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1958/03/18 第31回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第031回国会 本会議 第27号
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1958/03/18 第31回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第031回国会 本会議 第27号

#1
第031回国会 本会議 第27号
昭和三十四年三月十八日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十五号
  昭和三十四年三月十八日
    午後三時開議
 第一(昭和三十二年度一般会計予備費使用総調書(その2)
    昭和三十二年度特別会計予備費使用総調書(その2)
    昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用総調書
    昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基く使用総調書
    昭和三十三年度一般会計予備費使用総調書(その一)
    昭和三十三年度特別会計予備費使用総調書(その一))(承諾を求めるの件)
 第二 昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為総調書
 第三 日本観光協会法案(内閣提出、参議院送付)
 第四 総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員山村庄之助君逝去につき院議をもって弔詞を贈呈することとし、その文案は議長に一任するの件(議長発議)
 日程第一(昭和三十二年度一般会計予備費使用総調書(その2)
      昭和三十二年度特別会計予備費使用総調書(その2)
      昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用総調書
      昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基く使用総調書
      昭和三十三年度一般会計予備費使用総調書(その一)
      昭和三十三年度特別会計予備費使用総調書(その一))(承諾を求めるの件)
 日程第二 昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為総調書
 日程第三 日本観光協会法案(内閣提出、参議院送付)
 日程第四 総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 漁港法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)
    午後三時四十一分開議
#2
○議長(加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。
#3
○議長(加藤鐐五郎君) 御報告いたすことがあります。議員山村庄之助君は今十八日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、同君に対し、院議をもって弔詞を贈呈いたしたいと存じます。なお、この文案は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。
 つきましては、議長の手元において起草いたしました文案を朗読いたします。
 衆議院ハ議員山村庄之助君ノ長逝ヲ哀悼シ恭シク弔詞ヲ呈ス
 この弔詞の贈呈方は議長において取り計らいます。
#5
○議長(加藤鐐五郎君) 日程第一、昭和三十二年度一般会計予備費使用総調書(その2)外五件(承諾を求めるの件)、日程第二、昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為総調書、右七件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員会理事高橋英吉君。
    〔高橋英吉君登壇〕
#6
○高橋英吉君 ただいま議題となりました、昭和三十二年度一般会計予備費使用総調書(その2)外五件の承諾を求めるの件、並びに昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為総調書について、決算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 本件は、いずれも去る二月十日本院に提出され、同日決算委員会に付託されたのでありまして、委員会は、同月十七日山中大蔵政務次官より説明を聴取した後、三月三日、その内容について審議いたしたのであります。
 次に、その概要を申し上げます。まず、昭和三十二年度一般会計予備費使用総調書(その2)について御説明申し上げますと、昭和三十二年度一般会計予備費の予算額は八十億円であり、このうち、財政法第三十五条の規定により、昭和三十二年五月十五日から同年十二月二十七日までの間において使用を決定いたしました五十九億四百余万円につきましては、第二十八回国会において本院は承諾を与えたのでありますが、その後、昭和三十三年一月十四日から同年三月三十一日までの間において、政府は、河川等災害復旧事業及び河川等災害関連事業に必要な経費、失業対策に必要な経費、失業中の退職政府職員等に対する退職手当に必要な経費、租税還付加算金に必要な経費、退官退職手当の不足を補うために必要な経費等に二十億八千九百余万円の柿用を決定いたしております。
 次に、昭和三十二年度特別会計予備費使用総調書(その2)について御説明申し上げます。
 昭和三十二年度各特別会計予備費の予算総額は七百二十一億七千九百余万円であり、このうち、昭和三十二年六月二十五日から同年十二月二十七日差での間において使用を決定いたしました三百六億四千二百余万円につきましては、第二十八回国会において本院は承諾を与えたのでありますが、その後、政府は、昭和三十三年二月十二日から同年三月二十九日までの間において、失業保険特別会計における失業保険給付に必要な経費、労働者災害補償保険特別会計における保険金支払いに必要な経費、国有林野事業特別会計における仲裁裁定の実施等に必要な経費、糸価安定特別会計における生糸買い入れ代金に必要な経費、中小企業信用保険特別会計における保険金支払いに必要な経費等に百五億九千八百余万円の使用を決定いたしております。
 次に、昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用総調書及び昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基く使用総調書について御説明申し上げます。
 予備費使用の例に準じて予算を超過して支出いたしましたものは、印刷局特別会計において、台湾向けボンド紙の新規受注及び日本銀行券の製造数量増加に伴い必要な経費に三億七千四百余万円、資金運用部特別会計において、預託金利子支払いに必要な経費に十一億九千三百余万円、特別鉱害復旧特別会計において、特別鉱害復旧事業に必要な経費に六千八百万円、及び、郵政事業特別会計において、業務量の増加等に必要な経費に十三億九千百余万円となっております。
 次に、昭和三十三年度一般会計予備費使用総調書(その一)について御説明いたします。
 昭和三十三年度一般会計予備費の予算額は九十億円でありまして、このうち、政府は、財政法第三十五条の規定により、昭和三十三年四月四日から同年十二月二十六日までの間において、河川等災害復旧事業に必要な経費、農業施設災害復旧事業に必要な経費、干害対策臨時事業に必要な経費、乳価対策に伴い必要な経費、中小繊維工業設備の処理に必要な経費、南極地域観測事業に必要な経費、東京国際空港の返還等に伴い必要な経費、租税還付加算山金に必要な経費等に七十億三千九再余万円の使用を決定いたしております。
 次に、昭和三十三年度特別会計予備費使用総調書(その一)について御説明いたします。
 昭和三十三年度各特別会計予備費の予算総額は千九十六億千百余万円でありまして、このうち、政府は、昭和三十三年四月二十二日から同年十二月二十六日までの間において、食糧管理特別会計における昭和三十三年産米の買い入れ増加に伴い必要な経費、国有林野事業特別会計における災害復旧事業等に必要な経費、糸価安定特別会計における生糸買い入れ代金に必要な経費、失業保険特別会計における失業保険給付に必要な経費等に四百四十七億六千九百余万円の使用を決定いたしております。
 以上六件につきましては、去る三日に審議を終了し、討論を省略上採決の結果、全会一致をもって承諾を与えるべきものと議決した次第であります。
 次に、昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為総調書につきまして御説明申し上げます。
 昭和三十二年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定に基き、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる金額は三十億円でありまして、このうち、駆潜艇「きじ」の復旧修理につきまして、昭和三十三年三月七日閣議の決定を経て総額一億五千万円の範囲内で国が債務を負担する行為をすることといたしております。
 本件につきましては、去る三日に審議を終了し、討論を省略し採決の結果、全会一致をもって異議がないと議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#7
○議長(加藤鐐五郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一の六件を一括して採決いたします。六件は委員長報告の通り承諾を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、六件とも委員長報告の通り承諾を与えるに決しました。
 次に、日程第二につき採決いたします。本件の委員長の報告は異議がないと決したものであります。本件は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告の通り決しました。
#10
○議長(加藤鐐五郎君) 日程第三、日本観光協会法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員会理事堀内一雄君。
    〔堀内一雄君登壇〕
#11
○堀内一雄君 ただいま議題となりました日本観光協会法案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、本法案の趣旨を簡単に申し上げます。
 現在、わが国の観光事業に関しては、財団法人国際観光協会及び社団法人全日本観光逗留の二団体が、おのおの国際、国内観光を対象として事業の推進をいたして参ったのでありますが、かくのごとく観光事業の振興に関して二元的に運漕することは妥当でなく、両者を統合し一本となし、新たに運輸大臣の監督下に日本観光協会を設立して、観光事業を国家的見地より積極的かつ総合的に実施して、さらに多大の効果をもたらさんとするものであります。
 次に、本法案のおもなる内容を申し上げますと、第一点は、日本観光協会は法人とし、その役員は会長一人、副会長一人、理事五人以内及び監事二人以内とし、会長、副会長及び監事の任免は運輸大臣が行い、理事は運輸大臣の認可を受けて会長が任免することとなっております。
 第二点は、その会員といたしましては、日本国有鉄道を初めとし、地方公共団体、旅客運送業者、ホテル及び旅館経営業者、並びに旅行あっせん業者及びその団体、他に定款で定める者を有資格者とし、その加入及び脱退は自由といたしております。
 第三点は、運営に関してでありますが、会員の中から選挙した三十人以内の運営委員をもって運営委員会を組織し、定款の変更、会費の額及び徴収の方法についてその議決を経ることとし、その他会長の諮問に応じ、協会の業務の運営に関する重要事項を調査審議いたすことといたしておるのであります。
 第四点は、協会の行いまする業務は、外客の誘致、宣伝、外客の接遇の向上、観光に関する調査研究、並びに出版物の刊行を行うものであり、政府は、その業務の円滑な運営のため、予算の範囲内において補助金を交付することとなっております。
 第五点は、監督についてであります。運輸大臣は、協会の業務に対し監督上必要な命令をなすことができ、報告をさせ、また職員をして事務所、事業所に立ち入り、検査をし得るよう規定し、監督上遺憾のないようにしております。
 最後に、雑則といたしまして、本協会の解散については、別に法律で定めること、及び、この法律の規定するもののほかに、この法律の施行上必要な事項は運輸省令に委任すること、並びに種々の罰則を規定いたしております。
 本法案は、二月十六日予備付託となり、二月十九日政府より提案理由の説明を聴取、三月十一日本付託となり、同月十日及び十七日質疑を行いましたが、その内容は会議録に譲ることといたします。
 かくて、同十七日、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致をもって可決いたしました。
 なお、堀内一雄より、自由民主党並びに日本社会党を代表して、観光事業振興のため、本協会等に対して財政金融上の助成措置の強化拡充を要望する趣旨の附帯決議案が提出され、採決の結果、これまた全会一致をもって可決いたしました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
#12
○議長(加藤鐐五郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
#13
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
#14
○議長(加藤鐐五郎君) 日程第四、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員会理事高橋禎一君。
  [高橋禎一君登壇〕
#15
○高橋禎一君 ただいま議題となりました総理府設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 最初に、本案の要旨を申し上げます。
 まず、第一は皇居造営審議会の設置でありまして、現在宮内庁に置かれておる仮宮殿では、国際外交の復活等、国家的行事の増大した今日、とうていその必要を満たし得ないばかりでなく、両陛下の御住居になる御文庫も御住居として適当でありませんので、皇居を造営する必要があり、この際、一年の期間をもって本審議会を設置し、皇居造営に関する重要事項に関し広く各界有識者の意見を聞き、現代にふさわしい皇居を造営しようとするものであります。
 第二は訴願制度調査会の設置でありまして、現行の訴願制度は、その基本となる訴願法が明治二十三年に制定されて以来全然改正の行われていないことにも明らかなように、行政の公正な運営と国民の権利救済をはかるための制度として幾多の不備、不統一がありますので、これを公正かつ能率的なものとするため、一年の期間をもって本調査会を設け、訴願制度に関する民主的にして合理的な成案を得ようとするものであります。
 第三は固定資産評価制度調査会の設置でありまして、固定資産評価の現状には種々の問題がありますので、この際、二年の期間をもって本調査会を設け、固定資産税その他租税の基礎となるべき固定資産の評価の適正化並びに評価の一元化をはかるため、固定資産の評価の方法、評価の機構等に関する必要な措置について調査審議を行おうとするものであります。
 第四は税制調査会の設置でありまして、シャウプ勧告以後における租税制度の経過にかんがみ、三年の期間をもって本調査会を設け、租税体系のあり方、企業課税の方式等、国税、地方税を含めた全般的な租税制度のあり方について調査検討を加えようとするものであります。
 第五は産業災害防止対策審議会の設置でありまして、中小企業における災害の激増等にも見られるごとく、最近、産業災害が年々増加の傾向を見せておりますので、これらの産業災害を未然に防止するため、この際、五年の期間をもって本審議会を設け、これが対策を講じ、かつ強力に推進しようとするものであります。
 本案は、一月二十八日当委員会に付託され、二月三日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重に審議をいたして参ったのでありますが、その内容につきましては会議録によって御承知いただきたいと存じます。三月十七日質疑を終了いたしましたところ、別に討論の通告もなく、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#16
○議長(加藤鐐五郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
#17
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって本案は委員長報告の通り可決いたしました。
#18
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案、地方税法の一部を改正する法律案、右三案を一括議題とはし、委員長の報告を求め、の審議を進められんことを望みます。
#19
○議長(加藤鐐五郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
#20
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
 地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案、地方税法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長鈴木善幸君。
    〔鈴木善幸君登壇〕
#21
○鈴木善幸君 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案外二件について、地方行政委員会における審議の経過及び結果の概要を御報告申し上げます。
 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案の内容は、第一に、地方税法の一部を改正しようとするものであります。別途、国税の減税と相待ち、平年度七百億円の減税を行うことを目的として、零細負担の排除と負担の均衡化を重点とする地方税の減税を行うため、個人事業税の基礎控除額を引き上げ、法人事業税の軽減税率の引き下げとその適用限度額の引き上げを行い、固定資産税の制限税率の引き下げと免税点の引き上げを行う等、住民負担の軽減をはかるとともに、道路整備計画の推進に伴う道路財源の充実をはかるため、軽油引取税の税率を引き上げようとするものであります。
 なお、所得税の減税に対応する住民税の減税は昭和三十五年度以降実施することとし、そのための所要の改正は明年度において行うこととしております。
 第二は、地方財政法の一部を改正して、さきに述べました固定資産税の制限税率の引き下げに伴って生ずる減収額について、さしあたり昭和三十四年度においては地方債をもって補てんできる特例を認め、その元利償還金を国庫から補給することとしようとするものであります。
 本案は、二月十六日本委員会に付託せられ、翌十七日青木国務大臣より提案理由の説明を聴取し、自来、地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案と一括して議題に供し、地方財政計画とも関連せしめて審議を行い、三月九日には参考人より意見を聴取し、また、地方税法等改正に関する小委員会を設けて、地方税関係三法案はもとより、地方税財政制度全般にわたる根本問題にも触れて検討を加えるなど、審議に慎重を期したのであります。
 十六日には、小委員長渡海元三郎君より、地方税法等改正に関する小委員会の審議の経過及び結果について報告がありましたが、これら委員会における審議の内容は会議録に譲ります。
 本十八日質疑を終了しましたところ、委員纐纈彌三君より、纐纈彌三君外十八名提出にかかる本案に対する修正案が提出され、同君よりその提案理由の説明がありました。その内容は、軽油引取税の現行税率八千円を四千円引き上げようとする政府原案を修正して、その引上額を二千四百円にとどめようとするものであります。本修正による来年度の減収見込額は十六億五千万円であります。
 次いで、本案並びに他の二法案のそれぞれに対して、委員纐纈彌三君より自由民主党及び日本社会党共同提案になる附帯決議を付すべしとの動議が提出され、その趣旨の説明がありました。本案に対する附帯決議案は次の通りであります。
  政府は、地方財政の現状と本案施行に伴う影響に深く留意し、特に左記事項についてそれぞれ適切な措置を講ずるとともに、可及的速かに税制の全般にわたる根本的改革を行い、もって地方財政の健全化と安定化を図り、行政水準の維持向上に努むべきである。
 一、国と地方との財源配分に再検討を加え、地方の自主財源を強化すること。
 一、多額に上る住民の税外負担を解消し、公費をもって支弁すべき経費に対しては財政措置をなすこと。
 一、所得税の減税に伴う住民税の減収に対しては、たばこ消費税の税率引き上げ等によって財源補てんを行うこと。
 一、地方税制における各種の特例措置に再検討を加え、非課税制度については根本的整理を行うこと。
  右決議する。
 討論に入り、委員阪上安太郎君は日本社会党を代表して本案並びに修正案に対して反対、委員渡海元三郎君は本案並びに修正案に対して賛成の意を表されました。
 採決の結果、修正案及び修正部分を除く政府原案はいずれも賛成多数をもって可決、よって本案は修正議決すべきものと決しました。また、附帯決議は全会一致をもって可決せられました。
 地方交付税法の一部を改正する法律案につき申し上げます。
 本案は、地方財政が健全化の遂に進みっつある現状において行われることになりました減税、及び新たな財政需要による地方財源の減少に対処するため、地方交付税の率を一%引き上げて百分の二八・五とするほか、道路整備事業にかかる高率の国庫負担率を維持し、道路目的財源の充実をはかるとともに、あわせて地方団体間の財源の均衡化及び地方財政の健全性維持と行政水準の維持向上を目標として、基準財政需要額とその算定方法の合理化をはかり、同時に、配分方法を明確化するため、基準財政需要額の算定方法について測定単位の新設、単位費用の改訂、測定単位に適用される補正の種類の法定等、数個の改正を行おうとするものであります。本案は、二月二十六日本委員会に付託、翌二十七日青木国務大臣より提案理由の説明を聴取、自来、慎重審議しましたが、その詳細は会議録に譲りま丁。本日質疑を終了、その際、委員纐纈彌三君より、本案に対し、自由民主党及び日本社会党の両党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出され、その趣旨弁明がありました。その決議の案文は次の通りであります。
  地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
 地方財政は、漸次改善されつつあるが、なお、多くの不健全な要素を
 かかえているので、とくに次の二点については、政府において格段の努力をいたすべきである。
 一、明年度においては、「地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律」の適用期限が終了することもあって公共事業の地方負担額が激増するので、その円滑な実施を確保することができるよう適時財政上必要な措置を講じて行くこと。
 二、直轄事業に対する地方団体の負担金に係る交付公債制度は、必要な財源措置に代えて暫定的な措置としてとられたものであることにかんがみ、将来の地方財政を健全化するためすみやかに有効適切な措置を講ずること。
  右決議する。
 討論に入り、委員渡海元三郎君は自由民主党を代表して本案に賛成、委員阪上安太郎君は日本社会党を代表して本案に反対の意見を述べられました。
 採決の結果、本案は賛成多数をもって原案通り可決すべきものと決し、附帯決議は全会一致をもって案文通りこれを付すべしと決しました。
 最後に、地方税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、別途内閣提出にかかる国税徴収法案によって国税における徴収制度が全面的な改正を受けることになったことに相応して、地方税における徴収制度についてこれを合理化するため、相当に広範かつ画期的な改正を行おうとするものでありますが、改正の方式としては、地方税の徴収についてその一般的事項は総則の部に規定し、滞納処分に関する手続については国税徴収法の例によるが、各税日ごとに所要の事項を規定している現行法の体系をくずすことなく、国税徴収法の改正と対応して地方税法の関係部分の改正を行い、私法秩序の尊重と地方税徴収確保との調整をはかることを基本として徴収制度の合理化をはかっているのであります。
 すなわち、租税徴収を確保するため、地方税の他の公課及び私債権に対する優先権を認める従前の原則を維持しつつも、私法秩序を尊重し、個人の権利を不必要に不安に陥れないよう、両者の間の調整をはかるため、質権または抵当権と租税との関係においては、ある程度租税の後退性を進め、また、先取特権及び留置権と租税との関係においても、これらの担保権によって担保される私債に対し若干の保護を与えることとし、徴収制度合理化の点では“徴収の緩和措置、譲渡担保及び仮登記によって担保される債権と地方税との調整、担保権付財産の譲渡と地方税との調整、第二次納税義務制度の整備拡充、保全差押制度の創設等を行い、地方税法自体に定める滞納処分に関する事項としては、督促制度、異議申立期間、第三者の占有する差押動産等の搬出及び換価の制度等につき改正を行うなど、その他本案の内容はすこぶる複雑多岐にわたっております。
 本案は、三月二日本委員会に付託、翌三日黒金自治政務次官より提案理由の説明を聴取、慎重審議し、本日質疑を終了しました。
 その際、委員纐纈彌三君より、本案に対し、自由民主党及び日本社会党の両党共同提案にかかる次のごとき附帯決議を付すべしとの動議が提出され、その趣旨の弁明がありました。
   地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  本案施行による抵当権等の保護と並行して、賃金債権及び之に関連する中小企業の下請代金債権について、政府は、将来、私法秩序との調整を図りつつ、これが保護につき特段の考慮を為すべきである。
  右決議する。
 採決の結果、本案は全会一致政府原案通り可決すべきものと決し、附帯決議もまた全会一致これを付すべしと決しました。
 以上、御報告申し上げます。
#22
○議長(加藤鐐五郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。
 阪上安太郎君。
    〔阪上安太郎君登壇〕
#23
○阪上安太郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました三法案中、地方税法等の一部改正及び地方交付税法の一部改正の政府原案並びに委員会修正案に対しまして反対の意見を展開しつつ、政府与党の反省を求め、この法案が反対議決せられることを地方住民の名において強く要望するものであります。(拍手)
 最初に、今次の地方税減税案の基本的な性格については、まず、ものの順序といたしましてしばらく自民党の選挙公約と減税問題の推移の跡をたどることにいたしたいと存じます。
 昨年春の総選挙目当てに、自民党は、いわゆる七百億円の減税公約をうたったのであります。しかるに、ようやく作業にかかってみますると、地方財政の現状は、あなた方政府与党が考えていたような、なまやさしいものではなかった。すなわち、地方は、年々積み重ねられた赤字がようやく解消する糸口を見出した程度でございまして、単年度において辛うじて形式的に収支を合わすことができた団体が大部分であります。学校、道路、橋梁、河川、こういったものの維持補修は不完全きわまるものであり、いわゆる行政水準の低下と超過課税、法定外普通税の課税による住民負担の犠牲の上に最低限度の行財政を維持していたにすぎないものであったのであります。従って、このような減税公約は、最初から無理があったのであります。かくして、政府与党は、当初公約の線より大幅に後退いたしまして初年度百一億円、平年度二日三十五億円という小規模の減税案になったのであります。これは、選挙目当てのずさんきわまる減税案であり、国民大衆を欺瞞する減税案でなくて何でありましょうか。(拍手)同時に、また、これは政府与党の地方自治の本旨及び地方行財政の現状に対する理解と認識の欠如が端的にうかがわれるものでございまして、選挙減税という馬脚を現わした政府与党は、何の面目あって今次の統一地方選挙に臨むつもりかと言いたいのであります。
 元来、地方税の減税問題の処理に当っては、それが、一方においては国民負担軽減をせよという要請と、他方においては地方の行政水準を引き上げよという要請との、相矛盾する二つの要請を調和せしめなければならないという、きわめて困難な課題を抱いているのであります。国と地方との税財源の配分の合理化をはかるという根本的な検討を前提としなければならないのにもかかわりませず、政府与党は、これらの根本的問題については目下検討中という逃げ口上に終始して、毎年、思いつきの、行き当りばったりの税制改正を行い、そのあげくの果てが前述のごとき改正案を生み出したのでありまして、まずもって、今次改正案の基本的性格というものは、選挙目当ての大ぶろしきが、地方財政の見通しの誤まりから、ぼろぼろに破れて大幅な後退を余儀なくし、文字通り彌縫的な減税案に堕し去ったという三日に尽きるのでございます。(拍手)
 以下、地方財政の現況及びその将来の見通しと国民負担の見地から、さらにこの改正法案の内容に批判を加えるものでございます。
 すなわち、まず地方財政の現況と地方税制の基本的なあり方でございますが、なるほど、昭和三十年度をピークといたしまして、地方財政の赤字はようやく鈍化の傾向をたどっております。なお、三十二年度の決算において、赤字団体は全体の二七%で、その赤字額は再建債も含めて四百四十三億円となっております。一方、黒字団体は全体の七三%でございまして、黒字額は三百六十六億円となっておる。そこで、財布のひもを締めるくせのある大蔵省あたりでは、この形式的に決算に現われた数字をながめまして、地方はよくなったと早合点をしているかもしれないのでありますが、実際はそうではなく、多くの問題が依然として解消されないままに残っているのでございます。
 その一つといたしまして、依然として地方は赤字たな上げのための再建債を発行し、償還期限の到来した地方債の借りかえ債の発行、交付公債の発行等、全く形式的な措置によって赤字をおおい隠しはしているものの、その負担は当然後年慶べ繰り越されているのでございます。これを、一体、政府与党はどう見ておられるのでありますか。また、普通会計の地方債は漸減する方策をとっておりますが、なお毎年旧債の償還に必要な金額をこえて新規地方債を発行せざるを得ない状態でございます。現債額はすでに六千億円以上に上っているのでございます。これまた、政府は一体どう見ておられるのでありましょうか。また、公共事業中、道路事業については、特に国の負担率は引き上げられているのでございますが、その他の公共事業は、地方財政の再建等のための臨時特例がこの三月三十一日限り廃止になるのでございまして、少くとも七十三億ないし百億円に近いところの歳入欠陥を地方にもたらすのでございます。このような大問題を放置していることは、全く不謹慎であるといわざるを得ないのでございます。
 多くの団体で、収入増をはかるため超過課税と法定外普通税を行なっているほかに、税外負担といたしまして二百五十三億円にもなんなんとする住民負担が圧力を加えているのでございます。これに対し、大蔵省は何らの調査もせず、同じ政府部内の自治庁の数字を誹謗するばかりで、これを採用しようとしない。そのため何ら救済されていないところのこの地方の状態、これまた、まことに不謹慎きわまる態度であるといわざるを得ません。(拍手)
 行政水準についても、全く最低の水準にとどまっております。すなわち、府県道の未改良部分は総延長の七八・四%、橋梁のうち四四%が木橋であり、交通不能または荷重制限を行なっているのが二四%にも及んでおります。義務教育施設の不足坪数及び危険坪数の合計は必要坪数の二五・七%に達し、不正常授業は小学校で一四%、中学校で一一%、高等学校では、これらの合計は必要坪数の二九・九%にも一達しているのでございます。その他、下水施設、屎尿処理、塵芥処理等については、特に行政水準はきわめて低く、非衛生的な処理方式を行なっているものが全体の五八%ないし八〇%に達しているのでございます。これを見ても、政府与党が言うごとく、行政水準の上昇などというものはどこにも見出し得ないもので、全く百年河清を待つの情ない状態でございます。このような状態では公共事業の返上もやむなきに至るのではないかと、われわれは非常に心配いたしております。この反面、単独事業の伸びはわずかに七%、まさに地方自治はその自主性を失いつつあることは、きわめて重大でございます。国は、一兆四千百九十二億円、読みかえて「一兆ヨイクニ」でもよかろうけれども、地方は、一兆三千三百四十一億円、読みかえて「一兆サミシイ」といわざるを得ないような状態でございます。
 戦後、地方自治については、国政民主化の線に沿いまして、憲法上その地位が明確になり、かつ、シャウプ勧告を契機といたしまして地方税財政は面目を一新したかの感がございますが、依然これは形式的であります。すなわち、昭和三十二年度の地方税収入と国税収入の割合は、国が五五%で、地方は四五%であります。ところが、地方が最終的に使用するところの額は、地方税、地方交付税、国庫補助負担金、譲与税、それと国の直轄事業に対する地方負担額を差し引きずると、国が三七%で、地方が六三%と相なるのでございます。国は国税として五五%の税源を吸い上げ、実質的には一八%を地方に戻さなければならないのであって私は、ここに現行税制度のからくりを見出すものでございます。この一八%こそは、地方自治の自主性をそこない、中央集権を助長せしめるものであり、陳情政治を作り上げ、忌まわしい汚職をいざなうものであります。同時に、官僚政治の腐敗と地方政治の腐敗を招来するものであり、さらに、すべての選挙における与党の援護射撃の道具となるのであります。それが今日おためごかしの思いつき減税となるのでありまして、これこそ、わが国民主政治のおそるべきガンであると、われわれは考えるのであります。(拍手)
 今や、国民大衆は、勤労者も、農民も、中小企業者も、みな減税を強く希望しています。しかるに、政府与党は、大企業、独占資本に対しては、経済再建、生産拡充、輸出振興等の美名のもとに、各種の租税特別措置により、年間八百億円に上る非課税措置の大部分はこれらに振り向け、手厚い保護を加えているのでありますが、一方、大衆に対する負担の軽減については、非常な出し惜しみをいたしているのであります。特に、地方税の場合、有力なる税源はこれを国が優先的に取り上げているために、勢い、大衆課税的な税種目から構成されざるを得ないのであります。その結果、地方自治体は、さらにその財政欠陥を地方住民に転嫁するのやむなきに至り、税外負担、超過課税の形で大衆を収奪する悪循環を繰り返しているのでございます。(拍手)中小企業の事業税撤廃の熾烈な運動、トラック、バス業者等の揮発油税、軽油引取税増税反対の熾烈な運動、また、農村における固定資産税の負担過重の問題、飲食、宿泊に対する遊興飲食税の軽減の問題等々、いずれもこのような収奪課税に対する大衆の反発、抵抗であります。
 以上、このような今次改正案の基本的な錯誤に対し、私は断じて納得することができないのでありまして、これがこの法案に対する反対の第一点でございます。
 次に、その個別的な内容についても多くの欠陥があるので、日本社会党の要求に照らして批判をいたします。
 今次改正案の内容について、まず事業税でございますが、これは、法人事業税のうち、五十万円以下の分については思い切って二先引き下げ、それが個人事業税とバランスがとれないというのでありますならば、さらに個人事業税の税率を引き下げることにより、勤労所得の性格を持つ零細業者等の負担を軽減すべきであると考えるのであります。大企業に厚く零細企業に薄いやり方は許されないのであります。
 また、固定資産税についてでございますが、制限税率の引き下げのほかに、さらに税率を一律二%引き下げることにより、農地や下級住宅に対する負担を軽減すべきであると考えるのであります。
 軽油引取税の増税は、現段階においては実施すべきでない。地方の道路財源の増強はもとより必要ではございますが、その負担をすべて自動車関係者に求めることは当を得ないし、ことに、わが国の道路は、米国その他の戦勝国と異なりまして、戦争により徹底的に破壊されたものであるがゆえに、むしろ国の蓄積財源等により負担すべきものであり、いわんや、運賃値上げを誘因して大衆に転嫁すべき性質のものでは断じてないのであります。(拍手)たとい五〇%の増税が二〇%に引き上げられましたといたしましても、この点、われわれは納得できない。
 遊興飲食税でございますが、遊興飲食税は、免税点をそれぞれ五百円、一千円に引き上げるべきであります。現行の三百円、八百円では、おちようし一本が地獄と極楽の境目であります。全く、酒は涙であり、ため息であります。このような、家庭の延長とも見なすべき大衆飲食に対しては、思い切った軽減をなすべきであります。
 入場税であります。これは、現行では譲与税であるが、当初から、もはや譲与税の価値を失っている。すなわち、今日では、取り上げたそのままで地方に還元しているのであります。すみやかに地方税に移管すべきであります。また、その課税の状態は、低い料金のものほど高率となっていることは不思議であり、納得ができません。これはすみやかに是正すべき七あります。
 次に、電気ガス税の非課税措置でございまするが、特定の大企業にのみその恩典に浴せしめ、そのしわ寄せを一般消費者に転嫁している現況は好ましくないので、この際、これを廃止してその税源により一般消費者の税率を引き下げ、その負担を軽減すべきであると信じます。
 また、地方税減税による減収補てんはきわめて重大な問題であり、かつ、地方団体側と地方住民との減税に対する矛盾を解決するキー・ポイントであるので、減税による補てんは、独立税源を量ることと、なお交付税の増率によりまかなうことを主張するのでありまして、その意味において、消防税外負担を解消するため消防施設税をすみやかに創設すること、住民税の三十五年度以降の減収に対し、たばこの消費税を四・五%以上引き上げ措置を講じておくこと、租税特別措置法をすみやかに整理すること、非課税規定をすみやかに整理すること、その他、交付税の繰り入れ率を百分の三十に引き上げること、臨特法の有効期限を三カ年間延長すること等の財政全般の措置により減収補てんを推し進めることを強く要望いたしたのであります。
 以上が、わが日本社会党の今次地方税法改正に対する税種別の要求であるばかりでなく、同時にまた、国民大衆の減税に対する強い要望であったにもかかわらず、政府与党は、これをほおかむりして何ら反省するところがなかったのでありまして、わが党の最も遺憾とするところであり、これがこの法案に対する反対の第二点であります。
 これを要しまするに、今次の地方税法等の一部改正案は、地方に対する全くの押しつけ減税案であり、住民に対する公約違反の選挙目当て減税案であり、場当り的な思いつき減税であり、何ら一貫性のない、よろめき減税でありまして、われわれの断じて承服することができないものであります。国は、あり余った財源で、左うちわで、「一兆ヨイクニ」と、小うたまじりの政治にうつつを抜かしているときに、地方では、不足した財源で、きゅうきゅうとして住民に負担を転嫁し、「一兆サミシイ」と悲鳴を上げているのであります。国破れて山河ありということわざは、今日では、全く逆に、山河破れて国があるといわざるを得ません。(拍手)
 政府与党は、思いをここにいたし、みずからの非を卒直に悟り、地方自治擁護のため権力の中央集中を改めて、ここに、地方税法等のこれらの二法案に対し反対の議決に賛成されるよう要望いたしまして、私の反対討論を終ります。(拍手)
#24
○議長(加藤鐐五郎君) 渡海元三郎君。
    〔渡海元三郎君登壇〕
#25
○渡海元三郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました三法律案に対し、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案については賛成、地方税法等の一部を改正する法律案については、わが党提出の修正案及び修正部分を除く原案に賛成の討論を行わんとするものであります。(拍手)
 まず、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案について申し述べます。
 昭和三十年、地方財政の未曽有の赤字に対処するため、地方財政再建促進特別措置法が制定されて以来、累年にわたる交付税率の引き上げ、あるいは昭和三十一年より三カ年に及ぶ補助金のいわゆる臨時特例等、地方財政に対する相次ぐ政府の諸施策は着々その効果をおさめ、他面、経済の向上と地方団体の積極的努力と相待って、近時、地方団体の財政事情は漸次好転しつつあり、その資金繰りは緩和せられ、決算上もまた改善の跡が認められるに至ったのであります。しかしながら、今なお多数の団体において超過課税を実施し、また、年額二百五十億に上る税外負担を課しているにもかかわらず、行政水準は依然として低位にあり、一方、累増する地方債約六千億の処理とあわせて、地方財政の真の健全化に至るにはいまだ道遠く、幾多の困難が存在することを痛感いたすものであります。他方、地方団体の固有の財源である地方税は、数次にわたり小規模の改正が加えられてきたのでありますが、今なお地方住民にとって相当過重な負担となっているものも少くなく、このため、その軽減は従前より強く要望されきたったところであります。
 わが党は、この住民の要望にこたえ、かつは前述せるがごとき地方財政の実情をも勘案して、昨年の総選挙に当り、国税、地方税を通じ、いわゆる七百億減税を行うとともに、国及び地方の税源配分の調整をはかることを公約いたしたのであります。しかして、わが党のこの公約を最も忠実に実施に移さんとするのが、本二法案の改正にほかならないのであります。(拍手)すなわち、事業税を中心とする地方税の減税額は、初年度において百一億円、平年度実に二百三十五億円に達するものであり、一方、これが減収補てんのため地方交付税率の一%引き上げを断行して、もって地方財政の運営に遺憾なからしめんとするものであり、私たちの賛意を表するを惜しまざるところであります。(拍手)
 次に、その内容について順を迫って申し上げます。
 まず、第一が事業税であります。
 わが党は、昨年の総選挙の際、個人事業税については、二十万円までの事業所得者は免税とすることを公約いたしました。今回の改正は、この公約を、納税者にとって最も有利な方法、すなわち、基礎控除を二十万円にまで引き上げることにより実行せんとするものであって、この改正により免税の恩恵に浴する者七十七万五千人に及び、全納税者百七十八万二千人の四三%に当り、その減税額は、初年度六十五億円、平年度は七十一億円に及び、全納税額の実に三七%に達するのであります。また、法人事業税におきましては、軽減税率適用限度額を従来の百万円より二百万円に引き上げるとともに、その税率も段階を分けておのおの引き下げを行い、もって中小法人の事業税負担の軽減をはかっているのであります。かくして、従来とかくの批評の多かった事業税も、今回のこの大幅な減税によって、零細な事業者または中小法人は、あるいは免税の、あるいは極度の軽減の恩恵に浴することとなり、多大の福音として迎えられるものと、かたく信ずるのであります。
 第二は、固定資産税についてであります。
 零細な資産所有者の税負担を軽減し、かつ経済の伸張に照応せしめるため、今回、土地、家屋及び償却資産の免税点をおのおの引き上げんとするものでありますが、本改正により、土地については百二十四万人、家屋については百三十七万人という膨大な人員がおのおの免税の恩典に浴することとなり、まことに適切な措置と信ずるものであります。また、本税負担の地域的不均衡を是正するため、制限税率を二・五先より二・一%に引き下げることとしているのであります。現在最高限税率を適用しておる市町村は主として北海道及び東北地方の一部でありますが、このような重税が同地方の住民にとってきわめて過重であることは言うまでもなく、同時に、この地方の事業経営をも不振ならしめ、また、農業等にも相当重圧となっておることは、見のがすことのできぬ事実であります。今回の制限税率の引き下げは、住民をこの重圧より救うことはもちろんでありますが、同時にまた、同地方にとって最も必要と思われます産業開発に必ずや多大の貢献をなすものと確信いたすものであります。しかしながら、これらの市町村はかねてより貧困な財政に悩んでおり、ほかに適当な収入の道もなく、やむなく、かかる重税を適用しきたったのであります。政府は、この実情にかんがみ、今回の改正による減収額は、昭和三十四年度はさしあたり起債によって補てんし、二、の元利償還は国が補給することにいたしているのでありまして、われわれの強く賛意を表するところであります。願わくは、この補てん措置を単に昭和三十四年度のみにとどめず、かつは、減税補給金制度のごときものに改める等の措置を講じ、もってこれら市町村の財政運営に不安なからしめられんことを強く要望してやまない次第であります。(拍手)
 第三は、軽油引取税についてであります。
 道路の急速な整備は、現下、わが国の緊要事であります。政府は、五カ年、一兆円の道路整備計画を立て忠実にこれを実行に移すため、明年度予算には、一般会計において九百十八億円、特別会計を合せるとき一千億円になんなんとする額が計上せられているのであります。しかして、これに伴う地方団体の負担も当然増加し、明年度地方財政計画においては、その額六百四十三億円となり、前年度に比し百二億円の増額となっているのであります。この財源の一部をまかなうため、目的税たる軽油引取税を増徴することは、またやむを得ない措置として了承するにやぶさかでないのであります。しかしながら、政府案によれば、一挙に五割の増税を計画しているのでありますが、かくのごとき急激なる増税は、われわれのとうてい承認することあたわざるところであります。私は、本税が制定以来いまだ日浅き現況にもかんがみ、わが党提出の修正案、すなわち、税率三割引き上げを最も妥当なものと信ずるものであります。(拍手)しかして、この修正に伴う財源の不足については、政府は、消費の増大による本税の増収をはかるとともに、一般財源等、適宜の処置をもって補てんし、いやしくも道路計画の遂行に支障を来たすことのなきよう善処せられんことを切に要望するものであります。(拍手)
 第四に、地方交付税について申し述べます。
 今回の地方税の軽減による減収を補てんするため、交付税率を一%引き上げんとするものでありますが、これにより、昭和三十四年度の交付税額は、昭和三十二年度の精算額百四十四億円と合せ二千四百八十六億円に達し、昭和三十三年度に比して実に二百四十六億円の増加となっているのであります。政府が地方税の減税による地方財政の影響を最小限にとどめんとするこの深甚なる配慮に対しては深く賛意を表するものであります。また、財政的に貧困な団体に財源を与えるため、地方交付税における算定方式の改正を行い、都市的形態の差異に応じて逓減されていた態容補正係数を緩和するほか、新たに面積を測定単位に加えるなど、最も交付税制度に合致した方法によって地方団体間の財源の均衡化の前進をはかっておることは、きわめて合理的かつ妥当な措置と考えるものであります。なお、基準財政需要額の算定については、すし詰め教室解消のための教員の定数増加に要する費用、または地方公務員の給与改訂のための費用、さらには、農業行政費の大幅な増額等、政府の施策実現のための地方財源の裏づけが誠実に計上せられている点、まことに適切な措置と信ずるものであります。しかしながら、明年度国家予算を見るに、公共事業費が大幅に増額されており、反面、公共事業にかかるいわゆる臨時特例が今年度をもって終了する結果、明年度における公共事業費に要する地方負担額が激増することは必至であります。従って、今後、地方団体に対し、国庫負担金の配分が決定されていくに伴い、これとにらみ合せて公共事業が円滑に消化されていくよう随時地方財政上の適切な措置を講ずるよう、この際、政府の格段の善処を特に要望するものであります。(拍手)
 最後に、地方税法の一部を改正する法律案について申し述べます。
 本改正案は、さきに本院において可決されました国税徴収法の改正と並んで、わが国租税徴収制度の画期的な改正の一環をなすものであります。しかして、その改正の基本とするところは、地方税の地方団体の財源としての重要性にかんがみ、地方税優先主義のもとに租税徴収の確保をはかるとともに、他方、司法秩序を尊重し、個人の権利を不必要に不安に陥れることのなきよう十分の配慮を加え、さらにまた、徴収の緩和措置等、徴収制度の合理化をはからんとするものでありまして、本改正は、徴収者たる地方団体はもとより、納税者たる住民も、また第三者も、いずれにとってもきわめて合理的かつ適切妥当なる措置と申すべきであり、私は全面的に賛意を表するものであります。
 ただいま、社会党の阪上議員の討論を拝聴いたしました。阪上君の、地方財政の確立を強く念願せられる所論に対しては、衷心、敬意を表するものであります。社会党は、遊興飲食税の、大衆飲食並びに宿泊に対する免税点の引き上げを強く要望しておられます。私どもも、その必要を認めるにやぶさかでないのであります。しかしながら、今回の地方税の減税は府県税たる事業税を中心とするものであり、特に、昭和三十四年度にあっては、減税の大部分が府県に集中されております。さらに同じ府県税収入たる遊興飲食税の減税を行うときは、府県財政にあまりにも深刻な打撃を与える結果となることはきわめて明白であり、私たちがあえて割愛せざるを得なかったゆえんであります。社会党の方々は、遊興飲食税の減税を強く要望せられる上に、さらに同じ府県税収入たる軽油引取税の増徴についても、われわれの修正案以下に引き下げるか、はなはだしきに至っては一切増徴反対を唱えておられるのでありますが、かくのごときは全く府県財政を無視した所論と申さざるを得ないのであります。(拍手)
 さらに、社会党は、これが減収補てんとして地方交付税率を一挙に二・五%引き上げ、三〇%とすることを主張しておられます。御承知の通り、地方交付税は国家財政との関連において考慮さるべきものであります。昭和三十四年度一般会計予算はすでに去る三日本院を通過したのでありますが、明年度国家財政において交付税率を一挙に三〇%に引き上げることは、とうてい至難と考えるのであります。また、かかる大幅な引き上げを一挙に行うことは、交付税の性格より見て種々議論の存するところであり、われわれはこの社会党の主張には、残念ながら、今直ちに同意しがたいのであります。(拍手)
 以上、私は、地方税法の一部を改正する法律案並びに地方交付税法の一部を改正する法律案に賛成、地方税法等の一部を改正する法律案については、わが党の修正案及び修正部分を除く原案に賛成して、私の討論といたします。(拍手)
#26
○議長(加藤鐐五郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。両案中、地方税法等の一部を改正する法律案の委員長の報告は修正、他の一案の委員長の報告は可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#27
○議長(加藤鐐五郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に、地方税法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
#28
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと慰めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
#29
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、農林水産委員長提出、漁港法の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#30
○議長(加藤鐐五郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 漁港法の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。農林水産委員田口長治郎君。
    〔田口長治郎君登壇〕
#32
○田口長治郎君 ただいま議題となりました漁港法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。
 漁港法は、水産業の基本的な生産基盤である漁港を整備し、その維持管理を適正にすることを目的として昭和二十五年に制定され、自来、全国にわたり二千六百八十港の漁港が指定され、このうち六百四十七港が整備計画に取り入れられ、国は、これに対し年々相当額の修築事業負担金あるいは補助金を計上し、漁港整備事業の促進に努めており、その結果、三十四年度完成見込みのものを加えますると、今日までに百三十六港の漁港が整備され、水産業の振興に貢献をいたしておりますことは、御承知の通りであります。
 漁港の種類には第一種から第四種まであって、その位置、規模、利用度等によって格づけが行われ、その費用についての国の負担及び補助について、ある程度の格差をつけているのでありますが、その中にあって、利用範囲が全国にわたる七十八港を第三種漁港として、その整備には相当の努力がなされているのであります。しかしながら、さらに、このような第三種漁港中にありましても、漁獲物の水揚高の多寡、国民経済に対する寄与の度合いから見て、おのずから、そこには、漁港としての機能、役割において頭角をぬきんでており、今後の漁港対策上、一般の漁港と同一に律するわけには参らないと思われるもののありますことも否定しがたいところでありまして、このことにかんがみ、この際、第三種漁港のうち、水産業の振興上特に重要なものを特定第三種漁港となし、この種の漁港については、漁港整備の国の基本方針である整備計画に基吏、施行者の意見を尊重しつつ、農林大臣みずからが、総合的判断のもとに、さらに高度の技術的要因に考慮を払って、その修築計画を定めることが適当であると思料し、ここに本改正案を提出いたしました次第であります。
 委員会においては、本日、この案を、委員会の成案として全会一致をもって決定いたした次第であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
#33
○議長(加藤鐐五郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
#34
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
#35
○議長(加藤鐐五郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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