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1957/11/12 第27回国会 参議院 参議院会議録情報 第027回国会 商工委員会 第7号
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1957/11/12 第27回国会 参議院

参議院会議録情報 第027回国会 商工委員会 第7号

#1
第027回国会 商工委員会 第7号
昭和三十二年十一月十二日(火曜日)
   午後一時四十五分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員仲原善一君及び小柳牧衞君辞
任につき、その補欠として高橋衛君及
び小山邦太郎君を議長において指名し
た。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     近藤 信一君
   理事
           青柳 秀夫君
           高橋進太郎君
           阿部 竹松君
           相馬 助治君
   委員
           小幡 治和君
           大谷 贇雄君
           古池 信三君
           小滝  彬君
           小西 英雄君
           小山邦太郎君
           西川彌平治君
           高橋  衛君
           海野 三朗君
           岡  三郎君
           島   清君
           松澤 兼人君
           梶原 茂嘉君
           河野 謙三君
           大竹平八郎君
  衆議院議員
           小平 久雄君
  国務大臣
   内閣総理大臣  岸  信介君
   大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
   通商産業大臣  前尾繁三郎君
  政府委員
   内閣官房長官  愛知 揆一君
   法制局長官   林  修三君
   法制局第三部長 山内 一夫君
   公正取引委員会
   委員長     横田 正俊君
   公正取引委員会
   事務局長    坂根 哲夫君
   通商産業政務次
   官       小笠 公韶君
   中小企業庁長官 川上 為治君
   中小企業庁振興
   部長      今井 善衞君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中小企業団体法案(内閣提出、衆議
 院送付)(第二十六回国会継続)
○中小企業団体法の施行に伴う関係法
 律の整理等に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)(第二十六回国会
 継続)
○中小企業等協同組合法の一部を改正
 する法律案(衆議院提出)(第二十
 六回国会継続)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(近藤信一君) これより委員会を開会いたします。昨日委員会休憩後委員長及び理事打合会を開き、高橋進太郎君から文書をもって提出されました質疑打ち切りの動議の取扱いを中心として今後の本委員会の運営について協議いたしました結果、本日は中小企業団体法案ほか二法案について特に内閣総理大臣及び大蔵大臣の出席を求めて残余の質疑を行い、引き続き討論採決を行なって、これら三法案を議了することに意見の一致をみたのであります。右の申し合せに基き、高橋君提出の質疑打ち切りの動議は、同君からこれを撤回せられました。右御了承を願います。なお、総理大臣及び大蔵大臣は、ともに本院の本会議終了後御出席になる予定であります。
#3
○委員長(近藤信一君) 委員の異動について御報告いたします。本日、仲原善一君及び小柳牧衞君が辞任され、後任として高橋衛君及び小山邦太郎君がそれぞれ委員に選任されました。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(近藤信一君) それでは、これより議事に入ります。前回に引き続き、中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。御質疑のおありの方は、順次発言を願います。
#5
○大竹平八郎君 通産大臣にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、だいぶ五十五条の問題が中心で、通産大臣も答弁に御苦心の点はよくわかるのでありますが、しかし、私は拝聴いたしておりまするというと、通産大臣の御答弁は、まことに人柄をそのまま出されておりまして、むしろ、私はそういう意味において非常に名答弁だ、それだけにこの法案というものが、いかに複雑なものであるかということを何か実証しているようにも思われるのでありますが、私はもう時間もそうございませんので、いま一つしばらくごしんぼう願いまして、私の質問にお答えを願いたいと思うのであります。
 まず第一に、お尋ねをいたしたいことは、この審議の経過を、ずっと長らく拝聴いたしておりますというと、何かこの中に二つの潮流があるように思われてならないのであります。その潮流というのは、この法案のほんとうの目的というものが、中小企業者の組織を中心としているものであるのか、あるいは私どもが懸念してやまないところの、あくまで経済立法として経済関係に重点を置いているのか、どうもこの二つの潮流が私どもには非常に複雑としてつかみにくいのでありますが、あくまでも中小企業の組織が重点なのか、あるいはその経済的な問題が重点なのか、そういう点から、まず一つお伺いいたしたいと思うのであります。
#6
○国務大臣(前尾繁三郎君) 不況の克服という中小企業者の経済的安定ということが、私は主でありますが、現在の協同組合の現状を見ますと、こういうやっぱり調整事業の方が底になりまして、そうして組織が安定する組織化ということも、大へんこれは付随して起る問題だと思います。不況克服という点が法案にあります通りに、これが一第一義だと、かように考えておる次第であります。
#7
○大竹平八郎君 それからこの法案の成立によって、中小企業のいろいろの現在当面しておりまする難問題というものが、私どもは決して解決をするものではないと思っておるのでありますが、宣伝がどうも行き届いたせいか知りませんが、一部中小企業の方面におきましては、この法案が通れば、中小企業というものは根本的に救われる、いわば一つの独参湯のもののように考えておる向きがあるのでございますが、その点はひとしく私どもがこれを深く掘り下げてみると、決してそうではないのでありまして、その点におきましては、どうしても金融面並びて税制面、さらにこの経営の指導面等によって、政府の施策というものが十分でなければ、結局単なる組織化だけを作ってボスの跳梁をほしいままにいたしまして、そうしてかつての統制経済のやり方を、そのまままねるような結果にならないとも限らないのであります。そういう意味におきまして、私は大臣に続けてお尋ねいたすことは、金融面、税制面、あるいは経営指導面におきまして、本案が成立した場合に、いかなる対策をお持ちになっておりますか、その点をお尋ねいたしたいのであります。
#8
○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまお話しの通りに、この団体法は組織の面の解決というだけでありまして、もとより金融、税制それから経営というような面の指導をしていかなければならぬのであります。金融につきましては、従来は、御承知のように、政府資金を政府関係の金融機関を通じて金を流す、これが一番手っとり早い方法かと思うのでありまして、それに終始したとも言っていいかと思うのであります。しかし、ここで中小企業者がなぜ金が借りられないかといえば、結局において信用力が乏しい、この信用の根本を補完いたしまして、一般の金融機関から金が借りられるというような方策を講じていかなければなりません。つきましては、従来も信用保証協会というものがあり、政府にも信用保険というものがあるのであります。これを画期的に拡充強化いたしました、ただいまわれわれも信用保険事業団というような構想を持っておるのでありますが、そういうものを実現して、そうして信用力の補完ということで、根本的に中小企業者の金融の問題を解決しなければならぬと思っております。それから経営の問題でありますが、日本は何と申しましても、今後国際競争力に勝っていくような商品を、中小企業者の方々に作っていただかなければならぬ。それにつきましては、いわゆる設備の近代化ということにこれをやらなければなりません。従来も近代化の補助金を出しておりますが、さらに一段とこれに力を入れていかなければなりません。また、技術の向上というような面につきましても、従来やっておりますより特段の措置をとっていかなければならぬと思います。また、経営についての企業診断ということを通産省も従来やっておりますが、もっともっと力を入れて、相当大規模に今後の中小企業者の方々の行くべき方向、あるいは経営というような面についての指導をしていかなければならぬと、かように考えておるのでありますが、従来閑却されておりました組織といいますか、制度という面に根本の一歩を踏み入れるという意味で、私はこの団体法が意義があるんじゃないか、かように考えておるわけであります。
#9
○大竹平八郎君 時間の関係上、追質問はいたしませんで先に急ぎますが、次に本案の施行によりまして組合の統制が行われるということは、これはもうだれがみても間違いないことであります。この組合の統制が行われるという点は、一面におきまして消費者関係には非常な一つの思惑が流布されるのではないかと思うのであります。そういたしまするというと、戦時あるいは終戦直後に行われましたるところの、国民の一部に買いだめ的な問題が惹起をいたしまして、そうして健全ないわゆる流通経済というものが、ためにそこなわれるというようなことを、私どもも懸念をいたしておるのでありますが、この点に対する御所見はいかがでございましょうか。
#10
○国務大臣(前尾繁三郎君) この団体法につきましては、従来申し上げておりますように、非常に不況だ、その面を打開しようということでありまして、これを買いだめして値段をつり上げるとか、そういうような私はおそれはあまりないように考えております。消費者の面につきましては、御承知のように、消費者に不当な不利益を与えないようにということが、認可の要件になっておりまして、全般にわたって消費者に迷惑をかけるということであってはならぬのであります。ただ不況なものを正常にもってくるというのが、この法案の目的でありますから、あくまで従来の、戦時中に起りましたような統制経済的な行き方というものは、全然現在の経済事情も違っておりますので、その心配はないように考えております。
#11
○大竹平八郎君 次にお尋ねをいたしたいことは、組合の内部に必然的に統制をいたしまする幹部業者と、それから統制せられる立場にありまする業者の対立という問題でございますが、この点に関する御所見、それからさらに組合と員外者の団結によるところの摩擦の問題を、私どもは非常に憂えておるわけなんです。この本案は成立いたしまして六カ月の期間があるのでございますが、現在御承知かとも存じますが、私どもがたびたび本委員会におきまして指摘をいたしておりまするボス化の問題なんでございますが、もう相当すでにこの組織化さんとするところの空気というものは台頭をいたしておるわけであります。それに対しまして、中小企業の内部におきましては、本案に反対をしておる員外業者の立場といたしまして、これまた大同団結をはからなければならないというようなきざしが、現にあるのでございます。それからここに私は、昨日私どものところへ来た電報を持って来たのでありますが、これは同文ではございません、この電報の趣旨を見ましても、こういうような人たちが、地方の今後こういう組合の幹部になって、そうしてこの指導をしていくということが、まあ内容は一々申しませんけれども、たとえば一つをあげてみますれば、通過せなければ決意あり、何の何がしと、これは堂々と組合長なり理事長の名前をかたってきている、そういう電報が来ておる。五十五条の問題で、本委員会におきまして論議が沸騰いたしますというと、全国から参りますのは、われわれの希望は強制加入なんだ。そうして全部強制加入云々の文句は、北海道から九州まで変らない。私どもはそういうことを見ると、すでにわれわれが一番指摘し、そうして心配をいたしておりまするこのボス化という問題が、すでにもう何かのろしをあげておるような気がいたすのであります。そういう意味で、私どもは組合内部におけるところの幹部業者と、一般業者との対立の問題、それから同時に、その組合員と員外者との摩擦の問題、この問題が起きるのは、そう時日を要しないと私は思う。これを私どもは一番心配をいたしておるのでありますが、この点に対するところの大臣のお見通しを、一つ伺いたいと思うのであります。
#12
○国務大臣(前尾繁三郎君) ボス化という問題でありますが、御承知のように、この団体法は一貫して民主的に一人一票主義でいく。また調整事業にいたしましても、差別待遇をしないようにということを強く打ち出しておるわけであります。また、この団体法の御事情を御存じの方はおわかりの通りに、これが広範囲に大きな組織というので、だれもかれも組合を作ってそうして組合化といいますか、そういうようなことになるというような法案の建前ではありません。あるいは法案についての十分な考え方がおわかりにならぬために、いろいろな宣伝が行われておるのではないかと、私も非常に憂えておるのであります。これは今後の行政指導なりにつきまして、十分考えて、いわゆる先般来お話しのようなファッショ化とか、あるいはボス化というようなことにつきましては、十分われわれも考えて善導していかなければならぬ、かように考えております。
#13
○大竹平八郎君 次に、これはいささか本案の内容に入るわけなんでございますが、五十五条は、言うまでもなく、中小企業者をどっちかと言えば対象にしておるし、それから五十六条は大企業ということになっておるようでありますが、これは業種の制限はございまするけれども、現在の安定法の二十九条は、中小企業者であろうが、大企業者であろうが、員外者の規制がいつでも出せる建前になっておるのでありますが、これをこの委員会の論争等からお考えになりまして、五十六条を、この安定法の二十九条と同様にしたならば、これは本委員会も、私はある程度の円満な原案に近い線で賛成ができるのではないかと思うのであります。そうして五十五条を修正して加入命令でなければ救われない場合にこれを発動せよ、これはいささか私がこの前の試案として出した線なのでございますが、この五十六条を安定法と同様にし、その上で五十五条を修正して加入命令でなければ救えたい場合に発動しよう。御承知のように、規制命令で救われない場合にも、加入命令でやったって私は大して変りはないと思うのでありますが、この点に関しましての大臣の御意見を伺いたい。
#14
○国務大臣(前尾繁三郎君) 五十五条につきましては、われわれといたしましては、最も自主的に調整能力もあるのでありますから、この組合に員外者も入ってもらって、規制に納得づくで服していただきたいという建前でありまするし、また、中小企業安定法におきましては、どうも監視の実が上がらない。それはなぜかと言えば、結局職員によって監視をするということは、なかなかその実が上がって参りません。従って組合の中に入ってもらって、組合の監査員もこれを監査する。両方、職員も、監査員も監査するというふうな建前で参りますと、その実が上ると、こういうふうに考えておりますので、それで原則として自主的調整能力があれば五十五条でいく。調整能力がなければこれはどうもやむを得ません。また、大企業者につきましては、これを組合の中に入れますと、かえって逆に大企業者にいろいろ中小企業者が左右されるような心配もありまして、その場合には五十六条の規制命令でいく、こういうふうになっているわけであります。
#15
○大竹平八郎君 先般、岸総理も本委員会の席上におきまして、神戸のマッチの問題を出されたり、安定法の規制命令でとにかく救われたということを言っているのでありますので、私どもはそういう意味において、まあ重ねてお尋ねをいたしたわけでありますが、これはもう議論になりまするから、その程度にいたします。次に、法案につきまして、もうこれが本日の最終の段階のようでございまするから、後世史家のために二、三お尋ねをして、速記にとどめてもらいたいと思います。これはこの前総理にも実はお尋ねをして、所管大臣の通産大臣にお尋ねする機会がなかったのでありますが、まず第一に、五条の中の、中小企業者の定義に関する問題でございますが、これはまだ正式に出ているかどうか知りませんが、案文によりますると、社会党の修正案にも出ているように思うのでございます。総理にお尋ねしたのでありますが、この定義の問題でございますが、どうしても私は、ただ三百人という人数だけを切らないで、資本金とか、出資額とかというものの必要が、今後は私はいよいよ起ってくるのではないかと思う。いろいろ私はこの間、例証を上げて申し上げたのでありますが、その点は省略をいたしまして、これからの日本の工業というものは、ことに国際関係というものがいよいよますます盛んになってくる。従って向うの施設をそのままこちらに持ってきて生産をせられる面というものが非常に多くなってきております。現在三百人以下であっても、何千人と使っておりましてそしてまた資本金何億というような大会社と比べて少しも違わず、生産をやっている会社が相当あるのであります。これを一々今日は指摘いたしませんけれども……。そういう意味で、どうしてもこれはただ単に三百人ということだけでなく、資本額で押えるとか、あるいは出資額で押えるとかというような必要があるのではないかと思うのでありますが、その点一つお聞きいたしたいと思うのであります。
#16
○国務大臣(前尾繁三郎君) 現在の中小企業安定法が、資本金の制限をいたさずに、今度の法律と同様な行き方をいたしております。中小企業の定義につきましては、金融面の場合におきましては、確かに資本金の制限をいたしております。しかし資本金と申しますと、戦前ぐらいの資本金の場合がありましたり、いろいろどうも通貨価値の変動によって、どこらに持っていくかということをきめにくい点があるのであります。また、一千万円というようなお説もありますが、そうなりまして、そういう業者が全部抜けて参りますと、今度はかえって調整事業の面において活動範囲が非常に狭くなってくるという心配等もありまして、この法律におきましては、資本金の制限をいたしておらぬのであります。
#17
○大竹平八郎君 次に、これはもし大臣にすぐおわかりにならなかったならば、今日は川上長官が見えておらぬようですから、振興部長からでもけっこうでありますが、第十四条は、「商工組合連合会の地区は、全国とする。ただし、商業又はサービス業に属する事業を資格事業とするものの地区は、都道府県の区域によることができる。」こう書いてあるのでありますが、「都道府県の区域による」という表現で、数都道府県の区域を区域とする連合会というものが設立できるのかどうか、この点これは私が誤っておれば訂正をいたしますが、ちょっとこれがげせないのでありますが、この点についてお答えを願いたい。
#18
○政府委員(今井善衞君) 工業関係につきましては、これは生産にいたしましても、あるいは出荷にいたしましても、それらの調整事業は全国的にやる必要があるということで、連合会は全国組織といたしております。商業関係品につきましては、全国的にいろいろ調整事業を実施するということは、むしろ例外であって、都道府県単位でもってやるのが常態ではないかということで、連合会につきましては、都道府県単位という意味でございます。
#19
○大竹平八郎君 次は、第十七条の五項でございますが、十七条の五項で協同組合法第九条の二の二の規定を準用する必要が私どもはあるのではないか。ここにはきわめてその点が明瞭ではないのでありますが、この点につきまして、これは私どもはいろいろ法文の何といいますか、一つの技術的な問題かもしれませんが、組合法の九条の二の二の規定を準用するのがいいんじゃないかと思うのでありますが、これについて振興部長一つ御答弁を願いたいと思います。……それでそれはあと回しにして次に移ります。あとで答弁して下さい。それからこれはたしか三十六条だと思ったのですが、この非出資組合員が経済事業、すなわち共同施設等について議決権を行使すること、これは非出資組合がこの議決権を平等にこれを行使するということは、ちょっどげせないのでありますが、この点はいかがでありますか。
#20
○政府委員(今井善衞君) お説のように非出資組合員が共同経済事業につきまして、議決権を行使するのはおかしいじゃないかというのも、一応ごもっともでございますけれども、ただ、そのほか共同経済事業以外広く組合の運営自体について非出資組合員といえども、発言権を持たせるのが妥当ではないかということで持たしておる次第でございます。
#21
○大竹平八郎君 次に、四十七条の三でございます。この組合の解散については、四十七条の第三項で協同組合法を準用し、総会の決議で任意に解散できることになっているのでありますが、加入命令や規制命令にかかわる組合については、やはり解散についてもある程度の制限をする必要があるのではないでしょうか。これは安定法のたしか十四条か何かにそういうものがあるはずだと思うのですが、この点についてはいかがでございますか。
#22
○政府委員(今井善衞君) 加入命令の出ました組合につきまして、解散を届出主義によってやるのはおかしいじゃないか、こういう御質問かと思います。安定法の十四条によりますと、届け出をいたしまして、二週間たたなければ、その解散の効力を発しないということになっておりまして、やはり原則はこれは届出になっております。加入命令はやはり組合の自主調整ということを主体にしておりますので、その意思がなくなれば、解散を認めるという建前でよろしいのではないか、かように考えます。
#23
○大竹平八郎君 それから今度は協同組合法の八条の二項に、主として自己の勤労によって事業を行う事業者というような表現が出ているのでございますが、このごろは御承知の通り法人はずいぶん小さい資本のものがたくさんあるのでございますが、何かこういう書き方ですと、法人は除外されているような格好になるのではないかと思うのでありますが、これに対する政府側の答弁をお聞きしたい。
#24
○政府委員(今井善衞君) この小組合の趣旨は、主として自己の勤労によっているいろの業を営むものをもって構成するという趣旨でございます。従いまして昨今のように非常に零細な企業であっても法人であるという業態が非常に多い現状におきましては、やはり法人も含むと解すべきであると思います。
#25
○海野三朗君 通産大臣にお尋ねいたしますが、この法案によって中小企業者が救われるという精神はわかりますが、購買会が全国に何千とありますが、それがみな商売をやっている。これは中小企業者、つまり小売商人たちをいじめていることは、きのうきょうに始まったのではないのでありますが、それに対してどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#26
○国務大臣(前尾繁三郎君) 購買会は、会社の福利厚生事業として行われて参り、それがだんだん相当大規模に行われるようになって参りまして、中小企業者と衝突する面も多々起ってきていると思います。これらにつきましては、つまりうまく調整していかなければならない問題でありまして、今後はわれわれとして十分考えて立法等も考えなければならぬ、かように思います。
#27
○海野三朗君 この購買会と申しますのは、従業員なり、その組合の人が利用するという建前で、初め通産省が許したのでありましょう。ところが、今日の状態では、お金を持っていけばだれでも売ってくれる。たとえばリンゴのごときものでも、どんどん産地から持ってきて安く売るものですから、地方の八百屋はみな悲鳴をあげている。これはきのうきょうに始まったことでなくして、そういうことをしなければならぬこの穴が忘れておられるように思うのですが、これに対してはどういうふうになさるお考えでありますか、それをちょっとお伺いいたしたいと思います。
#28
○国務大臣(前尾繁三郎君) 会社員のその人が利用すること、これはけっこうなことだと思います。しかし、これを員外者が利用することによって、普通の商店と同じようなことをやり、営業に対する税金もかからぬということであってならないのでありまして、それにつきましては現在衆議院に出しております小売商業特別措置法の中に、購売会の員外の人が利用しないようないろいろの措置を講ずるように一応法律案を提出してみる次第であります。この問題は早急に解決しなければならぬ、かように考えております。
#29
○松澤兼人君 加入命令が発動された後に、最初入るときにはあえて反対でもなかったけれども、その後組合の運営についていろいろ反対の立場に立ちまして、この運営に不満であるから脱退したい、こういう場合が起り得るのではないかとこう思うのですが、それに対しても、やはり脱退ということはできないのかどうか、あるいは加入のときには認証という制度がありまして、入らないでもいいということになっておりますが、運営が著るしく予期に反して不満である、不満足であるというような場合には、どういうことがあり得るであろうか、どういうふうにしたらいいかという点は、いかがでございますか。
#30
○国務大臣(前尾繁三郎君) この商工組合におきましては互いにいろいろ議論もし、そうして自主的にきめていくという建前になっておるわけでありますが、加入命令を出すというようなときには、全くそれ以外にはほんとうに救う道はないのだという極限された場合、その中に入っております人がどうも気に食わぬからというので脱退するということになりますと、これはもう組合というものは普通の場合におきましても苦しいような場合が起るのでありますが、こういうような調整事業をやっておるのでありまするから、そうして員外者の人も中に入ってもらおう、こういうような事態でありますから、従来、中におられた者はもとよりとどまってもらうという考え方でやっていかなければならぬというので、脱退の道はこしらえてありません。
#31
○松澤兼人君 そういうところで、また憲法の問題になってきますけれども、結社の自由というものが、まあ一ぺん入ったのだからいいと、こういうことなんで、入ったときに承知ならあとで不満があっても、中にいなければならぬ。個人の、まあ結社に入ることも出ることももちろん自由でなければならないのですが、それをしも入るときに承知で入ったのだから、出るときに許さぬというのは、これはあまりに一方的じゃないかという気がするのですが、その点はいかがですか。
#32
○国務大臣(前尾繁三郎君) あくまでもわれわれ憲法の考え方からいきますと、公共の福祉によってこういう強制加入もやろうというような事態なんであります。従って員外の人にも入ってもらいたいというときでありまするから、員内におる方はやはり一緒にやっていただくというのが、これはもう員外におる人から考えますと、むしろ従来おった人にしんぼうしてもらう方が、憲法の問題からいいますと、むしろ軽いのじゃないかという気持がいたしております。
#33
○松澤兼人君 どうもその辺になりますと、根本的な問題でありまして、私は公取委員長にお伺いしたいと思うのですが、大体この点はいかがですか。
#34
○政府委員(横田正俊君) 先般も申し上げました上うに、私どもといたしましては、加入命令は少しきつ過ぎるということを申し上げましたが、今度は多少修正によりまして認証を受ければ加入しないでもいいということになりましたけれども、私どもの立場からいたしますると、結局規制命令自体につきましても、いろいろ問題がないではないのでございまするが、それをさらに輪をかけました加入命令ということになりますれば、それは認証によりまして組合の外におることができます場合でも、やはり実体的には組合の決定に服しなければならないということになります面におきましては、全く同じ立場であるように考えます。その意味におきまして、先般来御議論がございますように、憲法上の問題はないにいたしましても、独占禁止法の考え方からいたしましては、あまり好ましくないのではないかというふうに考えております。
#35
○松澤兼人君 好ましくないということは、しかし法律ができれば、公取としてもいかんともいたしがたいということでございますか。あるいはそれに関連するような多少疑わしいような問題があれば、公取としては法律の許す範囲内において、公取の立場を主張するというお考えでございますか。
#36
○政府委員(横田正俊君) この法律ができました場合の公取といたしましての運用の面におきましても、いろいろ実は私は私で考えておりますが、できました以上は、この法律に規定されましたところに忠実に従いましてこれを運用して参りたい。ことに、各方面からの、この国会等で出ておりまする御意見等は、十分しんしゃくいたしまして厳正にこれを適用して参りたいと考えております。
#37
○松澤兼人君 次に、五十五条の七項に強制加入命令が発動されたときは、その日から九十日以内に組合は調整規程を変更するかどうかということを、総会を開いてきめることになっております。これはどういう理由でこういう規定を特に設けたのか、まず第一にこの点をお伺いいたします。
#38
○衆議院議員(小平久雄君) 第七項についてのお尋ねでございますが、これは加入命令によって、従来の員外者が今度は組合員になる、こういうことでありますので、しかも、この加入命令を出す趣旨は、あくまでも業者の自主的な協議によって調整事業を行う、こ、ういう建前でありますので、新たに加入するものの発言の機会を与え、その意向を十分しんしゃくして、あらためて調整事業が行われるようにという、そういう趣旨において、この第七項を加えたものであります。
#39
○松澤兼人君 一たんきめた調整規程その調整規程が正しいと、そういう正しい商工組合に入れと命令しておいて、さらにそれを変更するということもあり得るということでありますか。これは新たに入ってくる人の意見を聞くことも主として規定されている規程であると了解してよろしゅうございますか。
#40
○衆議院議員(小平久雄君) 大体その通りであります。つまり従来行われておる調整事業については、新たに加入命令を受けたものの意思というものは反映しておらない、そういう関係からして、新たに入ったものの意向をも調整事業に反映させる機会を与える、そのためにあらためて総会を開け、こういうことを規定してあるのであります。
#41
○松澤兼人君 問題は四分の三で議決して強制加入命令を出すと、新たに入ってくるものが四分の一、そういたしますと、まあ形式はそういう総会でもって新たに調整規程を変更するかどうかということをかけてみても、その四分の一の意見というものは、果してその総会に反映するかどうかということは、実質において非常に疑わしいというふうに考えられますが、これらの意見を救う方法というものは、別段規定されていないように思う。この点いかがですか。
#42
○衆議院議員(小平久雄君) 新たに入るものの数が少いから、従来の組合にその意見が反映しないのじゃないか、それを救う道がないのじゃないかという御趣旨のようでありますが、単に数の上から申しますと、そういう結果になることも、当然これは予想されるかと思います。しかしながら、調整事業というものが自主的に円満にいくという以上は、そうやらなければならない以上は、たとい少数者の意見であろうとも、十分これを尊重して行われることをわれわれは希望いたし、その基礎となるべき発言の機会を与える、こういう方途も本項によって講じたわけであります。
#43
○松澤兼人君 少数者の意見を尊重することは、もちろん民主主義のルールなんですが、それが尊重されないということは、よくあることでございます。しかも入らないとがんばっていた人に適用されるわけですから、そこに感情上のしこりも確かに残っていなければならぬと思う。それが入ったからといって、解消されるということも考えられません。何かこれらの人の立場を救ってやる道がなければならない、こう思うのであります。しかし、今承わればただ少数者の意見を十分聞いてやらなければならないという一つのあるべき姿を描いておられるだけで、法律上それらの少数者の意見を尊重しなければならないという規定がどこにも見当らないように思う。その点いかがですか。
#44
○衆議院議員(小平久雄君) 規定上少数者の意見を尊重しなければならぬということは、ここに直接はうたってございませんが、七十条に規定してあり一まず「(不服の申立)」、この個条によりまして「主務大臣に不服の申立をすることができる。」という道は準備しておるわけであります。
#45
○松澤兼人君 いろいろ時間の関係もあると思いますので、通産大臣に一つお伺いしたいと思います。この法律の中では、たとえば九十五条、主務大臣の権限の一部が地方支分部局の長または都道府県知事に委任されることになっております。その他行政庁は都道府県としているというような規定があるわけであります。まあ地方自治法で指定されております五大市、指定都市などにおきましては、相当中小企業の振興のためにあるいは予算を使ったりしていると思うのであります。将来まあ大都市制度というような構想が考えられるような場合には、この都道府県知事に委任されている事務の一部を五大市長、あるいは大都市の市長に委任されるというようなお考えがおありでございましょうか。
#46
○国務大臣(前尾繁三郎君) この法律はすべて委任は都道府県知事にすることに相なっております。しかし、将来ただいまお話しのような大都市制度というようなものの、権限の内容いかんにもよりましょうが、その場合には、市長に委任するというような事態も来ると私は思っております。
#47
○松澤兼人君 もう一つ。現実の当面の問題としましては、先ほども申しましたようないわゆる中小企業の振興のためにこれまでもいろいろと対策を講じております市町村長といってもいいと思うのでありますが、そういう人々なり、あるいはまた市町村長の代表者を都道府県の審議会、あるいは調停審議会などに入れて十分の意見を聞くということも、必要であるんじゃないかというふうにも考えますが、これを聞くような方途は政令で何か規定される考えでありますか、あるいはまた、何か行政措置でもってその意見を聞くというお考えでございますか、その点。
#48
○国務大臣(前尾繁三郎君) 審議会の委員の構成に当りましては、そういう人の意思の、また市の意見の反映するような学識経験者なりを入れるとか、そういうようなことで、市の意見が反映するような方途は講じたいと思っております。
#49
○阿部竹松君 五点ほど今まで触れておらなかった点についてお伺いしたいと思います。
 第一点は、第九条に「又はなるおそれがある場合に限り、」こういうことが第九条にございますが、これはどういうときにおそれがあるということになりますか、例をあげることができれば、こういう場合に該当すると、こういうことで、御回答願いたいと思いますが……。
#50
○国務大臣(前尾繁三郎君) 御承知のように不安定というので倒産者が続出してつぶれてしまった場合にこれを発動してもおそいというようなことで、中小企業安定法もやはりおそれのある、そこまでに至らぬが、放っておけばそういうことになるという心配があります際には発動することになっております。まあ、そういう意味からいたしますと、そこまでにならぬうちに考えなければならぬし、それは放っておけばそういうことになるという見通しがある場合を意味しておるものと思います。
#51
○阿部竹松君 そうしますと、政府が政策で失敗した場合には、そういうおそれがある事態が出てくる、こういう結論ですね。
 第二点目は、第十条における商店街組合の行う調整事業とは、これはどういうことですか。商店街組合の行う調整事業とは、第十条ですが。
#52
○国務大臣(前尾繁三郎君) 商店街組合の調整事業、商店街組合はたびたび申しておりますように、百貨店などのために非常にそのかいわいが不況になるという場合が一番普通の姿じゃないかと思っております。従って調整事業といたしましては、おそらくまあ時間の制限、あるいは正札の励行とかいうようなことが多いのでありますが、価格の制限までいく場合はむしろ少いのじゃないか、それよりは販売方法の制限ということが行われると思います。
#53
○阿部竹松君 次は、第十七条の第一項の第七号、技術的理由により方法の制限を実施することが著しく困難な場合以下云々ですが、この「技術的理由により」というこの「技術的理由」ということは、具体的にどういうことですか。
#54
○政府委員(今井善衞君) これは主として輸出の場合の価格協定のことを言っておるわけでございまして、たとえば価格協定はこの生産段階におきましてあらゆる生産関係あるいは販売生産関係の調整事業を実施して効果がない場合に、初めてそれと並行して価格協定を実施できるという建前が一号、二号にうたってございますけれども、輸出の場合ということになりますと、ダンピング防止のために、特に価格協定に入る方が実効があるという場合もございます。従いまして生産段階における生産割当その他のことでなくして、輸出の場合に限っては、価格協定は特にやってもよろしいというような趣旨を含んでおります。
#55
○阿部竹松君 そうしますと、振興部長の御答弁によりますと、輸出の場合と限定して考えてもよろしいわけですね、よろしいですね。
 第四点目は、第十九条、この調整規程の適合条件として第三項目に書いてございまする内容は、どうもあいまいと思うのですが、特に第三点の一般消費者の利益を不当に害するおそれがあるか、その判定基準はどういうことになるのですか、文章だけでは明確にわからぬですが。
#56
○政府委員(今井善衞君) これはたびたび問題になっておりますたとえば価格協定をやりたいというような場合におきましては、これによりまして今までよりも値段が上るとか、あるいは値段が下らないというふうな関係になりますれば、これは一般消費者の利益を害するということになります。そういうふうな意味合いで、価格協定は非常に慎重にやりたいということを再々申し上げておるわけでございますが、そのほか販売方法の制限にいたしましても、あるいは仕入れ方法の制限にいたしましても、それが一般消費者にとりまして従来よりも不利益になるという場合におきましては、慎重に考慮したい、かような趣旨でございます。
#57
○委員長(近藤信一君) 間もなく本会議において予算の記名投票が行われますので、採決終了後直ちに再開することにいたしまして、これにて暫時休憩いたします。
   午後二時四十三分休憩
   ――――・――――
   午後三時二十五分開会
#58
○委員長(近藤信一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。中小企業団体法案ほか二法案を一括して質疑を続行いたします。岸内閣総理大臣及び一萬田大蔵大臣が出席されましたが、総理の御出席の時間が限られておりますので、まず主として総理に対する質疑をお願いいたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#59
○島清君 たびたび総理にお越しをいただきまして、御質問を申し上げておるわけでございますが、いつもことさらに緊張されてお見えになっておられましたが、総理はきょうは心なしか非常にほっとされたようなお顔で御出席をいただきまして、本法案の成立は今期国会におきましてその見通しが百パーセントつきましたので、あるいはまたそのせいかと思いまするし、私たち質問者の方も、御大将に手傷を負わしてなどというような考え方は持っておりませんので、ざっくばらんにお答えをいただきたいと思います。従いまして私は質問の要旨も省略をいたしまして、端的にお聞きをいたしたいと存じます。
 三点ばかりお伺いをいたしたいと思いますが、まずその第一点は、法の十七条によりましてこれは九条で規定いたします不況要件によりまする事業の内容、その中に加工賃であるとか、労務の提供であるという工合に、労働賃金を規定いたしまする条項が数項にわたって規定をされておるのであります。そこで、私たちが心配をいたしまする点は、結局不況要件の克服と称しまして、その中に労働賃金の切り下げが行われるのではないか。こういうことを心配をするわけでございます。今日中小企業者の労働者の賃金というものは、同じ産業に働きまする大企業の労働者の賃金と比較いたしましてはるかに低率のものでございます。その上に不況要件の克服と称して労働賃金の切り下げが行われるということになりまするというと、中小企業者の不況克服と称しながら、そのしわ寄せは労働者の方に寄ってくるというような結果が招来されることを私たちは憂えるのであります。従いまして、私たちは最低賃金の制定をしなければならないと、こういうことを念願といたしておったわけでございまするけれども、残念ながら、今最低賃金の法律は制定をされていないわけであります。従いましてこれを防止しようとするには、これは政府の指導監督、施策よろしきを得なければならぬと思うのでありまするが、総理大臣はその点についていかような、法律が施行された場合に御配慮をお持ちであるか、御説明をわずらわしたいと思います。
#60
○国務大臣(岸信介君) 御心配の点はまことにごもっともなことだと思います。私は現状から見まするというと、むしろ過当競争が行われ、業界が非常に不安定な事情においては、そのしりを従来労賃の引き下げとか、そういうところべ持ってくる傾向があると思う。本法の施行によって業界が安定するということになりますならば、私は従来ややともすると、やられておったような過当競争によって弱いところの労賃にしわ寄せするというような事柄は、全体としてはむしろなくなるものだと思いますが、しかしながら、今お話しのような点において、十七条の運営に当りましては、そういう労働条件なり、特に日本の産業の全体としてみて、労賃の低いところの中小企業の労務者の賃金を下げるというような内容を持っておるものにつきましては、十分に政府としてはこれに対する監督をいたしまして、そういう事態の起らないようにしなければならぬことはもちろんであると思っております。
#61
○島清君 本法案を私たちが閉会中から継続審査をいたしまして、政府の説明を拝聴しておりますというと、中小企業者が困っておりまするのは、中小企業者自身の内部にあるのだというような御説明で終始されておるように思うのであります。私たちは、中小企業者の今日の困っております困窮の条件というものは、むしろ内部的な要因よりも、外部的な要因の方に私たちは比重を置いて見ておるのであります。と申しますることは、これはあなたの内閣の直接の責任ではございませんけれども、あなたの方でございまする保守政党の長い間の政権担当によりまして、事実は大企業の偏重というような政策を、あるいは金融、税制の面において行われてこられましたので、その結果といたしまして中小企業の諸君が非常に困っておると、しかも、こういうような法案を用意されまして、これで不況を克服させたいと、これで中小企業の安定をはかって、さらに発展をさせたいと、こうおっしゃっておられまするけれども、しかしながら、中小企業を困窮の極に追いやっておりまするこの外的要件というものに改善を加えられない限り、私は中小企業者が救われるとは考えておりません。たとえば消費者階層の方々が本法案が成立いたしまするならば、物価がつり上るのではないかと、こういうようなことに対しまして私たちが質問をいたしました場合にも、それが上らないのだという確実な客観性を帯びた御答弁に接する機会がなかったのであります。たとえばここに商工組合というものが作られます、人件費がかかりましょう。さらに商工組合の連合会というものが結成されます。さらに人件費がかかることでございましょう。こういったような施設の費用であるとか、人件費ということは、当然に製品の方にこれは転嫁されますることは、当然でございます。こういったような条件のもとに消費者階層の方々が、物価が上るのではないかということを憂慮されますることは、私はこれは当然なことだと思います。従いまして中小企業者の諸君も安定をはかって、それを発展せしめなければならないということは当然でございまするけれども、そのために要しまするところの莫大なる人件費であるとか、あるいは施設費であるとか、こういうようなことについてはこれが製品に転嫁しないようにしたければ私は物価が上らないのだという保障はできないと思うのであります。従いましてこれは国家の負担におきまして、せっかく強制加入等をおやりになりまして、そしてこれが不況克服をやっていこうというようなおぼしめしでございまするので、当然に私は国家意思の発動によって自由意思を強制する以上は、私は国家が何かの負担をしなければならないと思います。それはいわゆる人件費であるとか、その施設費であるとか、こういうものが私は国家の予算の中に予算化されて初めて物価が上らないのだという保障が、この法案の成立について物価が上るのではないかというように心配される国民階層に安心感を与えることになると思いまするが、国家といたしまして、総理大臣はこれを予算化いたしまして、物価が上らないのだという国家の熱意といいまするか、こういったようなものを予算化するというようなお考えがあるかどうか、もちろんあると思いまするけれども、おありといたしまするならば、三十三年度の予算のうちにこれを予算化されまするところの御意思があるかどうか承わっておきたいと思います。
#62
○国務大臣(岸信介君) 商工組合は、従来も実は御承知のようにいろいろな中小企業につきまして協同組合等の組織があります。私は特にそういう組合の組織ができたために、人件費やその他の施設のために、非常にこれが取り扱うところの商品の値段を引き上げるような傾向には、私は従来ともそうこれが大きな問題には考えられておらぬと思います。むしろ問題は、強制加入を命ずるというようなことで、ある程度不況対策として過当競争を制限するのでありますが、その競争が制限される結果として、あるいは従来は過当であろうがあるいは正当の競争だろうが、自由競争では値段が下っておったが、その競争というものが制約されることによって業界が安定するということは、やはり価格についても一つの安定価格が出てきて、乱雑な競争価格よりもむしろ高くなりはしないかというおそれが一般の消費者の側においては強いのではないかと思うのであります。特に私は組合の施設であるとか、あるいは人件費に対して国家として何か予算的の措置を講じて補助を出さなければ、それが直ちに物価に影響して消費者に迷惑をかけるというようなことではなくして、むしろこの不況対策として行われる強制加入や、あるいは員外に対する規制命令等のために価格がつり上る傾向がないようないろいろな点において、十分調整規程の内容、調整の事業の内容というものを監督していくことによって、消費者との関係を調整すべきものである、かように考えておりまして、特に予算上の措置については考えておりません。
#63
○島清君 総理大臣の説明では、私も了解できませんし、さらにこの法案の成立によって物価が上るのではないかというて心配されておる消費者階層の方々に安心を与える御説明にはならないと思いますが、それはそれといたしまして、五十五条の強制加入の問題に関連をいたしまして、しばしば聞いて参りましたので、一つの例をもって私は、総理大臣の、それでもやはり強制加入というものは公共の福祉のために発動するのだということが再び御説明がいただけるかどうかということでお聞きするのでございまするが、それは、たとえばここに業種というものが、政令で予定されておりまするものが出て参っております。それによりますというと、ラムネであるとかいろいろの業種が出ておりまするけれども、たとえばラムネの例をとって具体的にお聞きしたいのでありまするが、ラムネ業者が不況になりまして、さらに不況克服の条件が出たといたしまして商工組合が設立をされます。しかしながら、これに個人的に支障のある方がお入りにならない。そこで強制加入というものが発動されまして、さらに員外者がありまする場合には、規制命令というものが出される、こういうことになります。今までは中小企業者ということで御説明をいただいておりまするので、中小企業者といいますると、直ちにこの中小企業者の一千万世帯であるとか、あるいはそれ以上の方々が同時にこの不況要件が発生するかのごとくに人は錯覚に陥りがちでございますが、私の了解する限りにおきましては、これは各業種の中小企業者全体が、いわゆる一千万といわれております中小企業者の諸君が、一度にこの不況要件が発生するとは考えておりません。一緒に、一時に発生いたしまするならば、これは経済の大へんなことでございまして、これは、そういうことは私は毛頭考えておりません。そこで、ラムネ業者の例をとって見まするならば、ラムネ業者というものは私は何軒あるかは知りませんが、この何軒かのうちの方々が商工組合をお作りになる。さらに規制命令をお出しになる、その何人かの方が、この二重の命令に服従しなければならないという事態が起ると思うのでありまするが、しかも、この方々は公共の福祉のためにというので加入命令、規制命令を受けるわけであります。こういったような例でも、やはり総理はこれが命令を出すのは公共の福祉のためであると、こういうふうに御説明がいただけるかどうか、もう一ぺん御説明を願いたいと思います。
#64
○国務大臣(岸信介君) 今おあげになりました具体的の事例で、五十五条を発動する場合は、言うまでもなく組合ができておって、組合において調整をし、自主的な調整能力のある組合ができたといたしまして、しかも、これに加入しない人が組合外にあって、過当な競争をし、そのためにその業態全体の不況をもたらして、この業態がかりに非常な危殆に瀕するというような事態が生じたとしますというと、初めてこの五十五条を発動する条件ができるわけであります。そういう場合におきましては、やはりラムネ業という、この業態というものを維持していくことは、日本全体の上から申しまして必要なことであり、従ってその業態がそういうふうな事態に瀕した場合において、今の五十五条の要件をかなえた場合において、これに加入命令をするということは、やはり私は公共の福祉の上から見て、そういう必要があると、こういうふうに解釈すべきものであると思います。
#65
○島清君 どうも私たちにはさようには理解できないのでございまするけれども、まあそれはそうといたしまして、次に、私たちは、その公共の福祉のために強制加入命令あるいは調整規制命令、こういうものを受けますることは、本法を制定いたしましたあとにも、私たちは後世の史家から筆を大きくしまして批判されるであろうと、こういうことを心配をいたしておりまして幸いに国民の各階層の方々が、本法案に異常なるところの注目を払っておりまするので、私たちはその国民の幸いに異常な注目を払っておられまするそのときにおいて、そして完全なるところのこの立法をしなければならないと、こういうふうに考えまして、そして総理にもたびたびお越しをいただきまして御質問を申し上げておるわけでございまするが、ところが総理を初めとされまして、現内閣並びに総理の所属をしておられまするところの自民党は、衆議院の送付案通りの本法の成立を強く要望されておるわけでございます。それはそれとしてよろしいわけでございまするが、しかしながらその裏には、本法案は非常に欠点だらけのものであるから手直しをしなければならないという議論も、私たちはあなたの内閣の方、あるいはあなたの政党の方方から耳にするわけでございます。かりに今は国民が異常な注目をしておるのであるから、あるいは大企業の不利益にならないようにというような修正はできないのであるが、やがては本法が成立いたしまするならば、国民各階層もこれに関心が薄くなるであろう、薄くなった場合には、とにかく大企業の方々その他いわゆる火災共済組合を修正するとか何とかいうようなことが、いわゆる国民の関心が薄らいだときにこれをやればよろしいんだという、こういうふうなお考えに立たれておるのではないかということを、私たちは憂えているわけでございます。すなわちその手直し論というものがあるように承わっておりまするが、もちろん岸総理大臣にはそういうことは私はないと思いまするが、この本法が成立いたしました場合には、四、五年間はこれをいじらない、手直ししないんだというような確信のもとに本法の成立を希望しておられるかどうか、その点を私はしかと承わっておきたいと思います。私は関連をいたしましていろいろの質問がございますけれども、自余の質問は総理大臣に御答弁を願わなくとも、担当大臣に質問いたしまするから、総理大臣の御説明はこれで終りたいと思いまするので、どうぞ一つ四、五年間は手直しをやらないんだという確信に満ちたところの御説明、御発言を願いたいと思っております。
#66
○国務大臣(岸信介君) われわれが立法いたします場合に、政府自身が提案をいたしました場合におきましても、あるいはまた、衆議院や参議院において提案されたり、あるいは修正をされます場合におきましても、十分に各般の事情を調査し検討し、そうしてこれが今の事態から見て最も適当であるという信念に立って立法が行われることは当然であろうと思う。従いまして私は、立法する際に、これはこうして置くが、また次にこれを修正するというような含みを持って立法すべきものじゃないことは、これは言うを待ちません。しかし同時にまた、法律というものは、施行してみまして、われわれが予想しなかったような事態も出てきますし、社会の事態の変更ということもこれはあるのであります。絶対に何年間はこれは修正をしないということを申し上げるということも、これは私まじめな意味において適当でないと思う。しかし、今あるいは何か島委員の御指摘のありましたように、今日この問題が非常に社会の注目を浴びておるから、これはこれで通して、社会の関心が薄くなった場合においては何かするというような腹を持って、この立法を私は政府として考えておるわけではございませんし、また、私の属しておる自民党においても、そういう考えは毛頭持っておらないということをはっきり申し上げておきます。
#67
○島清君 私たちは修正を要求いたしておりまするので、私たち自身この法案に不満を持っておりますることは、申し上げるまでもございません。ただ、原案通りその成立を希望されておられまするところの政府並びに自民党において手直し論がございまするので、その手直し論を、そういったような国民の関心が薄らいだときおやりになるのでは、そういう御意図があるのではないかということをお聞きしたわけでございまして御意図がなければ、それでけっこうでございます。
#68
○松澤兼人君 私も二、三点お聞きしたいと思います。第一点は、これがこういう法律ができるということは、従来の日本の国の方針である独占禁止法を漸次やわらげていって、再び戦前のような独占、カルテル、そういう方向にいくのではないかということが、国民あるいは国際的な意味において注目の的になっているのではないか、こう思うのであります。私も先日、生活協同組合の方の話を聞いたのでありますが、どのような話があったかわかりませんけれども、こういう法律を日本で作ることは、戦争前のいわゆるファシズム的な立法の形である、今後日本の法律の行き方というものには、これを注目して見なければならないというような話があったということを私聞いたのであります。もし、この法律がきっかけになりまして、将来とも漸次そういう統制経済的な方向に動いていくということであれば、国民としても、また国際的な関心も、これは非常に重大な意味を持つと思います。もちろん法律を作るという趣旨は、われわれがこの審議の間において十分政府の意図も聞きましたし、また、中小企業者の御意見も承わって参りました。そういう意図はよくわかるのであります。しかし、ここで十分注意しなければならないことは、この法律がきっかけとなって、今後それではまだ足らない、なお足らないということで、漸次ファッショ的な法律が立法されるという危険が感じられる。その点今後十分そういう点について御考慮を願えるのかどうか、この点はっきりと御説明を願いたいと思います。
#69
○国務大臣(岸信介君) もちろん、私どもは、ことに私の属しております自由民主党では、自由経済の基本観念を強く堅持いたしております。経済の自由なる競争というものを基礎に経済の発展を考えておる、この考え方はわが党の基本でございます。従いまして私どもはこの法案に、またはこの法案に関連して、統制経済を実行しようとか、あるいはそういう性向を強化していこうという意図は全然持っておりませんし、決してそういう性格のものではなくして、むしろ、日本の中小企業の実態からくるところの過当競争による業界の不安定というものを除こうという趣旨でございまして、決して御心配のようなことを考えているわけではございません。
#70
○松澤兼人君 そこで、中小企業者の立場は、もちろんわれわれも考えなければなりません。しかし、いわゆる公共の福祉ということが、中小企業者の立場ということであるのか、あるいは消費者である国民全体の立場であるのかという点につきましても、この委員会の審議を通じていろいろ議論をいたしました。ただ、この二つのものがあるところで調和点を見出しまして、業者の立場も十分考慮せられるし、消費者である国民の立場も十分考慮せられるということであれば、もちろんわれわれとしても賛成しなければなりません。で、一部の人たち、あるいはまたは一部のボスの人たちがこの法律によって利益をする、しかも中小企業者は、特に零細の人々はこれによっても救われない、国民の利益もあるいは将来危険な状態に陥れられるかもしれない、こういうことであれば、われわれはこういう法律をここで成立させることが非常に危険なのではないか、この公共の福祉ということの調和点を一体どこで見出すのかということが、われわれの非常に大きな関心であったと思うのであります。この点についてはいかがですか。
#71
○国務大臣(岸信介君) もちろん、今松澤委員の御意見のように、われわれは常にいかなる政策を行うにいたしましても、ただ一部の業者の利益だけを云々するということではなくして、広く関連しておるところの産業者はもちろん、一般消費者の利害との間においても、これが調整をしなければならぬこと、調和点を見出していかなければならぬことは言うを待ちません。特に本法におきまして中小企業の実態から相当従来なかったような強力な調整に関する規定を置きますことは、同時に一般に現在ありますように、消費者の側からいろんな不安を持たれ、いろんなこれに対して懸念を持たれるということも、私は決して無理ではないと思います。その間の十分調整を考え、調和点を考えていくことが、結局日本全体の繁栄のために、福祉のためになることでございますから、十分にこの点は考えなければならぬ。それはどうしてやるかという問題になりますれば、言うまでもなく調整規程の内容なり、あるいはまたこの命令を発しまする場合のいろんな条件が掲げられております。こういう条件を十分に検討いたすことによって、この調和点が見出されるものだと、こう思っております。
#72
○松澤兼人君 この問題につきましては、私たちは政府に向いまして、もちろん税制の面におきましても、あるいは金融の面におきましても、あるいは立法対策としましても、総合的なものを必要とするということを繰り返し申して参りました。たとえて言ってみますと、先日もある新聞に出ていたのでありますが、映画館が大へん不景気であって、人の入りが少くなったと、中には転業するものもある。とにかくもうけが少くなった、そこで何とか考えなければならないという新聞の記事が出ていたのであります。今までは各映画館とも十分にもうかっていた。ところが、最近は非常に新しい館がたくさんできてもうけが少くなった、少くなればやはり何かそこでたとえば商工組合力を作って調整的な規程をこしらう。あるいは三本立てはいかぬから二本立てにする、あるいは広告はどうであるかといったような、サービスの面におきましてある制限を加えることは必然だと思います。しかし、それで果してこの映画館の不況というものが、あるいは過当競争というものが果して救われるかどうか。結局映画館の人々の真の要望というものは、これ以上映画館をふやさないということにあるのじゃないか、こう思うのであります。そうなって参りますというと、いわゆる調整である、その次は強制加入である、その次は何かと言えば、たとえば映画館を開く場合における、これはどこかで許可してもらわなければならないのだと、許可制ということが問題になってくるのじゃないか。そういう場合に、果して消費者である一般のお客さんの立場からいえば、それが利益になるかどうかということはちょっと考えられないと思うのであります。でありますからして、その映画館自体に新しい業者が入ってくるということが、根本的に各映画館の経営をよくする理由であるのか、あるいはまたは何かこうサービスを制限すれば利益になるのかということは、これはなかなか重大な問題だと思うのです、一つの具体的な例をとって申しましても。そこで、私たちは先ほども申しましたように心配になることは、これが強制加入だと、その次は許可制だというようなことになって参りますというと、これは非常に大きな問題だと思うのです。先ほども総理から非常にはっきりとした今後の運用の点につきまして御所信を承わったのであります。こういう問題につきましても、総理が今後法律の運用に当りましては重大な注意を払っていただかなければならないと思うわけであります。この消費者の立場とさらに中小企業者の立場というものをどういうところで調和するか、さらに御見解を承われば幸いだと思います。
#73
○国務大臣(岸信介君) お話しのようにこれの運用というものについては、私は各種の事態を考えて、よほど慎重に、また細心の注意を要するものが非常に多いと思います。ただ、今の映画館の例で許可事業、これの強制加入の結果、事業の許可ということを当然続いて考えるようになるのじゃないかという御質問があったと思いますが、この法律はもちろん許可事業ということについて何ら触れておらないことは御承知の通りであります。まあ、映画についてどうかは私今どういうふうにいたしているか、よく承知いたしておりませんけれども、かりに映画について許可事業にするかしないかということは、そういう競争が激しいからどうだということでなしに、他に何か公共的な意味においていろいろな設備の、たくさんの観衆が入るものでありますから、もちろんそれに対する設備であるとか、衛生上の設備であるとか、危険防止の設備であるとか、いろいろなものの監督上、これを許可事業にする必要があるかどうかということは、私、別個にこれはそういう事業として考えられなければならぬが、しかし今お話しのように競争を防止するという意味において商工組合ができ、それで強制加入ができたと、どうもそれだって新しいものが出てくると、それは強制加入が命令であろうけれども、それが何か事前に押えないとほんとうの競争を防止できないというような意味から、これを許可事業にするとか、許可事業にしろというようなことは、これは私は、われわれが考えている根本の自由経済の思想からいってすべきものじゃないと、私は固く信じております。ただ、別の意味から、そういう事業をどうするかということは、これはまた他の公益的の面から検討を要するけれども、少くとも競争を制限するという意味において事業を許可にするというようなことは、これは本法について考えておらないのみならず、これについて考えるべきじゃない、こう考えております。
#74
○大竹平八郎君 一言だけ総理にお伺いいたしたいのでありますが、いろいろ総理の答弁を承わっておりますと、私も非常に共鳴する点があるのであります。ということは、員外命令、すなわち安定法で従来施行していた員外命令でも、相当とにかく成績をあげておられる。先般もその例を総理御自身出されまして、その点においてまことに私は賛成をいたすものであります。で、私も、員外命令をきかなくって、なおかつ公共の福祉を害するという場合ならば、これまた強制加入もやむを得ない。私どもそういう意味において、総理の御答弁も、私は実はそういう意味に伺っていたわけなんでありますが、しかしながら、原案の実情を見ますというと、五十五条は中小企業に対して強制加入、それから五十六条は、大企業に対して、原案には何らそういう御答弁とマッチするようにこれは触れておらないのであります。それで私どもは、これは卑近な例でございますが、たとえばおなかが痛い。富山の薬で自宅で十分なおるのだ、それにもかかわらず、いやそうじゃない、お前一つ病院に入るのだといって病院に強制収容する。これはむろん富山の薬を飲むよりも、病院に行って、そうしていい薬を飲んでいいお医者さんにかかるということは、よりよくベターであることは間違いない。しかしながら、とにかくなおるのだといって、またなおる経験も持っている、そういうものも連れていってそうして強制収容するというところに、私はこの問題があるのでありますが、もうこれは、時間も迫っておるのでありますが、最後にそういう点において総理が今まで員外、いわゆる安定法の規制命令でもできるのだ、そうしてなおかつできなかったら、一つ強制命令をやらざるを得ない、これは公共の福祉のために私どももそういう点におきまして、先般来社会党並びに自民党に対していわゆる大竹試案なるものを呈示をいたしまして、歩み寄りを願ったわけでありますが、両党の同調を得なかったのでありますが、この点につきまして、いま一言最後にお伺いいたしたいと思います。
#75
○国務大臣(岸信介君) 御承知のようにこの法律におきましては、五十五条を適用する場合と五十六条の場合と二つに分けて規定をいたしておりまして、要するにこの員外の人が中小企業者であって、この中小企業者を主体としておる商工組合、それの組合において十分な自主的な調整能力を持っておるという場合において、中小企業者である外の員外者が組合に入って、そうして相ともに自主的な調整に協力するということを求めるわけでございます。五十六条の方は、中小企業のそういう商工組合ができておって、員外におけるものの、その競争によって中小企業が非常に困るという場合における規制の命令でございます。従来のわれわれの経験によりますというと、員外規制の形において相当にこの規模が、大企業といいますか、きちっとした員外者であって、これに対して員外の規制命令によって、安定法による規制命令によって相当な効果を上げたものも、私があげましたように一、二にとどまらないと思います。また、安定法で不十分な従来の実績、それは主としていろいろな形態であるところの中小企業者に対する場合におきましては、やはり組合内に入ってきて、共同して自主的調整の仕事に協力するという形においてやられることが、最もその目的を達する上にいいという見地に立って、こうした五十六条と五十五条とを書き分けた条件のもとにやっているわけでありまして、両々相待って、私はその目的を十分に達成できるものであると、かように考えております。
#76
○阿部竹松君 三点ほどお伺いいたします。第一点は、本法が実施されるに当りまして、河野経審長官が委員会においでになったときには、なるべく本法案は輸出産業の方に適用したいというお話がございました。そこで、総理大臣も二十六国会以後、二度ほど外遊されましたので、詳しく諸外国の実情等も御承知かと思いますが、御承知の通り諸外国においては、独占禁止法の引き締めにやはり進んでいるわけであります。そういうときに、こういう法案が日本で立法されるという点についての心配でありまするが、一九四八年ですか、この年にハヴナー憲章というものができ上りまして、第四十六条で、加盟国は競争制限とか、あるいはまた市場の制限、こういうものをやらないということを約束しておるわけであります。これは御承知の通り、関税及び貿易に関する一般協定ということになっているわけであります。従いまして本法案は、これと全く相反するというように私は考えるわけであります。従いまして、本法案につきましてはILO等におきましても取り上げられて、世界的問題になっているわけであります。これは総理も御承知の通りでありますが、もし、本法案ができて、日本の外務省の役人とか、あるいは通商産業省のお役人が諸外国へ出張、あるいはこういう通商問題で行ったときに、本法とこの一般協定との差ですね、これが相反しないかどうか、この点についてお尋ねいたします。
#77
○国務大臣(岸信介君) むしろ私は、日本の今の輸出振興の実態から見ますというと、業者の仲間の競争が激甚で実りますために、市場を荒すというような事例が少くないのであります。一つのなにとしまして、アメリカあたりが、非常に日本の重要市場であることは言うを待ちませんが、アメリカで言われておることは、日本の商品同士が競争して安売りされて、それが自国内の産業に非常に悪影響をもつ、広い意味におけるところのダンピングの一種の形態というものが、日本商品においてはもうほとんど普遍的に現われておる。ある品物が売れるとなると、その物にずっと集中してきて、そうして次から次へと値段が下っているというような事態があるが、日本の産業として、そういうオーダーリイの、秩序ある輸出をしてもらいたいという希望があります。今おあげになりましたある一つの独占価格的なものによって、これに対するいわゆる自由の競争を制限するということに対する国際的の一つの申し合せや何かもございまするが、同時にダンピングに対する非常になにがありまして、むしろ、日本商品に対する場合におきましては、現実の問題としてはそういう方面の方が、ダンピングもしくはガットの三十五条の適用の問題に関しましても諸外国の言っていることは、日本商品の今このように氾濫すること及び日本商品の価格が非常に安いために生ずるいろいろな混乱というようなことに対して、諸外国が強く日本の注意を喚起いたしております。こういうような事態から見まするというと、私はやはり秩序ある輸出をしていくという意味から申しますというと、この商工組合ができて、そして過当競争がなくなって、そして業界が安定して公正な価格で秩序ある輸出ができるというようなことは、日本の輸出増進の上からいうと非常に望ましい次第でありますが、河野経企長官がどういうことを申したか知りませんが、そういう趣旨で輸出産業の事柄を特にあげたことと思います。
#78
○阿部竹松君 望ましいとか、希望するとかいうのは、わが国内の問題でございまして、理屈はどうあれ、この四十六条の関税及び貿易の一般協定で、そういうことはやりませんという憲章に賛成して協定を結んでおるわけですね。ですから望ましいとか、あるいは秩序あるという趣旨の答弁は、日本国内であれば私はわかります。しかし、一たん諸外国と調印しておるのですから、その関係ではどうなりますかと、こういうことです。
#79
○国務大臣(岸信介君) 今申しましたように、そういう一面に申し合せがあると同時に、特に日本商品をあげて、日本商品に対するダンピングなり、あるいは安売りという過当競争に対する非難というものも一方にあるわけであります。これは両方があるわけです。われわれが歩んでいかなければならぬなには、これができましたからといって、今国際的にああいう申し合せによって禁じているような独占的価格によって市場を支配しようというような傾向を示すならば、これはその条約の違反になると思いますが、われわれの今ねらっておる日本商品の輸出のむしろ欠点を除くという程度の考えであるならば、私は決して国際的にその条約に違反しているものとして非難されることはない、こう思っております。
#80
○阿部竹松君 それで私の質問は、日本がダンピングしておるというそしり、こういうそれぞれの非難があるということはわかります。しかし、一応一九四〇年に御承知の通り日本政府が約束しているのですから、その約束を取り消すか、あるいは変更しなければやることができないというふうに判断しているのですが、総理の御答弁は希望するというようなことですから、諸外国との間に問題が起きませんかということが、私のお聞きしたい点だったわけであります。
 その次に国内の問題で、これは本法案の内容に入るわけですが、この法案を調べてみますと、全部とは私は申し上げませんけれども、おもなる点で、二、三カ所、昭和十三年に立法され、十六年に大修正を加えた国家総動員法、これと非常に似ておる点がございます。そこで、当時のことは私とかく申しませんけれども、この法案が実施されることによって、一つの調整事業なり、やはり生産の規制とか、あるいは販売の規制、こういうものが行われるわけです。そうしますと、はみ出てくるところがある。法律によって施行され、組合が作られ、そうするとはみ出てくる。生産を制限され、あるいは販売を制限される、こういうそれぞれの組合が出てくる、これに対してどういう処置をおとりになるのですか。
#81
○国務大臣(岸信介君) ちょっとよく御質問の趣旨が私理解しかねるところがございますが、一応私の理解したものにお答えいたしますが、もし違っておりましたら、あらためて御質問願います。私どもこの法律を制定するのにつきまして、決して戦争前もしくは戦争中の総動員法の考えとかいうようなものを頭に置いているわけでは全然ないのであります。そしてこの法律のむしろ前身といってはなんですが、これに関連しての法律としては、従来安定法というものがあったことは御承知の通りであります。これは員外の形において規制をして、そうして過当な競争をなくして業界を安定するということを目標にしておる。本法はさらにそのこと以外に、一定の条件を備えた場合には、不況に対する対策としまして、員外の中小企業者に、組合に加入してそうして業者の自主的な調整に協力するということを命じ得る、これが新しい本法における従来の安定法になかったことであろうと思います。それは先ほど来お答え申し上げておるように、日本の中小企業のあらゆるものが非常に複雑であり多岐でございまして、安定法のようなやり方一本でいくことは適当でないということから、そういう立法をしようというわけでありまして、それも今申すような九条という非常に制限された条件のもとにやるわけでありますから、御心配のような点は私は生じないのじゃないか、こう思っております。
#82
○阿部竹松君 最後に、もう一点だけ委員長お願いしたいと思います、時間がございませんので……。きのうも五十五条の内容についていろいろ御質問したわけですが、五十五条の強制加入命令、そういう点については認証ということで届け出ればよろしい、届出と認証は同じであるというような意味の御答弁がございました。しかし、認証が届出だというように理解されたとしても、実は組合員ではなくなったけれども、一切調整事業には従わなければならない、また一方的に手数料を取られる、過怠金を取られる、この過怠金は一体どなたがきめるかというと当然組合できめる。しかし、これは罰金とかいうものであれば、不服であれば地方裁判所それから高等裁判所、最後は最高裁判所までいって自分の主張をやはり貫くことができるわけです、判定は別として……。ところが、過怠金というのは君は一千円なら一千円の過怠金を出せ、こう言われたら、私はそれには反対だといって異議を申し立てる場所がない。組合員ではなくなったけれども、一切の調整事業でワクをかけられる、過怠金を取られる。この過怠金については異議を申し立てるところもない、手数料は取られるということになりますと、実質的には異ならない。入る自由もあれば出る自由もあると口ではいっておきながら、実際問題として一切のワクがかかってしまって、実質的には組合員と同じである。ただ組合員でない、発言権がないということだけになってしまう、極端に言うと。そういうわけですから、過怠金とか手数料の問題、これは実際問題として総理大臣はどうお考えになっておるか、その点を一つ最後に伺っておきたいと思います。
#83
○国務大臣(岸信介君) 過怠金につきましては、主務官庁に対して不服の申し立てができることになっております。今お話しのようにこの加入をすることについて反対であり、これに支障があるということを申し出るというと、これに対して官庁の方においてそれに支障があるという事実を確認する行為が認証行為であろうと私は思う。従いまして今お話しのように組合外に出ておりましても、いろいろな点においての制約を受けるということはもちろんございましょう。しかし、その人がそれよりも組合に入って組合員としての権利を行使し、同時にそれに協力した方がいろいろな点から考えてより適当であると考えれば入るでありましょうし、そこは要するに認証の方法によって本人の意思が確認されれば、それで認められるということになると思います。
#84
○海野三朗君 私は総理に御決意を伺いたい。この法案は中小企業を救うというその御精神はまことにりっぱでありますが、穴だらけの法案でありますことは、よくおわかりのことと存じます。そこで先ほど他の委員からの質問に対しまして、これは当分変更しないのだと、そういう自信のない法案ではないとあなたは言われたけれども、去る三月予算の問題が起りましたときに、一千億の拡大均衡政策の見地から大丈夫だと言って、あの予算を通した。われわれは少数党で破れた。しかしながらそれが半年を出ずして、そうです、四月、五月、六月、七月と、半年を出ずして、ただ四カ月の後においてしっぽが出てきてしまった。そうして急に、そこにおられる大蔵大臣、人は変っておりますが、急いで緊縮財政をおやりになったじゃないですか、私はこの法案に対しましてそれを憂えるのでありまするが、そのいけないことが起ってきました際には、直ちにこれに対して訂正をする方法を講じられるお考えがあるのかどうか、その御決意を、ただいまのところでは断じてそういうことはないと総理は信念を持っておられるのでありまするけれども、何とも申すことができない。今予算の問題のように半年を出ずしてぐらりひっくり返ってきた、経済界に大変動を来たす、こういうことが私は必ずこの法案に対して起ってくると存ずるのでありますが、そういう際に対しての総理の御決意を私は伺っておきたい。
#85
○国務大臣(岸信介君) 私はこの法案に対して、ずっと衆議院、参議院を通じましていろいろな論議が行われており、いろいろな御意見が開陳をされております。私はその御意見に、いろいろな御議論に対しまして十分本法の運用によってそれらの御懸念も取り除くことができ、また御意見に沿うて適当な処置ができるというお考えのもとに立って、この法案の成立を望んでおるわけであります。もちろん根本的に申しまして、法律というものは、先ほど申し上げましたように、一たびきめれば未来永劫に変更できないというものでもないし、また、経済界そのものは生きものでございますので、今おあげになりましたような見込み違いも、ときには出てくることもございます。そういう場合におきましては、やはりわれわれは常に考えなければならぬことは、国民生活全体の安定であり福祉でございますから、一たび定めた、こういうように言明したから、どんなことがあってもこれは改めない、どんな弊害が生じてもこれは押し通すというようなことは申すべきではないと思います。しかし、初めから危険があり、こういう懸念があり、こういう点穴だらけであるというようなものは、私どもは決してそのまま通すというふうには考えておりません。あらゆる点から十分御審議を願い、また御意見も承わって、しかも、われわれは本法によって十分その目的を達し得るという確信に立って本法を成立させたい、こう考えておるわけであります。
#86
○委員長(近藤信一君) 岸総理に対するお約束の時間もだいぶ経過しておりますので、この辺で岸総理に対する質疑は終了したいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#87
○海野三朗君 私は大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますが、この前、税につきまして、つまり石油ですね、この石油の関税については、法の定めるところがあるにもかかわらず、減税の暫定措置をとっておられるのでありますが、それほどの余裕があるならば、もう少しこの中小企業の面において、事業税とか、あるいは物品税とか、所得税とか、こういうふうな二重、三重の税に苦しんでいる中小企業を思いまするときに、どうもその税の面から考えて、はななだ不公平であると、こう思うのですが、もし、その減税の措置を暫定措置として昭和二十六年以来、年々やっております。今年一年だけ一割減税、今年一年だけこうだといって延び延びにずっとやってきているのでありますが、その税の免税額というものは実に莫大なものである。そうして一方精油会社はどうかというと、相当な利潤を上げている。こういうことを思いますると、もう少しこの中小企業団体法、案を出してこれを救うというのはいいけれども、税の方でもう少しお考えになったらいいじゃないか、税のピークをもう少し修正されたらどうであるか。で、もし今年一年だけ、一年だけといって続けていかれるようであるならば、法律を改正してしまったらいいじゃないか、私はこういうふうに思うのですが、いかがでございますか。
#88
○国務大臣(一萬田尚登君) ごもっともな点もあるのですが、これを今やめますとコストがやはりずっと上りますので、特に今急を叫ばれております輸出の振興にも支障があろうと考えます。なお、この油は御承知のように中小の漁業者の燃料になる等の関係もあります。期限も来年の三月です。ですからその間に十分情勢を、お説のような御意見もよく考えまして、情勢も判断して善処いたしたいと、かように考えております。
#89
○島清君 一萬田医学博士ですか、大蔵大臣にお聞きしたいのでありますが、大蔵大臣は就任当初緊急対策をおやりになるに当りまして、日本経済は腸カタルを起している、こういって金融引き締めの、まあたとえ話しではございまするけれども、そういうような意味で経済政策を遂行されたわけでありまするが、私たちはその当時、一体食い過ぎたのは大企業ではないか、そこで大企業が食い過ぎて腸カタルを起して、そうして中小企業は別に食い過ぎたわけでも何でもない。そのしわ寄せで中小企業の諸君が金融引き締めにあって困るということは、何か大蔵大臣が腸カタル論を振り回わされても、中小企業に対しては非常に迷惑である。たとえば私の例をもっていたしまするならば、なるほど大企業が、日本の経済全体を家族にたとえまするならば、大企業はまあおやじさんである。その主人が食べ過ぎまして腸カタルをやったのであるが、まあ、腸カタルであると判断をされておりながら、これは何か伝染病だといって一家を一つのワクの中にはめて、そうして伝染病の処置をしたと同じようなことであって、それは腸カタルなら腸カタルの処方せんをおやりになるのはけっこうであるけれども、中小企業は別に食い過ぎてもいないのであるから、それが金融引き締めをして、さらに企業が危殆に瀕するようなことがあってはいけないのではないか。これに対しては特別の配慮があってしかるべきである、こういうことの主張を続けて参ってきているわけでございます。そこで、今日たまたま本法案の審議に際しましても、特段とこの中小企業に対して配慮がたければならぬ、その場合に税制の面におきましても、金融の面におきましても、してもらわなければならないということを強く要望しているわけでございまするが、しかしながら、残念なことには私たちの要望通りに事は参っていないわけであります。たとえば私たちに天下の悪税と言われておりまする、特に中小企業者全体が望んでおりまするところの事業税の撤廃、物品税の撤廃、そういうものを要望をいたしているわけでございます。これは全国の中小企業者の大会におきまして、満場一致その決議をされておりまする事項でございまするが、ところが、今まで通産大臣等の御説明を伺っておりまするというと、こういうような中小企業の政策を強力に、その安定化と発展のために施策をしなければならないというようなお言葉の裏から、事業税については、あるいは物品税についてはこれをお取り上げになろうとはされたいのであります。非常に何かそこに矛盾を感ずるわけでございまするが、三十二年度の予算のワク内におきましては、それはそうであったといたしましても、三十三年度の予算の中に、こういったような事業税の撤廃、であるとか、物品税の撤廃、これを中小企業者の安定と発展のために不況要件を克服する、その前の条件といたしまして、こういうものを税制の面で、中小企業者の諸君を、その安定化の方に国家の施策を進められるという御決意があるかどうかということを承わっておきたいと思います。
#90
○国務大臣(一萬田尚登君) 日本の経済を私、腸カタルに見立てましたが、あなたも同じような考えで、私は同じような今のお説は私とほんとうに一致しております。(笑声)税制の問題の話がありましたが、(「資本家カタルにだれがしたのですか」と呼ぶ者あり)それはあとで……。それで税制についての御質問でございましたが、これはただいま税制調査会、特に間接税については研究願って、これもそう遠くないうちに答申があると思います。これらも専門家の意見も十分聞き、あなたの御意見も十分拝聴して、大蔵大臣として考えていきたい、かように考えております。
#91
○島清君 大蔵大臣は、私は医学博士ではございませんが、私の医学論に賛成をされましたし、これはまあ、のれんに腕押しでございまして、これはどうぞ一つ審議会などという逃げ口上ではなくて、責任をお持ちになりまして、私たちが大蔵大臣に期待をいたしておりますゆえんのものは、金融界にも十分にらみがききますし、日銀の総裁時代には法王とまでいわれたのでありますから、そういう意味において、私は、とにかく今の内閣が法案の説明に当りまして、中小企業の安定と発展をはからなければならぬ、その裏づけはあなたでございます。あなたの方が財布の紐を握りきんたまで締めておりますというと、なかなか前尾通産大臣が私たちの前で、中小企業の発展と育成をはかるとおっしゃっても、出るものが出ないとなかなかできません。その意味におきまして、どうぞ一つ率直に責任を持ちまして中小企業安定の予算化を、この発展の予算化を、三十三年度にはかっていただきたい、こういうことを希望しておきます。
 それからあと二点だけ大蔵大臣ではございませんが、通産大臣にお聞きしたいのでありまするが、法案の第三十七条には、出資組合に加入したいという場合には、組合の承諾を求めるということになっておるわけでありますが、私はこれは出資組合であろうと、非出資組合であろうと、とにかく不況克服のために強制加入と、さらに規制命令が必要であるということの大前提に立ちますならば、こういう組合に入るのには、入るという意思表示をしただけで、自動的に私は組合員の資格が獲得できるようにならなければならぬと思うのです。ことさらに私は組合の承諾を得なければならぬということは、強制加入命令、規制命令、こういうような規程から、その精神からいたしますならば、いささか矛盾をしておるように思えるのでありますが、この点いかがでございましょうか。
#92
○国務大臣(前尾繁三郎君) 加入命令がありました場合には、これは当然加入をするわけでありますが、その他の場合におきましては、加入命令の出ておらない場合には、組合の承諾が要ると思います。しかし、私はただいまお話しの通り、この承諾の乱用というようなことがあってはならぬ、これは当然組合として承諾すべきものだ、従って、実際の運用なり指導におきまして、入りたい人はこれは当然入れるべきだと思います。
#93
○島清君 そういたしますると、まあ、この法文には承諾というものになっているけれども、実際本法が施行されましたときには、通産大臣といたしましては、これは承諾じゃなくして、意思表示をすれば、自動的に組合員の資格を当然に獲得するものである、こういうふうに、まあ、理解をして、こういうふうに指導されたい、こういうことなんでございますか、いかがなんでございますか。
#94
○国務大臣(前尾繁三郎君) おっしゃる通りであります。
#95
○島清君 それから六十九条でございますが、六十九条に大臣は解散をすることができる、いわゆる組合を結成いたしまして、そういったような九条、十二条の不況要件というものが解消いたしましたときには解散を命ずることができる、こういうことになっておるのでございまするが、これは解散を命ずることができるということになっておりまするので、私は強制加入を命令いたしまして、自由意思を押えて組合員にさせるというような法の建前からいたしまするならば、当然に、これは大臣は義務といたしまして、解散をしなければならない、解散の命令を出さなければならない、こういうふうなことになるべきであると思いまするが、大臣が解散をしなくてもよろしいというような非常に幅のある規定の仕方については、はなはだ精神的に疑問を持っているものでありまするが、法の解釈はいかがでございましょうか。
#96
○国務大臣(前尾繁三郎君) 調整事業をやっております場合には、調整事業がなくなれば調整規程をやめなければなりません。ただ解散の問題につきましては、私は解散することができるというような権限を現わしているのじゃないかと思います。
#97
○島清君 それはもちろん大臣の権限を現わしておりまするけれども、しかしながら、これはやはり私たちがしばしば各社会党の委員が口をそろえて強制加入の緩和について質問をいたしております手前からいたしまするならば、その不況要件が解消された場合には、大臣は当然に解散をしなければならない。そうして新しく事業を別に、この不況要件以外の要件で組合が結成されておりまするならば、それはまた別の組合であってよろしいと思うのです。ところが、六十九条には明確に九条、十二条の要件が解消したことをうたっているわけですね。そういう場合には、やはり大臣は、これは義務といたしまして強制命令をするというような国家意思を発動している手前でありますから、当然に私は大臣は解散しなければならない義務があると思うのです。そういうことを私は立法の精神からいたしまして、そこに解散してもよろしい、解散しなくてもよろしい、不況要件が解消いたしましても、要件がなくなっても、大臣の考え方によってこれが握られるということは、強制加入させた手前、私は非常に矛盾がある、精神的に矛盾があるのじゃないか、こういうことをお聞きしているわけです。
#98
○国務大臣(前尾繁三郎君) その組合が他の事業協同組合あるいは商工組合にしましても、調整規程が別個のものになれば、そういうような余地も考えられるわけです。しかし、不況要件を克服した場合には、不況要件がなくなりましたら解散を命ずることができるというのは権限で、また命ずべきものだと思います。
#99
○島清君 そのように理解をいたしておきまして、そのように一つ法案が成立いたしました場合には、万遺憾のないような、官僚独善にならないような、十分な御配慮を願っておきたいと思います。
 もう一点、商店街組合のことでございまするが、商店街組合が結成できまするというと、非常に、二重、三重に組合が結成できるのではないかと、こういうことでございました。そこで商店街組合の方で、専門店ばかりでございまするというと、この二重、三重の心配も薄いのかと思いまするけれども、かりに商店街組合の雑貨店の場合でございます。雑貨店の場合でございますると、かりにいろいろの業種についてその不況要件ができました場合には、その組合の、たとえば繊維品なら繊維品を扱っておりまする商店が、繊維品としての調整を受けると、さらにその他の物も扱っておる、ラムネであるとかマッチであるとか、こういう物を扱っておりますと、こういうものからも一つ調整を受けると、商店街組合としても受ける、それから業種別の組合としても受けると、こういたしまするというと、二重、三重の調整を受けるわけでございます。さらにその組合の連合会というふうに、二重、三重の組合の統制を受けるわけでございまして、統制を受けるだけでございまするならば、あるいはそれでよろしいのかもしりませんが、しかしながらそれに伴いまして手数料でありまするとか、過怠金というような問題が含まれてくるわけでございます。そうなりますると、先ほど私が総理大臣に質問を申し上げたように、すなわちそういったような費用といったものは商品の方に転嫁されるわけでありまするから、これは何といっても、価格のつり上げにならざるを得ないと思うのであります。そこで、商店街の場合、雑貨店を扱っておりまする場合の組合加入の範囲でございまするが、一体これをどういうふうに、たとえば十種目の商品を扱っておるといたしまして、十種目の商品が全部、いわゆるこういう条件に該当いたしておりまする場合には、全部これを別々に、この組合別の調整を受けるのであるか、この点の御答弁を明確にしていただきたいと思います。
#100
○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまお話しの中で、過怠金は、これは違反しなければかからぬ、まあ大体手数料であります。そうして事業につきましては、各特定の事業について他の調整組合ができれば、それは業種の違いに従いまして、先ほどお話しのように、十種目の商品を取り扱えば、十種の組合ができれば、これは当然十種の組合の手数料を負担しなければなりません。しかしそういう場合は、私はそんなに、十種目あるいは、それ以上の組合ができるというふうには考えませんので、まあ繊維品なら繊維品につきまして、あるいはたびとくつ下というようなことはあり得ると思いますが、そうまた各種目全部が不況要件に該当し、調整をやらなければならぬというような事態はあまりないのじゃないかと思います。まあ手数料につきましても、極力これはそんなにかからぬようなふうに考えていかなければなりません。経済的負担としましては、さほどに多いことになるというふうには考えておりません。
#101
○委員長(近藤信一君) 高橋理事から特に発言を求めておられますので、これを許可します。
#102
○高橋進太郎君 昨日の委員長及び理事打合会におきまして、社会党の理事より、五十五条の適用は輸出産業及びこれに関連する事業のみに限定せられるよう修正いたしたいから、これが修正についてわが自由民主党において十分考慮してほしいとの申し入れがございました。そこでわが党といたしましては、特に首藤委員長から、わが党の中小企業特別委員会を招集していただきまして、慎重審議この問題を審議し、かつ党の機関にもそれぞれ諮りましたが、右修正申し入れは、わが党としては応ぜられないという結論に達しましたので、この機会に社会党の理事の方に御回答を申し上げます。
#103
○委員長(近藤信一君) 他に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ござ一いませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#104
○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認めます。これにて質疑は終了いたしました。
 議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後四時四十六分休憩
   ――――・――――
   午後八時二十四分開会
#105
○委員長(近藤信一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 ただいま委員長のもとに、阿部竹松君ほか二名から中小企業団体法案に対する修正案が提出されております。よって本修正案を議題に供します。
 まず、提出者から趣旨説明を願います。
#106
○阿部竹松君 私は日本社会党を代表いたしまして、中小企業団体法案に対して修正の動議を提出いたします。
 修正点の詳細な内容その他につきましては、お手元に配付してございます印刷物でごらんを願うことといたしまして、次にその修正の内容の大綱とその趣旨を御説明申し上げたいと思うのであります。
 私ども日本社会党は、御承知のごとく、中小企業の現在の状態から判断いたしまして、当然組織法を作らなければならぬ、こういう点については、日本社会党の党大会で決定した通りでございまして、組織法案自体には何ら反対すべき点がないのであります。ただ、現在審議されておりまする本法案の内容十一項目にわたりまして、われわれ日本社会党としてどうしても承服いたしかねる点がございますので、ただいまから順次修正点について御説明申し上げたいと思うわけであります。
 従いまして第一の修正点は、衆議院送付案第五条の中小企業者の定義についてでございます。原案では中小工企業者を定義づけるのにもっぱらその使用する従業員の数による、こういうことにしておるのでございますが、わが国でも現在の産業のそれぞれの部門をしさいに検討いたしますると、非常にオートメーション化に大勢が逐次進んでおりまして、化学工業部門等におきましては実に著しきものがあるわけであります。従いまして中小工企業者を定義づけるのに、単にその従業員の数でもって規制するということは、はなはだ困難でなかろうかと判断するわけであります。御承知の通り、わずか二百名あるいは三百名の人員において数億の資産を持って、それぞれの産業に関与しておる大会社があるということも御承知の通りであります。従いまして私どもはこれを中小企業者として商工組合の法律上当然の有資格の組合員とすることとなり、ひいてはこれら商工組合となりその連合会運営の実権が、こういう単に人数によって制限されるということになりますると、大企業者が入ってくるのでございまするから、大企業者に実権が握られるのではないかという非常に危険をはらんでおるのでございまするので反対せざるを得ない。従いまして政府の原案といたしましては、この間の事情に対処するものといたしまして、第五条第三号に、政令の規定運用によると、こういうことにしておるのでありまするが、これでははなはだ不十分でございます。従いまして本問題を基本的に解決したことにはなりませんので、法文にはっきりと、中小企業者であるためには、その者が法人であるときは、「従業員の数が三百人以下」であり、「かつ資本金の額または出資の総額が一千万円以下であるもの」をその要件として付加することにしたわけであります。従いまして日本社会党としては人数によっても制限を加えるのでありまするが、同時に資本金においても制限を加えなければ法は全きを得ないのであろうという見解でございます。
 次に、第二にでございまするが、送付案の第九条で商工組合の設立要件を規定しておるのでございまするが、その中に、「中小企業者の競争が正常の程度をこえて行われているため」と表現がしてございます。どの程度の競争が果して正常であるか、どれだけの競争が、正常であるかという意義がすこぶる不十分であり、すこぶる不分明であります。従いまして過日の委員会等におきましても、総理の御答弁が「過度の競争」と実質的に同じだとの御答弁もございましたので、従来の中小企業安定法等の例にならいまして、これを「競争が過度に行われているため、」と改めたわけであります。
 次に、同じくその設立の要件といたしまして、その中の中小企業者の経営の相当部分が著しく不安定となっておる場合ばかりでなく、「なるおそれがある場合」をも含めておるのでございまするが、商工組合の本質的な事業は生産数量の制限とか、あるいはまた価格の調整というように国民一般大衆の利害と直結いたしまして、多くの場合これと矛盾するものでありまするから、商工組合の設立は、ごくごく必要最小限度にしぼられるべきであるというのが「おそれがある場合」という条項を削除した理由の一つであります。
 第三の修正点でございますが、第四十二条の第四項で準用をしております第二十条のうち、第二十条の一項のみを準用することにいたしまして、商工組合の設立の認可の申請に対し主務大臣が二カ月以内に認可または不認可の通知をしなかったときは、設立の認可があったものと見なす規定の準用を削りましたのも、第二の修正点と同様の趣旨にあるわけであります。これをさらに貫くためには、主務大臣が商工組合の設立の認可をしようとするに際しましては、必ず、中小企業安定審議会に必ず諮問しなければならないということにいたしたわけであります。従いまして条文の順序は逆になったのでありますが、第七十三条第二項第一号の修正規定がこれになっておるわけであります。
 次に、第四の修正点は、特にわれわれ日本社会党といたしまして強く主張しておる点でございます問題の加入命令、すなわち第五十五条の規定を全文削除したことでございます。この加入命令につきましては、この規定が公けになると同時に、その合憲性、特に憲法第二十一条に明記してある結社の自由、こういうことを正面から抹殺するものではないか。こういう点について院の内外を問わず、ごうごうたる論議を呼んでおることも御承知の通りであります。
 五十五条の点につきましては、かつて第二次世界大戦前に、ドイツにありましてはかのナチス、ヒトラーが政権を成立せしめた一九三二年この年に、この五十五条に匹敵するような条文を含んだ法律がございました。あるいはまたイタリアにおきましても、一九三三年七月十五日、かのムッソリーニがおった当時に、これと同じ法律ができましたし、わが国におきましても、昭和十六年三月国家総動員法という法律をもって、この種の内容を含んだ法律があったということは、皆様方御承知の通りでございまするから、日本社会党といたしましては、現在西欧の状態あるいは東南アジア各地の有様、こういう状態におきまして漸次カクテル行為が廃止されるという、日本と違いまして、漸次強権をもって進んでおるという状態でございまするから、五十五条の点につきましては、日本社会党としてはとうていこれは容認しがたい。特に数度の委員会におきまして執拗に内閣総理大臣あるいはまた通産大臣その他政府当局の説明を求めたのでありまするが、ついに今日まで明快な御答弁を得ることができなかったのであります。
 われわれといたしましては、員外者の規制は、当然第五十六条及び五十七条の規制命令で必要にしてかつ十分と考えるものであります。なお、員外者に加入を強制することは、その業界のボスの支配への道を開く最大の誘因とも相なりまして、ひいては本来は最初に救われる零細な業者や無力な市井の一般消費者の犠牲や、あるいは負担の上に、業界の一部の特権階級のみがわが世の春を謳歌するという状態になるものにすぎないという点を非常におそれるわけでございます。従いまして以上がわれわれ社会党の立場といたしまして、五十五条の加入命令の規定の全文削除を主張する最大の理由になっておるわけであります。
 第五の修正点についてでございますが、修正前の第五十六条あるいはまた、第五十七条及び五十八条の命令、すなわち主務大臣が員外者規制命令や設備の制限命令をしようとするには、調整規程や組合協約の認可の要件となっておる三つの点に慎重な考慮を加えるよう要請しようとするものであります。その趣旨は、その命令の内容が必要最小限度なものでございましても、消費者や関連事業者の利益や零細業者の立場を十分に保護すべきものであるということを、命令権者である主務大臣に強く要請しようというものでございます。
 第六の修正点についてでございまするが、規制命令に関する主務大臣の事務の一部を、商工組合やその連合会に処理させることができるとの第六十四条の規定と、規制命令に基く登録その他の事務についての必要な手数料を国が徴収できるとの第六十五条を、ともに削除しようというものであります。その趣旨は、これら規制命令に関する事務は、国がその全面的な責任と負担において当然執行すべきものであり、いやしくもその事務の一部を業者の団体である商工組合等にやらせたり、国に手数料を徴収したりしては、命令の公正かつ妥当な執行の期待を完全にし得ないものであろうとの理由からでございます。
 第七の修正点についてでございまするが、原案では中小企業安定審議会、中小企業調停審議会の委員の構成は、第七十五条と第八十四条において関係行政機関や学識経験のある者のうちから主務大臣や都道府県知事が任命することになっているのでございまするが、これら審議会の重要性にかんがみまして、その委員に、それぞれ「中小企業者を代表する者」、あるいはまた中小企業関係労働者、「消費者を代表する者」等を必ず任命しなければならないというように、当該条文を修正しようとするのがこの理由でございます。その趣旨は、申し上げるまでもなく、無力で零細なこれら中小企業関係労働者や、一般消費者の利益と立場の保護に万全を期したいというのが、この趣旨になっているのであります。
 次に第八の修正点でございまするが、主務大臣と公正取引委員会との関係を規定しておりまする第九十条中、主務大臣が公正取引委員会に協議すべき事項となっている価格制限以外の調整規程や、あるいはまた組合協約を認可しようとするとき、または加入命令をしようとするそのときは、必ず「公正取引委員会の同意を得なければならない。」ということにしようとするものでございます。取引の公正なあり方、あるいはその実現と一般消費者の利益の保護を本来の任務とする公正取引委員会の職務の権限と、加入命令等の事柄の重大さに思いをいたすならば、何人といえども両手をあげて賛成していただけるはずの当然な修正であろうかと思うわけであります。
 従いまして、日本社会党といたしましては、以上十一項の修正案をただいま提案いたしましたので、皆さん方の慎重な御審議をいただきたいと思うわけであります。
#107
○委員長(近藤信一君) それでは御質疑のおありの方は御発言を願います。……別に御発言もなければ、これより中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、以上三案につきまして、原案及び修正案を一括して討論に入ります。
 御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、付帯決議の御意見は、討論中お述べを願います。
#108
○相馬助治君 私はただいま議題となりました中小企業団体法の組織に関する法律案に関しまして、日本社会党を代表して阿部竹松君提出にかかる修正案に賛成し、この修正案が成立いたしまするならば、残余の原案にも賛成をいたし、不幸にいたしまして修正案が可決されなかった場合には、遺憾ながら原案に対しましても反対の意思を表面せんとするものでございます。
 申し上げるまでもなく、わが国におきましては、戦後十年の政治活動によりまして、労働関係、農業関係あるいは教育関係等の基本的な諸問題につきましては、従来曲りなりにも、一通りの議論が尽されて参りました。行政措置、立法措置等によりまして、あるものは解決され、あるものは解決の方途について、その方向がおおむね明かとなって参り、あるものは一旦解決をみていたものが、時勢の変化によって再検討の段階にまで進展して今日に至っております。労働問題等については、まさにその例であります。しかるところ、中小企業問題につきましては、いまだ根本的なるものについては解決を見ざるのみか、解決の方途についてもほとんど暗中模索の域を一歩も出ていない向きのあることは否定し得ない事実でございます。このことは、今日の近代的な政治の中においても、きわめて注目されねばならぬ事柄でありましょう。資本主義の社会のもとにおいて、中小企業救済の万能薬は絶対にあり得ないとの悲観的な極論もありまするけれども、今日、日本の中小企業者の置かれている立場や現状を思いみまするときに、これらの人々が当面しておりまする租税の問題であるとか、あるいは金融の問題であるとか、あるいは設備の問題、果ては業者間の過当競争あるいは大企業の野獣的な圧迫をどうして排除するかというような、特に結論を迫られておる諸問題を解決するために、中小企業者自身の組織に関する立法措置のなされねばならないことは、あえて言うまでもないところでございます。従いまして、わが日本社会党がさきの国会に中小企業の組織に関する法律案を提出いたしましたこれが理由であります。このわが党の法案の提出に刺激されたとは申しながら、政府が中小企業団体法を国会に提出したというこの一事については、私は敬意を表するにやぶさかではございません。しかしながら率直に申しまして、現政府の中小企業に対する対策というものははなはだ不十分でありまするし、しかして今日議題となっておりますこの原案なるものも、はなはだ未熟であると残念ながら批判せざるを得ませんし、これが運用次第によっては、中小企業者自身の命取りになりかねない内容を持つものであることを、私は各位に向って指摘しなければならないのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり。)特に、私はこの委員会において指摘したいことは、今日の中小企業者の悲しい運命、貧しい生活の状況、これらはこの種組織法一本では絶対に救済され得ないことを申し上げなければなりません。最近、都会において百貨店の異常なる進出発展、これは皆様も認めるところでございましょう。従来、中小企業者の生産分野と見なされていた産業分野に向って大企業がどんどんと進出している事実を、われわれは否定し得ません。いたずらにこれらのものが中小企業者の経営を圧迫し、生産秩序の混乱を招来している事例が見受けられるのでありまして、こうした傾向は、中小企業者の大半を占めておりまする日本経済の特殊性にかんがみ、今後の国民経済の総合的発展を考えるとき、きわめて重大な問題であると言わなければならないのであります。ここにおいてこのような事態に対処するために、中小企業者が自主的な組織を持つべく、この法案が与党よりも、野党よりも提案されたことは、喜ぶべきことでありますが、私どもがたびたび委員会で指摘いたしましたように、この大企業の野獣的な圧迫というものに対しましては、この法案一本をもってしては、断じて解決しないのであります。政府は国民経済の見地から、中小企業者の生産分野として、好ましい分野を明瞭にいたしまするとともに、これらの進出を抑圧するための立法措置が必要であるとわれわれは主張をいたしまして、中小企業の産業分野における位置確保に関する法律案をわれわれは提出して今日に至っておるのであります。とにかくこのような独占大資本の暴虐無人な活動の中では、単なる団結と組織化だけでは、中小企業者の根本的な解決を期待することは無理であります。従いましてこの法律のみを制定することは、かえって独占資本による中小企業者の系列化を促進せしめるという逆効果をもたらし、それは一部の組合ボスの支配を発生せしめまして中小零細企業者がより貧困に追い込まれ、はては整理せしめられるという思わぬ結果を招来するということを私どもは憂えるものであります。このような観点から、私どもはさきに中小企業の産業分野を法律によって確保することを期して法律案を提案いたしたのでありまするが、政府はこれに対して、今日具体的には何らの動きをも示していないことは、きわめて私どもの遺憾とするところであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
 また、私ども日本社会党はこの法律案と並行いたしまして、小売店保護法ともいうべき商業調整法の立法を期待し、ただいまこれを衆議院に提案中であります。従来の中小企業対策は、ともすれば生産部門に偏重して、流通部門、特に小売商を無視し、これを見殺しにして参りました。従いましてわが党のこの法案は小売業者相互の関係を調整し、同時にその障害となるべき事柄を排除し、一方消費者の利益を阻害せざるように優良なる商品を合理的価格で販売する責任をも、これらの小売商人にその責任を付加することにしてあるのであります。政府はこれに対しまして、現在衆議院において継続審議中の小売商業特別措置法案を提出したと述べておりまするが、この法案は結局するところ、生活協同組合を厳重にしばり上げる、その活動を阻止せしめるところの野望をうちに秘めているという点において、聞くべき幾つかの条項があるけれども、私どもといたしましては、本質的にこの法律案は小売商業者を救済するものでないとして、今日反対の態度をとって参っております。
 以上私が述べましたように、この三法案というものは、中小企業の基本法として一日も早く同時かつ並行して審議し成立せしめなければならない筋のものであります。しかるところ、現実に政府がとっておりまする態度というものは、それ相当の抗弁をいたしておりますけれども、現在進みつつある作業その他から勘案いたしまして、はなはだその誠意に対して疑問を感ぜざるを得ないと断定せざるを得ないのであります。このことが、私どもがこの組織法案の立法の趣旨がわかり、これを提出せしめたところの政府の善意の意思は疑いないけれども、積極的にこれに賛成しかねるわが党の第一の疑問なのであります。
 第二に、この団体法案は、中小企業保護育成のための法案だと、かように述べております。まさにこの法案がその第一条において述べているものは、そうでありまするけれども、実は大企業を保護し小企業を圧迫し、零細企業を壊滅させることになりはしないかということを、われわれはおそれるのであります。なぜならば、これは中小企業と称しながら、大企業が現に中小企業者と定義されていることで明らかでございます。今日オートメーション化の時代において、従業員のみをもって中小企業者を規定するがごときことは、われわれのとらざるところであって、ただいまの阿部君の修正案に、各位は十分耳を傾けねばならないと私は存ずるのであります。ことに、これについては私の手元にある資料によりますれば、資本金が五百万円から一千万円で、従業員は平均百二十三名です。一千万円から五千万円で、従業員は平均いたしまして百六十四名であります。かようにいたしますると、従業員三百人までと規定いたしまするならば、おそらく資本金数億円の会社が中小企業者としてこの法案によって規定される範囲に入ることは明白であります。しかもまた、オートメーションは時代とともに進みつつあります。かようなときに一体これらのものを三百人と規定して中小企業を定義すること自体の矛盾に気ずかざることは、率直に申しまするならば、われわれとしては全く不可解と言わなければなりません。しこういたしまして、大企業と中小企業とを一つのおりの中に追い込み、弱肉強食を勝手にやらせようとするのかと私が申しましても、現実に立法者の意思がそうでないといたしましても、結果がさようになることの予見されることを、私はここに指摘しなければならないのであります。
 第三に、この種大企業が業界におけるボスであることに、皆さん思いをいたしていただかなければなりません。そのボスは業界を支配統一させようとするのが、実はこの団体法案によって非常に容易になるという一事を私は指摘をいたさなければなりません。政府は組合の運営は自主的にやらせると申して、言まことによろしい。しかしながら、組合で決定しさえすれば自主的というのか、組合の中心勢力をふるっているのは、ボスであることを考えまするときに、結果はどうなるでありましょうか。問題の加入命令は業者の四分の三がボスの支配下になったときに、規制命令におきましては三分の二がボスの支配下になったときに発せられることになるのであります。もしもボスとボスが群雄割拠しておりまして、そのときまでに戦線が統一されないときには、たとえ業界がどんなに不況にあえいでも、これは不況要件の完成とはならず、また、どれかのボスに支配権が統一されるまでは、実のところこの加入命令も規制命令も出し得ず、政府は拱手傍観しようとする以外に道のないことを指摘しなければなりません。それであるからこそ、加入命令は実害がないと政府は説いておるのでありまするが、私が申しておることは、加入命令、規制命令がよいというのではなくて、この法案自身がボス支配を目的として仕組まれた法案としての効果を上げることになることが必定であることに心配をいたすのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
 第四に、この法案がそれではボス支配だけが心配かと言いますると、その裏には官僚統制という弊害が露骨に含まれておるのであります。率直に申しまするならば、組合ボスをたたかんとすれば、官僚ボスの弊害が現われ、官僚統制の弊害をたたかんとすれば、組合ボスが現われるというような、まことにこれはややこしい内容を含む困まり切った法案であるということを私は訴えなければならないのであります。(「独断」と呼ぶ者あり)われわれがこの法案の危険は、ボスの跳梁にあると委員会において指摘いたしましたところが、政府は運用の妙によってこの弊害を除去すると説明をいたしております。運用の妙とは何でありますか。結局官僚の統制ということになります。委員会におきまして、大臣並びに小笠次官並びに川上長官の答弁はきわめて率直であります。しかしながら問題は、法律というものは立法者の意思を離れて成立いたしましたときには、しかもまた、時の政府の代表者のいかんにかかわらず、この法律は長い間口をきいて業界を統制していくという事実を、われわれは忘れてはならないと、かように考えるのであります。かように考えて参りまするときに、一体組合の設立要件であるとか、調整規程の認可要件を初めとして、その中にはきわめてあいまいな字句が多く、これをいかに決定するかは、ときの行政府の主観的判断に待つことがほとんどその全部であります。この判断に客観性を装うために審議会を設けておりまするけれども、この審議会に労働者や消費者を加えるように法文に明記せよと阿部君は主張し、その修正案を出し、たびたび理事会その他において与党並びに政府の同意を求めたのでありまするけれども、しかしこのことはいれられませんでした。しかも、この委員の任命は一に官僚の手心にまかせられております。官僚の意を向える御用学者や、あるいは御用評論家が任命されることなしとしないのであります。民主主義に名をかりて従前も審議会を作り、その答申は政府みずからが起案し、審議会の答申をもってこれ民主的なりとして、政府のほしいままなる意思を通してきたことは、今日枚挙にいとまないという事実を私は申し上げなければならぬのであります。(「邪推だ」「よく聞け」と呼ぶ者あり)
 第五は、本法案は、弱い消費者を圧迫する危険がすこぶる多いということを申し上げなければなりません。生活協同組合に関する限り、この危険は一応衆議院において除かれたのでありまするけれども、その生活協同組合とて、陰に陽に商工組合の圧迫を受けて荷止めその他において消費者に対する奉仕を制限するような立場に追い込まれる実害は、この法案によって容易に予見されます。しかし問題は、商工組合が設立されて共同購入、共同販売等の強力な共同事業を伴う生産協定、価格協定を行うことが許され、しかも、それが強制加入規制命令の発動を予想されるのに至っては、一体力弱き消費者が無視される。この危険はどこでこの法律は保障するのかということを訴えなければなりません。政府は消費者を圧迫するような場合は本法を発動しないのだと、かように申しております。中小企業者はこの法律が通りますれば、安売りの防止、値上げができるものと大へんに喜んでおります。また、そのように宣伝して今日中小企業者をかり立ててきた者のあまりに多いことを、われわれは知るのであります。もし、本法がかりに通りまして値上げ法案とならないとするならば、おそらく中小企業はがっかりして、政府に対して猛運動を起すでありましょう。そうしてやがてはその圧力に押されて本法が立法者の善意の意思を離れて値上げ法案となりかねないということを、何人も保証できないということを、私どもはここに力強く訴えなければなりません。
 第六に、本法は中小企業、特に零細企業者を圧迫すると私は最初に述べた点を、再びここで取り上げてみなければならないのであります。大体大企業の中小企業支配がこの法律案によってむしろ容易になるということを、私どもは知らなければなりません。零細業者が安売りや投売りや、低料金奉仕をしなければならない場合には、それ相当の理由があります。それが商工組合の規制で完全に封ぜられるときに、その零細業者は何によって生きようとするものでありましょうか。倒産以外の道がないと思うのであります。中小企業者が各種の条件のもとに価格や数量や品質を決定しているのに、これを一律に規制するということは、零細企業者にとって不幸であるばかりでなく、これは実に消費者にとって至大の影響を持つものであり、政府の答弁にもかかわりませず、これは消費物価の値上げを招来するということは、容易に予見されます。
 第七に、団体法は率直に申しまして、首尾一貫しておりません。商工組合は不況克服のために作られた組合でありまして、しかし、これが一たん加入命令となりますると、不況克服よりも加入強制がその商工組合の目的となって参ります。不況克服だけならば何も加入命令によらなくとも、規制命令で事足りると数百言を費して岡委員がこれを鋭く指摘したところであります。しかもまた、これが憲法違反の疑いがあるとも述べて参ったところであります。憲法違反であるかどうかということは、あとで述べるといたしまして、規制命令よりも加入命令を先に出したところに、本法の目的が何であるかということを、われわれは見抜かなければならないと同時に、首尾一貫していないということを暴露しなければなりません。この法案は支離滅裂であります。従って答弁はすこぶる統一を欠いておりました。もっとも、これは政府のみを責めるわけには参りません。われわれは他院の審議に対して、とやかくの言葉を差しはさむべきではありませんけれども、ある法律学者は、衆議院段階における修正は、本法をより読解に困難ならしめていると指摘しております。耳を傾けなければなりません。商店街組合では坊主と医者が一定の業種だという珍答弁を政府がしなければならないというような、認証と文字の解釈については、衆議院の共同修正者の間で意見が食い違っておる。大臣と次官と長官の間の解釈がまた別々である。しかもこれがまた答弁している者の責任というよりも、そういう答弁が必然的に生まれてくるというところに、この法案の致命的欠陥があると私は言いたいのであります。この法案が商工委員会でまれに見る長時間の審議を要したのも、しかもまた、高橋理事がさすがに質疑打切りの動議を出しかねて、もそもそしたのも、何よりもこの法案の意義を各位が知るからであります。
 さらにまた、この長大な法案であって修正個所がすこぶる多いということも、また他面このように法案そのものがずさんであるということも、提案者並びに修正者の意見が必ずしも一致せず、見解が一致しなかったということも、また法案そのものが難解で、政府原案に対して木に竹をついだような修正が行われ、どのような解釈をしてよいのかわからないような抽象的、かつあいまいな語句が連続的に並んでおり、その解釈を統一することが、どんな頭のよろしい答弁者においてもきわめて困難な事実を、私どもはこの委員会を通じて知ったのであります。私はあえて同僚諸君に問いたい。諸君はこの法案をよくそしゃくしておる人が、この中に何人おりますか、おそらく団体法というものは中小企業者の税金が安くなり、金が借りられる法律だくらいにたかをくくっておる者が大多数ではありませんか、また、中小企業者の大部分の諸君も素朴にそのように一部の人々の宣伝に乗せられてこの法の成立を熱望しておるのであります。ふしぎなことに、けさ私のところに来た電報の中に、この法律を通さなければ覚悟があるぞ、この法律を通さなければ国に帰えるな、かようなる電文が散見されたのであります。私はかような電文を寄せられた者の不明を笑おうとはしない。このような電文がふしぎもなくわれわれのところに投ぜられてきたという背景と現実とを、われわれは真剣に反省しなければならないと申し上げたいのであります。一犬嘘を吠えて万犬実を伝うという、それがこの法律がうそであるということを知ったときの大衆の怒りは、一体どこに向いますか、おさい銭を上げてお百度を踏んで本法の通過を願った、この法律ができたところが、一向に商工組合ができなかったというような場合には、その恨みというものは、あげてお気の毒ながら、与党、自民党に集中するということを考えるのであります。
 しかしながら、私はこの法案が全く実益がないと申しておるのではありません。この法案は先ほど申しました通り、これを提案した私は政府の善意の意思を疑わず、これに敬意を表したのであります。率直に言って事業協同組合と調整組合を一本にし、調整事業を行い得る業種を拡大し、ことに団体交渉と応諾義務を課して、中小企業者の交渉能力を強化するというような面において、効果のあることを私は率直に認めます。しかしながら、しかるにもかかわらず、この法案に対しまして私が賛成し得ないものは、よい薬ではあるけれども、他面強力な毒薬が含まれているということを申したいのであります。どんなおいしいお菓子でも、その毒を、その弊害を除かなかったならば、これをわが子に勧めるばか者はないでありましょう、その毒とは何であるか、随所にある、すなわち阿部君の修正個所は、その毒を消さんとするものでありまして、十一もこれはある、現にある。その中でも特に中心となるのは、五十五条の加入命令であります。政府並びに与党の諸君は、これはこの法律の骨だから、これを撤去することは、この法案が骨抜きになるから、どうしてもいやだとがんばりなさる、自民党の主張は裏を返して言うと、骨の入ったさしみを国民にうのみにしろと、こういうことであって、危険きわまりないと私は指摘しなければならない。毎日新聞十一月九日阿部真之助の評論に「物騒な種はまくな」と題して、次のように述べてある。ここに新聞を持ってきてあるから、これをちょっと読む。「私がこの法案に、さりげなく盛られた強制条項に、考えようでは必要以上に神経をトガらせたのは、ファシズムの勃興当時のことを、思い起していたからである。そのころイタリアは、中小企業家が極度の窮境にあえいでいた。これに目をつけたのがムッソリーニだった。彼は中小企業家に組織と強制とを与えた。」(発言する者多し)……。静かに聞いて下さい。
#109
○委員長(近藤信一君) 静粛に願います。
#110
○相馬助治君 「ファシズム独裁政権の基盤は、実にここにあったのである。ファシズムに学んだのがドイツのナチズムであった。ヒットラーの独裁が、中小企業の団結と強制を本体とすることにおいて、ムッソリーニのそれと異なるところはなかった。私は日本の法案が、中小業者に組織と強制を与うるがゆえに、直ちにファシズムの道に通ずると断言するほど、大胆ではない。しかしながらムッソリーニ的野心のある政治家があって、この法を悪用しても、少しの危惧する要なしというほど、大胆でもないのだ。現在のところ、それほど大それた政治家は見受けられない。それほど大それた政治家はあるまい、心配はないと思うが、将来強制力を持つ団体を足場にして、ことをなそうとするものが出ないという保障はないのだ。物騒なものの種はなるべくまかざるにしかずだ。」こういうふうに阿部真之助は述べているのであります。私どもはここで考えなければならないことは、こういう一つの良識ある世間の議論というものに、この際耳をかさなければならないということであると同時に、この五十五条については、修正論点において阿部君が詳細に指摘いたしましたが、私どもの日本社会党の見解に立つならば、第五十五条は無用有害論に立つのであります。
 まず、この法律が、第五十五条は制度的に無用であるという理由は、この法律が商工組合を作らせて不況を克服せしめんとするために、その効果を十分ならしめるためにアウトサイダーを規制するという、このことは、私は了解いたします。それだけで足りるではないか。すなわち五十六条のその規定で足りるのじやないか。五十五条の強制加入命令をことさらにこれにつけ加える理由がわれわれにはわからない、激しい世評の悪罵を受け、憲法違反の疑いありとする五十五条を挿入して、度重なるわが党の修正の意見に耳をかさざる政府並びに与党の真に意図しているものは何か、どうしても私ども了解に苦しむところであります。五十五条はまた本質的に危険です。なぜならばアウトサイダー規制は五十六条でも明瞭なように、政府が調整規程を参酌して、独自の判断によって制限の内容を規定することになっておりまするから、服従命令が出ました場合にも、これに対する責任は政府が持っております。この際私は政府の考えは大体公正であると見てよいと思う。ところが、加入命令の場合はどうですか。加入命令は政府が出す、員外者を員内者に追い込む。ところが、員内者として組合に入るというと、何人の意思によってこれが拘束されますか。その調整規程というものは組合の発議に基くものであります。この公正度が極めて低いと言わなければならない。しかも、途中から入ってきた者は、ある意味で組合ボスの歓心を買っていないことも事実である。この者が政府の命令で追い込まれる。追い込まれた、追い込んだ政府に処分されるならばまだしも、いやだ、いやだと言っていた仲間の、今度は組合の者に頭をたたかれるということに至っては、これはまことにおかしいというよりは、われわれは有害であるときめつけざるを得ない。その員外者を無理やりに組合に、ワクに入れて、そうして入れたのは政府であるが、それを規制するのは組合である。まことに矛盾であると言わなければならない。しかも、これは別の調整規程のところにおいては、手数料を取り、過怠金を取る。こういうことが可能になっておる。実は五十六条だけでも手も足も出ないようになっておる。それをまた、なわでくくっただけでは足りないというので、針金でくくって組合の中に押し込むということが、われわれにはどういうことなのかさっぱりわからない。
 また付随的な理由として、加入命令に伴って必ずこれは組合ボスの支配を許すということになる点もあらためて申し上げるまでもないと思うのであります。今からでもおそくない。五十五条だけは何としても、これは立法府にあるわれわれの責任において取らなければならない。(「その通り」と呼ぶ者あり)この五十五条が取られれば、この法律が実効がないということは詭弁である。(「その通り」と呼ぶ者あり)五十六条で十分なのであるということを、私は声を大にして述べなければならないのであります。
 次に、私は本法は消費物価を騰貴せしめ、消費者大衆を圧迫する。かような心配があるから反対します。われわれの質問に対しまして、政府は消費物価は上らないのだ。中小企業者が団結を組んで、団交をもって大企業や、問屋筋に対して交渉するから原料が安く入るのだ、それだから安く品物ができるのだ、だから安く売るのだ。こんなことをだれが信じますか。相手は大企業者です。誠意を持って団交に応じなければならないという倫理規定はあるけれども、罰則も何もあったものではない。結局商工業者の団結は、最初は問屋筋や大企業者に向いている。しかし、そのうちに向けて見たけれど、これはどうにもならぬというので、その団結のほこ先はあわれなる弱い消費者の方に向いてくるということは、火を見るよりも明らかである。われわれがせめて安定審議会の委員選出を明文化いたしまして消費会の利益代表者を加えようとして努力を重ねたのでありまするけれども、政府並びに与党の諸君は、これに対して一考もしない。この修正すらが通らないというところに、われわれの心配は断じて杞憂でないということを、私どもは悲しむのであります。
 私は以上大まかに反対の意見を述べて参りました。進んで私は阿部君の修正動議に対して積極的な賛成意見を述べなければならないのでありますが、特に五十五条については、先にふれたので省略します。
 第二の修正の、大企業の圧力から中小企業者を守るということで、資本金を一千万円に打ち切ろうということ、これはどうしてもわれわれは修正しなければならないと念願をいたしております。一体三百人ということで規定して、大企業者が中小企業者の中にまぎれ込んできて、組合の中でボスになってのさばって、そうしてこれをどこでも妨ぐことができないということになりますれば、一体これはどういうことになりますか。私どもは阿部君の修正意見というものは、りっぱだなどというよりは、きわめて当りまえのことで、これを修正しなかったならば、しない方の研究が不足か、ないし頭がいくらか度はずれていると言わなければならないような感じがするのであります。
 第三には、消費者の方の面でありまするが、サラリーマン、労働者、農民の消費者こそ団結の機会はございません。一部労働組合として団結されておりまするが、それは消費者の団結ではありません。常に業者の犠牲にさらされがちなものであります。そのために、最小限度の要件として、第九条の三要件を繰り返してうたって、審議会の中にも労働者や消費者の代表を入れることにわれわれは努力をいたし、公正取引委員会の協議を同意に改めることも、必要な措置として主張して参ったのであります。ことに、第九条で、単に不安定となるおそれがある場合、このようなあいまいな字句がありまするが、これを削除しようとすることは、この法案にけちをつけようというのではなくて、法案の読みを明確ならしめるために、われわれは考えるのであると同時に、一方では商工組合の乱立を防ぎ、消費者を圧迫することから、わずかでものがれさせようとする、きわめて適切な阿部君の修正であると思うのであります。
 第四に、ボス支配の弊害を除去することでありまするが、第六十四条で組合に事務を処理させることは、これはボス育成の温床になる。われわれは、もちろん官僚統制を好むものではありません。しかしながら、われわれが一番おそれるのは、この事務委託というものも政令によって原則がきまる。そういたしますと、官僚と結託したボスの支配というのは、これは相手が悪い。ただ単に官僚の支配、ただ単に組合ボスの支配ならば、何とか抵抗できる。ところが、官僚と結託したボスの支配というものは、これは相手が悪い。実例をあげるまでもないと思うのであります。その意味で、組合の事務処理を削除することに、われわれは修正せざるを得なかったのであります。中小企業長官から、そのような削除がなされると、膨大なる検査機構、官僚機構が必要であるという意見を聞きました。耳を傾けるべき意見だと私どもは思ったのでありまするが、しかしながら、私どもは、それにもかかわらず、汚職、収賄を伴うであろうところの悪臭ふんぷんたる事務処理という、組合ボスに専断されるということをおそれまするがゆえに、このことをあえて、いろいろの党内の議論を排して、修正に意見をまとめたのであります。
 私の討論は終りまするが、特に私はこの際各位に銘記してもらわなければならないと思うことは、後ほど出るであろうと思われる緑風会の付帯決議であります。是々非々をもってなり、特に学識深き紳士諸君のグループであるところの緑風会が、本法の運用について特に付帯決議をつけなければ賛成し得なかったということを、われわれは教訓的にくみ取らなければなりません。政府はまさに沈思再考すべきであろうと思います。この付帯決議を一つ、あとで出ますから、静かに皆さん聞いて下さい。この法案がいかに未熟であり、かつ立法上種々の重大なる問題を存しておるかを証して余りあるのであります。われわれは以上のように、緑風会のこの善意の意思に基く付帯決議を見たのでありまするけれども、これだけではこの原案の欠陥は除去すること不可能なりと観じましたがゆえに、ここに反対の意思を固めざるを得なかったのであります。
 どうか同僚諸君、われわれの修正論に耳を傾けられ、われわれとともに阿部君提案の修正案に賛成し、原案に対しましては断固反対していただきたいということを各位の良識に訴えて討論を終ります。
#111
○高橋進太郎君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする中小企業諸法案に対し、衆議院送付原案に賛成し、社会党提案にかかる修正案に反対の意を表するものでございます。
 中小企業のいろいろな対策が設けられてから長い年月を経まして、現下自由主義経済のもとにおいては、どうしても中小企業に対して特別なる育成、助成の道を講ぜねばならないということは、これは何人も異論のないところであろうと存ずるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)すなわち中小企業が、あるいは金融上、あるいは税制上、いろいろな諸般の諸対策が講ぜられなければならないとともに、大きな資本企業に対しまして、あるいはまた、過度にわたる同業者間の調整を行うのでなければ、中小企業の健全なる発達は期し得ないのであります。この観点から、ただいま議題となっておりまする中小企業の諸法案は、まず中小企業に法的に組織を与えてその拠点を作るというのが、本法案のねらいでございまして、まことに現下の諸情勢から見まして、機宜に適したるところの法案と言わなければならぬと思うのであります。
 私はかかる観点から、おそらく衆議院段階におきまして、自民並びに社会党の共同修正提案によりまして、これが満場一致可決され、本参議院に送付せられたものと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)しこうして、およそ中小企業の実態を見ますると、一口に中小企業と言っておりましても、大企業、あるいは大資本に対する中小企業という場合のほか、企業そのものが一つの生活であり、また、われわれの生活の周辺に、群小の小経営として特に中小企業といわれないほどの、生活そのものであるような経営の実態があることは、われわれ日常見るところでございます。しかも、従来の中小企業対策が、こういうような生活そのものであるいろいろな小経営に対してともすれば忘れがちであったのを、本法案が特にこれらの未組織下にあるところの商業者や、こうした生活そのものである、実態であるところの中小企業者を組織化し、かつまた、小組合をわざわざ規定の中に挿入いたしまして、中小企業の実態を把握してこれが組織化に当っておる点は、まことに本法案としては画期的な立法と言わなければなりません。
 しかしながら、これらの法案とその条章のもとにおいては、金融上あるいは税制上、政府が特別の措置を講じなければならぬと規定しておるだけで、いまだ十分これが裏打ちになっておるところの諸方策はございません。従って、これはどうしても今日の施策において、この法案とともにこれらの裏打ちとなるべきものの施策の実体が講じられなければならぬと思うのであります。おそらく、中小企業に対する画期的な諸方策がこの諸法案の成立と相待って、すみやかにこれらは措置せられるものと思うのであります。
 なお、ただいま社会党から提案せられました修正案並びに当委員会において審議せられた過程に見まして、二、三の点につきまして申し上げてみたいと存ずるのであります。
 まず、社会党の提案せられた修正案におきまして、資本金の問題、言いかえるならば、中小企業の定義という観点から、資本金の問題を一千万円以下に限るという点がございます。御承知の通り、現在いろいろな中小企業の諸法案がございますけれども、それらはいずれもその経営の人数なり、あるいは規模をもって律しておりまして、資本金をもってこれを制約しておるものはございません。(「商工組合は違うぞ」と呼ぶ者あり)これは商工組合はそれらの規模のほかに、または一千万円以下ということでこれは制限ではなく、それは付加した規定に相なっているのであります。そういうような状況でございまして、なぜ、資本金をもって中小企業を規定することが困難であるかと申しますれば、かりに一千万円といたしますと、戦前のせいぜい二万円か三万円でございましょう。しかも、現在の中小企業の実態を見ますと、戦前の資本がそのままであるものもございます。あるいはまた、終戦後、新たに作りましたものは、なるほど一千万円をこえましてもその規模、実態というものは、わずか戦前の資本の二万なり三万に匹敵するようなきわめて零細な資本構成を持ったものがあるのであります。従って資本金をもって中小企業のもしこれを規定いたしますと、せっかく作った法案から、たまたま終戦後資本金が一千万円をこえているといって、現行のいろいろな諸法案で享受しておりまするいろいろな中小企業の外に入るということは、これはきわめて不適当であるというような観点に立つものでありまして、従って現在のいわゆる公称資本金をもって一千万円に限るということは、非常に不適当ではないかと思うのであります。
 その次に、五十五条であります。五十五条の組合に対する強制加入の問題でございますが、これは要するに組合員外において過度の競争を行なったり、あるいはその他、組合とはらち外にあって、いろいろな活動をするものでありますが、おおむねこれらの活動をするものは、その資本力が強いか、あるいはその経営力が強いものであります。従ってこれを規制することに二つの方法があり、現在の安定法におきましては、政府の行政命令によってこれを規制しているというのが現在の安定法であります。しかしながら、この行政命令、すなわち官僚統制ということは、必ずしも中小企業育成の実態から見まして適当ではございません。これはどうしても話の場を一つ与えまして、そしてどこまでも組合の中に入れて、そして十分同業者間において話しさせ合うというのが、民主的な中小企業運営の私は実態であると思うのであります。要するにこういうような方法論の問題、言いかえるならば民主的な運営をさせようと、こういうのがこの五十五条の趣旨でございまして従ってこれを行政命令なり行政規定なりによってのみ、これを規制するということは、不適当であるのであります。そういう観点から見まするならば、五十五条はまことに私は中小企業、特に組織と組合によって育成しようというこの法案としては、適当なるものと存ずるのであります。
 なお、阿部委員の御提案になりました修正案の中には、あるいは審議会に消費者の代表を入れるとか、あるいはその他の問題がございまするが、これらはいずれもこの法案の運営上、これらの点を十分留意することによって、その行政目的は達成し得ると思うのであります。
 以上申し上げました通り、この法案は必ずしも万全ではないでありましょう、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)それは一つには、この法案自体が政府原案のほかに、衆議院第一回におきまして円満にこれらの諸法案を運営させるという意味において、その主義主張の異なる両党が共同修正をして、わが参院に持ち込んだというところに、必ずしもこれが一貫したところはございませんでしょうけれども、しかしながら、この法案のねらう精神においては、脈々として私は中小企業に対する現在のこの実態をよくとらえ、これに組織と力を与えて、そうして従来ともすれば中小企業に対する政府の施策その他の施策が、上から施策されたものが、今度はこの法案を通して中小企業者がその組織とみずからの力をもって下から自分の力を得ようとする私は現われであり、また、その一つであると、その基盤に相なるものと思うのであります。天はみずから助くるものを助くであります。私はこの法案を通して、中小企業者が必ずや、みずからの集団的な力を発揮いたしまして、この諸法案を基盤にして新しい中小企業の健全なる発達が私は期し得るものと思うのであります。かかる意味合いにおきまして、本日この諸法案が成立するならば、この日をもって、私は中小企業者が民主的に初めて集団的なその共栄の基盤と誕生を得るものと存ずるのであります。
 かかる観点から、この諸法案に対しまして衆議院原案の通り賛成の意を表し、かつまた社会党修正のその修正案に対しては反対をいたしまして、私の討論を終る次第であります。(拍手)
#112
○大竹平八郎君 私はただいま議題となりました中小企業団体の組織に関する法律案につきまして、無所属クラブを代表いたしまして、従来とって参りました立場を表明いたしまして社会党の修正案に賛成するものであります。(「おかしいぞ」と呼ぶ者あり。拍手)
 まず、私は本案に対しまして政府の怠慢を責めざるを得ないのであります。ということは、かくのごとき待望の大法案を提出するに当りまして、政府に何の用意もなかったということを断言してはばからないのであります。それは私どもが二十六国会の壁頭におきまして、時の通産大臣水田さんに対しまして、この法案の提出を急いでくれるようにわれわれは懇望をいたしましたときに当りまして、二十六国会その壁頭においてすら、政府は何の用意もなかったのであります。それが二十六国会もまさに終らんとする五月になりまして、そうしてわれわれのところに初めて回付されてきたというような状態でございます。こういうようなことを私どもは考えてみまするというと、この世紀の大法典であるべきこの法律案を出すことに当りまして、その根本が何であるかというならば、まず、私は中小企業の実態の調査ということ、これが第一でなければならないと考えるものであります。しかるところ、政府は三千九百万円のこの調査の予算を取って、これが完全にわかるのが明年中と言っておるのであります。私どもは、こういう法案を早くに出そうという熱意がありまするならば、もう一、二年前に完了してこれはしかるべしなのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)しかるにもかかわらず、明年中かからなければ、この実態調査というものができない。ただいま相馬委員からも指摘せられました通り、零細企業とのあつれき、それから第五条において指摘をせられておりまする資本額の問題であります。高橋委員はこれに対して反対をせられましたが、それは現在の日本のアメリカとの提携によるところのオートメーションの工業化という実態を把握をせられていないからなのであります。こういう意味におきまして、大企業のあつれきと、それから零細企業におけるところのあつれきというものが必ず出て参るのであります。
 私どもは、しかしこの問題はさておきまして、とにかくこの大法案をこの臨時議会において通過をせしめなければならぬということは、われわれといたしましても、与党の皆さんといたしましてもこれは一緒なのであります。だんだん私どもがこの法案をしぼって参りまするというと、その焦点がどこにあるかという問題であります。この審議に審議を重ねた結果、しぼられました条項がすなわち強制加内の五十六条にあるのでございます。そして、この問題点は、いわゆる違憲の疑義の問題でございまして、この違憲の疑義の解釈が、われわれには釈然としていないのであります。また、政府側の御答弁を拝聴いたしましても、あるいはまた、学者を含めたるたくさんの参考人の意見を徴しましても、その疑義は、今日少しも変っていないのであります。しかし、私は、ただいま申し上げましたような状況から考えまして、何とか、この強制加入の問題の緩和を期待いたしまして、そして私の試案を、自民党並びに社会党、それから緑風会に提示をいたしたのでありますが、これは、いずれも遺憾ながら拒否をせられたわけであります。私が提示したその試案の理由は、岸総理の答弁を拝聴いたしましても、従来の安定法第二十九条の適用によって相当な効果を上げた旨を、例証をあげてたびたび御答弁をなされておるのであります。従いまして、御承知のように、安定法第二十九条は、業種に限定はございまするけれども、中小企業者でありましょうが、あるいは大企業者であろうが、員外者規制命令が出せるようになっておるのでありまするから、五十六条を安定法と同様にいたしまして、その上で、五十五条を修正して公共の福祉を守れない場合に限り加入命令でいくこと、これが私の提案した案であります。こうなれば、まことに条理円満といたしまして、両党の面子も立つと思ったのであります。しかし、結果は、申し上げたようなことになったのであります。
 しかし、私は、五十五条を無修正でいくということには、私どもの良識が許さないのであります。私どもは、平素尊敬をいたしておりまするところの自民党の委員諸君が、これをあくまで固執するという気持が実際わからないのであります。と同時に、平和主義、民主主義を高調して参っておりまする自民党の表看板に傷がつくのではないかと私どもは考えざるを得ないのであります。
 御承知の通り、一九三三年の七月に発布せられましたドイツの強制カルテル設立に関する法律の第一条に何と書いてあるか。「経済大臣は、企業の重要性並びに経済及び公共の福祉を考慮し、必要ありと認めたるときは、市場統制の目的をもって、企画を、シンジケート、カルテル、コンツェルンもしくはこれと類似の協定に結合せしめ、または既存の企業結合に加入せしむることを得」ということがうたってあるのであります。この法案の施行とともに、ドイツがその後いかなる道をたどっていったかということは、いまさら私が言うまでもないと思うのであります。本案五十五条にこの臭気がないと断言できる者は幾人おりましょうか。この点を考えましても、本案の審議の重要な点といたしまして、そしてまた、政府の答弁もたびたびこの問題に集中したということは当然であります。
 次には、相馬委員からも指摘せられましたところのボス化の問題でございます。これこそ五十五条と非常に関連がございまして、この点に対しまして、総理並びに通産大臣も、われわれのこの指摘に対しまして、決して明瞭な答弁はなく、また、その傾向につきましては多少のうなずきを見せておる点でございます。このボス化に対する、さらに組合内の対立、それから員外者の摩擦等は、私どもの最も危惧する点でございます。
 この百十七条にわたりまする大法案を、われわれはしさいに検討いたしまするならば、この法文自体の上におきまして、不備の点はたくさんあるのでございます。しかしながら、われわれは、特にこの五十五条に論議を集中をいたしましたことは、繰り返して申し上げまするが、本臨時国会においてこの法案をぜひ通過せしめるということの熱意にほかならない。同時に、この五十五条を削除または修正することによって、私は民主主義の精神を擁護することができると、かように考えておるものでございます。この修正が削除を求めるということは、これは良識ある参議院として当然のことであります。また、衆議院におきましては、その共同修正されたものが、さらに参議院で問題になったところに、本案の重要性と複雑さと、また同時に参議院の良識を明らかに証明したもので、国会史上私はけだし特筆大書すべきことと言わざるを得ないのでございます。私はこの意味におきまして、社会党の修正案に賛成することを重ねて申し上げる次第であります。(拍手)
#113
○河野謙三君 私は緑風会を代表いたしまして、次のごとき付帯決議を付しまして、衆議院送付の原案に賛成するものであります。
   附帯決議
  本法は、わが国経済の安定と発展
 ならびに国民生活に重大なる影響を
 及ぼすものであるから、政府は、本
 法実施にあたって、左の諸点につい
 て慎重なる考慮を払うべきである。
 一、不況要件ならびに過当競争の認
  定については、厳密なる検討を行
  うべきこと。
 二、中小企業者の組合が、いたずら
  に調整事業のみに偏向することな
  く、事業協同組合を通ずる自主的
  組織ならびに企業の合理化には、
  あくまで努力するよう指導するこ
  と。
 三、商工組合の調整行為にもとずく
  犠牲が、消費者に転嫁されること
  のないよう、十分なる配慮をなす
  べきこと。
 四、従来の経済取引秩序に無用の混
  乱を招来せざるようとくに留意す
  ること。
 五、加入命令の発動は必要やむを得
  ざる場合にかぎること。
 六、本法における審議会の運用にあ
  たっては、適正を期しうるよう、
  委員の構成に利害関係者を公平に
  考慮すること。
 七、本法と環境衛生関係営業の適正
  化に関する法律との関係について
  は、すみやかに再検討を加えると
  ともに本法にもとずく商店街組合
  に関しては、その特殊性にかんが
  みて、取扱いに適切な措置を講ず
  ること。
 以上であります。
 私は先ほど来社会党の相馬さん、無所属の大竹さんから本法に対するいろいろな御注意につきましては、十分耳を傾けるものであります。たとえば本法が通過した暁におきまして、組合ボスの跳梁が心配される。この運営の衝に当る官僚のいたずらが心配される。私は従来の例に徴してもっともであると思う。私もその心配をしておる一人であります。しかし、およそ現在の中小企業救済の道は金融の措置、財政の措置、その他もろもろの救済措置は考えられるのでありますけれども、中小企業の真の救済の道、その最も重大であるその第一歩は、中小企業者がみずからの手によって立ち上る、みずからの組織によって立ち上るというこの熱望にこたえる、われわれが本院の責任において、そのみずからの手によって立ち上る、組織によって立ち上るという熱望にこたえるその道を開き、その土俵を作ってやることが、一番私は急務中の急務であり、われわれ本院の責任であ下ると思う。
 しからば、その道を開くのは何か。土俵を設けるのは何か。これはすなわち組合の組織化についての私は問題であると思う。しかし、そこで本法が通りました暁に、組合ができた、ボスが出るじゃないか、官僚がまたいたずらを始めるのじゃないか。その点は、私冒頭に申し上げましたように、全く組馬さんと同一の見解を持つものであります。さればと申して、そのボス化の心配がなくなった暁、官僚のいたずらの心配がなくなった暁に、初めて組合活動を刺激すべきである、こういうことであるならば、いつの日にか、中小企業のみならず日本の農村といい、あらゆる階層の組織というものは、認められる日があるでありましょうか。私は従来日本におきましては、真の意味の協同主義、組合主義というものは、まだ私は早いと思っておるのです。ほんとうの意味の組合の健全な発達、組合の正常なる運営というものは、組合員一人々々が、自我を持ち、利己心を持って組合に働きかけるというこのメンバーの上に、初めて組合は組織され、できた組合が健全に運営されるのであって、現に産業組合があり、長年にわたって組織運動をやっておるところの農村の協同組合その他農村の組織の運営の実態を見ればすぐわかります。これだけ長い歴史を持っておる農村のもろもろの組織運営におきましても、いまだにボスの跳梁はなかなかあとを断ちません。また、これを監督するところの農林官僚におきましても、いろいろな問題が繰り返されております。それであるからといって、それではまだ農村に組合活動は早い、組合は早いという結論には私はならないと思います。この組合を組織し、この組合の土俵のもとに、われわれはあくまでも政府を信頼し、この組合のもとに活動するところの中小企業者、農民を信頼しつつ言動すること、これこそ私は日本の民主化の早道であり、組合活動の健全な運営の早道であると私は考えまして、冒頭申しましたように、今後におきましてこの本案が通過した暁におきまして、本案の運営においては、中小企業の内部において、またこれを監督するところの通産省といい、いろいろな問題は私は心配はするのでありますけれども、以上申し上げたような理由によりまして、これらの心配を乗り越えて、ひとまず中小企業がみずから立ち上ろう、みずからの組織によって、みずからの困難を打開しようというこの意欲にこたえて、この本案を通すことはわれわれの責任であると考えまして、本案に賛成するものであります。(拍手)
#114
○委員長(近藤信一君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#115
○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 まず、阿部君外二名提出の中小企業団体法案に対する修正案を問題に供します。
 本修正案に賛成の方の御起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#116
○委員長(近藤信一君) 少数と認めます。よって、本修正案は否決されました。
 次に、中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、以上二法案の原案全部を問題に供します。
 これら二法案を第二十六回国会衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方の御起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#117
○委員長(近藤信一君) 多数と認めます。よって、中小企業団体法案及び中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 次に、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案の原案全部を問題に供します。
 本案を第二十六回国会衆議院提出の原案通り可決することに賛成の方の御起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#118
○委員長(近藤信一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に、討論中に述べられました河野君提出の中小企業団体法案に対する付帯決議案を議題といたします。
 河野君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに、賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#119
○委員長(近藤信一君) 全会一致と認めます。よって、河野君提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 この際、通産大臣から、ただいまの付帯決議について御所信をお述べ願います。
#120
○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいま御可決になりました付帯決議につきましては、われわれも全く同様の考えを持っておりまして、今後御趣旨に従って善処して参ります。その点は、どうぞいろいろ今後とも御指導をお願いいたしたいと思います。(拍手)
#121
○委員長(近藤信一君) それでは、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出する報告書の作成、その他、事後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#122
○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 それから報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。
   多数意見者署名
  〔中小企業団体法案及び中小企業
  団体法の施行に伴う関係法律の整
  理等に関する法律案〕
    高橋進太郎  青柳 秀夫
    大谷 =雄  西川彌平治
    小西 英雄  小幡 治和
    小滝  彬  小山邦太郎
    古池 信三  高橋  衛
    河野 謙三  梶原 茂嘉
  〔中小企業等協同組合法の一部を
  改正する法律案〕
    高橋進太郎  青柳 秀夫
    大谷 =雄  西川彌平治
    小西 英雄  小幡 治和
    小滝  彬  小山邦太郎
    古池 信三  高橋  衛
    河野 謙三  梶原 茂嘉
    相馬 助治  阿部 竹松
    松澤 兼人  岡  三郎
    海野 三朗  島   清
    大竹平八郎
#123
○委員長(近藤信一君) それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午後九時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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