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1958/10/01 第30回国会 参議院 参議院会議録情報 第030回国会 本会議 第3号
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1958/10/01 第30回国会 参議院

参議院会議録情報 第030回国会 本会議 第3号

#1
第030回国会 本会議 第3号
昭和三十三年十月一日(水曜日)
   午前十時四十九分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三号
  昭和三十三年十月一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りいたします。坂本昭君から、海外旅行のため十日間、請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
    ━━━━━━━━━━━━━
#5
○議長(松野鶴平君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。
 昨日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。千葉信君。
   〔千葉信君登壇、拍手〕
#6
○千葉信君 私は、昨日行われました首相並びに外相の施政方針演説に対しまして、ここに日本社会党を代表して、若干の質問を試みるものであります。
 まず私は、日米安保条約の問題について、政府の御所見をただしたいと思います。藤山外相は、九月十一日、ダレス長官との間に日米安保条約の改訂問題等について会談し、その共同発表で、「藤山外相は、安保取りきめを新時代に完全に適合するよう調整する目的で再検討することが得策であることを指摘した。両国政府は、この問題について、藤山外相の東京帰任後、外交経路を通じてさらに協議することに意見一致した」旨、報ぜられているのであります。私どもは、この日米安保条約の改訂という、わが国の運命に決定的な影響を及ぼす問題については、重大な関心を払わざるを得ないのであります。新聞の報道によりますと、藤山外相が安保条約改訂の具体的なねらいとして第一に、現行規定では、米軍は駐留の権利だけを持ち、従って、日本防衛の義務がないこと、第二に、在日米軍が他地域に移動する場合、日本に相談する必要がないこと、第三に、兵力の配備についても、米国は、日本の同意を要しないので、条約の上からいえば核兵器の持ち込みができることになっている等の点を指摘してこれらの片務的な点を、わが国の自主独立の立場から、日米対等の形に改訂しようとする旨が伝えられております。アメリカ側が安保条約を新時代に適合する、ように改訂しようと積極的な態度を示しているのは、水爆、戦術核兵器、各種ミサイルの発達によるアメリカの新しい戦略態勢に適合するように条約の内容を改めようというのであります。すなわちアメリカの意図するところは、戦争の際に、それが宣戦布告された戦争であろうとなかろうと、日本の自衛隊がアメリカ軍と共同行動をとること、日本にアメリカのミサイル基地を設けること、日本の自衛隊を核武装せしめることを可能なものにしようという点にあることは、推定にかたくありません。安保条約改訂の真の問題は実にこの点にあるのであります。社会党は、在日米軍の撤退、米軍基地の廃止、そして安保条約の解消を主張し、さらに自衛隊の海外出動、その核武装化、アメリカ軍の核兵器持ち込み、ミサイル基地の設置に反対してきたのでありますが、もし日米両国政府によって今回企てられている安保条約の改訂が、たとえ形式は平等であり、双務的でありましても、これは今日以上に日本の軍事的義務と負担を重からしめ、今日以上に日本を戦争の危険に巻き込むおそれがあるといわなければなりません。(拍手)ことにアメリカ軍の核兵器持ち込みの問題については、再三にわたる首相の決意表明があったにもかかわらず、まだ国民が釈然とせず、不安におののいていることは、首相もすでに御承知の通りであります。このことは、首相がいかに固い御決意をお持ちであろうとも、米軍兵力配備の中に包括的権利として認められているところに問題があるのであります。従来このことについては、しばしば国会でも論議され、核兵器の持ち込み、ミサイル基地の設置が真に拒否される保証は、協定を明確に取りきめるか、さもなくば条約の改正以外にないと主張されたのに対し、そのつど首相は、首相の単なる決意でそれを保証するといって対抗されて参りました。首相のこの公約にしてもし真実ならば、首相は、今回の改正もしくは新条約の交渉に当っては、まず第一番に、この点をどうするか、首相の所信を承わりたいと思うのであります。(拍手)
 次は、自衛隊の海外出動についてであります。安全保障条約第一条の米軍の使用目的を規定した条項と、行政協定第二十四条による非常時の共同措置及び協議の条項によれば、条約上、自衛隊は海外派兵を拒否し得ないのであります。ただこの場合、日本の憲法及び自衛隊法によって自衛隊の行動の目的が規正されているため、日本はその海外派兵を拒否できると考えられがちでありますが、しかし、国際法の通念及びヘーグの国際司法裁判所の判例によれば、いかなる国といえども、自国の憲法または国内法の条章を理由として、条約上取りきめられた義務の履行を怠ることは許されないと規正されているのであります。条約優先の立場からは、少くとも非常時に際しては、海外出動を拒否し得ない立場になるのであります。従って、従来政府のとり来たった、憲法に基いて自衛隊は海外派兵せずとする公約がもし履行されるとすれば、これまた、今回の折衝に当ってこの点をどうするのか、首相の御答弁を承わりたいのであります。日本の独立を傷つけ、日本を両陣営間の戦争に巻き込む危険性のある、安保条約を解消する方向に交渉するのであれば歓迎できますが、自主的、双務的の名のもとに、相互援助条約の内容を持ち、日本の軍事的義務と負担を増加し、軍事同盟的性格を強めるものであるならば、このことが日本と隣り合っているソ連、中国側を刺激し、ためにソ連との関係を一そう冷やかなものとし、かつまた、中国との関係を一そう悪化させ、国交の正常化、貿易の回復を困難ならしめるおそれなしとせざるを得ないのであります。このことは、日本の国際的地位をかえって不安定ならしめ、また、アジアにおける平和の確立をいよいよ困難ならしめるものと言わなければならないのであります。総理並びに外相は、改訂に当ってこの点に思いをいたされておるかどうか、そして安保条約解消の方向に交渉を進めるつもりがないかどうかを承わりたいのであります。(拍手)
 さらに指摘しておかなければならないことは、新条約とそれに基く行政協定との関係であります。新しい条約の条項において、抽象的、包括的取りきめが行われ、その具体的なことが国会の承認を必要としない両国政府間の行政協定にゆだねられるならば、それこそ危険きわまりないと言わなければなりません。現在の安保条約と行政協定の関係においても、行政協定第二十四条には、極東において敵対行為または敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、両国政府は、日本区域の防衛のため必要な共同措置、すなわち共同の軍事行動をとるため直ちに協議しなければならないという、きわめて重大な問題について規定されているのであります。これを考えますとき、新たなる安保条約に基く行政協定が日本に重い軍事的義務を規定する危険を指摘せざるを得ないのであります。首相並びに外相はこの点をどう考えられるか、承わりたいのであります。
 次に、首相は九月二十九日の記者会見において防諜法制定の必要を力説しておられるのでありますが、これは現在の台湾海峡をめぐる米中間の緊張の状態、並びに安保条約の改訂の問題と考え合せてみますると、事はきわめて重大と言わなければならないのであります。すなわち、在日米軍が台湾海峡における事態と関連のある作戦行動を行いつつある現在、アメリカ側としては、日本政府に対し、その行動、武器、基地等の機密を保持するため、強く防諜法の制定を要求しているものと推測されるのであります。また安保条約が改訂されて、相互援助条約的なものになりました場合、日本の自衛隊の行動、アメリカ軍との共同の行動、アメリカから供与される武器に関する機密を保持するために、今、首相は、安保条約改訂の問題と関連して、特に防諜法の制定を強調されているものと考えられるのであります。われわれは、憲法違反の疑いのある、かつ日本の民主主義を根底からくつがえすおそれのある防諜法の制定について反対するものでありますが、現在、首相がこの法律の制定を急ぐのは、在日米軍の活動に関して、特に必要であると考えられたのであるかどうか。また将来、安保条約の改訂の行われた場合に必要であるという見地から強調されるのであるかどうか。その点を明らかにしていただきたいのであります。
 次に私は、金門、馬祖島をめぐる緊迫した情勢に対し、政府はいかなる態度をもって対処せられるかをお伺いしたいのであります。現在、米中会談が行われており、世界各国はこれに一縷の望みを嘱しているのでありますが、台湾海峡の緊張が容易に解けるとは考えられないのであります。すでにこの局地戦の開始以来、在日米軍が日本にある海空軍基地より行動を起していることからして、今後この戦争が拡大するにつれて日本は急速に、国民のだれもが欲せざるにかかわらず、実際上戦争に巻き込まれていく危険に直面せざるを得ないのであります。(拍手)金門、馬祖島は、中国大陸に近接する沿岸の島であり、台湾、澎湖島とは地理的条件を異にしているのであります。この島を失うならば、蒋介石政府がその政権を維持できなくなるというおそれと面子のために固執していると推測されるのでありますが、そのために、世界が戦争の危険にさらされ、特に日本は戦争に巻き込まれる不安におののかざるを得ないのであります。わが党は、台湾海峡における緊張緩和のために、国府軍が金門、馬祖島より撤退すること、アメリカ軍が介入をやめること、中国側も台湾の武力解放を中止すること、台湾問題については、米中等関係諸国において話し合いで解決することの態度を明らかにしました。世界の世論もまた、このびょうたる島のために世界戦争の起ることを欲せず、金門、馬祖島を放棄し、緊張緩和をはかるべきことを要求しております。藤山外相がさきにロイド・イギリス外相と会見した際、イギリス外相は、金門、馬祖島より国府軍が撤退すべきであるという見解を表明し、藤山外相もこれに賛意を表したと伝えられたのであります。この報道は各方面にかなりの大きな反響を呼んだのでありますが、(「どっちがほんとうだ」と呼ぶ者あり)自民党内のアメリカ一辺倒派、蒋介石支持派は、これを台湾及びアメリカに打撃を与えるものとしてにわかに騒ぎ出したのであります。そのためか、外相は報道の内容を否定し、また昨日の国会の演説においても、ロイド外相との会談の点については一言も触れなかったのであります。そうして政府もまたワルシャワの米中会談に期待をかけているといっているだけでありますが、もしアメリカ一辺倒派、蒋政権支持派の牽制によって態度の表明ができなかったとすれば、まことに奇怪至極といわねばなりません。(拍手)台湾海峡における緊張と重大な関係を持つ位置に置かれた日本が、なぜ戦争の発火点となる金門、馬祖島よりの国府軍の撤退の態度を表明してはならないのでありましょうか。アメリカに対してであれ、台湾に対してであれ、緊張緩和のため、平和の確立のために、堂々と日本の主張を表明すべきであります。(拍手)国民もまたそれを期待しているのであります。私は、藤山外相が、ロイド外相との間にかわした会談の内容について報告することを求め、また日本が台湾海峡をめぐる緊張緩和のために、いかなる態度と方針をもって臨むかを、それがいかなる国よりももっと直接に具体的な影響下にある日本として、明らかにすべきだと信ずるものであります。
 次に私は、日中関係の打開についてお伺いいたします。多年にわたるわが党を初めとする民間人多数の努力によって経済、文化の交流等を通じ、いわゆる積み重ね方式によって、日中両国民間の友好親善関係が増進されてきたのであります。これは、将来、日中両国間の国交の正常化を促進する上に、大いに貢献するところがあったのであります。しかるに政府は、第四次民間貿易協定の取り扱い方について台湾政府よりの横やりにたじろぎ、事実上この協定を不成立に導き、また長崎の国旗事件の処理については、軽率な言辞と処置によって、遂に日中関係を逆転させ、今日のごとき日中関係の悪化を招来したことは、まことに遺憾であります。(拍手)この点について岸内閣の責任はきわめて重大でありましてすべてを中国側の誤解であるとし、中国が岸内閣に攻撃を加える限り、静観的態度を続けるといって責任を回避していることは、ひとりわが党のみならず、多くの国民のはなはだ不満とするところであります。わが党が今日、悪化せる日中関係の打開を強く主張し、政府に向って、静観を捨てて、対中国政策の転換を要求するのは、単に途絶した貿易の再開をはかるという、経済的見地からだけではないのであります。もちろん日中貿易を再開し、これを盛んにすることは、国民の熱望するところであり、これが緊急を要することは言うまでもないのでありますが、われわれは日中問題についてもっと深く掘り下げて考え、対中国政策を打ち立てなければならないのであります。今日、中華人民共和国政府は、六億の国民とあの広大な領土を統治して強大な国家となり、また第二次五カ年計画を推し進めて、中国の経済もまたきわめて顕著なる発展をとげているのであります。何人といえども、この現実に目をおおっていることはできないのであります。今や中国は、好むと好まざるとにかかわらず、アジアにおける最大の実力を有する国、いな世界においてさえ最強国の一つになっているのであります。この国を無視したり除外しては、アジアにおける、また世界における国際関係の安定と平和の確立は実現し得ないのであります。日本はこの中国と隣り合せる位置にありまして昔から諸般の面において深い関係を持ってきたのであります。この中国と日本とが今日のような悪化せる関係にあることは、日本のアジアにおける国際的地位をきわめて不安定ならしめるものであり、日本を平和のうちに置くことに対しては致命的な障害となるものであります。わが党は、かかる観点からして、すみやかに北京政府との間に交渉を行い、日中国交の回復とその正常化を実現すべきであると確信しておりますが、首相並びに外相は、日本と中国との関係を根本的にどのように見ているのか、まずそれを伺いたいのであります。
 次は台湾に対する問題についてであります。日本はダレス国務長官の勧告によって台湾政府との間に平和条約を結び、外交関係を持っているのでありますが、政府はこれによって日本と中国との国交回復は成ったものとしております、しかし台湾の蒋政権統治の及ぶ範囲は、台湾、澎湖島及び金門、馬祖島等でありまして、決して中国全体を統治しているものではなく、また将来再び中国大陸の統治を回復する見通しはないのであります。日本がアメリカの外交政策に追随して台湾政府を中国の正統政府なりと見ていることは、現実に即せず、きわめて不自然なことであり、日本の対中国政策の誤まりと困難は実にここから生じているのであります。すでにいわゆる自由主義国家群のうちにおいてすらも、現実の事態を認識して、北京政府を中国の正統政府なりと認め、これと外交関係を結ぶものが現われてきているのであります。首相並びに外相は、いつまでもアメリカに追随して現実を無視する政策を続けるつもりであるのか、あるいは近き将来において、中国との真の国交回復のために、中華人民共和国政府との間に交渉を開始させるつもりがあるかどうかをお伺いしたいのであります。
 第三は、国連における中国の代表権の問題についてであります。台湾政府の代表が国連の安保理事会に中国代表としての地位を占めているということは、中国の現実の事態から見て全く不自然であり、中共が国連から除外されていることが、アジアにおける国際的紛争の原因の一つともなり、またその紛争の解決を妨げる要因ともなっているのであります。今回の国連総会では、中国代表権の問題はアメリカの主張で取り上げられず、日本もまたこのアメリカの態度に同調したのでありますが、まことに遺憾と言わなければなりません。(拍手)今回の総会の議決においても、いわゆる中国の国連参加を支持する国は、自由国家群のうちにあってさえ増加しつつあることは、藤山外相が親しく見聞されたはずであります。われわれは、国連の権威のためにも、またアジアにおける国際紛争を国連を通じて解決し、平和を確立するためにも、国連における中国代表を変更することを主張すべきでありますが、藤山外相は、本問題をどう考え、またいかなる態度をとられるか、それを承わりたいのであります。
 第四は、途絶せる日中貿易をいかに打開するかという点に関してであります。政府は第四次協定廃棄後何らなすところなく、じんぜん今日に至り、今や国内においてもようやくその影響が深刻化しつつあることは、私のあえて指摘するまでもないところであります。本年初頭、日中貿易の趨勢は、世界貿易の縮小傾向に反して飛躍的増大の勢いを示し、貿易が断絶しなければ、昨年に比べ六六%増の一億ドルの突破は確実視されていたのであります。さらに鉄鋼五カ年協定が実施されれば、鋼材の恒常的輸出が可能となり、八月のココムの大幅緩和によって機械類の輸出も活況を呈したであろうことは、想像にかたくないのであります。しかも問題はこれのみにとどまらないのであります。それは言うまでもなく中共の東南アジアに対する経済進出であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)最近同地域からの帰国者は口をそろえて中共商品の脅威を強調しております。中共が国内建設の余力をかってこれと並行しつつ、本格的に東南アジアに販路を延ばし、日貨ボイコット運動とともに市場確保をする場合の日本に対する影響は、無視できないものがあるのであります。東南アジアの華僑は総数一千三百万人、この人数は必ずしも多いとはいえませんけれども、しかし日本商社の取引相手の七、八割はこの華僑であることを見ても、その華僑の対日動向そのものが直接日本の対東南アジア貿易を左右する、といっても過言ではないのであります。(拍手)しかも、中共政府は、去る六月、北京でアジア諸国駐在の公館長会議を開き、そのころから中共商品の輸入が一そう積極化してきたといわれ、特に東南アジア地域にある中国銀行の八つの支店を通じて、中共商品の輸入には二ないし二・五%程度の低利融資をやり、着荷分については全額貸付、さらに輸入商品が売れない場合には、その商品の引き取りまで行うということであります。華僑の全部がかりに中共を支持するものでないとしても、実利第一主義の彼らがいかなる動向を示すかは、想像にあまりがあると言わなければなりません。今、対米貿易の前途は全く悲観的であり、輸出五億九千、輸入十六億一千という、三倍に及ぶ輸入超過であります。中共とは貿易協定廃棄、東南アジアヘの経済進出が至上命題となっている今日の日本にとってこれは一日も看過し得ない事態と言わなければなりません。この東南アジアの事態に対する対策を政府はどうするつもりか、ここにもまた中国との関係打開を不可避とする冷厳なる事実の存在と判断するか否か。もとより断絶した中国との貿易を回復するについては、今日の両国間の状態から見れば非常に困難な問題が横たわっており、かつ、なみなみならぬ決意と努力を必要とするのであります。単に静観して相手方の変るのを待つということでは打開できるものではありません。この際、政府は中国の問題について根本的に再検討し、従来の対中国政策について、アメリカに追随し、台湾政府を主とする政策を捨てて中国との国交を正常化する方向に転換する意図はないかどうか。もし、かように日本の対中国政策がいわゆる前向きの姿勢になるならば、現在日中間に横たわるもろもろの難問題を解決する道は、おのずから開けてくるものと思われるのであります。そうして貿易の再開と拡大の具体的なステップを踏み出すことができるのであります。首相、外相、通産大臣は、その点についてどうお考えなのか、承わりたいのであります。(拍手)
 最後に、私は自衛隊の次期主力戦闘機選定に関する問題について伺います。その第一点は、政府が現在、衆議院決算委員会等において追及されている主力戦闘機の選定は、去る四月国防会議において内定され、その内定に至る経過について、アメリカのロッキード、グラマン等の航空機会社並びに新三菱重工、伊藤忠商事、川崎重工等の国内商社、メーカーが介在し、猛烈なる売り込みのための運動があったこと、これを背景としたか否かは別として、それぞれその売り込みや策動に乗ぜられた形跡ありとして国際的汚職の事実ありやと風評が流れているのであります。私のこのことについて最も遺憾とするところは、内定後において与党内部から、この機種に対する反対ののろしが上って、血で血を洗う混乱を生じていること、特に、直接行政に関与すべきではない自民党の総務会長河野氏が、たびたび防衛庁に電話をかけて、その機種の決定について異議を申し立てている事実、(拍手)これがもしほんとうであるとしますならば、それが、国家国民のための防衛自体についての意見の扞格からというよりも、相抗争する商社メーカーの立場がそのまま与党内部の抗争となっていることであります。私は、汚職だとか、あるいは金が流れたかどうかをここで明らかにするつもりはありません。しかし、この背景に何が伏在するかについて国民が鋭敏な嗅覚を持っていることを忘れてはならないと思う。(拍手)これがうやむやに葬むられたり、葬むろうとする気配や態度がもしとられた場合の国民の政治に対する不信は、いわゆる主力戦闘機決定の適不適どころではない災いと思うが、首相はどう思うか。徹底的にその真相を究明する用意ありやいなや、伺いたいのであります。
 さらにまた、私は、かかる疑惑を生じた責任は、その内定に至る経過と、内定そのものにあることを指摘しなければなりません。少くともこの種の選定に当っての態度としてグラマン機がその選定の対象として登場してから、わずか半年とたたないうちに、倉皇として軍配があげられたこと、それが常識としては軽率のそしりを免かれないと思うのであります。さらに、現実に内定された機種そのものが二機試作されて、当時実験飛行で大破もしくは中破して修理中のものであること、また防衛庁が現に購入せんとしている機種は、本年四月二十四日参議院内閣委員会で、わが党岡田議員の質問に対し、津島防衛庁長官が明らかに答弁したF11F―1Fではなくてエンジンも機体の大きさそのものも違う、G98J―11と称する改良型であり、しかもこの機種は、まだ単に図面の上で設計されているにすぎず、試作実験されたこともないものであること、一千億に近い、しかもその乗員養成の費用を含めば、千五百億になんなんとする血税を使う重要な問題の扱い方としては、いささか国民を愚弄したやり方だと思うが、どうか。(拍手)
 その第二点は、その主力機の製作完了は五年後と見込まれ、ジェット・パイロットの養成にこれまた三年はかかるといわれる。従って、それが主力第一線機として動くころに起ると思われる事態について軍事評論家は、今日のミサイル兵器発達の度合いから見て、三年後、五年後、国防上それの果す役割については重大な疑義があると、はっきり表明していることは、考慮の中に置かなくてもいいであろうか。現有のジェット機すら、昨年五月二十四日、北海道千歳に移駐するために、航空自衛隊浜松第二航空団からF86ジェット戦闘機十機、練習機二機、計十二機が浜松基地を千歳に向って出発して、二機は新潟に不時着、他の二機は浜松に引き返し、さらに二機は墜落、結局、無事千歳飛行場に着いたものは全体の半分の六機でありました。天候の急変、酸素マスクの不備とはいえ、これは自衛隊の現状を雄弁に物語っていると言わなければなりません。かかる現状においてアメリカ軍さえまだ手をつかねているといわれる最高度の優秀機を、一機三億六千の四億のと大金を出して、それが果して自衛隊のおもちゃにならないということを保証できるでありましょうか。一体国力に応じた防御力の増強という政府の範疇で、これがどうとられるものかこうか、首相並びに防衛庁長官の御答弁が承わりたいのであります。(拍手)
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 安保条約改訂の問題は、これは昨年、私がアメリカを訪問したときにおきましても、安保条約成立の当時と今日においては、日本の自衛力の点においても非常な変化があるし、この条約が、全然防衛力を持たなかった当時に制定されたということから、アメリカの一方的であるということは、日本国民が国民感情として今日においては相いれないものがある。われわれは、もちろん憲法の制約があり、その範囲内において自主的に日本の防衛、安全保障ということを考える場合において、安全保障条約がそういう基礎の上に立っておらないということは非常に遺憾である。この点についてアメリカ側においても十分一つ考えてもらいたいということを申しましてそのもとに安保条約の運営について、これを両国の利益と国民の感情に合致するように一つ運営するように努める。さらにそれに関連して、安保条約から生ずるところのあらゆる問題を検討するために委員会を作ろうということで、委員会ができたのであります。しかし、その委員会も一年を経まして私どもがさらに安保条約の全面を検討して今申しましたような基礎においてこれを考え直すことが、日米両国の理解と信頼と協力の増進の上に必要であり、また日本の安全保障の上からいっても適当であるという考えで、今回藤山外相がダレス国務長官と話をしたのであります。そういう方向については、大体において両者の意見が一致して、そうして東京において外交チャンネルを通じて話し合いをしよう、こういう話し合いになったことは、あのプレス・リリーズで発表された通りであります。今、千葉委員はいろいろと、安保条約を改訂することが日本の非常な負担になり、あるいはまた日本に非常な義務を増加し、さらに日本を戦争に引き込む危険はないかという御心配のもとに御議論がありましたけれども、(「その通りじゃないか」と呼ぶ者あり)私ども、決してそういうような意味ではないのでありまして、先ほど来申しているような趣旨であります。
 それから核兵器の持ち込みというものについては、従来私がこれを認めないということを明確に申しておりますが、さらに国会においても論議されたように、安保条約の今の建前から言うと、一方的にすべてアメリカがやれるようになっているじゃないか、従って総理がそういうことを認めないと言っても、条約上根拠がないじゃないかということが、従来の議論されたところであります。私どもはこの方針は依然として同じでありますが、そういうことが条約上においても今のような疑義を生じないように条約をすることが必要であろうと思うのであります。
 また海外出兵の問題につきましても、今度のアメリカとの話し合いにおきましても、われわれは日本憲法の制約のもとにおいてすべての条約を結ぶということを話しております。従って、全然そういう条件のない場合において、憲法と条約とがどちらが優先するかということについて、今、千葉議員のお話もありましたが、私どもはそういうことをやはり条約において明瞭にしておくことが、国民をして不安を与えないゆえんであって、そういうことが明瞭になっていないところに現在の安保条約についていろいろな論議が生じ、それが日米の間におけるところの信頼関係にも支障を生ずるという見地から考えたのであります。
 また安保条約を解消したらいいじゃないかというお話でありますが、私どもはそう考えない。日本の国民が安心するように安全保障ということをするのには、もちろん、われわれは、国力に応じ、順次自衛力を増強して自主的に日本の防衛に当るけれども、しかしながら国際的の情勢を考えるというと、日本の現在の防衛力だけでもって日本の安全が保障されるということは、国民がそういうことを考えない、不安を感ずる。それで私どもは、日米の協力によって日本の安全保障をやる、それには日本の自主的な立場、及びアメリカがすべて一方的にやっているというような基礎を改めることが必要であるというのが、改訂についての私どもの考えであります。
 それから行政協定との関係につきまして条約においては抽象的なことを規定し、大事なことは行政協定に譲って、国会の協賛を経ないというようなおそれはないかということでございます。これは従来からの条約の慣行もございますし、国際的のいろいろな慣行等も十分考えましてわれわれは条約文を作り上げるつもりでおりますが、決して故意にことさらに条約に盛らずして、行政協定、国会の協賛を経ないところの形に持っていこうというような意図は毛頭持っておりません。できるだけ国会の御審議によりまして、こういう重大な問題でありますから、規定されるように努力をいたしたいと思います。
 それから防諜法制定の問題について御質問がありましたが、この問題は私は、安保条約や何かとは全然関係ない問題だ、従来からも論議されておる問題である。いやしくも私は、独立国として序する国が、その国の最高の機密がいろいろな諜報機関に利用され、その国の独立を脅かしたり、あるいは不利になるようなことをさしてもよろしいという議論は、私は絶対ないと思います。問題は、そういうことをした場合において、個人の自由権というものが侵害されはしないかという不安とおそれでありまして、その間をどう調整するかということは、立法技術の上におきましても、あるいは運営の上におきましても注意しなければならぬ。従って非常に私は慎重にその点は考究すべき問題であると思います。しかしながら、根本の問題についてこういうものが独立国として必要であるということは、私は何人も疑わない、こういうふうに考えておるのであります。
 それから日中関係につきまして、今の台湾海峡の問題についての御質問でありますが、私は、すでに施政方針でも申し上げている通り、この台湾海峡の問題が、ああいう金門、馬祖を中心に一つの武力が行使されておる、それがさらに拡大されて戦争になるというようなことについては、これは絶対にわれわれ日本は努力をして、それを防止しなければならぬ。それには、関係国においてこれが話し合いによって平和的に解決されるということが、私は国際的の今の現状からいって最も望ましいことである。従ってその意味において、ワルソー会談が行われておるが、これが成功して米中両国の間に話し合いをして平和的に解決することを望む。ところがこの会談の前途を考えますというと、私は必ずしも容易ではないと思います。従ってその場合にどうするか、あるいは、きょうの新聞でも、国務長官が周恩来氏と会見してもいいとかというような話が出ておりますが、首脳部の間で率直に話し合ってこれを解決するということは、世界の平和の上に非常に望ましいことである。あるいは国連において取り上げて、これが論議されて平和的に解決されるという方法もありましょう。いずれにしても、武力によってこれが解決されたり、あるいは武力によってそれがさらに拡大するというようなことは、絶対にわれわれはあらゆる努力を通じてなくしていくようにしなければならぬと、かように考えております。(拍手)
 日中関係の打開の問題につきましては、私も現在の状況は非常に遺憾な状況であると思います。従来政府は、この政治的の関係は違っているけれども、そういうものを乗り越えてやはり貿易の点であるとか、あるいは文化交流等を重ねて友好親善をやっていくことが、両国のためでもあり、両国民の希望にも沿うゆえんであると思い、私どもは努力をして来、また今後も努力をしていくつもりであります。最近、岸内閣が非常に敵意を持っているとか、非常に好意を持たないというふうな議論がされているようでありますが、私が内閣を作りましてからも、かりに日中だけの関係を考えてみましても、従来懸案であって解決しなかった問題、あるいはココムの緩和の問題、あるいは指紋の問題、通商代表部の設置問題等、従来懸案であって解決をしなかった問題に関しては、私は少くとも従来の方針よりも数歩前進したつもりでございます。従って、そういうふうに私は考えて実際言うだけでなくして実行してきているにもかかわらず、突如として、今お話がありますように、鉄鋼等については相当長期にわたる契約が結ばれているにもかかわらず、これが一方的に廃棄されて非常に日本は困るとか、あるいはその他の貿易関係におきましても、ずいぶんこれは、少くとも友好関係を考える国々においては行われないような、従来の国際慣例を破った方法でこういうことになったということは、私は非常に残念である。この点については十分にわれわれも反省するが、これが何らかの誤解であり、あるいは根拠のない不信なことであるならば、十分に冷静に考えてもらいたいというのがわれわれの考えであります。しかして私は、今日の状況は望ましくない、ほんとうに日中関係が改善されていかなければならない、こういう事態に立っておりますから、それゆえに静観しているということが、この際、将来の問題を解決するのに最もいい方法である。これに対して、今、千葉議員からいろいろ御意見がございました。また社会党は党議としていろいろなことを言われておりますが、私はこれらの点については、よく考えてみるというと、適当でないものがずいぶんあると思う。たとえばわれわれはNEATOに参加しない、核兵器は持ち込まない。これは私がしばしば国会を通じてはっきりとそういうことはしないということを申しております。しかしながら、これは日本の自主的な立場から言うことでありまして私は外国との交渉にこういうことを条件にするということは適当でないと思う。(拍手)
 さらに国旗の問題について謝罪をしろということでありますが、私はすでに国会におきましても、ああいう事件が起ったことは遺憾であるということを申しましたが、あれは国際間におきましても、全然偶発的の、何らの根拠のない一個人のああいう事態でありまして、これに対して常に国が責任を負って他国に陳謝するというような例は、実は国際慣行にはないのであります。それゆえに、決して私が中国に対して敵意を持っておるというような意味ではないのであります。それは、冷静にお互いが考えてみれば、当然のことであると私は考えます。
 それからなお、この中国との関係につきましては、今申しましたように、私どもは、政治上の関係が今日におきましてはなかなか国際的な複雑な関係があるから、その客観的な事情が整理されていかないというと、一挙にこれを承認するというようなことは、現実から見てできないことである、しかしながら、貿易や文化の面において両国が交通をして、そうして友好関係を作り、さらに国際関係を調整する努力をして初めて承認問題というものは解決するものであってこれをせずして、一挙にやれということでは、なかなか私は解決しないと思います。
 台湾問題につきましてこれが内政問題だということを言い切ったからこれが解決するという問題ではございません。御承知の通り、この台湾をめぐっての複雑な国際関係があってこれが法律的に内政問題であるかどうかということを言うただけで解決するような、簡単な問題でないということも、十分に御了承願いたいと思います。
 最後に、戦闘機の問題でありますが、主力戦闘機の決定は、御承知の通り国防会議においてこれを決定することになっております。そうして今使っておりますF86の戦闘機の生産――現在及びこれが一定の目的でもって生産をしておる機数というものができ上った後に、将来どういうものをやるべきか、また、最近の飛行機の発達にかんがみてどういう機種が日本の防衛の立場から適当であるかということで、いろいろたくさんの機種を従来検討して参ったのでございます。しこうしてその結果、いろいろな、機能の点であるとか、あるいは価格の点であるとか、あるいは安定性の点であるとか、あるいは日本の飛行場の設備との関係の問題であるとか、各種の問題を検討して四月に国防会議において一応グラマンということに内定をいたしたのであります。しかしながら、これはあくまで内定でございまして最後の決定ではない。なぜなれば、その当時いろいろな資料におきましてまだ不十分の点がある、それをさらに詳細に調べるためには、やはりある機種を内定して調べることが適当であると認めまして、内定をいたしたわけでございます。しこうして、これに関して何らかの国際的汚職のにおいがあるというふうなことでございますが、これは、私は国防会議の議長として、総理としてはっきり申し上げますが、絶対にそういう事実はないのであります。(拍手)あくまでも問題は、一方は技術的な問題、一方は今言ったような財政の関係その他を勘案して国防会議におきまして、私が議長として全責任を持って、さらに検討を加えて最後決定をなすつもりであります。(拍手)
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(藤山愛一郎君) 総理の答弁を補足して申し上げます。
 安保条約の問題につきましては、総理の言われた趣旨を体しまして私としては、過去一年間、私が外務委員会等を通じまして国民の願望と意思を承知いたしておりますので、その点につきましてダレス長官に十分私どもの考え方を申し述べて、その了承の上で外交交渉をやろうという話し合いになったわけであります。今後の折衝は非常に重要な問題であると思います。私は、国民の願望に沿いますように、この折衝を通じてできるだけ努力をして参りたいと、こう考えております。
 台湾海峡の問題につきまして特に私とロイド外相との話が御質問に出たわけであります。私は、台湾海峡の今日の事態というものが、日本にとりましても非常に重要な事態であること、また、これを平和的に解決し、武力の紛争が拡大しないことを念願することは、日本の当然の考え方だろうと思います。従いましてこれらの問題をいかに解決していくかということにつきまして、十分各国の首脳者の意見を聞きますことは必要なことなんでありまして今後の施策の上に大きな参考になると思います。従いましてその一つとしてロイド外相とも私的な懇談をいたしたのであります。従いまして、私的な懇談でありますから、その内容を申し上げるわけには参りませんが、(「おかしい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)あらゆる角度において、私どもは、それらの問題についてのイギリス側の考え、方針というようなものを打診してみたわけであります。それによりまして得るところあったと思っておりますが、その他の国の首脳者ともそれぞれ私的な会談をいたして将来の日本の外交の参考にいたして参りたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣高碕達之助君登壇、拍手]
#9
○国務大臣(高碕達之助君) 中共との貿易再開問題につきましては、先刻、岸総理から御答弁申し上げました通りでございますから、繰り返しません。ただ、今日、中共が東南アジアの市場におきまして実行いたしておりますあの状況を見ますというと、何しろ政治と経済とを一本でやっている関係上、ある程度の出血を覚悟しても、外貨獲得のためには一そう増進する、この方針で進んでおられるようでありますから、今後中共との間に、かりに貿易が再開されても、今後この問題は続くものとわれわれは覚悟せねばならぬと思っております。つきましては、その競争の方法とすれば、単に価格をもって競争するということは、これはむずかしかろうと存じておりますから、取引条件だとか、あるいは中共と競合しない高級品をもってこれに当るとか、あるいは今後重化学工業方面に重点を置いて東南アジアの貿易を伸展したいと、こう存じております。(拍手)
   〔国務大臣左藤義詮君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(左藤義詮君) 次期戦闘機の選定問題につきましては、国防会議の議長として、ただいま総理からお話のあった通りでございますが、私自身も、本院並びに衆議院の内閣委員会におきまして詳細説明をいたした通りでございますが、防衛庁といたしましては、わが国の地理的条件等を考慮し、将来の防空体制のあり方及び防空兵器体系につき検討をいたしますとともに、一昨年以来、次期戦闘機の候補となった各機種の正確な資料を収集し、その性能、運用、生産等、各方面にわたり慎重に検討いたしました。これを四月十二日の国防会議に説明をいたしまして国防会議においても慎重なる検討が行われました結果、F11F―1Fに内定を見たものでございます。この内定に当りまして米国の航空機会社や、国内商社、メーカー等の運動に左右されたとか、あるいは巷間伝えられますごとき不正は、絶対にないものと確信をいたしております。
 なお、浜松から千歳へ移駐しますに当りまして当時の天候のために事故の起りましたことは、今もって遺憾といたすところでございますが、現在、戦闘機は、北海道の領空侵犯に全力を尽して活動しておりますることを御報告申し上げます。(拍手)
#11
○議長(松野鶴平君) 青木一男君。
  [青木一男君登壇、拍手]
#12
○青木一男君 私は自由民主党を代表して現下の重要国政の二、三につきまして、政府に質問をいたします。
 まず、共産革命の脅威とその対策について、岸首相にお尋ねをいたします。
 岸総理は、組閣以来、暴力の追放を強調され、大いに国民の共鳴を得られたのでありますが、今やわが国には、暴力や集団的闘争によって国の法的秩序を破壊し、日本を共産革命に持って行こうとする動きが活発化してきたように思うのであります。暴力によって国家の法的秩序を破壊しようとするくらいおそるべき暴力はないのであります。昨年のソ連の長距離弾道兵器及び人工衛星の打ち上げの成功、イラクの革命に端を発した中東の紛争、さらに近くは台湾海峡の険悪化等、一連の国際情勢の推移が、日本における革命運動に勢いを添える結果となったものと見なければなりません。最近の苛烈な勤評反対運動や、道徳講習の妨害行為、あるいは北海道苫小牧に見るがごとく、裁判所の判決の執行を集団的暴力によって阻止し、多数の負傷者が続出し、就業中の工員の生活が危険にさらされるというような行き過ぎた組合運動の様相を見て革命の前夜であると評する者がありますが、私はそれ以上に進んだ段階にきておると考えるものであります。(拍手)けだし、暴力により、または非合法の集団的圧力により、国政の運行を妨害し、国の法的秩序を破壊することに成功し、国家権力が暴力の前に屈したならば、これすなわち革命でありまして国政の実権はその暴力団体の手に移ることとなるのであります。(拍手)
 今や、世界の自由主義国は、国際共産主義の脅威に対し、共同防衛の態勢を固めておるのでありまして昨年十月。パリで開かれた北大西洋条約機構の会議において自由陣営に属する十五カ国は共同宣言を発し、その中で、「自由世界は、ソ連の力を背景とする国際共産主義の増大する挑戦に直面している。先月モスクワで共産主義指導者たちは、地下工作により、または暴力によって、全世界支配の計画を促進する決意を暖めたことを明らかにした。しかし、NATOの同盟国は、この世界支配という考え方を容認せず、そのような脅威には決して屈服しない。」と、強い決意を表明したのであります。自由主義国が、かように国際共産主義の支配をおそれるゆえんのものは、共産主義国の政治形態が民主主義の理念に反し、国民の人権と自由を無視する少数の独裁政治であり、恐怖政治であり、人類の文明に逆行するものであるからであります。また、共産国の労働者や農民は、強い国家統制のもとに極度に貧困な生活をしいられているのであり、衛星国の国民は、さらに一そうみじめな生活条件下にあることは、先年のハンガリー事件の経緯と、東独の国民が、厳罰を覚悟で今でも西独に逃亡する者、跡を絶たないことからも想像できるところでありましてかように、精神的、物質的に貧困な生活に追いやられてはたまらないというのが、自由主義諸国を一貫する国民感情であるわけであります。(拍手)わが国もまた、民主主義を守り、国民の人権及び自由を擁護し、豊かな国民生活を維持するため、共産革命をその萌芽のうちに刈り取らなければなりません。この問題は一切の国政のもとをなすものであり、共産革命防止のためには、教育、宣伝、取締りはもとより、国民生活を安定するための諸般の施策を勇敢に実施する必要があると思います。これらの点について首相のお考えを承わりたいのであります。(拍手)
 次に、国家観念の涵養について首相にお尋ねいたします。
 本年七月、中央青少年問題協議会が内閣審議室に依頼して試みた世論調査によれば、愛国心ということについて、この二、三年の間に、人から話を聞いたり、友人と話し合ったことがあるかという質問に対して、「ない」と答えた者が七三%を占めているのであります。調査の対象は十七才から二十三才までの青少年で、主として中学卒業者、高校卒業者または在校生でありますから、大部分の青少年が学校で愛国心について教育を受けていないことがわかるのであります。国家を愛する感情は人間の天性であり、国民の道徳として教育上重要視されていることは、古今東西に共通であり、自由主義国たると共産国たるとを問わないのであります。たとえば、ソ連の憲法には、国家に忠誠を尽すことは、国民の名誉ある最高の義務であることを規定しております。また、中共の周恩来首相は、日本の旅行者に対し、中共が革命以来短期間に偉大な建設をなし遂げた原動力は、愛国心の発露、民族精神の高揚にあったと説明しているのであります。しかるに、日本では今もって学校で愛国心を教えず、祝日に国旗を掲げないところが少くないのであります。長崎の国旗事件のごときも、平素、国旗を尊重する国民の風習が薄らいでいたため起ったものであり、それが中共側を怒らせ、今日の事態を招いたのであります。心なき若い労働者のちょっとしたいたずらにすぎない、あのような偶発事件をもって、岸内閣の責任だと主張するのは理由なき言いがかりであり、従って、日本から謝罪使を送るなどということは、考慮の余地がないのであります。(拍手)しかしながら中共の陳外交部長が、中国国民は中共国旗を尊重するから、その精神を拡充して、武漢や広州の日本品の見本市で日章旗を尊重したという声明には、傾聴すべき点があると思います。平素、日章旗の代りに赤旗をかつぎ、革命歌を歌っている連中が、今度の長崎事件で中共の言い分を無条件に支持し、中共の国旗を尊重せよと叫ぶのは、あまりにも見え透いた迎合主義であるけれども、日本人が国家の表徴である日章旗を尊重し、その結果、外国の国旗をも粗末にしない風習のできることは、国家観念の涵養上望ましいことであります。また、先ごろの中東問題以来、わが国内にアラブの民族主義運動に同情と支持を与える世論が圧倒的であり、私もその一人でありますが、ただ、その主張者の中には、日本の民族主義を忘れている人々の少くないことを遺憾とするものであります。(拍手)要するに、国家観念の高揚なくして国家の再建も民族の繁栄も不可能であると思います。政府はいかなる方法によって愛国心を鼓吹し、国家観念を涵養せんとするか、首相の見解を伺いたいのであります。
 次に、勤評問題について文部大臣にお伺いいたします。
 多数の使用人の公正な人事管理を行うため勤務評定の必要なことは、いかなる職場でも同様であり、教職員といえども、その例外たり得るものではありません。勤務評定に関する法律が問題なしに国会を通過したことは、この立法が当然であることを証明しております。しかるに、近時、日教組とその応援団体は、政府の法律上の当然の責務である勤評の実施計画に対し、集団的圧力をもって妨害し、その法律の施行を阻止しようとし、その手段として、法律の禁じているストを行い、あるいは児童の登校を阻止しようとしたりであります。法律の施行を集団的実力行使によって妨害するがごときは、法治国家として許さるべきことでなく、彼らのなすところは、議会政治の否認であり、民主政治への反逆であります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)しかるに彼らは、民主教育を守るためにたたかうのであるという矛盾きわまる放言をあえてしているのであります。また、教員は他の労働者と異なる特殊の職務であるから、勤評は不可能であると主張する向きがありますけれども、これは勤評の方法論にすぎません。それよりも、この主張は、従来彼らが、(「彼らとは何だ、彼らとは」と呼ぶ者あり)教師は階級的労働者であるとして先生らしくない組合活動をあえてしてきたことと矛盾するものであり、都合のよいときだけに教職の特異性を主張するのは、あまりにも得手勝手なことであります。(拍手)また彼らは、勤評は戦争への一里塚であるから実施させないと豪語しております。これは、国民が戦争をきらう心理を運用した言葉の魔術でありまして、また論理の独善的飛躍であります。勤評と戦争とは何らの関連がないのであります。かように、理由にならない理由をもって絶対反対を唱え、勤評の内容の話し合いにも入ろうとしないのは何ゆえであるか。私は、日教組の真のねらいは、教育に対する政府や教育委員の干渉を排して、教育の管理権をその手に掌握しようとするにあると思うのであります。(拍手)文部省廃止というような主張の起るのはそのためであります。日教組が安心してわれわれの子弟の教育を託するに足る教育理念を持っているかどうかは、しばらくおくといたしましても、教育の基本については、教育基本法、学校教育法、の他の法律があってこれらの法律の施行が文部大臣の責任であり、それがため、文部省設置法にも、文部省の職務権限を明記しているのであります。これらは、憲法第一六十五条に規定した文部大臣の教育行政権の範囲を明らかにしたものであって憲法第六十六条により、内閣はこの行政権の行使について連帯して責任を負うのであります。これが責任内閣制度、立憲政治の本質的建前であります。日教組が教育の実権を掌握せんとするがごときは、憲法の建前から言っても不可能な野望にほかならないのであります。(拍手)
 日教組のバイブルといわれる教師の倫理綱領には、「社会主義の実現は教師に課せられた歴史的課題である。このような社会主義の実現のため役に立つ働き手となる青少年を育成するのが教師の任務である」というような趣旨のことが記されておるのであります。また、大会できめた運動方針として、「教育労働者としての階級的立場を明らかにして資産階級及びその政府と闘う」と宣言しているのでありましてその内容と表現は、あまりにもマルクスの共産党宣言に酷似しているのであります。(拍手)すなわち、日本の共産革命を最終目標とするものである以上、その運動方針が非合法となるのも当然であるという見方も出てくるのであります。日教組は、和歌山の大会で、「合法か非合法かは力関係できまる」と決議しておりますが、この力とは、暴力または集団的威力をさすものであり、これは明らかに革命思想であります。要するに、日教組が社会主義実現をもって教育者の至上任務としているのは、きわめて危険なる偏向教育であります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)そうしてこの実現のために、全組織をあげて非合法のスト行為をやり、あるいは暴力をふるって政府の公務の執行を妨害するが、ごときことが容認され、その目的が達成されたならば、それは、すでに電命の第一段階に入ったものと見るほかはないのであります。勤評問題の重大化を憂えた一部の大学の学長諸君が調停に立たれようとしたときに、暴力や集団的圧力のもとに話し合いができないと言って文部大臣が断わったのは、もとより当然の措置であったと思います。白紙還元論や冷却期間説のごときは、実質的に日教組の運動を支持するものであり、日本の法的秩序の崩壊を意味するものであります。違法行為は無条件に否認さるべきものであります。また、勤評の実施と否とをも含めて、審議会の結論にまかせるというような考え方は、審議会をもって国会以上の機関となすものであり、論外であると思います。(拍手)九月十五日、日教組が全国統一行動を指令したにもかかわらず、各県教組の足並みがそろわず、失敗に帰したのは、公債な世論の批判に屈したものであるとともに、地方教員諸君の間に良識の強く動いているものであることを示すものであります。しかしながら、日教組はこれに反省せず、引き続ヨ組織をあげての非合法反対運動を繰り返そうとしておりますが、教育上、はたまた国家の治安土、容易ならざる事態と言わねばなりません。これに対し文部大臣はいかに対処していく方針であるかを伺いたいのであります。(拍手)
 次に、全学連の動向について文部大臣にお伺いします。
 最近の勤務評定反対闘争、道徳教育反対闘争における、全学連、社会主義学生同盟に属する共産党員を中心とする一部学生の行動は、目に余るものがあるのであります。彼らは、学業を放棄し、暴力的政治闘争の第一線に立ち、しばしば警察と衝突を起しているのであります。公安調査庁当局の発表するところによれば、全学連の中央執行委員三十名のほとんど全部が共産党員であり、日本共産党の中でも最左翼の過激分子であり、その行動のあまりに尖鋭なるがため、日本共産党から除外された者すらあるのであります。(拍手、笑声)彼等の父兄がこの実情を知ったならば、いかに嘆くことでありましょうか。また、良識ある国民は、いかに心痛することでありましょうか。かような学生にあるまじき行動を常習とする者に対し、学校当局はいかなる措置をとっているのでありますか。私は、学生の将来のため、はたまた学園浄化の見地から、学校当局は、かような行動に反省を促し、もし反省しない者には厳然たる態度をもって臨み、危険なる風潮が善良なる多数の学生に波及することを防止すべきであると思うが、文部大臣の御所見を伺います。(拍手)
 なお、これに関連して政府に一点注意を促したい点があります。全学連に属する共産党員学生にして、卒業後教職員に採用されている者が多いということであります。これは、文教政策上きわめて憂慮すべき傾向であること言を待ちません。
 次に、外交問題について外務大臣にお伺いします。
 政府は、国連の尊重、自由主義国との協調、アジア諸国との親善という三原則をもって外交の基調としているのでありますが、時としてその原則が両立せざるかごとき観を呈し、処理に困難を感ずることが起るのであります。たとえば、中東問題のごとき、あるいは中共問題のごとき、その例であります。外務大臣は、中東問題の国連討議に当って、三原則の調整に苦心を払われ、ようやく難局を切り抜けられたのでありますが、中共問題は、依然未解決のままであります。中共が対日強硬政策に転じたのは、岸内閣が中共を敵視する政策をとっているとか、二つの……。国を作る陰謀をしているとかというような、とんでもない誤解に基いている点もあるでありましょうが、根本は、日本が米国との関係を希薄にして十共との国交正常化に踏み切らない点にあると思うのであります。中共は偉人なる日本の隣邦でありますけれども、国連尊重、自由主義国との協調という原則の方がより重いからして中大との国交正常化に踏み切り得ないもりであると思います。なお、今の中共は、昔の中国とは異なるのでありまして、平和共有のかけ声の裏に何を考えているか、よくその考えを見きわめ、向わなければいけない点も、この点に関係があると思います。この種の問題は今後も出てくる可能性があると思いますが、三原則の調整について何か一貫したお考えがあるならば伺っておきたいと思います。また、世間には、中共貿易の継続を欲するのあまり、中共に対する外交政束の転換を要望する声も聞くのであります。しかし、その影響の重大なるにかんがみ、私は軽々に動くべきではないと思いますが、政府の御所見を伺います。
 次に、日本の安全保障について外務大臣にお伺いします。昨日の外務大臣の演説によれば、今回の訪米の結果、日米安全保障条約の再検討が確認された由でありまして、まことに機宜を得たものと信ずる次第であります。ところが、社会党の諸君は、日米安保条約を廃棄し、これにかわって、日本、中共、米国、ソ連の四ヵ国の極東安全保障体制を作れと主張されるようであります。これは実に重大なる提案でありますが、しかし、元来、米ソ両国が今日の深刻なる対立を続け、全面的融和を見るに至らないのに、極東だけで握手をするということが、常識上可能なりやいなやを疑うものであります。それに、ソ連は、大東亜戦争の終りごろ、日本との中立条約を侵犯して日本に宣戦を布告し、満州、樺太、千島を占領し、クナシリ、エトロフのごとき日本の固有領土を今もって返還しないのであります。ひとり、わが国に対してのみならず、ソ連は、厳たる不侵略条約を侵してバルト三国を併呑し、また、同じく不侵略条約を侵してポーランドの領土を奪った事実があるのであります。これは、ソ連が条約を尊重しない国であるということを示すものであり、かような国との安全保障条約によって、国民が果して安心することができるかどうか、すこぶる疑問であると思うのでありますが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
 次に、経済問題について通商産業大臣にお伺いします。わが党は、数年来、画期的な経済拡大計画を樹立し、これによって完全雇用と国民生活の向上を企図してきたのであるが、この政策は大体において所期の成果をおさめておるものと考えます。ただ、一昨年来行き過ぎた経済成長により、貿易が著しく赤字となったため、その是正の方策が講ぜられたのでありますが、最近、過度な投資も抑制され、国際収支も黒字に転じてきたのであります。ただ、国内物資の需給も外国貿易も縮小均衡の傾向にあるため、不況を克服するに至っておりません。わが国経済機構の特質から考え、輸出の振興こそは、経済基盤の強化、景気回復の根源でありますから、その点にあらゆる施策を集中して、根気よく実行する方針をとられんことを要望します。
 経済計画に関し、私が特に希望したい問題が二つあります。その一つは、燃料等、エネルギー資源に関する総会計画の樹立であります。私は、先年、自由党の石炭対策特別委員長として、石油消費の規制を中核とする石炭対策の樹立に関与したものでありますが、その後、石油の消費が激増し、最近再びその規制問題が台頭しているのであります。私は、電気、石油、石炭、ガス、薪炭等を通ずる国の総合的エネルギー資源対策を樹立することが必要であると思います。自由経済の建前上、強い国家統制を加えることはできないにしても、国としての総合計画を樹立し、業界に目標を与え、また、適当に指導する必要があると思いますが、政府の所見を伺いたいと思います。もう一つは、繊維に関する総合計画の樹立であります。在来の綿花、羊毛、絹のほか、各種の人造繊維、合成繊維の生産が競合し、中には設備の過剰を来たし、あるいは、激甚な競争のため、新しい企業の育成が危ぶまれるものも出てきたようであります。国際収支との関連に重点を置いて、繊維生産の総合計画を樹立する必要があると思いますが、政府の所見を伺いたいと思います。
 最後に、第二十一号及び第二十二号の台風によって静岡県その他の各地に多数の死傷者を出し、多大の損害を見たことは、同情にたえないと思います。天災とはいえ、毎年繰り返されることでありますから、人力の及ぶ限りの予防措置を考慮する必要があると思います。また、今回の罹災者に対しては、すみやかに救援の手を伸ばし、災害の復旧に万全を期せられんことを強く要望して、私の質問を終ります。(拍手)
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 近時、日本の情勢におきまして、いろいろ集団的暴力によって法秩序が乱されるような状況にあるということにつきましては、私が施政方針におきましてもそれを指摘しておるところでありまして、これが根本的の対策として、政府はどういうことを考えているかということであります。もちろん、現われた現象として、法の秩序を乱し、法に違反する者に対して取締りをすることは当然でありますけれども、それはむしろ末であって、もとは、やはり国民生活の安定についての諸施策を強力に実施していく、また、共産主義なり、あるいはそういう民主主義の真に守らなきゃならんというようなことに関する実態を、国民をして十分に認識せしめ、そういうことに対して国民みずからが戒め、てそういうものに加担しないというふうなことが必要でありまして、ただ現れたものに対する取締りだけでもってこれが対策として十分なものでないことは、言うを待ちません。ただ、私は、最近の情勢を見ますと、今御意見のうちにもありましたが、労働組合運動の行き過ぎ云々ということがございました。最近の苫小牧の事態等を見まするというと、私は、これは、労働組合運動という範疇に属するものではないと思います。本来、法がきめ、法の解釈におきまして裁判所が決定したことを実施するのについて、当の裁判所の決定の相手でない他の炭労の人やその他の者が、これが執行を妨げているという事態は、私は、労働組合運動の範疇には入らないものとして、これが取締りを厳にやらなきゃいかんと考えております。
 なお、第二の、愛国心の問題でありますが、今日の国際社会において各国が協力して、そうして世界の平和と繁栄を企図しているというのにつきましては、各民族がそれぞれ自立し、民族の自由と繁栄を基礎にし、おのおの作っているところの国を基礎にして、そういう国際的の協調や活動がされておることは、言うを待たないものであります。従いまして、こういう意味において、われわれが民族主義やあるいは愛国心というものを涵養していかなければならんことは、言うを待たないのであります。ただ問題は、従来愛国心と言われるということについて、いろいろな誤解があります。また、民族主義についてもいろいろな誤解がございます。すなわち、われわれの考えているものは、あくまでも正しい愛国心でなけりゃならないし、正しい民族主義でなけりゃならない。私どもがアラブ民族主義に同情を持ち、これに対して理解を持っているということは、私が施政方針でも述べましたが、これは、言うまでもなく、この民族が自分の自主独立を、自分たちの力によって完成していこうという熱烈な希望に対して、われわれは言っているわけでありまして、この民族主義が現実に各地においていろいろな意図のもとに利用されているような傾向が、世界の各地にはなおあります。こういうものを、そのままの姿でこれが正しいと言うわけにはいかんと同様に、われわれが涵養していきたい民族主義ということも、そういう点を十分に考えて、正しいこの民族主義でなければならぬと思うのであります。しこうして、これに関しましては、国が国旗に対して尊敬の念を持つ、民族が持つということは私は当然であり、自分の国の国旗を尊重すると同時に、他の民族の国旗も尊重するということが望ましいことでありまして、やはりそれには、日章旗に対する国民の尊敬の念を、なお一そう養っていく必要があるということを考えております。しこうして、正しい、こういう民族主義や愛国心を涵養するためには、やはり正しい日本の地理であるとか歴史であるとかいうようなものを、国民教育の中に取り入れていく必要もあります、また、正しい道徳教育を行うということも、これも当然なことであると思うのでありまして、これらを通じて、将来、特に青少年が国際社会に立って尊敬されるような日本人として育っていくように私は心がけていきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣灘尾弘吉君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えを申し上げます。
 最近の日教組の状態につきまして詳細お話がございましたが、私も大体、青木議員と憂いを同じくするものでございます。日教組は、今さら申し上げますまでもなく、地方公務員法に基く地方の職員団体の連合体でございます。その地方の職員団体の性格が何であるかということは、今さら申し上げる必要もないと思うのでございます。しかし、この日教組の、少くとも指導者の諸君の考え方なり、また行動等を見ておりますというと、よほど本来の職員団体の性格から逸脱いたしておるように見受けられるのであります。先ほど、行政の責任のことについてお話がございましたが、教育行政の責任は政府が負っておるわけであります。私どもは法律制度の定めるところに従いましてその責任を果さなければならないのでございます。この責任に基いて、政府が、あるいは地方の教育機関が、いろいろなことをしようとする、この場合に、日教組の諸君は、しばしばこれに対する反対の行動に出られるのであります。反対の意見を持つことは私はかれこれ申しません。しかしながら、公務員であり、全体の奉仕者である教職員の諸君が、政府ないし地方の教育行政機関の施策に対しまして、反対の行動に出るということは容認できないことであります。(拍手)今回の勤務評定の問題にいたしましても、私が何か申せば、すぐ法律のことばかり言っているというような御批評もございます。行政機関は法律制度のワクの中で動いているのであります。その法律制度を施行するのがわれわれの責任であります。この法律の施行に対して実力をもって阻止しようとする、これをじゃまをしようというのが今日の日教組の動きでありまして、私の断じて容認し得ないところであります。(拍手)
 また、最近行なっておりますところの道徳教育の講習会にいたしましても、これはわれわれが予算をいただきまして、今年の事業計画としてやっておるのであります。これに対しましでも頭から反対する、労働争議のピケ以上の妨害をいたしておるのであります。これも何のことかわからないのであります。どうも日教組の諸君は、全国五十万の教職員を代表してということを言われるのでありますけれども、私はさようには考えない。(「認識不足だ」と呼ぶ者あり)この指導者の諸君のやっておられますことは、明らかに政治行動ではないか、政治活動ではないか、しかも特定の意図を持っての政治活動と思わしめるものがたくさんあるのであります。日教組の方で出されておりますところの文書、あるいはまた大会における決議、その他日常の言動等を伺いましても、本来の目的が政治行動にある、しかも特定の意図を持っての政治行動にある。私は、往々にしてその文書の中には、社会変革を意図しておられるのではないかと思われるものがしばしばあるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
 で、最近のあの勤務評定に対する反対の行動等を見ておりますというと、一から十までが違っている、一から十まで間違った行動をあえてして、そうしてどこまでもこれを阻止すると、こう言っておられる。あの暴力的な反対行動を見ておりますというと、あるいは私の疑いが正しいのではないか、かように思わしむるものがあるのであります。(拍手)心から心配をいたしておるのであります。そういうふうなことがございますので、私はこの日教組の諸君が、特定の方向に向って全国の教職員諸君をかり立てていくというようなことがあっては大へんだと思うのであります。さようなことのなからんことを、ひたすら祈っておるわけであります。
 幸いにして――先般の九月十五日の、あのいわゆる勤評ストであります。これなんかも、どこから考えましても全部間違っておる。こういうことを平気でしょうといたしておる。しかも共産党であるとか、全学連であるとか、さような他の団体と力を合せてやろうとしておられるのでありす。こういうような事柄に対しまして、さすがに全国多数の教職員諸君は、その良識をもって善処せられたと私は思うのであります。(拍手)先ほどの青木議員の御質問によりますれば、日教組は、さらにまた次のストの計画をしておるのじゃないか、これに対してどうするかと、かような御趣旨のお尋ねであったと思うのであります。私どもも新聞紙上等によりましてさらに第二波あるいは第三波の闘争計画を立てておられるように伺うのであります。私はこの際、ぜひ考え直してもらいたいと思っておるのであります。さようなことを繰り返さないように、ぜひお願いしたいと思うのでございます。この間の九月十五日のあのストの状況を見ましても、国民諸君の審判は下っておるのであります。私は、それに対しまして、冷静な反省をしてぜひ本来の教職員団体の姿に、一日もすみやかに帰ってもらいたいと思っておるのであります。(拍手)また、全国の教職員諸君も、さらに一そうその自覚を深め、間違った行動にかり立てられることのないように、日本の教育、日本の学童を守るために善処していただきたいと、心から私は念願いたしておる次第でございます。
 次に、全学連のことについてのお尋ねでございますけれども、これにつきましても、青木議員より詳細お話がございましたので、全学連の何たるかについては、私がかれこれ申し上げる必要もないかと思う。少くとも、共産党の中でも最も激しい、共産党以上と言われるような職業的な者が、学生の名において、職業的な革命運動家が指導いたしておるのが全学連であります。今度の勤務評定の問題にいたしましても、あるいは道徳教育講習会に対する妨害におきましても、その先頭を切って、じゃまをいたしておるのは、この全学連であります。その思想傾向が何であるか、その意図するところが何であるか、今さら私が申し上げる必要はないと思うのでございます。で、学生がかようなことに巻き込まれまして、至るところで騒動を起し、警察官と争い、あるいは学園の円満な運営を妨げる、こういう事態はまことに残念なことでございます。父兄の方々の気持になったら、これは大へんなことだろうと思うのであります。学園外の行動につきましては、警察当局等によって取り締られても仕方がない。あまりにも、むちゃくちゃなことをやっておるのであります。学園内の問題につきましては、大学当局がよほど考えてもらわなくちゃならぬと思うのであります。これにつきましては、もちろん、学園の規律を乱り学園の運営を妨げる場合におきましては、従来大学当局におきましても、それぞれしかるべき処分をいたして参っております。平素の学生の指導について、もう少し大学の教授もほんとうにこれが指導に熱を入れてもらわなくちゃならぬ。同時にまた、間違いのありましたときには、きぜんたる態度をもって学園の粛清をはかってもらわなければならぬと思います。その方向において今後努力して参りたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(藤山愛一郎君) お答え申し上げます。
 日本の外交の方針として、国連中心主義、自由主義陣営との協調、アジアの一員としての立場という問題について、何か矛盾があるのではないか。特に、おそらく自由主義陣営の一員としてと、それからアジアの一員としての立場というものについての御意見だと思うのであります。私は、日本が置かれておりますこの地理的立場から見まして、アジアの一員であるということ、また歴史的な、文化的な面から見まして、アジアの一員であるという立場は、これは当然の立場と思います。同時に、日本が自由主義を信奉している国であるという意味において、自由主義陣営の一員として共産主義に対立しております立場において問題を考えていくというのも、これまた当然のことだと思うのであります。それを通しまして考えてみましても、むろん、世界の各国が平和を念願いたしておることにおいて、だれも戦争を欲し、あるいは平和に反対する者はないと思うのであります。ただその置かれております過去のいろいろな歴史的な立場、そういうものから起ってきますいろいろな条件、あるいは感情上の疎隔、あるいは文化的な違いの面に対する理解がそれぞれ欠けるところに、おのずから紛争が起り、おのずから争いが起ってくるのではないかと思うのであります。そういう意味におきましてやはり世界各国が相互に信頼し合いながら、相手方の気持、感情、状態、あるいは歴史的な過程というものを十分理解しましてそうしてその上に立って調和していくということに進んで参らなければならぬと思うのであります。日本はアジアの一員としての感情あるいは経済の立場を持っておりますが、同時に、アジアの中でも先進西欧の科学的な文明を最も早く取り入れましてそうして相当程度西欧的な理解を持っている国だと思います。従って日本が率直にアジアの気持を先進国に話をしてそうして問題の起りました場合に、その間の理解を深めていくように努力をすることは当然だと思うのであります。同時にまた、われわれが理解し得る西欧の考え方をアジアの人たちに伝えていくということも必要であろうかと思うのであります。そういう意味において、私は日本のとるべき外交というものは当然そこになければならぬと思っております。むろん、問題の起りますこと自体は、過去においていろいろな歴史的経過をとっております感情的疎隔もありまするから、紛争の起りました場合にそれらのものを解決するに、今申し上げたような気持でありましても、解決に非常に困難を来たす場合があり得るのでありましてそういう立場が絶無だとは私は申し上げません。しかしながら、日本として当然それらの間に立って最大の努力をいたして参りますことが、世界の平和を念願する日本の外交の一つのはっきりした筋道でなければならぬかと、こう考えております。
 対中共貿易、中共の問題、並びに安全保障条約を廃棄して四カ国条約を作ったらどうか、それらに対する意見はどうかということでございますが、この点につきましては、千葉議員の御質問に対する総理の答弁に尽きておると思うのであります。(拍手)
   〔国務大臣高碕達之助君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(高碕達之助君) 長期経済計画を遂行いたしますために長期エネルギー対策を立てるということは、青木議員と全く同感でございまして政府といたしましても、長期エネルギー対策は現在立てつつあるわけでございまして、現在におきましては、すでに、燃料といたしまして石炭に換算して一億七百万トンの燃料を要しておりますが、これが昭和五十年におきましては、石炭換算二億七千万トンの燃料を要するだろう。これが対策といたしましては、水力資源といたしまして五千八百万トンの石炭に相当するもの、石炭といたしましては七千二百万トン、そのほか、ガスが三百五十万トン、原子力は昭和五十年に石炭に換算いたしまして大体一千万トンないし二千一万トンを使用するものといたしましてその不足はほとんど全部石油によらなければならない。大体それを数字で申しますと、石炭換算一億トンの石油を確保しなければならない。それがために、政府といたしましては、今後この石油資源を確保するために、いかにして確保するかということのために、中近東、エジプト、あるいはインドネシア等に対して手を打っておるわけでございましてできるだけ安くその石油を確保するという方針をとっておるわけでございます。
 第二の繊維対策でございますが、これは御承知のごとく、昨年の夏以来、設備が過剰なために非常に不況にあるということは事実でございます。これに対応いたしますために、さしあたり需給調整ということを中心に置きまして、操短、製品の凍結、あるいは原料輸入の調整、あるいは織機の買い上げ等を実行いたしておりますが、長期の計画といたしましては、綿、羊毛、あるいは合成繊維、スフ、人絹等を総合的に考えまして、いかなる数に、いかなる状態でこれをやっていくべきかということを総合的に検討しておるわけでございますが、ただ、一言申し上げたいことは、現在日本には綿ができない、羊毛がないから、合成繊維に重点を置くべきだという意見が相当ありますが、これは一見もっともでありますけれども、繊維工業といたしましては、日本が従前持っておりましたこの伝統的の技術と世界に優秀なる能率とを発揮いたしまして、できるだけ全繊維につきまして総合的に検討いたしましてこの全繊維産業のますます隆盛ならんことを念願してやまない次第であります。(拍手)
#17
○議長(松野鶴平君) 加賀山之雄君。
   〔加賀山之雄君登壇、拍手〕
#18
○加賀山之雄君 私は緑風会を代表いたしまして、若干の事項について各大臣から御所見を伺いたいと思うのでございますが、まず、岸総理並びに藤山外相に、わが国外交の基本方針についてお伺いをいたしたいと思います。
 すでに岸首相は、再三・施政方針演説において、わが国外交の基本方針は、第一に国連中心主義、第二に自由諸国との協調、そして第三にアジアの一国として立場を堅持する、これが日本外交の三原則であると述べられておるのであります。今度の施政方針演説では特にこれは触れられてはおりませんが、首相並びに外相の演説を拝聴してこの基本方針が変更されたという印象は受けない。従って第二次岸内閣においても、この三原則が踏襲されておるものと解釈して差しつかえないものと考えます。ところで、今日の日本は、すでに憲法が厳粛に規定しておりますがごとく、国際紛争を武力をもって解決することは許されません。そして不幸にして国際紛争に巻き込まれた場合には、ひたすら平和的手段によって言いかえれば外交交渉による以外は解決の方法を見出すことはできないのであります。従って今日の日本にとっては、外交はまさに国の支柱であります。わが国の安全保障も、わが国の利害、権益も、すべて外交によってささえられていると言っても過言ではないと思うのであります。しかるに、この外交方針が果して原則と言えるていのものかどうか、まことに疑問であります。まず国連中心外交と言いましても、それは原則と言えるのかどうか。国連の舞台で解決するということでございましょうが、外交の案件は非常に多くあって、国連の中で解決する部分はごく一部にすぎない。非常に外交の領域は、本来もっと広範囲であるはずである。しかも、問題を国連の舞台に限ってみましても、国連中心主義だと言っただけでは意味はないのでありまして、国連の舞台で、理事国の一国としていかなる活動をするかということが眼目であるわけであります。同様に、自由諸国と協調といい、アジアの一員の立場を堅持すると申しましても、この二つは、いつでも両立するものとは言えないのでありまして、むしろ二つは、しばしば矛盾する可能性さえあるものであります。かくして岸内閣の外交は絶えずぐらつき、常によろめいているという印象を、われわれは強く受けざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)以下、われわれの危惧する諸点について、首相並びに外相の率直な御答弁を得たいと存ずる次第であります。まず第一は、日米安全保障条約の改訂の問題であります。藤山外相は昨日の外交演説で、九月十一、十二の両日、ダレス国務長官と会談した結果、国際情勢の判断について、「国際共産主義が依然として世界平和の大きな脅威となっていることについて、米国政府との間に完全な意見の一致をみた」と言われ、続いて、日米共同安全保障に関し、隔意ない意見交換の末、「安全保障問題に関する共通の利益と双方の立場についての理解が増進され、ここに日米安全保障条約を再検討することが確認されて、引き続いて東京で具体的協議を進めることになった」と言われております。同時に、会議の直後なされた共同発表においても、「日米安全保障条約が調印されて以来七年を経たこと、この間に日本の地位は再建され、情勢は、安全保障についての現在の取りきめを、昨年七月二十二日の日米共同声明で、岸首相とアイゼンハワー大統領が確認した日米関係の新時代に完全に即応するように調整するために再検討すべき時期に到達した」ということを指摘しております。この点については、われわれも全く同感であります。現在の安保条約は、日本がまだ米軍に占領されている当時作られたものであり、その後、日本が独立し、次いで国際連合にも加盟し、しかも、今日は安保理事会の一員として国際問題の処理に重要な役割を果すまでになった現実の情勢と、安保条約の規定との間に、多くの矛盾と不合理を招来している事実を見のがすわけにはいかないのであります。そこで、この機会にこれらの不合理が是正されることは、われわれの強く要望するところであります。しかるに、それにもかかわらず、われわれの深く懸念いたしますところは、条約改訂の方向について、果して日米両国の見解が完全に一致しているのかどうかという点であります。すなわち、端的に申しますと、米国政府は、昨年六月の岸総理大臣の訪米を機会に、日米両国の関係は新時代に入ったのであるから、この線に沿って両国の協力関係を、相互の善意と信頼に立脚してますます強化するという方向を目ざしているのであろうと思います。おそらく日本政府の構想も、この点に関してはほぼ同様であろうと推測いたすのでございますが、しかし、わが国の一部には、米国との協力関係を強化いたしますことは、日本の意思にかかわりなく、極東における戦火に巻き込まれていくのだという危惧の念が存在しております。従って安保条約の改訂に当っては、日米両国の関係を現在よりも一そう距離のあるものにしなければならぬという思想であります。すなわち、わが国は米国に対して、日本の防衛はしてもらうが、米国の極東防衛体制の中に日本が巻き込まれないようにしなければならぬという見地から、条約を改訂すべきだとするものであります。条約改訂の方向に関して藤山外相はダレス長官と、果してどういうポイントについて、どれだけ具体的な話をされたのでありましょうか。完全に意見が一致したと言われておりますが、ダレス長官との会談の模様をお差しつかえない限りお漏らし願いたいと考えます。
 第二は、九月十八日の藤山・ロイド会談の内容であります。九月二十日の毎日新聞は、この会談で、「金門、馬祖両島は中共の領土であることに意見が一致した」と伝えております。これは新聞報道でありますから、よく承わらなければわからないのでございますけれども、毎日新聞は続いて、かようなことを申しております。「藤山外相は渡米前に「中共に対する考え方は日米両国の間にかなりの違いがある。この点でダレス長官とよく話し合って米国の理解を得たい」ということを表明しておられたが、藤山・ロイド会談の結果、外相は英国という有力な支持を得て、米国説得の決意を新たにした。」、これが毎日新聞の報道であります。さらに「ロイド英外相は、馬祖、金門両島の支配権が中共にあることを明らかにしたが、これに対し藤山外相は、ロイド英外相に、米国を説得する自信があるかどうかただしたが、ロイド英外相は明確な自信をもって努力することを述べている。これにより両相聞で意見の一致を見、日本としても英国に同調し、今後米国の説得に努力することを約したというふうに説明がしてあるのでありまして、そうしてこの記事は米国官辺に大きな反響を与えたのであります。UPI通信は、ワシントンの某政府当局者は「もしこの報道が正しいなら、ワルシャワの米中大使会談での停戦交渉が成功する機会をくつがえすような立場を日本がとったことになる」と言ったと報じております。おそらく、この会談の内容は、私的な意見交換の範囲を出ないものであろうと思います。思いますが、この問題は今後のわが国の外交路線に重大で微妙な関係を持つものと思いますので、でき得る限り真相を明らかにしておきたいと思うのであります。
 金門、馬祖の帰属について、外相はどうお考えになっておるか、次に承わりたいのであります。台湾海峡の事態は、イラク、レバノンなどと違いまして、日本の目と鼻の間の問題であります。日本の運命に重大な影響を持っているのでありまして、これについて政府がどう考えているかは国民の最も知りたいところであります。しかるに、これに関する首相並びに外相の言明は、ただ、事態が武力によらず、あくまでも平和的な手段で解決することを心から望むというにすぎません。こんなことなら、あえて政治家をわずらわさずとも、三才の童子でも言い得ることである。(「その通り」と呼ぶ者あり)行政の衝に当る政治家は、もっと責任ある態度で、責任ある表明をされることが私は肝心であると思うのであります。一体、他国の領土について第三者がその帰属を云々するということはどうであろうかと思われるのでありますが、同時に、この報道がかりに誤報であったとしても、国際情勢がきわめてデリケートな現在、しかも私的な会談内容が新聞に漏れるということ自体、一国の外相の言動としては多少軽率のそしりを免れがたいのではないかと考えますが、これについて外相の御所見を承わりたいと思うのであります。
 第三に、対中共関係に関連して――中共問題につきましては、社会、自民両党の議員諸君からすでにいろいろの御質問がございましたが、私は立場を変えて台湾に対する御見解を承わっておきたいと思うのであります。
 およそ一国の外交は、国際信義に立脚しなければならぬものと思います。信義を度外視した外交は、たとえ一時的な利益をおさめることがあったといたしましても、やがては関係諸国からうとんぜられ、ついにはその信を失う結果になると思うのでございます。昭和二十年、わが国はポツダム宣言を受諾して連合国に無条件降伏をいたしました際に、「恨みに報いるに徳をもってせよ」と言って、大陸に残留した日本軍人を礼をもって故国に送還してくれたのは蒋介石総統であったはずであります。われわれ日本人として、この恩義は終生忘れることはできません。さらにまた、わが国は、台湾政府とは平和条約を締結しておりますし、すでに国交を回復しているのであります。また、日本の国連加盟に当っては、台湾政府は特別の好意を寄せてくれたはずであります。しかるに、最近の岸内閣の言動は、必要以上に北京政府に気がねをするように私どもには受け取れるのである。本来、友好関係に立つ中華民国に対してはなはだ消極的であると考えざるを得ないのであります。ただ、台湾海峡の紛争が平和的に解決されることは心から望むものでありますが、われわれ日本国民は、ただとの問題に限らず、条約上の立場に立ち、そして国際信義を重んじて堂々とその所信を表明し、外交の折衝に当っていただきたい。かように考えるのであります。
 以上、三点にわたる私の質問は、最近のわが外交方針が、いかにも右顧左眄、狐疑逡巡しているように見られる点があるから申し上げるのでありまして、その場その場の御都合主義に終始するということになりますというと、先ほども申しましたように、わが国は外交上の孤児になり、信を失うということになると思うのでございまして、あえて首相、外相の御所信を伺った次第であります。
 次に文部大臣にお伺いいたしたいと思います。教育基本法第十条に、「教育はいかなる政治的支配にも服することなく、国民に対し直接に責任を負うものでなければならない」と明確に規定してあります。にもかかわらず、ここ数年、特に最近の状態はどうか。あまりにも教育の実体から離れ、政治的なる論議や行動のみが教育界を支配していると申しても過言ではないと思います。勤務評定の問題に関して、総理は、世論と教員諸君の良識によって大事に至らなかったと簡単に述べられました。また、法律で定まっているものを実施するのに何の不思議があるかというのが、政府の一貫した態度であったように思われます。私もその点に関して別に異存のあるものではありません。しかしながら、事態はそれだけでよいのか。決してそれだけでは済まされない問題であると思うのであります。私は、以下二点について文部大臣の御所見を承わりたい。
 第一点、勤務評定についてさまざまの反対意見があり、それぞれ理由が述べられておりますが、そのうち特に耳を傾けなければならないと思われるものは、その教育に及ぼす効果いかんの問題であろうと思うのであります。果して一体これが教育によい結果をもたらすものであるかどうかということでありますが、文部大臣はこの点について深い考察をされたかどうか。評定の内容や方法に多少の欠点があったといたしましても、大局より見て教育的効果が期待されるものならば、断固これを実施に移すべきものでありましょう。もしそれに疑問があるなら、反対理由にも耳を傾けてさらに検討を尽すのが道であると思うのであります。単に法律に定まっておるからというだけでは、あまりにも官僚的なと言われてもやむを得ますまい。(「その通り」と呼ぶ者あり)ここではっきりと、勤務評定は教育に全体としてプラスになるものということを自信を持ってお答え願いたいと思うのであります。物事には百パーセント・プラスということは少ない、逆に百パーセント・マイナスということも少いと思います。問題は、その比較較量の上に立っての議論でなければなりません。反対理由の中には、いかにも反対せんがための反対にすぎないものもあるし、その内容や方法は、先ほど申し述べた通り、よしんば多少の欠点がありましても、経験に基いて改善を加えていけばよろしいのであります。私はどうしてもこの問題のキー・ポイントとなるものは、その教育効果の善悪功罪にあると考えますので、文相は、この際、この点についての見解を明確に表明されたいと思うのであります。
 第二点、勤務評定に関しましては、総評や日教組がまだほこ先をおさめたとは言っておりませんし、すでに実施に入った地方や学校でも、その内容、方法等について一段と勉強を積んでいかねばならない。従って問題はなお今後に残されているわけでありますが、私は、かつて、いわゆる教育二法律の審議に関係して以来、第二十四国会の教育行政の組織及び通常に関する法律の本院における審議の状況等、幾たびか教育に関する問題が、全く対立背反する二つの主張となり、あたかも、ともに天をいただかずといったふうに取り扱われてきた経験を振り返ってみますときに、そこに言い知れぬ疑問と痛恨さえ感ぜずにはおられないのであります。思うに、教育の終局の目的に二つあろうはずがなく、その方法や手段や行政のあり方も背馳するということはあり得ないと思うのでありますが、わが国においては、先ほど申した通り、きわめて不幸な事態が続いているのであります。これはいかなる事由に基くものであるか。その根源は何か。ある者は言いましょう、イデオロギーの違いだ、あるいは世界観の相違である、そう言ってあきらめてしまわねばならないものであろうかどうか。教育行政の主導権をめぐっての争いが、かくも教育のあり方を紛淆しているというようにもとれるのでありますが、私は、今申しました二つとも根本の原因になっていると思量いたしますが、そもそも教育基本法によれば、教育は国民に直接責任を負って行われなければならぬが、その最後の責任を負うのは一体だれか。私は政府以外にないと思いますが、いかにも日教組ででもあるかのような印象を受けますのは、私一人の感じではないと思うのであります。これはまことに不可解なことであります。教育二法律制定当時、私は法案修正に参加して、本議場で討論いたしましたときに、日教組には、はっきりした偏向がある、政治的偏向があると私は認め、ただ日教組が必ずや反省をして、日本の教育に貢献してくれるであろう、この期待のもとに討論を行なったのでありまして、今日の状況は、私は遺憾ながら日教組がいまだ真に反省をしたとは言えない、むしろ自分の思う通りに日本の教育を引っぱっていくことに狂奔している感さえあるというふうに受け取れるのでありまして、これはまことに残念なことと言わなければならないと思うのであります。かくして対立と紛争は果てしもなく続きましてその結果、神聖なるべき教育の畑が政治的闘争の靴によって踏みにじられているのが現状であります。このありさまは、国民として何といたしましても黙過しがたいことであります。がまんしているわけには参らない。そのよって来たるところを確かめて、その弊害を取り除き、一日も早く教育界を正常な姿に返さねばならないと思うのであります。この際、文相の所見と教育の秩序を正常にする根本的な対策を承わりたいと思うのであります。
 次に、建設大臣並びに総理大臣に確固たる御所信を伺いたいと思います。
 今回の二十二号台風はあまりにも大きな惨害を残し、そのために犠牲となられた多数の方に対しまして、心からの哀悼を捧げますと同時に、罹災の方々が一日も早く健康と生活とを回復されんことを祈り、そして、政府はもちろん、国民全部がそれぞれの分野で、これらの方々に対し、あらん限りの援助を尽すべきことは当然と思うのであります。昨日の建設大臣の発言によれば、ただ最善を尽すとのみで、具体的な表明が何らなされていない。最善を尽すという中には、もちろん補正予算を本国会中に組む用意があるということを含むと解し、本員はその必要ありと考えますが、いかがですか。
 さらに伺いたいことは、台風の惨害と申しますか、これは実は台風そのものの災害ではなくて、台風によって起された河川のはんらん、さらに突き詰めていえば、水源地等の砂防対策の欠如、不備等による災害であります。河川のはんらんであるならば、これは人為的に食いとめ得られる筋合いのものでありましょう。私は去る二十八国会の予算委員会で、総理大臣と時の建設大臣に数字をあげてこの点をただし、年々尊い人命と二千数百億円に達すると見込まれる資産の損失の大部分がこの河川の不始末から生じていることを述べて、三千数百にも上るという河川の改修が、年々三百億円程度の予算では、五カ年はおろか、それこそ百年河清を待つにひとしいことを指摘して画期的な方策を講ずべきであると申したのでありますが、来年度の予算編成に当りまして総理、建設大臣の覚悟はいかがでありますか。日本全体が台風常襲地帯と考えねばならないのであります。台風の来たらざるを頼まず、待つあるを頼むということは、一体いつになったら望めるのでありましょうか。台風対策のみではありません。新潟を初めとする土地沈下や地すべり地帯等、総じて国土保全に対する政府の対策はきわめてなまぬるいと申さねばなりません。国土がきわめて狭小となり、海外に領土等を求むべくもない今日、寸土といえども国土の荒廃を防護し、これを保全することは、政府の重大なる責任に属すると存ずるものでありますが、これに対する御決意をお聞かせ願いたいと思うのであります。
#19
○議長(松野鶴平君) 加賀山君、時間が参りました。
#20
○加賀山之雄君(続) 最後に、不況対策について御質問申し上げようと思ったのでありますが、時間がありません。中小企業対策を含めて、特に繊維工業等の窮状は目をおおうもがあるのであります。政府におかれまして織機の買い上げ等について十分の配慮を払われるよう強く要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。外交の基本方針については、今おあげになりましたように、国連中心、これは言うまでもなく、国連憲章の精神に従って国連で話し合って、すべての問題を平和的に解決するというのが私は趣旨であると思うのです。われわれが世界の平和を念願し、いかなることがあっても、われわれが戦争に巻き込まれないのみならず、人類のために戦争というものをなくしようという努力、これを考えますというと、たとい一部分であっても、そこに武力を行使して、いろいろな現状を変更しようとするような争いが起るという事柄については、これをできるだけ未然に防止するとともに、一たび起ったならば、それをできるだけ早く処理して、これが拡大されないようにする。それにはあくまでも国連を中心に各国が協力して正しい道を見出していくというのが、われわれの考えている国連中心主義の考えであり、またそういう意味において安保理事会その他におきまして国連においてわれわれは努力をいたしておるわけであります。しこうして今おあげになりました三原則のうち、自由主義の立場を堅持するということと、アジアの一国としての立場を堅持していくということの間に矛盾が起りはしないか一なるほどアジアの諸民族は長い間西欧の諸国の植民地であった。これから独立して自分たちの繁栄を作り上げていこうという自主独立の民族精神が勃興しております。これはわれわれはあくまでも正しい考えであって、これに対して深い理解と、またできるだけの協力をすべきことは当然であると思うのであります。しかしその結果として、西欧の連中がその根本に反対するならば、私はやはり西欧の諸国に対して十分にこれを説いて理解せしめ、またそれに対して、主張を調整していかせるというのが日本の務めであります。同時に、名を民族主義にかりて過激な考え、あるいは共産主義の運動なり、あるいは企てというものが行われていくということは、私は、われわれが自由主義の立場をとり、民主主義の立場をとり、またそれが真に人類の幸福と繁栄をもたらすゆえんであるという立場を堅持する限り、そういう行き過ぎた、また誤まった方向のないように努めていくということも、われわれの務めでなければならぬと思うのであります。私は、今まで西欧のこの自由主義の立場を堅持するという、自由主義の立場と民族意義の立場とが一見矛盾するがごとき状況も、よく掘り下げてみれば、どちらかに私は誤まりがあり、どちらかに行き過ぎがある問題であってそれを国連を中心に十分に検討して正しい解決点を見出すというのが、私は日本の務めであると思うのでございます。
 第二十二号台風の処置の問題に関しましては、昨日も申し上げました通り、今なお事情がはっきりしない部分がたくさんあります。だんだん事情が明らかになるとともに、また惨害がいよいよ大きいことが明らかにされ、具体的になってきておることに対しまして、今お話がありましたように、国をあげてこれに同情を表し、政府としてもできるだけの措置を講ずべきことは、これは当然であると思います。われわれはこの事情を明確にし、具体策を十分に検討いたしまして、その結果として必要があれば、補正予算を出すことについても、ちゅうちょしないということを申し上げたのでございまして、十分に一つ事情を明確にし、対策を十分に立てまして、これに善処したい、かように思っておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(藤山愛一郎君) ワシントンにおきますダレス長官と私との会談が完全に意見が一致したと申しますことは、安保条約ができまして、七年の経過を経ております。で、当時の成立いたしましたときの事情と今日の日本の事情とが全く違ったと、先ほども御指摘のありましたように、あるいはそのほかの経済上の問題でありますとか、あるいは社会上の問題でありますとか、いろいろ当時よりもずっと日本の状態は進んできておると思います。そうした政治、経済、社会各般の面を考えまして、当然、できました当時の事情から今日の事情に移って参りますれば、安保条約というものは、自主的に改訂されなければならない、日本の自主性をもっとずっと高めていかなければならないということを前提にいたしまして安保条約におきます国民的な世論、今日まで論議されておりました諸般の点について、私はダレス長官に説明をいたしたわけであります。それらの点を了承の上で、アメリカ側は今回の外交交渉に移るということになってきております。しかし、むろん個々の問題について、二時間ほどの会談でありますから、一々詳しく賛否をきめたわけでもございませんし、それらの問題については、今後外交交渉の上において十分折衝をして参る問題として残っておるわけでございます。
 金門、馬祖の問題につきまして、私がイギリスのロイド外相と会見をいたしまして、いろいろな角度から、この問題についてイギリス側の意見を私的に聞いたわけであります。先ほども申し上げましたように、この問題は相当重要な問題であります。日本としても、将来いろいろの場合に、これらの問題が平和的に解決する方途を見出して参らなければならぬのであります。その意味においては、ワシントンにおいてダレス長官ともこの問題について話し合ったわけであります。ただ私的の会談がたまたまいろいろな憶測を加えて出ましたことは、私が私的の会談の内容を言わなかっただけに、よけいに新聞紙上に違った表現で出たことかと思うのでありまして、まことに遺憾だと存じております。われわれとしては、今後こういう点については十分注意をいたして参りたいと存じております。(拍手)
   〔国務大臣灘尾弘吉君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えいたします。
 勤評問題につきまして、あまりにも法の存在を無視したむちゃくちゃな反対運動が行われておりますので、つい、法律があるのだ、法律があるのだというようなことを申したような結果にもなっておるかと思うのでございます。もちろん私は、勤評制度を実施することによりまして、教育の上によき効果をもたらすということを確信いたしておるわけでございます。何と申しましても、教育者の働きの効果をあげますためには、その処遇が適正であり、いわゆる人事管理がうまくいきませんと、思うような効果が上らないだろうと私は思うのであります。いかなる社会におきましても勤評は行われておる。これまでも何らかの形におきまして、教育界においても勤務評定ということは表われて参ったわけでございますが、それらのやり方に比べまして今回各地において実施しようといたしておりますところの勤評制度は、私は確かに進歩したやり方であろうと思うのであります。従来学校の校長が帳面につけて何かやっておる、というようなやり方に比べますれば、格段の進歩じゃないかと思うのであります。同時に、この勤評制度を実施することによりまして人事管理をいたす上におきましての責任の系統を明確になるわけであります。外部からのいろいろな意味における圧力、悪影響というものを排除して公正な人事を行うことが、より期待しやすい状態に私はなったと思うのであります。さような意味におきまして、勤評制度を実施することによって教育上効果ありと、私は確信をいたしておるのであります。(拍手)次に、お話の通りに、私は、今日のような教育界の状況につきましては、まことに遺憾に存じております。ことにすべての責任は結局政府にあるということを仰せになりましたが、さような意味におきましては、ほんとうに申しわけなく存じておる次第であります。学校の学童、教師、父兄あるいは教育関係の諸機関の者が、同じ目標のもとに力を合せましてやっていくという姿こそ、私は教育基本法の期待しているところだろうと思うのでございます。お述べになりましたところの教育基本法第十条、その精神はまさにそこにあるだろうと思うのでございます。われわれが今日まで、いわゆる教育の偏向を避ける、あるいはいわゆる政治的中立性を確保する、さような趣旨のもとにいろいろ施策して参りましたゆえんのものも、そこにあるわけでございます。かつての教育二法案の問題といい、また先般の教育行政の組織及び運営に関する法律といい、すべてはこの教育の中立性を確保するという一念から生れたものであります。不幸にいたしまして、先ほども申し上げたのでございますけれども、教育と最も関係の深い教職員の団体におきまして、全部とは決して申しません、しかし、その指導者ないしその指導理念において、われわれから申しますというと、いかにも特定の政治的意図をもってやっているのではないかと、かように思わしめるものが少からずあるのであります。現在の勤務評定に対する反対の闘争のあのやり方を見ましても、われわれまた道徳教育反対のあのやり方を見ましても、これらの日教組の指導者の諸君が意図していることが那辺にありや、ということを疑わしめるものが少くないように私は思いまして、まことに憂慮いたしている次第であります。こういうような事柄が続きまする限り、ことごとに、政府の施策に対しまして特別なめがねをもってこれを見まして、何でもかでも反対と、こういうふうな態度に出るということも考えられるのであります。かりに勤評実施の問題が何とか解決いたしたといたしましても、今のような考え方で、今のような状態で進んでいこうといたしまする限りは、おそらく、教育の中立性を守りますために、政府と日教組との間の争いは絶えないと思うのであります。この点を実に残念に思っているのであります。
 そういうふうなことでございますので、私といたしましては、もちろん行政の誤まりなきを期して参る、一党一派に偏することなく、中立性を保持するために、あくまで文部省といたしましては努力して参る所存でございます。同時に、学校の教職員の諸君が、その設備の問題においてその処遇の問題においてわれわれはさらにさらに努力いたしまして安んじて教育を楽しむことができるように努力して参りたいと考えております。同時にまた私は、今日のごとく間違った、誤まった、教職員本来の立場から離れました、片寄った政治的活動によりまして教育界が混乱するということにつきましては、断じてこれを防止して参らなくちゃならぬ、教育界の秩序を確立するということが、私の今日課せられている最大の任務と考えている次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣遠藤三郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(遠藤三郎君) 二十二号台風についてのお尋ねでございましたが、政府は緊急対策といたしましては、まず行方不明者の捜索だとか、あるいは罹災者の救助の問題、それからさらに食糧の輸送の問題、あるいは飲料水の供給、薬品の供給等の、とりあえずせっぱ詰まった問題の解決を急いで参っております。それと同時に、道路を一本つける必要があるということで、道路を通すことを専念して参っておりますが、その道路も、ようやく本日一ぱいくらいで、災害地のそれぞれ孤立した町村への道路が通ずるようでございます。道路が通じて参りますと、各町村の被害状況もはっきりわかって参りますし、今後の被害救済、さらにまた復旧事業の規模等についても、正確な調査をすることができるようになって参ります。この復旧対策でございますが、あるいは砂防の施設をし、あるいは治水工事を行い、さらに防災ダムの建設等の問題を取り上げるべきかどうか、というような技術的な問題の検討に入って参ると思うのであります。そういう問題を、道路が通ずることによって技術者を派遣いたしまして詳細な調査をさせまして、計画を進めるつもりでございます。
 なお、治山治水の根本問題についてのお話でございましたが、御案内のように、治山治水の問題はきわめて重要な問題でございます。政府といたしましては、できる限り、この方面に来年度の予算においても考えて参りたいと存じます。なお、さしあたりのこの災害の復旧の予算の問題につきましては、先ほど総理大臣からお話がございましたように、金額がはっきりいたしました後にそれぞれ予算措置を考えて参りたいと存じます。(拍手)
#25
○議長(松野鶴平君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十三分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
ソース: 国立国会図書館
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