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1957/04/08 第28回国会 参議院 参議院会議録情報 第028回国会 法務委員会 第24号
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1957/04/08 第28回国会 参議院

参議院会議録情報 第028回国会 法務委員会 第24号

#1
第028回国会 法務委員会 第24号
昭和三十三年四月八日(火曜日)
   午後一時四十六分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     青山 正一君
   理事
           大川 光三君
           一松 定吉君
           棚橋 小虎君
           宮城タマヨ君
   委員
           秋山俊一郎君
           大谷 瑩潤君
           小林 英三君
           吉野 信次君
           亀田 得治君
  国務大臣
   法 務 大 臣 唐澤 俊樹君
  政府委員
   法務政務次官  横川 信夫君
   法務大臣官房調
   査課長     位野木益雄君
        ―――――
   最高裁判所長官
   代理者
   (事務総長)  横田 正俊君
   最高裁判所長官
   代理者
   (総務局長)  關根 小郷君
   最高裁判所長官
   代理者
   (総務局総務課
   長)      海部 安昌君
   最高裁判所長官
   代理者
   (人事局給与課
   長)      西山  要君
   最高裁判所長官
   代理者
   (経理局長)  岸上 康夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○下級裁判所の設立及び管轄区域に関
 する法律の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○裁判所職員定員法の一部を改正する
 法律案(内閣送付、予備審査)
○裁判官の報酬等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣送付、予備
 検査)
○検察官の俸給等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣送付、予備
 審査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(青山正一君) 本日の委員会を開会いたします。
 皆様に申し上げますが、このたび、最高裁判所事務総長に御就任になられました横田正俊君が、就任のごあいさつをされたいということでございますので、これをお伺いすることにいたしたいと存じます。
#3
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 私は、先般、公正取引委員会委員長から最高裁判所事務総長に転官いたしました。もともと長年司法部で育ちました人間でございますが、ここ十年余りを新しい役所で過ごしまして、新憲法下の新しい司法に関しましては、まことに知識も経験もない者でございます。不敏な上にそういう状態でございまするので、果してこの重責を果すことができまするか、非常な不安を持っております。今後、当委員会にもいろいろまかり出まして、皆様の御鞭撻をいただきたいと考えております。
 いろいろ申し上げたいことがございますが、就任に際しまして、その点特にお願いいたしまして、簡単でございますが、ごあいさつ申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#4
○委員長(青山正一君) それでは本日の議事に入ります。
 刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、以上二案につきまして、来たる四月十五日、火曜日、午前十時、参考人として弁護士植松圭太君、一橋大学教授植松正君、最高検察庁検事安平政吉君、早稲田大学教授江家義男君、以上四人の出席を要求することにいたしたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(青山正一君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(青山正一君) 次に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、以上、四案を一括して議題といたします。
 前回に続き、質疑を行いたいと存じますが、四案についてそれぞれ答弁が保留されておる事項がございますので、法務省並びに裁判所当局から、まずこの点について御説明願いたいと存じます。
#7
○政府委員(位野木益雄君) ただいまの答弁でございますが、大体この法律の運用の方面の御質問のようでございますので、便宜裁判所の方から御答弁をいただいた方がよろしいかと存じますが。
#8
○委員長(青山正一君) それでは関根総務局長から。
#9
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 先般のこの委員会におきまして問題となりました一つでございますが、大阪高等裁判所管内の都島簡易裁判所が現在ございます所が法律と違っている所にあるのではないかという御疑問でございます。これは確かに法律に書いてございます所にはございませんが、これは当時、簡易裁判所が法律上設置いたされましたが、当時の事情で非常に開設を急ぎまして、しかもどういたしましても適当な庁舎が見つからなかったために、大阪簡易裁判所の管轄区域でございまする東区の大阪簡易裁判所の分室にてこれを取り扱うことにいたしました。これは結局理屈から申し上げれば、やはり裁判所法第三十八条に基きまする事務移転と解する次第でございます。これが第一点でございます。
 それからその次に、神戸の簡易裁判所の交通裁判所が、警察――兵庫県警察本部の神戸市警察部庁舎別館二階一室にある、このことは警察と裁判所との関係から申しまして妥当ではないじゃないか、こういうようなところがほかにもあるかというお問いでございました。これは調査いたしましたところ、この神戸簡裁交通裁判所だけでございまして、確かにお問いの通り、非常に遺憾ではございますけれども、これも先ほど申し上げましたように、非常に庁舎を獲得するのに困難をきわめました関係上、やむを得ず、この警察部庁舎別館二階を借りておるわけでございます。で、いずれは神戸の庁舎が完成いたしますれば、その方に移るということにいたす予定でございます。
 なお、つけ加えて申し上げますと、交通裁判所の関係でございますので、なるべく早く事件を審理しなければならないという関係から、一貫作業と申しますか、警察と検察と裁判所が同じ所でやった方がいいという要請のございますのも一つの理由になっておりまするが、何と申しましても、裁判所の建物、裁判所の庁舎たる固有のものがなくて、警察から借りておるということは、おもしろくないことはおっしゃる通りでございますので、できる限り早い機会において、こういう事態をなくしたいという考えでおります。
#10
○亀田得治君 私の方からその点についての疑問を残しておいた関係上、若干御報告に対して確かめておきたいと思うのですが、この都島簡裁の件ですね、裁判所法三十八条の事務移転に法律上はなる、こういうことですが、このままの状態で今後もいかれる方針なのか、あるいはあそこにある場所はもう明らかに東区ですから、名称等を変える方針であるのか。そういう点はどういうふうになっておるんでしょうか。
#11
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 今亀田委員のお問いの点、まことにごもっともで、何と申しましても、都島簡易裁判所の名称のもとにおきまして、法律通りの場所にないという点は遺憾でございますので、できる限り早い機会に、場所を変えることができ得ればそうしたいという覚悟でおりますが、なお、もう一つ考えられますのは、これは政府側の問題にもなろうかと思いますが、先般も申し上げました簡易裁判所で受け付けまする事件、それからそのほかの交通事情等から考えまして、簡易裁判所の整理統合という問題を今検討しております。それともあわせ考えまして、こういった事態をなるべくなくしたいということで進んでいるわけでございます。
#12
○亀田得治君 とにかくこの前にも申し上げましたように、これは初めから違った場所に置かれておるわけで、はなはだこれは裁判所法第三十八条の趣旨からいっても、少し筋が通っておらぬと思います。だから、やはり至急に、今の場所に置いておくのであれば名称は変えるべきであるし、あるいはそうでなく、名称を変えないとすれば、これは都島に持っていくという、どちらかにはっきりさせなければならぬ。
 それからもう一つ疑問があるのですが、大阪簡易裁判所ですね、あれが同じ東区ですぐ近くにあるわけですね、御承知のように。だから、こういう点等もはなはだ不自然なんですね。その点も一つあわせてやはり筋の通った解決をできるだけ早くしてもらいたいと思います。
 それから交通裁判所の点ですが、これはどうもせんだってお聞きしたところからみると、最高裁の当局では、警察の内部に交通裁判所が置かれておることを御存じなかったようです、私の推測ですが……。全国では神戸だけだという報告でありますので、一応私としても納得といいますか、その程度ならという気もしているのですが、おそらくこれは早くほかへ移す、裁判所と警察というものを厳格に区分していくという建前からいって、非常に必要なことですね。これはもちろん今度の予算請求等には、この神戸の交通裁判所を一時的にもほかに移すというふうな予算請求はされなかったと思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
#13
○最高裁判所長官代理者(岸上康夫君) この点は、今お尋ねの通り予算要求はいたしておりません。
 ただつけ加えて申し上げますと、聞きますところによりますと、神戸の地検がすぐ隣りに今建築中でございます。これがおそらく三十三年度中に大体完成するやに聞いております。そうなりますと、現在地裁の陪審庁舎を全部現在検察庁の方でお使いになっておるのを新庁舎にお移りになりますと、そこがあきますので、地裁としては若干の余室ができる。その上になりますと、今の交通関係もそこに引き取るということも可能ではないだろうか。まだ具体的には検討いたしておりませんが、そういう見通しを持っておるわけであります。
#14
○亀田得治君 それから先ほどの御報告の中で、ちょっと気になる点が一つありましたのは、兵庫県警察部内に交通裁判所を置くことについて、同じ場所である方が便利がよかろうというふうな理由もちょっとあった、こういうことをちょっとお述べになったわけですが、最高裁がそう考えたというのですか、どこがそういうことも便利だというふうに考えられたというのですか。ちょっとそこを詳しく説明してもらいたい。
#15
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 今亀田委員のお問いの点ですが、これは交通事犯の被告になる人は、結局申すまでもなく、スピード違反とか、そういった違反を犯しまする運転手の諸君なんです。運転手の諸君は、自動車を運転しながら職業を営んでおる方も多いわけなんです。そういう方に、被告になりましたために時間をかけるということは非常にいかぬというところから、いわゆる即決裁判式にやるべきだということが考えられるわけでございまして、そのために交通裁判所という特別の看板がかけられる裁判所が設けられる。その交通裁判所が設けられますると、そこへ警察なりあるいは検察官なりの出張と申しますか、そこへ出てきてもらって、そこで一貫作業で進められていく。もう数時間のうちに審理が終るという形をとっております。これは外国の例でもトラフィック・コートではそういったいき方をやっておりまして、なるべく被告人に時間をかけずに即決裁判をやっていきたい。さらに進みますると、違反の現場へ、裁判官が出張して、そこで検察官と警察官が一緒になってすぐやってしまうということも考えられる、そういうことを私申し上げたわけでございます。
#16
○亀田得治君 それは被疑者に迷惑をかけないように便利に扱う。これは必要です。私もその点は認めます。しかし、そのことと、警察の庁舎の中に裁判所を置く。これは質的に全く別個な問題だと思うのです。そういう考え方は、やはり神戸の警察の中に交通裁判所を一時的にでも置いておる理由には私は全然ならぬと思うのです。便利は大いにはかってもらいたいのですが、それはやはり区別してもらわないと、幾ら交通事件といったって、ともかく運転手などは、やはり警察に対してはあまり頭が上らないのですよ、一般的にいって。だから警察官の認定でこれはこうしておけといったようなことで片づけられる場合もある。それはやはり救うのは裁判所ですよ。だからその一線というものは裁判所としてきっちり考えていかなければならない。交道事件なんか非常に数が多いですよ。数が多いから、中にはやはり十ぱ一からげのような処分をされる場合もある。そういうものですから、ある意味では、私はなおさら、交通裁判所の判事自体が、やはりそういう簡単な事件だというために起るあやまち、そういうことに気を使うようにしてほしいと思うのですよ。だから、さっきのような理由等は全然成り立たぬものだと私は思うのです。特に答弁は要りません。一応報告に対する質問は、これで終ります。
#17
○委員長(青山正一君) 御質疑を続けて下さい。
#18
○一松定吉君 この前お尋ねした例の判事補のあの問題について、その後、政府の方は何か御検討なさいましたか。やはりあれは現行法を改める必要がないからというお考えでしょうか。
#19
○政府委員(位野木益雄君) この前の御質問につきましては、なおその後も考えております。この前申し上げましたように、単なる名称だけの問題だけでなくて、実質に関係のある問題だというふうに考えますので、御趣旨の点を十分考慮いたしまして、将来十分検討いたしたいと思います。
#20
○一松定吉君 実は、この前もあなたに申し上げましたように、同じ一人前の裁判官でありながら、十年以上の者は判事、十年以下の者は判事補というようなやり方では、自分の権利の擁護を要求する個人としては、一人前の裁判官の裁判を受けたというときの感情と、一人前でない判事補の裁判を受けたという感情とでは非常に違うのであるからして、やはり私は旧裁判所構成法に規定せられてあったように、司法官試補の試験に及第して、そうして修習を終えて裁判官になったときに、すぐにもう名前は判事という名前を持ち、五年の経験のある者を今度は上の方の高等裁判所、もとの控訴院に、十年以上は大審院の方にもっていくことができるというふうな、ああいう規定にして、そうして名前は、判事補という名前にせずに判事という名前にした方が、裁判を受ける民衆の感情の方からも非常にいいばかりでなく、その名称を使用する裁判官そのものの建前からしても、おれは一人前じゃない、判事補だというような感じを持たせることはよくない。やはり私は、その権限の範囲内において名前を分けるということよりも、年数において、最高裁、高等裁あるいは地方裁というようなふうに、年数においてその配置をきめるということの方がいいと思うのでありますが、今あなたのそれは、研究の価値があるということであれば、私もこれ以上何をか言わんでありますから、一つ御研究の上、将来適当の時期において、名前を改称する法案を一つ御提出あらんことをここにお願いして、その意味の質問は終ります。それについて何か御所見があれば承わります。なければほかにさらに進んで質問をしたいと思います。
#21
○政府委員(位野木益雄君) 御趣旨、十分了承いたしました。御承知のように、裁判官の任命の制度につきましては、非常にいろいろな根本的に異なった意見がございまして、たとえば法曹一元論というのも有力に唱えられております。法曹一元論ということからみますと、司法修習を終った人をいきなり判事にしてしまうということになりますと、やはり法曹一元の理想とは相反する結果となるということも考えられますので、そういうふうな根本論をも十分検討して、なるべくすみやかに、もう戦後十年たったわけでありますから、根本的な制度の確立をいたしたいというふうに考えております。
#22
○一松定吉君 それから裁判官の定員数を増加するということは、私どもは、今日のように事件が輻湊して裁判が遅延々々という実情を重ねている今日においては、当然必要であると思うのでありますが、それと同時に、第一審強化方策協議会というような方面から、二人制の合議体の制度を、一昨年でありましたか、そのことについて当局に検討をしてもらうように決議をしたようなことがあったように覚えておりますが、そういう点について、その後、法務省の方でもしくは裁判所方面で御検討に相なったでありましょうか、いかがでしょう。御検討相なったとするならば、その二人制合議体の採用というものをする御意思があるのでありましょうか、ないのでありましょうか、その点を一つ承わっておきたい。
#23
○政府委員(位野木益雄君) 二人制の点につきましては、この前も御質問がございましたのでありますが、法制審議会でも相当回数かけまして審議をいたしました。いたしたのでありますが、なお結論を得ていないのが現状なんです。と申しますのは、御承知のように、やはり合議制と申しますのは、本来がやはり奇数であるのが、本体であるように思われます。偶数の合議といいますか、やはりこれは変則的なものと見ざるを得ない、たとえば合議の場合にいたしましても、二人の意見が合わない場合にはどうするかということになりますと、ここにまたいろいろそう簡単でない問題が起ってくるわけです。その解決方法についてもいろいろ議論があるわけでありますが、場合によっては、それはたとえば意見が合わない場合がかなり多いということになりますと、かえって事件の審理の促進に差しつかえがあるということも考えられないわけではないというような心配もございますので、なおいろいろ実情も調査いたしまして、それから現実の実情、合議体の強化が、本来三人でやることができるならばその方が好ましいのでありますから、そういうふうな事態が急にはできない、もう少し事態を見れば、本格的な方法で事態に対処することができないだろうか、そういうふうな情勢を見た上で、なお研究を進めていきたいということで、そのままになっておるわけでありますが、なお決して審議を中断したわけではございません。続けて審議をいたしたいということになっております。
#24
○一松定吉君 私は今課長の御説明の、二人で合議をやるときに、意見が一致しないときに困るではないかという御意見の通りのことを私は考えておる。私は、それだから二人制の合議体ということに私は反対です。それはなぜこういうようなことになったかといえば、結局判事の人数が少くて、事件が輻湊して遅滞が多いからということで出た便宜の制度だと思うのですが、それならば、私はそういう変則的の合議が、十分に完全に行われないような二人制の合議体なんかということをせずに、判事の数をふやすのが一番いいと私は思う。ところが、今の法務省方面の判事の数をふやすということについて、どういうようにしてふやすかということについての、何か具体的な方法があれば承わってみたいのでありますが、私は今急速にふやそうとするなら、弁護士から採用する以外にはない、弁護士から採用しようとするには、判事の待遇を改善して、弁護士が進んで裁判官になるというような待遇を実現しなければ、弁護士は喜んで裁判官にはなりません。そういうようなことは、なかなか急速にはいけないがしかしながら、われわれとしては、裁判の威信を保つ上において、裁判官の数をふやし、そうして国民が安んじて裁判官を信頼し、公平な裁判を受けるようにしてもらいたい。それをするのには、判事の数をふやしてもらう。判事の数をふやすのには、裁判官の待遇をよくして、喜んで裁判官を希望する人々が多くなることの制度を設けなければならぬ。これをするについては、そういうような制度を改めるという必要があるからして、それについてあなた方の御意見を承わりたいということと同時に、この司法試験をやって、この前、ただいま横田さんのお父様が裁判長をせられておりましたときに、八百何十人という裁判官の司法官試補をお採りになったことを覚えておる、ああいうふうに、ずいぶん司法官試験を受ける者は、各市立大学や官立大学を卒業した者でずいぶん数が多いのですから、こういう者に採用試験の学力を低下せしめて多く採用せよというようなことは私は申しませんが、多少手心をして、裁判官を、多数この司法官になる人を採用して、そうして今ではわれわれがなったときのような一年六カ月でなくて、二年の実務の修習ですから、その間に十分修習せしめて、一人でもより多くの裁判官を養成して、国民の要望にこたえるような、制度をお考えになるということが必要だと思う。そういうことについて、一つ具体策をお持ちでありますか、それをお話を願いたい。
#25
○政府委員(位野木益雄君) 御意見は一々ごもっともと思うのであります。やはり第一審強化のためには、裁判官の定員の増加が一番根本的な策の一つではないかと思います。そのためにはいろいろな措置を必要とするわけでありますが、さしあたりのところ、御承知のように、欠員がございます裁判官、これはやはり弁護士会その他の方面から採用するには、いろいろな待遇、任地というふうな問題もございまして、思うようにいかない。また、判事補その他の若い人から養成していくということも、これは一朝一夕ではいかないのでありまして、そういうふうなこともありまして、今までは欠員が多くて、まず欠員の補充の方が先決であって、増員の方はその次ということにいたさざるを得なかったわけでございますが、今後は待遇もできる限り、われわれといたしましては力を尽して、弁護士会その他の方面からの吸収もスムースにすると同時に、若い人からの養成にも力を入れていくということに努力せざるを得ないというふうに考えておるわけであります。さしあたり、判事補の中で、十年の勤務期間を経まして、法律上判事に任命し得る資格のできた人も、戦後のブランクの期間を通過いたしまして、ここ数年いたしますと相当増加して参りますので、そちらの方面からの補充ということは相当有望でございます。そういうようなこともなお力を入れていくように、裁判所の方にも要望いたしますし、われわれの方でもそういう努力をいたしたいと考えております。
 それから司法試験の関係でございますが、これも本来法曹の養成の最初の関門でございますが、これをなるべく優秀な人をたくさん吸収して、優秀な法曹を多くするということは、これは長い目で見ましても非常に必要であるということがもうほとんどむしろ世論的に今言われておると思いますが、そこで、この司法試験の実際におきましても、採用の数を最近はできるだけ多くしたいという方向で進んでおるように聞いております。ただ御承知のように、戦後、学校の制度が変りまして、法律の勉強を大学でやるというのが少くなった。専門科目よりも一般教養の方が昔よりは比較的多くなっておりますので、法律としては、学力がやはり低下いたしておるようであります。そういう関係から、司法試験の内容といたしましては、普通のをやっておるのでございますから、やはり成績が悪いということで、そういう関係もあって、この合格者数がやはり多くならないということもあろうかと思っております。司法試験の制度につきましては、実はわれわれも何とかいたさなければいけない、もう少し学校の制度に合せたようにして、もう少し若い人がどんどん来得るようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#26
○一松定吉君 今私が申し上げたことについて大体御賛成のようでありますから、私は、これ以上意見は申し上げませんが、試験を受ける人々の学科の内容等が、以前とはだいぶ変ってきたというようなことがあると同時に、学力もだいぶ低下したようだということでありますが、私も実はそう思っております。そこで、それらの点については、一つそれぞれ関係官庁とも十分御協議の上、学力をもう少し進めてもらうようにして、そうして試験にはなるたけ定数を多く採用して、そうして二年間の実地の修習のときに、どうもこれは裁判官に不適任だというような顕著な事例のある者については、二年間の修習をまた一年延ばすようにしてやれば、せっかく試験に及第して、実地の修習に入っておる者が不良とされることは不名誉だからというのでなしに試験に及第しない以前よりも、及第した後の修習期間中における奮励努力の効果の方が、私は多いと思いますから、なるべくそういう方針のもとにお進め願って、横田試験委員長のときに八百何十人も採用されたというようなことにして、何も学力の低下しておる者をただたくさん採用すればいいというのではなくて、そういう方針で一つお進めあらんことを特にお願いいたします。
 いま一つお尋ねしたいことは、最高裁判所の裁判官は、七十才が停年だ、ところが、高等裁判所の判事は何でも六十才ですか、六十五才ですか、そういうようなものを、私は、少くとも裁判官は普通の裁判官でも六十五才までは停年制とか何とかいうことでなくて、実務をとることに不便でないと私は思っております。六十になればもうおいぼれて、これは裁判の任務については不適任だというような昔の考えでなくて、今では御承知の通り、年令もだいぶ高くなって、かく申す私のごときもすでに八十四才であるが、私自身は、今から裁判官に採用されても決して人後に落ちないだけの頭を持っておると自分が自分で確信しておるようなものです。横田さんは、大審院の横田国臣さんですが、あの方のときに年令が問題になったことを覚えておりますが、やはり私は高等裁判所の裁判官などは、たとえば最高裁判所が七十才が停年であれば、やはり七十才くらいまでにしておいて、そうしてその上でかつどうも裁判官会議で、この人は裁判官としては不適任であるというように決定されたらば、その決定に基いて退職しなければならぬというような制度を設けて、そうでない限りは、やはり相当の年令の期間、その実務に従事することができるような制度に改めたならば、退職年限からだいぶ人員の欠員というものを補てんすることもできようと思うのですが、そういう点は全然お考えになってはいないかどうですか、それを一つ伺いたい。
#27
○政府委員(位野木益雄君) そういう御意見も、ことに今のような裁判官が足りないという時代には、確かに傾聴すべきものがあると思うのでありますが、やはり個別にやるということには、いろいろ運用上の問題もございましょうしいたしますので、今の制度は、画一的に年令で区切った六十五才、七十才ということは、外国の例と比べまてしもそう低い方ではないと思います。今までのところ、これをどうこうするということは考えておりませんが、なお、御意見も研究いたしたいと思います。
#28
○一松定吉君 この今の停年令が、六十才ですね、普通の裁判官……。
#29
○政府委員(位野木益雄君) 六十五才です。
#30
○一松定吉君 六十五才か、全部……。御承知の通り、この国会議員でも六十五才から七十才ぐらいの者が、まあ衆議院はそうではないが、参議院は多い。ところが、そういうような人の頭がそれじゃ若い議員に比べてそんなに劣っておるか、衰えておるか、能力が衰退したかということになってみると、そうではないように私は思うのだから、やはりこれは裁判官でも、最高裁判所の判事が七十才まで勤めることができるならば、やはり七十才というぐらいにまで停年を広げて、その間において、七十才になっていないが、この人はどうも不適任だというようになれば、裁判官会議かなんかでやめてもらうとかいう制度を設ければ、私はいいのではないかと思うのですが、一つ今、しいてあなたとここで議論はしませんから、お考えの上、一つそういうことも考えられれば、適当な時期にその年令をふやすというようなことも考えて、判事人員不足ということの補てんの一つの方法として実施していただきたいということを申し上げて、私質問を終ります。
#31
○棚橋小虎君 法曹一元化ということについてちょっとお尋ねしたいのですが、法曹一元化ということは、しきりに長いこと叫ばれておるけれども、その割合に効果が上っておらぬ、実質的に上っておらぬ。まあひとしく法曹一元化といいましても、最高裁の判事とかあるいは高等裁判所の長官とかいうような特別職などについては、割合に在野法曹との交流もうまくいっているかと思うのでありますが、一番大事な、たとえば地方裁判所あたりの第一線に働いている裁判官、それから弁護士としては、まあ中堅どころの今一番法廷にも出て活躍している弁護士、そこらの階級の交流というものがどうも成績が上っておらぬと思う。まあそこらのところで、たまに地方裁判所の判事なんかとの交流があっても、弁護士から志望していく人は、どうも、これは中には例外はありますけれども、大部分は弁護士としてはあまり収入も多くない、あまり活躍しておらぬような人が裁判官を志望していくと、こういったようなことが現状ではないかと思うのですが、そういう点は当局の方ではお認めになっておりますか、そういう傾向があるということは。
#32
○政府委員(位野木益雄君) 御指摘の通りかと思います。一般の第一線で裁判をする裁判官に、在野法曹の方から来ていただくという事例が、比較的まれ、きわめてまれかもしれません。きわめてと言ってよろしいかもしれません、非常にまれであるということだと思います。で、法曹一元というのは、これは内容はいろいろなふうに考えられるわけでありますが、さしあたりの第一歩といたしましては、裁判官、在野法曹、それから検察官、この三者の間の人事交流を促進するということも、第一歩として法曹一元の内容に入るかと思いますが、裁判所の長官とかそういうふうな人には、比較的交流が行われやすいのでありますが、それ以外の一般の裁判官につきましては、乏しいというのが現状ではないかというふうに考えております。
#33
○棚橋小虎君 法曹一元化の目的とするところはいろいろあるでありましょうけれども、一番大事なところは、裁判所等の司法部に新しい空気を流入するということが私は一番の目的だと思う。そうするならば、この特別職なんかにある老人たちが交流してみても、決してそういう目的は、決してとは言わないが、達しられないものだ。むしろ、地方裁判所級の第一線のそういう人を多く交流させなければいけないと、こう思うのであります。ところが、現状はただいま申したような傾向が非常に著しいということになりますと、それはどういうわけでそういうことになってきたか、その原因というものについて当局はお考えになったことがありますか、その点をお伺いしたいと思います。
#34
○政府委員(位野木益雄君) これは法曹一元の実現のための条件と申しますか、それの問題かと思いますが、まあ結局、すでに相当期間在野法曹として信用を得、それから財産的にも、物質的にも相当恵まれた地位にまで進んだという方を吸収するにはやはり魅力が乏しい、また、結局、それは物質的なものがおもなものと思いますが、そのほか精神的にももう少しまだ足りない部分があるのじゃないか。それからまた、現実の問題といたしましては、任地の問題――都会ではなくて地方の方に任地がきまるときになると、これもまた非常に好まないという、これは人情の常と思いますが、そういうふうな点も原因をなしているのではないかというふうに考えております。
#35
○棚橋小虎君 ただいまの点について、最高裁の方のお考えをお伺いしたいと思います。
#36
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 今、棚橋委員のお問いの点は、位野木調査課長がお述べになったと同様に考えておりますが、ただ、われわれの見方を申し上げますと、現在弁護士の方が裁判官におなりになるのに、特に長官とかあるいは最高裁の裁判官とか、たとえて申し上げますれば、自動車がついている地位とかそういった、名前が非常にいいとかそういった点がなければお入りにならない、結果論を申し上げますと。こういうことがなぜ出てくるのかという点の一つの理由といたしましてつけ加えて申し上げますと、何と申しましても、裁判官になりますると、自分で判決を書かなくちゃならぬ、その判決を書くのにかなり習熟して参りませんと、なかなかできないという点が一つのむずかしい条件じゃないかと思うのです。これは要するに、裁判書の問題につきまして、外国の例を調べてみますると、大体法廷で言い渡すだけで裁判書を作らないでする国がかなりあります。そういうことになれば、非常に弁護士の方から裁判官になられても、双方の言い分を聞いてそこで直ちに裁判をするということができる、そういったいわゆる何と申しますか、長年修練を重ねなくても判決を言い渡すことができるといったことも一つの理由かと思います。こういう点は、いずれは訴訟手続を変えまして、あるいはそういった方向に進み得るのではないかということも考えられます。それからなおもう一点、将来の動向といたしまして、御承知のように、司法研修所ができまして十年でございますが、この研修所では御承知のように、裁判官、弁護士、検察官の卵と申しますか、そこの土台を経て三者の道に進むわけでございますが、共通面ができております。そういった研修所を出ました方がもう二千人をこえております。そういったところから弁護士になられた方も相当ふえておりますので、研修所で研修を終えました方は、裁判官になりましてもかなり仕事が楽にできる。将来の見通しといたしましては、そういった意味合いから、法曹一元が割合にスムーズにいくのではないかという見通しが立ち得るのじゃないかということも申し上げていいのかと思います。
#37
○棚橋小虎君 ただいま法務省並びに最高裁の方の御意見を伺いましたが、ごもっともと思うところも多いのでありますが、しかし、私は何といってもやはり最大の原因というものは、裁判官の待遇、俸給というものが少いという点ではないかと思います。ということは、いわゆる特別職に属する裁判官になるというような人たちは、弁護士としては長年弁護士をやって、功なり名遂げて、収入もすでに相当のところになっておっていまさら俸給などはあまり当てにせぬでもよろしい、最後のまあ履歴として、一つ最高裁の方の判事にでも一ぺんなってみようかというような、こういったような考えであまり俸給など当てにせぬ人がなっている。それから地方裁判所の裁判官になるには、先ほど申しましたように、実はあまり収入などが多くて、弁護士としてもあまりふるわない人がやってくる、ところが、地方でも中央でも相当に弁護士をやっているいわゆる中堅階級の人がならぬということは、結局、中堅者の裁判官の俸給というものが、弁護士を現在やっている報酬に比べてはるかに少いということが、最大の原因じゃないかと思うのでございますが、結局、地方裁判所の第一線にいるような判事、裁判官の俸給というものと、それからまあほんとうに中堅どころで活動しているところの弁護士の収入というものとを調査して御比較になったことがあるかどうか、どのくらいにその間に隔たりがあるかということは、一応調査の上でお考えになったことはあるわけですか、そこのところをお聞きしたいと思うのです。
#38
○政府委員(位野木益雄君) その点は実はございません。と申しますのは、この弁護士会の方にもそういう資料がないかということもお聞きしたのですが、今までそういうことを調べられたことがあまりないそうです。比較の材料が今までなかったので、そういうことはしておりません。
#39
○棚橋小虎君 それはなかなか弁護士の報酬というものを、収入がどのくらいあるかということを調べるということは、これは税務署との関係もあって、なかなかむずかしい、ましてや、裁判所の方などでそれをお調べになるということはむずかしいと思うのでございますが、また、弁護士はピンからキリまでありまして、なかなか裁判官のような工合に等級などわかっているわけではありませんから、非常に困難でありますが、しかし、そこのところをよくできるだけお調べになって、そうして裁判官との比較ということからお考えいただかぬというと、ただ法曹一元化、もっと弁護士から採用していかなければいけないとおっしゃっても、結局、それは空論に終るのじゃないかと思うので、そういう点をもっと具体的に御調査をなすってそうして裁判官の俸給というものをそれに対比してどういうふうに上げていかなければならぬか、そうして法曹一元化というものを完全にやっていくようにしなければならぬかということについて、私は法務省でも、また、最高裁としてももっと御研究になるように一つお願いをいたしておきます。
#40
○大川光三君 ただいまの棚橋委員の御質問に対する当局の御答弁に対して、参考までに意見を申し上げておきます。なるほど在野法曹の実収入を調べるということは、これは非常にむずかしい問題であります。しかし、例を大阪にとりますと、大阪の弁護士の中にはおのずからAクラス、Bクラス、Cクラスというような区分をいたしまして、税務署が課税をいたしております。しかもそのクラス分けについては、弁護士会からも意見を徴しまして、おのずから一つの段階ができておるのであります。でありますから、もし調べようとすれば、税務署に照会をすれば、ある程度まで見当はつくだろうと、かように私は思っておりますので、御参考までに意見を申し述べておきます。
#41
○宮城タマヨ君 先ほどからの問題に関連いたしまして、私少し最高裁の方に伺いたいと思っております。今婦人の判事が何人ぐらい採用されておりますか。
#42
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 大体判事はなっておられる婦人の人は一人。それから判事補の方が約十名内外かと思います。ただいま資料がございませんが、大体のところを申し上げますと、そうなります。
#43
○宮城タマヨ君 判事の方々で、家庭裁判所の判事以外に、判事の職業についていらっしゃる方がありますか。
#44
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) どちらかと申し上げますと、地方裁判所の方が多いのじゃないかと思います。家庭裁判所の方が少くて。比較的に申し上げますと。
#45
○宮城タマヨ君 検事の数はおわかりになりますか。
#46
○政府委員(位野木益雄君) 数名ございますと思いますが。
#47
○宮城タマヨ君 数名、そして東京以外にもありますか。
#48
○政府委員(位野木益雄君) 東京以外にもおると思います。
#49
○宮城タマヨ君 はっきりわかりませんね。
#50
○政府委員(位野木益雄君) 地方にもおると思います。調査いたしてあとで……。
#51
○宮城タマヨ君 調べて下さい。
 司法修習生を終りましてから、検事にはできるだけ採りたくないという法務省の意図らしいということをみんな申しておりますが、事実ですか。どうですか。また、それが事実とすれば、どういうわけなのでしょう。
#52
○政府委員(位野木益雄君) その点は直接担当いたしておりませんので、よく存じません。特にそういう方針をとっておるかどうか、そういうことはないのじゃないかというふうに考えておりますが。
#53
○宮城タマヨ君 私が知り得ておりますところでは、検事の職を全うすることはやはり女ではできない、ことに結婚しますというと非常にむずかしいので、方針として、できるだけ検事は採らないようにというように聞いておりますけれども、一つその点は大事なことですから、調べて次のときにでも御回答いただきたいと思います。
 それから最高裁の方に伺いたいのでございますけれども、今度、売春防止法が通りましたが、これについて、売春婦をいじらせる者はやはり婦人の判事の方がいいというようなことについて、何か御研究でもなさったでしょうか、どうでしょうか。
#54
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 特に売春防止法施行に際しまして、その担当いたします裁判官に婦人の方がいいということは研究しておりませんが、ただ、どちらかと申しますと、少年事件、家庭裁判所で扱いまする限界におきましては、婦人がいいのではないかということも考えられるかと思いますが、一般の地方裁判所の普通の刑事事件に入って参りますと、普通の刑事事件の裁判官には、比較法と申しますか、外国の例を見ましても、ほとんどないと思います。日本でも、刑事裁判官にはやはり婦人はあまり適さないのじゃないかとわれわれは考えておりますが、売春法に関する限りは、今後の問題かと思います。
#55
○宮城タマヨ君 私も世間をあまり大きいことを言うほど見ておりませんけれども、アメリカなんかでは、婦人の裁判官がたくさんおりますでしょう。刑事裁判官もおると思っております。それから即決裁判といいますか、夜の女なんかをすぐ即決裁判をする夜の裁判なんかは、これはアメリカでもヨーロッパでも行われているようですけれども、今度売春防止法がああいうふうにできましたが、何かそういうことについて、御研究か討論かあったことはございませんですか。
#56
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 今宮城委員のお話の通り、いわゆる婦人の裁判官が外国の例にございますことは確かでございますが、これはいわゆる治安裁判官で、結局しろうとの方でなり得るという裁判制度でございます。それからもう一つの夜の裁判所、道で男を誘うような犯罪をして、直ちにつかまって、そのまま勾留して、一晩置かずにその当日の夜に裁判をしてしまう、いわゆるナイト・コート、これはアメリカにもございますし、多分英国にも少しはあるかと思いますが、こういったことは、今後日本でも、その事犯が非常に多くなりますれば考えざるを得ないと思います。ただ、夜の裁判所ということは、日本では、調停につきましては、ある場所においてやっておりまするけれども、まだかなり習熟的にいっておりません関係からこれも今後の研究問題として取り上げたいと思っております。
#57
○宮城タマヨ君 今の日本で取り上げられておる、実際今言った夜のコートですね。だんだん次第細りになっておりますが、これは世界の傾向に逆行するようでございますけれども、どうでございますか。なぜ次第細りになるでしょうか。
#58
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 今申し上げました夜の裁判ということは、現在日本でやっておりますのは調停だけでございます。調停は、たとえば工場地帯で、昼働く方の非常に多い地帯を選びましてやっておりますですが、やはり調停は、御承知のように、調停委員が参画されます。調停委員の方も、熱心な方もおられますが、全般的に申しまして、なかなか昼お働きになっておる方が多い関係から、夜までという気持の点が、あまり十分に発揮できない。これは当事者はもとよりでございまして、でありますので、全然夜の調停が、だめだということじゃなしに、確かにお話のように、幾分細くなって参っておりますところもありますけれども、しかしたしか墨田でございましたか、墨田の簡易裁判所でやっておりますのは事件がふえております。今後、やはりその土地々々の事情によりまして、夜の調停は進めていきたい、こういう考えでございます。
#59
○宮城タマヨ君 私も夜だいぶ方々を歩いてみましたが、これは今の段階では少し無理な点もあるかと思いますが、今度売春防止法が施行されますについて、私一つ研究していただきたいと思います。売春婦をあっちこっち引っぱり回して警察署の留置場なんかへ置きますことは、これは売春婦のためにあまりよくない。それですから、どうかできますならば、夜の裁判で即決裁判して、そうして入れるところへちゃんと入れて保護するといったような建前に私はなっていくことを希望しておりますが、一つこれは最高裁の方で御研究願いたいというように考えております。
#60
○亀田得治君 先ほど配付された表に関連してちょっとお聞きしますが、一般職員の項別現在員調というのですね。これによりますと、たとえば地方裁判所のところを検討してみますと、事務職員が八百二十九名、定員よりも多いわけですね。それから書記職の方が相当数少い。これはどういうことでこういうふうになっておるのか、御説明願いたいと思います。
#61
○最高裁判所長官代理者(西山要君) お手元に御配付いたしました項別現在員調によりますと、御指摘の通り、書記職が二百八十六人欠員がありますのに対して、事務職が過員になっております。書記職の欠員につきましては、全体の欠員が二百七でございますから、二百八十六全員を今後充員するとまでは参りませんが、できるだけ今後充員したい、そういうふうに存じております。ただ、事務職が非常に過員になっているという点でございますが、その点につきましては、従来から実は事務職の要望が強かったのと、大体まあ傭人から事務職に昇格とかいうようなことも考えるべき職種がございました。そういう関係から、三十二年度の定員と現在員を比べますと、八百二十というような過員の状況にありますが、御承知の通り、給与法の改正もございまして、行一の職員を傭人である行二の職員との適用者も厳然と区別されるような状況になりましたので、それを機会に、従来流用でまかなっていました事務職の定員をずっと今度増加してもらうことになっておりますので、新しい三十三年度の定員との関係では、わずかながらまあ欠員が事務職にできるようになっております。
#62
○亀田得治君 そうすると、これは三十三年度は事務職、それから書記職、調査職、傭人、この定員がみんな変ってくるわけですね。
#63
○最高裁判所長官代理者(西山要君) 書記職、調査職につきましては変りございませんが、事務職と傭人につきましては相当数変ることになります。つまり傭人が少くなりまして、事務職が多くなる、定員上多くなる。それは従来から、先ほど申しましたように、事務職の必要性が強くなったことと、傭人からの昇格というもので、漸次事務職の現在員が増加する傾向にあります。それを是正いたしたい関係で、そういうことになったのでございます。
#64
○亀田得治君 それからもう一つの縦書きの表ですがね、これを見ると、各裁判所における配置定員と現在員の数の関係が非常にばらばらなわけですね。それでこの配置定員というのは、現在のやつはこれは、いつきめられたものですか。
#65
○最高裁判所長官代理者(西山要君) 去年の七月に設定施行したものでございます。
#66
○亀田得治君 これは毎年きめているわけですか。
#67
○最高裁判所長官代理者(西山要君) 毎年大体きめて施行しております。
#68
○亀田得治君 昨年の七月きめた配置定員が、その現在員との関係が一年もたたないうちに、あるところは非常に定員以上に人員を持っているし、あるところは定員以下に少い、こういう現象はどうして起るのですか。
#69
○最高裁判所長官代理者(西山要君) これはまあいろいろな原因がありますのですが、配置定員を去年の七月にきめた場合に、やはり各庁の事件数とか、あるいはその他の事情で配置定員をきめます。そうしますと、欠過員庁というのがどうしても出てくるのであります。で過員庁が出た場合に、これを解消するというのがもちろん望ましいことでありますし、その解消に努めるわけでありますけれども、御存じの通り、一般職におきましては、裁判官と違いまして人事の交流ということが非常に困難なわけでございます。そういう関係から、まあできるだけ解消に努めるようにはいたしておりますが、身分の保障ということももちろんありますし、なかなかこれは困難な実情にございます。
#70
○亀田得治君 困難な実情といいましても、初めから実行できないような配置定員を各庁別にきめておるような感じがするのですがね。これが四、五年前に実は配置定員をきめて、その後いろいろ事情があってこういうふうにばらばらになっておるというなら、これは意味もわかるのですが、昨年の七月きめたとおっしゃるわけですから、どうも初めから現実と違うことを予想しながらきめているような感じがするのですがね。できるだけ実情に合うようにしたいという気持はあるでしょうが、しかし、ある場所では相当数余っておる、これによると、多いところは四十五名も多いわけです。しかし、それは減す、減すとした場合に、十名程度は可能だろう、ということになれば、そのことを勘定に入れて配置定員もきめませんと、日本の最高裁というところは幾らそんなものをきめたって、あんなものはただ言うだけで別に守る必要もないのだというふうに、これだと感じが私いたしますね。きめる以上は、やはりそれを実行してもらわなければ――きめることが無理なのであれば、初めからそんなのをきめないでおく。初年度から破られておるというのは、そんなのは私はちょっとおもしろくないと思うのですがね。その辺どうなんですか。
#71
○最高裁判所長官代理者(西山要君) 御指摘の通りな非難はまたいろいろな点からも聞きますわけですが、やはり配置定員をきめるとなりますと、相当合理的な科学的な数字を当りまして、理想的なものをきめなければならぬ。それで減員をそのまま認めるというのでしたらもちろん配置定員の価値はないわけでありますので、理想的なものをきめておきます。なお、そのために配置定員が減ったために過員ができたという庁においては、やはりその庁としては最高裁判所のきめた合理的な配置定員は何名であるということを念願に置きまして、過員はもちろん先ほど申しましたようないろいろな事情で解消は困難でありますけれども、今後の採用並びに過員の解消につきましてはできるだけ努力させる、そういう趣旨でやはり配置定員を合理的にきめるという意味を私どもは十分感じて、そういうふうにきめておるのであります。従いまして、御指摘の点は、そういう非難はもちろんありますけれど、やはり今申しましたような観点からもなお、配置定員は合理的なものとして出す必要があるのではないかと考えております。
#72
○亀田得治君 配置定員をきめる基準ですね、それは事件数とかいろいろあるでしょうが、その基準を少し詳しく説明してみて下さい。
#73
○最高裁判所長官代理者(海部安昌君) ただいま西山給与課長から御説明がございましたように、配置定員は各庁の新受件数というものを基礎にいたしまして、そして一応の基準を定めます。それから支部とか、簡易裁判所というものがございますので、それに対しては、基準配置と申しますか、支部には最小限度数書記官を置かなければならぬ。簡易裁判所には庶務課長を置かなければならぬとか、あるいは各裁判所には事務局がございますので、事務局を維持するのに足る最小限度の事務官を配置しなければならないとか、そういうようないろいろな面から考えて配置いたしております。
#74
○亀田得治君 この事件の数ということが一つの大きな基準でしょうが、事件の質というようなことは考慮にならないでしょうか。
#75
○最高裁判所長官代理者(海部安昌君) 事件の質ということも考慮いたしております。訴訟事件というものを基準に置きまして、そして決定、命令、その他の雑事件はどうか、何件になるかという基準を設けて換算いたしてやっております。
#76
○亀田得治君 まあ社会的に非常に注目されるような大きな事件が間々あるわけですね。そういう場合には、同じ一件であっても、窃盗一件とは、これはもう全然違うわけですね。また、現実にそういう事件を継続する部においては、おそらく裁判所内部の扱いとしては件数を減らすとか、あんばいしていると思うのです。その辺のところは、どういう考慮が払われておりますか。
#77
○最高裁判所長官代理者(海部安昌君) 東京とか大阪とかいう大都会におきましては、そういう難件が非常に多うございますので、全体といたしまして、過配と申しますか、事件の換算率を高くいたしております。
 それからまた、具体的に急に大きな事件が、そこに起って、どうしても定員を必要とするというような場合には、そこへ特別に過員を認めて配置しているわけでございます。
#78
○亀田得治君 この表を見て一番目につくのは大阪、横浜などの不足人員ですね。大阪や横浜、浦和その他に――大阪あたりはずいぶん難件等もあるわけです。ここで十名欠員になっているわけですね、地裁だけの問題ですが、高裁は十一名、家裁が十四名となっておりますが、余っておる場所と比較すると、その差というものは非常に多いと思うのですがね。相当難件も控えておる裁判所ですから、この十名の欠員というものはずいぶん大きな負担になるはずですが、たとえば、京都が二名余っておるわけですね、神戸も八名多いわけです。まあ東京は非常に多いわけですが、大阪の近所だけを見ても、余っておるのがたくさんあるわけです。これはどこにその方が住んでおるのか、そこまでは私わかりませんが、大阪を中心にした交通機関なんというのは割合全国的には便利な方です、これは。だからもう少しこの辺の手心といいますか、努力などはできる余地があるように思うのですが、そういうことはできないのですか。
#79
○最高裁判所長官代理者(西山要君) その点につきましては、先ほど申しましたように、十分努力をいたしておるつもりでございます。なお、ある時点をとらえて見ますと、こういう結果が出てきておるのでございます。
#80
○亀田得治君 大阪の十名というのは、内容的にはどういうものですか、判事とか書記とか、その職名から言って。
#81
○最高裁判所長官代理者(西山要君) 実はこれは一般職でありますから、判事は全然入っていないわけであります。各職種別の大阪なら大阪というような所でしたら、調べてみるとわかるのでありますが、集計をしたものがなかったものですから、今持って参っておりませんが、おそらく書記職ではなくて、これは傭人について若干の欠員があったように今記憶しています。というのは、今の記憶では傭人の請求がこの間あって、人事局の方でそれを許したように記憶いたしておりますので、あるいはこれは三月一日現在ですが、その後若干埋まって少くなっていると記憶しております。
#82
○亀田得治君 判事と判事補の配置定員と現在員との過不足の問題ですね、これも相当あるわけでしょう、この表と同じような状況ですか。
#83
○最高裁判所長官代理者(西山要君) 判事につきまして、大体資料はございますが、手元に持って参りませんでしたが、一般職との関係はあまりないと思います。この一般職に準じた判事の欠員というようなことは考えられないと思いますが。
#84
○亀田得治君 これは参考までに判事と判事補の状況も表にして出してもらいたいと思います。その全体のやつはこの間もらっている。
#85
○最高裁判所長官代理者(西山要君) 各庁別の判事、判事補……。
#86
○亀田得治君 簡易裁判所の判事も出して下さい。といいますのは、この前ちょっと申し上げましたのは、全体の総数で幾ら欠員があるかといったようなことでは問題にならないわけです。ある場所では、もう定員が満ちている、それからこの一般職の表を見ると、ある場所では定員以上だ、従って反対の所は、総数で見た場合よりも非常に悪いわけなんです。だからそれは一つ一つとってみないと、私どもには真相がわからぬと思います。そういう意味で申し上げたわけですから、各庁別に判事、判事補の方を出してほしい。
#87
○大川光三君 裁判官の俸酬等に関する法律の一部を改正する法律案、これに関連して一点だけ伺いたいのでありますが、いわゆる判事特号、検事特二号の最近の状況について伺います。昨年の六月に裁判官、検察官の給与法の一部を改正するに当り、最高額の報酬を受けるに至ったときから長期間を経過したものに対して最高額をこえる給与を支給することができるように相なりました。そうしてその後、これによりましてそのトップ額は七万五千円と決定されまして、その支給を受ける判事は約百名、検事は十七名というようにわかっておるのでありますが、これに関する正式な発表がございませんので、この機会にそれを伺いたい。公式にその金額、受給者数、受給基準、高裁長官、検事長の給与の均衡、一般職の最高受給者の状況との比較等をこの機会に御説明をいただきたいと思います。
#88
○最高裁判所長官代理者(西山要君) まず、判事特号の受給基準と受給者数でございますが、七万二千円を得てから長期に勤続した人に対する基準でありますが、七万二千円、一号在号三年ということでやっております。大体この前は百名程度でしたんですが、その後人員変更等がございまして、ただいまの受給者数は九十八名でございます。
 第二点の高裁長官、判事符号報酬、一号報酬の裁判官の給与、これは給与と申しましても、俸給あるいは暫定手当いわゆる管理職手当、期末、勤勉等考えなければいけないと思いますが、年額を見てみますと、今度審議中の特別職に関連する認証官以上の裁判官の報酬法の改正によりますと、東京高裁が十万円ということになっておる、これでいきますと、年額の合計が百六十万六千三百二十円ということになります。もとの八万二千円でいきますと、百三十五万七千九百二十円ということでございます。かりに七%のいわゆる特別手当がついた場合も、年間合計額は百四十五万二千九百七十四円でございます。それからその他の長官、新しい改正法案によりますと、九万五千円であります。その年間合計は百五十二万六千二百八十円、現行の七万八千円で申しますと百二十九万一千六百八十円、かりに七%の特別手当がついた場合に、それを含めまして百三十八万二千九十八円ということになります。従いまして、判事特号七万五千円に扶養手当四人分を加えましていわゆる管理職手当一二〇%すなわち九千円を加えたものの期末、勤勉をも含めた数字を見ますと、年間合計が百四十四万六千六百円となります。従いまして、現行法上では、東京長官八万二千円の年間百三十五万七千九百二十円をオーバーしておるわけでございますが、十万円の金額になりますと、もちろんオーバーはいたさないわけでございます。それから判事一号報酬七万二千円、この管理職手当を含まないものは年間合計が百二十八万九千百三十円であり、管理職手当一二%を含めますと、百三十九万二千八百十円となります。従いまして、その他の長官の現行と七万二千円一号の一二%のものを比べますと、その他の長官の現行の方が低いというような状況になっております。
 以上でございます。
#89
○政府委員(位野木益雄君) 検察官の部分を補充いたしますと、現在特二号と申しますか、判事の特号に該当する給与を受けておる検事の数は十七名でございます。基準は裁判官と同じでございまして、特号の報酬を受けてから三年以上ということになっております。
#90
○大川光三君 検事特二号の場合は、年間収入は幾らになりますか。
#91
○政府委員(位野木益雄君) 同じでございます。裁判官の特号の場合と同様でございます。
#92
○大川光三君 そうしますと、判事特号、検事特二号、いずれも年間百四十四万四千六百六十円になりますね。そうしますと、いわゆる裁判所あるいは検察庁の最高上位におられる人と、判事特号あるいは検事特二号というのは、大体収入は変らぬということになるのでしょうか。
#93
○政府委員(位野木益雄君) やはり年額を比較いたしますと、今度の改正によりまして最小限、検事長にいたしましても四級地でございますか、四級地におる者につきましては、検事長なり高裁長官の方が収入が多いわけでございます。
#94
○大川光三君 しかし、先ほどの御説明によると、あるいは検事長等の上位の人と判事特号とか検事特二号というものは、年間一、二万円の差ということになりますか。
#95
○最高裁判所長官代理者(西山要君) 先ほど急いで申し上げましたので、あるいはお聞き取れなかったかもしれませんが、判事特号報酬が年間百四十四万六千円でございます。それに対しまして東京長官が百六十万六千円でありますから、年間十六万円ほどの差があるということになります。
#96
○委員長(青山正一君) ほかに御質疑ありませんか。
#97
○一松定吉君 ちょっと俸給のことで、裁判官の俸給、検察官の俸給を上げて、いい人を採用し、司法の威信を高めるということのために待遇を改善することについては私は大賛成なんですが、ただこの昇給の金額の違いですね、最高裁判所の長官は、現行では十一万円が十五万円、四万円上るわけです。それから最高裁判所の判事は現行は八万八千円が今度は十一万円でやるということになると、二万二千円上る、それから東京裁判所長官の現行は八万二千円が今度十万円になるから一万八千円上る、それからその他の高等裁判所長官は現行俸が七万八千円であるがゆえに、九万五千円だとすると一万七千円上るということになるのだが、この増額の比例は、どういうところから割り出したのですか。
#98
○政府委員(位野木益雄君) 最高裁長官、それから最高裁判事、それから高裁長官、検事総長、検事長、次長検事等の給与は御承知のように、内閣総理大臣、国務大臣、それから内閣官房長官等の金額と大体相対応しているわけであります。でその増加比率に従っておるわけでございますが、下から申しますと、政務次官級が特別職の中では比較的下の方の基準になっております。この政務次官の給与の増加率が一五%、それから内閣官房長官級の増加率が二〇%、それから国務大臣級の増加率が二五%それから内閣総理大臣級の増加率が三五%という基準になっておりまして、その数字を実際に当てはめまして出た数をまるめて作ったのが基準になっておるのでございます。この基準は、大体政務次官の一五%というのは、事務次官の――今度上りませんが――今までの増加率が一五%になっておったのでございますので、それに合せて、それから上は比較的上の方が今まで増加率が薄かったというので、少しずつ増加率を増したというのが経過でございます。
#99
○一松定吉君 最高裁判所の長官が十一万円であったのを十五万円にしたことには私は賛成なんだ。と同時に、最高裁判所の判事が八万八千円であったものを十一万円にする。長官の増加率より割合少いけれども、これはなぜそう割合は少いのですか。
#100
○政府委員(位野木益雄君) これは今申しましたように、内閣総理大臣、それから最高裁長官、それから国会の両院の議長、これが同じ金額で同じ増加率でございますが、その理由は、やはり三権の最高位にある方でありますから、国務大臣クラスの方よりは一〇%程度増加率を多くした方が適当じゃないか、こういう考え方に基くものでございます。
#101
○一松定吉君 国務大臣より多くするには反対しない。賛成だが、その最高裁長官の十五万円に比して最高裁の判事が十一万円、四万円も少いので、もとの比率からすれば二万二千円だけ多かったのを、にわかに四万円も多くなって、率が非常に上り方が最高裁判所長官に比べれば、最高裁判所の判事、あるいは東京高等裁判所の長官その他の局等裁判所の長官というのが増額の仕方がパーセンテージにして少い。だからそれを聞いているんです。なぜ少くしたか、同じような率で上げたらいいじゃないかと言うのです。両院議長とか、国会議員とか、政務次官に比較して云々とおっしゃるけれども、それはそれでまた考えるべきである。私は最高裁判所の判事なら判事、検察官なら検察官だけの比率をしてやってみて従って、それが両院議長あるいは国会議員、あるいは政務次官が悪かったらこちらの方を改めればいいわけなんだ。そこを説明しもらいたい。
#102
○政府委員(位野木益雄君) ごもっともな点があると思います。ことに最高裁の長官と最高裁の判事の開きが今までよりはもっと大幅になりまして、四万円の開きが出てきたということは、最高裁の長官と判事との職権、地位から考えまして、少し開き過ぎはしないかという感じを受けることは否定できないかと思うのでございます。これをもう少し縮めるということになりますと、上の方をそのままにしておきます以上は、結局最高裁判事の給与を国務大臣よりも上に上げるということにならざるを得ないかと思うのでありますが、現在の情勢あるいはやはり今までのこのいきさつ、沿革から見ましても、それからまた、このたびは国務大臣については月額は一応改めて上げますけれども、施行期日はあらためて法律で定めるというような状態になっておりますので、この際これを上回ってきめるということも適当ではないという考え方から、こういうふうなことになった次第でございます。
#103
○一松定吉君 そうすると、国務大臣や、政務次官や、国会議員に比してあまり高く上げてはいけないという御意見のようだがね。総理大臣だとか、大臣だとか、国会議員、政務次官というような者はこれよりほかに収入はあるんですよ、いろいろな名前で。高等裁判所の検事さんとかいう者は、これよりほかにそういう特別にいろいろな名前の収入はない。この裁判官――検察官は別だが、裁判官は公務員中の最高俸を取ることによって、裁判の威信を高め、国民の信頼を深くするという意味において待遇をよくしなければならぬというのは、私のかねてからの持論でありますので、英国あたりの裁判官と国務大臣あたりと比べて見ると、あなたの今のお考えと違う。裁判官の方がはるかに高いが、幸いに今度総理大臣の俸給が十五万円になるから、それで最高裁判所の長官も十五万円にするというのならば、今まで割合が二万二千円だけ少いんだ。それを今度四万円うんと上げるならば、その比例で高等裁判所の判事とか、最高裁判所の判事もしくは高等裁判所の長官というものは比較して上げた方がよくはなかったかということから、そういう質問をするだけですけれども、あなたのこういうような提案の理由は、今お話のような国務大臣や、政務次官や、国会議員に比較してあまり均衡が失してはいかぬからというので御遠慮して、こういうことにしたんだというようなまあ説明はわかるが、やはり将来は、そういうことを頭に入れて、ほんとうに裁判官は他の公務員の最高俸を取るんだということによって、裁判の威信を高め、法の秩序の維持ができるということを頭において一つやってもらいたいという希望だけ述べておきます。今これを私はそういうふうに考えるから、われわれはそういうふうに修正して、政府案よりももっとふやすということはいたしませんけれども、政府としては、そういう考えを持って将来臨んでもらいたいということだけを私希望を申し上げておきます。
#104
○亀田得治君 総理大臣と国務大臣との関係と、それから最高裁長官とこの最高裁判事との関係ですね、これは同様に大体最高裁としては見ているわけですか。多少開きがあるわけですね。開きの工合を俸給という面じゃなしに、職務、権限等の立場からどういうふうにその点、認識されているわけですか。
#105
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 今亀田委員のお問いの点は、最高裁判所長官と総理大臣、それから最高裁判所の長官以外の裁判官と各国務大臣、同じまあ何と申しますか、職務、権限上の程度の問題でございます。これは私どもの考えでは、内閣総理大臣は各大臣を罷免する権限を持っておられる。ところが、最高裁判所長官にはそういうふうに各長官以外の裁判官を罷免する権限を持っておりません。ただ違っておりますのは、最高裁判所長官は裁判官会議の議長として会議を総括するという点がございまするけれども、今まで総理大臣と各大臣との関係ほど、長官と長官以外の裁判官との権限の差はないのじゃないかというふうに考えておりますが、今度の報酬の問題につきましては、何と申しましても、最高裁判所長官と申しますると司法のトップである。三権分立のうちのトップだから特に増額の率を高くするという理屈も立つのじゃないか、それから今、位野木調査課長が言われましたように、内閣の方の関係と比較いたしましてやむを得ないのじゃないかということで、こうなったわけでございます。
#106
○亀田得治君 そこの比較の問題ですね。私も今關根さんがお答えになった通りに認識をしているのです。最高裁長官と最高裁判事、そんなにこれは内容的には開きはないのですよ。判決だって、これは結局は多数決でいくのだし、ところが、総理大臣の場合には、まあ普通は全会一致でやっていくのでしょうが、しかし、相当反対があったって、総理大臣としてはこれでいくということは法律上はできないことはないのです。だから、そういうものですから、従来の総理大臣に比較し、国務大臣に比較し、この考え方自身がこれは間違っていると思うのですね。法律の番人である最高裁が、そんな間違ったことを何も基準にして、私は説明する必要がないと思うのですね。もうちっと堂々とその辺の特殊な事情というものを説明されたら納得すると思いますが、そんな御努力もどうもないようで、ただあちらが上ったからこっちもついていく、はなはだ自主性がないような、三権の立場を代表する立場じゃないように思うのですがね、どうですか。今度の俸給表改訂に当って、そういう立場を主張されたけれども通らなかったというなら、これはまた一つ大蔵省に来てもらって、ちっとわれわれも説明しなければいかぬのですが、どうなんですか。主張していなければあっちも認めるはずがないのですが、どうなんですか。憲法上明かにそれはもうはっきりしていることだから。
#107
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 私も今亀田委員がおっしゃった通りだと思うのです。経過的に申し上げますと、やはりそういう要求をいたしました。しかし、先ほど来申し上げましたような理由で、やりこの際はやむを得ないのじゃないか。亀田委員のおっしゃるように、あるいは一松先生のおっしゃるように、皆さんが御理解ある態度なら、われわれの方もあくまでその方向に進みたかったのですが、幾ら進みましても先の見通しということもありますので、やむを得ず、こういったことになりまして、はなはだわれわれとしては遺憾でございますが、今さら、さらにこれを修正してくれということは言いかねるわけでございます。
#108
○一松定吉君 亀田君に関連して。
 今亀田委員の質問、私と同じ考えですが、私は先刻申しましたように、総理大臣だとか、あるいは国務大臣だとか、政務次官だとか、国会議員だとかいうものには、特別の収入があるのです。われわれは国会の開会中、一日二千円の宿泊料をもらって一カ月で六万円というものがふえる、これは税金はかからないのですよ。それから二万五千円という手当をもらう、これも税金がかからぬ。そうすると、今七万八千円を取っているけれども、それに六万円と二万五千円を合計すると、十何万円というものになって、むしろ最高裁判所長官より多いような収入になる。実際ふところ工合は、それは金の使い方も、総理大臣方の使うよりも国会議員の方がいろいろなことで使うことが多いけれども、収入の点においてそういうことになっておる。ところが、裁判官というようなものは、もうそれ以上、俸給や出張旅費の余りぐらいのこと以外に絶対に収入はありませんよ。そういう点を考慮すると、やはり遠慮なく、地位を維持する上においては、相当な待遇をせなければいかぬ。これは私がちょうど芦田内閣でしたが、あなたの方は塚崎君が最高裁の次席判事のときに、そういう方針でずっと上ったのです。だから判事の待遇が一時ずっと上った。ところが、何もそうじゃなかった、ほかの官吏も同じように、手につけ、足につけしてずっと上っていったために、同じようなものになっているということで、実は私は非常に憤慨しております。どうか先刻もお願いいたしましたように、また、亀田委員の言うように、堂々と主張されて、何も恥ずることはないのですから、やるならこの後考慮を払っていただきたいということをもう一度つけ加えておきます。
#109
○亀田得治君 とにかく四万円の差というものは、どっちを基準にするということは別として、これはちと大き過ぎますね。四万円――普通の職員にしたら二人分ですよ。そんなこの最高裁長官と最高裁判事を区別する根拠はない、極端な言い分をすれば、最高裁というあの合議制の機関である建前から言えば。そうしてこれは全部国民審査の投票にかかるのだし、しかし、長官がいなければ格好がつかぬからそれは長がいる、しかし、基本的には、これは合議制的な性格を持っている、だから、この十四名でも五名でもいいが、これは実際は全部平等であるべきだと思う、職務の性格から言って一対一ですから。一つの重要な死刑を判決するにしたってちっとも違わない、一対一ですから、それだけの責任があるわけですよ。だから本来から言うならば、最高裁判事は平等であって、ただ長官はそのほかに若干雑務もあるし、いろいろなことで、それこそ管理職手当を別につけるということであれば、最高裁判事としての判断というもの、そういうものについて非常に高く評価されることになると思うが、私は四万円も差がつくということは、どうしても工合が悪いと思うが、こういうことを最高裁の長官は承知でおやりになるのか、私は名最高裁長官であれば、おれの四万円減してもいいから平等にしてくれと言われるような態度をとられれば、ははあ、裁判所というものはそういうところかという反省が起きてくると思う。ちょっとそういうように、今からでも、減すのですから、これは堂々と主張しなさい、私のやつは減してもいい。こんな差をつけられたのじゃ最高裁の性格上困るから、という主張ぐらいされたらどうですか。そうするとまさか下げましょうとは言わぬでしょう、じゃ、ちと考えなければならぬかな、ということになるかもしれない、どう思いますかね。私は本質的に平等だと思いますが。
#110
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 今の雪田委員のお話しごもっともでありまして、もし平等だということになれば、十五万円に全部上げていただきたいという気持でございます。これは実は裁判官が全員同じような権限を持っているということを強調いたしますと、全部が司法のトップ・レベルにあるわけです。そうすると、総理大臣と違って、総理大臣より低くあることがおかしいので、十五人全部が十五万円にならざるを得ないという主張になるわけであります。そういたしますと、十五人全部がトップ・レベルで報酬金額が同額ということは、ちと欲ばりし過ぎるという感じがいたすのでありますが、そうすると、どうしても長官とほかの裁判官と比率を設けざるを得ない、その比率を設けるときに、内閣の各大臣よりも、長官以外の裁判官が上であるということは、現在の段階では御理解いただけない。それで、亀田委員のような方ばかりでありますれば、これは苦慮いたしませんが、まだ事態がそこまでいっておりませんので、それでやむを得ず涙をのんでおりますが、将来とも亀田委員のお説を広げていただけばありがたいと思います。われわれとしても、できるだけのことは努めたいと思います。
#111
○亀田得治君 これははっきり区別して考えていいのだと思う。国会などの場合も相当疑問があります、実際は。これは、だから管理職手当にして、議長とか特別な国会の職にある人の立場を考えるということはあり得ても、これは基礎は平等なのです。問題はそこまで発展せぬでもいいが、最高裁の場合には、明らかに制度上はっきりしておるから、これははなはだ筋が通らぬ。こんな四万円も差がついていると、良心的に、これちょっと賛成しかねるのですよ。実際にその点がひっかかってくる。上げること自体は何も不当だとは思っておりません。どうもそういう私ども認識を持っていなければ別ですが、そういうことを妙だと思いながら賛成していくというのは、どうも工合が悪いのですが、検討の余地がないのですか。まだ二週間ほど国会がありますよ。
#112
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 実は、この関係の予算はすでに成立しておりますし、今さらこれを修正するとなりますと、予算をまたよけいにしていただかなくちゃならぬということもありますので、現在の段階ではやむを得ないのじゃないか、こう考えております。
#113
○亀田得治君 もらう方がそうおっしゃれば仕方がない。(笑声)
#114
○一松定吉君 今の亀田君の御質問ごもっともだと思うが、私は、あなた方の頭の切りかえが必要だと思う。総理大臣が十五万円で国務大臣が十一万円、だから、最高裁判所の長官が十五万円で最高裁判所の判事が十一万円だというのは、総理大臣と国務大臣の関係を、最高裁判所長官と最高裁判所判事の関係と同じようにお考えになっていると思うのだが、総理大臣は、自分の意思のままに、一松お前大臣にするぞ、おいお前を大臣にするぞ、お前やめと、こうする、非常な大臣に対して特権を持っておるのです。ところが、最高裁判所長官と最高裁判所判事の関係はそうじゃないのですから、総理大臣と国務大臣との関係以上に、最高裁判所の長官と最高裁判所の判事の関係は非常に接近しておるのですよ。亀田君のように平等だという説には、私は研究の余地があるから言わないが、やはり四万円の差ではひどい、国務大臣が十一万円であるからというて、私は最高裁判所の判事を四万円の差をつけたということはよくない、あなた方は、総理と大臣との関係を、最高裁判所長官と最高裁判所の判事の関係も同じように比較して見たら間違いだ、こういうことを申し上げるのですから、これはほんとうにまじめに研究して下さい、今度のときに。そうしてやはり最高裁判所の判事の報酬は国務大臣以上に上げるということが私は理想なんですから、一つぜひそういうふうにして、もう今さら亀田君のように、あと二週間ぐらいあるのだから、その間どうにでもなるじゃないかということは、理想としてはいいけれども、なかなかそうはいかない。それをひっくり返して、原案を十三万円にする、十四万円するということは、容易に通りそうにもありませんから、これは、私はそこまでは主張しませんけれども、将来は考えてやっていただきたいということを、もう一つつけ加えてお願いしておきます。
#115
○委員長(青山正一君) ただいま一松君なり、あるいは亀田委員からのお話のごとく、裁判所なりあるいは法務省において予算要求について、大蔵省との折衝過程に非常に納得のいかない点が多い、そういうふうに考えますが、今後この点については、十分裁判所なり法務省も考えていただきたいことを希望いたします。
 裁判官の報酬、検察官の俸給、裁判所職員定員法三案関係の本日の審査はこの程度にとどめまして、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案については、質疑を終了することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(青山正一君) それでは、これより下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について討論を行います。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決を行います。
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#117
○委員長(青山正一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本会議における委員長の報告並びに報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#118
○委員長(青山正一君) 御異議ないと認めます。
 それでは本案を可とされた方は、順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    大川 光三  一松 定吉
    棚橋 小虎  宮城タマヨ
    秋山俊一郎  大谷 瑩潤
    小林 英三  吉野 信次
    亀田 得治
#119
○委員長(青山正一君) 次会は、明九日、水曜日、午後一時から刑法関係三案の質疑を行います。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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