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1958/10/02 第30回国会 参議院 参議院会議録情報 第030回国会 建設委員会 第2号
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1958/10/02 第30回国会 参議院

参議院会議録情報 第030回国会 建設委員会 第2号

#1
第030回国会 建設委員会 第2号
昭和三十三年十月二日(木曜日)
   午後一時三十七分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十月一日委員小柳勇君辞任につき、そ
の補欠として坂本昭君を議長において
指名した。
本日委員杉山昌作君辞任につき、その
補欠として村上義一君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     早川 愼一君
   理事
           稲浦 鹿藏君
           岩沢 忠恭君
           田中  一君
   委員
           石井  桂君
           上林 忠次君
           西田 信一君
           前田佳都男君
           松野 孝一君
           山本 利壽君
           内村 清次君
           小酒井義男君
           重盛 壽治君
           村上 義一君
  国務大臣
   建 設 大 臣 遠藤 三郎君
  政府委員
   建設大臣官房長 柴田 達夫君
   建設省河川局長 山本 三郎君
   建設省道路局長 佐藤 寛政君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       武井  篤君
  説明員
   建設省住宅局長 鬼丸 勝之君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○建設事業並びに建設諸計画に関する
 調査の件
 (災害に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(早川愼一君) ただいまより建設委員会を開会いたします。まず委員の変更について御報告いたします。九月三十日西田隆男君が委員を辞任され、その補欠として西川彌平治君が、十月一日小柳勇君が委員を辞任され、その補欠として坂本昭君、また本日杉山昌作君が委員を辞任され、その補欠として村上義一君が委員に選任されました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(早川愼一君) それではこれより災害に関する件を議題といたします。
 まず今回の台風による災害の被害状態につきまして、建設大臣から概略の御説明をお願いいたします。
#4
○国務大臣(遠藤三郎君) 第二十二号台風につきまして先般参議院の本会議において概略の御報告を申し上げましたが、その後被害の状況も漸次判明して参りましたので、本日までにわかっております詳細につきまして、この際御報告を申し上げておきたいと存じます。予算その他の問題とも関連いたしますので、三十三年になりましてからの台風被害の概況をまず申し上げておきたいと思うのであります。
 本年の災害状況は、六月末までは被害も比較的に少く、その公共土木施設被害額は約二十八億円程度でございました。しかしながら七月以降において、各地に局地的豪雨や相次ぐ台風の来襲によりまして、相当の被害を惹起し、現在その被害報告額は、第二十二号台風を合わせまして約四百八億円に及んでおります。最近五ヵ年間のうちでは、昭和二十九年の災害に次ぐ大きな災害になっておるわけであります。この四百八億円の災害も、実は最も激甚でありました静岡の狩野川地区の災害のうち、まだ奥地の状況が判明しないものもございますので、これに、さらに被害額は漸次追加されるものと存じます。でありますが、一応、こういう数字が出て参りましたので、これは中間報告の意味でお聞き取りをいただきたいと思います。
 その被害額のおもなものは、七月二十三日の十一号台風、この被害額は大体四十億円でございました。七月下旬の局地的豪雨、これは被害額大体六十六億円、さらに八月下旬の十七号台風によりましては、被害額約五十九億円に上っております。さらに九月の二十一号台風におきましては、これは約七十七億円の被害額を示したのでございます。特に近畿以東の各県の被害が、これらの台風においては、いずれも激甚であったのでございます。この二十二号台風以前の災害にかかる被等総額は、大体三百十億円程度でありまして、このうち緊急査定の済んだものに対しましては、直轄事業、補助事業を合わせまして約十一億円の予備費をすでに支出いたしまして、その復旧に努めておる次第でございます。
 次に、今次の静岡県を中心に大災害が発生しました二十二号台風について申し上げますと、この台風は、御承知のように中心示度が八百八十ミリバール、中心附近の最大風速は七十メートルに達する最近まれに見る超大型の台風であったのでございます。非常に多量の雨を伴ったのでありまして、この台風が九月の二十六日夜半に神奈川県の江ノ島附近に上陸いたしまして、そうして東京、茨城、福島等の諸県を縦断いたしまして、三陸沖に抜けていったようなことであったのであります。このため、静岡及び関東各県のほか、福島、茨城、宮城、岩手、青森等の各県は特に甚大な被害をこうむりまして、現在までに報告があった公共土木施設の被害は、直轄河川の被害が十一億三千九百万円、補助災害の被害が八十六億八千百万円、合計で九十八億二千万円の巨額に達したような次第でございます。また建物の流失及び破壊されました建物等は約三千棟に達しております。このうち静岡県下における被害は特に激甚でございまして、ことに伊豆半島地方は壊滅的な損害を受けております。公共土木施設の被害は約四十億円に達しました。現在までに判明しておるものだけでも、死者三百九十人、行方不明者八百八十六人を数える多くの犠牲者を出しているのであります。建物の流失及び全壊約八百戸、半壊約五百戸に達する状況であります。これらの犠牲者に対しまして、心から哀悼の意を表するとともに、罹災者の方々に対しまして、深く御同情申し上げる次第でございます。
 また神奈川県下の災害につきましても、東部及び北部地方の被害が激甚でありまして、鶴見川水系のはんらんによって、国鉄及び国道の交通が途絶いたしまして、横浜市、川崎市においては約四万戸が浸水する惨状を呈したのであります。相模川、早川、狩川等についても相当の被害をこうむっております。
 東京都におきましても、すでに御承知の通りに、総雨量四百三ミリに達する集中的な降雨がありまして、このため、江東地区の低湿地帯は全面的に浸水したほか、杉並、練馬、世田谷等の一部にも浸水がありまして、その浸水家屋は、約三十三万戸に達する被害を現出したのでございます。
 以上、第二十二号台風による被害の概要でございますが、このような異常な災害の重大な事態にかんがみまして、政府は、九月二十七日、総理大臣を会長とする中央災害救助対策協議会を開きまして、関係各省をあげて、これが救済及び復旧の対策に当ることとしてきたのであります。また私も、二十七日に政府を代表して現地におもむきまして、罹災者の皆様に心からお見舞を申し上げますとともに罹災者の救済等の善後措置について、それぞれ適切な措置を講じさした次第であります。
 さらに政府は、十月一日に山口国務大臣を本部長とする災害対策本部を設けまして、救済並びに復旧の万全を期することといたしておりますが、建設省においても、九月三十日、災害復旧促進本部を設置し、公共土木施設、都市施設及び住宅に関する復旧対策の促進、及びその指導に当ることといたしております。
 また現地に対しましては、直ちに災害査定官を派遣し、復旧の指導に当らせているほか、必要に応じまして地方建設局における建設機械の派遣等、復旧の援助に当らしめるよう指示しております。
 次に、今後における復旧対策といたしましては、公共土木施設及び都市施設等の復旧については、県の準備が完了し次第、直ちに査定を行いまして、緊急復旧を必要とするものについては、すみやかに予備費の支出を行い、復旧に万全を期する方針でありますが、なお、予備費支出までの間、必要に応じ、つなぎ融資をいたしまして、応急工事に対する資金の融資に遺憾なきを期したいと思っておる次第でございます。
 次に、住宅対策について一言申し上げておきたいのでありますが、住宅金融公庫による災害復興住宅及び一般貸付のワクより災害特別貸付を行うことといたしまして、静岡方面においては、十月二日より現地に相談所を設けて、東京都内においては、九月二十七日受付を開始いたしておるのでございます。また災害公営住宅の建設については、すみやかに現地を調査の上、滅失住宅の戸数の三割程度を地方公共団体の要請に応じて国庫補助をいたしたいと考えておる次第でございます。
 以上、簡単でありますが、今年発生災害の概況と二十二号台風の被害状況、及びその対策を説明したわけでありますが、なお詳細なことにつきましては、河川局長及び住宅局長から説明をさしたいと思います。
#5
○政府委員(山本三郎君) この前お手元に差し上げてあります台風二十二号による災害の被害状況及び対策という刷りものと、きょう差し上げました三十三年公共土木施設災害概況というのがございますが、先に申し上げました資料は、二十二号の災害による被害概況でございますし、あとの分は、それ以前の災害の発生状況に相なっております。ただいま大臣から概略の御説明はございましたが、初めに二十二号による災害の状況につきまして、なお詳しく御説明申し上げたいと思います。初めに、これは御承知のことと思いますけれども、各地の降雨量がどんな程度であったかというのが、先に差し上げました刷りものの一ページに書いてございます。これでごらんになっていただきますように、三百ミリ以上の雨量の記録、これはほとんど一日足らずの間に降った雨でございますが、三百ミリ以上を記録いたしましたのは、宮城県の南部地方、それから福島県の海岸地方、それから茨城県のやはり海岸地方でございます。それから栃木県に参りましては黒磯とか日光等の北部地帯、次は埼玉県に参りまして浦和、大宮付近の比較的低地、それから秩父の荒川の上流地帯、次は東京都が御承知のように都内ほとんど全般にわたりまして四百ミリ以上の記録が出ております。次は神奈川県の北部の相模川の上流地帯でございまして、ここは多いところは五百ミリ以上の記録に相なっております。次が最も大きな静岡県の伊豆半島でございまして、湯ケ島におきましては五百十ミリ、天城山におきましてはさらに五百五十ミリ以上になっておる記録も生じております。
 このために各河川に出水があったわけでございますが、大きな川で非常なる出水を来たしたというのは、第二ページに書いてあります通り、第一番目は静岡県の沼津の付近に河口を持っておりまして、天城山から流れて参りまする狩野川でございます。この河川につきましては、至るところ破堤をいたしまして、水位等もはかったものはございますけれども、おそらく堤防が切れなかったならば、これよりずっとずっと水位等は高かったであろうというふうに推定されております。次は横浜の鶴見区を流れておりまする鶴見川でございまして、これも計画洪水を八十センチぐらい突破いたしております。これは改修をしていない上流部におきまして破堤が起りまして、横浜の鶴見区並びに川崎市におきまして四万戸以上の浸水の原因をなしておるのでございます。次は荒川でございますが、この河川も非常なる出水をいたしまして、計画にのっております水位から三十センチくらい下る程度でございまして、非常に危険なところもありましたが、水防によりまして破堤等のことはなかったのでございますが、荒川に流入いたしておりまする芝川というのがございますが、これが荒川の水が高いために水がはけない、そういう事態が発生いたしまして、埼玉県の川口市付近の浸水はこれによるものでございます。その他大きな川といたしまして相当の出水を見ましたのは、宮城県の阿武隈川、それから福島県から新潟県に流れておりまする、上流は阿賀川、下流は阿質野川でございますけれども、この河川等でございます。
 以上のような状況でございまして、公共土木の施設に被害といたしましては、直轄河川の災害といたしまして、狩野川の約四億を筆頭にいたしまして合計十一億三千九百万円の被害が報告せられております。
 それから補助の災害、都道府県あるいは市町村の復旧をいたしまする補助の災害は四ページ以下にございますが、下の方から申し上げますと、東北地方といたしましては青森県が三億八千六百万円、宮城県が一億九千五百万円、それから静岡に次ぎまして被害額の大きい福島が十六億九千八百万円、それから東京都が五億二千七百万円、神奈川県が七億八千七百万円、静岡県は補助の災害だけで三十五億五千四百万円、これに直轄を入れますと、先ほどお話のございましたように四十億円を突破するということに相なるわけでございます。
 以上現在まで報告のありました補助災害は十九都道県でございまして、八十六億八千百万円でございまして、直轄、補助を合せますと現在までのところが九十八億二千万円になっておりますけれども、先ほど大臣からお話し申し上げましたように、静岡等の災害におきましては、まだ入れないようなところがありますので、これらはさらに増額する見込みでございます。
 以上が二十二号台風の公共土木施設の被害状況でございますが、それ以前におきまする被害状況がもう一つの刷りものに書いてございます。主としてこのうちで二十一号台風以前のものにつきましては、御報告申し上げたと思いますが、二十一号台風は、直轄災害といたしまして、砂防は直轄河川が三億八千二百万円、それから二十一号の公共施設の補助災害が七ページにありますように七十三億円余りに相なっております。このうちで一番大きな被害を受けましたのは長野県でございまして、これはあとにも書いてございますが、主として千曲川の流域に属する北信地域でございます。次が新潟県でございまして、十三億一千百万円と相なっておりまして、これは主として信濃川の本流と、魚野川という信濃川の支流がございますが、その水系でございます。次は福島県でございまして、十一億五千百万円と相なっておりますが、これは主として会津地方における災害でございます。それらに引き続きまして栃木県が四億六千万円、引き続きまして青森、岩手等の三億円以上のものがございます。これらのものにつきましては、すでに緊急査定を行いまして、それぞれ処置をいたしております。二十二号台風につきましても、ひどいところにつきましては現地に査定官を派遣いたしまして、復旧工事の指導をいたさせておりますし、また県の準備の整い次第査定官を現地に派遣いたしまして、緊急査定を行い、すみやかに予備金の支出をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
 その他現地における状況を簡単に申し上げますと、静岡の狩野川付近の災害につきましては、私の方から災害の査定官並びに道路の関係の者をやりまして、道路の災害の状況を調べると同時に、現地の指導をいたさせました。現在の状況といたしましては、自衛隊の出動によりまして仮橋等もある程度できておりますし、道路の復旧も逐次進んでおります。それから狩野川の災害復旧等につきましても、現地の調査を終りまして、きょう、あすのうちには、締め切り工事に着手できるというふうな状況と相なっております。
 以上簡単でございますが、御報告を終ります。
#6
○説明員(鬼丸勝之君) 住宅復興対策につきまして簡単に補足説明を申し上げます。
 先ほど大臣の申されました被害状況の中で、住宅そのものの被害の現在まで判明いたしておりまするものは、全壊、流失合わせまして約二千戸でございます。そのほかに半壊が約千八百戸という状況でございまして、これに対しまする復興対策といたしましては、大臣が申されましたように、いわゆる公営住宅法による災害公営住宅の国庫補助事業としての建設と、それから住宅金融公庫によりまする住宅復興資金の融資というものがおもなものでございまするが、幸い公営住宅につきましては、現在これは内地分だけでございますが、約八百戸の保留がございまするので、今回の災害に伴う公営住宅の供給には支障はないものと考えております。これは現在関係地方公共団体と緊密な連絡をとりながらすみやかに建設の計画を進めていきつつある次第でございます。それから住宅金融公庫の、いわゆる住宅復興融資でございまするが、この点につきましては、すでに各位の御承知のように新築とそれから半壊程度から、まあ三割程度の壊れ方のものに対する補修と、二つの融資の道がございまするが、これに対しましては、現在公庫に十二億円の資金が用意されておりまするので、いわゆる災害復興住宅の新築と補修につきましては、今回の災害地の要望に十分沿い得るという見込みでございます。
 なおそのほかに、一般貸付の中から災害地における住宅融資の特別ワクとして、約五百戸ほど用意をいたしておりますので、この点も十分罹災者の方の要望に沿い得るというふうに考えておるのでございます。
 なおそのほかに、災害地によりましては店舗、旅館等の併用住宅が罹災された向きも相当あるかと思いますので、これらの方には、いわゆる住宅融資保険を大いに活用されまするように、この融資の手続等につきまして、指導、徹底をはかって参りたいと考えておる次第でございます。
 以上で、簡単でございますが、住宅復興対策の補足説明を終ります。
#7
○委員長(早川愼一君) これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#8
○田中一君 遠藤建設大臣から、先般本会議においても今の御報告を伺いました。ただ残念なことには当面の対策をあなたは報告するだけであって、そのよって来たった原因というもの、あるいは遠因が何であるか、そうしてたとえば査定官を派遣するに当っても、査定官はどの観点から査定をしようとするか。今日までの災害に対する対策としては、大体において原形復旧という原則に立っております。むろん最近は、それに改良を加味して、万全の策はとろうという方針になっておりますけれども、それらの根本的な、少くとも建設大臣として当然国会なりあるいは当委員会なりに報告すべき義務のあるものが欠けておったという点は、はなはだ遺憾に考えております。従ってただ現在、災害がまだ奥地等は、詳細がわからぬので、その対策は立たぬというようなことであってはならぬと思う。
 少くとも狩野川等に対しては、河川局長は十分にその細部にわたって知っておるはずでございます。従って当面、静岡の災害を伺いますが、狩野川のはんらんというものがどういう現象――現象は、大体降雨量が多かった、異常降雨量があったということによって、原因と言えば直接の原因と言えるでしょうけれども、この川を治めるという観点から、現在狩野川の治水に対して、どういう形の手を打っておったか、そうしてその原因が、こういう直接の原因として、こういう現象のもとに、この災害がきたということは、報告されておらない。従って伺いたいのは、天城山系にもとをなすところの狩野川の流域において、砂防工事が、どのような施策がなされておったか、建設大臣の所管するもの以外の農林省の所管しておるものも含めて、どういう形になっておったか。それから数年前に計画されておりましたところの狩野川の放水路、この放水路がどういう理由で今日まで完成されないでおったか、もはやわれわれの知っておる範囲では、当然もう完成しておらなければならないというように承知しておるんです。むろんその間には補償問題その他でもって、いろいろな問題があったと思いますけれども、それらの点を最初に報告していただきたいと思うのです。
 ことに建設大臣は、選挙区のことでありますから、十分にその点は御承知だと思いますので、その点は、何も金にしばられてとやかく言うんではなくして、建設大臣としての信念をもって御答弁願いたいと思います。
#9
○国務大臣(遠藤三郎君) 今回の狩野川のはんらんの原因はどこにあるかという問題について、私の見ておるところを率直に申し上げたいと思います。
 実は今回の洪水は、天城山の方面におきましては、五百ミリ以上、五百五十ミリにも達しておる。上狩野村の湯ケ島の付近におきましては約五百ミリの降雨量があったのであります。これは御承知と思いますけれども、あの川は、大体三百ミリ程度の降雨がありますと、相当の洪水になる川でございます。箱根山の方からずっと天城山系にかけて雨が降りますと、ことに北風の雨が降りますと、一本の狩野川へ集中して流れ出てくるような、そういう構造になっております。しばしば昔から洪水があったのでありますが、まあ大体三百ミリ程度の洪水が多かったのであります。ところが三百ミリ程度の洪水を予想した治水工事をやっておったのでありますが、今度の降雨量は、急遽五百ミリ以上、しかもきわめて短時間の間にこれが集中して降ったために、非常な災害になったようなわけであります。私は現地をずっと見て歩きまして、天城の本流の上流、それから各支流の上流地帯を見て歩いたのでありますが、山がたくさん崩壊をしておる、みな山腹崩壊でくずれております。崖くずれもたくさんありまして、それらの土砂が一挙に押し出たような形になっておりまして、あの修善寺橋以北の災害、ことに大見筋の災害は、明治以来経験をしたことのないような雨のためにできた災害でございます。私は修善寺へ参りまして、ある故老の話を聞いたのでありますが、伝え聞くところによりますと、徳川時代に一度大洪水があったそうでありますけれども、そのときでさえも今度の洪水ほどの大きな洪水ではなかったそうであります。徳川時代からずっと経験のないような大きな雨であった、こういうことであります。
 従ってお話のその砂防工事につきましても、どの程度の砂防工事を今までやっておりましたかは、事務当局からまた説明していただくことにいたしますが、今までの常識の治水工事では、とうてい支えられないような雨であった、これが実情だと思います。
 それから、さらに放水路の問題になりますが、長岡町の一角から放水路を作りまして、そうして口野へ通ずる計画が進んでおったのであります。これは昭和二十六年から工事を始めておりましたが、年々約一億円内外の資金を投じてやっておったのでありますけれども、確かにこの工事は、おくれておりました。これは、一方において予算の制約もあり、かたがた地元の補償問題等も、なかなか困難な問題がありまして、おくれておったのでありますが、いずれにしても、おくれておったことは事実であります。これはもう、はっきり私は、そういうことは認めます。しかしこの放水路が、もし完成しておりましたならば、韮山以北のあのはんらんの被害というものは、相当縮小することができた。今回の人命の損傷等の問題は、崖くずれからくる修善寺付近の被害でありますが、それから以南のはんらんによるところの田畑の浸水の問題、その他家屋をずっと水浸しにしたというような問題については、放水路ができておりましたならば、相当程度被害を縮小することができたと思うのであります。しかし現実の問題としては、その放水路は、過去二十六年から今日に至るまで、昭和三十三年においても一億三千万円程度の金を出して工事を進めておるのでありますが、まだできておりません。
 これは私ども、はなはだ遺憾であったと思うのでありますが、今後の対策といたしましては、まず崩壊地の、その上流部の砂防に力を入れていくことが、まず第一に必要であろう、それから下流部におきましては、放水路の完成を急ぐことが必要だと思うのであります。中流部の河川につきましては、これは堤防が大きく決壊をしております。でありますから、決壊個所の復旧をはかることはもちろんでありますが、今回の大洪水の経験にかんがみまして、決壊をしなかった部分についても、この洪水の状況とにらみ合せて、同時に総合的な、有機的な改良工事を進めていかなければならぬ、こういうふうに考えます。今査定官を現地に派遣しておりますけれども、そういう基本方針のもとに査定を進めております。
 御承知のように、災害復旧の査定そのものは、今まであった施設の復旧の問題でありますから、その査定は、そういうことで限定されて参りますけれども、今後の工事の方針としては、改良工事と復旧工事とをにらみ合せて、総合的な、有機的な河川の改修の完成をはかる、こういう方針で進める考えでございます。
#10
○田中一君 当然、もはや過去の川筋というものが、相当変っているのであるから、抜本的な対策を立てるべきだと思う。従ってそのような措置を当然とると思います。ただ大臣は、先ほど、二十九日の日に中央災害救助対策委員会、また新しく政府に災害対策本部というものを作って、山口国務大臣が本部長となって対策を練ると言っておりますけれども、われわれは、かつて昭和二十八年に内閣の中に、治山治水対策協議会というものが緒方副総理を会長として持たれたことを知っているんです。それで、なぜそういう協議会があり、その基本方針があるにかかわらず、この二つの対策委員会を作って、どの計画の線で……。五ヵ年計画でもって、実際もう災害を未然に防ごうという思想のもとに生まれたこの協議会が、現在調べてみますと、内閣において一事務官がその事務をやっている、たった一人の人間がやっているというような現状なんです。むろんこれに対するところの幹事的な役割をする方は、これは常に建設大臣がやっておったはずでございます。そこでこの治山治水対策協議会、これに対する大臣は就任以来、どういう参画をして、そうしてかつて立っておりますところの五ヵ年計画というものに乗って、今回の災害と見合いながら、何らかの会議を政府部内においてもったかどうか伺いたいと思うんです。
#11
○国務大臣(遠藤三郎君) 実は、この狩野川の改修問題につきましても、五ヵ年計画の一環として相当徹底した改修をやる考えでおります。その改修計画を進めておったやさきでありますが、今回の台風による大洪水は、全く予想されないような大洪水でありました。従って、今まで考えておりました五ヵ年計画の改修工事を、今回の洪水とにらみ合わせて再検討しなくちゃならぬじゃないかと思っております。これはわれわれが雨の降り方についての予想が足りなかったといえば、正にその足りなかったに違いないと思いますけれども、非常な予期せざる大洪水でありましたために、われわれは素直にこの洪水の実態を見て、そうしてこれに即応するような五ヵ年計画の改訂をやっていくべきである、こういう考えを持っているのであります。
 その点を一つ、御了承をいただきたいと思います。
#12
○田中一君 五ヵ年計画の改訂を考えても、実行しなければ何にもならないんです。今までですよ、政府が治山治水対策協議会で決定した事項に対して、一体どのくらいな、その計画に対しての進捗率をみているかと申しますと、五〇%になっているものは一つもございません。でありますから、どういう計画を立てようとも、実行しなければ何にもならないんです。私は今日、現存するところの治山治水対策協議会の方針をそのままのっとっていけば、こうした災害は、比較的大災害にならずして済ますことができたと思うんです。
 そこで、先ほどから伺っているところでは、要は基本的た態度として、あなたの責任において、むろん閣議に相当強い発言をしなければ、なかなかわれわれが見ておりましても、金が取れません。予算が取れません。この協議会というものを、秋は一ぺんも協議会をもったということを聞いておりません。この当時は、三回か四回基本対策要綱ができるまでは会議をもったけれども、その後、まあ昨年、一昨年等は、災害が少かったせいかもしれませんけれども、協議会を開いたことを聞いておりません。ことにあなたの所管するところの事業が、この計画を大幅に下回っております。こういう現状から見て、この際あなたはこの対策要綱を変えるなんということは二の次ですよ。この対策要綱に載っておるところの計画をまず三十四年度には遂行する、という強い決意がなければならないのです。むろん当面の狩野川の問題、その他今次の災害に起因するところの特殊な現象に対しては、その原因等を検討の上解決する必要がありますけれども、まずこの問題を解決しなきゃならないと思うのです。そこで大臣の心組みはどういう心組みを持っておるか。
#13
○国務大臣(遠藤三郎君) お話の通り治山治水事業がなかなか計画通りにいかなくて、おくれておりましたことははなはだ遺憾に思います。そのときそのときの財政の都合もあり、いろいろな事情でおくれておったに違いないと思いますが、はなはだ遺憾に思います。私は田中委員が非常に強く督励していただくことを非常にうれしく存じます。もう率直に言って非常にうれしく思う。そういう空気が国会の中で盛り上ってくるような、そういう情勢が生まれてくることを私は非常に嬉しく思うわけであります。一度大きな災害がありますと非常にわいわい騒いで大騒ぎになりますけれども、しばらくたつともう忘れていく。そうして河川の改修というものは二の次になっていくというのが今までの例でありました。しかし私は今さら釈迦に説法でありますが、河川問題というものは上流部の砂防からさらに下流部の治水工事に至るまで、堤防工事に至るまであらゆる政策の中で最も大事な政策だと思うのです。ところがのど元を過ぎれば熱さを忘れるで、すぐまた忘れてなかなか予算がつかないというのが今までの偽わらざる実情だったと思うのです。この機会に私は一つ国民的世論を起し、そうして何とかして日本の国家百年の大計を立てるために、この河川問題の徹底的な解決をしていきたい。私の全力を尽して一つやっていきたいという考えでおりますことを、一つ御了承いただきたいと思うのであります。
#14
○田中一君 はなはだ大臣の発言はおもしろくないのです。というのは、国民は災害にこりております。国民は皆この災害を未然に防ごうという努力をしているのです。政府がしないのです、政府が。国民がそういう気持をもってわれわれをつっついてくれれば、ということは言葉が過ぎます。あなた方がしないのです、今まで。むろん私は数字を持っておりますから数字を示してもいいですけれども、そんなことをしなくてもあなたは知っておるはずです。あなたがしないのです。国民は皆考えております。ことに先月のこの当委員会においても、災害の原因というものは、直接なそれを守ろうという施策としては、砂防に尽きるというような考えをもちまして、当委員会が三十四年度の予算編成に当って、砂防工事に重大な関心を持て、というような決議をしてあなたの方に出しております。結局それをどうするかの問題は、政府がいつもそれをチェックして削るのです。これが現状なのです。従ってわれわれや国民がその声を大きくしてくれればするんだ、ということはちょっと言葉が過ぎると思うのです。あなたがやりなさい。国民は要求しております。こりておるのです。
 そこで狩野川の問題は、御承知のようにあれだけの災害があり、新聞等の報道を見ますと、山が二つに割れてそこに川筋ができた、というような異常なる現象をきたしておる。これらの問題を、もしあるいは山系の中にダムを作るとか、あるいは山腹砂防をするとかすれば土砂の流失はとまります。そうすればあれほどの災害はないのではないかということが予想されます。
 そこでそういう点から見ても、全体の計画に対して、三十四年度にわたっては実際にするという強い意思をもって、ます第一に治山治水対策協議会の開催を要求して下さい、第一番に。今まで一ぺんもしたことはない。事業計画というものはここできまっておるのです。閣議決定をしておるのです。それすらあなたの方で、計画を立てた当面の大臣として、さっそく協議会を開いてくれ、こういう要求をしておらぬじゃないですか。そうして国民をだますような中央災害救助対策委員会とか、災害対策本部とか、屋上屋を架すようなものを作る必要はございません。当然のことなんです。たとえば予備金の支出とかつなぎ融資とかあるいは住宅融資等々、こんなことは今までの先例がたくさんちゃんとあることです。ことに住宅資金の融資等は法律にあるのです。これは当然しなくてはならないことです。そんなことをちょうちょうと報告する必要はございません。それよりも実際に自分の信念をもってこういうふうにするのだ。それには、主張するには主張するだけのこれだけの要綱が、すでに計画はできておるのです。急速にこの治山治水対策協議会を開くことを要求して、国民の前にはっきりとこの計画によるところの実施を行うというような決意、国民に知らしめるような決意はございますか。その会合を持とうというようなつもりはございますか。
#15
○国務大臣(遠藤三郎君) ただいま山口国務大臣を部長とする緊急の災害対策本部というものを作りまして、その災害対策本部が全責任をもって各部門にわたって検討することになっております。その対策本部のだんだんの調査の結果を見、意見を見ながら、これをどういうふうにして実現していくかという問題について、必要があれば今の協議会を開く等の措置を講じて参りたいと思います。さしあたり全責任をもって災害対策を進めております。この災害対策本部の動きを全面的に見るようにいたしまして、その結果に待って第二次的に考えて参りたいと、こういうふうに思っております。
#16
○田中一君 それでは、災害対策本部に参画している方々の名前をここでお知らせ願いたいと思います。
#17
○国務大臣(遠藤三郎君) 災害対策本部は、本部長を山口国務大臣にいたしまして、副部長に米田建設次官と石坂農林政務次官を副本部長にいたしまして、それから各部員は関係省の局長クラスをもって部員にいたしております。建設省の河川局長もその部員になりまして、現地に随時行っておりましてやるという、現地でずばずばものを解決していくという、こういう建前になっております。しかし基本問題についてはこの対策本部の意見を聞いて、内閣全体としてきめていくという、こういう建前になっておるわけであります。
#18
○田中一君 幸いそこにその部員がいるから部員に聞きますが、山本河川局長に伺いますが、あなたこの会合に随時出て、今まであなた方が今日知っておるところの知識というものを、十分に向うが受け入れて、せめてあなた方が河川行政をやっておる、まあ半分くらいまで十分に理解し、ことにあなた方の主張というものを相当強く、また価値あるような受け取り方をしておるという印象を受けておりますか。こんなものは政治的な問題ではなくて非常に具体的な問題なんで、技術的な問題なんです。遠藤大臣の部下は相当優秀な部下が局長等はおります。常にそれらの主張等はいれられないでゆがめられるのが今までの現状ですが、どういう方々が参加の仕方をしているか。大臣から伺う必要ございません、局長から。
#19
○国務大臣(遠藤三郎君) ちょっと。今の問題は局長はまだよく知らないのです、私の方がきめたんですから。それで、私のほうからかりにまず申し上げておきまして、そうして局長からお答え願いたいと思いますが、実は、副本部長を米田次官にするという考え方は、建設省の仕事が中心になって参りますから建設省にひとつやってもらうんだと、こういう意気込みからきているわけであります。明日大挙して現地へ行くことになっております。きのうできましたのですが、明日現地へ出かけて行くことになっております。それで今明日からこの問題の活動に入っていくことになっておるわけであります。そういう状況ですから、一つあくまで建設省が中心になっておることを御了承いただきたいと思います。
#20
○田中一君 私が言いたいのは、何もそんな大がかりな、新しく今度起きた災害の個々について、大ぜい大名旅行する必要ないということなんです。現にもう山本河川局長は、狩野川水域に対するところの、こういう手を打てばいいんだ、これをこうすればいいんだということを知っております。しろうとがどうにか持っている権力でものを言うよりもよく知っております。この川はこうしなきゃならないんだ、これはこうすべきものだ、よく知っておるんです。これをどのくらいまで認めた上でもって対策委員会の会議に臨んでいるかということを伺いたいんです。ただ、建設大臣は、おそらく、あなたが信頼しておるところの各省の局長ですから、おそらく局長を信頼しているでしょう。それらの諸君は、常に自分の主張というか良心的な主張がいれられないで、今日の大きな災害を招くようなもとを作っているというような現状から見て、個々の現象だけで判断すべきものじゃなくて、基本的な態度は国がきまっておるんだということをまず理解してほしいと思うんです。従って、まあこれからぼつぼつ委員会を開くんだというならば、これはまあ何をか言わん、何も言いません。
 第二に伺いたいのは、これらの本年度の災害によって何か特別な立法措置をとろうという意思があるかどうか。むろん、罹災者に対する数々の当面の対策は、これは当然なことです。当然なことをちょうちょうとわれわれの前で言う必要はございません。当然のことなんです。それよりも将来の問題に対してどうするか。当面の問題は当面の問題、将来の問題はこうするんだ、というような考え方をもって、あるいは臨時的な立法措置をとろうとするのか、恒久的な立法措置をとらなければならないという考え方に立っておられるのか、その点を伺いたいと思います。
#21
○国務大臣(遠藤三郎君) 災害の復旧の問題につきまして、ことにこの災害対策全般の問題について、特別立法をする必要ありやいないやという問題でありますが、この問題は災害の現状をもよく把握しなければなりませんし、かたがた全体の被害額としましては昭和二十九年の災害程度であるので、あの災害のときにとった態度に準じなければならぬという議論もあり、今検討中でございます。私の個人的な意見はございますけれども、これは個人的な意見を述ぶべき段階でもございませんので、十分一つ検討してこの問題についての遺憾のないようにしたい、こう思っておる次第であります。
#22
○田中一君 では今次の災害には、私は、補助事業並びに直轄事業として両方含めて四百何億の災害がある以上、当然予算の補正をしなきゃならぬと思います。補正予算は今次の臨時国会に提案するつもりで政府はおるかどうか、同時にまた、おれの所管じゃないと逃げるかもしれんが、建設大臣としては当然予算の補正を行なって当面の問題を解決しなきゃならぬ、というような強い信念を持っておるかどうか伺いたいと思います。
#23
○国務大臣(遠藤三郎君) 予算の問題でありますが、実はこの問題に関連いたしましたので、三十三年度の災害の概況を最初に申し上げたのであります。従来の災害の復旧に要する経費等を合せて参りますと、相当多額になっております。そうして率直に申し上げまして、予備金のほうももうぎりぎりになってきております。そこで私は時期はとにかくといたしまして、とにかく年度内に予算の追加をしなければこれはやって行けないと、こういうふうに私は見ております。したがって、なるべく早く補正予算を出していただきたいと思っておりますが、その補正予算を出すにつきましては、私の方から責任のある数字を出さなければなりません。その数字がまだ実はできないのでございます。といいますのは、狩野川の現地について言いましても、大見筋の災害がまだよくはっきりわかりません。狩野筋の災害についても吉奈の辺まで道路は通じましたけれども、それから先はまだヘリコプターでながめる程度でありまして、的確な災害の金額がわかりません。でありますから、そういう金額そういう災害をずっと調べまして、そうして査定官をやりまして大体の見当として間違いないという数字が出ましたならば、そのときに私は補正予算を要求する考えでおります。現在のところではまだその段階まで行っておらない、というのが事実でございます。
#24
○田中一君 それはいつごろになります。これは大臣が答弁できなければ、局長に一ぺん……。局長が知っているはずです。
#25
○国務大臣(遠藤三郎君) それじゃ局長にお願いしましょう。(重盛壽治君「関連して、局長の答弁の前に」と述ぶ)
#26
○委員長(早川愼一君) ちょっと速記をやめて。
#27
○理事(岩沢忠恭君) それじゃ速記をつけて下さい。
#28
○田中一君 締めくくりの問題だけもう一ぺん伺いますが、補正予算を、いずれ金を使い果して、予備費を使い果して、そのころになってようやく実際の調査数字が積算されると、そういうときに足りなければ補正予算を要求しよう、追加を要求しようと考えておると言いますけれども、その時期はいつごろですか。
#29
○国務大臣(遠藤三郎君) 大体緊急査定を十月一ぱいぐらいにやってしまうという目標でやっております。ですから、十月末ごろになって参りますと、予算の数字がまとまってくる、要求し得る段階になってくるだろうと思います。
#30
○田中一君 そういたしますと、大体、四十日間の会期ですから、十一月の十日ごろまであるわけですね。そうすると、本国会中に成案ができてそれを本国会中に提案するというつもりですか。
#31
○国務大臣(遠藤三郎君) その補正予算の提案の問題は、大蔵大臣の所管の問題にもなりますし、かたがたまだ内閣でも話し合いをしてありませんので、内閣で十分討議をいたしまして、そして私の意見としてはなるべく早く出していただきたい、こういうふうに進んでいくことで一つ御了承いただきたいと思います。
#32
○田中一君 なるべく早く出してほしいということは、おかしな話なんですよ。今あなたが数字的に言ったのは、十月一ぱい中には大体計数が出るだろうと言うならば、当然間に合うはずなんです。ですから、あなた自身が要求大臣として要求しなければ出せるものじゃないですよ。ことに社会党が再三再四予算を補正せよと言っておるけれども、補正は出しませんという答弁を今まで岸総理大臣はしてきておるのです。あなたが要求しなければ当然しやしませんよ。だからあなた自身は、どうしても会期中に災害に関する補正予算を通したいという気持ならば、そう率直におっしゃい。何も所管の建設大臣が大蔵大臣に遠慮することはありませんよ。国民があなた方を支持しておるのでしょう。早く災害復旧せよということを支持しておるのですから、そんなことは遠慮することはないのです。あなたの信念を言えばいいのです。
#33
○国務大臣(遠藤三郎君) 十月の末ごろになりまして数字がきまって参りましたならば、補正予算の提案をしてくれるように大蔵大臣に話をしよう、直ちにしてくれるようにしようと思っております。
#34
○田中一君 その程度のことじゃだめなんですよ。私の方で、この会期中は建設委員会ではあまり問題はありませんから、十分に災害の問題を逐次報告を受けてそうしてネジを巻きます。そうしなければあなたは、自分の選挙区ですよ、狩野川の問題は。そのくらいの熱意を持たなければお困りでしょう。
 そこで一番最初に戻りますけれども、治山治水基本対策要綱、これあなたよく知っていますね、あなた再三言っておりますから。この計画をこの計画通りに三十四年度から実行することによって、予算化することによって、特に災害は多少とも免れる一歩を踏み出すことになります。あなたの信念として、昭和二十八年に作ったこの要綱の事業を強く推進し実施していこう、というような心組みはございますか。あるならばどのような形でもって、災害を政治的に扱おうというあなた方の内部の方々の意見を押えつけて、国民の希望する事業の推進に当ろうとするか、その点の信念を披瀝してほしい。
#35
○国務大臣(遠藤三郎君) 災害の基本対策の精神を十分に取り入れ、三十四年度の予算には強硬にこれを主張して参りたいと思っております。
#36
○田中一君 もし大蔵大臣等が予算を云々言ったならば、あなたが本会議で堂々として自衛隊の礼賛をやっておりました、ああいう予算が少しでも減った方がこの仕事が伸びることなんです。こういうものをほめるよりも、あなた自身が現地へ行って、なぜ早く何にも生産しない自衛隊を減らして、災害の方に予算をつければよかった、というような良心的な反省を持たなかったのか遺憾に思います。従って予算を削減されるような形になった場合には、あなた自身が考えて、あれほどまで有能な青年が自衛隊にいるんだから、あの費用をこちらに振り向けてもらって、あの人たちを使ってもらおう、首を切った場合にはこちらで使ってやろうというお考えでなければならぬと思うのですが、その点について、防衛庁費と公共事業費との比率、あり方等についてあなたのお考え方を伺って、私はこれで質問やめますから、その点を率直に披瀝して下さい。
#37
○国務大臣(遠藤三郎君) これは非常にむずかしい質問でありまして、私としては、御意見を伺っておきます、という以上には言えないことだと思います。この問題は大蔵大臣なり総理大臣がはっきりすべきことであろうと思うのでありますが、私自身はこの問題については、自衛隊の方は日本の自衛の問題でありまして、一方は治山治水の問題であって、いずれも大事な問題であります。そこのかね合いの問題は内閣全体としてきめていく問題でありますから、私がとやかくここでえらそうに力んでみたところでどうにもならぬ。つつしんで御意見を拝聴しておきます。
#38
○田中一君 われわれは治山治水こそ国民の防衛であり、民族の防衛であるというような観点に立っておるんです。これは意見の相違です。しかしながら、あなた自身が本会議でああいう一席弁じておるから、はなはだおもしろくないのです。なるほど政党が違うとここまで国民に対するところの政策も違うのかというように考えたものですから、あえて質問したわけですけれども、これはまあ何とも言えぬでしょうから、いずれわれわれの天下になればそういうふうにやります。
#39
○重盛壽治君 さっき速記に載らなかったそうなんだが、私は載っておらなくてもかまいませんけれども、やはり先ほど来から言っておるように、問題はどう解決つけていくかということが重要な点であって、そのためには、きょうの参議院の本会議の席上においても、総理大臣も大蔵大臣も補正予算は組まぬと、あなたもお聞きになったと思うが、至急に調査をして、この辺が少しおもしろくない言葉ですが、必要とあらばそういう処置をいたします。こういうことを言っておるわけです。そこで、至急に調査をして処置を講ずる根本的な問題は、どこから出てくるかというと、やはり所管である建設省が出さなければならぬ。その至急に調査をすることを、何か別な大臣を中心とした対策委員会にゆだねるというようなことになると……、建設省の仕事として、至急に私は調査をして数字を出していただきたい。何もあなたの言うように、余っているなら、そのように補正予算を組めとは面子で言っておるわけではないのです。実際に早く気の毒な人たちを救ってやるということが第一。そうしてこれを契機として、治山治水というものはどれだけ大切なものであるか、何といいますか、これは岸内閣の政策だけでなくて、国の政治のあり方というもの、特にこういう治山治水の方にもう少し重点を置くように切りかえていくチャンスだと思う、こういうときは。そういう責任をあなたが一つ、決意だけを私は持ってもらいたい。それでやっていただければ、それはまさか数字の上まで制約はこないだろう。そういう御決意を一つ聞かしていただきたいと思います。
#40
○国務大臣(遠藤三郎君) ただいまの御意見は、非常に私どもとしてもけっこうな御意見でありまして、できるだけ早く数字を出しまして、そうしてあまりずさんな数字を出すわけに参りませんから、自信のある数字を出して、一日も早く補正予算を組むように推進をして参りたいと思います。
#41
○重盛壽治君 最後だがね。こまかいことだからこれは大臣でなくてもいいんだが、気の毒な人たちがたくさんいる。しかも死者が相当数出ておりますが、こういう方々に対する見舞金を送るというような慣例があるのかどうか。住宅を失った人とか死んだ人とかに何か例があるかどうか。関係局長かだれか知っておることがあったら教えておいてもらいたい。ただお気の毒だったと哀悼の意を表すということだけか。流れていった人、死んでいった人に対してそれだけか。それとも政府が何か見舞金でも出すのか。
#42
○政府委員(山本三郎君) ただいまのお話、政府の方から被害者の方々に見舞金を差し上げるというようなことは聞いておりません。ただ災害救助法によりまして応急的にいろいろな処置等はいたしておりますが、見舞金を差し上げるというような話は、まだ今までもやったことはないように聞いております。
#43
○重盛壽治君 県にもないんですか。また県とか地方とかそういう関係にもないんですか。知ってる人があったら……。
#44
○政府委員(山本三郎君) 詳しくは、まあ厚生省の所管でございますが、県等に国から出したというようなことも聞いておりません。
#45
○重盛壽治君 あとで時間があったら一つ調べて下さい。
#46
○政府委員(山本三郎君) はい。
#47
○理事(岩沢忠恭君) それでは本日はこれをもって散会いたします。
   午後三時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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