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1957/11/11 第27回国会 参議院 参議院会議録情報 第027回国会 社会労働委員会 第5号
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1957/11/11 第27回国会 参議院

参議院会議録情報 第027回国会 社会労働委員会 第5号

#1
第027回国会 社会労働委員会 第5号
昭和三十二年十一月十一日(月曜日)
   午後一時二十七分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
十一月八日委員坂本昭君辞任につき、
その補欠として藤原道子君を議長にお
いて指名した。
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     阿具根 登君
   理事
           勝俣  稔君
           木島 虎藏君
           山下 義信君
           中山 福藏君
   委員
           有馬 英二君
           紅露 みつ君
           鈴木 万平君
           谷口弥三郎君
           横山 フク君
           片岡 文重君
           木下 友敬君
           藤田藤太郎君
           山本 經勝君
           田村 文吉君
           竹中 恒夫君
  衆議院議員
           石橋 政嗣君
  国務大臣
   労 働 大 臣 石田 博英君
  政府委員
   内閣官房内閣審
   議室長     磯田 好祐君
   調達庁長官   上村健太郎君
   労働省労政局長 亀井  光君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   農林省畜産局競
   馬官      竹内 直一君
   労働大臣官房会
   計課長     松永 正男君
   労働大臣官房国
   際労働課長   宮本 一朗君
   労働省基準局長 堀  秀夫君
   労働省職業安定
   局長      百田 正弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○駐留軍関係離職者等臨時措置法案
 (衆議院送付、予備審査)
○労働情勢に関する調査の件
 (昭和三十三年度労働省関係予算に
 関する件)
 (駐留軍の撤退に伴う労務者の失業
 対策に関する件)
 (日雇労務者の期末手当に関する件)
 (一般労働情勢に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿具根登君) 委員会を開きます。
 委員の異動を報告いたします。十一月八日付をもって坂本昭君が辞任され、その補欠として藤原道子君が選任せられました。
#3
○委員長(阿具根登君) 労働情勢に関する調査の一環として、昭和三十三年度労働省関係予算に関する件を議題といたします。
 まず、労働省当局から説明を願います。
#4
○説明員(松永正男君) お手元に差し上げました資料につきまして、昭和三十三年度の予算の重要事項につきまして、逐次御説明を申し上げたいと存じます。
 もちろん、これは労働省の大蔵省に対します要求案でございまして、今折衝を継続中でございますので、その点御了承願いたいと存じます。
 三十三年度の労働省予算の重点といたしましては、四つの事項を柱といたしてございます。第一は雇用安定政策の推進でございます。それから第二が給与対策の確立、第三が労働教育の強化、第四が労働者の保護と福祉の増進、この四つの柱を重点事項といたしまして、予算要求をいたしてございます。
 第一の雇用安定政策の推進でございますが、これの重要事項といたしましては、一つは総合的職業訓練制度の確立であります。第二は失業対策事業の整備充実でございます。この二つを雇用安定政策の二大重点といたしまして、要求をいたしてございます。
 総合的職業訓練制度でございますが、技能労働力に対します需要が、産業の進化につれまして、非常に多くなって参っておりますが、反面これに対します労働力の供給の面におきましては、十分に要求される技能労働力を供給する現状になっていないという現状でございます。また他面、中小企業におきます振興対策におきましても、技能労働力の培養ということが強く要請されておりますので、雇用対策面並びに中小企業の対策面の両面からいたしまして、技能労働力の計画的な培養ということが現在要求されておるわけでございます。この要請にこたえますものといたしまして、昭和三十三年度におきましては、従来ございます各種の職業訓練の制度を総合的なものといたしまして再検討を加えまして、職業訓練制度の基礎を確立いたしたいということでございます。現在、職業訓練の実質を持っておりますもので、労働省で実施しておりますのは、技能者養成の制度を実施しております。それから職業補導所によります職業補導をやっております。それから監督者訓練制度をやっております。これらの制度が、従来の形におきましては、個々ばらばらに行われておる状況でございますので、これらを一つ一つ検討いたしまして、総合的な訓練制度として確立をいたしたい。それとあわせまして、技能の国家横定制度を作りたいということでございます。このために、職業訓練法の制定を考えておるわけでございます。目下、これらの内容につきまして、検討をし、準備をいたしておる状況でございます。
 予算要求の中身といたしましては、二ぺージ以下に主要なものを掲げてございますが第一は、中央職業訓練指導所の設置でございます。第二が総合職業訓練所、第三が一般職業訓練所、第四が特別職業訓練、第五が企業内職業訓練、この五つの方法によりまして、これらを総合的に結び合せまして、職業訓練制度を推進いたしたいという考えでございます。予算額といたしましては、前年度は、これらの職業訓練関係の経費が総額十三億八千四百八十九万六千円になっておりますが、昭和三十三年度におきましては、これに対しまして約四十億円の要求をいたしております。その他、これに伴います人件費、事務費等を要求してございます。
 それから雇用安定政策の第二番目といたしまして、失業対策事業の整備充実を掲げてございますが、要求額におきまして、前年度百八十七億に対しまして、三十三年度におきましては三百九十九億円の要求をいたしてございます。これの重点といたしましては、四ページに掲げてございますが、まず、失業対策事業の吸収人員は三十万を目標といたしております。それから内容につきましては、(2)に掲げてございますように、事業効果、建設効果の高いものに重点を置くという方針のもとに、特別失業対策事業を重点といたしまして、そのほかに、いわゆる一般失対事業におきましても、特に建設的の効果の高いものに重点を置く趣旨から、特別に一般失対のワク内に選定事業というものを創設いたしまして、事業効果を高めるということを目標にいたしております。これに対応いたしまして、事業費の中におきましても、適正な単価の増額を要求いたしております。それから就労日数は、現在月間二十一日就労でございますが、二十二日に増加する要求をいたしております。それから失業対策事業の推進につきまして、財政面において地方負担の問題が従来出ておりますので、地方財政の現状とも考え合せまして、国の補助の補助率を高めまして、地方財政負担を軽減したいということで、これは従来とも、昭和三十二年度におきましても高率補助制度をとっておるのでございます。これを拡充いたしたいという要求をいたしております。それから第六番目といたしまして、駐留軍離職者、あるいは石炭離職者というような、集中的に失業者が多発する地域に対しましては、一般の公共事業のワクに特別公共事業という特別のワクを作りましてこれを計画的に多発地帯に投入して参りたいという計画をいたしてございます。
 以上が、大体昭和三十三年度におきます失業対策事業の内容のおもな点でございます。予算の額におきましては、五ページに掲げてございますように、一般失業対策費が二百四十六億、この中に、先ほど申し上げました選定事業の七十億を含めております。それから特別失業対策が百五十二億、吸収人員は、一般失対が二十三万人、うち、選定事業は五万人でございます。特別失対事業が五万人、合せれば二十八万人となるわけでございます。三十二年度におきましては、ここに書いてございますように、予算額におきまして百八十七億、吸収人員におきまして二十万五千人となっております。このほかに、先ほど申し上げましたように、一般の公共事業の中に特別のワクを二万人設けまして失業者多発地帯に対する対策といたしたい。これを合せますと、合計吸収人員の目標が三十万人ということになるわけでございます。
 それから建設省所管に計上してございます臨時就労対策事業、備考の(ロ)に書いてございますが、これは、昭和三十二年度におきましては、二万人を予定いたしておるわけでございますが、三十三年度におきましては、これを特別失業対策事業の中に吸収をいたしたい。特別失対五万人の計画の中にこれを含めてやって参りたいという考えでございます。
 次に、給与対策でございますが、給与対策は、二つの柱を立ててございますが、一つは最低賃金制度の実施でございます。第二は合理的賃金体系の確立、これを二つの柱といたしまして、給与対策を推進いたしたいという要求をいたしております。
 最低賃金制度につきましては、ただいま労働省の中央賃金審議会におきましてその内容につきまして御審議を願っておる段階でございまして、これがまとまりました後に、さらに具体的に内容を確定いたしまして、案を得るということになっておるわけでございます。ここに掲げてございますのは、まだ未確定の段階でございますが、一応の事務的な案といたしまして経費の要求をいたしてございます。総額におきまして二億三千二百五十九万八千円を要求してございます。その内容といたしましては、この註に書いてございますように、業者間協定の推進、最低賃金審議会運営費、指定業種の実態調査費、拡張共通適用賃金決定費等、その他人件費、事務費等でございます。
 第二の合理的賃金体系の確立でございますが、これは、賃金の基本調査を行うということが一つでございます。それから海外におきます賃金の実態を調査いたしたいというのが第二でございます。それから第三には、統計的にこれを専門家に委嘱をいたしまして研究をいたしたいというのが第三点でございます。賃金基本調査につきましては、従来実施しております職種別等賃金調査がございますが、賃金問題につきましての各面からの検討にたえるものといたしましては、現在の調査はまだ不十分でございますので、昭和三十三年度におきまして基本的な調査をいたしたいという経費を要求してございます。これが約一億円でございます。第二の海外の賃金事情の調査費は、これは職員を海外に派遣をいたしまして、欧米諸国における賃金の実態の調査をいたすための経費でございます。それから第三の労働経済統計の研究費は、これは関係の学者等の御参加を願いまして、これらのデータにつきまして専門的な見地から検討を願うというための経費であります。
 次に、第三といたしまして、労働教育の強化を重点施策といたしております。従来労働教育につきましては、労働省におきまして継続実施をいたしてきておるのでございますが、労使関係の問題につきましては、非常に社会的な基盤も広いわけでございまして、労働教育を本格的に実施いたしまして健全な近代的な労使関係を確立するというためには、民間団体におきまして広範な面から強力な活動をやるということが必要であると考えましたので、三十三年度におきましては、政府の補助金によりまして民間団体を設立をいたしまして、これによって公正な広範な強力な教育を実施するという計画をいたしております。で、三十億円を要求をいたしております。
 第四番目といたしまして、労働者の保護と福祉の増進でございますが、この内容といたしましては、第一は婦人及び年少者の保護福祉対策でございます。それから第二といたしましては、五人未満の中小企業労働者に対する失業保険制度の適用、この二つを柱といたしております。
 婦人及び年少労働者の保護福祉対策につきましては、従来とも各種の施設を設置をいたしましてこれを推進いたしておるのでございますが、昭和三十三年度におきましても、労働青少年ホーム、労働婦人センター、家事サービス公共職業補導所、それから簡易家事サービス公共職業補導所、内職公共職業補導所等を、新設ないし拡充をいたしたい計画でございます。拡充の個所数は、ここに掲げてございますような数に拡充いたしたいという計画でございます。
 それから五人未満の中小企業に対します失業保険制度の適用につきましては、昭和三十三年度におきましては、適用を拡充するという方針のもとに、その準備を実施するという考え方の予算の要求をいたしてございます。中小企業労働者の実態につきましては、非常にいろいろな角度から検討を要する点がございまして、保険にどのようになじんでいくかという点がございますので、これを十分に検討をいたしまして、昭和三十三年度におきまして準備を完了いたしまして、昭和三十四年度以降におきまして五人未満の適用を考えて参りたいと思います。そのための準備並びに啓蒙宣伝のための経費を要求してございます。これが千三百六十九万円でございます。
 以上きわめて簡単でございましたが、昭和三十三年度要求の概要につきまして、御説明を申し上げました。
#5
○委員長(阿具根登君) 労働省側から石田労働大臣、ただいま説明しました松永会計課長、亀井労政局長、堀労働基準局長、谷野婦人少年局長、百田安定局長が見えておりますので、お含みの上、御質疑を願います。
#6
○中山福藏君 ちょっと労働大臣にお伺いいたします。これは雇用安定政策の推進ということが第一に打ち出してありますが、これは一応の何ですか、経企庁あるいは建設、運輸両省とか、政府の全般にわたって、現在までにおける失業者の数とか、あるいは職業の範囲とか、そういうものを一応総合的に吟味せられてこれは樹立された政策なんですか、それをちょっとお伺いいたしておきます。
#7
○国務大臣(石田博英君) 明年度におきまする雇用、失業の状況については、各省間の一応の打ち合せは遂げております。今説明をいたさせます。
#8
○説明員(百田正弘君) ただいま御質問のございました職業安定制度について二つございますが、一つは来年度の失業者の数、これは短期的な失業情勢につきましては非常に予測困難でございますけれども、今日までの状況並びに今後のたとえば駐留軍の大量離職その他の問題もございますので、それを一応見込みまして、従来の経緯も考えまして、一応算定した数字でございます。
#9
○国務大臣(石田博英君) 御質問は、各省間の調整をどうするかということなんです。
#10
○中山福藏君 そうなんです。そこをはっきり言ってもらいたいと思います。
#11
○説明員(百田正弘君) 各省間の調整につきましては、建設省その他とも連絡はとっておりますが、今後の情勢に応じまして、さらにこれを固めて参りたいと思っております。
#12
○藤田藤太郎君 私は、今説明をされたのでは十分に質問が尽きていないと思いますけれども、まずそれをお断わりしまして、一、二問題点を質問をしてみたいと思うのです。
 第二の一、二ですね。失業対策事業の拡充ということで、昨年より非常に努力をして対策を立てようとしておられることについては、敬意を表するものでありますが、労働大臣はこの前の、九月でしたか、経済政策を立てるにも、労働者の保護という問題を中心に経済政策を立てなければならぬ、これは信念としてやり遂げるのだということを言われた。今の統計ですが、労働力調査なんかに出てくる要するに完全失業、顕在失業者といわれるのは五十万の先、六十万というところだと思うのです。しかし、御承知の通りそればかりでなしに、多くの潜在失業者が、外国であまり例を見ない潜在失業者がおるということは、これはもう事実でございます。それどころか、私は不思議でならないのですけれども、この前の委員会に労働大臣がお見えにならなかった。そこで私は九月の十日だったか十一日だったと思うのですが、ここでこの考え方をおっしゃっていただいて、その二、三日さきに労働大臣が関西経営者協会に行って発言されておる内容を見ると、明年度は五十万、六十万をこえて百万以上の失業者が出るということをおっしゃっておるわけです。これは総合的に、外貨の不足その他経済界の投資の繰り延べその他から私は来て、そういう工合に判断されたと私は思うのです。そうなってくると、どういたしましても、今の二十万、公共事業を合せて三十万にするという努力も一つの問題ですが、見通しとして、来年の春には百万をこえるというようなことが予想されるとするなら、私はこの対策というものがどういう工合にお立てになるのか、ここには現われておりませんけれども、今度の内閣の経済政策の中にどういう工合にこの失業者を吸収、要するに就労させる対策をお立てになるのか、そういうことがきょうの何では出ておりませんので、そこを一つお聞きしたいと思います。
#13
○国務大臣(石田博英君) 前段の長期経済計画を立てまする場合におきましても、今までは物やそれから財政の面からの検討、それを軸にした検討、計画が多かったのでございますが、結局私どもといたしましては、労働情勢、特に年々新しく参加をいたして参りまする新規労働力というようなものの状態というものをにらみ合せて、それを吸収し、かつ失業者を次第に減少せしめるということを柱とした計画を立ててもらいたい、そういうふうに考えていきたいと申しておりましたことは、その通りでありまして、今日もそれを要求いたしております。ただし、その際にも申し上げておいたのでありますが、その前提といたしまして、本年度及び明年度におきましては、国際収支改善のための緊急施策、従って、それによる経済の成長率の見方というものは、本年及び明年におきましては必ずしもその時期に乗らないということはやむを得ないと思う。しかし、それは長い将来の経済力の健全な成長というものを期待する前提として、現在の問題は容認するのであるということを申したのであります。
 もう一つは、明年度の失業者の数の見通しについて、私は大阪だけではございませんが、経営者の会合では、明年度の雇用、失業の関係というものは楽観を許さない。従って自分の企業本位の立場からだけでなく、国の労働問題全体から考えて、人間の採用その他について特別の配慮と協力を要望して回っておるわけであります。そのときには、これは私も別に確実な計算をした数字で言ったわけではありません。私は大体本年度四月――八月の平均が五十万、それに緊急施策の影響、それから駐留軍の離職者、さらに明年度の新規労働参加人口の中で就業できないものというのを合せて、非常に昨年度よりは多い数になるだろう、百万という数字も覚悟しなければならぬかもしれないのだ、ということは言いました。ただし、これは御了解いただけると思うのですが、プロパガンダであります。協力を要望するためのプロパガンダでありますから、その数それ自身に対して責任を持つわけには参りません。その数については、今できるだけ正しい数字をつかまえたいと思って努力はいたさせておりますけれども、一番わかりやすくあるべきはずの駐留軍関係の離職者の数も、なかなか的確に読むことができない状況なのでございます。しかし、決して楽観を許さない状態でございますので、特に失業対策事業につきましては、前年より多くをぜひ今回は用意しておかなければならぬと思っております。しかし、もう一つは、どうも離職者、失業者の数の伸びと、それから失業対策事業で吸収される人の数の伸びとが、必ずしも的確に並行しない場合も多いことは御承知の通りでございまして、私どもといたしましては、一つの目標にして最大限の努力をいたしたいと、こう考えております。
#14
○藤田藤太郎君 いや、私はここにおっしゃっている、経営者団体でおっしゃっていることを、大臣はプロパガンダと言われたけれども、私は何も、一万人違うとか二万人違うとか、数のことを言っているのじゃない。そういう失業者が出るということを予想されて、そういうことを言っておられる裏には、それだけの対策を立てなければならぬということが出てこなければならぬと思う。大まかに、今どれだけつかんでおられるか知りませんけれども、大まかにそのように顕在失業者が出ることをやっぱり意識しておっしゃっていると思うのです。だから、振り返ってみると、対策の問題が問題になってくる。この前の経済政策を立てるには労働者保護、それから就労の機会を作る、それを第一にして国の経済政策を立てるのだということをおっしゃっても、今では外貨の不足やその他の緊急対策によって、ここ二、三年はどうにもならないのだということであれば、当時言われたのが九月だったとたしか私は記憶する。九月で、あのときにそういう発言をされた九月というのは、私は外貨の不足して、見通しがついたやまだと思っている。幾らかその後改善がされたということが言われておりますけれども、そのときにあれだけのことを言って 一月半か二月たった今日くりっと裏を返して、外貨不足その他の緊急対策で失業者の方へは手がつかないのだということでは、われわれはどうも大臣の発言というものはなかなか期待ができないのじゃないか、こう私は今瞬間的にそう思った。そこのところをまず……。
#15
○国務大臣(石田博英君) その九月のときも、本年度及び明年度は国際収支改善のための緊急施策をどうしてもやらなければならないのでありますから、本年度及び明年度とやむを得ないと思いますけれども、長い計画を立てる場合におきましては、やはり労働力人口の伸び、それの消化ということに重点を置いてもらいたいということを、私は申し上げました。それは、就任以来終始一貫そう申しているのでありますから、特に前段だけ本委員会で省略したということはございません。
#16
○藤田藤太郎君 私は非常に、労働大臣の先日の発表に期待をしておった。今までかつて、労働大臣でこういうことを言われた人はない。大臣自身の口から、経済政策に労働政策というものは付随してちょっぴりへびりついているというような格好であるから、問題がある。労働政策そのもの、労働者保護というものを柱にして、労働政策を立てなければならぬ、これが近代国家である、こういう発言をされた。これは記憶している。好ましい状態が進められておると思っておったら、二、三年はだめだということでは、理解ができない。これは失礼な言い方になるかもしれませんが、労働大臣が、今の構想の中で、何年かのうちに労働行政をがっちりと労働大臣の信念に基いてやっていただければ、それはまた違った格好になると思いますけれども、なかなか、今までの例から見ると、そうも期待できない。そうなると、私ら労働者、私らだけを喜ばしておいて、そうして実はないということでは、私は少し困るじゃないかという問題が、今御発言その他の中から浮んでくるわけです。
 それからもう一つの問題は、関連してお尋ねしたいことは、そのようにして百万以上の失業者が出るということが予想される。日本経済の動きとの関連において判断されたのだと思うのですけれども、そこで私は日本の産業構造を見てみても、近代産業というのは世界の先進国に劣らない設備、生産能力を持っている。こういうところに働いている労働者、それからまた順次機械化、オートメーション化といいますか、そういう形の中で生産というものが、順次高速度に生産性というものが上ってきている。こういう中において、私はやっぱり雇用労働者、要するに労働者という概念だけの失業の問題、潜在失業だけの問題ばかりでなしに、農業労働力の関係からいって、非常にこれは農民の関係になるわけですけれども、これは労働省の関係じゃないとおっしゃるかもわかりませんけれども、雇用関係、労働関係ということになると、やっぱり労働大臣も労働行政の中で責任を持っておられると思う。そうすると、農民の今の細分化された中には非常にたくさんな潜在失業者がおる。昨年、一昨年と労働者に転換する数字を見ても、三十万、四十万という労働者に転換している数字が出ているのですけれども、こういうものを考えてみますときに、どうしたって私は近代設備における今の雇用関係には、労働時間の短縮というような問題が出てくる。そういう問題がやはり購買力にも続くであろうし、人間生活を守るものにも続くであろうという考え方について、どういう工合にお考えになっておるかということを、一つ聞きたい。
#17
○国務大臣(石田博英君) 私は、原則として日本のように労働力が非常に過剰な所で、そして片っ方に生産性も上りつつあるというような、生産性の上っていく場合は、あるいは労働時間の短縮等によって失業者が吸収される、雇用が増大するという機会を多く求めていくという方向に向って解決を――社会政策的にそういう考え方に原則として異存はありません。それから今度は、労働者一人々々が労働時間の短縮によってより生活が豊かになる、生活が物的の面でなくても豊かになっていくということを望むことについても、異存はありません。しかし、それは日本経済全体の規模、あるいは特に日本のような産業構造、経済条件の所におきましては、やはり国際競争に打ち勝っていかなければならないという基本的な条件、それとの関連においてやはり考えていかなければならぬのじゃないか。だから、原則としておっしゃる方向については異存はありませんが、やはりそれの前提条件は、日本経済全体の安定性と向上というものを求めつつ、その中で漸進的にそういう方向を求めていくというのが正しいのではないかと思っております。
#18
○藤田藤太郎君 その趣旨には賛成だけれども、日本経済の動きと見計らって判断をしなければならぬ、それは私は主観の問題になると思うのです。問題は、今の近代化している設備を持ち、生産を上げている工場が、たとえば外国のように四十時間制を実施している所とどれだけの差異があるということになってくると、私は差異がないと思う。むしろ、同じレベルの中に進んだところは進んでいる。そういうものに対して経済がどうのという理屈というものは、われわれにはなかなかわかりにくい。大胆にそういう方向の趣旨が賛成なら、それを積極的に進めてみようというところに、大原則として言われている労働大臣の労働者を守っていこう、本来の労働行政を全うしていこうというお気持に合ってくるのじゃないかと私は思うのですけれども、最後の点で、日本の経済と見合って云々ということになると、そこのところがはっきりしない。どうなんですか。
#19
○国務大臣(石田博英君) 労働者の生活条件の向上というものが、他の日本経済の諸条件と遊離してはあり得ないのでありますから、私は、やはりその両者の調和を求めていってこそ、ほんとうの健全な労働者諸君の生活の向上が求めていけるものだと思っております。特に現在の状態において重点を置いて考えなければなりませんのは、やはり中小企業に働いておる、非常に大企業、公企業と比べて低い労働条件の中にいる人たちの労働条件の向上でございますが、その向上を考える前に、なぜ両者の間にそんなに開きが出てきているか。これはやはり一つには、日本の人口過剰、労働力過剰ということによる労働力のダンピングが行われているということが一つでございますが、いま一つには、中小企業の生産性が低い。かつ企業別ごとの統計を見てみましても、賃金較差はちょうど生産性の較差に並行しておるというような状況でございますから、やはり生産性の向上ということと並行していかなければならぬと思います。その生産性の向上を行うべき責任は、私は大半はやはり経営者の側にあり、あるいは同時に、それに相伴って政府側の施策もともどもに、今までのそういう状態についての私は責任を負わなければならぬと思いますが、それだからといって、急速にその基礎条件を無視して片一方だけを進めていくということになりますと、労働者諸君の生活をささえる土台をこわすことになりますから、私は方向としてはそういう方向に向って努力していくということについて異存はなく、かつ積極的に努力をしたいと思いますが、その速度はやはり他の諸条件と見合っていかなければならぬと考えている次第でございます。
#20
○藤田藤太郎君 私は、今の面は人の生活を守る面だけれども、日本の雇用対策、完全雇用の政策の中の一つとして今の問題を申したわけですが、だから、私はそういう施策を講じられたのは、外国にも例はなしとは言わない。購買力を維持するという形から、人間の身体を疾病から守っていくという意味にも通ずる、あわせて経済回転にも通ずるという考え方で、労働大臣は、趣旨は賛成だけれども、最後のところで少し食い違った。だから、この点はまあこれぐらいにしてやめておきましょう。
 それで、次のこの何について質問をしたいのでありますけれども、給与の問題なんです。それで、この最低賃金制をやるという工合に説明をされました。今、賃金審議会でその内容を検討しているんだということも説明をされた。そこで問題は、どうもこれはひがみかわかりませんけれども、四月の十二日に業者間協定促進云々という次官通牒が出ているわけです。あれを見ますと、どうもその低生活者の生活を守るというものにあれだけでつながるとは、われわれはどうしても考えられない。だから、問題は、たとえば一定の生活まで貧困な非常に低い人を引き上げていくというところにおいて、最低生活の保障というものが確立をするのである。たとえば、業者にその払える賃金と言ったって、自分の利益をまず第一にして第二の問題として賃金を考えるような形の中で、業者間協定といったところで、生活保障ができるかどうかということを非常に疑問に思っている。そういうものが次官通牒として出ている。こういうものと、この審議会はこれは民主的な機関ですから、フリーな形で審議されていることだと思いますけれども、これに対して労働省がどういう格好で示唆されているのか、どういうテーマをあげてこの審議会では審議が行われているのか、この辺の点を一つお聞きしたい。
#21
○国務大臣(石田博英君) 今、労働省でやっておりまする業者間協定だけで、今おっしゃったような趣旨が完全に達成されるのだということは、つゆさら考えておりません。従って、それだからこそ、最低賃金制を実施したい、法律として提案したいと考えているわけでございます。しかし、今まで私どもの役所で推進をいたしておりました業者間協定でも、決してその低賃金をそのままくぎづけするというような結果にはなっていないのでありまして、平均をいたしますると、一〇%程度の賃金の上昇を示しているのでございます。
 それからもう一つ、それでは中央賃金審議会で今御審議願っているのに対して、私どもの役所としてどういう示唆を与えているかということでございますが、私どもの方の役所といたしましては、中央賃金審議会の自由な御議論におまかせをいたしているのでございまして、私どもの方として一定の方向を考え、一定の内容を考えてあらかじめこれを示すというようなことは、いたしていないのでございます。従って、この政府の考えている最低賃金制の内容については、しばしば議会その他で御質問があるのでございますが、御質問に私がたとえば個人の構想でもお話しをすることは、やはり中央賃金審議会の自由な御審議を妨げると考えまして、それさえもいたしていないというような状態でございます。
#22
○藤田藤太郎君 それでは、今の賃金審議会の見通しですね、ここで、いかにも今度の、次の通常国会に出すような雰囲気が説明の中に出ていたと思うが、見通しはどうですか。
#23
○国務大臣(石田博英君) 中央賃金審議会では、十二月初めまでには一応の御結論を出して下さるという御意向を、こちらの方にお漏らしいただいております。それから、いかにもとおっしゃいましたが、決して文章をつくろっているわけではないのでありまして私は何とかして通常国会には相当無理しても出したい、こう考えておる次第であります。
#24
○藤田藤太郎君 わが党は、最低賃金法と家内労働法を国会に提案をいたしまして、審議が十分に取りくまれていないという残念な状態でありますけれども、これはいずれ出てきますから、そのときに大いに問題の点を明らかにいたしましょう。
 そこで、次の問題ですけれども、労働教育の強化に三十億円をつぎ込むということですが、どういう方法で、どういうことをやられるのですか。
#25
○国務大臣(石田博英君) 私は、日本の労働問題について、労使双方の間に誤解と未熟さというものを非常に痛感をいたします。使用者側の中で、特に中小企業の経営者の中にはまだ、労働組合といえば、それだけで現在の社会秩序、経済秩序に相いれないものだと考える人が、まだ相当残っておりまするし、さらに、何とかしてすきさえあらば、そういう条件の低下をはかることがいい労務管理だと考えておる人も、相当残っております。逆に、組合側の動きを見てみましても、戦後次第によくはなってきております。健全化の道をたどってはきておるとは思いますが、しかし、なお、現在の社会経済秩序ととけこもうとしないで、というよりは、むしろ労働組合の力を借りて現在の社会経済秩序というようなものをこわすことが労働運動の根本的目標であるかのごとく考えておる人もございます。さらに、同じ組合と申しましても、当然与えられた権利についての理解というものが非常に乏しい、非常に意識の低い組合もまだある。従って、労使のよき慣行を打ち立てて参りまして産業平和を確立いたして参りますためには、労働問題について労使双方に対する理解の度を深めまするとともに、やはり社会一般に対して労働問題の実態というものについてよく知っていただくことが、私は必要だ。
 それを強く感じまするとともに、西欧諸国の例を見るにつけましても、こういう点について相当大きな仕事をいたしておるようであります。特に、日本のように労働問題についてとりわけ後進的な性格を持っておる所におきましては、一そうその必要を痛感いたします。しかし、それが政府の部内にございますことは、一つにはよけいな勘ぐりをされる。政治的な一定の方向を強制しようとするのではないかという、よけいな勘ぐりをされることが一つであります。いま一つは、ここにずいぶん官僚がおりますからお差しさわりがあるかもしれませんが、お役人のやる宣伝活動あるいは教育活動は、実態はあまり効果がございません。そこで、民間団体を設立して、その民間団体に無拘束でおまかせして、そして労働問題の教育をやっていただきたい、こう考えるわけでございます。そこで、それを年々の補助金という形をとらないで、基金制度によって運用をいたしましょうというのは、この仕事をしてもらう人々の身分の安定をしなければなりません。それからやはり政治と直接の結びつきを避けるためには、年々の補助金ということになりますと、どうしてもそれが毎年々々政府から拘束されることに――あるいは拘束しようとしないでも、影響を受けることになります。基金を作って、その利子で運用することになりますると、それだけ政治の拘束力が省けることになりまするから、私はやはり民間団体、そうしてまた基金を作ってやっていくということが、この際一番正しい方法と、こう考えておる次第であります。
#26
○藤田藤太郎君 きょうは質問だけにとどめておきますけれども、今の説明の前段にあった破壊的な労働活動がある云々というような言葉が、ちょっと出たのです。私は、労使というものは、あくまで自主的に労使が問題点を、交渉により、話し合いによって、自主的に解決していくというのが、私は建前だと思うのです。そのほかに、調整事項という法的な機関の調整事項によってやはり残ったものを調整していくという一あくまで労使の関係というものは自主的なものです。そういうのを、破壊的な云々というような格好で、それは労働大臣が認識されるのだから、どういう認識をされようとわれわれの知ったことではないけれども、そういう認識というものを労使間に振りまくということは、行政の立場から、また行政の長としての立場から、そういう形で労使関係を見る、労働運動を見るというところに、私は重大な問題があると思うのです。これはこれだけでとどめておきますけれども、今の問題は非常に問題が残っていると思います。議論をすれば、これは私らにも非常に議論のあるところです。私はそういう格好で労働省が労働運動を見てはいかぬと私は思います。それだけを申し上げておきたいと思う。
 そうすると、この三十億というのは、基金制度によってその利子ですか、そういうものによっておやりになる。それでは具体的にはどういうことですか。一年度にはどれくらいのことができるのですか。
#27
○国務大臣(石田博英君) 具体的な計画は、労政局長から説明をいたさせます。
 今、私は、誤解のないように申し上げておきます。労働運動全体に対してそういう批評をいたしたのではございません。労使双方に、私の認識として、そういう傾向が見られる。労使双方に対して、労働問題に対する理解が、自分の考えでは不十分な点が見られる、こういう私の認識を申し上げた次第であります。全部に対して言ったわけではない。一部分のことでありますから、どうぞ誤解のないように……。
#28
○政府委員(亀井光君) ただいま労働大臣から御説明のございました民間団体の事業の内容でございますが、三十億の基金でございます。これを信託投資に運用しますと、、七分八厘に運用できるわけです。そういうところから計算をしまして、大体平年度二億五千万円の予算は運用できるようにしたいというねらいでございます。その中には主として人件費と、事業費と大きく分れますが、人件費におきまして約九千万円、事業費に約一億五千万円。そのほか、事業に伴いまする収入がございます。そういうものを入れまして、大体二億五千万円程度の事業をやるというふうに考えております。
#29
○藤田藤太郎君 そこまではわかりましたけれども、どういうことをおやりになるのですか。
#30
○政府委員(亀井光君) 事業の内容は大きく二つに分れるのでありますが、一つは調査研究、一つは教育的な活動の面でございます。調査研究の方は、実態のいろいろな調査、これは労働協約とか、労働問題に関する基本的な問題のすべての調査、これは労働者の生活問題まで入る調査もここでやっていただくようにいたしたいと思います。その調査の結果に基きまして、全国で、将来におきましては労働学院のようなものにまで発展させて参りたいと思いますが、とりあえず講師を派遣しまして、地方でそれぞれ調査の結果について労使の啓蒙をしていく、あるいは組合の養成、あるいは使用者側の養成によりまして、講師を派遣しまして、それぞれやっていく。そのほかに、この団体だけではまだ十分調査し切れない専門的な事項につきましては、大学等に、あるいはそのほかの民間の特殊な団体に、委託調査をさせるというふうな経費、それからその調査の結果につきまして資料を発行いたしまして、それを労使並びに一般国民に啓蒙していく、あるいは労働組合の文化活動、これらにつきましても助成、援助していく、こういう形のものが大体調査研究の方でございます。
 それから一般的な啓蒙としましては、今「週刊労働」を労働省で発行しておりますが、こういうふうな週刊誌の発行、あるいは啓蒙用のパンフレット、リーフレット、こういうふうなもの、あるいは放送、これが一番私は効果があると思うのでございますが、ニュース、あるいは講座、あるいは座談会、あるいは劇というふうなものを通じまして、労使の教育あるいは一般国民の教育というふうなもの、あるいは映画作成、いろいろなこういうふうなものを一応は考えております。
#31
○藤田藤太郎君 今のことは、これは今度の予算の要求の問題ですから、あとで資料をいただいて研究したいので、見せていただきたい。
 もう一つお尋ねしておきたいのですが、第四の(一)の、婦人少年保護福祉対策の問題ですけれども、私たちが地方を視察に行きますと、一番実情においても訴えられることであり、私ら自身も一番よく感ずることは、婦人少年局の出先の機関に人が足らぬということだと思うのです。ここでいろいろと施設を置かれる予定がされておりますけれども、現在室長ともう一人しかおらぬ、多い所で三人しかおらぬということについて、あのままでいいと考えておられるのか、その点解せないから、ちょっと最後にお尋ねしておきたい。
#32
○国務大臣(石田博英君) 私も、地方を回って、今の御説のことは非常に痛感をいたしております。同感でございます。何とか改善の措置を考えたいと思っております。とりわけ、協助員の方々には、非常に大きな仕事をお願いしていながら、実はほとんど実費の何十分の一ぐらいしかお報いできていないというような点については、非常に顧みてじくじたるものがございまするので、その改善にも努力したいと思っております。
#33
○中山福藏君 ちょっと大臣にお伺いしたいと思いますが、この三十三年度の予算の説明書を見ますと、大体抽象的に大ざっぱに項目だけをあげてありますから、いずれ他の機会に小さい質問はいたしたいと思いますが、大体日本の失業対策というものは、雇用人員というものが飽和状態に企業の関係から来ておるのじゃないかという気持がいたすのです。政府は、毎年々々同じようなことを繰り返されるわけですが、どうもドイツなんかの状態を見ますと、日本の本島と同じくらいの国で五千一百万の人間がおって、人間が足らずに困り切っておるのです。これは要するに、新規事業というものが新しい人を必要とする場面というものを作り上げていると、私は考えているのです。で、現在のままの経済状態のもとに、完全雇用というものをずいぶん努力しておられますが、もう少し新しい事業を計画するというところに、経済企画庁なんか一つ新規な面というものを開拓されてそこにたくさんの人を投入していくということにならなければ、これは従来のあり方を繰り返し巻き返し、盆どうろうのようなことをしているのじゃないかと私は見ているわけです。なぜドイツが人間が足らないかということは、これは大いに一つ労働省なんかで御研究になる必要があると思うのです。
 そこで、この三十万人というものを一応吸収して救済する、まあこういうふうに目標が出ておるわけです、これでは。そうすると、潜在失業者というものは百万あるいは七十万ある。あなたのプロパガンダという線からいけば、相当数あると思う。これは三十万を対象としていけば、年間百万人と仮定して、七十万人はほうっておくつもりか、あるいはそれに対してどういう手を打たれるか、そこまで考えていられるかどうか、そこを一つ承わっておかなければ、あとの点は明白だと考えられますから、その点を一つ伺っておきます。
#34
○国務大臣(石田博英君) ドイツだけでなく、やはり経済の上に特に新しい事業を含んだ経済の成長率というようなものを期待し続けていなければ、日本のような条件のもとにおける雇用の増大がむずかしいということは、私も同感であります。従って、結局、先ほど申しましたように、長期経済計画の樹立に当りましても、労働人口の伸びというか、その吸収というものを目標にしなければ、私はほんとうの長期経済計画は立たないと、こう考えておるわけでございまして、本年度のような事情のときはやむを得ないといたしましても、やはり基本目標はそういうところに置いて参りたいと考えておる次第でございます。
 ただ、労働人口、一般に日本の人口の将来にわたる見通しというものを考えてみますると、やはり昭和五十年ごろを絶頂といたしまして昭和五十年から、すなわち昭和二十三、四年以後漸次出生の数が減って参りますが、それがだんだんと労働人口、労働適正年令に達して参りますときをお考えになりますると、だんだんその数が減って参る。従って、一番苦しい時期は、やはり昭和五十年ころまで、四十五年になるとまあ下降線をたどってくるのじゃないかと私は思っておりますが、その間のつなぎは、実は非常に困難でございます。
 今御質問の百万くらい想定されるのに、三十万程度であとをどうするつもりか。あとはこれは、三十万人というのはいわゆる失業対策事業、筋肉労働で吸収するものであります。残余は、やはりそういうのが、先ほどからしょっちゅう問題になりますいわゆる潜在失業とでも申しましょうか、安定しない雇用の面へ参ったり、あるいは他の家族の労働に寄食したり、そういうような形をとっているのだろうと思います。が、そこまで手が伸びないのは非常に残念でございますが、その埋め合せといたしましては、この案の中にも申し上げておりまするように、職業訓練制度を積極的に進めて参りたい。というのは、相当数のはっきりした失業者があるにかかわらず、一方におきましては、いわゆる未充足求人の数も十数万人を数えております。すなわち、技能、技術がございますると、雇用の条件というものは非常によくなっておりまするので、そういう点の解決により多くの努力を傾注したいと思っております。
 いま一つは、新規学校卒業者の構成の工合でございまするが、まあ理科系統の卒業生はほとんど足りないくらい。それに反して、文科系統の方はいつでも非常に就職難、特に昨年からことしにかけては激しいのでございます。特にことしは一番激しいようであります。学校等の統計を文部省で集めておりますが、それは八〇数%、あるいは九〇何%という数が出ておりますようでありますが、それは学校の一種の、それこそプロパガンダでございまして、その場つなぎの仕事についても、あるいは家に帰って家業についているような人まで就職に入れておるような計算方法をとっておるようでございまして、私は、先般来文部省に対しましても、この雇用の状態を説明をいたしまして、文部省の行政指導に一つ注意を喚起いたしておる次第でございますが、明年度の初頭ころまでには、この新規卒業者の状態にかんがみまして、新しい入学者に注意を与える意味におきましても、正確な新学校卒業者の就職状況の統計を取りまとめまして、注意を喚起したいと思っておりまするけれども、これは何分法律でどうできる種類の問題でございませんので、非常に苦慮はいたしております。
#35
○藤田藤太郎君 今の労働大臣の話を聞いていると、非常に長くかかるように言われておる。ところが、私はこれに関連し政府の考え方をお聞きしたいと思うのですが、私は今日の世界をながめてみて、労働者保護、労働者生活水準を上げる、こういう建前で国際労働機関ILOというものがあって、戦後日本は、非常に熱心にわれわれも希望したのですが、ILOに加盟するには非常に熱心だった。私どもも熱心だった。で、ようやく再加盟が許されたのでありますけれども、このILOにはいろいろの問題を1条約を百四つですか、その他勧告、決議というものをたくさんきめております。だから、このILOに対するお考え方を、これはいずれわれわれは国会で批准をして、国際的労働基準の上に日本の労働者も上げていかなきゃならぬという重大な問題もありますので、基本的な問題だけをちょっと政府に、関連して聞いておきたいと思うのです。
 で、まず第一に、ILOが取りきめた条約、勧告、決議というものは、われわれ委員会にはまだ一度も配っていただいていないんですけれども、こういう問題について資料を早急にいただきたいと思うのです。きょうここで、幾つくらいあるかということだけ一つ、御返事を願いたいと思います。
#36
○国務大臣(石田博英君) 勧告とか決議が行われますると、お手元に必ず配付はいたしております。この委員会に限らず国会議員みんな、ロッカーには必ず配付をいたしております。現在までの状態については、今国際労働課長から説明いたさせますが、資料は今までずっと配付をいたしております。
#37
○説明員(宮本一朗君) 国際労働憲章の規定によりますと、総会が終りまして、その総会におきまして採択になりました条約及び勧告につきましては、一年以内、おそくとも一年半以内に権限ある機関に手続をとることになっております。権限ある機関と申しますのは国会でございますので、昭和二十八年の閣議決定の手続によりまして、日本文のテキストを添えまして国会に提出いたしております。
#38
○藤田藤太郎君 憲章の十九条の5の(b)ですか、ここには十八ヵ月以内に手続をしなきゃならぬと書いてあるわけです。で、それは一年とか一年半とかいうことでなしに、明確に憲章に書いてある。だから、単に資料を配付するだけが、政府が参加された会議で、単に資料……。私はもらっていませんけれども、配付されたというのならそれでいいでしょう。しかし、単に資料を配付するだけで事足りるものじゃない。この政府も参加された決議というものを実現するというところでなければ、私は意味がないと思う。
#39
○国務大臣(石田博英君) 資料を配付というと、言葉が非常に、ロッカーの中へ入れるだけだということになるのですが、そうじゃなくて、国会に対して報告をいたしまして、私どもの方で勝手に配ってるわけじゃないんで、報告一をしたものを配付しておると、こういうことでございます。
#40
○藤田藤太郎君 私は、今ここにおられる委員の方でも、これを批准するかしないかを発議するような手続というものは、政府はとっておられたことは一ぺんもないと私は認識している。それはいかに言われても、そういう形はとっておられない。十八ヵ月の間にやっぱり国会で審議する状態をやらなきゃいかぬというのが、この十九条の5の(b)に書いてあります。そこへ政府も参加して決議されている、それをおくらせているから、どうですかと聞いている。
#41
○国務大臣(石田博英君) 政府が批准すべきものと考えたものにつきましては、批准手続は戦後ずっととっております。それから国会に対して報告を――その今の十九条の5ですか、その規定は国会に対して報告をする手続規定でございまして、報告をいたしましたあとの処置は、国会で御議論をなさるなり、国会での御判断に、御処置におまかせすることになるわけでございます。政府として批准すべきものについては戦後ずっとその手続を、批准すべきものという結論に達したものは、その手続をとっておるのでございます。
#42
○藤田藤太郎君 そこで、その批准するという結論に達したものとおっしゃいますけれども、百幾つもあってその中の、私の考える限りでは条約が十七かそこら批准をされていると思うのです、日本は。だから、その百幾つの中で十七や十八の批准だけがされて、そのまま置いておるという状態では、私は今の大臣の発言は、形式的にはそうでありましょうけれども、ほんとうに政府が参加されて、使用者、労働者が参加している、三者一体で参加しているものが、それではあまりにも熱意がなさ過ぎる。憲章の精神からいっても、私は問題だと思う。そこのところ、もうちょっとはっきり言って下さい。
#43
○国務大臣(石田博英君) ただいままで批准をいたしました条約の総数は二十四であります。そのうち、主要国における条約批准数は、フランスが七十三、イギリスが五十七、イタリアが五十七、ドイツが三十三、日本が二十四、インドが二十三、ソ連が十八、カナダが十八、中国が十四、アメリカ七つということになっておるのでありまして、日本の国内事情あるいは日本の状態から考えましてあとう限り批准すべきものは批准するような処置をとるようにはいたしておりますけれども、日本が特に怠慢であるということは、私は言えないのではないかと考えております。
#44
○藤田藤太郎君 それでは、日本が一時脱退していたときの条約、勧告、決議というものも、今の精神でとにかくおやりになるわけですね。
#45
○国務大臣(石田博英君) その通りであります。
#46
○藤田藤太郎君 そこで、私は、二十四あるということはまあそれはいいでしょう、よくあとから調べてみますが、特に私は、日本の国内で問題になっているようなものがたくさん条約の中にあります。たとえば一九五四年の有給休暇は、たしか十二労働日ということになっておる、勧告ですけれども。五二年の百二号の社会保障の最低基準に関する条約、または四八年の八十七号、結社の自由及び団結権擁護に関する条約、こういうものに対する考え方はどういう工合になっておりますか、ちょっとお聞きしたいのです。一、二の例ですが、たくさんありますが。
#47
○国務大臣(石田博英君) それぞれ尊重するという建前で、批准の可否について検討をいたさせております。
#48
○藤田藤太郎君 そこで、そのそれぞれ検討をするというそれだけなら、私は事は簡単だと思うのです。ところが、これは一々、今日本は基準法で、休暇の問題を一つ取り上げてみても、六労働日なんです。順次上っていきますけれども、六労働目が基本点になっている。その次の社会保障の最低基準をきめるにも、いろいろ問題がある。結社の自由及び団結権の擁護という問題に至りましては、今の公共企業体関係の労働者の団結の自由というものを侵害するような法律が日本にある。逆締めつけといいますか、職員でなければ組合員になったらいかぬというふうなことがあるわけです。この憲章との関係を見ますと、私は非常に問題だと思うのです。これはこういう工合に国際憲章の中でもきめられたものが、私はやはりそれを尊重していくというところに、参加しているものの責務がある。そうなってくると、国内でそういう違反的な、違ったような法律があるために、憲章には批准しない、こういう格好でぼつぼつと、百幾つの条約または勧告、決議というものが、政府の意思によって勝手にやられるということは、私は国際信義上からいっても大へんなものだし、われわれ自身から考えても、これはなかなか許しがたいものだと思うのです。だから、そういう点について私は休暇の問題と団結権の問題について少し触れましたが、その点についてお答えを願います。
#49
○国務大臣(石田博英君) 尊重をするということと、支配されるということとは違うのでありまして、やはり国内の事情によって、各国ともそれぞれ尊重する建前ではございますが、検討しておるようなわけであります。批准する数が、ただいま申しましたように、各国とも違っており、しかも条約、勧告の総数が百七から下回っておるのも、そういう建前であります。従って、たとえば今御指摘の結社の自由に関する条約につきましては、ただいま労働問題懇談会にお諮りをいたしまして、御検討を願い、その結論を待って政府も検討したいと思っておる次第でございます。
#50
○藤田藤太郎君 今の私があげた二点について労働大臣はどうお考えになるか、ILOの憲章との関係において。
#51
○国務大臣(石田博英君) 今申しました通り、尊重する建前で検討を加えておる次第でございます。私は個人の見解は申し上げません。
#52
○藤田藤太郎君 どういう工合にして、それじゃ検討をされていくか、検討する手続の問題をちょっとお答えを願いたい。これは検討するということじゃ、いつまでも際限のない問題ですから……。
#53
○国務大臣(石田博英君) 特に今問題になっておりまする最低賃金制の問題と、それから結社の自由に関する条約の問題につきましては、労働問題懇談会の御意見を徴しておるところでございます。
#54
○山本經勝君 先ほど御説明の中で、三十三年度要求予算のお話があったのですが、その中で、日雇労務者の就労日数の問題、大体今まで月間二十一日でしたか、これが一日ふえて二十二日ということをおっしゃったようですが、基本的には日雇労務者の現在の就労日数は二十一日で、しかもその日額の賃金給付額が三百円ですか、そういうことに一応なっている。そうしますというと、月収にいたしまして、二十一日完全に働いた場合でも、六千円ないし六千三百円ですか、こういうことに一応なっていくと思うのです。で、そういうような月収の状態で、たとえば五人家族、三人家族という家族を扶養して生活ができないというところに、この自労の、日雇労務者の非常に大きな問題が伏在しておるわけです。ですからこそ、年々歳々各地方公共団体においても問題が起り、また労働省に対する陳情やあるいは要求が出て交渉がなされる、こういう状態なんですが、これをただ単に二十二日に一日ふやすということで事足りるとお考えになっておるのかどうか。
 その点は、労働大臣のかねてからの主張なりあるいは考え方の方向として、少くとも労働者に職を与えるという前提で、生活の安定を期待するという考えからいきます。なれば、これはもう少し考えられるべきだと思うのですが、現にベースアップの要求も、たしか一日当り五十円の引き上げを要求している。就労日数の問題では、年々歳々申し上げるように紛争が起っておる、こういう状態であるのであります。から、少くとも基本的に三十三年度の予算を要求される際には、このことを根本的に改正する必要があるとわれわれは主張して参りましたし、昨年もこの委員会でずいぶん論議をした点なのであります。二十二日の就労日が与えられるならばそれで十分である、こういうふうに労働大臣はお考えになっているのですか。その点を基本的にお尋ねしたい。
#55
○国務大臣(石田博英君) 失業対策事業に参加をいたしておられる諸君の生活状況については、非常に御同情にたえないところでありますし、私といたしましても、二十二日で十分であるというような考え方ではもちろんございません。しかし、予算総ワクとの関係、あるいは本年のように失業者の人数を多く見なければならぬという状態、その中でできるだけたくさんの人を吸収しなければならないという状態の中から、できるだけ多くの就労日数をとりたい。しかし、それも急激にはなかなかむずかしいので、漸進的に少しでもいい方向に向うように努力するように申しているのでありまして、その詳しい内容につきましては、いずれ職安局長から説明をいたすと思いますが、決してそれで十分だと思っているわけではございません。
#56
○山本經勝君 これは後ほどどうせ、日労の問題、当面する年末賞与に関する問題を本日取り上げることになっておりますから、その際にさらに突っ込んだお話を伺いたい。ですが、根本問題なんですから、労働行政の一つとして、少くとも就労の機会を多くして生活を安定させるという、しばしば大臣の言われる基本的な方向とは、およそこれでは縁の遠いもののような印象を受けるから、特に念のために基本点を伺っているわけです。
 そうすると、まず漸進的に進められるという大臣のお考え方は、たとえば一年に一日ずつふやしていくというお考えなんですか。そこら辺は、もう少し根本的な問題として、考え方と言われるけれども、何を考えておられるかさっぱりわからぬから、およそこのくらいの期間にこういうふうに、あるいは五カ年計画でこういうふうにしたいというふうな考えがなければ、漸進的にということが何が何やらわけのわからぬ実情に置かれると思うのですが、その点はどうですか。
#57
○国務大臣(石田博英君) あらゆる機会をつかんで、日数の上におきましても、待遇の上におきましても、改善をはかりたい、そういうことでありまして、年次計画をただいま立てているというわけではございません。
#58
○山本經勝君 それでは、日労の際に大臣から詳細な御説明をいただきたいと思います。
#59
○委員長(阿具根登君) 本件に対する本日の調査はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#61
○委員長(阿具根登君) この際、お諮りいたします。駐留軍関係離職者等臨時措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 駐留軍関係離職者等臨時措置法案を議題といたします。
 提案理由の説明を願います。
#63
○衆議院議員(石橋政嗣君) 衆議院の石橋であります。
 ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法案につきまして、提案者を代表いたしまして、その提案理由並びに内容の概略を御説明申し上げます。
 本案の趣旨は、わが国に駐留しているアメリカ合衆国及び国際連合軍の撤退等に伴いまして、多数の関係労務者が特定の地域において、一時に離職を余儀なくされること等の実情にかんがみ、これらの者の生活の安定に資するため、特別の措置を講じようとするものであります。
 内容のおもなる点について、その概要を申し上げますと、
 第一点は、会長及び委員十七人以内をもって組織する駐留軍関係離職者等対策審議会を総理府の付属機関として設置することであります。しかして、この審議会の会長には、総理府総務長宮をもって充て、委員には、外務、大蔵、農林、通商産業、運輸、労働、建設の各省事務次官、調達庁長官、自治庁及び防衛庁の事務次官並びに中小企業庁長官を充てるほか、学識経験者及び関係離職者を代表する者のうちから、それぞれ三名以内を、内閣総理大臣が、任命することにいたしております。
 また、審議会の権限としましては、関係各大臣の諮問に応じて、本法の施行に関する重要事項、その他関係離職者等の対策に関する重要事項につきまして、調査審議するとともに関係行政機関に建議することにいたしております。
 第二点は、関係離職者等に対して次のような特別措置を講ずることにいたしております。
 その一は、公共職業補導所の設置、新たな補導種目の追加、夜間における職業補導等でありましてこれらに要する経費は、全額国庫で負担することにいたしております。
 その一は、米駐留軍から返還された国有財産と関係離職者の住宅の用に供されていた国有財産とは、就職を容易にするため必要がある場合には、その住宅の用に供するよう配慮されなければならないことといたしております。
 その三は、関係離職者が所有している株式又は出資全額の合計額が、その資本又は出資総額の八割以上に相当する法人に対しましては、他の法令の規定にかかわらず、米駐留軍から返還された国有財産を、五年間、無償で貸し付けすることができることといたしており、なお前項の貸付を受けた法人に対しては、当該貸付を受けた国有財産の管理の状況及び当該法人の業務に関し、所轄庁の長に報告する義務を課するとともに、その報告及び業務の成績のいかんによっては、当該貸付にかかわる契約を解除することができることといたしております。
 さらに前項の貸付を受けた国有財産の管理が良好であり、かつその法人の業務の成績が良好であると認められる場合には、政令の定めるところにより、当該国有財産を競争入札によらず適正な価格で譲渡することができることといたしております。
 その四は、関係離職者の経営する事業、ただいま申しました法人または従業員の過半数が関係離職者である個人もしくは法人の経営する事業、その他多数の関係離職者が関係している事業につきましては、その事業が円滑に運営されるようにするため、関係行政機関は、その事業に必要な融資のあっせんに積極的な努力を払うことにいたしております。
 その五は、調達庁、長官との契約に基いて国が雇用主となっておりまするいわゆる間接雇用の労務者で、昭和三十二年六月二十二日前から引き続き二カ月をこえる期間、駐留軍労務者であった者が、本年六月二十二日以後において、米駐留軍隊の徹退等の事由発生に伴いまして離職を余儀なくされた場合におきましては、その者に対し、政令の定めるところによって、五万円の特別給付金を支給することといたしております。
 その六は、ただいま申し述べました関係離職者が、当該離職の日から引き続き職業につくことができない状態にある場合において、公共職業安定所の紹介した職業につくため、その住所又は居所を変更する必要があるときは、失業保険法の規定の例によって、移転費用を支給することにいたしております。
 本法は公布の日から施行し、満五年を経過すれば、一部の規定を除いて失効することといたしているほか、関係法律に所要の改正を加えております。なお本年度所要経費は約二十八億円の見込みであります。
 以上が本法律案を提案する理由並びに内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
#64
○委員長(阿具根登君) 本案に対する質疑は次の機会に譲りまして、本日の審査はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#66
○委員長(阿具根登君) 次に、駐留軍の撤退に伴う労務者の失業対策に関する件を議題といたします。
 御質疑願います。
#67
○山本經勝君 まず、委員長の方にお伺いしたいのですが、前回この委員会でこの問題を取り上げていろいろと調査を進めたのであります。残念ながら、肝心な労働大臣がおりませんので、実は十分な質疑が尽せない、従って、本日この委員会で掘り下げた質疑をし対策を伺いたい、かように考えて、次回に引き続きこの問題を審査することをお願いした。しかも、労働大臣が出てもらうことがまず前提であったわけです。ですから、今までおられて予算委員会の関係か知りませんが、一応出られた。でありますから、まず第一点としては、委員長の方から労働大臣の出席の要求をお願いしたい。これは前回の約束でありますから……。
 それから、その他の問題について調達庁の長官がお見えになっておりますから、質疑を進めてゆきたいと思いますが、よろしいですか。
#68
○委員長(阿具根登君) 労働大臣は、ただいま予算委員会から、質問の途中でございますが、要求がございますから、向うへ回しましたが、質問が向うで済み次第こちらへ来ることになっております。御承知のように、予算委員会が各大臣を呼んでおります場合には、予算委員会の方が優先いたしますから、これは御了解願います。
#69
○山本經勝君 調達庁の長官にお伺いしたいのですが、前回くどくど実は駐留軍の離職者に対する対策の推進方をお願いした、あるいはまた御質疑をした。その際に問題になりました焦点というものは、一体五万円の要求に対して、調達庁が中心になって、あるいは労働省その他関係閣僚間で話し合いをし、あるいはまたすでに設置されております特需等特別対策連絡協議会ですか等の意見もまとめてもらいたい、こういうことをお願いしておいたわけですが、その後このことについては話し合いをなさったか。あるいは掘り下げた、五万円の支出について、それに必要な対策やあるいはまた論議が尽されたのかどうか、この点をまず調達庁の長官の方から伺っておきたい。
#70
○政府委員(上村健太郎君) お答え申し上げます。前回の委員会でも申し上げました通り、私どもは労務管理者の立場からいたしまして、今回離職されます方々に対するできるだけの措置を、政府の特需対策委員会、あるいは各省、あるいは大臣を通じまして、内閣にもお願いをしたわけであります。今回の特別給付金の問題につきましては、今回離職される方々が非常に困られるという事情は、私ども管理者の立場にあるものばかりでなく、関係各省その他でも十分了解をしていただいておりますが、この問題は、政府全体の立場から見まして、一般民間の関係者の方々の他の国策の変更、国の施策の変更による犠牲者、あるいは敗戦の結果生じた犠牲者の方々との比較権衡の問題がございまして、政府全体といたしましては、この特別給付金の支出ということににわかに賛成して踏み切るわけに参らない。従いまして、九月二十四日に閣議で決定になりました政府の方針、いろいろ各項目ございますが、その事項の一つ一つを、実際の効果を上げるように、全力を尽していくということを第一義といたしまして、この離職される方々が再び他の職業につかれる、あるいは自立して仕事を始められる方々に対するあらゆる方途を講じて、政府が援助の方法をとるという方策が、数日前の閣議できめられた次第であります。
#71
○山本經勝君 今のお話は、閣議できめられたというのは、何日なのですか。
#72
○政府委員(上村健太郎君) 十一月八日でございます。
#73
○山本經勝君 前の話とほとんど変っておらぬわけなんですよ、今の長官のお話は。前にもお話しになったのは、公務員の退職条件に関する問題や、あるいは民間の国策に基く推進が結果的にこういう事態を招来するということになった場合の問題、あるいは戦争の犠牲者等に対する比例の問題、こういう問題がある。ところが、こういう問題は前にも述べられた。私は、そういうところにいつまでも足踏みしておったのでは、すでに今月末には二万五千という大量の駐留軍労務者が離職をするのです。その人が今すぐに職業補導をやったからといって職業にありつけるものではない。あるいはあっせんをしてこれらの人々を職にありつけるということは、容易なことでは私はないと思う。だから、とりあえず応急の方法としては、まず生活をささえるために必要な最小限度の要求だから、これを何とかしてもらわなければ困るということを強調したはずなのです。ところが、再度八日に閣議をやられて、閣議でもそのことの結論が出るということは、それは少くとも各閣僚を初めとして、調達庁長官は直接の責任者としてこれらの人が非常に因まられる実情はわかるということを言っておられる。そうすると、そのわかるということは、言葉の先の表現でそういうことを言っておられるのか。もし、そうでなければ、具体的に閣議にどういうふうにあなたは主張をなされ、また労働大臣としては− おいでにならぬけれども、労働行政の一環として重要な課題であるのだから、そのことはともに協力なさるはずだし、それにもかかわらず、今のようなお話は、私は全く調達庁長官が無責任というか、あるいはいいかげんなことを言ってこの委員会をごまかそうとなさっているのか、私は腑に落ちぬことだと思う。しかし、そうでなかったならば、この委員会で、もっとはっきりした話を求めたけれども、きょうは労働大臣にも出てもらいたいということで、あとで話をして出ましょうということになった。
 このことは、閣内で十分掘り下げた検討をして、同情をなさっているのだから、その同情を形の上でどう表わすかということが問題なのです。ところが、肝心なところになると、よくわかるし、気の毒だと思うけれども、諸般の情勢でこれこれだ。そんなことなら、前から聞いている。それをどういうふうに努力なさったのですか、長官の方は。
#74
○政府委員(上村健太郎君) 私どもの立場から申しますと、繰り返して申し上げますが、今回の離職される方々に対する措置については、政府側で十分な措置をとっていただきたいということをお願いし、努力をいたして参ったのであります。しかし、この問題は、離職される方々が困られることは、先ほど申し上げました通り、十分わかるのでありますが、政府全体として、他の国の施策の変更による犠牲者の方々、それらとの、もっぱら権衡上の問題から、財政当局ももちろんではございますが、政府全体として、今直ちに特別給付金というものを支給するようなわけには参らないということを決定されたのでございまして、私どもといたしましては、努力はいたしましたけれども、いかんともしがたい問題であるとしかお答えできないのでございます。
#75
○山本經勝君 それでは、今あげられたのを一つ一つ具体的事実を聞いていきたい。民間の労働者で国策による各種の措置で離職をして困る者との均衡ということが例にあげられておるが、それは具体的にどういうことなのですか。事例を明らかにして、具体的に言ってもらわないと、事がここまで行き詰った場合には、困ると思うのです。
#76
○政府委員(上村健太郎君) 敗戦の結果生じました犠牲者、引揚者、その他の方々、あるいは国の施策が最近におきましてもいろいろ変っておると思うのでございますが、その結果生じました犠牲者に対しまして、金銭的の支給をした事例はないようでございまして引揚者に対しましては二万円でございますか、ありましたが、これもちょっと時期をはずして、覚えておりませんが、その他においては前例がないということを承知しております。
#77
○山本經勝君 長官、よく御理解を願っておらないような気がいたします。私の質問と多少離れておる。あなたは先ほどは、民間の労働者でも国策による措置でこういう立場に追い詰められた場合の幾多の事例と対照をして、均衡を保つと言われた。こういうふうに言っているのですが、これは速記録にも残っておると思うのです。民間の労働者で国策による各種の措置で同じような立場にやられた人々に対する取扱いとの均衡上、ということが第一点。それから戦争の犠牲者、あるいは引揚者、こういう事例が今三つあがっているのです。その三つをどういうふうに閣議では論議なさったのか。あるいはあなたはその閣議でどういうふうに駐留軍労務者の離職者の取扱いについて閣議に訴えたのか、これがわからぬ。それを一つ一つ具体的に言ってもらわぬと、抽象的な言葉の羅列に終ると思う。
#78
○政府委員(上村健太郎君) 国策の変更と申しますると、たとえば、ことしになりましてから行われました金融引締政策というような問題で、非常にたくさんの中小企業の方々に影響を及ぼしております。こういうような方々に対しても、特別支給金というような制度をとったことは私も聞いておりませんので、そういう方々との権衡の問題で政府が決定されたわけでございます。
#79
○山本經勝君 長官のお話は、私は間違いであるならわかるのですけれども、おかしいと思うのです。ここで私ども言っておるのは、駐留軍労務者、LSOに属する国の雇用者に対する取扱いの問題です。今のお話に、中小企業の引き締めによる救済の問題とか何とか言われておりますが、それは資本主義社会の民間の自由企業なんです。それを国が保障するということは筋が通らぬのが、私は当然だと思うのです。それに特別支給金をやりなさいということは言っていないのです。間違いですよ。そこで、今のそういうものがもし事例について国策で金融引き締めをやったから、たとえば中小企業が倒壊し失業者が生まれた。これはしかし雇用の関係においては、あなたも御承知の通り、民間の企業なんです。個人であるか法人であるか、それは知らない。いずれにしても、そういう雇用関係を持っておる。そこで失業が起ったという事態と、国が雇用をした労務者が国策に基く、いわゆる日米行政協定という規定づけに基いて国の責任において雇用をし、しかも駐留軍の移動や撤退に伴って自動的に離職するという事態が起っておるLSOの労務者とは、およそ性質も性格も違うのです。私どもは何を強調しておるかといえば、この点なんです。
 国が雇用した労務者が避けることのできぬ理由の上に立って日米行政協定の条約のもと心おいて雇用をされておりながらも、その線でもって、好むと好まざるとにかかわらず、この撤退がいずれは行われるものであるということを前から強調しておる。そうすると、当然いつのときにかこの人たちは離職するのであるが、しかも、今度の離職は米軍の地上戦闘部隊の全面撤退に伴う離職である、こういうことは避けることのできぬ事態なんです。でありますから、国は雇用者であるという立場に立って自分の雇っておる労務者が離職するのであるから、当然雇用主の立場に立って何らか特別の措置があってしかるべきじゃないかということを言っておるのです。この点、間違いなら間違いでわかるが、長官のお答えというものは全く奇怪千万だと思う。
 それから、私はさらについでに申し上げるが、よく落ちついて御答弁を願っておきたいのですが、戦争の犠牲者、これを国策で見ておりませんか、あるいは引揚者に対して特別措置が講じられておりませんか、お答えを願います。
#80
○政府委員(上村健太郎君) 第一のお尋ねの、国が雇用者であるということにつきましては、お話の通りでございます。私ども今回の離職の方々に対する措置を各方面にお願いいたしますにつきまして、国が雇用者であるということを申すわけでございますが、これに対しましては、国が雇用者であるという立場からは、国家公務員との比較ということがすぐ持ち出されるわけでありまして、国家公務員との比較において考えるならば、退職金という問題になってくるわけであります。しかし、今回の特別給付金の問題というのは、退職金の問題については、国家公務員のあらゆるものと比較いたしまして、大体国家公務員程度以上のものは行っておる、行くことになると思うのであります。少くも国家公務員よりは悪くはないということは、言えると思うのであります。そういたしますると、この問題は退職金の問題、あるいは国家公務員に対する問題とは別個の問題でありまして、やはり政府が雇用しておるという理由からでなく、終戦以後非常に外国人の間に入られまして御苦労された、そういうようなことの意味に対するいわば、何と申しますか、特別の見舞金という性質を持った金であろうと思っておるのであります。そういたしますと、先ほど申しましたように、もっぱら他の国策の変更による犠牲者との均衡論が出てくるわけであります。戦争犠牲者、戦災犠牲者あるいは引揚者等に対しましていろいろな手は打たれておるわけでございますが、その打たれた手と今回の労務者の離職される方々との間の比較均衡から申しましても、特別支給金というものを支出するということに決定をすることは、均衡上根拠が弱い、こういうことで決定になったわけでございます。
#81
○山本經勝君 引揚者の場合は、これはこの前の国会で非常に論議したと思うのですが、長官はこの委員会で論議したことについてとくと御存じになっておらないかもしれませんが、在外財産の補償の問題をめぐって長い紛争を続けました。そうして、しかもそれには莫大な、総額六百億でしたかの予算を取って国は補償することになっておるということは御承知だと思うのです。こういうものとのこれは均衡が保てるのですか、一人当り五万円の特別支給金の要求そのものが。
#82
○政府委員(上村健太郎君) 戦争犠牲者に対する措置につきましては、私民間におりましてよくはっきり存じないのでありますが、しかし、これはちょっと性質が違うのではないかと思うのでございます。これは戦災犠牲者の立ち上りの資金とか、そういう意味ではないじゃないか。ある程度の金額は――とても全額とはいかない額であろうと思いますが、在外財産の損失補償という面で問題にされたのではないかと、私新聞で承知しておるだけで、詳細は存じませんが、そういうふうに存じております。
#83
○山本經勝君 それは長官、ますますおかしくなるのです。そういうものは引き合いに出せないと言いながら、なぜあなたはそういうものを引き合いに出されるのか。こっちが出したのじゃないのです。そういうものを引き合いに出して均衡上云々ということを申しておらないのです。私はLSOという、国が雇用主になっておる。労働者保護の立場から国がもっとあたたかい手を打つべきであるということを言っておるのであって、しかも国が、その論議の中で、閣議でいろいろ検討した際に、そういうものが引き合いに出されて、その引き合い上均衡がとれぬじゃないかということで困難であるということを言われたから、こっちがそれを聞いておるのであって、反対なんです。あなたの方がそういうふうな具体的な事例を三点にわたってあげられた。それをまた今は、国家公務員の退職金を引き合いに出されておる。国家公務員は、前に出されているように、私どももわからないことはない。しかし、言葉をかえて言ってみれば、ちょうど国策に基いて定員減少とか、あるいはまたこの前にあった労働組合運動に対するわれわれは弾圧、干渉等というもので強く反対したのですが、人員整理が、強制解雇が行われるというときに、特別支給金が出ておる、こういう事実を考えますと、やはりそれと性質は異なるけれども、やむにやまれぬ労働者の意思でない強い力でもって離職をしなければならない、離職をやむなくするという事情のもとに行われておるのです。事情は違うけれども、国としては雇い主の立場でそのくらいのあたたかい親心を示していいじゃないかということを伺っておる。あなたの方がこういう三点の事例をあげられたのです。それであなたはそういうものを引き合いに出すのは適当でないと言っておる。一体どちらがほんとうかさっぱりわからない、どうなんですか。
#84
○政府委員(上村健太郎君) 先ほど申し上げました通り、政府が雇用者である、こういう立場におきましては、私は国家公務員と同様の措置をとられてしかるべきものだと思っております。国家公務員の行政整理におきましては、特別退職金の制度がございます。この場合は、私ども比較検討を十分いたしたのでありまするが、政府が雇用旧しておるという立場においての比較は、今回の離職される方々と行政整理によって退職をする公務員との間に均衡上不公平は私はないと思っております。しかし、問題は、退職金の問題ではございませんので、やはり先ほども日お話のように、親心という問題であります。私どもは管理者の立場といたしまして、この点に基いていろいろな論議をいたしたのでございますが、しかし、政府当局と申しますとおかしいのでありますが、関係省あるいはその他におきましては、他の一般の犠牲者の方に対する均衡上、どうしてもこういうような制度を設けて現金を支出するというわけにはいかないということであります。
#85
○山本經勝君 これは長官に御質問申し上げてもさっぱり、支離滅裂であってお話しにならぬのですよ。だからこそ私は、きょうは石田労働大臣の聡明な頭脳に反映させてもらいたいと思ったのです。ところが、残念ながら大臣もいない。そこで、長官はお見えになっておりますか。特需等対策連絡会議の責任者になっておられる方は。
#86
○委員長(阿具根登君) 大臣は向うの質問が済み次第こちらに出るようになっております。それから総務長官はかぜで休んでおります。総務副長官は内閣委員会に出席いたしておりますので、審議室長の磯田君が見えております。審議室長の磯田君から御説明願いますが、その前に、長官に申し上げたいと思いますのは、先般からの委員会で相当論議されておりますが、非常に要領を得ない。先般までは何とかしたいということを申しておられた。何とかしたいということは、どういう面に現われたか。なぜ予算要求の場合には、予算要求の中にそれを要求しなかったか。これが非常に問題になっておったはず下ございます。ところが、きょうの答弁では、十一月の八日に閣議で決定した、こういうことを言っておられて、今までの答弁と引き比べてみますと、努力はしたけれどもだめだというような姿になっておると思うのです。だから山本君が質問しておりますのは、努力したのは、どういう点に努力をしたのだ、閣議決定がなされたので予算要求はできなかったのか、そういうことじゃないはずだ。これだけ膨大な予算を要求されておるならば、これは労働省なり、あるいはその関係省との話し合いの上でこれは出されたものであって、これが全面的に通るということはないかもしれないけれども、これだけのことは労働省としてはやりたい、こういうことがこれに盛られておるはずであります。そうするならば、先般まで長官が言っておられた言葉をもって言うならば、この中に、これだけはやってもらわなければ、この職を離れていく六万以上の人々の立ち上りができないのだということが盛られていないということになってくると、今まで数回この委員会でやったことは、ただあなたが親心で何とかしたい、何とかしたいということであって、何にもなっておらないではないか、こういうことになってくると思うのです。だから、今の説明を聞いておれば、どうなりました、ああなりましたというだけだから、調達庁長官としては、どうあるべきだということをはっきり申してもらわなければならないし、労働大臣が来た場合には、労働大臣にそのことを言ってもらわなければ、質問者は了解しないと思うのですから、そういう点、一つ十分長官の方でも答弁に注意していただきたい、かように思います。
#87
○山本經勝君 総務長官が特需等対策連絡会議の責任者である。これは御病気であればいたし方ありませんが、副長官も内閣委員会へ出ておられる。そうすると何とか言われる方がお見えになっておる。その方にちょっとお伺いをしたいのですが、これは特需等対策連絡協議会の室長さんですか、という立場からどのくらいなことがお話しできるのかさっぱり想像がつかぬのですが、長官においでになっていただければ、責任者として十分責任のある御答弁が願えるのですが、しかし、会議の状態についてはこれはご存じだと思うのです、今の室長さんといえども、ですからお伺いをしておきたいのですが、先ほど長官の方の話はお聞きの通りであって第一点は、民間労務者で国策による措置等のために離職をやむなくしたような者というような例で、具体的には中小企業の場合に、今次の金融引き締めに伴って中小企業が倒産をした、あるいは企業経営の継続が困難になって縮小をした、こういう場合の失業者というものが、いわゆる均衡上という問題で引き合いに出されておる。あるいはまた戦争の犠牲者、引揚者、こういうものが具体的に事例に上っていると言われる。あるいはまた国家公務員の退職金の問題との不均衡が問題になっている、こういうお話があったのですが、室長さんはむろん会議においででしょうから十分お聞きになっておると思うが、どういう実情であったかを明らかにしていただきたい。
#88
○政府委員(磯田好祐君) 先ほど来調達庁長官から御答弁された点につきまして、私の方から補足的に御説明を申し上げたいと思います。先ほど来繰り返し調達庁長官からお話がありましたように、調達庁長官としては、いわゆる駐留軍労務者の雇用者の立場におかれてできる限りの努力をしたいということで、数次にわたります特需等対策連絡協議会におきましても、調達庁長官あるいはその代理の方々が、この点につきましては熱心に御発言があり、また努力をされたことは事実であります。また次官会議等におきましても、調達庁長官から特に五万円の特別給付金の問題につきまして発言をされました。しかし、関係各省の次官としては、結局他に今までこういう前例がないということ、それから公務員の退職条件あるいは給与等から見ましても、ほかとの権衡上特にこの特別給付金を出す理由は乏しいのではないか、それからまた先ほどちょっと話が出たのでございますが、これは立場は違うのでございますけれども、今春以来の金融引き締めの結果として、そのはね返りによりまして一部倒産をした中小企業におきまする離職者、これは離職するという立場におきましては同じことでございましてそういう方々に対しては何ら特別の措置がされていない、そういう観点からいたしまして、政府といたしましては、この際特別給付金を出すことは適当ではないのじゃないかということになりまして去る十一月の八日の閣議におきまして、特別給付金はこの際内閣として出さない、そういう決定に相なった次第でございます。
#89
○山本經勝君 それでは今の答弁者に続いてお伺いしたいのですが、前例がないからやってはならないということになりますか。ものは前例がなかったらやってはならぬということになるのですか。
#90
○政府委員(磯田好祐君) 前例必ずしも場合によったらそれに拘泥する必要もないと思うのでございますが、御承知のように駐留軍労務者は今日まで非常にたくさんの離職者が出ておられるわけでございます。その際におきまして、たまたま一定期日以降に離職する駐留軍の労務者に対しまして特別の給付金を出す、それ以前にやめたところの駐留軍の労務者に対してはこれを支給しないということを考えてみましても、同じ駐留軍の労務者の間におきましても、そういう不均衡が起るということは、政府の立場におきましては、きわめて困るわけでございます。そういう意味におきまして特に駐留軍労務者の間における前後の均衡という問題も考えたわけであります。そういう意味で、駐留軍労務者の今までの離職者に対して特別の給付金を出していない、そういう前例等を考えまして、この際は支給するのは穏当ではないという結論に至ったのでございます。
#91
○山本經勝君 お話の模様だと、これはやはり長官のお話と同様に、金融引き締めに伴って中小企業の倒産あるいは規模の縮小等が行われて、そのしわ寄せが労務者の離職となって現われた、そういう事実はありますが、この際に問題になってくるのは、その雇用主は個々のその該当した企業者である、つまり金融引き締めという国策によって起ったということは、その場合は民間の企業者と労務者との関係における雇用の関係にあったのですから、これは性格からいうと、結果は同様であっても違うと思う。というのは、先ほどから申し上げているように、国が雇用をした労務者という建前です。それじゃ私は逆にお伺いしておきたいのですが、もう今までの離職者に対して何らのそうした措置を講じていないから、今から後離職する者、今後離職する者、現に離職する者、こういう者に対するこういう特別な取扱いは、前にやめた人に対する均衡上やったら工合が悪いということは、今の民間の金融引き締めという国策に基いて離職というはね返りが来てやめていった困った人人、こういうような方をやはり引き合いに出されて、そうして今度の離職者に対する、あるいは今後の離職者に対する親心あるあたたかい措置ができない、こういうふうに理解してよろしいのですか。
#92
○政府委員(磯田好祐君) 民間の企業の離職者に対して特別な措置をとっていないことを引き合いに出されて論議するのはおかしいじゃないかというお話でありますが、これはまさにお話の通り、一方は政府が雇用いたしております労務者に対する問題でございます。一方は民間で採用しておる労務者の失業の問題でございます。そういう意味では必ずしも比較することは適当でないかと思うのでございますが、たまたま国策の犠牲になってやめるという場合におきましては、同じようなことも考えられ得るという意味で、一つの例として申し上げたのでございます。それからなお、他の今までの駐留軍労務者に特別給付金を出していないから、今後の駐留軍労務者に対しまして特別給付金を出すことはおかしいじゃないかという問題でございます。この点につきましては、これも以前にやめた人と一定の時期以後にやめた人との権衡上の問題として申し上げたのでございますが、さらにこの駐留軍労務者の離職者に対しまして特別給付金を出さない理由といたしましては、御承知のように、現在の駐留軍労務者の給与、これは一般の公務員と比べましても、必ずしも悪くない。それからまた退職条件、これも一般の公務員と比べて少しも悪くない。むしろ五年以上の在勤をした方の退職条件等につきましては、これは調達庁から御答弁していただいたら適当かと思うのでございますが、一般の公務員と比べて非常に有利な割合になっておる。それからまたこういう給与、退職条件等を比べてみましても、それからまた駐留軍労務者が今度大量解雇になるわけでございますが、その際には、一般の公務員がいわゆる強制退職をする場合には、御承知のように十割増しの退職金が出ることになっているわけでございますが、この駐留軍労務者の場合におきましても、駐留軍の撤退に伴う強制退職につきましては、一般公務員と同じように十割増しの特別の退職金が出るということになっておるわけであります。いろいろなこういう条件を彼此検討いたしました結果、政府としては、この際特別支給金を出すべきではないではないかという結論になったわけでございます。
#93
○山本經勝君 今のお話の中で大事な点があると思うのですが、給与において公務員と同等である、むしろ悪くはない、むろんこの立場で引き続き生活ができるという、働いていくことができるということの場合には給与は引き合いになるでしょう。しかし、やめるのですから、これはどうも引き合いになりそうにもない。今までそれだけ余分の収入があって貯金でもして、余力があるなら引き合いに出せるかもしれない。しかし、それは私は引き合いに出せない問題であると思う。退職金については、なるほど退職するときには、公務員では今のお話によると特別に強制的にやめさす場合、それは今度駐留軍労務者の場合には強制的にやめさす場合に私は当ると思います。その場合には、いわゆる退職金の十割増しということになっているのでしょう。それと比例して今度の駐留軍労務者の離職の場合の退職条件はよろしいのですか、それよりも。それはちょっと具体的な資料を私はいただいて検討させてもらわぬというと、ただ口の先で何割々々と言ってもらったってわからぬ。
#94
○政府委員(磯田好祐君) 私は、詳細につきましては調達庁から御答弁いただいたらいいと思うのでございますが、先ほども申し上げましたように、一般の公務員がその意に反して強制退職せしめられる場合には、その一般の退職金に十割加算いたしましたいわゆる十割増しの退職金が支給されるということになっておるわけであります。で、この駐留軍労務者の場合におきましても、今回の駐留軍の撤退に伴う離職者につきましては、全く一般の公務員と同じように十割増しの退職金が出るということに相なっておるわけでございます。なお、それを比較いたした場合におきまする割合につきましては、五年以上在職いたしておりまする者につきましては、六割近くの、一般公務員に比べて有利な退職金が出るということになっておるように記憶いたしております。なお、この点につきましては、現在駐留軍労務者を採用しておりまする管理者の立場におられる調達庁の方から詳細に御答弁していただいたらと思います。
#95
○山本經勝君 十割増し云々の問題がありますが、これは資料を要求いたします。それで勤続年数とそれから公務員の退職条件その他詳細な資料、それから駐留軍労務者の場合の資料、これは別に検討した上で、次回あたりにまた委員会で十分これらについて検討してみたい、この点は一応そういたしまして、それから引き合いに出された例の中で、これは室長さんは特需等連絡協議会で発言権を持っておられるのですか、会議の中で。ただ傍聴をしておる、ただその状況を見ておられるというだけなんですか。
#96
○政府委員(磯田好祐君) 特需等対策連絡会議の構成員でございますが、構成員はすでに御承知かと思いますが、議長には総務長官、それから副議長に総務副長官となっております。構成員には各省の部局長が相なっておるわけでございますが、私もその一員として構成員の中には名前を連ねておるわけでございます。
#97
○山本經勝君 そうしますと特需等対策連絡協議会ではあなたは会議に意見を述べ、そして決議に参加するということはないのですか。
#98
○政府委員(磯田好祐君) 意見を述べ、また決議というのは、必ずしもこれが会議のやり方に即している言葉かどうか知りませんが、意見を十分述べる機会はあると思います。
#99
○山本經勝君 構成メンバーではないのですか。
#100
○政府委員(磯田好祐君) 構成メンバーでございます。
#101
○山本經勝君 そうしますと、伺いたいのでございますが、十割増しというのは、駐留軍労務者の場合についているのですか。そこをはっきりしてもらわぬと困る。
#102
○政府委員(上村健太郎君) 私の方から申し上げた方が適当かと思いますのでお答え申し上げますが、退職金の制度の立て方が違っておりまして駐留軍労務者は強制退職が、強制離職が原則として取りきめられております。従いまして任意退職と申します場合には、このきめられております。退職金の二分の一になるわけでございます。公務員の方は、任意退職の場合の倍を行政整理の場合にもらうということでございます。従いまして比較をいたします場合には、駐留軍労務者の契約上の退職金、これは任意退職の場合でございますが、それと、それから公務員の退職金の二倍とを比較いたしまして対照をしております。これを対照いたしますと、三年以下の勤続年数の場合には、駐留軍労務者の方は悪うございます。しかし、三年半以上になりますると、やや駐留軍の労務者の方がいい。しかし、公務員の退職と駐留軍労務者の退職の比較はなかなかむずかしいのでございましてたとえば公務員にはそのほかに恩給がございましたりいたします。そのかわり公務員には失業保険はないとか、いろいろな条件がまちまちでございますが、ただ全般的に見まして、公務員と駐留軍労務者との間の退職金に関する均衡は得ておる、こういうふうに私ども思っております。
#103
○山本經勝君 あの今の十割増しということは、対象になるベースが違うのじゃないですか、基礎が。つまり公務員のいわゆる強制退職の場合には、きまっている普通の退職分の十割増しということになるのでしょう。そうすると、今度は年数によって差もあるのでしょうが、駐留軍労務者の場合には、その退職金の、そのときのその年数における退職金の総額の十割増し、こういうことになっておらぬのじゃないですか。どうなんですか、どうもそこがあいまいで……。
#104
○政府委員(上村健太郎君) 先ほど申し上げました通り、駐留軍労務者の方は、契約によります退職金は強制離職の場合に適用がある。で、任意退職の場合はその金額が半額になる。従いまして任意退職の場合と強制離職の場合とを比べますると、十割増しということになるわけであります。すべて倍になるということです。
#105
○山本經勝君 そうすると、これは重大なあやまちでなければおかしいですよ。いいですか、駐留軍労務者の場合は、任意退職であれば半額になる。ところが五年なり、十年なり、その勤続年数に応じて支給される場合に、今度の場合は強制退職ですね。駐留軍労務者の強制退職、その場合には、任意退職の半額のやつを普通にやるから十割増しになる、こういうことでしょう。そんなばかげたようなことがあるものですか。私は全くおかしいと思う。任意退職ではないのですよ。任意退職の場合には、いわゆる規定の退職金の半額が支給される。その半額が倍になって、つまり十割増し、それで当りまえだ。普通にもらうべき当りまえの退職金の金額じゃないですか。そんな人を食ったばかなことを言うものではないですよ。今お話を聞いてみると十割増しどころじゃない。全然話にならぬということだ。そんなばかなことはない。任意退職と強制退職と二つの場合がある、任意退職の場合、規定退職金の半額しか支給されていない、今度強制退職であるから普通の退職金、それで十割増しである、それでもなお強制退職の基盤の上に立って主張されるけれども、それで公務員との均衡が保っていけるとどうして言えるのですか。こんなばかげたことはないと思う。
#106
○政府委員(磯田好祐君) 私が先ほど十割増しという言葉を使いましたことが、表現の行き違いから問題になっておりまして、正確に表現いたしますと、先ほど調達庁長官から説明がありました通りに、駐留軍労務者の場合には、強制退職が原則になっておる、任意退職の場合はその半額しか支給されないということでございます。それから公務員の場合は、一応任意退職が原則になりまして、強制退職の場合に十割増しになるということでございます。先ほどの比較の問題は、この公務員の十割増しにしたものと、それから駐留軍の強制退職の場合、これはいずれも強制退職という意味におきましては同じでございますので、それを比較して均衡がとれているということで、特別調達庁の方から御説明があったと思います。
#107
○山本經勝君 それはあなたの方は閣議でそういうふうにして理論づけをすることによって間に合わされているにすぎぬと思う。どこに持っていっても、いかなるしろうとが常識的に判断してもわかると思う。なるほど規定できめられておる強制退職の場合には規定額の総額をやる、そうでない場合には半額にするという規定は今話を聞いてわかるのですが、そんな規定を作ること自体がそもそもおかしいのです。普通任意退職というのは、定年退職等一般的な退職のときで、普通の条件です。強制退職というのは特殊な場合なんで、そういう規定を作ったのがおかしいので、親心があると調達庁長官が言われるなら、国の方で雇用した親心からいえば、そんな取扱いが公務員との均衡が保たれているという説明、いやしくも岸内閣の閣議において決定されるに至っては、言語道断と言わなければならない。しょせん私は納得がいかぬ。あらためてこれはわからぬなら仕方がないから、専門的に十分ほかの意見を取り入れて私の方も検討してみたいのですが、どう考えても納得がいかない。それで労働大臣の御意見も承わってみたいのですが、労働大臣を早く委員長、呼んでいただけませんか。
#108
○委員長(阿具根登君) 速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#109
○委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。
 大臣が見えるまで一時本問題に対する質問を中止いたしまして、次の議題に移りたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○委員長(阿具根登君) 日雇い労働者の期末手当に関する件を議題にいたします。質疑を願います。
#111
○藤田藤太郎君 それでは、日雇いの問題は、この前のときに労働大臣から詳しく要求されている、項目ごとに、具体的に説明をするという約束であったと思うんです。その点からまず聞きたい。
#112
○説明員(百田正弘君) 私からこの前申し上げました件も含めまして大体の考え方を申しあげたいと思います。要求された項目といたしましては、先ほど山本委員からも御質問のございました就労日数を二十五日にするという問題が一つ、これは先ほど労働大臣から御答弁になりました一日五十円の賃上げの問題でございます。これにつきましては、御承知の通り失対の賃金は同一の時期において同一地域の同一職種の賃金、いわゆるPWでございますが、これに基いて決定することになっているんでございます。本年度の四月PWの改訂に伴いまして二十円の引き上げを行いました。さらに特例的な、暫定的な措置といたしましてこれも大臣から一度お話がございましたが、政治的な配慮に基きまして、一日四円の増額を去る十月一日から実施をいたしたわけでございまして、今後の賃金の問題につきましては、PWの改訂と相待って十分検討いたしたいと考えておるわけでございます。われわれといたしましては、さらにまた日雇い労働者の実態にかんがみまして、この原則は原則として、この法律に従う必要がございますから、同時にまた失業対策、先ほども予算の中で御説明申し上げましたように、失業対策事業の質的な向上という面におきまして、能力のある人たちにつきましての賃金が高い賃金が得られるような措置も来年度においては講じてゆきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
 それから越年手当十日分の問題につきましては、これもこの前の委員会において私から事務的な答弁をいたしたわけでございまして、この点につきましては、大所高所に立って大臣にいろいろと御配慮を願っておる次第でございまして、事務的には現在、今までの例もございますので、本年におきましてはぜひとも、少くとも八日分は確保したいということで現在進めておるような状況でございます。
 それから有給休暇の問題でございますが、これは失業対策事業の性格といたしまして、失対就労者が安定所からの日々の紹介で、民間に就職できないという点で、その日失業されるので、これを特に失対事業に向けるというふうな建前をとっております関係上、性格上は有給休暇ということがどうしても出て参らないというふうに考えておるわけでございます。
 失業保険金の問題でございますが、これはこの前の通常国会におきまして、当委員会の慎重な御審議を得まして、従来の一応百四十円、九十円二段階を二百円、百四十円に引き上げていただいたわけでございます。失業対策事業に限らず、日雇い労務者の賃金につきまして、その実態から見まして相当の幅がございます。失業保険金の建前が、大体賃金の六〇%以上を保証する、大体六〇%程度が一つの限度になっておる、一般失業保険についてもそうでございます。従いまして幅が大きい関係上、やはりこれを一律に二百円にするということは必ず上も適当じゃないのじゃないかというふうに考えております。
  〔委員長退席、理事山下義信君着席〕
 その次に待期期間の問題でございますが、待期期間の問題につきましては、私どもは実際の日雇い労働者の実態にかんがみましてできればこれを早くなくすところまで持っていきたいというふうに実は考えております。数年前から私もこの点につきましては苦労しておる問題でございますが、先般のこの前の国会におきまして給付日額とも引き上げまして五月以降実施して参ったわけでございます。保険経済が許せば、少くとも直ちに全部とはいかなくても、一日ずつでも引き下げていきたいというふうに研究しておるわけでございますけれども、これで一日、現在引き下げますと約六億円の増になるわけでございます。現在、月この日雇いの失業保険金として払っておりますのが約一億円でございます。従いまして年間十二億、約五割の増になる。保険という仕組みをとって参りますとどうしても五割の増いうものは、一方においては一般会計にたよるところの国庫負担の増並びに労働者側におきましても使用者側においても負担の増という問題にもなります。またこの前改訂いたしましてから、それからまだ半年もたたないような状況でございまして、もう少し保険経済の実態を見まして、できるだけ一つそういう方向に一日も早く近づけたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#113
○藤田藤太郎君 その、今のほかに一ヵ月の就労を二十五日にしてもらいたということもこの前申し上げたと思うのです。それからもう一つは、北海道、東北地方の薪炭手当の問題というものを申し上げたのですが、この二点についてどうですか。
#114
○説明員(百田正弘君) 私は就労日数の問題につきましては、冒頭に申し上げましたように、大臣から先ほど申し上げましたのでよろしかろうと思って申し上げなかったのでありますが、先ほど御説明いたしましたように、われわれとしてもできるだけこの就労日数は延ばしていきたいというふうに考えまして、できるだけ早くこういう線に近づけたいと考えておりますので、特に年末等におきましては、少くとも二十五日程度は確実に確保するというふうにして処置して参りたいというふうに考えております。来年度におきましては、先ほども会計課長から説明がありましたように、少くとも二十二日、失業対策審議会当時の答申にもございますし、少くともそういう線は実現していきたいというふうに考えております。
 なお、北海道の薪炭手当等の問題でございますが、これも私よくわかるのでございますが、しかしながらこれもやはり賃金、現在の緊急失対法の建前といたしまして、PWを基礎とする同一地域の同一時期における賃金を基礎としてきめるという建前上、賃金の中に包摂されるというふうに考えますので、賃金決定の建前上は直ちにこれは支給は困難ではないか、こういうふうに考えております。
#115
○藤田藤太郎君 これは労働大臣が来られてからもう一ぺん質問したいと思いますけれども、その今の失業者の賃金が三百六円ですか、二十一日ですと六千三百円ちょっとですね。で、二十二日にせられても六千六百円ということになるわけです。これでは私は非常に問題がある。これは私は申し上げんかったつで局長はよくお知りだと思うのです。それがすぐ関連してくるのは、就労時間の問題になってくるわけです、就労日数の……。賃金が安いから五、十円せめて上げてくれなければ食っていけぬということとあわせて、平均二十一口で、今度二十二日に上げられておりますけれども、せめて二十五日になればまあ七千五百円余りになる、そうすれば今までより幾らか楽になる。働こうと思うても働けないという現状の中で、こういう差し迫った要求が出ているということを私はもっと積極的にお考えにならなければいかぬのじゃないか。地域的に見てみますと、二十五日のところもあります。ありますけれども、また反対に十六、七日というところもあるわけです。それに今度は特別失対をやるとおっしゃるわけですけれども、どの程度おやりになるのかということも今じゃ見当がつきません。だから日雇いの労働者が要求の第一に掲げているのは、この二つの項目だと思うのです。だからこの二つの項目というものは、もっとやっぱり真剣に考えていただかなければいかぬのじゃないか。その次の要するに越年十日が、去年は七日でことしは八口になった。まあ一年に一日ずつ引上げてもらうことはいいことなんですけれども、この問題についても、私は年末年始にかけての出費というものを、たとえばこの前も例を申し上げましたが、生活研究所ですか、少くとも月の費用の五〇%は要るという建前が一応常識的な慣習になっておる。まあ戦前と戦後とは違いますから、幾らか違うでしょうけれども、そういう問題についも考えてもらいたいということを私は言っておいたのですけれども、その検討はどうですか。その今までの問題について。
#116
○説明員(百田正弘君) 就労日数の増加につきましては、御指摘のように全国平均二十一、二日、東京あたりは比較的いいのでございますが、京都あたりは非常に財政的な都合もございまして悪いというふうに存じております。われわれといたしましては、現在の、本年度におきまして予算的には二十一日になっておりますので、従いましてできるだけ収入の多い民間就労の機会を多くするということで全国の安定所に指令いたしまして、できるだけ賃金の多い民間求人を一よけいとるように、民間求人をよけいとりますと、予算的にもある程度その方に、失対事業としての就労増に回し得るのじゃないかということでやっておりますが、本年度におきましては、全般的に月間延べ二百万というような民間就労が実現を見ましたので、比較的本年におきましては、その点におきまして、年末の就労等におきまして、相半、二十五、六日確保できるのじゃないかというふうに考えておるわけであります。
 なお、年末手当の問題につきまして、われわれといたしましては、賃金増加ないし就労日数の増加ということで臨んでおるわけでございまして、いろいろ検討いたしたのでございますが、御指摘のように年末になったらいろいろ金がかかる、これはもう日本の生活の現状からいって当然でございまして、ただ日雇い、それに、われわれ従いまして年末においてできるだけ民間就労増の機会を与える、機会をとらえる、同時にまた就労日数の増加をはかるというようなことで、十二月においては普通の月よりも少くともよけいの現金収入を得られるようにというふうに処置いたしておるわけでございます。民間と比べようといたしましても、民間のいわゆる日雇いというものにつきましては、こうした制度がございませんので、ちょっと比べようもないのでございますが、就労日数の増によりまして、普通の月よりもよけいの収入を得られるようにいたしたい、こういうふうに考えております。
#117
○藤田藤太郎君 私の言っているのは、年末年始にかけての家計費の特別出費というものが、慣習的といいますか、月収入の半分が余分に必要であるということが今日までいわれてきたから、そういう問題点をどうお考えになっておりますかということをお尋ねしておるのです。民間との問題を言っているわけじゃない。
#118
○説明員(百田正弘君) 一つの御参考になろうかと思いますが、毎勤の調査によりますと、常用の建設業の生産労働者、これはまあ支出面が出て参っておりませんので、これは一般のFIESか何かによらなければいけませんが、これは対象がちょっと違って参りますので、一律に申し上げられませんが、これによりますと、たとえば普通の月よりも年末の方が約二、三割収入が増大していると申しますか、収入が上っておるということになっておる。支出の面は今ちょっとデータを持っておりませんので、いずれFIESの調査によってお答え申し上げます。
#119
○藤田藤太郎君 そこで一つは、年末年始の慣習的な出費から越年の問題を考えてもらいたいということを、もう一度研究してもらいたいというのです。そうでないと、この議論は毎年やっても解決せぬと思うのですよ。去年は七日になった、今年は八日になったということでは、これは私は根本的な解決ができないと思う。その点はぜひ考えてもらいたい。
 それからもう一つ、待期期間ですね。私どもがどうも納得できないのは待期期間の六日間、これはどう考えてみても失業している人が、三百円もらっておる日が二十日ぐらいしかないという人が仕事にあぶれた、待期六日間も連続して待たなければできないというような格好では、どういう工合にそこのところ解釈するのですか。局長、どういう工合にそこのところ説明されますか、一ぺん説明して下さい。
#120
○説明員(百田正弘君) 待期日数については、確かに日雇いの実態に沿わないじゃないか、こういう御意見があることは私もよく承知しております。ただ御承知の通りに待期日数が実は保険経済の何と申しますか、一つの安全弁になっておるというような姿であの法律が構成されておる。従いまして、待期日数を下げますと、今度逆に給付の方がふえていって、そうすると今度逆に待期日数をまたふやさなければならぬというような形になる。私はこの規定については検討いたしたいと思っておりますが、実は下るときは非常にいいのですが、上るというときには非常に苦痛だろうと思う。かつて最初七日だったのに正日に一日、二日下げまして、その後一、二年は非常に苦労いたしましたが、幸いに今日の状態になっておりますが、私はさらに一日引き下げたいということで、こまかい検討をいたしておるわけです。しかしながらこれは一ぺんにというわけにはいきませんので、少くとも継続四日も必要としなければならないのかということにつきましては、何とかこれだけはしたい。それから上ったり下ったりということを何とかとめる方法はないか、こういう点について今検討しております。ただ通算六口の問題でございますけれども、実は現在休祝日認定、安定所を開かない日曜にも、そのまま失業手当が支給されるということになっております。この問題、たとえば一週間に一回は休まなければからだが続くわけのものじゃないでしょうから、これは定期的に休むということで、この休祝日認定、四日分の問題、別途に考えますれば、いろいろな方法も出てくるのではないか。しかしこれは既得権でございますから、これを変えることは困難かと思いますが、その辺とのかね合いで現在こまかく検討しているというような状態です。
#121
○藤田藤太郎君 そこで、たとえば普通の雇用状態というのは、基準法にあるように一週間には一日の休養日を与える、時間中でも昼の食事とか休憩時間を与えるということで、そして二十二日とか五日とか、一カ月働くことによって、年次有給休暇、あわせて休養を持ちつつ働いておるということになるわけです。しかし、ここではたとえば二十五日という基準がつけば、その間には当然有給休暇があってしかるべきものだということになってくるわけですね、普通の就労状態になれば。しかしそこまでは今一ぺんに踏み切れないにしても、そこへ出てくる生活上の問題というものはもっと深刻に考えないと、仕事にあぶれる、仕事さえあればあぶれないのだが、働きたくても仕事にあぶれた人たちが六日待期しなければ保険金がもらえぬということでは、私は少しどう考えてみても理屈に合わないという感じなんですよ。その点はほんとうに一つ労働省でお考えいただきたいということを申し上げておきます。
 それから今の年末年始の有給休暇の問題でありますけれども、あとの問題の多くは、一日の賃金が五十円上る、そうしてその一カ月の就労の問題が二十五日なら二十五日に規定づけられる。有給休暇という問題が出てくれば、私は順次内容が、皆さんがお考えになることも変ってくるのじゃないかと思うのです。ぎりぎりの生活をしておりますから、そこにほんとうにどうにもならぬという、これはもうほんとうにいつも労働省との間にはこの問題について言っておるのだが、根本的な解決は一つもない。その場をちょっと色をつけておこうというような考え方でお考えになっておるということは、私らとしてどうも質問をしていながら残念でしょうがないわけです。だから、むろんこの二十五日の就労の中には、生産という問題が十分に、働いておる人の中にも、その作業をやっておる中にもたくさん物を作ろうという意欲があって働くものだと思う、労働者というものは。だからそういう面について、やはりこの賃金問題や就労日数の問題やその他の問題について考えていただきたい。そういう工合に特にお願いしておきます。
 それからもう一つ特に申し上げたいのは、今までと同じように年末年始にかけての就労は、少くとも十二月、一日、二月の二十五日の就労日数は一つ確保してもらいたいという要求が、特に念を押されてわれわれも話を聞いておるわけです。だからその点も十二月は何とか確保できるだろうというお話でしたが、一月、二月の関係もぜひ一つ考えてもらいたい。
 それからもう一つは、低いところがあるわけです。二十一日の基準よりうんと下っておるところがある。これは私はやはり二面においては地方自治体と政府の関係だと思うのですが、財政困難な面も一つの大きな要素でありましょう、その地方自治体が……。そんならこれはやはり地方交付税、自治庁の関係になりましょうが、交付税の問題に非常に関係してくる。これはうそも隠しもしない、財源がないのだということからいえば、今まで高額補助の制度もある、また今度もそういうものを拡充していくというようなお考えがあるようですから、今年度の予算においても、特別そういう就労日数の小いところは単にサボって就労日数を少くしておるだけじゃなしに、それを取り巻くいろいろな要素がある。一番大きな要素は財源の足らない点だということになってきますと、私は高額補助の特別な配慮を一つしていただきたいと思うのです。話を開きますと、どうもたくさん失業対策をやっておるところに比率的に行くのだという話を聞くのだけれども、それならば特別高額、補助、特別失対事業を作っても意味をなさないと思う。そのほかにも幾らか総花的にあるでしょうけれども、根本的には私はやはり特殊なものと申しましょうか、特定の府県において、市においてその財源上の問題でやれないところに高額補助、特別失対というものが生まれてきたというふうに認識しておる。だから、私らはぜひその点もう一段とお考えおきを願いたいと思います。たくさん申し上げましたけれども、一応希望と、それから少し考え方を聞きたい点がありますので……。
#122
○説明員(百田正弘君) 第一の点、非常に十二月、一月、二月の就労日数の増の問題につきまして、これは本年の四四半期におきましても、全国平均を見ますと、ある程度の――平均二十三・六日、二十四日近くということで行政措置でいたしました。本年度におきましても、できるだけそれに近くなるように努力いたしたい、こういうふうに考えております。高率補助の問題でございますが、特に財政の困難なところで、しかも失業者が多いというようなところにつきまして、本年度二億九千万円の予算をもちまして、いわゆる高率補助制度があるわけでございます。来年度におきましては、先ほど御説明申し上げましたように、さらにこれを拡充いたしたいというふうに考えておりますが、このやり方の問題につきましては、確かに今藤田先生からお話がございましたように、この財源を考えないでやったところはいく、財源が困るからやれない、そこにはいかぬというようなことになるということも、これは多少検討すべき点もございますし、私自身もこの点につきましては実情に合うように今後検討してもらいたいというふうに考えております。
#123
○理事(山下義信君) 本問題に対する本日の調査はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#124
○理事(山下義信君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#125
○理事(山下義信君) 次に一般労働情勢に関する件を議題といたします。競馬の馬丁の待遇に関する問題について片岡委員の御質疑がございます。なお、政府の方の出席は亀井労政局長、堀労働基準局長、農林省の竹内競馬官が山出席されております。あとから農林省の方から谷垣畜産局長も出席の予定でございます。御質疑を願います。
#126
○片岡文重君 今の委員会で駐留軍労務者の困難な生活状態が訴えられ、さらに日雇い労働者のより悲惨なる状態に対する政府の善処方が痛切に要求されておるわけでありますが、これらの諸君に劣らぬような低い生活状態の中に長い間放置されておりました国営競馬の馬丁諸君の労働条件について、少しお尋ねをしてみたいのでありますが、長い間の隠忍からついにがまんし切れなくなって、馬丁諸君が結束して、正当な労働要求をしようとしたことは、すでに何回かあったわけですけれども、そのつど調教師、馬主等の圧力で解散をさせられております。ようやく今年に入ってから一つの労働組合を作ったのですが、これもまた現に激しい切りくずしの工作が行われている。しかし、その激しい切りくずしの中にあっても屈せずに戦っている諸君が、一体自分たちの使用者はたれであろうかという困難に逢着いたしたわけです。使用主の方でも、おれはお前たちを使っている使用人ではないと言う、まことに奇々怪々な話ですが、結局これは使用される者、使用している者の当事者間の意思によらずして、千葉県の地方労働委員会における申請から労働省の裁定を仰いで、労働基準局の人たちによって使用主は調教師であるということが決定されたようです。もちろんこの決定については、基準局としても十分な調査をされ、実態を把握した上に立ってなされたことだと思いますから、この点についての御質疑はしばらくおくとして、一体使用者は調教師だということに決定をされて、農林省の競馬担当者のお考えは、この調教師を馬丁の使用者だと決定をされることが妥当だとお考えになるのかどうか、その点をまずお尋ねをしてみたいと思うのです。
#127
○説明員(竹内直一君) 今お尋ねの調教師と馬丁の間の労働関係について、先般労働省から見解が示されたわけでございますが、農林省としてどういう考えであるかというお尋ねですが、私どもといたしましても、前々から調教師と馬丁の間にどういう関係があるのかということについていろいろ研究はいたしておりましたが、主管官庁である労働省から正式の御見解を伺うまでは、早急に結論的な意見を申し上げるのは差し控えておったわけでございますが、先般初めて主管官庁から調教師、馬丁の間には労働関係、雇用関係はあるという見解が示されましたので、私どもといたしましても、その通りに了解していいと考えておる次第であります。
#128
○片岡文重君 そうすると、農林省では労働省で馬丁の使用者は調教師ですよと言われたから、それまではどっちがどうだかわからなかったけれども、とにかく基準局で言うから、労働省で言うから、そうですか――こういうことだけですか。
#129
○説明員(竹内直一君) さようでございます。
#130
○片岡文重君 基準局、つまり労働省で言うから、はいそうですかということだけでは、あとの質問にお答えできるのかどうかわかりませんけれども、もちろん、そうですかとこれを肯定する上からには、使用者と被使用人との間になされておるところのいろいろな給付の関係やら、労働条件の設定等について十分にそれぞれの、つまり使用者は使用者としての責任が持てる、また被使用者は被使用者としてその使用者の指示なり、監督なりを受ける立場にあるということを確認されて、これを肯定されると思うのですが、そういうふうに理解してよろしいですか。
#131
○説明員(竹内直一君) 調教師と馬丁との間の雇用関係の内容につきまして、いろいろあいまいな点があることは事実でございます。私どももいろいろ調べたところによりますると、相当千差万別な内容を持っておると考えられるのでございます。その内容につきまして、いわゆる近代的な雇用関係といいますか、使用者と労働者との間にはっきりした契約関係が存在いたして、ある程度の統一性を持った労働関係が存在しておる、そういうような実態でないということだけは承知しておるわけでありますが、そのこまかい内容につきましては、何分にも実態把握が相当困難でありますので、今までのところ以上のようなお答えしかできないわけであります。
  〔理事山下義信君退席、委員長着席〕
#132
○片岡文重君 大へん自信をお持ちになっておらないようで、残念ですが、それではあいまいな点ですね、被使用人としてつまり調教師と馬丁との雇用関係についてあいまいな点というのは、一体農林省でお考えになっておる点はどういうところがあいまいだとお考えになるのですか。
#133
○説明員(竹内直一君) この馬丁を入れますのも調教師でございまして、調教師は馬主から馬の預託を受けました場合に、その飼養管理について馬丁を必要とするために、調教師は馬丁を置くわけでありますが、馬主がある一定の調教師に固定的に馬を預けておるのではありませんので、そのときどきの都合によりまして、Aという、馬主はAという調教師からBという調教師に馬の預託を変えたり、あるいは中央競馬から地方競馬へ馬を下げて打ったり、馬の調教師に対する関係において馬の変動というものが相当激しいのであります。従いまして、調教師はその馬の変動に応ずるために馬丁を雇ったり、解雇したりしなくちゃいけないわけでございます。まず雇い入れ、解雇の点につきまして、そういった非常に変動件があるという点が第一点でありますが、そのために見分関係が比較的不安定である。その次に給与の面でございますが、馬丁が受けます所得を大別いたしますと、馬主が馬を調教師に預ける場合に、上預託料というのを払いますが、その中には馬丁が受け取るべき固定的な給与と言いますか、そういったようなものが含まれておりますが、これが馬丁としての固定的な給与と思われます。そのほかに馬主が競争に馬を出して賞金をもらった場合に、その中から一定の歩合金、これを進上金と申しておりますが、この歩合金を調教師、それから騎手、馬丁にそれぞれの一定の比率のものを出すわけでありますが、この賞金というのは非常に所得としては不安定な性質を持っております。馬は必ず競争に出るからといって賞金をもらうとは限りませんので、非常に変動性がございます。そのために給与面におきましても相当不安定性を持っておる。それから第三番目には、一般の工場労働者と違いまして、こういった家畜の飼養管理でございますから、一定の労働時間をかければそれで済むというような性質を持っておりませんし、これは労働基準法におきましても、労働時間の適用除外という項目が設けてございますが、そういった性質の仕事をやっておるために、労働契約の内容が画然としたもので一律にきめがたい。そういった性質を持っておりますために、個々の調教師と馬丁との間における契約内容が区々であると同時に、あいまいであるということが言えようかと思うのであります。
#134
○片岡文重君 今の御説明では、雇用関係の疑問については、どこが疑問なのかという点については、あまりはっきり私にはのみ込めませんが、ざっくばらんにこちらからしからばお尋ねいたしましょう。給与の点については、馬主から調教師に対する預託料の中に馬丁の給与が含まれておる、その他の進上金、いわゆる賞金のおすそ分けと言いますか、とにかく賞金の一定歩合があるが、これが不安定である、給与の点についてはこれだけの説明しかなされないのですが、私の聞いておるところによると、たとえば休業手当、災害補償手当、そういうもの、あるいは遺族給付とか、こういうものが日本中央競馬会からほとんど全額に近い給付を受けて結成されている共助会から出ている、しかもこの共助会には使用人と言われているところの調教師も含まれている。つまり調教師、それから騎手、馬丁、騎手見習い等も含まれておるところの共助会から出ていると、こういう点については当然雇用主が支払うべき給料が、雇用主もその一員となっておる一つの団体から支給をされている。で、雇用主だという調教師からもらうものは、この預託料の中に含まれた若干の給与だけである。それ以外のものは一切共助会から支払われている。その共助会の資金というものは、日本競馬会から出されている、こういう関係をもっている。そうしてまた馬丁の諸君には健康保険もなければ、失業保険もない。いわゆる社会保険というものは何らなされておらない。こういう点を見ると、少くとも使用主と言われるところの調教師は、何ら雇用主としてその人たちに対しての責任を果しておらないと考えるのですけれども、この点については、一つ基準局と農林省と、両方から御見解を承わりたいと思います。
#135
○説明員(堀秀夫君) 馬丁と調教師との間の関係におきましては、ただいまお話のようにややあいまいな点はございまするけれども、やはり馬丁の雇い入れ、解雇、あるいは労働条件の決定というものは調教師がやっておる。またその作業におきましても、調教師が直接指揮監督しておる、こういう関係を認めまして、一般的に調教師と馬丁との間に労働関係ありと、こういう判定を下したわけであります。ただ、お話のように賃金その他の面におきまして一部が他の方からも支払われているという事実がございます。特に今御指摘のように、たとえば業務上の災害に対しまする災害補償、あるいは休業手当というようなものが競馬共助会から給付されている。しかも競馬共助会の掛金の一部は馬丁も払っている、こういうことでございまするので、これは当然使用者が負担すべきものであるとわれわれは考えております。従いまして、今後これらの点につきましては、競馬共助会等にも話しまして、労働者の側から掛金をするというようなことのないように改めるように指導いたしたい、このように思っております。
 なお、競馬共助会の資金の大部分が日本中央競馬会から出されておる、将来の問題としてどうするか、こういう問題でありますが、私どもの立場といたしましては、現在馬丁との間の使用関係はだれにあるかという実態を調査いたしまして現在は調教師が使用者である、こういう判定をしたわけでございます。しかしこれが果してあるべき姿か、理想の姿かどうか、こういうことになりますると、これはまた別問題でございます。今後の問題につきましては、基準局の回答を契機といたしまして、調教師側と馬丁の側との間において、いろいろ話し合いをすることになりまして、近くその交渉が再開されることになると思います。その際に十分お話し合われることを期待いたしまするが、またこれに対していかに指導するかというような問題につきましては、これはわれわれの関与するところではございませんので、主管官庁である農林省の指導方針によって御指導相なるべきものと考えている次第であります。
#136
○説明員(竹内直一君) 馬丁の関係のいろんな共済給付が、第三者である競馬共助会から出ているという点につきましては、これは戦前の旧日本競馬会時代からの沿革がございまして、旧日本競馬会時代には競馬会からこれらの給付をやっておったわけでありまして、終戦後競馬の再開と同時にこれは国営として発足いたしたわけでありますが、国営に移管されますときに、これらの厩舎関係者は国家と直接雇用関係にないという理由のもとに、国が直接こういった給付をなすことは適当でないということで廃止になったわけであります。そこで厩舎関係者は直ちに非常な困難に遭遇することになるわけでありますので、そこで厩舎関係者から掛金をとるという建前で競馬共助会を設立いたしましてこれら関係者の相互扶助といいますか、福祉の増進のための事業をやっておる。その主たるものは今お話の共済給付でございますが、これに付随いたしましてこれら関係者の授産事業をやる、あるいは売店の経営、雑誌の発行などの収益事業を付帯的に行いましてこれによって得られた利益をもって共済事業に充てる、こういったことで今日まできておるわけでありますが、途中におきましてこれらの掛金制度も廃止になりまして、今お話のように日本中央競馬会からの助成金が金額的には大きな財源となっておるわけでありますが、この財団の建前といたしましては、自力でもって収益を上げて、これらの関係者のために経費を投入するということで参っておるわけであります。
 それから最後の調教師が使用主となった場合に、使用主としての責めを果していないじゃないかというお話に対しましては、労働省の方から答えがございましたように、私どもといたしましても、今後共助会との関係につきまして十分に検討を加えて参りたいと考えております。
#137
○片岡文重君 給与といいますか、本給だけは調教師から支払われておる。また、労働の指揮監督等についても、命令等についても調教師が行なっておる。だから調教師だという御決定のようですが、たとえば生産工場において工場長がその工場の労働者に対して諸般の作業を命じ、そして賃金を支払う、けれどもこの場合にやはり労働省としてはその会社が使用者ではなくしてその工場長なり、あるいは職長なりが使用者だと、こういうふうにそういう場合にも御判断なさるのですか。
#138
○説明員(堀秀夫君) 馬丁の賃金が預託契約の中に定められておりまして、これに拘束される面が多いわけでございますが、やはりこの調教師と馬主との間の預託契約に基いて調教師が馬丁を使用しておる、このような関係ではないかとも思うのでございます。預託契約の中に賃金が定められておるということは、預託料の算出根拠として調教師と馬主の間で決定されたものである、いわば一つの原価計算のようなものである、このような関係ではないかと思っております。で、労働契約上の賃金はこれと別個に決定し得るものでございまして、現実にもその預託契約の中の賃金と現実の賃金が多少違っておる面も見受けられるのでございます。従いまして、馬主と調教師、馬丁との関係は普通の指揮系統にある工場主、工場長、それから労働者、この関係とはだいぶ違っておるのではないかと私は考えております。
#139
○片岡文重君 馬丁の給料等が馬主からの預託料の中ですでに決定しておるということになれば、これはいよいよもって調教師の一存ではいけないということであって、馬主の了解を得なければならぬということで、これはむしろ調教師が使用者であるということの反対な証拠になってくるのじゃないかと思うのです。特に実際問題として馬主の意向を全然そんたくせずして馬丁を雇うことはできない。かつ競馬法の規約か何かによると、調教師だけの一存では馬丁を雇い得ないことになっておる。競馬場長の承認を得なければならない。この点を考えてみると、端的に使用者を調教師だということに決定するのはいささか早計ではないか。こういうふうに考えられますが、この点についてはどういうふうに考えますか。
#140
○説明員(堀秀夫君) お話のようにいろいろ問題が実はあるのでございます。従いまして、そのような問題がありますので、現在までその関係がどうであるかということについての判定がなかなか下されなかったわけであります。しかし私どもの立場といたしましては、今回のいろいろな問題を契機にいたしまして実は馬丁さんの側からも御要望が非常にあったわけでございましてとにかく現在使用者がたれであるか全然わからない。これも使用着らしい、あれも使用者らしいということでは相手方がないので、話し合いを進めようにも進めようがないということで、こういうことでございますので、一刻も早く使用者を決定してもらいたいという、こういうお話でございましたので、作業の指揮監督をだれが行なっておるか、それから一般的に労働条件をだれが現在しておるか、最も色彩の濃いものはだれかということを考えました結果、調教師が使用者であるという、こういう一応の決定をしたわけでございます。今後いろいろ疑問の問題点につきましては、先ほど申し上げましたように、馬丁と調教師相互間において交渉が今後始められる契機にもなりましたので、これらの話し合い等を通じて理想的な労働関係が確立されればまことにけっこうだと、こういうように考えております。
#141
○片岡文重君 調教師と馬丁との間に円満な話し合いが進められて、ますます馬丁諸君の生活が安定し、労働条件が改善されて行く、交渉が持たれる見込みがあるならば、お説のように逐次改善の方途をたどることは望ましいことです。しかし現実に馬丁組合を解散せしめようとしていろいろな工作がなされておる。こういう条件のもとで、しかも基準法等は全く無視されて、予告、手当なしに即日解雇というような状態です。組合運動にタッチすれば直ちに解雇される、こういう状態のもとで、あなたのおっしゃるようにこれらの諸君の労働条件が改善されていくかどうか。何よりもかりに調教師が使用者だということで、一切の責任を調教師にまかされるとすれば、その給与も正当な給与の要求もでき得ない状態に放置されておる、こういうことです。しかも交渉しようとすれば、馬丁に労働組合は不要であるとか、競馬場に法律は適用しないというような暴言をもって抑えられておる。しかもこれにさからえば明日から職を追われる。飯の種がなくなると同時に、住居も追われるという状態であります。無力な人たちが今もなお存在しているのですが、これらの諸君に対して、あなたが望まれるように、労働条件の改善と正常な国体交渉が果して近い間になされると思うか。すでに今の千葉の地労委では、全くかってないような真剣な努力で地労委の諸君があっせんに努力されておりますけれども、まさしく労働問題といいますか、労働協約のイロハにもならないような労働協約がなお締結できないで今困っている。こういう状態に対して一体基準局長は早急にこの馬丁諸君の要求がいれられると思われるのかどうか、それを一つお聞きしたいと思います。
#142
○説明員(堀秀夫君) 従来はこの関係は不明確でありました関係上、基準法上のいろいろな規定につきましても、それらの責任をだれに持たせるかということが不明確であったわけであります。しかし、今回一応調教師が使用者としての責任を持つと、こういう認定をいたしました以上、今後はもちろんこれは競馬の特殊な業態、工場等と違いましていろいろ特殊性がございますから、それらの点は十分勘案しなければなりませんし、また基準法上もこれらの事業については除外規定、特別規定等がありますが、やはり基準法の規定の線に沿いまして現在基準法違反が行われておると思われる点につきましては、段階的に改善するように私の方からそのつもりで監督させるつもりでございます。また組合法上の問題につきましては、これは地労委等がこの関係の問題についてたとえばいろいろな問題が起きましたときは、それに対する決定等もいたされるであろうことを期待しておるわけでございますが、さらに今後どういうふうにやっていくかという問題につきましては、これはやはり当事者双方間において十分お話し合いを尽されることが必要である。ただ基準法上その間において違反の点が認められれば、私どもといたしましては、基準法の精神に沿いまして、これを是正させるのにやぶさかでない、こう申し上げたいと思うのであります。
#143
○片岡文重君 大臣は予算委員会の途中を抜けて来ておられるそうですし、先ほどの約束もありますから、一応この問題はこの先ほどの問題が片づいてからまた御質疑しますが、発言のついでで、はなはだなんですけれども、大臣に一つお願いをしておきたいのですが、今ここで審議しております問題は、いわゆる国営競馬である中央競馬会の開催する競馬に関係をする馬丁諸君が、大体一ヵ月調教師からもらう賃金が一万五百円、これで住まう所はいわゆるハモニカ長屋といいますか、これに馬と同居をしておるわけです。そうして競馬の開催地に出張するときには大体――大体じゃありません、百五十円の旅費です。そして途中は馬と緒に貨車に乗って旅行をし、着いた先は馬とともに寝るわけです。そしてもちろんこれは馬丁諸君の馬に対する愛情からくるものだと言えばそれまでですけれども、とにかく人間としては認められないような生活環境に置かれておる。もちろんこれは住宅でないとか、いろいろその抗弁もありましょう。けれども、そういう条件の中にあってしかも労働は休暇というものがないのです。休日がないから年じゅう三百六十五日勤務をし、有給休暇は一日もありません。従って自分の所用や冠婚葬祭でひまをとるためには同僚にこれを頼んで、しかも調教師の許可を得ていかなければならぬ、こういう状況に置かれておるわけです。もうこういう点について御説明申し上げれば切りがない。そこでそういうこまかい点については申し上げませんけれども、とにかくそういうこの今日の社会ではとうてい考えられないような生活環境の中にあって、しかも一たび調教師のきげんを損すれば即日解雇です。そして今なお、基準局長は使用主は調教師であると言っておられますけれども、失業手当も健康保険もありません。そこで調教師から受けるものはその一万五百円という賃金だけ、あとは調教師、馬丁、騎手等が一緒の会員となって組織されておるところの共助会というところから、しかも共助会は競馬会から九八%ぐらいに当る三千二百万のうち三千万円の補助を受けるのです。そしてその共助会から受けておる。私どもとしてはどうしても調教師が使用者としての責任を持ち、すべての責任を持ってこの馬丁諸君を使用していけるのだ、また将来の生活も保障していけるのだということには非常な不安があるけれども、現実にそういう判定が下されて、今それらの調教師諸君を相手として馬丁諸君は組合を作って交渉しているわけです。ところがなかなか団交に応じてくれないばかりでなしに、それは休暇等についての要求ではないのです、今の要求は。年末手当とか、盆の手当とかいうことを私たちがどうしているのかと聞いても、馬丁諸君にはぴんと来ない。どうして来ないかというと、盆の手当とか年末の手当とかをもらったことがないというのです。こういうしいたげられた状態に数は少い、千何百人かの諸君ですから数は少いが、とにかくそういう気の毒な諸君が現に存在しているのですから、労政局におかれても労働基準局においても、さらに一段とその実情を調査されて、せっかく労働問題については相当に認識を持っておられると自他ともに許しておられるのですから、一つこの際労働大臣の積極的な進出を願って、これらの問題に対して十分な一つ明るい見通しの立つ解明を与えてやっていただきたい。
 ただ、蛇足でありますけれども一言申し上げておきますならば、この競馬会には自民党の最高の幹部の方々も馬主として名を連ねておられます。そのほかに実業界等の相当有力な方々が馬主として名を連ねております。それらの人々の指導もあずかって競馬会も編成をされ、共助会もでき上っているわけですから、これについては相当の決意と決断を要するわけであります。けれども現実にこういう気の毒な諸君がおるということをまず念頭に置いて、一つこの問題の解決に当っていただきたい。私は結論を申し上げれば、この馬丁は調教師のもとにおける使用人ではなくて競馬会が雇用主となって、調教師も騎手も馬丁もその被使用者ということにしていただきたい。そのことが不正レースを防止する最高の私は道だと思うのです。今の状態ではいつまでたっても不正レースは排除できません。こういう状態におくから、しかも調教師と馬丁との間がそういう状態になっているから、不正レースが起るということも言い得るわけですから、そういう点を防止するためにも、健全な畜産行政が運ばれる上からも、ぜひこの際、これを機会に労働行政の一環として労働大臣の善処をお願いしたいのです。もし御所見があらば承わっておきたい。
#144
○国務大臣(石田博英君) 私は、実はこの問題について詳しい報告を承わっていないのであります。今お説のようなお話でございますならば、十分な関心を持ってそういう気の毒な状態のないように合理的な態勢を作るように努力したいと思います。
#145
○委員長(阿具根登君) 本問題に対する本日の調査は一応中断いたしまして、大臣がお見えになりましたので、先ほど中断いたしておりました駐留軍の撤退に伴う労務者の失業対策に関する件を議題といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#146
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。御質疑を願います。
#147
○山本經勝君 大臣にお伺いをしたいのですが、この社労委員会でずっと以前に、九月でありますかに、やはりこの駐留軍の離職対策についてこの委員会で取り上げたことがございます。その際お話をいただいた大臣の所信なるものは、国が雇用しているという責任において手厚い対策を講じて参りたい、そのために離職者の職業補導や、あるいは新しく作られるであろう、あるいは作られておる企業協同組合、あるいはまた就職のあっせん、あるいは海外移民の問題等、いろいろのたくさんな問題がございましたが、その中でも第一番に重点的に私も伺ったし、また大臣も所信のほどを披瀝いただいたその中で大事な点というのは、国有財産等、従来軍が使用しておった施設が返還され、あるいはまたそれにあった施設を利用することによって駐留軍の離職者、労務者が新しい職を求める指導や政策の遂行をやっていきたい、こういうことで口頭で関係知事等に十分話してあると言われましたけれども、念を押して、さらに文書による通牒を発してもらいたいということを御要請申し上げた。それは一応私の手元にもございますが、要望書として大臣にやっていただいた、しかもそのときになお一つお願いをしておいた、それは特別支給金の要求がある、この特別支給金の要求の精神は退職金という線ではない。ただこれはせんじつめて申しますと、駐留軍労務者が国の雇用によって労務を米軍に提供するという立場、しかもこれはまじめに働けば一生通して働けるという職場ではない。軍が撤退し、あるいは移駐することによって移動しあるいは離職する、こういう条件のもとに置かれているものですから、日米行政協定という国の責任において、条約を背景にして労務提供をしているという建前もあり、好まぬけれども、職もないということで、やむを得ずこの職業について生活をささえてきた。こういうのが実態ですから、こういう者についてはやはり特殊な配慮をして、十分な将来の生活安定への方策を講じていくべきである、こういうふうにおっしゃったと思います。が、しかしながら申し上げるように、五万円の特別支給金の要求が出ておるが、このことについては迫って特需等対策連絡協議会もあるから、こういうところで相談をして何らか具体的な措置を講じてやりたいものである、こういうふうに私は言われたと記憶しておりますが、この点まず第一点、相当時日も経過しておることでありますから、大臣の方の御意見を承わって、それから御質疑を申し上げて参りたいとかように思います。
#148
○国務大臣(石田博英君) 五万円の問題につきましては、日本の制度上どういうものになるか、私は私の直接の所管の問題でもございませんので、これについては具体的にできるできないという御返事は申し上げなかったはずでございます。しかしそれを含めた駐留軍の離職者に対する対策は、特需等対策連絡協議会を通ずるばかりでなく、私どもの役所としても積極的にやっていきたいとこう考えておりましたし、現在もそれに変りはございません。
#149
○山本經勝君 実は前回この委員会でいろいろと質疑をいたし、問題点の解明をやってみたわけなんですが、調達庁長官並びに労働省は、大臣がおいでになりませんで次官がおみえになった。それから特需等対策連絡協議会でありますか、その関係では官房長官おみえにならんで、次長さんがおみえになっていた。そこでいろいろお話を聞いたのでありますが、特別支給金の問題はなるほど大臣がおっしゃる通り、大臣所管の直接の問題ではない。しかしながら、これはすでに十月の二十四日でありますかの閣議、五日の閣議で一応検討がなされておる。さらに本月の八日の閣議でも検討されておる、その閣議の検討には私は大臣御参加になっていると私は思っているのですが、そうしますと、特需等対策連絡協議会から具体的なこれらの対策、あるいは組合関係の労務者の切なる要求等が取り上げられて、どのように審議されたかということは、一応大臣おわかりの範囲においてお話を願いたい、かように思います。
#150
○国務大臣(石田博英君) 社会党から提出されておりまする駐留軍労務者に対する特別措置法案、これに対する政府の態度をきめる閣議が八日にあったと私は記憶しております。その八日のときにこの問題が、あの臨時措置法案に対する政府の反対意見の一つとして、今の特別支給金の問題が出ました。私はこれは速記をとめていただきたいのです。
#151
○委員長(阿具根登君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#152
○委員長(阿具根登君) 速記を起して。
#153
○山本經勝君 一応そういう状況にあるということは私も推察がつく点もあるのですが、ただ労働省として私は一つは責任のある問題があると思うのです。現に駐留軍労務者は実力行使をやっております。御承知の通りその主たる問題は、今度の米軍の地上戦闘部隊撤退に伴う六万五千人の大量離職、あるいはこれに伴う政府の取扱いに対する要求を闘争の目的といたしております。そうしますと、これはやはり労働問題という視野に立ってごらんになるならば、当然労働省の所管に属する問題に入ると私は思う。そうしますと、今習われるように、特別支給金のような性格の金の支出について調達庁が直接雇用関係をもっているのであるから、そこでどうとか考える、あるいはそれが閣議に持ち出されることがあっても、そのことが直接大臣の所管ではありません、こう言われることは一応わからぬことはないのですが、ところが私はそういうふうにして遠慮といいますか、遠のいて見ておられる事態では私はなかろうかと思う。ですからむしろ踏み込んで、大臣がやはり問題の解決に当っていただかなければならぬ立場にもあるし、またがっての主張のように、そういう線でやっていただけるものだと解釈している。ですから今のようなお話でありますと、何か責任がないように聞えますけれども、実は労働問題としてもみるべき立場がある。そうしますと、当然労働大臣としてお考えになっていただかねばならぬ点がある。あるいは調達庁と組合との間に争いがあるとするならば、その点はやはり閣僚の一人としての立場もあれば、同時に労働行政の最高責任者という立場にあるのですから、そういう意味から私はあんまり責任回避をしてもらうと困ると思うのですが、回避という言葉は非常に悪いのですが、そういう点からもう少し突っ込んだ話を私は伺っておきたいのですが、今までこの委員会でいろいろ質疑を重ねてきた中で、これは特需等連絡協議会において、労働省から出られたのは次官でありますが、次官だけが出ているので、私は知らぬとなお言われるかもわからぬ、それは私は許せぬと思う。次官が出られてそして協議なさったことについて、これは大臣に報告があるはずだと思う。ですからそういう意味において私は申し上げておるのですが、そうしますと、最近の特需等対策連絡協議会等においては、五万円の支給金の問題を取り上げてどうするかということが論議をされた。今大臣の話では、社会党が今度提案をしている駐留軍労務者離職に対する臨時措置法の取扱いについて、閣議で話があったということを言われたのですが、その中になるほど載っております。ところがこの案が提案されておるといなとにかかわらず、すでに要求が出て問題になっていることは、この前も申し上げたんですから、大臣御存じです。ですからそういう意味で伺っておるのですから、一つ真剣にお答え願いたいと思います。それで、そのときに論議になった事柄は、この駐留軍労務者に限って今度の離職者に限って特別支給金五万円なりを支給することは、どうも筋合いが成り立たぬ、こういう意見が私はあったと思います。その意見の中であげられた具体的な事実はこういうことがある。中小企業の金融が、金融引き締めという国の政策によって非常にしわ寄せを受けた。言葉は悪いんですが、金融引き締めという国策に基いて中小企業の倒産や、あるいは企業規模の縮小等が起ったために相当量の失業者が出た。これはつまり国の政策の推進に伴って起った犠牲者であって、たとえば駐留軍の労務者の場合と同じ問題である、それがゆえに、中小企業金融引き締めによる倒産あるいは離職、整理というような事態が起ったことも、国家の政策の結果できたものであるから、同じ立場で考えてそれらの均衡を保たなければならぬということを言われたという、あるいはまた敗戦の犠牲者、戦争の犠牲者、あるいは引揚者の問題までも引例になったといわれておる。ところが、どうもこのことは私ども納得がいかない。それで、かりに国策としての金融引き締めが中小企業にしわ寄せをし、さらにその事柄が、結果的には失業者を生んだという結果が起ったかもわからぬ。しかしながら雇用関係は、これは民間の自由企業の中にある資本家、経営者が雇用しておるんだということになるんです。ところが、一方は国が雇用をし、しかもいずれはその解職の運命にある労務者ではあるけれども、国のこれこそ政策に乗って長年間働いてきた、そういう立場が基本的に違いはせんかというので、この引き合いに出すのはあまり適当じゃないんじゃないかということを申し上げたんですが、さっぱりそのことは調達庁長官も、私は特需等連絡協議会に出席なさっておる方の答弁も、私ども納得参らぬ、こういう状況です。ですからこのことは先ほど大臣の仰せのように、私の直接所管ではありませんといって逃げられれば済むことのように聞こえますが、実は事態は、労働問題として紛糾を重ねている。ですから労働行政の面から、こういう事態はどうお考えになっておるか、そのことを大臣から承わっておきたい。
#154
○国務大臣(石田博英君) 五万円の一時交付金の問題が労働問題の争点になっておることは承知いたしております。しかし労働問題についての労働省のあり方というものは、これはしばしばいわれます通り、やはり労働問題として扱うときは、これは労使の間の話し合いによってまとまることを望むのが一番順当でありまして政府機関でありましても、これはやはり特別に具体的な干渉をしたり、何かあるいはあっせんをしたりするものではないと私は思っております。それはそれぞれ機関があるのでございますから、たとえば国鉄の問題等につきましても、労使の間には、できるだけ介入しないように努めておる次第でございます。特需等対策連絡協議会の内部における議論については、私は詳細に承知しておるわけではございませんが、労働省といたしましては、やはりでき得る限り、労働者諸君の条件がよくなるような立場をとらしておるつもりでございます。
 今ちょっと北村君の質問が予算委員会で始まるそうでございます。北村君の質問は十五分だそうでありますから、十五分間行かないといかぬので……。
#155
○委員長(阿具根登君) ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#156
○委員長(阿具根登君) 速記を始めて。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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