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1958/10/08 第30回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第030回国会 文教委員会 第2号
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1958/10/08 第30回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第030回国会 文教委員会 第2号

#1
第030回国会 文教委員会 第2号
昭和三十三年十月八日(水曜日)
    午前十時五十二分開議
 出席委員
   委員長 坂田 道太君
   理事 木村 武雄君 理事 永山 忠則君
   理事 原田  憲君 理事 小牧 次生君
   理事 櫻井 奎夫君 理事 辻原 弘市君
      加藤 精三君    清瀬 一郎君
      鈴木 正吾君    竹下  登君
      松永  東君    八木 徹雄君
      山本 勝市君    西村 力弥君
      長谷川 保君    原   彪君
      堀  昌雄君    本島百合子君
      山崎 始男君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
 出席政府委員
        文部政務次官  高見 三郎君
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      緒方 信一君
 委員外の出席者
        議     員 山崎 始男君
        文部事務官
        (管理局長)  小林 行雄君
        文部事務官
        (管理局助成課
        長)      今村 武俊君
        専  門  員 石井  勗君
    ―――――――――――――
十月一日
 委員松前重義君辞任につき、その補欠として河
 野密君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十月七日
 高畠、二井宿中学校統合反対に関する請願(西
 村力弥君紹介)(第三三号)
 小、中学校施設費の国庫負担増額に関する請願
 (原茂君紹介)(第三四号)
 同(増田甲子七君紹介)(第三五号)
 養護教諭及び事務職員を各校必置に関する請願
 外四件(小澤佐重喜君紹介)(第三六号)
 同外二件(志賀健次郎君紹介)(第三七号)
 同外七件(野原正勝君紹介)(第三八号)
 児童文化施設特別助成法制定に関する請願(今
 井耕君外一名紹介)(第三九号)
 同(今澄勇君紹介)(第四〇号)
 同(木下哲君紹介)(第四一号)
 同(櫻内義雄君紹介)(第四二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第七号)
 学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴
 う関係法律の整理等に関する法律案(内閣提出
 第八号)
 国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒
 の災害補償に関する法律案(山崎始男君外三名
 提出、第二十九回国会衆法第一号)
 派遣委員より報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○坂田委員長 これより会議を開きます。
 まず学校教育、社会教育、教育制度に関し調査を進めます。
 去る九月二十六日本土に襲来しました第二十二号台風による文教施設等の被害状況の現地調査を行うため、委員を派遣いたしたのでございますが、この際派遣委員より現地調査の報告を聴取いたします。鈴木正吾君。
#3
○鈴木(正)委員 私は静岡県下における台風二十二号の被害調査について御報告申し上げます。
 調査班は、十月一日、二日にわたり、伊豆半島の狩野川周辺及び伊東市付近の被害調査を行なったのであります。調査委員は、私のほか農林委員会からは松浦周太郎委員長、松岡嘉兵衛委員、神田大作委員、建設委員会からは佐藤虎次郎委員、石川次夫委員、社会労働委員会からは伊藤よし子委員、現地参加として山田彌一委員、久保田豊委員の九名であります。
 戦後最大といわれる台風二十二号は、去る九月二十六日伊豆半島をかすめ、江ノ島から関東地方に上上陸したのであります。この台風はいわゆる雨台風であり、東海道以東、関東に至る各地に記録的な豪雨をもたらし、各地に大被害を起したのであります。特に中伊豆地方におきましては、狩野川上流の天城山系一帯に降った豪雨は、湯ケ島において四九九ミリ、修善寺において二二一・八一一ミリという未曽有の降雨量を示し、中でも湯ケ島においては最大時雨量七四・六ミリという豪雨となったのであります。このため、天城山系一帯から山くずれによる土砂を含む濁流が狩野川に押し寄せ、特に大見川、狩野川、北又川の三つの川の合流する修善寺橋付近においては、上流からの流失家屋や流木が橋につかえた関係もあって、その水量は膨大なものとなり、一挙に鉄橋である同橋を押し流して、修善寺町横瀬部落数十戸及び修善寺中学校を押し流し、さらにこの水魔は大仁橋の取付部分の築堤をのみ、同橋下流の左岸において堤防を実に一キロにわたって決壊し、熊坂部落二百戸は一瞬にして流失、さらに下流十数カ所において堤防を決壊し、大仁町、伊豆長岡町など田方平野一帯にはんらんしたというのが、今回の中伊豆地方水害の概況であります。なお伊豆半島においては、中伊豆地区のほか、西岸の松崎町、南岸の下田町、東岸の伊東市は、それぞれ河川のはんらん、堤防の決壊等により相当大きな被害を出しておるのであります。
 本災害の発生により、沼津、伊東、熱海の三市及び伊豆長岡町、大仁町、修善寺町、韮山村等田方郡下の四町五村並びに下田町など賀茂郡は、五町二村に対し災害救助法が適用され、県は三島市に災害対策本部を設置して応急対策に当り、一方、自衛隊も災害発生とほとんど同時の二十七日未明より行動を起し、二十八日には、陸上自衛隊一万余名が海上及び航空自衛隊と緊密なる連絡を保ちつつ、災害状況の偵察、遭難者の救助、道路の復旧、食糧及び飲料水の補給に全力をあげて不眠不休の活躍をしている状況であったのであります。
 被害状況といたしましては、いまだ奥地との交通途絶あるいはさしあたりの緊急作業に全力を集中している関係上、確実な現状を把握することは困難でありますが、九月三十日現在の対策本部の発表によれば、伊豆半島全域で、死者、行方不明約千三百名、家屋の被害全壊流失合せて千戸、浸水一万七千戸となっており、河川道路の被害千百七十七カ所、農地の流失埋没二千三百六十町歩、学校の損害六十九校に及び、総被害額は百三十二億円に達しているのであります。
 被害の概要は以上の通りでありますが、次にわれわれ調査委員一行の調査の所見並びに現地の要望等について申し述べたいと存じます。
 現地の地上運送の混雑の関係上、調査は自衛隊のヘリコプターによる空中からの視察を主とし、直接現場に足を踏み入れることが十分にできなかったことはまことに遺憾でありました。しかしながら空中から見る狩野川流域の現況は、すでにはんらんした水の大部分は引いておりましたが、三島市南方蛇ケ橋付近から以南は一面の泥田と化し、どこが川の本流であるか判明できない状況でありまして、その中には、家屋の残骸や流木が山積し、排水に努める消防団、青年団、学生等、流木の整理や死体の掘り出しに当っている人人の必死の活動が手に取るように見受けられたのであります。またおそらくは死体を荼毘に付しているのであろう白煙があちらこちらの川原に立ち上るありさまなど、風光明眉を誇る中伊豆地方の姿は全く見るも哀れな惨状と化していたのであります。直接現地に足を踏み入れた修善寺橋付近及び伊東市などにおいては、水の勢いのすさまじさに、今さらのごとく驚かされた次第であります。
 現地は、罹災後一週間を経過しておりますが、県、市町村、自衛隊、消防団、地元民等は被災者の救出、行方不明者の捜索、交通確保のための道路の応急復旧作業、危険排除等に全力が注がれている状態でありまして、確実な被害の査定、復旧計画の立案等には、まだまだ手が回らぬ状態でありまして、現地当局はすみやかに中央からの援助、特に技術関係者の派遣により、本格的復旧計画の作成をすみやかに行うため、国の対策本部を現地に設置し、各関係省の総合的にして強力な措置を要望していたのであります。われわれ調査委員も、この深刻な実情からして、国の対策本部を現地に設置することの必要性を痛感いたした次第であります。
 次に、被害の概要について申し上げます。前にも若干触れましたごとく、修善寺中学校は土台一つ残さず完全に姿を消し、正門のあったあたりに、修善寺橋にかかっていた鉄橋の鉄板等があめ細工のように引き裂かれた残骸をそのときの水魔のいかに激しかったかを物語るかのごとく、そぼ降る雨にさらしておったのであります。このように中学校十九校を初め、小学校二十四校、高等学校二十四校、盲ろう学校二校の計六十九校に甚大なる被害を受け、金額にして一億一千八百万円となっているのであります。
 教育施設は他の何よりも優先的にその復旧が急がれなければなりませんが、この際この災害の教訓にかんがみ、今後学校校舎の建築においては耐久的構造によることはもちろんでありますが、校地の選定につきましても、災害に十分留意することが大事であることを痛感いたしたのであります。
 また、今次災害発生に当り、伊豆半島の地形的特色よりして、ヘリコプターが救援活動に大きな効果を発揮したことは特筆すべきものでありまして、現地罹災者はもちろん、自衛隊、地元関係機関もその効用をあらためて再認識したと異口同音に述べ、その増備方を要請していたのであります。これは単に伊豆半島のみならず、わが国の地形、災害の常襲の特色からみて、今後起り得る災害対策用として、ヘリコプター増強と活用を十分研究することが必要であると思うのであります。
 最後に、本災害はきわめて激甚でありまして、これが復旧には、この機会に恒久対策を確立し、もって文教政策の遂行に万遺憾なからしめるよう要望いたしまして報告を終ります。
#4
○坂田委員長 どうもありがとうございました。
 次に、竹下登君。
#5
○竹下委員 私は、第三班を代表いたしまして概況を御報告申し上げます。
 本班は十月一日、埼玉、茨城の両県下、二日、三日福島県下の災害の状況を調査いたしたのでありますが、派遣されました委員は、文教委員会より私、建設委員会二名、農林水産委員会一名、社会労働委員会一名のほか、現地参加として埼玉県下一名、茨城県下一名、福島県下四名の委員が親しく現地調査を行なったのであります。
 視察の経路を簡単に申しますと、第一日は埼玉県下川口市、戸田町周辺、浦和市を経て栗橋町から茨城県に入り、利根川左岸、土浦市を経て水戸市に至り、第二日は福島県下浜通り、平市、富岡町、鹿島町、相馬市、原町市周辺を視察し、福島市に至り、第三日は福島市周辺び猪苗代湖畔、猪苗代町周辺まで踏査いたしたのであります。
 以下県別に概要を申し上げます。まず、埼玉県下の状況について申し上げます。
 台風第二十二号は、九月二十七日午前一時過ぎころ本県東南を縦断し、茨城県へ去ったのでありますが、当初の予想に反し、風力が弱く、雨台風の様相を呈しており、最高総降雨量は実は四〇三ミリに達し、しかも山岳地帯に比し平坦部における川口市、浦和市地区において著しく局地的の洪水被害が甚大であったのであります。
 本県の学校関係の被害は、川口市の公立学校三十五校でありますが、そのうち浸水を受けたものは二十三校、六六%に達し、床上浸水は九校、床下浸水は十四校、臨時休業した生徒児童数は二万六百名に及んでおります。十月一日視察当日においては、順次平常に復しつつありましたが、一部に休業中のものもあるという状態であったのであります。
 地元要望事項等については他県も同様でありますが、小中学校の災害復旧経費に対し、緊急に国庫補助金を交付せられたいというものであります。
 次に、茨城県下の状況について申し上げます。台風第二十二号は九月二十七日午前二時ころ県西、下館に達し、本県を縦断し、三時ごろ大子から福島県へ去ったのでありますが、県南降雨量は、三一五ミリを記録し、那珂川水府橋地先における水位は警戒水位をこえること四メートル近くに及び、本県地勢が河川末流に位するため、調査当日現在、相当多数の地域が滞水しているという状況にあり、被害の地域は主として利根川の流域地区が著しい状態となっております。
 本委員会関係学校の被害は、県立学校百十九件、七百万円、小中学校五十五件、九百万円、その他の施設を含めて百七十六件、千六百万円で、この復旧経費に対し国庫補助金の要望がありましたが、これらについては他県の場合と同様であります。
 次に、福島県下の状況について申し上げます。台風第二十二号は九月二十七日午前三時、茨城県北部に達し、同四時本県南部に入り、東部浜通りで毎時六〇キロメートルで進み、次第に湿帯性気圧に変り、同六時ごろに至り、仙台湾に抜けたのでありますが、この被害地域は東部海岸沿い双葉郡浪江町、小高町、相馬郡に及び、ことに被害が甚大であったのが北相馬地区、原町市、鹿島町、相馬市、新地村等となっております。
 なお、本県は台風第二十一号の被害が相当大きかったのでありますが、この地域は西北部南会津郡、雨沼郡及び北会津地方となっております。
 本委員会関係学校等の被害は、校舎の流失二校、破損三十校、校地流失等六十二校、その他十三校で、合計百七校に及び、被害額は約五千万円に及んでおり、ここでも復旧費について補助金交付の要望がありました。これらの要望事項に対し適切なる措置を希望する次第であります。なお異常災害時における高率補助の希望があったことをつけ加えさせていただきます。
 右簡単でございますが、第三班の概要を御報告申し上げます。
#6
○坂田委員長 ありがとうございました。
 次に、本島百合子君
#7
○本島委員 台風二十二号に伴う災害状況のうち、私の派遣されました東京、千葉、神奈川各都県の状況につき御報告いたします。
 私は去る一日、二日、建設、農林、社会労働の各委員とともに各都県庁を訪れ、議員各位よりの見舞金を手交するとともに状況を聴取し、各災害の現場を視察したのであります。
 二十二号台風は九月二十七日神奈川県下から本土に上陸したのでありますが、この台風の接近に伴いまして、本土南方に停滞していた前線により静岡県、関東地方に未曽有の豪雨をもたらし、東京都内各地では二〇〇ミリないし四〇〇ミリという気象庁開設以来の降雨量を示したのであります。幸いにして風速を伴わなかったため、文教関係の被害はさしたることなく済みました次第です。それでも東京都では三宅島、南多摩郡方面に若干の被害があったのでありますが、詳細な報告が入っておりませんので、この点後刻東京都の方から連絡があるというということでございました。また千葉県では今回の台風では校舎の全壊、半壊等はありませんでしたが、過ぐる二十一号台風で、県立学校が全壊六校、半壊三校、市町村学校で全壊一校という被害があったということでございました。
 なお神奈川県ではさしたる被害がなかった旨報告されましたので、学校の視察はいたしておりません。
 以上をもちまして、簡単ではございますが私の班としての御報告を終らしていただきます。
#8
○坂田委員長 ありがとうございました。ただいまの派遣委員の調査報告に関連し、文部当局より説明を聴取いたします。灘尾文部大臣。
#9
○灘尾国務大臣 去る九月二十六日、いわゆる二十二号台風のもたらしました被害は、かなり広範囲にわたりまして、ことに静岡県におきましては非常に大きな災禍を生じたのでございます。そのために多数の人命を失い、また学童の多数を犠牲者といたしまして、罹災民の皆さん方に対しましては心から御同情申し上げておる次第でございます。文部省といたしましても、直ちに災害対策本部を設けまして、事務次官を長といたしまして、今後の対策の実施の上に遺憾なきを期しておる次第でございます。現在に係官も派遣いたしまするし、さらにまた御承知の通りに、政府におきましても災害対策の現地本部を設けておりますので、これにも文部省の係官を参加せしめておるような次第でございます。とりあえず必要と認められる措置につきましては、それぞれ地方に対しまして通達を発しておるような状況でございますが、なるべくすみやかに被害の程度、状況等の調査を完了いたしまして、必要な予算措置その他についてもできるだけのことをいたしたいと考えておるような次第でございます。急速に調査を取りまとめまして、具体的な対策を立てて、皆さんの御承認を得たいと思っておるようなわけでございますが、被害の状況並びに文部省の考えております対策等につきましては、関係の局長から御報告ないし御説明をいたさせたいと考えております。
#10
○小林説明員 二十二号の台風につきましては、すでに御承知のように非常に広範囲の地域に被害が生じております。災害救助法が発令されました都県だけを拾いましても、静岡から青森に至るまで、十二都県に及んでおるわけであります。もっとも中には災害救助法の発令はいたしましたけれども、比較的に被害の少い、たとえば群馬県は一つの町だけ、また富山県は一つの市だけというような県もございますが、その他はかなり広範囲にわたって救助法が適用されております。中でもだんだんお話のございましたように、静岡県とかあるいは東京都、神奈川県、福島県また埼玉県といったようなところは、相当大きな被害を生じておるのでございます。ただ現在までに、罹災の生徒、児童数等につきましては、一部まだ完全な調査ができておらぬために、的確な数字は判明いたしておりませんけれども、大体床上浸水以上の住宅数等から推定いたしますと、全体を通じまして大体十二、三万の児童生徒が災害を受けておるというふうに推定をされるわけでございまして、これにつきましては、私どもいろいろ予算編成上の必要もございますので、できるだけ早くその数をつかんで報告してもらいたいということを、府県にお願いをしておる状況でございます。
 なお現在までに私どもの方で大体固まった数字としてつかんでおりますのは、お手元にお配りを申し上げておりますところの文教施設の関係でございます。これによりますと、建物、土地、工作物、設備を通じまして、十七都県にわたっておりますが、三億一千五百万、こういう数字を得ております。今回の被害のうちで特に今までと違って特徴的であると考えられますのは、先ほど来お話のございましたように、二十二号台風が非常な豪雨を伴なった関係からだと思いますが、土地費がかなり大きい。すなわち土地の流失したものあるいはがけくずれを起したもの等が、かなり大きいわけでありまして、三億一千五百万のうち九千二百万というかなりの額を占めております。ここで設備と申しますのは、学校で教室内に備える机、いす等から教材、教具等に至る設備の額でございます。
 なおこの表にございませんけれども、社会教育施設といたしまして、図書館とかあるいは公民館にも多少の被害があるようでございまして、現に静岡県では、大仁町の公民館が二つ流失しておるという報告が参っております。なお文化財にも多少の被害が出ておるようでございますが、詳細についてはまだ現状不明でございます。
 それから国立の学校につきましては、十八の大学、一つの高等学校、これは鳥羽の商船高等学校でございますが、それから所轄機関といたしましては、遺伝学研究所と近代美術館に被害がございました。これは多くのものは、建物といたしましては雨漏り、豪雨による多少の破損でございますが、たとえば東京大学の三千五百万という数字の中には、千葉県にございますところの演習林の橋梁の流失とか、林道の破損というようなものが入っておりますので、その額が多くなっておるような次第でございます。一応私どもがわかっておりますのはそういった数字でございます。
 なお静岡の伊豆地方に対しましては、特に私どもの方からも二回にわたってお見舞かたがた調査官を派遣いたしておりますので、その状況をある程度具体的につかまえておりますが、それによりますと伊豆地方におきましては、教職員の死亡した者五名、行方不明の者一名、負傷した者一名ということになっております。また児童生徒のうち死亡した者百六十名、行方不明の者五十一名、合計二百十一名というような、かなり大きな被害を学校の直接の関係者が受けておるわけでございます。なお校舎につきましては、先ほどの調査報告にもございましたように、修善寺の中学校が全部流失をいたしております。なお修善寺の熊坂小学校は一時流失をしたというふうに伝えられましたけれども、実はその少し前に校舎の移転を行いました関係で、そのあとに残った礎石が流失した残りであるというふうに見誤まられたものでありまして、熊坂小学校は流失はいたしておりませんけれども、しかし約ニメートル以上の床上浸水のために非常に泥をかぶりまして、床上にも床下にも泥が入りまして、その清掃に非常に努力をしておるというふうに聞いております。なお中伊豆町の大東小学校は大見川の支流の溢水のためにほとんど校舎の三分の二が流れ去ったという状況でございます。従って伊豆地方におきましては、校舎のみならず設備等につきましてもかなり大きな被害を出しておる状況でございます。
 現在までに私どもが復旧の対策として実施して参りましたものを申し上げますと、まず災害直後に学校の授業が中断されることはやむを得ないことでありますけれども、一応の秩序が回復したならば、できるだけ早く学校の授業を再開してもらいたいということで、この再開に必要ないろいろな指導をいたしております。たとえば災害の場合に、そこから伝染病等が発生しないようにいろいろな注意、指導をするというようなことをやっております。
 それから学校の授業を再開します場合に、まず問題になりますのは、被災の児童生徒の教科書の問題でございますが、これにつきましては御承知のように、現在各学校ともいろいろと教科書の種類が違っておりまして、的確な数字は早急にはわからぬわけでありますけれども、いずれの教科書にいたしましても、発行部数の二%ないし三%の予備冊数を発行会社で持っておりますので、被害の実数を早く確めて、その補給をするようにしてもらいたいということでございます。その点につきましては県の教育委員会と教科書の現地の供給所とが協力をいたしまして、現に静岡県の場合等で申しますと、すでに静岡県の方から東京の各教科書の会社に具体的な注文を出しておるという状況でございます。
 次に被災児童に対する学校給食でございますが、この点につきましては従来学校給食を行なっていなかった市町村の学校等におきましても、この際学校給食をやりたいというものにはその物資を特に配給する、小麦粉なり脱脂粉乳の配給を行うという措置をいたしております。またそのために今度は、給食を受けたいけれども給食費の支払いができないというようなものについてはできるだけ準要保護児童の扱いとして措置する。その場合に、もし国の方で予算が必要であれば、その予算要求の措置を講じたいというふうに考えております。
 なお災害を受けましたために従来高等学校以上の学校に入っておりました者のいわゆる就学費が払えなくなるという者に対しましては、これは府県の方で授業料の減免をいたしておりますが、なお育英資金の貸し出しを考えたい。それについては、災害を受けた者につきましてはできるだけ優先的に採用するような措置をいたしたい。十月以降、少くとも半年くらいにつきましては別ワクで採用するというような方法を講じたいと考えております。また大学生につきましても、そういった優先採用の措置をとるように育英会の方とも十分連絡をいたしております。
 なお学校の先生に対する救済対策でございますが、これは共済組合の本部の方から直ちに災害見舞金並びに災害貸付金、災害見舞金については現金払いを直ちに行う、それから災害貸付金については最高限度十万円までの貸付を現金払いで実施してよろしいという指示をいたしております。なおこの支部の方での手持ち資金が足りない場合は、本部の方から不足を補てんするというような措置を講じておる次第でございます。
 なお各被害の府県からの調査の具体的な数字が入りました後にいろいろと今後の予算措置をすべきものを検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#11
○坂田委員長 ただいま行われました第二十二号台風による文教施設等の被害状況に関する派遣委員の調査報告及び文部当局の説明に対し質疑の通告があります。これを許します。辻原弘市君。
#12
○辻原委員 今行われました委員会派遣の委員の方々の諸報告と、それから文部省での現段階で取りまとめられた報告に基きますと、今回の二十二号台風を中心にいたしまして、十一号以来の災害はかなり深刻でありまして、かつての七・一八水害と比べまして、それに拮抗するだけの未曽有の水害だったと思うのであります。今の御報告によりますと、被害を受けました校舎施設の数は膨大に上っておりますが、幸いにもその中で完全に流失をした数が比較的少かったことは、これは非常に不幸中の幸いであったと思います。しかしながら部分的な校舎の被害あるいは施設の破損等が非常に多いということを考えますと、今後の教育上の支障をなからしめるためにも、すみやかにこれに対する復旧の手だてを講じていただかなければならぬと思います。そこで一つ承わっておきたいのは、二十二号が一番大きいわけでありますが、十一号、十七号、二十一号、こういうふうにありまして、それらを総計いたしますと、そこに出ておりますように、五億何がしの被害があると思いますが、それに対応して現在文部省で持っておる災害に対する予備費はどの程度考えられておるのか。それを一つ承わらしていただきたいと思います。
#13
○小林説明員 十一号以後の数字といたしますと約五億六千万になるわけでございますが、これにつきましては現在まだ私どもの方としては予備費をもらっておりません。と申しますのは、大体九月の中下旬ごろに、従来の経験から申しますと、大きな災害が起るのが通例でございまして、その後に大蔵省との立ち会い調査をして被害額を決定するというような行き方が従来の行き方でございます。本年は九月の下旬に一応大蔵省との間で立ち会い査定を行うという予定を立てておりましたが、二十二号というような大災害になったわけでございまして、私どもといたしましては、このすべての金額を大蔵省と共同で立ち会い査定の上、予備金の要求をしたいというふうに考えておるわけでございます。従って現在二十二号以前のものについて文部省で予備金を持っておる、あるいは予算を持っておるということはないわけであります。
#14
○辻原委員 それから備品についての被害が報告せられておりませんが、これはまだ集まっていないのか、あるいは大体の概要がもし出ておるならば、あわせて御報告願いたいと思います。
#15
○小林説明員 お手元にお配りしてありますところの二十二号の台風で申しますと、そこに設備と書いてありますものが、備品を含むものでございます。これが各府県から出てきたなまの設備に関する被害数字でございまして、千六百万、こういうことになっておるわけでございます。
#16
○辻原委員 これは備品、設備両方合せての数字ですか。私の伺いたいのは、できればこれは設備と備品の関係は、かなり違うように思うので、備品は備品で一つまとめていただきたい。と申しますのは、備品の関係は、特に明年度の教材費との関係、そういう点からかなり私は水害の場合に――たまたまわれわれは、水害地に生まれまして、水害地に住んでおる関係から、水害の状態というものはよくわかる。今回のように校舎設備のようなものは非常に大きくてすぐわかる。備品の流出なんというのは水がちょっとつかってもだめなんです。そういう点から存外軽視されておるが、これは後になって教育上非常に支障の出る場合があるのです。従ってこういうものはある程度明細に出しておかれた方がいいのではないかと思います。しかしこれは現地でもはっきりしない。私も災害地に行って現地を――二十二号の関係は、静岡県の関係は私は知りません。そのほかの私の県なりあるいは二十二号関係のその他でやはり備品の被害が大きかったように聞いております。ところがなかなかわかりにくいわけです。そういう点で一つこれらもできれば精細に拾い上げてもらって、そしてできるだけこういう際に更新するということもかねて重点的にやってもらいたい、そういうふうに考えるわけです。
 それからもう一つは、前の七月十八日災害のときには、国会全体として二十三に上る特別立法を提案して、これによって災害の復旧をやったわけですが、今回もその範囲、規模、被害額、こういったものから非常に強い高率補助適用の要望が各被害地から出ているわけです。それについて一体文部当局としては、どういうふうに今日考えられておるのか。われわれとしては、できればこういう異常災害ですから随時一つ高率補助を適用して、できるだけ早く復旧するということに力を注いでもらいたいと考えておるのでありますが、高率補助についての文部省の見解をこの機会に承わっておきたいと思います。
#17
○灘尾国務大臣 私どもとしましては、今回の災害、特に静岡の災害の実情等を伺いますと、容易ならぬ災害だ、かような考え方をいたしておりますので、できるだけ高率の補助その他の道を講じまして、すみやかに復旧させたいという気持で努力して参りたいと思っております。ただ政府といたしましては、全体的にどうするというところまでの段階に至っておりませんので、はっきりしたことを申し上げかねますが、われわれとしましては、従来の例に劣らないように補助をしていきたい、こういうふうな考え方をいたしております。
#18
○辻原委員 大臣のお話、抽象的なお話ではなくて、現在の災害復旧の三分の二に対してのさらに高率補助を文部省はできれば適用していきたい、こういうふうなお話であったと承わったように思います。いろいろな方法で、行政措置でできるだけ高い補助になるという意味ではなかったように私伺っておるのですが、それでいいのでありますか。
#19
○灘尾国務大臣 ただいま申しましたように、結論を申し上げるわけには参らない段階でありますが、私の気持といたしましては特別な高率補助も適用したいというような心持ちで、政府部内で努力して参りたいと思っております。
#20
○辻原委員 それはまことに文部当局の意気込みとして、われわれもけっこうだと思います。ぜひそういう形で、この災害の復旧に当っていただきたいということをお願い申し上げるわけであります。
 いま一つこの機会にこれに関係して特に大臣のお考えをただしておきたいのは、おそらく現地を視察されたり、あるいは調査をされた方々はおわかりであろうと思いますが、校舎施設の形によって災害が非常に大きかったり、あるいはそれによってかなり防ぎとめたりしている。非常にひどいところであっても、校舎施設に対してかなり配慮して構築している場合は、それを防いでおるということをごらんになっただろうと思います。そういう観点から、修善寺中学が完全流失になっておりますが、私は見ておりませんけれども、おそらく木造であったと思います。おそらくこれが鉄筋であるならば流失は免れただろうと思います。ですから詳細に言えば、これら半壊ないしは大破、中破、こういった被害を受けた各学校にわたって、それらの構造物の種類を調べてみて、そして検討すれば、鉄筋あるいは鉄骨、木造、のこの災害に対するいわゆる耐久度が完全に出るだろうと思います。そういうことが常識的にもわかるわけであります。従っておそらく今後災害復旧について、現地から必ず、流失ないしは半壊あるいは大破でも、もしくは新規の構造物を建てる場合にも、できれば鉄筋にしてもらいたい、あるいは鉄筋でやりたいという希望が、非常に強く上るだろうと思います。現にわれわれ、前に経験した大災害の直後において、実に熾烈な鉄筋建築の希望が生まれた。幸いにしてそのときの経験にかんがみて、鉄骨校舎の建築比率を急激に上げたために、その後ほとんど毎年災害を受けているわけでありますけれども、漸次その被害が減少しているというこの傾向を見ますと、これは経済的にも、災害に対する安心感からいっても、特に小さな子供を入れている義務制の校舎建築は、今後鉄骨あるいは鉄骨を中心にしてやるという施策の確立が、こういう機会に強調されなければならぬと思います。従ってこのことは文部当局の予算要求の中にも現われておりますけれども、私は少くとも五年前からこのことをしばしばこの委員会で歴代の大臣にも申し上げて参ったのでありますが、すでに当時から見ますと、各府県の要求が三倍程度になっていると思います。先般、夏の文教委員会の国政調査の折に九州に参りまして、特に注意をいたしまして九州各県の施設状況、それらの比率等を私はながめてきましたが、特に九州地方は鉄筋についての要求度合いが非常に高かった。また現に建設している状況ももちろん高かったということは、これはやはり九州地方に災害が非常に大きくて、今後の恒久対策をこれによって立てていきたいという熱意の現われであろうと記憶するのです。それが漸次さらに近畿地方あるいは関東あるいは東北というふうに災害が頻発する傾向から見ますと、おそらくや全国的にそういう要求が高まると思う。そういった点から、少くともこの際やはり思い切った施策を確立する必要があるのではないかと思います。もちろん東北、北海道に参りますと、多少状況は違って、日常の学習活動等の立場から、やはり冷え冷えする鉄骨建築よりは木造の方がという御意見もあると思います。それは現地に適用するようにやればよろしいのであって、総体としてはやはり鉄骨建築に移行するような財政措置、そういうような一つの行政措置というものが非常に私は望ましい。これはもう大臣には釈迦に説法でありますけれども、災害を機会に一つ予算の編成期も真近に迫っておる時期でありまするし、特に大臣が明年度予算に対していかほどの推進力を持っておられるか、お考えを持っておられるか、この点を承わり、あわせて、これはかつても発表になりましたが、全国的にもうすでに本年度の大体施設についての各府県の要求というものがまとまっておる段階でありまするから、それに基くと全国平均鉄筋比率は一体いかほどになったか、それと予算に措置されている三〇%の比率の間にどれほどの大きな開きがあったか、こういう点についてもこの際明らかにせられて、そうして現状にマッチするような校舎建築の方向に一つ移向していただきたいと思います。私の卑見を申し上げることを許されれば、おそらく現在の比率を倍にしても大体これは各府県の要求度合いの八割ないしは七割程度に落ちつくのじゃないかということを考えておりますが、文部大臣としてそういう点についていかがな御判断か、また今後この比率を上げるために相当な決意を持っておられるかということを一つこの機会に承わっておきたい。
#21
○灘尾国務大臣 学校校舎の鉄筋化と申しますか、そういうふうなことについての御質問の御趣意については、私も同感でございます。土地の状況にもよりましょうけれども、だんだん鉄筋の方向に向って進んでいくのが適当ではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
 今回の災害の結果によりましても、やはりそういうふうな声も部内にもずいぶん高まっておるように私も承知いたしておるのであります。もし鉄筋であったらとか、あるいは鉄骨であったらとあとで後悔するような場合がしばしばあると思います。できるだけその方向に向って今後とも努力して参りたいと思っております。お話の通りに、現在は地方におきましても鉄筋校舎の建設を要望する声が非常に高いのであります。これに対してついていけないのが現状でございます。残念に思っておりますので、明年度の予算要求等に当りましても、この点も一つの大切な問題として、私はできるだけわれわれの希望がかなえてもらえるように努力して参りたい、とかように考えておる次第であります。
#22
○小林説明員 本年度の各府県市町村から学校建築の計画として出て参りました坪数と予算の坪数との関係でございますが、全数を申し上げますと、大体三十六万坪の予算坪数に対して、義務制だけでございますが、七十四万坪、大体二倍の申請があったのでございます。このうち鉄筋関係につきましては、八万四千坪の予算要求に対して三十一万坪でありますから、三・七倍くらいの倍率になっておるわけでございます。それから高等学校等につきましては、高等学校は特にやはり義務制よりももっと鉄筋の要求が強いのでございまして、八千百坪の予算坪数に対して三万四千坪、従って四倍以上の競争率になっておるわけであります。こういった現状でございますので、こういうものを基礎にいたしまして、明年度以降の予算要求におきましては、できるだけこの構造比率のうち鉄筋の比率を高めるように、ただいま大臣からも発言がございましたが、私ども事務当局といたしましても、できる限りの努力をして参りたいと考えております。
#23
○長谷川(保)委員 関連して。今回の災害は、私は伊豆地方をいち早く視察したのでございますけれども、すでに報ぜられておりますように、この地区は全く全滅的であります。今のお話の修善寺中学につきましては、これは川のふちに建っておる二棟とも職員ともに流されてしまった。災害復旧と申しますと、いつでも原形に復旧するということが原則になるわけですが、それではいけないと思うのです。ぜひとも特別措置法を作ってもらわなければなりません。全滅的でありますから、いつもの普通の行き方で起債を何のという力はありません。特別措置法を作ってもらわなければなりませんが、同時に原形復旧だけではなくて、安全なものを作るということを第一義にしなければならない。特にこの数年来の風水害の状況を見ますと、前とは変った傾向がある。この間もある人と話したのでありますが、それがどこまで学問的であるかどうか知りませんけれども、どうも地球の傾きの関係からしまして、おそらく日本は今後四千年間熱帯的な気候になっていくであろう。最近の風水害を見ますと、スコール的に非常に短時間に非常に多量の雨が降る。従って今までの治山治水のやり方では全然間に合わない。こういうようにある有名な人が言うておりました。果して学問的にどうか存じませんけれども、とにかく、最近の災害の様相というものは、非常に短期間に急速に多量の雨が降るという傾向がもう四、五年来の傾向であります。そういうことを考え、今度の修善寺中学の流失の状況等を見ますと、山間部地方におきまして、広い敷地とそれから校庭、運動場等をほしいために、川のふちに作っておるのが最近の傾向でございます。今申しました伊豆のように、去年の諌早にいたしましても、その前の西日本の水害にいたしましても、そういうひどい雨が参ります。これが今後も毎年くると考えます。そうすると山間部の大きな川、あるいは小さな川もそうでありますが、川のふちなどにそういう校庭を作っておる、そこに校舎を作っておると非常に危険だと思います。今度も寒々とした気持がしました。どうか今後は学校建築におきましてはそういう点は十分御注意になって、そして万遺憾ないように一つ御尽力をお願いしたい、このことを関連してお願いいたします。
    ―――――――――――――
#24
○坂田委員長 次に学校教育法等の一部を改正する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を一括議題とし、まず灘尾文部大臣よりそれぞれ提案理由の説明を聴取いたします。灘尾文部大臣。
    ―――――――――――――
#25
○灘尾国務大臣 このたび政府から提出いたしました学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、学校教育法につきまして、専科大学制度を新設し、また高等学校の定時制課程及び通信教育課程と技能教育施設との連係をはかるため所要の規定を設けるとともに特殊教育関係の規定等を整備し、また国立学校設置法につきまして、国立学校における授業料の減免に関する規定を設けることとしたものであります。
 まず、学校教育法の改正といたしましては、第一に新たに専科大学の制度を設けたことであります。
 わが国の高等教育機関としては、四年制の大学のほかに、修業年限二年または三年の短期大学がありますが、これは発足当初の経緯もあり、暫定的な制度として認められたものであって、性格も明確を欠くきらいがありましたので、その改善は各方面から久しく要望されてきたところであります。政府におきましては、このことについて、中央教育審議会を初め、各方面の意見を聞いて慎重に検討しました結果、このたび、新たに恒久的な専科大学の制度を設けることとし、従来の短期大学は昭和三十四年三月三十一日までに認可されたものに限り、当分の間、存続できることとし、それ以後は、短期大学の新設は認めないことにいたしました。
 専科大学は、深く専門の学芸を教授研究し、職業または実際生活に必要な能力を育成することを目的とし、四年制の大学とはその目的、性格を異にするものであります。
 修業年限は、高等学校卒業程度を入学資格とするものは、短期大学と同様二年または三年でありますが、一貫して充実した教育を施す必要がある場合には、中学校卒業程度を入学資格とする修業年限五年または六年の専科大学の制度をも認めることにいたしました。この制度は、産業界その他から要望されている充実した中級技術者の養成にも大きな役割を果し得るものと信ずるのであります。
 なお、専科大学は、一年の準備期間をおいて昭和三十五年度から設置できることにしております。
 第二は、高等学校の定時制課程および通信教育課程と技能教育のための施設との連係をはかったことであります。
 高等学校の定時制課程または通信教育課程に在学する生徒が、学校以外の技能教育のための施設において、高等学校と同程度の教育を受けております場合には、生徒は、二重の負担を負うことになり、保健上からも適当でなく、また教育上も能率的ではありません。そこで、技能教育施設における学習を高等学校における教科の一部の履修とみなすことにより、その相互の連係を密にし、生徒の生活の実態に即した効果的な教育方法を制度化いたしまして、科学技術教育の振興に資することといたしたのであります。
 第三は、特殊教育に関する規定を整備いたしたことであります。すなわち、現在、盲学校、ろう学校および養護学校の幼稚部及び高等部は、単独には設置できないこととなっておりますが、関係者の要望もあり、また特殊教育振興の見地からいたしまして、特別の必要がある場合には、これらの部をそれぞれ単独に設置し得る道を開き、さらに、特殊学級の対象となる児童生徒の種類につきまして、教育上及び実際上の見地から現行の規定を整備いたしましたほか、盲学校、ろう学校および養護学校に就学すべき者の範囲を政令で明らかにする等の措置を講じたのであります。
 以上の諸点のほか、学校教育法につきましては、就学義務に関する規定等に所要の整備を行なっております。
 次に国立学校設置法の一部改正でございますが、これは、国立学校における授業料の減免について、財政法及び国の債権の管理等に関する法律との関係もありますので、これを明確に規定することといたしたものであります。
 次に学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、学校教育法の一部改正による専科大学の制度の新設に伴い、各関係法律に所要の改正を加えたものであります。
 内容のおもなものを御説明申し上げますと、第一に、教育公務員特例法の一部を改正しまして、国公立専科大学の学長及び教員の身分取扱いについては一個の学部を置く大学の学長及び教員の例によるものとしたことであります。ただし、国公立専科大学の前期の課程を担当する教員の身分取扱いについては大学附置の学校の教員の例によるものといたしました。
 第二に、教育職員免許法等の一部を改正しまして、専科大学の前期の課程を担当する教員は原則として高等学校教員の免許状を必要とするものとしたことであります。ただし、必要があるときは免許状を有しない教授等が授与権者の許可を受けて前期の課程を担当する教諭または前期課程講師となることができるものといたしました。
 また、専科大学において所要単位を修得した者には免許状を授与することができるものとしております。
 第三に、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正しまして、国立専科大等の学長及び教員の給与については国立大学の学長及び教員の例によるものとしたことであります。ただし、国立専科大学の前期の課程を担当する教員の給与については国立高等学校の教員の例によるものといたしました。
 第四に、産業教育振興法等の一部を改正しまして、専科大学の前期の課程については高等学校に準じてその教育の振興をはかるための補助等を行うことにしたことであります。
 第五に、装蹄師法等の一部を改正しまして、短期大学卒業程度または高等学校卒業程度を資格要件とする資格規定に、専科大学の卒業者または専科大学の前期の課程の修了者を加えたことであります。
 その他学校教育法の一部改正による規定の整備に伴い、関係法律の所要の規定の整備を行いました。
 以上が、今回御審議を願います両法律案の提案理由及び内要の概要であります。
 何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
#26
○坂田委員長 次にただいまの学校教育法等の一部を改正する法律案の説明に対する補足説明を聴取いたします。緒方大学学術局長。
#27
○緒方政府委員 ただいまの大臣の説明を補足して御説明申し上げます。
 まず第一に、新たに専科大学を恒久的な学校制度として設けることにし、専科大学を学校教育法第一条の学校の種類の一つとして明記したのであります。また、専科大学は、大学とは目的性格を異にする学校でありますが、大学と同様高等教育機関であるという意味で、大学と同じ章に規定することといたしました。専科大学は、深く専門の学芸を教授研究し、必要があるときは、あわせて高等学校に準ずる教育を施し、職業または実際生活に必要な能力を育成することを首的とするものでありまして、学術の研究よりはむしろ専門職業教育あるいは実際生活に必要な教育を行うことに特色があるのであります。
 第二に、専科大学の入学資格及び修業年限でありますが、高等学校卒業程度を入学資格とするものは、修業年限は、現行短期大学と同じく二年または三年でありますが、一貫して充実した専門教育を行う必要がある場合には、中学校卒業程度を入学資格とする修業年限五年または六年の専科大学を設けることができるようにいたしました。この修業年限五年または六年の専科大学は、三年の前期の課程と二年または三年の後期の課程とし、前期の課程は、高等学校に準ずる教育を施し、後期の課程に進学するために必要な知識、技能を授けるものであります。
 第三に、専科大学は、大学のように学部制をとらないで、学科組織によるものといたしました。
 また、専科大学には、夜間において授業を行う課程を置くことができるようにいたしましたが、夜間の課程を置く場合には、昼間の課程の場合の修業年限をそれぞれこえることができるものといたしております。専科大学並びにその学科、夜間の課程の設置廃止については、文部大臣の認可を要することにし、設置の認可に関しては、大学設置審議会に諮問しなければならないことにいたしております。
 第四に、専科大学の教職員についてでありますが、専科大学には、学長、教授、助教授、助手及び事務職員を置き、必要に応じて、講師、技術職員その他必要な職員を置くことができるものとし、修業年限五年または六年の専科大学にはそのほかに教諭は必ず置かなければならず、さらに、養護教諭、助教諭、養護助教諭及び前期課程講師を置くことができるものといたしました。
 第五に、専科大学を卒業した者が、大学に入学する場合には、文部大臣の定めるところにより、その卒業した専科大学の修業年限を入学した大学の修業年限に通算することができるようにいたしております。その他、専科大学に専攻科及び別科を置き得ることとしたほか、専科大学の通信教育の課程、教授会、研究所その他の研究施設、公私立専科大学の所轄、名誉教授、公開議座等に関しては大学と同様とし、大学に関する規定を準用いたしました。専科大学の発足につきましては、設置基準の作成、大学設置審議会の審査事務及び申請者の便宜等を考えて、昭和三十五年四月一日から設置することができるものといたしました。
 なお、短期大学は、昭和三十四年三月三十一日までに認可されたものに限って、当分の間存続できることとし、短期大学の新設はそれ以後は認めないことにいたしたのであります。
 以上がこの法律案の内容の概要であります。
#28
○坂田委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。清瀬一郎君。
#29
○清瀬委員 同僚自由民主党の委員を代表いたしまして、この法案の審議に必要な数点をお伺いします。
 質問に先だちて、一つ書類の提出を願っておきたいと思います。それは、この短期大学問題は、ここ数年間文部省でも、中央教育審議会その他に諮問して御研究になっております。一部は私持っておるものもありまするが、委員全体としてこれを御提出願えば大へんよくわかろうと思います。一つは二十九年十一月十五日に中央教育審議会から答申が出ておると思います。二つは、三十年の十一月九日に全国公立短期大学協会から書類が出ておると思います。三番目には、私立短期大学協会から、三十一年の二月十七日だろうと思いますが、出ております。それから同じく中央教育審議会から、三十一年の十二月十日、これは出たのは私がおりました時分だと思います。五番目には、全国公立大学協会から三十二年の一月十六日にまた出ておると思います。それから日本私立短期大学から三十二年の二月に出ておると思います。その次に、短期大学だけではございませんが、中央教育審議会から三十二年の十一月十一日に、科学教育振興の方策についてというのが出ておると思います。そのほかに公的の答申等があれば、あわせて謄写の上全員に配付して下さるならば、この問題の真相がわかると思います。そのほかに、今大臣の御演説中にもありましたが、その改善は各方面から久しく要望されておるところであります。あるいは実業界とかその他権威ある団体から申し出があって、それが書面にでもなっておりましたら、あわせて御提出願えばわれわれの審議に大へん参考になると思います。
 私がこれから二、三お尋ねすることはおおむね案の性質のことでありまするから、局長からお答え下さっていいのであります。そうして最後に大臣に一、二お尋ねいたします。一つは、この短期大学は先刻御説明の通り、昭和二十五年から発足しております。その後七、八年になりまするが、その現状、今どうなっておるかということをお知らせ願いたいのです。すなわち、全国で幾らほどの短期大学があるのか。それは国立、公立、私立がどういう色分けになっておるか。大学の学生数はどれくらいか。この大学に限って科目が区々でありましょうから、その内訳をしていただく。それからまたその分布、どういうところに集まっておるか。これは今わかれば、ラウンド・ナンバーでいいので、正確な数字はまた別に謄写でもしてお出し願っていいのでありますが、大体これらの点をまずお聞きしておきたいと思います。
#30
○緒方政府委員 お答え申し上げます前に、先ほど御要望になりました書面につきましてはすみやかに提出申し上げたいと思います。
 短期大学の現状についてのお尋ねでございますが、まず第一に、学校の数でございます。国公私立合せまして現在二百六十九校存在いたしております。それを国公私立、さらにその学校の男女別の学校数を分けて申し上げますと、まず第一に、国立の数は二十一校でございまして、これはすべて男子、女子の専門の短大はございません。なお、国立の短期大学二十一校のうちその二十校は、四年制大学に併設をいたしておりまして、その修業年限は三年でございまして、夜間のものでございます。これは勤労青年を対象とする原則で、夜間の三年制を四年制の大学に併設をいたしております。ただ一校は、三十三年、この年度に新しく作ったものでございますけれども、久留米の工業短期大学がございます。これは昼間の独立のものでございまして、修業年限は二年でございます。最近におきます科学技術者養成の必要から特に国立として設置いたしたものでございます。それから公立の数は三十七校でございます。そのうち女子のみを目的といたしますものが十四校でございまして、それ以外が二十三校でございます。私立が全体の大部分を占めておりまして、二百十一校でございます。そのうち百十七校が女子のみを対象といたしております。以上申し上げましたように総数二百六十九校でございます。
 それからお尋ねの第二点の学生数でございますが、入学定員総数が三万三千九百八十五名となっております。そのうち男女に分けますと男が一万七千七百八十名、女子が一万六千二百五名。今申し上げましたのは一学年の学生定数でございますが、在学生総数は約七万名でございます。
 次に学科別の数のお尋ねでございますが、短期大学は御承知のように非常に多種多様でございまして、従って学科の数も相当たくさんございます。おもなるものを申し上げてみますと、一番多いのは家政学科であります。そのほか商業、経済あるいは法科、法経、工業、農業、なお看護衛生、看護あるいは厚生、あるいは社会事業、運輸、交通、音楽、美術、工芸あるいは体育、その他一般文科というものもございますし、理科というものもございます。かように相当多方面にわたりまして学科が組織されておりまして、そういう学科を内容として短期大学ができております。
 それから分布の状況でございますけれども、富山県、栃木県、福井県の三県を除きまして各府県に分布をいたしておりまして、国公私立を通じまして一応全国的な分布を示しておると申し上げていいと思います。各県別の数につきましてはまたあらためて申し上げたいと思います。
#31
○清瀬委員 卒業生の就職状況ですね。四年制大学に比較しなければなりませんし、また高等学校とも比較しなければなりませんが、短大の就職率が先年からあまり成績がよくないのではないかと思っておりますが、文部省でお調べになっておれば聞いておきたいと思います。
#32
○緒方政府委員 これは昨年の五月一日現在の調べでありますが、昨年度の卒業者の就職率は全体といたしまして五四%という数が出ております。国公私立いろいろございますけれども、国立は割合に成績がいいようでありまして九二%、公立が六二%、私立が五一%、全体平均いたしますと五四%ということになります。学科につきましても工科関係の者とかあるいは特に看護厚生とか、そういう特殊な科目につきましては割合に就職率がよろしいのでありますが、一般的には就職率が非常に思わしくないと申し上げなければならないと思います。これを四年制大学と比較してみますと、最近の四年制大学の就職率でございますけれども、やはり七〇%くらいには大体同じ時期に達しておりますので、平均いたしてそれくらいになっております。それに比較いたしますと短期大学は思わしくないという状態であります。
#33
○清瀬委員 これは一つは女の方は家政などをやってすぐ結婚生活に入り家に庭入るというので少いのでありましょうか。あるいはまた短期大学自身に学力の不足があるということでしょうか。
#34
○緒方政府委員 今の女子で短期大学を卒業した者がどういう進路につくかということにつきまして、詳細な資料がなかなか困難でありまして、今申し上、げましたのは、就職をいたしましたものの卒業者に対する割合をとったものでありまして、卒業しまして無業者というものの内容が、就職を希望いたしまして就職ができない状態におるのか、あるいは家庭に入っておるのか、その辺のところは詳細な資料が非常に困難でありまして、はっきりしたことは申し上げかねる状態であります。ただ一面短期大学が何と申しましても教育内容が中途半端である、不十分である、学力が十分つかないという批判はありまして、やはりそういう面から就職に非常に困難があるということは言えると思います。
#35
○清瀬委員 先刻の書面を拝見すればわかることでありましょうが、短期大学に対してどういうふうに改善すべきかといった経済界その他の要望をとりまとめて口頭で御説明を願いたいと思います。
#36
○緒方政府委員 短期大学に対しますその改善の要望の声は、いろいろな観点から出ておりますが、一つはただいま申し上げましたように、一般的に申しまして短期大学の教育内容が不十分であって、十分な学力がつきにくい。これは短期大学が四年制大学のちょうど半分、小型の四年制大学のような実態で運営をされておる。四年制大学に対します修業年限だけの特例がございますけれども、しかしその大学の目的というものは、一般大学と同じように、学術の中心として学問研究をやるという性格を持っておる。ところが修業年限が二年、三年であって、その実質とその目的に合致しない点があるので、これを明確にして、修業年限二年または三年の学校の生徒としてふさわしいように職業教育あるいは実際教育を充実するようにした方がいいじゃないか、こういう意見、要望があるのでございまして、中央教育審議会の意見もそういう答申に相なっておるわけでございます。卒業者を受け入れます実業界方面におきましても、そういうふうな意見が強うございまして、もう少し職業教育あるいは実際教育の性格をはっきり持った学校制度に改変すべきである、こういうふうな意見でございます。特に産業界といたしましては、最近の科学技術振興の観点から見ましても、もう少し内容を充実することが必要である。さらにこの案にもございますように、もう少し高等学校の課程と一貫させて、一貫教育をすることによって教育内容を充実したらいかがであろうか。そういう制度を作ることにつきましての要望が相当強く出ております。なお先ほどおあげになりました中の、科学技術振興に関しまする中央教育審議会の答申の中にも、高等学校課程から一貫して、その高等学校に相当する三年と、短期大学の二年とを結び合わせた五年あるいは六年の学校制度を作ることについて、強い要望が出ておるような次第でございます。詳細はまた書面によって申し上げますが、概要はさようなことであります。
#37
○清瀬委員 世の中の要望は、結局入学志望者の多寡ということによって表明されるのですが、二百六十九の大学について、入学志望者は全部定員以上にありますか。または入学は東京の著名大学に集中して、地方の短期大学は志望者が少いといったような現象はございませんか。
#38
○緒方政府委員 短期大学全体を平均いたしますと、入学率は一・五倍くらいでございます。ただ工科とか、先ほど申し上げましたように就職率のいいような学科の方面につきましては、多いものは五倍くらいに達するところもございます。
#39
○清瀬委員 先刻書類で要求をいたしたのでありまするが、昭和二十九年ごろから文部省の短期大学の問題に対する御研究の経過を、これも口頭でまず承わつて、それから書面を見たいと思います。
#40
○緒方政府委員 いろいろな要望が提出されておるのでございますけれども、先ほども申し上げましたように、短期大学に対しまする批判の第一は、専門教育あるいは実際教育の点が薄いということでございます。従いまして今度の専科大学につきましては、その点を学校制度の目的として明確に掲げるということを第一に考えておるのでございます。学校教育法五十二条におきまして、一般四年制大学の目的が掲げられておりますけれども、これは先ほど申し上げましたように、大学は教育機関であると同時に、学術の研究機関であるという性格を規定されておるのでございますが、このたびの専科大学につきましては、深く専門の学芸を教授研究し、職業及び実際生活に必要な能力を育成することを目的とする、かように明確にその目的を、職業教育あるいは実際教育に重点を置く教育機関であるということをはっきりさしたことでございます。かようにいたしまして、その目的を明確にすることによりまして、専科大学の実際の教育の内容も充実がはかられていくことを期待しておるわけでございまして、その目的に即しまして今後教育内容につきましても基準を作りまして、それによって学校の教育を進めていく、かようにいたしたいと思っております。
 それからなお特に充実した専門教育を行う必要のある方面につきましては、高等学校に相当いたしまする課程を合せまして五年または六年の制度を作る。このことによって充実した中級の技術者を養成する、その要望にこたえていきたい、かようなことを考えておる次第であります。
#41
○清瀬委員 そこでこれに対して疑いを持つ議論が私は二つ起ろうと思う。これについてどう御研究でありましょうか。今回の法律の改正は、今までの学校教育法第百九条というようなところにぴょこんとこれをいっておるけれども、これは法律の改正であって、学校のことは、これは生きた教育自身によるのです。同じく年限は二年、三年でありますから、学校当局が現在の経済要求に合うように教育しようと思えば、これでできるのではないか。通常の四年制大学でも、五十二条に書いてある通りにはできておりはしません。広く知識を授け、深く専門の学芸を教授しておりはしません。知的、道徳的及び応用的能力を発揮なんということはちっともやっておりはしません。ですから百九条を七十条の二以下に持っていってやったところで、同じ二年または三年でもとの先生がやるというのであったら、大した違いはないのじゃないか、こういう疑いが一つ起ると思います。疑いの二は、日本の教育制度は六・三・三・四で一つの系統が作られておる。これで教育の機会均等という学制の根本がきまっておるのだ。これを今一時の経済界の声によって変更するということはどんなものであろうかという、この二通りの疑いが出ようと私は思うのであります。むろん当局におかれて御研究の上と思いますが、この二点についてどういう見解をお持ちでありましょうか、これを伺っておきたいと思います。
#42
○緒方政府委員 現在の短期大学の実態に対しまする批判は、先ほど申し上げましたように職業、あるいは実際教育の不足だということでございまして、これを充実いたしますためには、やはり学校制度の目的、性格というものを明確に、かような目的を持つ学校制度であるということを規定することが前提として必要であろうと考えたわけでございます。さような規定をいたします目的を設定いたしまして、それに応じまする教育内容の基準を作って、その目的に沿うように実際の教育運営をはかっていきたい、かように考えます。繰り返すことに相なりますけれども、短期大学は四年制の大学の目的をかぶる、ただ修業年限だけに特例を認められておる制度でございますので、どうしても実際上教育内容を専門的に充実すると申しましても限度があるわけでございます。たとえば一般教育、専門教育の割り振り等にいたしましても、その一般大学と同じ目的のもとに作られておりますので、ほんとに専門教育を充実するという方向にはできにくいわけでございますので、このたび専科大学の教育の内容につきましては、むしろ専門教育、実際教育という課目の方を増強いたしまして、一般教育の方はむしろその専門教育の基礎学力を養うという方向に基準を作りたい、かように考えておる次第でございまして、短期大学が暫定制度として四年制大学の特例ということで今日まで参っております。これに対しまして、これにかわる恒久的な学校制度として専科大学を考えるこの際に、目的も明確にいたすことが必要であろうと考えたわけでございます。
 それからなお現在の六・三・三・四という学校制度に、ただ実業界等の意見を聞いて修正を加えるということはいかがであろうかという意見があるじゃないかというお話でございますけれども、この六・三・三・四の制度はそのまま立てるわけでございますけれども、しかしながらその学生の能力、資質あるいは希望等に応ずるような学校制度が、そのわきにもう一本できるというような、実態に応ずる修正ではなかろうかと思う次第でございまして、現在の各方面の、これは実業界のみならず一般に父兄の方面からも、短期大学の内容の改善ということは強い要望となっておると考えられますので、それらの要望にこたえまして、この恒久的な制度として専科大学の制度を作ることは必要じゃなかろうかと考える次第でございます。
#43
○清瀬委員 今の二つの疑問は私の論じゃないんですよ。私はこの案に賛成なんです。けれどもそういう大きい疑問がここに来るものだと仮定して申し上げておるわけです。第二の疑問は、むしろ今度の法案よりも専科大学の適用される設置基準、この方が大切になるわけですね。法律はたとい今のままでも、短期大学にはこういう設置基準といって別の設置基準をやって、これをやれといえば同じようにいきますね。これはどうでしょう。それからまた設置基準は御準備ありましょうか。
#44
○緒方政府委員 お説の通り、この専科大学の教育内容等を規定する設置基準は、非常に大切なことだと思います。繰り返して申し上げますように、目的がはっきりなりませんと設置基準といたしましても、専門教育、職業教育を強化する方向には限度がございますので、短期大学の設置基準とは、その点におきましては異なるものを準備しなければならぬと考えておるのであります。この設置基準につきましては、専門家の審議会を作りまして、さらに今後検討いたすのでございますけれども、現在もうすでに文部省といたしましては研究はいたしております。まだしかしこの法律が成立いたしました暁におきまして、正式に審議会を作りまして研究をしたい、かように考えておるわけであります。
#45
○清瀬委員 今の御説明のほかに、中教審から、かつて専科大学は特色を生かすといったような条件をいっておりますけれども、これはどういう形で実施されるのでありましょうか。
#46
○緒方政府委員 先ほど短期大学の実態を御説明申し上げましたように、短期大学の現在の実情、その内容は多種多様でございますが、専科大学といたしましても、職業教育を強化することを目的といたすのでございますので、その学課は相当多種多様なものを予定いたさなければならぬと考えております。従いまして、先ほどお話のございました教育内容の基準等につきましても、多種多様の学課を予定いたしまして、その準基を作っていきたい、かように考えます。
#47
○清瀬委員 地方の産業とかあるいは地方の風土とかいったようなことに結びつけるといったようなことになりましようか。
#48
○緒方政府委員 御説のような専科大学も今後出て参ることと存じております。すでにかような学校制度の改正の行われることが伝わっておりますので、将来そういう専科大学を作りたいという地方の府県等も出ておるようなことでありまして、おそらく将来この学校制度ができました暁には、今お話のように、地方の実情に即するような学校が出てくるのじゃないかということを期待いたしております。
#49
○清瀬委員 私が先刻御提出を願いたいと申しましたうちで、私立短期大学協会、私立のものが皆入っておるのか、一部か知りませんが、私立短期大学の方はやはり短期大学がいいので、これを専科に改めることは好ましくないといったようなことを繰り返し言っておるように思います。しこうして、先刻の御報告によりますと、短期大学のうちでは私立が半分以上、大部分であります。この法律ができましてうまく転換ができるでありましょうか。今の日本の制度としては、文部省の方でしいて転換しろなどということを言えばこれは大へんで、非常な反抗を受ける。この転換の見込みはどうでありましょうか。
#50
○緒方政府委員 現存いたします短期大学、もう少し正確に申し上げますと、三十四年三月三十一日までに認可を得ました短期大学は、当分の間そのまま存続できるということにこの法律はなっておるわけでございますが、私どもといたしましては、現在の短期大学が充実した専科大学に転換することを期待いたしたわけでございますが、お話のように文部省がこれを強制的に転換させるということは、もちろんできないことでございます。しかしながら一般に専科大学がだんだん充実して参るに伴いまして、私は短期大学が漸次この新しい専科大学に転換するのではないか、かように期待いたしておるのであります。
#51
○清瀬委員 大体これで専科大学のことについてお尋ねする要点は終りましたから、その次に高等学校の定時制課程に、また通信教育の課程に在学する者が、校外で技能課程を履習した場合に、これを高等学校の履習に通算する、このことについてのお見込みを伺いますが、まず第一に改正の四十五条の二、技能教育の施設というのはどういうものをおっしゃるのでありましょうか。
#52
○緒方政府委員 これは概念としては相当広いのでございますけれども、具体的には職業訓練法における事業内の職業訓練施設、あるいは公共職業訓練施設、あるいは技能教育を行います各種学校等が含まれるのでございます。しかしこれは文部大臣が指定を行うことになっておりますから、高等学校と同程度の教育が行われるものであることを前提といたしまして、一定の基準に達しますことを必要といたすのでございまして、具体的に指定いたします場合には、それらの基準に照しまして相当限定いたすことに相なると思います。
#53
○清瀬委員 今第一におっしゃった職業訓練法による職業訓練ですね。それは第二十八国会で本年の五月にできている。そうして六カ月以内に施行するというのですが、私はうかつで存じておりませんが、もう施行いたしておるのですか。
#54
○緒方政府委員 この法律の施行につきましては、ちょっと正確に今お答えできませんので、調べましてあらためてお答え申し上げます。
#55
○清瀬委員 そうすると、この技能施設の種類はどういうものであって、その場所は何カ所ほどあるのか。それはわかりませんか。今おわかりにならなければ次回にまとめてこれだけほどの施設が訓練施設であって、それは一体どこにあるのか、私どもうかつでよく知りませんから。それからそれに該当する生徒の数は何ほどあろうかというような点です。
#56
○緒方政府委員 種類とそれの該当の数等について調べまして、書類にして提出いたしたいと思います。
#57
○清瀬委員 それではその具体的のことは次に譲りまして、世間でいう勤労青少年、中学までは義務教育で、中学を出てから全日制の高等学校へ入らないで、あるいは家庭におるか、あるいはどこかの小使いにいっておるか、そういうものがやはり夜間なり、日曜なりに勉強しておると思うのでありまするが、この勤労青少年の現在の状態を拝承したいのであります。これがつまり技術教育施設に牽連するのでありましょうが、中学を卒業して高等学校へ行かぬで、そこでまっすぐな系統の学校をやめた者が、まごまごというと言葉は悪いが、どこで勉強しておるのだろうかということです。
#58
○緒方政府委員 中学校を卒業いたしまして、高等学校の全日制の課程に進まない者が、大体その数といたしましては年々およそ百万人くらいであります。それでその者はどういう教育を受けているかという現状でございますけれども、学校教育といたしましては、ここにも出ております高等学校の定時制教育、あるいは通信教育がございます。それから高等学校に別科というのがございまして、そういうところで学んでおる生徒もあるわけであります。大体生徒の数は定時制の課程が五十四万人ほどおります。それから通信教育で教育を受けております者が、ラウンド・ナンバーで申しますが、五万四千人ほどおります。それから高等学校の別科に学んでおります者が、一万二千人ほどに相なっております。その他各種学校もございまして、学校教育としましては、今申しましたように、高等学校の定時制教育、あるいは通信教育、あるいは別科、そのほかの各種学校に行っておるわけであります。そのほか、社会教育の部面におきまして、青年学級が一万七千学級ほどございますので、ここで学んでおる青少年が相当あると思います。あるいはまた、社会教育の通信教育がございまして、ここの生徒数が概数十五万ほどございます。
 以上が大体文部省の所管の教育施設でございますけれども、文部省所管以外の勤労青少年教育機関といたしましては、労働省所管といたしまして、技能者養成施設が二万三千ほどございます。それから公共職業補導所が二百五十ほどあります。そのほかに農林省所管、建設省所管等に広く見てみますると、あるいは経営伝習農場、農村青少年クラブ、農村建設青年隊、漁村青年建設班、あるいは産業開発青年隊、かようなものがございまして、これらが青少年のいろいろな形における教育を行なっておる。かようなところに、中学校を出まして全日制の高等学校に進まない青少年が働きながら勉強しておる、かような実情であります。
#59
○清瀬委員 これは文部省でわかることかわからぬことか知りませんが、世の中で中級技術者、技能者、技師ではありません、そういう者の要求は今不足しておりまするか、あるいは匹敵しておるでありましょうか。
#60
○緒方政府委員 ただいまのお尋ねは、いわば初級の技術者のことであると存じますけれども、これはなかなか数としては把握がむずかしいと存じます。いわゆる科学技術者につきましては、文部省でも調査をいたしまして、経済五カ年計画に合せまして、今後八千人ほどの技術者の不足を生ずるという算定をいたしておるわけでございますが、初級中級の技術者につきましては、正確な数はなかなか把握しにくいと存じます。しかし全体といたしまして高級の技術者が不足しておりますと同様に、初級、中級につきましても不足を告げていると申し上げていいのじゃないかと考えます。
#61
○清瀬委員 これらの中級技術者は、その家庭の状況から見ても失業さしちゃ困りますね。だから、世の中の需要をよく考えて、先刻の専科大学でも、あるいはまた技能教育施設としてやってやるものでも、それを通算して高等学校に併設するものでも、よく経済の要求を考究して行政なさる方がいいかと思って聞いたのであります。
 その次に、今度の案のうちの盲学校、ろう学校ですが、これもくどいようですが、盲学校、ろう学校の現状、数が、お手元でわかれば承わっておきたいのであります。
#62
○緒方政府委員 まず盲学校でございますが、合計いたしまして本校が七十三校でございます。なお分校が三校でございます。それを国公私立に分けて申し上げますと、国立一校、公立が七十校。私立が二校に相なっております。それからろう学校が合計本校九十二校でありまして、分校が十一校ございます。国公私立の区別は、国立が一校、公立が九十校、私立は一校でございます。それから養護学校は総数二十三校本校がございまして、分校が三校ございます。そのうち国立が一校、公立が十七校、私立が五校、かような状況でございます。
#63
○清瀬委員 そこで今回盲学校のうちに強度の弱視者をお入れになっておりますね。それからまた強度の難聴者まで広げられまするが、そうすると、また非常に人数がふえて、今までの七十三校といったようなことではいけないのじゃあるまいか。そこの実際上の見込はどうなりましょうか。予備調査でもなさったでしょうか。
#64
○緒方政府委員 このたびの改正の一つは、特殊学級の教育対象を整理したことでございます。特殊学級の教育対象といたしまして、従来は盲者、ろう者というものを含めておったのでございますが、盲学校、ろう学校に就学させることが適当でございますので、これは削除いたしたわけでございますけれども、難聴者、弱視者というのは特殊学級の対象としてもなお残しておるわけでございまして、盲学校、ろう学校で教育いたしますほか、特殊学級においてもこれらを続けて教育の対象といたしたい、かようなことにいたしておるわけでございます。
 そこで今のお尋ねは、強度の弱視、難聴者を盲ろう学校に入れた場合に学校が不足するではないかというお話でございますけれども、現在におきましても盲者、ろう者の就学率は必ずしも十分でないのでありまして、これにつきましては法律によりまして就学奨励等もいたしているわけでございますけれども、いろんな就学上の困難もありまして、現に十分な状態に相なってはいないわけでございます。ただしかし、盲ろう学校につきましては、府県にこれを設置させるという義務設置に相なっておりまするので、学校数としては今後の状態を見ましてなお調整を加えなければならぬかと存じますけれども、現状におきましては大体これでやっていけるじゃないか、かように考えておる次第であります。なお詳細につきましては担当の方からお答えを申し上げます。
#65
○清瀬委員 七十三といえば平均すれば一県に二つですね。それで今まで目の見えぬ人だけだったから間に合ったけれども、強度の弱視者、強度の難聴者を入れるという法律を作って、さあやるという時分にはいれなかったら困ると思うのであります。すなわち強度の弱視者、難聴者の数の予備調査でもなすったことでもあるかと思って聞いたのであります。
#66
○緒方政府委員 現在におきましても実際盲者、ろう者、強度の弱視あるいは難聴ということの区分は、なかなか限界がむずかしいのでありまして、実際問題といたしましては、強度の難聴、弱視者も盲ろう学校で教育をいたしておる現状でございます。なお、先ほど申し上げましたように、特殊学級におきましても従来通り強度の弱視、難聴者につきましてはその教育対象といたしておりますし、今度の法律ではその点は改正を加えておりませんので、一応ただいまの御心配につきましては、今度の法律関係といたしましてはさほど心配はないかと考えております。
#67
○清瀬委員 これでこの案それ自身についてのおもなことはわかったと思うのでありまするが、やはり短期大学にしろ一般大学にしろ、全体について大臣に一つお聞き願いたいことがあるのです。
 日本の学校教育法は学校自身に関することが書いてありまして、学校と学生とのことは書いてないのです。しかしながら、国立学校は言うに及ばず、公立、私立の学校でも、いやしくも入学を許して、保証人をとって収容しておるのです。それゆえに学生がいかなることをするかということについては学校は関心を持たなければなうぬ、ひとり関心を持つのみならず、責任を持たなければならぬと思います。深く学術技芸を教えるといっても、やはり日本の青年らしい青年を育てる義務はあろうと思います。ここで私近時特に胸を打たれるのは、あの全学連というものです。あの加入者は、うその学生もありましょうが、大部分大学生でしょう。親から学資をもらって勉強しておる人に相違ないのです。日本の各大学は、あの加入者がいかなる行動をしておるかということを調べておりましょうか。また調べて、この行動について適切な措置をとろうとしておりましょうか、どういうお見込みでありましょうか。
#68
○灘尾国務大臣 お話の通りに、学校に入れております学生の指導については、学校当局といたしまして十分気をつけてもらわなければならぬということは、私は当然のことだと思います。りっぱな人物をぜひ養成してもらいたいものと念願をいたしておる次第でございます。ただいまお言葉にございましたいわゆる全学連、この団体の行動等を見ますと、ほんとうにお互いに憂慮にたえないものがあると申し上げて差しつかえないと思うのであります。学生が政治に関心を持ち、あるいはまた政治の勉強をするということは当然のことかもしれません。それをかれこれ申し上げるわけではありませんけれども、もっぱら政治運動を目的とするような団体を作り、しかもその活動の手段、方法が常軌を逸しておると申しますか、いかにも学生らしからざる、しかもまた社会の安寧秩序の上から申しましても、かなり心配させられるような行動をとっておる今日の状況を見ましたときに、お互いにまことに心配にたえない次第でございます。大学当局におきましても、それぞれその補導につきましては、努力もいたしておることと考えますけれども、私は、どうもそれがまだ十分に徹底していないのじゃないか、こういうような気持もいたしておるわけでございます。文部省といたしましても、この問題につきましては常時大学の学生補導の任に当る諸君とも連絡をとりまして、いろいろ意見の交換もし、また補導上遺憾のないようにしてもらいたいということで連絡はいたしておりますけれども、十分な効果が上っておるとは申し上げにくい現状じゃないかと私は思うのでございます。できるだけその方面の諸君がもっと努力をし、もっと活動してもらうようにやって参りたいと思いますと同時に、また個々の大学の教官におかれましても、それぞれ学校で指導しておられるわけでありますから、その個人的な接触を通じて、やはり十分な指導も望ましいことと存じております。それと同時に、大学の当局としましては、やはり学園の規律というふうなことについては明確な態度をとって、学生の指導に当ってもらいたいと思うのでございます。今までも学園内の規律を乱すというふうな場合には、それぞれ必要な措置はとっておると思いますけれども、まだ十分でないと考えられる場合もあるようにも見受けられますので、そういうふうな点につきましては、大学当局としてきぜんたる態度をもって規律の保持をはかり、一般学生の迷惑にならぬように、大学が平和な学園として運営ができるようにやってもらいたい。このことはもちろんわれわれが申さなくても、大学当局としても心配いたしておることと思いますけれども、われわれといたしましても、ぜひそういうふうな方向で努力してもらいたいということで、随時連絡もいたしておるような状況でございます。
#69
○清瀬委員 新聞に現われた事件だけ拾っても、あるいは道徳講習会の門を引き倒す、これは犯罪です。あるいはバスの前に寝る、中には逮捕された者があります。こんな人を出して、所属大学それ自身がこれを停学なりあるいは退学なり処分をしたということはあまり聞かないのです。それはひとり世間に対するのみならず、その少年に対しても気の毒です。そういうことができぬように修養するために入っておるのです。それをほったらかしておくという法はないです。大学がどういうものか私も承知しております。ちょっと何か言うと大学の自治だといいまするけれども、ああいう暴行を見のがしておくということは、自治の範囲じゃないと思います。私は文部省におかれて十分御検討の上、全国の各大学に、もし貴大学に全学連に加入して、しかも暴行なりあるいは脅迫なり器物の殷棄なり、家宅侵入、そういうことをやっておる者があるならば、厳重に取り締るべき旨の告知をされても、大学の自治を破壊するものではなかろうと思います。世の中に犯罪をかばう自治はありません。何も私はその少年を憎んで言うのではありません。一体、よく育ててもらうように大学に行っておるのですから、慈悲の心をもってこれを制裁すべきは当然であります。これは一つ御留意を願います。くどく申し上げても大臣も同様に感じておられるということであります。具体的な方策を一つ考えて下さい。
 もう一つ、これは文部省だけではない。日本政府自身のことで、警察庁なり公安調査庁なり、法務省なり、いろいろあることでありまするが、私は一つ不審に思っているのです。勤務評定の反対運動でストをやる、これは犯罪です。ストを教唆する、あるいは計画する、扇動する。計画、扇動は、計画、扇動したときに罪が発生しておるのです。それに従っていなかの方で果してストをするかせぬかは第二であります。これは一体黙ってほおっておいていいものだろうかということであります。それからまたこのごろでは、十月二十八日にやるということは日がきまっているのです。時限爆弾みたいなものであります。日がさまっておるのに、その日まで黙ってみておって、起ったら初めてそのときに逮捕なりあるいは行政処罰なりせんならぬ、そういうものでありましょうか。犯罪の起ることが目に見えておるのに、政府はじっとしておっていいものだろうか、これは何か打つ手があるのではなかろうか。ひとり文部省のみならず、内閣に一つ御協議を願いたいと思います。二十八日には起るのです。十二時でおやりになるか、二時でおやりになるか、やることはきめて、おそらくは通達してあるでありましょう。それまで待っておらなければならぬということはなさそうに思う。どうぞお考えおきを願います。今そこで御即答はなくてもよろしいが、いずれ閣僚間でも相談があることでありましょう。きっとやることはわかっておって、その日まで手をつかねて待っておるということはないと思います。
    ―――――――――――――
#70
○坂田委員長 次に、国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒の災害補償に関する法律案を議題とし、提出者より趣旨説明を聴取いたします。山崎始男君。
    ―――――――――――――
#71
○山崎始男君 ただいま議題となりました国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒の災害補償に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 およそ国家隆昌の基盤を教育に置かなければならないことは、言うまでもないところでありますが、なかんずく義務教育における約千七百万人の児童、生徒のすこやかな成長こそは国民全体の念願でありまして、教育基本法及び児童憲章に明示されておりますように、常に留意せねばならないところであります。
 さて義務教育に関しましては、憲法第二十六条第一項によれば、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と規定しており、さらにまた第二項においては「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」と規定しておりまして、義務教育について特にその責務をうたって重視しておるのであります。しかるに一昨年来児童生徒の災害がひんぴんと報じられておりますのは、先刻御承知のところでありまして、特に紫雲丸事件や相模湖事件、三重の水難事故や学校給食の集団中毒等、記憶に新しいものが多くあったのであります。楽しい修学旅行や遠足に不安を抱いて行かなければならないことはまことに遺憾なことで、義務教育の諸学校で起きた災害の処置が父母の負担のままに放置されていることは実に忍びないところであり、義務教育の趣旨からもまた絶対に見のがすことのできないものだと存ずる次第でございます。現在地方公共団体においては、自主的な補償策が共済組合的なものとして全国的に広まりつつあるのでございますが、このことは父兄並びに国民がいかに学校における災害に強い関心を持ち、特にその対策の万全をこいねがっているかを端的に物語っているものだと存ずるのでございます。従って、このような現状におきまして、これをさらに一歩前進させ、児童生徒を災害から守るとともに、不幸にして災害を受けたならば、直ちに迅速、かつ、公正な補償を国家によって行うことが焦眉の急務であると存ずる次第でございます。
 この法律案は、かような事情のもとにおきまして、ぜひとも必要と考えられる災害補償を国に行わせることを目的として立案いたしたものでございまして、その内容を簡単に御説明申し上げますと、第一に、この法律は、義務教育諸学校の管理下の災害について、義務教育の特殊性に基き、国はこれに対する補償を行う責任を有するのであるという立場に立っているのでございます。この場合、学校の管理下とは、義務教育諸学校の児童生徒が、当該学校の教育または監督もしくは保護を受けている場合を言うのでございますが、具体的には政令に譲っているのであります。
 第二に、この法律による災害の補償の種類としては、療養補償、傷害補償、葬祭補償、遺族補償、打ち切り補償を考えておりますが、補償は金銭による補償としております。補償金額は、療養補償については原則として完全に治癒するまでの費用を見ることに考えています。遺族補償につきましては、中学校を卒業して勤めに入った労働者が業務上死亡したとき、労働基準法で保障されている金額に準ずることといたしました。傷害補償等その他の補償につきましては、中学校を卒業して直ちに労働に従事した者が、労働基準法で補償される金額に準じて補償することにいたすように考えています。
 第三には、最初に申し上げましたように、補償の実施は国家事務でありまして、文部大臣が最終責任者でありますが、公立の義務教育諸学校については、都道府県の教育委員会が委任を受けてその補償を実施するものとしておるのであります。
 第四に、この法律による補償は、災害を受けた児童生徒が社会保障による給付を受けることができる場合には、その給付を受けるべき限度において補償を行わないようにいたします。
 第五に、補償を受ける手続について申し上げますと、公立の義務教育諸学校の管理下で児童または生徒が災害を受けたときは、本人またはその遺族が文部省令で定める補償申請書を学校長及び市町村の教育委員会を経由して都道府県の教育委員会に提出し、委員会は、政令で定める基準に照らして学校の管理下における災害であるかどうか判定を行い、補償金額を決定し、補償をいたすのであります。これに不服の場合は文部大臣に審査の請求を行うことができることになるのであります。国立の場合もこれに準じております。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
#72
○坂田委員長 本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。
 これにて散会いたします。
    午後一時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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