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1957/12/23 第28回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第028回国会 商工委員会 第1号
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1957/12/23 第28回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第028回国会 商工委員会 第1号

#1
第028回国会 商工委員会 第1号
昭和三十二年十二月二十三日(月曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 小平 久雄君
   理事 阿左美廣治君 理事 内田 常雄君
   理事 笹本 一雄君 理事 加藤 清二君
   理事 松平 忠久君
      有馬 英治君    川野 芳滿君
      佐々木秀世君    櫻内 義雄君
      徳田與吉郎君    中垣 國男君
      福田 篤泰君    南  好雄君
      岡  良一君    佐々木良作君
      田中 武夫君    田中 利勝君
      多賀谷真稔君    中崎  敏君
      永井勝次郎君    帆足  計君
      水谷長三郎君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  前尾繁三郎君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       小笠 公韶君
 委員外の出席者
        外務事務官   林  祐一君
        外務事務官
        (経済局第五課
        長)      谷敷  寛君
        大蔵事務官
        (主計官)   海堀 洋平君
        大蔵事務官
        (銀行局特別金
        融課長)    磯江 重泰君
        通商産業事務官
        (通商局長)  松尾泰一郎君
        通商産業事務官
        (繊維局長)  小室 恒夫君
        通商産業事務官
        (繊維局絹毛化
        繊課長)    高橋 淑郎君
        中小企業庁長官 川上 為治君
        参  考  人
        (石川県絹人絹
        織物調整組合副
        理事長)    安井 睦美君
        参  考  人
        (福井県絹人絹
        織物調整組合理
        事長)     長谷川 清君
        参  考  人
        (八王子織物協
        同組合理事長) 田中 利一君
        参  考  人
        (全国繊維産業
        労働組合同盟福
        井県支部書記
        長)      中島 優治君
        参  考  人
        (帝国人絹株式
        会社取締役)  古川 清行君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
十一月十四日
 委員長阿左美廣治君、伊藤卯四郎君及び石野久
 男君辞任につき、その補欠として小澤佐重喜君、
 片島港君及び帆足計君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員小澤佐重喜君辞任につき、その補欠として
 阿左美廣治君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
 委員八木昇君辞任につき、その補欠として伊藤
 卯四郎君が議長の指名で委員に選任された。
十二月十九日
 委員伊藤卯四郎君につき、その補欠として八木
 昇君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
 委員西村直己君、森山欽司君及び片島港君辞任
 につき、その補欠として戸塚九一郎君、村上勇
 君及び志村茂治君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同日
 委員長福田篤泰君辞任につき、その補欠として
 小平久雄君が議員において委員長に選任された。
同月二十三日
 委員戸塚九一郎君及び佐竹新市君辞任につき、
 その補欠として徳田與吉郎君及び岡良一君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 理事西村直己君委員辞任につき、その補欠とし
 て阿左美廣治君が理事に当選した。
同日
 理事小平久雄君委員長就任につき、その補欠と
 して内田常雄君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十二月二十日
 中小企業の産業分野の確保に関する法律案(水
 谷長三郎君外二十三名提出、第二十六回国会衆
 法第五号)
 商業調整法案(水谷長三郎君外二十三名提出、
 第二十六回国会衆法第六号)
 中小企業に対する官公需の確保に関する法律案
 (水谷長三郎君外十三名提出、第二十六回国会
 衆法第三〇号)
 下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法
 律案(水谷長三郎君外十三名提出、第二十六回
 国会衆法第三一号)
 百貨店法の一部を改正する法律案(水谷長三郎
 君外十三名提出、第二十六回国会衆法第三二
 号)
 小売商業特別措置法案(内閣提出、第二十六回
 国会閣法第一五七号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の互選
 国政調査承認要求に関する件
 参考人の出頭要求に関する件
 人絹等繊維産業不況対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○小平委員長 これより会議を開きます。
 ちょつとごあいさつを申し上げます。
 今回皆さんの御推挙によりまして、不肖私が当商工常任委員会の委員長を拝命することになりました。まことに光栄に存ずる次第であります。
 申すまでもなく当委員会の使命はきわめて重大でございますので、諸先生の御協力と御支援によりまして、つつがなくその職責を果したいと存じます。何分ともよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#3
○小平委員長 それでは、まず委員席につきまして御了承を願っておきたいと存じます。すなわち、委員席は、必要あるとき委員長において適宜変更することにいたし、ただいま御着席の通りといたしたいと存じますので、御了承を願います。
    ―――――――――――――
#4
○小平委員長 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。先般来委員辞任等によりまして、理事が二名欠員となっております。この際、その補欠選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○小平委員長 御異議なしと認めます。
 それでは
   阿左美廣治君  内田 常雄君をそれぞれ理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○小平委員長 次に、国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。今国会におきましても、従来通り、経済自立あるいは通商産業基本問題等につき調査を進めて参りたいと存じます。つきましては、次の諸事項について、議長に対し国政調査の承認を求めたいと思います。すなわち
 一、日本経済の総合的基本施策に関する事項
 二、電気及びガスに関する事項
 三、鉱業、鉄鋼業、繊維工業、化学工業、機械工業その他一般鉱工業及び特許に関す
  る事項
 四、通商に関する事項
 五、中小企業に関する事項
 六、私的独占禁止及び公正取引に関する事項
 以上の事項を調査事項とし、このほか衆議院規則第九十四条第二項に規定する目的、方法等につきまして、前国会通りといたしまして、議長に承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 ちょっと速記をやめて下さい。
    〔速記中止〕
#8
○小平委員長 速記を始めて。
 ただいま国政調査の承認を得ましたので、これより人絹等繊維産業の不況対策に関し調査を進めることにいたしますが、調査に入ります前に、参考人の件につきましてお諮りいたします。
 本日、本問題調査の必要上、主として人絹関係の業界の方々より、参考人として御意見を伺うことにいたしたいと存じます。すなわち、石川県絹人絹織物調整組合副理事長安井睦美君、福井県絹人絹織物調整組合理事長長谷川清君、八王子織物協同組合理事長田中利一君、全国繊維産業労働組合同盟福井県支部書記長中島優治君、帝国人絹株式会社取締役古川清行君、以上五名の方々から、参考人として、それぞれの意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし上と呼ぶ者あり〕
#9
○小平委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 それでは直ちに本問題について、御出席の参考人各位より御意見を伺います。
 参考人各位に、御多用中のところ、本委員会に御出席を願いまして、まことにありがとう存じます。申すまでもありませんが、最近の繊維産業の不況は想像に絶するものがあり、なかんずく、この人絹関係におきましては、輸出向けの滞貨も、かなり増大し、その様相は、ますます深刻の度を加えているようであります。この際、本委員会は、本問題解決のための抜本的施策を講ずるため、日夜直接業務に携わっておられる諸君から、その実態についてお伺いするとともに、その対策につき、忌憚のない御意見をお聞きしたいと存ずる次第であります。
 なお、参考人の御意見開陳の時間は、お一人おおむね十分ないし十五分程度にお願いすることとし、その順序は委員長におまかせ願いたいと存じます。なお御意見御発表の後委員の側から種々質疑もあろうかと存じますので、お含みの上お願いいたします。
 ではまず最初に安井参考人にお願いいたします。
#10
○安井参考人 深刻な不況にあえぐ中小企業の絹人絹織物の窮状を訴え、そしてわれわれが考えておりますこの不況打開策につきまして、本委員会でお話を申し上げ、お願いいたす機会を与えていただきましたことにつきまして、厚く御礼申し上げます。
 人絹織物の輸出は、昨昭和三十一年度は、概して好調に推移いたしましたが、本年度に入って最大の市場であるインドネシアの輸出が停頓いたしまして、それがきっかけに市況の不安を招き、その不安な市況が、また海外の買い意欲を減退いたさせまして、その悪循環によって、東南アジアその他への輸出が、相手国の外貨不足、国内事情等の事情も加わって、一そう不振となって参りました。
 こうした人絹織物業の不況にさらに拍車をかけたのが、金融引き締めであります。ほとんどが零細弱小企業である人絹織物業者は、人絹メーカー、大商社に、賃織り等で資金的に大きく依存しておるのでありますが、今次の金融引き締めの影響は、われわれ中小企業たる機屋へ容赦なくしわ寄せとなって現われてきまして、一そう不況の度を増大しているのであります。
 政府は、本年の当初において、人絹織物の輸出目標を五億四千万ヤール、すなわち、月四千五百万ヤールときめましたが、その後輸出はきわめて不振で月三千二、三百万程度で、その不振のために、過般下期の輸出目標を定めるに当りまして、年度当初の目標をはるかに下回る四億二千二百五十万ヤールに策定いたしまして、当初の目標を大げさに改正したような状態であります。この当初の年間目標と改訂目標との開きにほぼ相当する量の二百五十万匹余りの人絹織物が、すでに今日滞貨となって、この滞貨が事態を一そう悪化せしめている直接かつ重大な原因となっているのであります。
 そして、今回の不況の様相は、きわめて広範な面に現われており、その実相は、先ほどお手元へ御配付いたしました北陸三県人絹織物業の現況について御了察願えると存じますが、こうした不況の打開には、業界みずからにおいて全知を結集し、全能をあげて努力すべきことは言うまでもありません。そういう意味におきまして、業界はいろいろとその打開に努めておりますが、今簡単にその一端を申し上げますと、第一に、今次の不況の真因が、生産の過剰に胚胎するのでありますので、われわれ絹人絹織物業界では、いち早く政府の御指示にかかる過剰織機買い上げの処置に応じまして、昭和三十一年度、三十二年度と、約五千台当ての供出をいたしておるのであります。
 第二に、生産制限について、調整組合連合会で、すでに二割操短を決議し、継続実施しておるのであります。さらに進んで、わが石川県においては、五月、六月にかけて、石川県独自の自主的体機を断行して、その結果、延べ台数で四万七千台の織機を休止し、これに対しては、調整組合と地元の商社とが相協力しまして、約一千万円の休機補給金を支払ったような次第であります。また、さらに事態が悪化いたしましたので、十一月以来、県内の協同組合及び商社と協力いたしまして、さらに自主的体機を実行し、減産に努めておるような実情でございます。
 第三には、人絹糸メーカーその他の関係諸団体と緊密な連絡をとりまして、業界の安定策をいろいろと講じ、第一には、人絹メーカーの操短に関連いたしまして安定価格の設定、二つには、三銘品の賃織り拡大、第三には、その三銘品の価格を一定点に保持、安定することによって輸出の促進をはかる等、種々安定による輸出の振興をはかる手段を講じてきておるのであります。
 その後、事態は一そう悪化し、何ら打開の曙光を見出すことはできませず、泥沼の深きに呻吟するような状態で、今や極度の不振のうちに歳末を迎えようとしておるのであります。現状のままで推移いたしまするならば、辛うじて年末の危機を乗り越えたといたしましても、来春の一月、二月にかけては、倒産続出の破局をとうてい避け得られず、人絹織物業者は、まさに壊滅に瀕するという見通しでございます。
 事かような状態に至りましたので、業界の自主的な努力、関連団体との協力のみでは、とうていこの不況を乗り切り得ないように感じます。残された最後の道は、国会並びに政府の施策に待つよりほかないと存ずるのであります。去る十二月十五日、北陸三県の県当局の御提唱により、三県の県及び業界の首脳が集まりまして、不況対策につき、いろいろ協議いたしたのでございます。以下御要望申し上げるような四項目を、不況対策といたしまして政治的施策を早急にお願いいたしたいと、総意をもって決議した次第であります。
 申すまでもなく、絹人絹織物業は石川県、福井県では基幹産業でありますので、この不振は、影響するところきわめて広範、深刻でございます。さらに、県の財政状態にも響くことであり、社会問題にまで波及するおそれがあるのでございます。どうぞこの事情をとくと御賢察賜わりまして、格別の御高配を賜わりますよう念願する次第であります。
 要望いたします四項目につきましては、お手元に北陸三県絹人絹織物不況対策に関する陳情書という形で、書状を差し出してあります四点でございます。
 第一は、輸出向き人絹織物の滞貨処分に関する件でございます。先ほども申し述べました通り、二百五十万というべき多量の滞貨が累積いたしまして、これが市況の悪化を来たし、輸出の不振の原因となっておりますので、これが処理につきましては、現に継続中のインドネシアの賠償交渉等に関連いたしまして、でき得るならば、この細目決定が近く進められるように漏れ承わっておりますので、その際の賠償物資に取り上げていただくようにお願いいたしたいと存じます。賠償物資につきましては、政府部内の一部に、生産資材でなければならないという御意見もあるやに承わっておりますが、こうした事情をおくみ取りいただきまして、消費物資ではありますが輸出向き人絹織物をぜひお取り上げ願いたいと存じます。
 次に、輸出入取引法に基く指定機関の設置の問題でございます。人絹織物の不況の原因の一つといたしまして、輸出業者の不当な過当競争が、海外における不安の原因をなしてきておりますので、今後、特定の織物、特に先ほど申し上げるような輸出三銘品と称すべき輸出の大部分を占めておるこの織物につきましては、ぜひ、今度改正せられました輸出入取引法に基く指定機関を設置するように、業界でも努めておりますが、国会のお力をもって、政府の方へさよう御指導いただくようにお願いいたしたいと存じます。
 次に、生産調整用資金の確保に関する件でございます。われわれ織物生産業者といたしまして、こうした滞貨がたまり、輸出の不振の状況下におきまして生産を続けるということは、一そう事態を悪化いたしますので、すでに先ほど申し上げました通り二割の操短を実行いたしておりますが、この一月よりさらに強化いたしまして三割の生産調整を実施することにいたしおります。しかし、これが実施のためには、先ほど申し上げました通り、零細脆弱な業者でございますので、生産を休止するために休業手当等の思わざる出費を必要とするのでございますが、零細業者として、自主的に金融の道が困難でございます。しかも、休止するための金融でありますので、これにつきましては、政府その他の格別の御配意による中小企業金融公庫等からの長期低利金融を、ぜひお願いいたしたいと存ずるのでございます。
 第四には、過剰織機の処理に関する国庫補助に関する件でございます。以上のように、輸出につきまして、あるいは生産につきまして諸般の措置をいたしましても、そうすることによって市況が一時回復いたしたといたしましても、現状すでに政府当局において御決定になっております通り、織物生産設備いわゆる織機が二十五年度を基準として五万台余りの過剰ということが出ておるのでございます。こうして過剰の織機が、景気の回復とともにまた稼働するようでは、また不況を繰り返すのでございますので、この過剰織機の処理につきましては、先ほども申し上げました通り、三十一年度、三十二年度と、すでに一部実行せられておりますが、この機会に、残余につきまして一挙に御処理いただくように、政府の特段の配意をいただくように、国会においても御協力をお願いいたしたいと存じます。
 これらの四項目につきましては、一つ一つが、きわめて重要でございまして、この一つを欠きましても、業界の不況立ち直りに何らの効果をなさないのでございます。しかも、このそれぞれが相関連いたすのでございますので、その点特に御配慮願いたい。たとえば第一の滞貨の処理ができましても、第三のわれわれ業者の操短が実行できなければ、その効果をもとよりこわしてしまいます。また、滞貨の処理あるいは生産が一応短縮できたといたしましても、あとに過剰織機を抱えておりまして、自後におきましてまた過剰の原因を来たすのでございますので、これら四つをどうか同時に実行できるように御配慮いただきたいと存じます。もちろん、それぞれ時間的に遅速のあることはやむを得ませんが、この機会に相関連する問題として御処理いただくよう特にお願い申し上げます。
 なお、福井の調整組合の理事長の長谷川さんがお見えでございますので、福井県の実情、これらの要望事項につきまして、さらに詳しく御説明いただけるものと存じますので、私の陳述をこれをもって終ります。どうもありがとうございました。
#11
○小平委員長 次に長谷川参考人にお願いいたします。
#12
○長谷川参考人 本日国会のこの商工委員会に、われわれ業界を代表いたしまして、福井県から実情を申し述べる機会をお作り下さいましたことを、厚く御礼申し上げますとともに、深く喜んでおる次第でございます。
 先ほど、石川県の安井君から、るる現状について御説明いたした通りでありますが、われわれ絹人絹、特に人絹の業界、しかも福井、石川で全国の人絹織物輸出の約八〇%以上を占めておるこの輸出入絹織物は、極度の不況でありまして、今春以来、非常に輸出不振に悩まされております。さらに、その上金融引き締めのしわが、ほとんどわれわれ中小企業者の方へ寄ってきまして、このまま放任せんか、われわれの仲間から続々と倒産あるいは落後者を出すことは、火を見るよりも明らかな状態であります。その根本原因は、政府において五億四千万ヤールという今年の輸出目標を立てておきながら実際は四億二千万ヤールあるいは四億ヤールくらいにとどまるのじゃないか、いわゆる一億数千万ヤールも根本目標がくずれてきたことが最大の原因であろうと存ずるのであります。それは、われわれの主要仕向地でありましたインドネシアが、毎月一千万ヤールくらい買ってくれましたのが、向うの政情あるいは外貨の事情等によりまして、ほとんど買ってくれないことに原因しておるので、この目標が大幅にくずれたところに原因があるのであろうと存ずるのであります。すでに、人絹メーカーにおきましては、かかる目標のもとに増産体制を拡充せられまして、すでに糸も四千万ポンドも在庫があるようになり、また織物も二百五十万匹という膨大な在庫を擁するようになりまして、その前途になお明るさが持たれない、暗たんたる状態であります。わが福井県におきましても、重要基幹産業の一つでありまして、農業とこの繊維で立っておるのであります。もちろん北陸石川県もともでありますがあたかも、農業の方は三年の豊作で、これはまあまあという状態でありますが、わが維繊の方は、打ち続く不況のために、非常に苦難に追い込まれて、われわれの中には破廉恥罪をも犯す者も出てき、あるいは工場を全部開放いたしまして養鶏業に転業したところもあるような状態であります。
 この悲惨な状態を一刻も早く脱すべく、われわれみずからの手で何とか対策を講じまして今日まで参ったのであります。非常にまとまりにくいこの中小零細企業をようやくまとめまして、去る九月十五日から、われわれみずから二割の生産調整に入ったのであります。また一方人絹メーカーにおかれましても、二割八分何がしかの操短に入られたのでありますが、その効果は何らいまだに上ってこないという状態でありまして、さらにメーカーの方におきましては、来年一―三月からは五割の操短強化をされ、われわれ中小企業も、三割に生産数量調整を強化する決意をいたしたのであります。でありますが、何しろわれわれ中小零細企業の方は、非常に資金力、また資本力が薄いために、これ以上操短を強化するにはどうしても資金の裏づけを必要とするのでありまして、この点を、先般来、北陸三県の知事さんを先頭に、県議会あるいはわれわれ業界ともに打って一丸となりまして、この資金の御融通をお願いしているようなわけでありますので、この際、何とぞ政治的に、国会におかれましても、政府におかれても、われわれのこの苦境を抜本的対策を講じていただくようにお願いする次第であります。
 先ほど、四項目に述べられました通りでありますが、何しろ中小零細企業でありますので、これ以上の操短を強化するには、ぜひともその資金を必要とするのでありまして、この点一つよろしくお願いいたす次第であります。
 また現在のような非常な滞貨をかかえておるときに、この滞貨がわれわれ業界の非常な重圧になりまして、そうしてこの滞貨がなくなるまで芽が出ぬという、非常な長期的に不況を切り抜けられない。これには、ことしの春の国会で通過いたしました輸出入取引法による指定機関を一つ設置していただきまして、従来のような過当競争を排除して、そうして窓口を一本にして、海外から信用のある取引の方法を講じまして、そうして輸出振興をはかりたいというねらいでありますので、この設置を一つお願いしたい。またわれわれ零細企業者は、ほとんど滞貨を持っていないのであります。この滞貨はほとんど大メーカー、大商社の滞貨ではありますが、これがあるがために、われわれ零細企業の方へ重圧になる。これを何とか賠償物資にやっていただく、あるいはクレジットを設定していただく等、すみやかにこの滞貨の処理の方策を抜本的に一つ立てていただきたいということもお願いするわけであります。
 また過剰織機でありますが、政府におきましては、昭和三十一年度から過剰織機の買い上げを、五カ年計画で実施しておられるのでありますが、今日のこの急場には、とうてい、あと三カ年をこうやくばり的にちびちび買い上げていかれては、この効果が歴然と現われない。この際思い切って三年分一ぺんに、しかも、今日のような政府負黒万一千円、業界負黒万一千円では、とうてい実情に沿わない。現在われわれ機具を購入いたしますと、自動織機は数十万円いたしますが、普通の機具でも十四、五万円する。さらに半木製におきましても十万円くらいする。これの中古でありますので、六〇%あるいは七〇%と見ましても六万円、七万円の価値があるのでありますので、この際大幅に政府の補助の負担額を引き上げてもらって、そして三年分一ぺんに買い上げていただければ、この根本的なガンが手術できて明るくなるので、根本対策として、一つこういうことをやっていただきたいということをお願いする次第であります。
 以上簡単ですが、いろいろ四項目を並べましてお願いする次第でありますので、よろしくお取り計らいのほどお願いいたします。
#13
○小平委員長 次に、田中参考人にお願いいたします。
#14
○田中参考人 本日、北陸方面の輸出を主とした不況対策について、私ども参考人としてお呼び出しをいただきまして、意見開陳の機会をお与えいただきましたことは、まことに喜びに存じます。心から敬意を表して、厚くお礼を申し上げる次第でございます。
 ただいままでのお二人のお話、主として北陸方面に限られた輸出に関した問題でございましたが、私は同じ絹人絹調整組合に所属しておりましても、内地小幅の全国都道府県に分散しております数十の産地代表として、内地小幅に関係しておる状況をお話を申し上げたいと存じております。
 織機の供出あるいは生産の調節等につきましては、前者が申し述べました通り、調整組合連合会において同じ歩調をとって、二割の操短、あるいは一月からは三割操短というお申し合せを実行いたすことになっておりまするが、現在の内地の織物の状態も、決して楽観は許せないのみか、むしろ開闢以来の困難な問題に遭遇しているのじゃないかというふうに見られるのであります。内地の状態は、各生産者が販売いたします場合、手形制度といいますか信用制度が、あまりにも極端に、最近では百二十日あるいは百三十日というようなサイドの手形で販売をせざるを得ないような状態でございます。このために倒産等にあいまして、不渡り手形が出ておりまして、そのために業者がいかに困難をしておるかということは、これはまた輸出の方面とは多少違っておる。最初、昭和二十五、六年のころは、六十日手形というのが普通でありましたが、年々そのサイドが長くなりまして、現在ではもう百日以上が普通で、百二十日、百二十五日というのがほとんど、産地によってはそういうような状態であります。これで一般の機屋は、原料商から手形で買い、機屋は問屋に手形で出し、問屋は小売屋に手形で売るというような関連がずっとありまして、小売屋あるいは問屋の倒産が、産地の機業家に及んで参ります。さらに産地の機業家から振り出した手形が不渡りになって原料商が倒産する。現在私の属しております八王子産地のごときは、市内の原料商が行き詰まって倒産したものもありますし、今後の見通しといえども、原料商が幾人残れるかという状態で、きょうも産地においては対策を協議しておるのでございます。
 こういうような非常時に、何とかして生き残るために、われわれは、あらゆる手段を講じてこの対策を立てておるのでございますけれども、結局は、どういう対策といえども、金融によらない対策というものはないのであります。どうしても金融の面を政府にお願いし、商工中金なりあるいはその他市中銀行によって資金を確保しなければ、この急場は乗り切れないというのが実情でございます。産地によりましては、都内でも、すでに調整組合で申し合せた二割、二割の操短以外に、十二月半ばから来年の一月一ぱい全休するというようなところもございます。青梅とか村山とかいう都内の産地は、一カ月あるいは四十日間の全休を申し合せて、すでに実行に入っております。八王子の産地も、十二月二十日から一月一ぱい五割の操短を実施中でございますが、これを実施するに、みずから振り出してある手形の期限の来るものを処理しなければならぬという責任がありますので、操短と簡単に申しましても、この実行には困難が伴うのであります。そのため、決済がつかずに、やむを得ず倒産しなければならぬというような状態が起ってくる心配が、現在もありますけれども、さらに明年の一月、二月にかけては、そういう心配が多いわけで、ほとんど全部のものが討ち死にするような状態が起るのではないかということすら、産地においては叫ばれておるのであります。それから、各産地の状態を電話等で伺ってみましても、伊勢崎においても、十日町においても、足利においても、十一月以来売れ行きがとまって、ほとんど商談が行われていないという報告がきております。ですから、どこの産地といえども、いかに現在困難な状態に追い込まれているかということは想像にかたくないのであります。
 以上のような状態でございますので、ぜひとも政府におかれては、産地の金融機関あるいは商工中金等にお話しかけ下さいまして、金融引き締めの緩和あるいは組合融資の積極化等について、特段の御配慮を賜わりたく、ひたすらお願いを申し上げる次第でございます。簡単でございますが、陳述を終ります。
#15
○小平委員長 次に、中島参考人にお願いいたします。
#16
○中島参考人 御紹介いただきました全繊同盟福井県支部書記局長の中島であります。今回当委員会が、絹人絹繊維産業の不況対策を講じられるに当りまして、ややもすると忘れられがちになっております労働者の立場もあわせて御考慮願うべく、参考人として出席さしていただきましたことにつきまして、特にその御配慮に対しましては全繊同盟といたしまして、厚くお礼を申し上げる次第であります。そこで、私ども労働者の立場で、絹、人絹関係の労働者の実態を申し上げて、さらに不況対策に関する第三者的とはならないかと思いますけれども、若干意見を述べさしていただきたいと考えております。
 まず、私ども労働者の実態のうち、福井県の実情を申し上げますと、福井県の繊維関係の賃金状態等は、昭和二十五年ぐらいから今日まで、若干上って下って、また上って下ったというような線を描いておるようであります。昭和二十八年の繊維関係、絹人絹関係、紡織関係の総平均賃金を見ますと七千七百三十九円になっております。その他の産業を合せました全産業の平均賃金は一万八百八十一円を示しております。二十一年の一月から十二月までの平均を見ますと、それがやや上りまして、紡織関係は七千七百三十九円が九千七円になっている。ところが今年の一月から九月までの平均をとってみますと、逆にそれが下りまして八千五百五十九円ということになっているわけです。他の産業の平均をとってみますと、一万三千三百三十九円という数字を示しております。約五千円の較差を持っておるのが今日の繊維産業に従事しておるものの賃金であります。
 なお、今ちょうど時期でありまして、まだ若干解決していないものがありますけれども、一時金闘争が始まっております。その様相を見ましても、大体他の産業では、今年は去年より平均二割高ぐらいなのが福井県の実態でありますが、繊維関係の場合昨年の三割減というのが平均かと考えております。
 なお、私、労働金庫の役員をいたしております関係から、労金の目から見ました実態を申し上げますと、ある工場の場合、去年は一時金を一カ月分出したけれども、今年は出せない。そうかといって、全然出さぬわけにいかぬからというので、一カ月分出した。ところがその一カ月分合計百八十万円は、会社の方で出せないということで、全額労働金庫の方で貸付を行いました。一時金を十カ月返済で貸付をするというようなことが現われて参りました。またある工場では、これはまだ原因を十分調査しておりませんが、旭化成の賃織をやっております工場であります。これがまた三百万円の融資をいたしまして、本年度の年末融資は合計三千万円を突破することになったわけです。
 これはもちろん労働者に対する貸付ではありますけれども、考え方によりましては、その三千万円は、経営者の方が当然責任を持って金繰りをすべき性格の金である。その点を考えてみましても、福井県の繊維業界が、いかに困っているかということがうかがわれると思います。
 なお、労働時間の面を見てみましても、他の産業では、時間外のトータルが大体三十分ぐらいになっておりますのに比べまして、繊維関係は、平均いたしまして二時間ということになっております。平均二時間でありまして、最高は時間外が四時間であります。十二時間労働というのが、非常に多くあちらこちらに見られるようになりました。そこで、時間の逆計算をいたしまして、正規の労働にいたしました場合に、昭和二十八年の賃金を一〇〇いたしますと、現在他の産業は一三〇という数字を示しておりますが、繊維関係におきまして、八五という指数を示しておるわけであります。
 なお、これは皆さん方も御承知かと思いますけれども、福井県の福井の市街、もしくはその他の市内にあるところのバーないしはキャバレー、あるいは料理屋等のダンサーあるいは女給さんの前身を調べてみますと、最近に入りました人々の前身は、そのほとんどが繊維関係の女工さんであるということであります。このような実態が福井県に現われておるということであります。このまま放置しておきますと、これはただ単に繊維業者、あるいは私ども当該労働者のみの問題ではなくして、大きな社会問題となり、あるいはまた、今封建的といわれております福井県ではありますけれども、思想的にも非常にまずくなるのではなかろうかと考えておる次第であります。政府といたしましても、この点につきましては、ぜひとも可及的すみやかに適切な抜本的な対策を講じられたいと考えております。
 そこで、先ほどの三人の方々が述べられました点について、労働者としまして、横から見ておる目で、若干考え方を申し上げたいと思います。それは、まず操短の問題でありますが、今まで過去何回か、二割操短あるいは三割操短ということで実施されてきたようでありますが、過去におきましては、二割操短を実施いたしましたその月の検査高ないしは生産高を調べてみますと、皮肉にも、逆に一割増産の数字を示したというようなこともございました。ところが、九月十五日から十二月までの二割の操短につきましては、増産という現象は起しませんけれども、私どもの目から見ますと、二割の半分の大体一割くらいの操短をやった結果になったのではなかろうかと見ております。
 なお、この点について、なぜ二割操短をやって一割しか実効が上らなかったかといいますと、先ほど申し上げた労働時間等の問題でありますが、たとえば織機を封緘をいたします。あるいは同盟休日をやります。そうした場合に、業者の方では、その部分を休日変更、公休の取り消し等に振りかえたり、あるいは八時間で操業をやっておりましたものを十時間にしたり、あるいは一部制を二部制に切りかえたりしまして、その場をのがれておったようであります。そのようなことで、いわゆる労働条件的には、その結果が労働者にしわ寄せされてきただけであって、真に効果のあった調整ではなかったと私どもは考えておるわけで、このような調整であります場合は、私ども労働者といたしましても、実効のある処置ではないから、絶対に反対をいたしたいと考えております。
 なお、私どもが常々申しておりますことは、そのような封緘とか、あるいは数量制限の場合でも、検査高の問題等で縛っていって、無検査ものを出してやはり同じような結果になるようなことをせずして、労働時間で縛ってはどうかというような意見も、前の参考人の長谷川さんにも申し上げたことがありました。今、福井県で完全に労働基準法を実施いたしますと、これは自動的に約四割の操短になるわけでありますから、そのことも一つのいい方法ではなかろうかと考えております。
 次に、過剰織機の問題でありますが、これらも、先般、何か一万円が政府資金であとの一万円は業者負担だということで、五千台の買い上げをすることになったということでありましたが、その結果を見てみますと、何らこれは影響がなかったと私どもは見ております。五千台くらいの買い上げをいたしましても、それは登録台数の中でも、実際には動かそうにも動かないような織機も登録されておる実態から、五千台くらい買い上げましても、何らその生産には影響いたしておりません。数量を制限することにはなっておりません。そこで、そのやった結果は、結局業者に対して若干補助金をやったんだというようなことにしかならなかったというふうに、私どもは見ておるわけです。そこでことしの場合にそれを一万円を三万円にしてとか、あるいは三万円を業者が出して買い上げを実施するというようなことを言われておるわけでありますが、こういうことになりますと、非常に値段が上りますから、買い上げする場合も、老朽織機でなく、やや程度のいいものの買い上げが可能とはなりますけれども、その反面として、業者が三万円の負担をすることが可能かどうかという点になりますと、私ども他から見ておる立場からいいましても、三万円を業者が出せるかどうかということにつきましては、はなはだ疑問を持っております。その能力を持たぬのではなかろうかと考えているわけです。
 それからこの買い上げの場合に一割やそこらではだめだというふうに見ております。それは、先ほど申し上げたように、あと一割くらい買い上げましても、生産調整の立場からいいますれば、実効ある措置とは絶対に言えないわけです、ですから、少くとも三割以上の買い上げをやるか、あるいは封緘による調整をするといたしましても、三割以上を完全に封緘をいたす方法をいたさなければ、これは調整にならないと考えております。
 それで、私どもしろうとながら考えますことは、今度の一月からの三割操短の問題につきまして、いろいろ意見を出しておりますが、その場合に言っておりますことは、完全に三割の織機を封緘をいたしまして、それを政府が買い上げるのじゃなくして、三万円政府が補助するのでありますなれば、その三万円を、完全に三割封緘をさせた、それに対する補償、いわゆる営業補償とでもいいましょうか、それにやった方がむしろ業者としても完全に履行するのであろうし、その方が実効ある調整の措置であるというふうに私どもは考えているわけであります。しかし、この場合におきましても、やはり先ほど申し上げた労働時間の制限等を、その調整の中に入れていただくことは、申すまでもございません。以上、私ども労働者の立場から見ておりました、先ほど述べられましたことについての私どもの考え方であります。なお、具体的な資料等につきまして申し上げたいと思いますが、時間もございませんので、また次の機会に資料の提出をいたしたいと考えております。
#17
○小平委員長 次に、古川参考人にお願いいたします。
#18
○古川参考人 化繊のメーカーの人絹部会長をやっております関係上、本日この商工委員会に参考人として意見を申し述べることは非常にありがたいことだと考えております。
 現在の人絹業界は、人絹糸始まって以来の最大の不況であります。戦前七割の操短をやったことがありますが、その時分は、わが国の人絹の発展期でございました。今回は決して油断ならない不況と私は認めております。
 現在の人絹の処分になりますが、このうち需給の調整を早くはかりたいということが、一番の問題であると感じます。それから次には、この金融の関係を何とか一つやっていただかなければ、とうてい解決できないと私は思っております。
 需給の調整につきましては、この八月から二割、十月から三割の操短を政府の勧告でやって参りましたが、現在の状況では、大体内外の需要が月に千六百万ポンドあるようにわれわれは計算しておるわけであります。そうしますと、二割の操短では、なかなか長期を待たなければ需給のバランスがとれない。しかも当面は海外の買い気も起らないといういろいろな関係がありますので、まずできるだけ早く過剰在庫を処理する必要があるということで、私のところは五割五分になりますが、現在は一月から五割の操短をするということに方針がきめられておるわけであります。そういたしますれば、大体半年以内で需給のバランスはとれるだろうということになっております。
 次に、金融の問題でありますが、われわれは大きな犠牲を払いながら減産をやっておりますが、なかなか市価は安定しません。これは一にかかって金融が窮屈でありますことが大きく影響しております。機屋さんの方も同様でありまして、織ったものを持つわけにいかないから、これを処分しなければいかぬ、商社の方も商品を処分しなければいけないということで、非常に今日の安い市価、たとえばスフのごときは、国際価格の半値以下、三分の一ぐらいであります。人絹につきましても、やはり同様でありまして、国際市価をはかるかに下回った状況になっております。そういうことでありますために、われわれとしまして、金融を何とかしてもらいたいということで、この夏以来、それぞれの機関にお願いしてあります。現にこの前も、一部に人絹の糸が過剰在庫になっていましたので、それをメーカーで引き取るという問題がありましたが、これは幸いにいたしまして当局の御援助あるいは銀行の了解のもとに、そういう一部にありました不当在庫はわれわれが引き取りまして、需給、市価の安定をはかるということをやったわけです。しかしながら、その後依然としてますます金融が逼迫しますので、その目的でありましたことは、今日ではあまり達成されなかった、依然として滞貨はそのままわれわれの倉庫に眠っております。かかる次第でありますから、先ほどから機業家の方々も申された通り、この際はわれわれメーカーとしましても輸出滞貨による、手持するだけの金融を何とかしてもらいたいというのが、当面の問題であります。
 それからまた、人絹の織物が非常に沈滞しましたことは、先ほどお話がありましたが、インドネシアの買付が、毎月大体一千万ヤードを下らず行っておったのでありますが、これがこの春以来向うのいろいろな国内情勢によりまして、それを買わなくなった。その買わなくなった品物が、いわゆる三銘品でありましたので、これが北陸三県に大きく影響しておる次第であります。われわれとしましては、この三銘品につきましては、およそ百万匹かかえております。それからその他の織物につきましては、やはり四、五十万匹かかえております。先ほど全国の輸出織物の滞貨は二百五十万匹とおっしゃいましたが、その大部分はわれわれが持っておる次第でありまして、これがありますために、海外の方は、日本にはたくさん織物があるということで、なかなか買ってこないというような現状であります。さしあたっては輸出三銘品がインドネシアだけに適する織物でありまして、ちょうど綿布でいいますとキャンブリック、綿のキャンブリックがインドネシアに主としていくわけであります。われわれは、それを機業家の方々と相談の上で計画的に作ったのでありますが、そのうちに何とか売れるだろうという見込みでどんどん作っておりましたために、今日の滞貨を来たした。インドネシアの状況は、大体賠償の話が成ったようでありますが、これは早急にこの賠償の対象としまして、政府の方で取り上げていかなければ、普通の商売ではなかなかはけにくいというような情勢でありますために、いろいろと現地の様子も探りまして、また内地ではそれぞれの機関に連絡をとりまして、このインドネシア向けのたまっています三銘品を処理しなければいかぬという問題があるわけであります。聞くところによりますと、向うでは長い間日本から必需品が入りません関係上、非常に欠乏しているようであります。それで、もしこちらの関係ができれば、向うの方は非常に受け入れやすいという態勢となっているのではないか、こう思っておる次第であります。これにつきましては、われわれは一つ当面の問題として、たといこれが五百万ヤードでも一千万ヤードでもかまいませんから、早急にやってもらいたいというのが、当面の不況対策の一問題でございます。
 それから、メーカーとしましては、そのほかに、先ほどの輸出するための指定機関、これは今までは商社なら商社、機屋なら機屋ということで、ばらばらになっておったために、次から次へと安い織物が出ておるというようなことで、日本の人絹界から言いますと、お互いにまことに損をしておるということでありますので、過去の不当競争をやめてもらうために、何とか指定機関なりあるいは買い上げ機関なんかを、現況の不況の打開策として考えたらどうかということで、目下これはいろいろの関係がありますので、メーカーとしては研究中であります。
 それから、賃織りの問題は、北陸三県には最も関係が深いわけであります、われわれとしましては、非常な滞貨を持っていますけれども、そのうちに、たとえば賠償のごときが確立し、それからまた海外の情勢の好転とともに多少でも売れますなれば、できるだけ一つ継続していって、機業の方々と共同歩調で発展したい、こういうふうに感じております。
 そのほかに、当面の問題は、この海外の人絹織物が、将来一体どういうふうになっていくのだろうかということを、これからは一つ早急に研究しなければいけない。今まで、大体商社まかせの格好でありましたが、これからはメーカー、私どもみずから海外に行きまして、将来の人絹の織物の販売をやりたい。大体東南アジア方面を見ますと、パー・ヘッド年に三ポンドぐらいの衣料しか使っていない、まだまだ将来は方法によっては人絹織物は相当売れるというふうにわれわれは感じております。しかしながら、果して現状はどうであろうかということは、今までのところでは、詳しくわからぬわけでありまして、この問題につきましては、われわれとしましては、新年早々各社がそれぞれのところに出向きまして、向うの人絹の織物の将来はどうだ、今までのああいう簡単なものでいいのか、あるいはもっと高度化した人絹織物が行く可能性があるかどうかということをいろいろ具体的に考えまして、その上で染色の研究も向上をはからなければいかぬ、こういうふうに思っております。
 また内地におきましては、大体一カ月に六百万ポンドの消費があるということに見込んでおりますが、これは最近スフその他合成繊維が出て参りましたので、果してそれだけの需要があるだろうかどうかということにつきまして、これから逐次研究とともに、また宣伝もいたさなければならぬと思っております。過去においては、レーヨン織物はまことによく売れておったのでありますが、最近ここ一年間は、内地向けの織物はまことに不振であるように思います。従いまして、この方面の企業家の方々のお仕事も、そう楽観を許さぬのじゃないかということを考えられますので、今後は、メーカーと機屋、商社連合で、何らかの形で人絹織物の内地ロール・パックということをはかるべく研究をやっております。
 いろいろと問題は多いわけですが、私どもの考えては、現状をもう少し金融をつけてもらって維持すれば、来春には糸、織物の需給のバランスは大体とれて正常在貨に返り得る。
 一方インドネシア方面の賠償でもできますればこれを契機として、また東南アジア方面の需要も開拓できるということでありますので、一つ政府の方におかれましても、この繊維産業の総合対策でも立てていただいて、各繊維の調整もしていただかなければならぬのじゃないか。今日の現状におきましては、ひとり人絹のみが栄えるということは、ちょっと考えられませんので、スフも栄えなければいけないということで、非常に問題は多いわけでありますから、その繊維総合対策というものは、何とかして一つ打ち出していかなければならぬというふうに考えております。
 現状は、なかなか不安でありまして、われわれとしましては、先ほどもお話がありましたが、五割五分の操短をやると、人員や仕事の関係もなかなか困難になりまして、非常に大きな荷重になっております。機屋さんも御同様でありますが、メーカーはそれ以上の苦難の道を今歩いておる次第であります。
 どうぞ一つかかる情勢でありますから、御認識の上に何分の御援助をお願いしたいと思います。
#19
○小平委員長 以上で、一通り各参考人の御意見の開陳が終りましたので、これより質疑に入ります。通告がありますから、順次これを許します。
 なお、御参考までに申し上げますが、ただいま出席をいたしております関係当局は、通産省から川上中小企業庁長官、小室繊維局長、高橋絹毛化繊課長、外務省から谷敷経済局第五課長及び林事務官、大蔵省から磯江特別金融課長、これらの諸君が見えております。従いまして、参考人と当局者側とに、あわせて適宜御質疑を願いたいと思います。
 最初に徳田與吉郎君。
#20
○徳田委員 若干質問いたしますが、きょうは大臣はなぜ出てこられないのですか。
#21
○小平委員長 大臣は、参議院の本会議の関係で、まだ見えておられませんが、間もなく見える予定になっております。
#22
○徳田委員 繊維局長に伺いますが、大体業界の不振ということは、お互いよいよわかっておりますが、この業界は、えてして周波のある業界であります。繊維局長、大体いつもの周波と同じように心得ておられるのではありませんか。繊維局長だけでなく、きょう大臣が出てこられないの、通産省がいつもの周波と同じように軽く考えておられるのではないかと思いますが、いかがですか。
#23
○小室説明員 これは戦前では、あるいは欧州大戦の直後とか、昭和四、五年のころに、相当深刻な不況がございました。それにまさるとも劣らぬような全面的な繊維の不況の状態で、戦後では未曽有のことであります。これは人絹が非常に悪いというだけでなく、全体としてきわめて深刻な状況にあるというふうに認識しております。
#24
○徳田委員 それでは、重ねて伺いますが、最近何か人絹の六社側が五割操短をやるというような形、さらにまたそれに対しては大臣が勧告を出すというふうにも聞いておるのですが、このことについて伺いたい。
#25
○小室説明員 その通りであります。
#26
○徳田委員 私は、実はあまりこの方面の専門の知識を持っておりませんが、大臣勧告というのは、法的な根拠を待つのですか。
#27
○小室説明員 通産大臣の当然の権限に基くものであります。
#28
○徳田委員 それは何か確たる法律の根拠があって、通産大臣がおやりになることになっておるのか。もしその根拠があるならば、その条文と根拠をお知らせ願いたい。
#29
○小室説明員 通商産業省設置法に基くものと思います。
#30
○徳田委員 おそらくこの勧告を出されるということは、そのことによって業界全体が救われるという前提でなければならぬと思う。ところが、われわれが推測いたしまするに、なるほど人絹六社は、五割操短によって糸価の維持ができる。このことは、はっきりわれわれも当然そういうことはあり得ると思いますが、それによって、以下最近、この六社が織物業者へ系列といいますか、直接賃繰りをさせる、あるいはまた門屋が賃繰りをさせる、こういうふうな形態になっておると思うのですが、この五割操短の勧告が出て、五割操短をやった場合に、これらのところへ大きなしわ寄せがいくというふうな見通しをわれわれは持っておるのですが、そういうことに対しては、局長さんはどういうふうに思うのですか。
#31
○小室説明員 先ほど機屋さんの方の代表の御陳述の中にも、四千万ポンド以上の在庫があるということであります。あるいはその数字は、もう少し正確に言えば、多少の動きはあるかもしれません。しかしいずれにしても、四千万ポンドと申せば、操短前の二カ月分の糸です。それを在庫で持っておるわけであります。でありますから、五割操短をいたしましても、もっと極端なことを言いますれば、全休をいたしましても、当座の糸に事を欠くような状況ではありません。やはり在庫が累増するような事態を防いだ方が、人絹業界全体のためによろしい、こういうふうに考えておるわけです。
#32
○小平委員長 ちょっと質問の途中ですが、大臣が見えましたので、この際大臣から一言申し上げたいということですから、大臣の発言を許します。前尾通産大臣。
#33
○前尾国務大臣 お話の途中で恐縮でありますが、通常国会が二十日に開かれまして、初めての委員会でありますので、ちょっとごあいさつ申し上げたいと思います。
 今度の国会は、いろいろ皆さんの方から御支援を得なければならぬ問題が山積いたしておると思います。ことに輸出の振興、中小企業の問題、また科学技術の問題、従来からいろいろと御支持も得、また御援助もいただいておるのでありますが、さらに今国会におきましては、これらの問題が本格的になる時期であるというふうに考えております。従来に変りませず、いろいろ御指導のほどをお願い申し上げる次第であります。
 ちょうど最近におきまして、御承知のように、世界景気が後退をいたしまして、私は必ずしも来年度において悲観するものではありませんが、現在におきましては、いろいろ各種の業種にわたりまして、見通しがつきませんために、生産過剰になり、あるいは金融の問題で、業者の方々が非常にお困りのようであります。そのうちに世界の景気の方向もきまり、また本格的に動いてくるということ、景気循環なりあるいはいろいろな情勢を考えましても、そういうふうに思われるのであります。とにかく目先が見通しのつかぬために、非常に皆さん方当惑され、またいろいろな混乱が起っておるのであります。それらの問題につきましても、今後の推移を考え、またわれわれとしましてあらゆる努力をいたしたい、かように考えております。
 ことに、繊維の問題につきましては、非常に頭を痛めておるのであります。と申しますのは、従来、本年度に入りまして、必ずしも去年よりも輸出が減退したという状態ではありません。従って、最近ことに悪いのでありますが、問題は、生産過剰ということに相当深刻な問題があると思います。生産過剰につきましても、われわれとしまして、よほど考えていかなければなりませんが、業者の方々にも考えていただかなければなりません。生産過剰というものを解消して、そして価格の安定というようなことを極力われわれも努力いたしまして、今度の不況を切り抜けたいというふうに考えております。またいろいろ皆さん方からも御支持を願っておりますし、業者の方々からも、いろいろ方法について陳情もありますので、それらの点も極力私として努力をいたしたい、かように考えておりますので、その点もあわせてお願いやら、御了承を願う次第であります。
#34
○徳田委員 大臣が見えられたので、大臣に若干お伺いしたいと思います。
 先ほど繊維局長は、今度の不況は、これは最近にない、何といいますか、業界が非常に困っておる問題であるということをおっしゃいました。大臣も、今そういう御意見をおっしゃられましたが、ここまでくる間に、われわれいろいろ業者に聞いてみますと、たとえば人絹六社とか問屋の方では、もう需要が少いけれども、下の方がとまると困るから無理にやっておったというような話も、ずいぶん聞きます。また中小企業の機業をやっておる人々は、今日まで、再々自主的に操短をやったり、あるいは自主的にその解決に努力しておったようでありますが、政府としては、今日までこれに対してどういう考えで進んでおられたか、若干聞かしてもらいたいと思います。
#35
○小室説明員 私よりお答えいたします。昨年まだ神武景気といわれておった際におきまして、繊維産業はおおむね好況でありましたので、大体各部門とも生産設備の拡張に努めたというような形になっております。その中で、今当面問題になっております化繊関係も、特に生産拡張著しかったスフについては、私ども必ずこれは生産過剰になるからということで、新設をやめるようにという勧告を当時いたしました。新聞等にも相当取り上げられたことがございました。人絹については、それほどはっきりしたことをいたしませんでした。というのは、一つは十数カ月前には、非常に人絹糸が不足しており、ポンド二百七十円などというばかげた相場が出たことがありました。実は変な話ですが、イタリアの人絹糸を入れてまで、価格を押えようかと思ったことまであったのであります。そのために、糸不足という事態が非常に顕著でありましたので――生産過剰ということが一方では懸念されたのでありますが、やはり当面はむしろ糸不足ということが表面化しておったような事態がありまして、これについては中止を勧告するというような措置をとっておりません。いずれにしても好況を背景にして、業者はきそって生産拡張に努め、設備拡張を行なった。これが今日において非常なアンバランスを招いたのであります。また金融の逼迫とか、輸出の不振とか、いろいろな事情がありますが、そういうことが、一般に今日の不況の背景になっているということは明らかであります。
#36
○徳田委員 いろいろ事情があることはわかりますが、何といっても、やはりこれは需給の見通しあるいは生産、輸出輸入等の見通しに何か欠陥があったというふうにもわれわれ考えられます。業者が今日までそれぞれ自主的に努力しておった。事ここまで来たら、これから業者もがんばれというようなお気持は、おそらく役所にあるとわれわれは思うが、業者が今日までずいぶんがんばってきたんだが、今度はひとつ政府がうんと腰を入れるという考え方があるのかないのか、お尋ねいたします。
#37
○前尾国務大臣 先ほど申し上げておりますように、生産過剰という根本問題があるわけです。これは何としましても、業者の方々にやっていただかなければなりませんし、協力していただかなければならぬ。その見通しがつけば、今度は価格の安定につきましては、やはり金融の問題がつきまといます。これについては、政府といたしましても、あらゆる努力をいたしたい、かように考えているわけであります。
#38
○徳田委員 若干こまかいことを承わりたいと思っております。今、六社の糸の操短によって、市価の維持とか、あるいは糸の需給の問題については、ある程度一つの対策をお持ちのようでありますが、それ以下の小さな機業者、特に二十台以下ぐらいの家内工業といいますか、そういうのが相当多いと思います。今の問題は、単に機業ばかりでなく、その機業に従事している者の生活にまで影響するような事態に今日は来ておるのであります。もちろん機業それ自体も立て直さなければいけませんが、それより、まず生活に困る者をどうかしてやらなければならぬという事態まで最近来ておるのであります。こういうことを私ども考えられるのであります。小さな織物業も、自主的に三割操短するというような考え方もありますが、そういう場合に、今までは十台以下は除外するという考え方でありましたが、もう少し二十台ぐらいまでのものは、この調整からはずすという考え方がないのでしょうか、またそういう必要があると私は思いますが。
#39
○小室説明員 ただいま二割操短を実施しておったのも、三割に強化しようというような事態でありますし、業界全体で耐えがたきを忍ぶという態勢が必要かと思います。しかしながら、三割操短というのは、なかなか容易ならぬことであります。その具体的なやり方、たとえば、月のうちに十日休み、それも全体でお互いに監視もやり合うとか、いろいろな問題がありますが、これについては目下日本絹人絹織物調整組合連合会で鋭意検討中でございますので、具体的な御答弁は差し控えます。しかし、従来以上に操短を強化していかなければならぬ、こういうときでありますので、相当困難があると思います。
#40
○徳田委員 今のお話だと、さらに繰短を強化するということですが、今までは十台以下は除外したというが、二十台くらいまで調整作用からはずしたらどうかということをお尋ねしておる。このことについて……。
#41
○小室説明員 それらの点を含めて、目下鋭意検討しております。
#42
○徳田委員 最近、当面の対策として、金融の問題が大きく浮び上っておるわけであります。これについては、中小企業庁の長官がおられますが、何か最近考え方があるように承わっておりますので、この際はっきりお伺いしたいと思います。
#43
○川上説明員 人絹対策としては、私の方でも、この前からこの問題につきましてはいろいろ話を承わっております。先ほども繊維局長から話がありましたように、きわめて重大な問題と考えております。従いまして、私どもの方としましても、具体的な方針なり具体的な対策ができますれば、これに対しまして、できる限りの協力をしたいというふうに考えております。たとえば商工中金でありますとか、あるいは中小企業金融公庫、そうした政府関係の金融機関の方からも何とかとして援助をしたいとうふうに考えて、具体案をいろいろ検討しつつあるわけであります。
#44
○徳田委員 大へんけっこうで、ぜひそうしてやってもらいたいと思いますが、その際に、先ほど私が申し上げました通り、もちろん企業それ自体を救済しなければなりませんが、それについている従業員の生活というものも考えてやらなければならぬ。金融をなさる場合には、おそらく信用力のない者には、ちょっと困ることがあり得ると思うのですが、大体機屋さんは、従来からいろいろ借金を持っておられる人もあるのじゃないかと思う。あるいはまた、政府からいろいろそういう金融を受けながら、まだあまり十分に決済しておらないような人もある。しかし、こういう人はどうも、お前さきの借金を返さないから今度は困ったとか、お前さんは信用力がないから困ったということになれば、非常にむずかしい問題だと思うが、それについている者の生活は、最近非常に困っているのじゃないかと思うので、こういう点についてはどんな考えを持っておられるか、伺いたい。
#45
○川上説明員 従業員の生活というのは、非常に重大な問題と考えます。しかし、私の方の関係の金融機関の方から、直接そういう従業員に対して金を貸すのは、非常にむずかしいと思います。やはり企業者、経営者に対して、運転資金なり、そうしたものを貸すわけになるのですが、今、お話がありましたように、保証の問題等につきましては、特に非常に困っているというような状態でありますと、なかなかむずかしい問題も起きると思うのですが、またこういう金融機関が、全然金の返ってこないものを貸してやるという社会政策的なこともできないだろうと思います。その点を実は現在いろいろ検討しておりまして、たとえば保証協会が中に入るとか、保険に関係づけさせるとか、あるいは県の保証の問題なんかもいろいろ考えているのですが、そういういろんな手を講じまして、何とかして金がそういう企業者の方へ渡ると同時に、従業員の方も生活が何とか安定できるような措置をとりたいと考えまして、現在具体的な方法については、いろいろ検討しておるわけでございます。
#46
○徳田委員 もう一つ承わりたいのは、大体こうした方面へ流れる金融機関の金利は、九分五厘ぐらいになると思うのですが、今非常に困っているものに、こういう高率の金を貸すということは水をかけるようなことになると思うのですが、何かこれに対しまして特別なお考え方はありませんか。大蔵省の特別金融課長が来ておられますからあわせて一つ伺いたい。
#47
○磯江説明員 政府関係金融機関の金利につきましては、ただいま問題となっております人絹等につきましては、商工中金あるいは中小企業金融公庫等からの融資が期待されていると思いますが、これにつきましては、金利は、特にそういう事情にあるものにつきまして、一般の場合よりも低い金利を適用するというようなことはやっておりませんし、また今度の場合もそういう方向は考えられないのではなかろうかと思います。
#48
○徳田委員 そんなことはようわかっている。さっきからいろいろ話を承わると、これはめつたにない非常に重大な時期だというのに、表通りだけで、それは従来からやれないのだからやれないというお返事は、どうも私ども受け取れぬものです。私はそのころ国会におりませんでしたが、大体中小企業安定法が作られたときの質疑その他から見て、特別の場合にはやるというそのころの責任者の言葉があったように聞いておりますが、このことに関して、課長さんは何かお聞きになっておりませんか。
#49
○磯江説明員 私はただいまお話の点は聞いておりません。
#50
○徳田委員 これは私どもなおよく調べて、あとでまたお尋ねいたします。なるほど、私ども、課長さんがそうおっしゃるのは、わからぬでもない。いろいろのところに影響するのはわかりますが、しかし、先ほどから、今度は非常に困った事態だということを皆が認めている。それだからこの際一つ何か方法があるならば――あるならばじゃない、何か一つ考えて、こういう非常事態には、やはり何とかめどをつけてやるのが、私はほんとうじゃないかと思います。私はなおよく調べて、あとの機会にお尋ねしたいと思います。
 もう一つ、これは安井さんにちょっとお聞きしたいのですが、過剰織機に対する政府の負担金は一万一千円、これに対して同額を業者が負担して二万二千円になるわけです。私はしろうとでよくわかりませんが、織機は、このごろ新しいのは十五万円も二十万円もするのではないですか。もちろん、そういう過剰織機の対象になるのは、古いものも多いのではないかと思いますが、二万二千円ぐらいで、一体皆承知するのですか。その間の様子を、もう少し私に聞かしていただきたい。
#51
○安井参考人 ただいまお尋ねの点でございますが、仰せの通り政府負担の一万一千円、業者負担の一万一千円、合計二万二千円がことしの価格でございます。昨年はそれが二万円でございましたが、昨年は大体順調に供出がありました。というのは、先ほど長谷川さん、中島さんが仰せになった通り、割合悪い織機を先に出したという形で、二万円でまあ順調に出ました。ことしもこうした状況でございますので、しぶしぶながらも、ある程度は出ると思いますが、実際に、お話の通り、新しい織機は十万円をこえております。幾ら中古でございましても、悪い織機は大体出尽しておりますので、今後におきましては、そうした金額では、なかなか業者としても出しにくい状態でございます。
#52
○徳田委員 今のようなお話があるのですが、私も二万三千円ぐらいでこれから織機を整理するのは、なかなかむずかしいのじゃないかと思います。何か繊維局の方で、これは大蔵省も関係したことですが、もっと妥当な価格まで政府が補給してやるという考え方はないのですか。
#53
○小室説明員 今の補助金の額は、安井さんからお話があったように、昨年度は一万円、今度は少し上げて一万一千円まで出しております。同額の業者負担金のほかには、つぶしのくず鉄の値段を五千円見ておる。昨年はくず鉄の値段がもう少し高かったので、それが入って、今では二万七千円という価格で買う。お話のように、新品でありますれば十万円もいたしましょう。しかしながら、古いもので、稼働しようと思えばできるけれども、事実市況の関係で、稼働できないものもあるわけであります。古の価格というものはなかなか算定がむずかしいので、私どもできるだけ高い価格で買い上げてやりたいと思いますが、他方で強制しているわけではございませんで、任意で供出させるという建前でやることになっておりますので、国庫の負担をできるだけ少くしていくということで折れ合ってやっておる価格であります。むしろ、今後の問題としては、従来一対一、業界の負担が同額ということになっておりますが、最近のような不況であると、無理がある。価格をどんどんつり上げていくというより、この辺の配慮をした方がむしろ筋ではないか。また今回の第二年度の供出も、これから始まるわけでありますが、これはある程度出るという感じを、今のところ持っております。むろん多いに越したことはありません。しかし、むしろ業者の負担の程度を軽減する方に工夫をした方が筋ではないかというので、ただいま検討中でございます。
#54
○海堀説明員 今の件につきましては、ことしの予算は当初組みましたときに一台一万円の補助金ということでやっておったと思います。その後こういう市況になりまして、通産省の方から申し入れがありまして、任意供出であるけれども、その供出ができるだけ行われやすいように、補助金の一台当りの単価を上げるように、従って金額がきまっておるのですから、その部分は台数も減るだろう、しかし現在任意供出であるから、まずまずその程度までやればいいのじゃなかろうか、こういうお話で、省議まで諮りまして、一応補助金の関係は、率その他について、他に波及する点が非常に多いですから、一応単価の改訂を実行上決定いたしまして、現在は今繊維局長のお話がありました一万一千円でことしの単価は実行していただくということに、通産省との間で話が合致いたしております。将来のことにつきましては、現在予算もまだ審議中でございまして、私の方からどういうふうになると申し上げることは、ちょっとできないのでございます。ただ人絹関係の不況というものが、やはり非常に恒久化してきつつあるというような状況で考えていくということは、やむを得ないのじゃないか、そうしてまたその際に、初めから単価の改訂ということは、むずかしかろうと思いますが、その実行の時期に、もう一度それを振りかえる。来年のことを申し上げて恐縮ですが、そういうことも、必ずしも不可能ではないのではないかと思います。現在のところは、来年のことは全く決定いたしておりません。
#55
○南委員 関連して、繊維局長と大蔵省の係官の方に伺います。過剰織機の買い上げの基本方針は、すでに予算においてもついておる。従って、過剰織機を何とかしなければならぬということは、政府部内においても、すでに一般に政策として認められておると考えます。そこで、今まで予算金額が非常に少いために、五千台―七千台という程度で買い上げを実施して参ったのでありますが、その内容は、本年になると、いささか内容が変ってくると思う。先ほど繊維局長は、少くとも五千台というようなお話でありましたが、登録織機の場合は、登録料が実際業界にあったのでありまして、六千円、七千円というものがついておる。そういうものを勘案すると、昨年度あたりは、予算は一台一万円でも三万六、七千円、四万円近いもので処分できたということも考えられたが、今日において、かりにそれが一万一千円になっても、登録織機、非登録織機にかかわらず、そういうものが市場価格としてあり得ないようになって参りますので、一万一千円になっても、なかなか今度の五千台は、予算を実行する上において、困難があるのではないかというような気もするのであります。しかし、いずれにしても、五千台であり、今日のような市況でありますので、これが全然できないとは考えておりません。そこそこ近い数字までいくのでありますが、ほんとうに政府が織機が余っているということをお考えになるならば、補助率をふやすよりも、むしろ相当の予算を計上していただいて、ほんとうに業者が出し得られる値段で買ってやっていただくようにすることが、ほんとうにこの業界の一番困っている実情を根本的に解決する大きなめどを与える。私は今日人絹織物の業界においては、四、五万台の織機を、政府が真剣に相当な価格で買う決意さえあるならば、問題は非常に解決が簡単になるのではないかと思います。さらに進んで、先ほど繊維局長は、むしろ残存業者の負担の率を減らすような方向に向うのが本筋だというように言われましたが、私はそうではないと思う。一万一千円のものを一万二千円にしても、一万三千円にしていただいても、その程度の残存業者と政府の負担率の変更では、ほんとうに織機を買い上げるというあの政策の実行にはならぬと思う。むしろそれよりも、四万円、五万円ないし六万円くらいの価格で、残存業者と政府の負担が半々であっても、ほんとうに心から協力できるようなそういう予算の方法に変えていただく方が、将来のためにも、また現在の市況解決の上においても、非常に効果的であると思いますが、大臣並びに繊維局長の見解を、もう一度はっきりと承わっておきたいと思います。
#56
○前尾国務大臣 お話の点は、確かにごもっともであります。繊維局長のお答えいたしましたのは、今の残存業者が、非常に不況で金が出しにくいというような点を強く感じて、そういうお話をしたと思います。しかし織機の価格は、高いに越したことはありませんが、これも限度がありますから、極力その点も引き上げ、また負担の割合も考えていこう、こういうようなことで、双方かね合いで検討していくべき問題だと思います。御趣旨の点はよくわかります。
#57
○小平委員長 徳田君、他にまだ二、三人質問者がありますから、なるべく簡単にお願いいたします。
#58
○徳田委員 わかりました。
 先ほど繊維局長から、糸と織物の需給関係はつかみにくいというお話がありました。私もその通りだと思います。しかしながら、何といっても、これは日本の輸出の非常に大きなウエートを占めておる。しかも、これは価格が安定しなければ、輸出も伸びないという建前から、当然何か指定機関を作って、価格安定の方法を講じてやるというのが、国の施策として当然だと思うのですが、こういうことに関してはどうですか。
#59
○小室説明員 過当競争を防止して、とかく低下しがちな人絹織物の輸出価格を維持しようというような見地から、業界の中で指定機関を作ったらどうかというような有力な動きがあります。私どもは、方向において賛成しておるわけでありまして、今具体的にこれをどういうふうにするかということを、検討中でございます。
#60
○小平委員長 岡良一君。
#61
○岡委員 先ほど来、人絹糸メーカーの側から、あるいはまた輸出組合を中心とする絹、人絹織物業者の側から、内地向けの側から、そうして労務者の側から、きわめて切実な御意見を承わりました。ところが、これについて、今ほどの通産大臣なりあるいは担当局長等の御答弁は、私はきわめて不親切であると思います。また無責任であると思います。そこで、特に福井、石川のごときは、繊維産業を基幹産業、主力産業といたしまして、その工業生産の過半をこれに依存しておるのであります。でありますから、繊維産業が不況になりますと、織機屋が不況になる、下請の鋳物屋もベルト屋も木工屋も不況になる、従業員は首を切られるというようなことで、全面的な不況が到来しているのです。これは全く人為的な天災と申しても差しつかえがありません。年の瀬を控えて、このような危機にあえいでおる北陸の石川その他の業界に対してのあなた方の答弁は、私はきわめて無責任であると思う。
 そこで、通産大臣にお伺いをするのであるが、先ほど来、人絹メーカーの御意見あるいはまた織物業者の御意見、また労働者側の御意見を聞きますると、原糸が過剰である、織物が過剰である、滞貨をしておる、信用は下落して金融は逼迫をしておる、労務者の労働条件は悪化する、そして失業が増大しておる。この状態は、私は全く恐慌の状態だと思う。しかも、この恐慌の状態は、単に絹人絹にとどまるかどうかということにさえも、私は憂慮を持たざるを得ない。通商産業大臣はこのような絹人絹の不況の状態はこれは明らかにパニックの状態であると認識されるかどうか、この点について、あなたの御所見を承わりたい。
#62
○前尾国務大臣 現在の不況がパニックであるかどうかという点につきましては、あるいはパニックと考えるべきだと思います。ただ、原因を考えますと、また輸出の状況を考えますと、現在までは必ずしも輸出がぐんと減ったということではなかったわけです。従って、さらにどんどん輸出がふえていくのだというような考え方によって起ってきたものじゃないかというように考えます。従って、この生産過剰をいかに克服するかということについての見方は、私は、今までの状態と同様な行き方でいっていいとは考えておりません。やはり生産調節ということを、真剣に業者の方も考えていただきたい。ただ、政府の見通しが悪かったというだけのことではない、またそうでないと効果が上りません。従って、金融はもちろん考えなければなりませんが、それにつきましても、従来と同じような考え方でいっていただくわけにはいかぬという点で、業者の方にずいぶん御協力をお願いしたいという点を申し上げておるのであります。これは最近の東南アジアの状況、あるいはまたインドネシアの状況、その他の点につきまして考えますと、確かに、ただ単に天災というだけで考えていくべき問題でもない。やはり根本的に――昨年のようにどんどん出る年もある、またその逆に来る年もあるのでありますから、それらに対する弾力性ということについてお互いに根本的に考えていきたいということを、私は申し上げておるのでありまして、現在におきましては、私はパニックと言っていいのじゃないかというふうに考えております。
#63
○岡委員 私は、別に、通産大臣とイデオロギーの論争をしようとは思わないので、さしあたっての問題について、どうあるべきかということですが、こういうような深刻な危機に入ってきておる。そこで、昭和二十七年には、特定中小企業の安定に関する臨時措置法というものが成立をしておることは御存じの通りであります。この法律案は、御同席の南君が御提出になったのでありまして、私どももその審議に参加いたしました。その当時の社会党と提案者たちとの論点は、一体盲目的な無計画的な自由競争を認めておるという経済体制の中で、果してコントロールがどの程度の成果を上げ得るかというところにあったわけです。ところが、事実中小企業安定に関するこの法律は、なるほど数回調整規定を発動されておる。しかし、事実においては全く無効であったという事実を証明しておるではありませんか。そうして、このことは、当然国会で成立した法律の運営の責任を持つ政府の責任だと私は思う。それを、ただ業者の過当競争なり、業者の過剰生産ということだけに責任を押しつけるということでは、政府の責任は相済むまいと思うのであるが、この点に対する通産大臣の御所見を伺いたい。
#64
○前尾国務大臣 中小企業安定法におきましても、御承知のように、これは自主的な業者の申し出というような姿になっております。ただ、中小企業安定法は、御承知のようにアウトサイダーに対する力が弱いというので、今回の中小企業団体法に移行するようにわれわれ考えましたのも、そこにあるわけであります。もちろん、それだからすべてが業者の責任だ、おれは知らぬというような考えは毛頭持っておりません。しかし、これは業者の方もお考えを願いたいというのが、すべてが政府の責任で、政府のやり方が悪いのだ、こういうのではいかぬので、やはり双方が協力して問題を解決するということでいきたいということを、先ほど来申し上げておるわけであります。
#65
○岡委員 それでは中小企業安定法が成立したときの附帯決議を、私はちょっと読んでみましょう。御存じないと言っておられる方があるから、少し長いですが、委員長一つ二分ほどお時間をおさきいただきたい。
 特定中小企業の安定に関する臨時措置法附帯決議、二十七年六月十四日、
  この法律案は中小企業安定の一助として有効なるも、なお万全とは申し難い。よっ
 て政府はその運営に遺憾なきを期するため本法施行に当って次の各項につき格段の留
 意を払うべきである。
  一、「生産数量に関する勧告」云々、これは省略いたします。
  二、生産調整措置 により零細企業がその意に反して経営を維持すること困難なる
 がごとき事態を副次作用として生ぜしめないよう留意をしなければならない。
  三、生産調整によって生ずることあるべき損失に関しては有効適切な補償の道を講
 じなければならない。
  四、調整命令が効力を有する期間に限り、指定業種に属する事業の新規開業につい
 てはこれを抑制するため、適当な方法を講ずること。
  五、調整組合または連合会が、この点が重要です。
  この法律に基いて生産調整を行うために必要な資金を借り入れる場合に、政府は、
 予算の範囲内において、年五分を限度として当該資金の借入れにかかわる利子をその
 融資期間に対し補給すること。
 右決議する。
 これはこの法律案に私どもも参画いたしまして、第十三委員室において法案が成立したときの附帯決議であります。しかも、特にこの第五項の問題は、大蔵省当局が、利子補給のその金額がまだ予見し得ざる状態であるから、そのような事態に立ち至ったときには善処いたしましょうということを、当時担当局長も御出席の上明言しておられる。従ってこの附帯決議に対しては、当時の国務大臣はこう答弁しておられる。
  本法案の重要性にかんがみまして、これが運用に当りましては特に慎重を期したい
 と存ずるのであります。なお附帯決議につきましては実施後の状況にかんがみまして
 、でき得る限り努力いたしたい考えでありますから御了承願います。
 これが委員会における御答弁です。ところが、こういう決議があったことを、あなた方は知らないと言っておる。これはどういうことです、政府はあまりにも無責任ではありませんか。国会というものの決議をあなた方は知らないとは 一体どういうことです。通商産業大臣、こういう状態はどうなのですか。
#66
○前尾国務大臣 あるいは担当官の方が知らなかったということは、率直にそう言ったわけで、事実御存じなかったと思います。もちろん、政府としましては、一体性をもっていくべき問題でありますので、われわれといたしましても、今後いろいろまた大蔵大臣と相談いたしまして極力御趣旨に沿いたい、かように考えます。
#67
○岡委員 もう年の瀬が迫っておるのです。忙しい人が地方からやって参りまして、数日間東京に滞在をして、そしてこの利子補給の問題やら金融の問題について、政府与党あるいは社会党、今日はまたわざわざ国会までも来ておられるのです。大蔵大臣と相談をしてと言われるが、大臣は少くとも第五項の利子補給という附帯決議に対しては、必ずこれを実行していただけますか。
#68
○前尾国務大臣 利子補給の問題につきましては、これは非常に波及するところが多いのでございます。やり方には、いろいろなことがあると思います。ただ形式上の利子補給という行き方ばかりでなしに、要は、またこの不況状態がどの程度まで続くかというような事実の問題も、今のところわからないのございます。それらの点を考え合せまして、できるだけ事実上よくなるというようなことを考えたい、かように考えております。
#69
○岡委員 業者の諸君は、政府関係金融機関等との御折衝で、与党の御努力等もあって、若干の金融についての目鼻がついたという話を聞いておりますが、政府としては、この際どの程度の金融をしていただけることになっておりますか、担当の方の御答弁を願います。
#70
○川上説明員 私の方としましても業者の方をまじえてのいろいろな会でいろいろ検討しておりますが、最後的に、では商工中金から幾ら、あるいは中小企業金融公庫から幾らということは、まだはっきり確定はいたしておりませんが、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、そのことが非常に重大だというふうに考えますので、できる限りの援助はしたいというふうに考えております。
#71
○岡委員 仄聞するところによれば、大体二十数億の金融についての業者団体の要求が福井、石川等ではある。それに対して四億程度というようなことを聞いておるわけです。そういうことにきまったわけですか、それともまた、さらにそれ以上のものが期待できるわけですか。そしてまた、その利子については、附帯決議のごとく、先ほど徳田君の質問にもあったが、九分五厘というような高利でなく、政府の方では利子補給をするという腹がまえでおられますか。
#72
○川上説明員 利子補給の問題につきましては、先ほど大臣から答弁された通りでありまして、これはほかのいろいろな関係もございますので、慎重に検討したいと思っております。それから金額それ自体につきましては、まだ四億というのが確定したということにはなっておりません。私の方といたしましては、できればそれ以上の金額を出したいという気持でおるわけであります。
#73
○岡委員 陳情書を見ますと、滞貨の一掃ということ、これは今日の参考人の御意見を聞きましても、滞貨一掃ということが切実に叫ばれております。当面の政策としては、もちろんこれが重要な問題であることは、私どもも了承いたします。そこで、賠償物資の中に含めてくれというような御要求もある、また長期クレジットを設定してくれというような御要求もあるわけです。インドネシアへの取引が、ばったりこの春からとまったということですが、なぜとまったのか、そうして今度いよいよ賠償も協定が成立をして、細目の交渉に入ることになっておりますが、この中に含まれ得る可能性があるのかどうか。少くとも政府としては努力をすべきであるが、その御決意はどうかというような諸点についてお伺いしたい。
#74
○前尾国務大臣 この七月以来インドネシアの取引がばったりとまっておる、これはいろいろほかの原因もありますので、賠償だけの問題ではありません。またインドネシアの経済事情も、御承知のように非常に悪いのでありまして、従って、ただ向うへこちらが輸出をすればいいというようなことになりますと、また例の焦げつき債権と同じような問題になるというような点もありまして、その点は、さっきの悪い事情もそこに胚胎しておると思います。賠償が片づきますと、他にするだけのことがあるかどうかは別といたしまして、極力今度また正常貿易も努力して参りたいと思います。また、ただいまお話しの、賠償に含まれるかどうかということは、実は賠償がきまりませんと、外交上の問題でありますので、私この席で何とも申し上げるわけに参りません。極力チャンスをつかみまして、いろいろな手を考えていきたいと思います。
#75
○岡委員 インドネシアの政情が悪いということ、それから現在外交交渉折衝中の問題でもあるということ、従って私も大臣から明確な御方針を承わろうとは思いません。しかし、先ほども業者の御意見を聞いておりますと、とにかく、まずインドネシアは、現在のこの日本の滞貨の絹人絹が非常に不足しており、国民がそれを要求しておるという点があるという事実が述べられておるわけです。してみれば、わが方としては、大きく努力をしていただけるならば、当然賠償物資の中にこれを入れ得る可能性があるのではないかと、私どもは想像いたしまするし、期待をいたしますので、ぜひこれは通産大臣並びに外務大臣御両所、一つ御協議の上、ぜひとも賠償物資の中に、現在の滞貨が大幅に含め得るように御努力を私はお願いいたしたいと存じます。
 その次の問題ですが、いわゆる輸出入取引法の指定機関の設置という陳情かあります。これは業者の方にお伺いをいたしてもけっこうでございますか、現在、たとえばインドネシア等東南アジアに対する皆さんのお作りになりました絹人絹の輸出貿易業者としては、一体どれくらいな業者が間に入っておるのでございますか。
#76
○古川参考人 インドネシアの輸出商社は、私はここで数字ははっきり申し上げられませんが、外商も入っておりますので、非常に多いように聞いております。従って販売の競争も非常に激しかったということだけは、御認識していただきたいと思います。
#77
○岡委員 化繊課長もそこにお見えのようだが、私ども三百近いという話も聞いておりますが、そういうことはありませんか。
#78
○高橋説明員 インドネシア向け貿易について、三百社近い人が従事しておるかどうか、私ははっきり存じませんが、絹人絹織物輸出に携わっておる輸出業者は、三百社以上でございます。
#79
○岡委員 これは、大臣に特にお伺いをいたしたいのですが、こういうふうに、とにかく数量としてもある局限されたものが、三百以上の商社によって輸出市場に出ておる。三百以上のルートがあるということになりまして、各輸出商社は、輸出商社としてのまたそれぞれの競合がある。そういうようなことに相なりますと、当然価格の競争というよりも、日本の信用の失墜という事態が起ることは、私は当然だと思うのです。でありますから、これは日本の輸出、日本の安定の上から、せっかく取引法も作られておるのでありますから、こういう絹人絹について、取扱いの貿易業者は、もっと整理をする。これはあなた方の方で思い切って整理をして、信用の維持、市場の安定ということをはかるべきが、私は当然な政府の施策ではないかと思う。私どもが、これは人為的な天災だと申しますのは、政府のそういう施策における怠慢にあると思う。こういう点について、大臣の将来の御方針を承わりたい。
#80
○前尾国務大臣 輸出商社を制限するというような問題につきましては、先般の団体法の経緯から考えましても、いろいろな憲法上の問題、いろいろな困難な点がありまして、自主的な規制をやっていこうというのが、従来の考えであります。私は、直ちに輸出商社を制限するということができるかどうかということについては、非常に困難な問題があると思います。従って輸出入取引法その他を――率直に言いますと、政府といたしましても、ほんとうに取引秩序の確立ということについて、もっと強力に指導することができるような体制に持っていかなければならぬじゃないかというように考えておりまして、現在せっかく検討いたしておるのであります。
#81
○岡委員 そこで、具体的に絹人絹の今後の貿易について、輸出については、指定機関を設置するという方向にあなたは施策を進めていただきたいということを、私は要求をしておるわけですが、これについて、具体的な御決意のほどを承わりたい。
#82
○前尾国務大臣 指定機関につきましては、これは自主的に作るものでありますから、業者にその意思がございましたら、また法律も改正したことでありますので、われわれとしてもできるだけ協力していきたい、こういうふうに考えております。
#83
○岡委員 なお労務者の問題についても、私は、聞きたいのですが、労働省の方が全く出てこられないので、非常に私は遺憾に思っております。しかし、省としても、重要な予算の問題で大蔵省とのあれだということですから、適当な機会に譲りたいと思います。
 ただ、これは通産省にも非常に私考えていただきたいと思いますのは、御存じのように、どちらかと申しますと、大勢はやはり日本の繊維産業というもの、これは政府の新しい経済計画を見ましても、輸出市場として東南アジアに、また輸出品として繊維に、かなりな重点を置いておられますが、しかし御存じのごとく、インドにいたしましても、あるいはパキスタンにいたしましても、隆々として農業国から軽工業国に転換しておる。カラチ郊外にはテキスタイル・フアクトリーが無数に建ちつつあるという状態です。こういう中で、特に日本の絹人絹、絹織物といえば、昔はぱりっとした国産商品であった。これがこういう落ち目になってきておるという状態です。これは、平清盛ではないが、なかなか夕日をまた返すというわけにいかぬと思うのです。こういう産業を中心とする、そういう経済構造を持っておる地域というものに対しても、やはり通産省としてもいろいろ考慮していただかなければならぬと思う。さしあたりの問題として、量産ということが、いつも不況の原因となっておるのでありますが、この技術的な指導、こういう点でこうならば、やはり長い伝統を持った福井なり石川なり足利なりは、どこの国に伍しても劣るものではない。そういう面について、地方も非常に不熱心であり、国もあまり関心を持っていない。でありますから、こういう点も、一つ皆さんの方で、将来をおもんばかった積極的な手を打つべきじゃないか。通産大臣、通商局長の御所見をあわせて伺いたい。
#84
○前尾国務大臣 御承知のように、昨年の輸出品の構造を考えましても、三分の一以上が繊維であります。また世界の貿易の中におきましても、日本の繊維品というものは、非常に高い額を示しておるのでありまして、繊維全体については、もう頭打ちであるということを念頭に置いて考えなければなりませんし、ただいまお話のように、大きく考えますと、繊維はむしろ文化的に開発された国に今後振り向けるべきで、低開発地区については、逆に重工業などの機械あるいはそれの原料になります化学工業品、こういうようなものに転換していかなければならぬのじゃないかというので、産業構造についても、十分われわれは考えておるのであります。ただいまお話しのような地方に対する指導が足りない。これも確かに私も痛感いたしております。従いまして、今後、来年度の予算におきましても、中小企業の設備の近代化ということを取り上げるかたわら、企業診断ということに今後重点を置きまして、そうして将来の各地方の中小企業者がどういう方向に向いていったらいいか、またどういうものを作っていったらいいか、あるいはどういう経営でいったらいいか、ということについて、国がもう少し本腰を入れまして、中小企業者の相談相手になっていくという企業診断制度を拡充していきたい。これは、私、就任以来の念願でありますので、ぜひ実現いたしたい、かように考えております。
#85
○加藤(清)委員 関連して。企業診断とおっしゃいましたが、私思うに、この際、政府で大きな手を打ってもらわないと、内閣が倒れる前に繊維業界は倒れてしまうと思うのです。もう二月危機説が唱えられておるわけですが、具体的にいえば、どの糸へんもどの糸へんも、全部操短々々でしょう。ところが、操短だけでは、とても立ち直れるものじゃないと思うのです。企業診断だけでまたでき上るものじゃないと思うのです。私は、さっき大臣が所見を述べたいということでありましたので、大臣からこの際、繊維不況に対する総合施策が聞けるかと思っておったのですが、見てごらんなさい、もう一時ですよ、この時間になっても、なおこの不況に対する総合的な救済策というものが述べられていないのです。こんなことで、一体救われるとお考えでございますか。大臣、ここでふんどしを締め直して、はっきりと救済策を述べてもらいたいのです。もう、ちょっと見ただけでもそうなんですが、今度の不況の原因は生産過剰と、それから金融難だと、こう言われておりますけれども、糸へんの、特にきょうお述べになった機場さんあたりの苦境というものは、決して自分にしわ寄せを受けなければならぬはずはないはずなんです。金融引き締めの原因が、これは外貨の不足からだというけれども、外貨を使った覚えはないのですよ。そういう人がこういう悪影響を受けておるのですが、どう考えても、各業界から要望されている金融の緊急な融資措置をあげても、二百億余に回ってくるわけです。それができなければ、みんな一月から三月にかけては二割から五割の操短だ、こういうことになっておる。これもまた金融難でなかなかできない、こう言っている。輸出振興策はと聞いてみたら、インドネシアでさえもなおできない。先ほどあなたの答弁を聞いていると、歯がゆくてかなわぬ。あれは三角貿易を前の石橋大臣のときにやるはずになっておった。前の繊維局長も、それを引き受けてずっとやっておられるはずである。そういうことについては一向述べられていない。一体どういう施策があるのでございますか。この際、もう時間が迫っておりますけれども、実は時間さえあれば詳細、個々別々に突っ込んで承わりたいと思うのですが、時間がないので、簡単にこの点をお願いいたします。
#86
○前尾国務大臣 企業診断その他の問題は、ロング・ランに見たときの問題を申し上げたのでありまして、それが直ちにただいまの不況を克服できると申し上げたわけではありません。ただいまの不況対策といたしまして、よくお考え願いたいことは、必ずしも輸出額がぐんと減っているかというと、そうではなく、むしろ昨年が非常に大きく出た。従って、さらにそれよりも伸びて出るというふうに考えて生産されたものが、生産過剰になってきておる。従って、やはりこの際の第一の問題は、生産過剰を克服する。これは相手があるのでありますから、売れたらけっこうでありますが、ただいま申し上げましたように、インドネシアの問題もさることながら、東南アジア全体がドル不足に悩んでおる。従って、もちろん市場の開拓にも努力をいたさなければなりませんが、直ちにそれが売れていくという目当てがない。従って、この際のとる策としては、何としても、やはり生産調整をやっていただかなければならぬ。また金融の引き締めというお話がありましたが、金融の引き締めをやらなくても、どんどん過剰生産の方が進んでいきましたら、これはどうにもならぬ。従って、まず生産調節をやっていただき、またわれわれも、そこで金融の問題についても考える。そうしてとりあえずの不況は克服するよりいたし方がないという点を強調いたしたわけであります。その点は御了承願いたいと思います。
#87
○加藤(清)委員 やっぱり総合施策というものが述べられておりませんが、至急に繊維産業を救うところの総合施策というものが出される用意がございますか、ございませんか。なぜ私がこういうことを承わるかと申しますと、たとえて申し上げますと、上期において化繊の増設八十万錘ということが行われました。ところが、これがなかなかに設備が行われないというのには、いろいろな原因がある。それは他の繊維の過剰生産ということも、大きな影響を及ぼしておりますが、特にこれには毛が大きな影響を及ぼしておる。具体的に申し上げますと、御承知の通り、毛がこの二カ月ばかりの間に、千二、三百円のものが四百円も下げられておるでしょう。もうこうなって参りますと、よう考えて下さい、来年の春に一体純毛の梳毛品がどのくらいの値段になるか。ダブル・ヤールにして七百五十円くらいの値段になりますよ。そうなれば、これは必ず化繊の織物の方へ大きな影響を及ぼしていくのは当然のことなんです。そうすると、ここに、今でこそナイロンはプレミアム付で羽がはえて、五、六百円のものが、千円の余に売れておるのだけれども、これで毛の方からぐっと押されたら、来年の春には、とんでもない不況が化繊業界にも来ることになる。そこで、今のうちにこの総合施策というものを立てて、政府がほんとうにこの業界を救うということをやっていだたかないと、これは内閣が倒れるくらいのことじゃ済まぬことになります。それで、ふんどしを締め直して、一つ対策を承わりたい、こういうことを言うておるわけです。それが今日ここで言えなければ、それはやむを得ません、いつでもよろしい。少くとも来年の正月を迎える前くらいに、クリスマスの前くらいに、何らかの手を打ってもらわなければならぬ。その大臣の一声で三品市場は息を吹き返しまするし、機場の方もまた息を吹き返してくる。大臣の一声なんです。
#88
○前尾国務大臣 総合施策につきましては、先ほど来申し上げておりますように、奇想天外の名案があるわけではないのであります。業者の方々から出ておりますあの案、また私どもの言っております生産調節の問題、これらを全部極力推進するという以外には、手はないのであります。と申しまして、各品目によって違うと思います。毛にいたしますと、豪州の羊毛の値下りとか、いろいろな問題があるのでありまして、ただ、それこそ私の一声でどうにでもなるというようなものでありましたら、問題はないのでありますが、それらの点も十分お考え願い、またわれわれとしましても、極力今言われておりますような政策を推進していくというのが、私は総合施策でないかと思います。
#89
○小平委員長 加藤君、関連ですから、簡単にやって下さい。
#90
○加藤(清)委員 一声というのは、これなんです。今、業界から要望されているところの滞貨融資ですね。ないしは政府の買上機関、これを発動させる。それもできなければ、要望されている融資だけは行うのだ、これは通産大臣と大蔵大臣と相談して、この一声でやりますと言ったら、息を吹っ返しますよ、さしあたっては。
#91
○岡委員 いろいろお尋ねもしたいのでありますが、時間もありませんので、私は最後に重ねて強く大臣に要求をいたしたいと思います。
 今、北陸三県の諸君が、特に要求いたしておりますものは、輸出向けの絹人絹織物滞貨の処理、これは別に法律の改正、国会の審議を待たなくても、行政措置で、ある程度まで可能なことです。輸出入取引法による指定機関にいたしましても、通産大臣がその気になっていただければ、私はできることだと思うのです。また生産調整用の資金とか、あるいは過剰織機の国庫負担額の増額等も、通産大臣が本気になって大蔵大臣等とよく打ち合せをしていただければ、私は決して不可能でないと思います。一にあなたの誠意ある御決意にかかっておる。どうか一つその誠意ある御決意を発動していただきたいということを、私は最後に心からお願いをいたしまして、私の質問を終えたいと思います。
#92
○小平委員長 阿左美廣治君。
#93
○阿左美委員 時間も切迫しておりますので、私はきわめて簡潔に二、三御質問をいたしたいと思うのであります。
 いろいろ参考人の陳述を承わりましても、また政府御当局の答弁を承わりましても、輸出に関係いたしますものは、確かに操短勧告におきまして、人絹糸の安定も私ははかれると思うのであります。輸出に関係いたしましては、国の施策といたしまして、当然輸出振興を叫ばなければならぬのでございますから、これはまことに容易であると存じますが、その波動を受けまして、内地人絹織物、繊維関係の業者が、非常な苦境に陥るのではないか、こういうふうに私は考えるものであります。むしろ輸出業者よりも、関東産地また京都丹後というような方面の繊維関係者が非常に影響を受けるのではないか、こういうふうに私は考えております。現在、もうすでにこういう影響を受けておりまして、各産地とも、ほとんど十一月以来は取引絶無といってよろしいと思うのでございます。そういうような関係で、非常に零細業者が多いのでございますから、ほとんど業者は手形を発行しております。現在年末に際しまして、その手形の処理に非常に苦境に立っておるのでございまして、この手形の支払いをいたさなければ、直ちに倒産ということにならざるを得ないのであります。これはきわめて大きな社会問題を引き起すのじゃないか。こういうふうに考えまして、この年末に際しまして緊急なる施策を講じなかったならば、この年を越せないのではないかというような状態に現在差し迫っておるのでございます。
 そこで、八王子の田中さんにお伺いしますが、今、業者が原糸を買い入れるところの手形の期間、それから製品を販売いたしまして問屋から受け取る手形の期間に、非常なズレがあると思いますが、その期間は平均してどんなことになりますか、お答えを願いたいと思います。
#94
○田中参考人 お答えをいたします。機屋が原料商から買い入れる手形のサイトというものは、大体生糸においては現金という建前になっておるのでありますが、なかなか現金で買うというような余裕はありません。それですから、生糸の買い入れについては、銀行の保証手形によって買い入れをしておる。保証手形というものは、大体期間が六十日でありましたけれども、最近はもう少し伸びて七、八十日の手形でも保証が許されておるようでございます。その他の人絹とかあるいはスフ、毛糸というようなものは、直接東京その他のメーカーから買い入れておる産地もございましょうけれども、大体零細業者が入れますのは、産地の小さな原料商から買い入れているわけです。そういう手形は、最近ではやはり機屋の内容が苦しいものですから、九十日ぐらいの手形で買っておるのが大部分のように思っております。それで、今度は生産者が問屋あるいは産地の買付地から受ける手形はどのぐらいかと申しますと、産地によって多少まちまわのようでありますけれども、大体問屋の発行する手形というものは、どの産地にも同じような手形で発行しておると存じます。日絹等において長年調査をしております表から見ましても百日以上が七〇%に近い。百日以上という中には、百三十日というものが相当含まれている。大体発行してからの日柄でありますが、この発行する前に、荷物を送って手形をとりにいくという期間が、またこれは相当あるわけです。東京あたりの近い問屋ならば一週間に一回、二回ずつ手形の発行も許されるのでありますが、関西方面の遠距離にあります問屋におきましては、一月に一回もしくは二回これの集金に行く、そして百二十日以上の手形をもらってくるということになりますから、発送いたしましてから百四十日にもなるということが起るのです。この間のズレが相当ありまして、業者の金繰りは容易ならぬものがございます。
#95
○阿左美委員 そういたしますと、業者は、自分の支払う手形の期日は九十日である、受け取る手形は百四十日にもなるということになりますと、そこに五十日のズレがある、その五十日のズレというものに対しては、業者が負担をしなければならないが、その金利等は、どういうふうになっておりますか。
#96
○田中参考人 今の御質問の、ズレだけの金利というのでは済まされないのでありまして、原料を買う場合には、九十日の手形を発行しても六十日の手形を発行しても、全部これを日歩計算をして出しております。ですから、現金で買ったと同じことになるわけです。なお、問屋の方の手形は、幾日になりましても、これはみんな業者の方の利息の負担ということになりますから、あとさきの利息を業者が払うというのが通例でございます。それですから、小さい十台あるいは二十台以下の機業者でも、年間に負担します利息というものが百万ないし二百万。これだけの利益が利息にとられてしまうという形になりますから、結局いかにもうけようと思いましても、金利のために営業が成り立たないというような状態であります。
#97
○阿左美委員 安井さんにお伺いいたしますが、政府が人絹会社に五割五分操短の勧告をいたしますと、業者は、やはりその勧告に基いて、それを順守しなければならぬというような関係になると思います。そういたしますと、自然に人絹糸の価格というものは安定するのじゃないか、こういうふうに考えられます。そういたしましたときに、人絹糸は上りましても、従来のいろいろな慣例からいいまして、織物はやはりそれについていかないというように考えられるのであります。そういうような場合が今後くるということになりますと、人絹会社の経済は、一応安定をいたしますが、織物業者が、人絹糸の安定によって、かえって非常な不利益を来たすようなおそれがあると思うのですけれども、そういうようなことはないと考えますが、お伺いいたします。
#98
○安井参考人 お尋ねの問題でございますが、人絹メーカーは六社でございます。今、政府に勧告されれば、それは確実に守り得られるのであります。従って、仰せの通り、価格は相当な価格にまで戻り得るわけでございますが、織物業者は、先ほど申し上げました通り、きわめて零細業者で、しかも全国数千と散在いたしております。従って、生産調整はなかなか的確にやりにくい状態でありますので、実情に合わない調整というものはなかなかとりにくいわけです。従って、糸の価格がどうしても先行いたしまして織物があとになる、そこに織物業者としての採算不良という問題が必ず起っており、それがまた今後も予想されるのでございます。
#99
○阿左美委員 古川さんに伺います。私は、過去において人絹会社のとったすべての施策は、自己本位ではないかと考えるのであります。先ほども、同僚委員からの質問に対しまして繊維局長は、人絹糸の価格の高騰に対しては適当な処置をとる、イタリアの人絹糸を輸入してまでも価格の調整措置はとった、こういう御答弁でありましたか、その通りであります。しかし、上るときには、なかなか政府の勧告も聞かないで、今日のような不況になると滞貨融資をしろということは、いかにも利己的であると考えられるのです。かりに、今回政府が勧告を出すと、人絹会社は、むろんこれを守ることになると思いますが、そうなると、一応人絹糸は安定し、価格もある水準まで上ってくるのではないかと考えられます。そのときに当りまして、人絹糸と人絹織物のバランスがとれぬ。元来、原料をもととしてすべての生産費のコストがきまるのが当然だと思いますが、今までは、人絹糸は人絹糸、織物は織物というアンバランスできたということは事実であります。しかし、今後はやはり原料と人絹織物のバランスをとるように、両者で協定するような方向に進んでいただくことが、国策の上から考えても、当然なことだと存ずるのでありますが、人絹会社としての今後の方針は、そういうふうに協力していただけるかどうか、一つお伺いをいたします。
#100
○古川参考人 しごくごもっともなお尋ねですが、実は、従前も相当糸価は上りましたけれども、われわれメーカーとしましては、糸価が高騰したにかかわらず、輸出織物に見合う値段で販売しておりました。今後とも、たとい糸価が上りましても、従前のように輸出織物に見合う価格で販売する方針であります。金利の事情で不当な高値が出るような予測は、今いたしておりません。
#101
○阿左美委員 私は先ほどからいろいろ参考人の意見を伺いまして、現在の人絹、スフというものは国際価格の半額である、それにもかかわず輸出ができぬということは、よほど政治的に考えてもらう必要があるのじゃないかと思う次第であります。ただ価格の問題ばかりでなく、これはどこに原因があるかということを研究して輸出の振興をはかれば、自然すべての経済的な問題も解決するのじゃないか。ただ自然のままにおいては、とうてい今後輸出の振興はできないのではないか、こういうことを非常に心配しておるものでありますが、スフ、人絹が国際価格の半値でも輸出できないということに対して、外務省関係の方おいででしたら……。
#102
○小室説明員 外務省の方も見えておるようですが、他の局を担当しておる課長さんのようでありますから、私から……。
 化繊の織物については、現在の世界の取引量の過半が日本品であるような状況でありまして、実は国際競争で、安くしなければならぬとかいうような事情はないのであります。日本の価格が、実は世界市場で一番割安であり、これに競争し得るものはないのであります。また、最近世界の化繊織物の取引量は、年々ふえて参りまして、昨年までは一本調子で参ったのでありますが、これは日本の輸出織物の増加をそのまま反映しておったのであります。その間ほかの国の輸出織物の増加は見るべきものがなかったような次第であります。そういうような状況でありますので、量的に言ってこれから非常に伸ばしていくということは、世界の景気でも非常に好転すれば格別でありますが、かなりむずかしい点がある。ただ、インドネシアのように、従来から外貨事情あるいは政情その他いろいろな関係で急に輸出の減ったところに対して、国別の対策ということもぜひ考えていかなくてはならぬと思いますけれども、全体として、化繊織物の輸出については、外交関係から非常に努力して量的にふやすというようなことは、かなりむずかしいではないか。どちらかといえば、安い日本の化繊織物に関税でもかける、あるいはいろいろな形で押えようとする傾きが、個々の事情からいたしましてございますが、そういう点は、特に外交関係の強化によって、未然に事態を防げるというふうな感じでおるわけであります。むしろ邦人商社同士あるいは邦人ミーカー同士の競争を押えて単価が下るのを防ぎ、手取りの外貨が下るのを防ぐというような方向に化繊織物については考えていくことが、賢明ではなかろうかという考えを持っております。
#103
○阿左美委員 不況対策は、いずれにいたしましても、最後は金融問題だと思うのであります。この際、金融問題に対しまして、政府当局といたしましても、力を入れてもらう必要があるのではないか、こういうふうに考えます。商工中金だとか中小企業金融公庫とかいうようなものにいたしましても、実際問題となりますと、そう簡単に借り入れもできませんし、融資を受けることはできがたいのであります。こういう点からいたしまして、施策を研究しておるうちに倒産者が続出するということになりましては、あとのまつりになるのではないかと考えます。繊維関係は、今までにない不況事態が現在来ておりますので、早急に対策を講ずる必要がありますが、中金におきましても、中小企業金融公庫におきましても、末端になりますと、不況になればなるほど投資はしにくいのでございます。金融が円滑でありまして、業界がやはり無事であるときには、金融をつけることもできますけれども、不況になればなるほど、金融対策はむずかしくなるのでございます。こういう点に対しまして、抜本的な施策を講じて、金融を即時つけていただくようなことが非常に緊急問題でないか。やはり金融業者から考えますと、百万円の金は、いつでも百万円と計算をいたしますけれども、受ける業者の方から申しますと、その金が、ときによれば倍にも三倍にもなるので、早急に必要とするわけであります。こういう点に対しまして、中小企業庁長官から、一つ中小企業に対する金融問題に対しまして御意見を承わりたい。
#104
○川上説明員 今、阿左美先生からお話がありましたように、私どもとしましては、この際極力金融の援助をはかりたい。中小企業金融公庫とか、あるいは商工中金の方からも、ぜひとも出させたいというふうに考えておりますが、今お話がありましたように、実際現実の問題になりますと、なかなか手続その他の問題ではむずかしい問題がございますが、最近のこの人絹業界の様相を私ども十分認識いたしまして、極力できる限りの御援助をいたしたいというように考えております。
#105
○阿左美委員 まだいろいろ御質問を申し上げたいことがありますが、本会議が始まっておるそうでありますからこの程度で終ります。
#106
○小平委員長 それでは他に御質疑はないようでありますので、本日はこの程度にとどめます。
 参考人各位には、長時間にわたり種々に参考意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 次会は明二十四日午前十時より開会することとし、本日はこの程度にて散会いたします。
    午後一時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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