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1958/03/12 第31回国会 参議院 参議院会議録情報 第031回国会 社会労働委員会 第15号
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1958/03/12 第31回国会 参議院

参議院会議録情報 第031回国会 社会労働委員会 第15号

#1
第031回国会 社会労働委員会 第15号
昭和三十四年三月十二日(木曜日)
   午前十一時三分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
三月十一日委員重政庸徳君辞任につ
き、その補欠として横山フク君を議長
において指名した。
本日委員光村甚助君辞任につき、その
補欠として藤原道子君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     久保  等君
   理事
           勝俣  稔君
           柴田  栄君
           木下 友敬君
           常岡 一郎君
   委員
           有馬 英二君
           草葉 隆圓君
           紅露 みつ君
           斎藤  昇君
           谷口弥三郎君
           西田 信一君
           横山 フク君
           小柳  勇君
           藤田藤太郎君
           光村 甚助君
           竹中 恒夫君
  衆議院議員
           八木 一男君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 坂田 道太君
  政府委員
   総理府総務長官 松野 頼三君
   総理府総務副長
   官       佐藤 朝生君
   総理府特別地域
   連絡局長    石井 通則君
   厚生大臣官房長 森本  潔君
   厚生大臣官房審
   議官      小山進次郎君
   厚生省児童局長 高田 浩運君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○南方同胞援護会法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○児童福祉法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○国民年金法案(内閣送付、予備審
 査)
○国民年金法案(衆議院送付、予備審
 査)
○国民年金法の施行及び国民年金と他
 の年金等との調整に関する法律案
 (衆議院送付、予備審査)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(久保等君) これより社会労働委員会を開きます。
 委員の異動を報告いたします。三月十一日付をもって重政庸徳君が辞任し、その補欠として横山フク君が選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(久保等君) 南方同胞援護会法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。
#4
○政府委員(松野頼三君) ただいま議題となりました南方同胞援護会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
 御承知のように、南方同胞援護会は、沖縄、小笠原等の南方地域に関する諸問題の解決の促進をはかるため必要な調査研究及び啓蒙宣伝を行うとともに、同地域に居住する日本国民に対し援護を行い、もってその福祉の増進をはかることを目的として、一昨年の九月に特殊法人として設置され、現在、南方地域に関する諸問題についての調査研究及び定期刊行物等の発行、講演会等の開催その他必要な啓蒙宣伝並びに南方地域に居住する日本国民に対する援護等の業務を行なっておるのであります。
 ところで、南方地域のほか、終戦以来、ソビエト社会主義共和国連邦により占領され、事実上その支配下にある北方の地域に関しましても、調査研究、啓蒙宣伝その他南方同胞援護会が現在行なっている業務と同じ種類の業務を行い、その解決の促進をはからなければならない諸問題があるのであります。
 そこで、南方同胞援護会が、当分の間、南方地域に関する業務のほか、北方の地域に関する業務をもあわせ行うことができるようにいたしたいと考えますので、その根拠法である南方同胞援護会法の一部を改正する必要があるのであります。これが、この法律案を提出する理由であります。
 次に、この法律案の内容を御説明申し上げますと、現行の南方同胞援護会法の附則に新しく、業務に関する暫定措置として一項を加え、南方同胞援護会は、当分の間、北方の地域に関しましても、同会が行なっている南方地域に関する業務と同種類の業務を行うことができることにしたことであります。
 なお、北方の地域の範囲は、政令でこれを定めることにいたしております。
 以上、この法律案の提案理由並びに概要を御説明申し上げましたが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに可決されますよう、お願い申し上げる次第でございます。
#5
○委員長(久保等君) 次に、政府委員から本案の細部説明を聴取いたします。
#6
○政府委員(石井通則君) ただいま南方同胞援護会法の一部を改正する法律案について、提案理由及び概要の説明がありましたが、私からこの法律案の補足的説明をさせていただきます。
 この法案は、南方同胞援護会が、当分の間、南方の地域に関する業務のほか、北方の地域に関する業務をも行い得ることといたすのでございまするが、北方の地域といたしましては、政令で、現在のところ、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島及び内閣総理大臣が定めるその他の北方の地域とするような案を考えております。
 次に、北方の地域に関する業務といたしましては、さしあたり、たとえば領土の復帰とか、元島民の帰郷とか、その他いろいろ北方地域に関する諸問題に対しまして、調査研究や、啓蒙宣伝あるいはまた島民の戸籍、生活状況その他の実態の調査をいたしまして、北方に関する諸問題解決の資にいたしたいというように考えているのでございます。
 次に、これらの業務を、当分の間、南方同胞援護会に行わせることにいたしたのでございますが、現在同会は、沖縄、小笠原に関する各種の業務を行なっており、これらの地域にやや類似する北方の地域の業務に関しましても、同会において行うことが最も適当であると考えて、この法案を立案いたしたような次第でございまして、当分の間といたしましたのは、この北方の地域に関しまして、まだソ連との平和条約が締結いたされず、その地域についてまだはっきりとした決定がありませんので、今後の情勢を勘案いたしまして、さらに検討するということにいたし、さしあたり、暫定的に同会においてとり行うこととするのが適当と考えたのでございます。
 なお、これらの北方の地域に関する業務に要する経費といたしまして、南方同胞援護会に対する補助のうち、明年度におきましては百五十万円を予定いたしているような次第でございます。
 簡単でございますが、補足的説明といたします。
#7
○委員長(久保等君) 御質疑を願います。
#8
○木下友敬君 けっこうなことに思うのですが、小笠原と南千島には現在邦人はいないのではないかと思いますが、たとえば小笠原に帰りたいという同島出身の人がたくさんおってそれに対するいろいろの処置がなされておると思いますが、その実情を少し説明してもらいたい。
#9
○政府委員(石井通則君) ただいまの御質問でございますが、小笠原に関しましては、終戦前、軍の疎開命令によりまして全部本土に引き揚げて参りました。終戦後になりましていわゆる欧米系に祖先を有する人たちだけ百三十五名を小笠原の方に帰島許可いたしましてそのほかの大部分でございますが、七千七百名はまだ本土に居住いたしておるような次第でございまして小笠原の問題といたしましては、本土におりまする掃民がなるべくすみやかな機会に小笠原の方に帰島いたしたいというように要望いたしておりまして、この問題に関しまして、あらゆる機会において、外務省を通じてアメリカ側と話し合いをいたしておるような次第でございます。北方地域も、終戦後しばらくの間、その地域の日本人が居住いたしておりましたが、ソ連の占領後、逐次本土に帰国を命令されまして、二十三年ごろにはその全員が本土に帰り、その大部分が北海道に居住いたしておるような次第でございます。
#10
○木下友敬君 小笠原に帰ったのは百五十名ですか、百三十名。
#11
○政府委員(石井通則君) 百三十五名です。
#12
○木下友敬君 そうしますと、あとに残っておるのが七千七百だそうでございますが、第一に伺いたいのは、その当時、百三十五名帰した当時は、もっとたくさんの人が帰りたいと申し出たものの中から百三十五名だけ許されて帰ったのか、当時これだけが帰りたいと言って申し出た者が百三十五名で、全部が許可されて帰ったのであるかということと、それから現在七千七百おる者は、全部が帰りたいと言っておるのか。その中の一部分はやはり内地で暮しておるのもいいというように考えておるのか。それから内地へ残っている人の生活状態がどういうふうになっておるか、これに対する援護の概況はどうであるかというようなこともあわせて話して下さい。
#13
○政府委員(石井通則君) その当時におきましては、島民のほとんど大部分が帰島を希望いたしましてGHQその他いろんな方面に陳情いたしておったような次第でございます。その中から、また別途いろいろいたしておったようでございまして、百三十五名だけが許可されたような次第でございます。現在のところ、東京都、神奈川、静岡、その他各府県に散在いたしておりますが、いろいろ島民の要望その他につきましても、適当の機会にときどき調べておりますけれども、現在、私どもが聞いておりますところによりますと、直ちに帰属いたしたいというような者は、そのうちの三分の一か四分の一くらいで、その後、逐次帰島したいというような、いわゆる帰島希望者が大部分であるというふうに考えております。なお、小笠原島民の援護に関しましては、これが本土に居住いたしております関係から、一般の援護につきましては、従来の日本本土に居住しておる者と同様に、生活保護その他の援護が行われておるわけでございますが、小笠原の島民が、いろいろ生活に窮しておるということと、また、平和条約におきましては、小笠原については潜在主権を持っておってそしていわゆる小笠原のありまする土地等は、まだその所有権を失っていないという建前をとっておりまする関係から、土地を失ったといいますか、その権利を行使できないというような立場から、講和発効前の損失等を考えまして、見舞金として千七百万円ばかり政府から支給いたしました。それから講和発効後に関しましては、アメリカと交渉いたしまして、もしアメリカからもらえるという場合におきましては、国庫に返すということで、二年間にわたって一億四千万円を見舞金として支給いたしたような次第でございます。
#14
○木下友敬君 内地で暮しておる小笠原島民の生活の状態は、もう少し詳しく把握されておるのですか。あるいは、さっきのように、三分の一か四分の一が直ちに帰りたいというようなふうだというようなばく然としたことですか。その中の何人が生業についておるとか、どれくらいは生活保護で保護されておるとか、もっと何とかしなければならないというような、何かきちんとした資料ともなるべきようなものが、たとえば本省においても、あるいは南方同胞援護会の方でも、どちらでもいいから、そういうものがありますれば、見せてもらいたいと思うのですが、どうです。
#15
○政府委員(石井通則君) 小笠原島民の生活状態につきましては、終戦後、小笠原帰島促進連盟というのがときどき調べておりました。政府におきましても、昭和三十年に、帰島希望あるいは戦前の生活あるいは戦後の生活等を一応調べたのでございます。いろいろな資料を持っておりまするが、ここに手元に今数字を持っておりませんので、また、別途あるいは数字的なことを資料として差し出すことは可能であると思います。
#16
○木下友敬君 それでは、あとで参考となる資料を一つ見せていただきたいと思いますのと、いま一つお尋ねしておきたいのは、南方同胞援護会の会計の状況ですね。予算、決算の状況、これは、発足したのは三十二年の九月だったと思いますが、その九月一日からその後の会計の状況ですね。国からどれくらい出て、それからほかからどれくらい行っている、どういう方面にどう使ったというようなことの概況を一つ説明していただきたい。
#17
○政府委員(石井通則君) 南方同胞援護会の予算、決算の細部につきましては、現在手元にございませんが、昭和三十二年の九月に発足いたしまして、その年の国庫補助金は千万円でございます。それから昭和三十二年度におきましては、収入決算の方は一千三百二十万四千八百一円でございまして、支出決算は七百二十五万三千六十五円となっておりまして、その残りの五百九十五万一千七百三十六円を、新しく発足しました予算に組み入れました。三十二年九月一日から三十三年三月三十一日までの決算は、収入におきまして二千百七十三万七千九百二十円、支出決算は二千八万五百七十七円になっておりましてその残額を翌年度に繰り越しております。これに対しまして、政府の補助金は千五百万でございます。三十三年度は現在決算進行の途中でございますが、政府補助金は一千三百万でございます。それから新年度の補助金の予算は千四百万円を予定いたしております。
#18
○木下友敬君 三十二年の九月から三十三年の三月三十一日まで、収入が二千百七十幾ら、その中には千五百万の政府の補助も入ってですか。
#19
○政府委員(石井通則君) この政府補助金の千五百万と申しますのは、財団法人時代からの三十二年度における総補助金が千五百万でございます。そうして三十二年の四月一日から八月三十一日までは、収入決算額が一千三百二十万と、それから三十二年の九月一日から三十三年度末までの収入決算総額が、二千百七十三万というような数字になっておりまして、いわゆる総額三千万円をこしておるわけでございます。その三千万円に対して前年度にわたって千五百万円を補助したわけでございますので、残りの千五百万というのが、各方面からの寄付金になっております。
#20
○木下友敬君 ああしまった、こんなの聞くんじゃなかったと思います。何かごたごたして頭が悪いからほんとにわかりにくい。これはあとで、一つはっきりバランス・シートくらいは作って見せてもらわぬと、この法案の北を南の中に加えるということ、これはわかるのですよ。しかし、政府の補助金が入っているような、こういう問題で、そこで相談してごたごた検討――検討されるけれども、一々ここへ書いてみましたけれども、わからぬですよ。何とか文句が言いたいけれども言えぬのだ、こっちがわからぬから。おそらくあなたの方でもあまりはっきりしていないだろうと思う。大体実際文句を言えば、南を北の中に加えるというのも大体おかしいのですよ。はっきり南方とあるのを今度は土方に入れるのだ、南方を北方に入れかえるというならいいけれども、白を黒と言ったり、黒の中に白を入れますという、こういう言い方、それはおかしいと思う。今の会計を聞くとなおさらおかしい。やっておられることには敬意を表しますよ。また、必要なことである。いやしくも国会に対するならそれくらいの資料の提出  会計はこういうふうになっております、援護の状況はこうである、こういうふうに金を使いました、それくらいのことは説明しない限りね。ただ、北を南に加えますというような議案の説明だけでは、僕は納得いかない、きちっと説明して下さい。
#21
○政府委員(石井通則君) 南方同胞援護会が財団法人としてできまして、昭和三十二年の議会で、自民党、社会党の議員の方々の共同提案で、南方同胞援護会法案が成立いたしたのでございまして、その関係から、三十二年度の南方同胞援護会の決算というものが、財団法人時代のものと、それから法律による法人のものとが分れておるわけでございまして、そこで別々に説明したという非常にまずい説明を申し上げましてまことに申しわけなかったと思います。財団法人時代の一千三百二十万円の決算とそれから法律による法人になりましてからの決算とが分れておりましてその年度におきまして、その決算といたしましては三千万円をこしておりまして、その年度の国庫補助といたしまして千五百万円を支給いたしたのでございまして従って前年度に前の財団法人にさしあたり補助した分の残った金の――寄付金も入っておりますけれども、五百万円というものが新しく法人に引き継がれた、こういうような格好になっておりますので、ちょっと決算が少しごたごたしておるような状況でございます。
#22
○木下友敬君 私は、千五百万円政府から出、三十三年度千三百万円、三十四年度は一千四百万、これは決して多い金でもないし、惜しいとも思わない。もっとよけい出してでも援護してあげるのがいい。小笠原島の島民の方が帰りたいという希望、熱願、これは非常に強いもので、あなたの考えているようにそんな気やすいものではなくて、何とかして自分の生まれた所、自分の住みなれた所に帰りたいということを非常に希望されておる。私もそういう方々に直接会って知っている。しかし、今の御答弁の内容のような考え方では、あなた方のやっておられることは、その島民の方々のそういう熱意、悲願にこたえていないと思う。ほんとうにそういう島民のためを思ってやっておられるなら、もっとこの国会に提出するときにはっきりした考えを述べられるだけのふだんの心がまえなり準備があるわけです。ぽかんと出てきて、この法案をここに出せばすらすらと通るのだというような気持で、実際に島民の方にはこれだけのことをしております、島民の気持になって仕事をしておりますというような感覚を僕は受け取れない。あなたの肌から、あなたの体臭からそれが出てこなければいかぬ。僕ら何も、一人の役人がきてこれを説明して、そうして委員会の承認を得て帰ったというだけの印象では、そんななまぬるんだ委員会だと思ってもらっては困る。所信を表明してもらいたい。
#23
○政府委員(石井通則君) 沖縄の問題並びに小笠原の問題につきましては、私長くお世話いたしておるような次第でございまして、私はこの仕事のためにほんとうに熱意をもってやっておるような次第でございます。沖縄に関しましても、あるいは恩給法とか、軍人遺家族援護法とかいろんな道を開きまして、島民の生活のためにあらゆる努力をして参っております。小笠原に関しましても、絶えず外務省と協力いたしまして、小笠原の島民の要望につきましてはアメリカと交渉もいたしております。また、国内におきましては、先ほど申しましたような見舞金等を大蔵省と交渉して出しまして、また、それによって現在、小笠原島民は全島民を株主といたしました小笠原漁業株式会社を作りまして、小笠原島民の自力更生に一生懸命にやっております。私どももその島民の要望にこたえまして、私どものできるあらゆる力を注いでおるような次第でございまして私ほんとうにそのために全力を尽しておるというふうに申し上げても過言ではないと思っております。どうかその気持をおくみとりいただきたいと思います。
#24
○木下友敬君 あなたがそれほど一生懸命にやっておられ、それから援護会の方々もこの非常に尊い仕事に打ち込んでおられることには敬意を表します。あなたが一生懸命やっていないというようなニュアンスの言葉を使ったことは言い過ぎだったように思いますが、それは思うけれども、それならば、私はまだ言い分がある。あなた一生懸命やっておるけれども、ここで私が今までお尋ねしたことについて十分お答えができぬというような状態は、一生懸命やっていることは認め、私の言い過ぎは考えるとしても、国会に提出するときにそんな心がまえでこられたということは、むしろ私は一方からいえば国会を軽視しておると思う。もう少し今度は、小笠原島民にそれだけ一生懸命やっておるならば、国会にももっとまじめにちゃんと資料を整えて、納得いくように準備をしてきてもらいたい。そうでなければ委員会を軽視しておりますよ。将来その点は十分考えて国会に提出し説明するときは、もっとよく準備をして、納得のいくようなことで臨んでもらいたいということを私希望して私の意見をやめます。非常に遺憾に思う。
#25
○藤田藤太郎君 私も今の説明ではどういう活動をしておられるかということがよくわからぬ。少くとも政府の補助が一千五百万円も出てそうして経理の内容がここでわれわれが聞いてもわからぬ。どういう作業をしてどういうところにどういう金を使ってということもよくわからぬ。私は援護措置をやるのだからたくさんな金が要ると思うのです。たくさんの金は堂々と要求されたらいいと思う。しかし、今のような国費を使う上において、それがこういう状態じゃ国民は納得しませんよ、ほんとうに。私もそれだけ言っておきます。もう言いませんがね。これじゃ国民は納得しません。今のような答弁を速記録で国民が見たら納得しませんよ、実際。あなたの方の熱意のあるところは、今述べられたように、私は敬意を表しますけれども、これじゃ国民が納得しないです。
#26
○政府委員(石井通則君) ただいまいろいろ御指示をいただきましたこと、まことにありがたく御礼申し上げますが、昭和三十二年度におきまする同胞援護事業といたしましては、啓蒙宣伝に四百六十八万六千八百二円使っておりますし、調査研究に二十九万円、それから職業補導事業費に二百五十九万円、小笠原の帰島促進の援助費に三十五万円、それから対外折衝費といたしまして六百五十一万七千五百二十円、そういうような事業をやっておりまして、特にこの対外折衝面につきましては、いろいろなパンフレットを作ったり、あるいはまた、アメリカに役員の方々が出かけましていろいろ交渉する等の仕事をやっておるような次第でございます。
#27
○藤田藤太郎君 今のようなことを一つよくわかるような資料で出していただきたいと思います。
#28
○政府委員(石井通則君) 承知いたしました。
#29
○委員長(久保等君) 速記をやめて下さい。
   〔速記中止〕
#30
○委員長(久保等君) 速記を起して下さい。
#31
○政府委員(松野頼三君) 政府の提出資料がはなはだ不備でございまして、木下委員、藤田委員に対する御答弁に明確さを欠きましたけれども、事業の内容その他御理解いただきまして、この法案を一つすみやかに御可決いただきますよう、なお、この問題につきましては、あらためて当委員会に正確な資料をさっそく提出いたさせますので、本日のところは御可決あらんことを切にお願いいたします。
#32
○委員長(久保等君) 他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見等おありの方は、討論中にお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。それでは、これより南方同胞援護会法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を、原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#35
○委員長(久保等君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。

#37
○委員長(久保等君) 次に、児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。
#38
○国務大臣(坂田道太君) ただいま議題となりました児童福祉法の一部を改正する法律案につきましてその提案の理由を御説明申し上げます。
 改正の要点は、骨関節結核にかかっている児童に対する療育の制度を設けることとしたことであります。
 御承知のように、骨関節結核の療養は非常に長期間にわたるのでありますが、特に児童については、心身の発育途上にあることにかんがみ、適当な生活指導のもとに、医療と教育とをあわせ受けることができるようにすることが必要であると思うのであります。このために、これらの児童を、教育及び生活指導面においても、適切な態勢にある病院を指定してこれに入院させ、医療の給付及び学習に必要な物品の支給を行い得ることといたしたのであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#39
○委員長(久保等君) 次に、政府委員から本案の細部説明を聴取いたします。
#40
○政府委員(高田浩運君) 簡単に説明をさせていただきます。この改正の対象となっております骨関節結核にかかっている児童、当委員会には医学的専門家がおられますので、病気そのものについての御説明は省略させていただきます。いわゆる俗にいうカリエスにかかっている児童、これに対する制度でございます。この児童がどのくらいいるかということでございます。いろいろな資料から推定をいたしまして、全国で約千五百と推定をいたしております。こういった児童は、今提案説明にもありましたように、療養に相当長い期間を要するわけでございまして、国立療養所等におきます統計によりますと、大体平均一年半を入院をいたしておるという状況でございます。こういうふうに長く入院をいたしておりますし、特に児童でありますために、おとなと違った配慮を要することは言うまでもございませんし、それにつきましては、結局学習というものをあわせ行うという態勢をとるということ、それから治療については生活指導が非常に重要なウエートを持ってくる、そういった点を特に考えなければ、病気はなおったけれども、結果的に見れば児童福祉に欠ける、そういうふうな結果にもなりかねないというようなことで、この制度を考えたのでございます。そういう意味で、治療と学習とそれから生活指導というものがあわせ行える態勢でこの療育をはかっていきたいのでございます。
 もっとも、この制度、法律を改正する以前におきましても、事実上、国立療養所等を指導いたしまして、そういった態勢をできるだけ作るようにいたしております。現に約二百人が、国立療養所においてそういった意味の治療を受けている状況でございます。しかし、まあ御承知のように、おとなでありますというと、全額保険で負担ができるという場合もございますが、児童の場合におきましては、よくいっていわゆる半額の場合が、まあいい状況でございますし、今申し上げましたように、非常に長期にわたりますために、費用の上においても相当かさむ、そういった点も考えあわせまして、この公費をもちまして治療費ないし学習に必要な経費を持つ態勢といたしまして、このような態勢で治療ができる施設の増設について努力をして参りたい、こういうような考え方でございます。
 次に、これに要します経費といたしましては、国の予算として、三十四年度において、千四百五十一万三千円を計上いたしておりまして、一応二百九十ベッド分というふうに考えておるわけでございます。結局仕組みといたしましては、公費をもってこれらの治療費及びここに書いてあります学習に必要な物品の支給を行う。しかし、児童のうちには、保護者において相当経費を負担できる者ももちろんございますので、それらの者については、保護者から費用を徴収をいたしまして、負担できない者について、結局実質的には負担できない者について公費の負担になる。その公費の負担については、国が八割の補助、都道府県が二割の負担、そういうふうな負担割合になるわけでございます。
 そういうような目的を持っておるものでございますので、これを収容いたします医療機関は、どこでもいいというわけではございませんで、やはり特定のまあ病院ということになるわけでございますが、これは厚生大臣の指定ということになっております。指定の条件といたしましては、もちろんこの小児結核の専門の病棟、あるいは専門の病室を持っておること。あるいは、カリエスの治療についての専門的な人的あるいは物的な態勢が整っておること。それから、学習ないし生活指導が行える態勢にあること。それから、義務教育を行い得るように、すなわち特殊学級なり、あるいは養護学級なり、あるいは教師の派遣なりというものが、地方の教育委員会等の配慮によってできるというようなこと。そういったことを大体条件として考えておる次第でございます。
 以下、条文は準用等がいろいろ規定をされておりますが、これは従来ございます肢体不自由児等に対するいわゆる育成医療、そういったことに関します規定を、まあ大体準用をいたしておる次第でございますので、詳細の説明を省かしていただきたいと思います。
 それから、施行の期日は、四月の一日からできれば施行いたしたいと考えております。
 あとの、結核予防法でありますとか、それから社会保険診療報酬支払基金法の一部改正でありますとか、そういったことは、ほかの法律の改正は、これは付随する条文の整理でございます。
 大へん簡単でございますが、補足説明を終ります。
#41
○委員長(久保等君) 本案に対する質疑は後日に譲りたいと思います。
 休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時四十九分開会
#42
○委員長(久保等君) 休憩前に引き続き、社会労働委員会を再開いたします。
 委員の異動を報告いたします。
 三月十二日付をもって光村甚助君が辞任し、その補欠として藤原道子君が選任せられました。
  ―――――――――――――
#43
○委員長(久保等君) 国民年金法案(閣法第一二三号)、国民年金法案(衆第一七号)、国民年金法の施行及び国民年金と他の年金等との調整に関する法律案(衆第二六号)以上三案を一括議題といたします。
 まず、内閣提出国民年金法案の細部説明を政府委員から聴取いたします。
#44
○政府委員(小山進次郎君) お手元に差し上げました資料をもとにいたしまして御説明申し上げます。
 お手元に、国民年金法関係資料、国民年金制度関係資料並びに国民年金法案参考資料の三つを差し上げてございますが、このうち国民年金法案参考資料を主として御説明申し上げたいと思います。
 その前に、簡単に、国民年金制度関係資料に掲げてありますところの八つの答申もしくは報告あるいは要綱というようなものについて、それぞれ、それが今回の政府提出の国民年金法案とどういう関係を持っているかということを簡単に申し上げます。
 国民年金制度関係資料の目次のところをごらんいただきますと、そこに、一、国民年金制度に関する答申(社会保障制度審議会)二、年金制度の通算等についての答申(社会保障制度審議会)三、国民年金法の制定についての答申(社会保障制度審議会)四、国民年金制度構想上の問題点(国民年金委員)五、国民年金制度要綱(自由民主党国民年金実施対策特別委員会)六、国民年金制度要綱(日本社会党政策審議会)七、国民年金機構に関する答申(行政審議会)八、国民年金障害等級に関する報告(国民年金障害等級委員)の八つが掲げてございますが、このおのおのについて概略を申し上げたいと思います。
 一の国民年金制度に関する答申は、これはすでに御承知願っておりまする通り、一昨年、内閣総理大臣から、国民年金制度に関する基本的な構想いかんという諮問を受けまして内閣の社会保障制度審議会において、一年間にわたり鋭意検討されました結果、昨年六月答申されましたものでございます。今回の政府案、国民年金法案はこの社会保障制度審議会の国民年金制度に関する答申をおもなる参考資料としてまとめたものでございます。内容につきましてはすでに御承知願っておりまするようなものでございます。
 二、国民年金制度の通算等についての答申はこういう事情で出されたものでございます。ただいま申し上げました国民年金制度に関する答申におきまして、国民年金制度の対象を現在各種の公的年金制度によってカバーされていない人々、言いかえますと、簡単に未適用者と言っておりますが、この未適用者に限るということを骨子とした答申がなされたのでございますが、そういうことになりますというと、国民年金制度に入ります人々と、そうでない人々との間に一つの大きな問題が出て参るわけでございます。この点はすでにしばしば論議になっております問題でございますので、詳しく申し上げることは差し控えたいと思いますが、そういうような穴を埋めますために一体それをどうするのか。その問題についての代案なくして単純に未適用者だけを対象にした年金制度をまとめたのでは、今までありまする十幾つかの年金制度に単純にもう一つ――対象は比較的多くはございますけれども、もう一つ十何番目の年金制度を漫然加えただけのことになりまして、その結果、国民皆年金という理想を達成することにほど遠い結果になるおそれがある。この問題をどういうふうにするかということについて、大体の見通しだけは一つ承知しておきたい。その見通しいかんによって国民年金制度の構想そのものもある程度調整しなければならぬと、こういうふうな事情がございまして、政府側の希望に基いて、社会保障制度審議会において短期間の間に検討されました結果、答申されたものでございます。この答申の骨子はこういうことでございます。年金制度のいろいろなものを渡り歩くような人々は、概していいますと非常に気の毒な人が多いわけでございますが、この気の毒な人々に何らの措置が行われないということになっては困るということは、もう全く議論の余地はない。従って、どんな方法を考えるかは別としてとにかく通算の方法を考えなくちゃいかぬということで論議されたのでございますが、その結果、いわゆるじゅずつなぎ年金あるいは凍結年金といわれる類の年金の通算方式が現在では一審実現性もあるし、また、被保険者のためにも一番ためになる方法である、従って、これをもとにして通算のやり方をまとめたらよろしい、こういう筋の答申でございます。この答申を受けましたので、政府といたしましては、おおむねこの筋に沿いまして、通算問題については、できるだけ社会保障制度審議会の提案しているじゅずつなぎの年金の方式が成り立つように工夫をしてそういう前提で国民年金制度をまとめるということにいたしたわけでございます。
 それから三番目の国民年金法の制定についての答申(社会保障制度審議会)は、これはついこの間、答申をもらったのでございまして、政府案が一通りまとまりました段階において、一月になってから法案要綱を社会保障制度審議会に提出をいたしましてその検討を求めたのでございます。それについての答申でございます。これはさしあたりの御審議を願う場合にいろいろ関係が出て参ると思いますので、念のために朗読をいたします。三十九ページでございます。
 「医療保障と相並んで社会保障の二大支柱の一つである国民皆年金の要望にこたえるため、政府が、ここに、幾多の障害を乗りこえて国民年金制度発足に踏み切ったことについては多とするにやぶさかではない。その要綱に示された案には、拠出制年金を支柱としている点や、母子、障害年金などの内容を向上させていることなどその配意が認められる点も少くない。しかしながら、本審議会がさきに内閣総理大臣の諮問にこたえて答申した基本方策の重要な骨子である無拠出制年金と拠出制年金との組合わせ、保険料の額等において、本審議会と異った立前をとっていることは遺憾である。国庫負担を保険料収入の二分の一としたことは結構であるが、完全積立方式を前提とする財政収支にこだわり過ぎ、社会保険でありながらむしろ任意保険に近い考え方が各所に見られるとともに、社会保障の精神をかなり大幅に後退せしめ、防貧というよりは救貧的色彩が濃厚にあらわれていることは問題である。例えば、無拠出制年金を単に経過的および補充的制度にとどめた如き、また、援護の名の下に年金の受給資格に極めて苛酷な所得条件を附した如きは、その適例である。
 その結果、国民年金制度の必要の最も多いボーダーライン層が、かえってこの制度から閉め出される恐れが多分にある。また拠出制年金に対する保険料の納付を怠ったものには無拠出制年金を支給しないことにしていることも見逃しがたい。ことに、対象者の三割近くは、その納付を免除しなければならないような高額の保険料としたことは、拠出制老齢年金の支給条件として通常の場合二十五年という長期間にわたる保険料の納付を要件としていることとともに、制度の根本に触れ、本審議会の答申と著しく異るところである。したがって政府は、極力本答申の考え方に沿って、適切な修正を行われんことを要望する。なお、保険料の額及び徴収方法などについては、拠出制年金実施までの二カ年間の準備期間において、厳密な実態調査の上、更に検討をかさね、完全積立方式に必ずしもこだわることなく実情に即した措置をとるべきである。」とありまして、以下、幾つかの具体的な意見が述べられているのでございます。
 この答申のうち、取り入れられ得るものは、政府としては努めて取り入れたのでございますが、特に、社会保障制度審議会に問いました要綱と現在御審議を願っておりまする法案との間における大きな違いは、社会保障制度審議会に問いましたときの要綱では、将来補足的な無拠出制の年金を受ける者の範囲が非常に限られておりましたのを大幅に緩和いたしまして、よほど長い期間にわたって、よほど意識的に保険料の納入を怠らない限り、拠出制の年金が受けられないときは無拠出制の年金が受けられるようにするというように改めた点でございます。
 それからまた、目次のところへ戻っていただきまして、第四の「国民年金制度構想上の問題点」といいますのは厚生省に設けられておりまする大臣の諮問機関である国民年金委員が、社会保障制度審議会の国民年金制度に関する答申が発表せられました後、それに対する考え方のおもなものをあげたものでございます。一時は、これがあたかも社会保障制度審議会と国民年金委員との間における大きな対立であるかのごとく伝えられたのでございますが、さような趣旨をもって発表されたものでなく、これらの人々の国民年金制度に対する考え方を述べられたものでございます。中にはいろいろ取り入れるべき点もあるわけでございますが、現在政府が提出いたしておりまする国民年金法案との関係を申しますならば、これに対する影響は比較的薄かったというふうに御了解願えるような性質のものでございます。
 それから、五の国民年金制度要綱と申しますのは、すでに申し上げるまでもないことでございますが、社会保障制度審議会の答申の発表がありました後、公約を実現するため特別委員会が与党の中に設けられ、この特別委員会で約五カ月にわたって御検討になった結果まとめましたものでございます。政府提出の法案との関係を申しますならば政府提出の法案の考え方を基礎づけるような性質のものでございます。
 それから、次の国民年金制度要綱(日本社会党政策審議会)、これも申し上げるまでもないことでございますが、すでに一年以上前から、日本社会党におかれまして、国民年金法案を御提出になっておったのでございますが、その要点を一般に周知せしめ、さらにそれの実施に関する各般の法律の準備を進めておられましたので、その大綱を含めましてまとめられたものでございます。非常に貴重な資料の一つでございます。
 なお、今日御審議を願っておる法案と多少違っておる点はございますが、この資料をまとめましたときは、これよりほかに入手できませんのでしたので、時期はやや古うございますが、昨年の十月のものをまとめて入れておいたのでございます。この点、御了承願いたいと思います。
 それから七の国民年金機構に関する答申(行政審議会)は、内閣の行政審議会におきまして行政機構改革の全般について審議をして参ったのでございますが、その際に、国民年金制度というような非常に大きな制度が実現されることになると、当然これに関連して実施に当る行政機構も整えられなければならぬ、こういうような考え方をいたしまして、行政審議会において政府部内の各方面の意向を徴しつつ、御検討になった結果まとめられたのがこれでございます。この答申があります前までは、厚生省といたしましては、国民年金という制度を統一的に処理いたしまする必要上、中央、地方にわたって国の直轄の機関を設け、国の公務員をしてこれを処理させるということを骨子にした考え方に立っておったのでございますが、この答申がありましたので、それを改めましておおむねこの答申に従いまして、中央における統括事務、企画事務等を処理するために、厚生省に年金局を設けるということだけを国が直接やる組織にいたしまして自余の分は都道府県及び市町村における既存の組織を努めて活用するという筋道に沿って調整することにしたのでございます。その意味におきまして、行政機構なりあるいは事務組織の問題につきましてもとになっておる答申でございます。
 それから八の国民年金障害等級に関する報告(国民年金障害等級委員)と申しますのは現在障害年金についていろいろの仕組みがきめられております。厚生年金保険法にもございまするし、その他各種の年金制度にもあります。また、障害年金ではございませんけれども、障害に対する対策をきめたものとして身体障害者福祉法があるわけでございます。これらの各制度における障害の範囲及び等級はおおむね一致しておりますけれども、しかし、具体的な問題になりますと、ある制度において一級とされておるものが、他の制度において同じ等級区分の中においても二級とされる、範囲が少し違っておるというような不整合があるのでございます。国民年金制度をきめます場合において、これを調整する必要がありましたので、この方面の学識経験者を特に厚生大臣が障害等級委員に委嘱いたしまして、これらの人々にその調整をお願いしたのでございます。その結果得られましたのがこの報告でございまして、この報告は現在までのところ、この種のものについていろいろいわれておりますもののうちでは一番新しいものでございます。従って、これをもとにして、今回は法案の別表等は調整するということにいたしたものでございます。
 次に、国民年金法案参考資料というこの横に長い資料について御説明を申し上げたいと思います。全部で三十六表ございますが、一表からごく簡単に、その表の持っております意味及び内容の概略を御説明申し上げたいと思います。
 第一表の適用対象人口と申しますのは、国民年金制度を考えます場合に、どれだけの人を頭に置かなければならぬかという見通しをつけますためにまとめた表でございます。政府案によりますと、国民年金制度の適用対象は二十才から五十九才ということになっておりますが、この二十才から五十九才までの年令区分に入ります人口を五才刻みにしたものが、ごらんを願っているものでございます。六十から六十四というのが若干ございますが、これは経過的な措置といたしましてこの法律による拠出制の年金が施行されます時期、つまり昭和三十六年の四月一日において五十をこえております人々のうち、五十五未満の人々は、希望すればこの制度の被保険者にするということにいたしておりまして、このようにして入りました任意加入の人々は、十年たちますと、そこで年金の支給資格が完了して年金がもらえる、こういうことになっておりますので、そういう人人がちょうど十年間たつ時期が、四十一年から四十五年までということになるわけでございます。そういう意味合いにおいて、そこだけ特に突き出た形で入っているわけでございます。
 で、ごらん願いますとおわかりになりますように、昭和五十五年という年が、全体を通じて一番適用対象が多くなる年でございます。これはもう御承知願っておりますように、ちょうどこのころが、日本の人口構成から申しまして、生産年令人口が一番ふくれる時期でございまして自後、日本の生産年令人口はまた逐次縮んで参るのでありますが、それがここに表われているわけでございます。で、申し上げるまでもなく、現在の法案では、この適用対象の全部を国民年金制度の被保険者とはしておりません。このうち厚生年金保険その他、各種の公けの年金制度の被保険者になっておりますものが、現在では約一千百万人程度おります。これらの被保険者の全部をあげますと一千六百万程度おりますけれども、このうち二十から五十九というふうに範囲を切りますと、一千百万程度になるのでありますが、この程度の人々はこの適用対象から除かれる、こういうことになっているのでございます。
 なお、後ほど出て参ると思いますが、このほかに、法案におきましては、昭和三十六年の四月一日におきまして五十をこえております人々は一応適用を除外しておりますので、当然さらに過渡的に制度が動き出しまする初めの方の年度は、この適用対象の総数から、被用者年金の被保険者である一千百万人を引きましたものから、さらに年金五十をこえましたものを引いたものが適用対象になる、こういうことになっているのでございます。
 それから次のその二、その三は、ごらん願いますように、男子、女子に内訳をしたものでございます。
 それから次の四ページの附表が、ただいま私が最後にちょっと申し上げましたことを、もう少し詳しく書きものにしたものでございますが、これを申し上げます。
 強制適用者の数は、この法案におきましては、昭和三十六年の四月一日におきまして、二十から四十九までの総人口四千百万おりますが、このうち二の控除に掲げてあるような人々を除いたものでございます。
 控除の内訳は、公的年金適用者の数が千九十九万九千人、約千百万人でございます。それからその次に、現在公的年金を受けております者の数が八十一二万九千人おります。それから第三には、公的年金の適用を受けている人々の妻が五百四十四万六千人おります。これが制度の立て方の上で非常に問題になっておる人々でございます。この公的年金適用者の妻、約五百五十万というものを、この制度において強制適用とするか、あるいは現在の法案のように、任意適用にするかということが一つの大きな制度の立て方の上の問題点でございます。その次の四の学生、五十三万と申しますのは、これは二十才以上で学校におる者でございますから、大部分が大学の学生でございます。これで控除すべき者の総数が千七百八十万四千人になります。で、四千百万から千七百万人を引きました残りの二千三百二十九万人が強制適用の対象でございます。
 それから第二のグループといたしまして、任意適用グループがございます。一つは二十才から四十九才の公的年金適用者の妻戸八十七万二千を予定しております。これは公的年金適用者
 の妻五百四十四万六千人の三分の一を見込んだものでございます。従って、その意味においてこれは見込み数字でございます。それから次の学生、十七万六千も、同様の意味で見込まれた見込み数字でございまして三分の一を見込んでおります。それから五十から五十四までの者につきましては、任意適用の道を開いておりますが、これについても、見込みといたしまして三分の一を考えまして百十二万三千人が入ってくるものと予想いたしたのでございます。従って、これらを合せますと、三百十七万一千人。かようなことからいたしまして、この制度が動き出しますときには、強制適用の対象者二千三百二十九万人、任意適用の対象者三百十七万一千人、合せて二千六百四十六万一千人というのが、制度発足時における人員と予想しております。
 それから第二表の収支対照表と申しますのは、この国民年金制度の拠出制の部分の収支の対照でございます。で、保険料収入はかように見込んでおります。先ほど申し上げましたような適用対象のうち、二十から三十四までの年令区間に入ります被保険者からは百円、三十五から五十九までの年令区間に入ります者から百五十円納めてもらうということにいたしているのでございますが、もとより収支の見込みを立てます場合に、その全部から再パーセントの納入をすることができるという前提をもって立てることは、これは実際的でございませんので、努めて実際に合うような計算をしたのでございます。
 まず第一に考えましたのは、対象のうち約三割程度の人々からは保険料の徴収を強制しない態度をとる必要がある。言いかえれば、それらの人々が保険料を納めることのできない期間、保険料の納入を免除する必要があるというので、三割の人々はまず保険料を納めないということを一つ想定をいたしました。この三割の人々が納めないということは、その年その年におきましては、将来とも一応同じという想定をしておりますけれども、三割の中身を構成する人々は、申し上げるまでもなく、これは絶えず流れていくわけでございます。ある時期において免除の対象であった人が、やがて三、四年たちますと、ある程度所得がふえて納められるようになってくるとか、かわりにまた免除を受けなければならぬような人々が出てくる、こういうことでございますが、各年度について申し上げますならば、およそ三割程度はまず免除してかかる必要があろうと、かように判断をしたわけでございます。これにつきまして、先ほど朗読をいたしました社会保障制度審議会は、逆に三割も免除してかからなければならぬような保険料をきめることに問題があると、こういう判断をしておるのでございますけれども、この点は、私どもの考え方としては、やや当を失する批判だと考えておるのでございます。むしろその程度に安全性を見積ってスタートしないというと、保険料の徴収の上においてどうしても無理がかかる。それを社会保障制度審議会のように、かりに七十五円というふうにきめたといたしましても、免除するものをわずかに全体の一割程度と見込んだのではかえって無理がかかる。この点はいずれ八木先生等が御議論の際にお触れになると思いますが、この程度の二割五分から三割程度の人々については、いずれにしても保険料の徴収は何らかの工夫をしてかからなければならぬ。単純にフラットできめた保険料をしゃにむに取るという前提をもって臨んだのでは無理だという、こういう判断については、当局の考え方も、また、社会党の立案をなさっておられる方々の判断も、この点はおおむね同じところをにらんでおるのでございます。
 それから次に加えました調整は、かりに三割を除いた七割の人が保険料を納められ得るはずだとしても、実際問題としてなかなか百パーセントの納入というものはあり得ないものだ、そこでさらに一五%の不納率というものを見込みまして納入率八五%、かように見込んでこの保険料収入は立てたわけでございます。とかく、いかように国会で説明したとしても、実際の運用に当ればきつくなるのだというような疑惑が、当局の態度に対して各方面から投げかけられやすいのでございますが、この収支の上におきまして、こういうような態度をもって整理しておりますので、このことは当然実施に当って、衝に当るものに無理な保険料の取り立てというものにかり立てることをさせないで済むという一つの保証になっておるわけでございます。
 それから国庫負担金はこの法案にあります通り、拠出時におきまして二分の一国が負担をするというので、その分を計上したのでございます。何ゆえに拠出時において国が負担をするということをしたかと申しますと、これについては、もちろん拠出時にするという方法のほかに、実際に給付いたします際に、給付の額の何割かを国が負担するというやり方もございますし、それにはそれの一つの長所がございますけれども、国民年金のように国民全部を対象にして、お互いにできるだけ一つ若いうちに備えをしようじゃないかということを建前として組み立てる制度の場合においては、被保険者と同じように、国もまた拠出するのだ、そうしてそれを積み立てておくのだということがはっきりしておる方が、被保険者の気持から見ても受け入れやすいであろうというようなことと、もう一つは制度の発足のときから、この制度について国はやはり相当負担をしていくのだという態度を建前の上ではっきりするだけでなく、現実にそう表わして実行していくようにいたしたい、かような考えからいたしまして、拠出時に国が負担をする、こういうことにいたしたのでございます。この国庫負担金と、無拠出について国が出すことにきめておりまする三百億をこえまする金、言いかえますと、四百五十億から将来五百億をこえまする金は、国民年金における国の負担分として、制度の発足のときから建前の上だけでなく、実際上も明らかにされ、かつ確保されると、こういうことが必ずしも直接の関連を持って申し上げているわけではございせんけれども、将来時期が来たならば、給付内容の改善をしていきたいということを厚生大臣が申しておるのでございますけれども、それの実際上の裏打ちにも、時期が来ればなり得るわけでございます。
 それから利子収入は五分五厘と見込んでございます。この利子収入については、現在の利回りを見ていると、もう少し高いところで回っているじゃないか、たとえば六分五厘程度に見てもいいじゃないか、こういう議論があったのでございますけれども、この点は今の制度と同じように、五分五厘ということで見たのでございます。しかし、実際上、私どもは少くとも今後十年間は必ず六分程度で回り得るものと考えております。従って、この予定された利子収入と現実に回る利子との差額は、当然制度における余裕となるわけでございますが、そういう余裕がありまするので、次にありますように、不足財源補てんというような項目を計算上設けながら、これはそういうことでおのずから解消するはずであるという態度をとっているわけでございます。
 それから支出の方は老齢、障害、遺児、母子、寡婦と、各年金別にそれぞれあげてあるものでございます。
 それから一番右の年度末積立金保有高というのが積立金の総額でございますが、三十六年に三百九十億、こういうものが逐次ふえまして、昭和五十年には九千三百八十億になり、昭和百年には――これはもちろん計算上のことでございますけれども、三兆二千億になるのでございます。で、この積立金の運用の仕方についての議論のほかに、こんなに多額の積立金というものを、一体、日本経済が消化していくことができるであろうかという疑問がよく投げかけられるのでございますけれども、これは各年次の数字をごらんいただくとおわかり願えますように、実は全体の額は多くなっておりますけれども、各年度の伸びというものは、それほど驚くべきものではございません。たかだか四百億から五百億程度のものでございます。この程度のものでありまするならば、成長して参りまする日本経済といたしましては、消化するしないというようなことが問題になるほどのものではなく、むしろこの程度のものは非常に国民の生活向上にも役立ち得るであろう、かように判断がされるものでございます。
 なお、この点の参考資料といたしまして、非常に飛んで恐縮でございますが、一番うしろの四十五ページの三十六表をごらん願いたいと思います。これは産業設備資金の調達実績を調べたものでございますが、この昭和三十二年度のところでごらんをいただきますというと、産業設備資金として調達いたしましたものの総額は、一番下にありまする合計の一兆二千三百五十四億になっております。これが年間におきまして、産業設備資金として昭和三十二年度に調達されましたものの総額でございます。まるく、まず一兆二千億というふうに申し上げればいいと思いますが、このうち内部資金でまかなわれたものと、それからしからざるものとに分けてみますというと、内部資金でまかなわれましたものが五千六百億、残りの六千七百億というものが外部からの資金でまかなわれたものでございます。従ってただいま申し上げました積立金三百五十億とか、あるいは四百億とか、五百億とかいうものが関係するのは、この外部資金としてまかなわれた六千七百億との関係においてそれがどの程度の意味を持つか、こういうことになるわけでございます。これをごらん願いますならば、客観的な御判断として、外部資金として年間七千億から調達されなければならぬというものであるとするならば、それに対して四百や五百というものが問題になるほどのものでないということは、容易に御判断願えるわけであります。ただしかし、この四百なり五百という金がある種のものに集中して使われるといたしますならば、たとえば株式なら株式だけに集中するということになりますと、その欄にありまするように、株式に注ぎ込みましたものは一千六百八十五億でございますから、これに対して五百億からのものが買いに出るということになりますというと、これは株式市場を相当撹乱する因子になるわけでございます。従って、資金の運用の仕方、言いかえまするならば、投資の方法等については、やはり国全体として十分考えた運用をしていく必要があるわけでございますが、とにかく総額として使う、先ほどの総額三兆というようなもので想像されますように、とてもこんな多額のものが運用できないのじゃないかという点は問題にならない。こういうことが実は私あまりこのことについて断定的に申し上げる知識を持ち合しているものではございませんが、経済企画庁等と相談をいたしました際の判断でございます。
 それから次の第三表は、先ほど申し上げました給付金額を、今度は給付を受けまする被保険者の数及び給付件数からながめたものでございまして、それぞれそこに書いてありますような推移を示す。こういうことになるわけでございまするけれども、これで明らかでありますように、やはりこの政府案によります国民年金制度がどうやら国民年金制度らしい実際の機能を果すのは、やはり昭和五十年ごろからだ、かように判断されるのでございまして、それまでの間は、母子年金あるいは障害年金というものが働いて、五十年以降になってやっと老齢年金が始まって参りまして、それからまあ逐次機能を発揮していく、かようなことになるわけでございます。
 それから、次の七ページの第四表は、先ほどごらんをいただきました保険料の収入その他の収入と支出との総括的な対比を現価で見たものでございます。収入の現価は、総額で九千三百七十二億、それからこれに対して支出は現価に直しましてそこで合せてあるわけでございます。この左側の方は、あまりただいまのところ、問題として御検討願うほどのことはないのでございますが、右側の老齢年金、障害年金、遺児年金、母子年金、寡婦年金というものを現価に直しましたものは、やはり御検討の素材になり得るわけでございます。どういう意味合いにおいてなるかと申しますと、この国民年金の給付における相互のバランスをどういうふうにするかという見当をつけていただく意味において意味があるのでございます。また、例にあげて恐縮でございますが、たとえば社会保障制度審議会の答申に、国民年金の重点を徹頭徹尾老齢年金に置くという考え方が一つございます。そういう考え方によりました場合には、あの制度では、全体の九割程度が老齢年金に振り向けられて、残りで障害年金と母子年金を処理する、こういうふうなことになっているのでございます。それに対しましてこの制度におきましては、それをかなり緩和いたしまして、六十五対三十五程度にしたつもりでございます。現在のところ、いろいろの議論はありますけれども、そのぐらいが手ごろなところじゃあるまいか、むしろ率直な気持を申し上げれば、それでもやはりまだ全体の年金制度における比重としては、母子、障害に対する比重をやや低くし過ぎているかもしれぬ。こういうような考え方を立案に当った当局としては持っておるのでございます。この点が現在のところ、社会保障制度審議会の立案に当られた方々と大きく違っている点でございます。
 それから第五表は、これは全く技術的な意味で掲げました表でございまして、特にここで申し上げる必要はございませんので省略をいたします。
 それから第七表が残存表でございます。つまり二十から五十九までの間に保険料を納めて、六十五からもらうということになっているけれども、その間に不幸にして死ぬ人もあるだろう。体全部の人が保険料を所定の年数納めたと仮定したならば、ほんとうに一体どのくらいの人が老齢年金をもらえるのかという見当をつけるのがこの残存表でございます。それで、まず生存表というのを見ていただきますと、二十才の際にこれは一〇〇%でありますが、それが逐次減って参りまして、六十四才、これは九ページ、十ページと続いておりますので、十ページの方をごらん願いますと、十ページの一番上は六十五というのがありますが、六十五の年令になりますというと、五六・九二五、これは単純に十万人のうち何人というふうにお考え願いますというと、十万人のうちで、六十五才まで生きておって年金をもらう人の数が、男では五万六千九百二十五人、女では六万七千九百九十八人、これは常識的に知られていることでございますけれども、女子の生存率の方がはるかに高いわけでございます。大よそ五割七分程度の男子と、六割八分ぐらいの女子が老齢年金をもらうと。そのわきに、不幸にして死亡者の数がずっと出ているわけでございます。
 それからまた、九ページに俣っていただきますと、その次に廃疾表というのがございます。廃疾表は、申し上げるまでもなく、これは、この政府案に掲げられてあるような意味の廃疾だけではなく、すべての廃疾を掲げてあるわけでございますが、それになりまする率を見ますると、そこにあげてあるような工合になるわけでございます。
 それから、十一ページの第八表は、計算基礎語率でございまして、これはもう全く技術的な表でございますので、省略をさしていただきます。
 十二ページの母子残存率も同様でございます。
 それから、十三ページの第九表、妻と死亡した夫との年令相関表というのがございますが、これが母子年金等をきめる場合のいろいろな参考の表になったのでございますが、左側が死別した妻の総数が年令別に掲げてあります。それから縦の欄が死亡した夫の総数、これが年令別に見ますと、そこに掲げてある通りでございます。かりに五十から五十四程度のところを見ていただきますというと、夫が五十から五十四程度の場合に、その妻が一体どのくらいの年令であったかと申しますというと、両者のかち合うところを見ていただけばわかるわけでございますが、やはり五十から五十四という年令区分の人が全体のうちで四千四百九十三人、それから五十五から五十九が八千九百七十八人、まあそういうふうな両者の関係になっているのでございます。
 それから、次の第十表、十四ページが、明年度の援護年金の受給者数及び所要金額を掲げたものでございます。これは、目下予算案について御検討願っておりまするものの内容と同様でございますけれども、まず老齢年金につきましては、七十以上の老齢者が三百十万六千人いると想定しております。このうち公的年金を受けております者、あるいはその妻等で控除を受けます者、その他全部を合せまして六十六万九千人が控除されている。これは次の受給の場合の減額と一部重複をいたしております。そういうふうに、まず公的年金を受ける人々には御遠慮を願うと、その次には、さらに残った人々について、そこにありますように、(イ)、(ロ)、(ハ)の三つの所得制限が行われるわけでございますが、そういうふうにして控除されます者が全部で百十二万、このうち公的年金の受給者ということで除かれる者が約七十万ということになるのでございます。結局、差引きいたしまして百九十八万六千人の人が支給を受ける。で、この数字をもとにして単純に出て参るわけでございますけれども、一体今度の政府案のような所得制限をすると、どのくらいの人が所得があるという理由で支給が受けとれないかといいますと、およそ一割六分から一割七分足らずの人々が所得制限を受けて支給が受けられない、かようなことになっております。それからその次の障害年金は、一級該当程度の障害者が二十四万二千人、このうち公的年金受給者の二万三千人を除きまして、さらに所得制限が加わって、実際上受ける者が十八万二千人、障害年の年金制度で入れました年金番号は国民年金に移ってきてもそのまま使えるようにいたしたい、こういう考え方を現在いたしているわけでございます。技術的にはまだ解決のつかない問題でございますが、それがうまくできますというと、たとえ制度が違っておりましても、通算その他の締めくくりが非常にやりよくなるわけでございます。
 それから二は、保険料の徴収関係事務のうち保険料徴収停止の最終的決定、つまり先ほど申し上げました被保険者のうち三割の人々については保険料の徴収免除が行われるわけでございますが、それを決定する仕事、それから強制徴収の最終的な処理をする。それから明年度から行われます経過的な援護年金の裁定事務、四は、市町村の指導、監督、これだけは都道府県に処理してもらう、都道府県においてこれを処理いたしますために、明年度におきましては、都道府県を通じまして千七百四十名の人員を新たに置くということにいたしております。このために、各都道府県に国民年金課を設けることにいたしまして、目下具体的の人選等について都道府県当局と協議をしているところでございます。なお、この人間の充足に当りましては、不幸にして他の行政部門等におきまして縮小の結果、過剰になる人員が出て参るところがございますので、努めてそういう方の人々を優先的に採用していくということにいたして選考いたしております。それから市町村は、適用関係事務、徴収関係事務、その他、住民に対する窓口事務というふうに非常に多くの役割をしてもらうことにいたしております。なお、これだけ大きな役割をしてもらうのに、明年度はわずか市町村に対する事務費は一億五千万円前後しか組んでないじゃないかというような御議論が一部にあるわけでございますが、この点は申し上げるまでもなく、明年度におきましては、この国民年金の事務のうち無拠出の給付事務だけが行われるわけでありまして、この給付事務のうちのまた現金支給事務は郵便局を通じて行いますので、明年度市町村に行なってもらう仕事が非常に少い関係上、額が少くなっているのでございます。従って、拠出制の年金が動き出すような時期になりまするならば、当然市町村に対する国の負担金というものは相当な額に上って、おそらく国民健康保険の費用と匹敵するようなものを考えていかなければいくまい、かように考えているわけであります。
 それから十九ページの第十五表、各種公的年金制度の比較対照表は、現存する各種の年金制度につきまして申し上げますと、老齢年金では支給開始年令、拠出期間、年金額、障害年金の場合は支給条件、年金額、遺族年金の場合は支給条件、年金額というものをまとめたものでございます。これはすでにあります制度を、ただ便宜上並べただけのものでございます。
 それから少し飛んでいただきまして、二十二ページの十六表、現行公的年金制度適用者数、先ほど申し上げましたような一体二十から五十九までの間に一千百万程度、公的年金の適用を受けているものがあるとするならば、それは制度別に見たらどうなるかというのであげたのがこれでございます。その一は男子、その二は女子でございます。やはり一番多いのは何と申しましても厚生年金でございまして、男子では七百四十七万――約七百五十万、女子で約三百万――二百九十二万の適用者数を持っております。
 それからその次の二十四ページの第十七表が現行公的年金制度による年令階級別年金給付件数でございます。これは現在の各種の年金制度によって、どれだけの人が年・金を受けているかということを、年令別に見たのでございます。このうちおそらく先生方もごらんになって、直ちに奇異に感ぜられると思いますけれども、老齢年金について三十から三十四までの間に、これは数えるほどのものしかありませんが、とにかく老齢年金という種類の年金を受けるものがいるということを、大へん奇異にお考えだろうと思いますけれども、これはこういう事情でございます。現在の年金の制度のうちでは、もう昔の高等小学校を出て、すぐ勤め始めるというような人の場合は、二十年もたつとそれで受給資格がつきますので、かりに十六か十七で勤め始めますと、もう三十代の後半にはつく、今の場合、何らかの事情で十五以前に働き始めるというようなことになると、まあこんなことがあり得るというわけでございます。この点は私もちょっと奇異に感じまして、念のために間違いがないかどうかということを、それぞれ所管のところへ照会させたのでございますが、この数字そのものは間違いないということでございます。
 それから、その二の障害年金につきましては、同様の区分で掲げたものでございます。
 それから、その三遺族年金も同様の趣旨のものでございます。
 それから第十八表、二十七ページは、公的年金の未適用者の状況を昭和三十年の国勢調査をもとにいたしまして、その従事する産業別に分類をしたものでございます。まず左側は、男女別に従事上の地位別を見ますと、つまり雇用者であるかあるいは自営業者であるかという点を中心にして見ますと、そこにありまするように、二十から五十九までの場合を考えますと、全体の数が四千三百五十三万人のうち、公的年金の適用者が九百九十三万人、これは昭和三十年度でありますから、少いわけでございます。公的年金の非適用者が三千三百六十万、この公的年金の非適用者のうちに四百六十八万人という被用者、つまり雇用者が入っておるわけでございます。それから自営業者が七百六十五万人、家族従業者が五百三十万人、無業の者、これは妻及び娘等でございますが、これが一千五百九十七万人、こういうような内訳でございます。
 その二の方は、産業別従業の地位別に分けたものでございます。これも右側の二十才から五十九才の場合でごらんいただきますと、公的年金の非適用者三千一宵六十万のうち、農林、水産業に従事しておりますものが、一千二百十七万、これは当然のことでございますけれども、大部分が日常業者と家族従事者でございます。それから鉱業、建設業、製造業等に従事しておりますのは三百六十九万人、これはこの中には被用者が非常に多うございますので、二百十四万、自営業者が百四万、こういうふうなことでございます。それから卸、小売、サービス業が百二十九万、その他が八十五万、こういうようなことになっているわけでございまして非適用者の中に雇用者が約四百六十八万程度いるということが、いわゆる五人未満の問題としていろいろ論議される問題の半分程度をなしているわけでございます。半分程度が、四百六十八万の約六、七割程度は、いわゆる五人未満の従業員を持っている事業所に働いている雇用者の問題になるわけでございます。
 それから二十八ページの十九表は、二十才から五十九才までの男女別の税目別納税義務者数の推算をしてみたのでございます。これはいろいろな意味におきまして判断の指針になりますので、表を御説明申し上げたいと思います。昭和三十年をもとにしたものでございますが、これによりますというと、所得税を納める義務を持っていました者が九百三万人、市町村民税の所得割を納める義務を持っておった者が一千七十七万人、市町村民税の均等割を納める義務を持った者が二千百万人、こういう内訳でございます。従って、所得税と所得制とは非常に接近をしている、これは当然なことでありまして、所得割なり所得税と、市町村民税均等割との関係は、ごく大ざっぱに申しまして一対二程度の関係になっているわけでございます。ただし、これは全体についての関係でございまして、たとえば年令七十をこえるものというようなものについて見ますというと、均等割だけを納めておって所得割を納めていないという御老人は非常に少くて、七十以上の御老人で市町村民税を納めるほどの人は同時に所得割を納める程度の所得を得ている、こういう関係になりまして、七十以上ということになりますと、所得割と均等割を納める人の関係は非常に接近をしております。これはいろいろな事情はありますけれども、一応当局側が市町村民税を納める人の数を推計いたします際に、所得税を納める者をもとにして、五割程度の増を見込んだ理由でございます。それでただいま申し上げました所得税を納める者九百三万の内訳でございますが、そのうち男が七百三十六万人、女が百六十七万人、カッコの中は七百三十六万人のうち四百九十三万人は妻を持っている、今度女のカッコ三十万は、百六十七万のうち三十万は妻である、こういう数でございます。それから公的年金適用者で納税義務を持っている人、これは男四百四万人、女百一万人、合せて五百五万でございます。従って、九百三万という所得税を納めております者の六割をこえる者が、六割くらいの者が公的年金の適用者である、ところが、全体の数から見ますと、公的年金適用者数は二十から五十九までの年令区間では、決してそんな割合ではなくて、せいぜい三分の一前後、こういう関係になっているわけでございます。言いかえますというと、これは当然のことを数字が表わしているわけでございますけれども、今度国民年金制度を実施することによりまして、初めて年金制度の対象になる人々の間には、所得税を納めるというような人々の割合が非常に低くなっているということが表われているわけであります。その数は三百九十八万人、うち男が三百三十二万、女が六十六万でございます。
 それから間を飛ばしまして、均等割を見ていただきますと、納税者総数二千百万、うち男が千七百万人、女が四百万人、この二千百万人のうち、公的年金の適用者で市町村民税の均等割を納めているものが九百六十三万、未適用者で納めているものが千百三十七万、こういうふうに所得税なり、あるいは所得割で見ました関係と、均等割で見ました関係とが非常に違って参っているわけでございます。
 それから次の二十表は、七十才以上の人員数を配偶関係別に見たものであります。これはそこでごらんを願う通りであります。
 それから二十一表は、七十才以上のものについて生活維持のおもな方法で見たわけでございます。ずっと見ていただきますと、「扶養その他」というものが非常に多い。総数三百二万のうち八三%が扶養その他によって生活を維持している。つまり子供たちによって養われているということになっているわけでございます。従って、今回実施されることが論議されておりまする老齢年金制度は、主としてこの個人的な扶養にかかっている非常な重みというものを相当程度軽減するということに役立つのであります。
 それから二十二表は、同じく七十才以上の老人について世帯業態、被扶養者の有無、性別に出したものであります。これをごらんいただきますと、被扶養者ありというのが非常に少うございます。ですから、大体七十才以上の老人になると、御自分自身が御自分の力で生活することがむずかしいので、従って、被扶養者を持っているということが非常に少いということになっているわけでございます。
 それから二十三表は、同じく七十才以上の老人についての就業人員数、労働時間、世帯業態別に出したものであります。
 二十四表は、扶養によって生活している七十才以上の人員数、おもなる扶養者と同居しているかどうかというようなことを調べたものでございます。
 それから第二十五表は、十六才未満の子のある母子世帯数について掲げたものでございます。母と十六才未満の子だけの世帯というと、三十三万世帯しかございません。ところが、十六才未満の子供を扶養しているいわゆる母子世帯あるいは準母子世帯といわれるものの総計が九十四万世帯でございまして、従って、それ以外の世帯はいずれも十六才をこえる子供があるかどうかということになるわけでございます。
 二は、母と十六才未満の子のほかに十八才未満の子のいる世帯が七万三千、それから三は、母と十六才未満の子のほかに十八才以上の子のいる世帯が二十五万一千人、それから四は、母と十六才未満の子のほかにその他の者のいる世帯、つまり子供以外の者のいる世帯という意味でございます。これが二十六万世帯、それから五は、母以外の配偶者のない女子、つまり準母子世帯が二万七千人、こういうことでございます。
 それから二十六表は類型別の母子世帯数でございましてこれはいろいろの組み合せを掲げたものでございます。
 二十七表も同様なものでございますが、年金受給者と年金受給者でないものを今のそれぞれの組み合せによって分けたものでございます。
 それから二十八表は、身体障害者手帳の所持者数をその等級別にまとめたものでございます。ここにありまする一級、二級というのが今度の国民年金法案における一級にほぼ該当いたしております。三級というのが二級に該当しております。
 それから二十九表は、障害の種類、程度別に身体障害者の数を掲げたものでございます。
 それから三十表は、今度は障害の種類別、等級別にまとめたものでございます。
 それから三十一表は、同じく身体障害者につきまして、生計維持のおもな方法についてまとめたものでございます。
 それから三十二表は、身体障害者の手帳を持っている者につきまして、生計維持のおもな方法、社会保障給付の有無別にまとめたものでございます。
 それから第三十三表は、年令階級別に将来人口を推計したものをここに掲げたわけでございます。年金受給者の開始年令を六十才にするか、六十五才にするかというような御議論を願います場合に、将来そうした場合にそれがどういうふうに動いていくかというような関係を御判断願う場合の表でございます。これは三十九ページ、四十ページ、四十一ページ、四十二ページと、いずれもこれでございます。
 それから四十三ページは、平均余命の推移を掲げたものでございます。これはそれぞれの年令における平均余命でございます。ここには出しておりませんけれども、一番平均余命の長い時期は零才ではなくて一才でございます。これは考えてみれば当然のことなんでありますが、一才になるまでの間には案外死ぬ者が多い、こういう事情が零才における平均余命よりも一才における平均余命を長くさせているものでございます。従って、一才になるとこの零才の平均余命よりもやや多くなる。それからまた逐次減っていくと、こういうふうにお考え願えばいいわけでございます。
 それから三十五表は、年金制度を組み立てます場合において、これは長期の制度でございますから、物価がどういうふうに動くかということ、これは非常に大きな問題でございますので、一体今までの物価がどういうふうに動いてきたかということをまとめてみたものでございます。もちろん、この表の通りに言い切ることはできることではございませんけれども、この表をごらんいただきますと、おそらく先生方もおやという気持になられると思いますけれども、イギリス、アメリカのような比較的経済の安定してきた国の場合は、物価の動きだけ見るというとあまり動いていない、見方によっては若干下っているというような傾向さえあるのであります。いずれもこれは戦前までのものでございますので、その後、第二次世界大戦を経験しましてかなり大きく動いておりまするので、一がいには言えないのでございますけれども、まあ思ったより、物価そのものを見れば安定した経済のもとでは動いてない。しかし、まあ大体の一般の考え方としては、経済の発展というものは微弱なインフレ的傾向を伴うのだという考え方が強いようでございますから、将来の趨勢を見る場合には、若干の物価の動きということは考えなくちゃいかぬと思いますけれども、思ったほど大きくないということが言えるような表でございます。ただし、これは生活水準の上昇ということは別にしておりますから、国民の所得とか、あるいは消費水準という点から見まするというと、もちろんイギリス、アメリカはぐんぐん上っております。日本の場合は申し上げるまでもなく、非常に大きい物価の変動があったわけでございますが、それでも昭和七、八年の満州事変の始まります前、特に昭和の十年ごろまでをごらんいただきますというと、これは大体明治の初期に比べまして、およそ四倍程度ということになっております。従って、物価の動きだけを考えるというと、まあ満州事変以降のことを除いて考えますならば、四倍の動きがあったという程度のものだったということがわかるわけでございます。
 以下大へん急行で申し上げましたけれども、御説明を終らせていただきます。
#45
○委員長(久保等君) 次に、衆議院議員提出の二案に対する細部説明を願います。
#46
○衆議院議員(八木一男君) 政府側の詳しい御説明で時間をとりましたので、ごく簡単に御説明申し上げさしていただきたいと思います。
 先ほど厚生省側の御説明のときに、日本社会党の国民年金制度要綱についてお触れになりました。これは御説明にありましたように、厚生省で昨年十月までにお集めになった資料で、良心的に掲載をしていただいたわけでございまして、その点、御努力には敬意を表するわけでございまするが、その御説明にありまするように、その後、日本社会党の提出いたしました年金法案、かなりその背景が違っておりまするので、その点だけ付加して御説明をさしていただきたいと思います。
 厚生省の御説明になりました資料の国民年金制度関係資料の中の七十一ページでございます。その四行目に、本人の所得が、年額七万二千円以上であるものとなっておりまするのは、今回提出いたしました国民年金法案、同関係法案では、これが十三万円に相なっておりまするので、一つこの点そのように御理解を願いたいと思っております。七十一ページの初めから四行目でございます、小さな算用数字の(3)の次のイという所でございます。本人の所得が年額七万二千円以上であるものということになっておりますが、今回の提出の法案は十三万円以上であるものになっておりまするので、御訂正を願いたいと思います。
 その次にその行から三行目でございます。算用数字の4の次の行でございまして、「本人の所属する世帯の総所得と支給年金とを合算した額が、年三十六万円をこえるときは、こえた分の年金額は支給されない」と書いてございます。これは今回提出の場合はこれとは変っておりまして、こういうようなことがうたわれました理由は、議員諸公の十分に御承知のごとく、この所得制限金頭の境目で不公平が起る危険性があるわけでございます。三十六万円の世帯の老人に、たとえば一万二千円支給した場合には、その所得の総収入が三十七万二千円になりまして、そのままにしておきますと三十六万一円の収入になる家庭はもらえないという場合には、その方が損になるということが起りますので、それを調整するために三十六万円以上はやらないとするか、あるいは三十七万円までは全部やるとするか、どちらかの調整が必要でございます。今回提出の法案の方は、この三十六万の老人には一万二千円まで差し上げる、従って、その所得は三十七万二千円になる。でありまするから、従いまして、それに合して、三十六万円をこえた世帯でも三十七万二千円になるまではその差額の年金がもらえるというような工合に相なっております。その点が違いますが、これは老齢世帯の三十六万の境目だけでなしに、老齢世帯の十八万から三十六万の境目におきましても、あるいはほかの同様の制度でございまする母子年金の境目、まん中の境目、それから身体障害者年金の上の境目、まん中の境目も全部同様な上あげの配慮をしております点を御了解を願いたいと思います。まだまだこまかい点もございまするがそれは排除いたしまして、次に七十三ページのところであります。第五項過渡的措置というのは、抽象的にこの要綱は述べてございますけれども、今度ははっきりと厚生年金保険あるいは船員保険の一年金部分または農林漁業協同組合職員の共済年金というようなものは、はっきりと社会党の労働者年金の中に即時統合をする。で制度も統合いたしまするからそこの積立金も持って参るというふうになっておりまするし、また、恩給の適用を受ける人、あるいは地方公務員の恩給の適用を受ける人、国家公務員の共済組合あるいは公共企業体の共済組合等の人は現在のままその適用を受けている法律の適用を受けることになりまして、新しくその制度に採用された人が、日本社会党の労働者年金法の適用を受けるというふうに相なっております。ただし、現在公的年金のそういう適用を受ける人が途中でやめた場合には、その自分の持ち分を持ちまして、労働者年金なり、一般国民年金に通算をされるというふうに相なっておりまするので、そういう点を御了解を願いたいと思います。
 まだたくさんございまするけれども、おもな点だけのこの厚生省提出の資料との、現在のものとの差を申し上げたわけであります。
 その次に、ごく簡単に、日本社会党の案の細部といいますか、細部に近いような御説明をさせていただきたいと思います。非常に委員諸公が十分に御理解でございまするが、さらに御理解を高めていただきます観点におきまして、幾分、同様の政府案と比較をいたしながら、意見をなるべく加えずに説明をさせていただきます。
 社会党の年金案は御承知のように、まず普通年金というものと特別年金というものに大分けにされております。普通年金は、学問的に言われる拠出年金でありまして、特別年金は学問的にいわれる無拠出年金でございます。この普通年金の方がさらに二つの部分に分れておりまして、一般国民年金と労働者年金に分れております。で、その一般国民年金、労働者年金の両方とも、老齢年金と遺族年金とそしてまた、障害年金という部分にまたおのおのが分れておるわけであります。特別年金の方は今の三つの種類に対応しておりますが、名前が変りまして養老年金と母子年金、身体障害者年金という名前で三つに無拠出の特別年金は分れておるわけであります。そこで普通年金といわれます拠出年金の方の政府案との大きな違いは、政府案の方は労働者を適用されませんで、労働者以外の人が適用されるという筋になっております。で社会党の方の普通年金はそうではありませんで、全国民に適用する、ただし制度の中におきまして、一般国民年金と労働者年金の二つの部分に分れるという点が一番大きな制度的な差異でございます。
 で今度は、制度の内容に入らしていただきたいと思いまするが、すべての年金が老齢年金を基本として組み立てられておりまする点は、政府案と同じような仕組みに相なっております。それでまず政府の方にございます、農漁民をおもな対象とします一般国民年金の例で申し上げますると、この一般国民年金、老齢年金、完成した場合の老齢年金の支給の条件は、社会党は六十才から年八万四千円の定額を全国民に支給することに相なっているわけでございます。それに対しまして政府案の方は、六十五才からこれは定額でありませんで、最高額が月三千五百円、すなわち年四万二千円を支給するということに相なっております。この月三千五百円というのは、四十年間の拠出年間を満たした場合、その他何といいますか、幾分の要件はございますが、基本的にはそういうものが三千五百円になる、二十五年間の場合にはこれが二千円になる、十年の場合にはこれが千円になる、それ以外の場合には年金というものはなくなるというような、階段的な方法を政府の方はとっておられるわけでありますが、社会党の方は月七千円が全体的に適用を受けるというような内容であります。六十才開始ということを私どもが決定いたしました理由は、年金制度はとにかく老齢になりまして、所得能力がなくなった場合に、その時点において始めなければならないと考えたわけでございまして、諸外国の例を引かれる学者諸君等がございまして、諸外国にも六十才開始、六十五才開始、いろいろございますけれども、日本人の老衰度は現在社会保障制度の適用されております北欧諸国やあるいはニュージーランドやあるいは英仏というようなところの人に比べますると、日本人の老衰度は非常に早い、早く老衰の域に達して労働能力がなくなる、所得能力がなくなるという立場において、これは諸外国がどうであろうと、それ以上に早く開始しなければならないという観点に立ったのが第一点であります。といいますのは、拠出年金の完成は三十五年後でありますが、社会党の案は五十四才以下の人が強制適用を受けまして、五十四才の人が六十五才になりましたときに、この拠出年金の形態における過渡的な年金を受け取れるわけでございまして、拠出年金といえども、即時現在の人の老衰度が直接関係があるからでございます。
 次に、将来の点について考えましたことは、将来、日本人は老衰をあまりしなくなる、非常に年とっても元気でおられるというような予測が私どももいたしております。しかしながら、それはそれと別な観点で早く開始する必要があると考えております。と申しまするのは、工業における最も著しい現象がございまするが、工業、商業あるいは農業、すべての産業においてただいまオートメーションが急速に進展しつつございます。そうなりますると、当然人間の、国民の働く時間が総体的に少くなってよろしいという時代になり、また、少くならなければ困るという時代に急速に突入しつつあるわけでございます。従って、労働時間は当然六時間、五時間、四時間というふうに短縮せられるでありましょう。生産年令人口の若い元気な人の労働時間まで短縮しなければならないというときに、一定年令以上の人が職場にかじりついている、あるいは労働者がその仕事を自分でどうしてもするということになりますと、これは労働力の配置上都合の悪いことも起ります。六十才以上の人も世の中に活躍したいという気持を、われわれもし、その年になったら持つでありましょうし、現在その年令におられる人は持っておられるでありましょうけれども、その方々は、生産とは別な面で文化的な、教育的なあるいは政治的なそのような指導的な任務を当然果していただけると思うわけでございまするが、雇用をされるとか、農場を経営をするというような生産関係からは離れていただいて、所得保障で十分な老後を楽しんでいただくべき制度が必要であろうかと考えるのであります。そのために、この両方の理由で、六十才開始にいたしたわけでございます。その点につきましては、政府の六十五才開始は、われわれと幾分観点の違うように思いますが、社会保障制度審議会が、六十五才という案を出しましたことは、この点につきましては、私ども痛烈に批判をしなければならないと思います。審議会が間違った答申を出した場合においては、その間違いを正してよい方に向けていくことが必要であろうかと私どもは考えているわけであります。
 次に、金額の点でございます。月七千円という金額は、私ども日本社会党としても決して多い数字とは考えておりません。しかしながら、国民年金を作り上げるために、一般財政の負担、あるいは国民の年金税――国民負担ということにいろいろむずかしい事情があるということを考えまして、これでは乏しいと思いつつもこの程度にきめたわけでございます。少くともこの程度の金額はきめなければならないと考えているわけでございます。国民年金制度というものは、社会保障の一番大きな柱であります。社会保障の目的、憲法第二十五条に規定せられておりますように、健康で文化的な生活を全国民に保障するという理念に立たなければならないと考えております。健康で文化的な生活ということになりますと、月三千五百円というものは決してその理念に立ったものとは言えないわけでございます。少くとも七千円の線にならなければいけないと思います。しかも大きな理由は、これが現在の時点ではなしに、完成した場合に、三十五年後あるいは政府案におきましては四十年後に完成するわけであります。そのような時点においては、当然文化的な健康的なという要件はさらに高くなっておらなければならないということで、少くとも七千円は必要であるというようなことで、このような金額にいたしたわけでございます。この点におきましても、政府とあるいは社会保障制度審議会の答申といささか意見が違うわけでございまするが、私どもの考えております根拠を一つ御了解を願いたいと考えているわけであります。
 次に、この年金を実行するために必要な財源であります。財源につきましては、国庫負担と、私どもでは年金税あるいは政府の方では保険料ということに相なっております。国庫負担の点は、私どもは一般国民年金保険におきましては賦課方式で、支払い時期において五割を支給するという観点に立っております。政府案の方は保険料の五割という説明をしておいでになります。この根底は両方とも違っておりまして、お気づきのごとく、私どもは支給金額に対する五割でございますから、保険料に当るべき年金税に対する割合にいたしますると、十割国庫負担ということに相なります。政府案の方は保険料に対しては五割でございますが、支給金額に対しては三分の一国庫負担ということに相なるわけでございまして、そのような厚みのある国庫負担を私どもは決意をいたしまして、この年金を高いものにいたしたいと考えているわけでございます。
 次に、年金税並びに保険料についてでございまするが、私どもの年金税――一般国民年金税は平均月百六十六円の計算に相なっております。平均月百六十六円でございます。これは平均と申したのはそこに上、下があるからでございます。前に御説明申し上げました通り、一般国民年金税の構成は均等割五、収入割三、資産割二という割合で組み立てられているわけであります。でございまするから、平均百六十六円といいましても、資産のない場合、収入の少い人はその人の賦課せられるべき年金税は、ぐんと減るわけでございまして、極端に収入のない、資産のない場合には、その半額まで下り得るわけでありまして、約九十円の年金税ということにその人にはなるわけであります。従って、もちろん非常に資産の多い、非常に収入の多い人は、百六十六円よりも高くなることは当然でございます。これは国民健康保険税のような体系でございます。で、九十円でございます。この拠出期間は、二十才から五十四才までの三十五年間であります。これに対しまして政府案の方は、二十才から三十四才まで十五年間を月百円、あるいは三十五才から五十九才まで二十五年間を百五十円というような定額方式をとっておられるわけであります。このように、所得あるいは資産そういうものに応じて増減をする方式という点に大きな差がありますることを御理解をいただければありがたいと存じます。
 次に、そのような年金税あるいは保険料であっても払えない人の場合がございます。政府案の方にも免除の規定がございますが、日本社会党の案には、減額と免除の両規定がございます。減額と申しますのは、家族世帯総収入を世帯員数で割りまして、一人当りが年間三万五千円以下になる場合、はっきりいいますと、五人世帯であった場合には、十七万五千円の総世帯収入であった場合、それから下の方には減額がだんだん適用になる、最初の減額は一割減額、次は二割減額と、一割刻みになりまして最後には九割減額と相当長い幅でございます。その次に免除ということになるわけであります。免除の方は生活保護法の適用を受けている者は、そのまま自動的に免除になる、それからもう一つは世帯総収入を世帯員数で割った一人当りの金額が二万四千円以下の場合は免除になります。そのように免除と減額の両制度をとっておるわけであります。で、ここで特に申し上げておきたいことは、何回免除を受けても、何回減額を受けても、極端にいえば三十五年間全部を免除を受けましても、もらうときの年金額は全然変りはないという考え方に立っております。このようにもらうものはそういうふうに納められなくても変りがない、払う保険料は収入その他、家庭状態に応じて増減がされているというような点に、私どもは社会保障主義を完全に盛ったつもりでいるわけであります。その点につきまして、私どもの考え方では、政府案の組み立てば社会保障主義というよりは、社会保険主義というような形が多いのではないかと考えておるわけであります。
 次に、そのほかにもう一つは、この年金というものは長い間に完成するものでございまするから、国民がこの年金を考えまするときに、物価変動によってどうなるかということが一番大きな関心事であろうかと思います。戦争で貯金や国債やあるいは生命保険がほとんど無価値のものになったという点を考えまするときに、このスライドについて明確な規定を作りませんことには、国民の支持協力が得られないと私どもは考えております。その点について私どもは、年金額が貨幣価値の変動の割合に応じてこれを改訂するというふうに明記をした規定を持っております。政府においては、政府案の第四条に、国民の生活水準その他に著しい事情の変動があったときはということで、抽象的に規定をされておられます。で、いろいろの政府の御説明があろうかと思いまするが、私どもは問題の一番の焦点は、貨幣価値の変動である、貨幣価値の変動に応じて変える、しかもその割合に応じて変えると考えませんことには、貨幣価値が半分になった場合には、年金額は倍額にしなければ期待された保障が受けられないわけでありまするが、はっきりいたしておきませんことには、貨幣価値が半分になっても年金額は二倍にされないで二割増し、三割増しというようなことにされましたならば、国民が国民年金制度を通じて実質的に収奪をされることになりますので、この点はどんなことがあっても明確な、その割合に応じてという規定を作る必要があると考えて、そのような規定を入れているわけであります。
 次に、私どもの年金は一般の課税の対象に一切いたさないことになっております。でございまするから、先ほど申し上げました金額は、これはほんとうにまるまるそれだけ入るということになるわけでございます。その点で国民に完全な、確実な保障をするということに相なると考えております。
 次に、労働者年金について少し申し上げます。労働者の年金が政府の国民年金案に入っておらない点は非常に遺憾な点であります。私どもは、労働者年金をここに入れまして、御説明申し上げましたように、基本金額八万四千円の上に標準報酬比例部分、従って、社会的には賃金比例部分になりまする部分を平均六万三千円つけ加えまして十四万七千円という労働者年金を作り下げたわけでございます。その組み立ての中身におきまして八万四千円という定額部分を作りましたのは、これは労働者と農民、労働者と商売人、あるいは労働者と一般の無職の家庭というふうに、そういう職業の移転、転換ということがどんなに行われましても損にならないように、自動的になるような制度を作りたいと考えて作ったわけでございます。でございまするから、労働者と各職業を移転いたしました場合に、八万四千円の金額は、一般国民年金でも労働者年金でも同じでございまするから、これは完全に確保される。平均六万三千円の部分は、その三十五年の間に労働者になっていた期間の割合においてこれが付加されるということになって、今問題になっておりまする通算の問題を完全にこの制度で解決をしようとしたわけでございます。現在、労働者間の通算も行われてないというような状態は非常に遺憾な状態でございます。もちろん労働者と各職業間の完全通算をする制度を作るべきであると考えております。これに対して政府案の方は、現在の公的年金をそのままおいて通算調整を考えられる由でございますけれども、その方針はまだ確定をいたしておりません。その方針が早くいろいろ御検討になって、もっといい方法に確定されなければならないと思いまする杉、しかも勇敢に今の間に、それをほんとうに将来自動的に統合になるような道を開かれる必要があると考えまして、その点で労働者年金をその年金の中に入れておらない点を非常に私どもとしては残念に思い、私どもの案の方がいいと思っているわけであります。
 次に、私どもの年金は全国民を対象としておるわけでございまして、従って、労働者の配偶者も強制適用になるわけであります。ところが、政府案の方は、労働者の配偶者は任意適用ということで規定をされております。これは非常にいけないことではないかと思います。全国民が保障を受ける権利は同じでございます。男女とも同権であるべきはずでございます。任意適用でその道を開かれましても、日本の現在の家庭の状況では、家庭の主婦というものは主人のことを、子供のことを先に考えて、自分のことを考えない主婦が多く、考えても言い出せない主婦が多い。また、その主婦の立場を理解しない主人が多い、理解しても当面の費用に追われてそれをほんとうに実行するような気になる主人がいないということを考えますると、やはりこれは強制適用にしないと、国民年金からその部分が省かれると私どもは考えているわけであります。
 次に、労働者の年金の国庫負担は年額二割であります。その労働者年金と国民年金につきましてなぜ別な制度にしたか、農村あたりで、社会党は労働者のみ優遇するのではないかというような理由のまだ説明をしておりませんので、理解の足りない御疑問があろうかと私どもは考えております。しかし、そのようなことは一切考えておらないわけであります。私どもは、月二万円くらいの年金を全国民に保障ができるものであれば、労働者であろうが、農民であろうがあるいはまた、商売人であろうが、すべて同じ年金に入れたいのでございます。ところが、保険料の負担能力あるいは国庫負担能力等によりましてそれが最低七千円という線に至らざるを得なかったわけでございます。七千円は十分だとは考えておりません。でございまするから、でき得ましたならば、労働者なり農民なり、そういう人の、国民の努力において七千円をさらに高めていただくことが必要ではないか、臨めていただけるために便利な制度を作るべきではないかと私どもは考えております。それで農漁民その他の方々のことを考えていたわけでございまするが、この方々に七千円以上を、国庫負担は別といたしまして、何かの強制適用をいたしました場合には、凶作の年には困る、商売の不景気なときには困るということもできますので、この方々にはこれ以上の強制は至難であります。でございまするから、私どもの考えでは、郵便年金でもいいわけでございまするが、もっと合理的な魅力のある年金を政府がいたすようにいたしまして、その方々の計算で自分の将来の年金を高めていくという道を開くべきであろうと思います。
 ところで、労働者の方はどうかと申しますると、労働者の方は、私どもはほかの職業の方よりも、労働者の方が年金が必要なる度はやや多いのではないかと考えております。と申しまするのは、生産手段を持っておらないからでありまして、自分の農場や、店舗や、あるいは工場を持っておらないために、老齢になって職を離れたら収入を得る道がございません。障害者であっても、繁盛するたばこ屋の御主人であれば、相当の収入が入るというような条件を考えますときに、こうした生産手段のない労働者には、何らかの方法で高い年金をやる必要があると考えまして、そのほかに労働者は、特にこうした年金を用意するのに非常に便利な状態にございます。というのは、月々現金収入が低賃金ではございまするがございます。その現金収入を月月強制徴収で強制的に差し引きいたしましたならば、非常に苦しいとはいいまするけれども、実際上現金をそのまま持っていく場合には、苦しさが少くて、たばこの倹約その他でそれが実際埋まっていくという状態がございます。そういう状態がございますので、必要度が多くて、その必要に対応するだけの年金を用意するのに工合のいい状態にあるという点を考えて、年金保険料を高くし、そうして年金金額を大きくしたわけでございます。
 ところで、そういう意味でしたわけでございまして、労働者とほかの国民を差別する考え方はございませんが、ところで、今度は国庫負担であります。高くしたものに国庫負担を同率に課しましたならば、いかに労働者の必要の度合いが多くても、それだけ国の金はよけい回るじゃないかということに相なると存じます。そこで、労働者年金の国庫負担額は二割であります。で二割でありますと、今度は労働者の方が少いではないかということに相なると思います。ところが、この二割は、十四万七千円に対する二割でございまして、八万四千円という一般国民年金に換算をいたしますると、三割五分に相なります。賃金比例部分がございますので、低賃金が改訂されて賃金が上昇いたしまするから、完成時においては大体五割程度になります。大体並行するものと私どもは考えております。この点は、理論的に完全にすっきりと割り切れているということは私ども言えないと存じまするが、現在の国民健康保険、健康保険の国庫負担の率の差、あるいは日雇健康保険の差、その他を御勘案いただければ、現在としては妥当なものを考えたとおっしゃっていただけるのではないかと私どもは考えております。
 次に、労働者年金あるいは一般国民年金を通じていささかの工夫をいたしております。ともに支給を受ける年限は六十才でございまするが、人によって老衰度が違います。五十八でも老衰されて年金が口から手が出るほどほしい人もありますが、六十三才でも堂々と活躍されて収入があって今は要らぬ、六十五ぐらいになったらたくさんくれというような御要望の方もあろうと思います。そのために基準を六十才にいたしまして、五十五才から六十五才までの間において本人が希望する年令から支給を受けるというような国民年金の実情に沿うような配慮をすべきかと考えましてかような制度を入れたわけでございます。この場合、当然早くもらう人はもらう金額が減額される、おそくまで待つ人はもらう金額がふえるということは数字上当然でございます。かような数字計算を持った金額に相なるわけであります。
 次に、無拠出年金の方に移さしていただきたいと思います。無拠出年金は、社会党では特別年金という形で呼んでおります。社会党の特別年金中の養老年金は、政府の老齢援護年金に当るわけであります。母子年金は母子援護年金、障害年金は障害援護年金、ぴったり同じではございませんが、大体対応いたしております。社会党の方でこの無拠出年金の組み立てば、わが党では、初年度千二百十二億という平年度計算にいたしまして金額を支出する決定をしておるわけでございまするけれども、政府案の方は、平年度三百億円程度でありますが、全額の差はともかくといたしまして、金額はこのぐらいの限度があるという立場においてはどう配分すべきかということを考えますと、年金というものは所得のない人に所得保障をやるということが第一前提であります。次に、そういうことで、それをなるべく広くそういう人にするというのが二番目の考え方だろうかと思います。ところで、すべての人にお渡ししたくてもお渡しする原資に限りがございましたならば、これをどういうふうに渡すかという配慮をいたさなければなりません。そういう場合には、年金の所得保障をする必要の度の多い人に厚みをかけるという原則に立たなければならないと私どもは考えたわけであります。かような意味で、この無拠出年金の配慮をいたしております。でございますから、無拠出年金は最も金額の厚いものは障害年金であります。次に母子年金であります。次に養老年金であります。政府案の方は、そういう配慮がほとんどないと私どもは考えておるわけでございます。ごく平明になっております。ただし、小山さんの御説明にありましたように、金額においては百のうち三十五億そこに振り向けるという御努力のあったことは、私どもは理解いたしておりますけれども、社会党案と比較した場合におきましては、そう厚みがかかっておらないというふうに考えております。
 老齢年金について申し上げますると、政府案の方は七十才から開始、月千円というものになっております。所得要件であります所得制限につきましては、後に申し上げるとして、基本的に七十才から月千円であります。わが社会党の養老年金は六十才から開始でありまして、六十五才から倍になります。一番高いところの金額は六十五才のところで月二千円、年二万四千円であります。これは高いところの比較でございまするが、最初は月千円、次は月二千円、従って二万四千円になるわけであります。月二千円と月千円と比べますと、約倍ということにその時点においてはなるわけでございまするが、政府案の方では、夫婦ともにもらった場合のときにはおのおの二割五分減ということになります。二人で一人半分をもらうということに相なるわけでございまして、その点においてはいささかその比率が変って参るわけであります。
 次に、所得制限でございまするが、所得制限は、政府案の方は三段階の所得制限をしておられます。本人が十三万円以上の所得のあるときには、この年金は、養老年金は本人に支給がされません。
 次に、配偶者所得制限という非常に変った制度がございます。この制度は、配偶者が十九万円ぐらいまでの所得がある、十九万円以上の収入がある場合には、その配偶者たるだんなさんである場合には、奥さんのおばあさんの方にはその年金がもらえないというような制限でございます。
 次に、世帯の制限が世帯五十万ということになっております。本人所得制限、配偶者所得制限、世帯所得制限というような三種類があるわけであります。日本社会党の方は二段階の制限であります。本人所得制限と世帯所得制限の二つであります。本人の方は年額十三万円は政府の案と同額であります。世帯所得制限は、基本的に三十六万ということに相なっております。その点において五十万と三十六万という差がございまするが、別に二十万という配偶者所得制限があるという、この点について、どうか御比較の上で御審議をお願いいたしたいと思います。実際的には、農家におきましては家督相続をさせません。でございますから、農家の老人はほとんど死ぬまで自分が所有権を持っております。農家収入は全部その人の所有になる、実際、むすこさんが働いておりましても。そうなりますと、政府案の配偶者所得制限に引っかかって、しかも能力がなくて病気で寝ている女の老人にも、一文も年金が入らないということが起るわけであります。このような配偶者所得制限ということは非常に不合理かと思います。所得能力のない人が年金を受給するということが第一要件であり、次に、年金が限られているから、暮しの楽な人には御遠慮願うという第二の段階を作りましたときに、まん中の配偶者所得制限というものは意味のないものだと私どもは考えているわけでございまして、日本社会党では、このようなまん中の所得制限の制度はとっておらないわけであります。
 次に、養老年金の中で、社会党は二段階制をとっております。十八万円未満を高い金額にし、十八万円から三十六万円をその半分の金額にいたしております。これは先ほどの厚みを、必要の度の多い人に厚みをかけるという考え方によるわけであります。同じ金額を政府のように五十万円以下一律にいたしておきますと、年収世帯収入十万円しかないところも、五十万円もあるところの老人にも、同じ金額しかいかないということになります。これではほんとうに必要なところに厚みをかけて分けるというようなことにならないと思いますので、日本社会党の案も二段階で十分ではございませんけれども、段階を設けまして、そのような厚みをかける趣旨に合うように作った次第でございます。
 次に、母子年金でございまするが、母子年金は、政府案が月額千円、年額一万二千円が基本であります。社会党案は、月額三千円、年額三万六千円が基本であります。きっちり三倍になりますことを御理解いただきたいと思います。第二子以降の加給は、政府案も社会党案もついておりますが、政府案は月二百円、年二千四百円の第二子以降の加算がございます。社会党案は月六百円、年額七千二百円の加給がついているわけであります。この点についても三倍に相なっております。なお、日本社会党の国民年金法においては、形式上、基本母子家庭のみでなしに、それ以上に気の毒な、祖母や孫を養う場合、あるいは姉が弟妹を養う場合も、準母子家庭としてこの母子年金の適用を受けるように規定をいたしているわけであります。
 次に、障害年金であります。障害年金につきましては、……もとへ戻りますが、母子年金の世帯所得制限について申すのを抜かしました。政府案の方は、十三万円以下の母子世帯のみにこれをやることになっておりまして、加給によって十三万円を少し上回る点があります。この点、私の説明が間違っていましたならば、厚生省側で御訂正を願いたいと思いますが、大体そういうことになっております。社会党の方は、ただいま申し上げました金額は十二万円以下の世帯でございまして、十二万円から十八万円までの世帯にはその半額を支給することになっております。大体基本的に十八万円以下の母子家庭に適用し、さらに加算その他で実質は十八万八千あるいは二十万円ぐらいまで、先ほど御説明のようにうわ上げ調整ということで、実際はそれまでの世帯に適用されることになっています。
 次に、身体障害者年金でございますが、政府案では障害援護年金でございます。政府案は月一千五百円ということが基本になっています。社会党案は一級障害につきましては月に四千円であります。年額にすると政府案が一万八千円、社会党案が四万八千円であります。政府案の方は家族加給がございません。社会党案は配偶者並びに子女に関して全部家族加給がございまして、一人年七千二百円の加給がございます。五人家族の場合には加給が二万八千八百円になりますので、四万八千円と二万八千八百円で七万六千八百円という金額までに上ることに相なるわけであります。次に、第二級障害につきましては、政府案は支給をいたしません。社会党案は月三千円、年額三万六千円の支給であります。家族加給は同様であります。次に、三級障害に対しましては、政府案は支給をいたしませんが、社会党案は月額二千円、年額二万四千円で、家族加給は同じく同様でございます。そのような状態で、非常に社会党案の方がこれははるかに高い一と私ども考えております。そして社会党案のもう一つの特徴は、政府案が内部障害、内科障害には一切支給しないという今条件になっておりますけれども、社会党の場合には内部、外部を通じまして一級、二級、三級に対応した年金を支払うことになっております。支給要件につきましては、政府案は十三万円未満、これもその差に少し上り下りがあるかと思いますが、それが基準になっておりますけれども、社会党案は先ほど申し上げました金額が十二万円以下の世帯の場合、そして十二万円から十八万円はその半額ということに相なっております。半額でも政府案の倍額という支給金額になることは、先ほどの数字を御比較下さいましたならば、すぐ御理解をいただけるものと思う次第であります。
 で、次に、この無拠出年金――特別年金全体を通じて申し上げておかなければならないことは、わが党のこの無拠出年金――特別年金は、一切課税の対象といたしません。
 次に、生活保護と完全併給をいたすことを法文に明記をいたしております。生活保護の収入認定にこの特別年金の金額を入れてはならないということをはっきり規定をいたしまして、生活保護家庭が生活扶助金を今まで通り同じようにもらえる、そうしてこの特別年金もさらに同額全部もらえる、両方まるまるもらえるということになっておるわけでありますが、政府案の方は、御承知の通り、このような規定がございませんから、二つの会計からもらえることになりましても、もらえる金額は生活保護額と同様という金額になります。これでは一番気の毒な生活保護階級の母子家庭、老齢家庭、あるいは障害者家庭の対象者が救われないと考えております。ただし、これにつきましては、坂田厚生大臣が非常な御配慮をなされまして、加算その他を考えておられるらしいのでございますが、残念ながら、今までのところ、法文にはそれが載っておらないわけでございます。
 次に、そういうことで大体の御説明を終らしていただく次第でございまするが、このような年金を作りますもとの考え方を一つだけ申し上げさしていただきたいわけであります。
 日本社会党では千二百十二億の年金の支出を踏み切った。政府では三百億である。社会党案は確かにはね上った考え方があるようにお思いの方もあろうかと思います。しかし、そうではなしに、ほんとうに全国民に健康で文化的な所得保障をしたいという考え方に立って、一生懸命方法を検討したためにこういうことができるようなことになりました。その一つの一番大きな点を申し上げますると、賦課方式という方式に年金制度全体を踏み切ったからであります。政府案の方は、完全積立金方式、ここに大きな相違があるわけであります。で、今、政府案も社会党案も、拠出制を根本とするということは、両方同じ制度であります。無拠出制を過渡的、補完的にやるということも同じ考え方であります。しかし、その拠出制を完全積立金方式にすることによって壁ができて、年金額が高くならない、年金支給年令が引き下げられないという要件が出て参ります。それは、先生方に申し上げるのは釈迦に説法でございまするけれども、たとえば、無拠出年金である現在の老人、未亡人、身体障害者には、どうしてもただの年金を上げなければならない条件がございまするし、ここでそういうことを立法しておいて、現在の生産年令人口である青少年が、全部自分で将来の老齢とか廃疾とか、全部自分で用意をいたしますならば、現在働いている人が二軍負担をするということになります。親孝行はしたけれども、子供たちの親孝行は望まないということになるわけであります。それでも勇敢にそれでいいと言われるならばそれでけっこうでありまするが、実際に無理がございます。現在、労働者は低賃金であり、失業者は充満しており、農業、零細企業者は非常に経営が困難だ。現在の生産年令人口は非常に苦闘にあえいでいるわけであります。将来、三十年後、四十年後の社会は、政府あるいは各政党の政治に関与するものの努力によって、産業人の努力によって、労働者の努力によってもっといい社会になっているわけであります。そのもっといい社会になって楽になっている子供たちには一つも親孝行をさせない、今苦しんでいる生産年令人口が親には親孝行を十分し、自分の用意は全部自分で用意する、こういう考え方は非常に無理であろうかと考えます。この無理な観点に立っておりまするがゆえに、政府がピーク時においても六百億円をこえる年金支出を確保しながら、政府案が非常に乏しい内容になったのも、最大原因はここにあると私どもは考えております。私どもは、このような障壁を乗り越えるために、親孝行は、年金制度は社会的に互いに助け合う制度でありますとともに、それを次代を通じてインター・ゼネレーションの親孝行にする、インター・ゼネレーションの助け合いにする、そこまで広げるために賦課方式を半分踏み切ることによって、そうしてこの年金制度をりっぱなものにしたいと考えてこのようにいたしたわけでございます。そのために国庫負担に踏み切ったという要件も入れまして社会党案が政府案と非常に内容が違ったところの一番大きな原因がそこにございます点を、どうか御理解をいただきまして、御審議を賜わりましたならば幸いだと存じます。
 長々と説明をいたしまして恐縮でございました。
#47
○委員長(久保等君) 本日は時間の関係もありますので、細部説明にとどめまして質疑は次回以降にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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