くにさくロゴ
1958/12/23 第31回国会 参議院 参議院会議録情報 第031回国会 社会労働委員会 第6号
姉妹サイト
 
1958/12/23 第31回国会 参議院

参議院会議録情報 第031回国会 社会労働委員会 第6号

#1
第031回国会 社会労働委員会 第6号
昭和三十三年十二月二十三日(火曜日)
   午後零時八分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員有馬英二君、藤原道子君及び
中山福藏君辞任につき、その補欠とし
て西田信一君、坂本昭君及び常岡一郎
君を議長において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     久保  等君
   理事
           勝俣  稔君
           柴田  栄君
           木下 友敬君
   委員
           草葉 隆圓君
           小林 英三君
           紅露 みつ君
           斎藤  昇君
           榊原  亨君
           谷口弥三郎君
           西田 信一君
           横山 フク君
           片岡 文重君
           小柳  勇君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
           山下 義信君
           常岡 一郎君
           竹中 恒夫君
  国務大臣
   内閣総理大臣  岸  信介君
   厚 生 大 臣 橋本 龍伍君
  政府委員
   法制局長官   林  修三君
   法制局第二部長 野本 新一君
   厚生政務次官  池田 清志君
   厚生省保険局長 太宰 博邦君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   厚生省保険局次
   長       牛丸 義留君
   厚生省保険局国
  民健康保険課長  伊部 英男君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国民健康保険法案(内閣提出、衆議
 院送付)
○国民健康保険法施行法案(内閣提
 出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(久保等君) 社会労働委員会を開きます。
 委員の異動を報告いたします。
 十二月二十三日付をもって、有馬英二君、藤原道子君及び中山福藏君が辞任し、その補欠として西田信一君、坂本昭君及び常岡一郎君が選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(久保等君) 国民健康保険法案、国民健康保険法施行法案、両案を一括して議題といたします。
 御質疑を願います。
#4
○政府委員(太宰博邦君) 昨日の御審議で答弁の不十分な点につきまして、あらためて申し上げたいと存じます。
 第一の点は、山下委員からの御意見でございまして法案第四十八条の第四項ただし書きの場合に、相当の注意、監督が尽された、その相当の注意、監督というものの解釈でございますが、これにつきましては、相当の注意については、母法の第七行十五条第一項にございまするところの相当の注意、これはある事業のために他人を使用する者は、その雇われた者がその事業の執行について第三者に加えた損害の賠償の責めを負う。ただし、被用者の選任、あるいはその事業の監督については相当の注意をなすというような規定があるのであります。それと同様に解するわけであります。
 それから監督につきましては、医療法の第十五条、管理者の監督の義務というものがございます。「病院又は診療所の管理者は、その病院又は診療所に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督し、その業務遂行に欠けるところのないよう必要な注意をしなければならない。」と、これと同様に解釈すべきであるというふうに存じます。なお、その中身につきましては、行政の判例などを取り調べまして、その中からこれに該当、適当と思われるものを例示いたしまして地方に示したい、かように考えておる次第でございます。
 それから第二は、片岡委員の御質問でございまして、国民健康保険医が誤診などによって患者に損害を与えた場合の賠償責任の点でございますが、保険者は被保険者に対して療養の給付を行う責任を有するものではありますが、具体的な療養は、療養取扱機関において国民健康保険医または健康保険薬剤師が、この法規の第四十条に規定します療養の給付に関する準則に従って担当するのでございます。その場合において、国民健康保険医または薬剤師が保険者の機関、手足として療養を担当するものではございません。療養の給付に関する準則に従って、その責任においてこれを担当するものでありますから、保険者はこれに対して監督などを行うことができない仕組みになっております。従いまして、国民健康保険医などが誤診などによりまして、あるいは療養の給付の準則に違背して被保険者に損害を与えに場合におきましては、その使用者たる療養取扱機関の開設者は、民法第七百十五条の規定によりまして損害賠償の責めを負うべきものでございまして、保険者はその損害の賠償責任を負うということにはならないのでございます。ただし、取扱機関が保険者の直営診療施設というような特別の場合におきましては、その直営診療施設の開設者は同時に保険者でありますから、保険者が責任を負うということは言うまでもないところでございます。
 第三点は、木下委員の御質疑でございましたが、療養取扱機関の申し出の受理の取り消しでございます。四十八条の規定によります療養取扱機関にかかる申し出受理の取り消しは、実際その取扱機関が故意または重大な過失等によってその各号に該当する場合のほかは行わないのであります。事務員の軽過失などのような場合においてはこれを取り消すようなことはございません。
 それから療養取扱機関にかかる申し出受理が取り消されましたときには、その取扱機関において働いておりまする国民健康保険医または保険薬剤師はその機関においては国民健康保険の療養を担当することができなくなるのでありますが、これは現在の医療制度上やむを得ないものと解釈いたします。その場合におきまして、開設者が交代いたしましたとき、たとえば新しい開設者がもとの開設者の所有しておりましたる施設をそのまま引き継いで、それから同町に、その機関において今まで療養に当っておった国民健康保険医あるいは薬剤師がそのまま新しい開設者のもとに勤務している場合におきましても、これは解釈上新たに病院などの開設があったものとして、そして療養取扱機関の申し出をすると、こういうふうに手続上なるものと考えます。もし大きい病院などにおいて取消しという処分が行われるような事態になりましたときには、そこに働いておりまする職員のみならず、通院しております、あるいは入院しております患者がやはりその迷惑をこうむることも当然あるわけでございますが、これはやむを得ない場合を除きまして、ほかの病院なり診療所に転じてもらう。それから入院中の患者もよその病院にかわり得るものはかわってもらう。しかしながら、病状その他によってやむを得ないというような場合においては、その場合は療養費払いの取扱い措置を講ずると、こういうことに相なろうと存じます。
 以上、昨日の答弁の足りませんところを冒頭に申し上げた次第であります。
#5
○山下義信君 私がお尋ねしたことで残っている部分もありますが、四十条のこの療養の給付に関する準則というものはどういうものかというお尋ねをしておいたのでありますが、資料を後ほどいただけるか、あるいは口頭で御説明願うか、持ち越しになっているわけなんですが……。
#6
○政府委員(太宰博邦君) 失礼いたしました。第四十条において、療養の給付に関する準則の厚生省令でございますが、これは法第三十六条の四項におきまして、療養取扱機関の開設者が当該機関において業務に従事する国民健康保険医などに対して、その者が担当する療養実施について必要な措置を講ずるということをこの省令で規定しようというものであります。そのほかに診療録でありますとか、処分せんなどのような、まあ手続的なものについて規定するつもりでございます。
#7
○山下義信君 前段の開設者が必要な措置を講ずることを規定されることは、わかりましたが、その必要な措置を講ずる内容というものは今御説明いただくわけには参りませんか。
#8
○政府委員(太宰博邦君) まだそこまで至っておりませんので、でき次第、また、お目にかけます。
#9
○山下義信君 本案を審議していることは、あすもあさっても待っているわけには実はいかないのでありまして、こういう重要なことを承わらないで議了するということは、ほんとうはできないのでありますけれども、しかし、私は追及しません。ただこの際、第四十条に関連いたしまして、ただいま政府の御答弁をいただいたその療養の給付に関する準則に関連いたしまして、厚生大臣の御答弁を求めたいことがあります。それはこの療養の給付に関する準則は厚生省令できめるときは、本法の第五十条によりまして、中央社会保険医療協議会に諮問してきめるとあるのです。本法案は一月一日から施行ということになっておるのでありまして、この第四十条と第五十条の関係は、一月一日施行と同時に実際上その運営が動いていかなければならぬわけであります。しかるに、この中央社会保険医療協議会の組織というものは、委員の任命等が全部終了されていないのではないかと思うのであります。この中央社会保険医療協議会の設置はされてありますが、委員の任命が全部済んでいないということは実体として不完全であるということであるのであります。従いまして、私は何か先般承わるところによりますと、いわゆる病院関係の代表の委員の選任について種々問題が起きている。従って、その委員の任命がおくれておるということは自他周知の通りであります。そのことについて先般厚生大臣に伺いましたらば、この委員の人選については、日本医師会に人選を委嘱するのを至当だと考える、それは現在の中央社会保険医療協議会設置法の精神からいって、医師の代表者という場合には、どうしても医師の代表の団体である日本医師会の推薦を待たざるを得ない、直ちに病院協会の機関の代表者をすぐに選任するということはこの設置法の建前からいっても無理がある、そこで自分は、日本医師会に、その委員の推薦を委嘱する考えである、かように当委員会で御言明に相なったのであります。しかるに、承わるところによりますと、いまだにその委員の推薦を委嘱していない。何か関係の他の団体からの要請によって厚生大臣はちゅうちょしておられるという風聞が高いのです。それでは中央社会保険医療協議会の委員の人選が済まない。すべての全員の任命が済まないということになれば、実質的にこの医療協議会の成立はできていないということになる。従って、この四十条の準則の省令決定の諮問も、一月一日から本法を実施されるということについても、そういう点について実際に動いていくことができない。私は本案審議の上において非常にこれは重大であると思います。言いかえれば、その委員の人選が済むまで本法の施行というものはできないということになるわけでありまして、私はこの際、中央社会保険医療協議会の委員、ことに日本医師会に委嘱すると当委員会で言明されました医師の代表の委員の人選は、いつなさるお考えであるか、どういう御方針であるかということを、この際私は明確に承わりたいと思います。
#10
○国務大臣(橋本龍伍君) 中央社会保険医療協議会の委員の任命に関しまする諮問の手続に関しましては、先にも私申しましたが、ただいま山下委員からお話のございました通りに考えております。つまり中央社会保険医療協議会法には、医師の利益を代表するもの、その団体に諮問するということに相なっておりますが、これはずっと以前からこの法の解釈によりまして、医師の利益を代表するものの所属する団体というものは医師会という解釈で参っているのでございまして、私は今日までこの法の解釈は、こういうふうに解釈をいたすべきものだと考えております。現実にいろいろなもめごとがございますので、私は実は本法の施行にも関連をいたしまして、これは本法の施行がなくても、急速に六月以来任命しなければならぬことは当然のことでございます。特に本法の施行に関連をいたしまして、私はまあ最後のぎりぎりまで何とか気持のいい形で任命ができないかと思って、実は今日まで参ったのであります。御指摘の通りに、本法施行に関しまする諮問の関係もございまして、はなはだ残念ではございますが、多少その間に御意見の違う方々がございましても、委員選任の手続を早急にとらなければならないと考えております。で、これまで何とかまとめたいと思いまして、昨日もそういう方々の団体と話をいたしたのでありますが、きわめて早急にこの中央社会保険医療協議会の構成をいたしたいと思います。
#11
○山下義信君 既定の御方針通り、日本、国師会の推薦にかかる委員を任命いただく御方針と了承してよろしゅうございますか。
#12
○国務大臣(橋本龍伍君) よろしゅうございます。
#13
○山下義信君 なお、その任命は年内に、おそくとも年内には行われると了承してよろしゅうございますか。
#14
○国務大臣(橋本龍伍君) さよう取り計らわなければならないと思っております。
#15
○山下義信君 了承しました。この点に関する私の質問はその程度にいたしておきます。
#16
○藤田藤太郎君 第七十五条の問題でありますけれども、「都道府県及び市町村は、国民健康保険事業に要する費用に対し、補助金を交付し、又は貸付金を貸し付けることができる。」と、こうなっておるんです。しかし、今日までの状態を見ますと、国保法の施行をしているところは、各市町村が相当な費用を負担して、たとえば診療所をこしらえるとか、施設のためには相当な負担をしてやっていると思うのです。この負担をしてやつているときの、この事業投資といいますか、そういうものに対する国の補助とか、まあ起債の問題とか、そういうのはどういう工合に取り扱っているか、ちょっとお聞きしたい。
#17
○説明員(伊部英男君) 地方財政計画におきまして、保険施設及び直診に関するものを三十二年度から、地方財政計画に見込んでいるわけでございます。
#18
○藤田藤太郎君 それじゃ姓没するときには、国と市町村との負担の関係、起債というのはどういう比率で、たとえば補助をすることになっていますか。
#19
○説明員(伊部英男君) 直営診療所に対しましての国庫補助は三分の一でございます。三分の二が地方財政の負担になります。三分の二は、地方財政計画に織り込んでございますから、それは一般財源あるいは起債によってまかなわれるということに相なると思います。
#20
○委員長(久保等君) ちょっと速記をとめて。ても、ほんとうに社会保障制度をやる国々は、低物価政策、少くとも物価を動かさないということが基盤になっておる。パンにしても一ペンス上げるのでも大騒動する。政府の政策を家計から計算してみて、一週間の家計、一カ月の家計にどれだけの響きがあるということで、総選挙を御承知のごとく争うのです。で、一方において、社会保障制度を強力にやると言いながら、片方で物価を上げてくずして参ったのではさいの川原だ。一体総理は、この物価の値上げについて基本的にはどういう考えを持っておいでになりますか。また、社会保障制度との関係においてどういう御所見を持っておいでになりますか。お示しを願いたいと思います。
#21
○国務大臣(岸信介君) 御指摘のように、物価が高騰いたしますというと、いろいろなこういう社会保障制度そのものの根底にも非常な影響を持つことは一弔うまでもないことでございます。また、特に長い目で見ましても、いろいろな掛金や何かの点におきまして、物価が一方非常に上っていくということは通貨価値がそれだけ下落するという反面があるわけですから、やはり経済の基礎としては通貨価値の安定をあくまでも堅持すると同時に、物価につきましても安定した状態に置かなければならぬことは言うを持たないと思います。この意味におきまして、特に昨年来いろいろな経済の変動に処しまして、物価についても物価の騰貴しないようにあらゆる方策を立ててこれを推進して参っております。最近の物価の状況は、御承知の通り、一時高いときから見ますると、やや下っておりますし、横ばいの状態に大体あると思います。しかし、物価は常に安定を望みますけれども、絶対に変動しないというものでは、これはないことも御承知の通りであります。しかし、いずれにしても急激なる変動、また、通貨価値の変動というようなものを伴うような価格変動が行われるということは、これは絶対に、経済の安定した拡大を願うという意味におきまして、根本的にとり得るものでないことは言うを待ちません。従いまして、私どもの物価政策としては、あくまでも物価の騰貴を押える、安定した価格政策というものが基礎にならなければならぬと私は考えております。これがまた今御指摘のように、社会保障制度にも非常な影響を持つものでありまして、物価が上って、いろいろな国家が社会保障制度で手を延べておっても、生活費が上り、いろいろな出資が重なるということになりますというと、意味をなさないことになるんでありますから、十分にその点は考えていかなければならぬ問題であると、かように思っております。
#22
○山下義信君 物価、料金の値上げは、えてしていろいろな好ましくない風聞が伴うものでありまして、ややもすると汚職の温床になり、ややもすると不潔な政治家が好ましくないたくらみをするもとになることが多いのでありまして、今後とも一つ総理とされましては、十分その辺は御戒飭を願いたいと思いますが、いかがでしょう。
#23
○国務大臣(岸信介君) お話しの通り、私どもも大体経済原則としては自由経済主義をわが自由民主党はとっておるわけでありますが、それでもいろいろ公益面の仕事であるとか、いろいろなものに対しては価格の認可制度やその他指示できるような制度を設けられております。これの運用に関して従来ややもするというと、汚職等の問題もしくはそういう疑惑を持たれておるということははなはだ私も遺憾でありまして、厳正にそういうことに対しては対処する考えであります。
#24
○山下義信君 いま一つ伺いたいと思いますことは、これはあなたの十八番でありますから一つすばらしい御答弁を願いたいと思う。それはいわゆる準総理の青年対策、私は反対党でございますが、率直に申し上げて、戦後における歴代の首相におきまして、この青年問題を取り上げたという総理はあなた一人です。私はそれは認めます。敬意を表します。ただ、この青年対策を呼号されながら、その実際の施策は何をされるかということをじっと見ていると、見るべきものがないとは言いません。しかし、どうも小手先の、小さい施策の羅列のような気がいたしまして、ユースホステルを建設するとか、青年の家を作るとかいったような、いろいろなそういう施設を作るとか、何かこまごましいようなことのように見える。もっと大きな、一つ青年対策というものを打ち立ててもらわなきゃならぬ、また、お考えがあるんだろうと思う。何といたしましても、私はこの今の、現時の日本の青年に対する対策の、われわれがまあ御要望申し上げるとするならば、第一は言うまでもなく、完全就学です。もう全部の青年が学び得るという態勢にしていただかなければならぬ。第二は、学び得た者の完全就職、これは完全雇用ということもいいますが、少くとも青年におきましては完全就学、完全就職、私はこれなくして、他のいろいろな、どのようなレクリェーションの施設や、昔で言えばいわゆる青年善導方式のようなことをやりましても、これが大問題だろうと思う。学校が少くて入学の志望者が多ければ、言うまでもなく、落第ということもありましょうが、住宅金融公職をごらんなさい。三べん申し込んで三べんはずれますと、四回目はもうパスする、無審査でパスする。私は青年問題も、三べん学校の入学試験を受けて三べんすべったら、四回目にはもう通していただきたい。それくらい思い切って全部の者を就学させる、学校が少い方が悪いんですから。私は中共に昨年行ってみましたが、中共などは落第というものもありませんし、入学試験というものもやりません。もう全部完全就学、また、青年も全部就職させる。それで各企業会社、そういうものが使わないであふれたものは、国家が責任を持って何かの仕事を授ける。この完全就学と完全就職、つまり言いかえれば、まじめなものが食えるという大筋をずっと通していただいて、その上にいろいろと有益な施策を立てていただくということが私は必要ではないかと思うのです。で、今の青年の気持、青年のありさまから見まして、この問題が私は一番大きな問題であろうと思う。これは一つ総理の十八番の青年対策でございますから、一つ御所見を承わりたいと思います。私は、青年問題が、文部省、厚生省労働省とまたがっている、これは一つ一本にしていただいて、少くとも総理の面接のブレーンといいますか、組織といいますか、青年局というくらいのものがなくては、これは大きな政綱としてお考えになったのにふさわしくないと思うのでありますが、あるいはまた、青年法というがごとき特別立法でも作っていただいて、その施策の法的根拠を持たせていくということくらいまではなさるべきじゃないかと思う。今年はようございます、もう節季になりまして、歳暮でありますから、来年から一つ、どうせこれは捲土重来なさるんでございましょう。今年はずいぶん失礼でございますがエラーもあり、マイナスもあり、そう私は思うのです。失礼でございますが、今の岸さんにあまり岸ブームがわき上らなかったのは、あまり賢こ過ぎて、あまりにそつがなくて、あまりに欠点がなさ過ぎて、強過ぎたからブームが出ない。日本国民は判官びいきですから、先般のようにあちらで打たれ、こちらで打たれ、こぶができてマイナスになりますと、今ごろ岸さんはどうしておられるだろうかと国民が案じられて岸ブームがこれから起きますから、来年は一つ捲土重来なさるでございましょうが、ちょうど年末でもありますから、一つ総決算の意味で、明年の新たなる御決意と青年対策を一つ御披瀝を願って承わりたいと思うのです。
#25
○国務大臣(岸信介君) 山下委員から大へんな御激励をいただきまして、私も大いに気を新たにして、今後施政に当りたいと思いますが、特に青年対策の問題はお話のように、私は何といっても青年に希望を持たせ、また、この青年がはつらつたる意気に燃えて、そして国のため社会のためにその全能力を発揮しようという、この気風がみなぎるように持っていきたいというのが私の念願でございまして、そのためにどういう施策をすべきかというお話につきまして、お話のように、いやしくも就学したい、教育を受けたいという者に教育の均等、そういう望みを果させるようにしなければならないという意味におきまして、実は三十三年度来、従来の育英制度に一つの新しい制度を加えてきておりますが、これをさらに拡充して、今山下委員のお話のように、いやしくも向学の精神があり、また、その力を持っている人が経済的理由とか、あるいはいろいろな家庭の事情等によって、就学ができない者がその望みを十分達することのできるような育英制度も一つ考えてこれを拡充していきたいと思います。
 それからまた、ただ、今お話がありましたが、実は学校の面から見るというと、日本のこれは経済や社会全体の何でありますが、学校の面から見るとなかなか入学試験にパスしない、あるいははなはだしきに至っては、十数倍、二十倍、三十倍というような受験者もある、その中から一定数がとられる。だんだんいわゆる学生の浪人といったようなものがふえていって、四年目には必ず入学できるというふうにもなかなかならないという状況にあることからみるというと、学校が足らないということが二面から言って言えるであろうと思います。また、せっかく大学なり学校を出たにかかわらず、就職ができないのじゃないかということからいうと、今の経済社会の全体から申しますと、学校が多過ぎるのじゃないかというふうな、非常な矛盾した状況にあると思います。これをどういうふうに就職難の状況、入学難の状況、こういうものをどういうふうに調整して、そうして青年の希望なり、はつらつとした元気がこれによってはばまれることのないようにするにはどうしたらいいかという問題は、私は大きな問題として御指摘のように考えなければならない。たとえば、これはなかなかわれわれのように自由主義をとっている国にはできませんが、ソ連等においては、最近あちらを視察して帰ってきた者の話をいろいろ聞いてみますると、中学校を出て高等学校に入るのには、中学校において一定の成績以上のものをとらなければ高等学校に行けない。そうでなければ中学校でもって社会に出て、それぞれの才能なり特徴に応じた仕事につく。また、高等学校を出て大学の教育を受けるというのについては、高等学校でもって何番以上でなければいかぬ。それ以外のものは高等学校限りで実業に入ってそれぞれの才能を発揮する。それで、大学に行こうという者は、今言うように、高等学校で一定の成績以上を得た者は全部大学に入って最高の学問を受ける。こういうふうな制度が行われているやに視察して帰った人が、私に報告した人がありますが、なかなか私どもの方から言うと、そうはいかない。それでなかなか入学が、私どもの選挙区、皆さんもそういう御経験があろうかと思いますが、選挙区の子弟等で大学に入りたいというので、ぜひどこに入れてもらいたいということでいろいろと頼まれる。ところが、そういうのに限っていなかにおいて相当な資産もあるんだけれども、学問はなかなかそれに伴うだけにできておらぬ。入学がなかなかむずかしいのに、せっかく入学したが、学校に入っている間に相当な学費は使っているが、あまり勉強の方は成績を見るというといい成績でもない。そうすると、今度は就職が非常にむずかしいというような事態もあるのであります。私はここでそういう人の向学心、大学に入ることをやめたらいいだろうというふうに簡単には考えませんけれども、やはりもう少し社会的の考えとして、一つ、学校へ入って就学することが唯一の学問の道であり、その人の志を伸ばす道であるというふうに国民全体が考えずに、やはり父兄の方からいえば、その子弟の才能に応じ、最も適したところの方向にその才能を伸ばすというようなことがむしろ望ましいのだというふうな気風ができてくることが、ほんとうにまじめに、今お話のように就学して、そうして自分の学問を勉強していこうという人々をしてその志を伸ばしめ、また、それだけが世の中の役に立つのじゃないので、それぞれの才能で働いていくことが国の建設に役立つのだというふうな気風をさらに作っていく必要があるだろう。また、東京の学校もずいぶんありますが、東京の学校だけにみんな入ってくる。地方の大学等においてはずいぶん募集人員にも足りないというようなところがあるようであります。こういう点に関しましても、これはやはり国家の施設として、東京にすべての文化施設を集中しているということをも改めていかなければなりませんが、国民の気風としても、やはりそれらの点をもう少し、ただ東京にあこがれるということでなしに、考えるというふうな気風も作っていかないというと、今の矛盾はなかなか解決できないのじゃないか、こう思っております。いずれにしても今お話のように、就学したいものが非常にたくさん浪人しなければならない。また、就職難で、せっかく学校を出た人が就職難にあえぐというような事態、これはどうしたって、経済を繁栄させ、就職の機会を多くするということが必要であり、あるいはその意味において、国において云々という話もありましたが、国家におきましても、公共事業等を拡大していって、その就職の機会を多くしていくという方法を講じていく必要があるだろう。さらに、私は希望を与える意味から申しますというと、青少年に国際的の知識を大いに啓発して、それには、あるいは海外へ旅行したり、あるいは青年を交換するというような制度も拡充していって、国際的の見地から、自分たちの活動の範囲が、ただ日本の従来の本土だけじゃなしに、全世界において、われわれが、あるすぐれた才能を持っておるならば、至るところに行って、自分たちの活動をし、そうして世界の平和や文化に貢献できるのだというような気風を作りていく、眼を国際的に開かしめることも大いに希望を与える意味から考えていくべきじゃないか。いろいろ考えておりますが、特に来年は、先ほどお話がありましたように、青年のあこがれであるところの皇太子殿下の御成婚の年ですから、私は特に青年問題については、一つ何らかの青年が希望を持つような施策をしたいと思って、実はいろいろと思いをめぐらしておるところでございます。
#26
○委員長(久保等君) 時間もあまりないようでありますから、御質疑をなさる方も、御答弁も一つ簡潔にお願いしたいと思います。
#27
○藤田藤太郎君 私は総理に、社会保障の問題について、先ほど総理は、社会保障制度を進めていく柱は医療制度と年金制度だ、ここへ力を入れていきたい、こういう御答弁があったと思う。特に力を入れるとおっしゃるなら、それじゃ問題は内容の問題に入っていかなければならぬと思う。そうすると、年金問題を一つ取り上げてみても、いずれの職業を問わず、その社会の中で貢献していって、老後の生活を守るには、どれだけ金の面からすれば費用が要るか、そういうところに私は理想をおいて、順次、段階的に努力して、到達するように私はしなければならぬと思う。医療制度にしても私はそうだと思うのです。今、被用者保険と一般の保険、国民健康保険というのと、大体二つの柱で進んでいくわけですから、そうなれば、健康で働いているときに、能力に従って保険料といいますか、保険税といいますか、そういう負担をすれば、病気になったときには、全部個々の負担なしに、その病気がなおしてもらえるというところに私は到達しなければならぬ。今日、欧米の先進国と言われている国においては、二つの制度が社会保障の柱としてある。年よりになっても食っていける、病気になったときには、無料でその病気がなおしてもらえるという具体的施策が実現している。だから、私は今度の国民健康保険で五分を上げられて、そうしてその面においては前進をいたしました。しかし政府の出しておられる厚生白書から見ても、たとえば昨年度の調査で、その日の生活に困っているボーダー・ラインの人が千百十三万人もおるということです。保険料をかけるのに非常に負担になるでしょう。または治療費の半額を持つというのが払えないという人もたくさんあると思うのです。こういう問題を少くとも解決するのだという意欲が出てこないと、私は今、岸総理がおっしゃられたように、社会保障の柱である年金制度、医療制度の確立をしようとされても、具体的に実らないのじゃないかと私は思うのです。そういう問題を取り上げてみますと、私は、またまだ私たち社会党は、少くとも国家の負担を三〇%にして、一段階であるけれども、漸進的に医療給付七〇%をこの保険が持って、第一段階を踏み出すべきだという主張をして参りました。しかし、その医療給付の二割の負担の問題については、一応五分だけ国家の補助をふやすごとに努力をされました。しかし、そういう工合にして医療給付で、やはりその保険でもって無料でなおしていくという意欲が、私は形の上では前進さすのだと言われますけれども、どうも欠けているような気がする。
 今後この二つの社会保障制度の柱を進めていくのに、岸総理はどういうお気持を持っているか聞きたい。
#28
○国務大臣(岸信介君) 医療保障のこの健康保険の制度も御承知のように国民健康保険と二つになっておりますが、まず、われわれ第一段にやらなければならぬことは、国民のうちに健康保険制度の恩恵を受けない、これに加入していない数千万人の人がある。これをまず年次的に立てて、そして三十五年度までに全部の国民を一人残らずこの保険制度に加入せしめる。これが第一の私どもの現在のものとしては目標に考えております。同町に給付内容を改善していき、国家が、今お話のように三割の負担をしろという社会党の御主張でありますけれども、私どもは従来の二割にさらに五分程度のものをまず増加して、そして二割五分程度で今日のあれとしてはやっていく、もちろんこの社会保障制度は、先ほどもお答え申し上げましたように、内容を完備して、充実していくという上におきましては、国の財政負担というものが、それだけかさんでいくわけでありますから、財政とにらみ合せてやらなければなりません。その財政がそういうことを可能ならしめるには、どうしたって経済、廃業の発達及びその拡大というものを基礎において、そして財政を豊かにし、それによってこの内容を充実していく、こういう以外には道がないと思います。もちろん私どもは現存の何で十分であるとか、あるいはこれでもって能事終れりというような、そんなイージーな考え方は持っておりません。従って、その給付内容にいたしましても、また、財政の許す限り、国家の全面的な負担を増加していって内容を充実することは当然考えなければならぬ、このように思っております。
#29
○藤田藤太郎君 私はこの医療制度の中で、健康保険の問題を一つ申し上げておきます。昨年の健康保険の一部改正のときに、患者に一部負担をさせました。そのかわりに政府管掌の健康保険を充実するため、政府は三十億の負担をもって政府管掌の健康保険を盛り上げていくのだ、こういう約束をされた。ところが制限診療その他で保険経済が少しよくなると、国家の負担だけさっさと引き揚げて、一部負担だけはそのままにしている。ここに非常に国民に対して信義を裏切るような問題が出ているわけです。だから総理は、私はこれを突き詰めて申し上げませんけれども、こういう問題が具体的に保険の中に出てきているわけです。だから社会保障制度を進めようとなさるなら、私は国民の生活、国民の健康をどうしても守っていく、こういうときに、このもろもろの施策を進めるときには、約束されたことは、やはり信義を裏切らないように私はしてもらいたい、これを一つ申し上げておきたいのであります。いずれまた具体的の問題については、担当大臣その他と私は質疑をして明らかにしたいと思いますけれども、こういうことをよく総理大臣も知っておいてもらいたい。
 それからもう一つ私がこの際、総理にお聞きしたいのですけれども、今、青年の問題が出ました。この前の三十三年度の予算成立のときの予算委員会に雇用、就労の問題が出て参りました。ここで何といっても、労働大臣の言を聞きますと、労働者を守る、その基礎の上に立って国家の予算、経済政策を立てるのだということを言われる。言われたけれども、その経済政策から出てくる、たとえば雇用政策を見てみますと、今年度の当初において四十五万人、中小企業や農業、非常に困っているところに、数字だけ、自家就労だけというような格好で帳面を合せるというようなことであっては私はいけないと思う。もう少し、来年度の予算を作られるために営々としておられるときですから、ことに労働大臣が私たちに、また国民に訴えているように、働くものの保護、その上に国の経済政策を立てる、だれが見ても、はっきりした雇用政策の中で、いつも唱えておられる完全雇用という道を踏むのだといわれるならば、だれが見ても、これだけは失業者だ、今の労働調査から見ても五十何万というものが実際に失業しておる。なお私たちから見ると二百万をこえると思う。そういうことのないように、きちっと雇用対策を立てて、今度の予算を立ててもらいたいということを私は申し上げておきたい、御所見があったら承わっておきたい。
#30
○国務大臣(岸信介君) 私は予算の編成に当りましても、また経済政策の基本においても、特に日本のこの状態から考えますというと、雇用政策というものは非常な重要な、今、藤田委員が御指摘になったように、非常な重要な問題だと思います。従いまして、今後のこの日本の安定した基礎の上に経済の拡大をはかっていく、成長をはかっていくということを言っておりますけれども、その成長率をどういうところを目標として経済を発展せしめるか、また、それを財政的に裏づけるかという点をきめる場合におきましても、この雇用の状況及び雇用政策の上に、どういう効果があるかということが非常な大きな私はファクターだと思います。そういう意味において、来年度の経済の見通しを経済企画庁で作りました。これを基本にして来年度の予算を編成するわけでありますけれども、同町に、政策的にただ単純な見通しだけじゃなしに、雇用政策に頭をおいた一つの経済政策なり、財政の予算の編成ということを考えなければならぬというような考えのもとに、今予算の編成に当っております。
#31
○坂本昭君 簡単に二点お伺いしたいと思います。
 第一点は、御承知の通り、きょう新しい国民健康保険法案の最後の審議になっておりますが、昨年の健康保険法の一部改正と、それから今回の新しい国民健康保険法によりまして、実質的に日本の医療保障というものは、基本的な路線がこれで完全にしかれるということになります。ところが三十年間の日本の医療の歴史を振り返って見るというと、従来の医師、医者の個人的な能力、あるいは技術、あるいは医学の進歩といったものに基いて医療というものが行われてきておったのが、この皆保険の医療制度になりますと、保険経済、保険財政、こういう経済的な基盤の上に立つ要素が非常にふえてきたのであります。従って古い医師法、あるいは医療法こういったものに対しても当然新しい改訂が加えられなければならないし、また、今回のこの国保法案の審議を通して全委員が一致して感じたことは、今度の法案は、そういう古い医師の個人医療という面と、それから保険経済という面、そういう二つの矛盾が非常に満ち満ちているという点が指摘されておるのであります。このことにつきましては、これは総理というよりも、むしろ社会保障の大政策を掲げておられる自民党の総裁として特に検討していただきたい点が二つあります。その一つは、厚生省というものの組織自身が非常に無理な要素を持っておる、そうしてこの役人にまかしておいても、とうていこれは変えることはできないと思うのです。役人はどうしても自分の繩張りなり、伝統を守ろうとします。むしろ自民党として、この厚生省の改組あるいは社会保障を推進するために必要な新しい措置、そういったことがどうしても必要じゃないか、そのために総裁としての大きな決意が私は必要だと思う。その点が一点と、それからもう一つ、これは当社会労働委員会のことになりまして、当然われわれ議員がきめるべきことでありますが、国民年金の問題あるいは健康保険の問題が出てきますというと、いよいよもって厚生関係の仕事がふえてくる。従って社会労働委員会は二つに、労働と厚生に分けなければならない、もちろんこれはわれわれがきめなければならないことですが、自民党の総裁としては、当然これについて、社会保障を大きく掲げられるならば、当然これに対する強い指示をしてしかるべきだと思う。ただ従来、院内において問題になった点は、必ず防衛委員会を一つ新設してもらいたい、防衛委員会とそれから社会労働委員会の分離の問題がいつも抱き合せに出されてくる。これははなはだ私は総理であり、総裁であるところの岸総理としては、社会保障の面から言いますと、意に沿わない点があるのではないか。ほんとうに社会保障をやられようとするならば、何も防衛委員会のことなどは問題を別個に、一大決意をもって二つに社会労働委員会を分けるような政策的な指示をなさることが至当ではないか、まずその点をお伺いいたしたいと思います。
#32
○国務大臣(岸信介君) 厚生省の機構の問題についてでございますが、実は今、坂本委員の御指摘のように、社会保障、厚生省の仕事の、何といいますか、意義というものをはっきりする意味で、あるいは厚生省というものを社会保障省として、それにふさわしいような構成を持ったらどうだという意見がございます。これは私は相当傾聴すべき意見であると思います。ただ、行政組織全般の問題につきましては、実は自民党といたしましても行政制度の委員会で、当院その他議院外のものの参加をしてもらいまして検討いたしております。政府としても研究をいたしておりますが、党としてもそういう問題に関連して、この問題を根本的に検討いたして参りたい。
 それから委員会を二つに分けたらどうだというお話しでございますが、これはたしか元は分れておったのを合わしたような沿革もあるのじゃないかと思うのでありますが、これは事実上いろいろな御審議を願うあれからいうと、労働の問題と社会保障の問題と全然無関係というわけではないが、関係のあるものもありますけれども、相当やはり意味が違っているわけであります。そうして労働関係におきましても、あるいはまた社会保障関係におきましても、和平に御審議を願う題目なり、あるいは法案、案件というものが重なってきておりますので、あるいは事務的の立場から言っても、これを二つ合わしておくことは無理じゃないかという意見もございます。ただ、参衆両院の委員会の制度の問題になりますと、これはわが党だけが一つとして考えるという問題でなしに、議運その他において御研究を願わなければならない問題である。私は決して私自身の頭でもって、防衛委員会とこれの問題を不可分の関係だとは思っておりません。しかしまた別の意味において、内閣委員会というものの実際の扱っている事務のあれからいい、また、防衛庁予算というものが一千数百億に及ぶようなものであり、防衛問題についてもいろいろと根本的に検討しなければならない問題があるから、この委員会も別にすることがいいんじゃないかという議論もあるようでございます。しかし、この両者は本質的に関係のある問題じゃございませんから、やはり議運におきまして、それぞれその必要があるかどうかということを十分一つ、衆議院においては社会党と自民党におきまして、また、参議院におきましては参議院の議運を構成されておる諸団体、政党の間で十分一つ検討してもらいたいと思います。
#33
○坂本昭君 もう一点お伺いしたい点は、先ほど山下委員もちょっと触れましたが、汚職の問題で、御承知の通り東京都の保険課長が保険汚職のために、約七百万円のために検挙せられたということがありました。このことについては、本国会の最初の日に当委員会におきまして厚生大臣から説明があったのであります。しかしながら、厚生当局が、この保険汚職について深刻なる反省と自粛の気持に、どうも欠けているのではないかというふうに感ぜざるを得ないのであります。御承知の通り、現在のこの厚生省で扱っている、特に保険局で扱っているたとえば厚生年金の積立金は二千数百億であります。それから健康保険あるいは国民健康保険だけを合わせましても、これはやはり二千億をこえるのです。言いかえれば、この年金と皆保険を合わせると四千数百億から五千億になる。いわば日本の財政投融資の一カ年分が、この年金と保険で使う金にほぼ匹敵しているわけです。これは非常に私は重大な事態だと思うのです。先ほど来経済立法、日本の医療制度が変ってきたということを非常に指摘して申し上げたのですが、こういうふうな多額の金銭を直接に扱うような状態になっておるにもかかわらず、この保険汚職というものが、続発とは申しませんが、かなり多発している。それに対して、厚生当局が責任を私は回避していると思わざるを得ないような処置しかとっていない。これはこの年金と皆保険を推進するために非常に私は重大な時期でありますから、三悪追放を言っておられる岸総理とせられては、この保険汚職については徹底的な私は処置をしていただきたい。私は厚生省のお役人を個人的にやっつけろということではないのです。それよりもむしろ今あるところの行政管理庁、あるいはその他の機構を全面的に利用して、なぜこういう悪い点が行われているか、それを徹底的に摘発しておかないというと、来年から行われるところの皆年金と皆保険のこの金銭の取扱いの上において重大なる迷惑と混乱を国民に与えるのではないか、そのことを非常に心配しますので、特に総理の御所見をいただきたいのであります。
#34
○国務大臣(岸信介君) 御指摘のように、このたび厚生省の保険に関する出先の機関ですかに汚職の問題がありました。このために、特に保険行政全般について綱紀が弛緩しているのではないかという疑惑も起っておりますので、私自身としては、これは厳重に一つ厳正な検討をし、そういうはなはだ遺憾でありますけれども汚職の疑いを受け、もしくは汚職の事実のあった人に対しましては厳重に処分すると同時に、平が起ってきた原因なり、将来に向ってそういうことが再び繰り返されないというふうな制度、人事、運営等について、特に厚生大臣にも注意を喚起いたしておりまして、厚生大臣もその意味においてこれに対処しておるのでありますが、もちろん今おあげになりましたように、特に保険行政については多額の金を扱う、職責上扱うことになるのでありますから、他の面におきましても当然綱紀粛正、汚職の問題をなくさなければなりませんが、特に責任を明らかにし、こういう問題に関して間違いを起さないというような仕組みなり、人事について特別に私は配慮する必要がある。十分に一つ、起りました事態につきましては、はなはだ遺憾でありますが、法規の命ずるところによって厳正に処罰すると同時に、将来においてそういうことを繰り返さないように、機構、運営、人事等について十分に一つ留意して参りいたいと思います
#35
○坂本昭君 厳重にやって下さい。
#36
○竹中恒夫君 この機会に総理にお伺いしたいのですが、昨年も私御答弁をいただいたのですけれども、私の質問の趣旨を取り違えられたような点がありましたので、時間的な関係で、そのままになってしまったのですが、ただいまの御答弁の中で、社会保障の二大支柱は所得保険としての年金と医療保障、皆保険という。全くその通りなんですが、私は医療保障について非常に心配をいたしています。その点をお聞
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト