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1958/02/03 第31回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第031回国会 本会議 第12号
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1958/02/03 第31回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第031回国会 本会議 第12号

#1
第031回国会 本会議 第12号
昭和三十四年二月三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十号
  昭和三十四年二月三日
    午後一時開議
  第一 未帰還者に関する特別措置法案(海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員長提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
日程第一 未帰還者に関する特別措置法案(海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員長提出)
 放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 風俗営業取締法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 軽機械の輸出の振興に関する法律案(内閣提出)
    午後一時九分開議
#2
○議長(加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
日程第一未帰還者に関する特別措置法案(海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員長提出)
#3
○議長(加藤鐐五郎君) 日程第一は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第一未帰還者に関する特別措置法案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員長田口長治郎君。
    …………………………
    〔田口長治郎君登壇〕
#5
○田口長治郎君 ただいま議題となりました未帰還者に関する特別措置法案につきまして、その提案の趣旨及び内容の概要について御説明申し上げます。
 終戦以来官民あげての努力によりまして、海外未帰還同胞の大部分が無事引き揚げを完了いたしておることは、まことに喜びにたえないところであります。しかしながら、すでに終戦後十三年有余を経過いたしておる今日、今なお三万三千余人に上る未帰還者があり、しかも、その大部分は各種の調査究明の手段を講じたにもかかわらず、依然として消息不明であり、生存の期待が持てない者もありますことは、国民のひとしく痛恨にたえないところであります。しかしながら、今もなおこれら肉親の安否を気づかう留守家族の心情を思いますとき、さらにその調査究明の徹底を期すべきことはもちろんでありますが、終戦前後の混乱期にその消息を断った者など、死亡の公算の高い未帰還者につきましては、何らかの特別措置を講ずることが、かえって留守家族の希望にも沿うことであると考えられますので、今回、当委員会といたしましては、慎重検討の結果、この際、国が所要の手続を講じ、その結果死亡したものとみなされる者の遺族には、できる限りの援護の措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出いたした次第であります。
 以下、本案の内容について御説明申し上げます。
 まず第一に、未帰還者にかかる民法第三十条の宣告の請求の特例を設け、厚生大臣が戦時死亡宣告の請求をすることができることといたしました。すなわち、国が未帰還者の状況に関し調査究明をした結果、なおこれを明らかにすることができない者のうち、終戦直後の混乱期及びこれに引き続く時期において死亡したものと認められる場合には、厚生大臣は、留守家族の意向を尊重して、民法第三十条の宣告の請求ができることとし、この請求に基く宣告を戦時死亡宣告と呼ぶことといたしたのであります。
 第二に、未帰還者が戦時死亡宣告を受けた場合には、その遺族に対し弔慰料を支給することとし、その額はこの宣告を受けた者一人につき三万円といたしたのであります。ただし、この宣告の結果、恩給法とか戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用を受けることとなる遺族につきましては、それぞれこれらの法律による処遇が与えられますので、この場合には二万円といたしたのであります。
 第三に、未帰還者が戦時死亡宣告を受けた場合に、その者が恩給法もしく、は戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用を受ける者である場合には、原則として公務によって死亡したものとみなし、公務扶助料、遺族年金・遺族給与金の支給等、それぞれの法律の規定による処遇を与えることといたしたのであります。
 第四に、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正して、さらに本年八月一、日から三年間引き続いて留守家族手当を支給し得ることとしたのであります。
 以上が本案の要旨であります。
 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会といたしましては、この法律案を起草するに当りましては、昨年の暮れ以来、数次にわたり慎重な検討の結果、その大綱を決定し、さらに今年に至り法案起草の小委員会を設け、その調査検討の結果に基きまして、去る一月三十日、ここに御説明申し上げました通りの法律案を全会一致をもって提出することといたしました次第であります。
 なお、本案起草に際しまして、衆議院規則第四十八条の二の規定に基き内閣の意見を求めましたところ、坂田厚生大臣より、本案は妥当である旨の発言がありました。
 以上をもって提案理由の説明を終ります。何とぞ、慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。(拍手)
#6
○議長(加藤鐐五郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#8
○松澤雄藏君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、放送法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#9
○議長(加藤鐐五郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。逓信委員長淺香忠雄君。
    〔淺香忠雄君登壇〕
#11
○淺香忠雄君 ただいま議題となりました放送法の一部を改正する法律案に関し、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、昨年十二月十日内閣から提出されたものでありますが、その提案理由とするところは、昭和二十五年放送法制定以来今日に至る八カ年余の間に、わが国放送事業は科学技術の進歩と相待って飛躍的発展を遂げ、民間放送の出現、テレビジョン放送の発足等により、放送界の事情も現行法制定当時とは著しく変化しているので、政府は、放送事業の重要性にかんがみ、放送番組の向上、適正化、日本放送協会の業務、財務、機構の整備等、当面必要とする諸点について今日の実情に適応するよう放送法の改正を企図し、さきに第二十八回及び第三十回国会に改正案を提出したのであるが、いずれも審議未了となったので、重ねて本国会にこの法律案を提出するに至ったというのであります。
 次に、本案の内容をなす主要改正点について申し上げます。
 本改正案の特色とも申すべきものの第一は、放送番組の向上、適正化をはかったことでありまして、すなわち、日本放送協会と一般放送事業者とを通じ、その放送番組は原則として教養または教育番組、報道番組、娯楽番組の三者が調和を保つようにしなければならず、特に教育番組については、その内容を向上して教育効果を高からしめるようにしなければならない旨の規定を設けているほか、現行法のいわゆるラジオ・テレビ・コードに、新たに善良な風俗を害してはならない旨の規定をつけ加え、また、これら放送番組編集上の準則の実効を上げる手段としては、各放送事業者の諮問機関たる放送番組審議機関の設置を法定し、事業者は、この機関に諮って番組編集の基準を作成し、かつ、これを公表して、世論の動向と番組審議機関の批判とによって放送番組の適正化をはかろうとするものであります。特に、日本放送協会の番組審議機関としては、国内並びに国際番組審議会を設け、国内番組につきましては、中央審議会のほか、政令で定める地域ごとに地方審議会を設けることにいたしておるほか、協会の国内及び国際番組編集上の準則を改正して、その公共的使命を一そう明らかにいたした点であります。これらの改正を通じて注目せらるべきことは、放送が言論機関たる特性にかんがみ、行政権による規制を避け、放送事業者の自律性を尊重したことであります。
 本改正案の特色の第二は、日本放送協会の業務、機構及び財務を整備したことであります。すなわち、協会の公共的な性格をより明らかにし、その業務の範囲を広げたほか、経営委員会については、その協会の意思決定機関たる性格を明確にするとともに、委員の数は、現行の地区制八人のほかに、新たに全国制四人を加えて十二人とし、その欠格条項を若干緩和して適材の選任を容易ならしめ、また、委員は、旅費その他の実費のほか、勤務日数に応じて相当の報酬を受けることができることに改め、業務執行機関については会長を経営委員会の構成からはずし、業務の範囲及び規模の増大に伴う措置として、理事を五人以上十人以内、監事を三人以内置き得ることに改め、財務関係においては、放送債券の発行限度額を純財産額の三倍以内に引き上げ、また、毎事業年度の収支予算等が国会の閉会等やむを得ない理由によって当該事業年度の開始の日までにその承認を受けることができない場合の臨時的措置に関する規定を設けております。
 以上のほか、一般放送事業者に対してその主体性を確保するため、特定の者のみから放送番組の供給を受けることとなる条項を含む番組供給に関する協定を締結してはならないこととするほか、学校向け放送番組には学校教育の妨げになると認められる広告を含めてはならない旨の規定を設け、日本放送協会及び一般放送事業者双方に対して、放送番組内容の―定期間保存の義務、特定事項に関し逓信大臣に対する報告を提出する義務を課することとしております。なお、本法律案は、特定の条項を除き、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行されることになっております。逓信委員会におきましては、昨年十二月十日本案の付託を受け、まず政府の提案理由の説明を聞き、次いで政府との間に質疑応答を行なったのでありますが、前に申し述べました通り、本法律案と内容を同じくする法律案が前国会に提出され、慎重審議を経ております関係もありまして、本案に対する質疑は十二月二十三日をもって終了、同日、自由民主党橋本登美三郎君より本案に対する修正案を提出、これが趣旨の弁明と修正案に対する質疑が行われました。
 修正案の主要点を申し上げれば、一、日本放送協会の理事の数に関し、原案の「五人以上十人以内」を「七人以上十入以内」と改めたこと、二、放送内容についての事後措置の期間につき、原案の「一箇月以内」を「三週間以内」としたこと、三、郵政大臣が放送事業者から業務報告を求めることができる旨の規定を「業務に関し資料の提出を求めることができる」と改めたこと、四、一般放送事業者の放送番組審議機関に関し、放送区域または区域内人口の三分の二以上が重複する場合に限り審議機関の共同設置を認めることとしたことの四点であります。
 かくして、員会は、今二月三日討論に入り、自由民主党を代表して服部安司君は橋本君提出の修正案並びに同修正部分を除く原案に賛成の意見を、日本社会党を代表して森本靖君は修正案並びに原案に反対の意見を述べられ、次いで採決の結果、多数をもって橋本君提出の修正案並びに同修正部分を除く原案を可決いたした次第であります。
 以上をもって御報告を終ります。(拍手)
#12
○議長(加藤鐐五郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。小松信太郎君。
    〔小松信太郎君登壇〕
#13
○小松信太郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております放送法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行わんとするものであります。(拍手)
 現行放送法が施行せられましてからすでに八年有余を経た今日、その間、特に民間放送の異常な発達とテレビジョンの驚異的な普及により、わが国放送界の諸情勢は全く一変いたしておりますので、放送法の根本的改正をはかり、NHKと民放、すなわち、受信料を徴収して放送を行うNHKと、スポンサーの提供による広告放送を主眼とする一般放送事業者、この両者の性格と任務を明確に規定し、両者相待ってわが国放送界の発展に寄与せしむべきであることは、もはや何人も否定し得るものではありません。しかるに、今回の改正案は、放送事業の発達をはかり、放送番組の向上をはかることが目的であるとうたわれているが、根本問題であるNHKと民放との性格については何ら触れることなく、いたずらに放送の自主性に制約を加え、言論の自由を抑圧するがごとき疑いを含むものであることは、われわれのまことに遺憾とするところであり、一般国民に対して失望と不安の念を抱かしむるものであります。
 以下、若干の点について問題とすべき条項を指摘いたしますならば、まず第一に、第四十四条の、放送番組の編集等についてであります。現行法においては、「協会は、放送番組の編集について、公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払わなければならない。」と、編集のあり方を大局的に示すにとどまり、その細部にわたっては協会の自主性にまかせてありますが、改正案においては、微に入り細にわたって義務事項が列挙されております。このことは、言論統制への捨て石でなくて何でありましょうか。ことに、同条第三項第一号に、新たに「公安」の下に「及び善良な風俗」をつけ加えて「公安及び善良な風俗を害しないこと。」としたことは、電波を通じて旧道徳への復帰をはからんとしたものであり、特高意識の芽ばえさえ感知し得るのであります。(拍手)戦前の取締り法規を知る者にとって、かくのごとく公序良俗なるものがよみがえってきますことは、思うだに身の毛のよだつ思いであって、断じてわれわれの容認し得るものではありません。(拍手しまた、第四十四条の三及び四において、放送事業者が地方末端に至るまで放送番組審議会を設置することが強制されておりますが、中央審議会の委員は過分に政府の意図を体するものと思われる経営委員会の同意を得て会長が委嘱することでありまするから、そこには、おのずから政府色の濃い、一定のワクが形づくられることは当然予測されることでありまして、かかる結果が放送番組の自主性を一段とゆがめるであろうことは憂慮にたえないのであります。(拍手)かてて加えて、政府の言明によれば、放送番組調査官制度を設け、放送番組及びその内容について調査に当らせるということでありまするから、政府がいかに口をすっぱくして、番組審議会は自主的に作らせるとか、放送及び内容については直接干渉しないなどと弁明いたしましても、それを真に受けるほど国民は甘くはありません。(拍手)
 特に、われわれがここに明らかにしておかなければなりませんことは、第四十四条の七において放送内容の事後措置の規定を設けたことであります。すなわち、番組審議会の資料に供するとともに、訂正もしくは取り消しの申し出に応ずるためという理由のもとに、放送の内容を当該放送後一カ月間保存することを義務づけ、その内容及び方法を政令にゆだねてあるのであります。本来、電波は放送すれば消える性質のものであり、これが保存を義務づけること自体が不合理である上に、録音テープ、録像フィルム等の保存は、経済的にも技術的にも困難があるといわなければなりません。訂正もしくは取り消しのためならば、現行法においても、第四条に、放送後二週間以内に利害関係者から請求があった場合は、その事実を調査し、訂正、取り消しの放送ができるように道が開かれております。また、番組審議会の資料に供する意味ならば、現に放送事業者は、脚本や放送原稿、放送日誌等を各社ごとに保存しているのが通例でありまするから、現状のままで十分事足りるはずであります。今さら事新しく事後措置の規定を設けるなどは、いたずらに国民の疑惑を深からしむる以外の何ものでもありません。最後に、最も重要なことは、改正案に第四十九条の二をつけ加えて、政令の定めるところにより放送事業者から業務報告を徴することにしたばかりか、これを怠った者に対する罰則規定まで設けたことであります。業務報告とは何をさすのか。すでに、NHKは、現行法第三十八条において、毎事業年度の業務報告書を郵政大臣に提出し、郵政大臣はこれに意見を付して国会に報告することになっております。その際、意見を付するための参考資料として詳細なデータを提出せしめることができますし、現に、そうやってきております。また、民間放送事業者といたしましても、定期片々の再免許を得るためには、郵政大臣から求めがあれば業務の実態を明らかにするでありましょう。それにもかかわらず、二重に業務報告を求めることは、一体、何を目的として、どういう報告を求めようとするのか、われわれの、はなはだ了解に苦しむところであります。
 さらに、NHKの経営委員会につきましては、欠格条項を緩和してまで委員の数をふやし、かつ、有給制に改めたのであります。また、第十三条第二項において、経営委員会の権限を「業務の運営を指導統制する」ことから「業務の運営に関する重要事項を決定する」ことに強化いたしました。そして、その反面、第二十三条においては、会長を経営委員会の構成メンバーからはずしまして、日常業務の自主性を弱めたことなど、それやこれやを考え合せますると、いかに巧みに擬装されてありましても、今回の改正の目的が、番組内容や業務の内容にまで政府が干渉し、放送やテレビの持つ巨大なマス・コミの力を政府及び自民党の意図するままに利用せんとするものであることは、とうてい隠しおおせるものではありません。(拍手)
 かって、三木鶏郎氏のユーモア劇場問題がありました。昭和二十九年三月十四日のことであります。きびきびした調刺と知性あふれる表現をもって当時全国のラジオ・フアンを沸かせておった冗談音楽、冗談カクテルが、前日夜になって突然放送取り消しの命令が出て、作者の三木鶏郎氏が行方不明になってしまった事件であります。
 また、近くは昨年の十月二十二日、国家公安委員金正氏の対談放送が、たまたま同氏が当時総同盟会長であったことを奇貨といたしまして、自民党副幹事長が、この放送内容についてこれを印刷に付し、党利党略の宣伝材料とする目的をもってその録音の速記録を要求し、提出せしめた事件がありました。
 法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、または規律されることがない、と明確に規定されておる現行法のもとにおいてすら、かくのごとく政治的野望によって放送の自主性が侵害され、あるいは政争の具に供され、その渦中に巻き込まれておる現状であります。ましてや、改正案によれば、今度は、大っぴらに、正面切って、法律に定める権限に基いて政府の意図するままに干渉し、規律することができるのであります。
 この改正案に対しまして、自民党からは修正案が出ております。さすがに、何がしかの面はゆさからか、放送内容の事後措置期間を、「一箇月」から「三週間」に、あるいは「業務報告をさせる」を、「資料の提出を求める」ことに、その他二、三の点について、やわらかく筆が加えられてありますが、それらは、いずれもあまりにも露骨過ぎる面を耳ざわりのよい言葉で化粧し直したものでありまして、何ら原案の本質を変えるものではありません。
 以上、要約いたしますならば、今回の放送法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案に対する修正案は、いずれもこれまで自民党政府のとり来たった反動政策の一環をなすものでありまして、自治警察の廃止、教育委員の任命制、教職員の勤務評定、学校長の管理職手当支給、警職法の改正等――幸いにして、警職法は、全国民の激怒を買い、ついに廃案のやむなきに至りましたが、これら一連の権力立法と形こそ違え、そのねらうところは全く一つであって、憲法改悪、再軍備へのコースをたどるものであることは申すまでもありません。(拍手)民主主義を持するわれわれの絶対に了承し得ざるものであります。
 私は、電波は国民のものであり、NHK、民放を問わず、放送に当っては憲法に保障された言論の自由をその番組において常に確保すべきであって、いやしくも、時の政府の広報機関であったり、宣伝機関であってはならないことを、ここに明確にいたしますとともに、この放送の鉄則を乱すおそれある今回の放送法の一部を改正する法律案並びにこれに対する自民党の修正案に対しては断固として反対し、私の討論を終ります。(拍手)
#14
○議長(加藤鐐五郎君) 進藤一馬君。
    〔進藤一馬君登壇〕
#15
○進藤一馬君 ただいま議題となりました放送法の一部を改正する法律案に関し、私は、自由民主党を代表して、わが党の橋本登美三郎君提出の修正案並びに同修正部分を除く原案に対し賛成の意を表するものであります。(拍手)
 現行放送法は、電波法とともに、去る昭和二十五年、いわゆる電波の解放とその効率的利用とを標榜して制定されたものでありますが、この法律の所期の目的はみごとに的中して、わが国の放送界はこれを契機として急激に振興の機運に転じ、自来今日に至る八カ年余の間に、NHK放送の普及、民間放送の出現とその急速なる発展、テレビジョン放送の発足等、幾多画期的な進展ぶりを示し、さらに科学技術の進歩と相待って、近い将来にはFM及びカラー・テレビジ旨ンの本格放送も期待し得るという、まことに喜ぶべき急カーブの成長を遂げつつあるのであります。このように、わが国放送事業今日の繁栄の基盤、放送法及び電波法の制定によって築かれたと申しても過言ではないのでありますぶ、一面においては、かかる放送事業の飛躍的発達並びにこれに伴う放送の国家、社会に与える影響力の増大は、必然的に現行法制定当時予測し得なかった事情の変更あるいは新事態の発生を促し、ここに放送界の現状に適応するように放送法を改正すべしとする議論を生じましたことは、日進月歩の発展を遂げつつある放送事業にあっては、むしろ当然であります。
 放送法を含む電波関係法令の全面的再検討が世上の問題になりましたのはすでに相当以前のことでありまして、各方面からいろいろな意見が発表され、政府においても、郵政省内に特別な調査機関を設けて精細な研究を重ね、国会としても、逓信委員会に小委員会を置いて、独自の立場から慎重に検討を進めて参ったのであります。しかるに、今回政府から提案されました改正案は、根本的改正に触れない部分的改正であるという点が野党の反対を買っている一つの理由であるように思われるのでありますが、一口に根本的改正といっても、論争点はすこぶる広範多岐にわたり、中には、わが国放送事業の基本的な建前にまで触れる問題をも包蔵しており、しかも、賛否の議論が交錯して、容易に結論を得るに至らない幾多の重要課題を含んでいるのであります。従って、政府としては、これらの根本問題については検討を打ち切ることなく、引き続き慎重研究を進めることとし、今回は、今日の放送界の実情から見て、当面最も必要欠くべからざる点についてのみ改正をはかった旨を言明しておるのであります。この改正案の中に盛られました事項は、いずれも早急に解決の必要に迫られている問題でありまして、根本的改正に籍口して、じんぜん日を送ることを許されない性質のものであり、政府がこれら諸点につきまず解決をはかろうとする意図は十分了解し得るものであります。
 次に、本改正案の内容は大別して三つに分けられますが、その第一は、放送番組の向上、適正化に関する措置であります。NHK及び民間放送を通じ、放送番組をより高度なものに引き上げることの必要は、世論の動向に徴して明らかなところであって、本改正案においても、目的の大半がここに置かれており、特に、ラジオ、テレビジョンを通じ、教育、教養の面に対する放送の利用の向上に意を用いているのは、きわめて適切な改正であると考えるのであります。
 放送事業が発達し、ラジオ並びにテレビジョンの影響力が浸透すればするほど、放送番組の内容の適否いかんは、さらに重要でありまして、国民の関心も深まってくるのであります。しかるに、現行放送法が放送番組内容の基準として規定するところはきわめて少いのでありますが、今回の改正によって、国として放送事業の公共性の名において事業者に期待するところが明らかになり、貴重な電波が、単に慰安、娯楽の提供という面より離脱して、漸次国民の教育、教養に資する方向に使われるようになろうとすることは、すこぶる有意義なことであり、この意味では、部分的改正と称しながら、今次改正案は、実は放送法の根本に触れる積極的意図をも含むものと見られるのであります。しかしながら、放送番組規制の問題は、直ちに憲法に定める表現の自由、放送法に定める放送番組編集の自由の原則との調整につながるものでありまして、きわめて慎重なる考慮を要する問題でありますが、本改正案においては、番組編集上の準則を明らかにするとともに、これが効果確保の方法としては、一に世論の批判、放送事業者の自主的規制にまかせることとし、言論自由の原則に抵触することのないように、慎重なる配慮が払われていることは、注目さるべきであると思います。改正の第二点は、日本放送協会の業務、機構及び財務の整備に関するものであって、NHKの規模並びに業務量の増大に伴う必要やむを得ざる改正であります。
 第三点として、民間放送事業者に対する改正は、放送番組適正化に関するもののほかは、その経営の主体性確保のためにする若干の規定が追加せられたにとどまり、なるべく法の束縛を少くして、その自主的活動を活発ならしめようとする現行法の精神は、何らの変更をも受けておらないのであります。
 以上申し述べました通り、本改正案は、その基本的構想においてきわめて適切妥当であり、内容をなす各条項の改正も、おおむねこの基本方針に合致しておるものと認められるのでありますが、さらに、逓信委員会の法案審議過程における各委員の意見等にかんがみ、わが党の橋本理事から修正案の提出があり、NHKの理事の員数、放送内容の事後措置の期間、郵政大臣の放送事業者に対する業務報告の徴取、一般放送事業者の番組審議機関の設置等の諸点に関し修正の提案があったのでありますが、これらの修正は、政府提出の原案の本質に変更を加えるものではなく、原案の欠点を補って、これを一そう完璧ならしめるものとして、これに全面的賛成を寄せるものであります。
 よって、自由民主党は、橋本君提出にかかる修正案と、同修正部分を除く原案に賛成するものであることを明らかにして、私の討論を終るものであります。(拍手)
#16
○議長(加藤鐐五郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#17
○議長(加藤鐐五郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
 風俗営業取締法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、参議院送付)
#18
○松澤雄藏君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、参議院送付、風俗営業取締法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#19
○議長(加藤鐐五郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 風俗営業取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事纐纈彌三君。
    〔纐纈彌三君登壇〕
#21
○纐纈彌三君 ただいま議題となりました風俗営業取締法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
  〔議長退席、副議長着席〕
 本案は、最近におけるいわゆる深夜喫茶等の弊害にかんがみ、現行風俗営業取締法の一部に改正を加えて、これが規制に遺憾なきを期そうとするものであります。
 その内容、第一に、喫茶店、バー、その他設備を設けて客に飲食させる営業で、客席における照度を暗くして営むもの及び他から見通すことが困難な狭い客席を設けて営むものを新たに風俗営業に含ませるものとすること。第二に、客席を設けて客に飲食させる営業で、風俗営業以外のものであっても、その深夜における業態が善良の風俗を害すると認められるものについては、都道府県は条例で適当な制限を加え、また、都道府県公安委員会は必要な処分をすることができるようにすること。従って、本法の名称を風俗営業等取締法と改めること。第三にはこの改正の目的を達するために必要な限度において罰則その他の規定を整備することなどであります。
 本案は、前国会において参議院より送付され、本院において会期の関係上審議未了となったものと全く同一内容の法案でありますが、今国会においても参議院の先議となり、本委員会には昨年十二月十日予備審査のため付託され、同月十五日参議院より送付、同日本委員会に付託されました。翌十六日、青木国務大臣より提案理由の説明を聴取し、一月三十日には参考人を招致してその意見を聴取するなど、慎重審議いたしましたが、これら詳細につきましては、すべて会議録に譲ることといたします。
 本日、本案に対する質疑を終了し、その際、日本社会党を代表して阪上委員より、本案に対し次のごとき附帯決議を付したき旨の動議が提出され、その趣旨説明がありました。附帯決議の案は次のごときものであります。
    附帯決議
 政府は、風俗営業の営業所における照度が善良な風俗に至大の影響を及ぼすものであることにかんがみ、少くとも五ルクス程度以上とするよう充分指導するとともに、一般飲食店営業にあつても、深夜営業を営むものについては、その照度を二十ルクス程度以上の明るさとするよう指導し、なお、深夜の時間についても、善良の風俗保持上適切な考慮を払い、所期の目的達成に遺憾なきを期すべきである。
  右決議する。
 これに対しまして、政府はその趣旨を十分に了承して善処する旨、青木国務大臣より所見の開陳がありました。
 討論を省略して採決に入り、本法律案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決し、また、附帯決議も全会一致をもって可決せられました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
#22
○副議長(正木清君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
#23
○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 軽概械の輸出の振興に関する法律案(内閣提出)
#24
○松澤雄藏君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、軽機械の輸出の振興に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#25
○副議長(正木清君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 軽機械の輸出の振興に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員会理事中村幸八君。
    〔報告書は会議録追録に掲載]
    ―――――――――――――
    〔中村幸八君登壇〕
#27
○中村幸八君 ただいま議題となりました軽機械の輸出の振興に関する法律案につきまして、商工委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 ミシン、双眼鏡等の軽機械の輸出は近年目さましく伸びているのでありますが、これらの製造はアセンブル方式をとっており、簡単な設備で開業できるため、業者数が急激に増加し、その結果、過当競争に陥っており、著しい安値で輸出されている現状であります。このような輸出価格の低落は、外貨収支の上に著しい損失を招くばかりか、安かろう悪かろうの悪循環を招くおそれがあるのであります。かかる実情から見まして、軽機械の輸出の振興をはかるためには、過当競争の防止、品質の向上、さらに、積極的なマーケッティング等を行う必要が痛感されるに至ったのであります。
 以上が本法案の提出された理由であります。
 本法案の内容の第一は登録制をしいたことでありまして、登録を受けた者の製造する軽機械及び同部品には特定の表示をつけ、この表示がなければ輸出してはならないこととしたのであります。さらに、過当競争防止のため必要があれば一時登録を停止することができることとしたのであります。
 第二は、軽機械ごとに輸出振興事業協会を設立することとしたことでありまして、同協会は海外調査、宣伝等の業務を行うとともに、同協会が輸出入取引法の指定機関となった場合は一手購入販売を行い得ることとし、以上の業務達成のために、輸出金額の一定割合の負担金を徴収することとしたのであります。
 なお、本法を適用する軽機械の種目は、別表で家庭用ミシン並びに双眼鏡を指定してあります。
 本法案は、去る十二月十六日政府より提案の理由を聴取し、その後数次にわたり慎重な審議を重ねて参ったのでありますが、その詳細は委員会議録を御参照願います。
 二月三日に質疑を終了し、引き続いて自由民主党並びに日本社会党の共同提案になる修正案が提出され、不肖中村幸八が趣旨説明を行いました。その内容は、本法を五カ年以内に廃止することであります。
 採決の結果、本案は修正案通り修正すべきものと決しました。なお、日本社会党田中武夫君より、両党提案になる附帯決議案が提出されました。その大要は、本法の運用を民主的に行うこと、輸出振興事業協会に対し、財政上、金融上の特別措置を講ずること、登録基準は関係者の意見を十分尊重して決定すること、本法の施行により関係事業の従業員の整理、労働強化、賃金低下を来たさないよう監督すること等であります。採決の結果、これまた全会一致をもって提案通りの附帯決議を付することに決しました。
  以上をもって御報告を終ります。(拍手)
#28
○副議長(正木清君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
     ――――◇―――――
#30
○副議長(正木清君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時散会
ソース: 国立国会図書館
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