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1958/11/01 第30回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第030回国会 本会議 第16号
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1958/11/01 第30回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第030回国会 本会議 第16号

#1
第030回国会 本会議 第16号
昭和三十三年十一月一日(土曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十六号
  昭和三十三年十一月一日
    午後一時開議
 第一 憲法調査会法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国立近代美術館評議員会評議員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
 蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
 日本電信電話公社経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
 昭和三十三年度一般会計予算補正(第1号)
 昭和三十三年度特別会計予算補正(特第1号)
 国民健康保険法案(内閣提出)
 国民健康保険法施行法案(内閣提出)
 最低賃金法案(内閣提出)
 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第一 憲法調査会法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(内閣提出)
    午後五時四十六分開議
#2
○議長(星島二郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(星島二郎君) お諮りいたします。内閣から、国立近代美術館評議員会評議員に本院議員北村徳太郎君、同佐藤觀次郎君及び参議院議員林屋亀次郎君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
     ――――◇―――――
#5
○議長(星島二郎君) 次に、内閣から、蚕糸業振興審議会委員に本院議員五十嵐吉藏君及び参議院議員重政庸徳君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
     ――――◇―――――
#7
○議長(星島二郎君) 次に、内閣から、日本電信電話公社経営委員会委員に大和田悌二君を任命したいので、日本電信電話公社法第十二条第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
#9
○松澤雄藏君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、昭和三十三年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十三年度特別会計予算補正(特第1号)、右両件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#10
○議長(星島二郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 昭和三十三年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十三年度特別会計予算補正(特第1号)、右両件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長楢橋渡君。
    〔楢橋渡君登壇〕
#12
○楢橋渡君 ただいま議題となりました昭和三十三年度一般会計予算補正(第1号)及び同特別会計予算補正(特第1号)につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本予算補正二案は、去る十月二十八日予算委員会に付託され、二十九日政府より提案理由の説明を聴取し、同日より四日間にわたって審議し、本日討論、採決されたものであります。
 一般会計予算補正及び特別会計予算補正中の貴金属特別会計にかかわるものは、本年度に発生を見ました災害に対するものでありまして、その歳出追加の内訳は、二十二号台風による風水害を初めとし、干害、凍霜害の被害対策費等八十億九千八百万円及び予備費十億円、合計九十億九千八百万円であります。
 以上の歳出の追加に必要な財源は、日本銀行納付金の増加等、おおむね現在までに確定した税外収入の増加によるものであります。
 また、特別会計予算補正の中で、産業投資及び国債整理基金の両特別会計は、産業投資支出に充てるための百八億円に相当する外貨債募集に関する所要の補正であります。
 以上が今回の予算補正の内容の概略であります。
 なお、政府は、特に中小企業の年末金融資金及び災害復旧資金の需要等を考慮いたしまして、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫に対しそれぞれ二十億円、日本不動産銀行に対して十億円、計七十億円の政府資金を追加するとともに、必要に応じて三十億円繰り上げ使用を認めることにいたしております。
 次に、委員会における質疑について若干申し上げます。
 質疑の第一は、日米安全保障条約改定問題であります。すなわち、「政府は日米安全保障条約改定の交渉に着手したが、交渉に当っての日本政府の基本的態度、条約の内容、特に防衛区域、米華相互防衛条約、米韓相互防衛条約等との関係、また、今次の改定によって日本は第三国間の戦争に巻きこまれる危険を生ずるおそれはないか」等の質疑が活発に行われたのであります。
 これに対して、政府は、「交渉の基本的態度としては、日本は独立国として米国と対等の立場で交渉し、その条約の性格も双務的なものとすることを建前とするが、現行憲法の規定から完全な双務性は許されない。防衛区域については、条約の双務性からすれば、日本の防衛区域については各種の場合が考えられるが、海外派兵を許されていない憲法上の制約があり、また、日本の立場からいって、なるべく狭くすることが望ましいと考える。この際問題となるのは、米国の施政権のもとにある沖縄、小笠原を防衛区域に入れるかどうかということであるが、日本と運命をともにしたいという現地住民の気持のあることも動かせない事実であるから、この問題については、国内世論等をもよく考え、慎重に検討したい。また、本条約締結により、他国間の戦争に巻き込まれるものとは考えられない。その他、具体的事項については、いまだ決定していない。」との答弁がありました。
 次には災害復旧対策費についてでありますが、一、「二十二号台風による被害は、地域は狭いが、被害程度はきわめて深刻であるから、補正予算に計上された追加額ではまかなえないのではないか」、二、「伊豆地方については、復旧事業費は被害額に対して平均六四%という低い率で査定されているが、その根拠いかん」、三、「災害復旧に当っては、原形復旧の原則を改め、改良工事として施行し、同時に、完成年限を従来の三カ年を二カ年程度に短縮し、被災民の生活を確保する必要ありと認められるが、これに対する政府の所見、また、小河川や小地域の災害復旧に対する施策いかん」等の質問が行われました。
 これに対して、政府は、一、「二十二号台風による災害復旧事業費予算は現在までの被害報告額七百二十二億円を基礎として査定したものであって、予備費で措置済みのものと、及び措置することの確定した分は、風水害等二十九億円に達しておるし、また、さらに予備費も計上されておるのであるから、今回の補正額でまかなえる見込みであるが、万一、今後なお施策をしなければならぬ事態が起きれば、政府としては適当なる措置を考慮する」、二、「事業費査定の根拠は、従来三カ年の査定実績による減率を乗じて算出したものであって、特に低くしたということはあり得ない」、三、「原形復旧を改良復旧とすることについては、狩野川の復旧工事については特に改良復旧とし、しかも、二カ年で復旧を完成するよう初年度七割を計上し、来年の雨季前に大筋の復旧ができるよう取り計らい、また、農地その他の復旧に資するようにした。小災害の復旧事業については起債の方法でまかない、これが元利償還等の経費は、地方交付税配分の際の基準財政需要の率を引き上げることによって処理したい。」との答弁がありました。
 次は、外貨債発行についてであります。「最近のわが国経済は、外貨事情も好転し、また、国内金融も漸次緩和の方向に向っており、不要不急の面にも資金がかなり流れていると考えられる。米国の金利も上昇ぎみにあるとき、百億程度の外貨債を発行するより、民間資金を財政資金として活用するよう適当な方法を講ずればよいではないか。また、外貨債発行の条件いかん」等の質疑が行われました。
 これに対して、政府は、「経済の正常な発展をはかるためには、常に資金の手当をしていく必要がある。最近の外貨事情は確かに好転し、年度末までには黒字三億ドルをこえることは容易に見通されるが、明年度以降の経済の成長を考える場合、このままの黒字上昇を続けることは見込まれない。民間資金は最近ゆるみがちになっているが、内国債発行等によって民間資金を財政資金へ導入することは、民間資金を圧迫することともなり、また、通貨価値を不安定ならしめるおそれもある。民間資金は、あくまで自主的規制により基幹産業に流れるようにして景気のささえとしたい。日本経済の将来の発展を考える場合、この機会に外貨債発行という道を作っておくことが妥当と考えられる。外貨債発行条件は、現在世銀の貸付利子を一応の目途とし、それより若干上回る程度を考えているが、米国金利も上昇ぎみにあり、見方によっては発行時期を失しているのではないかとも考えられるが、不利益な条件の場合には再考慮することもあり得る。」との答弁がありました。
 以上のほか、民主政治のあり方、警察官職務執行法改正、防衛庁の次期戦闘機決定の問題、景気対策、糸価対策等、国政の諸般にわたって活発な質疑が行われたのでありますが、これらについてはすべて会議録に譲ることを御了承願いたいと思うのであります。
 本補正につきまして、本日、社会党より編成がえを求めるの動議が提出されました。すなわち、その要領は、第一、災害対策、第二、当面する失業者等の生活保障対策、第三、不況による農林漁民の所得減少防止対策、第四、中小企業の経営近代化促進対策、第五、勤労国民の生活向上対策、第六、地方財政負担補てん対策等、諸般にわたってその措置を講ずることとし、歳出増及び歳入減の財源措置としては、経済基盤強化資金の取りくずしと、防衛費のうち、本年度中に使用予定の物件費、施設費を削減充当することとしているのであります。
 質疑終了後、直ちに討論に入り、採決の結果、社会党の組みかえ要求の動議は否決され、補正予算二案は政府原案の通り可決されたのであります。
 以上、簡単ながら、御報告申し上げます。(拍手)
#13
○議長(星島二郎君) 昭和三十三年度一般会計予算補正(第1号)外一件に対しては、井手以誠君外十七名から編成がえを求めるの動議が提出されております。この際、その趣旨弁明を許します。小平忠君。
    〔小平忠君登壇〕
#14
○小平忠君 私は、日本社会党を代表して、政府提出の補正予算案二案の撤回を求め、以下、私が述べる要旨に基いて、政府案の編成がえを求める動議を提出するものであります。(拍手)
 政府は、台風二十二号の襲来によってしぶしぶながら補正予算を提出したのでありますが、今回の補正予算を出すまでの経緯並びにその内容につきましては、おおよそ自民党歴代内閣の提出した補正予算案の中でも、最も不誠意、かつ財政政策としても不適切なものでありまして一戦後最悪の補正予算案と評しても過言でないのであります。(拍手)
 なぜ、今回の政府案をかく批判せざるを得ないのであるか。その第一の理由は、最近の経済不況は、ついに有名大企業すらも企業整備に着手するほど深刻化し労働条件も悪化の一途をたどり、大量首切り、失業者の増加は、年末に向ってますます激しくなってきている実情であり、一方、本年度の災害は、二十二号台風を含めてほとんど全国に及び、その被害の範囲と、その激甚さは、昭和二十八年度被害に匹敵するものがあるのであります。
 このように、二十二号台風による罹災者を含めて、今や経済不況の波はわが国国民大衆の生活の上に大きな恐怖となって押し寄せてきているきわめて重大なときにもかかわらず、そこに提出されました補正予算案なるものは、ただ災害復旧関係及び外債発行関係に限定したものであり、経済不況に対する対策費は何ら考慮されるところなく、その必要性する認めようとしていないのであります。
 しかも、政府が計上している災害対策費九十億九千八百三十三万円は、今回の衆議院予算委員会におきまして、わが、党委員の追及の中に明らかにされたように、本年度計上額としてはまことに不十分であり、かつ不足なものであることを、これは大蔵当局みずからが認めているところであります。(拍手)
 また、災害復旧に要する国費の支出に際しての国の負担率、補助率の増額、その他の特別措置についても、政府の国会提出はまことに遅々として進まない状態であります。政府は、会期中にすべての必要なる特別立法措置を国会に提出すると答弁しておりながら、昭和二十八年度災害当時の二十数件に及んだ特別措置に比べれば、なぜに本年の災害についてはその措置がおくれているのか、われわれは全く理解に苦しむものであります。
 本年の災害は、四月の霜雪害以来、干害、雨害、十八号台風、二十一号台風と、たび重なっているのでありますが、それにもかかわらず、これら災害については何ら特別措置をとる誠意すら見られず、政府は、二十二号台風によって、ようやく補正予算の必要と特別立法措置の必要を認めようとしているのであります。これは、まことに全国罹災者を軽視したものといわなければならないのであります。
 従いまして、今回の政府提出災害予算案は、金額としても過小に過ぎるし、また、特別措置はあまりも不十分であり、これでは地方経済は不況と災害の二重の被害によって困窮の度を増すことはきわめて明瞭であります。(拍手)
 しかも、政府は、今回の補正予算の財源として、本年度歳入の税外収入の増収分を充当しようとする無理算段な財源捻出方策であり、政府みずから災害予算規模の僅少なることを自覚しながらも、財源措置に縛られ、その規模を広げられないという体たらくで、すなわち、政府はみずから経済基盤強化資金というたな上げ財源のワクを設定し、異常災害の復旧に際してはこれを使用することを定めておきながらも、なぜに今回の異常災害にこれを使用しないのでありましょうか。今回の狩野川流域のあの悲惨なる被害を、政府は異常災害とは見ていないのでありましょうか。また、常に健全財政の建前を守るならば、補正予算の編成に当っては、まず、その財源として、既定経費のうち、節約、削減し得る経費はないかどうかを再検討すべきであります。政府は、今回の補正に際して、果してこの努力を尽したでありましょうか。
 毎年度、防衛関係費は膨大な繰り越しをしていることを見のがしてはならないのであります。社会党を初め世論の非難によって支出を急いだ昨年度におきましても、防衛庁費は百億円に近い繰越金を生じているのであります。また、今回の北海道の秋季演習に見られるように、自衛隊はソ連を刺激する以外に何らの取り柄もないと見られるところに莫大な国費の浪費をやっているのであり、われわれは、政府が血税を支払っている国民の身になって既定経費、なかんずく非生産的経費の削減について、もっと誠意を持ってもらいたいのであります。(拍手)
 また、今回の補正予算案の第二の特徴は、外債発行に伴う特別会計予算の補正でありますが、外債を発行することの無意味なことにつきましては、すでに予算委員会、大蔵委員会等において明らかになってきているところであります。佐藤大蔵大臣自身も、現在のアメリカの起債市場は次第に金利高に向っている事実を認めているのであります。今日のように外貨保有がふえているときに、さらに外貨を借りてまで、これを円資金にかえて国内で使用することは、借金を質に置いて金を使うのと同じであります。(拍手)これでは、外国からの借金をふやし、国内では日銀券の発行高をふやすだけでありまして、健全財政の建前から見ても全く矛盾するものであります。われわれは、現在の国内の民間金融の緩和の実情にかんがみて、政府に若干の政策の用意さえあれば、民間資金を活用して、財政融資に必要なる資金の補てんはできるものと判断するものであります。
 また、政府は、中小企業関係機関に対して、七十億円の新規融資と、三十億円の繰り上げ融資を認めておりますが、これも現在の中小企業に対する財政措置としてはまことに不十分であります。政府部内の中小企業庁すら、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金の三機関に対しては、昨年度並みの融資をするために、当面百六十億円が必要であると報告しているのでありますが、政府の今回行なった融資増は六十億円にすぎないのであります。
 このように、今回の政府補正予算案は、歳出項目の選定においても、また、その財源措置においても、当面国民が期待しているところに何らこたえるところがないのであります。(拍手)
 そこで、わが党は、かかる政府案に対して編成がえの動議を提出するものでありますが、われわれが政府に要望する第一点は、政府が不況の事実を認めるべきことであります。政府は、がんとして不況を認めないところから、不況の影響として、財政収入が、計画通り、また予算通りに集まらない事実を、国民に率直に示すことができないのであります。従って、わずかな税外収入をかき集めて、足りないことを万般承知の上で災害予算だけを編成したり、また、国内に余裕ある資金を活用しないで、年六分を上回る高利の外債を発行しようとしております。このように、今回の補正予算編成が全く歪曲されてしまった原因は、政府が不況の事実を認めないところに基因しておるのであります。われわれは、災害対策として政府案の九十億九千八百万円に対して、約二百三十七億六千万円を計上することを要求するものであります。これは、災害対策として施設災害対策費関係、農産物関係、文教関係、厚生労働関係、その他被害全般にわたって明確になっておる当面必要なる経費を集計したものでありまして、このことは、大蔵当局といえども、これを過大であるとは査定できない最小必要限度の経費なのであります。(拍手)しかも、これらの経費は、いずれも昭和二十八年度災害当時並みの特別立法措置並びに特別行政措置に伴って支出すべきものであります。
 さらに、一般会計予算補正の第二点としてわれわれが強く要求するものは、失業対策費、不況による農林漁業に対する対策費、中小企業振興についての助成費、国民健康保険における患者負担の軽減、年末手当及び夜勤手当などの所得についての減税、あるいは勤労者実質収入の向上をはかる措置、公務員の年末手当に対して〇・二ヵ月分の増額、さらに、不況対策の実施に伴って生ずるところの地方財政の負担増加に対する本年度の特例としての特別交付金の交付であります。詳しくはお手元に配付してあります議案について参照いただくことにいたします。
 このように、災害対策並びに不況対策等を含めて、一般会計予算の歳出増としては、およそ五百二十二億円を計上するものであります。また、特別会計予算の補正につきましては、外債発行をとりやめて、これに伴う予算措置である産業投資特別会計並びに国債整理基金特別会計の補正を取りやめるべきであります。しこうして、新たにとるべき措置としては、財政投融資計画の変更として、資金運用部手持ちの金融債約四百九十三億円を民間金融機関に売却して、財政投融資の原資を調達すべきであります。現在、資金運用部特別会計並びに産業投融資特別会計には若干の余裕金が残っておりますが、これらは、本年度の原資調達計画に穴があいている現在、その補てんに向けらるべきものでありまして、新たなる融資に要する資金は財政と金融の一体化によって調達すべきであります。もとより、この措置をとるためには、日銀公定歩合の再引き下げを必要とすることは言うまでもありません。現に、政府部内、また主要閣僚の中にも、日銀公定歩合の再引き下げを行なって、民間資金を活用し得る道を開くべきであると主張している者があるのであります。岸内閣のように右顧左眄していたのでは、せっかくの民間金融の緩和は、何ら不況打開に役立たないまま、むだに浪費されてしまうのであります。
 かくして調達する財政投融資原資の配分は、災害関係についての地方起債、災害関係についての住宅金融公庫の融資増、災害並びに高利債の肩がわりのための農林漁業金融公庫の融資増、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金、日本不動産銀行の四機関に対して、政府案の七十億円融資のほかに、さらに百八十億円を増額して二百五十億円の融資、さらに、電源開発会社等、資金計画にそごを来たしている特殊団体に対して百八十億円の融資、合計四百九十三億円の融資を配分すべきであります。このことは、自由民主党の諸君といえども、本心は、この社会党の組みかえ動議の正しさ、政策としての妥当性は認めているのであると私は思うのであります。(拍手)しかしながら、経済政策の行き詰まりを、独禁法の改正のごとき経済制度の改悪、さらに警職法の改悪によって、国民の正しい世論も弾圧しようとするがごとき岸内閣の手によっては、経済政策はとうてい正しい軌道に戻ることが期待できないのであります。(拍手)
 私は、心ある自由民主党の諸君がわれわれの動議に賛成されることを真に期待いたしまして、政府案に対しまして編成がえを求める動議の提案理由の説明を終えるものであります。(拍手)
#15
○議長(星島二郎君) これより討論に入ります。淡谷悠藏君。
    〔淡谷悠藏君登壇〕
#16
○淡谷悠藏君 私は、ただいま提案されました昭和三十三年度一般会計予算補正(第1号)及び同特別会計予算補正(特第1号)につき、日本社会党を代表して、政府原案に反対し、わが党提案の編成がえを求めるの動議に賛成する討論を行わんとするものであります。(拍手)
 反対する第一の理由は、補正予算に対する政府の考え方についてであります。
 佐藤大蔵大臣は、この補正予算に関する演説で、先般国際通貨基金及び国際復興開発銀行の総会に出席して、「わが国経済に対する国際的な評価がきわめて高いことを強く感じて参った次第」であるなどと言っておりますが、国際的金融業者の会議で大蔵大臣がどうお感じになろうが、それでわが国経済が信を海外に博し得ましたことを、あなたの言う国民各位は、決してあなたとともに喜んでいるはずはございません。あなたは、一流の国際金融業者にほめられたから、国民の多数が幾ら苦しんでも、景気は立ち直りかけていると言うかもしれませんが、一部の産業において、過去の投資活動の行き過ぎの反動として残っているものは、決して、あなたの言われるように、若干の問題にとどまるものではございません。
 あなたは、「昨年来のわが国経済の調整過程は、今日ようやくその仕上げの段階に入りつつある」などとも演説しておられまするけれども、景気の停滞現象などと称して、なべ底が抜けたみたいな不景気のどん底で、仕上げなどかけられては、たまったものではございません。(拍手)東京のまん中に次々と建つビルディングや、夜昼分かたぬ金貸しや死の商人どもの宴会に酔いしたれ感覚では、今日、深刻な経済不況に倒産し、一家離散の涙をかみしめる小中企業者の苦しみはおわかりにはなりますまいが、現実的には、労働条件の悪化、大量首切りが続いております。「秋の風、きょうより職を失わば、この街上もさびしがるべし」という歌がございます。今を時めく大蔵大臣のあなたには、このさびしい気持はわからないでございましょうけれども、首を切られ、街頭にほうり出された労働者の気持は、やがてあなたが大蔵大臣のいすを去るに際して感じるさびしさとは比べものにならないほど悲痛なものがあるのであります。(拍手)きびしい年末を控え、首を切られて街頭に投げ出されたときの多くの労働者の感情は、大蔵大臣、あなたには切実に感じ取られないのは、ごもっともでございまするが、少数のあなたの仲間が、労せずして巨大な富を積みながら、そのために大多数の国民がその日のかてにも困るこの現実が、いかに目をおおっても、刻々と資本主義経済の土台を掘りくずしていっていることは、労働争議の弾圧などによっては決して押しつぶされるものでないことだけは、深く肝に銘じておいてもらいたいのであります。(拍手)
 不況は農村をも襲っております。牛を飼えば牛乳の値が下り、蚕を飼えば繭の値下りが底を知らない。政府は、酪農を奨励し、繭の増産計画で農民をおだて上げておきながら、この政策失敗に基因する不況に対しては何ら手を打とうともせず、いたずらに金融資本と軍需産業のから景気に酔い、景気立ち直りのはかない夢で国民をごまかし通そうとするなどは、悪質この上もない欺瞞政策であります。欺瞞ではなく、この厳粛な現実の破局がほんとうに見えないというならば、これこそ、まじめに働く国民のための政治を行う資格のない政府であります。
 ことに、春以来打ち続く災害のために、家族を失い、家を流され、田畑をなくした災害地の人たちは、その救済を一刻もおろそかにできぬ悲痛な気持で政府の施策を待ち望み、すみやかに補正予算を組んでこの災害を救済するように、全国からその哀情を訴えてきております。今回の臨時国会もその全国民の待望によって開かれたものにほかならないのであります。日を追うて深刻さを加えていく経済不況の打開策を立て、災害救済の補正予算を組むことのためにこの国会が開かれたのであることを、政府は早くも忘れてしまっていたのであります。少くとも、忘れたふりをしていたのであります。
 まず出してきたのは、独占禁止法の改正案であり、ごまかしの最低賃金法である。わが党から再三せき立てているにもかかわらず、肝心の補正予算は一向組もうともせず、暗やみから牛を引っぱり出したように、いきなり突きつけてきたのは警察官職務執行法改正法律案であります。(拍手)国民が本国会に待ち望んでいたものは、不況対策、災害対策の誠意ある補正予算を組むことにあった。真剣にその対策の審議に当り、一日も早くそれを実行に移すことであった。もし、本国会の劈頭において、わが党このたびの提案によるような完全な諸施策を打ち出し、補正予算を提出し、その実行をしていたならば、何も今さら時代逆行の警察国家構想などを打ち出して国民を弾圧しなくても、国民は、自民党政府であれ、その功績を謳歌したはずであります。さすがに、岸総理は、うそを言わずに、半年前の選挙公約も守ったし、戦時内閣の閣僚だったにも似合わず、よくまあ戦犯のあかを落したと感心もしたことでしょう。ところが、何ごとか、災害国会を予期したのに、警職法でなぐりかかってきたのであります。パンを求めているのに、こん棒を突き出してきたのであります。
 しかも、わが党に迫り寄られて、ようやく補正予算を組んで出したのは、会期も終りに近づいた十月二十八日であります。おざなりの、穴だらけの予算案を組んでおいて、しかも、審議は一向にはかどらせようといたしません。定刻に社会党の予算委員が顔をそろえて待っているのに、岸総理初め、政府委員は一向出てこようともしない。与党の楢橋委員長でさえ、さすがにたまりかねて、政府委員の出席がおそい、必ず定刻に出席せられたいと警告を発しましたが、それでも、やっぱり出席がおそい。これが、一体、真剣な災害対策、不況打開の予算審議の態度でございましょうか。(拍手)察するところ、岸内閣は、選挙に勝ったおごりから、一挙に一党独裁を夢み、外は安保条約の改正、内は憲法改正をあせり、大資本家の利益を守って労働攻勢を防ぎ、戦争に備えて、平和運動を抑圧せんがための手先に、警察を変貌せしめんとする警職法改正を強行すること急にして、かくも補正予算審議には熱意を示さざるものというほかはございません。
 しかも、わが党の警職法改正反対と、世論の激しい反撃にあってこの悪法の通過がむずかしくなると、今国会初頭における公党間の申し合せ、正規の取りきめを無視し、例により卑怯な奥の手を出して会期の延長をはかり、災害に関する補正予算の審議をおくらせてその口実に使おうとしたのであります。国民が、ことに災害に打ち悩まされた人々が、血の出る思いで待ち望んだ補正予算を、かくも提出をおくらせ、かくも審議を怠り、警職法改正の道具に使うなどという態度は、断じて許さるべきではございません。(拍手)
 今回の補正予算は、その提出の仕方において、かくもふまじめであり、その審議の態度において、かくも不誠実である。これが、われわれの政府原案に反対する第二の理由であります。
 その補正予算の内容においては、さらにあきれ果てたものであります。昭和二十八年度の災害を越すといわれるほどの大災害に対し、政府の組んだ補正はわずかに九十億円余にすぎない。災害地の諸君は、閣僚や与党の幹部が現地におもむいて、鳴りもの入りで対策の公約をし、大がかりの宣伝をした結果が、こんな始末であることに、大きな失望を感ずるに違いございません。これが実際に交付されたら、災害地の人々は、おそらく蚊の涙みたいなものにすぎないことに、さらに大きないきどおりを感ずるに違いございません。(拍手)
 しかも、この予算には、二十二号台風及び一連の台風被害だけではなく、春以来の干害、霜雪害対策費まで含まれているのであります。災害の政府の査定総額が、決して現地の報告に基いたものではなく、政府機関において幾度も幾度も圧縮されたものであることはむろんであります。しかも、最後には、被害実態に即しようが即しまいが、財源に苦しむ大蔵省の財布に合せて最後決定を見たものであることは明らかであります。
 今回の災害は、天災というよりも、選挙目当ての政政施策の総花主義と、不徹底さと、口先だけの計画に、しかも実行予算はつけてやらない立ちおくれがもたらした人災といわれております。政策の失敗による人災という以上、政府はすみやかに徹底した施策によってその急を救わねばなりません。
 すでに東北、北海道では雪の降る季節でございます。岸首相は、ゴルフに熱心だと聞きまするが、ゴルフ場のコンディションを気にする前に、実らぬ稲を泥まみれになって刈り取った農民たちの、食うものもない雪の中のみじめさを考えてほしいのであります。(拍手)住む家もない人々に来たるこの冬のきびしさを思いやってほしい。すでに冬迫る災害地は、救済工事にはすでにおそくなり過ぎております。これはゴルフができないこととは比較にならぬ重大事であります。
 財源がないとは言わせません。大資本のためには、異常災害に使う目的の経済基盤強化の資金二百二十一億円をたな上げして動かさず、外債百八億を気前よく打ち出しているではございませんか。施策がおくれ、国土を荒し去ったことは、ボロ靴や、中古エンジンや、自衛艦隊、さては、最近起った戦闘機製造など、防衛予算の重圧のためであります。国民を殺し、国土を荒廃に帰せしめて、どこに国防がありましょうか。国防と称して血税を乱費し、守るべき国土が荒れ果てて、何を一体守ろうとするのですか。(拍手)それで国防などといわれますか。国防の第一義は、まず国土を災害から守ることであります。(拍手)国土の保全と民生の安定を忘れて、国防の本義はございません。(拍手)一昨日、予算委員会において、赤城官房長官は、問題の次期戦闘機の決定は当分見合わせると明言いたしましたが、戦闘機を作ったつもりで、思い切って災害対策、不況対策をやってごらんなさい。飢えたものに食を与え、家を失ったものに家を与え、職を失ったものに職を与えたら、そのためた補正予算をおくらせた警職法の改正強行の必要などは毛頭なくなるでしょう。
 すでに根本の考え方において誤まり、次に提案の仕方、審議の仕方に誠意を欠き、第三に内容においてずさん、いいかげんな補正予算案には、一体何がいいところが残っておりましょう。悪いことは申しません。今まで犯した政府数々の誤まりを償う道は、わが党提案の編成がえを求める動議に賛成することよりありません。今回の災害補正予算の乏しさには、災害地出身の与党議員の諸君でも、ひそかに不満を抱いているに違いございません。御遠慮は要りません。為やまちを改むるにはばかることはありません。あげてわが党提案に賛成あらんことを望み、政府の原案には反対をいたしまして、私の討論を終ります。(拍手)
#17
○議長(星島二郎君) ただいまの淡谷悠藏君の発言中、もし不穏当の言辞があれば、速記録を取り調べの上、適当の処置をとることといたします。
 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、井手以誠君外十七名提出、昭和三十三年度一般会計予算補正(第1号)外一件の編成がえを求めるの動議につき採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。井手以誠君・外十七名提出の動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票]
#18
○議長(星島二郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#19
○議長(星島二郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百四十二
  可とする者(白票)  百四十一
    〔拍手〕
  否とする者(青票)   二百一
    〔拍手〕
#20
○議長(星島二郎君) 右の結果、井手以誠君外十七名提出の動議は否決せられました。
    ―――――――――――――
 井手以誠君外十七名提出の動議を可とする議員の氏名
  阿部 五郎君   赤路 友藏君
  茜ケ久保 重光君 淺沼 稻次郎君
  飛鳥田 一雄君  淡谷 悠藏君
  井伊 誠一君   井岡 大治君
  井手 以誠君   伊藤 よし子君
  池田 顧治君   石川 次夫君
  石田 宥全君   石野 久男君
  石橋 政嗣君   石村 英雄君
  石山 權作君   板川 正吾君
  今澄 勇君    今村 等君
  受田 新吉君   内海 清君
  小川 豊明君   小沢 貞孝君
  大原 亨君    大矢 省三君
  太田 一夫君   岡 良一君
  岡田 春夫君   岡本 隆一君
  加賀田 進君   加藤 勘十君
  加藤 鐐造君   柏 正男君
  春日 一幸君   片島 港君
  勝澤 芳雄君   勝間田 清一君
  角屋 堅次郎君  金丸 徳重君
  上林 與市郎   神田 大作君
  川村 継義君   河上 丈太郎君
  河野 正君    木原 津與志君
  菊川 君子君   菊地 養之輔君
  北山 愛郎君   久保 三郎君
  久保田 鶴松君  久保田 豊君
  栗原 俊夫君   栗林 三郎君
  黒田 寿男君   小平 忠君
  小林 進君    小林 正美君
  小牧 次生君   小松 信太郎君
  小松 幹君    兒玉 末男君
  五島 虎雄君   河野 密君
  佐々木 更三君  佐々木 良作君
  佐野 憲治君   坂本 泰良君
  阪上 安太郎君  櫻井 奎夫君
  實川 清之君   島上 善五郎君
  下平 正一君   東海林 稔君
  杉山 元治郎君  鈴木 一君
  鈴木 茂三郎君  田中 幾三郎君
  田中 織之進君  田中 武夫君
  田中 稔男君   田万 廣文君
  多賀谷 眞稔君  高田 富之君
  滝井 義高君   竹谷 源太郎君
  楯 兼次郎君   館 俊三君
  塚本 三郎君   辻原 弘市君
  戸叶 里子君   堂森 芳夫君
  中井 徳次郎君  中澤 茂一君
  中島 巖君    中嶋 英夫君
  中原 健次君   中村 時雄君
  中村 英男君   西尾 末廣君
  西村 関一君   野口 忠夫君
  芳賀 貢君    長谷川 保君
  原 茂君     原 彪君
  日野 吉夫君   平岡 忠次郎君
  廣瀬 勝邦君   帆足 計君
  北條 秀一君   堀 昌雄君
  正木 清君    松浦 定義君
  松尾トシ子君  松平 忠久君
  松前 重義君   松本 七郎君
  三鍋 義三君   水谷 長三郎君
  武藤 武雄君   門司 亮君
  本島 百合子君  森 三樹二君
  森島 守人君   森本 靖君
  八百板 正君   八木 一男君
  八木 昇君    安井 吉典君
  柳田 秀一君   山口 シヅエ君
  山崎 始男君   山下 榮二君
  山田 長司君   山中 吾郎君
  山中 日露史君  山花 秀雄君
  山本 幸一君   横山 利秋君
  愛知 揆一君否とする議員の氏名
  安倍 晋太郎君  相川 勝六君
  逢澤 寛君    青木 正君
  赤城 宗徳君   赤澤 正道君
  秋田 大助君   秋山 利恭君
  天野 公義君   綾部 健太郎君
  荒舩 清十郎君  新井 京太君
  五十嵐 吉藏君  井出 一太郎君
  井原 岸高君   飯塚 定輔君
  生田 宏一君   池田 清志君
  石坂 繁君    石田 博英君
  一萬田 尚登君  今井 耕君
  今松 治郎君   宇都宮 徳馬君
  植木 庚子郎君  臼井 莊一君
  内田 常雄君   内海 安吉君
  江崎 真澄君   遠藤 三郎君
  小川 半次君   小川 平二君
  小澤 佐重喜君  大石 武一君
  大久保 留次郎君 大島 秀一君
  大坪 保雄君   大野 伴睦君
  大橋 武夫君   大平 正芳君
  岡崎 英城君   岡部 得三君
  岡本 茂君    奥村 又十郎君
  加藤 精三君   加藤 高藏君
  加藤 常太郎君  加藤 鐐五郎君
  賀屋 興宣君   金子 岩三君
  金丸 信君    上林山 榮吉君
  亀山 孝一君   鴨田 宗一君
  川崎 末五郎君  川崎 秀二君
  川島 正次郎君  川野 芳滿君
  木倉 和一郎君  菊池 義郎君
  岸 信介君    北澤 直吉君
  清瀬 一郎君   久野 忠治君
  倉石 忠雄君   倉成 正君
  藏内 修治君   黒金 泰美君
  小枝 一雄君   小島 徹三君
  小平 久雄君   小林かなえ君
  小山 長規君   河野 一郎君
  河野 孝子君   纐纈 彌三君
  佐々木 盛雄君  佐藤 榮作君
  佐藤 洋之助君  齋藤 邦吉君
  坂田 英一君   坂田 道太君
  櫻内 義雄君   笹山 茂太郎君
  始閲 伊平君   椎熊 三郎君
  重政 誠之君   篠田 弘作君
  島村 一郎君   進藤 一馬君
  周東 英雄君   助川 良平君
  鈴木 正吾君   鈴木 善幸君
  薄田 美朝君   砂原 格君
  世耕 弘一君   園田 直君
  田口 長治郎君  田中 伊三次君
  田中 榮一君    田中 角榮君
  田中 龍夫君    田中 正巳君
  高石 幸三郎君   高碕 達之助君
  高橋 清一郎君   高橋 等君
  高見 三郎君    竹内 俊吉君
  竹下 登君     竹山 祐太郎君
  谷川 和穗君    千葉 三郎君
  津島 文治君    塚田 十一郎君
  辻 寛一君     辻 政信君
  寺島 隆太郎君   渡海 元三郎君
  徳安 實藏君    内海 隆君
  中井 一夫君    中島 茂喜君
  中村 幸八君    中村 三之丞君
  中村 寅太君    灘尾 弘吉君
  楢橋 渡君     南條 徳男君
  二階堂 進君    丹羽 兵助君
  西村 英一君    西村 直己君
  野田 卯一君    野田 武夫君
  野原 正勝君    羽田 武嗣郎君
  馬場 元治君    橋本 登美三郎君
  橋本 正之君    橋本 龍伍君
  長谷川 峻君    八田 貞義君
  服部 安司君    濱田 幸雄君
  濱地 文平君    早川 崇君
  林 讓治君     原 健三郎君
  廣瀬 正雄君    福家 俊一君
  福井 盛太君    福田 篤泰君
  福田 一君     藤枝 泉介君
  藤本 捨助君    藤山 愛一郎君
  船田 中君     保科 善四郎君
  保利 茂君     坊 秀男君
  細田 義安君    堀内 一雄君
  堀川 恭平君    本名 武君
  前尾 繁三郎君   増田 甲子七君
  松浦 周太郎君   松澤 雄藏君
  松田 竹千代君   松野 頼三君
  松村 謙三君    松本 俊一君
  三池 信君     三浦 一雄君
  三木 武夫君    三田村 武夫君
  三和 精一君    水田 三喜男君
  南 好雄君     村上 勇君
  村瀬 宣親君    毛利 松平君
  八木 一郎君    八木 徹雄君
  保岡 武久君    柳谷 清三郎君
  山口 喜久一郎君  山口 好一君
  山口 六郎次君   山下 春江君
  山田 彌一君    山手 滿男君
  山中 貞則君    山村 新治郎君
  山本 勝市君    吉田 重延君
  早稻田 柳右工門君 渡邊 本治君
  渡邊 良夫君
    ―――――――――――――
#21
○議長(星島二郎君) 次に、昭和三十三年度一般会計予算補正(第1号)外一件を一括して採決いたします。両件の委員長の報告はいずれも可決であります。両件を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立]
#22
○議長(星島二郎君) 起立多数。よって、両件とも委員長の報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#23
○松澤雄藏君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、国民健康保険法案、国民健康保険法施行法案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#24
○議長(星島二郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。
    [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#25
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 国民健康保険法案、国民健康保険法施行法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。社会労働委員長園田直君。
    〔議長退席、副議長着席]
    〔園田直君登壇〕
#26
○園田直君 ただいま議題となりました国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案の両案につき、社会労働委員会における審査の経過並びにその結果の大要を御報告申し上げます。
 まず、国民健康保険法案について申し上げます。
 国民皆保険の達成を重要施策とした政府は、去る第二十八回国会において、これが基礎法として、現行の国民健康保険法の全面的改正を目的とする法律案を提出いたしたのでありますが、本院解散のため審議未了に終りましたので、今回再びほぼ同一内容の本法律案が提出されるに至った次第でございます。
 次に、本法案のおもなる点について申し上げます。第一に、国民皆保険態勢確立のため、市町村に国民健康保険実施を義務づけたこと、第二に、国民皆保険に対する国の責任の明確化をはかるため、療養給付費及び事務費に対する従来の補助金を負担金に改めるとともに、療養給付費の二割はどの保険者に対しても負担することとしたほか、新たにその百分の五に相当する調整交付金制度を設けて、国民保険財政を調整し、負担の公平及び内容の充実をはかったこと、第三に、従来健康保険に比較して著しく劣っておりました給付範囲をこれと同一のものとし、また、給付の割合も、大多数の保険者が五割にすぎなかったのを、財政の充実とともに漸進的に向上を期することができるようにしたこと、第四に、国民健康保険における療養担当者制度の方式を改めて、開設者の申請に基く医療機関の指定方式を採用し、この事業に協力を希望するすべての私的医療機関が参加し得ることにするとともに、指定の拒否、取り消し等は地方社会保険医療協議会の議を経ることとし、さらに弁明の機会を与え、診療報酬については、従来の割引等を廃し、健康保険と同一とする等、その地位の安定をはかったこと等であります。
 次に、国民健康保険法施行法案について申し上げます。
 本案は、国民健康保険法案の施行のため必要な経過措置を定めるとともに、関係法律の整理を行おうとするものでありますが、そのおもなる内容について申し上げます。
 第一は、国民健康保険の未加入者をすみやかに解消せしめる趣旨から、昭和三十六年三月三十一日以前においても、厚生大臣及び都道府県知事が未実施市町村に対して事業の開始につき勧告または助言を行うことができることにしたこと、第二は、昭和三十六年三月三十一日までの間は、現に事業を行なっている普通国民健康保険組合及び農業協同組合などの社団法人は引き続き国民健康保険を行うことができることにしたこと、第三は、国民健康保険法案において療養の給付の範囲を健康保険と同一といたしておりますが、これによる急激な影響を避けるため、当分の間、政令で定める範囲のものは給付を行わないことができる道を開いたこと等でありますが、以上のほか、経過措置といたしまして、療養担当者、被保険者の範囲等に関する必要な調整規定等を設け、また、国民健康保険税の賦課方法を整備する等、国民健康保険法案の施行に伴う必要な関係法律の整理をいたしておるのであります。
 以上の二法案は、九月二十九日本委員会に付託せられ、十月十四日、橋本厚生大臣より提案理由の説明を聴取した後、審議に入り、数回にわたり熱心なる質疑応答が行われました。なお、両法案の重要性にかんがみ、二十九日公聴会を開き、全国町村会会長山本力蔵君外七名の公述人を招致して意見を聴取したのであります。これらの詳細につきましては、会議録により御承知願いたいと存じます。
 かくて、本日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案について、自由民主党田中正巳君外二十四名の提案にかかる次の修正案が提出せられ、田中正巳君よりその趣旨の説明がありました。
 その要旨は、第一、政府案において、被保険者は都道府県知事が指定した指定医療機関で療養の給付を受けることとしているのを改め、国民健康保険の被保険者は都道府県知事の登録を受けた医師、歯科医師たる国民健康保険医または国民健康保険薬剤師から診療または調剤を受けるものとし、国民健康保険の取扱いをなさんとするものは、その旨を都道府県知事に申し出て、これが受理されることを要するものとし、この場合、国民健康保険医または国民健康保険薬剤師がその診療または調剤に当るものとしたこと、第二、保険者は、善良なる管理者の注意と同一の注意を持って一部負担金の収納義務を果したと認められる療養担当者については、その負担とならないよう規定を整備したこと、第三、大部分の被保険者の収入を得る時期が限られているなどのため、窓口払いによりがたい市町村に一部負担金の保険者徴収の特例を設けたこと、第四、療養の給付期間を三年以上に延長し得る道を開いたこと、第五、保健婦に要する費用及び国民健康保険組合の療養給付費に対する国庫補助がそれぞれ三分の一以内、十分の二以内であるのを、三分の一及び十分の二の定率としたこと、第六、国民健康保険運営協議会を必置機関に改めたことなどのほか、両案につきそれぞれ関係条文の整理を行なったことなどであります。
 次いで、二法案に対する右の修正案及び修正部分を除く他の原案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党を代表して柳谷清三郎君より、二法案に対する修正案及び修正部分を除く他の原案に賛成の意見が述べられ、日本社会党を代表して岡本隆一君より反対の意見が述べられたのであります。
 かくて討論を終了し、国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案について、おのおのその修正案並びに修正部分を除く他の原案について順次採決に入りましたところ、それぞれ多数をもって修正議決すべきものと議決いたした次第であります。
 なお、国民健康保険法案について、自由民主党並びに日本社会党の共同提案にかかる次の附帯決議を付すべき動議が提出され、自由民主党の藏内修治委員よりその趣旨の弁明がございました。朗読いたします。
 一、政府は財政の許す範囲において、可及的すみやかに国庫負担率及び療養給付率の引き上げに努力すること。
 二、療養担当者の権利保護、苦情処理のため公正なる中立裁定機関を設置すること。
 三、調整交付金の算定の基礎となるべき療養給付費の見込額の算定に当つては、実績と相違が生じないよう努めるとともに、万一、相違が生じた際は、予算の補正等の措置を考慮すること。
   なお、事務費に対する補助については、その実情にかんがみ、実質的にその全額を国庫において負担するよう措置すること。
 かくて、本動議について採決を行いましたところ、全会一致をもって可決すべきものと議決いたした次第でございます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#27
○副議長(椎熊三郎君) 討論の通告があります。これを許します。河野正君。
    〔河野正君登壇〕
#28
○河野正君 ただいま議題となりました政府提案の国民健康保険法案並びに同施行法案に対し、私は、日本社会党を代表いたしまして反対の討論を行うとともに、わが社会党提案、同一部改正法案に対し、全面的賛成の意を表するものであります。(拍手)
 1本法案は、さきに第二十八通常国会にも提案せられ、しかも、審議未了に終ったことは、すでに御承知の通りであります。このことは、政府が医療保障政策の一環としての国民医療の向上というものを無視し、選挙公約の手前上、国民を欺瞞する手段として取り上げたことに対する国民のふんまんの結果であったのであります。換言すれば、わが党の主張の正しさを示す結果でもありました。しかるに、今回、本法案が、一部経過措置を改めるのみで再び提案せられたことは、民意を無視し、国会審議を軽視するもはなはだしいものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)このことは、単に世界の趨勢に応じ、好むと好まざるとにかかわらず、社会保障制度を最大のスローガンとして国民の前に示さざるを得なくなり、真の国民の福祉、国民の医療のための施策でなく、不純と矛盾に満ち満ちたことを示したものであります。
 今日、国民ひとしくが社会保障政策の強力なる推進を熱望していることは周知の事実でありまして、国民年金の早期実現と国民皆保険対策に万全を期することは、われわれ為政者に課せられました最大の義務であります。しかしながら、皆保険を急ぐの余り、形式のみを整えることは、国民の利益に反するのみならず、かえって実質的皆保険に逆行するものと断ずべきであります。単なる組織網の拡充と統制の強化に終ってはならぬのであります。といって、われわれは、皆保険の推進を否定するものではありません。しかし、国民皆保険推進の必須条件は、その基礎的諸条件の整備であります。中でも最も重大な点は、地方財政に及ぼす影響の問題であります。もちろん、本法では五分の調整交付金の制度は設けられたのでありますが、現行療養給付二割は、実際には種々と制約をこうむり、実質一割五分前後となり、事務費もまた、実際必要費の六ないし七割程度に終ったのであります。従って、自治庁当局の発表によりましても、二千六百市町村の実に八割五分が赤字を出し、一般会計よりの繰り入れにより、辛うじて命脈を保ったのが、その現況であります。
 かくのごとく、国民健康保険財政が、医療給付二割国庫負担をもってしてはその運営の不可能なることは、すでに、社会保障制度審議会を初めとして、いやしくも社会保障を口にするものの定説であって与党内部においてすら、その声が高かったのであります。しかるに、国民や識者の声には耳にふたをして、単に五分の調整交付金でお茶を濁そうとすることは、断じて許すことができないのであります。(拍手)御承知のごとく、わが社会党は、つとに三割国庫負担を強調して参ったのであります。社会保障制度審議会も、これまた強く勧告して参ったのであります。にもかかわらず、政府の態度は、全く徳川幕府の農民政策同様、生かさず殺さずの態度をとって参ったのであります。
 保険財政に関し、さらにわれわれが見落してならぬ重要な問題は、結核対策でございます。昭和二十八年、画期的な結核予防法が制定せられ、今日まで五カ年の歳月をけみしたのでございます。自来、結核の死亡率ははなはだしく減少して参りまして、世界各国の刮目するところとなったのでございます。しかるに、一面、患者の発生は跡を断たず、その数実に三百万と称せられておるのでございます。従って、結核医療費の保険財政における比重は、はなはだ大なるものがございます。換言すれば、結核医療費の解決なくして保険財政の健全化はあり得ないというべきであります。ことに、財政的基盤の弱い国民健康保険制度を強化する道は、結核医療費の重圧排除以外に道のないことを知るべきであります。よって、社会保障制度審議会も、その予算制度の一元化を強く要望しておるところでございます。しかるに、今後も依然として結核医療を保険財政の上にあぐらをかかすとするならば、それは健康保険にあらずして不健康保険なりと断ぜざるを得ないのでございます。(拍手)かかる傾向は、結核対策の上からも、健康保険の健全化の上からも、まことに悲しむべき現象でございます。
 かように、国民健康保険法案が社会保障の一環としての皆保険たらんとするならば、まず国が大幅な予算化を行い、責任を負うものでなければならぬのでございます。さきに、七人委員会及び社会保障制度審議会は、療養給付率を七割に引き上ぐべきことを答申いたしました。すなわち、医療制度は、安くて、何の不安もなく、今日の進歩した医療の恩恵を受けられる制度でなければならぬのであります。世に手おくれという言葉がございますが、その手おくれの原因のほとんどすべてが経済的理由によることを思うとき、われわれは涙なきを禁じ得ないのでございます。この貧しきための不幸を救う道は、ただいま申し述べたごとく、医療給付率七割以上にほかならぬのでございます。従って、今回のような五割給付は、すなわち、社会保障の無理解を暴露するものというべきでございます。
 さらに、われわれがこのような経済的負担を論ずる際、重ねて見落してならぬ点に、零細企業従事者の問題がございます。今日、五人未満の零細企業に従事する被用者は三百万と称せられておるのであります。日本経済の不幸な特色でもあります。従って、皆保険推進を遂行するに当っては、この日本の特色といわれる零細企業の網の中で、不安定で、しかも経済的に恵まれぬ、貧しいこれら大群の労働階級を、社会保障制度の中でどう取り扱っていくかは、きわめて重大なる問題でございます。これなくして皆保険の実現はあり得ないということを強調いたしたいのでございます。しかるに、政府がこれまでこの点についてあいまいもこの態度をとって参っておりますことは全く痛憤にたえない次第であります。(拍手)
 今日、政府は、勤務評定、警職法等、労働者の弾圧にはきわめて積極的でありますが、貧しき大衆のためにはきわめて消極的であることは、これまた、われわれの断じて許しがたい点でございます。(拍手)善政は―よき政治は警察力にまさるということを知るべきであります。すなわち、脆弱な零細企業の被用者なるがゆえに社会保障の網の目から漏れる、不安定な、しかも生活に脅かされるこれらの人々を、いかにして社会保障の網の中に吸収せしめるかが、為政者の急務でなければならぬのでございます。
 かくのごとき五人未満の零細企業もさることながら、すでに解決済みでなければならぬ五名以上の事業場についても、まだ十分な処置が行われておらぬことは、全く許しがたい点でございます。当局の発表によっても、その六〇%が未加入といわれておるのでありますが、その怠慢ぶりは強く糾弾されなければならぬと考えます。さらに、そのことが、赤字が出るからという、赤字対策の一環として故意に見のがされておったとするならば、これまた、われわれの断じて許し得ない点でございます。
 国民は皆保険あるいは国民年金制度という一連の美名に酔わされて参ったのでありますが、しかし、その一連の美名に隠れて、医療を、官僚統制のもと、劣悪なる欺瞞政策として押しつけんとするならば、国民ひとしくが容認し得ないところでございます。
 岸総理は、今日まで、しばしば、機会あるごとに、長期政権担当を呼号せられて参ったのでありますが、しかし、単にかけ声のみで、あるいは国民に微笑を送ることのみが善政の道ではないのであります。長期政権の道、国民の支持を得る道は、乏しき国民の心を心として社会保障の道を邁進することにほかならぬことを知るべきであります。今こそ、虚心たんかい、天の声に謙虚に耳を傾け、国民健康保険を百の社会保障の一環として恥かしから由ものに改めることこそ最も肝要であることを知るべきでございます。この点、私は、強く要望するとともに、わが社会党案に同調されることを、これまた強く期待をいたす次第でございます。
 以上、諸点をあげて反対の討論にいたす次第でございます。(拍手)
#29
○副議長(椎熊三郎君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも修正で上ります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  [賛成者起立〕
#30
○副議長(椎熊三郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告の通りましました。
     ――――◇―――――
 最低賃金法案(内閣提出)
#31
○松澤雄藏君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、最低賃金法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#32
○副議長(椎熊三郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○副議長(椎熊三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 最低賃金法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。社会労働委員長園田直君。
    〔園田直君登壇〕
#34
○園田直君 ただいま議題となりました最低賃金法案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 労働条件のうち最も基本的なものである賃金について、労働基準法に定める最低賃金に関する規定は、中小企業、零細企業の多数存在するわが国経済の複雑な構成のもとにおいて、今日まで実施を見るに至らなかったのでありますが、各種の国内的事情並びに国集的条以にかんがみまして、中央賃金審議会の答申を全面的に尊重しつり、産業別、規模別等に経済力、賃金に著しい格差があるわが国経済の実情に即した最低賃金制を実施し、多くの日の当らない労働者の要望にこたえようとするのが、本案提出の理由であります。
 以下、その内容を簡単に御説明申し上げます。
 第一に、最低賃金の決定は、業種、職種または地域別に、その実態に即して行うこととし、全産業全国一律方式を採用しなかったこと。第二に、最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払い能力を考慮して定めることとし、最低賃金が決定された場合、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないこととしたこと。第三に、最低賃金の決定については当事者の意思をでき得る限り尊重し、もって本制度の円滑なる実施をはかるため、業者間協定による最低賃金、業者間協定による地域的最低賃金、労働協約による地域的最低賃金及び最低賃金審議会の調査審議に基く最低賃金の四方式によることとしたこと。第四に、家内労働については、決定された最低賃金の有効な実施を確保するために必要な限度において、行政官庁が最低賃金審議会の意見を聞いて最低工賃を定め得るようにしたこと。第五に、最低賃金審議会は中央及び地方に置き、委員は労、使、公益各同数とし、ほかに特別委員として関係行政機関の職員を加え得ること、また、必要に応じて業種別、職種別の専門部会を置くことができることにした等のほか、本法の有効な実施を確保するため所要の規定を設けておるのであります。
 なお、本法の適用範囲は原則として労働基準法及び船員法の適用あるもの全部とし、これが施行に関する主務大臣は、それぞれ労働大臣及び運輸大臣としておるのであります。
 本案は、さきの第二十八回国会に提出され、衆議院は政府原案の通り可決いたしたのでありますが、参議院におきましては衆議院の解散により審議未了に終ったため、今次国会に再び提出された次第でありまして、去る九月二十九日本委員会に付託され、十月十四日倉石労働大臣より提案理由の説明を聴取した後、慎重な審議を続け、十月二十八日には、石川吉右衛門君外三名の参考人を招致して、その意見を聴取したのであります。それらの質疑応答の詳細については会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、本案は、本日の委員において、藏内修治委員の動議により質疑を打切り、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して齋藤邦吉委員より、本案に賛成、社会党案に反対の意見が述べられ、続いて、日本社会党を代表して五島虎雄委員より、本案に反対、社会党案に賛成の意見が述べられたのであります。
 かくて、討論を終了し、採決に入りましたところ、本案は多数をもって原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#35
○副議長(椎熊三郎君) 討論の通告があります。これを許します。大原亨君。
    〔大原亨君登壇〕
#36
○大原亨君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提案にかかる最低賃金法案に対し、われわれが何ゆえに反対をするかという見解を明らかにせんとするものであります。(拍手)
 政府提案に反対をする第一の理由はこの法律案が業者、つまり、使用者の一方的なる賃金協定を骨子とするいわゆる業者間の協定であって、似て非なる最低賃金法案であるという点であります。すなわち、政府案によるならば、最低賃金の制度として四つをあげ、その第一は、業者間の初任給の協定によるもの、第二は、業者間協定の地域的効力の拡大、第三は、地域的労使協定による最低賃金の効力拡張の方式で、中小企業未組織の現状では不可能であり、以上三つの方式で決定することが困難または不適当と認めたとき、つまり、万策尽きた場合は、行政官庁の職権、つまり、審議会に諮問して最低賃金を決定することができるのであります。全文を通じて、この審議会は業者の取りきめを是正する余地は全くない。事実上、消極的に、この審議会は、ノーかイエスかをきめるだけの機会を与えられるものにすぎないことも明らかであります。(拍手)
 この法律体系を貫くものは、まぎれもなく、第一方式を基礎とする業者間協定であります。しかも、この第一方式による業者間協定は、関係使用者の全部の合意による申請がなければできず、第二方式による、その地域的効力拡大の場合においては、適用を受ける使用者の大部分の合意によって申請されることを条件としており、この結果、業者の最低の意思によってその賃金額がきまる。しかも、この場合、御念の入ったことには、第十二条で、業者の異議の申し立てと適用除外をきめておるのであります。その結果、この最低賃金は、労働者の賃金の最低を保障するものでなく、逆に、複雑きわまる手続によって労働者の賃金を最低に押えてこれを釘づけにする、ひどい仕組みの法案であると断定することができるのであります。(拍手)
 しかも、驚くべきことには、政府案の第三条によりますると、「最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を」考えてきめるとあって、第一に労働者の生活を保護するというように表現しながら、法案の中には、どこにもこの裏づけをしていない。この最低生活費の算出について一片の保障もない。このことは、逆に言えば、労働者に対して保障された憲法の基本権と、労働法、労働基準法にうたわれた労使対等の原則、労働条件のかなめともいうべきこの賃金決定の原則をじゅうりする、既得権剥奪の改悪法案と断じてはばからないところであります。(拍手)
 諸外国の立法の例を見ましても、イギリスのような最低賃金に関する産業別の統一労働協約を基本とするもの、フランスのように、全国一律の最低賃金制の上に労働協約の効力拡張を行うもの、もう一つは、労働の再生産費を基礎として行政委員会が合理的に決定するという、三つの類型があるのであります。日本の場合のように、業者の一方的取りきめに法的効果を付与するという法律は、国際社会に顔出しのできない珍無類のものといわねばなりません。(拍手)しかも、今日世界の四十数カ国が批准をいたしておるILO条約の中の「労働者の意見に対し使用者に対すると同様に均等なる考慮」を払わねばならないという条文に明らかに抵解し、また、最低賃金審議会の機能も、ILO条約の三者構成の機関を通じて取りきめるべきであるという決定に違反する弱体の諮問機関であり、国際舞台で認知され得ないところの私生児といわなければならぬのであります。
 さらに、業者間協定の正体とともに、この際われわれが明らかにしなければならない点は、政府が、実態に即するとか、あるいは混乱を避けるとかいう詭弁のもとに、最低賃金を業種別あるいは地域別にきめるというやり方についてであります。
 政府は、十年余にわたってたなざらしにしてきましたところの、労働基準法の中軸ともいうべき第二十八条より第三十一条の最低賃金に関する規定の存在を無視いたしまして、昭和三十二年四月、労働次官通牒によって、御自慢の業者間協定による最低賃金を実施してきました。法秩序と法律万能の権力亡者と化している岸内閣の手前勝手の法律論も許しがたいところでございますけれども、この次官通牒によって、この業者間協定は、労働省の関係機能をあげて今日まで実施いたしてきました輸出産業関係など、まとまりのある、取りつきやすいところから手がけており、その中で、本年八月末までに四十八件、適用対象労働者は三万六千名、当局側の答弁によっても、最低賃金の対象となるボーダー・ライン層の日本の労働者数は増大の傾向にあるが、今千三百万人で、本法の実施で手続は煩瑣になり、かりに、すべり出しのスピードで行く計算をいたしましても、実に五百八十一年七ヵ月と六日間もかかるのであります。百年河清を待つという言葉がありますが、五百年を過ぎても河は濁っておる。
 しかも、今の実績によりますと、新中卒が四千円台で、三千円のものもあり、労働者が未組織である結果、実施と差しかえに寮の食費が上ったり、労働条件がきびしくなったり、年寄りが首になったりするという実情も少くないのであります。第一線の基準監督官は現在でも手一ぱいで、基準法が守られていない。つい先日も、寮におけるむざんな焼死事件がございました。監督が行き届いていない証拠であります。本法実施に当っての予算的裏づけはほとんどない。これでは全然本気でやる意思がないといっても過言でないのであります。(拍手)ある基準監督行政のエキスパートが、こう言いました。「今の基準監督官に対しても、違反の目こぼしをしてもらいたいために誘惑が多いのに、今度これができたら大へんだ。業者の全部の合意とか、大部分の合意が必要であるし、一円でも低くきめたい。そのために、監督官に対して、昼飯のときには昼酒、夜は夜酒、一晩泊ってまた朝酒。この法案は業者との酒飲み法案である。」といっておるのであります。
 かくのごとき欠陥を持つところの法案であっても、どうしてもやりたければ、従来通り次官通牒でやったらどうか。あるいは、最低賃金法案という、まぎらわしい名称をやめたらどうだろうか。なぜならば、業者の賃金カルテルに法律上の効力を与えることは、世界に対して無知を暴露し、日本の国会の権威にかかわるとさえ考えるからであります。(拍手)この法案は業者の賃金カルテルであるから、むしろ、労働基準法の体系からはずして、労働大臣の所管から通産大臣の価格政策の所管に移すことが至当であると考えるのであります。(拍手)しかも、政府案によれば、わが党案のごとき、家内労働についての具体的取りきめはなく、これは苦汗労働を出発とする最低賃金制の歴史的経験と、日本の実態を無視する底抜け法案といわなければなりません。
 次に、政府提案にかかる本案の趣旨説明に繰り返し述べられている、賃金格差を是正するという立法の本旨と、その正体についてであります。さすがに、倉石労働大臣も、日本の賃金格差は大企業の労働者の賃金が高過ぎるからだというふうな、諸君の選挙演説のようなことは言わない。全労の滝田会長が、去る参議院の商工委員会の公聴会で、「国鉄労働者の三五%は、せびろ一着しか持っていない。紡績工の八%はオーバーを持っていない。つまり国内の需要をさらに引き上げることで不況打開の余地がある。」と述べております。岸兄弟内閣には頭の痛いドイツ保守党のエアハルト経済相も、日本の低賃金が日本経済発展のガンであると指摘いたしておるのであります。(拍手)日本の今の経済の課題は、うちにおいていかに国民の生活水準を引き上げるか、ここに政治の重点を指向すべきであると考えるのであります。最低賃金制は、国民生活水準向上への踏み切り板であります。完全雇用と相待って社会保障制度をささえる二つの支柱であると、社会党は主張いたしておるのであります。
 日本における賃金格差の中で、業種別、地域別、男女別の格差よりも、最も注目を要するものは、規模の大小による賃金格差の大きい点であります。製造業は、五百人以上を一〇〇とすれば、五人以下は実に三六・六であり、これらは、社会保険も不完全、世界でもたぐいまれなる格差といわなければなりません。この企業別格差の原因は何か。有効なる最低賃金制の実施せられていないこととともに、日本経済の二重構造といわれるものであり、中小企業の破局的経営難にあるのであります。
 では、一体、中小企業をだれがこんなに苦しめているのか。税制においても、大資本には特別の減税措置がある。取り方にも手心が加えられ、金融も、大資本は国の投融資や財閥系列下の銀行をもって何の不自由もない。金融引き締めも、そのしわ寄せを受けているのは中小企業であり、購入資材、原料、電気料金も割高であり、製品は中間搾取で買いたたかれる。岸内閣の独占資本擁護の政策のひどいしわ寄せを受けて、格差はますます増大しつつあることが、審議を通じて明らかになった事実なのであります。
 それに加えて、また何たる暴挙か。今回、国会におきまして、岸内閣は、中小企業の経営者並びに労働者など、一般消費大衆の総反対を押し切って、大企業の合併、独占価格の協定による、ぬれ手にアワのつかみ取り、カルテル、シンジケート、自由自在の独占企業禁止法の大改悪を強行せんとしていることは、弱小企業経営者とその労働者とを虐待する、非人道的なる暴挙といわなければならぬと思うのであります。(拍手)このことは、世界の大勢である独禁法強化、あるいは基幹産業社会化の流れに逆行するものであり、この増大する格差の上に有名無実の底抜け最低賃金法を実施して、中小企業労働者の低賃金をくぎづけ、大企業利潤の拡大に奉仕する反動政策として非難されなければならぬと思うのであります。特に、現政府には、最低賃金制と真剣に取り組む、これの裏づけとなるところの中小企業に対する総合的施策が全く取り上げられていないということを、ここに私は報告しなければなりません。
 岸内閣の政策が一貫して持つ特色は、金のかからぬ反動利権政策、警察と教育の中央集権化しかり、勤評しかり、農民には安上り農政、独禁法改悪、あるいはグラマン汚職しかり、この最低賃金制もその一つであり、警官職務執行法に至っては、天人ともに許すととのできない暴政であります。社会問題を真剣に解決することなく、口先で国民を歎き、国民大衆を法律と権力で取り締るおかっぴき政治、このような反動政治に対し、私は社会党を代表して断固反対を表明するとともに、そうして、合法の仮面をかむり、数の力で道理を押し切らんとする岸内閣の命運は必ずや近く歴史的な審判を受けるであろうことをここに警告いたしまして、私の反対討論を終る次第であります。(拍手)
#37
○副議長(椎熊三郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#38
○副議長(椎熊三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
#39
○松澤雄藏君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、右三件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#40
○副議長(椎熊三郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○副議長(椎熊三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長櫻内義雄君。
    〔櫻内義雄君登壇〕
#42
○櫻内義雄君 ただいま議題となりました、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、及び、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を報告申し上げます。
 政府は、昭和三十年十二月米国政府との間に締結されたいわゆる原子力研究協定に基きまして、東海村日本原子力研究所のウオーター・ボイラー型第一号炉を据え付け、その燃料を米国から賃借し、また三十二年七月には国際原子力機関に加盟する等、わが国における原子力平和的利用の研究、開発の促進に努力して参りました次第であります。
 しかるところ、その後欧米各国における原子力発電計画の進展もあり、わが国における原子力発電の見通しもつきましたので、米英両国と動力用原子炉開発の分野での協力を推進することが適当であるとの結論に達し、かような協力を実現するための協定の締結に関する交渉が、昨年九月からそれぞれ米国及び英国政府との間に行われ、いずれも本年六月十六日、日米協定についてはワシントンにおいて、日英協定についてはロンドンにおいて署名調印を了した次第であります。なお、日米協定につきましては、署名後さらにこの協定の一部を改正することとなり、両国政府間で意見の一致を見ましたので、十月九日、ワシントンにおいて、この改正議定書の署名調印が行われました。
 日米、日英両協定は、それぞれ両国が第三国とすでに締結した同種の協定とほぼ同様のものでありますが、わが国は、この両協定により、原子力平和的利用の基礎的研究及び動力用原子炉の開発利用の両分野で、燃料を初めとする重要な原子力関係資材の供給を受け、情報の交換等ができるようになり、また、原子炉の供給等についても民間による取引が可能となる次第であります。有効期間は、両協定ともに十年間といたしております。議定書につきましては、米国政府が優先的に日本から買い戻す特殊核物質を平和的目的にのみ使用することについての条件を日米協定中に追加明記すること等の点につき同協定を改正せんとするものであります。
 また、日米協定につきましては、同協定が動力用及び研究用原子炉の分野における協力を含む原子力一般協定でありますので、この協定の発効とともに、現行原子力研究協定は当然廃止されることとなります。
 これらの協定及び議定書の締結によりまして、わが国における原子力の平和的利用、ことに原子力の発電のための実用化が促進され、資源の乏しいわが国の将来にとって大きな意義を有するものと思われる次第であります。
 これらの三案件は、十月二十一日外務委員会に付託されましたので、委員会において政府の提案理由の説明を聞き、質疑を行い、さらに科学技術振興対策特別委員会との連合審査会を開き、続いて、参考人として学識経験者を招致し意見を聴取する等、慎重審議を行いました。これらの質疑におけるおもなる問題点は、動力用原子炉の安全性及び経済性、免責条項、事故発生の際の補償措置、協定締結に関する時期尚早論等でありました。
 質疑終了の後、この三案件を一括して討論に入り、日本社会党を代表して岡良一君から反対の意思を表明せられ、また、自由民主党を代表して床次徳二君から賛成の意思を表明せられましたが、これらにつきましては委員会議録により御了承を願います。
 かくてこの三案件は十一月一日、一括して採決の結果、多数をもっていずれも承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#43
○副議長(椎熊三郎君) 討論の通告があります。これを許します。田中稔男君。
    〔田中稔男君登壇〕
#44
○田中稔男君 私は、日本社会党を代表して、ここに提案されておりまする日米、日英両原子力協定に関し反対の討論を行いたいと考えるものであります。
 日本社会党は、原子力の平和的利用そのものにつきましては、もとより積極的に賛成するものであります。しかしながら、私があえてここに両協定に反対するのは、まず第一点として、両協定とも、わが国の独立を傷つける、はなはだしい不平等条約であるという理由によるものであります。(拍手)すなわち、日米協定第九条及び日英協定第五条において、米英両国は日本における原子炉等設備の設計を審査し、炉の運転や燃料の状態等の記録を随時報告させる権利を有することが規定されているのであります。この規定の目的は、両協定によって日本に供給された設備や原子燃料が平和的目的にのみ使用されていることを確認するためであるということになっておりますが、他方、日本にある原子炉で生産されたプルトニウムが米英両国に引き取られた後、それが平和的にのみ利用されることを保障するために日本側から米英両国に対して査察を行う権利は、両協定のどこにも存在しないのであります。なるほど、日英協定においては協定本文においてまた、日米協定においては付属覚書において、米英側における平和的利用について簡単に触れてはありますが、かくのごとき一方的査察によっては、とうてい原子力の平和的利用を相互に確保することは不可能であります。
 また、日米協定第四条及び第七条、日英協定第八条において米英両国は、日本に提供した情報、資材、設備等の正確性や適合性を保証せず、提供した燃料、設備等によって起った損害について責任を負わないということが規定されておるのであります。およそ、有償で行われる契約の原則に反した、驚くべき規定だといわなければなりません。かかる免責条項を設けなければならないということは、日本に提供されようとしている原子炉の安全性が十分に保障されていないということを意味するものであります。特に、日英協定が発効したらすぐにも発注されようとしているコールダーホール改良型原子炉は著しく安全性に欠けているというのが国際原子力専門家の定説であり、現に、イギリスにおいては、昨年ウィンズケール原子炉の大事故が発生して大きな災害を引き起したことは、周知の事実であります。
 さらに、政府は、かかる免責条項を含む両協定に調印しておきながら、原子炉の爆発等、万一の事故が発生した場合に備えて国民に対し周到な国家補償の措置をあらかじめ講じなければならないにもかかわらず、外務委員会における三木原子力委員長及び佐藤大蔵大臣の答弁等を聞いても、まだ何らの用意もしていないのであります。まことに無責任きわまる態度といわねばなりません。(拍手)
 この際われわれの注目に値することは、目下イギリスにおいて建設中のコールダーホール改良型原子炉に関して、六月十七日英国国防省当局の行なった発言であります。すなわち、「現在建設中の段階にある幾つかの原子力発電炉は、国防に必要なプルトニウムの生産を可能とするように改変されることになった」というのであります。イギリスにおいても、コールダーホール改良型原子炉がほんとうに発電のために平和的に利用される方針はまだ確立を見ていないのが現状であります。政府は、かかる危険な原子炉を導入しなければならない理由として、日本におけるエネルギー対策をあげております。しかし、昭和五十年までに六百万キロワットの原子力発電を行おうとする長期計画は、その策定当時と事情が異なり、過般発表されたいわゆる電力白書によっても、大きな変更を余儀なくされることは必至であり、原子炉導入に今一日を急ぐ必要はごうもないのであります。
 第二点として、わが国が米英のごとき特定国と原子力に関する協定を結ぶことに反対するものであります。今日、原子力が主として軍事的に利用されており、核実験の中止すら実現を見ていない現状であります。平和的利用は今やっと始まったばかりであり、平和的利用と軍事的利用とを分けることがきわめて困難な現在において、特定の国とのみ原子力協定を結ぶことは、わが国の平和と安全のために危険であります。国際原子力機関はすでに成立し、原子力の広範な平和的利用は、この国際機関を通じて発展させることが人類のために望ましいのでありますが、特定国との原子力協定の締結は、この国際機関の健全な発展を阻害するおそれがあるのであります。また、米英両国との原子力協定の締結は、日本をして両国の原子力工業の独占的市場たらしめる危険があることを警戒しなければなりません。すでに、米英のマ―チャントは、日本に対して猛烈な売り込み競争を行なっており、戦闘機の機種決定にからまるスキャンダルに似た事件の発生が憂慮されているほどであります。(拍手)
 第三点として、両協定が日本における原子力開発のための研究体制の整備を阻害する理由によってこれに反対するものであります。現在、原子力の平和的利用は、なお研究の段階にあります。もし、反対に、原子力の平和的利用がすでに実用の段階に入り、たとえば、発電用原子炉のごときも、その経済性と安全性が十分に保障されておりますならば、その技術をそのまま輸入しても、当面事足りるかもしれません。しかし、そうすることは、ちょうど完成された自動車とガソリンを輸入するのと同様であって、自国における自動車工業の発達は永久に不可能となるのであります。いわんや、今日のところ、発電用原子炉はまだ研究の段階にとどまっているのであります。わが国には優秀な原子力学者がたくさんいるのであります。彼らが、自主、公開、民主の三原則に基き、強力な研究体制を築き上げ、その創造的研究を通じて原子力の平和的利用の実現に貢献するように配慮することこそ、政府の重大な責任であります。しかも、彼らの多くは、この両原子力協定が原子力開発の学術的発展を阻止するという理由で強力に反対しているのであります。もし百歩を譲って、政府の提案理由の説明にあったように、この両原子力協定の一つの目的が、わが国における原子力開発のために貢献するというにありますならば、そのためには、かかる一般的協定を結ぶことなく、単に原子力研究協定を結べば十分だと確信するのであります。すでに、日米両国間には、かかる研究協定が結ばれているのでありますから、スエーデンや西ドイツがやったように、この協定を改正して原子燃料の供給量の増加を求め、技術、情報の交換を行い、さらに必要に応じて研究用の小型原子炉の導入をはかる等のことを行えば十分だと考えるものであります。そして、同様の研究協定はソ連との間にもこれを結ぶべきだと考えるのであります。
 以上をもって私の反対討論を終ります。(拍手)
#45
○副議長(椎熊三郎君) これにて討論は終局いたしました。
 三件を一括して採決いたします。三件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#46
○副議長(椎熊三郎君) 起立多数。よって三件は委員長報告の通り承認するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 憲法調査会法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#47
○副議長(椎熊三郎君) 日程第一、憲法調査会法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長内海安吉君。
  [内海安吉君登壇〕
#48
○内海安吉君 ただいま議題となりました憲法調査会法の一部を改正する法律案につきまして内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、憲法調査会の事務量の増加に伴い、事務局の職員五人を増員してその定員を十二人とし、事務処理の円滑化をはかろうとするものであります。
 本案は、去る九月二十九日本委員会に付託され、十月二日政府の説明を聞き、二十三日には岸内閣総理大臣に質疑を行うなど、慎重に審議を重ねて参りました。
 三十一日、質疑を終了いたしまして討論に入りましたところ、日本社会党を代表して飛鳥田委員より反対の意見があり、自由民主党を代表して平井委員より賛成の意見が述べられたのであります。質疑及び討論の詳細につきましては会議録によって御承知願いたいと思います。
 かくて、同日採決の結果、多数をもって原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#49
○副議長(椎熊三郎君) 討論の通告があります。これを許します。柏正男君。
    〔柏正男君登壇〕
#50
○柏正男君 私は、ここに日本社会費を代表して、憲法調査会法の一部を改正する法律案について、その反対討論を行うものでございます。(拍手)
 まず、ここで問題となっている憲法調査会がいかにして生まれてきたかについて、これを考察したいと思います。
 あの敗戦の混乱に、新しい希望と民主主義の政治をもたらしてきたものは、どのだれが何と言っても、現在のこの日本国憲法であったことについては、間違いがないところでございます。(拍手)アメリカ軍の占領下において、まことにあわただしく、しかも、その表現の字句なども必ずしも適切ではなかったかもしれませんが、その憲法の内容においては、まさに人類多年の理想を盛ったものであったことは、ひとしくこれを認めないわけにはいきますまい。(拍手)
 だが、しかし、歴史は刻々に力の関係に変動を与えて参りました。朝鮮戦争の突発は、アメリカの極東作戦に大きな変革をもたらしました。日本の非武装憲法に、はたと当惑した彼らは、日本の再軍備を考えるようになり、そのための憲法改正に、わが国の保守政党が得たり賢しと便乗することになったのであります。ここで第二十二回国会に初めて憲法調査会法が現われ、第二十四回国会には、岸信介君外六十名によって再び提案されましたが、その最後の衆議院内閣委員会では、社会党委員を締め出し、抜き打ちに自民党委員だけで採決したということもあり、その法案成立の当初から異常な状態でありました。そのくせ、こうした無理押しをしたにもかかわらず、その後一年余りはほったらかしてありまして、やっと昨年八月から調査会が動き出したというありさまであります。この間、私ども社会党においては、第二十六回国会に、この違憲の疑いのある憲法調査会を廃止する法律案を提出いたしたいのでございますが、政府は、かえってこれに挑戦するように、本年二月、今回と同様の一部改正法律案を提出するという挙に出てきたのでございます。
 憲法第九十六条の憲法改正の手続の中で、国会の三分の二以上の多数による発議と規定しております点は、特に重要であります。何となれば、このことは、三分の二以上なければ憲法の改正は公然と言い出せない規定であると考えさせるからでございます。本年五月の総選挙で、自民党がこの三分の二以上の議席を占めることができなかったということは、主権者たる国民が、自民党に対し、公然と憲法改正を口にすることができないと指示したと解せられるではありませんか。(拍手)そうすれば、さきに、岸総理大臣が、ブラウン記者に対し、第九条をも含めて、すでに憲法改正の時期がきているかのように聞えるような会見談をやったことなどは、一国の総理大臣としては許すべからざる失言であったといわなければなりません。(拍手)しかしながら、岸総理大臣は、すべて言葉巧みに、いわゆるそつのない答弁でごまかしています。
 憲法調査会法の第二条には「調査会は、日本国憲法に検討を加え、」と規定し、岸総理も、「私は憲法調査会の検討の結果に徴しまして」と言って、言い抜けをいたしております。しかし、第二十二回国会では、しばしば、鳩山総理が、憲法調査会を憲法改正調査会というように呼んで、そのものずばりに表現をいたしておるのであります。また、体裁はどうありましても、この憲法調査会法は憲法改正論者をもって自任する岸信介君外六十名の提案によったものであり、かつまた、現在この憲法調査会の主管大臣がその改憲論者の岸総理大臣であることからしまして、決して中立的な立場のものであり得ないことは、明々白々のことでございます。(拍手)二言目には、岸総理大臣は、「今からでもおそくありません、ぜひともこの調査会に社会党委員の御参加を願いたい」と言いますが、このように、その発足の当初から違憲の疑いがあり、かつまた、改憲に偏してしまっている調査会に何が期待できますか。ただ、そこには、保守的な特権階級の利益だけを考える憲法改正が浮び上るだけにすぎないではありませんか。(拍手)
 次に、私どもは、日本国憲法によって主権在民の原則が確立せられているからこそ、憲法改正の最終の決定は、国民投票によってその権利を行使する、主権を有する国民の一人々々によるものであることを知るのであります。また、そのことの裏を返しますれば、憲法改正の発案も国民の一人々々の手に属すると考えるべきではないでしょうか。しかし、実際には九千万国民の個々の人たちがやるのでは大へんでございますから、国民の代表によって構成される国会に憲法改正の発案をゆだねるというのが、現実の憲法第九十六条の姿であろうと思います。(拍手)すなわち、発案が国会にあるということ、国会が国権の最高であるということ、また、これに反し、内閣は国会のもとにあって行政を執行するものにすぎないこと、その内閣が与党によって構成されるものであるということなどからして、国会が改正原案を作る場合は全国民の代表によるものと考えられますが、内閣においてその原案を作成する場合は、一党に偏し、主権国民の中の一部の立場しか表わされないということになるので、これでは国民主権主義が貫かれないものとして、主権者たる国民はこれを承認し得ないでありましょう。すなわち、憲法調査会が行政府の一機関として存在することは、実際に憲法違反であることはもちろんでありますが、さらに、現在の時点において、憲法改正阻止の勢力が国会の三分の一以上を占めているのでありますから、議題となっている憲法調査会のごときは当然廃止せらるべきでありましょう。(拍手)かりに一歩を譲るとしても、この憲法調査会は、その機能を停止して、眠り込んでしまうべきでありましょう。それにもかかわらず、事務当局の陣容が、七名からその二倍に近い十二名に増員されるなどとは、全く論外のことといわなければなりますまい。(拍手)
 以上のようなことが何の不思議もなく行われておりますことは、一に、岸総理大臣が軽々にみずから憲法改正論者であることを誇らしげに吹聴し、全体として憲法軽視の態度を示しているところに大きな要因があると考えられるのであります。(拍手)もし、岸総理大臣が、憲法第十章に規定されている最高法規の三カ条を十分に理解し得られるのでありますれば、まず、第九十七条における人類普遍の原理としての基本的人権だけは絶対に手がつけられない、ほんとうに、神といえども、この基本的人権を奪うことができないことを知り得られるでありましょう。次の第九十八条では、いかなる法律をもってしても、この基本的人権についての変更は絶対にできないことを、深く知ることができるのであります。そうして最後の第九十九条によって、この基本的人権に対しては何らの変更も加えず、この憲法を擁護する義務を、すべての国務大臣、国会議員、裁判官及び公務員が課せられておるという厳然たる規定に、えりを正さずにはおられないであろうと考えるのでございます。(拍手)
 しかるに、歴代の保守党政権は、とうとうとして憲法をごまかしてやって参りました。かてて加えて、現在の岸政権に至っては、全くすぐにでも憲法改正のときがくるような気がまえで、現在の憲法を軽視しておるのであります。これが明らかな証拠に、今国会に突如提出せられました警職法改正法案のごときは、それ自体にこれらの基本的人権が侵される危険が予知されているにもかかわらず、しゃにむに押し切ろうとする勢いで、今や全く、この憲法第十章の三カ条の最高法規は岸政権によって抹殺されてしまう重大な危局に直面するに至ったのであります。(拍手)そればかりではありません。目下進められております日米安全保障条約の改定の問題においても、表面上は、現在の憲法のワクの中での条件でやると言ってはおりましても、実質的には、いつの間には原爆戦争にまで巻き込まれてしまうような危険な改定になるのではあるまいかと、国民のすべてが本能的にそのはだで感じ取ろうとしております。
 このまま岸政権が存続する限り、改憲論者であり、憲法を軽視し、憲法を尊重する感覚のなくなってしまった政府与党が、多数の横暴をやめない限り、現行憲法のすべての条項が骨抜きになり、おそろしい安保条約が締結されたり、戦前の憲兵政治以上の暗黒が現出される警職法が発動されたりして、この今議題としている憲法調査会の将来出される結論より一歩早く憲法無視の事態が実現されていくのではあるまいかと考えるとき、岸信介君とその一党に対して心からの憤りを感ずるものでございます。(拍手)
 最後に、私は一いま一度声を大にして、憲法軽視、憲法無視への道を進する岸政権の施策に絶対反対し、この憲法調査会法の一部改正についての反対討論を終えるものであります。(拍手)
#51
○副議長(椎熊三郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#52
○副議長(椎熊三郎君) 起立多数。よって本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#53
○副議長(椎熊三郎君) 日程第二、学校教育法等の一部を改正する法律案、日程第三、学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。文教委員長坂田道太君。
    〔坂田道太君登壇〕
#54
○坂田道太君 ただいま議題となりました学校教育法等の一部を改正する法律案及び同法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案につきまして、その要点と、審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
 まず初めに、学校教育法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法案は、第一に、学校教育法を改正して専科大学制度を新設しようとするものであります。専科大学は、深く専門の学芸を教授研究し、職業または実際生活に必要な能力を育成することを目的としており、現行の四年制大学とは別個の高等教育機関であります。その入学資格、修業年限について申し上げますと、高等学校卒業程度を入学資格とするものは、短期大学と同様、二年または二年をその修業年限としており、さらに、中学校卒業程度を入学資格とする五年または六年の制度をも認めることとし、産業界その他一般社会の要望にこたえようとしております。申すまでもなく、この専科大学の制度は、現行の暫定的短期大学制度を改善し、その卒業生の職業能力、生活能力を充実し、もって社会の要望にこたえようと種々検討を加えられた結果、恒久的の制度として立案せられたものであります。従って、短期大学の設置認可はこれを昭和三十四年三月三十一日までに限定し、専科大学の設置はこれを昭和三十五年度以降と規定しております。
 第二点としましては、高等学校の定時制または通信教育の課程に在学する者が文部大臣の指定する技能者教育施設で教育を受けている場合、学校長は、文部大臣の定めるところにより、その施設における学習を当該高等学校の教科の一部とみなすことができる規定を設けて、勤労青少年の心身の負担を軽減し、かつ、教育的効果を上げようとするものであります。
 第三点は、特殊教育に関する規定の整備であります。すなわち、従来単独設置を認められていない盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部について、特別の必要ある場合、それぞれ単独に設置し得る道を開き、さらに、特殊学級の対象になる児童生徒の種類について現行規定を整備するものであります。
 その他、従来もすでに行われていた国立学校の授業料の減免について、財政法等との関係からこれを法文に明記するため、国立学校設置法の一部を改正しようとするものであります。
 以上が本法案のおもな内容であります。
 次に、学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、第一に、国公立専科大学の学長、教員の身分取扱い及び管理機関については四年制大学の例によるものとし、専科大学前期課程を担当する教員の身分取扱いについては大学付置の学校の教員の例によるものとし、このため教育公務員特例法の一部を改正しようとするものであります。
 第二点は、専科大学の前期課程担当教員は原則として高等学校教員の免許状を必要とするが、当分の間、免許状を有しない教授等が授与権者の許可を受けて前期課程を担当する教諭または講師となり得ることを規定し、第三点は、専科大学の卒業生に対する教員免許状授与についての規定を設けたことでありまして、これらのため教育職員免許法の一部を改正しようとしております。
 第四点は、国立専科大学の学長、教員の給与については国立大学の学長、教員の例によるものとし、前期課程担当教員の給与は国立高等学校教員の例によるものとし、このため一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正しようとしております。
 右両法案は、ともに、去る九月二十九日当委員会に付託せられ、十月八日政府より提案理由の説明を聴取した後、直ちに質疑に入りました。自来八回にわたり委員会を開き、各委員と政府当局との間においてきわめて熱心な質疑応答がなされたのでありますが、その主要な点を申し上げますと、「学制に関する改革は教育上重要問題である。本案は短期大学の欠陥を是正するということであるが、これはわが国における学制の基本体系に変革を加えるものではないか。」という質問があり、これに対し、政府より、「六・三・三・四の根本をくずすものではない。ただ、社会の実態あるいは教育界の実情に照らし、部分的の修正を加えることは必要と考える。専科大学の問題は、いわば安定を欠く短期大学をどうするかというところから出発し、恒久的制度として立案せられたものであるから、今日の教育制度を安定せしめることを企図したものである。」旨の答弁があり、従来の四年制大学及び短期大学と本案の専科大学との教育内容における差異については、「従来の大学は、もちろん教育機関ではあるが、研究の要素を強く持っている。これに対し、専科大学においては、特に職業の能力あるいは実際生活の能力を育成することを目的とすることを明らかにしている。従来、短期大学には四年制大学と同じ目的が規定されており、従って、その学科目についても、一般教育、専門教育の比率が四年制のそれと全く同様の形であり、その結果、卒業生の専門に関する能力が必ずしも十分でないうらみがあるので、本案の専科大学では、その目的も従来の大学のそれと明確に区別し、一般教育はなるべく専門教育の基礎学科を充実していく方向に改定していきたい考えである。」旨の答弁がありました。
 さらに、現存する短期大学の将来についても活発な論議がなされ、「従来実績を上げてきた短期大学が、制度の改変により多大の犠牲を受けてはならないという見地より、これを今後も恒久的に認めていく考えはないか。専科大学べの転換についてはこれを容易にすべきであるが、その見通しいかん。」等について質疑があり、これに対し、政府当局よりは次の答弁がなされました。すなわち、「短期大学は暫定制度ではあるが、その存続について期限を切っていないから、少くとも非常に不安がある形になってはいない。学校経営は成り立っていくと考える。さらに、その転換については、国立の場合は順次専科大学に切りかえていく方針であり、私立についても、相当な努力をすれば、あまり困難とも思われず、漸次転換していくことを期待している。」という答弁がありました。
 その他、専科大学の設置基準の構想、専科大学に対する財政的裏づけ等、種々問題点が究明されました。さらに、技能教育のための施設の指定権をめぐって熱心な論議がなされましたが、これらの詳細については速記録をごらん願いたいと存じます。なお、本委員会としては、法案の重要性にかんがみ、関係各界の意見を聴取することになり、去る十月二十九日、両案に関する公聴会を開きました。公述人としては、慶応義塾大学教授山本敏夫君、山形大学学長兼山形大学工業短期大学部部長関口勲君、日本経営者団体連盟理事児玉寛一君、日本私立短期大学協会会長松本生太君の四名でございました。これらの方々より両法律案に対する忌憚のない意見の開陳があり、各委員よりも公述人に対し真摯な質疑を行い、両法案に対する綿密周到な検討を行なって参ったのであります。
 かくて、十月三十一日質疑を終了、一括して討論に入り、本島委員は日本社会党を代表して両法律案に対し反対の意見を、また、加藤委員は自由民主党を代表して賛成の意を表されました。続いて採決の結果、起立多数をもって両法律案とも原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
#55
○副議長(椎熊三郎君) 討論の通告があります。これを許します。堀昌雄君。
    〔堀昌雄君登壇〕
#56
○堀昌雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました学校教育法等の一部を改正する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案に反対の討論を行うものであります。(拍手)
 この改正案の目的とするところは、現在ある短期大学を自然消滅させ、その一部を専門的職業教育のための専科大学に吸収し、さらに高等学校課程を含む五年または六年の技術教育を目的とするものを作って中級技術者の養成をはかるということにあるとのことであります。
 そもそも、短期大学は、昭和二十四年、第五回国会において、今回と同じく学校教育法の改正により、当分の間、修業年限二年または三年の大学を認めたものでありまして、当時、わが党委員の質問に、政府は、「もし、国会において、二年もしくは三年の大学を、当分の間だけでなく、長く置いた方がよいという判定がございますならば、文部省といたしましては喜んでそれに服する用意を持っております」と答えておるところよりも明らかなことく、一応長期にわたってこの制度を維持する考えを示し、その論議の過程においては、女子高等教育の特殊性にかんがみ、与野党一致して、その改正に賛成をいたしております。特に、次の国会においてさらに学校教育法のこの部分の基本的な改正すら約束されていたものであります。その後、昭和二十四年八月には短期大学設置基準を作り、新たに設立されるものの基準を作成して大いに新設を認めたのは、周知の事実であります。それゆえに、当時百四十九校であったものが、現在は二百六十九校に増加し、そのうち、女子のみのものが百三十一校もあり、女子の高等教育のために多大の寄与をいたしておりますことも、御承知の通りであります。
 しかるに、昭和二十五年以来、政府は約束された法律の基本的改正を怠り、政府の方針のもとに運営をされて参った短期大学を、今日に至って、今後は一切新設を認めない、荒っぽい言い方をすれば、無理にでも、新しく提案した専科大学に変ってほしいのだというに至っては、当初の政府の態度よりするも、まことに無定見、無方針でありまして、これら短期大学関係者の生存権を抹殺せんとするのみならず、今日までこれらの人たちの努力によってようやく発展して参りました女子高等教育を混迷に陥れる暴挙であるといわなければなりません。(拍手)
 さらに、審議の過程において、専科大学として考えられているものは、現在の短期大学設置基準の示すものと大差なく、これを新たに専科大学と称するほどのものでないことも明らかとなり、もし現在の短期大学がそのまま残る意思があれば、その限りにおいて、当分の間はいつまでも続けられるとの説明を聞くに及んで、同一内容の学校が、片や大学のワクの中に短期大学として残り、片や大学のワクの外に専科大学として新設せられることとなり、いたずらに学制を混乱させるばかりで、何ら得るところはないと考えるのであります。(拍手)
 次に、中級技術者の養成のために五年または六年のものを作るという点でありますが、しからば、現在、初級または高級の技術者が、六・三・三・四の新学制のもとに、十分なる技術を身につけて社会に送り出されているかという点を考えてみなければなりません。
 戦後の荒廃から立ち上ったわが国の教育施設は、校舎も設備もまことに不十分な状態でありまして、政府の文教予算軽視の政策と相待って、旧帝大においては設備は陳旧化し、新制大学においては、いまだ大学としてその体をなすに至らず、工業高等学校においては、これが工業の名を冠するものであるかを疑わざるを得ないものが多数を占めている現状であります。ことに、大学教授の待遇も、研究費もきわめて不十分で、研究活動に事欠く場合の方が多く、高等学校では、実習助手が不足して、重要な実習すら行い得ないありさまであります。これらが日進月歩の工業の進展にこたえ得ない実情については、文部大臣も率直に認めているところであります。
 さらに、中央教育審議会の答申よりするも、科学技術教育の振興のためには、小中学校における数学、理科の内容及び設備の充実と、前述の大学、高等学校の急速なる整備を望んでいるのでありまして、新しい制度を設けさ、えすれば技術者が自然に生ずるがごとき安易な考えでは、ただに学制を混乱せしめるだけでなく、高等学校から大学に至るすべてにおいて、技術者への要求を裏切る結果になるものと断ずるのであります。(拍手)戦後の学制は、技術教育の面のみならず、国の責任において行うべき義務教育すらも、校舎は老朽のため危険化し、あるいは充足不十分のため二部授業を行い、昭和三十五、六年においては、中学校は生徒急増に対処し得ない等の実情であります。専科大学の新設よりも、まず六・三・三・四制の充実こそ緊急の課題であるといわなければなりません。(拍手)
 法案の内容についていえば、みずから大学ではないと認めるものに専科大学の名称を付することも不当というべく、さらに、文部省設置法の第二条を改正して「「大学教育」とは、大学及び専科大学における教育をいう。」というがごとき、大学ではないという専科大学における教育が大学教育であるというような矛盾をあえてしておるわけであります。(拍手)
 なお、高等学校に準ずる前期課程に、高等学校教員の免許を有しない後期課程の職員を準用し得るという点は、免許制度上よりするも重大な問題点であります。この方法によって教員数を圧迫して、実質的に教員の負担過重を招き、教育効果の低下を来たすおそれが十分あるものと考えられます。
 さらに、夜間において授業を行う課程を置き、修業年限の延長を認めるとすれば、前期三年は四年となり、後期二年は三年となり、前後七年も夜間の通学をする等は、学生生徒の健康上よりするも、ゆゆしき問題といわなければなりません。(拍手)
 次に、教育が一部に偏向するため、現在の短大卒業生の四年制大学への編入に比し、極度に困難となり、法案上は「監督庁の定めるところにより、」とあるも、事実上はその基準すらも設定できない点より、現在の短期大学が、九州、東北等の遠隔の地において二年を修業の上、中央の四年制大学への進学に資している長所も根こそぎ奪い去って、これら地方の進学者の夢を閉ざすものといわなければなりません。(拍手)
 公立、私立の専科大学は文部大臣の所轄とし、その第七十条の三において、学科に関する事項までも文部省で定めるというに至っては、教育基本法にいう学問の自由いずこにありやといわざるを得ません。(拍手)
 戦後の教育の民主化の正しいコースは、幾たびか文部省の専断的失地回復の野望によって破壊されてきましたが、その提案する法律案は、ことごとく、その意図を露骨に現わしております。この点、特に政府の反省を強く要求するものであります。(拍手)
 もしこの法案が成立いたしますれば、以上により、今後は講座制の旧帝国大学と、悪い比喩ではありますが、駅弁大学と称せられる学科制の新制大学と、当分の間とはいいながら、場合によっては恒久的に、短期大学と、さらにその上に専科大学、まことにけっこうな大学ずくめになりますが、その反面、その設備はいずれも大学たるの名にふさわしからぬ貧弱なものばかりとなり、まことに驚くべき大学の学制を持つことになるのであります。
 よろしく、政府は、これらの点について深く反省するとともに、まじめに予算的基礎をもとにし、内容、設備においてその制度を完全に運営し得る見通しと、将来の学問の発達をも考慮して、より慎重に学制の問題を考えるべきであって、この法案のごとく、その目的においても、内容においても、われわれのいささかも納得することのできないものを提案することは、文教政策としては全く軽率に過ぎるといわざるを得ません。(拍手)
 以上の諸点により、この両法案に断固反対をするものであります。(拍手)
#57
○副議長(椎熊三郎君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#58
○副議長(椎熊三郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#59
○副議長(椎熊三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後八時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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