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1957/11/09 第27回国会 参議院 参議院会議録情報 第027回国会 外務委員会 第4号
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1957/11/09 第27回国会 参議院

参議院会議録情報 第027回国会 外務委員会 第4号

#1
第027回国会 外務委員会 第4号
昭和三十二年十一月九日(土曜日)
   午前十時五十二分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     寺本 広作君
   理事
           鶴見 祐輔君
           曾祢  益君
           佐藤 尚武君
           井野 碩哉君
           鹿島守之助君
           笹森 順造君
           永野  護君
           加藤シヅエ君
           森 元治郎君
           吉田 法晴君
  政府委員
   外務政務次官  松本 瀧藏君
   外務省経済局長 牛場 信彦君
   外務省条約局長 高橋 通敏君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       渡辺 信雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○通商に関する日本国とオーストラリ
 ア連邦との間の協定の締結について
 承認を求めるの件(内閣送付、予備
 審査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(寺本広作君) ただいまから外務委員会を開きます。
 本日は通商に関する日本国とオーストラリア連邦との間の協定の締結について承認を求むるの件を議題といたします。この案件につきましては先般提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これから直ちに質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
#3
○森元治郎君 この提案理由の説明を読んでみましても、このようなむずかしい交渉をよくここまで持ってきたものたと思うのですが、どういう交渉をされておるのでしょうか、どういう理由があるのか、二つ、三つお願いいたします。
#4
○政府委員(松本瀧藏君) 御承知の通り戦前におきましては、豪洲と日本の関係はあまりよくなかったのであります。戦争直後たとえば戦犯の取扱いの問題等あたりを通じまして、日本に対する憎悪の念は決して簡単にぬぐい去ることはできなかったのでありまするが、自来、民間政府もともに豪州との友好善隣関係にはいろいろと尽して参りました。あるいはスポーツの使節団、あるいはその他の民間あるいは政府の使節団等参りました。また向うからも総理大臣を国賓として招いたりいたしまして、こういうことが積み重なりまして、日豪関係は最近に至りまして非常に改善されたことは御承知の通りであります。こういう雰囲気の中で、事務当局におきましてきわめて努力いたしまして、ようやくこの程度のものができたのでございまするが、森先生も仰せのごとく、非常に困難な中にここまでできたということは、事務局の努力を十分これは評価すべきだと、こう考えます。
#5
○森元治郎君 話はちょっとそれるけれども、日本の国会議員団を十人だか豪州が呼ぶという話があったようですが、これはどういうところで話がとまっているのですか、進んでいるのですか。
#6
○政府委員(松本瀧藏君) この問題に関しましては、いろいろ問題もあるようでございまするが、豪州の両院議長から日本の両院議長あてに招請状が参りまして、これに対しまして日本の両院議長から向うに、ぜひ一つ交換をしたいという回答が参っております。ただ期日の問題、いつやったらいいか、まあ日本側におきましては、国会の関係もございますので、いろいろと実現に十分運ぶことのできないような実情もあったのでございます。たとえば九月説もありましたし、十月説もありました。たまたまこの協定が豪州の国会におきまして審議されておったのでございますが、労働組合とか野党あたり、不必要な撤回動議を出しまして、少し紛糾しておった最中でございましたので、向うで十分な接待もできないかもしれない。あるいは失礼にあたるようなことがあってはいけないから、これが一応一段落ついてからということであったのであります。総理の豪州行き問題のスケジュール等ににらみ合せまして、まだ日程がはっきりきまらないというところで今日これが停頓している、こう承知しております。
#7
○森元治郎君 この説明によると、この協定が実施されれば、大幅な貿易の増進が期待されると、ぽつんとこううたっておるのですが、今年の一月から八月までの例を見ても、一と十くらいの比率で、日本の方が大へんな入超になっておるのですが、大幅に増進するというのは、どういうめどをもってこういう表現になるのか、若干の数字を入れて説明してもらいたい。
#8
○政府委員(松本瀧藏君) 少し専門にわたりますので、政府委員して答弁をいたさせます。
#9
○政府委員(牛場信彦君) ただいま仰せの通り、今年の一月ないし八月は非常に入超が多いのでございますが、この理由は、一つは、昨年来の日本の非常な羊毛の買付けその他外貨予算が潤沢についておったせいもありまして、一般的に入超がひどくなって、その中で豪州からの買付けもふえたということが一つと、もう一つは、日豪協定が近く成立するだろうという見通しがあったものですから、そうなりますと、豪州側の輸入業者の方から見ますと、関税が下りまして、日本の品物の値段が安くなる。従いまして、協定ができるまでは日本品の輸入は控えておこうという、買控えの向きがあったためでありまして、そのために、輸出が少くて輸入が多くなったという状況であります。協定成立後、どうかと申しますと、大体輸出の信用状の高で見てみますと、七月までは大体毎月平均百万。ボンド程度であったのでありますが、七月以降九月までのところは、その平均が百七十万ポンド程度まで上りました。最近の豪州側の輸入のライセンスの出し方を見ておりますと、毎月二百万ポンドまで伸びておる様子でございます。従いまして、この協定の結果といたしまして、おそらく協定成立後一年間をとってみますれば、二千万ポンドを上回る、工千五百万ポンドまで最小限度伸びるのじゃないかと思っております。そういたしますと、昨年の輸出が千三百万ポンド程度でございますから、これがうまくいけば、これの倍額、うまくいかないでも五、六百万ポンドないし七、八百万ポンド程度の輸出の増加になると思っております、他方輸入の方は、最近の引き締めで、どうしても減る傾向にありますので、バランスといたしましては、だいぶ改善になると考えております。
#10
○森元治郎君 その伸びるもののおもなる品目というのですか、若干でいいですから教えて下さい。
#11
○政府委員(牛場信彦君) 今のところ、まだ日本の対豪輸出は、主として消費財に集中しておりまして、ことに繊維数の輸出が伸びることが期待されております。そのほかカメラでありますとか、玩具というものが伸びるのじゃないかと思われます。しかし、先の問題としましては、やはり日本もだんだん資本財の方面に力を入れて、開発関係の機械でありますとか、電気関係の機械なんかの輸出をやっていかなきゃならないわけでありますが、これには幾らか時日がかかると思っております。それから、もう一つ大きな品目は鉄鋼類でございまして、これは昨年は、日本の国内の需要上、輸出余力はほとんどなかったわけでありますが、今年は事情がだいぶ変りまして、むしろ輸出に力を入れて参るという状況でありますので、これは今後の努力によりましては、相当伸びるのじゃないかと思っております。
#12
○井野碩哉君 それに関連しましてお尋ねしたいのですが、日本品のみに課せられました差別待遇は、これはどういう品目になっているのですか。それからまたその中で、これがはずされましたために、非常に利益を受けます品目はどういう品目でございますか。
#13
○政府委員(牛場信彦君) 一番大きな日本に対する差別待遇は、関税上の差別待遇もございましたのですが、ほんとうに効果のありました差別待遇は、数量制限を課せられておった品物でございます。これを今度はずされることになりましたので、今まで数量制限を課せられておったものが伸びることになるだろうと思われるのでありますが、そのうちのやはり一番大きなものは繊維熱でございます。それから、ただいま申しました玩具もそうでございますし、陶磁器というようなものもその中に含まれております。
#14
○佐藤尚武君 対象貿易では、日本に対する輸入の方が多く、輸出入のバランスがとれない。従ってポンドの支払い勘定が多くなっているということは、統計などでもよくわかるわけですが、一体ポンドを使っているというところの日本の貿易勘定は、大体のところどういうことになっているのですか。つまり日本のポンド支払い、ポンドをもってする支払いと、ポンドによって受け取る勘定と、どういうことになっておるのですか。戦後も、しばらくの間は日本のポンド受取勘定はいちじるしくふえていたし、むしろ一時は多少困った時期があったように記憶しておりますが、現在はどういうふうになっておるか。それから、もしポンドの受取勘定が依然として多いとしたならば、何も対豪貿易によってポンドの支払額が多くても、そう日本としては困らないでも済むのじゃないかという気がするのですが、その辺の事情を一つ御説明願いたい。
#15
○政府委員(牛場信彦君) ポンド地域との貿易は、伝統的に日本の方が少し輸出超過になっておるわけでありますが、これはドル地域との貿易がどうしても輸入超過になりますのを補う意味におきまして、ぜひ日本は輸出超過にしておかなければならない貿易の型でございます。
 過去の数字を申し上げますと、一昨年におきましては、輸出が一億六千万。ポンド、輸入の方が一億九千万ポンドで、約七千万ポンドの輸出超過であります。それから昨年は、輸出が三億二千三百万ポンド、輸入が三億八百万ポンドでございまして、だいぶ幅は減りましたが、依然として出超だったわけでございます。ところが本年になりますと、一月−八月の統計をとってみますと、輸出が二億七千四百万ポンドに対しまして、輸入が一億九千三百万ポンド、初めて輸入超過になって参ったわけであります。これは、輸出の方は割合に順調に伸びておるのでありますが、輸入の伸びの方が多かったというために、こういうことになったわけでございます。そうして輸入の伸びのうちで、一番目立ちますのが豪州からの輸入だったわけであります。たとえば昨年は、一年間でもろて七千四百万ポンドの輸入がありましたものが、ことしの一月−八月のときに、すでに八千四百万ポンドも輸入しておったというわけでありまして、ポンド逆調の一番大きな原因は、豪州からの輸入超過ということになっているわけであります。もちろんただいま、御承知の通り、これは豪州から買っておりますものは、日本にとりましては、羊毛にしても小麦にしても大麦にしても、重要なものでありまして、別に二不必要なものを買って、こういう逆調になったわけではない次第であります。ただ、日本の対豪輸出というものは、今まで非常にアンフェアーな取扱いを受けておった、日本だけの制限がかかっておったということのために、日本の輸出の伸び悩んでおったことは、われわれとしては非常に遺憾に存じておった次第でございます。今回の協定によりまして、その点の是正はできたと思っております。従いまして、先ほど申しましたように、バランスの方も長い目で見ればだんだん改憲して参る、もちろん、これがすっかり完全なバランスが出てくるということは、貿易構造から申しまして困難と思います。今までのように、一対十というような、非常な入超の傾向というのは是正されて参っていると思っております。
#16
○佐藤尚武君 ちょっと聞き落しましたが、去年の、ボンド圏のバランスはどのくらいだとおっしゃいましたか。
#17
○政府委員(牛場信彦君) 輸出が三億二千三百万ポンドであります。輸入が三億八百万ポンド、差し引き約千五百万ポンドほどの出超でございます。
#18
○佐藤尚武君 重ねてお伺いしますが、対象貿易の方はよくわかりましたが、その他のポンド圏に対しましての日本の輸出のその趨勢はどうなんでしょうか。伸びる傾向にあるのでしょうか、または停頓状態にあるのか。将来あまり望みをかけ得ないというような状態にあるのか。
#19
○政府委員(牛場信彦君) 大体におきまして、輸出の方は順調に伸びてきていると申し上げてよいと思うのであります。一昨年が二億六千万、昨年が三億二千三百万、本年の一月−八月が二億七千四百万円ということでございますので、もちろん、もう一歩伸ばしたいわけでございますけれども、現状におきましては、特に輸出の方面において非常に困難を感じているということは、国によっては、ございますけれども、全体としてはまあないと思っております。ただ最近、ガーナでありますとか、マレーというように、独立国が大へんできて参りました。そうなりますと、たとえばガーナのごときは、日本から一方的に今まで輸出超過になっておった国あります。そういう国が貿易収支の改善を要求して参りますと、日本としても、何か向うから買わなければならぬ。費えない場合には、向う側が日本の輸入を制限することになるおそれがあるということで、そういう点には適切な手を打っていかなけれ、はならないと思っております。
#20
○佐藤尚武君 同じ東南アジアであっても、ポンド圏に属しているところと、属してないところとあるわけなんですが、たとえばビルマはどうなっているのか。インドネシア、これは今のお話の中には入っておりませんでしたが、インドネシアとの貿易は何勘定でやっておられるか。これを一つ御説明願いたい。
#21
○政府委員(牛場信彦君) ビルマはポンド地域に入っておりまして、ポンドでやっております。インドネシアは、六月末日まではオープン・アカウントで行なっておったのでありますが、その後はやはりポンド現金決算に切りかえております。ちょっと申しますが、ただいま私が申し上げました数字は、全部日本といわゆるポンド地域との貿易の数字でありまして、それ以外にも相当多数の日本は振替可能ポンドを使って貿易をいたしております。その方の数字は、ここにはちょっと含まれておりませんが、その振替可能ポンドを使う貿易の面におきましては、大体日本の収支は均衡していると承知しております。
#22
○佐藤尚武君 その国はどうなっておりますか。どういう国々……。
#23
○政府委員(牛場信彦君) いわゆるポンド地域に属していないで、日本がポンドで貿易しております国は、たとえば今のインドネシア、それから中共もそうであります。それからソ連もそうであります。それからそのほかにヨーロッパの大陸の国々、これはドルでもポンドでもよいというような、あるいはその国の現実通貨でもよいというような格好でやっておるものが多くございます。南アメリカでもアルゼンチンなどはポンド決済でやっております。そのほかまだ二、三ございますが、大体そういうようなことでございます。
#24
○加藤シヅエ君 豪州との貿易は、日本からもう少し輸出ができるようになれば大へんに喜ばしいことだと思いますけれども、何分にも豪州では日本に対する感情がまだあまりよくなっていない。そういうようなときに日本品が入っていくということは、どうしても、たださえ労働組合なんかえらく神経質になっているときに、非常に上手な入り方をしないと、将来悪い結果を招くおそれがあると思うのでございますけれども、ほかの国の場合によく聞くことは、どうして日本の品物は必要以上に安く輸出するのだろうか、そんなに安く売らなくてもいいんじゃないか、ということをよくいわれるのでございますけれども、そういうようなことについて、どんな注意を払ってなさろうとしてらっしゃいますか。また豪州の物価というものがどんなような水準にあるのでございますか。その辺をちょっと聞かしていただきたいと思います。
#25
○政府委員(松本瀧藏君) ただいま仰せのごとく、いろいろ海外の市場におきまして、日本商品の評判が落ちておることは事実でございます。あるいは商標を盗んでおるとか、意匠を盗んでおるとか、いろいろな問題が起っておることはたえず新聞に発表された通りであります。その意味におきまして、狭く深く参りまして、いろいろ市場を撹乱、撹乱という言葉は不穏当かも知れませんが確保する場合に、いろいろ政治的の問題が起きるのでございます。たとえば食器類あたり某国の六〇%も日本商品が模造品でかき回しているというようなことになりますと、これはやはり政治問題になりますので、メイド・イン・ジャパンという名前がチンピラ商品だという印象を与える代名詞になってはいかぬ。そこでもっと質を高めて、安い商品ではなくていわゆるクォリティ、質でこれをもっていかなければならぬ。従って幅を広く浅くというような方針をとっていくべきではないかという工合に今日考えております。なお物価指数の問題に関しましては専門の方から説明さしていただきます。
#26
○政府委員(牛場信彦君) 詳しい数字につきましては調べまして後ほど資料として提出いたしますが、大体のことを申しますと非常に物価の指数は高いと申してよいと思います。ことに軽工業の製品でございます衣類でありますとかそれから日用の家具類、そういうようなものは、あの国は非常に労賃の高い国である関係もございまして、おそらく世界でも有数の高い国ではないか。繊維類などは向うの百貨店に出ておりますのを見ますと、日本で東京あたりに出ておりますものの大体四倍ぐらいの値段で売られておるのも相当見受けられます。ただあの国はクォリティ・マーケットでありまして、品質のいいものでないと売れないということで、それが一つは物価高に拍車をかけているのじゃないかと思います。それに反しまして、食糧とか住宅というようなものは割合に安いようでございます。食糧はもちろん輸出国である関係も、ございまして、私たちが向うへ参ってホテルに住んでおりましても、ホテルの料金とか食物などは割合に安いのじゃないかと思います。
#27
○加藤シヅエ君 今、松本政務次官からお話のように、非常に気をつけていらっしゃるということでございますが、それを何か今までのようなまずい安っぽいものをはんらんさせないような工夫をするために、何か機関があるとか、方法があるとかいうことを具体的に示していただきたいと思います。
#28
○政府委員(牛場信彦君) これはもう日本の問題として一番大事な問題でございますので、今主管の官庁は通産省でございますが、各省も協力いたしまして重点的に考えておる問題でございます。そうしてその行政の根本的な仕組みといたしましては、やはり業界の自主性を尊重していくということを建前といたしておりまして、法律としては輸出入取引法という法律がございますが、その条件に適合したものにつきましては輸出入の組合の結成を認める、あるいは業者の間の協定の締結を認めるというようなことをいたしまして、数量的にも価格的にもまた品質的にもいろいろな基準を業者間の協定によってきめまして、それを通産省が認可して、その基準に合ったものでなければ輸出は認めないというような措置をとっておるわけでございます。またそこまでにいかない段階におきましも、ことにこれは繊維品の輸出について行なっておるわけでありますが、自主的に日本の内部で規制をいたしまして、数量的に一定の量以上に出さない。その一定の数量というものを関係の商社の間に大体割り当てまして行なっておることがあるわけでございます。その一番著しいものはアメリカに対するものでございますが、そのほか豪州でありますとかヨーロッパの諸国というような、先方の国内産業に影響を与えると、結局日本品の輸入制限というようなところまで発展するおそれのあるような国に対しましては、そのような自主的の規制を行なって徐々に輸出を伸ばしていくというやり方をとっておる次第であります。
#29
○加藤シヅエ君 豪州は、まあ非常に広い土地の面積に対して希薄な人口を持っておるということで、日本とは全然反対の関係にある所だと思いますが、前から日本人の移民というようなことに対しては絶対に禁止しておるということを伺っておりますが、戦後いわゆる戦争花嫁四百七十一名が豪州に渡っていて、うち五名はすでに豪州の国籍取得済みというようにここに御説明が書いてございますが、日本人が国籍を取得する場合には、どういうような場合には取得できるというような、移民法でございますか、どういうことになっておるのでございますか、そこを聞かしていただきたいと思います。
#30
○政府委員(松本瀧藏君) ちょっと今お答えする資料がございませんので、いずれ調べまして提出さしていただきます。
#31
○鹿島守之助君 それと関連して、今回答を求めるわけじゃないのでございますけれども、前の講和会議のときに日本は人種平等を提案し、豪州の総理のヒューズの反対で否決されてしまったのです。しかし人種平等というような提案を出すのに、その後社会党あたりはずっと各国に働きかけて、世界のすみずみまで伸びておるのです。あの当時よりは今日の方がずっと出しいいような事情にある。これは日本が提案すれば、また豪州の立場も考えなければならないのですが、この人種平等ということは日本の一つの基本政策のように考えておるのですが、これは外務当局ではこういう研究はされておられるのでしょうか。あるいは近き将来にこれを出せばAAグループは必ず賛成するかもしれないのですが、この大きな人種平等という大理想を外務省事務当局では考えておられるでしょうか。これもきょうは私は回答を求めませんが。それから移民問題と関連しまして白豪主義ですね、それと関連しまして人種平等ということをちょっとお教え願いたい。
#32
○政府委員(松本瀧藏君) いろいろ政策委員の間におきましてこういう問題検討しております。またホワイト・オーストラリアの移民問題に関しましては非常にデリケートな問題でございますので、こういう問題も徐々に一つはごしていきたい。たとえば技術者を向うで、要求しておりますものをどんどん送り込むというようなことによって、まあ移民という形で多く送り込めるかどうかは今回のところわかりませんが、も一つと向うに出られるように今後対策を講じたいという研究をいたしております。
#33
○加藤シヅエ君 今の問題にやはり関連いたしまして、今すぐに日本が豪州に移民を送り込むというようなことを口一八体的にこちらからどうこうというわりにはいかないと思うのでございますけれども、やはり将来通商関係を円満にしていくことを基礎にして、だんだん日本人に対する悪感情や誤解を一掃して、それで日本人が狭い国に人口が多くて困っているというような問題に対して深い理解を持ってもらって、それで先だって石黒委員や笹森委員が非常に御研究になりました、アメリカに技術農民の移住者と申しますか、そういうようなものをだんだん送り込むことに今成功しつつあると、ああいうようなことをやはり日本の政府当局としてもだんだんに働きかけていくことが至当ではないかと思うので、ございますけれども、今そういうような御構想がおありになるのでございましょうか。
#34
○政府委員(松本瀧藏君) 先ほど御説明の中にございましたごとく、技術移民とかあるいはさらに短期移民の問題、非常にこれは成果を上げておりますので、アメリカ方面におきましても短期移民をさらに二回、三回と入れたいという努力を行政府は払っております。労働組合並びにスポンサーあたりと相談をいたしまして、どうやらこれはまた実現しそうな段階にきております。同じような努力をやはり豪州に対しても払わなければならないと思います。いろいろと先生あたり非常に深い関心を持っておられます、MRAの大会あたりで非常にこの方面に深い理解を持って帰っておられるようであります。この方面に対しては十分われわれは熱意を持って研究していきたい。ぜひ一つそういう形からでも実現さしていきたいという熱意を持って今われわれ作業しております。
#35
○加藤シヅエ君 今松本政務次官からMRAのお話が出たのでございますけれども、ことしの夏の大会でやはり豪州、ニュージーランドからもたくさん来ておられまして、ことにマワリ族、アブリジニ族と申しますか、土着の方々の中の非常にりっぱな方たちもいらっしゃったのです。そういう人たちはことに民族的な感情があって日本人に非常に同情がありまして、日本の過剰人口などの問題について非常に理解がございまして、その中の一人の人が何か社会問題の博士号を持っていらっしゃる大学教授の方でございましたけれども、やはりホワイト・オーストラリアというようなことを考えているということが、アジアの平和を今後維持していくために非常に障害になるとか、日本が非常に好戦的な態度をやめて平和的な民族であるということが豪州に理解されれば、大いにこの人口過剰の問題解決のために、日本人を技術者としてたくさん迎えなければならないのだ、というようなことを向うから言って下さいましたので、私も非常に力を得たわけでございます。このことは特に政府当局としても十分に案をお持ちになって、その案を着々とお進めになるようなことにしていただきたいと思うのでございます。
 それでそれにつきまして一つ心配なのは、今度は岸総理があちらにおいでになるのに対しまして、何か大へんなボイコット運動が起っているというようなことが新聞の報道に出ていたのでございます。それに対してどういうような報道を外務当局でお持ちになっていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
#36
○政府委員(松本瀧藏君) 豪州におきまする対日感情が各方面全部これが解消されておるのではないのでございます。たとえば水泳の選手が向うに参りましても、カーニバルで泳がせないという気勢が上りまするが、絶えずこれがまた一般世論によって抑えられております。この協定が国会に上程されましたときにも、やはり同じグループと目される連中に働きかけまして、動議撤回の運動等を起しております。従って、岸総理が向うに行かれますスケジュールが発表になりまして一部の連中が騒いだことは事実でございますが、それをさらにまた反対動議で圧倒的に押えまして、何ら今日心配はないという情報が入っております。ローカルなこれはケースだと心得ていただきたいと思います。
#37
○鶴見祐輔君 今いろいろお話伺っておったのですが、最近戦後に豪州に松本さんおいでになりましたか。
#38
○政府委員(松本瀧藏君) まだ行っておりません。
#39
○鶴見祐輔君 経済局長はおいでになったですな。今お話を伺っておった私の感じは、私は戦前に参りまして非常に広く方々演説して歩いたのですが、発見したことは豪州人は非常に親日だということ。豪州人の排日というのは政治演説です。なぜかというと、豪州は日本人を排斥しているのでなくてイギリス人を入れたくない、ことにドイツ人の入るのを非常に嫌うのです、成功しますから。安易な生活を送っている方々が外国人の来ることを嫌う一つの感情として日本人を排斥しておるのであって、これは一部の感情である。大体において豪州人は戦前において親日であるということで、私は自分の蒙を開いたのであります。今も鹿島委員からヒューズのお話が出ましたが、ヒューズは非常に排日家であるが、いや、自分は排日は感じたことはない、だってパリーで演説されたでしょう、あれは政治演説だ、今日自分は少しも排日は感じていないということですが、ただ感じますことは、戦争後に、戦争中にあった日本の残虐行為に対するところから、戦争前にあった非常に親日的な国民的な感情がそこなわれているのではないかということを私は思うのです。私も豪州に行くまでは豪州人というのは非常に排日だと思って私も不愉快に思っておったのですが、行ってみますと非常に親日なんですね。これはあの小麦を東洋に紹介したのは日本である。イギリスに対して非常に不利益な商売をしておるが、日本に対しては小麦にしても羊毛にしてもいいのであります。英連邦政策でこういうふうにされておるのです。商売の上からいっても日本が好きだ。従来排日というのは日本だけでないイギリス自身も嫌いなんだからという説明をしておったのですが、この条約ができましたら、私はこれは大へんけっこうなことだと思いますが、一方において日本側も、豪州人が排日だということの先入感を持たないで、豪州人自身は日本に対して非常に一般的に制日なんだ、政治的にいろいろな見解があって、排日の演説を政治上の必要上する政治家がある。これはまあアメリカでもあるのですからやむを得ないことですが、そんな点において私は最近においでになった牛場局長にお伺いしたいのですが、排日の感情というのは戦前に比べて一時的じゃないかと思うのですが、いかがですか。つまり直し得るものじゃないか。
#40
○政府委員(牛場信彦君) 私もごく短期間行って参ったものでございますから、あまり正鵠を得たような正しい観察は申し上げられないかとも存じますが、確かに先生おっしゃいましたように、個人的には非常に日本に対して、少くとも興味を持っている人は多いように感じました。ことに協定ができたこともあるのでございますが、最近は日本を見たい、日本に来たいという人が非常にできまして、先般も千二、三百人も積んだ観光船が豪州から横浜に入ったというようなこともございまして、大体一般の空気はだんだんよくなってくるのじゃないかということは確かに認められると思いました。ただ今排日の主軸になっておりますのは、一つは帰還軍人でございまして、これはああいう人口の少い国で、二回の大戦に非常にたくさんの人が軍隊に入って海外に出たわけでございますから、その帰還軍人リーグの勢力というものは非常に強いわけでございまして、その連中が戦争中に日本軍のためにひどい目にあった人がおるものでございますから、それがまあ一番強い排日の原動力になっておるようであります。それでも最近は少くとも日本人ととにかく話をしようというところまでは大体きておるようでございまして、これは向うにおります大使館の連中の話を聞きましても、初めは全然もうつき合ってもくれなかったのが、最近は少くともこちらの言い分も聞いてくれるようになりつつあるということでございました。もう一つの排日の力になっておりますのは、まあ労働組合なんかを中心とします製造業関係の連中でありまして、これはやはり日本から安いものがたくさん入りますと、自分の生活が脅かされる。あるいは産業としてもつぶれてしまうおそれがあるというようなことから反対をいたしておるわけであります。これはむしろ日本人に対する個人的な反感というよりは、この協定そのものに対する反対、ないしは日本に対して最恵国待遇を与えることに対する反対、というような格好で出てきておるわけであります。豪州は農業国でありますけれども、人口の上からいいますと、農業に従事しておるのは僅かに二〇%でありまして、あとは主として製造業関係、サービス関係に従事しておるわけでございまして、数の上から申しますと、なかなかあなどりがたい力であります。それが政治的にもいろいろ働きかけておるということじゃないかと思います。
#41
○鶴見祐輔君 経済局長も御滞在の期間が短かったようですから、お調べになっていないかもしれませんが、私豪州に参りましたときに、親日の一つの例は、中国以外において豪州くらい日本語を熱心に研究していた国民はない。ラジオでほとんど毎週一回か二回日本語放送をしている。いろいろなテキストをもって日本語を勉強していたのです、日本に来る見込みのない普通の人が。そのくらい親日であったのですが、その後、日本語の放送というものはやめになったのですか、どうですか。
#42
○政府委員(牛場信彦君) 私もその点あまりはっきり存じませんのですが、一般的に非常に外国語に対しては熱心に認められましたですね。
#43
○鶴見祐輔君 恐れいりますが、それを適当な機会に調べてもらいたいと思います。各村々、各町々に日本語研究会がある。私たびたびよばれてみんな日本語を話すのです。そういうような基礎が豪州にあるのですからそれをつちかっていかれたら……。親日な国民性を持っておるのですから。
#44
○曾祢益君 これはオーストラリアの関係じゃないのですけれども、ちょうど加藤委員と松本政務次官との質疑応答の中に出てきましたアメリカの短期農業移民といいますか、労働者の問題、これは私もこの間、あまり十分な調査をしてきたわけじゃありませんが、現地に行く機会があったので実情の一端にふれてきたのですが、これは当委員会では笹森先生、石黒先生その他の非常な御関係者もおられることなんですが、なかなかこれは問題がある。その点で私は、今会期は非常に短いですし、一般のいわゆる案件の審議にじゃまになっちゃいかぬという考慮もありますので多少ちゅうちょもしているんですが、もし国勢調査あるいは国際情勢調査の一環として、時間が許されるならばこの問題についていろいろな関係方面、外務省、農林省その他の関係団体あるいは関係者を呼んで一ぺんこれは相当建設的な意味からではあるけれども、実情を検討する必要があるのじゃないか、かように実は考える。それ以上詳しいことは申し上げませんが、そういう意味であるいは月曜日に、これは総理の出席なんか必要ないと思うので、もちろん外務次官に来ていただけば外務省関係はけっこうです。それでこの審議に関連して時間をなるべくだったらとっていただいて、この問題について議会としての調査という意味で質問を私はしたいと思います。この機会にちょっと予備的にこのことを申し上げておきたい。
#45
○委員長(寺本広作君) 曾祢君御提案の短期移民についての調査案件は、後刻理事会で打ち合せをいたしたいと思います。御了承願います。
 本日の委員会はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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