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1958/11/04 第30回国会 参議院 参議院会議録情報 第030回国会 内閣委員会 第10号
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1958/11/04 第30回国会 参議院

参議院会議録情報 第030回国会 内閣委員会 第10号

#1
第030回国会 内閣委員会 第10号
昭和三十三年十一月四日(火曜日)
   午後一時三十分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十一月一日委員剱木亨弘君辞任につ
き、その補欠として西川彌平治君を議
長において指名した。
本日委員宮田重文君辞任につき、その
補欠として重宗雄三君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     永岡 光治君
   理 事
           大谷藤之助君
           松岡 平市君
           矢嶋 三義君
           竹下 豐次君
   委 員
           木村篤太郎君
           佐藤清一郎君
           堀木 鎌三君
           増原 恵吉君
           松村 秀逸君
           伊藤 顕道君
           近藤 信一君
           千葉  信君
           藤田  進君
           八木 幸吉君
  国務大臣
   運 輸 大 臣 永野  護君
  政府委員
   大蔵政務次官  佐野  廣君
   運輸省鉄道監督
   局長      權田 良彦君
   郵政大臣官房電
   気通信監理官  岩田 敏男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       杉田正三郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国家公務員のための国設宿舎に関す
 る法律の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○公共企業体職員等共済組合法の一部
 を改正する法律案(内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(永岡光治君) これより内閣委員会を開会いたします。
 去る十一月一日剱木亨弘君が委員を辞任され、西川彌平治君が委員に選任されました。また、本日宮田重文君が辞任され、後任として重宗雄三君が選任されました。以上御報告いたします。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(永岡光治君) それではこれより議事に入ります。
 まず、国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、前回質疑を終局いたしておりますので、これより本案の討論に入ります。ちょっと速記とめて。
#4
○委員長(永岡光治君) 速記始めて。
 なお、本案審議の過程に基きまして委員長より本案に対する付帯決議案を提出いたしたいと思います。付帯決議案を朗読いたします。
 一、政府は今後国設宿舎設置計画の立案に当り次の二点につき特に考慮すること。
 (一) 一般住宅不足を補うために、積極的に、国設宿舎の建設を推進すること。
 (二) 国設宿舎の充足率が上級者に比し、中下級者に甚しく薄き実情に鑑み、職員の地位の上下如何に拘らず、特にその事務の内容が国設宿舎を必要とするものに対しては、率先これを充当すると共に、今後中下級職員の国設宿舎建設を優先せしむること。
 二、政府は現在の公邸中、存置の要否を速かに検討すると共に、公邸の使用については、乱に流れざるよう厳に自戒すること。
 右要望する。
 付帯決議案につきましても、御意見のおありの方は、あわせて御発言を願います。
#5
○八木幸吉君 私は本案に賛成をいたします。この際、政府当局に特に希望いたしたいことをあわせて申し述べたいと思います。
 本案は宿舎審議会を廃止する、これは行政簡素化の趣旨に沿うものでありますから、私はその点で賛成をいたすものでありますが、従来この宿舎審議会は、必ずしもその職責を全うしていたとは考へられません。つきましては、今後大蔵当局においては、たとい宿舎審議会が廃止されましても、大蔵大臣は十分国設宿舎の運用について万遺憾なきを期せられんことを希望する者であります。その一例として申し上げたいのは、かつて当時の関東財務局長が、財務局長在職時代に、必要として行政財産として買い入れた官舎を、後になって普通財産に変えまして、そして自分が財務局長の職を離れてから間もなく、千数百万円の値打ちのあるものを、わずか二百五十万円内外で、しかも一文の担保も出さずに年賦で払い下げて、国会の問題になったことがあります。これは国有財産法の第十六条の「国有財産に関する事務に従事する職員は、その取扱に係る国有財産を譲り受け、又は自己の所有物と交換することができない。」という法の精神を没却した取扱いであり、無担保の延納は、戦後一回も前例がなく、国有財産特別措置法の第十一条に違反しているのでありますが、この点が見のがされておったのであります。財務局長の地位は国設宿舎の管理について非常に重要な地位にあるにかかわらず、こういう事態が起ったのでありますから、今後は大蔵大臣はこういう前例にかんがみまして、十分の責任を尽し、万遺憾なきを期せられたいということを、第一に申し上げておきます。
 次に、この付帯決議案に賛成する意味合いで申し上げたいと思うのですが、現在わが国の住宅不足数は二百八万戸、しかるに一般、特別両会計を通じまして国設宿舎の必要な数は二十二万六千六百八十八戸、そのうち既設のものはわずか三六・三%の八万二千三百二十二戸でありまして、なお不足数は十四万四千三百六十五戸でありますから、どうか政府におかれましては、この付帯決議案の第一にありますように、わが国の住宅不足の現状にかんがみまして、これを側面から積極的にその建設を推進するため、国設宿舎は従来以上に多くの宿舎を建てるように予算に織り込みあらんことを希望いたします。
 第二に、今の現状を先日の資料で拝見しますと、上級公務員の既設宿舎の数は一般会計において七〇・七%、特別会計において八二・八%、しかるに、いわゆる中下級の公務員に対するその充足率は一般会計において四〇・七%、特別会計で二九・三%、平均して一般、特別の両会計を通じまして、上級者に対しては七二・四%の充足率であるにかかわらず、中下級者の充足率はわずかに三四・七%でありまして、あまりに上に厚く中、下級以下には薄い。こういう現状であって、中、下級の公務員の不足数は十四万千七百二十六戸の多きに達しております。どうか、この中、下級の職員の不足数を十分に一つ早く補うように、政府が万全の処置を講ぜられんことを希望するものであります。
 次に、この付帯決議の、第二の問題でありますが、私は個人の意見としては、公邸というものは、昔官僚がその威容を張るためにできたというのがその沿革であると存じますので、現在ではほとんどその必要がない、こう考えておるのでありますが、しかし、そう一挙に全部廃止するわけにも参りませんから、両院議長、内閣総理大臣、外務大臣、最高裁判所長官、侍従長、官房長官、在外公館の長というようなものを残して、あとは全部廃止したい、こう実は考えておるものであります。と申しますのは、現在国内の公邸は三十五カ所で、その評価は七億三千八百万円、年間の経費は千四百万円になんなんといたしておるのであります。現在のこの住宅不足のときに、公邸の評価が七億円以上であり、年間の費用が千四百万円以上、ことに一例をあげて申しますならば、たとえば参議院の事務総長の公邸の評価額は五千六百五十万円でありまして、年間の経費は百二十万円に及んでおるのであります。わずかに国会の一役員の公邸が、かような巨額の評価であり、巨額の経費を使っておるということは、国民一般の住宅不足の実情からかんがみまして、非常に私は権衡がとれておらぬ、こう考えますので、これらの点も考慮されまして、十分今後その存置の要否を検討されたいと思うのであります。公邸がなぜ必要かということは、ただ外交関係のものが一番中心じゃないかと思うのでありまして、まだ皇居さえも仮建築であるというような現状におきましては、十分この点を検討されたい。ことに第一次鳩山内閣におきましては、公邸の廃止を閣議できめたといういきさつもあるのでありますから、この辺に政府当局としては検討を加えられることを切に希望いたします。
 これをもって私の賛成討論を終ります。
#6
○矢嶋三義君 私は日本社会党を代表いたしまして、本法律案並びに委員長提案にかかる付帯決議案に賛成の討論をなさんとするものであります。
 まず、この法律案は国設宿舎関係を整備せんとするものでありますが、むしろおそきに失したと思います。おそくはなりましたけれども、かように国設宿舎関係を整備して参ろうという趣旨は大へんけっこうだと思います。今後この法の運用を十分注意していただくことを、まず要望申し上げる次第です。特にこの法律案の中に公私混用を避けるために、もっぱら居住者の私用に供するものを除くというような条文が二カ所あるわけでありますが、この運用については、なかなか困難な点があろうかと存じますが、所管大臣である大蔵大臣においては、特に公邸使用者に対しましては、文書をもってこの立法の趣旨を徹底されるよう特に強く要望申し上げておく次第であります。
 第二点といたしましては、ただいま委員長から付帯決議案が提案されているわけでありまして、私どもこれに賛成でありますが、特にこの第二項は行政府としては十分の注意を払っていただくことを意見として申し述べておきます。と申しますことは、これは八木委員からも指摘があり、また、私ども提出されました資料をもってこれを検討いたしますと、実にたくさん問題が伏在しております。国会の今までの関係もありまして、各会派で話し合いの結果、かような付帯決議にして、一応行政府の善処を要望することに相なったわけでありますが、特に注意していただきたい点は、まだ設置されていない公邸が三つありますが、これらの設置を見合わしていただきたい。公邸が必要とされる職種は、ここにあげられているわけでありますが、これだけのものが必要かどうかという点について委員会としては問題があります。検討しなければならぬということに意見が一致しているわけでありまして、その必要の有無と、それから必要とするならば、どの程度が必要かという点について根本的に検討する必要がある、かような決議案の内容でございますので、設置されていない三つの公邸の設置を保留すること、それから決議案の二項について検討するに当って注意していただきたい点は、給与費、ほとんどこれに無関係でこの公邸が取り扱われ、無料で貸与されていることです。管理職手当を受ける公務員と管理職手当を受けない特別職の公務員の給与差があるというので、先国会で給与法の一部改正をやりましたが、そのときに公邸等の問題はあまり論じられておりません。従って、たとえば長官が公邸を貸与され、長官に次ぐ次長格の人は、俸給表から見た場合に、公邸は貸与されないし、ほとんど考慮されていない。そこに検討すべき余地があると思うんです。ということは、結局この公邸は官僚国家の遺物だ。それがそのままこうなってきているところに問題がある。そこで、そういう点検討を要望しているのが付帯決議案の二項でありますから、特に注意を喚起いたしておきます。なお、先般大蔵大臣が出席した場合に若干の希望を申し上げ、注意を喚起しておいたわけですが、特に公私の区別をつけること等大蔵大臣に要望し、大蔵大臣も同感の意を表明した次第でありますが、それらの点については、所管省として格別の注意を要望する次第です。
 第三点について、最後に申し上げておきたい点は、これまた大蔵大臣との質疑のときに要望申し上げ、善処を確約されたわけでありますが、それは地域によって充足度が違う。私が指摘いたしましたのは、九州、南九州、北九州は特に充足度が低いので、例として取り上げて指摘したわけであります。願わくば十分検討されて、そういう地域差のないように、必要な地域、必要な公務員に宿舎が提供され、行政能率が上るように善処を要望するものであります。
 以上、若干意見ならびに希望を申し上げまして、わが日本社会党はこの法案並びに委員長の提案にかかる付帯決議案に賛成するものであります。
#7
○委員長(永岡光治君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
#8
○委員長(永岡光治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)全部を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
#9
○委員長(永岡光治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に、委員長が代表して提出いたしました付帯決議案を議題といたします。
 本付帯決議案を、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
#10
○委員長(永岡光治君) 全会一致と認めます。よって、付帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 この際、本付帯決議案に対する政府の御所信をお述べ願います。
#11
○政府委員(佐野廣君) ただいま付帯決議の御趣旨をよく拝承いたしましたので、特に討論中にもございました御意見を十分体しまして、職員の職務上の必要度に応じまして、また転勤のひんぱん度の実情、こういうふうなものをよく考えまして、そしてまた、公邸その他の使用等につきましても、いろいろ御注意がございましたので、十分この宿舎運営につきまして注意をいたしまして、御趣旨に沿うよう努力いたしたいと考える次第でございます。一言ごあいさつ申し上げます。
#12
○委員長(永岡光治君) なお、審査報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
#13
○委員長(永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
#14
○委員長(永岡光治君) 次に、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#15
○伊藤顕道君 まず、被扶養者についてお伺いいたしますが、新旧それぞれ比較して見ますと、一見新法の方が被扶養者の範囲を拡大したかに見えるわけですが、よく見ますと、旧法の方が、どなたが見ても明瞭のように、被扶養者の範囲が広いわけです。その根拠は、旧法については同一世帯という制限があるだけですが、新法については、同一世帯であってさらに三親等内の親族、こういう制約がついてきたわけですね。そこで、結論的には結局被扶養者の範囲を狭めたということで、既得権の侵害になろうと思う。むしろ改悪ではないか、この点を明確に伺いたいと思うのです。
#16
○国務大臣(永野護君) お説の通り、新法の方がかえって旧法より特典が減少した点があるのは、事実でございます。しかし一方、新法の方が拡張した点もあるのでありまして、従来の法制によりますと、同居することを前提としておりました弟妹につきまして、同居を要しないことと改めましたし、また、内縁の配偶者の父母及び子をも、これは同居を条件としますが、被扶養者の資格を認めることにいたしておるのであります。その点は、新法の方がこの恩典を受ける範囲が広まっております。つまり、一方において御指摘の通り幾らか狭まっておりますけれども、一方においては広くなっておりますので、これが実際の実情に即すると、こう判断いたした次第でございます。
#17
○伊藤顕道君 御説明ではございますけれども、結局一世帯であれば、今まではどなたでもよかったわけですね。極端に言えば他人でもよかったわけです。ところが、今回は同一世帯で三親等内です。この三親等内ということになると、もうほかの者は絶対中に入れないわけですね。そういうことで、ずいぶん範囲が実際的には狭められたわけです。そういう点は、はなはだ遺憾だと思うのです。むしろ範囲はだんだん広げるべきこの健保の精神から、また、共済の精神からいって、範囲はむしろ広げるのが至当であろうと思う。それをむしろ逆行して狭めているわけです。その点はまことに遺憾だと思うのですが。
#18
○国務大臣(永野護君) なるたけ広げた方が、つまり受益者の範囲が広がりますから、けっこうでありますけれども、御承知の通り、これにいろいろ経費の伴う点もございますので、最も実情に適するようにその範囲をきめる必要があると思うのでありまして、従来同居しておりますと、極端に申せば、全然他人でも入れるというふうに扱うことが適当であるか、あるいは今まで同居しておることを条件とした兄弟姉妹、さらにまた、内縁関係の配偶者の父母及び子供をもこの範囲の中に加えて、つまり今まではなかったのをそれを入れる方が実情に適するか、つまり全く何らの条件なしにこの範囲を拡大する方が便利だということは認めますけれども、それでは経営の方が非常に困難でありますから、ある一定の経費のワクで、どういう範囲にこの受益者の範囲をきめることが適当かということを検討いたしました結果、こういうふうにきめたわけでございます。この方が実情に即すると解釈した次第でございます。
#19
○伊藤顕道君 なお、この健保の改正に伴って、共済組合員にも初診料を百円、それから入院料一日三十円三ヵ月のワク内で、こういう非常な負担増となったわけです。これは根拠はどこにあるのか、はっきりまず伺いたいと思うのです。
#20
○国務大臣(永野護君) 健康保険法で一部負担制度が実施されましたのは、赤字解消ということも一つの理由でありましたけれども、被保険者間の負担の均衡、医療水準の向上というようなことが大きな問題であったと考えておるのであります。一方、この共済組合法は健康保険を代行するものでありますから、基本的制度につきましては、先ほど申しました健康保険法と同一であるべきと考えましたので、こういうふうに改正いたした次第でございます。
#21
○伊藤顕道君 健康保険は、なるほどずっと赤字経営であったわけですね。それを何らかの方法で解決せねばならぬ、そういう主なる趣意から、負担増になったと思うのですが、共済組合は御承知のように、国家も公共企業体も、それぞれ黒字経営で現行においては甲地五十円、乙地四十六円で、これまた一部負担になっておりますが、これすら、この現在の五十円、四十六円すら廃止してしかるべきだと思うのです。なんとなれば共済は非常に黒字経営で、運営が非常に良好な状況にあるから、健保とは全然その点は違っているわけなんですね。だから、現行でもこれは廃止するのが筋だと思う。にもかかわらず、現行の面をさらに増額しておる。しかも、五十円ないし四十六円を百円にふやして増額、しかも、全然入院料については負担しなかったものを一日三十円三ヵ月間も長い間負担しなければならぬ。これは困窮者にとっては非常に痛手だと思うのです。その点はどういうふうにお考えですか。
#22
○国務大臣(永野護君) 御趣意はよくわかりますけれども、この共済組合法は健康保険を代行するものでありますので、健康保険法の方できまりましたその制度に合わせることが必要であると、こう私どもは解釈したわけであります。今お説のように健康保険法の方は赤字だから、ある程度のそういう負担が増すのは仕方がないと思うけれども、こちらの共済組合の方は黒字だから、健康保険法に必ずしもならわなくてもいいんではないかというような御意見でありましたけれども、これは赤字解消も一つの理由ではあったのでありますけれども、被保険者間の負担の均衡と、そして医療水準の向上、つまり医療設備をよくするというようなことが目的であったのでありますので、赤字の有無の問題は、必ずしもこの全部の問題の改正の理由ではないのでありまして、医療水準の向上、そのためにはある程度の設備を必要といたしますので、その程度の増徴を認めることにいたした次第でございます。
#23
○伊藤顕道君 重ねて御質問申し上げます前に、ただいま私から入院料については一日三十円三ヵ月と申し上げました。これは三ヵ月が原案だった。社会党の努力によってこれは一月になったわけです。その点私考え違いいたしましたので、訂正しておきたいと思います。なお、この法律上から見ても、政府管掌健保と同様に引き上げる筋合いはないと思うのですね。と申しますのは、御承知のように現行法の十二条に、十二条の後段に、これは御承知だと思いますが、「前項ノ共済組合ノ給付ノ種類及程度ハ本法ノ給付ノ種類及程度以上ナルコトヲ要ス」というふうに、共済組合の給付については、給付の種類及び程度については健保以上でなければならない、こういうりっぱな根拠があるわけですね。だから健保よりは共済の方を有利にしなければならない、こう十二条に明確に出ているわけですね。そういう点からも、これは不合理ではないか、こういう点をどういうふうに考えておられるかお伺いします。
#24
○国務大臣(永野護君) 健保より下ってはいけないというのが十二条の趣意だと思いますが、しかしそれと同じように調子を合していけないとは書いてないと思うのであります。だから立法論の御趣意としては了承いたしますけれども、他のすべての足なみを健保にそろえておりまするので、これもやはりそろえていこう、少くも同等にはなっておるわけでありますから、こういうふうに扱ったものだと思います。
#25
○伊藤顕道君 これは同等でいいとはないのですがね。「給付ノ種類及程度以上ナルコトヲ要ス」と、明らかにそれより有利でなければならぬ。「以上」ですからね、同等とはないです。この点を明確にしていただきたいです。「同等あるいは以上」であるならば、同等の場合も認められるわけですね。これは同等とはないので、「種類及程度以上」というふうに明確に出ているわけですね。だから健保よりは共済が有利でなければならぬ。比較してですよ。同じではいけない。有利でなければならぬ。明文がここに出ておる。従って今の御答弁では了解できないですがね。
#26
○国務大臣(永野護君) 非常にこまかい条文上の解釈になりますから、政府委員に説明いたさせます。
#27
○伊藤顕道君 それは困るですよ。こんな大事なことを担当者が知らぬということはあり得ない。これは一番健保についても共済についても非常に根本的なことなので、細部については、政府委員でけっこうですけれども、これは根本精神ですから、こういうことについてはやはり御自身御答弁いただきたいと思うのです。
#28
○国務大臣(永野護君) この「以上」というのが同等が入るか入らないか。そしてまた同等以上ということに、同等ではいけないのだ、それより上に一歩でも出なければいけないのだというお説のように思うのであります。この改正が大体において健保と調子を合せていくことがけしからぬという、根本の問題に触れるわけでありますね。今の御質問の趣意は、少くも健保の制度よりは幾らかでもよくしなければいかんと、まあ、今の御質問の趣意は、そうだと思うのでありますけれども、この制度は少くも健保の場合よりは悪くない、と私は思っておりますので、必ずしも十二条の趣意に反すると私は考えておらんのです。
#29
○伊藤顕道君 悪くないということと「以上」ということとは、それはどなたが考えても違うんじゃないですか。私は法律の専門家ではございませんけれども、他の法律には同等という文字も使っておるわけです。これは明らかに「以上」と明確に出ておるんですね。従ってですね、共済の給付の種類及び程度については、少くも健保よりはわずかの差であっても有利でなければならぬ。こういう趣意であろうと思うのです。同等という文字は使ってないのです。だから悪くないということは、より以上ということとは違うと思うのですね。
#30
○政府委員(權田良彦君) では大臣の御指名によりまして補足して説明をいたします。先生のおっしゃるように十二条の二項に「給付ノ種類及程度ハ本法ノ給付ノ種類及程度以上ナルコトヲ要ス」とこうございまして、この法律的にはこの給付の種類及び程度が、全体としてそのレベルが同等以上でなければならないということを言っておりますので、いろいろな給付の種類、程度については、御承知のように同等以上になっております。で、この一部負担金の制度につきましては、これは同等に今度合せることが、先ほど大臣御説明のように実情に即し妥当であるというので改正をいたしてありますが、こういう個々の制度の問題については、政策的な判断で、先ほどの立法趣旨でこういたすことは、本法二項の違反ではない。かように私どもは解釈をいたしておる次第でございます。
#31
○千葉信君 大臣、どうも前の委員会では私が大臣に対してかなり激しい質疑応答を行なって、そうして大臣の補佐役というか、この法律案の関係で答弁する者は、少くとも運輸省もしくは郵政省あるいは大蔵省の職員であってはならぬということははっきり申し上げて、その点については大臣も御了承のはずだと思うのです。もしそうでなければ、もう一回その問題をここで論議し、蒸し返さなければいかんと思う。大臣は一体さきの委員会における質疑応答に基いて、大臣にかわってもし答弁の必要あるときはだれをさせるかということについて、適当な措置をとらなかったのですか。
#32
○国務大臣(永野護君) お答えいたします。この前千葉委員から運輸大臣のみ答弁し得る資格があるんであって、運輸省の政府委員は答弁の資格はないんだという仰せがあったことはよく承知しております。しかし、私は必ずしもそう思いませんと、そのときに申し上げたと思います。その後さらにこの点はよく考えたのでありますが、少くも私が研究いたしました範囲では、政府委員の資格は国務大臣の補佐にあるのでありまして、行政大臣の補佐ではないのであります。従いまして政府委員が直接内閣におって指名されます、つまり国会の役員になっておりますわけであります。従いましてこの政府委員の説明は、その政府委員に補佐を求めた大臣の取り消しがない限りは、その政府委員の説明が同時に大臣の公式、政府の公式説明と、私はこういうふうに考えておるのでありまして、そこは遺憾ながら千葉委員と少し解釈が違うのであります。
#33
○千葉信君 解釈の問題じゃないはずです。また不幸にしてここで論議を蒸し返すことになりましたが、今大臣のおっしゃる政府委員とは、国務大臣の補佐役であるから、その国務大臣が答弁する範囲内でどの政府委員も答弁していいという、そういう御答弁になると思うのです。そういうことになりますと、政府の方から国会に対して承認を求めた政府委員なるものは、自己の所管業務にかかわらず国務大臣の補佐役として答弁することができるという見解になる、いいですか。
#34
○国務大臣(永野護君) さようでございます。
#35
○千葉信君 そういうことになりますと、一体その職員の国会における答弁というのは、自己の担当している職務、各省設置法等によって明確に分類されているその所属の省の権限を逸脱して、政府委員としてはあらゆる国務大臣の代理として答弁できるという見解になる。これこそ、もっとはなはだしく国家行政組織法等を逸脱することになると思うのですが、この点についてはいかがですか。
#36
○国務大臣(永野護君) 遺憾ながら、私は千葉委員のお説には賛成しかねるのであります。実際問題としては、その行政職員としての職務権限の範囲のことしか答弁をすることがないのが多いと思います。しかし、特にその政府委員を担当大臣が指名いたしまして補佐を求めましたときに、それに対してその説明をなし得る立場にあると、私はそういうふうに解釈しております。
#37
○千葉信君 私は政府の各行政機関に勤務する職員は、はっきり各省ごとに国家行政組織法に基く分類によって、各省設置法によってその各省間の任務が明確にされ、また、それが国家行政組織法の第二条の精神でもある。ですから運輸大臣としてここであなたが答弁されている場合には、私は異議は申しません。あなたが今ここで答弁されているのは、運輸省にも、郵政省にも、大蔵省にも所属しない事項についてあなたはこの委員会へ出席されておられる。そうしてそれは私の質問に基いて各省間にまたがる事項であるから、もしもその三大臣のうちから、だれかをこの法案の責任者として出席させる場合には、閣議決定がなければならぬというので、十月七日に閣議であなたは決定されたと答弁された。いいですか、その問題でも少し問題があるのです。私は目をつぶってきているのです。十月七日にあなたがはっきり閣議で指名され、決定されているのに、その後におけるこの委員会における答弁では、あなたの方では、三大臣がかわるがわる出席して答弁するということを、はっきり言っているのです。ですから十月七日に閣議決定があったということには、非常に疑いがかかります。しかし、私はあまりそんな問題に拘泥して大臣をいじめるのもかわいそうだと思って、武士の情けで、かんべんしているのです。かんべんしていますが、今申し上げた経緯から見ても、あなたの法律案に対する責任者としての立場は、各省にも属さないから、閣議で一名あなたを責任者として指名したのです、決定したのです。ですからそういう場合の一体国家行政組織法によるところの分掌者はたれか、責任者はたれかということになると、その場合は各省に属せざる事項を担当する所掌が、官庁が、もしくは職員がそれを担当すべきだ。いいですね、そうなりますと、あなたがこの問題について国会に対して責任をもって答弁するという閣議の決定があり、それに対して、それでは一体だれがあなたの助言者となり、あなたの代理者となる資格を有するものがあるかといえば、しいてそれを法文上はっきりさせることになれば、総理府であり、もしくは内閣審議室、それ以外にない。ですからあなたはこの問題に関する限りあなたが代理者としてそこで答弁させ、補佐するものの職務権限をだれが持っておるかといえば、今申し上げたように、運輸省の職員でもなければ、大蔵省、郵政省の職員でもなくて、総理府もしくは内閣審議室ということになるわけです。従来もそういう考え方を給与法等の場合にも明確にとられてきておる。ですから実際上今の場合を適用して、今の場合を当てはめて考えてみても、伊藤君の質問に対する答弁が、運輸省の所管となっている公共企業体職員共済組合の場合の問題だけでしたら、一向に差しつかえない。そうではなくて伊藤君の質問というのは、三公社にまたがる共済組合関係の問題についての質問なんです。三公社にまたがる、三省にまたがる問題等についての見解、それを第一運輸省の職員が答弁するということ自体もおかしいじゃありませんか。
#38
○国務大臣(永野護君) 遺憾ながら、終始一貫この点は千葉委員と所見を私は異にするのであります。私は政府委員は運輸省の職員ではないのであって、政府委員として内閣から任命を受けて、国務大臣の補佐に新しく任命されたものでありまして、運輸省の役人なるがゆえにということは、国会の大臣補佐という職務に関する限りは、私は消えておると思います。そこで、必ずしも自分の運輸省における職務権限と、この国会において国務大臣を補佐するときとは、その範囲が違ってもよろしいと、これは法律論であります。実際問題としましては、所管外のことは知りませんから、だからそれに補佐を求めることがありませんから、結果はあなたのおっしゃることと同じように多くの場合にはなります。しかし、非常にまれな場合にあっては、それが運輸省の職員であるという立場を離れたことについて大臣からその補佐を求められましたならば、政府委員はどういうことでも自分の知っていることなら大臣の補佐ができると、つまり行政大臣の補佐機関ではなくて国務大臣の補佐であるという職能を、この国会においてすると、そう私は解釈しておるのであります。
#39
○千葉信君 政府委員となって国会に出席する職員の資格は、各省のたとえば局長であるとか、各省の課長であるとか、そういう資格における政府委員ですね。今の大臣の話を聞いておりますと、政府委員となると同時に、自分の所管業務とは一切関係なく、広範囲の行政角度の問題について発言する権限を有する、そういう解釈です。これは全然国家行政組織法を混乱させるものである。大臣のその解釈の根拠は一体何ですか。
#40
○国務大臣(永野護君) これは国会法の六十九条に、「内閣は、国会において国務大臣を補佐するため、両議院の議長の承認を得て政府委員を任命することができる。」というのが根拠であります。従いまして、この政府委員がたまたま自分の知っておることについて補佐を求められましたならば、それが自分の本来の行政機関の職制と離れたことでも、それの説明の補佐ができると、私はこう解釈しております。あくまでも行政機関の補佐機関ではなくて、国務大臣の補佐機関だと、私はこう解釈しております。
#41
○千葉信君 そんな広範囲の解釈というのは、国会法の条文からは全然出てきませんよ。それじゃそういう非常に範囲を広げ過ぎた解釈と、一定の限界を持った、国家行政組織法に基く限界を持った見解とが対立した場合に……。それではこういう場合ですから、私は今度は事実をもって大臣にお尋ねをいたします。たとえば、公共企業体の共済組合というのは、それぞれ主務大臣が三人おられて、三つに分れております。そういう三つに分れているそれぞれの所属の関係の問題について、一つの省の職務担当者である職員が、他の公社の関係の分にまで及ぶ問題について答弁するということが、筋道の立つ問題だとあなたはお考えですか。それぞれ所属する人たちが別々に自己の所属する関係の問題について答弁する場合は別です。この場合の答弁も、さっきの答弁も同様に三つの公社にまたがる、三つの省にまたがるものについて答弁されるということになるわけですか。
#42
○国務大臣(永野護君) 同じことを繰り返すようになるかもしれませんが、私が三省にまたがる答弁をするということはお認めになったわけでありますね。そうしますと、私の補佐としては、私が政府委員のだれからその補佐を求めるかということは私の自由だと、こう解釈しております。私が大蔵省に籍のある政府委員に補佐を求めた方が適当だと思いましたならば、私はあるいは大蔵省出身の政府委員に補佐を求めるかもしれません。たまたま、今はそれが運輸省出身の政府委員に補佐を求めることが適当だと思いましたから、私が求めたから、初めてその政府委員はここに発言できると、私はこう解釈しております。
#43
○千葉信君 内閣法なり、国家行政組織法による行政各部における所掌範囲の限界ははっきりしろという明文があります。一人々々の職員が系統だった組織のもとに、全部明確に限界を明らかにしている。いいですか、そうして今のこの問題について、政府部内にそれを担当している者がない場合は別ですが、ない場合には、あるいは大臣の言うようなことを解釈しなければならない。そういう解釈をしなければ国会答弁が不可能な場合もあるかもしれない。しかしそうではなくて、はっきり内閣法なり、国家行政組織法で責任の限界を明確にしていて、同時にあなたが今担当しておられる、国務大臣として担当されたその問題についての責任者があるのです。行政組織法にちゃんとはっきりしている責任者がいます。職務権限をもっている者もおります。そこまではっきり国家行政組織法は分類しているのです。その分類してあるのをあなたは乱しておいて、国会へ来て、いやおれが命ずれば、政府委員のだれでも答弁する権限があるなどと、そういう解釈は国家行政組織法を知らぬか、あるいは内閣法を知らぬか、さもなければ知っていて強引に踏みにじろうとしている態度なんです。あなたは一体だれがそういう担当者かということを御承知ですか。
#44
○国務大臣(永野護君) 私は今の千葉委員のお説は、行政組織法は行政官としての職務権限をはっきりきめているのでありまして、国会における政府委員がそのままお説の通りになるとは私は考えておりません。この点は実は一番最初からそう考えておったのでありますけれども、この前これをあまり強く申しませんでしたのは、あるいは私の思い違いがあるかと思いましたので、実はこの問題は法制局長官にも、それから内閣の方にも、みんな私の意見を確めたのでありますけれども、私の意見で差しつかえないという、そういう回答を得ましたので、私はその意見を固持しているわけであります。
#45
○松岡平市君 議事進行について。
#46
○委員長(永岡光治君) ちょっと速記をとめて。
   午後二時二十七分速記中止
   ―――――・―――――
   午後二時五十四分速記開始
#47
○委員長(永岡光治君) 速記を始めて下さい。
#48
○伊藤顕道君 先ほどの健保の十二条二項の、給付の種類及び程度はそれ以上というこの言葉の解釈については、大臣は、以下でないからいいんだ、「以上」に条文がなっておると、そういう御答弁ですが、これは、私どうにも納得できません。しかしながら、このままこの点でお尋ねしても本日のところは進みませんから、そのまま、了承しないままにさらに質疑を続行したいと思います……
#49
○国務大臣(永野護君) 今の点、ちょっと。私の意見を申し上げましたけれども、実は、私の意見は、健保の十二条の「以上」の中には同等も含むというのは、厚生省の意見でもあるんです。御参考に申し上げておきます。厚生省の意見だから、それが決定的なものだということを申し上げておるのじゃありませんが、同等ではいけないんだ、同等より以上でなくちゃいかんのだという伊藤委員の御意見でありましたけれども、私は、まあ同等ならいいじゃないかとお答えしておったんですが、厚生省も、そういう私のような見解をとっております。御参考に申し上げておきます。
#50
○伊藤顕道君 御参考に聞いておきますが、了承はいたしません。
 続いてお伺いしますが、健保の場合は、先ほどから重ねて申し上げておるように、赤字経営であったので、一部負担増という結果になったと思うんです。これはまあ曲りなりにも了承できるんですが、共済の場合は、従来から現在にかけて、この運営は非常に黒字経営で健全なんですね。従って、健保に一部負担増したものを直ちに共済にかけるということは、そのこと自体が社会保険全体の後退になると思うんです、そういう考え方、そういう措置がですね。この点、どのようにお考えですか。
#51
○国務大臣(永野護君) 先ほど申しましたように、この一部負担は、赤字解消というだけの理由じゃありませんので、経理面を潤沢にすることによりまして、医療水準の向上ということを大きな目的としておるのであります。従いまして、そういう目的が達成し得られまして黒字が非常に多くなりましたならば、そのときに、その事情に即するようにこの制度は変えてしかるべきものだと、こう考えております。
#52
○伊藤顕道君 なお、保険医療機関について見ますと、現在でも、健保があるし、日雇健保があるし、国民健保がありますし、さらに生活保護等、いろいろ異なった扱いをしているわけですね。従って、共済が健保と違った一部負担でも、そういう点では何ら困る点はないと思うんですが、そういう点はどうですか。
#53
○国務大臣(永野護君) ちょっと今私聞き漏らしたんですが……。
#54
○伊藤顕道君 保険医療機関を中心に考えた場合、いろいろの種類の保険があるわけですね。健康保険とか、日雇健保とか、あるいは国民健保とか、あるいは生活保護等、現在でも医療機関はまちまちな扱いを今現在行なっておるわけですね。従って、健保が一部負担増をしても、共済はしなくともそういう点では差しつかえないということです、現在でも非常にまちまちなんですね。だから統一する意味でやろうとするならば、ほかのも全部統一すべきですね、そういう点をお伺いしたいと思うわけです。
#55
○国務大臣(永野護君) ほかの医療機関との足並みをそろえる必要があるかないかということは、別の問題としてこれは考えなければならない問題だと思います。健保と共済組合との足並みをそろえるだけで満足すべきものであるかどうかということは、十分研究しなければならぬと思っております。
#56
○伊藤顕道君 この医療保険というのは、本来医療保障を目的とするものであるわけですね。こういう点はおわかりだろうと思うのですが、医療保険は医療保障を目的とする、こういうことについては大臣もよくおわかりだと思うのですが、病気をした場合、あるいはけがをした場合、その費用の一部を患者負担させるわけですね。そういうことは、この事実はこういう結果になろうと思うのです。医療保険制度自体の矛盾にもなろうと思う、それと社会保障制度の後退にもなる、そういうように当然考えられると思うのですが、この点どうですか。
#57
○国務大臣(永野護君) 共済組合法はほかにもいろいろありまして、他の公的共済組合法は、みんなこの健保に足並みをそろえておりまして、格別の支障はなかったと思うのであります。従ってこの法律だけが健保と調子が違うのは困ると思いますし、特に医師会側からも、医師側からも、別個の取扱いは困るという強い主張があった次第でございます。そういうことを取り入れてこういう制度を作ったわけであります。
#58
○伊藤顕道君 重ねて申し上げますけれども、この一部負担増については、まあ政府は簡単に説明をしておるわけですが、共済組合の方は、給付額がふえてくれば掛金率を引き上げておるわけですね、そういうわけで給付額がどんどんふえていっても、一方掛金率を引き上げておりますから、何ら赤字にはならない。そういう点は共済は従来も掛金率の引き下げで調節をしてきたわけですね。そこで、健保の場合はどうにも赤字で困っておる、この対策として一部負担が生まれてきたわけですね、そういうので本質的に違うわけですね、そういうことから当然健保はそういう必要から、赤字補てんの意味合いから、共済はとにかく給付額がふえれば掛金率を引き上げていけばいいんですから、そういうことでまかない得るわけです。全然一部負担増という必要はない、そういう点からは。こういう点ばどうですか。
#59
○国務大臣(永野護君) 先ほどから繰り返して申しておりますように、この一部負担が赤字解消ということだけを目標にしているわけではございませんので、医療水準の向上ということが大きな目的となっておりますゆえに、他の共済組合法がみんな健保と調子を合せておりますので、この共済組合法だけが健保と離れておるのは、均衡を失するという理由から、今おっしゃったような筋合いのことは了承しておりますけれども、今のところはこれでやって、他日非常に黒字になりますれば、掛金を下げるのでございまして、一部負担は組合員の負担の均衡をも考えてやっておりますわけでありまして、必ずしも赤字解消だけを重点としてはいないのでありますから、その点を御了解願いたいと思います。
#60
○伊藤顕道君 この一部負担を拡大していくと、結局早期受診という点、それから必要医療という点に、いろいろ支障が出てくると思うのです。先ほども申し上げたと思いますが、これは一般生活程度の高い人はいいんですが、非常に底い程度の人にとっては、この一部負担は、早く医者にかからなければならぬがと思いながらも、困窮者にとっては非常な負担になるわけです。それから必要な医療についても、まあまあそのうちにというふうな、そういう点が、それは普通の人には必要ないわけですけれども、生活困窮者にはこういう一部負担増は非常に響くわけですね。こういう点は社会保障の観点から見て非常に遺憾の点だと思う。こういう点はどういうふうに解決されるのか。
#61
○国務大臣(永野護君) 非常な貧窮者に対してこの一部負担が非常な重荷になるということはおそらくあり得ると思います。私もよくわかります。ただ、先ほども申しましたように、この一部負担金制度をとりましたのは、他の共済組合法がみんな健保と調子を合しているという理由のほかに、必ずしも赤字解消だけのものではなくて、他の組合員との負担の均衡ということも考えておりますし、医療制度の向上というような大きな目的もありまするので、そういう、大へんこれが思荷になられる方があるであろうということに、決して無関心なわけではございません。従いましてこの他の条件がみんな整いませば、この一部負担金制度の再検討の時期もあり得ると思います。
#62
○伊藤顕道君 組合は当分の間ですね、一部負担増によって生じたいわゆる余裕財源ですね、これの払い戻しその他の措置によってこれを援助すると、そういう意味に決定しているわけですが、払い戻しその他の措置というのは、どういうのですか。
#63
○国務大臣(永野護君) それは今の現金で払い戻すやり方のほかに、積み立てておきまして、そうして組合員の福祉増進のために利用するようなやり方もありましょうし、さらに、付加給付となるというようなことが考え得るのでありますが、いずれにいたしましても、一部負担の返還には、その実施に非常に慎重を期す必要がございまするので、それをどういうふうな方法で返還するかということは、目下検討中でございまして、まだ結論に到達しておりません。
#64
○伊藤顕道君 余った金を積んでおいて、あとの面で、福祉の面で使うと、そういうことはあまり聞いたことないのですがね、共済組合については。これは還元の方法としては今御指摘のように本人に還付するのが一つ、それから掛金率の引き下げ、あるいは付加給付の実施と、こういう三つしかないわけです。この三つのうちどれを選ばれるかということですね、こういう点についてはどうですか。まだ決定してない、検討中ということでありますけれども、大体見当はついておるでしょう。この三つのうちのどれをやられるのかということ、決定していなければ、大体こういう方向でということを……。
#65
○国務大臣(永野護君) その余裕金で、非常に組合員全体の福祉が増進するというようなことに利用する場合も、必ずしも考えられないことはないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。今伊藤委員は三つに限られてこの積み立てておいてそれを組合員全体の非常な仕合せのために使うということはまあ考えられないというお説だったのでありますが、私は必ずしもそれに限るとは決して申しておりませんけれども、そういうことも考えられる場合があり得るのではないかと思うのであります。そういう事情で、現金で返すのがいいか、あるいは付加給付にするがいいか、あるいは今言ったような最も適当なこの金の利用方法があれば、それも考える余地があるのではないかと、こう考えておりまして、それをどれにするか目下研究中でございますと、こういう意味でございます。
#66
○伊藤顕道君 この共済組合の改正については、共済組合員が熱望しておるのは、給付の内容の改善という点が非常に従来から熱望されておるわけですね。ところが、今回の改正案を見ますと、一部負担増、健保の改正に伴う一部負担増とか、あるいは国家公務員共済組合法の改正に伴う改正とかということで、給付の内容の改善については、ほとんど考えられていないのですね。こういう点については、はなはだ社会保険の立場から見て、きわめて遺憾だと思うのですが、どうしてこういう最も大事な給付の内容改善についてお考えないか、その点について伺いたい。
#67
○国務大臣(永野護君) なおこのほかに、例の長期給付の問題についても改正をしなければならぬ点があると思いますので、あわせまして目下それは研究を続けております。まだ結論に到達いたしません。ですから、給付の内容について今お説の通りその必要がないと、考えないというのじゃございませんので、どういうふうに給付の内容を改正すべきものであるかということは、長期給付とあわせまして検討いたしたいと思います。
#68
○伊藤顕道君 将来のことをお伺いしているわけじゃないわけで、今度の共済組合法改正案が出たわけですね。この改正案を検討しますとね、従来から共済組合員が熱望しておる給付の内容改善についていささかの配慮もなされていないと、そこをお伺いしているのです。なぜこういう点について具体的に、内容の全面的にはむずかしかろうけれども、一部でも給付の内容改善ということは考えられなかったかということ、しかも、従来から共済組合の組合員の方々が非常に熱心に陳情もし、会見もしておるわけですね。そういう点についていささかも答えられていない、こういう点について、はなはだ遺憾だということを申し上げているので、この点について所見を伺いたい。
#69
○国務大臣(永野護君) この前の国会のときに、今のお説のような給付の内容について御意見がありまして、それで付加給付の短期給付の中ではだいぶんつけ加えて書いております。むしろ問題は、長期給付の内容についてまだ不十分の点が、考えなければならない点が幾つかあると思いまするので、これは目下関係各省で打合せ中でございますから、成案を得次第に提案いたしたいと思います。短期給付では、この前国会で御要望のありました点は大体入れておるつもりであります。
#70
○伊藤顕道君 健保法の六十九条の三を見ますと、これは「其ノ他ノ給付ヲ為スコトヲ得」と、すなわち付加給付をなすことができるということがうたわれているわけですね。現に健保では付加給付も行われているわけです。にもかかわらず、それ以上、あるいは同等、大臣の解釈によっても、以上というのは同等を含むと言われておりますけれども、百歩譲って同等と認めても、健保にある付加給付を、今回のこの改正案に付加給付をなぜ入れなかったか、これこそまさしく健保よりは以下になるわけですね。
#71
○国務大臣(永野護君) 今の点は、すでにこの前のなにが付則で入っておると思うのですが、付加給付の問題は。
#72
○委員長(永岡光治君) 付則ですか。付則の何条ですか。
#73
○国務大臣(永野護君) 国家公務員共済組合法の付則の二十九条の公共企業体職員等共済組合法三十一条の二に「組合は、運営規則の定めるところにより、前条各号に掲げる給付にあわせて、これに準ずる短期給付を行うことができる。」となっておりますから、改正になったわけじゃないでしょうか。
#74
○伊藤顕道君 国家公務員共済組合法の改正によって、付則によってこの付加給付は公共企業体の共済組合にも実施することができるとなったわけですね。その点について大臣確信がないようですが、一つその点でお伺いしたわけですが。
#75
○国務大臣(永野護君) どうも私はそれで差しつかえないように思うのでございますがね。二十九条で公企体の共済組合法の一部を次のように改正するとして、三十一条の二ができたのでありますから、それで両方ともできておるのじゃないでしょうかしら、付加給付は。
#76
○委員長(永岡光治君) できるのですね。
#77
○国務大臣(永野護君) ええ。
#78
○伊藤顕道君 そこをはっきり言っていただければ……。
#79
○国務大臣(永野護君) できるのです。
#80
○伊藤顕道君 付加給付の点は、その点で了承しましたが、他の給付の内容の改善についても、従来から共済組合員から熱望があったわけです。付加給付もその一つであったわけです。他の給付の内容改善について、たとえば結婚資金についても、これはこういう給付はまだ現在のところ項目がないので、もしこれをやるとすれば新設になるわけですけれどもね。この点についてお考えはないかどうか。で、現在はないとしても、将来お考えになるかどうか。
#81
○国務大臣(永野護君) 結婚の問題は給付の内容に今はまだ入っていない。実は私は入っておったと思ったのですけれども、入っていないのであります。しかし、給付の内容に入っておりませんかわりに、ごくきわめて低利の貸付をいたしております。まあ、それであるいは不十分かもしれませんけれども、御質問のような趣意にその資金を調達しておるわけであります。
#82
○伊藤顕道君 他の給付の内容改善については何も実施しなかったけれども、貸付金制度をここに新たに設けたので、もってそれで了承してもらいたい、そういう意味にとれるんですが、そういう意味ですか。
#83
○国務大臣(永野護君) さようでございます。短期給付の中に、結婚資金の調達ということは、今は考えておりませんが、それにかかわるべき対策といたしまして、きわめて低利な貸付金をすることによって、それに間に合せよう、こう考えたわけであります。
#84
○伊藤顕道君 現在の公共企業体の職員の皆さんの生活状況では、結婚することについて、その結婚資金の捻出ということについては、相当問題があるわけです。そういう点について民間のそれと比較いたしますと、日通を初めとして、相当こういう面で大幅な援助がなされておるわけです。そういう点で、現在今すぐという意味ではございませんけれども、近い将来に、必ず何らかの方法で結婚資金についても新設する、そういう熱意があってしかるべきだと思うんですが、そういう点についての御所見を伺いたい。
#85
○国務大臣(永野護君) お説ごもっともと思いますから、十分考えます。
#86
○伊藤顕道君 これはただ通り一ぺんでなしに、これはもう前々から共済組合の組合員の皆さんが、非常に熱心に要望しているうちの一つなんです。それはまあ給付の内容改善にもいろいろありましょうけれども、最も熱意を持って要望しておるものの一つです。今後考えるという程度でなしに、十分熱意を持って、今後要望にこたえたい、そういう程度のお答えがいただきたいと思うんですが、それはどうですか。
#87
○国務大臣(永野護君) 十分熱意を持って御要望に沿うように努力いたします。
#88
○伊藤顕道君 それから、これも給付の内容の改善になると思うんですが、分べん費ですね、これも結婚資金の新設と同時に、これはまあ現在ありますから、新設ではないわけですけれども、これは現行は、本人の場合は一ヵ月で、被扶養者の場合は二分の一、これはおかしなことなんです。本人がお産しようと、家族がお産しようと、その一家にとって、何ら負担には変りないわけです。それなのに、いわゆる組合員である本人がお産した場合には、分べん費として一ヵ月、被扶養者の場合であったら二分の一という、そういう規定になっておりますけれども、これは非常に不合理だと思うんです。また、その点については、共済組合の組合員の皆さんも、非常に要望しておるわけなんです。その点は非常に不合理だと思うんですけれども、この点は改善の意図はございませんか。
#89
○国務大臣(永野護君) 組合員である本人と、それ以外の人との間に、ある程度の差をつける方が適当だと考えてこの法律ができておりますのですけれども、しかし、結局それが一家の負担になるのは同じじゃないか、本人が子供を生もうと、その系累が生もうとというお説も考えなければならぬと思いますから、この点はもう少し研究さしていただきます。組合員自体と、組合員の系累との間に差を全然つけないでいいか、あるいはやはりある程度の差をつけた方がいいかということは、ちょっと即答いたしかねますから、よく研究いたします。
#90
○伊藤顕道君 他の給付の内容については、たとえば病気したら、その病気がなおるまで治療を受けられるわけです。ところが、分べんした場合には、もう、一ヵ月ときまっているわけです。いかように多額な費用がかかろうとも、その費用は出ないわけです。これもまことにおかしな話だと思うんですが、他の療養の給付と同様、分べん費にかかった最小限度でも、社会保険上の立場から補償すべきではないかと思うがどうか、それが至当であろう。こういう点についてのお考えはどうですか。
#91
○国務大臣(永野護君) 一般の病気ですと、一体これがどの程度でなおるかということについて、かなり見当がつきにくいのでありますけれども、お産ですと、普通二週間たてば起きるとか何とか、起きなくても、それが社会通念になっておりますから、一ヵ月あれば、どうやら普通の場合にはそれで間に合うだろうという予測のもとに一応こうきめておるわけであります。一般の病気と、それから子供を生むお産ということとの間には、多少回復時期に対する見通しがはっきりつくのと、それからつかないのとありますから、多少そこに区別があってもやむを得ないのではないかと、こう考えております。
#92
○伊藤顕道君 これは前の調査で、もうそれよりも額がふえていると思うんですが、日赤の中央病院で、三等一週間の入院費用が八千六百五十円である。現在はもっとふえていると思うんです。それからその他の経費は二万三千四百十一円で、合計一週間の入院と限定しても、実費は三万二千六十一円という、そういう数字が出ている。これはまあ御参考の程度ですが、そういう実態から見ても、これは当然この程度の実費は支給すべきである。もちろん一ヵ月分ですから、本俸の高い方はこれで十分なわけでありますが、下級者にとっては、なかなかこういう額は出てこないわけです。従って最低補償額というものを、せいぜい三万円程度くらいは補償すべきではないか、こういう要望に対して、大臣としてはどうお考えですか。
#93
○国務大臣(永野護君) 東京における今の病院なんかは、まさにそのくらいな費用が最低かかるということは、あるいはそうかもしれません。しかし、日本全体として見まして、少くもお産したときに、最低三万円ということを限定いたしますことは、今直ちにお引き受けはいたしかねるので、研究いたします。今すぐここで最低三万円を出すようにいたしますということは、ちょっと申し上げかねます。
#94
○伊藤顕道君 時間が相当かかりますから、あとの給付の内容改善については、またあらためた機会に申し上げたいと思いますが、さらに保育手当とか、家族埋葬料とか、あるいは傷病手当、罹災給付、こういう各面の給付の内容が、これは前にきまったままで、ほとんど改善されていないんです。ずいぶん共済組合法というものは、改訂または改正されてきましたけれども、給付の内容改善については、いつも忘れられてきたわけです。そういうことで、非常に今の社会情勢に合わない給付の内容になっておるわけです。はなはだ遺憾なんです。そういうわけで、付加給付とか、あるいは今の結婚資金の新設、あるいはまた分べん費、こういう二、三の例についてだけ申し上げたのでありますが、将来機会を見て他の給付の内容改善については、十分お尋ねしたいと思いますが、全体として、以上のような給付の内容改善については、もう長年非常に大事な問題が忘れられてきたわけです。そういう点について、大臣として、給付の内容改善について、どのようなお考えを持ち、どういう決意を持っておられるか、この給付の内容改善については、最後の質問としてお伺いしたいと思います。
#95
○国務大臣(永野護君) 給付の内容につきまして、こういうごくつつましやかな暮しをしておる方の生活にとって、非常に苦しい点のあるところは私どもも了解できます。また、それは何らかの方法で解決しなければならぬと思いますから、給付内容の改善につきましては、十分責任をもって考えます。ただ、今の問題で、非常に実情に合わぬものがありましたら、これは取りあえず本来の改正ができますまでは、当分付加給付で解決していきたいと、こう考えております。
#96
○千葉信君 議事進行について……。二人しかおられないし、大体質問も一段階に来たようですから、きょうはこれで散会するよう願います。
#97
○委員長(永岡光治君) 本案につきましてはこの程度にとどめます。
 速記をとめて。
#98
○委員長(永岡光治君) 速記をつけて。
 他に御発言もなければ、本日これにて散会いたします。
   午後三時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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