くにさくロゴ
1957/11/14 第27回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第027回国会 内閣委員会 第9号
姉妹サイト
 
1957/11/14 第27回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第027回国会 内閣委員会 第9号

#1
第027回国会 内閣委員会 第9号
昭和三十二年十一月十四日(木曜日)
    午後七時十八分開議
 出席委員
   委員長 相川 勝六君
   理事 高橋  等君 理事 床次 徳二君
   理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君
   理事 山本 正一君 理事 石橋 政嗣君
   理事 受田 新吉君
      青木  正君    大坪 保雄君
      大村 清一君    北 れい吉君
      小金 義照君    薄田 美朝君
      田村  元君    辻  政信君
      眞崎 勝次君    村上  勇君
      赤路 友藏君   茜ケ久保重光君
      飛鳥田一雄君    淡谷 悠藏君
      稻村 隆一君    櫻井 奎夫君
      中村 高一君    西村 力弥君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 石井光次郎君
        国 務 大 臣 津島 詳一君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 林  修三君
        外務事務官
        (条約局長)  高橋 通敏君
 委員外の出席者
        専  門  員 安倍 王郎君
十一月十四日
 委員灘尾弘吉君、林唯義君、山本粂吉君、木原
 津與志君及び下川儀太郎君辞任につき、その補
 欠として渡邊良夫君、青木正君、村上勇君、櫻
 井至夫君及び赤路友藏君が議長の指名で委員に
 選任された。
同日
 委員渡邊良夫君辞任につき、その補欠欠として
 灘尾弘吉君が議長の指名で委員に選任された。
十一月十三日
 一、駐留軍関係離職者等臨時措置法案(石橋政
 嗣君外二十三名提出、衆法第二号)
 二、憲法調査会法を廃止する法律案(淺沼稻次
 郎君外七名提出、第二十六回国会衆法第二三
 号)
 三、国務大臣の私企業等への関与の制限に関す
 る法律案(参議院提出、第二十四回国会参法第
 一号)
 四、大蔵省設置法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、第二十四回国会閣法第一五七号)
 五、国家公務員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、第二十四回国会閣法第一六二号)
 六、内政省設置法案(内閣提出、第二十四回国
 会閣法第二八六号)
 七、経済企画庁設置法の一部を改ホする法律案
 (内閣提出、第二十四回国会閣法第一六七号)
 八、内政省設置法の施行に伴う関係法令の整備
 に関する法律案(内閣提出、第二十四回国会閣
 法第一十〇号)
 九、防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、第二十六回国会閣法第一五五号)
 一〇、行政機構並びにその運営に関する件
 一一、恩給及び法制一般に関する件
 一二、国の防衛に関する件
 一三、公務員の制度及び給与に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国の防衛に関する件
    ―――――――――――――
#2
○相川委員長 これより会議を開きます。
 国の防衛に関する件について質疑の通告があります。この際これを許します。石橋政嗣君。
#3
○石橋(政)委員 御質問を申し上げるわけでございますが、私といたしましては、かねてから岸総理に御出席を願いまして、ぜひじきじき御答弁を願いたいと考えておったのであります。なお本委員会の理事会におきましても、再三総理の御出席を確認いたしておったわけでございますが、本日は何か御病気の由で、副総理が出ておられるわけでございますけれども、副総理というのは、私は法制的に認められたものではないと考えておるわけでございますので、最初にその資格をお尋ねいたしておきたいと思います。と申しますのは、御答弁を願う本日の石井副総理は、総理が病気であるために、総理を代理いたしましてすなわち岸内閣を代表いたしまして私の質問にお答え願えるものであるかどうか、その点だけ確認をいたしておきたいと思います。
#4
○石井国務大臣 岸総理が病気のために出席できませんので副総理であります私が岸総理にかわって、岸君の心持を受けてお伝えいたしたいと思います。
#5
○石橋(政)委員 それでは御質問申し上げます。実は、この問題は、十月八日の日に本委員会におきまして、津島長官に御質問いたしたのが始まりなわけです。そのときから申し上げておりますことは、この岸総理の渡米の際に、一番国民が関心を持っておった問題は何かということであります。それこそたくさん問題があるわけでございますけれども、その中でも非常に大きなウエートを占めておったのは、やはり安全保障条約、これに付随いたしますところの行政協定というものが、あまりにも不平等である、この不平等条約を何とか解消するか、あるいは改訂してもらいたい、この真剣な声を盛んに上げておった、総理はこれを受けてアメリカに行かれた、私どもそのように理解しておりました。総理もまた帰って参りましてからもこの問題は大いにアイゼンハワー大統領と話し合ってきた、共同声明の中にも十分に盛られているということを繰り返し言っておられたわけでございますが、どうもその後いろいろと検討いたしてみますと、果してこの国民の要望にこたえているのかどうかという点で疑問を私持ち始めたわけであります。どういうところからその疑問を持ったかと申しますと、第一番目は、この安保条約が不平等であるという主たる原因が、私といたしましては在日米軍の配備及び使用が米側の一方的裁量によって行われるというところにあると思う。この点はあらゆる機会において総理も認めております。これじゃいかぬ、これじゃあまりにも自主性がなさ過ぎる、だからここのところを何とかしたいと盛んに言っておられました。しかしアイゼンハワー大統領といろいろ話し合っておる中で、さて今すぐにこの安保条約の改訂などという問題を持ち出してみても困難であることがよくわかった、この困難な理由は、主としてアメリカの国内事情にあるということを総理は言っておられます。しかし今すぐにこの条約の改訂ということはできないけれども、実質的に改訂したと同じような意味を持たせていけば、すなわち運用面でこの条約の条文を越えるようなことをやっていけば、それでいいじゃないか、そういう意味で共同声明が発せられ、安保委員会というものが作られたのだという説明が再三なされておったわけです。しかし実際にそういうことが可能なのかどうかということをお尋ねいたしておったわけでございますが、最近政府の統一した見解なりと称して、私の質問に対して答弁をいただいたわけでございますけれども、はしなくもこの中で、政府みずから今まで総理が言明しておったことを否定するようなことを述べておられる。簡単に要点だけを読み上げますと、「安全保障条約に基いて両国政府が合意して定めた行政協定第二十四条の規定が、共同声明というような形式で変更されるものではない」と断言しておられる。私は日米行政協定というものが、果して条約そのものの扱いを受けるものかどうかという点にも疑問を持っております。すなわち国会の批准も経ておらない単なる政府間の協定であります。そういうものすら一片の共同声明や、あるいはそれによって作られた安保委員会の協議事項などで変更されるものでないという以上、親法であるところの日米安全保障条約そのものが何らの変更を受けないということになるのは必然だと思う。これは問題だ。岸総理は、かねがね――何度も私はあらゆる速記録を読んでみましたけれども、それこそ内閣委員会、外務委員会、衆参それぞれの席上においてはもちろんのこと、何回となく安保条約の改訂は形式的にはできなかったけれども、安保委員会というもので実質的に改訂と同じような扱いをさせることによって、いわゆる平等性をかちとっておるということを言い続けてきたのです。今度は、政府の見解として、とてもとてもそんなことはできませんということを言っておる。一体どちらがほんとうなのか、ここのところをまず最初にお伺いさせていただきたいと思うのです。
#6
○石井国務大臣 先般示しました政府の見解は、共同声明と行政協定第二十四条との関係について回答したものでありまして、岸・アイクの共同声明によってもたらされまする効果について回答したものではないのであります。先般の共同声明で、行政協定第二十四条の場合に限らず、広く合衆国軍隊の日本における配備及び使用について協議の道が開かれることになったわけであるから、右の政府の見解と岸総理の前言との間には何の食い違いもないのであります。
#7
○石橋(政)委員 率直に申し上げまして、一体何の答弁かさっぱりわかりません。私がお伺いしているのは、岸総理は、従来、アメリカに行ってアイゼンハワー大統領といろいろ話をしたけれども、今直ちに安全保障条約を改訂することは、アメリカ側の国内事情から――主としてアメリカ上院に理由があるかと思いますけれども、そういう国内事情からむずかしい。しかしこの不平等条約と国民がみんな言っておる安全保障条約をそのまましておくということじゃどうも工合が悪い。防衛という建前からいきましても、国民的な総力をあげての支持、協力というものが必要だ。こういう不平等条約では、どうもその点からいっても芳ばしくないから、何とか改訂してくれと強く言ったけれども、今言ったような事情ですぐに条約をいじることはむずかしい、こういう結論になった。しかし条約を改訂することはできないけれども、安保委員会というものを作って、そうしてそれぞれ日本政府側とアメリカ政府側と話し合いをして、協議して、一々やっていけば、この不平等性は克服できる。だから実質的には安保条約を改訂したことにもなるんだ、こういうことを言い続けてこられた。ところがこの文書回答の中では、共同声明とか、あるいはそれによって作られた安保委員会の協議とかいうような形で、行政協定すら変更できぬという。そうすれば、行政協定というものは、私に言わせれば条約じゃない。行政協定すら変更できないという以上、ほんとうの条約である安保条約の改訂などということが、実質的にであろうと何であろうと、できっこないじゃないか、こういうわけです。なぜそこのところを明確にはっきり御答弁にならないのですか。ほかのことを聞いておるわけじゃありません。どうぞそこのところについて、御答弁願いたい。
#8
○相川委員長 再質問はしないことになっておりましたから、この答弁はできません。
#9
○石橋(政)委員 御答弁が願えないならばやむを得ません。私は明後日総理がおいでになるというお話ですから、そのときに総理にお伺いいたしましょう。少くとも総理が今まで国民に向って言ってきたことと、今度の政府の統一された見解との間に食い違いができておるわけですから、これが明確にされない以上じきじき総理にお出ましを願って解明していただかなければ私が納得しないというだけではございません。全国民が納得できないと思う。しかしやむを得ない。石井副総理がお答えできないというならば、次の質問に移ります。
 岸・アイク共同声明の中において、この安保委員会というものがどういう目的で作られるかということが述べられております。そしてこれを受けまして安保委員会設置に関するいわゆる共同発表というものが行われておるわけです。この両方いずれを読みましても大体同じことが書いてあるわけでございますけれども、安保委員会の主たる使命の協議すべき事項の第一には、「米国によるその軍隊の日本における配備及び使用について実行可能なときはいつでも協議することを含めて、安全保障条約に関して生ずる問題を検討すること。」とあります。私は総理の従来の発言をお伺いいたしまして、安保委員会のいわゆる審議すべき事項の第一に掲げてあります在日米軍の日本における配備及び使用という、この配備及び使用という言葉は、当然安保条約第一条に書かれておりますところの言葉を受け継いでおると思うのです。そこで安保条約の第一条に目を移しますと、この配備及び使用という言葉が使われておる。まず第一番目に配備という言葉が出ておりますが、「平
和条約及びこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。」というところに、配備という言葉が出ております。それから使用でございますが、在日米軍の使用できる場合というのが第一条に三つ規定されております。一つは、極東における国際の平和と安全の維持に寄与する場合、もう一つは、一または二以上の外部の国による教唆または干渉によって引き起された日本国における大規模の内乱及び騒擾を鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助の場合、そして第三に、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与する場合、すなわち三つの条件の場合に、在日米軍を使用することができるとあります。この配備の問題と三つの使用の問題を検討した場合に、内乱及び騒擾鎮圧の場合にのみ日本国政府の明示の要請を必要としていることは御承知の通り。ところがあとのいずれの場合もアメリカ側の自由な裁量によって配備することができ、在日米軍を使用することができる。ここに問題がある。国民が不平等条約なりという最大の原因もここにあるし、岸首相の従来の発言を見ておりましても、ここに米側が一方的裁量によって在日米軍を配備し使用するところに、いわゆる不平等性を認めておるわけです。そこで当然に安保委員会において実質的な平等をかちとり、日本の自主性を生かすということになって参りますと、このアメリカ側が勝手にできるというところを勝手にさせない、安保委員会で日米両国政府の協議決定を待つということが確認されて初めて実質的な、何と申しますか、改訂に匹敵するようなものになってくると思う。そこで私はこの間九月二日の内閣委員会におきまして総理にお尋ねしたわけであります。まず配備の問題については、安保委員会で両国政府が協議するということは確認されました。ところが極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために在日米軍を使用する場合には協議の対象にならぬということを言われました。そうして最後の外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために在日米軍を使用する場合はいかがですかとおねしましたら、岸総理は、明確にそのような場合は安保委員会において協議する建前になっております、こうお答えになった。そこで岸さんの従来の言明の裏打ちができた。ところがその後津島長官にお尋ねいたしましたら、このような場合は協議の対象になりません、そういうことは安保委員会において協議いたしません、こういう御答弁をなさいました。総理の御答弁と防衛庁の直接責任者である長官の御答弁との間にこのような食い違いがあるということは、一体どういうことですか。しかも防衛庁長官のおっしゃるようなことであったならば、総理が従来安保委員会で協議することによって実質的に安保条約を改訂すると同様な働きを持たせることになるのだと言っておったことすら、この面において否定されることになるのでございますが、一体この御両者の答弁の食い違いはどこからきておるか、どちらがほんとうか、そこのところを明確にお答え願いたいと思います。
#10
○石井国務大臣 津島長官の答弁は、日本区域に敵対行為等の生じた場合には、共同措置をとり、かつ安全保障条約第一条の目的を遂行するため両国政府が協議することになっておる、行政協定第二十四条の趣旨を説明したもので、このような場合における協議が安保委員会を通じて行い得ることを絶対的に否定したものとは思わないのであります。従ってこのような場合においてこの委員会で話し合いをしていくという趣旨を述べた岸総理の答弁と矛盾するものではございません。
#11
○石橋(政)委員 これもお答えになりません。私ははっきり安保条約を読み上げて御両者にお伺いしておる。外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するため在日米軍を使用する場合には、一体安保委員会の協議事項になるのでございますか、ならないのでございますかと聞いておる。それに対して総理はなると言い、防衛長庁官は協議の対象にならぬと言っておる。はっきり食い違っておる見解、答弁をそういうごまかしで言いのがれることはできないと思う。
  〔「そうだ」と呼び、その他発言する者あり〕
#12
○相川委員長 静かに願います。
#13
○石橋(政)委員 少くとも先ほども申し上げましたように、在日米軍を使用する場合というのは三つある。そのうち極東における国際の平和と安全の維持に寄与するため在日米軍を使用する場合は、安保委員会の協議の対象にたらぬことははっきりしている。なぜならば「日本における」という言葉が入っている。共同声明にも、それからの安保委員会設置に関する共同発表も、「日本における配備および使用」と書いてありますから、この場合は協議の対象にならぬ。次の内乱、騒擾鎮圧のため、この場合は今の条約でも日本政府の明示の要請を必要とするのですから、ある程度自主性を確保している。そうすると残されているのはたった一つなんです。「外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するめに」在日米軍を使用する場合、こが安保委員会の協議の対象にならぬということになったら、従来と何ら条件が変らないじゃありませんか。こういうばかばかしいことを私はこの御両者の答弁の食い違いの中で知ったわけたんです。
    〔「どっちがほんとうか」「どっちもほんとうなんだ」「答弁々々」と呼び、その他発言する者あり〕
#14
○相川委員長 再質問は先刻申しま、た通り答弁できません。
    〔発言する者多し〕
#15
○相川委員長 できません。
#16
○石橋(政)委員 今の条約のままで参りますと、日本で危険を感じなくても、アメリカの方が日本危ないぞと勝手に判断して、在日米軍を勝手に動かせるということになる。これが問題だといって国民も騒いで、不平等だと言っている。それがそういうことをさせずに、この安保委員会で協議するということになれば、それは岸さんが宣伝されておるように、ある程度の自主性をかちとったことになるかもしれませんけれども、津島長官のおっしゃるように協議の対象にならぬということじゃ、何が自主性だ、何が不平等条約の改訂だ、こう言いたいわけです。この点もお答えが願えないようでございますので、またあらためて明後日の総理出席の際によくお確かめいたしたいと思います。
 防衛庁長官がおっしゃるように、協議の対象にならぬということであれば、もう話になりません、結局岸総理が今まで渡米の成果を誇大に宣伝するために、こういうでたらめを言っておったということになる。(「その通り、拍手)もし総理がおっしゃるように協議の対象になるということになりますと、それは行政協定二十四条との問にそごを生じます。おそらくこの共同声明を起草されるときに、行政協定というものをお忘れになっておったんだろうと思いますけれども、これは重大な問題です。なぜならば行政協定の二十四条には、日本区域内において敵対行為または敵対行為の急迫した事態が生じた場合には、この安全保障条約第一条の目的遂行のために両国政府は直ちに協議しなくちゃならぬと書いてある。ところが今度の共同声明、それを受けて作られた安保委員会の設置に関する日米共同発表によりますと、無条件に協議するということになっていない。「米国によるその軍隊の日本国における配備および使用について実行可能なときはいつでも協議することを」きめると書いておる。従来の行政協定で直ちに協議するということになっておるにもかかわらず、今度の共同声明その他において「実行可能なときは」という一字を入れることによって、私は大幅に後退したとしか理解できないのであります。一体これはどういうわけでございましょうか。アメリカに行ったときに、アイゼンハワー大統領と話し合うときに、行政協定というものをてんとお忘れになっておったのかどうか、その点についてのお答えを願いたい。
#17
○相川委員長 石橋君に申し上げます。石井副総理の答弁で御不満の点がありますることは、また総理も御病気がなおれば出てここで十分皆様方の御質問に答えたいというお心持ちでありますから、まず病気回復次第に総理にお願いいたすことにいたします。一応これが四者協定の趣旨であります。
#18
○石橋(政)委員 今のは第三の質問でございます。(笑声)
#19
○石井国務大臣 お答えいたします。行政協定第二十四条の協議の義務は、今回の共同声明によっては影響を受けないから、お説のような結果は生じないのであります。
#20
○石橋(政)委員 また問題が出てきております。今はっきりおっしゃった。
 共同声明なんかで行政協定は変更されぬとまたおっしゃった。そうしますと、共同声明とか、共同声明に基いて作られた安保委員会では、行政協定は変更できぬということをまた繰り返しおっしゃっておる。そうすると、先ほどから私が御質問しておることにまた矛盾を来たすじゃありませんか。しかしこれは先ほどから委員長口をすっぱくして再質問しても副総理が答えられぬとおっしゃるのだから、やむを得ません。総理が出てくるまでしんぼういたします。
 次にお伺いしたいことは、岸総理はアメリカから帰りまして国会におきまして、国民が今一番心配しておる核兵器を米軍が勝手に日本の国内に持ち込んでくるのじゃなかろうか、こういう疑問、恐怖といったようなことも、今度安保委員会というものができることによって完全に克服された、こういうふうに説明されて参りました。ところが共同声明を幾ら読んでも、安保委員会設置に関する共同発表のどこを読んでも、装備に関して両国政府が話し合うという字句は見当りません。先ほどから申しておるように、「配備および使用について実行可能なときはいつでも協議する」。さて核兵器だとか、ミサイルだとかいったような重要な装備に関してまで協議するという明文はないわけでございます。この点については、外務委員会でしたか、総理はそういう装備の問題は配備の中に入るのだから、こういう答弁をなさっておるようでございますが、こんなことが信ぜられるでありましょうか。原文を読んで見ますと、配備という言葉はディスポジションという言葉が使ってある。
 この中に重要な装備が加わってくるということは、どうしても理解できない。しかし総理が、そこまで、安心しなさい、米軍が勝手に核兵器なんか持ち込むことはできないのです、と言っている以上、アイゼンハワー大統領とひざを交えてあるいはゴルフに興じておるときに話をして、確約をとっておるのかと実は考えておるわけです。この点において核兵器あるいはミサイルといったような重要装備、これの変更についても、この配備という言葉の中に含めて、今後安保委員会で絶対に話し合いをし、話し合いがつかなければ、意見が一致しなければ、持ち込みしないというふうな了解がアイゼンハワー大統領との間に取りつけてあるのかどうか、この点について御明確な御答弁を願いたいと思う。
#21
○石井国務大臣 核兵器を装備した合衆国軍隊の配備というがごとき重要問題が、安保委員会における協議の対象となるべきことは言うまでもないところであります。この協議の際に、岸総理といたしましては、従来言明したところに従って措置する方針を堅持いたしております。
#22
○石橋(政)委員 そこでそれじゃお伺いしたいのですが、総理は非常に重大な決意を持っておられると言葉の上では理解できます。しかしながらここにそれじゃ新しい問題が出てくる。十一月七日に行われましたアイゼンハワー大統領のテレビ放送演説を、新聞で私内容を読んだのでございますが、これを読んでみますと、ほとんどがいわゆる核兵器、ミサイルの問題で埋まっておる。ソ連の大陸間弾道弾の完成、あるいは人工衛星の打ち上げ等から大きな刺激動揺を受けておる米国民に対して、アメリカも負けちゃおらぬのだから心配するなと非常に強調しております。おそらく聞くなり読まれるなりなさっておるから、私があらためてことで述べる必要はないかと思いますけれども、ちょっと引例いたしますと、われわれはいかなる射程、発射、及び使途にも適した種々のミサイルを所有しており、使用中のもの及び研究中のものを含め現在三十八種の異なった形式の、ミサイルがある。一九五五年以来建造された海軍艦艇は、すべて大砲のかわりないしはその補強用として誘導弾を装備している。米海軍は太平、大西両洋において、核弾頭を持ったミサイルを数分間のうちに発射できる潜水艦を持っており、そのミサイルは数百マイル離れた目標まで誘導される、こう書いてあります。海軍はまた原子爆雷を持っている、こうも書いてあります。爆発力という点でこれがどんな意味を持つかと説明すると、コーポラルミサイルの四個大隊だけで第二次大戦中使用されたすべての砲の火力に相当するのである、こういうふうにも言っております。とにかくあらゆる装備を核兵器という目標を掲げて着々とやっているから心配するな、こういうふうな説明をアメリカの国民に対してなされておる。大統領がはっきりこう言っている以上、当然そのような政策がとられておると思います。そうしますと、今述べておるような米海軍関係だけを考えてみた場合に、日本にもその根拠地がございます。当然にこういう物騒なものをしょって入港しておると考えざるを得ません。一体果して岸総理がいかにそういう決意を持っておられようとも、日米共同防衛ということを建前にしておる以上、果してその受け入れを拒否することができるであろうかという疑問は依然として国民の脳裡から私は離れないと思う。われわれも同様です。それじゃ日本がミサイルやあるいは核兵器で攻撃されたらどうするのだろう、おれたちは保障しないぞ、こういうふうなことを言われた場合にも絶対に拒否できるものかどうか。ここのところをもう少しお伺いしたいわけです。
 それからもう一つは、同じ演説の中で、友好国との科学協力という問題について、非常に強調をアイゼンハワー大統領はされておる。しかもその中で日本という国を指定して、私は日本人科学者の手腕、特に日本の科学がすぐれている磁気部門の技量にたよりたいと思うと言っている。もしこの演説で大統領が言った以上、当然に私は日本国に対して要請をしてくると思うのです。果して軍事的に利用されることのゆえをもって科学面における協力を拒否することができるかどうか。この点においても私どもは疑問を持つ。日米共同防衛ということを国防の基本方針にしておる日本国が、果してこの面においても拒否できるかどうか、私は明確にお答えを願いたいのであります。いかがでしょう。
#23
○相川委員長 石橋政嗣君に申し上げますが、一括して質疑を願います。
#24
○石橋(政)委員 仕方がございません。それでは御答弁を願わないままに次の質問をいたします。ただいま私が引用いたしましたアイク大統領のテレビ放送演説の中では、もう一つ見のがすことのできない問題があります。それは何かと申しますと、明らかにアメリカはソ連を仮想敵国として扱っておるということです。一つの例を取り上げますと、ソ連はもし米国を攻撃すれば、米国に重大な打撃を与えるような種類の兵力を増強しつつあるということをわれわれは率直に認識しなければならない。こういうふうにソ連という言葉を明確に打ち出している。相手はソ連だということを明確に打ち出しております。そういたしますと、先ほどから申しておりますように、日米共同防衛ということを国防の基本方針にしております日本政府としては、これまた当然にソ連を仮想敵国視せざるを得ない、こういう状態に好むと好まざるとにかかわらず追い込められていくのではなかろうか。それは単なる私の推定ではございません。この岸・アイク共同声明の中にこういうことが述べられております。大統領及び総理大臣は全面戦争の危険は幾らか遠のいたが、国際共産主義は依然として大きな脅威であることについて意見が一致した、こういうふうに述べております。私はこれは今申し上げましたように、日本もアメリカと同様にソ連を仮想敵国視するということにならざるを得ないと思うが、その点いかがですか。もしそうでないとするならば、ソ連との平和条約の締結を急いでやられ、友好関係を急速に保持する、こういうふうなお考えを持っておられるかどうか、この点についてお尋ねをいたしたいと思う。
    〔「答弁々々」と呼び、その他発言する者多し〕
#25
○相川委員長 お静かに願います。
#26
○石橋(政)委員 これも御答弁がないようでございますから、次にお伺いいたします。先ほど当初に申し上げましたように、安保条約の第一条において日本の国内におきまして生じました大規模な内乱あるいは騒擾といったようなものを鎮圧するために、日本国の政府が明示の要請を行えば、在日米軍を使用することができるというふうにうたっておりますが、岸内閣あるいは自民党の防衛というものは、あくまでも自主的な立場で行うのだということを再三言っておられる。そういたしますと、少くともこの内乱とか騒擾とか、国内問題にまで米軍の出動を要請するなどということは、よもやお考えになっておられないだろうと思う。その点について、絶対に要請をしないという断言ができるかどうかということについても、明確な御答弁を願っておきたいと思います。
 なお、国防の基本方針の第四に、「外部からの侵略に対しては」と、いわゆる内乱といったものを含んでおらないのは、その基本方針を生かすためであるかどうかということも、関連してお答えを願いたいと思います。
 次に……
    〔「質問は明快だ」「答弁々々」と呼び、その他発言する者多し〕
#27
○相川委員長 お静かに願います。――お静かに願います。
#28
○石橋(政)委員 次に安全保障条約の第四条には、この条約の失効する場合を二つ述べております。「国際連合又はその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため充分な定をする国際連合の措置又はこれに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じたと日本国及びアメリカ合衆国の政府が認めた時はいつでも効力を失うものとする。」という規定の中で、すなわち条件が二つ述べられているわけでございます。安保条約の改訂が、今まで私申し上げたように、非常にむずかしいということになると、失効ということに新たなる希望も持たれてくるわけでございます。この第四条でいっております二つの条件というものは、具体的にはどういうことなのか。たとえば「国際連合の措置」というのは一体どういうことなのか。「これに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じた」場合とはどういうことなのか、これについてまずお伺いをしたいと思います。
 なおこれに関連いたしまして、国防の基本方針の第四に「外部からの侵略に対しては、将来、国際連合が有効にこれを阻止する機能を果すに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。」と書いてございますが、これと安保条約とを対比してみた場合に、安保条約の方では、国連の措置、それと同時にもう一つの条件として個別的もしくは集団的の安全保障措置、二つ並列しておるのでございますけれども、国防の基本方針の方で後者を削除しておるのはどういう関係からであるか。すなわち国連の、いわゆる「国際連合が有効にこれを阻止する機能」ということの中に、安保条約でいう後者の場合も含まれておるというふうに理解していいのかどうか。ここの点について御説明を願いたいと思います。
 それから九月十四日に取りかわされましたいわゆる交換公文、これによって安保条約の性格はどのように変化したのか、また国連の措置にかわる集団的安全保障措置が効力を生じたことになるのかどうか、こういうことについてもあわせて御答弁を願っておきたいと思います。
 もう一つは、やや時事的な問題にたりますけれども、十一月十三日から三日間、すなわち現在沖縄において極東米軍の大演習が行われておるという報道がなされております。昨年でございました。台湾周辺におきます大演習に、日本の航空自衛隊がいつの間にか参加しておったという、全く想像もつかないような奇怪事があったのでありますけれども、今度またそういうことが行われておるのではないかという疑惑を持っておるのでございますが、日本の自衛隊がこの沖縄周辺における極東米軍の大演習に加わっておるというような事実はないか、また参加を要請されたことはないかということが一つ。
 もう一つは、次の安保委員会というものを大体いつごろ開く予定であるか。その際に日本側としてどういう議題をこの安保委員会に持っていくつもりであるか、この点についてもお等えを願っておきたい……。思います。
#29
○石井国務大臣 お答えいたします。
 第二の問題について、核兵器の受け入れについては、従来岸総理が言明された方針を変えるつもりはないのであります。科学面における協力についても、右の基本方針に従って善処していきたいと思っております。
 第三の問題は、日本はソ連を仮想敵国とするものではございません。
 第四のお答え、内乱及び騒擾の鎮圧は、できる限りわが警察及び自衛隊の力によって行う方針であることは言うまでもないのでございます。
 第五の、安保条約が効力を失う場合は、同条約に明らかな通りであります。具体例については、想像以外には言えないのでございます。国防の基本方針は、国連中心から来たものであることを御承知願いたいと思います。
 九月十四日の交換公文によって安保条約の性格そのものが法的に変更したことにはならないのであります。またこの交換公文によって国連の措置にかわる集団的安全保障措置が効力を生じたことになるわけではないのであります。
 第六番目のお答え、沖縄において行われております演習に自衛隊は参加しておりません。米軍より右演習を実施する旨の連絡はありましたが、参加の要請はありませんでございました。
 第七番目のお答え、日米安全保障委員会の次期開催予定日及び議題は、ともに未定でございます。
#30
○相川委員長 これによって石井副総理の答弁は終りました。
#31
○石橋(政)委員 いろいろと一括して質問しろということでございますので、やむなく質疑応答を繰り返さずに羅列して質問したわけでございますが、案の定、私納得のいく答弁ではございません。たとえば、核兵器の持ち込みの問題においても、決意は従来何度もお伺いしている。しかしながら、それだけの重大な決意を持っているならば、なぜアイゼンハワー大統領と話し合うときに、はっきりと持ち出して共同宣言の中でうたって、国民が安心するように、決意だけではなしに、事実として安心するようにしないのかということをお伺いしている。決意を何べんもお聞きしたって、今われわれは安心することはできないというところに問題がある。科学面における協力についてもそうです。協力しないと言ったって、日米共同防衛というものを国の基本方針にしておるときに、アメリカが協力してくれと言った場合、果して岸内閣がこれを拒否することができるだろうかという疑問に対しても、もっと率直に私は決意を明らかにしてもらわなくては納得できない。仮想敵国の問題にしてもそうです。共同声明の中でこのようなことを述べておりながら、しかもアメリカの大統領ははっきりとソ連を仮想敵国視しておる。そういう情勢の中で、共同防衛の建前はとるけれども、それを別に仮想敵国視しているわけじゃない、こうおっしゃる。ないならないように、なぜ具体的にもっと平和条約の締結を急ぐなり何なり、事実として国民の前に示さないかということを私はお伺いしておる。それについてはお答えがない。また自主性を保持するために、内乱、騒擾の鎮圧のために、米軍の出動を要請することは、できる限りやらぬ、こうおっしゃるが、なぜ絶対にやらぬと答えられないのか。こんなことでハンガリー事件をとやかく言う資格はないと思う。その点についても私は納得できません。また安保条約の第四条によるこの条約失効の場合というのは、具体的にわからぬ。わからぬなどという言葉で答弁になると思っておるとすれば、どうかしていると思う。しかしこれ以上言っても、石井副総理には答弁の能力がないということでございますから、やむを得ません。岸総理の御出席を願って、あらためてゆっくりとお伺いすることにいたします。(発言する者あり)――いろいろと両党の話し合いの結果、約束に従って私質問を進めたわけでございますが、やはり予想通り納得することができない答弁でございます。どうしても総理に御出席を願って、じかに私の質問に答えていただき、国民の疑惑を一掃してもらわなくちゃならぬ。それがまた国会の責任でもあると思います。また本委員会においては、理事会において再三総理の出席を確認しておる。そういう道義的な問題がございます。両党の国会対策委員会の話し合いということもできております。とにかく総理の出席をお願いしなくちゃならぬということは、皆さん方はお認めになっておるわけでございますから、この際委員長から明確に総理の出席を確認する言葉をいただきたいと思います。
#32
○相川委員長 このままの状態でしばらく休憩いたします。
    午後八時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後八時二十一分開議
#33
○相川委員長 これから開会いたします。
 次会は、両党の申し合せにより、十六日総理の出席を得て開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後八時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト