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1947/03/31 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 司法委員会 第10号
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1947/03/31 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 司法委員会 第10号

#1
第002回国会 司法委員会 第10号
昭和二十三年三月三十一日(水曜日)
   午前十一時二分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○檢察廳法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○檢察審査會法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) 司法委員會を只今より開會いたします。本日は檢察廳法の一部を改正する法律案竝びに檢察審査會法案、兩案を議題に供します。先ず檢察審査會法案について政府委員の説明を求めます。
#3
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察審査會法案の提案理由については、昨日法務總裁から御説明申上げた通りであります。尚、本法案の内容につきまして、簡單に御説明いたしたいと存じます。
 第一章の總則は、如何なる事項を檢察審査會が掌るか、又全國にどのくらいの數の檢察審査會を設けるのかということを規定しておるのであります。檢察審査會の掌る事項としては、檢察官が公訴を提起しない處分、即ち不起訴處分をした場合に、その不起訴處分が適當であるかどうかということの審査をするというのが、第一の目的であります。次に檢察事務の改善に關して建議又は勸告をするという事務が加わつております。第一の檢察官が不起訴處分をした場合に、その處分の當否の審査を求むる人は、告訴人、告發人又は請求を待つて受理すべき事件についての請求者、その他犯罪によつて害を被つたいわゆる被害者の方から、不起訴處分について不服の申立があつた場合に、檢察審査會においてその處分の當否を審査いたすのであります。その審査をするに當りましては、何人の勢力、影響等も受けないで、獨立してその職勸を行わなければならないのでありまして、檢察審査會の數は各地方裁判所所在地及び大きな地方裁判所支部のある所に設ける豫定でありまして、法律においては二百以上と定めたのであります。
 次に檢察審査會を構成する審査員でありますが、審査員は全國の衆議院議員選事權を有する者のうちから公平に籖でこれを選定して、十一人を以つて檢察審査會を構成するということに定めたのであります。その檢察審査員になり得る資格のある者は普通の常識を備えた國民というのが標準でありまして、第五條、六條、及び第七條には檢察審査員となり得ない、いわゆる缺格條項の者を掲げたのであります。
 即ち第五條の第一號には、小學校を卒業しない者、或いは小學校卒業程度以下の學識しかない者、これは檢察審査員になり得ないとしたのであります。即ち檢察審査員となり得る資格者は小學校卒業以上の學識を有する者という制度を設けておるのであります。その外第五條に缺格條項を列擧しておりますが、これらの者は當然審査員となることができないのであります。
 それから第六條に檢察審査員の職務に就くことのできない者を列擧してありますが、これはその人の本質として缺格者であるというわけではなく、かような第六條に列擧されておる職務に就いておる間は、その地位にあるがために、檢察審査員となることができないという缺格者を掲げたのであります。
 それから第七條は檢察審査員自身が不起訴處分の刑事事件について被害者であつた場合、又檢察審査員がその被害者の親族又は法定代理人、同居人、雇人というような身分上の關係があつた場合は、その職務の執行から除外されるという、いわゆる除斥理由のある者を列擧しておるのであります。
 それからその次の第八條は本來檢察審査員として缺格者ではありませんけれども、一定の條件の下においてはこれも檢察審査員に職務を辭退しても、止むを得ないと思われる者を列擧いたしたのであります。例えば年齢六十年以上の高年齢の者は、必しも不適格者ではありませんけれども、本人の申出によつて不適格者としてその職務の辭退を許すというふうに列擧いたしたのであります。
 それからその次は檢察審査員を選ぶ方法でありますが、その審査員を全國の審査員の資格者の中から候補者を選んで、更にその候補者の中から十一人の審査員と、同じ十一人の補充員を選ばなければならんのでありますが、その選ぶ方法はすべて籖による、非常に繁雜な手數ではありまするけれども、籖の方法によつてその公正を期しているのであります。すべて檢察審査員資格者名簿の作成であるとか、檢察審査員候補者名簿の作成等の事務とその手續は、陪審員の候補者名簿の作成等に準じているのであります。
 次に檢察審査員及び補充員の任期はそれぞれ六ヶケ月といたしまして、あまり期間が長くなつてはいろいろな弊害も考えられまするので、六ヶ月という短かい期間にいたしたのであります。從つて六ヶ月で全部交替するということになつては審査會の事務の澁滯も考えられまするので、いわゆる半數交替制を採りまして三ヶ月毎に半数ずつ交替するというようなやり方をいたしたのであります。それがために最初の十一人については、その中六人は三ヶ月、殘りの五人は六ヶ月という任期の特例を設けたのであります。その後は總べて六ヶ月ずつの任期といたしたのであります。審査員の任期と補充員の任期何れも同様であります。
 次に檢察審査員の資格者名簿及び審査員の候補者及び補充員の名簿を作成するという事務は、すべて選擧管理委員會においてなされますが、いよいよ檢察審査會が開かれる場合に、その審査會議を開催するについての事務は、檢察審査會に事務局を附置しまして、その事務局において檢察審査會議の事務を掌ることにいたしたのであります。各檢察審査會事務局の事務官は各事務局毎に三名ずつの豫定であつたのでありまするが、合計二百として、事務官が六百人どうしてもなければ圓滑に事務を遂行することができないというような最高裁判所側の要望もありまするので、できますれば、第二十六條の各檢察審査會を通じて四百五十人の檢察審査會事務官を置くという原案を、六百人と御訂正を願いますれば甚だ仕合せに存ずるのであります。
 檢察審査會議は檢察審査會長の招集によつて何時でも開き得るのでありまするが、法律においては特に三月、六月、九月、十二月の各十五日に、少くとも年四囘は開かなければならないことにいたしたのであります。その他特に必要のあつた場合には、審査會長が随時招集することができるのであります。審査會議は勿論これは公開しないで、議事はすべて過半數でこれを決することにいたしたのであります。ただ不起訴事件を審査して起訴を相當とするという議決をする場合には、三分の二以上、即ち八人以上の多數の議決でなければ不起訴事件については起訴を相當とするという議決をすることができないという制限を設けました。
 尚、檢察審査會議の進行中に第三者を證人として呼ぶ必要があるという場合には、證人を呼んで調べることもできまするし、又法律その他の專門的な知識を必要とする場合には專門家を呼んで調べることもできるのでありまするが、當該事件の檢察官は必ずこれも呼んで調べなければならないのであります。告訴人、告發人或いは被害者等も必要に應じてこれを調べることは勿論できるのであります。審査をいたしまして、審査の結果議決をいたしましたならば、その議決書は必ず理由を附して作成しなければならないのでありまして、議決書の謄本を、當該檢察官を指揮監督する檢事正と、檢察官適格審査委員會と兩方に送らなければならないのであります。更に決議をなした後には、七日間檢察審査會事務局の掲示板に、議決の要旨を掲示しなければならないということにいたしまして、その議決を一般民衆に知らしめる方法を講じたのであります。
 かようにして議決書の寫を送付せられた檢事正が、その事件について、成る程一日不起訴にした事件でも、これを起訴する方が適當であると思われた場合には、起訴の手續をしなければならないのであります。制度としては、檢事正は再度の考案をいたしまして、相當と認めるときに起訴の手續をしなければならんという規定を設けましたけれども、かような制度を設けた以上は、檢事正は適格審査委員會の議決をどこまでも尊重して善處されることと思うのであります。
 次に檢察審査會の會議の公正を期するために、又その圓滑な運營を期するために、四十九條以下には罰則を設けまして、審査員を、補充員が正當の理由がない場合に招集に應じないというようなことのないように、又證人その他の者についても、召喚を受けたならば必ず出頭するように保證いたしたのであります。更に檢察審査員に對して、何らか不正の請託をするものがあつた場合にも、その不正請託をなした者に對して五十一條に相當重い刑罰を科することに規定いたしたのであります。
 最後に檢察審査會に關する經費でありますが、只今申上げましたように、檢察審査員を選定するについての資格者名簿の作製、候補者名簿の作製等については相當手數が要ることでありまして、この點に關する經費は選擧管理委員會の事務局の經費として、裁判所の經費の一部に計上する豫定になつております。又檢察審査會の會議の運營についての費用は、つまり審査會事務局の費用は、これも裁判所の經費の一部として國の豫算に計上することになつておりまするが、目下豫算の計上につきましては、選擧管理委員會等に連絡をとりまして、最高裁判所の事務局において豫算案を編成しておりますけれども、まだ皆樣にお示しいたすことのできる程度に進捗はいたしておりませんが、甚だその點は遺憾に存ずるのであります。大變無雜な説明でありますが簡單に御紹介いたした次第であります。
#4
○委員長(伊藤修君) では兩案に對するところの御質疑がありましたらお願いいたします……。それでは第二十六條の四百五十人に定められたところの經緯を一つ御説明願います。
#5
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察審査會法案を立案するに當りまして、最初に檢察審査會の數は全國に約百五十ぐらい設けようという考でおりまして、一つの檢察審査會について、事務局の事務官が三名ずつという豫定で、百五十ヶ所に合計四百五十人の檢察審査會事務官を置くという腹案であつたのでありまするが、その後いろいろ考えまして成るべく多数の檢察審査會を設けて、公訴權の實行に關し國民の意見を反映せしむる方が適當であろうというような考の下に、檢察審査會の數は二百以上と第一條に定めたのでありまするが、檢察審査會の數を五十殖やしまして、そうして檢察審査會事務官の數をそれに應じて、六百人に増加することを……、實は手落であつたので、原案のように、檢察審査會の数は二百以上として置きながら、檢察審査會事務官の數は、元のままの四百五十人という人數になつておるのでありまして、最高裁判所の事務局において、この新らしい事務を運營するについては、少くとも一ヶ所に三人ずつの事務官を必要とする。從つて合計六百人の檢察審査會事務官がなければ、審査會の事務の圓滿な、迅速な運營を期することができないという意見も尤もなように感ずるのであります、若しできますれば、國會の方で、この四百五十人を六百人というふうに御訂正を願えれば甚だ仕合せに存ずるのであります。
#6
○委員長(伊藤修君) 次に、第五條の四號の缺格條項でありますが、改正刑法によつて、十ヶ年經つと言渡しなかりしことになる場合があります。その場合に、これによつて、やはり一旦處せられた者は入るのか、入らんのか……。
#7
○政府委員(佐藤藤佐君) その點は刑法において、刑の言渡しの效果の消えたものは勿論第五條の適用を受けないことになると解釋しております。
#8
○大野幸一君 本法は、初めて籤という制度を非常に採入れたのでありますが、この籤という制度を採入れた理由に餘程深い根據があるのか、例えば委員を選擧によらず籤してで定めた、籤の方法を採用した點は、選擧だと往々にしてボス的存在の人間が又出て來て、要するに、餘り好ましからざる人間が出て來るために、或いは又こういう制度を非常に悪用するような人間が候補者に立つて出て來るから、そういう者を避けて、籤でやれば、全く人權の尊重の意味から皆平等だという立場からやつたものか、その籤の方法を用いた深い根據がありますのか、ちよつとお尋ねしたいのであります。
#9
○政府委員(佐藤藤佐君) 特に選擧の方法によらないで、籤の方法を採用いたしましたのは、全く仰せの通りでございまして、全國に二以上の檢察審査會を設けるとなりますると、審査委員を選ぶには、どうしても小さな一地方に限らざるを得なくなります。そういたしますると、その地方のいわゆる政治的な勢力によつて、又地方のいわゆるボス的な勢力によつて、選擧の結果が左右されはしないかという慮れもありまするので、各地方においてそういうような特別な色彩を持たない一般の民衆から公平に選ぶというには、どうしても籤の方法しか今のところ考えられませんので、非常に繁雜なやり方ではありまするけれども、最初に籤の方法によつて資格者名簿を作製し、更に又候補者名簿を作製する。その候補者の中から又籤で實際の審査員及び補充員を選定するというような、三段構えの制度を設けたのであります。
#10
○大野幸一君 籤で定められる結果、甚だ又一面には判斷力のないような者が委員となる慮れがあるのであります。又個人的貧困、その他貧困とまで至らなくても、餘裕がなくてそういう事務に携わつておるということを迷惑がる人もあるだろうと思うのであります。そこで第八條の五號の最後の審査會から職務を辭することの承認を受ける場合に、「海外旅行その他やむを得ない事由」となつておりますが、相當この「やむを得ない事由」を擴張解釋して、審査員の籤に當つた國民に餘り迷惑をかけないように考えなければいけないと思いますが、如何でありましようか。
#11
○政府委員(佐藤藤佐君) 第八條の五號に、「重い疾病、海外旅行その他やむを得ない事由があつて檢察審査會から職務を辭することの承認を受けた者」という廣い規定を設けたのでありまするが、この第八條は本來、檢察審査員となる資格者ではあるけれども一定の事由によつてその職務を執ることができない、或いは適しないという者を、檢察審査會の承認を得て、その名簿から除外して貰う場合の規定でありまするので、第五號の「やむを得ない事由」というのは、そう廣く解釋適用はできないものと考えておるのであります。檢察審査會の審査員或いは補充員に選定される人は、個人々々にありましては非常に迷惑な方もあるだろうと思いまするけれども、國民一般の權利を伸長させるために、又檢察事務の運營が公正に行われるために、國民として是非檢察に參與しなければならんという重い職務を、むしろ名譽のように考えて頂きたいと思うのでありまして、曾て陪審法の施行せられましたときに、陪審員になることは、國民が裁判に參與する尊い職務であるということを、一般國民に宣傳したこともあるのでありますが、あれと同樣に、檢察審査會に參與することは、つまり一般國民がみずから檢察事務を行うものである、という氣構えを以て參與して頂きたいと考えておりまするので、成るべく第八條の第五號によつて、檢察審査會の職務を辞退するというような事例が餘り起きないことを、實は希望いたしておるのであります。
#12
○齋武雄君 新刑事訴訟法案によりますと、刑法の百九十三條から百九十八條の官吏等の濱職罪については、檢事が不起訴にしたときは、告訴若しくは告發人は裁判所に對して、裁判所の審判に付することを請求することができる。その請求が理由ありと認められたときは、事件は審判に付される決定がなされて、公訴の提起があつたものとみなれさることになつております。それでありますから、この限度においては、審査會の審査は不要と思いますが、これはどうでありましようか。
#13
○政府委員(佐藤藤佐君) 實は刑事訴訟法を全面的に改正するために、目下關係方面と折衝いたしておるのでありまするが、この刑事訴訟法の改正案には、只今お説のように、檢事の不起訴處分に對する抗告の制度を設けてあるのでありまして、新たに設けられまする檢察審査會法案は、刑事訴訟法の改正法案と同時に御審議を願いたいつもりでおつたのでありまするが、刑事訴訟法の改正案の提出が少し遅れまするので、檢察審査會法案をその前に國會に提出しなければならんというような要望もありましたので、刑事訴訟法と別個に本法案を急遽提出いたした次第でありまするが、その内容におきましては、本法案が通過いたしますれば、當然新刑事訴訟法の法案中にある、不起訴處分に對する抗告の規定は削除いたすつもりでおります。
#14
○大野幸一君 審査會法案の四十七條によりますると、「その議決を參考にし、公訴を提出すべきものと思料するときは、起訴の手續をしなければならない。」とあるために、折角、この審査會が三分の二の議決をして起訴すべきものという決議をした場合でも、往往にして檢事正はこの起訴の手續をしなくてもよいというような結果になるのであるが、全くこの運用によつてこれを解決するとしても、この場合に檢事正が不起訴の處分をすればもうそれで終りであるか。例えばこの二條には「檢察官の公訴を提案しない處分」と、こうして、別に檢察官の種類を問うていないのであります。この關係はどうなるのであるか、お尋ねいたしたいのであります。
 それから檢察官適格審査委員の任命は、國會議員の場合には國会で還擧するとしても、その他の者に對する任免權は何人にあるか。こういう點を御説明願いたいと思います。更にさつきの四十七條の最後のところでは、決裁權は、やはり從來の例の如く法務總裁にあるのかどうか。或いは檢事正にあるのか、法務總裁にあるのか、その點を説明願いたいと思います。
#15
○政府委員(佐藤藤佐君) 四十七條の、檢察審査會に方から檢事正に對して府起訴事件について起訴を相當とするという議決書の寫が參りました場合に、檢事正はそれを參考にして、公訴を提起する方が相當と思う場合には、必ず起訴の手續をしなければならんという規定を設けてあるのであります。從つて、審査會において起訴を相當とするという議決があつたに拘わらず、檢事正が再度の考案をして尚且つ起訴を相當としない場合には、起訴しないこともできるという制度になつておるのでありまするが、折角檢察審査會を設けて、檢察審會の議決を尊重する建前でありながら、檢事正に再度を考案をする機會を與えて、而も起訴を相當としない場合には、起訴せざることができるという一つの途を設けましたのは、檢事正はどこまでも刑事事件の」起訴について、全責任を負わなければならんという立場を堅持いたしたのであります。若し檢察審査會の議決通りに、檢事正がそのまま盲從しなければならんという制度になりますると、そこに、檢事正は自分の責任を檢察審査會に轉嫁することも考えられまするので、さようであつては、折角檢察事務を適当に行うという本法の目的が達せられないことも考えられまするので、檢事正はどこまでも檢察審査會の議決を尊重して善處するという、その運用に委せておるのでありまして、かような規定によつて、起訴の責任の所在を明からにしようという考えから、議決通りに從わなければならんという制度よりも、一歩緩和いたしまして、起訴を相當とするときには起訴しなければならんというような規定にいたしたのであります。
#16
○齋武雄君 第四十六條の掲示場に公告するというこでありますが、どういう目的のために公告するのでしようか。それをちよつと伺います。
#17
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察審會で議決をした場合には、その議決書の謄本を、當該檢書正と檢察官適格審査委員會と兩方に送付いたさなければならんのでありますが、更に檢察審査會事務局の掲示場に議決の要旨を掲示するという方法を講じましたのは、折角國民の意思を反映して檢察事務が適正に行われるようにかような新らしい制度を設けましても、不服を申立てた人、或いは當該檢察官、或いは檢察官適格審査委員會だけがその結果を知るのみでは、一般の國民が、檢察審査會においてどういう議決をしたかということを知る方法がありませんので、當該審査會事務局の掲示場に一週間掲示をして、一般國民に掲示をし、他面檢察審査會の會議の公正を期しようということを考えたのであります。
#18
○齋武雄君 議決の結果、當然に起訴すべきものとして、檢事正の裁量を必要としないで、審査會の決定に從うこととしたらどうであるか、その點を一つ伺います。
#19
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察審査會の議決通りに檢事正が起訴をしなければならんという、絶對的な規定にいたしますると、檢事正がそこに裁量の餘地がなくなりますので、從つてその事件の起訴について責任を負うことができなくなるのであります。御承知のように、今度刑事訴訟法が改正せられまして、新らしい刑事訴訟の手續によりますると、檢察官はどこまでも原告官として、公判延において攻撃防禦の方法を議じなければなせんのでありまして、原被告が對等の地位におりて攻撃防禦の方法を盡して、そうして裁判の結果を待つことになるのでありますが、さような場合に、檢察官に何ら責任を持てないような事件を取扱わせるということは、裁判の公正も期することができませんので、檢事正に對してはあくまでも原告官としての責任を以て、そうしてその事件の公訴維持に全力を注いで貰いたい。こういうような考えから、檢事正が審査會の議決についてそれを尊重して善處させようという考えの下に、四十七條のようなゆとりのある規定を設けたのであります。
#20
○大野幸一君 先程お尋ねしました檢察官適格審査委員の方の任命の形式があるのか、選任されたものは當然委員になるのが、任命されるとするならば、誰が任命するのか、お聞かせ願いたい。
#21
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察廳法の一部を改正する法律案において、檢察適格審査委員會を構成する者は、そこに掲げてありまするように、國会議員、檢察官、法務廳官吏、裁判官、辯護士、日本學士院會員の中から選任され、十一人の委員を以て構成することにしてありまするが、法務庁官吏は、これは法務總裁の任命によつて決まりますけれども、その他國會議員、裁判官、辯護士、それから學士院會員、これはそのグループにおいて選出されますれば、當然適格審査委員會の委員となるのでありまするから、特段な任命形式は必要でないものと考えております
#22
○委員長(伊藤修君) では再案に對するところの質疑は繼續いたしまして、明日これをいたすことにいたします。
 次に水久保氏より發言を求められておりますからこの際許可いたします。高裁判所の總務部第二課長桑原正憲君が説明に當られます。
#23
○水久保甚作君 私は今日特にこの委員會におきまして、高等裁判所支部設置に關し當局に對して、九州即を福岡高等裁判所管内における新設場所選考上の要領を陳述いたしまして、その答辯を承りたいと存じます。
 最高裁判所は、事件の迅速なる處理を圖るために、全國に十五ヶ所の高等裁判所支部設置を計畫し、目下その設置場所を選考しておられるということを承つております。而してこれに伴いまして、九州でも一ヶ所設置されることになりまして、それをいずこに置くかと選考するために、去る一月三十一日最高裁判所桑原第二課長が足立福岡高等裁判所事務局長とともに宮崎市に出張の上、諸般の實情を視察せられ、又來月早々塚崎最高裁判所裁判官を同地へ派遣調査されるよう承つております。更に九州で高等裁判所支部設置の候補地は熊本、大分、鹿兒島、宮崎の四市であるそうであります。高等裁判所支部設置については、宮崎縣は地理的に不便なので、宮崎縣内法曹關係者及び有識者間にその要望を強く糾ばれております。よつて宮崎辯護士會では、既に昨年十二月初め該支部設置上申書を福岡高等裁判所長に提出し、又安中宮崎縣知事及び荒川宮崎市長も、支部設置についてはでき得る限りの便宜を與え、協力を惜しまないことを表明いたし、その設置方を要望しておる次第であります。一體宮崎縣は地理的状態から言つても、交通状態から申しましても不便であつて、福岡高等裁判所に上訴する關係において、時間と費用の點で非常なる損失を受けておることは今更申上げるまでもありません。今上訴のために、同縣中心地である宮崎市から福岡市に行くとすると、少くとも二泊三日を要し、汽車賃は二等往復六百十五圓、宿泊料五百圓として一千圓を要します。他の諸雜費を加えると莫大な額になる現状であります。而して刑事事件であれば、被告人も行かなくてはなりません。かくのごとく多額の費用を要するために、一審の裁判に不服であつても、經濟的に惠まれぬ被告人は止むを得ず上訴權を放棄しなければならんことになりまして、誠に同情に堪えないところがあることは周知の事實であります。而して昭和二十二年五月三日より同年十一月末日までの福岡高等裁判所において取扱つた事件數を見ますると、福岡縣四百件を筆頭に、その次は地理的に便利に佐賀縣が百四十件を示しておるのであります。これに對しまして、宮崎縣は僅かに六十八件に過ぎなかつたのを見ても明らかであります。併し上訴件數は一應人口の多少にもよりますが、宮崎縣の場合、佐賀縣と比較いたしまして、全體の事件數では遥かに多いにも拘わらず、上訴件數では僅かにその半數にも及ばないという事實は一體何を物語るものでありましようか。かかる實情によりまして、事件數の多少のみを以て本問題を律することは當を得たものではないかと思いますが、更に地理的に不便であるため、又貧しいがために、國民としての權利の主張ができないということは、新憲法下において基本的人權の擁護にも反するものであると言わねばなりません。
 次に四候補地について見ますると、熊本は福岡まで僅か四時間しかかからん近距離にありまして樂に日歸りもできるから、これは一應問題外として、鹿兒島、大分、宮崎三候補地について見ますれば、宮崎縣はその中間に位しておりますので宮崎市に設置されることは大分、鹿兒島兩縣民にとつて最も好都合だと思う次第であります。若し鹿兒島市に設置されたとしたら大分縣民にとつては何等恩惠に浴することは不可能でありまして、大分市設置は鹿兒島縣民の不利亦然りであります。宮崎の裁判所は右三候補地中幸い戰災から免れた唯一つのものでありまして、同裁判所廳舎、陪審法廷の如きは、高等裁判所法廷として恥かしくない誠に立派なものであります。又判事宿泊建設についても知事、市長が最大の努力を拂あことを誓約しておる次第でありますから、何等心配はありません。廳舎住宅關係もよく、更に旅館、食糧等の諸事情から言つても以上各縣に劣つているとは思われません。かくの如く宮崎市は高等裁判所支部設置地として最も好條件を具備しております。しかもそれは宮崎縣民のためのみでなく大分、鹿兒島兩縣民にためにも、又熊本縣下人吉區裁判所管内の如きは他の何れの地に設置されるよりも頗る便益を得まするので一番公平妥當だと思います。故に私は宮崎市に該裁判所の支部設置を要望する所以であります。この高等裁判所支部設置については一部關係者、有識者が非常な熱意を持つているにも拘わりませず、一般にはまださほど關心が薄いようでありますが、それは直接一般人の日常生活に觸れていないからだと思います。しかし前述のように多額の經費と時間のために上訴件數の少ない事實を考えますと、その裁判所支部の設置は、前申しました通り便益を得る關係國民が、新憲法下において基本的人權を擁護するために求むべき喫緊の重要事であるという確信を以て、最高裁判所事務當局の誠意ある答辯を求むる次第であります。
#24
○説明員(桑原正憲君) 高等裁判所の支部の必要であることは今、御説の通りでありまして、我々といたしましても速かに高等裁判所の支部は、成るべく多く設置いたしたいと考えておる次第であります。本年度の予算におきましても十五ヶ所高等裁判所の設置を考えまして、本廳の方にその予算の要求をいたしておるわけであります。
 九州地方におきましても高等裁判所の支部の必要であることは、もうすでに顯著に事實でありまして、我々といたしましても早急にこれが實現を期したいと思うておる次第であります。ただ九州地方に高等裁判所の支部を設置いたしますとなりますと、果して何處を候補地に定めるべきかにつきましてはいろいろの問題がありまして、俄かに決定しがたい實情にあるわけであります。要するに高等裁判所の支部を設置するに當りましては、廳舎その他職員の住宅問題等の物的設備の點、それから支部の設置によりまして、事件が一體どういうふうに本廳から、その支部に移動して行くのかというような事務的な點、その他いろいろの點を考えまして、九州地方におきまする高等裁判所の支部の候補地につきましても、最高裁判所の事務當局におきましては愼重な考慮を廻らしておるわけでありますが、まだ何處に決定するかということについては、ここに申上げるまでの具體的な案を得ておらない次第でありますが、只今の御説などは十分斟酌いたしまして、早急に高等裁判所の支部の設置を實現いたしまして、地元民の權利の擁護その他について十分の配慮をいたしたいと考えてるおる次第であります。
#25
○水久保甚作君 只今事務當局から御方針を承りましたが、その件につきまして、谷崎裁判官が今調査にお出でになるということを聞いておりますが、その事實はやはり私が聞いておるように、裁判所の方では谷崎さんの御出張を認めておるのでありますか。その點をお伺いいたしたい。
#26
○説明員(桑原正憲君) 私はちよつと……どういう目的で行かれるのか、實は聞いておらないのでありますが、やはり高等裁判所の支部の設置の問題についても調査に行かれるものと考えておりますが、直接どういう目的で行くかは私はちよつと申上げることはできないのであります。
#27
○委員長(伊藤修君) それでは本日はこれを以て散會いたします。明日は午前十時より開會いたします。
   午後零時八分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事      岡部  常君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           中村 正雄君
           水久保甚作君
           鬼丸 義齊君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
           小川 友三君
  政府委員
   法務行政長官  佐藤 藤佐君
  説明員
   最高裁判所總務
   部第二課長   桑原 正憲君
ソース: 国立国会図書館
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