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1958/10/07 第30回国会 参議院 参議院会議録情報 第030回国会 農林水産委員会 第4号
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1958/10/07 第30回国会 参議院

参議院会議録情報 第030回国会 農林水産委員会 第4号

#1
第030回国会 農林水産委員会 第4号
昭和三十三年十月七日(火曜日)
   午前十一時十四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     関根 久藏君
   理事
           藤野 繁雄君
           東   隆君
           北村  暢君
   委員
           青山 正一君
           秋山俊一郎君
           雨森 常夫君
           伊能 芳雄君
           田中 茂穂君
           堀  末治君
           安部キミ子君
           大河原一次君
          小笠原二三男君
           河合 義一君
           清澤 俊英君
           小林 孝平君
           北 勝太郎君
           島村 軍次君
           千田  正君
  国務大臣
   農 林 大 臣 三浦 一雄君
  政府委員
   農林政務次官  高橋  衞君
   農林大臣官房長 齋藤  誠君
   農林省蚕糸局長 大澤  融君
   水産庁長官   奥原日出男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安樂城敏男君
  説明員
   農林省蚕糸局糸
   政課長     酒折 武弘君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査の件
 (農林水産基本政策に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(関根久藏君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
 農林水産基本政策に関する件を議題にいたします。
 この件につきましては、本日は台風被害対策及び蚕糸対策を主題とし、その他農林水産問題について、農林大臣に対する質疑を行います。
#3
○清澤俊英君 農林大臣に蚕糸問題について若干お伺いしておきたいと思いますが、先般の本会議で、蚕糸問題につきましての湯山君の質問について、農林大臣はその対策として、ただいま考えておることは、自主乾繭を行わしめてそれに対する補助金だけを交付する、こういう御答弁でありましたが、これは、大臣がこの委員会においてわれわれに公約せられたこととはあまりにかけ離れておると思いますが、私は、それについてまずお伺いしたいことは、当然春繭の対策としては百五十億という金を出して、乾繭五十億円、生糸買い上げ百億円の処置がとられているから、従って、糸の値段も最低価格十九万円を維持して、大体、――大体です、一部はやみ等で流れたものもありますが、大体は一応順調の線をたどっておるが、ただ夏秋蚕の場合には、そういう線が破れている、そういういろいろの点を中心にして申し上げましたところ、農林大臣としての御答弁は、夏秋蚕に対しては、この手当――この手当ということは、二割減産をやっているこの手当で目的を達せられる、万一不測の場合が生じたときは、また適切な手を打たねばならぬと考えておる、こう御答弁がありました。そこで、私はなおそれに追いかけて「適切な手」とは一体どういうことか、少くともそれは価格協定におきまする八千二百五十掛、千四百円で買い入れなければならないということであるか、こう申し上げましたところ、その通りだ、こういう御返答でありましたが、それは何ら先日の湯山君への御答弁、これについての私の質問に対して、農林大臣としては一つも答えていない、こういうふうに考えておるのでありますが、ただ乾繭だけの手当で、適切な処置として千四百円の繭価を農民に保証することができるかどうか、どうお考えになっているか、まず、その点をお伺いしたい。
#4
○国務大臣(三浦一雄君) 本会議におきまして、湯山さんのお尋ねに対しまして、夏秋蚕対策として、今、養蚕者側では自主乾繭保管をいたしたい、こういう熾烈な要望があった、これにこたえて、これに対して所要な資金の供給の手当をすると同時に、また乾繭共同保管の経費等にっいて助成、免除を行いたい、こういうふうにお答えを申し上げたのでございます。
#5
○清澤俊英君 価格に対しては、それで何らお考えなかったのですか、あの答弁は。千四百円を保証する、八千二百五十掛の価格協定を保障するというお考えはなかったのですか。私はそうじゃないと思うのだ。養蚕に対しては、ほとんどなすところない状態であるから、これは一体どうなるのか、こういう質問だったと思うのです。それに対して、それに対する対策としては、自主乾繭に対する補助手当をやるのだというだけの御答弁だったと、こう思うのですが、私どもの要求しておりまするのは、大体最近の情勢におきまする繭価というものに対しての何らかの保証を要求しているのである、それに対して、それが保証する建前から、あるいは自主乾繭の補助金をちょうだいしたり、その他いろいろな適当の、それこそ大臣が言われる通り、適切なるいろいろな手を打って、価格の保証を仰がれる、こう考えておった。ただ、それじゃ結局農民の要求し、また政府が、先般来いろいろ問題になっておりまするが、公約せられた千四百円というものを保証できる、こうお考えになっているのですか。
#6
○国務大臣(三浦一雄君) 清澤さんからは、千四百円を保証するようにという御希望はここでよくお聞きしました。しかし、春繭の対策と同様な措置をとって、そして千四百円を確保するということまではまだ言明の時期ではございません。そういうようなことまでは申し上げかねるということで申し上げておったのでございまして、本会議等で私が答弁したことも、これらの手段によって秋繭の対策についての一つの対策といたしたい、こういう所存であったのであります。
#7
○清澤俊英君 それではあまりに責任をのがれるという御答弁だろうと思うのです。先般も大臣のところへ農民が来て、泣くがごとく訴えたことはあなたは御存じだと思うのです。私もちゃんと立ち会って聞いておりました。農民から見ますれば、一応は春繭に対しましては、百五十億の補助金を出して、そして糸の値段を保持することによって一応は千四百円の繭価を維持していただいた、従って、秋繭に対してもこれがあるものとして、私の質問に対しても、それに近い御答弁があり、また、この問題は夏繭の時期に至って問題が起きたのではなくして、三十二年度の繭のうちから結局前国会、三十三年度の予算国会の際に問題になってきているのでありまして、従って、それから継続した建前として千四百円というものは、選挙等を通じて自民党としてもこれを公約しておられる。だから、それを継続して春繭は一応これで何とかできるけれども、夏秋蚕に対しては非常な危険性がある。このやり方では危険性がある。ことに大蔵省のごときは、前の一萬田大蔵大臣のごときは、この斜陽産業に対して多額の金を出すがごときは、はなはだ問題がある、従って、そういうものに出す金があるならほかに回したらいいという空気もあるのだから、そういうものを加味して農林大臣はもっとはっきりした線を出した答弁を願いたいと申し上げたところが、ただいま私が申し上げた通りの手を打つのだ、その手を打つのだが、手を打つ基点はどこにあるのだ、これこれの価格でやられるということに了解してよろしいか。その通りでよろしいとおっしゃった。だから、われわれとしても、農民に対しましてはこの繭価協定等を行いまする際、団交を行う際にまあやみは一つやめろ、今度は政府も責任を負うているのだから、諸君は一つ団交をもって堂々と、一つ価格はきまらぬならきまらぬでよろしいから、団体協定でおやりなさい、こう言ってわれわれはやってきている。また養連等を通じても、その線で全部やってきているのです。そう言ってやってきたものが、ここへ来て五百円か八百円の前渡金をもらって、そしてそれがどうなるかわけわからない、そしてほとんど対策は今日まだきまらない、これではほとんど、どういうふうな対策をとって将来における繭価の安定というものを考えておられるのかわれわれにはわからなくなってきているのです。農林大臣はどうしてもこの自主乾繭以上の方法は考えられない、こうおっしゃっているのか、それとも、私の聞く範囲におきましては、農林大臣は相当熱意を持っておられる。また自由党の蚕糸関係の議員諸君も非常な熱意を持っておられる。何らかの措置をとって、千四百円がかりにできないとしても、それに近い線の補助金等を出して、一応三十三年度の繭だけは片づけるべきである、こういう意向が強いと聞いておる。ところが、大蔵大臣は一蹴しておる、こういうようなことも聞いているのです。それに負けているのが農林大臣だ、これが果してほんとうだとしますなら、私は農林大臣なんてやめたらいいじゃないかと思う。そういう結果になるでしょうと思う。いやしくも六十万だか八十万の養蚕農民の休戚を負って立っておる農林大臣が大蔵大臣に勝手にされるということになったら、そんな農林大臣だったら、私はとても農林行政はやっていけないと思う。やめる御決心をなさってもこれと戦っていくのがほんとうではないかと思う。御決心のほどはどうなんですか。
#8
○国務大臣(三浦一雄君) いろいろ一身上のことについての御批判がありましたが、信念においては、どこまでも養蚕農民を保護していくと、こういう信念でございます。
#9
○清澤俊英君 保護せられるが、乾繭以上のものに出ないで今のままでやっていこうと、こうおっしゃるのですか。いま一歩進んで、あなたが責任を持って一つやってやる、こうおっしゃるのですか。
#10
○国務大臣(三浦一雄君) まだ不幸にして現段階ではこれ以上の措置に政府部内のなには一致いたしませんので、そこでただいまのところ、一応関係者において話した限度で今御説明をしておるわけであります。
#11
○清澤俊英君 これは幾ら言ってみてもこんにゃく問答だと思いますから、その質問は引っ込めますが、観点を変えて一、二点お伺いしたいと思います。
 まずお伺いする前に、数字的のものを事務当局の方へお伺いしますが、春繭の生産量は大体どれくらいになっておりますか。それから夏秋蚕の生産量。その次には、保管会社の買い入れ数量。政府買い上げ数量。それから三十二年度繭が、三十二年度の養蚕年度は五月で切れるが、六、七月における持越繭に対する出来高の生糸は一体どうなっておるのか。それから現在秋繭の買い上げ資金は、乾繭と並びに生糸保管においてどれだけの金が残っておるのか。まず、そういうのを聞きまして、その次のものをもう二、三お聞きしたいと思います。
#12
○政府委員(大澤融君) 春繭の生産量が、統計調査部の調査で千四百五十二万一千貫、それから夏秋蚕の生産量ですが、これはまだその統計調査部のの数量が出ておりませんので、一応私どもが生産制限をして目標といたしました数量は千四百万貫、しかし、その後いろいろの情報によりますと、正確ではございませんが、千五百万貫をこえ、あるいは千六百万貫になるのではないかというような数字がございますが、これははっきり見込みがつきません。なお、最近長雨のため軟化病が出ておるというようなことがありますので、今後の推移を見ませんと予想がつきません。それから保管会社の買い入れ数量ですが、これは十月六日現在の申し込みで三万二千九百十五俵、それから政府の買い入れ数量ですが、これは四万九千四百九十七俵、それから昨年の生糸年度の繭を今年度に持ち越しておる量ですが、これが約百四十万貫、これは糸になって春繭の分と区別がつかないで買っておると思います。それから資金の関係ですが、これは繭の方の五十億の金は、百四十五万貫ほど買い込んでおりますから、大ざっぱにいたしまして十八億になると思います。それから糸の方の百億ですが、十月六日現在の申込量にいたしまして、これから計算いたしまして約一万五千俵、約三十億程度、それだけだと思います。
#13
○清澤俊英君 現在夏秋蚕分ですね、これの乾繭量はどのくらいありますか、夏秋蚕の乾繭量。
#14
○政府委員(大澤融君) それは、正確な調査でありませんけれども、全養連の参事さんがたまたま集まられた席での聞き取りでありますが、大部分のものがいわゆる乾繭保管という形をとっております。これは、生産数量は正確なものじゃないと思いますが、初秋蚕につきまして上繭が約五百二十万、そのうち四百八十三万、これが共同乾繭保管という形をとっております。
#15
○清澤俊英君 それでお伺いしますが、農林大臣は自主乾繭を、何か新聞などで見ますと、二、三百万貫やって、それに対して補助するのだ、こういう発表が新聞などに出ておりますが、その点間違いないのですか。
#16
○政府委員(大澤融君) それは今申し上げましたいわゆる共同保管、乾繭保管に対する助成金という意味ではなく、政府といたしまして一応今考えておりますことは、農業協同組合連合会の方である程度の繭をたな上げして、繭価の維持をはかろうという動きがあるのであります。それに対しまして、たな上げをしたものについては、ほかの団体協約で取引される繭と値段で損をしないように措置をしてやるという意味での助成金の補助金になりますが、形は別に今決定しておりませんが、何らかの形で不利にならないような措置をとってやるというような意味で、一応農業団体の方で二、三百万貫のことを考えておりますので、それに対する裏づけという意味であります。その数字が新聞で二、三百万と出ているのだろうと思います。
#17
○清澤俊英君 ちょっと私にわかりづらいところのものがある、夏秋蚕に対して五百二十万貫現在まあ自主乾繭している。そのう三百万貫くらい共同乾繭するというのか、四百八十万貫の自主乾繭のほかに三百万貫の乾繭をやることになるのですか。
#18
○政府委員(大澤融君) これは、今申し上げた初秋蚕について、いわゆる共同保管をされたもののうち、すなわち、これからとれる、今すでにとれている晩秋、この中から一応春繭についてやりました百四十五万貫と同じような形での、はっきりした形の共同保管になると思うのであります。
#19
○清澤俊英君 まだだいぶ残っているでしょうね、秋繭の分が。だから、秋繭の分を別口の三百万貫に回せば、ずっとまた乾繭量は緩和すると思うのですが、春は秋繭は使わないと、こういうわけなんですか、秋繭の乾繭は使わないのだ、夏秋蚕は使わないのだ、だから、予算の方の金は十八億ばかり残っているわけですね、十八億残っている。それを当然使える形になるのですか。それでそういう数字が出ましたとして、それであなた方は繭価というものを維持し、糸価を維持することにどれだけの確信があるのですか。この乾繭に対して金を出すことによって、どれだけの目安をもって、これだけの手当をしたら繭価というものを維持できる、こういう見込みの上で三百万貫の乾繭補助を出すとしても、それでも五百万貫すでに自主乾繭しており、やったもの全部にはまだ間に合わない、だれか大体この中から選定して、百何十万貫分抜き出される分が出てこなければならぬ、こういうものに対しての処置でもありますか。聞きたいところは、三百万貫の乾繭によってどう切り抜けられるのか、どれだけの御確信があるのか、それをまず聞きたいのです。
#20
○政府委員(大澤融君) 御承知のような、こういう一方的に糸価が下る傾向にあるときですから、たとえ政府が支持価格をきめて支持いたしましても、実際の需給関係よりもなお下るというような傾向か強いわけであります。そこで、そういう実際の正常な実現すべき価格というものを、ただいま申し上げた二、三百万貫のたな上げで自主的に維持しようという動きがあるわけでありまして、それに対して政府が返事をするということであります。そこで、実際あるべき価格というのは幾らになるかということは、目標価格として農業団体が一応の設定をするものと思いますが、私どもとしても、飛び離れたものになるというような場合には、いろいろ意見も申し上げたいと思っております。
#21
○清澤俊英君 そこでお伺いしますのは、大体秋繭以外の繭がどういう動きをもって……、現在製糸家等が持っている繭はどのくらいあるのか、それから農協が手持ちになっている繭がどのくらいあるのか、あるいは価格協定をしないで、一応製糸会社等に保管というのですか、預けたというのですか、一応乾繭してくれと、こういうようなことで預けたような形のものがどのくらいあるのか、大体製糸会社としては、今手持ち繭をどのくらい持っているのか、それをわかりましたら一つお伺いしたい。
#22
○説明員(酒折武弘君) 本年の繭の生産は、先ほど申しましたように、春繭が千四百五十二万一千貫、昨年からの持ち越し分が百四十万貫、それから夏秋蚕の予想が、これは約千五百万貫前後というふうに一応想定しております。春繭の実収が千四百五十二万一千貫、それから夏秋蚕繭を一応千五百万貫と想定いたしますと、合計本年の供給量三千五十二万一千貫、こういうことになります。それを生糸に換算いたしますと三十一万四千八百俵、それだけの本年は供給が大体見込まれております。それに対しまして、本生糸年度の生産の累計でございますが、それが九月末現在で申しますと、つまり六月から九月末まででございますが……
#23
○清澤俊英君 それを聞いているのじゃないのです。そんなこまかいことを聞いているのじゃなくて、現在、大体糸屋さんが買った手持ち繭はどれくらいあるのか、農民の手持ちは、乾繭だとか何とか相当残っているのですが、手持ち繭はどれくらい残っているかを聞いている。
#24
○説明員(酒折武弘君) その点は、実は乾繭共同保管というものの性格がいろいろございまして、完全に製糸業者に渡ったものと、それから逆に完全に共同保管で養蚕団体の手にあるもの、それからこれは法律的にいろいろ問題がありまして、われわれとしましても断定できない、多少何かぼやっとしたもの、この三種類ある。それをどちらに判断するかということで問題がございますので、今直ちに正確にどちらが幾らということは申し上げられないと思います。
#25
○清澤俊英君 これは御無理な質問だと思うのです。現在養蚕家、製糸家が手持ち繭をどれくらい持っているがということはちょっと御無理だと思うのです。だから質問のいろいろ要点をはずれた御答弁があったことも無理がないと思います。そこで、私どもが聞いたところでは、ほとんど製糸家としては手持ちを持っていない、こういう情報が入っている。そういう情報が入っているのです。その中には人為的な利益を中心にした価格というものが非常にある。これがまず一つです。ということは、まず第一番に、春繭を中心にしました価格維持の処置がとられた。これは当然政府としても夏秋蚕等のあいまいの点もある。これは早目に売った方がいいというので、太糸か何かを作って、内地向けを作ってどんどん売り払っている人もある。正面者はぼつぼつ輸出糸を作って、そうして保管会社に持っていった。片方はもう出払いになっている状態です。だから、こういうのは幾ら下っても損はしない。正直者は、今製糸家なんかでも損をしているということで、製糸業界の中でも今紛糾が起きている。これはあなた方よく御存じだろうと思う、いろいろ陳情が行っているんですから。われわれのところではまだそういう話は聞きませんが、農林省ではいろいろ陳情が殺到している。こういう話を聞いているから、われわれよりあなた方の方がよく御存じたと思うのです。まずこれが実勢価格なるものに対してどう算出するかということになったら問題が出ると思う。
 第二番目には、われわれ、実勢価格ということを言われますが、実勢価格なるものが、最近は新聞あるいは政府の方針等によって始終実勢価格が違ってきている。実勢価格というものをどこでとるのか、これが自由取引の立場上初めから堅持せられて、そうして自由取引の中で需給バランスが自然にとられたというものでありましても、いろいろ生産市場等を通じた投機的なものもあり、いろいろな点で人為的な相場というものができてくる。ほんとうに公平な実勢相場というものをどこで考えているのか。大体新聞が伝えまするところによれば、先般も私は農林大臣に質問したのでありますが、新聞にはいろいろこれからの糸の値段を十四万五千円にするとか、十四万円にするとか、従って、繭の価格を千円にするとか、千五十円にするとか、そういうようなことが新聞に出ているが、あれはどうなんだ、農林省はああいうことをきめたのか、こういうお伺いをしましたところ、農林大臣は、われわれは知らないのだ、知らないと言われることが何べんも出ている。何べんも出ているが、農林省は一ぺんも打ち消していない。一体それでいいのですか。そのたびに相場が狂っている。大きな狂いをしている。春繭の際に問題になったのは、結局すれば政府の処置が割当保管を、買い上げ保管をせしめる、これが問題になりまして、五月上旬における大暴落を招来した。最近のまた暴落は、政府の買い上げ態度がきまって、これも割当にする、そこでまた大暴落しているのだ、政治と思惑とそれによって相場が動かされているのに、実勢とはどこで考えて出されたのか、そうして三百万貫の乾繭保管でもって、これで農民の要求する――政府が少くとも、これだけで買うんだと言わなかったかもしれないけれども、それに近い声明をした線をどこで出されるのか。出るのですか。出ないのですか。実勢相場というものはどういうことを言われるのか、政治の方向の動きによって相場が違ってくる。大きな資本家が見込み相場を打つことによって、いろいろな様相が変ってくる。現在は買い控えをやっている。そうして現に団交でやりましたところの繭は五百円から八百円の概算払い。それに損をさせないように保証をしてやると言われても、一体幾らぐらいにきめたらいいと考えておられるのか。どれくらいにまで持っていったらいいと考えておられるか。それの基本がなくて、ただ実勢にまかされては、これは全く台風の中へほうり出されて風の静まるのを待つんだというのと同じことになると思います。基本を聞かしていただきたいと思います。基本をどこで押さえて、どこへ持っていくんだ。大体政府としましては、政府のとられる措置によって生糸が下れば繭も下る。当りまえの話です。また、新聞でああいう無責任な――農林大臣の言をかりるならば、無責任な政府決定と、あるいは政府の糸の発表が出て、十四万円の糸にするんだとか、あるいは繭の値段を千円にやるんだとか、こういう問題が出るたびに暴落を告げているのであります。その中で実勢価格とは一体どこをさして言われるのか、その二点です。私は実勢価格というものをどこで見られるのかということと、並びに一番お伺いしたいことは、この三百万措置で大体どうなるんですか。現在、今お伺いしました数字から見ましても、春繭が千四百五十万貫、それから夏秋蚕が千四百万貫、概算二千八百五十万貫、三千二百万貫としましても、約一割強のものが減産している。その上に約五百万貫は自主乾繭でやっている。そうして二割以上のもう手当ができている。手当ができてもなお今日の情勢である。ただ、これだけのことでは先が見えているということはわかり切っている。何か明るいはっきりした線を農林省がぱちんと出していただけなかったら、波乱から混乱へ入って、そのしわ寄せは全く農民に全部押しかかるということになってしまいますよ。ほかにありましたら一つ言明していただきたい。製糸家はどこで損をしているんだ。よくよくばかな製糸家は損をしているでしょう。法律では春繭である。春繭であるから夏秋蚕にはこの金は使われないというのは、区別がつきませんからといって、三十二年度の持ち越し繭の百三十万貫の分は現に買い上げている。三十二年度に買い上げたものはちゃんと糸でもって保管している。どこで製糸家は損をしているんだ。こんなことは言いたくございませんけれども、現実にそうなっている。全く製糸家だけを中心に考えておって、農民のことは何ら考えていないと思います。農林省は製糸家というよりも農民の方が大事だろうと思います。ことに、蚕を作ります所は立地条件の悪い畑地地帯とか、あるいはわれわれの地方のような山間部のほんとうの零細農家が現金がほしくてやっている、こういういわば条件の悪い農民がやっている仕事なんであります。それを何だかわからないことを言って、実勢価格で損をさせないとか、実勢価格でもって団交のできたその相場に達しないときは、補助金を出すとか、これは全く私は納得しかねるものだと思います。ぱちんと農民が信頼してやれる線を一つ出していただきたい。答弁を聞きたい。
#26
○政府委員(大澤融君) 最初の二、三百万貫の問題ですが、これは現在、先ほども申し上げた四百万貫程度のいわゆる乾繭保管されておるものにつきましては、ちょうど春繭についてやった百四十五万貫と違いまして、市場からはっきり隔離されているというものではないのです。そこで、今度考えておりますのは、春繭でたな上げしたのと同じように、はっきり市場から隔離するという意味がありまして、そのために繭価の維持には私どもは役立ち得ると思っております。それから実勢価格の問題ですけれども、これは現在十九万円で先ほど申し上げたように糸を買っておるわけでありますが、御承知のように、極端な表現を用いれば、十九万円で政府に売らんがために糸を生産するというふうな格好になっている工場も必ずしもないとは言えない状態でありまして、そういうことであっては、実際その繭を作って糸にしてそれを実際使ってくれるということでなければ、農民が繭を生産してもその意味がないということにもなりますので、実需がつくような値段になるというようなことが望ましいことじゃないかと私思うのでありまして、そういう意味で実際の価格は、じゃ、どこにあるのかという御質問だろうと思うのでありますが、取引所に出ております毎日の値段ですけれども、確かにおっしゃる通りに、ことしの六月ごろは十七万円くらいでありまして、十七、八万円でありましたものが、昨日の相場は現物で十五万三千円市況、それから当限のもので千五百十二円というような値段を示しておりますが、必ずしもこういう十五万円程度のものが実勢だということはまだ言えないと思いますが、今申し上げましたようなたな上げ措置というようなことの結果も見て、ここに正常な値段が現われるものと私ども期待しておるわけです。
#27
○清澤俊英君 農林大臣の腹がまえを伺いたい。
#28
○国務大臣(三浦一雄君) ぱちんとした手を打てと、こういうことですが、現在の段階では、出来秋には、あの春繭の対策の前提としても、秋繭については、業界におきましても、みずから自主的に生産調整をする、そうして需給のバランスに一つの大きな手を打つと、こういうことが前提になり、それが相照応してこの制度をやったことは御承知の通りであります。しかし、今般その通りにはいかなかった。同時に、それが努力したということは認めますけれども、その他の客観的ないろいろな要件が加わりまして、そうしてむしろ増産ぎみになってきたということでありまして、養蚕の方面におきましても、これでは容易ならざることである、そこで、自主的と申しますか、自衛的にも乾繭保管をがっちりしたものをしてこれに対応したい、こういう要望も出てきておるわけです。そうしてわれわれとしては、その努力には報いてあげたい。そこで、その自主乾繭をする場合には、これに対して政府も予算的措置を講ずる、こういうことにいたしたのであります。そうして生産者方面が五百円ないし八百円で手を打っていると、こうおっしゃるけれども、イージー・ゴーイングでもって、弱いからただ単にそうしてしまうというのではこれは片づかないということは、清澤君御承知の通りであります。従いまして、それらのようなくずれないようなバック・アップはするということで、資金の面でそうして自主乾繭が自衛的にできるようにするということが現在の段階での措置でございます。従いまして、この夏秋蚕等のうちから、今、局長が説明申し上げました相当数量をいわゆるたな上げし得る、いわゆる市場から隔離するような措置をとりますと、そうすると、ほんとうに自主調整をいたしましたより以上の効果を生じ得るし、また同時に、需給市場から見ましても、相当な繭、従って、糸が市場より隔離せられ、同時にまた、新しい情勢のもとにそこに需給の関係も生じて参るから、それによって相当な繭価の維持ができる、こういう観点からわれわれとしましては、農民諸君の自衛的な努力に対して助成の道を開いて、この際、難局を打開するの一助にしたい、こういうことが基本的な考えであります。
 第二段に、いわゆる実勢価格の問題でございますが、今、局長が説明した通りだと私も考えますが、ただ、政府が行政的な措置でもってこれを決定するということは、きわめて不当でありますことは申すまでもございません。従いまして、政府はかような手を打って、そうしてその後にこの市場にどういうふうに出てくるか、実際の需要がどう反映してくるかということを見きわめて、その安定したところによって次の段階に移すべきものだと考えますがゆえに、今、政府が言うがごとく、具体的に糸価等を想定しまして、そうしてそれに対していろいろな措置をとるということはかえって危険であろうと、こう考えておるわけであります。
#29
○清澤俊英君 大体これで質問を終りたいと思いますが、私は今農林大臣の言われた方法では決して農民の考えておるような線は出てこないと思う。これは意見の相違だろうと思う。だから、この点についてはもうやめますが、それから、今お話を聞いておりますと、もう政府が価格等に対してあまり関与しない、こう言われていたと思うのです。それにつきましては、何か今の繭糸価安定法のようなものをやめてしまうと、それが前提でなければ今のようなことは言われないと思う。ただいまのお話の中にはそういう面がありました。その点はどうなのでしょう。
#30
○国務大臣(三浦一雄君) 私は、今申し上げたようにいたしまして、そうして経済事情に適した一つの安定したこういうものができたなら次の段階に進むべきだ、こう申し上げたのですが、基本的な制度としての糸価安定の制度はくずす考えはございません。これはもとより改組し、もしくは若干の手入れはすることはあり得るかもしれませんけれども、糸価安定の基本的な制度は存続いたしたいという考えでございます。すなわち、春以来取り来たったものを、一つの事態に即応させまして、そうしてこれを改善して一つの安定な状況になりましたら、それを基礎にして新しい糸価安定の方策をとっていくということにするのでございまして、価格等について、何らレッセフェールにするというような意味ではございません。
#31
○清澤俊英君 これで私は終ります。が、今のお話を聞いておりますと、やはり糸価安定法は維持していく、幾らか改正しても維持していく、従って、価格等に対してはタッチしていくのだと、こうおっしゃった。その新しい線を出すためには、今考えておられるようなことで実勢を中心にして、その実勢は、私は、政府がそういう関係を持つ限りにおいては、政府の方針によって実勢価格というものが違うのだ、こういうことを申し上げておるのです。政府がかりに十六万円で買うのだと、こう言いますれば、その繭の値は下る。十六万円で買うのだ、糸の値段を十六万円で維持するのだ、こう言えば、それに従ってまた繭の価段が違ってくる、こういうことが出てきます。従って、実勢価格なるものは政府の方針によっていろいろ変ってくる、こういうことを申し上げておるのであります。従って、それは来年度の問題、三十三年度に限っては、私は少くともこの紛争が、価格維持の法律の中で行われたものが、それがこの紛乱になって、そうしてそれがまだ収拾がつかないものを自然にまかして収拾をつけ、目安がついたら何とかきめてやろう、損は結局上にいくか下にいくかわかりませんけれども、われわれは下に固まるだろうと思う。損は全部農民がそのまま損をしていく、これじゃひどいやり方じゃないかと思う。少くとも私は政府の方針としては、三十三年度分の繭に限っては、千四百円は必ず出せとわれわれは主張しておる。だから、かりにいろいろの関係で出せないとしても、それに近いものは私は保証せられるのが当りまえだと思うのですよ。幾らでもないと思う。それくらいのお考えを私は要求しまして、そして幾らこのあと大臣と押し問答しておりましても、ケリがつきませんと思いますから。それでは決して農民はおさまらぬ。承服はできません。これだけのことをはっきり申し上げて私は質問を終りたいと思います。
#32
○小笠原二三男君 関連。今の大臣の御答弁は、聞きようによればなるほどなというように聞きたいところですけれども、あなたがこの前の国会以来御主張なさったことからいえば、よほどいわゆる自主性が押されたと申しますか、考え方が後退してしまったというふうに私、聞き取るのですが、いや、断じてそうでない、大臣就任以来の方針は変らぬ、そう言えますか。今後実勢価格の推移を見て、新しい価格にだんだん移動していくということは、結局政府が積極的に手を尽すのではなくて、それぞれ犠牲を負うものは犠牲を負う中に、自然安定する線を政府としても安定価格として持っていくという、だれがやっても、どんな行政官なり大臣がやってもやれる安易な道をたどらざるを得ない、それ以外には道はないのだ、こういうことをあなたはみずから白状しているのと同じように聞える。そうでないのだというなら、そうでないのだという点をはっきりしていただきたい。どうも聞いておると、このままだらだらいくのだ、そのうちにまあ適当なところで、落ちつくところへ落ちついたら、それで新たな構想の上に立って問題を考える、こういうふうに聞き取れるのですが、私の聞き方が悪いなら悪いと、大臣の所信というもの、この価格安定に対する所信というもの、三十三年度の今問題になっているものをどう収拾するかという、こういう点を明快に教えていただきたいと思います。何かぼやっとした御答弁のように聞き取れます。責めてるわけでないのですから、ほんとうの大臣の所信を聞きたい。
#33
○国務大臣(三浦一雄君) この春以来、糸価につきましては十九万円の線を維持する、これから流れ出る繭価は千四百円を保持するということが、春以来の対策であり、特に春繭に対する対策を臨時措置といたしましてしたこともさようであります。しかしながら、十九万円の糸価を維持するということが、生糸の事情が世界的な商品でもあるし、同時にまた、国内における有力な商品としての情勢から見ますと、十九万円の糸価を高くしておいて、そして政府の財政支出によって、これをたな上げしておくということでは、実需が伴わないという現状でもございますし、同時にまた、他の繊維との関係からいいまして、これがなかなか回復して参らない、農林省は過去におきましても幾たびか経験しておりますが、高低それぞれの経験は積んでおりますけれども、おのずから糸価を回復し、そうして安定的なものに持ってきたのでございますが、現在の繭の事情、生糸の事情から見ますると、この十九万円の糸価を維持していくということは、むしろ糸価の、生糸の対策としては、現在としましては検討を要する事態になって参った。従いまして、われわれとしましては、実需の伴う糸価を設定するの事態になってきたのじゃないかと思うわけであります。同時にまた、しかし、これを改変することによっては、今、すでに御指摘のあった通り、養蚕者等にも及ぼす影響の甚大なるにかんがみまして、そこで、われわれとしましては、その点は考えなければならない。しかし同時にただ単に、値下りしてきたからというので、その問題を保証するというだけの考えじゃいけない。この秋繭の対策につきましても、養蚕団体みずから二割の調整をするということにもしてきた経緯よりかんがみまして、やはり養蚕団体に対しましても、一つの自主的な運びを慫慂していく、同時にまた、この決意でおります。従いまして、われわれといたしましては、養蚕団体等がこの場合、自主的な運びをするということに対してはできるだけの手厚い保護もし、そうして自主的措置をさせるということにしたいのであります。そうして市場の激変しますことをなるべく避けて参るということでございまするが、大勢は生糸の市場から見まして十九万円の高値の、しかも、市場からシャットアウトされるというような情勢は長く保持すべきでない、かような信念のもとに、われわれはこの夏秋蚕以降の対策を考えて参る、かようなことでございますから御了承いただきたいと思います。
#34
○小笠原二三男君 そういう信念が、この前の国会……、今は信念と言いましたが、十九万円台を維持すべきでない、これが信念だ、そういうことは、この前の国会の委員会以来再三論議をし、春繭に対する手当だけでこれだけの金を出すというなら、夏秋蚕に対してはどうなるかということになったら、その見通しをあなたは断々固として言っておったじゃありませんか。それが今度変ってきたということでありますが、その見通しを誤まったのか。しかもあなたは、二割制限というのは養蚕団体が自主的にきめたものだということを言っているが、自主的にきめるように農林省が慫慂し、そうして種そのものまで冷凍して出さなかったからこそ二割制限というような形が出たのでありましょう、農民自身の自主的な意向によって制限をしたのじゃない、しかも、それをのんだのは、養蚕団体がのんだのは二、割制限をするならば、需給の関係で、大いに輸出の振興、売り先の開拓ということも考えて、そうして見通しとして夏秋蚕に対して財政投融資がなされずしても十九万円台が維持されるというあなたたちの見通しから二割制限を慫慂したのでありましょうが、それが今度は二割制限をされた養蚕農家がまたしばらくの間、この実需に見合うような価格になるところまで犠牲を払う、自主的にがまんしてやってもらうということが、今のあなたの答弁なんです。それでは養蚕農家は踏んだりけったりだ。確かにあなたのおっしゃるように、現状においては、客観的な問題とするならば、単に金を出して補償するということだけでこの問題は片づかぬという点は、われわれも十分わかる、それは。わかるけれども、今の段階になって十九万円台は維持することはできないのだ、すなわちそれは、繭の価格は千四百円台ではだめなんだということを農林大臣みずからが認めたならば、それならどういうことにするか、どの程度のことにするかということを早急に結論を出すなら出すで、養蚕農家にある種の安心感を与えつつ、なおかつ、こらえてもらう点はこらえてもらいたいという形を出しもしないで、どこまで落ちていくか知らぬが、言葉は悪いが、一つ野放しに市場の推移を見て、この辺のところなら大体間違いなかろうというようなところをつかまえて、そうして価格を安定させる、こういう運びならば、それまでの間、この夏秋蚕に対して、全面的に農家だけが犠牲を払うという結果になってくる。農家自身に二割制限させたことは、千四百円台の買い上げ額が保証されるであろうという見通しで二割制限したのではなかったんじゃないですか。そういう点はわれわれ委員会に対して、見通しを誤まったとかいうことを言いたくないなら言いたくないで、そういう犠牲を払わせた養蚕農家自体に根本的に農林大臣は謝罪すべきですよ。そうしてその後において協力を待つとか、いろいろな方策を考えるべきじゃないですか。その点が率直でない。見通しを誤まったのではないと、初めからそれは信念として大臣が持っておったのであるとは、幾らなんでも三浦さん、おっしゃれないでしょう。そうしたら見通しを誤まったということを言えとは言わぬ、言えとは言わぬが、しからば、今後において今のような大臣の答弁のように推移するということでは、農民は承服しない、承認しない、そう思う。で、ただ、いろいろ検討をすべきだというような、そういうゆうちょうな段階であるのかないのか、あなたの御認識を承わりたい。
#35
○国務大臣(三浦一雄君) 見通しの問題でございますが、当時われわれはその養蚕団体が熱心に努力してくれたことを期待しておったわけであります。従いまして、この期待に反しまして出てきたことについて、皆様から認識を誤まったのじゃないか、こう仰せになるならば、これは率直にその認識は相違したということでございます。同時に、私たち今申し上げますことは、十九万円の糸価では、世界的商品としても、国内の他の繊維等の事情からいいましても、実際の需要が喚起されないという次第でございまして、これは容易に打開できないという見込みでございますから、われわれはこれに対処しましてやはり売れる糸を作らなければならないし、同時にまた、これをささえにした養蚕団体の成立ができるような方策を取り進めるということに進まなければならぬ。これがつまり現状における私の考え方である、こう申し上げたのでございまして、その点を御了承を得たいと存じます。
 第二には、しからば、手をこまぬいておるかということではなくて、今言った通り、養蚕団体等の熱心な要望もありますし、それに対しましては手厚い資金の手当もしくは助成等の道を講じてそれを助けるということと、なおまた、今年度におきまして、この養蚕の事情におきましては相当事情が変って参りまして、非常に不幸なことでございますけれども、養蚕の下降状況といいますか、推移の事情から見て、養蚕地帯におきましては、そろそろ転換等も出てきておりまするし、これに伴ういろいろな措置も講じなければなりません。これらはあわせて保護助長の道を講じたいということでございます。ただ現実にしからば、十九万円の糸価、これに見合うところの繭価の千四百円をどう定めるかということについては、今いろいろ御議論がございましたけれども、これを当局からこうするというさし値等は言うべきじゃないと、こう思いますから、しばらく情勢を見て、その上に善処いたしたい、かように考えておりますから、御了承得たいと存じます。
#36
○小笠原二三男君 では、様子を見るということも、そのお考えもわかりましたが、様子はいつごろまで見ておるか。おそくともいつごろまでには農林省として対策ははっきり立てなければならぬと思っておりますか、これが一点。
 それから二点としましては、夏秋蚕の二割制限というものは、何といっても農林省当局において、ここでも言明した通り、自主的には運営されるけれども、二割制限ということを打ち出したのはあなたなんです。それは、この需給の関係から繭の価格を千四百円なら千四百円に安定させるという一応の見通しのもとに制限したのです。そういう意味からいえば、農家は千四百円でなくてもいい、千二百円でもいい、ほんとうに山村の素朴な農家は千円でもいいから自由にやらせてもらいたいということを、私たちが調査に行ったとき言っておったけれども、そんなばかなことをしたら、なおこれは価格安定の今の施策をぶちこわすことなのだから、二割制限ということで安定させるということなんだと、われわれはあなたのおっしゃる通り説明してきた。ところが、その繭の価格が維持されない、それは仕方がないのだ、こういうことに対して、あなたの方の責任としてはどうするつもりなんです。それは千円でもいい、千百円でも仕方があるまいというわけにはいかぬでしょう。その点はどうするんです。二割制限をした。もしもこれが正確に行政措置かなにかでそういうことをやらせたなら、あなた、農林当局の責任になるですよ。あるいは差額は補償しなければならぬかもしれぬ。けれども、われわれは今補償せいというようなことまで言おうとは思っていません。これはわれわれも検討しなければならぬ問題です。しかしながら、こういう問題について、良心的に行政当局として、またその政治の担当者として、農民に対してどういうふうにするのです。千四百円に近い値段ぐらいのところでまとまるようにということを清澤委員が言っておりましたが、その精神はやはりそこにあると思う。ここであまりに値開きが出てくるということになったら、これは確かに残念ながら農林大臣の責任に帰せざるを得ない。この点はどうですか。二つだけ最後にお尋ねします。
#37
○国務大臣(三浦一雄君) 当時も春繭の対策としては、この措置をとる、秋についてはいろいろそれは当局と皆様との意見は間隔があると思いますけれども、秋繭については、二割の生産調整等もあるからして、この方法にはよらない、こういうことで来ておりましたのですから、われわれとしましては、秋繭の問題は別途である、こう考えておったわけであります。同時にまた、今の生産者側が申し出て実行に移したところの生産の制限ということに、われわれは非常な期待を持ちましたのですけれども、遺憾ながら、その方面の力が弱かったと申しますか、結果として出てこなかったということでございまして、これが一つのそごするゆえんであった。そこで、その点を今回は一種の補強すると申しますか、これを補完するという考えから見ましても、やはり農民団体の方でやりますところの自主乾繭だけはぜひとも援助してあげたい、こういうことから、先ほど申し上げました通り資金の供給と、それから助成措置の道を講ずるということにいたしたのでございまして、われわれとしましては、その情勢に応じまして、できるだけのことは措置するということでございまして、決してなおざりにするということではございません。この点をよく申し上げておきたいと思います。
#38
○小笠原二三男君 最初の一点……。
#39
○政府委員(大澤融君) 実勢価格の問題……。
#40
○小笠原二三男君 大臣に聞いているんだ。あなたに聞いておるのじゃないんだ、政治論なんですから。これはいつごろまでに農林大臣としては、農林省の結論を出そうとしておられるのかということです。政治論です。
#41
○国務大臣(三浦一雄君) 今申上げまました資金の措置、それから乾繭に対する助成の措置は、これは近く実施に移したいと思っております。
 それから同時にまた、いわゆる実勢価格と申しますか、新しい態勢によるところの価格の打ち出しは、ここしばらくは情勢を見きわめる必要があろうと思いまして、ただいま検討しております。時期的の点は、ここで申し上げるのはむしろ不適当じゃないかと思うのですが、これらについては技術的な点がありますから、蚕糸局長から補足的に説明いたさせます。
#42
○小笠原二三男君 どういう意味で不適当だというのですか。不適当だということなら、初めから十九万円台は維持できないのだ、維持価格云々というその発言さえも不適当だ、悪影響になっておるのですから、もう不適当なことはやっておるのです、あなたたちは。だから私の言うのは、いつまでということはもしも言えないにしても、政治家であれ、あるいは農民の立場であれ、ことに、この実勢価格の推移に待つということでその千四百円台が維持されないのだということは、今日においては明らかになっておる。おそくともいつごろまでには目安をつけたいという一つのめどを明らかにして、農民にその間がまんしろ、あるいはがんばれ、資金も出す、これもやる、だからこらえてくれということでなくちゃならぬと思うのです。それはこっちだけの都合でまだ考えておるのだ、まだ考えておるのだ、そういうことでは、これはもう農民はたまらぬことだと思うのです。大幅にあなたは広げていってもいいのですよ、いよいよこうなったら……。けれども、おそくもいつごろまでというようなことが、私は聞きたいところなんです。それは今月下旬までとか、何月何日までに結論を出しますとか言える筋のものでないということはよくわかるけれども、野放しにするのじゃないというのなら、おそくともいつごろまでというようなことは、私は大臣の責任で御言明があってしかるべきだと思うのです。そのことが市場その他に悪影響を及ぼすというのなら、現在悪影響をもう及ぼしておるのですからね。そういうことは言いのがれにしかすぎない、責任を回避しているとしか言えない、そういう意味でお尋ねします。
#43
○国務大臣(三浦一雄君) 私からお答えしますが、価格のことでございますから、いわゆるわれわれの目ざしておりますところの市場に適する実勢価格が安定しました時期におきまして、その点を改定するようにしていきたいと、かように考えております。
#44
○清澤俊英君 これは最後ですが、あなたは下がるであろうという、下げるというのでなければ、実際の蚕糸業を通じた製糸が持たないと言われること自体が、直ちにもう繭に響いてしまうのです。これはそれ自身が響くのです。だから三十三年度だけは糸の方も保証するのだと、こうおっしゃれば、それは直ちに農民のところに繭の価格として響いてくるのです。あなたが非常に不用意に、ここで今の実勢として、糸の値段を下げなければならない実情だと、こう言われておること自体、すでに政治家が実勢価格として作っておられるのです。そういうことをやっておって、そういう責任をさらに考えないのだということになったら、これはとんでもない話だ。そこをよく考えてもらいたいと思うのです。実勢価格と言われれば、さっきも私の言うておる通りなんです。一つは、利益を追求する商人が、投機的にいろいろなトリックを使って政治をやっているのだ。表に出る輸出生糸は作らないが、内需の糸を作って、現に繭はほとんど持っておらない。それでもかまわない。そうして下げておるのだ。それで実勢ができるか、これが一つ。
 もう一つは、新聞にいろいろと価格が出る。政府の方針というものが出るが、政府自身は新聞には責任を持たないと言われる。何べんも出ているのだ。今おっしゃっていることと考え方に大した違いがない。それが具体的に十四万円とか、十四万五千円とかいうものが出てきている。それ自身が市場を混乱さして、現在五百円か八百円か、正当な取引をやったら政府が企図せられた通りの正直な取引をやったら、農民はそれだけの概算払いしかもらっていない。それがいつになったらきまるか、こういうことなんです。今、当分様子を見るのだ、下げるのだといえばきりがありませんよ。もうちょっとちゃんとしていただきたいのです。私は、農林大臣はちゃんと腹があるのだと思うのです。ただ大蔵大臣が問題にしていられるのなら、とにかく大蔵大臣と組み討ちなさい。橋本龍伍君の問題もあります。あなたの言い分が通らなかったらおやめなさい。それくらいのことを一つ農民に示していただかなければおさまりません。その決心で一つお願いします。
#45
○小笠原二三男君 再三申し上げたけれども、どんどん値下りしている。そうしてただその推移を見るということは、結局私たち非常な不安感を持つのです。底値になるまで待つ、安定するということは、結局そういうことなんです。底をつくまで待つ、それがどの辺の値段かわからない。それの見合いで繭の価格がきまってくるのです。こういうふうに手放しなやり方に待つよりしようがないというふうに聞き取れることが非常に不安なんです。ですから私は、その見通しをしつこく聞いておるのです。何としたって、三十三年度においては十九万円台は維持できないにしても、やはり政治が価格をきめなければ、これは農民に犠牲をしいるだけ、そういう形は何としても出てくる。従って、さっき清澤委員のおっしゃるように、大蔵省の予算関係に直接つながるから、あなたとしては言いづらい点もあるだろうけれども、そういう価格安定のために、やはり買い上げ政策を持続してでも三十三年度は何とか野放しな底値の価格でなく、いわゆる農民に犠牲がしいられないような措置で、バランスをとった価格を考えていくのだというようなことであればとわれわれは期待するのです。何としても市場を安定させるということについては、今の公式では、やはり生糸の買い上げ、こういうようなことが大宗になっておるわけなんですが、農林大臣としてはどういうふうにここでこれを安定させるおつもりですか。
#46
○国務大臣(三浦一雄君) 先ほども申し上げたのですが、自然のままで放置していくと、今、清澤さんおっしゃるように、あるいは五百円、八百円という以上に、農民側に不利な状況にきめられていく、これではいかぬから、農民団体の方でも、この際としてある程度の見通しをもって、そうして共同乾繭保管でもって繭価協定値をがんばっていく、それを裏づけしてほしいというのが要望であります。従って、それに所要の資金を供給し、同時に、所要の経費を持たして、そうして農民団体等が自主的にこの問題について進む、こういうことでございますから、その点は十分みていきたい、こういう考え方であります。ただその際に、政府がさし値をもって、ああせいこうせいという価格を決定することは、やはりこの問題につきましては不適当だろうと思うものでございますから、それらの交渉の推移あるいはまた努力の結果等を見まして、そうして一つの安定点が得られた場合にやるというので、決してただ単に繭価を下げる、あるいはまた、そのままに放任すると、こういう趣旨ではございません。
#47
○小笠原二三男君 そうすると、生糸市場の方は従来とっているような措置は、現在のところではこの下半期では考えていない、もうこの間出したやつだけでそれでいいのだ、こういうことですか。
#48
○国務大臣(三浦一雄君) 生糸の買い上げの方でございますか、これはもういたさない、こういうことが前提になっております。十九万円では買わない。それが限度で、現在の予算の限度以外には買わない、こういうことでございます。
#49
○北村暢君 それでは蚕糸問題については、まだ大臣の答弁で納得しないものがあるのです。あるのですけれども、時間が時間でございますから、これは次回に私は譲りたいと思います。
 それで、きょう予定しておりました災害の問題について、時間がございませんから、簡単にお伺いいたします。当委員会から埼玉それから福島、宮城、岩手と視察に行くのでございますが、それに差し当って一つ、災害対策について、これからどんな対策を農林当局は持っておるのか逐一御質問申し上げたいと思います。私の方も簡単に御質問いたしまするので、一つ簡単にお答えを願いたいと思います。
 まず第一に、静岡県その他から数ある陳情書が出てきております。これを検討してみますと、在来の農林水産施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、あるいは天災融資法、これらによって農林省が法的に処置することは当然のことでございますが、しかし、これらの法律で救えないものが出てきている。それに対して各県からも非常に強い要望が出ているのでございます。まず天災融資法について、その貸付対象種目の拡張、貸付限度額の引き上げ、償還期限の延長及び利子の軽減、こういうことが出てきております。私どももこの点については確かにそのように考えているので、現在天災融資法が経常資金に限られておるのですが、これを生活資金まで一つ融資を拡大する、そういう点からして経営資金の中に家畜及び農業用の個人施設の購入及び構築資金等を加える、こういうふうにしてもらいたい。それから融資の限度額が十五万円になっているのを三十万円に引き上げるべきだ。償還期限の五年以内というものを二年据え置きの七年以内くらいには延ばさなければならない。利子の補給等についても、国及び地方団体の負担となっているのを全額国庫で負担すべきではないか、こういう意見を持っておるのでございます。各県の陳情についても、この点が強く要望されているのですが、まず第一点として、天災融資法の改正というようなことを考える余地があるのかないのかという点について、第一点としてお聞きしたい。
 それからもう一つは、災害の国庫補助なり、災害復旧事業費の国庫補助の点でございますが、これについては、復旧工事の一ヵ所十万円以上ということになっておるのですが、これを五万円以上に改めて、適用範囲を拡大したい、それから、原形復旧というものを原則としているなら、これを改良復旧をも認めるという方向へ持っていきたい、この点については、通牒等によって出ているようでございますが、実際に出先においては、通牒等では問題にならないので、やはり原形復旧をやっておられるという過去の経験からしても、ぜひ改良復旧というところまで持っていくべきではないか、こういうふうに考えるが、この二つの法案についてどういうふうな措置をとるか。
 それから次に、米麦の被害農家に対する――農家ばかりでございませんが、特に農家ですが、米麦の安売りの問題について、これについての措置をとっておられるか。それから被害農家に対する予約概算金の延納、あるいはその利子の免除というものについてどういうような措置をとられるか。これは従来も措置がとられてきていると思いますが、今次の第二十一号、第二十二号の災害にも、これらの措置がとらるべきかどうか。
 それからもう一つは、災害復旧用の資材として国有林の木材の低廉な価格による払い下げというような復旧措置、この臨時の措置というものがどういうふうにとられるか。それからその後の非常な災害をこうむった救農土木事業というようなものについてどういう措置を考えておるか、以上の点についてまずお伺いいたしたいと思います。
#50
○国務大臣(三浦一雄君) ただいま北村委員からのお尋ねでございますが、天災融資法その他の法律の改正等の問題に触れておりますから、私から概括的に一応御説明申し上げます。
 実は政府におきましても、二十二号台風の被害の激甚な事情にかんがみまして、遅滞なく中央に災害対策本部等も設けまして、そうして現地並びに中央のそれぞれの機構と相談してやっておりますが、実はきょうもこの問題等についても相談がございまして、今直ちに天災融資法その他の法令を改正するという結論には、政府部内の意見はまだまとまっておりません。農林省としましては、今御提唱になりました資金の種目の問題、あるいは貸付限度の問題、あるいは期間延長の問題等々は、具体的な事情を精査しまして、それに対応して所要の措置をとる。従いまして、法律の改正等もこの際としまして考慮しなければならないということでございまするならば、法律改正の方に進めていきたいと思っておりますが、関係するところ非常に広いのでございますから、ただいまのところ確然たるお答えを申しかねる現況でございますから、なお十分に検討さしていただきたいと思います。以下災害国庫補助の助成率の関係等につきましても同様であります。
 それから飯米のための安価払い下げの問題、それから復旧資材等についても安く払い下げするということでございますが、現行の法規では時価をもって差し上げるということになっておるのでございますが、すでにこの手当はもうしております、価格問題は別といたしまして。すでに災害地等につきましては要所の手当をしております。同時にまた、米麦等の食糧等につきましても、県を対象とていち早くいたしております。従いまして、県の操作の範囲でもってし得る限度ではそれで片づけて参るということになろうかと思います。
 それから木材等につきましても、すでにこれも林野庁を総動員しまして、所要の木材の供給もいたしておりますが、価格等につきましても、行政的措置としましては、高いようなことはしておりません。特に時価よりも下げて売買するということは現行法の許さざるところでございますので、その範囲で運用の適正を期したいと思っております。
 救農土木はどうかということでございますが、これはたとえば静岡の狩野川の沿線等に行きますと、耕地の復旧等につきましても、これは数年の努力を要するのじゃないかと思うほど深刻な状況であります。従いまして、これ以上に救農土木等の必要があるかどうか、これは地方によってみな事情が違いますから、それによりまして適切な措置を講ずるということにして参りたい、こう考えておる次第であります。
#51
○委員長(関根久藏君) ちょっと速記をとめて。
#52
○委員長(関根久藏君) 速記をつけて。
#53
○北村暢君 もうあまりくどい質問はいたしませんが、今申したように法律の改正を要するものについては、検討してそういうような処置をとりたい、こういうような考え方のようでございますが、なかなか天災融資法にいたしましても、国庫補助の法律にいたしましても、法律そのものを改正するということになれば手続上やはり相当かかるのじゃないか、で、今申しましたような広範な災害のいろいろな関係の問題があるのですから、これを一括、臨時立法ですね、かつてやったことがあるわけですが、臨時立法でやる意思はないのかどうか、その点を一つ。
#54
○国務大臣(三浦一雄君) これは個々の法律にするか、臨時立法にするかということもまだ話し合いになっておりません。それは方針がきまり次第、臨時立法がむしろ便宜であるという場合にはさようなことにも進むべきであると思いますし、それからまた、二十八年災の先例にも従ってやるようにというような意見も実はあるわけでございますが、これはもう少し検討さしていただきたいと思います。
#55
○清澤俊英君 ちょっと関連して。今新聞などを見ますと、総理大臣も言うておるのでありますが、補正予算を二十二号台風に対して出すというような話を聞いておりますし、その後話は実際政府間においても進んでおるそうでありますが、これは二十二号台風だけで出されるつもりなのか。われわれの考えから言いまするならば、十一号までまぜるということはもうきまったものもありますので無理かと思いますが、少くとも二十一号、二十二号を合併して補正予算を組まれる方針が私は正しいものじゃないか、こう思いまするので、そこで、農林大臣としては、補正予算を組まれる場合、二十二号、二十一号を一緒に一つ対象として組まれるかどうか、そういう心がまえなのかどうか、その点を一つお伺いしたい。
#56
○国務大臣(三浦一雄君) 二十二号に限らずに、二十一号につきましても組みたいと考えております。同時にまた、さらに実は旱害等につきましても、救農土木等の要求がありますので、農林省としましても、実はそれらの残っておる分もありますから、それらを総合してむしろこの際は解決して参りたいと、かように考えておる次第であります。ただ政府の方としましては、災害については補正予算を出したいということは、こういうことはしばしば本会議でも御説明した通りでありますから、制約は受けますけれども、第何次の災害というようなことまでは制限してございません。農林省としては、至近の災害等については、予備金等ではまかなえないものも出て参りますかと思いますから、これらは補正予算をできるだけ組んで、そうして解決したいと、こう考えております。
#57
○千田正君 関連しまして。大体北村委員の御質問に対するお答えで了承いたしましたが、特にお伺いしたい点は、従来災害復旧は原形復旧にほとんどとどまっておる。そうしますというと、毎年同じような災害が来るたんびに非常に国庫の支出になるのであって、原形復旧プラス改良という面に重点を置かないというと、再びこういう問題が起きてくる、こういう点に大臣としては特別の予算編成上お考え下さるのかどうか、この点。
 もう一つは、災害が二十一号、二十二号以後、ことに稲その他の倒伏があって、当初非常に収穫があるように見越しておった農民の考えと、また農林省の考え方にも非常に差異が生じてきておる。毎日の雨によって、おそらく本年の収穫というものは非常に激減すると同時に、品質の上において非常な差異が生じてくる。食糧特別会計の買い上げの価格等に対する対策として何かその点について考えておられるのかどうか。この二点をお伺いしたい。
#58
○国務大臣(三浦一雄君) 例の原形復旧は、これは従来の災害復旧の場合の原則的のことでございます。それから改良復旧は、なかなか実際問題としてきびしい制限を受けるために、例がなかなか開かれないのでございますが、事態によっては、たとえば一水系の頭首工が七つも八つもある。これが全部流されてしまった。ところが、これがかねて計画があって、一本か二本かの頭首工に整理することによって、むしろ水利の便も開くし災害等も防止できるというような場合があるわけですから、これらは厳密に検討いたしまして、そうしていろいろの制約はありますけれども、それらの必要なものにつきましては、原形の復旧にとどまらず、改良復旧等の措置も講じて参りたいと、こう思っておる。従来とてもやっておりますが、なかなか成果を上げないことは御承知の通りでありますが、努力はしてみたいと思います。
 それから第二点の問題は、非常に恐縮ですが、もう一度簡単に。
#59
○千田正君 第二点の問題は、農林省としましても、あるいは報道機関等においても、本年は昨年に続いての農作である。非常にわれわれも期待しておったのですが、この風水害のために、特に災害を受けた所は、稲はほとんど全部倒伏しております。でありますから、乾燥時期におけるところのその後の長雨のために、非常に乾燥が十分でない。同時に、収穫した場合において、品質に相当の差異が生じてくる、こういう問題について、食糧会計の関係等についての考え方について伺いたい。
#60
○国務大臣(三浦一雄君) 一つは、これは水分の多い米をどうするかという問題でございますが、今年の扱いとしましては相当緩和した取扱いをいたしております。
 それから第二段の早場米の供出、いわゆる買い上げでございますが、これもすでに九月はもう過ぎてしまいましたが、十月の分につきまして、今検討さしております。これはどうも乱に流れるわけには参りません。これは西の方との価格の均衡等もありますので、いろいろなんですが、検討いたしておりまして、できるだけの配慮をして、その方面の助けになるようにいたしたいと、こう考えております。
#61
○千田正君 たった一点だけ最後に聞きたいのですが、それは水産問題ですが、この十月の二十二日に、御承知の通り、東京においての日米カナダの国際漁業会議が開かれるのですが、その際、アメリカ側の強い要請としましては、しばしばいわれておるところの西経百七十五度より以西に向って八百キロにわたるところの膨大なる禁止区域を設置せよ、こういう要望を強くいっておるようでありますが、今度の会議では、当然それが中心議題になると思います。それに対して、日本にとっては重大な影響を及ぼす、これは断固としてわれわれは承服できませんので、大臣としましては、この会議に農林当局が出席されるに際しまして、十分に日本の国情を考えられまして、アメリカ側の要望に対しては、これを拒否するだけの力をもってやっていただきたい。これを要望しますが、その点に対してはどういう心がまえを持っておられるか、その点をお聞きしたい。
#62
○国務大臣(三浦一雄君) 日米加の漁業の問題でございますが、やがてこれは開かれるわけでございまして、今御指摘になるような問題も多分問題になると思いますが、当局といたしましては、各般の資料を整備し、そうして向うの主張等も必ずしもわれわれとしましては是認できませんですから、お示しのようなことで、かたい決心でこの問題をいわば拒否できるように、そうして日本の主張をどこまでも貫徹していくようにいたしたいと存じます。
#63
○清澤俊英君 先ほどの千田君の質問に関連しましてお伺いしたいのでありますが、新潟県だけが特殊でないことは、今千田君が言われた通りでありますが、新潟県の本年の作柄につきましては、水害の被害面積というものはおそらく六千町歩くらいのものじゃないか。そのうち四千町歩くらいが収穫皆無になっておって、十八万町歩から見ますれば、至って範囲が狭い。しかしながら、それよりも、全般的にこうむりました被害は、八月中旬以降におきまする、ずっと九月から今日まで降雨は続いております。従って、その間に来た二十一、二十二あるいは十一等の台風によりまして、逐次重い稲が、初めのうちは肥料の過剰供給等による倒伏だというようなことをいわれておりましたが、実際雨を含んだ稲に対しまして、暴風雨が来て、そうして非常に倒伏が激しくなって、従いまして、倒伏した稲が、大体わせは別といたしまして、なかて以後はほとんど倒伏しておるわけです。そこへ雨がばしゃばしゃ降りますので、田の中で、その雨でもってはね上る泥が全部稲についてしまう。そこで早刈りをやる、そうしてほしてみますと、この見本のごとく、ほとんど一俵とれるかとれないというような状態である。こういうものが、三〇%以上の減収になる田が四万町歩といわれており、それ以下の、三〇%以下のものを加えますれば、少くとも七万六千町歩から八万町歩くらいあるのじゃないか、十八万町歩から見ますと、これは三分の一、三割以上の減収地帯が出ている、こういうことになるでありましょう。従って、今年の供出状況等を見ますと、非常な昨年から見ますと差異を生じているのであります。三十二年度の九月末検査数量というものは八十一万石あったわけであります。今年は約二十万石、そうしてしかも、昨年の状況としますと、八十一万石のうち九月二十九日には三十万石、三十日には一日で五十万石出た、ほとんど大部分がこの二日で出ている。ところが、今年の出荷状況を見ますと、九月二十九日までで十三万石、三十日一日ではわずかに七万石程度である、こういう出荷状況になっているのであります。これは御承知の通り、十月になるとならないとでは二百円の違いがある。農民のふところからしますと、大へんにふところ勘定が違ってくる、こういうことがまず考えられる。それからその次には、一、二等というものはほとんどまれである。わずかに三等を残している。大部分は四等ないしは格外である。全般の水分過多の品質のものを緩和してお買い上げを願って、これが予約に回るからまだ幾らか間に合いますけれども、それでもなかったらほとんど全滅状態である、こういう状態に追い込められておりますので、なお、この三〇%四万町歩を中心にして共済組合が調べたところでは、共済組合は概算払いをしていましたけれども、新潟県はおそらく昨年は約五百三、四十万石できておったと思います。今年は四百万石ようようだろう、百万石減るであろうといっている。そうすれば、一万円としましても百億円、これは農家全般の上から見ましたら品質の低下、格下げによる格差金、あるいは水分過多によるまた格下げ、供米期の予約納入期の誤差によるところの格下げ等を加えましたならば、これはおそらくは百五、六十万石、これは余分な言い方になるかもしれませんが、百二十万石ぐらいのものはすぐ違ってくるのじゃないかと思う。こういう場合に、天災法によりますと、多雨のためということはありませんが、もちろん暴風雨、豪雨という線を利用していただいて、天災法の適用は受けられるのかどうか、これをまず一点お伺いしたいこと。
 第二点は、いろいろ食管等の、長官等に買い上げ期の延長十日間をお願いしている。なかなる困難のようなことがいわれておりますが、どうせこれだけの被害を受けたものに対する補助金等も無理なのでありますから、従って、予算はだいぶ余ると思う。私は前にも、昭和二十三年かに一ぺん例があったと思いますが、その例に従って、現在納めたものについても納期を、十日間くらい何とか当局の納期を延ばしていただきたい、こういうことを考えているのでありますが、その点に対する大臣の一つ考え方はどうですか。
 それから、これは昨日どなたもおいでがないというので、事務次官に陳情に行ったそうです。ところが、事務次官は非常に顔色を変えて、東北いろいろな県があるが、どこでもまだそういうことを言わぬのに、新潟だけがそういう減収をしているということは考えられぬ、はなはだけしからぬといって怒られたそうですが、少くとも農林省はこれだけのものを出してきましたならば、だれかを派遣して、被害状況が水害だけではない、水害外の多雨、豪雨、暴風等による倒伏その他の事情によって絶大な被害を受けている、こういう点に対して御調査いただくことが私は親切なやり方ではないか。私は、きょうは農林事務次官来てもらったら、こてんこてんに一つやってやろうと思いますけれども、はなはだけしからぬと思います。それだけの一つ御親切があるのかどうか。そうして、できますならば、私はこの実情が私の誇大な報告でない、農民の誇大な報告でないということがわかりましたならば、何らかの処置をとって納期を十日間延長ができぬなら、五日なら五日というくらいのことを、予算はあるのでありますから、御決定を願わしいと思いますが、お考えをお伺いしたいと思います。
#64
○国務大臣(三浦一雄君) まず、天災融資法の方は官房長から御説明いたさせます。
#65
○政府委員(齋藤誠君) 従来からも豪雨あるいは長雨につきましては、天災融資法の対象にいたしておりますので、もちろん対象として入ることは間違いないと思います。すでに八月につきましては、天災法の対象にいたしております。九月以降につきましては、今度の二十二号を含めまして、二十一号及び二十二号の台風被害につきましても、早急に天災法の対象にすべく、今せっかく事務当局としては検討しておるところでございます。新潟地方におきましては、二十一号、二十二号も関係ありますし、それから前の十七号も含めておりますので、いずれかの台風の中には当然入ると考えております。
#66
○国務大臣(三浦一雄君) 事務次官が大へんどうも失礼いたしまして、私からおわびしたいと思います。どうぞその点は一つ御了承願います。
 なお、今の納期の問題等は、至急に今検討させておりますから、できるだけ御趣旨に沿うような結論を出したいと思っております。
 なお、新潟県等の災害が非常に激甚なものでございますから、用務のついでに私参ったような次第でございまして、実情の調査にはまた関係官等もやりまして、つぶさに精査させて、そうして誤まりのないようにさせたいと思っておりますから、御了承願います。
#67
○委員長(関根久藏君) 本件は、本日はこの程度にいたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後一時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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