為の要件と、それからこれらと民法との関係はどうなるのですか。
#45
○政府委員(佐々木義武君) これは先ほど来申し上げましたように、この規制法の一部改正と平行して結成いたします保険プールは、現在の保険法を基準にして作るものでありますので、それに関連する商法あるいは民法等は現在の民法の通りを基礎といたしてございます。従いまして民法の七百九条でございますか、故意または過失に基くもののみ損害賠償の対象になるわけでございまして、無過失等の問題は、先ほど申しましたように、新しく原子炉保険法なり、補償法というものを作る際に、あらためて考慮いたしたいと、ただいま研究中でございます。
#46
○委員長(田畑金光君) 本案に対する本日の質疑はこの程度で終ります。
  ―――――――――――――
#47
○委員長(田畑金光君) 次に、輸出品デザイン法案を議題といたします。これより本案の概要説明を求めます。
#48
○政府委員(松尾泰一郎君) お手元に「なぜ輸出品デザイン法は必要か」という書き物をお配りいたしておりまするので、それをごらんになりながらお聞き取りを願います。
 まず第一は、「日本の輸出商品について海外デザイン盗用の悪評はもう捨てておけない。」、これはもう申し上げるまでもないことでありますが、日本の輸出品について、海外からデザイン盗用のクレームがあとを断ちませんで、特に最近のように海外市場の競争が激しさを加えてくればくるほど、クレームもきびしくなって参っておるのであります。このまま放置しておきますと、全般的に日本の輸出貿易に大きな悪影響を与えてくるのであります。
 二に、「海外デザインの盗用よりも、国内相互のデザイン盗用による輸出の混乱が、特に中小企業製品の場合輸出の重大問題になっている。」、ある業者がせっかく努力してよしデザインの玩具を作って輸出しても、すぐに別の業者がこれをまねて輸出する。しかもさらに安い値段でやる。これでは最初にデザインを創作する意欲のわくはずはない。そればかりではなく、仕向け国の商売人にも損害を与えるし、安心して貿易がお互いにできなくなってしまう。またバイヤーがこれを利用して買いたたき、逆に日本の中小企業者にはねかえって、相互にせり合いをさせられつつ、ぎりぎりの商売を薄い利益の中で営んでいるのである。安定した、長い息の商売はこれでは無理で、このような悪循環が雑貨輸出の実態である。こういうような状況であります。
 三に、「意匠法などの工業所有権法は、決してこの事態を十分に解決する実際的方法ではない。」、輸出品デザインの盗用を防ぐために、意匠法による意匠登録を一応しておけばよいではないかという議論もありますが、実際問題として、いざだれかに侵害されたときには、裁判手続に訴えて損害賠償の請求によらねばならず、勝訴しても金が、実際に取れるかどうかの事実問題もあり、その間に、商機は失してしまって、デザインの勝負がきまってしまって、何にもならぬことになる。いずれにせよ、侵害されてからの、事後処理である点が問題であります。
 四に、「輸出入取引法による意匠協定は解決の最も有効な方法である。」、輸出入取引法は、業者の協定を認めているから、業者が自主的に申し合せて、デザインを保全する有効な方法を協定して実施する方法がある。現に、繊維、陶磁器、雑貨のごく一部分については、それぞれこの意匠協定が行われて、有効な自衛措置を講じているのであります。
 以下省略します。
 五に、「意匠協定は最善の方法でありますが、業者の申し合せが成立しなければならぬ点に問題があります。意匠協定は、あくまでも申し合せであるから、業者の大半が、その気にならなければならないわけで、強制できるものではないのであります。ところで実際問題として、このような協定はなかなか成立し難いもので、よほど業者の自覚と気持が合わなければ望めない。というのは、輸出につきめんどうくさい手続が一つふえることであるし、また業界の中にはデザインを盗まれる立場の者もいるが、盗む立場の者もいるからであります。
  六に、本法は、次善の方法として、匠意協定が有効に行われない輸出品について、政府で措置しようとするものであります。本法の骨子は、政府で特定の商品を指定すると、その商品については、前に述べた繊維、陶磁器の民間のやり方と同じような方法で、ある機関――認定機関を呼んでおりますが、この認定機関に輸出する前にデザインの認定を受けなければならぬようにしようとするものであります。もともと、この種の問題は前に述べましたように、民間の自覚による意匠協定で処理されることが最善であるから、本法の適用はあくまでも次善の方法と考えており、主として協定の困難な輸出雑貨に適用されることとなろうと思っております。考え方として、どんどん適用商品を増加することは望ましくなく、むしろ意匠協定への牽制球にするような運営が本法の精神であろうと存じております。
 七に、本法による認定機関は民間の公益法人であります。認定機関は民間の公益法人で申請によって国が指定をいたします、従って意思と能力のある公益業人を認定機関として指定することになるわけであります。二、三行飛ばしていただきまして、ただ建前論として、商品は指定したが、適当な認定機関がないときはどうするかということも考えられますので、その場合はやむを得ず国がやることになっているだけであります。
 八、輸出品デザイン法案の大体の内容はどんなものか、という点であります。
 (一)輸出貿易上デザインの模倣が大きな問題になっている商品で、しかも業界の申し合せではどうにもならないものを国が指定いたします。これは特定貨物と呼んでおるわけであります。指定する場合は、民間有識者の審議を経ることにしております。
 (ニ)特定貨物は輸出する前に、認定機関で認定を受けなければなりません。
 (三)認定の便宜のために、あらかじめ認定機関に登録できることになっておるわけであります。登録をしないで、いきなり認定してもらうこともできますが、登録しておけば認定が早いし確実であるわけであります。また登録しておけば、他人が輸出認定されないから安心ができるというわけであります。
 九、本法による登録は決して権利ではございません。本法は一種の輸出秩序の維持を目的としておりまして、登録といっても認定のための記録に過ぎないもので、権利の設定を意味するものではありません。その点は意匠法等の財産権と根本的に違う点でございます。
 それから十としまして、本法によるデザインの登録、認定は、意匠法による意匠権などの権利をごうも侵害するものでございません。
 以下のところは省略さしていただきます。
 非常に簡単でございますが、大体以上の内容でございます。
#49
○委員長(田畑金光君) これより本案の質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#50
○島清君 ただいまの局長の御説明並びに先般の提案理由等を拝見をして、その他のいろいろの資料をちょうだいいたして、本法の制定の趣旨については、日本の商品の国際信用を高めていこうというきわめて重要な意味がありますので、その限りにおいては反対をする理由はないと思います。しかしながら、法案それ自体に対しましては、若干の疑義を質しておかなければなりませんので、そういうような見地から若干の質問をさせていただきたいと思うわけなんですが、まず第一に、デザインの盗用防止のためには、今御説明になりました輸出品デザイン法がなぜ必要か、こういう今お読みになりましたものの中にもふれられているようですし、さらに提案理由の中にもお示しになっているのですが、意匠法であるとか、輸出入取引法であるとか、不正競争防止法であるとかいうようなものでは、不十分であるから、本法の制定が必要である、こういうことのようですが、私たちがこういったような疑義をただすという立場から、この輸出入取引法の第五条によります意匠協定ができることになついてる。この法の精神とさらに輸出組合でも同様なことが言い得るし、そうしてそれはひいては員外者がこれを妨害すればさらには同法によって員外者を規制する命令を出せることになっているというような法の精神からいたし、さらにまた不正競争防止法の精神からいたしまして、不正競争行為の差しどめができることになっているのでありまするから、これらは、デザイン盗用防止が、こういったような法の活用によって、何かそれができるように、私たちは解釈できるような気がするのですが、そういうものをせっかく活用しようとなさらないで、ことさらに非常な積極的な法制定の、万人をして納得せしむるような理由がないような気がするのですが、そのことについて一つの積極的に万人をして、この法の制定の理由を納得せしめるという立場に立っての御説明が願えるならば拝聴したい、こう思うわけです。
#51
○政府委員(松尾泰一郎君) ただいまのお尋ねの点につきましてお答を申し上げますが、先ほども概要説明で申し上げましたように、輸出入取引法の中に民間が自主的に意匠協定をやりまして、おおむね本法と同じような目的を達成できるように実はなっておるのであります。ところが輸出入取引法によりますと、申すまでもないのでありますが、前提といたしまして、業界の間ないし組合の中で自主的な意匠協定ができるということが先決問題なわけであります。そういう協定ができない場合は、アウトサイダーの規制の命令も出せないわけであります。
 そこで若干くどくなりまするが御説明を申し上げますと、デザインというものに対しまして、メーカーと輸出業者との関心というものがかなり差があるのでありまして、元来メーカーは自分の製作品でありますので、デザインに対して非常に関心が強いわけです。エクスポーターはどちらかというと商売をすればいいのでありまして、関心が弱いというのがまず第一点であります。
 それから第二点としまして、業種業種で見ますと、専門商社が比較的に多い業種と、しからざる業種とがあるのであります。先ほどの概要説明の中でもちょっとふれましたが、陶磁器あるいは繊維の一部について意匠協定ができておりまするが、それらはいずれも専門商社が比較的多く、従ってデザインの保護に対する関心が非常に強いということで、その民間の自主的協定ができ上り、今円滑に運用されているのでありまするが、そうでない商品、率直に申し上げるならば、何でも屋が扱っているというような商品、貿易商社が少しずつ雑貨を何でも扱っているというようなものにつきましては、どうもそのデザインに対する関心が簿いのか、協定ができにくいので、そういうものにつきましては、幾らこの輸出入取引法の現行法で指導をいたしましても、業界の気合が合わないというので、どうしても新しい立法としての本法のごときものの制定が必要でないかと思うのであります。
 次には、この輸出入取引法の中におきまして、不公正な輸出取引に対しましては、戒告あるいは輸出停止の行政処分を規定されておるのであります。従ってこれで目的は達成できないということになるのでありますが、これもいずれも事後処理になりまして、事前の処理ではない。その点において、われわれは、現行の輸出入取引法では、民間の自主的な協定のできない場合、あるいはできても、アウトサイダーが非常に多いというふうな場合には、十分な効果が上らない。あるいはまたこの輸出入取引法の、公正な輸出取引というものに対するいろいろ行政上の措置だけでは、これも事後処置になってしまった、手おくれになるというわけであります。
 それから第二には、意匠等の、工業所有権関係の法令でありますが、御存じのように、工業所有権関係の法令は、いずれも私法的な権利保護を目的とするものでありまして、当事者間の裁判によって保全を実現すべきものでありまして、輸出秩序の維持というような、公法的な規制を行うための法律としては不適当ではないかと思うのであります。
 なお、輸出入取引法でも申しましたように、工業所有権関係の法令、いずれも一たん権利を侵害されてしまってからの事後処理ということになる点につきましては、不十分であろうかと思うのでありまして、本法の目的とするところは、半前にそういうデザインの盗用なり、模倣をチェックしたい。それでまた、それもまた非常に簡易な方法によってチェックしようということでありまして、われわれといたしましては、現行法では、このデザインの盗用防止の問題を処置するには不十分であるというふうに考えているわけあります。
#52
○委員長(田畑金光君) 本日の委員会はこれをもって散会いたします。
   午後五時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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