くにさくロゴ
1958/11/04 第30回国会 参議院 参議院会議録情報 第030回国会 地方行政委員会 第12号
姉妹サイト
 
1958/11/04 第30回国会 参議院

参議院会議録情報 第030回国会 地方行政委員会 第12号

#1
第030回国会 地方行政委員会 第12号
昭和三十三年十一月四日(火曜日)
   午前十一時七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員館哲二君及び本多市郎君辞任
につき、その補欠として江藤智君及び
植竹春彦君を議長において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     田中 啓一君
   理 事
           大沢 雄一君
           占部 秀男君
           鈴木  壽君
   委 員
           伊能繁次郎君
           植竹 春彦君
           江藤  智君
           小柳 牧衞君
           西郷吉之助君
           成田 一郎君
           吉江 勝保君
           阿具根 登君
           加瀬  完君
           松澤 兼人君
           森 八三一君
  国務大臣
   国 務 大 臣 愛知 揆一君
  政府委員
   自治政務次官  黒金 泰美君
   自治庁行政局長 藤井 貞夫君
   自治庁財政局長 奧野 誠亮君
   農林政務次官  高橋  衛君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選
○新町村の建設育成促進に関する請願
 (第六六五号)
○新町村育成強化推進に関する請願
 (第八六三号)
○新市町村建設促進法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田中啓一君) これより委員会を開きます。
 まず、委員の異動を報告いたします。
 本日館哲二君、本多市郎君が辞任され、江藤智君、植竹春彦君がそれぞれ後任として選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(田中啓一君) この際、お諮りいたします。本日理事の小柳君から、書面をもって、理事を辞任したい旨のお申し出がございました。小柳君の理事の辞任を許可することに御異議ございませんか。
#4
○委員長(田中啓一君) 御異議ないものと認めて、さよう決定をいたします。
 つきましては、この際理事の補欠互選を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
#5
○委員長(田中啓一君) 御異議ないと認めます。互選は、成規の手続を省略して、便宜、委員長にその指名を御一任願うことに御異議ございませんでしょうか。
#6
○委員長(田中啓一君) 御異議ないと認めます。理事に小林武治君を指名いたします。
  ―――――――――――――
#7
○委員長(田中啓一君) 前回の委員会の決定に従い、本日は、まず請願審査を行います。
 新市町村建設促進法の一部改正案に関連のあります請願が、本日までに二件付託されておりますので、法律案審査の参考として、これから請願について審査を行いたいと存じます。
 請願第六百六十五号新町村の建設育成促進に関する請願外一件を議題に供します。まず、専門員より説明を聴取いたします。
#8
○専門員(福永与一郎君) 請願第六百六十五号は、山形県の県町村会内の市川清矩君からの請願でありまして、内容は、町村合併の目的は、地方公共団体の強化確立にあるものとして行われているものであって、関係市町村は、新町村建設事業にあらゆる努力を払ってきたのであるが、財政がこれに伴わず、一方実施しなければならない事業が山積しておるありさまであるので、新町村建設事業に対する国の援助要領を一段と整備強化されるとともに、地方交付税の特例措置をさらに五カ年延長する等、新町村の強力な建設育成をはかられたいという趣旨のものでございます。
 次は、第八百六十三号でありまして、内容は、合併新町村の現状は、財政需要の圧縮、国有財源の枯渇等に起因して、行財政の能力が依然として水準に達し得ない現状であるので、これを育成強化するために、新町村の組織及び運営の合理化をはかるために、支所、出張所並びに小中学校の統廃合に伴う事業に対する補助金の大幅な引き上げ、小中学校の敷地買収費を全額国庫補助として、起債のワクの拡大をはかること、さらに、上下水道事業その他新町村建設計画に基く事業に対する補助金の大幅な増額、また、地方債のワクの拡大と利率の引き下げ等の措置を講ぜられるようにせられたいという趣旨のものでございます。
#9
○委員長(田中啓一君) 両請願につきまして、質疑、御意見等がございましたらば、お述べを願います。――別に御発言がない様子でございますので、請願の審査はこの程度にいたします。願意を参酌の上、法律案の審査を願います。
  ―――――――――――――
#10
○委員長(田中啓一君) それでは、前回に引き続き、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案について質疑を行います。質疑のおありの方は、御発言を願います。
#11
○加瀬完君 自治庁長官とあわせて、農林大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、ただいまの請願の中にもありましたように、新市町村の建設計画の主体は、もちろんこれは市町村であるはずでありますが、町村合併促進法以来、いろいろ政府も宣伝をいたしますし、市町村も大きな期待を持って迎えたわけでございますが、この建設計画というものが市町村の期待そのままには行われてはおらないのは、請願でもいろいろ内容が説明ありましたが、その通りであります。特に新市町村の建設計画で一番必要な基本的な問題は、産業構造をどういうように拡充進展させるかということでございますが、産業経済の開発というものには具体的な予算もありませんければ、また、計画もそれほど具体的にはなっておらない、こういうことが言われると思うのです。しかし、一方農林省では、新農山漁村振興計画というものを進めまして、これはこれで進んでいる。しかし、これの進め方と、それならば新市町村建設計画での産業開発の進め方と、うまくマッチしているかというと、非常にちぐはぐになっているために、新市町村の建設計画そのもののためには、もっと農山漁村振興計画をその計画に乗せてくれればよいという問題も、なかなか乗せられないような形で、政府当局の間でもう少し連絡があればと、こういう地方の声も大きいわけであります。そこで、これは農林省の新農山漁村振興計画だけでありませんで、上下水道に対する厚生省の問題、その他いろいろございます。そういったものを新市町村建設計画というものを中心として、自治庁あたりでバランスをとって、新市町村の希望するような方向に、もっと総合的に持っていく方法というものはとれないものかどうか、これが前の委員会でも私ども質問した問題でございますが、やはり政治的な問題でもございますので、一応長官なり大臣においでをいただきまして、政府としての態度をこの際明確にしていただく必要があるのじゃないかというので、おいでをいただいたわけでございます。この点、どのようなお考えでございますか、御説明をいただきたいと思います。
#12
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま加瀬委員から御指摘の点は、これはまことにごもっともな点でございまして、率直に申しまして、従来市町村の合併計画と、それから、産業政策から出ております区域の指定というようなこととが、ともするとそぐわない場合がございましたことは、御指摘の通りであると思います。そこで、政府といたしましては、特にその関係を有機的に密接にしなければ、新市町村建設計画によって住民全体の生活水準の向上を期することもできない、また、それができなければ、結局産業政策として望んでおられることも、りっぱな成果を上げることができないと考えますので、両計画を完全に有機的、一体的な関連性を持たせようということに最近は特に重点を置いて、計画の促進あるいは実際上の計画の策定について意を用いておるつもりでございます。町村の併合がおかげさまで相当進んで、また相当大規模になって参りましただけに、従来のような農林省その他とともすれば疎隔を起すようなことは、全体的に見て、客観的にも阻害する条件が少くなりつつあるように思われるのでありまして、最近におきましては、区域の指定の際に他町村にまたがるというようなものがほとんどなくなってきておるようになりまして、この点は、私どもとしても喜んでおるわけでございますが、さらに一歩も二歩も進めまして、完全に新市町村建設計画と、それから特に農山漁村建設計画というようなものが密接に不離一体になるようにやって参りたい。この点については、中央の政府としてはもちろんでございますが、関係の都道府県等にも、よくそういう趣旨が徹底いたしますように、自治庁としても特に力を入れて参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#13
○政府委員(高橋衛君) 自治庁長官から御答弁申し上げた通りでございまして、重ねて付け加えることもないと存じますが、ただ、申し上げておきたいことは、新市町村のいわゆる合併の時期、それから新農山漁村建設計画に基くところの指定の時期とが必ずしも一致しておりません。むしろ合併以前に、特定の地域がもとの市町村の区域において農山漁民の自主的な総意に基きまして申請があり、それが県段階においてとり入れられ、指定を受けたというような地域も相当あるのでございます。さような点もございますし、また同様に、市町村の区域と同一の区域になっております指定地域は、今日まで総数二千七百十一だけ指定いたしておるのでありますが、そのうち一千四百五十三地域でございまして、五割四分、あとの四割二分が市町村を分割して指定をいたしておる地域でありまして、一千百三十三地域になっております。なお、ただいま自治庁長官から申し上げましたように、最近はだんだんなくなって参りましたのでございますが、市町村の区域を合併して指定している区域、これが今日まで百二十五地域あるのでございます。そういうふうな数になります。そういうふうな関係で、新市町村建設計画と新農山漁村振興計画との総合調整ということが、時期的な関係その他でもって、必ずしも理想通り行っていなかったことは、これは、われわれもある程度認めざるを得ないと思うのでありますが、その点は、機構上におきましても、中央段階あるいは府県段階におきまして十分な調整をとっておりまするし、また、新しく指定を申請いたします場合におきましては、法律の規定に基きまして、農山漁民の自主的な総意に基き、かつ市町村長の申請に基くという段階によりまして、この新市町村建設計画との調整も十分になし得る建前になっております。なお、それぞれの当局におきましても、その点十分今後留意をいたしたいと考える次第でございます。
#14
○加瀬完君 町村合併促進法と新農山漁村の振興計画というものの前後を問えば、これは町村合併の方が早い。町村合併の中心は、何カ年計画というものによって、建設計画というものが必須条件として当然町村合併の出発からあるわけです。ですから、その建設計画というものを主体にして、その建設計画に新農山漁村の振興計画は乗せられるものは乗せていく。どうしても地域にまたがるものや、特殊な、対象を制限しなければならないものは別としても、乗せられるものは乗せていくという方法をとれば、非常に、この産業計画からいえば、私は妥当な方法がとられたと思う。ところが、先般農林省の参事官がいらっしての御説明でも、新市町村の建設計画というものは、市町村当局が主体になって計画をするわけで、ところが、農林省関係の新農山漁村の振興計画というものは、事業主体が市町村ではありませんで、別なものになるわけである。もっと言うなら、農林省が県を通じてある程度の指導性を加えて、事業主体というものを作っていく。こういうようにも受けとれる御説明でありましたので、これでは、どうしても天下りのような事業計画になりまして、市町村から築き上げたところの新市町村の建設計画というものとはマッチしない。また、マッチしないのが実情であります。私は、区域がマッチするとかしないとかということよりも先に、建設計画の目的が両方とも合うか合わないかということの方が問題だと思う。それでこの点、今高橋さんの御説明もございましたから、農林省の方でも、自治庁の方と十分連絡をとって、新市町村建設計画を最大限に生かし得るような、もちろん、目的が違うものですから、はずれるところもありますけれども、生かし得る限りは生かしてやるという方向でお進めをいただきたい。これは希望を申し上げるのであります。
 その次にお伺いをいたしたいのは、この新市町村の建設計画を進める場合、建設計画に伴う財源措置というものが、現状よりも有利に展開するという希望というものが十分大きかったと思う。ところが、このごろの自民党の地方財政の方針を見ましても、特に財源問題であります地方税関係の方針を見ましても、自治庁はこの地方財源の自主性ということを強調しておりますが、この地方財源の自主性というものは、必ずしも自治庁の御主張のようには、党関係なりあるいはそれぞれの委員会での傾向というものはなっておらないと思う。特にこれが、合併をいたします市町村にとりましては、財源が今までよりもさらに枯渇をする、地方税などが今までよりもさらに枯渇をするということであっては、これは、いろいろの新計画を持ちましても、新計画の裏づけがないから、どうにもやりくりがつかないということになって、昨年あたりでも、自主財源である木引税が大幅に軽減されて地方財政上困るというような問題が、北海道その他の町村からずいぶん出た。自転車荷車税がなくなって、たばこ消費税の裏打ちがあるはずでありますけれども、たばこ消費税というものでは全然埋まってこない。こういう現状も、私ども地方を回ってみると、特に一番建設計画を必要とするところの地方の農山漁村の合併市町村では非常に多い。今度またいろいろ地方税をいじってみますと、このしわ寄せは、むしろ豊富な財源を持っておる地方団体よりは、産業形態が第一次産業を主とするようなところの農山漁村の合併町村というものにまた大きな響きを与えてくると思うのです。こういう点で、合併計画を進めたときの自治庁の御態度と、少くとも町村合併を進める、新市町村に対する財源措置としての、町村合併をした方がある程度財源そのものも豊かになっていくのだという説明と、どうもこのごろの傾向というものは納得がいかない。食い違いが多過ぎるのではないかという感じを私どもは持たざるを得ない。この点、自治庁はどういうふうにお考えになっておりますか。ちょうど地方税が次の国会あたりでいろいろ問題になるときでもございますので、長官のお考えを承わりたいと思います。
#15
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま御指摘のような御意見を、従来私も伺うことが非常に多かったのでございまして、その点も、まことにごもっともな御意見と伺いまして、この面では御同感に思うのでございます。ところで、来年度の国の予算編成、それから地方財政の全体の計画については、ちょうど私が就任する前から、自治庁としてもいろいろ検討いたしまして、私どもの自治庁としての案を考え、関係省とちょうど協議を始めておったところでございまして、ただいま御指摘もございましたが、私としては、与党の方の関係の向きにも十分相談をいたしまして、本来の町村合併というものが住民の生活水準の向上、合理化ということをねらいとしておる関係もございまして、確かに合併を推進いたしました当初、宣伝と言うと語弊がございますが、合併すればこういうような改善が行われるのだと言っておりましたそのときのことをもう一度思い起しまして、地方財政の健全化、合理化のために格段の努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
 ただ、実は、御案内のように、来年度の国自体の財政計画につきましても、まだ具体的な構想がまとまっておりませんものでありますから、自治庁だけの希望的な考え方だけを申し上げましても、まだ時期が熟さないような感じもいたすわけでございますので、こまかい点につきましては、いま少し時間がたちまして、詳細御説明することにさせていただきたいと思います。ただ、繰り返すようでございますが、ただいまの御指摘の御趣旨については、私としても十分に一つその際に考慮に入れたいと、こう考えておるようなわけでございます。
#16
○加瀬完君 現状の論議の方向というものからすれば、どうしても住民税に結局歳入不足というものが転嫁される、あるいは法定外課税に転嫁される、あるいは公課外の負担に転嫁されるという傾向をとらざるを得ないと思う。これを私どもは、もう少し自治庁としては……、特に新市町村などにつきましては、一応その重要産業計画等が非常に伸張する、それから公課あるいは公課外の負担がある程度軽減される、こういう希望によって町村合併が進められた。ところが、町村合併をしてみると、税金が高く、公課外負担が多くなった。事業はさっぱり進まないということでは、結局次の計画そのものを進めるときの非常に大きな支障になりますから、御留意をいただきたいと思うわけであります。
 特に農林省関係にお伺いをいたしたいのは、一番今困っておりますのは、農村地帯におきましては、小規模の土地改良というものがほとんどできない。県が赤字財政で、ほとんど県単事業でやっておりました小規模の土地改良というのをやめてしまいましたから、といって、農林省としても、新農山漁村の振興計画の中に、町村単位で行えるような小規模の土地改良というものを具体的に現状においてはお考えになってはならない。これをお考えいただけるかどうかということが一つ。それから自治庁に、道路五カ年計画というものが進められまして、相当これは、地方団体の負担というものは多くなって参ります。それだけでなくて、県道などの改修などにいたしましても、その市町村あるいはその県道の通っております住民の負担というようなものが相当の程度現在ございますこの公課外の負担ともいうべきものを現状のままにしておきましては、道路の五カ年計画の国の方向としては、ある程度道路が整備されるかもしれませんけれども、一番その利用度の多い新市町村の道路建設計画というものはさっぱり進めるわけにいかない、こういう状況が現状でございます。この点、それぞれお答えをこの際いただきたいと思います。
#17
○政府委員(高橋衛君) その前に、先ほど御答弁は要求されておらなかったのでございますけれども、農山漁村振興計画に基きまする農林省の指導が強過ぎやしないかという点でございますが、法律の建前は、どこまでも農山漁民の自主的な総意に基きました申請を、こちらが認定いたしまして指定をするという建前に相なっておるのでございます。何分にも相当技術的な面、またはこうすればもう少し効果がありはしないかというような面がございますので、どうしてもそういうような面から、ある程度のアドバイスをして差し上げるということは、これは当然なすべきでもあり、また、事柄の性質上やむを得ぬというふうなところから、そういうふうにいたしておるのでございまして、これは、決していわゆる監督とか行政とかいう趣旨のものではございませんので、どこまでもアドバイスという趣旨でものを考えておるつもりでございます。なお御趣旨の点は、十分今後も考慮いたしたいと思います。
 なお、ただいまの御質問でございますが、御承知のように、国で補助の対象といたしておりますのは、平地部で五十町歩以上の、山間部では二十町歩以上の団地ということに相なっております。それで、それ以下の土地改良につきましては、国では補助の対象にいたしておりませんが、ただいまお話のように、県単事業としてある程度なされてきた向きはあったようでございます。なお、今回のこの農山漁村振興計画に基きまする事業のうちにも、二十町歩未満の小団地について補助の対象としてとり上げるということは認めておる次第でございます。現実に、ある程度この中に採用されておるものもあるのでございます。なお、御承知かと存じますが、今年の経済基盤強化に基くあの法律に基きまして、六十五億円の国の経費を農林漁業金融公庫に出資をいたしまして、これを基金といたしますところの三分五厘の低利長期の資金の融資をいたしまして、これでもってそういうふうな小団地の土地改良を助成していくということに考えておる次第でございます。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) まず、道路の五カ年計画の問題についてお尋ねがございましたが、これも、今御指摘の通りでございまして、ただいま自治庁としては、当分の間国庫補助の負担率が高くなっております。法律上なっておりますが、来年度あるいはそれ以降におきましても、現行程度の国庫の補助率というものは維持して参らなければならない。まあぜひそうなるように、関係各省の意見をまとめたいと考えておるわけでございます。それから、一般的な財源問題と、それから負担軽減の問題についてお触れになったわけでございますが、これらの点については、先ほど申しましたように、まだ十分政府部内のまとまった意見として固まるまでには至っておりませんのでありますが、われわれ自治庁の立場からいたしますと、地方税につきましては、やはり零細な負担者の負担の軽減はどうしてもしなければならないというふうに考えるわけでございまして、これらの点を中心に、いわゆる減税と申しまするか、そういう方向を打ち出して参りたいと考えております。それから、これも道路等の関連する問題でございますが、地方としての財源の充実をはかるためには、あるいは地方道路税、あるいは軽油引取税というようなものについては、若干税率などを考えなければならぬのではなかろうかというふうな点も、現在研究をいたしておるわけでございます。それから、かりに国税及び地方税を減税することによって、地方税や地方交付税が減収するわけでございますが、それらにつきましても、まだ十分に熟した考えではございませんが、地方交付税の繰り入れ率を引き上げ、あるいはたばこ消費税について若干考えるというようなことで一般的な補てんはして参りたい、こういうように大体の考え方として検討いたしておるわけでございます。
#19
○松澤兼人君 自治庁長官が見えられましたので、先日も行政局長にちょっと御質問申し上げたのでありますが、ちょうど新市町村建設促進法の一部改正法律案が審議されて、本日委員会決定になるという前でありますので、最後に、町村職員の給与の問題について二、三お伺いしてみたいと思うのであります。この問題は、実際に新しい町村ができまして、その給与の実態が、昨年の給与改訂に従って、改善のあとが見えてきているのでありますが、今が非常に重要な時期でありまして、自治庁がどういう指導方針を持っておられるかということによって、今後の町村職員の地位、身分、給与が重大な影響を受けるということになりますので、特に長官のお考えをお聞きしたいと思うのです。これまでの町村職員は、どちらかといえば、農家の次三男がたまたまそういうところに仕事があったから勤めているということであり、給与の問題も、ほとんどあてがい扶持のようなところでありまして、近代的な給与の体系などというようなことからははるかに遠いような状態に置かれてあったのであります。しかし、町村合併のあとは、各町村役場の事務も非常に近代的になり、かつ能率的にもなって参りまして、例外的には、たとえば、農繁期などでは特別の休日を認めている所もあるようでありますけれども、最近では、ほとんど職員が専業的に事務に従事しなければならなくなったようであります。もし勤務の状態がそういうふうに専業的にやらなければならないということであれば、やはり給与の問題も、現在のように、あてがい扶持でいいというわけではいかなくなりまして、新しい給与の体系というものを確立し、これを今後発展させていくということが必要だと思うのでありますが、そこで、お伺いいたしたいことは、現在、非常に大きな都市は別でありますけれども、一般の町村職員などの給与というものは、国家公務員からははるかに低いものでもあるし、また、大都市あるいは府県職員から比べてみましても、低い状態に置かれてあるのであります。こういう実態について、どういうふうにお考えであるか。あるいは将来どういうふうに、これらの封建的な給与と言ってもいいような、そういうものを改善していかれるお考えであるか、この点、まず御意見を伺いたいと思うのです。
#20
○国務大臣(愛知揆一君) 地方公務員の給与の問題については、ただいまお話がございましたように、沿革から申しますと、だいぶ国家公務員とは私は違っておったように思うのでありまして、たとえば、農家の方が片手間にと言っては失礼でありますが、役場の仕事をやるというような勤務態様であったことも事実であったと思うのであります。しかし、それと今日とは全く情勢が変って参りましたし、それから、町村合併を促進するという政府の方針から申しましても、地方の公務員、市町村の吏員の性格というものは、もう国家公務員あるいは県庁とか、あるいは大都会の市役所というようなものに勤めておる方と非常に性格が近似してきたと私は考えるのであります。また、将来はそういう姿になるような傾向になると思いますので、町村職員の給与につきましても、この際、政府としても重大な関心を持って、地方公務員の立場というものに実情に合うような、あるいは政府の将来の政策の関連を見まして、この際、従来とは考え方を変えていくようにしなければならない、こういうふうに考えるのであります。それから実情については、これもすでに当委員会でも話が出ているかと思いますが、本年七月一日現在で、地方公務員の給与実態調査を行なったわけでございまして、これについては、現在内閣統計局にお願いをして集計中で、まだその全貌の発表ができない状態でありますが、私はかねがね思っておりましたが、大体常識的に言って、昭和三十年あるいは三十一年ごろでも、月額で、国家公務員その他これに類するものと比較して、約二千円程度地方公務員の給与は低かったのではなかろうか、大体そんな調査がおそらく今回の調査等にも現われてくるのではないかと思うのであります。しかしながら、二千円になりますか、あるいは千五百円になりますか、これを一挙に引き上げるということは、町村の財政の現況等からいいまして、これは、かりに今お約束いたしましても、今すぐにやるということはうそになりますので、先ほど来申し上げておりまするような一つの基本的な考え方を目標にいたしまして、漸次これが引き上げられて、水平運動の結果が出るように、従来に比して一段も二段も自治庁といたしましても努力をして参りたいと、まあ大体の考え方は、私どもそういうふうに考えております。
#21
○松澤兼人君 昨年の給与体系から新しい特に町村職員の給与というものが確立されたように思うのでありますが、先ほどの加瀬君からお話がありましたように、明年度の地方財政計画というものは相当問題があると思うのであります。まあ税の伸びは、国税、地方税を通じて十分に期待することはできないでしょうし、また、地方税の減免も当然考えていかなきゃなりません。まあ一応ほっと一息をついたということが現状でありますけれども、明年あるいは明後年の地方財政状態というものは、必ずしも今までのようなやや先の明るい見通しを持つことができない。そういう状態になって参りますと、常に問題になって参りますことは、やはり給与とか、職員費とか、あるいは消費的経費というものであります。今日、極度に地方財政というものが切り詰められている関係から、つまり逆に言うならば、投資的経費というものが切り詰められている関係から、消費的経費、特に職員費であるとか、あるいは役場費であるとかいうものが、目立って割合が大きくなって見えるのであります。そういうことで、地方財政が明年あるいは明後年度に安定、健全化しにくいという状態になって参りますと、再びそのしわ寄せが町村職員の給与の面で現われてきゃしないかということを今から私は心配するわけなんであります。この方針を堅持し、しかも、地方財政計画全体の中で新しい給与の体系を確保し、しかも、年間昇給期間が来て昇給できる資格のある人には、昇給の原資というものを十分に見ていくということでなければならないと思うのでありますが、地方財政の見通しにつきましては、別段私は今ここでお伺いしなくてもよろしいのです。そういうさなかにあって、新しい給与体系というものを堅持していこうとする御熱意がおありになりますかどうですか。これを一つ……。
#22
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申し上げましたように、熱意と申しますか、構想といたしましては、先ほど申しましたような考え方で参りたいと思うのであります。ところが、先ほどお断わり申し上げましたように、実は、ただいま御指摘もございましたが、明年度の地方財政については、行政水準を確保していくということのために、さらに数百億円の財源が必要であるということには、申すまでもないわけでございます。それから、国勢の伸張に伴って、国庫負担事業が増加する、必然的に地方負担が増加していく、それから給与費や恩給費等の義務的の経費について、一応の推算でございますが、少くとも三百億円以上の財源が必要とされるような見込みなのでございまして、これに対して、地方税の減税ということも叫ばれておりますが、地方税そのものずばりの減税というようなことは、なかなか率直に言ってむずかしいのでございまして、これは、国税、地方税を通じて、合理的に、零細な人たちの負担軽減をはかるということが中心にならざるを得ないといったような点からいたしまして、全体の来年度の構想等、具体的な数字を入れた作業がまだできておりませんわけでございますから、適確に、どういう程度に、公務員の給与についても、その熱意というものが現わし得るかということになりますと、いま少し時期をおかしいただきませんと、正確なことは申し上げられないようなわけでございます。
#23
○占部秀男君 ちょっと関連して。今の大臣のお答えですが、この前、藤井局長に今の点について質問して、そのときには、今大臣が言われたように、これは考え方を改めて根本的にやらなくちゃならぬ。しかし、一挙にはできないけれども、年内には何とか基礎調査を完了して、そうして地方財政計画に問い合うように努力したい、こういうようなお話であったのです。今大臣の最後のお話は、何かちょっとその点がぼんやりしているので、少くともわれわれは、かりに一挙に上げられなくても、今度の財政計画にははっきり間に合わしていただかぬと、地方の方では非常にかわいそうなのでありまして、その点は、一つはっきりと言明願いたいと思うのであります。
#24
○国務大臣(愛知揆一君) ちょっと私、最後にぐちのようなことを申しましたので、はなはだぼやけて恐縮でございますが、こういったような条件のもとではございますが、来年度におきましても、その一歩といいますか、数歩と申しますか、それだけは何とか一つはっきりした形で示したい、こう思っておるわけでございます。
#25
○松澤兼人君 それでは、第二の問題といたしまして、今度人事院から、国会及び内閣に対しましていろいろ勧告があったわけなんでありますが、その中で、特に差し迫って問題となりますものは、期末手当の〇・二五の増額問題であります。夏季手当の方は、これは来年のことでありますけれども、年末手当の増額につきましては、もしも給与を国家職員と同じように、準じてやるということであれば、当然これは、地方職員、特に町村職員に対しましても増額しなければならないことになるだろうと思うのであります。これに対して予算的な裏づけはどういうことになりますか。それをお聞きしたい。
#26
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの期末手当のお尋ねでございますが、これは、十二月に支給いたしますものを〇・一カ月引き上げたい、これは国家公務員と同様にやりたい、こういうふうに考えております。その財源の問題につきましては、〇・一カ月分でございますし、総体の金額もそう大したものでもございませんので、国家の方の場合にも、既定の予算のやりくりでやるということになりましたようでありますので、特にこのために財源をプラス、アルファするということでなくて、地方公務員に対しましても、大体既定予算のやりくりで処理をいたしたい。やりくりと申しますのは、既定経費の若干の節約で捻出いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、資金繰りの点につきましては、前例もございますので、もし資金繰りをして足りない場合には、特に短期の融資をやりたい、これでさしあたり処置をいたしたいと考えております。
#27
○松澤兼人君 国の場合は世帯が大きいですから、経費の節減といいましても、そのくらいの金額は出てくるのですが、特に町村財政などは、世帯が非常に小さくて、まあ言ってみるならば、町村職員でも、どのくらいの金が財布の中に入っているか、はっきりわかるような状態なのです。そこで、一方では、国の職員に準じて期末手当を上げてもらいたいと思うけれども、しかし、世帯の中がわかっているような状態では、なかなかそれは言いにくい。そうかといって、町村長なり町村議会なりが親心でもって、国がこうなったんだから、お前の方も一つ増額してやるのだというほどの親心を持って考えていただければいいのですけれども、出す方は少しでも少い方がいいということになりますと、なかなか言いにくいところがある。これは自治庁から、やはり国がこうなったんだから、それだけ増額して支給しなさい。その支給の仕方は、国がこうなんだから、大体こういう方針でやりなさい。しかし、資金繰り等に困難がある場合には、こういうことも考えてやるからというような親切な御指示、御指導がないというと、なかなか町村役場ではできないわけです。今、資金繰りのことについては何とか考えてやろうというようなお話があったわけですけれども、これまでは特別交付金で出したということもあったように思うのです。あるいは地方債でやるということもあったようであります。資金繰りの点につきまして、そういう方法あるいはそれ以外の方法なり心配してやるということがあるならば、この際、一つはっきりとお考えをお聞きしたいと思います。
#28
○国務大臣(愛知揆一君) これは、全くごもっともでございまして、私どもとしては、現にやっておると思いますけれども、さらにただいまの御意見もございましたから、末端まで、こういうふうな方法で〇・一カ月分の期末手当は増額してやれというような指示あるいは御助言をぜひいたしたいと思います。
#29
○委員長(田中啓一君) 本案に対する質疑は、これにて終局することに御異議ございませんか。
#30
○委員長(田中啓一君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#31
○鈴木壽君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本案に対して反対の意見を申し上げるものであります。私ども、町村合併というものは、あくまでも住民の意思、住民の総意に基くところの、お互いの福祉向上のための自主的な熱意に基くところの合併でなければならぬ、このように思うものであります。従って、さきの町村合併促進法が、単に町村の規模の適正化とか、いわば外形的な要素を重視して、また、行政能率の増進をはかるため等という理由によって、その規模はできる限り大きくしよう、こういう意図によってなされたものであり、さらに、合併の推進が、国及び都道府県の圧力によって、法律的な面からあるいは財政的な面から、いわば物心両面からのそういう力によって行われる可能性が十分にあるということ、そうなっては、地方住民の意思並びにそれに基くところの住民の福祉を尊重するというような態度からさらに出てしまって、地方自治体本来のそういうあるべき姿を否定するような形になるおそれのあることを指摘いたしまして、極力行き過ぎのないようにということを警告いたして参ったはずであります。また、促進法が三年間のいわば時限法であった。こういうことから、それに引き続くところの新市町村建設促進法というものが出まして、ねらいとするところは、新市町村の建設計画の実施を促進して、新市町村の健全なる発達をはかる、こういうことであったわけでありますが、一方ねらいとしましては、あくまでも上からの合併計画を推進しようという強い意図のあったことも事実であります。従って、このような形で二つの法ができ、また、それによって推進されていくということに対して、すでに述べましたような理由から、これまた極力行き過ぎのないようにということを注意をしてきたのでございます。従って、今回提案せられましたこの一部改正案は、たとえ部分的な改正であり、またその中には、事情やむを得ざる措置もあるというふうにわれわれも認める分もあるわけでありますが、その後の合併の推移、あるいはまた、現在残っておりますところの未合併町村等の処理に当っての態度としては、私どもはにわかに賛成することができないのであります。現在まで残っている四百数十に及ぶ町村は、直接には都道府県段階において、あるいはまた自治庁、いわゆる政府の段階において、あらゆる方法手段をもって、陰に陽に合併促進の努力をしてきたものであります。しかしながら、そういう努力にもかかわらず、今日まで合併し得ないで、あるいはまた、合併させ得ないで残ったものであります。勧告はもちろん、ときには財政的な面において、あらゆるいわゆる行政指導と申しますか、そういう力によって、それこそ手を変え品を変えて圧力をかけてきたにもかかわらず、なおかつ依然として合併し得ない事情がある町村が、今現在未合併町村として残っております四百数十に上る町村であるわけでありますが、これをさらに合併の推進あるいは合併の成功率と申しますか、あるいは進捗率と申しますか、そういうものを高めて、最終のいわゆる処理をしていきたいというようなことで、いわば計画案にとらわれた、あるいは面子にとらわれたような形において、これをあくまでも合併させようという、そういう追い打ちをかけるような措置は、私ども、この段階においてはとるべきじゃない、こういうふうに思うわけでございます。むしろ、この段階に来ましたならば、一応合併計画なり、あるいはまた合併計画そのものがいわゆる実情に即しない案であった、多大の無理を包含するところの案であったということをすなおに認むべき段階ではないだろうか。そういう点をすなおに認めて、今後の未合併町村の推移をながめながら、他面強力に、現在まで合併せられておりますところのいわゆる新市町村に対する建設の育成、援助ということに力を注ぐことが、私は、今後に残された問題の処理に当ってもきわめて重要な意義を持つ、また実効を上げるそれであろうというふうに考えるわけでございます。
 今度の改正法には、合併計画の変更も許されるようになっておりますが、今申し上げたような観点から、あまりにいわゆる計画による合併というものにこだわり過ぎて、その結果、かえって今後の合併による新たな紛争をここに呼び起す危険性があることを指摘しなければならぬと思うのであります。むしろ今後は、自治法によるところの合併等も当然あり得るのでございますから、そういう方にゆだねることこそが現在の段階に至っては最もいい道であろうと、私どもはさように考えて、この案に賛成をいたしかねるわけでございます。
 なお、現在までいろいろな合併の推移、合併計画の進捗の状況を見ておりまして、いろいろ無理のあることは、すでに委員会等におきましても指摘せられたことでありますが、特に私この際、申し上げなければならぬことは、先般行われました、都道府県の境界にわたるいわゆる越県合併の問題の処理に当っての政府の態度というものについては、この際私一言申し上げておかなければいけないと思います。私、今結論だけを申し上げるならば、先般の越県合併に対する政府の処理の態度というものは、まことに私ども不可解に思う点があるわけでございます。中央の審議会の答申を尊重するという、そういうことを言いながら、実際はその答申を尊重しておらないことをまず第一にあげなければならぬ。そうしてその結果として、いわゆる行政的な処置と申しますか、あるいは行政的な措置と申しますか、そういうことよりも、むしろ政治的な解決の方法をはかった。そして今後にまた紛争の種を残しておくというような解決の方法をとったのでございまして、合併計画の進行がそのような形に行われるということに対して、私どもは、一つ政府に、今後十分留意して、再びそのようなことのないようにということをこの際つけ加えておきたいと思うわけでございます。中央審議会の設置の目的なり、あるいは答申を尊重するという、そういう建前からするならば、先般の私今申しましたような政府のとりました措置というものは、まことに私どもには不可解な態度と言わなければならぬし、また、一貫性の欠ける措置であったというふうに言わなければならぬと思うのであります。
 ともかく私どもは、町村合併がこれまで進んだこの段階におきましては、建設計画の促進、これに対する国の援助、育成の措置こそが何よりも大事なことであろう、こういうふうに思うのにもかかわらず、政府のこれに対する対策というものはすこぶる消極的であり、われわれの、あるいはまた、住民の期待に反することが著しいのでありまして、しかもまた、ちっぽけな国の援助、それも各省の措置がばらばらな形に行われておる。統一ある新市町村の建設の育成、援助というには、あまりに不満を表明せざるを得ないような現状であることを指摘しなければならぬのをまことに残念に思います。新市町村の建設計画がこのような形において行われるとするならば、単にそれは計画倒れになり、計画倒れになったということよりも、むしろ、新しく誕生したそういう市町村が、今後の住民の福祉のために大いなる意欲をもって、ほんとうにりっぱな市町村としてやっていこうという、そういうものに私は水をかけるような結果になりはしないかということをおそれるわけでございます。そういう点からいたしまして、何よりも新市町村の建設計画に対する国の強力なる援助、助成ということが、今後の合併の進捗率を高めるとか、九〇%から一〇〇%にしなければいかぬというような、そういうことよりも先に来なければならない問題であろうと思うわけでございます。従って、もしこの法の改正が行われるとするならば、そういうことにこそ政府の考え方が現われてくるような法の改正でなければならぬというふうに思うわけでございます。法の第十一条、第十二条、第十三条には、新市町村建設のために国が援助助成をしなければならないことが書かれて、幾らか具体的なこともそこには示されておるわけでございますが、しかし、これをより明確に、より強力に、より統一的な援助の政府の施策をこういう法改正の際には盛り込み、さらにはまた、それを裏づけるところの予算措置等を十分になすことこそが、本来の立法の精神にかなう改正の仕方であろうと私どもは考えるのでありまして、以上申しましたような観点からいたしまして、私どもは、遺憾ながら本法案の改正には賛成をいたしかねる。従って、反対をせざるを得ないということを申し上げまして、私の討論を終ります。
#32
○大沢雄一君 私は、自由民主党を代表して、希望意見を付して本案に賛成の意を表するものでございます。
 本改正案の重要な点の一つは、現在未合併のままに残されました約五百の町村の処理のために、昨昭和三十二年三月末日までに都道府県知事が勧告せる合併計画について、これを再検討し、その後の事情の変更等に即応して合併計画の変更ができる道を開いて、これによって、町村合併運動に一応終止符を打たんとするものでありまして、そしてその計画変更のできる期限は、昭和三十四年の三月末日までとなっているわけでございます。現在未合併のままに残されておりまする町村は、それ相当の困難な事情があるのでありまするから、これをしんしゃくいたしまして、合併計画に変更を加えて、推進打開の道を開いて、ここ五年来進めて参りました町村合併運動に一応終止符を打って、いつまでも不安定な状態に置かないで、そして今後新市町村の育成建設に力を注ぐ基盤を整えるというこの政府の考え方は、きわめて時宜に適して、望ましいことであると存じまするので、この意味で、私はこの案に賛成するものでございます。
 改正点の主要な点のその次は、以上の合併計画の変更に伴って、新たに市町村の境界変更に関する争論の発生が予想されまするので、これに対しまして、同じく、明昭和三十四年三月末日までの間に、従前認められました町村合併調整委員のあっせん、調停の制度を復活して、この制度によって、その境界紛争の解決をはかることができるようにしようとするものでございまして、その限りにおいて、これまた適当な改正であると考えるのであります。しかしながら、合併市町村の境界変更の争論に関しましては、この調整委員の制度が利用できなくなった昨昭和三十二年四月以降今日までの間において、合併した町村にも境界争論の発生が考えられるのでございますることはもちろんでありまするが、それ以前の合併町村におきましても、今なお、境界変更に関する紛争が少なからず存在しておりますることは御承知の通りでございます。しかも、いろいろの事情で、調整委員の調停に付せられることもなく、自主的解決にまかされて苦しんでおりまする一部地域が少くない実情でございます。今回の改正がこの点につきまして考慮が及んでいないことは、円満な自治の進展のため私は遺憾とするものでございます。私は、この点に関しまして、政府がただ関係町村の自主的解決のみにまかせることなく、ことに分村の公約あるものの不履行等に対しまして、強力な行政指導を行なって、少数の一部地域の弱い立場にありまするものが、公約不履行のまま泣き寝入りになるというようなことのなからしめることにつきまして、強い希望意見を表明いたしまして、原案に賛成をするものでございます。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。
#33
○森八三一君 私は、ただいま議題になっておりまする新市町村建設促進法の一部を改正する法律案に対しまして、原案に賛成の意を表するわけであります。
 ただ、賛意を表しまするにつきまして、一、二希望を申し上げておきたいと思いまするが、その第一は、特例法によって町村の合併が推進されて参りましたが、ここで一応終止符を打つ。将来は、一応の本則によって、行われる場合に期待をされるというふうに処理されますることは適当と思います。しかし、今回の改正によりまして、ただいまも大沢委員からお話がありましたように、従前行われておりました計画の変更等が行われるということになるわけでありまするが、すでに出されておりまする計画なり勧告なりというもので今日まで実を結ばなかったということは、関係者の間にいろいろ意見があり、利害があったからであります。それを今度の改正法によって変更するということになりますると、そこにまた、新しい紛争の種を巻き起すという危険がないとは、これは断言できないと思うのであります。今までの質疑を通しまして、そういうようなことについては、十分実情に合うようにということを藤井局長からもお話がございましたが、しかし、非常に困難をきわめておる問題に取り組んで計画を変更をするということになりますると、これには、必ずまた新しい問題の巻き起ってくることを予想しなければならぬと思う。そういうことによって紛争の種を作るという結果になりましては、はなはだ遺憾のことでございますので、新法の運営計画の変更等につきましては、十分一つそういうような危険が巻き起りませんように、格別の御留意をいただきたいと思うのであります。
 第二に申し上げたいことは、この法律のねらいましたところは、適正規模の町村を作って、財政的にも安固ならしめる。そうして市町村民の福利を増進するという一点にあったことは申すまでもないのでありますが、結果から振り返って見ますると、必ずしもそういうような、本来の趣旨に従って行われたものばかりとは言いがたい。あまりに区域が大きくなり過ぎてしまって、ほんとうに町村民の福利を増進するような形になっていないものもあるのではないか。端的に申しますると、新しい市町村の運営につきましては、形式的に選挙を通じて選ばれてくる議員諸君が、民主的な協議のもとに方向をきめていくということになっておるわけですが、非常に残念なことですけれども、国、地方を通ずる選挙には非常に金がかかる。非常に残念なことですけれども、実態はそうだということで、経済的に非常に弱者の地位に立っておりまする農山漁民等は、町村の運営に参画する議員を送るなんということは、どうもむずかしい立場に実態として追い込まれておると思うのです。そういうことから、新市町村の運営の方向をきめて参りまする根本的なものを取りきめる市町村の議会に人を送り得ない。それはもう、無自覚だからやむを得ないといえばそれきりなんですけれども、実態はそういうことになっておる。そこで、新市町村の建設に関する方向というものが弱者の地位に立っておる、経済的に非常に弱い地位に立っておりまする農山漁民等の福利を増進するための生活というものが、どうしても下積みになり、後回しになっておるという傾向があるのじゃないかというように私は感ずるのであります。そういうことが将来また、せっかく合併いたしました町村を分離すべしというようなことに発展していくという危険が現に私は感得せられるのでありまして、そうであっては、せっかく経費と時間をかけてやりましたそのことが、また瓦解をするということになるもとでありまして、非常に残念なことでございますので、新しい町村の将来の運営に関することにつきましては、そういうような面に手抜かりが起きませんような十分の配慮を望みたい。そのことは、自治体ですから、政府が干渉するということになりますると、これまた問題であります。問題でありますが、正しい立場における助言者として、町村民全体の福利というものが増進されていく立場上、議会に発言力を持ち得ないような立場におる人が気の毒な方向に追い込まれていくということになりませんように、一つ御留意をいただきたいと思います。
 それに関連して、鈴木委員からもお話がございましたように、何といいましても、新市町村の建設に関する政府の情熱が財政的にももっと強くいかなければいかぬと私は思うのであります。もちろん、国費にも限界があることでありますので、そう新市町村の建設だけに全力をあげるというわけにいかぬということもわからぬわけではございませんけれども、せっかく国の基礎である市町村の健全な育成をはかりますためには、他のことは多少あと回しになりましても、このことは何と申しましても新市町村の建設の土台になることですから、それに十分に金をつぎ込んで、財政的な援助というものについて特別の御留意をいただきたい。新市町村が建設になりますれば、相当の産業的な発展もできる、税金も安くなるというようなことでやった結果が、必ずしも産業の助長の方向にはいかないし、税金はかえって高くなっておるというのが実態なんですから、どうも羊頭を掲げて狗肉を売ったような批判が生まれてきておるような現状なんです。そういうことで、またそこからも合併が崩壊をしていくということになりましてはいけませんので、そういうような足らざるところを国の援助によってやる。この促進法の命ずるところを財政的に十分やっていただくように希望を申し上げまして、本案に賛成をいたすわけであります。
#34
○委員長(田中啓一君) ほかに御発言もなければ、討論は終局したものと認め、直ちに採決に入ります。
 新市町村建設促進法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。
#35
○委員長(田中啓一君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
#36
○委員長(田中啓一君) 御異議ないと認めて、さよう決定をいたします。
 これにて暫時休憩をいたします。
   午後零時二十一分休憩
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト