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1958/01/29 第31回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第031回国会 本会議 第11号
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1958/01/29 第31回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第031回国会 本会議 第11号

#1
第031回国会 本会議 第11号
昭和三十四年一月二十九日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第九号
  昭和三十四年一月二十九日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    午後三時三十八分開議
#2
○議長(加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 中央更生保護審査会委員任命につ
  き同意を求めるの件
#3
○議長(加藤鐐五郎君) お諮りいたします。内閣から、中央更生保護審査会委員に坂西志保君を任命したいので、犯罪者予防更生法第五条第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
 国務大臣の演説に対する質疑
            (前会の続)
#5
○議長(加藤鐐五郎君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。
 山花秀雄君。
    〔山花秀雄君登壇]
#6
○山花秀雄君 私は、日本社会党を代表して鈴木委員長、三宅議員に引き続き、岸内閣の施政方針のうち、特に労働政策、文教政策を中心として二、三重要と思われる事項に関し質問をいたすものであります。(拍手)岸総理を初め、関係各閣僚諸君の明快なる答弁を望むものであります。
 戦後十四年を経たわが国の経済力は、戦前をはるかに上回つたと、一部には言われておるのであります。確かに、経済の基礎である生産力の回復は戦前をはるかにしのぐに至つたことは事実であります。しかしながら、その配分、均霑は不公平であり、国民の大多数がいまだに生活不安に苦しんでいるのが、わが国経済力の実態であります。私は、わが国経済力の回復の度合いに応じて、労使を含めての国民全体がその配分の恩典に浴することが正常なる経済力の回復と思うておりますが、この、われわれの見解に、耀総理はいかように考えられておりますか、お答えを願いたいのであります。(拍手)
 わが国経済や生産力の回復、向上に積極的に協力した多数の労働者が低賃金に苦しみ、きわめて少数の資本閥がわが世の春を講歌するがごとき不健康な労使関係を一日も早く是正しなくてはなりませんが、そこで一番重要なことは、労働政策の基本的なあり方であります。
 岸内閣は、日米新時代に即応すると称して太平洋軍事同盟、すなわち、日米安保条約改正、双務協定を目ざして以来、その労働政策及び文教政策はとみに反動化し、ときには常軌を逸するがごとき刺激的な権力政治が行われておるのであります。具体的に言うと、国鉄労組や機関車労組及び全逓労組その他公務員組合に対してこれまでの労使間で協定されていた慣行を無視して一切の団体行動を認めず、その上、今までは歴代保守党政府でさえさすがに厳に控えてきた労使の紛争に、郵便法の刑事罰、国鉄営業法の改正等、刑事犯としての取締りで臨むようになってきたこと、これらのことは、労働組合運動の正当なる理解に欠けた権力政治の一環である弾圧労政の現われであります。
 たとえば、裁判所でさえも認めていない刑事事件さえ、無理やりに強行しようとしているではありませんか。昨年秋の全逓労組の職場離脱事件、東京都教職員組合の一斉休暇の捜査をめぐり、検察庁では逮捕した組合幹部の勾留請求をすれば、裁判所は、その意に反して、次々とこれを却下し、そのようなことを何回となく繰り返し、都下の大新聞も、「奇妙な鬼ごつこ」という特別大見出しで廟笑的にこれを批判し、当時、検察当局の面目はまるつぶれとなつたではありませんか。
 こうした事件の根源は、労働組合運動に対する認識の欠如からくるものであり、また、政府の、かたくなな態度にも責任があります。経済生活の向上をはかることを目的とする労働組合も、こうした政府の態度のもとにあつては、当然、権利擁護闘争へと発展せざるを得ないではありませんか。これに対して刑事犯取締りで臨むならば、ますます対立が険悪化することは当然であります。政府は、こうした権力的態度を改めるべきであります。
 政府の弾圧労政は、数多くの労働組合員を不当処分に付しているが、特に、最近行われた全逓労組や全農林職組の幹部の不当処分等に具体的に現われているのであります。労働組合の団結権と自主権、すなわち、人事決定権に政府の権力介入は、明らかに憲法第二十八条の規定条項に違反していると思うが、この点、労働大臣の所見を承わりたいのであります。(拍手)
 弾圧労政は、二年越しの勤務評定の強行となり、わが国教育界は未曽有の混乱を示しているのであります。ここ数年間空文となっていた勤評条項を突然無理やりに持ち出して強行しようとしていることは、何としても納得のいかぬところであります。さきに、日教組に対する保守勢力の攻撃は、教育二法案の国会通過を、十分なる審議を行わずして、多数横暴でこれを強行し、国民大衆をして、かかる横暴をしてまでも強行しようとする政府の意図に対して深い疑惑を持たしめているのであります。
 岸内閣の教育政策は、世界の平和と民主主義の危機をめぐる国際政局の中で、米国の対日政策路線に協力し、日米独占資本と権力を総動員して、なしくずしに日本の核武装化をはかり、日米安保条約を改定し、日本のファッショ体制確立のための御用化として仕組まれているものであります。このことは、国民大衆をつんぼさじきに置いて行われた、一九五三年十月、米国ワシントンで取りかわされた、沖田・ロバートソン会談の覚書で、はっきりしているのであります。
 伝えられる覚書の内容は、次の諸点といわれているのであります。
 一、日本が現在及び将来に担当すべき任務にかんがみ、日本政府は、青少年をして軍国主義的自衛の精神を養成する。その実施に当つては、現行憲法のもとでは実施困難につき、小選挙区制等の方法を講ずることによって、できるだけ早く憲法を改めるべきである。それに至るまでの緊急策として逐次教育の制度と内容を変革し、目的に合致せしめる。
 二、それと並行して、教師の思想及び教育行動を統制し得る法律の制定、実施の必要がある。それに対して、憲法変革反対の中心的役割を演じておる教師及び国民が反対する場合は、一九〇〇年法律形式によって取り締まる。
 三、他方、政府の方針及び国家目的に協力し得るよう報道機関を管理することが望ましい。同時に、協力的な学者及び団体の養成に努める。
 この池田・ロバートソン会談の覚書ありし以後の一連の反動的労働政策や文教政策を見ても、岸内閣が、この覚書の精神を、手をかえ品をかえて政策面に実現をはかるために苦慮しておることは、事実によって証明されているのであります。(拍手)岸総理は、今、あなたの率いる自由民主党内において、池田勇人氏とは、はたの見る目も醜い抗争を続けておられますが、この際、その覚書に盛られた反動的政策を思い切つて、民主国家のあり方にふさわしい政策に転換をはかる意思ありやいなや、態度を鮮明にして、お答えを願いたいものであります。(拍手)
 また、橋本文部大臣にお尋ねいたしますことは、昨年じゆう混乱を続けてきた教育問題解決のため、公平中立の立場から、政府に学者グループより申し入れのあった線で一応事態収拾をはかられて、勤評強行の撤回と、日教組の弱体化と分裂を企図するがごとき校長管理職手当制を中止されてはいかがですか。さらに、教育問題に関しては、各都道府県にある教育委員会と日教組の話し合いにゆだね、自主的にこれらの諸問題の解決をはかることが最上の策と考えられますが、いかがでありますか。
 さらに、教育は政治より離れ、厳正中立でなくてはならないことは、言うまでもありません。しかるに、最近の政府の方針は、教育を守れという美名のもとに、至るところで政府みずから政治的介入を始め、干渉にうき身をやつしており、まことに民主教育発展のため憂慮にたえません。新任された橋本文部大臣は、これらの事態について教育の中立性と民主主義教育を守るため、いかなる政策で臨まれるか、その所信を明らかにされんことを望むものであります。
 さきに、わが党鈴木委員長よりの、ILO条約第八十七号、結社の自由及び団結権の擁護に関する条約批准に関しての質問に、岸総理のお答えは、労働問題懇談会の結論を待ってと、大へん気の長い答弁をされておりますが、この問題は、多年わが国の労働組合運動の懸案であり、早急に解決しなければならない問題であり、また、国際信義にもこたえる責任があります。ILO条約は、申すまでもなく、近代文明国家、民主主義国家の欠くべからざる前提条件であります。岸総理も御承知のごとく、わが国は、昭和二十六年に、正式にILO復帰を許されたのであります。しかし、この復帰に際して各国の労働代表及び使用者代表から非常に強い反対があったのであります。労働代表の多くは、戦前の日本の暗黒政治を想起し、労働者の基本的人権を守らない日本の政府は、現在でも労働者の団結権、団体交渉権を全般的に認めていないではないか、という不満でありました。一方、使用者代表の反対は、戦前、日本が低賃金で労働者を働かして、その利益の上にあぐらをかき、国際貿易の面で多くの進出をしたことを想起し、国際条約勧告を決議しても、日本政府がこれを順守することの誠意に対する疑問からでありました。
 以上のような事情があつて、日本復帰に関し審査委員会が開催された席上、わが国政府代表は、次のことを約束したのであります。わが国政府代表は、日本復帰を審議するために任命された選考委員会に出席して、日本は本機関脱退前に批准した条約より生ずる義務は引き続き拘束力を有することを承認する旨を回答したのであります。なお、労使両者の権利に関して、小委員会の労使側委員の質問に答えてわが国政府代表は、現在の日本国憲法第二十一条は、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由を保障している旨、また、同憲法第二十八条において、労働者の団結権、団体交渉権、団体行動の自由権が保障されている旨を述べたのであります。選考委員会は、日本国政府が、日本国憲法に従い、国会の承認を得た上、ILO機関の憲章の義務の正式受諾を事務局長に通知するとのことに留意したのであります。また、小委員会は、日本国政府は、今後数カ月以内に国会が再び召集された場合は、直ちにこの問題を国会に付議する旨を、わが国政府代表者から確認を得たのであります。
 以上、ILO復帰のいきさつを顧みますと、いまだ条約第八十七号の批准をちゆうちよするがごときは国際信義を無視するものであり、岸総理が、一昨日、本院の施政方針演説で声を大にして叫ばれた、国際社会の信義を貫く方針とは全く相反するものであります。(拍手)岸総理は、国内法との関連性で検討の余地ありとして引き延ばし策を考えておられるようでありますが、事態は急速に解決しなければならない段階に到達しているのであります。
 すなわち、昨年十一月十三日、ジュネーブの国際労働事務局で開催された結社の自由委員会は、日本に関するケース第百七十九号を検討して、その報告書の中で、「委員会は労働組合資格及び役員の選出に対する制限についての一定の申し立てに関する結論を理事会に提出する」。越えて十一月十八日より開催されたILO理事会において、わが国政府代表である河崎公使は、「四条三項に関連する部分を含んでおるA項については反対だ」と述べたところ、逆に、他の代表より、「A項と他の項目と切り離しては考えられない。それよりも、日本がILO復帰を申請したとき、日本政府がどういう約束をして復帰を許されたものであるか、考えてみなさい」と逆襲されて、国際舞台で醜態をさらしたものであります。(拍手)岸総理が言う労働問題懇談会も、ILO条約第八十七号批准問題に関する小委員会としての意見を報告いたしました。この報告も、公労法第四条三項、地公労法第五条三項が条約に抵触する旨を、はっきり指摘しているのであります。本年六月開催のILO総会には、倉石労働大臣もみずから出席するとの積極的意欲のあることが伝えられているのでありますが、再び国際舞台で非難されないように、本国会において国内法を整備し、条約批准を決議し、もって岸総理の言う国際社会の信義を貫く精神を生かされたらいかがかと存じますが、岸総理の、はっきりした答弁を聞きたいものであります。(拍手)
 次に、灰関するところによりますと、ILO条約を批准するかわりに公労法や鉄道営業法等の罰則規定を強化する考えが政府部内にあるといわれておりますが、とんでもないことであります。もし、そのようなことになれば、形式上のILO条約批准は、実はその精神とは全くかけ離れた反動的、弾圧的なものとなり、こうした背信背徳行為は直ちに国の内外から見破られ、国際的信用を失墜するものであります。岸総理は、そういうことを考えていないと断言できるやいなや、本院においてお答えを願いたいのであります。
 ILO条約批准を含めて、こうした国際水準以下の反動的な労働政策がとられるならば、正常なるべき労使関係、労働慣行は、政府みずからの態度によってじゆうりんされ、労使間の対立抗争は激化するのみであります。このことは、わが国産業経済の発展を阻止し、国家社会の損失は重大なものであります。この際、政府は、正常なる労使慣行を実現せんとするならば、従来の面子にとらわれることなく、国際条約小委員会の結論に沿って、ILO条約第八十七号の批准と、公労法、地公労法の改正に着手すべきであります。この点もあわせて岸総理よりお答え願いたいものであります。
 次に、労使問題の重要課題である賃金問題について政府の所見をただしたいのであります。
 政府も御承知のごとく、現在、春闘を前にして日本の組織労働者の五割五分を組織せるわが国最大の労働組織である総評と、資本家陣営の代表組織である日経連との間に、労使の賃金論争が始まつております。総評の側から言うと、大資本五百社は、不況の昨年度においてもなお三千億円の利潤を上げ、製造工業労働者への分配率は、昭和二十七年の四五%から、三十二年、三年には三五、六%に低下し、反面、生産性は、一陣目、本院における世耕経済企画庁長官の経済演説にも示されておるごとく、上昇しておるのであります。しかるに、わが国の労働者の賃金水準は、生産性向上に伴わない低賃金であります。一般的には、米国の九分の一、英国の三分の一、同じ敗戦国である西独に比較しても、問題にならないほどの低賃金であります。日本の低賃金は、国際間においても強く批判されているのであります。これに対して、日経連では、「不況になって賃金は上げられない、定期昇給が妥当」の一本やりであります。ところが、この不況を招いた原因は一体どこにあるか。それは、政府の経済白書にもはっきり認めておりますように、在庫調整の段階より進んで、過剰生産の第二幕に入つたといっておるのであります。つまり、物が作られ過ぎて、設備投資が行われ過ぎて操業短縮、過剰生産となつたのであります。しかるに、この不況の原因をたな上げして個々の会社が金融機関の信用を得るために、もうけをふやして無計画な設備投資をやり過ぎた結果、営利内容が一時どうなつたかというだけで、本質的なものではありません。しかるに、労働者の賃上げ闘争を、政府が政治的抑圧に終始しようとするならば、まさに本末転倒もはなはだしいものであります。むしろ、設備投資を計画的に規制して、大衆購買力が増大するような賃金政策をとることが、無用の摩擦により生ずる経済的損失を招くより、はるかに適切なる労働政策と思いますが、倉石労働大臣の所見を承わりたいのであります。(拍手)
 また、最低生活を保障するための最低賃金法の制定を急がれておりますが、われわれは、最低賃金という性格の本質から見て、全国一律の賃金額を制定することが正しいとしております。政府は、逆に、業者間協定賃金や地域別離や業種別離を考えられておるようでありますが、これは、最低賃金制の確立とはおよそ縁遠いものであります。この際、政府提出の法漿を撤回して、新しく、全国一律方式に改める意思はありませんか。お答えを願いたいものであります。(拍手)
 次に、雇用問題についてお埠ねしたい。
 政府の経済政策の失敗から、約一千万に及ぶところの極貧層の存在がより深刻化している上に、中小企業を初めとして大企業にまで解雇の不安が広がりつつあります。臨時日雇い労働者が、この一年間に三割以上も失業しておるのであります。なおかつ、今後の企業合理化が進むと、ますます失業と生活不安が大きくなると思う。これに対する政府のあたたかい政策がきわめて不十分であります。一例をあげますと、米軍撤退に伴う駐留軍労務者が自発的に自立更生をはかり、企業組合を作り、みずからの力で立ち上らんとするこの積極的な努力に対して、何ら見るべき援助政策がありません。私は、この際、政府が思い切つて駐留軍労務者の離職対策を積極的に進め、失業対策の一環として、雇用増進の政策を具体的に打ち出してもらいたいことを強く願うものであります。
 そこで、労働大臣にお尋ねしたいことは、一、駐留軍労務者の離職対策については、従来の形式的なものより一歩前進して、予算の増額と国有財産の優先払い下げを考慮しておられるかいなや。二、一般問題として、失業保険金の給付額を増加し、給付期間の延長を認める考えを持っておられるかいなや。三、完全雇用対策として、いかなる具体的施策を考えておられるかいなや。われわれの納得のいく答弁をされんことを願うものであります。
 さらに、失業問題に関連して、福岡県の志免鉱業所民間払い下げの問題についてお尋ねしたい。
 この鉱業所の民間払い下げ問題が起るや、当事者たる国鉄労組や、志免鉱業所を中心とする関係周辺の志免、宇美、須恵、粕谷の四カ町全十万住民も反対を叫び、三千三百人の従業員は言うは及ばず、全地元住民も極度の不安に陥つていることは、当局もよく御承知のところであります。この問題は、行政管理庁よりの勧告により、国鉄経営調査会は検討の結果、現在の収支は赤字である、将来も好転する見込みはないので、国鉄より切り離して売却すべきであるが、これができないならば徹底的な合理化をはかるべきであるという答申に端を発してその後、権利に結びつく官僚、業者、政治ボスによって、いよいよ問題が政治化したために、行政管理庁は、国鉄は輸送業一本でいくべきであるという再勧告を行うに至つたのであります。現在の志免鉱業所は黒字経常に好転しておる。国鉄は、調査委員会を設定して、この問題の処理に対する検討を開始しておるが、われわれは、次の事由で、民間払い下げは反対であります。この払い下げは利権として取り扱われておる。伝えられるところによると、払い下げ価格十億円前後といわれておりますが、終戦後、海軍省より国鉄経営に移つて、投下した資金のみでも二十二億六千万円、従って、現在の評価は四十億を下らぬとしておるのであります。国鉄は可採炭量を極度に過小評価しておる。また、出炭面は、昭和二十二年度に比して二倍以上になっておる。経理面も、昭和三十二年度は二億七千万円の黒字となっておる。賃金面は、坑外は民間より六十円高い。万一、民間払い下げが決定すれば、日鉄法第二十九条により全員の首切りが行われ、隣接町財政及び商工業者に与える影響は甚大であります。永野運輸大臣は、本年一月十日、国鉄総裁に対して、志免鉱業所を国鉄経営より分離することを了承する通告をしたと聞き及んでおりますが、いかなる所存で民間払い下げを決定されたか、その所信を承わりたいのであります。(拍手)
 次に、藤山外務大臣にお尋ねしたい。あなたは、本院における外交方針演説のうちで、目下国内で大きな問題として論議されておる在日朝鮮人六十万人の帰国要請問題については一言半句も言及されなかったことは、私の最も遺憾とするところであります。在日朝鮮人の八割以上の人々が現在生活困窮にあえいでおる実情は、よくおわかりのことと思います。生活困窮から生ずる結果は、決して日鮮関係の親善には役立つものではありません。政府は、北鮮と南鮮、すなわち、朝鮮民主主義人民共和国と韓国との関係で、ためらつておられるかもしれませんが、この際、英断をもって――在日朝鮮人の、みずから選んだ祖国に帰る意思を押える理由もありませんし、また、わが国においても、東京都を初め、すでに二十二都府県、百二十市の議会が在日朝鮮人の帰国実現の決議を行なっておる事情にかんがみても、これを阻止する理由はごうもありません。さきに、藤山外相は、在日朝鮮人帰国協力会代表に対して戦前から日本に在住する朝鮮人は、帰国希望地が南鮮、北鮮を問わず、日韓全面会談とは無関係に、国際法上、人道上の立場から解決したいと言明されたそうでありますが、この際、在日朝鮮人の帰国問題に関していかなる見解を持っておられるや、私どもの納得のいく答弁を願いたいものであります。(拍手)
 なお、緊急問題としてお尋ねいたします。昨二十八日午後八時四十分ごろ、上り急行列車の雲仙号の進行中の食愛車において日本人乗客がフェドレンコ・ソ連大使一行に暴行を加えたとのこと。これを阻止しようとした日ソ協会役員や鉄道公安官にも暴行を加え、随員の中には傷を負つた者が出たと、今朝の新聞に報道されておるのであります。事実としたら、重大な国際問題であります。この際、真偽の実情を御報告願うとともに、いかなる善後処置をとられるか、あわせてお答えを願いたいのであります。
 最後に、一言、岸総理にお尋ねしたいが、一月二十四日、総理の所属される自由民主党が大会を開いて総裁の公選を行いました。総理は再び総裁に公選されました。本来ならば、儀礼的にも、おめでとうとお祝いの言葉を差し上げたいと思いますが、百六十六票という、不信任の、あと味の悪い公選の結果ですから、それすら言い得ないのが、率直なる私の現在の心境であります。(拍手)総理は、大会終了後、新聞記者団との会見の一問一答で、次の所信を披瀝されておるのであります。「国内で民主政治の基礎を今後確立しなければならないが、保守政党も、社会主義政党も、国民政党として議会主義を守ることが必要だ」と言われたのであります。総理は、ほんとうに議会主義の本質を理解されておられるかどうか、お尋ねしたい。総理も御承知のごとく、わが国においては、戦前、特高警察がありました。政府がこの特高諸君に与えた特高必携新辞典には、議会主義を次のごとく解釈しておるのであります。直接行動を排し、議会に多数の議員を選出し、議会を利用し、立法手段による政治行動をもって無産階級の解放、地位の向上を達成するものである。すなわち、社会主義の議会認識である。総理はいつの間に社会主義者におなりになつたのか、お伺いしたいのであります。(拍手)
 さらに、いま一言お尋ねいたしたいことは、総理を初め、自民党の方々の憲法に対する考え方であります。総理も、自民党も、「現日本国憲法は占領政策の遺物で、米国より押しつけられたる憲法であるから、一口も早く日本人の総意によって改正しなければならぬ」と言明されておるのであります。すなわち、以上の理由から、総理初め、自民党の諸君は、改憲論者であります。岸総理の創意によって発足いたしました憲法調査会は、昨年十一月より約一カ月にわたり、現行憲法制定当時の事情について、高柳賢三氏を団長として米国へ調査におもむいたのであります。その成果の報告に、高柳氏は次のように言っておるのであります。一、現行憲法制定に当り、米国によって押しつけられたという客観的な理由はない。二、第九条の戦争放棄は、マッカーサー元帥や米木国の考えでなく、幣原首相の提案によるものだ。三、マッカーサー元帥は、第九条が自衛に必要な措置まで禁止しているとは考えてなかった。この調査団の報告でも明らかなことく、幣原首相の提案、すなわち、日本政府の自主的創意によって制定されたのが、輝ける現日本国憲法であります。岸総理は、この調査団の報告についていかなる所見を持たれておるか。憲法第九十九条に、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と規定されております。あなたは率先して守らなければならない立場にあります。総理は、この立場から、明快にただいまの問題に答弁あらんことを望んで、私の質問を終るものであります。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
#7
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 経済の成長繁栄は、同時に、その利益の配分についても公正妥当に行われなければいけないというお考えにつきましては、私は全然同感であります。労使の間においての正常なる労働慣行ということにつきましては、われわれは、労働政策の根本として、そういうものを重視しようと考えております。従って、経済、産業の繁栄に協力すると同時に、その繁栄から生ずるところの利益や福祉があまねく配分せられることが望ましい、私はかように考えております。私どもの労働政策が、弾圧的な、権力的なものであるというお考えでありますが、私どもは、そうではないのであります。あくまでも、労使間の正しい公正な労働慣行の樹立、これに向つての労働者の運動に対しましては、われわれは、これを弾圧するとか、取り締るというようなことは絶対に考えておりません。ただ、いかなる場合におきましても、労働運動におきましては、法秩序を守るということがやはり前提であります。その法秩序を逸脱するというような事態がある場合に、これに対して、その事態をなくするということを考えるのは、これはわれわれが当然考えていかなければならぬことでありまして、法秩序の範囲内におきましては、そういう、断圧とか、権力でどうするというようなことは絶対に考えておりません。(拍手)
 また、文教政策について、今おあげになりました池田・ロバートソン会談の結果、こういう申し合せができておるということをお読み上げになりましたが、実は、私は、初めてそのことをあなたから聞いたわけであります。私どもが文教政策を立てておるのは、あくまでも、日本が自主的に、日本の立場において、日本の文教政策として、憲法のもと、どういうことが正しいか、どういうことが望ましいかという見地で、すべてのものを立案いたしておりまして、こういうことについて、他からいかなる制約をも受けるものでないということだけは明確にいたしておきます。
 ILOの八十七号の批准の問題に関しまして、いろいろな御意見がございましたが、もちろん、ILOの精神をわれわれが尊重して、ここで決議され、勧告されるところのものについては、できるだけ批准を進めていくことは当然であります。ただ、八十七号の問題につきましては、いろいろな議論があり、同時に、日本の国情とも調和せしめるいろいろな問題がございますので、労働問題懇談会において、これが権威者を集めて審議、協議し、調査してもらつておることは、御承知の通りでございます。政府としては、その結論を得て、これによって政府の態度をきめたい、かように考えております。
 最後に、民主政治を確立していく上において、国会を尊重し、国会主義をあくまで守つていくということは、これは言うまでもないことでありますが、その前提として、現行の憲法を尊重し、これを順守すべきであるということは、これは申すまでもなく当然のことであります。しかしながら、そのことは、憲法の改正について研究をし、あるいはいろいろな意見を述べるということとは、何ら矛盾しないことでございます。現行憲法はすでに制定後十年になりまして、制定当時の日本の国情と今日の状況は非常に著しく変つておる。また、同時に、十年間にわたるところの施行の結果にかんがみましても、いろいろな点において、必ずしもこれがすべて国情に合つているともいえないというような点につきまして、各方面の意見を、十分に、慎重に検討するということで憲法調査会法が設けられ、調査会が設けられておることは、御承知の通りであります。そうして、この調査会は、権威者を集め、同時に、内外のあらゆる資料をできるだけ集めて調査いたしておることも、御承知の通りであります。ただ、私どもが非常に遺憾とするのは、この成立の最初から、憲法改正に反対の立場をとつておられる社会党の諸君が、われわれの懇請にもかかわらず、これに参加してもらつておらないということであります。われわれは、社会党の方々が、憲法を改正することは適当でない、改正すべきものにあらずということを国民に十分納得せしめるように、この権威ある調査会に加入してそうして十分な調査が遂げられることを望んでやみません。(拍手)
    〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#8
○国務大臣(倉石忠雄君) 労働政策の基本的な考え方につきましては、総理大臣から申し上げた通りであります。労働運動なるがゆえに、どういうことでも法益の保護を受けるということはないのでありまして、やはり、いろいろな労働運動から端を発しました事案でも、事、他の治安関係の法律に触れる場合においては、これは労働問題の範囲を越えておるのでありまして、国民のために、これが正当に処断されることは当然のことであります。政府は、労働政策に対しましては、従来から労働運動には介入しないという方針をとつておるのでありまして、この方針については何らの変化もありません。
 賃金についてお話がございました。わが国の賃金について、総評は最近賃金白書を発表しておられますが、たとえば、英米に比較いたしまして、日本の生産性の伸び方がやや劣つておりますし、同時にまた、生活水準等においても差異がありますので、賃金のベースは、平均したものを見ますと、それらの国々よりはやや劣つておりますけれども、今度は――今、後進国の話がありましたが、英米とはやや劣つておるが、後進国のインドなどと比べますと、これは日本の方がはるかに上であります。山花さんのお話によりますと、生産性向上に伴つて賃金の上昇率が低いのではないか、こういうことをおつしやいました。よその国の生産性の向上に伴う賃金の上昇奉とわが国とを比べてみますと、たとえば、昭和三十年度を一〇〇といたしますと、生産性向上率が一一九ということになっております。日本の賃金は一一六でありますから、生産性向上に伴つて賃金平均も上昇しておるということは、この統計によってもおわかりの通りであります。ただ、わが国は、遺憾ながら、第二次世界大戦で産業基盤が徹底的にたたかれましたので、それを復興いたして参りますために、企業の面を見ましても、当然やるべき減価償却なども、英米やドイツ等に比べて比較的劣つておる。やはり、産業基盤を強化いたして、経済の国際競争力を強化いたしていくためには、そういうような資本蓄積及び減価償却等も十分にやるようにして、その上に産業基盤をしつかりしてから、賃金の配分についてもできるだけやっていく、こういう方が穏当ではないか、われわれは、賃金に対してそういうふうに考えております。(拍手)
 最低賃金制についてお話がございました。最低賃金制につきましては、ぜひ政府の提案を私どもは実現いたしたいと思っておるのでありますが、山花さんも御存じのように、なるほど、業者間協定というものがあります。業者間協定のみではないのでありまして、業者間協定そのものをすぐ法文化するものではないのであつて、業者間協定がありましたならば、労働者と経営者と他の公益と、三者の集まつた審議会というところを通過さして、これが法定化するのでありますから、業者間協定即最低賃金の制度ではないのであります。しかも、日本の最低賃金というものは、地域別、業種別にいろいろ考えております。ただいま社会党が御提案になっております全国一律八千円という最低賃金――山花さんも御承知のように、世界各国の最低賃金制を見ても、大部分というものは、産業別、地域別に格差のついた最低賃金制度を採用していることは、御承知の通りであります。日本だけが変つたことをしようというのではございませんで、日本は産業全部をおしなべて一律八千円というようなことになりますと、産業基盤が非常に違つておりますところで、非常な経済の混乱を来たすことは、おわかりの通りでありますから、現状に即しては政府案が一番妥当である、こういうふうに考えております。(拍手)
 それから、失業対策のことについて御心配をいただきました。われわれは、昨年の暮れに政府が発表いたしております、明年度、すなわち今年度の経済見通し等につきましても、御承知のように、財政投融資においても、また公共事業費等においても、大幅な増額をいたしております。政府部内で、これらの投資による人員吸収数はおよそどのくらいになるであろうかという計算をいたしまして、大体二十万八千人くらいの余剰吸収力を見込み得るということを考えておるようなわけであります。従って三十五万人の失業者対策費というものをとるということでありましたが、最終的には、皆さんの御尽力によって、二十五万八千人という、昨年度よりやや上回つた、つまり、約八億円の失業対策費の増額を見たばかりでなくて失対事業はやりたいが、市町村長の、財政が貧困であつてどうもできないという訴えがございましたので、三十四年度予算におきまして、われわれは、市町村の負担を軽くしてあげるためにも資材費、事務費等を大幅に増額いたしたことも、御承知の通りであります。大体、私どもは、失対事業費については政府原案でよろしい、こう考えております。
 それから、もう一つ、駐留軍労務者の離職対策についてお話をいただきました。昭和三十四年度におきましても、やはり相当数の離職者を見る予定でありまして、政府といたしましても、この点につきましては頭を痛めておるところでありますが、政府では、御承知のように、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基きまして総理府に中央駐留軍関係離職者等対策協議会というものを置きまして、私どもそれに参加をいたしまして、山花さんもちょっとお話になりました、離職者の企業組合等の育成には特段の保護を与えておることも御承知の通りでありますし、一例を申しますならば、たとえば、追浜等で大幅な離職者がございますが、ういうところでは、現場に案定所の出張所を設けて、そこであっせんをするとか、あるいはまた、総合職業訓練所において職業訓練をするとか、それからまた、払い下げになります軍の施設を、民間の産業、比較的景気のよさそうな、たとえば自動車工業が今問題になっておりますが、そういうところに売り渡して、今までの駐留軍労務者を引き続いてその作業場に働いてもらうといったようなことを、政府は今全力をあげてやつておる次第でありますが、私は決してこういう点について楽観はいたしておりませんから、どうぞ一つ御協力のほどをお願いいたしたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍伍君登壇〕
#9
○国務大臣(橋本龍伍君) 教育の基本方針の問題につきましては総理からお答えがあった通りでありますが、勤務評定の問題につきましては、今まで政府からしばしば申しております通り、教職員の人事管理を公正にいたしましてひいては学校教育の向上をはかることを目的とするものであります。従いまして、法律におきましても、人事管理権者におきまして勤務評定を実施しなければならないことを明示しておるものでありまして、教職員の人事につきましても、その責任者でありまする教育委員会がこの勤務評走の実施を進めることは当然のことと考えております。これに対しまして、行政についての責任者でない日教組等の外部の団体が不当に介入して参りまして何が何でも実力をもってその実施を阻止するというようなところから、わが国の教育界に混乱を招いておるのでありましてまことに遺憾でございまするが、幸いにして、教員の諸君の良識と国民の御協力によりまして、大体、全国の都府県の大多数におきまして、これが実施の運びになりつつありまするのは、まことにけつこうなことであります。(拍手)今後、なお、これの実施を推進いたしまして、教育行政の秩序の確立をはかることがまことに肝要であると考えておる次第でございます。
 次に、校長に対する管理職手当についてお話がございましたが、校長の職務が管理、監督的職責であるということにかんがみて、他の公務員と同様、管理職手当を支給することにいたした次第でございます。
 なお、教育の中立性の確保という点については、これはもう、真剣に、その通りにやつて参るつもりであります。教育基本法等、国会において定められた法律を順奉いたしますることと、また、文部省が指導、助言を行いましてそうして府県市町村の教育委員会が責任をもって教育行政を行うという建前におきまして真剣に教育の政治的中立というものを守つて参りたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕
#10
○国務大臣(藤山愛一郎君) 北鮮帰国の問題につきましては、政府は、居住選択の自由という国際通念に基きましてこれを処理したい考えのもとに、ただいまその具体的方法を検討いたしておりますので、いずれその処置を決定いたすことにいたしたいと思います。
 それから、ただいまお話のありましたフェドレンコ大使の暴行事件でありますが、私も、新聞を見まして驚きまして儀典長を直ちにソ連大使館に、事実の調査と並びにお見舞にやりましてそのときに留守をいたしております大使館員の儀典長に対するあいさつは、一時間ほど前にフェドレンコ大使から電話がかかってきて、新聞紙上等に出ておる報道のようなことはないのであるから、かえつて外務大臣からお見舞をいただいて恐縮いたしておるということであります。(拍手)
    〔国務大臣永野護君登壇]
#11
○国務大臣(永野護君) 志免鉱業所の問題につきましてお答えいたします。志免鉱業所は、御承知の通り、戦前海軍の炭鉱であったのでありますが、終戦とともに、国鉄がこれを引き継いだのであります。そうして、終戦直後の、あの石炭飢饉のときには、この炭鉱は相当国鉄のために尽してくれたのであります。ところが、その後石炭事情が変つて参りまして特に、この志免鉱業所の石炭にたよらなければならないような事情がなくなりましたので、本来の仕事でない炭鉱経営を、国鉄がそのまま引き継いでやつた方がいいかどうかということについて、いろいろと論議が起きたのであります。そして、昭和二十九年に、公共企業体合理化審議会では、本来の仕事にのみ専念すべき国鉄は、その事業外の仕事である炭鉱の経営は分離すべきものであるという勧告を出したのであります。さらに、その翌年の三十年、行政管理庁からも同様の勧告がありました。さらに、三十一年、日本国有鉄道経営調査会でも、これは分離すべきものであるという答申を出しておるのであります。さらに、三十三年には、再度、行政管理庁から、この分離を勧告をして参つたのであります。そこで、国鉄におきましても、昨年四月に、部内外の学識経験者を網羅いたしました志免鉱業所調査委員会を設けまして、慎重にこれを研究したのでありますけれども、その結果も、同様に、これは分離すべきものであるという答申を出したのであります。そこで、国鉄総裁は、その事柄の重要性にかんがみまして、日本国有鉄道法上の正式の許可申請を行います前に、まず、この炭鉱を国鉄経営から切り離すかどうかという、その根本方針についての承認を求めて参りましたので、私どもは慎重審議いたしたのであります。そして、社会党の方でも、その委員会をお作りになられまして、これまた、いろいろの学識経験者も入れて御検討になり、その御意見も、われわれはいただいておるのであります。そこで、私は、前に申しますような数々の勧告と社会党の御意見とを比較検討いたしまして、十分に考えました結果、遺憾ながら、社会党の御意見には私承服しかねまして、従来の各勧告に従って大体の方向だけは分離ときめたのであります。しかしながら、まだ問題は全く出発点でありましてそれをどんなところへ、どういう方法で譲り渡そうというようなことにつきましては、何らの決定をいたしておらないのであります。問題はこれからであります。従いまして、その大体の値段が、ただいま十億円云々というようなことがありましたけれども、そんな問題は全くございません。ただ大体の方向をきめただけであります。詳しいことは、いずれ委員会で御報告申し上げます。(拍手)
#12
○議長(加藤鐐五郎君) 堂森芳夫君。
    〔堂森芳夫君登壇〕
#13
○堂森芳夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして岸総理並びに各閣僚の演説に関連し、若干の質問を行わんとするものであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 岸総理は、一昨日の施政演説で、「社会福祉国家の建設こそ民主政治に課せられた使命である」と言っておるのであります。しかるに、政府の提案して参りましたる予算案を詳細に検討しますると、全く独占資本にのみ奉仕し、低額所得者に対してはきわめて冷淡でありまして、よくも、おくめんもなく社会福祉国家の建設などと言えたものだと、ただその厚顔さにあきれざるを得ないのであります。(拍手)
 福祉国家の建設とは、まず、貧困の解消が先決条件でなければなりません。しかるに、わが国の貧困問題の実態はどのようなものでありましょう。昭和二十七年ごろを境として貧富の格差が激しくなり始め、貧困階層の固定、沈澱はまことに切迫した様相を呈しておるのであります。そうして生活保護法による被保護者と同じか、あるいはそれ以下の水準に属する低消費水準世帯の数は、昭和三十一年四月一日において二百六万世帯、一千百十三万人でありまして、実に、わが国の総人口の約一一一・四%に当つておるのであります。貧困世帯のおもなる比重は、不完全就業の反映としての、あるいは就業能力喪失によりましての低所得で占められておるのであります。従って、その対策は、最低賃金制を含む完全雇用と社会保障の達成以外にはあり得ないことが明らかであると申さねばなりません。しかるに、政府の言う最低賃金制とは、低賃金を合理化せんとする業者間の協定であり、また、予算案を見ましても、ごまかし年金制の創設を除きましては、社会保障費はすべて横ばいであります。これで、総理は、まじめに福祉国家の建設ができるものと思っておられるのであるか、まずお伺いいたしたいのであります。(拍手)
 昨年五月の総選挙における自民党の公約の一つとして国民年金の創設があったのであります。しかるに、政府提案の予算案を見ますると、その適用範囲はきわめて厳重にして過酷なる規制を行い、しかも、本年十一月より初めて無拠出年金だけを実施しようといたしておるのであります。これは全く羊頭を掲げて狗腐を売るものと断定してはばからないのであります。これで公約違反と思っておらぬのかどうか、総理、大蔵大臣、厚生大臣にお伺いをいたしたいのであります。
 ことに、看過し得ないことは、国民年金は単に形だけを整えた程度でお茶を濁しておきながら、他の社会保障関係費はほとんど横ばいで、極貧層への配慮が、はでな国民年金のかけ声で押し流されていることであります。それに、国民年金の発足をきつかけに社会保険料の調整が行われまして、全く労働階級に対しては大きな負担の増加がきております。全く欺騰政策といわねばならぬと思うのでありますが、いかようにお考えでありましようか。(拍手)
 また、去る二十二日開かれました社会保障制度審議会の総会は、「政府のような構想では、社会保険ではありながら、むしろ任意保険に近い考え方が随所に現われている。このため、社会保障の精神が大幅に後退し、防貧というよりは救貧的色彩が強い。その結果、国民年金制度を最も必要としておる階層がこの制度から締め出されるおそれが多い」と指摘しておるのであります。全くその通りでありまして政府の所見を伺いたいのであります。
 次に、国民皆保険についてお尋ねをいたします。
 政府は、「昭和三十五年度までに、全国民を対象として、国保未加入者をして国保に加入せしめる」と言っておるのであります。しかるに、行政管理庁が、昨年一月から四月まで行政監察を行いました。そうしますると、初年度における普及計画の達成率はわずか五二%程度であつてきわめて悪く、四カ年の達成は困難であると言っておるのであります。三十三年三月末の調査によりますと、医療保険の適用を受けておる者の数はおよそ七千万人弱でありまして、その総人口に対する普及率は七四・六%となっております。しこうしてなお全国民の四分の一、約二千三百万人の未適用人口の解消が、これからの問題であるといわなければなりません。昨年の暮れ国会を通過いたしました新国民健康保険法に対しましては、本院において与野党一致で附帯決議がつけられておるのであります。これらの附帯決議が実行されてこそ、国保が真に全国民に拡大して参る道であるのであります。しかるに、政府は、来年度予算においては何ら顧慮しておらず、計画通りに果してこれで国民皆保険の実現の自信がありやいなやを伺いたいのであります。
 さらに、いまだ社会保険の対象となっておりません五人未満の事業所に働く労働者の諸君を健保に加入させるべきであり、また、日雇い健保に当然含まるべき山林及び漁業労働者にまで広げて給付を改善すべきだと思いますが、大蔵大臣、厚生大臣はいかに考えておられるのか、お尋ねをするのであります。
 また、今日の日本の医療保障制度というものを見ますると、各種保険が、群雄割拠の形で、それぞれの歴史的伝統を持って並立いたしておるのであります。さらに、これを受け入れる側である医療機関等を見まするならば、全く混乱の姿を呈しております。また、これらに支払われる診療報酬につきましてもばらばらであり、全く医療担当者を困惑させておるのであります。このように、どれを見ましても、日本の医療保障には一貫した体系がありません。政府が社会保障の充実をはからんとするならば、まず、制度の統合、一元化にメスを入れ、さらに、医療機関の体系的整備を行い、同時に、診療報酬の一本化を断行することが目下の急務であると思うのでありますが、政府の具体的方針について、総理並びに厚生大臣にお尋ねいたしたいのであります。
 次に、医療保険の円満なる運営のためには、医療担当者の心からの協力がなければ不可能であることは当然であります。しかるに、医療保険の療養担当者に対する適切なる指導監督と診療報酬額を審議することを目的とする中央社会保険医療協議会の現状はどうでありましようか。このような醜状を呈するのは、全く政府の重大なる責任と申さねばなりません。明快なる御答弁をお願いするものであります。
 次に、生活保護について伺いたいのであります。厚生省の調査によりますれば、一般勤労者と生活保護を必要とする階層との格差は、昭和二十六年には一〇〇対三四であったのであります。一昨年、三十二年度では、一〇〇対二五に落ちておるのであります。つまり、生活保護者の生活はますます困窮し、何らかの緊急なる対策が必要となっておるのであります。厚生大臣は、これら保護世帯に支給する保護費の基準額を来年度は約七・五%引き上げようという意向で、猛烈なる予算の要求をいたしました。しかるに、決定いたしました予算案を見ますると、わずかにその基準は三・一%引き上げにとどまり、しかも、対象人員は本年よりも一万数千人減らしておるのであります。来年度は雇用の増大は見込まれません。しかも、物価は、一昨年四月の基準改訂と比較いたしますると、昨年末までに三%も上昇をいたしております。かりに、基準を三・一%引き上げたといたしましても、生活保護者はエンゲル係数が六円と相なるのであります。このような姿で、一体低額所得者は人間としての生活ができると思っておられるのか、伺いたいのであります。(拍手)
 次に、結核対策についてお尋ねをいたします。厚生省は、最近、結核実態調査なるものを発表いたしました。すなわち、医師の治療を必要とする患者は全国で三百余万人で、二十八年度の調査と比較してごうも減つておらないといっておるのであります。また、三十二年度の厚生省の調査によりますると、生活保護世帯には一般世帯の十倍をこえる結核が集積しておるとも言っておるのであります。このように、結核対策とは、ある意味では貧困対策と申さねばなりません。従ってその対策は、予防、治療、後保護に至る一貫した対策を確立し、特に、治療費は全額国庫負担の原則をもって推進いたさねばなりません。しかるに、政府の予算案を見ておりますると、本年よりも結核対策費はわずかに増と相なっておりまするが、これで結核の撲滅が期せられると本気で思っておるのか承わりたいのであります。年々の結核全治療費は実に大群数十億をこえるといわれておるのであります。結核による国民的消耗の莫大なるに驚かざるを得ないのであります。不満ではあるが、厚生省が当初要求いたしました、せめて三十数億程度を濃厚感染源隔離に対し投ずるならば、結核の激減は火を見るよりも明らかであります。政府に猛省を促すものであります。
 次に、失業対策について伺います。去る八日政府が発表いたしました労働力調査報告によりますると、昨年の十一月の労働力人口は、十月に比べて七十二万人減少しておると言っておるのであります。一方、完全失業者は四十九万人で、前月とは変つていないが、一昨年、三十二年十一月の水準より六万人ふえたと言っておるのであります。すなわち、失業者の数は昨年よりも増加の傾向をとるものと考えなければなりません。その意味で、わが党は、少くとも、失業対策事業における一日平均吸収延べ人員は増加し、かつ、生活最低保障の見地に立ち、日給ベースの増額と、稼働日数月平均二十五日分、期末手当二十五日分の支給を確保すべきであると考えているのであります。しかるに、政府案によれば、吸収人員を二十五万人と、本年度と同じにいたしました。就労日数は、大蔵省原案の月二十一日を、わずか半日ふやしておるのであります。全く失業者に対して冷酷きわまるものといわねばなりません。(拍手)しかも、失業保険に対しまして、国庫負担率を三分の一から四分の一に切り下げる方針で予算を計上いたしておりますが、まことに、政府の態度は、労働者に対しては冷酷と申さねばなりません。これらの点につきまして、労働大臣の明確なる御答弁をお願いしたいのであります。
 以上、私は、社会保障の重要な問題について具体的に質問を試みましたが、さらに、社会保障の本質的な問題について総理にお尋ねをいたしたいのであります。
 国民年金は、本年からともかくも発・足する予定であります。これは、もちろん、形からいえば、社会保障の飛躍的な前進と申して差しつかえありません。年金と医療保障との二つがそろって社会保障は一本立ちといえるからであります。しかし、制度の形だけができただけで社会保障の全容が整つたというような錯覚に陥つてはならないのであります。医療保障としての国保にいたしましても、生まれんとする国民年金にいたしましても、ただ形だけのものであると断言して誤まりではありません。社会保障の充実とは、財政的裏づけを与えることであります。総理は、祖国の安全のためにアメリカと結び、汚職につながるジェット戦闘機の買い入れに狂奔し、巨額な国民の血税を浪費されんといたしておるのであります。これは、祖国防衛どころか、アメリカの死の商人のふところを肥やすのみであります。私は、社会保障の充実こそ祖国を守る唯一の道であると、かたく信ずるものでありまするが、総理の率直なる答弁をお願いしたいのであります。
 次に、中小企業について二、三の質問をいたさんとするものであります。
 従来、岸内閣は、国会ごとに、中小企業国会と公言しまして、その本質を隠蔽して参つたのでありまするが、去る臨時国会に独禁法の改悪案を提案して以来、今国会におきましても、中小企業問題についてはほとんどこれを顧みず、もつぱら独占大企業の代弁者たる態度を露骨に示してきたのであります。そこで、まず岸総理並びに経済企画庁長官にお尋ねいたしたいのであります。
 政府は、さきに、世論のほうはいと起りました反対にもかかわらず、独禁法の改悪案を臨時国会に提案して参りました。独禁法の改悪が、いかに全国の中小企業者や農民や一般消費者の間に反対の声が強いかは、すでに政府みずからもよく了承されるところでありましょう。幸か不幸か、警職法の唐突なる提案によりまして、ついに廃案となつたのであります。私は、党の立場からも、また、全国の農民や中小企業者や一般消費者の声を代表し、今国会にも、いな、今後かかる改悪案を絶対提案しないと約束いたしてもらいたいのでありまするが、明快に御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 次に、中小企業と大企業との関係について、この際何らかの調整を行うことが必要であるが、政府はいかなる対策を持っておるかという点であります。今日、大企業が、従来中小企業の生産分野とみなされておりました産業分野へ進出し、中小企業者の経営を圧迫し、生産秩序の混乱を招来している事例が多々現われておるのであります。かかる事態を放置するならば、大資本の重圧のもと、やがて中小企業は存立し得なくなることは必然であります。このことは、単に中小企業問題であるばかりではなく、憂うべき社会問題であるのであります。政府は、これに対していかなる対策を講ぜんといたしておるのか。わが党は、かかる資本主義経済下における弱肉強食的野蛮性に対しては、この際、これを適当に制御することは必要にして欠くべからざるものと思うのでありまして、中小企業の産業分野の確保に関する法律及び商業調整法等、一連の諸法案を提案しておるのであります。しかるに、政府は何らの根本的対策を持っていないではありませんか。総理の答弁を要求するものであります。
 次に、通産相及び大蔵大臣に伺いたいのであります。
 通産大臣は、常に、通産省は中小企業省でなければならぬと言っておられますが、その通りであります。政府は、来年度の経済成長率は五・五%と予想し、貿易は三十億ドルと見ておるのでありますが、輸出製品の六割、あるいは下請を入れますと八割までを中小企業がかせいでおるのでありまするから、輸出振興の成否は、かかって中小企業対策にありと申しても過言ではありません。しかるに、来年度予算では、中小企業対策費があまりにも少額であることには一驚を喫するものであります。中小企業対策費は、通産省関係分だけで見ますると、二十一億何がしかとなっております。そのおもなものは、過剰織機買い上げの補助金七億円と、設備近代化補助金の十億円などであります。設備近代化こそは、中小企業の販路拡張にとつて不可欠の要件であります。当初、通産省は、このために四十億を要求いたしましたが、結果は四分の一の十億となりました。今日、中小企業近代化のためには少くとも六百億の資本を要するといわれておりまするが、これで貿易の振興など可能なりと考えておるのか、私は伺いたいのであります。
 次に伺いたいことは、中小企業への金融の問題であります。来年度は、中小企業金融機関に対しまして五百六十七億の財政投融資を決定しておりますが、本年度とは大差ないのでありまして、中小企業の金融事情は、こうも緩和されないのであります。たとえば中小企業金融公庫においては、年々、申し込みに対し、およそ三割程度の貸付をようやく行なっておる程度であります。また、政府融資は、来年度二百七十五億に対し、返済金は実に百六十六億に上り、その内容は、いかに資金が枯渇しておるかを証明するものであります。しかるに、巨大資本を目標といたしました輸出入銀行では、実に二百八十億の増と相なっております。実に本年度分の四倍を上回り、開発銀行では百二十五億円の増と相なっておるのであります。まことに独占資本の代弁者たる性格を如実に示すものと申さねばならぬのであります。(拍手)そこで、これら金融機関が強く要望しておりまする政府出資を大幅に行い、また、日本銀行からの借り入れを可能ならしめるような立法措置が必要であると考えるが、いかがでありますか。
 また、日本経済が三重構造といわれております特殊事情から申しましても、日本経済が中小企業に負うところきわめて大である点から申しましても、その育成強化のために、長期にして低利な金融が不可欠であると申さねばなりません。そこで、金利引き下げのために一般会計から利子補給を行うべきであると思うが、いかがでありますか。今こそ英断をもちまして実現すべきときであります。なるほど、来年度から、中小企業の金融機関は、それぞれ年三厘の金利引き下げを実行すると言っておりまするが、公定歩合引き下げへの世界情勢から申しましても、上述の理由から申しましても、さらに金利引き下げが必要と思うが、大蔵大臣、通産大臣の見解をあわせて伺いたいのであります。
 次に、今回の税制改革について、あの非難ごうごうたる租税特別措置法の大部分のものが存続されていることについて質問をいたします。わが党は、これら一連の特別措置法を大幅に整理して、租税の公平と簡素化をはかり、廃止あるいは整理によって、優に平年度六百五十億の財源を得るものと見ておるのであります。しかるに、政府は、きわめて小範囲の改正にとどめ、平年度百二十億程度の増収にとどめておるのであります。何がゆえに、政府は、このように大資本のみについて特別措置が必要であるのかを、お伺いいたしたいのであります。(拍手)
 次に、零細企業者対策について伺います。その数はきわめて多く、態様の複雑性等により、とかく効果的な施策の対象とならなかったのが零細企業者であります。しかも、現下の経済情勢においては、大企業と中小企業との格差の拡大傾向とともに、中小企業内部においても、その地位はますます困難の度を加えつつありますので、経済的にも、社会的にも、これらの零細業者の維持安定をはかることは緊急のことといわねばなりません。さきに議決されました中小企業等協同組合法の一部改正によりまして、これら零細業者の組織である小組合に対し、税制上、金融上の特別措置を講じなければならないと規定しているのであります。しかるに、今日、これらの人々は、金融上、税制上の恩典なく、その組織化はきわめて遅々として進まないのであります。政府は、零細企業者に対して一日も早く具体的対策を講ずべきであると思いますが、その構想はいかなるものでありましようか、お伺いをいたすものであります。
 次に、私は、斜陽産業なりといわれておりまする繊維産業について質問をいたすものであります。
 昨年の十月初めの臨時国会において、私の質問に対し、高碕通産大臣は、「従来の合成繊維偏重を改める。天然繊維との調整、合理化をはかるために繊維行政を再検討したい。そのために繊維産業総合対策懇談会を十月末に発足させ、基本方針の検討を開始する」と答弁しておるのであります。繊維産業といえば、明治、大正、昭和と三代にわたり、外貨をかせぐ第一位の産業として、わが国の発展に大きい貢献をして参つた産業であります。今日、人絹糸工場の五割を初めとして、きわめて長期の、大がかりな操短を続けておるのであります。これは、単に経済問題であるばかりでなく、大きな社会問題とも相なっております。また、繊維産業は、巨大独占企業による原糸のメーカーから、第二次、第三次の零細なる中小企業が織布部門その他を受け持っておるのでありまして、繊維産業の将来は、特に中小企業の倒産、労働者の失業と連なる問題でありまして、すでに大きな社会問題と相なっておるのであります。一日といえども看過することができぬ産業であります。このような現状に対しまして、政府はいかなる対策を持っておられるのか、詳細に承わりたいのであります。また、懇談会の結論はいかようなものになつたのか、お伺いしたいのであります。
 最後に、私は、岸総理にお尋ねをいたします。これは政策の問題ではございません。事、日本の議会政治の運命に関する問題でありまするので、謙虚なお気持で御答弁を願いたいのであります。
 あなたを国民は金権政治の権化と思っておることは疑いのないことであることを、肝に銘じなければならぬのであります。(拍手)あなたは、一昨日の鈴木委員長の質問に対する答弁においても、この件については一言も触れておられないのであります。あなたは触れるのがいやでありましょうが、一国の総理として、自民党の総裁として、この壇上から国民に答える義務があると私は思うのであります。あなたは近く総理の地位から去らねばならないのではないかと思うのであります。(拍手)あなたは、昨年の選挙の直後、永久政権などと申されましたが、すでに今日では人心が去つておることを知らねばなりません。最近の某新聞の世論調査によりましても、岸政権への信頼がとみに激減しておるといっておるのであります。一昨年の自民党総裁の選挙には多額の黄金がばらまかれたと、アメリカの新聞にさえ報道されました。また、警職法の提案で混乱に陥りました、さきの臨時国会の当時、あなたの党のある代議士は、あなたが議員の買収をはかったと言っておるのであります。(拍手)また、つい先日の総裁選挙でも、松村さんは、「金権政治から金のかからぬ政治にするために立候補した」と言っておるのであります。これに対し、あなたは、あるいは、それは反主流派の言うことだと答えられるかもしれませんが、あなたの片腕である川島前幹事長は何と言つたでありましようか。「総裁選挙が三月まで延びると不潔な現象が起る」と言っておるのであります。(拍手)これは、反対派の宣伝だといって、簡単に私は否定できないと思うのであります。また、警職法の審議で国会が混乱いたしました当時、あなたの党のある代議士は、代議士会で、「あなたは警察権力を握らないと政治がやりにくいと言つた」と暴露をいたしておるのであります。(拍手)あなたがいかに強く否定されましても、国民は、あなたが金権政治家だとの強い印象を持っておるのであります。この壇上から、国民に対し、このような印象を与えておることに対し、どのようにお考えになっておるのか、率直な答弁をお願いするものであります。
 以上をもって私の質問を終ります。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
#14
○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。
 福祉国家の建設は、言うまでもなく、民主政治の一つの目標であり、また、これを実現することがわれわれ政治の使命であることは言うを待たないのでありますが、さて、それではその福祉国家が一日にしてできるかといえば、言うまでもなく、これには、非常な努力と、われわれの精力を傾けていかなければならないのであります。私は、福祉国家を作り上げる根底は大きく言って二つある。一つは、やはり産業経済の安定した基礎における拡大成長を考え、経済を繁栄せしめて、そうして国民全体の生活を豊かにしていくということが根底でなければならぬと思うのであります。しかし、全体としてそうなっても、果して、その分配が公正にいって、各国民にそれが潤つていくかどうかということについては、いろいろな、われわれの社会的生活の上における不幸、避けることのできない問題、たとえば、年令が老年に達して働くことができなくなる、あるいは身体の障害を生ずる、不幸にして一家の支柱を失うというような事態に対するいわゆる社会保障制度、病気になるというような点に対する社会保障制度を完備していくという、この二つの柱で進んでいくべきものである、こう考えております。しこうして、この社会保障制度の二大柱は、言うまでもなく、医療保障の国民皆保険、この保険制度を十分に充実し、これの内容を充実していくということであり、もう一つは、国民年金を発足して、これが充実をはかつていく。ともに、御指摘のように、大きな財政的負担を伴う問題でありますから、やはり、その琳政的負担にたえる基礎としては、その国の経済が繁栄していくということが基礎にならなければならないのは言うまでもないのでありますが、以上のごとく二つの方向に向つて努力をいたして参りたい、かように思っております。
 独占禁止法の提出の問題、こういうものを提出しないということを明言しろという御意見でありますが、独占禁止法は、言うまでもなく、日本の産業経済界における民主化の大きな柱の法律であります。しかし、同時に、それが、いろいろな経済界の変動や、また日本の国情に合わない点につきましては、これが修正、改正をしていくということも必要であろう。しかし、事は産業界全体に及ぶ非常に重大な問題でありますから、われわれも慎重にこれを扱いまして、権威者を集めて調査審議してもらつてその答申に基いて立案をしたのであります。しかし、これに対しては、御指摘のように、中小企業の面であるとか、あるいは農林水産業等の方面から相当な批判も出ておるのであります。従って、これらの十分納得がいき、また、それらの間の利害が調整されるということが前提でありますので、そういう点においても慎重に検討をいたしております。
 中小企業と大企業との関係につきましては、ことに中小企業の多い日本として、これは大きな問題であります。ただ、しかし、それの分野を法律できめるというような方法が適当であるかどうかは、私は大いに疑問があると思う。私どもは、むしろ、中小企業の特徴を生かしつつ、その欠点を是正していくという、この方向に考えていきたい。それには、中小企業が、小さい、弱い経常形態でありますから、やはり、その組織化を進めていく、団体法の規定もこういう意味で作られたものでありますし、これによっての組織化をなお進めていく必要がある。それから、税制上、金融上の点から、大企業と比較して、むしろ非常に不公正な点がある。これを、大いに、中小企業に対しては税制上も有利なような扱いをしていき、また、金融上におきましても、この大企業に比して不利な点を補うような意味において特別な機関を設け、これに金融上の便宜を与えていくというようなことで是正していくことが適当である、かように思っております。
 最後に、私の政治を金権政治であり、権力政治であるというふうに論難されましたが、これは私としては非常に意外なことであります。もちろん、民主政治家として、真の民主政治を樹立するために、金のかからない政治、まず選挙の面からも金のかからない公明選挙を行わなければならぬことは、言うを待たないところである。また、国民と常に直結した政治が民主政治の要諦であることも、これは言うを待たないのであります。私が、かねてこの壇上から、過去の私の政治的経験から、また、私の過去の政治的の経歴から、私が真に民主政治家として明るい民主政治を行うということを誓つておることは、そういうことを私がやろうという意思やあるいはそういう性格を持っておる政治をやつておるということでは絶対にないのであります。(拍手)
    〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕
#15
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 まず第一は国民年金制度についてのお尋ねであったと思いますが、国民年金制度は、もうすでに政府提案の概要は発表いたしておりますので、御承知の通りだと思いますが、政府案による援護年金につきましてこれは納税者負担でまかなうのでございますから、その関係から、当然適正な所得制限率を行うことといたしておるのであります。この点、いかにも羊頭狗肉だ、ああいう制限を加えているから――こういうふうな御非難であったと思いますが、これは当然のことでございます。今回の所得制限につきましては、社会保障制度審議会の答申を受け入れまして、支給人員におきましても、この審議会の答申の二百十五万人、これが実際の支給人員といたしましては、政府は二百五十七万人にこれを予定いたしております。審議会よりもその数がふえております。この点を特に申し上げます。
 次は、生活保護の対象の基準が三・二一にとどまつている、また、人員も一万三千入滅つていることは、これでは低額所得者や低水準所得者に対しての対策として後退ではないか、また、十分ではないではないか、こういうふうな御意見であったと思います。生活保護基準につきましては、現行の各費目について単価の補正を行うことといたしまして、生活扶助基準において三・一%、また、住宅扶助あるいは教育扶助、これらのものを含めまして総額五億一千七百万円に上る予算も増額いたしております。また、失業対策の事業の労務者の就労日数もふやしておりますが、この就労日数の増加と、ただいま申し上げます援護基準の率の向上とは、対応してこれをいたしたものでございます。対象人員が昨年より滅つておるではないかということでございますが、この対象人員は、最近の実績によります百四十二万一千人、これに対しまして、さらに五万八千人の増加となっておるのでありまして、この数は、なるほど前年より減つた数ではございますが、実績から申しまして十分まかない得る、かように考えております。かような結果を生じておりますことは、申すまでもなく、経済が成長して参りますので、ただいまのように、この対象人員は幾分減つて参る、かように考えております。
 次は、結核対策について申し上げます。政府の案は少しも進んでおらないじゃないかということでございますが、三十四年度におきましては、特別推進地区というものを選定いたしましてこの地区におきましては、健康診断から患者管理、あるいは医療、療養に至る一貫した体系をとることにいたしております。そうして、先ほどお話のありました濃厚感染源対策、これを強化することにいたしております。国立結核療養所の充実とあわせまして対策費といたしましては、前年度に比べ六億六千万円を増加いたしております。また、濃厚感染源対策の緊急性にかんがみまして、命令入所、こういうポうな緊急措置に対しましての対象件数を大幅に増加しております。また、一部におきまして、全額国庫補助ではございませんが、補助率を二分の一から三分の二に引き上げる、こういうことによりまして、結核に対する対策といたしましては、在来よりも一そうその効果が上り得るものだ、かように確信をいたしております。
 次は、失業対策にきわめて消極的だという御非難でございますが、この失業対策につきましては、今回は、公共事業費も四百十一億円も増額いたしております。約十八万人に近い人員を吸収し得る、かように考えております。来年の経済の成長等から見まして、私は、今回の処置は当を得たものだ、かように確信をいたしておる次第であります。(「もうわかった」と呼び、その他発言する者あり)なかなか問題が多く要求されておりますので、次々に答えますから、しばらくお待ち願います。
 次は、中小企業の対策費の問題であります。中小企業に対する処置がいかにも不十分だ、こういうことでございますが、今回は、中小企業につきましては、金融の面で千五百五十億円を融資することを考えております。また、ただいま御指摘になりましたように、金利も、三機関については幾分下げることにしております。さらにまた、税の問題におきましても、中小企業者の事業税の軽減をして、基礎控除額を十二万円から二十万円にする。あるいはまた、法人事業税も下げる。あるいは低額勤労所得税につきましても軽減をいたしております。あらゆる面で中小企業の育成強化に力をいたしておるのであります。先ほど、金融の面で、日本輸出入銀行に対しては特に金額がふえておるが、中小企業に対してはこういうような措置がされてない、大企業にのみ力を入れておるではないかというお話でございました。しかし、同時に、堂森君は、中小企業がわが国の貿易を伸張する上から非常に大きな役割をしておるということも御指摘になりました。日本輸出入銀行こそは、わが国の輸出貿易をまかなうために特に金額をふやしておるのであります。この意味におきましては、中小企業も当然その恩典を受けておるということを御了承いただきたいのであります。
 大企業への税制改革における恩典だとして、租税特別措置をなぜ変えないかという御指摘でございました。この税の特別措置は、その設けましたのが、特殊な事由で設けたのでございますので、経済の情勢の変化とともに、この情勢の変化に対応して、時々これを改正していくのは当然でございます。今日も、すでに、預貯金の長期の預金利子の非課税、あるいは輸出損失準備金、価格変動準備金、外国技術使用料の課税の特別措置、こういうような点につきまして、あるものは廃止し、あるものはこれを合理化するということをいたしております。ただ一つ、大企業、中小企業共通のものといたしまして、貸し倒れ準備金制度というものがございます。これは、ひとり大企業ばかりではなく、中小企業も同様な恩典を受けておるのでございます。これは、税制上の所得計算を合理化するために、その調整措置として考えられておるものでございまして、事業の大中小によらず、ひとしく恩典を受けておるものでございます。(拍手)
    〔国務大臣坂田道太君登壇〕
#16
○国務大臣(坂田道太君) お答えいたします。
 国民年金制度につきまして、社会保障審議会より後退したではないかという御質問でございますが、国民年金制度の成案は、社会保障制度審議会の答申と比べまして、一般にいって必ずしも後退したとは考えておらないのでございます。たとえて申し上げますと、障害年金や母子年金の支給条件などを大幅に広げておりますし、また、拠出年金に対する国庫負担の割合もこれより多少引き上げ、保険料拠出総額の二分の一を国庫が負担をしていくということになっておるのでございます。また、援護年金につきましても、現在すでに公的年金制度による年金を受けておる者や、一定以上の所得のある者には御遠慮願うということなど、ある程度の支給制限が加えられておりますことは、ただいま大蔵大臣から申し上げましたように、援護年金が無拠出である性格上やむを得ないものと考えて、決して後退したものであるというふうには考えないのでございます。とにかく、国民皆保険制度と並びまして、このような制度が創設されましたこと自体、私は、社会保障制度として後退でなく、やはり一歩前進だ、画期的なものである、公約に反しておらぬというふうに確信をいたしておる次第でございます。ただ、なお今後とも、これが内容の充実をはかることにより、福祉国家としての実をあげて参りたいと考えておる次第でございます。(拍手)
 それから、国民皆保険の問題につきましては、昭和三十二年度に樹立をいたしました国民皆保険四カ年計画は、昭和三十五年度末までに全国民に医療保障を及ぼす計画で、主として国民健康保険の普及促進に努力して参つたのでございますが、昭和三十二年度におきましては計画の九七・八%、三十三年度におきましては、十一月末におきまして、すでに九五%を達成しております。おおむね計画通り進捗しておるのでございます。全県実施すでに七県を数え、明三十四年度には、東京都を初め主要都市の事業開始が予定されており、三十五年末までには計画通り国民皆保険が成就する見通しでございます。
 それから、国民健康保険法に対する附帯決議についてはどうかというようなお話でございますが、この点につきましては、附帯決議の趣旨を尊重して、必要な改正を行うよう努力して参りたいと考えておる次第でございます。
 それから、農林漁業の労働者に対しまして日雇い健保を適用する考えはないか、こういうお話でございますが、これらの労働者に対しまして、日雇い労働者健康保険を適用するかいなかは、健康保険の適用範囲の拡張の問題との関連を十分検討しなければならないものと考えますが、現段階におきましては、これらのものに対する医療保障は、就労の実態から申しまして、被用者保険を適用していくよりは、地域保険である国民健康保険による方があるいは適当かと考えておる次第でございます。
 また、国民皆保険に関連いたしまして、従業員五人未満の事業所の労働者に対して健康保険を適用していく考えはないかというようなお説でございますが、五人未満の事業所の従業員も、被用者という建前からいたしますれば、本来、健康保険を適用することが望ましいわけではございますが、むしろ、これも、その実態から見まして、地域保険である国民健康保険によってやる方が適当と認められるのが多いと考、にられます。従いましてこれらの事業所に対する健康保険の適用につきましては、現行制度で認められておる任意包括制度を活用いたしますことによりまして、個々の事業所の実情に応じた取扱いをすることが適当であろうかと考えておるのでございます。
 それから、国民皆保険の実現と表裏一体の関係にある医療制度に関し、いかなる構想を持っておるか、こういうことでございますが、国民皆保険下におきましては、すべての国民があまねく適正な医療を受けるような医療制度を確立していかなければならないということは、御指摘の通りでございまして、政府といたしましては、国民保険の進展に伴う諸情勢の推移に応じまして、医療機関、医療関係者等に関する政府の基本的事項を根本的に検討いたしますために、本年度におきまして医療制度認査会を設置し、早急にこれらの問題に対し適切な結論を得たい所存でございます。
 なお、診療報酬の適正化につきましては、昨年決定いたしました新しい診療報酬表につき、さらに十分の検討を加えまして、その適正化に努めたいと考えておる次第でございます。
 最後に、中央社会保険医療協議会の現状に対しましてのお話でございますが、中央社会保険医療協議会の委員の任命を早急に行わなければならないことにつきましては、昨年来、前厚生大臣も努力を続けてこられたのでございますが、関係団体との円満な話し合いがまとまらなかったために、その運びに至らなかったのでございます。この問題につきましては、関係各団体の間には全く相対立した意見がございまして、そのいずれをとりましても、結果的には、かえつて医療協議会の実際上の運営に支障を来たすような事態が起ることも考えなければなりませんので、私、就任早々ではございますし、その辺の詳細な事情につきましては、私自身なお勉強をいたしましてから結論を下すべきだと思いますが、しかしながら、私は、何とか誠心誠意をもちましてこの問題の早急な円満解決をはかるよう努力を続ける覚悟でございます。(拍手)
 その他、保護基準の問題、結核対策等につきましては、大蔵大臣から詳細にお答えがございましたので、省略いたします。(拍手)
    〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#17
○国務大臣(倉石忠雄君) 予算面から見ました失対事業に対する政策については、詳細に大蔵大臣に答弁をしていただきましたから、それで御了承を願いたいと思います。
 それから、失業保険に対して政府の国庫負担の率を減らしたことは社会保障に対する政府の考え方の後退ではないかというお話でありますが、失業保険それ自体だけを取り上げれば、あるいはそういうふうな御議論も出るかもしれませんが、今回政府がいたしました措置は、昭和三十四年度を初めといたしまして、国民年金あるいは医療保険その他、相当ほかにいわゆる社会保障政策を実現して参る、その総合的な財源措置としてああいうことをいたしたのでありまして堂森さんも御承知のように、毎年、予算編成のときに、社会保障費というものは大体百億円くらいの増であったのでありますが、昭和三十三年度と三十四年度の予算を比較いたしますと、約二百二十一億円ほど社会保障費の増額を見ておるのでありまして、政府の行なっております社会保障全体に対しての財政支出は非常に増額されておる。こういうふうな総合的な見地に立って失業保険に対する国庫負担の負担率の減も御了解を願いたい、こう考えておる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣世耕弘一君登壇〕
#18
○国務大臣(世耕弘一君) 簡単にお答えいたします。
 独占禁止法の問題と中小企業問題にからみました大企業と中小企業との問題についてお尋ねがございましたが、この問題は、総理大臣にも同様の御質問がおありになつたように私は記憶いたしております。総理大臣並みに質問をいただいて、まことに光栄に存ずる次第であります。(笑声、拍手)ただし、右に関しましては、すでに岸総理大臣から両問題に対しまして詳しく御説明がございましたから、これ以上蛇足をいたしませんことを御了承をお願いいたします。(笑声、拍手)
    〔国務大臣高碕達之助君登壇〕
#19
○国務大臣(高碕達之助君) 中小企業に対しまする予算措置につきましては、大蔵大臣からもお答えをいたしましたから、これは私は省略いたします。
 零細企業の対策につきましては、これは、御承知のごとく、輸出振興の上からいきましても、社会問題からいたしましても、最も重要なるものと存じまして、私どもは、これに集中しておるわけでございますが、まず第一に、この組織化をする必要があるというので、協同小組合あるいは企業組合等の助成をやる。第二には、金融対策につきまして、信用保険制度を運用いたしまして、この零細企業者は信用がないのだから、その信用を保険する。これを十分活用いたしまして、この方面に施策を講じたいと存じております。また、中小企業相談所、企業診断所等も設けまして、この方面の零細企業の発達を助成いたしたいと存じております。零細の小売業者に対しましては、現在、百貨店の新設に対しましては百貨店法を適用いたしますが、新たに卸売商あるいは大工業者が直接小売をするという場合をおもんばかりまして、今回提案いたしました小売商業特別措置法を皆さんの御審議によりまして成立さしていただきまして、これをもって零細小売業者を擁護いたしたいと存じております。
 それから、繊維工業の対策につきましては、昨年の十月以来、学者、経験者及び当業者の代表者・従業員の代表者等を集めて繊維総合対策懇談会を開きまして、長期にわたる総合根本対策を検討しつつあるわけでございまして、今日までに出ました結論といたしましては、従前、野放図にほうつておりました合成繊維の製造設備についても、これに登録制をしくということと、すでに登録制をしいておりますところの人絹、スフ等の過剰になっておる製紡機械は、ある数量を限りまして格納するということにして、生産制限を加えていきたいと存じておる次第でございます。なお、中小工業に属しまするスフ、人絹その他の紡織機械は、これは買い上げをいたしまして、これを整理いたしたいと存じております。それから、そのほかに需要の拡大をはかるということは、この繊維工業のために最も必要だと存じまして、輸出はもちろん、国内における需要の拡大をはかる、同時に、その用途を拡大するという方面にも努力をいたしておる次第でございます。その他、繊維製品の賠償繰り入れ、これは、ある程度進行しております。そのほかに、綿花の委託加工、こういう方面につきましても努力いたしまして、繊維工業の今日の不況を脱却いたしていくことに努力をいたしておるわけでございますが、何しろ、繊維工業は今日最も問題の多い工業でございますので、どうか皆様方の御協力によりまして、ぜひこの問題は十分に解決するように努力いたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。(拍手)
#20
○副議長(正木清君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
#21
○副議長(正木清君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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