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1957/11/04 第27回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第027回国会 逓信委員会 第2号
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1957/11/04 第27回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第027回国会 逓信委員会 第2号

#1
第027回国会 逓信委員会 第2号
昭和三十二年十一月四日(月曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 松井 政吉君
   理事 小泉 純也君 理事 竹内 俊吉君
  理事 橋本登美三郎君 理事 廣瀬 正雄君
 理事 早稻田柳右エ門君 理事 松前 重義君
   理事 森本  靖君
      秋田 大助君    川崎末五郎君
      上林山榮吉君    齋藤 憲三君
      椎熊 三郎君    塚田十一郎君
      平野 三郎君    粟山  博君
      片島  港君    小松信太郎君
      杉山元治郎君    原   茂君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 田中 角榮君
 出席政府委員
        郵政政務次官  最上 英子君
        郵政事務官
        (貯金局長)  加藤 桂一君
 委員外の出席者
        専  門  員 吉田 弘苗君
    ―――――――――――――
十一月四日
 委員原彪君辞任につき、その補欠として片島港
 君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第五号)
    ―――――――――――――
#2
○松井委員長 これより会議を開きます。
 郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。上林山榮吉君。
#3
○上林山委員 郵便貯金法の一部改正する法律案が政府側から提案されておりますが、われわれも貯金制限額を三十万円以上に引き上げたいという点、並びに定額貯金等に対する利子を引き上げて、民間金融との貯金の競争が公平にできるようにという建前において、原案に対しては積極的に賛成であります。これは従来われわれの強く主張しておったことでありますから、時宜を得た提案であると考えるのでありますが、これに関連いたしまして、せっかく貯金の制限額を引き上げ、ないしは定額貯金の利子を是正して貯蓄の奨励をする政府の意図にもかかわらず、これが全面的にお考えが及ばなかったのは、多少考えの足らないうらみがあるのじゃないかと思うのでございますが、今回はこの程度にしておいて、近く時期を見てまた別途にそういう方面のこともお考えになる御方針であるのか。たとえば通常貯金の利子は年三分九厘六毛で据え置かれているという点、あるいは積立貯金にいたしましても年四分二厘で据え置かれておるという点、この点等については私は同時にこれを改正していくことが適当であるというように考えておるのでありますが、これについてどういうふうにお考えになっておるか。
 それからもう一点で済ましたいのでありますが、現在ほかの金融機関の預貯金の問題は、預金の状況は大体横ばいないしは頭打ちの状況にあるのであります。あるいは本年度の目標額にまだ達しないのじゃないかといわれておりますが、幸い郵便預金の方は目標額に近いのじゃないかと考えております。この制度の改正によってただ便利になるのだというようなばく然たる見通しではなくて、この改正をしたことによって今後目標額を達成することはもちろんのこと、あるいは目標額をどの程度か上回るという計算を立てておるかどうか。また数字的な見通しでもあれば、これはなかなかむずかしいことですが、しかし一応の見通しでもあれば承わっておけば非常に参考になると思うのであります。
#4
○田中国務大臣 お答えをいたします。第一の問題としましては、金利制度の問題に対しては通常国会で全般的な問題として考えたいという政府の考えでございます。特に郵便貯金以外に普通銀行、相互銀行、信用組合、協同組合の問題等、関連事項がたくさんございますので、内閣としましては次の通常国会には、当然三十三年度の予算編成の基本となるべき貯蓄増強の施策を抜本的に考えたい考えでございすが、それに先行いたしましてこの臨時国会に郵便貯金法の一部改正法律案だけはいっときでも早い方がいいということで、提出をすることにきめたわけでございます。通常国会で総体的な金利問題を研究、結論を出すまでにはまだ時間もありますし、いろいろな関連もありますので、郵便貯金法においては今次提案を申した程度で一応の結論を見出したわけでございます。
 第二の問題につきましては、今年度の貯蓄目標額が千百五十億でありまして、先般も当委員会で申し上げた通り、八月、九月は成績は多少下降ぎみでありますが、いずれにしても千百五十億の所期の目的を達成せしめたいということで、鋭意貯蓄の増強に努力をいたしておるわけでございます。この法律の改正によりまして、今年度はおおむね百億程度の純増を想定しておりますので、当初の千百五十億はもちろんのこと、この法律改正によって当然千二百億ないし千二百五十億程度の貯蓄目標を達成せしめたいという意図のもとに、改正案を提出いたしておるわけでございます。
#5
○上林山委員 郵政大臣は言うまでもなく国務大臣でもあるわけでありますから、一言申し上げておきますが、三十二年度の予算編成のときに、あるいは予算が提案されたときに、私どもは貯蓄の増強によらなければ経済の混乱といいましょうか、そういうような方面に相当の影響が予想されるから、じみな事業ではあるけれども、貯蓄増強について政府は一丸となって積極的な施策を講じてもらいたい、こういうことを強く進言したのでございますが、これに対して政府もそういう方面に積極的に施策を講ずる、こういうお話でございましたけれども、御承知の通りわずかに銀行の一年の定期を無税にしたという程度にとどめたわけであったようであります。ここにおいて郵政大臣がおそまきながら、あなたは就任がおそいのでございますからやむを得ないのでございましょうが、われわれの意向をいれて、この程度の改正をされたという点に対しては、一応敬意を表しているわけであります。ただ金利全体の関係を考えて、三十三年度の予算の編成期においては慎重に、しかも根本的にこれを考えられるというから、私もあまり多くを言わぬわけでございますけれども、これはおざなりにならないように、ここで発言された精神でぜひとも御奮闘願いたいという点が一点。ことに私は仄聞するに、三年もの、あるいは五年ものの民間の定額貯金ですか、あるいは定期貯金でございますか、そういう方面については減税貯金というような構想で、政府の一部では現存対策を考えておるやに聞くのでありますが、そういうことになれば、この改正案を出してですらも、現行の民間金融については郵政関係の金利は安いわけです。相当御改正になったわけでありますけれども、まだ安いわけでありますが、そういうように民間金融において一方に――これはいいことだと私は思っておるのですが、その民間金融の預金収集の一つの方法としてて、長期の定期貯金の利子を引き上げていくということは、これは金融政策として確かに一つの見方であると思っているのであります。これに見合うというとおかしいけれども、あまりにでこぼこの起らないような処置をお考えにならないと、現有の民間金融の利子に比べて、この郵便貯金法の改正では及ばぬのじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、これが接近するように一つ善処願いたい。これに対する御所感があれば承わっておきます。
#6
○田中国務大臣 昭和三十三年度の予算編成の基本となるものは、減税を行うか、もしくは貯蓄減税に回すかというような点がポイントになると思うのでありますが、いずれにしても三十三年度の予算編成に対して、貯蓄増強を大いにやらなければならないという方針を定めておることは御承知の通りでございます。郵便貯金法の改正も、総体的な金利政策を立てたり、また貯蓄減税の方針を打ち出し、特に具体的な調整をはかるために通常国会にしてはどうかということがあったのでございますが、郵便貯金はただいまの御説明のように、民間の預貯金とも競合しておりませんし、いずれにしても消去の抑制、特に貯蓄の増強は焦眉の急の問題として、一応臨時国会には提出法案の通りに出して、なお通常国会で種々の関連相互の問題を調整しました結果、あらためて御審議をわずらわすということが当然あると思うのでございます。
#7
○松井委員長 森本靖君。
#8
○森本委員 この郵便貯金法の改正について関連をして質問をしたいと思いますが、三十二年度の予算において資金運用部の郵便貯金の金が回っておる分については今何ぼありますか。
#9
○田中国務大臣 六千九百三十二億円でございます。
#10
○森本委員 六千九百、二十二億円でありますが、そういうことになりますと、三十二年度の予算の投融資計画におけるこの資金運用部の内訳をちょっと御説明願いたいのです。
#11
○田中国務大臣 政府委員から説明させます。
#12
○加藤政府委員 三十三年度の財政投融資計画の内訳でございますが、資金運用部関係といたしましては、計画額が二千百二十八億になっております。それに産投会計とか、あるいは簡保資金、余剰農産物資金であるとか、公募債借入金等入れまして合計四千九十一億になっております。
#13
○森本委員 その合計の四千九十一億円でなくて、二千百二十八億というものは、資金運用部資金のうちで郵便貯金の分が使われておるということですね。そこでその内訳を、これは予算審議のときに聞いたこともありますが、もう一例御説明願いたいというわけです。
#14
○加藤政府委員 内訳と申しますと、その投融資の分でございますね、
#15
○森本委員 そうです。
#16
○加藤政府委員 三十二年度の財政投融資の内訳を申し上げます。開発銀行に対しまして二百五十億、電源開発が四百四十六億、石油資源開発会社が十五億、北海道東北開発公庫百三十五億、東北開発会社二十五億、農林漁業金融公庫、一百五十億、愛知用水公団三十二億、森林開発公団九億、住宅金融公庫が二百六十五億、住宅公団三百六十五億、道路公団百億、以下こまかいものがございますが、大体以上のようになっております。
#17
○森本委員 大体毎年こういう形において投融資されておるわけですが、そこで私はこの際ちょっと大臣に根本的な問題をお尋ねしておきたいと思います。
 これは郵便貯金法でも、簡易生命保険法においても、それから郵便年金法においてもしかりでありますが、その三つの法律とも、すべて第一条においては大体同じような文句がうたわれておるわけです。そのうちの最後の方に、いつもこれは「国民経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」というのが、この三つの法律に共通な意味に出ておるわけです。そこで郵便年金法についても、それから簡易生命保険法についても、それぞれ簡易生命保険、郵便年金というものの根本的な意味以外における国民の福祉を増進をするという意味の設備あるいはその他を、郵便年金、簡易生命保険等については行なっているわけです。ところがこの郵便貯金だけは同じような条文があるけれども、実際「その福祉を増進することを目的とする。」ということは、考えようによれば、今言うような財政投融資を通じて、あるいは国民の零細な貯金を確実に扱うという、こういう意味における間接的な国民の福祉ということについては考えられるけれども、具体的な、直接的な郵便貯金をするということによっての国民の福祉を増進するということについては、他の簡易生命保険や郵便年金とはだいぶ隔たりがあるのではないかというふうに考えるわけです。そこで郵便貯金法の第一条におけるところの「その福祉を増進することを目的とする。」という、この福祉を増進するということは、一体どういうことをさしているかということをお聞きしたい。
#18
○田中国務大臣 郵便貯金の金を国家が基幹産業等に投資をしているのでありますが、前段でも申し上げました通り、計画的に基幹産業に国が投資をすることによって国の経済が豊かになり、われわれ国民生活が安定をする、こういう結果において第一条の目的が達成をせられる、こういうことでございます。特に私がいつも申し上げておりますのは、今度滞貨の問題等でいろいろな問題が起きているのでありますが、いずれにしましても、国が基幹産業、隘路産業等に計画的に多量の資金を投下をしなければ、日本の経済が安定をしないという現実にありますので、この種の吸収を大きくやって、三十三年度の予算等に対してはもっと今よりも大きく基幹産業や隘路産業の投資面をふやして、大局的な国の経済の発展育成ということをはからなければならない、こういう考えを持っているのであります。
 そこで今の質問でお考えになっていることは、特に何かまとまった、もっと目的の明確になっている事業をやったらどうかというお考えかと思うのでありますが、御承知の通り戦後は日銀法及び銀行法等が、全く金融機関というものの独自性を認めて、政府や行政権が及ばないような状況になっておりますので、国が基幹産業や隘路産業に対して計画的にもっと大きな仕事をしようとする場合には、どうしても国家資金を大幅に増強して、この面から経済の繁栄をはかっていく以外に現存のところ道がないわけでありますので、郵便貯金の利用方法、使用方法等に対しては議論のあるところではありますが、現在の状況においてはやはり財政投融資資金として現行のやり方でいく以外にない、またその行き方がいいのだ、こういう考えに帰着をしているわけであります。
#19
○森本委員 私の質問の趣旨は大体感じたようでありますが、今の大臣の答弁の通りしか現在の段階においては答弁ができないことはわかっておりますけれども、その他の簡易生命保険とかあるいは郵便年金等については、その事業を通じて付属的な、たとえば加入者に対するところの直接の利益サービスを行うという面のものが非常に多い。目的としては大体総則において郵便貯金法にしても、簡易生命保険法にしても、郵便年金法にしても、すべて同じような目的をうたっておる。単に郵便貯金だけがそういう間接的ないわゆる恩恵しか受けない。それと同時にその中にありますところの第三条のこの貯金は国が保証するという点と、第六条の印紙税の免除、これだけで郵便貯金というものが第一条の「国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」というのに合致するわけであって、もうあと三年もすればおそらく郵便貯金というものは一兆円をこすだろう、こういうことを予想せられる今日において、やはり郵便貯金は郵便貯金としての直接その郵便貯金の預入者に対するサービス改良面というものも、この際もうすでに考えていっていいのではないかという面を強く感じて、私はあなたの方に質問しておるわけです。これに対するあなたの答弁は、今の答弁しか現在の段階ではできないのだろうということは考えられますけれども、他の年金事業と保険事業と関連して考えた場合には、通常郵便貯金は別として、定額貯金とか積立貯金に加入しておる預金者に対しては、その程度のサービスを考えていっていいのではないかということを強く考えておるわけです。その点今後の事業運営に当っては十分考えていってもらいたい、こういうことです。
#20
○田中国務大臣 郵便貯金の運用の基本的な問題に対してはまた議論があると思いますので、それは別としまして、いわゆる郵便貯金の一部の運用に対して何らか考える余地がないかということは、過去の長い歴史をもって研究せられて参ったのでありまして、郵政省としましても、今般法律の一部改正法律案を提出し、なお郵便貯金額の増収をはかりたいという意図に立っておりますので、その過程において一部の還元というものをどういう方法で考えようかということに対しては、具体的に今調査立案中であります。なおこの問題をどういう程度、どういう方法でしぼるかといいまして、今のところ申し上げられるのは、郵便貯金額が昭和九年から昭和十一年当時の状況から見ますと、まだ目標額に達しておらないのであります。昭和九年から十一年の当時は、郵便貯金と普通の民間銀行との預金高の状況は、郵便貯金が三十一億余万円であり、銀行預金の現在高が百三十一億八千余万円という状況でありましたが、昭和三十一年十二月現在高で見ますと、郵便貯金が六千二百余億円、銀行預金はその七倍に当る四兆七千六百余億円ということになっております。当時の民間銀行と郵便貯金との比率から見ますと、民間預金の方が非常に多くなっておって、その五割五分ないし六割にしか達しておらないというのでありますので、これが当然昭和十年当時の状況に戻れば、運用の問題、なお還元の問題等具体的に考えなければならない問題であります。それで今事務当局として考えております一つの案を御参考までに申し上げるとすると、計画を作りまして年次における純増額の何%の範囲内において、左の仕事をやることができるというような法律ができれば非常にいいというので、今事務当局で立案をさせておるのでありまして、いずれ成案ができましたら御相談を申しあげたい、こういう考えであります。
#21
○森本委員 その問題は、事務当局がそういうふうに考えておるとすれば、その考え方をさらに積極的に進めていってもらいたいと思うわけでありますが、その問題はそれでおきまして、次にこれに関連をするわけでありますが、郵便貯金法の第十条に届いたところの第一号から第六号までのこの郵便貯金の口座数と金額はどのくらいになっておるか、御説明願いたいと思います。
#22
○加藤政府委員 お答えいたします。郵便貯金の種類別口座の最近の数字でありますが、通常貯金が口座数にいたしまして一億一千八百万一千口、積立貯金が口座数にいたしまして七百六十一万三千口、定額郵便貯金の口座が七千六百二十九万一千口でありまして、これを、パーセンテージにいたしますと、通常貯金口座数では五八%、積立貯金がわずか三・八%、定額貯金が三七・八%ということになります。金額にいたしますと、通常貯金の現在高が三千二百五十億円でありまして、これをパーセンテージにいたしますと四六%、積立貯金が五百二十八億でありまして、パーセンテージにいたしますと八%、定額郵便貯金が金額にいたしまして三千百四十五億でありまして、これも大体パーセンテージにいたしまると四六%ということになる次第であります。
#23
○森本委員 私が聞いておるのは、第十条の一号から六号までの分については、制限額をこえてやってもよいという規定になっておるわけですが、この制限額をこえてやってもよろしいというものは、総口座数の中でどのくらいの口座になって、どのくらいの金額になり、パーセンテージはどうなっておるかということです。
#24
○加藤政府委員 御質問の趣旨を取り違えて申し訳ありません。第十条におきまして預金制限額が現在二十万円になっておりますが、その二十万円をこしたものがどのくらいあるかという御質問でございますが、第十条で、組合とか、地方公共団体とか、その他土地改良区とか、いろいろな団体、あるいは民法上の営利を目的とせざる法人等につきましては、第十条の二十万円の制限額の範囲外になっておる次第であります。これらの法人の総預金額がどのくらいあるか、ただいま資料を持ち合せておりませんので、いずれあとで提出いたしたいと思います。
#25
○森本委員 これはそれ以外に労働組合とか、地方公務員法に基く組合とかいうものも全部入るわけですから、一号から六号までの分については、全部で口座数が何ぼあって、金額が何ぼあるかということははっきりわかるわけでしょう。今手元に資料がないが、調べたらすぐわかるということでしょうから、それを一つ調べてもらいたいと思います。そこで第十条を改正するのが主目的になっておるわけでありますが、二十万円ということで制限をしておりますが、今回はこれを三十万円にするということであります。簡易生命保険においても非常に問題だったわけでありますが、生命保険の方は、このごろは法を厳格にやっておるようであります。ところがここでせっかく二十万円という制限をしたところで、現実の問題としては、一人が二つの通帳を持つということになった場合には、これはなかなか監査する方法がなかろうと思う。もしそれを現実に監査する方法がないとするならば、この条項というものは空文にひとしいことになるわけです。そこで第十七条においては、利子をつけないとかいうような罰則主義があるわけでありますが、一体こういう方面の具体的な監査というものを郵政省としてはどういうふうにやっておるわけですか。
#26
○加藤政府委員 ただいま御指摘の十七条によりますと、預金者は種類が違えば通帳の数が持てるのでございますが、同じ貯金では一人で二冊の通帳を持ってはいかぬということになっておりまして、法律の上では、二冊あれば、先に預け入れた通帳を有効として利子をつけ、その他の通帳には利子をつけない。それから同時に二冊預け入れました場合は、その現在高の多い方の通帳に利子をつけて、あとの通帳には利子をつけないということになっておりますが、しかし一万四千もございます郵便局で時間を別にして預金者が預け入れるということになりますと、かりに同じ郵便局におきましても、非常に込むような局におきましては、午前と午後で本人が来ましても、それを見分けることは不可能なことでありまして、実際にはそういう一人で二冊以上の通帳を持つことがあり得るということは御指摘の通りであります。これに対しまして監査いたしますということは、原簿所管庁にそれが上って参りますが、しかしなかなか膨大な取扱いをいたしておりますので、これを実際に監査することはなかなか不可能であります。しかし定額郵便貯金等につきましては、実際現在二十万円となっておりますのを、特定局方面におきまして、百万円の定額郵便貯金にぜひ入りたい、退職金をもらった、あるいは山を売ったから百万円に入りたいと言って来られる預金者がございます。そういう方は、二十万円を、たとえば五口に分けて百万円にして、五口にしてやるというようなことをやっておりますが、こういう面につきましては、会計検査院で実際郵便局に出張して、名寄せをしてお調べになりますので、そうすれば、局の預入の書類を見て調べればわかるわけでございます。そういう面では非常に検査院からやかましく言われておりますので、健際銀行等のように、あるいは名義を他に親戚の名義あるいは家族の名義に変えてやれば、これは問題ないわけでありますが、いなかにおきましては、相当かたい考えで、子供でも信用がならぬといったようなことで、おばあさんがぜひ自分の名前で百万円預けたいということを言って来られた例がありますので、そういった方々の聞き取り書きを作って、わざわざ郵便局に預けたということもございます。そういう点で、二十万円という制限額が頭に響いておりますので、今回この制限額を三十万円に上げていただくということは、相当貯蓄奨励上有利じゃないかと考えておる次第でございます。
#27
○森本委員 私はそういう意味のことを開いておるわけじゃないのです。百万円持ってきたら、優秀な窓口の従業員なら、定額貯金よりも郵便年金でやった方がもっといいじゃございませんかというような奨励の仕方をすると思う。預金だけの面から考えたらそういうことを言うけれども、私がここで聞いておるのは、そういう意味でなしに、一人で通帳を二冊持っておるということ、あるいはまた一口が二十万円ですから、三口持てば六十万円になるわけです。そういうものについての監査方法が郵政省当局としてあるかどうか、それがなければ、こういうものを条文として置いたって、このものは無効になるわけです。幾ら三十万円に上げることをやっても、表面的に三十万円に上げるということであって、たとえば私が国会の郵便局で一つの通帳を持って、選挙区に帰って一つの通帳を持って、もう一つどこかで一つの通帳を持って、三つやればけっこう九十万円ということになるわけです。そういうものを監査する方法がなければ、預入者一人につき一通三十万円、二十万円ということをやってみたところで、空文にひとしいのじゃないか、現実にそういう問題が全国的に相当あるだろう、そういうことについての監査方法はどういうふうにやっておるかということを聞いているわけです。
#28
○田中国務大臣 法律に制限額があるのでありますから、預入を受ける郵便局では、十分限度額をこさないようにという原則でやっておりますから、一般金融機関に比べては、郵便局は非常に厳密であります。ところが中にはお説の通り、われわれが選考区で郵便貯金通帳を持っておるのが、選挙区へ忘れてきて、金が余ったから東京の郵便局へ積もうというので、二冊を作るということも、これは理論の上では当然あり得るわけでありますし、制限額をこす場合もあります。ありますが、これは常識論からしまして、二十万円にくるまでには八十年間の歴史を持っておりますから、普通の金融機関に比べると非常に厳密に適用しておるというふうにお考えになっていただきたいと思います。特に現実的な方法としましては、限度額をこすような場合には、一カ月の余裕期間を設けてこれを減額してもらったり、また家族の者に譲渡してもらったり、相当手きびしい処置をとっておるのでありますが、これはほかの面から見まして、郵便貯金が非常にうるさいので、銀行へ持っていくと、二十万円のものを五枚か十枚にも書いてくれるというので、特に郵便貯金に入ってくるものをやむを得ず銀行に持っていかなければならないというので、大衆から、何とかしてこれを改正しろ、こういう非常に強い要求が長い歴史を通じてあるのであります。いずれにしましても、預入限度額の制限は、比較的といいますか、相当厳密に守られているというふうにお考えになっていただければけっこうだと思います。特に限度額をこすものに対しては、国債、証券等を購入して、そのこす部門が法律違反にならないように在来は処置しておったのでありますが、現在その道も閉ざされておりますので、預金者と相談して、何とかして払い戻しをしてもらう、また名前を変えてもらうというふうな繁雑な方法をとっておるわけでありますが、これは郵便貯金をふやすというような面から見ますと、非常に逆な現象が起きておりますので、こういうものを整理をするためにも預入限度額を上げたいというのが、法律案の提案の趣旨でございます。
#29
○森本委員 私は内部の機構そのものを知っておるから、あえてこういう質問をしておるわけです。これは大体貯金局の機構のあり方、それから今の郵政局としての管理のやり方ということについて言えば、貯金業務が、事務的な面については、本省の貯金局から貯金支局へ、それから片一方管理する方においては、本省の貯金局から各郵政局の貯金部へ、それから現業局へ、こういう形になっているわけです。そこでこういう法律がせっかくあるから、長い答弁は要りませんけれども、同一人が二つ以上の通帳を持ってこの制限額をこすということについて、それを全国的に監査する方法をとらなければ、こういう条文があってもなきにひとしい。だからそういう監査方法というものを現実にとっておるかどうか、とっておるとするならば、どういう方法をとっておるか、こういうことを聞いているわけです。それがとる方法がないということになるならば、何とか考えたければ、この条文があってもなきにひとしいということになるから、その点を心配して私は聞いておるわけです。
#30
○田中国務大臣 速記をちょっと中止して下さい。
#31
○松井委員長 どうぞ速記をとめて下さい。
    〔速記中止〕
#32
○松井委員長 速記を始めて。
#33
○森本委員 この問題については日を改めて、後日この法案が上るまでにもっと質問したいと思いますので、きょうはこれでやめておきます。
 それで、次にこの郵便貯金法力第二十九条の問題であります。私はこの問題についてもこの前から当委員会において質問を行なっておるわけでありますが、どうもはっきりしない点があるわけであります。第二十九条について、十年間、預貯金の払い戻し、受け入れがない場合――先ほどの監査方法にも関連があるわけです。というのは、郵便貯金について、貯金支局のやり方を私は聞いておるわけでありますが、こういう場合、具体的にどういう処置を現在郵政省としてはおとりになっているか、一つその概要を説明願いたいと思うわけです。
#34
○加藤政府委員 ただいま御質問になりました二十九条の十年間預払いが一回もなく、しかも利子の記入その他現在高の確認の請求もなく放置されておりますもの、いわゆる睡眠口座と俗称しておりますが、そういうものに対して、十年たったらどういう措置をするかということは、法律二十九条で郵政省が催告状を預金者に出しまして、それから二カ月たちまして何ら返事がない場合には、その預金者の権利は消滅することになっております。この手続の実際につきまして申し上げますと、こういう睡眠口座は、戦時中の隣組貯金であるとか、そういった大体一件当り百三十円見当の金額でございます。そういったものにつきまして、大体十年たちましたので、最近五年間をもちまして催告状を発して、その睡眠口座の原簿を処理しようと考えまして、着着やっておるわけでございます。ただこれは法律の上からも発信主義でございまして、実際その預金者に催告状が届いたかどうかということを確めることはしないことに表面ではなっております。しかし戦争中の住所でございまして当てにならないのもございますので、現在は一応催告状を出しまして二カ月たちまして来ないものは権利が消滅ということで、口座は没の方に処理をいたすのでございますが、その後預金者から、自分はそういう催告状をもらった覚えがないということでその通帳を持って印し出がございますと、これにつきまして一応没入の処理を取り消すということをいたしておる次第でございます。そうして実際にその権利を認めましてその金額を払っておるわけでございます。この没人取り消しの件数及び金額は、昭和三十一年度におきましては一万九千件でございまして、金額にいたしまして六百二十六万二千円ばかりになっております。一件当りの金額は三百二十六円ございまして法律上どういうことになるかと申しますと、没入いたしますと権利が消滅いたしますので、毎年度没入になりました金額はいわゆる郵便貯金特別会計の雑収入といたしまして歳入に受け入れるわけでございます。この没入を取り消した場合の払い金はどういうもので出すかと申しますと、郵政事業特別会計の歳出に諸払い戻し及び補てん金の項目がございまして、これから支出しておるわけであります。この財源は事業費を含めまして郵便貯金特別会計から郵政事業特別会計へ毎年繰り入れているわけであります。それから上十九条では十年たって初めて催告するということになっておりますが、それに至らぬ前も、二年おきとか五年おきに私どもの方は予算の許す限り睡眠口座を調査いたしまして、御利用がないがどうなさいましたか、御利用下さいというように、途中において御通知申し上げることもやっておる次第でございます。その実績を申し上げますと、昭和三十年度におきまして利用勧奨状を、約七十万口座に対しまして発送いたしたのでございまして、その後これがために利用が継続されましたものが四三%、払い戻しがなされたものが二十%でございます。そういうわけで、法律上は非常にきびしいような法律になっておりますが、実際の面におきましては、私どもはそういったような取扱いをいたしておる次第でございます。
#35
○森本委員 こういうサービスをする面については、法律だけでなしに、緩急度合いよろしきを得てサービスをするということはまことにけっこうでございまして、それは別に私は異議を申し立てるわけではないのでありますが、ただ十年間ということになると、これは日々貯金支局なら貯金支局において計算をしていかなければならぬのじゃないです。満十年ということになると、たとえばきょうが十一月四日でしたら、十年昔の十一月四日のものがきょうでありませんか。またあしたは十年前の十一月五日の分がありはせぬかということで、毎日全国的に貯金支局でそういうものを摘出して計算をして手続をとる、こういうことをやっていかなければならぬ法律の建前じゃないですか。
#36
○加藤政府委員 毎年三月末日に通常貯金の利子を計算いたしますときに全部の口座を調べまして、毎年十年目になるものを調べまして、催告状を発しておるわけでございます。ただ先ほど申し上げましたのは、戦争中に非常に人手のなかった時代に、催告を発すべくしてたまったものが相当数になっておりますので、これを五カ年計画で今後平常のものに合わせて催告を出そうということでやっておるわけでございます。毎年やっておる次第でございます。
#37
○森本委員 これは三月末日に年に一回やるだけですか。
#38
○加藤政府委員 そうでございます。
#39
○森本委員 そうすると、これは二十九条にその三月末日というふうなことを書かなければならぬことはないのですか。
#40
○田中国務大臣 これは法律をお読みになるとわかる通り、いつ催告を発しなければならないという規定はありません。いずれにしても、十年間過ぎたものに対しては可及的すみやかに催告を発し、催告の日から二カ月間に返事のないものは消滅する、こういうな法律の建前になっておりますので、三月三十一日で催告をして一向差しつかえない、こういう考えであります。
#41
○森本委員 しかしこれはたとえば一類証拠書類を各統括局から貯金支局へということは、厳密にこれは毎日やっておるわけですね。ああいう書式でいくならば、この第二十九条の催告というものは、今言った三月三十一日で一まとめにしてやるべきものじゃないと思うのです。こういうものは日々全国的に、本日は件数が何ぼある、本日は何ぼあるということによって、毎日やるベき筋合いの法律的効果じゃないかと思うのですが、この点は事務当局、どうですか。
#42
○加藤政府委員 確かに十年目というものは、はっきりつかもうと思えば、預払いがあったたびに口座の原簿を係員が見るのでございますから、それはわかるわけでございますが、しかしこの法律の解釈といたしまして、私どもの方では、十年たったらその日にすぐ催告状を発しなければいかぬというふうにはとっていないわけでございまして、これは十年たったら催告状を出すのは、その三月末日に全部の原簿につきまして当ったときでいいというふうに解釈しておる次第であります。預金者の損になるというわけでもございませんし、権利に関する問題ではありませんので、そういうふうに考えてやっております。
#43
○松前委員 関連して簡単に一つ御答弁願いたいと思いますが、郵便貯金の利息を引き上げて郵便貯金を吸収しようというお話でございました。これは前から問題になっておりますが、郵便貯金を吸い上げるというために、利息を上げるということは一番手っとり早い、ある意味においては芸のない話なんですね。これは預金部資金にこれを繰り入れる前に、郵便局が窓口あるいはまた郵政省としてある程度郵便貯金の運用ができる、これは簡易保険のような格好に持っていく、こういうことはお考えになったかどうか、御交渉になったかどうか、伺いたい。
 それからもう一つは、もしもそれが自分自身である程度――全部ではありませんが、ある程度運用がででるような交渉――そういうふうにすることが一つの方法ですけれども、それができない場合においては、たとえば地方債その他の受付等の窓口に郵便局がなる。このことがまた郵便貯金を吸い上げる――吸い上げるというと語弊があるが、貯金額を増額するという意味においては相当効果があると思うのです。そういうことも一体交渉になったのかどうか。この二点を伺いたいと思います。
#44
○田中国務大臣 郵便貯金資金運用権の問題につきましては、これは長い歴史があるのでございまして、大蔵省と逓信省時代から相当問題があることは御承知の通りであります。私も大臣就任当時から、集めさせるだけ集めさせておいて、金を使うことは全部別に大蔵省が使うのじゃということでは、集める意欲も減殺されるし、何とか運用の問題を考えられないか、特に集めた人が運用することが、一番金の事情を知っておりますから一番合理的だというふうに考えるのでありますが、国表資金源の複数化ということに対してはなかなか異論が多いのでありまして、現存の段階においては、いずれにしても資金運用部資金としての運用権は現行のままでおいてほしいという大蔵当局の強い要求があるのであります。
 第二の問題としましては、運用権そのものは別にしまして、何らか還元の問題、一部運用といいますか、簡易保険や郵便年金積立金の問題のように、何らか運用の方法がないかというので、先ほども答弁申し上げましたが、近く何らか結論を出したいというので、事務当局をして今想を練らしておるわけでございます。それは前年度に比べての純増分にするか、目標額をこした場合のその何割かをどういうものに使えるというふうにするか、そういう問題については一つ十分検討いたしたいという考えでございます。
 もう一つ、資金運用部資金が地方債等に回る場合は、その窓口を郵便局にしてはどうかという問題も、これは長いこと研究されておる問題でありますが、現在のところ政府部内の意見を統一するという段階までにはなっておりません。おりませんが、法律の建前上は自治庁長官を窓口にしておりますが、大蔵、郵政両大臣の協議のもとに決定をする、こういう状況になっておるのでございまして、この郵便貯金の運用の問題に対してはもうしばらく時間をかけて何らかの結論を得たい。特に郵便貯金吸収を増大させようという建前から考えましても、何らかの道をここで開かなければいかぬのじゃないかという考えを持っておるわけでございます。
#45
○松前委員 簡単にもう一つ、それは一つ大いに御努力を願いたいと思います。大体利息を上げるということは一番芸のない話ですから、少くとも窓口だけでも、窓口というか、郵政省自体に、運用に関するもっと現在より強い政治的な発言のみならず、事務的な実力を持たせるということが必要じゃないかと思うのです。それから資金運用部資金の運用に関しまして、政府は郵便貯金の利息を引き上げるならば、資金運用部資金の運用の際も利息を引き上げられるのですか、どうですか。
#46
○田中国務大臣 引き上げません。
#47
○松前委員 これはどうですか。見通しとしてはこれを実行した場合に、いろいろな意味において郵政省全体の財政に関係することはありませんか。
#48
○田中国務大臣 御承知の通り私も就任後百日になるところでありますが、この問題についても取り組んでおるわけでございます。これだけの郵便貯金及び簡易生、保険及び郵便年金という大きな金を集めておいて、それで三十億や四十億の一般会計からの繰り入れをやってもらうことによって、金を幾らかやっているのだと言われるようでは、長い歴史と非常に大きな組織を持って八十年の長きにわたって大きく国に貢献してきておる郵政当局としては、多少意見のあるところでありますので、通常国会にはこういう問題を含めて一つ抜本的に何らかの方途を見出したいという考えでございます。特にこの資金運用部資金に入れられて一定の率でもって強制的に借り上げられるところの貯金の運用は、幾らかでもまた一時でも、ある考えからいえばそれをある期間だけでも使えるということになれば、郵政事業というものの資金は根本的に変るのでありますので、事務当局というよりも郵政全体の強い希望がありますので、私も一つ何らかの打開策を見出したい。しかし資金運用部資金の方を幾つかに分けるというようなことよりも、先ほども御説にありました通り、金利を幾らか上げてもらうとか、集めた金の一定のワクは運用できるようにするとかという問題をあわせて考えたい、こういう気持でございます。
#49
○松前委員 これは総合的な問題でありまして、簡単に論議は尽きませんけれども、大体今の私の頭の中に浮んだこの法律に対する問題としては、非常に重要な問題だと思うのです。ですからあなたのように馬力の強い大臣のとき、うんとこの問題を片づけていただいて、後世に一つ残していただく。利息の問題につきましては、私もまたこの方面の専門家でないから、もう少し勉強してから結論を得たいと思っております。いずれにしても大蔵省との折衝に対しては、相当粘り強い戦いによって解決していただきたい、こう思っております。
#50
○田中国務大臣 わかりました。
#51
○森本委員 先ほどの第二十九条の問題についても、まだ政府当局の答弁はちょっとおかしい点があるわけです。というのは、法律を勝手に都合のいいような解釈の仕方をしようとするからら、僕はあえて執拗な質問をするのであって、なお詳細な質問をして明らかにしなければならないと思うのですが、それ以外に私の質問したい点もまだ五、六点あるわけでありますが、本日は時間もありませんし、なお同僚の議員が他に質問があるようでありますので、私のこれ以上の質問は次の機会に譲って本百の私の質問はこれで打ち切ります。
#52
○松井委員長 片島港君。
#53
○片島委員 一、二点お伺したいと思いますが、政府の今年度の予算編成時における非常な景気のいい一千億減税、一千億施策、こういったような政策が経済政策における見通しの誤まりというか、失敗によって、転換をやらなければならぬようになったわけであります。輸入を非常に制限をするとか、金融を引き締める、あるいは設備の拡張を中止する、こういったような経済政策の転換によって、金融情勢に当然大きな影響を来たしたのであります。東京中央郵便局における貯金課の例をとりますと、昨年あるいは今年春ころまで非常な急カーブで増加しました貯金が、最近非常に悪化いたしたのであります。この政府の経済政策の転換によって郵便貯金における預金をしておるものの引き出し及びそれに応じた影響といいますか、従来のカーブにどういうふうな状態に影響を与えたかということをお伺いしたい。
    〔委員長退席、森本委員長代理着席〕
#54
○加藤政府委員 郵便貯金について先般来のいわゆる金融引き締めの影響がどういうふうに現われたかということを、通常、積立、定額全部含めて、総体として御説明いたしたいと思います。本年の四月は三十億の純増でございます。前年の四月は十八億でございます。五月に至りましては本年が三十億の増、前年が四院五億ですから、十五億も少くなって参ったのでございます。六月に入りましては百七十五億でで、前年が百五十億でございますから二十五億くらい成績がよかった。それから七月も三百十四億と百九十四億ですから、本年の方が相当成績がよかったのでございますが、八月に入りまして、本年が五十三億の増、前年が七十三億ですから二十億の減少となって参ったのでありまして、九月に入りましてこちらはマイナス七億、七億の減、赤が出たのであります。前年は五十七億の増でございます。十月一日から二十九日までの合計で参りますと、本年が八十億の増、前年が百十二億でございます。そういうわけで八月くらいから上昇のカーブが非常に落ちて参ったのであります。これは金融引き締めの影響ばかりではなく、去る七月一日に民間金融機関の定期預金の利率が引き上げになりました。そういったような事情も反映いたしまして、それに相当する定額貯金等について、九月、十月でマイナス二十億以上の減と響いて参ったと考えられるのでございます。その他消費性向の増大とか、いろいろそういった面も含まれると思いますが、七月一日からの民間の利子引き上げ等の影響もございまして、そういう上昇のカーブが非常に減って参った。現在におきまして千百五十億の目標に対して五百七十四億で、五〇%という成績でございます。
#55
○片島委員 郵便貯金の利用者というのは、大きな企業をやっておる者、あるいは大きな資本を持っておる者は利用しないで、勤労者階級が多い、中小企業でありましても、今後の取引というような関係で、むしろ郵便貯金以外の金融機関を利用するのが多いので、利用者としては勤労者が一番多いだろうと思います。それが今年度の政府の減税の恩典も比較的受けていないし、また神武景気の恩典もあまり受けていない階級に、郵便貯金を通じてしわ寄せがきておると思うのでありますが、今年度における郵便貯金の当初の目標に対して、この改正をやらなかったならば、どういうふうな見通しを今日のところ持っておられるか、この点をお伺いしたい。
 それと、この改正について、提案理由の冒頭の、今日の経済事情のもとにおきましてはというのは、経済政策の転換をやった今日における国際収支の改善、消費節約並びに物価の安定、こういうようなことを言っておられるのであるが、この引き上げの改正をやることによって、またどの程度の増加を見るのであるか。もし改正をしないようであるならば、今日の事情からいうと、私は目標額にはるかに及ばないと思う一昨年あるいは昨年度は相当目標を突破したのでありますが、ことしはなかなかそういう情勢にいかないだろう。そうしますとどの程度目標を下回るか、あるいは改正をすることによってそれをどの程度挽回する見通しがあるのか、その点をお伺いいたします。
#56
○田中国務大臣 郵便貯金の預金者の職業別を見ますと、御承知の通り通常貯金、積立貯金、定額貯金ともほとんど同じ率でありますが、賃金俸給者が四九%、個人経営の事業主が四七%で、ほとんどその大半を占めております。それで七月、八月、九月は民間預金の金利引き上げ等によって幾らか減っておるようでありますが、これはほとんど個人経営をやっておった方々が、事業資金として銀行に口座を開こうかというような傾向もあったようでありまして、十月に入ってからは産米の増収等によって大体金利の引き上げを行わなくても、当初の目標千百五十億には達するのではないかという見通しを立てておったわけであります。この金利の引き上げは三十三年度の予算編成の方針にもなるように、どうしても消費購買力を少し押えたいという問題、特に米等が非常に増収されてもおりますし、そうじゃなくても消費面が増大をしつつある傾向にありますのと、特に預金吸収によって新しい角度から投融資計画等をもっとふやさなければならぬのじゃないかという立場から、増収をはかるためにこの改正案の提案になったわけであります。この金利の引き上げ等を行なった結果、先ほども申し上げましたように、大体予想目標額をこすこと百億、合計千二百五十億程度の預金吸収ができるものという想定をしておるわけでございます。
#57
○片島委員 この民同金融機関の金利の引き上げが直接影響したということは、私は比較的少いのではないかと思うのです。というのは、一般民間金融機関を利用する者と郵便貯金を利用する者とは、おのずから階層が違っておるのです。それと、農村は御承知のように今年も三年続きの豊作でありまして決して水準から見ても悪い状態になっておらない。やはり大きな影響を受けたのは一般企業でありますが、私はそれが、いわゆる零細な個人企業というものが、金利の若干の違いによって金融機関を特別に変えるというようなことではなくしてこれは、やはり政府の経済政策の転換というもの、すなわち転換以前の危機あるいは混乱状態というもののしわ寄せが非常にこういう階級にきた結果、郵便貯金というものが非常に困難な情勢になっておる。そういうような情勢のもとにおいて、やはり千百五十億というものを達成するだけの自信があったのかどうか。また今千二百億程度というお話でありますが、そうしたならば、二十万を三十万に上げ、金利をこのように引き上げることによって、わずか九十億くらいしか貯蓄目票が増加できないというならば、これだけのきわめて大きな引き上げをやりますのに、あまりにもかいしょうのない話だと思います。
#58
○田中国務大臣 五十億ではなく、大体百億であります。先ほど申し上げましたように、七月、八月は定額貯金が減っておりますが、定額貯金や通常貯金、積立貯金を見ましても、通常貯金においては全然使用人を持っておらない人がほとんどで、通常貯金で八四・八%、積立貯金で六八・八%、定額貯金で八一%ということで、ほとんど賃金作給生活苦とその他の個人が預金の対象になっておるのでありますから、銀行金利を引き上げたということによっては、あまり衝撃がなかったのではないかという御説には、私も賛成であります。いずれにしても、これが当っているかどうかわかりませんが、全国の募集状況やそれから簡易生命保険の募集状況、通常貯金の預け入れ状況の窓口の気持から見ますと、農村におきましては、多少米もよけいとれるという見通しが七月ないし八月にはついたから、多少消費がふえたのではないかという報告もあるのでありますので、この法律の改正ができなくても、大体当初の目標、千百五十億はようやくながらも達せられるという見込みで省としてはやっておったわけでありますが、この法律改正によりましては、最小限百億程度はどうしても増収を見込み、千二再五十億ぐらいが達成できる、こういうことを申し上げておるわけであります。
  [森本委員長代理退席、委員長差席]
#59
○片島委員 それでは法案の内容につきましては、またあらためてお伺いすることにして、今日は時間がありませんからこれで終ります。
#60
○松井委員長 他に御質疑がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 次会は明後六日午前十時より開会することとし、本百はこれにて散会いたします。
    午前十一時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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