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1958/02/25 第31回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第031回国会 予算委員会第四分科会 第1号
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1958/02/25 第31回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第031回国会 予算委員会第四分科会 第1号

#1
第031回国会 予算委員会第四分科会 第1号
本分科員は昭和三十四年二月二十四日(火曜日)
委員長の指名で次の通り選任された。
      内田 常雄君    岡本  茂君
      上林山榮吉君    北澤 直吉君
      篠田 弘作君    田村  元君
      西村 直己君  早稻田柳右エ門君
      井手 以誠君    小松  幹君
      島上善五郎君    楯 兼次郎君
同 日
 早稻田柳右エ門君が委員長の指名で主査に選任
 された。
    ―――――――――――――
昭和三十四年二月二十五日(水曜日)
    午後一時四十五分開議
 出席分科員
   主査 早稻田柳右エ門君
      上林山榮吉君    田村  元君
      西村 直己君    井手 以誠君
      小松  幹君    島上善五郎君
      楯 兼次郎君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 永野  護君
        郵 政 大 臣 寺尾  豊君
        建 設 大 臣 遠藤 三郎君
 出席政府委員
        運輸政務次官  中馬 辰猪君
        運輸事務官
        (大臣官房長) 細田 吉藏君
        運輸事務官
        (大臣官房会計
        課長)     向井 重郷君
        運輸事務官
        (海運局長)  朝田 靜夫君
        運 輸 技 官
        (船舶局長)  山下 正雄君
        運 輸 技 官
        (港湾局長)  中道 峰夫君
        運輸事務官
        (鉄道監督局
        長)      山内 公猷君
        運輸事務官
        (自動車局長) 國友 弘康君
        運輸事務官
        (航空局長)  林   坦君
        運輸事務官
        (観光局長)  岡本  悟君
        海上保安庁長官 安西 正道君
        高等海難審判庁
        長官      長屋 千棟君
        気象庁次長   太田九州男君
 委員外の出席者
        日本国有鉄道副
        総裁      小倉 俊夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十四年度一般会計予算中運輸省、郵政省
 及び建設省所管
 昭和三十四年度特別会計予算中運輸省、郵政省
 及び建設省所管
 昭和三十四年度政府関係機関予算中運輸省及び
 郵政省所管
     ――――◇―――――
#2
○早稻田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査の職務を行うことになりましたので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。(拍子)
 本分科会は、昭和三十四年度一般会計、同じく特別会計、同じく政府関係機関各予算中、運輸省、郵政省及び建設省所管について審議を行うことになっておりますが、予算委員会理事会の申し合せによりまして、審査の期間は本日より二十八日までと相なっております。よって、本日はまず本分科会の所管全部についてそれぞれ政府の説明を聴取した後、運輸省所管について質疑を行い、引き続き明二十六日は運輸省所管、二十七日は建設省所管、二十八日は郵政省所管について質疑を行うことにいたしておりますので、さよう御了承をいただきます。なお議事進行の都合上、質疑をなさるお方はあらかじめ出席政府委員等要求の上御通告下さるようお願いいたします。
 ではただいまから昭和三十四年度一般会計、同じく特別会計、同じく政府関係機関各予算中、運輸省、郵政省及び建設省所管の各議案を一括議題として審査を行います。順次政府から説明を求めることにいたします。まず運輸省所管について説明を求めます。永野運輸大臣。
#3
○永野国務大臣 昭和三十四年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。
 初めに、今回の予算の規模につきまして申し上げたいと存じます。まず一般会計予算について申し上げますと、歳入予算総額は十五億三千四百七十七万二千円、歳出予算総額は、三百六十三億二千七百五十三万六千円であります。今、三十四年度歳出予算総額を前年度のそれと比較いたしますと、七十億七千五百四十七万一千円の増額であり、二四%をこえるという画期的な増加を示しております。この内訳を申しますと、行政部費系統におきまして人員三百十五人の増加分を含め、十九億八千百三十五万五千円の増額であり、公共事業費系統におきまして五十億九千四百十一万六千円の増額となっております。なお今申し上げました歳出予算のうちには、他省所管歳出予算として計上されているもので当省に関係あるものといたしまして、北海道港湾事業費、北海道空港整備事業費、離島振興事業費、特別失業対策事業費等、四十三億三千六百十七万八千円が含まれております。
 次に特別会計の予算について申し上げますと、木船再保険特別会計の歳入歳出予定額は二億五千四十六万七千円であり、自動車損害賠償責任再保険特別会計の歳入歳出予定額は三十億五百六十三万一千円であり、また三十四年度より新たに設置する特定港湾施設工事特別会計の歳入歳出予定額は七十七億七千万円であります。なおこのほか三十四年度財政融資計画中には、運輸省関係分として約二百四十八億円が予定されております。
 以上をもちまして予算の規模についての御説明を終り、次に三十四年度の運輸省関係の重点事項についての御説明に移りたいと存じます。
 御承知の通り、三十四年度の政府の重点施策といたしましては、経済活動を安定成長の軌道に乗せるとともに、長期的な経済発展の基盤を充実いたすためには、経済の質的改善を促進することを経済運営の基調とし、このために輸出振興と産業基盤の充実強化とをはかることにいたしております。当省におきましてもこの趣旨に従い、所管事業である海運、航空及び観光による貿易外輸出の振興をはかることによって国際収支の改善に資し、また、この際港湾等の交通基礎施設に対する建設投資を増大することによって、根本的に能力不足の状態にあるわが国の輸送力の基盤を強化いたすとともに、当面の景気振興にも資すべきものと認めまして、三十四年度予算においては貿易外輸出の振興、交通基礎施設の整備、交通安全の確保と災害防止等の諸施策に重点を置き、これらを積極的に推進いたす所存であります。
 次に国鉄につきましては、来年度の予算は一般経済情勢が本年度に対し好転することを予想して収支予算を組み、工事費については一千百十五億円を計上して国鉄五カ年計画の第三年度としてのこの計画実施に支障のないよう配慮いたしました。これによって従来から実施しています輸送力増強のための工事が継続実施されますが、特に来年度は東海道幹線の増強に着手することとし、わが国第一の幹線の将来の輸送力にも万全の措置をはかることといたしました。また青函トンネル、本州四国連絡鉄道等の調査、その他産業基盤の確立に必要な鉄道網の整備に努めることとしております。なお国鉄の経営については支社制度を強化し、事業の能率的運営が確保されるよういたしたいと思っております。
 何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#4
○早稻田主査 郵政省所管について説明を求めます。寺尾郵政大臣。
#5
○寺尾国務大臣 それでは私から昭和三十四年度郵政省予算案について説明申し上げます。
 まず郵政事業特別会計予算について申し上げますと、この会計の予算総額は千七百三十九億八千三百万円でありまして、前年度の千六百七億九千七百万円に比して百三十一億八千六百万円(八・二%)の増加となります。
 これが歳出予算の内訳を申し上げますと、当省において取り扱う郵便、郵便貯金、簡易生命保険及び電気通信等の諸業務に要する業務費が千二百九十六億円、収入印紙、失業保険印紙等の収入をそれぞれの会計に繰り入れる業務外の支出額が三百七十七億円、郵便局舎等の建設費として四十七億円、公債及び借入金の償還金が二億円、予測しがたい経費の支出に充てるための予備費として、十八億円を計上しております。
 次に定員関係について申し上げますと、郵政事業特別会計における昭和三十四年度の予算定員は二十六万四千五百二人でありまして、前年度に比べ三千八百人の増員となりますが、この増員は主として郵政窓口機関の増置、郵便業務量の増加、特定局における電話施設の増加等に伴うものであります。
 次に歳入予算について申し上げます。総額につきましてはさきに申し上げました通り千七百三十九億八千三百万円でありまして、その内容といたしましては、郵政固有業務収入が六百三十億円、郵便貯金、保険年金、電気通信等の各業務の運営経費に充てるための他の会計から繰り入れられる他会計からの受け入れ収入が七百億円、郵便局舎等の建設財源に充てるため郵便貯金特別会計、簡易生命保険及び郵便年金特別会計の両会計から受け入れる設備負担金が五億円、同じ郵便局舎等の建設財源に充てるための借入金が二十七億円、以上のほか収入印紙等の売りさばきに伴う業務外の収入が三百七十七億円となっております。
 次に郵便貯金特別会計予算は、歳入歳出とも五百九十四億八千二百万円を計上しておりまして、これを前年度の予算額五百三十三億九千百万円に比べますと六十億九千万円(一一・四%)の増加となっております。
 簡易生命保険及び郵便年金特別会計におきまして、歳入が千五百七十億二千四百万円でありまして、前年度予算額千三百九十八億三千三百万円に比べますと百七十一億九千万円(一〇・九%)の増加となっており、歳出は五百三十四億二千五百万円計上いたしており、これを前年度予算の四百八十七億二千九百万円に比べますと四十六億九千六百万円(八・八%)の増加となっております。以上の歳入歳出の差額すなわち歳入超過額千三十六億円は、法律の定めるところによりまして積み立てられることになっております。なお、昭和三十四年度簡易保険積立金の運用計画の総ワクは千百六億円で、そのうち契約者貸付及び翌年度への繰り越しを除いた一千億円が財政投融資計画の原資となっております。
 次に当省所管一般会計予算案について説明申し上げますと、歳入歳出予算総額は十八億八千八百万円でありまして、これを前年度予算額十八億三千四百万円に比較しますと五千四百万円(三%)の増加となっております。この増加の内訳を申し上げますと、職員の昇給等に伴う人件費の増加が八千万円あります反面、物件費において二千六百万円の減少がある結果であります。なおこの物件費の減少につきましては、三十四年度当省の重要施策事項として考えております。一、国際電気通信政策の推進、二、新技術の開発研究、三、海外放送の拡充等につきまして三千七百万円の増加を見込んだ反面、一般旅費、庁費の節約方針並びに前年度限りの施設費等の当然減少額が六千三百万円ある結果であります。
 最後に、昭和三十四年度の日本電信電話公社予算案の概要を申し上げます。同公社の予算は損益、資本及び建設の三勘定に分れており、その総計におきまして、収入支出とも三千六百十三億九千万円でありますが、このうち勘定間の振りかえによる重複する金額千四百八十一億四千四百万円を控除いたしますと、収入支出予算の純計額はいづれも二千百三十二億四千七百万円でありまして、これを三十三年度に比較いたしますと二百三億二千九百万円の増加となっております。
 次に主要勘定たる損益、建設両勘定の収入支出の内訳について申し上げますと、損益勘定において収入は電信収入及び電話収入が千八百九億円、受託業務収入が十四億円、雑収入が四十二億円、計千八百六十五億円となっており、支出は給与その他諸費が六百一億円、営業費が二百八十九億円、保守費が百六十五億円、共通費が六十八億円、利子及び債務取扱費が九十一億円、減価償却費が三百十三億円、受託業務費が五億円、予備費が十五億円、計千五百四十七億円となり、収支差額三百十八億円は建設改良及び債務償還に充てるため、資本勘定へ繰り入れることとなっております。
 次に建設勘定におきましては、資本勘定において調達する電信電話債券が、公募によるもの二十五億円、加入者及び受益者引き受けによるもの九十三億円、電話設備負担金が六十八億円、借入金が二十五億円、損益勘定からの繰入金が減価償却引当金三百十三億円を含めて六百三十一億円、その他の自己資金が五十六億円、合計八百九十八億円から債務の償還に充当する四十八億円を控除し、差引八百五十億円を建設財源として予定しております。同じく支出といたしましては、電信電話拡充第二次五カ年計画第二年度分といたしまして、一般拡張工程の工事費が七百十億円、町村合併対策費が四十億円、農山漁村普及特別対策費が三十四億円、総係費が六十六億円、合計で八百五十億円となっております。
 これによって予定しております工程内容について申し上げますと、まず一般拡張工程につきましては、加入者開通二十八万名でありまして、これは三十三年度に比べて三万名の増加となっております。公衆電話増設は一万個、市外回線増設は八十万キロメートル余、これによりまして、本年度に引き続き主要都市相互間の即時サービスを拡充するとともに、また大都市とその近郊都市間の即時化、自動化をも実施する予定となっております。電話局の建設は、市外電話局の建設を含めて百五十三局で、このうち年度内サービス開始のできるものとして七十局を予定しております。このほか、三十四年度はテレビ放送局の大幅な開設が予定されておりますので、これに即応してテレビ中継網の整備をはかるため、市外電話回線の拡充の分を含めて十九区間のマイクロルートの新増設を実施する計画であります。
 次に町村合併に伴う電話サービスの改善については約四十億円をもって、電話局の統合二百二十八局、市外回線増二万千七百キロメートルの工程を実施いたす予定となっております。さらに農山漁村普及特別対策につきましては、三十三年度と同様に無電話部落の早期解消をはかるため約三十五億円を充当いたしまして、四千八百個の公衆電話、一万加入の共同電話を設置するとともに、地域団体加入電話を百カ所に実施するよう予定しております。
 以上の建設工程を遂行するために必要な財源の調達につきましては、自己資金を六百三十九億円、外部資金を二百十一億円と予定しておりますが、そのうち公募債は二十五億円、運用部資金及び簡保資金は二十五億円となっております。申すまでもなく電信電話の事業は、今後とも健全な経営基礎の上に益々拡充発展せしめていかなければならないと考えます。幸いにして事業収入も三十三年度後半より漸次好転しておりますが、なお公社をしてさらに経営の合理化、近代化を推進せしめまして、電信電話サービスに対する国民の要望にこたえるとともに国民経済の進展に寄与していきたいと存じます。
 これをもちまして、わたくしの説明を終りたいと思いますが、なお詳細の点につきましては、御質問をいただきましてお答え申し上げたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○早稻田主査 次いで建設省所管について説明を求めます。遠藤建設大臣。
#7
○遠藤国務大臣 建設省関係の昭和三十四年度歳入歳出予算につきまして、その概略を御説明申し上げます。
 まず総額について申し上げますと、建設省所管の一般会計予算といたしましては、歳入九億一千三百余万円、歳出一千五百二十四億二百余万円でありますが、このほかに、予算計上の所管は異なっておりますが、実質上建設省所管の事業として実施される予定の経費が別途総理府に、北海道開発関係として百九十五億七百余万円、離島振興関係として四億八千三百万円、労働省に特別失業対策事業関係として三十億七千八百万円が計上されておりますので、これらをあわせて前年度に比較いたしますと、昭和三十三年度当初予算一千三百八十五億三千九百万円に対し、昭和三十四年度一千七百五十四億七千一百万円でありまして、三百六十九億三千二百万円の増加となっております。
 次に個々の事業予算について御説明申し上げます。
 第一に治水事業につきましては、総額三百六十八億九千四百余万円でありまして、前年度当初予算三百二十六億八千五百余万円に比較して四十二億九百余万円の増額となっております。その事業別内訳について申し上げますと、河川改修等百九十一億五千六百万円、海岸保全五億四千四百万円、多目的ダム百億九千七百余万円、砂防六十三億三百万円、機械整備費七億九千四百万円となっておりますが、このほか直轄河川改修事業のうち狩野川外七河川につきまして、その改修工事に付帯する橋梁、水門等の工事で二カ年以上にわたる契約を必要とするものに財政法第十五条の規定に基く国庫債務負担行為二十億円を予定いたしております。治水事業につきましては、最近における災害の発生状況にかんがみ、重要な河川の事業の促進をはかるほか、特に小規模河川の改修の強化及び砂防事業の推進をはかるとともに、最近における灌漑用水、工業用水、発電用水等の諸用水の需要の増大にかんがみ、多目的ダム建設を促進し、治水利水の総合対策の強化に努める考えであります。また重要海岸地帯における海岸保全施設につきましてもその整備を推進して参りたいと考えております。
 その主なる事業の内容を申し上げますと、河川改修のうち、直轄河川におきましては、継続施行中の利根川外九十三河川及び北海道開拓事業に関連する特殊河川十四河川について実施する予定であります。補助事業におきましては、中小河川として継続施行中の三百五河川のほか、特に緊急に改修を要するもの二十二河川を新規採択するとともに、小規模河川の治水対策を強化するため新たにこれらの河川に対する助成を行うこととし、昭和三十四年度において、特に緊急を要するもの五十河川について実施を予定いたしております。また高潮対策として継続施行中の東京都江東地区の事業につきましてはその促進をはかることとしておりますが、新規に大阪地区における地盤沈下対策事業を実施するほか、隅田川、淀川の汚濁対策事業を行うことといたしております。
 砂防事業につきましては、直轄事業として施行中の利根川外二十四水系を継続施行するとともに、昨年大水害をこうむった狩野川水系の砂防事業を、その緊要性にかんがみ、昭和三十四年度以降は直轄事業として実施することとし、合計二十六水系について実施することといたしております。補助事業におきましては、直轄河川等重要水系の工事の促進及び昨年甚大なる被害が発生した地域における砂防及び地すべり防止工事の促進に重点を置いて参りたいと考えております。
 河川総合開発事業につきましては、特定多目的ダム建設工事特別会計に対する繰入金を増額する等資金を拡充して、継続工事を促進し、岩木川目屋ダム及び肱川鹿野川ダムを完成するとともに、新規に利根川矢木沢ダム等四ダムに着工することといたしております。その他一般会計といたしましても、継続工事を促進して、矢部川日向神ダム及び綾川綾北ダムを完成せしめるとともに、新規に空知川金山ダム、三財川立花ダム外九ダムに着工すことといたしております。
 最後に海岸保全事業につきましては、補助事業として五十余カ所を予定し、有明海沿岸等の堤防修築及び日本海沿岸、東播海岸等の浸蝕対策に重点を置いて実施したいと考えております。
 第二に災害復旧関係事業でありますが、災害復旧関係の予算といたしましては総額二百八十六億五百余万円で、その内訳は災害復旧事業費二百四十七億九千百余万円、災害関連事業費三十八億一千三百余万円であります。
 災害復旧事業につきましては、直轄事業は昭和三十三年以前の過年災害の全部を完了する予定であり、補助事業におきましては昭和三十一年以前の過年災にかかる残事業の復旧を完了し、昭和三十二年及び昭和三十三年発生災害にかかるものについては、国庫負担法の趣旨にのっとり緊要工事についてはおおむね三カ年で復旧を完了するよう実施したいと考えております。また災害関連事業につきましては、災害復旧工事との均衡をはかって実施することはもちろんでありますが、昨年の災害による被害の特に甚大な河川については、新規に河川助成事業に採択して改良的復旧を行い、復旧対策の万全を期したいと考えております。
 第三に道路整備事業について御説明申し上げます。ここ数年間わが国の経済の発展は予想以上であり、これに伴い道路輸送も飛躍的に増加しつつあることは御承知の通りであります。政府といたしましては今後の経済の発展に伴い予想される交通情勢に対処いたしまして、緊急に道路を整備し、もって経済基盤の強化に寄与するため、昭和三十三年度以降五カ年間に総投資額一兆円を規模とする新しい道路整備五カ年計画を樹立し、昭和三十四年度はその第二年度分として大幅に事業量を拡大することといたしております。このため必要な道路整備特別会計の資金につきましては、一般会計からの繰入金等を増額することとしておりますが、特に経済基盤強化資金の投入も行われております。
 昭和三十四年度の道路事業関係予算額は、一般会計分九百十七億五千四百余万円で、前年度六百二十三億七百余万円に比し二百九十四億四千七百余万円の増となりますが、特別会計の借入金七十六億八千余万円を加えますと、九百九十四億三千五百万円となり、前年度六百七十六億三千余万円に比し三百十八億四百余万円の増となっております。道路整備特別会計の内容につきましては後に御説明申し上げますが、一般会計には道路整備特別会計に対する繰入金といたしまして、建設省に七百四十五億六千百余万円、総理府に北海道開発関係として百四十二億三千三百余万円、離島振興関係として三億七千六百万円、労働省に特別失業対策事業関係として十五億二千九百万円、合計九百七億円が計上されております。このほか昭和三十四年度におきましては、長大橋等の大規模工事で二カ年以上にわたる契約を必要とするものにつきまして、財政法第十五条の規定に基く国庫債務負担行為三十億円を予定いたしております。
 なお昭和三十三年度に引き続き、一級国道のうち交通量の特に多い区間を国が直轄で維持修繕を行うこととしておりますが、昭和三十四年度におきましてはさらにこの区間の七百九十キロメートル追加いたしまして、合計約二千二百キロメートルとするとともに、交通量の多い大都市内において舗装、補修等の工事を実施する場合には極力夜間に行うこととし、交通に支障を及ぼさぬよう留意して参りたいと考えております。
 次に日本道路公団の有料道路について御説明申し上げますと、昭和三十四年度における日本道路公団の資金といたしましては、道路整備特別会計からの出資金四十五億円、資金運用部資金の借り入れ八十四億円、民間資金の借り入れ六十五億円、外資の導入八十九億円、合計二百八十三億円でありますが、これにより京葉道路外十五カ所の継続事業を促進するほか、新規事業にも着手し、特に高速自動車国道中央自動車道及び高速自動車国道吹田―神戸線につきましては、第三年度として本格的な建設工事を促進することとし、公共事業費による道路整備とともに、わが国道路網に寄与したいと考えております。
 また最近におきましては東京都内の自動車交通がますます激増し、現状のまま放置するときは、昭和四十年には自動車交通が麻痺状態となることも予想されますので、昭和三十四年度におきましては新たに首都高速道路公団を設置することとしております。同公団の資金といたしましては、道路整備特別会計からの出資金十億円、東京都出資金十億円、東京都交付金六億円、民間資金の借り入れ九億円、合計三十五億円を予定しておりますが、これによりまして東京都の区の存する区域及びその周辺地域における自動車専用道路及び自動車駐車場の本格的建設を促進する考えであります。
 第四に都市計画事業について御説明申し上げます。昭和三十四年度における都市計画事業の予算は総額百五十二億三千二百余万円で、前年度百八億四百余万円に比し四十四億一千七百余万円の増であります。このうち、道路整備五カ年計画の実施に要する経費として道路整備特別会計に計上されております額は百三十五億九千四百万円でありますが、これによりまして立体交差、舗装、橋梁及び一般改良等の街路事業を実施するとともに、五大市を除く各戦災都市の復興事業を完了し、また戦災を免れた都市のうち、特に人家が密集し、街路の幅員が狭隘で交通支障を来たす等、都市の発展上整備を要する地域に対し、土地区画整理による都市改造事業を推進いたしたいと考えております。
 なお一般会計に計上されております都市計画事業関係予算額は、総額十六億二千八百万円で、下水道、公園等の整備をはかることといたしております。下水道関係の予算額は十四億四千八百万円で、前年度に比し五億九千余万円の増でありますが、なお地方債の増額をもはかることとし、都市施設中最もおくれている下水道事業の促進に努める所存であります。また事業実施に当っては、公共水の汚濁防止の見地から、工場廃水のはなはだしい地域にこれを一括処理するための特別都市下水路を設けるとともに、道路掘り返しによる手戻り工事を極力防止するよう、道路整備事業の進捗状況を勘案して参りたいと考えております。
 第五に、住宅対策について御説明申し上げます。昭和三十四年度の住宅建設につきましては、住宅不足の現況を昭和三十二年度以降おおむね五カ年間で安定させる既定方針に基き、政府の施策による住宅建設戸数として二十一万一千戸を計画いたしております。この戸数は、前年度と比較いたしますと一万二千戸の増となっておりますが、特に坪数の引き上げ等質の向上をはかるとともに、低額所得階層に対する低家賃住宅の供給を増加し、また宅地取得難の現況に対処いたしまして、宅地供給量の増大及び大都市内における既成宅地の高度利用を計画いたしております。また民間自力によって建設される住宅につきましては、最近の実績から見て約三十五万戸程度の建設が見込まれますので、これらを合せて昭和三十四年度において約五十六万戸の住宅建設を目標といたしております。政府の施策によって建設する二十一万一千戸の内訳は、公営住宅四万九千戸、住宅金融公庫融資住宅十万二千戸、日本住宅公団が建設する住宅三万戸及び厚生年金融資住宅等三万戸、計二十一万一千戸であります。
 これに対する予算措置といたしまして、公営住宅に対しましては一般会計予算として百十六億一千八百余万円を計上し、第一種住宅二万九百戸、第二種住宅二万八十一百戸、計四万九千戸の建設に対して補助することとしておりますが、昭和三十四年度におきましては、六坪住宅等の狭小住宅の建設を取りやめ、質の向上をはかるとともに低家賃住宅の供給の増加をはかっております。住宅金融公庫に対しましては、産業投資特別会計からの出資金四十五億円、政府低利資金二百八十五億円、合計三百三十億円を予定しておりまして、これにより十万二千戸の住宅建設のほか、住宅用地の取得、造成、災害による被災住宅の復興等に要する資金の貸付を行うこととしておりますが、特に個人、分譲住宅の融資坪数の引き上げをはかるとともに、住宅用地の取得及び造成に必要な貸付資金の大幅な増額を計画いたしております。日本住宅公団に対しましては、産業投資特別会計からの出資金七十五億円、政府低利資金七十七億円、民間資金二百億円、合計三百五十二億円を予定しており、賃貸住宅二万戸及び分譲住宅一万戸の建設並びに宅地造成事業等を行うことといたしております。また都市における火災その他の災害の防止をはかるとともに、不燃高層化の促進をはかるため、耐火建築物の建設に対する助成金として、一般会計予算において一億円を計上し、防火建築帯造成事業を実施することといたしております。このほか昭和三十四年度におきましては、市街地再開発の見地から不良住宅一千戸分の清掃事業を計画しており、これに要する補助金として一般会計予算において一千四百万円を計上いたしております。
 第六に官庁営繕について御説明申し上げますと、官公庁施設の建設等に関する法律の規定により、建設省で実施いたします官庁営繕のうち、建設省所管予算として計上されておりますのは二十四億二千五百余万円でありまして、前年度の十七億八千四百余万円に比し六億四千百万円の増額となっております。
 その他、昭和三十四年度予算中おもなるものにつきまして御説明申し上げますと、道路事業の画期的躍進に備えまして、地方建設局における道路工事関係の定員を二百九十名増員し、事業の遂行に万全を期することといたしております。また建設技術及び建設業の海外発展の重要性にかんがみまして、大臣官房に海外建設協力の推進を所掌する一課を新設する等、東南アジア、中近東その他の地域との経済協力の推進をはかることといたしました。試験研究機関につきましては、前年度に比し八千万円以上を増額いたしまして、試験研究施設等の充実をはかることといたしました。産業開発青年隊は、前年度実施の直轄キャンプ六、府県キャンプ三十三を継続実施するとともに、新規に直轄三キャンプを実施することとし、その費用として四千三百余万円を計上いたしております。
 以上をもちまして建設省関係の一般会計予算の説明を終りますが、次に特別会計予算の概要を御説明申し上げます。
 まず特定多目的ダム建設工事特別会計でありますが、本会計の昭和三十四年度予算総額は百三億円でありまして、昭和三十三年度の九十一億二千八百万円に比して十一億七千二百万円の増額となっております。この資金の内訳といたしましては、一般会計からの繰入金六十四億五千七百余万円、資金運用部資金からの借り入れ二十一億六千三百余万円、電気事業者等の負担金十億九千七百余万円、その他五億八千百余万円となっております。昭和三十四年度の事業計画といたしましては、継続事業の岩木川目屋ダム等十三ダムの促進をはかるとともに、新規に利根川矢木沢ダム及び下久保ダム、筑後川下筌ダム並びに川内川鶴田ダムの合計四ダムについて実施計画調査を行うこととなっております。次に道路整備特別会計でありますが、本特別会計の昭和三十四年度予算総額は千五億六千百余万円でありまして、この資金の内訳はさきに申し上げました一般会計からの繰入金九百七億円のほかに、直轄道路事業の地方負担金相当額の資金運用部資金からの借り入れ七十六億八千余万円、付帯工事納付金、受託事業納付金、雑収入及び予備収入二十一億八千余万円となっております。その歳出の内訳といたしましては、一般道路事業に七百四十六億二千六百余万円、街路事業に百三十五億九千四百万円、機械整備事業に四十六億六千余万円、日本道路公団出資金として四十五億円、首都高速道路公団出資金として十億円、その他付帯工事、受託工事、予備費等に二十一億八千余万円を充当いたしております。なお一般道路事業及び街路事業の中には、前年度に引き続き、臨時就労対策事業として七十七億円、特別失業対策事業として十五億二千九百万円を予定いたしまして、失業者の吸収をもあわせてはかるほか、積雪寒冷特別地域に対する経費として機械費を合せて十七億七千万円が含まれております。
 以上をもちまして、昭和三十四年度の建設省関係の一般会計予算及び特別会計予算の説明を終りますが、御審議のほどをよろしくお願い申し上げます。
#8
○早稻田主査 以上をもちまして政府の説明は終りました。
    ―――――――――――――
#9
○早稻田主査 それではこれより運輸省所管について質疑を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。上林山榮吉君。
#10
○上林山分科員 私は予算の本委員会で質疑をいたしたいと思ったのでありますが、委員会の運営の御都合で御遠慮申し上げておりましたので、本分科会で若干お尋ねをしておきたいと思います。なお一歩下って御遠慮しながらお尋ねをいたしますから、お答えになる方は明確にお答えをお願いいたしたいと考えます。
 まず第一に私鉄運賃値上げについてお尋ねをいたします。私鉄運賃の値上げについては、事情を知ってか知らずでかわかりませんが、世間には賛成する者もあれば、反対する者もあるようでございます。私はその目的が輸送量の増加あるいは輸送の安全の確保ないしは設備の改善を主たる目的として運賃値上げがなされたものであるとするならば、決して異議を申すべき筋合いのものではない、こういう前提に立つものでございますが、私鉄十三社について私が数字その他調査したところによりますと、赤字のある会社もあれば、黒字の出ている会社もあるわけであります。運輸大臣にお尋ねいたしますが、徹底したお考えならば別でございますが、普通の常識と申し上げましょうか、そういうような意味から赤字を克服して経営を合理化して、さっき前提として私が申し上げた線に沿っての値上げであるならば、その赤字の原因についてさらに検討しなければなりませんけれども、世間といえども何ら異議をはさむべきものではなかろうと私は考えます。しかしながら黒字のものに対して会社が申請した率にほぼ近いものを認可した理由、これは本委員会等でもお話があったのでございますが、まだまだ世間の一部にはよく理解されない、不徹底のうらみがあるようでございますので、私はこの点をまずお尋ねいたしておきたいと思います。
#11
○永野国務大臣 お答えいたします。運賃値上げを認めました理由はお説の通りであります。年々増加して参りまする特に都市集中の人口の趨勢にかんがみまして、この混雑をどうして緩和するかということに最も重点が置かれておるのであります。なおその上に、表面には現われておりませんけれども、安全運転の確保という観点から見まして、厳密にこれを検討いたしますと、非常に不十分な点があるのであります。これは一応のバランスの上には現われませんけれども、技術的に見ますと相当に警戒を要するような状態になったと私どもは観測しておるのであります。従いまして、この公共の福祉に非常に大きな関係のあるこういう機関の安全運転の確保、さらに進んで積極的にサービスの向上――サービスの向上という中の一番大きなものは混雑緩和ということでありますが、そういうようなことがこの運賃の値上げの目的であることは御指摘の通りであります。従いまして、その値上げの部分がそれ以外の用途に使われるような結果が起りますと、この値上げはいわば失敗と言わなければならぬのであります。従いまして運輸当局といたしましては、その値上げの部門がこの二つの点以外の点に使われないように、十分なる監督をいたすつもりでございまして、それに対する決意を各私鉄会社には文書で通告もいたしておりまするし、特にその責任者に集まってもらいまして、この趣意をよく申し述べております。引き続き監督を怠らないつもりでおります。
 第二の点は、赤字の会社はしようがないとしても、黒字の会社に値上げを認めるのはどうかという御質疑でございますが、二つこの点は考えなければならぬと思います。今帳簿に現われております黒字が厳密な、経理学上ほんとうの黒字であるかどうかということには非常な疑問があると思います。いろいろな点から決していわゆるタコ配当とは申しませんけれども、厳密な意味からいえば償却が果して十分であるかどうか、償却を不十分にしておいて黒字をかりに出しておるとすれば、それは経理学上のほんとうの意味における黒字とは言いがたいと思います。さらに先ほど申しました補修費の支出なんか、補修すべきものを怠っておってそれで黒字を出しておれば、それもほんとうの意味の黒字とは言いがたいのであります。そのほかいろいろな点がございます。そういう意味におきまして、今出しております黒字がほんとうの黒字であるかどうかということについては検討の余地があると思いますが、かりに今出ておる黒字がほんとうであるといたしましても、今の運転を継続しておって黒字なんでありまして、私が先ほど申しましたように、このサービスの向上と安全運転の確保ということをしても、なおかつそれが黒字であるかどうかということはすこぶる疑問であります。現に私どもが最も尊重しなければならぬ法律的の義務を持っておりまするところの運輸審議会の答申は、値上げしてもなおかつ厳格の意味においては十三社とも赤字だという報告を出しておるのであります。従いまして今の上林山委員のお説の、余裕のあるものを値上げしてやる必要はないではないかという御質疑でございますが、私は厳格な意味において申しますと、今値上げを認めました十三社はみないわゆる黒字会社とは言いがたい、こう了解いたしておるのであります。
#12
○上林山分科員 今大臣のお答えの中に黒字が一応出ているが、これは黒字として非常に疑問である、こういうお話でございますが、その説明として審議会においても、黒字が出ておるけれども厳格な意味ではこれは黒字ではなくて赤字である、こういうような御説明のようでございますが、しかも大臣の話を承わっておりますと、具体的説明が欠けておるように思われる、しかも前提において、かりにそれが黒字でないとすればというような、まことにわれわれ委員としては納得しがたい御答弁のようでございますが、こういうようなほんとうの意味の黒字であるのかないのか、具体的に御検討になったのかどうか。私は、もしその黒字が経理学上にいう黒字でないとするならば、運輸行政の指導監督とでも申しましょうか、そういうようなものが十分でなかったために黒字が出ているが、この目黒字は黒字ではなくて、赤字である、仮定の問題としてそう思われるような御発言でありますが、具体的に各社に当って黒字の内容を分析して御検討になったのかどうか。
#13
○永野国務大臣 各社にわたっての具体的な数字の説明がなくては納得ができないという今の委員の御説でございます。これは実はできておるのでありますが、ここで私からこまかく申し上げますよりは、担当の政府委員に説明させますから、御了承願います。
#14
○山内(公)政府委員 十三社全体にわたって個々に申し上げることは時間がかかりますので、私どもこの運賃を査定いたしました立場から、その内容につきまして御説明を申し上げます。
 大手私鉄の運賃が昭和二十八年一月以来据え置きになっております。その間それぞれの会社は輸送力増強のために多額の資金をつぎ込んでおりまして、この固定資産額が昭和二十八年ごろに比べまして二倍になっております。それで、そのための支払い利子、あるいは減価償却費というものがふえて参り、またその間電気料金が改訂になりまして、動力費がふえました。また人件費の増加というようなことによりまして、一般的にいわゆる収入面よりも支出面の方が多くなるという現象が出ております。その結果各社とも赤字になって参ったわけでございます。こういう電鉄会社が、だいぶ収益面が悪くなって参りますと、まず第一に圧縮いたしますのが補修面でございまして、この面の補修費の使い方が連年下って参っております。これは結局一般的な交通の安全の面に関係をするところでございまして、それらを十分調査をいたしました上で、各社の赤字を消すという運賃改訂をやったわけでございます。ただいまの黒字の問題でございますが、これは役所が監督不行き届きではないかというお話でございますが、実は一応赤字になりまして、全部使ってしまって配当もできないということになりますと、ただいま大臣が申し上げましたように、会社の運営が、好むと好まざるとにかかわらず、現在では補修なり改良なりをやっていって、ふえるお客さんの設備を増強しなければなりません。そういたしますと、配当も行えないような会社につきましては、金利が高くなる、または金を借りられないというような状態がございますので、ある程度従来の株主に対する配当を続けざるを得ないということは、運輸行政上から見まして好ましいものとは考えられないのでございますが、やむを得ざる経済的な理由があるということでございまして、それらを十分調査いたしました結果、それぞれの会社の赤字につきまして、これを消すための運賃改訂をいたしたわけでございます。
#15
○上林山分科員 どうも私は納得がいかないのです。経営学上は黒字が出ているのだ、しかしながら改良したり、あるいはさらに運転の安全を確保する意味において考えていくと、これは赤字になるというような御意見ですが、これは結局最初言ったように、輸送量の増加とか、運転の安全とか、設備の改善とか、これを目標にして、赤字であっても黒字であっても、この目標のためにはやむを得ず運賃の改訂をしたという議論なのか。純粋の経理学上からいって、いわゆる黒字だけれども、しかもあなたの今の御説明や大臣の説明を聞くと、会社の経理が悪いのに株主に対して今までと同じような配当までしておる、それをも包括して運賃値上げをしなければならぬ、また運賃値上げをするにしても、かりに率を、今あなた方が算定された、許可された率よりももっと低くしてやっては、バランスは合わなかったのかということです。これは一会社、一運輸省の問題ではなくして、言うまでもなくこれは国民が利用しなければならぬ公共的な機関でしょう。だから、そうしたようなもののはね返りというものを、やはり総合的に考慮に入れて御判断にならなければならないのではないか、こういうふうに考えるときに、今の説明では、今までのやむを得ざる事情があるから、会社の経理は悪いのだ、ほんとうの黒字ではないのだけれども、配当は今まで通り当りまえしておったのだ、それも含めて運賃の改訂をしたのだ、こういうことですが、これは私は筋は通らぬと思う。しかし私が最初申し上げましたような趣旨を前提として、経理上黒字であろうと赤字であろうと、この線まではどうしてもやっていかなければ目的を達することができないからやったのだ、こういう議論ならこれはこれとしてまたわれわれはやむを得ず賛成をしていかなければならぬ場合もある。そこで大臣にお伺いしたいですが、先ほどのお答えの中でバランスに現われないものを考えなければならぬという御発言があったのですが、このバランスに現われないというのは、経理学上の、あるいは帳簿上の、あるいは経営上の具体的な数字に現われないものという意味でございますか。このバランスに現われないということは、経理のいわゆるバランス・シートに現われないという御発言なのでしょうか。
#16
○永野国務大臣 御承知の通り会社は損益計算書、貸借対照表を作らなければならぬ、少くともとりあえず損益計算書の中に本来なすべき修理を十分にすれば、損勘定は立つわけであります。それを、本来なすべき修理を怠っておる部分がありまして、それを損勘定に立てないで利益勘定を出しておるというような場合もあり得るという意味で申し上げたのであります。
 それからもう一つ、損のいっている会社の配当まで認めるのはひどいではないかというお尋ねがあったのでありますが、これは私は運輸大臣としての感覚よりは、むしろ財界におりましたときの感覚から申すのでありますが、欠損がいっている会社が配当するなんというのはけしからぬということは、理論としてはお説の通りであります。しかしながら今申しますように、どうしてもある程度まで支出しなければならぬところへ追い込まれておりますものを、その資金調達の方法といたしまして、いわゆる内部資金というようなのは、これは増資による以外に方法がないのですが、無配当の会社では、何ぼ必要を力説いたしましても、それでは必要だから、無配当だけれどもその株式に応じてやろうという人は実はないのでありまして、現実の問題といたしましては、どうしてもある程度の配当をいたすことによって、増資株の応募者を求めなければならないという現実があるのであります。さらに借入金にいたしましても同様でありまして、ずっと欠損を続けている会社に対しては銀行はなかなか金を貸しません。そういうような意味におきまして、実際問題といたしましてある程度の配当を続けていきますことが、本来の目的である二つの目的、すなわちサービスの向上と安全運転の確保のための施設をする能力をその会社に与える必要がある、こう私は了解いたしておるのであります。
#17
○上林山分科員 こういう正式の委員会でない楽屋裏でのお話としては、確かに参考になるお話かと私も考えます。しかし運輸行政は言うまでもなくこれを利用する人たちに危険を与えてはいけない。これが大前提でなければならぬはずです。そのために会社の経理も悪い、あるいは設備も悪いという場合、あるいはなるほどあなたが財界の感覚でいろいろごらんになれば、今のような御議論も出るだろうと思いますけれども、しかし公共機関としての設備ないしは拡充、あるいは指導といいましょうか、監督といいましょうか、そうしたような面は、私はあなたとは言いませんが、従来あまりになれ合いになり過ぎておったのではないか。いわゆる監督なり指導なりという点が積極的でなかった――ある程度はやられたでしょうが、従来積極的ではなかったのではないか。これは全部あなたの責任ではもちろんございません。そうしたような堕性というものが運賃にすべてしわ寄せされる。白も黒もすべて一緒にして運賃の値上げにしわ寄せをする行政というものは、私は国民の側から考えて必ずしも賛成できない。そういう意味においてもう少し指導監督をおやりになる考えか、従来の指導監督はどの程度のものであったか、この点を大臣ないしは適当な人からお答え願ってけっこうだと思います。
#18
○山内(公)政府委員 大臣の御答弁にもう少し補足して今の御質問にお答えしたいと思います。私どもも会社が赤字である場合に、補修もしないで配当をしていいというような考え方は、もちろんいたしておりません。ところが会社といたしましては、今大臣からお話しになりましたような、経営していくという立場もありまして、つらいところもあると思うわけでございますが、われわれといたしましてはそういう場合に何といいましても安全ということが非常に基本的のものでございます。そういうものにつきましては、常に十分に監督をいたしておるわけでございます。それで運賃の場合に、そういう点も検討をいたしたわけでございますが、たとえば補修の問題で、まくら木というものが三十二年度にどのくらいに取りかえが行われたかというものを調べましたところ、大体半分、正確に申しますと取りかえ率が五二%くらいにしか達しておりません。それから車両につきましても、耐用命数が過ぎたからといって、すぐに廃棄すべきものでもございませんが、これも一つのめどになりますので調べましたところ、五九%のものがもう耐用命数に達しておるという状態でございまして、このままでほうっておいては安全というものもなかなか確保できない。どうしてもこれは直さなければならないということで、厳重に監督をいたします一方、やはりそれらのものを修繕できる、あるいは取りかえられるという状態に置かなければならないということで、運賃改訂をいたしたわけであります。従来ともそういった点につきましては施設監査というものは年々やっておるわけでありますが、特に今回におきましては、この運賃値上げを契機といたしまして十分な監査をやり、特に増収分につきましては厳重に補修――あるいはそれを上回れば設備の改善に充てろということを強く言っておりまして、特に大臣からお話がありまして、十三社の社長を直接呼びまして、厳重な言い渡しをいたしますとともに、われわれ監督の地位に立つ事務をやっておる者といたしましては、できるだけひんぱんにそういう会社の監査をいたして、果して大臣のお話のようにいっておるかどうかということを監査していきたいと存じております。
#19
○上林山分科員 なおこれについてお尋ねいたしたいことは、労働争議が会社の経営、ことに経理にどの程度影響を与えておるか。ことに減収等にどれだけの影響を与えておるか。それも今度の値上げの中に含まれておるかどうか。この辺の計算、これは重要な参考になると思いますので、お聞かせ願いたいと思います。
#20
○永野国務大臣 今の点は非常に重要な点であります。大衆の犠牲によって一部少数の経営者または従業員の利得をはかるのはけしからぬというのが、この運賃値上げに対する非難の最も大きいものであります。従いまして先ほど申しますように、この運賃の値上げが大衆に還元できます方法は、サービスの向上と安全運転の確保の二つに限られておるのであります。従いましてせっかく値上げいたしましても、それが全部人件費の方に回るようにでもなると、まさにその運賃値上げはけしからぬ。つまり大衆の犠牲において少数の人の利益をはかるのはけしからぬという非難が、そのまま当ることになるのでありますから、今の点は特に経営者を集めまして注意を与えております。そしてこの値上げの部分はそういう方面に流れないように、ぜひとも安全運転の確保とサービスの向上に限って使うようにということを、十分に念を入れておるのであります。私は各社の責任者はそれを十分に了承してくれたことと確信いたしております。この実行は監督局が絶えず目を光らせて、そういうことのないように努めて参っておるのでございますけれども、事務的なことは監督局長がお答えいたします。
#21
○山内(公)政府委員 ただいまの御質問はストライキをやった収入減というものは、運賃値上げをする場合の基礎になるかということでありますが、運賃をはじきます場合には基準年度――たとえば三十三年の運賃値上げをする場合には、その前の三十二年というものの実績を基礎にはじくわけでありまして、そういたしますと三十二年度の全体の収入、全体の支出といいますことが、非常に大まかな話でありますけれども一応の基準になって参るわけであります。そしてその中から収入、支出ともいろいろの要素に分析をいたしまして、われわれの方が運賃値上げをすべきかどうかという計算をするわけでありまして、そういう全体的な数字の点につきましては、得べかりし利益が出なかったということに計算は入って参るわけであります。
#22
○上林山分科員 これに対する御答弁は、私は数字的にまだ疑問がありますが、しかし時間の関係もありますので、先に進んでいきたいと思いますが、御承知のようにこの前の私鉄を中心とする労働争議の場合に、各社が一致して、抜けがけの妥結とかあるいは単独のストライキ解決とかいうことを避けて、できるだけ合理的に常識的な線で一切をまとめていこうとした際、ある会社が別個にストライキを妥結してしまった、しかも相当の賃上げをした、こうしたようなことをやった会社も、今回の運賃値上げの対象になったと聞いておるが、事実かどうか。私は、もしそうだとすれば、これは運輸省としては必ずしも見識のあるやり方ではなかろう、こういうふうに考える。これが第一点。
 第二点は、御承知のようにことしもまた春季闘争がきょうから始まっておる。言うまでもなくこれは経済闘争のほかに政治闘争、思想闘争を含んでの闘争でありますが、賃上げ闘争がその一つであることは御承知の通り。今度の運賃の値上げの増収に対して、もちろん従業員といえども、私は常識的な待遇改善ははかっていかなければならぬと思いますが、今大臣のお答えの中に、増収分はいわゆる交通の安全を確保するために補修、改善、場合によっては設備の拡大、こう順を追うてやっていくのだ、しかも会社の責任者に集まってもらってこれを強く要請してあるから、多分そういうふうになるであろう、こういうお話でありますけれども、今言ったような、この前行われたような争議の場合の現象、あるいはまた各社には各社の、監督を受けなければならぬが、その監督の範囲内においていわゆる良識のある経営をやることは自由であるはずです。だから今大臣が言明をされることがどこまで保証されるかは、これは運輸当局として今後しっかりお考えにならなければならぬ点ではなかろうか、私はこう考えますが、この問題に対する締めくくりとして、一つ率直に所信を披瀝せられたいのであります。
#23
○永野国務大臣 お答えいたします。お説のような事態が起ったことは、私の在任中ではございませんけれども、起りましたことは聞き知っております。従いましてあの値上げ率をごらんになりますると、著しい差があるのであります。各社一様に値上げをいたしたのではありません。そして今名前はおあげになりませんでしたけれども、多分上林山委員が御指摘になったと思われる会社の値上げ率は、各社の四分の一、五分の一という低い値上げ率になっておるのであります。それが明らかにそういうことを十分に考慮に入れた値上げであるということを御了承願いたいと思うのです。そうして将来の運営につきましては、先ほども申しましたように、この増収分が御指摘のようなところに流れることが起りましたならば、今度の値上げというものは根本的に失敗に帰するわけでありますから、その責任者といたしましては、そんなことの絶対にないように十分に考慮を払うつもりでございます。
#24
○上林山分科員 次に私がお尋ねいたしたいのは、バス路線認可の運輸省の方針についてであります。言うまでもなく路線の認可は各般の事情を考慮して、大局的な見地から認可しなければならないということはよく承知をいたしておりますが、それが国鉄であろうと、あるいは民間の会社であろうと、一視同仁の立場において運輸省としては認可をしていくべきものである、これも私は了承をいたしております。二、三の例があるのでありますけれども、私は時間の関係がありますので多くを申し上げませんが、こういう場合は一体運輸大臣としてはどういうお考えを持つかということをまず前提に承わりたい。それは、国鉄が申請をする前に、関係の民間の会社に対して、その方面の地方民あるいは権威のある団体長などが、ぜひあなたの会社でこれをやってくれませんか、こういうお願いをした。ところがその会社は相当長い間見向きもしなかった。そこでやむを得ず関係数カ町村は国鉄にぜひやってもらいたいと話しかけたところ、国鉄は気持よくこれに助言を与えられて、もし運輸省が認可してくれるならば国鉄でやってもよろしい、こういうところまできた。そして道路が悪いから、これはちょっと道路を直してからでないと認可になりにくい、こういう話を運輸省で聞いて、関係町村あるいは県はそれぞれ金を出し合って道路工事をやって改良した。そうこうしている段階になって、初めて民間会社が、やってくれぬかと言ったときにはいややらないと言っておきながら、あとから申請をして出てきた、こういう事案に対して、あなたは大局的な立場からどういうふうにお考えになるか。
#25
○永野国務大臣 国鉄のバス路線についてのお話でありますが、特にバスの問題につきましては、地方事情が非常に重要な要素を占めると思うのであります。従いまして、いかにすべきかということの前に、いかにあるかということの認識が非常にむずかしいのでありまして、形式的にはいろいろな審議会的のものもございます。しかし非常に利害関係が複雑いたしておりますものを、果してどれをほんとうに認可すべきかということは、その申請の両者につきまして十分に審査をいたしてからきめなければならぬのでありまして、今のような抽象的の御説明、つまり前やらぬと言ったけれども、あとでやると言ったというような一般的のお話では、なかなかきめにくい。具体的の問題についてその適格性を判断しなければならぬのであって、一般論に対してこういう場合にどうするかというようなお答えは、なかなかしにくいのではないかと思うのであります。具体的にどこの会社の場合にどうした、こういうふうな御質問でございませんと、一般論として、最初にやったときにはやらぬと言ったけれども、ほかがやるといったらまたやると言ったが、その場合にはどうするのだというような原則的のお答えはしにくいと存じます。具体的に、この場合にこれはこういう人が経営してこういう実績を持っておるのだが、ざてどうすべきかというのでございませんと、お答えがしにくいかと思います。
#26
○上林山分科員 具体的に申し上げる前に、私は運輸大臣としてのバス路線認可の原則的な方針を承わっておるわけであります。もちろん具体的な事例についていろいろと説明も要ることであるし、検討も必要なことであります。ありますが、基本方針というものは大体なければならぬと思うのです。今私が言った説明を大臣はあまりにも簡単に受け取っておられるようでございます。最初国鉄以外の会社に関係住民はやってくれと数回にわたって陳情をしたのです。これに対してはむしろ意思表示をすることを回避していた。そこでやむを得ず国鉄に頼んだら、いろいろと親切に助言をしてくれて、運輸省にきても、ほかに競争の会社がないのであるから、これは大体国鉄側に認可になるでございましょう。しかしながら調べてみると道路がまだよくありませんから、道路がよくなれば運審にかけてそれぞれの手続を経て大体許可になりましょう、こういう助言を途中まで出してくれたのです。そしてそのいわゆる指導に従って道路の改良もし、もう近く運審にもかける段階でございますということを事務当局からも聞いた。しかるにそれが相当長い期間放置してあったバス会社が、あとからこれを競願を持ってきた。それからそのバス会社に許可がおりてしまった。こういうわけで、関係地元においてはそれぞれの批判があるわけでありますが、私は具体的に説明しないでも半ば具体的に説明したと同様の、いわゆる基本方針を承わっておるのですが、これでもお答えできなければ、私は具体的にこれから問題を提起しても差しつかえはございません。
#27
○國友政府委員 お答え申し上げます。バス路線が競願になりました場合におきましては……
#28
○上林山分科員 初めは競願じゃない。
#29
○國友政府委員 いや、私どもといたしましては免許申請がございまして申請を審査いたすわけでございまして、上林山先生の仰せになりましたたとえば国鉄バスと民間のバスとが、ある一つの路線について問題がございました場合に、その事前にいろいろ話し合いがございますが、その話し合いにつきましてもわれわれといたしましては考慮いたします。しかし具体的に免許申請が出て参りまして、初めて私どもは審査をいたすのでございますが、その審査をいたします場合には、免許基準によりましてその地方の情勢あるいは道路の状況あるいは輸送需要等を勘案いたしまして、運輸審議会に諮問して審査いたすわけでございますので、私どもといたしましては免許申請がありましてからそれを審査するという形になっておるわけでございます。
#30
○上林山分科員 それは答えになりません。あなたもこの事情はよく知っておられるはずでありますが、今のお答えは私は不親切だと思います。具体的に言った方がいいと大臣がおっしゃいますから申し上げますが、私は原則論を聞いておりますけれども、その経過は具体的な例と大体同じなんです。今局長は、バス路線の認可申請があってからと言いますが、申請前においてあるいは申請後において、運輸省がそれぞれ指導下さったことは事実である、またその線に沿って関係住民が、関係市町が金を出して路面の改修をして知事が副申をつけて、何ら支障はない、そのときまでは競願者は競願の申請をしておらぬ、これはどうなんですか。
#31
○國友政府委員 運輸省といたしましては、免許申請が出ましてからわかるのでございますが、先生の仰せになりますことが具体的な路線ではございませんので、ちょっとお答えが抽象的になるかもしれませんが、先ほども申し上げましたように免許申請が出まして、運輸省としましては道路管理者等に道路の状況等を照会いたしまして、それがこちらに参りましてから審査を開始いたすわけでございます。その前にいろいろと地方と申請者との話し合いがあるかと存じます。それにつきましてあるいは運輸省の方へ、あるいはその他の方面へ御照会等もいたしたかもしれぬと思いますが、免許申請が出ましてからあと、運輸省で今申し上げたような処理をいたすわけでございます。
#32
○上林山分科員 具体的に具体的にとおっしゃるので、具体的に申し上げます。この問題は鹿児島の郡山から湯ノ元に通ずるバス路線の認可の申請であります。いきさつは、原則論の場合にお尋ねしたようにそういう経過であります。私が運輸省の御指導を得て、県あるいは関係市町村が協力して路面の改修をした、ここまでくれば競願もないのであるから、運審にかけて近いうちに許可になるでしょう、こういうような状態になってから林田バス会社が申請をしてきたはずでありますが、いわゆる国鉄の申請の月日と林田バスの申請の月日をお知らせ願いたい。
#33
○國友政府委員 お話のございました鹿児島―湯ノ元間の路線につきましては、国鉄バスが申請をいたしまして受け付けましたのが昭和三十一年七月四日でございます。林田の乗合自動車が申請をいたしまして受け付けましたのは昭和三十一年の八月一日でございます。
#34
○上林山分科員 運輸省の事務当局が機械的に、両方が出てきてからこれは申請の検討をするのだ。これは事務的に、形式的に正しい御発言だと思います。しかしそれ以前において、行政指導というとおかしいが、そういうこともだんだん加えて、そして競願もない状態であったのを、あまりにも長く引き延ばして、そしてあとからほかの競願者が出てきた。ただいまのお答えの中に林田バスが三十一年八月一日というのは間違いございませんか。
#35
○國友政府委員 私の持っておる資料では間違いございません。
#36
○上林山分科員 私が今持っている書類では間違いございませんということは、あまりに見識のない御答弁と思いますが、私が聞いたところでは、相当間隔があるということを聞いておりますが、正確にお答え願います。
#37
○國友政府委員 申請は昭和三十一年の八月一日で間違いございません。
#38
○上林山分科員 ただいまのこの問題についての質疑応答を大臣はお聞きになったと思いますが、そういう経過をたどった。三十一年の七月四日に申請した。それが昭和三十三年の十二月でございましたか、相当長い間かかっておるわけですが、そんなに路面の改修、その他も――たとえば国鉄側の言い分を聞きますと、もうこれで試運転をしてみたところが完全であります、これならば運輸省も文句なく運審にかけた上で認可になるでしょう、こういうふうに国鉄も運輸省もいろいろと長い間指導してくれてきたわけです。それを忠実にそれにピントを合せてやってきたわけです。それも純粋の競願で、ほとんど同じ時期に、そして同じような状態で出てきたのなら、私は先ほどの御答弁でよかろうと思います。しかし私は決してあなたに勝手なことを申し上げていないつもりです。これは大臣や政務次官には小さい問題でもありましょうから、詳しく御事情のわからなかった点もあるだろうと思うしかし私は従来いろいろな事情を詳しく知っておる事務当局が、あなた方に連絡することが的確を欠いておったと思う。自動車局がバスの路線の認可について、事実はそういうことは全然ないのでございましょうけれども、いろいろとうわさを聞く。われわれはそういうような考えから、バスの路線の認可というものはとかくうわさになりがちな問題でございますから、そういう沿革と歴史をよく御検討になって、そしていろいろと行政指導も加えながらやってきたもので、関係四カ町村の町村長が公式にいろいろと処置をとってきた問題なのでございますから、この問題については私はもっと親切がほしい。あるいはまた途中においてこういう事情で困難であるということで指導したのでございますから、さらに困難な事情が新たに出てきたとしたら、これはその関係者に対して、双方でけっこうであります。林田に対しても、あるいは国鉄側に対しても、双方に公平に親切を尽して検討を加えて、最後に大局的に判こを押すべきものだと思う。事情に通じないからといって大臣がそういう決裁をされたことは、私は本問題に関する限りどうしても納得のいかない点であります。お互いの間のことでございますので私はこれ以上申し上げませんが、一つバス路線の認可等については、ほかの地域にも問題が起っておるようでありますので、この際本問題の基本的な方針について承わっておきたいと思います。
#39
○永野国務大臣 よく了承いたしました。しかし承わっておりますと、これは法律問題というよりはすべて事実問題でありまして、決してあなたのおっしゃることを疑うわけではありませんけれども、一方にはまた一方の言い分があるのではないかと思います。その事実がどうであるかということを、関係者なりいろいろな人の意見を聞きまして判断しなければならぬので、いわゆる法律問題でなくて事実問題であり、行政指導の問題だと考えておるのであります。しこうしてその事実がどうであるとか、あるいは行政をいかに指導していくかということにつきましては、東京におってこまかいことはわからぬものですから、そのために運輸審議会という機関を作っておきまして、その事実が実情に違わないように、行政指導を実情に合うようにするためには、私どもの立場といたしましてはそういうことを調べてもらうために運輸審議会があるのでありますから、一応運輸審議会が、たとえば今度の問題なら林田でございますかのバスに認可した方がしかるべきという答申を出しますと、私どもといたしましてはその答申に従わざるを得ないのであります。
#40
○上林山分科員 表面の御答弁は、大臣としてはそうおっしゃる以外に方法はなかろうと思います。しかし法律問題としてもと開き直られると、私は言いたいこともございますし、あるいはまた運輸審議会にかけたのだからわれわれは白紙であった、こういうふうにおっしゃられればまだ具体的に申し上げたいこともたくさんあるのですが、しかしもう大臣の最後のお立場を了承することにいたしまして、次に移りたいと思います。
 次にお尋ねいたしたいのは、高速船のフィリピンヘの輸出ですか、あるいは発注を受けたのですか、それとも賠償によるものでございますかはよく承知しておりませんが、これに関連して申し上げたいことは、今一部の熱心な人たちから、わが国の造船の質の改良ということを後にして、外国に出すものだけを高速の船にしておるといって相当非難があるようでございます。このフィリピンに持っていく船は新造船でございましょうが、これは速力は十八ノットだというふうに聞いておりますが、そうでございますか。
#41
○永野国務大臣 さようでございます。
#42
○上林山分科員 なおこれは単に輸出のものか、あるいは賠償のものか、あるいは発注によるものでございますか。
#43
○永野国務大臣 コマーシャル・べースで話を進めているやに聞いております。
#44
○上林山分科員 その契約はもうはっきり成立をして、運輸省もそれを実現すべくやられておるわけでございますか。
#45
○永野国務大臣 運輸省以前であります。まだそのコマーシャル・ベースの条件が整っておりません。そうしてそのコマーシャル・べースの条件は、運輸省のまだ関与する前の段階にありまするので、その条件が整いましてから、いよいよ運輸省の所管になる、すなわち造船関係にくるのでありますけれども、まだその点まで参っておらぬのであります。
#46
○上林山分科員 コマーシャル・べースによる条件が満たされて、それが成立するということになれば、運輸省としてはそういう高速船をフィリピンに率先してやっていい、こういう積極的なお考えを持っておられますかどうか。
#47
○永野国務大臣 運輸大臣といたしましては、私は一度も賛成したことはございません。かりにそういう問題に賛成しなければならぬ段階に他の事情でなるとすれば、それは国際関係その他の関係でありますが、それならばそれに対する対策を考えてやらなければいかぬということを絶えず主張し、今も主張いたしております。
#48
○上林山分科員 日本の現在の船の質の改良といえば、もちろん積載量なりあるいは速力なり、いろんな条件が必要であることは御承知の通りでありますが、現在速力だけを摘出して考えてみますと、日本のいわゆる平均の船の速力は、外航船でございますが、一体どれくらいの速力を持っておりますか、あるいはまた今フィリピンに出すのは、十八ノットとこう聞いておりますが、十八ノットくらいの船が日本に何隻くらい、あるいは何トンくらいあるものかどうか、その点を承わっておきたいのであります。
#49
○朝田政府委員 今お尋ねの日本の全船腹の平均速力ということですが、ちょっと手元に数字がないのでありますが、定期船の中で十七ノット以上、今フィリピンの高速船の問題と関連いたしましてお答えをいたしますが、定期船が全体で百七十七隻ありますが、十七ノット以上の高速船といいますのは約二〇%で、三十一隻という現状でございます。
#50
○上林山分科員 資料があまりないようでございますが、十七ノット以上、フィリピンのはうわさによると十八ノット以上、こういうことになるのですが、これは国際親善の上から、できるだけ外国にいいものを出す、これは私は目標として間違いではないと思う。しかし今言うように定期船で、外航船が百七十五隻のうちに、十七ノット以上がわずかに三十一隻、十八ノット以上であればもっと減るだろうと思う。そういう糸口を作ることはいいが、日本は何といっても海運で立たなければならない国であります。これを将来コマーシャル・べースでそうしたようなものを多量にもし注文を受ければ、これはビジネスでありますから、会社としては、実業界としてはそれはやりたいでしょう。こういうものを野放図に許可した場合に、いわゆるいいことをしながら、日本は外国貿易あるいは外航船の競争におくれをとるということになっていく。これは私は重大な問題だと思うのですが、こういう見地から将来、運輸省が造船の際に、質の改良、積載量、特に速力の向上といいましょうか、こうしたような方面に力を入れなければ、外国の船においてもどしどし速力を上げるもの、優秀なる船をほかの国が建造するのであります。だからこうしたような大きな問題に対する指導、あるいは何か思い切った処置、方針というものをお立てになっておるかどうか、これはコマーシャル・ベースとして国際的にいいことだから、まあ一そうくらいだから一つやってしまえ、日本は十七ノット以上が三十一隻まだあるから。その程度でおかれるのでは、これは私は日本の海運界の将来というものは、まことに寒心にたえない状況になってくるだろうと思う。現在でも国によって違いますが、悪い船、ことにノットの低い船、足のおそい船は、いろいろな国際的経済の事情もありますけれども、港につながれておる船が多い。就航しておる船は各国とも優秀な船であるというのが今日の現況であることは、運輸当局はおわかりのはずだと思う。こういう見地からこれに対する根本的な対策があるかどうか、これを運輸大臣その他から承わっておきます。
#51
○永野国務大臣 ごもっともであります。フィリピンの問題は、日本がそれを造船を認めるか認めないかという、日本がそれに関与する余地のある話ですからまだいいのでありますが、競争者は世界各国であります。世界の公海であります。従いまして十八ノットではない、二十ノット以上、現にアメリカは二十ノットの船を配船しておるのでありますから、どういう国がいかなる船を使いましても、日本の海運界は立ち行くような基盤を作らなければならぬということはお説の通りであります。御承知のように高遠船を使いますとそろばんは悪くなります。従いまして今の状態で全く自由企業に放任しておきましたのでは、世界の激甚な競争には日本の海運界は立ち向い得ないことは御承知の通りであります。従いまして私ども運輸当局といたしましては、世界がどんな優秀船を持ってきても大丈夫なように、いわゆる日本の海運界の体質改善をはかることにいろいろと腐心をしておるのでありまして、むしろその一つの機縁にこのフィリピンの問題がなったかと思うのであります。今せっかく検討中であります。私は決してフィリピンの高速船の建造に無条件に同意しておるのではないということをはっきりと申し上げておきますから、御了承願いとう存じます。
#52
○上林山分科員 高速船の問題について非常に真剣なお答えがございましたので、私はこれ以上申し上げませんが、これはその場限りの対策ではほんとうにだめだと思います。だからこの問題については日本の専門家各方面の人々と連絡をとられまして、それこそ今あなたがおっしゃったように、採算がどうあろうとも、三十ノット以上で採算がとれるような優秀船を、一つ各国に負けないように運輸省が中心になって、業界とも御相談の上前進されるように強く要請をいたしまして、私の質問はこれで終りたいと思います。
#53
○早稻田主査 次会は明二十六日午前十時より運輸省所管について質疑を行うことといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
    午後三時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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