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1958/10/07 第30回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第030回国会 農林水産委員会 第2号
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1958/10/07 第30回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第030回国会 農林水産委員会 第2号

#1
第030回国会 農林水産委員会 第2号
昭和三十三年十月七日(火曜日)
    午前十一時九分開議
 出席委員
   委員長 松浦周太郎君
   理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君
   理事 助川 良平君 理事 丹羽 兵助君
   理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君
   理事 石田 宥全君 理事 日野 吉夫君
      安倍晋太郎君    赤澤 正道君
      秋山 利恭君    今井  耕君
      大森 玉木君    倉成  正君
      佐藤洋之助君    笹山茂太郎君
      田口長治郎君    高石幸三郎君
      内藤  隆君    永田 亮一君
      濱地 文平君    松岡嘉兵衛君
      三和 精一君    八木 徹雄君
      保岡 武久君    足鹿  覺君
      角屋堅次郎君    神田 大作君
      久保田 豊君    栗原 俊夫君
      栗林 三郎君    高田 富之君
      中澤 茂一君    中村 時雄君
      西村 関一君    芳賀  貢君
      松浦 定義君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 三浦 一雄君
 出席政府委員
        農林政務次官  石坂  繁君
        農林事務官
        (蚕糸局長)  大澤  融君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (大臣官房文書
        課長)     和田 正明君
        農林事務官
        (農林経済局農
        政課長)    小林 誠一君
        農林事務官
        (蚕糸局糸政課
        長)      酒折 武弘君
        農林事務官
        (蚕糸局繭糸課
        長)      森   博君
        農林事務官
        (食糧庁総務部
        長)      岡崎 三郎君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
九月三十日
 委員寺島隆太郎君辞任につき、その補欠として
 三和精一君が議長の指名で委員に選任された。
十月一日
 委員篠田弘作君辞任につき、その補欠として加
 藤常太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月七日
 委員久保田豊君及び實川清之君辞任につき、そ
 の補欠として栗原俊夫君及び高田富之君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員栗原俊夫君及び高田富之君辞任につき、そ
 の補欠として久保田豊君及び實川清之君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農産物価格対策に関する小委員長より報告聴取
 農林漁業災害に関する件
 派遣委員より報告聴取
 蚕糸に関する件
     ――――◇―――――
#2
○松浦委員長 これより会議を開きます。
 農産物に関する件について調査を進めます。
 さきに本委員会に設置になりました農産物価格対策に関する小委員長より、小委員会の調査の経過等につきその報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○松浦委員長 御異議なしと認めます。農産物価格対策に関する小委員長田口長治郎君。
#4
○田口委員 農産物価格対策に関する小委員会における調査の経過と結果について御報告申し上げます。
 農産物価格安定法に基くカンショ、バレイショの原料基準価格及びカンショ切りぼし澱粉の政府買い入れ価格は、政令の定めるところにより、政府は毎年十月三十一日までに決定、公表することとなっておりますが、決定を期限一ぱいに行いますと、イモの出回り初期に買いたたきが行われ、法律制定の精神が没却されるおそれがあります。ために、昨年からは九月中に計数の整理を終り、同時に本委員会において協議を遂げた後、十月一日を目途に最終決定を行い公表することが慣例となっておりますことは御承知の通りであります。従いまして、本年も本件の調査を行うため、去る九月三十日、本委員会に、私のほか篠田弘作君、保岡武久君、倉成正君、芳賀貢君、中村時雄君、實川清之君の七名の小委員よりなる農産物価格対策に関する小委員会が設けられ、私が委員長に指名されたのであります。この決定に基きまして、小委員会は九月三十日及び十月一日の両日にわたり小委員会を開催し調査を進めて参ったのでありますが、まず、九月三十日には食糧庁長官のほか関係係官の出席を求め、昭和三十三年産カンショ、バレイショ及び澱粉等の支持価格についての政府原案の説明を聴取いたし、それについて質疑を行なったのであります。
 次にその原案を申し上げますと、第一に、原料基準価格は、カンショ一貫当り二十五円で昨年より五十銭高、バレイショは一貫当り二十円五十銭で昨年据置。次に、澱粉の支持価格は昨年据置で、カンショ並澱粉十貫当り千五百五十円、バレイショ澱粉は十二貫当り二千七十円。また、カンショなま切りぼしの支持価格は、十貫当り九百九十円、昨年に比し二十円高ということであります。
 以上の政府原案を中心として、翌十月一日も引続き調査を進めたのでありますが、会議において特に論議の中心となりました事項は、イモの生産費調査における反当り収穫量のとり方、イモの商品化率の把握方法、澱粉の織り込み加工賃の内訳中の労務費、支払い利子及び償却費、副産物収入の算定方法、及び澱粉の歩どまりのきめ方等でありました。
 これらの諸点は、政府の説明によりますと、いずれも過去の調査資料に基いて算出したものでありますが、しかし、澱粉織り込み加工賃の算定について見ますと、現在の調査方法は次の通りであります。すなわち、農林省が、カンショ澱粉については約三十万貫程度のイモを処理する工場約八十、バレイショ澱粉については約二十五万貫程度を処理する工場約二十五を選定し、これらの工場に対し、諸材料費、労務費、支払い利子及び償却費、一般管理費、検査料等につき、調査票を交付し、それぞれ当時の貨幣価値をもって必要事項を記入させることによって経営概況調査を行なっているのであります。この調査によると、本年は支払い利子及び償却費を、製品十貫当り、カンショ澱粉で九十三円八十九銭、バレイショ澱粉で三十九円八十九銭としておるのであります。このうち支払い利子に相当する部分は、カンショ澱粉では七十六円二十銭、バレイショ澱粉では二十二円千一銭であって、両者に相当の開きがあるのであります。農林省の説明によりますと、これを日歩二銭七厘で逆算してみて、カンショ澱粉では、原料代については百五十日分の資本利子を、及び運転資金については原料購入代の四分の一相当額の資本利子を計上することになり、これに対し、バレイショ澱粉の場合においては、原料代については六十日分の資本利子を、運転資金についてはカンショと同額の原料購入代の四分の一相当額の資本利子を計上することと相なるのであります。また、償却費については、カンショ澱粉十七円六十九銭、バレイショ澱粉十七円七十二銭と両者ほぼ同額となっておるのでありますが、その理由はカンショ澱粉工場では沈澱槽が、またバレイシ瀞澱粉工場では火力乾燥機がそれぞれ使用され、従って償却費としてはほぼ同額の数字を計上することになったというのであります。また、労務費についても、同様の方法により、カンショ澱粉で百六十八円八上五銭、バレイショで百三十五円四十六銭を計上しておりますのでありますが、小委員会として、本年まで行なってきた以上のような原価計算方式を一歩進めて、いわゆる原単位計算方式によって、たとえば、諸材料費については一単位製品を製造するに要する石炭とか電力等の生産資材費、あるいは運転資金等につき、調査時点における貨幣価値ではなく、一定の物量をもって示す方式による調査方法の方が実態をより正確に把握せしめるものではなかろうかとの観点に立って、明年のイモ類、澱粉の価格決定時期までに価格形成方式の再検討方を要望したのであります。
 また、澱粉の歩どまりにつきましては、政府案は、昨年産のものについて工場調査を行なった結果、カンショ澱粉については最高二六・四%と最低一七・三%との間の加重平均二一・七一%をとり、バレイショ澱粉については最高一六・六%と最低一四%の加重平均一五・一%をとっておるのでありますが、昨年の実績のみをとり、これをそのまま本年産のものにあてはめるところに問題があり、価格決定年のイモの歩どまり調査をも参考にすべきであるとの意見が述べられました。
 かくて、社会党芳賀貢君から、バレイショについては、計算方式のいかん、資料のとり方いかんによってかなりの変動が許されるのであるし、また本年の歩どまりは昨年に比してむしろ低下しているとの現地関係者の意見もあるので、少くとも本年度のバレイショの原料基準価格を五十銭程度値上げするか、またはバレイショ澱粉の歩どまりを原案の一五%から一四・五%に引下げるべきであるとの意見が開陳されましたが、小委員会としては、バレイショはすでに出回りの最盛期となっており、またカンショも出回り期を目前に控えており、価格の早期決定に対する各界からの強い要望がある実情にかんがみまして、この際政府案を了承するに決したのであります。
 これにより、政府、去る十月三百、昭和三十三年産のカンショ及びバレイショの原料基準価格並びに昭和三十三年産のカンショまたはバレイショを原料として生産したカンショなま切りぼし、カンショ澱粉及びバレイショ澱粉の政府の買い入れ価格を決定し、別途御配付申し上げました農林省告示第七三二号により公表したのであります。
 なお、今後のイモ作に対処するため、価格問題と関連して次の諸点についても政府の善処方を要望したのであります。
 一、畑作振興対策の一環として、イモ作の合理的作付転換、優良品種の育成等により
  生産費の軽減をはかる等、イモ作営農改善のために一段と積極的施策を講ずること。
 二、なまイモ原料基準価格、カンショなま切りぼし、澱粉等支持価格が実効をあげる
  ために、農協等農業団体が自主的に行う出荷調整に対しては低利資金の融通等必要
  な措置を講ずること。
 三、カンショなま切りぼし及び澱粉の買い入れ数量、買い入れ時期を適期に決定、公
  表することとし、特にバレイショ澱粉については、買い入れ始期を十二月とし、年
  内買い上げ措置を講ずること。
 四、澱粉の輸出について、さらに市場調査を進め、輸出販路の拡大に努めること。
 五、国内産業の保護育成、外貨節約、さらに国民保健の上から、精製ブドウ糖工業の
  育成については一段の努力を払うこととし、特に工業化に対し、残された隘路であ
  る技術的研究を推進し、設備資金に対する長期低利資金の融通、製品の政府買い上
  げを中核とした立法化に努めること。
 以上をもちまして小委員会の結果を報告いたした次第でございます。(拍手)
#5
○松浦委員長 ただいまの田口小委員長の報告はこれを了承いたしたいと思いますが、いかがでございますか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○松浦委員長 異議なしと認めます。よって、農産物対策に関する小委員区長の報告はこれを了承することに決しました。
    ―――――――――――――
#7
○松浦委員長 次に、農林漁業災害に関する件について調査を進めます。
 台風第二十二号による農地、作物及び農林水産業施設等の災害状況調査のため本委員会より委員を派遣いたしました。この際派遣委員より報告を聴取いたしたいと存じます。松岡嘉兵衛君。
#8
○松岡(嘉)委員 私は第二班を代表いたしまして静岡県における台風第二十二号の被害調査について御報告いたします。
 本班は十月一日及び二日の二日間、伊豆半島の狩野川周辺及び伊東市付近を調査いたしたのであります。参加された委員は農林水産委員会からは松浦委員長と神田大作委員と私の三名、建設委員会からは佐藤虎次郎委員と石川次夫委員の二名、社会労働委員会からは伊藤よし千委員、文教委員会からは鈴木正吾委員、現地参加として山田彌一委員と久保田豊委員で、総員九名であります。
 戦後最大といわれる台風第二十二号は、去る九月二十六日伊豆半島をかすめ江の島から関東地方に上陸したのであります。この台風はいわゆる雨台風であり、当時本土南岸にあった不連続線と相待って、東海道以東関東に至る各地に記録的な豪雨をもたらし、各地に大被害を起したのであります。特に中伊豆地方におきましては、狩野川上流の天城山系一帯に降った豪雨は湯ケ島において実に五百十ミリに達し、このため天城山系一帯から山くずれによる泥土を含む濁流が狩野川に押し寄せ、特に、大見川、狩野川、北又川の三つの川の合流する修善寺橋付近においては、上流からの流失家屋や流木が橋げたにつかえた関係もあって、その水量は膨大なものとなり、一挙にこの鉄橋を押し流して、修善寺町横瀬部落数十戸及び修善寺中学校を流し、さらに大仁橋の取りつけ部分の築堤をのみ、同橋下流の左岸において堤防を実に一キロにわたって決壊し、熊坂部落二百戸は一瞬にして流失、さらに下流十数個所において堤防を決壊し、大仁町、伊豆長岡町など田方平野一帯にはんらんしたというのが今回の中伊豆地方水害の概況であります。なお、伊豆半島においては中伊豆地区のほか、区西海岸松崎町においては那賀川が、南海岸下田町においては稲生沢川が、東海岸伊東市においては伊東大川がそれぞれはんらんし、相当の被害を出しておるのであります。
 本災害の発生に伴い、沼津、伊東、熱海の三市及び伊豆岡町、大仁町、修善寺町、韮山村等田方郡下四町五村並びに下田町など賀茂郡下五町二村に対し、災害救助法が適用され、県は三島市に災害対策本部を設置して応急対策に当り、一方自衛隊も災害が発生した二十七日未明より行動を起し、二十八日には陸上自衛隊は、災害地に八千三百名、後方勤務三千名、合せて一万一千二百名を動員し、海上及び航空自衛隊と緊密なる連絡を保ちつつ、災害の状況偵察、遭難者の救助、道路の復旧、食糧及び飲料水の補給に全力をあけて、不眠不休の活動をしている状況であったのであります。
 被害状況といたしましては、いまだに奥地との交通途絶あるいはさしあたりの緊急作業に全力を集中しておる関係上、確実な状況を把握することは困難でありますが、九月三十日現在の対策本部の発表によれば、伊豆半島全域で、死者行方不明合せて約千三百名、家屋の被害は全壊・流失合せて千戸、浸水一万七千戸となっており、河川道路等被害個所は千百七十七個所、農地の流失、埋没は二千三百六十町歩、その他で、総被害額は百三十二億円となっているのであります。しかしながら、この数字は、さらに詳細な調査が進めば、相当の増大を見るものと予想されるのであります。
 災害の概要は以上の通りでありますが、次にわれわれ調査班一行の調査に基く所見並びに現地の要望等について申し述べたいと存じます。
 現地における地上運送の混雑等の関係から、調査班は空中からのヘリコプターの視察を柱とし、直接現場に足を踏み入れることが十分にできなかったことはまことに遺憾でありました。しかしながら、空中から見る狩野川流域の現況を申しますと、はんらんした水の大部分はすでに減水しておりましたが、三島市南方蛇ケ橋付近から以南は一面の泥土と化し、どこが川の本流であるか判明できない状況でありまして、その中には家屋の残骸や流木が転々とし、排水に努める消防団、青年団、学生等、流木の整理や死体の掘り出しに当っている人々の必死の活躍が手にとるように見受けられたのであります。また、おそらくは死体をだびに付しているのであろう白煙が川原から立ち上る有様など、風光明媚を誇る中伊豆地方の姿は全く見るもあわれな惨状と化していたのであります。直接現地に足を踏み入れた修善寺橋付近及び伊東市などにおいては、水の勢いのすさまじさに今さらのように驚かされた次第であります。
 現地は罹災後一週間を経過しておりますが、県、市町村、自衛隊、消防団、地元民等は被害者の救出、行方不明者の捜索、交通確保のための道路の応急復旧作業、危険排除に全力を注いでいる状態でありまして、確実な被害の査定、復旧計画の立案等にはまだまだ手が回らぬ状況でありましたが、現地当局は、すみやかに中央からの援助、特に技術関係者の派遣により本格的復旧計画の作成をすみやかに行うため、国の対策本部を現地に設置し、各関係者の総合的にして強力な措置を要望していたのであります。われわれ調査委員も、この深刻な状況からして、国の対策本部をすみやかに現地に設置することの必要性を痛感いたした次第であります。
 次に被害の概要について申し上げます。最も大きな被害を受けたのは農地でありまして、二千五百町歩に及び、このうち完全流失で田畑の形をとどめず、大きな岩石を残すのみの膨大な河原のような状態である埋没面積はその半ばを占め、これが復旧には大きな困難が予想せられるのみならず、復旧完了後においても二、三年間は平年収穫を期待できないのであろうとのことであります。この農地被害額は約三十億に達しているのであります。また、農業用施設も七百八十二カ所、約五億円、崩壊地九百六十二カ所、約五億円、林道、治山施設八十九カ所、三億円、漁港六十一カ所、五千万円等で、合せて約五十億円となっているのであります。
 農産物等の被害を見ますと、水稲の流失埋没千二百町歩、冠浸水二千町歩、穂ずれ、倒伏一万町歩、その他潮害、落果等千町歩で、合せて、万五千町歩、減収壁にして六万石、金額にして、約六億円となり、次は伊豆の特産物ワサビで、約八十町歩の被害で約五億円、ミカンは二千町歩、五百万貫、約二億円、その他蔬菜三億円を初め、桑、陸稲、カンショ等に被害を受け、総被害額約二十億円、そのほか、牛や馬のような大家畜三百頭、豚のような中家畜も三百頭、鶏九千五日羽に被害を受け、五千万円の損失をこうむっているのであります。
 林産物被害といたしましては、木材流出四万石、風倒木三万石、木炭五万俵、製材工場の損害、炭かまど、シイタケ等で被害金額約二億円となっているのであります。
 水産業においては、今次の災害が主として豪雨によってもたらされたため、幸いにして大きな被害を免れたのでありますが、それでも、漁船五十七隻、養殖施設及び漁具共同施設が損傷をこうむり、六千万円の被害を受けたのであります。
 農林畜水産関係被害は、現在判明しているものを取り急ぎ集計したもののみで約六十五億となっているのでありまして、このように徹底的の打撃を受けた農山漁民に対しましては、思い切った救護対策が必要であると痛感されるのであります。
 また、今次災害は、未曽有の豪雨によりまして随所に山くずれを起し、河川に多量の土砂を押し流し、これに流木等が詰まり、ダムのような状態を呈し、やがてこれが決壊により一挙に流水が激増し、下流に大被害を与えたという特徴を持っているのでありまして、これは治山事業ないしは山腹砂防の重大性を如実に物語っているのであります。
 政府は、二十八年の大災害を契機として、内閣に治山治水対策協議会を設置し、総合的災害予防対策を講ずべく、治山治水基本対策を立案し、総事業量一兆八千億の計画を立て、まず最初に当面緊要と思われる重要地区を選定し、三十一年度より五カ年計画で三千三百三十億円の予算をもって緊急計画を実施しているのでありますが、今年度までの予算計上額は一千三百三十六億でその三分の一に過ぎず、この進捗度で今後工事を施行するとなれば、あと三十年はかかるものと思われるのであります。政府は今次の災害に思いを新たにし、治山治水事業の一そうの進展を促進し、災害防除の完璧を期せられるよう強く望んでやまない次第であります。
 次に、当委員会は、今後このような災害から農民を守るために、関係委員会と協力して次のことを実施するように強く働きかける必要があると痛感するものであります。すなわち、狩野川の堤防及び川幅は韮山までの上流部分においては毎秒二千トンの流水を可能とするのでありますが、霊山から下流においては毎秒千トンを流水し得るにすぎないのでありまして、もし毎秒流水量千トン以上の降雨があれば、韮山以南地底は浸水を免れないことは明らかで、数年前より着工中の鋸山放水路をこの際早急に完成するようにすべきであると強く思うのであります。また、今次の災害においては、伊豆半島の地形的特色上、あらゆる救援活動においてヘリコプターが大きな効果を発揮したことは特筆すべきものでありまして、現地罹災者はもちろん、自衛隊、地元関係機関もその効用をあらためて再認識いたしておるのであります。かようなわけで、その増備方を要請するのが適当であると考えたのであります。これは単に伊豆半島のみならず、わが国の地形、災害の態様から見て、今後起るべき災害対策用として、ヘリコプター増強を十分に研究されて、その完璧を期せられるようにお願いいたしたいのであります。
 最後に、本災害はきわめて激甚でありまして、これが復旧には単なる原形復旧にとどまらず、恒久対策をこの機会に確立し、積極的対策を講じ、もって農山漁家の民生の安定をはかり、災いを転じて福となすように要望いたしまして、つつしんで御報告申し上げます。(拍手)
#9
○松浦委員長 以上をもちまして第二班の報告を終りますが、第一班及び第三班の報告は、都合により朗読を省略し、報告書を会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#11
○松浦委員長 次に、政府においてとりまとめられました台風第二十二号による被害の状況等につきまして政府の説明を求めます。石坂政務次官。
#12
○石坂政府委員 ただいま議題となりました被害、委員長の宣告は台風第二十二号ということでありますが、台風第二十一号をも合せまして、この両台風による農林水産関係の被害につきまして、今日まで農林省がとりまとめました概要を御報告申し上げます。
 まず第一に、台風の状況でありますが、台風第二十一号は、九月十八日覇、伊豆半島南端をかすめ、横浜、東京を経て千葉県北部を通り、午前十時に鹿島灘に抜けて参ったのであります。その後海上を北上し、北海道東海岸沖を経て、十八日夜半にオホーツク海に去りました。また、台風第二十二号は、その規模において当初A型の台風でありましたが、陸地に接近するに及びましてその勢力を弱め、九月二十六日二十一時ごろ伊豆半島南端をかすめ、夜半ころ江ノ島付近に上陸し、東京、茨城、福島を経て、一区十七日午前六時に金華山沖を抜け、海上で熱帯性低気圧となって北上いたしたのであります。この両台風のコースはほぼ同一でありましたが、その範囲は東海以東の東日本にわたり、雨量は台風一子三号が特に多く、埼玉、東京等では四日ミリ以上の降雨を見たような次第であります。また、風速は、二十一号台風の方は二十二号台風よりも強く、静岡、神奈川、千葉、茨城の各県下の海岸線では三十メートル内外、その他の進路沿いのところでは十五メートルないし二十メートルを記録いたしたのであります。台風二十二号はこれよりやや弱かったようであります。
 次に、被害の状況でありますが、まず農林水産施設等の被害概況について申し上げます。
 被害を受けた都府県からの報告によりますれば、二十一号台風については、農地関係、林野関係及び水産関係を合せまして、被害総量五十九億円となっております。また、二十二号台風につきましては、現在までのところ、農地関係、林野関係及び水産関係を合せまして百三十二億の被害が報告されております。なお、この被害額は詳細が判明いたしますればなお増加する見込みであります。その被害の内訳は次のようであります。
 まず台風第二十一号による被害でありますが、農地及び農業用施設関係被害の概況は、お手元に配付いたしておる別表1をごらん願いたいのでありますが、被害地域は青森県ほか二十二都県に及び、被害総額は直轄代行の三千万円を含めて約二十七億八千万円となっております。このうち青森、福島、長野の各県の被害が五億円ないし六億円に達し、次いで新潟、岩手の両県では二億円から三億円の被害となっております。治山、林道関係の被害状況は別表2でありますが、被害地域は青森ほか二十二都県で、治山関係、林道関係を合せまして総額は二十五億一千万円となっております。このうち長野、福島及び馬の各県の被害はそれぞれ四億円以上となっており、岩手、埼玉、新潟、山梨、静岡の各県では一億以上の被害であります。
 水産関係被害の状況は別表3に示してありますが、若手県外十七県から被害報告があり、その総額は六億一千万円。宮城、千葉両県が一億円以上の被害となっており、静岡、岩手、三重等の各県の被害がこれに次いでおります。
 次は台風第二十二号による被害でありますが、まず農地及び農業用施設関係の被害の概況につきましては、別表4をごらんいただきたいのでありますが、青森ほか二十二都府県にわたりまして被害が発生しておりまするが、その総額は現在のところ直轄事業六千万円を含めて六十億五千万円に達しておりまして、特に伊豆地方を中心とする静岡県の被害は、ただいまも御報告がありましたように、きわめて激甚でありまして、実に三十四億二千万円となっております。このほか青森、宮城、福島、茨城、埼玉、神奈川等の各県が一億から五億程度の被害であります。
 治山、林道関係被害の概況につきましては別表うに示してありますが、現在までの報告によりますと、北海道ほか十六都県の地域におきまして総額三十一億六千万円の被害となっており、やはり静岡県の被害十一億二千万円が最も大きいのであります。そのほか、四億円前後の被害報告がありましたのは福島、神奈川、一億円から二億円程度の被害のありましたのは北海道、岩手、宮城、福島、群馬、埼玉、東京、神奈川等の都道府県であります。
 林産施設及び林産物関係の被害の概況は別表6及び6の2に示しておきましたが、青森ほか十三都道府県から被害報告があり、その被害は七億一千万円。静岡県の四億三千万円が最も大きく、次いで岩手県が二億二千万円と相なっております。
 国有林野関係の被害関係の被害状況につきましては別表7をごらんいただきたいのでありますが、国有林事業関係の被害は現在のところ約十六億五千万円でありますが、このうち林道の六億八千万円、風倒の五億五千万円、治山関係の二億一千万円などがおもなものとなっております。
 水産関係の被害の状況は、これは別表8であります。岩手外十四都道県から被害報告があり、その総額は十七億円をこえております。このうち宮城県六億円、岩手県五億円余の被害となっており、青森、静岡、富山の各県が一億円をこえておるような状況であります。
 なお、養殖関係、漁港及び漁具の被害も大きい見込みであります。
 農作物関係の被害の概況は、まだ十分の調査ができておりませんが、現在統計調査部におきまして調査を進めておりまするが、水陸稲の倒伏、浸冠水、流失、埋没等を初め、その他作物の倒伏、落果等の被害がかなり出ておる模様であります。
 被害範囲は東海以東の東日本にわたり、倒伏の程度は、二十一号台風が多く、二十二号台風は少かった模様であります。これは被害地帯がおおむね同一であったことと、風が二十一号に比べ二十二号の方が弱かったことに基因するものと考えられます。しかし、二十三号の場合は、局地的に豪雨をもたらしましたために河川がはんらんし、そのために浸冠水、流失、埋没が多く発生し、穂発芽等の被害も少くないようであります。
 なお、十月一日までに取りまとめました水陸稲損傷面積は、この下に示してある表の通りでございますが、今後調査が進むに従いまして変化する模様であります。特に台風第二十二号につきましては、その面積はさらに増加するものと考えられます。この下の表は省略いたしまして、ごらんを願いたいのでありますが、台風二十一号の被害面積は総計二十二万四千九百三十町歩、台風第二十二号が十九万一千四百七十一町歩と相なっております。
 以上概略の御報告を申し上げます。
#13
○松浦委員長 次に、農業災害に関する政府の対策につきまして説明を求めます。石坂政務次官。
#14
○石坂政府委員 先ほど被害の概況について一応御報告申し上げましたが、今日まで農林省がとりました対策の概要につきまして御報告申し上げます。
 これよりさき、内閣におきましては、十月二日に災害対策本部を設置いたしまして、山口国務大臣を本部長といたし、各関係省の係官をもってその構成員といたしまして、二日の午後各省本部に集まりまして、その対策について一応の報告検討をいたしました。越えて翌三日、山口本部長のもとに各関係各省係官は対策本部を静岡県三島市に移しまして、私も同道いたしましたが、三日より五日にかけまして、それぞれ対策樹立のために調査をなし、またその被害個所々々におきまして応急の措置をいたしますると同時に、この後の復旧等に対しましても、助言、指導をして参ったような次第であります。御承知の通りに岸総理も五日に現地を視察されたような状況であります。
 そこで、被害の状況は先ほどお聞きの通りでありまして、ことに伊豆半島におきましては、はなはだ惨たんたるものを私ども実見いたして参りました。何をおきましても、被害地におきましての最も急を要するものは、衣食住、わけても食糧の問題であります。従いまして、農林省といたしましては、まず静岡県関係でありますが、静岡県におきまして、被災農家、消費世帯に対する特別措置といたしまして、静岡県における台風第二十二号の水害に対する食糧対策といたしましては、とりあえず十月中の措置に関しまして、静岡県における罹災農家及び罹災消費世帯に対する米穀売り渡し特別臨時措置要綱というものを決定いたしまして、知事を通ずる米穀の特別売却及び延納の措置をとることといたしました。また、十一月一日の新米穀年度以降における米穀生産農家に対する飯米対策につきましては、従来の災害の例に準じまして、知事を通ずる米穀の特別売却及び延納の措置を講ずる予定であります。その他の県、すなわち青森ほか二十都県でありますが、これらの都県に関しましては、各食糧事務所長あてに飯米及び買い入れ関係等につきまして今後起り得るべき問題点を照会しており、その回答を待って検討することにいたしております。
 次に、応急住宅建設用の用材でございますが、この復旧用材につきまして、静岡県に対しましては、さしあたり、県の要請に基く応急住宅五十戸分の所要木材二千八百石は、国有林材を処分いたしまして、県において目下製材中であり、十月中旬までには建設現場に輸送可能の見込みであります。右以外の復旧用材につきましては、静岡県木材協同組合連合会による民有林等の被害他販売所の増設等の応急販売措置と相待ちまして、国有林については、関係営林署に再指令し、関係市町村と緊密に連絡の上必要量の売却を行うよう措置いたして、現在においては木材の原料供給上は不安がない見込みであります。
 なお、一言付加いたしますが、国有林材の流失石数は約四百石であります。非常に過大に報道されておりましたが、四百石であります。目下、さらに別途選別の上、復旧資材として地元に売却いたします予定であります。
 次に金融対策でありますが、昭和三十三年九月三十日、農林事務次官から農林中央金庫理事長及び組合金融協会会長等に農林漁業関係災害の復旧に対する融資方について依頼をいたしました。なお、今後とりたい措置といたしましては、天災融資法についてでありますが、昭和一一十三年九月下旬の暴風雨を、天災融資法第二条第一項の天災、すなわち営農資金にかかるものでありますが、この天災といたしまして指定する予定であります。融資所要額の算定のために必要な被害統計の実計ができ次第、大体これは十月の十三日を予定いたしておりますが、直ちに政令改正を行う予定であります。各県からの調査報告の結果によりまして、必要があれば天災融資法第二条第三項の天災、すなわち事業資金にかかるものといたしましても指定を行う考えであります。天災指定を、さらに被害の著しい地域についての各県の調査完了次第、政令の改正を行い、特別被害地域の指定を行い得る都道府県の指定を行う考えであります。融資条件につきましても、従来通り、特別被害農林漁業者及び果樹栽培業者についての借入限度の拡大、重複被実者の償還期限の延期等の措置を行うつもりであります。炭がま、シイタケほだ木、ワサビ田、すなわちワサビ育成の施設、これも大規模のものは主務大臣指定復旧資金の対象となりまするが、これらに対しまして、被害林業者の融資対象一件当り最高十五万円となっておりますが、この融資対象といたす考えであります。被害漁業者につきましても、従来の例にならい、漁網等漁業経営資金等について融資措置を行います。
 農林漁業金融公庫資金の融通についてでありますが、土地改良、造林、林道、漁港、共同利用施設等の災害復旧事業資金の融通をはかります。個人施設につきましては、農舎、畜舎、堆舎、葉タバコ乾燥室、ワサビ育成施設、水産加工場、養殖施設、小型漁船等で被害の著しいものを主務大臣指定災害復旧資金の対象施設といたして指定し、その復旧資金を融通する考えであります。すでに公庫資金の融通を受けておる者に対しましては、災害の状況に応じまして、償還延期等の措置をとり得るよう、公庫を指導いたします。
 復旧対策でありますが、農地関係、林野関係、及び漁港等農林水産施設関係の災害復旧に関しましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律及び公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基きまして、所要の助成または負担の措置を講ずることとなりまするが、その復旧事業の早期実施につきましては鋭意努力いたします考えであります。
 私ども、現地におきまして、知事初め格関係市町村長、団体長その他から切実なる要望も受けております。また、先ほど、本院から派遣せられました調査委員各位の御報告の最後にも、いろいろ適切なる御要望の点もございましたので、この後の復旧対策につきましても万遺憾なきを期して、全面的に努力いたします考えであります。
 なお、以上の対策はきわめて概要でありますが、いずれ委員各位からいろいろ質疑等もあろうかと存じますから、その際、適当にお答えを申し上げます所存でございます。
#15
○松浦委員長 質疑の通告があります。この際これを許します。松岡嘉兵衛君。
#16
○松岡(嘉)委員 貴重な時間を拝借いたしましてまことに恐縮でございますが、災害に関連いたしまして一言お願いを申し上げさせていただきたいと存じます。
 私の災害の報告で申し上げました通り、なおまたただいま政務次官からも詳しく災害の状況を御報告になりました通り、現地の被害状況は実に惨たんたるもので、住民はぼう然自失いたしており、その対策に苦しんでおるというような現況でございます。
 第一番といたしまして、ただいま政務次官からお話がございましたように、住民の食糧問題であります。これは幸いにも政府並びに県当局においての適切なる処置によりまして万遺憾なきを期せられておるわけでございまするが、御承知の通り、田方平野におきましては乳牛が非常に盛んでございます。この家畜の食糧でございますが、御承知の通り、災害も非常に大きな災害でございまして、その対策に全住民があげて従事いたしておるようなわけであります。そして、この雨に、危険な堤防の決壊個所等を一日も早く修理いたさなければならないというような状態であります。そこで、農林省の食糧管理庁におきまして管理いたしておりまする管理麦が、水によりまして浸水いたしまして、これは食糧にならないわけであります。この際一つ関係住民をお救い下さる意味におきまして、この管理表を家畜の食糧として無償放出させていただきたいということを、委員の皆様方に、私静岡県選出の委員といたしまして、ひたすらお願いを申し上げさせていただく次第でございます。ぜひ御賛成いただきたいと存じます。
#17
○石坂政府委員 飼料の問題につきましては、ただいま松岡委員からのお話がありましたようなことを私ども現地で幾らも承わっております。ごもっともの御要望だと存じます。なおまた、政府管理で水びたしになりました麦の量も相当あるようであります。この点につきまして、現に飼料課からも現地に調査に行ってもおりますが、ぜひこれを放出いたしたいと考えて今進めております。ただし、これを全部無償でするかどうかという点につきまして、これも十分に検討いたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#18
○松浦委員長 次に、今国会に提出予定の農林省関係法案について、その提出の時期並びに内容につき説明を聴取いたしたいと存じます。和田文書課長。
#19
○和田説明員 官房長が参議院に出席いたしておりますので、私からかわりまして御説明を申し上げます。
 提案の予定をいたして準備を進めて参りました法案は三つございまして、一つは、臨時国会に提出するものということで準備をいたしました臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案でございますが、これはすでに国会の方に提案をいたしまして、先週参議院先議で参議院の農林委員会に提案理由の御説明を終り、衆議院の方は内閣委員会で御審議がいただけるそうで、これも予備審査としてすでに提案理由の御説明を終りました段階でございます。
 そのほか、臨時国会に提出する予定で現在なお検討をいたしておる法律案が二つございます。
 一つは酪農関係でございまして、他は蚕糸関係でございますが、酪農の関係につきましては御承知のようにいろいろ問題がございますが、紛争処理とかその他部分的な手直し等で進みますよりは、むしろ長期的観点を加えまして、酪農経営の振興ないしは安定ということを長期的、基本的に考えまして、それに基く対策を立て、予算ないしは法律案を出す方が適当ではないかという観点で、現在基本的な対策要綱について検討を加えております。できればこの国会に提出をいたしたいと考えて現在準備を進めておりますが、何分予算なりその他関係各省との連絡事項も多うございますので、必ず提出できるかどうかというところでまは、まだはっきりした見通しが立てられませんので、極力この国会に提案し御審議をいただくという線で準備を進めている段階でございます。
 それから、第二の蚕糸の問題につきましては、これも御承知のように現在寄り寄り対策を検討いたしておりますが、対策の方向がきまりますと、その内容のいかんによって法案の内容もおのずから変って参ります関係もございますので、現在どういう内容の法律になるかということはここではっきりと御説明を申し上げる段階にはなっておりませんが、これはこの国会中にどうしても提案をいたしまして御審議をいただくことに相なると考えております。
 以上のほかに、農林省の専管ではございませんが、関係各省と共同提案になると思いますが、工場排水に関します水質汚濁防止の関係の法案がございます。これはぜひこの国会に提案をいたしまして御審議をいただくようにいたしますために、現在関係各省で法律案にいたしますための技術的な調整を進めておりますが、おそくともこの木曜、金曜の次官会議及び閣議にかけまして提案をいたしたいという見当で準備を進めている段階でございます。
 以上でございます。
#20
○松浦委員長 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後は本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十九分開議
#21
○松浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 蚕糸に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、この際これを許します。吉川久衛君。
#22
○吉川(久)委員 私は、繭糸価格の問題について、政府のやり方、考え方で私の納得のいかない点、あるいはまた疑問とする点等が相当ございますので、ただいまから若干の質疑を行いたいと思います。
 まず第一に、最近再度ならず新聞紙上に、糸価の最高は幾ら、最低は幾ら、あるいはまた繭値は千円とか千二百円とか、または三百万貫の繭を封印して買い上げるとかいうような記事が見られたのでありますが、このような記事はどのような目的であるいは理由で出されたのか、何か目標があってのことでございましょうか。出した目的も理由もないとするならば、どのような経路で出るのか。しかも国会の会期中でもわれわれの不知の間にそのようなことのあることははなはだ遺憾に思うところです。これらの事情をお聞かせ願いたいのでございます。
#23
○三浦国務大臣 繭糸問題につきましていろいろ新聞に出て参りましたが、率直に申し上げますと、われわれ当局としましては、これらの記事はいろいろな意味での影響がありますものですから、一切出てもらわぬことが私たちの念願でございますけれども、今日ではこの問題等も相当いろいろ各面から研究されてもおるし注目されておるものですから、それぞれの記事が出ることは遺憾でございますが、当局といたしましてはこれらの問題等につきましては一切発表等をいたした事実はございません。非常に遺憾に存じておりますが、経緯はさようなことでございます。
#24
○吉川(久)委員 大臣のお言葉でございますが、再三ならずそういう記事が出ますので、これは何か政府が案を立てるためにアドバルーンを上げてその反響を見て、そうしてそれを参考にして案を立てようという一つの目標があってのことではないかというようにも見受けられるのです。ことに、現行の繭の価格並びに生糸の最高価格あるいは最低価格は、本年の三月十五日であったと思いますが、昭和三十四年の五月三十一日まで最低糸値が十九万円で繭値は千四百円と決定を見ておるのです。繭糸価格安定法に基いて農林大臣が政令で定めたこの価格は生産者や消費者やあるいは製糸業者――製糸業者の中にもいろいろございます。また機屋さんとかその他貿易業者、そういうようないろいろの関係の人々が最も差の少いあるいは被害の少いと申しますか、そういう時期に、価格の改定というものが行われる必要があるならばそういう時期が選ばれるべきであると私どもは考えておるのでございますが、あのような新聞記事を見ますと、各方面に非常な影響があり関係があるところのこういう問題を、改定の最適期がおのずから考えられるのですが、そういう時期の来ない前にああいう記事を出されるということは、政府部内に清算取引所と何か関係でもあってのことではないかというように世間から非常な疑惑を持って見られますので、特にこの点は今後も厳重に御注意を願わなければなりませんが、農林部内にさような者との関係を持つ者があったとするならば、これについて農林大臣はどういうような処置をとられますか、世の疑惑を解かれるためにもいま一度この点について御答弁をお願いいたします。
#25
○三浦国務大臣 農林省といたしましては、アドバルーンなどを上げてそして様子を見るなどというような気のきいたことはいたしておりません。同時にまた、清算取引所等ともしも何らかの関係を持ちましていたすというようなことがありましたならば、これは部内を十分戒節し、同時にまた手きびしい処断をいたしたいと考えております。かような事実はないと確信いたしております。
#26
○吉川(久)委員 特にこの点は今後御注意を願いたいと思いますが、これは一蚕糸局の問題だけではなくて、農林省の他の部局においても秘密を守らなければならない。しかも、国会の会期中には、秘密を守らなければならないような問題ならば、この委員会を秘密会にしてもけっこうでございますから、十分一つわれわれにも相談されて、その上で発表その他の措置をとらるべきであると思うのでございますが、折々委員会においでを願って大蔵大臣とともに事情を聞こう、またわれわれの考えを申し上げようと思いましても、ついその機会を得なかったことは遺憾しごくでございます。特に大蔵大臣の態度については、われわれは与野党ともに本委員会においては非常な不満を持っております。ただいま旅行中でございますし、臨時代理ではこの事情がつまびらかになりませんので、帰りを待って大蔵大臣に対してはわれわれの態度を表明いたしたいと思っておりますが、今後こういう発表については、少くとも農林省部内については十分に一つ大臣は御留意をいただきたいと思います。
 前回の国会中制定を見ました繭糸価格の安定に関する臨時措置法の趣旨は、昭和三十三年度産の繭及びこれを原料とする生糸についてその価格の安定をはかるためであるとうたっております。しかも、その第五条の第四項では五月の三十一日を経過してなお保管するものは、政府に買い上げの申し入れの期間を六月三十日までとするということになっております。これらの条文から見ましても、この臨時措置法でいけば、春蚕対策だけと限定していないので、夏秋蚕にも当然適用さるべきものであると私どもは思うのでございますが、この点はどういうようにごらんでございますか。また、価格が中途で改定された場合に、現行法で保証されているものの買上価格はどうなるのでございましょうか。その辺についての御所見を伺いたいと、思います。
#27
○三浦国務大臣 臨時対策につきましては法律の文字等はさようになっておりますけれども、当時から春以来の春蚕対策としてこれはするというたびたびの御説明を申し上げた通りであります。従いまして、むしろ、議員側からは、秋の繭対策は入っておらぬじゃないか、それはどうするということのお尋ねがあったくらいでありますから、臨時対策は春蚕の対策として打ち出しておる、従いまして秋の対策はあの制度では対象になっておらぬ、こういう立場でございます。
#28
○吉川(久)委員 大臣からそのように伺うと、私も思い当るところがございます。本委員会で多分石坂政務次官が大臣にかわって提案理由の説明をされたと記憶をいたしますが、提案理由の説明の中には春繭対策であるということはうたってございます。しかし、法律の中にはさような文字は一字も入っておりません。この提案理由の説明は本委員会においてのみわかることでございまして、国会外の一般の国民大衆、特に養蚕農家についてはかような内容を御存じないので、そこで春繭と同じような対策が立てられるであろうと期待をしていたところ、春繭と同じような対策が立てられたいというので、話が違うということで、ただいま非常な問題が起きているわけでございますので、どうしてもこれが春繭対策であるということで夏秋蚕に適用がないとするならば、それならばそれだけに夏秋蚕対策は一刻も早く樹立されなければならなかったのでございますが、ほとんど秋蚕の秋の繭も出尽そうとしているようなときに、いまだにこの方策が立たないというような経過を一つお話し願いたいと思います。
#29
○三浦国務大臣 いろいろの経緯がございますけれども、同時にまた、春繭に対しまする対策を秋にも継続してこれの適用を期待されたということも、これは無理からぬとは思います。しかしながら、本会議の席上等におきましてもしばしばお尋ねがありまして、春繭の対策であって、秋繭につきましては生産者側でも極力自主的に調整をする、そして当時二割程度の減産をも期待する、そうなりますと、需給の均衡も得て、そうしてここに安定したものが出てくる、こういうことでございましたので、やはり、われわれとしましては、あの臨時対策は春繭対策であったと、終始そう考えておるわけでございます。しかしながら、せっかくの努力にもかかわりませず、調整の二割が事実は実現しなかった。のみならず、逆に、秋の繭に対しましては、桑葉の非常な増産、同時にまた農村方面では熱心に蚕を飼うということの関係から、むしろ増産の気がまえになったものでございますから、今日の事態になったわけでございます。しこうして、これに対しましては、せっかく努力しておることでもあるし、同時にまた、現在の養蚕の方の関係者は、このままで推移しますと容易ならぬことである、自主乾繭をいたしまして共同保管をいたしまして、そして事態に備えたい、こういう熱望もございますので、これは自主的に努力することでございますので、これに対しましては政府としても力をかす、同時にこれを助成して参るということが必要でございますので、ただいまのところ、これに対する資金の供給と、同時にまた、自主乾繭、保管等をします場合には政府は所要の財政的助成をなす、こういうことで進んでおりまして、すでにある程度の準備の手続も進めているような事態でございます。かような事態は要するに、従来の春繭以来来ておりますところの十九万円の糸価をどこまでもただ単に財政的の措置をもってこれを支持するということは実情に合わなくなってきた、世界の市場並びに国内における各種繊維の需給事情にかんがみまして実情に合わぬことになってきた、これをどこまでも続けるということは必ずしも当を得たものではないということで参ったのでございますけれども、しかしながら、これをにわかに全部影響を及ぼすわけにいきませんので、まず、われわれとしまして、養蚕関係の人々の努力に対して助成するという考え方から、今の所要の資金の供給、同時にこれに対する助成の道を講じて参るということで進めているような次第でございます。
#30
○吉川(久)委員 そういたしますと、夏秋蚕対策はどうしても春蚕対策と同じようなわけにいかない、こういうことでございますが、農林大臣の政令できめております価格は改定されていないのです。その制度は変っていないわけです。ことに、所要の予算的措置をなさるとおっしゃるけれども、その点はあとでだんだんに伺ってみたいと思いますけれども、先日も私ども大蔵大臣に、これは私的にいろいろ尋ねてみたときにも、予算の範囲内でやるというようなことを言われて、農林大臣が今どの程度期待なさるか知りませんが、おそらく今後の来年度の問題についての予算的な措置ではなかろうかと考えます。夏秋蚕繭に対しても春繭と同じような助成的な措置によって同じような効果の上るというようなことを考えなければ、これはナンセンスなんです、どんなことをおっしゃっても。そこで、繭糸価格安定法の制定当時のいきさつを考え、しかもその第一条の目的に、「この法律は、生糸の輸出の増進及び蚕糸業の経営の安定を図るために、繭及び生糸の価格の異常な変動を防止することを目的とする。」とございます。これによりますと、繭及び生糸の価格の異常な変動を防止するのでありますから、この目的を達成するために本法にいう予算の範囲内というような問題はこれは私は平常なときならば固定したものであってよろしいと思いますけれども、異常な変動に属すると思いますので、こういうときには、異常な変動を防共する、この目的を達成するためには、従って価格の異常な変動を防止できるまでの予算を補正するなり何らかの措置をとらなければならない、こういうように思うのです。そうすることによって初めて繭糸価格の安定が期せられると思うのでございますが、この点は大臣としてどういうふうにお考えでございましょうか。
#31
○三浦国務大臣 法文をそのままお読みになりますとそうなりますが、問題は基礎になります客観情勢の変動であります。すなわち、現在は糸にして十九万円を保持していく、こうなっておりますが、これは、この春以来の模様を見ておりますと、全くただたな上げするだけでもって、これは世界的な生糸の消費事情、それからまた国内の事情を見ましても、実需が喚起されておらぬ、従って動かない、こういうことになっておるわけでありまして、私たちの考えとしましては、一たんそういう取りきめはいたしたものの、売れないところの糸を永久にただたな上げするということだけでは十全を期し得ないと、こう考えておるわけでありまして、ここでわれわれは再検討を要すべきものと実は考えておるわけであります。従いまして、もしそれ十九万円の糸を支持するということで、無限大とは申しませんけれども、これをただ単に予算に計上しおおせるということだけではこの糸価安定の基本的な根本のなにを支持するわけにはだんだん参らなくなっております。この点について再検討を加え、同時にまた新しい情勢に即応した考え方をしなければならぬ、かように考えるわけであります。
#32
○吉川(久)委員 大臣、そうなりますと、そういう情勢に即応するために第五条というものがあるのです。「物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において特に必要があるときは改定することができる。」とあるのであります。こういう法律がございますから、実勢価格に合せていく、こういう手だてがあるのですが、それをあえてとられなかったということは、できるだけ養蚕農家の手取りを何とかして確保してやろうという親心でやられたのか、どういうお考えでございますか。
#33
○三浦国務大臣 経済事情の変遷に伴いましては第五条の発動があり得ると思いますけれども、この第五条の援用につきましては、各般の事情をも考慮し、そして慎重にしなければならぬので、今日まで過した、かようなことであります。
#34
○吉川(久)委員 私は、それにしては、政府のとった措置が非常に緩慢で、それならばすみやかにもっと何らかの措置をとるべきであったと思うのですが、その点ははなはだ私は遺憾に存じます。政府は今日まで、特に蚕糸局などはあまりにも怠慢であったと私は思うのです。今日まで繊維全般にわたる研究が十分でなかったのです。そればかりではない。世界経済に対する見通しに非常に不勉強であった。そういったことが、きのうまでは養蚕の増産奨励にこれ努めてきた、そうしておいて、今日では農家がきわめて従順に従ってきたのに、突如として養蚕の掃き立ての制限をやるような措置に出たのです。あるいは夏秋蚕対策は春蚕対策と同じようなことができないというようなことは、私は非常な不見識であると思う。これはやはり蚕糸問題に直接携わっている農林省の特に蚕糸局の非常な怠慢でなくてはならないと思うのです。
 そこで、掃き立てを制限するというようなことは、臨時措置法の提案されました当時すでに本委員会においても確かに政府から説明をされたところでございます。われわれの考えでは、掃き立て制限というようなことは非常にむずかしい。値下りは案外農民というものは観念をしやすいことにならされております。しかし、増産へ増産へという政府の指導のもとに非常に増産意欲に燃えでいるところへ、それを突如制限をしろというようなことは、農民に対する非常な痛手でなければならない。ことに農民心理からいたしますと、これは耐えがたい犠牲なんです。こういう犠牲までやられたので、それが結果として二割制限ができなかった、だから同じような措置がとられないのだ、こういうようなことをわれわれはよく聞かされるのでございますけれども、これは機械で物を作るのと違うのです。農林大臣はことに農林省に長く御経験があり、今日農政の権威者、第一人者であられるだけに、このことはわれわれ以上に御存じじゃないかと思うのです。ですから、桑が十分にあって、しかも手間はある、天候には恵まれる、結果から見れば二割の予定が一割程度に終った。大蔵省は約束が違うと言ってなかなか農林大臣の要求に応じないそうでありますが、工業生産と農業生産の根本的な相違を、あなた方農政に明るい人が、あのしろうとの大蔵大臣の佐藤榮作氏をくどき落せない、納得させることができないはずはないと思うのですよ。私、ぜひ一つ最後のがんばりを見せて、佐藤大蔵大臣をとっちめて、あなたの平素言われる主張をぜひとも通してもらいたいと思う。(「与党もやれ」と呼ぶ者あり)もちろんわれわれは農林大臣のしり押しをしまして、そうして農民の期待できるような結果の生まれるような努力は舞うのですけれども、どうかこの点は大臣特に一つ御留意を願いたいと思います。政府は夏秋蚕に対しても春蚕同様の措置を講ずる義務が私はあると思うのですが、これは政府として農林大臣どう考えますか。
#35
○三浦国務大臣 今、政府として春繭等に対する対策と同一な手段方法をとれ、そのなには政府としてどうかということでございますが、これが政府としてまとまらぬものでございますから、苦心しておるということでございますので、その点は一つ御了承願いたいと思います。
#36
○吉川(久)委員 三浦農林大臣は、政府を構成している一員としても、国務大臣としても、これはあなたのお立場で政府として責任をとるべきである、こうお考えになりますか、それとも、やはり佐藤大蔵大臣の言うことにも一理あるから無理もないかなあなんとお思いになりますか、その辺の大臣の御見解を一つ。
#37
○三浦国務大臣 これはもう吉川委員もよく御承知の通りで、私としましては最も事情に適するように最善を尽したい、こう考えておりますし、今後ともその信念には変りはございません。
#38
○吉川(久)委員 大臣の御心境はわかるのです。しかし、少くとも安定法並びにその臨時措置法の精神を生かして、私は、大臣がそうお考えになるならば、前の国会において夏秋蚕にまで適用しないのだということを述べられておるということをかりにそれが妥当であるといたしましたならば、夏秋蚕繭に対しても、乾繭ではその他の諸経費合せて貫当り二百円程度の補助金を支出するとともに、他方農協連が農家に支払う保管繭の代金の内渡しとして貫当り千円の融資をすべきものと思うが、この点はどうお考えですか。また、これに関連いたしまして、全国養蚕信用基金協会の信用保証制度を活用することも考えられるのでございますが、この基金がただいまのところ不十分でございますので、この基金を拡充して、この点を一つ補っていきたいと思っておりますが、この点はどういうふうにお考えでございますか。なお、この融資の措置をいたしますことは、ただいま述べました三百円程度の補助金がきまって初めて私は融資の道が円滑に開かれるものと思うが、この点は農林大臣はどうお考えでございますか。私は、こうすることによって実勢価格が大体千二百円になると見当をつけておるのです。そうしますと、農家の手取りが、農家の当初の期待に近い貫当り千四百円になる。そうして価格改定の最適の時期の到来を待つべきであると思うのですが、この点はどういうようにお考えでございますか。
 こういうような措置はいずれも価格改定までの臨時の措置でありまして、自主的乾繭共同保管の奨励的措置であると思うのです。現在及び将来にわたって値くずれがなくなりますから、繭価の維持対策としては確立されるものと考えておるのです。このようにいたしますと、製糸業者も安定して、糸値の変動も防止でき、外需も内需も伸びて参りまして、繭糸価格安定法の期待する効果が現われると思うのですが、この点は農林大臣どういうふうにお考えでございますか。
#39
○三浦国務大臣 自主的に乾繭共同保管をする必要であるところの資金でございますが、最低千円を下らざるこの内渡しに必要とする資金の供給は、いたしたい考えであります。同時に、まだ二百円というふうな金額は決定しておりませんけれども、乾繭共同保管に要する所要の経費等は予算措置を講じたい考えでございます。同時にまた、これによって繭の生産者団体におきましてはがっちりした態勢を整えて、そして繭価の維持をはかる。同時にまた、糸価の問題につきましても、市場価格の一つの安定点を求めて、そこに新しい適正な糸価の造出ができるようにしたい。これがつまりわれわれの考えでございまして、細目にわたります点では若干の相違あがるかもしれませんけれども、考え方としては今御指摘の線に沿うて実行いたす考えでございます。
#40
○吉川(久)委員 大臣のお答えでもありますが、先ほど私はわが党の繭糸価格安定対策特別委員長の周東英雄氏から中間報告を求めましたところ、貫当り一千円の融資はやります、それから三百万貫の買い上げというか、それをやって適正価格の出るような措置を講ずる、もうここまでは話がついたという中間報告を聞いたのでございますが、農林省はよもやこんな程度のことを了承されたはずはないと私は思います。これは私どもは反対でございます。今大臣は所要のとおっしゃる。私の言う二百円というこの補助金が確定をしないで、だれが一体融資をするのでしょう。貫当り千円の融資というものは補助金がきまって初めて千円の融資がつく。千円の融資がついて初めて千二百円の実勢価格が出る。そうして農家の手取りが千四百円になる、こういう仕組みでなければ――基金問題については大蔵大臣にお尋ねすることにいたしますけれども、こういう仕組みで一つ進めていただかないと、先ほど周東氏から聞いたことは私は絶対に承服できませんので、もし農林省がその程度で大蔵省の交渉において下ったということであるならば、これは断じて承服はできませんから、一つその点について大臣の御決意を伺いたい。
#41
○三浦国務大臣 周東特別委員長からいかような話があったかは存じませんが、まだ最終的にはそれらの問題はきまっておりません。まだ交渉の過程であるというふうに御了承を得たいと存じます。
#42
○吉川(久)委員 二十九国会において、政府の説明では、糸価が安定すれば、価格の高低はさして問題でなく、なお潜在需要は開拓できると言われていることは、速記録に明らかな通りであります。現実の姿はそうじゃございません。近来品質、価格等飛躍的進歩発展を見つつあります他の繊維や、あるいは内外の景気等の諸般の客観情勢は、安定帯価格水準は再検討の要のあることはだれしもこれを認むるにやぶさかではないと思います。経済の原則に反するからであります。従いまして、この価格の改定の時期については、これは当初に触れましたようにきわめていろいろな方面にも関係をいたします。そして、下手な時期にやりますと、ある者は非常な得をし、ある者は非常な損害をこうむる。これが平均して利害を同じゅうするというような時期というものはおのずからあると思います。そういうことを考えますと、これはきわめてデリケートな関係にあると申さなければなりません。従いまして、私は、価格の改定をいつするか、すなわち安定法の第四条による改定をいつするかというようなことは今伺わないことにいたしますが、しかし、改定の時期が到来しつつあることだけは事実なんです。政府もこの点については同感であろうと私は思うのですが、この点について簡単にお答えを願いたいと思います。
#43
○三浦国務大臣 当局の考えといたしましても、改定の事情はやむを得ないと思っておりますが、時期等についてはこの際申し上げるわけに参りません。十分に検討して参りたいと存じております。
#44
○吉川(久)委員 乾繭共同保管が推進されて参りますと、初めて農民の作ったものが農民自身で値がつけられるということになります。今まで日本の農民が自分で作ったものを自分で値をつけるということはおそらくなかったと思う。もしこの乾繭共同保管の制度が拡充されてよく行きわたりますならば、初めて農民自身が自分の作ったものの値段がつけられるという、これは私は非常に好ましい姿であると考えております。だから、こういう一つの形を作ることはきわめて好ましいのですが、理論的には一応その通りに一口に言えますけれども、実際はそれが完全に実施されるまでには相当時間があると見なければなりません。この問題については、当分この共同保管した繭の処理については関係者による繭の需給調整の何か特別の委員会を設置する必要があるのではないか。そういう委員会によって乾繭の売り渡しを農民にかわってこれをやる、そういうような機関の設置をすることを政府は今までお考えになったことがあるかどうか、私はこういう制度が必要であると思うのですが、この点についての農林大臣のお見通しを伺いたい。
 それから、乾繭共同保管のために、乾繭機とかあるいは倉庫とかあるいは技術者を農協を中心に設置いたしまして、これに助成の措置を講ずべきであると思うのですが、こういう点について何かお考えになったことはございますか。なおまた、乾繭の品質の保持のために業界の協力を求めるような措置も必要ではないかと思うのですが、これらのものについて農林省のお考え方を承わっておきたいと思います。
#45
○三浦国務大臣 若干技術的な面にもわたりますので、蚕糸局長から答弁いたさせます。
#46
○大澤政府委員 お尋ねの点でありますが、第一の、共同乾繭保管をいたしまして農民自身が繭価を左右するような制度に持っていきたいということは、まことにけっこうな制度で、私どももそういう気持でおります。ここでそういう共同乾繭保管した繭の売り渡しにつきましてこまかく指示をする需給調整の特別委員会というようなものがどういう形で必要かということは、今後私ども研究をいたしたいと思いますけれども、一つのよいお考えであると思います。研究さしていただきたいと思います。
 それから、次の、共同乾繭保管をいたしますために、乾繭の設備、あるいはしまう倉庫、あるいは技術者、こういうものに対して政府は助成するかどうかという問題でありますが、私どももこういうことを今検討しておりますけれども、採算の点その他というようなことでいろいろ問題がありますので、最終的な結論は得ておりません。深く検討をさしていただきたいと思います。
#47
○吉川(久)委員 私の申します乾繭共同保管を整備いたしましてこれがだんだんとできてくれば好ましい姿だと申しましたのは、農民がいつまでも製糸家が売ってくれといってくるまで乳繭共同保管をして待ちかまえているわけです。そうすると、こちらでもって農家の方から値をきめていきますから、製糸家の方では農民の言う値段で買わなければならぬということになると、ここに比較的農家に有利な価格でもって安定をするわけです。その安定をした価格でもって製糸業者がこれを買っていってこれを加工をするから、糸値も比較的高いところで安定をするということになる。こういう好ましい姿を助成するために、諸経費プラス・アルフア、アルフア・イコールこの奨励費という考え方で、農林大臣は百数十円という補助金にあとはつかみ金というのじゃ大蔵大臣が困るからそれを何とか理屈はつかぬかということで御心配だろうと思うから、私がお知恵をかしますから、これは乾繭共同保管を奨励するんだ、奨励的な補助金だということで大蔵大臣に一つ要求をして、そうして農家の手取り千四百円になるようにお取り計らいを願いたいと思います。繭は近年政府の奨励のもとに増産方針で進んで参りまして、ようやく軌道に乗ったというのが現状です。今後安んじて生産に精進できるように、すみやかに恒久対策を立てる必要があると思いますが、ただいま作付の転換だとかあるいは掃き立ての制限だとかということになって農家は非常に驚いておりますので、政府は三十四年度の予算の要求の時期でもございますので、具体的に一体農民が安心できるようなどんな対策を今考えているのか、えらい技術的なこまかい問題に触れなくてもようございますが、大きなところでこういうふうにするんだというようなものを一つお聞かせを願いたいのです。去る六月の臨時措置法の審議の際にも、生糸の新規用途や販路の開拓を積極的にはかるんだと言われました。また、業界に対しても企業努力の促進を強く要請するんだ、こういうことによってこれらのことに政府は必要な措置をとるんだということが、これまた速記録に裁っておりますから、よくそれを読まれて、そうしてまた、そういうことを顧みられてお答えを願いたいと思います。私たちは蚕糸業の振興審議会において海外の宣伝費等も四億円を要求したのです。ところが、わずかにその四分の一に削減されてしまった。こういうような実に無理解な大蔵省の査定を受けたのでございますけれども、これはもう金庫番の大蔵省じゃ農村のことや商売のことは全然おわかりにならないのでありますから、どうか一つ、こういう点は農林省から、われわれもバックアップいたしますから、十分大蔵大臣の教育をやっていただきたいと思います。一つその三十四年度の施策のおもなるものをお聞かせ願いたいと思います。
#48
○大澤政府委員 ただいまのお話の明年度の蚕糸対策の基本的な方向、ことに御指摘のありました販路の拡張あるいは新規用途ないしは消費の増進といったような問題につきましては、すでに、新用途の開拓につきましては私ども、中央蚕糸協会の方とも相談をいたしまして、調査会を設けまして、ここで新しい用途にかなうものを拾い上げまして実際化をしていくという手だてを主としてとっております。
  [委員長退席、丹羽(兵)委員長代理着席]それに限らず、明年度におきましては、ただいま御指摘になった販路の拡張、新規開拓というようなことにつきましては新しい予算を要求し、また、生糸の利用増進の補助金といたしましても、従来の宣伝機関の改組の問題とも並行いたしまして、予算の要求を昨年度の四倍ないし五倍のものを計上いたしております。
 さらに、根本的な蚕糸対策の問題でありますが、これにつきましては、将来は合理化の方向に持っていくということが必要だろうと思います。たとえば条桑育というような問題を取り上げて予算化をしておりますし、また試験場の研究経費にいたしましても増額を要求しております。なお、ただいませっかく大蔵省と折衝中でございますので、私どもの希望するところを実現する努力を重ねておるわけでございます。
#49
○吉川(久)委員 ただいま予算の内容の概要を伺ったのでありますが、今までやってきたのを少し拡充するというような程度しか実は私には感じられないのです。農林省でも御案内でございましょうけれども、養蚕の生産技術というものは一時著しい進歩を見たのでございますが、最近はきわめて停滞状態にございます。しかもその指導の中心になる養蚕技術員の予算を毎年削るような、脅かすような問題ばかり繰り返しておる。こういうことを繰り返さなくてもいいようにしなければいかぬ。ですから、もう少し技術員に安心さして、そしてもっと技術員の質を向上して蚕糸技術の振興を徹底的にやらなければいかぬと思う。今具体的な例を申し上げますならば、稚蚕共同飼育をやっている。こんなことをやっていてはだめだ。今完全条桑育をやると言いましたけれども、完全な部落単位の共同作業で、そして条桑育でけっこうなんですが、稚蚕だけでなしにやるといったようなことはぜひともやらなければいけない。少くとも全国何カ所かにモデル地区を設け、そしてそれには相当な助成をしてやってみるというようなことは、モデル地区を作ることは大蔵省は大すきでございますから、大蔵省のすきなのはモデル地区に限るのですから、一つすきなものを与えて予算をとるという工夫をお願いいたします。
 そこで、政府の中にはどうも蚕糸業の将来に不安を持っている人が見受けられる。蚕糸業というもの、生糸というものが必需物資であるならば過剰恐慌のために非常な打撃を受けるだろうと思うのですけれども、幸か不幸かこれは奢侈品なんです。ですから、世の中には金持もあります、稀少物資の価値を認める人種もございますので、こういう連中を目当てにもう少し宣伝費を思い切って計上して徹底的にこれをやることによって、相当需要は伸びるのではないかと思う。もちろんこれは価格の問題もあわせて考えなければなりません。
 それからまた、私どもぜひとも一つやってもらいたいと思うの、繊維大学あたりの染色技術、これを一つ特に文部省とも話し合ってこの対策を考えてもらいたい。私は、この染色が成功するならば、織物として日本の生糸や絹織物が相当に伸びていくのではないかと思う。こういう恒久対策を今から考えませんと、これは三十四年度の予算の編成期にきわめて重要な問題であると私は思うので、これは緊急を要する問題であるので、特につけ加えておきまして、私の質問を終りたいと思います。
#50
○丹羽(兵)委員長代理 高田富之君。
#51
○高田委員 当面の夏秋蚕対策を中心としてお伺いいたします。
 ただいまの大臣の御答弁の中でまことに不可解なことが一つあるのであります。この臨時措置法は春蚕だけの対策だった、夏秋蚕のことは考えていなかったということをはっきりただいま申されたのでありますが、これは私は非常に問題だと思う。これはもう、法律の条文そのものにも、本生糸年度を通じての繭糸価格の安定のためにこの法律を出すとはっきり書いてありますし、また、われわれは、一年間の繭糸価格を維持する法律でありながら中身を見ると夏秋蚕については考えていないではないかということをしつこくお尋ねしたわけでありますが、これに対して大臣は常に、そうではない。異常なる決意をもって断じて十九万円と千四百円というものを維持するんだということを力を込めて何べんも何べんも御答弁されておるのであります。定められた法律の第一条にちゃんとそういうふうにうたっております。そういうでたらめな答弁ははなはだ無責任きわまると思うのです。この点について一つはっきりと前言をお取り消し願いたい。
#52
○三浦国務大臣 いろいろ御意見がありますけれども、なぜこれを夏秋蚕にまで及ぼさないのかということは当時たびたびお尋ねがありました。しかし、これが春繭に対する対策であるということはたびたび申し上げた通りでありまして、秋の繭に対してその通りの対策をするということは当時の状況としてとらざるところでございました。この点は誤解のないようにお願いいたします。
#53
○高田委員 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の第一条には「この法律は、昭和三十三年産の繭及びこれを原料とする生糸につき、その価格の安定を図るための臨時措置を定めるものとする。」と、ちゃんと書いてあります。第一条はうそなんですか。
#54
○大澤政府委員 法律的な問題ですから……。
    〔「大臣々々「第一条を説明しろ」「三十三年の繭はどうした」と呼ぶ者あり〕
#55
○三浦国務大臣 ただいまお答えした通り、これは春繭の対策であるということで終始して参りました。
#56
○高田委員 この法律の第一条にちゃんと書いてあるのですが、春繭というのは何ですか、誤植ですか。大臣、説明して下さい。第一条の文字通りの御説明を願います。
#57
○三浦国務大臣 これは同時にまた予算等も裏づけしてありますので、その際から一貫して、春繭の対策と、こういたしております。
#58
○高田委員 これはしかし非常に重大な問題ですね。法律の第一条にちゃんと明記されておって、内容もそうなっておって、速記録を見ましてもあなたの御答弁はそうなっております。それは当然なんです。それを、今この期に至って、あれは春蚕だけの対策だ、――春蚕の繭糸価格維持に関する臨時措置法としたらよかったでしょう。そういうふうに全く場当りの無責任な解釈をされたのでは、法の権威なんか、一体どこにあるのですか。私は、今度の繭糸価格について、何よりも政府の責任ある態度というものが問題だと思うのです。そういう脆弁を弄されたのでは、これはもう全く審議も何もできないじゃないですか。正直に言っていただきたいのです、このときはそういう気持だったのだということを。それは事実でしょう。今は心境がすっかり変化してしまったのでしょう。どうなんですか。
#59
○三浦国務大臣 春繭とは書いておりませんでしたけれども、春繭に対する対策だということで終始しております。
#60
○高田委員 率直に答えられないでこだわってやられるということは非常に因ると思うのです。これは確かにあなたの失言なんですよ。間違ったことを御答弁になったのですよ。法律の明文に書いてある。これははっきり取り消していただいてから一つ質疑をさせていただきたいと思うのです。
#61
○大澤政府委員 私から法律関係を御説明申し上げます。
 お説の通り、確かに第一条には三十三年産の繭及びこれを原料とする生糸につきと、こう書いてございますが、この趣旨を実現するための手段として、第二条には、政府の輸出生糸保管株式会社が本来の仕事のほかに次の事業を営むことができると、こうありまして、一号に、農林大臣の定めるところに従い、これこれの生糸の買い入れを行うこと、こうございます。そこで、どうして春繭対策かということになりますと、農林大臣の定めるというこの条件が別に農林大臣によって定められておりまして、繭は春繭について買うのだ、生糸は春繭からできたものを買うのだ、こういうふうになっておるわけでございます。
#62
○高田委員 そういうふうに詭弁を弄されては非常に困るのでして、これは、当時の本会議においても委員会においても、全部そういうふうに答弁されておりますし、第一、与党の方々もそういうふうに完全に認識されて、こういうふうに附帯決議をつけておるじゃありませんか。いいですか。「この法律により政府が日本輸出生糸保管会社の買入れる生糸及び乾繭に対して行う国庫債務負担の額百五十億円は、昭和三十三年生糸年度に生産される生糸七五、〇〇〇俵の棚上げを可能とするものであって、最低繭糸価を維持するに足ると思われるが、内外の経済情勢、繭生産の推移いかんにより万一先行不安の事態を生ずるおそれがある場合においては政府は遅滞なく会社に対し生糸及び乾繭の必要かつ充分な買入資金を斡旋する等、最低繭糸価の維持につき万全の措置を講じ、もって養蚕農民の経営安定にいかんなきを期すべきである。」、こう書いてある。これはちゃんと与党の方々といえどもそういうふうに理解しておりますから、大体これで大丈夫だと思うが万一先行き不安があったらこうしろという附帯決議をつけて賛成されたのじゃないですか。明らかにこの法律は今生糸年度を通ずる繭及び生糸価格安定のための法律です。失言を取り消されますか。
#63
○三浦国務大臣 先ほどお答えした通りでございます。
#64
○赤路委員 議事進行。
 ただいまの大臣の答弁は実に重大です。これはわれわれの解釈しております面と非常に大きな食い違いがある。われわれは、これは大臣みずからが法律を無視する行為だと思いますから、この際一応休憩を願いまして、理事会を開きたいと思います。
#65
○丹羽(兵)委員長代理 暫時休憩して、理事会を開きます。
    午後五時休憩
     ――――◇―――――
  [休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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