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1958/10/28 第30回国会 参議院 参議院会議録情報 第030回国会 文教委員会 第6号
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1958/10/28 第30回国会 参議院

参議院会議録情報 第030回国会 文教委員会 第6号

#1
第030回国会 文教委員会 第6号
昭和三十三年十月二十八日(火曜日)
   午前十時五十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十月二十四日委員高田なほ子君辞任に
つき、その補欠として藤原道子君を議
長において指名した。
十月二十七日委員藤原道子君辞任につ
き、その補欠として高田なほ子君を議
長において指名した。
本日委員大谷贇雄君辞任につき、その
補欠として林屋亀次郎君を議長におい
て指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   理 事
           後藤 義隆君
           中野 文門君
           松永 忠二君
           常岡 一郎君
   委 員
           川村 松助君
           剱木 亨弘君
           近藤 鶴代君
           下條 康麿君
           林屋亀次郎君
           秋山 長造君
           岡  三郎君
           高田なほ子君
           吉田 法晴君
           加賀山之雄君
  国務大臣
   文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
  政府委員
   文部省社会教育
   局長      福田  繁君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   文部大臣官房総
   務参事官    斎藤  正君
   文部省管理局助
   成課長     今村 武俊君
   厚生省児童局長 高田 浩運君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○本委員会の運営に関する件
○産業教育振興法の一部を改正する法
 律案(秋山長造君外二名発議)
○学校教育法等の一部を改正する法律
 案(松永忠二君外二名発議)
○社会教育法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出)
○教育、文化及び学術に関する調査の
 件
 (今次台風による教育施設等の被害
 に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○理事(松永忠二君) それでは委員会を開会いたします。
 委員長及び理事打合会の経過について、まず、報告をいたします。
 まず、社会党側から提案されて懸案になっておりました教職員勤務評定を中心とする教育行政一般に関する参考人の出席問題については、自民党側から賛成できない旨の最終的な回答があり、結局本件は理事会において意見の一致を見るに至りませんでした。
 次に、逓信委員会に付託されております放送法の一部を改正する法律案について連合審査会開会申し入れの提案がありましたが、本件は次回に協議することといたしました。
 本日の委員会の日程につきましては、議員発議の産業教育振興法の一部を改正する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律案について提案理由の説明を聞いた後、社会教育法等の一部を改正する法律案の質疑に入り、次に、今次台風による教育施設等の被害に関する質疑を行うことといたしました。次回三十日の日程につきましては、教育行政一般について岸内閣総理大臣の出席を求め質疑を行うことといたしました。なお、この質疑には残っております教職員の勤務評定に関する質疑を含めることとし、また、総理が出席されない場合は国会法第五十六条の三の第一項の解釈についての法制局に対する質疑等を含めて協議することといたしました。法案につきましては、社会教育法等の一部を改正する法律案及び高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案の審議を行うことといたしました。
 以上、報告の通り取り運ぶことに御異議ございませんか。
#3
○秋山長造君 今の前段の、この間から問題になっておった勤評の参考人の問題について、自民党側から拒否の回答があったという簡単な御報告なんですが、一体どういう事情で拒否されたのか、そこら辺について理事会でもう少し立ち入った話し合いが当然あったのだろうと思うのですがね。その点をもう少し詳細に御報告願わないと、ただイエスかノーで、ノーと言われたからという報告だけでは、これだけ何回も何回も理事会をやり、あるいはこの委員会の席上でも論議をしてきた問題でもあるし、また、この前の委員会でもこの委員会の席上でわれわれの方からもいろいろと希望を付しての意見を表明し、また、自民党側の方からもそれに対して必ずしも頭から拒否するものでもないというようなゆとりを持ったお話もあったわけですからね。そういういきさつがあっての上のことですから、もう少し詳しく御報告を願いたいと思う。どうです。
#4
○理事(松永忠二君) それではまあ、私の方から、社会党側の理事として申し上げましたことを申し上げ、そして、なお、その際の理事会の話し合いの結論を申し上げまして、自民党側においてこれを賛成できない理由等については、また中野委員の方から一つお話を願いたいと思うわけであります。社会党側としては、この前から再三再四お話を申し上げておるように、勤評問題はこれで終了したというわけではないし、きょうも御承知のように第二波と言われるようなことも行われているような段階であるので、やはり勤評については相当世論もまた国会の論議等に相当多く期待を寄せておる面もあるわけであるので、この際やはり第三者の意見を聞く、特にあっせんに力があり、努力をなさり、また世論についても相当影響を及ぼした学長グループや調査団の方々を含めてこういう問題についてお話を聞く必要があるんではないかということを終始強調したわけでありますが、結局自民党側からはそういう必要はない、そういう時期ではないというようなお話で、終始反対をされたわけであります。二十三日の理事会では、正式に中野委員の方からこの勤評参考人については、自民党側は、賛成できないということの御回答がありましたので、私の方としては理事会でこの問題を了承することはできない。従ってこの問題は委員会に移して、委員会の場において十分論議をして決定する以外に方法はないではないかということを申し上げて、自民党側もそれでいいというお話でありましたので、本日はこの問題についてやはり委員会で御論議をいただいて、最終的な一つ決定なり、方向なりを見出していただきたいということを私としても要望しておるわけであります。中野委員の方から御発言がありましたら一つ……。
#5
○中野文門君 勤評問題を中心にした案件について、参考人を呼ぶ事柄につきましては、理事会で相当の回数いろいろと相談が続けられたのでございます。従って理事会の模様は委員長報告で十分であるかと思うのでありますが、お尋ねの案件につきまして、私からごく簡単に申し上げてみたいと思います。私、自由民主党といたしましては、この問題については勤評問題を土台とした文教各般の問題についてこの時期、この段階に学長グループを中心とした人々を参考人として事情を聴取するということは、その必要がないという考え方を持っておったのでございますが、社会党の方で強く御要望がありますので、じんぜんその談合相談の時間が延長されたわけでございますが、先般でございますが、当委員会においてこの問題について委員会の席上秋山委員からこれに関連するところの質問と申しますか御発議があって、すでに理事会でいろいろと実行しておる案件について、委員会の席上で論議と申しますか、その話が出た限りにおいては、この呼ぶ呼ばぬという問題については、委員会で処理するよりほかにないと私自身も判断をいたしたのでございます。
 もちろんいかなることも不必要ということは断じてないのでございまして、ましていわんや勤評問題について学長グループその他適当な人たちを呼んで聞くということ、これは正面から反対する理由はないと思います。でありますが、これはお互いに必ずしも文教委員会でもって参考人に聞かなければ、お互いに議員として、あるいは委員として、あるいは個人として、あるいは属する政党側として、みずから進んで調査検討、参考意見を聞こうというような事柄はほかの場所、時間においても十分にでき得ることであろうと私は思います。その方でできるから、文教委員会で必要がないということを申すんではございませんけれども、私はつらつら勤評問題が起きて、今日なお世上、相当この問題では騒々しいのでございますが、私は今の時期、今の場合に文教委員会としてこの参考人を呼んで聞く時期でない。聞く必要がないんだ。こういうふうに考えております。この勤評問題につきましては国の文教行政の上から考えまして、重大な問題であることに間違いがございません。従っていついかなる日か、適当なる時期をとらえまして、おそらく文教委員会におきましても文教行政の一角を占めるところのこの勤評問題について、親しくその学界各層の人々から聞く機会があって悪いということは申さぬのでございますが、すでに法が施行されまして続々と勤評が実施されておる、もちろん一面においては反対行動が社会に起きておるのでございますが、今私の目から見るならば、必ずしもすなおではございませんけれども、勤評作業が順調に全国的に進捗をいたしておると思います。この進捗しつつあるという観点からだけ考えて見ましても、今のこの時期に、私は特にその九・一五事件の直前に現われた学者グループの意図が那辺にあるか、あるいはそのときの行動がどうであったかというようなことは、これは将来その人々に聞く機会を持とうとも、今勤評が流れ作業のように行われておる、しかも、これはその行政事務として今進んでおるわけでございますが、しかし、この長い間の勤評騒勤の中で、この勤評問題については第三者の審議機関等作って、あるいはその内容を検討するとか、というようなこともすでに叫ばれているのでございますので、もうしばらくこの時期をこのままそっとしておきまして、将来――近き将来適当な時期に私はそういう機会を持つことは必ずしも反対ではないのでございますが、今日現在の天下の状況下において、九・一五事件直前に現われた、学者グループを土台とした参考人を呼ぶことは、私どもといたしましては賛成しがたいのだと、言葉を尽して理事会で実は申し上げたのでございます。
 なお、付言でございますが、お互いに、よいことではありましょうとも、よいと思っていることでありましょうとも、これは理事会なんかで意見が、全部が全部意見が合わないことがむしろほんとうであって、全部合うことは不思議にひとしいと思いますので、私は、論ずべきことを論じ、語るべきことを語りましたら、これは水の流れるように、それぞれの機関を通して、そうした問題は長く時間をかけずに解決することが望ましいのだと、こういうふうに思っております。はなはだ、社会党側の方の熱望に直ちに沿いがたいことは、まことに遺憾でございますが、そういうようなわけ合いから、諸般の勤評をめぐるもろもろの問題を、私どもみずから判断をいたしまして、この段階に重ねて申し上げまする、学者グループを土台とした参考人を呼んで、今さらこの時期に何をか聞かんやというような見解を持っておりますので、御意に召さぬ点は、はなはだ遺憾でございますが、さよう御了承を願いたいと思います。
#6
○秋山長造君 ただいま委員長なり、また中野委員からも、るるお話を聞きましたが、私はこの参考人を呼んでそうして意見を聞くということは、中野さんの方も決して反対ではないということを、まあ今おっしゃっているわけですが、それならばやはり参考人を呼んで意見を聞くというようなことは、これはやはりタイミングというか、その時期が大切なんでしてね。今おっしゃるように、せっかく勤評が各府県で順調に行われておる――まあ行われておるとは、私は順調に行われているとは思いませんけれども、かりに、おっしゃるように行われておると、だからその時期に参考人を呼んだりして、いたずらにまたそのせっかく行われておることに水をさすような結果になってもいかぬからというような意味にもとれるのですがね。そうしますとね、結局あなた方の方では、まあ勤評はとにかく、まあ世論がどうあろうとも、そういうものには一切耳を傾けないで、とにかくどんどん既定方針で押して、そうしてまあいわゆる既成事実にしてしまって、既成事実にしてしまった上で、まあこの毒にも薬にもならぬような時期に呼ぶのなら呼んで聞くがよかろうというような感じにも受け取れるのです。で、なるほどそれは勤評を何でもかんでも一方的に押しまくったらいいんだという、行け、進め、という立場から言えば、それは、そういう考え方も私は成り立ち得るのだと思いますけれども、しかし、それではほんとうに、これだけ全国民的な関心を集め、またそれぞれの地域において、大きなやはり社会的な問題を引き起しておるこの勤評問題というものをわれわれ文教委員会が取り上げて、そして真剣に日本の文教行政のあるべき姿というものを究明をしていくということには私はならぬと思うのですね。なるほど九月十五日にこの学者グループがやられたことは、一応それで終ったかもしれぬけれどもね。しかし、決してあのときに学者グループの人が立ち上られた、その趣旨なり何なりというものは、九月十五日が過ぎた今日においても、依然として死んではいないわけなんです。やはり依然としてあの趣旨は生きておるものでもあるし、だからあれが失敗したからといって、政府のやり方がよろしいということを天下が認めたわけでもないのですからね。たまたま九月十五日の場合に、学者が立ち上ったことが受入れられなかったということにすぎないわけです。ですから、この学者グループの人たちが九月十五日に勤評問題を円満におさめるために立ち上られた、その気持というもの、趣旨というものは、今日においても絶対に私は変っていないものだろうと思う。またそれに対して、既成事実がどうあろうとも、とにかく天下の相当の知性を持った世論というものは、やはり今日依然として、あの九月十五日に学者の人たちが立ち上られたあのやり方なり、いき方というものは、私は依然として支持しておると思うのでね。あれが失敗したから、もう天下の世論は全部のやり方を支持しているということになったわけじゃないわけですからね。だから、勤評問題というものは、依然として一向にちっとも解決しているわけじゃないと思うのですよ。ただ、一方的に権力をもってか何か知らぬけれども、どんどん既成事実を進められているだけであって、ちっともほんとうに天下の世論が納得して、それを見送っているわけでも何でもないと思うのですね。ですから、やはりこの機会に学者グループの人、あるいは読売調査団の人、さらにそれにはわれわれは必ずしもこだわらないということすら言っておるわけですから、そういう世間から見ても最高の知識人とか、有識者として目せられておるような人たちを呼んで、お互いに意見を聞き合うということは、私はこの勤評問題というものに対する私どものこの考えをまとめるというか、そういう点において大いにプラスになるというように、依然として信じておるわけです。それで、まあ中野さんのお言葉を聞いておりますと、まあ今さら学者なんかの説を聞かぬでも、聞きたければそれぞれ個人的にでも何でも聞くルートがあるというお話もある。それはもうそんなことを言えば、これは公聴会も、どんな場合も――公聴会も、参考人も何もやる必要はないので、聞きたければ相手の所へ行ってちょっと個人的に聞いてきたらいいじゃないかということになるのです。ところが、それではほんとうに委員会としてこういう有識者の意見を聞くということにはこれはならぬわけなんで、やはりこの公開の、公式の委員会の席上に、そういう人に出てもらって、そしてお互い賛否の立場はともかくとして、虚心たんかいにその意見を聞くというところに、公聴会や参考人を呼ぶ意味が私は大いにあるのだし、そのためにまた国会法がそういう道を開いておるのだろうと思うのです。で、政府としても岸首相自身が、まあ建設的意見――まあ岸さんのおっしゃる建設的意見というのはどういう意味か知らぬが、とにかく建設的意見があれば十分聞く用意がある、こういうことすらしばしば言っておられるのですからね。だからなおさら、もう自民党の方は初めから既定方針がきまっておるのだ、社会党の方は反対にきまっておる、だから今さら学者の意見を聞いてみたところでしようがないということには私はならぬと思うのですね。お互いにやはり聞いた上で、さらに今までのわれわれの考え方に間違った点があれば、それは虚心たんかいに直したらいいし、歩み寄れる点があったら歩み寄ったらいいと思うので、決してこれは固定して絶対に動かぬというものじゃないというように私は考えるのです。で、まあそういう、あれやこれやの意味で、やはりこれは時期を失してしまって、もう済んでしまった、曲りなりにも済んでしまったあとで聞いてみてもしようがないことですからね。やはりこの機会に一つそういう有識者を呼んでお互いに意見を十分にたたいてみるということが、お互いにこの文教委員会を進めていくことにもプラスになるし、また国会がそういう人を呼ぶということによって、有形無形の形で天下の世論にも一つ方向を与えるということにもなるでしょうし、また政府自身に対しても、政府のやっていることは、何も必ずしも一から十まで完全無欠ということはないと思う。ことに勤評問題についての政府のやり口というものに対しては、われわればかりではありません、相当世論というものも、これに対して非常な反対なり、また疑問を持っていると思うのです。だから、それは岸首相の言葉通り、そういう機会を通じて表明された学者の意見、これは虚心たんかいに耳を傾けて、そうしてやっておられることを虚心たんかいに改めてもらうべきだと思うのです。だから、そういうあれやこれやの意味で、私は、どうもこの前中野さんから相当考えて下さるようなお話もあったので、まあ私どもは大いに期待しておったわけです。それが、どうもにべもなく断わられてしまうということになりますと、私どもとしても、これはよほど考え直さなければならないのじゃないかというふうにも思われますので、もう一度私、中野さんに言葉を返しますけれども、何とかそこのところを一つ御理解をいただいて、そうして早い機会にそういう有識者の人たちを呼んで、勤評問題についてのこの有識者としての意見を十分に聞いてみようということに御同調願えないかどうか、お尋ねしたい。
#7
○吉田法晴君 関連して。まあ私が申し上げるまでもございませんが、国会の実質的な今の憲法、国会法でルールがある委員会の審議ですが、その委員会が、五十一条を読み上げるまでもありませんが、「一般的関心及び目的を有する重要な案件について、公聴会を開き、真に利害関係を有する者又は学識経験者等から意見を聴くことができる。」と、こういうようにこれは案件でありますけれども、法律案ではございませんが、一般的関心を有する案件であることには間違いはない。これだけ文教問題で、政府が法律に基いて云々と言いますけれども、文教委員会の問題としては、一般的関心のある重要案件であることは間違いない。そこで、公聴会を開き、あるいは学識経験者の意見を聞くことができるという精神は、先ほどまあ中野さんのお話しになりましたように、党やあるいは個人が聞けばよろしいのである、こういうことにはならないと思う。法律案件その他の案件を審議いたしますことも、あるいは行政調査の権能も持っておるわけでありますが、一般的関心の深い、文教委員会として重要な案件について国民の意見を徴す、利害関係を有する者、あるいは学識経験者から意見を聞くことができるという国会法の精神は、これは先ほど来認められますように、おそらく中野さんなり、あるいは与党の委員の諸君といえども御反対にはならないと思う。で、その評価が違ったとしても、いろいろ意見があり、それから賛否の意見があることは、これはまあ御承知のところなんです。そうすると、その問題について、私は本来あの教育委員長協議会の意見を聞きました際にも、当然反対の意見、あるいは勤評を受ける側の意見というものも聞かるべきであったろうと思ったのですが、これはまあ理事会の申し合せで一応協議会の会長なり何なり呼んだのですから、当然あのときから勤評を受ける側、あるいは学識経験者を呼ぶということは暗黙の了解のうちに進められたのだとまあ理解をして、あの場合には私ども臨んできたのです。今まで参議院、これはまあ衆議院でもそうですが、あるいは参議院の各委員会でやってこられました過去十四年の歴史の中で、参考人を呼びたいというときに、それはもう呼ぶ必要がないというようなことはいまだかつて例がなかった。国会として、その中のわれわれ文教委員会として、いろいろな意見を聞くことは、当然私どもは委員会としてなすべき仕事だと思うのですが、与党の立場だけを出し、それで委員会を貫いていこう、あるいは押し切っていこうという態度は、いまだかつて私ども経験をしたことが実はない。そこで、これはまあ理事会のお話し合いでありますけれども、理事会としては過去の経験、それから国会法なり参議院規則の運用の点からいって、今のような自民党からお断わりになるということでそれが通っていくというようなことでなしに、委員会としてどういう工合にその任務、機能を果していくか、その一環として、この国民的な論議の的になり、あるいは現在実施をしようとしておられますけれども、なお批判なりあるいは反対意見があることもこれは御承知の通りでありますから、委員会としてやはりお聞きいただくべきだと、こう思うのですが、与党の立場だけでなしに、何でも政府のやることはこれは推進すべきだというのは私は委員会の少くとも任務ではなかろうと思う。少数意見が委員会の中、あるいは本会議でも尊重されますが、国民の中にあります意見というものも十分に反映させるように、与党の議員さんといえども御協力いただいて、参考人として呼ぶなり、あるいはその他の、呼びたいという点についてはぜひ一つ御協力いただくように、参議院のまあ伝統からいって御賛成を得、御協力いただきたいと、まあこれは参議院の権威にかけてもお願いするわけです。
#8
○中野文門君 ただいまいろいろと御意見を拝聴いたしたのでございますが、私の発言は単なる与党、野党というような範疇、いずれかの範疇に属しての必ずしも私自身の意見内容ではないのでございます。さらにまた、国会法等の定めるもろもろの法律規則等も一通りは心得ているつもりでございます。参考人を呼ぶ問題につきましても、これは理事会等でお話し合いをします場合に、先例の有無を別といたしまして、何もかも全部話し合いというものが、だれかが話を出せば全部がそれに従うというようなことであるようには解釈をいたしておりませんし、実際問題としてやはり呼びたいと思うときと、呼ばぬ方がよいという意見と、これはあって不思議はないと思いますので、何ら理事会で話し合いをしておる事柄が、国会法に私はもとるものとは思わぬわけでございます。
 さらに、勤評の問題につきましては、言葉を少く一口で申し上げれば、もう長い間かかって内外とも語り尽されたというふうに私自身は判断を持っております。さらにまた、かりに、与党、野党という言葉がただいま出ましたが、社会党の方でこの問題が出たのでございますが、私の判断と申しますか、見る目がもし間違いないとするならば、勤評問題につきましては、社会党は、内外ともにもう確固不動の方針を打ち立てられて、一大学の先生その他から意見を聞くような余裕のあるような段階、状況ではないように、これは私、判断の間違いかもしれませんが、受け取っております。内外の皆様方の御行動は、実にもうその確固不動の方針、態度があってやられておるように受け取られますので、かりに、私のそうした判断が間違いないとするならば、今さら何ぞ一大学の先生方を呼んで、今さら文教委員会で聞く必要が那辺にあるのかという点に若干の疑いを持たざるを得ないのでございます。もうあなた方としては、勤評問題につきましては、重ねて申し上げますが、不動のかまえをなされて、一歩も他人の意見を聞き入れるというような余裕はないように実は私は判断をいたしております。判断が当るか当らぬは別でございますが……。
 さらに、重ねてこの機会に申し上げますが、国会法に基いて、それで理事会等で相談をし、委員会でこうして論議をいたしましても、結局お互いに経験と素養と考え方とが必ずしも全部の議員が全部一つのものではないのでありますので、一つの事柄に賛成したことも、賛成をされない判断を持つ場合もありましょうし、どうぞ、それは見解の相違、意見の相違としておくみ取りを願いたいと思うわけでございます。
 なお、この問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げたと思いますが、非常にあなたの方は御要望なさるので、何とか御期待に沿うような判断がつかぬかと思いましておりましたるところ、突如として先般の委員会の席上で、秋山委員からか、委員会の席でそうしたことの御質疑等がありましたので、これはもう社会党さんの方も理事会で決着がつかなければ、委員会で右か左かを、その話をつけろというようなふうにも受け取れましたので、それで、きょうこうした私自身は機会を得て今発言をいたしておるのでございますので、さらに筆を改めまして、また同じ問題、あるいは一つの事柄につきまして、変った角度からこうした御相談等が、お互いの場合お互いいずれからかある場合もあろうかと思いますので、さらにそうした時期におきましては、慎重にお互いがお互いの期待に沿うような相談をする機会もあろうと思いますが、あるいは三月ごろといい、あるいは四月からこの問題が云々ということが先般も言われましたが、この席におきましてお尋ねに応じている以上、私は諸般の情勢を勘案し、さらに勤評問題は一応内外ともに語り尽されておると見まする立場から、本日勤評問題についてこの際学者グループその他の人を呼ぶということに遺憾ながら反対の意を申し上げた次第でございますので、どうぞ一つよろしく御了承ですか、御承知賜わりたいと思います。
#9
○秋山長造君 中野さんがさっき言われたように、こういう問題は、委員会で参考人を呼ぶというような問題は、委員会でだれかが口をきけば、必ずそれをなさらなきゃいかぬのだということは、それはもうおっしゃる通り必ずしもないと思うんですよ。だけれども、これは問題によると思うので、おのずから問題に軽重、厚薄の違いがあるわけなんですけれども、[この勤評問題なんというものは、だれかがちょっと言い出したらすぐやらにゃならぬ必要というわけにはいかぬじゃないかというふうに、簡単に私は片づける問題じゃないと思う。やはり国会はこれだけの大きな問題を取り上げて参考人を呼ぶというようなことは天下の常識だと思うんですね。しかも与党、野党というような立場を離れて、この委員会のあるべき姿というところから考えても、参考人をこの際呼ぶことは、ちょっとおかしいというようなお話もあったわけですけれども、それで私は、与野党という立場を離れて考えるのなら、なおさらこの文教委員会としてはやはり呼ぶべきだと思うのですね。なぜならば、先ほど吉田さんが条文を読まれましたが、やはり事には賛否の立場があり、あるいはまた第三者的な立場があるわけですから、そのいろいろな立場の人を呼んで、バラエテイを持った立場の人を呼んで意見を聞くというところに、参考人なり公聴会というものの意味があるので、この委員会としては、今日まで全く一方的に勤評をがむしゃらにやろうという立場の話しか聞いてないわけです。これはもう政府当局はもちろんですが、四月の初めにやった木下教育委員長なり本島教育長なりにしても、これはやはり全く政府、文部省と一体不離の立場で、考え方でやっておられる人なんですからね。結局この委員会としては、まあ、勤評問題についての論議はいろいろあっても、参考人を呼ぶという限りにおいてはこれはもう全く勤評をやる、とにかく、もう一方的に押していくんだという立場の人の意見だけしか聞いておらぬわけですね。だから、当然今度は勤評を受けるという側の意見だって私はやはり聞かなければ、この文教委員会としての取り運びというものは、私はあまりにも片寄ると思う。いわんや、あれだけの大きな問題が起って、問題になって、そうして学識者といいますか、学者グループといいますか、そういうような人たちが今立ち上って、しかもそれに天下の世論というものは、私は大多数の世論というものはそれをやはり支持したと思うんですがね。だから、そういう人の意見を聞くというのは、これはもう文教委員会としては当然なあり方じゃないかというように考えるんです。
それから勤評に対しては、社会党の態度は、確固不動で今さら聞いたところでそれでどうなることもなかろうとおっしゃるんですけれども、それはそうも言えぬと思うんですね。むしろ政府の方が非常に確固不動の態度をもって一方的にやっておられるので、たとえば九月の初めに、両党首会談があったときに、社会党の鈴木委員長は、しかるべき審議機関というものを作って、そうしてそこへ問題をしばらくあずけたらどうかという、きわめて柔軟性のある案を出しておられるんですね。それから、学者グループにしても、あのとき出された案は、社会党の鈴木委員長が出された案とは多少これはニュアンスの相違はあるようですけれども、しかしそれにしてもやはり一つの案を出されておるわけです。それに対してまっこうから一切耳を傾けないという態度でやられたのは、むしろこれは政府の方だからね。勤評々々といっても、その勤評の一歩内容に踏み込めばいろいろなものがあるわけです。政府、自民党が、今やっておられることだけが勤評の一切だというものでは私はないと思う。だから、そこらにまだまだお互いに考え直す余地というものが私はあると思うのですね。だから、そこをそういう角度からやはり考えていただかないと……。勤評の問題は、もう語り尽されているから今さら何を聞くかということじゃないと思う。まだまだ問題はちっとも片がついてもおらぬし、またちっともすっきりしたわけでもないし、依然として大きな問題をますますはらみつつあるわけですからね。ただ、今は警職法なんかの問題が突如として出されたために、そっちの方に火がついて、勤評の問題は新聞の表面なんかに以前ほど扱われないということだけであって、実際の姿というものは私はちっとも解決はついておらぬと思うのです。そういうことですから、もうお互いの腹はきまっておるのですから今さら呼ぶ必要はないということでなしに、まだまだお互いにこの問題について考え直す余地は大いにあるのだから、なおさらそういう学識者を呼んで意見を聞いたらいいじゃないかというように私は考えていただきたいと思うのですがね。私どもはそういうふうに考えたい。これは重ねてお願いをするのですが、この委員会のあり方としてもやはりそういうことをやられた方がいいんじゃないか。今までの委員会の勤評問題についての参考人に関する限りは、非常にへんぱです。やろうとする立場の人だけの意見しか聞いていないのですからね。
#10
○中野文門君 秋山委員の御発言でございますが、私の意見も多少御参考になったと思いますし、あなたの重ねての御発言に対しましては、十分に一つ慎重に参考にさせていただきます。
#11
○吉田法晴君 委員長にお尋ねをいたしますが、これは中野さんにも聞いていただきたいことですが、この勤評問題というのは公報にも出たりするのですから、私はこの委員会で議題になっておるというか、取り上げられている、これは間違いないと思うのですね。そうすると、勤評問題を取り上げないというならば別問題ですが、これが取り上げられておるか、取り上げられておらぬかをまずきめていただきたい。それから、この勤評問題について意見を聞く。これは一般的に関心のある問題だからということで参考人を呼ばれたのだろうと思うのですが、そうして参考人を呼んで国民の意見を聞く、こういうことは取り上げられたのだろうと思うのですが、そうじゃないんでしょうか。それから、取り上げられて、勤評を実施すべきだという政府なり、あるいは文部省なり、あるいは教育委員会の意見を聞かれた。そのあとはまだ聞かれていないわけですね。そうすると、案件を取り上げ、それから参考人の意見を聞くということがなされておるとすれば、法の精神からいたしますならば、勤評を受ける者なり、あるいは学識経験者の意見を聞くということがこの委員会としては残っておる。そういうふうに私は考えるのですが、国会法なり、参議院規則の精神からいって、そこをどういう工合に考えておられるのか、一つ委員長に承わりたい。
#12
○理事(松永忠二君) 委員長ということですが、まあ私委員長代理ですから、その点委員長の意見を聞くということであれば、また後ほどに聞いていただくわけですが、今出てきた御質問については、委員長・理事打合会で確認をされているわけでありますから、それでお答えをするわけでありますが、勤評問題を取り上げているということはそれは事実であります。現に勤評問題については質問者が残っているということも理事会として認めているし、この問題については、先ほど理事会の報告等も申し上げてあるのでありますから、その通りであります。参考人の問題については、これは前国会の当時から高田委員から、別個な実施をされる立場の参考人を呼ぶべきだという御意見もあったわけであります。その点については、委員長・理事打合会で今後検討するということになっているわけであります。今度の国会に当っては、社会党側から、特に学者グループ並びに読売調査団を参考人として呼びたいということが正式に提案されて、論議をされているわけでありますが、参考人を呼ぶということについては、当然この委員会としても問題になって、案件として論議をされているということはあるわけであります。
#13
○吉田法晴君 それじゃあ続けて、中野さんにお尋ねをいたしますが、今の勤評問題が、この委員会の審議案件というのですか、調査案件と申しますか、議題になっているという点は、これは認めていただけると思うんです。それから参考人を呼ぶこと、これも委員会として話題になり、それから参考人として教育委員会の代表を呼ぶということは、これは行われた。社会党の高田さんその他の要求があったのです。その参考人を呼ぶということは、これはもうきまっていて、一部実施してきた。あとだれを呼ぶかということが残っている、こういうように伺いますが、そうでしょうか。これはまあ肯定の御答辞をいただけると思うのでありますが、そうとすれば、学者グループは呼ばぬのだと、こういう与党の意見だけでこの委員会を押し切っていくというわけには参らぬのじゃないでしょうか、いかがでしょう。
#14
○中野文門君 前段の話は、松永委員長代理から申された通りでございます。前段の話は……。それから後段は何でしたかね。
#15
○吉田法晴君 参考人を呼ぶという……。
#16
○中野文門君 呼ばざるを得ないのじゃないかという話ですか。
#17
○吉田法晴君 呼ぶということが、この委員会の仕事として残っているのじゃないかということ。
#18
○中野文門君 残っている、おらぬということは、本日の委員会開会からただいままで、いろいろと参考人を呼ぶことについて、お互いに意見を発表いたしておりますので、その意見の全体の内容をもって御了承願いたいと思います。
#19
○吉田法晴君 全体で御判断を願いたいというのですが、あなたの方は呼ぶ必要はないと、こういう御意見。しかし、この委員会としては勤評問題を取り上げ、それから参考人を呼ぶということをきめて、一部を実施した。あとは勤評を受ける者なり、あるいは学者なりを呼びたい、こういうことで社会党側では留保していた。そうすると、委員会として参考人を呼ぶということは、これはもうきまっていて、だれを呼ぶか、いつ呼ぶか、これが残っているだけです。こういうように私は判断をするのでありますが、法の精神に従うなら、これはまだ賛否両者ではございません。また伝統からいっても、賛成の者だけを呼んで、それで終るというような例はございません。委員会の話の経過からいっても、それから今までの参議院の各委員会でやってきた実例から見ても、私は参考人を呼ぶということが残っていると思う。そうすると、いやおれの方は、自民党としては政府の方針に協力するのだから、もう慎重に行われて、論議も尽されているのだから呼ぶ必要はないと、こういうとにかく与党の立場からする議論だけがこの委員会でなされるということは、委員会として許せないのであります。その辺はこの委員会の円満な運営、あるいは伝統もございますから、私は参考人を呼ぶということは、これは委員会あるいは理事会で御論議を願い、あるいは人間、方法等は理事会で御相談願うとしても、賛成の者だけ呼んで、それで参考人を呼ぶことは終った、こういう議論は実際には通って参らぬと思うのですが、いかがでしょうか。
#20
○中野文門君 私はかなり頭がはっきりしておるつもりですが、結局いろいろとあなたが申されたが、学者グループその他の人を勤評問題を中心にして、呼ぶか呼ばぬかということについて理事会で相当時間をかけて相談をして、その結果が今ここでいろいろ論議されておるので、具体的にいいますと、学者グループを中心にして、この際勤評の参考人を呼ぶか呼ばぬかと、私の方はこの際呼ぶ必要はなかろう、あなたの方は呼ぼうと、こういうことでやっておるので、これはあなたの今のせっかくの数多いお言葉でありますが、もう別に私が御答弁申し上げる必要はないのではないか、かように思いますが……。
#21
○吉田法晴君 そういう問答無用の態度をとられることは、少くとも民主主義あるいは民主憲法のもとにおいて、あるいは民主的な国会法のもとにおいてはこれは許されることではなかろう。ですから、私は案件として勤評問題が残っておるのですかと言ったら、これは質問も残っておるし、残っておる、こういう御答弁があった。それから、参考人を呼ぶことについては従来の慣例から、国会法の精神からいっても、賛成の者だけ呼んでそれで終りだ、おれの方は必要を認めぬ、こういう議論が通っていくべき筋合いではない、従って参考人を呼ぶということは、この委員会として残っておるではありませんか、話も残っておるが、あるいは与党委員といえども参考人を呼ぶということについては、なお御協力を願うべき筋合いが残っておりはせぬか、こういうことも申し上げた。そして具体的にだれをいつ呼ぶかということは残っておるかもしれませんけれども、呼ぶ方向でとにかく御相談願うことが与党の理事としても委員会の運営あるいは委員会の進行のために御協力を願うべき筋合いではなかろうか、こういうことを申し上げておるわけです。
#22
○剱木亨弘君 ちょっと私わからないので委員長にお尋ねするのですが、これは懇談会ですか、正規のやはり委員会としてやっていらっしゃると思うのですが、今お聞きしていますと、ちょうど討論会みたいなんですが、どうもこういう委員会のあり方というものは私にはわからないのですが、委員長に対して理事会における決定について質疑応答が行われる、これはわかるのですが、委員同士がお互いに質疑し合うということは委員会の形式としては……、ですから、まだそれがきまらないなら懇談会にでも移されてやるとか、そうきまったから、理事会でお話し合いになったやつを、今度は賛否を聞かれる場合に討論する、こういうのならわかるのですが、今の委員会の持ち方はどうも私ら常識的にはちょっとわからないのですが、こういう方法はあるのでしょうか。
#23
○理事(松永忠二君) これは、今の委員会は委員会としてやっておることであり、また委員長・理事打合会の問題で話し合いの結果を御報告をして、それに御異議がないかどうかを確かめるために、御異議があるかないかということをお尋ねしたところが、異議があるということであった、そこでその異議についていろいろと委員会として論議をしておるわけです。なお、この参考人を呼ぶ問題については、理事会で話し合いができないので、委員会で論議をして、そうしてやむを得なければその賛否を明らかにするということもやむを得ないのではないかという話し合いが両者の理事の間でも成り立っておるわけです。そういう経過もあるので、今ここでその問題について委員会としてとにかく論議をしておるという経過にもなっておると思うわけです。別におかしいという筋合いのものではないと思う。ただ、時間的な問題もあるので、一応だんだんどういうふうにするかということについて考えていかなければいけないのじゃないかというふうに私としても思っておるわけです。
#24
○岡三郎君 今の劒木さんの意見も一応聞かなければならぬと思うのですが、ただ委員長は大体、社会党から今のところ代理として出ておるわけです。で、社会党の委員から質問があった場合に委員長が答えて、なお、それについて進行上与党の方の意見がそれに沿っておるかどうかという一つの配慮から与党の方にも言わしておるという形だから、これは非常に親切だと私は思う。だから、そういう面でこだわらないで、やはり委員長に答弁しろといったって、委員長がこっちの都合のいいことばかり答弁したらまた向うの方が騒ぐだろうし、こういう点で、形は劒木さんの言うような心配があるかもしらぬが、実態は進行しておるが、ただ両論があってなかなか決着にいかないということになったと思うのですが、私は先ほど中野さんが言ったように、水の流れるごとくに進行しなければならぬという、そういう一応の話はわかるとしても、やはりこういうふうな、野党が極力主張しておる問題は、特別工合が悪いということがなければ何とか考慮をしていこうということが多数党の雅量だと私は思うわけです。だからそういう点で、先ほど言ったように大学の学長を呼んで聞く余裕がもう野党にはないのじゃないか、確固不動の立場でそういうことを今さら聞いても仕方がないと、こう言われるが、それは中野さんの判断で、あくまで野党の方では、社会党の方では呼んでもらいたい。そういうふうながんこ一徹ばかりではないのだ。そういうことを言われると、やはり呼ぶ意見の方が耳を傾かせると私は思うわけです。それで、結局こうやって話をしておる間にも相当時間がたったわけですが、一日学長グループを呼んで聞くということについて工合が悪いという点を中野さんの方で率直に言ってないのだが、そんたくすると、今やっておるのに先ほど秋山さんが言うように、水をさすことになるのじゃないかというのが一番の主張点じゃないかと思うのですが、だから水をさすということになるかならぬかやってみなければわからぬと思う。というのは、世論が勤評問題については十分に話し合いを行え、話し合いをしなさい、こういうことが大体当時の流れであったと思うのです。そういうふうな点で参考人として幾人かの方々を呼んでその当時の考え方、全国的な調査団のいろいろな調査した結果の考え方、こういったものは一応聞いて、そうしてその中から今後さらに勤評問題というものが行われていくわけですから、そういう点で文部省当局の方も自民党の方もむちゃくちゃにやってもやはりあとに問題が残るのだ、こういうふうにやはりお考えになっておると思うのですよ。だから、すぐ全部ができるということにはなっておらぬと思う、全国の情勢で……。そういうわけで、やはりこの機会に一ぺん聞いて、そうして勤評の経過というものにかんがみて、一つ文教委員会としてはさらに検討してみよう、こういうふうなすなおな観点で呼んでもらいたいと思っておるわけです。ですから、これは自民党の方々の意見に反駁するということよりも、呼んでも社会党は態度が確固不動だから変らぬのじゃないかという言葉で言われたのだから、そういう確固不動ということは、勤評に対して今のところはとにかく反対であるということは明確になっておるわけですが、しかし、実際に第三者の意見も聞こうと、こういう雅量をまあ示しておるわけなんです。そういうふうな点で自民党の方もあながち雅量がないわけではないと思うので、だからまあ一つ呼んでみたら、かえって議事進行上いいのじゃないかと、こういうふうに考えているわけです。従って、ここで採決をしてどうのこうのということで片づく問題ではないと思う。それからまあ、勤評の問題は質問が残っているから議題になっているというけれども、これは教育行政が続く限りですよ、勤務評定という問題がどういう結果を教育上に及ぼしてくるか、勤務評定というものが教育をよくすることではなくして、逆に画一的な教育にこれを持っていく心配も私は出てくると思う。そういうふうな点で、これは将来にわたって日本の教育の重要問題ということに考えれば、これはさらに継続されるものであるということを私は否定できないと思うのだが、それを考えてもこの際、一ぺん一つ自民党さんの方でも、まあわしの方としては大して利益にもならぬが、野党の方がそういう無理を言うならば、じゃ一応議事進行上この段階において一つ意見を聞いてみようと、こういうふうに従来もまあ譲歩されてきたと思う。それがたび重なって二回も三回も四回もいわれるということになれば、それはちょっと無理だということはわかるけれども、これはもうすでに一月も二月もかかって主張してきたことだから、今さら社会党の方としてもそういうふうにいうならば、これはやむを得ないというわけには私は参らぬと思う。そこで、議事進行上一つ何とか考えてもらえないかということを私は申し上げるわけなんですがね。
#25
○剱木亨弘君 まあ、理事会では意見が一致しなかったので、やむを得なければ先ほど委員長がまあ委員会で賛否をきめるというような気持もあったようですけれども、まあこれには社会党さんの方にも相当強い御希望もあるようですし、それからきょうここですぐこれを、賛否をきめてしまうというようなことも、やはり委員会の性格上としては、やはり進行上何でございますので、私どもとしては、やはりきょう議題になっておりますことについて、進行をできるだけ早くいたしてほしいのでございますから、ここでいかがでしょうか、賛否をすぐ決定してしまうという状態に持っていかないで、なおまあ社会党さんの方の御議論も相当あるようですから、この問題はこの委員会終了後でも、まあもう一回一つ理事会でもやって懇談していただいて、そうしてきょうの議題に、その点についてはそういう方向に、一応理事会に持っていっていただくということにして、議題の方に入っていただくと、そういうことでは社会党さんの方はいかがでしょうか。私の方もまだ賛成を得ておりませんが、皆さんの御意向を一つ承わっていただきたい。
#26
○理事(松永忠二君) 委員長としても、今、剱木委員からお話しになったようなことで、やはり努力をしていくということの方が今後の委員会の運営の上にも、また本日の日程をやる上からも非常にまあ適当だと思うので、でき得るならば自民党側の方々、なお緑風会の方も、今、剱木委員からの御提案を受け入れられて、そうしてこの問題については、先ほど委員長、理事打合会の報告の、自民党側から賛成できない旨の最終的な回答という中の、最終的を取って、結局本件は理事会において意見の一致を見るに至りませんでしたが、なおこの委員会において、この問題を引き続き十分努力をするということで御了承をいただきたい。そうして本日の、先ほど申し上げました日程に従って進行していきたいと思うのですが、いかがでありますか。
#27
○中野文門君 委員長のただいまのお話でけっこうと思います。私は大体こういう問題は重大な問題であるから、事のなるのはなるの日になるのでないので、やはりいろいろと時間をかけて、ある場合はかかり過ぎるくらいの時間をかけて相談をするような必要の場合があるんですよ。ところが、たまたま先般の委員会では秋山委員が理事会の報告に関連をして、この問題を委員会の席上で論議をされる機会を作られた。そこで、それほどお急ぎであるならば重ねて右顧左眄することなく、イエスかノーかをはっきりお答えすることが、社会党さんの方に報いるゆえんであると、かように思いまして、自由民主党としては遺憾ながら御期待に沿いかねると、こういうような経緯を持っておりますので、私は本日の社会党各委員の御発言もそれぞれみな重要な内容を持った傾聴すべき意見であると思いますので、なおこの案件につきましては、委員長のお言葉のように、なるべくすみやかな機会に、これは最終的に、その両論一致するかせぬかは別問題といたしまして、十分社会党の側の熱意の発言を土台としてさらに検討することにやぶさかでありませんので、以上申し上げておきます。
#28
○理事(松永忠二君) ちょっと緑風会の方の常岡さんいかがですか。
#29
○常岡一郎君 私はすでに会期は、半ばをはるかに過ぎておりますし、法案の審議は全然できておりませんときであるし、社会党さんの御意見ももっともだとは思いますけれども、そういう点が一つ。それから第三者の意見といいますが、やはり学者グループも一部の人であって、九・一五指令を見ますと、日教組の堂々たる指令、それに対する総評の応援の指令を見まして、これは相当大きいあらしを生むものであると私は考えておりました。しかし、存外その中においてさえも、竜頭蛇尾に終ったような感じを持ちましたので、これはそれほど、もう議論の相当尽されたあとの、両党が絶対に譲らない態度で激突した場合には、国民並びにその良識によっての動きを見なければならぬと思っておりますので、相当結論には到達したものであると考えたのであります。そういう意味におきまして、十分お尋ねすることも決して悪いことではありませんけれども、もうこの際に両方とも聞いても、大体言われることもわかっておるんじゃないか、新聞、雑誌で十分述べられておりますので、そういう点でむしろ審議を早める意味において、この問題は後日また機会があればともかくも、この際には適当でなかろうと思っておるものであります。
#30
○理事(松永忠二君) それで本日のことについては、先ほど剱木委員からお話のありましたように、なお緑風会としてはそういう御意見をお持ちであるとしても、委員長理事会でこの問題について今後なおその努力もし、意見の一致を見るようにはかるということにして、本日は、日程に従って議事を進めていくということについては御異議ございませんか。
#31
○常岡一郎君 それは異議はありません。
#32
○理事(松永忠二君) なおどうです、社会党側。
#33
○吉田法晴君 質疑に入ります前に。問題は理事会でさらに御検討いただくということになったようでありますから、これは一委員としてお願いいたしますが、私は個人の意見、あるいは党の立場よりも参議院の権威ということの方が私は大事だと思うのです。従って私は、案件が委員会で取り上げられ、そして重要な一般の関心のある問題だからというので参考人を呼ぶということになり、そして参考人が勤評を実施するという教育委員会の意見だけを聞いて、あとはやらない、こういうやり方は、そうしてその後については、今や実施されておるから云々というような、そういう一方的の考え方で委員会を運営されないで、法の精神、それから重要案件に関する意見を各方面に徴する。こういう参議院の伝統的のやり方、民主的なやり方を行われ、法の権威と参議院の権威が守られるよう、これは与党の理事にも、あるいは緑風会の理事にもお願いして、理事会でさらに一つ御検討を願いたい。これを衷心から委員の一人としてお願いをいたしたいと思います。
#34
○理事(松永忠二君) それでは、先ほど報告いたしました、社会党側から提案されて懸案になっておりました、教職員の勤務評定を中心とする教育行政一般に関する参考人の出席問題につきましては、このように報告を一部訂正をいたしたいと思います。教職員の勤務評定を中心とする教育行政一般に関する参考人の出席問題については、自民党側から賛成できない旨の回答があり、本作は理事会において意見の一致を見るに至りませんでしたが、なお理事会において今後努力をし、意見の一致を見るように協議をするようにいたしたいと存じます。その部分を除きまして、先ほど申し上げました日程について進めることに御異議ございませんか。
#35
○理事(松永忠二君) 御異議ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#36
○理事(松永忠二君) なお、前回の委員会において地方行政委員会に付託されておりました風俗営業取締法の一部を改正する法律案に関し、地方行政委員会に連合審査会開会の申し出を行うことを決定いたしましたが、同日地方行政委員会においては、文教委員会が同日中に連合の議決を行えば翌二十四日午前連合審査会を開会し、その後で法案の採決を行うことを決定しておった事情もあり、その開会日時については、委員長に交渉を一任されておったのでありますが、委員長は二十七日に開会したい旨申し入れましたが、結局は協議ととのわず、地方行政委員会は二十四日本法案の討論、採決を行いました。
以上報告いたします。
  ―――――――――――――
#37
○理事(松永忠二君) まず、産業教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 発議者に提案理由の説明を求めます。
#38
○秋山長造君 ただいま議題となりました産業教育振興法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表し、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 わが国の産業教育の飛躍的振興を目ざして、産業教育振興法が制定公布されましたのは、去る昭和二十六年でございましたが、以来、今日まで、短かい年月の間ではございましたけれど、関係者の御努力によりまして、その成果は着々と上り、産業教育関係の施設設備が面目を一新したことは、科学技術教育、産業教育の振興が強調されている現状からまことに喜ばしいことであります。
 すなわち、この間の産業教育振興のための国庫負担金は、約四十七億円に達し、約九十二億円の設備と、六万坪に及ぶ施設が充実されましたことによっても、その進展の度合いがうかがわれるのであります。
 しかしながら、一面においては、本法が必ずしも満足すべきものであり、理想的であるとは言えない点もあるのでございまして、これらについて今日まで、多くの関係者から強く改正を要望されているのであります。
 その第一は、国の負担率の問題でありますが、法律上は「経費の全部又は一部を負担する」となっておりますが、本法の施行令においては、負担割合を定めており、そのほとんどが三分の一負担になっている点であります。かように三分の一の国庫負担率では地方負担が三分の二にも及び、受け入れが困難となりますので、勢い国の負担金は豊かな地方公共団体にしか流れていかないこととなりまして、現に、負担金が地方から返還されてきたという年もあるのでございます。これでは最も国の財政的援助を渇望している貧乏な地方公共団体の設立する学校は、少しもよくならないわけで悪循環ということになるわけであります。従いまして、主要項目についてはぜひとも、国庫負担率を二分の一に引き上げることを法律に明示することが本法律の目的にかなった措置であると思うのであります。
 第二の点は、本法によって充実されました施設設備も、第一には日進月歩の科学技術の進展に即応したものでなければ教育の実効が上らないということ、第二には当然の破損、磨滅ということから耐用年数がそれぞれ定められ、更新されねば教育は遂行されないということから、一定の基準によって更新が円滑に行われてこそ、わが国の産業経済の発展と国民生活の向上の基礎となる産業教育が発展するのでありまして、これらの更新費についても国庫負担の道が明確に開かれることはきわめて重要なことであると思うものであります。
 以上、二点につきましての改正を行わんがために第十五条の一部を改めることといたしました。すなわち第十五条第一項に掲げる施設設備費はすべて二分の一国庫負担とするとともに、これによって整備された施設、設備の更新についても、同様の国庫負担を行うことといたした次第であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう御願いいたします。
#39
○理事(松永忠二君) 本案の審議は後日に譲ります。
  ―――――――――――――
#40
○理事(松永忠二君) 次に、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 発議者に提案理由の説明を求めます。
#41
○高田なほ子君 ただいま議題になりました学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。
 学校教育におきまして寮母、養護助教諭、実習助手並びに大学の助手等は、それぞれ特殊なかつ重要な職責を持っております。それゆえ、それぞれの学校にこれらの職に携わる人々を置くことができることを明確にしますとともに、その身分を確立いたします規定を設け、法の整備をはかることによりまして、学校教育の運営を一そう円滑にするため本法律案を提出いたす次第でございます。
 まず、寮母について申し上げます。
 近時、特殊教育に対する関心が深まり、特殊教育を促進させる見地から、「盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律」の制定を見ておりますが、これらの学校におきましては、寄宿舎に置かれている寮母の果します役割とその教育的効果はきわめて大きいのでございます。
 従来、寮母は学校教育法施行規則によりまして、盲、ろう学校のみに置くよう規定されておりましたが、昨年十二月の改正により養護学校にも置くことに改められました。また、従来寮母の資格については、何ら規定がなくその身分につきましては、教育公務員特例法施行令により特例法の準用が規定されていたのでありますが、今回、学校教育において盲、ろう学校、養護学校には寮母を置くことを規定し、その資格規定を定めるとともに教育公務員特例法において身分を明確にいたそうとするものでございます。
 次に、養護助教諭と実習助手について申し上げます。従来、養護助教諭はその資格に関しましては、教育職員免許法に規定がございます。実習助手につきましては、国立学校設置法施行規則並びに高等学校設置基準におきまして、これを置く規定がございます。また、両者ともに教育公務員特例法の準用を受けることは寮母と同様、施行令により定められておりますが、特例法に規定する教育公務員には含まれていないのであります。
 なお、従来両者の職務につきまして、学校教育法施行規則には何ら規定がなかったのでありますが、去る昭和三十二年十二月四日制定の文部省令による学校教育法施行規則の改正によりまして、養護助教諭及び実習助手の職務規定を追加いたしておりますが、法律による定めはないのであります。これらの養護助教諭や実習助手がそれぞれの学校におきまして果しております職務が、それらの学校の教育に欠くことのできない重要性を持っておりますことは、ここにあらためて申すまでもございませんが、特に近時、科学技術教育の推進が叫ばれております実情におきましては、理科教育、産業教育の振興のために、実習助手の必要性が痛感されているのであります。
 従いまして、先に述べました寮母と同様に、養護助教諭と実習助手の設とその身分関係についても学校教育法及び教育公務員特例法に、それぞれ明確な規定を設けようとするものでございます。
 最後に、大学の助手について申し上げます。現在、学校教育法には大学に助手を置く規定がございますが、その身分に関しましては、教育公務員特例法施行令で特例法を準用することになっておりますので、これを改めまして特例法上の教育公務員にしようとするものでございます。
 以上が、改正点の要旨でございますが、これらはいずれも重要な学校教育運営に大事な役割をになっている人々の職務と責任と身分を明確にしようとするものでありまして、これによりまして、これらの職員の職務についての責任感と自信と希望がより一そう高められ、さらに、その資質が向上し、待遇等が改善されますならば、学校教育振興上、きわめて適切な措置であると信ずるものであります。
 何とぞ十分御審議の上、御賛成下さいますよう御願い申し上げます。
#42
○理事(松永忠二君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 ちょっと速記をとめて。
#43
○理事(松永忠二君) 速記をつけて。
 それでは、午前中はこれをもって休憩し、午後一時半から開会いたします。
   午後零時二十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十一分開会
#44
○理事(松永忠二君) それでは、午前に引き続き委員会を開会いたします。
 まず、委員に異動がありましたから報告いたします。
 本日、大谷贇雄君が辞任され、その補欠として林屋亀次郎君が選任されました。
  ―――――――――――――
#45
○理事(松永忠二君) 社会教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#46
○高田なほ子君 文部大臣にお尋ねいたします。昭和二十四年に社会教育法が制定されまして、当時の国務大臣高瀬荘太郎氏がこの社会教育法の提案理由について重要なポイントの点を実は述べておるわけであります。この提案理由の中で、社会教育がまことに祖国再建をになう国民の間に行われる以上はきわめて重要なものである、しかし、この重要な社会教育は、国民相互の間に行われる特殊な教育として自主的なその立場を十分とっていかなければならない、つまり社会教育の運営の面において十分に注意しなければならないのは自主的な運営の面であるということが強くうたわれ、また、法の精神もその通りであったと私は思うわけです。注目すべき問題は当時の提案理由の中にこのように述べておるわけであります。社会教育関係の各種の団体と国及び地方公共団体との関係について規定しておるのであるが、国及び地方公共団体としては、民間の社会教育関係団体ができるだけ自主的にかつ積極的に活動を続けていくことができるように、これを助長することが大切でありまして、そのために各団体の指導者の養成に努め、それらの団体の情報センターたるの機能を果すべきものと考えております、従って、本法案中に国または地方公共団体のこれらの任務に応じ得るよう規定いたしておるのでありますが、一面各団体の自主性を確保するためには、団体に対して不当に統制的支配を及ぼしたり、その事業に干渉を加えたりするような事態に陥らぬようにし、また、補助金を与えることもこれを差し控えるべきであると考えて、そのように規定いたしておるのであります、これは当時提案の中にうたわれた最も社会教育民間団体の運営を主張されたものであって、社会教育法十二条並びに十三条の関連をこの提案説明の中で雄弁に物語っておるようであります。ところが、今回の改正案はこの当初社会教育法を提案された当時の情勢とあまり変らないような情勢の中で、最もポイントにわたる十三条を削除するということは、やはり社会教育法の法案の性格が若干変えられてくるのではないか、こういうふうな心配を持たざるを得ないのであります。従いまして、文部大臣におかれましては、改正案をお出しになるに先だちまして、社会教育を推進するに当ってどういうような方針でいこうとするのか、その基本的な方針をこの十三条削除の問題と関連をして御説明願いたい。
#47
○国務大臣(灘尾弘吉君) 社会教育といわれております事柄につきましては、私から申し上げますまでもなく、できるだけその関係者の自発的な活動によりまして、これが発展を遂げるようにありたいものと考える次第であります。活動の分野も、また、その方面もいろいろ多岐にわたっておることでございますので、特にそういうふうな姿において発展を遂げることが一番望ましいと考える。現在の社会教育法におきましてももっぱらこの関係団体の自主的な活動を期待し、また、さらにその自主的な活動が一そう盛んになるようにこれを援助する、こういうふうなことが、主眼になっておるように思うのでございます。その考え方につきましては、今回改正案は提出いたしましたけれども、何ら変りはないつもりでおります。私どもといたしましても、現在の法律にもありますように、各種関係団体に対して、あるいは干渉するとか、あるいは統制を加えるとか、そういうふうなことは現行法でしてはならないことになっております。その通りに、この改正案を出しましてもこの規定はそのまま残っておる、われわれといたしましてはあくまでも自主的な発展を遂げるようにできるだけの配慮をいたしたいという心持にほかならないわけでございます。基本の考え方としましては従来と何ら変りはないと申し上げてよろしいと思うのであります。ただ問題は、その社会教育の発展をはかります上において、現行法通りでそのままにしておいていいかどうかということについての判断の問題になろうかと思うのであります。法実施以来の状況にかんがみ、また、今日の社会の実情等をかんがみますれば、われわれといたしましては、社会教育方面の仕事がさらに積極的に、さらに充実して発展をすることができるように念願してやまないものであります。そういう意味において、あるいは指導、助言の面において、あるいはまた社会教育の中枢機関たるべき施設の整備、あるいはまた特に必要と認められるような事業に対しましてはこれが援助の道を閉ざさない、こういうふうなやり方によりまして、この仕事が一そう積極的に進展するように取り計らって参りたい、こういう考え方にほかならないのでありまして、基本的な考え方といたしましては従来と何ら変りない、そういう心持で今回の改正案を提案いたしたわけであります。
#48
○高田なほ子君 基本的な考え方については変っておらないという御説明であります。もちろん私もそういうふうに理解したいと考えるわけでありますが、今日の情勢から一そうこの社会教育をさらに充実させなければならぬ、こういうふうな、かなり重要な段階に至っておるので改正をした、こういうふうにも受け取れるわけであります。従いまして、この充実を希望するというに当りましては、やはり社会教育の方針、こういうものを明確にしていただく必要があろうかと思う。私がこの質問をいたしますのには次のような伏線があるからであります。それは最近、この社会教育に関する文部省側、あるいは地方当局の干渉がかなりに目立ってきておる、これは幾多の実例があげられておるわけでありますが、なかんずく平和の問題、あるいは平和憲法を守ろうというような、国の基本的な問題等に触れるようなおそれのあるものに対しては、特に最近いろいろな意味での干渉と申しますかが加えられてきておるわけなんです。一体、この社会教育法は成人を対象にするものでありましても、法文に示すように、教育基本法にのっとった方針でなければならないことは明確であります。教育基本法にのっとるということは、とりもなおさず現行憲法に対しての忠実な実施、この精神を尊重していくということには何ら変りはないのではないかというふうに私は考えるわけであります。従いまして、社会教育を充実させる方法というものは、民間団体の自主的な運営に待つとは言いながら、一面においてかなり政治的なにおいのある制肘が加えられておるということについては、はなはだしく遺憾の意を表しながら、大臣に対して充実の方針について、この際明確な御説明を承わっておきたいと思います。
#49
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいまのお言葉にもありましたように、社会教育の根本的な方針と申しますか、考え方と申しますか、これはもちろん日本憲法ないしは教育基本法の趣旨にのっとって行われるべきことは当然だろうと思うのであります。従いまして、この大方針にはずれたような行き方をする事業がありといたしますならば、これに対しましては適切な指導なり助言なりということも、あるいは必要になってくるかと思うのでございますけれども、私は今お話しになりましたような意味合いにおいて、何か特に文部省なり、あるいは地方の教育委員会において正常な姿で運営せられております社会教育に対して、格別干渉するとかというふうなことがないと思うのでありますが、もしそういうふうな行き過ぎの点があるのではないかというようなことがありますれば、これはまたさようなことがないように気をつけて参らなくちゃならぬと思うのでございます。ただ、社会教育の名のもとに、また基本の大きな方針から申しまして、これを逸脱しておるとか、片寄っておるとか、あるいは非常に政治的なにおいがするとかというようなものがあれば、社会教育の円満な発達をはかります上にいろいろ御注意を申し上げるというようなことも、これは一がいにないとは言えないと思うのでありますが、どういうことを御指摘になっていらっしゃるかよくわかりませんが、気持といたしましては決して正常な社会教育事業というものに対して統制、干渉というような態度をもって臨むつもりはございません。
#50
○高田なほ子君 大臣の言明を私は信じたいわけなんです。前に灘尾文部大臣が文部大臣であったころの時期に大分県に起った事件なんです。朝日新聞の伊藤昇という人を講師にしたいという青年団の希望に対して、県当局の方から、これに対して制肘と申しますか、これは文部省内からのサゼスチョンによったようでありますが、当時灘尾文部大臣はこのことを大へん遺憾とされて、伊藤昇氏を無事に講師として青年団が呼ぶことができたということもあるわけですので、灘尾さんに関する限り今の言明というものを信じたいわけなんです。しかし、十三条の、補助金を与えるということは、結局団体に対して統制力の及ぶおそれがある、その意味においてこの補助金を与えることをやめるのだという当時の、法制定当時の提案理由を裏返すと、十三条を削ってしまうことによって、つまり補助金を出すということ――補助金を出すということは、当然やはりこれは国が、責任を持つということになってくる。国の責任というものは、当然第九条あるいは第九条の五、六等なり以下条文で明確にされておるようでありますけれども、この国の責任ということと、その責任が度を越して、それぞれの仕事に対する自主的な運営を阻害するようなおそれのあるものに対して、大臣の言明によればそういうことのないように、これは十分注意をするというお話でありますが、遺憾ながら注意をするということだけでは、あるいは制定当時の杞憂というものが杞憂に終るのではないかという、取り越し苦労だと言われればそれまでの話でありますが、何らかのこれは注意事項並びに規制というものは、私は法文の上に出てこなければならないものだという考え方を実は持つのです。このことについて大臣に確信をもって、そういう十三条を削っても、言葉が適当な言葉がないので、少しきつくなるのですが、不当な干渉というものを避けられるというような保証はどこにもない、何か保証をつけるような気持がおありになりますか、どうですか。
#51
○国務大臣(灘尾弘吉君) 十三条を削りましても、十二条の規定は残っているわけであります。従いましてこの十二条の規定に違反するようなことは、幾ら補助金を出したからと申しましても、これは慎しまなければならぬことは当然のことであります。ただ補助金をどういうふうに出すかというふうな点が、一つの問題にもなろうかと思うでありますが、本来立法当初におきましては、社会教育の自主性を尊重する、自主的な発展を期待するという、この理想のもとに、補助金なんかを出すと、ややもすれば今おっしゃったような心配がなきにしもあらずということで、補助金を出したりするような道をふさいだのだろうと思うのでありますが、現実の状況から見ましてやはり適切な事業、これから大いに伸びてもらわなくちゃならないというような事業につきましては、国なりあるいは公共団体なり、そういうところでお手伝いをする道はあけておいた方がよろしくはないか、その方が実際問題として、各地方において社会教育の振興をはかる上において適当ではないか、こういう考えのもとに、今回この十三条を削除することにいたしたわけでございますが、この十三条を削除することによって、今後国あるいは公共団体で助成のことを考えます場合においても、十二条のこの規定というものはどこまでも尊重して参らなくちゃならぬということは、申すまでもないことと思うのであります。また、一方的に何か国が目的を定めて、そのために補助金を出して、無理にでもそれの方に引っぱっていくというふうな、こういうふうな私どもは考え方をいたしておりません。それぞれの団体においていろいろやっております中に、特にこういうふうなことは助成してほしいというふうな、そういうふうな要望に基きまして、いろいろ財政その他の点も考えまして、財政事情が許せば、これを援助していくという道だけは開いておきたい、こういうふうな気持で作っているわけでございます。現実問題となりました場合に、補助を要望せられる向きと、補助を出す向きとの間に私はそごはないと思います。決して統制するとか干渉するとかという、今おっしゃった不当な干渉でもするというようなことにはならない、また、そうあっちゃならぬものと、さような考え方をいたしております。
#52
○高田なほ子君 今日までもこの十二、十三条の規定がありましても、事業委託という形で、お金を出して事業をやらせる、こういうふうな形に今日までなっておるわけですが、具体的にこれは大臣でなく、事務的な問題に少し入るわけですが、補助金の出し方というのは相当やはり問題があるだろうと思うのです。今日までの事業委託というものと、補助金というものはもちろん性格は違っているわけなんですが、政府としてはこの法を改正するに当って、どういうような形でどういうような内容に、どのくらいの額にどういう方向で補助金を出していこうとするか、十三条削除に基く構想と、それから予算的な措置などはどういうふうに考えているか。この点を明確にしてもらいたい。
#53
○国務大臣(灘尾弘吉君) 今回のこの改正案は、従来戸を閉ざしておりました点をあけまして、補助、助成の道を開くということにとどまっておるわけです。今これを出しました半面において、どれだけの補助金を出すとか、どれだけの財政的な用意をしておるとかというところまでは至っておらないのでございますので、これは将来の問題として一つお許しを願いたいと思います。
 今、委託というふうなお話もございましたが、その辺は一つ事務当局からお答えを申し上げることにいたしたいと存じますが、従来まあ実際問題として、何か援助をしてあげなくちゃならぬ、あるいは助成をしてあげなくちゃならぬというふうに感ぜられる場合に――かようなことを申しましてはあるいは行き過ぎかもしれませんが、私は率直に申し上げて、補助の道がございませんために委託というふうな形式をとって、そうして実質的には補助、助成の目的に近づいていく、こういうふうなことをやった場合もあろうかと思うのでございますが、いさいのことは政府委員から一つ御説明いたしたいと思います。
#54
○政府委員(福田繁君) ただいま御質問のような点に関しまして、十三条の規定がありますために、実際に地方などにおきましては、社会教育の事業に地方の公共団体が援助をしなければならないというような場合が、現実に起っております。従ってそういった場合には、今おっしゃったような事業を委託するという形もあるいはあると思います。また、地方公共団体がその事業を共催するとういようなことによりまして、実質上の援助の形をとる場合も従来やっております。そういういろいろな形がございますが、この十三条の改正によりまして、むしろそういう、たとえば団体でございますと、団体が自分の事業をやるのに地方公共団体と共催しなければならないというような、むしろそういう言葉は悪うございますが、形式的な共催の形をとるよりも、むしろ団体に対して直接に補助金を出した方が、むしろ団体の自主的な運営にまかせて、その事業が遂行できるというような観点からいたしまして、十三条を削除した方がよろしいのではないか、こういうような考えでおるのであります。
#55
○高田なほ子君 ちょっと、そうすると疑問が残るわけです。それはそれでいいわけですね。が、今まで共催で、というような形でやっておったが、そういうことをするよりも、むしろ団体の自主的な運営にまかせた方がよいので、団体に直接出せるような道を講ずるのだ、こういう御答弁でありますが、あなたの説明をかりますと、国が出す補助金は、その団体の自由裁量に基いてこれを使えることになって、これはまことにけっこうなことなんです。しかし、時と場合によっては、弊害を伴うこともあり得るので、補助金等に対する規正は他の法律でもきまっておるわけです。そこらの疑問がちょっと私には解けないのです。もう少し補助金等に対する規正と、今の勝手に使ってもいい、直接団体に対して自由に使ってもいい、これはちょっと矛盾するように思いますが、これはどうなんですか。
#56
○政府委員(福田繁君) ただいまの補助金の使い方ですが、補助金を交付するにつきましては、国でもあるいは地方公共団体におきましても、その補助金を支出する目的があるわけであります。従ってまた、その目的の対象となるべき事業もあるはずであります。従って、そういった補助金の対象になった事業を的確に、その補助金の使途を明確に使うということは、これは当然のことでありまして、補助したから何でも勝手に使ってもよろしいというわけではない。そういう意味で、御承知のように補助金の適正化に関する法律もありまして、補助金の交付の場合には一定の補助条件というものをつけます。また、それに必要ないろいろな状況報告とか、いろいろな調査とかいうものも、補助金の事業を円滑にかつ確実に実施するために必要な、そういった一定の事柄がついておるわけでございます。従って、その適正化法にきめられておりますような事柄は、これは当然団体の補助がありますと、当然受けるわけでございます。
#57
○高田なほ子君 目的の対象になるものに交付するわけでありまりから、事業の目的にならないような対象にはこれは交付しないということに裏返せばなるんで、当然国が補助金を出す以上は、この補助に対する条件がつけられるわけであります。これは適正化法に明確になっておるわけです。こういうことになって参りますと、たとえば現在の岸内閣が憲法改正に対しては改正しようとする意図を持っている。ところが、青年団体はこの憲法については改正すべきでないというような意図を含んだ講習会等を持とうと計画をする。この場合、文部省当局はこういうようなものに対してもこの補助金を勇敢に行うだけの自信がおありですか。どうもこの法律が通過いたしますと、十三条削除によって補助金を出す場合に、国がこの補助に対する条件をつけて参りますと、時の政府に批判的な会合、時の政府の行政に対してするどい批判を向けるような討論会等、そういうものに対しては当然やはりこの補助金というものは出し渋るようになってくる。時の政府が財布を握っている以上は、やはり財布を握っている方に力があるのでありますから、こういう問題でいざこざが将来起るおそれなしとしないんです。従って十三条を削除するということは、やはり時の政府に歩調を合せるような諸団体に対しては、補助金がいくかもしれないが、しからざるものに対しては、この補助金の交付というものは切られていく。切られていくということは、その団体の活動が逼塞していくということであって、時の政府のさじかげんいかんによっては重大な教育の中立性というものが、行政面から侵されていくというような危険なしとしない。どうもここらの心配が局長の御説明では十分解消したと思われませんので、大臣に、補助条件というものによって拘束されないかという問題について御所見を承わっておきたい。
#58
○国務大臣(灘尾弘吉君) 補助は、この十三条を削除いたしましたから当然に補助がいくというものではもちろんないわけでございます。これは御承知の通りでございます。補助を出しますのは、政府なりあるいは補助を出す側において、これは助成を必要とする、これは助成すべきであるというようなものでなければ補助を出すはずは私はないと思う。その間に、事業をする側と補助をする側と完全に意見が一致しました場合に補助というものは私は出せる問題じゃないかと思うのであります。今のお話のような問題ですが、まだ実はどういうものに補助を出すというふうなことをきめておるわけでもございませんし、結局それがきまりませんというと、お話のような問題にもなってこないわけでございます。私どもとしましては、補助を出す側が、その好まざる事業に対して補助を出すということも、これはあり得ないと、一般的に申し上げざるを得ないと思います。問題は、結局各種団体が一体どういう事業をやるか、またどういう事業に対して補助していくかというふうな問題が、今後具体的にいろいろきまっていく問題だと思いますので、その際、もし不当な補助の仕方をしているというふうな場合には、これは御批判を受けても仕方がない問題になって参りますが、今の場合といたしましては一がいにこうというお答えをいたすわけには参らぬと思うのでございます。
#59
○高田なほ子君 まだ御研究途上のようでありますから、いずれまた文部省としても十分御研究の結果、われわれにこの明快な御答弁をいただく機会があろうかと思うわけであります。ただ、大臣にさらに確かめておかなければならないことは、先般の参考人をお呼びいたしまして、社会教育法の改正等についての御意見を実は拝聴したわけです。そのときに、一橋大学教授の田上さんから憲法八十九条との問題についての公述がございました。多分これは文部省からもお見えになっておりましたから、この御説明等については、私がここでくどくどと申し上げる必要はないと思いますが、補助金によって監督関係ができることはまことにまずいということはここで言っておられるわけであります。そこで、補助金は、八十九条は補助金を全面的に禁止するのじゃないという見解をお持ちになっていらっしゃるわけです。ただし、教育事業そのものでなければ、団体に出すことを規制してはいない。教育事業であるものに出すならば、これは憲法違反になるのだ。つまり、教育事業そのものに出すことはこれはいけないのだ、しかし、教育事業でないものにこの補助金を出すということについては、別に違反ではないのだというような、かなり私どもにとってはわかったようなわからないような御説明であった。そこで、文部省が従来、教育事業でないものである、教育事業であるものであるというものを社会教育の中で、そんなに画然と分けられるのかどうかということですね。今までの教材とか、事業委託という経験があるわけなんですから、そんなに実際問題として画然と区別できるものなのかできないものなのか、もし教育事業そのものと、教育事業そのものでないものというのが、もっと詳しく分けられないで、補助金を出すということになると、当然これは憲法八十九条の違反問題が起ってくるのですが、何らかこれについての手当等については、すでに御研究になっているものでしょうか、どうでしょうか。この教育事業であるものと、教育事業でないものとの限界というものですね、それはどこでつけるのか、この際はっきりと承わっておきたい。
#60
○政府委員(福田繁君) おっしゃるように、せんだっての田上教授のいろいろ所論の中には、いわゆる憲法八十九条の、教育の事業に該当すれば出せない、それ以外のものは出しても差しつかえないというような御解釈のように伺ったのでありますが、従来の政府部内におきましても、それに近いような解釈をとっております。これは文部省というより、むしろ法制原局で大体きめられたような見解でございますが、御承知のように、社会教育法に言う社会教育団体の行います事業は、いろいろ範囲が広うございます。従って、先ほどおあげになりましたような講習会等もいろいろあると思いますが、そういういわば一定の教育計画に基きまして人を育成する、肉体的にも精神的にも育成するというような、そういった教えるものと教えられるものとの関係がありまして、そうして一定の目標に従った教育計画に基いて実施されるというようなものが、大体教育の事業だと、こういうような解釈をとっているわけであります。従ってそれ以外の、たとえば社会教育関係団体の行います事業の範囲でも社会教育に関しまして、一般的に啓蒙宣伝をするとか、あるいはまた団体間の連絡調整の事業だとか、あるいはまた社会教育に関していろいろ相談に応ずる事業だとか、あるいはまた社会教育関係団体におきまして、いろいろ図書、記録だとか、視聴覚教育資料等を一般の講習に利用させる事業だとか、あるいはまた資料の展示会、そういったいろいろの事業がございます。そういった各種の事業で、先ほど申し上げましたような狭い意味の教育の事業に属しない事業は、これは出しても差しつかえない、こういうような解釈を一応とっております。従って私どもといたしましては、将来十三条が改正になりました暁において、そういった個々の団体に出す場合におきましては、やはり団体が行います個々の事業というものをよく見て、そうして差しつかえない事業に出すというような建前になろうかと思います。
#61
○高田なほ子君 まことにここは微妙な問題でございました、この間の公聴会においても……。結局は十三条を削除しても、憲法八十九条が優先するという原則というものは、これは堅持していかなければならないということ、これは今御説明をいただいたし、またそうでなければならないと私は思うわけであります。そこで、今、局長から、教育計画に基く事業、直接に教育に関係するものは教育事業である、そのほか一般的な啓蒙宣伝、連絡等、そんなものは直接教育事業じゃないのだというような御説明があったのですが、これでは社会教育事業というのはとても私は広いものだと思う。青年団、社会教育団体でしょう、それから婦人団体その他のいろいろな民間団体と実に各種各様であります。行事もうんといろいろあるわけですね。でありますから、おそらく将来は、近い将来において、文部省としては教育事業そのものと、教育事業にあらざる事業、そういうものが、かなり明確に、だれにでもわかるような基準というものを将来作られる必要があるのじゃないかと思うのです。今までのようなやり方では、私は十三条を削るということになれば、容易ならざる問題ですから、それくらいの周到な準備はおありになるのではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
#62
○政府委員(福田繁君) 私がただいま例示的に申し上げましたような事業については、法制原局もそういう事業にかりに補助金を出しても差しつかえないというような見解をとっております。従って、まだあろうかと思いますが、それ以外のいろいろな事業につきまして、さらにこれを個々の事業にわたって研究する必要があれば将来ともに研究していきたいと考えておりますが、目下のところ、ただいま申し上げたような幾つかの事業については、はっきりした見解がきまっております。
#63
○高田なほ子君 それはいつからきまったのですか。いつからそういうのがきまっているのですか。
#64
○政府委員(福田繁君) 実は昨年の二月二十二日付で法制原局の第一部長から私あてに、この八十九条の教育の事業に関連しまして、そういう法制局のまとまった見解をいただいたのでありますが、そういう見解に基きまして、実はこの前の国会におきまして、国際的あるいは全国的な運動、協議を行う団体につきまして補助金を出し得る、十三条の規定にかかわらず補助金を出し得るというように法律の改正をお願い申し上げたのであります。その当時、こういった今申し上げたような見解を政府部内で出したのでございます。
#65
○高田なほ子君 この運動、協議に補助金を出す問題も、先般、公聴会ではなはだどうも解釈の仕方によってはいろいろ解釈ができるような気持を実は持ったのです。私もこの点については非常に重要でありますし、また当委員会としてもやはりこういう基準等については、お互いに知らなければうまくないと思うので、そういう法制局が出した見解というものはことこまかに、あるならば資料として一つ私どもの方にも御提示願って、その上に本問題については質問をしたいと思うので、この点についての質問は保留させていただきたいと思いますが、資料としてお出していただけますか、いかがですか。
#66
○政府委員(福田繁君) 差し上げます。
#67
○高田なほ子君 お願いします。
 その次、社会教育に対する政治教育の問題について大臣にお尋ねをしたい。教育基本法には御承知のように、政治教育というものは正しく積極的にやっていかなきゃならない、むしろこれは消極的でなく、基本法の精神は積極的にこれをやっていく、しかし、それには政治活動という限界があるにしても、とにかく基本は積極的にやっていかなきゃならないということになっています。私は、社会教育に関する限り成人の教育であります。青年たちはその時限では選挙権を行使する年令になっていないものも含まれているかもしれませんが、すぐにも政治に直接責任を持たなければならないような人たちをかかえての問題だと思う。従って社会教育の実施上における政治教育の部面というものは、相当重要な問題だろうと考えられますので、社会教育における政治教育のあり方、並びに政治教育はどういうふうにこの社会教育に地位を占めていくかというような点について、ごく基本的な考え方を大臣にお尋ねしていきたいと思います。
#68
○国務大臣(灘尾弘吉君) 社会教育の中で、私は国民の資質と申しますか、あるいは市民の資質と申しますか、それの向上をはかっていくということを社会教育としても大きな使命と感ずるのであります。いわば公民教育とか申しますか、そういうふうな意における社会教育は私はきわめて重要な地位を占めなければならぬものと、かように考えております。
#69
○高田なほ子君 政治教育はともすれば政治活動と混同しがちの部面があるのです、実際問題として。これは大臣も御承知だと思うのですが、地方の民間団体等によくある例でありますけれども、政治家の話を聞くと、これはもう大へんなことになってしまうから、政治家の話はできるだけ聞くのをやめようというような団体もまだ婦人団体等に多い。また、これは自民党さんを誹謗するわけじゃないのですが、このお世話役になっているような方がたまたま自民党に関係のある方であった場合に、自民党の方を会長や何かにすることは一向平気だけれども、社会党の方の話を聞くのは、これは政治活動だというようなことで、ことさらに避ける部面があるようであります。これはだれがこうしたから、ああしたからこういうことが悪いというのではなくて、大臣の今の御説明、また御所信の御披露のように、積極的に政治教育を一つの公民教育としてやっていくということになりますれば、おのずから政治の問題についても積極的に各団体が取り上げるということについて私は援助をすべきものだと思う。ところが、これは先般の予算委員会で、市川さんから文部省の公民教育というものはなっていないというような非難を含めた質問があったわけです。灘尾文部大臣はその席においでにならなかったから十分におわかりにならなかったかと思いますので、一々例をあげるのも時間もございませんから避けたいと思うのですが、たとえば東京で行われた社会教育の部面における政治啓発の面を取り扱った会合で、社会教育の方がおいでになっていろいろ指導されたときのことが書いてあるのです。身の回りの問題を取り上げてやらなければならないとか、いやシンポジウムはこうするとか、パネル・ディスカッションはこうするとか、こういう技術の面ばかり社会教育の方は扱っている。どぶの話も出たそうです。どぶの話はどぶの話でけっこうなのだけれども、どぶと政治はどういうつながりがあるかというふうな問題に触れることを極力おそれて、結局どぶの話はどぶの話に終って、何も政治教育というような面には触れられなかった。これではせっかく社会教育というものがあるのに、あまりに歯がゆい話じゃないかという意味の市川さんの御発言があり、私も全くそうだと思う。これらの真相を私は聞こうというのではないけれども、ややともすると、政治教育という部面が取り上げられると、はなはだしく憶病になりがちである。私は、公民教育として欠くべからざる問題であるから、政治教育は純粋な意味において積極的にこれを推進していかなければならないという見解を持つわけです。この点について再度、大臣のいい御答弁をわずらわしたいと思います。
#70
○国務大臣(灘尾弘吉君) 社会教育は申すまでもなく、先ほど申しましたようになかなかその内容が複雑であり、また多岐にわたるのでございます。いろいろなすべきことはたくさんございますが、その中に今私が申しましたように、公民としての良識を高めていく、こういう意味合いにおける政治教育の占める地位は決して軽いものとは思えないのであります。ほかのいろいろな社会教育事業とあわせて、やはりこういうものももちろん進めていかなければなるまいと思うのでございます。社会教育は本来、先ほど来のお話にもございましたように、自主的に展開せられる活動でございますので、どういうふうな政治教育をやれとか、こういうような政治教育をやれとか申しますのもいかがかと思うのでございますが、願わくはほんとうに市民として、公民としての良識を養う意味において、どこにも片寄らない、いろいろのことが頭に入ってくるような政治教育をやるのが適当ではないか、かように私は考えている次第でございます。具体的な例として、たとえば一党一派に偏したような政治教育を社会教育の名においてやるというようなことは必ずしも適当でない、かように考えております。
#71
○高田なほ子君 それは全くお説の通りです。ただし、政治活動と政治教育という面は画然と区分していかなければならないことは当然でありますし、また文部当局としても、社会教育団体に対して昭和二十七年十二月二十六日付で政治活動に関する通牒を出しておられるようであります。この通牒は私は大へんけっこうだと思うのです。この通牒の内容は、社会教育関係団体のうちでも、特に多数の公職選挙法上の有権者を構成員とするPTA、婦人会等は、」云々とあり、「その活動が政治の分野等における実際活動とならないように」と、こういう文句なんです。それから第二項では、社会教育団体の関係者が立候補することについてです、「但し、役員が現職のまま立候補することは、社会教育関係団体の正常な運営を傷つけるおそれが多分にあるので、現職を辞してから後に立候補することが望ましい。」これは昭和二十七年に出された政治活動の分野における文部省の見解であったようであります。私はこの見解は大へん正しいと思うわけでありますが、以下私の質問することは遺憾ながら次の問題になるわけであります。これは予算委員会でも問題にっなたのですが、政府当局から明確な答弁がないので、政治教育と政治活動の限界の中で最近文部省がせっかく二十七年十二月二十六日に出された通牒の趣旨が若干ぼけてきているような通牒をその後出されている。具体的に申しますと、一昨年の参議院の選挙の際に新潟の連合婦人会の会長の方が現職のまま自民党の公認候補として立候補された、ちょうどたまたまその最中に文部省の社会教育課の係官が現地に来られたために、新潟県の婦人団体の間ではいろいろ論議があった末に、文部省に意見をどうも聞いたようだ、そのときに文部省側は、今私が読み上げました二十七年に出された文部省の通達の線に沿って、そういう場合はやめて立候補する方が望ましいというふうにお答えになったらしいのです。そうしたところが、新潟県の自民党の方としては、そういう文部省の答弁はけしからぬということで、自民党の本部にそのことが通達になってきた、自民党の本部組織局から社会教育局長と係官が呼ばれてだいぶしかれたということを実は聞くのです。そういう結果、まあその後広島県の自民党の支部連合会から文部省に問い合せることにした、そのときの文部省の回答は必ずしもさき私が読み上げました正しい解釈でなく、若干ゆるまったような解釈が出ておるように私承知しているのです。つまり文部省はその後、「このことは法的に禁止規定はありませんので、一般的には本人の意思によって決定すべきものであると思いますが、役員等団体の構成員に関することでありますから、当該団体の意思をも考慮する必要があると考えます。」こういうふうに、だいぶ文部省の態度はあやふやになっているようであります。これは文部省がいい、悪いとか、自民党がいい、悪いとかいう非難を私はするつもりはないのでありますが、要するに、社会教育の中に含まれる自主的な関係団体に対して、このような政治教育と政治活動の分野というものは画然たるやはり指導をしていかなければならないのに、文部省がよろめいてその指導ができないというようなことになりますと、これはずいぶんおかしなことになってしまって、社会教育の果す役割が特定政党の方に味方をするような結果を招来することになりはしないか、教育の中立性を阻害することになりはしないか、こういうようなことを憂えますので、これは予算委員会でも質問のあったことですが、どうも当時の発弁も納得を与えるだけの答弁がなかったように思います。ちょっと枝葉の問題でありますが、政治教育の問題にからんで、この際答弁をわずらわしておきたいと思います。
#72
○政府委員(福田繁君) この前の予算委員会での御質問についてのさらに御質問でございますが、当時私が答弁に立ったと思いますので、その速記録をお読みいただきますれば十分明瞭になることだと思います。
 先ほど新潟県の問題をちょっとおっしゃいましたが、新潟県の問題につきましては、私は呼ばれて、党の方に呼ばれておこられたというようなこともございません。それは事実に反しますので、その点は御了承をいただきたいと思います。ただ、この社会教育関係団体の中での政治教育あるいは政治活動という問題は、非常にこれは重要な問題でございまして、私どもの従来の考え方といたしましては、公民教育としての政治的な教養は、これは社会教育のあらゆる場におきまして当然やらなければならない問題だと考えております。従って、いろいろな婦人学級あるいはその他の学級等につきましても、公民に必要な精神的な教養というものを身につけるように、そういったテーマでいろいろな問題が取り上げられておることは御承知の通りでございます。ただし、この社会教育関係団体が政治的な実際活動をするということは、これはあくまで社会教育関係団体という教育団体でございますので、政治的な活動をするということは好ましくないということは、これは終始変らないつもりでおります。
 ただ、今おっしゃいました広島県の方から照会がありました婦人団体の役員の問題でございますが、これにつきましては、二十七年の通牒と、この回答が何らか矛盾するようなお感じを持たれておるように受け取ったんでありますが、二十七年のこの通牒は、当時の教育委員会の委員の選挙に関連しまして、社会教育関係団体の政治活動についていろいろ注意が書いてあるわけであります。これは基本的な問題あるいは方針というものは何ら変るものではございません。しかしながら、個々の団体の中の構成員となりますと、これは別にどの政党に所属しておりましょうと、これはもう建前上自由でなければならない、こう思うわけであります。ただし、その役員につきまして、団体の役員が党の幹部あるいは非常な実力者がそこに入っておって、政治的な活動に引っぱっていくということであれば、これは団体としてはある程度行き過ぎであろうと思いますが、とにかく個人が団体の役員になるということは、これはあくまで自由な問題であって、それは個々人の判断によってきめるべき問題ではないかと、こういうような回答をしたわけでございます。二十七年の通牒の中には、そういった個人の問題は全く含んでいないのであります。また、団体の役員を選挙する際におきましては、これは当然にその団体としては、会長なりあるいは幹部の役員となるべき人が適当な人であるかどうかということは、これはもう団体内部の自主的な判断によってきめるべき問題だと思います。従って、そういう意味の回答をしたのでございます。別に何の矛盾もしていないと思います。
#73
○高田なほ子君 そうしますと、昭和二十七年に出された通牒、これは教育委員の選挙に関連した通牒だと思いますが、その方針と今も全然変っておらないというふうに受け取ってよろしいわけですか。
#74
○政府委員(福田繁君) 考え方は変っておりません。
#75
○高田なほ子君 次に、各民間の団体の求めに応じていろいろ今日まで指導してきたし、これからもそういうふうになるだろうと思いますが、滋賀県の連合婦人会長の選挙にからんで、社会教育課長がこの人事についてかなり突っ込んだ指導をしているようであります。この求めに応じて指導を依頼された場合に、人事等の問題に関しては、それらの個人名等については指導すべきものではないのではないか、自主的に、自由にきめられるべきもので、幾ら求めがあったからといっても人事問題等については、相当指導するに当って注意を要すべき問題ではないかと思いますが、求めに応じるということは、人事問題、それらのものについても個々に求めに応じて指導するように考えておるのかどうか、これもはなはだしく疑問を残したまま終っておる問題でありますので、あらためて本法案の改正に当って、求めに応じて、の内容、特に人事問題にわたる場合の見解というものをはっきりとここで説明をしておいていだきたいと思うわけです。
#76
○政府委員(福田繁君) この問題につきましても、かつて当委員会におきまして高田委員の御質問に対して私がお答え申し上げたと思っておりますが、当時滋賀県の婦人団体連絡協議会の会長問題は、会の中で会長あるいは副会長の選挙が全くできなくて、万事休すというような状態になったときに、その連絡協議会の方から県の方に人選を依頼したと、こういうような格好になっておりまして、必ずしもそういった人事問題に触れることは適当かどうかということは別にいたしまして、当時の地元としては、この団体の会長、副会長の選挙に関連しましてはやむを得ない事情があったということは、これは県の文教委員会でございましたか、県の常任委員会において認めております。従って、この県の社会教育課長、その他の関係の方々のとった処置については、結論的に申すと、別に行き過ぎはなかったという結論を出しております。従って、それについては、私どもも当時お答え申し上げた通りでございます。しかしながら、まあ団体の人事問題に、求めがあったからといって、むげにそれに関与するということは、これは必ずしも適切ではないというように私どもは解釈しておったわけであります。しかしながら、この問題については、これは当時の状況としてはやむを得ない事情があった、こういうことで、県の委員会におきましても行き過ぎでもない、やむを得ない事情のもとにそういういきさつになったということははっきり常任委員会においてこれを結論をつけております。
#77
○高田なほ子君 私は、抽象的な問題としてやはりここでは論じたいと思うのです。今、滋賀県の問題を私が出したので、滋賀県のことにこだわられたと思うのですが、求めに応じて指導をするという立場のものは、原則的にはこの人事問題には触れないということが私は原則でなければならないというふうに解釈するのです。当然、文部省もそういう意思を持っていられるのだろうと思うので、滋賀県の問題は抜きにして、原則的な、求めに応じて、の場合の、介入すべき問題でない、人事問題は介入すべき問題じゃないというはっきりした態度だけはここでおっしゃっておいていただきたい、今後の問題もありますから。
#78
○政府委員(福田繁君) 原則的にはおっしゃる通りだと思いますが、ただ、団体の求めに応じて専門的、技術的ないろいろな指導、助言を与えるという場合におきましては、団体の運営自体に関連するような問題もないことはないと思います。従って、これは非常に微妙な問題ですけれども、個々の具体的な人事に関与することは、これは必ずしも十一条の所期するところではない、私どもはこういうふうに解釈しております。
#79
○高田なほ子君 次に、法文に関係をしてお尋ねをしておきたい。第九条の五に関連する問題です。社会教育主事の講習の問題。「社会教育主事の講習は文部大臣又は文部大臣の委嘱を受けた大学その他の教育機関若しくは都道府県の教育委員会が行う。」こういう条文がここに出ているわけです。そこで、この主事の講習というものは文部大臣が行い得ることに解釈上なるわけでありますが、そのような解釈をしてよろしいわけでしょうか。
#80
○政府委員(福田繁君) 御質問の意味がよくとれなかったのでありますが、現行法の第九条の五は「社会教育主事の講習は、教育に関する学科又は学部を有する大学が文部大臣の委嘱を受けて行う。」こういうように書いておりますので、講習の実施機関は、そういった教育に関する学科または学部を有する大学でございまして、文部大臣がそれに委嘱をする権限を持っておる、こういうように解釈しております。
#81
○高田なほ子君 文部大臣が直接講習を行うのではなくて、これは委嘱をする権限、そういうふうに解釈するわけですか。
#82
○政府委員(福田繁君) 現行法はそうでございます。
#83
○高田なほ子君 ところが、ここでちょっと疑問がある点が残るわけでありますが、「文部大臣又は文部大臣の委嘱を受けた大学」とあって、「文部大臣」とそれから「文部大臣の委嘱を受けた大学」と条文は二つになっておるわけですね。ですから、委嘱だけじゃないでしょう。文部大臣自体が社会教育主事の講習について最高の権限を持つもののように解釈がされるのですが、どうなんですか。
#84
○政府委員(福田繁君) 失礼しました。私は現行法を申し上げたのですが、改正案の第九条の五は、この講習につきましては文部大臣もできるし、文部大臣の委嘱を受けた大学その他の教育機関もできる、こういうように実施機関は広くなっております。
#85
○高田なほ子君 そういたしますと、地方教育行政法の第四十八条は、文部大臣の都道府県委員会に対する指導、助言、または援助について規定されておるようであります。これによりますと、文部大臣は都道府県または市町村に対し、教育に関する事務の適正な処理をはかるため必要な指導、助言または援助を行うものとする、こういうふうに地方教育行政法の四十八条は文部大臣の権限についてその範囲を規定してある。要約いたしますれば。これは文部大臣がじかにいろいろな教育の講習やなんかをやる権限はなくて、ただ都道府県とか市町村委員会に対して事務の適正な処理、それの指導、助言を行うことになっておるように私は解釈する。ところが、第九条は一足飛びに社会教育主事の講習は文部大臣がじかにこれを行い得るような解釈をとっておられるようでありますが、こうなってくると、われわれがはなはだしく心配しているいわゆる社会教育の第一線に働く主事が大臣の命のままに行われる講習会に命のままにこれに従わなくてはならないというようなことになりかねない。従来、教育の地方分権、教育の自主性、こういうものを守るために、この地方教育行政法の四十八条は、文部大臣と都道府県の関係というものを明確にしてきたのだろうと思うのです。従いまして四十八条では、これは事務の適正な処理のための指導、助言は、文部大臣は都道府県または市町村に行い得ることができるが、こうした研修とか、指導主事の講習なんという重要なものは文部大臣がじかにこれを行うというようなことは中央集権化のおそれ多分になしとしない。従って、四十八条の規定と、それから第九条の五の文部大臣の権限というものはどういう関係を持つものなのかですね、この辺を詳細に説明をしていただきたいと思います。
#86
○政府委員(福田繁君) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第四十八条の規定に関連しての御質問でございますが、この四十八条は文部大臣と都道府県あるいは市町村との関係を、そこに列挙してございますような事務についての指導、助言、援助の関係を規定したものでありまして、その中に、四号を見ていただきますと、「その他研修に関し、」というような研修等を行えるようになっておりますが、ところが、この研修は一般の研修でございまして、今回の社会教育法の第九条の五に規定しておりますこの講習はこの第一項の方の講習でございますが、これは第九条の四に掲げておりますような、このいわゆる資格を付与するための講習でありまして、いわゆる養成講習と称しておるものでございます。従って、この社会教育法の本法の方にこういう規定を掲げておるわけでありまして、従ってこの養成講習につきましては、この第九条の五に掲げますように、これは当然にここに掲げまして、そして講習の実施機関についてあるいはその権限のある者をはっきり出すということがこれは建前でございます。従って、この地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第四十八条とは直接に関係はないのであります。
#87
○高田なほ子君 確かにそれは直接に関係はないかもわかりません。しかし、事教育に関する問題の原則はやはりこの地方教育行政の組織及び運営に関する法律の中にこの原則論を私は示されておるものだと思う。社会教育といえども一般教育と特段に変ったものじゃないと私は思う。そういうような観点からすれば、この今の御説明は四十八条の第四号は「校長、教員その他の教育関係職員の研究集会、講習会その他研修に関し、指導及び助言を与え、又はこれらを主催すること。」という条項があるが、これは一般の研修で、そしてこの指導主事の養成講習とはこれは別個のものだという解釈をとっておるのですがね。私は、これは必ずしも別個のものではないと思う。ほんとうにこれは別個のものに考えて第九条の五というふうに規定されたのでしょうかね。原則というものは堅持しなきゃならないものじゃないでしょうか。いかがなものでしょう。
#88
○政府委員(福田繁君) 第九条の五の第一項のこの養成講習につきましては、これとは関係はないのであります。
#89
○高田なほ子君 どういうわけで、これと関係ないのですか。全くこれは教育問題と違うことなのですか。
#90
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げましたように、この資格を付与する講習につきましては、第九条の四に規定してありますように、一定の単位を取り、しかも一定の年限を、実務を経た者がさらに社会教育主事となるためには必要な講習を終了した者について社会教育主事の資格が取れるというように一号、二号、三号に書いてございます。従って、その一号、二号に掲げておりますところの養成講習というものは、これは社会教育法の中に、その次の九条の五に規定してあるのが、これが前条を受けての講習でございますから、従って、私は関係がないと申しましたのは、直接四十八条と何ら関係はない、こういうように申し上げたのであります。かりに何か教員の免許につきましても、たとえば免許法においていろいろな講習が規定されるのと同様な関係だと思います。
#91
○高田なほ子君 社会教育は学校教育と車の両輪のように行われなければならない大切なものであることは、もちろん論を待たないわけですね。従いまして、この社会教育の問題等についても、教育行政の組織及び運営、こういうものに掲げられた原則というものは、ぜひ踏襲していかなければならない部面が多いのではないか。で、私がこういうことを心配するのは、文部大臣はです、従来この都道府県あるいは市町村、これらに対して事務の適正な処理に対して、指導、助言を与えることができる。これだけのことなんです。それを今度は社会教育主事にですね、一足飛びに文部大臣が直接君臨をして、これの養成講習を行うということになればです、これは天下り講習、そして全国統一的な養成講習というものが行われるのです。中央集権になるおそれが多分にあるのではないか。これはむしろやはり地方のですね、条例等にゆだねて、社会教育主事に対する専門的な養成講習というものがされてですね、地方の自主性並びに民間団体の自主性を中央が押えつけるような方向を極力排除すべきではないか。こういうような私は実は見解を持っている。そういう見解を持っているわけです。
 それで、この間公聴会で、あなたお聞きになっていらしったと思いますが、私、一橋大学の田上さんに、この問題を大へん重要だと思いましたから、質問を実はしたのですが、そのときに、私の質問の要旨は多分御承知かもしれませんが、地方教育行政の組織及び運営の第二十条には、「条例で、教育に関する専門的、技術的事項の研究又は教育関係職員の研修、保健若しくは福利厚生に関する施設その他の必要な教育幾関を設置することができる。」こういうふうに三十条は規定いたしまして、教育の専門的、技術的事項の研究、教育関係職員の研修、それらのものはやはり地方の条例でもってこれを行なっていくという原則はここに書かれてあるわけなんです。ところが、これが、文部大臣がこれを行なうということになってくると、中央集権、天下り講習、こういうような危険性を多分に持つのではないか。こういうような質問をしたことに対して、田上さんもこの運営の問題については、かなり慎重にしなければならない。文部省と教育委員会との関係では、法律の動かし方それ自体が、非常に問題になってくるのだというようなうんちくのある答弁をされておったわけなんですね。どうもこの第九条の五並びに第九条の六、この問題は文部大臣がじかにこれを行うというこの一項については、第四十八条並びに第三十条の関連で、教育の民主化、こういうような点から何とも納得のいかない点があるのでありますが、三十条等の関連において、九条の五、六をもう一度一つ説明していただきたい。
#92
○政府委員(福田繁君) 田上先生の御意見は私ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、この地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第三十条の規定でございますが、これは、地方の条例でそういった職員の研修等に関する施設ができるようになっております。これは地方の公共団体がやろうと思えばできる、これはまあ当然のことでございます。この第九条の五の社会教育主事の講習でございますが、これは第九条の四との関係が非常に深いのでありまして、第九条の四があって第九条の五ができているような関係にあります。第九条の四は、ごらんいただきますと、一号から三号まで、かなりレベルの高い専門職員としての資格がここにきめられております。従って、こういった一号から三号に掲げられますような高い専門的な職員を作りますには、ある程度一定した内容におきましてやはり全国のレベルをそろえる必要がありますので、従って、養成講習というものは文部大臣が現行法におきましても委嘱して行う、こういうようになっておりまして、省令によってその養成講習の内容がきまっております。御承知のように、十五単位以上を取らなければ主事としては資格が取れないというような、かなり高いレベルのものになっております。今、講習のやり方につきまして、文部大臣がやるということは天下りだというような意味の御発言があったようでありまするが、現状におきましても、教育学部等でやっております養成講習の内容は、大体半分ぐらい当該大学の教授等にお願い申し上げ、その他の講師は外部からこれを補充しなければできないというような内容になっております。これは、従来の実績から申しましてそうなっておるのでありまして、たとえば、教育行財政というような単位なんかにつきましては、大学のみではとうていやれないというような問題もございます。まあ、そこに適当な人がおればもちろんやれる場合もございますが。従って、そういった教育行財政その他、文部大臣のところで文部省が直接やった方が適当な単位もございます。あるいはまた、研究機関においてこれを実施した方が適当な単位もございます。あるいはまた、教育学部だけでなく、大学の中のあるいは職業課程を持っておるような学部におきましてやる方が適切な単位もございます。そういった意味で、今回実施分野を広くするということが趣旨でありまして、何も天下りを考えているわけじゃありませんので、その辺は誤解のないように申し上げたいと思います。
#93
○理事(松永忠二君) 速記とめて。
#94
○理事(松永忠二君) 速記つけて。
 それでは、本法案に対する質疑は、本日は、この程度といたします。
  ―――――――――――――
#95
○理事(松永忠二君) 次に、今次台風による教育施設等の被害に関する件を議題といたします。
#96
○理事(松永忠二君) だいぶおそくなりますので、簡単に御質問したいと思います。
 まず、厚生省の方から見えておりますので、児童局長に災害対策について一、二御質問申し上げたいと思うわけでありますが、特に私が御質問申し上げたいのは、今度の二十二号台風の中でも特に伊豆において、御調査いただいておるかと存ずるわけでありますが、孤児が三十二人出ておるわけなんです。それから、母子家庭が四百戸に及んでいるというふうに私たちは聞いておるのでありますが、こういう孤児並びに母子家庭について、厚生省はどういうふうな対策をお持ちになっておりますのか、その点をお聞かせを願いたいと思うわけであります。
#97
○説明員(高田浩運君) ただいまお話のありましたように、今度の伊豆地方の水害によりまして不幸にして両親をなくしました児童が、県の報告によりますと、三十二名に及んでいるわけでございます。これに対する対策としては、終局においては、あるいは児童福祉施設に収容したり、あるいは里親に預けるというようなことも起り得るという考え方のもとに、その辺の準備も県あるいは児童相談所を中心として調査なり、これに伴う一切の準備を整えておる次第でございますが、しからば、直ちにこれをそういう措置をとるかどうかという点については、これはやはり慎重に考えなければならない問題でございまして、さしあたっての問題として、両親の行方の問題もございますし、それから親戚なりあるいは隣近所の人たちの気持の問題もありますので、さしあたっては、そういう一面において態勢を整えながら親類でありますとか、あるいは近所のお世話に一応なっておるというのが現状でございまして、事態の落着を待ちまして今申し上げました措置をとり得るように万全の準備を整えておる次第でございます。その辺につきましては、手ぬかりないように私どもの方としても十分県と連絡をとりまして違算なきを期して参りたい、こういうふうに考えております。それから次に、母子家庭の問題でございますが、母子家庭に対する対策としては、御承知のように、母子福祉資金の貸付という制度がございます。これはもう御承知のように、生業資金でありますとか、あるいは修学資金でありますとか、そういった八種類の資金、これについて貸付をする、そういうような制度でございます。それで、今度の事態によりまして貸付の必要の度合いがふえることになるという考え方のもとに、私どもの方としては、結局この母子福祉資金の貸付の財源となりますのは、県が計上いたしまして、その県が計上いたしましたものについてそれの二倍の金額を国が貸付補助をする。従って県が三分の一、国が三分の二、そういう割合によってまあ財源を提供するということになるわけでございまして、私どもの方としては、これに必要なる補助は必要なだけ出す。そういう腹をもちまして県といろいろ連絡をとっております。県の方としても、現在私どもの方の承知している範囲におきましては、県から四百万円、私の方から八百万円、合計しまして千二百万円のこの貸付財源をこのために用意する。従来のもののほかに、そういう用意をする。そういうふうに承知をいたしているのでございますが、これが貸付の実際につきましては、これはもちろん県が十分現地の事情にも通じているわけでもございますから、具体的な実情に即して適切な措置をとってくれると私ども確信をしておりますし、また不十分な点がありましたならば、私どもも十分気をつけて参りたいと考えております。
#98
○松永忠二君 今、お話のありました母子福祉の貸付の資金についてでありますが、この前は、この貸付についても特別な措置が行われて、そうして据置の期間を倍にするとか、あるいはその事業継続資金等についても据置の期間を延長し、その期間の間は無利子にするというような措置を講じているとか、あるいはこの都道府県に貸し付ける金額についても、今言ったようなものを三倍に相当するような額にしたということになっているわけでございますが、これらの措置については、現状としては考えておられるのかどうか、その点を一つお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。
#99
○説明員(高田浩運君) ごもっともな御質問だと思いますが、第一の、据置期間の点につきましては、たとえば生業資金につきましては、貸付の日から一年がまあ据置期間になっているわけでございますが、この据置期間の――二十八年の場合におきましては延長の措置をとりましたが、実はその後法律の改正によりまして災害等の場合における償還の猶予という制度を設けましたので、その辺の――まあ結局こういう事態を想定をして、そういう条文を置いたわけでございまして、その辺の行政運用によって十分遺憾なきを期して参りたいと、かように考えております。
 それからもう一つの、県と国との負担割合の問題でございますが、二十八年の当時におきましては、御承知のように、県と国との負担割が二分の一ずつということになっておりました。それを、そのときの災害に際して、国の負担分を四分の三ということにいたしたわけでございます。その後この負担割合が、御承知のように三十二年の改正によりましておのおの二分の一ずつということから、国が三分の二、県が三分の一、そういうことになったわけでございまして、従って、実際問題として、まあその当時の特例によって、国の負担分を四分の三にするか、三分の二にするかと、そういうふうなこれはまあ問題になってくるわけでございますが、県の方としては、なるべく負担割合が少い方がよろしいという考え方も一応これは理解できるわけでございますけどれも、これはまあ御承知のように、これは個々のその災害のあった村等が担当するわけではございんませで、県全体としてそれだけの負担をするわけでございますから、今度の場合等を考えまして場合において、県全体としてのこれは災害というわけでもございませんので、一応まあ四分の三と、三分の二ということで多少の違いはございますけれども、大体これでいけるものというふうに考えて、その辺はそういうふうな考え方で進んでいる次第でございます。
#100
○松永忠二君 もう一、二点、一つお聞かせをいただきたいと思うのですが、その社会福祉の事業の災害復旧に関する措置というようなものがどんなふうにとられて今後いくのか、この点をまず一点お聞かせいただきたいと思います。
 それからもう一つは、災害救助法の適用の場合において、この前のときあたりは、学用品の給与という中に、大きく、給食の器具であるとか、あるいは給食物資等もこれに含めて、学用品の給与というようなところのワクを拡大していった。それからまた、この国庫負担の基準の単価というものについても、その際に、前には約二倍程度に基準を上げたわけでございます。こういうように、災害救助の法に基く学用品の給与というものについて、ワクの拡大とか、あるいは単価の基準を上げるというような問題、それから今、先ほど話の出てきております社会福祉の事業についての災害復旧についての措置というものについて、どういうことをお考えになられておるのか、ここの点を一つお聞かせをいただきたいと思います。
#101
○説明員(高田浩運君) 災害救助法の関係は、実は私の方でなしに、社会局の方の所管になっておりまして、今お話の点を私から申し上げることは、責任上いかがかと思いますので、これはお話の点はよく所管の局長にお伝えを申し上げます。
 ただ先日も、御承知のように救助法につきましては、これはいろいろ事態の推移に伴いまして問題もありますので、改正を要する点もあるかと考えられますので、これが改正等のことに関しまして、省内において十分打ち合せをして、今後その方向に研究をするというふうな考え方のもとにおるということを御了承いただきたいと思います。
 それから、社会福祉全般についてということになりますと、私からお答えをするのもいかがかと思いますが、ただ私の方の関係で申し上げさせていただきますと、今申し上げましたほかに、たとえば物資の問題としては、毛布の――これは児童の関係で、毛布の配給とか、そういったことをいたしておりますが、そのほかに、特に対策として考えました点は、これは水害がありました場合に、結局水害の復旧等に親たちが手をとられるわけでございますから、児童の保育という点から、これは非常に欠けることが多いのでございます。現実に保育所があるところは、これはそれでまかない得るわけでございますが、そうでないところは困りますので、災害に関係して臨時の保育所を設置をするという措置をとったのでございまして、これは御承知のように、農村等における農繁期の季節保育所という制度予算がございますが、それのまあ運用によりまして、災害に際しての特別の措置として、臨時の保育所を置く。で、これにつきましては開設に必要な保母等の費用につきまして国が三分の一の補助をする、そういうふうなことにいたしておるのでございます。
#102
○松永忠二君 だいぶおそくなりましたが、せっかくおいでいただきましたので、特にお願いをしておきたいのは、先ほどお話のありました際にありました保育所の設置の問題、特に孤児なんかでもうすでに二人が施設の中に収容されておるわけでございますが、他は親戚等で教育をして預かっておるという状態である。母子家庭の数も非常に多いというような状態でありますので、こういう点について一つ十分な措置を願いたいと思うわけでございます。また、こまかい点につきましては、お尋ねをしてお願いを申し上げたいと思うのであります。
 文部省の方へ一つ簡単に二、三質問をいたしたいと思うのですが、これは大臣でなければあるいは御答弁できないかと思う点もあるわけでありますが、特別立法の措置については現在どこまで進んでおるのか、一つお聞かせを願いたいと思います。
#103
○説明員(斎藤正君) お答えいたします。
 ただいまお話のございました施設に関する特別立法につきましては、打ち合せの結果提案いたすことにはきまっておりますが、条文の作成等、現在関係省と打ち合せ中でございます。
#104
○松永忠二君 今のお答え等についてもその範囲等、社会教育を含めるのか、あるいはどこかというような点もあるわけでありますが、こういう点もすでに提案をお考えになっておれば大体この構想はおまとまりであろうと思うのです。その点と、それから地域指定というものを一体どういうふうに考えておられるのか、この地域の指定について、この二つの点を一つお聞かせを願いたいと思います。
#105
○説明員(斎藤正君) お話の地域の指定の問題につきましては、現在折衝中でございます。ただ、これはこれからの作業に関することでございますが、私の予想を申し上げますれば、具体的な指定というものは政令で指定するような構想になるのではないか、そのどの範囲かということにつきましては現在財務当局と折衝中でございます。
#106
○松永忠二君 ほとんど聞くことが検討されているのですが、地域指定として伊豆の場合にはどういうところを考えておられるかということを聞いたわけなんです。
 それから、特別立法の範囲の中に社会教育の施設は入るのかどうなのかということなのであります。
#107
○説明員(斎藤正君) お答えいたします。
 特別立法には現在のところ学校に限定をされております。
 それから地域の点につきましては、先ほどお答えいたしましたように、この立法の形といたしましては、具体的には政令で指定するようになるのでございますが、私どもの考えておりますのは、一番災害のひどく、学校の施設が流失いたしました地域、これはもちろん入るように考えておるわけでございます。
#108
○松永忠二君 いろいろとお尋ねしたいことがあるのですが、もう一、二で終りますが、給食の問題でありますが、現在給食については、私は主として静岡の問題を取り上げておるわけでありますが、その他の地域でも同様だと思うのでありますが、静岡の地域では給食施設を現在やって完全給食をしているのが三十七校あります。ところが、この応急の給食施設を希望している学校が四十二校にも上っておるわけなんです。ところが、これについての施設設備ということについて、特に応急な給食を希望するところだけにこの施設設備を整えるということについて非常に苦労が要るわけであります。まあ金額で大体施設設備を入れて一校平均十六万というような額を考えておるようでありますが、これらの問題についてどういうふうに検討されておられるのか。
 それからもう一つの点は、すでに文部省が給食については準養護児童については給食費を三月までめんどうを見ようということを考えて予算要求をされておるようであります。そこで、準養護児童というのは一体どういうワクで考えておられるのか。これも現実に調査してみると、そこにも、調査資料に、文部省が出しておりますように、全壊、全流失の家庭の子供が小中学校についても千人あるわけです。それに半壊、半流失を入れたり、あるいは田畑の約五割を流失しているものの小中学校の生徒の数等を比べて数えてみると相当の数に上っておるわけです。現在伊豆地方で先ほど話の出ている文部省の考えている準養護児童は三百九十二人あるわけですが、それについて地元ではその実施している学校でも準養護児童は千六百人くらいになるだろう。そしてまた、新しく希望している学校の生徒の準養護児童を入れると約六千五百人に上るというふうに一応計算されておるわけです。そうなってくると、大体文部省の考えている準養護児童のワクでも大体六千五百二十人、これは大体田畑の流失、半分流失したものについて、それを準養護児童と考えて六千五百二十人というふうに考えておるわけです。この生徒に大体一日平均十一円と、三月までで約九十二日という日について何とか給食のつまり費用を国がめんどうを見るというような考え方を持ってもらわなければできないし、また、施設についても応急の施設を必要とする学校については、この施設の補助をしていく必要がある。学校の施設、設備の問題についていろいろ問題点があるわけでございますけれども、これらは大きな問題でありますので、市町村でも、あるいは関係の府県、国でもめんどうを見るわけでありますが、給食の問題等についてはなかなか手の回らないところがあるわけでありますから、こういう点について、すでに文部省は予算要求の中に給食の準養護児童の補助金を入れておるわけでありますが、一体どういう範囲を考えて補助の対象と考えていられるのか。また、先ほどお話のあった応急の給食施設を希望している学校の施設等については、どういうことを考えておられるのか。この点一つお聞かせを願いたいと思うわけであります。
#109
○説明員(斎藤正君) お話のございました学校給食に関する対策でございますが、現在給食その他の経費につきましては、まだ予備費の支出について折衝中でございますので、確定した額を申し上げる段階には達しませんけれども、文部省として考えておりますのは、今回の台風の発生によって被害の状況が深刻でありました静岡、神奈川等の罹災によりまして、小中学校の児童、生徒で、学校給食費の支払い困難になったものとして約六千五百人を対象といたしまして、十月から三月まで約五百五十万程度の経費を計上するように現在折衝中でございます。
 施設、設備の点については、私、今ちょっと担当の課から話を聞いておりませんのでございますけれども、この点は、後ほど担当者の方から聞いて、またお答え申し上げたいと思います。
#110
○松永忠二君 どうも、もう少しはっきりお聞かせをいただきたいと思うんですが、準養護児童といっても、準養護児童で金の払えなくなった者にやるということですが、準養護児童というのをどこで押えておるのか。まあ、この点はまだはっきりしないわけであります。あわせて一つお聞かせ下さい。
 もう一、二点――もし答弁があれでしたらやめますが、その育英資金の問題でありますが、これもこの資料にも出ておるわけでありますが、高等学校の生徒について育英資金を出していくということはあれなんですが、大学について、一体どういうふうになっておるのか。大学の罹災者の数というものが判明しておるのかどうなのか。
 それから、前々から私申し上げましたように、実は授業料を免除したり、それから育英資金を千円程度貸してもらっても、実は引き続いて高等学校や大学へ行けないのであります。そうなってくれば、どうしても育英資金の中の金額を上げて、そして資金として学資としての金を貸与するなり、あるいは補助するなりということが、育英資金の中でやるとすれば、そういうふうに考えて予算要求をしていかなきゃできないと思うわけでありますが、現状では、このままになっておると、たとえば静岡の場合でも、大体高等学校で、授業料、育英資金の申し込みが、五百人から四百人程度のものが新たに申し込みをしておるわけです。大学等についての措置がどういうふうになっておるのか。なお、これでは額が低いので、学業を継続していくことができないわけであります。これらについては、一体文部省はどういうふうに考えておられるのか。今出しておられる対策についても、こういう点については非常に不明確であるので、私はお尋ねをしておるわけであります。
 もう一つの点について、あわせて一つ助成課長なり、主任官も来ておるようでありますので、続いて二つばかり御質問しますから御答弁いただきたいと思うわけであります。
 教科書については、小、中学校は全部完了されておるようでありますが、高等学校については、教科書会社の寄付によって、寄贈によって、一部補助をされておるように聞いておるわけであります。これらについて、やはりまだ不十分だということをわれわれは感じておるわけでありますが、これについて、どういうふうな今後対策を持っておられるのか。なお、実は学校全部が押し流されてしまっておるところあたりについては、教授要領、参考資料等については、どういう措置を考えておられるのか。教科書関係のことで、その点がもう一つの点であります。
 それから助成課長に一つお尋ねしたいことは、いろいろ出された資料の中で、特に設備というところでありますが、施設については、改良、復旧を認めていくということについて御努力いただいていると思うのでありますが、なお一つの点、設備については、実はこの設備の一番単価が最高は、中学七千五百円、小学校五千五百円というふうな金額になっておるようでありますが、この額を子供の数にかけても、実はそんなにたくさんの金は出てこない。そうなってくると、机それから腰かけ、そういうようなもの、その他の設備等を入れてみても、たとえば一つの例をあげれば、修善寺の中学校では七百四十万円くらいの設備が流出をしておるのに、この金額でいくと、三百三十万円しかつまり金が設備費として出されないわけであります。こうなってくると、非常な他の、災害を受けておる所であるので、施設の単価等については適切であるわけでありますけれども、設備の単価については非常に実際より低いわけであります。こういう点について、やはり考えていく点を考えておられるのかどうか、こういう点であります。この三つの点を関係の方から一つ簡明にお聞かせをいただきたいと思うわけです。
#111
○説明員(斎藤正君) 第一点の、被災学生生徒の奨学金の貸与の問題について申し上げます。
 文部省では現在高等学校の被災生徒数六百人、大学については百六十人というふうに推定をいたしております。で、日本育英会におきましては、昭和二十八年度の例に準じて、特別採用の措置を行うように準備をいたしております。この被災児童、従来の例から申しますと、被災学生、児童数の採用率はそれぞれ一〇%ないし五〇%程度だと思っておりますので、そういたしますれば、これに要する経費が百三十万円程度であろうと考えております。この点については、日本育英会の既定経費の充当ということで特別採用の準備を進めております。
 それから教科書の問題でございますが、教科書につきまして、現在被災の教科書の冊数の報告を受けておりまするのは、静岡県だけで小学校につきまして三万二千余、それから中学校で九千七百余、高等学校については四千三百余冊と相なっております。お話のありました高等学校の教科書でございますが、これにつきましては、文部省といたしましては鋭意これが支給に関する、支給についての予算要求をいたしておりますが、率直に申し上げますと、高等学校の教科書の給付ということは、まあ、前例のないということでありまして、見通しとしては非常に困難なような状況でございます。
#112
○説明員(今村武俊君) 設備費に対す災害復旧の国庫負担のことでございますが、現行法の政令によりまして、小学校では一人当り五千五百円、中学校では一人当り七千五百円を基礎といたしまして設備費を計算する方式が政令できめられているわけでございます。各学校においてどの程度の設備を持たなければならないかという一定の基準がございませんので、目下この五千五百円、七千五百円という基準によって算定した額をもって国庫負担することになっております。あるいは見積りの仕方によっては、修善寺中学等、現有の設備に対して少な過ぎるというようなことがあるかもしれませんが、現有の設備においてもすでに老朽化しているものも相当あるわけでございます。それを減価償却等を考えていきますならば、この程度で災害復旧の国庫負担額としては一応間に合うんではないかと考えております。ただ、私どもが現在指導いたしておりますのは、設備費に対する災害復旧の国庫負担があるということをまだ知らない学校なり、関係者が相当多うございますので、そういう国庫負担の道も開けているということを指導するのが現在の段階であります。目下のところ、基準単価の引き上げということについては考えておりません。
#113
○松永忠二君 はっきりした御答弁をいただけなくてはなはだ不満ですが、こういう問題について、後刻また一つはっきりお調べいただいてお話をいただきたいと思うわけであります。育英資金については、あなたの申したのは、普通の育英資金のワクであります。私の申しているのはそれではなくて、実際のところ全部家がこわれ、物がすべてなくなり、田畑もなくなっているものは学校を続けることはできないのでありますから、これを補助することができなければ育英資金の中で貸与するという方法でも講じていく。現実に二十人、この前の昭和二十八年には文部省も予算要求をしているのでありますから、こういう必要がないということは全然考えられないわけであります。こういう点について一体考えているのかいないのか、できるのかできないのかということなのであります。
 それから、今、助成課長のお話は、設備については七千五百円と五千五百円ということで、これで十分だというお話なんですが、実は施設の単価等については確かにあれでできるのであります。設備については、机、腰かけ等設備を数えていっても実はそんなに額は上らないわけであって、最高は、この点についてはあなたはこれで十分だというお話だけれども、どういう計算の上に立って十分なのか。この点は、今の設備の災害復旧の関係では、私はこの点が低いではないかということについて考えるえわけであります。この点一つ御検討いただきたいと思います。
 なお、私は本日は、質問ではありませんが、この点も一つ齋藤さんは聞いておいて、明確にして下さい。義務教育の国庫負担金を御承知のように、四期に分けて払っているわけであります。これもすでに御承知のように、立てかえ払い等も各県ではするわけであります。要するに、義務教育の負担金が結局足らなくて、後に精算をしてよこすというわけなんです、県によっては……。御承知のように、私の県あたりでも八千万円ばかりの立てかえ払いをするわけであります。こういうことなども考えたときに、罹災県については、やはり国庫負担の配分というものについても考えていただかなければ、つまり負担ができないわけであります。この点については一体どういう考え方か、国庫負担の配分の増配を考えておられるのか、そういうふうな問題もあるわけであります。まあその他起債の問題等についてもあるのでありますが、時間もだいぶおそくなっておりますし、お尋ねをしても、あるいははっきりした御答弁をいただけないという点もあるわけでありますので、一つよく、また後ほど質問をいたしますので……。毎回々々質問しても、みんな十分な答えが得られないので、まことに不満ですが、明確にお答えのできるように、一つ御準備を願いたいと思うわけであります。
#114
○説明員(斎藤正君) ただいま折衝中の予備金の支出並びに法案の具体的な内容等も急いできめるようにいたしますので、なるべく早く御質問の点についてはお答えできるようにいたしたいと思います。
 なお、最後にお話のございました資金ぐりの問題等につきましても、関係の局によくお伝えして、次の機会にでもお答えできるようにいたしたいと思います。
#115
○理事(中野文門君) 御異議がございませんければ、これをもって散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
#116
○理事(中野文門君) 本日の委員会は、これをもって散会いたします。
   午後三時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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