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1957/11/08 第27回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第027回国会 本会議 第5号
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1957/11/08 第27回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第027回国会 本会議 第5号

#1
第027回国会 本会議 第5号
昭和三十二年十一月八日(金曜日)
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第五号
  昭和三十二年十一月八日
    午後一時開議
 第一 昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)
 第二 昭和三十二年度特別会計予算補正(特第3号)
 第三 昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第2号)
    ━━━━━━━━━━━━━
●本日の会議に付した案件
 日程第一 昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)
 日程第二 昭和三十二年度特別会計予算補正(特第3号)
 日程第三 昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第2号)
 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案(八木一男君外十五名提出)の趣旨説明
    午後一時十一分開議
#2
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 昭和三十二年度一般会
  計予算補正(第1号)
 日程第二 昭和三十二年度特別会
  計予算補正(特第3号)
 日程第三 昭和三十二年度政府関
  係機関予算補正(機第2号)
#3
○議長(益谷秀次君) 日程第一、昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)、日程第二、昭和三十二年度特別会計予算補正(特第3号)、日程第三、昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第2号)、右三件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長江崎真澄君。
    〔江崎真澄君登壇〕
#4
○江崎真澄君 ただいま議題となりました昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)、同特別会計予算補正(特第3号)及び同政府関係機関予算補正(機第2号)につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。
 本補正予算三案は、去る一日委員会に付託され、四日政府より提案理由の説明を聴取し、五日より七日まで三日間にわたって審議、昨七日討論、採決されたものであります。
 今回提出されました昭和三十二年度予算補正三案は、中小企業金融対策を中心とし、あわせて時期的に本国会において予算措置を講ずることが必要となった事項に関するものであります。
 本三案のうち、特に政府関係機関予算補正(機第2号)は、国民金融公庫並びに中小企業金融公庫に対しまして政府資金の供給を追加いたし、中小企業の資金需要に応ぜんとするものであります。政府は、さきに、国際収支改善緊急対策の一環といたしまして、国民金融公庫及び中小企業金融公庫に対し、四・四半期借り入れ予定の政府資金の繰り上げ使用を行わせ、一般の金融引き締めが中小企業に対し不当にしわ寄せすることのないよう取り計らったのでありますが、今回この繰り上げ分を補てんするとともに、中小企業に対する年末金融対策に万全を期するため、両公庫に対する財政資金の供給を合計百七十億円増加することといたし、これに伴う政府関係機関の予算総則及び両公庫の収入支出予算について所要の補正を行うものであります。
 次に、委員会における質疑の若干について申し上げます。
 まず、政府の財政経済政策につきまして、「政府は三十二年度予算において一千億減税、一千億施策の積極政策を推進してきたが、数カ月を出ずして国際収支改善緊急対策を打ち出し、その経済政策を急激に転換せざるを得なくなった。このため国民各層に深刻な影響を与えるに至ったのであるが、政府の前年度来の金融、為替管理等の諸施策その他景気観測等がよろしきを得なかったことによるものと思われるが、政府の所見いかん。」という質疑がありました。これに対し、政府側より、「政府は従来絶えず貯蓄の範囲内で投資するよう勧めてきたが、経済の諸機能が有機的な調節作用を果さなかったため行き過ぎを来たしたのであって、政府としても反省すべき点はあるが、最も懸念とするインフレを招来しなかったことはきわめて仕合せとするところである。政府のとった緊急対策は、経済活動の行き過ぎを調整し、国際収支を改善せんとするもので、各方面の鶴力を得て経済の安定と発展をはかりたい。また、金融政策に計画性を持たせることは必要であり、その制度等については目下検討中である。」との趣旨の答弁がありました。
 また、中小企業対策につきましては、「政府は種々な角度より幾多の法律をもってその助成策を講じているが、従来の法律を整理統合し、たとえば中小企業振興法というがごとき単独法を制定し、その施策を強化してはどうか。また、大企業と中小企業との賃金の格差がはなはだしいが、これに対し政府はいかに対処せんとするのであるか。」との趣旨の質疑があったのであります。これに対し、政府側より、「中小企業は、産業構造の上からも、また社会的な観点からも、きわめて重要な地位を占めているから、単に困っているから救済するというのみではなく、それぞれの企業の特徴を十分に発揮し、その役割を積極的に果すよう、その体質の改善をはかる方向に持っていきたい。また、中小企業の賃金は、その生産性と関連するものであるが、最低賃金制を設けることによって下からのささえとしたい。」との趣旨の答弁がありました。
 以上のほか、外交、防衛、労働、桂会保障、農政等、国政の諸般にわたって活発な質疑が行われたのでありますが、これらにつきましては、すべて会議録に譲ることを御了承願いたいと存ずるのであります。
 本補正につきまして、昨七日、日本社会党より編成がえを求めるの動議が提出されました。すなわち、その要領は、第一、駐留軍労務者対策費等を含む失業対策費六十三億余万円を計上すること、第二、国民金融公庫並びに中小企業金融公庫に対する政府原案による融資増額百七十億円のほか、さらに国民金融公庫に対し百三十億円を増加融資すること、第三、公務員並びに三公社五現業等職員の年末手当として二百七十億余万円を増額支給すること、このほか、勤労所得者に対し、本年末の賞与等に対し所得税六十億円の軽減措置を講ずること、また、消費者物価値上げに伴う生活保護費等の増額三十四億余万円を計上すること、第四、災害復旧等事業費並びに地すべり対策費等三十億円を計上すること、というのであります。以上のうち、一般会計における歳出増額と所得観収入減額との合計額約三百十九億余万円の補てんの財源は一防衛関係費の未使用残金をもって充当するというのであります。
 政府原案並びにただいま申し上げました日本社会党の動議に対し、同日質疑を行い、質疑終了後直ちに討論に入り、採決の結果、社会党の組みかえ要求動議は否決され、補正予算三案は政府原案の通り可決されたのであります。(拍手)
 以上、簡単ながら、御報告申し上げます。(拍手)
#5
○議長(益谷秀次君) 昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)外二件に対しては、川俣清音君外十七名から編成がえを求めるの動議が提出されております。この際、その趣旨弁明を許します。西村榮一君。
    〔西村榮一君登壇〕
#6
○西村榮一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)外二件の予算補正案に反対いたしまして、これをわが党提出の編成がえ要求の動議に依って組みかえせんことを政府に要求するものであります。(拍手)
 その内容は、お手元に配付されました文案通り、一般会計関係では、災害復旧と地すべり対策おのおの十五億円、失業対策事業の吸収人員を三十五万人に増加するための二十九億円、日雇い登録労務者の年末手当の増額が六億円、四万五千人の大量失業者を出しました駐留軍労務者に対する失業対策費二十八億円、消費者物価上昇に伴いまする生活保護費の増額三十四億円、物価上昇に伴いまする公務員の年末手当の増額に要する額と地方財政並びに義務教育費国庫負担分を合せまして百三十一億円、合計いたしまして二百五十九億円、これに年末手当等の賞与の五千円までは免税にして、物価上昇による実質収入の引き下げを補うために、所得税では約六十億円の減収を予定いたしております。これで、一般会計では三百十九億一千四百万円の歳出補正を行い、これの財源といたしまして、毎年三百億円内外の過年度繰越金と不用金を生みまするところの防衛庁費と、米軍引き揚げにより当然剰余金の出る防衛支出分担金の双方を削減いたしまして、これらの支出に充てたいと存ずるのであります。また、特別会計及び政府関係機関会計では、一般会計に準じまして、職員の年末手当増額に対し百三十九億円、中小企業金融については、さらに国民金融公庫に対して百三十億円の増額を要求するものであります。以上が大体におきまして補正予算組みかえの動議を提出いたしまする数字的根拠であります。
 私は、この際、簡潔に政府に希望を申し上げておきたいのでありますが、本来ならばかような編成がえをいたしまするよりも、むしろ、政府は、下半期に際会いたしまして、三十二年度に編成いたしました予算を実行予算として編成されることが、政治的な責任ではないかと思うのであります。(拍手)と申しますることは、岸臨時首相、当時の政府当局が、予算審議に際してお述べになり、かつ確信をもって天下に声明されたことは――二十九年度から始まった三十年度、三十一年度のあの最も高い景気上昇率は三十二年度も相変らず継続されるものである、いわゆる高原景気は三十二年度も継続されるのであるから、この際日本経済は一大積極政策をとって将来の飛躍発展のために備えねばならぬというので、有名な一千億円の積極政策、一千億円の減税政策をとられたのが三十二年度の予算案でございました。これに対して、私どもは、政党政派を超越いたしまして、純経済学的な経済の立場から観察いたしますると、この三十二年度の予算案が――政府の考えておられますように高原景気の継続は不可能であるという私どもの見解は三点ありました。一つは、国際的な投資ブームはすでに頭打ちである。第二は、各国とも、手持ちのドル不足をどう補うかというので、国際収支のバランスを堅持するために輸入制限の傾向が現われて参りました。それと同時に、日本経済に三十一年五月から現われてきた徴候は物価の上昇であります。それが九月、非常なかけ足をとりまして、予算審議の直前でございまする一月の末におきましては、すでに生産財資材におきまして国際物価より一三形の上昇率を示したのであります。この三点から、政府が高原景気が継続されるという見通し、同時に、その一三%の物価高を抑制するための輸入を大量的に入れて物資を豊富にして物価を押えるという政策は、少くとも国際経済が上昇期にございまするときにはそれは可能であるけれども、すでに警戒信号が出ておるときには、せっかく物資を輸入しても、それを再生産して売り出すときには、国際市場は閉塞されて、結局手持ちのものだけが多くなって、日本の手持ちドルは海外に出ていって、デフレ恐慌か金融難が生ずるのではないかというところから、五月、六月ごろからは経済が曲ることになるから、この際はそういうふうなあまり派手な積極政策をとらずに、ごく地道な、国際収支のバランスが合い、同時に物価も押えて、将来の国際経済の競争に耐えるような態勢をとったらどうかということを、御忠告申し上げたのでありまするが、残念ながら、一千億円積極政策、一千億円減税となって本予算が現われて参りました。その結果どういう現象が現われたかと申しますと、なるほど一千億円減税していただきまして勤労階級は大喜びでありますが、この一千億円の減税に対しまして恩恵をこうむったのは、五人家族の勤労者で八百十円であります。ところが、それから来る物価の高騰に対して、生活費が上昇したのが二千四百九円です。差引何もありません。(拍手、「おかしいね」と呼ぶ者あり)おかしければ、あとで数字を申し上げます。
 それでは、皆さんの最もなじみの深いところでお話を申し上げますと、積極政策をとりましたけれども、国際収支のバランスは破れました。そこで、積極政策から消極政策と申しますか、輸入引き締めの政策をとらざるを得なくなりました。その結果、五月に入りまして、再度の日本銀行の公定歩合の引き上げを断行せざるを得なくなった。これは御承知の通り。その結果、株式市場は大暴落をいたしまして、株価総計して暴落した価額は二千七百億円であります。そうしますと、今日の銀行その他の金融機関、大会社並びに一般サラリーマン、その他の中間階級が所有いたしておりまする株価の損失は二千七百億円であります。一千億円の積極政策のにおいをかがざれながら、損失をこうむったのは二千七百億円。なるほど株は上ることもありますが、現実に下っておることは事実です。これが積極政策であります。だから、大資本家階級に奉仕しようとする保守党の政策は、最も奉仕せんとする対象である資本家階級に最大なる不利益を与えたということがこの経済政策。(拍手)ただし、資本家階級がそれでも保守党さんを御支持なすっておるのは、労働組合とのけんかにきわめて勇ましいかけ声で勇敢にやってくれるから、これは支持しておるのでありますが、経済から見ますると大きな損失であります。そこで、一千億円の積極政策――減税は別にいたします。一千億円の積極政策というかじをとってきたが、それが国際経済と国内経済の至上命令から不可能になりましたから、金融引き締めというデフレ政策をとらざるを得なくなった。
 私がそこで申し上げたいのは、積極政策という東の方向をとりながら、金融引き締めという西の方向へ、予算が組まれた後において方向を変えなければならなかったといたしますならば、その方向を変えることによって生ずる国民経済の混乱と動揺はどうして調整するのであるか。さらに、東に向って出発いたします汽車が西に向って方向を転換したというならば、その西に方向を転換した汽車の乗りかえの汽車を用意しなければならないのでありますが、その乗りかえの汽車は来年の予算を編成するまで待てというのでありまして、ここに半年間の経済的な空白が生ずる。(拍手)私は、今日の政治に良心と常識がございますならば、なるほど三十二年度においてこの一千億円積極政策の財政政策はとったけれども、諸般の事情上これが方向転換せざるを得ないといたしますならば、方向転換こそ、初めて大蔵大臣の主張が正しく国民に反映するのであります。(拍手)このことをなさずして、単に来年度からということでは、過去の実績に徴しまして、これは政党政派を超越して、日本の経済界のみならず、日本の労働界、多くの国民が、一体自分が国家に奉仕し、みずからの生活をさきえるために、将来の自分の生活と物の経営の方向をいかにするかということが今日足踏み状態であるのでありまして、かような見地に立ちますと――私は、理屈ではございません。現内閣に御忠告を申し上げたい。この方向を転換して、積極政策から金融引き締め、インフレ政策からデフレ政策に方向を転換した上からは、それにふさわしいような下半期の実行予算を編成されて、国民に向うべき道を明らかにされてこそ、初めて政治の責任が完了されたものだと確信するのであります。(拍手)
 こいねがわくは、皆さんにおかせられましては、この私どもの編成がえの動議に御賛成いただくとともに、政府は、よろしく偏見を去って、この三十二年度の予算案が根本的に具体的政策において修正せざるを得なかったのでありますから、私は、それにふさわしいように実行予算の編成がえにあすからでも取りかかられんことを切にお願い申し上げまして、私の説明を終りたいと存じます。(拍手)
#7
○議長(益谷秀次君) これより討論に入ります。小松幹君。
    [小松幹君登壇]
#8
○小松幹君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました、政府提出、昭和三十二年度一般会計予算補正及び特別会計予算補正、政府関係機関予算補正三案に対し、社会党提出の同予算補正三案の編成かえを求めるの動議に賛成の討論をいたすものであります。(拍手)
 政府は、このたび一般会計予算の補正をするに当って、予算総則において、国際復興開発銀行等よりの借款のために、債務保証の限度をきめただけにすぎないのであります。他の内政費用を一つも予算補正しておらないのでございます。このような形式的かつ内容のない予算補正には、われわれはとうてい納得せないのであります。国民の期待と衆望を集めて開かれた今次の臨時国会であります。その臨時国会に提出する補正予算がまことに整っていない。しかも、無責任なる予算の提出の仕方でございます。私は、ここに当然予算化せねばならない重大かつ緊急な問題を指摘して、政府にそれが予算化を勧めたいと思うのであります。
 さきの二十六国会以後今日までを通して、予算的に資金的に最も大きく処置すべき問題は、本年の七月九州地方を襲った風水害の復旧であります。さらには、長野県や岐阜地方の冷害、あるいは九州地区を初め各地に起りつつある地すべり対策にあると思うのであります。しかも、災害地の農市民は、不安と貧困の中から、その復興と対策に血みどろの努力を払っております。しかも、なおかつ、政府の積極的な復旧対策を熱望しているのであります。この事態は政府としてもいたずらに放任できない重大な問題であると思うのであります。建設関係工事及び農林関係工事だけを見ましても、その復興費には六十三億円の予算を要するのであります。政府が緊急措置し、また将来しようとはかっておる予備金支出四十八億円では、とうていこの災害復旧は及びもつかないのであります。また、地すべり地帯の家屋移転は早急を要する事態であります。抜本的な措置までいかないとしても、居住市民に生活の不安を与えないということだけでも、最も大きな問題であろうと思うのであります。(拍手)これらの緊急な問題からしても、政府はこの際災害対策のために積極的に予算補正を行い、災害地の農市民の要望にこたえてしかるべきだと思うのであります。このことは国政担当者として最も重大なことであろうと私は思います。さきに九州災害を視察した岸総理大臣は、わざわざ飛行機で九州まで乗り込んで、二十万枚の宣伝ビラをまいて、災害復旧の熱出忌を誇らかに示しておりますが、このことが岸首相の本意であるならば、災害復旧の本格化をはかって、このたびの補正予算に災害予算を組まなければならないのであります。(拍手)もしこれが岸首相のから宣伝に終るならば、政府は国民をだましたことになるのであります。(拍手)何をおいてもこの災害復旧費を今次補正予算に組み入れるべきであると私は考えるのであります。しかるに、今国会において政府は何らの手を打っていないということは、一体どうしたことでありましょう。国際債務の規定よりも災害復旧の方が軽いというならば、国土及び国民を忘れたところの、政治の本末を誤まったものだと思うのであります。(拍手)私が政府提出予算の補正に反対する第一の理由はここにあるのであります。
 次に、本年度当初予算は神武景気を背景として積極的に作られたものであります。しかしながら、その後経済情勢が急変いたしております。当初の予算編成基礎となった経済指数がくずれてきておるのであります。だから、当然その面からしても予算修正は考えられなければならないのであります。すなわち、金融引き締めのしわ寄せとして経済変調を来たし、その結果、被害者として未就職者の増加、失業人口の増大がもたらされております。さらには、消費者物価もどんどん上っております。金利も上昇の一途をたどっております。結果として、一般国民は漸次生活水準が切り下げられ、零細市民は再びデフレ経済の荒波の中にはうり出され、労働者は低い賃金の犠牲を押しつけられる事態になっているわけでございます。しかしながら、こういう事態というものは政府としても予期したことであり、当然当初から何らかの救済あるいは改善の措置をとらねばならない問題であったのであります。政府はこれに対して何らの財政措置をも講じないということは、まことに政治の怠慢といわなければならないのであります。(拍手)すなわち、当初予算化していた失業人口は二十二万五千、さらにそれから増大する十二万の失業者群に対して、緊急労働対策費を増加し、あるいは厚生福祉措置費等を増し、雇用公務員の年末補給金を配慮して、すみやかに財政措置をなし、予算全体の手直しをすべきであろうと私は思うのであります。しかるに、政府は、この経済変動の数字を無視して、国民の窮乏も顧みず、何らの財政措置もいたしておらないということは、明らかに財政法の違反であり、大きな失政といわなければなりません。(拍手)ただ一萬田さんのいわゆるそろばん玉が合えばいいというような高利貸し的な政治心理が今日表に出たということは、まことに嘆かわしい事実であります。
 ことに、公務員関係の年末手当の増額は、さきに人事院より勧告を受けたことであり、すでに閣議においても〇・一五の増額は認めているのであります。当然今次の補正予算に予算化されなければならないのであります。既定経費のワク内操作によって捻出しようという、こそくな手段に出ている政府は、これは間違っていると思うのであります。このことは予算使用を不明朗にするばかりではありません。地方公務員並びに教職員関係の支出財源を混迷ならしめ、ひいては国家予算の運営の隘路を結果として作るものであります。この際政府はこの当然過ぎる給与改善費を明確にベースに載せて予算補正をすることが当然であろうと思うのであります。(拍手)政府は公務員に法の峻厳をもって臨むのであります。生活の純潔を求めます。しかしながら、政府自身も、公務員に求めるならば、みずからも予算編成においてこの程度の明瞭果断な予算措置を講じてこそ、初めて公務員に真正面にものが言えるのではないでしょうか。公務員を責める前に、みずから政府が当然措置すべきものを措置することが必要であろうと思います。今次政府の予算補正にこの重大な欠陥があることを指摘して、私は政府予算に反対する第二の点といたしたいと思います。(拍手)次に、政府関係機関予算の補正において中小企業金融に百七十億円を用意しておりますが、その中で国民金融公庫には七十億の増加を行なっておるにすぎないのであります。しかも、繰り上げ融資四十億を除けば、実質は二十五億の増加にしかならないのであります。中小企業は金融がすべてであるといっておりますが、中小企業金融にも入らない、そうかといって、市中銀行の貸し出しのワクにも入らない零細商工業者は、一体どの金融にたよったらいいのでありましょうか。国民金融公庫こそ、ただ一つの金融の窓口であろうと思うのであります。この零細企業のたよる公庫にわずかに七十億の資金しか配慮し得ない現在の政府の措置に対して、私は大きな不満を感ずるのであります。現在金融引き締めの政策の最大の犠牲を受けているのは中小企業であります。その中でも、零細企業及び一般小市民は、全く国家金融の恩恵は受けていないといっても過言ではないのであります。しかも、物価は上り、借り得べき金融は高利の市民銀行あるいは相互銀行にたよらなければならないというのが実態であります。零細企業の生きる道は、せめても低利の資金を借り得る、この一言に尽きると思うのであります。かるがゆえに、国民金融公庫に多数の申し込みが殺到しているのも事実であります。国民金融公庫における本年度第一次の申込額は実に四百億、審査に合格したのが二百億、しかも、実際に貸し出された額は百二十九億にすぎないのであります。第二次、第三次の実質貸付は、審査合格よりはるかに低額であるというのが、今の実情であります。こうした実情からしても、政府は、この際、さらに百億円以上の予算的措置を国民金融公庫に回して、小市民金融に愛情ある方途を講じなければならないと思うのであります。(拍手)政府は、神武景気にあずからない零細小市民あるいは零細小中企業の要望にこたえて、中小企業金融公庫のみならず、国民金融公庫に飛躍的な資金の増大をすべきである。政府は言うでありましょう、年末金融は買いオペレーション等の市場操作によって百五十億放出するから、年末金融は心配しないでもよいと。しかしながら、政府は、それ以前において、売りオペレーション七百億、あるいは市中銀行からの引き揚げ二百五十億、さらに農家に貸し出された供出米代金の吸い上げ等によって民間資金の引き揚げを計画するに至っては、まさに年末金融も、なかなか思うように、政府が言うようには、ゆるやかにはならないと思うのであります。ただ資金が通貨として市民の前を通り過ぎるということにすぎないのであります。依然として小市民の金融は逼迫を続けるでありましょう。政府は、この点を十分考えて、国民金融公庫に十分なる資金的措置をすべきであるにかかわらず、わずかに七十億しか出さなかったということは、まことに遺憾であります。この点を私は指摘いたしまして、政府予算補正に反対する第三の点といたしたいと思うのであります。(拍手)
 次に、補正予算財源の問題でありますが、社会党の組みかえ案は、防衛庁費の残余金から、あるいは防衛分担金の剰余によって捻出をはかっております。私はこの点について大いに賛意を表するものであります。(拍手)日本の防衛費は年々巨大なものになっておりまして、本年の防衛関係費は一千四百億以上をこえているのでありますが、この予算は年々使い果せず、二百億円以上の余剰金を出しているのが実態であります。もちろん切り詰めた実行によって余剰金を出したならばともかく、乱費にもひとしい放漫な支出によって、なおかつこれほどの残余が出ているのが実情であります。これを見込んで、夫使用剰余金を一般財源に回すことも、まさに当を得た処置であろうと思うのであります。防衛庁費の未使用剰余金及び防衛分担金の余剰をもって補てん財源とする社会党の案は、まことに現実的であり、しかも経済的であると思うのであります。(拍手)
 私はこの際日本の防衛について一言触れたいと思いますが、国民の膏血をしぼった巨万の防衛費が一体日本の防衛にどれほど役に立っておるかということを、われわれ少くとも政治家は考えなくてはならないと思うのであります。(拍手)すでに、世界は、大陸間弾道弾、中距離弾道弾、核兵器と、究極兵器が使用されるようになりました。いながらにして長距離爆撃が成功し、原子破壊の威力を十分に駆使することができるようになりました。国土防衛概念の一大変革がきたのであります。世はまさにミサイル時代、衛星創造時代に入ったのであります。(拍手)だからこそ、日本だけがぼやっとしておるので、アメリカでさえも軍備体制が変っております。(拍手)アメリカの軍備体制は、長距離爆撃機、ジェット機の時代から、はやミサイル時代に急角度に転換を余儀なくされておるのであります。すでに一九五八年の航空機の購入高は削減の運命にあります。さらに、空軍予算は、一九六一年度では二八%に下るのであります。F104ジェット戦闘機あるいはF10ないしはF106ジェット戦闘機にしてもまた、大陸弾道弾の前には何らの意味をなさないのであります。しかるに、わが国の防衛は音の速さよりもおそいF86ジェット戦闘機をもって国土防衛を云々しておるのであります。最近、初めて、防衛庁方面では、音速よりも速い、いわゆる百台のジェット戦闘機が防衛計画のリストに上りつつあるというような情勢でございます。すでにアメリカでは防衛価値を失いつつあるF104、F105ジェット戦闘機を事珍しく日本に持ち込んできて、それで一体何になると思いますか。(拍手)常に日本の防衛装備がアメリカの古ものであることに間違いはないとしても、アメリカの変転する防衛産業の廃品処理場とならなければよい。(拍手)アメリカの防衛産業の廃品処理場となって、日本の防衛が一体何の価値があると思いますか。いたずらに国費の乱費をするにすぎないのであります。私は、この際、わが党が提案しておるがごとく、防衛費を削減して民生安定費に充て、さらには、きょうのように、アイクがあわてふためいて科学教育を言うように、日本も早く科学教育の振興に振り向けた方が最も効果的であろうと思うのであります。(拍手)これなくして、国民の教育水準の向上なくして、何の防衛ができると思いますか。
 以上、私は、主要なる問題を四点指摘いたしまして、政府提出の予算補正に反対いたし、社会党提出の編成がえを求めるの動議に賛成するものであります。(拍手)
#9
○議長(益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、川俣清音君外十七名提出、昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)外二件の編成がえを求めるの動議につき採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。川俣清音君外十七名提出の動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#10
○議長(益谷秀次君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます
    〔参事投票を計算〕
#11
○議長(益谷秀次君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百九十五
  可とする者(白票)  百四十一
    〔拍手〕
  否とする者(青票) 二百五十四
    〔拍手〕
#12
○議長(益谷秀次君) 右の結果、川俣清音君外十七名提出の動議は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
 川俣清音君外十七名提出の動議を可とする議員の氏名
   青野 武一君  赤路 友藏君
  赤松  勇君  茜ケ久保重光君
   淺沼稻次朗君  足鹿  覺君
   飛鳥田一雄君  有馬 輝武君
   井岡 大治君  井谷 正吉君
   井手 以誠君  井上 良二君
   井堀 繁雄君  伊瀬幸太郎君
   伊藤卯四郎君  猪俣 浩三君
   池田 禎治君  石野 久男君
   石橋 政嗣君  石村 英雄君
   石山 樺作君  租富 稜人君
   稻村 隆一君  今澄  勇君
   今村  等君  受田 新吉君
   小川 豊明君  岡田 春夫君
   岡本 隆一君  加賀田 進君
   風見  章君  春日 一幸君
   片島  港君  片山  哲君
   勝間田清一君  上林與市郎君
   神近 市子君  神田 大作君
   川俣 清音君  川村 継義君
   河上丈太郎君  河野  正君
   木下  哲君  木原津與志君
   菊地養之輔君  北山 愛郎君
   久保田鶴松君  久保田 豊君
   栗原 俊夫君  小平  忠君
   小牧 次生君  小松  幹君
   小松信太郎君  五島 虎雄君
   佐々木更三君  佐々木良作君
   佐竹 新市君  佐竹 晴記君
   佐藤觀次郎君  坂本 泰良君
   櫻井 奎夫君  志村 茂治君
   島上善五郎君  下川儀太郎君
   下平 正一君  杉山元治郎君
   鈴木茂三郎君  鈴木 義男君
   田中幾三郎君  田中織之進君
   田中 武夫君  田中 稔男君
   田原 春次君  田万 廣文君
   多賀谷真稔君  高津 正道君
   滝井 義高君  竹谷源太郎君
   楯 兼次郎君  辻原 弘市君
   戸叶 里子君  堂森 芳夫君
   中井徳次郎君  中居英太郎君
   中崎  敏君  中原 健次君
   中村 高一君  中村 英男君
   永井勝次郎君  成田 知巳君
   西村 榮一君  西村 力弥君
   野原  覺君  芳賀  貢君
   長谷川 保君  原   彪君
   平岡忠次郎君  平田 ヒデ君
   福田 昌子君  古屋 貞雄君
   帆足  計君  穗積 七郎君
   細迫 兼光君  細田 綱吉君
   前田榮之助君  正木  清君
   松井 政吉君  松尾トシ子君
   松岡 駒吉君  松平 忠久君
   松原喜之次君  松本 七郎君
   三鍋 義三君  三宅 正一君
   水谷長三郎君  武藤運十郎君
   門司  亮君  森 三樹二君
   森本  靖君  八百板 正君
   八木 一男君  八木  昇君
   矢尾喜三郎君  安平 鹿一君
   柳田 秀一君  山口シヅエ君
   山口丈太郎君  山崎 始男君
   山下 榮二君  山田 長司君
   山花 秀雄君  山本 幸一君
   横路 節雄君  横山 利秋君
   吉川 兼光君  吉田 賢一君
   和田 博雄君  渡邊 惣藏君
   小林 信一君
 否とする議員の氏名
   阿左美廣治君  相川 勝六君
   愛知 揆一君  青木  正君
   赤城 宗徳君  赤澤 正道君
   秋田 大助君  足立 篤郎君
   荒舩清十郎君  有田 喜一君
   有馬 英治君  安藤  覺君
   五十嵐吉藏君  井出一太郎君
   伊東 岩男君  伊東 隆治君
   伊藤 郷一君  生田 宏一君
   池田 清志君  池田 勇人君
   池田正之輔君  石井光次郎君
   石坂  繁君  石田 博英君
   一萬田尚登君  稻葉  修君
   犬養  健君  今井  耕君
   今松 治郎君  宇都宮徳馬君
   植木庚子郎君  植原悦二郎君
   内海 安吉君  江崎 眞澄君
   小笠 公韶君  小川 半次君
   小澤佐重喜君  大石 武一君
  大久保留次郎君  大倉 三郎君
   大島 秀一君  大高  靖君
   大坪 保雄君  大野 一郎君
   大野 伴睦君  大橋 武雄君
   大村 清一君  大森 玉木君
   太田 正孝君  岡崎 英城君
   荻野 豊平君  奥村又十郎君
   加藤 精三君  加藤 高藏君
   加藤常太郎君  鹿野 彦吉君
   上林山榮吉君  神田  博君
   亀山 孝一君  川崎末五郎君
   川崎 秀二君  川島正二郎君
   川野 芳滿君  川村善八郎君
   菅  太郎君  簡牛 凡夫君
   木村 俊夫君  木村 文男君
   菊地 義郎君  岸  信介君
   北 れい吉君  北澤 直吉君
   北村徳太郎君  久野 忠治君
   草野一郎平君  楠美 省吾君
   黒金 泰美君  小泉 純也君
   小枝 一雄君  小金 義照君
   小坂善太郎君  小平 久雄君
   小林  郁君  小山 長規君
   河野 一郎君  河本 敏夫君
   高村 坂彦君  纐纈 彌三君
   佐々木秀世君  佐藤 榮作君
   齋藤 憲三君  坂田 道夫君
   櫻内 義雄君  笹本 一雄君
   笹山茂太郎君  薩摩 雄次君
   椎熊 三郎君  椎名  隆君
   島村 一郎君  首藤 新八君
   白濱 仁吉君  周東 英雄君
   須磨彌吉郎君  杉浦 武雄君
   薄田 美朝君  砂田 重吉君
   世耕 弘一君  瀬戸山三男君
   關谷 勝利君  園田  直君
   田口長治郎君  田子 一民君
   田中伊三次君  田中 角榮君
   田中 彰次君  田中 龍夫君
   田中 久雄君  田中 正巳君
   田村  元君  高岡 大輔君
   高木 松吉君  高碕達之助君
   高瀬  傳君  高橋 禎一君
   高橋  等君  竹内 俊吉君
   竹尾  弌君  竹山祐太郎君
   千葉 三郎君  中馬 辰猪君
   塚原 俊郎君  辻  政信君
   綱島 正興君  戸塚九一郎君
   渡海元三郎君  徳安 實藏君
   床次 徳二君  内藤 友明君
   中垣 國男君  中川 俊思君
   中島 茂喜君  中嶋 太郎君
   中村三之丞君  中村 寅太君
   中村庸一郎君  中山 榮一君
   中山 マサ君  永田 亮一君
   永山 忠則君  長井  源君
   灘尾 弘吉君  並木 芳雄君
   栖橘  渡君  南條 徳男君
   二階堂 進君  西村 直己君
   根本龍太郎君  野田 卯一君
   野田 武夫君  野依 秀市君
  馬場 元治君  橋本登美三郎君
   橋本 龍伍君  長谷川四郎君
   畠山 鶴吉君  八田 貞義君
   花村 四郎君  濱地 文平君
   濱野 清吾君  早川  崇君
   林  讓治君  林  唯義君
   林   博君  原 健三郎君
   原  捨思君  平塚常次郎君
   平野 三郎君  廣川 弘禪君
   廣瀬 正雄君  福井 盛太君
   福田 赳夫君  福田 篤泰君
   福永 一臣君  福永 健司君
   藤枝 泉介君  藤本 捨助君
   淵上房太郎君  船田  中君
   古井 喜實君  古川 丈吉君
   古島 義英君  保利  茂君
   保科善四郎君  坊  秀男君
   堀内 一雄君  堀川 恭平君
   本名  武君  眞崎 勝次君
   前尾繁三郎君  前田房之助君
   前田 正男君  牧野 良三君
   町村 金五君  松浦周太郎君
   松浦 東介君  松岡 松平君
   松澤 雄藏君  松田竹千代君
   松田 鐵藏君  松永  東君
   松野 頼三君  松村 謙三君
   松本 俊一君  松本 瀧藏君
   松山 義雄君  三浦 一雄君
   三木 武夫君  水田三喜男君
   南  好雄君  宮澤 胤勇君
   村上  勇君  村松 久義君
   栗山  博君  森   清君
   森下 國雄君  森山 欽司君
  八木 一郎君  山口喜久一郎君
   山崎  巖君  山下 春江君
   山手 滿男君  山中 貞則君
   山村新治郎君  山本 勝市君
   山本 粂吉君  山本 正一君
   山本 猛夫君  山本 利壽君
   横川 重次君  吉田 重延君
 米田 吉盛君  早稻田柳右エ門君
   渡邊 良夫君  亘  四郎君
#13
○議長(益谷秀次君) 次に、昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)外二件を一括して採決いたします。三件の委員長の報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○議長(益谷秀次君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#15
○山中貞則君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#16
○議長(益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。
    [「異議なし」と呼ぶ者あり]
#17
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長相川勝六君。
    [議長退席、副議長着席][相川勝六君登壇]
#18
○相川勝六君 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 去る七月十六日、国家公務員の給与に関し、人事院より国会及び内閣に対して報告及び勧告が行われましたが、政府は、その内容等につき検討いたしました結果、十二月に支給する期末手当に関する部分につきましては、これを実施することが適当であるとの結論に達し、国家公務員に対し十二月十五日に支給する期末手当の額を〇・一五カ月分増額することといたしたのであります。なお、本改正法律案により増額されることとなる部分の本年十二月における支給につきましては、昨年の例にならい、各庁の長が既定人件費の節約等によりまかない得る範囲内で支給することといたしております。以上が本法律案の提案理由並びに内容の概略であります。
 本法律案は、十一月一日本委員会に付託となり、十一月四日政府側より提案理由の説明を聴取し、翌五日より質疑に入り、連日にわたり慎重審議を進めて参りましたところ、本日の委員会におきまして、日本社会党委員全員による修正案が提出せられ、石橋委員より趣旨弁明がなされたのであります。修正案の要旨は、期末手当をさらに一
〇・二カ月分引き上げ、〇・三五カ月分の増額とすることなどであります。国会法第五十七条の三の規定により内閣の意見を徴しましたところ、今松総務長官より、期末手当を〇・三五カ月分増額することは、民間のこの種の手当との均衡上適当でない旨の答弁がありました。
 質疑を終了し、原案並びに修正案を一括議題として討論に入ったのでありますが、討論の通告もなく、直ちに採決に入り、まず社会党委員全員提出の修正案について採決いたしましたところ、起立少数をもって否決すべきものと議決せられ、次いで原案について採決いたしましたところ、起立多数をもって可決すべきものと議決せられた次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#19
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#20
○副議長(杉山元治郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#21
○山中貞則君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、議院運営委員長提出、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案、両案は委員会の審査を省略してこの際一括上程し、その審議を進められんことを望みます。
#22
○副議長(杉山元治郎君) 山中君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事園田直君。
    〔園田直君登壇〕
#24
○園田直君 ただいま議題となりました両法律案について、提案の理由を説明いたします。
 両案は、政府から提出されました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対応して、議員及び秘書の期末手当を一般職の職員と同じ割合で支給せんとするものであります。
 何とぞ御賛成をお願いいたします。(拍手)
#25
○副議長(杉山元治郎君) 両案を一括して採決いたします。両案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
#27
○副議長(杉山元治郎君) この際、八木一男君外十五名提出、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。提出者八木一男君。
    〔八木一男君登壇〕
#28
○八木一男君 私は日本社会党を代表いたしまして、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案の提案の理由並びにその内容の大綱について御説明申し上げたいと存じます。(拍手)
 公共企業体等労働関係法、いわゆる公労法は国家公務員法とか、その他地公労法、地方公務員法と同じように、昭和二十三年七月二十三日に出されましたマッカーサー書簡というものに基きまして、当時の絶対的な占領政策をてことして推進されてでき上りました法律でありますことは、皆様方すでに十分御承知のところでございます。わが日本が完全に独立いたしました今日において、このような占領政策によって推進された法律は当然改廃を見なければいけないと、私どもは思うのでございます。(発言する者あり)このような意味で、国家公務員あるいは地方公務員、地方公共企業体あるいは地方公営企業等に働いている労働者諸君の基本権は当然回復をされなければならないと、私どもは強く主張するものでございます。(拍手)この意味において、この公労法の改正案を提出した次第であります。
 そもそも、憲法には、国民の生存権とか、労働権、団結権が、それぞれ二十五条、二十七条、二十八条で保障されているのでありまして、労働法は、従って、このような労働基本権の展開の体系として理解されなければならないものでございます。近代的な資本主義諸国の例を見ましても、労働者の権利を一方的に制限し否認している国はほとんど見当らないのでありまして、わが国の公労法が、占領という特殊の事情において、いかに不合理な、いかに歪曲された法律として制定せられたかは、イギリスとか、ドイツとか、フランス、イタリア等の諸国の関係法律と比較検討するまでもなく、明らかな事実でございます。(拍手)しかも、その内容たるや、わが国の実情に全然合わないアメリカの習慣や政策をそのまま持ち込んだものであって、法そのものとしても、まことに粗雑きわまる悪法として糾弾さるべきものでございます。その結果、運営に当りましては、解釈をめぐりまして、労使はもちろん、国会においても、絶えず紛争が続きまして、特に労働基本権を否認、制限したことに見合う代償としての仲裁制度について、果てることの知らない紛争が続くことになったのでございます。すなわち、例を国鉄の仲裁裁定の実施状況に見ますると、本年までになされた賃金の改訂についての五回の裁定のうち、完全に実施されたものは、石田さんの話とは全然正反対で、一つもございません。(発言する者あり)このため、国鉄労働者としては、裁定の完全実施を要求して戦わざるを得ないわけでありまして、労働者としての基本的権利を大きく剥奪されている結果、戦いの手段そのものが常に問題になるという、労使関係の形としては、まことに不健全な状態が生ずることになったのであります。
 最近に至りまして、このような事態に対しまして、何とか現在のこじれた労使の紛争を正常のルールに取り戻そうとする動きが内外に表面化して参りました。御承知の通り、一つは、国内において、労働者自体が、みずからの権利の問題として、そのスローガンに労働基本権の確立を掲げたことであります。第二といたしましては、労働法学者やその他多くの識者が、あげて公労法の悪法たることをつきまして、公企体等労働者に争議権を与えるべきである、オープン・ショップ制とか、カンパニー・ユニオン条項等、あるいは団結権すら制限するような条項は当然断固として削除すべきこと等を訴え始めているわけでございます。もう一つは、御承知の通り、今年のILO総会で、結社及び団結権の自由に関する条約の推進体として、その小委員会が設けられまして、わが国の労働代表のアッピールに応じて、正常な労使関係確立のための措置がなされようとしていることでございます。このような状態からして、いろいろとヤジを飛ばされている自民党の方々も、このような状況におきまして、当然真剣にこれを考え、公労法の改正を考えていただくべきところであると思うわけでありますが、私どもは、このような観点から、公労法の改正案を提出したようなわけでございます。どういうふうに改正しようとするかという内容は、以下申し上げるような点でございます。
 数年間の公共企業体等の紛争を顧みますると、ほんとうに紛争を短期かつ円滑に処理するためには、労働者に基本権を、公共企業体等には自主性を付与して、公正な社会世論のもとに団体交渉を行うことこそ必要であると痛感するわけでございます。(拍手)このことは、私鉄の争議が、争議権がある上に立っていろいろ交渉が行われまして、争議がきわめて短期間に、電車が動き出す直前の朝に解決されておりますることが非常に多いことを想起していただきますれば、当然私どもの考え方が最も実情に即したよい方法であるということをおわかりいただけると思うのでございます。このような方式こそ、内外の労働法の原則に沿うとともに、今日のあらゆる批判や要望にこたえる道であろうと私どもは思います。
 要するに、今日政府の行なっている束縛とか弾圧のもとでは、紛争がいたずらに長期かつ陰性になるのみでありまして、真の解決はないと考えるものであります。正しい労使関係と、紛争の円滑、迅速な処理は、相互の権利と責任を明確に尊重する中に生まれるものであると考えまして、私どもは本改正案を提出いたしたわけであります。この意味で、本改正案は、紛争を少くし、かつ短かくする目的を持つものであることを、特にはっきりと申し上げておきたいと思います。(拍手)
 本日社会労働委員会に付託ざれました地方公営企業労働関係法、いわゆる地公労法の一部を改正する法律案も、同様の理由の一もとに、同様の内容を持って提出したものであることを、関連して申し上げておきたいと思います。
 次に、改正の要点を申し上げます。第一は、公労法の第一条、すなわち、公労法の目的の項の改正であります。本法の成立当初の事情からして、現行法は争議行為を認めない立場に立つところの制約主義で貫かれておるのであります。すなわち、ばく然と公共の福祉を増進し擁護することを目的とすることをうたっているのでありますが、そのねらうところは、労働基本権の否認ないし制限であります。しかし、公共の福祉という概念は、ヨーロッパ諸国、特にイギリス、フランス等では、決してストライキを禁止する意味において使用されてはいないのであります。そうして、現に国営であるイギリスの国鉄労働者は、何らスト権を否認されておらないし、ストライキを行なっておるのであります。公共の福祉とは、より広い意味において労使の正常な慣行、関係を確立することも含めて用いらるべきであると私どもは考えます。よって、公企体等職員に労働三権を認めるという立場をとりつつ、第一条の目的を、制約主義を排しまして、簡潔かつ公正なものに改めたのであります。
 次に、第四条、第八条は削除いたしまして、労働組合法を適用するよう改めるべきであると考えております。現行第四条は、その第一項におきまして、三公社五現業の労働者を一般労働組合と区別いたしまして、オープン・ショップ制を強行いたしております。また、その第三項におきまして、いわゆる逆締めつけといわれまするカンパニー・ユニオン条項を設けまして、職員以外は組合員になれないといたしております。第八条におきましては、労働協約の事項を制限し、団体交渉の範囲を制限いたしておるのであります。オープン・ショップ制の規定は、アメリカにおきましては、組合員の労働条件の低下することを防止するという意味を持っておるわけでございまするが、企業組合でありまする日本の場合は、これは断じて当らないのであります。また、公企体職員についてユニオン・ショップを禁じておる実例は、世界の文明国には少いのでありまして、日本において法律がユニオン・ショップ協定に対して干渉することは憲法違反のおそれ十分でございます。(拍手)逆締めつけ条項は、世界の労働法にその類を見ないものでありまして、当局によりて組合運動弾圧の手段に百。パーセント使われておるものであり、絶対に許しがたいものであります。以上の見地から第四条は当然削除さるべき条項であります。
 次に、第八条は、公共企業体等と労働組合との間に行われる団体交渉の範囲と、締結し得る労働協約の内容を規定した部分でありまするが、労働者の団体交渉権は、憲法二十八条が明文をもって保障している基本的権利でございます。しかも、団体交渉は、組合員の労働条件維持あるいは改善に必要である限り、使用者が処分し得るすべての事項にわたるものと解釈をされておるのでございます。しかるに、本法は、公共的事業という理由から、公共企業体等の管理運営に関する事項を団体交渉と労働協約の範囲から除外しているのでございます。しかし、公共的事業ということから労働組合の団体交渉権が制限を受けるという必然的根拠はないのでございます。従って、これは当然削除さるべきものであると私どもは考えております。
 次に、第十六条並びに第三十五条の改正であります。この二つの条文は、公共企業体等の予算上または資金上不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も政府を拘束するものではないことが規定されております。このような立法が行われた理由として、公共企業体が政府全額出資の公法人であることに根拠を求めようとする説がございますが、公法人たることと、協約の効力を制限することは、理論的に何ら必然的な関連を持たないものでございます。現に、日本開発銀行、国民金融公庫、中小企業金融公庫、輸出入銀行等は、いずれも政府全額出資の公法人でありますが、その労働協約については何ら本法のごとき規定は設けられておらないのでございます。特に三公社の職員の雇用関係は、原則として私法上の関係でありまして、三公社の予算は国家予算ではございません。三公社と職員との給与の支払いを内容とする協定によって公社は私法上の債務を負うのであり、これが国家予算の見地から実質上その効力が制限されるというのは、私有財産を保障した憲法第二十九条違反の疑いさえないとは言い切れないのでございます。(拍手)かかる理由からして、予算上、資金上不可能な資金の支出を内容とする協定が締結された場合、政府は協定履行に必要な予算を国会に提出する義務を負うこと、もし国会が承認するに至らない場合は、債権債務の関係が存続し、政府は繰り返し予算を提出する義務を負うことを明確にすべきであると考えております。よって、このような趣旨に改めるわけであります。
 次に、第十七条、第十八条を削除して、労組法を適用せしめることであります。現行法では、争議行為の禁止並びに争議行為を行なった場合は解雇されることを規定しております。争議行為の禁止が本法の最大の眼目であったことは言うまでもなく、これがために、いかに労使関係がこじれ、かつ長引いてきたかは、識者のつとに指摘するところであり、世間周知のところであります。当然この二条文は削除され、争議権が公共企業体等職員に正当に保障さるべきであると考えるものであります。
 最後に、第四十条の改正であります。本法の適用を受けている五現業職員は、国家公務員法によって制限されている政治活動の自由を保障さるべきであります。
 以上が公労法改正の理由並びにその内容の大綱であります。
 これを要するに、公労法の改正案は、公共企業体等の労働者が不当に圧迫されている労働基本権を憲法の条文に基いて確立し、正しい労使関係の確立の上に立って労働争議の迅速かつ公正な調整をはかることによって、公共の福祉を増進し、かつ擁護することを目的としておるものでございます。何とぞ、皆様方には、この趣旨に御賛同下さいまして、慎重かつ迅速に御審議の上、最もすみやかに御可決あらんことを心からお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
#29
○副議長(杉山元治郎君) 明九日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後二時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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