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1957/11/05 第27回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第027回国会 農林水産委員会 第3号
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1957/11/05 第27回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第027回国会 農林水産委員会 第3号

#1
第027回国会 農林水産委員会 第3号
昭和三十二年十一月五日(火曜日)
    午前十一時十八分開議
 出席委員
   委員長 小枝 一雄君
   理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君
   理事 助川 良平君 理事 田口長治郎君
   理事 原  捨思君 理事 中村 時雄君
   理事 芳賀  貢君
      赤澤 正道君    五十嵐吉藏君
      石坂  繁君    大石 武一君
      大野 市郎君    草野一郎平君
      椎名  隆君    鈴木 善幸君
      中馬 辰猪君    松浦 東介君
      松野 頼三君    阿部 五郎君
      伊瀬幸太郎君    稲富 稜人君
      楯 兼次郎君    中村 英男君
      日野 吉夫君    細田 綱吉君
      山田 長司君
 出席政府委員
        農林政務次官  本名  武君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (農地局参事
        官)      正井 保之君
        農林事務官
        (振興局長)  永野 正二君
        農林事務官
        (畜産局長)  谷垣 專一君
        農林事務官
        (蚕糸局糸政課
        長)      保坂 信男君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
十一月五日
 委員片山哲君及び山田長司君辞任につき、その
 補欠して細田綱吉君及び伊藤卯四郎君が議長の
 指名で委員に選任された。
同日
 委員伊藤卯四郎君辞任につき、その補欠として
 山田長司君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事白浜仁吉君委員辞任につき、その補欠とし
 て原捨思君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の互選
 農林水産業の基本施策に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小枝委員長 これより会議を開きます。
 委員の異動に伴い、理事が一名欠員となっております。その補欠を委員長において指名いたしたいと存じますが御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小枝委員長 御異議なしと認め、原捨君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○小枝委員長 さきに農林水産業の基本施策について農林大臣より説明を聴取いたしたのでありますが、この際これに対する質疑を行うことにいたします。なお大臣は午後出席の予定になっておりますので、御了承を得まして、午前中は政務次官に対し質疑を行うことにいたします。
 質疑の通告がありますので順次これを許します。細田綱吉君。
#5
○細田委員 最近農林省ではいわゆる農林白書を発表されました。その農林白書を拝見すると、農林白書ですからあんなものかもしれません。そのままの農村の姿を出して、そうして社会に警告というか注意を促すということではありましょうが、しかしわれわれ拝見して何だか物足らなさを感ずる。というのは農村はこうである、だから従来農林省はこういう結論に持っていこうとしたがここまでついてこない、あるいはこれをどうしなくちゃならぬという点がきわめて欠如していると思う。この大事なところにくぎが一本抜けておるのが農林白書ではなかったかと私は考えるのでございます。そこで農林白書を拝見すると、五つの赤信号を発表されておるのですが、私は日本の農業について特に注意しなくてはならぬ四、五の点を見ますと、まず第一に、五つの赤信号にもいろいろそういうことは出ておるようですが、農地の造成をどうするか、現在以上に耕地はもう動きがとれないものか、これが日本の農業に課せられた一番大きな問題じゃないか。その次に農業の改良をどうするか、既成農業をどういうふうに改良していくか、この点が私は次に課せられた大きな問題だと思う。第三に考えられることは、いわゆる農村金融はこのままでいいのかどうか、これがわれわれ、いろいろ農林白書やその他農村の実情を見まして、常に考えられる三つの問題でございます。
 そこで第一に考えられますことは農地の造成です。これは私の記憶に間違いがないとすると、たしか昭和二十四年であったと思いますが、農林省はいわゆる開墾可能地を全国的に調査した。それによるとたしか五百万町歩か、五百五十万町歩という面積が出て、これを発表されておったことを記憶しておる。御承知のように日本の耕地は各国に比べて非常に少い。山や谷が多いから耕地が少いのは当然といえば当然ですが、しかし日本と同じように山や谷の多い、例の御承知のスイッツルですら五五%の耕地を持っておるのに、日本は私、従来一八%と聞いておりますが、しかし実際問題としては、どうも一八%すらない、一四%幾らというような、一五%未満ではないかと思う。こんなことで――日本の農地は御承知のように大体九反ということですが、これをこのままおいて、そして日本の農業はこうだとか、ああだとか現状を報告しても私はどうにもならないと思う。特に二千億近いところの主食糧の輸入を毎年日本が負担している。今度の神武景気を見ましても、問題は日本の輸入超過が一番ガンになっておったことは御承知の通り、その輸入の大宗を占めている食糧の輸入、これも今の耕地の造成に直接私は関係していると思う。国内に五百五十万町歩の開墾可能地を控えて、それをそのままおいて、そうして毎年耕地が足りなくて、食糧をそれだけ入れなければならぬということでは、これは非常に知恵の足りない話であり、農林行政としては大事な問題を逸脱しているのではないかと思うのですが、この点で政府の御所見をまず伺いたいのでございます。
#6
○本名政府委員 経済白書についての御批判がまずございました。その内容については、実は今まで農林省としてはああいうものを世間に発表いたしまして、御批判をいただいたことはなかったのでありますが、今日のいろいろお話がございましたようなことを基盤といたして、農産物の、特に食糧増産を初めとして、増産をはかり、さらに農家の経営を安定するためには、何かここらで農林省として基本的な考え方を打ち出すべきではないか、そのためには一体日本の農業の現況はどうなっているかということを、まずみずからが検討いたしまして、その検討した結果を御批判いただきたいということで初めてああいう白書を出して御批判いただきました。お説の通りに、実際あの白書ですべてが言い尽されたというわけではございませんが、少くともあの白書を基準にして、何か新しいものを生み出すだけの、新しいことをやり得る一つの基礎的な資料だけはつかみ得たという進歩があったのではないかと、実はうぬぼれているわけでございます。しかし御指摘の、さらにその上に立って、一番大事なこと、五つの赤信号の中でも、特にただいま御指摘の農地の造成については、これは当然第一に考えられなければならぬと思います。ところがこの農地の造成についてはいろいろ隘路と申しますか、支障があったことは御指摘の通りでございます。従いまで五百万町歩からの開墾あるいは可耕地があると考えられながらも、遅々としてその開発が進まなかった。こういう事実もあることはよく承知いたしております。そこで私は、経済白書並びにその白書に基いて打ち出された政策の内容については、大臣から御説明、御報告を申し上げると思いますが、若干私の主観がまじるかもしれませんが、一応本筋として考えたいことを申し上げてみたいと思います。
 まず土地の造成については、これは土地の行政が今のままでいいか悪いかということが第一に取り上げられなければならないと思います。農耕適地として考えられます場合に、直ちに競合する問題は林野、それから都市計画に関連する問題、こういう問題がいろいろ起きてくるわけでございますが、基本的にやはり私は収穫を得る土地の利用というものは、これは林業によらず農業によらず、実際これは農民が土地を利用する権利と義務を持っている。そうするならば、その上に立って土地の造成の行き方というものを考えなければならない。このように考えまして、その土地の造成についてはいろいろ検討いたしました結果、新政策の上には土地の利用の高度化ということをうたっているわけでございます。そこで土地の農業としての利用の高度化を考えますときに、今までのような行き方ですと、なかなか思うように造成が困難である。なぜ困難かと申しますと、土地の利用区分というものは的確になされていない。都市計画の上からもあるいは工業地帯にいたしましても、あるいは林地にいたしましても、水利関係にいたしましても、そういうものが的確になされていないというので、まずこの目的を達するためには、日本の国土の全体の土地の利用区分というものを考え、その中に農業用地としてどうあるべきかということを考えたいのですが、遺憾ながら今のところ農林省はそこまで手が着いてないので、少くとも農林省の権限においてなし得る最大のものを調査いたそうということで、実は官房に土地の総合調査機関を設けまして、来年度からこの計画を推進していきたい、調査を推進していきたい、かように考えておるわけでございます。この基本的な調査がなされましたときに、先ほど御指摘の五百万町歩というものが果してどれだけ耕地として可能であるか、あるいはまたそれ以上になるものかということが初めてはっきり現われてくると思います。そうしてそれが一つのルールとして、基準としてでき上ったときに、初めて他の競合される部面との調整を農林省の責任においてみずからがはかっていきたい。たとえば林野との競合にいたしましても、あるいは都市計画との競合にいたしましても、その点から一つ解決を見ていきたい、そういう基本的な解決の上に立って土地の造成というものを考えていきたい。これがもし従来のように、いわゆる未墾地がある、未墾地直ちに農耕可能地であるというような考え方だけでなく、それを的確に裏打ちをしてからそういう方向に進んでいきたい、このように考えまして、特に新しい予算の要求をいたして土地に対する考え方の基礎的な裏打ちをいたしていきたい、このように考えております。
#7
○細田委員 次官は今大きく国土計画を立てて、どの程度可能だという基礎的な調査の上に将来耕地の造成を進めたい、こういうふうにお答えになりましたが、私は日本では、そういう基礎的な調査というものはある程度までできているのではないか、その程度のただいま御説明の問題なら、もう私は大体調査は済んでいると思う。問題は次官が今おっしゃったように、土地に対する権利と義務は国民が持っている、これはその通りなんです。われわれ耕地の造成に対しても、かつて行われた農地開放のようなことは、もうすでにいわゆる戦後でないというようなこの字句に、あのままの姿で再びやれというようなことも考えておるわけじゃない。次官が今おっしゃるように、農林省が調べて日本で五百五十万町歩出ている。あとは問題は今次官がおっしゃったように、国民の土地に対する権利と義務があるというこれで一つ私はぶつかっていくわけです。言いかえれば、かつての田畑の所有権者であったいわゆる旧地主が山林地主として立てこもって、そうしてこれをどうしても手離さないというところに私は耕地の造成の妨害があるのではないか。そこでその問題になると、掘り下げれば価格の問題なんです。価格の問題でしたら、これは十年の年賦だとか、二十年の年賦だとか、あるいは地券を発行して、その地券に市場性を持たせるというようなことにするならば、これは相当な価格まで国が出して負担能力は出てくる。この問題にメスを加えなくて、ただ基礎的な調査をしておった。現実に農林省は今まで仕事をしなくてほったらかしておいて基礎的な調査ばかりしておった、そういう基礎的な調査はもうある程度までできていると思う。問題はあなたのおっしゃる土地に対する権利義務、この問題をどう解決するか、ここまで掘り下げていかない限りはたった一五%の耕地をもって二千億の食糧を輸入してあっぷあっぷしているというようなことでは、国に農林行政があるかどうかということを疑われるような低調ぶりだと私は思う。土地はあるでしょう。この五百万町歩をかりに開墾するならば十分に一町、二町近い平均の百姓ができるわけです。しかも御承知のように、明治三十八年は一町当りの人口は五人五分だ。ところがあなたの方の調査によると、昭和二十七年には十五人七分になっておる。こういうように農村人口が非常に鈴なりの過剰状態を来たしておる。しかも食糧は今申し上げた通りです。もうすでに基礎的な段階は、この数字を見ても過ぎていなくちゃならぬ。また今次官のおっしゃったような基礎的な調査の時期は私はもう過ぎておると思う。問題はいかに強い御意思を持って、土地に対する国民の権利義務をどういうふうに規整していくか、この点なんです。言いかえれば度胸だ、腹だ、この点どうなんですか。
#8
○本名政府委員 まさに御指摘の通りに、農林省は今まで農耕地としての調査はかなり進んでおります。しかしながら的確に土地の利用の高度化の点からいきますと、まだ調査が不十分であったように思います。ちょっと話は横にそれますけれども、私、先ほど収穫を上げる、土地を利用することは、農民の権利であり、義務であると申し上げたのでありますが、実はこれは日本で直ちにやるという意味じゃありませんが、お聞きいただきたいことは、私は林業というものも農民の収益の中に見て、林業経営がなされることが、土地の面からいきますと、理想だと思います。その前提は農業経営が安定しなければ、食糧増産は期せられないと思います。従って安定の基礎である収益を考えながら、土地の上に生える木の収穫も農民が得ることが理想だと思います。ただその場合に、それかといって、今日の林業の経済情勢からいきますと、必ずしも農民がやって所定の利益を上げるということろまではいっていないようでございます。木の種類や地理的関係その他からいって、そこまでいっていないと思います。けれどもこれはさておきまして、たとえば国有林の開放にいたしましても、あるいは平地林の開放にいたしましても、当然農耕地として適地がありながら、これが容易に利用を高度化されないで、農業面に開墾すれば当然収穫を上げられるにもかかわらず、依然として木を植えておるというような面がたくさんあると思います。それならば果して木の植わっているところはほとんど全部が農耕可能地であるかといえば、申すまでもなくそうではないのであります。一体この場所は農耕地とすべきか、木を植えておくべきかという判断というものは、同じ農林省の屋根の下にありながら、たとえば林野と農地局がいろいろと意見が合わなかったことが今まであったわけでございます。そこで私はこれを今日の場合において、農林省の責任においてはっきりさせることが必要ではないか、この林は切って畑にすべきである、これは畑にしては入籍なり農民が苦しむ結果になるかち、一伐期は木を植えて土地の地方を増そうとか、あるいは土壌条件を植林によって改良しながら、一伐期後に開墾するのが適当ではないかというはっきりした調査の上に立って土地利用を高度化していきたい、こういう意味で農林省で総合的な土地の調査をいたしたいということで私は先ほど申し上げたわけでございます。
 それからこの際今まで相当調査もしているのであるから、あとはもう腹でやるべきだというお話でございますが、これはまことにその通りで、できれば腹で思い切りやりたいところでございますが、一方かりにそういう支障があるとするならば、その支障もできるだけ円滑に打破いたしまして目的を達するようにしたい、これ以上のいろいろな不合理を避けていくためにも、ぜひそういった一方的な調査でなく、両方からの調査によって土地の利用の高度化をはかっていきたい、こういう意味で申し上げたわけでございます。
#9
○細田委員 次官は山林の利用ということに対して若干認識が欠けておると私は思う。全国的に見るならば、山林なんてものは百姓が持っていないのです。わずかに三反や五反の山林を持っている百姓はこれはもう上等の部分です。あとは所有権という一つの壁によって膨大な開墾可能地が一歩も踏み入れられない。しかも農地解放前は、それが同一所有者のもとにおける小作人であったということによって、その山林には従来立ち入りあるいは下草、枯れ枝を取ってきた。ところが農地の解放後はもう縁のない衆生となって一歩も踏み入れられない。全国の農民は山林なんか持っていないのです。それをそのまま所有権というものを現在の農林省はあまりにも絶対視して、ほとんど神聖視して、これはもう地主さんがイエスと言わぬ限りは一歩も手を染められないという態度が露骨になっているじゃないか。さっきも申し上げたように、土地を収奪するとか、無償で、あるいは世間的に見てきわめて安くというようなとこでしたら、これは相当困難も伴うと思うのですが、それはさっきも申し上げたように、地券制度によって市場性を持たせるならば、相当の可能性が出てくる。また買い上げ価格も実行できると思う。そしてあと強力な法律の裏づけがあれば、現在のごとき低調な開墾政策というものは、私は跡を断つのじゃないかと思う。この点に対してさらに一つ御所見を伺いたい。
#10
○本名政府委員 さっきお断わりして申し上げたのですが、実は今の農民が山林を持っているという意味じゃなくて、私は、農業経営を安定させるということの行き方としては、農民が山林を経営することも、所によっては非常にいいことではないか、こういうことを申し上げたので、今持っているという意味じゃないわけでございます。
 それからまた、これが所有権の問題になりますといろいろ問題が起きると思いますが、少くとも農地法がある限り、しかも食糧増産と経営規模を中心にした経営の安定ということを考えますならば、当然平地林を初めとして山林を相当開墾していくべきだと私は考えております。ただ問題は、所有権の問題と、果して民間所有の山林全部が農耕適地であるかどうかということは、たとえば茨城県のような平地材の場合は、しろうとが見ましても、あそこに麦を植えたら、あるいは水田にしたちという気持になりますけれども、全国的に見ますと必ずしもそういうところばかりではない。しかしそれもこれもあわせて一つ適地であるかどうかということの的確な調査をまずやってみたい、こういう考え方で申し上げたわけであります。
 もう一つは、それじゃもう時はすでにおそいのであって、少くとも今まで調査した範囲における可耕地というものは一挙に解放すべきじゃないかというお話だと思いますが、実は今まで農地局で調査していろいろ検討いたしました結果、相当の解放をいたしたはずでございます。ことに国有林におきましても相当の解放をいたしたはずであります。しかしながらまだ民間のいわゆる山林地主とのいろいろな問題のために、目立つたところが解放されずにそのままになっている。これを解放させるために、農地だけの立場からいきますと、山林の方もそれぞれ立場がありまして、御指摘のようになかなか進まない。進まない結果は、山林所有者、いわゆる山林地主の横暴という批判にもなってくると思うのですが、その横暴をそれじゃどうして押えるかということも、一応合理的な線を打ち出した上において、横暴ではないかもしれませんが、納得させるような手を打って、一つ円満にその可耕地を解放させたい、こういうことも含んで調査をいたすことというのが、私の冒頭申し上げた調査の考え方であるわけであります。
#11
○細田委員 そこで一つさらにお伺いいたしたいのですが、次官は昭和二十四年の調査をさらに再調査する必要がある、こういうお話じゃなかったかと思います。私はどうも外国のことは知りませんし、学問もあまりないのですが、御承知のようにスイスは、国連の統計を見ても大体五五%の田畑――たんぼはどうか知らぬが、耕作地を持っている。ところが日本は今申し上げたように一五%、どういうところからこの数字が出ているか、スイスよりもなお峻険な地勢に日本があるかどうか、私はそう思いませんけれども、手っとり早く言えば、どういうわけでスイスの例とそう総耕地が違うのか、この原因はどこにあるのでしょうか。
#12
○本名政府委員 数字の上からだけながめますと、御指摘の通り非常に矛盾があると思います。スイスのようにああいう険しい山の多いところに耕地の割合が多くて、スイスよりも平地の多い日本が農耕地が少いという矛盾があるじゃないか。これはいろいろな気象状況でありますとかあるいは営農類型と申しますか、農業経営の方式であるとか、あるいは農産物の種類であるとか、いわゆる土地から収穫するものの相違によっていろいろ変ってくると思います。極端な例で、適切かどうかわかりませんが、デンマークという国は御承知のように大体において平坦な土地でございますが、西北のティステッド県などに参りますと、あの平坦な土地でも、土地の利用を上手に考えまして、少くとも農民の収入の二、三割は木によって得ているという実情もございます。日本よりもさらに平坦な土地でございますが、林業というものが農家の手において相当の収益を上げているという事実もございます。これらはその地形、土壌あるいは気候あるいはその営農方式などの相違によって違っているのではないかと思われますが、しかし少くとも今日の場合に、土地が造成できるにもかかわらずそれが停頓しているということは、これは食糧増産やあるいは農業経営の安定の上から見て、当然一日も早く打破しなければならぬと同時に、都市や工業地帯における土地のつぶれ地の問題などもできるだけこれを未然に防いで、農地の造成をはからなければならぬ、こういうこともあわせて調査検討いたしまして、的確な――いわゆる農林省の行政の範囲内においてだけでも一つ努めてそういった土地の利用の高度化と、造成の目的を達するように調査をいたしてみたい、こういうふうに考えております。
#13
○細田委員 なかなか苦しい御答弁で、気象状況だとか営農のことだとか……。日本の農家は営農の状況が、おれの方はこれだけでこれ以上は要らぬなどという農家は一つもございませんよ。九反のいわゆる零細農家が、もっと三倍も四倍もほしい、少くとも二倍の農地をほしがっている。しかも労力はオーバーしている。耕地の必要を痛切に感じているわけです。また次官も御承知のように、日本の農家の営農方法からいって、これ以上耕地が多かったらもうあとは生産が落ちるなどというところはちっともありはしません。しかしそれはそれとしまして、先ほど山林行政には山林行政の立場があって、一つの、耕地の開墾に支障を来たすような御趣旨の答弁があったのでありますが、山林行政は、国が山林を許すような場合はいわゆる水害、それこそ気象の状況等でここだけは畑地なんかにはできない、くずれてくる可能性が十分ある、そういう意味からいっていわゆる保安林的な性格も多分にあるというようなところは別だと思いますが、山林で木を切る。これはもちろん建築材等――山でなくて平地にも山林というものが必要であることもわかりますが、それはきわめて少いと思います。パルプの材料だとかあるいは燃料とかいうことに使っておるとすると、これは土地の利用の立場からきわめてもったいないやり方だと思うのですが、次官の先ほど例をとられた茨城県なんかでも平地林が非常に多い。しかも農民は一刻も早くその解放を望んでおるような場合に開墾のできないということは、今次官のおっしゃったいわゆる山林行政の立場から何らかの支障があるかどうか。これを一つ農林省の立場で、山林行政にだから必要で、だからこれ以上開墾できない、あるいは従来の調査では不十分であるというようなことがあるとするならば、そのお立場を一つ御説明願いたい。
#14
○本名政府委員 水源涵養林を初めいろいろな保安林は当然守っていかなければなりませんが、いわゆる農地造成に必要な土地に木が植わっておるということは非常に目につくし、一刻も早くこれを解放して食糧増産なりあるいは農家の土地の細分化の防止あるいは営農の安定に資さなければならないと思います。山林行政の立場から立木地帯を解放できるかできないかということ、これは山林行政の上では解放していいところはどんどん解放し、それからまた民間がお持ちになっておる土地でも農耕地としては全く不適格な土地がたくさん今まではあったはずでございます。従って林野庁ではこれを買い上げまして林を造成していく、こういうことも現実にやっておるわけでございます。しかしながら少くとも土地そのものの価値と申しますか、利用価値と申しますか、おのずから厳密に林野、農地の立場でなく、その上に立って、高度な観点から土地の利用の適正化を調査するということは私は必要であると思う。その上で初めてここは木を植えるべきではない、農地にすべきである、あるいはここは木を植えて保存することが国の経済の上からもあるいは森林行政の上からも有効である、こういうことを一つ的確に調べてみたいというので、総合調査をやろうということでありまして、場合によって――これは少し言い過ぎかもしれませんが、この調査の結果、あるいは従来の山林行政に若干の手を加えなければその実現を期し得ないという問題も起きてくるかもしれません。いずれにいたしましても従来持っていたものを基礎にしてふやしたり減らしたりしている今日、いろいろな競合やあるいは摩擦があるとするならば、少くとも土地の利用度の面からこの摩擦をなくするようにしていきたい、こういう考え方でいるわけでございます。
#15
○細田委員 耕地の造成の議論を伺っておっても際限がありませんが、結局どうなのです。農林省は現状の九反平均の日本の農家の規模で十分だとお考えになっておるか。さらに耕地を造成する必要を緊急に認めておるか。というのはさっきも申し上げたように、神武景気ですらふっ飛んでしまう。一挙に輸入超過のためにふっ飛んだ。その最大のものは食糧の輸入だということを考えても、これは緊急を要すると私は思う。特に国内の一町歩当り十五人七分というような人口を擁して、非常に農村の人口過剰に悩んでいるというようなことは、一面農家経済を非常に圧迫しておるわけですが、農地造成について農林次官は基礎的な調査の上なんて言っておるが、現状においてはどうお考えになっておりますか。
#16
○本名政府委員 御指摘の通り、地域によってはそれぞれ作物やその他の関係で違いがありますけれども、全体的に見て平均九反は小さ過ぎる。食糧増産の基盤が農業経営の安定であるとすれば、その安定は期せられないと考えております。従ってできるだけ経営規模をふやすということが今急を要することであることは十分考えております。ただ財政上の問題もありましたし、競合というか、摩擦と申しますか、そういうようなこともありましたので、これらをできるだけ速急に解決しながらふやしていきたいと考えおります。ただ九反の内容にもいろいろあろうと思います。地区によって、あるいは作付されるものによりましてそれぞれ収益が異なって参りますから、日本の場合には一律に何町歩が適正規模であるという判断は下せないと思います。これはそれぞれの地帯別によって営農類型を考慮しながら増反していくという考え方でなければならぬと思われるのであります。ごく卑近な例でありますが、たとえば北海道などにおきまして、今年度は営農類型の上から、寒地農業対策というので、農林省はいろいろな土地の立地条件、土壌条件の調査などをして、そういったことを検討する基礎にしよう、経営規模、作付、営農類型などの考え方を変えて安定させる、こういうようなこともやっております。と同時に日本全体においてもやはりそういうような調査も必要になってくるのではないかということも考慮しながら、今後総合調査を推し進めていきたいということであります。
#17
○細田委員 どうも次官の御答弁はぴんとこないのですが、九反では経営規模が小さ過ぎることは認めるとおっしゃった。大都市の、たとえば大阪近郊では五反でも経営が成り立つというところもあるのですが、これは原則ではなくて例外中の例外ですよ。九反では問題にならぬことをお認めになって対策を立てる必要があると思いますが、いかかですか。
#18
○本名政府委員 もちろん先ほど申し上げましたように、日本農業の全体として考えましたときに、九反という経営面積は小さいという考え方に立っております。
#19
○細田委員 大体御答弁の内容もわかりましたが、さっきおっしゃったもっと総合的な基礎調査というのは、大体いつからおかかりになって、いつごろお済みになって、耕地の造成にはいつごろからかかられるか、その見通しを伺いたい。
#20
○本名政府委員 冒頭に申しましたように、実は今まで総合的にその調査をやる機関がありませんでした。とりあえず官房でこれをまとめてやることにいたしまして、来年度の予算にその費用を要求いたしております。従って来年度から総合的な調査にかかれると思っております。
 いつ終るかということは、これはただいま検討いたしておりますので今ここで的確に年数を申し上げるわけにいきませんが、事が事でございますので、大蔵省に無理を言いましてたくさん予算をもらって、できるだけ早く仕上げるようにいたしたいと思っております。局地的にはさっき申し上げましたように、これに沿うような方法として若干官房の対策室などでやってはおりますけれども、本格的なものは来年度からぜひやる、もちろんそれでは手ぬるいことではありますけれども、一歩前進させる、と同時に積極的にこの問題を取り上げて解決していきたいというつもりで鋭意検討いたしております。
#21
○細田委員 十二時から部会があってその方の審議を進める予定に当委員会がなっておりますので、私の質問は留保して部会の方に譲ります。
#22
○小枝委員長 午後は一時から再開いたします。
 暫時休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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