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1947/04/01 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 司法委員会 第11号
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1947/04/01 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 司法委員会 第11号

#1
第002回国会 司法委員会 第11号
昭和二十三年四月一日(木曜日)
   午前十一時二分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○檢察廳法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○檢察審査會法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) これより委員會を開會いたします。
 昨日に引續きまして、檢察廳法の一部を改正する法律案竝びに檢察審査會法案を議題に供します。昨日に引續き質疑を繼續いたします。
#3
○小川友三君 檢察廳法の一部を改正する法律案の二十三條ですが、「職務上の非能率その他の事由に因りその職務を執るに適しないときは、」というところですが、「その他」という範囲がどこまでであるか、例えば重大な非行の場合であるとか、別に官吏の懲戒の法律があり、又分限法がありますが、この範囲につきまして政府委員の御答辯をお願いいたします。
#4
○政府委員(佐藤藤佐君) その他の事由は、第二十三條に掲げてありまするように、「心身の故障、職務上の非能率」というのは一つの例でありまして、その他只今仰せのような非行のあつたような場合も、それによつて檢察官といての職務を執るに適しない事由でありまするならば、すべて第二十三條の適用を受けることとなると思います。
#5
○松井道夫君 そうすると、懲戒と重複するようなこともあるわけですか。
#6
○政府委員(佐藤藤佐君) 事例によりましては、一面において懲戒の原因ともなり、又檢察廳法の二十三條の適用を受けて、檢察官適格審査委員會の活動を促すような場合もあるかと考えます。
#7
○松井道夫君 非能率というのは、これは怠慢は入りますか。
#8
○政府委員(佐藤藤佐君) 非能率といえば、大體は成績が擧らない。能力が足りないという方が多いと思いますけれども、能力はそれ程足りなくないが、どうも成績が擧らない。それは怠慢によつて成績が擧らないというような場合も含まれて來ると考えるのであります。
#9
○松井道夫君 粗雜に捜査で、例えば無辜を起訴してしまつたというような場合も、その粗雜の程度如何によつては入ると考えてよろしいでしようか。
#10
○政府委員(佐藤藤佐君) 捜査が粗雜であるために公訴の維持が常に崩れてしまうというような事例が多い場合には、職務上の非能率とも考えられまするし、或いはその他の事由の適用を受けて、第二十三條の適用を受けるということも考えられまするが、大體非能率の方に入ると思います。
#11
○松井道夫君 次に第二十三條の一號ですが、三年ごとに全部の檢察官について定時審査を行うということで、審査を行う場合は、常に全檢察官が審査を受けるということになりますか、二號、三號の場合は別ですが……。
#12
○政府委員(佐藤藤佐君) 一號の「すべての檢察官について三年ごとに定時審査を行う」というのは、仰せのように、全部の檢察官に對して、適格を有する者も、適格を缺いておる者も、すべてについて一應定期的に審査をするという意味であります。
#13
○松井道夫君 職務を執るに適しない旨の檢察官適格審査委員會の議決があつた場合に、常にその議決に從つて罷免をしなければならないことにせずに、裁量によつて罷免をしないことにした理由、それから適格審査委員會が獨立して權限を行使するという規定がなくして、内閣總理大臣の監督に屬するという規定があるわけでありまするが、そういうことにした理由を伺いたいと思います。
#14
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察官適格審査委員會が職務を行うに當りましては、勿論獨立してその職務を行うのでありまするけれども、委員會が行政上何人の監督に屬するか、その所管を明らかにするために、内閣總理大臣の監督に屬するとしておるのでありまして、行政的な事務は監督を受けまするけれども、審査委員會の職權を行うに當りましては、勿論獨立して行うのでありまして、内閣總理大臣の指揮監督は受けないのであります。
 尚、檢察官適格審査委員會の議決がありましても、若しその議決を不相當と認めるときには、必ずしも法務總裁がそれに從う必要がないという趣旨は、第二十三條の第三號の終りの方に、「その議決を相當と認めるときは、當該檢察官の罷免の勸告をしなければならない。」という規定から明らかでありまするが、かように折角檢察官適格審査委員會を設けながら、その審査委員會の議決に從わない場合もあり得る途を設けましたのは、全國の檢察官に對して指揮監督をする最高の責任者は法務總裁なのでありまするから、法務總裁は自己の責任において、すべての檢察官を指揮監督し、罷免の事由があれば罷免の勸告を任免權者にいたさなければならんのでありまして、その責任の所在を明らかにするために、場合によつては法務總裁は自己の責任において議決を不相當と認めるときに、これに從わないことができるという建前にいたしたのであります。併しながら實際上は適格審査委員會の議決がありますれば、恐らくこの議決通りに法務總裁が善處されることと思うのであります。
 二十三條の第一號及び第三號の場合は、適格審査委員會がみずから審査をし議決をするのでありまするから、法務總裁が知らない事柄について議決されることもありましようから、さような場合には意見の違うことも考えられまするけども、第二號の場合は、すべて法務總裁の請求によつて審査をし議決をするのでありまするから、法務總裁の意見と審査委員會の議決と違うということは考えられないのであります。いずれの場合にしても、かような制度を設けた以上は、法務總裁はできるだけ審査委員會の議決を尊重して善處することと思われるのであります。
#15
○松井道夫君 この規定を設けられる根本の趣旨は、すべて官吏の任免は國民の固有の權利であるという憲法の原則から出たものと解してよろしいかどうか、これに國會議員が入れてありまするが、その趣旨で入つておるものであるかどうか。その點をお伺いいたします。
#16
○政府委員(佐藤藤佐君) 全く仰せの通りであります。
#17
○松井道夫君 尚、檢察官、法務廳官吏、裁判官、辯護士及び日本學士院會員の中から選任される委員の選任方法が規定してありませんが、どういう選任方法によられる趣旨でありますか。
#18
○政府委員(佐藤藤佐君) ここに列擧されておりまする審査委員の中で、檢察官と法務廳官吏は、これは法務總裁が任命するのでありまするが、その外の國會議員、裁判官、辯護士、日本學士院會員、これはそれらの團體と申しますか、グループの中からそれぞれ選任されるのでありまして、その方法は、別に定めまする檢察官適用審査委員會官制という政令案を以て規定したいと考えております。
#19
○松井道夫君 三年ごとに定時審査を行う場合は、全檢察官でありまして、而もその外にこの二號、三號の場合があるのであります。それでこの職務は極めて重大であるばかりでなく、その事務の分量も相當多いと考えられるのでありまするが、これらの委員に對する待遇はどんなことにされる御豫定であるか、又その豫算のようなものもどの程度のものにされる御意向であるか、その點について伺いたいと思います。
#20
○政府委員(佐藤藤佐君) 委員の手當等につきましては、一般の委員會の例もありまするので、それに倣わなければならんのでありますが、これに要する豫算は、目下大藏省と折衝中であります。
#21
○鬼丸義齊君 檢察官適格審査委員會に付せられまする適否の標準について、「檢察官が心身の故障、職務上の非能率その他の事由に困り」とありまするが、この場合と、それから彈劾裁判所法にありまする裁判官彈劾の場合との間において、どの程度の相違があるのであるか、或いは又裁判官の彈劾事項になつておりまする事項は、全部この中に含まれるものであるか、又それを殊更區別いたしまする理由ありや否や、恐らく制度の趣旨は同じものであると考えられるのであります。然るに殊更その間區別する理由があるかどうか、ありとすればその理由はどういう理由によつて、この間に區別をしなければならんかという點をお尋ねすることが第一番。
 それから御二は二十三條の二項によりますると、先程政府委員の御説明がありましたごとくに、期限外の個々の場合の檢察官の隨時審査に對しましては、法務總裁の請求によつて發動されることでありまするが、第一項の場合にも、定時審査の場合におきましても、法務總裁の請求なくとも審査委員會の方で以て審査をなすことができるのであります。若しこれらの理由があるのだといたしました場合には、すでにそういう部下に非行のありますることを法務總裁は知りながら、敢てその措置をとらなかつたという一面の政治上の責任があるわけであります。その責任を負つておりますところの法務總裁に對して、審査委員會が不適なりとして決定をいたしましたについて、その結果に對して法務總裁がそれを相當か、不相當かということを決定することを一に法務總裁の裁量に一任いたしたことになれば、甚だその間の責任というものは矛盾牴觸をしやしないかと思います。若し審査委員會において不適なりと決定いたしましたならば、少くとも第一項の場合におきまする場合においては、その決定に對しては法務總裁は拘束を受けなければ精神が一貫しないように思います。
 例えば裁判官に對しまする彈劾裁判所の決定のごとく、審査委員會の決定はそのまま裁判所を拘束いたしますることにならなければ、監督上の責任と矛盾をいたすことになりやしないか。又陪審法の規定にありまするごとくに、陪審員の決定に對しまして裁判所が意見を異にいたしました場合においては、更に再度の陪審を許すことになつておりまするが故に、今日の陪審制度というものは有名無實に終つております。
 そこで民主化を期するがためには、やはり名實共に成果あらしむべき制度でなければ私共は本當の民主化を狙う趣旨に適わないと思うのであります。で、ただ民主化ということが、僞裝民主化であつてはならないと思います。苟くも審査委員會を設けられて、そうしてそこの審査委員會が決定いたしましたのについて、その監督の責にあるべき法務總裁の裁量に一任いたしますことになるならば、やはりこの陪審制度と同じようなことであつて僞裝民主化になる虞れがあると思うのであります。この點に對しまする提案者の理由を拜聽いたしたいと思います。
#22
○政府委員(佐藤藤佐君) 第一點のお尋ねの裁判官に對しては彈劾官という特別な制度があるのに、檢察廳に對しては、その彈劾法によらずして、別に檢察廳法第二十三條を以つて罷免の制度を設けたのはどういうわけかというお尋ねのように拜聽いたしたのでありまするが、裁判官の彈劾につきましては、新憲法において特に規定されておりまするので、憲法の趣旨に從つて裁判官の彈劾法という特別な制度が設けられたものと存ずるのであります。檢察官はその職務の性質は、裁判官に準じてはおりまするけれども、身分はどこまでも行政官なのでありますから、一般の行政官について國家公務員法の制度が設けられておりまするので、檢察官に對しても、この國家公務員法の第七十八條に準じて檢察廳法の中に、第二十三條に改正規定を設けようという趣旨であるのであります。彈劾の方法によつて罷免することと、檢察廳法の第二十三條に規定するような適格審査委員會の議決を經て罷免する方法と、どちらが效果があるか、いずれも民主的な制度ではありまするけれども、實際上の運用としてどちらが活溌に運用さるるか、どちらがより效果的であるか、ということは、これは兩方の制度が實施されて、その運用の結果を見なければ、今俄かに豫斷を許さないことではありまするけれども、私の考えるところでは、彈劾の制度よりも、この適格審査委員會の議決を經て罷免するという方法の方が、より活溌に運用されるのではないかというふうに想像されるのであります。
 なお彈劾裁判によつて罷免される場合には、その裁判官の指揮監督者を通じないで、彈劾裁判の結果に照して任免權者がその裁判官を罷免する制度のようになつておると私は記憶しておるのでありまするが、ここに裁判官の彈劾法が手許にありませんので、正確なことは申上げ兼ねるのでありますが、彈劾の制度と、任免權者の諮問機關たる審査委員會の制度とは、そこがおのずから違うのでありまして、審査委員會の方は、審査委員會の議決があつても、その儘それによつて、罷免權者が、その議決通り行動しなければならんというわけではないのでありまして、先程申上げましたように、法務總裁が、檢察官に對して、指揮監督の責任があるのでありまするから、その責任を明らかにするためには、どうしても、審査委員會の議決に盲從するという制度では責任が明らかにならないのでありまして、議決はあつた、その議決を尊重して、法務總裁の自由裁量において善處するというところに、法務總裁の責任が明らかにされるのでありまして、裁判所と別個な機關によつて裁判される裁判官の彈劾の制度と、適格審査委員會という諮問機關の制度とは、どうしても制度上、建前が違つておるように私は解釋しておるのであります。
#23
○鬼丸義齊君 第二の點は、御答辯は……。
#24
○政府委員(佐藤藤佐君) 第二のお尋ねの點について申上げます。かように法務總裁の自由裁量によつて罷免の勸告をするという制度を徹底させては、民主主義の精神が徹底しないではないかというお尋ねのように拜廳したのでありますが、只今申上げましたように、檢察官の最後の指揮監督者である法務總裁が自己の責任において、罷免を勸告するというところで、法務總裁の責任が明らかになるのでありまするが、その法務總裁の責任において罷免を勸告するにいたしましても、その最後の決斷をするに當つて、一般の國民の意思を尊重して、最後の決斷をするという建前を本法で採用いたしたのであります。
 殊に審査委員會の委員の十一名というのは、ここに別擧されておりまするように、檢察官に直接關係のある各方面の代表的な方でありまして、その中、過半數の六人は國民の代表者であられる國會議員を以ていたされるのでありまするから、審査委員會の議決というものは、國民の大體の意思を反映した議決と見なければならんのであります。
 で、この議決を尊重して、そうして法總裁が自己の責任において善處するというところで、檢察の民主化も圖ることができまするし、又平素から指揮監督の責任にある法務總裁の責任というものも、明らかになると考えられるのであります。若し、法務總裁は平素は指揮監督しておるけれども、いざ任免をするというときには、審査會の議決通りに、これに從わなければならんということになりますならば、一面においては非常に檢察の民主化が徹底しておるように見えまするけれども、他面において最終の指揮監督權を握つておる法務總裁の責任というものは、明らかにならないのでありますから、本法におきましては、法務總裁の責任を明らかにすると共に、民意を反映せしめて、檢察の民主化を圖ろうというところに改正の狙いがあるのであります。
#25
○鬼丸義齊君 私の質問の趣旨が徹底をいたさなかつたか、御答辯が私の聽かんといたしましたところと、大分離れておりましたので、私の聽かんといたしまする趣旨をもう一囘申述べて見たいと思います。
 成程、この裁判官の場合におきましては憲法の規定がございます。その憲法の規定によつて彈劾裁判所法というものができましたこともよく分る。同時に又檢察官の職務の性質からいたしまして、一般官吏よりも更にこうした事項に對して愼重なる審査方法を設けるという制度も至極結構だと思います。私の伺いたいと思いますることは、先ず第一に、この審査委員會の性質は如何なる性質を持つものであるか。それから第二は、この二十三條の規定にございまする「檢察官適格審査委員會は、檢察官が心身の故障、職務上の非能率その他の事由に因りその職務を執るに適しないかどうかを審査し」たりする。ここで最初の心身の故障或いは職務上の非能率、これは明示してありますが、その他の事由に因つて職務を執るに適しないということであります。いわゆる職務執行の不適格者であります。この不適格者とありますことを非常に抽象的でありますから、即ち裁判官彈劾法によりまする「職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠つたとき。」或いは「その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。」これらの事由があります場合には、矢張りこの檢察官におきましても、その職務に在りますことは不適格者ではなかろうかと思うのであります。故にこういうような趣旨のものも當然その他の事由の中に含まれるものであるかどうか。含まれるものであるとすれば、既にありまする裁判官彈劾法という規定を特に示さず、その他の事由に因るということになりますると、この裁判官彈劾法によりまする裁判官の彈劾事項とは又更にその範圍が廣いのであるか、狭いのであるか、その點を第一に伺いたかつたのであります。
 それから第二の點は、私の伺いたいと思いますることは、この審査委員會の性質如何にも係りますが、先程政府委員の御答辯中にありましたように若し審査委員會が單なる法務總裁の諮問機關といたしましたならば、これは又何をか言わんやであります。ところがすでに、こうした各階層から選ばれましたいわゆる權威ある一つの審査委員會が結成されまして、その審査の結果、不適格者なりとして決定されたものであるといたしましたならば、法務總裁がそれを相當、不相當という裁量をここに又更に與えますることは、むしろこの法務總裁に部下監督の責任のありますることと、利害相反する立場にあると考えるのであります。成る程法務總裁は第二號の場合におきますると、總裁みずからが審査を請求して審査に掛けるのでありますから、これは牴觸の場合は凡そないでありましようが、その他の場合の定期的の審査をいたしまする場合のごときは、審査委員會が積極的に委員會みずからとして、一般的に審査いたすのでありますから、不適格なる部下に對しまする監督の責任あるべき法務總裁が、その不適なることを知らず、審査委員會によつてそれを指摘されたということでありまするならば、それ自體に監督不行届の責任が法務總裁にあるのであります。その責任のありまする法務總裁に對しまして、自由裁量權を與えたといたしましたならば、その點に私は多大な疑義を持つのであります。
 そこで私の申上げましたごとく、若し民主化の徹底を圖らんとするのであるならば、苟くも審査委員會において決定したならば、法務總裁としては、その審査委員會の決定に覊束されますことによつて初めてこの民主化の徹底になるのではないか。然らずして尚且つ法務總裁の裁量に一任するといたしましたならば、これは眞の民主化ではない。民主化を蔽わんがための制度ではないかということの疑いを持ちますが故にお伺いいたしたのであります。どうかその點に對しまする御明確なる御説明を伺いたいと思います。
#26
○政府委員(佐藤藤佐君) 裁判官の彈劾裁判による罷免の事由と、檢察官の罷免の事由とが大體一致するものと解釋いたしております。尚、檢察官適格審査委員會の議決通りに法務總裁が行動しなければ、法務總裁の責任を盡し得ないのではないかという點でございまするが、先程申上げましたように、法務總裁は全國の檢察官の指揮監督者として最上の責任を有しておるのでありますから、檢察官を罷免するという場合には、法務總裁の責任において罷免するということでなければ、私は法務總裁の責任が明らかにならないと思うのであります。議決に盲從するということだけでは、これは審査委員會に責任を轉嫁するような工合になりまして、法務總裁の責任が明らかにならないと思うのであります。議決を尊重してそうして自己の責任をおいて罷免するというところに法務總裁の責任が明らかになるのであります。適格審査委員會の職務は、申すまでもなく檢察官が檢察官として職務を執るに適する適格があるかないかということの判斷をして頂くのであります。その判斷を尊重して、そうして法務總裁が自己の責任において罷免の事由があつた場合に罷免をするというので、私は法務總裁の責任が盡せるものと考えておるのであります。
 尚さような解釋によれば民主化の徹底が期さられないのではないかというお説でございまするけれども、かような諮問機關といたしましても、その諮問機關の構成等について國民の意思を正當に反映し得るような法の制度にいたしますれば、十分に檢察の民主化を期待することができるものと考えております。
#27
○鬼丸義齊君 只今の御答辯に從いますると、ここにいわゆる檢察官適格審査委員會というものの性質は、諮問機關であるという御説明に拜聽いたしたのであります。若しこの適格審査委員會が法務總裁の諮問機關であるといたしましたならば、これは私は法文の上において今少しく明確にして置かなければならんのじやないかと思います。今二十三條の規定を見ましても、檢察官適格審査委員會が法務總裁の諮問機關であるということは、この條文だけでは明確でないと思います。只今の御説明を承つて、初めてこの委員會の性質が諮問機關であるということを私共知り得たのであります。若しこの制度がかような委員會を作られて、そうして法務總裁職務執行においての補助、若しくは法務總裁の職務執行を助ける性質のものであるといたしましたならば、それは又別な意味から考えなければならんと思います。二十三條のこの規定の書き方から見ますれば、私はこの檢察官適格審査委員會というものは、法務總裁の單なる諮問機關ではないのではないかと思います。檢察官の扱われまする職務の性質が、國民の人權という重要なる點にかかつておりまするところから、一般公務員より格段なる監督機關を設けて、そうして極めて適格なる人をして、この職務を遂行せしめたいという趣旨からできたものじやないかと思うのであります。
 果して然りといたしましたならば、不適格者をして、法務總裁はみずから監督の責任あるに拘わらず、自分の不明のためにその不適格ということを知りながら、尚且つ發見せずして使つておつたという法務總裁みずからの、私は、責任があると思う。それにも拘わりませず、不適格者かどうかということを審査委員會において決めても、尚且つこれを法務總裁の責任において辞職を勸告するというのでありまするなら、ばその責任の所在というものが、私の伺つておりまする責任と、只今政府委員の答辯されまする責任とは、責任の又、性質が違うと思います。不適格者を使つております法務總裁は、自己の不明のために不適格者であるということを知らないという一つの責任があるのである。私はその點に對します循環が理解できないのでありまして、やはりこの審査委員會の性質は、法文の記載から言いますと、私は單なる諮問機關とは思いません。その點どうであるかということも承りたい。只今重ねて伺いました點について今少し明確なる御説明を承りたいと思います。
#28
○政府委員(佐藤藤佐君) 普通に使われておりまする諮問機關という場合には、或る責任者から或る事項を諮問されて、その諮問に應じて答をするというのが、諮問機關の意味でありますが、そういう意味の諮問機關ではないと思います。この條文に示されておりまするように檢察官を罷免する場合には必ず先ず適格審査委員會の議決がなければならん。その次には法務總裁の罷免勸告がなければならん。そうして任免權者の罷免という手續が行われるのでありまして、單なる普通に使われておる諮問機關とはそこが違うのではないかというふうに考えております。ただ議決があれは議決通りに法務總裁が行動しなければならないかと言いますと、議決があつてその議決が相當と認めた場合には、議決通りに從わなければならん。こういうふうにこの第三項に規定しておりまするので、結局審査委員會というものは一般に言う諮問題機關でもないし、又議決機關でもないということになるのでありまして、若し先程の私の答辯の中に諮問機關という言葉を使つたとしまするならば、その點は訂正いたしたいと存ずるのであります。
 それから定時審査をしておる際に、或る檢察官に不適格者を發見してそれを法務總裁に通知した場合には、法務總裁がさような不適格者を放任しておつたということが、法務總裁の責任ではないかというお言葉のように拜聽したのでありますが、それは勿論法務總裁の責任であります。さような不適格者を法務總裁が放任しておつたということは、これは法務總裁の責任でありまするけれども、そのことと、この不適格者であるからそれを罷免するというそのこととは、又別なのでありまして、その不適格者を罷免するという場合には、法務總裁は自己の責任において罷免を勸告しなければならんのでありまして、先程來私が申上げておりまする法務總裁の責任において、責任においてというのは、その罷免の責任でありまして、罷免の責任はどこまでも法務總裁が負擔すべきものであつて、審査委員會が負擔すべきものではない。かように考えておるのであります。
#29
○鬼丸義齊君 大變くどく伺いますので恐縮でありまするが、了解ができませんので重ねて伺います。この二十三條の一號にありまする定時審査の場合におきまするその審査の結果、不適格者を發見いたしたということについて、法務總裁にも不適格者と知らずして使つておつた責任がある。これはお認め頂いたのでありまするが、若しそれといたしましたならば、一面法務總裁の責任を、むしろ審査委員會において、職務怠慢の、むしろ法務總裁の責任のあることが明確になるのであります。その場合に、その法務總裁が、その適格、不適格を相當か不相当かということを總裁の考えによつて右、或いは左に決定しようとすることは、これは成る程机の上の議論におきましては、或いは性質が違うというようなことも言い得ましようけれども法務總裁と雖も人間でありますから、人間であります限りにおきましては、自分の責任をみづから認めるか認めざるかというふうなことにもなりまするので、むしろ、その點については審査委員會と法務總裁とは利害相反するような立場と思います。
 そういうような場合におきましては、少くとも審査委員會の議決自體が、不適當か否かということを判斷せんとするのは、法務總裁の手を煩わさずして、又他の手によつてその黒白を判別することが、むしろ筋の通る行き方ではないかと思うのであります。いわゆる法務總裁に責任あるや否やということの、審査委員會の議決につきましては、むしろ法務總裁とは利害反することである。故にその利害反することを法務總裁みずからにおいて相當か不相當かということを判断斷をして、而もそれに効力付けるということにつきましては、大變そこに無理がありはしないかと思います。その點についてのお考はどうであるかを伺いたいと思います。
#30
○政府委員(佐藤藤佐君) 制度の立て方といたしましては、仰せのように審査委員會に全責任を持たせて、檢察官を罷免するということも考えられましようけれども、この檢察廳法の建前としましては、どこまでも檢察官の罷免は法務總裁の責任において行う。ただその法務總裁が罷免するについては、一般の行政官を罷免する場合と違つて、檢察官については特に檢察官適格審査委員會の議決を經て、そうしてその議決が相當と思われるときに、初めて法務總裁が罷免をなすことができる、勝手に罷免してはならん。こういう檢察官の身分を保障いたしておるのでありまして、法務總裁に檢察官罷免の責任を持たせる方がよろしいか、或いは法務總裁を離れて檢察官適格審査委員會に責任を負わせて、罷免の手續をする方がよろしいか。これは制度の立て方としてどちらが適當であるかという論は、これは考えようによつて立ち得ると思いまするけれども、私共の考といたしましては、どこまでも平素の檢察官の職務の内外を問わず、指揮監督の責任のある法務總裁に罷免の責任を負わしめる方が最も適當であろう。こういう考のもとにかような制度を採つたのであります。
 例え話で非常に恐縮でございまするが、例えば刑事裁判において裁判をする場合には、裁判官の責任において裁判をいたすのでありまするが、その際に裁判の重要なる資料となるもので、專門家の鑑定人の鑑定というものがよくあるのであります。この場合に、專門家が鑑定したのであるから、その鑑定通りに裁判すればよろしいのではないかということも、一つの考え方でありまするけれども、現在の制度の下におきましては、專門家の鑑定人の鑑定があつて、そうしてその鑑定を相當と思われるときには、その鑑定に從つて裁判をするというのが、現在の裁判のやり方でありまするが、丁度例えて申上げますればさような制度を採つたのであります。
#31
○鬼丸義齊君 私はこの本質的には或いは同樣な趣旨になるのかと思いますが、先程もちよつと一言いたしましたごとくに、陪審法が布かれましてから後に、陪審裁判というものが殆んど有名無質に開店休業の状態にありますることは、要するに裁判官の意見と陪審員の意見と對立いたしました場合に、何囘でも裁判官の意見と一致いたしまするまで陪審をやり替えさせることにいたしております。こういうような有名無實な結果になりまするというと、えてして制度というものは如何に民主制度が布かれたような形だけしておつても、實はそれは僞装の民主制度であるということに、陪審制度自體の今日までの實例から見まして、遺憾に思つておるのであります。すでに國を擧げて民主制度を本當に徹底化せんとしておりまするときに、もはやこうしたような、やはり不徹底なる民主化のやり方はよくない。そういう意味から私は強くこの點に疑問を持ちまするために伺うのでありまする。
 大體法務總裁に責任あることをみずからの判斷によつて、利害反することに對して、その責任を負わせますることは、むしろそれ自體に大きな無理があるのであります。やはりこの制度も、そういうことの制度になりまして、結局結論を得まして、法務總裁と反對なる結論を得たといたしましても、總裁の裁量によつて直ちにそれが容れられないといこうになりまするというと、その見透しの下において審査委員會というものはやはり陪審制度と同じことに、有名無實に終るようになりはしないかということを多分に恐れるのであります。故に制度を布くならば、本當の民主制度に徹する制度でなければ、折角の制度も、やはり、有名無實に終りはしないか、こういう意味に實は考えましたので、先程來から再三伺つたのであります。この點に對しまする政府の御所見はどんなものでありましようか、重ねて伺います。
#32
○政府委員(佐藤藤佐君) 民主主義の思想を徹底させるためには、檢察審査委員會の下に責任を持たせて、檢察審査委員會の議決に從つて罷免をするという方が、檢察民主化の徹底を期する上において最上ではないかという御意見でございまするが、成程、民主化を徹底するためには仰せの通りな制度にする方が徹底はいたしまするけれども、さようにいたしますれば法務總裁の責任というものが、そこで逃れてしもうのでありまして、民主化を期しながら、而も監督の責任者に最後の責任を持たせようという、兩方からの目的を持つておるために、そこが御質問のようなどうも徹底しない嫌いがあるのではないかと思うのでありまするが、制度といたしましては、やはり法務總裁に責任を負わせながら、而もできるだけ民主化を圖ろうとしておるのであります。かように、審査委員會の議決通りに罷免の手續をしなければならんというふうにいたさなくとも、この制度によりましても、各方面の代表者、而も國民の意思を最も正常に反映せられておる檢察官適格審査委員會の議決がありますれば、これを尊重して法務總裁が善處するということは當然のことでありまするから、大抵の場合は適格審査委員會の議決と、法務總裁の最後の裁斷と違うということはあり得ないのではないかというように考えるのであります。
 又先年我が國において施行されました陪審法におきましては、陪審員の判斷と裁判官の判斷と違う場合には、何度も陪審を繰返して、そうして裁判官の責任において、裁判官の最後の判斷に基いて裁判をいるという制度であつたがために、我が國の陪審法があまり活用されたかつたのではないかという御意見でありまするが、この點はさような御意見をしばしば承るのでありまして、英米の陪審の制度と違いまして、陪審員に絶對の判斷權がなく、陪審員の判斷と裁判官の判斷と一致したときに、裁判を下されるという鵺的な陪審制度が我が國において施行されたために、我が國の陪審法があまり活用されなかつたという一つの原因であることは、私もそれは認めるのであります。
 併したがら最後に裁判官の責任において、裁判官の最後の判斷によつて裁判をするという制度がよろしいか、裁判官の判斷を交えないで陪審員だけの判斷で裁判される制度の方がよろしいか、この利害得失につきましては學者間においても非常に論ぜられるところでありまして、御承知のように陪審法は英米では相當用いられておりまするけれども、歐洲大陸においては失敗に歸しておるのでありまして、そこに英米の陪審制度が最上の制度であるということは、言い得ないのではないかというように存じておるのであります。將來我が國の陪審法を復活する場合には、その點についても篤と研究して善處いたしたいと考えておるのであります。
#33
○鬼丸義齊君 我が國の國民の文化の程度から考えまして、陪審制度の陪審員の決定に對しまする拘束力を附けるか否かについては、多大の疑問を持ちますることは同感であります。丁度この度政府の方から提案されました檢察審査會の法案中にありまする檢察審査會この審査會の審査員の構成と、ここにいわゆる檢察官適格審査委員會の委員の構成とは格段の相違がございます。檢察審査會の方の委員は、丁度陪審法の陪審員のような選任方法になつておるようであります。ところがここに檢察官適格審査委員會の審査委員の顔振れを見ますと、國會議員、檢察官、法務廳官吏、裁判官、辯護士及び日本學士院會員、錚々たる顔揃いの委員を擁しまする審査會であります。陪審員の場合、或いは檢察審査會の場合とは同日の論ではないと思うのであります。
 その意味におきまして、私はこの檢察官適格審査委員會の議決に對しましては、そうした矛盾を押し切つてまでも、法務總裁に相當、不相當の裁量權をここの與える必要があるかないかにつきましては、どうしても理解ができないのであります。とにかく若しこの審査委員會の議決というものが單なる議決であつて、法務總裁の裁量によつて死活が決するということになりますると、自然にこの委員会の活動というものに對しまして大きな影響があろうと思うのであります。というのは、一つの審査をなそうといたしましても、總裁の意思如何ということが直ちに連想されることとなりまして、折角のこの制度が甚だ活溌な成果を擧げ得ないのじやないかということに、多大の心配をいたすのであります。故にここにいわゆる適格審査委員會の委員の場合は、檢察審査會及び陪審員の場合とはおのずからその構成に違いがあるのでありますから、私は審査委員會の決議というものは相當に尊重されて然るべきではないかと思うのであります、法的には……。この點を最後に私、お伺いしたいと思います。
#34
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察官適格審査委員會の構成は、お説のように檢察審査會の構成とは全然異なるのでありまして、檢察審査會の構成の方は陪審制度に代る一般民衆の構成でありまするが、檢察官適格審査委員會の方は、この法文に列擧してありまするように、檢察官に關係の深い各界の選ばれたる代表者を以て構成し、又國民の意思を最も適切に代表される方々を以て構成されるのでありまするから、その審査委員會の決議というものは非常な價値の高いものであることは申すまでもないことでありまして、從つてその審査委員會の決議が十分に尊重さるべきことは申すまでもないのでありまして、適格審査委員會の議決がありました場合には、法務總裁がこれを十分尊重して善處されることと思うのであります。御心配になられるように、適格審査委員會の議決と法務總裁の意見とが違う場合というようなことは、實際上は殆んどあり得ないことではないかと考えるのであります。從つて法務總裁が適格審査委員會の議決を左右するというようなことは、これは毛頭あり得ないのであります。
 ただ檢察官を罷免するという重大な手續をするには、適格審査委員會の議決と法務總裁の勸告とこの二つの條件が具備しなければ、檢察官を罷免することができないという條件でありまして、どちらが重い、どちらが經いというようなことはないので、二つの條件が備わつて初めて檢察官を罷免することができるのでありまして、一つの條件が缺けた場合にはできないというまでのことであります。
#35
○松井道夫君 ちよつと二點だけ。國會議員が六名ということになつておりますが、この法案によりますると、衆議院議員及び參議院議員というので、通じて六人と讀めるのでありますが、政府當局とされては、その内容、どういう工合に考えられるか。それが一點。
 それから國民が直接、適格審査委員會の職權の發動を促す權限があることにしなかつた理由を伺いたいと思います。
#36
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察官適格審査委員會の委員は十一名でありまして、その中六名は衆議院議員及び參議院議員の豫定の下に、別に官制案では、衆議院議員三人、參議院議員三人と、それぞれ互選によつて選出されるものと立案いたしたのでありまするが、衆議院の司法委員会の方におきましては、衆議院議員と參議院議員の人員が、大體四對二の割合になつておるから、六人の中衆議院議員四人、參議院議員二人、とこう明確に本法において規定する方がいいのではないかというような意見が多數でありまして、その點は衆議院の司法委員会において改正されたのであります。
 次に一般國民が、檢察官の罷免を適格審査委員会に對して要求する手續がないではないか、というお尋ねでありまするが、この點は本法において特に請求權を認め、又その請求の手續というようなことを規定はいたしておりませんけれども、如何なる方法によつて知り得た場合でも、適格審査委員會は、その資料に基いて随時職權で審査を行うことができるのでありまするから、その半面において一般國民が適格審査委員會に直接或る資料を提供するということは本法においても認めておるのでございます。
#37
○大野幸一君 二十三條に、「委員會の議決及び法務總裁の勸告を經てその官を免することができる。」というのでありますが、「その官を免ずる」というのは何人が免ずるのであるか、こういう點と、そうして三項に終りの方の「當該檢察官の罷免の勸告をしなければならない。」罷免の勸告は誰にやるのか。例えばこれは懲戒委員會に勸告をするのか、法務總裁が罷免を假りにする。任命官が罷免するにも懲戒裁判にかけて、懲戒委員會によつて罷免をするのか。そういうような點を第一點としてお伺いします。
 第二點といたしまして、免官の事由として心身の故障、職務上の非能率その他の事由を擧げておりますが、その他の事由中には重大なる非行を含んでおると思いますが、重大な非行で免官になるとすると、公務員法の八十一條第三號の、非行のあつた場合に懲免處分として免職されることになつておりますが、この關係とはどういうことになりますか。即ち懲戒裁判と本法との關係、二つが併立して行くものか、どういう關係になるのかということと、ここでは免官となつておりますが、公務員法によりますと免職とたつております。又今の裁判官の場合には罷免というように、ときによつていろいろな字句が使つてありますが、その字句によつて意味が違うのか、又先程申しました官吏懲戒令との關係で、この免官と官吏懲戒令の免官との關係はどういうことになつておるか、などをお伺いいたします。
#38
○政府委員(佐藤藤佐君) お尋ねの第一點でありまするが、檢察廳法第二十三條第一項の官を免ずるという任免は任免權者からであります。一級官の檢察官は内閣において、二級官の檢察官は内閣總理大臣においてこれを任免することになつておりまするので、そこには省略しておりまするけれども、官を免ずる者は内閣又は内閣總理大臣というその任免權者を指しているのであります。從つて第三項の終りの方に當該檢察官の罷免の勸告をするというのも、それは任免權者に對して罷免の勸告をするという趣旨でございます。
 それから第二のお尋ねの點でありまするが、檢察官に重大な非行があつた場合には、やはり檢察廳法第二十三條によつて、適格審査委員會の審査を請求する事由になるかというお尋ねでございまするが、これは重大なる非行が、それによつて檢察官の職務を執るに適しない程度でありまするならば、勿論檢察廳法第二十三條の適用があるものと解釋いたしております。從つて重大なる非行があつた場合には、一面において檢察廳法第二十三條の適用を受け、他面において官吏懲戒令の適用を受くるという場合も考えられるのであります。同一の事由が、檢察廳法に發動によつて罷免するかということは、その具體的な事例によつて判斷されることと思うのであります。
 それから官吏の分限に關する規定の中に、御説のように、免職或いは免官とか用語がまちまちでありまするが、官吏分限に關する法規の中で、免官といつた場合には免職も含み、免職といつた場合には免官も含む趣旨に、從來解釋されておるように考えております。
#39
○大野幸一君 任免權者がこれに基いて免官する場合に、懲戒委員會にかけるのですか、かけないのでしようか。
#40
○政府委員(佐藤藤佐君) 懲戒處分によつて罷免するというような場合には、勿論懲戒法の規定に從つて、懲戒委員會にかけなければならないものと考えます。
#41
○大野幸一君 この二十三條によつて法務總裁から勸告を受けた場合には、そのまま免官ができるのですが、それともその場合でも懲戒委員會にかけなければならんかということなんです。懲戒事由があれば懲戒委員會にかけるというのは當り前ですが、懲戒事由でなく、二十三條によつての勸告を受けた場合にはどうかということを伺つておるのです。
#42
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察廳法第二十三條に規定されておりまする事由があつた場合には、檢察官適格審査委員會の審査を求めて、そうしてその議決によつて罷免いたすのでありまするが、その事由が若し懲戒免官の事由にも當るというような場合には、法務總裁の方で、恐らく檢察廳法の發動ではなく、官吏懲戒法の發動を求めることと存じまするけれども、場合によつては、懲戒の事由ではあるけれども懲戒にするまでもなく、とにかく罷免すれば十分だというような考えから、懲戒法の發動を促さないで、檢察廳法二十三條の適用によつて罷免するという場合も考えられるのであります。
#43
○委員長(伊藤修君) ここでお諮りいたすことが三つございますが、まず第一に、只今御質疑を願いました兩法案につきましては、いろいろな關係上本日中にこれを議了いたしたいと存じますが、目下衆議院においてまだ審議中でありまして、午後の本會議にこれが上程せられ可決される運びになつておりますから、その後でないと参議院における司法委員會は開かれないのでありますから、それまで一つお殘りを願いたいと思います。御迷惑でありますけれども……。そういたしませんというと明日以後の關係があるそうですから……。
 それから第二に、先にお諮りいたして御決定を願いましたところの視察の第一班と第三班が、政變その他の關係で實行されていないのでありまして、これを四月中の實行することに御異議がないですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(伊藤修君) それではさように決定いたします。
 次に本委員會に付託されておりますところの輕犯罪法につきまして、各種勞働團體から公聽會を開いて貰いたいという要請があるのであります。從いまして議案の性質上、その際公聽會を開きたいと存じまする次第でありまして、かねて人身保護法につきましても、自由人權協會からやはり公聽會を開いて貰いたいという要請がありますから、これを併せまして兩案につきまして公聽會を開きたいと思うのでありますが、如何でございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○委員長(伊藤修君) ではさよう決定いたします。つきましては公聽會の日時でありますが、大體二十六、七日ということに御決定を願いまして、公述人の選定につきましては委員長にお委せを願いたいと思いますのですが…。
 
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○鬼丸義齊君 その二十六、七日頃、私共九州方面に行くことになつておるのですが……。
#47
○委員長(伊藤修君) それですから、それはあとで、明日までに大體お打合せ願いまして、それと睨み合せまして……。
#48
○鬼丸義齊君 その後に……。
#49
○委員長(伊藤修君) 會期中に、餘り會期に追われる頃では困りますから、適當な、その後議決する日を見て公聽會を開かないといけないと思います。
#50
○鬼丸義齊君 尚、今の檢察審査會法なんというものは、まだ一囘の逐條説明を受けただけで、殆んど質問にも誰も入つていないくらいで、そんなに俄かに明日に上げなければならんという理由はどこにあるのですか。
#51
○委員長(伊藤修君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#52
○委員長(伊藤修君) それでは速記を始めて下さい。では今日はこれにて散會することにいたします。
   午後零時三十六分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           中村 正雄君
          大野木秀次郎君
           水久保甚作君
           鬼丸 義齊君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
           星野 芳樹君
           小川 友三君
  政府委員
   法務廳事務官
   (行政長官)  佐藤 藤佐君
ソース: 国立国会図書館
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