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1958/10/16 第30回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第030回国会 本会議 第9号
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1958/10/16 第30回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第030回国会 本会議 第9号

#1
第030回国会 本会議 第9号
昭和三十三年十月十六日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第九号
  昭和三十三年十月十六日
    午後一時開議
 一 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 岸内閣総理大臣の外電問題についての発言及びこれに対する質疑
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及びこれに対する質疑
    午後三時七分開議
#2
○議長(星島二郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(星島二郎君) この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣岸信介君。
    〔「外務大臣はどうした」「休憩休憩」と呼び、その他発言する者多し〕
#4
○議長(星島二郎君) この際暫時休憩いたします。
    午後三時二十分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時二十七分開議
#5
○議長(星島二郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
#6
○議長(星島二郎君) 内閣総理大臣岸信介君。
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
#7
○国務大臣(岸信介君) NBCのセシル・ブラウン記者が、米国に帰国するに当りまして、総理と会いたい旨の申し入れが外務省事務当局を通じてありましたので、去る九日、総理大臣官邸においてこれと面会をいたしました。質問の内容は、憲法改正問題、安保条約改定問題、核武装問題、台湾海峡問題、日中貿易問題、東南アジア開発問題等に及んだのでありますが、新聞に報道せられておりますところは、私がブラウン記者に答えた内容とは相異なっていると思いますので、この際、私のブラウン記者に対して話しました内容をここで申し述べたいと存じます。
 まず、憲法改正問題については、この問題は日本にとってきわめて重大な問題であるから、慎重に検討するため憲法調査会を設けて、有識者を集めて審議している次第である、私は、公知の通り、憲法改正論者であるが、改正には衆参両院の三分の二以上の賛成及び国民の過半数の同意を必要とするものであるから、改正の実現まで相当の時日を要するのは当然である旨説明したのであります。(拍手)その際、ブラウン記者が、改正問題には第九条も含まれるかという質問をいたしましたので、私は、第九条も含めて検討する旨を答えたのであります。(拍手)
 安保条約改定については、昨年のアイゼンハワー大統領と私との会談に引き続き、先般、藤山・ダレス会談において話し合いがありました。それは現在は条約成立当時とは事情も異なってきておりますので、各般の事情を考慮し、日本の自主的な立場、相互の対等な立場から、また、相互の信頼と理解の上に立った協力の原則に従って条約の再検討を行うことを話し合ったものでありまして、日本国憲法の制約の範囲内でこの問題を取り上げるべきことは当然であって、海外派兵が現在の憲法のもとにおいて許されていないことは明らかであり、日米相互の協力と申しても、憲法の制約の範囲内で考えていかなければならないという趣旨のことを説明いたしたのであります。(拍手)特に、御承知の通り、憲法改正の問題は、今回の安保条約改定問題の起る以前から検討している問題であって、安保条約の改定とは直接に関係はない点を指摘いたしたのであります。(拍手)
 核兵器による武装の問題については、日本において、思想や政治的立場のいかんを問わず、これに反対する空気が非常に強く、政府としても、すでに国会を通じてしばしば声明した通り、核武装はしない、核兵器の持ち込みはこれを認めないという方針を一貫しており、この際、この立場をさらに明確にいたしたい旨を説明いたしました。(拍手)
 台湾海峡問題につきまして、現在の紛争が一日も早く平和的に解決することを希望するものであって、武力によって問題を解決しようとすることは適当でない、あくまで当事者間の話し合いにより平和的に解決を望むものであって、この問題を内政問題であるといっただけでは問題は解決しない、関係当事者の話し合いが必要であるという意味において、国際的に関連のある問題であるということを申したのであります。
 中共と日本との関係について、貿易を拡大したいというのは日本国民の願望であって、政府もその政策を一貫しておりますが、中共側の言っておるように、貿易拡大の代償として、政治的な関係を今直ちに中共と結ぶということは考えていない、わが国はすでは国民政府との間に平和条約を結んでおり、その関係を調整することなく中共を承認することはできない、のみならず、朝鮮問題に関連して、国連において侵略国であるとの決議が存しておる限り、国連の一員としては、その決議を尊重するのは当然であるから、これらすべての関係を整理することなく中共との関係を正常化することは日本としてはできないということを述べたのであります。(拍手)
 最後に、東南アジア開発の問題については、日米、特にアメリカが東南アジア開発に努力する必要があることを強調いたしたのであります。
 なお、念のために申し添えておきますが、この会談は従来の例の通り、事前に質問事項の提示を受けてはおりません。また、これも従来の例でありますが、当方の通訳をつけて話したものであり、一部に伝えられているように、この会談を録音したというような事実はございません。
 以上申し述べた通りの次第でありまして、新聞の報道するところは私の真意を十分に伝えておらず、誤解を生じているやに思われますので、ここに対談の内容を御説明申し上げて、この点を明瞭にいたしたいと存じた次第であ判ります。(拍手)
     ――――◇―――――
#8
○議長(星島二郎君) ただいまの発言に対して、質疑の通告があります。これを許します。成田知巳君。
    〔成田知巳君登壇]
#9
○成田知巳君 私は、日本社会党を代表いたしまして、今全国民に異常な衝撃を与えておる岸総理とNBCブラウン記者との会談内容、すなわち、憲法改正、海外派兵、核武装、中国不承認に関する総理のただいまの発言について質問いたしたいと存じます。(拍手)
 質問に入る前に、総理に申し上げたいことがございます。以下、私の問わんとするところは、単に私たち社会党がただしたいというだけではございません。全国民が総理の口から事実を率直に聞きたいと深刻な関心を払っている問題でございますから、従来の総理答弁のごとく、言葉のあやで問題の所在をそらすことなく、率直かつ真摯な答弁をされて、国民の前に事実を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
 新聞報道を通じて会談の内容が発表されるや、自民党の内部でも、そつのない岸総理にしては、あまりにも軽率な発言をしたものだと、困惑の色を浮べておられた。(拍手)しかし、私たちは、これは総理の単なるケアレス・ミステークとは考えておりません。総理今回の発言こそは、総理の骨の髄までしみ込んでいる軍国主義者たる本性を暴露したものでございます。(拍手)総理は、従来、しばしば、過去の軍国主義者としての行動を反省して、民主主義者として政治活動をすると国民に約束をしてこられましたが、われわれは、この総理の態度こそは、羊の皮をかぶったオオカミの態度だと考え、国民に指摘して参ったのでございます。(拍手)現在紛争を続けている警察官職務執行法の改正案の強引な提案といい、今回の発言といい、今や、総理は、国民の前に羊の皮をかなぐり捨てて、オオカミの本体を現わしておどりかかっているということであります。(拍手)総理は、かつて戦犯として国民の被告でありましたが、十三年たった今日、今や、国民を被告として、みずからを原告として臨まんとしておるものであります。(拍手)
 私たちの予想しました通り、総理のただいまの御報告では、ブラウン記者との会談内容をほとんど全面的に否定されておりますが、以下、総理に順次お尋ねしたいと思います。
 総理の日本新聞記者への否定の談話に対しましては、御承知のように、ニューヨーク発十五日のUPIによれば、当のブラウン記者は、次のように言っております。「総理は憲法第九条を廃棄する」――改正ではございません。「廃棄する時期がきたと私に語った。」憲法第九条を廃棄する時期がきたと語った。今、総理は、憲法改正ということを言われました。しかし、ブラウン記者は廃棄すると言っておる。そうして、言葉を続けて、「同首相は即座に、日本当局のだれもがかってあえて言わなかったことを公けに述べた。彼は自己の政治的運命を賭してはっきりと言明したのである。」こう言っております。(拍手)総理は、これでも依然として第九条廃棄の発言を否定されるかどうか、明確に承わりたいのであります。(拍手)
 今、総理は、みずからの発言内容を否定して、「私は従来から憲法改正論者であるが、海外派兵のために憲法を改正するなどと考えたこともないし、言った覚えもない。」と言っておられます。政府、自民党その他の憲法改正論者の歪曲した憲法解釈でも、憲法第九条が現存する以上、海外派兵を認めることができないことは、御承知の通りであります。(拍手)そこで、自由民主党の諸君はこぼしておられる。現に、自衛のための再軍備は可能なりとの憲法解釈のもとで本格的再軍備を進めつつある政府が、第九条を廃棄し、あるいは改正する必要を認めるとするならば、海外派兵を可能にするという以外には、その根拠はないはずであります。(拍手)第九条を廃棄、改正するということは、海外派兵のためであることは当然であります。岸総理の言葉をかりれば、雨の日は天気が悪い、両岸の岸がこちらを向けば、向う岸はあちらを向くというのと同じでありまして、憲法第九条の廃棄、改正と海外派兵は必然的な関係がございます。(拍手)もし、総理にして海外派兵のためでないと言われるならば、海外派兵以外に憲法第九条を廃棄あるいは改正する理由をどこに求めておられるのか、明確に承わりたいのであります。(拍手)
 総理は、ブラウン記者に対して、「日本は自由世界を防衛する戦いで完全な役割を果す用意がなければならない。日本は台湾と南鮮が共産主義者に奪取されるのを防ぐために、あらゆる可能なことをやる用意がある。」と言っておられるのであります。この「あらゆる可能なこと」とは一体何でございますか。現在進められておる安保条約改正交渉にも見られるがごとく、米国と韓国、米国と台湾の相互援助条約と同様な条約を締結して、アメリカを媒介とした、SEATOに類する事実上のNEATO体制を築き上げんとすることは当然でありまして、総理の見解をここに明らかにしていただきたいと思います。(拍手)多分、総理は、その事実を否定されるでありましょう。そんなことはないと言われるでありましょう。では、お尋ねいたしますが、台湾と南鮮が共産主義者に奪取されるのを防ぐためにあらゆる可能な方法をとる用意があるという、その用意とは一体何か、具体的に事実をあげてお示し願いたい。(拍手)
 次にお尋ねしたいことは、中華人民共和国に関する総理の発言であります。総理は、憲法改正問題については種々牽強付会な弁明を試みておられますが、不思議なことには、記者団との会見におきましても、中国問題に関する発言は一向に否定されておりません。総理は、日本と中国間の憂うべき現在の事態について、何らの打開方策を講ずることなく、積極的静観という、われわれ日本人には理解できない言葉を弄して、現在を糊塗しておるのであります。(拍手)しかし、今回の総理発言によりますと、「中共は朝鮮とヴェトナムでの侵略者であり、現在は金門、馬祖での侵略者である。日本は武力を国策の具とする国を承認しない。」と言い、中華人民共和国を侵略者と断定いたしております。さらに、総理は言葉を続けて、「私は中共を憎み、非難する。」すなわち、「アイ・コンデム・レッド・チャイナ」「私は中共を憎み、非難する。」とさえ言っておられるのであります。あなたの御記憶にあると思います。口で善隣友好を唱えながら、中華人民共和国を敵視し、日中両国間の友好を根底から破壊せんとするものであります。積極的静観ではなくして、積極的攻撃、破壊の態度であります。(拍手)新中国に対する明らかなる挑戦であります。総理は、この重大な言葉を取り消される意思はございませんか。真に、言うごとく、善隣友好をこいねがうならば、この際、発言をまず取り消されることが日本国首相としてのとるべき態度と考えるが、総理の所見を承わりたいと思います。(拍手)
 また、総理は、「台湾情勢は、内戦ではなくして、共産主義侵略に対する国際的戦いである。」と言っておられる。今の総理の御説明にもありましたし、また、総理が従来言っておられたことは、少くとも、今まで、総理は、公式的には二つの中国という考え方を否定してこられたはずであります。今までの政府の考え方は、二つの中国を否定されたはずである。ただ、その際でも、二つの中国を否定しながらも、台湾情勢は、今総理が言われましたように、同時に国際的紛争の性格を帯びておると主張いたしまして、米国の侵略政策を合理化し、是認してきたのであります。(拍手)しかるに、今回の発言では、明らかに内戦であることを否定しておられます。記憶を呼び起していただきたいと思います。総理は内戦であることを否定しておる。このことは、明らかに従来の態度を変更して、二つの中国を認める立場をとられたものと思うが、総理の見解を承わりたいと思います。(拍手)
 次にお伺いいたしたい。総理は、従来、自衛隊の核武装、米軍の核兵器持ち込みは認めない態度を繰り返し表明されてきました。今もそう言われた。ところが、今回の会談で、総理は次のように言っておる。「日本人は核兵器を持つことに感情的に反対し、それに強い憎悪の念を抱いている。日本人は原爆の洗礼を受けているので、共産主義より核兵器の方をおそれている。われわれは共産主義が日本に侵入することに対し強く警戒しなければならぬ。」と言っておられます。このことは、総理は、国民の核兵器反対は感情的なものとして、簡単に片づけておられます。これは、まさに、平和をこいねがう全国民を侮辱するものでございます。(拍手)核兵器反対を感情的と片づけ、一方では、共産主義の侵入に対する警戒は必要であるという、この総理の考え方こそは、核武装、核兵器持ち込みの用意があることを言外に示したものであります。総理は、ブラウン記者との会談におきまして、「樺太はソ連に占拠されておる。北鮮も共産主義勢力下にある。」と言っている。従って、総理の見解によれば、共産主義の侵略は――一衣帯水、指呼の間にある樺太、北鮮は共産主義の侵略下にあるというわけであります。とすれば、日本は共産主義に侵略される危険が切迫している、あるいはすでに間接侵略の形で侵略されているという認定のもとに、核武装、核兵器の持ち込みもやむを得ぬということになると思うが、総理はいかなる場合でも絶対に核武装、核兵器持ち込みはしないと国民に誓えるかどうか、承わりたい。(拍手)
 最後に申し上げたいことは、伝えられる報道が事実とするならば、総理の発言は、従来の国会答弁をまっこうから否定するものであります。総理の言うがごとく、ブラウン記者の報道に誤まりありとするならば、当然政府はブラウン記者に対し取り消しを要求して国民の疑惑を一掃することが総理の責任と考えるのでありますが、果して取り消し要求をされるかどうか御所見を承わりまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)
    [国務大臣岸信介君登壇〕
#10
○国務大臣(岸信介君) 成田議員の御質問にお答えをします。
 成田議員は、ことごとくセシル・ブラウンの言としてこちらへUP及びAPを通じてなされたことを前提として、いろいろ御質問になりました。これに関しましては、私、先刻、責任を持って、私とセシル・ブラウン君の会談の内容を明瞭に申し上げております。(拍手)従って、私の申し上げました事実に基いての御質問に対しましては、私は、はっきりとお答えを申し上げますが、セシル・ブラウン君の言として報道されておることを事実として、それを前提としての御質問には、先ほどの私の説明でもって御了承を願いたいと思います。(拍手)ただ、数点に関して、ブラウン記者と私との会談内容いかんにかかわらず、私の意見を確かめられておる点がございますから、これに対しましては、私の所信を率直に申し上げておきます。
 第一は、憲法改正の問題でございます。私が憲法改正論者であることは御承知の通りでありまして、私は、今日、日本の現在の憲法を全面的に再検討すべき時期であると思っております。(拍手)この意味において、憲法調査会の審議に待ってその結論を得たいというのが私の考えでございます。その規定の中には、もちろん憲法全体でございますから、憲法九条も含めて、私はこれを検討するつもりでございます。しこうして、憲法九条を廃棄するとか、あるいは海外出兵をするためにこれを改正するとかいうような具体的の考えは、私は、この調査会の審議によってすべてその結論を得べきものであると考えております。
 第二に、韓国、台湾に対して、何か、これの共産化を防ぐために必要な用意と、こちらが何かやるというような御議論がございましたが、これは全然私はそういう考えを持っておりません。ただ、日本の治安の意味から、われわれは、あるいは社会党の諸君と意見を異にするところがあるかもしれませんが、日本を共産化するということに対しましては、私どもは強く反対をいたしております。(拍手)その意味において、日本の共産主義化には絶対的に反対であります。その意味においては、日本を取り巻くところの朝鮮半島やその他の方面からする日本の共産化に対する間接侵略に対しましては、常時十分の意を用いてこれを防衛しなければならぬと考えております。(拍手)ただ、問題は、核兵器によってそれを考えておるのではないかという御質問でございますが、そういうことは私考えておりませんので、しばしば言明をいたしました通り、日本を核武装しない、また、核兵器の持ち込みはこれを認めないということを明瞭に申し上げておりまして、その考えを少しも変えておらないのでございます。
 それから、核兵器に対して国民が感情的に云々ということを言われましたが、国民感情というものは、単純に、いわゆる感情的なという意味の、一時激してどうということではございません。いわゆる国民感情として、日本の人は、思想や政治的立場を越えて、原水爆に対する一つの強い反対を持っておるのだということは、私は一貫して持っておるのでありまして、私が核兵器でもって武装しない、核兵器の持ち込みをしないということにつきましては、こうした国民感情というものを十分に尊重しておるということを申したわけであります。また、そういうふうに考えております。(拍手)
 中国との関係につきましては、しばしばこれまた申し上げた通り、また、私が先ほど説明いたしました通り、従来国会で私が意見を申し述べておるところと少しも変ったところはないので為ります。台湾海峡の問題は、単に国内問題であるというだけでは解決できない。現に、この問題を解決するために、ワルシャワで中国とアメリカとの間に会談が行われておることは、御承知の通りであります。しかして、これによって何らが解決が平和的に見出されることを望むということを、かねて国会においても声明をいたしております。こういう意味において、私は、やはり、国際問題に関係のある、国際的の関係を無視するわけにはいかぬということを申しておるのでありまして、これをもって直ちに二つの中国を認める云々というふうなことは、私は考えておらないのであります。(拍手)今のワルシャワ会談に見ましても、これが国際的の問題に関連のある問題だということは、きわめて明瞭であると思います。
 以上をもってお答えといたします。(拍手)
    〔「答弁が漏れておる」「再質問だ」と呼び、その他発言する者多し〕
#11
○議長(星島二郎君) 成田知巳君から再質疑の申し出がありますが、約束の時間がごくわずかでありますから、ごく簡単にお願いします。
    〔成田知巳君登壇〕
#12
○成田知巳君 ただいまの総理の御答弁では、私の質問に対する答弁に全然なっておりません。たとえば、憲法第九条を廃棄すると総理が言っております。廃棄すると言ったことがあるかないか。また、内戦でないと言っておる。(発言する者多し)こういう問題について質問したのでありますが、総理の御見解では、私は単に記者、新聞報道のみを根拠にしてやっておる、(発言する者多し)こう言われるのであります。私が質問しておるのは、きょう、政府自身が非常に重要な参考資料としておりますところの、アメリカからきたブラウン記者のフルテキストに根拠を置いて質問いたしておるのであります。単なる新聞記事報道ではございません。(発言する者多し)従って、もし、私の質問に対して事実相違というならば、NBCのこのテキストを事実上否定されたことになります。当然取り消し要求をされるのが政府の責任であると考えるのでありますが、取り消し要求をされるかどうか、この点を明快に御答弁願いたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
#13
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 実は、こちらへ報道されておるのは、放送されたやに伝えられておりますが、私の承知しておるところにおいては、セシル・ブラウン君がこれを録音して、いまだ放送されておらないということであります。しこうして、私の方では、そのセシル・ブラウン君の吹き込んだという録音のフル・テキストその他の資料を今取り寄せております。そうして、それを十分検討した上において善処するつもりでありまして、今私が会談の内容としてここで責任を持って申し上げたことが事実でありますから、これに基いて善処するつもりでございます。(拍手)
#14
○議長(星島二郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#15
○議長(星島二郎君) 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。国務大臣青木正君。
    〔国務大臣青木正君登壇]
#16
○国務大臣(青木正君) 公職選挙法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近における選挙の実施状況にかんがみ、立候補の手続及び要件に所要の改正を加えること、政党その他の政治団体の選挙における政治活動の規制を合理化すること、その他選挙の管理執行に関する規定を整備することの三点を骨子として、公職選挙法に所要の改正を加えようとするものであります。
 まず第一に、立候補の手続及び要件に関する改正であります。
 御承知のように、現行法におきましては、郵便を利用して立候補の届出をすることも不可能ではないのでありますが、このような届出は確実、迅速を旨とする立候補の手続としては適当でないと考えられますので、今回の改正案におきましては、立候補の届出は本人または代人が直接選挙長のもとに提出すべきものといたしたのであります。
 また、最近における選挙の実情を見ますのに、町村長の選挙におきましても、いわゆる泡沫候補と称せられるような立候補者がしばしば見受けられますので、この際、町村長の選挙について新たに供託の制度を設けることにいたしますとともに、既存の供託制度につきましては、その金額をおおむね二倍程度に引き上げることといたしたのであります。
 次に、現行法におきましては、都道府県知事及び市町村長は、任期満了による選挙に限り、在職のまま立候補することが認められているのでありますが、このような独任制の執行機関の職にある者が在職のまま立候補いたしますと、公務の執行と選挙運動との区別があいまいになり、弊害も認められますので、選挙運動の公明をはかる見地から、これを禁止することといたしたのであります。
 改正の第二点は、政党その他の政治団体の選挙における政治活動の規制の合理化に関するものであります。
 現行法上、政党その地の政治団体が、選挙運動の期間中及び選挙の当日、特定の政治活動をすることができる資格を取得するためには、一定数以上の所属候補者を有することが必要とされておりますが、その所属候補者の意義について法律上明確を欠いておりますため、政治活動の規制の取扱いにつき妥当を欠く点があったように思われるのであります。そこで、この点について明確な規定を設けるとともに、都道府県知事及び市長の選挙においては、無所属として立候補し、特定の政党その他の政治団体の推薦を受ける場合が多いので、そのような選挙の実態に着目して、推薦候補者を有する政党その他の政治団体についても一定の条件のもとに政治活動の特例を認めることといたしたのであります。
 なお、衆議院議員の総選挙における政治活動用ポスターの掲示につきましては、政談演説会と同じように、所属候補者を有する選挙区に限りこれを認めることといたした次第であります。
 改正の第三点は、その他選挙の管理執行の合理化に関するものでありまして、その一は、基本選挙人名簿の語勢期限を十一月十日、確定期日を十二月三十日といたしまして、選挙人名簿超調製事務のために十分な時間的余裕を与えるとともに、名簿登録資格の年令を暦年と一致せしめることにより名簿調製の完璧を期することといたしたのであります。
 その二は、衆議院議員及び参議院議員の選挙においては、選挙人が、選挙人名簿調製後、他市町村へ住所を移しても選挙権は失わないので、これらの者に不在者投票を認めて、投票の便宜をはかることといたしました。
 その三は、開票立会人及び選挙立会人となるべき者の届出について、届出の便宜と的確とを期するため、市町村の選挙管理委員会に届け出ることにいたしたのであります。
 その四は、市町村長の選挙が行われる場合に、これと同時に行われる市町村の議会の議員の再選挙または補欠選挙は、当該選挙の執行に必要な準備期間を確保できるものに限り義務づけることにいたすとともに、選挙執行の手続としては、必ず同時選挙の手続によって行うことにいたしました。
 そのほか、附則におきまして、ただいま申し上げました公職選挙法の一部改正に伴い、関係法律の規定の整備を行うことにいたしたのであります。
 以上が公職選挙法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
#17
○議長(星島二郎君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告があります。これを許します。森三樹二君。
    〔森三樹二君登壇〕
#18
○森三樹二君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になりました政府提案にかかわる公職選挙法の一部改正案に対し、その反動的性格を反駁しつつ、以下、数点につき、岸総理並びに関係国務大臣に対し質疑を行わんとするものであります。(拍手)
 御承知のごとく、選挙法は政党間において公正に選挙を争うルールでありまして、党利党略に片寄った勝手きわまるものであることは、とうてい許さるべきではないのであります。しかるに、政府は、従来、しばしば、選挙の直前に党利党略的改正を加えて、このルールを破壊してきたのであります。今回政府が提案した公職選挙法の改正案も、明春の各種選挙を保守党に有利にせんとする露骨な現われであり、われわれは断固として反対するものであります。(拍手)
 今回の改正案に対する反対の主要点につきましては、第一点として、衆参議員、都道府県会議員並びに知事、市長等の選挙に関して、供託金の引き上げと、町村長の選挙についても供託金制度を創設せんとするものであり、第二点としては、政党その他の政治団体の選挙運動期間中も、政治活動につき自動車の使用、ポスター、ビラの頒布等に対する制限を加える等、いずれも民主政治の確立に逆行する不当なる内容を有するものであります。
 改正案の内容は、現行法において、衆議院議員並びに参議院議員の地方区の選挙に際しては、供託金を現行の十万円を倍額の二十万円に、全国区参議院議員につきましては、現行の二十万円を三十万円に、都道府県会議員並びに知事、さらに市議会議員、市長等につきましても、現行の二倍ないし五倍に引き上げ、また、従来供託制度を適用しなかった町村長については、一律に二万円の供託金制度を新設せんとするものであります。
 選挙に関する供託金の目的、いわゆる泡沫候補の乱立を防ぎ、選挙の公正を期するにあるといわれております。理想といたしましては、憲法第四十四粂の精神にのっとり、国民平等の権利に基き、供託金の制限をなくして自由に立候補できることが望ましいのであります。外国の立法例について見るならば、英米仏におきましては若干の供託金の制度を認めているのでありますが、ドイツ、イタリア等につきましては供託金の制度を採用していないのであります。従って、供託金制度はできる限り制限すべきであり、行き過ぎがあってはならないのであります。現行供託金額は昭和二十七年に改正されましたが、その後特別なる経済的事情の変化もなきにかかわらず、一挙に二倍、三倍、四倍、ことに指定都市の市議会議員のごときは一挙に一万円が五倍、このように引き上げられております。
 民主憲法が施行されて以来十二年、戦後七回衆議院議員の総選挙が行われましたが、その候補者数は、国民の良識による判定に基き、自然淘汰が行われております。すなわち、衆議院議員選挙につきまして、昭和二十一年の立候補者総数二千七百七十名が、昭和二十四年にはその半数の一千三百六十四名となり、その後漸次減少いたしまして、昭和三十年には一千十七名となり、本年五月の総選挙に、わずか九百五十三名となっております。昭和三十一年に比較すれば、わずか三分の一に減少しておるのであります。次に、参議院議員立候補者の数につきましても、昭和二十三年には全国区と地方区とを合せて五百七十七名でありましたが、最近の昭和三十一年には三百四十一名と減少しております。また、都道府県会議員、知事、市町村長につきましても、概略、衆参議員の候補者の減少と同じ比率によって毎回著しい減少を来たしております。以上の実情は、政党の発達と、公認制度の確立と、国民の良識による判断によるものと考えるのであります。従いまして、供託金の制度はほとんど無意味に近くなったと言っても過言ではないのであります。
 結局、改正案のねらいは、供託金を大幅に引き上げ、国民平等の被選挙権を貧富の差によって区別し、保守的金権候補を有利にせんとする悪らつきわまる改正といわなければならないのであります。(拍手)政府もおそらく明快な答弁はできないと考えるのでありますが、岸総理並びに青木自治庁長官の誠意ある答弁を要求するものであります。
 次にお尋ねしたいのは、現行法においては、選挙運動期間中の政党及び政治団体の政治活動におきまして、その所属の当該政党その他の政治団体につきいずれかを選択して、自由にその政党あるいは政治団体が政治活動ができたのでありますが、改正法によれば、立候補届に記載したただ一つの政党あるいは政治団体の候補者としてのみ、当該政党あるいは政治団体に限って政治活動が可能であることに制限したのであります。この改正によって、政党及び政治団体の選挙運動期間中の演説会の回数、自動車の使用、ポスター、ビラ等の頒布、これらの政治活動の制限を強化して、小政党あるいは民主的諸団体並びに労働組合等に従来わずかに認められておりました間接的選挙運動の自由をも剥奪しようとしておるのであります。これは明らかに革新政党の躍進を阻止せんとする政府並びに与党の陰謀と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)国民すべてに平等に保障されるべき選挙の自由を剥奪する憲法違反の改悪であります。われわれは、むしろ、現行法における政党及び政治団体の活動の制限を緩和すべきであると考えるのでありますが、これに対する明確なる答弁を要求するものであります。
 今日、選挙法の改正を検討するならば、今春行われた総選挙における未曽有の莫大なる買収、供応、その他、政府のおひざ元において、航空機よりビラを散布して、しかも、そのビラを十万枚もこの東京の上空から散布した悪質きわまる選挙運動に対しまして、警視庁は全くこれを検挙することなく黙殺しておるのであります。かくのごとき悪質なるものの取締りもなさなかったところに、われわれは現在の岸政権の大きな責任を追及せざるを得ないのであります。選挙運動のこれらの取締りの強化こそ最大の急務であると考えるのであります。従いまして、買収、供応その他の悪質なる違反に伴う連座制による当選無効と公民権の停止を強化すべきであると考えておりますが、これに対する御所見を承わりたいのであります。(拍手)
 また、選挙運動費の公正を期すべく、政治資金についてその寄付の制限等を行うため、選挙法と車の両輪をなす政治資金規正法の改正こそ民主政治の根幹をなすものでありまして、単に選挙法の改正だけでは片手落ちであります。何ゆえに政治資金規正法の改正案を同時に提出しなかったのでありますか。岸総理の一枚看板である汚職、疑獄のない明朗な政治は、最近総理は口にされませんが、いつその看板を引きおろしたのであるか、お尋ねをしたいのであります。(拍手)
 なお、事前運動の取締りにつきお伺いをいたします。過般の総選挙につきましても、昨年秋以来、相当活発なる事前運動が行われ、悪質なる買収、供応は、当時、われわれが、政府当局に対し、その取締りをしばしば要求したのであります。しかるに、政府は、これが取締りを怠慢にして、多数の悪質違反が続出したことは、まことに遺憾にたえないところであります。
 去る七月八日の衆議院法務委員会におきまして、自民党の反主流派の委員は、率直大胆なる次の質問を出しております。この質問は岸総理の選挙区の問題でありまするから、特に総理はよくお聞きを願いたいと思います。(拍手)
 すなわち、速記録によりますと、「今度の選挙で、総理と佐藤榮作氏の違反が一件もない。山口県の警察本部長は近く栄転するであろう。」という記事について質問をいたしております。次に、「吉田、鳩山内閣の手で行われた過去三回の選挙に比べて、今度やられた選挙ほど金に汚された選挙はないとしみじみ感じたのであります。」と述べております。次に、その当該委員は「山口では「岸首相のおひざ元だが、保守陣営の事前運動は活発、二区では」すなわち二区は岸総理の選挙区でありますが、この二区では「講演会の人集めに「明治天皇と日露大戦争」の映画を持ち回っており、一区では、地盤固めのおみやげ戦術にパーカーの万年筆から皮バンド、「これでかけ回ってウンと運動して下さい……」というわけでもあるまいが、スクータ―を贈った話も伝わっている。「婦人層への工作も激しく、外国人形の贈物から、はては牛肉を配ったうわさも流れている。」こういう記事を見まして、これはいかぬと思って私が調査をした、その資料を今から御披露申し上げます。」と述べたのであります。(拍手)これに対しまして、自民党の委員長は盛んにこれを制止いたしまして、その点は、速記録は棒線で抹殺されております、しかも、その次の文句には、「選挙区の全市町村にわたって行なったものであり、岸総理の東南アジア訪問の記録映画……。」ここまでで、以下抹殺されてありますが、ここで自民党の委員長から「個人々々の事実をあげてここで御質問なさることは遠慮していただきたい」という制限が加えられました。しかしながら、その某委員は、勇敢にもさらに質問を続けまして、「しかも、入場料は無料で、ところによって、その司会者が、某君を全国最高点で当選させて下さいとあいさつしたとも伝えられておる。また、村のすみずみまで某候補の記録映画のポスターを張りめぐらしておる。終りころには「日露戦争と明治天皇」の映画を「湯島の白梅」に変えて、そうして外遊映画とともに上映して、観衆は少くとも十万をこえただろうとうわさされておる。劇場で百円で見るものをただで見せたら、少くとも一千万円ばらまかれたことになる。これほど大胆な事前運動が他にあるか。それを取り締る意思があるのかないのかということを愛知大臣にお伺いします。」と当該委員は質問しております。これは明らかに当時の事前運動を率直に述べたものと思うのでありますが、さらに某委員は質問を続けまして、「さらに山口市の山水園で、陛下のお泊りになったお部屋で、陛下のお使いになった茶道具で、県下の有力婦人を招いてお茶の供応をしている。これはれっきとした事実で、新聞にも出ていますから……。それは事前運動の部類に入るのかどうか、それをはっきりしてもらいたい。」「陛下の名前を利用して、候補者の夫人みずからが出てよろしくと言ったら、それが事前運動にならないんですか。ならないのですか、あなたの解釈では。」と質問しております。(拍手)
 以上、私は速記録の内容を原文のまま述べた次第であります。これに対し、岸総理はいかなるところのお考えを持っておられるか、率直なる御答弁を願いたいと思うのであります。(拍手)
 今や、明春の参議院、知事、都道府県会議員、市町村長等の各種の選挙が行われるに当って、事前運動はきわめて熾烈をきわめております。すなわち、選挙運動は、御承知のごとく、選挙法第百二十九条の規定により、すなわち、各選挙につき、公職の候補者の届出のあった日から当該選挙の期日の前日まででなければ選挙運動をすることができないと明定されております。総理は、事前運動の取締りにつき、いかなるお考えを持っておるのか、私は、ここに明確なる御答弁を要求する。
 特に、総理は、今夏、北海道各地において、明春の知事選挙に当り、自国党の予定候補者とともに活発なる事前運動を展開されております。すなわち、みずからも言論において特定の予定候補者の氏名を紹介し、会場に集まった数千の群衆に対して、その特定の候補者の名前をあげて支援を求めていたのであります。これはまことに許しがたい明確な事前運動であって、撰挙法を無視した暴挙といわざるを得ないのであります。(拍手)総理は、その非を率直に認めて、今後かかる違反行為のないことを要求するものであるが、これに対する御所見を率直にお尋ねしたいのであります。
 岸総理は、東条内閣の閣僚として、かの翼賛推薦選挙を推進し、みずから民主政治を破壊した人物であり、さらに一昨年は、自民党の幹事長として、党利党略のため、かのゲリマンダーの小選挙区制を提案したのでありますが、われわれ、世論とともに反撃を加え、この悪法を葬ったのであります。今や、岸内閣は、金と力によって保守政党に有利な選挙態勢を確立せんとして本法案を提案したことは明白であります。かかる選挙法の改悪こそ、まさに憲法改正によって再軍備強化の道につながる小選挙区制への突破口を開かんとするものでありまして、警察官職務執行法の改悪とともに、国民の基本的人権を剥奪せんとする反動立法といわざるを得ないのであります。(拍手)
 岸総理の国政に携わるところには常におそるべき政治的陰謀が伏在しておることを、われわれは銘記しなけれげなりません。すなわち、岸総理は二百九十八名の自民党の議席の上にあぐらをかき、力による陰謀政治を推進せんとしております。思い上った意識過剰によるものであると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)岸総理の運命は、すなわち、第二次岸・佐藤兄弟内閣の成立を頂点として、人気はまさに下り坂にあるのであります。おごる平家は久しからず、殷鑑遠からず、自民党岸内閣の上に国民の鉄槌が下されることを、われわれは忘れてはならないのであります。
 私は、口に民主政治の確立を叫ぶ岸総理の猛反省を促すとともに、本法案の撤回を要求して質疑を終るものであります。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇]
#19
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 第一は、供託金の引き上げの問題に関しての御質問であります。この問題は、今日における貨幣価値の問題を一方に考えてみ、また、他面において選挙公営の大幅な拡充が行われておる状況を考え合せてみまするというと、現在行われておる供託金の額はあまり低きに過ぎるのではないかというのが、私どもの考えでございます。これは、供託金の制度そのものが、私は現在の経済事情や、また選挙の公営の大幅に行われておることから申しまして、選挙の公正を期し、泡沫候補の乱立を整理するという意味からいうと、現在の額では低きに過ぎるという意味で出したわけでございまして、決して民主的な候補者を抑圧しようというような考えで出したものではございませ
 それから、政党その他の政治団体の選挙運動中における政治活動の規制の問題は、これは現行制度の立法趣旨が達せられるように、その合理化をはかるという趣旨でございまして、決して御心配のように労働組合等の選挙活動を制限するという意図のものではございません。
 次に、選挙粛正の問題についての御質問でございますが、私が常に念願をいたしておることは、公明選挙を実施して、選挙界に従来から存するところのいろいろな不明朗な事態をなくして、真に公明な選挙が行われるように選挙を粛正していかなければならぬ、このためには、私は公明選挙を推進するようないろいろな方策もとっておりますが、同時に、選挙法はあくまでもこれを順守していくような気風を作らなければいかぬと思います。選挙のために多額の金が要るというようなことは、これはきわめて望ましくないのでありまして、私どもも、金のかからない選挙という意味におきまして、そういう意味の御趣旨には今後も十分努力して参りたいと考えております。
 次に、私自身のことについての御質問がございましたが、その点は二つあると思うのであります。一つは、私の選挙区における私の行動についての御質問と、第二は、北海道における私の過般の遊説の際の問題と二つあったと思います。これに対してお答えを申し上げます。
 第一の、私の選挙についていろいろな御批判があり、あるいは、今おあげになりましたようなことをあげて、法務委員会かで私の選挙についての質問が行われたことは、私も聞いております。しかし、私は、これらのあげられておる事実につきまして、もし私がその委員会に呼ばれるならば、十分に事実を明らかにして、これを反駁する所存であります。私は、これらのことが非常に事実にたがっておるということを申し上げておきます。
 第二に、北海道における遊説の問題でございますが、これは、御承知のように、自民党の北海道連合大会におきまして、私が、わが党の次の知事選挙における候補として内定しておる候補者を紹介をいたした事実は確かにございます。しかし、それは、あくまでもこの自民党北海道連合会が主催し、所属の会員を入れておる席上において申したことでございまして、決してこれによって投票を一般公衆に頼んだというような事実は全然ないのでございます。(拍手)
    〔国務大臣青木正君登壇]
#20
○国務大臣(青木正君) ただいまの御質問に対しまして、私の関係を御答弁申し上げます。
 この改正案は、先ほど申し上げましたごとく、立候補の手続と要件につきまして若干の改正を加え、また政党の政治活動の合理化のための規制をいたしたのでありまして、決して、御指摘のように、故意に政党の政治活動を抑制するとか、あるいは反動的な立法だとか、そういうような御非難は当らないと私どもは考えておるのであります。
 供託金の問題につきましては、先ほど総理からもお答えがありましたが、さらにつけ加えますと、御承知のように、町村合併によりまして町村の規模が拡大して参りましたので、現在市長につきましても供託金制度がありますので、やはり町村長の場合も同様にすることが適当ではないか。また、森議員も御承知かと存じますが、最近、町村長の選挙等に当りまして、ある候補者のごときは、どの町村長の選挙に当りましても立候補の届出を各所に出す、こういうような事例がありますので、やはり、そういう事態に対しまして何らかの規制を加える必要があるのではないか、かように存ずるのであります。
 それから、政党の政治活動の規制の問題でありますが、私どもは、現行法によりまして、立候補するに当りまして、届出の際に所属しておるという政党と、それからその後におけるいわゆる確認団体が認める立候補の所属と、これが二つ違っておるということはむしろおかしいと思うのであります私どもは、そうでなしに、政党の政治活動を活発化するということは賛成でありますので、それが必要であるとするならば、むしろ、そういうような現行法の不備は直しまして、政党としての自動車の台数をふやすとか、あるいはポスターをふやすとか、そういう形でやるべきものではないかと考えるのであります。
 なお、連座制の強化の問題、政治資金規正法の改正の問題、いろいろお話がありました。私どもも、衆議院の選挙制度調査特別委員会等におきまして、森委員等と一緒に現在も研究をしておるわけでありまして、政治資金の規正の問題等につきましても、われわれは今後もさらに十分検討をいたして参りたい。しかし、今回は、先ほど申し上げましたような点だけに限って改正をいたそう、かように存ずる次第であります。(拍手)
#21
○議長(星島二郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#22
○議長(星島二郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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