くにさくロゴ
1958/12/17 第31回国会 参議院 参議院会議録情報 第031回国会 社会労働委員会 第2号
姉妹サイト
 
1958/12/17 第31回国会 参議院

参議院会議録情報 第031回国会 社会労働委員会 第2号

#1
第031回国会 社会労働委員会 第2号
昭和三十三年十二月十七日(水曜日)
   午後一時五十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     久保  等君
   理事
           勝俣  稔君
           柴田  栄君
           木下 友敬君
           中山 福藏君
   委員
           石原幹市郎君
           紅露 みつ君
           斎藤  昇君
           高野 一夫君
           谷口弥三郎君
           西田 信一君
           小柳  勇君
           山下 義信君
           田村 文吉君
           竹中 恒夫君
  政府委員
   厚生政務次官  池田 清志君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   厚生省保険局次
   長       牛丸 義留君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民健康保険法案(内閣送付、予備
 審査)
○国民健康保険法施行法案(内閣送
 付、予備審査)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(久保等君) ただいまより社会労働委員会を開きます。
 国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案を一括議題といたします。
 これより両案の質疑に入るのでありますが、審査の都合上、両案の細部について、厚生当局から説明を聴取することにいたします。御説明を願います。
#3
○説明員(牛丸義留君) 前国会、第三十回国会に政府が提案いたしました原案と、それから今国会、ただいま御審議願っております法律案との間には多少の修正がございましたので、その修正をお手元に差し上げました大きな資料に基きまして、便宜、前国会の衆議院の修正と、それから政府原案と、このたびの提出しました政府の案という、三つのものに、三段として比較対照表を書いたものがございますので、その表にふりまして御説明申し上げたいと思います。
 これは法案の第一章、第二章関係は大きな変化はございませんが、第二章の第十一条――この表の一番最初の一枚目の第十一条でございますが、これは前国会の第十一条の政府原案によりましては、国民健康保険運営協議会の規定がございますが、これは、「国民健康保険運営協機会を置くことができる。」というように、任意設置の規定になっておりましたのを、衆議院の修正によりまして、そのまん中の欄にありますように、第十一条「国民健康保険事業の運営に関する重要事項を審議するため、市町村に国民健康保険運営協議会を置く。」というように、必置の規定に修正がございまして、このたびの政府提出案につきましても、その修正のままを帆走しているわけでございます。必置機関になりましたために、二項が新しく加わりまして、「前項に規定するもののほか、国民健康保険運営協議会に関して必要な事項は、政令で定める。」必置機関でございますから、そこでその定め方を政令にゆだねたわけでございます。
 それから法案の第三卓の国民健康保険組合につきましては変りはないわけでございまして、第四章の保険給付、それの第三十六条以下医療機関の問題、これがまあ一番大きな変更の点でございますので、多少詳細にわたって御説明を申し上げたいと思います。
 その第三十六条は、療養の給付でございますが、これは前国会の政府提案、並びに衆議院修正の案、それと今度の政府提案の間に変りはございません。節一項は変りはないわけでございまして、一枚めくっていただきまして、第二項、これも変化はないわけでございます。第三項が、前回の原案と、衆議院修正と、このたびの案との間には多少ずつ変化がございますので、第三項以下についてまず申し上げたいと思います。
 この前の政府原案によりますと、一番上欄の規定でございますが、「被保険者が第一項第一号から第四号までに定める給付を受けようとするときは、都道府県知事が指定する病院若しくは診療所又は薬局(以下「指定医療機関」という。)のうち自己の選定するものに被保険者証を提出して、そのものから受けるものとする。ただし、厚生省令で定める場合に該当するときは、被保険者証を提出することを要しない。」という規定になっておりました。この考え方は、指定医療機関一本で第三十回臨時国会に対しては政府原案として出しておったわけでございますが、それが衆議院修正によりまして、中段のような考え方に変ってきたわけでございまして、その考え方は、三十六条の一項に定める療養の給付を受ける者は「指定医療機関」、その「指定医療機関」という名前を、名称を、中段におきまして「療養担当者」というふうに変えられたのが、その衆議院修正なんでございます。で、その「療養担当者」というものが、いわば原案の「指定医療機関」と同じ概念でございまして、その療養機関が療養担当者――その療養担当者に働く「国民健康保険医又は国民健康保険薬剤師から国民健康保険の診療又は調剤を受ける」という四項が、衆議院修正によって入ってくるわけでございます。これは機関一本じゃなくして、機関の中の、実際に診療をし、調剤をする人間的な関係――といいますと、お医者さん自体の関係が、前回の政府原案におきましてはいわば埋没して、それが「指定医療機関」ということの中に含まれた形で、法律案の条文が構成されておったわけでございまして、それでは人間関係がどうもはっきりしないし、診療、調剤をやる主体というものは、お医者さんなり、薬剤師であるというような御意見もございまして、衆議院の修正のように、中段のように四項が入って、実際に診療をし、または調剤を受ける場合は、それは国民健康保険医または国民健康保険薬剤師というふうな、そういう資格のある保険医または薬剤師から、調剤なり、診療を受けるものであるということが加わったわけでございます。
 それで下段にいきまして、それが修正後、今回の提出しました政府原案においてはどういうふうになっているかと申しますと、衆議院修正後、機関が「療養担当者」というふうに名前が変り、それから実際に診療をし、調剤をする人間、被保険者と、調剤をする医師、または薬剤師との関係というものが条文の上に表われてきたわけではございますけれども、これでもなおその中段の第四項にあります国民健康保険次または国民健康保険薬剤師というものが、機関であるところの療養担当者のいわば従属した格好で、そういう診療なり、調剤に当るというような印象で、印象がどうしても出てくるわけでございますので、このことはいろいろとまた問題もあるというわけで、下段の考え方になったわけでございます。下段はどういうふうに変っておるかと申しますと、その第三項におきまして、下段の第三項は、「第一項第一号から第四号までに定める療養は、第三十八条に規定する登録を受けた医師若しくは歯科医師(以下「国民健康保険医」という。)又は同条に規定する登録を受けた薬剤師(以下「国民健康保険薬剤師」という。)が担当するものとする。」で、第四項に、「次条の規定により療養の給付を取り扱う旨の申出を受理された病院、診療所及び薬局(以下「旅費取扱機関」という。)の開設者は、当該機関において業務に従事する国民健康保険医又は国民健康保険薬剤師に対し、その者が前項の規定により担当する療養を実施するにつき、必要な措置を講じなければならない。」というような規定がここへ加味されたわけでございまして、以下第五項、第六項の規定が新しく加えられたわけでございますが、この考え方は、まず療養を担当する者は医師、歯科医師または薬剤師、つまり、国民健康保険医または国民健康保険薬剤師であるということを第一番目に規定いたしまして、診療に従事される医師というものが国民健康保険の療養の実際の担当の主体であるということを前段に強く押し出しまして、そしてその次の第四項におきましてそういう療養の給付を、療養を担当されるお医者さん方がおられるところは療養の病院または診療所及び薬局でございますので、そういうお医者さんが働いておられる病院、診療所及び薬局の開設者というものは何をするかということが第四項に規定されるわけでございまして、療養の給付を取り扱う旨の申し出を受理された病院、診療所及び薬局の開設者は当該機関において業務に従事するというのは、前項の国民健康保険医または国民健康保険薬剤師でございます。そういうものに対して、「その者が前項の規定により担当する療養を実施するにつき、必要な措置を講じなければならない。」そういう規定を第四項に規定したわけでございます。必要な措置というのはどういうことかというような点は、これは大体医療法上の措置というふうに考えておるわけでございまして、開設者自体がやるものと、それから開設者の命を受けて病院、診療所の医療法にいう管理者がやるべき仕事、措置、そういうものも当然含むわけでございます。
 第五項におきましては、「被保険者が第一項第一号から第四号までに定める給付を受けようとするときは、自己の選定する療養取扱機関に被保険者証を提出して、そのものについて受けるものとする。ただし、厚生省令で定める場合に該当するときは、被保険者証を提出することを要しない。」この三項、四項、五項ということによってまず療養を担当するものは、医師並びに薬剤師であるという規定が第一段階にきて、第二段階でそういう国民健康保険の療養を担当する医師、薬剤師、つまり、国民健康保険医または国民健康保険薬剤師を使用する、そういう病院、診療所または薬局の開設者の義務をここで規定し、そして第三番目に、そういう病院、診療所等について被保険者が診療を受ける場合にはどうすればいいかという、そのやり方を規定するということによって療養の給付の手続がそこにきまってくるわけでございます。
 第六項は、これは「第一項第五号及び第六号に定める給付は、医師又は歯科医師の意見を聞いて行うものとする。」これも当然の規定でございますが、ここで考えられておりますのは、療養の給付という概念と、療養の給付を取り扱うという概念が出てくるわけでございます。第三項におきましては、療養というものは国民健康保険医が担当するという規定になっております。つまり、療養を担当するのは医師である。あるいは薬剤師である。その療養の給付を取り扱うものは、これは病院、診療所でございます。そういうふうな考え方で第三十六条の療養の給付の診察、薬剤または治療材料の支給云云というふうに一号から六号まで出ておるわけでございまして、この関係は、療養の給付というのは保険者と被保険者との関係において成立をする関係だというふうに私どもは考えておるわけでございます。従いまして、療養の給付というのは国民健康保険の保険事業の五体であり、実体であるところの保険者と被保険者に対する一つの行為でございます。しかし、これは内容は何かというと、患者に対して診療をし、あるいは薬の場合は調剤をするというふうな行為でございまして、これは第三項の、一号から四号までに定める療養という概念がそれに当ると思います。つまりこれは医療という、または診療なり調剤という事実行為が第三項の療養でございます。そういうふうなものを療養機関によって取り扱ってもらう。そういうふうな関係が節四項の療養取扱機関という概念によって、病院、診療所がそういうふうな療養の給付を実際に取り扱う。ここで国民健康保険の事業と病院、診療所の関係が第四項で出てくるというふうな関係になるわけでございます。そういうふうな国民健康保険の事業の内容であります。
 給付というものの取扱いをする関係をどういうふうにして作っていくかというのが次の第三十七条の規定でございまして、これは、前回の政府原案におきましては、指定医療機関として開設者の申請に基いて都道府県知事が指定するというのが上段の第一項の規定でございます。その指定を拒む場合には、「地方社会保険医療協議会の議によらなければならない。」というのが第二項の規定、それから第三項の規定は、「健康保険法第四十三条第三項第一号に掲げる保険医療機関及び保険薬局、」これは健康保険の保険医療機関または保険薬局である間は国民健康保険の指定医療機関とみなすというふうな規定になっております。第四項は、地域外、都道府県の地域が大体原則でございますが、「指定医療機関は、その所在地の都道府県及びその開設者が所在地の都道府県知事に申し出たその他の都道府県の区域内の保険者(組合の場合にあっては、その区域内に主たる事務所がある組合とする。)及びその保険者に係る被保険者に対する関係においてのみ、指定医療機関たるものする。」地域外でも指定医療機関になることがあるということが第四項にうたわれている。前回の政府原案は、しかし、とにかく指定医療機関、その指定は都道府県知事がやるという関係でございます。これは前回の国会の衆議院修正におきましては、中段の三十七条に規定されておりますように、「病院若しくは診療所又は薬局(健康保険法第四十三条第三項第一号に掲げる保険医療機関及び保険薬局を除く。)の開設者は、療養の給付を担当しようとするときは、病院若しくは診療所又は薬局ごとに、その所在地の都道府県知事にその旨を申請しなければならない。」知事は前項の申請に基いて指定をするわけでございますが、その受理を拒むときには、「地方社会保険医療協議会の議によらなければならない。」これは原案と大して差はないようでございます。要するに、ここでは指定医療機関というものが療養担出者というふうに変っただけだというふうに考えていただけばいいと思います。それが今回の政府提案におきましては、結局病院、診療所または薬局が都道府県知事に療養取扱いをする旨の申し出をする、その申し出を都道府県知事が受理することによって療養取扱いの関係が生ずるわけでございます。都道府県知事は、その受理を拒む場合は、「地方社会保険医療協議会の議によらなければならない。」というような関係になっております。この関係は、前回の原案並びに修正と考え方は同じでございます。中段の第三項、第四項、第五項は、これは健康保険の保険医療機関及び保険薬局は療養担当者であるという規定を、国民健康保険の「療養担当者とみなす。」という規定が第三項にございます、それで第四項は、そういうみなされた場合の保険医療機関または保険薬局が指定の取り消しを受けた場合にどうなるかというと、健康保険の指定の取り消しを受けたということによって、「前項本文の規定により療養担当者とみなされたものの地位に影響を及ぼすものではない。」つまり健康保険は、そのまま取り消しによって指定医療機関であることはできない、ここで、保険医療機関というものが取り消されることになるけれども、そのことが国民健康保険の療養担当者の地位に影響を及ぼさない、健康保険の取り消しは健康保険の機関の取り消しだけであって、それが国民健康保険の療養担当者には影響がないというのが、これが衆議院の修正によって入ったわけでございます、中段の第五項は「療養担当者は、その所在地の都道府県及びその開設者が所在地の都道府県知事に申し出たその他の都道府県」これは原案の第四項と同じ考え方でございまして、別に説明は要らないと思います。これは今度の政府提案の三項以下によって多少考え方が変わっております。それは三項がちょっと変ってくるわけでございます。下段の三項を読み上げますと、「療養取扱機関以外の病院若しくは診療所又は薬局につき健康保険法第四十三条ノ三第一項の規定による保険医療機関又は保険薬品の指定があったときは、その指定の時に、当該病院若しくは診療所又は薬局につき第一項の申出の受理があったものとみなす。ただし、その開設者が厚生省令の定めるところにより、別段の申出をしたときは、この限りでない。」四項は、そういう「保険医療機関又は保険薬局の指定の取消は、前項本文の規定により療養取扱機関とみなされたものの地位に影響を及ぼすものではない。」というような規定になっております。それでここだけ読んだだけではちょっと読みにくいわけでございますが、中段の四項と下段の四項というものは同じような規定となっております。しかし、中段の三項と下段の三項はちょっと表現が違うわけであります。上段は、「保険医療機関及び保険薬局」というのはそのまま「療養担当者とみなす」というふうにイコールにしておるわけでございますが、下段の規定は、その指定のときに、そういうように申し出の受理があったというように、その初めの出発のときだけみなすというような規定になります。これはあとで取り消しのときに関連が出て参りますので、またあとで説明をいたしますが、多少その辺非常にこまかいことでございますが、効果の相違が出てくるということを一言御注意申し上げるだけで次に移っていきたいと思います。
 第三十八条は、これは政府の、前回の政府原案にはない、衆議院修正によって入った規定でございますが、これは原案が指定医療機関一本であったものが、療養川当者という観念と、それから国民健康保険医及び国民健康保険薬剤師というものの人的な関係という二本建になったその結果、ここへ三十八条という規定が出たわけであります。「病院又は診療所である療養担当者において国民健康保険の診療に従事する医師又は歯科医師は、都道府県知事の登録を受けた、医師又は歯科医師(以下「国民健康保険医」という。)でなければならない。
 薬局である療養担当者において国民健康保険の調剤に従事する薬剤師は、都道府県知事の登録を受けた薬剤師(以下「国民健康保険薬剤師」という。)で、なければならない。」これは登録を受けた国民健康保険医または薬剤師でなければ国民健康保険の療養担当者者において国民健康保険の診療並びに調剤をやれないという規定でございます。これは三十八条におきましては、医師の登録を受けねばならないという規定になっております。観念としては裏から書いたのと表から規定するだけの差であって、内容については変りはないのであります。
 三十九条は、その登録の方法をここへうたったわけでございます。中段におきましては「国民健康保険医又は国民健康保険薬剤師の登録は、医師若しくは歯科医師又は薬剤師の申請に基き、その住所地の都道府県知事が行う。」これは同様でございます。第二項、三項につきましても、この点の相違は衆議院の修正と大差はございません。
 それから四十条に移りますが、四十条は、前回の政府原案の三十八条に相当するものでございますが、これは療養担当者の責務、指定医療機関の責務が療養取扱機関の責務に変ったわけでございまして、これも別に説明を要しないのではないかと思います。前回の原案と内容においては同じでございます。
 三十九条の健康保険法の準用、これも同様でございます。これは「指導について準用する。」という規定を衆議院修正によって指導を受けなければならない。」というように直接の規定にされているという差はございますが、内容については変わりはございません。
 その次の第四十条、今回の第四十二条の関係、これは一部負担の関係でございますが、この点は多少修正がございます。前国会における政府原案は、その一番上段にありますように、「第三十六条第三項の規定により指定医療機関から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、当該給付につき第四十三条第二項又は第三項の規定により算定した額の二分の一に相当する額を、一部負担金として、当該指定医療機関に支払わなければならない。」要するに、窓口払いの原則を講じただけでございます。それに対しまして、前国会の来議院修正の中段におきましては、第四十二条に「第三十六条第三項の規定により療養担当者から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、当該給付につき第四十五条第二項又は第三項規定により算定した額の二分の一に相当する額を、」云々、ここまでは同じでございます。これは今回も第一項は同じでありますが、第二項は、「療養担当者は、」中段でございますが、「前項の一部負担金(次条第一項の規定により一部負担金の割合が減ぜられたときは、当該減ぜられた割合による一部負担金とする。)の支払を受けるべものとし、療養担当者が善良な管理者と同一の注意をもってその支払を受けることにつとめたにもかかわらず、なお被保険者が当該一部負担金の全部又は一部を支払わないときは、保険者は、当核療養担当者の請求に基き、この法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる。」これは衆議院の修正で入ったわけでございますが、要するに、徴収の支払いの最終責任というものを保除者が持つというようにしろ、つまり、お医者さんが一部負担金をとれなくて泣き寝入りになる格好ではいけないではないかというような修正意見の結果入った規定でございまして、前段におきましては、一部負担金の支払いを受けるべきものとするという原則をうたいまして、その中ごろの「療養担当者が善良な管理者と同一の注意をもってその支払を受けることにつとめたにもかかわらず、」云々と書いてありますのは、これは第一項の、要するに、二分の一の一部負担金というものは原則として医者が窓口で徴収すべきものであるという規定である。その規定に従いまして療養担当者が善良な管理者と同一の注意をもってその支払いを受けることに努力をした、催促をしていろいろととったけれども、なおとれない、そういう場合には、保険者がその療養担当者の請求に基きまして、徴収金の例によってこれを処分する。要するに、保険者が療養担当者にかわってその患者に対してその一部負担金をとり、それを医者の方にかわって支払いをするという関係が第二項によってうたわれたわけでございます。それは今回第二項に規定されておりまして、それをさらに、同じ内容でございますが、正確な表現にしたわけでございます。「療養取扱機関は、前項の一部負担金(次条第一項の規定により一部負担金の割合が減ぜられたときは、同条第二項に規定する療養取扱機関にあっては、当該減ぜられた割合による一部負担金とし、第四十四条第一項第一号の措置がとられたときは、当該減額された一部負担金とする。)の支払を受けるべきものとし、療養取扱機関が善良な管理者と同一の注意をもってその支払を受けることにつとめたにもかかわらず、なお被保険者が当該一部負担金の全部又は一部を支払わないときは、保険者は、当該療養取扱機関の請求に基き、この法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる。」強制徴収をやるという規定でございます。これは衆議院修正と同じ趣旨でございまして、今回はそのままここにこういう規定をうたったわけでございます。
 それから、次の四十一条でございますが、これは前段の方は変りはないわけでございますが、一部十一ページの第四項が変っております。一、二、三項はこれは前回の政府原案と変りはないわけでございますが、第四項におきまして、中段の四項を読みますと、「市町村は、当該市町村に係る被保険者の大多数につき前条第一項並びに第一項及び第二項の規定によりがたい特別の事情があると認める場合において、都道府県知事の承認を受けたときは、条例で、当該市町村が開設者の同意を得て定める療養相当者から療養の給付を受ける被保険者から、当該療養担当者に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収するものとすることができる。」第五項に「前項の被保険者は、前条第一項及びこの条第二項の規定にかかわらず、一部負担金を療養担当者に支払うことを要しない。」という規定が、これは衆議院修正によって規定されたわけでございますが、これは支払いの実態が、たとえば非常に僻地とかそういうふうな所で、実際に農山村あたりにこういう例があるわけでございますが、現金収入というものが一年のある時期に非常に集中的にあって、常時現金収入というものがないような、そういう地域があるわけでございます。そういう地域におきましては、現在におきましても医者に対する支払いというものは、極端な例は、盆と暮れにお医者さんに支払いをするというような慣習もあるようなわけでございまして、そういうような地域につきまして、この法律の規定のように必ず一部負担の療養費二分の一というものを現金で窓口で医者に払うということを強制するということは、非常に患者にとっても負担になる場合が多いわけでございます。そういう地域におきましては条例を作り、そうして市町村が開設者の同意を得て定める療養取扱機関に対する支払いというものを、面接に市町村から、保険者が払うようにする、つまり一部負担の窓口徴収の例外をうたう。
 第五項は、そういう例外の場合は必ず、五割は窓口で支払わなければならぬという規定を適用しないというのが第五項の規定でございます。
 その次の第四十四条は、これは大して内容は変りはございませんが、今度の政府提案につきましては、ただいま申し上げましたこの例外に対する場合の規定を整備したわけでございまして、十二ページの下段のところに、「前条第四項の場合においては、」云々という規定がございます。趣旨は、前回の衆議院の修正と同様でございまして、規定が多少この点不備であったものを今回補足しましてここへ提出したわけでございます。
 それから、第四十五条、これは大きな変更はございません。ここで変っておりますのは、衆議院修正におきましてその第五項に、「国民健康保険団体連合会(加入している保険者の数がその区域内の保険者の総数の三分の二に達しないものを除く。)」というような規定がございますが、これは三分の二に達しますと、国民健康保険団体連合会に強制加入するというふうな衆議院の修正がございまして、その修正に基いてここにこういうふうな規定が加わってくるわけでございまして、内容につきましては、前国会の政府原案とそういう点を除きましては大きな変更はございません。
 その次も大体同様でございます。
 それから第四十七条の療養担当者の辞退についても大きな変更はないわけでございます。
 それから四十八条、これは取扱い申し出受理の取り消しの規定でございますが、これはちょっとミスプリントがございます。第四十八条、「療養取消機関」と書いてございますのは、「療養取扱機関」のミスプリントでございます。これは初めの方は、原案それから衆議院修正案と今回の提出案の間には相違はございませんが、四十八条―四十八条というのは十七ページから始まりますが、もう二枚めくりまして、十九ページ中段に二項、三項、四項という規定がございます。その第二項に、「都道府県知事は、第三十七条第三項本文の規定による療養担当者が前項各号のいずれかに該当する場合においては、同条第三項本文の規定にかかわらず、当該保険医療機関又は保険薬局を療養担当者とみなさないこととすることができる。」という規定がございます。この二項の規定が今回はないわけでございますが、これは先ほど私が申し上げました前の条文に戻りまして、四ページの第三十七条第三項の規定との関連がここに出てくるわけでございまして、衆議院修正におきましては、要するに、健康保険の保険医療機関というものはそのまま療養取扱機関にみなされているわけでございます。ところが、今度の原案はその指定のときにだけみなすというふうな規定になっていて、関係はそこでつけて、あとはもっぱら療養取扱機関になってしまうわけでございますので、この十九ページの中段の第二項のような規定が必要でなくなったということになるわけでございまして、この点に多少の技術的な差でございますが、そういう差が規定の上からも出てくるということを申し上げておきたいと思います。
 それから四十九条は、国民健康保険医または国民健康保険薬剤師の登録の取り消しでございまして、これはこういう衆議院修正によって出てきた点でございます。これについても同様なことが言えるわけでございます。
 それから第五十条の「社会保険医療協議会への諮問」、これは同様でございまして、別に説明を申し上げる必要はないと思います。
 次の「弁明」についても別に御説明は要らないと思います。五十一条、二十二ページでございます。
 それから第五十三条、これはちょっと御説明申し上げますと、これは衆議院修正によりまして、療養の給付期間というものは、前回の政府原案におきましては三年というふうになっておりましたけれども、これを「三年を経過したときは、行わない。ただし、市町村にあっては、条例で、三年をこえて行うことができる。」と規定が衆議院修正によって修正されたわけでございますが、今回のはその修正の通りの規定になっておるわけでございます。
 それから次の「組合に対する補助」、これは前回の政府原案におきましては、上段の第七十条、これによりますと、「費用の十分の二以内を補助することができる。」ということになっておりますが、これは衆議院修正によりまして「費用の十分の二を補助することができる。」、今回もその衆議院修正の通り十分の二を補肋する。二十四ページの一番最初。
 それから次の同じ「国の補助」の、前回の、上段の第七十一条、中段の七十四条の規定でございますが、これも同じように、上段におきましては、保健婦に対する補助は「その三分の一以内を、」というふうに書いてありましたのを、衆議院修正の中段におきまして、「その三分の一を、」というふうに修正されまして、それが今回もそのまま規定したわけでございます。
 それからその次の八十四条は、先ほどちょっと触れましたように、これは連合会の設立の認可でございますが、衆議院の修正、中段におきまして第三項というのが入りまして、「都道府県の区域を区域とする連合会に、その区域内の三分の二以上の保険者が加入したときは、当該区域内のその他の保険者は、すべて当該連合会の会員となる。」という、これは衆議院修正で入った規定でございますが、今回の原案におきましては、それをそのまま規定しておるわけでございます。
 それから審査委員会の規定は、ただいまの点が、この前条の三項が入ったわけで、それだけのものが修正をされていますので、八十七条は内容的には変りはございません。
 八十八条は、これはちょっと三つとも少しずつ変っておりますが、審査委員会の組織でございます。上段の八十五条、これは、「審査委員会は、指定医療機関を代表する委員、保険者を代表する委員及び公益を代表する委員各九人以下の同数をもって組織する。」と書いてあります。それが中段におきましては、「審査委員会は、療養担当者を代表する委員、」ということで、思想は前段と同じ思想でございますが、今回の規定は、その下段におきましては、「審査委員会は、国民健康保険及び国民健康保険薬剤師を代表する委員、保険者を代表する委員」というふうに機関の代表が今度は保険医の代表というように構成が変った点が今回の修正点でございます。
 あとは実施の規定でございます。
 それから以上のほか、たとえば用語が「指定医療機関」ということが「療養取扱機関」というように改まったりしたこと、それから条文が新しく加わりましたので、その条文の加わったことによって条の整理がだいぶ行われておりますので、そういう点で多少の変更がございますが、内容的には以上申し上げた点が修正点でございます。
 次の国民健康保険法の施行法におきましても、ただいまの修正に伴う字句の整理が主でございまして、内容的には変ったところはないのであります。
 以上、非常にごたごたと申し上げましたが、私の説明をこれで終ります。
#4
○委員長(久保等君) 御質疑を願います。
 ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#5
○委員長(久保等君) 速記をつけて。
#6
○紅露みつ君 四ページのところですが、三十七条の四項、健康保険法第四十三条ノ十二の規定によってこれは取り消されたとしますね。健康保険法で取り消されたそのときに、国民健康保険の方に影響を及ばさないと解釈するのでございますか。そうだと、今まで思っていたのと違うようになるのですが、解釈の仕方が違うのでしょうか。「健康保険法第四十三条ノ十二の規定による保険医療機関又は保険薬局の指定の取消は、前項本文の規定により療養取扱機関とみなされたものの地位に影響を及ぼすものではない。」何だか解釈がうまくできないのですけれども、どういうことなのでしょうか。
#7
○説明員(牛丸義留君) 私たちは、四項におきまして、健康保険法の規定による保険医または保険薬剤師、これは国民健康保険の保険医または保険薬剤師にみなすわけであります。一ぺんみなすわけでありますが、その人取り消された場合には、つまり健康保険法によって健康保険の保険医または保険薬剤師を取り消されたということによって国民健康保険医または国民健康保険薬剤師を取り消されることはないということでございます。
#8
○紅露みつ君 ああ、そうですか。
#9
○説明員(牛丸義留君) 一方を取り消されたとみなされるから全部みなされるという格好になってはいけませんので、指定することはみなすけれども、取り消しということは、国民健康保険法による取り消しの事由がなければ取り消しはしませんぞという規定でございます。
#10
○紅露みつ君 そうすると、健康保険で何か不都合があって取り消されるとしますね。その場合に、国民健康保険の方には差しつかえなくできるのですか、そうですね。
#11
○説明員(牛丸義留君) その通りでございます。
#12
○紅露みつ君 そうだとすると……。わかりました。
#13
○中山福藏君 ちょっとお尋ねいたします。三十六条の規定ですね。療養の給付、これは第一号から六号まで。結局医療担当者というのは、薬剤師、医師、歯科医師。そこで第二号の「薬剤又は治療材料の支給」というのがここに書いてあるのですが、御承知の通りに、市町村合併前は、全国に無医村、無薬局というのは約七千町村あったわけです。北海直のごときは、現に市町村合併があったとしても、その半数ぐらい無医村、無薬局があるわけです。そうすると、この規定に基いて医療給付をするという場合に、薬局、医師、歯科医師というものがない場合に、はかの医療給付、そういうものがない場合にはこれはできないということになるのじゃないかと思うんです。たとえば私、関係しております指定医薬品以外の医薬品販売業者、それらのものからは材料の購入ができないというふうに誤解を招くおそれがあると思いますが、そういう点は御考慮になったのですか。
#14
○説明員(牛丸義留君) ただいまの御質問は、第五十四条の規定をごらんになっていただければ、これに関連する御質問になるんじゃないかと思いますが、第三十六条の「療養の給付」というものが、結局これはまあお医者さん並びに薬局というところで国民健康保険の取扱いをやっている、いわゆる療養取扱い機関で行うものが原則でございますが、今回の法案の五十四条をごらんいただきますと、そこに療養費払いの規定が書いてありまして、こういうものがいない場合、まあ全然医者がいないというところは、これは別に僻地医療対策なり、あるいはそういうものでやっていかなければならないわけでございますが、国民健康保険医がいないようなところでは別の医療機関にかかっていただいて、そうしてあとで支払いをするというような規定なんでございます。
 それからもう一つの、どちらもないようなところはどうするかという問題は、これは医療制度の問題として僻地医療対策並びに全国的な病院の整備計画ということによって、病院のそういう普及ということをはかっていく、そして国民健康保険事業をうまくマッチさしていくようにする施策が必要であると思います。
#15
○中山福藏君 医療機関の整備、その他医療問題の解決というものを他日に回してその整備を完了していきたいというような御意向であるようですが、私は現実の問題をとらえて申し上げたので、将来のことは、官庁の方々のなさることは相当の時期がかかって、あまり国民が期待できぬ場合が多い。従って、現実に基いて私はお尋ねしているわけでありまして、この規定によってはみ出してしまって、そういう問題が閑却されているのじゃないか、こういうことを考えましたがゆえにお尋ねしているわけですが、これは医師、歯科医師、薬剤師という以外のものから、この三十六条の第二項の規定というものが、治療材料の支給というものを受けてはいかぬというような誤解を招くんじゃないでしょうか、ただいまの説明では。どうですか、それはここに明記しておく必要があるのじゃないんですか、その点一つお尋ねいたします。
#16
○説明員(牛丸義留君) 第一点でございますが、病院並びに診療所の設備というものは、国民保険計画に即応して、厚生省でも現に三十二年度予算から僻地医療の対策というものが予算上も計上されております。もちろん満足すべき状態ではございませんけれども、国民皆保険計画の一環として、その基礎的な条件の整備としてなされておるわけでございまして、他日にこれを譲るというわけじゃございませんので、この点は御存じの上だと思いますが、念のために申し上げておきたいと思います。
 それから三十六条の規定は、これは国民健康保険の給付というものは、こういう給付をやるという規定でございまして、これ以外に、国民健康保険が、その被保険者に対して責任を持つのは、ただいま申し上げました五十四条の療養費払いだけでございます。これはしかし、国民健康保険がやる仕事がそれだけであって、そのほかのものはやっていけないということは、別にこの規定からは出てこないんではないか。つまりそれは、国民健康保険の給付としてじゃなくして、いわば自由診療というような形か、あるいは別の直接の薬品の購入というふうなことはあると思いますが、これはこの給付の規定とは別個の問題だと私どもは考えておるわけでございます。
#17
○中山福藏君 これは国民健康保険の法律の問題でありますから、そこまで言及していいかどうかということも一応考慮に入れて私はお尋ねしておるわけですが、しかし、これは法案の完備という点からいくというと、いやしくも薬事法に規定されておるいわゆる医薬品の販売に携わる者は、すべてこの第二項の項目のうちに入れるのが当然じゃないか。そうしないというと、薬事法の医薬品の販売業に関するところの規定というものは、ある場合においては無意味になるという気がするからお尋ねしておるわけです。医薬品販売業者というものを薬剤師に限るということであれば、今おっしゃったようなことでいいわけなんですが、しかし、医薬品の販売に関するところの規定を、薬事法が一応規律しております以上、やはり販売に携わる者ことごとくをこれに入れていただくということが、応急の措置を講ずる場合においては、非常に便宜ではないか、こういうふうな考えが起ってくるわけであります。そうしないと、私は先ほども申し上げましたように、無医村、無薬局の場合は、医者が資材を購入するというようなときにもお困りになるんじゃないかというような気がするから、一応薬事法というものを前提にしてお尋ねしておるわけです。どうでしょうか、そういう点は。私は、あなたがはっきり今ここでおっしゃったことは、政府の意向として、速記録に残るのでありますから、ほかに制限をやらない、いわゆる強制規定ではない、任意規定であるということを明確にしていただけば、それでもいいようなものですけれども、一応念を押してお尋ねしおく次第であります。
#18
○説明員(牛丸義留君) 三十六条の規定は、被保険者の疾病及び負傷に関してこういうことをやる、こういう療養の給付をやるというような規定になっておりまして、ただいまの御質問の趣旨は、まあ病院もない、診療所もない、薬局もないというような所の国保事業というものは、一体どういう形で行われるかということと関連がある問題じゃないかと思いますが、これはこの法定給付以外に給付ができないわけでもございませんし、また、正当な給付以外に、保健施設というような、付帯事業としても、いろいろなことが行われることは、国保の法律の認めておるところでもございます。そういう点で、国保の事業の内容としても、薬品の支給ということが、これは医師法なり医療法なり薬事法等の規定の範囲によってもちろん行われるわけでございますが、国保事業の対象になり得ないとは私は限らないと思います。その点で国保事業とは、ただいま中山先生の御質問の趣旨でも、関連があり得るんじゃないかというのが第一点でございますし、それからもう一つの観点は、これは国民健康保険の保険者が、被保険者の疾病または負傷の場合にこういうことをやるというたけの規定でございまして、それ以外に何ものも拘束しておるわけでもないのであります。
#19
○中山福藏君 私は、この質問は一応この点でとどめて、なお、残余の分は他日に譲るということを申し上げまして、きょうは質問は終りますが、しかし、これは突然私この質問をしたので、法規関係のあらゆる部面にわたって、まだいろいろな考究すべき点が多いと考えておりますから、それを一応整理いたしまして、さらに質問を他日に譲るということをここで申し上げて質問を終ります。
#20
○山下義信君 ちょっと速記をとめてもらいたい。
#21
○委員長(久保等君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#22
○委員長(久保等君) 速記を起して下さい。
 本日の質疑はこの程度にいたしまして、本日はこれにて散会をいたします。
   午後三時九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト