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1958/10/30 第30回国会 参議院 参議院会議録情報 第030回国会 農林水産委員会 第11号
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1958/10/30 第30回国会 参議院

参議院会議録情報 第030回国会 農林水産委員会 第11号

#1
第030回国会 農林水産委員会 第11号
昭和三十三年十月三十日(木曜日)
   午前十時四十三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     関根 久藏君
   理事
           藤野 繁雄君
           堀本 宜実君
           東   隆君
           北村  暢君
           河野 謙三君
   委員
           青山 正一君
           秋山俊一郎君
           雨森 常夫君
           重政 庸徳君
           田中 茂穂君
           堀  末治君
           横川 信夫君
           安部キミ子君
           大河原一次君
           河合 義一君
           清澤 俊英君
           北 勝太郎君
           島村 軍次君
           千田  正君
           北條 雋八君
  政府委員
   公正取引委員会
   事務局長    坂根 哲夫君
   農林政務次官  高橋  衛君
   農林省農林経済
   局長      須賀 賢二君
   食糧庁長官   渡部 伍良君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   通商産業省通商
   局次長     中野 正一君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会
 設置法案(内閣提出)
○農林水産政策に関する調査の件
 (米穀の集荷配給に関する件)
 (農林漁業と独占禁止に関する件)
 (農林漁業関係輸出入取引に関する
 件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(関根久藏君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
 最初に、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案を議題といたします。
 本案につきましては、一昨日質疑を終えておりますので、直ちに討論に入ります。
 御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#3
○青山正一君 自民党を代表いたしまして、ただいま御提案になっております臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案に対し、賛成の意を表します。
 本案は、当参議院農林水産委員会の付帯決議によりまして、政府において立案されたもので、調査会の設置はもとより当委員会として望むところであり、むしろおそきに失するくらいの気持であります。ただ、調査会を組織する委員の人選及び専門委員の人選について、慎重を期し、当委員会の希望に沿うように、特段に政府に希望いたします。
#4
○清澤俊英君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本案に賛成いたします。
 賛成について、いささか意見を述べておきたいと思いますことは、ただいまも青山委員が申されます通り、本案が提出せられました原因は、二十八国会におきまするわれわれの付帯決議によって御提出になったのでありまして、その当時は、丸東事件を中心にしまして、提案理由の説明にあります通り、市場取引の公正を中心にして根本的に解決すべきことを要請しておったと思うのであります。そこで先般、本案の質疑の中でいろいろお伺いしまして、農林省が本調査委員会を設けられるについては、農林大臣の諮問となっておるから、従って、諮問の中心がどこにあるか、こういうことをお伺いしましたところ、大体は卸売市場の合理化をはかることが中心であると同時に、なお、各地方には生鮮魚類の水揚地あるいは蔬菜、果実の地方的な集散市場というものもあるから、これらをも広範な調査をし、その上、外国等の事例等もこれも参考として、非常な広範な立場で中央卸売市場のこれからの構成について、御検討いただくような御答弁を受けているのであります。そこで私は、問題としてわれわれの意見を申し上げまするならば、中央卸売市場という性格を持ちますには、現行法における十五万以上の都市ということは当らぬのじゃないか、少くとも東京、大阪、名古屋におきまする中央卸売市場は、大体において全国的影響下に置かれる市場として認識していると思う。ところが、三十万あるいは五十万を擁します福岡、広島等の、たとえば市場を見ましても、これらは地方的な消費取引市場であり、同時に出荷市場であり、中央卸売市場における出荷市場であるというような役目を果しているので、その性格において大きな相違を持っており、また、質問の過程におきましては、生鮮食料品の中に畜産も入っている、畜産の取引市場のことも考えられる、こういうようなお話もお伺いしているのでありますが、これらの畜産市場等を、現在ありまする中央卸売市場法で考えますることは、非常に無理じゃないか、と申しますることは、現在のいわゆる中央卸売市場なんかの流通過程における発達と、畜産品の流通過程の発達におきましては、非常な歴史的な差異がある。従って、それは商習慣として残された大きな力を持っておりまして、なかなか、この長い間つちかわれた習慣は、容易に一日にして抜くべからざるものを持っている、こういうような情勢でありますので、従って、本案を根本的に改正をする、こういう立場に立たれて、農林省が中心になってそして諮問を発して行われまする際には、そういう点を十分注意して、場合によりましては、精肉市場取引法というようなものを作られるなり、あるいは最近各府県連におきまして、畜産センターを作って、そして農民の畜産品をこれに、応貯蔵して、緩和するというような空気も相当出ておるようでありますから、従って、地方のそういうセンターに対する考え方も、これは中央市場とは別な建前でやらぬと、非常な危険性を私は招来すると、こう思うのであります。と申しますことは、地方でやっております一、二の例を見ますと、昔の博労さん、現実は肉の卸屋さん、こういうものも農協等と一緒になって、農民と一緒にセンターを作られる。農民の肉に対しまする、牛に対しまする知識というものは非常に低いのでありまして、一方は、長い伝統の上で、一目見ただけでもこの牛の肉牛としての将来の利用価値なんというものはすぐわかるのであります。従って、私は一番おそれるのは、もし、そのままで参りましたならば、営業権というか、営業の主導権は、最も営業に通じた博労屋さんの手に移ってしまう。この牛は表から見ると非常にやせた価値のないような牛に見えますが、これを三カ月なり四カ月なり、ある手入を加えるならば、非常に優良な肉牛として仕上げることができる、こういうようなものは多分見抜けるだろうと思います。そして最も手当のできない悪い牛だけ買い集められるというようなことが行われましたならば、これは非常な、そういうものを作ること自身が農民に、生産者に不利益を来たすようなものもできますので、そういったものが中央市場等にも相当私はあるのじゃないかと思われるということと、現在、中央市場自身を見てみましても、これはその市場所在地の市場構成員とでも申しますか、小売商、仲買商、卸人、この三つの環境を見まして、最も強くでき上りましたカルテルを強化しておりますものが大体の主導権を持っている。だから、これは一つではありません。現に最近、神戸におきまして仲買商のカルテルが非常に強くて、何とも三つの卸売商がこれに対抗できないというので、現在これが自然的に一本になって、他の卸売株式会社を組織した、こういうような例もありますので、なかなか容易でない、商習慣を中心にして行われるのであります。こうした場合、私は、農林省の前日来の答弁の中で出て参りました構想として、これの正当なる調査機関として一つの調査会を作るということが、この法案の骨子になっておりまするが、かりに、中央卸売市場というものを中心にしてお考えになっていただきますならば、これは私は当然卸売市場関係業者、小売人、仲買い、卸というものは、私は除外すべきじゃないか、これは参考人として、もしくは債務者として十分の発言と、十分な意見は聞くべきであって、聞くことは正しいが、これらを仲間に入れて調査機関を作って、そうして正しいものを出そうといたしましても、利害相伴わない関係者が一堂に会して、しかも、それが一番の市場関係における精通者だ、こういうことになりますれば、従って、調査の結果のおもむくところは、また別なものができ上らなければならない。こういうことを考えるのであります。私は、ほんとうに中央市場を整備して参りまするには、これは参考人として十分意見は尊重するが、参加すべきでない、こう考えておりまするが、まあ大体この調査委員の顔ぶれの割合は、市場関係が十、生産者が十、それから中立の学識経験者として評論家あるいは学者、解説者、消費者、こういうものをまぜて十と大体振り分けておられるようでありまするが、これは比重において最も中正、公平な市場構成を求める上におきましては、私は、この比重は非常に間違いだと思いますが、せっかくきまりましたのでありまするから、今さらこれを変更してくれとは申しませんが、運営の過程において、農林省としては十分そういう危険のあることを御了解の上、一つやってもらいたい、こういうことを付加したい。なお、その委員の顔ぶれの中には、私は、どうしても消費者の代表として、現に経済組織を持っておりまする労働組合は消費協同組合というようなものを持って、これがいろいろの面で現在問題になっているのでありまするから、従って、この団体の代表者を一つ必須条件として、消費者代表として入れていただきたいということをつけ加えておきたいと思います。
 その次に申し上げたいことは、当時われわれは、この市場の構成におきまして、卸売段階は、公共機関としての性格を持たすことが最も妥当であるというようなことは相当考えられますから、それを公共的な性格を持たせるためにはどうしたらいいか、こういうことになりまするならば、今日の卸売人をして委託業者としての地位をはずす、そしてこれが開設者によって委託業務を取り扱って今日の卸売会社のやっておりますることをやりますることは、これは手数料等においても相当削減することができ、従って、本提案の趣旨によりまする消費者並びに生産者の利益を増して、最も円滑なものにする方法になるのじゃないかと思いますが、これらはおそらく長い間の商権等の消滅による補償その他で容易ならざる資金を要しまするので、なかなか政府としてもうまくこれはいかないと思う。いかないのじゃないかと私は危惧しておりまして、おそらくまだ時期尚早のところに落ちつくのじゃないかと、こう危惧するのであります。
 そこまでいっていただきますれば、非常に私は進歩した市場の形成が考えられると思いまするが、これはなかなか容易な問題じゃないと思う。しからば、これをどうするか、こういうことになりますると、かつて二十八国会でいろいろ問題になりました、その前の国会で問題になりました単複の問題が台頭してくると思うのでありまして、従って、単複の問題等は公取引との関係もありまするし、ここでただ簡単に単がいい、複がいいというようなことは申し上げかねますが、これらの問題はもう公取引に公共性を持つ市場性を発揮する上における重要な一番の中心でありまするので、従って、農林省としても、この点は一つ特段の御考慮をもって諮問を発していただきたい。
 その次には、今現在丸東問題で非常な紛糾をしておりまするが、支払いの問題、結局しまするが、指導はする、監督はする、いわゆる赤信号は掲げるが、赤信号を十分出さないで――赤信号を出さないということは、いろいろ取締り規定がありまするが、その取締り規定や法規を忠実に施行することを観察し、これが監督者としての立場にある農林大臣がこれを怠った、現に豊島における公正取引が十カ年も行われなかったというような例も現在出ておるのであります。こうした場合に、丸東などの問題が出て参りましたならば、これは当然取締るべきものが取締られないで、そうしてそこで一つの失敗が出たときに、法律には、何らこれに対しまする、丸東のような生産者に迷惑をかける、あるいは労働者に迷惑をかけるというような問題が出ても、その迷惑を始末するものがない、これでは私は法律というものが何のためにあるのか見当つかないのでありまして、従って、取締る権限を擁して、そして人を取締る限りにおいては、その取締りに従わぬ場合には罰せられる、それからその罰もやらなければ、何もしないで野放しにしておいて、汽車は転覆しました、会社は破産しました、生産者からの品物には、食加品に対しましては、債権に対しては何らこれの補償の道がない、これは全く私は都合のいい法律を作り過ぎるのだと思うのです。従って、権限をもってこれを取り締る、あるいは監督する、こういうことになりまするならば、やはりその点にも相当の責任を持てる態勢を強化していただくことが、これはもう必須の条件だと思います。だから、できますならば、私はすぐ全部を、それを、そういう場合には、国が、あるいは東京都の開設者がこれを支払うというようなことは無理でありまするが、応分の、国も東京都も開設関係公共団体等が補助をして、そうしてこれの関係者全体がやはり一つの共済的の金融積立制度を持つというくらいのことをして、善良な生産者の意図を曲げることのないように、一つ十分な検討を調査会をして行わしめるよう御努力をお願いしたいと思う。
 そのほか、こまかしいこともありますが、こういうことを要望いたしまして、そうしてなるべく、一年以内でなく、もし、できますならば少しくらい延びてもいいと思いますので、これは根本的に一つ、中央市場のあり方並びに地方市場のあり方、業種別の市場のあり方等について御諮問を発せられて、完備せる市場ができますよう御努力をお願いして、社会党は、これに賛成いたします。
#5
○島村軍次君 私は、緑風会を代表いたしまして、本案に賛成いたします。
 簡単に理由なり希望を申し上げたいと思っております。農林政策のうちで、流通過程の問題は、今日の段階ではきわめて重要であって、なかんずく、この市場組織の問題がそのポイントになるものだと思うのであります。多年にわたる慣習といいますか、その例をあげてみますというと、ずいぶん弊害も多い。ただいま清澤委員のお話しになったような、畜産等に関する問題は、皆、その弊害を認めつつもなかなか手が下せないというのが現状であります。そこで、政府は、この調査会をして、委員会の希望だとして調査会をお作りになったことでありますが、もちろん一般の民間の意思を尊重すべきでありますが、これは必ずやるべきでありますが、もっと農林省におきましては、流通機構全体に関する対策の一環としての、もっと広範囲にわたっての調査を進めていただきたいと思うのであります。
 なお、市場の組織は、元来が公共性を持つべきであると思うのでありまして、その設置は、現在におきましても、市町村が多くやっているのであります。しかし、自由取引の間には、別途にそれに類似する寄り集まりといいますか、簡単な、簡易な取引等もこれを制限するの規定もなく、かつ、そのために混乱をするという現在の段階であるのでありまして、公共性から考えますというと、相当の制約を加えた法規が必ず考えられるべきだと思うのであります。かつ、本案は、単なる調査会でなくして、ただいま申し上げましたような意味において、十分な審議を各般、広範囲にわたって審議をしていただきまして、抜本的な一つ案を調査会によってすっきりしたものが出るように指導なり、あるいは調査会をさような運営にしていただきたいことを希望いたす次第であります。
 なお、この種の調査会は、どうも断片的に行われるのでありまして、そのために長引くという弊が多分にあるように思うのでありまして、専門委員も置くことになっておりますので、一つ各般にわたる調査を十分にされまして、すみやかに対策が立てられることを望んでやまないのであります。一年以内となっておりますが、なかなかむずかしい問題であるだけに、一年以内ではなかなか困難であるとも考えられますが、むしろ他の調査会とか委員会等と異なって、これに一つ専念するという立場で、むしろ将来に政務次官がリーダーとなられることも、重要さを増す意味からも適当ではないかとも考えられるのであります。どうぞ、さような意味において十分な御検討なり、すみやかなる案の成立を望んでやまないのであります。
 以上、申し上げまして、この案に賛成いたします。
#6
○千田正君 臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会、これが設置されることはもとより賛成でありますが、ただ問題は、こういう会が設置されても、その効果において十分それを利用しなければ、何らの意味のないことであるということは、しばしば、先般の論議のうちでも各委員からも要請があったわけであります。できても結論をただ聞きおくという程度では意味がない。しかも、この中央卸売市場の権限は農林大臣が把握しておる今日においては、十分にこれは検討して、委員会の答申を実際に取り入れて、その面において具体的な運営をしてほしいということは、私がお願いしたいのでありますが、申し上げるまでもなく、今まで同僚三議員からいろいろ御要望がありましたが、私も最後につけ加えたいことは、生産経済と消費経済と流通経済のこの三つをいかにして調整して、最も国民の生活に安定を与えるか、これがこの調査会の最終的な答申の目的であろう、こういうことを考えますと、現在行われておるところの卸売市場というものは、決して近代産業のベースに乗った行き方でもない。ただ一例を申し上げますというと、三陸市場においてサンマがただいま一貫目三十円、ところが、消費者の食ぜんに上るときは一匹二十円ないし三十円である。その間に五十倍というものの価格がどこへ一体流れていくか、こういうただ一つの問題を抽出してきても、国民生活に及ぼす影響というものは重大である。さらに、肉市場におきましては、最近すでにニュージーランドと日本との間の通商条約が結ばれた。その根源とするところのいわゆるお互いの流通経済のうちからこの問題が出ていって最恵国の条款を適用するとするならば、濠洲もしくはニュージーランドからは相当安いところの枝肉が入ってくる。これの取扱いと生産者の日本における酪農政策を立てた農林省の根本政策との間のそうした肉の取引はどういうふうになっているか、こういう、単に国内の問題ばかりでなく、国際市場の問題と関連した一連のこの経済の根本的な卸売市場に対しての改正というものは将来必要になる、こういう観点からいたしまして、委員の選考あるいはこの運営に対して農林省の考え方並びに答申を受けた後において、農林大臣として、国民経済の上に万遺憾なからしむるよう特段の御決意を持っていただきたいということを特に私は要望いたしまして、本案に賛成するものであります。
#7
○委員長(関根久藏君) 他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
#8
○委員長(関根久藏君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。
 臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案を原案の通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
#9
○委員長(関根久藏君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。
#10
○委員長(関根久藏君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
#11
○委員長(関根久藏君) 米穀の集荷配給に関する件を議題にいたします。
 この件について、島村委員から質疑の御要求がありましたので、御質疑を願います。
#12
○島村軍次君 先般、新聞紙上で拝見いたしますと、今回、米の配給の日数を一日だけふやすと、それに伴って集荷対策も相当積極的に推進していこうというようなことでありますが、新聞紙上で拝見した内容等は、相当詳しいものが出ておりましたが、一応この機会に、それの今日までに至った経過なり、その理由をお聞かせ願いたいと同時に、来年度の需給計画もまだ十分はお考えになっていないとも思いまするが、一体、今回配給日数をふやすということになりますれば、将来に対する見通し等も十分検討の上でお立てになったことだと思う。そういう点に関してまず承わりまして、あと御質問申し上げます。
#13
○政府委員(渡部伍良君) ただいまお手元に「三十三年産米の集荷増強対策について」というガリ版の資料を配っております。それをごらんいただきたいと思うのでありますが、要点は、三十三年産米の収穫高は、二十一号、二十二号等の台風で二百万石程度の減収が、統計調査部から発表せられましたけれども、なおかつ八千万石を上回ることは確実と考えられるのであります。これは、三十年産米の実収高が八千二百五十六万石、三十一年が七千二百六十六万石、三十二年が七千六百四十二万石、こういうのでありまして、昨年の七千六百四十二万石に比べましても、約四百万石の増収となるということは確実であります。そういたしますと、現在の食糧管理の制度から見まして、この増収分、あるいはさらに、相当のいわゆるやみ米が出ておりますが、それも管理制度を強化する点からいえば、できるだけ政府に買い上げまして、一方で、なべ底景気といわれて一般経済界が沈滞しておるのにもかかわらず、一般の物資は生産が増加すると価格が下るというにもかかわらず、米は食糧管理制度で値段がきめられておるのであるから、この生産者の豊作の喜びを消費者にも分けるという意味で、もし食管に相当予定の数量以上に集まりまするならば、この分を消費者に増配するというようなことも考えなければならない。で、この際、食糧管理に携わる政府はもちろん、協同組合なり配給業者なり、管理制度に関与する者全体が心を合せまして、できるだけ政府に米を集めて消費者にその豊作の喜びを分ちたい、こういうのが今度の三十三年産米の集荷増強対策であります。
 まず第一に、集荷目標をどうするか、こういうのであります。本年度の予算では、二千九百万石を計上いたしております。しかし、予約制度が第四年目でありますので、本年度の予約数量は、三千二百二十七万石と、こういう予約数量が出ております。食糧管理の建前は、農家の保有米以外のものは全部政府が収買するというのであります。もしかりに、保有米を四千万石と見ましても、四千万石は政府が収買しなければならない。保有米は四千万石にはならないと思いますが、それにしましても、生産から保有米を差し引いた額と予約米との開きは相当ある。これを三十年度以降の買い入れの実績に比べますと、三十年度では三千百九十万石を買い入れました。三十一年度では二千八百七十四万石、昨年の三十二年産米では三千八十二万石というものを買い入れておるのであります。予約数量が非常に大きいということは事実でありますが、生産と保有との差額の数量に比べると、まだまだもっと政府が集める責任である、こういうのであります。それで、この集荷増強対策の集荷目標は、前年の実績に本年度の増産分を加えたものを最小限度集めるということを目標にしたい、こういうのであります。
 それから第二点は、予約数量の売り渡し促進と販売余力米の売渡し推進ということをいたします。予約売り渡しの早期完遂を推進いたしますとともに、農家の販売余力米の売り渡し推進運動を各都道府県、農協系統組織、全集連系統組織、関係集荷協力団体等を動員していたしたい。このためには、これらの機関は新聞、ラジオ等による広報活動を行うのほか、要すれば、部落座談会を開催するなり、あるいは農協青年連盟とか、あるいは農協婦人部というようなものを動員いたしまして、各機関において最も効果的な方法で農民に対して政府売り渡しの促進の趣旨の徹底を図る、こういうふうにいたしたいと思います。
 それから第三番目には、代表者売り渡し制度の早期実施をいたしたいと思います。予約を超過する数量につきまして、あるいは、やみに売られる数量につきましては、一般に、やみの言いわけとして、すぐ現金がほしいとか、あるいは名前が出るのは、税金とか、あるいは部落費の割当とか、あるいは寄付金の基準になるからいやだ、そういうふうないろいろなことがありますので、個人の名前が出ないようないわゆる代表者売り渡し制度をことしは早目に実施しない。一定数量以上の予約売り渡しが済んだ者にはさっそく代表者売り渡し制度を適用したい。この適用につきましては、早場、すなわち北海道、東北、北陸、関東の都府県については、十一月一日、その他の府県については、十二月一日以後を目標にしております。それより以前に、石川、福井では十月十六日から実施しておりますが、そのほか、最近、北海道、三重等でも実施を始める予定になっております。そのほかの県では、大体、早場では十一月一日、おそ場では十二月一日ということになると思います。
 この代表者売り渡し制度による集荷措置のこまかいことを4に書いておりますが、指定集荷業者は小型運搬具等を用い、もしくは「通い袋」を生産者(家族も含む)に配布いたしまして、または、部落単位程度に、生産者が持ち込むに便利な場所に小口米集荷所というようなものを設けまして、実情に即しまして効果的方法により、正規量目のものはもとより、小口米の集荷活動に積極的に働いてもらう。この小口集荷米につきましては、生産者に対しまして仮払いを行う。すぐそこで金を渡してあとで精算する。すなわち、今までのようにすわっておって正俵を組合に持ってこい、こういうようなことでなしに、集荷業者にもう少し親切に集荷に当ってもらう、こういうのであります。
 それから第五番目には、買い入れ対象米穀の拡大とやみ流れ防止、こういうことを考えております。ことしは収穫期に天候が非常に不良でありましたために、乾燥不十分の米やくず米が相当多いのじゃないかということが予想されております。ことに、地方によっては、発芽したような米も相当広く出ております。そういうのでありますから、これを政府に買い上げる措置を講じなければ、やみ流れを防ぐことができません。そういうことで、次のような方法を、これはもうすでに実施しております。すなわち、第一は、水分過多の規格外の米の予約内買い入れ。検査規格から水分が一%以内多いものは、全国を通じて予約数量の対象の中に入れております。また、特に天候不良の東北、北陸等では、水分二%以内多いものも予約の中で買うことにいたしました。それから等外米等の買い入れ。等外上玄米、等外精米、規格外精米について、政府で買い入れることにいたしました。特に災害の著しい東北、北陸、関東、甲信越、静岡等では、等外上玄米を予約内で買い入れることにいたしました。この二点は、すでに実施しております。
 それから米の単作地帯に対する集荷促進用原麦の特別売却をいたしております。これは販売余力米の集荷対策といたしまして、かつ、単作地帯の農家の食生活の改善と、あわせて、また、家畜飼料対策の一助といたしますために、原麦の特別売却ワクを設けまして、前年は一万二千トンを配ったのでありますが、本年は第一次分として一万五千トンの割当で特別売却をすることにいたしております。これは府県でそれぞれの集荷団体等の意向で、さらに増加する必要があれば、さらに増配する用意をいたしております。この原麦は生産県の精麦業者に売却して、精麦及び麦ぬかは、系統農協、集荷商人によって米の売り渡し農家に可及的に安価に販売せしめるという行政措置がとられております。
 それから第七に、委託搗精数量を増加すると同時に、この委託搗精の精米については紙袋を使用するという措置を講じております。これは主として生産県の農協等に対しまして、政府所有の玄米の搗精を委託いたしまして、米の集荷の促進をはかり、あわせて家畜飼料対策とするために、委託搗精数量のワクを広げることにいたしました。これも前年実績が百三十万石でありましたが、本年は第一次分として百七十万石を府県別に配当をいたしまして、これも農協等の搗精能力さえありますれば、さらに増加する用意をいたしております。これは全販を中心としまして、系統機関で委託搗精の拡大についてさらに研究を進めております。第一次分を去年より四十万石増しましたが、さらに幾らでも増す用意をいたしております。ただし、これはあまり春になりますと、消費地でいろいろ問題を起しますので、二月ごろまでの措置ということになります。
 この際、(2)といたしまして、委託搗精の精米には三十キログラム入りの紙袋の使用を認める、こういうことにいたしております。これは生産地で俵、かます等が非常に不足しているというふうなこともありますので、かつまた、委託搗精の米を俵、かますで持ってきますと、消費地で、玄米がまじっているとか、あるいは、わらがまじっているというので、従来非常に問題を起しておりますから、そういうことを避ける意味からいたしまして、紙袋を使用させることにいたしております。
 それから委託搗精によってできる米ぬかは可及的脱脂の上、米売り渡し農家へ還元する、そうしてあき俵は予備不足の農家に還元供給するということにいたしております。
 以上の措置と並行いたしまして、最近ではやみ米が相当慢性化いたしまして、また、相当大口化しておりますので、この大口のやみを取締る。これは府県の当局なり、あるいは府県の集荷団体等からも相当強い要求がありますので、実際は、実施の方法としては相当むずかしい問題もありますけれども、できるだけ大口のやみの取締りを強化していく、こういうようなことを考えております。
 以上が、御質問がありました三十三年産米の集荷増強対策の内容であります。
#14
○島村軍次君 ここで、需給関係からいえば、一日をふやすという程度でなくして、もっとふやし得るのではないかというふうにも思いますが、その点がどうかということ、それからこまかい問題を二、三あわせて承わりますが、この代表者売り渡し制度は、これは地方的には相当やっておられるのかもしれませんけれども、実際問題としては、米の検査というものがなかなかスムーズに参らぬ。そこで、たとえば私が三十俵なら三十俵の収穫をして、割当が二十俵だとして、実際は余裕がありましても、それを出す場合には、一応予約で出しておる以上にはなかなか出しにくいというのが事実なのです。そこで、こういう年に、今お話のような宣伝をやるとすれば、もっと簡易にでき得るような方法を考えるべきではないか、ここにある委託搗精に伴う紙袋の使用というのがありますが、これは全国的に俵でなくして、玄米そのものに紙袋を使用しておる例が相当多いと思うのです。これは保有米と称して紙袋を使用しておる。しかしそれは、事実は残ればやみに流す。そこで、精米の包装を紙袋にするというのでなくして、これを玄米そのものも紙袋で出す場合には、代表者売り渡し制度のうちに入るか、別途に紙袋で扱うというような制度は、実際問題としてお考えになっておるかどうか、それが第二点です。
 それからもう一つは、やみの防止という問題は、お話の通りなかなかむずかしい問題ですが、しかし、価格がこういうようになりますと、ほとんど生産地の価格は、農家から出るやみ米というものは、価格の問題よりはまあ出しやすいからという、そのことがだいぶあると思うのです。そこで、それを途中でキャッチする方法としては、代表者制度でなくして、もっと進んで農家に簡易に集荷できるような方法が、こういう時期に考えられるものではないだろうか、これは前の問題と関連することですが。それから需給関係からいきますと、近接地の配給というものが、一たんはしごの段階を経て、ずっと食糧管理で倉庫まで行って、それから流してくる。だからして、地方の配給を受ける人はもっと簡易に、たとえば右から左というのはおかしいけれども、生産者が食管のルートを伝えば、もう隣にも余っていることがわかっておっても、なかなか食管の建前ではやられぬ。そこで、村とか、まあ部落でいいんじゃないかと思うのです、町村長にある程度まで、配給をだれにやらしたら一番いいかわかりませんけれども、近接地の配給については、簡易に、集荷したものをそのままその地方へ流すことができるというような方法を講ずればやみの量がうんと減るんじゃないか、実際に東京あたりのやみ米を扱っている人及びこれを受ける人は、食管の関係の食糧庁の人はお買いになっておらぬかもしれぬけれども、実際に小売業者が持ってきて、そうしてその持ってくるのには、二つも三つもルートがあるが、簡易に配給が得られるということになれば、相当やみ米の量が減ってくるのではないか。せっかくいろいろのことをお考えになっておりますが、そういう点については、何かいい案がないかどうかということです。
 それからもう一つは、米の配給に関する登録制度ですね。これは今でも従前と同じようなことでお考えになっておりますか。何か登録をもっと簡易にして、配給が、小売業者が小売の仕事が簡易にできるような方法を、お考えのうちに持っておられないかどうか。米屋さんの方からいえば、既得権だというようなことでなかなか問題があると思うのですけれども、食管制度そのものについて、もっとこういうときに、今は統制撤廃論というものが影をひそめた際でありますが、むしろ間接統制、現在の統制制度をもっと幅の広いものにやって、ある意味の間接統制にも合うような、味わいのある統制制度というものに私は、すべきではないか、食糧庁長官もおかわりになったから、渡部さんちょっと頭のいいところでそういうものをもっと積極的にお考えになったらどうかという希望があるのですが、それに対していかがですか。
#15
○政府委員(渡部伍良君) まず、第一点の一日以上増配できないかと、こういうお話でありますが、最初に申し上げましたように、三十三年度予算を組むときには、二千九百万石の集荷を予定しておった。それが三千二百二十七万石の予約が得られた。その際には、現在の配給十四日というものは、もし二千九百万石ならば、十二日程度くらいの配給になってもやむを得ない、こういうような予定をしておった。従いまして、三千二百万石程度で十四日が維持できる、一日の配給量、大体二百万石とお考え願えばいい。そうしますと、先ほど私が説明いたしましたように、増産分だけを去年の集荷よりよけい集めるということになりましても、そう大きい日数の増配はできないのであります。しかし、何と申しましても、現在の制度は予約制度でありまして、予約後のいわゆる、ここに書いております販売余力米というものを強権的に割り当ててしぼり出す、こういうわけにはいきませんので、ある程度は見込み、それ以上まとまればさらに追加して増配する、こういうことしか言えないのであります。ここにもはっきり増配するということを書かないで、「増配を可能とする量を目途として、」こういうふうに書いてあるわけであります。しかし、先ほど申し上げましたように、保有米の差額は、全部食管が買い上げなければならない、買い上げる義務があるということからいえば、お話のように、一日や二日分ではなく、主婦連が言っておりますように、二十日の配給ということも、量的にはやらなければいかぬというようになるのじゃないかと思います。ただ、あとのやみ米の問題と関係ありますが、現在ではやみ米の価格は非常に下っております。ある地方では政府の買い上げ価格よりも安い相場も出ている所がございます。これを集荷団体、特に大部分を集荷しておる協同組合がよう集めないということは、やはり協同組合組織の弱点、欠陥ということであるので、その点は協同組合組織におきましても、ことしは食糧管理制度の重大なる転換期、予約米が集まるかどうか、予約米以上に余力の米がどれだけ正規のルートに乗るか、それを協同組合組織でどれだけ果すかどうかということについて非常な決意と努力を払おうといたしております。そういうことがここに小口米の集荷とか、あるいは委託搗精の増加とか、こういうことを積極的に集荷団体の方で私の方に要求してきておる現われだと思います。あるいは部落団体とか、農協青年連盟とか農協婦人会を使い、こういうようなことを言ってきているゆえんじゃないか、こういうふうに考えております。
 第二の紙袋の問題でありますが、紙袋を米の容器に現在まで使わない理由の一つは、技術上の問題、一つは、従来のかます、俵の生産者保護、この二つの面から問題が片づいておりません。技術上の問題は、米の検査は、ほかの工業生産と違いまして、一俵々々検査しなければ、抜き取り検査では等級をきめるわけにはいきません。従いまして、現在の状況では、俵、かますにさしを入れましてサンプルをとって、そうしてそれをまた俵に返す、こういうことであります。紙袋でありますと、さしを用いまして、それをあと閉じるということがむずかしいのみならず、大きな穴をあけますと、ますます袋のあとの始末が悪い、こういうことでありまして、検査手数が非常によけいかかる、そういうところで、私の方はまだ全面的に紙袋を使用するということは、技術上の点から踏み切ることができないのであります。さらにもう一点は、かますの生産者あるいは俵の生産者というものの保護の見地からいろいろな問題があります。しかし、このあとの点は、ことしのような状況でありますと、容器が足りないから売りたくても売れないというような声が相当出ております。従いまして、その点は別個に考えなければいけない。昨日も衆議院の農林委員会で、早場地帯の生産県の代表の先生が、ことしの稲わらは非常に悪くて、来年はとても俵に回せるようなわらは十分手に入らない、だから、今から紙袋を用意しておけ、こういうようなお話もありましたが、そういうような意味から、紙袋の点につきましては、今後の研究で、さしあたりは検査に比較的簡便な委託搗精米、委託搗精米は工場を指定して、そこに行って検査をすればいいわけでありますから、その後の検査の技術上の問題は、一応排除といいますか、さしあたりは委託搗精にするというのが今度の趣旨であります。紙袋と同様に麻袋の使用もこれは問題になります。これは紙袋と麻袋と同時に一緒に考えたらいいのじゃないか、こういうふうに考えます。
 それからやみ米の問題であります。御指摘のようにやみ米につきましては、すぐ現金がほしいとか、へそくりがほしいとか、あるいは政府売り渡し手数がめんどうだとか、いろいろな理由がありますので、そういういろいろな理由をできるだけ集荷団体で、今までの何といいますか、強権的に吸い上げるという立場を変えまして、商業的といいますか、あるいはサービス的に、いろいろこまかい配慮も集荷団体に要求しております。これはやはり集荷団体の今後のあり方、食管制度の今後のあり方、こういうものと関連してことしは一つの試験期であると思います。さらにこまかい供出管理制度とか、消費地近接の問題については検討を加えていきたいと思います。
 それから登録制度でありますが、登録制度の現在の直接統制のもとでは、なかなか現在の制度にかわるいい案というものも見当りません。しかし、これも現在の配給制度でやみ米が減らないということになりますと、御指摘のようないろいろな問題が出てきます。従って、それは小売の登録制度の問題で解決するのか、あるいは食糧管理制度そのものを、さらに違ったもっと弾力的な運用にするように考えなければならないのか、むしろ根本的な問題に触れなければ解決できない問題じゃないかと、私は考えておるのであります。
#16
○島村軍次君 これも少しこまかくなりますが、実際、東京あたりの小売屋さんは、産地に行ってでも直接百姓から買って、そうして自分のところで米の配給をあわせてやっている。これはまあ相当あるのです。かつぎ屋さんというもの以外にもこれが相当ある。これらもやはり何か欠点があるからそういうふうになる。百姓自身の安易な気分というものも手伝っておりますが……。そこであわせてお聞きしたいのは、この代表者売り渡し制度というのはどのくらいあったのですか、それが一つ。それから、一応収穫しまして、俵の用意をしておかなかったけれど、紙袋の余裕があるというような際には、そういうものを公々然と集めて、代表者売り渡し制度へまとめるというようなことを考えますと、まだ出る数量も相当ふえるのじゃないかと思います。そういうことは集荷団体の方で具体的に話し合いをされてきたかどうか。売り渡し制度の実際に伴って、どのくらいのものが入ったか、こういうことをあわせてお話し願いたい。
 それから、これには直接関係はありませんが、私の県の例からいきますと、特殊な例ですけれども、昨年はイグサの跡地が非常に不作であった。ところが、今年はある程度の豊作型だ。去年は一たん予約したが、イグサの跡地が不作のために、予定の数量だけ、予約だけ出なかった、減額してもらった。ところが、その減額の手続が非常にむずかしくて、もう百姓はああいうむずかしいことなら、今年はもう出しませんと、まあ去年くらい出しておけばいいというので、実際に県なり、それから食管の方で非常に困られている。そこで、百姓の心理からいえば、どうもやはり少しは予約そのものを手控えるということが相当あると思う。その手控えたやつを今度集める一番のいい方法は、やはり代表者売り渡し制度であって、この制度をもっと生かすことによって、やみ米も自然相当量が減るということが考えられると思うのですが、去年の扱った量と、ことしはどのくらいを予定して考えておられるか。
#17
○政府委員(渡部伍良君) 予約以上の米の集め方でありますが、これは本来ならば代表者供出、すなわち代表者売り渡し制度というものは、個人の名前が外に出ないようにしてやるわけです。そうしなくても、名前を出していただかなくてもけっこうですが、この制度は主として御指摘の端米、つまりやみに流れていった正常でない米を集めることに重点をおく、しかし、この制度を実施すれば、大口の正常のものもこれで出しても差しつかえない、こういう立て方にしております。従来はこの制度が、これのほかに匿名供出というようなものもございましたが、これは必ずしも集荷団体、ことに、農協等では、代表者供出制度というものが好かれなかったようであります。しかし、今年の状況から見ますと、予約と実際の生産額との比較からいくと、いかにもほうっておけば、やみの根源を作るもとだということに気づきまして、何らかの、いわゆる販売余力米を軌道に乗せるということについて、いろいろ研究されておったのであります。さしあたりの手段としては、この代表者供出制度以外にはない、こういうことでこの代表者供出制度も実際にはPRをやると同時に、ここに書いてありますように、集荷活動を積極的に行なって集荷するとか、あるいは小口米集荷所、ここへ来るときまでは、どんな容器で持ってきてもよろしい。一口の額、五升でも、一斗でもよろしい。そこで組合で集めまして、そうしてそこで正俵にして検査を受けて出す。そこへ持ってきたやつには現金で仮払いを行う、こういうようなことをも考えておるのであります。これは、ここに書いてあるのは一つの例と考えていただいていいのであります。これに準じて協同組合において、販売余力米をできるだけ集めてもらいたい、これは全販以下集荷系統機関では非常に熱を入れておるのであります。ところで、昨年の代表者の売り渡し数量の問題は、約十万石であります。これは非常に少いのでありますが、ことしは、先ほど冒頭に掲げました予約数量と、去年の集買実績プラス四百万石との差額、すなわち約三百万石程度のものは代表者の中へ来るように希望しております。その去年と違う点は、こまかくいろいろなことを配慮しているとともに、去年では、いろいろ代表者供出制度の議論がまちまちでありまして、実施をいたしましたのは、早場で十二月の二十日、おそ場で一月の十日、こういうふうに非常に時期がおそく、従って、それまでに相当の量がほかへもう流れているというようなこともございましたので、ことしは早場では十一月一日、おそ場では十二月一日、そして各個人の予約の供出が完了すれば代表者に移ってよろしい、去年は、県が何割以上予約を完了していなければこの制度をとってはいけない、こういうようなこともありましたが、そういう制限を撤廃するということで、すでに予約の非常に進んでおる石川、福井等では、もう実施している。順次、北海道とか三重等も、この期限を待たないで実施を積極的にやる、こういうことになっておりますから、私の方では相当量がことしは期待できる、こういうふうに考えております。
#18
○島村軍次君 大体私の承わらんとするところは以上でございますが、ことしの実績にかんがみてというお考えぶりもよくわかりますが、ここまで一定の供出制度というものがルールに乗った今日におきましては、どうも一番不明朗なのは、やはりやみの問題で、これは取締りの強化ということだけが主体ではないので、いかにして集めるかということでありまして、協同組合等の積極的なやり方に対する御批判もあったようでありますが、しかし、それにはやはり政府自身で積極的にその方法を考えていただかなければならぬ問題だと思うのでありまして、集荷に対する手数料等については、別に増額等のことはお考えになっておらぬのでありましょうが、啓蒙費について、余力の売り渡し推進というようなことに対して、何か食管の会計内において金をお出しになる御予定がありますかどうか。
#19
○政府委員(渡部伍良君) 食管で集荷協力費等を計上しているのは、約六億ぐらいございます。結局、その使い方について、こちらでも、あるいは団体の中でも、今までばく然と使っておったということを、もっときめをこまかく使っていっていただけばよいと、こう思っております。
#20
○島村軍次君 もう二つ承わりますが、麦の価格ですね、これは委員会をお作りになって、麦の価格の決定について、何か審議会みたいなものを内部でお作りになったようですが、麦の価格については、今どういうふうにお考えになっておりますか。農家の方からいえば非常に不安に思っております。これはいろいろ議論すれば議論の余地があると思いますが、現在のところでは、麦の値段をある程度まで下げるというような考えをお持ちになっているんですか、あるいは現状でやろうということですか。それと、それから早場米の取扱いは前年と同じようなことになるんですか。その点をあわせて一つ……。
#21
○政府委員(渡部伍良君) 麦の価格でございますが、現在御指摘のように、私の方で内部的に専門家に、委員会というほどのものではありませんが、いろいろ意見を聞いております。従って、まだどうするということはきめておりません。ただ問題は、私どもで困っておる問題は、麦の消費者価格と生産者価格との開きがこれ以上開きますと、麦を買って、それを政府に売ってももうかる、現在はそのすれすれという段階まできております。一方、麦の消費は、ことに米の生産が増加いたしますと、だんだん減退していっておりまして、麦の消費価格はもっと下げてもらいたい、あるいは下げたらもっと売れるんじゃないかというようなことも考えられる。それからまた一方、麦の生産の方から言いますと、毎年減ってきておるわけです。従って、この麦を、先ほど申し上げましたように、生産者価格と消費者価格の開きはこれ以上開けないとすれば、どういうふうに扱うか、輸入制限をいたしまして、麦の価格を上げましても、売れなくなってしまうわけです。そこにジレンマに陥っておるわけであります。ですから、米がもっと少なければ、食うものがないから、仕方なく麦を食う、こういうことになるのでありますが、もっと安ければもっと食ってくれるかもしれぬ。従って、安くすれば二重価格の差を広げなければならぬ。そうすれば、今言ったように、悪いやつは、政府から買ったものを政府へ売って、その間隙を縫っていく者が相当ふえる、こういうことであります。しからば、麦は麦の生産費を償うような地域だけに限定して、そのほかにビートを作るとか、あるいは飼料作物を作るとか、いろいろ有利な作物があれば、そちらを作るような指導をしたらよろしい。それから、また、麦自身の栽培方法、品種の改良と生産費の低下を考えたらどうか、こういう問題が出てくるのであります。従いまして、そういう問題は、非常に複雑な相関関係が出てきますから、どの程度に麦を食べさせようとすれば、どの程度の処置を講ずべきかということの方途を見つけたいというので、今研究会をやっておるのであります。もうしばらくたたないと結論には到達いたしません。
#22
○島村軍次君 植付が始まっているから、早く決定しなければ困る。
#23
○政府委員(渡部伍良君) それまでは従来の方針でいく以外にないんじゃないかと思います。麦についてはそういう状態であります。それから早場米の問題は、現行のものは現行でいっておりますが、将来変えるという考えは持っておりません。
#24
○清澤俊英君 やみ米の取締りについて、食糧庁長官は不作の場合の予約の補正について、ある限度の不作の場合には予約金の返還に対していろいろ便宜をはからう、限度以内のものに対しては、せっかく供出しましても、それを相殺せられる、これが一番やみに逃げる根源である、こういうお話を申し上げて、そういう場合には一つ、今法律を変えてそれをどうするというわけにいかぬが、行政措置で金融等の方法でそういうものを防止する道を講じたい、こういっておられた。これは一番逃げる穴です。その一番逃げる穴をちっともここにはふさいでいないで、まことに遺憾にたえないです。もう手おくれだろうと思う。あるいはまだ納めないで、まだやみに流さないで持っているかもしれない。ほんとうに経済的に追い詰められるのですから、それ以外生きる道がないとすれば、悪いことでも仕方がないやっておるのであります。それは急速に法制化するなりなんなりして考えられるべき重要な私はやみの防止の措置であり、同時に、農民の農業経営上の重大な問題で、食管の制度を維持する上にも重大な問題だと思うのです。ここに抜けておるから、考えられるか、考えられないか。
#25
○政府委員(渡部伍良君) その点は衆議院の方でも御注意がありまして、至急行政的にということで、結局、金融で延ばすという方法は、これは本来ならば集荷業者が当然やるべきだ、こういう話も内部でしておりましたが、具体的な方策として、協同組合に資金的裏づけが不十分であれば、系統の方から資金の裏づけをする、こういうことも方針をきめまして、処置したいと思います。
#26
○清澤俊英君 その方法ですね、何かどういう方法でやはり流すようになるのですか、それがきまりましたら。
#27
○政府委員(渡部伍良君) これは結局、集荷を担当するのは協同組合その他集荷業者でありますから、集荷業者に融資をして、そしてその概算金を返納するやつを一年なら一年延ばしてもらえばいい。やはり個人の借入金にはなります、その分。そうしますと、それは法制的な手続も何も要らない。行政措置でできる。今、私が考えておりますのはそういうことであります。さらにもっといい知恵がありましたら承わって参考にしたいと思います。
#28
○千田正君 今、長官のおっしゃった代表者の売り渡し制度、これはけっこうですが、大体どこの農家もそうだろうと思うが、農業協同組合に出荷するというと、自分の方で生産している大体の量がわかるということと、それによって町村税その他の対象等の問題が出てくる。もう一つは、細君なり子供なり、あるいは大家族制度でありますから、その他の兄弟とか、いろいろな人たちの秘密の小づかいが十分に入ってこない、それにはあまり名前を知れないように、そっと売り渡すことによって現金にかえる、こういう一つの心理があるのですよ。同時に、まことに皮肉なことは、農協で出したいわゆる手形の決済等に対して、逆にやみの米を売り渡した金で決済する場合もある。できればもっとあまり知られないように売り渡す方法として、何か今回のような代表者の買付機関の設置は、売り渡し者の希望をスムーズに動かす方法として今度できたんでしょうけれども、名前を知られないようにして吸収するという方法は何かあるのですか。これは実際、われわれ農村の中に入っていってみると、アズキなり米なり、あるいは雑穀類にしても、女房、子供たちの小づかいというものはどういうふうにして金を作るか、ほとんどやみに流すことによって現金にかえるのですよ。それをある程度復元しようという意図でしょうが、十万石というようなことでは非常に情ないのであって、少くとも何百万石というものはやみに流れておる。これを吸収するというならよほど微に入り細にわたって農民の心理をつかんでやってもらいたい。具体的にもうちょっといい知恵があったら言っていただきたい。
#29
○政府委員(渡部伍良君) ここの第四に「指定集荷業者は小型運搬具等を用い、もしくは「通い袋」を生産者(家族を含む)と書いてありまして、こういうふうにしましたのは、われわれが系統機関と相談したときには、そういうことを頭に置いてこういう表現をしておるわけでありまして、そういうことを部落座談会なら部落座談会で趣旨を徹底いたしまして、もうすでに新潟なんか、主婦米なら主婦米ということで主婦に一反歩預けるとか、あるいは佐賀などでもいろいろな運動が出ておりますが、いろいろな例をとりまして、こうやればできるのじゃないかということをここに書いてあるわけであります。これは地方でいろいろ気分が違いますから、私の方でこういう例もある、こういう例もあるということでそれぞれの地域に適するようなことで、今の農民の心理は、理屈で割り切るとそういうことはおかしいのでありますが、現実にあることを率直に認めようじゃないかということで、こういう案を作っておるのであります。どれだけの効果がありますか、これはやってみないと……。
#30
○千田正君 卑近な例でありますが、たとえば部落単位でやる、そうすると、早いこというと、消防の寄付から祭の寄付に至るまでその部落単位で扱うというと、あそこのうちは、ことしはやみの米、というのは、今の供出米以外の米を幾ら取り扱っておるということで、大体お祭の寄付から消防の寄付から学校のPTAの寄付から、ほとんど単位が違ってくる。そういうことも日ごろの問題としておそれるのですよ、大体農家の家族というものは。だから、そういう心理をよほど要領よくつかんで出してもらわぬと、なかなか出てきませんよ。
#31
○大河原一次君 前に出たかもしれませんが、すでに農林当局の方にはいろいろ陳情や請願でやっておると思いますが、先般、堀本委員とともに災害調査に出されたのですが、その際に出たことは、十月三十一日になっております第四期期末の早場米の出荷の問題ですが、これは今回の水害等によって、十分な乾燥ができない、従って、下位等級の米がたくさん出ておる、総体的には農家の収入がこれによって減収するということで、十月三十一日の第四期の期末の出荷をぜひとも一つ延期してもらいたいという、多少延期になるということを聞いておりますが、大体どのような状態になったかということをお聞かせ願いたいと思います。
#32
○政府委員(渡部伍良君) その点につきましては、十月の十日の期限を東北、新潟については十五日に延ばし、十月二十日の期限を東北、新潟、長野については十月二十三日に延ばしまして実施して参りました。その結果、第一期、すなわち九月末、第二期が十月一日、第三期十月二十日、一部が二十三日、こういうものを含めまして集荷数量は、昨年に比べまして、全国的に見ますと一〇九%、すなわち昨年が百四十七万トン、今年が百六十一万トン、こういうふうに非常によく集まっているのであります。昨年の早場の集荷数量は、これは従来における最高レコードでございますから、昨年に比べましても約九%以上増加になっております。ただ、災害地で宮城、岩手等は、福島は相当よくいっております。われわれの期待した以上にいっております。今、宮城、岩手が足りないというので、ほかのところは相当よくいっている。そこで、今月末の期限を延ばすか延ばさぬかということにつきましては、昨日も衆議院の農林水産委員会で決議がございまして、今明日の天気の模様を見て、政府はしかるべき措置を講じろという決議をいただいておりますので、目下、日報をとりまして、資料を整備しております。それに基きまして、大蔵省とも相談しまして適当な措置をとりたいと考えております。
#33
○田中茂穂君 一点だけお伺いいたしますが、今年は予約外を相当買い入れようという御計画である、これは非常にけっこうだと思うのですが、予約売り渡しと、予約外売り渡しについて、条件、それから買い入れの条件とまた、買い入れの措置、そういうことについて、全く同じですか。
#34
○政府委員(渡部伍良君) 予約には非常に有利な条件をつけておるわけです。一石当り百円……。
#35
○田中茂穂君 そのほかの……。
#36
○政府委員(渡部伍良君) 免税の措置を講じているわけです。ですから、予約が一番いいわけです。
#37
○田中茂穂君 そこでどうですか、この際、やみ流れの防止を非常に強調されておることはけっこうだが、具体的な方途については、これには触れておられないわけなんですね。先ほど来いろいろ御意見によって、お答えがあった程度では、まだ十分な大口やみの取締りということは、これは不徹底になると思う。この際、思い切って予約外についても、予約と同様な条件、措置をおとりになることができないかどうか、非常にこれは困難であるかどうか、どういう点が困難であるか、そこらについてお伺いいたします。
#38
○政府委員(渡部伍良君) まず第一に、来年度の予約がもうできなくなる。予約した者も予約しない者も同じ条件ということはできない。それから、それならば条件を多少とも差をつけたらいいか、同じことだ、こういうことで集荷団体自身がもう第二次予約というものを、予約超過米の奨励金をつけることはごめんこうむる、こういう強い声が過半です。それともう一つは、とにかく一方で言いますと、従来の予約が強権供出から予約に移ったのでありますから、予約の際もやはり割当てられるのだと、こういう思想が残っているわけです。従って、地方によっては相当予約を出しているところもあるし、ほんとうに予約割当を渋っているところもあると思います。しかし、先ほど予約の減額について非常にやかましいことを言った、過去は言ったのではないかと思います。私も聞いてみますと、これはそちらの集荷量が足りないから、少しでもよけいにしよう、しかし、今年のような相当な豊作、また、平年作がこの程度あるとすれば、これは市町村の農業委員会等で自主的にサボって出さないのじゃないという認定があれば、市町村の副申でそのまま予約を減額するということは、当然われわれの方で考えなければいけない。そういうフォームを作れば、来年以降は予約に出してもらうということがいいのじゃないかと思います。
 それからもう一点は、これは何と申しますか、予約超過の販売余裕米の奨励金ということを、私どもでも考えなかったわけではないのであります。ところが、いかにも理屈が立たないわけです。何でもいいから金をくれということになります。つまり予約以上に出すということになりますれば、生産者は増産になったのだから出せるのだ、そうすれば増産になったのだから、それだけふところはいいはずじゃないか、集荷業者はそれだけ集荷がふえれば手数料が入るのじゃないか、その上に、とにかく金をくれとは何だということで、こういうことでちょっと理屈にならないのであります。何でもいいから出せ、こう言う以外に理屈にならないので、私どもの方も弱っているのであります。
#39
○堀本宜実君 ちょっと伺いますが、私も関連しているのですが、今のと逆に、この三十三年産米の集荷の増強対策というものを出しますと、ことしは最初から二次、三次の追加割当はしないという前提で奨励をした、私はこれは県の情勢によって非常に違うとは思いますよ、東北の方とあるいは関西以南の地域とは非常に条件が違ってくると思う。しかしながら、重ねて、強要とまではいかないが、勧誘はしないという建前で、もう二度と言わないのだから、これだけの目標量は達してくれという慫慂をして努力をして参った、でありますから、たとえばそれが増強というのですが、追加割当ではない。増強ではあるのだが、しかし、実際また重ねて取ろうという――重ねて取ろうというのは表現が悪いが、出してもらうという問題については悪いとは思わぬ。しかし、農林省あるいは農業協同組合を通じてそういう指導をした建前から、農村にはそういう一切行政の立場に立っての考慮は払わないで、ただ、もう一度こういうものを手を変えてきたという印象が強くなるということは、将来の予約集荷というものに悪い影響を及ぼしはしないかという心配を一つ持っている。ですから、これを実施するに当りましては、よほどそういう印象を与えないように、事こまかにこの趣旨を宣伝するということが一番大切だと思うのであります。そういうことを考えているかどうかということが一点。
 もう一つは、こういうことをすると今度は、これは人によって違うのですよ、結局、百円の奨励金をもらう、あるいは二千円の概算金をもらう、そこで、一応農業協同組合という正式な立場を通して正当な売り込みをするということが本来の筋なんです。ところが、こういう手を変えて去年やったじゃないか、これは来年の問題ですがね、また、来年もああいうことになるのだと、あとから袋を持っていってちびちびでも売って、登録しないで、またやれる方法を考え出してくる。手は違うかもしれないが、とにかく似たようなことを毎年やる。大して手がないから来年もやるぞという考え方を持つと、今度は予約、集荷という根本の基本となるべき政策というものにひびが入る。これによってひびが入ると私は思う。そういうことが考えられておるのか。将来においては、そういうことを考慮したのかどうか、そういうことは一切かまわない、集めさえすればやみというのはなくなるということが、いろいろ農家の基本的な財政というものの安定のために役立つのだというただ一点でこういうことをやったのかどうか、それが二つ。それから次には、検問所を設けるというのですが、検問所なんか、トラックに積んで通ったりしませんよ、検問所を設けても。実はこれはやらなければやるからやるのであって、やらなければならぬ立場だからやるのだというのじゃないかと思うのですがぬ。それよりも、私はこの間東北地方に参りまして実態を見たのでありますが、もう座席の下へでも何へでも大量な米を入れて置かしてくれといって無理にかつぎ込んできて、そうして統制する人がついていて、そうして赤羽あたりに来ると全部たあっと外にほうり出す。これはかつぎ屋と称するのだが、しかし、性格の変ったかつぎ屋が最近できていますが、それに対して国鉄は料金を取っている、料金を。私はこういうことを考えたら、立ち小便をしちゃいかぬとかなんとか、あるいは物価統制令というものがあっても、そういうことがもうむだになって、この食管法というものから考えれば、そういうことを一々とめていくわけには参らぬかとも思うのでありますけれども、もう少しやみ米を取り締るという方法なら、他に方法があると私は思う。そういう検問所というような所は、いずれの関所でもそう大して――回り道しなければならぬとかなんとかという所に置くのでありましょうが、そういう看板をかけて検問所を置いて、そこをずうずうしく通りかかるというのを待ち受けておるというような考え方は、およそ時代離れした考えだ。しかし、言いわけにするというのなら、こういうこともあり得ると思うのでありますが、どういうつもりでそれをやっているのか。国鉄は料金を取ってあの米をやみに運んでいる。こういうことについて、一つお考えがあればお知らせを願いたい。
#40
○政府委員(渡部伍良君) 最初に申し上げましたように、私の方ではジレンマに陥っているわけであります。つまり、食糧管理の建前は、農家の保有量を差し引いたものは全部食糧管理のルートに乗せなければならない。その中間として、それは初めは強権割当ではなくして、強権割当は無理がありますから予約で取っていく。予約で残ったものは当然このルートに乗せてくると、こういう建前をとっているわけであります。その際に予約をできるだけよけいにするために、先ほど申し上げましたようないろいろな奨励の措置を講じたようなわけであります。ところが、予約でありますから、とにかく収量の確定する前に約束するのでありますから、これは食い違うのは当然であります。途中に災害が起ることもある。あるいは予定したよりも多いこともあります。従って、食い違ったものは黙って出していただきたいのであります。しかし現実には、先ほど来申し上げますように、もう千五百万とか二千万というやみの米があるのは、これはただいまお話の通りでありますけれども、これを放置しておく手は私の方ではない。しかし、そうかといって妙手はありませんから、ここで訴えているのは、少くとも、去年はこれだけ出たじゃないか、去年よりこれだけ増産しているのじゃないか、その分は予約のときと予想が違ったのだから、それはとにかく黙って出していただいたらいいじゃないか。もっとすれば、やみも徹底的にやめて出してもらいたいと言いたいのだが、そこまでは従来の歴史がありますから、そう言っても、もとの割当に返す以外にはないところでありますから言わないのであります。従いまして、この案を作るのにつきましては、そういう議論と同じことを、全販連と相当長期にわたって繰り返しまして、私の方ではもっときつい案も出ておりましたけれども、実行可能な案として打ち合せの結果、こういう案になっておるのであります。これはしかし、全販連の系統組織といたしましても、非常に生産状態が悪いときならば、これはいかなる言いわけもつくけれども、こういうふうに落ちついてきた場合に、結局、食糧管理があるために、一部は管理に乗せておるけれども、管理に乗る。半分近く、あるいは半分以上の米が管理を足場にして、それを利用して法域外で行われていることは、やっぱり協同組合組織の自滅じゃないかという自覚も、ことしは非常に強く持たれておるようであります。従って、この三十三年産米の処置いかんが、予約制度はもちろん、食糧管理制度そのものについて、方向の転換期じゃないかというふうな趣旨で、非常に真剣に討議をした結果、こういう案になったのであります。
 それから今のやみ米の取締りの問題でありますが、これは率直に申し上げますと、こういうことをやるのには、やっぱりやみについての措置がなければつじつまが合わないわけです。方法としましては、今、問題になった地方で相当やっておりますが、やはり不意打ちをくらわせてトラックをあげて、そうしてそれを押収しているのが出ております。で、私の方もそういうことで関所を設けまして――関所を設けたって、今の大型トラックでぶうっと突破されればこれは処置ないわけでありますから、機動的に、内偵をした上で、どの辺から米が動いておる、だから、いつもなんだからあそこで待ちぶせしてやろうというように機動的にやって、そういうことをやはり消費者、生産者、配給業者に注意を喚起する、その効果しか期待できないんじゃないかと思います。
 それから鉄道の方の関係につきましては、この間お話がありましたように、調査いたしております。
#41
○清澤俊英君 今の田中さんのお話があった通り、予約米を強大な農協等が要請すればだんだん量が多くなる。それにはいろいろな奨励金を大幅につけて、それで奨励していく。そうすればするほど予約は多数となる。今度逆にそれが予想外の不作で収穫が減った、こういう場合には、わしがさっき言った概算金の返還という問題が不合理かつ不親切に取扱われますし、それが今度は予約に対する警戒心を作る原因となり、いろいろの勧告や奨励をしても予約数量を軽減して、予約が減るという相関関係が生じ、予約勧告が困難なことになる。こういう矛盾が出てくると思うのです。だから、その奨励することによって、農民がそれについていく。ついていっても、そこに障害が出たら、これをどう解決してやるかという問題を片づけないと、そう富農ばかりじゃない。御承知の通り日本の農家の構成は七反歩から一町以下のものがほとんど。ふところがつらくてふうふう言っておる。かりに補正が十俵とすれば八千円ですよ、八千円は何でもないようですけれども、収穫期における支払いは、長い間の習慣による一年間の支払期として、その中で八千円という金は、貧農としてはまことに困ることであります。それだから背に腹はかえられず、私は大量にやみに流れると思う。それを今言うたように、農協から借りたらいいといったって、農協にはちゃんとあれがあります。借り入れ限度は、初めから農協はきめておる。おそらくは借りておる者が多いと思う。また、たくさん借りておる者ほど、横流しをしても、まあ生きておる。こういう人間ができてくると思う。また、商人から借りるといったって、これはてんでものにならぬ。商人から借りてなんていったって、米が現在なければ何も商人が貸してくれるわけはない。これは想像外です。また、借りたっても利子は昔取られた通り――昔といっても五銭取っておる、日歩。戦前、農民が困って米屋さんから金を借りたのは、五銭の日歩を取られた。そんな割合で取られると、五十銭くらい取るんじゃないですか、もっと取るかもしれぬ。そんな高日歩のものを農民は借りもしまいが、こういう矛盾を直していただきたいということは、重大であると同時に、やはりやみ米の最後的な根本の対策としましては、農民の自覚と協力に待つ。これは一つの例ですが、最近非常に新潟県等の米のまあ集散地で行われているが、月給制度にしてしまった。一応予約米を全部押える、金が入ってくると全部農協が押えて、それを月に何千円ずっと出している。それは大体細君に渡す。そのほか、せがれのところにも小づかいとして別に渡すというようにして、農協でそれを規約にして、これが非常に成功をおさめたという点で、もうぐんぐんとふえていくのですから、やはり根本は農民の自覚となんでしょうね、農協に対する、自分らの共同購入に対する私は問題点を作るべきであると思う。本日も生鮮食料の問題と中央市場の問題をしましたが、私は問題は、農協法九条中の独禁法関係部分を除き、そして農協に強い共販体制を作らせる、これが一番の早道じゃないか、九条のただし書きをはずして、そして共販を強化していきますれば、卸売市場の委託を全部とれるかもしれない。そこの大事なところをふやふやにして、きょう見ました、今、配付せられている酪農の振興法を見ましても、大事なところが抜けている。だから、農民から見ますれば、これは乳業振興法であって、酪農振興法でないという感じがするわけです。それがやはり総括的な面がもっと考えられれば、やみ米などは整理できると私は思うので、もう一歩進んだ考え方を持っていただきたいと思う。だから、そういう大きな話はいいとしましても、概算払いの取扱いだけはもっと真剣に、これはここに政務次官もいるし、何か政令なり、あるいは特別の措置をもって――そうでしょう、こういう奨励金が出るんだから、よけいしようと思うと、ちょっといじくればこれが出るんだ。集団的な水害地帯というようなものになれば、これは農協等も中心になり、野党も中心になれば県も考慮してくるから、集団的にこれの緩和をするでしょうけれども、全部が豊作だというとき、一人か二人何かの障害、これはあるべきことなんです。これが一番困る。場合によったら、百軒の村で十五軒がそうだったら絶対問題にしない。これは一つ御考慮願いたいと思う。
#42
○政府委員(渡部伍良君) 十分考慮させていただきたいと思います。
#43
○委員長(関根久藏君) 本件は、この程度にいたします。
 午後は一時四十分から再開いたします。
   午後零時四十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十八分開会
#44
○委員長(関根久藏君) 委員会を再開いたします。
農林漁業と独占禁止に関する件を議題にし、本国会に政府から提案されております私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、公正取引委員会当局から一応説明を聞くことにいたします。
 ただいま政府からの出席は、公正取引委員会事務局長坂根哲夫君であります。
#45
○政府委員(坂根哲夫君) 今回、衆議院の商工委員会、参議院の商工委員会に付託になっておりまする独占禁止法の一部の改正法案について、御説明を申し上げたいと思います。
 独占禁止法は、皆様すでに御承知のように、昭和二十二年に、企業の公正かつ自由な競争を促進することによって国民の経済の健全な発達をはかることを目的として制定され、二十四年に第一回の大幅な改正が行われました。それは、当時の証券民主化、株式の消化という点と、それから外資導入、外国との技術提携を促進しようというような点に重きを置きまして、二十四年に第一回の大幅改正が行われまして、その後占領中にはさしたる改正も行われませんで、占領後、昭和二十八年に非常に大きな改正が行われまして、それが現在の現行法となっておるわけであります。
 二十八年の改正は、非常に大きな改正と申し上げましたのは、従来の独占禁止法ではカルテル行為を一切禁止しておったのでございますが、二十八年の改正におきまして、不況の場合に対処するカルテル、合理化のために対処するカルテルということを独占禁止法の本法の中に認めたということで、大きな改正の意義を持っておったのであります。しかしながら、二十八年に改正をいたしまして、すでに五年近くの年月を経まして、わが国経済も著しく変貌を遂げ、しかも、その間二度も大きな景気変動を経験しております。これは、わが国の産業構造といいますか、企業の数が非常に多い、そのために過当競争に陥りやすい、またわが国の経済の基盤が特殊でございまして、非常に弱い、そういうようなために国際的な景気変動に影響されやすいというような事情に基くものでありまして、同時に、世界のとうとうたる技術革新の大勢を見まして、これはどうしても企業の合理化を促進し、国際競争力の培養をはからなければならないというような経済政策の観点が強く打ち出されて参りまして、そういう点と独占禁止政策との調整という面が、二、三年前からひどく問題になりました。
 そこで、わが国のこの産業構造と独占禁止政策との関連においていろいろ問題がございますが、独占禁止法は何分にもわが国の経済秩序に関する基本法としての性格を持つものでありまして、この法律のあり方というものは今後の産業経済並びに国民生活に非常な大きい影響を与えるものでありまするから、これをごく簡単に事務的に処理するのは大へんであるというので、政府は昨年十月、特に独占禁止法審議会を内閣に設置いたしまして、一橋大学の中山教授が会長になられまして、そのほか学識経験者十四名が委嘱をいたされまして、十月十八日に第一回の会合が催されまして、その際、内閣総理大臣から、わが国経済の実情に照らし独占禁止に関する法制はいかにあるべきであるかという諮問がなされたのであります。この問題に関しまして、今申し上げましたように、私どもの事務的な場におきまして、関係官庁におきましては、二年有余の間にわたりまして、いろいろ研究を重ねておったわけでありますが、その関係官庁の研究の結果を審議会にも提供いたしまして、この独占禁止法審議会はこういうような研究の成果をあらためて検討されまして、そうして昨年七回ばかり会合を催され、今年に入りまして三回、それから公聴会が二回ございまして、約十三、四回の会合の結果、二月の四日に、政府に対して独占禁止法審議会から答申がなされたのであります。
 その答申は、趣旨におきましては、この独禁法というのはわが国戦後の経済の復興と民主化に寄与してきたという効果は非常に高く評価すべきものであるが、しかし、わが国経済の現状においては、本法のもとでかえって過当競争に悩む事実がある、あるいは今後の国際競争場裏においてわが国経済が安定的成長をはかるため、こういう安定的成長をはかるという長期的な要請を考えますれば、この現行独占禁止法の規定は必ずしもわが国経済の適正な運営に即応しているとはいいがたい。特に、独占禁止法で考えておりまするところの、自由競争秩序が公共の利益に合致するという考え方は、わが国の経済の現状から見るとやや狭きに失しているのではないか。従って、生産者、消費者を含めた広い国民経済全般の利益という、より高い見地からも一つ今後は判断していくべきである、こういう問題をまず前後において議論いたしまして、そしてこういうような問題、独占禁止法の根本的なあり方というものは、非常に経済の秩序をきめる、日本経済の体制をきめる根本の問題であるから、これにはなお幾多解決すべき問題があるからして、これは引き続いて政府が検討してほしい。しかし、同時に、現在目前国民経済の運行のじゃまになっておる点だけをとりあえず改正してほしいということで、
 改正のポイントが五つ上っておりまして、第一のポイントは、不況に対処する共同行為、不況カルテルの緩和をしようということ。第二は、合理化のための共同行為、合理化カルテルを、現行法で認めておる範囲以上に、特に最近の産業の合理化の観点からして、幅広く認める必要があるということ。その中に、たとえば二重投資の弊害を避けるために、過剰投資のための合理化カルテルを認めていくというようなこと、あるいはこれは輸出入取引法に入りましたけれども、輸出振興のために特に必要がある場合には、特定の商品について共同行為を認可制によって認めるというようなことを、合理化カルテルで答申しております。
 それから、合併、営業の譲り受けの制限。現行法では、その合併あるいは営業の譲り受けの結果が一定の取引分野における競争を実質的に制限する、いわゆる市場支配を生ずるような場合は、認めてはいけないという建前になっておりまするが、しかし、御承知のように、経済の技術革新が非常に進んで経済の情勢が変ってきた、そのためにどうしても企業規模の大きいものが必要であるということ、すなわち生産過程の合理化のために企業規模が大きくなるということは、一つ今後は認めていくべきであるということを言っております。それが要するに、不況カルテルの緩和、合理化カルテルの改正、それから合併、営業譲り受けの制限をやや緩和する、こういう三つの答申をしておりますが、こういうことに対処して、逆に、独占禁止法制を強めるという観点から答申しておるのは、不公正な取引方法についてはこれを強化すべきであるということを答申で言っておるわけであります。それから、第五のポイントといたしましては、こういう工合に独占禁止法を修正するけれども、しかし、今後もしカルテルあるいはトラスト等の弊害が出てくる場合、あるいはまた不公正な取引方法を十分取り締らなければなりませんから、そういう点からいたしまして、公正取引委員会及び同事務局の機構、人員等を拡充整備しよう。それから第二には、本法の規定の重要問題に関しては、それがわが国経済の実態に即応して適切に処理されるよう、民間有識者の意見を十分に聴取する体制を整備してほしい。こういう五つの点が、二月四日に総理大臣に答申されたわけであります。
 この答申を受けまして、政府各機関においていろいろ協議いたしました結果、今回の国会に御審議をお願いしておりまする独占禁止法の一部改正法案として、その内容を皆様のお手元に差し出しておるわけであります。
 そこで、この改正法案のポイントを御説明申し上げますが、お手元に法律案要綱が参っていると思います。この法律案要綱に従ってごく簡単に申し上げますと、第一の株式所有に関する報告書の提出、第二の役員兼任届出書の提出、これは答申にはございませんでしたけれども、現行法におきまして会社が所有する株式に関する報告書を公取に出すことになっておりまして、その条件といたしまして、総資産が一億円をこえる会社が提出するということになっておるのでございますが、これを、最近の経済事情の変化その他から考えまして、総資産が五億円をこえる会社、こういうことに改めたのであります。第二の、役員兼任の場合もこれにならいまして、役員兼任、一方の会社の総資産が一億円をこえるという場合には届け出ることになっているのを、これを五億円に改めるということで、これはきわめて経済の情勢に即応した改正で、技術的な改正とも言えるわけであります。
 それから、その次は、第三、合併等に関する規定でございますが、これはお読みいたしますと、「第十五条の規定を整備するとともに合併によって一定の取引分野における競争が実質的に制限されることとなる場合であっても、当該合併が左の各号に掲げる要件に適合する場合には排除措置を命じてはならない旨の例外規定を置くものとする。」、こうなっておりますが、先ほど申し上げましたように、現行法におきましては、合併の結果が一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合、あるいはまた、営業の譲り受けの結果が、その一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合、いわゆる市場支配、独占的な会社ができるという場合には、一切これを禁止しておるのでございます。しかしながら、先ほども申し上げまたしように、世界におきまする技術革新の趨勢に対処しまして、企業の合理化を推進することが必要で、国際競争力の培養をしなければならないということ、こういう一つの考え方の前提に立ちまして、今度の改正法案では、たとえ一定の取引分野におきまする競争を実質的に制限することとなる場合であっても、市場支配になる会社ができる場合であっても、技術の合理化、新技術の工業化であるとか、あるいは大量生産方式の採用、この生産技術、生産方式の改善、こういう生産過程における合理化を遂行するということが特に必要である場合、しかも、他のいろいろ方法をやってみてもそういうことはできない、合併の結果でなければ生産技術の改善、生産技術の合理化ができないという場合に限って、そういう除外の合併を認めていきたい、こういう考え方でございます。ここで御注意願いたいのは、この場合の合理化というのは、要するに生産過程の合理化、生産技術の合理化につながらないような合理化は、この場合に入らない。大てい、われわれが引用いたしておりましても、会社の合併というのは、必ず経費の節約というような流通部門や経営の合理化を言っておりますが、その場合はここの条件に入ってこない。それからもう一つは、そういうことが必要であっても、この合併によって一般消費者及び関連中小企業者、関連農林漁業者、それからその他の関連事業者に不当にその利益を害するというような場合には、これを認めてはならない、こういう建前をとっておるわけであります。これはやはりこういう独占体あるいは準独占体を認めることになりますから、公正取引委員会が中正な立場で慎重に取り扱いたいということの結果、こういう表現を用いておるわけであります。
 また、その二にございまするが、この合併が容認されたあとにおきまして、合併した会社が一定の期限までに、正当な理由がないのに、その合理化の計画を実施しない場合、こういうことがあり得るかもしれませんので、そういう場合も考慮いたしまして、もしそういうことであるならば、その会社に対しまして営業の一部の譲り渡しその他会社が独占的な地位を利用していろいろやっている行為を、独占禁止法の手続によって、その状態を排除するということを考えておりまして、あくまで、こういう合併、営業の譲り受けを認可申請し、そしてやる場合には、慎重に認可をし、さらに認可をした会社は十分その計画通りにやっていただきたい、こういうことを法律で表現しておるわけであります。
その次は、不公正な取引方法の規定でございます。これは答申で、先ほども申し上げましたように、不公正な取引方法の規定の強化をうたっておるわけでありますが、現在の法律では、不公正な取引方法を用いた場合にはその当該行為の差しどめをするという規定があるのでございますが、実はこれを運営してみますると、当該行為の差しどめということになりますと、ある会社が不公正な取引方法を用いておりますと、その行為だけを差しどめすることができまして、そういうような行為を類似してやる場合、こういう場合は法律的にはなかなかその排除がむずかしいのであります。それから、同時に、そういう不公正な取引方法を用いようということをお互い同士が話し合いをしておりますと、その契約というものがございますが、その契約自体を排除するということが非常に困難でございます。そういう不公正な方法が行われる根本を断つという意味において、現行法の「当該行為の差止」という言葉の下に、「その他当該行為を排除するため必要な措置」を加える、こういう工合に改めておるわけであります。
 それから、その次の二の方は、これは技術的な規定でございまして、これは現行法に、二十四条の小規模協同組合の規定のただし書き中に、やや、他の法律条文とにらみ合せてみますと、抜けている点がございますから、これを追加しておるわけであります。
 それから次は、公正取引規約、これが今度の改正では一つの新しい観点でございますが、これは「事業者等が認定を受けてする不公正な取引方法を用いないことを内容とする協定又は健全で合理的な取引慣行を確立するための取引条件(給付の対価又は数量を除く。)若しくは営業方法の制限に関する協定については違反手続を開始しないこととする。」、こう書いてございます。この公正取引規約というのは二つの面から成り立っておるわけであります。
 その一つは、不公正な取引方法を用いないことを内容とする協定。これは、現在独占禁止法で不公正な取引方法を用いてはならないという規定がございまして、この運用の仕方が、不公正な取引方法を一般的に公正取引委員会が告示で指定したやり方と、それから、ある業界で特別にその業界における不公正な取引方法として指定したやり方と、二つの行き方をやっておりますが、たとえば、皆様御承知と思いますが、新聞業界におきまして、新聞の販売で非常に競争が激しい。そこで、正当な販売競争ではなくして、いたずらに景品をつけていく、なべかま合戦といわれておりましたが、そういうような販売の過剰サービスというようなことを、新聞業界自体が自粛したいのでありますが、それがなかなかできない。従って、それを公正取引委員会に、新聞業界としてこういうものを独禁法による不公正取引方法として指定してもらいたいということでございます。そうすると、法律の手続に従いまして、公聴会を開いて、その新聞業界における販売方法を不公正な取引方法として指定するわけであります。そうすると、その指定された行為を新聞発行業者あるいは新聞販売業者が行えば、独禁法違反として問題になるわけでありますが、そういう指定された各業界で、お互いに不公正な取引方法を用いないということを一つ話し合いをする、協定を作ろうというようなことを、今回新たにこれを認めていこうということであります。
 それから、「健全で合理的な取引慣行を確立するための取引条件」、これは、最近の業界のサービス過剰によりまして、不当競争自粛であるとか、あるいはまた商取引条件の適正化、その他公正競争方法を一つ話し合いをする。たとえば小売店同士も休日をきめている。休日協定をやる、あるいはまたむだな自動車の送迎はやめましょうというような、そういうようなことを行うことが、実は商取引の健全化であるというようなことにおきまして、そういう取引条件の公正化の規約、あるいはまた営業方法の公正化をしようとする話し合いを業界の方々がされたやつを、これを公正取引委員会が認定して認めていこう、こういう建前をとっておるわけであります。
 ところで、この公正取引規約は、しかし、業界の方々が自分でお考えになって、大体間違いないところでございましょうが、それでもなおかつ、問題によりましては注意しなければならない点がある。それはそこに、二の(一)に書いてございますように、「一般消費者及び関連中小企業者、関連農林漁業者その他の関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。」、こういう不公正な取引をしないという協約、あるいはまた公正取引を推進しようとする規約にいたしましても、そういう弱小企業者にしわ寄せがあってはならない。それから、その話し合いの中に入っておる弱小の人に差別的であるとか、自分の方はそういうことをやっては困るというのを無理やりにやったということのないように、「不当に差別的でないこと。」、あるいはまた、この規約なり協定は自由加入でなければならない。強制的なものではいけない。そうして、これはまたあくまで取引条件であるとか、あるいは営業方法でありまして、その結果がすぐ値段であるとか品物を制限をする、数量を制限するというようなことがあって、いわゆる不況カルテルとかいうようなことになっては困る。こういうような条件を見まして、公正取引委員会がその協定なり規約を認定いたしまして、認定いたしたものについては、これについて独禁法のいわゆる違反手続をとらない。これはやってよろしいということにしておるわけであります。
 そこで、しかし、認定を受けました公正取引規約が、その後の情勢によりまして、この要件に適合しなくなったときには、その変更を命じ、または認定を取り消すことにしておるわけでございます。
 それから、その次のポイントが、いわゆる独禁法審議会で一番問題になりましたカルテル行為でございます。その第一は、不況カルテルの規定でございます。これは、現行法の不況カルテルの規定によりますと、商品の需給がアンバランスになる、そうしてその価格が現実に平均生産費を下る、かつ、その平均生産費を下っている業界の相当部分の事業者が倒産するに至るおそれがある場合に、初めて不況のカルテルを認めている。これは、いわゆるその業界がほとんど葬式を出すといいますか、死にかけた段階において、カルテル結成行為を認めてやるということで、非常に要件が厳重でございまして、二十八年にこういう規定ができまして今日まで、不況カルテルを認めておるのは二件ございます。一つは麻糸紡績の不況カルテル、もう一つはイースト業の不況カルテル、この二件を認めておるわけでございまして、条件がきびしいということが一つの原因ではないかと思います。それに対して今回の改正は、不況カルテルを行い得る事態を、「商品の価格が著しく低落し、当該事業者の相当部分について当該商品の生産に係る事業の遂行が著しく困難となり、又はなるに至るおそれがある場合」、こういう工合に改める。従って、ある業界の、ある産業の商品の値段が著るしく下る。これが一つ。または下るおそれがある場合、そうしてその商品を生産している事業の相当部分の経営が事業の遂行、これが困難になる。これは、ですから、現行法の倒産の「おそれがある」というふうなものと比べると、相当ゆるやかになるわけです。ここで、要するに、不況の事態、それから不況のおそれがある事態、こういうことをいずれもカルテルを認め得る条件として認めてきたわけです。
 それから、第二は、不況カルテルとして行い得る共同行為の態様といいますか、姿、これはまたずいぶん変りまして、現行法では、生産もしくは販売の数量の制限、生産数量カルテル、販売数量カルテル、それから設備を制限しようというカルテル、または一段条件をきびしくしておりまするが、対価のカルテル、対価を決定する値段のカルテル、これだけができるわけでございますが、今度の改正法におきましては、こういう限定列挙、いわゆる限定しているやり方を改めまして、共同行為の態様としては大体どういうものでもできるということになりました。しかし、その反面、対価の協定、価格の協定、それから独占的に販路協定をするとか、あるいはまた一手買い取り機関を設置する、こういうことは関連事業者、一般消費者、関連農林業者というものに与える影響が非常に大きいものでございますから、第一次的に、初めからこういう協定は認めるということをいたしませんで、そういう対価の協定とか買い取り機関を結ぼうとするカルテルの、これの数量制限もやることが初め非常に困難である、初めから数量制限をやることは、非常に困難であるというような場合であるとか、あるいはまた数量制限をやりましてその結果が効果があがらないというときに認めるという、二段がまえといいますか、こういう消費者その他に相当影響のあるカルテル行為は、非常に慎重な配慮で認めていこうということになっております。
 それから、現行法では、販売業者のカルテルは認めておりませんが、今回の改正法案におきましては、生産業者がカルテル行為を行いまして不況を克服しようとしても、なかなか不況克服が困難だ、生産業者のみのカルテルでは不況克服が困難だ、こういうような場合におきまして、それを補完する限りにおいて、販売業者のカルテルの協力を必要とする場合がありますので、こういう場合にのみ販売業者のカルテルを認可制によって認めていくということにしております。
 それから、この不況カルテルの認可の手続でございますが、これは答申では一部事前届出制をうたっておったのでございますが、法案では全部認可制を原則としております。しかしながら、そのカルテルの共同行為の内容が、生産数量、販売数量または設備の制限、いわゆる量、ボリュームの制限のカルテルにかかわるものでありまして、かつ、そのカルテル行為の期間が三カ月をこえない、三カ月で大体不況の克服ができるという見通しのもとに申請されるわけでありまして、その三カ月をこえないというものにつきましては、これを二十日の期限付き認可制で認める。二十日間公正取引委員会がだまっておれば、当然これは認可されるということになるわけであります。
 その次に、カルテル行為の合理化のための共同行為でございます。これは、現行法で認めておりまするところの、標準化または規格の統一というようなことを目的としておりまする技術、品種もしくは規格の制限にかかわるという共同行為、それから品物を保管するとかもしくは運送をする施設の共同利用、副産物、くず、もしくは廃物の共同利用というものは現行法で認可制で認めておりますが、運用してみて、これは弊害の少いということからいたしまして、これは三十日の事前届出制に変えまして、事前届出制によってこれを認めることにしたのであります。
 また、こういう現行法の共同行為の中で、保管もしくは運送の施設の利用というようなことは、生産業者ばかりでなく、販売業者にとってもその合理化に役立つ場合もありますので、新たにこれは販売業者についても認めることにしたのであります。
 次に、新しく入った面は、現在の経済情勢でどうしても合理化促進の必要があるというために、まず専門生産の生産分野協定を認めておる。こういう品種の制限といいますか、この専門生産の分野協定を認めておる。それから「品種別の生産数量の制限」とそこに書いてございますが、これは結局専門生産分野協定を認めますと、すぐ、甲と乙の会社がA、B、Cという品物をおのおの作っておって、甲はいずれAを零にし、Bを少し作りCを少し作る、それから乙はAだけ作りたいということを、実は専門生産分野協定で考えても、すぐ初めからそこに計画して持っていくと非常に摩擦の生ずるような場合もありまするから、甲乙間に専門生産という一つの目標を立てながら、専門生産別に一つの分野協定をやるという目標を立てながら、ある種の、そこに至るまでの段階において、生産数量もかみ合せてカルテルをする。こういう考え方で、専門生産分野協定の問題が一つ。それから「生産設備の制限若しくは処理」、これは、設備の制限というのは、いわゆる投資過剰をお互いに避けよう、設備を今後お互いに制限し合おうということで、過剰投資、二重投資ということを避けまして、そうして国民経済の安定的発展をはかりたいというためのカルテルでございます。生産設備の処理というのは、繊維とか生糸で皆様がよく御存じのように、設備の合理化のために設備を処理していく協定でございます。それから「販売又は購入の制限その他政令で定める事項に係る共同行為をしようとするときは、認可制により、これを認めることとする。」これは、合理化のためのたとえば販売のカルテルを結ぶ必要がある、あるいは購入のカルテルを結ぶ必要がある。しかしながら、合理化のための販売または購入のカルテルが不況の場合に認められたように、独占的な買取機関、あるいはまた独占的な販路協定は認められない。それから、販売あるいは購入にいたしましても、販売数量または販売価格の合理化のためのカルテルというのは、あくまで、不況の場合のようにすべての商品に認めるわけではなくて、供給の弾力性が乏しい商品である、あるいはまた価格の変動が著しい商品である、こういうものに限る。
 それから、原材料の購入数量または購入価格の制限のカルテルは、それもやはり供給の弾力性が乏しいとか、価格の変動が著しい原材料に限る、こういうことにしておるわけであります。しかも、原材料の購入のカルテルという場合には、これは、原材料の購入のカルテルを結ぶことによって、原材料の生産業者のためにならぬようでは困るということで、特に法律の中に一項入れまして、「当該原材料の生産業者の事業の健全な発達に資するものに限ることとする。」、こういうことにしておるわけであります。これは、例をもって申し上げまするならば、パルプ・メーカーがパルプの原料である木材を買うというようなときに、原材料の購入カルテルを結ぶということで木材業者に迷惑をかけてはいけない。しかし、そのパルプの購入カルテルの結果、木材の値段がかなり長期に安定していって、木材業者にも都合がいいということであれば、認めて差しつかえないのではないか、こういうことにしておるわけであります。
 こういうことが合理化カルテルの大体の規定でございます。
 あとは、そこに書いてございますのは、共同行為に関する手続についての敏速化の問題でございますが、これは、認可または不認可の処分は行政処分でやる。現在は、不認可の処分のときは、独禁法の準司法的な手続で、認可申請却下の審決ということをやるわけでありますが、そういうことをやっておりますと時間がかかるから、これはやめる。それから、このカルテルの共同行為に関する処分について不服がある利害関係人は、処分があった日から三十日以内に不服の申し立てをすることができる。そして、この不服の申し立てについて処分をしようとするときは、これは一つ慎重な手続で、審決によってやる。要するに、独禁法の準司法的な手続でやっていく、こういうことであります。それから、届出をしまたは認可を受けて実施しておる共同行為が、その認可の要件なり事情の変更によってもう必要ないというときには、取り消しまたは変更命令をいたしますが、これは行政処分をもってやる、こういうことであります。
 それから、もう一つの点は、その法案要綱にはございませんが、こういう共同行為の届出または認可申請、これはいずれも公正取引委員会が決定の官庁でございます。しかしながら、当該事業の主務大臣を経由官庁といたしておるわけであります。それは、業界の実情に明るく、こういう共同行為を結成するというような経緯等についても主務大臣が十分承知しておりまするから、その主務大臣を窓口といたしまして、その手続の円滑化をはかることにしたのであります。もちろん、申請書の送付等の場合には、その主務大臣が産業政策遂行の責任者としての立場から、このカルテルの国民経済に占める地位などについて所要の意見を付し得ることとしたのでございます。しかしながら、あくまで認可官庁は公正取引委員会でございますから、公正取引委員会はこの主務大臣の意見を尊重しつつ、その中立機関、独立機関としての地位に立ちまして、最終的にカルテルの是非を判断し決定するという建前になっております。
 それから、最後に、これは独禁法の方をこういう工合に改めましたから、中小企業団体組織法の方で独禁法と少し歩調の合わぬ点が出て参っておりますから、その点を二点ばかり改めました。一つは、先ほど御説明いたしましたように、生産数量、販売数量、設備の処理に関する協定で、三カ月以内のものは二十日以内にこれを期限付認可をするということが、中小企業団体組織法の方にはございませんので、それと同様の趣旨を中小企業団体組織法の中に入れるということと、それから、中小企業団体組織法のカルテル調整規定の調整行為の内容が限定列挙になっておりますから、それをその他の必要な事項ということで広げたわけでございます。
 こういうことが、独占禁止法のこのたび国会に御審議を願っておりまする改正法案の趣旨でございますが、この改正法案との関連におきましていろいろ問題がございますが、特に農林漁業との関係におきましては、今申し上げましたように、今回の改正は、国民経済全体の健全な発展に資するために、わが国経済が直面しておりまする不況の回避、また技術革新の趨勢に対処するための合理化カルテルの結成ということで、わが国経済の必要な事情に即応した改正でございます。従って、今回の改正は、カルテルの原則、独占禁止法のいわゆるカルテル行為を禁止し得るという原則は、これは堅持しておるわけでございます。しかしながら、必要最小限度現在の経済情勢に即応するという意味で改正をいたしたわけでございます。この改正の結果、政府がカルテルの結成を指示したり奨励したり、あるいはまたアウトサイダーの規制をするということはないわけでございます。そこで、こういう改正独禁法において、農林漁業者との関係はどういうことになっておるかということは、今私が独禁法の内容を大体御説明して、もうすでにおわかりのことと思いますが、こういう共同行為は公正中立な独立機関でございまする公正取引委員会が弊害がないと認めた場合に限って認可する。現行法ではこういう農林漁業者とか中小企業者という言葉はございませんが、そういうものをわざわざ入れまして、農林漁業者、中小企業者、一般消費者の利益を不当に害するおそれがあるカルテルは法律上認可してはならないという建前をとっております。さらにまた、合理化カルテルの規定をお読みになればおわかりになると思いますが、技術の進歩改善を妨げるカルテルは認めないことにしているわけであります。それから、カルテルを認めたといっても、認めっ放しということは今後いたしませんで、そのカルテルが、経済情勢の変化とにらみ合せて、カルテルの認可要件に適合しておらぬというようなときには、直ちにそのカルテルを取り消すというような排除措置を設けております。
 それから、これはすでに御承知かとも思いますが、肥料等の農林漁業の生産資材あるいはまた農林水産物に関するカルテルにつきましては、これは今申し上げましたように、主務大臣が窓口になって意見を付して持ってくるわけでありまして、こういう点、あるいはまた実際上の運用の建前上十分に農林大臣と協議することになっておりまして、また合理化カルテルの場合には、先ほども申し上げましたように、原材料購入というときには、原材料生産業者の利益にも資しなければならないという条項がございまして、こういう点からいたしましても、また、その原材料の生産業者にそれが資するかどうかということは、十分農林大臣の意見を聞かなければならないというような点からいたしましても、これは十分な配慮をしておるわけであります。
 それから、独占的な販路協定、あるいは独占的な一手買取機関というものは、これは先ほども御説明いたしましたように、非常に慎重な法律的な規定になっておりまして、数量制限にかかる共同行為をした後において、なお不況の克服ができないという場合におきまして、それを認めるということになっております。合理化カルテルの場合は、独占的な販路協定、独占的な一手買取機関というものは、一切認めておらないわけであります。
 こういうような点で、独占禁止法の改正法案の骨格は、以上御説明申し上げたところでございます。なお、農林漁業との関係も、最後に結論的に申し上げましたように、法律の中で十分に配慮しておる次第でございます。
#46
○委員長(関根久藏君) ちょっと速記をとめて。
   午後三時二分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時二十八分速記開始
#47
○委員長(関根久藏君) 速記を始めて。
 次に、農林漁業関係輸出入取引に関する件を議題にし、今国会に政府から提案されておりまする輸出入取引法の一部を改正する法律案について、通商産業省当局から一応説明を聞くことにいたします。
 ただいま政府からの出席は、通商産業省通商局次長中野正一君であります。
#48
○説明員(中野正一君) 私、通産省の通商局の次長をいたしております中野でございます。今度輸出入取引法の一部を改正する法律案を今国会に提出をいたしておりまして、近く御審議をお願いすることになっておるわけでございます。その概要について御説明をいたしたいと思います。お手元に資料として、輸出入取引法の一部を改正する法律案要綱というのがあると思いますが、それをごらんいただきたいと思います。
#49
○委員長(関根久藏君) ちょっと速記をとめて。
#50
○委員長(関根久藏君) 速記を始めて。
#51
○説明員(中野正一君) それでは説明を続けさせていただきます。お手元の輸出入取引法の一部を改正する法律案要綱というのは、これは今度の改正点の要点を法律に従いまして整理したものであります。これをごらんいただいた方が一番わかりいいと思いますのだ、参考のために提出してございます。
 今度の輸出入取引法の改正の要点はいろいろございますが、要するに、最近日本の貿易が過剰競争ということで非常に問題を起しておりますので、この過剰競争をできるだけ防止いたしまして、日本の貿易をこの際さらに伸ばしたい、そのためには従来の取引法の体制だけでは不十分ではないかということが非常に議論されまして、そういう点にかんがみまして、各種の点につきましていろいろ訂正をしております。そのおもな点を申し上げますと、そこに第二というところに書いてございます、これがきょう論議の一番大きな対象になるのではないかと思っておりますが、「生産業者又は販売業者の協定の締結範囲の拡大」というのが一つございます。これは従来輸出入取引法におきまして輸出すべき貨物、輸出貨物でございますね、これにつきましては、生産業者、販売業者が協定ができるということになっております、従来の規定で。ところが、輸出すべき貨物というと、輸出品だけについては協定ができますが、その輸出すべき貨物が国内へ向けられるというもについては全然協定ができないと、こういうことになっておりましたので、その点について必要やむを得ない、どうしても輸出貿易振興のために、国内向けについても輸出品と一緒に協定をした方が貿易振興のためにどうしても必要だというような最小限度の場合に限りまして、国内向けについても協定の範囲を広げようというので、従来法律には第五条の三というので、輸出すべき貨物については協定できたものを、範囲を広げようという大体の趣旨でございます。こまかい点については、あとで御説明申し上げます。
 それから次に、第三というのが次のページをめくっていただきますとございますが、ここに「輸出業者の協定等の締結の勧告」というのがありまして、従来の輸出入取引法の建前は、できるだけ輸出業者、あるいは生産業者についても同様でございますが、過剰競争防止のための協定というものは自主的にやっていただきたい、それを政府がバック・アップする、こういうような形で自主的な調整というものを建前にして参ってきておりまして、御承知と思いますが、現在まで相当多数、輸出業者の価格協定、あるいは数量協定、あるいは品質の協定、意匠の協定というものが相当多数できておるわけでございますが、最近の情勢にかんがみまして、そういう協定を政府が勧告をするという道を開こうじゃないかというのが、この第三の規定でございまして、これは輸出業者あるいは輸出組合に対しまして、特定の地域向けの特別の貨物、たとえば、アメリカあたりから輸入制限等が起りまして、いろいろ過剰競争について問題があるというような場合に、できるだけ業者の自主的な協定に待ちたいわけでありますが、なかなか業界で話がまとまらない、しかし、政府の方じゃどうしても必要だというふうに考えておる場合に、まあ大部分の業者の方が賛成という場合には、この際一つ政府の名前でこうこういう協定を結ばれたらいかがですかという勧告をする、それに従って業界の方で、政府もそう言っているなら、こっちでやろうじゃないかということで話がまとまるんじゃないか、こういうような意味合いから、1の方は、ここにありますように、輸出業者の方の協定、これに対して勧告ができる、こういう規定を置こう。2の方は、生産業者または販売業者に対してやはり同様に勧告をする。これは輸出業者の方だけで協定をいたしましても、メーカー・サイドなり販売業者のサイドで非常に自主的な調整がうまくいかないと、結局、貿易面の出口のところだけでいろいろ協定をやりましても、十分効果が上らないというのが現実の姿でございまして、従って、勧告の場合もメーカー段階にまで勧告という規定を置こう、こういうことになっております。ただ、これは先ほど申し上げました第二の、これは輸出振興カルテルというふうに世間で呼んでおりますが、第二で述べました輸出向け、国内向けを含めたいわゆるカルテルというものと違いまして、第三で勧告できますものは、輸出すべ貨物についてだけ、こういう勧告ができる。従って、国内向けの貨物について輸出向け貨物と同様に自主的な調整をやるという場合は、勧告はできないことになっております。第三の場合は輸出すべき貨物、輸出品についてだけ勧告ができるということになっております。
 それから、第四の規定は「輸出組合の事業内容の明確化」、これはちょっとおわかりにくいかと思いますが、従来の輸出組合というのは、ここに書いてありますが、いろいろ組合員の共同のためのいろいろな施設、いわゆる共同事業というものができますが、それ以外に先ほども申しましたいろいろな統制的な仕事、すなわち調整事業というものと二つ、大体輸出組合はできることになっておりますが、この輸出組合につきましてはこの際非課税法人にしようということで、輸出組合がいろいろ積立金等で剰余金が仕事をしてくるに従って出ますが、そういう金について課税をするということになると、組合の活動が十分行われませんので、輸出組合については非課税法人にしようということで、これは付則でそういうことにすることになっておりますが、そういたしますと、この輸出組合の中に、従来は出資を認めておる組合と出資をしない組合とがございまして、出資をしておるものにつきましては、やはり今言った共同事業といっても、いろいろ営利的なような仕事をやる場合もございますので、そういうものまで非課税にするというのは行き過ぎじゃないかということになりまして、いわゆる非出資の輸出組合については非課税法人にするということになっておりますので、その関係で、ここに書いてございます「輸出組合の所属員の共通の利益を増進するための施設」ということが、いわゆる共同事業でございますが、その共同事業の範囲をある程度限定をいたしまして、(一)から(四)に掲げるものにはっきりとしようと。これは今申し上げましたように、非課税法人にするために、いわゆる出資をさせない組合でございますね、そういうものについては非課税にしようということでございます。
 それから、五は、従来の出資組合が非出資組合に移行できるような法律の規定を置こう。それから、六が、輸出入組合、いわゆる日中貿易については輸出入組合ができておりますが、これは輸出組合と同様に、組合の事業をある程度限定をいたしまして、非課税法人にしようということであります。
 それから、第七の「貿易連合」でございますが、これは中小商社の健全な発展をはかるために、主として中小商社の連合体――これは完全な連合体ではございませんが、そういう連合体を認めまして、その連合体の名前でいろいろ貿易上の商売をすると、こういう制度を新しく認めまして、これを法人にしようということでございまして、これはまあ中小商社の方面からも非常に要望が従来から強うございまして、たとえば、現在でも大阪方面には大阪連合だとか、あるいは船場連合、神戸では阪神連合というようなものが、現在六つばかりできておりますが、これは現在は民法上の組合契約によってそういう連合を作っておる、あるいは中小企業協同組合法によります協同組合の形をとりましてそういう連合体を作って、そういう連合の名前でたとえば海外に支店を出す、駐在員を置くと。あるいは国内でも、特定の商品につきましては、そういう連合体の形で、個々の商社がひとりひとりでやったのではとても大商社に対抗できないというような場合に、中小商社が何社か集まりまして、これが完全な会社ではございませんが、まあ不完全な結合体を作りまして、やろうということで現在もやっておりますが、従来の規定だと、たとえば民法上の契約によってやりますと、法人格がございませんので、海外なんかに支店を置く場合に、支店設置がなかなかむずかしいと、こういうようなことがございます。また、協同組合だと、加入、脱退が自由で、こういう貿易連合でございますれば、いわゆる同志的な仲間の結合ということでございますので、協同組合法による組合ではやはり不便が多いと、こういうようなことがございまして、この際新しく中小商社の連合体というものを法律の規定によって認めていこうというのが、この貿易連合の規定でございまして、あとこまごま書いてありますのは、いろいろその設立、認可等の要件が書いてあるわけでございます。
 それから、第八は、これは非常に技術的な問題なので、ちょっと省略いたします。
 第九の「生産業者又は販売業者に対するアウトサイダー規制命令」、これは、従来は、輸出業者の協定につきましては、輸出業者が貿易関係の取引についていろいろな協定をいたしまして、大部分の者がその協定に参加する、あるいは大部分の者が入っているが一部の者が入っていない、それがいわゆる統制を乱すというようなために全体がうまくいかないという場合は、政府の方でアウトサイダー規制命令を出し得ることになっているわけでありますが、これをさらに広げまして、生産業者または販売業者の協定につきましてもアウトサイダー規制命令を出し得るようにしようと、こういうことでございます。これは、一番最初に申し上げました第二のいわゆる輸出振興カルテルというふうな、輸出向け、国内向けと両方あわせたカルテルができるものにつきましては、このアウトサイダー規制命令は出せないことになっております。
 第九の規定は、お読みいただけばわかりまするが、「特定の仕向地に輸出すべき特定の種類の貨物の国内取引に関する協定」ということになっておりますから、いわゆる輸出品だけについてのメーカーなり販売業者の協定についてアウトサイダー規制命令が出せる。従って、国内向けの協定をやっておる場合にはアウトサイダー規制命令は出せない。これはあくまで貿易振興の観点から、輸出関係の組合にだけアウトサイダー規制命令が出せるようになっております。それから、これはいろいろ条件がありまして、いわゆる輸出業者の協定、あるいは輸出組合による協定というようなものではどうしても工合が悪いというときに、メーカー団体、販売業者の団体に及ぶということになると、そういう趣旨でございます。
 それから、第十は「指定機関の指定要件の緩和」、これはいわゆる共販機関の問題でございまして、共販機関を指定機関にするという規定がございますが、指定機関にいたしますというと、輸出業者は必ず指定機関から買わなければいかぬという効果があるわけなのでございますが、これを指定する要件が従来非常に窮屈になっておりましたので、これを幾分緩和する。従来の規定は、輸出業者がその共販機関から購入いたしまして、輸出する額が相当の比率を占めておるという実績が、すでにその共販機関から輸出業者が輸出額の大体半分以上買っておるという実績がないと、いわゆる指定機関に指定できないということになっておりましたのを、緩和いたしまして、輸出業者なりあるいは生産業者の申し出によりまして、その申し出た方々がいわゆる輸出商品の半分以上扱っておるというような場合は、これは指定してもいいじゃないかということに緩和をしたいということであります。
 それから、第十一は「輸出業者の登録」でございまして、これは新しい制度でございますが、これは貿易業界の方から非常に要望もございますわけでありまするが、過当競争が非常に行われておる地域あるいは品物というものにつきましては、先ほど来申し上げておりまするように、業者の自主的な協定によりまして、できるだけこの過当競争を防ぐようにやっておるわけでありますが、そういうことだけではどうしても工合が悪いと、次から次に新規の業者で適格を欠くのではないかというような者が出て参りまして、そのために過当競争をますます激化するというようなことがございますので、そういうような場合、ここに書いてございますが、「特定の仕向地に輸送する特定の種類の貨物」ということで、非常に競争が激しいためにどうしてもうまくいかぬというような場合は、そういう特定地域向けの特定貨物というものを政令で指定をいたしまして、そうして一定の資格のある者だけを登録をいたしまして、登録した者だけがその商品については扱えると、こういうことにしたい。ただ、これはあとにいろいろ条件が書いてございますが、いわゆる法律に違反した者とか何とか、そういうふうな不適格者というものをできるだけ排除するということを主体にしておるのであります。ただ、登録でございますので、最小限の資格要件というものは、これは別にきめましてやりたい。大体の考え方としては、もう従来やっている人を排除するということは不適当でありますので、従来から経験のある方につきましては、これはもちろん登録をすることになっております。従って、そういう特殊の商品につきましては、新規の者で不適格な者はできるだけこれを排除するというようなことによりまして、この過当競争を防止したいという趣旨でございます。
 それから、一番最後にちょっと書いてございますが、この法律の改正にいろいろ関連いたしまして、中小企業団体法なり法人税法、あるいは商工組合中央金庫というものを改正をすることになっております。特に3に書いてありまするけれども、先ほど申し上げました共販機関、あるいは共販機関の上で政府で指定になった指定機関、こういうものに対しましては商工組合中央金庫から金が貸せるように――従来共販機関を作りましても、なかなか金融がうまくいかないというために、共販機関が十分活動ができないということがございますので、商工組合中央金庫からそういう共販機関へ貸付ができる道を開きたいというのが、おもな改正でございます。
 それで、ちょっと最初に帰りまして、第二の「生産業者又は販売業者の協定の締結範囲の拡大」でございますが、これは非常に問題になるかと思いますが、ここに書いてございますように、今度の改正は、従来は輸出業者の面につきましては相当いろいろの協定ができて、しかも、先ほど来御説明申し上げておりますように、輸出組合なり輸出業者の段階につきましては、アウトサイダーの規制もできるというふうなことになって、大体従来の輸出入取引法の規定で過剰競争防止のためのいろいろな手段というものは大体そろっているのじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、結局、過剰競争ということは、出口の貿易業者のところで幾らがんばっても、もとのメーカー段階というものの調整がうまくいかなければ、結局安売り、それから品物も悪くなる。それから、アメリカで問題になっているように、あまりに一時に品物が出過ぎるために向うで輸入制限を食らうと、こういうことになりますので、やはり過剰競争防止の問題は、貿易面だけでなしに、生産の段階までさかのぼって、やはり自主的な調整をやる必要があると、こういうことは前々からみな言われておったわけでありまして、そういう点にかんがみまして、この第二の規定を拡大をしよう。従来は輸出品については協定ができたわけでありますが、それだけでは不十分な場合に、ここに書いてあるように、協定ができるようにしておるわけであります。
 ちょっとこまかくなりますが、ちょっとここのところを見ていただきますと、まず生産業者でございますが、「生産業者は、生産数量の相当部分が輸出されている貨物、又は輸出貿易の拡大に寄与することが大きい貨物であって、政令で定めるもの」、これについて協定ができるということになるわけでありまして、生産量の相当部分が輸出されるということは、半分以上大体輸出されているものでなければならぬ、こういうことでございます。ただ、それでは範囲があまりに狭くなりますので、今後貿易を伸ばしていく上に非常に大事な品物、ウエートとしては半分もないが金額も相当大きいと、今後日本として貿易を伸ばしていかなければならないという品物については、大いに伸ばしていかなければならぬと、こういうものはやはり対象になり得る。しかし、それでは具体的にどういうものをやるかということになると、これは国内向けについてまで協定ができるということになっておりますので、非常に影響するところが大きい。ただ、今までのように、輸出入取引法で、貿易面のあるいは独禁法をできるだけはずしたらいいじゃないかという考え方でずっときたわけでありますが、そうは簡単に参りませんので、これは品物をきめる場合は実態を十分調査して、関係省が十分協議いたしまして、閣議ベースで、政令でもって品物をきめるということになっております。その政令できめた品物でありまして、輸出取引の過当競争等によりまして輸出取引の実情がうまくいかない、輸出貿易の健全な発展が非常に阻害されておる、あるいは阻害されるおそれが非常にあると、こういうような場合にだけ、いわゆる輸出振興カルテルというものはできるというふうに政令で一本しぼりまして、そしてさらに、ここに書いてあるような、輸出振興上どうしてもやむを得ない場合に初めて協定ができるのだというふうに、二本建でしぼってあるわけであります。
 それから、第三のしぼり方は、そこに書いてありますが、「輸出すべき貨物についての生産業者若しくは販売業者の協定(現行法第五条の三の協定)、又は当該生産業者に係る他の法令の規定による適法な共同行為をもってしては、これらの事由を除去することが困難であるとき」、このときに初めてできるわけでありますが、わかりにくいかと思いますが、前段の方は、現行法の第五条の三というので、輸出品については生産業者なり販売業者が現在でも協定ができることになっておりますので、輸出品についての協定でいろいろやってみて、どうしてもそれだけではうまくいかない、国内向けも含めてやらないとどうしてもうまくいかぬという場合でないと発動できないというのが、最初の、前半の方の規定であります。
 「又は」以下は、当該生産業者にかかわる、たとえば、今生産数量の相当部分が輸出をされておる貨物で、これに該当しそうなものはどんなものかと聞かれたときに説明をしておるわけでありますが、たとえばビタミンBというものが生産の大体六、七割が輸出でございまして、これはアメリカにほとんど行っておるわけであります。これが非常に値段が変動して、しかも安いというので、これは非常にまずいということで、輸出業者の方の輸出品についての協定はやっておるわけでありますが、輸出品について協定をやりましても、国内がどんどん下るために、結局それが守られないということになっておりまして、そういう場合は国内向けと輸出向けと含めて協定をして、初めて価格の安定ができて、アメリカあたりで高くビタミンが売れる、こういうことになりますので、これはビタミンがあれでやるかどうか、これは全然未定の問題でございますが、まあわれわれ考えている例としてはそんなものが該当するのではないかと思いますが、そういう場合に「当該生産者」でありますから、ビタミンBの生産業者が、「他の法令の規定による適法な行為をもってしては」十分でないというのは、他の法令というのは、たとえば中小企業団体法、それから農林関係でいいますと、輸出水産物振興法、こういうふうなものがございますが、こういうような輸出入取引法以外の法律によっていろいろ協定なり組合の調整事業ができることになっておりますので、そういうほかの法律で生産業者が協定できるものはそれでやりなさい、そういうものがここに書いてある意味であります。従って、中小企業団体法が適用になりますところの、いわゆる中小企業者が主として作っておる製品につきましては、団体法による商工組合を作りまして、その商工組合でこの輸出向けあるいは国内向けを含めていろいろ協定、すなわち調整事業をやらせることになっておりますので、その方でやる。従って、この第二の輸出振興カルテルは、中小企業製品には発動されないというふうに御解釈されてけっこうだと思います。また、輸出水産物振興法によっていろいろなものが今調整事業をやっておりますが、これの適用のある水産物につきましては、同様にそちらの方でメーカーの協定はやっていただく。この規定ではやらないということになるわけでございます。
 そういうふうに、まず第一段階は、生産業者なり販売業者の輸出品についての協定をやりまして、それでどうしてもうまくいかない、それから今度国内向けの調整をやる場合にも、団体法なり水産物振興法等でいけるものは、別の規定があるから、それによってやってもらう。どうしてもそういうものに引っかからないようなものは、この第二の輸出振興カルテルの適用がある、こういうことになるわけであります。そういう場合は、通産大臣と当該貨物についての主務大臣の認可を受けて、生産数量あるいは国内取引の価格、数量、品質、意匠その他――「その他の事項」というのは、大体取引条件等でございますが、そういうものの協定ができる。また、その貨物の原材料の購入方面の事項についても協定ができる。結局、製品のたとえば価格を安定するためには、どうしても原材料から協定をしないとうまくいかないというような場合には、この後段の原材料の購入の協定がやれることになっておるわけであります。
 で、そこへただし書きがございまして、ただし、一手販売とか一手購入、あるいは価格に関する協定というようなものは、これも必要やむを得ない場合しか認むべきではないというので、その後段に書いてありますように、技術的理由で生産制限ができない、むずかしいというような場合、それから生産数量の制限はやってみたがそれだけではどうしても価格は安定しない、そのために結局輸出取引に非常な支障を来たしておるというような場合に、初めてこの価格についての制限ができると、しかもそれは生産数量の制限と一緒でなければできませんと、こういうことになっておるわけでございます。
 それから、2の方は、そこに書いてございますように、販売業者のやはり協定ができる、それから当該商品の原材料の生産業者も協定ができるという規定がございまして、これはたとえば第一項の方で、輸出用の船につきまして協定をいたしました場合に、その船の原材料ということになりますから、たとえば造船用の鋼材料でございますね、造船用の鋼材の生産業者がやはり協定ができると、こういうことになるわけでありますが、その場合はやはり、その後段に制限がありまするように、第一項の「前項の協定」とございますね、前項の、船なら船についての協定だけではうまくいかない、どうしてもうまくいかない。それからまた、前と同じように、当該販売業者または原材料の生産業者、すなわち今言った造船用の厚板についての他の法令による適法な共同行為、これも中小企業団体法、輸出水産業振興法というようなものでやってみて、それでどうしても工合が悪いという場合に、初めてこの第二項の規定が発動することになっております。その場合は通産大臣と当該貨物または当該貨物の原材料についての主務大臣の認可を受けて初めてやれると、こういうことになるわけであります。通産大臣と、たとえば農林物資でありますと、農林大臣と、両方の認可を受けて初めて協定ができると、こういうことになっておるわけであります。
 それから、あとにいろいろ、三ページのところに、その内容が第一項に規定する事由を除去するために必要最小限度のものであるというふうな、役所の方で認可する場合に、前に掲げたいろいろの条件に合致して、しかもそれは必要最小限度のものでなければ、認可してはいけないということが書いてあるわけであります。それから、そのほか(二)から(七)まで、関係の中小企業等の利益を不等に害してはいかぬ、あるいは貿易振興に名をかって国内向けの調整だけをやって、それがかえって輸出貿易の健全な発展に逆に支障を起すというようなことがあってはいけませんので、こういうおそれがないというふうに、これは(四)に書いてございますが、そういういろいろな制限事項を書いてあるわけです。
 それから、なお、この4に、通産大臣及び当該貨物の主務大臣、農林物資であれば通産大臣と農林大臣が認可をする場合には、公正取引委員会の同意を要すると。これは主として国内向け貨物についてまで調整ができるということに広げましたので、公正取引委員会の同意を得て発動すると、こういうことになっておるわけであります。
 大体、私の御説明はこの程度にいたしまして、また御質問がありますれば、お答えいたします。
#52
○委員長(関根久藏君) 以上、両件は、本日は一応の説明を聞くにとどめ、これをもって散会いたします。
   午後四時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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