くにさくロゴ
1958/10/17 第30回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第030回国会 本会議 第10号
姉妹サイト
 
1958/10/17 第30回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第030回国会 本会議 第10号

#1
第030回国会 本会議 第10号
昭和三十三年十月十七日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十号
  昭和三十三年十月十七日
    午後一時開議
 一 警察官職務執行法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 警察官職務執行法の一部を改正する法律案の撤回要求決議案(淺沼稻次郎君外四名提出)
 警察官職務執行法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及びこれに対する質疑
    午後八時三十六分開議
#2
○議長(星島二郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(星島二郎君) お諮りいたします。淺沼稻次郎君外四名提出、警察官職務執行法の一部を改正する法律案の撤回要求決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略し、この際議事日程に追加して議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。
 警察官職務執行法の一部を改正する法律案の撤回要求決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。猪俣浩三君。
    ━━━━━━━━━━━━━
    〔猪俣浩三君登壇〕
#5
○猪俣浩三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました警察官職務執行法の一部を改正する法律案の撤回要求決議案について、提案の趣旨を説明し、諸賢の御賛成を仰ぎたいと思うものであります。(拍手)
 初めに、案文を朗読いたします。
  警察官職務執行法の一部を改正する法律案の撤回要求決議案
    主文
  政府は、直ちに警察官職務執行法の一部を改正する法律案を撤回すべし。
  右決議する。
  〔拍手〕
    理由
  本法案は、国民の権利と自由を著しく侵害し、民主主義を根底から破壊し、憲法に違反する法案である。しかもかかる重要法案を何等民意に問うところなく突如として国会に提案することは到底、国民の容認し得るところでない。
  よつて政府は、直ちに本法案を撤回すべきである。
  〔拍手〕
 続いて、提案の趣旨を御説明いたします。私は、提案理由の時間は制限がないそうでありますが、二十分くらいでやりますから、御清聴を願います。(拍手)
 まず第一は、法律案提出の方法がまことに突然で、きわめて非民主的であったのであります。これは、ただ国民に対するのみならず、自民党の内部においてすら、どうも非民主的であったようであります。(拍手)七日に自民党の政調会の地方行政部会と法務部会がこの法案の字句の審査をしたそうでありますが、結論がつかないうちに、七日のお昼には総務会でこれを取り上げて、議論なしに決定してしまった。そして、閣議につきましても、回り持ちの閣議で印をとって歩き、何も議論を尽しておりません。そうして、これが八日提案せられたのであります。かようなことは、どうも驚きにたえないことであります。これが証拠に、十一日の自民党の代議士会におきまして、川島幹事長は、一議員の質問に対して、私もまだ法案の内容はよく読んでいませんと答弁しておる。(拍手)
 一体、こういうとほうもない提出の仕方というものがございましょうか。ワン・マンと言われました、かつての吉田茂氏さえ、二十七年と二十九年とにはこの警察官職務執行法の改正案を提出いたしましたが、いずれも施政演説の中に明らかにしておったのであります。しかも、その中には、占領中にできた職務執行法であるから、これを自主的に、日本的に大いに改めるのであるという大みえを切られて、施政演説に織り込みなさったのであります。ところが、今度は、一切そういうことをなさらず、政府は、重要法案を施政演説の中に織り込まないことはほかにもあったとして、その実例として二、三の法案をあげておりまするが、その法案と今回の警職法の改正案とは、その重要さの程度が全く違うのであって、政府の答弁のような考え方をするところに、人権尊重の観念がいかに希薄かを現わしていると思うのであります。(拍手)議運に出した提出法案の一覧表にも載せておらず、地方行政委員会における政府委員の答弁にも、改正案の提出はしないとなっておりました。数日ならずして突如として提出し、議長の職権をもって委員会に付託するという暴挙をやったのであります。この点は、わが党の努力によりまして、ようやく正常に返ったのでありますが、かような提出方法は、それ自体においてこの法案の性格が察知できるというものであります。
 安保条約の改定と関連して、アメリカとの話し合いの上で急遽提出の腹をきめたのではなかろうかとわれわれは疑っていたのでありますが、このわれわれの疑問は当ったようでございます。
 岸総理のNBCのブラウン氏に語ったといわれる話から了解できるのでありますが、岸総理は、その談話の重要な部分を否認しているようであります。しかし、ブラウンという記者がアメリカ一流の記者であること、NBC放送がアメリカでも一流のものであること、岸総理の過去の経歴、人物、性格等より総合判断いたしますれば、岸総理が憲法九条廃棄や、中共を侵略者呼ばわりをしたことは、ほんとうではなかったかと思われます。(拍手)それが刑事事件であると考えてごらんなさい。これだけの状況証拠がそろいますならば、いかに本人が自白しませんでも、検事はこれを起訴するでありましょうし、裁判所は有罪の判決を下しましょう。(拍手)岸総理にこういう考え方があるとすれば、安保条約改定の発表とともに、ほうはいとして起きるであろうところの大衆運動を想定して、その弾圧のための準備としてかかる法案を提出したということが理解できるわけであります。(拍手)
 政府は、警職法は、昭和二十三年、アメリカに管理せられていたころに作られたもので、アメリカでは、公安に関する件はアメリカにたよっておればよいという見地から、その点に関しては警職法の規定のうちに入れなかったのであるから、アメリカの占領政策がなくなった今日、公安維持の規定が必要になったのだと言っているけれども、そのアメリカの占領中施行せられましたるところの公安に関するポツダム勅令なるものが、いかにわが国の憲法違反のものであったか。これ、ポツダム勅令は憲法違反の法令であるから無効であるという裁判所の判決がたくさんあることからも知られるのです。(拍手)政府は、かような過去のアメリカが押しつけたポツダム勅令の精神を復活したい希望のあることが、かかる提案の動機の説明として現われておるのであります。(拍手)
 しかし、よく考えますると、この説明も矛盾していることは、なるほど警職法は昭和二十三年にできたものでございまするが、昭和二十九年に警察法を改正したあとで、やはり、この警察法とマッチさせるためにこの警職法の改正が行われておりまして、そのときに、吉田さんが、今度は占領が解けたのであるから、この警察官の責任を明らかにするべく大改訂を行うと宣言して改正せられたものである。それですから、この現行の警職法は占領解除後の昭和二十九年にできたものであることをお忘れになっているものと思われる。(拍手)まさか、昭和二十九年はまだ独立しておらなかったなんということはおっしゃるまいと存ずるのであります。
 およそ、刑法とか刑事訴訟法とか、あるいは商法とかの法律の改正には政府で改正要綱案を作り、これを日本弁護士連合会あるいは全国の商工会議所等に諮問をいたしまして、かつ、その上で法制審議会の審議にかけて、あらゆる方面からの検討を加え、もって政府の原案を作成し、しかして後国会に提案するのが通例でございます。その間、新聞あるいは雑誌等において、いろいろの立場の人からいろいろの意見が出されまして、国民に法案改正の中心点がわかるようになっておるのであります。これは、社会保障の法案につきましても、労働問題の法案につきましても、それらの審議会がありまして、その審議会にかけて提案せられていることは、皆さん御存じの通りであります。(拍手)私は、警察に関する法律は一般国民に重大な影響があるもので、刑法や刑事訴訟法の改正案と軽重はないはずで、考え方によれば、それらよりも警職法の方が重要な性質を持っているとも思われるのであります。正式の条文として国会に提出する以前に、もっと国民の世論に問うべきであったのであります。法制審議会が法務省関係のみの機関と解釈せずに、基本的人権に関する法案のごときは、やはり法制審議会の審議にかけるべきものであると思いまするが、それが法制上困難であるならば、朝野各層の人たちを集めまして、特別の委員会を作ってもよかったはずであります。政府は、今からでもおそくないのであるから、さような方法をとってもらいたい。そのためにも本法案は撤回すべきであると思うのであります。(拍手)
 自民党の治安特別委員会とやらで慎重審議したなどということはおよそナンセンスで、国民をごまかす言い方であります。自民党の内務官僚出身の人たちや、警察庁の特高出身の役人の間で秘密に研究したなんということ自体が、国民をこわがらせている結果になっているのであります。(拍手)それらの人たちは、どうしたら巧妙に大衆運動を弾圧できるかということを、ひそかに研究したのだろうと思うのであります。(拍手)政府が秘密裏に改正案の準備をしたことは、政府も自民党も、この改正案に対する国民の反対を予想しておったためだと思います。良心的にうしろ暗い感じがあったのではないかと思われるのであります。(拍手)
 この改正案は、警察権の及ぶ範囲を現行法よりも拡張したというにとどまらず、改正によって警職法の性格を変更してしまうのであります。第一線に働く警察官の行動基準に、「公共の安全と秩序」という抽象概念を持ってくることは、これは戦前の治安警察法、行政執行法的な性格を付与するものでありまして、治安警察法第八条には、「安寧秩序ヲ保持スル為必要ナル場合ニ於テハ警察官ハ」という書き出しで、いろいろな集会や大衆行動を制限、禁止することができることになっていたのであります。この条文のために、どんなに解放運動が弾圧されたことでありますか。(拍手)また、行政執行法第一条には、泥酔者や自殺者の保護規定とともに、「暴行、闘争其ノ他公安ヲ害スルノ虞アル者ニ対シ」予防検束のできる規定があったが、この「公安ヲ害スルノ虞アル者ニ対シ」という規定のために、いかに社会党の現幹部の人たちが多数留置場にぶち込まれたことであろうか。(拍手)政府の現閣僚や自民党の諸君で「公安ヲ害スルノ虞アル者」という認定で警察に入れられた経験のある者は、ほとんどないでありましょう。その反面、自民党の中には戦前警察権を発動した側の内務官僚出身者が多く、中には特高警察に携わっていた人もある。また現在警察庁の局長級の人の中にも特高出身の人がいるはずであります。人権尊重という戦後の民主警察の精神などは、この人たちにはぴんとこない。何か警察が弱体化したような気分がするらしい。戦前、天皇の警察官であった当時の警察官の権力に郷愁を感ずるものでありましょう。(拍手)こういう人たちによってこの法案が研究せられたのであるから、どんな性質を持ったものであるかは推して知るべしであります。
 「公共の安全と秩序」という抽象的概念は、高度の政治的価値判断を含むもので、第一線の警察官にその認定の権限を与えるならば乱用の危険があるし、また、上級の警察官にまかせると、政治的に動くおそれがあります。勤評問題や砂川事件のような場合の取締りができないからといって立案の動機を説明しているところを見ると、この改正案の対象が何であるかが、ほぼ明らかになっていると思うのであります。(拍手)現行法では砂川事件や勤評闘争などを……。(「休憩々々」「やれやれ」と呼び、その他発言する者あり)現行法では砂川事件や勤評闘争などを取り締ることができないから改正の必要があると言っていますが、一体、砂川事件や勤評闘争に対して、取り締る法律がないために、警察官は手も足も出なかったのでありましょうか。(拍手)
 私は、先年、砂川に警察官が出動した際、ちょうど衆議院法務委員会が開かれておりましたので、自民党の委員諸君に、現場を視察しようではないか、そして、どちらに不法があるかをこの目で見ようではないかと、たびたび勧めましたけれども、とうとう実現しなかったのであります。あのとき、自民党の諸君が見に行っておられたなら、警察官がいかにどうもうで、大衆を虫けらのごとくけちらかしていたかがわかったことでありましょう。警察官の警棒でなぐられ負傷した人のために。急造のテント内で、赤十字の医者だと思うが、治療に当っておったのでありますが、たけり狂った警察官は、そのテントの治療室までぶちこわしてしまったのであります。(拍手)人権尊重の観念の厚い委員でありましたならば、この姿を見まして、この警察官の態度に戦慄を覚えたでありましょうし、また、天皇の警察官に郷愁を感ずる人などは、世にも頼もしいと思ったでありましょう。(拍手)いずれにいたしましても、こんな改正法律案の必要がないことがわかったはずでございます。政府の閣僚はもちろん、防衛庁の長官まで現場に行って見てはいないのである。
 和歌山の勤評反対闘争では和歌山の日教組の委員長が、警官のくつでけられ、警棒でなぐられ、肋骨数枚を折って、重傷を負うて入院したのであります。九月十五日の東京の勤評反対闘争には、新聞記者数名が負傷しておる。デモ隊から数メートル離れた高いところで取材しておりました新聞記者、しかも、身分をちゃんとあかしておるにかかわらず、これを引きずりおろして、なぐる、けるして負傷さした。こんなことが、一体、今の警職法のどこに規定されておりましょうか。(拍手)十分人権尊重に留意して作られた現行法のもとにおいてさえ、こういう勇敢な警察官が存在するのでありますから、彼らの権限をこの上強化させたら、われわれは一体どんな目にあわされることでありましょう。(拍手)砂川事件や勤評反対闘争などの取締りには、現行法を必要以上に適用して取り締ったのでありまして、三越デパートの争議には、道路交通取締法まで適用しておる。現行法においてさえ、憲法の基本的人権を侵害すると思われるような取締りをやっておるのである。ほんとうの意味の公安を害するような大衆運動を取り締るには、現行法で事欠かないわけであります。別府事件のごとき暴力団の集合犯罪には、刑法二百八条二として最近改正せられ、十分取り締ることができるようになったのであります。こういうものには、ちゃんと社会党は賛成しておるのだ。何のために国民の世論を無視して改正案五条のごときものを出したのでありましょうか。
 改正案の五条を見ますると、公安を害する場合には警告、制止をすることができることになっておりまするが、福岡高等裁判所の判決によれば、制止という中には、実力をもって排除することを含むとなっておるのであります。ですから、警棒を振り回すこともできるわけでありまするし、警察官がおのれの身に危険を感じたと思えば、ピストルを発射することも現行法のもとでできることになっておる。これに対して民衆が抵抗するならば、公務執行妨害罪の現行犯として、令状なしで検挙することができるので、憲法三十三条、三十五条の脱法方法として改正案の五条、六条などが適用せられることでありましょう。
 警察当局のラジオの座談会で言った言葉のうちで、何も今度の改正案は事珍しい取締りをきめたのではなくて、従来やっておったことに対し法的根拠を与えたにすぎないと言ったそうでありますが、これは真実を語ったものと思うのであります。そして、従来やっておったことに対し法的根拠を与えなければならないとすれば、デモ行進や抗議集会、労組のピケ等に対して警告、制止をし、これに抵抗する者を公務執行妨害罪の現行犯として検挙することが最大のねらいであると私は思うのであります。(拍手)そうでなければ、今やっているものに、なぜ法的な根拠を作らなければなりませんか。これだけ世論の反撃を受けでもこれを押し通すには、結局、ねらいはこの警告、制止にあるにあらずして、その警告、制止を公務執行と法的に規定し、この公務執行に反抗したということで公務執行妨害で検挙しよう、そうして、令状なしには人の検挙はできないその憲法の規定をくぐりまして、現行犯として検挙しようというたくらみがここに隠されておることを考えなければなりません。自民党の天下ばかりが続くはずはありません。反対党の天下になったときに、これをどんどんやられたら、諸君どうなるんだい。(拍手)かくして、表現は巧妙にできておるけれども、治安警察法や行政執行法、なお進んでは治安維持法的な働きをこの改正案はすることでありましょう。
 アメリカのペンシルヴァニア州の警察長官グルム氏が州の議会に出した証言のうちに、警察と軍隊の訓練の差異を説明し、警察官の訓練としては、かわらを何枚投げつけられるまでがまんできるか、悪口雑言をどれほど耐え忍ぶことができるかということが警察の訓練であって、これが軍隊と違うところである。このグルムという人は、米国軍隊に十五年間も勤務した大佐であります。それが、今、州の警察長官になった。そこで、軍隊と警察官の訓練の違いを説明して、こういう説明をやっておる。こういう訓練をするには相当の期間ががかるということを言っておるのであります。
 新聞記事によれば、新聞記者に対し、「ブンヤいただくぞ」というようなことを警察官が言ったというのですが、警視庁警察職員服務規程第二十条には、何人に対しても粗暴または侮辱的な言語もしくは態度を慎しまなければならないというようになっておる。そこで、皆さんに言うことは、どんなに法規を作っても、警察官の教養を高めなければ何にもならぬ。どんなに、諸君が、この国会で、あれはいたしません、これはいたしませんといって法案の通過をはかっても、こんな法案ができますれば、第一線の警官、しかも教養の低い警察官はどんな人権じゅうりんをやらぬとむ限らぬのであります。
 そこで、私は皆さんに御相談であるが、こんな警職法の改正案によって警察官の権限の強化をはかるよりも、まず彼らに民主警察官としての訓練をすることが第一であると思うのであります。(拍手)警察官の教育制度を強化するということが先決問題で、この強化せられた後に、彼らがりっぱな民主的警察官になったときに、この権限のことも考えてやってしかるべきである、こう私は思いまするが、自由党の諸君あるいは現政府は、まるで簡単に考えて、警察官の訓練は二の次で、権限を強化することばかり考えておるのであります。
 皆さんのお好きなアメリカの政治家の話をまたするのでありますが、(発言する者あり)一九五〇年、アメリカの大統領トルーマンさえ、米国の国会で審議されましたマッカラン法、すなわち国内保安法に対し、この法律を拒否する教書を出しましたが、そのうちにこういう言葉がある。「この法案に使用されている言葉は非常に漫然としているので、その結果は、共産主義者では絶対にない、善良な市民の合法的な活動を処罰する結果となる可能性がある」ということで、国会で審議いたしましたこの米国の共産主義者取締りに関するマッカラン法を、行政権の首長であるトルーマンは拒否している。人権じゅうりんに影響あるから……。(発言する者多し、拍手)行政の最高の責任者が、このように人権尊重の観念が厚いならば、法律の実施に対してもある程度の安心ができるのでありますが、わが行政の長官、最高責任者であります岸総理は、二、三日前の自民党の代議士会で、「この法案はぜひ通さなければならない。この法案が通るか通らぬかは国家百年の運命に関する」、こういうことを言っておる。日本海海戦に際しまして、東郷連合艦隊司令長官の、皇国の興廃この一戦にありとやら、これと類似の激励演説をしておる。このアメリカのトルーマンの態度と、わが岸総理大臣の態度とを考えてみますと、私は、アメリカの政治家を尊敬している岸さんは、こういうところを少し見習ったらいいのではなかろうかと考えるのであります。(発言する者あり、拍手)私どもは、こんなジェット機まがいの激励演説をやる岸さんが、こんな法案を成立せしめましたならば、われわれはこわくてたまらぬのである。一般国民もまた、直感的に、自分たちの人権が侵害せられることを憂えまして、本法案には、国民的な世論であるといわれるほどの反対が多いのであります。(拍手)
 私は、かような意味におきまして、どうぞ岸総理はいま一度反省をされまして、本法案を撤回し、警察の教育制度を強化して、少年に関する基本的根本法を立法し、しかる後に本法案のごときを提出しても遅くないのじゃないか、いま一度出直すべきであることを要求いたしまして、本撤回要求決議案提出の趣旨説明をこれで終ります。(拍手)
#6
○議長(星島二郎君) 討論の通告があります。(発言する者多し)順次これを許します。山村新治郎君。
    〔山村新治郎君登壇〕
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
#7
○議長(星島二郎君) 御静粛に願います。諸君の御着席を願います。
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
#8
○議長(星島二郎君) あとで調べて善処いたしますから……。
    〔「議長々々」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
#9
○議長(星島二郎君) 御静粛に願います。今の事件はあとで調べますから。――着席を願います。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#10
○議長(星島二郎君) 一応御着席を願います。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#11
○議長(星島二郎君) 静粛に……。
    〔「休憩々々」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
#12
○議長(星島二郎君) 一応御着席を願います。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#13
○議長(星島二郎君) 御着席を願います。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#14
○議長(星島二郎君) 御着席を願います。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#15
○議長(星島二郎君) あとで問題は調べて解決しましよう。――御着席を願います。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#16
○議長(星島二郎君) 一応着席して下さい。あとで――あとで……。
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#17
○議長(星島二郎君) 着席して下さい。――着席して下さい。
#18
○山村新治郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題と相なつておりまする警察官職務執行法の改正案に対する撤回要求決議案に対し、絶対反対の討論をなさんとするものであります。(拍手)
 ただいま社会党の提案理由の説明を拝聴いたしておりましたが、その論旨は、法律家の猪俣君の議論としては受け取れない、まことに牽強付会の議論のみであつたのであります。特に、警職法が昭和二十九年度に改正されたなどということは、これは大きな間違いであるのであります。(発言する者多し)すなわち、昭和二十九年に改正されましたのは警察法でございまして、警職法は昭和二十三年そのままであることを忘れてはならないのであります。(発言する者多し、拍手)すなわち、社会党の諸君の提案理由は何一つとしてわれわれを納得せしめる理由がなかつたことを、社会党のために惜しむものであるのでございます。(拍手)
 しこうして、その趣旨説明の議論は、警察官職務執行法改正に対する反対論が大部分の議論であります。もし警職法改正案の内容について反対であるならば、なぜ、委員会や本会議において、この警職法の正当な審議の過程において堂々と反対論を展開しないのでありましようか。(拍手)すなわち、猪俣君の議論は、いささか本末転倒のうらみがあるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 なおまた、審議会その他の委員会にかけて民意を聞けということを力説されておりまするが、審議会その他の各種の委員会の不要であるということを唱えられるのは社会党の諸君の持論であります。(拍手)われわれ、民意を聞くということは、国会の皆様方にこの審議を願う以上の民意はないということを知らなければなりません。(拍手)
 また、総理大臣の施政方針演説において、この法案について一言も言われなかつたというような意味のことを言われておりまするが、先般の総理大臣の施政方針の演説中に、岸総理大臣はこういうことを言われておることを、御銘記願いたいのであります。すなわち、「民主主義の名のもとに、法秩序を無視して、国民の福祉と安全を脅かしているものがあることは遺憾にたえない。」「国権の最高機関たる国会で国民多数の意思として成立した法を軽んじ、これを無視すること、明らかに議会政活の根本をゆるがすものである。」「各政治においても、党是や政策を異にするとはいえ、法秩序の維持こそが民主主義の支柱であるとの毅然たる態度を明確にし、民主主義擁護の決意を新たにせられることを切望する」旨、力説されておるのであります。(拍手)この力説の裏づけとして警職法改正案が出されたのでございまして、何ら手続上も落度はないのでございます。
 また、議院運営委員会等において官房長官が発表された提出法案の予定表の中に入つておらないということも力説されておりまするが、この議論こそは、政治が生きものであるということを知らない議論であるといわざるを得ません。現に、官房長官の予定表になかつたところの、二十二号台風の災害復旧に関係いたしまして、補正予算なり特別立法なりが今まさに提案されんとしておるではございませんか。すなわち、予告のない法案が提出されましても何ら違法ではないということを知らなければなりません。(拍手)
 皆さん、国会始まつて以来、法律案が全然審議をされないうちに撤回決議が出された事例は、先般の小選挙区法案の問題のときであります。すなわち、小選挙区法案のときは、明らかに審議引き延ばしの目的に使われたのでございます。今回の撤回要求決議案につきましても、国民の大部分は先日の地方行政委員会の委員室を社会党の国会議員の諸君並びに秘書団によつて占拠いたしました戦術の延長であつて、国会の審議引き延ばしがその目的であると考えておるのでございます。(拍手)しこうして、また、心ある国民の方々は、これは社会党がいまだに国民政党として成長しきれない証拠であつて、総評その他に引きずり回されておる気の毒な姿であると慨嘆されておることを忘れてはなりません。(拍手)すなわち、社会党の警職法撤回の要求は警職法の審議を妨げんとする以外の何ものでもないと断ぜざるを得ないのであります。
 諸君、私は、まず第一に、法律案の提出につきまして、行政府たる内閣と立法府たる国会との関係から、この撤回要求の決議案に強く反対しなければならないのでございます。すなわち、わが憲法は、国会を唯一の立法機関と規定するとともに、行政府たる内閣総理大臣に対しまして、内閣を代表して議案を国会に提出する権限を規定しておるのであります。しこうして、国会に提出されました法律案を法律として制定するかどうかは、唯一の立法機関たるわれわれ国会の権限のうちにあるのでございます。これが法律案の提出権と法律案の制定権についての憲法の仕組みでございますことは、今さら私がここで説明をする必要がないのであります。しかるに、国会がその審議をしないうちに法律案の撤回を求めるなどということは、国会自身の権限を忘れ、法律制定についての内閣の比重を過当に重く見る旧時代の国会軽視の観念なりといわなければなりません。国会の審議を経ることなくして撤回を求めるがごときは、みずからの審議権を軽んじ、国会が唯一の立法機関であるという国会の権能をみずから軽視するという点において、われわれは、今回の撤回を求める決議案がいかに不見識であるかということを強調しなければならないのでございます。(拍手)
 皆さん、社会党の皆さん、かりに一歩を譲りまして、自己の反対する議案はことごとく審議をすることなくして撤回を求めることが許されるといたしましたならば、将来社会党の諸君が内閣不信任決議案やあるいは解散決議案を提出した場合に、われわれがこれに反対だとして撤回を求めるといたしましたならば、一体どうなると考えられますか。すなわち、少数党の出す一切の議案は提出の段階において葬り去られ、審議の日の目を見る余地は全然なくなつてしまうでございましよう。それだからこそ、提出権というものは憲法や法律で確保されておるのであります。法律の提出は権利として認め、その是非は審議の段階において定めていくのが憲法の精神であるのであります。もし、そうでなかつたならば、多数党の気に入らない議案はやみからやみへ葬られていくことと相なるのでありまして、これは社会党の諸君のとうてい認めることのできないところであります。その認めることのできないことを求めているのが、この警職法案撤回要求の決議案であるのでございます。(拍手)これはまさに憲法に定めたるところの提出権の侵害でありまして、猪俣君は、警職法そのものが憲法違反であると力説されておりますが、警職法は憲法違反にはあらずして、むしろ猪俣君の説明されたこの決議案こそ憲法の精神をじゆうりんするものなりといわざるを得ないのであります。われわれは、この決議案に反対をいたします根本の精神がここにありますることを、よく社会党の諸君は御銘記を願いたい次第であるのであります。
 また、かかる不見識なる決議案を提出するということは国会議員として深く考えをいたさなければならぬところであるのでございます。国会が提出された法律案を審議するということは、国会の権限であると同時に、国会の責務でなければならないのであります。(拍手)しかるに、そのみずからの権限を行使せず、審議を尽さずに内閣に法律案の撤回を求めるというがごときは、法律は内閣が作るものだという錯覚に陥つておるか、さもなければ、立法についての国会みずからの権限を放棄した、それこそ内閣重視、国会軽視の考えと言うほかはないのでございます。それでは、社会党の諸君のよく言われるところの国会軽視のそしりを社会党の諸君がみずから受けざるを得ないではございませんか。(拍手)
 私は、総評その他社会党の支持団体の反対があれば、国会におけるみずからの審議権を放棄して、直ちに撤回を求める社会党の態度をきわめて遺憾とするものであります。(拍手)すなわち、国会における法案の審議の過程において謙虚に世論を聞き、この世論にこたえるべきでありまして、十分なる審議の上において最もよい法律を作るべきであるのでございます。国民また、すべての法律案につきまして、国会の審議を通じて、その是非曲直を明らかにしてくれることを望んでおることを忘れてはならないのでございます。両党また、国民の前におきまして、堂々と国会の審議を通じてその是非を明らかにする責任があるのでございます。それをなさずして、審議の前に撤回を求めるがごとき行為は、まさに議会の自殺行為であり、国民の信託にそむく国会の背信行為であると断ぜざるを得ません。すなわち、これ本決議案に対する最も大きな反対理由であるのでございます。
 次の反対理由といたしまして、触れたくはないのでございますが、いささか法案の内容に触れてみたいと思います。
 元来が、現行警職法なるものは、先ほど猪俣君は二十九年に改正されたといわれておりますが、二十三年に制定されたそのままになつておるのでございます。(拍手)
    〔発言する者多し〕
#19
○議長(星島二郎君) 静粛に願います。
#20
○山村新治郎君(続) すなわち、占領下におきまして、進駐軍の日本弱体化政策の一環として制定されたものでありまして、私どもは真の日本独立を達成せしめるために、日本の現状に合わない占領下の法律はこれを改正していく責任があるのでございます。進駐軍の占領下のころは、現在の法律をもつてしても日本の治安は保たれたのでありますが、進駐軍のおらなくなつた現在、今の警察官職務執行法をもつてしては、日本の治安を完全に守ることはなかなかむずかしいのであります。
 警職法の改正法案の最も大きなねらいは大体二つの点に分けることができると思うのでございます。その一つは、青少年の犯罪を予防して明るい平和な家庭を作り、その第二は公共の治安、秩序の維持をはからんとする点であるのでございます。
 先般の内閣統計局の発表によりますると、昭和二十八年から昭和三十二年までの間における青少年の犯罪は、十四才から二十才までの犯罪者が五十万人、二十一才から二十五才までの犯罪者は七十万人、驚くなかれ、合計百二十万人の犯罪者があるのでございます。皆さん、あの小松川高校生殺しを諸君は何と考えられまするか。しかも、犯罪を犯して何ら恥ずることのない風潮は、まことにおそるべきことであるのでございます。子を持つ親でございまするところの皆さんも深く憂えられておるところと私は信ずる次第でございます。少年が悪に染まらないようこれを保護し、次代を背負う小国民をりつぱに育成するためには、少年をこの犯罪の魔の手から守らなければならないのでございます。かかる重要なる意義を持つ警職法の通過は、人の子の親たるものは、必ずその通過の一日も早からんことを待ち望んでおられると思うのでございます。
 第二に、公共の安寧を守り、その秩序を確立するための改正に対しまして、この法案に反対する一部の方々は、これによつて労働運動が弾圧され、かつての治安維持法の復活だなどと悪宣伝をする方がございます。しかし、一体この法案のどこに労働運動を弾圧するということが書いてございますか。(拍手、発言する者多し)また、かつての治安維持法のように、むやみに国民を逮捕できる条文が、一体この法案の中にあるのでございましようか。それこそ、幽霊の正体見たり枯尾花のたぐいであるといわざるを得ないのでございます。(拍手)むしろ、これらの疑点を解明するためにも、われわれは一日も早く審議を開始しなければならないと思うのでございまするが、現に、労働者の代表金正委員も加わつておられまする国家公安委員会が、この法律案がいかに正しいものであるかということを声明いたしておるのを見ましても、この法案は幽霊のようなおそろしいものでは絶対にないのでございます。(拍手)
 諸君、あの砂川事件を初めといたしまして、苫小牧の王子製紙の争議、あるいは各地におけるところの道徳教育講習会に対する集団暴力の行為は、巧みに警職法の法の網をくぐつて行われた事件でありまして、善良なる国民は、どうして警察はこのような事態を未然に防ぐことができないのだろうと考えておるのでございます。(拍手)現に、本年の六月、いわゆる進歩的な学者と称される方々が憲法研究会を作りましたるときに、先ほどのごとく、右翼の方々が入り込んで猛烈に妨害をいたしましたが、大ぜいの警察官は明らかに危害が加えられるまでは制止しなかつたといつて、いわゆる社会党の諸君のシンパである進歩的教授の方々は非常に憤慨したと新聞は報じておるではございませんか。われわれは、いかなる暴力も、それが極右であろうと極左であろうと、これを排除しなければなりません。しかし、現行法律によりましては、これを事前に制止することは不可能なのであります。今回の改正の一つの目的が実にこの点にあるということを思うときに、これこそ時代の進運に伴う当然の改正であるといわなければならないのであります。(拍手)
 最近の傾向でありまするところの、集団の暴力によつて、基本的人権を認めない人の基本的人権が認められ、自由を無視するものの自由は認められるかのごとき状態を真の正しい姿に直さんとするのが、この改正案の大きなねらいであるのであります。(拍手)すなわち、法案の内容からいいましても、これを一日も早く通過せしめなければならないのであります。そうして、修正すべきは修正いたしまして、りつぱな法律を作る責任がわれわれ国会議員にあるのでございます。これが、すなわち、法律案の内容より見たる社会党の撤回要求決議案に反対する根本の理由であるのでございます。(拍手)
 皆さん、われわれ日本人は、平和国家を建設して、進んで戦争のない平和な世界の実現に貢献しようとしておりまするが、そのためには、まず自分の足元からあらゆる暴力を追放して、明るい社会を作らなければならないのであります。暴力の追放こそは、それが右翼のものであれ、またあるいは左翼のものであれ、またグレン隊のものであれ、はたまた全労連のものであれ、すべての暴力の追放は、わが自由民主党の重要政策の一つであるばかりでなく、平和日本を建設せんとするわが国民大多数の悲願であるのでございます。すなわち、われわれは、今回の警職法の改正がこの悲願達成への一里づかであるということを思うときに、一日も早くこの法案を通過せしめなければならない責任があるのでございます。この法律案を葬らんとする社会党の手段である本撤回決議案は、おそらく国民諸君からきびしい批判を下されることは間違いがないのであります。(拍手)
 賢明なる社会党の諸君、かかる理由なき撤回要求決議案はみずから進んでこれを撤回することこそ最もよき手段であることをここに警告いたしまして、私の討論を終る次第でございます。(拍手)
#21
○議長(星島二郎君) ただいま、猪俣浩三君より、一身上の弁明のため発言を求められております。この際これを許します。猪俣浩三君。
    〔猪俣浩三君登壇〕
#22
○猪俣浩三君 一身上の弁明を述べさせていただきます。
 山村君は、私の議論を低級なりとして酷評し、弁護士であるのにかかわらす、かような法律の間違いまでをやつておるようなことを仰せられましては、私としても一身上の弁明をしなければなりません。
 警職法は、昭和二十三年にできたものが、講和発効後の昭和二十九年に改正せられておる。しかも、吉田内閣では、昭和二十七年に一ぺん出し、解散になつたために昭和二十九年に再度提出いたしておりまするが、昭和二十七年に提案する前に、施政方針演説で、吉田茂氏は、今度は占領が解けたのであるから、日本にふさわしいように警察関係の法規を整理し、改正することを言明せられました。そうして、二十九年にこの改正案が出ておるのであります。この六法全書をちよつと開いてごらんになれば、すぐさま、改正昭和二十九年法律第百六十三号……。(拍手)なお、念のために第一条を読んでごらんなさい。「この法律の目的」といたしまして、「この法律は警察官が警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)に規定する個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行するために、必要な手段を定めることを目的とする。」二項といたしまして、「この法律に規定する手段、前項の目的のため必要な最小の限度において用いるべきものであつて、いやしくもその濫用にわたるようなことがあつてはならない。」こう書いてある。ちやんと、昭和二十九年法律第百六十二号、警察法にマッチさせるように改正しているのであります。(拍手)もし、この内容に改正の必要があるならば、そのときにちやんと規定があるはずだ。しかるに、自民党の諸君は、これは占領下の法律そのままであるからということをもつて改正の理由にしておりまするから、私がしからざるゆえんをここに説明したにもかかわらず、六法全書を一ページも見ないで登壇し、私を誹謗するような議論をされたことは腹に据えかねる。これは、もし山村君が個人のそこつから言つたならば、山村君が陳謝すべきであつて、党の幹部の指令、その校閲によつてあの原稿ができ上つたものでありまするならば、党の幹部が私に陳謝してしかるべきであると思います。(拍手)
#23
○議長(星島二郎君) 淺沼稻次郎君より議事進行に関する発言を求められております。この際これを許します。淺沼稻次郎君。
    〔発言する者多し〕
#24
○議長(星島二郎君) 淺沼稻次郎君の登壇を願います。
    〔淺沼稻次郎君登壇〕
#25
○淺沼稻次郎君 簡単に議事進行に関しまして発言を求めた次第であります。
 まず第一に、私は議長に申し上げたいと思いますることは、われわれは議会の運営の正常化をはかつてこの席に臨んでおるのであります。先ほど、私が議事進行の発言を求めました。議員が議事進行について発言を求めることは、議員に許された当然の権利であると私は思うのであります。(拍手)従いまして、もちろん議院運営委員会の議を経てやることも前例にはあるのでありますが、私が議事進行について発言を求めましたのは、二階からビラをまかれた事件に関してであります。こういうような緊急な問題があつたときに発言を求めることは、議員として当然の権利であるといわなければならぬと思うのであります。(拍手)しかも、発言の要求が私の方が早かつたにもかかわらず自由民主党の山村君に発言を許したところに、議長がまだやはり党派的な考えを持つておるといつても過言ではないと思うのであります。従いまして、かかる事実が議場内における運営を悪くしているものであるということを御反省を願つておかなければならぬと私は思うのであります。(拍手)
 先ほど、二階からビラが下にまかれました。あのまかれた場所は、一般傍聴席ではございません。公務員の入る席であります。(拍手)しかも、これは一回だけではないのであります。この前の前かの議会におきましても、あそこからビラがまかれておるのであります。しかも、そのまかれたビラの内容を見まするならば、社会党に対する非常なる侮辱のビラであるといつて断じて過言ではないと思うのであります。(拍手)このビラの文面を見たら、社会党が立つて、どういう工合になつておるかということを聞くことは当然であろうと思うのであります。(拍手)
 そこで、私は議長にお伺いをするのでありまするが、まかれたビラが、どういうような経過をもつてここにまかれたのであるか、これを、私は、議長がわかつておりまするならば、この席上において弁明を願いたいと思うのであります。(拍手)この議場は神聖なるものであります。あのビラがまかれた。あれがビラで済んだからよいのでありまするが、もし、院内において警察権を持つておりまする議長の警察権の行使よろしきを得ずして、凶器でもまかれたら、一体議事の進行はどうなるかということを、私は知つてもらいたいと思うのであります。(拍手)われわれとしては、こういうような不安な状態が続くならば、議事の進行ができないといつて考えることは当然であるといわなければならぬと思うのであります。(拍手)従いまして、この真相を私は明らかにしてもらいたい。しかも、議長のもとに働いております警務部の各位においては、二度も三度も同じ事件を突発せしめるのは一体何がゆえであるか、その責任を痛感しなければならぬはずであると申し上げたいのであります。(拍手)
 まだ院内における警察権の行使につきましてはいろいろ申し上げたいことがございますが、以上申し上げまして、まず議長の答弁を求める次第であります。(拍手)
#26
○議長(星島二郎君) ただいまの淺沼君の議事進行の発言について、議長からお答えを申し上げます。
 議長といたしましては、国会の議場は最も神聖なる場所であることは今さら申し上げるまでもありません。それが、ただいまのようなことで、その神聖を冒されることは、まことに遺憾にたえないところであります。犯行者は直ちに取り押えまして、ただいま取調べ中であるとのことでありますが、いずれ適当の処置をいたすつもりであります。また、今後は一そう院内の取締りに万全を期する所存でございますから、御了承いただきます。(拍手)
    〔発言する者多し〕
#27
○議長(星島二郎君) 中井徳次郎君。
    〔発言する者多し〕
#28
○議長(星島二郎君) 中井徳次郎君、登壇を願います。
    〔中井徳次郎君登壇〕
#29
○中井徳次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、警察官職務執行法の一部を改正する法律案の撤回に関する決議案に賛成の意を表さんとするものであります。(拍手)
 第一に、私が同法案の撤回に賛成する理由は、本臨時国会に寄せる国民の期待は決して警職法の改正になかつたという点であります。(拍手)国民がこの臨時国会に期待したものは、国内的には、国民の頭上に暗くおおいかぶさつておりまする不況の波をどうして排除してくれるか、不景気に対してどういう対策を立ててくれるかという点にあつたと思うのであります。(拍手)また、国際的には、断絶した日本と中国との関係をどうしてくれるのであるか、戦火の続く台湾問題に対し、政府がどんな態度をとるだろうかという点にあつたと存ずるのであります。このような国民の期待に沿うために、わが社会党は、本臨時国会を岸内閣に対し政策転換を迫る臨時国会と規定いたしまして、一つには、対米従属の岸内閣の外交方針を転換し、日中国交回復を迫る自主独立の外交方針を樹立せしめる。二つには、大企業中心の経済政策を転換させ、勤労国民大衆の生活向上、緊急な不況克服のための補正予算の成立をせしめる。三つには、反動的な文教、労働政策の転換を求めたものであります。この三つの柱を中心といたしまして、自民党と社会党が民主的な国会の論議をなすことが真に国民の期待に沿うゆえんであると私は存じております。(拍手)しかるに、政府は、この国民の期待を裏切りまして、十月八日夜、突如といたしまして警察官職務執行法の一部改正法案を国会に提出してきたのであります。国民は、この臨時国会で警職法を成立させて基本的人権を侵害されることを望んでいるのでは断じてありません。(拍手)国民が国会に求めているものは、突発した災害をどうしてくれるのであるか、選挙で公約した減税の問題、国民年金はどうなるのだということであります。岸さんにはこの国民の切実な声が聞えないとは、私は言えないと思う。(拍手)従いまして、国民は、この国会におきましては、警察官職務執行法を一日も早く撤回し、国会が本来の姿に立ち返ることを強く望んでおるものと、私は確信いたします。(拍手)
 賛成の第二の理由といたしまして、この警職法の改正案は、その本質におきまして、現行の警職法の根本思想それ自身にももとつておるということであります。警察官という国家権力の直接の実力執行者は、常にその権力の公正な行使と乱用をこそ厳重に規制しなければならないのでありまして、厳格にこれを律しても厳格過ぎるということのないことは、国民への奉仕者として、これは当然のことであると私どもはいわねばならぬと思うのであります。(拍手)警察法及び警察官職務執行法の本旨も、ちやんとそこにあります。すなわち、警察法第二条には、その責務を規定いたしまして、「警察の活動は……その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。」とあります。また、警職法第一条第二項におきましては「この法律に規定する手段は、前項の目的のため必要な最小の限度において用いるべきものであつて、いやしくもその濫用にわたるようなことがあつてはならない。」と規定をいたし、警察官は、人権を尊重した平和憲法の精神を体し、あくまで民主警察としてあるべきことを厳格に規定いたしまして、明らかに、現警職法は、ともすれば拡大しがちな警察官の職権を規制する心得ともいうべき義務条項を規定したものであるのであります。(拍手)これを、今回の改正案のごとく、先ほども猪俣さんからお話がありました、公共の安全と秩序とか、公開の施設及び場所という抽象的な表現を用いまして、具体的なこの警職法の規定を抽象的表現にすりかえることは、明らかに警察法及び警察官職務執行法の本旨にもとるものといわねばなりません。(拍手)
 政府及び自民党の関係者の隻言片句から見まして、また、改正案の内容からも見まして、この改正案の主要なる目的は、明らかに大衆運動を弾圧せんとする意図によるものであることは歴然たるものがあります。(拍手)よく政府当局者はデモやすわり込みを例にあげる。しかし、これらの運動を官憲の取締りによつてのみ抑圧ができると考えるところに根本的な誤まりがあるといわなければなりません。(拍手)これらの運動が激しくなる根本的な原因は、申し上げるまでもなく、政府の国民大衆からかけ離れました政策、腐敗、堕落の多い保守党の政治そのものにあるのであります。(拍手)警察力によつて弾圧しようとするところに、基本的な政治認識において、まことに前世紀的な、明治時代的な思想を見るのであります。(拍手)
 第三に、撤回に賛成する理由としましては、その内容であります。すなわち、改正案の第二条の職務質問の拡大、第三条の保護の拡大、これは昔の保護検束を思わせるものがあります。特に、第四条の避難等の措置、第五条の制止及び第六条の立ち入り権の拡大は、警察を戦前の姿に戻さんとするものでありまして、せつかく芽ばえ始めました民主警察の芽をつまむものといわねばなりません。(拍手)
 この改正案によりますと、一警察官の解釈次第によりまして、善良な一般市民、まじめな青年、婦女子等が戦前の行き過ぎ行為を再び受けないという保障は一つもないのであります。どこを探してもございません。また、憲法第三十三条、三十五条の、何人も正式な令状がなければ逮捕されない、所持品の検査を受けることもないというこの権利、住居不可侵の権利等につきましても、はなはだしく侵害するものであると断ぜざるを得ないのでありまして、この点のみから見ても憲法違反といわざるを得ません。(拍手)
 第四の理由といたしまして、同法案の提出に至りました手続であります。猪俣議員も申されましたが、地方行政委員会の理事といたしまして、この手続問題を少し申し上げてみたいと思います。
 十月一日午前十時より開催されました地方行政委員会の理事会の席上のことであります。私が「一部その筋の間で種々うわさになつておるやに聞く警察官の行為に関連する法律の改正案は今回は出さないのか」とただしましたのに対しまして、警察庁の政府委員は、「今回は風俗営業の取締りに対する一部改正案のみであります。そのような法案は今回は提案しません。」と言明をいたしております。そこで、私は、さらに笑い話のようにいたしまして、「今度は地方行政委員会においては、警察関係の法規は案外楽だね。」と言つたので、みんなの笑声がその場で起つた記憶を私は持つておるのであります。(拍手)この政府委員は政府の一員ではないとは言わせません。その席上には原田官房長、原保安局長等の政府委員、地方行政委員長の鈴木善幸君、与党側の理事としましては纐纈彌三君、渡海元三郎君、丹羽喬四郎君、吉田重延君、亀山孝一君らが同席しておりました。警察庁側の政府委員、与党の地方行政委員会の委員がだれ一人知らなかつた法律案が、十月八日、突如提案されたのであります。
 さらに、岸首相自身でさえ、この国会の土俵を決定いたしまする施政方針演説の中で、同法案には一言半句も触れておらないのであります。先ほどの山村さんのお話は、いささか牽強付会の説と私は承わります。(拍手)岸首相は全然知らなかつたのでありましようか。故意に警職法に触れなかつたのでありましようか。それとも、また、柏村警察庁長官の言う通り、極秘裏に提出を予定していたのでありましようか。このような法案提出の姿にこそ、官僚を背景といたしまする現在の保守政党一党独裁の姿を私どもははつきりと見なくてはいかぬのであります。(拍手)
 さらにつけ加えます。議会政治は、こういう状態では、まさに形式のみに堕してしまいました。そうして、旧秩序、旧制度に日本を逆行させようとする政治の姿を、大きく、この提案をもつてわれわれは見抜くことができるのであります。(拍手)
 このような法案提出手続の疑惑、法案提出手続の不備からいつて、警職法は直ちに撤回さるべき法律案であると思います。(拍手)
 徹底した中国敵視、安保条約の改定、独禁法の緩和、公職選挙法の改正、予測せざるを得ない防諜法の制定と、日本は今や反動のあらしの中を進んでおります。(拍手)以上のような悪法が、あらゆる反対、世論を無視いたしまして、強硬に無理押しして提出されてきた、このことこそ重大であります。岸内閣の置かれています政治的背景をはつきりと象徴的に物語るものであるといわねばなりません。(拍手)
 最後に、岸内閣の腐敗の現われといたしまして、防衛庁の戦闘機問題等が決算委員会の追い打ちにあいまして、その疑惑がようやく国民の前に明らかになろうとしてきましたこのやさき、このような法案を提案いたしまして、論議を当面に沸かせ、国民の目を腐敗の追及から意識的にそらしまして、同時に、自由民主党の党内派閥の対立激化外に向けることによつて逃避しようとする悪意に満ちた党略的陰謀があつたと、本法案の提出の裏の事情として世間はささやいております。(拍手)このことは見のがすことができません。このことは、また同時に、自由党の幹部の中で、過去及び……。(「自由民主党だ」と呼ぶ者あり)言い直しましよう。自由民主党の幹部の中で、過去及び現在、その身辺にとかくの風評の多い人と承わつておる人たちが、特に強力に本案の推進をされたということをもつても明らかであります。(拍手)政界粛正の厳正な目をそらしながら、警察当局に恩を売ることによりまして何らかの恩恵と発言力を得ようとするがごとき行為は、十八世紀の陰謀政治家群の再来を私どもに思わせるものがあります。(拍手)かかる不純な動機、かかる危険な、日本の将来を誤まる政治的背景を背負つて提出されました警職法の改正案、これは、平和憲法のもとにおける厳粛にして民主的なこの国会の議場において審議をする資格のある法案であるとは私は断じて申せないと思うのであります。(拍手)
 私は、ひとり社会党や労働組合の利害によつてのみこの法案の撤回を求めているのではありません。本問題が起りまするや、われわれと平生あまりつながりを持つておりません言論機関の人たち、文化人の人たち、学者の人たちはもちろん、今や、現内閣に忠誠を誓いまする一部の自民党の人たち、警察官僚の一部の人たち、一部の資本家の人たち、これを除く全国民が、この法案に強く反対しているということを銘記すべきであります。(拍手)
 私、日本社会党を代表いたしまして、大多数の国民の世論の名におきまして本法案の撤回を強く要求いたしまして、本決議案に賛成するものでございます。(拍手)
#30
○議長(星島二郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
  氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#31
○議長(星島二郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#32
○議長(星島二郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百九十一
  可とする者(白票)  百四十七
    〔拍手〕
  否とする者(青票) 二百四十四
    〔拍手〕
#33
○議長(星島二郎君) 右の結果、警察官職務執行法の一部を改正する法律案の撤回要求決議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
 淺沼稻次郎君外四名提出警察官職務執行法の一部を改正する法律案の撤回要求決議案を可とする議員の氏名
   赤路 友藏君 茜ケ久保重光君
   淺沼稻次郎君  足鹿  覺君
   飛鳥田一雄君  淡谷 悠藏君
   井伊 誠一君  井岡 大治君
   井手 以誠君  伊藤卯四郎君
   伊藤よし子君  猪俣 浩三君
   池田 禎治君  石川 次夫君
   石野 久男君  石橋 政嗣君
   石村 英雄君  石山 權作君
   板川 正吾君  今澄  勇君
   今村  等君  受田 新吉君
   内海  清君  小沢 貞孝君
   大西 正道君  大貫 大八君
   大野 幸一君  大原  亨君
   大矢 省三君  太田 一夫君
   岡  良一君  加賀田 進君
   加藤 勘十君  加藤 鐐造君
   柏  正男君  春日 一幸君
   片島  港君  片山  哲君
   勝澤 芳雄君  勝間田清一君
   金丸 徳重君  上林與市郎君
   神田 大作君  川村 継義君
   河上丈太郎君  河野  正君
   木原津與志君  菊川 君子君
   菊地養之輔君  北山 愛郎君
   久保田鶴松君  久保田 豊君
   栗原 俊夫君  栗林 三郎君
   黒田 寿男君  小平  忠君
   小林  進君  小林 正美君
   小牧 次生君  小松信太郎君
   小松  幹君  兒玉 末男君
   河野  密君  佐々木更三君
   佐々木良作君  佐藤觀次郎君
   佐野 憲治君  坂本 泰良君
   阪上安太郎君  櫻井 奎夫君
   島上善五郎君  島口重次郎君
   下平 正一君  東海林 稔君
   杉山元治郎君  鈴木  一君
   鈴木茂三郎君  田中幾三郎君
   田中織之進君  田中 武夫君
   田中 稔男君  田万 廣文君
   多賀谷真稔君  高田 富之君
   滝井 義高君  竹谷源太郎君
   楯 兼次郎君  館  俊三君
   塚本 三郎君  辻原 弘市君
   堤 ツルヨ君  戸叶 里子君
   土井 直作君  堂森 芳夫君
   中井徳次郎君  中澤 茂一君
   中島  巖君  中嶋 英夫君
   中原 健次君  中村 高一君
   中村 時雄君  中村 英男君
   永井勝次郎君  成田 知巳君
   西尾 末廣君  西村 榮一君
   西村 関一君  西村 力弥君
   野口 忠夫君  長谷川 保君
   原   茂君  原   彪君
   日野 吉夫君  平岡忠次郎君
   廣瀬 勝邦君  帆足  計君
   北條 秀一君  堀  昌雄君
   正木  清君  松浦 定義君
   松尾トシ子君  松平 忠久君
   松前 重義君  三鍋 義三君
   三宅 正一君  水谷長三郎君
   武藤 武雄君  門司  亮君
   本島百合子君  森島 守人君
   森本  靖君  八百板 正君
   八木 一男君  八木  昇君
   矢尾喜三郎君  安井 吉典君
   柳田 秀一君  山口シヅエ君
   山崎 始男君  山下 榮二君
   山田 長司君  山中 吾郎君
   山中日露史君  山花 秀雄君
   山本 幸一君  横山 利秋君
   志賀 義雄君
 否とする議員の氏名
   安倍晋太郎君  相川 勝六君
   逢澤  寛君  愛知 揆一君
   青木  正君  赤城 宗徳君
   秋田 大助君  秋山 利恭君
   天野 公義君  天野 光晴君
   綾部健太郎君  荒木萬壽夫君
   荒舩清十郎君  新井 京太君
   井出一太郎君  井原 岸高君
   飯塚 定輔君  生田 宏一君
   池田 清志君  池田 勇人君
   石井光次郎君  石坂  繁君
   石田 博英君  一萬田尚登君
   稻葉  修君  今井  耕君
   今松 治郎君  岩本 信行君
   宇田 國榮君  宇都宮徳馬君
   植木庚子郎君  臼井 莊一君
   内田 常雄君  内海 安吉君
   江崎 真澄君  遠藤 三郎君
   小川 半次君  小川 平二君
   小澤佐重喜君  大石 武一君
   大久保武雄君 大久保留次郎君
   大倉 三郎君  大島 秀一君
   大坪 保雄君  大野 市郎君
   大野 伴睦君  大森 玉木君
   岡崎 英城君  岡部 得三君
   岡本  茂君  奧村又十郎君
   加藤 精三君  加藤 高藏君
   加藤常太郎君  加藤鐐五郎君
   鹿野 彦吉君  鍛冶 良作君
   金子 岩三君  金丸  信君
   上林山榮吉君  亀山 孝一君
   鴨田 宗一君  川崎末五郎君
   川島正次郎君  川野 芳滿君
   菅家 喜六君  菅野和太郎君
   簡牛 凡夫君  木倉和一郎君
   木村 武雄君  木村 守江君
   菊池 義郎君  岸  信介君
   北澤 直吉君  清瀬 一郎君
   倉石 忠雄君  倉成  正君
   黒金 泰美君  小泉 純也君
   小枝 一雄君  小坂善太郎君
   小島 徹三君  小平 久雄君
   小西 寅松君  小林 絹治君
   河野 一郎君  河野 孝子君
   河本 敏夫君  佐々木盛雄君
   佐藤 榮作君  佐藤虎次郎君
   佐藤洋之助君  齋藤 邦吉君
   坂田 英一君  坂田 道太君
   櫻内 義雄君  笹山茂太郎君
   始関 伊平君  椎熊 三郎君
   重政 誠之君  篠田 弘作君
   島村 一郎君  進藤 一馬君
   周東 英雄君  助川 良平君
   鈴木 正吾君  鈴木 善幸君
   薄田 美朝君  砂原  格君
   瀬戸山三男君  關谷 勝利君
   園田  直君  田口長治郎君
   田中伊三次君  田中 榮一君
   田中 角榮君  田中 彰治君
   田中 龍夫君  田中 正巳君
   田邉 國男君  田村  元君
   高石幸三郎君  高碕達之助君
   高瀬  傳君  高橋 英吉君
   高橋清一郎君  高橋 禎一君
   高橋  等君  高見 三郎君
   竹内 俊吉君  竹下  登君
   竹山祐太郎君  武知 勇記君
   谷川 和穗君  千葉 三郎君
   中馬 辰猪君  津島 文治君
   塚原 俊郎君  辻  政信君
   綱島 正興君  寺島隆太郎君
   渡海元三郎君  徳安 實藏君
   床次 徳二君  中井 一夫君
   中垣 國男君  中川 俊思君
   中島 茂喜君  中曽根康弘君
   中村 梅吉君  中村 幸八君
   中村 寅太君  中山 マサ君
   永田 亮一君  永山 忠則君
   灘尾 弘吉君  楢橋  渡君
   南條 徳男君  二階堂 進君
   丹羽喬四郎君  丹羽 兵助君
   西村 英一君  西村 直己君
   根本龍太郎君  野田 卯一君
   野田 武夫君  野原 正勝君
   羽田武嗣郎君  馬場 元治君
  橋本登美三郎君  橋本 正之君
   橋本 龍伍君  長谷川四郎君
   長谷川 峻君  八田 貞義君
   濱田 幸雄君  濱田 正信君
   濱野 清吾君  早川  崇君
   林  讓治君  林  唯義君
   平塚常次郎君  廣瀬 正雄君
   福家 俊一君  福井 順一君
   福井 盛太君  福田 赳夫君
   福田 篤泰君  福田  一君
   福永 一臣君  福永 健司君
   藤枝 泉介君  藤本 捨助君
   藤山愛一郎君  船田  中君
   古井 喜實君  古川 丈吉君
   保科善四郎君  保利  茂君
   坊  秀男君  細田 義安君
   堀内 一雄君  堀川 恭平君
   本名  武君  前田  郁君
   前田 正男君  益谷 秀次君
   増田甲子七君  松澤 雄藏君
   松田竹千代君  松永  東君
   松野 頼三君  松本 俊一君
      三池  信君    三浦 一雄君
      三木 武夫君    三田村武夫君
      三和 精一君    南  好雄君
      村上  勇君    村瀬 宣親君
      毛利 松平君    森   清君
      八木 一郎君    八木 徹雄君
      保岡 武久君    柳谷清三郎君
     山口喜久一郎君    山口 好一君
      山口六郎次君    山崎  巖君
      山下 春江君    山田 彌一君
      山手 滿男君    山中 貞則君
      山村庄之助君    山村新治郎君
      山本 勝市君    吉田 重延君
    早稻田柳右エ門君    渡邊 本治君
      渡邊 良夫君    亘  四郎君
     ――――◇―――――
#34
○議長(星島二郎君) 内閣提出、警察官職務執行法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。国務大臣青木正君。
    〔国務大臣青木正君登壇〕
#35
○国務大臣(青木正君) 警察官職務執行法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、警察官職務執行法についてその一部を改正しようとするものであります。
 現行の警察官職務執行法は昭和二十三年に施行され、以来約十年になりますが、この間の警察官の職務執行の実情にかんがみますと、この法律には、その規定に幾多の不備が見受けられますので、この際、警察官が個人の生命、身体、財産の一保護に任じ、公共の安全と秩序の維持をはかるため必要な手段についてその不備を補い、社会情勢の著しい変化に対応し得るようにしようとするものでありまして、これにより警察に課せられた治案の責めを全うするようにいたしたいと存じているのであります。すなわち、民主的警察制度のもとにおいて、社会情勢の変化に即応した警察官の職務の執行の円滑をはかり、善良な国民を守るとともに、自由にして平穏な社会生活を確保するため、この法律を改正する必要があると認めまして、この改正案を提出いたした次第であります。(拍手)
 次に、本案のおもな内容について御説明いたします。
 第一は、警察官が挙動不審の者に対して職務質問をした際に、その不審者が凶器等を所持しているときは一時保管するためこれを提出させ、所持している疑いがあるときは、所持品を提示させて調べることができることとしたのであります。
 第二は警察官が保護を行う場合について、保護を受ける者の要件の規定を整備し、また、虞犯少年、触法少年等で人の生命、身体等に危害を加えるおそれのある者を保護することができることとし、これに伴う必要な手続を規定いたしました。なお、保護を受ける者の氏名、住居を明らかにするため、または凶器等の所持の有無を明らかにするため必要があるときは、警察官がその者の所持品を調べることができることとし、保護を受ける者が凶器等を所持しているときは、一時保管するためこれを取り上げることができることとし、もつて保護の目的を達することができるようにいたしました。
 第三は警察官が避難等の措置をとることができる危険な事態の例示の規定を整備し、また、人の生命、身体等の保護という警察の責務にかんがみまして、危険な事態が発生してからでなく、その発生のおそれがある場合に、避難等の措置をとることができることを明らかにいたしました。
 第四は警察官の行う犯罪の予防及び制止の規定を改め、犯罪が行われることが明らかであると認めたときは、その予防のため警告を発し、また犯罪が行われようとしており、そのまま放置すれば、人の生命、身体に危害が及び、または財産に重大な損害を与える場合のほか、犯罪が行われようとしており、そのまま放置すれば、公共の安全と秩序が著しく乱されるおそれのあることが明らかであつて急を要士観場合にも、その行為を制止することができることといたしました。
 第五は、警察官の行う立ち入りの規定を改め、人の生命、身体等に危害が切迫した場合のほか、さらに、公共の安全秩序に対する危害が切迫した場合においても、その危害防止等のためやむを得ないと認めるときは、合理的に必要な限度で他人の土地、建物等に立ち入り、または通行することができることといたしました。
 第六は、警察官は、質問に際し提出させた物件、保護に際し取り上げた物件または犯罪行為の制止の措置としてとり上げた物件について一時保管の措置をとることができることとし、これに伴う手続の規定を設けることといたしました。
 以上が改正法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
#36
○議長(星島二郎君) ただいまの趣旨の説明に対して、質疑の通告があります。これを許します。門司亮君
    〔門司亮君登壇〕
#37
○門司亮君 私は、ただいま議題となつております警察官職務執行法の一部を改正する法律案の内容につきまして、社会党を代表して質問をいたそうとするものでございます。(拍手)
 この世紀の悪法案ともいうべき警察官職務執行法の改正に当りまして、まず、私は、法案全体からくる感じといたしましては、法案の説明の中にもございましたように、現在の世情にかんがみ、現行法を強化する必要があると認めてお出しになつたと思うのでございます。そういたしまするならば、現在の世情はきわめて悪化をしつつあるということを政府当局が認めて、かような法案を出されたと考える。私は、かような意味において、岸総理大臣に提案の責任者としてお伺いするのでございますが、今日の世相の悪化と考えられておりまする幾つかの要素は、国民自体がこれの責任を負うべきものか、政治の責任者である、政府当局の責任者であります総理大臣みずからがこの責任を負うべきであるかということを、まずお聞きしておきたいと思うのでございます。(拍手)
 今日の世相は、政府の経済施策の誤まりが数百万に及ぶ失業者を出しておることは御存じの通りであります。働こうとしてその職場を得ることができない、働いて賃金を得ることによつてのみ生活の道を持つておりまする数百万の労働者に職を与えない、政府の当路者のこれに対する処置が、どうされておるかということを考えなければなりません。(拍手)同時に、辛うじて職についておる者と申し上げましても、経済の不況は賃金の上昇の頭打ちになる、低賃金によつてその生活を保障するかてを得られないといたしまするならば、これまた、国民生活はきわめて不安にならざるを得ないといわなければなりません。
 卑近な例を申し上げましても、御承知のように、来年の春大学並びに高等学校を出て参りまする、百三十万といわれておりまする、新しく職を求めて学窓を巣立ちまする、これらの将来に対する希望と理想を持つた青少年は、その何パーセントが今日就職の保証がされ得るでございましようか。(拍手)岸総理は、施政演説の中に、青年に希望を持たせることがわが国の将来のためにきわめて重要なことであり、そういう施策を講ずると言つておきながら、この来年の春学窓を出る諸君に対する就職の不十分なる保証しかし得ないときに、どうして青年、少年が将来への希望と理想を持つことができるでございましようか。(拍手)この百数十万の学窓を出て参りまする青少年は、前途に暗い影を投じられておるということはいなめない事実である。これは諸君も御承知の通りであります。(拍手)
 さらに、今日、経済施策のあやまちからくるこの不況の中において、中小の商工業者の今日の不況の現状は、一体何を物語り、何を政府に要求しておるでございましよう。彼らの生きる道は、今日のこの不況に対する当面の施策としても、補正予算を組んでいただいて、彼らの生活を維持することのために十分の手当をしてもらいたいというのが、これらの諸君の切実なる生活を守るための要求である、しかるに、政府は、そのための補正予算を組まないということを断言しておるではありませんか。
 さらに、政府の行なつて参ります数々の反動政策、これらの幾多の政府の施策に基く政策の誤まりと反動政策の強行が今日の社会の情勢のいろいろな問題をかもし出しているものであるということは、よもや内閣総理大臣も否定はされますまい。(拍手)しかりとするならば、警察官の職務執行法を強化することによつて、今日の世相をあげて国民の責任に転嫁しようとする、みずからの政治責任を感じない処置に対して、総理大臣はいかようにお考えになりますか、まず質問をしておきたいと思うのであります。(拍手)
 さらに、私は、この法律のすべてを貫きまする精神は、あげて今日の民主憲法に非常に大きな背反をするもののあるということを指摘しなければなりません。
 憲法二十一条には、御承知のように、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由はこれを保障する。」と書いてあります。これらの集会に対して、もし公安の秩序を乱すようなものがあると警察官が認定するならば、その場に入つて行つてこれを勧告し、制止することができる。いわゆる言論の場でありまする集会に対して、これの中止、解散を命ずることができるということは、明らかに二十一条違反と申さなければなりません。(拍手)
 さらに、二十八条には、勤労者の団結と団体の行動をこれまた憲法が保障いたしておるのでございます。しかるに、政府の提案の理由を見てみまするならば、先ほど申しましたように、労働者がやむにやまれない実情のもとに団体の行動を行いますのに対して、一警察官の、単なる公共の安全と秩序を維持することがどうかという判断に基いてこれを抑制し、これを制止することができるということは、明らかに労働者に与えられた団体の行動の保障に対する違反事項といわなければなりません。(拍手)
 さらに、憲法二十九条には、御承知のように、「財産権は、これを侵してはならない。」ということが明確に書いてあるのでございます。しかし、この法律の内容を見てみまするならば、たといそれが虞犯少年の所持するものにいたしましても、これを取り上げることができる。しかも、これを一時保管して、返す場合においても、他人にこれを返すことができるというように、財産権の侵害は明らかになつておるでございましよう。(拍手)
 さらに、問題になつておりますものは、先ほど中井委員も指摘をいたしましたが、憲法三十三条の、何人といえども現行犯以外は司法官憲の令状がなければ逮捕されないというこの条項を、現行法におきましてはこれを少し広げて、この令状がなくても三年以上の重い刑に対する犯罪を犯した者については逮捕ができるかと存じますが、こういう厳然たる憲法の規定があるにもかかわらず、保護という名に隠れて、虞犯少年その他に対して、あるいは精神病者であり、年少者であるということによつて、これを戒告し、逮捕し、監禁することができるというこの条項は、まつこうから憲法三十三条の違反といわなければならぬと考えておりますが、この点についての御説明を願いたい。(拍手)
 さらに、憲法三十五条には、御承知のように、「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」ということがはつきり書いてある。しかるに、あの立ち入りという文字を使うことによつて、現行法の幅を広げて立ち入りを自由にさせるということが、もし単なる出先の警察官の認定によつて行われるといたしますならば、明らかに三十五条にこれまたまつこうから違反すると同時に、従来おそれられておつた臨検が明らかに行われる可能性を持つということを考えるのであります。
 これら幾つかの憲法条章に違反する内容を持つておりますこの法律案に対し、岸首相はいかなるお考えをお持ちになつておるか、まず私は、そのことをお伺いしたいと思うのでございます。(拍手)
 さらに、その次にお伺いをいたしたいと思いますことは、この法案の中にあります公共の安全と秩序ということを一警察官が認定することができて、そうして、この条項に基いて、先ほど申しましたような、大衆を抑圧したり、あるいは財産権を侵害したり、あるいは団体行動に対して制約を加えるというような、いろいろな幾つかの憲法違反を容易に行うことができると思いますが、この警察官の職務というものを一体どういうふうにお考えになつておりますか。今日の警察官は、法律に定められた範囲における捜査、いわゆる警察法にはつきり書いてありますように、捜査あるいは犯人の逮捕、あるいは犯罪の予防を警察官の任務といたしております。その出先の警察官が、警察法に定められたこの警察官の任務以外に、単に自己の認定によつて、公共の安全と秩序を乱すおそれがあるということを警察官自身が認定するということは、警察官の職務の執行の範囲を越えたものといわなければならないと考えるのでございます。(拍手)この公共の安全と秩序ということは、非常にむずかしい解釈を幾つか持つておると私は考える。これに対しましては、裁判官といえども容易に判定を下し得ないものであるということは、私は政府当局が御存じだと考える。従つて、今日の現行警察法におきましても、公安委員会その他の議を経て、いろいろな手続によつてこれらの問題に対処することができるということは、明らかに警察法に書いてあることも、御存じだと私は思うのでございます。これに対しまして、これを一警察官にその認定をまかせるということになつて参りまするならば、これの乱用こそは、きわめて国民の権利と自由を侵害する大きな問題にならなければなりません。
 これに対して、私が思い起しますることは昭和二十三年、この現行法のできまするときに、ちようどこれと同じような文字が第二条に挿入されておつたのでございます。当時、われわれは、GHQとの間に十分なる交渉をいたして参りました。この条項は、乱用される場合にはきわめて大きな危険を持つからということを理由にして、全会一致をもつて削除した記憶を持つておるのでございます。(拍手)われわれは、現行法の基本をこしらえまするときに、与野党一致して、この意見のもとに削除いたして参りましたその案文が、再びこの法律の中には二カ所も三カ所も出てくるということは、奇怪しごくであり、かつ危険千万でなければなりません。(拍手)私は、このことがもし乱用されて参りまするならば、先ほど猪俣君からも心配をいたしましたように、過去の治安維持法や、あるいは行政執行法、治安警察法等が、当然また姿を変えて善良なる国民の前におおいかぶさるであろうということをきわめて憂えるものでございますが、その憂いはないかどうかということについても、一つ御説明が願いたい。(拍手)
 さらに、総理大臣は、かつての演説の中に、民主主義を尊重すると、民主主義の尊厳を認められております。もし、総理大臣がほんとうに民主主義を尊重して、基本的の人権と、人としての自由を認められるというお考えがございまするならば、私は、こういう法律案は出せないと考える。なぜかというならば、正しい社会の秩序というものは、国民一人々が、いかなる人といえども基本的人権が尊重されて、人としての自由が確保されて、その上に保つ社会の秩序というものが民主主義国家におけるあり方でなければなりません。(拍手)しかるに、先ほどから申し上げておりまするように、幾つかの、憲法を侵害し、人としての基本的人権を侵し、自由を束縛する内容を持つ法律案を提案して、権力によつて社会の秩序を保持しようとすることは、明らかに、フアッショ国家というか、あるいはこれを警察国家というか、独一裁国家というかにほかならないと私は思うのでございます。(拍手)この点に対しましても、明確なる総理大臣の御答弁を私は要求するものでございます。
 さらに、最後に私が十分総理大臣の所信を伺わなければならないと思いますることは、先ほど中井君その他からも申し上げられたことでございますが、今日、この法案が突如として国会に提案されまして、まだ幾日もたちません。幾日もたつておりません今日、世論は、新聞を初め、学者にいたしましても、日ごろ法律、政治に比較的無関心でありまする文化人にいたしましても、さらに婦人団体にいたしましても、あるいは労働組合等、幾多の民主的団体を通じて、ほとんど国民全部の階層から、今猛烈な反対があるということは、御承知の通りであります。総理は、民主主義を尊重するというならば、当然この世論に対して十分なるお考えがなければならないと私は考える。この世紀の悪法ともいうべき警察官の職務執行法の世論の反対に対して、総理大臣はいかようにお考えになり、また、いかように処置されるかということを最後に質問を申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣岸信介君登壇〕
#38
○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。
 最近の世相の悪化について、特に不況対策や、あるいは失業問題、あるいは就業の機会を多くするというような問題に関しての施策についての御意見でありましたが、私どもは、もちろん、そういうことは、一般経済政策として、あるいは社会政策として、当然に考えて処置していかなければならないことでございます。(拍手)しかし、最近の世相の悪化につきまして、さらにわれわれが考えなければならないのは、最近起つておる、たとえば苫小牧の争議のごときを見ましても、これは、御承知の通り、苫小牧におけるところの労働者に対する給与は、日本の会社の中におきまして最高の水準を持つておるものであります。(拍手)そういうところにおける、あの悪化した状況や、あるいはまた、最近行われておりますところの道徳教育の講習会を多数の力をもつて妨げておるというようなことは、直接には経済政策とは関係のない問題であります。(拍手)しこうして、これらに対して社会の不安を除き、善良なる人々の自由と人権を守つて平和な世の中を作つていくということは、私は最も必要なことであると思います。そういう点において今回の警職法の改正というものが一つの意義を持つておるということを御了解願いたいと考えます。(拍手)
 第二に、民主主義というものについての基本は、個人の自由や個人の人格を尊重し、人権の尊重の上に平和な世の中が作られなければならないというお考えにつきましては私も全然同感でございます。われわれが特にいわゆる公共の安全を守るという治安の問題は、言うまでもなく、多数の善良なる市民の生活に対して不安を与えるような事態を起させないということが必要である。(拍手)私は、いかなる人の個人の自由も、あるいは人権も、これを尊重しなければならぬこと、言うを待ちませんが、全然法律の秩序の違反を行なつたり、あるいはこれを行うような、秩序を乱すようなおそれのない、善良なる市民の人格、自由は特に保護しなければならぬというのが、私ども公共の安全、秩序ということを言うゆえんでございます。(拍手)
 なお、法律上の関係につきましては、担当大臣よりお答えをすることにいたします。
 最後に、世論の反対があるが、これに対して総理はどう考えるかというお話でございます。私は、この問題につきましては、十分国会の審議を通じて、おのおの信ずるところを国民の前に明らかにして、そうして国民の審判を受けることが正しい世論の趨向をきめるものである、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣青木正君登壇〕
#39
○国務大臣(青木正君) ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。
 憲法違反の疑いがあるのではないか、かようなお話でございますが、この法案におきましては、昔の治安維持法なり、あるいは行政執行法なり、そういうふうな考え方と全然根本的に違つておるのであります。決して、憲法二十一条の集会の自由を奪うというような、また、集会に対しまして不当な干渉をするとか、そういうような考えは毛頭ないのであります。公共の安全と秩序を守る、そのことにつきましては、まさに犯罪が行われようとして、その結果公共の安全と秩序が乱され、しかも、急を要する場合に限つてそれを制止しようということでありまして、決して集会の自由を奪うなどという考えはないのであります。
 また、憲法三十三条のことについてお話がありましたが、御承知のごとく、三十三条から三十五条までは司法手続のことを書いてあるのでありまして、これは逮捕の場合その他のことを規定しておりますが、本法におきましては、行政措置としての少年の保護の問題、あるいは危険物、危険な凶器等を一時頃かるための保管の問題、こういうことを規定いたしておるのでありまして、憲法第十三条に定められた個人の人権の尊重、自由、これ、言うまでもなく、公共の福祉の範囲において認めらるべきものであり、この法律の考え方は、そういう考え方に立つて行政措置として行うものでありまして、憲法三十三条の司法手続としての逮捕の問題とは全然別個の考え方に立つておるのであります。(拍手)
#40
○議長(星島二郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#41
○議長(星島二郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後十一時二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト