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1958/03/24 第31回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第031回国会 建設委員会 第21号
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1958/03/24 第31回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第031回国会 建設委員会 第21号

#1
第031回国会 建設委員会 第21号
昭和三十四年三月二十四日(火曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 堀川 恭平君
   理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君
   理事 瀬戸山三男君 理事 二階堂 進君
   理事 南  好雄君 理事 中島  巖君
      逢澤  寛君    井原 岸高君
      川崎末五郎君    島村 一郎君
      砂原  格君    田中 角榮君
      橋本 正之君    服部 安司君
      村瀬 宣親君    兒玉 末男君
      島上善五郎君    塚本 三郎君
      武藤 武雄君
 出席国務大臣
        建 設 大 臣 遠藤 三郎君
 出席政府委員
        法制局参事官
        (第二部長)  野木 新一君
        建設政務次官  徳安 實藏君
        建設事務官
        (大臣官房長) 鬼丸 勝之君
        建設事務官
        (計画局長)  美馬 郁夫君
        建 設 技 官
        (住宅局長)  稗田  治君
 委員外の出席者
        専  門  員 山口 乾治君
    ―――――――――――――
三月二十日
 公営住宅法の一部を改正する法律案反対に関す
 る請願(中村高一君紹介)(第二六六一号)
 古川筋上部の高速道路計画反対に関する請願(
 原彪君紹介)(第二六六二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公営住宅法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一二二号)
 土地区画整理法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一四六号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○堀川委員長 これより会議を開きます。
 土地区画整理法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。この際美馬計画局長より発言を求められております。これを許すことにいたします。美馬計画局長。
#3
○美馬政府委員 お手元にお配りしてあります法律案要綱につきまして、御説明いたします。
 最初が宅地の立体化、これは法律案の方で申しますと九十三条になります。
 建設大臣、都道府県知事及び市町村長並びに都道府県及び市町村である施行者は、市街地における土地の利用の高度化を促進し、及び災害を防止するため特に必要がある場合においては、建築基準法による防火地域内で、かつ高度地区内にある宅地について、土地区画整理審議会の同意を得て宅地の立体換地を行うことができるものとする。
 この内容を御説明いたします。
 第九十三条は、宅地の立体化についての規定でありますが、これが通常立体換地といわれている制度でございます。立体換地と申しますのは、一般の土地区画整理事業の平面換地に対するものでありまして、平面換地は従前の土地に照応する土地を換地として与えるのが原則でありますが、立体換地の場合は、従前の土地のかわりに、その土地と同等の価値を持つ建築物の一部とその土地の共有持分を与えるのであります。土地のかわりに与える建築物でありますから、その建築物は耐火構造でなければならないこととされており、また立体換地を拒む者には金銭清算の道が開かれているのであります。立体換地の必要があるのは、市街地の密集部分で平面換地の余裕がなく、しかもその地域が将来高度利用を必要とするような場合であります。
 しかしながら、このような立体換地の制度は、現在面積の小さな宅地を整理する場合と権利者の同意がある場合とだけに限られておりまして、密集市街地を都市計画上土地の高度利用の必要、災害防止のための必要等の公共的見地から全面的に立体換地を行う必要がある場合には認められていないので、この制度の運営が現在では困難なのであります。従いまして、今回、第九十三条に第二項を設け、市街地における土地の合理的利用と災害防止のため特に必要がある場合においては、防火地域であって高度地区内の宅地につきましては、過小宅地の場合と同様に、個々の権利者の同意を得ることなく、権利者の代表機関であります土地区画整理審議会の同意があれば立体換地ができるように改正しようとするものであります。
 次に、公共施設管理者の費用の負担という問題であります。これは百十九条の二になっております。読みますと、
 土地区画整理事業の施行により、重要な公共施設の用地を造成した場合においては、施行者は、道路法その他の法律に基くその公共施設の管理者に対して、その用地取得費の範囲内において、土地区画整理事業の費用の全部又は一部の負担を求めることができるものとすること。
 中身を御説明いたします。
 本来土地区画整理事業は、公共施設の整備改善を目的とするものでありますが、最近、道路、河川等の大規模な公共施設の用に供する土地の確保が困難であるため、これらの公共施設の管理者からの申し出により、土地区画整理事業によってその用地を造成することが盛んになっているのでありますが、この場合、当該公共施設はもっぱら土地区画整理事業施行地区内の居住者の用に供するものでないものが多く、かつ、その用地も大量であるから、この用地を造成するための負担を土地区画整理事業の施行者のみで行うことは非常に過重なのであります。これにつきましては、従来も公共用地造成補償費という名目で、本来の公共施設の管理者から土地画整理事業の施行者に支出されてきたのでありますが、会計法等の関係を明瞭にするため、今回第百十九条の二の規定を新設いたしましたのであります。
 まず、第一項には、土地区画整理事業が都市計画として決定された幹線街路その他の重要な公共施設の用地造成を主たる目的とする場合においては、施行者は、本来道路法その他の法律に基き、これらの公共施設の新設または変更に関する工事を行うべき者に対し、その者が当該公共施設の用に供する土地を造成した場合に当然要したであろう費用の額の範囲内において、事業費の全部または一部を負担させることを求めることができるものとしようとするものであります。
 この規定の適用がある重要な公共施設は、政令で定められるのでありますが、目下考慮いたしているものは、一級国道、二級国道、主要地方道、河川法適用河川または準用河川、都市公園、港湾施設である運河、護岸堤防のうち大規模なもの等であります。
 第三の仮換地に指定されない土地の管理、条文で申しますと、百条の二と八十条になっております。
 公共施設予定地及び保留地予定地等のように仮換地に指定されない土地については、その管理責任が明確でないので、施行者がこれを管理する旨の明文規定を設けるものとすること。
 御説明いたします。
 土地区画整理事業においては、各人の権利が確定する換地処分を行う前に、仮換地というものを指定して、かりにその土地を使用収益させるのが通常でありますが、この場合に、将来公共施設となる予定の土地または事業費に充当するため、換地処分後保留地として処分される予定の土地等は、仮換地に指定されずに残るのであります。これらの土地は、そのいずれも土地区画整理事業を円滑かつ適正に施行していくために不可欠のものでありますので、現在第八十条の「土地区画整理事業の施行のためにこれを使用することができる。」という規定によって施行者が管理いたしておりますが、法文上不明確でありますので、今回第百条の二の規定を設けて、これらの土地は、仮換地が指定されたときから換地処分があるまでの間、施行者が管理するということを明確にいたしたのであります。従って施行者は、これらの公共施設予定地、保留地予定地等を事業の目的に沿って維持管理し、または事業施行のために第三者に使用収益せしめることができることがはっきりしたのであります。
 これに伴って第八十条の規定を整備して工事施行のための立ち入りの規定に改め、第百一条第三項の条文整理をいたしております。
 次に、四番目の委員等の任期の延長、条文で申しますと、二十七条、三十七条、五十八条でございます。
 土地区画整理組合の役員、総代及び土地区画整理審議会の委員の任期は、最高三年となっているが、これを五年とすること。
 御説明いたします。説明の七ページであります。
 土地区画整理審議会は、土地区画整理事業ごとに都道府県または市町村に置かれるもので、換地計画、仮換地の指定、減価補償金の交付に関する事項について法律の規定に従って同意し、または意見を申し述べる機関であり、組合の役員は、業務を執行する理事、業務を監査する監事であり、総代とは組合員が百人をこえる場合に総会にかわってその権限を行うために設けられる総代会を構成する者であります。
 これらの委員、役員、総代は、すべて地区民または組合員の選挙によって選ばれるのでありますが、現行法では、その任期はいずれも三年をこえない範囲内で事業の施行規定または組合の定款で定めることとなっております。
 しかしながら、土地区画整理事業の実態は非常に長期間を要し、また事業の内容、手続等も複雑でありますし、特に審議会の委員の選挙については、公正を期するため、公職選挙法に準じた詳細な手続を設けておりますので、選挙には七十日くらいの期間を要し、その間事業に空白を生じることとなる等、その任期が三年に限られておりますことは、事業の円滑なる施行上好ましくないのであります。
 御承知のように、戦災復興事業は、その終息を目前に控えているにもかかわらず、委員の任期が昭和三十四年度で切れることになっているので、この際どうしても任期を延長する必要があるのであります。
 従いまして、今回事業の実態に合致せしめるため、組合の役員については第二十七条第五項、総代については第三十七条第三項、審議会の委員については第五十八条第六項の規定を改正して、三年を五年にいたすのであります。五年をこえない範囲内で施行規程または定款で定めるのでありますから、各事業の規模等によりましては、五年以内で適宜その年限を定めるのであります。
 なお、委員、役員、総代につきましては、地区民または組合員からの解任請求が認められておりますので、これら委員等の任期が延長されても、地区民または組合員の権利保全の措置は十分考慮してあるのであります。
 次に事業計画の軽微な修正の手続、五十五条、六十九条であります。
 建設大臣、都道府県知事及び市町村長並びに都道府県及び市町村である施行者は、事業計画に対する利害関係人の修正意見を都市計画審議会が採択した場合において、その修正が軽微なものであるときは再び縦覧することなく、事業計画に修正を加えることができるものとすること。
 十ページでございます。
 土地区画整理事業においては、公共団体施行の場合は事業計画を定める場合、行政庁施行の場合は事業計画及び施行規程を定める場合に、二週間公衆の縦覧に供することになっておりますが、これらについて、利害関係人から意見書が出て事業計画等を修正いたす場合は、再び縦覧いたすこととなっております。
 ところが、事業計画等を変更する場合に、やはり再縦覧することとなっておりますが、この場合には、変更の軽微なものについては再縦覧を省略することになっているにもかかわらず、修正の場合には、このような措置が認められていないのであります。従いまして、今回第五十五条第五項及び第六十九条第五項の規定を改正して、事業計画及び施行規程を修正しようとする場合においても、変更の場合と同様に、政令で定める軽微な修正については、再縦覧を省略できることとし、事業の迅速な施行をはかろうとするものであります。
 次に、六の予備委員の数の特例、五十九条でございますが、
 土地区画整理審議会に置かれる予備委員の数は、施行地区内の所有者と借地権者から各別に選挙される委員の数の半数をこえてはならないこととなっているが、各別に選挙される委員の数が一人の場合においても、予備委員一人を置くことができるようにするものとすること。
 これは御説明の必要はありませんが、予備委員が一人の場合はゼロになりますので、これは、選挙をやり直す必要があって非常に困りますから、その場合でも、一人を置くことができるように改めたわけでございます。
 次に、権利異動の届出、これは八十五条でございます。説明の方で参りますと十三ページでございます。
 土地区画整理事業においては、権利の申告制度が設けられておりまして、施行地区内の宅地について所有権以外の権利、たとえば地上権、賃借権等で登記のない権利を有する者は、当該宅地の所有者と連署するか、あるいは権利を証する書類を添えて権利の種類及び内容を書面をもって申告することになっておりますが、一度申告した権利が移転、変更または消滅した場合には、当初の申告の場合と異なり、当事者は連署しなければ施行者に届け出ることはできないこととなっております。従って当時者の一方が行方不明である場合とか、正当な理由がなくて相手方の承認が得られない場合には、権利変動の届出ができず、非常に不合理なのであります。
 従いまして、今回第八十五条第三項を改正し、当初の申告の場合と同様、当事者の連署のほかに、双方または一方から権利を証する書類によって届出を認めることにしようとするのであります。
 次に、八の公共施設の用に供されている宅地に関する措置、九十五条でございます。説明いたします。十五ページでございます。
 公共施設の用に供している宅地と申しますのは、たとえば道路、水路等の敷地になっている私有地をいうのでありますが、これらの私有地については、現在でも第九十五条第一項の規定によりまして、換地計画を定める場合に、換地照応の原則の例外として位置、地積等に特別の考慮を払って定めることができることとされております。
 土地区画整理事業は、公共施設の整備改善をはかって、これらの私有地をなくしていくのがその目的でもありますし、特に私道敷につきましては、適正な換地により生ずる公道に面するようにいたしますので、もはや私道敷は不用になるのであります。
 従いまして、今回第九十五条に一項を設けて、事業の施行によりましてこれらの私有地の上にある公共施設にかわる機能を持つ公共施設が設置された場合、その他特別な事情がある場合には、当該私有地については、換地を与えずに、適正な金銭により清算することができるようにするのであります。
 この規定が適用されるのは特別な場合だけであって、この場合には、これらの事情をよく知っている地区民の代表機関である土地区画整理審議会の同意を必要とするのであります。
 次に、九の保留地の処分り法。これは条文で申しますと百八条、五十三条、五十六条であります。
 これについて御説明いたします。
 現在、保留地を処分する場合は土地区画整理審議会の同意を得て定めた方法により処分することになっておりますが、この保留地は、第九十六条の規定により、土地区画整理事業の事業費に充当するために、施行地区内の宅地の所有者及び当該宅地について権利を有する者の平等な負担によって生み出されたものであるから、その処方方法については、これらの権利者は大きな関心を有しているのであります。従って、この保留地の処方法は、土地区画整理審議会の同意によって定めるよりも、権利者の総意の反映によって決定されるよう施行規程であらかじめ定めることにした方が、より公平で、かつ民主的であるので、今回第百八条第一項の改正をいたすものであります。
 なお、施行規程は、公共団体施行の場合は条例で定めるものであります。行政庁施行の場合は規則、建設大臣施行の場合は省令で定めるのでありますが、この場合は、二週間利害関係人の縦覧に供することになっており、利害関係人はこれに対し意見を申し述べることができるようになっているのであります。
 次に、清算金の延滞金。これは百十条でございます。
 第百十条は清算金の徴収または交付に関する規定でありますが、現行法では、清算金を滞納する者に対してその延滞金を徴収することが認められておりませんので、清算金の徴収交付事務を円滑にするため、今回第百十条に延滞金の徴収規定を設けたのであります。
 いろいろ条文はたくさんありますが、これは、延滞金を徴収することについてのいろいろな手続規定を網羅しております。
 次に、土地区画整理事業と農地等の関係の調整。二十ページでございます。
 御承知のように、土地区画整理事業は、市街地の造成を目的とするもので、区域内に農地が含まれる場合は、将来宅地化されることを前提といたしますので、農地との関係が非常に深いわけであります。従いまして、本条は土地区画整理事業と農地等の関係の調整について規定しておりますが、現在は、都道府県知事が農地の廃止を伴うものであるときは、事業計画について市町村農業委員会の意見を聞かなければならないことになっております。
 しかしながら、農地法の規定によれば、農地の改廃につきましては、市町村農業委員会は都道府県知事への農地転用の申請の場合の経由機関にすぎず、農地法によって都道府県知事が農地の転用の許可を与える場合は、都道府県農業会議の意見を聞くこととなっておりますので、今回農林省ともいろいろ折衝いたしました結果、農地法の体系に従って第百三十六条を改正し市町村農業委員会のかわりに都道府県農業会議の意見を聞くこととしようとするものであります。
 以上簡単でありますが、土地区画整理法の一部を改正する法律案についてっの説明を終ります。
#4
○堀川委員長 本案に対する質疑は、次会に行うことにいたします。
    ―――――――――――――
#5
○堀川委員長 次に、公営住宅法の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。前会に引続き質疑を行います。島上善五郎君。
#6
○島上委員 先般大臣にぜひお伺いしたいと思いましたが、お見えにならなかったので、保留している点がありますので、その点をまず御質問を申し上げます。
 この前同僚議員も質問したのでありますが、公営住宅法の第一条には、その目的がはっきりしております。それから今回の提案理由説明の際にも、公営住宅は低額所得者のための住宅であるという性格をはっきりさしたいということを強調しておられました。そこで私伺いたいのは、低額所得者のための住宅であるという性格をはっきりさせたい、その低額所得者とは何ぞやといえば、控除を別としまして、第一種については三万二千円まで、第二種については一万六千円までという、一応定義と申しますか、そういう解釈をしておるわけですね。低額所得者に低家賃の住宅を提供することが目的であることははっきりしておる。今度の法律は、その性格をはっきりさしたいために出した、こういう御説明だった。それはよろしいとしまして、そういう解釈からしますと、すなわち三万二千円をオーバーした者は低額所得者ではない、こういう解釈をとって、その低額所得者にあらざる者は、第一に明け渡しの義務を課する、それから明け渡さずに引き続いておる場合には、家賃は四割ないし八割引き上げる、こういうことになっているわけでありりますが、そういたしますと、低額所得にあらざる者に対して――一部ですが、低額所得者で、すでに低額所得者でなくなってきた者に対して低家賃でない家賃で貸す、こういう事実が生ずるわけですね。低額所得者でなくなった者に対して、別の言葉で言えば、高額所得者になった者に対して、低家賃のワクを越えた、低家賃でない家賃で公営住宅を貸す、こういう事実が、これは一部でありますけれども、生ずることになるわけですね。これは、大臣お認めですか。
#7
○遠藤国務大臣 公営住宅の基本的な考え方は、御指摘のように、低俸給生活者に低家賃住宅を供給する、こういう考え方でございます。ただ、原則はそうでございますけれども、三万二千円をオーバーしたから、いきなり本日から、もうあなたは入る資格はないといったようなものではないだろうと思うのであります。大体三万二千円程度になってきて、もう負担能力がふえてきたという場合には、もう一段階上の住宅に入る資格が出てくるから、一つ明け渡して、さらに低家賃を要求する低俸給生活者に譲っていただけないか、こういう話し合いをしていくという考え方を持っておるわけであります。三万二千円をオーバーしたからといって、いきなり引き立てるように追い出してしまうというような考え方をとらないで、ここは、住宅問題であり、しかもその住宅に対しては、相当年月がたって住んでおりますと、その環境あるいは生活状況といったようなものが結びついて参りますから、ぎちぎちやるべきではなくして、大体そういう考え方で話し合いをやっていくというような気持でおるわけであります。
#8
○島上委員 それはわかります。私も、低額所得者でなくなったからすぐ明け渡せというようなことは言うべきではないし、実際上やれるものではないと思う。そこで、この明け渡しの義務といったようなものも、法律にこのように明文化することはどうか、必要がないじゃないかとさえ思っているわけです。運用の点では、今大臣がお答えになった通りだと思うのです。ただ法律の第一条の趣旨からしますると、一部分ではあるけれども、あなた方が解釈している低額所得者でない者が依然として入居するという事実が生ずるわけです。そして、その低額所得者でない者に対しては、低家賃でない家賃で住まわせる。低家賃とは、すなわち今までの家賃のことをあなた方は低家賃と解釈しているのですから、年度によって違いますけれども、これは低家賃である。これに四割ないし八割の割増し賃料をかけますと、その限りにおいては、低家賃でないということになる。ですから、私が聞いているのは、この法律第一条には、低額所得者に低家賃で提供するという目的がはっきりとうたわれているが、この法律改正によって、低額所得者にあらざる者に対して、低家賃でない家賃で提供するという事実が一部に生ずる、こういうことになるが、それを大臣はお認めかどうか、これを伺っているわけです。
#9
○稗田政府委員 公営住宅の政令できめられました基準をこえた収入を得た入居者につきましては、入居後三年を経過した後に、初めて、収入が超過しておれば、明け渡しの努力をするという精神的な義務を背負うわけでございますが、それと同時に、いろいろの事情でどうしてもほかの家には移れないという方にはそのまま継続しておっていただく、ただし、そういう家電の負担能力があるという収入の基準に達しておる方につきましては、もはや国の二分の一なり三分の二の補助金の入ったという計算の家賃でおるということは不適当であるということで、係ほどの四割増、八割増と申しますのは、要するに公団住宅であるとか住宅金融公庫の融資による賃貸住宅等の家賃との均衡を考えまして、全建設費が四分一厘で計算されたような家賃、それにならいまして公営住宅の家賃を計算いたしますと、先ほど申し上げましたような近似値が四割増、八割増となるわけでございます。従いまして、公団住宅におきましても、高家賃ということを目ざしておるわけではございませんで、これは一般の勤労者としまして、公営住宅以上の方々は、四分一厘程度の建設費に対する利回りの家賃――これは市中金利から比べればずっと安いわけでございます。なお補助金の仕方で計算しますと、三割近い補助金が入ったような計算になるわけでございます。従いまして、低家賃と申しましても、公営住宅の本来の家賃という意味と、市中の家賃よりも安いという意味での低家賃と二通りありますけれども、そういう意味では、必ずしも市中一般の金利計算による営利事業の住宅よりも安い家賃に入っていただくということに相なるかと思うのでございます。
#10
○島上委員 私が伺っておるのは、少し違うわけですが、あなた方の今の御説明はわかります。低額所得者に低家賃でという趣旨ではあるが、事実はこの法律でいう低額所得者でない者が、あなた方の調査によればできておるわけです。あなた方の、この法律でいう低額所得者というのは――私が今言った通り、低家賃というのも、現在かけておる家賃のことも称して低家賃といっているわけですね。ですから、今までの解釈による低額所得者に低家賃という、この法律第一条の目的の趣旨を通そうとしても通し切れない事実が現在生まれているわけですね。そうでしょう。そうかといって、オーバーしたから出ていけといっても、実際上、この法律にありますように、精神的な努力義務を規定したにすぎない、精神的な努力義務を定めたにすぎないのであって、強制的に明け渡しを請求するという趣旨でないことは、大臣がしばしば答弁されている通りなのです。これはできないのです。そこで、この法律の目的、第一条に定めた低額所得者という事実から、少くともはみ出した人々がおる。これがこの前の調査では七万四千人とかおる。こういういう調査があなた方の方に出ているわけでございますが、こういう人々に対して、この筋を通して明け渡させることができれば、あなた方の解釈によれば、この法律の第一条の目的の通りになっていくわけですが、それができない。今度の法改正でも、それができないということが明らかになった。それらの人々は、要するに割増し賃料――少くとも、今までの解釈による低家賃にあらざる家賃ですね、これは民間の家賃より安いですよ。安いけれども、今までの公営住宅の低家賃でないところの、いわば中間的な家賃です。その中間的な家賃で高額所得者が住んでおるという事実が、今後生ずるわけですね。これは認めざるを得ないと思います。それをお認めになるかどうか、こういうことを私は大臣に伺っておるわけです。そうなれば、その次に問題が一つあるわけです。
#11
○遠藤国務大臣 御指摘の点については、過渡的にはそういう形のものが出てくることは、これはやむを得ないと思うのであります。だんだん話し合いによりまして、一定の資格条件をオーバーしたような収入の者に対しては他の住宅を供給する、一方においてあっせんをする義務を負担させていきまして、他の住宅にだんだん入っていただいて、そうして低額所得者に対してはまだ家がなくて非常に困っておる人がたくさんあるわけでありますから、そういう者をだんだん入れていくようにしたい、これがこの法案のねらいであります。
#12
○島上委員 大臣は過渡的と言いますけれども、明け渡しの強制執行をするというならば、それは過渡的かもしれませんけれども、過渡的じゃないのです。私は子供の通学の関係上、勤務の関係上ここを引っ越すことはできないから、四割負担します、八割負担しますといえば、その人は永久におれるのですから、これは過渡的じゃないのです。永久におるとすれば、その人の収入が、三万二千円が三万五千円になり四万五千円になり五万円になるかもしれない、そうすれば、この法律の定義による低額所得者でない者が住まうということになる。いわゆる低家賃でない中間的な家賃を払いさえすれば、低額所得者でない者が住まえるということになるが、これは過渡的じゃない。どうも私の満足する答弁をしてくれませんが、これは答弁をしようとしまいとにかかわらずそうなるのです。そうなると、この法律の第一条を修正するか補足しなければ、法律としては不完全なものになるのです。法律の第一条と事実とが食い違っているということなんですが、この点、大臣はどうお考えですか。
#13
○遠藤国務大臣 法律の定めております原則論としては、今のような建前で参りまして、だんだん話し合いで若干の例外を置いていくということは、これはやむを得ない。その法律の根本精神をくずすものではないというふうに私どもは考えております。だんだん話し合いによりまして、高額所得者になった人は、あなた方の負担能力のある限度において、ほかの方の住宅に一つ入っていただきますということで、ほかの住宅の用意をだんだんして参りまして、そうして話し合いでこの問題を解決していきたい、こう思うわけでございます。
#14
○島上委員 大臣は話し合い、話し合いと、事はきわめて円満にいくように考えていますが、家賃は値上げしない、今まで通りだ、高額所得者になったら、一年間なら一年間の後にどいてほしいということにして、実際上どかすことができれば、それは一年間だけが過渡期で、その後は解消しますよ。しかし、私は割増し賃料を負担しますといえば、その人は永久におれるのです。割増し賃料を負担しておるならば、所得がふえたからどいて下さいという方法も話し合いもないじゃないですか。永久におれるのですよ。ですから、この法律でいう低額所得者にあらざる者に対して、低家賃にあらざる家賃で貸すという事実が永久に将来残りますよ。そういたしますと、この法律の第一条を修正するか補足しなければ、法律と実態とが合わぬ、こういうことになる。これはその通りなんです。法律であります以上は、やはり筋を通さなければいかぬですよ。そうでなければ、この法律はずいぶん変なものだと思う。あとで、ずいぶん法律違反の事実があるから、それも伺いますけれども、法律と実態とがちぐはぐになるということがはっきりわかるのですから、低額所得者にあらざる者に対して低家賃にあらざる家賃で住まわせるというのは、明白に第一条に矛盾します。そこで、そういうふうにおやりになるならば、第一条を修正するか補足しなければ、不完全なものになるじゃないか、不十分じゃないかということを私は伺っているのです。
#15
○遠藤国務大臣 根本的な考え方としては、変わっておらないのでありまして、俸給が非常に高くなって、三万二千円をオーバーするようになってきた。この人は他に適当な転居先がないから、しばらくここにおりたいというならば、割増し料金を出していただく。しかし出していただきましても、この人は適当ないい家があるなら出ていただくという精神的な義務は負っているわけであります。そういうようなことでだんだん話し合いをしていく。従って、法律上当然そういう人もおるのだというふうに原則論をきめて、法律の第一条から修正すべきものではなくして、原則論における例外的な扱いをしていくのだ、これは単なる法律論的な議論ではなくして、実際の住宅の事情から出てくる現実に妥協した、実際に住宅を扱っていく場合の現実の事情に即するような扱いであろう、こういうふうに考えております。
#16
○島上委員 現実に即する扱いであるということはわからぬことはないですよ。(「わかったらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)では答弁できますか。かわって答弁して下さい。「明け渡すように努めなければならない。」とあって、その次の改正を見ますると、「入居者が前項の規定に該当する場合において当該公営住宅に引き続き入居しているときは」ですから、引き続き入居することをここで認めるわけです。(「それだから、よけい銭を出せばいいじゃないか」と呼ぶ者あり)ですから、よけい銭さえ出せば、低額所得者にあらざる者に住まわせるという事実がある。低額所得者にあらざる者に対して、低家賃にあらざる家賃で提供するということになれば、この一条を補足しなければ不十分ではないか、一条の事実とは矛盾するじゃないですか。(「それは過渡的だ」と呼ぶ者あり)これは過渡的じゃありませんよ。家賃さえ四割出せば、いつまでも永久におれるのですから。
 この修正の第二点に、ただしその場合でも、明け渡しのあれをしなければならぬ、割増し賃料を出した場合でも、さらに引き続いて明け渡しの努力をしなければならぬということを書いてありますか。ないじゃないですか。
#17
○堀川委員長 政府委員と話をして下さい。
#18
○島上委員 これは事実なんです。何ともしがたいですよ。過渡的じゃないですよ。
#19
○堀川委員長 島上君、ちょっとすわって下さい。建設大臣。
#20
○島上委員 法律で、この改正でも、引き続き入居することを認めるのですから、引き続き入居する場合には、四割ないし八割出しさえすれば、引き続き入居できるのですから、引き続き入居できるということは過渡的じゃないですよ。永久に続きますよ。もう一ぺんよく聞いて下さい。そうすると、この法律第一条にある低額所得者に低家賃という条文と矛盾した事実が出てくる。つまり低額所得者にあらざる者に対して低家賃でない家賃で住まわせる、こういうことになりますよ。この法律第一条の筋が通らぬじゃないですか。
#21
○遠藤国務大臣 私の方の説明が足りなかったと思うのですが、大へん誤解があるようですが、実は一項と二項をあわせて読むつもりであります。従って、割増し家賃を払っておる人も、それで明け渡しの義務がなくなったかというと、そうじゃなくして、やっぱり明け渡しの義務は持っているわけです。そういうふうに読むように――法制局でいろいろ議論しました。そういうふうに読むようになっているわけであります。私の方で説明が少し足りなかったと思いますけれども、それはもし説明が足りないとすれば、それをはっきり申し上げておきたいと思います。
#22
○佐藤(虎)委員 私は、島上さんの意見は少し違っておると思うんです。社会党の意見はいわゆる無産階級とか、そういうものの味方であって、そこで三万二千円以下の者にそこへ低家賃で住まわせる、それ以上取る者は不当じゃないけれども、高収入がある者には出てもらって、いわゆる安い月給を取っている者を救ってやろうじゃないかというのが、今の社会主義の政策だと僕は思う。そこで、五万円も四万五千円も月給を取るような方には、今度できる方に行っていただきたいというのに対して、それはいけない、それじゃ法の上において権力がないじゃないか、こういうのがあなたの意見でしょう。してみたならば、明け渡しのできるように法律上作れというのかどうか、そこを聞いてみたい。僕はあなたにそれを聞いてみたい。ただ、この法案を議論するよりも、こういう方法にした方がいいじゃないかという意見なんですか。
#23
○堀川委員長 ちょっと佐藤委員に申し上げますが、この法案はきょう上げたいのです。それで、もう委員同士の質疑はやめてもらって、政府委員と質疑をやって下さい。
#24
○島上委員 とにかく、この法律には大へん不備な点があるのと、私ども質問したい点があるんですよ。ですから質問をして、十分に納得した上で、賛成なら賛成、反対なら反対の態度を明らかにして採決するのはいいですよ。しかし、あいまいな点をそのままに残して、審議を尽さないで採決するというわけにはいきませんから、私どもは理事会の申し合わせを尊重しますが、しかし、その前に十分質疑をする。今までの大臣の答弁ではどうも満足できないんです。納得できない点があるのです。私は、何も高額所得者になったら強制的に明け渡せと言っているのじゃないのですよ。ただこの法律解釈と第一条の目的とが食い違う。この食い違う事実を法律的に合理化するには、第一条を補足なり修正なりしなければならぬということなんです。わかったでしょう。それなら第一条の補足か修正をしようじゃないですか。(「法制局で作ったから、法律的に間違っていないよ。」と呼ぶ者あり)間違っていますよ。私が言うことも、あなた方わかるでしょう。低額所得者に低家賃で提供するのが目的なんです。ところが建設局が考える低額所得者にあらざる者が、低家賃でない家賃で引続き住めるということになれば、この法律の第一条と矛盾するから、第一条を補足なり修正なりしなければ、実態と合わぬじゃないかということを言っているのです。どうしても法的な解釈がわからぬというのなら、法制局を呼んで下さい。それは、実態と法律と合わぬことになる。私が納得できるように、矛盾しないようにはっきり答弁してくれればいいですよ。
#25
○遠藤国務大臣 島上委員のおっしゃることもよくわかりますが、原則論としては、低俸給生活者に低家賃で入っていただく、こういうことでありますので、だんだん俸給が上がってきた人はよそへ、もう少し上の段階の家賃の家へ入っていただく、こういう原則をきめて、しかし今までのいきさつ上、どうしてもそこを抜けられないというような人は、割増し家賃をもらいます。割増し家賃をもらいますけれども、機会を見て、できるだけ出ていただきたいという法律義務はずっと負っていく。しかし、それは強制はしませんで、話し合いでいくようにしたい、こういうことでありますから、第一条の大目的を変えなくても、十分これは理解できると私は思っております。
#26
○島上委員 原則は私もわかりますよ。原則と例外があるということをあなたも認めているでしょう。では、この第一条の目的から例外を解釈することができますか。第一条は、あくまでも低額所得者に低家賃でもって提供することが目的であると、はっきりしているのです。ただしこういう場合にはこうだというただし書きもあって、例外を解釈できるような条項があるなら、私は何も例外のことにあまりこだわりませんよ。だから、ここにその例外を認めるような修正か補足をしなければ、法律の条文と実態との間に大きな矛盾が生ずる、こういうことになるのです。
#27
○遠藤国務大臣 その点は、この法案を提案する前に、各方面といろいろ議論をいたしまして、第一条の目的を広げて、そういう例外も認めるということを第一条に書かなくても、当然それは例外の措置として認めて差しつかえないという解釈で提案しておるような次第でございます。
#28
○中島(巖)委員 議事進行。われわれとしても、この法案をきょう上げるというお話をしてある以上は、国会正常化のために協力するつもりでおるのです。しかし、先ほどからの質疑応答の過程を見ておると、与党議員の方が立って質問者に対して質問を展開するというような、これは国会法からいっても、質問者に質問するというまらなことはできぬはずです。そういうような格好になっていて、はなはだ議事の運営に遺憾だと思うのです。従いまして、たとい見解の相違であっても、どの点が見解の相違だということを、島上委員の発言に対して政府より率直に説明されて、そしていよいよ議論の尽きたときに採決に入るように議事を整理して、十分質問を続行させて、政府も答弁に立っていただきたい、こういうことをお願いするわけです。
#29
○堀川委員長 むろんその通りに取り計らいます。
#30
○島上委員 私は、この第一条の問題については納得できない。これは、ほんとうは法制局の解釈を聞きたいので、法制局を呼びませんか。私は、それまでほかの質問をしますから、あとで法制局を呼んでもらいたい。私は、法律上の解釈の回答としては納得できません。そこで、法制局の人が来てもらうことを要求して、それまでほかの質問をします。
    〔「それじゃ修正案を出せばいいじゃないか。」「たまに出てきて何だ。」と呼び、その他発言する者あり〕
#31
○堀川委員長 静粛に願います。
#32
○島上委員 次の質問をしますが、御承知のように法律第十五条には、事業主体は修繕の義務を負っておるわけです。念のため一応読みますが、「事業主体は、公営住宅の家屋の壁、基礎、土台、柱、床、はり、屋根及び段並びに家屋の内部の給水施設、排水施設、電気施設その他建設省令で定める附帯施設について修繕する必要が生じたときは遅滞なく修繕しなければならない。但し、入居者の責に帰すべき事由に因って修繕する必要が生じたときは、この限りでない。」こういう修繕の義務の規定がございます。ところが今度の法案の提案理由の中には「このままの家賃では、適切な維持修繕ができないばかりでなく、」云々と、こうあります。そうしますと、今度の家賃の値上げは、修繕を完全にするということも一つの理由になっておりますか。
#33
○遠藤国務大臣 法律十五条に明らかに規定してありますように、家屋を維持していく場合に必要な修繕は、当然やらなくてはならないのでありますけれども、実際問題として、それがなかなかうまくいっていない。従って、この家賃の調整ができて参りましたならば、この修繕もやらせる考えであります。それは、家賃をもうける考えでも何でもないのでありまして、やはり住宅として十分に機能が発揮できるように、その方へつぎ込んでいきたい、こういう考えでございます。
#34
○島上委員 そういたしますと、大臣は、現在修繕の必要が生じても、十分に行われていないという実態があることをお認めですか。
#35
○稗田政府委員 お答え申し上げます。事業主体は、その管理する公営住宅を、お説のごとく第十五条の定めるところによって修繕することになっておるわけでございます。それで、現在までの修繕状況を見ますと、昭和三十二年度における修繕状況は、主として給排水施設、屋根、衛生施設、道路などの修繕を行なっておりまして、またこれらに要した費用は、年度の家賃収入のおおむね二割ないし三割程度に達しておるのでございます。従いまして、全国的に見ますと、事業主体として公営住宅の修繕をほぼ適正に行なっておるというように考えられるわけでございます。ただこの公営住宅も、最低の家賃を取りまして、事業主体が低額所得者のために低家賃の住宅経営を行なっていくという立場から考えますと、修繕費についても、かなり苦しい出血をしておるというのが実情でございます。それで、そういった出血をなくし、修繕ももっと容易にできるようにしたい。なお、今回の改正におきましては、従来修繕の義務の中に入っておらなかった部分につきましても、たとえば附帯施設等でございますが、そういうものにつきましても修繕をするように規定したわけでございます。それで、不均衡是正の収入につきましては、修繕に回し、また環境の整備にこれを使うように指導する考えでございます。
#36
○島上委員 事業主体においては、ほぼ適切に修繕しておるというようなお答えでしたが、これは事実と大へん相違します。そういうことで、現状ではほぼ適切に修繕しておるとお思いになられたら、これは大へんな事実との相違があるということを私は指摘しないわけにいきません。私どもがせんだって調査に行きましたほんの一、二の例でも、おかみさんに聞いてみたら、幾ら陳情しても、申し込みをしても何をしても全然やってくれない、そこで仕方なしに屋根も自分で直し、壁も自分で直しておる、こういうことを言っております。その後私は、どうしても見てくれというので、あるところを見ました、見ましたら、これは木造家屋で十年たっておりますから、ある程度腐るのもやむを得ないと思いますが、土台が全く腐ってしまってめり込んでおる。めり込んでおって、出入りする戸口が全然あかない。あかないから、どろぼうの用心にはいいかもしれませんけれども、あかないままにして台所から出入りをしているのです。これ見て下さいと言われて、私は見てきました。そういうところや、もっとひどいところがたくさんあります。ですから、現状をもってこの第十五条に規定する修繕の義務は、事業主体によってほぼ適切に行われておる、こういうお答えは、事実と大へんな食い違いがあります。それについては、あなた方は現状を調査されて、そういう責任のある御答弁をされておりますか。私は、この目でもって現状を見てきています。そういう無責任な答弁では困る。
#37
○遠藤国務大臣 ただいま修理の問題について住宅局長から、お答えがありましたが、事務的にはああいう答弁になるかと思います。しかし、私は住宅の事情を二、三見て歩きましたが、実際は、その修理はあまりうまくいってない、そういうことをしょっちゅう聞いております。ですから、もう少しやらなければいかぬと思います。今度の家賃の改定ができて参りましたならば、低家賃住宅の方へさらにつぎ込むことはもちろんですが、修理の方へももう少し金を出していく、そうして相互にいいような住宅政策を進めなければいけないと私は考えております。法律の要求しておる修理がどこまであるかという詳しいことは、私はあまり調べておりません。しかし、私の勘としては、もう少し修理をしなければならぬと思っております。
#38
○島上委員 大臣はややましな答弁をされたが、私は、大臣にぜひ見てもらいたい、そして入居者の希望を聞いてもらいたいと思う。おそらく入居者から、こういうふうになっているから修理してほしいという声が、それぞれの事業主体にずいぶんだくさん行っていると思うのです。私が今言ったところでも、こう言うのです。その主人公の説明によりますれば、去年の秋に東京の建築局から調べに来た。何か棒のようなものでつついてみたり何かして、ちょうど医者が病人を診察するようにこまかに診察していきました。こまかに診察した結果どうなったかと言ったら、それきりです。実はこちらからも、この通り土台が腐っておるから直して下さいというお願いをしましたが、それきりだ、これが現状です。私は、他にもっとひどいところもあろうかと思う。この現状をよく見ていただいてそれから入居者の声もよく聞いていただいて、今の御答弁のように、ほんとうに誠実に処理してほしいと思う。
 そこで私は伺いますが、普通の利潤をもとにしておる大家さんも、家賃を上げてほしいというときには、土台が腐ったら直す、雨漏りしたら雨漏りを直す、そういうことをしてから、どうでしょう家賃を、こう相談をもってくるのが普通です。政府は、家賃を先に上げなさい、腐っておるところはそのままほっぽらかしておいて、家賃を上げなさい、家賃を上げなければ修理できぬぞ、こういうふうな、普通の家主さんのやることと比べてさえ逆なやり方です。私は、これは少しおかしいんじゃないかと思う法律で修繕の義務をちゃんときめられているのですから、法律にきめてられておることを実行しないのは法律違反です。法律違反をやっておる事実をほうっておいて家賃を上げなさいということは、民間の悪家主でさえもがしないような悪らつなやり方だと思う。極端に言えば、私はそう言われても仕方がないと思う。大臣、どうお思いになりますか。
#39
○遠藤国務大臣 政府は、決して悪家主だとは思いません、非常に安い住宅を提供しておるのですから。だからといって、修理なんかしないといったようなことは考えておらない。事実、私は、常識的にいいまして、今の公営住宅はもう非常によごれてしまっておりますし、修理しなければいかぬと思います。しかし、先に修理をしてしまって、さあ家賃を上げて下さいといったふうな、民間のような考え方ではいかないのであります、金がないのでありますから。そこで、そこは理解していただいて、みんなも安い公営住宅に入っているのですから、一つ賛成して下さい、政府の方でもこれから修理をいたします、こういうことで、ざっくばらんな立場でいきたい。あまり力んで、家主とたな子の張り合いのようなことでなくして、やはり相互に理解し合って住宅政策というものを進めていきたい、こういう考えでおりますから、一つ御了承いただきたいと思います。
#40
○島上委員 その相互に理解し合って、うまくやっていきたいというお考えはけっこうです。しかし、この法律を出すに際しましても、入居者の意見を一つも聞かぬでしょう。入居者にとっては、まるで寝耳に水です。青天にへきれきのような法律です。そうしてこの法律をしゃにむに通しておいてそれからこの法の命ずるところに従えということでは、スムーズに話し合ってということにはならぬと思う修繕をちゃんと法律で義務づけているのですから、義務づけている修繕をやらぬで家賃の値上げをしなさい、家賃を上げなければ修繕できませんということは、私どもとしてはどうしても納得できない。これは逆です。今かりにこの法律の通りきまったとしましても、これは、所得のふえた高額所得者になった者に対する家賃の値上げと、年度のアンバランスの是正もありますけれども、入居者はこの法律が通ったら、これで修繕を完全にやってもらえるという信頼は持っておりません。今まで何べん催促しても、何べんお願いしても一向にやってくれなかった。しかし法律には、耐用年数の四分の一以上たったら譲渡することができるということになっておるから、そうして今まで譲渡を受けている事実もあるから、いずれは自分たちに譲渡してもらえるだろうという期待を持ちながら、当局でやってくれないしするから、自分でみんな修理しているのです。この法律が通りましたならば、十五条の修繕の義務はそれこそ遅滞なく完全に行えるようになりますか。私は、これはここでの事務的答弁、政治的答弁ではそういうふうにおっしゃいますけれども、事実はなかなか至難だと思うどうでしょう
#41
○遠藤国務大臣 この法律が通ったならば、修理を遅滞なく要望通りにやりますということは、ちょっと申し上げかねるかと思う。これは要望にもいろいろありますから、そこは常識的に、この程度の家賃を払い、この程度の負担をしておれば、この程度の修理をしていくことが当然であろうという常識的な結論といものが、私は出てくるのじゃないかと思う。従って、今度の家賃の改定についても、それで政府の方がもうけてしまうとか、事業主体がもうけてしまうというようなことは一切させない。そして、それは低家賃の方につぎ込んでいき、あるいは修理の方につぎ込んでいく。こういうことをガラス張りでやろうと思っております。ですから、それは政府を信頼していただきたいと思うのであります。
#42
○島上委員 今までの実態から見ますと、残念ながら信頼できない。それは、入居者の希望する通りというわけはいかぬかもしれぬけれども、それは常識的でよろしいけれども、今までがはなはだ常識的にやられていない、はなはだ非常識なやり方しかしていない、法律にはちゃんと書いてあるんですからね、「壁、基礎、土台、柱、床」云々と書いてある。
 それでは法律の解釈について一つ伺いますが、「修繕する必要が生じたとき」ということは、私は入居している者の側から見た必要だと思いますが、これはどうですか。管理者の側から必要だと見たときのことですか、入居をしている者が必要だと感じた場合のことをさしておりますか。
#43
○稗田政府委員 修繕の範囲でございますが、十五条に書いてありますように、従来この範囲は、いかなる特約をもってしてもその責めをのがれることはできなくなっておるわけでございますが、なおこれらの修繕義務を課せられたもの以外でも、社会通念上事業主体において修繕するのが適当であると考えられるものがあるわけでございます。たとえば畳の台がえであるとか、といの取りかえというものは、書いてはないわけでございますけれども、社会通念上は事業主体の修繕ということになるかと思います。また入居者において修繕するのが適当であると考えられるものもあるわけでございます。たとえばふすまの張りかえであるとか、畳の表がえ、ガラスの破損の修理、水道せんのパッキング取りかえ、その他給水、排水、電気設備等の簡単な部品の取りかえ、修理、これは入居者の方でやることになるかと思います。従いまして、事業主体の方におきまして修繕義務を課せられた以外のものであっても、適当なものにつきましては、可能な限り修繕に努めるわけでございますけれども、入居に際しましては、その修繕について事業主体が行うものと入居者が負担するものと、その区分を明示するように今後は指導したいと考えておる次第でございます。
 それからどちらが判定をするかということでございますけれども、これは、公営住宅の管理につきましては、当然事業主体が責めを負っておるわけでございますから、事業主体が認定するわけでございますけれども、もちろん入居者の方から、修繕義務を負っておるものにつきましていろいろ苦情なり申し込みがありました場合は、遅滞なく事業主体の方から管理人を向けましてよく調べて、それが今当然修理しなければいけないというような場合には、すぐ修理させるように指導したいと考えております。
#44
○島上委員 そうしますと、さっきの例になるわけですが、土台が腐ってめり込んで、出入口の戸があかなくなった。出入口の戸があかないということは、住居としての役割を果さぬことですからね。勝手口から入ったり、ほかから入ったりということは、正常な状態ではないんですから、その事実を事業主体が調べて、見ていって直さぬということは、一体どういうわけですか。私はこれは事業主体が見ても、入居者の側から見ても、修繕の必要がそこに生じていると思うのです。ところが見ていって直さぬということはこの必要ということをかりに事業主体が判断しますと、入居者が何と言ってもまだ必要がない、必要がないといってほっぽり出される危険性がある。ですから、私は、この必要が生じたということはだれの判断かということを、はっきり伺いたいのです。壁が落ちました、土台が腐って戸があかなくなりました、この必要を一番先に感ずるのは入居者です。事業主体は、机の上で書類が出てきたらそれに目を通す、あるいは調べに行くということでしょうが、第一に必要を感ずるのは入居者ですから、入居者の要求、入居者の申請を第一に重視して調査しなければならないでしょう。入居者が何と言おうと事業主体の判断だ、こういうことになりますと、今のような事実を将来ともほっぽっておかれるということになると思うのです。この点は、もう一ぺんはっきりと御答弁願いたい。
#45
○稗田政府委員 修繕すべき個所につきまして入居者の方から申し入れがございましたらば、事業主体の方でさっそく調査して、直すべきは直す、こういうように持っていきたいと思うわけでございます。
 それから先ほど申し上げましたものの中には、従来修繕の範囲がかなり狭かった面もあるわけでございます。たとえば屋外の付帯施設等は、法律上は修繕の義務は負ってなかったわけでございますけれども、そういうものも今回入れたわけでございまして、入居者の方から申し入れがありましても、義務を負っていない面もあったわけでございます。それから当然それは入居者の負担だというようなものもあるわけでございますけれども、そういう点につきましては、今後十分入居する際にどちらの義務かということを明確にするように事業主体を指導したいというふうに考えておるわけでございます。従って、入居者の方からの申し入れは、ただ聞きおくというようなことでなしに、それを機会に十分調査して、修繕をちゃんとさせたいというように考えておるわけでございます。
#46
○島上委員 一つ実態をよく調査しまして、修繕については、もっとちゃんとやってほしいと思うのです。ここでの答弁は、あなたが実態をよくつかんでないから、そういう答弁しかできないと思うのですが、大臣は、やや正直といえば正直に近い程度の答弁をされました。しかしまだ大臣もよく実態を調査しておりません。私はもちろんこの法律案に賛成するわけではない、値上げに賛成するわけではないのですが、しかし、現行法でちゃんと規定しておるのですから、これを履行しないで家賃を上げなさいということは、民間の悪家主よりももっとひどいぞということを言ったわけですから、これは実態を十分調べて、十分法律を履行するように監督してほしいと思います。
 それから家賃の問題について一ぺん伺いたいのすが、これは、この前大臣がお見えにならないので、次官に聞きましたが、どうも満足な答弁が得られなかった。政府は、これから家賃――これは家賃ですから、家賃を、基準以内は別ですが、基準をこえたものに対しては、その者の収入所得に応じて家賃の割増しをする、四割ないし――第一種は四割までですから、四割までということは、二割の人もありましょうし、三割、四割という人もありましょう、こういうことが想定されるわけですね。そうしますと、かりに四万円の者には二割、四万五千円の者には三割、五万円をこえた者には四割といったふうに、その人の収入所得に応じて家賃の額をきめる、そういう考えを基本的にお持ちですか。
#47
○遠藤国務大臣 これは、一定の基準を作りまして、その基準によって家賃の値上りを計算していく、そしてその間に不公平がないように、公平に扱っていく考えでございます。
#48
○島上委員 私の伺いたいのは、つまり今までの私どもの家賃に対する考え方は、民間であっても公営住宅であっても公団住宅であっても同様ですけれども、かかった費用が同じで、同じ規模の家には同じ家賃である。たとえば今三万二千円まで第一種に入るわけでありますが、三万二千円までというのは、二万円の人もあるし二万五千円の人もあるし三万円、三万二千円の人もあるというように、収入はまちまちであるけれども、同じ年度に建った同じ広さの家ならば、同じ家賃であったのです。今後もその基準以下はそうだと思うのです。オーバーした者だけに対しては家賃は所得収入に応じて段階をつける、ある者には三千二百円、ある者には三千五百円、ある者には四千円、こういうふうになるわけですが、家賃に対して今後そういうお考えをおとりになりますかというとを聞いておる、私どもの今までの家賃に対する考え方とだいぶ変ってくるわけですから。
#49
○遠藤国務大臣 そこは、収入がふえた人に対しては、あまりこまかくやらないで、大きく幾つかに分けて段階を置いていったらどうか、こういう考えであります。その詳しいことは住宅局長から御説明いたさせます。
#50
○稗田政府委員 公営住宅におきましても、従来一と二種というように、大ざっぱに収入所得によって家賃が変っておるわけであります。これは、補助率の差からそういうような家賃が出るように政令できめておるわけでございます。この収入が基準をこえた方につきましても、今回法律に出ておりますのは、最高の限度を示しまして、先ほど申しましたような公団の家賃等との均衡を考えまして、それ以上にはとってはいけないというので、限度を示したわけでございます。これを実際に運用いたします場合には、ある段階ごとにきめまして、たとえば収入三万二千円をこえまして、四万円程度までは二割増し――一種住宅の場合でございますが、四万円をこえれば四割増し、そういうように現在のところ段階を考えておるわけでございます。ただこの場合におきましても、それじゃ四万円まで一率にいくかというような面もあるわけでございますが、これも十分無理のないような形に、今後研究して案を作りたいというふうに考えておるわけでございます。
#51
○島上委員 そうしますと、そのオーバーした部分についてだけですけれども、同じ家で、かかった経費は同じであっても、その人の収入所得によって家賃に格差をつける、こういうことですね。そうしますと、私は今までの家賃に対する考え方がそこで大きく変ってくると思うのです。もしその方針を貫くとしますれば、今公団住宅の場合には、上の方の制限はないのです。入居資格は三万二千円からありますけれども、三万二千円で入る者と、もう入るときすでに四万円か五万円の収入がある者とある、しかし収入が幾らあろうと、その入居資格さえあれば、幾らその収入の差がありましょうとも同じ家賃で入っておるわけです。そういうことと今言った点とは、政府の考え方が首尾一貫しないということになりやしませんか。
#52
○稗田政府委員 公団住宅の家賃でございますが、御承知のように、全体の建設資金につきまして利回りが四分一厘というような形で計算されているわけでございます。ただ三万二千円をこえました場合に、いきなり公団住宅の家賃の水準のところまでいくというのも実情に合わないのじゃないかというわけで、公団の住宅に届くまで、無理のないような段階を設けたいというふうに考えているわけでございます。
 なお、公営住宅の同じ団地の中で、家についた家賃というのじゃなしに、人によって格差ができるのは不合理じゃないかというような御趣旨も入っているかと思うのでございますけれども、これにつきましては、従来とも公営住宅におきましては、減免等の規定もありまして、入居しておった方で何か不幸が生じたというような場合に、減免は現にやっておったわけでございます。そうしますと、必ずしも家についた家賃というだけでなしに、実情によっては家賃に格差もできておったわけでございます。そういうようなことでございますので、社会政策の一つの制度としてこういうことをやって参りますと、社会福祉のための施策を行う場合には、ある程度避けることのできないことではないかというように考えているわけでございます。なお、この措置を行うにつきまして、いろいろ団地内で、居住者間にも不平なり不満も出てくるかと思うのでございますけれども、これは、社会福祉のための国の施策に対する入居者の理解を深めるように努める必要があると考えておりますので、この点につきましては、なお一そう努力いたしたいというふうに考えているわけでございます。
#53
○島上委員 減免措置を講じているから、収入によって格差があるということはこじつけですよ、減免措置はこの法律にもあるのですから。しかし減免措置をとりましても、それはほんとうに臨時の措置であって、家賃の額というのは一定しているのです。千三百円なら千三百円、千五百円なら千五百円と一定している。これは一時的に不幸等のために減免措置をとる。家賃の収入による格差ではない。これからやろうとするのは、厳格に収入による格差なんです。収入による家賃ですから、Aクラス、Bクラス、Cクラスと、こういうふうにできるわけですから、家賃徴収の方針として、そういうふうに今までの方針を変更されるかどうか、変更されるということになれば、他にも当然波及してくる、こういうことを私は伺っているわけです。同じ家でも、その入居している人の収入に応じて家賃に格差をつける方針にしたというならば、それは賛成はしませんけれども、そういう方針ならまたそういう方針で、次のいろいろ質問をしたいと思うわけです。
#54
○瀬戸山委員 関連して。今問題になっておりますことは、誤解を受けるおそれがありますから、私も申し上げて答弁をしてもらいたい。というのは、今収入に応じて家賃に格差をつけるかどうか、そういうことは政府は考えておらないと思うのです。ただ問題は、この前の委員会でも申し上げましたように、公営住宅法によって、いわゆる公営住宅に対して半額くらい国が補助をして、いわゆる建設費に見合わない家賃をきめておる。普通の建設費でやればもっとよけい取らなくちゃならないのだけれども、低所得者に対しては、この際そういうことをしないで、建設費というものをそれほど考えない家賃で徴収をしておる、こういうことなんです。そういう人々に家を与えようという考え方でした。ところが、それ以上に収入がある人がおりますので、それも今度の改正では、いわゆる国の補助が二分の一でありますか、あるいはまた三分の二のもありますけれども、そういう場合に、それをこさない程度の範囲でいわゆる割増金をちょうだいしたい、それだけの能力のある人は、そういうふうにいたしたい、こういうことだと思うのです。私はそう考えておりますが、それをつけ加えて一つ御答弁を願いたい。
#55
○遠藤国務大臣 私が答弁しようと思っておったことを、瀬戸山委員から今御指摘がありましたのですが、三万二千円までは、これは公営住宅として特別の保護をする建前になっておるが、それをオーバーしていく者に対しては公団住宅のあの線のところまでは特殊な扱いをしていく、こういう考え方であります。それに応じたあるグレーディングを設けて家賃の増額をお願いする、そういう考え方でありますから、よろしくお願いいたします。
#56
○島上委員 そうすると、少しおかしいじゃないですか。今瀬戸山君が言うのを聞いておりますと、収入をオーバーした者に対しては、国が二分の一あるいは三分の二の補助をしておった分を補助しないという建前にして家賃を負担してもらう、それならば幾つか段階をつけるというのはおかしいじゃないですか。三万二千円をオーバーした者は、いわば国の補助を受ける資格がない、言いかえれば、補助は与える必要がないという考えならば――国の補助の分を計算した家賃をオーバーした分に対しては格差をつけずに平等に負担してもらうというようならば、これは理屈としては一応筋が通っているが、それに幾つも段階をつけるということは所得に応じた家賃を課するということになるではないですか、それはおかしいというのです。
#57
○稗田政府委員 収入の越た方につきましては、もちろん島上委員の仰せになりましたように、一律に全体の建設費を四分一厘で計算した家賃にするという考え方もあると思います。この法律におきましては、最高の限度を示しておるわけでございます。その最高限度というのは、公団の全建設費の資金の利回りを準用しておるわけでございます。ただ実施の問題としまして、これは政令なりあるいは指導の問題になるわけでございますけれども、その間にあまり無理のないようにしたいということで、四万円というところで一応線を引きまして、それ以下を二割、それ以上を四割という程度が適当ではないかというふうに考えたわけでございまして、法律としましては、島上委員の仰せのようなこともできるようにはなっているわけでございます。
#58
○島上委員 私の言うのは、今瀬戸山君が言った趣旨が一貫されておらないのじゃないか、それと矛盾しておるのじゃないかということを申し上げたのです。
 それと、もう一つはこの法律のあとの方の改正にありますが、「収入の状況について、当該入居者若しくはその雇主、その取引先その他の関係人に報告を求め、又は官公署に必要な書類を閲覧させ、若しくはその内容を記録させることを求めることができる。」という改正、それに関連しているわけです。というのは、こういう改正をしまして、入居者のオーバーした分の収入を、果して的確につかむことができるかどうか。役所に勤めておるのはすぐわかりますよ。あるいは大きな会社に勤めて、源泉所得税を課せられておる者は、それを調べればわかります。しかし、中には自由業というものがあると思う。それから、商売によっては、あまり取引先を一々根掘り葉掘り取り調べられては困る商売もあるだろうと思う。だから、これは、運用によっては行き過ぎを生ずる危険性も、そういう点からあるわけですし、行き過ぎをしないようにやろうとすれば、入居者の収入状況を的確につかむことが非常に困難になってくる。そうすると、正直者はばかを見て、不正直に収入所得を隠している者がうまくやる、こういうような不公平な事態が生ずるおそれがある。一体、これをこういうふうに改正しまして、今私が指摘したような不公平な事態を生じないようにできるという自信がおありですか。
#59
○遠藤国務大臣 その問題は、私ども非常に注意をし、よく練ったところでございます。あたかも税金の、たとえば所得税の査定の場合と同じような問題が出て参るのであります。従って、これをがしゃがしゃやって参りますと、いろいろ問題を起しますが、そういうむちゃなことをさせないように、しかも一つの団地、一つの住居地域にみなおるものでありますから、それはひとりでにわかっていく。それも、この法律によってがちゃがちゃやるような気分でなくて、みんなで話し合っていけば、大体隣の人たちのふところ工合というものがどうだということはわかって参りますから、割合に公平にいくのじゃないか、私はこういうふうに思うわけであります。
#60
○島上委員 しかし、そのオーバーした収入の入居者を調べるのに、隣近所を調べて聞き込みなどいたしますから、警察みたいになる、そんなことをしたら大へんですよ。
#61
○遠藤国務大臣 これは公営住宅の入居者の一団がありますから、おのずとわかってくるのだろうと思うのですがね。わかりませんか。――大体わかるでしょう。最近あの人は非常に金回りがいいとかなんとか、大体わかってくるでしょう。で、あまりがちゃがちゃ、この法律の条文をたてにとって、税務署の職員が踏み込んで調べるような、そういうことは、私は住宅問題についてやらせたくないと思うのです。ですから、そこは良識に待って、その住宅の平和を乱すようなことをしないように、よく指導していきたいと思っております。
#62
○島上委員 そういうふうにひとりでにわかるなんて、そんなものじゃないですよ。これは、家賃に関係がなければ正直に申告もするだろうし、調査もできる。ただちに家賃が二割ないし四割上る、三千円の家賃が四千二百円になる、こういう問題がつきまとっておるのですから、私は、こういうものを正直に申告しない者もあると思う特に、自由な商売をやっている人には、そういうものが出てくると思うのです。ひとりでにわかるとか、みんなが気持よく協力するとか、そんな甘いものじゃない。従って、そういう不公平な事態が生ずるのです。それを生じさせまいとすれば、勢いどうしても運用の面で、人権を侵害するような行き過ぎが生ずるおそれがある。行き過ぎを生じないように、円満にやろうとすれば、そういう不公平な事態が生ずる。これは実際運用の面で、事業主体、管理者側でこの法律の条文を持て余すのじゃないかと私は思う
#63
○遠藤国務大臣 その収入の調べでありますが、大体、公営住宅の入居者は九割が俸給生活者であります。九割近い者は俸給生活者でありますから、大体わかっていくと思います。
 それからお話のように、御心配のような点はあんまりがしゃがしゃやらせないように、よく指導して参りまして、公営住宅の平和を乱さぬように、常識的にやるように、よく指導して参りたいと思います。
#64
○島上委員 おとなしくしていれば、なるべく早くやるが……。
    〔「何言っているんだ」「選挙演説をやるな」と呼ぶ者あり〕
#65
○堀川委員長 静粛に願います。
#66
○島上委員 こっちはちゃんと質問をやっているんじゃないか。(発言するものあり)今のやじは何だ。取り消せ。
    〔発言する者あり〕
#67
○堀川委員長 静粛に願います。島上委員に申し上げます。とりあえず、今そういうことがあったかもしらんが、速記には載っておらぬ問題ですから……。
#68
○島上委員 そういう不謹慎なことを与党がするようでは、スムースに進行しませんよ。そういうことをするなら、こっちにも考えがあります。会の申し合せを尊重しながらこっちはやっているんですから。(「尊重したらとっくに終っているはずだ」と呼ぶ者あり)
 私は、今の改正点については非常に問題がある、運用の面でも非常に問題があると思う。今大臣がお答えになったような、そういう甘いものではないと思う。
 それから、実は私この問題について入居者とお会いして、いろいろ聞いているうちに、こういう心配をしている人がある。同じ家に住んでいて、近所隣で、Aクラス、Bクラス、Cクラスというものができるのです。そうすると、学校の子供さんが、あすこの家はお金持ちだ、うちは貧乏人だ、こういったようなことが子供にだんだんわかってきて、非常に団地の平和を乱したり、学校の教育や子供にも精神的に悪い影響を与えるのじゃないか、こういうようなことを指摘している人がありましたが、私もそういう心配をしないわけにはいかぬ、どうしてもわかるのですから。あの人は四割増しで四千二百円、うちは三千円、お隣は三千五百円、こういうようなことになりますと、あなたもさっきから繰り返して言っておりますが、団地の入居者の平和を乱すということにもなると思う(「ならぬ、ならぬそんなことは」と呼ぶ者あり)君に質問しているのじゃないよ。
#69
○遠藤国務大臣 この家賃問題を実際扱っていく際には、お話のような点も確かに注意しなければならぬ点の一つだと思います。あんまり事務的にしゃくし定木でもってやるようなことをさせないように十分指導いたしまして、そういうような人間の生活の機微に触れた問題について撹乱をしないように十分な指導をして参りたい、こういうふうに考えております。
#70
○島上委員 建設省の指導によってそういう事実をなくすることは、私はできないと思う。しかし、この問題はこの辺にして、法制局が来ておりますから、法制局の方に伺いますが、この公営住宅法の第一条には、はっきりと「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、」云云、これを「目的とする。」こうなっているわけです。そしてこの法律にいう低額所得者とは、第一種の場合には三万二千円、第二種の場合には一万六千円を限度としているわです。それから低家賃とは、現在貸しそおる家賃のことを低家賃という、こういう解釈をとっておるわけです。ところが、この法律改正によりますれば、今度はその低額所得者と定義しておる三万二千円をオーバーした人に対して、現在貸しておる低家賃に、ある者は八割、ある者は四割割増しした家賃で貸す、こういう事実が生ずるわけです。すなわち低額所得者にあらざる者に対して低家賃にあらざる家賃で提供するという事実が一部に存在する、こういうことになるわけです。そこで、そうなりますと、その一部に存在する事実は、この法律の第一条の目的と食い違ってくるのではないか。私は、そうなりますと、この第一条を修正するか補足しなければ、実態と法文とは合わないのではないか。こういう質問をしましたが、どうも大臣の答弁では、私の納得するような答弁は得られなかった。それで、あなたに来てもらったのですが、どんなふうに解釈されますか。
#71
○野木政府委員 申すまでもなく法第一条は、この法律の目的、すなわち精神をうたったものでありまして、そこで規定せられておりますことは、「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸する」そういうようなことを御指摘のようにうたってあるわけであります。そうして今度の改正案につきましては、二十一条の二で、「収入超過者に対する措置」という規定がありまして、一定の基準を越える収入があるようになったときには、明け渡しの努力義務を課す、そして次に、一定の標準を越える者に対しては、一定の割増し賃料を徴収することができる、そうなったわけであります。この規定は第一条の趣旨に反するかと申しますと、反するということまで言うことはないのではないかと存ずる次第であります。といいますのは、現在の法律におきましては、第一条の目的を達するために、あとの各条でそれぞれ具体的の措置を講じまして、それによって具体的の権利、義務を定めておるわけであります。第一条の目的を達するためにはいかなる具体的の措置を講じたらいいかということは、一に立法政策の問題でありまして、終局においては、国会で御決定になることだろうと存じます。現行法は、この場合におきまして、第一条では、低額所得者に低廉な家賃で賃貸するといっていますが、具体的に、その低額所得者が後にやや高額所得者になった場合にどうなるかということは、あとの各条文で、具体的の権利、義務関係としては規定していないわけであります。また趣旨としては、低額所得者に対して貸すことを目的とした公営住宅でありますが、さて入っている場合、高額所得者になった場合には、具体的にそういう人はどういう権利、義務を負うかということは、あとの各条文では、具体的な権利、義務の規定はないわけであります。それで、おそらくこの公営住宅法ができた当時は第一条の目的を達するには、かような仕組みで目的が達せられるものである、そういうように御判断になって、この法律ができたのだろうと存じます。しかしながら、その後の運用の実情に徴しまして、また今の住宅事情などに徴しまして、そういう措置だけではどうもこの立法の目的を達するのに不十分である、それで、何かいま少し具体的の措置を講じたいということで、今度の改正になったものと存ずる次第であります。そうして、さてしからば、第一条の目的を達するにはどういう措置をとったらいいかということになりまして、今具体的に二十一条の二ができたわけでありますが、ここにおきましては、第一条の目的に照らし合せてみまして、この政令で定める基準を越える収入がある、こういうような者は、本来法律が第一条の趣旨でうたった低額所得者でなくなるわけでありますから、こういう者にいつまでも貸しておくということは、現在の事情から見て必ずしも適当ではないだろう、またこういう者にいきなり出てくれというのも、また別個の事情から行き過ぎでありますから、せめて努力義務というものを課する程度にした方が、やはり現在の状況において第一条の趣旨を達するのに一番よいのではないかというように、まず第一に考えたものと存ずる次第であります。しこうして、その場合におきましても、先ほどから述べられているように、この法律は一般の国の大きな補助金などありまして、普通の家賃よりもはるかに低廉な家賃でできておるわけでありまして、すでにある程度の高額所得者になったものでありますから、本来ならばそういう低廉な家賃で見てやらなくてもよいのではないか、そういうような状況になっておるものとも一応いえるわけであります。そういうものにつきましては、もうそこまで保護する必要はないのじゃないか。もちろん公営住宅法を作ったときには、まあそこまでこまかくやらなくても、おそらく目的を達するだろうということでできたのだろうと思いますが、その後の運用状況に照らしますと、今のようでは足りない。そうして、そういうものについては、やはりある程度割増しの賃料をとるのも適当ではなかろうかということになって、二十一条の二ができたものと存ずる次第であります。そうしますと、かれこれ総合してみましても、結局第一条の目的を達する具体的手段として今の社会的事情、もろもろの事情に徴して、この程度のことは、行き過ぎにもならず、また今の事情を打破するのに一番適切な措置であるということでとられたものでありまして、第一条の字句を考えてみましても、少し第一条に手を入れなければならぬ、そういうようなことではなくて、やはり第一条の趣旨という範囲内で、その中の措置を少し変えた、その程度の措置だろう、こう存ずる次第であります。従いまして、結論といたしましては、第一条の字句を改正するというような必要はないのではないかと存ずる次第であります。
#72
○島上委員 あなたは法律の専門家だから、その法律の条文について私は聞いておるわけなんです。現在の事情がこうだとか、いろいろな現在の状況を配慮して運用しているのだということは、もう大臣がさっき十分に答えたので、わかっている。今あなたは、第一条の範囲内でと言いましたが、厳格に申しますと、第一条の趣旨を越えた部分が、この法律改正によって若干存在するわけです。つまり、現在の家賃をこの法律の第一条にいう低家賃といっているし、第二種の場合には、一万六千円、第一種の場合には、三万三千円を低額所得者と、こう解釈しているわけですから――現在の第一条から、そういうように解釈するのが当然でしょう。その解釈を伺いましょう。このいわゆる低額所得者とは、第一種の場合には三万二千円、第二種の場合には一万六千円、低家賃とは現在課しておる家賃、こう解釈してよろしゅうございましょうか、その解釈を伺います。
#73
○野木政府委員 低額所得者の意味につきましては、第二条等に「政令で定める基準の収入」とありままから、この政令にゆだねられておるものと存ずる次第であります。低廉な家賃というのも、この家賃の決定という条項にありまして、この辺で一応きめられておると存じます。しかしながら、今度割増し賃料というものを作りましたが、これも、やはりこの法律でできておる家賃の一種でありますから、十二条以下の家賃の定め方と違う一つの定め方でありますが、結局家賃の一種であります。これも、先ほどから御説もありましたように、一般の普通の自由契約できまる家賃よりも、やはりそれ以上に出ないわけでございますから、全体の趣旨として、低廉な家賃で賃貸するというこの趣旨からはみ出る――しかも、それが一つの例外的というか、一種の特別の措置でありますから、その点では、第一条の低廉な家賃という範囲とは矛盾しないと存ずる次第であります。
#74
○島上委員 どうもあなたの御答弁を聞いておりますと、失礼ながら、この政府の提案した法律を合理化するために理屈をこじつけているようにしか受け取れない。これを合理化せんがために、少し無理なこじつけをしているようにどうも受け取れる。そうではなしに、私は純粋な法律的な解釈を聞きたい。それができなければ、もう質問しても仕方がないのですが、そこでもう一ぺん念を押して聞きますが、政令で定める低額所得者の基準というものは、今私が言ったように一万六千円ないし三万二千円です。これは政令で定めておるのです。控除を除いたものについて定めておるのですから、これがこの法律でいう低額所得者であるということは、これは法律上の解釈から――私どもはしろうとですけれども、当然そうなると思うのです。
 それからこの法律によって割り出した家賃が、現在のこの法律の第一条に該当する低家賃なんですから、そうしますと、この政令で定めた低額所得者の範囲を越えた者は、低額所得者ではないということになる。高額所得者あるいは中額所得者というのかもしれない、とにかくここでいう低額所得者ではなくなっている、そういう事実が厳然として存在するわけなんです。これは、私は認めないわけにはいかぬと思う。政令で三万二千円までは低額所得者、四万になれば低額所得者ではなくなっているのですからそうでしょうそこで、私は低額所得者にあらざる者が低家賃でない中間的な家賃で入っているという事実が存在するということは、この第一条の法律の趣旨と、あなたの言ったこの法律の範囲内だ、こう言い切れないではないか。この趣旨と若干食い違ってくるではないか。そうしたら、この第一条を多少その実態に合うように補足するか修正しなければ、実態と法文とは合わないではないかということを聞いているわけなんです。
#75
○瀬戸山委員 関連して。答弁があやまちなからんことを期して、私から聞いておきます。(「八百長質問ばかりするなよ」と呼ぶ者あり)八百長ではありません。(「答弁を先にさせたらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)法律というものは、よくお互いに研究して、納得がいってもらいたいと思ってやっておるのです。
 今の島上委員の御議論ですと、今度の改正によって、場合によってはいわゆる低額所得者の低額家賃――現在政令等できめられておる以上の者がおるじゃないか。それはおるのです。だから、第一条の目的のいわゆる低所得者に対して低家賃の家を供給するのだという目的に反しはしないか、その点だけをとると反するという議論も成り立つと思います。しかし法律全体のいわゆる低額所得者に対して低額の家賃の家を供給し、国民の福利をはかろうという趣旨はちっとも損されておらない。そういう筋を通そうというのが今度の法律の改正でありまして、もし島上委員の言われるように、この法律の第一条の目的通りやれといえば、そういう人はおっぽり出すより仕方ないのです。しかし法律はできるだけそういう人々に家を貸したいという目的を持ってできておるのですから、そういう残酷な考え方をすること自体がこの法律の目的に反する。第一条の趣旨は、あくまでも低額所得者に低廉な家賃の家を供給しよう、それについてはこういう措置をとりますぞよという法律の改正ですから、何も第一条の趣旨を没却するものではない、抵触もいたさない、それがこの法律の精神だと思うのですが、それもつけ加えて一つお答えを願いたい。
#76
○遠藤国務大臣 今までの議論をいろいろ聞いておったのですけれども島上委員のお考えによりますと、今日すでに三万二千円をオーバーしている者が入っておるのじゃないか、これは法律違反だからおっぽり出してしまえ、こういう議論になるのじゃないかと思うのです。私どもはそうは思わない。今日でもこれは違反ではないと思っておるわけです。そこに根本的な考え方の違いがあるのじゃないかというふうに思うのですが、今日三万二千円以上の者が第一条の目的に反する形で入っておる、これは法律違反ではないか、何をしておるのだ、こういって小言をいわれるようなことが立論の基礎になって議論が進められているように思います。そこで、私どもは、これは法律違反ではない。低額所得者に対して低家賃の住宅を供給するというのは、大きくくるんでいるものであるという建前で、従って今度三万二千円以上の者の家賃を上げるような手続をしていきましても、第一条の目的は決してそこなうものではない。第一条を変えなくても、これは決して法律違反にはならない、こういう建前をとっておるものでありますから、それで一つ御了承をいだきたたいと思うのです。
#77
○島上委員 大臣は私の言うことを誤解しているのです。私は、三万二千円をオーバーしたから高額所得者だと解釈しておりません。だから、こういう人に明け渡しの義務を負わしたり、家賃の値上げをしたりすることは反対です。あなた方の今までの答弁、あなた方の解釈によれば、こうなるのじゃないか、そうすると、法律第一条とそれこそ筋が通っていないのじゃないかということを尋ねているわけです。ですから、三万二千円をオーバーしても、ここにいう低額所得者であるとあなた方は解釈するなら、それでいいのです。そうすれば、その人たちに対しても、低家賃で提供しなければいかぬのですから、私はちっとも反対しない。しかし、三万二千円をオーバーした者は低額所得者でないと判断しているのですから、これらの人に割増し賃料を課するというのは、低家賃でない家賃で貸すということですから、そうすると第一条に違反するから、第一条を改正しなければ実態と合わぬじゃないか、こういうことを法律の解釈として聞いているのです。とにかく、もう一ぺん法制局の政治的答弁ではなしに、法律の純粋な解釈を承わっておきたい。
#78
○堀川委員長 島上委員に委員長から申し上げます。前からの申し合せもありますし、できるだけ御質問していただきたいと存じますが、もう大体議論も尽きておるのではないかとも存じますので、できるだけ結論を急いでやっていただきたいと思います。
#79
○野木政府委員 私も第一条の趣旨というものは、先ほど大臣も御答弁なすったように、やはり法律の大目的をうたっておるのでありますから、この大目的の範囲内におきましては、その具体的措置として大目的を達するための手段でありますから、二十一条の二というものは、別に矛盾をしないでおさまるのではないか、そういうように存ずる次第であります。
#80
○島上委員 これ以上聞いても――法律的な純粋な答弁を聞きたいと思ったけれども、聞くことができません。しかし今の答弁は、政府提案を合理化するためのこじつけの答弁ですよ、私は満足いたしません。しかしせっかく委員長のあれもありますから、私はまだ質問したいことが一ぱいありますけれども、参議院へ回ったら、参議院の同僚諸君に質問してもらうことにいたします。ただ、今の私の質問に対する大臣の答弁にしても、局長の答弁にしても、あるいは法制局の答弁にしましても、私は納得もしませんし、満足もしません。これだけはっきり言っておきます。
#81
○塚本委員 関連。一問だけ大臣にお聞きしておきたいと思います。法律は、できてしまいますと、ひとりで歩き出します。大臣の御答弁を聞いておりますと、この前山中委員が質問しておりましたように、私ども非常にあたたかい感じがするわけですが、法律としてできってしまいますと、非常に冷酷になってくる。大臣のような人格者が直接管理に当っておられれば、心配はないと思いますけれども、しかし建設立法の中でたくさんできております幾多の問題を検討してみますと、たとえば住宅問題につきましても、金融公庫等における建築についても、金融機関から金の借りられない人ということになっておりますが、現実においてはそういう法律よりはみ出してしまって、お金のある人が税金のがれ、あるいは固定資産税のがれのために借り出しているというのが世間の常識になっております。こういう一事を見ましても、あるいは今度の住宅法の十五条なんかでも「しなければならない。」というような義務のような規定が出ておりますが、修繕義務というものがちゃんと行われていないし、またそれも、予算上やむを得ないのではなかろうか、こういう大臣の答弁が先ほどあったわけです。こう考えて参りますと、やはり一定の収入から越えた入居者に対してあたたかい、いわゆる話し合いでということは、再三述べられておりますが、この話し合いを一体どのようにさせるかということを考えてみますと、おそらく大臣は、これから何年か先にはおかわりになると思うのですが、その場合に、実際の管理者というものはどうやって無理のないように――法律をたてにとられると、非常に冷たい管理規定になってしまうのではなかろうか、一つの法律としてでき上ってしまったら、大臣の意思にかかわらず、ひとり歩きしてしまうのです。こう考えて参りますと、具体的な措置として、大臣の精神をどうやってお生かしになるか、これをお聞きしたい。
#82
○遠藤国務大臣 われわれの方から見ますと、非常にありがたい御注意なんですが、私はかねがね申し上げておりますように、これは法律の条文でもってごしごしやるべき性質のものでなくして、一定の公営住宅といういう平和な生活を送っておるのでありますから、そこへ波乱を起したりするようなことがないように、十分注意して参りたいと思っております。そこで、公営住宅の管理者を集めて法の精神をよく示達し、通牒その他でも間違いのないようにやれ、こういうことを厳重に示達し、監督をして参りたいと思います。こう明け渡し義務につきましても、住宅審議会という各方面の住宅の専門家が集まっておる審議会があるのでありますが、法律的な明け渡しの義務を強制執行をするものがなければだめではないかという議論もありましたけれども、私は、そういうことをやるべきではないということで、あくまで話し合で、平和な生活をきちっと守っていくという建前でこの法案を立案して参ったのであります。御注意の点はよく注意をいたしまして、そうして平和な生活に波紋を描かないように努めて参りたと思います。
#83
○堀川委員長 この際お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これにて終局するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○堀川委員長 御異議なしと認めます。質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。討論の通告がありますから、これを許します。武藤武雄君。
#85
○武藤委員 私は、日本社会党を代表して、本案に対して反対の討論を行うものであります。
 まず第一には、今回の改正のいわば眼目ともいうべき公営住宅入居者のうち、収入超過者に対する措置についてであります。すなわち改正案の第二十一条の二によれば、三年以上公営住宅に入居していて、政令で定める基準以上の収入となった者は、その住宅を明け渡すように努めるべきことが規定されているのでありますが、公営住宅法が住宅困窮者に対して住宅を賃貸しすることを目的としている点から見ても、家賃の滞納その他の不実の行為があった場合等において明け渡しを求められることは別として、単に収入が増加したというだけの理由をもって明け渡し義務を課せられることは、居住権を脅かすものともいうべきであって、法の精神を根本から否定する改悪案であって賛成しがたいものがあるのであります。今日住宅難は依然として解消するに至っておらないのでありまして、公営住宅を明け渡した場合、これにかわるべき住宅を求めることはきわめて困難な状況にあるのであります。たとい政府当局の答弁に言うごとく、公団住宅等のかわるべき住宅のあっせんがあったといたしましても、今日の公団住宅と公営住宅とでは、その家賃の点で著しい差があるのでありまして、六万円、七万円といった高額所得者はいざ知らず、公営住宅の入居資格を多少上回る程度の収入をもってしては、その負担の増加には容易に耐え得ないものといわざるを得ないのであります。
 さらにまた、公営住宅入居者は、長期にわたって住宅難に苦しんだあげく、数十倍という抽せんの難関を突破してようやくにして待望の住居を得て、生活の安定を見た者が大部分でありますが、しかるに今回の改正が行われますならば、入居しても三年を経過した後において収入が基準額以上になった場合には、退去しなければならぬことが予告されることとなり、再び住居に対する不安を抱きながら生活を続けていかねばならぬことになるのであります。これによる精神的負担はきわめて大きいものといえるのであり、このようなことでは、住宅困窮者に対する恒久的安定策としての公営住宅の意味も、失われてしまうと言わざるを得ないのであります。
 第二に、政府当局は、今回の措置によってあいた住宅を、公営住宅入居を待っている多数の住宅に困窮する低額所得者に割当てることによって、住宅難の解決に資すると述べているのでありますが、低額所得者に対する住宅対策としては、もっと多くの公営住宅を建てることによって解決さるべきであり、収入超過者の住みかえによってこれを行わんとするのは、きわめて姑息な手段であり、一種のごまかしであると言わざるを得ないのであります。収入超過によって公営住宅から退去させられた者の多くが公団住宅に入るということになれば、その分だけ公団住宅入居を待っている少なからぬ数の住宅困窮者の分に食い込む結果となり、全体としてみれば同じことになり、決してそのまま住宅難の解消になるとは言いがたいのであります。
 第三には、収入超過者に対する措置とともに、この改正案の要点となっている建設年次による家賃のアンバランスの調整についてであります。
 これについては、実情やむを得ない点も見られるのではありますが、たとい額としては少額でありましても、これは家賃の引き上げとなるのでありまして、今日なお国民の所得水準は低く、特に公営住宅居住者のごとき低額所得者にあっては、依然としてエンゲル係数もかなり高い現状にありますので、家賃の値上りはたとい少額であっても、直ちに生計費の安定を脅かすことになるのであります。
 御承知の通り、わが党は去る第二十八国会に、公営住宅法一部改正法案を提案したことがあります。その根本的な主張は、公営住宅の家賃を入居者の月収の百分の十を基準として合理的に体系化するということであります。今回の政府の改正案は、従来の社会党の主張を取り入れたものであるとの御議論もあるようでありますが、しかし、所得階層を基準とした全体的な家賃の体系が全く示されておらず、ただ機械的に収入超過者の家賃を引き上げ、また建設年次の古いものの家賃を引き上げようということでありまして社会党の年来の主張とは全く性格の異なる案であると考えられます。またさきの社会党の改正案では家賃の体系化を行う場合も、現状の入居者の既得権益はこれを侵さないという原則を、特に強く盛り込んでいるのでございまして、この点は、今回の政府の改正案では、逆に入居者の既得権を全面的に否定する結果となるのでありまして、わが党の考えとは相いれない政策であると言わざるを得ないのであります。
 一方最近の物価の状況を見るに、生活費に直接影響を及ぼすもののみについて見ても、去る一月には私鉄運賃、バス料金が引き上げられ、四月からはNHKのラジオ聴取料、新聞購読料等の値上げも予定されており、全般的に物価は値上り傾向を示しているのであります。かかる時期において公営住宅の家賃が引き上げられるということは、このような物価上昇の動きに拍車をかける結果となることは、火を見るよりも明らかであります。
 また収入超過者に対する措置として考えられている割増し賃料につきましても、その実質は家賃の値上げであり、このような家賃の不均衡是正、あるいは収入の増加を理由とする公営住宅の家賃値上げを認めるならば、同様の理由をもって公団住宅、さらには民間住宅においても家賃の引き上げが行われるであろうことは、容易に予想されるのでありまして、その影響はきわめて大なるものがあり、今日の情勢においては認めるべきものではないと考えるものであります。
 以上申し述べたごとき理由により、日本社会党といたしましては、今回の改正案には反対するものであります。
 なお最後に一言つけ加えるならば、今日住宅難は依然として緩和されず、しかも政府の政策も、住宅金融公庫、あるいは公団住宅のごとく、どちらかといえば、中程度以上の収入の階層に対する対策に重点が置かれているため、低額所得者層に住宅難のしわ寄せがなされておる感じすらあるのであります。このような現状にかんがみ、政府はすみやかに住宅政策の重点を低額所得者層のための住宅供給に移し、今回の改正のごときこそくな手段によることなく、積極的に公営住宅の建設戸数をさらに増大させるとともに、公団住宅についても、その家賃を極力低廉ならしめ、いわゆる中間層の人々の容易に入居できる住宅として、今回の改正案に示されるごとき強制的な法的措置によらずとも、公営から公団へのスムーズな移動ができるような方途を講ずべきであるのであります。
 また、従来住宅の老朽その他改善すべき点を多々有しながら、ごく一部の改善指導を除いては、ほとんど対策らしいものが行われていない農村住宅対策につきましても、すみやかに措置を講ずべきであると考えるのであります。
 また公営住宅における管理人制度にも、この際幾多の問題点が指摘されているので、これを根本的に検討する必要があると考えられます。たとえば自治体職員の任命入居をやめて、居住者中の公務員の適当な人を、居住民みずからが民主的に選ぶ方法、あるいは大きな公営住宅団地には管理事務所等を設ける方法等、根本的改革を必要とするものと思われます。
 さらに事業主体の責任についてであります。第一に、公営住宅建設の際、建築規格に対する手抜き、不正建築等に対する厳重な監督等が行われるべきであります。第二は、法令、省令で定めてある付帯施設の新設、修理、特に法第五条に定める児童遊園、共同浴場、集会所等の共同施設の完備は、すみやかに行われるべきであります。特に集会所のごときは、省令第二十二号にも、百戸に一カ所の割合で建てることとしてあるのに、ほとんど建てられていないのが現状であります。そこで、やむなく住民が自己負担で共同で建設しようとした事例に対して、府中市のごときは、市側も強く要望しておるにもかかわらず、これを拒んでおる等、事業主体の無責任なやり方が強く指摘をされる状態であります。
 建設省は、以上のような問題点について、事業主体に対する指導を特に強化すべきであると申し上げたいのであります。
 以上、今回の公営住宅法改正に対し、日本社会党が反対をいたします理由を明らかにするとともに、政府の住宅政策は、住宅困窮の最もはなはだしい低所得層の見地から根本的に再検討すべきであることを強く主張いたしまして、私の反対討論にかえる次第であります。(拍手)
#86
○堀川委員長 討論はこれにて終局いたしました。
 これより採決に入ります。公営住宅法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#87
○堀川委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)
 なおただいまの議決に伴う報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○堀川委員長 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 次回は二十五日午前十時より開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後一時六分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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