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1958/01/30 第31回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第031回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第3号
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1958/01/30 第31回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第031回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第3号

#1
第031回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第3号
昭和三十四年一月三十日(金曜日)
    午前十一時二十四分開議
 出席委員
   委員長 田口長治郎君
   理事 逢澤  寛君 理事 中山 マサ君
  理事 山下 春江君 理事 茜ケ久保重光君
   理事 北條 秀一君
      井原 岸高君    田中 龍夫君
      辻  政信君    藤枝 泉介君
      細田 義安君    八木 徹雄君
      受田 新吉君    角屋堅次郎君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 坂田 道太君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (引揚援護局
        長)      河野 鎭雄君
    ―――――――――――――
一月三十日
 委員臼井莊一君辞任につき、その補欠として辻
 政信君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 未帰還者に関する特別措置法案起草に関する件
     ――――◇―――――
#2
○田口委員長 これより会議を開きます。
 未帰還者に関する特別措置法案起草の件について議事を進めます。
 この際、未帰還者に関する特別措置法案起草小委員長より、小委員会の経過及び結果を報告いたしたいとの申し出があります。これを許します。未帰還者に関する特別措置法案起草小委員長山下春江君。
    ―――――――――――――
#3
○山下(春)委員 未帰還者に関する特別措置法案起草の件について、小委員会における経過及び結果について御報告申し上げます。
 一昨日の小委員会におきまして、慎重に検討の結果、ただいまお手元に御配付いたしてあります通りの法案を起草することに意見の一致を見ることができた次第であります。以下、簡単にその概要について御説明申し上げます。
 去る二十七日、本委員会において、夫帰還者に関する特別措置法案要綱が全会一致をもって可決せられまして、これに基く法案の起草を小委員会に一任されましたので、さっそく小委員会において、それぞれ必要な機関とも協議の上、お手元にお配りいたしました法律案を起草いたした次第であります。
 以下、小委員会において作成いたしました法案の概要について、条を追って御説明いたします。
 第一条は、この法律の目的を規定し、第二条には、民法第三十条の宣告の請求等の特例として、国が調査究明しても、なおその状況を明らかにすることができない未帰還者のうち、終戦直後の混乱期及びそれに引き続く時期において死亡したのではないかと思われる者であると認める場合には、留守家族にかわって、厚生大臣も民法第三十条の宣告の請求ができることを規定いたしましたが、この請求をいたします場合には、厚生大臣は留守家族の意向を尊重して行わなければならないこと、また、この厚生大臣請求による民法第三十条の宣告は他の一般の宣告と区別し、戦時死亡宣告と呼ぶことにいたしました。
 第二条、第四条、第五条、第六条には、それぞれ弔慰料の支給とか、支給を受けるべき遺族の範囲やその順位、及び弔慰料の額を規定いたしましたが、要するに、未帰還者が戦時死亡宣告を受けたときは、その遺族に対して弔慰料を支給することにいたしまして、その額は三万円とした次第であります。ただしかし、恩給法による公務扶助料とか、戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金や遺  与金などを受ける者に対しましては、それぞれ五万円の弔慰金または三万円の特別弔慰金などが支給されることでもありますので、これらの場合については、弔慰料は二万円でごしんぼう願うことといたしたのであります。
 第七条は、同順位の遺族が数人ある場合、また、第八条は、弔慰料の支給を受ける権利を有する者が死亡した場合などはどうするかを規定しております。
 第九条は、一たん支給いたしました弔慰料はその後、たとえば御本人が生きていられることなどがわかって、戦時死亡宣告の取り消しが行われた場合においても、返還しないことができるようにしようというのであります。
 第十条は、時効の規定でありまして、第三条第二項に規定いたしますように、弔慰料は遺族の請求によって行うことになりますので、三年間請求をしない場合は、権利は消滅することになるのであります。
 また、譲渡の禁止や免税等について、第十一条及び第十二条にそれぞれ規定いたしました。
 次に、第十三条は、少し込み入っておりますが、要するに、未帰還者が戦時死亡宣告を受けたときは、もし、その者が恩給法もしくは戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用を受ける者である場合は、原則として、公務によって死亡したものとみなして、それぞれの法律の規定による処遇を与えようというのであります。
 なお、第四欄には、便宜上死亡したものとみなす日をそれぞれ規定しておりますが、これは戦傷病者戦没者遺族等援護法あるいは改正恩給法を最初から適用することを明らかにしたものでありまして、審判によって死亡したものとみなされる日とは違うことを御承知おき願いたいのであります。
 また、本法は、生死の分明でない者について適用されるものであります関係から、その後その者の状況が分明になった場合等についても規定しておくことといたしたのであります。
 第十四条は、実施機関を都道府県知事等にすることについて、また、沖縄地域に対しても適用するために第十五条を設け、第十六条には、厚生省令への委任を規定いたしました。
 最後に、附則において、施行期日を本年四月一日からと定め、また、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正して、さらに本年八月一日から三年間引き続いて留守家族手当を支給し得ることとし、また、戦時死亡宣告を受けた一般邦人に対しては、本法による三万円の弔慰料のほか、遺族給付金を支給するよう引揚者給付金等支給法の一部を改正する等の処置をすることといたした次第であります。
 以上をもって御報告を終りますが、本法律の運用については特に慎重を期すること、また、弔慰料は生活保護法による収入とは認定しないようにしてもらいたいというのが、小委員会の一致した意見であることをつけ加えて申し上げておきます。
 以上が小委員会における本案起草の経過の概要と、その要旨であります。つきましては、この際、この案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案としてお取り計らい下さいますようにお願い申し上げますとともに、委員各位の御賛同をお願いいたす次第であります。
#4
○田口委員長 ただいまの小委員長の報告にかかる案に対し、御意見なり、質疑があればこれを許します。
#5
○茜ケ久保委員 厚生大臣に要望いたしたいのであります。
 先ほど、ちょっとここで話したのですが、やはりまだ遺族は、私の夫、子供は生きているんだという希望を持つ者が多いと思うのですが、またこれを非常に喜んで、さっそく手続をする人もあると思うのです。その反面には今言ったように、生存を非常に希望として持っている者もあると思うのですよ。そういった者に対して、事務当局の諸君が、特に末端に入りますと、ややもするとこの法律をたてにする者もございますので、やはり、ただ単なる事務的なことだけでなくて、思いやりのある態度でお接し願いませんと、せっかく親心で作った法律が、逆な面を出すことがございます。これは、厚生当局では十分にお含みの上のことだとは思いますが、こういった非常に微妙なものを持っている法律の適用について、特に留意していただくような措置をぜひお願いしたい、こういうことであります。
#6
○坂田国務大臣 ただいま、あたたかいお気持を御表明いただきまして、私も全く同感でございまして、厚生省の末端の事務を扱っておられる方々において、皆さん方の御意思に沿わないような面も多々あったかと思いますけれども、今後はそういうことがないように、特に留守家族の方々は、今おっしゃられましたように、やはりこの生存というものに対する希望を私は心の中に持っておられるだろうと思いますので、実施いたします場合におきまして、十分その点は慎重に取り扱うように、部下を督励いたしたいと考えておるわけでございまして、十分御意向に沿いたいと考えておるような次第でございます。
#7
○田口委員長 この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、本案に対する内閣の意見を聴取することといたします。坂田厚生大臣。
#8
○坂田国務大臣 本案は妥当なものであると考えます。
 未帰還者特別措置法による弔慰料につきましては、生活保護法の取扱い上、収入として認定しないものにされたしという御要望でございまして、この御趣旨に沿うよう十分研究をいたしまして、善処いたしたいと考えておるような次第でございます。
 この際、はなはだ失礼と存じますが、一言……。私、初めて厚生大臣になりまして、一向未熟でございます。これから大いに勉強いたしまして、皆様方の御協力を得まして、万遺憾のないようにいたしたいと考えておるような次第でございます。当委員会におかれましては、この未帰還問題につきまして、長年御苦労を賜わっておられますことを深く感謝を申し上げ、また、今後とも御協力を願いますようにお願い申し上げる次第でございます。
#9
○田口委員長 それでは、お諮りいたします。本案を、本委員会の成案として、委員会提出の法律案といたすに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○田口委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、理由書及び添付すべき経費につきましては、お手元に配付の通りでありますから、御了承願います。
 本日はこれにて散会いたします。
    午前十一時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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