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1958/06/09 第31回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第031回国会 農林水産委員会食糧に関する調査小委員会 第2号
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1958/06/09 第31回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第031回国会 農林水産委員会食糧に関する調査小委員会 第2号

#1
第031回国会 農林水産委員会食糧に関する調査小委員会 第2号
昭和三十四年六月九日(火曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席小委員
   小委員長 今井  耕君
      永田 亮一君    赤路 友藏君
      足鹿  覺君    石田 宥全君
      栗林 三郎君
 小委員外の出席者
        議     員 田口長治郎君
        議     員 芳賀  貢君
        農林政務次官  石坂  繁君
        食糧庁長官   渡部 伍良君
        農林事務官
        (食糧庁総務部
        企画課長)   大和田啓気君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 米価に関する件
     ――――◇―――――
#2
○今井小委員長 これより食糧に関する調査小委員会を開会いたします。
 質問の通告があります。これを許します。石田宥全君。
#3
○石田(宥)小委員 長官にお尋ねしますが、きのうは米価算定についての基礎資料についてこまかく御説明を伺ったのでありますが、あれだけの資料を整備されて、その上に立っての米価算定についての基礎的な構想が伺えなかったのでありますが、新聞その他に伝えられるところによれば、生産費及び所得補償方式を大幅に採用するということを表明されておるようであります。この前の小委員会に当りましては特に生産費及び所得補償方式を大幅に採用するといっても、それが従来のハリティ方式とチャンポンにしたような方式というものは最悪のものであって、従来のつかみ勘定によるいわゆる政治米価と何ら異なるところがないので、私どもは、生産費及び所得補償方式というものを柱にして、それを新パリティで修正をするという程度のものが望ましいという希望意見も付しておったのでありますが、今日までの資料を整備された段階におけるその方式の骨格についての構想をまずお伺いしたいと思うのです。
#4
○渡部説明員 昨日生産費の検討につきまして御説明申し上げたのでありますが、これは前々から申し上げておりましたように、生産費及び所得補償方式というものは、パリティ方式の不備を補う、あるいはパリティ方式では果せないところを実現する必要がある、こういう観点から検討を加えてきておるのでありまして、その要点は、農家の稲作労働に対して都市製造業の平均賃金と均衡する労働報酬を与えることがいい、そのことはパリティ方式では必ずしも十分ではないということで、これはいわゆる米について所得パリティ方式をとることにしておりますけれども、それでも十分でないというようなところから考えておるのでございます。私どもが生産費及び所得補償方式をとるに際して、これは結局生産者側だけの希望、すなわち米は高ければ高いほどいい、こういう要求であるかのごとき印象を与えては困りますので、やはり、経済学的に、あるいは常識的に、生産費及び所得補償方式をとった場合、どういうふうな労賃を算定し、どういうふうな資本利子を算定した方がいいかということについて農業団体とも何回となく討論を重ねてきました。大体どこへ出してもいい、生産者側からも、あるいは消費者側からも、あるいは第三者からも、まあまあこの程度ならばやむを得ないのじゃないかというふうな一致点を見出す努力をいたしてきております。それで、一致点に到達したものもあり、あるいはしないものもございまして、まだ最終的な結論を出す段階には行っていないのが現状でございます。
#5
○石田(宥)小委員 いろいろな項目について検討中だということでありますけれども、米価審議会も二十五日を予定されているようでありますが、その構想の骨格は、きのう発表されたような資料の整備過程においてすでに決定されていると思うのです。今後その資料に基いて数字上の作業をするということは別として、方向だけは明らかにならなければ、一定の方向が明らかになった上に立っての作業でなければならないと思うので、そういう方向づけというか、それの構想を聞いているわけですから、その点を率直に話してもらいたいと思います。
#6
○渡部説明員 これは、観念的な方向はきまりましても、それではその方法でやろうとしましても、現実にその方法でやる計算の基礎になるデータが手に入らなければできないわけであります。そこに問題があるわけであります。従って、かりにデータがございましても、たとえば、昨年か一昨年かの消費者米価をきめるときでも、消費者の家計調査が間違っておる、だから、これをとるのにどの程度の信憑性をそれに置かなければならぬか、こういう議論が出てくるわけでありますから、観念的にどういう方法がいいといいましても、現実にはそれを計算するデータを見出す努力をしなければならぬわけであります。そういう過程にあるのでございまして、観念的には農業団体の言うことと私どもの言うことと大体違ってないと思います。それじゃ、具体的にどういうデータをとっていくか、あるいは、たとえば労賃の問題にすれば、都市労働者との労働報酬の均衡を仰せしめるということも、どの程度が均衡か、これは数字的にはっきりこの点が均衡ということを出さなければいかぬ。それにどういうデータでやればどう落ちつくかということでございますが、これは計算の過程では、率直に申し上げますと、一案、一案、三案と、いろんな試算をやります。その際に、理屈はこうなんだけれども、この統計をとってみると変な数字が出てきたな、こういうことになりまして、理屈通りにいかないのがございます。まだ最終的に、いろんな案を比べて、さあこれでいこうという結論まで出てないのであります。
#7
○石田(宥)小委員 実際はそういうことだと思うのですが、そこで、最初に言ったように、要するに、新らしい方式を大幅に取り入れる、こういう表現では抽象的でわからぬのですが、それをどういう形で取り入れようというのであるか。パリティを中心にして計算して、従来はパリティで作業を進めて、生産費・所得補償方式の一部要素を取り入れるというようなことをしばしば行われたようでございますが、それをわれわれは逆にした考え方で進めてもらいたいという要望をも含めて質疑を行なってきておるわけです。ですから、この二つの算定方式の組み合せをどういう形で考えておるか、これを聞きたい。
#8
○渡部説明員 これはむずかしいので、かりに私の方で生産費及び所得補償方式をとりたいということで計算をしても、パリティではじいたよりも低ければ、これでやるのだといっても皆さん御承知願えないだろうし、従って、その程度があると思います。一円、二円の差であればあるいは御承知願えるかもしれないし、何と言いますか、そこにありますように、経済事情その他参酌事項というのが非常に多いわけでございますから、いかなる計算が出ようとも、いろんな事項を参酌してわれわれの言う通りにしよう、こうしろ、こういう主張が相当強いわけであります。その参酌事項というのは、これは計数的にぴしっとはじけるものでない。相なるべくはそういう参酌事項は非常にはっきりした事情があればいいのですけれども、現在では、私どもは非常にはっきりした参酌事項というものはちょっと考えられませんから、どうしても生産費方式なりあるいはパリティ方式で出た数字をもとにして最終的な結論を出さなければいけない、こういうふうに私は考えておりますから、数字を出してから、どちらにウェートを置く、あるいは足して二で割るという方法もございます。それが一つの参酌事項になると思いますが、現在のところはどういう方向で出そうどいう結論はまだ出しかねておるのが偽わらざるところでございます。
#9
○石田(宥)小委員 そうむずかしく答弁されなぐともいいんで、これは、要するに、生産費はどの程度まで見てやるか、農家の自家労賃はどの程度に見るか、この二つの問題なんで、それ以外のことはさっき長官の答弁の中にも、農業団体とも一致点を見ておる点もあるというお話ですが、おそらくその他の点は一致点を見ておるところが多いと思うので、大体この二点が柱なんですから、この二点についての問題だと思うのです。
 そこで、まあきのうはこの膨大な資料に基いて御説明を承わったのですが、この「米生産費分析資料I」というものによると、結論的には、八〇%なり八五%なりのバルク・ラインというものは信憑性がない、これによりがたいという一語に尽きると思うのですね。ところが、それについては、この前の小委員会でも私から申し上げておったように、日本の農業のように、きのうも説明がありましたが、こういうふうに振れの多いというか、安定性がないというか、非常に幅の広い、生産費で言えば石当りでは二千四百円から一万四千四百円というような、こういう大きな幅がある。こういうものの中から八〇%のバルク・ラインという中へ落ちてくる農家というのがごくわずかな数字になってしまう。そういうことになると、そこに一定の法則性を見出しがたいという結論も、これは当然だと思うのです。しかし、どの表を見ましても、やはり一つの線というものは一定の形で出ておるのです。みんなこういうふうに出るのですよ。だから、一定の八〇%なら八〇%の線が見出し得ないとか、それはとりにくいということは必ずしも言えないのじゃないか。だから、これは統計学上からの議論は別としても、少くとも日本農業のように地域性、地帯性のはなはだしい米作農業においては、地域別、地帯別の一つの統計を整備して、それを全部積み重ねて、そこで平均値を出すということも一つの方法でありましょうし、そういう点について私どもは再検討を要望してあったわけです。そういう点についてはこの資料の整備をやられましたかやられませんか。
#10
○渡部説明員 これはお話がありますように、やはり統計学上の問題として取り上げないと、ただたまたま農家の八〇%のところの数字がこうであるからこれによれというだけではただ値段を高くしなければならないからこれによれ、これだけのことになりまして、八〇%あるいは七五%をとらなければならない。とるのにはどれだけの理由があるんだということでなければ、何%をとっていいか、こういうことが万人に得心を得ていただくことにはならないと思うのであります。農業団体あるいは農業新聞等で書いておりますのも、今石田委員がおっしゃったようなところでございますが、私どもも、これは肝心なところでございますから、ちょっとの考えでは八〇%を引けばそこに数字が出てくるんだ、それをとったらなぜ悪いのか、こういう感じがしますから、諸先生方に、そういう高遠な学理でなくて、しろうとにわかるように説明をしてくれということを、しばしば議論をしていただいたのでありますが、どうしてもそういうところでとるということは理論的にできない、こういうことで、私どももはたと弱っておるのが実情であります。
#11
○石田(宥)小委員 この問題は一つ統計学上の問題は学者か何かでも呼んでわれわれも検討したいと思うのですが。もう一つは、八〇%をとらなければならないというその理由が果してあるのかないのか、これについては歴史的に昭和三十年度の米価審議会以来非常に論争のあった問題でありまして、これについてはいろいろの議論はありましょう。しかし、私どもは必ずしもその八〇%にこだわって今議論をしているわけではないのであって、要するに、この農林省の膨大な資料に基いて生産費の八〇%のバルク・ラインというものには一つの法則性がないのだというそのことが問題なんだ。それがまず根本の問題ですから、それを今伺っているわけですが、さらに、盛んにあなた方の方は、これをたてにとって、八〇%のバルク・ラインというものによる生産費補償ということは困難だ、こうおっしゃるけれども、これの基礎資料というものの調査、これはきのうから御説明があったように、二千六百戸程度だ。一体、日本の農家全体の数から比較して、これだけの数字で、これだけの調査で果して統計学上完全なものとして、資料としてあなた方がこれを用いられるに妥当なものかどうかということになると、私はこれは非常に問題があると思うこれはかつて本委員会において統計部長も、それでは統計の資料としては不足である、不十分であるということを指摘しておるのです。にもかかわらず、やはりその程度の資料に基いてこれを整理をして、それをたてにとって、これはとりがたい、こう言われる理論的根拠というものはきわめて薄弱なものだと思う。そうじゃないですか。
#12
○渡部説明員 その問題は、先ほど私が申し上げましたように、生産費及び所得補償方式をとれと言われた場合に、何によって計算するかという問題に帰着するわけであります。御指摘のように、二千六百で十分日本の農家の代表ということにできるかできないかということは、これは議論があると思います。従って、その議論のある、またその中で議論のある八〇%をとればなおさら議論がある、こういうことにならざるを得ぬと思うのでございます。しかし、今はすぐ生産費及び所得補償方式をとるということになれば、この資料よりはほかにないと思います。これは、それならば、三十年からそういう方式をとれということで要求しているのだから、早くもっと代表的な可能性のある農家数を選んで調査したらいいじゃないか、こういう御意見だと思いますが、予算の関係その他で、とにかく現在はこれ以外によるものはない。農業団体等でも千五百戸程度しか調査しておらないのでありますから、それに比べればまだ代表性が出てくる、こういうのでございまして、一方では理屈上これをとる。それでは、とる場合に、数字がこれ以上のものはないということなら、やむを得ずこれをとる以外にない、こういうことをお答え申し上げます。
#13
○石田(宥)小委員 二千六百戸が妥当であるか千五百戸が妥当であるか、これは比較論であって、比較的の話なんであって、これはどっちにしても五十歩百歩だと思うのです。それだけに、その資料だけで、その資料に基く結論だけでこの生産費方式を否定しようとするあなた方の意図というものは、われわれは了解に苦しむということなんです。長官は就任以来まだ日は浅いかもしれぬけれども、今お話しになった通り、昭和三十年以来われわれはこれを主張しておる。そして、歴代の大臣は、できるならばそれをとりたい、ことに三浦農林大臣などは、昨年の米価審議会以来、これをとる、とるようにしたいということをはっきり言っておるのです。ところが、その調査というものをほとんどやっておらない。この前も申し上げたように、去年の十月ごろには新しい算定方式に基いてやることは不可能であるような問題点だけを拾い上げて何か文書で発表されたことなどもあるわけでありますが、一体そういうことをやられる意図が那辺にあるかということをわれわれは疑わざるを得ないのです。そういう点で、きのうは大和田課長は、農業団体側が約千戸と五百戸、全中と会議所の両方の資料を一まとめにしてやっておって、これはいいかげんなものだということで、だいぶ大みえを切られたようだけれども、一体あなた方の方もどの程度信憑性があるのか、一体どれだけ資料としてみえの切れるだけのものであるかということになると、私が今指摘したようなことだと思うのです。ですから、そういう点では必ずしもそう大きな口がきけるほどのものではないのだということを私はここで指摘しておきたいと思うのです。
 それで、先ほど長官が言われたように、この前の小委員会で、特に問題点がたくさんあるので、それらの問題点についてはできるならば農業団体と同じ土俵の上で一つその作業を進めるように、共同作業をやってはどうかということを提案を申し上げた。それに基いて共同作業も進められた模様でありますが、その中で一致点の見出せたものもある。きのうの報告でも、たとえば物価差の点などでは一致点を見出しておるということでありますが、それらの話し合われた項目と、一致点を見出し得た点と見出し得ない点を、きのうも文書によって御報告があったはずだけれども、なおここで一つ御報告を承わりたいと思います。
#14
○大和田説明員 御報告を申し上げます。一致点を見ましたものは、きのうも御報告いたしましたように、都市農村の物価差の問題であります。それから、異論が――相当詰めて一致しませんものを申し上げますと、一つはいわゆる都市の均衡労賃の算定の仕方でございます。これは、私たちも、また昭和三十年の米価算定専門委員会におきましても、多少は異論がございましたけれども、都市と農村との労賃を均衡させるという立場から言えば、都市の製造業の全規模の労賃の平均をとることが望ましいということを三十年の専門委員会でも一応きめたわけでございます。それ以来農林省が毎年米価審議会に参酌値として出しておりますところの生産費及び所得補償方式による米価は、いずれも全規模の平均の労賃をとっております。農業団体においてもごく最近まではそういうことをやっておったわけでございますが、昨年からでございますか、正確に言えば今年からでございますか、一人ないし四人未満の規模の事業場に勤めておるところの労働者の賃金は、全体の賃金体系から申しますとイレギュラーであるということが理由でありましょう、さらにつけ加えますと、五人以上の事業場の労賃は毎月調査いたしておりますけれども、一人ないし四人の賃金は毎年七月に調査をいたすだけだという事情もあるかと思いますけれども、農業団体は五人以上の労賃をとるべきであると言いますし、私の方は三十年の専門委員会の結論以来それが正しいだろうということで全規模を主張いたしておるわけでございます。その点はなかなか容易には一致いたさないだろうと思います。
 それから、一致いたしません問題の二番目は、地代の評価であります。これは農業団体の方は勧銀調査の実納小作料をとっております。私の方は、毎回建前といたしましては役所が米価をきめるわけでございますか、公定価格のあるものは公定価格でとるという形式論ばかりではなしに、小作農に都市と均衡するような労賃を与えるということで統制小作料の算定がしてございますから、小作農がみずから自分の労働を低く評価して小作料をやみで払っている場合、そのやみ小作料をとりますことは、統制小作料を守らなかったことを追認するばかりでなしに、片方の土地を貸しておる方から言えば、やみ小作料をたてにして米価をきめたのであるから、小作料はやみ小作料まで上ぐべきだという議論が当然起ってくるわけでございます。これは、私の方は、もしもそういう主張が地主の方から行われた場合、やみ小作料を見ていて、しかも小作料ま統制小作料を守るべきだという理屈ははなはだ言うことがむずかしいだろうと考えます。従いまして、勧銀調査の実納小作料をとっております農業団体に対しまして、私の方は、建前としてあくまで統制小作料をとるべきだということを一貫して主張をいたしております。この点も意見が合わないところでございます。
 それから、第三番目は資本利子の取扱いでございます。これは、御承知のように、昨年までは農業団体の方は借り入れ資本に基いて農業を営むという前提に立ちまして、農手のきくものは農手、農手のきかないものに対しては一割一分程度の利子を見て、借り入れ資本の利子をつけております。その場合に、自家労賃につきましては、これを評価がえした分については、おそらく生産費計算とは別だという理由で、資本利子をつけておらないわけでございます。従来の私の方のことを申し上げますと、農家が稲作に資金を使わないで他に安全有利な資金の運用をするとして、その利子は幾らかということを想定いたしますと、ほぼ郵便貯金の利子四分になるということで、四分の資本利子をつけておりますが、その場合は従来の経過もございまして、自家労賃を評価し直して都市均衡労賃に当てはめました自家労賃部分についても年四分の資本利子をつけておったわけでございます。その点につきまして、は農業団体と私の方は話し合いをいたしまして、どちらも従来の建前を多少変えることにいたしまして、その第一点は、借り入れ資本で農業経営を営むということが現実に合わないということはこれは農業団体も認められまして、資金動態調査あるいは農家経済調査を使いまして、いわば腰だめに、借り入れ資本を一、自己資本九の割合でまず分けまして、そして、借り入れ資本につきましては農手を使うわけでございます。それから、自己資本につきましては、農協の一年定期の六分一厘程度の資本利子を使うようにしたようであります。私の方は、四分という利子が有利安全確実な資本運用の利子としては多少低きに失するということは、これは認めます。そして、経営資本の中で、一割は借り入れ資本による、九割は自己資本によるということも、私の方の資料からそれをそういたしまして、借り入れ資本につきましては、農家が借りている利子の平均の七分五厘ないし八分程度、これはまだ資料の整理をいたしておりますから確定はいたしておりませんけれども、借り入れ資本の部分については七分五厘ないし八分程度、自己資本の運用につきましては、これは郵便貯金でありますとか農協の半年定期あるいは一年定期、さらに農林債券の利子等を勘案いたしまして五分五厘という利子をつけることにいたしました。ただし、家族労賃で都市均衡労賃に評価がえする部分は、これはどう考えても生産費計算の外の世界でございますから、自家労賃部分については昨年まで農業団体がやっておりましたように資本利子はつけないというふうにいたしたらどうかと考えております。それを合計いたしますと、昨年までのすべてのものに四分の利子をつけるということに比べまして相当の資本利子額の増加をいたすことになるだろうと思います。
 大体、農業団体と私どもの方で、これは三、四回話し合いをいたしまして相当こまかい議論をいたしておりますが、話の合いましたものもありますし、合わないものにつきましても多少の歩み寄りが実現できたわけでございます。今後もなお事情が許しますならば話し合いは続けていきたい、そういうふうに考えております。
#15
○石田(宥)小委員 物価差の一致した八七%、これにもかなり問題はあると思うのです。必ずしも地方の物価が全体で安いかどうか相当問題があると思うのですが、一応これは農業団体と意見の一致を見ておるとすれば、本年度は一応それを了承するとしても、賃金の問題で、自家労働賃金というものの評価が要するに所得補償の一つの柱になるわけですが、一体、全規模というふうなことになって、一人以上などということになると、これはほとんど賃金などと言えるか言えないかわからないようなものまで相当含まれてくる。少くともやはり五名以上でなければならないと思うので、労働省の統計でも全模規という表現は五名以上という―ことになっておるようです。それから、大体、そういう小規模の賃金というものは、たとえば月収四千円までの賃金というのが九%もある。それから四千円から八千円までが二六%もあって、八千円以下というものが三五%もある日本の低賃金の中で、―四人というものを含めるというようなことになると、全くこれは飢餓賃金というか、それによって生活が保障されるなどとは、とうてい考えられるところではないと思うのです。それを農民組合側は三十名以上の製造工場労働者の平均賃金を主張しておるので、それが社会党あたりの主張しておる最賃法の精神と合致するというところで、三十名以上の規模の製造工場労働者の平均賃金ということで表現しておるわけです。そういう点から言うと、五名以上というところにも問題点はあると思うのだけれども、一名以上というようなことを主張される根拠は一体どこにあるのですか。
#16
○渡部説明員 お話のように、なるほど小規模の工場は大規模の工場と比較して賃金は低いと思います。しかし、都市労働に対する報酬との均衡、こういうところでございますから、一体どこをとれば均衡かという問題は、いろいろな計算の仕方があるわけであります。ただ安いものだけ切ってそれでいいということだけでは理屈に合わないので、安いものが工合悪いなら、異例に高いものも工合悪い、こういうことになるはずでございますから、それならばどこで異例に高いものを切るかということがまた問題になりますから、理想的形態としてはいろいろあると思いますが、しかし、現実の姿としては、都市のこの種の勤労に対する報酬ということになれば、全体をとった方がベターである、こういうように私ども考えているのであります。これは、農業団体の中でも、従来たまたま資料がないから五人以上をとった、あるいは社会党の方から三十人以上が出ているから、それの関係もあるから五人以上、こういうようなところもないではないと思いますけれども、これはどちらが統計を採用する上においてよりベターであるかという考え方の問題ではないかと思います。
#17
○今井小委員長 午前の会議はこの程度とし、午後一時三十分より再開し、質疑を続行いたします。
 これにて休憩いたします。
    午前十一時二十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時開議
#18
○今井小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。石田宥全君。
#19
○石田(宥)小委員 午前中労賃部分についてちょっと触れておいたのでありますが、国民生活の一定の標準というものが出ておるわけでありますが、先ほど大和田課長がお話しになったような一人以上の規模の平均労働賃金、それから五名以上の生産工場労働者の平均賃金、それから三十名以上の生産工場労働者の平均賃金の数字を承わりたいと思います。
#20
○大和田説明員 お答え申し上げます。
 三十二年七月以来三十三年七月までの一人ないし四人までの零細事業場の賃金の調査をいたしております。これはあくまでも事業場単位でございますから、相当大きな工場あるいはその他で分工場を持っていて、全体としては五百人雇っておるけれどもそこでは四人しか雇っていないというものも含まれている数字でございます。
 詳細に申し上げますと、五人以上で三十三年七月の一月の定期給与が一万四千三百五十円、それから三十二年八月ないし三十三年七月の平均臨時給与が二千四百九十円になっております。従いまして、三十三年七月の定期給与と三十三年七月に至る一年間の毎月平均の臨時給与を含めまして合計一万六千八百四十円でございます。そして従事者の数は五百六十八万三千人でございます。
 それから、一人ないし四人の方を申し上げますと、定期給与が八千五百三十四円、臨時給与が四百七十九円、合計いたしまして九千十二円。その人数は二十八万四千人でございます
 これをウエイいたしまして全規模の平均賃金を出すわけでございます。
#21
○石田(宥)小委員 三十名以上の場合はどうなっておりますか。
#22
○大和田説明員 三十人以上の賃金はちょっと今手元に資料を持って参りませんでしたがも三十人以上の規模の労務者の賃金と全体の規模の労務者の賃金の格差は八五%という数字になっております。なお、念のため申し上げますと、一人ないし四人を含めました全規模の賃金と五十人以上の賃金との較差は九七・八%でございます。
#23
○石田(宥)小委員 そうなりますと非常に大きな開きが出てくるわけですが、一ー四名を含めたところの全規模の数字によらなければならないとする食糧庁の考え方というものは一体何に基くものなのですか。その点の御説明を一つ承わりたい。
#24
○大和田説明員 都市賃金を稲作の家族労賃で評価する場合の基礎については、いろいろ議論がございますことは御承知の通りでございます。三十年の専門委員会におきましてもいろいろ議論が出てなかなか帰一しなかったわけでございますが、私たちが三十年の専門委員会当時の結論を今なお正しいと思いますことは、第一に、先ほども長官から御説明がありましたけれども、米価は生産者ばかりではなしに消費者も納得することができるものである必要があるわけです。そのためには、米価の算定に都市の均衡労賃を用いるというその均衡労賃の形成に一人ないし四人までの零細企業に雇われている人間は入らないといたしますと、そこで都市と農村との米価形成に一人ないし四人の零細企業の賃金が入りませんと、この分は米価の形成に参加しないということになるわけでございます。それは都市と農村との労賃を均衡させるという建前から言えばおかしいのではないかということが一点でございます。それから、五人以上の規模の工場の賃金をとる、あるいは三十人以上の規模の賃金をとるという御意見がありますけれども、五人とか三十人とかいうことは、これは工場の賃金調査の一つのめどといいますか便宜的な区分でございまして、四人未満と五人以上と質的に非常な違いがあるかどうか、三十人未満と三十人以上と質的に非常な違いがあるかどうか、これはきわめて疑問でございます。五人とか三十人とかいうのも、ひっきょう便宜的な区分でございます。従いまして、一人ないし四人未満の事業場の労務者の賃金は正常でないからとるべきでないということにいたしますと、先ほども申し上げましたように、米価は国民的な納得を得なければならないという立場からいたしますと、いろいろな問題が出て参ります。たとえば、五百人以上の工場あるいは千人以上の大工場の賃金は異常であるからそれを除けという議論も出てくるでありましょう。これは、私たちがそういうふうにすべきだということではございません。そういう議論も必ず出てくるわけでございます。さらに、生産費の方で申し上げますと、バルク・ライン生産費はもちろんのことでございますが、平均生産費におきましても、先ほど申し上げましたように、五千八百円の平均が、二千四百円から一万四千二百円くらいまで、非常に能率の悪い、商品生産としては考えられないほどの非能率の経営が生産費の形成に入っているわけでございますから、そしてその著しく能率の悪い農家というのは必ずしも土地条件が悪いから生産費が高いばかりでないことは昨日も詳しく申し上げたわけで、能率が悪いために生産費が高いという農家も現実にはあるわけです。従いまして、生産費をとる場合には人よりも何倍も能率の悪い農家の生産費をとって、そして、相手の均衡さすべき都市労賃としては一人ないし四人の規模を落すということ、生産費にもそういう能率の悪いものが入っておる建前から言えば少しおかしいではないかというのが議論の一つでございます。
 なお、一人ないし四人の事業場の労務者の賃金をとることにつきましては資料的に問題がある、趣旨としては全規模の平均賃金をとるべきであるけれども資料が不足しておるではないかという御議論もあるようでございますけれども、これは、三十二年の七月、三十三年の七月というふうに、一カ月を手がかりとして全体の平均賃金に対する一人ないし四人の零細規模の労務者の較差というものが出ておるわけでございまして、これは三十二年と二十二年の調査とを比べましても決して不安定なものではございませんから、資料的にもそれは使える。実は、三十二年までは私たちは、生産費及び所得補償方式の考え方で零細規模の賃金をとる場合に、失業保険の統計をとっておったわけでございます。しかし、これは申告でございますから、較差は必ずしも正確に出なかったわけで、その際におきましては、資料的な問題があって一人ないし四人の労務者の賃金というのはとりがたいということがあるいは言われたかもわかりませんけれども、三十二年七月以来の特別調査によりまして、資料的にも十分私たちは全体の平均賃金を算出する資料が得られるというふうに考えておる次第でございます。
#25
○石田(宥)小委員 さっきも食糧庁長官が、消費者も納得し得る米価という言葉を使われたのでありますが、なるほどそれは考慮の中には入れなければならないと思うけれども、それを中心に考えるということになると、食管法の第三条の趣旨とは違ったものになるおそれがある。食管法では、御承知のように、第三条の二項で、「政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、こういうことになっている。今のような長官や課長の議論から言うと、失業者が非常にたくさんになった場合に、では失業者のものを一体どういう標準で見るかということにも発展する議論になってくる。そういうことになると、食管法を無視したような価格構成が考えられるおそれが出てくるのです。従って、この一人などというものが国民の生活費の標準をカバーできる金額でないことは、これはもういろいろな厚生省あたりの統計で明らかなんです。そういうものをも含めて、そうしてこの低賃金にするということになると、生産費・所得補償方式における農民の所得補償というものは賃金によって補償する以外はないのであるが、その場合にとるところの標準がきわめて低いものになって、それでは実質的に所得補償にならない、こういうことになると思う。どうですか。
#26
○渡部説明員 今のお話ですが、かりに一―四人のものを標準にするのであれば、これはお話のような線が出るかもしれませんが、一―四人のものを含めるということでありまして、そのものは人数のウエートからいきますと約五%くらいにしかならないわけであります。御説のように非常に低いところできめるということには、すぐはならないと思います。また、再生産を確保するところで生産費をきめる、その場合に一体労賃の評価をどこできめるかという問題でございまして、一方で言いますと、最低のものを補償するのには最低賃金というものも問題になっているわけでございますから、最低のものならばそこでも生産費の一つの計算になるわけでございます。これは、先ほど申し上げましたように、二千数百円から一万四千円までの生産費になっているわけですから、その中のある労賃の評価は場合によると、つまりこれは限界生産の思想から出てくるわけですが、限界生産というのは最悪のコンディションで作る限界点ということになりますから、そのときには労賃も最低賃金なら最低賃金。これ以上は、お話のように、失業者なり、これは一人前以下ということでありますが、現に行われている最低賃金で見ても仕方ない部分があっていいのじゃないか。そこで、多いのと低いのと平均して、平均をとったらいい。だから、先ほどからお話がありますように、なぜ下の方だけを切らなければならないかということが、むしろ、私の方から言うと、一般的、常識的な質問になるのじゃないかと、こういうふうに考えられるわけです。
#27
○石田(宥)小委員 最下位を除くということは、それは不完全就労なんですから、完全就労ではないという考えなんです。それはもう世間の常識ですよ。一カ月に三千円や四千円なんというものは、不完全な就労であって、それによって生活するなどと考えられません。だから、あなた方の考えのおかしい結論が出るということは、そういうところに一つ問題があると私は思うのだ。三千円や四千円の不完全就労、半失業、そういうものをも含めて、そうして妥当な賃金によって農民の生活を保障するということは、これは筋が通らないのじゃないか。だから、そういう部分は除けというのは、やはりそういうちゃんとした理由がある。これを改められない限り、同じ生産費・所得補償方式といっても、農民を納得させるわけにはいかないと思うが、どうですか。
#28
○渡部説明員 これも非常にむずかしい問題であります。御説のように言いますと、米価は最高でなければならない、一万四千数百円でなければならない、こういう議論になるかと思うのでありまして、それはやはり、大数的な計算で、両方のいろんなものがあるものを想定して、そうして多くを希望するもの、少なく希望するもの、両方から得心が得られる常識的な線を出さなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えるのであります。
#29
○石田(宥)小委員 政府は今度農業基本法などを出して、今調査に取りかかろうとしており、その場合によく大臣なども日本農業の安定的な成長というような言葉を使われるのであるけれども、われわれは、やはり限界生産費的な考えで、そういう見地に立って農業の近代化や機械化をはかり、農民生活の安定がなければ農業そのものの安定的成長などということは期し得られないのであって、やはりそういう考慮のもとに米価というものは算定さるべきだと考える。でなければ、近代農業としての再生産を確保するところの米価というものは出てこないと思うのです。そういう意味でわれわれはこれを主張しておる。やはりそういう政治的な考慮をも含んだところの米価でなければ、農業というものは衰退の一歩をたどるだけだと思うのです。ことに、今回われわれがこの問題をやかましく言うのは、ここ数年を出ずして需給のバランスがとれるようになってくる、自給自足ができるようになったときのことを考えると、そうでなくてさえも財界等から統制をはずしてしまえというような意見が出ておるときに、自給自足がやがてできるという見通しが明らかになった場合、いかにして現在の制度を維持するか、現在の制度を維持しなければ農民生活も日本の米作農業そのものも破壊されるおそれがある、そういうふうな見通しに立つから、今回この算定方式というものを重大視しておるゆえんなのであって、それを無視したところの米価の算定というものはあり得ないと思う。それを十分一つお含みの上で、大臣とも協議をされて、今後の作業を一つ進めていただきたいと思います。
 それから、次に、地代の問題でありますが、地代の問題では農業団体は実納小作料を主張し、政府の方は統制小作料を主張されておる、これは果してその小作料というものでいくことが正しいか、あるいはいわゆる地代論でこれを割り切っていくことが正しいかというところには、これは非常に問題があって、学者の間でもこれは意見の一致を見ることが困難ではないかと思うので、この点については私どもは必ずしもいわゆる地代論としての今の論争の中に巻き込まれることが妥当だとは考えておらない。また、さっき課長が言われたように、実納小作料をとるという場合における農地法との関連において、現在の統制小作料の引き上げという論拠を与えるということも、われわれはうなずける。しかし、現実に米価を算定する場合においては、現実に支払っておる小作料というものは、これはその限りにおいてはやはり認めざるを得ないのではないか。現実に支払っておるものを、そういう一つの連鎖反応というか、そういうことをおそれてそれをとらないということは妥当ではない。やはり、一面から言えば、実納小作料というものがはなはだしく最近は高くなって、いわゆるやみ小作料というものが非常に目に余るものがある。それを一面から言えば、農地局等がそれに対する取締りを怠っておることにも原因があるのであって、そういう議論もできるけれども、ここの場合にはそういう他との関連事項というものをあまり考慮することなしに、実際支払っておる小作料というものはそのままこの場合には取り入れるというのが妥当じゃ、ないかと思うのですが、どうですか。
#30
○渡部説明員 それはむしろこちらから御質問申し上げたいくらいのもので、やはり、この制度を作っておるわけでございまして、その制度が守られないものを制度の上に載せていく、これはこういうことはどうしてもできない。ことに小作地はもう一〇%以下に下っておるわけですから、これは、もっと小作地の率が大きいということでございますれば、やはり小作料のきめ方について根本的に議論をし直すということまで発展しなければならないのであって、それを、今のいわゆるやみ小作料があるからといって、それをそのまま載せるということはもう根本的に私の方としては耐えがたいところじゃないかと思います。
#31
○石田(宥)小委員 それは僕はへ理屈だと思う。現実に支払っておるのだから、米価算定の場合にはやはり現実の事実を取り入れるということでいいのじゃないですか。
#32
○渡部説明員 これはまた理屈になりますけれども、それじゃ、ものをとったら、それは現実にとったのだからそれを認めろ、これと同じ理屈になるのじゃないかと思います。どうしても正面からの理屈は出てこないじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしよう。
#33
○石田(宥)小委員 これはまあ水かけ論になるわけだけれども、だから、われわれは、その点では、やはり農地法を守るという建前で、そういう農地法違反は取り締れということを機会あるごとに要求しておるのだけれども、政府はこれを怠っておるわけなんです。それはその面で処理すべきものであって、この場合にはやはり現実の事実を取り入れるべきだ、こういう議論なんです。もしそこに非常な矛盾があって、どちらも平行線で行ってだめだというなら、いわゆる地代論争というものについて相当研究を進めておられますかどうですか。
#34
○大和田説明員 地代論はなかなかむずかしいのですけれども、三十年の米価算定の専門委員会においても、現実の小作料は機能地代でないから、すなわち経済学的な意味の地代ではないから、それを米価算定の地代に入れるべきではないという意見が圧倒的に強かったのです。しかし、三十年の米価算定の専門委員会のあとで小作料改定の委員会がありまして、これは御承知の通り、新しい小作料の水準は、米の生産費を手がかりにして、そうして都市の均衡労賃を当てはめて、そこに残るところのものを地代と置いて、これを統制小作料にしたわけです。その小作料改定以後は、実は米価の算定上に地代をどういう形で置くかということは、もうむずかしい問題はなくなったわけです。と申しますのは、今申し上げたように、統制小作料の算定そのものが均衡労賃を小作農に与える建前で作られていることが一つであります。それから、もう一つは、小作料を地代と見ないで、売買地価に収益利回りをかけて収益地代を出せという意見が若干あるわけでございますけれども、現在の十五万円とかあるいは二十万円とかいう土地の売買価格は、農民が自分の労賃を非常に低く評価して生まれたもので、不自然な地価でございますから、それに利回りをかけて地代を置いて、片方で家族労賃に都市労賃を当てはめるということは非常に矛盾があるわけであります。従って、売買地価から地代をとるということも、現在においては理論的に支持する人はほとんどいなくなったというふうに考えられます。従いまして、米価の算定に関する限り、現在のいかなるものを地代とするかという議論は売買地価から算定をしたり、あるいはその他の方法で収益地価から収益地代を算定する方法については、主張者はほとんどなくて、小作料といっても統制小作料をとるのかあるいは実際に支払った小作料をとるかという問題に限定をされております。それで、私たちが建前としては統制小作料をとらなければおかしいということを先ほどからるる申し上げておる通りでございますけれども、団体側が現在私たちと話し合いの途中で支払い小作料としてとっておりますのは、御承知の通り、勧銀の調査の小作料でございます。これは、上田、中田、下田について勧銀が相当数の調査員から情報をとってそれを集計しておるわけで、その現況を見ましても、幅は非常に広くて、勧銀の売買地価及び小作料に関する調査の中でも、これは小作料の真の姿を伝えているとは思われないから取扱いに注意をしてほしいという意味の添え書きが書いてあります。従って、私たちはこれをもって支払い小作料を代表するというふうには理論的に考えられないわけであります。もしかりに支払い小作料をとるといたしますと、統計調査部で生産費調査で取り上げております地代というのは、小作地につきましては実納小作料、自作地については類地の小作ということでやっておりますから、私たちが米価算定をする場合にとる小作料としては、建前としては統制小作料であるけれども、今のようなとり方で統計調査部が小作料の調査をやっておりますから、その実額はそれほどやみ小作料に影響はされておりませんから、統制小作料の代用として統計調査部の地代というものをとるということは一つの便法として考えられます。しかし、支払い小作料をとるか統制小作料をとるかという議論は、実は勧銀の小作料をとるかどうかという議論とはだいぶ質が違うものだというふうに考問えております。私たちはかりに支払い小作料をとるとしても、勧銀の小作料はとりません。
#35
○石田(宥)小委員 統計調査部の調査に基く小作料と統制小作料とは相違がありますか、一致しておりますか、どうですか。
#36
○大和田説明員 まだ三十三年の生産費調査は固まっておりませんから、詳しい数字は申し上げることはできませんけれども、自作地についての類地の小作料というのは、おそらく統制小作料をとっているのではないかというふうに推察をされる節がございます。従いまして、自作地の類地小作料をかりに統制小作料と置きまして、そうして現実の統計調査部がはじいておりますところの地代は、小作地の支払い小作料と自作地の類地小作料とを加重平均したものでございますけれども、それは額において反当り五十円という、非常な開きはございません。
#37
○石田(宥)小委員 そういういわゆる地代なるものについては、地代論争というものがはなばなしく展開されて、一応落ちつくところへ落ちついたような形でありますが、こういう問題については、多少の疑問があったり多少の食い違いがあるというふうな点については、やはりこれは政策的に一定の処理の仕方で処理していくというふうにしないというと、新しい算定方式を議論する場合に、いつまでもそういう問題が幾つか残っておって、そうして議論がいつでも平行線になるというような問題がたくさん出てくると思うのです。ですから、そういう点については、やはり専門的な機関を作るなりいたしまして、一定の見解をぴしゃっとつけて、それによって処理するというふうにしないと、これはいつまでも片づかない問題だと思う。今度は農業団体なども暫定的なような考えもあったんじゃないかと思うのですが、そういうことでなしに、いろいろ矛盾がある問題は、今言うような処理の仕方をしなければならないと思うのですが、それは作業を進められる上においてどうですか。
#38
○渡部説明員 お話の通りでございまして、一番大きい問題は生産費の調査そのものにやはり問題があるわけです。これが食い違っておれば、あとそういう問題は幾ら議論してもだめです。それから、今の個々の問題、これについて完全に学者の意見も十分聞いた上で一つのまとまった結論を出さなければならないと思います。ただ、ことしは、私の方では、今のいろいろな問題につきましても、これはオープンにはしておりませんけれども、各大学の先生たちに集まってもらっていろいろ議論をしておるわけです。しかし、先生方も必ずしも一致した意見にはならないわけなんです。これは、それぞれの段階でやはり当局が、この段階ならばこの案をというのがいいという決心をする以外にはないのじゃないかと思います。従いまして、それらの問題につきましては、農業団体の方はいろいろな都合で早く発表しましたけれども、さらに私どもの方は米価審議会までに議論するところはなお議論を続けます。まだ議論が残ると思います。残るものは、さらに、来年の米価も関係するところでございますから、これは暫次引き続いてそういう点を検討しなければならないこういうふうに考えております。
#39
○石田(宥)小委員 さっきの課長の御説明の中に出た農業団体との相違点の第三になるわけですが、利子率の計算の問題。これは、農業経営というものの場合に、自己資本と借り入れ資本と、それから借り入れの場合もいろいろあると思うのですが、食糧庁ではそれをどういうっふうに区分して考えておられるのですか。
#40
○大和田説明員 きのうも御説明いたしましたけれども、従来の統計調査部の生産費調査とか、それから食糧庁でやっておりますところの生産費及び所得補償方式による米価の算定につきましては、農家が使うところの資金に対して、安全確実な利回りということで四分の利子をつけて処理をいたしております。これは生産費調査を農林省で始めましたのがたしか昭和六年だったと思いますが、そのころは資本利子をつけるということはございませんで、戦争中かあるいは戦争直前にようやく資本利子をつけるようにいたした経過がございます。議論すれば切りがない、めんどくさい議論がつきまとっておるわけでございます。そこで、この考え方は、借り入れ資本あるいは自己資本ということではなくて、農家が経営で使う資金といいますか、それをわがものと考えて、それを農業に使わないで何かほかの安全確実な用途に使ったら幾ら利回りがつくであろうかという観点から処理をいたしておるわけでございます。生産費及び所得補償方式による場合もこの方式を採用いたしました経過は、一つは、生産費調査においてそういうことを長い間やっていたということと、もう一つは、建物、農機具その他償却費が生産費調査においてございます。この場合に、建物、農機具等の資本利子がかかりますところの原価は、買ったときの値段ではなくて、毎年新しく調達すれば幾らかということ、それから減価償却を引いておるようなわけで、大農具あるいは建物につきましては、買った最初あるいは作った最初に比べまして相当ふくらんでおるわけです。従いまして、それに四分の利子をかけるわけでございますから、資本利子が実態よりはふくらむということが一点ございます。もう一つは、生産費及び所得補償方式ということで、昨年におきましても農業の日雇い賃金で評価いたしますところの家族労賃は大体一日三百二十円程度でございますけれども、昨年とりました方式によりますと一時間当りの男女込みの賃金が六十三円四十銭でございます。従いまして、それを八時間でやりましても五百円ぐらいになるので、三百円前後のコストとして見れば三百円前後の家族労賃を都市と均衡させる意味で新しく付与するわけでございますから、その五百円に対して資本利子を見るというのは理論的になかなか筋が通らない点があるわけで、私ども再検討をいたしております。それにも四分をつけるから――四分という利子そのものは多少は低いという感じもいたしますけれども、固定資産を評価がえするということと、それから現実に金を払っていない家族労賃に対して利子を見るということで、四分が適当ではないかというふうに従来はやっておったわけでございます。
 ことしは、多少趣きを変えまして、自己資金と借り入れ資金というものを分ける考えをとったらどうかというふうに考えております。ところが、そういうふうに考えるといたしまして、私たちが持っている資料といたしましては、御承知のように、農家経済調査と、それによるところの農家の資金動態調査以外にはございません。経営がどの程度の借入資本によって動かされているかということを的確に把握する資料は手元にございません。農家経済調査から導き出されましたところの農家資金動態調査によりますと、一番新しいのが三十二年でございますが、農家への流入資金の総額、一年間に現金が農家に入ってきた総額は六十二万八千円ほどでございます。そのうち農家が借金をして現金が入ってきたものが四万五百円ほどでございます。この農家の借入金は、農家が何に使うために借りたかという調査がございます。農業資金が一万五千六百七十六円、農外資金が二千二百三十円、生計資金が九千八百七十一円、その他が一万二千円ほどでございますが、農家資金の借入金の比率、農家に入ってきた現金に対する借入金の比率というのは六・五%でございます。しかし、これは私が前にも申し上げましたように、的確な資料として使うほどの精度はございません。しかし、資料としてあえて使おうとすればそういうふうに使えるという資料がそこに一つあるわけでございます。それから、もう一つは、農業経営費と農業資金としての借入金との比率を見ますと、現金としての経営費は十一万五千七百九十九円でございます。これはきのうも、パリティの新指数の組みかえのときに、二十五、六年のときの農家の支出というのは経営と家計とを含めて十七万五千円程度で、それが三十二年は三十四万円くらいにふくれているということを申し上げたと思いますけれども、三十二年の経営費を現金として把握をいたしますと十一万五千七百九十九円です。そして先ほどの農業資金としての借入金一万三千二百八十八円という数字がございます。農業資金としての借入金は、全体では一万五千六百七十六円ですけれども、そのうちで二千三百八十八円は土地の購入資金でございますから、土地の購入資金というものは片方で地代として見ておりますので、利子をまた見るとダブって見ることになりますから、それを除きますと、現金としての経営費が十一万五千七百九十九円で、農業資金としての借入金が一万三千二百八十八円です。従いまして、現金の経営費と農業資金としての借入金の比率を見ますと一一・五%になります。これもある意味で推定の数字でございます。先ほど申し上げた農家資金のうちで借入金の比率は六・五%、経営資金について言えば現金に対して一一・五%でございます。
 従いまして、資本利子を今年の米価で見る場合に、農業経営資金を二つに分けまして、借入金によるものと自己資金によるものとを一対九で分けました。その数字は農業団体の数字と同じでございます。そうして、借入金につきましては、これも先ほど申し上げましたけれども、農家経済調査に基く資金動態調査によると、農家が借りている利子というのを平均いたしますと大体七分五厘と八分との間にございますので、その程度の利子を見ることがいかがかというふうに現在考えております。それから、自己資金の分につきましては、従来は郵便貯金の四分でございますけれども、郵便貯金ばかりではなしに、農協の半年の定期、これが五分六厘でございます。一年の定期が六分一厘でございます。それから農林債券の利回りが六分六厘程度でございますが、そういうものに対して農家がいろいろ運用するものと想定いたしまして、五分五厘というふうに押えたらどうかというふうに考えております。まだ結論を申し上げているわけではございませんけれども、その程度に考えております。
 そして、問題は、今までは四分ということで自家労働の費用に対して資本利子を見ているわけでございますけれども、自家労働というのは元来コストとして見れば農業日雇い賃金にイコールと言わなくても近い数字でございましょうから、それに新しく都市均衡労賃で五、六割プラスして加わるわけでありますから、これはコスト計算の外の世界、いわば生産費計算の外の世界でありますから、それに資本利子をつけるという議論がどう考えてもございませんので、自家労賃については資本利子をつけないことが正しいのではないかというふうに考えております。
 従いまして、結論を申し上げますと、昨年全部について四分で見ましたのと、今度の新しい方式は、数字は正確にはじいておりませんけれども、ことしの資本利子の方がかなりの額、と言うと言い過ぎでありますが、多少は資本利子の額がふえるというふうに考えております。
 以上でございます。
#41
○石田(宥)小委員 農家資金動態調査というものの性格はどういうものです。
#42
○大和田説明員 これは、農家の資金の出し入れを四半期ごとに整理いたしまして、対金融機関、あるいは農家の方から見て、資金がどういうふうに入り、どういうふうに出ていくかということを、農家経済調査の調査農家について研究をいたしているわけでございます。
#43
○石田(宥)小委員 よくわからないのですが、もう一度やってみて下さい。
#44
○大和田説明員 文字通り農家資金動態調査でございますから、農家経済調査の調査農家につきまして、現金が四半期別にどういう状態で入り、どういう状態で出るがということを研究して、統計調査部からこのくらいの資金動態調査の報告というのが印刷されて三十二年のが出ております。
#45
○石田(宥)小委員 そこで、さっきの、労賃についての利子は昨年までは見るようにしておったが、今度は取りやめる、それは考え方を変えたからだ、こういうことですが、労働賃金といえども、すでに投下されておって、その投下されたものが現金化するまでの期間というものは相当期間があって、ほかの産業と違って一年に一回しか現金収入がないのだから、その間というものはやはり利子率を加算するというのが建前ではないかと思うのですが……。
#46
○大和田説明員 実は私たちが従来の立場を変えましたと同時に、農業団体は昨年までは自家労働の日雇い分については資本利子を見なかったわけでございますが、ことしは、どういうことでございますか、私の方と農業団体の方と立場が入れかわって、私の方は、従来低い率でつけていたのを、全体を高い利子で見ると同時に、自家労賃についてはつけないと言うし、農業団体の方は、これは結果として申し上げているわけですが、資本利子の利回りを低くすると同時に、今までつけていなかった自家労賃について今度はつけたらどうかというふうに言われているわけです。私の方が自家労賃についてつけることはおかしいではないかということ、おそらく農業団体が今までつけなかった理由に通ずると思いますけれども、家族の都市の均衡労賃というのは、コストとして現実に農村にないわけでございます。もしも米価をコスト計算でやりますと、それは統計調査部が現在やっておりますような日雇い賃金で家族労賃を評価するというコスト計算になるわけでございます。従って、それについては四分の利子を見るということも、これはある意味で妥当性があるわけでございますけれども、生産費計算とは離れて家族の労働時間に対して現実にない労賃を代入するわけでございますから、生産費計算とは全く別の世界で、従ってそれに資本利子をつけることはおかしいわけでございます。なお、人によりますと、農家は農民が月給をもらっていればそれだけ利子がついた形であるから、均衡労賃を当てはめる場合でも、利子をつけるべきだという議論があるようでございますが、これは経営と消費との立場を混同しているわけです。そういろ理論づけでやりますと、均衡労賃を代入するということはおかしくなるわけでございます。現実にそういう賃金はないわけでございますから……。
#47
○石田(宥)小委員 さっきの農家の資金動態調査の状況から出てくる一、九という数字、端数がついておったようだけれども、その一、九という結果がそうなっておるということであると、どうもその調査というものはおかしいのではないかという気がするのです。自己資本が九割もある、それで借り入れ一割ぐらいしかないという、そういう実態だということは、これは常識上どうしても考えられないのです。これはやはり統計の調査のやり方がどこかに欠陥があるのではないか。まあそういうことであって、それほど農業経営というものが九〇%も自己資本によってやるのだということなら、やかましく言われておるような農業金融の問題などは取るに足らないということになるわけですね。たとえば自己資金をもっとふやさなければいかぬというような議論も成り立たないことになる。ほかの産業と比較して農家は信用がなくてなかなか借金ができないのだというような逆論も、これはあるようだけれども、それはどこか欠陥があるのではないか。どうも実態調査といいながら、実態に即したものでないように思うのですが、どうですか。
#48
○大和田説明員 農家経済調査が多少上層に偏しているという御批判もあるようでございますけれども、生産費調査におきましても、どれだけが自己資金で農業をやり、どこから先が借入資本で農業をやるという資料はございません。これは非常にむずかしい調査であることは御了承いただけると思います。私たちは九対一ということがそれほど現実を離れたおかしい数字だというふうには実は考えておりません。
#49
○石田(宥)小委員 ではこの程度で……。
#50
○今井小委員長 栗林三郎君。
#51
○栗林小委員 私は、観点を変えて、一、二お尋ねしたいと思います。明日大臣が出席されますから、大臣にお尋ねすることが妥当だと思われる質問ですけれども、実は、昨年のたしか十月二十九日の農林水産委員会の席上で私が質問したことに関連することであります。それは、当時早場米の延期の問題でいろいろと折衝して、農林水産委員会は満場一致で若干期日を延期すべしという決議がありました。その席に長官が出席されておったのです。その際私は質問いたしました。そのときに、生産費及び所得補償方式を具体化するために調査会を設けるという、そういう答弁を昨年の六月特別国会において大臣からいただいておるわけです。そこで、その答弁をどのように具体化しておるかという質問をしたわけです。この質問に対して、たしか渡部長官からの御答弁だと記憶しておりますが、長官からの御答弁によりますと、まだ調査会は設けておらないが、個々にそれぞれの専門家、学者等から意見を徴しておる段階だ、しかし近く調査会を設けて具体的に調査をするつもりである、こういう御答弁があったわけであります。従って、その後調査会を設けて、そうして調査会でいろいろ検討されて、その調査会の決定した資料が配付されることを私どもはお待ちしておったわけでありますが、いまだにそのことがなされておらないのです。従って、その調査会を設置されたかどうか、この点を一つお尋ねしたいと思います。
#52
○渡部説明員 調査会は設置いたしません。具体的の問題ごとに、専門家に寄っていただきまして、先ほどから議論がありますように、資本利子の問題、地代の問題、労賃の評価の問題、いろいろな問題を御討議願いました。そこで、結局、問題は、生産費の調査方法、それから現在利用できる生産費の調査、そういう問題で非常にむずかしい問題になるわけであります。と申しますのは、農業団体の生産費の調査と農林省の生産費調査と二つあるわけであります。いずれをとるか、これは農林省の方をとる以外に方法はないと私どもは考えております。従いまして、それをざっくばらんに、集計を急ぎまして、調査会を設置する余裕がございませんから、農業団体の方にもそれを見ていただき、それからまた国会議員の方にも見ていただき、そうしてそれをもとにして具体的に今年の米価決定に間に合うようにしていろいろの討議をしてきた、こういうのが実情であります。
#53
○栗林小委員 委員会での調査会を設置するという答弁に対して、調査会を設けなかった、そういうことで言いのがれがつくのですか。こういう答弁に対してどういうように責任をお感じになりますか。私は、まず、その内容を聞く前に、――調査会を設置するということははっきり答弁されたのです。さらに政務次官からも答弁をされております。その際私は、もしかでき得るならば、その調査会を設置する場合には、その調査委員の中に農林水産委員の方々を若干何らかの形で参与させるような御配慮を願いたい、こういう希望意見までも付して、そうしてその質問を終えておるわけであります。これに対して、次官からも、調査会は設置するということを明確にされておるのであります。それを、今日まで調査会を設置しないで、個々に学者の意見を聞いたとか、専門家の意見を徴したとか言っておりますが、問題は、ただいま石田委員からの質疑で明らかになったように、たとえば地代の問題一つ取り上げても、まだ結論が出ない。それほどむずかしい問題です。ですから、こういうような問題は、やはり権威ある調査会なり専門委員会を設置して、そこで一応の結論が出れば、多少不満があっても、農民も農業団体もこれを了承せしめることもできると思います。個々に意見を徴したといったところで、個々に意見を徴された人は、責任のある意見は出されないでしょう。やはり、調査会等が設置されて、そこでいろいろ討議されれば、初めて権威ある結論というものが出てくると思います。国会において調査会を設置するという明確な答弁をしておりながら、いまだに調査会を設置しないという、そういう人をばかにしたことがどこにあるか。新米である栗林委員の質問であるから、そのときのがれの無責任な答弁であったのですか。
#54
○渡部説明員 私も新米でございまして、そのときにそういうことをやったがいいじゃないかということで、いろいろな資料の整備を急いでおったのでございますが、やはり、調査会を開くのには、それ相当の準備が必要でございます。その準備が間に合わないうちに、どうしても米価審議会を開いて米価を決定しなければならないという時期に追い詰められたのでございます。私の方の生産費の調査ができたのが国会の開会中だったと思います。国会の末期、三月末にやっとこの生産費の集計ができたわけです。そこで、生産費の集計、なまのままきのうお配りしたやつでですが、とりあえずこれを皆さんにお配りして、この分はできた、あといろいろな問題を整理中であるということで、農林委員会の有志の方にもおいでを願いまして御説明いたしたのでございます。決して農林委員会の答弁を無視するとかいう意味ではなくして、やはり私の方も準備が要りますから、準備が間に合わなかったということで御了承を願いたいと思います。先ほど来石田委員からの御質問にお答えいたしましたように、とにかくことしは六月にきめなければいかぬ。しかし、問題は全部解決したわけではない。どうしてももっと掘り下げていかなければならないという考えには私は変りはございません。その点で御了承いただければありがたいと思います。
#55
○栗林小委員 渡部長官がこれと取り組んで、そうして従来のパリティ方式から所得補償方式に切りかえるための努力をされておるということは、私どもも十分承知しております。その努力に対しては敬意を表するものです。しかし、国会において調査会を設置すると明確に答弁した以上は、設置するのが当然でしょう。設置することができなかったならば、事前に設置できない理由を述べて了解を求めるのが当然のことじゃないのですか。特に、このことは、昨年の六月三日の特別国会の際の当委員会において、私は三浦農林大臣に質問しております。その質問に対して、調査会を設置するという答弁が明確にされておるのですよ。そこで、調査会を設置するが、その調査会は米価審議会の中に設置してもらいたいが、これに対してはどういうお考えか、私はそうたたみかけております。これに対して、農林大臣は、米価審議会の中に専門調査会を設ける意思はないが、農林省部内に設けて十二分に調査検討をする、こういう答弁でございます。速記録を見ればはっきりわかります。さらに、私は、それならば来年からこの方式に移行するということを前提として調査会を設けるというお考えであるのか、こういうように質問いたしました。これに対しては、明年度から直ちに切りかえるということを前提として調査会を設けるというわけには参らぬということで、従って、時期については明確な答弁はなかった。しかし、調査会を設置するということについては、その六月の特別国会の当委員会において明確に答弁をされております。それですから、昨年の十月の臨時国会の際における当委員会において私はそのことを繰り返して質問をしたわけです。ところが、長官は、調査会を設置するにしても少し準備が必要である、今の段階は各学者あるいは専門家からいろいろ意見を徴しておるのだ、そこでそのうちに必ず調査会を設ける、こういう明確な答弁をされておる。これは速記録を見れば明確なことです。それですから、こういうむずかしい問題がたくさんあるのですから、当然調査会を設けて、そうして調査会を中心にしていろいろな生産費調査なりその他の問題点と取り組むのが当然じゃなかったかと私は思うのです、それを、あなた方だけの手で、むずかしいとかむずかしくないとか。なるほど農林官僚にもなかなかえらい人がいるかもわからないが、これは農林官僚が幾ら頭がよくてもそう簡単に割り切れる問題じゃないわけです。それだから、権威ある専門調査会を設けてみんなでよく検討して結論を出そう、こういうことで、そういう場で結論が出れば、これは不満の点はあるでしょう、ありましょうが、農民も農業団体も納得するし、またわれわれも納得しなければならない、かように思うわけです。それを、あなた方だけで一生懸命にやったという努力は認めますけれども、これはほんとうに誠意ある調査検討をされておるかどうかについては農民は納得いたしませんよ。一体、この調査会を設けるというお約束に対して、設けなかったということは、ただそれだけで、済まなかった、了承してくれというだけでいいのですか。これは簡単に私は引き下りませんよ。
#56
○渡部説明員 これはもう現実に米価審議会までには作らなかったのですから、私の方は責められても、その責めを負う以外にはないと思います。ただ、私の方も調査会にかけるのにはいろいろなデータの整備とか準備が要るのです。いろいろな理屈はもうすでに出ておるわけですから、これを一体どうするかということは、具体的なデータをもとにして討議をしなければいかぬわけです。それには準備が要るわけですから、その準備として、どういう資料を出したらいいか、あるいはどういう問題の報告をして調査をしたらいいか、調査というか、具体的の手段について専門家の意見を聞いておる間に米価審議会の意見を聞く、こういうわけでございますから、これは、栗林委員のおっしゃる通り、幾ら責められても私はその責めを受けなければならないと思います。これはもっぱら私の責任でございまして、事務がそれだけの能力がなかった、こういうことでございます。これはそういう意味で御了承をいただくより以外に私は申し上げようがない。私、微力でございますが、できるだけのことはやったつもりでございます。うんとおしかりをいただいてけっこうだと思います。
#57
○栗林小委員 このことは明日三浦農林大臣に直接質問をしなければならないと思いますから、この程度で保留をしておきます。
 ただ、これとは別ですが、過日の臨時国会のときに、ちょうど農業共済に関する調査会を設けるという大臣の答弁もございました。ですから、そういうように、委員会に臨めば、あるいは委員から責められれば、その場のがれに委員会を設けるとか調査をしますとか言いますけれども、その農業共済に関する調査会を設置したという報告もまだ私どもも受けておらないわけでございます。そういうような状態でありますので、私は、委員会における当局の答弁というものはもっと責任を持ってもらいたい、こう言うのです。
 これは明日直接大臣にお尋ねをいたしたいと思いますから、この点に関する質疑は一応保留しておきます。
 その次に、今の農業団体といろいろと協議を進めておるというお話でございましたが、非常にけっこうなことだと思います。この場合に、その農業団体というのは、どういう農業団体と折衝されておるのか、明らかにしていただきたい。
#58
○渡部説明員 私の方が説明いたしましたのは、いわゆる中央にある農業団体とかには御案内を差し上げて御説明いたしました。あとこまかい議論をしておるのは、全国農業協同組合中央会を中心にして検討を続けております。
#59
○栗林小委員 農協中央会を中心にしていろいろ相談をしておるというお話ですが、それが中心ですから、そのほかに入っておる団体はどういう方々ですか。
#60
○渡部説明員 初めにはほとんど――新聞連も来ておったと思いますが、非常にこまかい問題になってきたものですから、結局、全中、全販、農業会議所、そういうところの人だったと思います。
#61
○栗林小委員 これは全日農には呼びかけなかったのですか。
#62
○渡部説明員 私の方は全日農にも最初の案内は全部しておるわけで、あとは団体の方でどういうにされたか、これはこちらから幹事に、向うの中央会の方に連絡しておるわけですから、向うの方でどういうふうにされたのか、しまいには来てなかったと思います。
#63
○栗林小委員 これは中央会を中心にしていろいろ協議をされておるというのですが、これは中央会の方から押しかけてやっておるのですか、それとも当局の方からお呼びになって協議をされておるのですか、どちらですか。
#64
○渡部説明員 私の方は、昨年からの経緯にかんがみまして、昨年の一万一千四百何がしの米価と私どもの九千三百三十五円のこの開きはいろんな問題から開いてくるのだ、これでは幾らやったって議論にならない、もとの基礎データから、あるいは評価の方法、算定の方法から詰めていかなければいかぬ、これには空論ではいかぬので、先ほど石田委員にもお答えしましたように、幾ら理論がよくてもデータがなければだめなんだから、どんなデータをとるか、こういうことで、ともかく私の方は、相手を区別しないで、しかし、連絡先は、これは一々というわけにいかないから、前から中央会と全国農業会議所が中心になっておりますから、そこを相手にしております。
#65
○栗林小委員 そうすると、とにかく日農と協議をしておらないということだけは事実ですね。
#66
○渡部説明員 初めは日農の方も出ておりました。だけれども、最後には出てなかったと思います。
#67
○栗林小委員 実は、全日農は、ほかの農業団体と若干性格も違いますから、場合によってはきらわれる場合も多いわけです。しかし、きらわれておるにしても、米価審議委員は特に全日農に対しても一名出してくれという推薦依頼が来ておる、いわば協力団体です。そういう関係にある団体ですから、こういう米価の問題については民主的な一つの方法で結論を得たいというのであれば、やはり全日農なんかに対しても積極的に参加を望んで、そして協議をするという態度が望ましいと思うのです。全日農から米価審議委員も何も出ておらないならば、あるいはどうもおかしいのだということも言われるかもしれません。しかし、米価審議委員も出しておる団体でありますから、これは全日農も区別しないで十分協力なり意見を求めるという方針をお立てになることはできませんか。
#68
○渡部説明員 これは、それでありますから、私の方は、とにかく最初には全部の方になるべく広く出てくれということで、向うの方に頼んで、最初は私が行って説明したわけですから、そのときにはちゃんと中村さんが出ておりました。それからあとの会合にもかわりの人が出ておったと思います。ところが、終りのころにはとにかくいなかったようであります。ですから、そのときには私の方でなぜ呼ばないかと言えばよかったのでありますが、私の方も、相当議論が熱中しておりますから、これは新聞等で事情が多少わかったところもありますが、いわゆる新聞に出ておったのですからざっくばらんに申し上げますが、農協中央会等の農業団体との共闘をやるとかやらないとかという問題が出ておりましたから、あるいはそういうことで出てこないのじゃないかと今まで想像しておりますけれども、私の方は全然区別しないで、なるべく広く、――これは要するに、理解を願わないと、立場々々によってだけれども、事実の理解は相互にしていただかなければ、これは幾らやっても意味がないのですから、役所の中でもいろいろ議論がありましたけれども、私は、とにかくできるだけ広く、――これは金がかかります。これだけの資料を作りますのですから、そういう問題がありましたけれども、そんな問題じゃない、これは重大な問題だから、とにかく惜しみなく資料を出して、なるべく広く聞いて検討していただく必要がある、そういうことでやったわけであります。
#69
○栗林小委員 米価審議会は大体いつごろ招集の予定ですか。
#70
○渡部説明員 まだはっきり最後的にきめておりませんが、二十五日以降ということで予定して諸般の準備を進めております。
#71
○栗林小委員 二十五日以後ということになりますと、大体二週間余りあるわけですが、それで、正式な調査会を設けるとかあるいは専門委員会を設けるとかいうことは、この時期になれば無理だと思います。しかし、今度算定方式が変るのですから、やはり、農林省の皆さんだけの作業でなく、もっと広く各方面の意見を徴するという立場で、ないしょ事の協議でなしに、もう少しオープンにしたそういう調査会的なものを暫定的にも設けられて、そうして学者なり専門家の意見を徴して、万全の政府案を作るように努力してもらうわけにいかないのですか。正式な調査会でなくてもいいのです。
#72
○渡部説明員 これはもう時間的余裕がないだろうと思います。今からやるとすれば、私の方の相当最終的な案でもできておればいいのですが、まだ最終的な案を出すのにはたとえば五月のパリティが十六、七日でないと計算が出ませんから、もっと早い段階であれば、そういう御意見で、間に合せなければならないと思いますけれども、今はちょっとむずかしいんじゃないかと思います。ただ、先ほどからお話しいたしますように、農業団体とは係同士は個別にいろいろやっておるけれども、ある段階までいくと、まあオープンで係の研究を農業団体に寄っていただいて討議をしておりますから、調査会を作るほどのオープンさにはなっておりませんけれども、私の方としましては、できる限り最大のオープン性をはかったつもりでございます。
#73
○栗林小委員 今、パリティがまだわからない、こういうお話ですけれども、パリティ指数はわからなくても、地代をどうするとか、利子をどうするとか、そういうような意見交換は幾らでもできるのですよ。それですから、やる気持になれば、個々に折衝をするのも、そういう方々を暫定的にお願いをしてその委員に集まっていただいて討議をしてきめるということも同じことじゃないですか。暫定的にでもけっこうですから、そういう専門家なりあるいは学者に御協力願って、そうして政府原案を作るために十分その人方の意見を徴する、こういう配慮はできそうに思いますがね。個々に意見を徴しても同じことじゃないですか。政府原案ができてから意見を聞いたってだめですよ。政府原案ができる前にこそそれぞれの皆さんの意見を徴することが必要なのであって、政府原案ができてから意見を聞いてもしょうがないです。
#74
○渡部説明員 これは、最初に先生におこられましたから、今はっきり申し上げる以外にないのですが、私の方では今からはちょっとできませんから、御容赦願いたいと思います。
#75
○栗林小委員 それでは米価の内容については石田小委員からかなり詳しく質疑されておりますから、私のお尋ねすることも大体尽きておりますが、これはさらに明日機会がありますので質問することにいたしますが、予約減税について、これは米価の方とは関係がないと言えばないかもしれぬが、実際は今までの予約減税措置によって安い米価を実質的にはそれだけカバーしておったということになりますので、重大な関連性のある予約減税であろうと思いますから一言お尋ねしておきたいと思います。
 それは予約減税廃止によって、国税関係で十五億、地方税では八億、合計二十三億。そこで、その二十三億を三千二百万石で割って出た答えが七十五円だから、石当り七十五円特別加算をすることによって、特別減税によって恩典を受けておったその分を十分カバーできる、こういう報告でありました。しかし、私ども計算をしてみますと、それとは大違いなんです。そこで、農林当局は、今でも、七十五円特別加算をすれば予約減税を廃止しても農民にはそれほどの増減がないとお考えになっておるかどうか、この点を一つお尋ねしておきたい。内容よりも基本的なことでよろしゅうございます。
#76
○渡部説明員 前回の国会で、予約減税に対していろいろの御質問をいただきまして、私の方で明確に答弁ができなかったような点もございますから、その後実態調査をしております。これが大体今週一ぱいくらいでその集計ができると思いますが、それを見てからでないとはっきりしたことは申し上げられませんが、少くとも所得税を納める農家の数が減ることだけは今度の税制の改正で明らかでございまして、それによって農家の所得税納入農家の数が減るということはもう間違いないと思います。従いまして、当初予約減税が発足したときに、九十数万戸の所得税納入農家に恩恵を施した予約減税というものが、今の推定では四十数万戸に所得税を納入する農家の数が減ってきます。これは米だけではなしに野菜と果樹を兼業しております農家も含んでおりますから、米だけの収量によって所得税を納める、米だけの所得税分ということになれば、もっと数は減るはずであります。従いまして、府県によって、たとえば早場地方等については手取り米価は相当多いですから、必ずしも一律の状況とは申せませんが全国的に申し上げますれば、全農家に比べて一〇%以下の農家しか予約減税の恩恵を受けない。米売り渡し農家、これは先ほど申し上げましたように三百四、五十万戸になっておりますが、それに比べましても四十数万戸なれば一三・四%ということになります。そうしますと、予約減税で恩恵を受ける分を、その以外の八十数%の農家の方に回した方がよりベターでないか、こういう考え方は変えておりません。この点は、県の中で、村によって経営規模の大きい農家のところでは相当問題になると思いますけれども、全体的に見れば、どちらをとるかということになれば、やはり恩恵を受ける農家の数が多い方、――しかもそれが同時にわれわれの方に売り渡してくる量のバランスをとってみなければいけません。当初は六割近くが九十数万戸の農家によって政府に売り渡されております。四十数万戸になれば、こちらに持ってくる数字は、政府が買い入れする数量を三〇%ないし四〇%ぐらいと推定しておりますから、そうしますれば、農家自身が一番よく知っておりますので、予約減税を廃止すると今まで税金がかからない人がかかるような、地方を回って見ますとそういう印象で質問をされるのでありますが、そういう誤解に基いて減税廃止を反対されておるとするならば、これは私どもの責任になりますから、そういう誤解を解くこと、そうして、どちらにやるかということをもっと説得しなければならない、こういうふうに考、えております。
#77
○栗林小委員 これは抽象的な議論よりも具体的な例をあげてやると一番よくわかるのです。予約減税は、まず、予約しました数量に対して石当り最低千二百円、最高二千円になるでしょう。第一供出したものは、八百円奨励金がつきまして最高二千円、それから早場期間中に出さない農家でも千二百円控除を受ける。これがいわゆる予約減税のうちだと思います。そうしますと、かりに十石米を供出する農家を取り上げて計算してごらんなさい。十石米を出す農家は、六反歩か七反歩の零細農家です。もちろんこういう農家は現在所得税を納めておりませんけれども、しかし地方税は納めております。従って、地方税に非常に大きな影響が出てくる。ということは、十石米を出せば、千二百円の控除を受けているのですから一万二千円の控除を受けるわけです。予約減税の措置がなくなりますと、それだけ課税所得に入るわけです。だから、一万二千円の控除を受けるものが、今度は控除を受けないで、これが課税所得に入りますから、一万二千円に対して税率をかけられて、それだけ税金が出てくるわけです。これは累進になっておりますから、農業所得の場合はかりに一割といたしましょう、一割としますと千二百円の増税になります。この算術は一年生でも計算できることです。ところが、七十五円今度はプラスしてくれるそうですから、七十五円を十石にかげるから七百五十円でしょう。税金の面では千二百円です。特別加算で増額されるのは七百五十円。差引ますと四百五十円の損、こういうことが出てくるわけです。これを五十石米を出す農家から見ますと非常に大きな開きになって参ります。五十石米を出す農家は、七十五円特別加算をされたところで二千七百五十円の増額になるでしょう。七十五円に五十石かければ三千七百五十円。ところが、税金の面ではどういう結果が出てくるかと言いますと、千二百円で計算しますと、早場米地帯は平均は千四百円ですから、千四百円に五十石をかければ七万円の所得が課税対象からはずされているのが減税処置なのです。この七万円が課税所得に入るわけです。この段階に入る農家は、これは累進ですからかなり高い税率をかけられるわけです。平均二割と仮定いたしますと、一万四千円の税金が新たに取られる計算になります。税金の方は一万四千円になります。特別加算の方は三千七百五十円になります。差し引くと一万二百五十円の損、こういうことになるわけです。ですから、一つ一つ当ってみますと、予約減税が廃止されることによって少くとも供出農家にとっては今までよりは非常に負担増という結果になるのであります。そういうような結果が出ることは明瞭ですよ。それがまだ調査中だとかなんとか言うこと自体が私はどうもわからない。これほど明らかなものを、そんなにむずかしく調査をしなくてもすぐわかるでしょう。大蔵省と連絡をとればすぐわかるのじゃないですか。
#78
○渡部説明員 だから、僕は申し上げているのです。あなたが今御説明になりましたが、十石を納める人で、平均千四百円の十石分、それの一割地方税を納める人はどこにございますか。それがあったら私の方はかぶとを脱ぎます。ですから、そこのところをもっと明確にしていただきたい。多い人のお話ならば、予約減税がなくなりますれば負担増になります。五十石以上になればなります。早場地帯ならば、最高の額をとれば三十何石になります。けれども、私の方は、そういう大規模農家というものは非常にわずかな数字でございますから、そういう方にあくまでも恩恵を残しておいたのがいいのか、――私の方で計算すると大体三%になります。ですから、十石の人ならば地方税の問題を考えましても七十五円の方が得です。これだけは間違いないと思います。私の方の調査が間違っているかもしれぬ。地方によるとその地方税をその通りにやっていないところもございます。これは調査の結果出てきました。ですから、そういうところがあって、私どもが言っていることが間違っているかもしれないというので、調べをやっておるわけでございます。だから、規則通りやらないのも、さっきのお話もございますが、それを普通だということでやっていいかどうかということがまた問題になってきますが、普通の税法に基いて地方税をはじけば、小規模農家は必ず得になる、こういう確信のもとにやっているわけでございます。しかし、その確信が、御指摘のように例外がありまして、おれのところは違う、こういうことが出てきたときに、それはこういうわけで違うのじゃないかと言うことができるように、もう一ぺん調査をしたいという調査でございます。従って、今のような御説明で簡単にこの問題を判断していただかないように、これは私の方からお願いいたしたいと思うのでございます。
#79
○栗林小委員 そういうことを言ったって、資料はみな来ておるのですよ。ただ、一番簡単に一つの例を申し上げたにすぎないのです。三割程度しか課税対象農家がないと言いますが、それならば、その課税対象になるのは三割であるが、その三割農家で、米は一体供出量の何十%になりますか、それをお尋ねいたします。
#80
○渡部説明員 これは、三十二年の統計で見ますと、全国を申し上げますと、これは米だけを生産している農家ではございません。所得税を納める農家ということでございまして、総農家数が六百四万戸、その中で課税対象農家が六十万八千戸になっております。これは昭和三十二年でございます。ですから、総農家数の一割でございます。それに対して、米作農家が五百三十六万戸でございますから、これに対しましては一割ちょっとになります。三十二年の米売渡農家が三百十三万戸それに比べますと一九・四%が所得税を納める農家であります。この中には、たとえば東京のような近郊農業では、所得税納入農家というのが米作農家の一一九%、こういうようなところがございますから、実際の米による収入で課税になっている農家というのは六十万戸よりうんと下のはずです。これが今度所得税の税制の改正によって平年度で四十四万戸くらいになるだろうという推定をしているわけでございます。――この六十万八千戸が。昭和三十四年度では、一期だけは旧来の税制が適用されますから、四十九万戸くらいになるのじゃないかと推定しておりますが、平年度は四十四万戸くらいになります。従いまして、それをもとにしてやっておる。それで、四十四万戸程度になれば、どのくらいが政府に売り渡すかというのは、さっき申し上げましたように、全体の三割ないし四割。当初のときの調査では約六十万戸と申し上げたのは、三十年の予約減税を始めたときには九十四万戸だったんですが、それが税制の改正でだんだん減ってきておるのでございます。
#81
○栗林小委員 農林省の方でも調査をされておるというのですが、あしたの委員会に間に合うだけの資料を一つ出していただけないでしょうか。
#82
○渡部説明員 私どもの調査では、この前の国会に御説明申し上げた数字以外のやつは、あしたは間に合いません。これはまだ一週間ぐらい……。中央会が出しておりますが、こういう調査で、もっと何といいますか、規模の小さい農家までも含めてやっておるわけでございまして、その集計は一週間ぐらいかかりますから、それまで御猶予願いたいと思います。
#83
○栗林小委員 最後に、減税のことについては、明日機会もありますし、さらに資料に基いて質疑をしたいと思いますが、ただ、私どもも、この予約減税措置というものは、大きな農家にはよほどその恩典に浴する度合いが強いことはよくわかっています。しかし、今問題になるのは供出農家でしかも所得税を納めている農家は、全部と言っても私は差しつかえないと思いますが、所得税を納めている農家の大半は、非常に大きな増税になって参ります。その増税になる数字はどのくらいになるか、私も計算をして参りますが、かなり大きな増税になろうと思うのです。そうしますと、零細農家に対して特別加算をして幾らかカバーをしてやる、そう言っておいて、片っ方の方は大きな供出農家であるからそちらの方は増税をするというようなことは、私どもとしては納得いかないわけです。今まで供出農家もそういう減税によって実際は低米価を幾らかでも補う措置としてこの減税措置がとられた歴史があるでしょう。これはたしか河野農林大臣のときでなかったかと思うのですが、昭和二十九年の米価審議会のときにこの結論が出たやに私は聞いているのですが、とにかく、米価が安いから、その安い米価を補うという意味でこの予約減税措置というものが生まれた。しかし、その歴史はどうあろうとも、実質的にはその安い米価をこの特別減税措置によって補っていることは間違いないわけです。そうしますと、その低米価を補ってもらっておった供出農家のその恩典というものがなくなって、逆に増税されるということになりますと、それだけ米価をさらに引き下げられるという結果になるわけですから、やはり、供出制度というものからこれを考えますと、これは非常に重大な問題だと思うわけです。だから、零細農家に対しては七十五円を足してやることによって、今までよりはそういう小さいものを幾らかよく見ておるというように説明されますけれども、供出制度そのものから見ますと逆に大きな増税になって参ります。その増税になるというようなことは、これは減税をやるという今の大勢から見ると非常に不合理だと思います。そういう点についても、これは資料がなければ具体的な議論もできないと思いますから、さらに明日、私の方も資料を整えて質疑をしてみたいと思います。
 以上であります。
#84
○渡部説明員 今のところでちょっと誤解があるのじゃないかと思いますが、二十三億に相当する部分を取り上げてしまうのじゃなくて、それはやはり七十五円で予約加算で農家の手取りの方に回すわけでございますから、取り上げてしまうところだけを議論されておると、これはやはり誤解を生ずるのじゃないかと思います。これは月給が上れば税金をよけい納めるのは当りまえでありますから、やはり、富農だけになぜそういうものを――相当な農家の数があればですが、九十万戸ならば、三分の一、三割程度の農家になりますから、しかも……
#85
○栗林小委員 それなら米価に甲乙つけれはいい。
#86
○渡部説明員 そういう議論も出てくるかもしれない。今の予約減税をつけるということは、逆に富農には米価を高くして零細農には米価を安くしておる、こういうことになるわけでございますから、それがいいということを主張されると、こういうことになるのです。その点はやはり考えていただかないと、私どもは、あとでそういうつもりでなかったと言われても困るわけです。ほかのことはいいのですけれども、(発言する者あり)これは農家の中だけの議論でございますから……。(発言する者あり)
#87
○今井小委員長 許可を得てからやって下さい。速記ができませんから。
 石田君。
#88
○石田(宥)小委員 ちょっと関連して……。
 今長官のお話で、この前資料に基いてかなり詳しく質疑を行なったのですが、どうしても納得のいかない点が三、四カ所あるわけです。あの資料は再検討をされて、あれを作り変えられる用意があるのか、やはりあの資料に基いて従来の主張を通そうとされるのか、その点どうなんですか。
#89
○渡部説明員 私の方で検討の問題点というのは、一つは、二十三億がそれで妥当かどうかという点、それから、一つは、今の地方税の賦課方法が私どもの推定で誤まりないかどうか、こういう点が大きい問題だと思います。それから、実際に今度は現実の農家で課税状況が国税庁の統計で誤まりあるかどうかという点。この前、農林省は資料が一つもなくて国税庁の調査だけにたよっている、こういう御非難がございましたから、そういう点までチェックしよう、おもな点は大体そういうところじゃないかと思います。従いまして、間違いがあるかどうかということを今申し上げるわけにいきませんが、間違いがあればこれは直さなければいかぬと思います。これだけははっきり申し上げますが、間違っておってもこれが正しいとは私はよう言わない。
#90
○石田(宥)小委員 これをきょう議論するつもりじゃないのですよ。だけれども、たとえば住民税の徴収率というものを見ているとか、あるいは扶養家族の数などは農家経済調査と著しく相違しておるとか、そういう点がたくさんあるのです。そういう点についてはもう明らかなはずなんですよ。そうすると、そういうものについては今行われておる実態調査が上ってこなくともこれを訂正されなければならないと思うのです。まだその再検討をしておらないのですか、どうなんですか。
#91
○渡部説明員 これはやはり実態調査をやらなければわからないのです。というのは、農家経済調査の扶養と、税金の扶養とは、税金は収入のある人は落されますから、それはやはり調べなければわからないと思います。
#92
○石田(宥)小委員 いや、それはきょう議論するつもりはない。だけれども、それははっきりしているのですよ。一つ徴収率を考えてごらんなさい。この前もちょっと指摘したけれども、徴収率なんというもの、一体農家の立場に立ってそんなものはありますか。そういう明確な誤謬はもう訂正されていなければならないはずなんですよ。そういう点においてもすでに再検討されていなければならないはずなんですよ。そういう点がたくさんあるのですが、実態調査が上ってきたところで再検討されるということですね。それならそれはそれでいい。
 そこで、一つ資料を御提出願いたいのです。今栗林君との質疑応答の中に出たような農家の階層別の正確な数字を知りたいので、供出数量別農家戸数の表をめんどうでも作っていただきたい。あす間に合わせられますか。
#93
○大和田説明員 ごく最近のものを目下集計中で、これは一週間くらいかかります。古いものでございますれば、県別の米作規模別のものは、たしか三十年か二十九年だったと思いますが、それならば御提出できると思います。
#94
○石田(宥)小委員 その程度でけっこうです。
#95
○今井小委員長 赤路友藏君。
#96
○赤路小委員 ちょっと一点だけお聞きしておきますが、今までの答弁を聞いておりますと、当局の方は、三十三年度の米価と、それから三十四年度の予算米価、これにどうもこだわり過ぎておるように思う。どうしてこの価格と大差ないところへ落ちつけようかとして非常に苦心しておるような印象を受ける。その数字をどうした形でやるかということ。だから、どうも、受ける印象は、事前に価格を想定して、そして何かやっておるという印象を受けるわけですよ。米の価格決定というものは、そういう形であってはならぬのであって、やはりどうすることが最も正しいのかという基本的な考え方の上に立ってやらなければならぬと思うのです。どうもそういうような印象を私は受けたわけですが、おそらく、答弁は、そういうことはないという答弁をされるでしょう。
 そこで、お尋ねしたいのですが、これは一言でいいわけです。一体三十四年度は生産費及び所得補償方式をとるのか、従来のパリティ方式でいくのか、一体どうなんだ、この基本的な線を一つはっきり言ってもらいたいと思う。もう腹にきまっておることだから、ごちゃごちゃ言わないで、この辺ですぱっと打ち出したらいいと思う。
#97
○渡部説明員 生産費及び所得補償方式を大幅に採用するという方針で検討しております。ただ、前段に触れられました印象というのは、これは、私の方が新聞記者等にとっちめられまして、一体どの辺に見当つけるでしょうか、見当はない、しかし去年の米価はあるんだということは言っております。そうすると、それより上か下か、しかもしらぬ、下かもしらぬという問答で、それぞれ推定で書いております。ただ、消費者、主婦連の方から私の方に言ってきておるのは、一体豊作が続くのに米の値段はなぜ上るのか、こういう意見を相当強く言ってきております。こういうことも言論界、新聞雑誌等では相当出ておるのではないかというふうに考えております。これと私の方の価格とは別だと思っておりますけれども、これは一番身近にだれでもすぐぴんとくる印象ではないかと思います。私の方では、あくまでも生産費及び所得補償方式を大幅にとり入れて結果を出したい、こういう考えであります。
#98
○赤路小委員 今、大幅にとり入れるということ、これは妥協なんですよ。追い詰められて大幅にこれを入れなければならぬという妥協だと私は思う。そういうあやふやなことでなくして、この際やはり態度を明確にすべきじゃないかと思う。最初、石田君の質問に、生産費補償方式をとると現在のパリティ方式でいくよりも価格が下るんだということをあなたはおっしゃっておったと思う。たといそうなったとしても、それは、たとえば生産費計算の場合におけるバルク・ラインのとり方であるとか、あるいは地代とか利子とか労働賃金のとり方とか、こういう算定の技術上の問題、それによっては相違が出てくるのですよ。必ずしもあなたの言うように下るということじゃないと思う。このとり方によっては、なんぼ上るんだ、なんぼ下るんだ、それは算定技術の問題である。一体根本的に米価というものがどうきめられなければならぬか、どうきめることが正しいかということが、やはり基本の問題として腹をきめてかからなければならぬ。それを大幅にというような妥協的な考え方はどうかと思うのです。もうこの際、生産費補償方式をとるんだ、この線ははっきりすべきだと思うのですよ。できませんか。
#99
○渡部説明員 今お話がありましたように、算定技術に幅があるというところが問題なんでございまして、観念的にこのくらいがいいんだといっても、数字は出てこないわけです。だから、各段階の算定方法に幅がありますから、今こうだと言うわけにはいかないのであります。しかし、最後には、それを米価審議会に出すまでにはこうだときめなければならないわけですが、今はまだきまってないので、御了承願いたいと思います。
#100
○赤路小委員 質問は終りますが、委員長に一つ要望いたしたいと思います。ただいままでの審議過程でもおわかりの通り、この米価決定についてはなお幾多検討しなければならぬ問題があると思います。そういう意味からも、学識経験者あるいは農業団体等の方々の意見を当委員会において聞きたいので、参考人としてお呼び願って、そうした意見を聞いてみたいと思いますので、委員長において適宜お取り計らいを願いたいと思います。本委員会の方でお取り上げ願いますように、委員長の方で一つ善処方をお願いしたいと思います。
#101
○今井小委員長 御趣旨により善処することといたします。
 それでは、次会は公報をもって通知することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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