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1958/10/29 第30回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第030回国会 逓信委員会 第7号
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1958/10/29 第30回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第030回国会 逓信委員会 第7号

#1
第030回国会 逓信委員会 第7号
昭和三十三年十月二十九日(水曜日)
    午前十一時三十一分開議
 出席委員
   委員長 淺香 忠雄君
   理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君
  理事 武知 勇記君 理事 橋本登美三郎君
   理事 片島  港君 理事 小松信太郎君
   理事 森本  靖君
      荒木萬壽夫君    進藤 一馬君
      田邉 國男君    高瀬  傳君
      服部 安司君    渡邊 本治君
      小沢 貞孝君    大野 幸一君
      金丸 徳重君    栗原 俊夫君
      佐々木更三君    松前 重義君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
        郵 政 大 臣 寺尾  豊君
 出席政府委員
        文部事務官
        (社会教育局
        長)      福田  繁君
        郵政政務次官  廣瀬 正雄君
        郵政事務官
        (電波監理局
        長)      濱田 成徳君
 委員外の出席者
        専  門  員 吉田 弘苗君
    ―――――――――――――
十月二十八日
 委員實川清之君辞任につき、その補欠として栗
 原俊夫君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十九日
 委員木村武雄君、正力松太郎君、塚田十一郎君
 及び服部安司君辞任につき、その補欠として荒
 木萬壽夫君、田中龍夫君、大平正芳君及び高瀬
 傳君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員荒木萬壽夫君、田中龍夫君及び高瀬傳君辞
 任につき、その補欠として木村武雄君、正力松
 太郎君及び服部安司君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 八号)
     ――――◇―――――
#2
○淺香委員長 これより会議を開きます。
 放送法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。金丸徳重君。
#3
○金丸(徳)委員 放送法の改正につきまして、この改正案が出るまでにつきましてはずいぶんと長い間の検討が加えられておったようでありますが、その間におきまして幾たびかの参考人の意見聴取その他によって、世間一般からも言われておることでありますが、この辺で根本的な改正を考慮すべきではないか、その時期がきておるのではないかということが強く言われておるのであります。政府当局といたしましてもそのような検討を加えて参ったやに承わるのでありますが、それにもかかわらず、ついに今回の改正案においても根本的な問題に手をつけるに至らなかった。これにはよくよくの問題があるのではないかと思われるのでありますが、それは困難になり、あるいは次に送らなければならなかったという問題点を簡明直截にお教えを願いたいと思うのであります。
#4
○寺尾国務大臣 お答えを申し上げます。放送法の今回の改正に当りましての基本方針といたしましては、現在の放送法が若干不備な点がある、たとえば番組の向上適正化、こういった点をどうしてもこの際規律しておく必要がある。またNHK、日本放送協会の業務量、業務に関します点についてこれを拡充をしていく、あるいは協会の財務あるいは機構を整備する必要がある、こういうことと、民間放送につきましては番組の向上適正化はもちろんでありますが、その自主性を確立する、こういうことの規定について、必要最小限度の改正をいたしたわけでございます。従いまして、御所見のように、これを民放のこれからの異常な発展、あるいはテレビジョンが数百局にわたって開局をせられる、こういう事態にかんがみての抜本的な放送法の改正というものをすべきであるという論もたくさんあるかに開いておりますし、さような意見も私も一応持っておるわけでありますが、放送法をいかに抜本的に改正をするか、根本的な改正をするかということは後日に譲って、まず当面必要最小限度にこれを改正をする、こういうことを去る二十八国会に提出をいたしました案について、それをさらに若干の点を修正をいたしまして提出をした、こういうような事情であります。今後さらに大きく発展飛躍しようというこの放送界の将来に対する放送法というものは、相当の規模をもってこれを研究、検討いたしまして、将来に対してはその抜本的な改正をする、あるいはまたNHKの受信料制度、こういったような基本方針につきましてもいろいろ研究をして参りましたけれども、今日その結論をいまだ得るに至っておりません。こういうものをもあわせて今後、今回の放送法の改正案を一応成立せしめた後において、十分余裕を持って検討をして、完全なものを作りたい、さような考え方でございます。
#5
○金丸(徳)委員 そういう意見もあるという大臣のお言葉でありますが、実は私の耳にはそういう意見の方が強く響いておるのであります。またそういう時期がもうきておるのではないかと思われる。前の放送法のときには予想されなかったような民放の問題、テレビの普及の問題ということが世の中に現われてから、もう時すでに久しいのであります。これに対処すべき態度は長い間検討されて参ったので、この辺で抜本的な改正をすべきときが参っておるように思われます。またその必要が叫ばれておるのでありますが、それにもかかわらず、なおこれをちゅうちょせしめる原因がどこにあるであろうかということをお伺いいたしておるのでございます。そういう御意図があるかないかということではなく、そういう御意図があることはよくわかっておるわけなのですが、それにもかかわらずおくれておる、今回とりあえずこうやくばかりの改正をしておこうと言われるのでありますが、なぜそういうような見送りをなさっておられるかについての原因をお伺いいたしておきたい。
#6
○寺尾国務大臣 申し上げましたように、今回まず抜本的に放送法を一つ打ち立てる、その考え方は、私も金丸委員と同感でございます。しかし、今直ちにこれをなし得るということについては、現在の放送法をこのままにしておいて、直ちに抜本的なものに取りかかるがよいのか、緊急やむを得ない必要最小限度に一応修正をしておいてそれに取りかかるがよいのか、これについていろいろ検討いたしました結果、まず緊急やむを得ない必要最小限度の改正をいたすべきだ、かような結果になりまして、それを選んだわけでございます。
#7
○金丸(徳)委員 大へんくどいのでありますが、事務当局の方から、きっと大臣御就任前から手をかけておられますので、その間においてはずいぶん抜本的改正論というか、根本的に手をつけるという企図もおありだったと思うそれらについての経過なり、今日までの御努力の様子を承われば私もわかることができるのではないかと思う
#8
○濱田政府委員 今回の修正案なるものは、根本的問題を若干残しておることは事実でございます。しかしながら、今日の放送界の現状は進歩きわめて急激でございまして、標準放送から白黒テレビに移りまして、目下急速なる建設途上にあります。さらにFM放送なるものも実験放送の途上でありまして、これがやがて中波と両立して日本に普及する可能性も非常に見られております。さらに本委員会においてもしばしば御論議に相なりましたカラー・テレビジョンの実施という問題も目前に迫っておる状況でありまして、これらに関連しまして、放送法の中に取り入れて考慮する問題が相当あるだろうというふうに考えておるのであります。しかしながら、放送の発達普及はきわめて急であり、なお国民一般に与える影響はきわめて深刻でありますので、八年前に制定せられました現在の放送法をそのままにしておくのは決して妥当でない。そこで私どもが鋭意調査研究しまた結果を、皆様の多くの方々の御賛成を得まして、そして今後公共の福祉に適合するように、あるいは増進し得るように、ともかくこれを相当程度に改正するのが絶対必要である、そういう結論に達しました部分、たとえば番組の向上適正化、あるいはNHKと民間放送との関係、あるいはNHK自身の任務等につきまして、これを相当明確に規定する必要があることを考えまして、かような改正案を御提出申し上げた次第であります。
#9
○金丸(徳)委員 そういう放送番組の内容の適正あるいは公共に合うようにというような目的のためのいろいろの配慮が今回の改正案の中に盛られておることはよくわかるのであります。そういうことをしなければならない根本にさかのぼってみると、今のNHKと民放との関係にやっぱり触れなければならない。公共放送と、広告放送を主とするところの民放との持つべき部分というようなものをはっきりしてこなければ、なかなか解決できないことになろうかと思う。ひいては今のNHKの料金の性質であるとか、あるいは内容、方法といったものについてまで検討を加えてこなければ、ほんとうの核心に触れた改正というものはできないのではないかと思われる。そこで、その根本を今の間に掘り下げておく必要があるのではないかと私は考えるのであります。テレビジョンが発達し、さらにカラーになる、FM放送になるということを予想しながら――しかしそういうことも、もとをただせば、問題の根本は放送協会の性質であるとか目的であるとかいうことにからんでいき、そこからまた経営、財務状況ということになってくるわけでありますから、その辺についての腹がまえを、あるいはこれからのめどというものをどこに置かれるかを伺っておきませんと、この法律の審議はなかなかむずかしいのじゃないか、こう思うものですからお伺いしておるのであります。なおもう一度その点に触れてお答えを願いたい。
#10
○濱田政府委員 金丸委員の御懸念の点、あるいはお考えの点は非常によく私も了解いたします。今回の改正案は確かに若干の根本問題を残しておることは先ほど申し上げた通りであります。詳しく申し上げますれば、放送の社会的意義とは何ぞやという定義までもほんとうはやる必要があるかもしれないのであります。そうしませんと、ただいま御指摘のNHKの性格、あるいは民間放送の性格等を明確に規定できないというふうになる傾向もあろうと思うのであります。しかしながらそれをやりますことは、ただいま申し上げましたような本日の急激な放送界の進歩を考えますときに、もうしばらく日本におけるところの放送の普及の情勢を見きわめてからの方がよかろう、まだまだ日本は急峻なる進歩の途上にある、まだ飽和状態に近くなっておらないという判断のもとに、今回の改正案の研究をしたわけでございます。しかしながらNHKと民間放送との区別は、今回の改正案によりまして、私の考えでは相当程度に明確になし得るものと確信をしておるのでありまして、このことは一昨日も郵政大臣から御説明がありましたように、NHKの任務、使命、何のためにNHKを日本国民は必要とするかというふうなことを今回の改正案では明瞭にいたしてあります。あるいは業務、財務、番組のあり方等につきまして、NHKと民間放送との間にかなり截然たる区別もでき得るように、あるいは放送法を読む方に示唆が与えられるように全体の法律の作り方を配慮してありまして、この全体をお読み下しになりますれば、なるほどNHKはこういうものである、民間放送はこういうものであるということがおわりになろうと私は考えておるのでございます。民間放送につきましては、法律の条文等は非常に少いように見えます。けれども、NHKの業務、財務あるいは組織等を規定いたしますことによりまして、NHKの性格がきわめて顕著に明確に指示されるものと私は考えておるのでございます。それで不満足ではありますけれども、ここ当分の間は御提案申し上げました改正案によりまして、現在の放送法にうたわれておりますところの精神、最も中心になるものは放送法第一条、公共の福祉に適合するようにすること、あるいは電波法の第一条の公共の福祉を増進するという目的は十分達せられるものと確信をいたしておるのでございます。
#11
○金丸(徳)委員 民放に対しても、放送の公共性といいますか、そういうものを強くしいてきておるのが今回のこの改正案の中に見えて参っております。そういう意味におきましては、私は両者の性質といいますか、使命といいますか、はっきり歩み寄ってきていることが本改正案には見られると思うのであります。それからもう一つ見られる点は、NHKに非常に指導性を持たしてきておる点であります。調査、研究を命じて、それを民放の方にも流してやるようにというような希望的規定があるのでございます。そういうような点を見ると、指導性を持たせるといいますか、相当高いところに置くような感じがいたします。この点は私はそうなければならないように思いますけれども、しかしながら今日まで政府がとってこられたところの民放育成の態度、普及に対する非常に積極的なる熱意というものから見ると、両者の分野をはっきりして、そうして両方対等な立場で放送の公共性を持ちながら社会に貢献していかせるべきではないか、こんなふうにも考える。そのどちらを先におとりになってこられるかということによりまして、私は今回の改正法の主眼点が一体どちらにあるものか、混乱してきておるような気がしないでもないものですから、この点ははっきりお伺いいたしたいのであります。
#12
○濱田政府委員 放送なるものは、金丸委員の仰せの通り、NHKであろうと、民間放送であろうとも、いずれも公共の福祉のために使われなければならないものであることは申し上げるまでもありません。そういう意味におきまして、今回の改正案が民間放送を含めて公共の福祉に適合するように用いられなければならぬということを強く言っている次第であります。そうしますと、その結果としまして、NHKと民間放送との間の区別がなくなるのではないか、明確を欠くようになるではないかという仰せでありますが、そのことは、NHKの目的が日本国民にはもはやなくてはならない必需品としての放送を行うところの機関であるというふうに規定いたすことによりしまて、民間放送とは明らかなる区別がここに考えられると私は思うのであります。そう申し上げますと、民間放送は必需品ではないのかというふうに御反問になるかもしれませんが、これをたとえて申しますならば、NHKなるものはどうしても国民にはなくてはならない、日本国津々浦々、第七条に規定がございますように、どこにおっても日本国民は放送を享受し得るように配慮されなければならない、その任務を行う機関がNHKであるのでありまして、ちょうど私ども毎日。パンや御飯を食べなければ生きておられないと同じように、それほどでございませんが、そういうふうに必要不可欠のものである、そういう役目を行うのがNHKであるという精神が今度の改正案に出ていると私は考えております。一方におきまして、民間放送の方は、これは明らかに私企業でありまして、公共の福祉に適合するように組織が作られ、また運用を行わなければなりませんけれども、これは経営者の自主的な考えによっていろいろなNHKとは違った活動、運営ができるのであります。でありますから、民間放送が行われておりますその地域の状況あるいは経営の内容等によっては、その経営者の意思によってこれを廃止することも可能である。しかしながらNHKの場合には廃止するということは今日のところ許されない、国会の御承認があれば格別でしょうけれども、原則としてこれは必要不可欠のものである、民間放送というものは場合によったらこれを廃止するということも可能である、という意味におきまして、これは明瞭なる区別がございます。米の飯とごちそうと申し上げると多少語弊がありますけれども、それに似たような、どちらも必要な栄養分でありましょうけれども、片方は絶対なければならぬ、なければ死んでしまうにひとしいような、極言すればそういうようなものに比べられるのだろうと思うのであります。この問題はしばしば本委員会においても過去において論ぜられました。NHKと民間放送とは車の両輪のごとくであるとか、あるいは唇歯輔車の関係であるとか、いろいろ御議論がありましたけれども、私は、日本においてはNHKと民間放送という二本立がきわめてよい、日本国の発展のために最もよい制度であると確信しているのであります。そういう意味におきまして、私は民間放送の発達助成をはからなければならない、日本放送協会の発達をはかると同時に、民間放送の発達もはからなければいけない、両々相待って切瑳琢磨して、そうしてこの放送法の第一条にございますように公共の福祉に適合するように、民主主義の健全な発達をはかるように、あるいは言論の自由を確保するようにというふうな高遠な目的が達せられることになるだろうと思うのであります。そういう意味におきまして、私は民間放送とNHKの共存共栄と申しますか、それが最も必要であり、そのことが乱れなく行われるように、両者の間に区別を設けて、それが非常にはっきりしたワクができて、もうこれはだれが見ても一目瞭然たるようにというふうにはいかないかもしれませんけれども、とにかくこの放送をお考えになる方にはこれで相当明瞭になったろうと私どもは考えてこういう改正案を御提案申し上げた次第であります。
#13
○淺香委員長 文部大臣が見えましたが、時間の都合がありますので、文部大臣に対する質疑を先にお願いいたします。森本靖君。
#14
○森本委員 文部大臣にはこの委員会に来られましてまことに御苦労でありますが、今回の放送法の改正については教育行政にも非常に関係がありますので、そういう観点から文部大臣に二、三の質問をしてみたいと思うのであります。
 まず第一番目にお聞きしたいことは、今日のテレビの急速なる発展に応じまして国民各階層に対するテレビの影響力というものが非常に重要視されてきたわけでありますが、今回の放送法の改正についてもそういう観点からの改正の点も多々あるわけであります。そこで、こういう問題は一応文教行政の中に入ると思いまするが、今日のテレビ、ラジオ、これは各雑誌とも週間時評、あるいは新聞等においての批評、あるいはそれぞれの批評家がしておりますが、ややともいたしますると、一億総白痴化だとかいうふうなことがいろいろうわさされております。今日のテレビ、ラジオの特に娯楽番組、あるいは一部今回新しい名前で教養という名前が出てきておりますが、そういう今日のテレビ、ラジオの番組面における内容等について文部大臣としてはどうお考えになっておるか、その辺、ちょっとまず聞いておきたいと思います。
#15
○灘尾国務大臣 今日のラジオあるいはテレビ等の普及でありますが、世間でもいろいろ批評がございますように、文部省の見地からいたしまするならば、ときにどうかと思うというふうなものもなきにしもあらずと思うのであります。内容等につきましても、一ころから見ますとだんだん改善せられつつあるように認められるのでありまして、その点につきましては私どもも喜んでいる次第であります。文部省としましては、特にテレビなんかの影響がどうあろうかというふうなことにつきましては、いろいろ影響の調査を今いたしているところでありまして、その調査の結果に待ちましてまたわれわれとして努力すべき点は努力して参りたい、こういうふうに考えているような次第でありますが、今回の放送法の改正等によりまして、教育関係についての考慮が払われておりますことも非常に喜んでおる次第であります。影響が場合によりまして非常に悪い場合もございまするが、さようなことのないように念願をし、かつまた私どもといたしましても、これに対する改善の努力はますます続けて参りたいと思っております。
#16
○森本委員 そこで具体的な問題をお尋ねしていきたいと思いますが、たとえば今日のテレビの番組において、文部省としてはあまり芳ばしくないというようなものもあるというふうに言われましたが、具体的にあまり芳ばしくないというような番組で気がついたような点はどういうことでしょうか。
#17
○灘尾国務大臣 これは私一個の見方ということになるかもしれませんが、ことにテレビなんか見ておりますと、かなり見る人、ことに若い、精神の固まらぬ諸君に対しましては、あるいは粗暴に流れる、あるいは風俗上どうであろうかというふうなものも時たまあるように思いますので、そういうふうなことが青少年に悪影響を与えて、それが実際行為となって現われることがあるいはなきにしもあらずという心配もございますので、さような風俗上の問題でありますとか、あるいは粗暴な行為につい感化されるというふうなことのおそれが若干あるようにも考えられるのであります。特にまたいわゆる武器を用いて殺人行為をするというふうな場面も少くないように思うのでございますが、そういうふうなものも、あるいは場合によれば悪い影響を与えはしないかというふうなことを心配いたしております。
#18
○森本委員 そういうふうな心配がある。たとえば普通の映画と同じようにギャングもの、あるいはまた探偵もので行き過ぎた点もあるというふうなこともよく言われておりまするが、確かにテレビというのは映画館と違いまして、茶の間で一家族そろって見るというのであって、これは映画の観客みたいに非常に限られた人員ではないわけであって、限られた構成ではない。そういう点から国民全般が見るという率が非常に高いわけでありますので、そういう観点からいっても確かに現在の番組でも危険性があるというものもあると思いますが、そういうふうな点について、今後のこの番組等におけるいわゆる是正というような点については、文部大臣としてはそれを行うにはどういうふうにやったら一番いいというようにお考えですか。
#19
○灘尾国務大臣 この問題はなかなかむずかしい問題と思うのでございますが、私はやはり番組を編成し計画せられる向きにおいて、自主的にかような問題についての社会的影響というようなことを考えられまして、善処せられることを期待いたしておるものであります。
#20
○森本委員 そういたしますと、そういうふうな放送等についても、社会に悪害を残すようなことについての番組の編成その他については、やはりその編成者の自主的な判断と自主的な自粛によってやるのがよろしい。別に強制的に法律等においてそういうふうな番組を規制するという面を設けるということはあまり望ましくないというふうにお考えですか。
#21
○灘尾国務大臣 私は従来、戦前、戦中と申しますか、いわゆる言論の統制であるとか思想の統制であるとかいうふうな方向のことに向うということは、これは避けなくちやならぬことだと思う。従って昔やっておりましたような検閲であるとか、そういうふうなことをやる意思も毛頭ございません。やはりこういう問題はその事業を経営せられる側において自主的に考えてもらいたい。そのためにはその内部においていろいろ必要とする組織を設けられるとか、機関を設けられるということも必要かと思うのでございますが、外部から法の力によってこれを規制するというふうなことは極力避けるべきである、そういうふうに考えております。
#22
○森本委員 私もその点については文部大臣と同一の意見でございます。そこでこのテレビに非常に似通ったものに今日映画がありますが、ついででありまするし、この問題と非常に関連がありますのでお聞きいたしますが、映画の今の映倫の制度ですね、これは今日法令によってやっておるわけでありまするか、それともこれは自主的にやっておるわけでありますか。
#23
○灘尾国務大臣 今日の映倫の組織は、これは自主的なものと考えております。
#24
○森本委員 そうして、現在の映画にいて映倫が自主的にやりまして、今日の映画が大体満足にいっておる、先ほどのいわゆる公安あるいは風俗を害するという点から見た場合には、一応現在の映画が順調にいっておるというふうにお考えですか。
#25
○灘尾国務大臣 映倫の活動によりまして漸次改善の方向に向っておるのじゃないか、かように考えております。
#26
○森本委員 そうするとこの映倫の制度というものは、法律によってこういう映倫制度をこしらえなければならぬということにはなっておらぬわけですね。
#27
○灘尾国務大臣 ただいまのところさような考え方はいたしておりません。
#28
○森本委員 そういたしますと、テレビの番組あるいはラジオの番組等においても、そういう映倫と非常に似通ったような形における自主的な制度をこしらえてやった方が、放送の自由、表現の自由という建前からいっても最も望ましいというふうに文部大臣としてはお考えになるわけですね。
#29
○灘尾国務大臣 私は今回の改正法の内容といたしまして、それぞれの主体において自主的に気をつけていくという考え方のもとに法ができておるように考えております。
#30
○森本委員 そういうことでけっこうでありますが、今回の放送法の改正については、いわゆる映倫なるものを法律においてこしらえるということを命じておるような格好になっておるわけであります。映倫の関係の放送番組審議会というものを、要するに放送法の中において、これこれのものをこしらえなければならぬということを今回の法律においては命じようとしておるわけでありまして、そういう点が映画の場合とテレビの場合とは違うわけであります。しかし文部大臣の御意向というものもはっきりいたしましたので、その問題はそれといたしまして、次にお聞きしたいと思います。
 今回の放送法の改正におきまして、学校に非常に関係がありまするのは、放送法の改正の第四十四条におきまして、学校教育放送についてはこれこれにしなければならぬという規定が明確になったわけであります。そこで今、学校においてテレビを教材の課程として実際に使っておる学校はどのくらいありますか。これは事務当局でけっこうです。
#31
○福田政府委員 お答え申し上げます。ただいま学校にテレビが普及しておりますのは、テレビの台数にいたしましてやっと五千台くらいでございます。従って教材として十分使っているというところまでまだいかないのでありまして、実質上は教育の上でこれを利用していくという意欲をもって、いろいろその研究をしているという段階だと思います。
#32
○森本委員 そうすると、これは現在はまだ学校教育の教育課程として正式には使ってないわけですか。
#33
○福田政府委員 現在はまだ、御承知のように、純粋の教育放送というものがあまりありません。従って教育課程の中でそれを使うというところまで至ってないのが現状でございます。
#34
○森本委員 学校の問題が出ましたので、ついででありますので聞いておきます。学校に五千台くらいしかないということでありますが、この五千台というのは大体どのクラスの学校ですか。
#35
○福田政府委員 大体都市中心の学校で、かなり大きい学校が現在はそういうものを持っておるようです。
#36
○森本委員 来年度になりますると、全国ほとんどすみずみに至るまでテレビが普及することになるわけであります。そこでおそらく来年度あたりからは教育放送ということが非常にやかましく言われまするので、当然実際には法令に基いたところの教育課程におけるテレビ放送がなさるということになるのではないかと考えておるわけでありますが、その前に、全国の学校で五千台ということについては、非常にこれは今後のテレビの普及等についても残念であります。特にいなかの方に行きますると、どうしても現在のテレビの価格からいきまして、それぞれの国民が一つずつ各家庭にあがなうということには、現在の段階においてはいけない。そこで、一般国民に一番広くこのテレビを見せるということについては、たとえば教育の場面だけでなくして、場合によっては娯楽面においても見せるという点については、学校あるいは公民館等に最小限度一台くらいのテレビを設置してこれを普及さすということは、非常に私は今後の日本のテレビ普及という点からいっても、あるいは教養の向上という点からいっても望ましいというふうに考えておるわけであります。特に当委員会においても、この問題についてはもう昨年から取り上げまして、何とか全国の学校あるいは部落々々から集まりますところの公民館等については、せめてテレビの一台くらいは設置をさせたい、そういう点については、これは国庫の補助金あるいは地方自治体の補助金等をもって、何とかいかぬものかということで、前々から言っておるわけでありますが、郵政大臣は所管が違いまするので、研究をいたします、趣旨は賛成でございますという答弁はいつもいたしますけれども、現実の問題としてはこれはちっとも予算上計上されておらないということでありまするが、幸い来年度は全国すみずみに至るまでテレビが普及をするという段階になるわけであります。何とかこの問題を来年度あたり解決をつけられるという御意思は、文部省としてはないのですか。
#37
○灘尾国務大臣 りっぱな教育テレビができまして、それが教育の上に利用せられる、あるいは社会教育の上に利用せられるということになることは、非常に望ましいことと考えております。われわれといたしましても、こういうふうな情勢になってきておりますので、特に今仰せになりましたように、全国の各学校あるいは公民館等にテレビの一台くらいはぜひ備え付けてもらいたい、こういうふうな希望を持っておるわけであります。従いまして文部省といたしましては、国の財政の都合が許せばこれを助成したい、こういうふうな心持をもちまして、今いろいろやっておるところであります。ぜひ御協力願いたいと思います。
#38
○森本委員 これは協力をするものではなしに、前から逓信委員会ではそのことを超党派的に政府に要求していることでありまして、政府がちっとも思い切ってやらないというところに、われわれが追及しているところがあるのでありまして、これは放送を見る方としても、一つ大いに推進をしてもらいたいということを深く要求をしておきます。
 次に、ちょっとお聞きしたいと思いますが、文部省の中であるのかどうか、私も教育のことについて暗いので知りませんが、教育放送分科審議会というふうな文部大臣の諮問機関がありますか。
#39
○福田政府委員 そういう分科審議会は、文部大臣の諮問機関であります社会教育審議会の中の一つの分科会としてございます。
#40
○森本委員 これはどういうものを審議する機関ですか。
#41
○福田政府委員 これは放送、テレビ、そういう問題につきまして、これを教育的にいろいろ利用する場合にいかなる利用方策をとった方がいいか、いろいろな教育の場において放送を利用するということを前提にして、いろいろそのやり方なり具体的な利用方策というものを研究して、文部大臣に答申するという機関でございます。
#42
○森本委員 その構成メンバーは、大体どういうようなメンバーになっていますか。
#43
○福田政府委員 ただいまメンバーの資料を持っておりませんが、お許しいただければあとで申し上げます。
#44
○森本委員 あとでけっこうでありますが、教育放送分科審議会というのは、社会教育審議会の分科会ですか。
#45
○福田政府委員 さようでございます。
#46
○森本委員 将来この教育放送分科審議会を文部省がそのまま文部大臣の諮問機関として置かれることになるかどうかは知りませんが、この分科審議会は、かなり重要になってくるのではないかと考えるわけであります。特に来年度以降についてはこれが重要になってくると思いますが、この教育放送分科審議会の構成等についても、場合によっては、放送あるいはテレビというものを技術的見地から見れる者も一人やそこらおった方がよくはないか。単なる教育者だけおりますと、教育の面だけから見まして――この放送技術あるいはまたそういう面から見る人が一人やそこらおって説明に当る、あるいはその疑問の点に答えるというようなことがあっていいのではないかというように考えておるわけであります。構成メンバーがわかりませんので、この問題については、あとで構成メンバーがわかりましてから、文部大臣は出られないかもしれませんが、事務当局なりここに出ていただいて、もう一回御説明願いたいと思うわけですが……。
#47
○福田政府委員 ただいまわかりましたので申し上げます。放送分科審議会の委員でございますが、これは松方三郎さん、東大教授の千葉雄次郎さん、それからお茶の水大学の波多野完治さん、同じくお茶の水大学付属小学校長坂元彦太郎さん、それから都立西高等学校長の長倉邦雄さん、江戸川区立葛西中学校の先生である高知尾徳さん、放送教育学会理事長の西本三十二さん、NHKの教育局長の川上行蔵さん、それから民間放送連盟の事務局長の酒井一さん、それから「サンデー毎日」の松田ふみ子さん、日経連の川中勇さん、それから田口心理学物理学研究所長の田口う三郎さん、以上でございます。
#48
○小沢(貞)委員 関連して。その教育放送分科審議会のメンバーはわかったわけですが、その審議会は何回開かれましたか。
#49
○福田政府委員 この分科審議会には、別にさらに専門委員会というのが設けてあります。教育放送の番組内容等について、ある程度学校教育、社会教育あるいは一般教養放送につきましていろいろ研究する専門委員会が別にございますので、この分科審議会自体はあまりしんぱんに開く必要はございませんが、私の記憶では数回開いたと思っております。
#50
○小沢(貞)委員 その専門委員会はそのメンバーの中から選ばれておるわけですか。ほかにまた任命してあるわけですか。
#51
○福田政府委員 重なった方もおりますけれども、別でございます。
#52
○小沢(貞)委員 それで、その分科審議会から答申なり何か出た事項はありますか。
#53
○福田政府委員 分科審議会で答申を出しましたのは、ことしの一月に一回答申が出ております。専門委員会の方はまだ研究の途上でございますので、まだ結論を得てない問題がありますから、答申は出ておりません。
#54
○小沢(貞)委員 その答申の内容をちょっと読んで下さい。これは専門委員会でやったのではないというのですね。審議会だけの答申というのですね。専門委員会からその審議会へ答申なり、審議会から文部省か何かに答申になったというわけではないのですね。
#55
○福田政府委員 専門委員会の方は、放送分科審議会の意見に基いて、そういう学校放送とか、社会教育放送というようなものについて専門的にもう少し研究しようというものを設けられたわけです。従ってこの専門委員会の方はまだそういった番組等につきましての結論は得ておりません。
#56
○小沢(貞)委員 その答申の内容……
#57
○福田政府委員 資料として差し上げてもけっこうでございますが……。
#58
○小沢(貞)委員 けっこうです。
#59
○福田政府委員 私の記憶いたしておりますところでは、大体二点ばかり重要な点があったと思います。第一番目は、当時教育専門局を作るかどうかというような一般の世論が非常にやかましいときでございましたので、ぜひ全国的な教育専門局を作って全国の学校や公民館その他一般に教育放送として流れるようなチャンネルの割当計画をやってもらいたい、こういうような要望と、同時にそういう教育放送ができた場合におきましては、積極的に教育の面においてこれを利用するような方策を作ってもらいたい。それに伴いまして受像機の普及とか、あるいはいろいろ現在のテレビの影響力の調査とか、そういったものを完璧に十分やってもらって、そして受像機を普及してもらいたい、こういうような内容を含んでいる答申でございます。
#60
○森本委員 そこで、今度の第四十四条で、「当該番組が学校向けのものであるときは、その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない。」というように規定があるわけであります。そこで、この当該番組が学校向けの場合には教育課程の基準、法令による、こうなっておるわけでありますが、これは今どうなっておるわけですか。県の教育委員会等に承認を得なければならぬわけですか、それとも各地教委に承認を得なければならぬ、あるいは文部省に一括とか、そういうことはどうなっておりますか。
#61
○福田政府委員 この学校の場合におきまして「法令の定める教育課程の基準」と申しますのは、学校教育法に基きまして文部大臣が学校の学習指導要領という基準をきめまして、これを告示して全国の学校に示すというようなことになっております。従って文部省がきめました学習指導要領の基準に応じたものを学校向けの放送としたい、こういう趣旨のものであります。
#62
○森本委員 そうすると、これは各県教委とか地教委とかいうものについては関係がないわけですか。
#63
○福田政府委員 これは直接関係はないと思いますけれども、その教育課程の内容に応じて、内容が、放送番組自体が教育課程に合っているかどうか、そういう点を十分見ていくことは県の教育委員会なり市町村の教育委員会に関係があると思います。
#64
○森本委員 そこで教育課程というものについての、この教育の基準をきめるという場合について、教科書をきめるという場合には、やはり現在でも県の教育委員会、それから地教委というものが関連があるわけですか。
#65
○福田政府委員 現在教科書を採択する場合におきましては教育委員会が採択権を持ってやっておりますので、その限りにおいては関係がございます。
#66
○森本委員 そうすると学校教育放送等についても、一つの県におそらくテレビの放送局が民間もNHKもできるわけでありますが、そういう場合に大体ローカル色的な学校教育というものも若干あるんじゃないかと思うのです。その場合関連があるわけでありますが、そういう場合には今の放送システムでありますと、全国が統一せられた形の番組しか流れないわけです。たとえば今回の教育局が大阪と東京に二局できましても、それが流れる場合には二者どちらかということになるわけでありまして、選択権が少くなるわけでありますが、そういうことよりか、学校教育放送をほんとうに真剣にやろうとするならば、各県に一つずつぐらいの教育専門の局ができた方がいいというのは、教育方面から見た場合にはそういうことが言えるんじゃないか。
#67
○福田政府委員 これはある程度、程度の問題だと存じますけれども、やはり教育番組を作りますにはローカル色ということも考えられますけれども、やはり相当のスタッフを持っておりませんと十分な番組の編成はむずかしいというような場合が多うございます。従って全国にそれぞれたくさん作らなくても、そういったりっぱな番組が作られまして、それが中継されて全国的に利用されるということになればそれでいいんじゃないかと考えております。
#68
○森本委員 これは教育の場合と放送の場合とちょっと違うわけです。たとえば一日十何時間放送しても、その中で現実の問題として一時間でも一時間半でもそのローカル色的に教育になるようなものをはさめばいいわけで、何も膨大なスタッフを置いて、朝から晩までの番組をその地方のローカル色で組めということを私は言っておるわけではない。そういう観点からいった場合には、現在のNHKのテレビについても、あるいは民間放送のテレビについても、これは限られた語学放送と報道放送、さらに社会教育の放送ということをやらなければならぬので、その中における学校教育放送というものはほんのごく限られた時間になるわけです。そういうことでなしに、実際に中央からその番組が一日八時間あるいは六時間流されるにしても、それがほとんど学校教育放送で占められる、あるいは社会教育放送で占められる。そうしてその中で一時間なり一時間半くらいの、いわゆるローカル的な社会教育なり学校教育が組まれる。教育の面から見た場合には、そういう放送が成り立つことが望ましいのではないか、こういうことを言っておるわけです。今のNHKあるいは民放ではそういうことは望まれぬわけですから、現在のNHKないし民放以外にそういう全国的な一つの規模を持った局をこしらえれば非常にその可能性ができてくるわけであります。そういうことを文部省当局としては最も望ましいというふうにお考えではないか、こういうことを聞いておるわけです。この前、教育局を二局設置するときにもこの問題が相当論議せられたのであります。しかし、つづまるところは、教育局は二局で済んでしまったわけでありますが、将来UHF帯のテレビ放送を作るということになれば、これは可能性が出てくるわけでありますが、そういうことを教育面から見た場合に望ましいかどうかということを聞いておるわけです。
#69
○福田政府委員 私どものいろいろ要望申し上げました点は、要するに単なる都市だけでなくして、やはり僻地等の学校あるいは公民館等に十分教育番組あるいは教養番組が豊かに流れるということが希望でありまして、そういう点からいえば、一局あるいは二局ではなくて、数がたくさんあるということが望ましいわけであります。
#70
○森本委員 そこで、新しく教育放送をこしらえるということになりますと、現在の状態では将来UHF帯を使ってそういう教育テレビ局を設置するということも可能性があるわけであります。そこでお聞きしたいのでありますが、この前の文教委員会でもそういう学校教育放送という面について、教育を専門的に放送するような局については、一体対価を得て放送する民間放送がいいのか、あるいはまた、そうではなくして公共放送として現在やっておるところのNHKがこれを担当するのが望ましいかという意見について、かなり論議をせられたようでありますが、私たち逓信委員会としては、少くとも純然たる学校教育放送あるいは社会教育放送を全国的にこのシステムをもって放送していくということになって、第三局を構成するということになれば、今日の段階では、少くとも公共放送の建前をとっておるNHKが全国的にそういうものを持つことがいいのではないかと考えたわけですが、これは事務当局でなく、文部大臣としては一体、こういうふうな構想についてはどうお考えになりますか。
#71
○灘尾国務大臣 なかなかむずかしい問題でございますが、私は、教育放送をやる局につきまして、ただ一つの系統の局だけに限るということが果して適当であるか、やはり複数になった方がよろしいのではないか、こういうふうな考え方を現在いたしております。
#72
○森本委員 複数になればよろしいということでありますが、今言ったように、放送のことについては文部大臣はあまり詳しくないようですけれども、概括的に、しろうとが考えてもできることを言っておるわけであります。たとえば現在NHKの放送局があって、そしてこれが娯楽あるいは報道、教育、教養、これを全部放送している。それから民間放送がそれと同じような放送をしておる。それ以外にこしらえるとするならば、全国的にやろうとするならば、もう一つしかできぬわけです。そういう場合には、これをあっちでは民間放送に許す、片一方ではNHKに許すということではなしに、全国的に教育、教養というふうな番組を持つ放送局というものについては、これはやはりNHKに、あるいは公共放送という建前をとっておるものにやらすのが至当ではないかということを言っておるわけであります。
#73
○灘尾国務大臣 全国津々浦々まで教育放送が徹底することが一番望ましいわけであります。そういう意味におきまして、NHKでやることもけっこうだと思うのでありますが、しかしただNHKだけに教育放送をまかせるというふうな形になることはどうであろうかという考え方で、私は複数ということを申し上げたわけであります。
#74
○森本委員 文部大臣としてもなかなか慎重な答弁をしておるわけでありまするが、今言いましたように、常識で考えたところを私は聞いておるわけでありまして、別にむずかしいものではないわけであります。ただ、今言いました民間放送の中にも、教育番組、学校教育番組も教養番組も当然含まれるわけであります。しかしそれ以外に、いわゆる教育教養専門のテレビ局をこしらえた方が、日本の将来の学校教育放送等についてもいいんじゃないか。それがすべて独占をするということではなしに、それ以外の民間放送でも一時間ないし二時間程度は当然許されるわけであります。しかしこういう学校教育放送というものについては、これはおそらく利潤というものはそう上りません。一般の民間放送というものは、やっぱりある程度利潤を上げて、営業成績がよくなければ立っていかぬ会社であります。だから民間放送局というものは、たとえば一日八時間放送する中で四時間も五時間もそれをやらねばならぬということは、現実の問題としてできないわけです。そこで今言いましたように、全国津々浦々にそういう教育教養番組を持つ放送局をこしらえるとするならば、現在の段階においてはそういう公共放送の建前でやらすよりほかに方法がないのではないか、こういうことを聞いているわけであります。複数ではなしに、二つあった方がいいということではなしに、現実の問題として、あなたがおっしゃられるように、全国津々浦々に教育教養の番組を大いに放送する放送局をこしらえていくということになれば、今言ったようなことでやれるのではないか、こういうことを聞いておるわけであります。
#75
○灘尾国務大臣 NHKが公共放送でありますので、NHKにやらせるということについて格別異論があるわけではございませんが、ただ私としましては、NHK一本でやるのがいいのかどうかということについては、なお研究を要すると思うのであります。
#76
○淺香委員長 関連質問の申し出があります。秋田大助君。
#77
○秋田委員 先ほど森本委員の御質問に対して、学校に全国で約五千台ぐらいの受像機があるというお話でした。これは全学校と申しましてもおそらく中、小、高等学校を意味されておると思うのでありますが、五千台というと何%ぐらいになりますか。それから一台ぐらいはあまねくその他公民館等も受像機を設置していくように措置したいというお話でございます。われわれも賛成でございますが、措置をしたいというのは具体的にどういうことであるのか。これはやはり予算上の措置で、全額できなければ半額なり三分の一の補助金を出すというような措置を講ずるということでなければならぬと思いますが、それをもし予算上の措置をするとして、それは地方公共団体を通じて出すというような措置を考えられておるのか、あるいは国が直接すなわち文部省予算でこれをやるというふうにお考えになっておるのか、これが第一点。もう一点は、今大臣が森本委員の質問に対して、NHKのみならず、一般放送事業者にもいわゆる複数制によって学校向け放送、教育番組が放送されることが望ましいというようなお答えがありましたが、それでは、文部省自体としては思想統制等になることは厳に戒むべきでございますけれども、適当なる学校向け放送をみずからスポンサーとなってやるというようなお考えがおありになるかどうか。この二点をお聞きしたいと思います。
#78
○福田政府委員 ただいまの御質問でございますが、第一点の受像機の普及についてでございますが、これは現在学校が約五万くらいあるわけでありますから、その一割にも満たない、一割未満のものだということになりますので、普及率はまだ非常に低いということが言えると思います。従来私どもといたしましては、もし学校で希望する場合におきましては、義務教育国庫負担法に基くところの教材費の中である程度まかない得るようにしておりますけれども、実際はなかなか教材費が十分回りかねますので、受像機にいかないという現状でございます。従って今後これを拡大しまして、少くとも小学校、中学校、高等学校あるいは社会教育の場であります公民館については、来年以降視聴範囲に入ります区域のそういった施設については、小、中学校には少くとも一台、高等学校も同様でございます。公民館にも台数としては少くとも一台くらいほしいという御希望もございます。そういった意味で、今の政府としてこれを援助するという建前から申しますと、義務教育の小、中学校には少くとも二分の一程度の補助、高等学校、公民館には三分の一程度の補助でこれを普及したい、こういうふうに考えております。
 それから第二点でございますが、これはやはり番組の向上ということを目ざしていきますについては、文部省が直接そういった番組を作るということも必要であろうと思います。ある場合においては、そういった教育番組あるいは教養番組のスポンサーとなるということも考えなければならぬ。私どもの考え方としましては直接スポンサーになるということも必要だと思いますが、これは今年度若干の予算もとっております。とっておりますが、将来考えますと、いろいろ番組を製作します場合にかなり映画を使うようであります。そういった映画によって――いわゆるキネコ版でございますが、こういったものを作って、一般放送局でそれを使用して、さらにまた地方の局で必要とすればそういうものを流してやるということも必要でありましょうし、さらに放送局で使ったあとまた僻地等を巡回する。たとえば十六ミリ程度にこれを製作しますといろいろ利用価値がありますので、そういったキネコ版の作成を将来文部省としては考えておる。そういうことを研究して若干の予算要求をしておるような次第であります。
#79
○松前委員 文部大臣がおりますから、一口伺いたいと思います。学校放送といいましても、通信教育を超短波のFM放送でやる、これはアメリカあたりで盛んにやっておることでありまして、この点について文教委員会で一ぺん伺ったことがあります。ところが、現在の通信教育というものは、各都道府県における教育委員会が高等学校教育に関してはその許可権等を持っていらっしゃる。今までのような切手を張って適当に郵便をもって出すというような通信教育なら、私はそういうやり方でいいんじゃないかと思うのでありますが、どうも最近は県境もくそもあったものではないので、電波がどんどん行けるところまで飛んでいるのでありまして、そうしてこれを聞けばちゃんと聞けるということになる。学校教育そのものが電波をもって放送されるということになります。いろいろな意味から私はこれは一〇〇%活用しなくちゃならないものだと思うのです。いろいろ青少年の善導とかなんとかいうことを言われておりますけれどもやはり青少年に希望を与えなければならぬ、進学の道を、教育の機会均等を与えてやらなければならぬ、こういう意味からして、私は絶対にこの問題は積極的に推進すべきものであると信じておりますが、今日のような制度をもってしては、これはマス・コミュニケーション、電波の時代にどうもそぐわない、ちぐはぐである。今までのような切手や何かでもってやるような、郵便をもってやるような通信教育の時代とまるで違うのでございますから、これらの点について根本的ないわゆるラジオによるところの通信教育あるいは教育放送というものを、ほんとうに真剣に文部省は検討していただかなければならない。多少文部省がおやりになっていることの方が技術の進歩並びに電波需要の現状に即して少しおくれておるのじゃないか、こう思うのでありますが、この点について文部大臣、どういうふうにお考えであるか、またどういうふうにお取り計らいになるか、ちょっと伺いたいと思います。
#80
○灘尾国務大臣 仰せの通り、またあるいはテレビが非常に普及して参つりまして、ことにテレビについては今後大いに普及することと思うのでありますが、こういう新しいものを活用いたしまして、教育の上に効果を上げていかなければならぬことは当然のことだと思う。御注意の点につきましては、われわれもその心持を持っておるわけでございますが、さようなものの普及というふうなものとあわせて、教育の仕方についても漸次改善して参りたい、こういうふうな気持を持っておる次第でございます。現在文部省として研究いたしております点につきましては、局長から説明いたさせます。
#81
○松前委員 この点について大至急検討していただきまして、結論を得て早くこれらの教育態勢が整うようにしていただきたいと思います。
 郵政大臣に伺いたいと思いますが、この超短波によるFM放送、超短波帯の開放、これらに対しても電波監理局ではいろいろ考慮をめぐらしておられるように承わっておりますけれども、このような通信教育のためにこれらのものを開放する、そうして教育の機会均等を促進していく、こういうふうな意味においてこれらの開放の大体の方向というものを、お考えがありましたら伺いたいと思います。免許に対する方法です。
#82
○寺尾国務大臣 政府といたしましての考え方は、特に御指摘のような、今後UHF帯あるいはFM放送という超短波によりまする放送を拡大をして、これを効率的に利用していくということにつきましては、目下鋭意研究もいたしております。特にFM放送等につきましては、まず混信を防ぐ、混信に対するFMを活用させるというようなことにつきましては、すでにその大体の方針も決定をしたような次第でありまして、松前委員がおっしゃるような免許等に関してどういった面に、どういう方向にこれを許可をし、こうした法律的な超短波放送というものを十分活用していく場合、方針は持っておるわけでありまして、目下鋭意その時期、方向等については研究いたしております。
#83
○松前委員 今の御説明で大体はわかりますけれども、私は重点的に伺いたいことは、文部省がある程度の態勢をおきめになって、そうしてこの通信教育というものを――これは私は非常に大事なことだと思う。勤労者に対して希望を持たせるということ、自分の家に帰って、晩に学校に行ったと同じような勉強ができるのでありますから、そういうふうに希望を持たして、遊ぶ時間に勉強させる。これが一種の社会教育にもなるし、同時にまた現実的に彼らに希望を与えていくということになります。私は何も文部省に肩をもつわけではありませんけれども、せっかくFM放送に使われる超短波の帯の相当のチャンネルがとれますので、惜しげなくそういう通信教育の方向にまず第一に配分されるというような方針があるのかどうか、ここを実は伺っておきたいのであります。
#84
○寺尾国務大臣 FM放送をまず最初にどういう方面に実施するかということについては、ただいま申し上げましたように、現在混信によって難聴地域が相当ございますので、それをまず第一に解決したい、その次にはこれを教育関係に優先的に使いたい、かような方針を立てております。従いまして、文部省で通信教育等に力を入れたい、またそういう方針を打ち立てるという方向でありますならば、文部省、文部大臣とも十分その点協議研究をいたしまして、そういうふうに進めていきたいと思っております。
#85
○松前委員 しつこいようでありますが、重ねて文部大臣、いかがでありますか。今のような御答弁もありましたし、この方面をどんどんお進めになる積極的な御方針だと先ほど承わったのですが、もう一回承わりたい。
#86
○灘尾国務大臣 そういう方面にぜひテレビというものを活用したいと思っております。その方向に向って努力して参りたいと思います。
#87
○松前委員 もう一つ文部大臣に伺いたいのは、教育には私学と官学があります。大体文部省としては両方を管轄していらっしゃるわけでありますが、その文部省の態度としては、私学、官学には区別をなさいませんか、それとも官学だけに許されるつもりでありますか、この点を承わりたい。
#88
○灘尾国務大臣 私学、官学の区別をして取り扱うことは考えておりません。
#89
○松前委員 大体私の趣旨は満足に了承いたしました。この上は郵政省と文部省とが、ほんとうに教育の大事なときでありますので、この新しい電波という機関を――だいぶ一般の放送事業者に対しては中波その他で、テレビ等に対しましても満足ではなくしてある程度、電波をふるまっておりますから、今度はあまり商売ばかり相手にせぬで、もう少し多少国家的に不経済でも、こういうふうな教育その他に電波を配分されて、文部省はまた積極的にただいまのような通信教育あるいはまた教養放送とか、こういう点に全力を注いで、社会教育、学校教育の向上に資せられんことを希望いたしまして質問を終ります。
#90
○淺香委員長 金丸徳重君。
#91
○金丸(徳)委員 文部大臣お忙しいところ恐縮でありますが、ちょうど私はこの問題について質問の途中でございましたので、関連いたしまして一言だけお伺いをいたしておきたいと思うのであります。
 今回の放送法の一部改正によりまして、教養番組あるいは教育番組というような観念が導入されて参りました。これは今非常に要求せられておる、あるいは問題になっておるところの、放送内容の点からくるところの道義の頽廃その他を気にいたしましての今度の改正の主要眼目とも申していいような点だと思います。それでこの観念が民放にも入って参りまして、教養番組の名において広告効果を上げるような謀略措置がとられないとも限らない。一方は商売でありますので、あらゆる措置を講じて自分たちの商売を高めようとする意図が懸念されるわけであります。そうしてまた一面におきましては、これが学校向け放送などに取り入れられまして、この向きにおいての広告効果を上げていこうじゃないかということにならぬとも限らないのでありますが、文部省はこの辺についてどういうようなお考えを持っておられましょうか、お聞かせを願いたい。
#92
○灘尾国務大臣 仰せの通りに、民放を活用することになりますので、自然広告等の問題も起ってくると思うのでありますが、ある程度のことはやむを得ないと考えるわけであります。民放でやります以上は、そういうことも認めなければならぬと思うのであります。願わくはそれが教育の上から申しまして妨げにならない範囲内でやってもらいたい、こういうことを私は希望いたしておるわけであります。
#93
○金丸(徳)委員 大臣がそう希望なさることは当然のことであり、ごもっともだと思うのでありますが、ただ問題は民放が、乱立という言葉を使っていいかどうかわかりませんけれども、たくさん出て参りまして、そして非常な競争でスポンサーを探すというようなことになって参りますと、よほど目を光らせませんと、その弊害をかもしやすいと思うのであります。せっかく教養番組、教育番組というようなものを作ってみたところで、かえってこの看板をかりて広告効果を上げるというような妙な方向に持っていかれないとも限らない、こう私どもは心配いたすのであります。文部当局といたしましては、何かこれらに対してあらかじめお考えを持っておかれなければいけないように思いますから、そう希望するとおっしゃることに、もう一歩進めての対策が必要なようにも思われるのでありますが、いかがでありましょうか。
#94
○灘尾国務大臣 この問題は実際問題となりますと、御心配のようなこともあるいは起ってこようかとも思うのでありますが、私どもはあまりかれこれ文部省が制肘を加えるということになりますとまた弊害を生じてくるおそれもあろうと思います。同時にまた民放が成り立っていかぬということになっても困るわけであります。そこのところは、少くとも教育放送をやっておる途中でいろいろ広告がちらちら出てくるということは、これはぜひやめてもらいたいものだと思っております。その前後に適当な広告を差しはさむということはやむを得ないと思います。ただ、その広告の実体が教育上非常におもしろくない、こういうふうなことであってはやはり困るわけでありますので、そこらのところは民放側においても大いに自粛してもらわなければならぬ、あまり私どもの方でむずかしい注文をつけますよりも、こういう問題はできるだけ民放側において自粛自制をしてもらいたい、こういうふうに希望いたしておるわけでございますので、実施に当りましてはよくお願いするつもりでおります。
#95
○森本委員 文部大臣にきょう出てきてもらって、いろいろ質問したわけでありますが、まだこの今問題になっておりますところの第五十二条の二などについては、これはこまかく具体的に質疑応答をやらなければ、やはりこの法律を通すに当ってはこれは非常に重要な問題であります。そこで委員長にお願いしておきたいのは、文部大臣は非常にお忙しいので、これ以上の質問は無理かと思いますので、できればこの委員会から要求があった場合には、文部省の事務当局の、こういう面における大臣以外の責任者に出てきてもらって、あとの委員会における質疑応答に答弁をしてもらいたい。そうしないと、この第五十二条の二なんかについては、今の大臣とわれわれとの質疑応答だけではまだまだこれははっきりしない点が多いわけでありますので、その点がもし了承いくならば大臣に対する質問は本日はこれで打ち切りますが、ちょっと委員長……。
#96
○淺香委員長 森本委員の御希望になるべく沿うように委員長努力をいたします。
#97
○森本委員 なるべくでなしに、この第五十二条の二とか、あるいは教育番組、教養番組とかいう問題になってきますと、文部当局がおらないと郵政当局の電波監理局だけでは審議にならぬのです。だから、これは文部大臣はこまかいことについてはなかなか答弁もできないと思いまするので、事務当局のやはり局長クラスが出てきて答弁をして私はしかるべきだと思いますので、なるべくでなしに、はっきり一つ委員長の方からそういうことを言っておいてもらいたいと思うのです。
#98
○淺香委員長 御希望に沿うようにいたします。
 午後二時より再開することとし、この際暫時休憩いたします。
    午後零時五十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十八分開議
#99
○淺香委員長 これより再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。金丸徳重君。
#100
○金丸(徳)委員 前の電波監理局長の御答弁によりまして、わかりかけたような、またますます迷路に入ったような感がするのであります。NHKの方を主食と見、民放の方を副食と見て、両々相待って公共の福祉を増進しよう、こういう考えに立っているのだということのように承わったのでありますが、今回の改正案等を見ますると、実は民放の方にも主食たる要求をしておる。今までにも主食たることを要望しておったようでありますが、さらにその主食たるの性質を強めて要望してきておるような点が見えるのであります。私は先ほど民放とそれからNHKとの間がますます狭まってくるのではないかという疑いを持ってお尋ねいたしたのでありますが、何だかますますそういう気を起すのであります。そうしてまた私はそうでなければならないような、放送事業というものは、あるいは放送という現象はそうである運命を持っているのじゃないかと思うのであります。ただ一つ違うのは、経費を出すのが聞く方から出されるか、聞かす方から出すかというだけであって、ほんとうは同じものじゃないかというように思われるのであります。そしてそれがついに今回の一部改正のこの法案の中にもますます強く見えてきているのだというふうに思うのでありますが、その点はどうでありましようか。
#101
○濱田政府委員 金丸委員の仰せられますように、今回の改正案は民間放送に対しても、今までよりも一そう強い公共性を要求していることは確かでございます。そういう意味におきまして、NHKも民間放送も公共に奉仕する重責を持っていることは、今までよりも一そう、事業者はむろんのこと、国民も強く認識する必要があるということを、放送の急激なる進歩発展とともにわれわれは感ずるのであります。私はこの考え方、すなわち、NHKと民間放送が公共に奉仕するという意味においては非常に接近して参ったということは、その通りであると思うのでございます。しかしながら、運用の内容あるいは性格等は根本的に違うことは御指摘の通りでありまして、一方NHKは日本国民が国会を通して約束をして、放送法を作り――放送法を作りますことは民間放送も同様でありますけれども、約束をいたしまして、こういうものを自分らのものとして、なくてはならぬものとして長く保とう、そういうことをきめてあるのでございます。一方におきまして民間放送の方は、公共に奉仕する点は違いありませんけれども、これはスポンサーによって維持費をまかなうように措置せられ、そうしてひとしく公共に奉仕するように両々相待って国民のためになるように運用せられなければならない、そういう考えを述べたのが今回の改正案でございます。
 私は先般主食と副食物のようなたとえを申し上げましたが、これは一つの比喩でございまして、必ずしも当らないかもしれませんが、しかし栄養をとるに当って主食物は絶対必要欠くべからざるものであろう、同時に国民の経済が発展するにつれて、あるいは地方地方の事情によって民間放送の存在ということも非常に要請されるに至るのは当然である。そういう意味で、両々相待って豊かなる栄養が国民に補給せられるようになることが望ましい、そういう考えに基きまして、私はある意味では重の両輪のごとく、唇歯輔車の関係のごとく、あるいは主食と副食の関係のごとくり、その二本立が日本において存在するのが望ましい、ある意味においては最も理想的な放送の組織形態であろう、そう確信しているものでございます。
#102
○金丸(徳)委員 非常に問題がむずかしいというか、あるいは説明の仕方がむずかしいということでありますか、私の頭が悪いのでありますか、了解しかねる点があるのであります。その点をはっきりとしておきませんとなかなか――今度この一部改正案をお出しになって、しかも先ほど大臣の御説明によりますと、緊急やむを得ないものについてだけ今度取り上げて案として出したのだ、こういうことを言われておるのでございますが、われわれから見ますと、緊急やむを得ないものは今の根本論であり、その点を明確にすることこそが緊急やむを得ない問題であろうかと思うのであります。今度緊急やむを得ず出したと言われる案の内容を見てみますと、なるほどこの際やった方がいいような点もあります。NHKの組織あるいは運営の機構などにつきましては、一日早ければ一日早い方がいいということも言われるのでありますが、第二条ですかに「教養の向上」というような言葉を入れるならば、もっと前に入れるべきであり、ようやく民放なども世評に従って自粛自制の工夫が出て参った今になって、これを緊急やむを得ずして出すということは、どうも少し合わないような気がいたします。
 それから審議会というような、新しい考え方じゃなしに、現にあるものを法定化しようということも、果して現段階において緊急やむを得ざるものの一つと言えるかどうか、私にはちょっと納得しかねるのであります。その根本論はいろいろの理由があってあと回しにされておられるようでありますが、そのいろいろの理由、原因というものをこの際はっきり伺っておくことが大切だ、こう思ってけさほどからいろいろお尋ねいたしたのでありますが、非常にむずかしい表現をお使いになるものですから、私にはむずかしいというようなことはわかるが、なぜむずかしいかについてはまだ納得しかねます。しかしこの問題をいろいろなにしておりますと、時間もかかりますし、あとが進みませんものですから、今度は別の面からお伺いすることといたしまして、現に緊急やむを得ずしてお出しになったこれが果して緊急やむを得ないものであるかどうか、どういう点から、どんな見方で、これらの問題を緊急やむを得ず、根本の問題をあとにして、お取り上げになったかについての御説明をいただきたい。
#103
○濱田政府委員 私の答弁がまずうございまして、賢明な金丸先生を納得申し上げられないことを遺憾に思います。
 ただいまの御質問の緊急やむを得ないというお話でございますが、緊急やむを得ないというよりも、きわめて必要なことをこの際改正していく必要があるのではなかろうか、こういうふうに私どもは考えているのでございます。消極的な意味ではなくて、必要なことはこの際どうしても改正する必要があろう、そういう考えに立脚しているわけでございます。その主要な点を申し上げますと、先般概要説明の中でも申し上げましたが、番組の向上適正化という問題についてでございます。過去数年間ラジオ、次いでテレビジョンが急速に発達して参りました点につきまして、世上非常にこの番組について論議が多いことは御承知の通りであります。どうしてああいう一般の家庭におもしろくない放送を許しているのかというような質問さえあるくらいで、このことは多くの新聞雑誌等にもいろいろラジオ評やテレビジョンの番組の評論がありますので、私たちは絶えずこれにつきましては国民の側になって、聞く方の側になってこのことを考慮しておった次第であります。
 この放送法改正の着手に当りまして多くの人の御意見を伺いました結果はどの方も番組については何とかいい方法がないものか、決してこれを言論の統制だとか、あるいは政府が規制するという意味ではなくて、何とかして国民のために放送が活用せられることが望ましい、そういうことについて放送法の中の第三条の、何人にも番組は干渉されないという条文に背馳しないでいい方法はないものかという要請がございました。そういう次第で、番組の向上適正化というものはどうしてもこの際においてこれを企図する方法を考えなければいかぬということに基きまして、今回かような番組審議会という一つの方法を考えた次第であります。
 この番組の向上適正化ということの具体的方法は、番組審議会を設置するということでありますが、これは放送法第一条にございますように、放送は公共の福祉に適合するように使われなければならない。すなわち公共の福祉のためにということが最も根本的なところでありまして、この公共の福祉ということは、私どもの考えでは、政府の側からあるいは放送業者の側からという意味ではなくて、これを受信するところの多くの聴取者ないしは国民一般大衆の側からこれを考えなければならない。そういう意味で、この考え方を徹底さすためには、その具体的方法として番組審議会というものを作る必要があるだろう、しかも自主的に国民の約束としての放送を行うことについての放送法第一条の目的を達成するための具体的方法として、番組基準をきめたり、あるいは聴取者の代表としてこの番組審議会に参加して、そうして放送された番組の批判をしたりいたしまして、そうして放送業者すなわちNHK会長とか、あるいは民間放送の社長とか、あるいはプロデューサー、そういう方々にのみ番組編成をまかすのではなくて、国民一般の聴取者大衆の意見がここに盛り込まれ、そしてその意見が反映せられて番組が作られることこそこの公共の福祉に適合するような番組になる、結局この放送が公共の福祉に適合するような結果を招来するのだ、そういう考えからこの番組審議会というようなものの方法を考えていただいた次第でありまして、決してこれが政府から押しつけて番組審議会を作るとか、あるいは政府が番組を規制することになろうとかいうのではなくて、放送を公共の福祉に適合するために活用する具体方法として最もいい方法に違いない、そういう観点から番組審議会という構想を考えていただいたわけであります。それがこの番組審議会の問題であります。これはどうしても今回においてかような措置を講じませんと、ただでも、現在のままでもいろいろ批判がありますところの番組が、娯楽過剰になったり、先般あたりから御議論がありますように、家庭で見て小さい子供やあるいは若い青年におもしろくない影響を与えるような番組が出てきたり、あるいは番組の間に調和を失ったり、いろいろいたしますので、どうしてもかような措置はこれこそ最小限にこういうお約束をしておく必要があるだろう、これは国民の間のお約束でありまして、決して政府から押しつけられた、あるいは放送事業者の利益のためのものではない、そういうふうに考えております。
 次にNHKの問題であります。NHKにつきましてのいろいろな規定は八年前に作られたのであります。当時はNHKも小さかったのでありますが、今日はラジオ以外にテレビジョンが相当な比重を増して参りまして、事業の経費等も今日では百五十億円以上になりました。やがて二百億円あるいは二百五十億円になろうというような情勢にあります。その扱いますところの業務も、ラジオからテレビジョン、FMあるいはカラー・テレビというように多岐にわたって複雑化して参りました。つきましては、どうしてもこの組織を変える必要がある。あるいは組織を拡充するのみならず、組織の考え方を変える必要がある。すなわち経営委員会と業務執行機関との区別を明瞭にする必要があるというような考え、これはなるべく早く実行する必要があろうというふうにわれわれは考えて参りました。その他業務につきましては、先般来申し上げましたように、NHKが国民に対して必須の機関である、必需品であるというようなことになりましたにつきましてはこうこういう放送を行う必要がある、すなわち標準放送を行う必要がある、超短波FM放送を行う必要がある、テレビジョンを行う必要があるというふうに明確にこれを義務としてきめるのみならず、日本における放送事業の研究開発のためにもNHKは奉仕する任務があるというようなことを今日明確にうたっておく必要があるというようなことがいろいろな観点から考えられるのでありまして、そういう業務の内容につきまして明定する。それ以外にまたいろいろな、放送法第七条にあるところの協会の任務とか、ただいま申し上げましたような主要な任務を達成するためにいろいろ付帯的な事業を行う必要もあります。そういうこともきめておく必要があろう。それから、かような事業を行いますにつきましては多額な費用が要ります。これにつきましては、放送債券の額が従来は三十億円であったものを、少くとも純財産価額の三倍くらいにする必要があろう。その他、そういうふうに放送協会の性格、任務等を明確にしましたにつきまして、この任務、使命等を達成するために必要な業務、組織等をこの際拡充強化することは刻下の急務であろう、そういうことに基きましてぜひ御承認を願いたいと思う次第でございます。このことは、特に昨年テレビジョンの大量免許を行いまして、NHKの事業はある意味におきましては大きな岐路にきたわけでありまして、一挙にたくさんのテレビ局を作らなければならないことになります。そのほかFM放送の実用化放送というようなものも近く迫っております。その他たくさんの事業の計画がございまして、これに対して協会はその組織においても、業務においても、あるいは資金計画においても、思い切った、今までとは違った画期的な考え方をしなければならないときにきていると思うのでございます。そういう意味で、協会の内容をこの際において、どうしても放送法によってはっきりときめなければいかぬというのが第二点であります。
 第三点は民間放送の問題であります。民間放送につきましては、金丸委員が御指摘のように、民間放送とは何ぞやということを明瞭にきめておく必要があろうと思うのでありますけれども、先刻来申し上げましたように、NHKの性格をきめますことによりましておのずから民間放送の担当すべき分野、使命等も明らかになろう、そういう考えで、今回はかような根本的な定義等はいたさずに、民間放送は自主的な運営を強く要望する、そうして同時に公共に奉仕する精神をNHKと同様に認識していただくような表現をいたさなければならない、この三つはどうしても緊急に指向しなければいけないだろう、そういう考えにおきましてかような改正案を提出いたした次第でございます。
#104
○金丸(徳)委員 非常に御丁寧な答弁をいただきましてまことにありがたいわけでありますが、今のお答えにもありましたように、今度お取り上げになった問題は、なるほどこの際おやりになった方がいいというものもあることは、私も先ほど認めたのでございます。それもありますけれども、中には今さらという問題もありますし、それからこの時期はという問題もあるように思われるのであります。これを十ぱ一からげにして――十ぱ一からげか四ぱ一からげか知りませんけれども、一括して、先ほど大臣は緊急やむを得ずという言葉をもって表現せられました。今局長は、必要やむを得ずといいますか、というような言葉をお使いになった。これは、必要やむを得ずということと緊急やむを得ずということとはずいぶん違うと思います。しかしやむを得ず出した、原因がどこにあるかは別として、こういうようなことでありましたが、たとえば善良の風俗というような観念を今ごろになって、今この時期にお取り上げになるということは、いささか時期はずれのような気がいたすのであります。しかもこれは希望的規定と申しますか、倫理規定と申しますか、そういうことであるのであります。今ごろになって放送事業に対して倫理を要求するということが――これはむろんテレビジョンの問題も考え、そして今までの実績を思い起すとそれも考えなければならないようにも思います。しかし、だんだん改善されつつある。しかも改善されつつあるのは法律が作られるであろうからというようなことだはなくして、社会全般の良識が漸次その方に向いてきて変えられつつある。今ごろになってこれを法律の上で希望する、あるいは念願するということも、もう少し――それが果して必要やむを得ないものか、緊急やむを得ないものかどうか、ということでございます。審議会の問題にいたしましても、すでにNHKでは、実際としてはこれをやっておるのであります。これを今の段階において法律できめなければならない理由というものがどこにありましようか。それからまた民放といたしましても、法律できめなければうまくいかないようなものであろうかどうか、ということをお尋ねいたしておるのであります。しかもこの段階において、世間では何かといいますと勘ぐる、これまた思想の自由を束縛するものではないかとか、あるいは人権の侵害になるのではないかというふうな非常な勘ぐり、心配を持つときに、わざわざこの心配を持たせるようなものをこの機会において必要やむを得ず、あるいは緊急やむを得ずとして持ち出すことのよしあしを私はお伺いいたしておるのであります。ことに民放に対して審議会の設置を法律で強制することの策としてのよしあしもこの際考えなければならないのではないか、こう思うものでありますからお伺いをいたしたのでありますが、これはもしできますれば、大臣から所信としてお伺いいたしたいのであります。
#105
○寺尾国務大臣 専門家の局長が先刻来から非常に詳細に説明をいたしておりますので、私の説明、答弁がはなはだ不徹底に終るかと心配をいたしておりますが、先刻も局長から答弁のありましたように、今回の放送法の改正の一番重点を置いたのは、番組の向上適正化、こう申し上げても過言でない、私はさように考えます。従って、どういう方法でやったかと申し上げますならば、まず番組の準則を一応よりどころを持たせる、すなわち四十四条第一項の改正をいたします。さらに四十四条第三項の一号の改正、ただいま御指摘のありました「公安及び善良な風俗を害しないこと。」こういうことを挿入いたします。さらに第四十四条第四項を新設する、あるいは第四十四条の五項を新しく挿入いたします。こういう準則を作って、この準則によって番組基準を作り上げることに持っていく。第四十四条の二並びに二の第一項、第二項、それから四十四条の三、これが今御指摘の番組審議会、こういう準則による規制によりまして、これを番組基準の編成に持っていく、こういうところが今回の改正点のきわめて重要な部分と申し上げてよいと思います。従って、この番組審議会というのは、今も御指摘のありましたように、民間放送、NHKともに現在持っておるわけであります。NHKの方には中央の番組審議会、また政令できめましたところに地方の番組審議会、それから国際放送に対しては国際放送の番組審議会、これは国内放送と性格、目的等も全く違う国際放送についてはやはり別個に審議会を置くのが万全ではないか、こういったようなことをいたしますのは、要するにわれわれ政府監督者といたしまして容喙をしたくない。あつくまでもいわゆる第一条に示されておりますように、「不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」、しかも放送番組というものは法律に定める権限に基く場合でなければ何人からも干渉されない、また規律されない。こういうふうにNHKも民間放送もともに一切自主的にやっていただく、この高度の放送事業というものに対してすべて自主的にやっていただく。それだから、政府が今度はあるいは言論の統制であるとかいうようなことをおっしゃっている方がありますけれども、私は今度のこの放送法の改正案をつぶさに見ていただけば、ほんとうにこれは干渉どころじゃない、自由奔放に両事業者が放送をやり得る仕組み、そういう改正案になっておるということを申し上げてよいと思うのであります。従いまして、そうした自主的な番組審議機関をこしらえて、しかもこの番組審議機関は聴取者を代表するといったような性格も多分に持っておるのじゃないか、またこれは持たすべきだ、こういうことにおいて、私が先ほど金丸委員に必要最小限度の改正だと申し上げましたけれども、その必要最小限度の改正というものは、実に非常に緊急適切なファクターをそこに十二分に含んでおるのだ、こういう意味をさらに付言して申し上げたいのであります。要はこういう一つの番組基準を作るための順序といたしまして、この規定を設けることによって、放送がいわゆる第一条に示されたように、あるいは放送番組というものが絶対だ、こういう点を十分に勘案をいたしまして、政府はこれらの問題に対してはノー・タッチでいく、すべて自主的にやらせる、こういう考えで作ったものでありまして、この法律案というものは、私といたりしましては、完璧とは申しませんけれども、案外よくできているのじゃないか、しかもいわゆる言論抑圧であるとか、政府が干渉するというようなことはどこにも見られぬじゃないか、いろいろ御質問もありますからそれにお答えいたしますが、まずまずこれならばやむを得なかろうというような、これは一つ御検討賜わればそういうことに御了解ができるのではないか、さように考えております。
#106
○金丸(徳)委員 大臣がこの法律の立案に当っては言論の自由を束縛しようとかいうような気持を持ってやられたのではないということは、私もどうかしてわかりたいと思います。またそうなければならないと思います。たびたびの御説明の中にもそれを繰り返しておられますから、そうだと思います。しかし、できるだけ自由に、できるだけ潤達にやらせたいんだと言いながら、言わずもがなといいますか、しなくてもいいことをしておって、かわいがる、かわいがるんだというようなことを言っておるんじゃないかという心配を持つのであります。もしほんとうにそうであるならば、今何か特にこういう規定を置かなければならない必要があれば別、そうでなければ、この際黙っておられた方が、より一そう大臣の気持を世間にわかってもらうためにはよかったではないかと思うのであります。そして必要最小限度、こう言われるわけでありますが、四十四条にはこういうことが書いてあるのです。「同条第一項を次のように改める。」として、国内放送に関してでありますが、「豊かで、かつ、よい放送番組を放送することによって公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払うこと。」こういうような表現をされております。この「最大の努力を払う」というような言い回しといいますか表現は、およそ法律の中では珍しい表現じゃないかと思うのであります。この法律は、見方によりますと非常に大きな負担をしょっておることになり、大きな束縛を受けている感を持つのであります。そういうようなことを取り出してみますと、この条文というものはまさにそうでなければならないと思います。NHKの使命といたしましてはそうでなければならないと思いますが、そういうことをこの際、今の必要最小限度という大臣の希望として、意思としてここにお出しになるということの適否、あるいは策としての巧拙を私は心配するのであります。何とはなしにそう言いながら、自由だ自由だと言いながら、大きなところでやっておる、かわいがるかわいがると言いながら、一番先に一つぶんなぐっておいたというような感を持つのでありますが、その点はいかがでありましょうか。
#107
○寺尾国務大臣 実は御指摘になりました第四十四条の第一項一号でございますが、これは現行法の第四十四条の規定にございます「協会は、放送番組の編集について、公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払わなければならない。」こういった現行法を、「豊かで、かつ、よい放送番組」、要するにたっぷりと良質な番組を求める努力をする、こういうことに加えまして、現行法の文化水準の向上に寄与するように大努力をするということは聴取者に対する責任だ、義務だ、こういうふうな考えから出したのであって、政府として放送事業者にこれをしいるとか、これを強く言論抑圧という意味で出したということではないわけであります。
 なお各国の例を見ましても、御指摘のように日本のこの現行法ができました二十五年でありますか、そのときの状況から見ますると、NHKはラジオでわずかに八十局、これが現在二百局になっておる。それから民放はそのときゼロであったものが百局。すなわち、八十局のラジオの放送局が三百局という異数のふえ方をしておる。それからテレビはもちろんその当時なかったのでありますが、現在におきますと、すでに開局をされておりますものがNHKで二十局、民放といたしまして十二局、予備免許中、今しきりに建設を急いでおりますものがNHKで十七局、民放において三十四局、こういうようないわゆる異常な発展をしたということは申し上げられると思います。従ってこれが国民の生活、思想の上に、あるいは毎日の生活の上に非常な影響力を持ったということは御意見の通りであります。従いまして、何らかの方法によってこの重大な使命というものを大きく自覚をして、りっぱな放送番組を作り上げて、そして放送というものの大きな使命を果さなければならぬ。そういたしますのには政府がそれを指示するとか、あるいはこれに容喙するというような形ではなく、やはりNHKなり一般放送事業者の自主的な形において、自力においてこの非常に重大な責任を果さなければならぬ。豪州などはテレビジョンができたということにおいて放送法を、三年ほど前になりましょうか、一九五六年にはほとんど大改正をいたしております。そしてその案文を見ますると、それに対して非常にはっきりした指示を与えております。あるいはイギリスがいわゆるテレビジョンの放送が異常な発展をしたために、これは一九五四年に放送法をやはり改正いたしております。そういうふうに、各国もテレビジョンという思わざるここに国民生活に非常に深刻な影響を与える新しい放送というものが実現をした、しかもこれが非常に大きな力でもって異常な発展をしてきたというのでありますから、どうしてもこの際放送法というものを、今までの形や今までの考え方で放送しているわけにいかない。そうすればまず番組というものを向上、いわゆる適正化をさせなければならぬ。それがためにはこれを外部から、あるいは政府がこれを指示するというようなことをしては相ならぬ。そこにおいて、先ほど御説明を申し上げましたような規律をすることにおいて、これは最小限度の規律であると申していいと思いますが、こういったようなことによってあくまでも自主的にやる。こういうことでありますから、もしもこれ以下にしてしまえばもう規制というものができぬじゃないか。私は先月来、局長や法規課長等にもいろいろ説明を聞き、また私自身も興味を持っておりますから、いろいろの各国の例等も勉強をしてみましたけれども、日本の放送法、今度の改正案を見ますると、非常に寛大であって、放送を自主的にやらせるような放送法になっておるということを知りまして、これなら国会においても御了承をいただけるのじゃないか。━━━━━━━━━━━━━━━━━この中ではやはり御指摘願わなければならぬところも、あるいは問題点もあると思います。これは決して完璧とは申しませんが、しかし、もはや異常な発展をするところの電波関係、特にテレビジョン等の深刻な影響力に対しましては、この程度のことにおいて自主的にりっぱな放送をさせるということにぜひ願いたい、かように考えております。
#108
○森本委員 関連して。大臣はちょっと正式な委員会における答弁の場合は言葉を慎しんでもらいたいと思う。この問題についてはよかろうというようなことを、当委員会において言ったことはない。正式に発言する場合と個人的にいろいろ冗談を言って話をする場合には区別をつけなければならぬ。今のような言葉を軽々に言ってもらっては困る。当委員会において私がそういうことを正式に発言をしたならば、それは取り上げてもけっこうです。しかし、今金丸委員が質問しておることは、やはり社会党議員の一員として党を代表して質問しておるわけでありますから、それに対して平生少々冗談なり、あるいは軽い冗談口を言っているようなことを委員会において言われるということはこれは、非常に軽率ですから、そういうことは取り消しておいてもらいたいと思う
#109
○寺尾国務大臣 私の申し上げたのは、何もあなたが正式にそういうことをということでなく、本問題について軽い、いわゆるかいぎゃく的な感じで申し上げたのですけれども、それがいけないから取り消せということであれば、さっきのことは委員長、しかるべくお取り計らいを願います。正式にそうお話があれば、もちろん私が、さようなことを申したということに対しましては取り消しをいたします。
#110
○森本委員 これは議事の問題でありますから、なお念のために申し上げておきます。委員会においてこういうふうに正式に発言をしておる場合と、個人で冗談を言う場合とはおのずから別でありますので、そういうことと一緒に混同されないように……。そうしないと四六時中気をつけて大臣や政務次官と話をしていないと、いつあげ足をとられるかわからぬというようなことでは、大臣や政務次官の方でも安心してこっちと話はできぬと思う。だからそういう点については、公式の場合における発言というものとこれは別にしておいてもらいたいというふうに考えます。
 それから先ほど来の質疑応答を聞いておりますと、議事が何でも停滞するということについては、私の方は慎重に審議をいたしますが、しかし先ほど来の金丸委員の質問をすることは、四十四条の「豊かで、かつ、よい放送番組を放送することによって公衆の要望を満たすとともに、」云々というように第一号に書いておるけれども、一体これはどういうところにその原因があるのか、こんなものを書いてどれだけの効果があるのか、こんなものは書かなくても四十四条のもとの第一項でいいじゃないか、それでもけっこう番組は水準が向上していくんではないか、こういう具体的な問題をとらえて一々質問しておるわけであって、それに対して大臣が今言ったような、あっちからもこっちからも外国の例をあげて答弁をしておったんでは、これは確かに理事でも協議をいたしましたように、これは何週間もかかって審議をしなければちっとも進まないということになりますので、答弁の方は――先ほどの局長の答弁もそうですが、法案の提案理由を全部述べておるような答弁の仕方をしておったのでありまして、その点は十分要領を得た、しかも当を得た答弁をお願いしたい。そうしないとちっとも進まないというふうに考えますので、お願いしたいと思います。
#111
○寺尾国務大臣 一言申し上げますが、金丸委員の私に対する質疑は、私はそれだけではなかった、私はさように解釈をいたしました。しかるために私といたしましては、さようなこれに関連する問題として申し上げたわけであります。
#112
○金丸(徳)委員 大臣が本改正案に非常に熱を入れておられるということはよくわかりました。これがいろいろ条文の行間に現われたちょっとわれわれが見ると心配になるような点につきましても、決して真意はそうではなくて、全く放送の自由を尊重するということに出発しておるということがよくわかりました。ただ私の心配するのは、そういうお心持がこの法律の一行一行のうちにそのまま現われておるかどうかということを心配いたしておるのであります。これはまた逐条的にお伺いする機会がありますればお伺いすることといたしまして、また後刻他の委員からもお尋ねがあろうと思いますから、それはお譲りいたします。
 ただ、この際私は確認いたしておきたいと思いますることは、こうした法律は決して今以上に何か不自由なものにしようということではなくて、あくまでも放送の自主性を尊重するところにあるのだ、この法の解釈あるいはこの法によってのいろいろの要求、たとえば報告の要求であるとかそういうようなものにいたしましても、すべて自主性を尊重する上においてその放送の価値を全体的に上げるための、何といいますか、やむを得ざるということではなくて、むしろ希望されるところの措置である、こういうふうに解釈しておくべきである、そう思っておるのだということであるのでありますか。その点を私は確かめまして次に移りたいと思いますので、もう一度おっしゃっていただきたいと思います。
#113
○寺尾国務大臣 さようでございます。
#114
○金丸(徳)委員 そういたしますると、先ほどのお答えの中にもありましたが、たとえば番組審議会というようなものは、むしろ聴取者としての立場でもってなす、こういうふうに考えられますが、聴取者の代表としての番組審議会としますならば、これは具体的に選出の構想あるいは運営の構想というようなものについてもどういうふうにお考えになっておりますか、この際一つ明らかにしておいていただきたい。
#115
○寺尾国務大臣 審議会の委員の任命に当りまして、中央であれば中央、いわゆる学識経験者であり、公共の福祉に関して十分の理解と責任を持っていける、こういう適格者を各放送事業者が自由に選択をし、またNHKとその放送法において示されておりますNHKの中央審議会委員の数は十五名、それから政令に定める地方におきまする審議会の委員は七名になっております。それから各放送事業者が持ちまする審議会の委員の数も七名、こういう数を各方面の、その地方ならその地方から広く各般にわたってお選びになることだと考えられるわけですが、そういうことはすべてNHKなり放送事業者、一般放送事業者等の自主的な選び方あるいはまたその運営によって私ども政府といたしましては大きくこれに期待をしていく、あくまでも自主的に運営をしてもらう、こういう考え方であります。
#116
○金丸(徳)委員 放送事業者が自主的にと言われますが、放送事業者と聴取者といいますかそういうものとはとかく利害相反するものなんです。民間事業としてはスポンサーの言うなりにならなければなりませんし、聞く方、見る方においてはもっと別なもの、いいものをと言うかもしれないというような意味におきまして、私は必ずしも利害一致するとは思いません。そういう中において放送事業者が自主的に選任するその委員が果して聴取者、聴視者の代表と言い得るかどうか、その点についてはっきりした考えを承わりたい。
#117
○廣瀬政府委員 一般の放送事業者につきましては御指摘のような心配もあったわけでございますから、私どもの考えといたしましては民間放送事業者の審議会というのは、むしろ事業者がスポンサーに対する防波堤というような考えで審議会を作るということが必要ではないかという考えを持っているわけであります。
#118
○小沢(貞)委員 関連。そうすると、今の次官の答弁だと、これは五十一条の二の第二項の終りですか、最後から三行日あたりに「一般放送事業者が委嘱する。この場合において、その三分の一以内は、当該放送事業者の役員又は職員をもって充てることができる。」その経営している役員が三分の一は当る、こういうことになる。わざわざそういうものを入れるようにしてあるものは、今の次官の答弁とは趣旨が違うのじゃないか。スポンサーに対する防波堤だという意味には解せないのじゃないか。
#119
○廣瀬政府委員 三分の一以内と申しますのは放送事業者の関係の三分の一以内でございますから、放送事業者の立場の何と申しますか、利益代表者と申しますかが入り得るようになっておりますけれども、さっきの金丸委員の御意見は、こういうものを作ることによってスポンサーに対して弱くなる――という言葉はありませんけれども、審議会を作って何の意味があるかというような御質疑でございましたから、一般の聴取者の代表というような意味で、こういう審議会を作っていきますとスポンサーに対しましての強い存在になり得る、自主性を持ち得るということで申し上げたわけであります。
#120
○小沢(貞)委員 私は聴取者の意見をよく聞かなければいけないという趣旨を織り込むならば、少くとも半分は聴取者とか一般の代表とか、そういう方面の規制をしなければならないのに、経営者側の方を規制したら、民間放送というものはもうけでやっていかなければならないのでスポンサーの意見を聞かなければいけないということになるわけですから、逆じゃないですか。
#121
○廣瀬政府委員 むしろ半分以上に一般の聴取者が入るわけでございます。事業者からは三分の一以内でございますから、一般の聴取者は半分以上ということになるわけでございます。
#122
○金丸(徳)委員 話が非常に具体的になったからでありますが、この三分の一以内ですが、事業者の代表が職員なり役員なりが入ることができるという規定それ自体についても非常な疑いを持つのであります。むしろ大臣が先ほど言われましたように、これは聴取者、聴視者の代表として選び出したい。NHKの場合ももちろんでありますが、そういう考え方でいくならば、この番組審議会も一歩進んだ考え方として納得できるのでありますが、そうでなくて、何か、言葉は非常にむずかしいのでありますが、スポンサーに対する防波堤だというふうにぼかされますと、私のお伺いしたいのは、どういう方法、どういう態度で選出なさるかということなんです。一番いい方法は公けに選出する、投票によることがいいのでありますが、それは非常に大へんなことでありますけれども、そういうことについていかにも今度の番組審議会は聴取者の利益を代表するのだという性格をはっきり表わす何かの方法をお持ちになっておるかどうかを承わったのであります。それがなければ私は依然として同じことに落ちつくのだということを心配するからなんであります。
#123
○廣瀬政府委員 御指摘のこと、よくわかるのでありまして、理論を貫けばさようなことになるかと思いますけれども、一般の放送事業者というのはやはり私企業でやっております業者だものでございますから、その立場も考えてやらなくちゃならないということで、審議会は作りますけれども、その三分の一以内はさような人でも差しつかえないということで、私どもの念願いたしておりますのは、その放送番組審議会が全体として公正な判断のできるような人の構成をやってもらいたい、かような考えなのでありますが、それから先は会長が自主的に委嘱をしてもらいたい、かように考えております。
#124
○金丸(徳)委員 もう私の時間がなくなりますので、あまりくどくどしくなることは避けなければいけませんが、ただ先ほどからお伺いいたしておりまする大事なことは、これは非常にむずかしいからあとにして、今さしむき必要なもので緊急なものを出してきたのだ、こう言って、だんだんお話を承わりますと、自主性を持ちながら、そうして聴取者の利益を尊重するためにこの審議会というものを作るのだ、こう言われておるのです。従って、それは当然の結果としてこの審議会というものはあくまでも放送事業の主目的に沿うような形で出てこなければいけない。民放といえどもしかりだと思うのです。ちっとも変りない。そこで、そういうような考え方に立ってみると、この審議会を作るということがかりに実現されたといたしましても、その審議委員の選任の仕方などについては十分なる構想があり、方法が練られておらなければいけないと思う。それをぽかされますと、この問題は非常に大事なことがぼやっとしてしまって困るのであります。いわんや今のような、お答えの中にありましたように、三分の一くらいは事業者の中から入ってもいいのだということは何としても私には納得できない。審議会が聴取者の利益を代表するのだという根本命題に立つ限りにおいては、私はどうもこれはいかにもぼかし過ぎた表わし方ではないか、考え方ではないかと思うのであります。この点はいかがなものでありましょうか。
#125
○廣瀬政府委員 番組審議会を法定することがいいとか悪いとかいう御意見であるのか、法定するならばもう少しこまやかに規定してもらいたいというような御意見であるのか、私よくわかりませんけれども、なるべくこういうような機関を作りますにつきましては業者の自主性を尊重いたしたいということで、ぜひかようなものは作る必要があるということを考えて法定をいたしておるわけでございますが、それから先の委嘱の方法等につきましては、学識経験という一応の条件をつけておりますけれども、それから先の委嘱、人選につきましてはすべて業者の随意にやっていただきたいということで、自主性を尊重してやっておるつもりなのであります。
#126
○金丸(徳)委員 この法定するがいいか悪いかについては私はこういうものについては法律であまりおきめにならぬ方がいいのじゃないかという考えを持っておるのです。しかし一歩を進めて、大臣がおっしゃるように、もうそれはあくまでも自主性をとうとぶのだ、むしろ自主性をとうとぶがためにこの審議会を作るのだというような御説明ですからそれを納得いたしまして、そこで、それならば、そういう審議会であるならば、それに合うような審議会の作り方でなければいけないと思うからお伺いいたしておるのであります。この法律に規定した三分の一というのはその考え方と少し矛盾するじゃないかということ。もう一つは、ここで御答弁になる中で一つも具体的に選任の方法その他に触れていらっしゃらないので、その点をやはりこの際はっきりしてもらいませんと――それがはっきりしてきますれば、私はむしろ法定がいいという意見に変るかもしれないのであります。
#127
○寺尾国務大臣 入れかわっていろいろ御答弁申し上げますが、非常にむずかしい問題でございますから……。私が申し上げましたこの改正案の趣旨といたしましては、先ほどお答えをいたしましたように、これは聴取者の代表という因子を多分に含めるべきだ、またそういうものは含まし得られるのだ、ただそこへ三分の一ということが出て、これが役員あるいはその業者でよろしいということが、政務次官の説明にありましたように、これは一つの民間放送事業としての関係において、またその事業者が審議会の委員の中に三分の一くらいいても、聴取者代表といったような性格に大きく欠けることもなかろう、こういう意味も含んでおりますと同時に、もう一つ、番組審議会というものはその放送番組、放送されるそれらのいろいろの放送に対して聴取者あるいは聴視者から常に批判をされる、こういう立場に置かれるものだと思います。もしも悪いあるいは低俗な放送が行われたといたしますならば、これは番組審議会あるいは審議機関が批判を受ける、また大きく反省をしなければならぬ。こういうことが繰り返し行われていくということになれば、自然これは聴取者第一の考え方を持たなければならぬ、こういう責任も大きくそこに出て参りましょうし、まあそういったこともあわせ考えまして、番組審議機関というものは聴取者代表という一つの使命を、そういう感じをその中に十分含めていかなければならぬ、こういう考え方であります。ただ、その三分の一経営者を入れたということ、これがそういう目的が達せられないのじゃないか、全然それを入れなければより理想的なものだ、これは金丸委員の御所見と同感でございますけれども、しかし民間放送といったようなものはやはり放送会社そのものにおいても番組審議機関の中に三分の一くらいはこれをはめてもいいじゃないか。それによって聴取者代表といったようなファクターが全然失われるわけでもないじゃないか。そうして過半数に足りない三分の一。三分の二の者はそれ以外の中立性ないしは聴取者代表という気持でやらなければ番組審議会の審議機関の使命が達せられない、やはり常に聴取者の批判を受け、そのできふできにおいて自分たちが大いに次の番組の編成に当って、あるいは番組の内容について、そうした現実からしてだんだんいいものができ上っていくのじゃないか、こういう考え方であるわけであります。三分の一を業者から、あるいは役員から入れるということがあくまでもどうもまずいという御所見であれば、この点については、私どもは三分の一程度であればよろしくはないかという考え方と対立をする、こういうことになるのではないか。しかし今申し上げましたような、私ども政府といたしましては、この番組審議機関というものはある意味における聴取者代表という形に作り上げるべきだ、こういう考え方でございます。
#128
○森本委員 議事進行について。先ほど私ちょっと言ったら、大臣が言い返して怒ったようなことですが、今の審議会の問題について金丸委員の質問しております要点は、この審議会の委員は民間放送事業者においては三分の一が業者ということ、これについても疑義がある。しかしあとの委員の選任については学識経験者ということにしぼられておって、あと何らつけておらない。それは業者が選任をするということは勝手である。だから、あとの委員等については具体的にどういう方法において選任するか、どういう階層から選任するかという具体的な事例をあげて説明を願いたい、こういうことを質問しているわけです。その質問に的確に答えられないとするなら、あとからまた金丸委員からいろいろそれについても批判の質問が展開されていくと思うのです。だからその質問の要点が那辺にあるかということを聞いて、それに対するところの答弁をもっと具体的に明確にやってもらいたいと思うのです。ここでは単に学識経験者だけということになっておって、これは非常にぽかされているわけです。そういうことになれば、もう一般放送事業者が学識経験者の中からどんな者を選んできてもかまわぬ。だからそういう法令のこまかい内容なるものを聞いているわけです。それから、答弁によってはおそらく金丸委員からその答弁に対する質問が出てくる。そしていろいろな質疑応答を重ねた上において、今度はいい悪いという議論が出てくると思うのです。
#129
○寺尾国務大臣 私も金丸委員がそのような御質問をしたことは記憶しております。しかし先刻来、番組審議委員の選任についてはいわゆる学識経験者の中からNHK及び一般放送事業者ともに自主的にこれを選ぶ、こういうことであって、別にこれに対しては政府としては規定なり、これをどういう形で選ぶとかいうような制肘などは一切つけておりませんし、さようする考えはございません。
#130
○金丸(徳)委員 そういうふうなお考えですと、せっかく大臣が放送法の改正によって念願されておるところの、自主性を保ちながら、しかも公共の福祉に寄与するということはなかなかむずかしいんじゃないかと思うのです。むしろこういう規定がない方がよかったのじゃないかというような結果にならんことを私はおそれるのであります。せっかくこういう規定を設け、しかも先ほどからのお話を承わっておりますと、放送内容の向上ということが今回の改正案の主眼点であると強く言われておる。そうしてみますと、その主眼点を実行するところの具体的な審議会委員選任のことについてはずいぶん深刻に検討なさって、世間から納得されるような方法が講ぜられなければならない。ところが、今承わっておると、非常にその点があいまいなのであります。今までも私どもの経験によりますと、委員の選任というものがとかく選任する方の勝手にまかされることによって、先ほどはスポンサーに対する防波堤だと言われたのでありますが、逆に聴取者に対する防波堤にならぬとも限らない。その人の個人的な意見があたかも聴取者の意見を代表するかのごとくに放送事業者に打ち込まれたならば、これは結果は逆になると思う。ですから、その点がはっきりしなければ、この規定のよしあしは言えないのです。その点をここで、もしお答えができない、今までまだ構想を練っておられないとするならば、あしたまででもよろしいから、こういう方法で、こういう態度でこうするのだ、だからこの委員会というものは聴取者の代表としてまさに信頼していいのだ、ということに持っていってほしいと思います。その点をお願いしまして、私はもう大へん時間が過ぎてしまいましたが、もう一点だけごく簡単にお尋ねを申し上げますから、簡単にお答えをいただきたいのであります。
 今度のこの規定改正によりまして、NHKに対しましても、また民放に対しても、ある程度の負担をかけることになってくる。ことにNHKに対してはいろいろの調査項目を言いつけ、いろいろの制約といいますか、負担をかけておるのでありますが、これらに対して政府は何らかの補償の対策といいますか、この犠牲をかけっぱなしということであるのかどうか、その点についての御用意、お心がまえというものをお伺いいたしたい。
 もう一つは、民放に対してもいろいろと規制をいたすことになっておるのでありますが、これらに対してどういうふうな態度をお持ちになっておられますか、用意をお持ちになっておられますか、お伺いいたしておきます。
#131
○寺尾国務大臣 これは私はNHKに課せられたる大きな使命、これにかんがみまして今回の放送法の改正をし、あるいはその業務量を拡充いたしましたことも、あるいはまたその他の財務あるいは機構の整備をいたしましたことも、NHKの使命を完全に果す上に当然なさなければならない問題としてこの修正をいたしたのでありますから、これを修正をしたから、この放送法を改正をしたから、そのふえた分はNHKにこういうふうにしてやろうということは何ら考えておりません。
 民放の方も、これはNHKと同じだという意味じゃありませんけれども、民放においても同じく第一条に非常な放送事業者としての高い使命を盛っておる。しかもその放送はよりりっぱな放送を行なっていかなければならないのだ、聴取者に対する責任というものが非常に大きく、公共の福祉に適合するように、こういったような規定からいたしましても、民放もこの改正案に対しては当然民放として行わなければならない、いわゆる民放の責任だということからいたしまして、民放に対しましてもそういったような措置は何らいたしておりません。
#132
○金丸(徳)委員 およそ人に善を課する、人の行為のいいことを望むとするならば、こちらもある程度の用意をしてかからなければいけないのではないかと思うのです。なるほどNHKは大きな使命を帯びて、その使命を完全に遂行せんがために努力はしておりまするが、しかしそれは気持の点でありまして、なかなかないそでは振れないという言葉もあるように、ある種の負担をするということについては、それについてやはり何かの措置、方法を講じなければ、やがてどこかに破れが生じ、無理が出てくるのではないか。それが結局放送番組の低下とでもなりまするか、そういうことになっていって、せっかく放送内容の向上をはかるということとはうらはらの結果を生ずるということになりましょう民間放送などにおいては、私はことにそれが顕著に現われてくると思います。たとえば今度の教育放送などにつきまして、学校向けの放送については広告を入れてはならないという規定がどこかにあったように思いまするが、これだけの規定をまじめに守ろう、そうして調整されたる基準によってやろうというようなことになりますと、ここに思わざる負担といいまするか、あるいは収入減が生じて参って、いかに放送内容の向上をはかろうとしても力これ足らずということで、結果としては大臣の御希望に沿いかねる、逆に進むというようなことにもなりかねないのであります。そういうことについて、何か用意なり心がまえというものがなければならないように思う。これはさしむきどうということではないにいたしましても、やがてはそれが無理となって現われてくることを私は今から予想しておかなければならないように思います。もう一度お伺いしたい。
#133
○寺尾国務大臣 そういったような御意見も、私にもある程度わからないではないのであります。しかし私は結局放送番組が低俗化するというようなことは、かえってその社のいわゆる声望を落し、あるいはスポンサーもこれから離れる――まあ民間放送業者について申し上げます。やはりこれは教養教育番組等も十分自主的にそのようなものを織り込んで、よりよく番組を編成するという、この改正法に示したような方向に進むことがむしろその会社が隆昌する、あるいは聴取者から、国民から大きな期待をされる、こういうことになるべきだ、またなるということを私は確信を持っておるのでありまして、今回の改正案等からいたしましても、私は、民間放送等についてはそれほど大きな負担がかかる、あるいはよけい費用がかかるといったような点は見出せないのじゃないか、かように考えております。
#134
○金丸(徳)委員 今の言葉じりをつかまえるようで悪いのですけれども、それほど大きな負担をかけないと言われます。なるほど、たとえば学校放送というものも、広告のなにを抜いてしまったからといってそれほど大きな収入減が出てこようとも思いません。しかしながら、減になることは確かだ。そういう規制がなかりせば得られるであろう広告料が入らないわけですから、それはもう確かに減ることはある。そういう減ることに対してほったらかしておくということが、やはり何か低俗化に走る。そんなことになっては全体的によくないといえばそれまでですが、現に広告をとらんがために低俗の放送あるいはテレビをあえて出すという例もあるわけです。そういうような穴を作ってそのままにしておくこと自体がよくないのではないかということをお伺いするわけです。それほど大したことはないということではなくて、こういう法律を作る場合の用意としての気持をお伺いしておるわけであります。
#135
○寺尾国務大臣 金丸委員の御指摘も、実際問題として、今後の民間放送あるいはNHKなどの運営をしていくその途上におきましては、いろいろな点も起ろうかと思います。しかし今回の改正案によって、たとえば民間放送の事業者が特に負担になるということは考えられないのではないか。従ってこうした一つの改正案が示すところによってりっぱな放送を続けていくならば、私は十分民間放送としての成果を上げ得られるのではないか、信頼を聴取者から得るのではないか、さように考えております。
#136
○金丸(徳)委員 なお進んではっきりこまかい個条の疑点について伺いたいのでありますが、あまり長くなりますので、後日機会がありますれば行うことにして、きょうはこれにて私の質問は打ち切らせていただきます。
#137
○淺香委員長 次会は明三十日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後三時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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