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1958/09/30 第30回国会 参議院 参議院会議録情報 第030回国会 本会議 第2号
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1958/09/30 第30回国会 参議院

参議院会議録情報 第030回国会 本会議 第2号

#1
第030回国会 本会議 第2号
昭和三十三年九月三十日(火曜日)
   〇開 会 式
 午前十時五十七分 参議院議長、衆議院参議院の副議長、常任委員長及び議員、内閣総理大臣その他の国務大臣、最高裁判所長官及び会計検査院長は、式場に入り、所定の位置に着いた。
 午前十一時 天皇陛下は衆議院議長の前行で式場に出御、玉座に着かせられた。
   〔諸員敬礼〕
 午前十一時一分 衆議院議長星島二郎君は式場の中央に進み、次の式辞を述べた。
   式 辞
  天皇陛下の御臨席を仰ぎ、ここに第三十回国会の開会式を挙げるにあたり、衆議院及び参議院を代表して、式辞を申し述べます。
  現下わが国は内外幾多の重要なる問題に当面しておりますが、とりわけ、財政、経済、教育、厚生等に関し、また、外交及び貿易につき、緊急に諸般の対策を講ずる必要があると存じます。
  われわれはこの際、慎重かつ周到に諸施策を推進し、国家繁栄の基盤を固めるとともに、世界平和の確立に寄与するため更に一層の努力を致さなければなりません。
  ここに開会式を行うにあたり、われわれに負荷された重大な使命にかんがみ、日本国憲法の精神を体し、おのおの、その最善を尽して任務を遂行し、もって国民の委託に応えようとするものであります。次いで侍従長は御言葉書を天皇陛下に奉り、天皇陛下は次の御言葉を賜わった。
   御 言 葉
  本日、第三十回国会の開会式に臨み、全国民を代表する諸君と親しく一堂に会することは、わたくしの深く喜びとするところであります。
  現下の内外の諸情勢に対処し、いよいよ各国との国交を深めるとともに、わが国経済の繁栄と国民福祉の増進を期するため、国会が、当面する諸問題の審議に努力されることは、わたくしの多とするところであります。
  ここに、国会が、国権の最高機関として、その使命の達成に最善を尽されるよう期待します。
   〔諸員敬礼〕
 衆議院議長は御前に参進して、御言葉書を拝受した。
 天皇陛下は参議院議長の前行で入御。
 次いで諸員は式場を出た。
   午前十一時六分式終る
     ─────・─────
昭和三十三年九月三十日(火曜日)
   午後二時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第二号
  昭和三十三年九月三十日
   午後二時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松野鶴平君) 議長は、第二十二号台風による伊豆地方の被害状況調査のため、関根久藏君、小林武治君、久保等君、杉山昌作君の四名を今朝現地に派遣いたしました。
 その他諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。井上知治君から病気のため会期中、また海外旅行のため、松本治一郎君、吉田法晴君から十九日間、光村甚助君から九日間、それぞれ請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松野鶴平君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件。
 内閣総理大臣から施政方針に関し、外務大臣から外交に関し、それぞれ発言を求められております。これより順次発言を許します。岸内閣総理大臣。
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(岸信介君) ここに、当面する諸問題の審議を願うため、臨時国会が開かれました。この際、私は、最近におけるわが国内外の諸情勢を明らかにするとともに、これに対処する決意と施策を、国会を通じ、国民諸君に訴えたいと存じます。
 まず、私は、政府・与党が公約として掲げた政策について、鋭意その具体化に努めていることを強調いたしたいのであります。政府は、目下、通常国会に臨むため、明年度予算の編成を急ぎ、施政の全般について検討を進めているのであります。従って、今国会においては、とりあえず当面の諸案件を解決するため所要の法律案等の成立を期し、もって公約の実現を進めていきたいと思います。
 世界の注目を浴びた中近東問題については、政府は、国際間の恒久的平和を求める外交の基調に立ち、国際連合を通じてその収拾に積極的な努力を払ったのであります。幸い、事態は解決への曙光が見出されるに至ったのでありますが、情勢は今後なお楽観を許さないのであります。私は、この地域の民族主義運動に十分な理解を持つものでありますが、同時に、中近東問題は、あくまで国連憲章の精神に従い、かつ、国際連合のワク内において、平和的に解決せらるべきものと考え、今後も極力努力いたす決意であります。
 日中関係につきましては、貿易や文化の交流を通じ、相互に利益を招来するように努めることは、かねて政府の方針とするところであります。私は、双方が、その政治的立場を異にしながらも、世界の平和の保持に努めることが必要であると信ずるものであります。よって、私は、根拠なき不信や誤解にとらわれることなく、日中双方が置かれているおのおのの立場を尊重しつつ、現下の事態を改善する道を見出していきたい考えであります。(拍手)
 また、台湾海峡をめぐる紛争は、わが国の地理的立場からも特に注視するところであり、事態が武力によらないで一日もすみやかに解決され、アジアの平和が取り戻されることを、心から望むものであります。
 自由諸国特に米国との協調は、わが国の一貫した外交方針の基調をなすものであり、さきに行われた外務大臣と米国首脳との会談も、この趣旨に基くものであります。私は、今後もなお、各国首脳との接触を緊密にし、国際紛争の平和的解決と世界平和の増進に貢献するとともに、率直な話し合いを続けることにより、逐次諸種の懸案の解決をはかっていきたいと考えます。
 このたびの第十三回国際連合総会におきましては、核実験停止を含む軍縮問題とアジアの諸問題に重点を置いて、その建設的な解決のため努力し、国際連合を通じてわが国の国際的地位を築いて参りたいと存じております。特に、原水爆の禁止につきましては、かねてから、あらゆる機会と手段を通じて、その実現に努めて参ったのであります。幸い、最近に至り、ようやく米英ソ各国も核実験の停止を声明するに至り、また、本年夏には、核実験の査察に関する専門家会議が開かれ、これらを契機として、近く関係国間に核実験の停止に関する会議が開催される運びとなりました。このことは、わが国のこれまでの主張と提案が次第に世界に理解されるに至ったものとして、まことに喜びにたえません。
 国内におきましては、民主主義の思想が、年を追って国民生活の中に広く深く根を張り、労使の関係についても、健全な労働慣行と労働秩序を積極的に確立しようとする動きが見られるに至りましたことは、まことに喜ばしいことであります。しかしながら、今日、なお一部の組合組織においては、民主主義の名のもとに、法秩序を無視して、国民の福祉と安全を脅かしているものがありますることは、遺憾にたえないところであります。(拍手)特に、反民主主義思想を抱く少数指導者が、組合員の経済的要求を特定の政治的意図に利用し、暴力的闘争に組合員を走らせている傾向のありますことは、許しがたいことであります。国権の最高機関たる国会で国民多数の意思として成立した法を軽んじ、これを無視することは、明らかに議会政治の根本をゆるがすものであります。(拍手)私は、勤労者諸君が、誤まった指導に追随することなく、わが国経済繁栄のにない手としての自覚を取り戻すよう強く訴えたいのであります。さらに、この際、各政党においても、党是や政策を異にするとはいえ、法秩序の維持こそが民主主義の支柱であるとのきぜんたる態度を明確にし、民主主義擁護の決意を新たにせられることを切に望むものであります。(拍手)
 最近、教職員に対する勤務評定の問題をめぐり、その実施をはばむために、集団の圧力により、一斉休暇や登校拒否などの手段に訴え、これに学童やその父兄をも巻き込もうとするような事態が起りましたことは、教育の本義にかんがみましても、また教職員の職責の上からも、真にゆゆしいことと申さなければなりません。(拍手)幸いにして、世論の支持と大多数の良識ある教職員諸君の自覚によって、この無謀な企図は、大きな不祥事を招くに至らなかったのでありますが、本来、純粋に教育行政の問題として解決すべき事柄を、ことさらに政治上の争いとして、法秩序を乱すに至ったことは、まことに憂うべき傾向であります。およそ勤務評定は、人事管理の公正を期するため欠くことのできないものであり、一般公務員については、つとに実施されているにもかかわらず、ひとり教職員のみを例外としなければならない理由は見出し得ないのであります。この実施によって、教職員の人事の公正が保たれ、ひいては学校教育の向上に役立つことを信じ、政府は、各方面の協力を得て、既定の方針を貫き、教育行政が正しい姿で運営されるよう努める決意であります。(拍手)
 経済の正常化をはかるため昨年来実施してきました緊急総合対策によって、行き過ぎた経済成長は抑制され、国際収支も著しく改善されたのであります。しかしながら、経済調整の余波や国際経済の不況等によって、鉱工業生産や輸出など、経済活動全般は、なお停滞の傾向を続けております。このような状況に対処し、政府は、長期計画による国民総生産の拡大を期し、経済基盤の強化、輸出の振興等、従来から実施してきました諸施策を一そう推進するとともに、当面重要な施策として、新たに企業間の自主的な協定による調整体制を整備して、経済の安定と国際競争力の培養に資するため、私的独占禁止法の改正を行うこととしたほか、輸出取引の秩序を確立して過当競争を防止するなどの措置を、積極的に講ずることといたしました。また、東南アジアを中心とする対外経済協力については、政府が特に重要視しているところであり、現在、有識者の意見をも徴し、その実現に努めているのであります。
 雇用問題につきましては、経済の安定した成長を確保することにより、就業の拡大に努めて参りますとともに、当面の景気沈滞のもとにおける緊急な施策として、公共事業の繰り上げ実施を行うなど、失業増加の防止に特別の措置を講ずることといたしております。
 最低賃金制を確立し、低賃金労働者の労働条件を改善し、労働力の質的向上をはかることは、かねて多大の努力を重ねてきたところであります。政府は、今国会に再び最低賃金法案を提出したのでありますが、この法案成立の暁には、ただに労働者の福祉が増進せられるばかりでなく、中小企業の公正な競争を確保することができることとなるなど、国民経済の健全な発展にも少からぬ意義を有するものと確信するのであります。
 なお、繊維、繭糸、酪農、石炭などについては、生産の適正化、需要の開拓、価格の安定等の対策を講じてきたところでありますが、今後も一そうこれを推し進めることといたしております。また、風水害、干害等の災害については、すみやかにその復旧に努めてきたのであります。
 このたびの第二十二号台風は、静岡県を初め、各地に多数の死傷者と罹災者を出しました。私はこれらの方々に対し、深く哀悼と同情の意を表するものであります。政府は、今次の災害の規模が大きく、かつ被災地域の広範なことにかんがみ、直ちに中央災害救助対策協議会を開き、また、現地に調査団を派遣して応急の救助に努めておりますが、被害状況の詳報を待って、すみやかに根本的な対策を講じ、民生の安定と災害の復旧に万全を期する決意であります。
 社会保障制度を確立することは、政府の最も重要な基本政策の一つであります。国民健康保険の普及については、おおむね順調な進展を見ているのでありますが、さらに、その内容の充実をはかるとともに、この制度があまねく全国市町村に適用されるようにするため、今国会に新国民健康保険法案を提出いたしました。また、これと並んで無医地区を解消し、医療機関を整備するなど、医療保険実施の基礎的条件たる諸施策を積極的に進め、もって国民皆保険の実現を期しているのであります。なお、公約とする国民年金制度については、鋭意関係法案の作成を急ぎ、通常国会に提出いたしたいと存じます。本年の米作は、三年にわたる豊作のあとを受けて、なお引き続き大豊作を見込むことができるに至りました。このような豊作の連続は、農民諸君のたゆまない努力、工夫が、政府の施策の積み上げと相待って実を結んだものであり、私は、農民諸君の労苦に対して深く敬意を払うものであります。政府としては、これがわが国経済の向上に大きな役割を占めることに思いをいたし、今後も農林漁業の生産力の持続的な向上をはかるよう、農政の振興に意を用いて参りたいと存じます。(拍手)
 青少年の力は国力の根源であります。私は、青少年諸君のはつらつと伸びゆく姿に力強さを感ずるものであります。しかしながら、近時、一部青少年に好ましからぬ傾向が見受けられることにも、深い関心を抱くものであります。政府は、家庭、学校、及び一般社会の協力を得て、青少年に明るい環境を与えるよう努めているのでありますが、青少年諸君が、さらに社会の一員として必要な規律と教養を身につけ、わが国文化の創造と発展に貢献せらるるよう念願してやみません。
 ここに所信の一端を述べ、国民諸君の協力を心から切望してやみません。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(松野鶴平君) 藤山外務大臣。
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(藤山愛一郎君) 第二次岸内閣の成立に伴いまして、私は再び外務大臣に就任いたしましたので、今後におけるわが外交の進路を定めます上からも、わが国と最も深い関係にあります米国を訪問し、日米間に基本問題に関する意見の交換を行うことを適当と考え、また、この機会に、国連その他において常に協力的な関係にありますカナダよりの招待を受けることといたしまして、今般ワシントン及びオタワを訪問して参りました。
 カナダにおきましては、ディーフェンベーカー首相を初め、スミス外相、フレミング蔵相、及びチャーチル通産相と会談いたし、現在の国際情勢に関し、率直な意見の交換を行うことができたのであります。この会談におきましては、国連尊重の方針、及び国際紛争の国連による平和的処理、査察制度を伴った核実験の停止、軍縮措置に関する国際協定の交渉を促進する方針等について話し合いをいたしましたが、私はこれらの問題について、日加両国政府の見解に多くの共通点を見出し、大いに意を強うした次第であります。さらに私は、カナダ訪問の最大の目的の一つでありました日加貿易拡充の問題について話し合いをいたし、両国の貿易を双方にとり有利に伸張せしめることにつきまして、相互に確認し得たのであります。
 次いで米国におきまして、九月十一日、十二日の両日にわたりまして、ダレス国務長官と会談し、また、十二日にはディロン経済担当国務次官とも会談する機会を得たのであります。この会談は、相互に関心のある問題につきまして、きわめて友好的に、かつ相互理解の雰囲気のうちに行われ、その結果、日米両国の理解と協力に一段の進歩を見たものと信ずるのであります。まず、国際情勢につきましては、私は、国際社会における民主主義の擁護と発展とを念願するわが政府の基本的立場に立って討議をいたしたのでありますが、国際共産主義が依然として世界平和の大きな脅威になっていることにつき、米国政府との間に完全な意見の一致を見ました。次いで、台湾海峡の問題については、私は、これを武力によらずして、あくまでも平和的手段により解決すべきであるとの見解を強調いたしたのであります。
 次に、日米共同安全保障の面におきましては、昨年六月の岸内閣総理大臣の訪米によりまして、日米関係は新段階を迎えたのでありますが、その結果、同年、両国間の協議機関として日米安全保障委員会が設けられ、日米安全保障に関して生ずる諸問題を検討してきたことは御承知の通りであります。今回の私の訪米によりまして、この点に関し日米両国間に隔意のない意見の交換が行われ、安全保障問題に関する共通の利害と双方の立場についての理解が増進された結果、ここに日米安全保障条約を再検討することが確認され、引き続き東京におきましてその具体的協議を進めることになったのであります。
 また、両国間多年の懸案である沖繩、小笠原の問題につきましても、私は、わが方の立場を率直に米国政府に説明し、その考慮を要請したのであります。沖縄に関しましては、すでに土地問題の円満な解決のため、米国政府当局と沖縄代表との間に討議が行われておりますので、私はこれが成功することを念願いたしております。沖縄民政の安定については、経済的援助を増強する方向で研究することになり、将来この道を開く目途を確認することができました。また、元小笠原島民に対する補償についても米国政府の善処を要請いたしましたが、ダレス長官も本問題を理解し、その解決のため慎重に研究すべきことを約束されたのであります。
 さらに、重要な議題の一つとして、日米貿易関係及び東南アジア経済開発上の協力の問題を検討いたしました。まず、日米貿易に関しては、わが国にとり、対米貿易がいかに重要であるかを強調するとともに、わが国としても、日米貿易の円滑な伸張のため、秩序ある貿易、特に売り込み方法に格別留意すべき旨を述べ、米国政府もわが国のこのような方針を多としたのであります。東南アジア諸国の経済開発につきましては、米国の最近におきます米州大陸、中近東等に対する地域的な経済開発基金の構想について、先方の見解をただすとともに、アジア諸地域の住民の生活水準の向上が急務であり、そのためには、早急に自由諸国が協力してこれら諸地域の経済開発を援助する必要があることを力説し、この点、意見の一致を見たのであります。
 以上のごとく、ダレス国務長官との会談は、安全保障の問題を中心として多岐にわたったのでありますが、米国政府首脳者が、わが国が国際場裏において果しつつある役割を正しく評価しているということ、及び、昨年における岸総理大臣の訪米によって打ち立てられました日米関係の新時代に即応し、相互の善意と信頼の上に、日米の協力関係をますます強化していきたいと念願しているということでありました。従いましてわが国としては、今後とも日米協力の方針を維持し、強化し、もって世界の平和と正義の達成に貢献する必要を痛感したのであります。
 私は、カナダ及びアメリカ訪問に引き続き、第十三回国連総会に出席して参りました。国連総会におけるわが国の対処方針につきましては、総会冒頭の一般演説において私の所信を表明いたしました。このうち中近東の問題につきましては、本三十日に予定されておりますハマーショルド事務総長の報告によって、緊急総会決議の実施が促進されることを期待するものであり、また、核実験停止問題につきましては、近くジュネーヴにおいて米英ソ三国の間で協定締結の交渉が開始されることになっており、この交渉が成果をあげて、究極的な実験禁止に向って一歩を進めることを希望するものであります。
 台湾海峡問題につきましては、ワルソーにおける会談が成功することを望むものでありますが、この問題が国連において論議される場合も予想されますので、今次総会はきわめて重要なものになると考えられます。
 国連協力を外交の基本方針の一つとするわが国といたしましては、国連における討議の成り行きを注視しつつ、国連がこれら諸問題の平和的処理に成功し、世界平和の確保に貢献すべきことを衷心期待いたしますとともに、わが国もその実現のため努力を続けたいと考えております。
 以上をもちまして私の帰国報告を終りますが、私は今後、外交を進めて参るに当りまして、今次の米加両国の訪問と国連総会出席の成果を十分に反映せしめ、もって世界の平和と繁栄の確保に貢献いたしたいと考えております。国民各位の御支援を切望してやまないものであります。(拍手)
#9
○議長(松野鶴平君) ただいまの演説に対し質疑の通告がございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#11
○議長(松野鶴平君) 建設大臣から、第二十二号台風の災害状況について発言を求められました。この際、発言を許します。遠藤建設大臣。
   〔国務大臣遠藤三郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(遠藤三郎君) 二十二号台風に関しまして、被害の概況の御報告を申し上げたいと存じます。
 去る九月二十六日夜半、神奈川県江ノ島付近に上陸し、東京、茨城を経て、福島東北部より三陸沖に抜けました台風二十二号は、これら台風の通過地点に当った静岡、神奈川、東京、千葉、埼玉、福島等の広範にまたがる諸県に猛威をたくましくしまして、特に静岡県の狩野川流域地帯におきましては、その被害は惨烈をきわめたのでございます。狩野川は御承知のごとく、天城山の水を一本に集めて流れる川でございまして、三百ミリ程度の降雨がありますと、相当の出水が出てくる川でございます。ところが今回は、二十六日の朝から夜半にかけまして、五百ミリに及ぶ明治以来かつて見なかった大降雨があり、しかも短時間に集中したために、上流部の山地には至るところ山腹の崩壊があり、かつまた、がけくずれ等が発生いたしまして、これらの土砂を一挙に押し流したために、狩野川中流部に急激な大はんらんを持ち来たしたのでございます。このため、死者三百九十名、行方不明者八百八十六名、流失家屋七百二十八棟、全半壊家屋七百八十一棟、田畑の流失埋没等四百八十八町歩に達する大惨害を起す結果と相なったのであります。
 政府は、事態の重大なるにかんがみまして、台風のその翌朝二十七日、直ちに総理大臣主宰のもとに中央災害救助対策協議会を開きまして、関係各省をあげてこれが救済並びに復旧の対策に当らしめることといたしました。
 私は、政府を代表いたしまして、関係各省の局長を帯同の上、二十七日ヘリコプターをもって現地におもむき、罹災者の皆様に対して心からお見舞い申し上げるとともに、罹災者の救済等善後措置について、それぞれ適切な措置を講じさせた次第でございます。私は、この機会に、今回の水害に当りまして罹災された皆様方に対し、心からお見舞を申し上げたいと存じます。(「お見舞じゃいけない。対策が必要なんだ」と呼ぶ者あり)
 狩野川にかけられました橋梁は、二、三の永久橋を除きまして、三十数橋がほとんど流失し、しかも、二十七日中にはほとんど減水しませんでした。ために、沿岸の各町村は孤立の状態になったのでございます。交通、通信は途絶し、食糧、飲料水、野菜等の供給には最も苦心をした次第でございます。これについては万全の措置を講じておることを御報告申し上げたいと存じます。
 二十八日には少し減水し、連絡が少しずつ、つくようになったのでありますが、なお食糧、飲料等の供給はヘリコプターをもってやらざるを得ないような状態が続いておったのでございます。二十九日より特に自衛隊の工作隊の参加を得て、約七千人が出動し、行方不明者の捜索、特に一本の貫通道路の開設を急ぎ、これによって物資の供給、復旧の対策等の措置を進めるよう、万全を尽しておる次第でございます。
 被害の状況は、交通路が開けるとともに逐次判明すると思いますが、相当深刻なものがあることと思うものでございます。政府は、現地に災害対策本部を設けまして、救済並びに復旧に遺憾なきを期する所存でございます。
 なお、二十二号台風は、静岡県のほか、神奈川県鶴見川沿線、東京都江東地区を初め、各地に非常な災害を及ぼしており、現在までに災害救助法を適用した所は十二都県、二十区、二十二市、四十七町村にわたっております。被害の詳細については目下調査中でありますが、現在までに報告されました公共土木施設の被害だけについて見ましても九十八億円に達しました。農林災害等については相当の災害があることと思いますが、ただいま調査を進めておるところでございます。政府は、係官を直ちに現地に派遣するとともに、関係府県の協力を得て、復旧の対策の万全を期しております。
 以上、簡単に御報告を申し上げます。(拍手、「補正予算はどうするのか」と呼ぶ者あり)
#13
○議長(松野鶴平君) 次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時四十五分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件
 一、第二十二号台風災害状況に関する建設大臣の報告
ソース: 国立国会図書館
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