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1947/11/24 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第61号
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1947/11/24 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第61号

#1
第001回国会 司法委員会 第61号
昭和二十二年十一月二十四日(月曜日)
    午前十一時四十九會開議
 出席委員
   委員長代理理事 石川金次郎君
   理事 荊木 一久君 理事 鍛冶 良作君
      井伊 誠一君    池谷 信一君
      石井 繁丸君    榊原 千代君
      打出 信行君    八並 達雄君
      山下 春江君    北浦圭太郎君
      山口 好一君    大島 多藏君
 出席國務大臣
        司 法 大 臣 鈴木 義男君
 出席政府委員
        法制局長官   佐藤 達夫君
        法制局次長   井手 成三君
        司法事務官   奧野 健一君
        司法事務官   岡咲 恕一君
    ―――――――――――――
本日の會義に付した事件
 最高法務廳設置法案(内閣提出)(第107
 號)
    ―――――――――――――
#2
○石川委員長代理 會議を開きます。
 最高法務廳設置法案を議題にいたします。質疑にはいります。大島多藏君。
#3
○大島(多)委員 ただいま議題になつております最高法務廳設置に關する法律案につきまして二、三お尋ねいたしたいと思います。實は昨日司法大臣の提案理由の御説明をお聴きいたしましたが、第一條の最高法務總裁の内閣における地位につきまして、まだ少し納得が行かないような所があつたように思いますが、この最高法務總裁は、第二條によりますと、國務大臣でなければならない、そうして内閣法にいう主任大臣とするというのは、どういう意味か。私は内閣法を見ておりませんので、はつきりいたしませんが、内閣法にいう主任大臣とするという意味は、どういうわけであるかということ。それから第一條に「政府の最高顧問として、」とこう書いてありますが、最高顧問というと、顧問ということの一般的な考えからいくと、その内部にある機關というものではなしに、一時的というわけでもありませんが、最高顧問という言葉は適當な用語であるかどうかという妙な感じをもつわけであります。そういう點について、もう一度御説明をお願い申し上げます。
#4
○佐藤(達)政府委員 大島委員のお尋ね、大體三點にあるように拝承いたしましたが、第一點の第一条件の内閣に置くということについてまず申し上げます。御承知のように新憲法下においての行政組織の中で、内閣は一番最高の地位にあるわけであります。そこでここにいう内閣と申しますのは、その意味で申すのでありますが、ここに置くというのは、法務總裁が政府部内における法務關係の統轄者たる立場にあります關係上、今申しましたその内閣に直結して置かれるのだということを示す趣旨でございます。それから第二の主任の大臣ということにつきましては、内閣法の中に、國務大臣というものは、一面において行政事務を分擔管理するということを原則としております。但しいわゆる無任所大臣として分擔管理しないものを置くことも妨げないということになつておりますが、一應は行政事務を分擔管理するという建前で、そこに「主任の大臣」云々ということがでてくるわけであります。ちよつと條文をきいてみますと、内閣法の三條におきまして、「各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として行政事務を分擔管理する。」今まで司法大臣というものが、やはり國務大臣たる立場を持ちつつ、一方司法行政事務を分擔管理して司法大臣という主任の大臣たる地位におつたわけであります。この法務総裁も、自分の受け持つておりまする仕事に關しするかぎりにおいては、今申しましたような、主任大臣としての地位を持つ内閣法の條文が適用されるという趣旨でございます。
 それから政府の最高顧問という言葉についてのお尋ねでありましたが、これは最高と申しますのは、この間も司法大臣から御説明がありましたように、法律問題の關係では、最高の權威と申しますか、そういうものであるという氣持を出したわけであります。それから顧問というと、何か内閣の外にあつて、内閣に横からいろいろ進言をする役のように見えはしないかというお言葉もありましたが、それはその組織の中にありましても、そういう機能はもちろん果し得るわけであります。すべての行政機構の中におきましても、機構の中に顧問的の役割を勤めるものを抱きこんでおる場合もあるのでございますから、その點は外からでなしに、これは中においての顧問という趣旨にわれわれは考えておるわけであります。
#5
○大島(多)委員 われから第一條の最後の方の所に書いてありますところの、連合國最高司令官の要求に基く正規陸海軍將校又は陸海軍特別豫備將校であつた者等の調査等に關する事項」これがやはりほかのいろいろの事項とともに最高法務總裁の施務管掌の中にはいつておるわけでありますが、これは私は一時的のものであつて、そう長く續くべき性質のものでないと思うわけでありますが、一時的の一種の經過規定みたいなものを、この第一條の事項の中にいれるということよりも、むしろこれは一時的のものであるから、また別の所、あるいは附則というようなものの所へ入れた方が、より適當でないかというような感じがいたしますが、この點はどうでございましようか。
#6
○佐藤(達)政府委員 正に仰せの通り、これは一時的のものとわれわれは考えております。一時的ののものをこの恆久法的の設置法の中に、いかも本分の中にいれるのはどうかというお氣持は、正にわれわれとしても同様の感じをもつのでありまして、昔の立法の形式としては、ちようど大島さんのおつしやるように、附則とかあるいは別の單行の法律を出して、人事の何とかに關する法律というようなことをやつたことも前になります。そういうことは、十分問題になり得ることがらであろうと思います。しかしながら、今囘われわれのとりました態度は一應すべての法令は見たときに、一目のもとにわかるようにする方が親切じやないかというようなことが、むしろ體裁を超越してでも、實用向きではないかということが主眼に考えられまして、かような形にしたわけであります。もとよりこの仕事がなくなれば、この一條の中から落とせばいいのであります。これでこの方がわかりいいのではないかというふうに考へて、かようにしたわけであります。もう少し内幕を申しますと、これの關係の所掌があとの方の條文で局の方に出てまいります。これを特別法の形にしますと、局の所掌に伴う關係から、なかなか形式がむずかしく、ややこしくなつてくるという點もございます。あれやこれや考えまして、實用主義でいこうということで、かようにいたしたわけであります。
#7
○大島(多)委員 次に第十條の中にあります矯正總務局事務管掌中にある第四番目の犯罪人の指紋に關する事項を、矯正總務局の仕事の中に入れてありますが、これはむしろ私の感じからいたしますと、檢察廳長官のもとにあるところの檢察局の事務管掌の中に入れる方が適當のように思われます。檢察局においてやるところの仕事の中で、第四番目にある犯罪捜査の科學的研究に關する事項というのがありますが、指紋なんかのことは、犯罪捜査の科學的研究の部分に屬するものじやないかと思うわけでありますが、どういうわけでこの矯正總務局の事務管掌の中に入れてあるか、その點をお伺いしたいと思います。
#8
○岡咲政府委員 私からお答え申し上げます。犯罪人の指紋に關する事項は、從前司法省におきまして、行刑局の方にございましたし、これは犯罪の捜査の面にも關係はございましたけれども、むしろ指紋を調製しまして、これを保管するという業務の方が、非常に重要になつております關係上從前も行刑局にありましたので、その關係をこちらにもつてまいりまして、矯正總務局の方に置くようにいたした次第だろうと考えます。
#9
○大島(多)委員 そうすると、その行刑局の中へ指紋を保管してあつたというお話でありますが、犯罪捜査というような場合には、私はむしろ檢察局の方へ入れておいた方が、從來の行きがかりはともかくといたしまして、將來は適當のような感じがいたしますが、從來のようにしておつて不便なことはありませんか。
#10
○鈴木國務大臣 大島委員の御質問ごもつともでありますが、實は指紋は警察の方にもあるのでございます。そして司法省の方でも同じものを保管しておる。警察の方は犯罪捜査にすぐ役立てる――今度公安廳ができるわけでありますが、公安廳において保管して、それは犯罪捜査にただちに役立てる、それから從來司法省の方でもつております指紋は、同じものでありまするが、前科者の取調べ、實際行刑を行つております者の同一性を確かめること、そういうことに役立つのであります。むしろ行刑に役立つことが多いのであります。それで犯罪捜査のときには、必要があれば貸してもやりますし、利用はいたしますが、公安廳の方に同じものがありますから、その意味において、檢察の方で特に必要とするという意味が薄くなるわけであります。
#11
○大島(多)委員 最後に一點だけお伺いしておきます。第十一條に「官房においては、左の事務を掌る。」というものの中の第八に、「最高法務廳研修所に關する事項」というのが書かれてありますが、最高法務廳研修所をいうのはどういうものか私は知りませんが、これはどういう仕事をやるのでありますか。
#12
○岡咲政府委員 現在司法省に研修所といものが設けられてありまして、主として檢事の教育訓練ということをいたしておるのでございますが、この事務をあらたにもうけられます法務廳の方に受繼ぎますために、最高法務廳研修所という者を設けることになつておるまして、その主管の事務はどの局におきますのも不適當でありますので、官房におくようにいたした次第であります。
#13
○石川委員長代理 井伊君。
#14
○井伊委員 二、三の點を質問したいと思います。法務總裁の職務というものは、法律問題に關する政府の最高顧問として内閣竝びに内閣総理大臣及び各省大臣に對して意見を述べ、または勸告するということになつておるのが一つであります。それに關連しまして、第八條の第四項で、調査第一局、調査第二局及び資料統計局が、それぞれの所掌事務に應じて、この法務總裁の行うところの法律問題に關する意見を述べまたは勸告に關する事務を掌る、こういうふうにこの法案では了解されるのであります。そこで法律關係における意見を述べたり、または勸告に關する事務、つまり法務總裁のやるべきその仕事を擔當するのは、單にこの調査第一局、第二局あるいは資料統計局だけでこれを取扱うのであろうか、そのほかのところは、全然これにあずからないのであろうか、その點をひとつお聽きしたいと思うのであります。
#15
○佐藤(達)政府委員 この關係は、お示しの第八條にありますように、調査關係の今日が當面の責任としての責任部局たる立場に立つわけであります。しかしながら、もとよりここだけで單獨に獨善的に意見をまとめるということは、結局適正なる結論を得がたいことになりますから、もとより運營の面におきましては、たとえば近所にあります法制關係の局であるとか、あるいはその他關係局がありますから、そういうものとの連繋をとつた上で、ここでとりまとめをするというふうに考えておる次第であります。
#16
○井伊委員 第二條のところで、「最高法務總裁は、その地位に最もふさわしい者の中から、内閣総理大臣がこれを命ずる。」特に、「その地位に最もふさわしい者から、」という、これは特別に必要な字句なのでありましようか。親切な意味でここに上げらてれおるものとも解せられるのでありますが、ただそれだけの意味でありましようか。というのは、その次に「その者は、國務大臣でなければならない。」こういうことになつておりますので、國務大臣の中からそういうふさわしい人を選ぶという場合も想像されるし、あるいはそうでなくて、一般の中からふさわしい者をもつてくる。そうすると、それは當然國務大臣になるのだ。そういうふうにもとれるのでありますが、ここに「その地位に最もふさわしい者」という特別な文字が使つてあるために、やや不明瞭な點があると思うのであります。一應この意味をお聽きしたいと思います。
#17
○鈴木國務大臣 お尋ねごもつともであります。どの仕事でも、その地位に最もふさわしい者を選ぶことがあたりまえなのでありまして、特にこの最高法務總裁についてだけ、そういうことを言う必要はないのであります。しかし法案全體をごらんいただきましてわかりますように、きわめてこれは重要な地位であるとともに、學識經驗もゆたかでなければならない。それから同時に、きわめて公正な人物でなければならない。かりに將來政黨政治が發達をし、おそらくそれが原則であろうと存じますが、そういう場合におきましても、そういう場合であればあるほど、なおさらその場合には注意しなければならない。こういう意味から、單に親切の意味をもつてここに表したのであります。それから國務大臣でなければならないということは、實はそういうものは國務大臣でない、いわゆる通常いうところに政治家でない人のうちにむしろ適任者があるとかんがえられるのでありますが、それはそういう意味でなくして、ぜひやはり内閣と連帶責任を負うて仕事をしていくという意味をもつた者がならなければならない。そうして國會に對して責任を明らかにする立場をとらなければいけない。そういう意味において、國務大臣でなければいけないということを現わしたのでありまして、この後がありまするために、なおさらその人選について注意をしてほしい。こういう親切の意味で書いたということを御了承願います。
#18
○井伊委員 わかりきつたことのようでありますが、お聽きしたい。第五條の法務廳の官房のほかこれこれの局をおく。こういうことがあるのであります。官房のことは別に官房長ということが書いてありますことは別に前の方に述べていないで、ただちに第五條にきて、官房のほかこれこれのものを置く。こういう表現のしかたは、官房は當然この中にはいるということなんでありましようか。そういうふうに常識的には讀めますが、先に官房があるということが述べてあつて、その官房のほかにこれだけのものを置くということなら格別、そうでなく、いきなり官房のほかにこれだけ置くということは、官房ははいるのでありましようか。その「官房の外」という用語が、これでよいのであろうかどうかという疑問をもつのでありますが、差支えはないのですか。
#19
○佐藤(達)政府委員 ごもつともなお尋ねであると思いますが、ただいまのこの條文の前の三條のところに、「各長官の外、最高法務總裁の下に、最高法務總裁官房長を置く。」とありまして、その次に「官房長は、總裁を助けて、總裁官房の事務を指揮監督する。」ということで、總裁官房ということが、實は前の方に出ておるわけであります。それを半分受けたと申しますか、そういう氣持を出しまして「官房の外」そういうようにやつたわけであります。
#20
○井伊委員 別に深くこだわるわけではありませんが、常識的には御説明のようんとれるのでありますが、後に第十一條で、「官房においては、左の事務を掌る。」こういうことで一應管掌事務の内容が明らかになつておるのでありますが、しかしこの第三條では、まだこの點ははつきりしていないようにおもわれるのであります。いささか不安の氣がいいたします。むしろ前の方に官房があるちいうことをはつきりさせる方がよくはないかと思いますが、いかがでしようか。
#21
○佐藤(達)政府委員 先ほどのお答えは判だけ缺けておつたように思いますので、補足いたしますが、今の三條にさようなことがありますので、五條ではそれを受けまして、官房をおくのほかという氣持で、この「外」という言葉が出ております。そういうふうに申し上げるべきであつたと思います。
#22
○石川委員長代理 第一條に關連する事項でありますが、法務總裁は、内閣における國務大臣から法律上の一つの見解を求められまして、これに囘答し、その囘答に基いて國務大臣が行動したというような場合の責任は、法務總裁が責任を負うのか、その行動した國務大臣が責任を負うのか、その點をはつきりしていただきたい。責任の歸屬がどうなりますらをお伺いしたい。
#23
○鈴木國務大臣 お答えいたします。法務總裁は意見を述べることは内閣の内部に對してでありまして、責任を負うことはもちろんでありますが、しかし外部に對しましては、それがその意見に從つて行動いたしましても、内閣の國務大臣の方は連帶してその責に任ずるから、結局外部關係では、一應その行動した國務大臣の責任である。この責任が重ければ同時に連帶責任に發展する、こういうふうに御了承願います。
#24
○石川委員長代理 もう一つ聽いておきますが、ここにいうところの顧問というのは、自己の意見を表示する、單にそれに止まるものでありますか。あるいは法律上の見解を述べて、この見解を實行しなければならぬということを、他の國務大臣に言うことができるのか。お聽きしておきたいのであります。
#25
○鈴木國務大臣 これは法務總裁がみずから實行できることについては、おそらく意見を述べて承認を求めた後、みずから實行することになろうとかと思います。それからその他のことにつきましては、それぞれ主任の大臣がありまして、實行に移すということになります場合は、結局意見をその人に述べる。實行する者は他の大臣である。こういうふうに考えるのであります。
#26
○石川委員長代理 もう一點お伺いしたいのでありますが、政府内におけるところの法律上の見解を一致するというために、この法務總裁なる制度を設けるのではないでしようか。
#27
○鈴木國務大臣 法律問題に關する限り、その通りであります。つまり法律問題について意見の統一をはかりますために、最高法務總裁というものを置くのであります。事法律の解釋、立案等に關します限り、これは仰せの通り、統一的な氏名をもつておる、こう申して差支えないのであります。
#28
○北浦委員 今囘の法務廳設置法案につきましては、人權擁護局という、これはよほどよい制度であると思います。が、まだこの點から一、二點お伺いいたしたいと思います。人身保護に關する事項というものは、第三號にありますが、これは人の身體だけではなく、精神的恐怖からも國民を保護するかどうか、そういう仕事をやるかどうか、この點を伺いいたします。
#29
○鈴木國務大臣 お答えいたします。仰せの通りでありまして、人身保護ということは、歴史的な意味があつて、こういう言葉を使つておりますが、できるだけ廣く解釋をするつもりでありまして、ひとり人體の危險、たとえば暴力團などにつけられておるとか、あるいは暴力團を告發してそれに不利益なる證言をなしたために、子分からねらわれて恐怖に襲われておるというようなことは、典型的なものでありますが、進んで私の考えでは、名誉信用等を毀損するような危險があります場合にも、そういうものも、できるだけ保護する。こういうような點にまで及ぼしたいという考えであります。
#30
○北浦委員 ただいまの司法大臣の御答辯は、まことに結構でありますが、近ごろ關係局方面でも盛んに唱えられておりますが、いわゆるごろつき新聞というのが、地方に非常に多いのであります。一週間に一、二囘新聞を出して、地方の有力者であるとか、資産家であるとかいうものを脅迫したり、脅喝したりして、金品を捲き上げておるという事實が、非常に多い。特に雜誌のごときは、まるで人の私事を摘發するというようなことをとつて、その雜誌の目的のようにいたしておるものもありますが、こういうものについて、人身保護に關する事項として、將來でなく、今日はただちにこれをどういうふうに取締るか。この點をお伺いいたします。
#31
○鈴木國務大臣 御承知の通り、ごろつき新聞というのは、まことによろしくないものでありまして、北浦委員の仰せられる通り、非常に弊害があることは、つとに司法當局の認めておるところであります。將來人權擁護局ができた場合には、そこの主たる仕事の一つになることは申すまでもないのでありますが、現在においても弊害を十分認めておりますがゆえに、特に檢事總長から訓令を發して、ごろつき新聞を十分取締るように、そして相當不當な違法な行為があります新聞は、行為があります新聞は、發行を不可能ならしめるような處置をとる。同時に刑事上の脅喝罪、脅迫罪を構成するものは、遠慮なく檢學して起訴するようにということを申しつけてあります。
#32
○石川委員長代理 ちよつと速記を止めて……。
    〔速記中止〕
#33
○石川委員長代理 速記についてください。
#34
○北浦委員 次は資料統計局の事務であるまするが、法令の周知徹底に關する事項、これは私は東條内閣の時分からやかましく言うておるのでありまするが、これと犯罪豫防――この第六條の第六號と牽連いたすのでありまするが、これは戰時もそうであつたのでありまするが、この頃もそうであつて、憲法改正に連れてさかんに法律が出ます。そして大抵の法律には制裁法規が出ておる。これをよく知らしめなければいけない。犯罪豫防のためにも、知らしめなければいけないし、國民遵法の精神を養成する上においても、知らしめなければいかぬと思うのでありまするが、これが官報にちよつと出ただけで、違反があればすぐにとつつかまえる。御承知の通り、警察の目的というものは、私は少なくとも豫防に重きをおき、鎭壓に重きをおいてはいけないと思う。ところが、警察というものは、その手柄は鎭壓によつて現れるのであつて、豫防では一向手柄が現れないので、それをやらない。第一に法令をよく周知せしむること。第二にはそれが豫防の手段に相なるのでありまするから、少なくとも私は各都道府縣に法令普及委員會というようなものでも組織いたしまして――東條内閣時分に、私は辯護士にそれを依頼せ。辯護士とか、あるいは檢事とか、そういうものによつて法令が出るたびに地方に説明に歩く。こういことをやれということを主張いたしまして、東條内閣はたつた一年だけやつた。どういうことをやつたかと申しますると、犯罪豫防週間と書いてビラを貼つたたけのことであつて、何もやらなかつた。その當時はやむを得ませんが、今日は民主主義の時代でありまするから、國民をして過ちなからしむるために、まず知らす。そこでお伺いしまするが、一體法令の周知徹底に關する事項として、どういうことを今考えておられるか。どういう計畫をもつておられるか。この點をお伺いいたします。
#35
○鈴木國務大臣 お答えをいたします。これは實は私特に立案の際に入れることを努力いたしたのでありまして、北浦委員などは、最もその點にお詳しいと存じまするが、昔為政家は、法律を發布するとともに、これを周知させるために非常な苦心をいたしたのであります。ごく舊い時代には立札のものをずつと持つて歩いて、各人に見せる、文字の知らない者にはちよつとわからないから、數え歌に歌いまして、「一つとや」というようなことでやつて歩いた。あるいはチヨボクレ祭文の類に讀みこみまして、國民に周知させるように努力いたした。いろいろなことが法制史上に残つているような次第でありますが、このごろのように、こう法律が汗牛充棟の感を呈しましては、よほど特段の努力をいたしませんければ、實は専門家すらよくわからんというような情勢を呈してまいりましたゆえに、私はこの點はひとつ専門の廳として、法務廳というような法律を扱う専門の役所ができるのでありますから、こう考えてここに入れたわけでありまして、ただいまの腹案といたしましては、法令を整理して、そうしてできるだけ理解しやすいような編纂をして頒布するというようなことも一つ、それから法令の解説集、注釋書、繪でも入れてわかりやすくするというようなことをやりますならが――北浦委員がお書きになりました憲法釋義は、私決してお世辭でなく非常におもしろく拝見しました。われわれのような法律のわかつている者ですから、あれを讀んで非常におもしろく感じて、興味をもつて拝見いたしたのでありまして、他の者にも貸して見せたようなことでありますが、ああいうものをつくることに政府は努力する。補助金を出してもよろしいのでありますが、そういうこともやるべきであると思います。それから法律相談所というものを設けて、そこへ行けば、あるいは無手數料が一番望ましいことでありまするけれども、あるいは低廉なる手數料でわからぬことを聽けるというようなものを到るところにつくる。また民間の有識者、在野法曹の諸君等の御助力を得て、そういう機關をこしらえる、あるいは適當に法令を周知徹底せしむるための宣傳、講演會、映畫その他を利用する等、いろいろあろうと思ひますが、できるだけいろいろな方法を用いまして、この仕事を有効に進展さしてみたい。こういう腹案であります。
#36
○北浦委員 よくわかりました。次に檢察局における事務でありますが、これは多年叫んでおることでありますが、司法警察職員、これは檢察官とも申します。この任罷權をなぜこの法務廳の方へもつてこないか、御承知の通り、從來は内務省、それから地方の縣知事がもつておりまして、檢事局のなかなか言うことを聽かない。聽いてもほんの形式だけであつて、かえつて行政力によつて犯罪の檢擧なんかが左右された場合が多い。鈴木司法大臣も多分さようなお考えをもつておられることと思いますが、これはどう考えても司法警察の任罷權をこの法務廳で握らなければ、ほんとうの仕事はできない。かようにわれわれも考えて多年主張してきたのでありますが、これを讀んでみますと、教養訓練に關する事項だけでありまして、任罷權ということは一向書いていない。但しそれは他の法令で私の目の届かぬ間に通つてしまつたかわかりませんが、この點についてお伺いいたします。
#37
○鈴木國務大臣 北浦委員の御質問にお答えをいたしますが、司法警察職員を檢察權のもとにおきまして、人事權をもつこの方面でとることは、私どもの最も希望するところでありますが、わが國においても、久しくこれは問題になつておりましたことでありまして、積年の宿願をこの際に達したいという希望すらもつておるのでありますが、いろいろ審議の過程において、どうしてもわれわれの記号が全面的に容れられなかつたことは、まことに遺憾にぞんずるんのであります。とりあえず、司法警察職員を訓練する方面については、檢察權も密接に關係するということに相なつて、ここに第五項として記入をいたしたわけでありますが、しかしそのほかにどうしたならば有効に司法警察を檢察權のもとに使うことができるかという點については、たとえば任命權まではもちませんが、すべての司法検察官吏は、就任の際に宣誓をいたしまして、一切法律に對して忠實にその責に任ずる。それから刑事訴訟法の中に、檢事はすべての警察官を指揮命令することができる。その命令に正當な事由なくして從わない場合には、懲戒その他の制裁を要求することができる。公安委員會の議を經ることにならうと思いますが、制裁權を發動することができる。こういうふうにいたしまして、かなり司法警察官に對する統制力というものを強化いたしたのであります。それから司法警察官だけに依頼できない場合もある。檢察官みずから獨立の立場で犯罪を捜査し、犯人を檢擧しなければならぬということもあり得ますがゆえに、特に檢察廳に相當多數の私どもの考えでは、一人の檢事に三人の検察事務官というものを配置いたしまして、そうしてこれは犯人の逮捕權をもつておる、捜索權をもつておる、司法警察官と同じ權限をもたせるのであります。これによつて自治體警察や國家地方警察が思うように動かない場合には、自分の持つておるこの事務官をもつて、犯罪の檢擧竝びに逮捕等ができるようにする。こういうことにいたすことに相なりまして、人員の點等は、豫算との振合上、急激に増加できないかもしれませんが、とりあえず三千人を目標といたしまして、ただいま相當數の検察事務官を採用いたしつつあるのでありまして、これおでよほで從來の檢察官の手足をもたなかつたという缺點は補正されるのではないか。こう存ずるのであります。
#38
○北浦委員 大體において満足すべき御答辯であるますけれども、最後にも一點、第十一條の第十一の「渉外事務に關する事項、」これは本法十一條所定の範囲内における渉外事務であるのか、あるいはわが國務一切の渉外事務であるのか、一向わけがわからないのでありますが、この點いかがでございますか。
#39
○岡咲政府委員 お答えいたします。この渉外事務は、もとより最高法務廳所管事務に限る渉外事務でございます。
#40
○北浦委員 そうすると、この渉外事務というのは、各省においておのおのわかれて、その事務を處理しておられるのであるかどうか、わかりますか。
#41
○佐藤(達)政府委員 御承知のように、渉外關係におきましては、中央では終戰連絡中央事務局があつて、これが統轄をしておるのでありますが、その統轄のもとにおいて、各省おのおのその省所管の渉外事項というものを取扱うという係をおいてやつております。
#42
○北浦委員 結局そうすると、この渉外事務に關する權限というものは、内閣總理大臣がもうておるのであるか。あるいはその他のものにおいてもつておるのであるか。そうしてそれは一體法律なしにやつておられるのか。その點お伺いいたします。
#43
○佐藤(達)政府委員 これは渉外事務については、非常にはでに見えるような傾向があるかもしれませんけれども、實際各省の仕事を運營していく上におきまして、今日の事態において必要ないわゆる渉外の仕事があるわけであります。それを言うのでありまして、たとえば法案の關係で渉外の仕事があるというような場合に、飜譯をいたしますとか、そういうような個々の具體的の雜務に近いような仕事がたくさんあるわけであります。
    〔速記中止〕
#44
○北浦委員 最後にもう一つお伺いいたしておきますが、第十三條に「この法律に定めるものの外、最高法務廳の職員及び廳外機關について必要な事項は、政令でこれを定め」こうありますが、この「最高法務廳の職員及び廳外機關について必要な事項」というのは、どういうことであるか。
#45
○岡咲政府委員 廳外機關と申しますと、最高法務廳に屬しております最高法務廳以外の機關でございまして、たとえて申しますと、現在司法省、民事局の管下にあります司法事務局、あるいは最高法務廳研修所といつたような機關を指すのでございます。それから廳内部局と申しますのは、後に修正になりまして、修正の條文をごらんいただいたと思いますが、各局、それから長官總務室及び官房の分課について必要なる事項は法務總裁がこれを定めるというふうに修正になつたと思いますが、その言葉で御了承願えるかと考えます。
#46
○北浦委員 主としてそういうことについての人事の問題ですが、一體必要な事項というのはどういうことであるか。これを例でよろしいからお伺いします。
#47
○佐藤(達)政府委員 北浦委員より最初に、この最高法務廳の職員ということについてもお尋ねがあつたようでありますが、職員について申しますれば、ここにたとえば事務官を何人置くというような今の官吏制度で言えば、そのうち一級何人、二級何人というようなことがきまるわけです。そういうことが職員に關する廳外機關については、先ほど他の政府委員の申しましたたとえば法務廳研修所のこまかい組織をどういうふうにするか、そこに人間を何人配屬するかというようなこともここにきめられることになるわけです。それからあとの分課のことは、これはどういう課を置くか、その課はどういう仕事を擔任するかというようなことであります。
#48
○北浦委員 大抵の法律案では、そういう組織に關すること、一級何人、二級何人というようなことは、法律で定めておりますが、今この法律を定める際において、それを決定することができないという事情があるかもしれませんが、とにかく政令でこれを定めるということは、よほどお考えにならなければならぬという注文だけを申し上げておきます。大抵のことは法律でやる。憲法、法律施行、そのためにだけ政令を使うのであつて、廳の組織とか、あるいは職員の俸給、地位というようなものは、すべて法律でやらなければならぬ、これだけを申し上げて、私の質問を終ることにいたします。
#49
○打出委員 第十一條の官房の中でお伺いしたいのは、第七號に「辯護士及び辯護士會に關する事項」そいうのがありますが、かつて熊本の弁護士會におきまして、二名の辯護士が辯護士の體面を汚したというので、總會の決議に基きまして退會の處分になつた。しかるにその二名の人が、司法大臣に抗告いたしまして、その間決定するまでは職務をとつても差支えないというような見解で、約七、八箇月間辯護士としての職務をとつておつたのであります。そのために裁判所も困るし、相手方の辯護士も非常に困つておつたのですが、どういうわけで決定にそんなに長くかかつたのか。われわれはこういうものは、できるだけ早く可否を決定していただきたいと思うのですが、實際においては約十箇月かかつて解決したということになつておりますが、その點について伺います。
#50
○鈴木國務大臣 ただいまのお尋ねの件は、ちよつと私頭に浮かばないのでございますが、もともと七、八箇月、十箇月というと、私が大臣になつて六箇月ですからそれ依然のことに相違ないのですが、私がなつてから起こつた問題は、相當早く解決をいたしているつもりであります。それは何か他の事情があつて、調査等に時間がかかつたためやないかと思うのでありますが、今後そういう種類の問題は、できるだけ敏活に、といつても慎重に調べなければならぬことも多いと思いますから、ただむやみに早くというわけにもいきませんが、早く處置いたすようにいたしたい。なお辯護士に關する事項と、一應書いてありますが、これは辯護士法がどうなるか、また辯護士の監督がどういうところにいくかということも將來の問題でありまして、必ずしも確定案として考えておるわけではありませんが、一應どこかで所管をもつておきませんと困りますので、もし、辯護士法等が別に規定される場合には、またこれを改廢すればよろしい、その點はお含みを願います。
#51
○打出委員 この熊本の事件は、なるほど司法大臣の御就任前のことでしたが、現に鹿児島の辯護士會においても、最近問題になつておる事件が一つあるのでありまして、ただいまお話のように、これは相當影響する範圍が廣いのであります。證據がそろいましたならば、できるだけ速やかに可否の決定を願いたいと希望いたしておきます。
 さらにもう一點お伺いいたしたいのは、成人矯正局、及び少年矯正局というものが新設されまして、これによつて青少年の犯罪豫防、あるいは保護等について、事務を取扱うことになつておりますが、この成人矯正局及び少年矯正局をして、どういうふうに青少年に對して保護をするとか、あるいは事前に犯罪の防止をするとかいう具體的の點について承りたいと思います。
#52
○鈴木國務大臣 これは昨日提案理由の中で總論的な御説明は申し上げておいたわけでありますが、今囘行刑と保護とを統一いたしましてやつていく、そこで總務局においては主として施設、職員の訓練、教養等をやりまして、そして成人矯正局では成人以上の男女につきまして、あるいは未決、勾留、あるいは刑の實際の執行、あるいは釋放後の保護、そういうものをやります。それから少年矯正局の方は、少年少女につきまはて、それぞれ多少の分別はいたしまするが、刑の執行、あるいは刑は受けないけれども保護すべき犯罪少年を矯正院に収容する。あるいはその他の保護處分をやる。今度は原則として附則で明らかであるまするように、矯正施設が民間の施設のものは、どうもいろいろな批評の的になつておるので、責任をもつてこれら少年少女の保護を監督いたしまするために、原則として官公立のものに限るという建前をとることになるが、一定期間ののちは、全部官公立に直すようにいたしまして、政府が責任をもつて、この保護事業に當りたいと考えておるわけであります。そのいたしますることは、ほぼただいままでやつておりました行刑と保護と統一した總合したものであつて、内容的にそう變つてものでないのであります。施設等の管轄その他について、ただいま申すような相違を來すという豫定であります。
#53
○打出委員 矯正院というのが設けられるようになつたが、これは全國に何箇所くらい設置せらる豫定でありますか。
#54
○鈴木國務大臣 多々ますます辯ずでありまして、できるだけ多くつくりたいと考えておりますが、ただ豫算等の關係がありまして、一度にたくさんつくるとということは、お約束いたしかねるかと思います。ただいま十八箇所ぐらいあつたように記憶するのでありますが、さらに將來は、できるだけ殖やしたいという考えをもつております。
#55
○打出委員 民間のいわゆる免囚者保護事業と申しますか、これは相當弊害があることも、司法大臣はお認めのようであります。私はこの點先刻申し上げるはずでございましたが、今日非常に犯罪が多い、また未決及び刑務所の設備が、戰災等によつて荒らされておるところも相當ある。これにもかかわらず、各刑務所のごときは、滿員の状態であつて、そればかりが原因でありますまいが、假釋放が非常に多いのであります。刑期の三分の一ぐらいしますと、成績の可良なるものでありましようけれども、ほとんど一律に假釋放をされておるように思います。しかるにそういう人々は一定の施設でもあればともかくといたしまして、でき心の食うに困つての竊盗であるとかいうようなことをいたしました者が刑務所においてある仕事をいたしまして、賃金をもらう。期間が短い者だから、やつと汽車賃に足る分ぐらいの賃金しかもらわないということで、假釋放の歸り遂に、すぐさま再び罪を犯すという事實も、私どもは見聞きしておるのであります。これに對して、ここに各刑務所の所在地ごとに特別の施設をいたし、そういう人々が再び罪を犯さないように指導していくことが、今日非常に重要な問題でなかろうかと考えるのであります。それに對して何か特別のお考えがあれば承りたい。
#56
○鈴木國務大臣 御説の通りでありまして、すべてそれらの點は同感であります。それでいろいろ司法當局といたしましては考慮いたしておりまして、釋放の際にあまり少ない金をもたせてやることは、仰せの通り歸り遂に悪いことをすることになりますから、それはかなり最近増額いたしたはずであります。なお新しい監獄法等も御審議を煩わしまして、かなりの程度まで、普通のその邊の勞働者と同じ賃金をやるわけにもいきませんけれども、できるだけひとつ働けば相當の貯金ができるという希望をもたせて、勞務管理をよくやつていきたいという希望をもつておるのであります。
 それから仰せののごとき施設もぜひやりたいと考えておりますが、すべてが豫算の面で壓迫されますために、ここ一、二年の日本というものは、非常に適切な費用でもみな削減しなければならぬという悲しむべき状態にありますが、それにもかかわらず、できるだけ豫算をいただきまして、そういう適切な施設をつくりたいという希望をもつてやつておることを申し上げてお答えといたします。
#57
○打出委員 先刻御質問をいたしました矯正院のいろいろの官制もありましようが、私どもの考えといたしましては、たとえば小さな島をもつておる縣あたりでは、交通を遮斷する意味におきましても、その島に集めて、そこでありいは農業をやらせる、牧畜をやらせるということで、自然本人の心構えをたたき直すという方法も必要ではなかろうかと考えておるのであります。熊本では刑務所で模範囚を二、三十任、人里離れた深山に連れてまいりまして、そこで炭燒きの仕事をやらせた。そのためにみんな非常に喜んで數十日間そこそで働きまして、一人の逃亡者もなかつたというような事實もあるのであります。何か仕事をさせなければ、ただ牧師とか、あるいは坊さんとか、こういうものの説教だけでは、精神の曲つたやつを引直ということも非常に困難だろうと思つておりまするが、そういうような方面についてお考えになつておることがあるなら承つておきたいと思います。
#58
○鈴木國務大臣 そういうことも十分考えておる次第でありまして、島にやるということにつきましては、一利一害である。よい島もありまするが、あまり社會から隔離してしまつては、永遠におくというなら別でありますけれども、やはりいつかは社會に復歸させなければならぬ少年少女でありまするから、やはりときどきは浮世に出てこられるようなところにおいて仕事をさせることと、いま一つは、あまり自由にした後にやれないような仕事をやらせましても、それが一向身につかない。せつかく身につけた仕事が、世の中に出てきて役に立たぬということではかわいそうでありますから、そういう點も考慮いたしますと、相當制約されますけれども、しかし仰せのような方針に從つて、できるだけりつぱな施設を、將來豫算の許しまするときがまいりましたならばやりたい。それまでの間は、たとい臨時的でも民間の御協力を得てやつていきたい。少くも今わが國の當面の仕事として、これくらい大事なことはないということは、深く司法當局としては認識をいたしておるつもりであります。
#59
○打出委員 最後に一點お伺いします。先日司法大臣から檢事の待遇改善といいますか、優遇法といいますか、おういうものについて簡單に承つたのでありまするが、私どもも判事の優遇ということについては、この委員會において修正もいたしたような次第でありますが、檢事の優遇ということにつきまして、具體的のお考えを承りたい。
#60
○鈴木國務大臣 私個人の考えとしては、檢事は非常な劇務でもあり、ある意味においては非常に危險な仕事もしなければならぬのでありますから、判事以上に優遇したいと考えるのであります。けれども官吏であるということに第一制約をされる。第二に判檢事と申しまして、どうしても判事と檢事はまず同格に從來扱つているのであります。ゆえにそれ以上ということは、今當分のうちはむずかしかろう。そこでせめて判事と同格に扱つていきたい。こういう考えをもちまして、先般さいわいに國會におかれまして、裁判官の待遇はかなり改善してくだすつたのでありまするから、これがたしか今月から實施されることになつたと思いまするが、それに見ならい、檢事はそれと同格、こういうことで今月からやはり實施せられることになつた。近く公務員給與が通過いたしますれば、さらに一層それが優遇されることに相なる豫定でありまして、官吏の中では、一番と申してよろしいくらい優遇されるものに相なる。こうゆう豫定になつておるのであります。
#61
○打出委員 近來、殊に最近におきまして、判事あるいは檢事の職におつた人がおやめになり、任地の辯護士會に登録をして、そうして辯護士の事務をとられる人が相當多いようでありまするが、福岡の辯護士會ありいは先だつて新聞に出ましたが、廣島の辯護士會においては、そういう現任地において開業せられる場合においては、一年間辯護士會において入會を許さないというような申合わせをしたということを聞いておりまするが、なるほど私ども浅い經驗でありまするけれども、そこの地方に判事をしておつた、あるいは檢事をしておつたというようなことになりますると、ただそれだけのことで負ける裁判でもかつのじやないか、あるいは檢事局の通りもよいんじやないか、公判の結果もよいんじやないかというような變な考え方を、依頼者に起こさせるような傾向なきにしもあらず、こういうようなことで、ある期間現任地における開業を、辯護士會の方で拒絶するというような點について、大臣の御意見をお伺いいたします。
#62
○鈴木國務大臣 ただいまの御質問は、非常にデリケートな問題が含んでおりまして、一體判事、檢事が辭職をして、その土地でただちに辯護士登録をするということが、よく問題になるのでありますが、今のところ法的根據は、そういうことを妨げるべきものではないはずであります。辯護士會の方で拒絶するということは、私は、正當であないのではないかと、何か特別な理由がない限りは考えるのでありまするが、しかしたとえば公務員法というものができまして、あれによると一定の官職にあつた者はやめてから二年間であつたと記憶しますが、あと職務と特に關係のある、影響のある民間の業務にはいることができないというような制限規定があることから考えますと、判檢事がやめて辯護士になる場合にも、そういう意味における若干の制限を受けることがあり得るかもしれない。しかしそれは民間の自分が監督していた會社に、すぐ重役になつてはいるというのとは違いまして、自由職業でありますから、その土地で登録をいたしましても、決して直接その職權をひけらかして影響を與えるというようなこには解釋はできないかとも思いまするが、とにかくそういう規定でもできた場合は別といたしまして、ただいまのところは、別に法的根據はないはずであります。ただ自制にまつほかないわけであります。實際問題としては、ただいまどこへでも行つて登録をするということは、言うべくして行うことはできない。たいていその土地におつたればこと、住宅もあり、何とか住居の都合がつくというような人が多いのでありまして、ほかへ行つたらば困るというところから、ついその土地で登録するということになる。そうすると辯護士會においては、それは好ましくないというようなことから摩擦をなるたけ生じないように希望いたすのでありますが、問題はデリケートでありますから、具體的な問題が起こりますような場合には、司法當局としては善處いたすつもりでありますが、ただいま申したような點を考慮はしている。こうお答えいたしておきます。
#63
○石川委員長代理 引續き午後會議を繼續することにいたしまして、午後は一時半まで休憩いたします。
    午後零時十五分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩の後は開會に至たらなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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