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1958/12/17 第31回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第031回国会 商工委員会 第2号
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1958/12/17 第31回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第031回国会 商工委員会 第2号

#1
第031回国会 商工委員会 第2号
昭和三十三年十二月十七日(水曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 長谷川四郎君
   理事 小泉 純也君 理事 小平 久雄君
   理事 中村 幸八君 理事 加藤 鐐造君
   理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君
      新井 京太君    岡部 得三君
      岡本  茂君    加藤 高藏君
      鹿野 彦吉君    關谷 勝利君
      中井 一夫君    西村 直己君
      野田 武夫君    濱田 正信君
      細田 義安君    山手 滿男君
      渡邊 本治君    板川 正吾君
      今村  等君    内海  清君
      小林 正美君    鈴木  一君
      堂森 芳夫君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  高碕達之助君
 出席政府委員
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 齋藤 正年君
        通商産業事務官
        (重工業局長) 小出 榮一君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (重工業局産業
        機械課長)   乙竹 虔三君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
十二月十六日
 下請代金支払遅延防止法の一部を改正する法律
 案(田中武夫君外十三一名提出、衆法第一〇
 号)
 商業調整法案(水谷長三郎君外二十三名提出、
 衆法第一三号)
 中小企業の産業分野の確保に関する法律案(水
 谷長三郎君外二十三名提出、衆法第一四号)
 官公需の中小企業に対する発注の確保に関する
 法律案(水谷長三郎君外二十三名提出、衆法第
 一五号)
 百貨店法の一部を改正する法律案(水谷長三郎
 君外二十三名提出、衆法第一六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 軽機械の輸出の振興に関する法律案(内閣提出
 第三〇号)
     ――――◇―――――
#2
○長谷川委員長 これより会議を開きます。
 軽機械の輸出の振興に関する法律案を議題とし質疑に入ります。堂森芳夫君。
#3
○堂森委員 軽機械の輸出の振興に関する法律案に対しまして、私数個の点について政府当局に質問をいたしたいと思うのであります。
 この軽機械と称せられるところの機械でございますが、政府当局はどのようなものを軽機械といって定義づけているのか、まずこの点について伺いたい。
#4
○小出政府委員 軽機械の定義に関するお尋ねでございますが、定義に関しましては御承知のように、この法案におきましては第二条において一応定義を定めてありまして、この法律におきます軽機械というのは「小型軽量の機械であって、その製造業者の大部分が中小企業者であり、主として他の者から購入した部品を組み立てることによって製造され、かつ、その相当部分が輸出向に出荷されるもの」こういうふうに実は定義したのでございます。この法律における定義はそういうことでございますが、普通軽機械と一般的に申します場合におきましては、重機械に対する軽機械、こういうような意味でありまして、常識的に申しますれば、小型、軽量の機械、例をあげまするならば、カメラでありますとか、あるいは双眼鏡、ミシン、時計、トランジスター・ラジオというふうなものがあろうかと思いまするが、この法律におきましてはさらに法律上の用語といたしまして明確に限定する必要がございますので、ここでは区要件といたしましてまず小型であり、軽量であるということが第一、それから第二の要件といたしましては製造業者の大部分が中小企業者である。それから第三の要件といたしまして、主として他の者から購入した部品を組み立てる、いわゆる組み立てという生産体制、いわゆるアッセンブル方式によって製造されるものであるということでございます。それから第四の要件といたしまして、その製品の相当の部分が主として輸出向けに作られておる、こういうふうな制限をいたしたのであります。これがこの法律におきまする軽機械の定義でございます。具体的には最後に「別表で定めるもの」というふうに書いてございまして、この法律の中に製品の名前を最後に別表で指定してあるのでありまして、さしあたり現在考えておりますのは家庭用ミシンと双眼鏡、この二つということになっております。
#5
○堂森委員 ただいま私が質問いたしましたその意味は、軽機械と称するものには、先ほど説明がありましたように、かなりの種類のものが実際はあると思うのであります。しかるにこのたびの法律に関しましては別表で家庭用のミシンと双眼鏡、この二つだけを指定しておるわけでありますが、なぜこの二つだけに制限しておるかということについて、もう少し詳しく御説明願いたい、こう思うわけであります。
#6
○小出政府委員 軽機械の範囲につきましては、御指摘の通りいろいろあるわけでございまして、私が先ほどあげました例で申し上げましても、ミシンと双眼鏡のほかにカメラであるとか時計であるとかあるいはラジオとかいろいろあるわけでございまする、が、なぜそれではこの法律においては特にミシンと双眼鏡だけを取り上げたかということでございますけれども、これは普通に軽機械全般についての輸出の振興ということはもちろん必要でございますけれども、この法律を適用することによって輸出を振興しなければならぬという段階まできておりますものだけを逐次取り上げていく、こういう趣旨でございます。従いまして、この法律の趣旨が、御承知のように軽機械の国内における生産の実情、あるいは海外に対する輸出振興のための広報宣伝等の活動の実態等を見まして、どうしてもこの法律によって、この法律の骨子といたしておりまする登録制度でありますとか、あるいは輸出振興事業協会というような団体を作る、そういうようなことによって海外に対する輸出振興を推進しなければならないという段階まできておりまするのは、現在の実情におきましては家庭用ミシンと双眼鏡、こういうことでございまして、業界の大勢もそういうふうなところまできておるわけであります。従いましてさしあたりはこの二つの品目にとりあえず限定をしたのでございますけれども、もちろん同じような事情が将来発生いたしました場合におきましては、他の業種の軽機械につきましても逐次法律を改正して別表で指定していく、逆に申しますれば、その必要がなくなればまた別表から削っていく、こういうふうなつもりで考えておる次第でございます。
#7
○堂森委員 たとえば軽機械と称するものの中には、あなたが御指摘のごとく、時計であるとかトランジスターであるとか、あるいは手編み機であるとかいろいろなものがあると言っておられるわけでありますが、現在の段階においてそういうような機運に業界がきておるのはミシンと双眼鏡である、あとはそういう機運にないのじゃないか、こういうような意味でございますか。
#8
○小出政府委員 業界の機運ということももちろん一つの区要件でございますけれども、それだけの理由に基くものではございませんで、ただ御承知のように、こういうふうなミシン、双眼鏡というものは非常に輸出が盛んであるにもかかわりませず、実際は業界内における過当競争ということ、それから海外に対する広報宣伝が、全くいわばめくら貿易になっておって、しかも輸出先が主としてアメリカというふうな先進国であって、相当のドルが獲得できるというふうな実情になっているにかかわりませず、みすみす獲得することのできるはずのドルを、安くたたかれて売ることによりまして失っておる、こういうような実情にきておるような実態をとらえておりますのは、この二つの業界が大体主でございます。そういうことがこの二つの品目を取り上げました基本的な主たる理由でございますが、同時に、こういう法律によって登録制をしいたりあるいは団体を作ったりするということは、やはり業界自身の方の要望ということが主たる機運と申しまするか、業界自身が航得をいたしませんと、政府の方から法律的に強制するということは、実際問題として非常に不合理でございまするので、そういう趣旨におきまして、業界の機運ということをあわせ考えまして、とりあえずこの二品目を取り上げた、こういう次第でございます。
#9
○堂森委員 そういたしますると、あなたの御答弁では、ミシン業界あるいは双眼鏡業界も、こうした法律を作っていくことによって、業界が非常に大きくさらに発展をする、そうして安値で輸出しておる――過当競争による安値とあなたは御判断されるわけでございますが、そうした安い、たとえば日本製の双眼鏡はアメリカの市場では二十ドルくらいである、こういうふうに聞いておるわけでございます。ところが一方、アメリカにおいてドイツなどから輸入される双眼鏡は八十ドルあるいは百ドルをずっとこえる。非常な差があるわけでございます。どういうわけでこんなに日本のものが安くて、外国のものはなぜそんなに高いか、そういういろいろ問題が私はあると思うのであります。ところが実際私が聞いておるのでは、たとえば双眼鏡業界においては、あなたのおっしゃるように、業界がこぞって、この法律ができることによって業界か大きく発展していくとは考えていないように聞いておるわけでありますが、その点はいかがでございますか。
#10
○小出政府委員 ただいま双眼鏡業界におきまして、業界の内部において、必ずしも私が先ほど申し上げました業界自身がこれを区要望し、ぜひやってもらいたいという機運はまとまっていないというような御指摘の点があったのでございまするが、実は私どもがこの法律を提案するに至りますまでの間におきまして、すでに具体的には前の臨時国会に提案したのでありますが、さらにその以前から、実は大体一年くらい前から、こういう法律改正の必要性ということにつきまして、業界内部におきまして、みずから過当競争の弊に耐えかねるというような要望がございまして、その関係、その他業界の代表の方々あるいは組合員全体の方々にお諮りいたしまして、われわれ事務的にはしばしば相談をいたして参ったのでございまして、最後の案をまとめますまでには、相当いろいろな業界の意見に基いて案を修正して参ったわけであります。もちろん業界の中におきましては、百パーセント一人も漏れなくこれに全部賛成するというところまでは必ずしもいかないかと思います。従来からそういう経過で長い間相談をしてまとめたにもかかわりませず、最近に至りまして急にと申しますか、一部において反対の声が上っておるということも、実は私どもも承知いたしておりますが、その間の経緯につきましては、先ほど申しましたように、われわれといたしましては十分業界と御相談し、むしろ業界の大体一致した御意見に基いて法案を作った、こういう経過にわれわれといたしましては了解いたしておる次第でございます。
#11
○堂森委員 私が聞いておるのでは、双眼鏡のメーカーというものは大体目ぼしいものが百九十くらいあるのですが、その中でおよそ百以上、百十くらい、過半数というか半分くらいの人たちは、この法律に対しては非常な反対の意見を持っておる、こういうふうに聞いておるわけでありますが、あなたがおっしゃるのは、一部の業者だけが反対しておって、大多数はこの法律ができることを非常に歓迎しておる、こういう答弁のようであります。私はそのように聞いてないのでありますが、その点どうでございますか、もう一度御答弁願いたいと思います。
#12
○小出政府委員 双眼鏡に関しまして、現在のいわゆる組み立て業者といいまするものは二百十社ばかりございます。今その中の大部分の方が反対であるというお話でございまするが、私どもが従来から接触し――これは別に業界の一部の人と接触したわけではなくて、業界全体の方と御相談をして参ったわけでございますが、われわれの承知いたしております範囲におきましては、大部分の方が、あるいはむしろその経過におきましては全部の方が賛成をしていただいておる。ただごく最近に至りまして、業界の一部の――具体的に申し上げることは差し控えまするけれども、前の業界の団体の幹部の方が中心になって、多少そういう反対の運動をしておられるようなことは聞いておりますけれども、何分にも、御承知のように非常に零細な業者の方が多いわけでありますので、どういうことで陳情に参られておるか存じませんけれども、私どもの解釈といたしましては、業界としては反対というのはごく一部である、こういうふうに了解しておる次第であります。
#13
○堂森委員 その点については、私はあなたの説明では了解しにくいのでありますが……。
 そこで、このたびの法律が通過していって、そして政府当局が考えておるように、この法律に沿ってたとえば振興協会を作って、あるいは役員がそこに選任されて、ジェトロを通じて大いに広報宣伝をしていく。これは今度の法律がなくても当然やるべきものであって、なぜ今度のような法律ができなければジェトロの活動が活発にならぬか。こういう意味は、私はないと思います。そこで、ジェトロを通じて大いに宣伝していく、あるいは協会が今後いろんな試験的な施策と申しますか、技術的なあるいは学問的な研究を大いにしていく、こういうことも重要な仕事になるでありましょう。そういうことをいろいろやっていって、そのことによって、今日たとえばアメリカに対する日本からの双眼鏡の輸出は九割とか八割とか言われており、しかも値段が非常に安いわけですが、もっと過当な競争による、ドル獲得の無用な、有害な損失というものがほんとうに防げるでしょうか。その点いかがでしょうか。
#14
○小出政府委員 今回のこの法律で意図しておりまする一つのねらいは、今御指摘のように輸出振興事業協会という単一の団体を通じまして、海外の広報宣伝をもっと強力にやる、実際の業務は、御指摘の通り、ジェトロに委託する格好になるわけであります。それは従来からもやれたではないかというお話でありますが、先ほど申しました通り、この双眼鏡の業界は、ミシンも同様でございますが、非常に零細な企業が大部分でありまして、従って自分の手で、メーカーの従来の組織でもって直接海外への広報宣伝――あるいはジットロとのつながりも非常に困難でございますし、のみならず従来の中小企業団体組織法による組合というようなものでなくて、業界全体が一人残らず公平にいろいろな負担をいたしまして、平等の立場において海外に対する広桐宣伝をやってもらうというような組織が、どうしても必要であるという意味に起きまして、新たなる組織といたしまして、輸出振興事業協会というものを作って、そこが単一のまとまった団体といたしまして、ジェトロとのつながりを持って、これに対する海外の広報宣伝をやってもらう、こういう趣旨でございます。従いましてこれができましてその運用が適正に行われますならば、私どもといたしましては、当然従来のようなめくら貿易によります時代と変りまして、相当輸出振興に寄与するものがあるというふうに確信をいたしておりますし、またそうならなければこの法律の意味がない、こういうふうに考えておる次第でございます。
#15
○堂森委員 幸い高碕通産大臣が出席されておりますので、大臣に私は二、三点伺いたいと思います。すでに中小企業団体組織法が国会を通過いたしまして、そしてこの団体組織法によって各中小企業の業者の団体が、工業組合を通じて自主的に統制といいますか、規制を持って業者の共倒れを防いでいく、こういうような事態が行われておるわけでございます。そしてこれから大いにこの工業組合が自主的に強い力を発揮していこうというときに、新しくこういう法律を作っていかなければならぬというふうに踏み切られました最高の責任者としての大臣のお考え、さっき局長からいろいろお話がありましたが、この法律を出そうというふうに決意されました御心境について、まず御答弁をお願いしたい、こう思うのです。
#16
○高碕国務大臣 堂森委員の御質問にお答えいたしますが、お説のごとく、中小企業団体組織法によりまして、全中小企業者のこういう種類の事業か、団体的の行動をとって乱売を防止し、生産を調整するという第一歩を、踏み出したことはまことに御同慶にたえませんが、しかしそれだけではまだ徹底しないという点があるわけでございまして、特に日本の中小企業の中で非常に将来性のあるものは私はこの軽機械類だ、こういうふうな感じを持つものでございます。ところが、それは将来をどうするかといえば、これはまず第一に品質を改善して、世界の市場において日本の軽機械類が、ドイツその他の国に比較して進歩しておるという技術向上を第一に考えなければならぬということと同時に、この生産については、中小工業は生産するけれども、生産の責任を明らかにするということにする。従前のこういう種類の中小企業の製品は、ハイヤーの商標によって取引されることが多いわけでございます。これは、ある一時期はそれをもってやらなければならぬと思いますけれども、適当の時期になればだんだんメーカーの登録商標をもって世界の市場に踏み出すということでいかなければならぬ。これが中小工業はながなかできないのでございます。そういう意味から申しまして、製造する人の責任を明らかにするという意味からいっても、どうしても製造業者の登録をする、登録をすればどうしても官僚統制になりやすいという点が起るわけでありますから、これを十分防止するために業者の発言力を十分尊重して、それによって登録をすることにする、そして製造の責任を明らかにする。同時に世界市場との直接の折衝によって市場をよく観察する。これまた大企業では資本的に充実をしておりますから、かえって非常に楽でありますけれども、中小企業者はこれがない。従ってこれはどうしても輸出振興事業協会というふうなものを作って、それでみなの力を合せて、できるだけその業者自身を海外の市場に出す、見せるということにして、そういうつながり、連絡を十分にして、めくら貿易を防止する、こういうふうにしていく必要かあるだろうというふうに存じておりまして、将来性のある事業についてはできるだけ現在提案しております軽機械類輸出振興に対する法律を適用していきたいと存じておりますけれども、ただいままでのところ、ミシン業者とそれから双眼鏡業者が一致してこれを支持しております。やってくれ、こういう話でこれを提案をしたわけなのでございますが、その後やはりときどき、業者の中にも派閥と申しましょうか、ある人が組合の主幹になっておる、これがかわるということになればいろいろ反対が出るということで、多少の反対はありましょうが、私は日本の現在の軽機械の将来性を考えましたときに、この登録制をしく、同時に輸出振興協会というものを作るということは最も必要だ、こう存じておる次第でございます。
#17
○堂森委員 大臣の御答弁によりますと、今のままでは将来非常に有望である軽機械の輸出が思うように伸びていかないからこういう法律を作る、簡単に言いますと、そういう御答弁であったようであります。しかしながら中小企業団体組織法で、自主的に組合の結集もはかっていく、こういうことも行われるようになっておりまするし、また従来の輸出振興株式会社というものがあって、そしてこの会社がいろいろと輸出振興をはかっていく、ジェトロというものがあって、そしてこれが大いに宣伝をしている、こういう組織ができまして、いろいろやっておるわけであります。業者の反対が多少ある、こういう大臣の答弁でありますが、私が聞いておるのでは、たとえば双眼鏡の業界においては多少ではない、かなりな人たち、私が聞いておるのでは業者の少くとも半分くらいは反対である、こういうふうなことを聞いておるのです。そこで通産省当局は多少の反対があるがというような御答弁でありますが、なぜしからば業界の発展のためにやるのだ、こういうふうに通産省が考えておられるような、そして提案せられた法律に対して、私が聞いておるのでは半数くらいの人たちが反対であるのか。こういう事態が起きてきたということはやはり従来、戦前統制というものによってにがい経験を持ってきた業者の人たちが、またもう一ぺん官僚統制に戻るのだ、そうしてそういうことによって得てこられた経験というものから、またそういう統制が復活してくるのだ、こういうふうな認識も大いに持っておられると思う。私はこのたびの法律が通ったら、それで非常な貿易の躍進がくる、あるいは技術の非常な向上がくる、こういうことは必ずしも期待ができないのではないかと思うわけでありますが、あくまでこの法律が通らないと、貿易の躍進あるいは過当競争による安値というものが高くなる、こういう目的がほんとうに達せられないでありましょうか。たとえばよく考えてみますると、双眼鏡の値段が、アメリカの市場においては日本のものか非常に安い。ドイツ製のものなんかは非常に高い。こういう原因というものはほんとうに過当競争というものだけできておるのでしょうか。あるいはこの法律が通って予期通りの活発な活動をこの協会がやってくれば、二十ドルで市場で売られておるような日本の現在の双眼鏡が、今のままのものが、もっと高くなっていく、こういう見通しがほんとうにあるでしょうか。この点について御答弁を願いたいと思います。
#18
○小出政府委員 双眼鋭の輸出の状況につきましては、お話の通り従来あるいは現在においても非常に活発にされておりますし、また将来ももちろん輸出需要というものは非常に旺盛でございまして、国際競争力も御存じの通り日本が一番強みを持っておるわけでございますので、輸出が伸びることは間違いないのであります。しかしながら従来の行き方で参っておりますと、業界、メーカーの方いずれも大体中小の方でございまして、メーカー自身が直接アメリカの最終の需要と申しますか、海外の市場のマーケットの実情というものを、直接把握することができない。従いましてそのために結局中間の商社、向うの輸入商というようなところによりまして利潤を中間においておさめられておるというようなことでございまして、従って業界がまとまって海外の市場の開拓あるいは広報宣伝ということをメーカー自身の手において行うということが必要であります。これは双眼鏡に限らず、あらゆる最近の商社が昔のように非常に強力でございまして、日本の商社自身が海外の事情というものを末端まで把握できるということであれば別でございますけれども、現在の日本の、実情から申しますと、メーカー自身が最終需要というものを把握いたしまして、マーケッティングをやるということがどうしても必要であろう、こういうふうに考えられます。従いましてそういう組織というものは現在の中小企業の組合、もう一つのまとまりでございますけれども、やはり業界全体がまとまって、平等で経費を負担し、そうして一つの単一の組織として強力にジェトロ等を使いましてやるということによって、初めて輸出がさらに正常な姿において、本来の競争力に加えましてさらに有利な価格でもって出ることができるのではないか、かように考えておるわけであります。業界内部における反対が多数であるか、半分であるかというような問題でございますが、これは堂森先生のところで把捉せられておりまする実情と、私どもの一方で把握しております実情と食い違いがあるわけでございますが、私どもの経過を申し上げますと、何回も業界と話し合いをし、最後にこの法案を最終的に提案をする前におきまして、業界の組合の理事会で意思決定をされまする場合にも、具体的に申しますれば理事二十五名、一人欠席がございまして二十四名でございましたが、そのうち二人だけ反対がございました。全体といたしましてやはり大多数は賛成ということでありました。むしろ業界内部においていろいろないざこざが多少でも起るような実情にあるということ自体が、むしろこういうような新しい組織によりまして輸出振興事業協会というものを必要とする一つのゆえんでもあろうかと存じますし、また堂森先生が御指摘になりました官僚統制というような点につきましては、もちろんこれが官僚統制の組織にならない、またなるはずはないと考えておりますが、業界自身の団体でございますし、またその運営につきましても十分民主的に運営できるような組織が、御承知のように法律の建前がそうなっております。実際これを運用するに当りましても、そういった統制あるいは官僚統制というような弊に陥らないように、十分われわれとしましても気をつけて運営をしていくことは当然でございます。そういうような趣旨におきまして業界の方におきましても大体の御賛成を得ておる、こういうふうに考えておる次第でございます。
#19
○堂森委員 私は日本の軽機械の輸出がますます盛んになっていく、こういうことを希望することはもちろん当然であります。従って私が申し上げておることは、業界がこぞってといいますか、全部ということはあり得ないでしょうが、しかしながら少くとも大多数の人たちがこの法律ができることによって日本の軽機械の輸出が盛んになる、こういって喜んでこれを支持するという態勢があるのが当然だと思うのです。ところが私が聞いておるのではそうではないのです。双眼鏡の業界においては半分ぐらいの人たちは、この法律ができることに強く反対をするよりになってきている、こういうふうに聞いておるわけです。そういうことはきわめて重要なことでありまして、ようやくできる法律に対して、しかも日本人であるならばだれでも希望する軽機械の輸出が大いに振興されるのだ、こういう建前で作って出してきた法律に対して、直接の関係者である業者が、しかもかなりな数の人たちが強く反対をしているということが事実であれば、これは私は重要なことだと思うのです。従って理事会で大多数が賛成したとか、それは私にはわかりませんが、あなたの御答弁を信頼する以外はないわけですが、そういう声を非常に強く聞いておる。そういうふうに強い反対の声もあるということは、やはりこの法律に相当問題があるということが言えると思います。たとえばこの双眼鏡の業界はほとんどアッセンブル方式で成り立っておりますが、この企業の大きさの内容を見てみますると、やはり零細な業者が圧倒的に多くて、そして比較的大きな業者は数が少く、製品の数からいけば大部分の製品を数個の比較的大きな規模の工場でこれを生産し、そしてきわめて多数の業者がわすかずつの品物を作っておる。そうしてそういう小さい業者が圧倒的に多い、こういうところにもやはり問題があるのでございますが、しかし業者の間に強い反対があるということは、私の聞いておる範囲ではそう間違っていないのじゃないかと思うわけです。こういう問題についてはまた他の同僚議員の諸君も質問をされると思いますか、そこで法律の内容について少しく具体的に聞いて参りたいと思うわけであります。
 まず登録をやるわけでありますが、この登録の基準であります。元来が軽恢械の製造業者というものはほとんどが零細な企業者でありまして、従ってこの登録の基準の定め方いかんによっては、不適格者が相当出てくるのではないか、こういうことも私は業者には大きな問題であろうと思います。そこで基準は、どういうふうなねらいというか、そういうものをもって定めていくのか、そして現在仕事をやっておるような人たちに対して不適格者が出たようなときには、一体どういうような措置をとっていくのか、そういう点について具体的に説明をしてもらいたいと思うわけです。
#20
○小出政府委員 登録制度に関するお尋ねでございますか、登録の基準につきましては法案の第八条に一応定めておるわけでございまして、登録の申請が基準に合致しておる場合には通産大臣は登録しなければならない、こういうことになっておるわけでございます。
 そこでまずこの登録の基準をきめるにつきましての基本的な考え方でございますが、これにつきましては、ただいま御指摘の通り双眼鏡は、組み立て業者だけ見ましても従業員五人以下の零細な業者が半数以上で、大部分が中小企業であるというような実態でございます。またそこに一つの国際競争力としての強味を持っておるわけでございますので、従いましてこの登録の基準を非常に高く定めまして、そして厳選をして大メーカーだけにしぼっていくというような考えは全然持っておりません。むしろ小粒でもしっかりしていると申しますか、中小企業であっても非常にしっかりした国際競争力を備え得るような基準に全体の水準をだんだん高めていくという考え方でございます。具体的にその登録の基準を作るにつきましては、通商産業省令できめることになるのでありますが、結局そういうような趣旨に基きまして製造設備なり、検査設備が一定の基準に達しでおるということが要件でございます。そういった製造設備なり仕上げ設備なり検査設備を、それぞれ生産の品種に従いまして具体的にこまかに定めていく予定でございます。またその設備につきましても、必ずしも自分で所有しておることは必要でないのでありまして、借り入れ等によりまする場合においても、現実に常時その設備を使用できるというふうな状態であることが立証できることによって登録が認められるわけでございます。またその設備を動かしまする技術者の基準についても、やはり省令で一定の資格要件――それは必ずしも学歴だけでなく経験年数というようなことも参考にいたしまして、その登録の申請者と雇用関係にある技術者についての基準を定めるわけでございます。
 それでこの基準に合致しない場合はどうするかということでございますか、先ほど申しましたように、この登録基準というものは、一挙に高い水準を定めるということは事実上困難でございまして、実際問題としてメーカーとしての合最低限度の基準を一応定めまして、漸次全体の基準を高めていくという指導をして参りたいと思っております。かりに、非常に不幸にしてこの基準に合致しないというものが、全然出てこないとは保証できないのでございますが、そういう場合におきましてはやはり数ヵ月間の猶予期間がございふして、その間においていろいろ転換の他につきましてもあっせんをして参りたいと考えております。
#21
○堂森委員 ただいまの御答弁によりますと、現在零細な業者が非常に多いわけでございますが、そういたしますと、登録制でありますから不適格者が出てくる場合も当然あると思います。そうすると現在の業者で不適格者と認定せられたものは一体どうなるのでございますか。
#22
○小出政府委員 先ほど申し上げましたように、この法律全体につきまして、施行につきましては大体六ヵ月の猶予期間もございますし、その間におきまして登録基準につきましては、業界の実情に即しまして詳細に審査をいたしまして省令において定める、こういうことになるわけでございます。従いまして事実上この基準はメーカーとしての最低限度の基準をきめるということになろうかと思うのでございまするが、登録基準に合致しない不適格者ということになりますると、結局登録を受けられないという結果になるわけでございまして、その場合におきましてはこの登録に基きまする効力というものが、この登録業者でなければ自後の活動ができないという場合が出てくるわけでありますので、これにつきましては実情に応じまして、転換措置なりあるいはその他の金融措置等につきましてもできるだけあっせんをして参りたい、かように考えます。
#23
○堂森委員 この法律によりますると、登録されていない業者が双眼鏡なら双眼鏡を作って、それを売り出すという場合には非常な厳罰が課せられるように法律ではなっておるわけであります。いわば徴役三年以下もしくは三十万円以下の罰金に処すという非常な厳重な規定があるわけでありますが、そこで私はこのたびの法律に含まれておるような意味での登録制度というものが果して必要であるかどうかという問題も当然出てくると思うのです。すなわち中小企業団体組織法というものの調整規定によって、五十六条から八条に明らかに記載されておりますように、アウトサイダーをも規制せられるような厳とした法律があるわけでありまして、非常な厳罰をもって臨むような規定を加えて、このような中小企業団体組織法によって規制せられたこの調整規定があるにかかわらず、このたびの法律に含まれておるようなこういう登録制をも作っていく、こういう必要は果してあるだろうか。私はこういう疑問を持つわけでありますが、この点について一つ答弁願いたいと思います。
#24
○小出政府委員 先ほど登録基準に適合しない既存業者の取扱いにつきまして私の説明が多少足りなかったかと思いますが、その点につきましてまず補足して申し上げますると、先ほど申しましたように登録基準というものは最低限度のメーカーとしての基準でございまして、現在の既存業者というものは、事実上この基準によって救われるような段階になる、かように考えております。ただものによりまして、ごく一部のものにつきましては、いわゆる生産制限のからワクというようなものによって営業しておるというような実態のものもございまするので、そういうようなものも漸次調整していきますが、これも先ほど申しました六ヵ月という猶予期間の間に、事実上基準に合致するようにこれを誘導していく、こういうような立場で運用して参りたいと思います。従いまして実際問題としてすぐ不適格者が出るというような事態が起らないように運用を考えたいと思っております。
 次に今お話がございました登録制度というものが、何もそういうものをわざわざ新たにしがなくてもいいではないかということでございますが、この登録制度のねらいというのは、一つは輸出商品としての品質の向上ということと、それからつもう一つは過当競争の防止、この二つにねらいがあるわけです。その前段の品質の向上ということにつきましては、御承知のように輸出検査というものがあるわけではございまするけれども、輸出検査というのは何と申しましても手の届く範囲が非常に限られておりまして、こういったアッセンブル方式によりまして非常に大量に出て参ります商品につきましては、やはり生産の段階において技術管理の体制を整えておく必要があろうかと思います。どうしても検査に漏れたものから粗悪品が出ていくということも考えられますので、やはり生産の面においてまず生産体制を整える必要上、品質向上のための登録制が必要であろう、かように考えます。
 それから第二のねらいでありまする過当競争の防止という点につきましては、お話の通り中小企業団体法というようなものもございます。しかしこの登録の停止ということが一定の場合にはできることになっておりますが、これは中小企業団体法の第五十八条の命令で、普通の業界でありますれば設備の新設を制限したり、あるいは新規業者の発生を抑制したりすることができるわけでございますけれども、こういったアッセンブル方式によってほとんど設備らしい設備は要らないという場合には、設備だけ押えたのでは事実上過当競争の防止という效果はあげ得られません。従いまして登録制ということによりまして、一定の場合には事実上新規業者の発生を抑制いたしまして、価格なりあるいは生産の体制というものを確立していきたい、かように考えた次第であります。
#25
○堂森委員 この登録の規定でございますが、さっきの答弁にもありましたが、停止も可能である、こういうことでありますから、いわばある意味では姿をかえた一つの許可制とも解釈することができるのでありまして、これは非常に私は強い意味を持ったものであって、業者かこういう点にも、官僚統制である、こういう印象を強く持ちまして反対の気持が強くなってくる、こういうことでありまして、この登録の問題については非常に重要な意味があって、簡単にこういうものに踏み切っていくということには、私は賛同ができないような意見を持っておるわけであります。そこで問題を進めてみまして、この中小企業団体組織法で工業組合が結成せられておるわけであります。このたびの法律によりまして振興協会が発足して参りまして、いろいろな指導をやるということになるわけであります。そうすると工業組合というものは、自主的にいろいろな技術の練磨であるとか、いろいろな業界の向上であるとか、いろいろなことをやっていくために結成されてきたわけでありますが、そうすると工業組合というのは、もう何も存在価値がなくなっていくような有名無実のようなものになっていくと解釈できるわけでありますが、そうじゃないですか。
#26
○小出政府委員 今回の登録制度の実施と、その登録制度が場合によりましては一定の場合に登録の停止までいくという建前になっておるわけでありますが、こういうような組織ができました場合におきましては、既存の組合というものはほとんど要らないのではないか、こういうような趣旨のお話であったと思うのでありますが、今回の登録制度の実施によって、業界の秩序を確立していこうというねらいは、既存の業界の過当競争防止ということのためには、やはりお話の通り、双眼鏡につきましても、ミシンにつきましても、輸出組合によりまして輸出価格の協定をしたり、あるいは工業組合によりまして、出荷数量なりあるいは出荷価格の協定をしたり、あるいは特定の市場に対しましては、特定機関を通じて輸出をするというふうな協定をしたり、そういうふうな運用をして参ったのでございますが、その既存の組合の運営によりますだけでは手の届かない限界があるわけでありまして、それらに対しましては今回の登録制度の運用によってさらにこれを補出先していこう、こういうふうな建前でございますので、従ってやはり従来の組合活動というものは十分これを行い、さらにこれに加えまして、特定の条件が備わりました場合におきましては、一定の条件のもとに登録の停止というような措置によって業界の秩序を確立していこう、こういうふうに考えておるわけでございまして、これができたために既存の組合の存在理由がなくなったというふうには考えていない次第でございます。
#27
○堂森委員 ただいまの答弁ですが、それは観念的にはそういうことが言えると思うんです。実際問題として、この法律によって成立しました協会が一切のことを強く上の方からやっていく、そうしますと、工業組合なら工業組合の自主的な運営というものは非常に幅が狭くなってくる、いわば有名無実なような組織になってくる、これは当然私はそうなると思うのであります。あなたは観念的にはそういうことをおっしゃいますけれども、私はそうではなかろう、こう思うわけであります。
 そこでもう一つ、他の問題でありますが、この協会の業務であります。この協会が製品を一手に買い取るわけでありますが、たとえば現在のようにミシンにしてもあるいは双眼鏡にしても海外へどんどん輸出される、こういう活況を呈しておることが、商売ですからずっと永久と申さなくても、長い間この活況が続いていく、こういうことであればけっこうなんですが、そうではない。たとえばそういう予想はしたくないんですが、不況がきた、こういうような場合に、一手に買い取った場合にそうした資金的ないろいろな問題が起ってくるであろう、そうしてストックがどんどんできてきた、こういう場合には一体どういう処置をとっていくのでありますか、この点一伺っておきたい、こう思います。
#28
○小出政府委員 輸出振興事業協会と既存組合との関係につきまして、さらにお答えいたします前に、先ほどの答弁につきまして補足して申しますと、今回の輸出振興事業協会の行います業務と既存の組合の業務とはおのずからその間に業務の内容が違っておるわけでありまして、今回の協会の業務は、御承知のように、海外に対するマーケッティングあるいは品質向上ということが中心でございまして、既存の組合の出荷数量の協定でありますとか、あるいは価格協定というものは、やはり既存の組合の手によって行なっていくということでございますので、既存組合の事業というものは従来通り行われる、かように考えておる次第でございます。
 そこで、今御指摘の協会が将来一手買い取りというような段階で事業を行います場合において、現在のように輸出が盛んであります経済事情のもとにおきましては問題ないけれども、相当の滞貨ができたというような場合にどうするかというようなお話でございますが、この一手買い取りの問題につきましては、これは直接この法律に書いてあるわけではございませんけれども、輸出八取引法によりまして指定機関に指定されたり、あるいは中小企業団体法の一手買い取り機関に指定されるという場合におきましては、お話の通り一手買い取り機関としての義務も行うことになるわけでございます。そこで、これに対しまして資金的な面の手当でございますが、これにつきましては、もちろん政府といたしましても十分それらのめどにつきましては考えておるわけでございまして、買い取りに必要な資金の中で固定資本的なものは中小企業金融公庫から、また運転資金につきましては商工中金からそれぞれ融資ができますように、この法律の附則におきまして中小企業金融公庫法あるいは商工組合中央金庫法の改正を特につけ加えておるわけでございます。将来その数量等によりましていろいろ変って参りまするけれども、一手買い取りを実施するというふうに仮定いたしました場合におきまして、現在考えられておりまする資金の借り入れ限度というようなものも、一応の予定はあるわけでございまするが、その借り入れ限度の範囲内におきまして政府といたしましてもそういう金融措置につきましては、既存の中小企業関係の金融機関を通じまして手当をしていくことによって十分措置ができるもの、こういうふうに考えておる次第でございます。
#29
○堂森委員 やはりこの協会が一手に買い取って参る、こういうことが起ってくるわけなんですが、さっきの資金面、ストックができたときには一体どうするか、こういうことについての説明はそれで了承できるわけであります。ところがこうした一手買い取り機能をする、こういうことによって、たとえば地方に分散している業者というものにも大きな不便といいますか、そういうものも起ってくるのではないか、こう考えられるわけですが、この点はどうでしょうか。
#30
○小出政府委員 今お話の点は、この輸出振興事業協会は全国一本の機関でございまして、これが実際の組み立て業者が地方に分散しているという場合の事務的なつながりと申しますか、これらのやり方等につきまして、非常に不円滑にならないかという点でありますが、これらにつきましては、もちろんこの新しい組織ができました場合におきましては、そういった不円滑な事態の起らないように事務的な調整等につきましては、十分調整していくように考えていきたいと思っております。また分散しているものと申しましても、双眼鏡の業界というものは地域的には比較的まとまっておりますので、実際上それほどの支障は起らないのではないか、かように考えております。
#31
○堂森委員 それからもう一つ、やはり貿易というものは貿易業者が何と申しましても大きな役割を果していくということであります。このたびの法律によりまして振興協会というものができまして、一手の買い取りをやる、そうした場合に、商売でありますから、従ってこの輸出業者というものが何といっても主体になってくることは当然でありますが、その輸出業者と協会というものとの間に、ギァップというか、あるいは、摩擦というか、あるいは輸出業者との間にいろいろな問題が起きてくる、こういう可能性も考えられるわけでありますが、この点はどうですか。
#32
○小出政府委員 この輸出振興事業協会を作ろうとする趣旨は、先ほど申しましたように、海外に対する広報活動あるいはマーケットの把握というものをメーカーが自分の手によってやる、また商社が非常に強力な組織を持っておりました戦前におきましては、十分それでやってこれたわけでありますけれども、そういう国内においては零細な業界であり、海外に対しては商社活動が必ずしも最終需要の把握まで至っていないという段階におきまして、こういうものが必要であるということで発足するわけでありますが、これが軍際に一手買い取り、あるいは海外への直輸出をやるわけではございませんで、そういうような業務を行います場合におきましては、やはりその実際の貿易業務につきましては、既存の輸出業者を使っていくということは当然のことであろう、かように考えております。ただその間におきまして、輸出業者との間につきましては十分円滑――これは事実上利害もそれほど対立する問題は起ってこないというふうに考えますので、輸出業者とのつなかりにつきましては、運用上におきまして十分留意していけば円滑にいくもの、かように考えている次第でございます。
#33
○堂森委員 私はこの法律案をずっと通覧いたしておりますと、やはり業者のかなりの人たちが反対をいたしておりまするように、きわめて強い統制を受ける、こういうふうな印象を受けるのであります。そこで従来軽機械の輸出に過当競争がある、そして過当競争によって外貨の獲得が無用に阻害をされてきた、こういう事態があったことは事実だろうと思うわけであります。しかしながら中小企業団体組織法の規定というものによって、自主的にそうした業界の向上発展ということをこれから大いにやらなければいかぬ、こういうふうな努力が割合されずに、しかもこういうふうな強い統制的なにおいを持った法律をもって業界を引っぱっていこう、こういうところに非常な不安がある、こう私は思うのでありまして、この法律というものに対して私はかなりな業界の強い反対がある、こういうことについて政府に反省を促しておきまして、私の一応の質問を終りたい、こう思うわけであります。
#34
○長谷川委員長 田中武夫君。
#35
○田中(武)委員 私はこの法案を見まして、まず率直に感じたことは、この法律は果して必要であろうかということなんです。先ほど堂森委員からも若干その点について触れられておりました。この法律を見ました場合に重要な点は、登録制とそれから事業協会の設立なんです。先ほどから話が出ておりますように、登録制の問題につきましては団体組織法等の規定でいけるのではないか。あるいはまたアウトサイダーの規制その他の命令も出されるし、すでに通産省は前国会においても輸出入取引法の改正法を出されて、今次国会においてもそれを出される用意がある。それになおかつ登録が必要か。しかもこの登録制度を見た場合、いわゆる登録の停止の規定がある。しかも登録を受けて、登録証というのですか、これをつけなければ輸出ができない、こういうことなら明らかなる許可制度であり、一方小売商業特別措置法案を考えられた際に、この許可制度あるいは登録制度は憲法違反だ、こういうふうな議論もあった点から考えてこれも疑問がある。個々については逐次詳細に質問いたしますが、総括してそう思う。
 それでは協会の方の業務はどうかといえば、三つ、四つの仕事をするようになっておるが、その一つは海外における宣伝啓蒙、こういうふうなことが出ておるようであります。検査は輸出検査法の規定があり、これに基いて厳格にやる、あるいは技術向上の問題につきましては現にできておる工業組合を通じてやれるし、すでに前々国会あたりだったと思いますが、機械工業振興臨時措置法案なるものが作られておる。あるいは買い取り機関の一手買い取りという制度につきましては、現在の輸出入取引法においても規定をすればできる。果してこの法律が必要かということなんです。そこでまず考えられることは、この法律を見てぴんとくるのは、先ほど来触れられておりますが、官僚統制の強化、もう一つは通産省の役人といえば失礼かもしれませんが、官僚の姥捨山を作る、これ以外に何もないじゃないか。しかも近来出されてくるところの法律のすべてをみると、ほとんど同じようなことばかりである。買い取り機関を作る、それを通じて官僚の姥捨山を作って、そこに入り込んでしかもその人を通じての官僚統制を強化していく、こういうことしか考えられない。朝令暮改といわれるのは、一つの法律を作ったらすぐにその除外例を作っていく、特別法を作っていく、こういうことばかり繰り返しているように思うのです。
 そこで大臣にまずお伺いしたいのです。こういう言葉があるのですが大臣御承知でしょうね。シナの故事に「聖人は民をかえずして教え、知者は法を変ぜずして治む」というのがある。法律はあまり作りかえたり、多くごてごて作らない方が賢明な政治だ。岸さんは知者だと言われておる。ところが最近つまらぬ法律ばかり作っておる。そうして自分の方で手を詰めておるような感じです。岸内閣の閣僚内にその知者がいないのかという感じを受けておるのですが、この法律は果して必要かどうか。しかもこの法律は一体通産省側から見て必要と考えられて作られたのか、業者から要望があって作られたのか、お伺いいたします。
#36
○高碕国務大臣 私は、今回の軽機械の輸出の振興に関する法律の根本は、軽機械というものは中小工業の製品であるということが第一であり、第二は軽機械のおもなるものは検査がそう簡単にできないわけであります。形だけは簡単にわかりますけれども、軽機械の品質をほんとうに向上するということは、この軽機械を作ります資材、つまり鋼材にいたしましても、特殊なものを持っていかなければならぬ。それは見ただけではわからぬ。しかもこの事業が日本のために将来非常に重要であるというふうな点から考えまして、これにつきましては製作する人の登録をして、その責任を明らかにして、それでなければ輸出しないということにすることが、国の産業を助長する上において最も必要だ、こう存じておるわけであります。また田中委員の御指摘になったごとく、今日の中小企業団体法が強化してくれば、あんなものは作らなくてもいいじゃないか、法の上に新たに法を作って複雑にして、官僚の姥捨山にするというふうなことを言われると、そういうことは過去においてなきにしもあらずと私は存じますけれども、少くともこれによって官僚統制を強化するというものだとは考えておりません。第一に戦前における官僚統制というものは、官僚が独善的にその生産においてもその消費においてもある一つの数字を作って、これに引っぱり込んでいく、これによって統制をしていくということが、非常に民間においておそれられておったのでありますけれども、これからの問題については、業者自体の創意と工夫によって、またその計画によって進むわけでありまして、政府はこれを助長するというだけでありますから、御心配になるようなことはないと思っております。
#37
○田中(武)委員 質問の要点をはずさないようにしていただきたい。私がここでだいぶしゃべりましたが、あなたに質問したのは、この法律は通産省側で見て行政指導上必要として作られたのか、業者のこういう法律を作ってもらいたい、こういう制度がなければわれわれはやっていけないという要請に基いて、検討の結果作られたのか、おそらく両方だと言われると思うのですが、ウエートはどちらが強いのか、こういうことです。
#38
○高碕国務大臣 もちろんこれは両方の意見が一致したわけでありまして、両方ともウエートを持っておりますから、どちらが強いとか弱いとかいうことは申されません。
#39
○田中(武)委員 それでは砕いて参りましょう。最初の予定では、現在表面に出ておりますミシンと双眼鏡、そのほかにトランジスター・ラジオ、こういうことであります。ところがトランジスター・ラジオははずされた。なぜはずされたか。先ほどの局長の御答弁によると、このミシンと双眼鏡の二業界が受け入れの態勢が整ったからだ、その他は整っていない、だからはずした、こういうことになろうと思うのですが、このトランジスターがはずされたいきさつを私が聞いたところでは、大メーカーの反対によってはずされた、こういうことであります。そうすると、大メーカーが反対をした場合は適用をはずした、しからば中小メーカーが反対をした場合はどうするのか、お伺いいたします。
#40
○小出政府委員 今回の軽機械輸出振興法の適用範囲は、別表で具体的に書くわけでございますので、法律を改正しない限りは品目の追加あるいは削除ができないことになっておるわけでございますが、今お話がございましたトランジスター・ラジオにつきましては、御指摘の通り私どもの方におきましても十分研究をいたし問題にいたしまして、実は前国会におきましてこれを提案いたしまするまでの間に、十分業界の実情等につきましても研究、審議をいたしたのでございます。そこで先ほど私が申しましたように、こういうような法律は、今大臣にお答えいただきましたように国家的にも必要であると考え、また業界も十分これに対しての必要性を感じ、みずからこれを運営していこうという意気込みになった情勢のもとにおいてやるのが最も円滑にいくと考えるわけでございます。そこで双眼鏡につきましては先ほど来一応いろいろ御意見もございましたけれども、私どもは十分これは業界として、むしろ業界自身が非常に苦しんだあげく、こういうような改正の必要性を痛感してきたというようないきさつであるように承知しております。トランジスター・ラジオにつきましては実は現在生産も輸出も非常に調子よく伸びておることは御承知の通りでございますが、その業界の内部の事情というものは、双眼鏡やミシンはほとんど九〇%以上が中小企業であり、トランジスター・ラジオの場合におきましては、その間御指摘の通り東芝であるとか、あるいは松下であるとかいうような大企業もこれに関係しておるという点におきましては、その業界の様相は変っております。しかし私どもといたしましては、いずれ輸出面におきまする段階におきまして、海外に対するマーケッティングがさらに必要であるという点につきましては、大体似たような事情になりつつあるのではないかというふうに考えまして、これもこの法律の中に加えるかどうかということにつきまして検討をいたしておったのでございますけれども、今お話のような、業界大メーカーの反対によってこれを取りやめたということでなくて、もう少し業界の実情なりあるいは情勢というものを十分見きわめました上で、この法律に織り込んでもおそくないのではないか、この法律は別表で品目を一つ一つ指定しておりますけれども、言いかえますならば、これはミシンの輸出振興に関する法律、あるいは双眼鏡の輸出振興に関する法律というふうに分けて考えてもいい程度の法律でございます。従いまして一つ一つの業界につきまして十分審査をいたしました上で、業界の大体の総意というもの、あるいは海外に対するマーケッティングがどの程度混乱なりあるいは不利な状況になっておるかという実態がそこまでいきました場合において初めて取り上げる、こういうふうに考えておる次第でございます。従いましてそれがトランジスター・ラジオにつきましてはまだ今日の段階においては、そこまでいかなかったということで、実はこの法律には入れなかった次第でございますが、しかし将来業界の実情がやはりこの法律の意図しておりますことと同じような実情になりました場合には、十分御審議をいただきまして、この法律の中につけ加えるということももちろん可能である、こういうふうに考えております。私どもとしましては、大企業であるとかあるいは中小企業であるとかいうことにかかわりなく、この法律自体は主として中小企業の法律であるという前提が法律の定義の中にもございますけれども、そういうような実態にある限りはこの法律の適用を広げていただきたい、かように考えておる次第でございます。
#41
○田中(武)委員 トランジスターの問題についてはもう少し実情を見きわめた上で考えていく、そして態勢がそこまでいっているとかいっていないとか、こういう御答弁だったのですが、一体態勢がそこまでいくとはどういうことであり、いっていないとはどういうことなんですか。
#42
○小出政府委員 私の表現があるいは非常に悪かったと思うのでありますが、私が申しまする態勢という意味は、この軽機械輸出振興法の制定の趣旨でございまするところの、主として中小企業の製品であり、しかも海外に対してほとんど九〇%以上も輸出になっておる、いわゆる輸出産業であるというふうなものでありながら、しかも輸出貿易がより健全な発展をすることができるにもかかわらず、国内の過当競争なり、あるいは海外に対するマーケッティングが不足のために輸出振興の健全な伸びということに対してきびしい障害になっておる、そういうような事態がそういうような段階まできておるかきていないかという意味であります。
#43
○田中(武)委員 どうも答弁が抽象的であります。そういう段階にきているかきていないかということでございますが、私はよくわかりません。最初予定しておったトランジスター・ラジオをはずす、これは大メーカーの反対であったということを私は聞いております。御承知と思いますが、私もトランジスター・ラジオを作ってこれを輸出しておるところの会社の出身者なんです。現在もちろん休職でございますが、これは大メーカーといえるか、中小じゃないと思うが、まあ中途半端だと思うのです。あまりこれは必要と思っていない。また先ほど来堂森委員からも御指摘がありましたが、双眼鏡関係においては一部だという話だが、相当あるいは半数以上の人がまだ反対をしておる。先ほど局長はむしろ業界から要請があって、これを望んでおる、従って云々と言われたのですが、それならばなぜ――通産省の重工業局の機械課が本年の十二月八日付で軽機械の輸出振興に関する法律についてという。パンフレットを作られ、これを通産省から工業組合を通じて各協同組合に流して大いにPR活動を続けられておる。これはこの法律ができればこれほどいいんだぞ、こういうことの運動というか宣伝をせられておるように思うのです。中小企業団体組織法が作られようとしたときに小売商の人たち、あるいは中小企業の人たちは、はち巻を締めたすきをかけて、早く作ってくれと運動に行った。その人たちはこれができたら自分たちの著しいところはすぐに救われるであろうといったような感じで来たので、さて制定せられて半年余り、一向に効果が上らない。だからこれでまだそれ以上のものをまた作ってくれ、こういうことではなかろうかと思うのです。これはどうかというと私は、こういうことについてあなた方が業界を啓蒙宣伝せられることはいい、それは行政上の指導で必要なことはいいと思うのですけれども、この法律がまだ通りも何もしていない、そのときになぜこういったようなPR活動をせられる必要があるのか、こう考えた場合に、この法律のできていいのはむしろ業界でなくて通産省のお役人ではなかろうか、このような感じを受けるのです。
#44
○小出政府委員 この法律案を作りますにつきまして、トランジスター・ラジオの問題につきましては一応研究の対象にはなりましたけれども、先ほど申し上げましたような傾向で法律案の中には書がない――現在の段階においては書いてないわけでありますが、そこで今具体的に双眼鏡の問題につきましては、一部に反対が、しかもそれはごく最近になって、法律案が国会に提案になりました直前くらいから、そういう反対運動が出てきておるわけでございますが、この法律案自体の問題につきましては先ほど申しましたように、一年ほど前から業界とも御相談をいたし、しばしば業界の御意見も聞き、またわれわれの考え方も申し上げて調整をとってきた、こういうふうに私は承知しておるのでございます。そこで具体的に法律案が提案になりましたので、その法律案について解説みたいなものをいろいろ担当の課の方で、あるいはお配りしたのではないかと考えますが、これは別に政府の方からいわゆる行政指導と申しまするか、誘導をするというような意味でやったものではないと私は了解いたします。結局業界が御承知のように何と申しましても中小企業の方が大部分でございますので、その法律の内容というもの――これは相当法律的にはわかりにくいものでございまするので、それにつきましてわかりやすく解説みたいなものを書いたのではないかと思うのでございまするが、いずれにいたしましても業界の意思というものを十分尊重いたしまして、政府の意図と合致したところで作ったつもりでございます。従いまして将来の運用におきましても、これが官僚統制であるとか、あるいは政府の役人の姥捨山であるとかいうふうなことには絶対にならないように運用をするということは当然であるかのように考えております。
#45
○田中(武)委員 局長、それはかりにそうであったとしても、これをそういうつもりでやりましたとは言えないと思う。だからこのことについては私はこれ以上言いませんが、私が申し上げたいのは、業界の要望があった、それなら業界の要望がなければこれを取りやめるというお気持があるかどうか。
#46
○小出政府委員 私どもは業界の要望というよりも、業界自身が先ほどお話がありました中小企業団体法の運用はもちろんいたして参ったのでございまするし、また輸出組合の活動もいたして参ったのでございまするが、その経験に徴しましても、どうしてもやはりこういうものが必要であるという全体の意思に基きましてわれわれといたしましてもまたかねがね考えておったところと合致した、こういうことでございます。ただ業界の反対がどの程度あるかということの判断につきましては、これは賛成反対ということについての内容につきましても、十分見きわあませんと簡単には申し上げられないこ思いますが、私どもが見ておりまする、あるいは承知いたしておりまする範囲におきましては、もちろんそれは業界の反対が絶無ではございませんけれども、業界全体としてはやはりこういう方向に持っていくことを望んでおる、こういうふうに考えております。
#47
○田中(武)委員 業界の賛成反対が現にあるわけです。そこで全体の意思によって、こう言われておるのですが、全体の意思ではなく、少くとも双眼鏡関係においては賛成反対の両論があるということが現実である。そこで局長はその意思を十分見きわめた上で、こういうことを言われておる、私も同感です。そこで委員長に要望いたしたいのですが、賛成反対の意思を十分に見きわめた上で、われわれはこの、審議をいたしたいと思います。従いまして後ほど理事会において取り上げて御相談をしていただきたいと考えます。賛成反対の両方の代表に出てもらって、十分その立場を聞きましてその意思を見きわめたい、こう思っておりますので、ちょっと委員長のお考えをお伺いいたします。
#48
○長谷川委員長 明朝理事会を開きますから、理事会において御協議をお願いいたします。
#49
○田中(武)委員 そこで今度は少し具体的に入っていきたいと思います。最初申しましたように、この法律は必要か、こういう観点に立って御質問いたしておりますので、この法律は必要であるということを私に十分教えていただきたいと思います。そこでまず最初にお伺いいたしたいのは、前々国会あたりであったと思いますが、機械工業振興臨時措置法、こういう法律ができまして、いわゆる軽機械工業の振興をやる、しかもこの目的は輸出振興のためである、そうして十八種だったと思いますが指定になった。その指定の中にミシン及び双眼鏡も入っておったと思います。この法律によりましていわゆる合理化計画が立てられて進められておる。ところが今日出されておるこの輸出振興法の中にも技術の指導とかあるいは向上とかということがうたわれておるのですが、まず機械工業振興臨時措置法と本法との関係、すなわち機械工業振興臨時措置法ではこういうことができないので、この法律であればこういうことができるのだという点を明らかにしていただきたいと思います。
#50
○小出政府委員 御承知のように機械工業の振興に関する措置法におきましては、この機械工業振興法に定められておりまするいわゆる特定の品種につきまして、開発銀行によりますところの特別融資、つまり開銀の特別金利を適用して、安い金利でその設備資金等を融資をするということがこの振興法の主眼でございます。また現にミシンにつきまして、あるいは時計につきましても、そういう意味におきまして機械工業振興法で運用しております。ただこの機械工業振興法におきましては、そういった点が主眼でございまして、この法律にございまするような業界の秩序を確立するための登録制度でありますとか、あるいは直接海外の輸出振興業務を行いまする組織を作るというような点につきましては、機械工業振興臨時措置法においてはこれをカバーできないという関係になっておりまするので、機械工業振興臨時措置法と本法との関係は、おのずからそこに目的なり内容が違っておる、こういうことでございます。
#51
○田中(武)委員 機械工業の振興措置法によりますと、合理化計画を立てていくということになっております。この合理化計画と本法におけるいわゆる登録の基準ということについて何か関係ありますか。
#52
○小出政府委員 機械工業振興臨時措置法におきましては、それぞれの業種につきまして合理化計画を立てさせまして、その合理化計画に基いていろいろ設備を近代化してやっていくということがその基本になっております。こちらの今提案されておりまする軽機械輸出振興法案におきましては、もちろん品質の向上ということがこの登録制度の一つのねらいでございまするので、その場合の登録の基準というものは、やはり今の合理化計画の線と相関連して登録の基準の必要な設備なり検査設備というものをきめていくことになろうかと思います。
#53
○田中(武)委員 本法の一つのねらいである品質の向上、この点については機械工業振興法の合理化計画と、それから本法の登録の基準とについては関連性があるということです。そうすると品質の向上、たとえばミシンとか双眼鏡の品質の向上というこの法案のねらいであるその点だけを取り上げた場合、機械工業振興臨時措置法ではやれないのかどうか。
#54
○小出政府委員 品質の向上という目的は、合理化の一つの態様と申しますか、内容の一つであるという意味においてはもちろん関連がございますけれども、その品質の向上をはかるという目的のもとにこの法律においてやりますることは、結局登録制度というものの一つのねらいがそこにあるということでございますので、言いかえまするならば、登録制度というものが機械工業振興臨時措置法ではやれない。そういった業界の秩序の確立と申しますか、あるいは組織というようなもの、こういう問題まではその法律の体制から申しますると、ちょっと限界があるのではないか、かように考えますので、おのずから目的においては相関連がございましても、内容は違うのではないか、かように考えます。
#55
○田中(武)委員 ただいまの御答弁によると結局機械工業の振興法によってはできない、すなわち登録がねらいであるということが明らかになりました。それでもう一つ、品質向上と関連してですが、輸出製品の検査の問題、検査を厳格にしていいものを出そうという、ところが私の聞いているところでは日本の双眼鏡の輸出しているものの大部分がアメリカに行っている。アメリカ側に立ってこの輸入する双眼鏡を見ました場合に、日本製品が九〇%か九一%だという。このことは値段が安いということもあろうと思う。しかし相当品質がいい、技術がいいということを裏づけているのではなかろうかと思う。しかしながら輸出するに当ってよりよきものを作っていくということは必要ですから、品質の向上、検査の厳格は必要だと思います。それならば現在ありますところの輸出検査法ですか、この規定によってその目的が達せられないのか。
#56
○小出政府委員 登録制度のねらいであります品質向上ということに関連いたしまして、ほとんど大部分が輸出品であり、しかもアメリカにおいてはアメリカか輸入しております商品の九割が日本の商品であるという意味において、もう十分これは品質も向上しておるということも考えられるのでございますけれども、これに関連いたしまして、輸出検査制度というものの運用ではやれないのかというお話でございますが、確かに輸出検査制度の持っております役割というものはあるわけでございますが、輸出検査制度のねらいというものは、悪い製品と申しますか、粗悪品は海外に輸出しないという、逆の、いわば消極的な品質維持の手段というふうに考えられるわけでございます。のみならず、この輸出検査というものは全部の商品について、こういった大量に出ます物について手が届かないという面がございますので、悪い物を生産しないことはもちろんでございますけれども、さらに積極的に輸出品としてふさわしい品質、性能の製品を製造し得るような生産態勢を確立していくという積極的な意味におきましては、やはりどうしても検査制度だけでは不十分である、かように考えるわけであります。
#57
○田中(武)委員 現在の輸出検査法だけでは十分な検査ができない、こういうことでございますね。私はこの法律のねらいのうちの検査の件だけを抜き出しているんですよ。できませんか。
#58
○小出政府委員 輸出検査法によって検査ができないというのではなくて……。
#59
○田中(武)委員 検査という点についての目的は達せられませんか。
#60
○小出政府委員 検査という点についてはもちろん検査制度で十分でございますけれども、品質を向上してよりよき製品を出すというのには検査制度だけでは不十分である、こういうことでございます。
#61
○田中(武)委員 品質の向上については機械工業振興措置法によってできるじゃないか、検査の方は輸出入検査法でできる、できないのは登録だ、こういうことなんです。
 そこで登録についてお伺いいたします。先ほども言われましたが、今度政府は輸出入取引法を改正しよう、これも大幅の改正で、取引制度の改正というよりか、輸出秩序確立といったところのねらいの法律を出されようとしている。これは今出されておりませんが、これが通った――簡単に通るかどうか、通ったと仮定いたしましょう。登録というもののねらいは過当競争の排除、こういうことだと思うのです。それなら、先ほど来問題になっておりますが、中小企業団体法五十六条ないし八条の規定による規制、この上になおかつ過当競争を排除するため、こういうことで輸出入取引法を大幅に変えようとしておる。にかかわらず、なおかつ登録という方法をとらなければ、過当競争は、なぜこれらの業界において排除できないのか、お伺いいたします。
#62
○小出政府委員 輸出入取引法及び中小企業団体法との関連の問題でございますが、輸出入取引法をただいま改正しようとしておりますねらいも、やはり輸出入取引関係の秩序の確立ということにあるわけでございます。従ってこれは輸出入取引の面における秩序の確立でございまして、この軽機械の輸出振興法のねらいとしております登録制度というものは、生産面におきまする業界の態勢の確立ということでございまして、その点につきましては輸出入取引法だけでは十分目的を達せられない、かように考えるわけであります。それから御指摘の通り中小企業団体法の五十八条でございますか、その命令によりまして設備の制限もできるわけであります。あるいは場合によりましては新規業者の抑制もできるわけでございますけれども、これは設備の制限ということが主体でございまして、先ほど来申し上げましたように、双眼鏡であるとか、ミシンというようなものは、大体ほとんど設備らしい設備がなくて、特に双眼鏡等に至りましては非常に簡単な設備でやれる。むしろ手で加工するアッセンブル、組み立てが中心である。設備制限という中小企業団体法の運用のみでは不十分である、かように考えまして、直接の登録制、こういうことの必要が出てくるのではないか、かように考えます。
#63
○田中(武)委員 登録制をとること自体が目的なのかどうか。私は登録制をとるということは過当競争を排除していくために必要である、こういうことだと思うのです。それならば輸出入取引法をすでに改正しようとされておる。しかも御承知のようにこれはただ輸出の面だけではなくして、輸出品である限りこれは材料に至るまで協定ができるようにあなた方は変えようとしております。あなたのあれじゃないが、大臣は同じ管轄だと思う。変えようとしておる。それならば今あなたが言われた輸出入取引法だけでは、やはり輸出といっても向う側の面だけであって、生産面の方は云々と言われておるが、これが改正になれば生産面においてもカルテルを結べるように変えようとしておるのじゃないですか。しかも中小企業団体組織法が通ったのはいつか。施行されたのはことしの四月なんですよ。まだ半年余りしかたっておりません。私はミシンの工業組合、あるいは双眼鏡の工業組合すなわち団体組織法による工業組合ができたのはいつか知りません。一体、これが発足して何カ月になりますか。その工業組合がほんとうに工業組合としての仕事をやっていた、機能を発揮した。だがなおかつやれないから、もう少し強い登録制が必要であるというならばともかく、出発してまだ数ヵ月もたたないこれらの業界の工業組合が、一体中小企業団体組織法の精神にのっとるところの機能をどれだけ発揮したかということを見きわめられたかどうかお伺いいたします。
#64
○小出政府委員 中小企業団体法及び輸出入取引法の関連の重ねての御質問でございまするが、もちろん中小企業団体法に基きまして工業組合による出荷数量の制限なり、あるいは輸出組合による価格協定なりということを従来から業界においては自主的に運用して参ったわけでございまして、やはりそれらの経験というものに基きまして今回の業界からの要望というものを出されたというふうに私どもは承知いたしておるわけでございます。従いまして先ほども申しました登録制というようなものは中小企業団体法の五十八条の設備制限というものが、こういったいわゆるアッセンブル業界、組み立て業界の形を変えたものが登録制だ、こういうふうに考えてもいいのじゃないか。従いまして中小企業団体法の設備だけを抑えたのでは、ほとんど中核になる設備がない、従って設備だけを押えたのでは全然中小企業団体法の意図しておりますところの目的も達せられないというのが、この業界の特別な事情でございます。従いましてこういう組み立てを中心とした業界といたしましては、やはり登録制というような形におきまして運用していくのがいいのじゃないか。それから輸出入取引法との関係につきましては、先ほども申しました通り輸出入取引の秩序の確立ということが輸出入取引法の改正の主たるねらいでございまして、法律の趣旨なり内容等から見ますれば、やはりこういった業界自体の生産内部における過当競争の秩序の確立、それから海外に対する広報宣伝を一手に行うための組織の確立という面につきましては、輸出入取引法の改正ではカバーできないのではないか、かように考えるわけでございます。
#65
○田中(武)委員 アッセンブル・メーカー、いわゆる組み立てメーカーは、これは設備を持たぬから云々と言われましたが、団体法による規制はいわゆる協定ですね。これは何も設備だけではございませんよ、すべての面でできますよ。それでもなお必要ですか。
#66
○小出政府委員 団体法によりまする規制と申しまするのは、もちろん団体法の運用によりましてはいろいろ出荷数量の協定であるとか、あるいは価格の協定とか、カルテル的な活動は相当にできるわけでございまして、またアウトサイダーに対する規制というものも、やはり設備の制限ということに関する命令が出ました場合においてはできるわけでございますけれども、先ほども申しましたように中核になる設備さえ押えれば企業全体が押えられるという態勢のものでないところに、アッセンブル業というものの特色があるわけでございますので、それはやはり登録制度の運用によっていくのが一番合理的じゃなかろうか。それからこの登録制度によりまして、場合によっては登録の停止というところまでいきますけれども、それは結局は現存の企業というものを保護育成していく、そして新たなる企業がそこに続出して非常に力の弱いものが、わずかな生産数量を分け合うということにならないように、秩序を確立していくのかねらいでございますので、そういう趣旨で運用していけば円滑にいくのじゃないか、かように考えます。
#67
○田中(武)委員 私は団体法による協定に基いてできると思うのです。やってみましたか。やらしてみましたか。一体工業組合ができて何ヵ月になります。その間にどういう失敗がありましたか、明らかにして下さい。
#68
○小出政府委員 お話の通り従来、工業組合を設立いたしました。これは中小企業団体法の成立以前から業界としては組合組織があったわけでありますが、それが団体法の組織に乗りかわりまして運営をして参って……(田中(武)委員「その間何ヵ月になりますか、何をやったか」と呼ぶ)数量統制を始めまして大体三年くらいになります。(田中(武)委員「団体法に基いてだ」と呼ぶ)団体法に基きます工業組合に切りかえましたのは、もちろん本年の四月からでございます。しかし組合組織によりまして数量の調整というようなことは相当長い間、先ほど申しましたように三年くらいやっております。この生産ワクの調整その他の経験に基きまして、どうも今のままではうまくいかない。うまくいかないと申しますのは輸出振興という見地から見まして、どうも不十分であるということが経験上得られた。こういうことに了解いたしております。
#69
○田中(武)委員 まだ半年やそこらで、どれだけのことをやったのか私は知りませんが、従来の経験上といったって、三年前の問題は、団体法がなかった。団体法ができてその強いカルテル、こういうものが使えるようになって後、やってみて、業未界も芸労した、また通産省としてもいろいろの面から指導もした、てこも入れた、だがしかしやれない、ほうっておくなら業界は倒れてしまうということなら、私は必要だと思うのです。幸か不幸か、現在双眼鏡メーカーでは若干よくなっている。これならもう少し、せっかくてんやわんやで作った中小企業団体組織法の効果を見られたらどうですか。大臣がちょっとさびしそうですから大臣に質問しますが、大臣どうなんですか。先ほど一私が申しましたように、「知者は法を一変せずして治む」というでしょう。なるべく法律というものはごてごて作らぬ方が利口なんです。少くとも岸内閣における最大の知者としての通産大臣が、――去年作った法律の発効を見てまだ半年もたっていないのだ。一ぺんやらしてみて、それでもどうでも工合が悪い、こういう点をはっきりして、この点がいけないのだと言われたら、いかに野党の社会党といえども双手を上げて賛成しますよ。だがしかし、現在のこんなことでは何と言われても賛成できない。もう一ぺんやらしたら、どうですか。せっかく作った法律ですよ。朝令暮改と言われる。作ってみて半年も経過を見なくて、直ちにその除外例を作っていく、こういうやり方は果して政治、家として、あるいはりっぱな内閣と言えますか。
#70
○高碕国務大臣 軽機械は先刻申し上げましたように、輸出産業の製品としても非常に重要であることはあるわけでありますから、団体法によるあの適用は十分これをやりまして、それと相並行してさらにもっと手厚い方法を講じたい。これが今日の軽機械の輸出の振興に関する法律案でございます。決してこれは朝令暮改でもなければ、団体法のやり方を変えるわけでもありません。それば相並行して進むわけでありますから、御心配のようなことはないと思います。
#71
○田中(武)委員 心配なんだよ。やらしてからその結果をしばらく見る。しかも緊急やむを得ない事態が発生しているならともかく、現在そういう事態は発生していない。だからもう半年ぐらい様子を見たらどうです。私は率直に申し上げます。団体法でやれないのは何がやれないのか。これは、少くとも自主的に調整規定を作る。もちろんこれを作るのには通産省が相当てこを入れられることはわかりますが、登録制度とこれとの違いはどこが違うかというと、まず登録の停止がこの法律によってできでる。もう一つは登録基準、これをあなた方は握るのだ。基準は省令なんだから自由に変えられる。これを変えていくことによって――あなたは現在のやつは全部登録するように考えておられるようだが、半年か一年したらこれを上げる。そうすると下の層の人、いわゆるボーター・ラインの人は落ちる。またこれを上げていくと落ちる。こういうことになる。業界に対する生殺与奪の権利を通産省の役人が握るという違いだけなんです。いかがですか。
#72
○小出政府委員 今大臣からお答えになりましたことで要点は尽きていると思いますが、中小企業団体法との関係は、中小企業団体法を朝令暮改してこれに改めるというのではなくして、中小企業団体法の運用は従来遮り組合活動をやっていただきます。中小企業団体法とこの法規は全然ねらいが違うわけでございまして、この法律は従来の組合によりますところの調整活動、出荷制限、価格制限、販売方法の制限というふうな調整活動のみでは不十分であって、さらに海外に対するマーケット活動というような業務について新たなる組織を作るということか、一つの大きなねらいでございます。
 それから登録制度と中小企業団体法との関係でございますが、これの違います点は、中小企業団体法においては設備制限はできますけれども、直接に企業の登録制度と申しますか、企業自体の新たなる発生を抑制するということはできないわけでございます。従いまして設備制限と同じような目的を達するためには、組み立て業界においては登録制度の運用ということしかないであろう、こういうふうに考えたわけでございます。
#73
○田中(武)委員 いわゆる登録制度と団体組織法との違いは、新たに発生するものを押えることができるかできないかとの違いである、こういうことなんですね。新たに発生するものに対してなぜそんなに抑える必要があるか、過当競争の排除だとおっしゃるなら、一方でいわゆる調整によっていろいろなことをやり、しかもアウトサイダー的規制もいたされるのだ、それならそんなに発生はしないと思う。この発生を防ぐということが、――私ははっきり申しまして、今まで双眼鋭、ミシンなんかはそう大して大メーカーは考えていなかった。ここまで輸出が振興したのは中小企業、零細企業の営々たる努力の結果であると思う。しかしだいぶ質もよくなった。これなら一つ大資本が乗り出してきて、ここで大きくやろうというので大資本が双眼鏡、ミシン等を作って、大々的に海外に出ていくということをとめるということなら話はわかる。たとえばトランジスター・ラジオなんか、そういう面があるわけです。そういう意味で中小企業保護というなら話はわかるが、そうでないなら私が言っている生殺与奪の権をあなた方が握るという効果しかないと、私はこのように思うわけです。
#74
○小出政府委員 新たなる業者の発生を抑制するということは、中小企業団体法においても一つのねらいとしてやっているわけでございます。その方法が中小企業団体法によりましては、設備制限という方法でございます。設備さえ押えてしまえば企業、営業はできないわけでございますので、事実上企業の発生を押えることができる、しかるに組み立て業界におきましては、設備制限という中小企業団体法と同じねらいを達成することができない。従って登録制度ということによって、やろうということで、中小企業団体法以上のことを、これでやるというわけではないのでございます。従いまして、そういう意味において、中小企業団体法の特定の条文が、形が変ったもの、こういうふうにむしろ御了解いただいた方がいいのじゃないか、かように考えるわけでございます。
#75
○田中(武)委員 どうも私はわからぬ。いわゆるアッセンブル・メーカーは設備を持たないからというのですが、無から有を生じるわけじゃないのです。いわゆるパート・メーカーから部品を持ってきてやるのですよ。そうして一方の部品を統制すれば、組み立てようとも組み立てられないじゃないですか。いかかでしょうか。
#76
○小出政府委員 部品のほうにつきましては、もちろんこれは設備を必要といたしまするものが相当あるわけでありまして、これにつきましては、団体法の規制により目的を達することができると思います。組み立て業界につきましては、もちろん設備がないわけではございませんけれども、その設備さえ押さえればもう営業できぬという、いわゆる中核になる設備というものはございません。従いましてこういった登録制度ということによってやるわけでございます。
 それから先ほど大企業の進出という話がございましたけれども、おそらくこういった双眼鏡というようなものにつきましては、これは中小企業にこそ最も適したものでありまして、大企業の進出炭によってだんだん中小企業が圧迫されるというような事態は、それほど心配する必要はないのではないか。それから登録基準の問題につきましては、もちろん最初、結局全体が品質の向上ということがねらいでございまするので、既存の業者が大体救えるように登録基準を最低の線には押えまするけれども、漸次基準を高めると申しまするか、やはり品質向上というねらいを達成いたしまするためには、漸次基準の高度化されるということはやむつを得ないかと思いますけれども、もちろんそれは通産省において全く恣意的に、一方的に、官僚統制的にそういうふうなことをやるという考えは毛頭持っておりません。十分業界の生産の伸展とにらみ合せまして、逐次これを行なっていく、こういうふうに考えております。
#77
○田中(武)委員 私は、この法律が出た以上、何とか大義名分を探すために、むしろ新たなる業者の発生を防ぐということが、いろいろ双眼鏡、ミシンあるいは時計、トランジスター・ラジオ等々、こういうのは中小企業が長年営々として海外輸出の方へ向っていた。そのころは大企業はあまりそんなことには関心を持たない。だがしかし相当これならいけるというような見通しがついてきた。そこで大資本がばっと乗り出してきてやろうとすることに対する登録制度によって、中小企業を防ぐんだということならば、この法律について若干の、われわれとして良心的な了解がいくわけなんです。ところが今言われるようだったら、全然逆なんです。すでに時計がそうじゃないですか。大資本が乗り出してきてやろうとしている。トランジスター、だって、入れようとして入れなかったのは、そういう面があるのですよ。そういうことになると、私はあなたと全然考え方が違う。
 そこでもう少し方面を変えていきたいと思う。この法律をあなた方が作られようとしたときのヒントは、どういうところにあるのかというと、そうであると言われるか言われないか知りませんが、スイスの時計工業維持管理法という法律によってやったと思います。ところがこの法律で見ました場合によほど強い統制をやっておりますが、しかし二面民主的な面が入っておる。すなわち実施に当って労働組合の要求があった場合には輸出制限等を実施することができるというような規定もある。あるいはそれに対する労働者の賃金についていろいろの規定を設けておる。あるいは家内労働についての規制と賃金やそういったものの保護、そういうものを設けておる。ところがあなた方がかりにこのスイスの時計工業維持管理法を手本としてやられたとするならば、御都合の悪いところを全部捨ててしまって、あなた方に御都合のついいところだけとておるのではなかろうと思いますが、いかがですか。
#78
○小出政府委員 御指摘のスイスの時計工業維持管理法、スイスにおきましては申すまでもなく時計は最大の輸出品でございますが、これにつきまして海外のマーケッティングをやるために業界として単一のスイスの時計の団体というものを作っているという点につきましては、ちょうど輸出振興協会と同じような格好になっておりますが、私どもはこの法案を、立案するにつきましては、スイスにおいてやっておりますような海外の広報活動の必要性は全く同一の必要性があるということは認識いたしますけれども、スイスの時計工業維持管理法を、手本にして都合のいいところだけとったという経過は全然ございません。
#79
○田中(武)委員 私はどうもそう思うのですよ。そうして当局が外国のいい法律なんか、あなた方に都合のいいものがあればそれを取り入れる。これだからこう言うのです。ところが一面の方は捨ててしまう。そこに私が岸内閣の反動性と言うゆえんがあるわけだ。どうなんです。はっきり言ってごらんなさいよ。
#80
○小出政府委員 重ねてお答え申し上げますが、今のスイスの法律を参考にしてその中で取捨選択をしたというような法律ではありません。日本独自の立場でやった法律でございます。
#81
○田中(武)委員 ちょっと委員長に……。私はまだあと相当質問があるわけです。時間の都合もあります。何か陳情もあるそうですが、適当に取り計らい願いたいと思います。
#82
○長谷川委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#83
○長谷川委員長 速記を始めて。
#84
○田中(武)委員 質問を続けます。本法のねらいは登録制度といわゆる事業協会である、こういうことで私はまだ納得いきませんが、しかし登録制度については若干の話を聞きましたので、一方の方に移りたいと思いますが、この事業協会がする仕事を四つばかりあげておりますか、これもこの法律がなければできないという性格のものではなかろうと思うのですか、いかがでしょうか。
#85
○小出政府委員 この輸出振興事業協会の業務内容につきましては、主として海外市場調査とかあるいはPR、アフター・サービス、品質改善のための調査、試験、研究というようなことでございます。こういった海外に対して業界全体か一つにまとまりまして、単一の組織をもって広報活動、調査活動をやるという組織はございませんので、やはりこういった組織を作りますために、またそれが業界全体の負担によりまする経費に基きまして運営されますというような特殊な組織でもございますので、やはり既存の組織のみでは不十分であるということで、新たなる法律上の組織を必要とするのではないか、かように考えております。
#86
○田中(武)委員 事業協会のやることは法四十六条に列記してありますが、まずその第一号につきましては、これはあとの条文によってジェトロに委託することになっておるわけです。そうすれ、ばこの法律があってもなくても、あなたがおっしゃるように業界一体となっての宣伝調査というようなことは、ジェトロ委託の方法を、現在の振興会等の組織を通じてやれると思うのですが、いかがですか。
#87
○小出政府委員 輸出振興事業協会の業務の内容につきましては、今お話の通り実態といたしましては、調査の実務をジェトロに委託して行うというような格好、またその他の実務も大体ジェトロに委託するわけでございますが、それではどうしてこういうふうな組織が必要であるかということにつきましては、一つは国内的に単一のそういった組織を作るということと、それからこの協会は、あとの条文にもありまするように、負担金というような制度がございまして、軽機械の輸出向けの出荷数量に応じまして一定の割合で負担金を徴収し、業界全体が公平な負担をいたしまして、そうして全体のためにマーケッティングをやってもらう、こういうふうな組織でございますので、そういう意味におきまして、やはり法律上の規定を必要とする、かように考えております。
#88
○田中(武)委員 私がこれを各号ずっと見まして、今までにある法律あるいは制度によってできるものとできないものとに分けていきますと、負担金の徴収だけができないということになるのです。そのほかは全部できるのです。私が質問しているうちに、最後に負担金にいこうと思っていたら、あなたは語るに落ちてそこまでこられたのでそこへ飛びますが、それ以外は全部できることになると思いますが、いかがでしょうか。そうしたら負担金を取るための事業協会であるといわなければなりませんが、いかがでしょうか。
#89
○小出政府委員 輸出振興事業協会を法律上の特殊法人として規定をしなければならないのは、確かに御指摘の通り負担金という新しい制度があるということに基くのでございます。しかしながら負担金を取ることが目的ではございませんで、振興事業協会の目的は海外のマーケッティングを業界全体がやる、そのためにはやはりみんなが公平に負担する、みんな平等に負担してやるのだ、こういう態勢で参りませんと、特に中小企業の団体でございますので、とかく問題が起りやすく、また熱も入らないというのが実情でございますので、やむを得ず、こういう負担金というような形のものにいたしたのでございます。その結果といたしまして、法律上の特殊法人にせざるを得ない、こういうことであります。
#90
○田中(武)委員 ちょっと大臣にお伺いします。今、負担金のことが問題になっておりますので、ついでにこの際大臣にお考えをただしておきたいと思いますが、現在すでに何とか工業会、何とか協会、何とか振興会とか、いろいろ業界の上にはたくさん機構かあるわけです。ミシン業界を例にとってみましたならば、ミシン協会というのがあります。それからミシンの輸出組合というのがあります。それからミシンの工業組合、これは中小企業団体法によるものだと思います。そこへもってきてミシンの検査協会というのがある。この四つがある。これには事務費を一台百五十円ずつ取られておる。それから双眼鏡に例をとりましたならば、はっきりした資料はちょっとありませんが、現在ある振興会、振興会社ですか、これが一台百六円取っておるのです。そのうちの半数がそこの事務費に使われておる、こういうことなんです。この上にもってきてまたこういった協会を作って、そうして負担金を取る。中小企業を救うのだと言いながら、その中小企業からいろいろな名目によって金を取り上げる。それによって事務費と称し管理費と称して食っていく人間が、より多くできていくということです。そういう政治が果していいか悪いか、大臣いかがお考えですか。
#91
○高碕国務大臣 そういうことは業者自身が決定すべき問題でありますから、今回のこの法律のごときも業者自身が決定するわけでありますから、それに対して政府は調整するというだけのことでありまして、業者の意向を十分尊重しておるわけでありますから、業者がこういうふうなものに金を出してはつまらぬということなら、自分で考えればよいと思います。
#92
○田中(武)委員 業者はつまらぬと言うているのですよ。何ならここへ参考人を呼んできて、十分つまらぬということを聞いていただこうと思います。ミシンを例にとれば四つの団体がある、そこへこれができれば五つになるのです。これができたならば他のものは整理するのですか。いかがですか。これはもちろん業界がやることですが、通産省としては指導的な面でどうお考えになりますか。
#93
○小出政府委員 お話の通り、中小企業に限らず業界にはいろいろな法律に基くもの、あるいは単なる懇談会式のもの、いろいろな団体がございまして、二重三重に会費その他を取られて、その負担だけでも相当なものになっているという実情は私どももよく承知しております。ただ今回の輸出振興事業協会というのは業会全体が平等な負担をいたしますので、大体この負担金は輸出出荷価格の一%程度を考えておりまして、このもの自体ば大したものではない、だからこそ業界としても賛成していただいているわけでございます。しかしながらこういうものができました場合におきまして、既存のいろいろな大小さまざまの団体的なものをどうするかということでございますが、これは通産省といたしましても重複するようなものはできるだけ整理していきたい。ただ御承知のように法律に基かないものが大部分でございます。そういうようなものは行政指導によってやらざるを得ないのでございますが、さしあたりわれわれの方で手が届くというようなものにつきましては、すみやかに協会の方に吸収してしまう、例をあげますと双眼鏡の開放研究所というようなものがございますけれども、そういうようないろいろな組織はできるだけすっきりした形で持っていきたい、かように考えております。
#94
○田中(武)委員 たとえばミシンでも今四つあります。これで協会に吸収していただく可能性のあるものはどれになりますか。
#95
○小出政府委員 今ミシン関係で、この輸出振興事業協会と目的も違うし、また法律的な根拠のありまするようなものにきましては、これは一緒にできないと思います。たとえば工業組合、これは中小企業団体法に基きます組織で、別個に活動しております。それから検査協会、これもまた輸出検査ということで別に活動しております。そういうものは吸収できないし、それぞれ存在の意義があると思います。他の団体につきましては、これはよく業界とも相談しまして、重複をできるだけ避けるように持っていきたい、かように考えております。
#96
○田中(武)委員 大臣にお伺いします。ミシンだけを例にとっても私が現在調べたところでも四つあります。それは今局長の言われるように全部一つ一つ法律にのっとって作られているわけです。先ほどから私が言っておるのは、法律の上に法律を作っていく、屋上屋を架するものである、それがこういう面にも出てくるのです。たとえば検査協会というのは輸出入検査法によって作られておる。工業組合は中小企業団体法によって作られておる。輸出入組合は輸出入取引法によって作られておる、そういうようになるわけです。そこへもってきてこの事業協会を作る、こういうことなんです。そんなに多くのそういう協会とか組合とかいうものが必要なのかどうか。ということは、つまらぬ法律をどんどん作るから、そういうものを作らなければならぬということになる。輸出を振興することについて、なぜそんなに二重、三重に法律を作る必要があるのか。現に作った法律の效果を見てからやってもいいのじゃないか、こう言っていることが、大臣わからぬでしょうか。
#97
○高碕国務大臣 目的を同じゅうするような組合、あるいは協会というものをたくさん作る必要は全然ないわけだと私は存じておりますから、従いまして、目的の出遅ったものについては、いずれが重要であるかということになり、またこれは統合し得るものならば十分統合して、その経費を節約するということは必要だと私は考えます。
#98
○田中(武)委員 自的を同じゅうする法律がたくさんできておるから言うておるわけです。この法律の提出理由は、いわゆる軽機械の現在のミシン、双眼鏡の輸出振興にあり、そのためには過当競争を排除して品質向上をやるのだ、こういうのです。先ほど言っておった機械工業振興措置法も、そういう名において提出せられました。団体法も、過当競争排除という名において提出せられました。今から提出せられようとしておるところの輸出入区取引法改正も、同じ目的の名において提出されようとしておる。検査を厳格にすることによってよりよきものを出す、これはすなわち輸出振興だ、これは検査法改正のときの提案理由でございました。同じ目的でそんなによけい法律が要りますか。大臣いかがです。
#99
○高碕国務大臣 商品の種類によりまして、やはりいろいろな種類があるものでありますから、特にこの軽機械のごときは、その製造の方法等につきましても、アッセンブルが多いとか、あるいはその製品の品質につきましても、簡単に検査をすることは困難だと思う。むしろその生産者の責任を明らかにするということの方かいい。いろいろな種類によりまして違うわけでありますから、そういう意味がら申しまして、軽機械の重要性を考え、それからその現在の製作工程等を考え、将来の事業の発展等を考えますと、どうしてもやっぱり今日のこの輸出振興に対する法律が必要だと私は信じております。ただし、過去のものにつきまして、これがダブるというふうなことのために、業者の負担が多いというふうなことにつきましては、十分検討を加えて、整理すべきものは整理をしたいと存じております。
#100
○田中(武)委員 どうも同じ目的のためにいろついろな法律が出てくるということ、これは失礼な言い方ですが、通産省内における意思統一ができていない、各局々々のそれぞれの部門におけるなわ張り争いがある、セクト主義が流れておる。そういうことで中小企業庁からはそういう面から立った団体法ができておる、通商局の面からは同じ目的のために輸出入一取引法、検査法が出ておる。あなたの重工業局からはこういうのが出てくる、それに対してはっきりと中心を握って指導し、一貫したところの施策を与えられるのが大臣です。ところがそれができていないからばらばらになる。その証拠にたとえばミシンの問題についても、今大臣はこういうことは絶対必要であり、これはぜひ通さなければならぬとおっしゃっておる、これは臨時国会が普通であったら通っておったかもわからぬ。そういうときにいわゆるミシンの輸出に関連しても、すでにメーカー側のところのワクがある。ところが通商局側が商社ワクを作るといっておる、そういうことでミシンのメーカーと、それから輸出業者との間にテンヤワンヤをやっておる、片や通商局、片や重工業局でやっておるでしょう。この法律が通れば商社ワクを作っても何にもならない。この法律を現に通産省が立案し、出されておるときにこういうことが争われておる。こういうことを見ても各局各局が勝手気ままなことをやっておる証拠です。そういうふうにお思いになりませんか、いかがでしょうか。
#101
○高碕国務大臣 各局は、各局の仕事に熱心のあまり自分の所管を主張するということは当然だと思います。しかし通産省といたしましてはその各局の主張を統制いたしまして、これが必要だというものについては十分これを出し、ダブるというものについては十分整理したいという方針で進みたいと思っております。
#102
○田中(武)委員 私は、今度出されようとしておるところの輸出入、取引法の改正と、これと同じ思想の上に立っておると思う。従いましてこれだけ先にやっていってもこっちがわからぬ、大臣がそうおっしゃるなら、できるならば一緒に並べてやってもいいのじゃないかと思うのです。
 まだいろいろ質問したいし、残っておるのですが、一時ということですから、きょうはこの程度でおきたいと思います。詳細な点についてはあとでまた質問いたします機会を与えていただきますように委員長にお願いしておきまして、一応きょうは終ります。
#103
○長谷川委員長 本日はこれにて散会いたします。
 次会は明日午前九時四十分より理事会、午前十時より委員会を開会いたします。
    午後零時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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