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1958/10/31 第30回国会 参議院 参議院会議録情報 第030回国会 商工委員会 第7号
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1958/10/31 第30回国会 参議院

参議院会議録情報 第030回国会 商工委員会 第7号

#1
第030回国会 商工委員会 第7号
昭和三十三年十月三十一日(金曜日)
   牛後一時四十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員大谷贇雄君、西田隆男君及び
小沢久太郎君辞任につき、その補欠と
して後藤義隆君、斎藤昇君及び江藤智
君を議長において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     田畑 金光君
   理事
           上原 正吉君
           小幡 治和君
           阿部 竹松君
           大竹平八郎君
   委員
           江藤  智者
           古池 信三君
           後藤 義隆君
           斎藤  昇君
           高橋進太郎君
           堀本 宜実君
           海野 三朗君
           島   清君
           椿  繁夫君
           加藤 正人君
           豊田 雅孝君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       中川 俊思君
   通商産業省鉱山
   局長      福井 政男君
   通商産業省鉱山
   保安局長    小岩井康朔君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞壽君
  説明員
   通商産業省石炭
   局長      樋詰 誠明君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○鉱山保安法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○鉱業法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。
 先ほど委員長及び理事打合会を開いて協議いたしました結果、来週は、会期も切迫しております関係上、定例品ではありませんが、十一月四日、火曜日、午後一時から委員会を開会いたしたいと存じますが、このように取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(田畑金光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(田畑金光君) それでは、これより鉱山保安法の一部を改正する排律案及び鉱業法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 御質疑のある方は順次、御発言願います。
#5
○豊田雅孝君 今回、鉱山災害の絶滅を期するために、鉱山保安法が強化、改正せられることはけっこうでありますが、これに関連して政府の予算というものが一体どういうふうになって滞るのか。鉱務監督官の員数が非常に少いというふうにいわれているのでありますが、これらの点について詳細承わりたいと存じます。
#6
○政府委員(小岩井康朔君) 保安関係の予算につきましては、保安の性質上、そう現在のところ、たくさんの予算は入り用としていないわけであります。もちろん、監督官の人員その他につきましては、現状以上にもう少し増員をしたいという強い気持は持っておりまして、目下、人員の点につきましては、約三十名ばかり鉱務監督官の増員を要求いたしております。全体の経費といたしましては、もう保安局ができましてから、ほとんどあまり金額が変っておりません。大体まあ大きく申し上げまして一億円前後の要求をずっと数年来続けてきておるのであります。しかしながら、その査定に当りましては、大体ここ数年ほとんど増減というものがあまりございませんでして、三千五、六百万円の査定をいつも受けております。特に私の方の予算の主要な内容を占めておりますものは、監督旅費でございます。この監督旅費もここ四、五年ほとんど二千五百万円前後、増減がほとんどないような形になっております。
 で、私どもの現在最も強く考えておりますのは、災害が主として発生しておりますのは、中小以下が――もう最近の重大災害におきましても、九月までに約二十件発生しておるのでありますが、その八〇%は中小で起きておれます。その内容――死亡者につきましても、八三%は中小炭鉱で占めておるというようなわけで、大手だけを抜きまして災害の状況を見ますと、世界の各国と比べましてほとんど遜色がたい。しかし、これは現在でも災害が起っておりますから、現在以上に改善の方途は講じておりますけれども、目下一番大きい問題になっておりますのは、中小の災害対策であります。特に中小におきましては、教育の面につきましても、鉱業権者が全責任を持って教育をするということになっておりますけれども、なかなか実際は十分な教育ができないというような関係にございますので、主として今後の予算の面につきましては、監督官を増員しまして、中小の鉱業権者のなすベき教育の一部をどうしてもわれわれの手によって補いをつけざるを得ない、こういった方面に予算の重点が向けられていくのではないかというふうに考えております。予算はあまり増減なしできておりますが、せめて来年度是が非でも獲得したいと思っておりますものは、巡回監督の旅費を三千六百万円ばかり、いつもほとんど二千五、六百万円で査定を受けておりますが、これをもう一千万円ばかり増額をしてもらいまして、監督官の予定の増員ができますれば、かなり十分に成績の向上もできるのではないかと、かように考えております。
#7
○豊田雅孝君 大体、通産省の予算というのは、農林関係などに比べると、まるでけたが違うような状態でありまして、こういうことでは、一体、商工立国だというようなことをいえるのかどうかという疑問を私は年来持ち続けてきているわけなんでありますが、今承わるところによると、鉱山保安対策の経費というものはきわめて少額でありまして、今度旅費を要求するといってもわずかに一千万円ぐらいの増額のようでありますが、そういう程度のことで、瀕発する鉱山災害を未然に防ぐということは容易じゃないのじゃないかというふうに考えられるのでありまして、せっかく鉱山保安法を強化、改正しようという段階でありまするから、予算などについて画期的な要求をせられてしかるべきじゃないかというふうに思うのでありますが、この点、政務次官の御意見はいかがでありましょうか。
#8
○政府委員(中川俊思君) 仰せの通り、通産省の予算はほとんど人件費だけでございます。わずかに昨年――昭和三十三年度の予算を見ましても百億余りでございまして、私どもといたしましても、各方面にわたって、できるだけ予算をちょうだいしたいというので、いろいろ折衝はいたしておるのであります。
 しかし豊田さん、おそらく商工省におられる当時からそうだろうと思うのでございますが、ほかの省に比べまして問題にならない、百億をちょっと出たぐらいのことでございまして、きわめて僅少な予算でございますので、今の鉱山関係だけでなく、一例を申し上げますと、特許庁なんかの予算でもきわめて僅少でございまして、今特許庁に出頭をいたしましても、二年先でなければ手をつけることができない、これらはもうその審議官が非常に少いためにそういうことになっておりますので、ことに特許庁は相当利益をあげておって、国庫に納入しておるのでありまするから、そういう方面の予算もふやしていただきたいというので、各方面にわたって大幅な予算要求はいたしておるのでございまするが、なかなか大蔵省ではこれに応じてくれないのです。まあ幸いにして皆様方の御援助によって目的を達成したいと思っておりまするから、一つ御協力をお願いいたしたいと思います。
#9
○豊田雅孝君 今、通産省の予算約百億というお話がありましたが、農林省の一般会計の予算は、一般会計だけでも八百三十億です、御承知のように。それに比べて通産省の方は百億、これが大企業から中小企業から、それから一枚看板の貿易振興まで入れてもそういうような状態なんでありまするので、特に災害防止の関係などには、これは十分に経費を充当すべきものだと思うのであります。そういう点で、特に鉱山災害防止のためには思い切った措置と、それの予算化をはかられたいというふうに考えるのでありまして、むしろ、これは通産省予算拡大の突破口として鉱山災害の予算拡大を大いに強調せられたいと思うのでありますが、重ねてその点について壮大なる御決意のほどを承わっておきたいと思います。
#10
○政府委員(中川俊思君) 御鞭撻をいただきましてまことに感謝にたえない次第です。実は今年度も八百億ほど要求をいたしておるのであります。どの程度大蔵省がこれに応じてくれまするかわかりませんが、しかし通産省といたしましては、全力をあげて最大限のものを獲得いたしたいというふうに考えておりますから、よろしくお願いいたします。
#11
○豊田雅孝君 その点につきましては了承いたしました。
 次に、石炭産業が不況産業の一つの大きなポイントになってきておるわけでありますが、これにつきまして、石炭不況対策いろいろ講ぜられてきたと思うのでありますが、それの進捗状況をまず伺いたいと思います。
#12
○説明員(樋詰誠明君) 御承知のように、今年の五月二十九日に閣僚懇談会におきまして、石炭不況対策について決定が下されたわけでございまして、自来その線に沿って対策を進めてきたわけでございます。
 内容的に、まず第一にわれわれが当初考えておりましたよりも、どうも鉱工業生産の伸びが少いということのために、五%の生産制限ということで、貯炭が必要以上にふえることをある程度業界自体で自粛してほしいという申し入れを業界にいたしまして、これは大体大手、中小ともに守られ、結果的に守られたと申しますか、大体五%の生産制限ということで上期はきたわけでございます。
 それから第二に貯炭融資でございますが、これは三月の末、すなわち三十三年度が始まりましたときに、大体業界に約二百二十万トンの貯炭があったわけでございます。それを五月の末に、大体推算いたしましたところでは、九月の末にはどうしても四百二十万トン程度石炭界として貯炭を持たざるを得ないことになるのではないか。そこで四百二十万トンの貯炭が石炭業界として可能なごとく、必要な融資を日本銀行初めその他の関係金融機関に対して強力に要請するということになりまして、これはその結果、御承知のように九月三十日は四百二十万トンの貯炭を石炭業界が持って下期に入ったわけでございまして、大体閣僚懇談会で考えておりました融資がほぼ順調に行われて、そうして下期に滑り込むことができた、そういうふうに考えております。
 それから、そういうふうにとにかく貯炭をできるだけふやさないという努力、それから、そうしてもやむを得ず出る貯炭は持ち得るだけの金融的なバツク・アップをするという措置と並びまして、下期における競争燃料であります重油あるいは輸入石炭というものを、これを国内産業の需要のぎりぎりのところまでとにかく押えるということにいたしまして、具体的に申しますと、重油につきましては、年間、年度当初に考えておりましたものよりも五十万キロの重油の削減をいたしたわけでございます。それからまた、石炭鉱業整備事業団で、非能率炭鉱を買い上げるということを、三百万トンを目標に行なってきたわけでございますが、実績にかんがみまして、大体予定よりも一割ばかり安く各炭鉱の買い取りができるということが判明いたしましたので、買い取りワクを一割ふやしまして、三百三十万トンにふやすことになりました。大体現在までにほぼ二百四十万トンばかりの非能率炭鉱の買い取り契約を済ませまして、そうして炭鉱が不必要につぶれたりすることを防ぐ意味、あるいは貯炭が急激にふえぬという意味において少なからぬ貢献をしてきたと、こう思っておる次第でございます。
 なお問題は、現在常に問題になっておりますのは、今後の貯炭金融をどうするかということでございますが、大体現在貯炭がございますのは、ほとんど大手でございまして、中小炭鉱は四百三十万トンのうち五十万トン程度の貯炭しかないという格好でございます。われわれといたしましては、大体、下期に二千八百万トン程度の需要があると考えておりますので、下期の生産を二千五百万トン程度に押えることができますならば、大体来年の三月の末には、ほぼ本年度の当初と同じ程度にまで全体の石炭の、大口需要者も合せてでございますが、貯炭は減り得ると考えておりますので、何とかそこの線に持っていけるように、今年下期から来年の上期にかけての金融を円滑にするように、今後とも万全の努力をしたいと考えております。
#13
○豊田雅孝君 今の貯炭融資というのは、いわゆる救済融資というふうに目ていいものかと思うのでありますが、もしもそうだとすれば、この救済融資として出ているものが金融機関別に現在までにどの程度出ているか、それをお聞きしたいのです。
#14
○説明員(樋詰誠明君) 金融機関別に正確な数字は今ここに持ち合せてございませんが、大体、大手の十八社で一般金融機関、いわゆる市中銀行から借りておりますものが約六十億でございます。そのほかは、これはいろいろ組合金融を受けているのも若干ございますが、われわれの方で正確に一応報告をとっておりますのは、三分の二を占めております大手で、大体六十億の金を一般市中銀行から借りておるということになっております。
#15
○豊田雅孝君 特に承わりたいのは、中小炭鉱の救済融資、これが中小企業金融公庫、それから商工中金等からどの程度出ているか、それを承わりたいのであります。というのは、そういう救済融資が出ることによって、一般の中小金融に穴があいてきやしないか。それらの年末金融対策などはどういうふうにしなければならぬかという関係から、特に承わっておきたい。
#16
○説明員(樋詰誠明君) 詳細な数字はあらためて申し上げることにいたしますが、一応われわれといたしましては、当初、商工組合中央金庫と、大体、石炭に対して二十億ぐらいの組合金融をやってもらえぬかという相談をしたわけでございまして、大体商工中金の方も、石炭の方に二十億要るというのであれば、それに応ずるという円意があるということであったわけでございます。ところが、現実には今までわれわれ、中小炭鉱に対しまして、できるだけ協同組合を作って、お互いに信用力を補完し補強し合いながら、組合金融というルートに乗って切り抜けるようにということを指導し、勧奨して参ったわけでございますが、今までのところ、残念ながら、北海道の一部と西九州の一部にそういう組合が結成されただけでございまして、一番中小企業炭鉱の多い北九州ではまだ全然成立を見ておりません。私が具体的に知っておりますところでは、西九州で七千万円ばかり組合金融を受けたというだけで、あとどこがどの程度受けたかということは、まだ調査が進んでおらない次第でございます。
#17
○豊田雅孝君 そうすると、組合金融の形で救済融資をすべきものが二十億ということになっておったのだが、ほとんど出ておらない、こういうわけでありますが、組合金融の形でなく、中小企業金融公庫から出そうといっておったものがどの程度になっているか、その進捗状況がどんな程度になるか、これについてあわせて一つ伺いたい。
#18
○説明員(樋詰誠明君) 特に中小企業金融公庫と申しますか、大体われわれの方、石炭関係の中小企業金融公庫の貸出額を三千万から五千万にふやしていただきたいというようなことを大蔵省と折衝して、ほぼそういうふうになるであろうというところまではきているわけでございますが、御承知のように、大部分の炭鉱につきましては、これは単独ではなかなか借りにくいといったような関係で、組合金融というような格好で、お互いに信用を補完し合わない限り、簡単には金融機関の方で貸していただけないといったような関係にございますので、今までのところ、そういう特に金融公庫あたりから借りてこの危機を切り抜けたという例は、残念ながらほとんどないのであります。
#19
○豊田雅孝君 そうしますと、大手の石炭業者十八社は市中金融機関から六十億救済融資を受けているのでありますが、中小炭鉱の方は、ほとんど救済融資は受けておらぬといってもいいような状態である。用意はせられたけれども、画にかいたもちのようなことになっているというような結論になるわけでありますが、それで一体いいのかどうか。中小炭鉱は非常な苦境にこれがためにあるのじゃないかというふうに考えますが、この点に対する御見解はどうですか。
#20
○説明員(樋詰誠明君) 先ほど申し上げましたように、中小企業炭鉱の中で非能率の炭鉱、これの買い取りを非常に急いでいるわけでございまして現在までにすでに二百四十万トンの生産能力に相当する炭鉱の買い上げを終りまして、大体今年度の末までには三百十五万トンまで買い取りを終る、こういうことで、現在契約の価格をどうするかといったような取りきめの交渉を盛んに進めているわけでございます。それと、先ほど申し上げましたように、現在四百三十万トンの貯炭がいわゆる石炭界にあるわけでございますが、そのうち大手の部分が三百八十万トン、中小は五十万トンということでございまして、大手の方はこれは一カ月以上の出炭に匹敵するものをかかえている、ところが、中小の方は十日分余ということでございまして、この現象は、確かに中小炭鉱は非常に経常的に苦しいという面もございますが、同時に、取引先が大手ほど安定してないといったようないろいろなことから、大体売れる炭しか掘らないということで、ある程度春以来自衛体制というようなものもとってきているというようなことで、大体ことしの九月以降貯炭がふえつつあるのでございますが、大体炭価もほぼ安定というような格好で、横ばいの格好になっておりますし、現在のところ、中小炭鉱の方に特に今以上に新しい融資をして貯炭をふやすという必要は積極的には少くともない。大体ある程度整理さるべき、というとあるいは語弊があるかもわかりませんが、非能率で非常に経営がむずかしいといったような山が、相当部分事業団に買い取られるといったようなことで、円満に済んだというようなことであります。その対象にならなかったという山で、やむを得ずつぶれたという山も若干はございますが、しかし大体今年の夏ごろからあとは、ほとんど貯炭の増加というようなことも中小炭鉱にはそう見られませんので、大体現在程度の石炭需要が続く限り、経常的には苦しいながらも、一応回転していくということは可能ではないか、こう思っております。しかし、われわれといたしましては、今後石炭鉱業が、特に中小企業が金融的に参るということのないために、倒産あるいは失業者が出るというようなことのないように、できるだけ努力していきたい。そのために、とにかく二人でも三人でもいいから一つ組合でも作って、そうして中金の方ではいつでも受けるということを言っていただいておるのでございますので、それを現地の局を通じて、人数はどうでもいいから、ほんとうに信用し合った形で組合を作って、組合金融という格好で少し金融的なバツクをつけるようにしていきたいということをお願いし、また指導しておるのであります。
#21
○豊田雅孝君 先ほどの答弁によりますというと、貯炭は現在四百三十万トンぐらいに九月末になった。そのうち中小炭鉱関係が五十万トン、約一割以上が中小炭鉱の貯炭なんですが、そうなるというと、大手の救済融資が六十億というのですから、それの一割以上、やはり六億ないし十億ぐらいの貯炭融資が中小に向いて行われておってとんとんになるのじゃないかということになるわけですが、今聞いてみるというと七千万円ぐらいで、もうほとんど出ておらぬ。これでは非常に中小炭鉱は困る、企業整備に追い込まれてきておるのじゃないか、それを待っているのだということじゃあまりにもひどいのじゃないかというふうに考えられるのでありますが、これについてただいま、組合結成による組合金融指導までしているのだ、それに乗らぬのだということでありますが、その原因はどこにあるというふうに考えられておりますか、その点伺っておきたいと思います。
#22
○説明員(樋詰誠明君) 非常にむずかしい問題でございますが、たとえば一昨年参りました世界銀行のソフレミン石炭調査団あたりからもそれを指摘されたのでございますが、とにかく日本の中小炭鉱同士、あるいは大手と中小といったような炭鉱の中が、お互いに助け合うというよりも、むしろ敵対し合っているように見えるというようなことで、これはそういうことを外国人から指摘されるのは、はなはだ残念だと思うのでございますが、今までの長年のいろいろな関係等から、お互いに協力してやっていただくという際に、うっかりして損だけかぶったら困るといったような不信の念がぬぐい切れないというところに根本的な問題があるのじゃないか。これはなかなか一朝一夕には解決しないと思うのでございますが、しかし金融というルートに乗せるという以上は、やはり貸す方からもある程度信頼されるということが必要でございますので、とにかくわれわれとしては、何百人おられる中でございますから、三人でも五人でも寄り集まり、また信用保証協会あるいは中小企業信用保険といった事業団、そういったものの保証力というようなものを活用しながら、とにかくお互いの努力で少しでも金が借りやすいという方向に、現在の機構をもう少し活用するということはできないものかということで、そういう保証といったような道についてこういう手段があるのだというようなことを、各通産局を通じて指導しながら努力しているわけでございます。この不況の深刻化につれて今のままではいかぬのだということになれば、その中で三人でも五人でも寄り集まって組合金融あるいは共同保証というような格好に乗せる日がくるのじゃないかということを期待してもう少し努力をしていきたい、かように考えます。
#23
○小幡治和君 最近の鉱山災害のいろいろ頻発している状況というのは、全く憂慮にたえないと思うのですが、その原因というものを一体当局はどう考えているか。すなわち、この鉱山保安法なりあるいは鉱山法なり、そういうものの不備欠陥からそういう災害というものの頻発というものがきているのか。または法そのものについてそう不備欠陥というものはないけれども、これの順守という意味において、当局が考えておられるように法の順守がされないために災害が多いのか。あるいは今、豊田委員から予算の面も指摘されましたが、要するに法律以外の原因から災害というものが多くなってきておるのか。そこを一体どういうふうに考えておられるか、まずお聞きしたいと思います。
#24
○政府委員(小岩井康朔君) 最近の災害の状況を見ますと、まず、その原因を分析するわけでありますが、現在の法が悪くて、法に欠陥がありまして災害が起っているというような例はまずほとんどございません。最近の重大災害について見ましても、最近坑内出水、特に昔の採掘跡、古洞にぶっつけまして出水を起すというのが非常に多いのでございますが、これも鉱区外に出まして、自分の鉱区の外に出まして、他人鉱区の古洞にぶっつけて出すというようなわけでありまして、これは当然鉱業法の違反行為をやっている、こういった行為がなければそういった事故は起らないという関係で、最近の重大災害を分析しましても、ほとんど法の違反をやって災害を起しているというような実情にありまして、必ずしも重大災害には限りません。ほとんど全部の災害を分析した結果でも、法の不備であるというために起ったと考えられるものはほとんどないような実情であります。
 それではどこが悪いかという問題になるのでありますが、先ほどもちょっと触れましたように、最近の災害はほとんど中小で非常に多く起されている。特に昨日来、保安監督員の問題も出ましたが、千人以下、保安監督員を置いていないような、さらにそれよりも小さいようなやつで非常に大きく災害が起された。千人のところに境を置きますと、かなりそこに大きな開きがあるわけでございます。最近の中小炭鉱の調査をいたしました結果でも、特に目立ちますのは、非常に法規の違反をたくさんやっているという点が一つと、それから鉱区自体が非常に零細な鉱区でありまして、もうその鉱区内はほとんど炭がない。炭を出そうとすれば自然他人鉱区に進出せざるを得ないというような関係にありまして、私どもの保安の面から見ますと、特に中小の災害の多いのは、経済的な問題と、それから自然的な自然条件からくるものと、大きく見ますと二つに考えられると思うのでありますが、そういった関係で変災が起されているのでありまして、法規の点で起されるという点につきましてはほとんどない。特に起っているのは法の違反をやって起っている。そこで監督の問題も出てくるわけでありますが、私の方の現在の監督は、予算の面におきましても、ただいま触れましたようにもちろん十分ではございません。しかし鉱務監督官の巡回検査と申しますのは、非常に毎日山が変りまして、坑内の事情が全部違う関係で、なかなか簡単な仕事ではないのであります。しょっちゅう同じ坑内に下っております者でも、坑内で作業するのに非常に危険が多くて、特に坑内事情の変った山を次々に監督するということになりますと、非常に骨の折れる仕事でありまして、もちろん、監督官でも犠牲者を出すということがございます。私ども、二十数年勤めておるのでありますが、監督官の中でも三人ばかり犠牲者を出しているというような関係で、巡回監督の仕事そのものも決して楽なものではないのであります。現在でも一般の鉱務監督官は、巡回監督に一週間前後、それから変災などがありまして調査の日数を入れますと、月に十日前後は、場合によりましてはもう半月くらい出る場合もございますけれども、ならしまして十日前後出る場合が非常に多いわけでございまして、これ以上たくさん予算をいただきましても実際はなかなかできないというような関係で、私どもの方では、もう先ほど触れましたように、一千万円もふやしていただきますれば、十分な巡回監督ができるというふうに考えております。しかし現状では今、格づけ制をとっておりまして、予算の関係で各鉱山の危険度に応じまして分類をいたしております。特に危険を多く内包しております鉱山につきましては月に一回、あるいはもっとひどい場合には二回も三回も参ります。大体まあ月一回回るという原則であります。さらに危険性の少いものにつきましては二月に一回、三月に一回というふうに、まあほとんど危険の予想の少いものにつきましては年に一回、あるいは集団的に、ほとんど年一回回れない、五つか六つ合せまして、まあ一ぺんに年に一度やるというような、そこに段階をつけて監督をいたしておるわけでありますが、さらにまあそういった格づけ制を強化いたしまして、最も危ないと思われる炭鉱に集中巡回をいたして、災害の減少をはかりたいというふうに考えております。
#25
○小幡治和君 今のお答えですと、大体法の不備、欠陥ということから災害というものはないのだ、要するに法の違反が原因なんだということになると思うのですが、衆議院の商工委員会の付帯決議で、政府は鉱山保安法の根本的再検討を行うとともに、というふうな文句が入っておりますけれども、これについては、政府の考えとしては、根本的再検討というものは必要ないというお考えのように今、承わりましたが、どういう理由で、衆議院の方においては、こういう付帯決議ができたのか、また、それについて、政府としてはどういうふうに信念としては持っておられるのか、その点一つお聞きしたいと思います。
#26
○政府委員(小岩井康朔君) 保安法の関係で根本的な検討というふうにまあ表現されておるのでありますが、私どもは、鉱業法の関係で、保安法にそういった表現が使われたのではないかというふうに考えておりますけれども、決議を受けておりますので、私どもの方もでき得る限りもう一度さらに総体の検討はいたしてはみますけれども、ただいま申し上げましたように、現在起っております災害の分析からは、法の不備によって、特に法を大きく改正するというような点は考えられない次第でございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、中小炭鉱では鉱業法の関係で、まあ私どもの方から見ますと、改正をしてほしいと思われるような点がございますので、鉱業法につきましては、大臣初め関係の皆さんから、抜本的な改正をやるというふうにうたわれておりますので、その関係で、保安法の方も根本的な検討というような文字が入ったのではないかと思っております。私どもの方も、現在の保安法ももちろん完全であるというふうには考えておりませんので、検討はさせていただきたいと、かように考えております。
#27
○小幡治和君 そうでありますれば、鉱山保安法に関連する面における鉱業法の検討という意味においては、どういう面を政府としては予期されておるのか、その点一つ伺いたいと思います。
#28
○政府委員(小岩井康朔君) これは今回の保安法でも改正いたしておりますように、他人鉱区に侵掘いたしました場合に、まあ保安法では、今回の改正で、監督部長並びに監督官が危険であるという場合には、とめることができるように改正をいたすわけでございますが、これも侵掘の行為それ自体は、私どもの考えでは、鉱業法で改正してもらいたいという考えを持っておったのでありますが、鉱業法の根本的改正に間に合いませんので、特に国会におきましても、その間だけでも、とにかく東中鶴のような実例がございますので、その間でも一つ早く直せというような御要望もありまして、特に保安沖の方で侵掘した場合のとめる改正をいたしたわけでありますが、これももちろん内容におきましては、侵掘した反域あるいはもとの原鉱区、侵掘しない前の鉱区でありますが、そちらの方に危害のある場合にのみ、とめることができるのでありまして、もし危害がなければ、やはり鉱業法の方で侵掘行為をとめるというふうに考えておりますので、こういったものも、できれば完全に鉱業法の方でやってもらいたいという考え方をかねがね持っておったわけであります。ところが国会の要請もありまして、その間でも災害がどんどん起り得る、それを一刻も早くとめる方法を講じろというような関係で、保安法を改正した、まあこれは一例でございますが、そういったことであります。
#29
○小幡治和君 結局、災害というものは、大きな炭鉱にはそれほどない。また、それに対するいろいろな防除の面においては、人的あるいは資金的にも大きな炭鉱は相当やっておるが、中小炭鉱で災害頻発の危険というものが非常に多いということなんで、結局、そういう群小の中小炭鉱に対する指導監督の強化というものが、一番大事なことだと思うのですけれども、先ほども予算の面でもいろいろ論議されました通り、私自身としても監督官の増員を十分やって、そうしてそういう面に対する徹底的な指導監督というものをやる必要があるというふうに思うので、その点について政府の所信を伺いたいとともに、もう一つは、保安監督員の制度というものが、そういうように中小炭鉱に非常に災害が多いということになるならば、中小炭鉱すなわち千人以下のところにも監督員を置け、というふうな法律改正というものは必要ないのかどうか、そういう面は要するに行政指導でいいのかどうか、という点を一つお伺いしたいと思います。
#30
○政府委員(小岩井康朔君) 保安監督員は千人以上の労働者のおります山に置くことになっておりますが、もちろん千人以下でありましても、必要がありますれば、監督員の選任を命ずることができるようになっております。現在でも、昨日資料を配付いたしましたように、石炭関係では、千人以下の山でも二十七名現在のところは選任いたしておりますが、今後さらにそういった方面の拡大をやってみたい、必要がありさえすれば、いつでも選任できるようにいたしたいと考えております。ただ、災害との関係でありますが、中小の災害が非常に多いということを申し上げたのでありますが、非常に多く災害を発生しております中小では、監督員を置きますどころか、保安管理者自体も十分ななかなか管理者が得られない。たとえば非常に大きなやりそこないをやりまして、私どもの方で保安管理者の解任を命じましても、今度はそれにかわる保安管理者はもっと程度の低い人がさらに出てくる、というような関係で、なかなか、選解任をいたしましても、十分改善がされないというくらいに、人がないわけでありまして、そういった関係もあって災害もよけい起るというような実情でありまして、一定の保安機構の外にあって自立をさせて、私設の監督官式に見せるというような余裕が全然ないような山には、災害がよけい起っております。こういうような山につきましては、もちろん私どもの方も、係員その他の教育、労働者の教育につきましても、特段に鉱業権者のできない分野について、今後さらに一そう強化をさしていきたい、かように考えております。
#31
○島清君 二十五条の二を追加したいということなんですね。それで、その末尾のところに、「侵掘した場所の閉鎖その他保安のため必要な事項を命ずることができる。」というのですね、「その他の必要な事項を命ずることができる。」というのは、具体的にはどういうことなのですか。
#32
○政府委員(小岩井康朔君) 二十五条の二の「その他保安のため必要な事項を命ずることができる。」、この「必要な事項」の内容でありますが、侵掘をいたしまして、いろいろ危険な状態が起る場合もございます。そういう場合にはとめますけれども、そのほかに場合によりましては、ただとめると申しましても、まあさくをするかあるいは掲示をするか、いろいろとめる方法はございますけれども、ただとめただけでは十分でないような場合があるわけであります。場合によりましては、たとえば侵掘をいたしました区域に出水のおそれがあるというような場合には、ただそこをとめただけでは、もし破れまして水が出た場合には、もとの鉱区の方に大きく影響を与えるような場合も生ずるわけでありますので、そういった場合にはとめるだけでは十分でありませんので、さらに坑道を充填するような場合も出てくるわけであります。従いまして、とめることができる、ただとめただけで不十分な場合には、その危ない坑道を適当に充填をさせるというようなことも起るわけでありまして、そういった意味を指しております。
#33
○島清君 この改正法案の三ページの算用数字の2という所なのですが、「鉱業権者が鉱区外」云々というのがあるのですね。この規定と、今御説明いただいた二十五条の二を入れたということとの、内容的にはどう違うのでございますか。
#34
○政府委員(小岩井康朔君) この2の方で意味しておりますのは、これは監督部長がやることになっておるのでありますが、御承知のように坑内の関係ですと、一々部長の指揮を受けるひまのないような場合がございます。そういうような場合には、鉱務監督官でも部長のかわりに緊急の措置ができる、こういうことを目的としておるのであります。
#35
○島清君 そうすると、なんでございますか、理解しようとするのには、この二十五条の二で不十分な場合にはこれを適用して完璧を期したい、しかしながらこれを命令を発し得る者は原則として部長であるけれども、緊急の場合に間に合わないときには監督官がやり得ると、こういうふうに二十五条の目的を完璧ならしむるためにこういう条文が設けられるのだ、というふうに理解すべきものなのですか。
#36
○政府委員(小岩井康朔君) もちろんその通りでございます。保安法、保安規則で命令のできるような場合がたくさんございます。そういうような場合に、必ずこういった条項をつけておりまして、坑内の関係から部長に一々指揮を受けるひまのない場合には、鉱務監督官でも部長のかわりに同じ効果が上げられるように、必ずこういうような条項をつけておるわけでございます。
#37
○阿部竹松君 少しおくれて参りましたので、同僚議員の方々が質問されておれば、あとで議事録を拝見いたしますので、その点はそのようにおっしゃっていただきたいと思いますが、まずきのうも若干椿委員から問題になりました監督員、これをやはり法的に明確に鉱業権者と目される方と、それから従業員の大多数の推薦といいますか、三分の一の推薦といいますか、まあそういう言葉は抜きにいたしまして、そういうものから一人ずつ一応出すというようなことは全然お考えになっておらぬのでしょうか、その点をまずお伺いいたします。
#38
○政府委員(小岩井康朔君) 私の方といたしましては、昨日も申し上げましたように、鉱山労働者の協力なくしては保安の確保はできないという点は十分に考えておりまして、そういった参加の機構も従来の法規の中に盛られておるわけであります。法の三十八条申告制度、それから十九条の保安委員会、もちろんこういった制度がございますので、従来ありますこういった制度を十分に活用いたしまして、協力をお願いしたいと、かように考えております。
#39
○阿部竹松君 しかしその点についてはきのうも若干触れましたし、お伺いしましたがね。あなたの前の局長さんかその前か僕はよく記憶しておりませんけれども、やはり相当大ぜいの犠牲者を炭鉱から出したためにやめられたかどうかわからぬけれども、御本人としては、私はあまりにも犠牲者を出したから、私一人の責任とは思わぬけれども責任をとってやめました、こういうふうに明言されておる局長もおられるわけです、元の局長さんが。私はその局長一人の責任だと思いませんし、最高責任者一人に罪を着せるということは穏当でないというように考えますが、しかし、あなたが局長になってからでも、何百名という犠牲者が多くの炭鉱から出ております。何万名というけが人が出ております。よりよい方法を進言し、あるいはそういう意見があったら取り上げるのがほんとうじゃないですか。あなた方は法文の通り、それはあなたがこれで最高のものと考えてお出しになったでしょう、省議でも決定し閣議でも決定したでしょう。しかし一人の知恵より二人の知恵で、もう少し保安法を守ってりっぱなものができて、みんなの協力によって一人でも犠牲者を少くする、何万人と毎年出るけが人を少しでも減らすという方法があれば、別に大蔵省から金をもらってこなければならぬという筋合いのものじゃないから、そういうことに同調されるのが当然じゃないですか。あなたはこれでもう百パーセント自信を持って出したのでしょうけれども、これで偉大な成果を上るというように判断なさっておるのですか。
#40
○政府委員(小岩井康朔君) 保安監督員の選任は、現在の法規におきましても、経営者側から選任せよとか組合側から選任せよとかいうことはうたってないのでありまして、たびたび申し上げておりますように、組合の方から出ましても資格のある者でありさえすれば、私の方では当然受けるわけでございまして、むしろそういった面からは労使双方でお話し合いを願った方がいいのではないかというふうにも考えております。
#41
○阿部竹松君 きのう御答弁なさったことを繰り返して私は質問しているのではございませんから、きのう答弁されたことぐらいは記憶しておりまするから、重複しないように一つお願いします。私の言うのは、あなた方の方からいただいた資料を見ましても、厳然としてわかる通り、一名以上ということになっておりますけれども、それぞれ九州から北海道までの実態というものは、ほとんど経営者の代表が一人である。あなたが、もしそれが違う、これは双方から出ておる、一人以上ということになっておるけれども二人おる、そういうことがあったら、ここで具体的に示していただきたい。あなたが口で言う通り現地はなっておらぬ、そうでしょう。否定するのだったら、どこの山でそういうことをやっておるのだということを明示していただきたい。
 しかし現実は、そういうことになっておらぬから、毎年変えるわけにいかぬのだから、たまたま新しく改正するときであるから、そういうような方法を講じたらいかがであろうか、そうすれば、一人でも、今申し上げました通り、災害が起きないし、犠牲者が減るというようなことを十分討議してやろうではないかというのに、あなたは、きのうの答弁のむし返しで、現実に災害が起きる……。あなたの百パーセント、これで大丈夫です、私が責任を持ちますという御答弁がありますれば、私は主張しません。御自信のほどを一つお示し願いたい。
#42
○政府委員(小岩井康朔君) 保安監督員の内容につきましては、私の方では資格だけしか審査いたしておりませんので、組合側の方々が選任されておる山がどこかという点になりますと、はっきりお答えできません、実例はあげることができないわけでございます。
#43
○阿部竹松君 そうなると、まことにずさんきわまりなきものであって、あなたは、もちろん中央におられるから、各現地をお回りになることは不可能でしょう。しかし監督員というものは、多いところは一カ月に両三度、少いところでも、三カ月に一ぺんぐらい回っておって、監督員はどなたがやっておるか、管理者がどなたであるか、坑内の条件がどうなっておるかぐらいは機動的にお調べになっておるのだと思う。あなたは知らないから――ロボットだ。それだから、そういう答弁しかできない。こういうことで万全だ、こういうことになるのであって、そこでたまたまそういうことについて、僕が若干勉強したから、少しでもよりよい方法ということで、あなたに進言しておるのですが、あなたは全然知らないということになれば、とてもあなたと討論しても始まらないということになりますね。あなた全然お知りにならぬわけですか。
#44
○政府委員(小岩井康朔君) 監督員が、どこに選任されておるか、そういう点については、十分わかっておりますが、はっきり組合側の所属として出ておる監督員がどこの山におるかという御質問に対しましては、はっきりお答えすることができないのであります。
#45
○阿部竹松君 それだから、その監督員は、悪い言葉で言えば、監督員は、それぞれの各山へ行って、会社の経営者と会って坑道のいいところだけ見て、帰りには、それぞれ各山にクラブがあるものだから、そのクラブで一ぱい御馳走になって帰るだけだ、こういう極端なことを言う人がいる。私はたまたま札幌で聞いてきたところによると、この前の委員会でも申し上げましたが、予算がないので、二等の旅費を三等にして回数をふやして歩いておるという、まことに涙ぐましいような監督員もおるわけです。しかし、半面、今申しました通り、そういう話をしている人もあるので、そういう誤解を一掃するためにも、私は明確にお示しを願いたいと同時に、やはり、一人より二人でとにかく何千名、大きい所は一万六千名もおるのだから、こういう所に、たった一人しか設けておらぬでは、こういう制度はあっても、制度はけっこうだが、全然一人で、とにかく坑内は何十キロとありますよ、何十キロと。それを一人でいかに優秀な人だって回って見ることは不可能でしょう、現実の問題として。
 それを一人設けるのに、あなたなぜ反対しなければならぬか、反対する理由を、納得のいくように一つ説明してもらえば――私は、その方が災害が少しでも減るのではないかという、きわめて自分としては、建設的な意見だと思っておるのですから、そういうことは必要ないというならば、必要ない理由はかくかくですという御答弁があれば、私は了解します。
#46
○政府委員(小岩井康朔君) 保安の確保につきましては、前々申し上げておりますように、鉱業権者に、全責任を現在の形の上では負わしております。
 従って労働者千人以上の山におきましては、鉱業権者が責任を持ちまして、鉱業権者が選任いたすわけでございます。従って、先ほどもお話いたしましたように、その監督費の内容につきましては、私の方は云々いたしておらないわけでありまして、鉱業権者の責任において選任いたした者が、資格がある場合には、私の方はいつでもお受けするというような態勢をとっておるわけであります。
 私の方で、なぜ保安監督員を、鉱業権者に全責任を持たしておまかせしておるかというような点につきまして、二、三その理由を御説明申し上げますと、千人以上の鉱山につきましては、現在非常に保安の成績が、りっぱな成績をあげておるわけであります。まあこれだけで見ますと、世界の水準にも、ほとんど近い成績をあげております。もちろん災害が絶無というわけではございませんが、一般の監督員以外の、法で定められております保安機構もかなりしっかりしておりまして、ただ、人数が多い、規模が大きい関係で、なお従来あります正規の保安機構のほかに、さらに二重に自己規律のための監督員制度というものを設けておりまして、二重に監督をいたしておるわけであります。この監督員の勧告がなくとも、保安管理者以上十分な体制を持っております。仕事の内容といたしましては、十分にできるのでありますが、規模の大きな千人以上の山につきましては、まあその中に少しでも漏れるようなところがあってはいかぬという心組みから、二重監督制度といたしまして、保安監督員を選任して、二重に見る、管理者以下のやっていることに、さらに別の面から監督をいたすという組織になっているわけであります。最近調べました監督員の勧告の内容につきましても従来自己規律でやつているということで、あまり深く立ち入っておりませんでしたが、最近の例を見ますと、かなり大きな問題から小さい問題に対しまして、すべてかなり広範囲に監督をいたしております。非常にりっぱな監督をやっている山が数多くありまして、これらにつきましても、なお一そう勧告の内容あるいは監督員の勧告の仕方につきましても、今後十分に立ち入りまして、決議にもありましたように、今後一そう効果あらしめるように努力をいたして参りたいと、かように考えております。
#47
○阿部竹松君 経営者の全部責任でやって、そうしてその他の人には、責任がない、あげて責任は、経営者にある。ですから経営者にやらせる、こういう御答弁ですから、これ以上あなたにお尋ねして法案を直せと言っても、閣議で決定したことでもあり、あるいは最高責任者である高碕さんでもないから、局長のお立場では、それはよろしゅうございますということは、とうてい言えないから、よくわかりますけれども、しかし実際問題として局長の最後におっしゃった、大いに努力しますという言葉は、僕は委員会でくどいようですが、あなたから何十回も聞いてよく理解しているつもりですが、実際問題としては、現地では毎回々々災害が起きて、災害が起きた日と起きない日とを勘定すれば、災害が起きない日が少いのです。実はこれはおわかりかどうかわかりませんけれども、その辺に課長さんたちもお聞きになっていると思いますから、その方たちはわかっているでしょうが、坑内の事故が起きない日よりも起きた日が多いのですから、これは統計が示すところですから、これは私は単にあなたをどうこうということではない、そういう事実を私が知っているがゆえに、国会答弁だけで、努力します、あるいは大いにやりますというだけでは、了解できないのであって、しかし劈頭申し上げた通り、これ以上あなたにお尋ねしても無理でしょう、私の方が無理だと思うので、やめますけれども、しかしそれはそれとして、九州と北海道の災害の率ですが、これはきわめて九州に多い、中小炭鉱があり、老朽山があるからやむを得ないということも言えるでしょうけれども、特に九州の方が多いという理由は、これは保安局としては、どういうふうにお考えになっておりますか。
#48
○政府委員(小岩井康朔君) もちろん九州の方が多いのは、中小炭鉱が、非常に九州の持っている面が広いという点でしょうが、しかし災害の率その他につきましては、毎年多少違いがありまして、北海道は非常に悪かったのが、最近はよくなった、九州は、一時幾らかいいというのが悪くなったりしているわけでありますが、総じて、もちろん九州の方が災害率が高い、これは主として、中小が数多くあるという点に尽きると考えております。
#49
○阿部竹松君 それに関連してですが、これは樋詰さんの方の関係になるかもしれませんけれども、九州の場合ですね、これは鉱業権者のやる場合であっても、租鉱権を設定してやる場合も、一応あなたの方、あなたの方といっても、九州の場合は福岡通産局でしょうけれども、そこに責任を持たして、施業案なら施業案を出して、それぞれやるわけですが、そこであなたの方で法規通りの手続をしてやるけれども、九州の方は、老朽の山が多いからやむを得ないということで、どうも同じ通産省を中心とした一つのルールがあるにもかかわらず、九州の方はルーズだという話をときどき聞くのですが、それはそんなことはないという御答弁であろうけれども、そういうようにしんしゃくしてやるということは、これはございませんか。
#50
○説明員(樋詰誠明君) 私の承知しております範囲では、たとえば施業案をいろいろ申請してきた場合、その場合の認可基準と申しますか、もちろん今各局別にルールが違っておるわけでございますが、これはむしろ福岡の管内が一番体系も整備されて、一番詳細なものを取っておるというふうに承知いたしておりますし、今、阿部委員からおっしゃったような、手心を加えているというようなことは絶対にないと思います。
 ただ、御承知の通り、あそこは非常に中小炭鉱が多くて、しかも鉱業権者が何回もかわっておるといったようなことから、以前に掘られた、いわゆる古洞の所在といったものが、戦災ですっかり戦前の書類が焼けて、はっきりしていないというようなことのために、思わず古洞にぶつかって出水事故を起したといったような例が相当起ってきたわけでございますので、われわれといたしましては、とりあえず本年度の予算の中から二百万円を、そういう古洞関係の調査あるいは出水指定という関係に流用するということについて、大蔵省とお話し合いをいたしまして、とりあえず予算のかからないでもできるという原図の徴収ということは、すでにこの夏から始めて、それから現地と原図との総合調査というようなことを始めたわけでございますが、来年度二千八百万円、再来年度二千三百万円、合計五千三百万円の予算で、焼失して、なくなりました古洞の連絡を完全に復旧するということによって、今後の鉱害を防止するのに、できるだけ役立たしたいということで、目下せっかく努力中でございます。
#51
○阿部竹松君 そうしますと、樋詰さんの方で、これから始められるということなんですが、これは現地でやられることですから、最後の監督はあなたがなさるんでしょうけれども、しかし現地でなされることなんだからやむを得ないとしても、また施業案等その他の手続内容等について、ルーズにやられれば、これは保安局においてまことに迷惑千万だと思うのです。長崎県の東松浦郡の元中島鉱業等においては、あなたもお聞きになったかもしれぬけれども、図面問題で福岡通産局と福岡の監督局で意見が食い違ったという話を聞いておるわけです。
 従って、その成果がいつごろ上るわけですか。そういう内容について、これからやるんですから、いついつまで明確になるということは御答弁できないにしても、あまりにルーズ過ぎるという酷評をしている人もあるわけですね。ですから、そのあたり、もう厳重にやってもらわなければ、いかに保安局長を攻め立てても、片方でルーズにやって――盗炭、盗掘は、今度まただいぶ厳重になりました、厳重になっても、やる人はあるでしょうけれども、盗炭、盗掘をやっているこそどろを抜きにしても、大体、いつごろあなたの方ではできるのですか。
#52
○説明員(樋詰誠明君) 施業案の認可に当りましては、御承知のように、必ず通産局長は、保安監督部長に相談して、その同意を得てやるということになっておりますので、今阿部委員から御指摘のあったような、保安監督部長が反対していたけれども、通産局長が押し切ったというようなことは、まずないものと私は確信しておりますし、もしそういう例があったといたしますれば、これは何と申しましても、人命の保護ということが、これはもう最大の問題でございますので、施業案の認可に当りましては、十二分に保安監督部長の意見を聞いて、そうして極力災害が起らないという確信を持ったときでなければ、認可しないようにということにつきましては、これは厳重に現地の通産局長にも通達いたしたいと思います。
#53
○阿部竹松君 その問題は、とにかく今あなたのおっしゃる通り、最初から十分厳重にやるのは、けっこうだけれども、問題は、とにかく事故が起ってから、あれがよかった、これが悪かったということは、ややもすれば、表面に出てくるわけですね。従って僕は、法律をよく知りませんけれども、あなたの方でルーズに妥協して、何でも認めて、手続を済ましてしまうと、これは保安局としては困るじゃないかという話ぐらい、保安監督部でできたとしても、これはだめです。一切がっさい拒否することもなかなか常識的にはできないわけです。あなたの方で、全くよろしい、最後のあれは通商産業省ですから、これはけしかりませんぞという話し合いは十分やられるでしょうけれども、今までの例として、最終的にけとばしたということはないというように承わっているのですが、しかしその点は、それでよろしゅうございます。
 そこでそれに関連してですが、もし鉱業権の取り消しをやってから六十日間、今度の改正案で六十日間は、許可しないのだ、これは少し短か過ぎやしませんか。これは福井さんの方になるかもしれませんが、この問題について、どちらからでもけっこうです。
#54
○政府委員(福井政男君) これは、あるいは御批判もあろうかと思いますし、あるいはまた反対の御意見もあろうかと思いますが、この現行鉱業法で六十日目という期間をほかの条文でもとっておりますし、大体、まあ六十日間鉱業権を設定しないで、期間を置いておけば、十分ではなかろうか、こういうことで検討の結果、六十日ということにしておるわけであります。
#55
○阿部竹松君 そこで、きのう大臣と話した点が出てくるのですがね。大体明治三十八年、日露戦争当時の条文の九九%がそのままなんですよ。二十五年に、とにかく改正された点が百分の一、文句は、それ以上多いでしょうけれども、精神というものは、大体九九%までが明治三十八年の精神にのっとっているということは、これは言えると思うのですね。従ってほかの条文が、六十日だからといって、この精神を生かすということになれば、六十日の期間などというものは、まことにつけたりであって、その中に、果して改革するような仕事ができるかどうかということになるし、せめて半年か一年ぐらいは、やはりだめですというくらいのことにならなかったら――どうですか、福井さん、完全に精神が生きるということになると、言えないのではないでしょうか。
#56
○政府委員(福井政男君) この条文につきましては、仰せのようにいろいろの意見が出るわけでございますが、鉱業権の取り消しを受けました場合に、その鉱業権者には、その鉱区につきましては、鉱業権出願の権利がなくなるというふうな規定を置きますと、ほんとうはよほど徹底したものになるわけであります。
 ただ御承知のように、現行鉱業法では、先願主義をとっておりまして、出願者につきまして制限を設ける方式をとっていないのであります。この点につきましては、能力主義あるいは資格要件、こういう問題をどういうふうに加味していくかどうかという問題は、鉱業権の非常に大きい問題の一つでございまして、十分検討いたして参りたい、かように考えております。ただこの条文につきましては、そういうようなことで徹底していないではないかといううらみがございますけれども、私ども一歩前進ということで、こういう規定をお願いいたしておるわけでございまして、六十日ということは、常識的にこのくらいの期間を置けば、ほかの一般のものもその鉱業権の取り消されたことを承知するに十分な期間ではなかろうかということで置いてあるわけであります。
#57
○阿部竹松君 そうしますと、まあ一本の法律ですから、ほかの条項との関連もあり、一応、こういうようにしたのだが、精神としては、やはり長くすれば十分達成せられるから、そうしますと、そこまでは、大体そういうように聞えたのですが、きのう若干話されたように、もし来年改正されるということになれば、こういう点も、十分福井さんの今おっしゃったような意見が取り入れられるというように判断してよろしゅうございますか。
#58
○政府委員(福井政男君) 仰せのように、取り消しを受けました場合の跡始末の問題につきましては、今後全般的に改正をするという見地から検討いたします場合には、私どもその部分につきましても、十分検討いたして参りたい、かように考えております。
#59
○阿部竹松君 その次にお尋ねしますのは、きのうも若干話が出ましたが、たとえば鉱業権者が変っても、永久に鉱害の点については責任を負わなければならぬというひもがついていくわけですね。そこでその鉱害問題ですが、これは毎回論議もしましたので、あまり深く触れませんけれども、九州では、口悪い言葉ですが、鉱害屋とか、鉱害歳金がおるということで、政府の補償四〇%が、必ずしも有効に使われておらぬ。従って筑豊のどまん中に、まだ池がたくさんございます。これは保安局長さん、石炭局長さんでも、鉱山局長さんでも、御承知でしょうけれども、これはどうも、仏作って魂入れずで、政府がせっせと二十七年から百一億ですか、あるいは特別鉱害、こういうことで膨大な金を持ち出しても、成果が上っておらぬ。こういうことで問題になっておりますし、今週ですか、先週ですか、私よく記憶がありませんけれども、「サンデー毎日」かなにかに、相当ひどく批判した記事が載っておりましたが、これは、原因はどこにあるのですかね。
#60
○説明員(樋詰誠明君) 今、先生の御指摘の、鉱害成金というような部分に、せっかくの復旧費が相当食われて、そのために復旧がはかばかしくないということは、まだ不勉強でつまびらかにしておらないのでございますが、われわれとしましては、そういうことのないようにということをもちろん念願といたしまして、原則として炭鉱害を与えた炭鉱に、まず復旧工事をさせる。ところが復旧工事をさせるのが、どうも不信用だといったような場合には、例の復旧事業団自体に工事の施行者ということを命じまして、復旧させるということにいたしておりますので、今御指摘のあったようなことは、理屈の上では、あまりあり得ないのじゃないかと考えておりますが、もし御指摘のような点がございまして、そのために鉱害の復旧がおくれているといったようなことがございますれば、これは早急に調査いたしまして、せっかくの金――特別鉱害で百十億、一般鉱害でも、すでに五十億以上つぎ込みまして、大体三十七年までには百十億はやりたい、こう思っておるのでございますが、そういう金が生きて使われるように、十分取締り方面にも、目を注ぎたいと考えております。
#61
○阿部竹松君 その取締りですが、これも、また毒舌になるのですが、鉱害復旧の仕事をなさっているのは、あなた方の大先輩で、元札幌通産局長の天日洸一さん、あなた方は後輩なんですから、金がいく――しかし、あなた方の大先輩だから、なかなか言うことをきかぬと現地ではいっておるのですが、幾ら先輩といっても、今の職責が違うのですから、そういうことはないと思うのですが、とにかく鉱害については相当悪評があるわけですね。従って私は端的に、今、樋詰さんから答弁があったのですが、その通りうまくやっていただかなければ、これは筑豊の復旧などはできません。
 そこでお尋ねしたいことは、それをずっと鉱業権者が、引き継いでいって、そして、とにかく鉱業権者が払えぬと、そのときは、鉱害復旧の方から出すと言いましたけれども、そうなると、これは永久無辺に続くわけですか、政府が永久に金を出さなければならぬということになりますね。そういう法を守らぬものは、九州に、正直いっておると思うのですが、永久に日本国政府は、石炭を掘った跡に、とにかく穴埋めをしなければならぬということになりますね。どうですか。
#62
○説明員(樋詰誠明君) 事業団の監督につきましては、理事長がだれであろうと、私どもの方では、全然しんしゃくしていないつもりでございますが、さらに、今後注意していきたいと思い
 それから鉱害復旧の国庫負担につきましては、御承知のように特別鉱害法を、まず二十五年に作っていただきまして、それはことしの三月に一応終りまして、目下は精算中、それと並びまして、その次に戦後一般鉱害を復旧するためにということで、とりあえず三十七年の夏までの臨時鉱害復旧の法律で今やっておるわけでございますが、これはもちろん法律によらなければなりませんので、また国会で御審議御決定をいただかなければならないことではございますが、われわれ三十七年までは、とにかくその臨時鉱害復旧措置法で、無資力、あるいは行方不明ということで、鉱業権者から金が取れないという場合には、仕方がないので国が負担してやるという規定がございます。これを活用してやっていきたいと思います。
 さらに、どうしても北九州のような場合、今後、ますます鉱害問題が激しくなるのじゃないかということを考えまずと、現在あります臨時法を、これはむしろ恒久法に直していただくということが石炭鉱業の円満な発展から申しましても、また被害者の救済という面から見ても望ましいのじゃないかと思っておりますので、この臨時法が、四年後には消えるわけでございますが、そのときには、当然これは、さらに延期していただく、あるいは思い切って恒久法にすっぱりと切りかえていただくかということを当然通産省としてはお願いする筋になる、こう思っております。
#63
○政府委員(中川俊思君) 今、阿部さんからお話がありましたが、例の復旧事業団の理事長ですか、それなり、また昨日も、私聞いておったのですが、長野県の浜横川鉱山の問題で通産省の先輩がどうとかというお話がありましたが、そういう具体的な例がございましたら、一つ知らして下さい、私は事務当局ではございませんけれども。ことに高碕通産大臣は、就任以来私どもに強く言っておられますことは、とかく通産省の中では、いろいろな問題、外貨の割当だとか、いろいろな問題で、外からいろいろな邪推を受けたり、また事実そういう点で、いろいろいかがわしい問題があるようなことが非常に多い。そういう点は、特に注意してくれということのお話もあったわけでございます。
 今のような問題で、何かございましたら一つ具体的にお示しいただいて、そういうことがありますれば私どもの方としましては、決してこれは傍観いたしておりませんから、一つ具体的な事例を、これは何も、公開の席上でなくてもよろしゅうございますから、一つあなたの御好意でお示しを願いたいと思います。
#64
○阿部竹松君 せっかく中川次官の御要請ですけれども、私は森脇さんのように特別機関も持っておりませんし、特にどうというような資料を持っておりません。ここで発言しておるのは、自分の知り得た最大の知識でございまして、特にこれがけしからんということはございませんけれども、きのう申し上げた浜横川の問題にしても、鉱業権者でない、租鉱権者でない人が坑内を採掘しておるにもかかわらず、火薬は、長野県知事の承認してもらった火薬で採掘をやっておるのです、マンガンを。これはどうもおかしいといって調べたところが、前の通産省のある局長を勤めた、そんな人は、これは全国でたった一つです。これは坑内でマンガンを掘って、とにかく知事から許可を得た火薬を使って、租鉱権者でございません、鉱業権もございません――きのう福井さんが答弁したが、浜横川の問題は、日本全国でただ一つ、これは口が悪いかもしれませんけれども、どうも通産省は、前の自分たちの先輩がやっておることだから、目をつぶっておるのじゃないか、こういう口さがないうわさが出てくるわけで、また今の筑豊の鉱害復旧問題にしても、相当な金を持っていっておるわけです、御承知の通り。しかし遅々として進まない。次官、おいでになったかどうかわかりませんけれども、とにかく筑豊、北九州を歩いて見れば、一目瞭然です。たんぼはどぼんと下り、家は傾いて、道路はがたぴしになったり、そちらこちらに池がたくさんできておる。そうしますと、その通産省の前の鉱山保安監督局長ですか、当時石炭局、通産局といっておりませんでしたが、その当時、ここにおられる局長さんが、大先輩がやっているから、なかなか石炭局長もつらくて、やかましく言えないのであろうと、こういうことを言うわけです。そういうことを現地の人が言っておるわけです。
 やはり私は、石炭局長の今の答弁を信用しますから、今後、当然こういうようなうわさがたたんように、同じ省におったら、特に冷たくやってもらわなければならぬと、こういうように申し上げておるわけです。特に私、情報はございませんから、せっかく次官の御要請ですけれども、森脇さんのところにでもいけばわかるかもしれませんが、私わかりません。
 その次にお尋ねしたいのは、これは保安局長さんの御答弁になるか、鉱山局長さん御答弁になるかわかりませんけれども、保安局長が、昨日、法の提案説明をなされたときに、冒頭、東中鶴炭鉱の例をまず申されたのですが、ああいう炭鉱で、ああいう事故が起きて、しかし、どこにもしりの持っていくところがないのですね。ですから、これは保安法で縛るというふうなこともなかなか困難でしょうし、今の樋詰石炭局長の御答弁とからみ合せて幾ら、とにかく政府が補償するといっても、限度がありますから、中小炭鉱は、一トン掘ったら何%というような積立金をしておいて、災害が起きたとき補償するとか、鉱害が起きたとき補償する。そういう力のない経営者には、採鉱をやらせぬというようなことを、鉱山法か、保安法でできぬものでしょうか。そうでなければ、実際問題としてこれはなかなか容易ならぬと思うのです。社会主義国家であれば、政府の金を幾らもっていって補償してやってもいい。社会主義国家であれば当然ですけれども、日本は、御承知の通り資本主義社会ですから、石炭業者が石炭をどんどん掘ってもうけて、山をやめてしまって、今度金が払えませんといったところで、政府が国民の税金をもっていくというのは、資本主義社会では、どうも穏当じゃないような気がするのです。社会主義社会であれば、そういうことをやるでしょう。ですから、便法として、保安法になるか、あるいは鉱山法になるかわかりませんけれども、そういう鉱業権者、租鉱業権者がやる場合には、何形か積み立てておいて、その中から出させる、そういう力のないものは許可しませんぞ、こういうような法律を、私、法律はわかりませんが、どっちかの法律に入れていただけば、そういうような事故が起らぬし、あやしげな、とにかくボスが、自動車一台で人間五十人くらい集めてきて、盗炭をやったり、租鉱権を設定して、ここのところは掘ったが、あとどこに行ったかわからなくなるというようなことはないと思うのですが、そういうような方法は何かないでしょうかね。
#65
○説明員(樋詰誠明君) 鉱業をやって参ります場合に、一定の資産といいますか、財力のないものにやらせないようにしたらどうかという考え方も、一つの問題であると思います。これは私ども、先ほどちょっと申し上げましたように、現在の鉱業権が、どなた様でも、とにかく先願主義で早く手続をとれば、鉱業権を設定し得る。こういう法の建前になっておるのは御承知の通りであります。これをまあ、今後そういった資格について、一定の財力でございますとか、あるいは適当な資格でございますとか、そういうことを置くかどうかということは、一つの非常に大きい鉱業権の本質に関する問題になるわけでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、鉱業法の改正の際に、その点は最も大きい問題として検討いたしたい。かように考えております。
 ただ、この問題は昔から論議されておるところでございまして、外国でも、そういった、日本の現行法でとっております先願主義をとっておる国もございますし、また、能力主義を採用いたしておる国もあるわけでございまして、能力主義をとりました場合に、それでは一体、どういう基準でやっていくかということになりますと、非常にむずかしい問題があるわけでございます。ただ、現在、鉱業権の設定を受けまして、一定の期間鉱業権を実施しないというような場合には、現行法では取り消しの規定がわずかにあるだけでございます。
 それから鉱害の方も、事業をやっていきます場合に、それを今度十分賠償するような仕組にしたらどうかという問題でございますが、現在でも、供託金制度もございますが、こういった問題につきまして、これは将来、現在の鉱害賠償整理等の不備な点についても、十分検討していかなければならぬだろうと私は、鉱業法全般の問題として考えております。
#66
○阿部竹松君 それで、これは政策の問題になりますから、局長さん個人々々には、おのおの個人的御見解があっても、これは大臣から御答弁願うのが当然だと思うのですが、ここで繊維が不況だといってやかましく論議され、石炭が、これは貯炭が一千万トンもあるから大へんだと論議される、繊維も何とか政府が金を出してやろう、石炭もこれは政府が何とか出してせいという、しかし石炭にも繊維にも、関係のない人から聞くと、なるほど繊維も気の毒だし、会社がつぶれれば、労働者があふれるから、もう困ったもんだ、しかしながら繊維業者であるから、石炭業者であるからといって、政府が国民の税金を使ってもらってはもう迷惑千万で、われわれのような小さい中小企業の小売業者、あるいはお菓子屋さんとか、文房具店がつぶれても、さっぱり政府が何もみてくれぬではないか、こういうような声も聞くわけであるし、またそういうのも、私はむげにできない意見だと思うから、従ってこれは何とか、こういうのを、鉱業法に入るか鉱山保安法に入るか別として、とにかく積み立てておいて、不時の場合には、あまり政府に迷惑をかけぬ。それからまた、山がつぶれてしまって犠牲者が出ても、葬式料ももらえぬというようなばかげた山も、これはあるわけでございまするから、今後、法案を作るときには、そういう点も、十分考えていただきたいと思います。
 その次に、これは小さい問題ですが、保安局長さんに一つお尋ねいたしますが、千名以下の、監督員を置く、それぞれの山ですね。大体どういう基準であなたの方では、こういうところに置きなさいということになるのでしょうか。基準というものが別に定めてなくて、監督員が現地を見て来られて、ここは必要だというようなことで判断されることになるわけでしょうか。
#67
○政府委員(小岩井康朔君) 監督員は、千名以上のところは法規によりまして、はっきり専任すべしということになっております。千名以下の山につきましては、必要ある場合には専任を命ずることができるという条項でありまして、もちろんこの基準はございません。各監督部長の判断にまかせておりますが、監督部長が必要ありと認めた場合には、専任を監督部長が鉱業権者に対して命じておるわけであります。ただ、最近、監督の問題が非常にやかましくなっておりますので、私どもの方でも、特に現地を慫慂いたしまして、十分に実情を調査して、保安の見地から必要ありと思われるものを、なるべく必要の程度を上げまして、広範囲に一つ監督員の専任を命ずるようにということは指示いたしております。
#68
○阿部竹松君 大体、両法の改正について、専門的なことは、三局長さんから承わりましたので、次回、大臣が出て来られて、またいろいろ質問に応じていただけるそうですから、そのときに大きな点、二、三点だけお伺いして、私よろしゅうございます。
 それから、これは直接この法と関係ございませんけれども、石炭局長さんに、この際ですから、一点だけお伺いしておきますが、実際問題として、新聞にも出ておりましたが、出炭制限ですね、これはうまくあなたの方の指導でやっておるという、新聞に出ておりますけれども、これはどういうようになっておるでしょうか、その点を一つお知らせ願いたいと思います。
#69
○説明員(樋詰誠明君) 大体われわれの方、下期の需要を二千八百万トン程度と、こう推算いたしまして、それから逆算いたしまして、大体来年の四月、来年度に入ると、三十三年度当初と同程度の貯炭というところまで減らしたいということから、大体二千五百万トン程度の出炭ということになれば、その線にいくということで、十手、中小、両方に、それぞれ自粛を求めておるわけでございますが、大体のところ、まず中小炭鉱関係におきましては、今までに石炭工業整備事業団に買い上げられた山あるいはそのほかで若干休廃したものもございますが、現在残っている山が大体昨年程度の出炭をやるということを前提にいたしますと、ちょうどまあ一割減というような格好になります。それから大手の方は、これは大手が年度の当初に考えておったいわゆる大手だけの希望数量から見ますと、一五%くらいということになるわけでございまするが、ほぼ上期の生産実績、これはストライキがございまして、ストライキがなかったというふうに仮定した場合の生産実績ということにしますと、両方合せてちょうど二千五百万トンくらいということになりますので、大体大手、中小の両方の業界に対しまして、今年の上期の生産実績くらいを一つ目標に、あまりそれより出さぬというふうな格好でやってもらいたいということを要望しておるわけでございますが、総体で大体二千五百万トンくらいということでございます。
#70
○阿部竹松君 その次に、ざつくばらんに申し上げますと、盗掘などやっておる山がございますが、これを全部こうやめさすという方法はいかぬものでしょうか。実際問題としてこういうところがあるのが不思議であり、こういうところで論議すること自体がすでにおかしいことになるのですが、しかし実際問題としてはあるのですから、厳然として。これを、今年の春と記憶しておるが、二十一か二十二やめさせましたね。しかしその後やはり絶えないということを聞いておるのですが、これはもう警職法でもできてどんどん縛ってしまえば、これは別問題かもしれませんけれども、しかしなかなか今の警察弱いと自民党さんおっしゃっておるが、警察が弱くて取締りができないのかどうかわかりませんけれども、これは石炭局長が行って、まさか刑罰を課すわけにいかぬ、お前やめろというくらいなものでしょうから、これはあなたを責めるわけじゃございませんが、そういうところが犠牲者が多くて、けが人も多く出るようですから、どういうふうな方法か講じて、われわれも協力しますから、これは正直に申し上げまして、山がつぶれると労働者が街頭に放り出されるのであるから、これはまことに困ったものであるけれども、さりとて労働者が仕事を失ってしまうからといって、これを黙認しておくわけにいかないのですから、これは働いておる人も気の毒であるけれども、これは厳然たる法規に従ってやってもらわなければならぬということになりますと、これはあなたの方で、あるいは保安局長さんは関係ないわけでしょうが、当然あなたの方も関係ないとおっしゃるかもしれぬけれども、あなたの方で責任を持ってもらわなければならぬ仕事だと思うのです。やめさしてしまうというような方法はございませんか。
#71
○説明員(樋詰誠明君) これはもう私もぜひ盗掘はやめてもらいたい、こう思っておるのでございますが、御承知のようにはなはだ残念でございますが、宇部あるいは九州の一部には、半分暴力団的な盗掘というのが、これは確かにあるわけでございます。通産局といたしましては、これはその盗掘の情報をつかむたびに警察と協力して現場に人を派しておるわけでございますが、いわゆる盗掘というようなのはなかなかっかみにくい、行ってみたらもぬけのからで逃げておった。それでわずかな通産局の方の取締りの人間だけでは、自転車を飛ばして行ったときには相手がいなかったというのが、盗掘の大部分でございまして、実は来年度の予算におきましても、せめてスクーター程度一つ通産局に――盗掘取締りの情報を聞いてかけつける、自転車でかけつけたときはいつも逃げられている、せめてスクーターでかけつけたいということは、数年来大蔵省に言っておるわけでございますが、今までもらっていない。しかし先生のお話もございまして、われわれとしても、できるだけ盗掘は、一体だれが取ったかわからない件数が相当あるわけでございます。本人がもちろんわかれば、われわれ告発いたしておるわけでございますが、行ってみたら逃げられて、だれが取ったのかわからないというような件数も相当あって、これは告発のしようもないということでございますので、少くとも盗んだやつを確認するということ、それから、確認したならば、それをいわゆる司直の手に引き渡すというために告発するということが、これはもうできるだけ励行したいと思っておりますが、このために何と申しましても役所の機動力と同時に警察の協力ということを得なければなりませんので、その点につきましては、今後もできるだけ経費と人間の許す限りこれ心取締りに万全を期していきたいと考えております。
#72
○政府委員(福井政男君) ただいまの盗侵掘の問題につきましては、これは鉱業法上の問題としますと、先ほどちょっと保安局長からもお話が出ておりましたが、鉱業法上の問題としましては、鉱業権がなければ掘っちゃいかぬという御承知のように規定があるだけでございまして、それに違背いたしました場合に、今度それに相当する罰則規定が置いてあるというような法律の体系になっておるわけでございまして、そうした、それを何と申しますか、最も現場に対して有効な処置をやるということになりますと、今石炭局長から申し上げたようなことになるわけでありまして、結局実力行使の問題にならなければ、ほんとうの効果をあげ得ないというようなことになるのじゃなかろうかと思うわけでありまして、それではそれをどうしたらいいかというようなことで、私ども内部でも常に議論をいたしておりますが、どうも法律上の問題としましては鉱業権がなければ掘ってはいかぬ、そうして、それに違反したら、今度こういう罰則を課すぞということになるわけでありまして、その罰則を重くいたすということは考えられますが、実際問題としては最も有効な方法ということになりますと、強権をもって現場に対抗するというようなことになるわけでありまして、非常に私どもこの点は名案はないものであろうかということで、常に内部で議論をいたしておるわけでございますが、法律上の問題としては、どうもこれは一定の限度があるわけでありまして、そこら辺のいろいろ検討はいたしておりますが、最も有効な方法ということはまだ見出し得ないというのが率直に申し上げまして実情でございます。
#73
○阿部竹松君 今大体両局長の結論同じようですが、その強権発動でやらなければならぬと、そういうものを取締る、ために警職法が必要なんだという岸さんの話であれば、わが党も警職法に賛成するのだけれども、岸さんは、それを全然取締ると言わないで、労働組合の集団行為がいかぬとか、デモがいかぬということになるから、これはもうあなた方の話と全く違うわけで、あなた方のように、こういうのがあるから強権発動ということになれば、われわれもくりからもんもんの若い人らのやることを取り締るというのならばいいけれども、岸さんの話では、あなた方の話と全然違うので、だいぶ三局長の方が進歩的である。これは中川さんよく聞いておいてもらわぬとならぬけれども、しかし、そこで、今までの例ですが、実際問題として、これは三十万円とするとか、三年以下となっておりましたが、一年半とか二年、こういうものは裁判所でやることであるから、あなた方の方、量についての関係はないでしょうけれども、大体やったことございますか。
#74
○説明員(樋詰誠明君) 手元に福岡の通産局の管内におきまして三十二年の盗掘並びに侵掘の問題の処理件数がございます。昭和三十二年に福岡の管内で百八十件の告発をいたしております。そのうち四十四件が起訴されておる。それから不起訴が百十七件、その他いろいろ略式請求、嫌疑なしといったようなものが若干ございますが、起訴四十四件のうち体刑は三十二件、罰金が三件、それから公判中のものが九件ということになっております。
#75
○阿部竹松君 私はもうこれでけっこうでございます。
 最後に、中川政務次官に、予算ですね、これは前の前尾さんともやり合ったことでございますし、それから水田さんとも大いに論争して、常に大臣は事情はよくわかったから予算を多く計上してあげようということを常におっしゃるのですが、今度も高碕さんおいでになったときは、保安問題、これはいかにも僕は局長にも、そんなにまでひどくやらぬでもいいじゃないかという気持はあるけれども、内部の事情はわかるけれども、しかし局長に文句言わなければ言う人がないから、勢い局長に苦言を呈するということになるのですが、実際予算が少いということはわれわれもよく知っているわけです。ですから、そういうような方向について、高碕さんにも私強く要請申し上げますけれども、次官も、あなたも自民党の中にあっていっときは反旗を翻したこともある実力者ですから、一つよろしくお願いします。
#76
○政府委員(中川俊思君) 御鞭撻いただきまして、できるだけ尽力いたします。実は、先ほどもちょっと豊田さんでしたかのお話しがあったのですが、通産省の予算は全く、私もそのときお答えしたんですが、人件費だけであって、きわめて少い予算である。三十三年度も百億ちょっとぐらいのものです。ことしはうんともらいたいといって、八百億近くの要求をしておるわけです。まあ、どの程度大蔵省が査定して参りますか……。まあ私どもとしましては全力をあげてやるつもりでおります。
 なお、先ほど、例の保安監督員の問題で局長とだいぶあなたとの間にお話がございましたが、平行線で、私はここで聞いていて、どこまで行っても解決のつかないような気がしたんですが、私はそのときも、ここで黙って聞いておりまして考えますことは、実際としたらあなたのおっしゃることも一理あると思いますけれども、しかし、いろいろな面から考えて、結局するところ、私は中小炭鉱あたりが災害を起す、鉱害を起すというようなことは、何も好んで保安法を守るまいとする気持はないだろうと思うんです。問題は、やはり金融の面で非常に困っておるから、これをやらなきゃならぬと思ってもやれない実情にあるんじゃないかと思うんです。私、しろうとですからわかりませんけれども。ですから、そういうような面につきましても、できるだけ金融の円滑化をはかると同時に、そういう方面にできるだけ金を出すような措置を、あらゆる金融機関を通ずるなり、あるいはいろいろな手を通じて講じなきゃならないということを、私ども痛感しておるわけでございます。ことに、先ほどあなたと局長との問答を聞いておりまする間に、私は一そうその感を深くしたわけでございます。従って、今年度の財政投融資等の面におきましても、今、いろいろな金融機関に対する融資のワクをふやす要求をしておるわけであります。一つ、衆参両院の、ことに関係の深い商工委員会の皆さん方の御後援を得まして、通産省の予算が少しでもたくさん獲得できるように、御協力をお願いいたしたいと思います。私どもとしましては全力をあげてやります。
#77
○阿部竹松君 今、政務次官から力強い言葉をいただいたのでけっこうなんですが、実に通産省の予算は少いんですよ。私は、りっぱな建物に入ったからりっぱな政治が行われるというように思っておりませんけれども、特に通産省の本省でも、石炭局とか保安局の入っているところなんか、これは、政務次官のように十二貫目ぐらいの人ですと心配ないけれども、僕らのように二十貫以上の者は、歩くたびに底が抜けやせぬかと心配するような状態で、小岩井局長なぞ、よくあれで安心して歩いていると思うくらい、ボロボロな建物なんです。九州へ行っても北海道へ行っても、北海道の監督局等も、これはあらゆる官庁の中で一番悪いです。ですから、建物がよくなったからといってりっぱな政治が、りっぱな産業行政が行われるとは私も考えませんけれども、その一端をもってしても、いかに日本国政府がこの通商産業行政を、口先だけ経済外交なんてうまいこと言っておだてて使って、内容は知らぬと僕は思うんですね。ですから、一つよろしくお願いします。
#78
○政府委員(中川俊思君) 今、阿部さんから言われましたが、私は十三貫五百でございます。まあいずれにしてもそう大したことありませんが、まあ建物の話が出ましたので、この点もぜひ一つ皆さん方の御協力をお願いいたしたいと思います。実は、この夏、私は北海道へ参りまして、今おっしゃる通りの実情を見て参りました。ことに札幌では、合同庁舎ができて札幌通産局もその中に入るようになっております。ところが、こんなこと言うと大蔵省がおこるかしれませんが、まことに勝手で、国税局と財務局の入るところだけ作って、通産局の入る上を作らずにある。で、私も今、大蔵省の方へも、札幌の合同庁舎を早く作ってもらいたいということを要求しておるわけです。
 それから私が通産省に入ってみて一番不便を感じましたことは、鉱山局であるとか石炭局であるとか、あるいは中小企業庁であるとか軽工業局であるとか特許庁であるとかいうような、現在通産省の関係のものだけが都内に七、八カ所分散しておりますので非常に不便を感じております。今お話のように建物のりっぱな中に入ったから通産行政がうまくいくということはございませんが、しかしそういうふうに分散しておりますために非常に不便を感じておることは事実でございます。従ってこの点はどうせ私どもとか大臣というものは一年もすればお払い箱でございます。しかし、私どもの在任中にこの問題だけ片づけておきたい。ことに本省は今御案内かと思いますが、借家でございます。借り物に入っていて、借り物に入っていてもいいわけですが、しかも今言ったように分散しておりまして、非常に不便を感じておりますので、私どもの在任中に建物を一カ所に――分散しておるのを一カ所にまとめて建物を作る準備だけはしておきたいと思いまして、大蔵省の方に先般来折衝しました結果、三十四年度からおそらく着手できるようになるだろうと思っております。非常に明るい見通しを得ておりますが、なおこの点につきましても各位の御協力をぜひお願いして、できるだけ御期待に沿うようにやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#79
○島清君 ちょっと中川政務次官に、阿部君が質問をされた点と関連をして、何か福岡の一般鉱害と特別鉱害の実施に当って、阿部君から鉱害成金というものがあるじゃないかという御指摘でしたが、これはもう耳にされておると思うのです。やはり週刊誌にも書かれておりますし、まあかなり非難もあるわけですね。こういう問題と関連して、中川さんは何か具体的な例があるならお示しを願いたいということですが、やはり一般の受ける印象は、通産省の役人さんを並べて申し上げることはいささかどうかと思いますが、かなり業界と深いつながりがありましてそうしてその業界の代弁をしておるんじゃないかということは、一般に通産省の役人に対する国民の見方なんですね。で、われわれもそういう具体的例をあげろというと、ここで直ちに二、三の例は指摘しますけれども、しかしながら、さりとてそれではこれが大へんに罪悪のごとくにここで大げさに取り上げる問題であるとか、汚職であるとかいうことで取り上げる筋合のものであるかというとそうでもないんです。ただ受ける印象は、そういうところから汚職があるであろうということは想像がつきます。何しろ役人さんは高等試験を受けて頭のいい連中ばかりがなりますから、そういうしっぽは出しはしないだろうと思いますけれども、それで国民の受ける印象はそういったなれなれしいといいますか、業界に深く入り過ぎると言いましょうか、そういう関係からして起ってくる通産省に対する疑惑だと思うのですが、これはもう私は、今あなたも一年ぐらいすればお払い箱になるんだとおっしゃっておられるんだから、何も民間人ですので、一年間ぐらいはやはり通産省の役人の非違もかばわなきゃならぬ立場にあると思うんですが、さりとて、そういうことの国民の通産省に向けられておる眼を私は特別にゆがめなければならない立場にはないと思うんですよ。ですから、これはもう事実でございまして、そういうことに対して、特に阿部君は一般鉱害と特別鉱害の問題について指摘してお話しされたんですが、そういうことについて、まあ福岡などの遂行中の事業に対して、世間がそういう疑惑の眼を持っておるから、特別に考慮をしなければならぬといったような特別の処置をとっておられるか、それともまた、これはひがんだ見方だろうといって、中川さんがおっしゃったように、具体的な例が出ないんだから、世間のひがんだ見方だろうというふうな見方をしておられるか、ここらはやっぱり政治をする者がいささかたりとも国民にその仕事のあり方について疑惑を持たせるということは、私はやっぱり心してそういうことのないように努めていかなきゃならないと思うのです。ですから私が、せっかく阿部君がそういう問題について御指摘になりましたので、あるかないかということは別として、そういったような疑いの目を向けられておる通産省の責任者たるあなたたちが、どういうふうな処置を講じておられるか、そこらの点をちょっとお話しをいただきたいと思います。
#80
○政府委員(中川俊思君) 先ほど私が阿部さんにお答えしましたことの意味は、今島さんのお尋ねの意味とは、実は逆なんです。私はそういう不正事件がもし通産省の中にあるとしまするならば、大臣も同様でございますが、私は一歩も仮借しないつもりです。そういう意味から、私が今阿部さんにお願いしたのはあとでも申しましたごとく、こういう公開の席上でなくてもよろしゅうございますということは、そういうことがあったら知らして下さい、そういうことは大臣が就任以来、特に私どもに対してはそういうことを強く、そうでなくとも通産省は実施官庁で、外貨の割当だとか、いろいろな綱紀の頽廃するような問題に通産省の役人は取っ組んでおるから、そういうことだけは一つ自分の在任中にないように心がけたいと思うから、特に協力してくれということを、実は大臣から私も頼まれておるわけでございます。あのお年をひっさげて通産行政に専念しておられる大臣には全く私心はございません。従ってそういうことを言われた心情に対しましても、私は非常に微力ではございまするが、よい補佐役として大臣の任期を、はなはだおこがましい話でございますが、全うせしめたいという気持を実は持っております。私が先ほど阿部さんに申しましたのは、そういうことはただ一片の評判だけを聞いて言っとるんじゃないかというような意味でなく、逆の意味で、もしそういうことがあったら知らして下さい、こういう意味で実は私は申し上げたわけでございますから、この点は誤解のないように、もし島さんがそういうふうに解釈してただいまのお話でございましたら、その点は逆でございますから、一つ誤解のないように願いたいと思います。
 それからどういうふうに考えておるかということでございますが、これはただいまも申し上げましたようなわけでございまして、通産省はそういう面に誘惑されやすい仕事が非常に多いわけでございますから、極力そういう点につきましては注意をいたしまして、私も役所に入ってみまして、一体政務次官などというものは、政務次官なんかに持ってくる書類というのは陳情書ばかりです。判をついてくれといって持ってくる書類は、ほとんど陳情書みたいなものばかりであって、どういう仕事をやっておるかというような仕事の実態は役所は持ってきない。これはいろいろ聞いてみますというと、これこれの書類は局長どまりで済むようになっておる、これこれの書類は事務次官でとまるようになっておる。省令といいますか、そういうふうになっていて、大事な、たとえば外貨の割当をどうするとか、あるいは工場の認可をどうするかというような問題は政務次官まで参りません。私はこれに非常に不満を実は持っておるのです。政務次官が役所のそういう枢要な仕事にタッチしないで、委員会へきてただすわっておって、そうして責任だけを追及されるというようなばかな話はない。このことは私は大臣にも強く申しまして、いずれの書類も、われわれが見ない書類には一つ大臣は判をついてもらっちゃ困るというくらいまで、私は先般も大臣にお話をしたくらいでございます。従って私どもの、そういう役所の、これはどこの役所でもそうだろうと思うのです。政務次官なんて大がいロボットです。それではだめなんです。そういうことでは委員会に出て責任のある答弁はできないじゃないか、従って私は書類を持って参らなくても、一体油の配給はどういうふうになっておる、外貨の割当はどういうふうになっておるかということを、常に私は関係の局課長を呼んで聞いております。従って私といたしましては、いつもそのときに感じますことは、役所の者が言うことは、新たに仕事を始めて外貨の割当をもらいたい、これをこうしてもらいたいと言えば、大がい役人の言うことは、一律にきまって申しますことは、実績がございません、実績によってやっているんだ、そこで私はいつでも言うことは、実績というのは君らが勝手に作っておるのであって、神武天皇以来あるわけではあるまい、だから新しく仕事をやろうと思う者に対しては、それが一定の資格を具備している者に対しては、外貨の割当でも何でも与えて、役所というところは国民にできるだけ公平にサービスをするところなんだから、実績々々と言って、実績の上にあぐらをかいておる既存業者だけを守っていく、保護していくというやり方は役人としてすべきではないということを、実は私は常々申しておるようなわけであります。そういうようなことを言う政務次官はいないかもしれませんが、私は先ほどから申します通り、役所というのは広範な、ことに通産省は広範な仕事をやっておる、実は私ども一年二年おってもわかりっこございますまい、わかりっこございますまいが、できるだけ熟知をして、そして委員会に出て参りましても、委員各位の御質問がございましても、それは私は存じませんというので、関係局課長だけに答弁をさしておるということは、無責任なやり方だという考えを持っておりますので、私どもといたしましては、できるだけそういうような方面にも目を通すように実はいたしておるのであります。
 従ってどういうふうに、どういう点をやっておるかという御質問でございますが、ただいま申し上げましたように、できるだけ広範な、ことに綱紀の頽廃を伴うような問題につきましては目を通すようにして、大臣を補佐していく、そして通産省にそういうことがないような措置を講じたいという気持を持って、今日まで、はなはだ微力ではございますが、やってきておるわけであります。今後もそういう趣旨に基いてやるつもりでございますから、一つできるだけまた御鞭撻御指導を願いたいと思います。
#81
○説明員(樋詰誠明君) 先ほど鉱害復旧問題で、阿部先生からも、今島先生からも述べられました鉱害ブローカー的なものがおって、せっかくの鉱害復旧用の金が、途中でつまらぬ方面に消えていくのではないかというお話がございましたので、一言だけ申し上げさせていただきます。確かにいわゆる鉱害ブローカーといった人間が一部存在することは事実でございます。われわれといたしましては、被害者が――市町村なり、あるいは被害者自身の代表なりという方が、役所の鉱害課なりあるいは鉱害復旧事業団なりに直接話を持ってこられる、あるいは炭鉱と直接交渉されるということが望ましいと思いまして、極力そういうふうに当事者同士で直接話してやれということを勧奨、指導しておるわけでありますが、中におれが口をきいてやればうまくいくと言って、被害者の方にうまく言って中に立つ人がなきにしもあらずということになっております。あるいはそれらの人々のことをおっしゃったのではないかと、こう思っておりますが、通産省の鉱害課と申しますのは、それは一応家屋関係の査定というようなことについては、測量をやりましたり、あるいはどの程度の被害だということについて調べておりますけれども、それ以外につきましては、農地は農林省、水道は建設省、それぞれのところが予算をとり、そして復旧事業団を通じて出すということをいたしておりますので、少くとも通産省に関する限り、先ほどお話しがありましたようなことは絶対ないと、こう確信いたしておるわけでございますが、いろいろの御趣旨を体しまして、今後さらによく末端の人間に至るまで自粛自戒して、いやしくもうしろ指をさされるようなことのないように厳にお互いが戒しめ合っていきたいと思っておりますので、意のあるところを一つ十分におくみ取りいただきたいと思います。
#82
○委員長(田畑金光君) それでは、本日の委員会はこれで散会いたします。
   午後三時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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