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1958/11/04 第30回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第030回国会 商工委員会農林水産委員会社会労働委員会連合審査会 第1号
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1958/11/04 第30回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第030回国会 商工委員会農林水産委員会社会労働委員会連合審査会 第1号

#1
第030回国会 商工委員会農林水産委員会社会労働委員会連合審査会 第1号
昭和三十三年十一月四日(火曜日)
    午前十時二十六分開議
 出席委員
  商工委員会
   委員長 長谷川 四郎君
   理事 小川 平二君 理事 小泉 純也君
   理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君
   理事 加藤 鐐造君 理事 田中 武夫君
   理事 松平 忠久君
      新井 京太君    岡部 得三君
      岡本  茂君    鹿野 彦吉君
      菅野和太郎君    木倉和一郎君
      久野 忠治君    坂田 英一君
      始関 伊平君    中井 一夫君
      野原 正勝君    細田 義安君
      渡邊 本治君    板川 正吾君
      今村  等君    内海  清君
      大矢 省三君    勝澤 芳雄君
      小林 正美君    鈴木  一君
      中嶋 英夫君    水谷長三郎君
  農林水産委員会
   理事 丹羽 兵助君 理事 本名  武君
   理事 日野 吉夫君
      安倍晋太郎君    倉成  正君
      田口長治郎君    高石幸三郎君
      永田 亮一君    濱地 文平君
      松岡嘉兵衛君    八木 徹雄君
      井手 以誠君    角屋堅次郎君
      神田 大作君    栗林 三郎君
      實川 清之君    中澤 茂一君
      中村 時雄君    西村 関一君
      芳賀  貢君    松浦 定義君
  社会労働委員会
   委員長 園田  直君
   理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君
   理事 田中 正巳君 理事 八田 貞義君
   理事 藤本 捨助君 理事 小林  進君
   理事 五島 虎雄君 理事 滝井 義高君
      加藤鐐五郎君   河野 孝子君
      齋藤 邦吉君    谷川 和穗君
      中山 マサ君    柳谷清三郎君
      赤松  勇君    伊藤よし子君
      大原  亨君    多賀谷真稔君
      堤 ツルヨ君    中村 英男君
      八木 一男君    山口シヅエ君
      吉川 兼光君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 橋本 龍伍君
        通商産業大臣  高碕達之助君
        国 務 大 臣 三木 武夫君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (経済企画庁調
        整局長)    大堀  弘君
        通商正業政務次
        官       大島 秀一君
        通商産業事務官
        (企業局長)  松尾 金藏君
        建 設 技 官
        (河川局長)  山本 三郎君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (経済企画庁調
        整局参事官)  花園 一郎君
        大蔵事務官
        (主計官)   海堀 洋平君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長 ) 聖成  稔君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部水道課
        長)      田辺  弘君
        建 設 技 官
       ( 計画局下水道
        課長)     岩井 四郎君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公共用水域の水質の保全に関する法律案(内閣
 提出第三一号)
 工場排水等の規制に関する法律案(内閣提出第
 三二号)
 水質汚濁防止法案(赤路友藏君外四十六名提出、
 衆法第三号)
     ――――◇―――――
    〔長谷川商工委員長委員長席に着く〕
#2
○長谷川委員長 これより商工委員会、農林水産委員会、社会労働委員会連合審査会を開会いたします。
 慣例により私が委員長の職を勤めます。
 公共用水域の水質の保全に関する法律案、工場排水等の規制に関する法律案及び水質汚濁防止法案の三案を一括して議題といたします。
#3
○長谷川委員長 それでは十二時三十分まで休憩をいたします。
    午前十一時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時五十六分開議
    〔長谷川商工委員長委員長席に着く〕
#4
○長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 休憩前に議題といたしました三法案について審査を進めます。
 公共用水域の水質の保全に関する法律案について趣旨の説明を求めます。企画庁長官三木武夫君。
#5
○三木国務大臣 ただいま議題となりました公共用水域の水質の保全に関する法律案の提案理由並びにその要旨について御説明申し上げます。
 近時都市人口の増大、鉱工業の急激な発展にもかかわらず、都市下水道の整備が著し(立ちおくれ、工場事業場等においても汚水処理施設の整備に欠くるところがありましたため河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他の公共の用に供される水域が年々汚濁され各種の問題が随所に発生するに至りました。
 すなわち、汚濁水の放流に起因して水産業等の関係産業に相当の損害が生ずる等の事例が年々増加する傾向を示しておりまして、この傾向をこのまま放置するときは、産業相互の協和を害し、均衡のとれた経済発展を阻害するだけでなく、これに起因して紛争等を惹起し、また公衆衛生の向上をも期しがたいと考えられるので、政府といたしましてはかかる事態に対処する措置として新たに本法を制定し、水質保全のために必要な基本的事項を定め、もって産業の相互協和と公衆衛生に寄与させようとした次第であります。
 以上が、この法律案の提案の理由であります。
 御承知のように欧米の工業先進国においては、すでに十九世紀以来水質汚濁の規制についてその対策が論議されており、わが国においてもさきに資源調査会から水質汚濁防止に関する勧告がなされ、その後引き続き、政府部内において複雑多岐にわたるこの問題について種々調査研究してきたのでありますが、このたび成案を得まして提出の運びとなった次第であります。
 次に本法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。
 第一に、水質基準についてでありますが、本法は各省所管の汚濁水規制に関する各種行政法規に対し所謂基本法的な地位に置かれるものでありまして、本法によってこれらの行政法規の運用統一をはかり、直接の取締りは各行政機関にゆだねることになるのでありますが、この運用統一の基本となるべきものが水質基準でございます。まず経済企画庁長官が公共用水域のうち汚濁による相当の被害が生じまたは生ずるおそれが高い一定の水域を指定水域として指定し、当該水域について本質保全上必要であるとともに具体的に順守可能な水質基準を定め、工場排水等の規制に関する法律(今国会提出)鉱山保安法、下水道法等の主務大臣がこの基準によって現実の取締りを行い、これによって本法の目的とする水質の保全を実現しようと期している次第であります。なおこの基準は公共用水域の水質の保全をはかるための行政上の基準でありますので、当事者の民事上の免責規定ではないのであります。
 第二に、水質審議会についてでありますが、経済企画庁の付属機関としてこの審議会を設け、指定水域の指定、水質基準の設定等の重要事項についてはこの審議会で慎重審議の上決定することといたしております。なお水質保全に関しましては地下水の汚濁等今後の研究に待つべき課題も多々あると考えられますので、公共用水域及び地下水の水質の保全に関する基本的事項を水質審議会の所掌事務に掲げ、今後の施策の検討の場といたした次第であります。
 第三に、水質汚濁による被害に関する紛争についてでありますが、この種の紛争は近来各地にしばしば見受けられているところでありますが、解決に迅速を要し、また判定に専門的知識を要する等、本来裁判制度になじまない性格を有するため、ややもすれば両当事者間の力関係に支配され、必ずしも合理的な方法で解決を見ているとは言いがたいものがあります。これを放置するときは、産業相互間の協和を害するのみならず社会問題化するおそれなしとしないので、水質保全行政の一環として本法に、都道府県知事による和解の仲介制度を設け、紛争処理を合理的な軌道に乗せようとはかったのであります。
 最後に、本法の施行に伴い経済企画庁において関係行政機関の水質保全行政を調整する等の必要を生じますので、附則において同庁設置法の一部を改正し、関係条文の整理を行なった次第であります。
 以上、公共用水域の水質の保全に関する法律案の提案理由並びにその要旨を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
 なお、本法と並行して工場及び事業場に対し、直接の規制を行う工場排水等の規制に関する法律案が同時に上程されたことを一言つけ加えておく次第であります。
    ―――――――――――――
#6
○長谷川委員長 次に、工場排水等の規制に関する法律案について趣旨の説明を聴取することといたします。高碕通商産業大臣。
#7
○高碕国務大臣 ただいま議題となりました工場排水等の規制に関する法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。
 近年における鉱工業の発展に伴い、工場事業場から排出される汚水に関し各種の問題が発生し、放置を許さない事態に立ち至っております。この問題は、わが国産業構造の高度化に伴う農水産業等の第一次産業と鉱工業等の第二次産業との間における不幸な避くべからざる摩擦現象でありますが、わが国経済の調和のとれた発展をはかるためには、一面において鉱工業の振興対策を強力に推進しなければなりませんとともに、他面その発達過程における他産業ないしは公衆衛生の分野に対するその悪影響をできるだけ軽減しつつその目的を遂行することが必要であることは言を待たないのであります。
 政府といたしましても、水質汚濁防止に関しては、関係各省が相集って数年来検討を続けて参ったのでありますが、本年九月ようやく意見の一致を見たのであります。その案によれば、経済企画庁長官が、各方面の学識経験者及び関係行政機関の職員よりなる水質審議会の議を経て、保護すべき水域を指定し、その水域に適用される水質基準を設定するとともに、他方、工場、事業場、鉱山、下水道等に対しましては、それぞれの主務大臣がこの水質基準を順守せしめるよう法的措置を講ずることとなったのであります。
 この決定に従いまして、経済企画庁においては、その担当すべき部分を実施するため、公共用水域の水質の保全に関する法律案を立案し、今国会に提案いたすこととなったのであります。この法律による水質基準の適用を受けますものとしては、工場事業場のほかに鉱山、下水道、水洗炭業等々があるのでありますが、鉱山、下水道、水道洗炭業等につきましてはすでにそれぞれの規制法律が制定せられておりますので、今回いまだ取締り法規の定められていなかった工場、事業場について、その主務官庁たる大蔵・厚生・農林・通商産業・運輸の各省が共同してこの工場排水等の規制に関する法律案を立案し、前述の経済企画庁立案の法律案と相呼応して、主務大臣に課せられた責務を完遂するための体制確立に万全を期したい所存であります。
 本法案の主要なる内容は次の通りであります。
 第一に、この法律は、経済企画庁において定める水質基準の具体的適用範囲のうち製造業・ガス供給業及びこれらに類する事業に関する分野における事業活動に伴って発生して参ります汚水等の処理を適切にすることによりまして、公共用水域の水質の保全をはかることを目的としております。
 第二に、この法律は、製造業等の用に供する生産施設のうち汚水等を発生するものを政令で特定施設として指定し、およそ特定施設を設置している者は、その特定施設から排出される汚水等の処理を適切にし、公共用水域の水質の保全に心がけるべき旨を明示しております。
 第三に、工場排水等を指定水域に排出する者については、特定施設の設置、変更を行う場合、あるいは、特定施設の使用方法ないしは汚水等の処理方法の変更を行う場合において、事前に主務大臣にその計画を届け出ることとし、主務大臣はその計画が工場排水等を水質基準に適合させるものであるかどうかを検討し、もし問題があれば、汚水等の処理の方法の計画の変更を命じ、さらには特定施設自体に関する計画の変更、廃止等を命じ得ることとしたのであります。
 なお、新たに指定水域が定まった場合、あるいは新たに特定施設が定まった場合等においては、既存の特定施設を設置している者については、経過措置としての届出をさせることとし、実態把握に遺憾のないようにいたしております。
 第四に、現に指定水域に排出されている工場排水等が、その水域の水質基準に適合していないときは、主務大臣は、その工場排水等を排出する者に対し、汚水等の処理方法の改善、特定施設の一時停止、その他必要なる措置をとるべきことを命令することができることとし、常に水質汚濁の事実が発生しないよう取り締り得る根拠としたのであります。
 第五に、特定施設を設置する者に対しまして、以上のように公共用水域の水質を保全する義務を課しましたにつきましては、その義務の履行を容易にして、本法の実効をあげるため、汚水処理施設に対する固定資産税を免除するとともに、国として汚水処理施設の設置または改善につき必要なる資金の確保、技術的な助言その他の援助に努めることとし、さらに主務大臣は、適切な汚水処理技術の研究およびその成果の普及に努めるものとしたのであります。
 以上が、この法律案を提出する理由であります。
 何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
    ―――――――――――――
#8
○長谷川委員長 次に、水質汚濁防止法案について提出者より趣旨の説明を聴取することといたします。日野吉夫君。
#9
○日野吉夫君 ただいま議題となりました水質汚濁防止法案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
 申上げるまでもなく、水は国民の生活にとって最も重大な関係を持っており、水質の管理が正しく行なわれるかいなかは、国民の生存と産業の発展にとって、絶大な関係を持っております。国民の福祉のためには、飲料水は清浄にして病源菌及び有毒物質を含まず、魚貝は良好な生活環境を与えられ、農作物は良質の灌漑水に恵まれるよう管理されねばなりません。工業の発展もまた、良質の工場用水を得るかいなかによって左右されること論を待たないのであります。
 しかるに、国民の繁栄と福祉にとって至大な関係を有する水質管理の重要性がほとんど無視され、公共用水域が汚濁するにまかされているのがわが国の現状であるのであります。ことに、戦後の都市人口の飛躍的な増大、各種工鉱業の急激な復興発展に伴い、これら関係施設から排出される汚水、廃水等の量が著しく増大し、農水産業はもとより、公衆衛生に及ぼす被害が激増し、これら排水等の放出をめぐる紛争が年とともに激化していることは、最近発生いたしました本州製紙問題、富士フイルム工場の汚水放出による酒匂川のアユ全滅問題を初め幾多の事件が示す通りであります。
 以上のように、水質汚濁にもとづく被害が続出し、それにかかる紛争が激化するにつれ、水質汚濁の防止並びにこれにかかる紛争の解決の急務が痛感されるに至ったのであります。
 この法案は、このような事態にかんがみ、水質管理を実現し公共用水域における水質の汚濁を防止するとともに、工場、事業場から排出される廃液等にかかる紛争に関し、あっせん、調停及び仲裁を行うことによって公衆衛生の向上と水資源及び水産資源の保護をはかり、あわせて工場、事業場から排出される廃液等にかかる利害関係者の利害の調整に資することを目的として立案いたしたものであります。
 内容を簡単に御説明申し上げますと、まず第一に、効果的に水質汚濁の規制を行うために次のような措置をとることといたしておるのであります。その一は公共用水域のうち、公衆衛生の向上と水資源及び水産資源保護の見地から水質の清浄を確保する必要がある水域を、その水域の汚濁に密接な関係を有する地域とともに、水質汚濁規制区域として指定することといたしております。
 その二は、水質汚濁防止委員会は、前項の規制区域を指定いたしましたときは、関係行政機関の意見を聞いて、当該規制区域にかかる水質汚濁許容基準を定め、これを官報で公示しなければならないことといたしました。同時に、規制区域にかかる水質汚濁許容基準を定めたときは、水質汚濁防止委員会は、当該許容基準に基いて当該区域内の工場、事業場で水質汚濁防止委員会規則で定めるものから、規制区域内の公共用水域に排出される廃液等の汚濁度の許容基準及びその適用期日を定め、当該工場、事業場の事業主に指示するとともに、これを公表しなければならないことといたしておるのであります。
 その三は、前項の指示に不服がある場合は、その指示を受けた日から三十日以内に、委員会規則の定める手続に従い、異議の申し立てをすることができることとし、申し立てがあった場合は、水質汚濁防止委員会は、申し立てのあった日から三十日以内にこれについて決定し、これを申立人に通知せねばならぬことを規定いたしておるのであります。
 四は、この法律の規定により廃液等許容基準が定められた工場、事業場主は、廃液等許容基準の適用期日以後は、当該廃液等許容基準を越えて廃液等を規制区域内の公共用水域に排出してはならないことといたしたのであります。そして事業主がこの項の規定に違反したときは、当該事業主に対し、期間を定めて除害施設の設置または改善その他の措置をとるべき旨を命ずることができることと規定いたしたのであります。
 五は、水質汚濁防止委員会は、前項の命令をする場合、廃液等による被害が特に著しいと認めるときは、当該事業主に対し、同項の命令にかかる措置がとられるまでの間、事業の全部または一部の停止を命ずることができるようにいたしておるのであります。
 六は、規制区域内において、委員会規則で指定する事業を新規に開始しようとするものは、あらかじめ、その廃液等の処理方式につき水式汚濁防止委員会の許可を受けなければならないことといたしました。従って、これらの事業主は、その許可を受けた後でなければその事業を開始してはならないわけであります。
 その七は、清掃法、下水道法その他、この法律に含めることのできなかった法律並びにこれらの法律を実施するための命令の実施を所掌する行政庁は、法令の規定により、規制区域にかかる廃液等の排出を許可し、命令しまたは、制限しようとする場合は、当該規制区域につき定められた水質汚濁許容基準によらなければならないことといたしました。この規定にもかかわらず、なお、規制区域内において、水質汚濁許容基準に適合する水質を確保するため必要があると認めるときは、水質汚濁防止委員会は、行政庁に対し、必要な措置をとるべき旨を請求することができることもあわせて規定いたしたのであります。
 第二に、パルプ工業、製紙工業、繊維工業、澱粉工業、醸造業その他、その事業の性質上有害な廃液、汚水又は固形物を排出する事業で、別に法律で定めるものの工場、事業場の事業主は、その業務上排出する廃液、汚水又は固形物によって他人に損害を与えたときは、その損害を賠償する責に任ずることとし、いわゆる無過失賠償について規定いたしたのであります。
 第三に、紛争の処理についてでありますが、次のように規定いたしました。
 一、まず、あっせん、調停についてでありますが、工場、事業場から排出される廃液等による被害に関して紛争が生じたときは、関係当事者は、委員会規則で定める手続に従い水質汚濁防止委員会に対し、紛争の解決につき、あっせんまたは調停を申請することができるとともに、右申請があったときは、委員会は当該紛争の解決につき、あっせんまたは調停をしなければならないことといたしました。あっせんまたは調停は、当事者の一方の申請によっても行いうるようにいたしたわけであります。
 なお、あっせんまたは調停は、委員会規則の定めるところにより、その指定する水質汚濁防止委員会の委員若しくは特別委員または水質汚濁防止委員会の事務局の職員がこれを行うこととなっておるのであります。
 二、仲裁の申請は、双方、合意によらねばならないこととなっております。これは水質汚濁防止委員会の行う仲裁については、この法律に別段の定がある場合を除いて、仲裁委員を仲裁人とみなして民事訴訟法第八編の規定を適用することとし、その効力を一段と強めることといたしたことによるものであります。
 なお、水質汚濁防止委員会による仲裁は、三人の仲裁委員がこれを行うこととし、そのうち少くとも一人は、弁護士法第二章の規定により弁護士となる資格を有する者でなければならないと規定されております。仲裁委員は、水質汚濁防止委員会の委員または特別委員のうちから選ばれることになるのであります。
 第四に、以上の主務官庁として、国家行政組織法第三条第二項の規定に基いて、総理府の外局として水質汚濁防止委員会を設置することにいたしました。そしてこの委員会が強力な水質管理機能を発揮することができるよう、現在関係各省に分有されております水質管理、汚水防止に関する権限をできる限りこの委員会に統合することといたしました。なお、この委員会には強力な事務局を置き、全国八ブロックに地方事務所を、各都道府県に出張所を置くことになっております。
 第五に、水質汚濁防止の完璧を期するため、除害施設に対する助成を行うことといたしました。すなわち、国は、規制区域内の工場、事業場の事業主に対し、当該工場、事業場の除害施設の設置または改善に要する経費の一部を補助し、または当該設置または改善に要する資金の融通についてあっせんをすることができるよう規定するとともに、他方で地方税法及び租税特別措置法の一部を改正して、除害施設に対する固定資産税の免除及び除害施設に対する特別償却の措置を規定いたしました。
 第六に、この法律の厳格な実施を保証するために、罰則を規定し、正直者がばかを見ることのないよう配慮いたしました。
 以上が、本法を提出するに至りました理由及び法案内容の説明であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたす次第であります。
#10
○長谷川委員長 以上で趣旨の説明は終りました。
 次に質疑の通告がありますので順次これを許します。田口長治郎君。
#11
○田口委員 この水質の問題は、第一次産業、第二次産業との問題ばかりでなしに、工業自体におきましても、また環境衛生方面からいたしましても、非常に重大な問題と思うのであります。私、先般大阪府の神崎川付近を視察してきたのでございますが、あの付近の工場は、すべて工場排水を神崎川に求めまして、そうしてあれだけの発達をしたのでございますが、今日におきましては自分の工場から出した廃液によりまして、あの神崎川の水がすっかり汚染をしてしまいまして、工場用水としては使えないことになっている。やむを得ず地下水を取って工場用水にしておる次第でございますが、この地下水をたくさんくみ上げるために地面沈下の問題が起りまして、あそこに今行ってみますと、海面下に煙突だけがあって、工場はつぶれてしまっておる。水の下に工場があって、煙突だけが水面の上にある、こういうような状態でございました。この地面の沈下は毎年おそらく四、五寸ないし六、七寸程度沈下しつつあると思うのでございますから、あのままに放任しておかれるというと、あの区域の工場というものは全部海水面下に沈下してしまう。こういうような実情を見ましても、工場排水の問題が工業自体に大きな問題を将来残すという、そういうような実例も出ております。また兵庫県加古川方面に行きますと、小さなわずか一つのパルプ工場が上流にありますために、下流数十里の間というものは、農業も水産業も困っておるばかりでなしに、その沿線の住民が水浴もできない、こういうような状態になっておるのでございまして、かような観点からして、原始産業との関係はもちろんでございますけれども、工業自体あるいは環境衛生の問題等から考えても、非常に広範な重大問題を起しておる。何とかこの水質汚濁防止方法を講じてもらいたいということは、国民大多数の多年の要望であった次第でございますが、ここにようやくこの成案を得られて本国会に提案される運びになりましたことにつきましては、まことに喜びにたえない次第でございます。ただ、今提案されております内容につきまして二、三、はっきり上ない点がありますので、その点について私、政府の所見を承わりたいと思うのでございます。
 その一点は指定水域の問題でございますが、私らの調査によりますと、今水質問題でいろいろ紛争を起しておるこういうような場所が、全国的に三百カ所ないし四百カ所程度あると思うのでございますが、この指定水域というものは全国で一体何カ所程度指定されるつもりでございますか。その一点をまずお伺いいたしたいと思います。
#12
○大堀政府委員 提案されました法律案によりまして指定いたします水域の数でございますが、指定水域を定めますと同時に水質の基準も定めなければなりませんので、指定いたしますについて相当データを集め、具体的に検討し、また技術的なスタッフも相当にそろえて参らなければなりません。従いましてこの水域の指定は、一挙に全国多数の河川を実施いたしますわけに参りませんので、第一年度には当面おもな河川約六河川程度を予定いたしております。しかしながら私どもとしましては、能力の許す限りにおいてはできるだけすみやかに、おもな河川については逐次指定を進めて参りたい、かように考えております。
#13
○田口委員 どの程度指定区域を作るかという成案がないようでございますが、この法律案によりますと、指定したところには水質基準を設定しなければならぬ、こういうようなことになっております。この水質の基準を設定されますのは、これはなかなか厄介なことでございまして、少くとも、わずかの個所でもおそらく四年か五年かかるのではないかと思うのでございます。この点から考えますと、この法律により指定される水域というものは、ごくわずかでないかと考えるのでございますが、わずか指定されました場合に、現に紛争が起っておる水域で指定をされないところは、一体どういうような処置をされるか、その点お伺いいたします。
#14
○大堀政府委員 ただいまのお尋ねは、指定水域と紛争との関係についてのお尋ねかと思うのでありますが、私どもの考え方では、指定水域外での紛争の仲介につきましては、広く指定水域外といえども規定できるわけでありますから、その場合に水質基準は定まっておりませんけれども、仲介の申請がございました場合に関係都道府県知事は、関係行政機関に対して紛争の仲介に必要な技術的データなり、技術的資料の提出を要求する権利を認めておるわけでございます。その意味におきまして、私どもといたしましては関係行政機関は、紛争の仲介に必要なデータの提出あるいは技術的判断の提供等について協力をする義務を負う、それによりまして具体的に善処しておるわけであります。
#15
○田口委員 私が尋ねておりますることは、紛争が起ったそのときの問題でなしに、この指定された水域に水質基準を設定される、指定されないところではこの水質の基準がないのでございますから、この指定されざる水域におきましては、何でも工場排水等流出してよいかという問題でございますが、どうですか。
#16
○松尾(金)政府委員 ただいま御指摘のございました点は、基本法であります水質保全法によりまして、指定水域がきまる。従って水質基準がきまる以前において、そういう場所において具体的にどういう方法がとられるのかということでありますが、これは今申しました基本法である水質保全法に基きまして、工場排水法がこれを受けてその実施に当るわけでありますが、その実施法におきましても基本的な建前はやはり水域がきまり、水質基準がきまってから、本格的ないわゆる法律的な拘束力のある運用をする建前になっております。しかしながら、今御指摘のありましたように、そのような正式の法律的な手続が済む以前において問題があることを当然想定をいたしまして、工場排水法の第三条におきまして、いやしくもきたない水を排出するおそれのあるような施設を持つ工場は、当然汚水の処理等につきまして、十分その注意義務を課してございます。それによって、きたない水を出さないようにという一般的な義務が課せられております。同時にまた、同じく工場排水法の第十五条におきまして、そのようなものに対しましては指定水域にないものについても、それぞれの大臣が報告を徴収し得るようになっております。その報告徴収権によりまして、指定水域外の工場につきましてもその水域の排水を出しておる状況、またはその処理状況等を実態把握いたしまして、そのような実態把握の上に、先ほど申しました一般的な義務の規制に基きまして、その工場が汚水の処理を怠らないように、また排水を無制限にやらないように十分行政指導をなし得るような足がかりを、すでに法律の中に用意してございます。こういう実情でございます。
#17
○田口委員 この工場排水等の規制に関する法律の適用水面は、建前としては指定水域ではないのですか。今私が聞いておりますのは、指定水域外の水域においての工場排水はどうされるかということです。
#18
○松尾(金)政府委員 私ただいま申しましたのは、指定水域につきまして、指定水域基準がきまっておりますれば、法律上厳格な強制規定があるようになっております。排水法の方で最終的には罰則による強制規定が入っておりますが、しかしそこまでいかない以前の状態において、指定水域外におきましてもやはり工場は一般的に排水についての義務を課せられております。そのようなものについての報告を徴収して、罰則を伴うような強制ではございませんけれども、実態把握をして行政指導をなし得るように、法律の上でそういうような足がかりを準備をしておる。それはもちろん指定水域外についての問題であります。
#19
○田口委員 今まではこの水質の基準その他がありませんから、言いかえますと一般的には悪い水を出したらいかぬという観念がおそらくあるのに、これ以上の排水を流してはならないという国の基準ができたのですから、この基準のある水域ではそういうような観念になりましょうが、ここには基準がないから、ある程度の悪い水を流してもいいんだという観念になってしまいはしませんか。その点はどうですか。
#20
○松尾(金)政府委員 そういう点を、今御指摘のようなことになることをおそれまして、基本法である水質保全法等にも第二条で、何人も水質の保全に心がけなければならないという一般的な義務規定を設けております。さらに工場排水法の第三条におきまして、工場においては一般的に水質の保全に、心がけなければならないという義務を課しております。従来はこのような一般的な義務制限の法律がなかったのでありますが、今回の立法に当ってこのような義務を課したわけであります。従いまして、水質保全というような法律の強制力のあるものさしのできる以前におきましても、そのような規定に基いて汚水をむやみに流してはいけないというような行政指導ができるようになっているという点を、法律で用意しておるというわけであります。
#21
○田口委員 その点は重大でございますが、今御答弁されましたことを一つ厳格に実施されて、指定区域外の工場排水問題について一つ特別の御注意を願いたいと思うのでございますが、第二の問題といたしまして水質基準の設定でございますが、これは私がいつも申しておるのでございますが、技術的にこの水質の基準というものは設けられない。実際は設定できないものなんです。これは結局水温によって同じ濃度のものでも生物に被害が起る場合もありますし、また水温によっては起きない場合もある。あるいは河水の量によって同じ量を工場から出しておっても害を起す場合と害を起さない場合があるので、実際にはこの生物等にこの基準であれば害がないという基準はできない。従って私どもといたしましてはこの基準というものが一つの日本の水をきれいにするという努力目標だ、こういうふうに考えておるのでございまして、この努力目標に一時的には達せしめ、さらに第二次の努力目標を決定するのだ。そういう進み方でいかなければならないと思うのでございますが、これを法律として出します場合に努力目標ではどうも工合が悪い。従って一応むずかしい、不可能なことであるけれども水質の基準を設定する、こういうことにいかれただろうと思うのでございますが、しかしこの法律で水質基準を設定されても必ず被害が起る。この被害が起った場合に被害をこうむったものは泣き寝入りで処置ができないというふうなことになりますと、つまり言いかえると、無過失行為に対して賠償の責任がないというようなことに、これが追い込まれては非常に困るわけなんですが、私といたしましては、この法律のどこか一条にこれは無過失だけれども、賠償の責任があるのだ、こういうことを明示してもらいたいわけなんですが、今あなたの方ではその点を提案理由の説明に、なおこの基準は公共用水域の水質の保全をはかるための行政上の基準でありますので、当事者の民事上の免責規定ではないのであります。提案理由でこれだけ言っておるだけでございますが、その点は非常に重大でございますから、ここで一つ、さような無過失の行為であるけれども、しかし害を及ぼした場合においては、害を及ぼした人は当然に責任があるのだ、こういうようなお考えでこの提案理由に書いておられると思いますから、ここでその点をはっきりしてもらいたいのでございます。
#22
○大堀政府委員 ただいま御指摘ございました損害賠償責任の問題でございますが、提案理由に書いてございますように、ここにきめます水質基準は行政上の基準という意味でございまして、法律上責務を免責すると書かない限りは、常に民法上の本来の賠償責任の責めを免れないという法律解釈でございまして、ただ御指摘のように無過失の賠償責任ということになりますと、これは明らかに規定いたしませんと困難かと考えます。この点につきましては立法論の問題になるかと思いますが、たとえば工業法の例におきましても、かなり歴史的に長い経験がございまして、損害その他の内容も相当定型的でございますし、また特別の権利関係、権利が設定されて、立ち入りその他収用権あるいは所有権の下を黙って掘っていけるといったような特殊な権利が設定されておりますので、限定的な意味で、無制限ではありませんが、例外規定として無過失賠償規定を置いておるわけであります。工場、事業場の場合におきまして、自由に従来やっております、この場合におきましては、無過失責任化せしめますことは、ただいま申し上げましたように、被害の態様が非常に具体的に研究し尽されていない非常に変化の多い予想でございますので、そういった場合に無過失責任を規定いたしますことは、ちょっと法律といたしまして行き過ぎになるのじゃないかということで、無過失賠償責任の規定は入れますことは必ずしも適当でないと考えまして、書いてないわけでございます。
#23
○田口委員 今の御答弁は提案理由の説明に書いておられることと反対の答弁をしておられるようで、それでは非常に困るわけでございますが、結局あなた方のお考えでは、水質の基準をきめられた、これ以下のものであればこれは害がないのだ、そういうような観念であられるかもしれないと思うのでございますけれども、実際は必ず害がある。生物に害がない程度の厳格なる水質基準を設定されれば、今の工業は成り立たないことになる。やむを得ないから工業が成り立つ意味におきまして、甘い基準を作っておる事情でございますから、これでは必ず水産業あるいは農業等に被害を及ぼす。その基準を設定されたために被害をこうむった人に損害の賠償ができないようなことになっても非常に困るわけで、その点を救済することを行政庁といたしましても、はっきりと一つ考えておいていただかなければならぬ、さように考えるのでございますが、どうも先ほどの答弁では、その点がはっきりしないようでございますが、もう一回一つ答弁をしていただきたい。
#24
○大堀政府委員 提案理由に書いてございますことは、水質の保全をはかるための行政上の基準をきめておるものでございまして、当事者の民事上の免責規定ではないということを申し上げておりますが、この場合水質基準に限る。従って処置をいたしておりましても、ここに被害が出たという場合には、一般の罠法の原則によりまして、故意または過失によって損害を与えた場合賠償の責任がある。こういう一般の原則によって賠償の責任が発生しておる。こういうことに解しております。
#25
○田口委員 その点がどうもはっきりいたしませんが、かりにこれが訴訟になった場合、無過失行為だということがはっきりしている場合に、一体判決はどう下るか、あなた方のお見通しはいかがでございましょうか。
#26
○大堀政府委員 無過失賠償責任ということになりますると、これは法律上無過失の場合といえども、常に賠償の責任があるという規定がない限りは、直ちに賠償の責任はないと思います。ただ一般の場合には故意または過失の場合が伴っておるのであります。こういう業務上のことでございますと、その方の専門のお話でございますけれども、私どもとしましても相当故意と推定されるような場合が実際上多いのではないか、かように判断をしているもけであります。
#27
○田口委員 これはどうも大堀さん相手に繰り返しておってもしようがないですから、一応これはあとへ回すことにします。
 次に、この法律を運用いたしますのには、時々刻々河川あるいは工場から排出される水、また指定された河川、湖沼、あるいは沿岸水域等の水質を焔えず調査をしておらなければならぬと思うのでございますが、この法律を埠案されるにつきまして、この水質を調査する方法はどういうふうにお考えになっているか、あるいはこういうような機構で水質は時々刻々調査して」く、こういうような案を持っておられるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
 御承知の通り、日本の工場では社会的の道徳が低いためでありますか、いろいろ除害装置をしておりましても、だれも見ていないときには金のかかる除害装置を運用するということをしたいで、悪い水をどんどん流してしまう。こういうような傾向が非常に強いのでございますから、この法律を施行せられるためには、常に川あるいは工場からの排水をだれかが調査をした、その資料がなければ何にもならないことになるわけですが、この調査の機構その他についてはどういうような考えを持っておられますか、その点を一つお伺いいたしましょう。
#28
○大堀政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、一般的な問題といたしましては私どもの方で水質基準の作定は逐次やって参りますが、いずれ水質基準を作定しなければなりません。対象になるおもな河川につきましては調査の計画を定めまして、たとえて申しますれば五カ年計画といいますか、五年間に大体これこれの河川について基準を作定する。それについての段取りをあらかじめ行政庁といたしまして審議会の議を経て決定をして参りたい、かように考えておるわけであります。具体的なことといたしまして工場排水の規定に規定されました場合に、水の調査をしなければならぬという義務の規定も入っておるわけでございます。
#29
○田口委員 その調査はどこにやらせられるのですか。あなた方の方で水質の基準をきめられた、これ以上の悪い水は出してはいけないということがきまったとして、その水が、きょうこの工場からどういう水を流しておるかという調査は、だれにやらせられるのか。
#30
○松尾(金)政府委員 工場側におきましては、工場排水法の十三条によりまして、工場自身が水質の測定をやって、その記録をしておかなければならないようにいたしております。しかしこの場合におきましても、実際問題として工場側が非常に悪意にそのようなことを怠り、あるいはひそかに今御指摘のございましたようにきたない水を流すというようなことは、これはその工場側の自主的な良心だけに待つわけにいかない場合もあろうかと思いますが、これは御承知のように、鉱山保安のような場合におきましては鉱山監督官が常時パトロールをやって、それを監視しておるわけでありますが、同じように、工場につきましても、これは法律の実施に伴いましてそのような予算要求もいたしておるのでありますが、通産局なりあるいはその他を通じて、やはり常時ある程度の監視をやる必要があるということで、これは来年度の予算要求にも、この法律の施行を想定をいたしまして、そのような監視の機構もある程度考えており、両々相待って工場側の自覚と外からの監視と、両方で解決する以外の方法はなかろうと思います。
#31
○田口委員 今私が申しますように、日本の工場では、せっかく大きな金をかけて除害設備をやっても、しかしながらこの除害設備を使いますと、ある程度の経費がかさむということで、どうも視察に行ったときはりっぱに除害設備を運転しておりますけれども、だれも行かないときは、もうそういう設備を使わないで、どんどん廃水を水に流しておる。こういうような、道徳の非常に低い工場が大多数でございますから、その工場に、君のところから流す水はどういう水かという調査をさせ、そうしてそれを報告させられても、これは問題にならぬと思うのです。ですから、やはり権威ある機構をお考えになって、そうして、金はかがりますけれども、ここがこの法律の眼目でありますから、この調査ということだけは徹底をさせなければいかぬと思うのであります。ここで抜けてしまっては法律を作っても何にもならない。そこで、こういうような機構で、実はこんなふうに考えておるのだ、予算は今要求しようとしておるんだ、こういうような答弁でもなければ非常におかしいと思うのですが、この点を一つ、今からでもおそくないと思いますから、十分研究になって、この点で抜けないような、そういう処置をぜひお考えにならなければいかぬと思いますが、時間もありませんから突っ込んで申しません。
 それから最後に、工場排水の問題で今まで何十年と困ってきている問題は、各役所かセクショナリズムの思想で、どうも自分のところで所管をしている業者をかばうという傾向がありまして、非常にむずかしい問題であるけれども、手につかないで今日まで来たわけでございますが、これに対して私どもはこの問題だけは一つ国が統一して、今まで区々にわたっているものを一カ所で主として仕事に携わる、こういうような機構ができますれば、ほかのところはある程度不完全な法律でありましても、その点だけで大きなプラスになるというふうに考えるのでございます。いろいろ原省との関係もありましょうが、主として企画庁がこの仕事について当るということでございますが、各省との連絡官が三人や四人くらいおってこの仕事をやろうとしても、とても問題にならないのでございまして、実際に企画庁の行政機構としてのこの問題に対する具体的のことは、どんなふうにお考えになっておりますか、その点をはっきりしてもらいたいのでございます。
#32
○大堀政府委員 先ほどの第一のお尋ねの点につきまして説明が不足いたしておりましたので、補足申し上げたいと思います。
 私どもの水質の調査につきましては、現に予算といたしましても水質調査のために約千二百万円程度要求をいたしておりますが、一つの河川について約百カ所程度の地点を指定して、その百カ所について放流水をとりまして、これを試験研究機関において水質の調査をやる、こういうふうな考え方で、一年間二十四時間を通じて水質の調査を相当綿密にやらなければならぬと考えまして、そのために企画庁の職員を中心にして調査班を編成いたしまして、水質審議会その他の専門関係の協力も得、また地方現地の協力も得まして、相当突っ込んだ調査をいたして参るという考え方で計画をいたしておるわけであります。
 第二の点につきまして、ただいまの点と関係がございますが、私どもとしましては、この仕事は相当人手を必要といたしますので、この関係の職員といたしましても約五十名程度の人が全体として必要だと考えております。そこで機構といたしましてもこれが実施の衝に当られる責任のある機構にいたしたいと考えまして、水質保全部といったような機構を経済企画庁の中に置きまして、この実施に当るようにいたしたいと考えまして、目下大蔵省と話し合いをいたしている段階でございます。
#33
○田口委員 水質調査費が一千二百万円という話でございますが、それじゃ問題にならぬでしょう。おそらくその費用は、水質規準を設定されるための費用程度でも、そのくらいはかかると思うのでございますが、もう一度よくその点は研究してもらいたいのでございます。
 それからこの附則のところで経済企画庁設置法の改正をうたっておられるようでございますが、これに対して部の設置その他にちっとも触れておりませんが、これはまだ折衝中だからということなんですか、企画庁のそういう方針は決定しているんですか、その点どうなんですか。
#34
○大堀政府委員 ただいまの点は、本年度中は主として準備段階でございますので、現に水質審議会の予算もございますし、本年中は現在おります陣容で準備いたして、来年度からいよい上実行に入るわけであります。そのたあに来年度予算において、ただいま申し上げました機構を新しく設置いたしますために、必要な法律の改正も通常国会に提出するつもりで準備をいたしております。
 なお予算の点で先ほどちょっとお答えいたしましたが、それは水質調査費だけでございまして、むろんそのほかに人件費、それから一般の事務費、それから審議会の費用、あるいは仲介の費用、その他を合わせまして九千百万円と企画庁としては考えておるわけでございます。
#35
○田口委員 いろいろ問題がたくさんあるのでございますが、これ以上時間をとるといけませんから、私の質問はこれで打ち切ります。
#36
○中村(時)委員 関連質問。ただいま言われました九千百万円の予算の内訳、詳細なことをちょっと話して下さい。
#37
○大堀政府委員 水質保全の仕事のための一般の人件費、事務費が約四千万円、審議会の費用が三百二十万円程度、和解仲介、これは府県にやってもらうわけでございますが、それが三千五百万円、水質調査の仕事として千二百八十万円、大体それだけでございます。
#38
○中村(時)委員 肝心かなめの調査が千二百八十万円で、あなた自身これで十分なものと思って、この予算を編成しょうとしていらっしゃるのか、これをお聞きしたい。これで十分なものと思われるかどうか。
#39
○大堀政府委員 当面来年度実施いたします予算といたしましてはこの程度かと考えております。なお関係各省におきまして、この関係の予算としましては、事業の設備補助は通産省で十一億円、下水道の関係が六十六億円といったようなものが要求されておるわけであります。
#40
○中村(時)委員 私どもの考えでは、水質の調査をするだけでも相当な費用がかかると思うのです、まともにいって。実際にどの程度のものを汚濁としていくのか。あるいは工場の中で鉱山法によっていろいろやっておっても、その網をくぐっていろいろなことをやっている現実がたくさんあります。そういうようなことを考えた場合に、少くともこういうようなものだけでは私どもはまだまだ足りないだろうと思いますし、実際大蔵省としては、どういうふうに考えているか私どもも聞いてみたいと思っております。そういう意味で大蔵省の責任者を呼んでいただきたい。私は関連のために一応これで打ち切りますけれども、この点委員長に一つ御配慮を願いたいと思います。
#41
○長谷川委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#42
○長谷川委員長 速記を始めて。滝井義高君。
#43
○滝井委員 公共用水域の水質の保全に関する法律案並びに工場排水等の規制に関する法律案、この政府提出の二つの法律案について、重要な二、三の点について質問いたしたいと思います。
 日本における水質汚濁問題の発生は、ずいぶん古いことで、明治八年の足尾銅山における鉱毒放出以来多くの紛争を呼んだ歴史をもって色どられておる問題なんです。しかもそれが昭和の今日に至るまで依然として解決をせられずに、ほとんど放置をせられておる、こういう実態でございます。一方産業というものは非常に設備が拡大をせられ、技術革新が行われて、日進月歩の勢いで進んでおります。
 一方都市における人口の集中は過度になって、しかもその都市の過度な人口の終末的な処理をやらなければならない都市下水道の設備というものは、著しく立ちおくれておるわけです。従ってそういう大人口の集中する都市における終末的な処理の施設がおくれておるばかりでなくして、工場や鉱山や事業場から排出をされる廃液ないしは汚水というような処理の設備もきわめて不完全なものです。それらのものが一括をして流れ出ていくところは、究極は海でございましょうが、その過程においてわれわれ人間が生きていく大事な河川にそれが流れていく、こういうのが現在の実態でございます。それから水産資源の状態を見ても、年々これらの廃液ないしは廃水のためにその被害が増大をしておるわけです。一体政府はこういう二本の法律を出すことによって、たとえば水産資源だけに限っても、被害の増加傾向というものを、これで抑制することができると考えておるかどうか、こういう点まず三木企画庁長官の見解を伺いたいと思います。
#44
○三木国務大臣 今滝井委員の御指摘のように、下水道その他公共的施設の立ちおくれておることは言われる通りで、そういう点で、民間企業の発展に比しての公共施設の立ちおくれは、急速に是正しなければならぬ問題であります。従って、この法案も直ちに理想的なことには参りません。またそういうふうにすることが実情に沿うとは思いませんが、少くともこれ以上日本の公共水域を汚濁せしめないように、さらに進んではその水質の基準を高め、各産業間におけるバランスをとるようなことに持っていきたい、こう考えておるわけでございますから、今よりもよくしたいという意欲がこの法案提出の中にはある、こう考えております。
#45
○滝井委員 一応今度出ました二つの法律案の中には、今より被害を少くしたいという意欲がある。こういうことは、これによって紛争解決の糸口ができてくるだろうと思うので、われわれもそういう希望的観測は持っておりますが、どうも今度の法律を見ても、あとでいろいろ触れていきますが、その中におきまして、きめ手になるものがない感じがするわけですが、それは一応しばらく具体的なあとの質問に入るまでは、おくといたします。
 次には、今度の法律は公共水域の水質の保全をやる、すなわち汚水を防止することを中心としておりますが、そのほかに日本においては廃ガスとか煤煙とか、セメントの降灰という非常にたくさんないわゆる公害というものがございます。もちろん音などは軽犯罪法や騒音防止法などで何とかなってきつつありますが、今言ったような煤煙とかガスあるいは降灰とかいうようなものについては何ら措置が加えられていない。政府は一体この汚水の問題を処理したならば、次の段階では産業公害を防止するための公害防止法とでも申しますか、そういうようなものをどう考えておられるのか。昨年の予算委員会であったかと記憶いたしておりますが、そういうものをぜひ政府としては作っていきたいという答弁は、再三にわたって厚生大臣なりあるいは通産大臣等から言われておるのですが、一向そういうものが具体的になって参らないのです。たまたま本州製紙の問題を契機として水だけはどうにかその解決の糸口を見出そう、こういう段階にきたわけですが、他のいわゆる産業公害の問題を、どういうふうに大臣はお考えになっておりますか。
#46
○三木国務大臣 これはたとえば単に鉱害ばかりでなく空気の汚染等も、ロスアンゼルスなどでは大問題になっておるような報道も私どもは知っておるわけです。文明社会における広範な空気とか、その他の汚染というものに対しては、新しく何らかの立法の処置を講じて、公共の生活保全というものをしていかなければならぬという必要が生まれてきておると思います。ただしかし今ようやく、これは多少おくれた感もあるのでありますが、公共用水域に対して、こういう法案を出して御審議を願っておるわけでありますから、次にはそういう問題にも取り組んで、そうして国民の生活を守っていくようなことになることが一つの今日の政治の方向である、これは検討しなければならぬ課題であると考えております。
#47
○滝井委員 今後の政治が検討しなければならぬ問題であるという御説がありましたが、厚生省の環境衛生部長さんいらっしゃっていますか―今三木国務大臣から、産業から出て参るいわゆる公害―煤煙とかあるいはセメントの降灰、こういうようなものについても、十分今後政治は検討しなければならぬということでございました。いっか私は質問をしたことがあるんですが、実は私は九段宿舎におるわけです。これから冬季に向って、こういう天気のいい日にふとんを干します。そうしますと、白い敷布の上にまつ黒い煤煙が降ってくるんです。聞くところによりますと、私もちょっと調べてみたんですが、きょうはその資料を持ってきていないので忘れましたが、とにかく東京においては、たとえば千代田区、この付近が煤煙の降ってくるのが一番多い。年間にしたら何十トンとか、何百トン降ってくる。一体その原因は何にあるのだ。結局ビルの中のボイラーでいわゆる悪い石炭をたく。しかもそのボイラーが十分石炭を燃焼せしめないということのために、そういう煤煙が降ってくる。このために都市の人の健康に非常に悪い。いなかからたくましい婦人や青年がやってきて、東京の女を見ると、足がこんなに小さくて、腰がこんなに小さい、あれでは日本民族は都市から滅びていくということを国会見物に来ると直感する、こういうことをいなかの人から言われたんです。そういう青白い人間のできる一つの原因は、やはり都市における煤煙というものが、一つの大きな原因になっているのじゃないか。非常に空気が悪い。われわれいなかから出てきて手を左右に振ると、何か東京の空気はねばい感じがするんです。こういう状態なんです。水の問題も大事だけれども、われわれは古都圏整備というからには、やはりわれわれの足元における水も大事、下水も大事だが、空気というものも考える必要があると思う。そういう意味で、水の問題とともに、空気の問題は、人間が生きていくためには二つの一番大事なものなんです。あなた方は大体、特に東京に限ってよろしいですが、大阪も同じなんです、一体どういう工合にこの煤煙公害の問題を、厚生省としては公衆衛生の立場から処理されようとしておるのか、これを一つ伺いたい。
 それから同時に、あなた方の方で資料があれば、一体東京ではどういう工合に煤煙が降って、ボイラーその他についていかなる指導をやっておられるのか、これを一つお示し願いたい。
#48
○聖成説明員 ただいま滝井先生から御指摘の通り水の問題のみならず、煤煙あるいは騒音あるいは振動、こういった各種の公害が環境衛生の観点からきわめて重要な問題であるということにつきましては、私ども全くそのように考えておるわけでございます。ただこうした問題につきましては、事がきわめて重要であるにかかわりませず、従来十分なる調査あるいは資料、あるいは国民の健康への影響というような問題が究明されておらない点もございまするので、厚生省といたしましては、ただいま御指摘のように、京浜地帯あるいは京阪神あるいは北九州、こういった特に工業の発達しておる地域につきまして、年間数カ所の場所を決定いたしまして、個々の個所につきましての煤煙の落ちて参ります量、あるいはまたその質、こうした問題につきまして調査をいたしておるわけでございまして、こうした資料をととのえました上で、さらに住民の健康診断等も行いまして、これらがどのような影響を与えておるかというようなことを逐次明らかにいたしまして、その上において所要の措置をとって参りたい、かように考えて目下調査を進めておる段階であります。
#49
○滝井委員 調査を進めておる段階だそうでございますから、それ以上のことは申し上、げませんが、現実に非常な害が人体に起っておることは明らかでございますので、すみやかに何らかの処置を講じていただきたいと思います。そうしないと、水の問題で一応紛争の処理その他の和解、仲介的な機関ができたにしても、なお降灰や煤煙の問題でいろいろの問題がやはり起って参っておるわけです。
 そこで私は、今までの法律の中で、特に水にしぼっていろいろお聞きをしてみたいと思うのですが、現行法では、水に関する規制の法律はたくさんあります。おもなものを四つ、五つあげてみますと、まず河川法です。河川法では流水の清潔維持のため特定行為の制限禁止をすることになっておるわけです。それから下水道法でも、これは未施行でございますが、放流水の水質規制があるわけです。それから水産資源保護法でも、水質汚濁に関する制限禁止があるわけです。鉱山保安法でも、鉱業権者の義務としての鉱害防止があります。それから清掃法においても、特定の地域における汚物の投棄禁止があります。投げ捨てることを禁止する規定があります。それから漁港法においても、漁港保全に関する許可の制限があります。そのほか特に大阪府では、大阪府の事業場公害防止条例というものがあります。東京都においても東京都の工場公害防止条例があります。ところがこれらの水に関する六つ、七つの法律は、一体いかなる作用を水に対して及ぼしたかということなんです。これらの法律が一体いかなる役割を演じてきたかということについて、三木大臣はどうお考えになっておるか。
#50
○三木国務大臣 それぞれの法律はやはりある程度その法律の意図する目的を達したと思います。しかし今度こういう法案を出したのは、ばらばらになっておる水に対する行政について、これに基本法的性格を持たず、そうして実際の実施面は、今言ったような法律に従って各省同においてやるということで、水の行政に対して、これを調整といいますか、一元的にもっと整備したいということが、この法案の提出の目的でございます。
#51
○滝井委員 大臣がおっしゃる通り、今度出ました二本の法律、特に公共用水域の水質の保全に関する法律というものは、今後の水の行政に関する基本的な性格を持っておることは、私もそうだと思います。それぞれその基本的な性格を持った、いわば水質の基準というものができるでしょうが、その基準に合せてそれぞれの主務大臣が自己の所管下にある法律を動かしていくことになるわけです。ところが、過去何十年の間、それらの法律は依然として存在をしておったにもかかわらず、その法律というものは何ら法律としての役を演ぜず、有名無実であったということなんです。たとえば河川法にしても、河川法十九条の河川に影響を及ぼす行為の制限、「流水ノ方向、清潔、分量、幅員若ハ深浅又ハ敷地ノ現状等二影響ヲ及ホスノ虞アル工事、営業其ノ他ノ行為ハ命令ヲ以テ之ヲ禁止若ハ制限シ又ハ地方行政庁ノ許可ヲ受ケシムルコトヲ得」、こういうれっきとした規定が河川法十九条にあるわけです。流れを浅くしたり深くしたり、あるいはその清潔に非常に大きな影響を与えるような工事をたとえば遠賀川あるいは淀川というのが一番日本で汚染されておる川の典型だと、国連から調査に参ったC・Wクラッセン博士も言ったこともあるのですが、一体遠賀川で水を汚濁せしめる工事をやった者に対して建設省は禁止したことがありますか。
#52
○山本政府委員 御承知の通り、河川法におきましては十九条にそういう定めがございまして、それに基いて各都道府県におきましては管理規則を制定いたしまして、それによりまして河川管理上支障のある行為につきましては、都道府県知事の許可を要するということになっております。しかしその水質の基準であるとかいうような問題につきまして、いろいろと決定的なものがございませんために、それらの条文による取締りが決定的にいってないという点につきましては、お説の通りでございます。
#53
○滝井委員 河川法十九条についてはやられていないということをお認めになったわけですが、大臣お聞きの通りでございます。実はそれぞれずいぶんだくさんの水に関する規制をする法律がありますが、すべて有名無実で行われていなかったという現実は無視することができないと思うのです。そこで今後、大臣が基本法を作られたのですから、各それぞれの所管主務大臣を叱咤激励してやってもらわなければならぬということになると思うのです。そうしますと、私がお尋ねをしたい点は、今度のこの公共用水域の水質の保全に関する法律を見ますと、公共用水域の中には、いわゆる下水道法の下水道あるいは都市の下水路は入っていないのです。下水道は公共用水域に入っていないが、公共用水域の中に入ってくる下水というものを、基準を作るときには同時に考慮しなければならぬということになっておるわけです。そういうことになりますと、当然下水道に対して一定の規制をすることがない、むちゃくちゃに下水道から何でも入ってくるということになれば、他のそれぞれの官庁がいかにりっぱに規制しても、公共用水域というものは汚濁をしてどうにもならないという関係になってくる。この関係は大臣どうなっておりますか。
#54
○大堀政府委員 事務的な問題でございますので私からお答え申し上げますが、今度できます法律案では、公共下水道及び都市下水路の出口における排出水の基準をきめることになっておりますから、その基準に基いて下水道管理者である地方公共団体は、その排出される水について下水道法によってみずから基準をきめる、それによって除害施設等を設置していく、こういうことになっております。
#55
○滝井委員 三木大臣も御存じの通りクラッセン博士も、日本の都市で下水道が完備をしておるところは一つもないと言っておりましたが、下水道並びに下水路の排水というものは、それぞれの地方公共団体に基準をきめることをまかしてしまうということになりますと、財政的に不如意なそれぞれの団体が一体これを作り得るかどうかという点でございます。この点は一体どういう工合に具体的に御指導されていく方針なのか、これを一つ明白にしていただきたい。
#56
○三木国務大臣 建設省の方でも下水道の整備五カ年計画というものがあって、これによって下水道の整備を促進していこうという計画を持っておるわけでありますが、これは建設省のそういう長期計画というものに限らず、先ほども滝井君の質問に対してお答え申し上げましたごとく、一般の民間企業というものは世界的水準と言われるくらい発展しておるのに、公共施設、ことに都市における下水道の整備の方は非常に立ちおくれておる。何十年の立ちおくれである。こういう点で、今後は政府は政府の施策の中で―こういうものは個人でやろうったってやれないのですから、やはりこういうのは政府とか公共団体がやるべき重要な仕事の一つでありますから、今後もそういう計画を促進して、今立ちおくれておるそういう公共施設というものを促進していくために私も努力したいと考えております。
#57
○滝井委員 ぜひそうしてもらわなければなりませんが、そうしますと、これは建設省にお尋ねしますが、地方公共団体に対して下水道並びに下水路から排出をする、その廃液の基準というものは一体どういうことになっておるのか、これを一つお示し願いたいと思います。
#58
○岩井説明員 下水道法によりまして政令によって放流水の水質というものをきめることになっております。大体下水道は御承知のように原則的には屎尿を含めてこれを流すことになっております。その処理方法はずっと高級な処理で、いずれかといいますと、その放流水がきれいになる程度まで浄化することになっております。従ってその技術基準というものは、比較的技術的に決定できるわけであります。
#59
○滝井委員 大臣お聞きのように、結局屎尿処理の施設を作らなければならぬことになるわけです。そうします。と、これは百万や二百万でできるものではないわけなんです。少し大都市では、屎尿浄化槽といったものは何千万円とかかるわけです。いろいろの都市でやっておりますが、まだこれの普及というものは予算が厚生省でつかないために、遅々として進まない。これは環境衛生部長にお尋ねしたいのですが、一体下水道に放流されていく屎尿の処理施設というようなものは、どの程度普及しておるのかということなんです。水質の基準を、なるほど公共用水域で定めたとしても、その下水から放流をされてくる放流水というものが、これはみそもくそも一緒になっておるというようなことでは、それだけでだめになってしまう。従ってまず下水道の基準というものをきちっと押えることでなければ、日本の河川というものはなかなかうまくいかないのではないか。「五月雨をあつめて迅し最上川」といいますが、今や最上川も臭気ふんぷんたるにおいがするということをいっか読んだことがある、「五月雨をあつめて迅し最上川」ではなくて、どんどん屎尿を放棄して、そして流れが早くなるのだということを皮肉に書いてあったのを読んだことがあるんですが、これではどうにもならぬと思います。一体厚生省としてはどういう工合にこれをやっていくのか。とにかく行政というものは一つの基準を定めたって、その目的をやはりはっきりしておかなければならぬ。すべてのものが並行していかないと、河川というものは一切のものがそこへ流れ込んでくる。清濁あわせのむんですから、この点どういうふうにお考えになっておるか。
#60
○聖成説明員 屎尿処理の問題ですが屎尿の衛生的な処理法と申しますれば御案内のように下水道が整備されまして、各便所がいわゆる水洗化されまして、下水道に流されます屎尿が末端におきまして、いわゆる下水道の終末処理場におきまして完全に処理される、そうしてきれいな水になって放流される。これが最も理想的な形であることは申すまでもないわけでございますが、現在かような終末処理場ができております都市は、まだ全国でわずかに八都市にすぎない。かような方法によって処理されております屎尿の量は、現在約四百万人分という状態でございます。その他の都市の屎尿につきましては消化槽、あるいは浄化槽という方法によりまして処理が行われておるわけでございますが、終末処理場ができておらない場合には、たとい下水道ができておりましても、下水道の中に屎尿は放流することができない建前になっておるわけでございます。また個々の河川でありますとか沿岸海域であるとか、こういったいわゆる環境の水域に屎尿その他の汚物を投棄することができないことは、清掃法の規定によっても明らかな通りでございます。従いまして、御指摘のような、かような河川に屎尿がそのまま放流されておる、いわゆる下水道の終末処理場を経ないで放流される、あるいは投棄されることはないはずなのでございますが、最近全国的に清掃問題に各都市が非常に悩みまして、いわゆる農村還元が非常に行き詰まって参っておるということから、いろいろの事態がややもすれば起らんとしておるというような状況で、厚生省といたしましても、建設省の下水道整備計画と並びまして、厚生省の所管であります終末処理場の整備を急速に進めたい。また下水道計画のない都市につきましては、屎尿消化槽を設置することによりまして、今後十カ年計画を持ちまして都市における屎尿の衛生的な陸上処理の施設を完備いたしたい、こういう方針で進んでおるような次第でございます。
#61
○滝井委員 今厚生省の環境衛生部長から御説明の通り、最近における農村の金肥の使用というもので、急激に屎尿の堆積の山を築くという状態になってきました。これは何も大都市ばかりではございません。地方の中小の都市においても、今や屎尿問題というものは非常に大きな政治の悩みとして脚光を浴びております。方法についてはさいぜん申しましたように、川に大水が出たときに捨てるとか、あるいはわれわれのところでは、炭鉱の廃山になった坑口に持っていって捨てる、こういうことをやっておる。捨て場がない。農村から取りに参らない。従って町の中を屎尿を積んだ三輪車やトラックが右往左往するばかりでどうにもならぬ。こういう状態を作っておるわけです。従ってどうしてもこれは浄化装置なりあるいけ終末処理施設というものを作らなければならぬということになると思うのですが、大蔵省はこういう問題をどう考えておるのか。今お聞きの通り現在わずかに全国で八都市、四百万人の消化分しかできていない。三千有余の市町村があるのですが、市は多分四百ないし五百ぐらいだったと思いますが、その多くの都市において終末処理施設もできていない、河川の基準はきめていく、こういう本末転倒の政策をとらなければならぬという形になっておるのです。大蔵省としては、この問題を一体どういう工合に考えて今後処理していくのか、今まで予算査定をやられたと思いますが、それを一つ御説明願いたい。
#62
○海堀説明員 はなはだ申しわけないのですが、私は担当が違いますので、ちょっとここで申し上げるわけに参りません。もしどうしても大蔵省の見解が必要でございましたら、公共事業その他それの担当の方にお願いしたいと思います。
#63
○滝井委員 厚生大臣がお見えになりましたので大臣に御質問申し上げます。実は厚生大臣、今日本における屎尿の問題ですが、終末処理ができておれば下水道の中にどんどん流れて行って、それを下水道の出品で検査をして公共水域に流すことになるわけです。ところが現在日本におきましては、非常に金肥が使われ始めたために、中小の都市においては汚穢の山か築かれる、こういう実態が出てきたわけです。これを解決するためには、やはり海上に捨てるか、あるいは終末処理をやる以外にはないのだが、現実の面で見て参りますと、下水道に流れ、そして末端で終末処理が行われておるというのは八都市しかない。しかも包含する人口は四百万、日本の人口に比べればりょうりょうたる都市しかやっていないというのが実際です。今後、こういうりっぱな、水質汚濁を防止する二つの法律ができたのだが、まず下水というものを押えなければ、公共用水域の清潔化はできない。ところが下水はそのまま今放置されておる。従ってさいぜんも申したのですが、「五月雨をあつめて迅し最上川」、われわれが学生のときに行っておったその最上川も、もう屎尿を捨てられるという実飢になってきたんだ。この実態を大蔵省は予算の面でどう考えるかという質問をしましたら、大蔵省の方としては、自分は係の主計官じゃないんだ、公共事業の人を、こうおっしゃるのですが、厚生大臣としてはその点今後どういう工合に処置されていくのか。
#64
○橋本国務大臣 厚生省所管の行政の中で、環境衛生施設の整備関係、特に屎尿の問題というのは一番おくれておって、火のついておる問題だと考えておるのであります。一体環境衛生施設に対して、装置が非常におくれておりますが、その中でも屎尿の問題が性質上非常に困る。同時に屎尿の問題のみならず、それを含めての下水の整備というものが非常に大きな問題でございます。そこで今日までのところは、どうも困った、困ったと言いながら、一生懸命幾らかでもふやすという努力をして、大蔵省に認めてもらおうという形であった。どうもそれじゃおもしろくない。人口もだんだんふえて参りますし、人糞尿の使用という点は急速に地方の町村においてもなくなりつつありますので、そこで私就任いたしましてから、今日の状態を改善するために、最小限十年計画くらいでどの程度まで持っていく必要があるか。それを五年、五年くらいに分けまして、一応ほかの衛生施設、伝染病防止だとかいろいろな点をかみ合せなから、ここまでやればどうかこうかしのげるということを計画で考えまして、そのために一体金が幾ら要るかということをはじいて概算で要求いたします方が、このことはおくれておるから、足らぬから、とにかく何ほどかでもふやしてくれといったような予算要求をするよりも、大蔵省当局の方も査定かしやすいし、われわれの方も責任が明らかになりますので、実はその計画を立てまして、この立てた年次計画に従って、来年分どれだけの計画をしたいというふうに予算要求をすることにいたしたのであります。そういう形でぜひ最小限、とにかくどうやらこうやら追いついていくためにどうするかということを、計画的にはっきりして進んで参りたいと考えております。
#65
○滝井委員 その十カ年計画を遂行していくためには、一体総額どの程度のお金が要るのでしょうか。
#66
○橋本国務大臣 環境衛生部長から詳細の説明をいたさせます。
#67
○聖成説明員 屎尿処理の十カ年計画でございますが、先ほどもちょっと申しましたように、下水道計画のございます百五十三都市につきましては終末処理場を整備いたしまして、この終末処理場によりまして、いわゆる水洗化された便所からの屎尿を処理いたしたい。これによって約二千万人の人の屎尿が処理できるわけでございます。これに要する経費は約四百五十億でございます。その他の下水道計画のない都市につきましては、屎尿浄化槽その他の施設を設けまして、これによって約二千五百万人分の都市人口の屎尿を処理いたしたい。これに要する経費が約三百五十億でございます。
#68
○滝井委員 そうすると、十カ年計画でやるとすれば、年間八十億程度ずつ必要になってくるわけです。実はこの汚濁水の防止をうまくやっていけるかどうかという点は、結局まず第一に、百年河清を待つという言葉を断ち切るためには、下水道なり下水路を何とか押えていくという以外にないと思うのです。従ってここらあたりは一つ十分それぞれの主管官庁である三木長官のところにおかれましても、厚生省におかれましても十分連絡をおとりいただきまして、そうしてこれはしていただきたいと思います。
 それから委員長、実は何か緊急な国会対策委員会がありまして、休憩してもらってくれということですが……。
#69
○長谷川委員長 あなたの都合のいいところで……。
#70
○滝井委員 終ったら、また来ます。
#71
○長谷川委員長 それでは暫時休憩をいたします。
    午後三時四十四分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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