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1957/11/13 第27回国会 参議院 参議院会議録情報 第027回国会 本会議 第6号
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1957/11/13 第27回国会 参議院

参議院会議録情報 第027回国会 本会議 第6号

#1
第027回国会 本会議 第6号
昭和三十二年十一月十三日(水曜日)
   午後一時四十八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第六号
  昭和三十二年十一月十三日
   午前十時開議
 第一 通商に関する日本国とオース
 トラリア連邦との間の協定の締結に
 ついて承認を求めるの件(衆議院送
 付)(委員長報告)
 第二 中小企業団体法案(第二十六
  回国会内閣提出衆議院送付)(委
  員長報告)
 第三 中小企業団体法の施行に伴う
  関係法律の整理等に関する法律案
  (第二十六回国会内閣提出衆議院
  送付)(委員長報告)
 第四 中小企業等協同組合法の一部
  を改正する法律案(第二十六回国
  会衆議院提出)(委員長報告)
 第五 国会議員の歳費、旅費及び手
  当等に関する法律の一部を改正す
  る法律案(衆議院提出)(委員長
  報告)
 第六 国会議員の秘書の給料等に関
  する法律の一部を改正する法律案
  (衆議院提出)(委員長報告)
 第七 たばこ耕作者の耕作権保障等
  に関する請願(六件)(委員長報
  告)
 第八 国民障害年金法制定に関する
  請願(委員長報告)
 第九 老齢年金制度の法制化に関す
  る請願(委員長報告)
 第一〇 大分県祖母傾地区の国定公
  園指定に関する請願(委員長報
  告)
 第一一 清掃事業に対する国庫補助
  の全面的実施の請願(委員長報
  告)
 第一二 結核医療費国庫補助増額等
  に関する請願(二件)(委員長報
  告)
 第一三 広島県国立賀茂療養所存続
  に関する請願(委員長報告)
 第一四 大分県別府温泉に原水爆被
  害者療養所設置の請願(委員長報
  告)
 第十五 らい療養所退所者の援助に
  関する請願   (委員長報告)
 第一六 無医村解消の積極対策に関
  する請願    (委員長報告)
 第一七 国立療養所の賄費増額等に
  関する請願   (委員長報告)
 第一八 国立療養所の賄費増額に関
  する請願(委員長報告)
 第一九 国立療養所の完全給食及び
  完全看護に関する請願(二件)
  (委員長報告)
 第二〇 国立病院等の賄費増額に関
  する請願(二件) (委員長報
  告)
 第二一 戦傷失明者用杖支給に関す
  る請願(委員長報告)
 第二二 生活保護法の最低生活基準
  額引上げ等に関する請願(二件)
  (委員長報告)
 第二三 母子福祉総合法制定等に関
  する請願(委員長報告)
 第二四 映画館従業員に社会保険強
  制包括適用の請願(三件)(委員
  長報告)
 第二五 国民健康保険診療報酬支払
  基金制度設置に関する請願(委員
  長報告)
 第二六 国民健康保険法の一部改正
  に関する請願(二件)(委員長報
  告)
 第二七 国民健康保険事業育成強化
  に関する請願  (委員長報告)
 第二八 旅館従業員に対する健康保
  険法等の一部改正に関する請願(
  六件)(委員長報告)
 第二九 健康保険法の一部改正に関
  する請願(二件)(委員長報告)
 第三〇 中共里帰り婦人に対する
  帰国船早期派遣の請願(委員長報
  告)
 第三一 未帰還者調査機構の拡充強
  化に関する請願(二件)(委員長
  報告)
 第三二 通信関係原爆犠牲者の処遇
  に関する請願(二件)(委員長報
  告)
 第三三 未帰還者留守家族等援護法
  による療養給付期間延長等の請願
  (二件)(委員長報告)
 第三四 動員学徒犠牲者援護に関す
  る請願(委員長報告)
 第三五 馬丁の身分確立等に関する
  請願(委員長報告)
 第三六 米駐留軍陸上部隊撤退に伴
  う失業対策確立の請願(委員長報
  告)
 第三七 日雇労働者の賃金引上げ等
  に関する請願(委員長報告)
 第三八 旅館従業員に対する労働基
  準法完全施行に関する請願(六
  件)(委員長報告)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、通商に関する日本国とオーストラリア連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長寺本広作君。
  〔寺本広作君登壇、拍手〕
#4
○寺本広作君 ただいま議題となりました通商に関する日本国とオーストラリア連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を報告いたします。
 政府の説明によりますと、従来オーストラリアは、日本商品に対して関税面で最高率を適用し、また、多数の品目につき日本だけに差別的な輸入ワクを設けておりましたため、わが国の対豪輸出は伸び悩み、両国間の貿易は常にわが方の大幅な入超となっておりました。このような事態を是正する目的をもつて、政府は昨年十一月、オーストラリアとの間に通商協定締結の交渉を開始し、八カ月を経て、本年七月六日に本協定及び付属交換公文の調印が行われるに至ったというのであります。
 本協定は、両国が相互に関税に関する最恵国待遇並びに貿易制度に関する非差別待過を与えることを骨子とするものでありまして、この協定の成立により、わが国の対豪輸出は大幅に増大することが期待されるという政府の見解でありました。
 審議の過程におきまして、本協定に規定ざれた国内産業保護措置がオーストラリアにより発動される可能性の有無、対ポンド圏貿易全般の実情、日本人のオーストラリアへの移住関係などにつきまして質疑が行われましたが、詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終え、昨十二日の委員会において採決を行いましたところ、本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 右も御報告いたします。(拍手)
#5
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。
 本件を問題に供します。委員長報告の通り本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#6
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。
 よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(松野鶴平君) 日程第二、中小企業団体法案
 日程第三、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案(いずれも第二十六回国会内閣提出、衆議院送付)
 日程第四、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案(第二十六回国会衆議院提出)
 以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長近藤信一君。
  〔近藤信一君登壇、拍手〕
#9
○近藤信一君 ただいま議題となりました中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案について、商工委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 この三法案は、いずれも前国会から継続されたものでありますが、団体法案と施行法案とは内閣提出にかかわるもの、協同組合法改正案は、衆議院で前記二法案を審議する過程において、衆議院商工委員会から提出されたもので、これが一連の法案として五月七日参議院に送付され、本委員会に付託になったものであります。
 まず、内閣提出の中小企業団体法案について、その趣旨を申し上げます。御承知の通り、中小企業の組織に関する制度といたしましては、中小企業等協同組合法による協同組合と、中小企業安定法による調整組合との二つがあるのでありまして、前者は、共同経済事業による経営の合理化を、また後者は、調整事業による経営の安定を目途として運用してきたのであります。しかしながら、なお組織の充実、団結の強化をはかることが、まずもっての急務であるとして、そのため本法律案を提案して参ったのであります。
 本法律案の概要を原案について申し上げますと、第一に、現行の調整組合制度を廃止して、新たに調整事業と共同経済事業をあわせ行うことのできる組合として、商工組合の制度を設けることであります。第二に、すべての業種について、一定の要件を備える場合には、商工組合によって調整事業を実施できるようにするのであります。中小企業安定法によりますと、特定の工業部門のみ調整事業を行うことができるようになっておりますが、過当競争に悩んでいるならば、工業以外の各分野、たとえば商業、サービス業等におきましても、調整事業を実施することができるようにしようとするのであります。第三に、組合がその調整事業に関して組合外の者と交渉を行うときは、その相手方は、誠意をもってこれに応じなければならないこととしてあります。第四に、組合の調整事業が、員外者の事業活動のため効果をあげることができず、ために業界の安定に重大な悪影響があり、国民経済上もこれを放置することができない事態に立ち至りましたとき、政府は、その業界におけるすべての中小企業者を組合に加入せしめ、または組合員たる資格を有するすべての者の事業活動を規制する命令を出すことができるようにすることであります。いわゆる員外者の行為を規制する必要がある場合、まず、中小企業の業界が完全に団結すれば、不況事態の克服が可能と思われるときは、中小企業者のすべてを組合に加入させて、自主的調整に参加させるようにし、その他の場合におきましては、現行中小企業安定法におけるがごとき員外者規制命令を発するわけであります。それから、共同経済事業を通じて中小企業者の経営の合理化をはかるための組織である協同組合の制度につきましては、従来の中小企業等協同組合法の定めるところによることとしてあります。
 次に、同じく内閣提出の中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案について申し上げます。この法律案は、中小企業団体法が成立いたしますと、中小企業安定法が廃止され、調整組合がなくなり、そのかわり、商工組合ができますので、金融上、税制上、商工組合を事業協同組合と同様に取り扱うための諸法律の改正を行うとともに、関係諸法律の中にある中小企業安定法とか、調整組合という文字を、中小企業団体法とか、商工組合という文字に改めるなど、所要の技術的な改正を行うための法律案であります。
 以上が政府提出原案の大要でありますが、衆議院におきましては、自由民主党及び日本社会党の共同修正がなされたのであります。その修正の要点を申し上げますと、第一に、法律の題名を改めまして、中小企業団体の組織に関する法律としております。第二に、組合交渉について応諾の規定を強化するよう第二十九条を改めております。第三に、中小企業団体の新たなるものとして、事業協同小組合及び火災共済協同組合を設けております。第四に、商工組合設立の認可に関する第四十二条に一項を追加して、不況事態の認定に当っては、中小企業安定審議会に諮問して定める判定の基準に従うことにしてあります。第五に、加入命令があったとき、その命令の対象となった中小企業者のうち、組合に加入することに支障がある者は、命令の日から二週間以内に行政庁にその旨の認証を求めることができ、この認証は二十日以内に行うこととし、認証を受けた者でも、商工組合の行う調整事業の制限には従うこととし、また、検査の実施及び手数料、経費、過怠金の賦課ができることにしてあります。第六は、生産設備の新設の制限または禁止を命ずることができるという一条を新たに入れております。第七は、不服の申し立てで、調整規定に不服がある者は、その旨を主務大臣に申し立てすることができる旨の規定を加えております。以上の修正に伴い、施行法案についても所要の修正が行われているのであります。
 次に、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案について申し上げます。本法律案の骨子は、現行法に規定されております事業協同組合等のほかに、新たに事業協同小組合及び火災共済協同組合の制度を設けることなどの改正を行おうとするものであります。
 本改正の内容について申し上げますと、まず、事業協同小組合は、主として自己の勤労によって商工業等を行う事業者であって、使用従業員数は工業等にあっては五人以下、商業、サービス業にあっては二人以下のものが作る組合であり、政府は、小組合の組合員の助成に関しまして、税制上、金融上特別の措置を講じなければならないこととするのであります。なお、事業協同組合及び事業協同小組合に対しましても、商工組合と同様の交渉権を与え、これに関するあっせん、または調停の規定を設けております。
 次に、火災共済協同組合につきましては、第一に、組合員の資格は組合の地区内における中小企業者であること、第二に、出資金の総額は、組合にあっては二百万円、連合会にあっては五百万円以上とし、組合員数は千人以上を要することとしてあります。第三は、共済金額の制限で、契約者一人について百五十万円、あるいは出資、準備金、積立金、支払保証額等の合計額の百分の十五か、いずれか低い方とすることであります。なお、事業協同組合及び小組合が、福利厚生事業として火災共済契約を締結する場合には、契約者一人について三十万円を限度とし、ただ特例として、以前から火災共済事業を行なっている組合は、これをこえることができることとしております。
 第四は、募集の制限についてでありまして、募集に当るのは当該組合の組合員、役員または職員に限ることとし、第五は、保険業法の監督規定を準用することとしてあります。第六に、所管行政庁は通商産業大臣及び大蔵大臣とし、なお、組合設立の認可及びその他の権限の一部は、都道府県知事に委任するものとするのであります。
 これらの三法案につきまして当委員会におきましては、前国会において、五月十五日、十六日の両日にわたり、各方面の関係者の出席を求めて意見を聴取いたし、十六日には協同組合法改正案につき、商工、大蔵、地方行政、三委員会の連合審査会を開催するなど、慎重に審議を行なったのでありますが、これらの法案は、中小企業にとりましても、また日本経済全体の上からも、実に重大な影響を持っているのみならず、法文そのものも膨大であり、かつ大規模の修正を受けておりますので、三法案を十分審議を尽すのには時間的に余裕がなく、やむを得ず継続審査とすることになったのであります。従いまして、閉会中にも前後七回、三十時間にわたって委員会を開催し、岸総理大臣を初め、関係大臣及び共同修正提案者である小平、春日両衆議院議員の出席を求めて質疑を行い、その間、札幌、仙台、金沢、名古屋、大阪及び福岡の六カ所に委員を派遣して、それぞれ現地調査会を開催、中小企業、消費者、生活協同組合、労働組合、大企業、火災共済組合、損害保険協会及び学識経験者等、関係者の出席を求めて意見を聴取した次第であります。
 また、本国会に入りましてからは、去る十一月四日以来、ほとんど連日にわたり委員会を開催、岸総理大臣を初め関係六百の出席を求め、質疑を行うとともに、七日には、憲法との関係について、参考人として大学教授二名の出席を求め、その見解をただしたのであります。
 これら三法案につきましては、前国会、閉会中及び今国会を通じてきわめて慎重に、かつ熱心に審議が行われたのでありまして、全委員ほとんど質問に立ち、総括的な質問から逐条的な質問に至るまで、質疑の範囲はすこぶる広範にわたるのでありますが、詳細は会議録に譲り ここには特に問題となりました諸点について申し上げます。
 まず、中小企業団体法案から申し上げますと、第一点は、本法案第五十五条の加入命令の規定が、憲法に違反するかどうかという問題でありましてこの質問に対しては、岸内閣総理大臣から、「憲法においては、営業の自由、結社の自由が保障されているが、これらの自由は全然無制限に許されるということではなく、公共の福祉という点から考えてみて福祉に反する行動をしても、なお自由ありということは言えず、憲法にもその趣旨が明らかにされているわけである。強制加入を命ずるという場合を、本法では非常に限定して、それが競争の過当のために、もしくは少数の員外者のために、業界全体が非常に危殆に瀕するというような場合において加入を強制し、業界全体の自主的な調整に服せしめようということであるから、憲法違反ではないと考えている」との答弁がありました。「しかし規制命令でも不況が克服できるなら、結社の自由を制限してまで加入命令を行う必要はないではないか」という質問に対して岸総理大臣は、「組合の中に入れて話し合いの場を作る方がかえって民主的である」と答えております。また、同じく第五十五条の強制加入の命令があった中小企業のうち、その商工組合に加入することに支障がある者は、二週間以内に、行政庁にその旨、認証を求めることができるとあるが、「その認証という文字の定義いかん」との質問に対し、出席していた衆議院の共同修正者代表並びに政府側の答弁は、「支障があるかないかの認定は、命令を受けた中小企業者の主観的判断によって決定すべきものと考えている、従って認証は、支障があるという中小企業者本人の意思表示を受けて行政庁が、支障ありということを確認する行為で、認証を求めることは届出と同様に考えてよい」との見解に統一されました。
 第二点として、「商工組合が調整事業を行うことによって消費物価の騰貴を来たすことが予想されるが、その点はどう考えるか」との質問でありまして、これも繰り返し提出された疑問でありますが、これに対しては、「本法は、価格の協定は、販売方法の制限等、他の手段を尽してもなおかつ業界が不安定で、どうにもならぬという場合に限り、その実施を認める建前をとっており、この場合、特に公正取引委員会の同意を要することになっているし、一般消費者に対する利益を不当に害してはならぬということが根本精神であるから、消費者が心配しているように、本法が成立したら、すべての物価が値上りするだろうということはない」との答弁がありました。
 第三点は、「本法案には、広範な行政官庁の認可、あるいは強制加入命令、規制命令、組合交渉の勧告等の権限を与えているが、これらは官僚統制の傾向を誘致するのではないか。また、組合内部においてもボスの支配が行われる危険性があると懸念されるが、その点どう考えるか」との質問であります。この点も各委員が非常に懸念した事項でありまして、これに対して政府は、「本法案においては、許認可にかかっている点が相当に多いので、官僚統制的感覚を起しやすいと思われるけれども、運用に当って極力自戒して非難のないよう努力するつもりである。また、現実の問題として組合ボスが発生する傾向のあることも認めるが、これは中小企業者、関係組合員の自覚を求めるとともに、法制上は議決権の平等、不適当な役員の解任権の規定を設けてある」との答弁がありました。第四点として「本法により零細業者か実質的に不利益をこうむるおそれはないか」との質問に対し、「商工組合は組合員すべて平等の発言権を有する民主的な組織であり、また、調整事業を主務大臣が認可するに当っては、特に零細企業等を不当に取扱わないよう、慎重に配慮しなければならない建前となっているので、零細企業が本法の成立により不利益をこうむるおそれは全くない」ということでありました。第五点の問題として「本法を契機として漸次統制的ファッショ的傾向に向うのではないか」との質問に対して、自由なる競争を基礎に考えているから統制経済へ行く考えはない」との答弁があり、さらに、「調整、強制加入から、やがて事業の許可制をしく考えがあるのではないか」との質問に対し、「本法には事業の許可制には全く触れていない。競争制限のために許可制をとることは、自由経済の思想からしてもすべきでないと考える」と、これは岸総理の答弁でありました。その他、「商店街組合の行おうとする調整事業の内容はどんなものであるか。またその組合はどのくらいできると予想するか」との質問に対し、「営業時間、休日等の規制、品質表示、正札販売等の励行のようなことが調整事業の内容となるであろう。また、どのくらいできるか」、「数は予想はつかないが、相当数できると思う」との答弁がありました。同じく商店街組合につき、「本法の不況要件には一定の種類の事業とあるが、各種各様の業種が集まっている商店街においては、一定の業種と言い得ないのではないか」との疑問に対し、「一業種が原則であるが、複数の業種も一定の業種に該当すると広く解釈しているが、この表現については、なお研究してみる」との答弁でありました。また、「本法では都道府県知事に一部権限を委任しているが、将来、五大都市に対し、都道府県と同様の地位、権限を与える考えがあるか」との質問に対して、「大都市制度確立の問題と関連し、権限内容のいかんによるが、将来、市長に権限を委任することもあり得る」という通産大臣の答弁でありました。
 それから、「本法案をまず輸出産業に適用するという話を聞くが、それは貿易憲章に背反しないか」との質問に対しては、「むしろ海外からはダンピング防止と秩序ある輸出が要望されているくらいで、独占的価格によって国際市場を荒そうとするものでないから差しつかえない」と、岸総理は答えております。
 また、協同組合法の一部改正案についての質疑のおもなものを申し上げますと、「第二十三条の三に規定している事業協同小組合の組合員に対する税制上、金融上の特別措置につき、政府はいかなる措置を講ずる考えか」との質問に対し、通産大臣から、「小組合の組合員に対し特別な措置を講ずることは、税制上の体系からむずかしいことで、種々工夫しなければならぬことが多いと考えているが、法文に従いその実現に努めたい所存である」との答弁がありました。
 また、「火災共済協同組合につき、むしろ単独の火災共済組合法によった方がよくはなかったか」との質問には、「中小企業者は一般の勤労者と違って営業用の資産を持っており、それが災害を受けたときの再建のために必要な共済をするというところに目的があるので、協同組合法の中に取り入れた」と申しており、「火災共済組合に対して、都道府県が支払い保証を行うことによって組合の事業経営が放漫になるおそれはないか」との質問には、「現在も各都道府県においては、中小企業の助成策の一つとして、支払い保証を行なっているが、その制度のため事業経営が放漫になっているという例はいまだ聞いていない」との答弁がありました。このほか、実に熱心な質疑応答が行われたのでありますが、あまり長くなるので、この程度にいたします。
 かくて質疑を終りましたところ、阿部委員より、日本社会党を代表して、中小企業団体法案に対する修正案が提出され、これを議題とし、その趣旨説明を聴取いたしました。阿部委員の修正案の内容は十一項目にわたりますが、要約いたしますと、第一に、中小企業者の定義の中に、資本金一千万円以下という概念を入れて、資本金多くして従業員少き大企業の介入を防ぐこと、第二に、第九条の「競争が正常の程度を越えて行われている」を改めて「過度の競争が行われている」というように簡単化し「又はおそれある場合」を削除して、不況要件のあいまいの点を明確にする。第三に、二ヵ月以内に主務大臣の認可、不認可のない場合、認可があったとみなすという規定を、商工組合設立認可の場合に適用しないことにするとともに、この認可を安定審議会への必要諮問事項とする。第四に、第五十五条の加入命令を全文削除してそれに関連する秘密保持義務の条項も削除する。第五に、調整事業についての員外規制命令認可の際に、調整規程の認可要件を具備しているかどうかをいま一度反省せしめるようにする。第六に、組合の事務処理の条項を削除するとともに、規制命令に関する員外者が手数料等を支払う義務の規定を削除する、第七に、安定審議会及び調停審議会の委員に、中小企業代表者、労働者代表、消費者代表を加えることを明文化する、第八に、主務大臣と公正取引委員会との協議事項を同意に改めるというのであります。
 引き続き、この修正案を含め三法案の討論に入りましたところ、まず、相馬委員より社会党を代表して、「阿部委員提案の修正案に賛成し、修正案が通れば残余の原案に賛成する。修正案が不幸にして否決されるならば、遺憾ながら原案にも反対せざるを得ない」との発言がありました。その理由としてあげられた点は次の通りであります。第一に、政府の中小企業対策ははなはだ不十分であり、この法案も未熟なものであって、運用いかんでは中小企業の命取りになりかねない。中小企業が自主的に組織化して不況を乗りこえようという法案が与野党双方から提案されたことは喜ばしいが、大企業の圧迫下では、中小企業は組織化と団結のみでは救われない。よって社会党では、組織法のほか、産業分野確保の法案、商業調整法案等、一連の中小企業対策法案を提出したが、政府、与党は、これらを全く顧みないで、団体法だけ切り離して成立を急いでいる。これが本法案に賛成しかねる第一点である。第二点は、この法案が中小企業の安定に名をかりて逆に大企業をして中小、零細企業を圧迫させる法案になるおそれはないか、それは中小企業者の定義に資本金の規定がないからである。第三に、この法案は、ボス支配を容易ならしめる傾向を持っているというのであります。第四点として、この法案は、組合のボス支配を排除すれば官僚統制になる。第五点は、本法は弱き消費者を圧迫する。中小企業者は素朴にこの法案を値上げ法案と信じている。消費者の利益を守る保障が本法のどこに見出されるかというのであります。第六に、本法は零細業者を圧迫する。零細業者が安売り、その他過当競争に出るのは、生き抜くためのやむを得ない事情によることが多いのだが、一律に規制された場合、彼らがどうしてやって行くかという心配である。第七点としてこの法案は首尾一貫しておらず、内容は支離滅裂であり、そのため政府側の答弁は、はなはだ不統一であった。審議に日数がかかったのは、本法の重要性もさることながら、答弁が食い違いだらけだったからであり、その原因は法案そのものが不備だからである。だが、この法案は全然意義のないものというのではない。中小企業者が自主的に組織化して、みずからを守ろうとする趣旨には賛成である。しかし、この法案にはおそろしい毒がある。その毒とは、五十五条の加入命令であってファシズム台頭のにおいがする。不況対策なら規制命令だけで十分であるから、この毒をとりさえすれば、本法は中小企業にとって妙薬たり得るのである。よって阿部委員の修正案に積極的賛意を表明するという意見でありました。
 次いで、高橋委員は自由民主党を代表して修正案反対、原案賛成の意見として「本法案は、中小企業者がみずからの力で不況から立ち上るべき基盤を中小企業者に与え、従来は上からの施策によってきたのを、今後は本法によって下から盛り上る自主的な力によってみずからの組織を作り得るようにした画期的な立法であるばかりでなく、業者に対して話し合いの場を与えたことは必要な措置である。しかし本法のみで満足するものではなく、税制上、金融上の裏づけを伴う真の中小企業対策が、今後、政府によって行われるであろうことを期待して本法案に賛成する」旨が述べられ、他方、阿部委員提出の修正案に対しては、「第一に、中小企業の定義で資本金を一千万円で切ることは、他の法律にも例を見ないばかりでなく、中小企業の定義を混乱せしめるものであり、第二に、加入命令は、業者を組合内に入れて話し合いの場を与え、自主的にみずからの定めた規程に従って行くことの方がより民主的であるという理由から、修正案に反対するものである」との意見が開陳されました。
 次に、無所属クラブを代表して大竹委員より、次のような意見の開陳があり、阿部委員提出の修正案に賛成、原案に反対されたのであります。すなわち、「団体法案等の審議に際し、二点に関して政府の罪を責めたい。その一つは、本法案が中小企業にとっていわば世紀の大法典にかかわらず、国会への提案がおくれ、その審議に支障を来たしたこと、しかも第二に、中小企業の実態を十分に把握しないで法制化したことである。次に、本法案の内容について見るに、第一に、本法案施行によって平和主義、民主主義の原則に傷をつけぬかという点である。すなわち、本法案の意図による商工組合制度は、あたかも一九三三年当時のナチス・ドイツのいわゆる独占強化対策と、その傾向を一にするものであって、平和と民主主義に逆行する経済態勢を促進する危険がある。第二に、本法案の主眼とする第五十五条の強制加入について違憲の疑いがあることはいなめない。しかしながら、百歩譲って、本条項を存置することが是とするならば、本員が示した修正案のごとく、加入命令によらざれば公共の福祉を維持し得ざる場合に限るよう、発動の条件を厳重にすべきものと考える」というのでありました。
 次に、緑風会を代表して河野委員から、中小企業団体法案に次のような付帯決議案を付して賛成する旨の発言がありました。その付帯決議案の内容を申し上げますと、
  本法は、わが国経済の安定と発展並びに国民生活に重大なる影響を及ぼすものであるから、政府は、本法実施に当って、左の諸点について慎重なる考慮を払うべきである。
  一、不況要件並びに過当競争の認定については厳密なる検討を行うべきこと。
  二、中小企業者の組合が、いたずらに調整事業のみに偏向することなく、事業協同組合を通ずる自主的組織並びに企業の合理化には、あくまで努力するよう指導すること。
  三、商工組合の調整行為に基く犠牲が消費者に転嫁されることのないよう、十分なる配慮をなすべきこと。
  四、従来の経済取引秩序に無用の混乱を招来せざるよう、特に留意すること。
  五、加入命令の発動は、必要やむを得ざる場合に限ること。
  六、本法における審議会の運用に当っては「適正を期しうるよう、委員の構成に利害関係者を公平に考慮すること。
  七、本法と環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律との関係については、すみやかに再検討を加えるとともに、本法に基く商店街組合に関しては、その特殊性にかんがみて取扱いに適切な措置を講ずること。
 以上が付帯決議案の内容であります。さらに同委員は、「本法の実施によって、組合ボス化、官僚統制の弊害が起ることは、相馬委員の反対意見の通り強く心配するものである。しかしながら、さればといって、本法により、中小企業者がみずから立ち上って、組織を強化しようとする意欲を阻止することはできない。とにかく本法によりその道を開き、中小企業者に土俵を作ってやることが、金融、税制による助成を考えること以上に必要であるという実態を無視することはできない。これが本法に賛成する趣旨である」旨の発言がありました。
 かくて討論を終り、採決に入りましたところ、まず阿部委員提案の中小企業団体法案に対する修正案は、賛成者少数をもって否決され、次いで、中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を一括して採決いたしましたところ、いずれも多数をもって第二十六回国会衆議院送付の原案通り可決すべきものと決し、次いで、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案について採決いたしましたところ、全会一致をもって第二十六回国会衆議院提出の原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次いで、河野委員提出の付帯決議案について採決の結果、これまた全会一致をもって本委員会の決議とすべきことの決定を見た次第であります。最後に、通産大臣より、「付帯決議の趣旨に同感し、これを尊重する」旨の発言がありました。
 以上をもって報告を終ります。(拍手)
#10
○議長(松野鶴平君) 中小企業団体法案に対し、阿部竹松君外四名から、成規の賛成者を得て修正案が提出されております。この際、修正案の趣旨説明を求めます。阿部竹松君。
  〔阿部竹松君登壇、拍手〕
#11
○阿部竹松君 私は日本社会党を代表いたしまして、中小企業団体法案に対し修正の動議を提出するものでございます。修正案の詳細な内容その他につきましては、お手元に配付してございまする印刷物でごらんを願うことにいたしまして、その修正の内容と、その趣旨を御説明いたしたいと思うのであります。
 修正に当りまして、わが日本社会党といたしましても、中小企業の現状あるいはその実態にかんがみまして、現在の政府の政策の貧困さからくる苦境を切り抜けるため、あるいは組織法、資金、金融、その他税制の問題等につきましても、社会党より幾多の法案の成立を期待して提案している次第でございます。従いまして、組織法そのものに対しましては賛成でございまするが、内容の点について幾多の疑問がございまするし、あるいはまた、とうてい、われわれ日本社会党として容認しがたい点もございまするから、衆議院送付案には賛成できかねる次第でございます。従いまして、商工委員会等におきましても、ただいま委員長報告がございました通り、その論議の過程におきまして、学者を初め、あるいは公取の委員長、その他大ぜいの参考人をお招きいたしまして、それぞれ意見も伺ったのでございまするけれども、その見解は、最も危倶される点が多々あるという意見の開陳がございましたし、あるいはまた、この法案が全く完全であると明確に言明をされた方は一人もないのでございます。法案の審議に先だちまして、私ども社会党といたしましては、海外の例、あるいは幾多戦前、あるいは戦後の例をいろいろと検討し、調べてみたのでございまするが、現在、皆様方御承知の通り、世界的動向といたしましては、強制カルテル廃止の方向に進んでおるということは御了承の通りでございます。本法案の五十五条の内容を含むがごとき法案は、世界には現在その類を見ないのでございまして、修正案の内容の説明の前に、二、三の点につきまして戦前の例を引いてみましても、この五十五条の内容というものは、目的と方法は違うかもしれませんけれども、全体主義的思想が流れておると、はっきり申し上げることができるのでございます。また、一九四八年三月にできました国際貿易機関に関するハヴナー憲章というものがございます。私はこのハヴナー憲章に抵触するのではないかという心配と、ILO、これも御承知の通り、本法案についてILOの国際機関で現在取り上げられておるのでございまするが、その結論は、再び日本が旧態に復したのではないかという結論の出るのを、非常におそれるものでございます。この法案と非常に似通った二、三の例をあげて見ますると、次の通りでございます。昭和十六年の三月に改正いたしました国家総動員法という法律がございます。これは昭和十三年にできた法律でございまするが、この法律の十八条に、同種もしくは異種の事業の事業主またはその団体に対し、当該事業の統制または統制のためにする経常を目的とする団体または会社の設立を命ずることを得、こういうことがございます。
 次に、ドイツの例でございまするが、これは一九三三年七月十五日に成立したのでございます。これは強制のカルテル設立に関する法律、こういうことになってございまして、第一条の一に、経済大臣は、企業の重要性並びに全体経済及び公共の福祉を考慮し、必要ありと認めたるときは、市場統制の目的をもって、企業をシンジケート・カルテル・コンブェンチオンもしくはこれと類似の協定に結合せしめ、または既存の企業結合に加入せしむることを得、第二、一九三二年六月十四日、司法及び行政の範囲における処分に関する大統領令でございまするが、第一部第六章の意味における一九二三年十一月二日の経済力乱用取締令といたしましては、右の結合に適用す、ただし、同令第八条による告知はこれを除くというような、これはナチス・ヒトラー時代の、五十五条と非常に似た法案の内容であります。第三番目の例でございまするが、これはイタリアの例でございます。一九三二年六月十六日に成立した法律でございまするが、強制カルテルの設立及び活動に関する法律となってございまして、第一条に、関係名大臣の同意を得、閣議を経てなしたる総理大臣の提案に基き、皇帝の裁可により、生産及び産業を統制するため、特定経済部門の事業経営者に対し、強制カルテルの設立を命ずることができる、こういうふうな法律ができておるわけであります。従いまして、この法案の内容を、法学者その他にお伺いいたしましても、現存われわれが討議しておる法案の内容、五十五条には非常に精神が似通った法案であるということを、私どもは聞いて参ったのであります。(拍手)
 次に、戦後の例でございまするが、戦後は皆様方御承知の通り、西欧におきましても、ただいま申し上げました通り、強制カルテル廃止の方向に進んでおりまするが、日本と非常に似通いました西ドイツの例をとりまして御参考に申し上げてみたいと思うのであります。ドイツでは、かねてからキリスト教民主同盟政府は、新自由主義の立場に立ちまして、社会的市場経済を唱えて参りました。国家が企業活動の自由を保障するとともに、この自由をみずから否定し、なお市場に悪影響を与えるごとき一切のカルテルを禁止いたしまして、効果的な競争を行わして、これによって消費者の利益を確保し、生産性の向上、市場の拡大及びこれらによる国民生活水準の増進をはかりまして、このために一九五二年、競争制限禁止法案を議会に出したわけであります。議会においても、この法案を経済秩序の基本法案といたしまして、五カ年数カ月かかりまして、慎重かつ綿密な審議を続けまして、去る七月、同法案を可決したのであります。その際、野党である社会民主党は、同法案に反対の投票を行いましたが、同党は、その経済政策といたしまして、国有化すベき基本産業以外の分野については、与党よりさらに徹底した競争を行わせることを主張しておったためであります。同法の第一条を申し上げますと、一切のカルテル契約または決議を無効といたしまして、この無効の契約または決議を行なったものに対しましては十万マルク以下、つまり日本金に換算いたしまして八百五十五万円でございまするが、又はその無効契約または決議によって得た利益の三倍額以下の罰金に処する、こういうことを決定いたしまして、カルテル行為を厳重に禁止しておるのが西ドイツの実態でございます。第一条の適用範囲におきましては、非常に広いわけでございまするし、日本の独占禁止法の第四条に非常に似たものでございまして、非常にきびしい規定があるわけであります。この第一条の規定の適用除外を受け得る場合といたしまして、第二条で、単なる取引条件、引渡条件あるいは支払条件、こういうものを統一的に採用するということになってございまして、第三条では、公正競争秩序を確立するための払戻カルテル、こういうことになっておるわけであります。
 次に、輸出入の取引のための貿易のカルテルのほか、第八条におきましては、第一項にいわゆる一般条項がございまして、第二条ないし第七条に規定する要件が存しない場合であっても、全体経済及び公共の利益についての圧倒的に重大な理由から、競争制限が例外的に必要である場合。こういうように明確に規定しておるわけであります。
 次に実質的には限定的なものまでも二、三点を記入してございまするが、また適用除外の方法といたしましては、届出及び許可の二種類の方法をとってございまするが、これらの方法により、適用除外されたカルテル契約につきましても、きわめて強い監視制度をとりましてそれらを全部登録簿に登録して公表し、かつ、それが乱用される場合におきましては、同庁はカルテル契約の無効宣言その他の措置をとることにしておるわけであります。従いまして、日本の今回出されておる法案とは、ほど遠いものであるということが、明確におわかりかと思うわけであります。また、以上の違法な諸行為、あるいはまた予防規定等も明確に設けておりまするほか、公正競争を確立するための競争規約制度を新しく作り、さらに罰則、行政機関、手続等の点につきましても規定してございまするし、行政機関の章では、同法の執行機関といたしまして前述の準司法的な独立機関である連邦カルテル庁を明確に創設いたしておるのでありまするけれども、内容の点については、日本とは大差があるということも申し上げておかなければならぬと思うわけであります。ドイツは、かつてはカルテルの母国と呼ばれておったわけであります。ナチス時代におきましては、その強制カルテル法によりましてカルテルの保護助成をいたし、わが国を初め、各国の統制法規に重大な影響を与えた国でありまするだけに、この国が社会的市場経済、これを唱えまして政府の方針で、はっきりとカルテル禁止の方向に向って歩み出したことの意義はきわめて大きく、その影響するところもきわめて広範であります。
 次に、ただいま配付してございまする修正案の内容の大綱を申し上げて見ますると、第一の修正点でございまするが、衆議院送付案の第五条の中小企業者の定義でございます。原案では、最前、委員長報告にもございましたが、中小企業者を定義づけるために、もっぱらその使用する従業員の数によろうとしておるのでありまするが、わが国でも、現在産業部門内におけるオートメーション化の勢いは、特に化学部門、あるいはまた工業部門等におきまして著しく進歩しておるのでございまするから、中小企業者を定義づけるためには、単にその従業員の数のみによってやるということは不可能であります。実費的には大企業の範疇に加わるような企業者が中小企業者として商工組合の法律上、当然の有資格組合員となってくることに本法ではなるのでございまするから、当然この商工組合なり、その連合会運営の実権が、これら大企業者に握られる非常に危険をはらんでおるわけであります。現在わが国におきましては、わずか二百五十人あるいは三百人足らずの従業員によって、数十億の資金を有している産業が多々あるのも、御承知の通りでございます。政府の原案によりますると、この間の事情に対処するものといたしましては、第五条の第三号の政令の規定の運用によるということにしておるようでございまするが、これではとうてい不十分でもあり、問題を基本的に解決したことにはなりません。従って、法文にはっきりと、中小企業者であるためには、その者が法人であるときは、従業員の数が三百人以下であり、かつ資本金の額または出資の総額が一千万円以下でなければならないと、付加することにいたしたのであります。
 第二の点でございまするが、送付案の第九条によりますると、商工組合の設立要件を規定しておるのでございまするが、その中に、「中小企業者の競争が正常の程度をこえて行われているため」との表現があります。どの程度の競争が、果してどれだけの激しい競争であるか、のんびりした競争であるかは別といたしまして「正常の程度をこえて」、この点が非常に不可解であり、不分明であり、過日の委員会等におきましての岸総理の答弁でも、過度の競争と実質的に同じだとのことでもございました。従いまして中小企業安定法等の例にならいまして、これを「競争が過度に行われているため」と改めたわけでございます。その中に、中小企業者の経営の相当部分が著しく不安定となっている場合ばかりでございません。「なるおそれがある場合」ということも含めておりまするが、商工組合の本質的な事業といたしましては、生産数量の制限とか、価格の調整というように、国民一般大衆の利害と直結して多くの場合これと矛盾するものであるということが明確にわかりまするので、商工組合の設立はごくごく必要最小限度にしぼられるべきであるというのが、「おそれがある場合」を削除した理由でございます。
 第三の修正点でございまするが、第四十二条第四項で準用しております第二十条のうち、第二十条の一項のみを準用することにいたしまして商工組合の設立の認可の申請に対しまして、主務大臣が二ヵ月以内に認可または不認可の通知をしなかったときは、設立の認可のあったものとみなす規定の準用を削ったのも、第二の修正点と同様な趣旨でございましてこれをさらに貫くために、主務大臣が商工組合設立の認可をしようとする際は、必ず中小企業安定審議会に諮問しなければならないということにしたわけであります。
 第四の修正点は、特に問題になりました。われわれ社会党の強く主張して参った点でございまするが、問題の加入命令、すなわち五十五条の規定の全文を削除いたしましたことであります。この加入命令につきましては、この規定が公けになると同時に、その合憲性、あるいはまた違憲性、特に憲法第二十一条に明記してありまする結社の自由、こういう点と正面から衝突するのではないか、あるいは抹殺するものではないか、こういう点につきまして、院の内外を問わず、ごうごうたる論議を呼んだことは御承知の通りであります。過日の参考人の意見陳述におきましても、第五十五条の規定の表現自体はともかくといたしまして、その運用のいかんによっては、憲法で保障しておる基本的人権との関係で、多くの問題を残しておるとの点では、おおむね意見の一致を見たものであります。
 さらに、われわれといたしまして特に強く主張したい点は、第五十五条のほかに、五十六条の規制命令という、員外者を規制する強力な手段がありながら、その上になぜ員外者の加入まで強制しなければならないかということであります。この点につきましては、数度の委員会で執拗に内閣総理大臣、あるいは通産大臣、その他政府当局の説明を求めたのでありまするが、ついに今日まで明快な答弁を得ることができなかったのであります。われわれといたしましては、員外者の規制は、第五十六条、及び五十七条の規制命令で、必要にしてかつ十分と考えるわけであります。なお、員外者に加入を強制することは、その業界のボス支配への道を開く最大の誘因となりますし、ひいてはそれが、本来最初に救われるべき零細な業者や無力な一般市民消費者の犠牲や不満の上に、業界の一部の特権階級のみが世の春を謳歌することになりかねない点を、非常におそれざるを得ないのであります。以上が、われわれが弟五十五条の加入命令の規定の全文削除を強く主張する理由でございます。(拍手)次に、第五の修正点でございまするが、修正案の第五十六条、第五十七条及び第五十八条の命令、すなわち主務大臣が員外者の規制命令や、設備の制限命令をしようとするときには、調整規程や組合協約の認可の要件となっておる三つの点に、慎重なる考慮を加えるように要請しようというものであります。その趣旨は、その命令の内容が必要最小限なものであり、消費者や、関連事業者の利益や、零細企業者の立場を十分に保護するべきものであることを、命令権者であるところの主務大臣に強く要請しようとするものであります。次に、第六の修正点でございますが、規制命令に関する主務大臣の事務の一部を、商工組合やその連合会に処理させることができるとの第六十四条の規定と、規制命令に基く登録その他事務について必要な手数料を国が徴収できるという第六十五条等を削除しようとするものであります。その理由といたしましては、これらの規制に関する事務は、国がその全面的な責任と負担において当然執行すべきものでございまするし、いやしくもその事務の一部を、業者の団体である商工組合等にやらせたりいたしましては、あるいはまた国に手数料を徴収したりいたしましては、命令の公正かつ妥当な執行は、とうてい期待し得ないという理由にほかならないのであります。
 次に、第七の修正点でございまするが、原案では、中小企業安定審議会と中小企業調停審議会の委員の構成は、第七十五条と第八十四条におきまして関係行政機関や学識経験のある者のうちから、主務大臣や都道府県知事が任命することになっておるのであります。私ども日本社会党といたしましては、これら審議会の重要性にかんがみまして、その委員のそれぞれ内容につきまして、中小企業者を代表する者、中小企業関係労働者、消費者の代表も、当然委員の一人として加えられるべきであり、これを任命せんとするように、条文の中を修正しようとするものであります。その趣旨は、申すまでもなく、無力で零細なこれら中小企業関係労働者や、一般消費者の利益等、その立場の保護に万全を期したいという念願にほかならないわけであります。(拍手)
 第八の修正点でございまするが、第八の修正点は、主務大臣と公正取引委員会との関係を規定しておりまする第九十条中、主務大臣が公正取引委員会に協議すべき事項となっておりまする価格制限以外のいわゆる調整規程や、組合協約を認可しようとするとき、または加入命令や規制命令をしようとするときは、必ず公正取引委員会の同意を得なければならないということにしようとするものであります。取引の公正なあり方の実現と、一般消費者の利益保護を本来の任務とする公正取引委員会の職務権限と、加入命令等の事柄の重大さに思いをいたすならば、何人といえども本修正案に当然賛成していただけるはずの修正でございます。
 何とぞよろしく御審議をお願いいたします。(拍手)
#12
○議長(松野鶴平君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。青柳秀夫君。
  〔青柳秀夫君登壇、拍手〕
#13
○青柳秀夫君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております社会党提出の修正案に反対し、中小企業団体法案外二件につき、衆議院送付の原案に賛成の意を表明するものであります。
 中小企業がわが国の経済において非常に重要な地位を占めておりますことは、今さらあらためて申すまでもないことであります。比較的少数の大企業と並んで、膨大な数の中小企業があり、それがあるいは輸出産業としてあるいは大企業の関連産業として、はたまた国民の消費生活に直接結びついた生産流通の機関として国民経済の上に大なる比重を占めておりますところに、わが国経済の特色があるとも言えるのであります。従いまして中小企業の経営の安定と向上をはかることは、経済政策の問題として最も重要であるばかりでなく、ひいては社会問題、人口問題の解決にも寄与するところがきわめて大なるものがあるのでございます。
 中小企業対策といたしましては、金融面よりする対策、税制面よりする対策、あるいはその組織の面における対策等が考えられますが、これらの対策が相寄り相助け、歩調を合せて推進せられてこそ、初めて十分なる効果が期待せられると存じます。わが自由民主党といたしましては、従来から中小企業問題の重要性にかんがみましてこれら諸般の対策を推進して、あらゆる努力を払って参ったのでありまして、すなわち金融面におきましては、逐年国家資金の導入額を増加して、中小企業金融の円滑化をはかり、また税制面におきましては、一般的減税のほかに、特に中小企業に対しまして、しばしば法人税、事業税の軽減を行いましたことは周知の通りでございます。一方、組織の面におきましては、中小企業等協同組合法に基く共同事業によって経世の合理化をはかりまするとともに、中小企業安定法に基く謝整事業によって経営の安定をはかり、それぞれ相当の成果を上げて参ったのであります。
 しかしながら、わが国の中小企業は、その数がきわめて多く、その資本力は弱小であり、加うるに業者間の過度の競争によりまして、常に不安定に悩み、共倒れのうき目を見る者が少くない現状でありますので、この過当競争を防止するのでなければとうてい中小企業の健全なる発達は、これを期し得ることができないのであります。これがためには、中小企業の組織化につき根本的なる法的措置を望む声が、ほうはいとして全国に高まって参ったのであります。ただいま議題となっております中小企業団体法案は、その熾烈なる中小企業者の要望にこたえんとするものであり、その意義はまことに重大であり、私は国民とともに、これが成立を衷心より希望するものであります。(拍手)さきに本案が前期国会に提案せらるるや、全国中小企業者は、あたかも旱天に慈雨を望むがごとく、これが成立をこいねがったのでありますが、不幸にして継続審議となったのでありまして、今期国会におきましては、これが成立をせしむることは、われわれの責務と言わねばならぬのであります。もとより本案は、経済界における画期的な法案とも称せられる広範なるものでありますので、これに対する批判なり反対論もまた少くありません。私はこれらの批判ないし反対論のうち、最も重要なるものと認められるもの二、三につきまして所見を申し述べたいと存じます。
 第一に、最も議論の中心となっておりますのは、強制加入の問題であります。組合への加入を強制することは、憲法に保障せられている基本的人権を侵害するもので、憲法違反であるという法理論上の反対論であります。その強制加入が憲法違反であるかどうかという点につきましては、委員会においても大いに論議が戦わされたのでありますが、参考人として招致いたしました憲法学者は、いずれも法理論上憲法違反にあらずと、みな一致した意見を開陳されておるのでありましてこの点は何ら疑義を存しないのであります。実際問題といたしましても、深刻な不況に悩む中小企業者の多数が、お互いに協調することの必要に目ざめて商工組合を結成し、自主的な規制を行なっている際に、ごく少数の員外者が勝手気ままな行動をとるために、せっかくの業界の安定が期し得られず、全体の経営が著しく困難となり、ひいては国民経済の健全な発展に重大なる悪影響をもたらすという事態におきまして、やむを得ず強制加入を命ずることは、公共の福祉の点よりいたしましても、経済、社会の民主的運営上、当然認めらるべきものであり、憲法上許さるべき行為と言わねばなりません。もちろんこの場合におきましても、公共の福祉とは、単に中小企業者側のみの利益ではなく、一般消費者や関連産業の利益との調和をはかるよう、慎重の考慮が払わるべきことは当然のことでありまして、いやしくも強制加入制度の乱用のごときは、厳に戒めなければならぬのであります。かように加入命令はよくよくの場合に限られておるのでありますが、もしも加入に支障のある者は、その旨を申し出て認証を求めることによって組合に加入しないことができる道が開かれておるのでありまして、決して無理なものではないのであります。かような配慮が加えられて作られた強制加入の制度でありますから、社会党の諸君におきましても、両党共同修正の責任をもって、虚心たんかいに賛成せられんことを切望してやみません。
 次に、アウトサイダー規制命令があれば足りるので、しいて強制加入の必要はないのではないかという意見であります。必要がないのではなく、大いにその必要があるのであります。御承知のように、中小企業安定法は実施以来、すでに五年有余を経て相当の成績を上げておりまするけれども、これが実施の状況より見まして、複雑多岐なる中小企業の実情におきましては、員外規制ではどうしても不十分の点が多くあるのであります。すなわち員外規制では、国家の取締りのみを頼みとして、組合が自主的調整の努力を怠るきらいがあり、また、調整事業に要する経費の負担につきましても、組合員とアウトサイダーとの間に不均衡がある等、業界の自主的運営を臨める上において欠くるところがあります。外部の者も組合の中に入れ、お互いに話し合いで、民主的、自主的に組合の業務を運営することの必要が、実際問題として痛感せられておるのであります。それゆえに規制命令のみにて足りるとするがごとき議論は、国家の権力面にのみ依存して、みずからの民主的、自主的の運営を軽んずるものであると断ぜざるを得ないのであります。
 次は、消費者大衆の利益を害するのではないかという点でありますが、こうした見方はかなり広く行き渡り、それは当然の結果であるような印象を生んでおりますが、これは法案に対する誤解に基く点が多いように思われます。この法案が成立すれば、至るところに商工組合が作られ、それが直ちに価格協定を行なって、物価を不当に高くつり上げるというように、しごく簡単に考えられておるのでありますが、第一に、この法案は商工組合の設立を、過当競争の結果、中小企業者の取引の円滑なる運営が阻害され、その相当部分の経営が著しく不安定となっているか、あるいはそのおそれがある場合に限っているのでありまして、しかも、価格につきましての制限は、生産、出荷、販売方法、原材料の購買等に関する制限を実施して、なおかつ中小企業の経営の安定を期し得られない場合に限って行われ、さらに、その認可に当って、主務大臣は公正取引委員会の同意を得なければならないことにして、みだりに安易な価格協定の道に走ることがないように、特に慎重な取扱いをしておることは、法案の明示する通りでございます。過去の実例に徴しましても、安定法に基く五十二業種の調整組合のうち、これまで価格の協定を行いましたものは、マッチと輸出用ミシンの二業種に限られ、それ以外には価格協定を行なった業種はないのでございます。将来を予想いたしましても、たとえば商業においては常に買手市場でありますので、しかも、アパートとか、生活協同組合とかいうように、きわめて有力なる競争相手がございます。商工組合が価格協定を行なって価格をつり上げることは、いたずらにデパートや生活協同組合の売上増加を手伝うようなものでありまして、これは自分自身の首を締めるようなものでございます。また、特定の商品について言えば、その商品を販売する業界以外の中小企業者は、すべて消費者の立場に立つわけで、これら中小企業者を含む広範な一般消費者大衆の納得の得られないような価格協定は、とうてい実行不可能であります。中小企業の商業者が、かような自殺的行為、あるいは世論の支持を得られない行為に出るような心配は、決してないと確信をいたすものでございます。(拍手)
 次に、輸出の阻害になりはしないかという点であります。わが国の輸出貿易のうち、中小企業の製品は六〇%以上という非常に高い比率を占めており、その輸出の伸びるか伸びないかは、わが国輸出の前途に重大なる関係があることは申すまでもございません。しかし、中小企業の組織化を進めることによって、輸出に悪い影響を及ぼすという見方につきましては、私どもはむしろ逆ではないかと考えておるのであります。最近における輸出伸張の裏には、出血輸出という、中小企業者の非常な犠牲が払われておることを忘れることはできません。出血輸出は、要するに中小企業の過度の競争の結果と見るべき面が多いのでありまして、過当競争によって業者は足元を見すかされ、外国の取引先から不当に安い値段を押しつけられる、勢い品質の低下を伴いまして、日本製品の信用に悪影響を及ぼすことにもなるのであります。組織化によって過当競争を防止できれば、出血輸出に悩むことも少くなり、安定した取引のもとに輸出貿易の振興を期し得るのでありまして、中小企業の組織化が輸出に悪影響を与えるものではないかという心配は、全く杞憂と存ずるのであります。
 次に、本法は統制経済への一歩であり、自由主義経済の原則にもとるものではないかという見解について一言いたします。経済活動について、何でも無制限の自由放任にするのが自由主義経済なりとするのは、十八世紀の資本主義勃興期における古い理念であって、現在のごとく、資本主義の進んだ今日における福祉国家の理念におきましては、経済的に弱い立場にあるものの事業経営の安定のため、国家がその経済活動に関与することは当然のことであり、自由経済の原則と何ら矛盾するものではありません。
 以上、問題の諸点に関して所信を申し述べましたが、私は全国中小企業者の強き要望にこたえ、衆議院送付原案通り可決すべきものであると存ずるのであります。
 なお、本案に対しまして、社会党より十一項目にわたる修正案が提出せられましたが、その主眼とするところの第五十五条、すなわち強制加入条項の全面削除でありますが、本条項はこの法案の最も重要なる点で、生命とも称すべきものでありまして、これを削除することには、われわれといたしましては絶対に承服し得ないのであります。その他の諸点につきましても、その必要なしと認めまするので、修正案には遺憾ながら反対をいたします。(拍手)
 緑風会よりの付帯決議につきましては、私どもも全く同意見でありますので、賛意を表しまするとともに、政府は、本法の重大性にかんがみまして、これが施行に当っては慎重の考慮を払い、万遺憾なきを期せられんことを強く要望し、私の討論を終ります。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(松野鶴平君) 相馬助治君。
  〔相馬助治君登壇、拍手〕
#15
○相馬助治君 私はただいま議題となりました中小企業団体の組織に関する法律案につきまして、日本社会党を代表して、阿部君提出にかかる修正案に賛成をいたし、委員会において可決されました原案に対しましては、反対の意思を表明せんとするものであります。(拍手)
 今日、中小企業者の置かれている現状を思い見しまするときに、これらの人々は、金融、租税、設備の問題はもちろんのこと、原料高の製品安、あるいは業者間の過当競争、大企業の圧迫をどうしてはねのけるかというように、多くの問題をかかえております。ただいま青柳君は、自民党の中小企業政策の成功を謳歌したのでありまするが、事案は何よりも雄弁でございまして、中小企業者は、今日重税と金融難に悩み、失業者はちまたにあふれている姿を、われわれは見逃すわけに参りません。私どもはこれら諸問題の解決の基本的な命題といたしまして、組織法の必要を痛感するという点においては、全く自民党とも見解を一つといたします。弱いものが個々ばらばらでは、ますます弱いのでありまして、弱いものが団体を作り、強いものに対抗して行く必要は認めます。組合の力によって大企業に対抗し、組合の力によって、個々の企業でなし得なかった共同の事業というものを起し、あるいは不況克服のために調整事業を行なって、不況の波から、みずからを防衛することの必要も私どもは痛感いたします。これがわが日本社会党が、さきの国会におきまして、中小企業の組織に関する法律案を国会に提出したのであります。何ら当時準備のなかった政府はあわてまして、大急ぎで法案を作成し、全く無準備のままに、これに刺激されて団体法案を提出したのでありまして、その内容の粗雑さは、以下、順次私が批判して参りたいと存じまするが、しかし、私はここで岸総理に明確に申し上げることは、ともかくあなたがこの法律案を提案したというこの事実については、率直に敬意を表するにやぶさかでございません。
 しかしながら、私が申し上げたいことは、この団体法一本では、今日の中小企業者の悲運は全く解決されないという問題であります。最近大企業が、従来、中小企業の分野とみなされたところにどんどん進出いたして参りましていたずらに中小企業の経営を圧迫し、生産秩序の混乱を招来している事実を、あなたも知っていらっしゃると思います。大都市における百貨店の異常なる進出と発展がその例でありまして、この際、中小企業者が自主的に組織されることも必要ではありまするが、それよりもまず、この大企業の圧迫をどうしてはねのけるか、彼ら自身の力では足りないのでありまして、立法措置によって中小企業者を、大企業の進出から、野獣的な圧迫から防衛してやるということが、われわれの責務でなければなりません。(拍手)とにかく独占大資本の傍若無人の活動の中では、単なる団結と組織だけでは、基本的な問題は解決されないのでありましてむしろ、この法律一本を裸で通すということは、かえって独占資本の中において中小企業の系列化を促進するという逆効果をもたらしましてそうしてまた、それは一部の組合ボスの支配を発生せしめ、中小零細企業者がより貧困に追い込まれ、果ては整理せしめられるという段階すら予想されるのであります。委員会におきましては、緑風会委員から、これは運用次第によっては、企業整備法案にもなりかねないではないかという質問が発せられたることは重大であります。また、この問題に連関して、わが社会党から岸首相に対してあなたは戦時中統制経済を行い、企業整備を行なったことを、今日いかに考えておられるかという質問に対し、首相は全く真摯な態度をもって、時代とは言いながら、また、国家の要請とは言いながら、その事実に対しては今日深く思い見るものがありますと述べられておるのであります。私はこの率直な御答弁に対して、心からその人柄には敬意を払ったのでありまするけれども、問題は個人のそのような問題でなくてこの法律のもたらしまするものが何であるかということを考えたときに、肌寒きものを諸君とともに感ぜざるを得なかったのであります。(拍手)私はかかるゆえにこそ、中小企業における産業分野の位置確保に関する法律案を真剣に提案いたし、かつまた、小売店保護法ともいうべき商業調整法案と、さきの法案を合わせまして三本の中小企業対策の基本的法案を国会に提案いたしておりますると同時に、金融、税制、企業合理化等に関連をいたしまして下請代金支払遅延防止に関する法律案、百貨店法の一部改正案、中小企業の官公需確保の法律案、最低賃金制法律案、家内労働法案等、一連の法案を提出いたしました。真にわが党が、これは中小企業者の運命を思いみるからでありまするが、残念ながら、衆議院でまじめに取り上げられて参議院に回ってきたのは、今日議題となっておりまする組織法案一本であり、しかも、よく見ますると、われわれの主張たる重要部分は抹殺されておるのであります。しかしながら、私がここで問題にしたいと思いまするのは、われわれのこの関連法案の必要性に対して政府の申しておりまする熱意というものは、きわめて消極的であるということであり、この意味において私どもは組織法案の必要性は十分認めながらも、積極的にこの原案に賛成し得ないこれが第一の理由なのであります。
 第二、私どもが原案を不満とし、阿部君の修正案に賛成しなければならない理由は、この法律案は中小企業保護育成のためと申しておりますけれども、さきに一部触れましたように、実は結果的には大企業を保護し、小企業を圧迫し、零細企業を壊滅させることになるという問題であります。その現実を私は法案の上で証明してみたいと思います。
 まず第一に、中小企業と称しながら、大企業がこの法案の中において適用範囲の中に含まれております。原案第五条が資本金の概念を全く顧みないことは、このことを証明して余りあります。私の手元における資料によって見ましても、資本金五百万から一千万ならば従業員は平均百二十三人、一千万から五千万ならば従業員は平均して百六十四人、ところが、この法律では三百人までは中小企業だと言っております。これでは資本金数億の企業がまぎれ込んで参りましょう。オートメーションの時代になって参りまするがゆえに、いよいよ心配は大きくなって参るのであります。従ってせっかくの立法者の善意の意思にもかかわりませず、この法律がどこを一体保護し、どの階級を優遇するかは、非常に問題であると言わなければならないのでありまして阿部君の修正は、きわめて妥当なというよりは、当然であると言わなければならないのであります。一千万という金額については、もちろん考慮する必要があり、昨日、委員会において高橋君がこの点をかなり鋭く突きました。もちろん資産再評価も完全でない現実におきましては、この一千万という金額には、いささかの議論がありましょう。しかし、さればといって資本金で規制する必要はないという反論にはならないのであって、私どもの修正を反駁する反論としては、まことに見当が狂っていると申さなければなら、ないのであります。(拍手)
 私どもが第三に原案に反対する理由は、衆議院の修正を含めてこの原案は、作成者にはお気の毒ながら、首尾一貫していない、支離滅裂だということを申し上げなければなりません。従って委員会におけるわれわれの質問に対して、答弁はすこぶる統一を欠いておりました。中小企業政策の全般的な問題や、経済の基本に関しての岸首相あなたの答弁は、その岸首相の答弁は、もちろんりゅうちょうでありましたが、一たんこの本法に触れて参りまするというと、通産大臣以下の答弁というものは、まことにあいまいにならざるを得なかったのであります。商店街組合では、坊さんとお医者さんが一定業種だなどというような珍答弁すら現われる始末でありまして認証という文字の解釈についても、衆議院から二人の修正者が来ておりまするが、二人とも意見が食い違っておる。大臣と次官と川上中小企業庁長官が、三人がまた三人してばらばらのことを言っておる。結局追い込まれまして最終的には、認証は届出と同断であるということに統一的見解が出たのでありまするがさてそこで心配なのは、そういう統一的見解を出した通産大臣、小笠次官、川上長官が、いつまでもこの席にとどまるものではない。人がかわったときには、一体この法律はどういう効果と影響を持つものであるかということを考えるときに、法律学の一ページも学ばない者でもわかることは、ともかくこの法律というものは、おそろしいものであるということにならざるを得ないのであります。大体この法案は、商工委員会でまれに見る長時間の審議を要しました。自民党の理事も、質疑打ち切りをしたくてもできない。なぜならば、質問のための質問は全然なくて事実内容の疑念についての本質的な質問がきわめて熱心に繰り返されていたからなのであります。第一に、この法案は革命法とまで言われるほどの重大な意義を持ち、第二に、この法律案は付則を加えますると百三十条に及ぶ長大なものであり、第三には、修正個所が多くて、しかも原案に対して、木へ竹を継いだような修正が加えられまして難解となって参ったのでありまするが、もっといけないことは、法案そのものがずさんであって、関係者各位にはまことに恐縮ながら、提案者、修正者の研究と準備とがいささか不足であって、かつまた法案の中にある文字が難解で、どう解釈したらよろしいのかわからないほど、抽象的であいまいな文句が多いのであります。委員会において解釈を統一することが答弁者においてきわめて困難であったことと、就任早々の前尾通産大臣、きわめて正直なまじめな人柄である前尾通産大臣が、しばしば答弁に窮して戸惑ったということは、お気の毒な次第であったのでありまするが、これは一にかかって通産大臣の問題でなくて論ぜられている法案自体が悪いのだということを、私は申し上げなければならないのであります。私はこの壇上より諸君に問いたい。同僚諸君が、果してこの法律案をよくそしゃくしていると広言し得る人が何人あるかという問題である。おそらく団体法というのは、税金が安くなって金が借りられる法律だぐらいに、たかをくくって考えていられる向きがある。また中小企業の大部分も、おそらくそういうような一部の人々の無責任な宣伝に乗っかって旱天に慈雨を求めるがごとくにこの成立を渇望しておるのでありまするけれども、政府筋のPRが、この法案成立後にうそであったというときに、大衆の怒りが一体どこに向うか、自民党の方々は考えておかれる必要があると同時に、こういう法律案がこの国会において成立せしめられることを考えると、まことにりつ然たるものがあるのであります。
 しかしながら、この法案が全く無益だと私は申してはおりません。率直に言って事業協同組合と調整組合を一本化し、調整事業を行い得る業種を拡大し、ことに団体交渉と応諾義務を課して、中小企業者の交渉能力を強化するというような面、あるいは協同組合の中に小組合を設ける等、効果のあることは私も率直に認めます。しかしながら、この法案に私ども賛成し得ないものは、この法案は中小企業のための妙薬であると言われておるが、また一面ききそうな面もあるけれども、もっとおそろしい毒薬を含んでいるという問題であります。その中心は何かと言えば五十五条であります。われわれがたびたび修正意見を持ち出しましたが、自民党の諸君は、ただいまの青柳君の討論でも明らかであるように、この五十五条がこの法案のかなめだと言う、これが骨だと、こう言っておる。われわれにはわからない。わからない理由はあとで申しまするが、全くわからない。これが骨であるから、骨抜きになるから骨は抜けないと言うのだが、自民党の主張を比喩をもって申し上げるならば、骨の入った刺身だが、ともかく国民諸君よ、うのみにしたまえと言うに似ている。危険きわまりないことだと申し上げなければならないのであります。(拍手)諸君は毎日新聞の十一月九日の阿部真之助さんの「物騒な種はまくな」という評論をお読みですか。読まない方もあろうと思うので、ちょっと時間をいただきますと、阿部さんはこう言っております。「社会の秩序と節度のために、多少の拘束はやむをえないと信じているものだが、本来自由意思により、結成されるべき組織に、加入意思のないものを、法をもって強制することの重大性を、感じないではいられないのだ。憲法は結社の自由を認めている。その逆をいうならば、結社に参加しない自由を認めるものといえるであろう。このような基本的の自由を、軽々しく制限し、もしくは強制しようとするのは、不穏当なるは言をまたない。このような立法は厳に慎重なるを要する。私がこの法案に、さりげなく盛られた「強制」条項に、考えようでは必要以上に神経をトガらせたのは、ファシズムの勃興当時のことを、思い起こしていたからである。そのころイタリアは、中小企業家が極度の窮境にあえいでいた。これに目をつけたのがムッソリーニだった。彼は中小企業家に組織と強制とを与えた。ファシズム独裁政権の基盤は、実にここにあったのである。」、以下ずっと、もっといいことが書いてあるのでありまするが、私どもは、こういうものを本気で読む必要があると思うのであります。私どもがこの法律を、特に第五十五条を阿部君が熱心に削除したいというのは、五十五条は青柳君の扇のかなめだと言うが、全く違う。この法律が、商工組合を結成せしめて不況を克服するために、その法効果を万全ならしめるために、アウトサイダーを規制するということはわかります。これで十分なのです。それに対して強制加入命令をなぜ必要とするのか、私の頭ではわからない、わが党の理解ではわからない。(「頭が悪いからだ」と呼ぶ者あり)大体頭がいいとか悪いとかヤジる者があるが、本質的に私どもは皆さんと違うのじゃないかと考えることは、第五十五条は不必要であって無用有害論にわれわれは立っておる。大体、第五十五条は本質的に危険です。アウトサイダー規制の際は、皆さん、政府が規制命令を出す。そうしてこれに違反したら罰則を設けたり、監督するのは政府です。まあよろしいでしょう。ところが強制加入命令は違うのです。政府が強制加入命令を出して組合の中へ追い込むのです。組合の中へ追い込まれた員外者は、組合のボスによって活殺自由自在にあやつられるのであります。私どもはあまり官僚のことは信用しないが、それでも組合ボスよりはまだしもと思っておる。官僚のほうが公正度が高いと思っておる。そういうふうに考えてくるというと、この五十五条というものを、憲法違反の疑いありと言われる中に、どうしても押し通すんだという政府並びに与党の諸君が、何を一体目的としているのか、どうにも理解が、委員会の討論その他においてはつかなかったということを申し上げ、われわれは強くここに修正案を、阿部君をして出さしめざるを得なかったということを申し上げるのであります。(拍手)
 次に、この法律につきまして私どもが心配することは、消費物価がどうなるかという問題でございます。この問題に関しましては、政府は、消費物価は上りません、なぜ上らないかということは、かくかくしかじかだと述べておる。すなわち大企業や問屋筋に団体交渉をして原料を安く買うから物が安くできる、だから安く売れる、だから高くなるどころか今までよりも低くなるとは言わないけれども、今まで程度には必ず行くと、こういう説明をされておる。環境衛生法のときにも、物価が上らないかという質問のときに、私はこの耳で直接聞いたのじゃないが、これと同じ説明がなされたそうです。結果がどうなっているかは皆さんの方がよく知っている。問題は、青柳君の話でもそうです、なかなか商工組合ができないし、調整規程なんかがほとんど出せないというような討論をしておる。それじゃ一体この法律を待ち望んでいる中小企業者はがっかりしてしまうと思う。官僚を通してみっちりと締めてほとんど商工組合も作らせない、ほとんど調整事業もやらせないなどというならば、こんな法律をちらちらさせることは、中小企業者に対して罪深き所業であると言わざるを得ないのであります。問題は、しかしその次にある。こういうふうにして、だんだん官僚が統制をしてなるほど上げないようにはするでしょう。ところが、中小企業者は団体を組んで黙っていない。それでじゃんじゃん運動をやる。そうするというと、結局その団結は、大企業の方に行っては壁に突き当り、そこで一部官僚ボスと結託をいたしまして弱き消費者の方に向いてくるということは当然の帰結である。従いまして私どもはせめて安定審議会の委員選出の中にこれを明文化して、消費者の利益代表者を中に入れたい。中小企業の関係の労働者とか、主婦連の中の意見ある者とか、あるいはまた、その他消費者の代表というような者を加えるべきだと、こういう当然の修正をし、このぐらいは自民党が呑むであろうと思ったところが、ぽんとけられた。われわれは、全くわれわれの心配か杞憂でないということを、この態度によって考えざるを得ないのであります。(拍手)
 次に、私がこの法案について原案に賛成し得ないのは、組合ボスと官僚統制の問題であります。五十五条に関連してあげたように、強制加入命令または六十四条による組合に事務を処理させるというようなことは、結局ボスを育成する温床となりましょう。ところが、この法案の厄介な点は、組合のボスを何とかして駆逐しようとすると、官僚ボスがのさばるようなしかけになっておる。官僚ボスを駆逐しようとすると、組合ボスがはびこるような仕組みになっておる。問題はここであります。私どもが最も心配をいたしまするのは、この官僚と手を組んだ組合ボスが一体となって勝手な消費物価の値上げなどをやるという、悪質なことを予想せざるを得ないのであります。もちろん政府は、こういう非難に対しまして、抜け目なく、安定審議会を作ったと、こう申しております。ところが安定審議会については、委員選出の明文化の修正を求めてもきかないことは、先ほどるる述べた通りでありますが、一体最近までの政府のやり口を見ておりますと、民主主義に名をかりて審議会をどんどん作る。そうして政府の手心で、御用学者や御用評論家をそこに入れてそうして答申案は、政府の官僚が書いてこれに預け、かくかくのごとく答申案が出ましたというので、最初から考えていた通りのことをやる。この法律は、そういうことが予見されるのでありまするがゆえに、私どもといたしましては、六一四条、六十五条、すなわち事務処理、手数料等を組合に委譲するというような法律案については、どうしても賛成しかねるのであります。
 とにかく私は、皆さんに心から訴えたいと思いますることは、世紀の法典と政府筋において誇称されておるこの法律、われわれの立場から見ましても、今日まで悲しい状況にあえいでいましたところの中小企業者のためになされる組織法案が、不完全なものとして世に送られてはならないということではないかと思うのであります。特に銘記願わなければならないことは、緑風会河野謙三君によって提案された例の付帯決議であります。是々非々をもって鳴り、特に学殖深き紳士諸君のグループであります緑風会が、この法案の運用について思いをいたし、心配するあまり、七カ条にわたる付帯決議をつけなければ賛成し得なかったという事実は重大であります。政府は、まさに沈思再考をするべきでありましょうし、今からでもおそくない。今日選ばれて立法府の席に連なる光栄に浴するわれわれは、この世紀の法典ともいうべきこの法案が、今日ここに議決される瞬間においても、思いを新たにしてこの法案の正体が何であるか、影響するところが何であるかということに思い見なければならないと、かように考えるのであります。(拍手)
 とにかく結論的に申し上げられますことは、この法案はまことに未熟で、そうして立法上種々の重大なる問題を内在し、経済立法としては、その影響するところがまことに重大であって、これに対処する通産省の具体的な資料は、今日何も用意されていないということを、私は皆さんに訴えなければならないのであります。しこうして緑風会の全員の意思によるところの付帯決議が出ましたけれども、この付帯決議をもってしては、私どもはどうしても安心いたしかねまするがゆえに、原案に対しましては、結局、多大の不満を感じまするがゆえに賛成しかねたのであります。
 私に許された時間はすでに参っております。最後に私は各位に申し上げたい。私ども日本社会党は、諸君とともに中小企業の安定とその振興を心より願い、これに関する諸法案を国会に提案いたしておりまするが、それは一向に進んでいないがゆえに、これに対してはぜひとも御協力を願うと同時に、政府みずからが、真に中小企業救済のための立法措置を断固として急がれんことを、私は期待いたしまするとともに、真に国を憂うるところの各位、中小企業者を真に救済せんとする熱意を持つ同僚各位、われわれの修正論に耳を傾けられ、われわれとともに、阿部君提案の修正案に対して賛成され、原案に反対していただきたいということを、最後に各位の良識に訴えまして私の討論といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(松野鶴平君) 大竹平八郎君。
  〔大竹平八郎君登壇、拍手〕
#17
○大竹平八郎君 私は、無所属クラブを代表いたしましてただいま議題となっております中小企業団体組織に関する法案に対しまして社会党阿部竹松君その他の発議にかかりまする修正案に賛成をいたしまして、原案に反対するものでございます。以下、簡単にその趣旨を申し上げたいと存じます。
  中小企業の組織化が必要であるということは、今さら贅言を要しないのであります。しかるに、憲法上の疑義を犯してまでも、この加入命令を設ける必要がないというのが、原案に対するところの修正案の意見であります。私は立場は多少違うのでございます。岸総理大臣のたびたびの答弁のように、公共の福祉のためには、場合によっては結社の自由を制限することも、あるいはやむを得ないかもしれないのでございます。従いまして、場合によっては加入命令の制定が必要であるかもしれないのでございます。しかし、そこまでは同じでございますけれども、以下は意見が違うのでございます。中小企業が著しい不況にあるときに、何らかの調整事業を行うということは必要でもあり、その調整事業に従わない者があったときの措置が必要になることも、これは当然でございます。その措置について、現在でも中小企業安定法がございまして員外規制命令が出ております。この員外規制命令が相当の効果を上げておるということは、これまた岸総理も例証をあげて認めておるのでございます。しかし、その規制命令では不十分だから、加入命令を出すのだということを、総理並びに通産大臣も答弁をされておるのであります。その通りでありまするならば、私は原案に賛成をいたすのであります。しかし、原案はその言明通りにはなっていないのであります。員外者が大企業ならば規制命令を出す、員外者が中小企業ならば加入命令を出すというのであります。アウトサイダーが中小企業者ならば、いきなり加入命令を出すというところにこの問題があるのであります。たとえば、これは適切な事例ではございませんかもしれませんが、病人があったとする、その病気をなおすのに、薬をやってもなおりますが、病院に入れて薬をのませても、これもまたなおるのであります。こういう場合、病院に入れた方がベターであるとも言えるのであります。しかし、病院に入りたがらない者もあるでありましょうし、病院に入りにくい者もあるのであります。また、病院に入らなくともなおる病気もあるのであります。それをいきなり、中小企業者ならば病院へ引きずって行って、そうしてこれを入院させるというのが原案の趣旨であります。薬をやってなおる者は、まず薬をやり、薬をやっただけではだめだという病人に限り病院に入れるというのが、私どもは至当ではないかと存ずるのであります。(拍手)
 規制命令は営業の自由を制限上、加入命令は営業の自由とともに結社の自由を制限いたしております。ともに憲法上の疑義のありますことは、岸総理も決してこれは否定をいたしておりまん。また、本法に対する世論は、御承知の通りこの一点に集中をせられておるのであります。その制限は最小限度とするのが当然であり、また、そのねらっている効果、すなわち不況事態の克服が規制命令で足りるならば、規制命令でこれを実施いたし、規制命令で不況事態を克服できない場合に限って加入命令を出すようにすべきなのであります。その意味におきまして、私は、加入命令は残しておくが、その加入命令を出す場合は、加入命令でなければ不況事態を克服しがたいときに限って、この強制加入命令を出すように修正いたしたいという意向を述べました。すなわち大竹試案といたしまして、これを提案いたしたのでございますが、社会党は、まずこの五十五条を削れと言い、それから自民党は無修正通過を呼号するというような状態で、両党とも賛成をしてくれなかったのであります。この意味におきましてこれは社会党も自民党も、すでに党議というところの線に強制加入させられたと断言しても私ははばからないのであります。しかしながら、根本的に第五十五条が残っておる方がよいか、削除した方がよいのかと言いまするならば、当然削除することに越したことはないのであります。削除いたしましても、岸総理の答弁から見まして不況克服は可能だからでございます。その意味におきまして、私はこの修正案に賛成をいたすのであります。
 第二に、私は自民党の諸君が何ゆえに本法案に賛成をするか、理解に苦しむものであります。自民党の政綱は、はっきりと平和主義と民主主義及び基本的人権の尊重を堅持すると言っております。そうして岸総裁はみずから陣頭に立って、この実践に挺進をいたしておるのでございます。その自民党が、基本的人権を侵す疑いのあるこの法案を、しかも無修正で通過させようということは、私は、自民党の看板が泣くのではないかと断言せざるを得ないのでございます。さきに申し上げました通り、すでに自民党の諸君は、その意味におきまして、大きな網にかかっておると言うことができるのであります。その網が、私は義理であるか、あるいは人情であるか、何であるかは知りません。知らない間に、その中に強制的に加盟させられた現状であります。しかし私は、自民党の諸君が精神的にまでこの自由の精神を失ったとは思っておりません。われわれが個々に接する方々は、いずれも識見豊富な、りっぱな方々が多いのでございます。従って諸君の中には、やはりこのような法案を軽々に通すことの危険を悟っておる者が、相当多いということを私は知っておるのであります。もしその危険性ということを悟らなかったならば、実はそのような危険性を包蔵するところの法案の実体というものを知らないのだと私は断ぜざるを得ないのでございます。(拍手)
 中小企業は、自由闊達な気風のもとに創意工夫をこらすところに特徴がございます。欧米では、新しい産業は常に中小企業として芽ばえておるのであります。日本でも中小企業の中から伸びて大産業になったものは数多くあるのであります。その意味で、自由を最も望むものは中小企業である。だからこそ自民党の諸君は、中小企業こそ自分たちの陣営と考えているでありましょうが、しかし、その中小企業に対しまして中小企業のボスの要請をいれまして強制加入という統制経済的臭味の強い団体法案を押しつけることは、みずから自分の地盤を荒すようなものである。団体屋こそ、私は団体法案を望むであろうが、真の中小企業者は、このようなものを決して欲していないと断言せざるを得ないのであります。この法案が施行せられまして法律の内容が漸次わかって参りました日から、中小企業者の間には、団体法廃止運動が起るであろう、ボスに対する非難が続々と陳情されるに違いありません。そうして心ある自民党の諸君も、とんだ法案を通したということを後悔せられることが、私どもは目に見えております。(拍手)
 さらに私が最も心配をいたしますることは、この法律が日本のファッショ化への一里塚になりはしないかという懸念でございます。第一次大戦後のドイツがたどった道を、再び日本が歩むことにならないかという点でございまして第一次大戦後の欧米では、敗戦後の日本と同様に労働運動が激しかったが、それが一九二六、七年ごろになりまして、組合の規制を強化いたしましたのであります。そうしてその後は、欧米は御承知の通り右旋回をいたしまして、ドイツでヒトラー、イタリーでムソリーニというものが前後して台頭いたしたことは御承知の通りであります。私は終戦後の日本の時局の推移を見まするときにおきまして、今この強権立法を、これを討議するに当りまして、独伊のかつて歩んだ亡国への道を思い合せて、りつ然たらざるを得ないのでございます。御承知の通り、ファシズムも、ナチズムも、中小企業の団結と強制の上に独裁専制の政権を確立いたしましたことは、諸君も御承知の通りであります。本法案のような重要法案が提出せられるに当りまして私は、相馬議員が再三申されましたように、いかに不準備であったかということを指摘せざるを得ないのであります。われわれが百二十条に近いこの法案をしさいに検討するときに、幾多の不備な問題が台頭をいたしているのであります。しかるにもかかわらず、われわれが特に論議の焦点を、違憲の疑いのある第五十五条の強制加入の問題に集中いたしましたことは、いかにして早くこの法案を中小企業のために、この強権五十五条を抜いて通したかったかという熱意にほかならなかったのでございます。一方、衆議院におきまして共同修正されたものが、さらに本参議院におきまして白熱的問題になったところに、本案の重要性と、一面、言うところの参議院の良識を明らかに立証したものと思います。(拍手)われわれは、これはまさに国会史上特筆大書すべきものであるということを断言してはばからないのであります。
 私は、以上の趣旨をもちまして、社会党の修正案に賛成をいたしまして討論を終ります。(拍手)
#18
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。計論は、終局したものと認めます。
 これより採決をいたします。まず、中小企業団体法案に対する阿部竹松君外四名提出の修正案全部を問題に供します。表決は記名投票をもって行います。本修正案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
  〔議場閉鎖〕
  〔参事氏名を点呼〕
  〔投票執行〕
#19
○議長(松野鶴平君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
  〔投票箱閉鎖〕
#20
○議長(松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
  〔議場開鎖〕
  〔参事投票を計算〕
#21
○議長(松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数 二百二票
  白色票 八十三票
  青色票 百十九票
 よって本修正案は否決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      八十三名
      加藤 正人君    奥 むめお君
      北村  暢君    鈴木  強君
      藤田藤太郎君    相澤 重明君
      松永 忠二君    占部 秀男君
      森 元治郎君    木下 友敬君
      平林  剛君    山本 經勝君
      岡  三郎君    秋山 長造君
      亀田 得治君    久保  等君
      柴谷  要君    大和 与一君
      安部キミ子君    千葉  信君
      近藤 信一君    戸叶  武君
      大倉 精一君    竹中 勝男君
      田畑 金光君    吉田 法晴君
      中田 吉雄君    松澤 兼人君
      河合 義一君    小笠原二三男君
      成瀬 幡治君    藤田  進君
      島   清君    田中  一君
      加藤シヅエ君    野溝  勝君
      三木 治朗君    江田 三郎君
      東   隆君    荒木正三郎君
      森中 守義君    長谷部ひろ君
      辻  武寿君    竹中 恒夫君
      白木義一郎君    大竹平八郎君
      鈴木  壽君    大河原一次君
      伊藤 顕道君    北條 雋八君
      天坊 裕彦君    千田  正君
      光村 甚助君    湯山  勇君
      加瀬  完君    坂本  昭君
      阿部 竹松君    安部 清美君
      椿  繁夫君    阿具根 登君
      山口 重彦君    海野 三朗君
      中村 正雄君    矢嶋 三義君
      相馬 助治君    横川 正市君
      小酒井義男君    小林 孝平君
      松浦 清一君    天田 勝正君
      高田なほ子君    片岡 文重君
      永岡 光治君    重盛 壽治君
      羽生 三七君    岡田 宗司君
      曾禰  益君    栗山 良夫君
      山下 義信君    清澤 俊英君
      棚橋 小虎君    内村 清次君
      山田 節男君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名     百十九名
      田中 茂穂君    中山 福藏君
      豊田 雅孝君    田村 文吉君
      手島  栄君    中野 文門君
      竹下 豐次君    村上 義一君
      早川 愼一君    松平 勇雄君
      武藤 常介君    島村 軍次君
      北 勝太郎君    永野  護君
      迫水 久常君    加賀山之雄君
      西川甚五郎君    青山 正一君
      堀末  治君    河野 謙三君
      佐藤 尚武君    野田 俊作君
      谷口弥三郎君    新谷寅三郎君
      紅露 みつ君    森田 義衞君
      後藤 文夫君    石黒 忠篤君
      一松 定吉君    井上 知治君
      鶴見 祐輔君    笹森 順造君
      江藤  智君    仲原 善一君
      成田 一郎君    西田 信一君
      堀本 宜実君    鈴木 万平君
      大谷藤之助君    稲浦 鹿藏君
      吉江 勝保君    前田佳都男君
      三木與吉郎君    青柳 秀夫君
      雨森 常夫君    川口爲之助君
      館  哲二君    山本 米治君
      剱木 亨弘君    大谷 贇雄君
      木島 虎藏君    有馬 英二君
      大谷 瑩潤君    近藤 鶴代君
      小柳 牧衞君    井上 清一君
      斎藤  昇君    小山邦太郎君
      木暮武太夫君    石坂 豊一君
      廣瀬 久忠君    西郷吉之助君
      植竹 春彦君    安井  謙君
      大野木秀次郎君    川村 松助君
      黒川 武雄君    小林 英三君
      重宗 雄三君    野村吉三郎君
      苫米地義三君    寺尾  豊君
      増原 恵吉君    榊原  亨君
      白井  勇君    最上 英子君
      大沢 雄一君    柴田  栄君
      宮澤 喜一君    平島 敏夫君
      林田 正治君    後藤 義隆君
      高橋  衛君    西岡 ハル君
      西川弥平治君    土田國太郎君
      小幡 治和君    伊能 芳雄君
      宮田 重文君    三浦 義男君
      高野 一夫君    高橋進太郎君
      古池 信三君    佐野  廣君
      寺本 廣作君    石井  桂君
      野本 品吉君    岩沢 忠恭君
      上原 正吉君    伊能繁次郎君
      石原幹市郎君    鹿島守之助君
      小滝  彬君    井野 碩哉君
      下條 康麿君    吉野 信次君
      郡  祐一君    堀木 鎌三君
      中山 壽彦君    木村篤太郎君
      青木 一男君    泉山 三六君
      横川 信夫君    勝俣  稔君
      大川 光三君    市川 房枝君
      八木 幸吉君    鮎川 義介君
      岩間 正男君
     ─────・─────
#22
○議長(松野鶴平君) 次に、中小企業団体法案の原案全部を問題に供します。表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
  〔議場閉鎖〕
  〔参事氏名を点呼〕
  〔投票執行〕
#23
○議長(松野鶴平君) 投票漏れはございませんか……。投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
  〔投票箱閉鎖〕
#24
○議長(松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
  〔議場開鎖〕
  〔参事投票を計算〕
#25
○議長(松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数 百九十一票
  白色票 百二十四票
  青色票 六十七票
 よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名     百二十四名
      田中 茂穂君    中山 福藏君
      豊田 雅孝君    田村 文吉君
      手島  栄君    中野 文門君
      竹下 豐次君    村上 義一君
      早川 愼一君    松平 勇雄君
      武藤 常介君    島村 軍次君
      北 勝太郎君    永野  護君
      迫水 久常君    加賀山之雄君
      西川甚五郎君    青山 正一君
      堀末  治君    河野 謙三君
      佐藤 尚武君    野田 俊作君
      谷口弥三郎君    新谷寅三郎君
      紅露 みつ君    森田 義衞君
      後藤 文夫君    石黒 忠篤君
      一松 定吉君    井上 知治君
      鶴見 祐輔君    笹森 順造君
      江藤  智君    仲原 善一君
      成田 一郎君    西田 信一君
      堀本 宜実君    鈴木 万平君
      大谷藤之助君    稲浦 鹿藏君
      吉江 勝保君    前田佳都男君
      三木與吉郎君    青柳 秀夫君
      雨森 常夫君    川口爲之助君
      小西 英雄君    館  哲二君
      山本 米治君    小林 武治君
      剱木 亨弘君    大谷 贇雄君
      佐藤清一郎君    木島 虎藏君
      有馬 英二君    大谷 瑩潤君
      近藤 鶴代君    小柳 牧衞君
      井上 清一君    斎藤  昇君
      小山邦太郎君    木暮武太夫君
      石坂 豊一君    廣瀬 久忠君
      西郷吉之助君    植竹 春彦君
      草葉 隆圓君    安井  謙君
      大野木秀次郎君    川村 松助君
      黒川 武雄君    小林 英三君
      重宗 雄三君    野村吉三郎君
      苫米地義三君    平井 太郎君
      寺尾  豊君    増原 恵吉君
      榊原  亨君    白井  勇君
      最上 英子君    大沢 雄一君
      柴田  栄君    宮澤 喜一君
      平島 敏夫君    林田 正治君
      後藤 義隆君    高橋  衛君
      重政 庸徳君    西岡 ハル君
      西川弥平治君    土田國太郎君
      小幡 治和君    伊能 芳雄君
      宮田 重文君    三浦 義男君
      高野 一夫君    高橋進太郎君
      古池 信三君    佐野  廣君
      寺本 廣作君    石井  桂君
      野本 品吉君    秋山俊一郎君
      岩沢 忠恭君    上原 正吉君
      伊能繁次郎君    石原幹市郎君
      左藤 義詮君    鹿島守之助君
      小滝  彬君    井野 碩哉君
      下條 康麿君    吉野 信次君
      郡  祐一君    堀木 鎌三君
      中山 壽彦君    木村篤太郎君
      青木 一男君    泉山 三六君
      横川 信夫君    勝俣  稔君
      大川 光三君    鮎川 義介君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名     六十七名
      加藤 正人君    奥 むめお君
      北村  暢君    鈴木  強君
      藤田藤太郎君    相澤 重明君
      松永 忠二君    占部 秀男君
      平林  剛君    山本 經勝君
      岡  三郎君    亀田 得治君
      久保  等君    柴谷  要君
      大和 与一君    安部キミ子君
      千葉  信君    近藤 信一君
      大倉 精一君    竹中 勝男君
      中田 吉雄君    松澤 兼人君
      河合 義一君    成瀬 幡治君
      藤田  進君    三木 治朗君
      東   隆君    荒木正三郎君
      市川 房枝君    八木 幸吉君
      岩間 正男君    森中 守義君
      長谷部ひろ君    辻  武寿君
      竹中 恒夫君    白木義一郎君
      大竹平八郎君    鈴木  壽
      大河原一次君    伊藤 顕道君
      北條 雋八君    天坊 裕彦君
      千田  正君    光村 甚助君
      湯山  勇君    加瀬  完君
      坂本  昭君    阿部 竹松君
      安部 清美君    椿  繁夫君
      阿具根 登君    山口 重彦君
      海野 三朗君    中村 正雄君
      矢嶋 三義君    相馬 助治君
      横川 正市君    小林 孝平君
      天田 勝正君    高田なほ子君
      片岡 文重君    永岡 光治君
      岡田 宗司君    栗山 良夫君
      清澤 俊英君    内村 清次君
      山田 節男君
     ─────・─────
#26
○議長(松野鶴平君) 次に、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案全部を問題に供します。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#27
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#28
○議長(松野鶴平君) 次に、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#29
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#30
○議長(松野鶴平君) この際、日程第五及び第六をあとに回したいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なしと呼ぶ者あり」〕
#31
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#32
○議長(松野鶴平君) 参事に報告させます。
  〔参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案可決報告書
 設備等輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案可決報告書
     ―――――・―――――
#33
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、租税特別措置法等の一部を改正する法律案
 設備等輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 まず委員長の報告を求めます。大蔵委員長豊田雅孝君。
  〔豊田雅孝君登壇、拍手〕
#35
○豊田雅孝君 ただいま議題となりました二法案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。本案は、国際収支改善のための総合対策の一環として、輸出の振興及び貯蓄の増強に資するため、所要の改正を行おうとするものであります。改正内容の概略を申し上げますと、第一点は、租税特別措置法の一部を改正して、本年八月一日より昭和三十四年十二月三十一日までの期間、現行輸出所得の特別控除制度を拡充するものであります。前年の輸出実績の二分の一をもって当該年度の基準輸出金額と定め、基準輸出金額以内は、従前の通り輸出所得の八〇%を限度として、メーカーなどの場合は輸出収入金額の三%、プラントの場合は五%、商社の場合は一%を、それぞれ所得から控除することといたしまするが、基準輸出金額をこえる分につきましては、今回新たに超過分の所得額を限度といたしまして、メーカーなどの場合は、輸出収入金額の四・五%、プラントの場合は七・五%、商社の場合は一・五%を、それぞれ所得から控除しようとするものであります。なお、本措置による租税の減収額は、平年度約二十四億円と見込まれております。
 第二点は、貯蓄の増強に資するため、国民貯蓄組合法の一部を改正いたしまして、本年十二月一日より、国民貯蓄組合のあっせんによる預貯金等の非課税限度額を二十万円から三十万円に引き上げようとするものであります。なお、本措置による租税の減収額は、平年度約三億円と見込まれております。
 委員会の審議におきましては、輸出所得の特別控除による減免の効果、あるいは減免措置の遡及、あるいは法律の提出方式等につきまして質疑がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて質疑を終了し、討論に入り、平林委員より、「政府の輸出振興策には根本的なものがなく、租税特別措置法の輸出控除に頼り過ぎ、また八月に遡及して実施することは異例の措置で、今後の悪例となる等の批判があり、本措置が輸出振興に役立っているかどうかについて、政府は責任をもって調査把握すること、臨時の輸出振興策たる本措置の期限が切れるまでに、根本的輸出振興策を樹立すること等の要望意見を付して賛成する」との意見が述べられ、採決の結果、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に、設備等輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法は、わが国から設備等の輸出をする者が、外国為替相場の変更に伴って受ける損失を政府が補償することによりまして、設備等の輸出の促進をはかる目的でも昭和二十七年に制定されたものであります。この法律に基く設備等輸出為替損失補償契約の締結実績をみますと、昭和二十九年度以降、三十二年度九月末日までの累計額は百三十三億円でありまして、現行限度額二百億円に対する残額も少いので、今後の設備等の輸出増大を見込み、またポンド相場の不安等の状況にかんがみまして、相当の余裕を見込んで、限度額を四百五十億円に引き上げようとするものであります。
 本案につきましては、格別の質疑もなく、討論、採決の結果、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#36
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
 両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#37
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#38
○議長(松野鶴平君) 日程第七、たばこ耕作者の耕作権保障等に関する請願(六件)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長豊田雅孝君。
 〔豊田雅孝君登壇、拍手〕
#39
○豊田雅孝君 ただいま上程せられました大蔵委員会付託の請願につきまして、本委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申し上げます。
 日程第七、たばこ耕作者の耕作権保障等に関する請願六件は、たばこ耕作者の保護、収納価格の決定基準等を、すみやかに法制化する措置を講ぜられたいとの趣旨でありまするが、たばこ専売法の一部改正については、目下、国会及び政府におきましても検討中でありまして、この請願の趣旨を十分に参酌することが妥当と考えられます。
 よって、これらはいずれも議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#40
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#41
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#42
○議長(松野鶴平君) 日程第八より第三十八までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員上長阿具根登君。
  〔阿具根登君登壇、拍手〕
#44
○阿具根登君 ただいま議題となりました請願五十二件につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 これらの請願の内容は、国民障害年金制度、老齢年金制度の法制化、国立療養所における給食、看護の改善、生活保護法の最低生活基準引き上げ、映画館従業員、旅館従業員に対する社会保険の強制包括適用、健康保険法の一部改正、戦争犠牲者未帰還者に対する援護、駐留軍労務者の失業対策、日雇い労務者の賃金引き上げ、旅館従業員に対する労働基準法の完全施行に関するもの等であります。
 委員会におきましては、審査の結果、日程第八より第三十八までの請願は、おおむね願意妥当なものと認めまして、いずれも議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定した次第であります。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
#45
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#46
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
 本日は、これにて延会いたします。
 次会は、明日午前十時より開会いたします。議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時二十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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