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1958/10/20 第30回国会 参議院 参議院会議録情報 第030回国会 本会議 第7号
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1958/10/20 第30回国会 参議院

参議院会議録情報 第030回国会 本会議 第7号

#1
第030回国会 本会議 第7号
昭和三十三年十月二十日(月曜日)
   午前十一時三十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十号
  昭和三十三年十月二十日
   午前十時開議
 第一 警察官職務執行法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 第二 小型船海運組合等の助成のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、警察官職務執行法の一部を改正する法律案。
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。青木国務大臣。
   〔国務大臣青木正登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(青木正君) 警察官職務執行法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、警察官職務執行法について、その一部を改正しようとするものであります。
 現行の警察官職務執行法は、昭和二十三年に施行され、以来約十年になりますが、この間の警察官の職務執行の実情にかんがみますと、この法律には、その規定に幾多の不備が見受けられますので、この際、警察官が個人の生命、身体、財産の保護に任じ、公共の安全と秩序の維持をはかるため必要な手段についてその不備を補い、社会情勢の著しい変化に対応し得るようにしようとするものでありまして、これにより、警察に課せられた治安の責めを全うするようにいたしたいと存じているのであります。すなわち、民主的警察制度のもとにおいて、社会情勢の変化に即応した警察官の職務の執行の円滑をはかり、善良な国民を守るとともに、自由にして平穏な社会生活を確保するため、この法律を改正する必要があると認めまして、この法律案を提出いたした次第であります。
 次に、本案のおもな内容について御説明いたします。
 第一は、警察官が挙動不審の者に対して職務質問をした際に、その不審者が凶器等を所持しているときは、一時保管するためこれを提出させ、所持している疑いがあるときは、所持品を提示させて調べることができることといたしたのであります。
 第二は、警察官が保護を行う場合について、保護を受ける者の要件の規定を整備し、また、虞犯少年、触法少年等で、人の生命、身体等に危害を加えるおそれのあるものを保護することができることとし、これに伴う必要な手続を規定いたしました。なお、保護を受ける者の氏名、住居を明らかにするため、または凶器等の所持の有無を明らかにするため、必要があるときは、警察官がその者の所持品を調べることができることとし、保護を受ける者が凶器等を所持しているときは、一時保管するため、これを取り上げることができることとし、もって保護の目的を達することができるようにいたしました。
 第三は、警察官が避難等の措置をとることができる危険な事態の例示の規定を整備し、また、人の生命、身体等の保護という警察の責務にかんがみまして、危険な事態が発生してからでなく、その発生のおそれがある場合に、避難等の措置をとることができることを明らかにいたしました。
 第四は、警察官の行う犯罪の予防及び制止の規定を改め、犯罪が行われることが明らかであると認めたときは、その予防のため、警告を発し、また、犯罪が行われようとしており、そのまま放置すれば、人の生命、身体に危害が及び、または財産に重大な損害を与える場合のほか、犯罪が行われようとしており、そのまま放置すれば、公共の安全と秩序が著しく乱されるおそれのあることが明らかであって急を要する場合にも、その行為を制止することができることといたしました。
 第五は、警察官の行う立ち入りの規定を改め、人の生命、身体等に危害が切迫した場合のほか、さらに公共の安全秩序に対する危害が切迫した場合においても、その危害防止等のため、やむを得ないと認めるときは、合理的に必要な限度で、他人の土地、建物等に立ち入り、または通行することができることといたしました。
 第六は、警察官は、質問に際し提出させた物件、保護に際し取り上げた物件、または犯罪行為の制止の措置として取り上げた物件について、一時保管の措置をとることができることとし、これに伴う手続の規定を設けることといたしました。
 以上が改正法律案の趣旨でございます。
#5
○議長(松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小林武治君。
   〔小林武治君登壇、拍手〕
#6
○小林武治君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました警察官職務執行法の一部を改正する法律案について、若干の質問をいたします。
 御承知の通り、現行の警察官職務執行法は、占領下の昭和二十三年に立法せられたものでありまして、その後、昭和二十九年に、警察法の改正に伴い、若干字句の修正は行われましたが、基本的な点については、立法当時と何ら変るところはなく、現在に至っているものであります。今日われわれが占領下のもろもろの立法を振り返ってみますと、戦前の状態を是正して、各種制度の民主化をはかったことは申すまでもないのでありまするが、同時に、そこには戦前の状態に対する一種の反動として、必ずしもわが国の国情に合致しない点が少くないのであります。このことは、占領下立法の多くに共通する一連の傾向であり、いわば日本の弱体化政策の現われであるといわれているのであります。従ってわが国が独立を回復して以来は、そうした行き過ぎを是正することは、われわれの大きな課題の一つであったのであります。
 占領下の立法である警察官職務執行法もまた、占領下の立法に共通な長所と短所とを備えております。戦後の警察が民衆の警察となり、民衆に対する警察官の態度も大きく変化して、戦前のいわゆる「おいこら」調が全く影をひそめたことは、警察民主化の具体的な現われの一つでありましょう。しかしながら、一面、現行の警察官職務執行法は、個人の権利と自由を守る点に急にして、反面、共通の安全と秩序の維持という点において、はなはだしく不備であり、取締りの効果を十分に上げることができないことは、これまで幾多の事例によって証明されております。
 しこうして今回の法律改正は、公益の保護にしかるべき比重を持たせることを一つのねらいとするものと了解するのでありますが、そこで、まずお尋ねいたしたいことは、個人の権利と自由、個人の法益と、公共の安全、秩序の維持という公益との比重を、政府はいかに考えているかということであります。個人の権利と自由は、もちろんあくまでこれを尊重しなければなりません。しかしながら、民主社会においては、ある人々の権利と自由は、他の人々の権利と自由によって当然の制約を受けなければなりません。すなわち、個人の権利と自由とは、本来決して無制限のものではないのであります。公益を保護するためには、時として個人の権利と自由に必要最小限度の制限を加えることもまたやむを得ないのであります。要は、両者に適切な比重が与えられ、妥当な調和点を求むることにあります。今回の法律改正に対しまして、世上には、これは公共の安全と秩序の維持を名として、個人の権利と自由に不当な侵害を加えるものであるという論をなす者がありまするが、政府は、個人の法益と公益との比重をいかに考えるか、両者の調和点をどこに置いているか、その基本的な点について総理の御所見を伺います。
 第二にお尋ねしたいことは、最近の治安状態に対する政府の見解であります。多数の威力をもって法秩序を無視し、国または地方公共団体が法令に基いて行おうとする正当な業務を妨害する事件が最近相次いで起っていることは、まことに遺憾であります。たとえば、日教組を中心とする勤務評定反対闘争、道徳教育講習会阻止闘争のごとき、あるいは王子製紙の闘争など、平和な社会の民主的行動とは言い得ない違法な実力行使が各地で行われているということは、法治国の威信を失墜するものであります。ことに、全学連の尖鋭分子の行動のごときは、全く目に余るものがあるのでありまして、奈良では学生が丸太棒をもって鉄門を破壊するというような暴力行為をあえてしたということであります。全学連の共産分子は、今日では、総評、日教組の指導者の統制もすでに及ばず、共産党でさえが手をやいているといわれる状態であります。このような最近の治安情勢を政府はいかに判断し、また、いかに対処しておられるか、岸総理並びに青木国務大臣の御所見を伺いたいと思います。
 第三にお尋ねしたいことは、このような治安状態に対処する警察の能力についてであります。ただいま申しましたような、日教組や総評を中心とする最近の違法と思われるような実力行使に対して、世論の批判がきびしくなって参ったのは、もとより当然のことでありまして、日教組や総評は、今や世論の批判の矢面に立たされております。まだ、一方においては右翼の動きもあり、今日のような違法と思われる実力行使が今後いよいよひんぱんに繰り返されることが予想せられるのでありまして、公共の安全と秩序を維持する責任を持つ警察が、かかる違法な事態に対処し、よく治安を維持することができるかどうか、まことに憂慮にたえないところであります。現在の警察官は、昭和二十九年警察法改正当時の十三万人より十二万人と、一万人余減員となっておりまするが、一方において、最近の複雑な治安情勢に加えて、道路交通の激増、青少年の不良化、外事警察または暴力団の取締り等、幾多の事犯の激増しているこの際、これに対処するために十分の人的能力を持っているかどうかということであります。この点につきまして政府の御所信を伺いたいのであります。また、最近の警察の装備、施設は、過去に比べると相当進歩しているといわれまするが、警察の機能を強化していくためには、通信施設やその機動力等にさらに改善充実の要があると思うのでありますが、その点の対策につきましてもお伺いいたしたいと存じます。
 なお、警察官の給与、待遇の問題でありまするが、警察官は、もとより職員団体の結成も許されず、しかも、その職務や責任の点よりいたしまして、その待遇や厚生施設等は適正であるかどうか、政府の御所見を伺っておきたいのであります。
 また、世上には、もし警察が厳格にその職務を執行するならば、現行法のもとにおいても十分に治安を維持し得るはずである、その取締りの緩慢こそ、むしろ反省せらるべきであって、今回のような改正の必要はないという議論が見受けられます。すなわち、もし警察の要員を増加し、装備、施設の改善をはかるならば、それによって現在の欠陥は十分に充たすことができるであろうとの説をなす者もあります。この点、一方において増員を行い、装備、施設の改善を行なっても、なお職務執行の方式を改めない限り、治安維持の万全を期することはできないというのでありましょうか。これらの点について、青木国務大臣の具体例に基いた詳細な御所見を伺いたいと存じます。
 次に、法案の内容についてでありますが、この法律案の内容を検討いたしますと、個人の自由に対する制限、その所持品を調べるとか、一時保管するとか、規定されておりますが、これらは憲法第三十五条の規定に違反するものであるという議論があります。また立ち入りについても、過去の臨検が再び行われるおそれがあり、かつての警察国家の復活であるというような説をなす者があります。私は、戦前の警察制度とは根本的に異なる今日の警察としては、さような心配はないと思うのでありまするが、こうした感情的な、また飛躍した議論が、ややともすれば世間に不安の念をかもしているようでありまするが、この点について、政府当局の明快なる御答弁をお願いいたします。
 質問の第五点は、警察官の職権乱用の防止と、素質の向上についてであります。この法律は、警察官の判断によって、それぞれ措置がとられる建前になっているように見受けられますが、たとえば、公共の安全と秩序を著しく乱すというようなことを個々の警察官が正しく判断できるものであるかどうか、判断を誤まった結果、警察官の職権乱用というような事例がしばしば起ってくるのではないか、このような危惧をいだく者は少くないのであります。政府は、そのような職権乱用を防止するに十分な対策を持ち合せていると思うのであります。警察官の職権乱用を防止する一つの道は、警察官の素質の向上と教養を高めることにあると考えます。この法律改正と並行して、政府としては、一そう警察官の教養を高め、その素質を向上させるため適切な対策を講ずる必要があると思うのでありますが、これについての政府の御所見を承わりたいと存じます。
 最後に、青少年の不良化防止対策についてであります。今日、世人の深い憂慮の種となっているのは、青少年の不良化の傾向であります。戦後における社会道徳の頽廃と誤まった自由思想は、生活の指針を失った戦後の青少年に著しい影響を与え、思慮のあさはかなために、しばしば世人を驚倒させるような無軌道な行動に走らせております。もとより青少年の不良化は、複雑な社会的原因に根ざすものでありまして、警察官の取締りのみによってその根絶を期し得ないことは明らかであります。しかしながら、青少年の不良化防止のために警察がいま少しく積極的な活動を行うことは、年ごろの子女を持つ父兄のひとしく要望しているところであります。政府は、青少年の不良化を防止するのに総合的対策を持ち合せておられると思うのでありまするが、その点をお伺いいたします。今回の法律改正は、青少年の不良化を防止するための一助となるものと考えるのでありまするが、その保護に関する規定を見てみますと、十八才以上の少年については本人の同意を要することとなっております。もし本人が自分は十八才以上であると偽わった場合にはどうなるか、そこに抜け穴がありはしないか。また何ゆえその年令を二十才としなかったか。また逆に、「虞れがある」という判断は末端の警察官が行うのでありまして、善良な少年が間違って保護され、迷惑を受けるという場合もないとは言えません。これらの点について政府のお考えを承わりたいと存じます。
 以上六つの点について質問をいたしましたが、この法律案は、今国会最大の案件として、今や世人の強い関心の的となっているのでありまするから、何とぞ懇切明快なる御答弁をお願いいたす次第であります。
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 第一の点は、個人の権利、自由の保護と、公益の関係についての御質問であります。言うまでもなく、かつての全体主義的な考えに基くような公益優先というようなことは、私は民主主義の考え方の基本をなすべきものじゃなしに、やはり個人の基本的人権を尊重するということが憲法の基礎である。しかし、この個人の基本的人権というものは、言うまでもなく、社会を構成しているすべての人の基本的人権が保護されなければならないことは言うを待たないのであります。ことに、多数の人が社会を形成して生活するということになりますと、おのおのが自分の権利を主張すると同時に、他の個人の権利もこれを尊重し、この間に調和をとっていくということが行われなければ、真の民主政治というものは行われないのでありまして、ここに私は、一つの法律によるところの秩序、民主主義的に設けられるところの法律によって社会の秩序というものを維持する、これによって、すべての個人の基本的人権が公平に保護できるものでありまして、一部の人々、あるいは法秩序を乱し、もしくは乱さんとするおそれのある人の人権を尊重するために、多数のそういう関係のない、むしろその人々によって平和な生活を脅かされるおそれのある人々の基本的人権が侵されるというようなことがあってはならないのであります。これを私どもは、いわゆる公共の福祉という言葉で、あるいは法秩序という言葉でもって表わしているのでありまして、これを維持することは当然に警察の目的でなければならぬと思うのであります。これによって初めて民主政治が成り立ち、平和な社会生活ができると思うのであります。
 次に、最近の治安状況について御質問でありましたが、すでに小林議員もおあげになりましたように、最近において、私は非常に憂うべき傾向は、集団的な力によって法秩序がじゅうりんされようとするような状態が各所に起っているということであります。これは、私ども、真に民主政治を完成し、そうして社会の不安を取り除いて、真の平和な生活ができるようにする上から申しますると、まことに私は憂うべき状態であると思います。今回の警察官職務執行法の改正の内容につきましても、御承知の通り、この法律ができました当時は、占領下であって、従って、社会の秩序であるとか、あるいは公共の利益というような点は、主として当時占領軍によってこの点が維持されるという建前になっておったことが、私は現行の警察官職務執行法の一つの特徴であると思うのです。これが独立になりました今日において、当然、私はある程度の改正を受けるということは、やらなければならぬことであると信じております。
 第三に、警察の能力についての御質問であります。私どもは、言うまでもなく、ある法律が設けられた場合に、その法律が乱用されるということは、これは防がなければならぬことは言うを待ちません。従って、その意味において、警察官の教養を高めるということは確かに必要であります。また警察の能力を十分に充実するという意味において警察官の待遇の改善も必要であります。また装備の改善も私は必要であると考えております。これらにつきましては十分政府としても意を用いて参りたいと、かように思っております。(拍手)
   〔国務大臣青木正君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(青木正君) 私に対する御質問につきましてお答え申し上げます。
 まず、この法律が憲法違反のおそれがあるのではないかと、かようなお話でありますが、なるほどこの中には、少年を保護する規定であるとか、あるいは凶器を一時預かる規定であるとか、こういう規定が設けられております。しかしながら、憲法のいわゆる三十三条あるいは三十五条、こういうような司法手続の規定ではないので、行政措置としてやることであります。しかし、もちろん私どもといたしましては、当然三十三条あるいは三十五条の精神は尊重しなければなりませんので、行政措置といたしましても、この法案に明らかにありますように、保護の場合も、これは一時保護するという考え方に立っているので、決して昔の臨検あるいは検挙というような考え方では全然ないのであります。また一時預かることにいたしましても、決して財産権の侵害ではないのであります。一時これを預かるということでありまして、決して財産権の侵害ということは、この法律の条文からいたしまして、全然そういう考えは出ていないということは、条文をお読み下されば御了承いただけると存ずるのであります。それから、単にこの程度の法律を改正しただけで、果して警察官の責務が果し得るかどうか。――確かにその通りであります。先ほど総理もお答え申し上げましたごとく、たとえば最近の交通の状況等からみまして、私どもは、やはり警察官の増員ということを真剣に考えていかなければならぬと存ずるのであります。しかしながら警察法第二条に、警察官の責務というものがはっきり規定されてあるのでありまして、私どもは、警察官がやはり法律で命ぜられた責務を果し得るようにすることが、警察官として当然国民に対する責任であると私どもは考えるのであります。そういう意味におきまして、現行法における不備、警察官がその職責を果そうとしても果すことができ得ないような法制上の不備につきましては、これを改善いたしまして、警察官が真に警察官の責務を果して、そうして国民の御期待に沿うことができるようなあり方にしなければならぬと、かように存ずるのであります。
 それから、職権乱用に関する措置でありますが、これにつきましては、御指摘のごとく、結局法律を運用いたしますのは人であります。従ってこれを扱う警察官の教養の問題につきましては、われわれはさらに一そう教養の問題を真剣に考えていかなければならぬことはお話の通りであります。ただ私は、現在の警察官というものが昔の警察官のようなあり方ということは、これはもう現在の公安委員会の管理下にある警察官というものは、昔の警察官のような職権の乱用ということはそう御心配ないのじゃないかと思うのであります。と申しまするのは、国民の良識を代表する公安委員会が常に警察のあり方につきましてこれを管理し、そうして行き過ぎのないように注意いたしておりまするので、全体として見るときに、私は従来のような御心配はないのではないか、かように存ずるのであります。
 それから、青少年の不良化対策の問題でありますが、もちろん、青少年の不良化対策といたしましては、単に警察だけでやり得るものでないことはお話の通りであります。これは教育の問題、あるいは環境の問題、総合的に青少年対策を立てなければならぬことは当然であります。しかしながら街の第一線におる警察官といたしましても、やはり青少年対策につきまして、警察官の立場において、できるだけその不良化を防止することに協力することが、私は警察官としてなすべき責務と考えるのであります。しこうして、この法律によって善良な少年が迷惑を受けることがあるのではないかというお話でありますが、法文にも明らかであります通り、いわゆる虞犯少年あるいは触法少年、これは少年法あるいは児童福祉法に該当するものを保護しよう、こういう考えでありまするので、善良な少年が迷惑を受けることはないと思うのであります。なお同時に、そうした少年を保護した場合、直ちにこれを家庭その他の保護者に連絡をするとか、そういうような万全の措置を講じておりますので、善良な少年がこの法律によって御迷惑を受けることはないと、かように存じます。
 なお、年令十八才以上の者が十八才以下と言った場合はどうかということでありますが、これは、十八才以上の者を無理に十八才以下であると称して、これを保護するというようなことは、本人が十八才以上であると言う以上、それを強制するということは絶対にあり得ないことだと、私どもは考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(松野鶴平君) 松澤兼人君。
   〔松澤兼人君登壇、拍手〕
#10
○松澤兼人君 私は、日本社会党を代表して、ただいま上程されました警察官職務執行法の一部を改正する法律案について、その重要な点について質疑をいたそうとするものであります。
 最近の政府並びに自由党は、相ついで非民主的な行動施策をとり、著しく反動的な正体を暴露してきたのであります。国会内部におきましては、特別国会に見られたように、多年の慣習を破って、衆議院における国会役員の独占をはかり、さらには、問題となっております警察官職務執行法の一部を改正するこの法律案を、本会議に上程することなく、直ちに委員会に議長職権をもって付託し、有無を言わせず、数によって勝負をしようとしているのであります。国会外におきましては、勤評反対の声を無視して、大量の警察力を動員し、国民の民主的権利を圧殺しているのであります。NBC放送記者に対する総理見解の表明は、現在国会内外を通じてきわめて重大な問題となっているのでありますが、総理のこの発言こそが、かつての戦争責任者たる岸総理の反動政策の真意であって、総理が百方陳弁して、そつのない所信を表明されても、国民は衣の下に隠されているよろいを見誤まることはないのでありまして、(拍手)今日の世相を簡明に言えば、まさに戦争準備時代と言っても過言でないと思うのであります。警察官職務執行法の一部を改正する法律案もまた、この戦争準備態勢を固める一つの重要なささえとなるものでありまして、この成否が日本の将来の運命を決定することは明瞭であると思うのであります。
 第一にお尋ねしたいことは、臨時国会に、なぜ、突如として、かかる戦争か平和かの日本の運命を決する重大な改正案を提出したかということであります。
 われわれは、いつの国会におきましても、総理に対し、当面の施政方針演説を要求してきているのでありますが、それは、当該時点における政府、自民党の政策方針を明らかにし、これを中心として与野党が論議をかわし、さらには、提出予定法律案の重要なものに言及することによって、審議の論点を明らかにし、社会党は社会党として対案をもって臨む方針を確立するためであったのであります。政府もこれに同意し、あるときは所信表明なる形式によってその場を糊塗しようとした場合でも、これを施政方針演説の形に変え、従来の政治運用の慣習ができてきたのであります。しかるに、今回の警察官職務執行法の改正は、この慣習を無視し、突如として提案し、われわれがこれに驚いたのみならず、新聞の論調も、文化人、学者諸君も、労働組合、婦人団体も、極言するならば、天下国民が愕然としてその暴挙に驚愕をしたのであります。この正常な国会ルールの無視は、果していかなる理由に基くものであるか、率直に承わりたいのであります。あたかも時を同じくして開かれた日経連の秋季臨時総会において、「最近一部の労働運動は政治闘争化し、集団の力で公共の秩序を乱している事実にかんがみ、政府は、このような不法行為の事実を国民の前に明らかにするとともに、法秩序確立のため断固たる措置をとること」の緊急対策を要望する決議を行なっているのであります。この事実は、警職法改正の強行上程と偶然の一致と見るべきものではなく、明らかに、裏面においては、政府、自民党の資金源である日経連と深いつながり持ち、そのプレシュアによって突然緊急提案をなしたものでもり、強力なスポンサーの要求があれば、国会において無理を通そうとする自民党の態度の表明であります。(拍手)それでも総理は、財界の強い要求に迎合したものではないと言明ができるかどうか、承わりたいのであります。
 最近における政府の政策は、一貫して、現在の民主主義に逆行して、保守反動の施策を強行していると見られるのであります。教育委員の任命制、勤務評定の強行、道徳教育の実施等、反動的文教政策の樹立を計画し、自衛隊の増強と核武装への準備、機密保護法の立法化、前回の警察法の改正と今回の警職法の改正など、その背後にひそむ意図が那辺にあるか、明瞭であります。それはすなわち、かかる一つのきめ手を打っていくことにより、憲法改正の用意をなし、日米安保条約の改悪を実現し、警察権の強化により平和を愛する国民を弾圧し、自衛隊の海外派遣を可能ならしめ、究極的には、わが国を再び戦前の軍事国家に逆戻りさせ、戦争準備を着々と推進して、最終的には米国の極東防衛体制の中に加わることによって米国の要求にこたえ、義理を果そうとしているものであります。今回の改正によりじゅうりんされるかもしれない国民の人権、もとより重要であります。労働組合の基本的権利の抑圧も重大であります。しかし、現在政府の意図する戦争への準備は、わが国の運命の分れるところであります。NBCのブラウン記者に語った総理の心境こそが、いかなる弁明、否定を行なっても、それが真意と見るべきであって、警職法の改正もその一つの現われであると思うが、総理の真意をお尋ねしたい。
 第十九回国会において、政府が自治体警察を改変して、中央権力のもとに掌握しようとしたときに、すでにわれわれは今日あることを予想して、強硬に反対したのであります。国務大臣が国家公安委員長となり、政治的支配を可能ならしめたのでありますが、今回の改正は、明らかに、組織法としての前回の警察法の改正の事後処理として、職務執行の面で、さらに個々の警察官に強力な権力を持たせて、警察権力の国家集中を企図しているものでありまして、個々の警察官の事実認定により、さらには、中央のボタン一つで警察総力を動かし、警察国家の再現をねらう以外の何ものでもありません。世論は、今回の改正によって、憲法に規定されている個人の自由、権利が著しく制限され、結社の自由や団体行動権が、警察官の認定によってじゅうりんされることを心痛しているのであります。憲法は、個人の自由及び権利は、公共の福祉以外、いかなる制約も受けないことを保障しているのでありまして、これを旧憲法と同様に法律をもって制限することは、明らかに憲法違反であり、憲法に規定されていない公共の安全や秩序の維持などの理由でワクをはめることは、憲法第九十八条の憲法最高法規の原則や、第九十九条の公務員の憲法擁護の義務条項に違反するものであると思うが、総理の所信を伺いたい。
 さらに、岸内閣組閣以来、昨年の春より不況は、自民党がいかに楽観的に将来を見通しても、何ら打開の徴候がないことは、経済企画庁の報告によっても明らかであります。政府は、自己の施策の誤まりの結果惹起し、今日まで継続し、打開の目鼻のつかない不況に対し、積極的にきめ手を打たず、国民が問題としている日米片貿易の是正、東南アジア貿易の発展に見るべきものがなく、国民の強い要望である日中貿易についてすらも、依然として中国敵視の態度を捨てていない。かかる政府の態度は、政治だけの問題ではなく、労働組合が経済闘争をする範囲と内容に著しく制約を加えるものであります。労働組合は、本来は経済的要求を中心とした団体でありますが、一切の経済闘争が、政治的には岸内閣の誤まった政策に原因があると考え、その政策の是正を要求することは、むしろ当然のことであります。政府は、自己の当然負うべき責任をいたずらに回避して、現象的に現われている労働組合の政治的要求を抑圧しようとするのは、全く本末転倒もはなはだしいと言わなければなりません。政府の政策が失敗した、労働組合の賃金要求や待遇改善要求が、不況を理由として承認されない、労働組合がその壁を破るために政治的要求をする、集団行動がけしからぬと言って取り締る、取り締りが十分でないというので、警職法を改正する。この悪循環の基本的な原因は、あげて政府の施策の誤まりによるものであります。一体、総理は、自己の政策の誤まりを率直に認め、不況克服のために、まず積極的な施策をなし、いたずらに弾圧によって民主的な労働組合を取り締ろうとする考えを放棄する意思があるかないか、承わりたい。
 青木国務大臣の提案理由の説明によれば、現行警職法施行以来十年を経て、その規定に数々の不備があり、社会情勢にも即応して、警察官の職務執行の円滑化をはかることを目的として改正法律案が提出されたということでありますが、法律の不備という場合に、これを執行する者の能力を第一に考えに入れなければなりません。現在の警察官の素質は、果して現行警察法で規定している「警察の活動は……不備不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」との条文を順守するに十分であるかどうか。警察官の素質を現状のままとし、改正法案のごとく強大な権限を与えることは、子供に刃物を持たせるよりも危険であると思うが、御所見を承わりたい。警察官の職務執行が一般行政行為と異なっている点は、直接国家権力の執行に当り、直接かつ即時に一定の義務を国民に強制する点にあります。憲法、法令によって規定されている人権が、そのためにじゅうりんされても、平和な国民は、これに対して多くは抗議することができないのであります。改正案によれば、拡大解釈をされる危険な字句があいまいに規定されており、これまでも警察官の行き過ぎはしばしば問題となり、裁判所において最終的には無罪となり、かえって警察官の職務執行に問題があるとの判決によって、行き過ぎが追及されたことも少くないのであります。警察官の勤務評定とも見られる点数かせぎのために、いかに多くの人々が犠牲を払ってきたかは、申すまでもありません。事実の認定が、今回の改正によって広範に個々の警察官にまかせられることになるのでありますが、人権を守り、無実に泣く人々をなくすために、政府はいかなる対策を持っているか、明らかにせられたいのであります。
 次に、現在の警職法によっては、十分に警察官の職務執行ができないからという理由で提案せられているのでありますが、国民の中には、あるいはそうかもしれないと思う者もある。しかし、今回の改正では、現行法にない「公共の安全と秩序」という字句が挿入せられているのでありまして、警察力の現状にかんがみて、警察官の職務執行のために最小限度の改正というのが、政府の口実であります。しかし、この数字句の挿入により、従来の警職法の性格が一変して、戦前の治安警察法や行政執行法と同一の効力を発揮するのであります。デモや、すわり込み、集団陳情はもちろんのこと、純粋の工場内の経済闘争である争議行為や私鉄ストのごときものまでも、公共の安全や秩序が著しく乱されるおそれのあることが明らかであるときは、警察官の認定によって警告制止及び立ち入りをすることができるのでありまして、明らかに争議行為の弾圧を期待しているものと見るべきであります。労働組合の正常なる団体行動が、一警察官の事実認定によって制約を受けるかもしれないということは、われわれの断じて納得できないところでありまして、総理の明確なる答弁を伺いたい。
 憲法三十三条において、「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いて、令状によらないで逮捕されない」ことが保障され、三十五条において、「住居、書類、所持品について、侵入、捜索、押収されない権利があり、現行犯の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、捜索する場所、押収する物を明示した令状がなければ侵されないし、これらの捜索及び押収は、権限ある司法官憲が発する各別の令状によらなければならない」ことになっております。警告及び制止は、事実認定をゆだねられた警察官によって行われ、これに従わない場合、理由を尋ねた場合、抗議した場合、直ちに公務執行妨害の現行犯として、令状なしに、憲法で保障している三十三、三十五条の人権がじゅうりんされることになるのでありまして、憲法が現行犯以外に与えている広い人権が、制止を聞かないというだけで全く無視され、随時随所で逮捕されるのであります。戦前、社会主義者が、これまでどれだけ官憲に苦しめられてきたかは申すまでもありません。ビラをまいたからといって、争議をしたからといって警察に検束され、検束は、翌日、日没後に至ることを得ずで、警察の玄関を出ると、またすぐ、つかまり、各署をたらい回しにされて、病気を得て警察の中で死亡し、署内においては公然と拷問が行われ、婦人に対しては言うに忍びない恥辱が加えられました。理由のない理由で家宅捜査が行われ、職業上必要な図書すらも没収され、身辺は常に特高刑事によって尾行され、集会は解散を命ぜられ、言論は抑圧され、一方的な警官の命令に従わない者は、その場で検束されてブタ箱に投げ込まれました。この議場の中には、当時の特高課長、警察署長、警察部長、知事がおられることでありましょう。今は恩怨もありませんが、当時われわれは、直接間接、国家の行政行為の名のもとに苦しめられてきたのであります。戦後しばらくは、やや明朗な自治警察、民主警察が生まれましたが、全くしばらくの間でありました。われわれは、今回の改正案が成立すれば、再び行政執行法や治安警察法の昔に戻ることが必然であるとして、反対の闘争を展開しているのであります。憲法三十三条、三十五条との関係において政府の所見を伺いたい。
 昨日、本日の新聞を見ますと、世論は警職法改正に反対であって、まず、新聞、放送労組が反対の声をあげ、労働組合、婦人団体は、あげて反対の共闘組織に入っているのであります。政治学会、YWCA、その他、学会、民主団体、共闘以外の婦人団体等、いずれも強く反対の決議をし、さらに、近く日本学術会議も反対を打ち出す方針であると言われております。世論はあげて警職法の改正に反対し、新聞の投書欄においても、その意見が強く出ているのであります。いずれの法案についても、国民から賛成、反対の意見が寄せられますが、今回の警職法改正については、賛成の陳情が一つもない、反対のみであるというのは、まことに当然のことであります。政府は、このほうはいたる反対の世論に聞き、むしろ法案を撤回すべきであると思うが、世論を無視して強行する考えであるかどうか承わりたい。
 最後に、最近この改正法律案を成立させるためには、会期延長も覚悟しているとのうわさが飛んでいるということであります。会期はもちろん国会できめるものではありますが、今回の会期は御承知のごとく、最初、社会党が六十日を主張し、自民党は短期を主張し、結局において、会期延長しない条件のもとに四十日と決定したものであります。警職法の改正が提案されて、再び会期の延長が論議されることは、一事不再議の原則に反し、両党話し合いの結論をじゅうりんするものであると思うが、総理として、また、自民党の総裁として、会期延長につき、いかなる考えを持っておられるか。会期中に成立が困難な場合でも、世論の動向に反省して、強行をなすべきでないと思うが、会期延長についての所見を伺いたいのであります。
 以上をもちまして私の質問を終ります。
#11
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 臨時国会に提案をしたのはどういうわけか、日経連の決議によって急にそういう決定をしたのではないか、という御質問でございました。この警職法の改正の問題につきましては、先ほど提案理由にも御説明申し上げましたように、これが制定施行された当時と今日の情勢がいろいろの意味において変っている、また、施行の実績にかんがみて、その不備の点を改正しなければならぬというので、相当長きにわたって研究をされてきたのでございます。しこうして、この過程におきましては、あるいは公安委員会の意見も十分に聞き、この案の最後の結論を得ますまでには、相当な研究をいたして参ったのであります。しこうして、この問題を施政方針の中に述べておらないのはどういうわけか、それを出したのはどうだという御質問でありますが、もちろん、私が施政方針をここで申し述べるまでには、政府として最後の結論をまだ得ておらなかったのであります。しこうして、この中に盛られているような趣旨につきましては、私の施政方針におきましても、最近の治安情勢や、あるいは民主主義を守る意味から申しましても、法秩序を破る集団的危険につきましては、私どもは十分慎重に検討しており、政府として確信を得た案を、当時まだ得ておらなかったために、このことを明確にしておりませんでしたが、その後われわれとしては、十分な確信を持った成案を得、最近の事情を考えまして、今度の臨時国会に提案した次第であります。決して日経連の決議によってわれわれが動かされて、これを出したものでないことを、明確に申し上げます。
 それから次に、警職法改正の真意はどこにあるのだ――この警職法の改正ということに関しまして、松澤議員のお考えをいろいろと述べられましたが、私どもは、決してこれを戦争に結びつけて考えるとか、そういう意味は毛頭ございません。単に、先ほど来しばしば御説明申し上げているように、警職法の不備を是正して、そうして最近に起っている社会的不安を除く意味において公共の福祉をはかる必要な規定を置いた、これが私どもの真意でございます。
 次に、憲法の基本的人権を尊重した考えと、これは抵触しないかという御質問でありますが、内容をしさいに御検討いただくならばわかると思いますが、私どもは、その点に関しては十分な配慮をいたしておりまして、基本的のこの人権に対し、憲法の規定に抵触するようなことは絶対に考えておらないのであります。憲法自身が、基本的人権ということについて、公共の福祉という範囲内でこれが認められているということは、松澤議員もおあげになりました通り、私どもは、その点を最小限度に考えて、今回の規定をしているわけであります。
 第四に、正当なる労働運動をこれによって弾圧する意図じゃないかというお話でありますが、もちろん私どもは、正当なる労働運動というものに対して、過去においてこれを弾圧した事実はございませんし、また、将来においてもそういうことは毛頭考えておりません。しかしながら、私はやはり正当なる労働運動ということは、法律においても制限のあるのは言うを待たないと思います。やはり法律、秩序を守って、その範囲内において労働組合の目的を達するための運動が正当なる労働運動であって、それを逸脱するのは、これは許されないのであります。また、こういう今回の規定を作るよりも、不況対策というような経済政策において適当なことをやるべきじゃないかというお話であります。私どもも、もちろん個人の人権を尊重し、あるいは公けの秩序を守り、公共の福祉を増進していくという上におきまして、こういう警職法の改正、これでもってすべてが達せられるとは思っておりません。もちろん経済政策については、われわれは不況対策につきましても、われわれの所信を述べております。これについてのいろいろな施策も、われわれとしては当然考えていかなければならぬことでありますが、また当然、警職法で設けられている警察官の職務執行に必要なるこの警職法の改正は、当然やるべきものである、かように考えております。
 最後に、世論の点につきまして、世論は反対じゃないか、これを押し切ってやるのはどうか、こういうお話であります。私は十分に国会の審議を通じて、そうしてこの法案の内容というものを国民に正しく理解してもらってやることが必要であり、また、それによって、今日のいろいろな議論も、私は正しい理解の上に立ったところの批判にかわってくる、こういうことを信じておりますので、十分に国会の審議を通じて、おのおの所信を国民の前に明らかにすることが必要かと考えております。
 会期の点についてお話がありましたが、これはもちろん国会においておきめになることでありまして、政府といたしましては、われわれはぜひとも、この会期内に本案の成立することを衷心から望んでおります。
   〔国務大臣青木正君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(青木正君) 現在の警察官はこの法律を運用するに足るだけの素質を持っているかどうかと、こういうお話であります。最近の警察官の教養等につきましては、従来の昔の警察官と違いまして、相当最近は教養等も進んでいると思うのであります。しかしながら、言うまでもなく、私どもはこれをもって足れりとするものではないのであります。今後も、警察官の教養につきましては一そう力をいたして参らなければならぬと存ずるのであります。職権乱用の問題につきましては、御承知のように、現在におきましても、警察官が職権を乱用した場合は、行政上の処分をいたすほか、刑法上の処分をいたすことは御承知の通りでありまして、私どもは、一方におきましてそういう警察官の素質の向上をはかると同時に、一方におきましては綱紀を厳粛にいたしまして、いやしくもあやまちを犯さない、あやまちを犯した場合は法によってこれを処断する、こういうことになるものと思います。
 なお、松澤議員から、昔の警察国家の再現ではないかというお話でありますが、現在の警察制度、公安委員会のもとにおける警察制度というものは、御承知のように、一党一派に偏したり、あるいはまた公安委員会が勝手に警察官に指揮命令を下したり、そういうようなことは制度的にもできないようなあり方になっておりますので、私は、御指摘のように、昔のような警察国家の再現ということは決して御心配ないと思うのであります。また、私どもも、せっかくできたりっぱな民主警察を、今後、昔のような警察国家を再現するようなことがあってはなりませんので、公安委員会制度を中心として、そういうような昔の警察制度ということにならぬように、今後も十分に注意していかなければならぬと存じます。
#13
○議長(松野鶴平君) 松澤君。
   〔松澤兼人君登壇、拍手〕
#14
○松澤兼人君 ただいま岸総理なり青木国務大臣から答弁がありましたけれども、しかし、答弁漏れの点について重ねて質問いたしたいと思います。
 それは会期の問題でありますが、これはすでに大野副総裁――自民党の副総裁が、富山におきまして、会期は延長しなければならないということを言っているのであります。これは大野副総裁個人としての発言であるのか、あるいは自民党の意見であるのか、自民党の総裁としての岸首相に私は質問をしているのであります。従って、総理としてはもちろん、会期の問題は国会でおきめになることといって答弁されれば、それで済むことであります。しかし、自民党の副総裁が旅行先で言っているということは、やはり総裁として岸総理がその責任の一端を負わなければならないので、この点を明らかにしていただきたいと思います。
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。
 会期の問題は、先ほどもお答え申し上げました通り、国会でおきめになることであります。私は、個々にはいろいろな意見を持っている人があるかもしれませんが、国会でおきめになることと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(松野鶴平君) 森八三一君。
   〔森八三一君登壇、拍手〕
#17
○森八三一君 私は、緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする警察官職務執行法の改正案につきまして、岸総理並びに青木国務大臣に対しまして、若干の質問をいたしたいと思います。
 ここに私がお尋ねいたしたいと考えておりまする事柄の大部分は、すでに衆議院の本会議でも取り上げられた問題でありまするし、ただいまも、松澤、小林同僚諸君から御質問があった問題であります。岸総理や関係の大臣からそれぞれ御答弁を承わっておるのでありまするが、いずれも希望的な抽象的なお考えでありまして、その程度では十分に了解をするわけには参りかねるように思うのであります。何といたしましても、どんな法律でも、国民の完全な理解と協力がなければ、その法律の目的を達成するわけに参りませんことは申すまでもありません。ことに、本改正案のごとく、取締り法規ということになりますると、その感が一そう深く相なるのであります。ところが、世間ではこの改正案をめぐりましていろいろの心配が持たれております。さらに進んで危惧の念を抱いているものもないわけではありません。非常に恐怖の念すら持っている人が相当にあるのであります。そういうふうな実情でございまするので、これらの心配なり疑問なりというものを解明いたしますることが、当面きわめて重要な要諦であると存じます。私があえて重複を承知しながら質問申し上げますゆえんも、ここに存する次第でありまするので、どうぞ一つ、多数の国民諸君が心から十分納得のできまするように、具体的にお答えをいただきたいと存じます。
 本改正案が国会へ提案されまするや、院の内外を通じまして、きわめて活発な論議が行われて参りました。全国のあらゆる新聞が一番重要な記事として、毎日この問題を取り上げているというところを見ましても、きわめて明瞭であります。衆議院におきましては国会の機能を停止せしめるというような、きわめて遺憾な状態を見るに至ったのでありまして、国会運営の正常化が約束せられて、いまだ日なお浅いにもかかわらず、かような紛糾を見るに至りましたことは、この改正案が非常に重大な内容を持っているということに出発をいたしておると思うのであります。すなわち、憲法に保障されている基本的人権が侵害されるという、いわゆる違憲論であり、幾多の問題を惹起いたしました行政執行法や治安警察法の復活であり、警察国家への再現であるというものであります。もし不幸にして、この法律の運用の結果、そういうような結果を招来するようなことがありといたしますれば、世界に信を失うばかりではありません。新日本建設のために営々として努力をいたしておりまする国民の不幸この上もないことであります。私どもは本改正案の審議に当りましては、どこまでも慎重でなきゃならぬと思うのであります。いやしくも誤まりを犯すような余地を残しては相ならぬと思うのであります。
 そこで、総理にお伺いいたしたい第一の問題は、最近の勤務評定反対闘争や、道徳講習の阻止あるいは王子製紙などに見られました暴力行為は確かに行き過ぎであります。かような事態が頻発いたしまする傾向は断じて黙視するわけには参りません。法秩序が守られず、議会制度を否認して、直接行動によって問題を解決しようというようなことになりますれば、まさに革命であり、内乱でありまして、私どもの断じて容認し得ないところであります。かようなことは寸亳の仮借もなくこれを禁止し、抑止しなきゃらぬと存じます。しかしながら、ここで考えなければなりませんことは、かような常識をもっていたしましても想像すらできないような問題が、そういうような憂うべき事態が発生をし、また、発生するような傾向にあるということであります。なぜ、そういうような問題が巻き起ってくるかということであります。法律を作って取締りを強化する、権力をもって防止するということだけでは、その目的を達成するわけには参りかねると思うのであります。そういうことになりますれば、いたずらに血で血を洗うというような憂うべき結果になるのではないかをおそれるのであります。何といたしましても、問題発生の根源をつく、より高い角度に立って処理をする、すなわち、潤おいのある政治がなければならぬと思うのであります。政府の首班として、全責任をしょっておられまする総理といたしまして、かような事態が発生しないように、打つべき政策や行政上の措置については万全を尽しておるんだ、それにもかかわらず、そういうような非違の行為が起きるから、取締りの強化に待つ以外に方策がないんだというように思いつめられまして、お考えになって、この法律を御提案になっておりますのかどうか、本法改正と並行して、将来そういう問題の根源を防ぎまするための、さらに具体的に進んだ政策をお持ちになっておりますのかどうか。そういう点について具体的にお伺いをいたしたいのでございます。
 第二にお伺いいたしたいのは、最近におけるぐれん隊や暴力団等の行動や、総評、全学連の実情にかんがみまして、警察官の職務執行の権限を強化しなければというようにお考えになる、その気持が全然わからぬわけではございません。現行法のもとで、多数の警察官各位が懸命の努力を払っておられますことについては、敬意を表するのにやぶさかではございませんが、本改正案が企図している公共の安全と秩序の維持が、警察官の主観によって判断せられるということについて、国民はきわめて多くの不安を感じているのであります。これらの不安を除去いたしますことが、きわめて大切な当面の課題であり、当然なされなければならぬことであります。これがためには、まず、本法運用の第一課にある警察官の資質の向上をはかることがその要諦であると思うのであります。それがたとえ九牛の一毛的存在であるといたしましても、現に警察官の非行や法律運用を誤まった行為が実在しているということに照らしまして、ほんとうにこれは真剣に考えなければならぬ問題があると思います。この解決策を講ずることなく、この対策をとることなしに、本改正案を実施に移すことがありといたしますれば、まさに気違いに刃物を与えるような危険がないとは保証されないのであります。警察官の資質向上につきましては、お答えもございましたが、具体的になっておりません。ここで警察官の資質の向上と教養に関し、いかなる具体的な実施対策をお持ちになっておるのかを明確にお伺いをいたしたいのであります。
 さらに、本改正案が実施を見ることになりますれば、第一線警察官の職務は相当に繁雑をきわめることになると思うのであります。いかに素養のある優秀な警察官でも、その能力にはおのずから限界があります。おそらく現在の定員をもっていたしましては、本法運用の全きを期することは困難であろうと思うのであります。そこに無理が強行され、結果として、過労、判断の誤まりというようなことに相なりまして、法律改正の趣旨が失われるというような、憂うべきことになるのではないかと思うのでありまするが、そんな心配はないのか。あるいはそういう問題をお感じになりまして、具体的にその数なり内容なりの充足について対策をお持ちになっておるのか。その辺の実情を承わりたいのであります。
 次に、警察官もやはり人間であります。いかにその資質が向上いたしましても、時に善意の誤まりを犯すことがないとは申されません。不幸にして善良な国民が迷惑をこうむったような場合は、その償いをなすべきではないかと思うのであります。そのことは、逆に申しますれば、警察官の行動を慎重ならしめるということにも相当役立ち、国民の不安を除去するのにも、またかなりの貢献をすると思うのであります。法律的にはきわめてむずかしいこととは存じますが、この点につきましての御構想を承わりたいのであります。
 最後に、青木国務大臣にお伺いをいたします。法案の具体的な内容についてのことでありますが、時間がありませんので、その詳細な委員会に譲ることといたしまして、ここでは、二、三の問題にとどめることにいたします。
 第三条の改正に「公開の施設若しくは場所において」云々と新たに規定されておりまして、それが合法的な陳情や集団的行動まで制止することに悪用されるのではないか、すなわち戦前の検束と同一の結果が生ずるのではないか、という心配であります。もちろん違法のそれらの行動は禁止され制限されることは当然でありますから、むしろこの問題は、本法の改正によるべきではなくて、軽犯罪法なり、道路交通取締法なり、あるいは都道府県条例等によるべきではないかという意見もあるのでありますが、特に本法改正によらなければならぬというような、積極的理由がありますれば、その理由を明らかにされたいのであります。
 第四条の改正によって、各種の集会が中止せしめられたり、解散せしめられたり、ときには消防隊等によって事前に禁止せられるような結果を招来するのではないかということであります。そこで、第四条にいう「過度の人員の収容による混乱」、極端なる雑踏による危険の発生については、その具体的な程度を規定することが必要かと思うのであります。単なる認定だけでは、かえって警察官の措置の発動をめぐって混乱を生ずるおそれがないとは申されません。やぶをつついてヘビを出すというような結果になることをおそれるのであります。具体的な標準を定めることはどうでございましょうか。もし御構想等でもありますればお示しいただきたいのであります。なお、「雑踏等」と規定されておりますが、この「等」というのは一体何を予定されているのかをあわせてお伺いをいたします。
 第五条の改正に、「公共の安全と秩序」という規定が新たに登場して参りまして、今回の改正中最も論議を生んでいるところであります。人権の尊重、言論、集会、結社の自由が保障されなければならぬことは憲法の命ずるところでありまするが、同時に、社会共同の生活が平和に守られなければならぬことも当然であります。私益と公益とをどこで調和するかが問題であろうかと思います。かような観点から公共の安全と秩序の維持ということが規定された意味は、決して理解されないものではありませんが、ともすればその言葉に隠れて政治的な措置が行われやすくなるというところに、問題点が存在しておると思うのであります。すなわち第一線警官の主観だけによって、演説会、集会等が事前にあるいは直接に制止せられることになるのではないかということであります。警察法には、警官は政治に対して中正でなければならぬと明定し、その機構や運営の面にも中正保持に対して配慮はされておりまするが、一般世上における了解は、時の政治勢力に迎合することが常態であるということであります。そんな了解は一片の誤解であると片づけてしまうわけには参らないのが実情であります。そこで、それらの心配を排除するに有効な具体的な措置をすることが必要と思うのでありまするが、どうでございましょうか。御所見が承わりたいのであります。
 第六条の改正によって、戦前のいわゆる臨検が復活されるのではないかということであります。第五条に対する配慮と同様に、そんなことにはならぬのだという有効適切な規定なり対策を明確にすべきであると思うのでありまするが、これまた御所見をお示しいただきたいのであります。
 以上で私の質問を終るのでありまするが、第一、第二点につきましては総理から、最後の具体的な数点につきましては青木国務大臣から御答弁をいただきたいと存じます。
   〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 最近の治安状況を見ますというと、あるいはおあげになりましたような苫小牧のストライキであるとか、あるいは道徳教育講習会における事実であるとか、こういうような何を考えますというと、私は、決して警察法の改正によって、この法律の改正だけによってこういうことがなくなるとは実は思っておりません。もちろんこれらの問題に関しましては、全学連や、あるいは労働組合や、あるいは日教組等のあり方につきまして、十分指導者の諸君におきましても、民主主義の真髄というものを把握していくようなことが考えられなければならぬことは言うを待ちません。また、国民全体がこういう問題に関して十分な批判と理解を持つことが必要であると思います。しかし、同時に、行き過ぎた事態が現に平和な善良な市民の人々に迷惑を及ぼしておる、こういうふうな事実が現実にある以上、これに対してやはり適当にこれを事前に制止するとか、あるいはそういうことを防ぐという処置が、警察官の職務執行の上において講ぜられていくということが、私は社会の平和を保つ上にも必要である、かように考えるわけであります。
 次に、この規定の一番問題となるものは、これを実際に執行する警察官の職権乱用という事実がありはしないかということでありますが、法律の規定でありますから、何といっても事実的に具体的のいろいろな問題を判断する場合に、その判断を誤まるとかいった職権の乱用を生ずる場合に、善良なる人人に迷惑を及ぼすというようなことが起らないように考えていかなければならぬことは言うを待ちません。そのためには、一つは警察官の教養の問題であります。教養を高めていくという問題であります。一つは、その職権乱用がありました場合においては、あるいは行政処分や、あるいは刑事処分等によって、そういうことに対する責任を十分とらして、すべての職権を行う場合のことを警察官全体が十分に慎重にしていくという考慮を払う必要があると思います。教養を高めるという問題につきましては、現に警察学校やその他の施設、講習等によりまして、従来も相当な努力をいたしてきております。最近における警察官の教養の程度は、私は終戦直後の状況とは非常に改善されて、教養もよくなっておると思いますが、さらにそういう点については、それぞれの、今まで申しましたような施設を活用して十分にやっていく考えております。
   〔国務大臣青木正君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(青木正君) 私に対しましては、法文の解釈上の御質問でございますが、第三条の「精神錯乱又は泥酔のため、」云々、その次に「又は公開の施設若しくは場所において公衆に対して著しく迷惑をかける虞のある者」、こうありますので、前の、精神の錯乱と、この公開の場所等において迷惑をかけるおそれのある者を別個にお考えになったのではないかと思うのでありますが、そうでないのでありまして、従来の規定は単に、「精神錯乱又は泥酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす虞のある者」、これだけの規定であったのでありますが、さらに今回はそういう「精神錯乱又は泥酔のため、……公開の施設若しくは場所において、公衆に対して著しく迷惑をかける虞のある者」も保護する、こういうふうにしただけのことでありまして、やはりこれは精神錯乱もしくは泥酔者だけに適用いたすのであります。それから第四条の「避難等」の問題でありますが、これはいろいろ例示をいたしまして、そうしてその他いろいろ、同じような、例示をしただけに限らず、同じような種類のものもあろうと、こう考えられますので、「等」という字を入れたのでありますが、例示とほぼ同じような場合をさすのでありまして、「等」という字を入れたからといって、これと全然別個のような場合を考えているのではないのであります。しかしながら、お話のように、現実にこの法を適用いたします場合に、そういう法律上の解釈等につきましてあやまちがあってはいけませんので、これは十分内部的に指導いたして参りたい、かように存じております。
 それから第六条の2の問題でありますが、これは現行法におきましても、ほぼ同様の規定があるのであります。現在も臨検をいたしていないと同じように、改正いたしましても、臨検というようなことは全然この法律は予想いたしていないのであります。ただ、改正いたしましたのは、現行法でありますと「多数の客の来集する場所」と、こういうことになっておりますので、かえってこういうことになりますと広く解釈されるおそれがある。これは、それをむしろ現行法を改正いたしまして、はっきりと「公開の施設又は場所」ということにいたしましたのは、つまり現行法でありますと、不特定多数の客の来集する場所、具体的に申しますと、たとえば一つの演説会なら演説会みたいなものがある、特定の団体がやっている会合、それがやはり大衆の来集する場所というふうに解釈できるわけであります。これはそうでないのでありまして、「公開の施設又は場所」ということは、不特定多数の人が集まる場所、つまり特定の演説会とかどうとか、そういうことでなしに、不特定多数の人の集まる場所というふうにした方が、現行法よりはむしろ限定いたしたのでありまして、内容的にはそういうおそれはないのであります。それからなお、この旅館等の場合におきましての解釈といたしましては、「公開」という言葉は不特定多数の来る所でありますので、具体的に申し上げますれば、旅館であれば帳場であるとか、あるいはまたホテルのロビーであるとか、こういう所をさすのでありまして、個人の密室に入るとかというようなことは全然予想いたしていないのでありまして、臨検のおそれは現行法におきましてもないと同じように、改正いたしましても臨検ということは全然予想いたしていないのであります。
#20
○議長(松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#21
○議長(松野鶴平君) 日程第二、小型船海運組合等の助成のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず委員長の報告を求めます。運輸委員会理事柴谷要君。
   〔柴谷要君登壇、拍手〕
#22
○柴谷要君 ただいま議題となりました小型船海運組合等の助成のための関係法律の整備に関する法律案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、小型船海運組合及び同連合会の助成のために、商工組合中央金庫法、地方税法、中小企業信用保険法及び租税特別措置法の一部を改正して、小型船海運組合及び同連合会に対し、商工組合中央金庫は融資をなし得ることとし、事業税の標準税率について特別法人とし、中小企業信用保険法を適用し、また協同事業用施設について三年間五割増し償却を認めようとするものであります。
 さて、これらの助成措置は、第二十六国会において成立いたしました小型船海運組合法においてすでに定められておりますが、これらの規定は、当時、すなわち第二十六国会において、「中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案」が成立することを前提としたものでありました。しかるに、同法案は、第二十六国会において成立に至らず、翌二十七国会において成立いたしましたため、これらの助成措置に関する規定は働かなくなりましたので、本法案が提出されるに至った次第であります。
 さて、審議におきましては、別段質疑、討論の発言もなく、採決に入りましたところ、本法律案は原案通り可決すべきものと全会一致をもって決定をいたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#23
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#24
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一 警察官職務執行法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 一、日程第二 小型船海運組合等の助成のための関係法律の整備に関する法律案
ソース: 国立国会図書館
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