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1958/11/04 第30回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第030回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号
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1958/11/04 第30回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第030回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号

#1
第030回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号
昭和三十三年十一月四日(火曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長 早稻田柳右エ門君
   理事 加藤 高藏君 理事 鍛冶 良作君
   理事 高橋 禎一君 理事 南  好雄君
   理事 島上善五郎君 理事 森 三樹二君
   理事 山下 榮二君
      倉成  正君    高橋清一郎君
     橋本登美三郎君    服部 安司君
      三田村武夫君    柏  正男君
 出席政府委員
        自治政務次官  黒金 泰美君
        総理府事務官
        (自治庁選挙局
        長)      兼子 秀夫君
 委員外の出席者
        議     員 島上善五郎君
        総理府事務官
        (自治庁選挙局
        選挙課長)   皆川 迪夫君
    ―――――――――――――
十一月一日
 政治資金規正法の一部を改正する法律案(島上
 善五郎君外六名提出、衆法第一二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等
 の臨時特例に関する法律案(内閣提出第四号)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第二二号)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(島上善五
 郎君外六名提出、衆法第一一号)
 政治資金規正法の一部を改正する法律案(島上
 善五郎君外六名提出、衆法第一二号)
     ――――◇―――――
#2
○早稻田委員長 これより会議を開きます。
 去る十一月一日付託になりました島上善五郎君外六名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案を議題とし、審議に入ります。まず、本案の趣旨について提出者の説明を求めます。島上善五郎君。
    ―――――――――――――
#3
○島上善五郎君 ただいま本委員会に付託されました政治資金規正法の一部を改正する法律案につき、その提案理由を御説明申し上げます。
 お手元にお渡ししてありますプリントにつきまして、数行削除したい点がありますから、そこをまず申し上げます。三枚目の一行「中には直接の」云々から、四行目の「法人に対しまして」というところまで削っていただきたいと思います。
 政治資金規正法の改正案に第二十四国会にもわが党から提出し、御論議をいただいて参った問題でありますが、昭和二十九年の国会が混乱いたしました直後の五党のへ合議に取り上げられまして、国会の権威を高め、また政党の内容を刷新いたしまして国民の信頼にこたえることを重点にいたしまして、当時取り上げられました問題は、一つは公職選挙法の改正でありまして、その次は国会法の改正であり、第三はこの政治資金規正法の改正でございました。この三つが当時いわゆる自粛三法と呼ばれまして、この三つだけはどうしてもこれを通しまして、再び国会の中から汚職、疑獄というようなものが起らないように、政党の内容をりっぱなものに仕上げていこうではないかという、きわめて善意にして熱意のある申し合せができまして、自来各党から特別の小委員が選ばれまして、この三つの委員会で、できるならば法案として提案したいということから、長いこと、各党の委員が検討を加えて参りました。その三つの法案のうちで、すでに国会法は、各党一致の意意見によりまして改正案が通っておるのであります。また選挙法改正につきましても、いろいろ内容について審議をされまして、必ずしも各党の要望が一致をいたした満足なものではないといううらみはありまするけれども、相当の改正案ができたのであります。ただ、この自粛三法のうちの政治資金規と正法の改正についてだけは、いまだに改正ができずに、数国会を経た今日停頓をいたしておる状態であります。そういう過程をたどっておる法律でありますから、われわれとしても、この問題に関しましては、ぜひ与党の諸君にも御協力を願いまして、政治資金規正法の改正をいたし、再び政党が国民から疑惑を持たれたりしないように、あるいは政府と関係のある会社その他の法人等の悪いつながりを断ちまして、政党が本来の姿で前進のできるような形をとることが最も適切だと思いまして、本案を提出いたした次第であります。
 この法律の内容につきましては、いずれ詳しく審議をせられると思うのでありますが、現在あります政治資金規正法の中で、われわれが最も改正をいたしたいと思いまする重点だけを御説明申し上げますと、現行法のもとにおきましても、すでに、公職選挙法によって、国と請負その他の特別の利益を伴う契約の当事者が選挙に関して寄付をすることは禁止をされております。また、選挙に関して匿名の寄付をしたり、あるいは本人の名儀以外の名儀を用いて寄付を行うということは、一切禁止されております。さらにまた、政治資金規正法におきましては、政党その他の政治団体に対して右のような寄付をすることを禁止しておるのでありますが、しかし、これらの規定は、解釈の上におきましても、また法案の内容におきましても、どうもわれわれの満足することのできない点がたくさんあるのであります。たとえば、現在の政治資金規正法には選挙に関してという条項がありまして、選挙についてだけは、ただいま申しましたように、国と請負その他の特別の利益を伴うような契約の当事者とか、あるいは匿名の寄付はいけないというふうに規制をされておりますけれども、選挙以外には全く野放しの状態になっておりまして、これが寄付をされましたときに、選挙に関してであるか、あるいは選挙に関しないのか、なかなかはっきりさすことはできないのでありまして、たとえば、選挙中の寄付であるならば、ある点までは選挙に関してと認めることはできるけれども、必ずしも、選挙中に寄付したからとて、これが選挙に関してと断定するわけにも参りません。従って現在の政治資金で条件になっておりまする選挙に関してということが、すこぶるあいまいであるばかりでなく、われわれとしては、規制をしなければならないような資金が流れるということは、選挙に関してばかりでなく、日常ふだんにおいても、政党の献金というものはひもつきでない、公明な、公正な立場から寄付をされることはけっこうなことでありますすけれども、ひもつきの金が政党に献金をされることは、やがて政党を腐敗させる理由にもなるのであります。こういう点については現行法はまことにあいまいな点が多いので、この点をまずはっきりさせたいということが改正の一つの目的であります。言いかえまするならば、選挙に関してということを一つ十分に御検討願いまして、ひものつく、あるいは危険のあるようなものでありますならば、法律で禁止をすることの方が正しいとわれわれは思っておるのであります。
 もう一つの改正の要点は、なるほど、今の政治資金規正法の中にも、特別の利益を伴う契約の当事者というような文字が書いてありますが、この解釈についてはまことに疑義が多いのでありまして、特別の利益を伴う契約の当事者はいけないというならば、一体その特別な利益というものはどういうものか、通常の利益を伴う契約の当事者であるならば差しつかえないのであるか、特別とは何か、なかなかこれは議論の多い難解な言葉でありまして、もっとこれは明確にする必要があるということをわれわれは痛感をいたしておるのであります。従ってこれらの点につきましても再検討を加えて、さらに国から特殊な利益または援助を受ける等、国に対して特殊な関係にある会社その他の法人から政党などに対して行われる政治献金を禁止することが、現下の情勢の上から、政治の公明化を期する上において、特に緊要であめると考えられますので、このような提案をいたしたのであります。しかし寄付を禁止しますその民間の団体で、われわれが対象にいたしておりますものは、国と特殊な関係にあります会社または法人でありまして、全然そういう特殊な関係のない民間団体までも規制しようというのではありません。通常の民間の団体が、会社あるいはその他の法人が、よい意味において政党を支持し、きわめて公明な意味において政党を援助しようということでありますならば、これはけっこうなことでありまして、決して私たちは、何もかも会社や法人は政党に寄付してはならないということを申し上げておるのではございません。
 法案にも要点がはっきり書かれてありますが、たとえば、国が直接または間接に補助金、助成金などを交付し、または利子の補給であるとか、損失の補償のような財政の援助を与えている会社その他の法人、あるいは国が資本金を全部出資しておるところもありますし、あるいは一部を出資しているところもあります。また借入金の元金あるいは利子の支払いを保証している会社その他の法人、あるいは国または公共企業体と特別な利益を伴う契約の当事者である会社その他の法人などから、政党等が寄付を受けることができない旨を規定いたしたいのであります。従って、寄付を禁止する対象になるものはごく限られたものであります。国と直接、間接のつながりがあるものたけを禁止しようというものでありますから、決して無理なものではないと思うのであります。
 各国の政治資金規正の実情等についても、アメリカあるいはイギリス等における政治資金の規正に関する資料等も検討いたしましたが、特にアメリカにおいては、われわれが見ても厳重過ぎるくらいに規制を受けておるようであります。国と直接のつながりのある会社または法人はもちろんのこと、当初は、ただいま提案されておりますように、国から直接のつながりを持つものだけでありましたが、その後には、直接のつながりのある会社法人だけでなくして、一般の民間会社も寄付してはならないということに厳重に規制してしまっております。これは理論的な根拠はいろいろあると存じますが、共同的財産というものが特殊の政党に寄付をされるということに問題があるようであります。たとえば、株式会社等にいたしましても、株主の全部が一党を支持するということはほとんどあり得ないことであります。従って共同資産の構成をいたしておりますところのものが、かりに国家につながりのない会社でありましても、一党に寄付するということはよろしくない。もし寄付をするならば、政党の寄付は個人でいくべきであめるということにアメリカ等では貫いておるようでありまして、集団の資金は寄付をしてはならない、寄付をするならば個人で堂々と寄付すべきであるというように非常に厳正のようであります。
 大体以上の点が本案の提案の理由でございます。いずれ質問等にお答えして、詳細の点は明らかにいたしたいと思いますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あめらんことを望む次第であります。
#4
○早稻田委員長 本案に対する質疑はあと回しといたします。
    ―――――――――――――
#5
○早稻田委員長 内閣提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案、内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び島上善五郎君外六名提出炭、公職選挙法の一部を改正する法律案を一括議題といたします。質疑の通告がありますので、これを許します。柏正男君。
#6
○柏委員 公職選挙法の一部を改正する法律案に関しまして質問いたしたいと思います。
 私どもは、現在行われております公職選挙法によって選挙をいたして参ったものでございます。しかしながら、選挙のその後の実情を見てみますと、この選挙をやってこられた方のうちで、だいぶ身体の障害を来たし、病気になったり、中には二、三名以上の方がなくなられておるというような実情もございますが、この選挙の実態を見まして、私は公職選挙法の中に何らかの欠陥があるんじゃないか、そういうことを感ずるものでございます。基本的に見まして、公職選挙法の貫いておるものは、候補本位の選挙が非常に厳重に規定されている。それと、選挙公営の面がだんだんと完備して参っておりまして、その点が相当に候補者の選挙活動を規則しておる、こういう二つの点から見まして、だんだん選挙を重ねるたびに、候補者に対する過重なる労働がはっきりと出て参ってきておるというのが、私がこの公職選挙法をやってみて、実際の経験を通じて感じさせられることでございます。こういうことを通じまして、公職選挙法による影響について、自治庁においては今までに考えられたことがありますか。また、これからそういうようなことについての実際の調査をされようというお考えがあるかどうか、お聞きいたしたいと思います。
#7
○兼子政府委員 公職選挙法の現在の制度が、立候補されます方々に肉体的に相当な負担をかけておる、そういう実態を認識しておるかというお尋ねでございますが、わが国の選挙の実態を見ますと、昔の選挙等の話を聞いてみますと相当のんびりした選挙も行われておったようでございますが、公職選挙法の規定の結果、現在のごとくなってきた面も若干はあろうかと思いますが、やはり日本人の勤勉な性格と申しましょうか、そういうことが根本的に原因となって、非常に周密な選挙運動が展開される。従いまして、候補者の方々に睡眠不足あるいは肉体の非常な過重負担を結果しておるということは、私どもも承知いたしておるのでございます。これをいかにしてよりよい姿に持っていくかということは、私ども研究し、考えてはおるのでございますが、これはやはり、先ほどお話にありましたように、現在政党政治の姿をとりながら、しかも選挙運動そのものは、半ば個人的な色彩をもって戦われておるというところに一つの原因があろうかと思います。そういたしますと、やはり政党の選挙にふさわしいような選挙制度が考えられますれば、その点は非常に選挙の姿が違ってくるのではないかと考えられるのでありまして、その個人本位の選挙の弊害をなくし、政党本位に持っていかなければならないということは、私ども考えておるのでございます。
#8
○柏委員 ただいま選挙局長からお話がありました通り、私どもも、個人本位の選挙制度から政党本位と申しますか、第三者の運動に相当の自由を与え、そういう姿で選挙が行われていくというように、だんだん公職選挙法も持っていくようなことを希望いたします。考えてみますと、立候補者制度をとられたのは、必ずしも選挙の本来の姿ではなくして、本来の姿からいったならば、どなたでも推薦をし、最も適切だと思う方が議会会に出られる、あるいは長になっていかれるというのが本来の選挙の姿だろうと私は思います。しかしながら、それではなかなか選挙の実際に当っては困る。いろいろな支障が起る。横浜の市長にもなるし、同時に京都の市長にもなってしまったというようなことでは困るから、立候補者制度というものが採用された。その立候補者制度が採用されたことが今度は逆になってしまって、もう立候補者以外の者は選挙ができなくなってしまう、第三者の運動というものは、もう極端に制限されてしまっておるというのが現実の選挙法の姿だと思います。しかしながら本来の、第三者が推薦をし、第三者がこの人のために運動をしていくというような姿になるべく持っていきたい、そのことが漸次政党の発達と関連を持ちまして、現在のように少しずつではございますが、政党の政治活動の幅が広がってきている、そういう実情にあめると私は思います。しかしながら、今年の公職選挙法の改正の中に現われてきたものは、政党の政治活動が逆に規制されていくのではないか。このことは選挙制度の発達の原則といいますか、そういう方向と相反するものであるということについて、選挙局長の方においてはどういうようにお考えになっておるか。
#9
○兼子政府委員 立候補制度採用の結果、第三者運動の範囲が狭められている、第三者運動の幅を広げて、政党本位の選挙の姿にさすべきではないかという御意見でございますが、私は第三者運動の幅をいかにするかということは、これは一つの大きな問題として検討すべき問題と思うわけでございます。実態は政党本位の選挙制度の建前において、その場合に第三者運動をどうするか、自由にするのかあるいは幅を広げるのかという問題が起ってくるのではないかと思うのでございまして、今の御論旨の第三者運動の幅を広げることによって、政党本位の選挙になるというような結論にはならないのではないか。そういう面もあろうかとは思いますが、本質はやはり選挙制度の根本につまして、政党本位の姿をとることによって、そのことにおいて選挙運動を自由にするか、どうか、第三者運動の幅をいかにするか、こういうふうに考えるべきじゃなかろうか、私個人としてはそのように考えております。
#10
○柏委員 今の私の申し上げたことが、少し混雑をいたしておったと思いますが、ただいまお話のありました個人本位の選挙から政党本位の選挙に変えていこうというようなお考えを、もしこれからの選挙制度の中で実現されていくというようなお考えがありますならば、公職選挙法を立案いたしました当時とは、根本的にものの考え方も変って参ったことにもなりますし、また公職選挙法において国の選挙からその他の選挙の一切をまとめて、一つの選挙法を作ろうではないかということが公職選挙法を作らしたのでございますが、その後の実際の運営の状態を見て参りますと、国の選挙とその他の選挙との間には、本質的にいろいろな相違がある、そのために国の選挙に関しましては特例の事項が出て参っております。そういうような点から見ましても、公職選挙法の中において、手続法的なものとしましてはこれは共通なものが十分にございますが、政治法的なものと申しますか、ともかく国の選挙とその他の選挙との間には、質的な相違に似たものも多分にございます。そういう点から、公職選挙法そのものを根本的に変えていかなければならない時期がもう実は参っておるのではないか、そういう感じがいたします。そういう意味におきまして、公職選挙法を根本的に変えるというようなことについて、自治庁当局はどういうふうにお考えになっておりますか。
#11
○兼子政府委員 公職選挙法制定当時と現在の政治情勢から見まして、非常にその情勢が変ってきた、国の選挙と地方の選挙は、実態においても違うから一つの法律で規制すべきでなく、別個の法体系とすべきでないか、このような御趣旨に承わったのでございますが、確かにおっしゃる通りに、政治情勢も公選法制定当時の昭和二十五年と現在、その後の発展を考えてみますと、非常に違って参っております。また選挙自体を見ましても、国の選挙と地方の選挙とは、これは政党の関与あるいは影響というような角度から見ます場合に、御指摘のごとく非常に差異を持った本質を持っておると思うのであります。そのような見地から、選挙法そのものを別な体系とすべきかどうかという点につきましては、私どももごもっともな御意見と考えるのでございますが、これを直ちに、そのような考え方のもとに、国の選挙と地方選挙というものを分けることがいいかどうかという点については、技術的になお研究を要する点があると思うのです。管理権等につきましては、これは同一の面がございますが、ただ政党の関与、影響というような点においては、御指摘のごとく相当程度違っております。また選挙の実態、立候補の状況というふうな点から見ましても、規制の内容につきましても差異が当然起って参ると思うのでございますが、これを直ちに別個の法体系とするかどうかという点につきましては、技術的になお研究いたしたい、このように考えます。
#12
○柏委員 大体自治庁当局が、選挙制度について、公職選挙法もあめる段階に来ていることについて御了承のことだと、今のお話でわかるのでありますが、ここで私どもの考えますことの一つは、実際問題でこの選挙法が変えられていく姿を見ますと、常に選挙が行われたあとに、そのときの与党がその与党の選挙が都合よくいくように、前の選挙法を変えていっておるというような形が順々に現われて参っておるのを感ずるのでございます。こういうような形で選挙法が変えられて参りますと、選挙法に対する国民の信頼感というようなものに、だんだんと影響が出てくるのではないかということをおそれるものでございます。たとえば、選挙法の別表の問題にしましても、あの別表に対しては、十年間はこれを変えないというような規定がついておりますことは、選挙法は、なるべくはこれをそのつどに変えない方がよろしいという考え方からできておるものだと私は考えるものでございます。選挙法は国の政治を作って参ります基本的なルールでございます。それだけにこういうルールは、最も公正な形で作り上げられていかなければならないということが、私は第一の要件だと思います。そういう面から見ますと、この選挙法に関する立案、立法というようなものにつきましては、なるべく公平な要素というものが立法の中に常に伴わなければならないということを感じております。そういう面から見ますと、もしこれから後に公職選挙法が根本的に変えられて、新しい選挙制度を作っていくというようなときが参りますならば、そのときは、現在こういう選挙法がいじられます姿とは違った、もっと公平な制度と申しますか、そういう何か特別な措置を講じて、こういう選挙法というものを最終的に決定することが、必ずしも議会だけではなく、たとえば憲法の改正の最終の決定が国民投票によって決定されるというのと同じぐらい丁重な姿で、選挙法の最終の決定を国民投票によってきめてみるというようなところまで、画期的に選挙の根本的なものを変えていってみようというお考えを自治庁は持っておられるかどうか、そういうようなことが考えられるものかどうか、一つ御見解を承わりたいと思います。
#13
○黒金政府委員 ただいま柏さんからお話がございましたように、傾聴すべき点が非常に多いと思います。政党政治の基本的なルールををきめます選挙法でありますから、できるだけ変えたくはない。また変えるにつきましては非常に慎重に御審議願いたい、これは全く同感でございます。ただ、今おっしゃいました具体的な問題になりますると、これは憲法ほど弾力性のある解釈もなかなかつけられませんし、相当に具体的な点も多いようでございますから、実際に選挙をやってみて、いろいろと戦術の変化その他によりまして弊害も出て参ります。それを一々国民投票といったような、大へんな手続をかけていたしますことはいささか大仕事に過ぎるのではないか、かようなことに思われますので、今おっしゃいました御趣旨に沿うように、たとえば選挙制度調査会を設けまして学識経験者その他の方の御意見も伺いまして、できるだけの慎重は期して参りたい、同時に、なるべくならば恒久的なよい制度にして参りたい、かように考えております。
#14
○柏委員 自治庁当局において、選挙法の改正その他については、そういう御意見を持っておられることは大へんに私ども安心できるところではございますが、なおこういう選挙法ばかりでなくして、選挙を執行する機関についても、自由と公正というものが実現されるような制度を作っていかなければならない。たとえば、公職選挙法の前に全国選挙管理委員会会法というのがございまして、全国選挙管理委員会制度というものが実現されたことがございます。現在においては、中央選挙管理会というものが公職選挙法の中に一部規定がございまして、現在のようなことをやっておりますが、しかしながら選挙の執行というものも自由公正でなければいけない。現在のように、自治庁長官の指揮のもとに大部分の選挙が行われておる。参議院の全国選挙と最高裁判所裁判官の国民投票、それから将来あり得るかもしれませんが、憲法改正の国民投票、これだけが中央選挙管理会の所管事項であって、その他の選考は一切自治庁長官の指揮のもとに行われているというような現在の選挙執行の機関のあり方というものは、必ずしも選挙の自由と公正を保障するような制度であるとは思えないものがございます。かって内務省の中の地方局、地方局の中の選挙係が選挙の中核になって、内務大臣が簡単に選挙干渉をなし得たというようなかっての歴史を考えてみますときに、自治庁長官にその人を得ておる限りは何事もないでございましょうが、かつてのような選挙干渉を公然とやれるというような人が出ましたならば、選挙の執行においてその公正を欠くという事態が考えられるのではないかとおそれるものでございます。現在の世界の諸国家の憲法の中でも。フィリピンの憲法を見ますと、憲法の規定事項として、選挙の執行機関として中央の選挙管理機構というものを憲法にきちんときめて、これは法律をもって変えることができないというような規定を作っておる国家もあるのでございます。私どもは、全国選挙管理委員会ができましたあの趣旨は、趣旨においては公平な機関であったと思います。それが公職選挙法の改正の際に一挙にして消えてしまって、現在のような機構になったことにつきましては、いろいろな面から見まして一種の危惧を感ずるものでございます。将来公職選挙法が変えられて参ります際に、選挙の執行機関について、その自由と公正を保持するようなことが必要であるかいなか、まあ必要とはもちろん御返事があると思いますが、そういうことについて何らかの御考慮を自治庁当局においてはしておられるかどうか、御意見を承わりたい。
#15
○黒金政府委員 ただいまお話の通りの沿革でございます。その沿革が今の制度に切りかわりましたことにつきましても、これは行政の簡素化の問題とかいろいろ理由がございまして、今の制度ができておるわけでございます。先ほど御指摘になりましたような戦前の問題、特に内務大臣の権限、こういうところと今比べてみますと、非常に権限の狭い自治庁の長官でございまして、国務大臣をもって充ててはおりますものの、まだ自治庁長官としては総理府の外局の一長官にすぎませんし、ことに昔のような警察権と全然関係のない機構でございますために――弊害と申すのは、むしろ選挙管理自体というよりも、警察力をもって干渉するというような点から弊害が起ったのが、戦前の一番大きな特徴でなかったかと思います。こういう点から考えてみますれば、今の制度でそれほど御懸念になるような事態が起るとも考えられませんけれども、しかし、ともすれば総選挙のたびごとに、政府与党というものは何らかの力を用いて、そうして自党に有利にするというような嫌疑を受けやすいつものでございますから、そういう点につきましては、今後の改正におきましてそういうそしりを受けないように慎重に考えて参りたい、かように考えております。
#16
○柏委員 選挙法改正の中で私どもが考えておりました基本的な、法律の改正、それから選挙の管理執行の問題と、いま一つ関連いたしますのは、先ほど島上委員が御説明になりました政治資金規正法の問題でございまして、選挙の実際を見まして、これは政治資会規正法といいますか、法定費用の範囲においての選挙が実現されていない。社会党の私どもが選挙をいたします際におきましては、実に法定選挙費用までも達しない程度の選挙しかやっておりませんが、その他においては法定費用の何倍にも及ぶような選挙が行われておって、それが常識であって、しかもそれが、もう仕方ない、そんなものだとして現在行われておる。こういう実態につきまして、私どもは、これはやはり法がある以上、その法の範囲の中ですべてが行われなければならない、そういうように思っておるのですが、選挙のあとで、選挙管理委員会に各選挙の実施の報告が、資金法あるいは選挙法の規定に従って届出がなされております。しかし、その実際が今申し上げたようなものであるということがわかっておりながら、みんながほおかぶりをしておる。こういうようなことについて、何かもう少し考えるべきことがあるのではないだろうか。私は全国選挙管理委員会におりました当時に、その点につきましては、法定費用をなるべく合理的に実際に合せるために上げていかなければならないという考えで、そういうことを立法の際に申し上げて参ったのでございますが、現在においては、もうそういうことだけでは追いつかない。何千万という金もかかる。事前運動などというものはどんなに禁止されたって、金を使ってやっていかなければならない。こういう実情がありますために、金のかからない選挙をしなければいけない。それが小選挙区法案というような形で、人々の間に金のかからないということを第一として提案されてみたり、あるいは考えられてみたりしておるのでございます。しかしそれにいたしましても、小選挙区法を実際にやりましたところで、実際の問題は法定費用などとは大よそ縁もないような、たくさんの金がかかっていくであろうということは予想されておるところでございます。そういう点から見ますと、これが先ほど一番最初に申し上げました選挙制度を変えていこう、あるいは政党本位の選挙制度にしたならば、基本的には個人の使う金というものが少くなっていくのではないかというような問題に返って参りますので、ことに現在におきましては、議会における政党は、衆議院においては自民党と社会党と共産党だけ、そういうような実情にもなっておりますし、今基本的に金のかからない選挙をするというような選挙制度をお考えになりますならば、また政治資金規正法とか、あるいは選挙の費用の届出とかいうような法律によって行います報告などが、少くとも法律にきめたものとあまり違わないものになっていくためにも、どうしても私はこの際、将来の選挙制度の改正の中においては、個人選挙から政党本位の選挙制度に、もしできますならば、その理想的な一つの形としても、名簿式の比例代表制度というようなものが、これから考えられていってしかるべきじゃないかというような意見を持っておるものでございますが、今の選挙と金の問題、そういうことに伴う小選挙区の問題というようなことにつきまして、自治庁においては現在どういう程度に考えておられますか、御意見を承わりたい。
#17
○黒金政府委員 ただいま柏さんの御指摘の、現状では非常に金がかかる、そのためにいろいろな困った問題が起ってくる、これはお説の通りでございまして、政府の側におきまして事務的に考えましても、これをどうにかしてなくしていこうということにつきましては、絶えず検討を続けておるような次第でございますが、今具体的にどういう選挙制度にしたらいいかという問題になりますれば、先ごろの選挙制度調査会におきまして小選挙区の意見も出ております。まあこれを中心に、また同時に、政治資金規正法につきましても今の御指摘ごもっともではございますけれども、これを今おっしゃる両党公平にと申しましょうか、全体が満足できると申しては恐縮でありますが、みんなに御納得願えるような規正方法を一体、どうしたらいいか、実際問題はなかなかむずかしい点が多いものですから、慎重に検討を続けておるような状態でありますが、いまだに結論は得ていない、かような状態でございます。
#18
○柏委員 そういうような意味におきまして、私どもは選挙制度調査会というような制度につきましても、今までにやって参つられたような選挙制度調査会よりももっと幅のある、もっと権威――権威と申しますのはおかしいですが、力の持てるような委員会制度に進めて参る、そういうことによって選挙制度の基本的なものを確立して、たとえば現在の別表が、十何年たってもまだ改められていないというような点も是正していくとか、小選挙区制度というような考え方より選挙制度の進み方として合理的であるはずの比例代表制度というようなものについても、選挙制度調査会あたりでもっと深く掘り下げて考えていただく、そういうことによって参議院の全国区の問題、そういうものもいろいろと変っていくべきではないか。そういうような見地から、選挙制度調査会というものを、今後自治庁においてはどういう形で運営されることを期待されておるかということについて、御意見を承わりたいと思います。
#19
○兼子政府委員 選挙制度調査会の運営につきましては、これは広く各方面の専門的の方々に、政党政派にとらわれないで御検討を願いまして、まあいわば事務的と申しますか、そういう性格のもとに御検討をお願いいたしたいということが私どもの考え方でございます。これはもっと幅のある組織を考えたらどうかというような御指摘でございましたが、私ども、考え方といたしましては、もしそのような適当な組織がありますれば、そういう点は十分に考えて参りたい、このように考えています。
 なお、先ほどお話のありました一つの考え方として、名簿式比例代表制度も一つの考え方ではないか、このような御意見でございましたが、これは参議院の全国区の制度を調査会において御検討になっている途中にも、そのような御意見も出ておったのでございますが、果して現在の政党の力と申しますか、姿におきましてそのようなシステムがとり得るかどうか、政党の中央集権と申しますか、政党の統制力と申しますか、そういうような点で、果して実施できるかどうかというような点で危惧の念を持っておられる御意見もあったのでございます。調査会につきましては、十分私ども、そのような考え方のもとに運営をはかって参りたい、このように考えております。
#20
○柏委員 来年は地方選挙が行われるのでございますが、こういう地方選承におきましても、実際問題としては、このごろの地方選挙は単なる無所属とかいうような形の者がだんだんに減って参っております。実質的には、いずれかの陣営に属しなければ選挙には出られない、これが実情でございます。ということは、もう全体として政党が国の政治にも、地方の政治にも、一つ貫いたものを持って政治をやっていく時代が参っておるというのが実情ではなかろうかと思います。そういう点からしまして、今後選挙制度調査会等におきましては、政党を中心とする選手制度というようなものに対する御研究を進めていただき、そういう選挙制度を実現していただくという線でものを進めていただきたい。たとえば、そういうものと関連を持ちますものとして考えられますものは記号式の投票制度で、この点などにつきましても、記号式が一つの進んだ制度であるという考え方だけでなくして、憲法に保障されております秘密投票制度というものが、だんだんに現在においては破られていくのではないか。たとえば代理投票の制度がだんだん精密になって参りまして、ああいうようになっていきますと、代筆投票などの際には、もう秘密投票がもちろんその点において破られていく。あるいは記載台の実情におきましても、ところによってずいぶん設備の不完全なところなどもあって、筆の動かし方一つでだれに入れたかぐらいの見当はつく、そういうように、もう自書式の投票としては限界がきておる。こういう点から見ましても、記号式の投票制度にしなければ憲法に違反していくというようなことが、私は率直に取り上げられていいと思います。たとえば最高裁判所裁判官の国民審査は記号式になっておりますが、こういうように記号式が漸次採用されていくようになっていけば、名簿式にしましても比例投票法にしましても、そういう制度へ移行することが割合に簡単になっていくという面からしまして、事務的に見ても、自書式から記号式へというような制度を少し思い切って自治庁あたりでも御採用になるということが、私どもが考えます基本的な選挙制度を変えていくのに非常にいい手がかりになっていく、そういうように私どもは考えるものでございますが、記号式というものについては一体どういうふうに、今のところではお考えでございましょうか。
#21
○兼子政府委員 政党を中心とする選挙制度を研究しなければならぬという点は、御指摘のごとく私ども考えております。
 それから記号式の投票制度というものをとるべきではないか、憲法の秘密投票の精神からいっても、よりよい制度ではないかという御意見でございますが、私どもも、記号式投票制度の長所は認めておるのでございますけれども、現在の立候補の状況等からいいまして、知事、市町村長のいわゆる長の選挙につきましては、これを採用して採用できないことはないと思うのでございますが、現在の衆議院議員の選挙等、多数の立候補者があります場合には、これはとうてい実施が困難ではないかと思っております。どの点から、いかに実施していくかという問題でございますが、ただいま御指摘の点は、私ども事務的には地方選挙の長の選挙から実施すべきである、こういう考え方を持っておるのでございますが、いつ踏み切るかという問題で、まだちょっと決心がつきかねておる次第でございます。将来の選挙の方向を考えまして、そういうような点についてさらに検討いたしたい。かように考えております。
#22
○柏委員 自治庁当局が、将来の選挙制度を改正する一つのものとして政党を中心とした選挙というものを考えてみようというお考えは、私は大へんに将来に期待されるものだと思っております。これと同時に、私は今までいろいろな機会に問題になっておりました政党法というものも考えてみなければいけないのじゃないか。全国選挙管理委員会法ができます際の状況を私どもが聞かしてもらった範囲におきましては、政党法を作りたい、作ろうではないかということが基本になって全国選挙管理委員会法ができた。その後におきましても、政党法の問題は何回か問題になっております。現在の公職選挙法におきましても、政党に関するいろいろな規定がもうすでにでき上っております。なおまた将来において、政党を中心とするような選挙運動というものを考えようというお考えがあります以上は、政党というようなものにつきましても今度は何らかの御用意があってしかるべきではないか、そういう点についてお聞かせを願いたいと思います。
#23
○兼子政府委員 政党法制定の問題につきましては、御承知のごとく、新憲法下国会成立早々のころからの問題でございまして、政党法制定の問題がその後の経過によりまして、現行の政治資金規正法に転化したと申しますか、制定実施を見ているというような状況でございますただ政治資金規正の問題でなく、政党の組織運営の法律を法制化するかどうかという問題につきましては、諸外国におきましても、研究はされているようでございますが、現在いずこにもまだ制定を見てないのでございます。御承知のごとく、西独等におきましては相当研究が進んでいるようでございますが、まだ委員会で調査研究している段階でございます。私どもの考え方といたしましては、選挙の建前を英米のごとく自由な選挙にする、しかも政党本位の選挙にする、こういう考え方に立ちますれば、政党法のそのような部分の考え方というものもおのずから違ってくると思います。現在の公職選挙法のような厳格な選挙法制を頭に置いて、しかもそれを政党の選挙制度に切りかえていく、こういう考え方に立ちますと、政党法の規定も相当複雑困難な問題を生じてくると思います。彼此勘案いたしまして、外国等の選挙の実態をよく調査いたしまして、政党の選挙というものと個人の選挙を切り離しておりますわが国の現行の考え方が、適当であるかどうかというような点につきましても十分検討いたさなければならない、このように考えている次第でございます。資料等につきましては、西独等につきまして研究してもらっている段階でございます。
#24
○柏委員 これで終ります。
#25
○早稻田委員長 森君。
#26
○森(三)委員 私は、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の審議に当りまして、政府側にいささか質問をいたしたいと思います。
 その質問に入る前に、今回非常に重要な改正案が提案されておりますので、私どもはこの審議に当りまして、総理大臣の出席を強く要求したいのです。この議会制度を守るものは、やはり選挙制度を確立しなければ、政治の公明もそれから国会の権威も、私は保つことができないと思うのです。根本は、選挙を明朗化しなければいい議員は出てこない。いい議員が出てこないと、いわゆる汚職とか、あるいはグラマン、ロッキードとかいう問題が出てくる。そこで私は、本論に入る前にちょっと質問をしたいのですが、せんだっても私は本会議におきまして、岸総理に対して質問をした。それは、選挙法の百二十九条に規定のあるところの事前運動の規定であります。昨年の解散の声がだんだんと出てきましたときに、私は同志とともに、この事前運動の取締りについては、警察当局やあるいは自治庁当局に対してもずいぶんやかましく言ったのです。ところが自治庁当局といたしましては、この事前運動の取締り、が非常に緩慢で、行き届いていなかった、そのために今年の総選挙においても、まことに悪質きわまるところの選挙違反が続出しております。これははなはだ失礼かもわからぬが、与党の私の友人から聞いたところが、僕は一千万円使ったけれども、相手方の同僚の候補者が二千万円使ったからおれは負けたんだということを、はっきり言っておる。選挙の始まる前に莫大な金をばらまいておるという実態を、兼子選挙局長はどのように考えておりますか。
#27
○兼子政府委員 選挙の実態についてのお話でありましたが、本年五月二十二日執行されました総選挙におきまして、遺憾ながらやはり相当多数の違反者が検挙されておる実態でございます。ほぼその数字は、前回の昭和三十年の総選挙の違反者の数と匹敵いたしておるような実情でございます。事前運動の取締りは、これは警察、検察の職責でございますが、私どもの方の選挙管理機関といたしましては、公明選挙連盟、選挙管理委員会を中心にいたしまして、相当の事前運動防止の運動も展開しておりますことは、御承知の通りでございます。なおまた選挙の前でなくとも、平素におきましても、選挙の腐敗防止につきましては常時話し合い運動を中心といたしまして、有権者にきれいな選挙、あるいは選挙意識の徹底と出しますか、政治常識の高揚と申しますが、そういう点につきまして十分に力を尽しておるつもりでございます。ただ遺憾ながら、本年五月の総選挙の違反統計等から見ますと、その前の昭和、千千年の総選挙の結果とほぼ相匹敵するような違反の実態を示しておりまして、はなはだその点については遺憾に存じておる次第でございます。また現在、明年の地方選挙あるいは参議院議員の通常選挙等が予想されておりますので、それにつきましては、現在すでに選挙管理機関等におきまして話し合い運動等を中心といたしまして、選挙民の常時啓発に当っておる次第でございます。
#28
○森(三)委員 兼子局長の話を聞いておると、大へん美辞麗句を並べて事前運動を取り締った、取り締ったと言いますが、さっぱりその効果は上っておらないのです。もっとも岸総理みずからが、山口県の自分の選挙区におきまして事前運動を展開している。しかも、自分の党のある議員から、法務委員会において徹底的にその内容が究明され、法務委員長の小島君は、そういうような名前をあげて質問することはよしてくれといって再三再四制止したにかかわらず、その委員は徹底的に究明しております。すなわち山口県においては、岸総理の東南アジア訪問におけるところの各地の歓迎のありさま、そうしてインドあたりでネールと握手をしたり、象に乗って、まるで得意満面としておるところを盛んに映画館なんかでやっておる。しかもそれには「明治天皇と日露大戦争」というような映画までくっつけて、とにかく一日二千人も三千人も入る。ほんとうに金をとるならば、一人百円くらいとらなければならぬところをただで見せておりますから、これは延べ何万人にも見せたとして、その金を計算すると四、五千万円の金になる。そういうことをやられたら、それはとてもたまったものではないですよ。一国の総理みずから、そういう選挙違反事件というものをやっておる。しかもその山口県においては、一区でも二区でも、一つも選挙違反があがっておらないのです。これはまた不思議な話だ。あなた方はそれを聞いて、一体どういうふうに考えておるか。そういう実情を調査したことがありますか、ありませんか。うっかりそんなことを調べると、自分が首にでもなるかと思って調べられないのですか。そういうことは、あなた方、前からお聞きになっておると思いますが、いかがですか。
#29
○兼子政府委員 選挙違反の実態につきましては、取締り当局である警察、検察の機関の方が、実情は承知しておると思うのであります。私どもといたしましては、そういうものが起りましてから、必要に応じまして個々の事件、たとえばこの前、本委員会においてお話のありました阿寒町長選挙事件であるとか、金木町長選挙事件であるとか、管理両あるいはその実態とというようなものにつきまして調査ついたしておるのでありまして、個々の件につきまして、必要がありますれば報告を徴することにいたしておりますが、全般的には、府県あるいは市町村等からそれぞれの報告がありました以外は承知をいたしておらない、このような実態になっておるのでございます。
#30
○森(三)委員 私は、どうしても岸総理を当該委員会に出席を願いまして、この問題は徹底的に究明したいと思います。この間も私が本会議で質問しましたところ、岸首相は、いつでも当該委員会に出席して、私は私の選挙に関するところの問題はできるだけ明確に答弁いたします、こういうふうにはっきりと、挑戦的というか、相当興奮した口調でもって答弁しましたから、これは私、委員長にもお願いしておきますが……。(鍛冶委員「岸さんがやったわけじゃないだろう」と呼ぶ)それは運動員がやったんたけれども、しかしそんなことを言ったら、君だって一々君がやるわけじゃなくて、運動員がやるんだろう。そういうことについて、今鍛冶君あたりが茶々を入れたその実態を究明するためにも、どうしても私は、この委員会に総理の一つ出席を願いたいと思うのであります。
 それから、私は兼子さんの見解を一応お尋ねするのですが、選挙法の百二十九条、つまり選挙運動は、立候補届出をしなければ選挙運動をなすことができないという規定ですね、これには、当該選挙が行われる何カ月前までをもってこの法律の適用期間とするかということについては、もちろん規定がないわけです。これは判例とかあるいは解釈によっていろいろあるわけでありますが、私個人の観念とするならば、とにかくその当該選挙運動の事前運動とみなすことが客観的に判断できれば、やはり私は犯罪構成要件を充当すると思うのです。ですから半年前であろうが、一年前であろうが、事前運動の犯罪というものは成立することができる、期間というものに制限はないんだと思っておりますが、いかがですか。
#31
○兼子政府委員 法第百二十九条の事前運動に該当する期間についてお尋ねでございますが、これは選挙を済ませましてから、次の選挙の期間をこれは理論的に該当するものと考えております。
#32
○森(三)委員 大へんあなたはその点について明確な御答弁をされた。私もその答弁に満足です。当該選挙が済んで、次の選挙までの間におけるすべての運動を事前運動とみなすというお考えですね。たとえば衆議院の場合なら、今度の選挙が済んで次の選挙を目当てとして行うところの選挙運動であるならば、事前運動とみなすことができるというように解釈されているわけでしょう。
#33
○兼子政府委員 期間の点につきましては、ただいま申し上げた通りこでございます。ただ政党の政治活動等も行われるわけでございますから、個々のその運動の態様が事前運動になるかどうかというような点につきましては、個々のその運動の態様と申しますか、そういう点について、これはもう私から申し上げるまでもなく十分御承知の通りでございますが、その点をつけ加えて申し上げます。
#34
○森(三)委員 そこで、兼子さんは予防線を張っておるわけですが、予防線を張ることはけっこうだ。けっこうだが、その事前運動の期間については、衆議院であろうが、参議院であろうが、知事選挙であろうが、みな同じだと思うのです。そこで私は岸さんを呼んできて、ここで徹底的にやろうと思うのですが、その前提として、幸いに与党の議員の諸君もおられるので、今度岸さんが来た場合にこれを詳しく言う時間がないかもしれないから、ここで申し上げたいと思います。
 これは「オール東北海道」という本ですが、ここに北海道の知事選に対する町村金五君の写真が堂々と載っている。「勝算を信ずる町村自民党知事候補」とちゃんと出ているのですね。それから今度、岸首相が北海道へ来て、得意満面として各地で行列だ。そしてここには岸総理、町村代議士、本名代議士とオープン・カーで、ここではパーティをやって、ここでは帯広でもってこういうような大演説会合をやっている。それからここでも……。こういうように各地において、各町村くまなく回っているのです。ここでは「龍虎の対決」として、町村、横路の写真が出ているが……。(「二人出ているじゃないか」と呼ぶ者あり)これはここでやっている行為を言うのだ。(「見せてくれ」と呼ぶ者あり)今これから見せてあげるよ。この間、私が岸総理に質問したときは、いや私は、札幌における自民党の北海道支部大会において確かに自民党はこういう候補者を決定したということは言ったが、よそへ行っちゃ言わないというような、含みのあるような、そう言って言葉を濁したのです。ところが事実は、そんななまやさしいものじゃないのです。各町村くまなく、なかなかよく回った。(「横路君だってそうじゃないか」と呼ぶ者あり)それは町村君が議会報告で回るのなら別だが、「岸首相は八月十八日、道内視察と知事候補に決まった町村金五代議士の応援を兼ねて来道し、十八日の札幌市民会館大ホールでの演説を皮切りに、十九日女満別、網走、美幌、北見、二十日釧路、帯広、二十一日滝川など、おもに町村氏の知られていない道東地方を遊説、各地区とも盛大な歓迎を受けて二十一日千歳発日航機で福岡へ向った。」こういうのですがね。総裁であろうが何であろうか、選挙法の二百三十九条の二というのを見てごらんなさい。そこを私、読んで聞かすから……。そこには「左の各号の一に該当する者は、二年以下の禁錮又は三万円以下の罰金に処する。」「国又は地方公共団体の公務員でその地位を利用して第百二十九条((選挙運動の期間))の規定に違反して選挙運動をした者」はこうなる。(「選挙運動じゃないじゃないか」と呼ぶ者あり)それから選挙運動に入るのだよ。
 そこで、その演説の内容を一応言いますからね。こうですよ。「北海道知事は中央政府に対して有力な発言権を持ち、開発政策を左右するくらいの影響力を持つすぐれた見識と力倆を持っている人が必要になる。さらにその人は道民の気持にピッタリ息のかよい合っている人がいいわけである。」なかなか名文句ですな。その人は町村君以外にないものと信じている」(「いいじゃないか」と呼ぶ者あり)特定の人の名前をあげて、そこで「道民もここで空気を一新する意味から、政府と一体となって開発をすすめる我が党の知事候補を応援して貰いたい。」こういうことを言っている。不届き千万だよ。「道民にもその空気は溢れている時期と思う。北海道の開発は何といっても人だ。広く大きい北海道を開発するためには」この人をおいてほかにないということを言っておる。そういうことを言って、事前運動でなかったらおかしいよ。(「思うだよ」「君の都合のいいことばかり言う」と呼ぶ者あり)選挙違反になるところを言っているのですよ。あなた一緒に読みなさい、私はうそは読まないからね。釧路ではどういうことを言っているかと思うと、「北海道の知事選挙に町村氏を起すことになったが、これは道連が一致して町村氏をおし、同氏もこの道連の意向を汲んで出馬することになったものだ。党としては全力をあげて応援する。党員だからほめるわけではないが、町村君は行政センスから見て、知事として彼ほどの適任者はいないと思う。道東の皆さんも、町村知事実現後の行政効果は十分期待出来ると思う。」(「思うのだから」と呼ぶ者あり)だから、前にお願いすると言っているじゃないか、お願いすると言って……。
    〔発言する者多し〕
#35
○早稻田委員長 静粛に願います。
#36
○森(三)委員 こういうことを一国の総理である者が堂々と、しかも五千人、六千人の集まっておる街頭において……。(「いいじゃないか」と呼ぶ者あり)こういうことを言う人に、そうした事前運動をやっちゃいけないとか、選挙に莫大な金を使っちゃいけないと言っても始まらない話ですよ。私は総理大臣の出席を求めて、今度は堂々と対決するつもりだ。(「思う、と言っている」と呼ぶ者あり)同時に、思いながら堂々とあなた方の支援を頼むということを言ったじゃないか。わが党の知事候補を応援してもらいたいということを言っておるじゃないか。(「ここに書いてある通りならいけないよ」と呼ぶ者あり)ここに書いてある通りならいけないということを今鍛冶君が言ったからね。これは記録に載ったからね。やっぱりあめんたは正義感がある。あなたはいけないというのだ。あんたいいことを言った。
    〔「こんなことはあるべきはずがない」と呼び、その他発言する者多し〕
#37
○早稻田委員長 静粛に願います。
#38
○森(三)委員 こんなことはあるべきはずがないということを、鍛冶君がここで立証したのだからね。今度は、僕はテープレコーダを持ってくるからね。岸総理のやったテープレコーダーを持ってきてやる。鍛冶君はこんなはずがないよと、いいことを言ってくれたんだから……。
#39
○早稻田委員長 森さんにちょっと御相談しますが、質問は政府委員にお願いいたします。
#40
○森(三)委員 この問題はここまで言っておいて、まただんだん別の方に入っていきますが、どうしても岸総理を呼んできてやりますからね。特に委員長にお願いして、とにかく適当な機会に岸総理の出席を求めて、岸総理もまた、当該委員会において私は十分説明しますと、彼みずから発言をしておる。そこで私は、事前運動を取り締らなければ選挙の公明は期せられないと思うのです。八月の上旬以来、炭総理を中心としたところの北海道知事選挙というものは、今もはやクライマックスに達しているのです。何十万枚という。ポスターを各町村くまなく張っている。(「あんた方も張ってるじゃないか」と呼ぶ者あり)われわれも、選挙法で可能な方法において、横路君が国会報告という形でやっておるけれども、選挙法に違反するようなことは一つもやっておらぬ。特にわれわれは、警職法の改正によって、必ず来年の選挙戦においては徹底的な弾圧がくるということも考えておるから、われわれの方としては、事前運動にひっかかるようなことは一つもやっておらぬ。でありますから、この事前運動の取締りについて、自治庁当局がどうして今回の改正に書かなかったか。――いいですか、こういう事前運動の規定は現在百二十九条にありますれども、こんなばく然とした規定でなくて、もっともっと具体的なものを作らなかったならば、百年河清を待っても、私はこの選挙界というものは粛正できないと思うんですよ。たとえば、参議院の選挙が来年行われる。もう期日がきまっているんです。今日、参議院議員の全国区やその他の人は、ほとんど登院してないのです。選挙運動にどんどん歩いている。私は参議院のある北海道の候補者を知っていますが、この人は、ともかく何千万円使うかわからないといって……。(「社会党の人も来ているよ」と呼ぶ者あり)ですから、非常に事前運動が活発でありまするから、この事前運動を禁止しまして――自治庁はこの事前運動の禁止につきましてどういう考えを持っておるか、御答弁を願いたいと思います。
#41
○兼子政府委員 法第百二十九条の事前運動禁止の規定につきましては、これは諸外国の立法例を見ましても、フランスが事前運動の禁止をしておるのでございます。あとはわが国の事前運動禁止の規定があるだけではないかと思うのでございますが、選挙の実態、あるいは政党政治の実態から見まして、選挙運動を法定期間内にとどめるということは、これはまた実際問題といたしまして、非常にむずかしい問題と思うのでございます。ただ、選挙運動を白熱的に実施するのが選挙の法定期間内である。その前に、全国区の選挙等を考えてみますれば、やはり準備と申しますか、法定期間以前にそれぞれ準備をされるのが実態であり、またその必要がないとは言えない。それで百二十九条の違反の取締りの問題でございますが、これは選挙の実施におきまして、公平に選挙を実施していく見地から、それぞれ警察、検察機関と私ども共同いたしまして、事前運動の取締りというものにつきましては、これは政府一致して従来当っておるのでございます。明年行われます地方選挙、あるいは参議院の通常選挙につきましても同様の考え方を持っておるのでございまして、選挙の実態から見まして、事前運動の悪質なものの取締りということは、警察、検察機関に十分お願いをする考えでございます。
#42
○森(三)委員 そこで、私は、こうしたところの知事とか参議院とか、こういう大きな選挙の関係もあるので、事前運動の取締りとともに、選挙運動をしやすくしてやるために、今日のテレビの発達したり時代、政党やあるいは政治運動をするために、テレビというものを利用さしてやったら非常にいいと思うんです。これはアメリカやイギリスでは、とっくにやっているんです。私がかって、一九五四年でしたか、ニューヨークに行っておったときも、ちゃんと家庭でテレビによってやっているんです。一々聞きに行かないんです。テレビを活用すれば、立会演説会の喧騒なヤジというものもだんだんとなくなってくるんだから、そういうことをあなた方はお考えにならないか。(「立会演説会はやめよう」と呼ぶ者あり)立会演説会も必要だけれども、立会演説会に行って聞けない人もあるから、テレビを普及しなければならぬ。
#43
○兼子政府委員 テレビ放送を選挙制度の中に取り入れることの問題でございます。現在のテレビの聴視加入者というものは相当の数に上っておりますが、現在なお発達、普及状況から見まして、これを全面的に制度の中に入れるということは困難ではないか、このように考えております。ただ現在におきましても、政党の政治活動でテレビを御利用になることは当然自由でございます。選挙におきましては、これは相当利用されるもの、このように考えております。
#44
○森(三)委員 そこでテレビといいましても、各家庭では実際においてなかなか買えないのだから、政府の予算なり自治庁の予算においてこれを購入して、できるだけテレビを利用する方法はなかったのか。これは絶対必要ですよ。これは予算上相当金がかかるかもしれないが、しかも悪質な選挙違反はできるだけ減らすというようなところから見れば、これは私は必要なことだと思うのです。立会演説会ももちろん必要です。立会演説会がなければ意見の交換ができないから、立会演説会は立会演説会としてやって、それを全国に聞かすために、テレビが買えない人にそれを聞かすためにやはり国家の予算なりを出して、そうして普及してやる。テレビが家庭にある人はいいかもしれないが、ない人に対しては、買ってやらなければならぬ、こういう考えはあなた方もお持ちになるのが当然だと思う。そういう選挙の公営に関しての配慮というものが、今回の選挙法の改正にどうして出なかったのか、不思議なんですよ。
#45
○兼子政府委員 テレビの普及状況を促進する見地から、政府においてテレビの購入の補助なりあるいはテレビ施設の設置というものを考えたらどうかという御意見でございますが、テレビの購入そのものにつきましては、おのずから国民経済力によってまかなわれ、設置さるべき問題と考えておるのでございまして、選挙の管理機関の方でこのテレビの設置をはかるということは困難ではないか、このように考えます。
#46
○森(三)委員 お互いに選挙に莫大な金をかけて、結局政治というものが明朗にならないのだから、選挙にどうすれば金がかからないかということは、自治庁当局としてはしょっちゅう考えなければならぬ問題ですよ。選挙に金がかかるから、政治が腐敗してくるのは当然なんです。従いましてことしの選挙法の改正によって、ポスターとか、はがきの枚数をふやしたとか、あれは私は大へんよかったと思うのです。しかしその反面、また選挙運動を活発にするために、わが党からも提案してあるところの、たとえば時間を制限して連呼行為を行わすというようなことは、必要なんですよ。結局一方では禁止しても、一方では連呼行為をどの政党の人もやっているんだから、そうしてそれが犯罪だとか違反だとかいって、小さなまるで形式違反みたいなことをつつき合っているのだから、そういうことはきれいに、朝の九時から夕方の六時までとかなんとかいうふうに時間を制限して、そうして連呼行為をやらすというようなことも、これはあなた方お考えにならなければならぬ。これは自民党の方の人も認めているのですよ。そうしてお互いに連呼をやったとかやらないとか、つつき合っている。選挙管理委員会も文句を言われて、実際は困っているのです。警察もまた、その取締りができないといって困っているのですよ。ですから、そういうことがないように、はっきりとやらしてやる。それによって選挙民は候補者の名前を聞くこともできるし、また新人の候補者に対しても、不利益を与えないというような、公平な措置ができると私は思うのですよ。それに対してどういうお考えですか。
#47
○兼子政府委員 連呼行為の時間的制限の解除と申しますか、これにつきましては、私ども考えたのでございますが、なお連呼そのものに伴う利点、それから弊害と申しますか、そういう点を考慮いたしますときに、明年は地方選挙の年に該当いたしております。これがかりに連呼は認めるということにいたしますと、相当騒音と申しますか、都市におきましてははなはだしいものになろうと考えるのでございます。そういう見地からいきまして、従来連呼が禁止されました経緯から見まして、これを復活するということにつきましては、なおまだ消極的な態度をとらざるを得なかったのでございま
#48
○鍛冶委員 関連して。連呼についてはまた別ですが、今伺いたいのはテレビのことです。現在はラジオ放送をやらせますね。あのラジオ放送をやらせるときに、テレビも一緒にやらせたらいいと思うのですが、この点はどうですか。今ラジオだけですが、テレビのない人は仕方がないけれども、ある人にテレビでやるということは一向差しつかえないと思う。これは法できめてあることだから、そういうことを入れていいように思うのですが、どうですか。
#49
○兼子政府委員 現在関東地区が、全国で一番ラジオにおきましても、テレビにおきましても窮屈でございます。関東全域と一部関東以外の地域まで東京の局でまかなうわけでございますが、ラジオは四局を選択することにいたしております。現在のテレビの普及状況からいたしまして、とうていこれでは処理できないのでございまして、私どもといたしましてはまだ無理ではないか、このように考えております。
#50
○鍛冶委員 これは一つ研究しておいさもらいましょう。
#51
○早稻田委員長 島上善五郎君。
#52
○島上委員 選挙期日に関することですが、今回は二十三日と二十八日ということになっております。二十三日が都道府県及び知事の選挙の投票日で、三十四日が開票日ということになりますと、二十三日と四日は事実上あとの方の選挙運動にならぬと思うのです。特に二十三日の投票日は、あとの二十八日の選挙運動については法律上でもいろいろ制限が加えられておりますので、選挙運動にならぬし、また開票日は、選挙民の関心は都道府県知事及び都道府県会議員の開票に集中しておりまして、これまた実際上選挙運動にならぬ、こういうことになる。そうすると、五、六、七の三日間は実際の選挙運動はできない。一週間の選挙期間の場合にはその前なお二日ありますけれども、しかしこれまた二日というのは、前の選挙のいわゆる終盤戦です。前の選挙の終盤戦とあめとの選挙の緒戦とか、十日間の運動の場合には五日かち合い、一週間の場合には二日かち合う、こういうことになる。これは立候補して選挙運動する側から見ても、非常に困ることです。ところが私ども地方へ調査に参ります際に、選挙の管理執行の衝に当っておる選挙管理委員の異口同音に希望しておるところは、こういうふうにかち合っては選挙管理の事務的な方面で非常に困難を来たす、あるいは混乱を引き起す。そこででき得べくんば十二日間を置いてほしい。ということは、要するに前の選挙の投票が済んだあくる日あたりが告示になるようにしてほしい、こういう希望です。私はこれはもっともだと思うのです。今の選管の機構から申しまして、終盤戦と緒戦がダブるというようなことは非常にやりにくい。今申しましたように、立候補して選挙運動する側にとりましても、そうでなくてさえ運動期間は短かくなったのに、さらにそういう事情のために実質的に短かくなるということは、非常に不便です。こういうふうにどうしてもダブらせなければならぬという理由があるならば、私どもは一つここで伺っておきたいと思います。
#53
○兼子政府委員 明春の地方選挙の期日を府県、五大市を二十三日、その他の市及び町村を二十八日に統一いたしさおるのでございますが、これにつきまして選管等から、前の選挙とあとの選挙の間に少くとも十二日間隔を置いてほしいという要望がありますことは、私ども十分承知をいたしておるのでございます。しかしながら、十二日間隔を置くということを実現いたしますためには、府県、五大市の選挙をもっと早目にやる、あるいは市町村の選挙を五月に持っていくかという二つの方法があろうかと思います。あるいは市町村の選挙を先にする、それから府県、五大市の選挙をあとにやるということによる方法もあろうかと思いますが、この府県の選挙を先にやるということにつきましては、市町村の選挙の方がやはり何と申しましても、地方住民の関心が高いということが考えられます。そういう見地からいたしますと、やはり身近な選挙をあとに持っていくということの方が適当ではないかという考え方のもとに、前回国会で立法いたしました地方選挙の統一の考え方に従いまして、府県、五大市の選挙を先にしておるのでございます。前回の法律におきましては、府県、五大市ばが二十三日、その他の市及び町村は四月三十日に実施いたしたのでございますが、今回その選挙期日をとらなかった理由といたしましては、前回は町村の選挙の運動期間が十日であったのでございますが、選挙法の改正がその後前国会で行われまして、御承知のごとく一週間になったわけであります。そういたしますと、府県の選挙期日に市町村の選挙の告示をしなければならぬ、こういう管理上の重複の問題がございまして、専心選挙の投棄管理に当りたいという選管の気持といたしましては、そこをどうしてもずらしてもらいたいという要望がございましたが、それをずらすということにいたしますと、二十三日に告示をするのでなく、三十一日に町村の告示をし、市は十八日に告示をいたすことによりまして、繰り上げによりまして二十八日に選挙期日を持っていくということが考えられるのでございます。その方が前回の考え方そのものをとるよりもベターである、このような結論に達したのでございます。なお市町村の選挙を五月に持っていくことの可否につきましては、明年は参議院の半数改選の年に相当いたしまして、御承知のごとくその任期は明年の五月二日に満了いたすことになっております。そのような実情から考慮いたしますと、国会の召集日等の関係もございますが、五月末から六月上旬に参議院の通常選挙の期日が予定されるわけでございまして、そういう点を考えますと、五月早々からまた参議院の選挙に入るというわけでございます。そのような点を考慮いたしますと、地方選挙は四月にこれをまとめまして、有権者の関心を盛り上げると申しますか、政治に対する国民、有権者の関心を高めることによりましてりっぱな選挙を実施したい、このような理想想のもとに前回の議員立法でおきめいただいたわけでございますが、四月二十三日、四月三十日という考え方を、先ほど申し上げました事務的の見地から、その後の方の選挙期日を二日繰り上げまして、四月の二十八日といたした次第でございます。
#54
○島上委員 ただいまの御答弁だけでは、二十三日と二十八日にどうしてもしなければならぬというほどの強い理由、根拠があるとは思えない。選挙を四月にまとめるということはいいと思います。それからまた、私も、身近な選挙をあとにするということは、順序としてその方がよろしかろうと思います。しかし、たとえば期間を引き離すとすれば、あとの方を五月の初旬に持っていくという手がありまするが、それがもし参議院選挙のために非常に都合が悪いという面が考えられるならば――私はそうではないと思うのです。五月の四日、五日、六日ごろに持っていっても、そう参議院選挙に大きな関連が生じて都合の悪いことがあるとは思えませんが、かりに若干そういう点があるとしましたならば、二十三日をもっと繰り上げることも可能だと思うのです。二十三日を繰り上げますると、知事選挙などは若干三月の末にかかるわけですけれども、しかし二十三日であっても、厳密に申しますれば三月の末に二日ほどかかるのですから、二日かかるものなら一週間かかったって同じだと思う。せいぜい繰り上げましても、五日か一週間繰り上げればいいのです。ですから、実質的には選挙運動は四月にまとまるということになるわけですから、二十三日をもう少し前の日に繰り上げることもまた可能なんです。そういう方法も自治庁では検討されたと思いますけれども、そういう点はいかがですか。
#55
○兼子政府委員 地方選挙を五月に持っていかないというのは、やはり参議院選挙との間にけじめと申しますか、選挙管理機関としても、相当長い期間それに当るわけでございますので、四月に集中した方が、有権者の立場あるいは管理能力等から見てベターであるという考え方に立ったのでございます。なお、今御指摘の、しからば二十三日の選挙をさらに繰り上げることは可能ではないかという御指摘の点でございますが、これは二十三日のこの案でございましても、三月の二十九日に告示をいたすことになっております。これ以上上繰り上げますと、府県議会等におきまして予算の繰り越し等の府県議会会の問題がございまして、これはそのような議会の機能というような面から見ますと、三月末できるだけおそい方がベターなのでございます。彼此勘案いたしまして、ただいまいたししましたような、これが上の方から押えられたぎりぎりの期日ではないか、このように考えておるのでございます。繰り越し予算等は、金額あるいは問題からいきますと、それほど重要性がないということは考えられますが、その当該団体にとりましては、やはり非常に重要な時期に際会をいたしておりますので、三月末は、これはそれほど選挙のために繰り上げるというわけには参らない、このように考えておるのでございます。
#56
○島上委員 ただいまの御答弁には、私の考えとすればそのまま賛成しがたいのですが、まあこういう期日にした理由として承わっておきますが、もう一つこういう理由があると仄聞しておるのです。それが事実かどうかを、この際確かめておきたい。というのは、前の選挙とあとの選挙を離す、つまり前の都道府県知事及び都道府県会議員、五大市の選挙を投票して開票した後に告示ということになると、前の選挙で落選した者が次の選挙に立候補する、あるいはもともと前の選挙が目当てではなくて、あとの選挙に主眼があって、選挙運動を有利にするために前の選挙に立候補する、こういう弊害があるということも一つの理由としておるやに仄聞しておる。そういうことも全然ないとは言われませんけれども、今日政党が発達して公認制度が確立した現状においては、それは私はきわめて少い例外だと思うのです。そういう例外のことが考慮の中に入っておるかということを、この際承わっておきたい。
#57
○兼子政府委員 今度の地方選考に、かりに間隔を置く制度をとるといたしました場合に、先の選挙に立候補した者があとの選挙に重複して立候補する、そういう弊害があるから、重ねたのではないかという御質問でございますが、このような場合には、現行法では、重複立候補の禁止の規定はそのまま該当いたさないのでございますけれども、非常に接近した選挙でございますので、必要がありますれば、重複立候補の禁止の規定が考えられないこともないと思うのでございます。そのような点はないとは言えないのでございますが、むしろこの選挙の期日をきめる考え方の基本といたしましては、有権者の選挙に対する関心というものに重点を置きまして、四月に地方選挙を済ます、それで五月に国の参議院の選挙を行う、こういう考え方のもとにこの法案を考えておるのでございます。
#58
○島上委員 それでは、その点は納得はしませんけれども、まあ御答弁は御答弁として承わっておきます。
 それから、皆さんお急ぎのようですが、一つだけ簡単に伺いたい。これば、この次にはまた十分に残りの質問をしますが、非常に重大な問題が一つあるのです。さっきの鍛冶君の質問にも多少関連しますが、選挙管理の公正な執行ということは、これは大事なことです。ところが今日、選挙管理上の盲点というか、法律上の盲点があるために、いろいろ問題が起っておる。私はその一つの事例をあげてここで伺いますが、はなはだしい、驚くべき、想像を越えたような不正事件が起っておる。これは青森県の金木というところの町長の選挙。この点に関しては、きょうはお見えになりませんが、管理課長の桜沢君が選挙時報の八月号に、「汚点を残した選挙管理」ということで書いてございます。簡単に申しますと、こういうことです。青森県の金木町の町長選挙は、開票日はことしの四月の十九日でしたが、花田一という候補者と津島英治という候補者二人が立ちまして争ったのですけれども、七百七十四票の差で花田一君が勝っているのです。そうして、このことはもう予想されておったのですが、その開票の進行の途中で、津島候補の敗色が濃くなって、これはもう負けたということになってきたものですから、その選挙長――これは現在逃亡して全国に指名手配されておりますが、選挙長が、この投票に不正があるという一立会人の申し出――これは津上島英治という候補者の竹内という立会人の申し出があったことを奇貨として、開票中止を強引に宣言した。それから何と、町の選管では開票続行を決定したのに、選挙長は開票をしないで、開票中止をさして、十九日から四月の二十七日まで開票を引っぱった。そうしてその間に、四村という選挙正長が辞任をして、新たに傍島正守という人が選挙長になった。これは今逮捕されて、公判審理中です。それで、開票のときに、投票用紙の紙の質と寸法と印鑑の違っているものがあると称して、その選挙長は拡大鏡で検査するなどして、花田候補に投票されたものを――これは全部ではありませんけれども、とにかく花田候補の投票がおもですけれども、八百四十九票という大量の無効投票を作った。その結果発表しましたのは、津島英治候補が三千九百九票、花田一候補が三千六百五十三票で、津島英治候補の当選、こういうふうに一方的に宣告しております。その後県の選管でいろいろ調べまして、六月十六日に投票用紙を十分に検討しました結果、この無効投票のうち、七百七十四票花田候補の票が有効と認められる、それから津島候補の票は二票有効と認められる、結局県の選管では、四千四百二十七要で花田候補の当選、次点が三千九百十一票で津島候補、こういうふうに裁決しております。ところが、最初の町の選挙長の宣告によって当選された津島英治という人は、その後県の選管の決定を不服として訴訟を起しております。今言ったようにこの関係で逮捕されたり、あるいは今手配をされたりしているのがたくさんございます。そうしてこの不正、不当な管理によって最初町の選挙長から当選と宣告されたけれども、県の選管の裁決によれば次点となっておる津島英治が、今日なお町長として町の行政をつかさどっている、こういう問題があるのです。詳しく言うとたくさん指摘したい点がありますが、これはもう驚くべき事実です。こういうようなことはめったにないことですけれども、当然自治庁もお調べになったと思うし、これに対する自治庁のお考えもあろうと思うのです。これは裁判進行中ですからといえばやむを得ないことでもありましょうけれども、このように明白に当選しておる者が、町民の意思に反して町政をつかさどることができずに、落選しておる者が、不正、不当な選挙管理の結果、現に町政をつかさどっておるというようなことは、何といってもこのままに捨ておけない問題だと思うのです。このいきさつ並びにこれに対する見解を承わりたい。
#59
○兼子政府委員 青森県北津軽郡の金木町長選挙事件が本年の四月十九日に起りまして、その事件の内容は、ただいま島上委員からお話のあった通りでございます。それにつきまして、自治庁として、どのような見解を持っておるかという点でございますが、現地の紛争を承知いたしましたのは、その青森県選挙管理委員会を通して承知いたしたのでございます。開票事務の遅延、混乱というようなことから、県選管の委員も当時上京して参りまして、私どもと打ち合せを行なったのでございます。私どもといたしましては、県選管の委員を督励いたしまして、すみやかに開票事務を終息せしめるということに主眼を置いて推進をはかったのでありますが、その間相当の時日を要しましたこと、並びに開票の結果、ただいま御指摘のありましたような事件が目下起っておるのでございます。これにつきましてはすでに刑事事件、それから選挙の無効を争う民事事件、二つの事件が現在進行中でございまして、非常に希有な事件だと思うのでございます。
 このような事件に対処して、いかなる措置をもって臨むべきかということにつきましては、選挙の公平なる管理を使命といたします選挙管理機関としては非常な汚点でございまして、今後再びこのようなことのないように、十分徹底をはかりますことは申すまでもないことでございますが、このような事件に対して制度的にいかなる措置をもって臨むかという点につきましては、十分検討しなければならぬ問題だと思うのでございます。ただこの市町村選挙管理機関の決定というものを、一段上の県段階の審査機関が決定いたしましたところによって、当選の効力をきめるということも一つの考え方かもしれないのでありますが、このような希有な事件を考えるといたしますと、やはり同様な不信が、県段階についても論理的には考えられるわけでございます。非常に希有な事件で、果してそういう角度から制度を考えることが適当かどうかという問題が一つあるのでございます。ただそのような法制をかりにとるといたしましても、法律技術的にそのような制度の可否が十分に検討されねばならぬと思うのでございますが、私どもといたしましては、直ちに制度的解決をはかるのが果していいかどうかという点は、いまだた確信を持っておらないのでございます。やはりこれは、法の厳正と申しますか、刑事法の保証のもとに解決をはかり得る問題ではないか。また選挙管理機関の行政上の職責というものを徹底することによりまして、行政機関というものの使命も十分自覚させることにいたしまして、将来の発生を防止し得るのではないか、このように考えておるのでございます。
#60
○早稻田委員長 島上君にちょっと御相談しますが、この問題につきましては、すでに加藤高藏君から発言の申し出があったのでありますが、本件はこの法案審議とは別途御検討願ったらどうか、こういうことで待ってもらってありますので、いかがでございましょう、あらためてこの問題を取り上げて御検討をいただくことにしては……。
#61
○島上委員 それでは、ただいま委員長のお話もありましたので、あらためてこの問題についてもっと十分検討するということにしまして、私の質問もそれまで保留しておきますが、これはきわめて重大な問題です。私はただ行政措置として、このようなことが再び起らぬように、十分徹底するというだけでは不十分だ。法の盲点をついて、罪人を作っても、一定期間町長としての仕事をしようという考えがあればやれるんです、今の法のもとにおいては……。だからその法の盲点もあわせてふさぐということでなければならぬと思う。
 それからまた、これはこの委員会のことでもないし、あるいは自治庁のはっきり答弁できることでもないと思うけれども、いかに法の盲点を巧みについたからといっても、そういう明らかに当選していない町長が町政を担当しておるというこの事実は、やはり町民にとっては耐えられないことだと思う。今裁判進行中であるからといっても、町民にとっては耐えられないことであると思う。こういうことに対しては、やはりすみやかに、なるべく短かい期間に公正な裁判をして、正しい町長が町政をつかさどるというふうにしなければならぬと思う。これに対して一つ次官の考えを承わりたい。
#62
○黒金政府委員 ただいま島上さんのおっしゃる通りであります。ただ一般論としますれば、その正当であったかどうかということの判断のために裁判所はあるものですから、やはりその判断にまかさなければならぬ。ただ、今当該に起っております問題になりますと、これは率直に言えば、裁判を待たなくてもはっきりしているのじゃないか、そういう気がいたしますけれども、それを制度としていかにするかということになりますと、なかなかむずかしい問題じゃないか、失礼でありますが、しろうと考えでありますけれども、そういう気がいたします。ただ、今お話の通りに、こういう状態が長引くことは非常に残念なことでございまして、裁判所の方のことでありますから、こちらから干渉がましいことも言えないのでありましょうけれども、われわれといたしましても、できるだけ早く結着がつくようにお願いをしてみたいと思います。
#63
○早稻田委員長 では、本件はあらためてまた御検討をいただきます。
 本日はこの程度にとどめ、次会は明後六日、午前十時より開会することにいたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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