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1957/04/17 第28回国会 参議院 参議院会議録情報 第028回国会 地方行政委員会 第31号
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1957/04/17 第28回国会 参議院

参議院会議録情報 第028回国会 地方行政委員会 第31号

#1
第028回国会 地方行政委員会 第31号
昭和三十三年四月十七日(木曜日)
   午前十時二十七分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員山口重彦君辞任につき、その
補欠として成瀬幡治君を議長において
指名した。
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     小林 武治君
           大沢 雄一君
           小柳 牧衞君
           加瀬  完君
           鈴木  壽君
   委員
           伊能 芳雄君
           西郷吉之助君
           館  哲二君
           成田 一郎君
           本多 市郎君
           久保  等君
           相馬 助治君
           中田 吉雄君
           成瀬 幡治君
           松澤 兼人君
           森 八三一君
           白木義一郎君
  国務大臣
   内閣総理大臣  岸  信介君
   国 務 大 臣 郡  祐一君
  政府委員
   法制局長官   林  修三君
   自治庁行政局長 藤井 貞夫君
   自治庁選挙局長 兼子 秀夫君
   自治庁税務局長 奥野 誠亮君
   防衛庁経理局長 山下 武利君
   大蔵省管財局長 加屋 正雄君
   運輸省航空局長 林   坦君
  事務局側
   常任委員専門  福永与一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○地方行政の改革に関する調査の件
 (町村合併に関する件)
 (国有提供施設等所在市町村助成交
 付金に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小林武治君) これより委員会を開会いたします。
 委員の異動を申し上げます。
 本日、山口重彦君が辞任されまして、成瀬幡治君が再び委員となられました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(小林武治君) 本日はまず内閣提出、衆議院送付の公職選挙法の一部を改正する法律案を議題に供します。
 質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
 なお、衆議院からは、修正案の提出者である青木衆議院議員が出席されるはずであります。
#4
○久保等君 公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、質問を申し上げたいと存じますが、総理大臣が午後おいでになるようでありまするから、午前中若干郡大臣に、保留を一部いたしまして、御質問をいたしたいと思いますが、特に、この公職選挙法の一部を改正する法律案の中におきまして、中心的な問題であると考えられまする問題の一つとして、衆議院議員の選挙運動期間が二十五日間従来はございましたが、これが二十日間に短縮をせられるということに改正せられようといたしております。まあ非常に総選挙を直前に控えておりまする情勢の中で、こういう重要な問題をここでこれから審議をいたそうというのでありまするが、衆議院の総選挙は、すでに昨年来、解散がいつ行われるか、われわれは、特に一日も早く国会の解散が行われなければならないという主張をいたして参っておりますし、また、国民世論も、そういう非常に強い世論であると思うのですが、そういう情勢の中で、ぎりぎりせっぱ詰まった今回、特にこういう問題を含んだ公職選挙法の一部が改正せられる法律案が出て参ったのでありますが、このことに対しまして、私は、郡大臣がどういうお考えでおられまするか、所管大臣としてのお考えをまず最初にお伺いをいたしたいと思います。
#5
○国務大臣(郡祐一君) 選挙運動期間の点を御指摘でございます。これは三十一年の参議院議員選挙以来、参議院の選挙運動が二十五日間に短縮をいたされましたそのときにも、衆議院は、あわせて改めるべきものであるという主張があったのでありまするけれども、衆議院のことは衆議院のむしろ考え方をある程度尊重せにゃいかぬじゃないか、地方議会、地方の長の選挙についてはあわせて改めようということで改めたのであります。それで、根本的に申しますならば、明治二十三年の第一回の総選挙のときが三十日であり、それを大正十四年に二十月日に改めた。そうしてこのたびちょうど、明治のを大正で五日を短縮し、昭和二十三年に相なりましてまた五日を短縮する。私、運動期間を、これは参議院の場合でも衆議院の場合でもそうでありますが、短縮いしたます根本の理由は、選挙運動というもので政党の政治活動がきわめて活発にかつ広範に認められておるということ。第二は、大正末期と今日と比べて、比較にならぬ、交通、宣伝方法の発達をしておる。第三には、選挙の公営が御承知の通り、昭和の初めに無料の封書を認めただけでございました。その選挙公営が著しく活発に相なっておる。また、明瞭に、選挙区域の広い参議院においてすでに短縮をいたしておる。それと均衡をとりまして短縮いたしますることは、これはむしろ参議院議員の選挙運動期間をきめました当時からの一つの懸案であります。これをこの際解決いたしたい。このような点でございまして、選挙運動が非常に白熱した状態で二十日間の運動期間に行われますことを期待しておるものでございます。
 なお、まぎわに改正案を出した点でございます。これは確かに御指摘のように、私も選挙法というようなものは、十分むしろ総選挙等よりも離れた機会に行われることが適当だと思います。しかし、それは選挙の基本的な理念に関しますことについてはさようでありますが、町村合併が行われたとか、参議院の選挙が改められたとか、こういうような、むしろ手続と申しますか、一品に手続というと語弊がござますが、そうした部分につきましては、選挙の基本観念に触れません部外については、これを選挙のまぎわに改めてもさして支障がないではないか。ちょうど三十一年の参議院の通常選挙をいたしますまぎわに、やはり参議院についても改正が行われております。これらの場合には、私はそれがいつもそういう形でいくべきものとは申しませんけれども、選挙の基本理念に関しますことでない場合は、これは差しつかえないのではないだろうか。むしろ、この機会に参議院と均衡をとりました改め方をいたさなければ不適当であると考えまして、御審議をお願いいたした次第でございます。
#6
○久保等君 ただいま基本理念に触れる問題でないからという御説明なんですが、特に、運動期間の問題は、何といっても有権者の立場からいたしまても、また候補者の立場からいたしましても、非常に私はやはり重要な問題だと思うのです。単に、理念的であるとかないとかいう、基本的な理念に触れる問題であるとかないとかいう問題よりも、むしろ実際問題として、非常にこれによって直接利害関係と申しまするか、影響を受けるものが、いわば有権者全体が、選挙期間が長いか短かいかによって、直接私は利害関係を持っておると思うわけでありまして、そういう点から申しまするならば、十分に余裕を持って選挙運動期間等が確定をいたしておるという状態でなければ、非常な実は迷惑をいたすと思うのです。特に、今回運動期間を短縮せられたという理由として、明治、大正、さらに昭和という時代の変遷を考えて、非常に交通が便利になった、あるいはまた、選挙公営の範囲が非常に拡大されたというようなことを理由としてあげられておるのですが、確かにその面においては私は情勢の変化、発展というものがあることは事実だと思うのです。ただ問題は、一体、選挙運動そのもの、また選挙そのものの持つ意義が、私はこれまた非常に変ってきておると思うのです。もちろん、根本的な理念そのものが変っておるかどうかという問題については問題があるかと思いますが、しかし、端的に申しますならば、戦前戦後における選挙というものの性格は、私はやはり戦後における民軍政治、主権在民という非常に大きな変革があったということをまずやはり念頭に十分置かなければならぬのじゃないかと思うのです。その場合に、何といっても主権在民であるという建前から申しまするならば、その主権者である国民は、やはり私は選挙運動の期間を通じて十分に具体的な候補者に対する認識を持ち、また特定政党に対する認識、また政党なり候補者の立場から考えまするならば、十分に党の政策あるいはまた本人の識見、人格、そういったようなものが浸透せられる私は期間だと思うのです。従って、そういう意味では、選挙そのものの持つ意義は、私は戦前と戦後を比べて非常に大きな根本的な変化があったとは申さないにいたしましても、非常にその点においては選挙運動期間というものが充実されるようになって参っておると思うのです。ですから、単にそういう問題を抜きにして、非常に交通機関が発達した、あるいはまた宣伝活動が非常に活発化してきた、選挙公営の範囲が非常に拡大されたからということで、選挙運動期間は短縮されてもいいのだということには私はならないと思うのです。
 そういう面から考えまするならば、私は選挙運動期間が長ければ長いほどいいというものではないにいたしましても、少くとも二十五日といったことについての問題については、必ずしも二十五日間で、立会演説会等にいたしましてもあるいは街頭演説会等にいたしましても、むしろ多きに失するといったようなことが、今までの経験なり、あるいはやってみた結果として、ほとんど世論的な形にまで結論が出ておるとすれば話はまた別でありますが、そういうことを私はいまだかって聞いたことがないのでありますが、そういうことを考えてみますと、民主政治の特に真髄でありまする選挙、そうしてまた、その選挙運動期間というものの問題については、私は非常に慎重なやはり考慮を払われなければならぬのじゃないか、そういうように実は考えるわけなんです。特にこの選挙運動期間が一体何日が妥当かという問題については、あるいは私の今申し上げているようなことに対しまして、大臣の方からの御答弁によりますると、見解の相違といいますか、お互いに二十日あるいは二十五日、いずれが妥当かという問題にもなって参ると思うのですが、私はこの問題等について、特に何か選挙制度調査会等に諮問するとかいったようなことがあったのかどうなのか、何かそういう、第三の機関でこういつた問題について検討せられたのかどうなのか、これを一つお伺いしたいと思うのです。
#7
○国務大臣(郡祐一君) 私も主権在民の憲法下におきまして、非常に国会議員の選挙というものの性格の変ってきたことは御意見の通りに考えます。これはプライスだかもそのように申しておったのでありますが、国民が主権者でありますためには、常時国民は政党のあり方、政治家のあり方に気をつけていなければ相ならぬ。従って政党というものは常時の政治活動によって、主権者である国民に、その意図するところを国民の前に訴えて参らなければ相ならない。これがわが国の選挙法におきましても、政党の政治活動は、選挙運動期間に入ってこそ一定の制限をいたします。しかし、選挙運動期間外は全く政党の自由にいたしております。
 これは余談でありまするが、私アメリカの選挙の実際等を知りたいと思いまして、かなり前から資料を求めておるのであります。届いて参ります資料は、ことごとく民主党か共和党の発行しておる資料でございます。アメリカの州政府あるいは連邦政府が出しておるものはないのであります。ところが、民主党なり共和党が、実によく国民にアメリカの歴史を訴え、そして選挙のやり方を指導し、自己の活動を入れております。その間に、まことに読みやすく、しかも実に正確でございます。私は、わが国の政党の政治活動も、そこまで当然参るべきものだと考えております。従いまして、そういう常時の政党の政治活動があり私、決して日本の選挙が、アメリカまたはイギリスの状態までいっているとは申しません。申しませんけれども、自分は何党に属するか、その何党に属して、何党の持っている政策のうちに、自分は社会政策に重点を置く、文教政策に重点を置くと、それを訴えまするだけで、選挙運動そのものは、選挙運動期間に参りましては、きわめてむしろ演説は簡単に、そうして多くの場所で国民に訴えております。これは平素の政党の政治活動が行き届いておるからでありまして、その点につきまして、私は、おっしゃる通り、主権者である国民の前に、ほんとうに国民が主権者としての判断をするのにふさわしいこたえ方を、政党が常時いたしておる。それは、何と申しましても、日本の政党の政治活動というものは、実に目ざましく進歩して参りました。そういう状態と相待って考えますると、候補者自身の選挙運動というものは、かなり形が変ってきておるのじゃないか。
 また、おつけ加えになりました、どういう諮問等をいたしたかというようなお尋ねがございました。この点につきましては、すでに参議院の選挙のときにでございますね、全国区でさえ二十五日にいたしたのだ、そういたしますると、参議院の地方区でも、かなりに広い選挙区――しかし、それはやはり選挙の周密さというのが違うだろうから、全国区がこうだからといって極端なことは言えないが、参議院の地方区と衆議院の選挙区とは、まずつり合いをとって考えて差しつかえないのじゃなかろうか。大体、当時の御論議の模様もそういう工合に拝聴いたしておりまするので、この点につきましては、特に事新しく取り上ける必要もないと考えた次第でございます。
#8
○久保等君 まあ、ただいま、特に期間短縮の問題の理由として御説明のありました点は、参議院議員の選挙運動期間の問題との対比で、それとのバランスというお話なんですが、私ども、もちろん参議院の選挙運動期間の問題についても、これは意見を持っております。従ってまあそれがよろしいのだという話を前提にするのならば、あるいはそういう議論も出て参るかとも思うのですが、しかし、私ども衆議院の場合を考えてみまするのに、少くとも、そういったような参議院議員の選挙とのバランスという問題ではなくて、もう少し本質的にやはり考えてみなけりゃならぬと思うのです。少くとも、こういったような問題については、私、劈頭にも申し上げましたように、期間を短縮するという問題ではあっても、まことに重大な実は短縮の問題でもありまするだけに、特にやはりこういった問題についてこそ十分に審議し、あるいはまた研究等をして参る必要から、選挙制度調査会等で、特にこういった問題についてはやはり検討させるという慎重な配慮があってもよろしいのじゃないか、また、あるべきじゃないかというように考えるのですが、今の御説明では、特にそういった手続を経ておらないという話で、まことにその点遺憾に思うわけなんですが、明らかに五日間運動期間が短縮されるごとによりまして、私は、実質的ないろいろな行事等が短縮をせざるを得ないのじゃないか。具体的に申しまするならば、立会演説会あるいは街頭演説会――街頭演説会のごときは、おそらく数十回あるいは百回前後の回数が少くならざるを得ない。あるいはまた、立会演説会の場合におきましても、これまた、私は十回前後に及ぶ回数を減らさざるを得ないという事態に相なると思うのですが、こういったようなことについては、一体どういうふうにお考えでしょうか。
#9
○国務大臣(郡祐一君) 選挙をいたしまする際の、政見放送、経歴放送、立会演説会、氏名の掲示、選挙の広報、これらにつきまして、いずれも選挙の実際をお考えになれば、選挙の期日に相なりましてから、若干の期間を置いてこれらのことが行われております。従いまして、選挙広報については、一日か二日、原稿の提出を求めまするときを繰り上げるということが起りましょう。しかし、それは選挙広報の配付に何ら影響ございません。政見放送、経歴放送についてもさようであります。立会演説会につきましても、私は、この期日の点でいささかも差はないと思います。ただ立会演説会等について、私自身もしばしば注意をいたしておるのでありますが、たとえば、東京のような交通のきわめて便利なところでも、割に回数が少いじゃないか。これは見てみますると、土曜、日曜というようなときを回数をかえって減らしておる、これらをもっとふやしていいんじゃないか。あるいは東京でしたら、午前の会合も開かれるのじゃないか、午後でももう少し移動ができるのじゃないか。こういうような点を、なかなかそれは人手の問題や何かで、そう私が言う通りには相ならぬ事情もあります。でありますけれども、そういう点の改善はしばしば要求をいたしております。
 それから、私は、選挙運動期間に入りましたならば、非常に活発に、直ちに運動が行われますることが望ましいのでありますから、従いまして、立会演説会も急速に今までよりも、選挙運動期間に入りましてからしばらく、八日、九日たってからというようなやり方を改めますれば、これは回数は決して減ることはございません。街頭演説会等、候補者自身がいたしまするものにつきましても、また、個人演説会の、施設の公営があれだけ十分に認めておりまするものには、直ちにこれを利用したらよろしいのであります。街頭演説会も、やりようによりまして、これこそ街頭演説会は、交通手段等の進歩と比例するところでありまして、これらのものは、私は回数は減らさずに、日数が減ったからそれに比例してものが減っていくというのは、ただものの言い方としてそうでありますが、これは候補者自身の工夫ですから、私はこういうふうに考えております。あるいは選挙運動員に弁当を与えて、そうして、やっているのが、今までと同じ、むしろそれよりもよけいに要るくらいじゃないだろうか。初めから白熱した状態になる、またそれが選挙の運動としては望ましいので、これは、英、米、西独、フランス等の様子を見ましても、選挙運動期間に入ったら直ちに白熱する状態、日本の八日、九日たって、しまいの五日くらいが盛り上った状態というのとは違った行き方になっております。私は、そういう状態になると、従って御指摘のような、選挙の運動方法についてこれを制約されるというようなことは起らずに、また決してそういうことが、政党なり候補者なり非常に一生懸命でやるのですから、そういうことは私は起り得ないと考えております。
#10
○久保等君 まあそういう御説明はちょっと理解できないのですが、選挙運動期間に比較的のんびりやっているという候補者は、私は普通考えられないと思うのです。むしろ、選挙運動期間では間に合わぬからということで、いろいろと事前にも何かこう、選挙違反にでもなるのじゃないか、事前運動違反になるのじゃないかと思われるような、すれすれのことをやっておるくらいなんですが、告示があって、一分一秒を争って少くとも届け出を行う、また現にそういう方向で選挙が進められておるのですが、それが五日も選挙運動期間が短縮せられて、実質的には期間が短縮せられなかったと同じ程度の効果を上げるのだということは、私が今具体的に申し上げておりまする立会演説会なり、あるいはまた、個人演説会なり街頭演説なり、そういったような選挙運動がこれは筆質的に減らざるを得ない。これは簡単に、数字的にもある程度計算ができると思うのですが、それを何とかカバーして一ついくようにしたいのだ、またカバーしていくようにおそらく候補者も努力をするでしょうし、そういうことに期待したいのだというお話なんですけれども、これは私は、選挙運動期間が短縮されれば、されただけのやはり運動回数、演説回数等が減ることが、これは私は自明の理だと思うのです。その点を何か非常にことさら無理をしたような御説明に受け取れるのですが、実質的な選挙運動の私はやはり制限にこれはならざるを得ない、かように実は考えるわけです。特にまた、先ほどの御説明でもございましたが、期間短縮をした理由として、平生の政党自体の政治活動というようなものが非常に活発になってきておる今日においては、期間をある程度短縮することも、むしろ妥当だという御説明があったのですが、なるほど確かに政党の政治活動というものは、非常に私は年とともに非常に活発になってきておると思います。しかし、単に日本の今の政治活動というものが、政党だけの政治活動だけで、相当な選挙運動というものの目的が達せられておる状態でありますならば別でありますが、特に、何と言っても、やはり個人本意、候補者本意という状態が、私は今日非常に大きなウエートを占めておると思います。そうだとすると、やはり具体的な候補者、こういった人のやはり政見なり、あるいはまた抱負、識見というようなものが、これは選挙民を動かす非常に大きな私は根拠になっておると思うのです。そういう点を考え合わせてみますると、やはり選挙運動期間というものが、一番選挙民が関心を持ち、また具体的な投票日等を控えて、選挙演説を聞き、それから立会演説会も聞き、また個人演説会も聞くといったようなことで、非常に私は勉強せられる期間だと思うのです。ことに、立会演説会の場合等は、これは郡長官御承知のように、年々歳々非常に実は立会演説会に行く人が多くなって参っております。いなか等においても、むしろ私どもがよく地方等に参って驚くくらい、千人あるいは二千人といったような人が立会演説会等に集まってくるのは、私は最近の非常な一つの現象だと思うのです。特異現象だと思われるくらい立会演説会議可に対しましては、有権者の方々は非常に大きな関心を持ちまして実は集まるわけなんです。こういったようなことを考えてみますると、私は五日選挙運動期間が短縮せられるというようなことが、そういう面から考えましても、有権者、言いかえれば主権者である国民の立場からいたしますならば、私はこれは非常に実は迷惑な話だ。むしろ非常に私はこの点については遺憾に実は考えるわけなんです。この点長官は、実質的にはあまり変らないのだと言われるけれども、私は二十五日から二十日になったから、さらにもう少し無理をして、何とか回数をふやすというような努力はさらにお互いにするでありましょう。しかし私は、実際問題として、やはりどうしたって二十五日と二十日とでは内容的に違ってこざるを得ないと思う。回数を減少せざるを得ないと思う。従って、その点については、もう少し私ははっきりした長官の御答弁をお願いしたいと思います。
#11
○国務大臣(郡祐一君) 前段の、日本の選挙は、候補者個人の選挙であるという点は、ある程度特徴だ、これは段階としてはそういうことが言えるかもしれません。しかしながら、私は一方で、ごとに革新的な気持をお持ちの方から、自書主義をやめて記号式投票にしたらどうかというような御意見も、この国会でもよく承わりました。これは政党本意にならぬとできぬのでございます。政党に所属した者は一定の印刷に入りますが、プリント・バロットに入りますが、無所属等の老ではそういかないものが起る。何と申しましてもこれは……、私は、だから、それだから、あなたのおっしゃることに反対するのではございません。現実の実情についての御認識は、私も同じように考えます。ただ次第にこれは政党本位の選挙に移行しつつあるということは事実であり、それを前提にして、今後大きな選挙法の改正というようなことが考えられてきておるというようなことが言えるのだろうと思います。しかしその点は、私は今の段階で、だからどうというようなことを申すものでは決してございません。
 それで、これはおっしゃるように選挙運動が第一日から非常に充実した状態で行われるとすれば、それはけっこうであります。ただ、このたびこの選挙法の御審議をわずらわしますときにも、なぜ選挙運動費用の方を、法定費用の方を減らさなかったか。なぜならば、選挙運動が充実して行われるのは、しまいの、後半というよりももっとしまいの瞬間である。初めの方においては、まだ活発じゃないのではないか、こういう御意向も承わり、それでは私は困るということでむしろ考えたのでありまして、初めから充実して行われるということは非常に望ましいことでございます。ございますが、立会演説会につきましては、事実初めの八日または九日というものは実際行われてないのであります。それをもっと早く行うようにいたしますならば、しかも事実上、衆議院の場合に見ますと、もう公示の第一日に候補の届け出が終っておるのであります。選挙管理委員会の準備というものが選挙の始まります前にできるのであります。そういたしまして、準備を十分いたしますならば、今までよりもそこで期間が短縮できる、こういう見込みが十分立ちまするので、従いまして、立会演説会を、法律の趣旨のように、なるべく充実いたそうという趣旨をそこなわせずに実施するという考え方で、このたびの期間短縮をいたしたのであります。また、その詳細につきましては、あるいは必要に応じて政府委員から申し上げさせるようにいたします。
#12
○委員長(小林武治君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#13
○委員長(小林武治君) 速記をつけて。
#14
○相馬助治君 関連して。同僚議員の久保さんの質問に関連して、選挙運動期間短縮の問題について郡長官に一点ただしたいと思います。
 何と答弁しようとも、実質的には運動の制限であって、裏返しに見ますと、現議員優先の法改正にあると、こういうそしりは免れないと思う。民主主義とか何とか理屈は言うけれども、民衆が政治にタッチするのは選挙を通じてなのであって、常に参議院、衆議院というものが民衆の目にさらされなければならない。普通に政党活動がもっと行われてくればそれはよろしいとしてアメリカの例をあげたって、これは全く国柄が違うと思うのです。全く政党政治が確立しているアメリカと、日本のように官僚制度が牢固としてあって、これが実質的に常に官僚が中立に名をかりて、どういう政党が出ようとも、思いのままの政治をある程度推し進めて今日に至ったというこの国柄から考えて、将来はともかくとして、この段階では、何としても運動の制限をするような法改正というものは私は好ましくないと思うのです。久保さんの質問に対しても、実質的には立会演説の回数は減らさないと言っているが、これは語るに落ちたというものであって、最初に政府が意図したものの中には、立会演説をやめようとさえしたのではないか。ところが自由民主党の中にも良識のある者があって、これは聞くところによると、岸内閣総理大臣もさすがに立会演説をやめるというのは思わしくないとおっしゃったとか聞いておりますが、いわば自由民主党の良識ある分子の発言によって、立会演説を取ってしまうことはまずかろうということでこれが残ったという経過も私どもは承知しておる。そういう角度から申しますというと、私は今度の法改正でただしたいことは、事前運動をいよいよ奨励することになると長官は思わないか、これが第一点です。
 それから第二点は、今度のように解散だ解散だといってこれは一年越し騒いでおる場合には、抜け目なく現議員も新人も事前運動をやっておる。もう手がつけられないような形でやっておる。それだから今度の場合は二十日で私は十分じゃないかと率直に思っておる、今度の場合は。ところが解散というやつは、これはいつやるかわからない。そういうことになると、ノーマルな状態においての解散の場合に新人の台頭をこれは抑制することになると長官はお考えであるかどうか。この二点を私は一つ長官の品から責任のある回答をお願いしたいと思うのです。
#15
○国務大臣(郡祐一君) 事前運動の問題は、今も相馬委員がちょっとお触れになったところがありますが、これはむしろ正確なところは取締り当局からお聞き取りを願いたいのでありますが、確かに任期の満了が近いとか、あるいは任期の満了がきまっておるとかそういうような状態のときに、事前運動というのはとかく多い傾向がございます。しかし、このたびの法律が何ら事前運動をそのために助長いたしませんことは、参議院の選挙を、これは相馬委員御経験のように、三十日を二十五日にいたしました場合、そのための影響というものは出ておりません。候補者の側についても、むしろ立会演説会などはだんだん進歩してふえてきておる状況になっております。そうしたことで、私はこのために事前運動がどう動いて参るということは考えられないのであります。
 それから新人の問題につきましては、私はこれはおしなべて今まで政治上の活動をし、また、その人の仕事が有権者にわかっております場合に、それがどうしても有利であるということは言えます。しかしながら、同時に新人といえども、ただいまの選挙におきましては、日ごろから――、私は、だから取り締らなければならない事前運動という意味では決してございません。しかしながら、何らか有権者と親しみを持っておる者について初めて考え得ることであり、従って全体の傾向として新人は優秀な新人が選挙でも選ばしてきております。私は、このたびの法律が五日という選挙運動期間が、新人の出ますことに、右にも左にも格別影響のあるものとは考えておりません。
#16
○相馬助治君 ただいまの答弁について、にわかに賛成し得ない面もありますが、これはあとでまた議論することにして、あと一点伺いたいことは、選挙運動期間を短縮したということは、小選挙区制度に関係があるかどうか。すなわち小選挙区がいいか悪いかは別といたしまして、小選挙区制度をしくんだということになれば、私は衆議院は二十日ぐらいでいいのじゃないか、こういう議論もおのずから出てくると思うんです。お間違いなく願いたいことは、小選挙区がいいと言っているんじゃありません。小選挙区制度がしかれれば二十日でもいいという議論が生まれてくると言うんです。そこで、お伺いしたいことは、短縮は小選挙区制度をしくという前提をなすものであって、関連があるとお考えであるか、それとは問題はおのずから別個であるとお考えであるか、お尋ねしたい。
#17
○国務大臣(郡祐一君) 小選挙区そのものの問題、それからあるいは自民党の中で立会演説会をやめようというような論があったんじゃないかというような問題、その点はお尋ねの要点でもございませんから触れません。しかし、そういう立会演説会を廃止すべしという論を多くの人の中に言う人がありましても、それは決してものを支配するようなものじゃございませんでした。
 それでお答えいたしますが、この選挙運動期間というものは、小選挙区には何ら関係はありません。小選挙区制の問題は全然別の問題と考えております。
#18
○久保等君 長官がおいでにならない間に、若干条文についてお尋ねしたいと思うのですが、今、立会演説会の問題についての質問を行なっておるわけでありますが、現行法の公職選挙法の百五十三条の現在四項になっておりますが、「立会演説会の開催については、事情の許す限り、その回数を多くするように努めなければならない。」という規定が、これは現行法の実施した経験によりまして、途中から新しくこの条文がつけ加えられたんですが、立会演説会については極力これの回数を多くすべきだということが、この公職選挙法の精神だと思うわけでありますし、特にそのことを途中から明記いたしたんですが、一体、この条文ができた以降と、それからその以前における実際の立会演説会の開催回数にどういう変化があったか、数学的に御説明を願いたいと思います。
#19
○政府委員(兼子秀夫君) この第百五十三条の第四項の改正規定投入前後の状況につきましては、今ちょっと資料が手元にございませんので、後ほどお答えをいたしたいと思います。
#20
○久保等君 私なお立会演説会の回数につきましては、資料をいただいておりまするが、先ほど長官のお話だと、期間短縮がなされても、実質的にはあまり変らないような運営が可能だというお話だったんですが、告示なされてから、実際の立会演説会が始まるまでに、全国およそ八日か九日くらい今日までの実績から見ると、実は空白な期間、準備期間があるというお話だったんですが、それならば、一体、二十日に期間短縮をした後において極力準備を切り詰めましてやるとして、一体どの程度その準備期間の期間を短縮することができるのかどうか、これは一つ相当実績に徴して確信のある御答弁を実は願いたいと思います。
#21
○政府委員(兼子秀夫君) 期間短縮に伴いまして立会演説会の実施計画の問題でございますが、第百五十五条の第一項の「立会演説会の開催計画の決定及び告示」に関する規定を、告示の日から衆議院議員の選挙にあっては三日以内ということになっておりますのを、今回二日以内ということに一日繰り上げまして、そういたしますと、計画をできるだけ早く立てまして実施に移すということにいたしますと、公示の日から五日目には開始ができるのであります。従来九日目から開始いたしておったものといたしますと四日がそこに出てくるわけであります。そういたしますと、何と申しますか、うしろの方でその間の実施の穴埋めをいたしますれば、従来通りの計画ができるのではないか、このように考えております。なおまた統計上見ますと、候補者当り二十七回という衆議院議員の実績になっておりますが、十五日間できるものといたしますと、一日二回やるといたしますれば、これは三十回できるわけでございまして、従来通りの実績は確保できるのはないか、このように考えております。
#22
○久保等君 告示後立会演説会の準備期間の短縮の今お話があったのですが、こういった点については、当然選挙管理委員会の人員等の問題も考慮されなきやならぬと思うのですが、そういったごとについては具体的にどういう手配をなさっておられるのですか。
#23
○政府委員(兼子秀夫君) 「立会演説会の開催計画の決定及び告示」につきましては、参議院の選挙につきましては、前回の期間短縮に伴いまして、公示の日から二日以内ということになっておりまして、衆議院の規定だけ前回の参議院の選挙の際の改正では触れてなかったのであります。今回それを同様な規定に改正いたしますわけでございまして その面におきましては、参議院の経験からいきまして、心配はないと思うわけでございますが、全般的にまあ選挙管理委員会の陣容が足りるかどうかということの問題になりますと、選挙は何と申しましても相当多数の人員を必要とするものであります。とうてい選管の職員だけではまかない切れないで、臨時に他の部局の職員を応援させなきやならないという面からいきますと、従来もそういう方法をやっておるのでございますが、今後におきましても同様な方法によりまして、できるだけ臨時的に充実をはかってやって参らなきゃならない、そういうまあ機構の弱い面と申しますか、そういう悩みはあるわけでございます。
#24
○久保等君 ついでに事務的な点の質問になりまするが、特にこの選挙法の改正が今回なされますると、選挙準備等にいろいろと影響があると思うのですが、普通解散になりましてから告示を行うまでに、実際問題としてどの程度の日数がかかるのか、それからもう一つは、今回のようなこういう改正がもしなされたとするならば、こういったことそのものについても十分に行き違いのないように末端まで手配をし、浸透させなきやならぬと思うのですが、そのことについても、今までの経験等から考えて、どの程度の日数を要するものなのか。これは一つ選挙局長の方から事務的な問題ですが、経験に徴して的確に一つ御答弁を願いたいと思います。
#25
○政府委員(兼子秀夫君) 法令の改正に伴う周知期間でございますが 一般的に申しますと、市町村に関します部分がありますれば、これは三週間程度はこれは理想的に申しますとほしいのでございます。今回の改正におきましては、市町村に関する部分は少いのでございまして、大部分は府県選管に関係する部分でございます。若干の立会演説会等の関係は、開催する市に関係ございますが、すべての市町村に関係があるというわけではないのでございまして、非常に事項をしぼると申しますか、改正の事項を狭めておりますので、この事柄の周知につきましては、期間がそのようになくても周知をはかるということにつきましては遺漏のないようにいたしておるのでございます。なおまた、解散後公示までの期間はどれだけが必要かということにつきましては、五日ないし一週間は従来必要とされておったのでございますが、これは解散でございますので、国会議員が国に帰って立候補の準備をされるというような前後の日にちを見ますと、やはり五日程度は必要ではないかというふうに考えております。また、選挙管理事務の上からいきましても、投票用紙の準備等、そういう不在者投票の準備等の点がございますので、これまたその程度は期間が必要である、このように考えております。
#26
○久保等君 今、法令周知についてはまあ三週間程度は必要だというお話だったのですが、今度立会演説会の改正については、従来の規定を改正して、選挙管理委員会が必要だと認める町村等での立会演説会はできるわけですが、特に、最近御承知のように町村合併等が行われております関係から、これは非常に町村の規模が変ってきておると思うのですよ。それからまた、片や今申し上げたように、町村についても選挙管理委員会で必要と認めれば、これは立会演説会はもちろんやれるわけです。そうだとすれば、この法令周知についても、特別な町村に関係があるのではなくて、むしろ全般的に関係があって、しかもまあ立会演説会をやらない町村も若干あるということだと思うのです。そうだとすると、これは一般的な改正と同じように、相当のやはり期間が必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#27
○政府委員(兼子秀夫君) 立会演説会に関しまする規定につきましては、これはまあ厳密の意味で申しますれば、必ずしも従来立会演説会をやっておった町村だけに関係がある規定ではないということは言えると思うのでございますが、こういう点につきましては、会議等によりまして、末端の町村に十分徹底をはかるつもりでございます。
 なお、先ほどお尋ねのございました第百五十三条第四項の立会演説会の開催度数をできる限り多くし、努めなければならぬという規定が、改正が入りましたのは、昭和二十九年十二月八日の法律第二百七号の改正でございますが、その改正の前後におきます参議院議員の選挙について見ますと、参議院議員の二十七年の選挙におきましては、立会演説会の総回数は千六百二十七回でございます。これに対しまして、改正後の三十一年の参議院議員選挙におきましては千六百七十四回に相なっております。
#28
○久保等君 ただいまの最後の点についての御説明なんですが、そうすると五十回足らずぐらい回数がふえておるようでございますが、しかし、まずまず、あまりそう、ここに非常に強く、立会演説会をふやさなければならないのだといって法文も明記をいたしておるのですが、あまりそう目立って回数がふえたというほどでもないと思うのですが、そうだとすると、これは立会演説会の回数をふやすという問題についても、よほどの対策といいますか、よほどの措置をとらない限り、なかなか法文に明記してこれを勧奨し、ないしは強く指示をいたしましても、なかなか立会演説会の回数をふやすというようなことも非常に困難じゃないかということも考えられる。そうだとすると、問題は先ほどのやはり問題に関連するのですが、選挙運動期間といったこういう期間が短縮せられるということは、やっぱりそれは致命的に立会演説の回数度が減少せざるを得ないという結果になるのじゃないかと思う。この経験に徴して、期間は短かくなったが、しかし回数はふやすんだというようなことは、こういった今の百五十三条の法制定の経過と経験に徴しても、そういったようなことが立証されているのじゃないかと思うのですが、先ほど、実質的に十分にやり得るというお話があったのですが、この問題と関連してどのようにお考えになりますか。
#29
○政府委員(兼子秀夫君) 立会演説会の回数につきましては、先ほど申し上げた通りでございまして、できるだけこの回数を多くしなければならないという改正は、二十九年の十二月に入ったのでございますが、参議院議員の運動期間の短縮は、三十一年の三月十五日の改正でございます。でございますので、二十七年の選挙は、運動期間が三十日で、千六百二十七回であり、三十一年の参議院議員選挙は、運動期間が二十五日で、千六百七十四回、増加いたしているのでございまして、運動期間が短縮になりましても、私どもはできるだけ回数を増加するように努めた結果がこの通りになっているのでございます。
#30
○久保等君 先ほどの相馬委員の御質問にも関連いたしますが、この運動期間を短縮したということは、しかも、それを短縮しようとすることは、総選挙を控えて直前に行われるというところに、さらに大きな私は納得のできない点があるわけなんです。何といっても、いわば二十五日間であるか、あるいは二十日間であるかといったような問題は、選挙運動の一つのルールですし、言いかえれば土俵のようなものだと思うのですが、そういったようなことが選挙直前にやはり行われるというようなことは、新しく立候補される候補者にとっては、これは何といっても、ハンディキャップがそうでなくてもあるのですから、それが堂々とやり得る運動期間が短かくなるということは、それだけ選挙民に対して接触する機会、また堂々と自分の考え方、政見等を訴えていく期間が、これは少くなるわけであります。私は、だからそういう点をもし慎重にやられるとするならば、これはよほど前にはっきりと、こういった問題については、改正をする必要があると認められるものについては、やはり改正をしておくべきではないか。しかも、選挙法は、何といっても、今の主権在民という日本の新憲法下においては、いわば主権者の政治にタッチする私は唯一の機会と言ってもいい、非常に実は重要な機会だと思うのです。ところが、その期間が、選挙の直前になって短縮せられるというようなことは、ひとり立候補者のみならず、選挙民そのものの立場から考えても、非常に私は迷惑をするんじゃないか。できるだけ新人といわず、旧人といわず、平等の機会と、それからまた十分に直接、いわば言論を通じ、また直接その演説会等で意見等を聞き、あるいはまた、議論を戦わせるというような場所を作って参るのが、やはり私は当然のことだと思うのですが、特にこういう重要な関係がありまする問題であるだけに、選挙法を改正するという場合には、よほどの準備期間等を持って、やはり改正すべき問題があるならば改正してもいいという態度を私はとるべきだと思う。ところが、従来から見ておりますと、選挙法の改正は、とかくどうも、ある特定の選挙の直前になってその選挙法を改正するというようなことが、今までのむしろ通例になっているのじゃないかと思うのです。こういうことは、私は選挙法の改正に対する正しい態度とはいえないのじゃないか。この前、参議院議員選挙がありましたときには、参議院選挙直前の国会でもって、三十日という選挙運動期間を二十五日間に短縮した。今度もまた総選挙直前になって、衆議院議員の選挙運動期間を短縮するというようなことは、これはまことに私は、選挙運動期間等の重要な問題を軽々に扱っておるというそしりを免れないのじゃないかというような気がいたすのです。でき得べくんば、やはり選挙法の改正等は、大局的な見地から、また、総合的な見地から検討を加えて、しょっちゅう何か事あるごとに改正をしていく、ちびりちびり改正をするというような態度はとるべきじゃないのじゃないか、かように私は考えるのですが、その点長官はどんなふうにお考えになりますか。
#31
○国務大臣(郡祐一君) 久保委員のおっしゃる点、原則論は私も賛成であります。ことに、選挙について普通、直接、秘密というような原則に関係いたします部分については、私自身もいろいろな議論が国内にあり、また御意見もじかにも国会等で伺いますけれども、きわめて慎重に扱わなければ相ならぬと思うております。それで戦後の一つの傾向といたしまして、このたびの案は、政府の提出によって御審議を願っておりまするが、終戦後今日まで、日本の選挙法の扱い方が変りまして、全部議員提出でお扱いになっておったのであります。こうしたことも、選挙という一つの基本的なルールをとるという考え方で、ようやくものの扱い方が落ちついてきている時期だと思います。従いまして、今後、選挙法の扱い方については、おっしゃるような原則をきわめて重んじて扱わなければ相ならぬと思うております。ただ、何と申しまするか、このたびの町村合併に伴います地方議員の選挙区につきましても、まだ、ものが完全に安定しておりません。おりませんために、一つ選挙法だけじゃございませんが、いろいろな法律に若干手直しが起っております。しかし私は、当委員会でも御審議を願いました地方財政に関するいろいろな法律につきましても、一つの安定した時期がきている。選挙につきましても、何か今後扱い得るならば、非常に基本的な問題に触れる事柄であり、そうして、そういうこれからの選挙法の扱い方については、十分慎重な態度をとって参ろうと思っております。ただ提案説明でも申しましたように、町村合併に伴うもの、あるいは参議院議員の選挙の扱い方の改正に伴いますもの、そうしたむしろ他との均衡 関連におして扱わなければならない最小限度のものをお願いしたつもりでございますけれども、なおかつ、久保委員の御指摘のような注意というものは十分払って参らなければいかぬと思います。そのような意味で、おっしゃる点は今後十分注意いたしたいと思っております。
#32
○久保等君 この改正法律案を出して参られた時期の問題については、私はやはりまだはっきりした御答弁をいただいておらないようであります。と申しまするのは、都道府県会議員の選挙についての区割等の問題、これらの問題は、確かに言われるように、町村合併等が最近行われる、しかも明年に都道府県会議員の選挙等を控えておるわけですから、今国会に出されて、これに対して結論が出るならば、明年の定例選挙には十分に間に合うわけですから、その意味では私はそう時期が切迫して出されたとは言い得ないと思う。ただ、問題は、衆議院議員の選挙の問題については、私は少くとももう少し時期を早く出される努力をすべきであったのじゃないか、まあいい悪いは別として少くとも私の今申し上げているのは、総選挙直前という問題だけについて申し上げておるのですが、少くとも都道府県会議員の選挙区の区割の問題については、答申はこれは一月の末あたりに出ているわけです。そういう点とも考え合せるならば、かりに、一括して改正案として今国会に出されるといたしましても、私は、二月の末か、あるいは三月の初めあたりに、十分に国会において審議ができ得るような情勢の中で国会に出されてくることが、妥当でもあるし、また、そういったことは、実際問題としてできたのではないか、それがなぜ今日に至って――衆議院の方で審議をせられたのも、四月から審議をせられたようでありまするが、特に衆議院に参ってからは、本日から本格的な審議を始めたわけなんですが、そういう点が、私は、一体どういうところにおくれた理由があるのか。いつ解散があるかわからないという情勢になって、こういう選挙法の問題についての審議をしなければならぬというようなことになった原因は、一体、具体的にはどういうところにあったのか、この点についての御説明を一つ明確に願いたいと思います。
#33
○国務大臣(郡祐一君) これは久保委員も御承知のように、三十一年の改正のときに、選挙運動期間はすべて扱おうかという論がございました。結果から見まするならば、それがよろしゅございましたろう。ただあのとき、何分にも参議院の選挙に関します部分を相当急速に参議院で先議されまして、そして短かい期間に衆議院の審議を求めなければならない状態になりましたために、衆議院で十分検討する期間がなかろうというような配慮から、三十一年というチャンスをのがしましたことは、ちょっと法律が不つり合いになった原因だと思います。それで、私、自治庁の仕事をいたすことに相なりまして、この点はどうしても、むしろ懸案問題として解決をしなければならない問題である、このように考えまして、そういたしまするならば、このたびの通常国会でお願いをする。ただこの通常国会に御審議を願いますのが確かにおくれました。これはまことに恐縮に存じます。その間、選挙法の改正としてどの程度のことを改正すべきやいなや。たとえば、確かに一月に答申はもらいましたけれども、府県の議員の選挙にいたしましても、やはり郡、市という建て方を基本として考えるべきや、町村というものをまとめた一つの形の上の単位のいいものにすべきやいなやという点は、選挙法を扱います上では、やはりかなりな、答申は答申として、検討をいたしたところでございます。しかしながら、それは政府部内のことでありまして、そのために、国会の御審議を非常に差し迫ってお願いした段は、まことに恐縮でございます。全体として、選挙の直前の国会等でルールを変えることがないように、また御審議を願うとしても、もっと早くお願いすべきことが今日まで至りました点は、まことに恐縮に存じます。
 ただ、その間、事柄はこう簡単な結果が出ておりましても、府県会議員の選挙区等については、やはりずいぶん各県の模様なども検討し、今の原則をなるべくくずさないようにというのに落ちつくまでの時間等もかかった次第でございます。そういう事情でございますが、ただいまの御指摘の点は、確かにそのようなおくれ方をした点はおわびを申し上げます。
#34
○久保等君 先ほどの百五十三条の問題について、これはまあ選挙局長の方からでもけっこうですが、お答え願いたいと思うのですが、百五十三条の中に、従来、人口四千以上であるかないかによって立会演説会を義務づけておったのでありまするが、ここのところを修正いたしまして、新しく改正しようとしておるのですが、これはどういう趣旨で改正をせられようとするのか、御説明を願いたいと思うのです。
#35
○政府委員(兼子秀夫君) 百五十三条の第一項は、「立会演説会の開催主体」といたしまして、「市及び人口概ね四千以上の町村で都道府県の選挙管理委員会の指定するもの」ということに相なっておりますが、町村合併の結果、町村の人口が一万二千でございますか、大体その程度の規模になりまして、人口四千という規定が実情に合わなくなったのでございます。そういうことからいたしまして、実際の立会演説会のやります内容につきましては変りないのでございますが、人口四千という規定をはずしまして、「都道府県の選挙管理委員会の指定する町村」ということにいたしたのでございます。
#36
○久保等君 それから第三項も削除せられるということになるようでありまするが、まあこれは特に交通その他の状況等によって、人口の面では非常に少い地域でも、しかし立会演説会はやらなければならぬのだというような義務規定になっておったのですが、これを削除せられて、選挙管理委員会の判断にまかせるということにしようとするのですが、一体こういう、今の一連の百五十三条の改正、立会演説会の開催については、事情の許す限り回数をふやすのだという、これは現行規定のまま残すのですから、大いに立会演説会はやるべきなんだ、その趣旨はずっと貫かれる思うのですが、問題はこういう改正をやったことによって、むしろ結果的には立会演説会が減少するようなおそれはないかどうか。その点を私、特に選挙管理委員会の判断にゆだねておるのですが、ところが、今までのやってきた経験等から徴して、どういう一体確信をお持ちなのか、これを改正することによってどういう変化が出るおそれがあるのか、ないのか、これをちょっと御説明を願いたい。
#37
○国務大臣(郡祐一君) これは従来の法律が人口四千以上と一応は基準を置いて、しかし、それをしない場合も選挙管理委員会の判断で起る。しかし 四千未満であっても、状況によってはやるということになって、四千という標準がさしたる意味を持っていない。それともう一つ、実際は似たような町村であって、いつも何がしという町ではやる、こっちの町ではちっともやらぬじゃないかというようなことを、これは割に全国各県で聞くのでございますね。そうした場合に、やや四千という数にこだわり過ぎていはしないかということと、それから今、選挙局長が申し上げましたように、町村合併でだいぶ模様が変ってきておる。四千という標準が強い標準でもなくなって参った。それで私は経過的に見まして、立会演説会というものに習熟するまでの間は、あるいは従来の規定が意味があったかもしれいけれども、むしろすべての立会演説会を行いますことは、選挙を通じて、有権者側でも候補者の側でも最も便利だと思われる、こんなこともございます。バスが発達してきたんだから、聴衆もずいぶん前よりは遠距離からも来られるから、どこの有権者も必ず聞けるような分布にせよというようなこともありますので、これの行政指導というものは、私どもは十分指導をいたさなければならぬと思います。その趣旨を通じますことは、しかし、立会演説会をできる得る限りその選挙区、選挙区の実情に応じまして、県の選挙管理委員会の判断もさせよう、これはなるべく回数を多くしようという趣旨とうらはらに考えまして、そしてむしろ、選挙の立会演説会を開きやすいようにしようという考え方でございます。従いまして、この点の趣旨は十分、今までも選挙管理委員会の希望を集めますと、そういう希望もありますし、お話を進めて参りましたが、これが御議決を得ましたときは、その節は、特に私の方からも注意をいたしたいと思います。
#38
○松澤兼人君 関連して。今のお話なんですけれども、自民党の中には、立会演説会の回数をできるだけ少くしようという考えがある。それと今の人口四千というワクをはずしてしまうことは、郡長官そうおっしゃるのでせけれども、しかし現実にはやはり立会演説会の回数というものが順次減るという心配があるように思う。その点は絶対にそういうことはありませんか。
#39
○国務大臣(郡祐一君) とっぴな議論はごく少数でも何か大へん目立ちますので、私どもさっそく、とんでもないことだと言うたのでありまして、大した根拠がなくて言うものがありましても、それがにぎやかに伝わりました点、恐縮に存ずるのでありますが、私は、選挙管理委員会がかなり強固になって参りました。それから、選挙管理委員会が自分の職責についてはかなり見識を持って参りました。選挙管理委員会というものが、法律の御趣旨通りに、正確な立会演説会を数多く適切な場所で開こうということは、私は選挙管理委員会の方に十分しみ込んでおると思います。そしてこのたびの改正にいたしましても、立会演説会をなるべく数多く開けということに矛盾する部分は一つもないのでございますから、私といたしましても、また、自治庁といたしましても、今、松澤委員のおっしゃった点は、十分法律の命じておる通りに執行いたしますようにお約束をいたしておきます。
#40
○松澤兼人君 この現行の百五十三条というものを読んでみますと、選挙管理委員会に四千以上の町村に対しては義務づけている。必ずしもそうじゃないかもしれませんが、ある程度義務づけているように思うのです。人口のワクをはずしてしまうと、選挙管理委員会では、四千のところはやらないでもいいのだ、四千にかわるべき他の同じような地理的の条件にあるところでやればいいけれども、もし四千以上のワクがはずれてしまうと、そこではやらないでもいいのだ、こういうふうに選挙管理委員会がもし決定したとすれば、やはりその回数は減っていくのじゃないか、こう思うのです。どうですか。
#41
○国務大臣(郡祐一君) このたびの町村合併の……。政府委員の方がまた正確に資料で申し上げるかもしれませんが、大体平均一万二千ということになっておるのです。そうすると、町村の規模というのはやや均斉のとれたものに相なってきております、若干まだ残されておるところもありますが。そういたしますと、同じ選挙区の中で、どこの町、どこの市というものは、おのずから開かなければならない。開く適当な場所というものはきまって参りまして、そしてほとんどすべての町村というものが、もうワクを設けますよりも、適正規模で町村合併ができたといたしますならば、その町村ではほとんどおおむね開かれるという状態に相なるのだ。おおむねと言うと、それは語弊があるかもしれませんが、人を寄せるに適当な単位であって、そして従来も開いたようなところというのは、もう四千という線が意味がなくなりまして、従いまして、四千以上は必ず開けとかりにいたしましても、それに大して意味がなくなったのでありますから、ほかの観点から開かれることに相なろうと思いますが、結局要は、回数を減らすな、むしろ今までよりもふやしていけということで、充実していくことかと思います。ちょっとどういう標準で押えていったら適当だということは、今の町村合併後の状態では申せないのじゃないかと思います。
#42
○松澤兼人君 人口四千の町村が二つ合併した。そういうところにおいては必ずしも二回やらなきやならぬということもないかと思うのですが、郡境なんかでありまして、地理的な条件で、かりに片方の郡に人口四千の郡があった。他の郡にやはり人口四千のところがある。そういう場合には、郡にカ所ということになれば、両方の郡に二ヵ所、一ヵ所ずつ二ヵ所というものが、今までこの条文からいえば開催されただろうと思うのです。四千のワクをはずしてしまいますと、 そうすると、町村合併のことは別にいたしましても、やはり各郡一ヵ所、両部で二ヵ所ということがなくなってしまって、ある程度まで自転車で行けるような距離だったら一ヵ所でいいのじゃないか、こういう結果になりはしないかということを心配するのです。選挙局長どうなのですか。
#43
○政府委員(兼子秀夫君) 立会演説会の開催の実態につきましては、先ほど大臣から答弁いたしました通りでございまして、現在人口四千というこの規定が、町村合併の結果、大体町村数が三分の一に減じまして、一万二千になっておるのでございますが、その町村に、たまたま同規模の町村が隣接しているというような場合には、両方でやるというわけにも参らないのでございまして、おのずから立会演説会の実施計画というものがきまって、郡の中心というようなことできまって参ろうかと思うのでございます。そういう意味におきまして、第四項の規定によって、従来の立会演説会の実績は確保するというこの規定によりまして、心配はないのではないか、私どもはそのように指導するつもりでおります。
#44
○相馬助治君 立会演説会のことが問題になっておりますが、郡長官の答弁も、立会演説を抑制する気持はない、しかも、立会演説会をやめてしまえというのはごく少数のとっぴな議論であるという答弁がございますから、そのことを一応御信頼いたします。しかし、立会演説会場における秩序維持に関する規定を今般強化したようですが、立会演説会場において秩序が維持されなければならないということは、これは当然であります。そのためにしかし法を強化するということになって参りまするというと、私はかなり問題があろうと思うのです。というのは、この規定の強化は、選挙管理委員会が、異議申し立てまたは訴願の提起があった場合に、関係人の出頭及び証言を求めることができるというふうに二百十二条の改正が行われるのでありまするけれども、現実にこの選挙管理委員会が立会演説会を主催して参りまする場合に、秩序維持に関する規定が強化されたんだぞと、こういうふうな考えでこれを経営して参りますると、一般の民衆というものは法の内容というものがわかりませんから、今度は何か秩序維持でもってやかましい法律ができたのだ。下手まごつくというと、今度は出てこいというようなことで、出頭を命ぜられたりなんかするのだ。こういうふうなことになって、この法律が現実には、立法者のあなた方は意図しないとしても、現実に威嚇法案としての影響を持ちはしないかどうか、この点を私は尋ねたいのが一点。
 これに関連して一つお尋ねしたいことは、この秩序維持に関する規定を強化するというふうな細心の注意を払ったにもかかわらず、先般、大阪の参議院補欠選挙に起きた事件のようなことを防遏するというような何らの措置が行われないのはどういう意味であるかということをお尋ねしたい。これは当然、私が内閣総理大臣に文書をもって質問をいたしましたので、長官も大体御存じであろうと思いまするが、ごく概略申し上げますと、先般の大阪の参議院議員の補欠選挙に、古田何がしなる泡沫候補者が、大阪幸福相互銀行という銀行に二十万円の借金を申し込んだ。ところが、これが断わられた、そこで選挙公報に、あろうことか、その紙面の三分の二を使って、この大阪幸福相互銀行を攻撃し、老婆心ながら申し上げますが、こういう銀行には金は積まないほうがよろしいということを書いたのです。そこで銀行は非常に驚いて、選挙管理委員会に抗議を申し込んだ。ところが、その候補者が出した原稿をチェックする権利はわれわれにない。従って、別途刑法上の問題として損害賠償等をするならば問題は別であるけれども、立候補中であるからして、その問題についても選挙管理委員会はどうにもすることができないという答弁であったのであります。はなはだけしからぬことではあるけれども、なるほど法律的に言うと、法の不備であって、それもやむを得ないと、こういうふうに考えざるを得ない。その後どういうふうに銀行がしたかは知りませんが、今度はラジオを通じての放送演説では、まるっきり逆なことを言った。「公報に、大阪幸福相互銀行のことを御注意申し上げたが、その後私が調べたところによると、大へんにりっぱな銀行でございまするから、一つ皆さんは御安心下さいということを、今度はラジオの放送で言っておる。こういうふうなべらぼうなことがかりに許されるといたしまするというと、全国参議院議員に立候補し薬の広告をしたり、まんじゅうの広告をしたり、これらはまだ広告であるからいいとしても、ある個人をあしざまにののしったり、銀行であるとか、新聞社であるとか、雑誌社であるとか、こういうふうなものをこてんこてんと、国の費用をもってやっつけるというようなことが可能なのです。しかも、現法律では、そのことをどうにもならない。ここにいらっしゃる部長にも尋ねたときに、まことに不当なことで申しわけなく思っておりまするが、どうも現行法律上はどうにもいたし方ございませんという意味の答弁があったのであります。なるほど、調べてみますと、それ以上自治庁を責める法的根拠を失ったので、私は当時その質問をやめたのでありまするが、なぜ、そういう措置を今度やらなかったのか、この二点を承わりたいと思います。きわめて具体的なことでございまするから、事務当局をして答弁されてもけっこうでございます。
#45
○国務大臣(郡祐一君) その事務的な点は政府委員からお答えさせますが、第一の秩序保持の点でございます。これは、現行法が「退去させることができる。」という権能を与えておって義務づけておらない。しかも立会演説会という一つの選挙行為が進行しておりまする際に、これを阻止をいたしますというのは、非常に例外的な場合でなければなりませんけれども、これは御承知のように、ある県では、知事選挙の例でございますが、候補者に対して著しい聴衆の中から妨害をいたす者がございまして、途中から棄権をしてしまった例がございます。これは非常に立会演説という制度からいたしますというと残念なことで、その場合にも、むしろ選挙管理委員会の方で一つ重い荷をしょうことにはなるけれども、はっきりした根拠を与えてほしいというような声を聞いたのであります。それをいとっておる選挙管理委員会もあるかもしれません。それで、このたびこういう場合には退去させますよということを、その程度も、こういうことをしたらということを言いもするし、書いてもおくというようなことをいたしまして、まず予防措置は講ずる、しかし、よくよくの場合にはそれだけの措置を講ずる責任を選挙管理委員会に持たせる。これは選挙管理委員会にとって新しい一つの大きな荷でありまするけれども、そこまでいたして、立会演説会というものは、すべての候補者がすべての聴衆に平等に聞き得るというような状態にしなければ相ならぬのじゃないかというのが立法の理由でございます。
 それから第二の点は、それは事柄についてのお答えは、事情をよく知っております者がお答えをいたしまするけれども、ここが非常にむずかしいところなんですが、選挙の演説なりあるいは演説にかわる文書というものは、できる限り、法律は候補者の自由な意思を尊重しよう、どこかでそれを、裁判所かなんかでものが確定的に刑事事件かなんかになったときは、それは別でありますが、そうでなく、途中の段階で何かの基準を設けても、そのチェックの仕方というものはえてして懇意が入りがちである。これをしてはいかぬ、保障しなければならぬ、そしてその思想のうしろでは、選挙のときの演説なり選挙のときの文書で、非常に荒唐無稽なことを言ったり、他人を誹謗したりすることがあれば、それを有権者自身が判断して、ああいうむちゃなことを言い、ああいうむちゃなことを書く者は、有権者の判断は非常に本人に不利になるという、非常に高い理想でございますね。それが一つ根本にある。ところがおっしゃるようにそこまでなかなかいっておらぬ。いっておらぬ状況で、選挙の演説なり選挙の文書なりには、そういったどこまでも理想を持った目標というものを置いておりながら、現実はなかなかそこまで選挙の実際がいっておらぬというときの調和でございますね。どっちを重く見るか。しかし私どもとしては、実情等から考えましても、どっかでチェックする機関というものは、非常にだれもが信頼し、短かい期間に、選挙公報のここを削除しろというような、昔の新聞検閲をやったようなやり方が、むしろその方が弊害が多いんじゃないか、こういう判断をしている問題であります。しかし、これは先ほど久保委員にお答えいたしましたように、選挙の直接、普通、秘密という非常に大きい原則でございますね、それに関連してくるやはり問題だと思います。従って、選挙の実情と、そうした理想をどう調和するか、これは私も実は一つの大きい問題として取り上げなければならぬ問題である。これこそじっくり考えなければならぬと、こう考えておるのが、私のこうした問題についての判断でございます。
#46
○政府委員(兼子秀夫君) 立会演説会の規定、第百五十九条の第一項を改正し、第三項を新たに、秩序保持の規定を置いたのでございますが、これは第三項の規定を置きますことによって、秩序保持を事前にその効果を上げるようにしよう、こういう趣旨の規定でございます。先ほども、罰則がついておって、有権者が非常に恐怖心を持って、かえってその面の弊害があるのではないかというお尋ねでございましたが、現在の立会演説会におきましても、制止に従わない者は、題百四十四条第正号の規定によりまして「退去の処分に従わない者」ということで罰則がございます。この規定は従来通りでございます。そういう秩序保持に関します規定を置きますことによって、有権者に秩序の保持に協力願うということをいたそうとするものでございます。
 それから今回選挙管理委員会に、選挙の異議の申し立て、訴願の審理につきまして、関係人の出頭を求め証言を求めることをできるようにいたしましたのは、議会に関しまする地方自治法第百条の規定がございますが、それと並行するような権限を選挙管理委員会に置こうとするものでございまして、これはその選挙訴願の審理におきまして、あとから法廷に出ました場合に、全く反対のことを述べる、しかも訴願の段階において述べたごとは証拠力がないというようなことで、非常に最近の判例が、判例上困った事件が起って参りましたので、そういう点を整えるものでございます。なお、選挙管理委員会におきましては、地方自治法の規定に基きますリコールの直接請求の場合におきましては、同様な権限が認められておるのでございます。
#47
○相馬助治君 ですから、私の聞いたのは、そういうふうな法改正を行なったということは、前段の秩序保持に関しましては問題があるが、あとのことはわかるというのですが、こういうふうに気のついたあなた方が、今、大阪に起きたような事件を、もうあったことを御承知なのに、何ら取締りの法的措置をとらなかったのはどういうわけですかと聞いておるのです。長官がおっしゃったことも、私よくわかるのです。候補者が出した原稿を勝手にチェックされたり、この分は載せないなどとされては、それは困ることはもちろんですけれども、しかし、世の中にはばか者と気違いがある。今の制度では、ばかでも気違いでも立候補できる。法律はそういうばか者と気違いを予想していないけれども、現に選挙には泡沫候補というのが出る。別途、警察庁を通じて告訴したらどうだということを、銀行が古田に申したところが、銀行から告訴されるというと、少くともおれの票は一万票ふえると彼は放言した。そういうふうなことから考えて、私はこういうふうな、人を誹謗するようなことを載せるというような、こういうものに対して、一つはチェックする方法が何とかないか、もう一つ進んで、今の法律からいうと、まことに卑猥な、たとえばチャタレイ夫人の問題になったようなところを取り出して、それを選挙公報に載せるということが可能なのです。そんなばかな者はないと言うのですけれども、世の中にはあるのです。大阪に事実あったのだから、問題は、内容は違いますけれども、そういうごく特殊なばかげたことであるけれども、現にあった。この問題を、何で今度の法改正にはお考えにならなかったかということを尋ねているのです。
#48
○政府委員(兼子秀夫君) 御質問の点は、選挙法上の最も大きな問題の一つでございまして、平素私ども研究をいたしておるのでございますが、先ほど大臣からお答えいたしました通りでございまして、確かにおっしゃる通り、弊害の面はないとは言えないのでございます。しかしながら、それを弊害を矯正する措置を立法的に講ずることによって他の弊害が起りはしないかということが、なお心配であるわけでございます。そういう意味におきまして、選挙公報の第百六十九条の第二項の規定、あるいは政見放送に関します第百五十条第一項の規定というような、原稿のままという規定を、その内容について選挙管理委員会なりあるいは放送局が判断するということを認めますことにいたしますと、その間に、短時間に判断をせなきゃならぬ問題でございますし、かえって弊害の起ってくるおそれがあるのではないか、このように考えておるのでございまして、決して御指摘の点を私ども考えないわけではないのでございます。政府におきましても、たびたび論議はいたしておるのでございますが、現在のところは、やはり憲法の精神に従って、この選挙法のこの規定はこういう建て万においては尊重していくべきではなかろうかという判断でございます。また、そのようなことによりまして、その原稿の内容が犯罪を構成するということになりますれば、当然刑法なりその他の法律によってその担保があるわけでございますから、そういうことによって処置をはかるということが現在においてとっておる考え方でございます。
#49
○相馬助治君 そうしますと、非常に残念なことですが、私も大臣の答弁を一応原則論としては正しいと思うので、これ以上とやかくは言えないのですが、現実の問題としてお尋ねしておきたいと思うのですが、薬屋の主人が立候補をして、全国区参議院で、そしてその公報全面を使用して薬の広告を行なった、これは選挙法上からは取り締る方法がない、こういうふうに判断すべきですか。それからまた、何か国がこういうものに対して別途の法律で、国費をむだに使ってこういうふうにしたということについて、国がこうむった被害を回復する道が別な何かの法律で許されておりますか、どうですか、これが一点。
 第二点は、ある人間ないしは団体が、その泡沫候補者によって、ラジオ放送ないしは公報によって非常に手ひどい名誉棄損ないしはそれに類することをなされた場合に、選挙法上はどうにもならないということはわかりましたが、これは親告によって刑法上の問題になることが当然予想されるのですが、その場合に選挙管理委員会は、当該の団体なりないしは個人に対してあらかじめ、あなたに関してこういう原稿が出てますよということを、今の法律では、教える必要がないか、教えることが妥当だと思いますか、教えることがむしろ妥当でないとお考えでございますか。現にあり得た問題なので、私は具体的なことを局長にお尋ねしておきます。
#50
○政府委員(兼子秀夫君) 第一問の、この選挙公報の原稿がまるまる広告であった場合という御質問でございますが、そのような場合には、選挙管理委員会で見まして、御本人の立候補者にこれはあまりひどいじゃないですかと、書きかえしていただきたいという御注意はいたします。
#51
○相馬助治君 強制権はないのですか。
#52
○政府委員(兼子秀夫君) 強制権はございませんので、どうしても立候補者が承知なさらなければそのまま載せざるを得ない、このような解釈をとっております。
 第二点の、そのような場合に、国は損害回復の法律があるか、その措置があるかというお尋ねでございますが、これは選挙法上認められておるという解釈に立っておりますので、そのような措置はとり得ないというふうに考えております。
 第三に、他の第三者の名誉棄損等成立するおそれがある場合に、その棄損せられる第三者に、こういうことがありますということを知らせることの可否の問題でございますが、私どもは知らせるようなことは、個人の名誉から考えますと非常に重大なことでございますが、選挙法の建前におきましては、そういう措置をとるべきでないと考えております。その補償は、やはりその行為によりまして、刑法上の担保によって解決すべき問題、選挙法上とはまた別個の問題であると、このように考えております。
#53
○委員長(小林武治君) 午前はこの程度で休憩いたします。
 午後は一時より開会いたします。
    午後零時六分休憩
     ―――――・―――――
    午後一時二十二分開会
#54
○委員長(小林武治君) 委員会を再開いたします。
 午後はまず、地方行政の改革に関する調査として、町村合併に関する件及び国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する件を一括して議題に供します。
  なお、本件の審議は午後三時をもって打ち切りたいと存じますので、御了承願います。
  通告により、まず相馬君の発言を許可いたします。
#55
○相馬助治君 長官の出席を待って、基本的は問題から順次お尋ねしたいと思ったのでありますが この際、その出席の前に、やや具体的な問題について当面お尋ねしなければならない点を逐次尋ねて参りたいと思っております。
 町村合併を推進する政府の基本的態度というものは、町村合併促進法第一条に示されているように、住民福祉の増進と地方自治の本旨の十分なる実現ということを目的として、根本理念としてあげておるのでございまするが、今日、今なお全国的に分離分村、あるいは分村合併の悲劇等が産業の面や教育の面、あるいはその他各般に悲劇的なる問題が相当あることは御承知の通りでありまするが、この町村合併について最後の意思を決定するものは何であるか、地域住民の意思というものはどの程度までに尊重されるべきものであるか、この基本的な問題について政府当局の見解をまず承わります。
#56
○政府委員(藤井貞夫君) 町村合併促進の趣旨につきましては、法律にも明確にこれを規定をいたしておる通りでございますが、その場合にその終局のねらいというものが、関係町村住民の福祉の実現ということになければならないことは、これは申すまでもございません。従って、住民の意向というものは、これはできるだけ尊重し、合併計画の実現あるいはこれが推進をはかりまする上にも、これを反映をしていくように配慮しなければならないことも、これまた申すまでもないのであります。ただ町村合併というものは、他面、従来まで非常に小さい規模なり区域なり持っておりまする町村規模を拡大をいたしますることによって、漸増いたして参りまする行政需要というものに即応させて、全体としての行政水準の確保をはかって参らなければならぬ、そういう要請もあるわけでありまして、そういう場合に、従来のいろいろの行きがかりなり、あるいは率直に申せば感情上の対立の問題等がございます。さらには沿革上の問題等もございまして、住民の意思と申しましても、これを測定をいたしまする方法というものについては十分にこれは考えて参らなければならぬ面があるのではないかと思うのであります。そういう住民の意向というものは、普通の場合には、議会の意思ということを通じてこれが表明せられることは、民主的な原則として当然のことでございまするが、しかしながら、一部区域の紛争というような問題になって参りますると、そういうことでもっては物事は解決をしないというような事例もございまして、そのような場合におきましては、本件については特殊の例といたしまして、一部区域にかかわる住民投票、その他の方法によって問題を解決する措置等も講じておるのであります。そういうような点のにらみ合せ、さらには県の立場から見まして、あるいは県における審議会において慎重に検討をいたしました結果、住民の意向にある程度、あるいは相当熾烈な反対等があるというような場合におきましても、将来の町村のあるべき姿というものを想定をいたしまする際に、今の現段階における住民意思というものと必ずしも合致しない計画、策定案というものが出て参ることも、これもやむを得ないところであると思うのでありまして、そういう点をからみ合せながら総合的に判定をしていくということに相なろうかと思うのであります。
 このために、本問題を進捗せしめるに当りましては、県において従来なかった町村合併に関する審議会等も設けまして、これを知事の諮問機関として審議を尽すというような方法も別途講ずるように、慎重な配慮を加えておるのであります。しかしながら、要は住民の福祉を究極的に増進をせしめ、その福祉を確保するということにあることは、これはもちろんのことでございまして、そういう点に十分の配慮をいたさなければならぬことは当然のことでございます。
#57
○相馬助治君 町村合併の基本的精神は、やはり住民の意思というものは最終的に尊重されなければならない。しかもその住民の意思というものを、どの面で把握するかということについては問題があるが、通例の場合、議会の意思、これを住民の意思として見るべきものであろうと思うという意味の、ただいまの行政局長の御発言は、本員をして満足げしめるものであります。当然そうなければならないと、かように考えるのでありまするが、事務当局のただいまの御説明を長官は御支持なさいますか。
#58
○国務大臣(郡祐一君) 私も町村合併というものが、その目途といたしまするところが、町村の健全なる発達――明治の初期に行いましてから、このたび初めて大きな町村合併をいたしたことであります。その場合に、住民の意思というものを十分尊重して参らなければならず、その住民の意思は公けの性格を持ったものに最も強く現われておるのであります。私はただいま相馬委員のお尋ねの通り、同じ考えを持っておる次第でございます。
#59
○相馬助治君 長官の御答弁は私も同感であり、賛成でございます。結局するところ、町村合併というものが、地域住民の福祉の増進というものを目途といたして行われて参ったにもかかわりませず、不幸な事例ではありまするけれども、町村合併が生んだ悲劇というものが各地に存在しておりますることは、そしていまだ解決を見ざる事例のありますることは、長官御自身よく御承知の通りであろうと思うのであります。ここで、政府といたしましては、その紛争解決に積極的に乗り出して、強力なる行政措置をなさんとするところの態度を今日お持ちであるかどうか、まずこのことをお尋ねしなければならないのであります。
 このことを尋ねまする理由は、未合併町村の合併促進につきましては、新市町村建設促進法二十八条の規定によりまして、知事が新たに合併計画を立て、勧告を、行い、これに従わないとき、には同法第二十九条の線に沿って大胆勧告を行うことになっておるのでありまするが、これら一連の手続というものが、従来の行きがかりに終始いたしまして、住民の意思を一方的に無視し、その無視したままに強制されている傾向が現にあるのでございまするが、こういう問題についてはどのようにお考えであるか。いわば法治国家の国民といたしましては、総理大臣勧告というものに対しましては、厳粛に従うべきでありますることは理の当然でございます。しかしながら、問題は、その内閣総理大臣勧告なるものが出てくるまでの経緯が問題なのでありまするとともに、勧告はあくまで勧告であろうと、私は存ずるのでございまするが、内閣総理大臣勧告の一体法的な権限というものはどの程度に存するものであるか。また、内閣総理大臣勧告が出たということ自体は、最終的な段階を意味して、何ら変更し得ないものとお考えであるかどうか。また別な観点からいたしまするならば、内閣総理大臣が勧告をいたしましても、明らかに住民の意思が、しかも正当に表現されたる住民の意思というものが明確でありまする場合には、これを担当いたしまする自治庁長官といたしましては、どのように措置されるのを妥当とお考えであるか、これらの点につきまして、郡長官の明快なる見解を拝聴したいと思います。
#60
○国務大臣(郡祐一君) 町村合併の促進に当りまして、十分関係の各県側にいたしましても、町村自体にいたしましても、あらゆる面から状況を判断をいたし、そうして新市町村建設促進中央審議会が一つの意見を出しておるわけであります。それによりまして、大臣の勧告をいたしたわけでありまするし、また、その大臣の勧告を出します前に、中央審議会の答申がありましてからも、かなりに判断も下しております。従いまして、大臣勧告は、慎重な手続をもって行われたものでありまする点は間違いないのでありまするが、同時にこれは、今御指摘の点にありました、どこまでも勧告であります。法的の性格は勧告なのでありまするから、私どもは数カ所の町村合併について勧告を出しておりまするので、それらが順次解決していくことを希望いたしておりまするけれども、同時に、先ほども相馬委員の言われました通り、住民の意思というものはどこまでも尊重をいたし、またその十分な納得を得て、そうしてものを解決して参りたい、こういう工合に考えております。
#61
○相馬助治君 私はこの問題について具体的な一つの村の例をあげて質問をしたいと思うのであります。
 不幸にいたしまして、これが私の属する選挙区の村の問題ではありまするけれども、一局地的な問題ではなくて、この種の問題は全国的にやはり一つのケースとして将来判定していかなければならない問題でありまするがゆえに、あくまでこれは基本的な、基本の根本問題を含むものといたしまして、御質問を申すのでありまするが、例は栃木県湯津上村の問題であります。いろいろの経緯がございまるけれども、これは省略をいたします。今日、内閣総理大臣勧告なるものが、この湯津上村が三つに分れて、近接の市町村にそれぞれ合併をせよという勧告が出ておるのであります。ところが今日、湯津上村におきましては、村議会においては一名の議員をも残らず、すなわち、全会一致をもつてこの内閣総理大臣勧告に反対をいたしております。これは先の行政局長の言葉で明らかでありますように、公的な住民意思がここに表現されておるものと私は見ざるを得ない事例であると思うのであります。また、もちろん、この反対論者はあります。この村会の決議に対して反対論者が村民の中に存在することもいなめない事実でありますが、しかし、これも七割七、八分程度のものはこの村会の意思を支持しておるということは、いろいろなデータによって明瞭なところであります。しかも、この問題は、長い歴史につながるところの一つの村が三つに割られて、しかも、これらの県の計画によって分れ分れに近隣の三つの村に分割されるというのでありまして、理論を超越いたしまして、今日、村民の感情として、強い態度をもって、残念ながら内閣総理大臣の勧告に従えない。骨が舎利になっても従えないという、はったりでない意思があらゆる機会に表明されておるのであります。私も、一部これに関連あるものとして、この事態を非常に心配をいたしております。先に申し上げますように、法治国家の国民として、所定の手続を経て総理大臣勧告と相なったのでありますから、これに従うべきことは理の当然でありますが、従えないという現状に村民が追い込まれておるというこの現実も無視し得ざるとこりなのであります。かような問題に対しましては、一体、長官といたしましては、どのように措置されるが正しいとお考えか。県自体にその解決をまかせるべきであるという御見解が、あるいは用意されておるかとも思いますが、県自身は処置なしとして今日その手段に窮しておるのであります。そうして、あとで質問をいたしまするが、各種の不利益処分という洞=的な態度をもってこれに臨むという、まことに拙劣なる一つの策をとっておるにとどまっておるのであります。従って、この際、特に地方自治に対しまして熱意を持ち、閣内においても明敏の誉れ高い郡長官の本問題に対する御見解を私はとくと承わっておきたいと思うのであります。
#62
○国務大臣(郡祐一君) 町村合併というものが、私どもかなりの成果を全国的におさめてきておる。これが地方自治の一つの土台に必ずなってくれるものと思っておるのでありますが、なお、全国に幾つかの紛争未解決のものがありますために、合併全体が何か不安定な状態にあるかのように感じられておるが、これは非常に残念なことだと思っております。従いまして、全国的に見て、合併いたしました町村を正しく育成するという方向にものを向けていっておるのであります。同時に、紛争が現に熾烈に行われておりますところについては、それぞれの、申さば対症療法を講ざなければならないと思います。それにはあらゆる最善と思われます手段によって話し合いをいたすのでありますが、私は現在、ことに御指摘のような湯津上村の場合においては、根底は住民の意思というところに置いて、そうしてどうしたら住民の最もこれから福祉をはかっていく上に適当であるかどうか、そう考えて、そして必ずしも私は、もう県にまかしておっても、ものはあるいは解決することは無理かもしれぬ。もちろんなるべく地元と、それからそれを統括しております自治体とが考えてくれることはけ、こうでございまするけれども、むしろ私どもも中に入れまして、そしていきさつ等は場合によっては抜きにして、現状でほんとうにどうしたら一番住民の幸福になるだろうか、自治体としての発展がどうしたらはかれるだろうか、そういうことを、何と申しまするか、強権でなく、相談づくでものをきめて参る。そしていい解決ができないのであれば、決して時間を急ぐというようなことでなしに、じっくりと一つものを解決をいたしたい。ただまあ全体を見まして、あまり長いこと不安定な状態に置きますのは、地元としても耐えられないことだと思いまするから、そう長くかかるという意味でなく、私はものの解決を一つ、私、と申しますよりも、自治庁が入りまして、そうしてやってみたい、こういう工合に考えておるのであります。従いまして、この県にいたしましても、その他にいたしましても、行きがかりよりも、新らしくつ虚心にものを考えていくというような工合に進みたいものだと思います。
#63
○相馬助治君 大へんにむずかしい問題であるにもかかわらず、明快な御答弁だと思って敬意を表します。すなわち、内閣総理大臣勧告は出ておるが、これはあくまで勧告である。従って最終的にはこの地域住民の意思が重視されなければならない。長官のただいまの答弁は、最終的にはこの住民の意思、福祉ということを中心として、まあある程度の時間はかかるけれども、逐次解決をしていきたい、まことに当を得たる御答弁であり、私もこれは同感であります。ただ、ここで問題が出て参りまするのは、そのある程度の時間をかけるという際に、地方自治体のやり品というものは、必ずしも長官の意をそのまま体していないのであります。すなわち、その解決すら、ある期間中にすでに報復的手段がかりに講ぜられるとすれば、これは妥当であるとお考えでございますか。すなわち、地域住民の幸福を主眼として何とか解決してやるのだ、だから村議会もよく反省すべき点があったら反省しなさい、村民もよく考えなさい、そうしていつまでもいつまでも時間をかそう、こういうふうに穏便にやる方法と、とにかく総理大臣勧告は出ているのだ、具体的にいいまするというと、栃木県の場合には、先般この村において村会議員のリコールの問題が行われたときに、まことにばかげた話ですが、県の候補者が車を走らせて、内閣総理大臣勧告というものは天皇陛下の御裁可にひとしいのだと、あなた自身が信頼されないようなことを、県民の税金の自動車を走らせて、その上で放送した大ばか君がいる、こういう具体的なふうに押しつけて、しかもそれは言葉だけの、言論の暴力ではありましたけれども、今般は財政的援助を打ち切るという、実質的に被害を相手に与えるという気がまえをして、それを公表をして、現にそれが行われつつある。これでは、かすに時間をもってして、地域住民の福祉というものを中心にして解決するという、今の温情あふるる郡長官の態度とはだいぶことが違うのであります。従って私はこの問題を尋ねるのであります。
 しかも、私は党派的根性を捨てて、この問題を尋ねておりまする事情は、栃木県の知事というのは、ここで持ち出すことは、はなはだ不穏当かもしれませんけれども、社会党が推した革新派の知事である。また、まことに言うことはおかしいが、私が選挙事務長である。その知事が、こういうばかげたことを現に村民に押しつけておる。私はこれは許されないと思う。少くとも村民の感情からすれば、これは妥当なりとして承服できないような状態にある。従いまして、現実の問題といたしまして、私は長官のお気持、よくわかりました。そうしてまた、地方自治育成という点からいいますれば、 そうなければならぬと私も考えるのでありまするが、基本的問題といたしまして、この問題に関する栃木県のその態度、それに対するあなたの御見解、これらを概括して一つ承わりたいのであります。
#64
○国務大臣(郡祐一君) 町村合併に当りまして、起債の許可であるとか、それから特別交付税の配分等について、合併町村に対して優先的な取扱いをいたします道を開いておりますのも、小さい町村に起債等をつけまするよりも、安定した、将来適正な規模になったところに財政援助をした方が、効率的であるからという考え方で、申さば町村合併を理想的な形で、適当な場合に、早くそういう方に移り変る親心としてこれが運営されなければ相なりません。もしこれを何か自己の意に沿わないから報復的に扱うとすれば、はなはだ制度の運用を誤っているものと私は思うのであります。これは国が扱いまする場合も、県が扱いまする場合も、そうした起債だとか特別交付税だとかいうものは、どこまでも公平な立場から行われていかなければならぬ問題でございまして、私は御指摘の具体の湯津上村について、県がいたしておりますところも、ことに相馬委員が事務長までされた知事であるとすれば、ある程度わかってやってくれていることを期待はするのでありますけれども、しかしその間御指摘のように もし適当でない、そういう扱いをいたしておるといたしまするならば、私の方も、これは行政上の指導といたしまして、改むべきものは改め、そうして関係の市でも村でも、必要の限度の事業の執行は、どういう状態でありましても、合併ができてもできなくても、必要な事業の執行には支障のないような措置をとらせるように、指導をいたす考えでございます。
#65
○相馬助治君 長官の答弁はまことに明瞭でございます。で、この新市町村建設促進法二十九条の二項によって不利益処分をやっているようでありまして、この法律は、御承知のように内閣総理大臣の勧告を聞かないというのが前提の第一点、それから内閣総理大臣の勧告を聞かないがために、その町村が小さくて、将来一個の自治体として運営するためには適正規模でない、こういうことが前提となって、そういうところには財政援助をしないことも、「も」という字を入れて、こともある、こういうふうに法律は規定してあるのでございます。従いまして、湯津上の場合には、この法律をそのまま全く情容赦なく適用して参りまする場合には、私は適用もあるいは可能ではないかとも実は思ったのであります。しかし、今長官に尋ねまするというと、結局するところ、地域住民の不利になるようなことはとりたくないから、適正な行政指導を県に向って行いたい、こういうことでございまするので、私はその措置を強くお願いをいたします。
 そこで問題は、その不利益処分に関連をいたしまして、まことに明瞭なことなのでありますが、その近接の大田原市というのがこのような処分を受けている。これは御答弁を待たなくても明瞭なのであります。というのは、湯津上の場合においてすら不利益処分をすることは妥当でないと、明快に長官はお答えになっておる。そうすると、大田原というのは、県の試案通りに町村合併を完了したのであります。そうして昭和三十二年の三月三十一日までは、何らの知事勧告を受けていないのであります。昭和三十二年三月三十一日までは、完全なるこれは合併完了町村なのであります。その後計画を変更いたしまして、湯津上がぜひとも大田原に行きたいという議決をしたそうであります。それを頼まれて、連鎖反応的にやったのか、意思を通じたかは、私の知るところではありませんが、大田原に来たいというならおいでなさいという議決を上げた。従って、これは内閣総理大臣の言うことを聞かないのであるから、これは未合併町村である、につくきやつどもであるというので、県の逆鱗に触れまして、これまた今日不利益処分をこうむっておるのでありまするが、これは、先ほどの長官の御見解をもっていたしますると、大田原の場合は、一体未合併町村と見るべきであるかどうかということが第一点。未合併町村と見ないというならば、問題はもうおのずから明瞭でありまして、不利益処分云々については、論及の必要を認めないのであります。かりに、何らかの条項によって、あるいは現実の解釈によって、未合併町村であるとするならば、いかなる理由をもってこれが未合併町村であるか、そして、それに対して不利益処分を県が行わんとすることは、違法なりや適法なりや、これらの点について長官の御見解を承わりたいと思います。
#66
○国務大臣(郡祐一君) 御指摘のような場合に、大田原市は未合併町村ではございません。で、相当、御指摘の湯津上村については長い紛争の経過もとつております。それから、総理大臣の勧告もいたしました。そういうような立場から、私も、これが円満な解決をしますことには、ある責任を感じております。しかし、今申しましたように、大田原市は未合併町村ではございませんし、また、経過を別といたしまして、そういう自治体の事業の、住民のために必要な事業の遂行は、先ほども申しました、阻害をいたさない措置をとって参りますことよ、合併がどうをとって参りますことは、合併がどうなるかということとは離れた問題として 私は、それらの地域のために努力をしなければ相ならぬと考えます。
#67
○相馬助治君 よくそれらの見解はわかりました。ところが、これについて県側がこういう見解を申しておるのでありまするが、これは違法でございましょうか、それとも適法でございましょうか。また、長官の見解をもっていたしますれば、認められましょうか、こういうことを申しておるのであります。「自治庁から大田原市に未合併町村でないのと公文書がきたというが未合併町村ということの法的解釈にはかなりの疑義がある。大田原は市であって町村ではないから純粋な意味での未合併町村ではない。また財政援助の打切りという不利益処分は未合併と否とに拘らず、総理大臣の勧告を拒否した場合には出されるのは当然のことである。」、こういうことを県が申しておるのでありまするが、この申しておる見解は、これは正しいとお考えでしょうか、これは行政局長からとくと承わりたい。
#68
○政府委員(藤井貞夫君) ただいまお読み上げになりました新聞の記事、これは、われわれも、そのことがありましてしばらく後に見ております。すでに、その点については、県の方へも注意をいたしておるのであります。それともう一つ、大田原市の方から、大田原市は新市町村建設促進法第二条第五項にいうところの未合併町村に該当するかという質疑に対しまして、大田原市は第二条第五項の未合併町村ではないと、このような回答を明瞭に出しておるのであります。この点は、われわれ本法の施行に当っておりまする者といたしまして、何ら疑いをいれないころでございまして、ここに書いてございまするように、明らかに、未合併町村というのは、町村合併促進法の規定によって定められた、町村合併に関する計画において町村合併をすることが必要とされた町村で、当該計画に暴く町村合併をしないものをいうということでございまして、他の条文においては、すべて新市町村新市町村ということで表現をいたしておりますが、ここでは、はっきり市というものは除いて、町村だけに限定をいたしておりまする文理上の意味から申しましても、また建前上の実質論から申しましても、その点は何ら疑いのないところではないか、かように考えております。
#69
○相馬助治君 その点はよくわかりましたが、私がお尋ねをいたしておりまするのは、未合併町村と財政援助打ち切りというのとは別であると、県で申しておる見解が正しいかどうかということをお尋ねしておるのであります。なぜ、こういうことをお尋ねしているかと申しますれば、財政上の不利益処分を行う準拠すべき法律は、どうしても、たった一項しかないと思うのであります。すなわち、新市町村建設促進法二十九条二項ですか、その法律一項目しかないと私は思うのです。そうしますると、この法律によって不利益処分をするといえば、そのよって立つ前提は、未合併町村であるかないかということが、これは先行すべき一つの条件であるように思うので、私、関係なしとする県の見解はいささか腑に落ちないのですが、藤井局長、これは関連ございますか、またありませんか。
#70
○政府委員(藤井貞夫君) その点は、少くとも法律的に申しましても、県の申しておることの意味は、われわれもはっきりとはわからないのでありますが、今、御指摘になりましたように、不利益処分に関する規定というのは二十九条の二項でございます。しかも、これは対象はあくまでやはり町村でございます。しかもそれは小規模町村、小規模町村であることによって行われる財政上の援助措置というものは、行われないことがあるものとするということに規定をいたしておるのであります。ただ、先刻大臣も申されましたように、われわれといたしましては、あくまで新市町村合併計画を完了した新市町村というものを、やはり優先的に援助措置を講じて参らなければならぬという建前はございますので、そういうことをやっていきまする結果といたしまして、限られた財政上のワク、援助措置のワクというようなものからいたしまして、未合併にかかわるところについては、ある程度のひずみがくるというような点は、これはあり得るかと思うのであります。しかしながら、それもおのずから限度がございまして、必要な市町村の行政というものをどうしてもやつ、いかなければならぬというような義務事業にまで、財政援助措置等を、行政的な手段でもあれ、講ずることによって、これをストップあるいは渋滞させたりということは、私は正しい措置であるとは思っておりません。
#71
○相馬助治君 そのことについて、私は議論がましいことをしばらくおきまして、では具体的にお尋ねしたいと思うのですが、昭和三十二年十二月十二日に、公共事業の起債査定において、簡易保険資金の割当を大田原市が百七十万受けたのでございます。そうしてこれが内示されまして、郵政局より金券の内示があったのでございます。従いまして、当該の市長は、その起債が認められ、別途百二十万の補助が許可され、現金収入があったものでございますから、地元の寄付と三者勘考いたしまして計画をいたし、小学校の老朽校舎の改築を執行し、しかも、建設を今日の段階では完了したのであります。ところが、県が責任をもって内示いたしましたるところのこの起債を、さかのぼって先般打ち切りをいたしたのであります。市当局は非常に驚いて、郵政局に参りましたところが、全国にもその例を見ざる問題であるがゆえに、その百七十万という金は、不用額として県から突き返されたが、いまだ手元に持っておる。従って、自治庁及び県側に交渉をして、何らかの措置を講ぜよということを言われたということであります。従って、当該の市長は自治庁に参って指導を仰いだところが、おそらく局長のところまで参らなかったと思うのでありまするが、大へんに自治庁としては同情の意思を示され、最終的な意思は申さなかったそうでありまするが、県側に向ってよく依頼したらよかろうという御指導を賜わ、たそうでありまするが、県側は不用額として突っ返したものであるからして、さようなることはまかりならぬというすげない返事で今日に至っておるのであります。この措置は一体適法であるかどうか、私はこれは局長に承わりたいのであります。
 第二の問題は、その後、臨時にその大田原市の財政監査を執行したのであります。一連の計画に基いて何ヵ町村かが連鎖的に行われたといたしまするならば、そこに問題は、これを取り上げるべき筋合いを失うのでありまするけれども、明らかにやる方はそうでないといわれても、やられる方は報復的にやられているなあという印象を……、財政監査をそういう時代にやることの一体妥当性、この問題について、二つきわめて具体的なものでございまするがゆえに、一つ御見解を承わりたいのであります。
 しかも、前者のさかのぼって起債の不許可の問題は、いまだ郵政省の中に百七十万の金が宙に迷っておりまして、何らかの話があれば出したいという意思が表明されておるのであります。従いまして、私はこれがよいとか悪いとかいう議論の問題でなくて、こういうふうに内示されて計画をして、計画が進行して、しかも銭が入らないというようなことをやられたのでは、地域住民の直接選挙によって出てきた町村長はたまらぬと思うのでありまして、これはきわめて問題は小さいようでありまするが、基本的な内容を含んでいると思うのであります。お尋ねいたします。
#72
○政府委員(藤井貞夫君) 第一の点は、われわれも報告を受けて承知をいたしております。直ちに県の方へも連絡をいたしまして、そういうやり方はきわめて不穏当であるという注意を喚起をいたしたのであります。ただ、御承知のように、現在市町村に対する起債の許可権というものは、これは知事が持っております。そういうような点で、一応不許可処分ということにやってしまいましたものでございますので、県の立場もございまするし、一応強く注意は喚起をいたしておりますけれども、そのままになっておるという状態でございます。しかしこの点は、お尋ねにもございますように、私たちといたしましても、このようなやり方というものは、これはきわめて不穏当であるというふうに考えておるのであります。
 それから第二の財政監査の点につきましては、これは私よく承知を実はいたしておりません。どういう趣旨でやったのか、県下の全市町村をずっと対象に今までやってきて、それの年次計画等に伴ってやっておるものかどうか、そういうような点については、私、今つまびらかにいたしておりません。ただこういうような時期においてそういうような下心、何かの意図があるのではないかというようなことを感ぜしめるような措置というものにつきましては、これはやはりよほど慎重に事を運ぶのが適当な態度ではないかというふうに感じております。
#73
○相馬助治君 私の質問は、そろそろ結論になりまするが、そうすると長官、この大田原市を関係町村と認定して、しかも内閣総理大臣勧告に従わないという理由をもって……、内閣総理大臣勧告に従わないということが、非常にこれは微妙なのであって、ちゃんと町村合併をやっていたんですけれども、あとで県が計画を変更して、湯津上が大田原にいきたいということをきめたものですから、大田原がうかつかどうか知らないけれども、よかろうという議決をしただけなんですね。悪い表現をすれば、これは大田原市長の領土的野心がここに現われたというようなことを表現する人もあるけれども、法的にそういう証拠はないのですね。そうしますと、湯津上の紛争が大田原市に連鎖反応を起して、大田原の議会がそういう議決をしたという一点で、総理大臣勧告の線に従っていないわけなんですね。これを湯津上と同列に今日不利益処分を県がやっているのです。もう明瞭に指令を出したのです。一切の起債を認めない、一切の補助金を出さない、こういうのです。この態度は変更があり得ないと、こういう……。これは私は先ほどの答弁で了解いたしましたが、適法でないという長官の答弁を了解いたしましたが、指導の立場にあられる、責任者であられる長官としては、何らか具体的にこの問題については県にサゼッションを与えて御指導なさる御意図があるかどうか、これを承わりたいのが一点です。
 それから、もうこれだけで質問を終ります。二つは、湯津上の方は事情はあるけれども、これは未合併町村であって、一行政区域としては小さ過ぎるのです。従って、法律をそのままかぶせれば、不利益処分もあるいはやり得るのかもしれません。しかし長官は温情あふるる表現をもって、これもまた地域住民の意思を無視してやってはならないから かすに時間をもってしなければならないと今おっしゃって下さいました。かすに時間をもつてするとするならば、その間は休戦状態にならなければならないはずで、休戦状態に威嚇的なことが一方から行われたのでは、これは住民はたまらないと思うのでありまして、この辺のことはわかりましたが、そのある期間というもののうちに、明瞭に村議会は全会一致をもって総理大臣勧告を拒否して、大田原市に合併したいという意思を表明されておりますが、県はそういうものを認めないという態度に出ておりますが、それでかつ不十分であるとするならば、別途住民投票をするなり何なりして、ともかく最終的には私は住民投票をして、結果、三村に分れていけというならば、今日、大田原にいきたいと力んでいる連中ももうあきらめて、もうちゃんといくと思うのです。それからまた、住民投票の結果、大田原にいけということになれば、三村を主張している人たちも……、非常にこの湯津上というのは純朴な農村地帯ですから、妙な政党屋なんというのは人もいないのです。ですから、ただ伝えるところによると、その近隣の県議員の大ボス、小ボスがちょろちょろしているなんといううわさがありますが、そういうことは私は信じません。この村自体は非常に純朴なところです。ですから、指導さえよければ何とか私は解決つくと、こういうふうに考えるわけです。従いまして、第一点は、大田原の不利益処分に対して長官はどういうふうに県を指導するか。第二点は、湯津上が総理大臣勧告をそのまま受け入れるようにするならするように、またそうでなければ村議会の意思が忠実に表現できるなら、そういうふうにするように、何らかの解決を早い機会にやるように、県に向って強い要請と行政指導をおやり下さる御意図があるかどうか、この二点をやはり私は明瞭に聞いておきたいと思うのです。そうして長官のお話し下さるように、法治国家として、総理大臣勧告というものをあくまでこれは守るのだ、それに従わなくちゃならないのだ、理由はかくかく、かくかくなんだというような理をわけた話ならば、また、その地域住民はそれに耳を傾けるにやぶさかでない、こういうきわめてフランクな状態に湯津上の場合はあると思うのであります。従いまして、長官の一つ御熱意ある指導的な御見解をこの際拝聴しておきたいのであります。
#74
○国務大臣(郡祐一君) 行政上の指導につきましては、先ほども行政局長から申し上げました。私はこういう考えを持っております。これはやや全般的の問題がございまして、私が最近感じた例なんでありますが、災害があって、水道がこわれて、伝染病が起きた。そこを、県のやり方を見ておりましたら、伝染病の予防という趣旨でいたしましたので、その法的根拠からいうと、特交が行かないのです。これを、もし災害の扱いをしてくれれば、特別交付税が行ったのでありますが、そういうときに、ただいまの制度というものは、自治権を非常に重く見ております。それのために、もし私たちに相談をしてくれれは、最もその地方に適した措置を指導したのです。自治というものを非常に強く考えます当事者が、自治庁に相談することを快しとしないのか、あとになって知りまして、一たん処分をいたしましたことを取り消すような措置もございませんし、昔のように是正する措置がございませんために、黙ってはおりましたが、住民としては気の毒だったなという感じを持つのであります。そういたしますと、私は全体に、これは決して監督とか監査とかいうのをしようというっもりはございません。しかし、私は地方の自治体を、一番密接な関係を持っております責任といたしまして、もう少し行政の指導というものを徹底してもいいのじゃないか、そういう意味では、少し遠慮せずにやることがしかるべきではないかということを、私は私の部下に言うておるのであります。
 ただいまの大田原の場合、これは大田原市は未合併町村ではございません。従いまして、これに町村合併促進に伴ういろいろな措置によって牽制をするということは、すべきことではございません。
 第二の湯津上村の点につきましては、私はそれを起債だとか特別交付税とかいうのは、ある、 こういう方に持っていこうという意図で使ってくれては私は困ると思うのです。理事者がどうであろうと、どういう状態にあろうと、その現在の村が育ち、従いまして、合併をするような気持にならないように、よけいに、たくさん特別な交付税をやってくれても困ります。しかし同時に、現在の住民が、そのために、他の町村では享受するだけの必要最小限度のことすらできないといたしますと、これは行政としてあってはならないことであります。従いまして、湯津上村の場合につきましては、私の方もよく県に話をいたしまして、そうして、だれもが納得できる、もちろん、住民の生活もそれによって安心できる措置を、合併を、これからいかに促進し、どういう形で結果が出るかということは別といたしまして、現在のままの湯津上村についての行政の指導は、県に対して十分いたすことにいたします。今までもいたしておるように私ども聞いておるのでありますが、なお足らざる部分があれば、徹底的にいたすことにいたします。
#75
○相馬助治君 ありがとうございました。
#76
○委員長(小林武治君) 次に、成瀬君の発言を許可いたします。
#77
○成瀬幡治君 私は簡単に一つお尋ねいたしたいのでありますが、例の新市町村建設促進中央審議会の議決を経まして、三月二十五日に総理大臣に対して答申がなされておる。そうして、国会では法律が九月まで延期されたということも承知しておりまするが、それはそれとして、いつごろこの答申に基いて内閣総理大臣の勧告をお出しになる予定なのか、これが一つでございます。
#78
○国務大臣(郡祐一君) これは、改正法案を御議決いただきますときにも申し上げたごとでございますが、答申が、非常に法律が失効いたすまぎわに出て参った。ところが実際を見ますと、何といいまするか、こういう措置をあらかじめ講じたらそんな紛争も起らなかったであろう。ところ、が、そういうことは、両方とも受け入れられる状態でない。従いまして、審議会の答申をその通りに認めますにしろ、認めませんにしろ、とにかく、その間非常に私どもも、こうしたら考え方が変るのじゃないだろうかというようなことを県に指示いたしましたが、両方とも、もう相対立する考え方で、そういうもののいい方が悪いと意識しているかどうかということは別にしまして、中央審議会に働きかけることばかりに一生懸命でありまして、むしろ行政という点からは不十分であったような点がございます。従いまして、このままもう少し見直して参る時間が必要であまするので、従いまして、半ヵ年延長の法律の御議決をしただいたのであります。現在その法律が効果を発生している際でございますから、私はそう長くものを見ていようとは思いませんけれども、現にそれぞれ私の方で調査なり、このようにいたしたらどういう工合になるだろう、どういうことをすれば解決がつくのであろうかというような点については、それぞれのものについて調査をいたしております。これについてれ当該の県と、当事者である両県と一ついろいろ懇談してみようと思います。これも、私の方でどうしろという言い方をいたします前に、両県に従来の模様、現在の段階において住民の考え方なり、それから表に現われた、これは中央審議会が非常に注意をいたして、きれいな、白紙でやってくれたことを信じており、その審議を多とはしているのでございますけれども、まあ中には、たまたま出てきた人の口述の仕方で、委員の気持がこうであったというようなことも聞くのであります。そのことは、人間がやることですから当然でありますけれども、しかし、政府といたしまして、大きい処分をいたします際に、そうした点はもう一度念を入れて考え直してみなければ相ならぬ、こう考えております。従いまして、いつというようなことを今申し上げる段階ではまだございませんが、もうしばらくはそういう作業に一つ私どもに時間をいただきたいものだと考えております。
#79
○成瀬幡治君 そうしますと、今、大臣の御答弁を聞きますと、答申そのものが、それがイコール内閣総理大臣の勧告にならないこともあり得るやに聞き取れるわけですが、そういうふうに私が聞き取っていいものか、あるいはまた、そうではなくて、一つ、おっしゃることは、冷却期間というようなものを置いてやっていこうというようなものか、お気持は、答申は一つ尊重しなくちゃならないけれども、しかし、これを実際にやった場合には、今ここに相馬君が例を引かれたような、勧告が実際に行われないような場合もあるかもしれない。だから、そういうまずいことは起らないように一つやっていくのだ、そちらの方に主点を置いて善処していきたい。そのために半年間延ばした。だからその間に十分やっていこうというお考えなのか、その辺の一つずばりとお答えいただきたいと思います。なぜ、そういうことを申し上げるかと申しますと、私は愛知県と三重県との間に木曽岬村というのがあって、すでに御承知のように、分村はやって、一つは別なところに役場を作って、税金は片方の方に供託をしている。憂えるのは、同盟休校までに発展するのじゃないかということを非常に心配しているわけです。ですから、しかもなぜそういうことが起きたかというと、住民の意思表示をやるときに、県がそこにいって、護岸工事あるいは土地改良の工事を三日間、投票に入る三日間、運動期間中ですか、選挙中に工事をストップするというような圧力をかけたために、住民の意思というようなものが間違ったところに表現されているわけですから、そういう点をもう一ぺんあなたの方が慎重に調べ直して、そうして善処するのだ、こう言われるのか、その辺のところを一つ明瞭にお答えいただきたいと思います。
#80
○国務大臣(郡祐一君) 現に審議会の答申が出ております。従いまして、審議会の答申を尊重することは、政府として当然とらなければ相ならぬ鮮度だと思います。ただ、先ほどの県内合併の例と違いまして、県内合併は、これは勧告をいたすのでございます。今度の県を越えました合併というのは、大臣のが処分直ちにその法的な効果を発生いたします。そういたしますると、別に軽重があるというわけではございませんけれども、特にこの県を越えます場合には、慎重な態度をとらなければ相ならぬと思います。従いまして、今お答えする場合には、審議会答申の尊重を第一に申すのが、政府としては当然のことであります。さらに、諸般の事情というものを十分考えてみなければ相ならぬ、こういう工合に考えております。
#81
○成瀬幡治君 私もこれ以上押し問答はしたくないと思うのですけれども、少くとも町村が、作られた住民の意思によって私はやられては非常にまずいじゃないか、形式的には、たとえば、これ全部、あなたの方がお出しになった資料を見ますと、形式的にはなるほど住民の賛成の意思表示の多いところが大体越県合併が許されて、そうして意思表示が少いところがどうも否決された、住民の意思が尊重されておるということは形式的には言えると思います。しかし、住民の意思が作られた住民の意思であるかないかという点は、一つ自治庁の方でよく御調査願って、そして私は片一方では答申を尊重しなければならないということはよくわかります。しかし、片一方では、実情に合った住民の福祉を十分勘案して、私は裁定というものが行われるのが一番いいのじゃないかと思いますから、一つ大臣せっかくのおっしゃる通りによく実情を御調査願って、適切なることをやっていただくつまらないトラブルの起らないように行政指導と申しますか、裁定が下されんことをお願いいたしまして、この辺で終ります。
#82
○鈴木壽君 実は先ほどの相馬委員からのお尋ねの際にも、ちょっと関連してお聞きしたかったんですがお許しをいただいて今お聞きしたいと思います。総理大臣勧告が、今の法でいきますと、合併町村に対するものとしては最終的なものだと思うのですが、先ほどからいろいろ具体的な問題等もありまして、論議になっておりますように、まだ勧告を聞いて受けつけてもらえないでおる。で大臣は、性急に事を運ばないで、かすに時をもってしたい、こういうことでございますがまあそれはそれでけっこうでございます。ぜひそういうふうにしていただきたいと思うのですが、最終的に住民の意思が、もうすでに勧告とは反対の方向に固まっておるというようなお話しがございました。一体勧告が法的にそれ以上の、勧告以上に何ら権限がないものとするならば、一体この結果についてどういうお見通しで今後おやりになるのか、これは私やっぱり問題のいわゆる解決には、きわめて大事な時期にきておると思うのです。場合によっては勧告を取り消すということがあり得るのかどうか、場合によっては勧告を出しておきながら、さらにあらためて住民の意思を確かめるような方法、たとえは投票等の方法によって、そういうようなことをもおやりになる余裕を持った今後の御折衝なり話し合いを進めていくのか、こういう点、一つ御説明いただきたいと思うのであります。
#83
○国務大臣(郡祐一君) 町村合併を進めて参ります際に、いろいろな手続を経て、そして総理大臣の勧告というものを出すかどうかについて中央審議会の意見を聞いて、そしてそれらの一連の手続を終えまして、最終の措置といたしまして勧告をいたしたわけでございます。その勧告の結果として、勧告が動機になりまして、その後合併ができましたところもございます。ただ、私は勧告というものを出しますまでには、かなりに慎重な態度をとったつもりでございまするが、しかし勧告の通り無理に、かりに強権をもっていたすというような場合、一たん合わさったがま、た分村問題が起る、こういうようなことがありましては、これは何のために町村合併を促進したかわかりません。私は勧告を出すということは、措置といたしまして最後にいたしまするけれども、どこまでも法律上、それは勧告であります。従いまして、面目にとらわれますということよりも、その町村というものがほんとうによく育っていくかどうかということを主に考えてみたいと思います。勧告でありまするから、それについて取り消しというような措置はございません。また勧告をいたしました通りにものがなることを希望いたします。しかし、それは決して無理じいをすることなし、場合によりましては、その後における村民の意向は、さらに勧告と違った方向に向いておるところもございます。実情に沿いましてものを判断していくようにいたしております。
#84
○鈴木壽君 非常にデリケートな段階だと思いますので、にわかに長官としては、聞かなければやむを得ないとか、あくまでも聞いてもらうのだというふうな御意思の表現は、非常にデリケートなところにあると思うので、ただ私お聞きしたいのは、住民の意思がすでにもうはっきり、それは九千人なら五千人おる住民のうち、幾らかはそれとは違った考えの者もあることは、これは当然予想されますが、全部が全部という意味じゃありませんが、大勢がそうであり、しかも村議会の議決が、先ほどからいろいろ、法的にあるいは形式的な面からいって、最終的にはこれは尊重されなければいけないといっている。議会の意思がそういうふうであると、こういうところで一つ勧告等と真正面にぶつかり合った格好でございますね、そこで私心配いたしますものですから、もし今後いろいろ話し合いをする、地元の方々と冷静に話を進めていかれる、そういう態度については私けっこうだと思います。ぜひやっていただきたいと思いますが、どうも見通しは少し暗いような感じがいたすわけでございます。そこで、勧告を出して、今さら撤回でもこれはもちろんないでしょう。それぞれの、大臣のお言葉のように踏むべき手続を踏んで勧告は出されるものございますから、今すぐ撤回ということではないと思いますが、しかしデッドロックに乗り上げた場合の打開策として、これは最後に、さらに場合によっては住民の意思を確かめる何かの方法をとり得ることがやはり予想されますが、そういうことも含めて、今後の検討という中に入り得るものかどうか、こういうことでござ
 います。
#85
○国務大臣(郡祐一君) あらゆる方法を講じまして、住民の意思を確かめ、そうして住民の大多数の意向の、希望いたしますところに何らのこだわりなしに一応落ちつけて参りたいと思います。
#86
○鈴木壽君 非常にありがたいお言葉だと思います。あらゆる方法をという中には、私はやはりそういうことも場合によってはあり得るのだというふうにおっしゃっておるものと了解いたすわけでございますが、そういう限りおきまして、私大臣のただいまの御答弁、きわめて貴重なものとしてお聞きしておきたいと思います。できるだけ、私どもも最終段階におきまして、こういうことがやはり住民の意思をそこなうことのないような形において行われることが第一に考えられなければならないのでございますし、新市町村の建設ということも、そういう面でこそ初めて生きてくると思うのございますので、そういう意味におきまして、大臣のお考え方につきまして、先ほど申し上げましたような意味で非常にありがたいお言葉だと思います。
 なお、つけ加えまして、さっきの財政援助の問題でございますが、これはそういう最終的な話し合いがつくまで、話し合いといいますか、解決がつくまでは、決して、まあ俗にいう金の面でいじめるようなことはなさらない、こういうことで、大臣の先ほどからの御答弁を承わっておいていいかどうか、さらに一つお答えをいただきまして、私の終りとしたいと思います。
#87
○国務大臣(郡祐一君) 財政的の措置は、普通の安定した状態でそれぞれ講じなければ相ならぬことでございまして、それを手段として町村合併が自然にできて参ることを期待し適正でない小さいものを単位として、それに必ずしも効果的でない金をかけるのはむだだという趣旨でございますから、そういう意味で法律はあるのでして、これをおっしゃるような意味で使うようなことはございません。またそのために住民に非常な迷惑をかけておるような点は是正いたさせるように行政指導をいたします。
#88
○加瀬完君 相馬委員から質問の点で、すが、大田原市に対する県の措置は不穏当だという局長の御見解ですが、不穏当ではなくして、不法であるということが言えると思うのです。そのような扱いをすることは、新市町村建設促進法の二十一条に、地方財政法の特例というのがございますね。その地方財政法の特例によれば、新市町村の新計画に対しては当然起債等を認めてやるという基本的な原則に立っておるわけです。これをやらせないということになれば、これは明らかに二十一条違反という一とになる。二十一条違反ということであれば、地方自治法の二百四十五条の三なり、これは内閣総理大臣の助言あるいは勧告ということになりますか、あるいは二百四十六条の二の適正な事務処理に関する措置といいますか、こういうことも自治庁長官から該当の県知事に対して出されていいはずだと思うのです。不穏当ということで見過ごしておくべき問題じゃないと私思うのですが、この点はっきりさせておいて下さい。
#89
○政府委員(藤井貞夫君) 私たちといたしましては、先刻、相馬委員の御質問にお答えをいたしておりますように、この問題については非常に実は強い関心を持っておるのであります。新聞等の記事あるいは論説等にも常に注意を払って見ておりますし、また、いろいろ地元の方からお話がありました際、あるいはその他の方法で、県側から状況等の報告を受けまして、そのつど関係者を招致する、あるいはその他の方法によって厳重にそのつどそのつどの措置については指示をいたしておるのであります。今私が申し上げました不穏当という意味でございますが、これは、もしも県が大田原市に対してすべての起債、すべてのその他の補助金、その他の財政措置というものを一切停止するというようなことを本気に考えておるということであれば、これは明らかに違法の部類に入ってくるというふうに考えるのであります。その場合におきましては、当庁の措置といたしましては、二百四十六条というものでなくて、それらの権限は、むしろこれは国家機関として、機関委任の事務として行う種類のものが多いわけでございます。従って、これは機関委任の系統から百五十条、百五十一条というものの系統を通じて、指揮監督の権限の発動ができるというふうに考えています。ただ、問題といたしましては、そういうような形式的な問題でなくて、むしろ実際上、県当局ともひざを突き合せて十分に話し合い、あるいは先刻大臣もお答えになっておりまするように、湯津上の問題というものは、非常にそのいきさつと、その他の点が複雑をいたしておりまして、きわめて困難でございます。そのために問題が非常に深刻な様相を帯びてきておるのでございますが、私たちといたしましては、その点、県の立場というものを、ただ単に従来のいきさつから頑強に固執をしていくというような態度というものについては反省を求めまして、必要がございますれば、われわれも中に入りまして、円満な一つ解決の方途というものを実質的に見出すようなふうにして努力をして参りたい、かように考えております。
#90
○加瀬完君 これ一つで終りますが、そういうお考えはおかしいと思うのですよ。町村合併の促進について一応勧告を出す前に、今のような御態度でお話し合いをさせて、円満な解決を進めるというならわかりますが、町村合併の促進にからんで明らかに違法であるような行為をしているにもかかわらず、これと円満な話し合いをするとか、話し合いによって円満な解決をするということはどだいおかしい。そういうことは、何のために新市町村建設促進法というものが作られたか。少くもこれは、国も県も新市町村の育成というものをバック・アップするという立場をとっていると思うのですよ。その県が、明らかに町村合併が促進されて一つの新しい市ができたのに、その市の永久計画というものに対して、二十一条の違反とも思われるようなことをやっているということは、これは断固指示を自治庁が下すべき性格のものだと思う。結論はどうでもいいですけれども、結論はあなたのようなことで、円満解決することもけっこうですけれども、少くともそういう強い態度がなければ、私はどうも県だけの計画で、住民意思が没却されるような町村合併でも、昔のように、全然市町村が自治権というものを喪失したような形で、県や国の監督を受けなければならないという既存観念というものが、また新しく芽生えをするということにもなるおそれがあると思うのです。これは厳格に私は自治庁の態度を県に対して、問題の解決に打ち出していただきたいと思う。希望だけを申し上げて、あとは少くとも相馬委員の御指摘のような事実がありましたならば、私の要求するような御態度をお願いいたします。
 〔委員長退席、理事大沢雄一君着席〕
#91
○成瀬幡治君 国有財産の交付金の問題についてお尋ねしたいと思います。
 私がお尋ねする趣旨は、この法の第二条の第六項に基いて米軍並びに米軍のいわゆる使用地に対して交付金が下される。またこの法律によるところの政令に基いて、実は自衛隊もあるわけでございますが、このごろ米軍が撤退をしていって、そうしてそのあとに自衛隊が入ってくることに大体なったり、あるいはまた、民間にそれが戻っておるようでありますが、民間に戻るのは別段問題はございませんが、米軍が使っておる場合は、飛行場の場合には、格納庫とかいうようなもの、あるいは兵舎等に対しても大体その対象になっておるようですが、自衛隊になった場合には、飛行場と演習場だけに限られて、建物は除外されるのではないかという点はどうなるのかという点が一つ問題だと思いますから、まずその点からお尋ねしておきます。
#92
○政府委員(奥野誠亮君) アメリカ合衆国の軍隊に使用さしておりまする固定資産でありましても、飛行場の用に供しておりますものにつきましては、自衛隊に使用さしておりまする飛行場と同じように、土地の価格に案分をいたしまして交付金額を決定いたしております。ただ御承知のように、いわゆる基地交付金の総額の二割分につきましては特別な事情を考慮して配分するような仕組みをとっておりますので、飛行場につきましては、別途割増して交付金額を交付するような計算方式を採用いたしておるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、自衛隊に使用さしております固定資産につきましては、飛行場及び演習場に限りますし、しかも対象を土地に絞っておるわけでございますので、自衛隊が使用するようになりました場合には、土地のみが基地交付金の対象になることになるわけです。
#93
○成瀬幡治君 だからそこがおかしいじゃないかということを私は言うわけです。だから、あなたの方として当然米軍が使っておるときは、飛行場のいわゆる建物あるいは演習場の建物等も対象になっている。ところが、自衛隊に返還されたら土地だけにするという点は、まあこれで行くのだといえばそれまでかもしれませんが、しかし、総額もきまっておることだから、米軍が全部撤退すれば同じようなふうに、配分総額がきまっておるのですから、比率としては行くかもしれませんが、しかし個々に見れば、私はいろいろなことで、評価額等でいえば、土地だけでやっていかずに、建物も入れるのが妥当じゃないか、こう思うからどうだと、こう言っているわけです。あなたがおっしゃるように、第二条の中で、十分の二はその地方の状況によってやる、こう書いてありますが、やはり原則は土地と、こういうふうに限られておるから、こういう場合に、あなたの方としては、政令を直す用意があるのか、ないのか、どうするのか、こういう点を一つ明確にしていただきたい。
#94
○政府委員(奥野誠亮君) 自衛隊の使用しております固定資産につきましても、このような制度を適用することが妥当かどうか、これは非常に議論のあった問題でございます。一般の公用施設に対しまして、このような制度をとるわけでございませんで、特にアメリカ合衆国の軍隊に使用さしておりますものにつきましては、一般の住宅等もあるわけでございますので、そういうようなことを主眼にこの制度が生まれてきた。しかしながら、飛行場、演習場ということになりますと、広大な土地がそれがために占有されることになる。しかも従来でありまするならば、その土地から固定資産税の収入額が相当得られておったにもかかわらず、それも得られなくなって、逆にマイナスの財政需要がふえてくる。こういうようなところから、特に飛行場、演習場だけを限りまして、この制度の対象にすることにしたわけでございます。そういうようなことでもございますので、自衛隊が使用するようになれば、固定資産税的なものは収入にならないのだ、にもかかわらず、飛行場、演習場なるがゆえになおかつ、固定資産税的なものの対象にしているのだ、こういうようにお考えをいただきたい、かように思うわけでございます。
 〔理事大沢雄一君退席、委員長着席〕
#95
○成瀬幡治君 この問題でまた押し問答する機会は私はあると思いますから、それはそれとして、今までに一体、米軍が使用しておって返還されたもの、これは調達庁でないとわからないかもしれませんけれども、一応あなたの方に返還されたものがどれくらいあるか、そうしてそれがどんなふうに使われておるかというような点、おわかりになりませんでしょうか、これは全然どこもわかりませんでしょうか。
#96
○政府委員(奥野誠亮君) 御質問の趣旨を調達庁の方に連絡させていただきます。
#97
○成瀬幡治君 調達庁は来ていない……。管財の方ではわかりませんか、大蔵省の……。
#98
○政府委員(加屋正雄君) 国有地で提供しておりました財産が返りました分についてはわかるのでございますが、提供しておりました財産は、国有地のみならず、民間の土地もございますので、その全体は私どもの方では把握いたしておりません。国有地につきまして、まあ個々の財産でなくして、総額について申し上げますと、昨年の共同声明以後、今日までに返還されました財産は、土地が二千九百二十二万二千坪、台帳の評価額によりますと四十六億五千七百万、建物が二十五万六千坪、その評価額は五十一億七千万、合計いたしまして九十八億二千七百万と、こういう数字になっております。
#99
○成瀬幡治君 これはおよそ国有地ですから、国有財産として返還されたわけですが、これは大体自衛隊が引き継いでおりますか、それともずっと国有地として、その後どんなふうに使用されておるか、その内訳はわかりましょうか。
#100
○政府委員(加屋正雄君) 返還されました財産は、非常に多岐にわたっておりまして、個々につきまして、どのように処分されておるかという点につきましては、今手元には資料ございませか……。
#101
○成瀬幡治君 飛行場はわかりませんか、飛行場だけは個々についてもわかりませんか。
#102
○政府委員(加屋正雄君) 飛行場について申し上げますと、新潟飛行場がすでに返還されておりますが、これはまだ、自衛隊に使っていただく意味におきまして防衛庁に所管がえするとか、あるいは民間航空に使っていただきます意味におきまして運輸省に所管がえしますとか、そういった処置はいまだとっておりません。従いまして、国有財産として、普通財産として、大蔵省が管理しております。そからすでに返りましたのは、小松飛行場がございます。これにつきましても、まだ最終的な処理は確定いたしておりません。大蔵省が防衛庁に依頼いたしまして、管理をしていただいております。
#103
○成瀬幡治君 まあ突然で、伊丹の飛行場がどうなっておるかということですね。まあ常識的に財産管理じゃない、われわれでも大体承知しておりますが、それはそれとして、防衛庁の方に聞きますが、防衛庁の方で、米軍が帰っているじゃないか、帰っていったところに対して、あるいは帰らないかもしれないが、帰っていくだろうということを織り込んで私は一つの計画があるのじゃないかと思うのですが、そういうような点、一つお知らせ願えませんか。
#104
○政府委員(山下武利君) 米軍の飛行場で解除になった暁に、自衛隊が使いたいものがどことどこであるかというお尋ねでございますが、実は自衛隊といたしましては、この日本の飛行場が、日本にあります自衛隊の使用し得る飛行場というものは非常に限られておる状態でありますので、現在米軍が使用しております飛行場の大部分というものは、もしこれが解除になれば自衛隊が使いたいというものが多いのでございます。具体的に申し上げまするというと、現在米軍の接収中のままで一部それを共同使用いたしておりますものに美保の飛行場あるいは木更津の飛行場といったようなものがございます。そのほか三沢、それから板付、入間川といったようなところには、これは飛行場として使用しておるわけではございませんが、方面隊司令というものを置いて、米軍の基地の中でこちらが事務をとっておるというふうな状況でございます。そのほか米軍の持っておりますところの飛行場は、先ほど申し上げましたように、相当設備も完備しておりますし、何分にも飛行場の狭く、あるいは数の少い日本のことでありますので、これが解除の暁にはぜひ使用したいというものが多数あるわけでございます。
#105
○成瀬幡治君 それは私運輸省の方にもお聞きしたいのですが、運輸省にも一つ民間航空等が伸びてくるのだから、運輸省としても一つの計画をお持ちだろうと思います。そこで、時間もございませんから、私は手っ取り早く申しますが、民間と、そして自衛隊との共同使用というようなことがちらほら聞かれておるわけでございます。そこで運輸省の方としては、そういう共同使用というようなことも認めていこうとしておられるのか、あるいは防衛庁の方としても、自衛隊との共同使用というようなこともある程度認めていこうとしておるのか、今お話の美保あるいは木更津は共同使用で、米軍との共同使用で、米軍が帰れば、これは自衛隊オンリーにしていこうというのか、その辺を一つ両方からお答え願いたいと思います。
#106
○政府委員(山下武利君) 先ほど申し上げましたように、非常に飛行場の数も制限されておりますことでありますので、将来自衛隊も伸びていくし、民間航空も発展をしていくという場合には、当然共同使用ということを考えていかなければならないと思うのであります。現在民間飛行場と共用をしておるところは、具体的に申し上げますというと、北海道の千歳と宮城県の矢ノ目の飛行場というふうなものがございます。こういう点につきまして、将来ともいろいろりっぱな飛行場が返って参ります場合には、運輸省と防衛庁の間で、十分に飛行場の管理とかあるいは航空骨制といったような面につきまして緊密な協定をいたしまして、民間航空の発展と自衛隊の訓練と、両方とも両立するというふうにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#107
○政府委員(林坦君) ただいま御指摘のございました飛行場の共同使用の問題でございます。私ども民間航空を担当いたしております運輸省航空局といたしましては、提供飛行場等の将来の使用計画等は、私どもの方でも、もちろん検討いたしております。そして、その全部についてと申すわけにも参らぬかもしれませんが、管財局方面ともすでに打ち合せをいたしております。もちろん、防衛庁との将来の共同使用の飛行場につきましては、私ども民間航空の立場から申しますと、勝手なことを申せばいろいろでございますけれども、何を申しましても、日本の国は狭うございますし、従って、飛行場としての適地も比較的限定されておるという関係から、そういう面も考え合せながらやっていかなければならぬということも私ども認識いたしております従って、これらについては、まだ防衛庁の方と詳細に打ち合せを済ましたという段階ではございませんけれども、今後そういうことをやっていこうではないかということで、すでに話し合いの申し入れもございましたし、私どももまた、そういうふうにして、今後はその辺を調整しながら考えていきたいと思っております。
#108
○成瀬幡治君 あと十分ぐらいしか時間がございませんから、私そういうことなら、小牧の問題について一言お聞きしたいと思います。
 実は、小牧の飛行場を拡張する場合に、調達庁は、地元なりあるいは愛知県の知事等の協力を得る場合に、今現に米軍にやってもらっている、しかし、米軍は行く行くは帰っていく、帰っていけば、そこに民間航空として残せるからいいじゃないか、大体こういう趣旨のもとに拡張等が進められて実は参ったわけであります、歴史的に申しますと。そしてまだ帰りませんけれども、おそらく帰るであろう、こういうふうに言っておるときに、実は自衛隊のF−八六Dがやって参りまして、この間うち地元で騒ぎましたら帰ってしまいました。また、新聞を見ますと、来ておるようですが、一体防衛庁としては、これを自衛隊の一つの基地として、あるいは共同使用としてでも使おうとしておるのかどうか。
#109
○政府委員(山下武利君) ただいま御指摘がありましたF−八六Dに関してでございますが、これは、米軍から供与を受けました全天候戦闘機に対しまして、これに要するところの要員の訓練を、どうしても実地について米軍の指導を受けるという必要があります関係から、松島にあります第三航空団の一部を小牧に派遣をいたしまして、実地訓練を受けておるわけであります。その数は、目下五、六十名のものであろうと思います。もちろん、これは訓練期間が終れば元へ帰るわけでありまして、そのままこれが小牧に赴任したというわけではございません。しかしながら、この訓練は別といたしまして、自衛隊といたしましては、先ほど申し上げましたように、小牧が解除になりました暁には、どうしてもここに航空団を置きたいという強い希望を持っておるわけであります。ただし、今のところ、まだいつ帰るかということの正式意思表示が米軍からあったわけではありませんので、もし帰るということがはっきりいたしますれば、ぜひここを使わしてほしいということは大蔵省にもあるいは運輸省の方にも御連絡をいたしておるわけでございます。上かしながら、これを自衛隊が使います場合におきましても、十分に民間航空の発展ということを念頭に置きまして、それを阻害しないように訓練を続けていくということを考えておる次第でございます。
#110
○成瀬幡治君 これは所管外であるというようなこともございますから、こういうことは帰りましてから大蔵省がきめるわけですけれども、大蔵省関係でいうと、地方に何というのですか、何か審議会のようなものができたのですね。国有財産処理審議会というのですか、その結論が、かりに民間航空に使えという結論が出たとしますと、大蔵省は、その結論は審議会だから意見を聞くのだ、国の立場はこうだ、こういう格好にされるものか、審議会の意見というものはどれほど尊重されるものか、あんまり尊重されぬものなら、こんなものは必要ないと思う。設けた以上は尊重をされてしかるべきだと思うのですが、管財局長は、そういうものに対してどういうお考えを持つておられるのか、いわゆる国の施策は上回る、こういうことならば、こういう問題は別だとおっしゃるのか、その辺をお伺いしたい。
#111
○政府委員(加屋正雄君) 御指摘のありましたように、国有財産の処分をいたします場合に、地方の各財務局に付置されております国有財産地方審議会に諮りまして、その御意見を伺った上で実際に処分する、こういうことにいたしておるわけでございまして、今、仮定の問題として、東海の財務局の審議会が、民間航空に使わすべきであるという決議をした場合のお話でございます。まあ原則的なことを申し上げますれば、もちろん、審議会は一種の諮問機関ではございます。従いまして、政府の行政を拘束するというわけのものではございませんが、こうした審議会を置きました理由にかんがみまして、当然これを尊重すべきものであるということは、当然のことであろうと思うわけであります。ただ、まあ実際の通常といたしましては、できるだけ関係者間の話を詰めておきまして、調整がとれたところで諮問機関たる審議会に付議するということにいたしたいと思っておるわけでございまして、審議会に付議いたします前に、小牧の具体的な問題につきましては、先ほど防衛庁からお話がございましたように、あるいは運輸省からお話がございましたように、両者間でよく話し合いをしていただきまして、お互いに使用計画に障害のないという調整がとれたところで審議会に付議するということで、実際問題としては、審議会の結論が一方的に早目にきまるということのないように措置して参りたいと考えております。
#112
○成瀬幡治君 防衛庁にお尋ねしますがね。共同使用になると、何か民間も使われるかのごとき錯覚を起すと思う。私はちょっと計算をして、みたのですが、これは間違いかもしれませんけれども、間違っておったら指摘していただきたいと思いますが、たとえば、F−八六Fですね。これは、訓練は一人が一日どのくらい飛び立つかということについて、一年間の平均を見ると、一・六回だと思う。そうして小牧に来る場合には、F−八六Fは大体二十六ぐらい来るだろう。あるいはF−八六Dが二十五、いわゆる二個中隊で航空団を置くだろう。ここに一つ航空団を置く、こういう話です。そうすると、一人一日一六回、これは二ないし四機編隊で上ったとかりに仮定しましてやってみますと、士五回ぐらい飛び立つだろう。そうすると、着陸に一分、離陸に三分、そうすると四分かかる。そうしてやってみると、約六十分、一時間、こういうことになるのでありますが、着陸で一分増した、離陸で一分増したというような計算になると、これが大体倍にはなりませんけれども、五割以上ふえていくというような格好になる。ですから、民間と共同使用だというけれども、大体訓練には、私は夜間ということもそれはあるかもしれませんけれども、大体昼間じゃないか。そうすると、大体何時間というように限られておる。あるいはそんな離陸に三分、着陸に一分というようなことではなくて、やはりそこに誘導したり、いろいろなことがありますから、非常な時間がかかっていく、こういうことになりまして、少くともそごに五十機ないし百機というような飛行機が入ったとすれば、もう共同使用ということは、言葉の上ではあっても、実際はないのじゃないか、こういうことが言いたいのですが、あなたの方は、いや、そうではなくて、共同使用ということはあり得るのだ、そうすると民間航空なんかもつけることができるんだ、こういうふうにお考えになっているのかどうか、これは一つ防衛庁並びに運輸省の方からもお答え願いたいと思います。
 それからもう一つ、時間がありませんから、ついでにお答え願いたいのは、もし共同使用になった場合に、この飛行場の管轄をする主管が防衛庁になるのか、いわゆる航空管制ですね、そういうような権利まで防衛庁がとるのか、運輸省がとるのか、ということは、私はその飛行場の将来の運命を決定する重要な実は問題だと思うのです。ですから、そういうようなことになったときには、防衛庁の方は、わしの方でとりたいと言うし、運輸省の方はわしの方でとりたいと、こういうことになってくると思うのですが、そういうときには、一つ民間に使わせるということ、少くとも民間にウエートを置くことを考えていこうというふうに防衛庁はお考えになっているのか。そうでなくて、防衛庁は、今はやかましいからやっておいて、あとでだんだんと訓練を盛んにしてゆけば、自動的に追い出せるのだから、それを待っていこうと、こういうのか、その辺も一つお答え願いたい。
#113
○政府委員(山下武利君) 訓練のこまかいことについては、私は専門外でありますので、的確なことはお答えいたしかねますが、ただいま御質問になりましたところから判断いたしますると、大体、小牧にもし一航空団を置くといたしますれば、ただいまお話のありましたように、大体において五十機程度のものが配属されることになると思います。しかしながら、飛行機は稼働率というものが比較的悪いのでございまして、米軍のように非常に装備、整備の進んだところにおきましても、せいぜい六割程度のものであろうといわれております。そうしますというと、大体五十機が配備されましても、実際に飛び立ち得る飛行機は、それのまた何割かということになるわけでございます。それから、これが編隊でもって離着陸をいたしますという関係と、それから実際に飛び立ちましたら、おそらく一時間ないし二時間というものは、空中の訓練に移るわけでありまして、それが帰ってくるまでに相当の時間があるということから見まして、さっきお話がありました一人一・六回ということがございましたが、要するに、一つの飛行機が何べんも滑走路を使って離着陸をするということはないわけであります。この関係は、現在民間と共同使用しております千歳の飛行場等について見ましても、相当の訓練をやっておりましても、決して民間航空に対して障害になったという事例は聞いたことがないのでございます。それからまた、自衛隊でもって一番訓練を激しくやっております浜松等につきまして、たまたま自衛隊の輸送機等が行きまして、訓練をやっておりましたから、上空で待たされるといったような事例はないわけでございます。飛行場の使用というものは、それくらい間を置いてされるものだというふうに私は聞いております。従いまして、将来、小牧の飛行場が、民間航空としてどの程度使用されるかということは、今から予想できませんけれども、現状から見て、相当ひんぱんな民間機の発着が行われるというふうな事態を予想しましても、自衛隊の訓練がそのために障害になるといったような事態は、決して起らないのじゃないかというふうに考えております。
 それから二番目のお尋ねの、飛行場をどちらが管理するかという問題でございますが、これは大きく分けまして、飛行場の地域、たとえば隊舎のあります所、滑走路、誘導路のあります所、そういうふうな所をどちらが管理するかという地域的な管理の問題と、それから航空管制等をどちらが主管していくかという問題と、大きく分けて二つになるかと思います。これは今後運輸省とも十分に御相談をしてきめなければならない問題でございまして、今のところ、まだどちらという結論が出たわけではございません。しかし、いずれにいたしましても、これはどちらが管理するにいたしましても、どちらにも十分にその目的を達するように通常されなければならないのでありまして、そのために防衛庁と運輸省との間に十分緊密な協定が必要であろう、かように考えておるわけでございます。
#114
○政府委員(林坦君) ただいま御質問のございました点につきまして、果してあそこがどういうふうな問題になるかということにつきましては、まだ小牧の飛行場が返還ということがきまっているわけでもございませんために、詳細なる打合せはまだいたしておりません。従って、防衛庁の方であそこを使いたいという御希望のあることは伺っておりますけれども、どういう規模においてあそこを使うかということ、また、その使う方法等をどういうふうにするかということについての御説明を承わっていないのであります。従って、ここで抽象的にそういうことを申し上げることは、私も実はどうかと思いますけれども、今お話のございました航空機の将来、民間航空の将来という点につきましては、私、民間航空を担当する者としてはいささか別の見解を持っております。もちろん、航空運送事業なるものは、特に旅客輸送なるものは、世界各国の情勢から見ましても、今後非常にひんぱんになってくるということが予測されます。また、そうなって参りました場合に、果してあの大都市のそばにある小牧の飛行場、あれをもし民間航空を中心として使うということになるとしますれば、また、それは私どもとしては最も希望し、またそうあるべきだと考えておることでございますけれども、そういうことになった場合に、果してあそこがどの程度に自衛隊の使用の余地があるかという点については、相当こまかく検討してみる必要があると思っております。すでに米軍があそこにおりましたときに、米軍はジェットその他で離発着をいたしておりましたが、そのために少い回数の民間航空の飛行機がホールディングを受けたという――ホールヅィングと申しますのは、上で待機させられるのでありますが、相当の実例もあるのでございまして、果してあそこの使い方がどういうふうになるかということを、もう少し私どもとしては説明を受けなければ、にわかにはっきり申し上げることはできません。ただ、先ほども一般論として申し上げましたように、自衛隊の飛行場は非常に少い現状でございますので、その使い万の点において、私どもの方と話し合いがつく状態であるならば、私どもとしてはそういう点について十分相談はしてみたいと、かように考えております。
 また、運輸省といたしましては、航空交通管制の問題につきましては、これは航空法におきましてすでにはっきりきまった問題でございまして、民間航空を担当しております運輸大臣の専管事項でございます。特にその問題については問題はないと私は確信いたしております。
 なお、この管理の問題でございますが、もちろん、今、防衛庁の方からもまだきまっていないという御説明でございまして、事実きまっておらないのが現状でございます。運輸省としては、民間航空に必要なる施設の管理はぜひいたしたいという気持を持っております。
#115
○成瀬幡治君 自衛隊が使って、民間が使うと固定資産税は半々に当然になるわけですね、こう思います。それが一つです。これは奥野さんに一つお答え願いたい。
 それから最後に、要望として申し上げたいのは、先ほど申し上げたように、知事を初めあそこにも反対がありました。しかし、協力をしたのは、先ほど申しましたように、米軍が帰れは当然、国際空港、いわゆる民間航空になるものとして、みんな協力してきたわけです。これが自衛隊が入るということになれば、地元の人たちは、ほんとうに期待を裏切られたことになると思うのです。ですから、これは一つ防衛庁の方も、地元の意思というものを十分に一つ私はしんしゃくしてもらわなくちゃならぬと思います。自衛隊のいろんな都合もございましょうけれども、それをしんしゃくしていただきたい。これは大蔵省も当然、地元の結論というものは大体そういうことになってくれば、私はおのずから結論が出てくると思うのです。こういうものは一つ十分尊重してやってもらいたい。航空局も一つ自衛隊に負けぬようがんばって、民間航空の基地になることをお願いしておきます。
#116
○政府委員(奥野誠亮君) 自衛隊の使用にゆだねられます飛行場の土地が限定されました場合には、限定された土地だけがいわゆる基地交付金の対象になるものだと、かように考えおります。
#117
○委員長(小林武治君) 本件に関する質疑は、この程度にとどめます。
 暫時、このまま休憩いたします。
   午後三時十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時二十四分開会
#118
○委員長(小林武治君) 再開いたします。
 午前に引き続き、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題に供します。
 岸内閣総理大臣が出席されましたので、これより総理に対する質疑を行います。質疑は、理事会の申し合せに従い、質疑応答の時間をお一人十五分以内とし、通告順により、発言を許可いたします。
#119
○大沢雄一君 今回の改正は、都道府県議会議員の選挙区の取扱いなど、最近における町村合併の進捗に伴いまして、必然的に行わなければならない諸規定の整備と、衆議院議員の選挙運動期間の短縮が主体でありまして、その他の改正は実体的には多く異論はないのであります。
 そこで私は、都道府県議会議員の選挙区の問題については、後ほど郡自治庁長官にお伺いすることにいたしまして、岸総理大臣には、公職選挙制度の根本問題に関して、時間の都合もありますので、一括して二、三質問を通じて所信を承わりたいと存じます。
 第一は、衆議院選挙制度の改正問題であります。国権の最高機関としての国会が、現在の急進展する社会情勢に適応して期待される機能を発揮し得るかどうかは、選挙制度の内容によるところがきわめて多いのであります。私は、現在の衆議院議員のいわゆる中選挙区制度は、二大政党対立下の今日のわが国議会政治の姿に即応するものであるかどうか、戦後における人口の増加と急激な移動による定数再配分の問題、また、どうしたならば、いわゆる公明選挙を実現して、政治に対する国民の信頼を増すことができるか。単に別表の改正にとどまらず、選挙制度全般にわたって根本的な再検討を迫られていると思うのであります。小選挙区制は、先年国会に提案されまして、周知の経緯で廃案になったのでありまするが、総理は、この衆議院議員の選挙区制度を近い将来根本的に再検討なされて、改革を行う決意をお持ちになっておられるかどうか。私は小選挙区制の実現をきわめて望ましいものと考えるものであり、その是非についてもすでに世論の結論は大かた出ておる。成否は一にかかっていわゆるゲリマンダーにならぬ、公正に、フェアリーにやるべきかどうかにかかっておると思うのであります。従って私は、小選挙区制の成否は、この意味で総理の決意のいかんにかかると申し上げても過言ではないと信ずるので、ありまするが、総理は今なお小選挙区制の実施を考えておられるかどうか。おそらく真剣にお考えになっておられ、勇断をもってその実現の時期をできるだけ早い機会に待望しておられると了解して差しつかえないかどうか。
 第二は、参議院選挙制度の問題でありまするが、御承知のように、参議院の全国区制につきましては、現在いろいろ欠陥が指摘されております。何らかの改正を要するとの声が圧倒的であります。また、参議院の議員の任期六年についても長過ぎるというものが多い実情でありまするが、しからば、これをどうしたらいいかということになりまするというと、先般の選挙制度調査会の審議の経過に徴しても、なかなかこれならという名案も見出せないのが現状であります。しかも問題は、結局二院制度の意義、すなわち、衆議院の選挙制度との関連において参議院の選挙制度は考えられなければならないのでありまして、たとえば、地方区だけにするという案についても、それでは衆議院と同じ段階のものになり、二院制度の意義は薄れるという懸念から、全国区廃止の実現に踏み切れないのが現状ではないかと思うのであります。そこで、もし近い将来、衆議院に小選挙区制が採用されるならば、世論の帰趨も私はおのずから導き出されるのではないかと考えるのであります。昨年、総理の諮問に対し、選挙制度調査会は、参議院の選挙制度に関してはついに答申するに至らなかったのであります。これは衆議院における小選挙区制の実現を見ない現段階においては、むしろ当然の成り行きともいえるのではないかと思います。参議院選挙制度の問題に関しては、総理は今後どうなされるお考えであるか、この際所信と改革実現の構想をお伺いできれば幸いであると存じます。
 第三は、今回御提案の衆議院議員選挙の運動期間の短縮についてであります。私は現在のマスコミの時代におきまする選挙運動の期間として、二十日間は決して短か過ぎることはないのではないか。英、仏においても大体国会の選挙運動期間は二十日、その他の国国においても大体二週間から三週間であります。また、わが国においても人口三十万あるいは五十万にも及ぶ市の市長及び議員の選挙は十日間の運動期間で支障なく行われておることを考えますれば、衆議院といえども二十日間で短か過ぎることはないのではないかと思うのであります。地方の、自動車もほとんどなく、ラジオや拡声器もなかった大正末期以来、大体二十五日でやっていることを思いますれば、交通、通信が飛躍的に発達をし、選挙公営がここまで拡大をされました今日、二十日間ということはちょうどよいところではないかと思います。選挙は、もちろん体力の競争ではございません。今回の期間の短縮は、党利党略でもなければ、新人の進出をはばまんとする意図のごときはごうもないと信ずるのでありますが、総理のお考えを承わりたいと存じます。
 以上、三点につきましてお伺いする次第でございます。
#120
○国務大臣(岸信介君) 衆議院の選挙制度につきましては、御指摘になりましたように、中選挙区の現行でいいかどうかという問題に関しましては、私自身といたしましこま、二大政党ということが民主政治の運営上最も望ましい形であり、この二大政党を真に健全に国民政党として、両党ともこれを発達せしめていくためには、ぜひとも小選挙区制をとるべきものであるというのが、私の従来から持っております信念でございます。ただ、この小選挙区制の問題につきましては、御指摘になりましたように、いわゆる別表についての問題でございまして、この別表のいかんによりまして、いわゆるゲリマンダー等の批評もあることでございますし、私は衆議院選挙制度につきましては、ぜひ小選挙区制度に基いて最も公正なる選挙区を、公正なる第三者がこれを審議決定して、そうして小選挙区制が実施されることを心から望んでおるのであります。すでに御承知の通り、先年選挙制度調査会の答申したものもございます。しかし、当時とは、町村の合併その他におきまして移動もございますし、十分にそういう点も検討いたしまして、できるだけ早い時期にこの成案を得て提案をいたしたいと考えておりますが、それまでに、今申しましたような公正な立場において、この問題を権威者によって根本的に検討いたしまして、そうしてこの問題の実現を期したいと、かように考えております。
 第二に、参議院の選挙制度の問題でございますが、これまた、御意見にもありましたように、両院制度の本質も考えなきやなりませんし、現在行われておる全国区という制度についての欠陥もずいぶん指摘されております。しかし、これにかわるにどういう案がいいか、また、参議院の衆議院と違ういわゆる両院制度の本質を十分に特徴を発揮しつつ、そして選挙民との間における十分な連絡のつく選挙制度をどういうふうに立てたらいいかということにつきましては、いろいろな点から十分な検討をしていかなければならぬと思います。現在、選挙制度調査会にこの問題を含めて諮問をいたしおりますが、まだ成案を得てない状態であります。私は十分に一つ慎重に検討いたしまして、この参議院の選挙制度につきましても、相当根本的にいろいろ検討し、適当な案を立てていく必要があると、かように考えております。
 台の、運動期間の短縮の問題でありますが、選挙運動の期間を幾らにするかという問題につきましては、これまた、いろいろの点を考えなければならぬと思います。現行の二十五日という制度、この運動期間につきましては、相当長い沿革を持っておりまして、これがきめられた当時の事情と、交通、通信の事情なりあるいは政党の発達、二大政党としての政党が発達してきた事情、いろいろな点におきまして、相当に事情が変ってきております。従いまして、この運動期間というものを、従来二十五日をそのまま墨守するということは、事情に私は合わぬと思います。ただ、この問題につきましては、十分に選挙運動の目的を達するだけの期間は、もちろん、短かい方がいいからといいましても、必要でありますし、また必要な期間をこえて特に長くしておくということは、むしろ選挙運動の本質から申しましても望ましいことではありません。どの辺にするかということをいろいろ検討いたしまして、私どもは二十日が適当であるという結論を得たわけであります。一部には、これが何か党利党略の結果、そういうふうに定められたのじゃないかという疑いをもっての御議論もございますが、私どもは全然そうは考えておらないのであります。また、二十日にすることが、新人の出ることを妨げはしないかという御懸念もあるように承わっております。しかし、もちろん期間が短かくなるということは、理論的には一応私は、新人として新たに立つという人には不利じゃないかという御懸念もごもっともだと思います。しかし、現在の政党の発達した何から申しますというと、ほとんど実情は、新人といえどもいずれかの政党に属して選挙に立つというのが普通の状態になっております。また、そういう意味において、すでに政党そのものが主張なり政策なりというものを千分に国民にあらかじめ徹底せしめるようなことにもなっておりますので、特にこれが新人に対して不利であり、新人の立候補を困難ならしめるというふうな結果には私はならないだろう、事実問題として、理論的の一つの何としては別でありますが、実際問題としては、御懸念のようなことはないだろう、こう考えております。全くこれがそういう何か特殊な意図から出たのではなくして、交通、通信の発達、二大政党の発達、運動方法の変化等に基いて、最も実情に適した適当な期間としてこれを制定しようというわけであります。
#121
○松澤兼人君 公職選挙法に関連いたしまして、母総理にお伺いしたいのであります。今回の公職選挙法の改正法律案は、これは従来と違いまして、政府提案で出てきているわけでありまして、内閣としましては、この改正案の成立の時期ということについては、相当大きな関心を持っていらっしゃると思うのであります。特に解散必至というようなただいまでありますので、その成立する時期ということが、いつが適当であるか、いつを希望するかということに対する総理自身としてのお考えがあると思うのであります。この点について、まず第一にお伺いしたいと思います。
#122
○国務大臣(岸信介君) もちろん政府が提案をいたしてしおりまして、これが提案も、いろいろな事情で多少おくれました関係上、両院の十分なる御審議をいただかなければならない大事な法案でございますから、私ども政府としては、一日も早く成立を望んでおりますけれども、しかし十分な御審議を願った上で、これの成立をぜひとも期待いたしたいのであります。今何日までにこれを通していただきたいというようなことを具体的に考えているわけじゃありません。気持から申しますというと、一日も早く、一つ成立させていただきたい、かように考えております。
#123
○松澤兼人君 自民党の中におきましては、すでに審議が始まらない昨日くらいから、二十一日に成立というようなことを言ってきているのであります。これは参議院における自社両党の幹部の懇談会におきましても、やはりこれが出まして、二十一日には成立させてくれ、こういう強い要望があったように承わっているのであります。これは必ずしも内閣の意思でないということを了解してよろしゅうございますか。
#124
○国務大臣(岸信介君) この御審議につきましては、今申しましたような私は、内閣としては気持を持っておりますが、さらに具体的にどういうふうに審議し、どういうふうにこれを上げていくかということは、国会対策なり、あるいは本委員会の理事会その他において御審議願いまして願っていただきたいと、かように考えております。
#125
○松澤兼人君 予算の審議の過程におきまして、予算は三月の三十一日ほぼ成立する、そうするとあとは予算に関係する重要法律案というものをぜひ上げなければ解散には追い込めないのだということは、繰り返し総理がおっしゃっていらしていたと思うのでありますが、現在上るものは上りましたし、残っているものもずいぶんたくさんある。で、この際、解散が真近いというこの時期におきまして政府として何を一体重要法律案として上げたいとお考えになっておるか、万やむを得ない場合には残るものもあるかもしれない、しかし、これだけは公約の手前もあるし、あるいは選挙に臨む自民党の立場もあるし、あるいは、または政府独自の立場から、国民経済の発展なりあるいは経済の自立なりという点からは、これだけはぜひとも解散前に上げたいという法律案は、おのずから序列があって、すでに強力に推進しておられると考えるのであります。この点はいかがでございますか。
#126
○国務大臣(岸信介君) 特に私まだ、いろいろとこの解散の時期等につきまして、いろいろと御議論や御意見等もございますようでありますが、私自身として、いつ解散するということを決意いたしておるわけではございません。ただ、世論なり、いろいろな議論が、そういうことが従来よりも一そう強力になっておるという実情でございますから、政府としては、実はできるだけ早く政府が提案いたしております案件が成立するようにということを願って、努力いたしておるわけであります。しかし、実際の御審議の事情から申しまして、あるいは会期一ぱいかかっても成立がむずかしい、これは従来の例から見ましても、むずかしいものもございますし、あるいは会期一ぱいどうしてもかかるだろうというというような見通しのものもできますし、あるいは今月一ぱいには成立するであろうというような審議の御進行のものもあるようであります。これらにつきましては、政府また与党並びに議運等におきまして、十分一つ個々にお話を申し上げて、御審議の促進の御協力を願っておるわけであります。今、私は、ここに政府が今出している案件の序列をつけて、どれとどれとについてはいつまで、どれどれとについてはどうだというふうなことを具体的に申し上げるまでの資料も持っておりませんし、考えも実は持っておらないのでありまして、今申しましたような意味におきまして、予算に関係しておる法案においてまだ成立を見てないが、しかし、予算を施行するためにはぜひ成立をさせなければならぬという案件もございますし、また、すでに御審議を願っております案件であって、政府提出のもの、たとえばこの選挙法のごとく、きわめて重要だと考えておるものにつきましては、御審議を促進するように、一そう政府としても努力をいたし、皆様の御審議促進に一つお願いを申し上げておるわけでございます。ただ、どれとどれとをどうするのだと今御質問でありますが、そういうことについて具体的に申し上げるだけの考えを持っておりません。
#127
○松澤兼人君 提案いたしておりまするものが、全部適当の機会に成立するということは、これは何よりけっこうなことでありますが、しかし、なかなか相手のあることでありますから、そう問屋はおろさないということも考えてみなければなりません。世論に聞いて、近く解散という事態が起るということが必然であるとすれば、やはり政府といたしましても、この際、愛知官房長官なり、適当な方々から、これだけはぜひお願いしたいということは、一言ごあいさつがあってしかるべきだと思うのでありますが、そういう手続をおとりになるお考えがありますか、それをも、そういうことを抜きにして、もう国会審議にまかせるのだということでございますか。
#128
○国務大臣(岸信介君) 国会審議におまかせしないと言ったって、おませかする以外に道がないのでありますが、しかし政府としてもぜひ成立さしたいというような案件につきましては、それぞれその御審議の促進方について、これを促進するようにする、あらゆる努力をいたすつもりであります。ただ、今お話のように、官房長官か何かからごあいさつ申し上げて、これとこれとはぜひ通すのだ、その他はまあやむを得ぬというふうには、なかなか政府の立場から申しますというと、そういうあきらめるということは、これはなかなかむずかしいことでありまして、今、御審議の相手のあることであるからというお話も十分承知いたしております。われわれもうんと努力いたしまして、必要なものにつきましては、さらに御審議を促進願いたい。
#129
○松澤兼人君 もし、これは国会審議にゆだねて、これとこれとはお願いするという選択的なリストをお出しにならなければ、われわれとしましては、五月十八日まで会期はあるものとして審議するということになる。ここはやはり話し合いでありまして、総理がもう解散の決意をしておられるということであれば、大がい見当をつけて、いつごろまでに重要法案は上げてもらいたいということをおっしゃった方が、決意を早める方からいっても適当じゃないかと思うのですが、そういうことは全然考えられませんか。
#130
○国務大臣(岸信介君) これ、なかなか微妙な問題でございまして、松澤委員のお心持も私にわからないわけでもありませんし、また、私がこう申し上げている気持もわからないわけじゃないと思うのです。私も今ほんとうに解散するということを決意しているわけじゃございませんが、しかし、先ほど申し上げているように、最近の情勢というものは、そういうことが非常に濃厚になっているというこの事実は、政治家として無視することはできないのだと、おそらく皆様も、従来の一月解散のときとは違って、いろいろ御心配になるから、重要法案をいつまでに審議するか、はっきりした方が政府のためじゃないかという御意見も出るのだと思う。それですけれども、私申し上げる通り、今、まだそれをきめておらないものでございますから、いつまでにこれとこれとはぜひ通して下さいということをお願いするというまだ段階ではないと思うのです。また、そうお願い申し上げても、あるいは御審議の何からいうと、なかなかそうはいかぬぞという御意見もございましょうし、まあこれはおのずから以心伝心で重要だと思われるものの御進行を願いたいと思います。
#131
○相馬助治君 関連。首相の答弁はごもっともでございますが、今ここで問題になっているのは、公職選挙法の一部を改正する法律案で、解散するとするならば、最低この法律案が成立することが望ましいと思うのです。従って、松澤さんが言うように、解散はいつだという質問で答弁が苦しかったら、私は別な形でお聞きしたいのです。すなわち、公職選挙法の一部を改正する法律案がいつまでに成立することを、あなたは強く期待されるか、少くともこの法律はいつごろまでにぜひ作り上げてもらいたいということになりますれば、そこは以心伝心で、われわれも世論に協力する意味において、夜に日をついでも本法を審議いたしまして、首相の期待にこたえないでもないわけだ。従いまして、公職選挙法の一部を改正する法律案をぜひともいつごろまでにおそくも作り上げていただきたい、こういうふうにおっしゃれば、あとは、われわれは以心伝心で了解いたしますが、今の程度では、われわれの頭が悪いのかどうか、まだ判断に至らないので、ぜひこの法律の成立を期待される日時を明瞭にお示し願いたい。それ以上は少くとも私はお聞きいたしません。
#132
○国務大臣(岸信介君) 先ほども松澤委員からお話がありましたが、私も他の方から伝え聞いておるのでありますが、この案件を二十一日までに議了しようじゃないかというお話が出ておるということで、大へん望ましい時期であると思います。
#133
○久保等君 関連 簡単に解散問題で、なかなか総理も微妙で、御答弁できにくいと思うのですが、ただ、もうすでに新聞その他で伝えられておるように、来週中には解散は必至だというような情勢が出て参っておるように私ども見ているわけなんです。特に昨夜、石井副総理が新聞記者団に対して、来週中にいよいよ解散が行われるであろうというような言明をなされたというような新聞報道もあるわけなんですが、特に副総理ということになって参れば、総理自体のお話はないにしても、私は一体それならば、このこと自体は、総理は全然おれはもう腹にも思っておらない、予想だにしないことだというふうにお考えになりますか。
#134
○国務大臣(岸信介君) 先ほども申し上げましたように、私いつ解散するという決意はまだいたしておりません。ただ最近において世論も、あるいは国会内のこの解散問題に関する考え方が非常に強く濃厚になってきておるという事態は十分認識しておると申し上げた、この程度であります。全然解散ということを夢にも考えてないというような白々しいことは申し上げません。それがいつ何日に解散するという決意があるかということについては、ほんとうに私まだ決意をしているわけでございませんから……。
#135
○久保等君 副総理……。
#136
○国務大臣(岸信介君) 副総理がそういうことを申したということでございますが、もちろん、閣議でそういう話が出たわけでもございませんし、いろいろやはり副総理としても、副総理として言ったのか、あるいは一議員として石井君が申したのか、この問題は、御承知の通りあらゆる点で論議されておりますから、いろいろな意見が出ますこともどうもやむを得ぬかと思います。
#137
○松澤兼人君 大体、新聞で拝見するのでありますけれども、農繁期に入らないうちだ、それからメーデーは避けたい、日曜であってもなくてもいい、重要法案が成立した後、これだけのワクがはめられているのですから、それ以外に考えられますか、解散の時期というものは、あるいは選挙の時期というものは。おそらく、これだけのワクをはめられて、これ以外の解散の時期とかあるいは選挙の時期というものは考えられない。何か奇想天外な着想でもあれば別ですけれども、おのずから総理の決意というものはこういうワクの中で決断を迫られてくるんじゃないかと、こう思うのです。そこで、岸総理がもう一つ踏み切りにくい条件というものは、社会党にイニシアを取られちゃ困る、自民党のイニシアにおいて解散したいのだ、こういう気持が総理の腹の中にあるのじゃないかと思う。これは昨日の新聞にも書いてありましたように、こういうことはささいのことでありまして、結局、争うのは政策であります。解散のきっかけをどららがとるかということは、おそらく問題でないと思うのです。総理はこのことにこだわっておられるかどうか。もっと大局に立って解散のきっかけを握るべきではないか、私はこう考えるのですが、いかがでしょうか。
#138
○国務大臣(岸信介君) 今度の解散につきましては、私は、まあいろいろな御議論があると思いますが、私自身は、要するに来年任期が終了することをある程度繰り上げて国民に信を問うということが、一番大きな私は理由であると思うのです。従いまして、今特に反対見たる社会党と与党たる自由民主党、かねての主義、主張、もしくは政党の性格というようなものは、これは違っておりますけれども、特にある具体的の問題において国会内において意見が対立し、これのいずれかについて国民の判断を問うというような事態とは非常に違うと思うのです。従いまして、そういう意味において、私自身、従来から国民の世論の声には十分に謙虚に耳を傾けるけれども、特に急いでこの解散ということは、日本の何として望ましくないといって今日まで参っておる状況でございます。しかし、近時の国民の声なり世論の動向というものは、これを無視することのできないようにこれは強くなってきておるという事実を考えまして、やはり任期もすでに来年に迫っており、どうししも本年中にはやらなければならぬという事態に置かれておるわけでありますから、そういう意味において国民に情を問うということになると思うのでありまして、今、松澤委員のお話しのように、どちらがイニシアチブを取るとか何とかいう問題は、もし具体的のこの案件において両党が争って、これが決せないで国民に信を問うというようなことでありますというと、そういうことが言えるかと思いますが、今回の何につきましては、そういうことは私考えてもおりませんし、今申したような心組みでおるわけであります。
#139
○松澤兼人君 一部には社会党が不信任案を出す、まあ数の関係で衆議院では否決になる。しかし否決に持っていかない前に、両党が十分に政策の異なるところを論議して、そこで解散ということが一番適当なきっかけではないかという話もあるのです。これにつきましては、どういうお考えでございますか。そういうことに全くこだわらない、全く総理の決意で、適当な時期を選んで解散ということに持っていくお考えでありますか。
#140
○国務大臣(岸信介君) 解散の何といいますか、きっかけというか、あるいは解散の方法と申しますかということについて、いろいろな御議論もあるようであります。今、松澤委員のお話しのように、社会党が不信任案を出して、それの理由及び反対討論等が行われて、決をとらずに、そこで解散したらいいじゃないかという有力な御議論もあることは私承知いたしております。しかし、いろいろな場合を私としては考慮いたして、適当な方法、適当な時期に解散をいたしたいと、かように考えておるわけでありまして、まだ不信任も提案いたしておられませんし、どういう理由で不信任案を御提案になるかということも想像もできない際に、必ずそういう方法によってやるとかいうようなことを申し上げることも適当でなかろうかと、かように思っております。
#141
○松澤兼人君 それでは解散の時期につきましては、何度総理にお尋ねいたしましても明確になりません。しかし世論が、この時期に解散すべきであるというその世論には十分に聞いていくつもりであるということだけはわかったわけであります。先ほど大沢委員の方から、小選挙区及び参議院の全国区の問題についてお話がありました。これは一つの見解だと思うのであります。私は、岸総理が小選挙区論者であるということをよく承知しております。しかし、あなたがもし内閣総理大臣であるといたしますならば、かりに以前幹事長の時代において、小選挙区法案を強行突破しようとされました。そういうことがありましても、ただいまのたとえば大沢委員の御発言に対しましては、これは衆議院の小選挙区及び参議院の全国区、そういう選挙区制の改正の問題については、あらためて検討してみたいと、こういうふうにお答えになるのが適当だと思うのであります。中選挙区にあらずんば小選挙区ということは、それぞれ利害得失があること、でありますから、二者択一、こちらでなければあちらだということは言えないと思うのです。少し時間をかけて、これにかわるべき他の方法というものもあわせて検討してみて、初めてそういう公正な調査会における結論が出て、政府がこれを聞くということが、ほんとうに民主的であって、かつて小選挙区法案を強行突破されたその心境でもって、今後衆議院及び参議院の選挙区の改正を考えられているということであれば、われわれとしては非常に不満足でありますし、そういう考えでまた強行突破されるということであれば、また不測の事態も起らないとも限りません。本直にそういうところはそつのない答弁をなさらなければいけないと思うのでございますが、いかがでございますか。
#142
○国務大臣(岸信介君) もちろん、選挙制度の問題は、これは民主政治の上の基本的なものの一つでございますから、これが制度の根本的改廃というものを慎重にしなきゃならぬことは言うを待たないところであります。ただ、私自身が小選挙区論者であり、その小選挙区論というものは、一部でいわれているように、自党に有利な選挙制度としてこれを考えているわけではございません。ほんとうに二大政党が民主政党として発展していく上においてはやはり小選挙区制でなければいかぬという考え方を、いろいろ欧米の歴史や、また日本の選挙の実情、政党の実情から私は痛感をして、そういうことを考えておるわけであります。この小選挙区制度論そのものにつきましては、この前の小選挙区制の提案をいたしましたときにおきましても、相当に国民の間に私は支持者があったと考えます。ただ、あの場合に出しました具体的の選挙区制につきましては、相当手ひどい批判があり、これに反対の中心が置かれておって成立を見なかったという実態も、私よく承知いたしております。従いまして、もちろん、私のこの信念は、ただ思いつきでもない、私の政治的の、民主政治に対する、二大政党に対する一つの根本的な考えでありまするがゆえに、先ほど大沢君に私の信念の一端を述べたわけであります。決して、これについて私が倉卒の間に、またこの前、提案したところの案そのものをもって直ちに臨んで、そうして無理やりにでもこれを多数をもって通過させようというような考え方を持つものでないことは、私がここに申し上げるまでもないのであります。十分慎重に検討いたしまして、十分に国民の納得がいき、支持のあるような案を得て、これを提案し、民主的に御審議を願って、成立を願っていきたい、こういうつもりでございます。
#143
○松澤兼人君 期間の短縮の問題につきましては、これは総理は、衆議院におきましても、ただいま大沢君の質問に対しましても、これが決して新人の進出を阻止するものでもなければ、あるいはまた、言論を制限するものでもないというようなことを言われたのでありますが、しかし、肝心の選挙期間が短縮されれば、それに比例してというのはおかしいですが、それに比例して事前運動が活発になるし、また長くなるということも考えられるのでありまして、もちろん、われわれは二十五日を三十日にしろということを言っておるわけではありません。しかし、現行で非常に弊害の起らない期間であるならば、これをしいて短かくするということは納得がいかないのでありまして、その短かくなった分だけ事前運動が長くなる、あるいはそれに相応して長くなるというようなことになればこれは大へんなことになると思うのであります。そういう弊害をお認めにはなりませんか、どうですか。
#144
○国務大臣(岸信介君) この選挙の運動期間の問題につきましては、先ほども一言申し上げましたが、日本の立法の沿革から申しまして、また、参議院の選挙運動期間を、五十日であったものを、三十一年の選挙からでありますか、二十五日に短縮をいたしました。別にそのために特に支障も来たしておりませんし、参議院の選挙とこの衆議院の選挙とを比べてみまするというと、選挙区が非常に狭い関係もございますし、私どもは二十日をもって十分ではないかと、また、いろいろな運動の方法につきましても、むしろこういう期間に集中してやる、との方が、より選挙運動を効果的ならしめる道であるというような考えから、二十五日を二十日に短縮したいと、こういうわけであります。
#145
○松澤兼人君 岸総理の汚職の徹底的な追放ということは、いろいろ私どもも承わっております。私は、現在衆議院で問題となっておりますことにつきましては、ここでお伺いいたしませんけれども、もし公明選挙であるとか、あるいは汚職の徹底的な糾弾であるとかいうことを実現されるならば、この選挙を通じてなさるのが一番適当だと思うのでありまして、そこで、とかくのうわさのある人々を公認しないとか、あるいは選挙に金がかからないようにするとか、こういうようなとは当然なさるべきだと思うのであります。しかし、中には閣僚の一人が某省に回りまして、それで、二百二十一億の経済基盤強化の基金がある、この一部分は港湾施設の改良のために使い得るのであるから、われわれの推薦する者を十分に援助してくれるならば、大いに考えるということを言っておられるのであります。閣僚自身がそういう利権誘導的なことを発言されるということは、そもそも公明選挙というものが足元からくずれておると、こう言わざるを得ないのであります。もちろん、岸総理はそういうことを御存じないと思いますけれども、しかし、こういうことがもしあちらこちらでいわれておるとするならば、これは大へんなことです。そういうことに対して、厳に閣僚相戒めて、かりにもそういう利権的な言辞を評して選挙を有利にするというようなことをしてはならないということを、はっきりと閣議でもって申し合せをなさるべきではないかと、こう思いますが、いかがですか。
#146
○国務大臣(岸信介君) 汚職政治を正常なものにする根本は、私はやはり公一明選挙を徹底するということが一番大事なことであると思います。公明選挙ということは、言うまでもなく、金品をもって買収するというようなことが許されないことは言うを待ちませんが、今お話しのような利権の誘導によって投票なりあるいは特定の候補者に対する支持を求めるというようなことは、公明選挙の精神に反するものであることは言うを待ちません。従いまして、私、今具体的の事実については何ら関知いたしませんけれども、特に閣僚その他におきましては、言動を慎しむべきものであると思います。御趣旨につきましては、全然私同感であります。
#147
○松澤兼人君 最後に申し上げますが、名前を言った方が御都合がいいと思います。河野企画庁長官でございますが、経済基盤強化基金というものは、河野長官の手元にあると思うのであります。それが、港湾のあるところに行きまして、そうしてわれわれを支持してくれたら、またその二百二十一、億をくずして一つ援助を与えてやるなどというようなことは、全くこれは利権によって投票をつるということじゃないかと思うのです。まことにけしからぬことだと思うのです。こういうことがもし現在の内閣で行われているとするならば、これは公明選挙も何もあったものじゃない。それは力と金を持っている者が勝つにきまっています。正しい主張なんというものは決して勝てない。ですから、私さっき申しましたように、閣議でもってこういう不純な動き一われわれから見れば不純な動きなどいうものはあってはならないのだ。どこまでも公明な戦いをするのだということを申し合せて、厳にこれを閣僚全部の方々に申し渡していただきたいと思うのです。
#148
○国務大臣(岸信介君) 事実は一応私の方でも十分鮮明をいたしますが、閣僚が応援演説その他の場合におきまして、利権誘導のごとき言辞をすることは厳に戒めることを申し合せることに、つきましては、私同感でございますから、十分に善処したいと思います。
#149
○中田吉雄君 私はまず、松澤委員とも関連するのですが、今からでもおそくないから、解散の時期を予告し、明示さるべきではないかという点であります。民主政治のよきルールの確立のためには、あらゆる機会に努めなくてはならぬと思うわけですが、特に議会政治の最も大切な解散の時期というものを、もう大体十日かあるいは一週間というふうにしぼられているのに、なおこれを明示されないということは、解散権をもてあそぶといっては恐縮ですが、民主政治家として私は岸総理のためにとらないところだと思うわけであります。予算委員会でも申し上げましたように、カナダは三月三十一日に総選挙をやりましたが、二月二日に予告し、五月二十五日にやるイタリアの選挙は、三月十六日にすでに予告して、国民に公正な判断を与える心がまえの準備を求めているわけであります。私は、今からでもおそくないから、勇断をもって総理とされてははっきりさるべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
#150
○国務大臣(岸信介君) 中田委員の今のお考えは、予算委員会におきましても同様な御趣旨の御意見を承わりました。私はそういうことも一つのお考えとして大いに傾聴すべきお考えであると思います。ただ、一体今回の何につきましては、国会におきましては、実は私、一月の解散ということの論議もずいぶん一部にはありましたし、また野党である社会党の解散決議案というものも上程をされましたが、その際に所信を明らかにして、今の経済状態の不安定な時期において、予算案初め重要なる案件を成立せしめることの方がより重大な政府の責務と思うがゆえに、一月の解散はしないということを申して今日に至っておるのであります。実はそういうつもりで、私どもはいろいろな案件を提案をいたして御審議を願って今日にきたのであります。しかるに一方、私の気持から申せば、五月の十八日までのこの会期一ぱい御審議を願って、そうして重要案件は成立していただきたい。それから、先ほど申しているように、任期満了の何が来年の二月でありますから、どうしても秋の適当な時期にするのが適当であろうというような これが常識ではないかということも、私は非公式にも、また新聞記者会見においても述べてきて一おったのであります。しかるに、最近の世論の動向なり、あるいは国会内においての論議の事情を見まするというと、これはやはり、従来私が申しておる、国民の声に耳を傾けていかなければならないという意味から、大いに考えさせられておるというのが、私の現在の心境でございます。従いまして、もしも、最初に私が考えておったように、だれもが考えておった常識、この国会を終って、秋に解散され、そうして国民の総選挙によって政党あるいは個人に対する信任を問うということが行われるというような事情に置かれますというと、私は相当時期を置いて予告して解散するということが適当であろうと思います。しかし、今日の事情は、先ほど申したような経緯をとって参っておりますので、御意見は御意見として傾聴すべきものがありますが、私はそういう先例を作るのに適当な状態にあるとは、実は私自身は考えておらないというのが私の考えでございます。
#151
○中田吉雄君 私はまあそういう基本的な解散に対する考えを持っているのですが、岸総理の聰明さにあわせて決断を求めておく次第であります。
 次に、わが党が近く不信任案を提出いたしますことは既定の方針ですが、それをどういうふうに受けて立たれるか。政府は野党の発言を封殺するために、不信任案を上程させずに解散をされるじゃないか、従って、不信任案の提出の時期が解散の時期をきめる一つのきっかけになるじゃないかと言われておりますが、私はやはり与野党がはっきり態度を国会を通じて国民に宣明し、そうして三年間経過いたしました現状を、国民はどの党に国民主権をまかせるかという判断の機会を与える意味においても、私はやはりそういう態度をとらるべきではないかと思いますが、わが党の不信任案に対する受け方について御所信を承わりたいわけであります。
#152
○国務大臣(岸信介君) 先ほどもその問題につきまして一言触れたのでありますが、私はまだ不信任案は、中田委員は出すことは既定の事実であるというお話でありますが、事実まだ提出されておるわけでもございませんし、私どもまた不信任の理由等につきましても、これをつまびらかにすることができないのでありまして、どういう方法によって、それに対してどう対処するかということにつきましては、まだ私は具体的の考え方がきまっておるわけではございません。ただ、この不信任案が出た場合に、今、中田委員の御意見に・もありましたように、十分に国会を通じて議場を通じて、不信任の理由、またこれに反対する理由等を明らかにして、そうして決をとらずに、そこで解散をするという一つのルールを立てたらいいじゃないかという有力な御意見のあることを私は承知いたしております。しかし、私自身として、必ずその方法によるとか、あるいはその出てきます何を見まして、これは与党としてはおそらく賛成する者はございませんから、否決して、そうしてあらためて解散するということも考えられておりますし、あるいはその提案の時期いかんによりましては、その前に解散ということが行われるかもしれません。これは具体的にそういうことが現実の問題となった上で、最後の決心をきめるべき問題であろうと思います。
#153
○中田吉雄君 選挙運動期間の短縮の問題、いろいろ議論されていますが、私はもう選挙が始まろうとしている、土俵で仕切りがなされておるときに、そのワクを縮めるということがいいかどうか。今回は大体予測されていますから、新人等には問題ないと思うのですが、吉田総理のような乱暴な抜き打ち解放を、心がまえができていないようなときにやられる場合、少くとも運動期間というものは、あらゆる場合を予測して決定すべきだと思いますが、私はその一点でも、今回のような場合はあるいは間に合うかもしれません。しかし、ばかやろう解散というような、抜き打ちにやられるようなあらゆる不測の場合をも考慮して、やはり土俵の仕切りというものはきめるべきではないか。この一点で、私はもう相撲の仕切りが始まっているのに、それを狭くするということは、今回は別として、あらゆる考慮のもとに妥当ではないのではないかという一点で疑問を持つのですが、いかがでしょうか。
#154
○国務大臣(岸信介君) この二十五日を五日間、まず根本な問題といたしまして、五日間狭めることが、果して世間で一般に憂えられておるように、心配されておるように、新人の出ることを非常に困難ならしめるものであるかどうかという問題につきましては、私は現実の問題、理論的にはとにかく、五日間だけ  現在議席を持っておる人からいえば、すでにそういうネームバリューが通っておる。しかし、新人として全然無名な人であるとするならば、五日間でも、それは理論的には確かに二十日間よりも二十五日にしておけば、五日間だけ運動の期間があり、周知せしめる期間があるのだということが言えますけれども、最近の選挙の実情から見ますというと、もちろん無所属の人も、これをとめるというか、あるいはこれを抑圧するという考えはございませんけれども、選挙の実情からいうと、二大政党によって、いずれかの党に属して公認を受けなければ、実質上有利な選挙が行われないというような立場にあり、また、公認を受ければ、それが新人であろうと、あるいは従来からの旧人であろうと、国民に信頼を受けておる政党の公認候補者としての意義が出てくると、こういうような事情から申しましても、この五日間短縮をすることによって、非常に新人の何を困難ならしめるということは、一般に憂えられておるように、また、理論的の問題であって、事実問題としてはそう御心配は要らないのじゃないかというのが私どもの考えでございます。今すでに選挙がある程度始まっているじゃないか、その仕切りがやられているときに、そのときに土俵を狭めるとかいうことは、はなはだ適当じゃないじゃないかという御議論でございますが、この点は、実は今回の選挙は、昨年来大いに野党の方から早く解散しろ、しろという強い声がございましたために、なかなか、そういうような選挙があるだろう、秋にあるだろう、一月に解散があるだろうというようないろいろな想像のもとに、あるいは夢前運動があまり盛ん過ぎるのじゃないかという非難すらあちこちにあるように、相当現職の人といえども、新人といえども、いろいろな意味において、選挙区には周知方を相当長い間努めておるのでありまして、今回これをやりましたために、何か非常なアンフェアーなことが事実上起るということは、私はないというふうに思うのであります。
#155
○中田吉雄君 参議院の全国区の問題ですが、大沢、松澤両議員に対する答弁では、広く御検討されるということですが、もう選挙は来年に迫っているのですが、来春は全国区は現行選挙法でやられるものと理解していいように思いますが、いかがでしょう。
#156
○国務大臣(岸信介君) これは御承知の通り、選挙制度調査会に諮問いたしまして、昨年の秋でございましたか、参議院の選挙区の問題も含めて全面的に検討を願っております。まだ審議中でございますので、結論を得ません今日、何とも申し上げかねますが、幸いに、政府としても、なるほど適当な案だと思うような答申案が出てき、その時期が早い時期でありますならば、まだ特別国会もございますし、いろいろな御審議を願う機会もあろうかと思います。必ず来年は現行のままでやるということをここで申し上げることは適当でない。しかし必ずそれまでに変えるということを私申し上げておるわけじゃございませんで、この問題は非常に大事な問題でございますから、今の審議会の議を経て適当に善処したい、かように考えております。
#157
○中田吉雄君 この今回の選挙法の改正は、二つの点で、極端な表現をしますと、党利党略に基く改正案である。二十五日を二十日にするというのは、何といっても二百九十名おられる自由民主党に有利であります。第二番目には、これは非常に問題ですが、町村合併等で飛び地ができたということに名をかり、地方選挙の小選挙区制を、一区一人制がたくさん実現するという二つの点が中心ですが、これは非常に重要な問題を含んでおるが、その前に私は、実際今回やらねばならなかった問題は、選挙区定数の不均衡是正、現行選挙区の定数は昭和二十一年にできたのですが、たとえば東京等はその際に三百九十七万の人口のときに二十七名になって、昨今は八百六十万くらいになって、ほとんど二十名近くもふやさねばならぬのに、これはある意味でいえば、国民主権が地域的に、はなはだしく制限されているという面で、私はこの点こそ、一票々々を重要視するという民主主義の立場からいうと、非常に大切なもので、これこそ優先さるべきではかったかと思うのですが、大体こういうところを改正すると、社会党がよけいふえるというようなことで、見送られたものと理解してもいいと思うのですが、いかがですか。
#158
○国務大臣(岸信介君) 最初に、これ、御質問の主眼点ではなかったと思いますが、何か、二十日に短縮したことが、党利党略だというお話でありますが、私は決してそうじやないということを先ほど申し上げました。今、中田委員は、与党は二百九十名持っておるから、その方が有利だというようなお話がありますけれど、これは私はないと思う。ただ問題は、理論的に、新人と現職との差の議論はある。むしろ短かくして、それが非常に周知方が困難だというと、候補者をよけい立てなければならないわれわれの方こそ、どれにしたらいいかという、国民が、選挙民が迷うので、むしろ数の少い政党の方が有利じゃないかと私は思う。その意味からいえば、いいのじゃないか。そういう意味において、決してこれが党利党略の意味を持たないということをまず申し上げておきます。
 それから、何か飛び地の関係で選挙区、一区一人の小選挙区ができるのじゃないかというお話につきましては、自治庁長官から詳しいことを御返事を申し上げます。
 それから定数の問題についての御意見でありまして、なるほどこの人吉の移動が激しく、ことに今の定員数が作られた当時の戦後の事情と、人口の移動が非常に差ができておりまして、そのために、今、中田委員のおあげになりましたような理論上の不都合が生じておることは、私も明白に認めます。しかし、それを、ただ人口を基準として考えてみまするというと、中選挙区制というものが三人ないし五人の区でできておりますが、この区制そのものを動かさずしてやるということになると、一つの区で六人だとか七人出さなければならない、一つの区では二人でいいのだ、こういうふうなところが私は出てくると思う。人口の移動がそういうふうになっておる。従いまして、中選挙区制そのものの根本をいじらずして、ただ定数だけによるところの改正ということは、今の選挙制度の根本に触れて、はなはだ適当でない結果を生ずると思いますので、これはしかし、そうだからといって、現状の非常に不均衡の状況をそのまま放置しておいていいとは私は思いません。従いまして、先ほど申しました小選挙区の制度その他と十分にあわせて、根本的に検討いたしまして、その不都合を是正するように適当な案を作って参りたい、かように考えております。
#159
○国務大臣(郡祐一君) 飛び地の郡を選挙区にいたしましても、同時に現在の一人区を地勢の状況で合区するものが出て参ります。ですから、現在一十余り選挙区がありますが、約三百区は一人区でございます。これらが多分に整理されて参ります。従いまして、一人区が必ずしもふえるというふうには考えられません。
#160
○委員長(小林武治君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#161
○委員長(小林武治君) 速記を始めて。
#162
○中田吉雄君 これは地方議員が一区で一人制でいいかどうかということは、基本的にこれはその議員のボス化、あるいは県会に陳情したり、県政に意見を反映したりするのに、党が違えば、よその区に頼みに行かなければならないということがあって、これはなかなか重要な問題でありますので、また、あとでやることにいたしまして、最後に岸総理に一つだけ。
 御案内のようにこの補助金、租税特別措置法の非課税等で国から恩典に浴しておる団体が、政治資金規正法でたくさんの献本をされておりますが、国の税金でやはり選挙の費用をまかなっておることは、これは私はやはり将来政治資金規正法に、補助金や租税特別措置、地方税の非課税というようなもので援助を受けているものは政治献金は禁止する方向に持っていかなくては、今回も地方税、国税ともワクを拡大いたしましたが、それは結局ある意味では、結果としては、意図はどうであろうと、リベートのようなことになる、これは十分将来検討されるべき問題ではないかと思いますが、いかかですか、その点をお尋ねいたします。
#163
○国務大臣(岸信介君) 政治資金規正、いわゆる政治献金が、寄付金のできないようなところをどういう範囲に置くかということは、十分に検討を要する問題の一つであると思います。言うまでもなく、国のいろいろの法律であるとかあるいは制度その他において、直接、間接いろいろの利益を受けるというのは、いわば国民全体が受けることでありましてその中でどういうところに線を引くことが最も妥当であるかという問題でございます。今お話しの通り、私はできるだけ一方において公明選挙を実行しなければならぬということを申しておりますし、また、選挙資金がなるべく要らないような選挙をしなければならない選挙制度にしなければならないということを考えております。同時に、やはり政党が政党活動をする上において相当の資金を要すること、また、選挙において選挙資金を要するという現実も無視できないのでございます。それらの点を十分勘案いたしまして、弊害の著しく生ずるというようなものに対しては、公明選挙の見地から適当な制約を加えていくということが当然のことでありますから、今お話しになりましたようなことは、将来において研究すべき題目の一つである、かように考えております。
#164
○久保等君 私も簡単に一、二だけ御質問申し上げたいと思いますが、衆議院におきまして、社会党が今回の選挙法の改正に対しまする改正案を用意し、衆議院において審議されたのでありまするが、そのうちの特に後援団体の寄付、これを禁止する問題につきまして、総理の衆議院における審議の過程における御答弁によりまするというと、何か反対であるかのような御答弁がなされておるのですが、今日衆議院から参議院の方にこれが修正で通過して参っておるわけなんですが、これに対する総理のお考え方を私特に承わっておきたいと思うのです。
#165
○国務大臣(岸信介君) 私の衆議院で答弁をいたしました気持は、これ自身については私は異存がない、むしろ禁止すべきが適当であろうということを申したつもりでおります。ただ、こういう問題について後援会だけ、この規定だけで十分にその目的を達せられるかどうかということについては研究の余地があると思うが、その御趣旨については私は異議がない、むしろ賛成をいたしておりますということを申し上げたつもりでございます。また、そういう考えで今もおります。
#166
○久保等君 あげ足をとるようなことを申し上げるわけじゃないのですが、ただ、御答弁を速記録で拝見しますと、一つの将来の問題として研究をすることにしたいというような御答弁だったのですが、これが総理のそういう御答弁にもかかわらず、直後に衆議院で修正ということでこちらに参っておるわけです。もちろん、私どもかねがね主張しておりますことでありまするから、この問題そのものについては何ら異存はないのです。ただ、総理に申し上げたいことは、やはり、私どもの出しておりまする修正案、こういつたようなものについては、一つもう少し謙虚に、御賛成を願える点については率直に御賛成を願いたいと思うのです。総理大臣の御答弁が、そういう将来の問題として研究したいというようなことを言われておりながら、修正されると、今度は、実は私も賛成だったのだというような御答弁は、これはそのとき自体の立場に立てば非常にそつのない御答弁かもしれませんけれども、あまりにも総理としては、私は若干は軽々な御答弁じゃないかと思うのです。ことに、後援団体等の寄付行為が非常に事前運動とまぎらわしい形で横行しております際でありますだけに、私はやはり公明選挙という立場から、こういった問題については早急に手を打たれなければならない、むしろ国民一般が切望しておる問題ではないかと実は思っておるのです。そういう点で、今回この点については、衆議院で、賢明な自民党の諸君が受け入れられて修正をせられているわけでありますが、私もその点で何ら異論を差しはさむものでないのですが、ただ野党提案であるがゆえに総理は非常に慎重な、むしろ将来の問題として研究したいというような答弁をせられたと思うのですが、私はこの点について率直にむしろ総理からお答えいただきたかったと思うのです。もちろん、ただいま総理から賛成である、異存がないという御答弁でありますから、それ以上申し上げたいとは存じません。
 なお、次に一つの問題ですが、中田委員の問題にも関連しますけれども、政治資金規正法の改正の問題なんですが、この問題についても、つとに二十四国会で社会党の万から実は改正案が出されておるのです。今日に至るもこれが継続審査というようなことでずっと引き継がれてきておるようでありますけれども、この問題等も、今、中田委員が御指摘になられたように、いろいろ問題を考えれば問題は非常にあると思うのです。また、広範な範囲にわたって検討しなければならぬ問題があると思う。そういう問題をあれこれ考えて、何もやらないよりは、私ども問題がないと思われる、いわゆる政府の補助金なりあるいは交付金なり、そういったような財政援助を受けておる団体からの寄付というものは、これはもう私は明らかに何人も禁止をして差しつかえない問題じゃないか、規正をして妥当な問題じゃないかという考え方を持っておるわけです。この問題については、すでに今国会で五国会にわたって継続審査になっておる問題なんですが、いろいろ公明選挙であるとか、あるいはまた汚職の追放であるとか言われましても、総理がよく言われる政治の道を正すという考え方から参ります場合には、私はやはり万難を排して公明選挙を強力に推し進めなければならぬのじゃないか。その場合には、あれもこれも考えながら何もやらないということでは、いかに口に公明選挙を唱えたり、あるいはまた汚職の追放だと言ってみても、私はこれは百年河清を待つものだと思う。特に私どもが提案をいたしておりまする政治資金規正法の一部改正の問題、これについて総理は一体どうお考えになっておりますか。
#167
○国務大臣(岸信介君) 実は反対党の提案に対してちっとも関心を持たず、注意をしてないというおしかりでありましたが、後援会の問題は、いささか釈明じみますが、実は当時政府の提案のうちになかった事項でございます。趣旨は私は賛成であるが、政府の提案がなかったものですから、大へんあいまいなことを申し上げたわけであります。幸い両党の修正がなったことはけっこうだと思います。
 また、今政治資金の規正の問題につきましては、これは根本的に公明選挙、政治の浄化の根本を正す意味から申しまして、私は十分にこれを検討すべきものであると思います。ただ、先ほども一言申し上げましたように、やはりそこにはおのずから権衡の問題といいますか、どこに線を引くかということをやはり納得のいけるようなところで考えなければならない。私はいろいろなことを考えて、何もしないという結論になろうというわけではもちろんございません。政治資金の問題につきまして、国から特別の何か恩典を受けているような団体等の問題につきましては、十分考慮しなければならぬ問題があると私も思います。同時にこの保守党、われわれの方の党内におきましては、政治資金の問題について、労働組合等の資金の問題についても何かこれに規正すべきものであるという議論も実はあるのであります。これらの問題を全部やはり十分に検討して、こういう問題についてはできるだけ、同じ選挙についての何でありますから、ただ立場々々ということでなしに、十分両党において話し合いをしていって、そして適当な案を、結論を得るように努力して参りたいと、私は実は考えております。この問題が重大な問題であり、重要な問題であるということは重々何にしておりますが、いろいろな問題がございますので、その点に関しては、両党においてもう少し話し合いをいたして、結論を得るということにすることが適当じゃないかと思います。
#168
○久保等君 時間がありませんから……。
 先ほど大沢委員の御質問に対する総理の御答弁でちょっと気にかかる点があるのでお尋ねをしておきたいと思うのですが、大沢委員の小学選区制の問題に対する賛成論に対して、だいぶ調子を合わされたような御答弁なんですが、承わっておりますと、できる限り早い機会に私は提案をしたいというような御答弁があったのですが、非常に実はこの表現そのものは、あるいは総理の真意に反して誤解を生むかもしれないと思いますので、実は御質問するのですが、すでに二十四国会で小挙選区制法案が国会に提案せられたことがございますし、その前には当然選挙制度調査会から答申も出たわけです。従って、一体何を中心にして、ただいま総理の御答弁があったことはお考えになっておるのか。要するにあの問題については、すでに出ておる答申そのものについても根本的に再検討をして、さらには両党、特に二大政党の今日、両党間における話し合い等もやり、十分慎重に検討を加え、万策を尽して事を進めたいというお考え方なのか。できるだけ早い機会と言われますると、普通常識からいくと、やはり半年、一年前後ころにはそういったものが具体的に国会の表面に出されてくるのじゃないかというふうにもとれるわけなんですが、私は、少くとも総理がすでにこの問題を手がけた当時は党における幹事長であり、また今日の自民党の幹事長である川島さんは、当時の自民党における選挙制度特別委員会の委員長をやっておられた方々であるだけに、国民の目から見れば、私は小選挙区制という問題に関する限りは、総裁あるいは幹事長という方々は残念ながら、どうもいわばあまりいい実績を残しておられない。言いかえれば、小選挙区制の問題についてはどうもあまり適当じゃないのじゃないかという判断をおそらくしていると思うのですが、そういうことも考え合せますと、よほど慎重にやっていただかなければならぬのじゃないかと思うのです。そういう点で、さっきあった御答弁の中で、多少私ども聞いておって妥当性を欠くような御答弁があったので、この点あらためて御答弁願いたい。
 それからもう一つ、参議院の全国区制の問題なんですが、この問題についても、これは郡長官にいずれ機会をあらためてお聞きしたいと思うのですが、昨年以来、非常に急ピッチと申しますか、総理並びに長官は非常に御熱心に全国区制廃止問題等について選挙制度調査会に急遽――私どもの目で見るあたりにもだいぶ督促をせられたようなことも新聞その他で報道されておったのですが、非常に事が拙速で運ばれておったのじゃないかという実は気持でおったのですが、最近はどうやら選挙制度調査会が非常に慎重にならざるを得ないことになって、今国会にできれば出したいというようなことも、昨年あたり総裁であり、総理大臣である岸さんも言っておられた。この問題についても、単に抽象的にできるだけ早くということでなくて、まあ当面総選挙はございますが、従いまして、総理も再び政権を担当するかどうか、これは未知数の問題でありますから、不確定要素がございますけれども、一つ今の心境としてどういうふうにお考えになっているか、これは重要な問題でありますだけに、私はそれぞれの機関を通じての検討はもちろんのこと、衆議院における二大政党の対立の立場からいっても、両党間の話し合い、参議院における各会派等に対する話し合い等も十分になされ、非常に慎重に扱ってもらわなければならなぬ問題ではないかと思うのであります。そういう点で一つ御答弁をいただきたい。
#169
○国務大臣(岸信介君) 先ほどもお答え申し上げましたように、衆議院の選挙法及び参議院の選挙法は、いずれも民主政治の根本的なものでありますから、これが修正、改正等につきましては慎重にやらなければならぬことは言うを待ちません。ことに、小選挙区制や、あるいは全国区制をどのように変更するというような変更は、選挙法の根本に関する問題でございますから、これを慎重にしなければならぬことは言うを待ちません。ただ、私が小選挙区制論者であり、小選挙区制を成立せしめることが、二大政党を健全に発展せしめる上から最も望ましい制度であるということを強く考えておりまするがゆえに、なるべく早くこれが日の目を見て、これによって両党が健全な発達をするという念願を持っております。そういうことが語気の上に現われておると思いますが、軽卒にするとか、あるいはこれを何か無理やりに強行するとかというような考えは毛頭持っておりません。私はその後におきましても、この問題について友人等との間にいろいろ議論もかわしておりますが、社会党内におきましても、あの当時とはよほど事情も変ってきており、小選挙区制に対するお考えも、これは全部の、党議がどうだというのじゃありませんが、変ってきておるというようなことも、私親しくその意見を聞いておる人々からそういうことを聞くのであります。十分この問題について論議をすべきことは言うを待たないところであります。特に選挙区制についての問題は、最も大事な問題でありますから、そういうことについては十分慎重に、公正に、一つの案を得るまではやるべきでありませんし、それをなるべく早く得てやりたいというのが私の気持で、特にそれを率直に申し述べたわけであります。まあ御心配のような何か軽卒にやるとか、この前われわれが提案した案そのものでやるとか、あるいはすでに調査会でできておる案そのものでやるというようなつもりはございませんで、十分に検討した上で、各方面の意見も聞き、また、これが成立につきましては、二大政党の間におきまして非常な意見の対立が生じて、議事の進行等においても支障をきたすということのないように万意を用うべきことは当然であると考えております。
#170
○相馬助治君 この際、二、三点承わりますが、民主主義の原則から申しますれば、当然解散は民衆の声を聞いてやるということは言うまでもないことだと思うのです。これは憲法や法律に規定される以前の問題であって、民衆の意思というものを無視して解散はできないということについて、先ほどからの首相の答弁は、いよいよ解散の時期は迫っていると、こういうことを認められておりますることは、きわめて当然なことだと私ども拝聴していたわけです。そこで問題になるのは、いよいよ解散が近いているんであると、こういうことになれば、少くともこの段階でできるだけうまくやるということが必要だと私は思うのです、俗な言葉ですが。一番今問題になっておるのは、衆議院で委員会も成立しないほど代議士諸君が国へ帰っている。これはあれこれ議論されまするけれども、代議士諸君の心中を推しはかるときに、これもまたやむを得ない、権力をもってどうにもならぬ問題であろうと思うわけです。参議院におきましても連鎖反応を起しまして、若干そういう傾向が見られるのです。そこで私は思うのですが、先ほど中田委員も指摘されましたように、この際、岸首相自身が解散の日取りを予告することが適当であると思わないならば、むしろ進んで別な意味で党首会談等を求められて、重要案件を上げることをかたく党首間において誓約し、また一方、現在問題となっておりまする重要な外交問題、たとえは日中貿易の問題につきまして、私ども社会党は官房長官の発言を取り消せというようなことを申しておるようであります。私はここで、これがいいか悪いかということを議論はいたしたくないのでありまするが、好ましいことでないことだけはもう明瞭でございます。事他の国に対しての態度において、二大政党であるとはいいながら、とにかく野党であるとはいいながら、全く反したこういうことが行われるということは、日本のためにとるべからざるところであるということについても、これは心ある者は私は心配していると思うのです。で、こういうふうな問題をもひっくるめて、事外交の問題等については、与野党でき得る限り一致した態度をもって国力の伸展を期すべきでありまするから、これらの問題をひっくるめて、この際、党首会談というような方法を持ち、解散の日時を決定し、必要な重要法案を通すことに対して、野党にもある意味では責任を持たせ、そうしてここは気持よく解散に持っていく、こういう前例を残す絶好のチャンスのように思うのですが、そういうふうな構想等はございませんか。
#171
○国務大臣(岸信介君) 相馬委員のお考えは、私も大いに今傾聴して承わったのであります。私にもそういう考えが全然ないわけではございません。しかし、先ほど申し上げておりますように、いろいろまだ野党の方でも不信任案を出すことは決定的であるということをお話しになっておりますが、その時期等につきましても、また理由等についても、今明らかにいたさないような状況でございますし、この際にそういう党首会見によって、今相馬委員のお話しになっているような、いわゆる一つの先例が果して作り得られるかどうかということも、諸般の情勢から考慮すべきであろうと思います。いずれにいたしましても、しかし、私も先ほど申し上げましたように、国民世論の動向がこういうふうに盛り上ってきておる時期でありますから、真剣に解散の問題、解散の時期、解散の方法等について考えておりますので、御意見は御意見としてこの際承わっておきます。
#172
○相馬助治君 岸首相のもとにおいて、今回のこの公職選挙法の一部改正がここで行われようとしておりますが、残念なことに、いつでも選挙法の改正というものがそのことの直前にどろなわ式に行われるような傾向があると思うのです。で、事実がただそういうだけの話で、慎重に党の中において、あるいは政府部内において研究するのだが、いつでもそういふうな結果的になっているのにすぎない、こういう答弁もあり得ると思うのですけれども、参議院の選挙の直前に参議院の日数を減らし、今度はまた解散がはっきりしている、このときになって選挙の運動期間を短縮する、短縮するという理由は、はっきり提案の理由にも説明しているようにわかりますけれども、新聞その他が報じておりまするように、天下一般の受け取り方はどうかというと、現議員優先のための勝手な法改正である、こういうふうに伝えられておる。これは民主政治家であり、たらんとする岸首相のためにも、こういう論はおもしろくないことだと私は考えるわけです。そこでまた新聞等が伝えるところによりまするというと現に今度の選挙は社会党と争うということも一つにはあるけれども、党の中においていわゆる岸体制の確立を期さなければならないという目的もあると、こう伝えられておる。私は議論するのではなくて、当然あなた自身としても願わしいことであって、そのくらいな自信を持たなければこれはならないのであるから、結果的にはそうであろうと思うのであります。
 そこで、私がお尋ねしたいことは、解散を今度はやって、それから岸体制を確立してから、別表の問題も、それから参議院の全国区の問題も、小選挙区の問題も、全部ひっくるめて選挙法の抜本的改正を私はやるべきではないかと、こういうふうに考えるのです。社会党の中にもいろいろな議論があるということは、あなた自身もお示しになったが、私はこれはここで党人として責任ある発言というわけではないけれども、現在の自民党の中の、派閥解消、あまり大きな声で申し上げたくないが、わが党の中における派閥解消、これは小選挙区をやらなければ解決はつかぬのではないか、こういうふうに率直に考えておるのです。そこでこういうものから、ああいうものから、それから政治資金の規正から、事前運動の規正からひっくるめて、あなたの手元において選挙法の改正をするとするならば、これはがっちりした内閣でなければ絶対にできない、選挙法改正などというものは。そこで、私はむしろこの際、拙速主義はとるべきでないがゆえに、これは無理な相談かもしれぬが、この改正を引っ込めて、衆議院を通ってきたのにむちゃなことを言うなとおっしゃるかもしれぬが、むしろ引っ込めて、解散をぶって、岸体制を確立して、そして抜本的なりっぱな公職選挙法というものを考えたらどうかと、こう思うのですが、岸首相はどうお考えですか。
#173
○国務大臣(岸信介君) 選挙法の根本に関する抜本的なことは、私先ほど来申しておりますように、一つ慎重に検討をし、りっぱな成案を得て、これを提案をいたしたいという考えを持っております。しかし、今回の改正は、そういう根本的なものに触れているのではなくして、いわば選挙法中の、比較的われわれができるだけ早く改正しなければならぬ府県議員の、市町村の合併等から生じておる混乱をどういうふうに解決するか、あるいは参議院の選挙法のこの改正の際に期間の短縮が行われて、衆議院の問題もそのとき議論がありましたけれども、このままにしておいたというふうな沿革もある、比較的事情も、制定当時の事情と変っておる、期間の短縮というふうな、いわば経験や、あるいはいろんな変化から、当然変えておく必要のある問題だけを取り上げてやっておるわけであります。根本的な問題につきしては、今、相馬委員のお話しのように、幸いにわが党が選挙におきまして勝利を得、また国会の御指名を得まして首班となり得た場合におきましては、かねての私の持論であり、信念である選挙法の根本の問題につきましても、十分な慎重な態度をもって研究した土で御提案をいたしたいと思います。
#174
○相馬助治君 あと一点だけお尋ねしたいと思うのです。今度のこの運動期間が短縮されたので、いよいよこの事前運動に拍車をかけております。これだけが理由だとは申しませんが、事前運動は目に余るものがあります。私は栃木県の一区ですが、これは首相もあるいはお聞き及びかとも存じまするが、自民党、社会党の公認を予想されている諸君も、まゆをひそめるようなまことに派手な、神も官憲もおそれざる事前運動が一部で展開されておる。名前まで言うてもいいのですが、それはちょっと遠慮します。そこで、その一派が激励して、幹部がいわく、皇太子殿下の御慶事があることは既定の事実であると、従って前の例でもあるように、さまでこの選挙違反というような問題については心配するまでもない、物事をやるときにはそのぐらいな特攻精神でやらなければだめなんだと、そういうときには万事引き受けた、こういうことを言うたと伝えられて、これを聞く者をしてあきれ返させているという問題が事実あるわけです。私どもは政党の立場を離れて、私は自民党のある諸君ともこのことを心痛して話し合ったのであります。
 そこで私のこの際、本委員会を通じて、皇太子殿下の御慶事というものがあるかないかは別として、かりにあるといたしましても、これはまことに喜ぶべきことであって、このような問題に関連を持たせるべきものでは私はないと思うのでありまして、この問題についても、岸首相のこの際、明快なる指導的な御見解を参考までに承わっておきたいと、かように存じます。
#175
○国務大臣(岸信介君) 事前運動、ことに悪質な事前運動を取り締らなきゃいかぬ、これがずいぶん全国に、各方面において行われておるというような御意見なり情報等につきまして、私も実は大へん苦々しい事態であると考えております。これは世論がとにかく、こういうふうな状況になってきますというと、まあ選挙に関係のある、立候補しようという人が、立ってもすわってもいられないような気持でやることも、そういう事前運動的なことになっていくことも、これは人情でございますけれども、それにはおのずから限界がなければならぬことは、言うを待たないのであります。ことに、そのうちの最も私が苦々しく考えておることは、今、相馬委員のおあげになりました皇太子殿下の御慶事と結び合わして大赦が行われるとかいうことをもくろんで、悪質なことが行われる。これは事前運動だけではなしに、さらに本運動が始まった後においてもそういうことが予想されるのであります。これは私は非常に苦々しいことである。今日、皇太子殿下の御慶事がいつ行われるかということも、まだ私ども想像もできませんけれども、またその際にどういうふうに国民がお喜び申し上げ、いろいろなことをすべき等もまだ何ら考えてもおりませんけれども、しかし過去の皇太子殿下の御慶事の場合の先例を見まするというと、そういう広い意味の大赦が行われていることはないのでございます。この先例からいうならば、むしろそういうことが今後の何に期待されるということを考えることが、私は非常識であると思います。いずれにいたしましても、そういうことを当て込んで、そういうことを理由として、悪質の選挙違反が行われる等のことに対しましては、断固として取締りを励行するつもりでおります。
#176
○加瀬完君 昭和三十一年の十月ですか、全国選挙管理委員中央会議というのがございまして、選挙管理関係の全国会議で特に三つの点が政府に対しましても上申をされているはずだと思います。一つは、今まで問題にいろいろ各委員の中から出ました公明選挙の点、もう一つは、政治資金規正法の問題、もう一つは政治教育の問題であります。で、前委員からも出ましたが、選挙の公明化につきましては、最近の選挙において悪質な選挙違反が続出する状況を示しており、かくしては公明選挙運動の推進を著しく阻害するので、抜本的対策を講ずるとともに、さらに連座制の強化を要請するというふうな決議が出されております。で、今総理からもるる事前運動についての御見解が出ましたけれども、私どもの見聞きしておる範囲におきましても、政府の高官である方が後援会を組織いたしまして、映画館の入場券の割引あるいは無料券を配付して後援会に入会をさせております。あるいは総理みずからお目にとまっておるのじゃないかと思いますが、これも政府の高官の名前が、まるで大道芸人の広告か何かのように大きなビラになって、所狭しと東京の都内に張りめぐらされております。前閣僚である方、後援会の名目か何かは知りませんが、集まりもしない、津津浦々の部落にまで酒何升というふうなものを配っております。さらに、これは朝日新聞にも出ておったところでございますが、国会見学に参りましたPTAの人たちは手ぬぐいとともに「汚職と暴力」というパンフレットを、自民党の某領袖と申しますか、最高幹部の手からと称して配られておる。これには社会党の個々人にわたるばりざんぼうが、この上は書けないと思うほど書かれておる。名前は、発行所も発行責任者もありません。
 こういうことが黙認されておるようでは、選挙期間になりまして、どんなに刑罰を激しくして公明化を叫びましても、この悪質な事前運動というものを放任しておきましては、私は選挙の公明化というものはできないと思うのでおります。で、総理は、非常に、ただいままで御答弁を伺っておりますと、これらの問題について公明化を深く期する御見解を承わったわけでございますが、簡単でよろしゅうございますから、一体こういうものをどう取締ろうとなさるのか、お考えを承わりたいと思います。
#177
○国務大臣(岸信介君) 現在いろいろなこの事案につきましては、検察当局をしてそれぞれ内偵をさしております。あるいは法律上、御承知の通り告示されましていよいよ立候補しますというと、それらの事実が法律違反になるかならないかということが明瞭にされ、法律に違反しておるものは処罰されるということになるわけであります。事実については十分内偵を進めております。また、選挙管理委員会に対しましても、そういう悪質の何が行われないように、十分に監視その他の方法をとってもらうように通牒も出して、各府県の選挙管理委員会もこれに協力を願っておりますし、また本来、言うまでもないことでございますが、公明選挙を徹底せしめるということについて、これは候補者にも非常な責任がありますが、同時に国民、選挙民の方において選挙の本質、公明選挙の本質というものに協力しようという理解と、この考え方がなければならぬことでありますから、いろいろと選挙管理委員会を中心とし、民間の諸団体とも連絡をいたして、啓蒙運動に力を尽しておるのでございまして、今おあげになりましたような具体的の事例につきましては、十分検察当局をして内偵さして、その事実を集めておるという状況でございます。
#178
○加瀬完君 私はこれは自民党、社会党を問わず、フェアな選挙をしなければならないことでありますから、個々の個人の名前はここでは出しません。しかし、そういう事実があるということを総理が十分お考えになりまして、政府みずから公明選挙というものにもっと熱意を示していただきたいということをお願いいたしたいのであります。
 第二点は、政治資金の規正について、全体について再検討を要するという上申が、先ほど申し上げました全国選挙管理委員中央会議において決定されております。近ごろ特にいわゆる圧力団体というものが、政治献金というものの裏づけでいろいろ政策にひもをつけてくるのではないかという一般の不安なり危倶なりというものがあるわけです。で、政治資金現正法が、今まで他の委員からもあげられたような点で十二分なワクをはめて規正をきびしくして参りませんと、どうしても献金をしたその取引関係で、何か有利な法案を作らせるということでありましては、これは何よりも政治の腐敗を招く最大の原因になると思います。こういう点、十分御留意をいただきたいと思うのであります。
 時間がございませんから第三の質問に移りますが、同じくその会議におきまして、有権者に対する政治常識の向上及び選挙の意義の徹底について、さらに次代をになう青少年に対して選挙に関する教育を行う必要がある、よって教育課程に右の配慮を行うことという決議がございます。しかし、ただいままでのところ、岸内閣の文教政策は、まあ道徳教育というようなものが強く打ち出されておりますけれども、政治教育なり公民教育なりというものは影をひそめております。一体こういう公明選挙というものを考えるときに、今まででも日本人に足りなかったという公民教育あるいは政治教育というものを、文教政策においてどう考えていくのか、この点……。
#179
○国務大臣(岸信介君) 戦後の教育の基本につきましては、教育基本法にその精神が明らかになっておりますように、やはり民主主義の観点に立って将来、国または社会の一員となるべき青少年が十分なこの民主主義に徹し、平和主義に徹するような教育をすべきことは、これは当然でございまして、今日、戦後において社会科と称せられるところのものにおいて行われておるところのものは、これで十分であるかどうかは別といたしまして、そういう公民教育なり政治教育に触れて教育をされておることは、御承知の通りであります。私どもが道徳教育と申しましても、もちろん、その徳目において、かつてあったような徳目を掲げて、これを強制しようということではございませんで、将来りっぱな民主国家の一員としてふさわしい徳性を身につけるように道徳教育をするということでありますから、道徳教育の中におきましても、こういう選挙その他におけるところの一般社会道義の高揚の問題等につきましては、十分に教育が行われるわけでございまして、私は決して、むしろ戦前の教育よりはずっとこの社会科におけるところの政治教育や、あるいは一般文化教育というものは非常に進んでおる、かように考えております。
#180
○加瀬完君 客観的に進んでいるかどうかということを私は伺っているのではないのであります。岸内閣が文教政策というものを大きく打ち出すならば、少くも首相がいつも例に出される汚職、暴力、貧乏というものの追放は、政治につながる問題であります。政治につながる問題というのは、これは国民の個々が政治常識が高くならなければ解決できない。そうなって参りますと、道徳教育というのは当然必要なことでありましよう。しかし、道徳教育のさらに中枢をなすものの、この政治教育あるいは政治に対する、政治常識に対するもっと開発といいますか、向上といいますか、こういうことに岸内閣の政策そのものも、文教政策の一つ支点が置かれなければならないと思う。しかし道徳教育ということは、どういう内容かは知りませんが、強く叫ばれますけれども、その中で公明選挙あるいは国民の政治意識の向上こういうものを期するために政治教育をしていくのだ、社会科の中に盛られている公民教育というものをもっと徹底していくのだ、こういう強め方というものは打ち出されておらないように思われる。一体、公明選挙というものは、あるいは国民の政治教育の向上というものに、首相はどれだけの熱意があるかということすらも疑いたくなると、歯に衣を著せないで申せば、そういう気持を持っておりますので、この点も公明選挙というもの、あるいは政治教育というものも、もっと強く考えていただかなければ、どんなに選挙法を改正しても、正しい選挙というものは、正しい政治の基盤ができてこない。これは私の考えでありませんで、選挙管理をいたしております方々の全国的な意見がそこに帰着しているわけです。これを取り上げてもらわなければ、選挙法の改正をするとすれば、この問題を一番先に取り上げてもらわなければならないのじゃないかと、こう思いますので、重ねてお尋ねをいたします。
#181
○国務大臣(岸信介君) お話しの通り、この問題に関しましては、ただ学校教育のみならず、社会教育の面におきましても、あるいはこの公職選挙管理委員会の平素の活動におきましても、そういう点が、公民教育という点が非常に強調され、公明選挙の意義及びこれに対する国民の心がまえというものが、強く国民の間にしみ込むように努力しなければならないと思います。
 さらにまた、そういう基本的なことをやると同時に、私はやはりこういう政治、もしくは選挙ということに、最も国民が関心を持つ、一番それが高潮するのは選挙運動期間だと思います。従って、選挙運動期間におけるところの選挙方法というものを、国民の啓蒙なりあるいは選挙に対する理解を深めるようなやり方をやるべきであって、いろいろな、金で買うとか、あるいはただ頭を下げて泣き落しをするとか、あるいは先ほど申しましたように利権をもっていざなうとかいうような方法では、ちっとも国民の政治意識を高めるわけにはいきませんから、この意味においても、いわゆる狭義の意味の公明選挙を徹底せしめるということが、国民のこういう政治教育の上からいうと非常に必要であると、かように考えております。
#182
○委員長(小林武治君) これにて総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
 本案に対する質疑は次回に続行することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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